約 1,796 件
https://w.atwiki.jp/miyurin/
住人募集中 自分の名前のページ作ってここの住人にみんなもなりませんかぁ~★ お気軽にど~~ぞ♪ 投稿詩募集中 ステキな詩の投稿募集中です♪ ◆投稿詩たち (ステキな詩をください♪) +.★(* v`pq).*o☆ 特になし! 痛いNews 【画像】ランドセルが、約90%軽くなる「棒」発売へ 既に予約数は2000本に 練馬区の中学校、生徒に「SNSのパスワード」を提出させる 古市憲寿、東京五輪「そもそもオリンピック要らない」→北京五輪「どんなことがあってもやってもいい」 「砲弾の上で尻もちをついた」 直腸内に対戦車砲弾、男性が救急搬送 爆発物処理班も出動 【画像】波平の月収が判明 「外でも着られるパジャマ」発売。ちょっとした外出でも違和感なく着れて価格は33,000円 マイクロソフトEdgeに「Chromeのダウンロードを中止するように必死で促す新機能」を追加 NHKを映らなく加工しても契約義務 最高裁判決 山口銀行&アイフルの新構想が画期的と話題「毎月10万円借金でき、返済は利子だけ、元本は死亡保険で」 梅宮アンナさん激怒「車の走行中絶対にやってはイケナイ行為に2回も合いました。ウォッシャー液出し」 ガールズバーで5万5千円分豪遊し無銭飲食→裁判官「ボッタクリなので無罪!適正価格は2400円」 外国人 「何で日本のRPGは俺達に神を殺させようとするんだ?」 無灯火&イヤホンで自転車に乗っていた高校生が男性に接触→男性がトラックにひかれ即死 「酔っていたのでわからない」すれ違いざまに女性にラリアットした公認会計士の男(23)逮捕 周辺で他の女性も同様の被害 日本政府、国際線予約の一律停止を撤回 海外滞在の日本人は帰国可能に 15 item(s) Last-Modified 2021/12/04 21 13 02 最新News 【RSSをご利用中の皆さまへ】URLが変更になります 赤レンガ倉庫に聖夜の輝き クリスマスマーケット開催中 愛された弟が自宅死「何のための43年か」 絶望した姉は声を上げた タコ、イカ、ジャガ…たい焼き25種 「対馬愛」からアイディア次々 異世界か夢の国か、ドライバー泣かせの夜景 堺泉北臨海工業地帯 宮崎のマサイキリン「コナツ」が熊本に「嫁入り」 国内には7頭だけ SNSの動画にあぜん…実家襲う土石流 「母残ってる」家に戻った弟 八王子の都立大キャンパスで火災 学生用研究室の有機溶剤か 「ワクチン打ったら1万円」焼き肉店が求人 増える好待遇は差別か 新撰組のように厳しい?「おきて」守って詐欺・事故防止 店で特典も 札幌五輪招致、施設関連の市負担459億円想定 市外施設は調整中 <CNET Japan>「アイマス シンデレラガールズ」10周年ツアー千葉公演で見た“新たな可能性を感じるステージ” 「観客にどう見られたいか」と監督、選手の答えは?京産大関西王者に 夢が途絶えた昨夏の球児、母の遺影と参加 2年ぶりマスターズ甲子園 「納得できる試合はない」 J1残留のアビスパ〝キング〟の不満 【写真まとめ】帝京大が3年ぶりV ラグビー関東大学対抗戦 宗兄弟に谷口浩美… 名門の看板背負う大六野秀畝が福岡国際に挑む <ZDNet Japan>AWSが示した多様な業界向けのアプローチ--re Invent 【写真まとめ】プリクラブームから四半世紀…変遷を振り返る いまや動画まで「盛れる」 プリントシールの写り、ここまで進化した Z世代のプリントシール事情 スマホで「盛れる」時代になぜあえて? 33歳で職人デビュー 新潟・燕の銅器200年を支える女性の心意気 「地球を掘らない」鉄づくり 東京製鉄が進める車→車のリサイクル <CNET Japan>アップルが選んだアワード2021--ベストアプリからゲーム、Books&マンガまで 立憲・泉氏「週明けに男性6名、女性6名の執行役員を発表」 茂木氏「使途公開、臨時国会ではまとまらない」文通費見直し 国際線予約 停止要請の公表「前向きに検討」 斉藤国交相 首相「医療資源をオミクロン株に集中」 一部帰国者の自宅待機で 障害ある人の「人権」とコインの裏表 職員の低い待遇、抜本的改善を インドネシア・ジャワ島で火山が噴火、1人死亡 逃げ遅れた住民も 台湾防衛、「あいまい戦略」見直しの必要なし 日米は長期計画を 米「民主サミット」初開催へ 招待国の境目あいまい、透ける対中戦略 「英仏当局、救助来ず」 遭難事故の生還者が証言 国境付近で沈没 中国には中国流の民主主義 アメリカに抗議の大キャンペーン開始 苦悩にじむ昭和天皇、転機うかがわせた10月 側近が記した開戦直前 昭和天皇は「覚悟あらせられる様子」 太平洋戦争直前、側近が日記 昭和天皇「顔が紅潮ご興奮」 開戦議論後 百武侍従長日記の主な記述 「今は風になり、空を吹きわたって…」秋川雅史さん、新井満さん悼む ISS船長務めた星出飛行士「次は月へ向け頑張りたい」 帰還後会見 メダカは水温が低いとメスが生まれるって本当? ネットメディアのジレンマ ヤフー出身者が挑む持続可能なしくみとは 芥川賞作家の新井満さん死去 「千の風になって」の訳詞と作曲 米中新冷戦下で逝った経済学者コルナイ 「東」崩壊に理論的な力 菊五郎さんら吉右衛門さん悼む 兄の白鸚さん「安らかでいい顔」 44 item(s) Last-Modified 2021/12/05 02 18 58 アクセスカウンター - A fairy kiss the moon.since 2006/04/23
https://w.atwiki.jp/nocry/pages/183.html
猫じゃらし 遅ればせながら、ここでエスタッド皇帝のひととなりについて、話をしておく。 エスタッド『皇帝』―― エスタッド国の頂点に君臨する、施政者である。 完全職業軍人と言うシステムを実際に形にして見せた、先駆者でもあった。 当時。職業としての「軍人」制度は、机上の空論的な説としては多々あったものの、形にするにはどこの国も難を示した。 端的に言えば、戦うだけで常は何も生み出さない大人数を、養う国力の余裕がなかったのだ。他に仕事を持つ男たちが、厳戒時のみ兵役として借り出されるのが一般的である。 皇帝、継承して即座にその独裁振りを発揮し、権力を用いてまず最初に行った仕事がそれであったという。まだ若さの抜けきらない皇帝自らが周囲の懸念を他所に、たちまちエスタッドを、地図上に於いて誰もが間違えることのない大きさと位置――形も広さも一夜で変わるのが常であった――に拡大して見せた手腕は、強引であったとは言え、 「見事」 今は滅びた国の、同じような施政者をしてそう言わせしめたと言う。 後年この国が、麻のように乱れ立つ全土を統一に導き、平定してゆくことになるのだが、当時まだ、その大事の中途にあった。 エスタッド皇国は、文字通り、皇帝を独裁者とする一点集中型国家である。議会と言う名ばかりの組織もあるものの、殆どは機能していない。 とは言え、帝国制は元からであったものの、一点集中型に切り替えられたのは現皇帝が座に就いてからのことだ。前帝、前々帝は独裁振りを発揮できるほどの器の持ち主ではなかったらしい。私情に耽り、血で血を洗う親子関係のその最期は、共に「心不全」と公式文書には記入されているものの、真状は定かではない。 刺殺であったとも、毒殺であったとも、言われている。 しかし仮に暗殺が真実であったとして、その指示を出したのが誰であったのか、一説によると現皇帝であったとも囁かれているものの、ここでは深く言及しない。 ただ前施政者が無能であり、現施政者が有能であるとそれだけ述べるに留める。 この、皇帝。 生まれつき心臓になんらかの欠陥があったようだ。 「穴が開いている」とは、本人が回りに漏らしていた話としては有名で、幼い頃はともかく、成長し身体が大きくなるにつれて、幾度となく、文字通り「死に掛け」ていた。四肢に行き渡る血流を送り出すと言う、一番単純でその実大事な機能を、この欠陥部品にかかる負担の割合が上回っていたようだ。 皹の入った硝子細工のような扱われ方をした。 十歳まで保たないと生れ落ちて直ぐに宣告され、半死半生ながらそれでものらりくらりと四十を目前に生きてこれたのは、単に彼自身の努力ではなく、いつでも最高最上の医療行為を受けられる立場にあったおかげなのだろう。 それを強運と言うべきか、不幸と呼ぶべきかは判らない。 自然であれば、まず真っ先に淘汰されているであろう命が、湾曲し生かされ続けているとも言える。本人がそれを望んだかどうかは定かではない。 血縁者はいない。 事になっている。 公式文書はともかくとして、母を同じにして種違いの妹が一人、公然と隠されて存在していた。 今は軍籍に身を置く。 その彼女。まだ幼い頃、槍玉に挙げられたことがある。 皇帝が彼女を皇国エスタッドへ寄せてから数年、政治的内紛が勃発した。 俗に言うクーデターである。 表向きの理由としては、「身体の弱い現皇帝に代わって、ミルキィユを政の長とする」、裏を返せば甘い汁の奪い合いであった。 遥かに年下のミルキィユである。 政治の何たるかどころか、まだ己が前皇帝の血継であるとの認識も薄い、ままごとをして大人しく遊んでいるような娘であった。 クーデターの起こった当日ですら、何も聞かされていなかったに違いない。 皇帝、ここでもまた本気で死にかけた。 内蔵のいくつかを損傷し、左腕を肩口からばっさりと落とされている。 どうして生き延びることができたのか、本人ですら、不思議がっていたらしい。 国葬の準備を万端に用意し、枕元に死神が幾度となく立って、それでも何故か生き延びた。先に述べた最高最上の医療体制のおかげであったことは、想像に難くないが、 それでも尚、可能性としては零を下回る確率で生き延びることが出来たのは、おそらく皇帝自身の、 「生への執念」 であったのだろう。本人はそれを否定している。 起き上がれるほどに回復して後に、軟禁とは名ばかりの土牢へ投獄されていたミルキィユを、有無を言わさず権力を用いて、 「お咎めなし」 にしたのは、意外に私情を挟むことをしない皇帝の、唯一の我が侭を通した決裁であったとも言える。 「――殺してほしい」 救われて直ぐに皇帝の前に見えたミルキィユは、膝を折りそう嘆願した。 自分はもうすでに一度命を救ってもらっている。今更惜しむものでもない。自分の血や身分や、その他の余計なものが、今後も邪魔にならないとは限らない。むしろ必ず邪魔をするだろう。だからどうか、同じような過ちを犯さないために、侵されないために、自分を今のうちに処分して欲しい。 皇帝、頑として突っぱねた。 まるで聞く耳を持たなかったようだ。 数刻平伏し、頼みに頼み込んで、それでも兄皇帝の首が縦に振られることはないとようよう認識すると、 「では」 ミルキィユは悲壮な決意を口にした。 「ではわたくしは、皇帝陛下の刀となります」 己の出自により、皇帝を守る盾にはなれない彼女の、最大にして最後の選択肢でもあった。 「――刀、か」 ようやく返した皇帝の答えは素っ気なかった。 「私は使えるものは何でもこき使うぞ。――生半な覚悟であるならば止めておけ」 権力を行使して、その決意すら留めることもできた彼が敢えてしなかったのは、それ以上の否定は妹を死に追いやると判断したからだろうと思われる。 僅か数年後、年不相応の異例の大抜擢を受けて、ミルキィユは部隊の長へと昇格している。 確かに、生来の群を抜く能力と求心力はあったろう。しかし、それにしても能力のみでの十代での部隊長は、年功序列を異様に死守しようとする軍隊ではあまり考えにくい。 おそらく、皇帝の手が回ったのだろうと思われる。 態度には表さずとも、多少なりとも皇妹に対して肉親の情はあったものと見え、以降も大っぴらではないものの心にかけていたようだ。 本人はそれも否定している。 天邪鬼なのである。 それも、念には念を入れた見事な捻くれ捩くれようの、底意地の悪い天邪鬼であった。 底意地の悪さに、こんな話がある。 皇帝、どんなに名を呼ばれても、返答するということがなかったようである。そもそも国の統治者であるのだから、名前だけは無駄に長かった。 建国数百年、国の名称やその歴代の各皇帝の名前、それに血筋だの敬称だの所属国家だの所領地だのの各名称も入れるつくりになっていたから、本気で長かった。 「辞書がひとつ出来る」 の談は、大袈裟な表現ではあるものの、控え目にしても最初から最後まで高速で発音して120秒ほどかかったというから、やはり長かったのだろう。 通例は、略称で呼ぶこととしていた。 この略称が曲者であった。 皇帝、どんな略称で呼ばれても、まるで反応しないのである。公式会見の記録ですら、 「エスタッド皇帝ニ於カレテハ、各種様々ナ御名デオ呼ビスルモ、ソノ成果ナシ」 と書記の愚痴のようなものが書かれていたと言うから、その意地の悪さは相当なものだったろう。 そもそも、己の名と認識していたのかどうかも怪しい。 「好きに呼ぶと良い」 そう嘯くこともありながらその実、周囲が便宜上付けた名称にもまるで反応を示さなかったと言うから、よほどの何か拘りでもあったものか。 仕方なく、敬称で通されることが多かった。 国のトップを正式名称でなく略称でもなく、ただ「陛下」と言うだけの曖昧な表現をしなければならなかった呼称係などは、毎回胃の痛くなるような思いをしたことだろう。 それをしてほくそ笑んで眺めている、と言うような性格であったと言うから、これはもう筋金入りの意地の悪さである。 その意地の悪さに比例して、容貌もまた奇怪を誇っていたかと言うとまるでそうではなく、 「蟲惑」 だの、 「艶然」 だの、その他口をきわめた美辞麗句が、各書に書き散らされている。その時分の酒場に座する歌うたいが、必ず挙げる歌のひとつにエスタッド皇帝が紛れていたと言うから、これは相当な美男であったと思われる。 それも男が男に惚れる要因のひとつの、 「漢らしい格好良さ」 ではなく、女性よりも麗しい、どちらかと言えば妖艶と言った美しさであったようだ。仮に皇帝が女であったとしたら、その美貌に騙されて、いくつかの国が右と左に傾いたことだろう。 そうした意味では皇帝が男であった、と言うのは幸運であったことなのかも知れぬ。 更に幸いなことに、これだけの容貌を持ちながら皇帝その人本人は己の資質にまるで無頓着なのであった。当人に言わせるところの、「生まれてより変わりのない顔」なのであるから、それはそうなのだろうとも言えるが、それにしても無関心に過ぎた。 自己愛の薄い性格だったのだろう。 ただしこの容貌、利用できるところはしっかりと利用したようである。 己が美しいかどうかは興味がないとして、しかし相手に与えるプレッシャーについてだけは十二分に熟知していたようであるから、これはもう一言に、 「性質が悪い」 のである。 その性質の悪さが、最近気まぐれに拾った、皇帝からすると年の差半分の少女に関心が向いている。 他に興味を示すことのない皇帝にしてみれば、それだけのことで稀な出来事であった。 * 「手に負えませぬ」 屋敷に戻った主の顔を見るなり開口一番、不満を叩き付けるように侍従長はボヤいた。撫で付けた黒髪に半ば白いものが混じり始めた彼は、雇い主のまだ頑是無い頃からこの屋敷を仕切っていた記憶がある。接する機会が少ないとは言え、その主に対しての経験と言うならば、十分すぎるほどの経験を積んできているはずだった。 屋敷の主が欲し、そうして成すことに対して口を出されることをどんなに嫌うか、どれだけ不興を買うか、彼は十二分に理解しているし、またそういった諸所に意見を持たないだけの教育を受けてきている。 教育。 屋敷で働く人間は、人間に非ず、と言う。 ヒト以下と言う意味ではなく、言葉通りに「人間ではない」と言うことだ。 例えば、木石。 例えば、無機物。 屋敷で意思を示すのは、唯一の決定権を持つ主のみで良いのだ。 働くものに意思は要らない。 意思を持ってはならない。 主の成すことに無感動云々の話ではなく、成されていることに対して何とも思わないように訓練を受ける。無感動であったにしろ、何か思うところがあれば必ずそれは所作に出てしまう。 それでは、この主の意にそぐわない。 侍従長はそれを知っている。 であったから、その長年の経験に裏打ちされた侍従長にして音を上げるほどの強情ものが、現在屋敷で問題を起こしているという訳で、聞いた屋敷の主は珍しくうっすらと笑みを口の端に上らせた。 ひどく珍しい。 屋敷に戻ってすぐの主は、機嫌が悪いことが多い。 大概、と言うべきか、常に、と言うべきか。 草臥れているのだ。 その普段の機嫌の悪さをも承知している侍従長が、木石に徹することを弁えている侍従長が、自身の意見を口にしたのは、であるから余程腹に据えかねていたのだった。 「もう七日にございます。いい加減、諦めても良いものを」 「――今日は何をした」 問い返すのは耳障りの良いテノール。空気に溶けるように柔らかな声だ。 「……居間にておとなしくしていると思えば、家人の眼を盗んで暖炉より攀じ登ろうといたしました」 「ほう」 思い浮かべたのだろう、主が眉を上げた。 「登れたのか」 「笑い話ではありませぬぞ。煤けた奴が逃げようと居間は一時もうもうと惨憺たる状態。真っ黒なそれをそのままに置く訳にもいかず、風呂場にて侍女が三人がかりで洗い上げましたが」 「暴れたであろうな」 「暴れるわ、喚くは引っ掻くわ!女等は悲鳴を上げるし、隙を狙って再び逃走を図りました」 「ふむ」 「数人で押さえつけ、此方様の居室に閉じ込めておきましたが……まさにけだもの。育ちが知れまする。じっとしている様子がまるでございません」 「山猫、よな」 鹿爪らしく頷きながら、主の声が明らかに楽しんでいる。気付いて侍従長は肩を落とした。 「……まさにそれ。何とかはなりませぬか」 「何とか、とは」 彼の声の含むところに気付いたのだろう。主がちらと、一瞬見遣った気配がした。 見遣られて侍従長は、自分が相手との間に引かれている境界線に踏み込みすぎてしまっていることに今更ながら気が付いたが、勢いだ。 「逃れようとする様が、痛々しくて見てはいられませぬ。……あれでは、迷い込み、出口を探してガラスに突進する野鳥。傷だらけ、痣だらけで懐く様子がありませぬ」 恐れながら、と付け加えた言葉が自身白々しいなと思った。 「手なづけるつもりも無い」 けれど主はそんな白々しさも含めて一蹴する。 呆気にとられた。 「しかし……それは、あまりにも」 あまりにも。 何だと言いたかったのか、流石に彼は分を超えた言葉を口に仕掛けた自分を恥じて口を噤んだ。 「それに。そろそろであろうよ」 「……そろそろ、とは」 また脈絡のない言葉に侍従長が眼を上げると、主は既に外出着を脱ぎ捨て手持ち無沙汰に佇んでいた。ほんの数瞬思いに耽っていたらしい。慌てて手にした部屋着を肩口に掛け、主の真意を探ろうとした。 「今夜は、冷えるね」 それ以上説明する気はないらしい。これでも主にしては、侍従長相手によく喋った方だ。余程機嫌が良いのだろうと、彼はそれ以上主に踏み込まぬよう、常日頃の「人間ではない」人間の自分に、瞬時に切り替えた。 藪は突かないに限る。 当たり前のように寝室の扉が誰かの手によって開かれ、それに意識を払うことも無く男は寝室へ足を踏み入れた。 熾された火に、適温に暖められた空気が彼を迎える。 入室した瞬間寝台傍の卓上に、数枚文鎮を置かれた紙束を眼にする。瞬時に不愉快になった。彼の裁可待ちの書類である。無粋な。声には出さず呟いて近づき、無造作に払い落とす。 その書類が如何ほど重要かどうかは、男にとっては然したる問題ではない。 己が快か、不快か。 それが男の基準だ。 落とした一枚がふわと暖められた空気に舞って、意外と遠く、遠くまで散った。それとなくつられて眼をやると、暖炉前のソファから、にゅ、と裸足の片足がはみ出している。 この数日間で、見覚えのあるものになった足である。あの角度は確実にソファで眠り込んでいるな、そう思って男は唇の動きだけで笑って、音も無く暖炉前へ寄った。 ソファを覗き込む。 思ったとおり『猫』が寝ていた。 頭からタオルを被り、適当に男の室内着を裸の上に羽織っている。やわらかで肌触りの良い室内着が気に入ったのか、この数日何度か勝手に着ているところを見かけた。小柄な彼女の身体には、細身とは言え男のそれは大きすぎるのか、羽織ると言うよりは室内着に羽織られている気がする。 剥き出しの手足はこれで言葉の通り十六なのかと疑いたくなるほどに痩せている。 