約 8,273 件
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1250.html
立てばいいのか座ればいいのか解らない。 うろうろ歩きだしそうな足を見つめる。 切実に槍が欲しい。槍さえ手に持てば落ち着く。 が、政宗殿は怯えるだろうか、彼女を気絶させたのは槍の柄での一撃。 真っ白い豊かなふくらみと、びしょびしょの頭と、痛々しい手枷と、潤んだ目を思い出す。 「ぬぉぉぉぉ………」 唸って誤魔化す。 辺りを他の忍び達が忙しげに立ち働いて、 焼いた石を詰め込んだ鉄壺だの大きいたらいだの用意しているが、それは特に気にならない。 「幸村様ー、石冷めちゃったら幸村様のお力で何とかして下さいねー」 焼石に注がれる水。立ちこめる蒸気。高まる期待。 「解った!」 「お水はたっぷり用意してありますから、気兼ねなく使って下さいよー」 「うむ!」 佐助の配下の忍び達は佐助に似てユルい。特に語尾が。 以前熱く燃えさせようとしたら、これ以上忍んでない忍びとして有名になるのやですよ旦那ァ、 とやっぱりゆるゆるに哀願された。 佐助の言葉も分かるのだ。 武田に形だけ恭順されても困るから、心から膝付くようにしなきゃ駄目だよね、という。 そんなもの、お館様の偉大さに触れれば即座に解決!と叫んだら、 お館様の手を煩わせる前にある程度大人しくさせなきゃねえと流された。 なるほど道理。 だがあのかいま見た姿。 佐助それは任務といいつつ役得を得ようとしているのだろう。 はれんちな。 しかし幸村自身も正面から口説きたいのだが、政宗の姿を思い出しただけで真っ直ぐ立てない。 はれんち極まりない、未熟極まりない。 「はい旦那ー待ったー?」 お気楽な、しかしどこか苛立っているような声が耳に届いた。佐…… 「ななな!政宗殿何故その様なお姿で!」 「………」 政宗は能面のような無表情で、しかも何たる事か、全裸で佐助に抱えられていた。 「答えなさいよ竜の姫君、どうせあーとしか言えなくなるんだからさ、今のうちだよ?」 佐助が低く恫喝する。 政宗は無表情で抱かれている。その柔らかそうな胸に爪痕を見た瞬間脳味噌が沸騰しそうになった。 「さ、佐助ェ!とりあえずその手を……」 「駄目でしょ旦那、手枷足枷付いてるからって油断できる相手じゃないでしょが!」 佐助は手慣れた様子で手枷に付いた金具と、天井の滑車から下がる鉄糸を縒った縄をつなぎ合わせる。 「ま、まさむねどの、その、お、ぉ、お久しゅうござる」 挨拶する間に政宗は足がつくか付かないかの高さに吊された。肩が腕が苦しげだ。 なぜなら吊した高さは、足を踏ん張ろうとしてもつま先が少し掠る程度、揺れに合わせ豊かな胸がふるふると震える。 柔そうで、しかし張りがあって、つんと上を向いたその形。 鍛えられた痕跡が見てとれる腹は川魚のように滑らかで、腰のなだらかな張りに比べても十分細い。 もう、否応なしに見とれてしまう。 「政宗殿?その、もしやお声が出ぬのでは……」 佐助を横目で睨む。佐助は肘で独眼竜を突っつく。ふわん、と揺れる体突っ張る足たわわな胸。 鼻息が荒くなる。 「Ha……そうだな。まあいいか。hey幸村どうしたよ、鼻息荒いぜ?」 指摘されて落ち込むと、直後佐助が政宗の頬を張った。 「幸村様、だ。何以前と変わらないつもりで居るの?」 「佐助!動けぬ婦女子に手をあげるものではないぞ!」 一歩迫ると佐助がひょいと肩をすくめた。 上田城の虜15
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1715.html
困った。まいった。 正直嫌だ。 俺はしかめっ面も全開で、廊下をとぼとぼと歩きながら全力で悩んでいた。 あの変態筋肉坊主の相手を務め上げる事など出来るのだろうか。 また蹴り上げて気絶させてしまわないかが心配だ。 誰か他に、誰でも良い。 突き出しの相手になってくれる方はいらっしゃらぬのだろうか。 そこまで考えて、ふっと一瞬、ほんの一瞬だけあの隻眼が蘇る。 いや、ありえぬ。 政宗殿とは一度、しかも初めての名代でお会いしたきり。 またすぐに来ると言っておきながら、そのような気配もない。 俺があまりにも女郎らしくないから、呆れられたのだ。 二度と会えぬ方を上げても詮無き事。 そうだ、やはり某の相手はお館様に他ならぬ。 