約 42,616 件
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/65.html
第一章 話は一ヶ月半ほど前に遡る。桜はまるで始めたばかりのジグソーパズルのように木に花がついているだけでかなり散り始めており、 路面やそのあたりあちこちに桜の花びらがそよ風で舞う季節。 希望と不安に満ちた高校生活やあのハイキングコースのような通学路にもそろそろ慣れ始めた頃である。 北高には俺の興味をそそるような部活はこれといってなかったし、寝ている時に耳からコーラを注がれるような出来事もまったくあるはずもなく俺は漫然と過ごしていた。 この日の朝もいつもの様に目覚ましと我が妹の二段構えで叩き起こされ、ようやく寝床から這いずり出る。 階段を降り母親にもっと早く起きなさいと聞きなれた文句を聞きつつ洗面所に向かい、身支度を済ませ朝食を食べてから学校の支度をしていた。 「キョーンくん。早く学校行かないとおくれちゃうよー」 朝聞くにしてはちょっとした騒音にもなりかねない声で呼ぶ妹とともに俺は家を出ると、 そこにはいつものように如何にも待ってたというわけではなくゆったりと立ち尽くす佐々木がいた。 「おはよー佐々木さん」 「よぉ佐々木」 春に似つかわしい元気な声と倦怠感溢れる冴えない声で挨拶された佐々木は控えめな笑顔を返していた。 「やぁキョン、そして妹さんおはよう。今日はちょっとしたジョギングになりそうだね。少し肌寒いから体が暖まってちょうどいいかもしれない」 いつも悪いな、俺がもう5分早く出ればこんなことにはならなかったろうに。 しかし朝の貴重な時間の5分という睡眠時間は何事にも変えられないのはお前も分かってくれるよな。 「じゃあ僕が余分に待った5分は貴重な朝の時間に入らないのかい?時は金なりというじゃないか」 まことに正論だ。余計な言い訳はこいつには通じないどころか反撃を食らってしまうのをすっかり忘れていた。 「すまん、気をつける」 この一言を予想していたかのようにくっくっと佐々木は笑った。 「そういう素直なところはキミの長所だね。僕としても言葉を送った甲斐があるというものだよ」 それからどたどたと転んだら怪我をするくらい元気よく走り去る妹を見送った後、俺達は足早に学校へと向かった。 佐々木は肌寒いと言っていたが昨日と同じく天気は晴れており雨など降る気配は全くなさそうだった。 更に運良く信号につかまらなかったため、早歩き程度で済みそうなのも俺にとってはささやかだが喜ばしいことだ。 とはいってもいつものように佐々木の小難しい話を聞いたりする時間の余裕はほとんどなく、 俺達は交わす言葉少なめに学校に辿り着きいつもの教室いつもの席についた。 ちなみに俺の席は教室の一番奥、窓際の一番後ろで佐々木がその前だ。 机に漬物石のように重かった鞄の中身を入れ終えたとところで俺は目線を前にあわせると佐々木が振り返ってこちらを見ていた。 「ふぅ、肌寒いとはいえ急いであの通学路を通るとやはり暑いね。 今日はキミに僕が読んだ本の中でよかったものを話したいと思ってたんだが残念ながらそんな時間はなかったようだ。 これはまた明日の楽しみに取っておくことにするよ」 俺はここ最近本など読んだ記憶がないぞ。折角の話も馬の耳に念仏を唱えるようになると思うんだがな。 そんな俺の考えを読み取っているのかいないのか佐々木は表情は目を細め悪戯っぽく微笑んでいる。 顔色は暑いといってたためか薄い桜の花のような色をしていた。 「ずいぶん暑そうだな。大丈夫なのか」 「生物学的にみてキミと僕の性別は違う。男性であるキミのペースは女性である僕にとっては少し厳しいものだったらしい。 世間一般的に見てもほとんどの女性は男性より体力面で劣ってしまうから、僕がこのような状態になるのも不本意ながら仕方ないのさ」 俺でもかなり疲れる通学路だからな。軽く体育の授業の1限くらいには匹敵する道程だ。 運動神経が悪くはないとはいえ佐々木には結構堪えたらしく俺の胸に罪悪感が芽生え始めた。 「朝から結構な運動につき合わせて悪かったな。後で飲み物でも奢らせてもらえないか」 「中々気が利くじゃないか、キョン。別に通学路ひとつで大層なことじゃないから気にしなくてもいい、 と言いたい所だがキミのその仏心を無駄にしないためにもひとつ僕に飲み物を買ってもらうことにしよう」 そういいながら佐々木は俯いて笑いを堪えていた。 その後朝のホームルーム、担任岡部のいつもの挨拶を聞きその日の授業が始まった。 俺はというと春の陽気に誘われ睡魔と戦ったりグラウンドで賑やかなんだかだるそうにしているのか微妙な体育の授業を受ける生徒を眺めたりと、 要するに授業なんざ筒抜けで聞いていたわけだ。そんな感じで過ごしていればあっという間に昼休みになるわけで。 さっきまでの教室の空気がまるで鳩の群れに人が走りこんだように消え活気付いている。皆思い思いの席で飯を食うものもいれば食堂に行くやつもいる。 俺は今日も変わり映えしないメンバー谷口と国木田と飯を食う予定だったのだが… 「キョン、今朝の約束を果たしてもらおうか」 佐々木がこんなことを言い出してきた。 「別に俺は構いやしないが何も今じゃなくていいだろう。俺が飯を食う時間がなくなっちまう」 まぁ急いで食べればそんなこともないだろうが。 だが学校の中でも放課後の次くらいに貴重な時間をカラスの行水のようにただ飯を食うだけで済ませてしまうような過ごし方はできればしたくはない。 