先の侍従長の言葉から察するに、腹を立てた侍女たちに八つ当たり気味に洗われたのだろう。頬と言い剥き出しの二の腕と言い、赤く細い――有り体に言えば引っ掻き傷――が生々しい。 女は感情的になると怖い生き物だな、などとどうでもいいことを思いながら男はさらに『猫』へと顔を寄せた。 寄ると石鹸の匂いがふ、と立ち昇る。 石鹸の匂いは嫌いではない。 寝こける顔に男は眼をやった。 不意に男の懐に飛び込んできて混乱気味だった当初はともかく、己に自由の選択肢が無いと判ると、途端に敵意をむき出し威嚇してきたそれも、寝ているときは鳴りを潜めている。それでなくとも精一杯背伸びをしているような、気負った、ませた顔をするものだと出会ったときから思っていた。 生意気だと言うのならばそれはそうなのだろう。ただ、どこか必死で切羽詰っていた。 今は年相応にあどけない。 小さく開いた口元から白い歯と桃色の舌が見え、ふと惹かれて男は片腕を伸ばす。 夢でも見ているものか、微かに口元が動いた。 名を呼んでいると思った。 名。誰の。 す、と閉じた両瞼の下から透き通る水が溢れて、何だろうと男は指で拭う。 舐めた。塩辛い。 この水滴は一体何なのだろう。 何故これは両眼からぬるい水を流すのだろう。 それが何か、思い当てることが出来なかった。 気が付いたのは、唐突に彼女がぱちと眼を見開き、男と視線が合うや否や弾かれたように飛び起きて、 「……あ?」 今更呆然としながら目元をごしごしと拭った仕草を見てからだ。 ああ、これは涙だったのか。 ずいぶんと静かに泣くのだな。 ぼんやりと思った男へ、つい今しがたの幼い表情が嘘のように掻き消え、きつい視線でこちらを見据えてくる眼がある。 感じると、ある種の悦びの形に己の頬が歪むのをやめられない。 判り易い敵意は歓迎だ。慣れている。どうしてその強さを挫けさせてやろうか。考えただけで内心舌なめずりの気分だ。 「何だよ。じろじろ人の顔見んなよ、『皇帝』」 気味悪ィ。 男を睨んだまま、まだ気になるのか目尻をこするチャトラが、ぶっきらぼうに告げた。乱暴にこするものだから、少し赤くなっている。 「ふ」 そうして、呼ばれた男――皇国エスタッドの、文字通り頂点を極める、皇帝――その人は酷薄に笑んでいた。 男へどう呼びかけるか、彼女は散々に迷ったようだ。好きに呼ぶと良い、と嘯いて相手の反応を楽しんでいた彼は、数日経って徐に「皇帝」と呼ぶことにしたらしい彼女へ、面白がって理由を尋ねた。 ――だってよ。 ぱちぱちと忙しく瞬いて、チャトラは首を傾げた。 ――いつまでも「アンタ」呼ばわりは良くない気がするけど、アンタ名前教えてくれないし。そこいらで働いてる人らに聞いても、「おそれおおい」だの「めっそうもない」だの。訳判らねぇ返事しか返ってこないし。埒明かないし。 ――「へえか」だか「へいか」だかって皆は言うけど、なんか「へいか」ってなんかマヌケな響きだろ? ――アンタ、役人なんだろ。アンタの役職名教えろって言ったら、ディクスさんが教えてくれたんだ。 ――オレ何か間違ったこと言ってるか? あの時男はどう応えたのだったか。 男はその辺りをどうもよく思い出せない。 それで良いと言ったのだったか。 きっとチャトラは、「皇帝」の純然たる響きの意味を理解していない。 それでも良いと男は思う。己の地位に媚びを売る人種には飽き飽きしていた。 「……い?おい?」 怪訝し気に眉をひそめ呼びかける声に気が付いて、男は我に返る。 「ぼんやりとして、平気か?ボケてんじゃねぇか?」 「――ああ、」 大事無い、応えながら首を振る。疲れているのかもしれない。 「フラフラと青い顔して平気とかウソついてんじゃねぇよ。座れよ」 敵意を剥き出しにしながらそれでも、心配してくれているらしかった。 根が優しいのだろうな、と思う。 「メシ喰ったのか?」 まるで男が尋ねるほうが妥当な言葉を、チャトラは口にした。 「――忙しくてね」 応えながら言い訳のようだな、と男は思い、思った自分が可笑しくてまた小さく笑った。 ソファから起き上がったチャトラは、男の座る場所を開けるべく自分は暖炉を背にしてラグの上に直に座り、男へ向き直る。無愛想ではあるけれど、 「ちゃんと喰えよ」 ああ、やはり心配してくれているのだ。 「お前は」 「オレ?」 オレは毎日喰ってるよ。応えて彼女が肩を竦めた。 「そもそも、喰うか寝るしかやることが無ェじゃねぇか」 「屋敷内は自由に動いて構わないと言ったと思うが」 「は……!」 男の言葉に瞬時に反応し、吐き棄てるようにチャトラは鼻で笑う。 「自由も何も、ほとんどの扉に鍵かけやがってよく言うよ!」 「鍵でも掛けねば、お前はこの部屋へ近付かぬだろう」 「当たり前だろ。何が楽しくてアンタの顔見なきゃいけねぇんだよ」 「――成る程」 つれないことだね。 チャトラの言葉に男はうっすらと嘲笑する。頬は歪んだが、こうした彼女の飾るところの無い直情的なやりとりが、男にとって新鮮に感じることは否定できない。周囲は男の顔色を伺ってばかりで、これほどあけっぴろげに内面をさらける者はいなかったからだ。 先の侍従長然り。 唯一の肉親であった母ですら、男を面と見据えたことがなかったように思う。伏せがちに避けられた視線のそれしか記憶にない。 それが生まれてより当たり前ではあったから、不遇だと特別感じたことも男にはない。 けれど、この『猫』は。 恐れ気もなく男を見据える。 もう三、四年も前になろうか、やはり男へ正面切った少女がいた。 他国の、まだ幼いと表現しても良いような、公主であった。その時も、些かばかり挑む視線に心を動かされはしたが、それだけのことだ。 エスタッド皇国へ、正々堂々喧嘩を売る腹積もりの視線であった。それはそれで興味が湧いたのは事実であったし、実際必要以上にトルエ公国へ肩入れしたように思う。けれど、どれだけ食指が動いたものであっても、公主から向けられたそれは、男を「皇帝」と認識しての視線には違いなかった。 目の前の娘の眼差しは、本質が異う。 彼女は決してエスタッド皇国頂点のそれと知って、男へ視線を投げかけているわけではない。 単に、男への印象が最低最悪なのだというてらいもない視線。だのにそれはひどくまっすぐだ。 炎の明かりを背後から受けてこちらを向く彼女へ視線を流すと、襟刳りから覗く細い首筋に眼が動いた。折れそうに細い。 前屈みに腕を伸ばした。 「な、なんだよ」 喉元に着けられた小さな銀の鈴が、『猫』が身動きする度にちりりと震えた音を立てる。着けられた一日二日は何度もむしり取られていたそれも、男が懲りずに繰り返し繰り返し結ぶ内に慣れたらしい。 諦めに、近いか。 男が腕を伸ばした分だけ、チャトラがじりじりと顎を引く。その攻防の緊張を急に破って男はぐいと胸元を掴みあげた。不意打ちに逃げる間もなく、くう、と喉を鳴らしてチャトラの半身が男へ引き寄せられる。 『猫』は軽かった。そう力があるわけでもない男が、やすやすと引き寄せられるほどに。 引かれた彼女の背筋が自然、強張るのを手のひらに感じて男は嗤った。 「怖いか」 口にし、我ながら卑怯だなと思う。 利かん気が強く、意地っ張りで、負けず嫌い。一週間で男がチャトラに下した評はそれだ。 であるから、男がそう尋ねてしまえば彼女は決して怖いとは言えない。 「……怖くねぇ」 「目が泳いでいる」 「うるせぇ!」 判ってるならいちいち聞くな、と蹴りが飛んできた足首を受け止め、右腕で掬い上げる。勢いそのままチャトラを絨毯の上へとひっくり返すと、受身を取れずに後頭部を打ったらしく、低く呻いた。 「この屋敷は敷物が薄いからね。打ち付けると存外――痛む」 「何度も引っくり返ったことがあるような口ぶりだな」 そんな成りをして。 「引っくり返ったのかもしれないな」 小莫迦にしたはずの彼女の口調に、男は生真面目に頷いた。一瞬呆気にとられてチャトラの力が緩む。逃さず、その両手首を彼女の頭上にまとめた。 「……おい!」 「何だ」 口の端で笑って顔をずいと近づけると、抗するようにチャトラが男の瞳を見返す。 ああ。この眼、だ。 気後れもなくひたすら真っ直ぐに睨んでくる視線が、心地良く感じる自分はどこかおかしいのだろうかと、男はふと思った。 「初めにお前が言ったね」 「……何をだよ」 見る限り可愛らしい外見をしているのに、一人前に威嚇をする声には確かにドスが利いている。 「突っ込むのならば早く突っ込め――だったか」 言葉通りの行為に及ぶ気は、まるでなかった。ものの、一体その言葉に猫はどんな反応を示すのだろうと、 慌てふためくさまでも眺められればそれはそれで面白いと、男が興味半分呟くと、 「――ああ、」 意に反して、すっとチャトラから表情が消えた。 驚くほど唐突に、無機物の目になる。同時に、ばたばたと暴れていた彼女の身体から、力が抜けた。 「なんだ」 結局アンタもそれが目的だったのか。 一瞬哀しげな色がそこに過ぎった気もしたが、 「いいぜ。……とっとと突っ込めよ」 「――」 呟いた冷たい声の彼女の瞳を、男は覗いた。軽蔑の色さえそこには滲まない。 墓石のように灰色だと思った。 押さえつけた小さな身体に圧し掛かっていた男は、顔には出さなかったものの軽く驚いて、チャトラの頬へと手を伸ばす。 解放されたにも拘らず、彼女の手首はそのまま、頭上に押さえつけられたままの形で力を失っている。 「殴ると良い」 「どうして」 指を這わせた頬は、とても冷たかった。 達観でも諦念でもなく、ただ振りかかる嵐に無感動な死んだ眼。望んだものはそれではない。見て楽しみたかったのは、そんな空ろではない。 お前も並居る男どもと所詮は同じ獣だ。 そう言われていると思った。 ――面白くない。 微かな苛立ちを感じて、男はチャトラを投げ出し、己の身を返す。 「気が失せた」 言ってソファへと深く腰を下ろし、横たわったままのチャトラから視線を逸らすように足元の書付を一枚拾った。 読みたくもなかったが、眼をやれば文字が頭に飛び込んでくる。 再三再四、男に皇都エスタッドへ戻るようにと乞う文書である。 もう何度見たことか。 最近では懇願一辺倒の文面から、半ば脅すものに変わりつつある。 「今のうちに帰ってこないと後がないぞ」 言葉自体は慇懃なものの、内容としてはそれだ。 おおよそ形ばかりではあるものの、男にとって「静養」目的であったはずのこの十数日は、結局皇都にいる時と何ら変わりのない、仕事に追われる日々で終わった気がする。 身体どころか、気すら休まる暇もない。 唯一の収穫は、目の前の「これ」――であったろうか。 「――そろそろ帰り時かもしれないね」 一人語散ると、ゆっくりと怪訝気に起き上がったチャトラが、膝を己の胸へ引き寄せながら、男の言葉を探るようにじっと見つめてくるのを感じた。 ほら。また。 俯きながら口角が上がる。 そうして、また恐れ気もなく見るから。 また虐めたらどうなるか、などと己に似つかわない執着を抱いてしまうのだ。 * 力のある男なのだろうな、とは薄々感づいていた。 力のある。 何を基準に「力」と評すればいいのか、チャトラにも明確なところは判らなかったが、権力であるとか財力、知力、武力、 そういったものを一通り備えている男なのだろうなと思う。 ただし、劣悪最低の。 数えで十六、これまでそこそこ「世知辛い」世間の水を頭から飲んできて、この年にして自分はそれなりな経験を積んできたように思う。綺麗に見えるものにでも必ず醜悪があり、表のあるものには裏、明るい場所には影が出来る。 それくらいは判る。 二親がいればともかく、十になるかならないかそんな年頃から掏摸をし、生きてきた自分は、であるから今更白の真逆の黒の部分を見て現実に幻滅したであるとか、汚泥に恐れ戦いただとか、そんな甘い言い訳は言うつもりはない。 ない。 ないはず……だ。 けれどその不相応に大人びた感性をもってしても、やはり目の前のこの男――馬車に同乗しているこの男――憎たらしいほど小奇麗な顔をしてその実、どこもかしこも不明瞭でつかみどころのない男――だけは理解できないと、凍み入るように思った。 懲りずに逃走を図り続ける自分自身もどうかと思うが、その彼女を猿轡と後ろ手に拘束し、しかもそれを隠すでもなく堂々と己の馬車に放り込む男の神経がやはり知れない。 「あのね」 馬車が走り出してしばらく、黙りこくった彼女に目を流して今更ながら猿轡に気付いた風の男に、解放されて一番、ここぞとばかりに悪態をついた。 「何かな」 「アンタは俺を、どうしたいんだ」 「――どうしたい――のかな」 言われて初めて気付いたように、小首を傾げる男の目の色は割りと本気で、それがチャトラを莫迦にしているとか演技であるようには見えない。 傾げる動作につれて、これだけは性格はともかく見事だなと彼女がこっそり思っている、細くあえかな金の糸にも似た髪が、さらさらと男の肩から流れた。 知らず目を奪われる。 触ったら気持ちいいだろうな。 場違いにそんなことを思っていた。 男の存在は、チャトラの今までに生きてきた世界と比べると、まるで判別の付かない世界であることに違いない。そもそもこの髪の長さからして異常である。 生まれてこの方、街ですれ違う一行に、膝裏近くまで髪を伸ばした男――と言うより女も含めて全ての人間――についぞ出会ったことがない。 無論、放置しておけば、髪は伸びる。そんなことは子供でも知っている。それでも皆肩口より下がせいぜいで、どうして長く伸ばす猛者がいないのかと言えば、理由は至極単純で、 「洗う手間に捌ける時間も、それだけの水を無駄に使う余裕もない」 からに過ぎない。 何故敬われているのか理由はさっぱり判らないが、屋敷内であれだけ多くの人間に傅かれている男だからこそ、ここまで伸ばせるのだろう、だとかどうでもいいことをチャトラは分析していた。 「アンタ、オレがそんなにムカつく訳」 「ムカつく――……?」 「オレなりに色々考えたけどさ。結局アンタはオレが、アンタの懐を狙ったことが許せないんだろ?自尊心だか自己満足だかなんだか知らないけど、お役人に突き出す代わりの私刑、てヤツなんだろ?」 「私刑――……」 「見せしめっつーかさ。……まぁ、世の中にゃ何をしてもカンに障るような、ソリの合わない同士がいるってことはオレにも判るし、それでアンタがイラ付きついでにオレを閉じ込めたり縛ったりするんだったら、もうどうしようもない訳だけどさ。どこに連れて行くのかくらい、話があってもいいんじゃね?」 冴えない相手の反応に、苛々としながら言って説明を求めかけたチャトラは、やがて対面する男が、軽く驚きの目を見張っていることに気付いて口を噤んだ。 接して判ったことがある。 この男は、実に表情に乏しい。 無感動ではないのだろうと思う。が、それを表に出す術を忘れてしまっているように、小さな苛立ちや機嫌を視線に含ませる程度で、大袈裟に表情が歪むことがない。意図しているものなのか、無意識なのかはチャトラには知りようもなかったが、これでは、じっと男を見つめてでもいないと、感情を読み取ることは難しいだろうと思う。だのに、屋敷内で男を見返す人間など、どこにも居はしなかった。 腫れ物に触るように。 出会った瞬間男が声を立てて笑ったことに対して、何故ダインがあそこまでぎょっとしたのか、今なら判るような気がした。 その男がこうして僅かなりとも表情を変えると言うことは、一般的表現に置き換えると、 「ものすっごくびっくりした」 に当たるのかもしれない。 「――カンに、障る」 「……?」 「ソリが、合わない――」 チャトラの皮肉を口の中で小さく転がして繰り返し、男はしばらくその意味を吟じているようだったが、 「存外、お前を気に入っているつもりなのだが――」 「はぁッ?」 逆にチャトラの方がびっくりした。 自分の耳を一瞬疑う。 びっくりついでに起き上がろうと身を起こしかけ、後ろ手に回されたバランスを崩して、座席から半ばずり落ち、慌てて両足で踏ん張った。 「……ちょっと待て。待て待て待て。オレ、今、異常にワケ判らないこと聞いた気がするんだけど」 「どのあたりかな」 「もうね。いっぱりありすぎて、どこから突っ込んでいいのかわっかんねぇよ」 縛られている腕が自由だったら、確かにチャトラは頭を掻き毟っただろう。 「まぁ、とりあえず言いたいことは、オレの『常識』では、『気に入ってる』相手を縛ったりはしないってことなんだけど。それともアレか、アンタ、たまにいるような縛ったりすると性的快感を覚える、イカれたヘンタイ趣味でもあったりすんのか」 「縛らねばお前は逃げるだろう?」 不思議そうに返す男へ、彼女は眼を剥く。 「ああ……そりゃ逃げるよ!力いっぱい逃げるけど!!逃げるけどさ、なんつーか、縛ったりしたら余計にオレが嫌がるだろうなとか、頭にクるんじゃねぇかとか、そう言うの思わないワケ?」 「お前が嫌がることと、私がお前を気に入っていることとの関連性が見出せないのだが――」 「えっと」 あっさりと切り返されて、チャトラは沈黙しかける。 ――そういや、ダインのオッサンもコイツとやり合って撃沈してたよなぁ。 十数日前のことが、今は懐かしく思う。 そうだ。男はチャトラ自身を、『愛玩動物』として扱っていたのではなかったか。 頭に来た彼女は、あの時手にしたサンドを男に打ん投げた。 ああ。そうか。 訝しげに自分を眺める男に、不承不承ながらチャトラは再確認してしまう。 オレ……ヒト扱いされてないんだ。 あの時はかっと目の前が赤くなった。瞬時に沸騰し、捨て台詞を吐いて廊下へと飛び出し、けれど男の宣言通りに屋敷のどこからも逃げることは出来ず、廊下で立ち尽くす行動にすら監視まがいの人間があてがわられて、散々に暴れた。 今はなぜか少し悲しい。 そうだよな。 納得する。チャトラ自身の今まですごしてきた生活は、自分ひとりが生き延びることに精一杯で、犬や猫や鳥であるとか、所謂、『飼育動物』を養う余裕などまるでなかったから、これは想像でしかないけれど。 路地裏で拾った犬が、撫ぜることを嫌がったところで自分自身がいちいち 「犬の気持ち」 になって撫ぜることをやめるかと言うと、きっとやめないだろうなと思う。 撫ぜたいから撫ぜるのだ。そこに理由を求められても困る。 そうだよな。 男の「力」がどれほどのものかチャトラには判らないし、判りたいとも思えなかったが、 「……外せよ」 肩を落とし、力なく顎をしゃくって、ぎしぎしと痛み始めている腕を示した。 どうせ逃げようとしたところで、馬車の周りをぎっちり取り囲んでる兵隊の誰かに取り押さえられるのは目に見えている。 男が自分を放す意思がない以上、どれだけ逃げても捕らえられるのだろう。 捕らえられるたびに幾本もの腕に押さえつけられ、力任せに振り出しの場所に戻される痛みに、チャトラ自身気付かないうちに、徐々に蝕まれていたようだ。 しばらくは大人しくしていても良いような、捨て鉢な気分になった。 ただ――、男が自分の何を気に入ったのか、少しだけ知りたいと思った。 「お前は――」 「何だよ」 「いや」 不意に覇気をなくしたチャトラの様子を、男は長い睫毛の下から探るように見ていたが、やがて袖口から細く鋭利な小刀を出すと、片腕で器用に戒めの縄を切り解く。 今日は朝起きてすぐに縛られ馬車に放り込まれて、実際呆気に取られているうちにことが運ばれた感が強く、そう暴れたつもりもなかったが、それでも麻縄で固く縛られていた手首は擦れ赤剥け、血が滲んでいた。 無理な姿勢を取らされていた肩の関節が痺れるまでに痛んでいて、両手で擦る。 「困ったね」 チャトラからすると、まるで困っているように聞こえない声音で男は呟き、それから彼はひょいと手を取る。驚く間もなく、手首に唇が宛がわれていた。 いっそ血よりも赤い舌が臙脂の唇から現れ、じくじく滲む傷口を舐める。 俯くしぐさに関連して、またさらさらと音のしそうな髪が彼女の腕に降りかかる。 とてもやわらかだ。 獣が己の傷口を舐め癒すように、ゆっくりとそれはそれは丁寧に舐る男を、思わずぽかんとされるがままにされてしまったチャトラは、 「……やめろよ」 怒りではない血液が、顔に上るのを感じながら我に返って慌てて手首を胸元に引きかける。 「放っておきゃ治る」 「困ったね」 同じ言葉を繰り返して、男が放しもせず再び手首へ顔を寄せるのへ、 「やめろって!」 今度こそ本気になって、チャトラは狭い馬車の中で最大限に飛び退った。 強かに背中を打ったが、それよりも男から離れるほうが彼女には先決だった。 「――嫌われたものだ」 自嘲の形に頬を歪めて、男が薄く笑む。 「……わかんねぇ。アンタが理解できねぇ」 舐められた手首を握り締めて、チャトラは唸った。