お館様は佐助の馴染みゆえ、某がお相手仕る事が出来るのは水揚げの時のみ。 それならば、やはりお館様に。 お館様ならば、某、破瓜の痛みにも耐え得る事ができましょうぞ。 いかような要望にも、全力でお応えいたしましょうぞ。 佐助に、取り成してもらえるよう頼んでみよう。 心が決まれば、自然足が速まった。 佐助の部屋の前まで駆けて行き、勢いよくその戸を開く。 ピシャンと、小気味良い音が鳴った。 「うわっと、びっくりした」 中では、佐助と慶次殿が火鉢を挟んで座っていた。 「こ~ら旦那。戸が傷むからそうやって開けるの止めてって言ってるでしょ!」 子供扱いを受け、罰が悪く「すまぬ」ともごもごと口の中で謝る。 「はい、じゃあ静かに閉めましょうね~」 と、またしても子供に諭すような口調を続けてきた。 「あんたら見てると、和むね」 と、慶次殿は楽しそうに笑った。 慶次殿も佐助も、いくつになっても子供扱いだ。もう水揚げだと言うのに。 「じゃ、そういうことで…っと」 話は済んでいたようで、慶次殿は佐助に目配せすると、ゆったりと立ち上がった。 相変わらず常に舞を踊っているかのような優雅な立ち振る舞いだ。 部屋から出て行く慶次殿がすれ違い様に何か思い出したような声を上げた。 「そういえばさ、ずっと聞こうと思ってたんだけど、幸村の生まれってどこだい?」 唐突な質問だった。 それとも佐助とそのような話でもしていたのだろうか。 「生まれ…と言われてもなにぶん幼すぎて忘れてしまったが…」 確か、そう、"うえだ"と言っていた。 「おそらくは信州の上田」 それだけ聞くと、慶次殿は、口の中でそれを繰り返しながら、一言礼を言って去っていった。 一体なんだったんだろう。廓に来て、廓以前の事を聞かれたのはこれが初めてだった。 みな、覚えてなかったり、思い出したくもなかったり、自然と出自の話はしない風潮になっていた。 「…ったく、慶次は随分旦那に入れ込んでるみたいだねぇ」 佐助が、呆れるようにぼやいた。 あれが入れ込んでるという事に繋がるのだろうか、さっぱり分からない。 「で、旦那の用件はな何なのさ?…ま、粗方想像がつくけど」 入り口に突っ立ったまま慶次殿の背を目で追う俺を、佐助が座るように促した。 「もちろんこっちにも話は来てるよ、顕如の坊さんが突き出ししたいってんでしょ」 「聞いているのならば話は早い」 きちんと正座して佐助に向き直る。 「水揚げのお相手は、是非ともお館様に…」 お願いしたい、という言葉が続けられなかった。 いつもふやけている佐助のその表情が、いつになく真摯な顔をしていた。 「甘ったれてんじゃないよ」 くずし座したまま、瞬きもせずにこちらを見据えて佐助が言った。 「客を選ぶなんて十年早い」 口の端は、微動だにしなかった。 いくら鈍い俺でも怒られているのだ、と分かる。 理解しながらも真面目な顔をしている佐助はやはり端整な顔立ちなのだと、不謹慎な事を考えていた。 「そら初めてくらい選ばせてあげたいけどさ」 佐助はほんの少し普段の口調を取り戻していた。 「2回目も3回目も、これからずっと、どんな嫌な客でも拒む事はできないんだよ」 ぐ、と言葉が詰まった。 そんな事は分かっている。分かっているからこそせめて水揚げくらいと望むのが人の常ではなかろうか。 佐助はそれ以上何も言わなかった。 言われなくても目を見れば分かる。 ここはそのような人の心など望んではいけない場所なのだと。 「ならば…」 声は、喉の奥から絞り出さなければ出てこなかった。 「ならば客を選べるようになるまでだ」 胸に痞える何かを振り切り、正面を見据える。 それは、花魁になるという事。 もちろん誰しもがなれる道ではない。 だが俺が目指す場所は今も昔も変わらない。 佐助のようになりたい。 それだけだ。 俺の視線を受け止めて、佐助はようやく少しだけ笑った。 花魁26
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1870.html