「じゃあその問題が解決すればいいんだね?簡単じゃないか、食堂に食事を持ってきて僕とキミと一緒に食べれば済む話さ。 幸い僕は今日は食堂で食べる予定だったし、お昼で食堂が混みあってるとはいえ一席くらい拝借しても大丈夫だろう」 いきなり何を言い出すんだこいつは。普段一緒に食う奴がいるだろう。 そいつらを放って俺と食うなんてそんなに飲み物が欲しいのだろうか。 まぁ飯に飲み物はかもとねぎくらい相性のよいものだし必要といえば必要だが。 「普段一緒に食ってる奴に悪いんじゃないか?飲み物なら帰りにでも奢ってやるし今欲しいなら金だけでも渡しておいてもいい。 だからいつもの奴らと食っておいたほうがいいぞ」 そう言って俺は小銭を出そうと財布の中を確認している途中佐々木はこう言った。 「ちょっと聞いて欲しいことがあってね、是非キミの意見を伺いたいのさ。実を言うと飲み物よりもこっちが本題なんだ。 放課後の帰り道春の夕暮れや、通学路の遅咲きの桜を楽しみながら話しても良いんだが出来れば早急に対処したい」 その言葉に反応した俺は顔を上げた。佐々木の顔は少し笑みが残っているものの普段とは違いすこし神妙な雰囲気が漂っており、 どうもそれなりに真剣な話になりそうな気配を醸し出していた。友人と呼べる奴の頼みは俺としてはできるだけ協力をしてやりたい、 それが身の回りに近い奴や世話になってる奴なら尚更だ。 「わかったよ、じゃあ行くか」 そういうと佐々木は控えめに微笑み俺の顔を何やら興味深くみていた。 「助かるよ。ありがとう、キョン」 こうして俺は佐々木と昼飯を食うことになったわけだ。普段一緒に食ってる谷口と国木田に理由を話すと、 谷口はにやけているのか馬鹿にしてるのか気色悪い表情で「ごゆっくりー!」と 頭にチューリップを咲かせていますと言わんばかりの台詞を言いやがった。 国木田はというと目を細め微笑みながら俺を見てわかってるよと言わんばかりに頷いてるし、 こいつらは揃いも揃ってアホな想像をしてるに違いない。 弁明するのも時間の無駄だし意味がなさそうなのでアホ二人組を教室に残し俺達は食堂に向かった。 食堂に向かう途中もかなり混雑しておりそのほとんどが皆同じ方向に進んでいた。 確かにそれなりに安く味もそこそこに美味いのだが食堂が混む一番の原因は親が朝を優雅に過ごすためにその対価として昼食代を子供に渡しているのだろう。 たった数百円で朝の時間が大幅に増えることを考えればこれは大変有意義なものと考えられる。 同じ立場に立てばあの諸葛亮孔明すらこの案に賛成してくれるに違いない。 そんなことを考えながら半分行列のようになった廊下を歩き食堂にたどり着いた。 食堂内は更に混み合っており注文の声と生徒の和気藹々とした声が混じりまるで商品が競られている河岸市場のようになっていた。 佐々木は席が開いているか周りを見渡している。 「ちょっとここに来るのが遅かったようだ。ちょうど二人で座れる場所があるといいんだがね」 数学の授業がチャイムが鳴っても終わらなかったからな。 吉崎の奴はサッカーでもロスタイムがあるように授業のロスタイムがあるとかなんとか言っていたが、 そもそも吉崎自身が進めていく授業で時間のロスは吉崎の責任だろう。 サッカーと違い途中で交代する奴もフリーキックやコーナーキックがあるわけがないんだしただでさえ退屈な授業なんだ、 自分のミスで俺たちにまで付き合わせないで欲しいもんだね。 「僕はこの行列に並んで昼食を選ばせてもらうよ。その間キョンが空席を探してくれると嬉しいんだが頼んでもいいだろうか?」 俺の片手には飯があるからな。席の余裕がそれほどないのに食堂の売り上げに貢献しない俺が席を座ってもいいものか少し後ろめたいが気にしないでおこう。 「席を探してくるからちょっと待ってろ。見つかったら声をかけにここに戻るからな」 そう言い残し俺は暑苦しく並んだ行列を離れ席探しに旅立った。 運良く早食い競争でも参加しているように昼食を済ませた体格のいい運動部らしき生徒3名が席を空けたのでそこを陣取ることに成功した。 丁度その席は食堂の角の席であり話をするのにも絶好のポジションといえる。 朝の信号待ちといい今日はついているようだ。どことなくくだらないことで運を使ってる感じが否めず、 どうせなら宝くじでもドカンと当たってくれないもんだろうかと考えていると佐々木の姿が見えてきた。 行列からやっと解放された佐々木を労いながら合流し俺達は席に着く。 「中々いい場所が開いていたんだね。これからもキミに場所取りをしてもらおうかな、どうだろうか?」 「勘弁してくれ。こう毎回忙しく食堂に移動して飯を食うのは性に合わん」 流石に弁当を持って二人で食堂に来るのはこれっきりにしたいもんだ。 佐々木と二人でいるところを同じクラスの奴に見られると谷口や国木田のような反応をする奴が多いので誤解されないようにしたいしな。 「で、話ってなんだ。さっきの様子を見る限り真剣な内容なんじゃないのか?」 そういうと佐々木は目を閉じ柔らかな笑みを浮かべながらこう言った。 「まぁそう急がなくても大丈夫だよ、キョン。幸い話は昼食を食べてからでも十分間に合う内容なんだ。 それに食事をするときにあまり話しながら食べると行儀が悪いじゃないか。 大事な話だし食べながらではなくしっかりと食べ終わった後で話をさせてもらいたいんだ」 流石だな佐々木、俺の周りにいるとは思えないほど出来た人間だ。 