約 48,574 件
https://w.atwiki.jp/100monogatari2015/pages/76.html
229 名前:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 03 02 59.81 ID slHZZ5U50 [20/26] 【63話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様 『髪の毛』 友人の話。 彼は偶に、口の中から長い髪の毛が出てくるのだという。 特に口を開けたりしていないのに、ふと口内に違和感を感じることがある。 そういう時は決まって、口の中に髪の毛が出現しているのだと。 以前、私と一緒にゼミのレポートをまとめていた夜に、いきなり彼が口をモゴモゴし始め、 次いで口から長い髪の毛を引っ張り出した際にはかなり驚いた。 二人とも短髪で、とてもその髪の持ち主には成り得ない。 その時初めて、彼のその特異な体質を聞かされたのだった。 理由は不明で、もう気にしないことにしているのだと、平然と彼は言った。 レポートが完成するまでに、彼は都合十五本の髪の毛を吐き出していた。 「今度から、俺の部屋でレポートはまとめないからね」 そう宣った私に、彼は苦笑を返してきた。 (終)
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/832.html
「きんこんかんこーん。きんこんかんこーん(口で)。 やあみんな、久しぶりじゃのう」 日本中に信長ではない声が聞こえた。 「そうじゃ、ワシじゃ、忍術学園の学園長大川平次渦正じゃ。 死者が全員復活したということはワシも生き返ったに決まっておろうが。 よって、今回は久々にワシ自らが放送を行ってやろう。大して死者が溜まってないのに放送する理由? そりゃもちろん『ワシがやりたいから』じゃ。わっはっは!!」 「あのー学園長、そろそろ本題のほうを」 うしろで信長@歴史の声がした。 「おおすまんすまん。では早速だがまずは、 『このスレは我々カオスロワが乗っ取らせていただく!!』 これでいいのか? よくわからんが死者スレの連中にこれをやれと言われてのう。 まあどうでもいい。ついでだから死者発表もやってしまうぞい。 野比玉子、タケシ、田村ひより、泉こなた、柊つかさ、高良みゆき、鈴木崇大、小早川ゆたか、 孫、皇帝、しょんべんたれイセテ、某世界的に有名な犬、某世界的に有名なアヒル、骨川スネ夫、 ガロン、でかいババア、スペランカーが10人、ヒルカ、堤康隆 以上28名じゃ。みんなせいぜい冥福を祈ってやれい。そんな必要がない奴も多いが。 さて、次にツンデレコンビについてだがの、いよいよ二人の首輪爆破まであと39時間じゃ。 永遠に元の世界に戻れなくてもいいのか? 皆の衆? そろそろ本腰を入れい。 ちなみにもう首輪の解除に成功した奴も多いようだがの、6/と柊かがみ、この二人の首輪は特別製じゃから簡単には外れんぞ。 何しろ、アニロワ1、アニロワ2、漫画ロワ、ギャルゲロワ、以上四つのロワで使われた首輪の技術を全て採用してある。 外すにはちゃんと手順を踏んで一つ一つ解除していかんとダメだぞ。 さもなくば>>やおいか涼宮ハルヒにでも頼んで外してもらえばいいが、どっちにしろあと39時間じゃぞ? 間に合えばいいがのう? ま、死にたくなければ自らワシのところへ来るんじゃな。そうすれば命までは取らん。 ツンデレエキスを採取した後は一生ワシの性奴隷にしてやろう。わっはっは!!」 「が、学園長、男のほうは是非ともこのワシに!!」 後ろで信長たちが騒ぎ始めた。 「それでは最後に禁止行為について。まず『食事禁止』は発布から三回放送を経たので廃止するぞ。 ただし今度は東京都に『乗り物禁止』ルールを採用する。これは、『人力以外の動力を使って動く乗り物に乗ってはいけない』というルールじゃ。 自動車・船・電車・飛行機、全てアウトじゃ。ただし動物に乗るのは構わん。人力車や自転車もセーフじゃ。 何、遊園地の乗り物について? そんなもんわざわざいう必要があるのか? 自分で考えい!! この規制の効力はこの放送から三回先の放送が終了するまでじゃ。 じゃ、引き続きツンデレコンビ捜索に精を出せい」 【二日目・午後六時半】 【野比玉子@ドラえもん 死亡確認】 【タケシ@ポケットモンスター 死亡確認】 【田村ひより@らき☆すた 死亡確認】 (電動自転車はアウトだったらしいです)
https://w.atwiki.jp/mucomplus/pages/111.html
アマチュア落語家吉田尚記氏の高座名である。
https://w.atwiki.jp/wiki1_test/pages/1722.html