本心だ。 聞いた男が頷く。 「よく聞く」 「結局オレをどうしたいの?」 「多分、」 他人事のように男が、 「痛い思いをさせたい訳では――ないのだろうな」 言いかけたまま。 次の瞬間、男は急に表情を固く警めた。 厳しいとも取れる凍りつくそれ。あまりの豹変振りに、何か別の仮面でもひょいと手に取り顔に被せたのかとチャトラは思った。驚いて硬直した彼女へ、 「な……、」 今度こそ遠慮なく片腕を伸ばして、力任せに座席下へ押し倒す。もんどりうった所に、 轟。 馬車が揺れた。 聞きなれない、ざらりと心を擽る声が聞こえる。 それは風を切り裂く絶叫だ。 喉元からくぐもる断末魔の雄叫び、憤怒の声、居丈高な威嚇、何か固いもの同士を打ち付け合う、音。 倒された男の肩口、今の今まで頭のあった高さに、数え切れない数の棒が突き立っているのが見えた。 生えたのかと思っていた。 弩だと気付いたのは後になってからだ。 その瞬間はただ、生えた、と思った。 次いで、ばすばすと不気味な貫通音を引き連れて、炎が射込まれる。突き立つと同時にぼうと燃え、平衡を失った荷台が、大きく傾いで勢いのまま二人は外へと投げ出された。 頭を打つ痛みを予想してチャトラは身をすくませたが、男の腕がそれを防ぐ。庇われたのだろうか。判らなかった。 たいした衝撃もなく地面に尻餅をついたチャトラの目に、車輪が砕かれた残骸が燃えているのが目に映る。 数瞬前まで彼女が乗っていた車台だとは思えなかった。それほどに無残な襤褸屑だった。 驚きに呆然と眼を見開いたままの彼女の上に覆いかぶさる格好で、男がチャトラを閉じ込める。おかげで辺り一面遠慮なく金糸の雨が降り注ぎ、まるでその中に囚われたようだ。引っくり返ったまま見上げると、金の檻の隙間から黒い甲冑の背中があった。「皇帝」である男の一番近くに常に付き従う、影のような男だ。 ディクス。 チャトラが名を問うと、静かな声でそう答えた。 その男が立ちはだかるように、塞き止めるように、壁となって二人に背を向け長剣を手にし油断なく身構えている。 たった一人しかそこには立っていないのに、上回る安定感は何だ。 ディクスの腕が舞うように流れる動作で動いて、 しゅぶ。 鈍い音がチャトラの耳に飛び込んで、同時にびしゃびしゃと吹き散る温かで不愉快な水滴。 降り注ぐ水滴に男の金色の髪が、次第に朱に染まる。 血、だ。 弾かれたように男を跳ね除け、飛び起きた。どこからそんな力が湧きでたのか判らない。無我夢中だった。 チャトラの目に、まず、首を失ったいくつもの肉体が飛び込む。 ……くび。 く、びが。 転がっていた。 その少し向こうに眼をやると、名前も知らない幾人もの兵士たちが、同じように剣戟を響かせながら襲撃者と対峙している。 血しぶきが噴く。 「存外遅かった」 ――それから、至極冷静な声にゆっくりと視線を移す。 嗤っていた。 朱に染まった髪を掻き揚げた、男が嗤っていた。 そのまましばらく記憶が飛んで、次にチャトラが我に返ったのは半刻ほど経ってからのことだ。 記憶が飛んだ、では語弊があるかもしれない。性格には意識を失った訳ではなく、促されるままに馬上に引き上げられ、揺られて進んだ覚えもうっすらとだが残っている。ただ、薄い膜一枚通して眺めている夢のように、茫然自失の状態に暫くなっていたに過ぎなかったようだ。 頬を叩かれて、気が戻る。 「猫」 数度、呼ばれていたようだ。無感情に見下ろす薄茶色の瞳と、横から心配そうに覗き込む黒い瞳。皇帝とディクスだった。 大樹を背に寄りかかった男の胸に、横抱きに抱えられて頬を張られたものらしい。 上半身を起こす。 のろのろと周りを見回すと、あちらこちらで炊爨の支度の煙が上げる男たちが見えた。あるものは甲冑を身にまとい、あるものは設えは良いものの身軽な軽装で、年齢も格好もさまざまだ。 その一団が、野営するものらしい。 野営すると言うことは、ずいぶん遠出をする予定なんだな。 どうでもいい思考がぼんやりと頭をよぎる。 「大丈夫か」 「だ、いじょう……ぶ?」 大丈夫。何が。 ディクスの言葉を鸚鵡返した自分の声は酷く掠れていて、チャトラは驚き喉に手をやって……それから、状況を理解しようと努める。 「えっと」 気が戻った瞬間からガンガンと痛む頭に手を当て、 「オレ……、何してんの」 ようやく発することの出来た疑問はそれだ。 「こんなところで何してるんだろ」 「どこまで判る」 「えっと……朝、起きてメシ食いにいこうかなって廊下に出たら、侍従のオッサンがいきなり縄持って立ってて。ワケわかんねぇまま縛られて猿轡かまされて、」 「――襲撃された。覚えているかね」 「……しゅう……げき……」 ディクスの声に、まだぼうとする意識を必死にかき集めて、とりあえず覚えていた朝の出来事を口にしたチャトラへ、皇帝が静かに告げる。 「しゅうげき?」 男の発した音が上手く頭の中で言葉として変換できず、チャトラは繰り返す。 「……陛下。急に告げられるは刺激が」 「緩だろうが急だろうが変わらない。事実だろう」 「……」 「馬車が燃え、車外に逃げた。それは判るかね」 「……」 意見したディクスを、軽く首を振る動作で男は払った。見上げる彼女へ促すように、補足するように、直ぐに思い出せない記憶を焦れる声色で、男が尋ねる。 「騒ぎはすぐに収まったし、こちらの損害も最小限に済んだのだが、お前だけが自失した」 「……」 「怪我はないと思うが」 「……」 怪我なんてするようなことしたかな。 言われて思わず確認した自分の手首をまず確認して、そう言えば縛られた痕が擦り剥けていたな――などと思い、 それから自分と、自分を抱える男の服のあちこちに、まだら模様に赤い染みが見えて、 「……ああ」 あちこちどころではない。 チャトラはともかく彼女に覆い被さった男は、流石に顔の汚れは拭ったようであるものの、まだべっとりと肌に張り付くほどに上着は血塗れていて、 「あ、あ、あ……、」 ――血。 怒涛となった認識と恐怖が、容赦なくいっぺんに襲い掛かる。 怯えて逃げようと身を引きかけたところを、無造作に寄せられた。 「いや……いやだ」 「嫌だ――何が」 「……いっぱい、でてた」 「一杯――何が」 「血」 「ああ」 「いっぱい……空中に、いっぱい」 濁流のように起こった現実を受け止め切れなくて、チャトラは自身の胸元を鷲掴んで小さく喘いだ。 呼吸が上手くできない。 思い出した途端、身体が瘧に罹ったようにがたがたと無様に震えだす。 歯の根が合わなくなっていた。 「い、いっぱい降ってきて、金色だったアンタがどんどん赤くなって、オレ、ア、アンタが怪我したんじゃないかって思って、そしたら」 そうしたら。 「く、首……、首が無くなっ……、る人間の……、身体がいつの間にかい、いっぱいできてて、周りにいっぱいあっ……、き、切れたとこから莫迦みたいに血が噴き出し……、オレ、」 オレは。 呼吸が上手く出来ない。 言いながら生々しく骨と血管の飛び出た断面を思い出し、むかむかと胃が押し上げられて、チャトラは酸吐いた。 酸吐く僅か前に、このままでは男を巻き込むなとふと思い当たる。血濡れた男へ、今更巻き込むも込まないもないようなものだが、そのときチャトラは何故かそう思って、身体をずらそうと身もがき、 更に強く胸元に抱き寄せられた。 切羽詰った彼女に突き放す余裕などあるはずもなく、そのまま数度込み上げた胃液を戻してしまう。 身を震わせ、吐瀉しながら思う。 汚してしまう。 アンタを汚してしまう。 ……嫌だな。 汚してしまうのは、嫌だな。 苦しさにぐちゃぐちゃになった思考の片隅が、そんなことを呟いた。 「――チャトラ」 涙か洟か、吐き出したものか、チャトラの顔を袖口で拭いながら、男が痙攣する彼女の耳元に顔を寄せる。 名を呼ばれた。 「ゆっくり。息を吐きなさい」 「……あ……は、は、」 囁きに抗うだけの力もなくした彼女は、ひゅうひゅうと引き攣りながら吸うばかりだった息を、言われるまま恐る恐る吐き出す。 身を襲う衝撃に見開いた眼の上に、男の手のひらが当てられ、瞼を閉じるように促された。 抗えず大人しく手のひらの下で瞼を伏せた彼女へ、 「吸って」 冷えた吐息と共に、落ち着いた声が吹き込まれる。 「吐く」 その通りにした。 何度か繰り返すと身体が不思議なほど楽になり、強張っていた肩の力が自然、抜ける。 「――終わっている」 邪魔にならないよう、適当に切り揃えていたチャトラのぴんぴん跳ねる癖毛を、男はそっと撫ぜた。 「怖いことは何もない。もう終わっている」 繰り返し吹き込まれるテノールはひどく心地が良い。塞がれた視界のせいで、押し付けられた胸元の人肌より若干冷めたぬくもりが、徐々に徐々にチャトラの緊張を解いて行く。 ことことと、音がした。 聞こえる心音は、男のものなのかそれとも耳の奥で鳴り続ける自分のものなのか判らなくなっていた。 それは、安心できる鼓動だ。 およそ十月十日を母親の胎内に孕まれて過ごす人間は、宿主の心音を聞いて育つと聞く。育つ過程で多くはその記憶を失ってしまうが、身体に染み付いた絶対的な――原始的な――ここは無条件で大丈夫だと言う安心感、何があっても自分は守られていると言う被保護感、それはどうやら生涯付きまとうものらしい。 少なくとも、今のチャトラはそうだった。 黙りこんだまま男に大人しく抱かれる彼女が、落ち着きを取り戻すまで男は辛抱強く、何度も何度ももう終わった、もう終わった、と繰り返す。 終わった。 放心していた判断力が彼女の裡へと舞い戻り、混乱がようやく鳴りを潜める。 やがてチャトラは、人の気配を感じてのろのろと身を起こした。 他者に気が配れる程度まで、半刻はかかったように思う。 その間、おそらく立ち尽くしたまま、声を掛けることをせず待機していたその影が、 「……陛下」 控え目にそっとかけられた声は、女のものだった。 「ご無事で何よりです」 皇帝の肩越しにたちまち好奇心、目を出したチャトラが見とめたものは、かっちりと武装に身を固めた姿だ。 背中まで流れる、銀髪にも似た真っ白な髪をしていた。 「これは――」 まだ若い。 「――久しぶりだね」 自分を抱いた皇帝の声音が、確かに上機嫌になっていた。女を認めた瞬間、男の体にかすかな緊張が走ったことを、抱き寄せられ密着していたチャトラは気づいた。その変化ぶりを怪訝に思い、男を振り仰ぐ。 常は気怠く眺めやることの多いように思う栗色の目が、今は少しだけ意志を湛えている。振り向いて女を見るでもなしに、けれどうっすらと口角が上がっていた。 嬉しいのかな。 ぼんやりとそれを眺め、それからもう一度肩越しにチャトラは女を見る。 瞬間に男を変化させられるこの女の正体に、興味を覚えた。 年はチャトラより少し上、二十歳は超えているだろうか。すっと縦に伸ばされた姿勢が実に良い、凛とした美人だ。 着飾ればたいそう見栄えがすると思えるのに、女の着ているそれは無骨な色と形の、甲冑である。 軍人でもなければ、武の心得もないチャトラには詳しいことは判らなかったが、それでも無駄を一切省いた、機能性を重視した装いであるように見えた。 朱色の腰帯以外黒で固めた姿は、けれどそれが逆に、女の真っ白な髪と肌を際立たせている。 似た装いの黒一色のディクスは一見、影法師のように見えるのに、女はどこかしら不可視戯で、ふわふわと宙に溶け出していきそうな雰囲気だ。 ――似てる。 どこか懐かしみを女から感じるような気がして、それが視線のせいであることに気が付いたのは、しばらく無遠慮にしげしげと眺めた後だ。 軽く身もがき、放してほしいと意思表示をしているチャトラを、完全無視し抱きかかえている男のその色と、同じように思った。 「君が来るとは珍しいこともあるものだ――……第五特殊部隊ミルキィユ将軍」 呼ばれて女は、小さく敬礼した。 「陛下」 「うん、」 「少しく無茶です」 言って一旦口を噤み、男とチャトラを見下ろして困ったように眉尻を下げる。 「何かあったらどうします」 「だが何もなかった」 「……そう言うことではなくて」 「ディクスが側にいた。大概の敵は敵うまいよ」 「そう言うことではなくて」 「燻り出すための餌はいずれ必要だったのだ。時期が遅いか、早いかの違いでしかあるまい」 「そう言うことではなくて」 はっきりとした音程のアルト。何を言っても同じことを繰り返すそれを、皇帝が楽しんでいるように見えるのは、きっとチャトラの錯覚ではないのだろう。 片眉が上がる。 「怒っている――のかな」 「怒っているとしたらどうなされます」 「――おや」 それは困ったね。 まるで困っていない飄々とした顔をしながら、そう言って皇帝は声を立てずに笑んだ。 やはり、上機嫌だ。 「……とにかく。皇都まで我等が護衛いたします」 「君のところは、つい先日帰都したばかりだろう」 「火急を要しましたので。取るものもとりあえず馳せ参じる余裕と準備があった部隊が、わたしのところしかおりませんでした」 「なるほど。――それで、馴染みの大剣がないのだね」 「……ええ」 皇帝の言葉に、言われた女が肩越し背中へ手をやって、軽く苦笑した。 「見られてないのにわかりますか」 「音」 「音、ですか」 皇帝の返答は短い。これは、日頃彼女が背負っている大剣による甲冑への反射の音――、もしくは大剣の荷重のかかった足音――を指し示した言葉であったのだろう。 ミルキィユには、通じたようだ。 「君のことは大概判っているつもりであるよ」 「皇都に戻った際に、砥ぎに出しました。慌てて出立してきましたので、間に合わなくて」 苦笑に、はにかみが混じる。 笑うと凛と張り詰めた雰囲気が和んで、女も軍人の鹿爪らしい顔から、年相応のものになる。 「ミルキィユ将軍」 「はい」 ミルキィユ、と発音する声が、噛み含めるようにやさしい色を帯びていて、チャトラは小さく驚く。 ……アンタ、こんなやさしい声も出せるんだ。 途端に生来の好奇心が湧いて、さらに首を伸ばして覗き見始めようとしたところを、見通していたのだろう。男の手がチャトラの首根っこをぐいと引き、己の胸元に押し付ける。 「テメ……」 「あれはどうした」 放せ、のチャトラの抗議は、男の声に被せられて消えた。 「あれ――とは」 「虎」 「ああ、」 短い皇帝の問いに、合点が言ったように女は頷いて、 「置いてきました」 顔を引きしめた。 「ほう」 「都もまた、あちらこちらから煙がくすぶりそうな気配。お迎えいたしますのに少しばかり物騒でしたので、よく目を光らせておくように言い置きました」 「ふむ」 「虎」というのもまた、男が日頃自分を指して「猫」と表すのと同じように、誰かを指した言葉なのだろう。目まぐるしく変わる会話に聞き耳を立てながら、チャトラはそう分析する。 「三補佐は」 「変わらずお待ちしております」 「――ふむ」 聞くだけ聞くと、徐に男は肩を竦め、会話を打ち切る姿勢を示した。 「詳細は後で聞く。小言も――後回しで良いかね?」 「……承知しました。あとで小言はたっぷりと」 こういった会話に慣れているのか、女も笑って頷くに留めた。 「この後いかがなさいます」 「君と向かい合うには、私は少々血で汚れてしまっているようだ。あちらに湖畔が見えていた。流してこよう」 やれやれと男が掻きあげた髪は、血糊に固まり始め、確かにこのまま放っておくと大変なことになりそうではある。 手を伸ばしてチャトラは、ごわごわした男の髪を掬った。 そう言えば車から投げ出された瞬間、男がためらいもなく自分の上に覆い被さったことを、今更ながら、実に今更ながら彼女は思い出す。 ――……庇って、くれたのかな。 上目で眺めても、押し付けられた胸元から眼に入るのはせいぜいがところ男の喉ぐらいのもので、その表情は知れない。 ずるいとふと思う。 「陛下」 「うん、」 「ひとつだけ、よろしいですか」 「何かな」 唇を尖らしているチャトラを、見ずとも男は気付いていたのだろう。喉奥で低く笑いながら、彼女の頭を無造作にぐしゃぐしゃと掻き混ぜ、そうしてミルキィユに答える。 「この度の休暇」 「うん」 「ひとえに、くすぶりを誘発させるために皇都より離れられましたか」 「――さぁ」 どうだろうね。 どちらともとれる笑みだけ残して、男は立ち上がる。 それきり、今度こそ会話を打ち切った。 * 「――偉い――か」 アンタは何が偉いの。 素朴と言うには、芯を穿ちすぎて胸に痛いチャトラの問いを繰り返しながら、その男はうっすらと笑いを頬へ上らせた。 相変わらず、機嫌は悪くない。 こういう会話が新鮮なのだと言ったら、彼女はどういう反応を示すのだろうか、とふと思う。 「何故そう言う問いを口にしようと思ったのか、そちらを聞きたいね」 「……うーん」 背後に流れ、水面にたゆたう男の長髪の汚れを丁寧に擦り洗う供周りを眺めながら、チャトラは宙を睨んだ。 「なんかよく判らねぇけどさ。アンタきっと結構偉いんだよな?」 「どうしてそう思う」 「……だってさ。メシが毎度毎度、悪い冗談みたいに豪華だ」 「それから」 「扉とか、アンタが触る前に誰かが開けてる」 「それから」 「みんなペコペコ頭下げる」 「それから」 「なんか喋り方もおかしいだろ」 「おかしい――、」 「やたらと『御』が多いとか」 「ああ」 合点が行って皇帝は頷く。 確かに、「丁寧語」であるとか「謙譲語」であるとか、他との会話はその連続のことが多い。 生まれてより周囲の言葉はそれ一辺倒であったので、皇帝自身は特にその言葉遣いに対して何と思ったこともないが、下町に生まれ育ったチャトラからすれば、まるで暗号のように聞こえるものなのかもしれない。 そうも思う。 「こないだ、侍従のおっさんが『玉体がどうの』とか言ってるから、一体何のことかと思ったら、アンタの体のことだったりとかさ。玉ってなんだよ、的な」 「転がるのだろうか」 「オレに聞くなよ」 面白がって尋ねるとチャトラが渋い顔になる。 「まぁ、どこがどうとか上手く言えねぇけどなんとなく、いろんなところを総合してアンタって実のところ『偉い』のかなとか思ったんだけどな。……思ったんだけど、じゃあアンタの何が一体偉いのかって考えたら、思いつくことが何もねぇ」 「私が偉いと思うかね」 「……わかんねぇけど。けど、何もないのにアンタに頭下げるってヘンじゃねぇか」 「――お前は思っていない」 「当たり前だろ」 即答だった。 「アンタに、ヒトを動かす力はあると思うけどな。けどそれが偉いかどうかは別問題だろ」 歯に衣を着せぬ。本心だろう。 「――聞くが」 「……ぅん?」 興味を覚えて皇帝は口を開く。 「では何故気にするのかな」 「何でって……その」 「その?」 言ったきり、しばらく口を噤んで言葉を捜すように宙を睨んでいたチャトラは、 「……あー……だからさ。しばらくの間、大人しくしてやってもいいか、とか思ったわけなんだけど。……思ったわけなんだけど、別にアンタが偉いからそれに従うとか、そういうつもりじゃねぇよ、って言う」 つっかえつっかえ呟いた。 「――猫」 「な、なんだよ」 「端的に言うと」 回りくどい説明は好まない。それに手間取る時間が無駄だと男には思えるからである。 素っ気無く告げると、あからさまに動揺したチャトラが返事に困って足元の小石を水面へと投げ入れる。 ――動揺ではない、のか。 背後の気配を探って皇帝はひっそりとまた嗤う。 そうして、気付いてしまった。 口に出すのが、悔しいのだ。 己の負けを認めたような気になるから。 しかし、そこで彼女が自分から折れやすいように助け舟を出してやるほど、男の意地は甘くはない。相手が窮するほど快感を覚えるのだから、これはもはや性癖である。 「……つまりさ」 「ふむ」 沈黙を楽しんでいた皇帝と違って、無言に堪えられなくなったチャトラがしぶしぶ口を開く。 「アンタ、オレのこと、屋敷に閉じ込めてたけど閉じ込めてた訳じゃなかったんだろ」 「――」 「街でオレがアンタの懐を狙ったとき――アイツら――今日襲ってきたヤツら、アンタのことずっとツケてたんだな?」 「――」 「オレがアンタ狙ったってのはたまたまだった訳だけど、どっちにしろそのときツケられてたアンタと関わりを持っちまったから、そのまま役人に突き出すのも見逃すのも危険だってアンタ判断したんじゃねぇかな、とか」 「――」 「違うか?」 「――つまり?」 「……ああもうだからつまり!」 静かに男が問うと、癇癪を起こしかけたチャトラはばしゃばしゃと水面を腹立ち紛れに叩き、次いで大きく息を吐き出すと、 「オレはアンタに助けてもらったんだと思うから」 言い切った。 言い切った後に、歯噛みしている。 恥じらいではなく、はっきりと怒りのためにチャトラの頬は紅潮し、吊り眼がきらきらと光を反射している。