食事中ナンパの戦術やいい女と出会うにはバイトをすれば一石二鳥などと熱弁を揮い 騒ぎながら食ってる谷口とは太陽とミジンコくらいの違いがある。佐々木の爪の垢を飲ませてやりたいね。 こうして俺達はお互いほとんど会話せず15分ほどで飯を食べ終えた。 流石に食べることに集中するとすぐ食えるな、まだ半分ほど昼休みの時間は残っている。これならたいていの話ができるだろう。 俺はアイスティーとアイスコーヒーを買いに行き、佐々木にアイスコーヒーを手渡しながら尋ねた。 「ほらよ。話の内容をそろそろ教えてもらおうか」 佐々木はしばらく俺が渡したアイスコーヒーを見つめていたが、何かを決意したように前を向いた。 「飲み物感謝するよ。話なんだけどその前に聞きたいことがあるんだ。キミは橘さんという人を知ってるかい?」 「知らん。誰だそれは。」 「一年九組の女子生徒さ。下の名前は京子さんというんだ」 一年九組というとたしか進学クラスだ。 北高の学力はそれなりのレベルだが頭がいい奴は進学校レベルくらいの実力はあるからな。 そういうのを集めたクラスなんだがまだ入学して1ヶ月も経ってないし、 俺の周りにそんな優等生など袖どころか空気すら触れ合う距離にいない。 いや…一人いたな、目の前に。 「残念ながらこの話に成績のことは関係ないんだ」 「じゃあこの話に橘京子さんがどう関係あるんだ?」 佐々木は目線を下げ自分の手を見ながら、 「この橘さんに一昨日大事な話があるといわれて呼び出されたのさ」 一昨日というと佐々木が用事があるから先に帰っておいてくれと言った日か。 あの時たしか友人に誘われて部活見学に行くといってがその友人が橘京子なる人物なのだろうか。 「その推理は残念ながらハズレだね、キョン。僕は橘さんとはその時が初対面だったのさ」 初対面で佐々木のことを呼びつけたとなると一体何の話なんだ? 色々考えてみるが俺の頭で名探偵シャーロック・ホームズやその助手ワトソンのような名推理をするにはF1レースに自転車で出るくらい無理がある。 精々事件の真相を語る名探偵の推理を聞く観客側の人間が妥当だ。 「その初対面でいきなり突拍子もないことを言われたのさ。期限の過ぎたノストラダムスの予言を今更信じろというくらいのね」 そう言いながら佐々木は手を握りそのまま口の前に当てながら肩を揺らしていた。 「なんて言われたんだ?」 「僕は神様で世界の創造主らしいんだ」 思わずアイスティーを吹き出しそうになった。 「ごほっ、ごほ!…すまん何だって?」 吹き出しそうになったものを強引に飲み込んだため気管に入ってしまったようだ。 しばらく咳き込む俺を佐々木は笑顔を見せながら 「くくっ、まぁ落ち着きたまえ。キミの言おうとしてることはよくわかるさ。 僕がキミの立場なら心療科に連れて行って病気療養を勧めるだろうしね」 胡散臭い新興宗教創始者のような台詞を佐々木が口走るなんていったい何事だ? 頭が優秀な奴ほどおかしな宗教に誘惑されたりすると新聞で見かけたがまさか佐々木もそういうタイプなんだろうか…。 もしそうだとしたら面倒だが俺が体を張ってでも止めなければならないだろう、友人だからな。 「面倒なことになるとわかってながら助けるというのは実にキミらしいな、キョン。 だけど僕もこの話は微塵も信じてはいないのさ。考えてみて欲しい。 同じ学び舎で勉学を学んでいるとはいえ親しいどころか面識すらない人間にいきなり呼び出されあなたは神です、 と言われてキミははいそうですねと信じられるかい?」 そんなもん信じる奴は催眠術にでもかけられてるに違いない。 どうも俺の心配は取り越し苦労になりそうで正直かなりほっとした。 「それを橘京子がお前に言ったのか?」 「そうさ。しかも彼女の様子や言動から見てもどうにも本当のことを言っているつもりらしい」 もし本気で言ってるとしたら俺は顔も知らない橘京子の人間性を疑うね。 佐々木が神様で世界を作ったって?いったい何を言い出すんだ、橘京子は。 「僕も最初は危ない宗教に勧誘されてるのかと思ったんだけどね。 流石に僕が神様だという説は今まで僕の脳裏に過ぎったことが無かったんだよ。 空想として考える分には興味深いものだし最後まで話を聞かせてもらったという訳さ」 よく落ち着いていられるな、俺だったらそんな余裕は無くどうすれば断るか必死であれやこれやと考えてしまうだろう。 内心早く終われと思いつつ作り笑顔で話を聞く自分の姿が容易に想像できる。 「そうやって最後まで話を聞いて僕はこう答えた。 あなたの話はとても面白いから小説にすればきっといい物書きになれるよってね」 佐々木がそういうなら橘京子は才能がありそうだ。 まだ高校生になったばかりとはいえ俺が読むような軽い小説から広辞苑のような分厚い本まで読み漁っているからな。 ひょっとすると佐々木の一言で自分の才能に気づき将来一角の小説家になるかもしれない。 「すると彼女は証拠を見せますと言ったんだよ。ただあなたに見せるのは今は不可能だから信用できる人を連れてきてと言われたわけなんだ」 佐々木に見せるのが不可能で俺になら見せれるのはどういうことかまったく意味が分からん。 仮に俺がそれを見たとしてどうしろというんだ? 「というわけで僕はキミにその役をお願いしたいのさ。多分橘さんは断ってもまた僕に声をかけ同じような話をするだろう。 僕としてもそれは少々困るわけなのだよ。関係の無いキミを巻き込んでしまうことは大変申し訳なく思うんだがひとつどうだろうか?」 