したたかに地面に叩付けられ佐助は呻いた。 大丈夫、まだ動ける。 手も脚もついている。 空気を裂く音に、佐助は軋む身体で無理にその場から跳んだ。 先端が回転するその槍は、さっきまで佐助がいた場所を深々と穿つ。 ひやりと嫌な汗が背筋を流れた。 あの日、佐助が忍びではなくなった日に受けた苦痛が甦る。 「…くっ…でも、二度は負けないよ…たとえあんたが戦国最強でもね!」 あの日も、この時も。 幸村は佐助を信頼してくれた。 こんな、ただ忍びの技を伝えるためだけに造られた存在を大切だと言ってくれたのだ。 印を結ぼうとして、小指が折れていた。 表情一つ変えずに指をぽきりて戻し、印を結ぶ。 周囲に霧が立ち込めるそれは佐助が得意とする霧隠れ。 そのまま指の形を変えれば、足下から幾つもの影が起き上がり人の形に変わる。 常に佐助が出す分身とは違いそれぞれが独立した意志を持つように動き出す。 狙いはただひとつ。 凄絶な笑みをたたえたまま、佐助は地を蹴った。 幸村は黙って槍を引き抜いた。 もっと、何か感慨があるのかと思っていたが、少しも心が動かない。 ああ。こんなものか。 幸村の身体中あちらこちらに傷が走り、血が流れている。 けれど不思議と痛みは感じなかった。 「…帰るぞ。花の名を聞きにいかねばならん」 数えるほどにまで減ってしまった仲間を振り返り、幸村は笑った。 花の名はもう呼べない13
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2582.html
「私は、佐助にも人殺しなんかしてほしくない…」 丁寧に破いた裾で傷口を洗う佐助を見下ろしながら、痛みを堪えるように言う。 しかしこれは、佐助にとっては侮辱と一緒だ。 彼が忍になるということはかすがも知っている。 だが、だからこそ言っておきたかった。 大切で、大好きな幼馴染だからこそ、血という死の色には染まって欲しくなかった。 「…分かってる」 静かに呟かれた言葉に、思わず身体が震える。 傷口を見つめる佐助は、何処か寂しげに笑っていた。 「かすがの言いたいことも分かってる。でも、俺は忍になるよ。 忍になって、主のために命懸けて仕えたい」 「主がいい人だなんて限らない…!酷い人かも知れない! 佐助…酷いこといっぱい命令されるかもしれない…」 佐助の言葉に、かすがは目の淵に涙を浮かべて反論した。 「それはそうだけどさ」 対する佐助は苦笑を零しながら言う。 「でも、どんな人でも俺にとっては大事な主になるだろうから。 この人のためになら死んでもいいって思えるくらいに。 だから、死ぬときは主の役に立って死にたい」 静かに告げられた決意に、かすがは何も言うことが出来ない。 いや、言うべきではないのだ。 彼の歩むべき道を、自分なんかが口出ししていいものではない。 そう思うと、溜まっていた涙が溢れ出し頬を伝い落ちていく。 ポタポタ、と落ちるそれは頬を伝い着物に零れ、川へと流れていく。 ―嗚呼、まただ。 かすがは思う。 昔から自分は泣き虫だった。 何かあればすぐに泣き、幼馴染を困らせていた。 ほら、視線を少し動かせば困ったような表情をする佐助が見える。 強くなろう。泣き虫は卒業しよう。 何度そう誓っても、自分は泣き虫のまま佐助を困らせている。 情けなくて、申し訳なくて、涙が余計に溢れ出た。 おそまつorz 時間があれば完成させたい…
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1292.html
「ちょっと、こたろっ……駄目って、言って、……ぁっ」 文句を言い終えることすら許されなかった。 小太郎の握る鋭いクナイは、一瞬で晒しを切り裂いた。 無論、佐助の肌を傷つけることはなく。 瞬間、晒しによって押さえつけられていた、はち切れんばかりに膨らんだ乳房が、ぷるんと弾けた。 佐助は羞恥と戸惑いに、かあっと頬を赤らめる。 「なっ、ちょっ、何してんのさ! 晒しの替えなんて持ってきてな」 やっぱり最後まで文句は言わせてもらえず、佐助は小太郎に唇を塞がれた。 それだけではない、口付けの合間に両手で体を支えられて、体勢を徐々に崩され、やがて草むらの上に押し倒された。 あくまで優しく、ゆっくりと。 再び、両の胸の膨らみをやわやわと揉まれ、時折薄く色づいた乳首も捻られ潰されいいように弄られて、佐助は、小太郎からのやまぬ口づけの合間にか細く声を漏らした。 止めようと肩を押す手に力は入らず、それに。 長い前髪の合間からふと見えた眼が、何か愛しげなものを見るかのように細められていたものだから。 抵抗する気も失せてしまった、佐助は諦めて、手をそのまま小太郎の首筋へと回した。 