よほど悔しいのだ。 その様子がおかしくて、喉奥でくぐもった笑いで堪えていた男は、とうとう堪え切れなくて肩を震わせて笑い出す。 「笑うんじゃねぇッ!」 怒鳴られた。 「言っとくけどな!!アンタのこと、今でも気に食わないしムカつくし一発くらいブン殴ってやりたいとか思うけど!思うけどああもう仕方ねぇじゃねぇか命の恩人なんだろ!……おんじん!恩人!恩人とか!なんだよ恩人とか恩着せがましいことしやがっていつオレが護ってくださいとか言ったよ!!」 勝手に言い募って勝手に怒り心頭している。地団太を踏んでいるだけでは飽き足りなかったのか、しゃがみこみぶちぶちと手近の草を引きむしりながら、チャトラは吐き捨てた。 男の意図はともかく、もし「助けた」のだとすると、それにしては酷い言われようである。 「悔しいか」 「……悔しいよ!悔しいに決まってるだろ畜生!この先オレがメシ食って美味くても、昼寝してまったりしても、そりゃ全部、『命』の『恩人』の『アンタ』の『おかげ』なんだぜ?ああああもう!」 完全に汚れを洗い落とす当初の目的を忘れたのだろう。チャトラは悪態をつきながら湖面に小石とは言いがたい大きさの石を投げ込みはじめた。 「――恩を着せるつもりは」 「ねぇんだろ。判ってるよ。判ってるから余計ムカつくんだろうが!!」 「そう言うものなのか」 「そりゃそうだろ。いくらアンタがそのつもりがなくたって……、そう言うわけにゃいかねぇだろ。少なくともオレの生きてきた世界じゃそうなんだよ」 「ふむ」 笑いを未だに残しながら男は内心驚いている。 自身の行為が、そこまで彼女に見抜かれていたとは思わなかったからである。……というより、今まで告げたならまだしも、男の真意を汲めるものはどこにもいなかった。 手の内を見せるつもりもなかったから。 考えられるのは、側近のディクス、もしくは勘の良いミルキィユあたりが、男の思惑に気付いてチャトラに耳打ちした、ということなのだが、 「その議」 「あ?」 「誰がお前に教えたのかな」 「はァ?誰か?誰かって誰だよ?」 違うのか。 「――では問う。何故そう思ったのかな」 「何でって。……におい、が」 「臭い?」 「何て言うんだ?女のにおいが男に付いた、てヤツ」 「移り香?」 「ああ。そう、それ。オレが街でアンタ狙って……、ダインのオッサンに捕まって路地に引きずり込まれただろ。それのちょっと前、アンタに狙いを絞るか絞らないかのあたり。安モンの白粉の匂いがぷんぷん匂ってやがった。どっかの娼館帰りなんだろうな、とかあんまり気に留めてなかったし、アンタらに捕まってからは、アンタのその……なに?香水?が強くてよく判らなくなっちまったけど。たぶん商売女の白粉だとは思うんだけど」 だけど。 僅かに俯いて、一瞬暗い目をチャトラが見せたので、男はふと気を惹かれる。 けれど、上向いた彼女の顔からは憂いの表情は既に去り、元の腹立ち紛れの顔に戻っていた。 「酒場も、娼館も数多くあのあたりには」 「あるよ。それくらい知ってるよ。どんだけ穴場にして仕事してたと思うんだよ」 「では」 「けどな。あの白粉な。あの街じゃ、売ってねぇんだ。知り合いが昔使ってた。同じヤツだと思う」 「ほう――」 急に身を翻して、男はチャトラと向かい合う。面食らった彼女が身を引く前に、ぐいと胸倉を掴み無造作に手前に寄せる。抗う間もなくバランスを崩して、男が腰まで浸かっていた湖水に頭からチャトラは突っ込んだ。 派手に水飛沫があがる。 汚れを拭っていた従者たちは何も言わない。言わないように訓練されている。 であったから、皇帝のその動作に弁え、身を引き、少し離れて控える動きを見せた。 「な……」 何するんだよ。 言いかけたチャトラの抗議の声は、しこたまに水を飲んで噎せる咳に紛れて消えてしまう。 「猫の鼻も役だつか」 足を滑らせたのか、満足に立てずにもがいている彼女の襟足を掴んで、男は無理やりチャトラを正面に立たせると、息苦しさに涙目になっている彼女の耳元へ忍び囁いた。 「なに。なんなの。意味わかんねぇ」 展開についていけず、怒りすらどこかへ霧消してしまったらしいチャトラが、顔を拭い、呻いた。 「オレに判る言葉で言ってよ」 「喜べ。お前の鼻を”信用”しよう」 男が口にする「信用」の一言が、どれほど重い意味を持つものか、恐らく彼女は気付かない。 「腹の探りあい」の皇宮内に於いて、一国を統べる主がおいそれと口に出来る言葉ではないことに、彼女は気付かない。 けれど、それで良いと思った。 そうして男がひとつ視線を送ると、音もなく岸に控えていたディクスが心得顔で頷く。 証拠は多いに限る。今のチャトラが言ったような娼館の筋から、またいくつかの動かないそれを抑えることが出来れば、それはそれで好都合だ。 もとより、大きく張った罠だ。襲撃してきた不穏分子を今度ばかりは徹底的に殲滅する算段だった。 そうでなければ、男自身を餌としてちらつかせた意味がない。 「どういうこと」 「お前は本当に面白い」 けれど、チャトラに説明する気は男には毛頭ない。話して聞かせたところで、彼女が理解できるとも思えなかった。 薄く笑って顎を取る。男に説明を求めることを恐らく早々に諦めて、チャトラが腕の中で大きく溜息をついた。慣れたものだ。ふと思う。 つい十日前はこうして腕の中に閉じ込めることも無理だったのに。 思うと急に悪戯心が湧いた。 「――で?」 「あ?」 「『命』の『恩人』である私に、お前は何をして報いてくれるのかな」 答えを求めた訳ではない。予想通りに言われたチャトラは鼻を鳴らして眉根を寄せた。 「何って……そんなん、考えてねぇよ。まだ」 「そうか」 では。 こうしたら、どうか。 言うなり男は、つとチャトラの顎を引き寄せてその唇に己を重ねた。抵抗はなかった。 軟らかくて暖かい。 無駄に体温が高いのだ。驚いて突き放そうとする彼女の小さな体を押さえ込み、喉元を片手で掴み締める。くぇ、と声帯を鳴らして薄く口を開いたところへ、男は舌を捩じ込んだ。 そっと探る。 ぬるとした内部は更に暖かかった。熱いとさえ思う。 歯列をなぞり細かく震える相手の舌をつつく。逃げるような動きを見せる前に絡めとり、軽く吸い弄った。 何度も確かめるように形を辿ってやると、徐々にそれは解れ行き、その内ふ、と小さく湿った息がチャトラから漏れた。 見遣れば、縋る拳を中途で堪え、握り締めている。爪が食い込んでしまうようにも見えて、男は片腕を喉元から外し、その拳に這わせた。おずおずと開く手のひらに重ねる。 そうしてちゅ、と水音をさせて、口付けてはまた離れる動作を繰り返してからもう一度、至近距離でチャトラの瞳を覗き込む。戸惑いと言う以前に、軽く混乱状態に陥っているのだろう彼女は、揺らいだ視線を男に返す。吹きガラスにも似た深い緑青の色が綺麗だと思った。 「ああ」 指を瞼に這わせて、撫でさする。抗わずチャトラが軽く目を閉じた。 「澱みの色だね」 いっそ、抉ってしまおうか。 囁きながらもう一度口付けると、ようやく状況を飲み込めたらしいチャトラにがり、と歯を立てられて、たちまち口内が鉄錆の香りで充満する。 そうだ。 それでこそ、だ。 期待した動きに、くつくつと漏れ出る含み笑いが止まらない。 「テ、メェ……ッ」 男を突き飛ばそうと踏ん張った足に力が入らなかったのか、逆によろけ、チャトラは飛沫を上げて尻餅をついた。 ばしゃばしゃともがきながらなんとか立ち上がり、頭から水滴を滴らせながら、それでも貫く鋭い視線。 「いきなり何しやがる」 「何」 涼しい顔で男は応えた。 「前払いだ」 「前払い……ッ」 思い出したようにごしごしと唇を擦る動きはやけに幼い。 向けられた敵意は、はっきりと怒りだ。 それがよくある恥じらいではないことが、逆に彼女らしいと思った。 「……莫迦かアンタは?!こんだけ人間がいて、人前でやる行為じゃねぇだろ!」 「成程」 深く頷いてみせる。 「今度からは二人きりのときにしよう」 「そう言うことじゃねぇよこの変態糞オヤジ!」 あからさまな罵倒に、とうとう堪えていた含み笑いが弾けて、げらげらと男は笑い出す。ここまで面と向かって己を罵った相手が今までにいたか? 面白い。 狂気交じりの笑みを零す男へ、殴りかかりそうな殺意をもってチャトラが拳を数度開いたり閉じたり歯軋りし、 「水にでも顔突っ込んで溺れて死ね阿呆」 けれど上手い対応が見つからなかったのだろう。噛み付くように吐き棄てて、ざぶざぶと岸に上がりそのまま男を振り返りもせず、点々と水滴の跡を残して走り去った。 付き人の中でも訳知り顔の一人がそっと腰を折るところへ、 「――良い」 煩わしくひらひらと手を振って皇帝は留める。 口に出されなくても、付き人が口にしようとした言葉は大概は予想が付く。 逃げるのではないか。 監視を付けたほうがよいのではないか。 そう注進しかけたのだろう。 しかし皇帝には、『命』の『恩人』への借りを返さずに、チャトラがそのまま姿を消すとは思えなかった。あの性格だ。歯噛みしながら、むかっ腹を立てながら、それでも嫌々でも付いてくるだろう。 そのくらいは、判る。 おずおずと供周りが再び近寄り、自身の汚れをまた落とし始める行為を当然のように佇んで受けながら、ようやく笑いを収め、皇帝はチャトラの立ち去った方角を眺め、無意識に己の唇を指でなぞっていた。 熱かったな。 濡れた臙脂。 己のものではない体温は熱かった。いっそ不快なほどに。 * 畜生、畜生、畜生、畜生……! 音にして表すのならば、のしのしと、ずかずかと、けれど生憎足を突っ込んでいた革靴はたいそう濡れていたので、実際はぐすぐすと情けない音を立てるだけで、まるで様にならなかった。 通りすがりにへし折った小枝をやたらめったら振り回し、チャトラは腹立ち紛れに手当たり次第木立を打ち据える。 けれどざわざわとしなる枝は、逆に己の額や頬や腕を弾き打ち、赤い太刀筋を皮膚に残した。 そのうちのひとつがしたたかに顔面を打ち、勢いかっと癇癪を爆発させかけたチャトラは、しかしそこで動きを止めて、大きく深呼吸をする。 ここで癇癪を起こして暴れるのは何故か、悔しかった。 それではあの男の思い通りになってしまう。そう思った。 そうして、何度も深呼吸を繰り返し、頭に上った血が徐々に下がるにつれて、やがて込み上げてきたのは怒りではなく空しさだ。 涙が滲んでいたのは、痛みのせいだ。あの男に揶揄かわれたから、では断じてない。 ……ないと、思いたい。 乱暴に瞼を拭って、しゃがみこむ。こうしていれば薮にまぎれておそらく誰からも自分の姿は見えないだろう。 見つけてほしくない。今だけは。 泣き顔を見られることを喜ぶ人間などいないだろうが、中でもチャトラは特に嫌がる部類だ。 恥ずかしいだとか、情けないだとか、見せ掛けだけの問題ではなく、見られた相手に弱みを握られた気がするからだ。 傷口を舐めるのは一人がいい。 そうして半ベソをかきながら、一体自分は何にそこまで腹が立ったのだろうかと思い返す。 残念ながら、歳不相応に世間の酸い甘いを身を以って知って生きてきたチャトラにとって、実際先の男の行為自体に衝撃を受けていないことは事実だ。 それが自分でも、少し悲しいと思う。 幼い頃両親と死に別れたチャトラを、変わりに育ててくれた少し年上の「姉」は商売女だった。薄い戸板一枚隔ててあちら側では姉と、客の男が一晩よろしくやっていた、などと言う、正直、情操教育には少しばかり刺激の強い夜もそれなりにあった訳で、チャトラの行為に対する抵抗感は驚くほどに少なかった。 適応してしまえばそれは日常の話だ。 チャトラ自身、日銭を稼ぐ手段として春を売ろうと揺らいだ瞬間を、幾度となく操り返して生きてきた。理性の抵抗は数日の空腹感には敵わない。腹を満たせれば、それは何でもよかったのだ。 であったから。 唇を奪われただの、貞操がどうのと喚き散らすつもりは彼女にはなかった。 「減るもんじゃなし」 その程度に思っている。 だのにどうしてこうも腹が立つのだろう。 男のしれっとした顔を思い出しただけでまたむかむかとしかけ、チャトラは慌てて首を振った。 代わりに浮かんだのは懐かしい笑顔。 「姉ちゃん」 ぼつんと呟いた言葉はしゃがみ込んだ地に落ちて消えた。 「会いたいなぁ」 弱みを見せることが即生活基盤の危機に繋がる掏摸稼業において、「頼る」行為は酷く危険だ。 利用されてしまえばそれで終わりなのだから。 心弱くなった時に縋れる相手の人数などたかが知れていて、チャトラにとってはたった一人だった。 「会いたいなぁ……」 その「姉」はもういない。 (20100516) --------------------------------------------------------------------------------
https://w.atwiki.jp/chikuwakoubou/pages/68.html
知識 調査 知識 | 人物 | 地形 | 生態 | 冒険日誌 | 調査 | 生活 | 貿易 | 黒い砂漠への適応 調査-目次 歴史 I 経済 I 政治 I 教養 I 神学 I 錬金 I 文化芸術 教養 II 歴史 I (行動力増加2) 名称 入手方法 場所 監視塔の端 カルフェオン大図書館 納骨堂の人物 石像 ベリア納骨堂 クロン城の陥落 ベリア村鍛冶屋(トラナン・アンダーフォー):親密度500 ベリア村 バレノスのラモー 石像 ベリア納骨堂 黒の革命 ハイデル領主(クルシオ・ドモンガット):親密度100<行動力3> ハイデル 黒い死 ハイデル領主(クルシオ・ドモンガット):親密度300<行動力3> ハイデル 移動手段の変遷 ナーガ族の基盤 戦争が生んだ孤児 若い王、謎の死 野蛮族の移動 許しの災害 30年の遠征が残したもの 労働者 ハイデル北部採石場右側(バイフ・ストーナー付近)のカート付近 反乱か、革命か? カルフェオンの二つの顔 ▲ 経済 I (行動力増加2) 名称 入手方法 場所 大都市のスラム街 <叫び屋>ルーピン親密度200 カルフェオン首都 カルフェオン錬金術師 メリッサ・ブレディー親密度250 ハイデル都市 カルフェオンシアン商団 <工房・武器商人>カノバス カルフェオン ホープ銀行 <酒場マスター>フリデレス・ハーバル親密度300 カルフェオン首都 中産階級の飛躍力 <家具商人>リルナ親密度280 カルフェオン首都 モンスター雇用に問題はないのか? 働かないのは罪悪だ。 貿易の時代 倉庫番に向かって左奥の部屋の本 ベリア村 誰のための貨幣なのか お金の達人、商人の企み ハイデル3-3番地前の住民 行動力8必要 ハイデル 庶民経済 クレイアの右側付近にいる住民 ハイデル 正しい商道 商人としての第一歩 ▲ 政治 I (行動力増加2) 名称 入手方法 場所 スラム街の無法者 <デモ統率者>ダニエル・ステイミー親密度450 カルフェオン首都 商団 戦争とメディア グレース・ローレン ハイデル 名誉、最後の選択 <燭台商人>アナベラ・ベルッチ親密度500 カルフェオン首都 タンチナイス民会 <ホープ銀行頭取>バスケアン・リュリック親密度100 カルフェオン首都 権利とうわべ ジョバン・グローリン:親密度100 カルフェオン首都 カリスの危機 カリス議会情報 質素な生活 ラビエンシャ・ベイシアン:親密度555 カルフェオン ハイデル条約書 ハイデル城の奥にある書 ハイデル城 農民の希望 百戦錬磨のクリフ 西部警備キャンプ、ジャレット・ドモンガットの親密11で出るクエスト遂行で獲得 ハイデルの侍従長 シアン同盟 反乱軍になった理由 ▲ 教養 I (行動力増加2) 名称 入手方法 場所 べリア英雄譚 笛吹きの子ども 農場の魔女 シェフの風貌 大文豪アルテミオ オリビアの旅行記 住民 ハイデル料理人オルビアの前のシャイ 愛の叙事詩 イザウロクエスト「ああ、私のメリッサ」完了時に発生 吟遊詩人<行動力3> ハイデル リーダーとしての生き方 クリフの横の兵士 西部警備キャンプ 笛 ライアーノ・ピエトロの依頼(発生条件に笛必要) ベリア村 壁に乗る 謎の彫刻家 モンスターから生き残る方法 住民 南部警備キャンプ ベリアの特産品 ベルマンの料理レシピ セレンディア栄光の歴史 メディア訪問記 巨匠ロメルン ギルド前の住民 ハイデル ▲ 神学 I (行動力増加2) 名称 入手方法 場所 悔い改めへの道 ボルカー・ベイシアン カルフェオン 大都市の鐘 居酒屋 カルフェオン 意思の塔 東門の近くにある小屋 ハイデル エリアン教の意思 オタビオ・フェレ ベリア 暗闇の中の悪霊たち アンナリン ブラッディ修道院 死、その後 教会内の市民 ベリア 信仰の誕生 ライオネル・リッチ グリッシー エリアン教の異端差別 ライオネル・リッチ グリッシー ドラゴンの監視 魔法使いの祭壇頂上の像 セレンディア北部平原 ▲ 錬金 I (行動力増加2) 名称 入手方法 場所 黒結晶等級 ドーソン<行動力3> 抽出場 不死の力、可能なのか? ラフィー・レッドマウンテンの依頼 古代の石室 黒結晶の純度 稀代の錬金術師アルスティン編 稀代の錬金術師ゴルガス編 フレハラウ(要セレンディア神殿のクエでフレハラウに報告後) グリッシー村 稀代の錬金術師ロメルン編 ギルド管理人の目の前の子供住民から行動力消費で ハイデル クロン城の祭壇 経験と悟りについて ▲ 文化芸術 (行動力増加2) 名称 入手方法 場所 レッドオーク種族 <防具商人>カダッシュ親密度500 グリッシー村 クルト種族 ダリアン親密度820 トレント村 人間種族 カリス議員-エルン通り ドミニク・エルン親密度500 カルフェオン 亜人族 タクロス親密度500 ベリア村 ゴブリン種族 サント・マンジ親密度300 ベリア村 ルツム種族 <家具商人>マエリ親密度:400 トレント村 インプ種族 <家具商人>ビョルン親密度700 ベア村 マンシャゴブリン種族 <探索拠点管理>トバレ親密度0 トバレコテージ ナマズマン種族 水腹ナマズマン親密度0 南カイア渡し場 トロル種族 雑貨商人 アルケム親密度700 カルフェオン エルフ種族 <カーマスリブ聖人>ネリードーミン親密度400 ロングリーフの木偵察警戒所 ラッコ種族 <雑貨商人>クリエ親密度500 クリオ村 ジャイアント種族 ポビオス親密度500 ハイデル ドワーフ種族 ハビエル親密度500 北部小麦農場 シャイ種族 貿易管理 ロリア親密度700 フローリン村 獣人種族 カリス議長 ヘルマン・フェレシオ親密度700 カルフェオン ▲ 教養 II (行動力増加2) 名称 入手方法 場所 煙突掃除 花を折る子ども <種子商人>アル カルフェオン 都市の叫び屋 子ども商人の夜 祈らない者 贅沢を取り繕う体裁 <燭台商人>アナベラ・ベルッチ親密度300 カルフェオン首都 工芸職人たち <カゴ商人>アレフレッド・ロンバルディ カルフェオン 最高の贅沢 <特級品貿易業者>リーゼル・カルタ付近にいる女性の貴族 カルフェオン ファラスのエリアン教モスク <特級スパイス取扱>ラビエンシャ・ベイシアン親密度250 カルフェオン首都 名門レート家 お年寄り広場 エル・ベルッチ:親密度300 カルフェオン首都 ▲
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3180.html