悪いが出来れば遠慮願いたい。そんな変人とは関わりたくないしこういう話術は俺より国木田あたりのほうが得意だろう。 国木田ならお前と合わせて橘京子を言い負かせるかもしれないぜ。 それを聞いた佐々木はこちらを向き皮肉を浮かべた表情をしながら 「ほぅ、冷たいじゃないかキョン。先ほど面倒でも体を張ってでも助けてくれるというのは嘘だったのかい? キミは捻くれた事を言っているが嘘をつく人間だとは思わなかったよ」 ぐうの音も出せん。我ながら墓穴を掘ってしまったようだ。 俺は下に俯き深い溜息をつきながら、 「わかったよ。俺の体の張った姿、しっかり目に焼き付けてくれ」 「くっくっ。頼りにしてるよ、キョン」 その姿を見た佐々木は爆笑を堪えたような表情をしながら静かに笑っていた。 佐々木とキョンの驚愕プロローグ 佐々木とキョンの驚愕第1章-1 佐々木とキョンの驚愕第1章-2 佐々木とキョンの驚愕第1章-3
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/781.html
佐々木「魔法カード≪恋文≫発動!」 キョン「恋文?」 佐々木「このカードは自分フィールド上にモンスターが存在し、尚且つ魔法・罠ゾーンに カードがセットされている時に発動可能なカードで、二つの効果から相手が 一つを選択して発動するんだ」 キョン「佐々木のモンスターを貰うか、それとも佐々木が俺にセットカードを寄越すか…… よし、じゃあセットカードの方を貰うぞ」 佐々木「君ならそっちを選ぶと思ってたよ。君のフィールドにこの伏せカードを渡そう。 そして更に、魔法カード≪ハリケーン≫を発動! フィールドに伏せられた 魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す! キョン、君のフィールドにセットされた このカードが僕の手札に戻った事で、効果が発動するよ」 キョン「何っ!?」 佐々木「魔法カード≪秘めた思い≫の効果発動! 僕は1000ポイントのライフを回復し、 君は1000ポイントのダメージを受ける! さあキョン、どうかな? 僕の秘めた想いの 伏せカードの威力は?」 キョン「随分回りくどいバーンカードだな。≪ご隠居の猛毒薬≫辺りでいいんじゃないか?」 佐々木「…………」 キョン「≪アックス・レイダー≫で、佐々木の≪恋する乙女≫に攻撃! アックス・クラッシュ!」 佐々木「くっ……だけど、恋する乙女は戦闘では破壊されない! そして恋する乙女を 攻撃したモンスターには、乙女カウンターが一つ乗るんだよ」 キョン「乙女カウンター? 何だそりゃ」 佐々木「すぐわかるさ、くっくっ……僕のターン! 恋する乙女に≪キュービッド・キス≫を装備!」 そして恋する乙女でアックス・レイダーに攻撃する!」 キョン「何だ? それじゃお前のライフが削られるばかりだぜ」 佐々木「その通り、僕のライフは減る。だけど、キューピッド・キスの効果で、恋する乙女を 傷つけたモンスターのコントロールを得ることが出来るのさ。どうかなキョン? 僕を……もとい、僕のモンスターを傷つけた君……のモンスターには、きっちりと 責任を取ってもらって……」 キョン「永続罠発動、≪洗脳解除≫。全てのモンスターは元々のコントローラーの元へ帰るぜ。 キューピッド・キスの効果でコントロールを奪われたアックス・レイダーも戻ってくる。 残念だったな、佐々木」 佐々木「…………」 佐々木「……僕が! あんなにアピールしてるのに! キョン専用デッキまで組んだのに! キョンは気づかないどころか除去カードで恋する乙女を破壊したりして! キョンのバカー!!」 橘「さ、佐々木さん落ち着いて! アッー! 閉鎖空間にモンスターっぽい『神人』がー!」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/802.html
俺は佐々木が好きだ。 こんな事を言えば誤解する輩がザルですくえそうな程に出てくるのは百も承知なのだが、好きか嫌いかという選択の余地もない二択の 選択を余儀なくされたら、俺は間違いなく 好き に一票を捧げるだろう。 あいつは昔から根が驚く程に素直なんだよ。 馬鹿という地に指数表現が許されるなら、俺は迷いもなく数桁単位の数値を与えるだろう。 佐々木の言う事はいつも真剣で相手の事を思いやっての事だ。 いつもあいつは真剣に相手の事を考えて、自分の言葉で表現する。 その言葉には佐々木にとって異存の無い言葉であって、場合によっては直言に過ぎる言葉もある。 そんな言葉を冷たいとか感じる事もあるかも知れないが、佐々木は責任を持ってその言葉を発しているのだ。。 俺自身、佐々木のそんな態度や台詞に助けられた時もあるし、励みになった事もある。 こんな阿呆な俺でもそれくらいは判る。 俺はそんな佐々木が好きであるし、そんな資質は身を挺して守ってやるつもりだ。 なぁ、こんな事言っている俺を変人と思うか? 何なら承けて立ってやろう。 俺はそうするだろうし、それがあいつに対してのせめてもの恩返しだと思う。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1486.html
キョン「なあ、佐々木。俺のマフラーでよけりゃあなんだが、貸してやろうか?」 佐々木「(君ならば、きっとマフラーしていない僕に気がつくと思っていたよ)」 .