練馬区 板橋区 北区 足立区 杉並区 中野区 豊島区 文京区 新宿区 荒川区 台東区 墨田区 葛飾区 江戸川区 江東区 中央区 千代田区 渋谷区 世田谷区 目黒区 港区 品川区 大田区
https://w.atwiki.jp/100monogatari2015/pages/46.html
124 名前:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @転載は禁止[sage] 投稿日:2015/08/29(土) 23 37 47.49 ID WCE2gmw+0 [16/22] 『河川敷』 「レントゲンとMRIの結果が出ましたよお。こりゃあ頸椎椎間板ヘルニアですね」 「第5・第6頸椎の髄核…ホラこれね。これが剥がれて神経を潰しかけてるんですよ。症状は結構深刻な部類なんで、出来れば手術の後にリハビリ含めたひと月程度の入院を…」 「ん~、致し方ないですねえ。どうにか早いうちにこれ治したいんで合意しますわ」 不承不承頷く俺を見た医師はこちらが怯んだとでも思ってか、ニヤリと意地悪気な笑みを浮かべる。 「あ、手術自体はそれほど面倒じゃありませんから安心して。…けどね、少し腑に落ちないトコがあるんですよねえ」 「え?、何でしょう」 再び眉間に皺を寄せた壮年の医師が言うには、 「いえね、通常ここまで病状が進行するまでにはもっと長いスパンがかかるもんなんですけど…本当に自覚症状が起きたのはたった1ヶ月前だったんですか?他に何か心当たりは無いの?」 「ええ。まあ…無いっちゃー無いっつーかあるっちゃーあるかも知れなかったり…」 心当たりは確かにあった。整形外科医に語ったところで一笑に付された挙げ句、そう遠く無い精神病院への転院を勧められそうな心当たりが…。 話はひと月ちょいと前に遡る事にしよう。 梅雨も終わりに近いその頃、俺は郊外にある二級河川のほとりで孤軍奮闘していた。 河川管理業者の下請けである伐採屋の友人から極秘裏のうちに頼まれ、本来の仕事が週休であるにも関わらずこの河川敷の雑草刈りに駆り出されていたのだ。 125 名前:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @転載は禁止[sage] 投稿日:2015/08/29(土) 23 39 07.13 ID WCE2gmw+0 [17/22] じっとりと額に滲む汗を拭い、刈り払い機を手に天を仰ぐ俺。 何しろ梅雨時ってのは雑草どもが最も活性化するシーズンだ。一日おきくらいに雨天と晴天が繰り返された時には最後、奴らは目に見える程にすくすくざわざわ繁茂する。 ギュルギュル唸る丸鋸の主軸の先端へ執拗に絡みつく葦だの蔦だのに悪戦苦闘しながら、ようやく何とかノルマの半ば過ぎに差しかかったその時である。 「バンッ!」 漫画や小説、時代劇でよく見聞きする「スパッ」「サクッ」ってな聞き心地の爽やかなそれでは無い。大口径の発砲音にも似たこの響きは、紛うかた無く刈り払い機が草藪の 中にある異物をかけた手応えだ。手首に伝わる軽い衝撃が何よりもその証左である。 「つまらぬものを斬ったか…」 何処かの誰かみたいな独り言を呟き、足下の刈草をおそるおそるかき分ける俺。その眼前に見えたのはいつものヘビでもカエルでもテニスボールでも無い、およそこちらの 予想をちょいと躱した代物だった。 「へ?何でこんなのがここに落ちてるの?」 日本人形。 象牙色にくすんではいるが端正な顔貌の日本髪には花簪、薄紫の和服に纏われた桜模様のだらり帯…おそらくは芸妓さんがモデルなのかも知れぬ。 その人形が、事もあろうか刈り払い機の一撃でふた目と見られぬ無残な姿を俺の眼前に晒していたのだ。 本体の左脇から右肩にかけて、それこそ逆袈裟に…俺の手で斬られていたのである。 「うわあ…」 恐る恐る彼女を手に取る俺。着物の布が厚手のせいか完全には寸断されていないものの、上半身が「く」の字に曲がり掌の中でガクガク揺れるその様は、見ていて気持ちの 良いものでは無かった。日が高いにも関わらず、まだ朝露が残っているかの如くしっとりと湿った顔に浮かぶ水滴が、あたかも涙の様にも思えて…。 「悪い事しちまったねえ」 ゆるやかに流れる河岸の岸辺にその人形の身を置いて、心中で形ばかりの詫びを入れた俺がその日の作業を終えるまで、小一時間とかからなかった様に思う。 126 名前:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @転載は禁止[sage] 投稿日:2015/08/29(土) 23 41 07.34 ID WCE2gmw+0 [18/22] それから二日と経たぬうちに、俺の左肩を名状し難い感覚が襲った。 