209 :影響を受ける人:2015/11/08(日) 22 15 15 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第七十九話 ―残された“モノ”― ――三種の神器(みくさのかむだから、さんしゅのしんき(じんぎ、しんぎ))は、日本神話において、天孫降臨の時に、瓊瓊杵尊が天照大神から授けられたという鏡・玉・剣のこと。また、神話に登場した神器と同一とされる、あるいはそれになぞらえられる、日本の歴代天皇が継承してきた三種の宝物のこと。 三種の宝物とは、八咫鏡・八尺瓊勾玉・草薙剣を指す。皇族はもとより天皇でさえもその実見はなされておらず、多くの面が謎に包まれている。――wiki pediaより―― この世界、ストライク・ウィッチーズの世界において伝説の武器は架空のモノではなく、現存する究極の“武装兵器”だ。 このことを聞いた夢幻会の半分は眉唾物であったが、半数はヲタク本能を刺激されて興奮した。 しかし現物を見ないと納得しがたいのも事実。 その証拠として後日、九曜葛葉は自作した扶桑刀を持参し、倉崎重工において試験する事になった。 そして結果は・・・驚くべきものであった。 前々世において、TV番組【トリビア○泉】を視聴していた転生者は「いくら何でも機関砲には負けるだろう」といって、拳銃の次に機関銃を用意した。 台座に固定された抜身の刀に向け、遠距離からトリガーを引く。 弾丸が発射され、計算通りに刀に命中し・・・後続の弾丸も面白いように切り裂いていった。 「・・・はぁ?」 間抜けな声が出たが誰も笑わない。なぜなら刀は平然と弾丸を切り裂き続けているから。 九曜が提供したのは基本としている〔折れず〕〔欠けず〕〔曲がらず〕のみ主眼としている刀。 最初は「刀語かwww」と言っていたのだが、この結果には全員が呆然とした。 空想の刀が、目の前に存在する。 すぐさま九曜(見学していた分体)に問いただした。すると、すぐに回答がやってきた。 「術符と同じ原理です。 もっとわかりやすく言うなら・・・コンピューター回路を仕込んでいる。 そう言った方が良いですね。」 「いや、だが・・・ 刀の製作では打ちつける動作があるだろう。 そのやり方だと、回路制作が出来ないのでは?」 「あ~・・・ 最終的に、中の原子配列と言いますか・・・ わずかな隙間と言いますか・・・ 魔力を使用して回路を制作していまして、殆ど経験と勘なのですよ。」 「型月の魔術回路かよ!」 「それですね。」 とまあ、そんなこんなことがあった。 さらに細かく問われたが、民間に伝わっている製法では〔折れず〕〔欠けず〕〔曲がらず〕のみ継承されているという。 基本的な事であるし、他の機能を付与するとなると比率が崩れて脆くなるのだとか。 「その機能を持っている、現存している“最強”の武器は何ですか?」 「・・・聞きたいの?」 問いに渋った九曜(分体)に対し、研究者たちは詰め寄る。 鼻息荒く近寄られるのは外見女、中身男でも嫌だったので答えることにした。 「三種の神器・・・ 草薙の剣よ。」 ――――― 皇居内で九曜は仕事していた。 裏の侍従長であるが、表の仕事を手伝う理由は無い。 目の前で共に仕事をしている侍従長は、前世の人物は違うのだが雰囲気がよく似ている。 これも類似性が強い世界観のせいなのだろうかと思っていた。 頭の片隅でそう思いつつ、手を休めずに動かす。 っと、分体(護衛兼御茶くみ)から連絡が入った。 陛下が自分(本体)を呼んでいるらしく、着て欲しいとの事。 「後は任せました。」 「陛下ですか? お任せください、手伝っていただけたので早く終わりそうです。」 執務室から出ると、軽く小走りで向かう。 陛下の場所はわかっている。執務室で何やら悩んでいるようだと、分体が報告してきていたから。 執務室前に到着して息を整え、軽くノックをすると「よい。入れ。」と言われた。 扉を開き一礼すると、何時になく真剣な眼差しの陛下が座っている。 210 :影響を受ける人:2015/11/08(日) 22 15 49 「何様か、御用でしょうか?」 「うむ・・・ “宝物殿”に行きたい。」 “宝物殿”。その単語を聞いた九曜は目を見開き、全身の毛が逆立つのを感じた。 「宝物・・・殿・・・で、ございますか?」 「うむ。」 陛下は真っ直ぐにこちらを見る。 九曜はどうしていくのか問いただしたかった。だが、陛下の眼差しが真っ直ぐではあるが迷いも感じる。 長い年月を生きている九曜は、すぐに無茶をするわけではないと判断下す。 「承知しました。」 「済まぬな。」 ――――― “宝物殿”。 それは天皇家に伝わる、曰く付の品物を収めた倉庫。 数ある物は表の“宝物庫”に収められるが、過去に贈呈された物品の内、盗まれてはまずい物を保管している。 その場所は誰も知らず。天皇陛下と管理者しか知らない。 現在の管理者は九曜葛葉。保管場所も、現代の技術でも探り当てるのは難しい場所にある。 無論、自分にもしもの事があった場合、どうにかすれば到達できる場所にあるのではあるが・・・ 球体シールドで水中に潜った九曜と陛下は、保管場所の底に着くと目の前で岩が、回りながらせり上がるのが見えた。 九曜の念動により、ネジ式で締められていた蓋が持ち上がっているのだ。 全て上がりきると、側面に入り口があるのでそこから入る。 その入り口の先に床は無い。シールドを堅持したまま中に入り、入り口付近まで水を戻すと氷を作り出して塞ぐ。 そしてそのままエレベーターの様に下に行く。 途中までまっすぐだった壁面は、徐々に離れていくのがわかる。 構造を説明すると、三角フラスコのような形をしているのだ。 フラスコの底に到着すると、厳重に閉められた岩戸の前に二人は進む。 この場所に陽の光は到達しないので、九曜の魔力光だけが頼りだ。 「少々お待ちを・・・」 断りを入れ、九曜は岩戸の前に立つ。 そして手を触れると・・・念動をフルに使って中のギミックを起動させた。 侵入者がここまで来た事は無いが、水中に近い場所で発破はやらないだろうとの判断により、絡繰りを仕込んである。 もし強行突破すれば此処は水没し、古い魔術式により氷漬けにされる運命が待っていて、宝物殿の中身も爆破される。 故に慎重に解く必要性があった。 ―カチッ…― 金具が外れる音共に、巨大な岩戸が左右に分かれて道を示す。 二人は開き切るまで待ち、機動停止の轟音が響くと同時に歩き出した。 岩戸の先には仄かに光る鉱石・・・では無く、宝石がある。 価値を知る物から見れば、涎を垂らして奪いに来るだろう天然物の宝石達だ。 ここでは魔力により明かりを作る物として置いてあり、事実を知ればあまりにも豪華で贅沢な使い方だと思うだろう。 その回廊の脇には小部屋の扉があるのだが、二人は無視をして先に進む。 回廊の終わりに又扉があるが、こちらは木の扉で凝ったギミックは無い。 しいて言うなら鍵が必要なだけ。 九曜はさっさと鍵を取出して扉を開けると、そのまま端によって頭を垂れる。ここから先は天皇陛下が先に入るのだ。 良く働いてくれる古き家臣に、陛下は小さく頷いて先に扉の先に入る。その後ろから九曜も続く。 三メートルほど進むと階段があり、下った先には地下にあるとは思えない広い空間に本殿が存在する。 その中にある物が目的だ。 陛下は本殿の階段を上がると扉を開いた。それを会談したから九曜は見つめる。 ここから先は天皇陛下のみ許された空間。自分が入る余地は無い。 本殿内部に安置された三つの品・・・ 八咫鏡 八尺瓊勾玉 草薙剣 ・・・の前に陛下は立つ。 九曜は中で本物の三種の神器を対面している陛下を想像しつつ過去に思いをはせる。 その昔、管理者の交代を受けた時の事。 最初は固辞したが、どうしてもと言われて今の場所を作成した。 かなりの重労働であったが分体の訓練にはちょうどよく、半年かかってようやく完成させた。 そして安置するという事になったのだが、時の天皇陛下が性能を見ようという事で富士の麓で軽く振るう事となった。 あの時は只の武器と侮っていた。 幾ら伝承で伝えられているからと言っても、異常な性能は無いだろうと・・・ しかし九曜の、刀の性能を見たは夢幻会が驚いった結果よりも、遥かに凄まじい驚きを有するモノだった。 草原の草が 根 元 か ら 薙 ぎ 払 わ れ 、その先にあった雑木林さえも 薙 ぎ 払 わ れ た。 これだけなら伝承通りだったが、その範囲内にいた生物全てが 薙 ぎ 払 わ れ て 死 滅 し て い る のが判明した。 211 :影響を受ける人:2015/11/08(日) 22 16 31 余りにも凄まじい・・・その光景を見ていた関係者はすぐに口を結んだ。 これは世に出して良い物ではない。伝承の通り以上の結果に全員が震え上がっていた。 そして同時に天皇陛下が倒れてしまったのも、秘密にしなければならない。 いかに陛下の要望で実験を行ったとはいえ、陰陽士・導術士の当主達の首が飛びかねない。 慌てて都に搬送し、―天皇陛下は都から移動していない―と言う偽造をした。 この時、九曜が一時的に草薙の剣を運搬したのだが・・・ ほんの少しだった。 ほんの少し触っただけで、当時の陛下よりもさらに強大な魔力を持っていた筈の九曜の魔力が、1秒も持たずに枯渇しそうなったのだ。 これは草薙の剣が持つ特性であり、天皇家以外の人間が所持できないようにされている証拠だった。 急激な魔力喪失で眩暈を起こした九曜だが、しばらくして回復すると仕方なく布で縛り、直接触れない様に運搬するしかなかった。 その後、天皇家が所持する武器防具などを収める際に解析する事を許されたが、草薙の剣だけはあの時と陛下の協力で三度ほど調べるのみに止めている。 その三度だけでも死にかけた事があるだから。 陛下は三種の神器の前に立ち、己の苦悩を晴らそうとしている。 九曜は只待つのみ。自分の覚悟はもう決まっている。 この国に未曾有の危機が迫っているのはなんとなくわかる。 変質している未来予知により、最近脳内に何かが浮かび上がりつつあった。 恐らくそれは、自分が関わらない事で起きる悲劇。もしくは己が死ぬ事で起きる惨劇だ。 それを超えれば・・・自分は目的を果たせるだろう。 薄暗い天井を見上げ、思い出の椿を思い起こすのであった。 ――――― 電車に揺られながら、北郷章香と江藤敏子はある場所を目指していた。 何時もなら書類と格闘しているのだが、忙しくなり始める前に行きたかった場所があるのだ。 章香の向かい側に座っている敏子が、外を見つつ溜息を吐く。 「別にいいのよ。来なくても・・・」 「世話になっていたし、同じ基地にいたんだ。せめて、な・・・」 来る前に敏子は責任を感じる必要はないと言ったが、章香としては部下の一人を預けたのだから関わりがあると主張。 結局別々にやるよりも、一緒の方が良いとの判断したのだった。 しかし、気が滅入るのは避けられない。 せっかく買った駅弁(夢幻会食品制作部製)も、美味しく感じられない。 うつりゆく景色を楽しむ事もできない。 それは、同行者も同様だ。 狐火隊隊長の穴吹智子と、副隊長の加東圭子。 そして、坂本美緒が今回の同行者に選ばれた。 前者の二人は直属の部下だったから。後者は部下で助けられ、あの時の事を良く知っているから。 五人が向かう場所は、早良ミチルの生家。 以上です。 本当なら最後の方の、「美緒ちゃん先輩の実家に突撃する」がメインだった筈なのに、いつの間にかサブで書いていた方がメインになっていた。
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/10823.html
"Jackal!" セガのグロ格闘ゲーム『Eternal Champions:Challenge from the Dark Side』の登場人物。 塵神聖ソラリス帝国の総司令官ではない。 モデルは実在のエジプト新王国・第20王朝の2代目ファラオ。 紀元前151年のエジプトのファラオで、何者かに暗殺される。 彼の遺体はナイル川に漂着し、泳げなかったために溺死したのではないかと推測されている。 ラムセスが突き落とされたかどうかは彼を暗殺した犯人のみが知る。 暗殺されたとはっきり言っちゃってるので、突き落として殺したか、殺してから死体を川に放り投げたかの違いしか無いが ワニの形をした気を纏う側転蹴り、相手を拘束する包帯やジャッカルの頭部の幻影(?)を放つ飛び道具、 太陽光を集めてからのレーザー攻撃、不死鳥に変身しての体当たりといった、エジプトチックな技を駆使して戦う。 + エンディング ラムセスを狙った暗殺者は返り討ちに遭い、岩で首を折って死亡した。 彼が帰還すると宮廷は驚き、裏切り者の存在を知ったラムセスは関与した邪悪な権力者達の首を取り落とし、 エジプトの政治制度に大きな影響を与えた。 ラムセスと共に人々はエジプト全土の再建と拡大に取り組んだ。 そしてエジプト文化が衰退する寿命を大きく延ばし、未来においてその偉大さを知ることになる。 邪悪な権力者達に奪われるはずだった宝物や知識を取り戻し、様々な埋葬室やピラミッドに納めるように指示した。 現在、人類は納められた知識のほんの一部しか発掘できていないが、 彼のおかげで科学、数学、医学など様々な古代人の知識を我々人類が研究し、活用できている。 + 史実のラムセス3世 彼の在位は紀元前1180年代から1150年代にかけてなので、ゲームのラムセス3世とはざっくり1000年違う。 その来歴については息子ラムセス4世が編纂した歴史書に詳しく、 内乱によって瓦解しかかった所をパレスチナ人侵略者イルスによって攻め込まれ支配されてしまったエジプトを、 父セクナクトと共に取り戻し、高齢であった父の共同統治者としてエジプトを治め、死後はファラオの座を継いだのが、 ラムセス3世であるとされる。 偉大なファラオとして伝えられるラムセス2世(オジマンディアス)を目標にエジプトを治めていたが、 おりしも古代ギリシアをはじめとした近隣諸国が政治的混乱と異民族の侵入によって暗黒時代に突入していたため、 ラムセス3世もまた、今日に至るまで詳細不明な異民族「海の民」やリピア人の侵略に立ち向かうこととなった。 どうにか戦争に勝ち、交易や神殿建設などの事業にも積極的に関わり成功を収め、 神官達との関係も良好と見事な統治を見せたのだが、折り悪く異常気象が発生して農作物が不作、 労働者への食料配給が滞りストライキが発生する不運に見舞われてしまう。 とはいえ統治自体は問題なく、ラムセス3世は歴代ファラオの中でもっとも銀を得たファラオだと讃えられていたのだが、 そこで今度は後継者を巡った陰謀に巻き込まれ、とうとう暗殺されてしまった。 ラムセス3世は王子達が早逝する中、生き延びた最年長の5男であるラムセス4世を後継者に選んだのだが、 王妃テティは自らの溺愛する王子ペンタウアーを即位させようと、親子で結託して暗殺を目論んだのだ。 暗殺手法については長らく謎に包まれていたのだが、近年になってラムセス3世のミイラを分析、研究した所、 喉を真横に切り裂き脊椎にまで達する傷が発見され、これが致命傷で、恐らく即死だったろうと判断された。 また足の親指が切断されていたことも分かり、恐らく暗殺者は最低二人で、正面から斧のようなもので足を切られ、 もう一人が背後からラムセス3世の喉を切ったのではないかと推測されている。 ただ暗殺は成功したもののすぐに調査が行われ、計画に関与した38人は逮捕、処刑された。 関わったのは王妃と王子以外に侍従長、執事、宝物庫管理者、将軍、書記および伝令官など重鎮が多く、 かなり綿密に練られた計画だったようだが、王妃と王子は歴史上の記録から名前を抹消され死後の幸福を剥奪された上、 王子は服毒自殺、それ以外の面々は火刑に処して遺体も残らぬよう(つまり来世で蘇らぬよう)に厳罰が下された。 さらにこの裁判の中で告発されていた後宮の女達が、裁判官を誘惑して減刑を勝ち取ろうとする不正が発覚しており、 裁判官達も耳鼻削ぎの刑罰に処されるなど、ファラオ暗殺だから当然とはいえ、かなりの大騒動となった。 この後どうにかラムセス4世がファラオの座について混乱を収めたのだが、その余波は著しく、 ラムセス3世暗殺は、古代エジプト文明崩壊の第一歩であった……と言われている。 なお、暗殺されてしまったとはいえラムセス3世の人気は高かったらしく、王家の谷で最も大きな墓に葬られており、 またそのミイラは、後世制作された様々なホラー映画に登場するミイラのモデルとなったことで、 今日でも大勢の人々に親しまれている。 MUGENにおけるラムセス三世 Juan Carlos氏による原作ドットを用いたキャラが存在していたが、現在は公開サイトの閉鎖により入手不可。 操作方法は6ボタン方式で、原作の技が一通り搭載されている。 出場大会 MUGEN祭 大盛りシングルトーナメント
https://w.atwiki.jp/schwartzcberewiki/
2014年3月以前のパスワードは無効になっています。 編集・追加したい方は再登録お願いします。 お知らせ シェアワールド「シュヴァルツクベレ」シリーズの設定wikiです。 はじめて来た方はABOUTをご覧ください。 のんびりと数ヶ月かけて少しページ構造弄る予定なので、ページ内リンクのリンク切れが幾つも発生するかもです。 時代背景 時は神代 増えすぎた人間の悪行に怒った神が、旧世界を洗い流す洪水を起こすはずだった。 しかし、結果として四十日四十夜続き、百五十日の猛威を振るうとされた大洪水は起きることなく、神々から人々へと政権交代がなされなかった世界。 ただ、古き神々のみが、天に、あるいは大地に、夜に、昼に、月に、太陽に、還っていったのだった。 その後、新たに姿を現した子孫たる神々が、王族、あるいは貴族を名乗り、人々の住まう大地に降り立つと、その絶大な力をもって世界を統治した。 舞台は、それより更に四百余年後の世界、時に、新神暦四百二十四年のことである。 西方九国を有する大陸、即ちアース神族の国アスガルズ、ヴァン神族の国ヴァナヘイム 妖精の国アルフヘイム、黒き妖精の国スヴァルトアルフレイム、小人の国ニダヴェリール 巨人の国ヨトゥンヘイム、氷の国ニブルヘイム、炎の国ムスペルヘイム、死の国ヘルヘイム そして、この物語の舞台となる、人間が最も多く住む国ミドガルドだ。 各国は、それぞれに王、あるいはそれに連なる者を頂くことで、危ういながらも均衡を保ち、表面上は穏やかな世紀がつづいた。 この物語は、人と神との共存の終焉、始まりが終わり、そして、終わりが始まった。 そんな時代の謳歌であり、同時に、伝説へと歩み始める一瞬を切り取った一幕でもある。 時代背景 設定ストーリー? 登場人物シュヴァルツクベレ城の住人 ニュクス ミドガルドの住人 七大魔王(七罪の副王) ヘルヘイムの住人 七人の魔法使い 魔法使い、魔術師 その他用語など… 関連リンク 設定 ストーリー? シュヴァルツクベレ城の異常な日常(表示するにはここをクリック) ここはとある国の中にある、とても大きなお城です。 持ち主は大公爵殿下という、由緒正しきお城なのです。 しかし少し前から、大公爵殿下はふらりと出て行ったきり、生死不明の行方不明です。 殿下の娘である双子姫は、寧ろ殿下の生死を心配したという殊勝な理由では全く無く、『遊びついでに父様探しにいってくる』という書き置きを残して家出しました。そのうちふらりと帰ってくる事でしょう。 その間の事は、執事長だけど伯爵の地位にいるヒラサカ・ド・ワラキアさんに任されています。彼は、殿下の無事を気にかけている、数少ない人物でした。ただし、やっぱり心配はしていませんが。 他にも、侍従長やメイド達、庭師に門番、料理長などなど、色々と個性を持った人たちでこの城は何となく日々を過ごしています。皆、一癖も二癖もある人や人っぽいのばかりで、ヒラサカさんは毎日気苦労が耐えません。 また、招いた招かなかった関わらずたまに来るお客様や、パーティをやる時も、来る人は皆変な人ばかり。 城代のヒラサカさんを筆頭に、シュヴァルツクベレ城の人たちは毎日毎日、愉快で痛快で、たまにシリアスな日々を送っています。 異常な日常、日常が異常。 シュヴァルツクベレ城の日常は、いつも危険で和やかで賑やかなのでした?―。 登場人物 シュヴァルツクベレ城の住人 大公爵殿下 sin ナルミ カスミ ヒラサカ=ド=ブラン=ワラキア サナ サトリ ナオ ケイセイ・アンダードッグ・ギャクジョウ トグマ ユタ トーカ スクネ カゴモリ ミッドナイト ヤマト・クク・ツクモ? ニュクス ミッドナイト イガ ?? ラウンド=ビショップ シュトルツ=テンペスト アルビオ=カルマ ローレンシア=イヴルフェイト エリザベス=カース ルナリア=バタフライ アルト=ディストール アサト=アートマン セレーヌ=マジェスティ ヴァルド=ルーク ミドガルドの住人 魔王 パラケルスス 七大魔王(七罪の副王) ベリアル レヴィアタン サタン アスタロト マモン ベルゼベル アスモデウス ヘルヘイムの住人 ヘル フタエ=エルリック=メルニボネ ヒトエ=アガーテ=ザミエル ゲル ビート アルテ=ナガシマ 七人の魔法使い エンペドクレス アブドゥル=アルハザード サン=ジェルマン=ロワール=エ=シェール ジル=ド=レイ パラケルスス カゴモリ トグマ 魔法使い、魔術師 ヘルメス=トリス=メギストス クリスチャン=ローゼン=クロイツ アレイスター=クロウリー その他用語など… 魔法(魔術) 二つ名 装具 武具 種族別詳細 簡易国別設定 その他色々 関連リンク Story-BBS 「シュヴァルツクベレ城の異常な日常」本編のBBS 管理人:ケイセイ・アンダードック・ギャクジョウ(形勢逆上) Castle of Schwartzcubere #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Castle of Schwartzcubere) 「シュヴァルツクベレ城の異常な日常」まとめサイト シュヴァルツクベレ“環なる蛇”掲載中 管理人:ケイセイ・アンダードック・ギャクジョウ(形勢逆上) 宵闇の黄昏亭 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (宵闇の黄昏亭) オリジナル小説・詩のサイト シュヴァルツクベレ“ミッドナイト・サガ”解読中 管理人:ミッドナイト(夜厳) 澪漂二重の憂鬱クァルテット シュヴァルツクベレ“エルリックサガ”連載(?)中 管理人:フタエ=エルリック=メルニボネ(澪漂二重) ×TRANQUILIZER× #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (TRANQUILIZER) (一応)成田良悟ファンサイト シュヴァルツクベレ発祥の地 管理人:sin=プリティス=プセウドモナルキア=ダエモヌム(sin) School Of Life ×TRANQUILIZER×学園2nd ↓余計な広告など↓