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/150.html
校庭に面した窓にもたれるようにして、一人の女性が立っていた。白いブラウスと黒のミニタイトスカートをはいている髪は肩口までのシルエット。足元は来客用のスリッパ。 その人は俺を見ると、顔中に喜色を浮かべて駆け寄り、俺の手を握りしめた。 「やあ、キョン……久しぶりだね」 佐々木じゃなかった。佐々木にとてもよく似ている。本人じゃないかと錯覚するほど似ている。実際、本人としか思えない。 でもそれは佐々木ではなかった。俺の佐々木はこんなに背が高くない。こんなに大人っぽい顔をしていない。ブラウスの布地を突き上げ……ることのない胸はまさしく佐々木のものだったがな。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1751.html
「どうだいキョン」 「美味いな佐々木」 その言葉に佐々木はニッと三日月から弦月へ笑みを深めた。 なんだよ俺が褒めたらそんなに意外か? 「おや、覚えていなかったかな?」 「うん? 何かあったっけか」 なんとなく皿を上げ、佐々木の意味ありげな視線から逃れるようにがっついてみせる。 旨いじゃないかこのオイスターソースやきそば。やきそばソースじゃなくて、オイスターソースと調味料の組み合わせなんだな。 「ほほう。これがオイスターと一発で看過できるとはキミの味覚もなかなかだね」 しまった。要らんことを言ったか。ますます深まる佐々木の笑みは、中学生時代へと俺の記憶を遡らせる。 まったくコイツは。あんなつまらん話をまだ覚えていた、とでも言うつもりなのか……。 「どうだいキョン」 「不味いぞ佐々木」 俺は率直に言ってやったが、佐々木の笑顔は微動だにしなかった。 「だろうね。まったく、だから言ったじゃないか中河め」 「須藤もオマケで付けてやれ。やれやれ」 不味い焼きそばを前に嘆息する。 「確かに僕は調理法なら知っている。けれどそれだけじゃこんなもんさ」 中学校の家庭科室。給食当番の格好で佐々木は菜箸をひらひらさせ愚痴っている。 来る文化祭では俺達のクラスは焼きそばでもやろうという事になり、まあ色々あって試作中とこういう訳だ。 「まったくね。確かに粉物は末端相場が跳ね上がるからこういう場面には向いているが」 「小麦粉をヤクザ屋さんの悪い粉みたいに言うんじゃねえ」 俺達は別に粉から作ってる訳じゃねえしな。 「ふむ。確かに手打ち麺の製造法ならいくつか心当たりがある」 「やる気になるなよ?」 既製麺で失敗したばっかだろうが。 「くっくっ。だが失敗だけで止めておいては進歩がないだろ?」 佐々木は俺の食べ残しに箸をつけると、ふむ、と瞠目した。 続いて皿の上の焼きそばを回収してそばと具を分別し、少量の水を加え具だけを手早く炒め直す。 「こんなもんでどうだい?」 「おう。具の調理がいかんかったって訳か」 佐々木も同じ皿から啜りこみつつ、かもしれないね、と肩をすくめる。 そりゃ俺も「オイスターソースを使って家庭でも美味しい焼きそばを」なんてのは聞いた事があったがな。 「まあ素人は素直に既成の焼きそばセットを使っとけって話じゃないか?」 「くく、そうだね」 安く上げようとしたのが間違いなのさ。 中河は運動部だから、こういう大量生産料理は大得意だし任せておけとか言っていやがったが。 「その中河があのザマじゃね。せめてレシピだけでも残してくれれば良かったのだが」 「まったく聞くも涙語るも涙とはこの事だぜ」 もう触れたくもねえ。 「やはり知識だけではダメだね。痛感したよ」 「まあ知識すらない俺よりはマシだろ」 慰めのつもりだったが、佐々木の変なスイッチを刺激してしまったようだ。 いつもの笑みでこちらを覗き込んでくる。 「所詮は書物、メディアで聞きかじっただけの半可な知識でしかないのさ。やはり経験が伴わないと無意味だよ」 「こうやって形に出来てるだけマシだろ」 焦げかけの麺を箸で指し示してやる。 「そうかな。ちゃんとした形に出来なければ無意味も同然だよ」 焦げかけの麺を口にし、佐々木は苦い顔をする。 「僕は知識を得て『賢くなったつもり』の人間なんだって痛感するよ。 汗も流さず、他人の経験を連ねた文言を頂いただけのね。だから実地ではこうロクでもない結果になる。 他人の受け売りを自らの血肉とするには、トライアル&エラーが必要だよ。もちろん自分で一から得るより簡単だが やはり『経験』というのは欠かすことが出来ないね」 「学問に王道なし、ってか」 なんとなく呟くと佐々木は何故か笑い出した。 「そんな笑うなよ。俺がお前ほど考えが深くねえのは知ってるだろ」 「あはは、いやいや違うよキョン」 腹を抱えんばかりに笑う。 「違う違う。むしろ僕はそう続けたかったのさ。困るね、人の台詞を奪ってもらっては」 いつもと若干違う、どこか緩んだような笑顔で佐々木は笑っている。 「困ったね、やはり僕もまだまだ修行が足りない」 「俺の適当な感想に反応するなよ」 肩をすくめてやった。 「ま、そういう事さ。学問に王道なし。けれど物事に経験が必要なら、大成にはどれだけの時間が必要なのだろうね」 「そんな大層に考えるような事じゃねえだろ。どうせ人間、できる事はロクにねえよ」 「かもしれないね。けど、どうせやるなら有意義にやりたいじゃないか」 俺はこの不味い焼きそばで十分だよ。 「くっくっ、そうかい?」 佐々木は何故か嬉しそうに、そして、どこか寂しそうに俺が焼きそばを平らげるのを見届けると 別に用意していた既製品の業務用焼きそばを調理した。可もなく不可もない。うん、これ大量に買っときゃいいだろ。 若干コストは上がるだろうが、ま、そんなもんだ。 俺達はまだ所詮中学生なんだから。 「そうだね。僕らは所詮まだ子供だよ」 だからまだまだ時間はある、けれど時間は有限でしかない。だから一つに絞り込むのがベストなんだろうね……。 そう哲学的に呟く佐々木を眺めながら、俺はありきたりな味の焼きそばを啜る。 「まったくな。佐々木、お前は何事も難しく考えすぎだぜ」 「くく、性分だから仕方ないよ」 顔を傾け苦笑する。 「……もし、僕が天才肌ならもっと違ったのかもしれないけれどね」 一を聞いて十を知る。断片から想像し、全体像を組み上げられるような思考能力。 「お前は十分天才だよ。お前みたいな奴は他にしらん」 「くっくっ、お褒め頂き嬉しいけれど面映いね」 言ってやきそばに箸をつける。 「例えば、オイスターソースやきそば、という単語から適切な調味料・バランス・調理を組み上げて実現するには ソースや調味料が、分量によりどの程度の味を出せるものかを知っているかが大事だ。それが経験、或いは知識というものだよ」 「お前は料理経験が少ないから、単語から料理を再現できなかったってか?」 「そういうこと。