左首筋から肩胛骨にかけて、肩こりにも似た鈍痛が支配し始めたのである。 「久々の草刈りで疲れが出たのかね?それにしちゃあイヤな痛みだな、取りあえず湿布でも貼っとこ」 その痺れを伴う感覚は二の腕を経て肘を経て、またたく間に左手指の先端にまで降りてきた。 多忙な日々に追われつつ、それでもまだ「どこ吹く風」とばかりに暢気な俺。その後も病状は改善を見せず、遂には肘から先は痺れを通り越して千枚通しを刺されても何も感じぬ神経マヒ、 それとは逆に寝返りどころか仰向けに寝ても耐えられぬ程の激痛が左肩を蝕んだ時点で初めて、俺は冒頭の整形外科へと赴くために重い腰を上げたのである。 先生の執刀は完璧だったものの、何故か術後の経過がよろしく無い。ガラパゴスゾウガメの歩みにも劣る回復速度。リハビリに至っては、術後二週目を過ぎてもたかが1㎏程度の鉄アレイ ですら30秒垂直に掲げるだけで額に脂汗が滲む体たらくである 「先生も首傾げてましたよ。困りましたねえ」 「実を言うとね、あんたと別れる日を迎えるのが辛いからこうして居座ってんのさ」 すっかり気のおけぬ会話を交わす仲となった看護師の娘にそんな冗談で応じてはみたが、心中ではどうしようも無くいらついていたものだった。 入院してから三週目を数えた頃だろうか。病室の窓を叩く夜半の風雨と雷鳴の音で俺はまどろみを侵された。かねてから囁かれていた台風擬きの爆弾低気圧が、どうやらこの地を直撃した 模様なのだ。 窓ガラス越しに時折瞬光する稲妻に照らされながら、今まで左肩を痛めつけていたものがスッと何処かに昇華していく感覚を、真夜中のベッドの上で俺はかすかに、しかし確かに感じたものである。 127 名前:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @転載は禁止[sage] 投稿日:2015/08/29(土) 23 42 15.77 ID WCE2gmw+0 [19/22] 何のはずみかどうした事か、そこから先の事態は目を見張るばかりの急転直下、俺の体調はそれまでの雌伏の期間がまるで嘘であるかの如くメキメキと快方へ と向かっていった。 首を傾げて左肩に耳をつけたら「メキメキッ!」ってな音が聞こえたくらいである、ウソだけどw 「一週間前の握力測定左腕18㎏の人が今日は56㎏って…どういう事です?」 「何て言うか、あんたの可愛い顔もいい加減見飽きたからねえ」 それから程無くして、俺は病院を辞した。退院したら、手に掛けたあの日本人形を手厚く葬る…ってワケでもないけど、せめてちゃんとした所に持ってって供養したい とも思い彼の地に向かったのだが、それは結局叶えられぬ願いとなったものだ。 近所の婆さん曰く、件の河川敷はどうやら丁度あの夜の豪雨で氾濫し、ほとりにあった刈草を初めありとあらゆる岸辺の雑物を綺麗さっぱり流し尽くしてしまったみたい。 久々に訪れた俺を迎えてくれたその河は、付近数十戸を床上浸水に巻き込んだとされる鬼の形相はどこへやら、ゆるい陽光を浴びながら長閑に水浴びを楽しんでいる 数羽の鴨をその面に抱きつつ、さわさわと流れ続けているばかりであった。 長々と書き連ねたけど、『後日思い返してそう言われてみれば…』的な思い込み以外の何物でも無いよね、人間ってもんはひとつの事象を何かと己の因果にこじつけ たがる生き物だし。 けどさあ、やっぱ時々思うんだよ。あの人形、今どこに居るのかな?大海に辿り着いて紺碧の波上に漂っているのかな?それとも下流の澱みに引っかかりながら濡れ そぼった目で未だにこっちを恨めしげに見つめているのかな?ってね…。 【了】
https://w.atwiki.jp/sengokuhime2-wiki/pages/93.html
盗作なので削除
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/685.html
https://w.atwiki.jp/100monogatari2015/pages/106.html