あとはもう、なし崩し的だった。 猿飛佐助は、女だった。 女でありながら、女を捨てて、戦忍として生きる忍。 豊満に育ってしまった己の体を隠し、元々中世的だった顔に化粧をして男の形をして。 身体能力は、甲賀の里にいる他の忍よりも頭一つ分飛び出ていたし、諜報・暗殺その他の技術も覚えが早かったから、里では、佐助は将来、優秀なくの一になるだろうと少なからぬ期待を寄せられていた。 佐助自身もまた、自分はくの一となってどこぞの武家に仕えるものだとばかり思っていた。 しかし、それはある日唐突に、叶わぬものとなる。 佐助には、くの一たりえぬ大きな欠陥があったのだ。 逢引6
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1529.html
任務で出かけた先で同僚や土地の者に誘われれば、不利にならないのならば簡単に誘いに乗った。 好んで夜鷹の扮装をした。 他のくのいちのしない行動を好む自分の理由が何であるか、佐助は潔癖なくのいちの言葉で理解したのだ。 「そうか、俺は色狂いだったんだ」 そういう人種がいるとは聞いていた。 訓練や意思でどうにかなるものではなく大概は生まれついてのものなのだと。 それから佐助は奔放に振る舞った。 下忍から里長まで、気になる相手がいれば男女関係なく床に誘った。 場所も構わなかった。 か弱い町娘の扮装をし、ならず者たちになぶられたり、敵に破れたふりをし、犯されたりもした。 色事専門の忍びとの情事を褒美にねだりもした。 「佐助、自重しろ」 「いいじゃない。不利になる真似はしないよ」 どれだけ情事を繰り返そうとも佐助は変わらなかった。 娘というよりは少年のような風貌に、生臭さの感じられない飄々とした態度。 身体も、他のくのいち達が男を知り成熟していくのに、佐助は胸や尻の肉付きが悪いまま。 色に狂わぬ色狂い、どれだけ身体を重ねても心は重ねず、欲に溺れども情には溺れず。 佐助は何処までも優秀な忍びだった。 とある家に仕えてみないかと言われたのは、そんな生活に飽きてきた頃だった。 いかに佐助が色事が好きでも、同じ相手ばかりでは飽きる。 忍びも、町人も、武士も、もうつまらない。 いっそ宮廷にでも忍びこむか、異人や獣でも試すかといささか危険な方向に思考を向けていた。 「えーっ…何処です?」 ひとつの家に縛られるのは佐助には嬉しくないことだった。 酒や薬、賭け事のように金銭を使うわけではなく、依存性があるわけでもない佐助の趣味であるが、狭い範囲で決まった相手を使えばあまり歓迎出来ない事態になることはわかっている。 めくらの恋3
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1494.html
佐助の身体の震えがやわらいだところで、かすがはもう一度佐助をぎゅうっと 抱きしめる。 「佐助…少し休んでいろ、な…」 彼の身体を軽く持ち上げて浮かせ、仰向けの状態で、頭だけを湯船の縁に 引っかけるように乗せる。そのまま寝かせるようにゆったりと腰を沈めて、 もたれ掛かるような姿勢にして休ませる。 かすがの佐助への想いが表れたのを見て、 (ほう、これはまた…) 主達は、また怪しげな遊びを思いつく。 かすがは、寝かせた佐助のそばで、膝を付いてしゃがんだ状態で体を湯に 浸からせている。 「かすが、よくてつだってくれましたね」 謙信がかすがの隣に近寄り、肩をとん、と叩きながら声をかける。 「いえ…これしきの事…」 かすがは、佐助の涙の跡を拭きながら返事をする。 力の抜けきった佐助の寝顔を見守るように見つめている。 「そう……では」 と言いながら謙信はかすがの両肩を掴んで湯の中からざばぁっと引き上げ、 彼女の身を信玄に預ける。 「けっ、謙信様っ!?」 信玄がかすがの胸の下に手を回して身体を後ろ抱きで抱え、寝かせた佐助の 腰の上を跨がせて、直立させる。 「…あ…ああっ…まさかっ…!」 佐助の目の前で股をおっぴろげる格好になったかすが。その背には信玄の 身体がぴたりと密着する。 「おヌシにも受け取ってもらうぞ…」 「…ほうびを、ふふ」 「…なっ…何をなさるおつもりで…」 信玄の太くて硬質な手が、かすがの胸をがしりと掴む。 「はぅん…」 胸に走った刺激に心を奪われてから、いけない、と思い直す。 「なっ、なりませんっ!