だから経験と言うのは大事なのさ」 実際にやってみた経験が生きてくるのだから。 「しかし経験や知識がなくとも、容易にやってしまう人もいる。そういう人こそ天才と呼ばれるべきなんだよ」 どこか寂しげに、しかしきっぱりとした口調で言う。こいつはそれでもいいのだ。 そう自覚しているから、だから知識で判断材料を増やしているのだろう。 自分に出来る事で、自分の不足を埋めようとしているのだろう。 それを全力でやってきたから、この知識量なのだろう。 「下手に褒めて悪かったな」 「いやいや、それより残りをやっつけてしまおう」 「けどな、そうやって自分を理解したうえで克服しようと出来るのは、俺に言わせりゃやっぱり才能だぜ」 二人で皿の両端から残りの焼きそばを啜りながら、俺はひょいと箸を上げた。 「佐々木、お前は努力する才能があるって事だ」 それって結構凄いことだぜ。少なくとも俺にはねえ。 すると奴の口の端が持ち上がり、ニヤリと俺を見返してきた。 「くっくっく。……なかなか詩的な持ち上げ方をしてくれるじゃないかキョン」 言われりゃそうだ。すまんが忘れろ。 「やだね。座右の銘にさせてもらおう」 「んな珍しい言葉じゃないだろ。本棚ひっくり返せば幾らでも見つかるベタでありきたりな言葉だぜ」 「くっくっ、悪いが僕にとってはかけがえのない言葉となったのだよ」 どこに違いがあるってんだよ。 「くく、決まっている」 「キョン、僕をよく知っているキミが言ってくれた言葉だ、という事さ」 「知らねえよ」 佐々木の顔を遮るように皿を上げ、俺は残りをまとめて掻きこむ。 きっとこいつはいつもの顔で笑っているのだろうから。 見慣れた顔なら見る必要はない。 そんだけの事さ。 「ねぇ、キョン」 「なんだ、佐々木」 「耳、赤いよ?」 うるせえ、お前が紅しょうが入れすぎたってだけだ。そんだけだよ、そんだけだ。 まったく不味いやきそばもあったもんだぜ。
https://w.atwiki.jp/game_staff/pages/23.html
佐々木 等 【ささき ひとし】 1992年、VISUAL ARTS PRODUCTION 1994年、株式会社スクウェアに入社。 1992 ハットトリックヒーロー SFC タイトー グラフィックス スーパーモスバード X68000 人と自然の博物館 グラフィックス 1993 Hit the Ice SNES タイトー Character Designer HITOSHI SASAKI 佐々木等, 渡辺大吾, Keiichi Onoda, Y.S, S.Y ◆チーフグラフィック 1994 ファイナルファンタジーVI SFC スクウェア Monster Graphic Designer HITOSHI SASAKI Graphic Director 高橋哲哉, 渋谷員子, 皆葉英夫, 野村哲也 Monster Graphic Designer 佐々木等 1996 バハムートラグーン SFC スクウェア [Project Leader]Game Design and Chief Graphic and Illustration HITOSHI SASAKI ◆ゲームシステムデザイン、世界観デザイン、ドラゴンやBGのグラフィック制作、イメージイラスト、ごく一部のシナリオを担当 1997 ファイナルファンタジーVII PS スクウェア Graphic Outside Contractor Art Director 佐々木 等 ファイナルファンタジーVII インターナショナル PS スクウェア Graphic Outside Contractor Art Director 佐々木 等 ◆追加ムービーの絵コンテ。 チョコボの不思議なダンジョン PS スクウェア Staff 佐々木 等 ◆ヘルプ。脚本、絵コンテ、OBJチョコボ描き直し、村の絵を担当。 1998 パラサイト・イヴ PS スクウェア CG Director (CG Movie Tokyo Section) Hitoshi Sasaki 1999 レーシングラグーン PS スクウェア Director 佐々木 等 [Pocket Station Section] Plan Graphic 佐々木 等 [Graphic Section] Event Designer 佐々木 等 [Graphic Section] Event Designer 平野友美子, 佐々木等 [Graphic Section] Event BG Designer 松尾隆美 2000 バウンサー PS2 スクウェア Background Designer Hitoshi Sasaki Background Designer 松本秀幸, 佐々木等, 草野裕朗, 中村万里子, 園田和弘 Background Supervisor 高橋徹也 Art Supervisor 直良有祐 [Full-Motion Video] Artist Hitoshi Sasaki [Full-Motion Video] Director 石塚雅也 [Full-Motion Video] Artists 天野勝幸, Yoshihito Kawabata, Shinji Hara, 黒田豊臣, Akiko Saito, Jin Onodera, Yuuta Kimura, 佐々木等, 文野浩 2001 ファイナルファンタジーII WSC スクウェア Monster Designer HITOSHI SASAKI 中原義介, 内村貞雄, 佐々木等 2015 ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶 iOS/Android スクウェア・エニックス Illustration 佐々木等 ◆デスゲイズ(4/30)、ミドガルズオルム(5/26)、しんりゅう(6/4)、ツインタニア(9/17)ミドガルズオルム/邪眼(9/17)、ダークリヴァイア(16/1/14)、しんりゅうΩ(16/5/24) メビウス ファイナルファンタジー iOS/Android スクウェア・エニックス Illustration ◆リヴァイアサン(10/1) 2016 ファイナルファンタジーレジェンズⅡ iOS/Android スクウェア・エニックス Illustration ◆クロノドラゴン(17/4/30) 参考 高ランク幻石召喚確率大幅UP!「レジェンズフェス」開催中! | SQUARE ENIX BRIDGE 新幻石「オメガ」と「しんりゅう」追加&召喚確率UP中! | SQUARE ENIX BRIDGE 新幻石「ツインタニア」「ミドガルズオルム/蛇眼」追加! | SQUARE ENIX BRIDGE 新幻石ダーク幻獣第三弾!ダークオーディン&リヴァイア追加! | SQUARE ENIX BRIDGE 幻石「しんりゅうΩ(SSS)」など3種追加!