https://w.atwiki.jp/imouto-niisan/pages/17.html
登場キャラ・4 【 友母 】 友の母親。娘と二人暮し。最年長ということで、ますます担任のキャラが薄くなった。 しかし最年長とはいえ、やはり友の実母。はっきり言ってほとんど育っていない。 友と二人で歩けば姉妹と間違われる。映画館も子供料金で入れる。 道を歩いていれば着ぐるみに風船を貰ったり、まさに友の母親である。 兄のことを「ちゃん」付けで呼び、何かと世話を焼いたり相談に乗ってくれる。 もしかしたら、もう将来の義理の息子としてロックオンされているのかもしれない。 友とは瓜二つ。唯一の違いといえばスタイルくらい。 これでも一児の母、胸はそれなりにあるのである。 親子仲はかなり良好のようで、よく二人で出かけたりするらしい。 たまにだが、未だに一緒の布団で寝たりとか。ぜひご一緒させていただきたいものですな。 実は、友の数々の謎スペックは殆ど母親から受け継がれたものである。 よって、この御方も何気にすごい。友宅のエンゲル係数が気になるところだ。 おそらくだが、娘の制服を拝借して学校に訪れても誰も違和感を覚えないだろう。 口数はあまり多くは無いが、表情は豊かである。そこも友とは違うところ。 こんな優しくて温かくて母性的な人が保護者だったら、きっとこの世から不良なんてものはいなくなるに違いない。 身長は146センチ、バストは84。 いつか兄に「お義母さん」と呼ばれる日は来るのだろうか。 【 後輩妹 】 出ました最年少キャラ、ご存知後輩の妹。 なんとまだ小学生。いやー危ないね、ほんとギリギリだよ危ない。 年齢のわりに後輩と瓜二つで、一見すると「双子?」と間違われる。 後輩妹は得意満面、姉である後輩は涙目である。小学生と間違われるなんてね。 おまけに後輩妹の方を姉だと思う人までいるからなお更……不憫だ。 しかし決して後輩妹が長身なわけではなく、後輩も小学生時代はこのくらいあった。 クラスの中でも真ん中の方だというのだから、このときはまだちびっ子ではなかったわけだ。 しかし残念ながら、小学校の時点で身長の伸びがストップしてしまうのである。 つまりこの娘さんも、そろそろ……そして数年後には、立派なちびっこになっていることであろう。いやあ残念。 色々と背伸びしがちで、変なところでシビアな性格。というより小生意気。 兄のことを「お兄ちゃんさん」と呼ぶ。ちなみに後輩のことは普通に「お姉ちゃん」。変な娘だ。 奔放な自由主義者。人の言うことを聞かない。 聞き分けが悪いというわけではないが、何かと姉である後輩ときーきー喧嘩する。 まあ喧嘩するほど仲が良いと言うけどね。 最年少ながら、他人の心の機微を読み取って気を遣ってあげたりもする。 あと数年もすれば、きっと器の大きい立派な人に成長するだろう。背はちびっこのままだけど。 身長は140センチ、バストは72。 【 書記 】 会長や兄と同じ、学生会の役員。 ただし、会長たちのような常任役員ではなく、助っ人的な役割の臨時役員である。 無口で無表情、目を隠すほどの長い前髪が特徴的なミステリアスっ娘。 特技は主にパソコンの扱いや情報処理。プログラミングからハッキングまで難なくこなす女の子。 そして、相手に気付かれないうちに背後に忍び寄ることも得意らしい。 気配を殺す技でも身につけているのかもしれない。さしずめ、技の書記、力の友といったところか。 兄いわく、友は口数が少ないだけだから考えてることは何となくわかるけど、 この娘の場合は何を考えているか本当にわからないので色々と心臓に悪い、らしい。 口数が少ない上に、たまにドキッとするくらいバイオレンスな発言をしたりする。 断じて大人しいというわけではなく、むしろ慇懃無礼なところも見られる。 でも、目上の人にはある程度の敬意は払っているので、一般常識が無いわけではないらしい。 成績は常に学年2位。頭が良いというよりは、勉強の要領が抜群に良い。 張ったヤマは絶対に外さないという伝説の持ち主。 ちなみに、この娘も非常に小柄である。 身長は147センチ、バストは77。 【 会計 】 書記と同じく、学生会の臨時役員。 明朗活発、細かいことにこだわらない天真爛漫な性格。豪放磊落とはまさにこのこと。 竹を割ったような性格からか、異性、同性に関わらず人気がある。 特に兄とは気が合う仲なのか、しょっちゅうテレビや漫画のことで話を弾ませているらしい。 明るく能天気な性格とは裏腹に、実は超がつくほど優秀な頭脳の持ち主。 入試で全教科満点という、前代未聞の伝説を作り上げた張本人である。 もちろん、成績は学年のみならず校内で1位だとか。 寝転がって教科書を読むだけで内容は全て頭に入るという、典型的な天才タイプ。 ただ、「問題を見ただけで瞬時に答えが出る」という天才型にありがちな思考回路なので、 人に勉強を教えることは大の苦手らしい。羨ましいけど、大変なんだろうね。 特技は暗算や暗記。 20桁の暗算を一瞬でこなし、電話帳一冊の内容を丸暗記するという離れ業を持っている。 ただ、計算が得意な反面、芸術系は人並み以下だとか。 犬を描けば牛になり、ウサギを描けばカモメになるという良くわからないセンスの持ち主。 身長はかなり高く、比較的長身な妹よりも更に背が高い。 侍従長よりは小さいが、兄と同じくらいの身長。しかも、かなりスタイルが良い。 仲の良い兄とはやたらとスキンシップを取りたがるので、その度に兄は困り顔らしい。 肩を組まれたりすると、どうしたら良いかわからないとか。ぶっちゃけ羨ましい。 身長は173センチ、バストは89。 今のところは、どちらかというと中性的な「気さくな友人」というポジションだけれど これから先、成長して「色気」というものを身につけた場合、恐ろしいことになりそうなスペックである。 .
https://w.atwiki.jp/chaina_battle/pages/495.html
Template 半保護S?Template 基礎情報 天皇? 昭和天皇(しょうわてんのう、1901年(明治34年)4月29日 - 1989年(昭和64年)1月7日)は、日本の第124代天皇。名は裕仁(ひろひと)。印は若竹(わかたけ)。歴代天皇の中で(神話上を除き)在位期間は最も長く、最も長寿であった。 (現在の)今上天皇の実父にあたる。 略歴 thumb|200px|[[香淳皇后とともに。]] thumb|200px|[[1922年、イギリス皇太子エドワード・デイヴィッド(右)訪日時、貞明皇后(中)とともに。]] thumb|200px|[[1928年、即位の礼。]] thumb|200px|[[1946年11月3日、日本国憲法に署名。]] 昭和天皇は、1901年(明治34年)4月29日(22時10分)、大正天皇と皇后・九条節子(貞明皇后)の第一皇子として、東京府東京市赤坂区青山(現、東京都港区元赤坂)の東宮御所で生まれた。名は裕仁(ひろひと)、御称号は迪宮(みちのみや)。生後70日で枢密顧問官の伯爵・川村純義に預けられ、沼津御用邸で養育された。1908年(明治40年)、学習院初等科に入学し、学習院院長・乃木希典(陸軍大将)の厳格な教育を受けた。初等科在学中の1912年(大正元年)、皇族身位令の定めにより陸海軍少尉に任官し、近衛歩兵第一連隊および第一艦隊附となった。1914年(大正3年)3月、学習院初等科を卒業。 1916年(大正5年)年、立太子礼を経て皇太子となった。1918年(大正7年)、久邇宮良子女王が皇太子妃に内定。1919年(大正8年)、満18歳となり、成年式が執り行なわれた。大正天皇の病状悪化の中で、1921年(大正10年)3月3日から同年9月3日まで、イギリスをはじめヨーロッパ諸国を歴訪。同年11月25日、20歳で摂政に就任し、摂政宮と称された。同年12月27日には、虎ノ門付近で狙撃されるが、命中を免れ命を取り留めた(虎ノ門事件)。1924年(大正13年)に、久邇宮良子女王と結婚した。 1926年(大正15年)12月25日、大正天皇崩御を受け践祚して第124代天皇となり、昭和に改元(昭和とは)別の元号が予定されていたが、正式発表前に外部に漏れ、東京日日新聞に発表されてしまったため昭和に変更されたと伝わる(光文事件)。。1928年(昭和3年)11月、京都御所で即位の大礼を行なった。以後、終戦まで国策決定に深く関与し、特に軍事・外交政策にはしばしば独自の判断を示した。1933年(昭和8年)12月23日、皇太子・継宮明仁親王が降誕(誕生)。1945年(昭和20年)8月、ポツダム宣言受諾を決定し、同15日、戦争終結を告げるラジオ放送(玉音放送)により、歴代天皇で初めて国民に天皇の声を聞かせた。1946年(昭和21年)1月1日の詔書(いわゆる人間宣言)により、天皇の神格性や「世界ヲ支配スベキ運命」などを否定し、新日本建設への希望を述べた。 1947年(昭和22年)に施行された日本国憲法において 天皇は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とされ、「国政に関する権能を有しない」とされたが、占領期にはGHQ総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見などにより、独自の政治的影響力を保持した。1952年(昭和27年)4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効して日本が独立を回復し、報告のため伊勢神宮と神武天皇の畝傍山陵、明治天皇の伏見桃山陵、靖国神社をそれぞれ参拝した。 戦後は、天皇としての公務の傍ら、生物学研究者としての業績をあげた。1971年(昭和46年)、皇后と共にイギリス、オランダなどを歴訪。1975年(昭和50年)には、皇后と共にアメリカ合衆国を訪問した。1981年(昭和56年)、新年一般参賀にて初めて「お言葉」を述べた。1986年(昭和61年)には在位60年記念式典が挙行され、(神代を除き)歴代天皇で最長の在位期間を記録した。 1987年(昭和62年)9月22日、歴代天皇で初めて開腹手術を受けた。1988年(昭和63年)8月15日、全国戦没者追悼式に出席。これが公の場への、最後の出席となった。1989年(昭和64年)1月7日午前6時33分、十二指腸乳頭周囲腫瘍により崩御(死去)。87歳と、歴代の天皇で(神代を除き)最も長寿であった。在位中の元号である昭和より、昭和天皇と追号された。 同年(平成元年)2月24日、新宿御苑において大喪の礼が行なわれ、武蔵野陵に埋葬された。 年表 1901年(明治34年)4月29日(22時10分)、大正天皇と皇后・九条節子(貞明皇后)の第一皇子として青山の東宮御所で生まれる。称号は迪宮(みちのみや)。生後70日で枢密顧問官の伯爵川村純義に預けられ、沼津御用邸で養育される。 1908年(明治40年)学習院初等科に入学。学習院院長・乃木希典(陸軍大将)から厳格な教育を受ける。 1912年(大正元年)陸海軍少尉 近衛歩兵第一連隊・第一艦隊附となる。 1914年(大正3年)3月、学習院初等科を卒業。4月、陸海軍中尉任官。 1916年(大正5年)陸海軍大尉昇任。立太子礼を経て皇太子となる。 1918年(大正7年)久邇宮良子女王が妃に内定する。 1919年(大正8年)成年式。 1919年(大正8年)陸海軍少佐に昇任。 1921年(大正10年)3月3日から同年9月3日までイギリスをはじめヨーロッパ諸国を歴訪する。ロンドンにおいて、ロバート・ベーデン・パウエル卿と謁見し、英国ボーイスカウトの最高功労章であるシルバー・ウルフ章を贈呈される。 1921年11月25日、20歳で摂政に就任する(摂政宮と称される)。 1923年(大正12年)10月、陸海軍中佐昇任。12月27日、虎ノ門付近で無政府主義者の難波大助に狙撃されるが、命中を免れ命を取り留める。(虎ノ門事件) 1924年(大正13年)に久邇宮良子女王と結婚。 1925年(大正14年)10月、陸海軍大佐に昇任。 1926年(大正15年)12月25日、大正天皇の崩御により践祚し、昭和と改元。葉山の御用邸内において剣璽渡御の儀を行なう。 1926年(昭和元年)第124代天皇、陸海軍大元帥となる。 1928年(昭和3年)11月、京都御所にて即位の大礼を行なう。12月、御大典記念観兵式。 1929年(昭和4年)神島(和歌山県田辺市)への行幸の際、南方熊楠から、粘菌などに関する進講を受ける。 1933年(昭和8年)12月23日、皇太子継宮明仁親王降誕(皇族の誕生を示す用語)。 1940年(昭和15年)皇居前広場において皇紀2600年奉祝式典に出席。 1941年(昭和16年)12月8日、太平洋戦争開戦。 1945年(昭和20年)8月15日正午、国民に対してラジオ放送を通じて「戦争終結」を告げた(玉音放送)。歴代天皇で初めて、一般国民に天皇の肉声を聞かせる。9月2日、東京湾内・アメリカ軍艦・ミズーリ号上にて日本政府および軍代表が降伏文書に署名する。 1946年(昭和21年)1月1日、新日本建設に関する詔書を煥発する。 1952年(昭和27年)4月28日、サンフランシスコ講和条約発効。講和報告のため伊勢神宮と畝傍山陵・桃山陵、靖国神社をそれぞれ参拝。 1959年(昭和34年)、皇太子明仁親王と正田美智子の成婚に出席(朝見の儀において)。 1962年(昭和37年)南紀白浜にて30年前に訪れた神島を眺めつつ、熊楠をしのぶ歌「雨にけふる神島を見て紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」を詠んだ。 1971年(昭和46年)9月27日より香淳皇后とともにイギリス、オランダなどを歴訪する。オランダでは生卵を投げつけられるという事件があった。 1975年(昭和50年)9月30日から同年10月14日まで皇后とともにアメリカを訪問する。 1981年(昭和56年)新年一般参賀で初めて参集した国民に向かい「お言葉」を述べる。 1987年(昭和62年)9月22日、歴代天皇で初めての開腹手術。 1988年(昭和63年)8月15日、全国戦没者追悼式に御出席、これが公の場への最後の御出席となる。 1989年(昭和64年)1月7日・午前6時33分、十二指腸乳頭周囲腫瘍により崩御(死去)、87歳。 1989年(平成元年)2月24日、新宿御苑において大喪の礼が行われ、武蔵野陵に埋葬される(日本国憲法と(現行の)皇室典範を経て葬られた最初の天皇)。 系譜 昭和天皇の父は大正天皇、母は皇后・九条節子(くじょう・さだこ)(貞明皇后)。父方の祖父は明治天皇、祖母は典侍・柳原愛子。母方の祖父は九条道孝、祖母は野間幾子。 系図 Template 皇室明治以降? 皇子女 香淳皇后との間に7人の皇子女を儲ける。以下誕生順。 照宮成子内親王(てるのみや しげこ、1925年-1961年) - 東久邇宮盛厚王妃 久宮祐子内親王(ひさのみや さちこ、1927年-1928年) 孝宮和子内親王(たかのみや かずこ、1929年-1989年) - 鷹司平通夫人 順宮厚子内親王(よりのみや あつこ、1931年-) - 池田隆政夫人 継宮明仁親王(つぐのみや あきひと、1933年-) - 第125代天皇・今上天皇 義宮正仁親王(よしのみや まさひと、1935年- ) - 常陸宮 清宮貴子内親王(すがのみや たかこ、1939年- ) - 島津久永夫人 主な出来事 宮中某重大事件 Template Main? 1919年(大正8年)11月に元老・山縣有朋が、「皇太子裕仁親王妃に内定」と発表されていた良子女王の家系(島津家)に色盲遺伝があるとして婚約破棄を進言した事件。「良子でなければならぬのだ」との裕仁親王本人の意志が尊重されて、「婚約に変更なし」と発表された。 山縣は皇室を思って進言したのだが長閥の巨頭として非難された。山縣は責任を感じて大正10年3月、枢密院議長・元老など全ての辞表を提出したが 5月、優詔にて却下された。この事件に関して山縣はその後一言も語らなかったという。 婚礼の儀の延期と関東大震災 1923年(大正12年)の関東大震災により、同年秋季予定されていた皇太子裕仁親王(当時摂政であった)の婚礼の儀は延期されることとなった。本来なら関東という一地方で起きた地震であるので、国事である皇族の婚礼を延長することはせず遷都するのが通例であったが、東京の惨状を視察した裕仁親王の意向により延期となった。 この関東大震災で裕仁親王は、後に「加藤のおかげで命拾いをした」と語っている。背景には、霞関離宮が修理中であったため箱根(大きな震災を被った)に行く予定であったが、加藤友三郎内閣総理大臣が死去し、政変が起きていたため東京の宮城(皇居)に留まったことがある(1973年の記者会見より。会見記録は高橋紘「陛下、お尋ね申し上げまする」に詳しい)。 また後年、昭和天皇は次のように述懐している。「その 惨憺たる様子に対して、まことに感慨無量でありました」(1981年の記者会見より) 田中義一首相を叱責 満州某重大事件の責任者処分に関して、内閣総理大臣・田中義一は責任者を厳正に処罰すると昭和天皇に約束したが、軍や閣内の反対もあって処罰しなかった時、天皇は「それでは前の話と違うではないか」と田中の食言を激しく叱責した。その結果、田中内閣は総辞職したとされる(田中はその直後に死去)。 田中内閣時には、若い天皇が政治の教育係ともいえる牧野伸顕内大臣の指導の下、選挙目当てでの内務省の人事異動への注意など積極的な政治関与を見せていた。そのため、軍人や右翼・国粋主義者の間では、この事件が牧野らの「陰謀」によるもので、意志の強くない天皇がこれに引きずられたとのイメージが広がった。天皇の政治への意気込みは空回りしたばかりか、権威の揺らぎすら生じさせることとなった。 この事件で、天皇はその後の政治的関与について臆病になったという。 なお、『昭和天皇独白録』には、「辞表を出してはどうか」と天皇が田中に内閣総辞職を迫ったという記述があるが、当時の一次史料(『牧野伸顕日記』など)を照らしあわせるとそこまで踏み込んだ発言はなかった可能性が高い。 天皇機関説事件 1935年(昭和10年)、天皇機関説が排撃された天皇機関説事件について、昭和天皇は侍従武官長・本庄繁に「美濃部説の通りではないか。自分は天皇機関説で良い」と言った。 昭和天皇が帝王学を受けた頃には憲法学の通説であり、昭和天皇自身、「美濃部は忠臣である」と述べていたにもかかわらず、直接・間接には何ら行動を起こすことはなかった。機関説に関しての述懐を、昭和天皇のリベラルな性格の証左としながら、同時に美濃部擁護で動かなかったことを君主の非政治性へのこだわりとする記述は、しばしば見られるが、現実にはそれほど単純でない。 機関説は、国家法人説と呼ばれるドイツの学説に由来するが、この学説は国家の本質を「法人」とする点において主権および主権者の存在をあいまいにする意図をもった学説であり、当時すでに、後発資本主義国であり、外見的立憲主義の典型とされていたドイツにおいてさえ「時代遅れ」とされていた。