私如きに…」 かすがの抵抗を、謙信はやんわりと封ずる。 「じぶんをひげするのはおよしなさい、かすが」 「いえ、こればかりは!貴方様を差し置いて…」 「それもまたささいなこと……たのしみは、みなでわかちあうものですよ」 謙信はおおらかな口調でかすがに言う。それから湯船の縁に手を付いて、 佐助の頭二つくらい離れた辺りに腰掛けて脚を組み、軽く両手を重ねて膝の上に置く。 「さて、と」 謙信は目の前で見物するつもりだ。はやく見せてくださいよ、と催促する。 「お許しが出てよかったのう」 「そ、そんなっ…」 「しずかに」 人差し指を唇にあてて、にっと微笑む謙信。 「んっ…」 「こう、した方がいいな」 信玄は、かすがの顔よりも大きな手で彼女の口を塞ぐ。 「おこしてしまっては、かわいそうですからね」 謙信は静かにそう言いながら佐助の寝顔を見下ろす。 (ああっ…おふたりとも…なんたるお戯れをっ…!) 佐助が目を開いたら、広げた股をまるごと眼前に晒すことになる。 (佐助っ、頼むから…) 今だけは目を開けないでくれ、と心の中で祈るかすが。 武田軍×上杉軍38
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2128.html
「あらら。マジだったの?俺様カマかけてみただけなのに~」 しくしく泣いていた氏政は、佐助の言葉を聞くや、両手で隠していた顔をキッと上げて睨みつけてきた。 …でも、全然怖くない。むしろもっといじめたくなっちゃうね、こんな顔みたら。 「そ、そなた…、たばかったな!」 「ははは、白いお姫様って、嘘がつけないお人なんすねぇ~。 あ、心配しなくても誰にも言いませんよ。俺様、これでも口は堅いんで。」 「ま、誠であろうな。…ほ、本当に誰にも言うでないぞ…。こ、こんな事が回りに知れたら…」 氏政は、縋る様な目でウルウルと佐助を見つめている。 余りに必死な氏政の様子に、佐助は首を傾げた。 うーん…。別に風魔とデキてるって事が周りにバレても、北条には損する事なんて、今更何もないと思うけど。 内縁状態が世間体悪いって言うなら、風魔に責任とらせて結婚でもしてもらえばいいのに。 どうせ風魔は北条に入り込むつもりだろうから、拒否しないだろう。 ていうか、白いお姫様のお願いなら、風魔は何でもすると思う。いやー愛されてるよねー。 でも、そーなると風魔が北条の婿養子になっちゃうのかな?うわーそれなんかヤダ。 「武田の忍?」 「え?あ、はいな。言いません、言いませんよ、誰にも。」 「そうか!よかった、信じておるぞ」 佐助が口外しないと約束した途端、氏政の顔はぱあっと明るくなった。 …佐助は、何故か無性に気になった。何故、氏政は小太郎との事をひた隠しにしたがるのだろう。 「ひとつ聞いてもいいですか?」 「なんじゃ?」 「どうして、知られたくないんですか?風魔との事。」 氏政は眼をしばたかせた後、うーん…と少しくぐもった声を出した。 「何故…といわれると…わからぬ。何故じゃろう…とにかく嫌なんじゃ。 風魔とその様な関係にあると周囲に思われるのは。……あやつは忍じゃし」 何だか、いきなり頭を殴られたような衝撃を受けた。 やっぱり忍風情が相手とあっちゃ「名門北条家」のお姫様の矜恃ってモンに傷が付くから…って事なのかな。 「……そっすか。」 「あ、そうじゃ。こんな話をした事も、風魔には言ってくれるでないぞ。…ええと、そなた、名は…」 「猿飛佐助。佐助でいいっすよ、みんなそう呼んでるし。」 「…さようか。ならば佐助、よろしくな。 あ、そうそう。…そなた、少し風魔に似ておるの。風魔よりは気さくな感じじゃが。」 近くにいるはずの氏政の笑顔が、佐助には遠く感じた。 「えーと、この石段の先にあるお屋敷になるんですけど…。ここから足場が悪くなるんで、気をつけてくださいね。」 佐助は「どうぞお姫様」と、おどけながら、手の平を上にして手を差し出した。 氏政は、少し笑いながら、差し出された手の平に手を乗せた。 佐助はぐいと、氏政の手をひっぱって、急な坂を上るのを手伝ってやった。 そんな二人の様子を、小太郎が、彼らより少し離れた木の上から見ていた。 吼えぬ孤狼と骨折り狐5
https://w.atwiki.jp/sengoku4/pages/361.html