レイド特効付き! | SQUARE ENIX BRIDGE https //twitter.com/todo1004/status/533437298482761728 https //twitter.com/todo1004/status/555026395076640768 https //twitter.com/todo1004/status/566371296292782080 https //twitter.com/todo1004/status/594678416353329152 https //twitter.com/tokinosuisyo/status/593670599068659713 https //twitter.com/tokinosuisyo/status/603118037105946624 https //twitter.com/tokinosuisyo/status/606385915246710784 https //twitter.com/todo1004/status/644393532619276288 https //twitter.com/todo1004/status/735003098528153601 https //twitter.com/todo1004/status/858521205254438913 https //twitter.com/todo1004/status/963680501365166082 https //twitter.com/todo1004/status/1120337160979271680 https //twitter.com/todo1004/status/1202977141169647616 https //twitter.com/todo1004/status/1239960920870150149 https //twitter.com/todo1004/status/1202977141169647616 347247号 ゲーム装置および情報記録媒体 - astamuse 347252号 ゲーム装置および情報記録媒体 - astamuse 093647号 ゲーム装置、ゲーム方法および情報記録媒体 - astamuse 『バハムートラグーン ファンブック』 『GALE A MOMENT - スクウェア公式レーシングラグーンファンブック』 『ゲーム・オン!別冊付録』 『ファミ通NO.372 (1996年2/2号)』
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1389.html
「あぁ…すまない、キョン。今週は駄目なんだ」 佐々木は思いの外、意外と低い、しかしどこか凛とした響きのある声で 断りの言葉を俺の耳に届けてきた。 申し訳なさげな表情の中に嬉しさと残念がる気持ちが見え隠れしている、 というのは俺と佐々木のやり取りを電柱の陰からそっと覗いていた妹の言葉だ。 俺が佐々木と話をしている時は毛ほどもそんな事に気付くことはなかった。 しかし、誰だ?うちの妹に探偵か忍者のようなスパイ活動のスキルを教え込んだのは? 末恐ろしい我が妹も小学生ながら女特有の勘とでも言うべきか、 女同士だけにしか分からない、感じ取れない共通した何かがあるのだろうか? ふと俺は佐々木が以前、俺に言った台詞を思い出していた。 「これでも僕も生物学的にはメスだからね。女として振る舞う事もあるのさ」 正直、俺は佐々木と会話を交わしている時にあまり女を強く感じる事はない。 佐々木自身がそう女を意識して接して欲しくないという態度で男と相対するという理由もあるが、 佐々木はあまり他人に気を遣われたくないのであろう。 だから男にも過度の緊張や遠慮を抱かせないよう振舞っている。 しかも「恋愛はただの精神病の一種」なんて冷めた台詞を 年頃の女にも関わらずサラッと吐けるようなドライな精神の持ち主だ。 「それは違うよ、キョン君。佐々木さんはね、人一倍臆病なだけなの」 我が妹ながら小学生の意見ってのは視点が違うからまるで意味が分からない。 しかし、今のままでは困る、非常に困る。 俺の今週末の予定がまるで地面にブラックホールが出来てしまったかのように すっぽりと空いてしまった。 そう、佐々木に2週間後に控えた定期テストの要点だけでも 図書館あたりでみっちり叩き込まれ、教えてもらわないと 俺はそれこそ人生そのものがブラックホールへと落ち込んでいってしまいかねない。 「そうか…今週は佐々木にずっと一緒にいて欲しかったんだが…」 「えっ!?」 「ん?どうした?」 「いや、何でもない。こちらの勘違いだ。気にしないでくれたまえ」 佐々木はそう言うと俺から目を逸らし、顔を背け、黙り込んでしまった。 何故か佐々木の背中を見つめていると声を掛けづらい、なんとなく 掛けてはいけないような気になって珍しくお互い沈黙の静かな帰路になった。 「キョン君。佐々木のお姉ちゃん、お顔が赤くなってたね」 家に帰った後、妹にそう聞かされるまで俺はまるで気が付かなかった。 なるほど、今なら分かる。 よく周りから愚痴っぽい小言のように聞かされる言葉の意味がよく分かる。 俺はなんて鈍い、鈍感な男なんだろうかと。 こういうのを男として失格というのか?いや、人として失格なのかもしれない。 こんな簡単な、単純な事にさえ妹に言われるまで気が付かなかったのだから。 それまで全くとして自覚はなかったがふとした瞬間に目が覚めたような気持ちになる。 これが人間の成長、思春期の芽生え、青春の煌きというものなのだろうか? こうやって人は一歩ずつ確実に大人になっていくのだろう。 そう、佐々木はきっと風邪を引いていて体調が悪かったんだ。 だから珍しく口数も少なく、顔も真っ赤になっていたのだろう。 佐々木もきっと今週末は家でゆっくり身体を休めたいのだろう。 やれやれ…俺って奴は全く…気の利かない鈍感な男だね。 家に帰ってベッドの上で寝転がっている俺のもとへ天使の顔をした悪魔の使い、 我が妹がデリカシーの欠片もなく飛び込んできた。 お兄様の部屋にノックも無しに飛び込んでくるとは いつか兄妹二人に大きな禍根とトラウマを残す事になっちまうかもしれんぞ。 気を付けなさい! 「キョン君も罪な男だね」 したり顔の小学生とはこんなにも生意気に見えるものなのだろうか? 何が罪な男だ、からかうんじゃありません! お兄様はこれからお勉強タイムなんだ! 「どうせすぐ寝ちゃうくせに…」 妹もとうとう反抗期か…生意気な…しかし、お陰で大切な事を思い出した。 今週末、佐々木に会えないのなら佐々木特製のテスト対策ノートを コピーさせてもらえば良いじゃないか。 「はい、もしもし、佐々木です」 「おぅ、佐々木か?」 