しかし、戦前期の日本においては、天皇を国家の一機関として観念するという点において、社会科学的思考と結びつく側面をもつと同時に、吉野作造の「民本主義」と並んで護憲運動や大正デモクラシーの理論的バックボーンを演じていたことは、日本資本主義がドイツよりもさらに後発であることと立憲主義がさらに外見的であったことを反映していた。しかし、昭和天皇がそこまでの理解を持っていたかは疑問である。昭和天皇の理解していた機関説は、「一機関」としての性質を強調する一木-美濃部ラインのものではなく、有機体の「頭部」であることを強調する、清水澄の学説に近かったとする説もある。 二・二六事件 1936年(昭和11年)に起きた陸軍皇道派青年将校らによる二・二六事件の際、侍従武官長・本庄繁陸軍大将の「彼らも国を憂えて起こした行動で必ずしも咎めるものではないかと存じます」との進言に、昭和天皇は怒りも露に「朕が頼みとする股肱の老臣を殺害する、かくの如き凶暴の将校の精神に何ら許すべきものがあると言うのか。老臣たちを悉く倒すは朕が首を真綿で締めるに等しき行為ではないか」、さらに「お前達がやらぬなら朕自ら近衛師団を率いてこれを鎮圧に当たらん」と発言したとされる。この事は「君臨すれども統治せず」の立憲君主の立場を採っていた天皇が、政府機能の麻痺に直面し初めて自らの意思を述べたとも言える。これによって決起軍は反乱軍と認定され、事件は速やかに解決に向かったのである。この時の発言を、太平洋戦争終結のいわゆる“ご聖断”と合わせて、「立憲君主としての立場(一線)を超えた行為だった」とか「あの時はまだ若かったから」と後に語ったと言われている。なお、1975年(昭和50年)にエリザベス女王が来日した際、影の首謀者と言われることもある真崎甚三郎の息子を昭和天皇は自分の通訳に選んでいる。 真珠湾攻撃・開戦詔勅 1941年(昭和16年)9月6日の御前会議で、対英米戦は避けられないものとして決定された。御前会議では発言しないことが通例となっていた昭和天皇はこの席で敢えて発言をし、明治天皇御製の 「四方の海 みなはらからと 思ふ世に など波風の 立ちさわぐらん」 (四方の海にある国々は皆兄弟姉妹と思う世に なぜ波風が騒ぎ立てるのであろう) という短歌を詠み上げた。 昭和天皇自身は開戦には消極的であったと言われている。しかし、戦争が始まった後の1941年12月25日には日本軍の勝利を確信して、「平和克復後は南洋を見たし、日本の領土となる処なれば支障なからむ」と語ったと小倉庫次の日記に記されている。 戦争指導 thumb|250px|[[1943年6月24日、戦艦武蔵に行幸した昭和天皇(中央)]] 戦争末期のころは文字通り世界中で日本軍が戦火をあげていた状況で、昭和天皇は各地の戦況を淡々と質問していた。この点で昭和天皇の記憶力は凄まじいものがあったと思われ、実際に幾つか指示等もしている。また、この様なやりとりのなかで答えてしまったがために、後にはひけずにニュージーランドなどオセアニア付近へ戦局を広げねばならなくなってしまった経緯が存在する。 和平に向けて 1945年(昭和20年)1月6日、アメリカ軍がルソン島上陸の準備をしているとの報を受けて、昭和天皇は木戸幸一に重臣の意見を聞くことを求めた。この時、木戸は陸海両総長と閣僚の招集を勧めている『木戸幸一日記』一月六日(土) 下巻 一一六四頁。 一月三十日(火) 下巻 一一六七頁 近衛が木戸に斡旋を求めている。上巻 三一頁 「解題」岡義武による序文 木戸と宮内大臣の松平恒雄とが協議し、重臣が個々に拝謁することになった。。 準備は木戸が行い、軍部を刺激しないように秘密裏に行われた。表向きは重臣が天機を奉伺するという名目であった『侍従長の回想』「天皇の終戦秘密工作」P.43-P.54 木戸が参内を制限していたため近衛文麿が運動して重臣との会談を実現させたという説があるが、藤田はこれを信じていない。。 そのなかで特筆すべきものとしては、2月14日に行われた近衛文麿の上奏がある。近衛は敗戦必至であるとして、和平の妨害、敗戦に伴う共産主義革命を防ぐために、軍内の革新派の一味を粛清すべきだと提案している。昭和天皇は近衛の言うとおりの人事が出来ないことを指摘しており、近衛の策は実行されなかった「時局ニ関スル重臣奉答録」『木戸幸一関係文書』 四九五頁-四九八頁『侍従長の回想』「陽の目を見た近衛上奏文」P.55-P.67。Template main? 東京大空襲の戦渦を視察し、関東大震災につづく帝都の破壊に直面した昭和天皇は、これをもって終戦を決意したと後に述懐しているTemplate 要出典?。8月9日にポツダム宣言受諾決議案について長時間議論したが結論が出なかっため、首相・鈴木貫太郎の判断により天皇の判断(御聖断)を仰ぐことになった議論は午前10時半からの最高戦争指導会議から二回の閣議、御前会議を経て全て終了したのが翌10日午前2時20分であった。会議により出席者は異なるが、最高戦争指導会議では受諾賛成が鈴木(首相)、東郷(外相)、米内(海相)、受諾反対が阿南(陸相)、梅津(参謀総長)、豊田(軍司令部総長)であった。御前会議ではこれに平沼(枢密院議長)が加わる。鈴木が六閣僚に意見を聞くと、平沼が軍代表に質問した後に賛成に回り3対3となった。このとき平沼も天皇に御聖断を求めている。二時間にわたる会議の末に鈴木が行動を起した。。 昭和天皇は受諾の意思を表明し、8月15日、玉音放送。終戦となった。後に昭和天皇は侍従長の藤田尚徳に対して「誰の責任にも触れず、権限も侵さないで、自由に私の意見を述べ得る機会を初めて与えられたのだ。だから、私は予て考えていた所信を述べて、戦争をやめさせたのである」「私と臥薪嘗胆した鈴木であったからこそ、このことが出来たのだと思っている」と述べている『大日本帝国の興亡』5巻 平和への道「七部 耐え難きを耐え 1 ポツダム宣言受諾」P.203-P.213(章題 ページ番号はハヤカワ文庫版)『侍従長の回想』会議の経過については「聖断下る」P.118-P.136。昭和天皇の発言は「異例、天皇の心境吐露」P.207-P.208からの引用。。 人間宣言 thumb|250px|right|昭和天皇(右)と[[ダグラス・マッカーサー|マッカーサーの会見で(1945年)]] 1946年(昭和21年)1月1日、人間宣言を渙発。この詔書はGHQの指導下にあったマスコミにより天皇の神格否定として喧伝され、国民に大きな衝撃を与えた。 これと前後して、天皇がGHQ本部を表敬訪問した際に撮影された、GHQ総司令官でアメリカ陸軍のダグラス・マッカーサー元帥と一緒に並んだ全身写真が公開(情報局により「不敬」を理由に発禁処分)されている。天皇が正装のモーニングを着用し直立不動でいるのに対し、マッカーサーがラフな服装で腰に手を当てたリラックスした態度であることに、国民は改めて敗戦の重みを思い知らされた。天皇はマッカーサーに比べて身長が低かったことも衝撃を与えている。 thumb|250px|[[アメリカ合衆国大統領ジェラルド・R・フォード夫妻と昭和天皇、香淳皇后。1975年10月2日、アメリカ合衆国にて]] thumb|250px|[[アメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガン夫妻と昭和天皇(右)。1983年11月9日、東京都にて]] 外遊 皇太子時代の1921年(大正10年)3月3日から同年9月3日までの間、イギリスやフランス、ベルギー、イタリア、バチカンなどを公式訪問した。これは史上初の皇太子の訪欧皇太子の外遊の初例は、1907年(明治40年)の嘉仁親王(後の大正天皇)による大韓帝国訪問である。この当時の大韓帝国は日韓協約により事実上大日本帝国の保護国であったが、正式にはまだ併合前の「外国」であった。であり、国内には反対意見も根強かったが、山県有朋や西園寺公望などの元老らの尽力により実現した。出発は新聞で大々的に報じられた。お召し艦には巡洋艦香取が用いられた。イギリスでは日英同盟のパートナーとして大歓迎を受け、国王ジョージ5世やロイド・ジョージ首相らと会見した。ジョージ5世はバッキンガム宮殿での最初の夜、慣れぬ外国で緊張する当時の裕仁親王に父のように接し緊張を解いたという。イタリアでは国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世らと会見した他、各国で公式晩餐会に出席したり、第一次世界大戦当時の激戦地などを訪れた。後に昭和天皇はこの外遊が非常に印象的であったと述べている。 1971年(昭和46年)には9月27日から10月14日にかけて17日間、再度イギリスやオランダ、スイスなどヨーロッパ諸国7カ国を訪問した。訪問先には数えられていないが、このとき、経由地としてアラスカのアンカレッジに立ち寄っており、実質的にアメリカも訪問している。当初の訪問地であるデンマークやベルギー、フランスなどでは暖かく歓迎された。フランスでは旧知であるエドワード8世と再会、しばし歓談している。しかし当時両国が植民地支配していたビルマやインドネシア戦線で旧日本軍の捕虜となった退役軍人が多いイギリスとオランダでは、彼らの抗議活動に遭遇することになった。特にインドネシアの宗主国であったオランダにおいては生卵や魔法瓶を投げつけられ、同行した香淳皇后が憔悴したほど抗議はひどいものであった。 また、1975年(昭和50年)にはフォード大統領の招待によって9月30日から10月14日まで14日間にわたって、アメリカ合衆国を公式訪問した。天皇の訪米は史上初の出来事である。これに先立つこと10余年前、皇太子明仁親王夫妻が訪米しており、この訪米は皇太子夫妻のつけた道筋をたどってのものといえる。なお、1973年(昭和48年)、1974年(昭和49年)にも訪米が計画されたが、調整不足もあって実現には至らなかった。訪米前にはアメリカ人は天皇の訪米にあまり関心がないという報道がなされ、侍従長・入江相政によると天皇に対する激しい憎しみを露わにしたアメリカ人もいたといい、関係者を悩ませた。天皇はウィリアムズバーグに到着して後、2週間にわたってアメリカに滞在し、訪米前の予想を覆してワシントンD.C.やロサンゼルスなど、訪問先各地で大歓迎を受けた。10月2日フォード大統領との公式会見、10月3日のアーリントン国立墓地に眠る無名戦士の墓への献花、10月4日のニューヨークでのロックフェラー邸訪問とアメリカのマスコミは連日大々的に報道し、新聞紙面のトップは天皇の写真で埋まった。ニューヨーク訪問時には、真珠湾攻撃の生き残りで構成されるパールハーバー生存者協会が天皇歓迎決議を行っている。訪米中は学者らしく、植物園などでのエピソードが多かった。ホワイトハウス晩餐会でのスピーチでは、戦後アメリカが日本の再建に協力したことへの感謝の辞などが読み上げられた。ロサンゼルス滞在時にはディズニーランドを訪問し、ミッキーマウスの隣で微笑む写真も新聞の紙面を飾った。同地ではミッキーマウスの腕時計を購入したことが話題になった。昭和天皇の外遊はこの訪米が最後のものであった。2007年現在13回の海外訪問を行なっている今上天皇と比較しても回数はごくわずかである。しかし、二度の外遊はいずれも第二次世界大戦の痛手からの回復、国際社会への復帰を印象付けるに十分以上の成果を挙げたといえる。帰国の当日には二種類の記念切手が発行されており、この訪米が一大事業であったことを物語っている。 行幸 thumb|250px|right|[[昭和22年(1947年)石川県で開催の第二回国民体育大会の折り、山中温泉で栢野大杉を見上げる昭和天皇。あまりの大きさに暫し言葉もなく見上げたと伝ふ。]] 戦後は1946年(昭和21年)2月から約9年かけて日本全国を巡幸し、各地で国民の熱烈な歓迎を受けた。三池炭鉱の地下1000メートルもの地底深くや満州からの引揚者が入植した浅間山麓開拓地などにも赴いている。開拓地までの道路は当時整備されておらず、約2キロの道のりを徒歩で村まで赴いた。1947年(昭和22年)には原爆投下後初めて広島に行幸し、「家が建ったね」と復興に安堵する言葉を口にした。その他、行幸先でのエピソード、御製も非常に多い(天覧の大杉のエピソード参照)。全国46都道府県を巡幸するも、沖縄巡幸だけは沖縄が米軍の占領下にあったためついに果たすことができず、死の床にあっても「もうだめか」と沖縄巡幸を行なえないことを悔やんでいた。 また、1964年(昭和39年)の東京オリンピック、1970年(昭和45年)の大阪万国博覧会、1972年(昭和47年)の札幌オリンピック、バブル経済前夜の1985年(昭和60年)のつくば博の開会式にも出席している。これらイベントの成功にどれほど寄与したか正確に計ることはできないが、特に敗戦から立ち直りかけた時期のイベントである東京オリンピックの成功には大きな影響を与えたと見られている。病臥した1987年(昭和62年)秋にも、沖縄海邦国体への出席が予定されていた。病臥し自ら訪沖することが不可能と判明した後は皇太子明仁親王を名代として派遣しお言葉を伝えた。これに関して、「思はざる病となりぬ沖縄をたづね果たさむつとめありしを」との御製が伝わり、深い悔恨の念が思われる。代理として訪沖した皇太子明仁親王(今上天皇)は沖縄入りし代表者と会見した際、「確かにお預かりしてまいりました」と手にしたお言葉をおしいただき、真摯にこれを代読した。 スポーツ観戦 Template Main? 皇太子時代から大変な好角家であり、戦前戦後合わせて51回も国技館に天覧相撲に赴いている。特に戦後は1955年(昭和30年)以降、病臥する1987年(昭和62年)までに40回、ほとんど毎年赴いており、贔屓の力士も蔵間、富士桜、霧島など複数が伝わっている。特に富士桜の取り組みには身を乗り出して観戦したと言われ、同タイプの力士であり毎回熱戦となる麒麟児との取り組みはしばしば天覧相撲の日に組まれた。 1959年(昭和34年)には天覧試合として、プロ野球の巨人-阪神戦いわゆる「伝統の一戦」を観戦している。天覧試合に際しては当時の大映の永田雅一社長がこれを大変な栄誉としてとらえる言を残しており、相撲、野球の振興に与えた影響は計り知れないと言える。この後プロ野球において天覧試合は行われなかったが、プロ以外では1966年(昭和41年)11月8日の日米野球ドジャース戦が天覧に付されている。 「崩御」前後 1988年(昭和63年)の暮れに入って病臥すると、各地に病気平癒を願う記帳所が設けられたが、どこの記帳所でも多数の国民が記帳を行った。病臥の報道から一週間で記帳を行った国民は235万人にものぼり、最終的な記帳者の総数は900万人に達した。 1988年9月19日に吐血してから1989年(昭和64年)1月7日に崩御するまでの期間は、テレビなどでバラエティの派手な演出などが不謹慎であるという理由で自粛になった。なおこの「自粛」は、同年の流行語となった。このほか、病状に変化があった際は直ちに報道特番が流され、人気番組でも放送が中止・中断されることがあった。 1988年の中日ドラゴンズのリーグ優勝ビールかけおよびパレードの自粛 1988年の明治神宮野球大会中止 井上陽水出演のCM(日産自動車 セフィーロ)で「みなさんお元気ですか?」の音声カット 五木ひろしの結婚披露宴の中止(更には一般市民でも自粛・延期する人が続出した) 全日本プロレス出場プロレスラー流血自粛(新日本プロレスは流血続行) 1988年の「日本歌謡大賞」が中止 笑っていいとも!のオープニングテーマの自粛・差し替え ロート製薬のオープニングキャッチ自粛 伝統行事の中止・縮小 このほか、多数のCMが所謂自粛バージョンになっている。 昭和天皇が病気で倒れた後は暫くの間、公式行事や儀式、歌舞音曲を伴う行事が自粛された。 大相撲初場所の開催を1日延期して1月9日から行う 崩御後2日間に渡って、TVはCMなしでニュースおよび追悼特番のみの放送(ただしNHK教育テレビではほぼ通常放送であった。) 各放送局とも「Xデー」と呼んで、密かに特番体制を準備していた。事前の噂では、5日間追悼番組が放映されることになっていたが、レンタルビデオ店に客が殺到するなど、特番自体の視聴率が振るわなかったことや、経営上の判断から2日間で特番体制は解除されたと言われている。 1989年の全国高校ラグビー決勝中止(大阪府・大阪工業大学高等学校と茨城県・茗溪学園高等学校の両校優勝) 1989年の全国高校サッカー選手権大会が2日間順延 1989年の爆風スランプ武道館ライブ順延 1989年1月8日のラジオ体操の中止 1989年1月8日の公演を宝塚歌劇団が中止 学校や塾では始業式を遅らせたり授業を中止するところも多数あった。 このほか、地下鉄通路の広告の照明までが落とされたり、パチンコ屋ですら店内で音楽を流さなかったなどの出来事も起こっている。 1989年(昭和64年)1月7日午前6時35分に危篤報道があり(実際は午前6時33分に崩御)、NHKをはじめとする各放送局は一斉に特別報道体制に入った。この時NHKでは青地に黄色の丸ゴシック体で「臨時ニュース」というテロップと共にチャイムを鳴らした。7時56分、藤森昭一宮内庁長官(当時)が「天皇陛下におかせられましては、本日午前6時33分吹上御所において崩御あらせられました」と発表。直後NHKでは黒地に白の楷書体の手書き筆字で「天皇陛下崩御」というテロップに切り替わり、チャイムが鳴らされた。このときのチャイムは「a 8 e 8 cis 8 a 8 e 8 a 8 e 8 cis 8 a 8 e 8 cis 8 e 8 a 8 a 8 e 8 cis 8 e 8 a 2」というものであった(これは臨時ニュースにおいてNHKが用いる通常のチャイム「a 8 e 8 cis 8 a 8 e 8 e 8 cis 4 a 8 e 8 cis 8 e 8 a 2」と微妙に違い、長い)。同日14時36分に新元号発表の記者会見が始まる冒頭には、記者会見場に入場する小渕恵三内閣官房長官(当時)の映像をバックにスーパーインポーズで「新元号決まる」というテロップが表示され、再び同じチャイムが鳴らされた。小渕が着席し、「ただいま終了しました閣議で「元号を改める政令」が決定され、第1回臨時閣議後に申しました通り、本日中に公布される予定であります。新しい元号は、平成であります」と言って額に入った「平成」の文字のしたためられた色紙を掲げた。このエピソードから小渕は「平成おじさん」と称されることになった。この新元号は毎日新聞が最も早く報じ、「リベンジを果たした」と光文事件と結びつけた報道がなされた。 危篤発表直後および崩御発表から翌1月8日終日まではNHK(総合)および民放各局が特別報道体制に入り、CMの自粛、昭和天皇の業績を偲ぶ番組、崩御報道を受けてのニュースなどが放送された。7日の新聞朝刊には通常のニュースや通常のテレビ番組編成が掲載されていたが、号外および夕刊には各新聞ほとんど最大級の活字で「天皇陛下崩御」と打たれ、テレビ番組欄も通常放送を行ったNHK教育の欄以外はほとんど白紙に近いものが掲載された。特別報道体制内の番組(前年末からの危篤報道を受けてあらかじめ製作していたもの)にて昭和史が回顧され「激動の昭和」という言葉が繰り返し用いられ、以後定着した。日付の切り替わる前には「昭和が終わる」ことに思いを馳せた人々が町の時計塔の写真を取る、二重橋などの名所に佇み日付変更の瞬間を待つなどの姿が報道された。 翌1月8日から新聞活字には「平成元年」の文字が初めて現れることになった。 昭和64年は7日間しかなかったため、「昭和64年」が刻印された硬貨は希少であると認識されがちだが、これは正しくない。実際には「平成元年」の金型が手配される平成元年3月頃までは「昭和64年」の硬貨は発行され続けており、他の年と比較してその数が際立って少ないということはない。 1989年(平成元年)2月24日に大喪の礼が執り行われ、武蔵野陵に埋葬された。 昭和天皇崩御の日、1989年1月7日のNHK朝の「ワイドニュース」(6時36分から3時間24分間)の平均視聴率は32.6%、大喪の礼の日のNHK「ニューススペシャル・昭和天皇大喪の日」(8時30分から4時間40分間)の平均視聴率は44.5%を記録した(視聴率はビデオリサーチ・関東地区調べによる)。 崩御後、1988年まで天皇誕生日であった4月29日はみどりの日という国民の祝日となった。2007年からは、昭和の日に祝日名称が変更された。 各地の記帳所、記帳所の設置された場所 皇居前記帳所 千葉県民記帳所 葉山御用邸通用門記帳所 名古屋熱田神宮境内記帳所 京都御所前記帳所 福岡市庁舎内記帳所 東京都大島町 天皇陛下病気お見舞い記帳所 ※同町は伊豆大島に存在し、前年には三原山噴火という天災に見舞われたばかりであった。 関連項目 CMが放送されなかった日 後半は、昭和天皇-2、昭和天皇-3参照 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』_2008年5月5日 (月) 16 14。