金ヶ崎撤退戦(反逆の章) 金ヶ崎撤退戦(反逆の章) あらすじ ステージ情報 武将データ 戦局展開・イベント ミッション 推奨技能 特別会話相互 個別 その他 攻略アドバイス 無双演武(4-II)・反逆の章一覧 あらすじ 久秀の目論見は外れた。 天下の運命は信長の手中にとどまったままだった だが、久秀はあきらめてはいなかった。 彼は信長の義弟・浅井長政に目を付ける 越前朝倉討伐に向かった信長の背後で 長政を寝返らせ、織田軍を挟み撃ちにしたのである 今度こそ、信長も終わり。 ほそく笑む久秀に、信長は己を逃がす先導役を命じる 信長の覇気にのまれ、久秀はその命に服す。 どうせ信長は脱出できない、久秀はそう確信していた ステージ情報 冒頭解説 久秀の狙い通り、信長は窮地に陥るが…。味方を救いつつ、包囲を突破せよ! 出現条件 六条合戦(反逆の章)クリア 操作可能武将 松永久秀・柳生宗矩・明智光秀・濃姫・森蘭丸・羽柴秀吉・ねね・柴田勝家・竹中半兵衛・黒田官兵衛 難易度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 制限時間 60分 勝利条件 すべての味方武将の退却地点への到達↓浅井長政と朝倉義景の撃破 敗北条件 織田信長の敗走、または味方武将3人の敗走 武将データ 織田軍 備考 浅井・朝倉軍 獲得 備考 織田信長 総大将ミッションNo.2の護衛対象選択禁止 お市 なし ミッションNo.5の成功条件撃破禁止 松永久秀 藤堂高虎 武器 ミッションNo.3の撃破対象 羽柴秀吉 ミッションNo.5の必要武将 斎藤龍興 巻物 ミッションNo.7の撃破対象 選択武将・甲 下記参照 磯野員昌 巻物 選択武将・乙 新庄直頼 不定 丹羽長秀 増援 宮部継潤 不定 森可成 遠藤直経 巻物 ミッションNo.1の撃破対象 織田信忠 浅井政澄 金銭 榊原康政 赤尾清綱 不定 海北綱親 金銭 ミッションNo.1の撃破対象 雨森清貞 金銭 朝倉景鏡 不定 朝倉景恒 不定 魚住景固 不定 真柄直隆 不定 高橋景業 不定 河合吉統 不定 前波吉継 不定 六角義賢 不定 真柄直澄 不定 山崎長徳 不定 富田長繁 不定 朽木元綱 なし 増援1ミッションNo.2の成功条件撃破禁止 阿閉貞征 不定 増援1 朝倉景健 不定 侍女×5 なし 増援2ミッションNo.5の撃破対象 大谷吉継 武器 増援3ミッションNo.4の撃破対象 浅井長政 武器 増援4浅井軍総大将ミッションNo.8の撃破対象 朝倉義景 武器 増援4朝倉軍総大将ミッションNo.8の撃破対象 武将選択 名称 備考 柳生宗矩 選択武将・乙 明智光秀 選択武将・甲 濃姫 甲・乙のいずれか 森蘭丸 甲・乙のいずれか ねね 甲・乙のいずれか 柴田勝家 甲・乙のいずれかミッションNo.5の必要武将 竹中半兵衛 甲・乙のいずれかミッションNo.7の必要武将 黒田官兵衛 甲・乙のいずれか 無双演武では、選択武将によって登場する武将が変化する強制出撃武将選択時は、柳生宗矩と明智光秀が優先的に代理出撃 模擬演武では登場しない 戦局展開・イベント 開始直後、ミッションNo.1が発生。 ミッションNo.1達成後、織田軍が退却路を確保。敵増援1の朽木元綱と阿閉貞征と朝倉景健が出現。織田信長が退却地点へ進軍開始。ミッションNo.2が発生。 ミッションNo.2成功時、朽木元綱が自軍に寝返る。 ミッションNo.2終了後、織田信長(成功時は朽木元綱も)が撤退。味方増援が出現し退却開始。全ての砦の門が開門。 味方武将退却開始から一定時間後、ミッションNo.3が発生。プレイヤー武将が羽柴秀吉か柴田勝家の場合、二将のいずれかがお市に接近後、ミッションNo.5が発生。 ミッションNo.5発生後、敵増援2の侍女が5人出現。 味方武将2名が退却地点へ無事到達した場合、ミッションNo.6が発生。 プレイヤー武将が竹中半兵衛の場合、竹中半兵衛で斎藤龍興に接近後、ミッションNo.7が発生。 ミッションNo.3達成後、もしくは味方武将のいずれかが北脱出地点近くに接近後、敵増援3の大谷吉継が出現。ミッションNo.4が発生。 味方武将が全員退却(2人敗走分を含む)後、敵増援4の浅井長政と朝倉義景が出現。勝利条件変更。味方武将敗走数が0人の場合、ミッションNo.8が発生。 ミッション 番号 名称 内容 備考 No.1 敵の囲いを突破せよ! 