電話越しに聞く佐々木の女らしい、よそいきの声に 不覚ながらもドキッとしてしまった。 聞き慣れていないからだろう。 「やぁ、キョン。どうしたんだい? こんな夜遅くに女の子の家に電話を掛けてくるなんて 君もなかなかに度胸があるね、くっくっくっ」 「あぁ、夜分遅くにすまんな、寝てたか?」 「いや、起きていたよ」 「明日なんだが今度の定期テストの為のノートを借りに行っても良いか? コピーして対策だけでもしようかと思ってな」 「おや?キョンの割には随分と殊勝な心掛けではないかい?」 「大きなお世話だ」 「だが、すまない。明日は朝早くから出掛ける予定なんだ」 出掛ける?あぁ、そうか。 風邪を引いてるから病院に行くんだな。 さて、どうしようか…? 「今から取りに来るというのはどうだろう? いや、もしキョンさえ良ければの提案なのだが…」 「別にそれは構わんが」 「あと、わざわざコピーを取らなくても僕のノートを貸してあげよう」 「良いのか?」 「僕はもう予習も復習も終わらせてしまっている。今更ノートは必要ないのさ」 自転車をこぐスピードが上がる。 今日の夜空は澄み渡っていて星が粉々が砕け散った宝石のように煌めいている。 こんな星空を見上げながら自転車をこいでいるとふと思う。 地球にだって人間がいるんだから現実としてどっかの星の一つや二つくらいに 宇宙人でもいたっておかしくないのかもしれない、そんな他愛のない空想を。 こんな星空を見上げながら自転車をこいでいるとふと思う。 ちゃんと前を見てないから電柱にぶつかったりするのだと。 佐々木の家に着くと何故かは分からないが妙にくすぐったい、 そして落ち着かない気分が駆け巡った。 夜の空気に無機質なインターフォンの音が鳴り響く。 「おや?キョン、なんだか随分と服が汚れているようだが…」 「あぁ、ここに来るのに少し急ぎ過ぎた。しかし佐々木、その格好は…」 俺は玄関のドアから出てきた佐々木の姿に驚きと戸惑いを禁じ得なかった。 何故、着物? 「ん?僕に和装は似合っていないかな…」 「いや、悪くはないが、なんでまた着物を?」 「あぁ、寸法を合わせていたのさ。僕も育ち盛りだからね。 ところではい、これ。君が所望していた僕のノートだ。 有効的に活用してくれたまえ」 「あぁ、サンキュー。風邪が治ったらまた一回ちゃんと講座を開いてくれ」 「風邪?」 佐々木は小動物が不思議なものを見つめている時のように クリクリっと瞳を動かしていたかと思うと、急に噴き出した。 「くっくっくっ、僕は風邪なんて一切引いてはいないが 一体どこのどなたから仕入れた情報なのかな?」 「明日、病院に行くんじゃないのか?」 「くっくっくっ、訳が分からないよ、キョン。ちゃんと話を整理してくれたまえ」 「いや、だってうちの妹がな…」 佐々木は俺の話に頷きながら黙って聞いていたかと思うと 急に慌てふためきながら 『も、もうそれ以上は頼むから続けないでくれたまえ!!』と、 俺の話を遮ってきた。 「キョン、どうやら君の妹さんは油断ならない相手のようだ」 佐々木は真剣な顔で小さく呟いた。 うちの妹が?無邪気で悪戯好きのただの小学生だぞ。 「いや、その話はまぁ、どうでも良しとしようではないか? キョン、僕が明日から出掛ける場所は病院ではないよ、神社さ」 神社?何故? 「明日は家族で滋賀県に出向く事になっているんだ」 滋賀県?突然出てきた思い掛けないキーワードに俺の頭はショートを起こしたようだ。 家族旅行か?なんでわざわざ期末テストの2週間前に? 「あぁ、どうやら言葉が足りなかったようだね。僕の説明不足だ。 えぇ~っと…どこから説明すれば良いのだろうか?」 佐々木は着物の襟をそっと直しながら首を捻って考え込んでいる。 和装に合うよう髪を上げている為、佐々木の白いうなじが妙に艶っぽい。 「まず佐々木という姓の由来なのだが…」 そこから俺は佐々木に実際の時間では約30分くらいだったのだろうか、 俺にとっては永遠に続くのではないかと思える時間ほど、 佐々木という姓の由来について 源頼朝がどうこう、佐々木源氏がうんたら、鎌倉幕府であれこれ、 という話を延々聞かされた。 「と、まぁ、佐々木という姓はこのような経緯で生まれたという説が有力なんだ」 へぇ… 「そして、少彦名命を主祭神として計四座五柱の神々を祀り、 『佐佐木大明神』と総称する。佐佐木源氏の氏神であり、 佐々木姓発祥地に鎮座するのが、近江の国、 つまり今の滋賀県にある『沙沙貴神社』なんだ」 はぁ… 「沙沙貴神社には年に一回、この時期に全国から佐々木さんが集まってくるんだ。 これは毎年恒例で我が家では欠かす事の出来ない行事なのさ。 だからすまない、今週末は君のテスト勉強に付き合う事は出来ないのさ。 実に残念だけどね」 いや、頑張って全国の佐々木さん達と盛り上がってきてくれ。 「でも、帰って来たらまた一緒に図書館へ行かないかい? ちゃんとマンツーマンでみっちり指導するよ」 「それは助かる。是非頼む。礼はする」 「くっくっくっ、礼なんて要らないさ。かくいう君の頼みだ」 「サンキュー」 帰り道、ゆっくりと自転車をこぎながら少しばかり物思いに更けていた。 佐々木にそんな妙な家族イベントがあったとは、あいつの趣味はよう分からん。 あれ?佐々木は風邪でもなければ寝込んでる訳でもない。 元気そのものだった。独特ながらも妙にハイテンションだったし。 じゃあ、なんで佐々木の顔は真っ赤になってたんだ? そんなに毎年恒例の神社参りが楽しみなのかね?
https://w.atwiki.jp/tenryouinrpg/pages/57.html
佐々木 堤 =ささきつつみ= ■タイプ NPC ■パーソナルデータ 年齢 17歳 性別:男 身長/体重:?cm/?kg 職業:学生(天嶺院 2-B) 所属:放送委員会 ■ゲームデータ 種族:未確定 シャード:不明 初登場:第?話~ ■性格 ? ■PC達との関係 ? ■備考 ・ ・ 名前 コメント すべてのコメントを見る .
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1011.html
キョン達は修学旅行に来ています いやー温泉はいいな。日本人はやっぱ温泉じゃないとな! 中河「おい、キョン!なんでこの温泉は混浴じゃないんだ」 知らん!俺じゃなくて旅館の主人に言え! 国木田「仮に混浴でも女子は来ないと思うけどなぁ」 混浴か・・・佐々木がいたらどんな行動をするかな。 佐々木「キョン、あまりこっちを見ないでくれ・・・///」なんて照れるか、いや奴なら「キョン、君もそうゆうことに興味があるのか?なんなら隣に行こうか」ニヤニヤ なことになっちまうのか~。ヤバイ情熱を持て余す! 女風呂 佐々木、急にビクッとする。 岡本「どうしたの?」佐々木「いや、なんでもないよ」 (なんだ、今の寒気は・・・)