https://w.atwiki.jp/hourai2020s/pages/455.html
影響の章 トップ > SS置き場 ご注意 この物語は 作中第87話 で登場した月光洞内で発行されている雑誌に掲載されている作品であり、ゲーム世界内におけるフィクションです。 登場する人物・団体・国名などは架空のものであり、キャンペーン内に存在するものとは関係ありません。 主な登場人物 ■遥:大南帝国の皇子。皇子らしく世間を知らないが? ■空:皇宮の近くに住む少年。皇宮の庭にそれと知らずよく遊びに来ていたらしい。 「なんかこう引っかかるんだよな」 空が腕組みしながら言った。 「引っかかる?何がだ?私が何かしたのか?」 不思議そうに問い返す遥を、空はびしっと指さした。 「それ!その喋り方!」 「とは言っても、私はこういう話し方をするよう教育されてきたのだが」 遥は困った表情になる。これまで当然としてきたことを指摘され、意味がわからなくて混乱してしまう。 「それ自体はわかる。お前は皇子さまだからな。でも俺と同じ年頃の子供がそういう喋り方してると、なんかむずむずしてくるんだ」 「ふむ」 遥は首を傾げる。確かに自分は皇族としてふさわしくあるよう教育されてきた。しかし、空と遊んでいるときは自分もただの少年ではないのだろうか。 「では、私はどのように話せばよいのだ?」 「まず、“私”はやめろ。“俺”だ。せめて“僕”な」 空は得意そうな顔で、指を1本立てて見せる。 「お、俺?」 「そう。とりあえず今日は俺といる間“私”禁止な」 「わかった‥‥やってみよう」 遥がうなずくと、空も満足そうにうなずいた。 「じゃあ、今日は何するよ?」 「そうだな。そもそも子供同士がどのように遊ぶか、私はよく知らないのだが」 「ほら言った!“私”は禁止だって言ったろ!」 「あ!」 空の指摘に、遥は咳払いする。 「子供同士がどのように遊ぶか、俺はよく知らないのだが」 「うーん、なんか合わないな」 言いなおした遥に、空は眉を寄せて考え込む。 「しかしこのような話し方をすると侍従や父上になんと言われるか‥‥」 遥がおずおずと切り出す。が、空は鼻で笑い飛ばした。 「馬鹿だな、お前。俺といるときだけでいいんだよ、こういうのは。皇宮の連中といるときは、お上品にやってろよ」 「なるほど、使い分けるのだな。それならば私、じゃない、俺にもできそうだ」 「よし、言いなおせたな。これからは言いなおすんじゃなくて最初から“俺”にしろよな?」 「努力しよう」 結局2人は、遥の手巾を結び付けた枝に小石を投げてどちらがたくさん当てられるかという遊びをすることにした。しかし、よく手入れされた庭園では小石自体が見つからない。 「見つけたか、遥?」 「いや、こちらにはない。そちらはどうだ?」 「俺も見つからないな」 「見つけられなければそもそも遊ぶことができないのだろう?」 「そうなるな‥‥どうしたもんかな」 少年2人はそれぞれに腕組みをしてうーむと考え込む。 やがて遥がふっと笑った。 「しかし俺はこうやって石を探しているだけでもそれなりに楽しいぞ。このようなことは今までやったことがない」 「そうなのか?」 驚く空。しかしそれは皇族の生活というものを知らない空にとっては無理のないことだった。 「ああ、そもそも外に出ること自体がほとんどないからな」 「へえ、皇子さまってのも結構息が詰まるものなんだな。普段は何してるんだ?」 「主に勉強だな。読み書き、歴史、礼法、軍の運用についても学ぶ」 「うぇ」 空は顔をしかめた。 「俺も一応読み書きは習わされてるけど、あんなめんどくさいこと毎日はできないぞ。お前は毎日やってるのか?」 「ああ、毎日だ。教師が毎日2人ずつ通ってきている」 「うぇぇ。俺なんか3日に一度近所のおっさんに習いに行くだけでめんどくさいのに‥‥あ、そうだ!」 「どうした?」 「ちょっと待ってろ!」 そう言うと空は、生垣をがさがさとかき分けて庭園の外へと出て行った。 しばらくして空は、丸めた上着を小脇に抱えて戻ってきた。 「ほら、これだけあれば十分だろ?」 上着を広げると、中には十個余りの小石が入っていた。 「これを拾いに行っていたのか?」 「ああ、石がなきゃ投げることもできないからな」 そうやって2人は石投げを始めたのだが。 「下手だな、お前」 遥は空が呆れかえるほど、石投げが下手だった。投げる姿勢が崩れているので、石がどこへ飛んで行くかわからない。2、3回はそばで見ている空に当たりさえした。勢いがまったくないので痛くはなかったが。 「何かを投げるなど、初めてなのだ。どうすればまっすぐ飛ぶのだ?」 遥は困り果てた表情をしている。空は楽々と枝に当てて木の葉を跳ね飛ばしているのに、自分はまったく見当違いの方向にぽとりと落ちるだけなのだ。 「まずお前、投げるときに顔を伏せてるだろ。最後までぶつける先を見てろ」 「こうか?」 顔を上げ、石をぶつけようとしている木の枝を見つめる。すると石は相変わらずぽとりと落ちたが、確かに木の方向に向かって飛んだ。 「おお、確かに!次はどうやれば長く飛ばせるかだな!」 こうやって遥は空の指導を受けながら少しずつ石投げを上達させていき、最終的には枝には当たらないものの木の幹には当てられるようになってきた。 「殿下!どこにおられるのです、殿下!」 侍従が遥を呼ぶ声が聞こえてきた。 「もうそのような刻限か。今日は歴史と軍学の教師が来るはずだ」 「大変だな、皇子さまも。じゃあ俺は帰るぞ」 「ああ、悪いが石は持ち帰ってくれぬか。残っていては庭師が咎めを受ける」 「え、庭に石があるだけで叱られる奴がいるのか?」 目を丸くする空に、遥は困ったようにうなずいた。 「すまぬが、俺たちのせいで咎めを受ける者が出てはよくないからな」 「わかった。皇宮ってのは見てて思うより大変なんだな」 それから2人は的にしていた木の周囲を這い回るようにして小石を残らず集め、空の上着で包んだ。 その間も侍従が遥を呼ぶ声は続いている。そのうちに呼ぶ人数が増え、泣きそうな響きさえ伴うようになってきた。 「いかん、そろそろ行かねば今度は彼らが咎めを受けてしまう」 「ほんと、お前の行動って縛られてるんだな。俺なんか夜にでもならなきゃ、いつどこに行こうが勝手なのに」 「皇子という立場では仕方のないことだ」 ふっと笑うと、遥は立ち上がった。 「では空。見つからないよう気をつけて帰るのだ。“俺”は“私”に戻らねばならぬ」 「ああ、次はもっと子供らしい喋り方を教えてやるよ」 「楽しみにしている。では、またな」 「ああ、またな」 「殿下!ああ、またそのように泥だらけに!いったい何をなさっているのです!」 「そう怒鳴るな」 遥は叫ぶ侍従に顔をしかめて見せる。 「し、失礼いたしました、殿下。しかしこの数日、本当に何をなさっているのですか?」 侍従はまっすぐ遥に問いかけてくる。これには遥も困った。本当のことを言っては、空が遊びに来れなくなってしまう。初めてできた「友達」を失うのは、遥にとっては耐えがたいことだった。 「‥‥木の下で寝ていたのだ」 とっさに出た言い訳。しかしそれなりに信憑性はあったらしい。 「それでそのように泥だらけに」 侍従はうなずくと、遥の服の帯の先についていた枯葉を取った。 「しかし汗もおかきになっておられるようですが」 言われてみると、襟元がしっとりしているように感じる。石を投げたり走り回ったりしたために汗をかいたらしい。 「今日は昨日より暑いからな。しかし空の見えるところで寝るのは心地よいぞ」 「では庭園にお昼寝用の寝台をご用意いたしましょうか」 「いらぬ。木にもたれるのが心地よいのだ」 「‥‥さようでございますか」 皇子が木にもたれて地べたで寝る。侍従にとっては信じがたいことだったが、遥がそうしろと言うのでは仕方がない。 侍従は内心眉をひそめつつも、遥の言う通りにするのだった。 「殿下、お勉強の前に一度お召し替えを。その服は汚れております」 「わかっている。着替えを用意しておくように」 「かしこまりました」 遥の指示に従いつつも、侍従は決意していた。 最近の遥の動向はどうもおかしい。侍従長に報告して指示を仰がねばならないと。
https://w.atwiki.jp/chaina_battle/pages/223.html
大正政変(たいしょうせいへん)は、1913年(大正2年)2月、前年末から起こった憲政擁護運動(第1次)によって第3次桂内閣が倒れたことを指す。広義には、第2次西園寺内閣の倒壊から、第3次桂内閣を経て第1次山本内閣の時代までとされる ref name=okubo 大久保(1964)。 狭義の大正政変 概略 明治末以来、藩閥勢力の代表で陸軍に近い桂太郎(長州藩出身)と立憲政友会の西園寺公望(公家出身)が「情意投合」1911年(明治44年)1月26日の桂・西園寺会談の結果、1月29日に発表した合意のこと。第2次桂内閣が立憲政友会の支援を必要としていることから、桂は次期首班に政友会を推し、自分は再び政権につかないという確約を政友会の原敬とのあいだに結んだ。これにより、政府と政友会の提携が成立した。のもと、交互に政権を担う慣例が続いていた(桂園時代と呼ばれる)。 明治天皇崩御(死去)直後の1912年12月、第2次西園寺内閣は日露戦争後の財政難日露戦争の戦費は日清戦争の8倍、開戦前年の国家財政の約7倍に達した。その8割は公債であり、戦後、償還の負担等が財政を圧迫した。から緊縮財政の方針をとり、陸軍の二個師団増設要求を拒んだ。それに対し、陸軍大臣上原勇作は帷幄上奏権を利用して、単独で即位直後の大正天皇に直接辞表を提出した。陸軍は後任を送らなかったため、西園寺内閣は総辞職に追いこまれる事態となった。これにさきだつ1900年(明治33年)に山縣有朋は軍部大臣現役武官制を成立させていた。 元老会議は後継首相に桂太郎を指名したが、桂は半年前に内大臣兼侍従長になったばかりであり、この点に関して「宮中・府中の別」1885年(明治17年)に創設された内閣制度では、宮内省を内閣の外に設け、宮中と府中(行政府)との別を明らかにし、さらに天皇を補佐する内大臣をおいていた。を乱すものとして非難の声があがった。また、財政に関心の深い財界からも軍閥の横暴に批判の声が高まり、さらに陸軍(山県閥)による非立憲的な倒閣の策動や藩閥政治家の再出馬に憤る声が広汎に広がって、憲政擁護運動(護憲運動)がはじまった。12月13日、東京の新聞記者・弁護士らが憲政振作会を組織して二個師団増設反対を決議し、翌14日には交詢社1880年(明治13年)に福澤諭吉が提唱して結成された日本最初の実業家社交クラブ。有志が発起人となって時局懇談会をひらいて、会の名を憲政擁護会とした。19日の歌舞伎座での憲政擁護第1回大会では、政友会、国民党の代議士や新聞記者のほか実業家や学生も参加し、約3,000の聴衆を集めて「閥族打破、憲政擁護」を決議している。12月21日、西園寺内閣が正式に総辞職して第3次桂太郎内閣が発足した。27日には、野党の国会議員や新聞記者、学者らが集まって護憲運動の地方への拡大を決めた。 left|thumb|180px|63年間[[衆議院議員を務めた「憲政の神様」、尾崎行雄]] 翌年1月、「憲政擁護」を叫ぶ大会が各地でひらかれ、日露戦争後の重税に苦しむ商工業者や都市民衆が多数これに参加した。21日、議会の開会予定をさらに15日間停会した桂内閣の処置により、かえって運動は加熱し、24日の東京での憲政擁護第2回大会はじめ、運動は全国的なひろがりをみせて一大国民運動となっていった。こうした動きに対し、桂首相は明治天皇の諒闇中(服喪期間)であるから政争を中止するように諭した大正天皇の詔勅(優詔)を受けてこれを乱発し、政府批判を封じた(優詔政策)イギリスのジョージ5世が即位したころ(1910年)、即位直後を理由に自由党と保守党との政争の中止を命じて、これを実現させたことにならうもので、イギリスから帰国した直後の加藤高明が提案した。。 この間、立憲政友会と立憲国民党の提携が成立し、とくに立憲政友会党員の尾崎行雄や立憲国民党党首の犬養毅が中心となって活躍した。2月5日、再会された議会で政友会や国民党などの野党は内閣不信任決議案を議会に提出し、ただちに停会となった。このときの「彼らは常に口を開けば、直ちに忠愛を唱へ、恰も忠君愛国の一手専売の如く唱へておりますが—(中略)—玉座を以て胸壁となし、詔勅を以て弾丸に代へて政敵を倒さんとするものではないか」のフレーズで知られる尾崎行雄の桂首相弾劾演説は有名である。 2月9日の憲政擁護第3大会は2万の集会となり、さらに、翌10日には数万人の民衆が議会を包囲して野党を激励、民衆示威のなかで桂は帝国議会の開会をむかえたこのとき川上親晴警視総監は、騎馬憲兵25騎を民衆の中に投じた。。桂は議会解散を決意したが、解散は内乱誘発を招くとの大岡育造衆議院議長からの忠告大岡は桂に対し「議長としてでなく長州人として申し上げる」と述べたと伝わる。により内閣総辞職を決意して、閣僚に辞表を書くよう指示し、再び停会を命じた。議会停会に憤激した民衆は警察署や交番、御用新聞の国民新聞社などを襲撃した。つづいて同様の騒擾は大阪・神戸・広島・京都などの各市へも飛び火した。 2月20日、桂内閣は発足よりわずか53日で総辞職、「五十日内閣」と呼ばれた。後継の首相には海軍大将で薩摩閥の山本権兵衛が就いた。 桂園時代の終焉 大正政変は、山縣・桂率いる陸軍・長州閥が第2次西園寺内閣を倒閣し、これに反対する民衆運動が政党組織や優詔政策といった小手先の政策で交わそうとする「閥族内閣」を打倒したというイメージが強い。しかし、大正政変を経て誕生した「桂新党」(立憲同志会→憲政会)は立憲政友会とともに政党政治をリードすることになる立憲民政党の前身であり、桂と政党を敵視し続けた山縣とをひとくくりにして大正政変を論じることはできない。 2度の内閣を組織し、明治天皇から強い信頼を得ていた桂太郎は、「桂新党」の設立と山県系官僚閥を改革する新政策を模索していた。これは、自ら結成した新党を政権基盤とする政権を樹立し、政友会への依存からの脱却と山縣からの自立を企図するものであった。それを察知した山縣は、明治天皇崩御(死去)直後の1912年8月に桂を内大臣兼侍従長に押し込めて政治的引退を図る。一方の西園寺も、政友会の党務を事実上取り仕切り、地方利益の追求をすすめる原敬との確執を強めていたこのころの『原敬日記』には西園寺への批判が多く記されている。。 そもそも増師問題は、当初は陸軍・政友会間での妥協が図られていたが、これを政権復帰の好機と見た桂・「桂園時代」により政権から遠ざかっていた薩摩閥両者の思惑が上原を強硬な態度へ導いたことで大きな問題となったのである。事態の急変に対して山縣は、内閣と陸軍を調停する優詔を起案したが桂により握りつぶされる。体調不良と原との確執により既に政権続行への意欲を失っていた西園寺と桂との会見で山縣の真意が倒閣にあると曲解した原は内閣総辞職を決断、「山縣の手による倒閣」が成功する。 後継首相の選定は、薩摩閥の推す松方正義が高齢を理由に辞退、同じく薩摩閥の山本権兵衛、山県閥の平田東助が政権運営の困難を理由に辞退したことで混迷し、大命は桂に降ることとなった。桂は斎藤実海相を優詔により留任させると、若槻礼次郎、後藤新平ら自前の官僚勢力、イギリス流政治を信奉する加藤高明(駐英大使)を入閣させて自前の内閣を組織している。桂の新政策とその意欲の一方で、優詔政策の失敗政治の混乱を詔勅により収拾することは明治期から行われていたが、即位後の大正天皇の権威は明治天皇とは比較にならず、民衆からは桂の陰謀と強く認識されることとなった。など護憲運動への対応の迷走、政友会との決定的な対立、貴族院工作の失敗、山縣・寺内ら陸軍内部からの不信政党結成に動いたことはもちろん、桂が軍部大臣文官制を企図していたことも陸軍の不信を強めた。が桂を追いつめていくことになる。 大正政変は藩閥勢力に大打撃を与えるとともに、政権担当能力を有する第二党の成長も出遅らせることとなった。 また、西園寺は「違勅」(政争を辞めるようにとの天皇の「優詔」に違反した罪)を盾に政友会総裁の辞任を表明する。桂が出させたものであるとはいえ、「公家は天皇の藩屏でなければならない」と信じる西園寺にとって、自分が率いる政友会が天皇の詔勅を無視したことは許されないという論理である。政友会の幹部達はこの「違勅」の論理に困惑したが、西園寺の決意は揺らぐことが無かった。西園寺が後継に指名した松田正久の死去により、後継総裁に原敬が就任して立憲政友会は新たな段階へと進むことになる。 歴史的意義 日比谷焼打事件でも示された民衆運動の力がついに政権を覆した。民衆の直接行動が内閣を倒した最初の事例であり、大日本帝国憲法下では唯一の事例でもある。藩閥政治の行き詰まりと民主政治の高まりを示すこととなり、これ以後、普選運動など大正デモクラシーの流れをつくっていった。松尾尊兌は、ここに始まる大正デモクラシーが一部の都市知識人による脆弱な輸入思想ではなく,戦後民主主義に直結する性質を有する、広汎な民衆運動であったことを説いている ref name=matsuo 松尾(1974)。 結果 1913年1月、護憲運動のさなか、桂は立憲政友会に対抗するため、自ら政党を結成した(桂新党)。2月に桂内閣は倒れ、その年の10月に桂も死去するが、これが立憲同志会、のちの憲政会となった。 桂退陣後に成立した第1次山本内閣は、立憲政友会を与党とし、原敬(内相)や高橋是清(蔵相)ら政友会の有力者を閣僚としてむかえた。山本は世論を怖れて、桂の二の舞を踏むことを避け、軍部大臣現役武官制を緩和して予備役・後備役でも可とし、政党勢力に譲歩するなど、国民に対して融和的な政治をとることで政局の安定化を図った。 一方、第1次山本内閣への入閣という形で利益を得る事になった立憲政友会に対して、国民はもちろんの事、立憲国民党や政友会内部からも反発が噴出して尾崎行雄は岡崎邦輔らとともに政友会を離党する(岡崎は後に復党するが、尾崎はそのまま中正会を結党した)。政友会は議会での孤立と党首不在という2つの非常事態に陥った。 広義の大正政変 冒頭に示した通り、大正政変の時期には広狭二義ある ref name=okubo/ 。 第1次山本内閣の時代を含めることにより、この時期の民衆が一方では憲政擁護運動以来の反閥族感情を保ちながらも、他方では1913年7月の中国第二革命の混乱に際しては、革命派擁護を名目とする対中出兵論に容易に乗るような大正デモクラーの一側面が視野にはいってくる。松尾尊兌はこれを「内には立憲主義、外には帝国主義」という二面性をもったものとして説明している ref name=matsuo/ 。 シーメンス事件によって第1次山本内閣が倒れたのち、民衆に人気のある大隈重信が立憲同志会、大隈伯後援会および中正会を与党として2回目の組閣をおこなったが、ここでは山東半島におけるドイツ勢力の駆逐と中国利権の確保を契機として、政友会と国民党は選挙で敗北し、陸軍二個師団増設が議会を通過し、のちに中国人のナショナリズムをおおいに刺激することになる「対華21か条要求」が国民的承認をうけるのであった。 脚注 関連項目 桂園時代 憲政擁護運動 大正デモクラシー 参考文献 松尾尊兌『大正デモクラシー』(岩波書店、1974)、岩波書店<岩波現代文庫>、2001.6、ISBN 4006000553 大久保利謙『日本全史10 近代3』東京大学出版会、1964、 B000JBHAEE 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』_ 2008年7月31日 (木) 17 09。