退却路確保のため、遠藤直経と海北綱親を撃破せよ! No.2 朽木越え 織田信長と朽木元綱の合流を援護せよ! 朽木元綱は撃破禁止 No.3 藤堂高虎の待ち伏せ 藤堂高虎を撃破せよ! レア武器ミッション:森蘭丸 No.4 大谷吉継の待ち伏せ 大谷吉継を撃破せよ! レア武器ミッション:竹中半兵衛 No.5 ☆姫様との戦いは御免 お市を説得するため、侍女のみ撃破せよ! 必要武将:羽柴秀吉・柴田勝家撃破対象の侍女5名を撃破で成功。お市は撃破禁止 No.6 ☆総退却 すべての味方武将を退却地点まで護衛せよ! No.7 ☆遭遇 斎藤龍興を撃破せよ! 必要武将:竹中半兵衛竹中半兵衛で北の斎藤龍興に接近する。 No.8 ☆浅井長政と朝倉義景 朝倉義景と浅井長政を撃破せよ! 制限時間:2分 ☆はボーナスミッション 推奨技能 名称 備考 鼓舞 味方の救援用。 特別会話 相互 対象武将 内容 話者 発言 羽柴秀吉 竹中半兵衛 羽柴秀吉 半兵衛! 下がれ、下がれ!軍師がこんな危ないとこにいちゃいかん! 竹中半兵衛 あのねえ…。軍師ってのは主君の側にいるもんです 竹中半兵衛 俺の身を案じてくれるんなら、もう少し安全な場所にいてください、秀吉様 個別 使用武将 対象武将 内容 話者 発言 松永久秀 浅井長政 松永久秀 心優しき男の怪物退治、始まり始まり~! 浅井長政 手始めに怪物の手先を倒すとしよう! 松永久秀 その決意に揺るぎなし。実に結構! 明智光秀 浅井長政 明智光秀 長政殿…なぜ…友誼の柱を折ってしまったのです! 浅井長政 光秀殿…すまない。一時とはいえ、そなたとの友誼は、楽しいものだった 明智光秀 長政殿…! 森蘭丸 浅井長政 森蘭丸 浅井長政!信長様を窮地に陥れた罪、償ってもらいます 浅井長政 敵意むき出しだな。だが、簡単にはやられないさ! 羽柴秀吉 お市 お市 どきなさい! 長政様のため…私はお兄様を討たねばならぬのです! 羽柴秀吉 お、お市様と戦えるわけがねえ…!お市様の周りにいる兵だけを攻撃するんじゃ お市(撃破) 羽柴秀吉 お市様、もう護衛はおりません!どうかどうか! ここは退いてくだされ! お市 サルに情けをかけられるなんて… 浅井長政 羽柴秀吉 長政殿…何もお市様まで巻き込む必要は…! 浅井長政 市は織田へ返したかった…。だが、市は某と共に歩むことを望んでくれた 浅井長政 だから、某は市と手を取り合って戦い抜く。生きるも死ぬも…夫婦一緒だ! 羽柴秀吉 あー! もうどうなっても知らん! 竹中半兵衛 斎藤龍興 竹中半兵衛 あれ~龍興様、久しぶり!生きてたんだ!浅井にいるの? 斎藤龍興 き、貴様は半兵衛! おのれ!斎藤を見捨て、織田についた裏切り者め! 竹中半兵衛 変わってないね、龍興様は。すぐカッとなるとこも、弱いとこも 浅井長政 浅井長政 義兄上のやり方では世は収まらぬ。だから、某は背いた 竹中半兵衛 その気持ちはよくわかるけど…。長政さんは優しすぎるから、失敗するよ 竹中半兵衛 残念ながら、乱世を打破するのは信長。そして天下をまとめられるのは秀吉様だよ 柴田勝家 お市 お市 どきなさい! 長政様のため…私はお兄様を討たねばならぬのです! 柴田勝家 お、お市様…ここは危のうござる お市(撃破) 柴田勝家 お市様、下られよ! 今ならまだ… お市 …… 徳川家康 浅井長政 徳川家康 長政殿…。信長公の盟友として、そなたを討とう 浅井長政 盟友…。本当にそなたと義兄上は対等であろうか? 徳川家康 …わしは惑わされませんぞ 徳川家康は模擬演武限定 その他 発生条件 話者 発言 森蘭丸操作時にミッション2達成 森蘭丸 信長様、よかった…。あとは私たち全員が退却できれば… 竹中半兵衛操作時にミッション2達成 竹中半兵衛 さて、みんなも生き残ろうよ。大丈夫! そのための軍師だから、俺 竹中半兵衛操作時に味方が一定数退却 竹中半兵衛 味方退却! いっちょあがり! 松永久秀操作時にミッション6達成 松永久秀 きっちり役目を果たしてしまったわ。我輩は…やはり信長の手中なのか? 森蘭丸操作時にミッション6発生 森蘭丸 今は順調ですが、油断はできません。お味方すべての退却を見届けねば! 森蘭丸操作時にミッション6達成 森蘭丸 お味方、全員無事! これは奇跡です! 徳川家康操作時にミッション6達成 徳川家康 何とか乗り切ったか...。一時はどうなるかと思うたわ 竹中半兵衛操作時にミッション6発生 竹中半兵衛 さすが俺! みんな生き残ってるし!このまま最後まで頑張ろー! 竹中半兵衛操作時にミッション6達成 竹中半兵衛 よし、全員無事退却!あとは俺が逃げれば、完璧かな? 攻略アドバイス 通常版の金ヶ崎撤退戦とほぼ同じ。 無双演武(4-II)・反逆の章一覧 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 六条合戦(反逆の章) 金ヶ崎撤退戦(反逆の章) 長篠の戦い(反逆の章) 松永久秀の乱(反逆の章) 真説・本能寺の変
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/791.html
一連の会話はしっかりと幸村の耳に届いていた。 恥ずかしくて起き上がれない。 しっかりとばれている。 しかし、一体誰に会いに行っているのかはけして言えないし言いたくない。 武具に埋もれたまま、幸村はうおおおおと吼えた。 旦那うるさいよーと佐助が武具を払いながら注意してくる。 顔を上げると、佐助の顔があった。 「ねぇ旦那あ、どんなイイ女と会ってるのぉ? 教えてよぉ」 「言わぬ。例え佐助であっても言わぬ」 武具の真ん中に胡坐で座り、幸村は足の間に手を突っ込んで唇を尖らせた。 「何日も空けるよね。決まって満月のときにさー」 「り、領内を馬で駆けておるのだ!」 明らかな嘘に、佐助は目を細めた。 「……ま、敵方の間者に篭絡されてるんじゃなきゃいいけどね」 「そのような者ではない!!」 「じゃ、どのような者?」 鮮やかな切り返しに幸村は奥歯を噛んだ。 立ち上がり背中を向ける。 逃亡。 「甘いな、旦那」 佐助はぱちんと指を鳴らした。 どこからともなく湧き出した戦忍に、幸村は取り押さえられる。 貴様らーあるじを何だと思っておるー、という幸村の声がこだまする。 「佐助、よいではないか。幸村も武田の武将、そう易々と溺れはせんであろう」 豪快に笑い飛ばした後、信玄が助け舟を出した。 佐助はつまらなそうな顔をすると、戦忍たちに姿を消すよう合図をした。 忍たちが姿を消してもまだ地面に這いつくばっている幸村の近くにしゃがみ込み、顔を覗き込んだ。 真っ赤になっている。 佐助は子供の成長が楽しいという父親の気持ちってこういうのか、と一人で納得した。 「いやー、旦那に春が来るなんて思ってなくってさー。ま、いいことだけどねぇ。そのうち白粉の匂いさせて帰ってくるの? やっだー」 けたけた笑う佐助を幸村は見上げた。 幸村の視線に構わず佐助は続ける。 「そのうち「お情けをくださりませー」とか言われるんだ?」 佐助がくねっとした動きをして幸村をからかう。 幸村はぽかんとした表情を浮かべた。 「……情け?」 「据え膳てやつだよ、旦那。いいねぇ、男の夢だ」 「膳ならいつも据えてあるではないか。某、膳の用意などしたことないぞ」 信玄の豪快な笑声が弾けた。 幸村の肩をつかんで座らせ、幸村の前で腕を組んで胡坐をかく。 「幸村、情けとはな、女から男の種を貰うときの文句じゃ」 「種……」 たっぷりとした沈黙の後、幸村の顔が茹蛸のように赤く染まる。 「お、お、お館様! そそそそのような破廉恥なことおおおおお女子の口から申すなど、破廉恥極まりないでござる!!」 「破廉恥って……旦那、子供の孕ませ方知らないの?」 佐助はそれでもほんとに男ー? と幸村をつついた。 幸村も立派な男だ。 行為や結果を知らないわけではない。 が、それとこれとは話が別というもの。 女を知ったり、ましてや子を産ませるなど、まだまだ先のこと。 それに「彼女」とは、一度も、それこそ唇を交わすことすらしたことがない。 「情けないのう、幸村。それでも男か? 女の方も誘えずに焦れておるのではないか?」 「そ、そのようなこと……っ」 幸村は目をつぶってかぶりを振った。 そして、立ち上がりまた逃亡を図る。 破廉恥でござるううぅ、という幸村の絶叫が遠くなる。 佐助は信玄を仰いだ。 「放っておけ。まこと間者であれば、幸村を選ばぬであろう」 「まぁ、そうでしょうね。でも、万が一ってこともありませんか?」 「何、探られて痛いものなどないわ。わっはははは」 佐助はしょうがないなぁ、と肩をすくめた。木枯らしが身を切るように駆け抜ける。 真田×伊達♀3