314 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05 14 35.53 ID AgCPeYID0 [78/97] 【93話】かぐら ◆Ccp.OZqu04w2 様 『ターゲット』 10年ぐらい前に私が聞かせてもらった話なんですけどね。 このかた、某市で看護師をされてる女性だったんですが、霊感があるっていうんです。 病院なんかに勤めていると、実に様々なものがみえるらしいですね。 で、あまりにみえすぎるものだから、もう慣れっこだった。 話というのは何かというと、この女性の住んでる街から私の街の方へ向かうのに幾つかルートがある。 有料区間を使わない、A峠という場所を通る狭くて暗い峠道のことなんですがね。 私の界隈でも、結構ここは怖い話があるよなんて教えてくれる人がいるんですが。 この女性も過去に何度か通っていて、おかしなことが幾つかあったっていうんです。 ところが、彼女にとってはどれも日常で起こる些細な出来事の延長ぐらいのもんだった。 「ただねえ、あれだけは怖かったよ」 妙に楽しそうに私に話してくれたのは、あるとき例によってその峠を車で通ったときのことなんですね。 まあ、慣れているとはいえあんまり気持ちのいい場所じゃないんで、本当は通りたくないんだけど、 何かの事情でどうしても通らなきゃいけなくて、夜のA峠をたった一人で車で飛ばしたっていうんです。 そしたら、もう頂上かその付近へ着くかぐらいのところで、 誰も乗っていないはずの後部座席から人の息遣いを感じる。 明らかに何者かがそこにいる気配がする。 誰も乗せてきていないし、出発してから車も停めてない。 この世の者ではない。 すぐにそう感じました。 だけど彼女、慣れてるもんだから、 ――ああ、今度は何か乗ってきちゃったか。 315 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05 15 29.93 ID AgCPeYID0 [79/97] そのぐらいのもんです。 でも後部座席の“なにか”が、ゆ っ く り と運転席の自分のほうへ顔を近づけてくるのがわかった。 どんな奴なんだろう。 彼女、不意にそう思ったそうです。よし、正体みてやろうと思って、スピードを若干緩めた。 緩めながら、ルームミラー越しに、その何かに目をやった。 途端、 う゛う゛う゛っ!!! 全身がぞくっとして、体が固まってしまったそうです。 後部座席に乗ってたそれ。 人だったそうです。 ただそれ、正確には、この世に存在してはいけないヒトだった。 それ、自分とまったく同じ顔・姿・格好をした、ナニカなんです。 もう一人の自分が、後部座席に座って、ミラー越しに自分のほうをじぃ~っと睨んでる。 その顔がなおも、ぐぐっと自分のほうへ寄ってくるのがわかる。 ――やばいやばいやばいやばいどうしようどうなっちゃうんだろう。 色々みてきたけれども、とうとう“自分自身”が出てきてしまった。 これはまずい。初めてそう感じたそうです。 ハンドルを握る手をガタガタ震わせていると、その顔がもう自分の斜め後方すぐ傍にある。 その口が、彼女の耳元までぐっと近づいてきて。 「お ま え だ れ だ。わ た し は ふ た り も い ら な い ん だ よ」 あまりの恐怖に目の前が真っ暗になって、そこから目的地の駐車場までの道程の記憶があまり無いそうです。 しかし、ともかく事故にも遭わず無事に辿り着いた。 316 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05 16 57.67 ID AgCPeYID0 [80/97] 「あれだけは怖かったね」 彼女、私にそんな具合に話してくれました。 でもこの話、続きがあったんです。 正確には、後になって、私の頭の中で何かが弾けて引き出されたというかな。 仕事中だったんですけどね、何かの拍子に、女性に聞かせてもらったその話がふっと頭をよぎったんです。 妙に楽しそうに私に語ってくれたその彼女。 そう、その顔を目の奥で思い浮かべたとき、あることに気が付いたんです。 瞬間、ぞくっとしました。 私に向かって実際にその話をしてくれた、看護師の彼女。 それ、 後部座席に座っていたほうの彼女だったんじゃないかな。 そう思ったんですよね。 これ、理屈とかそういうの抜きにですよ。 いわゆる第六感的な何かとでもいうんでしょうかね、それが核心だよと訴えてくるんです。 だけど、もしそれが、私の感覚が正しくてその通りだったとしてですよ。 元の彼女、 一体どこへ行ってしまったんですかね? 【了】
https://w.atwiki.jp/100monogatari2015/pages/56.html
158 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 00 31 46.60 ID AgCPeYID0 [6/97] 【43話】まんじゅう ◆PP2Ugyol5s 様 『ついてくる』 同僚の父、Kさんは山歩きが趣味で、よく休日を利用し関東近郊の山へ赴いていたそうです。 数年前ひょんな事からカメラに凝り始めたKさんは、山歩きのついでに四季折々の自然をカメラに納めるようになりました。 そんなある日の事。いつもの様にトレッキングを楽しんでいたKさんは、山道から少し外れた場所に咲いた一輪の野花にカメラを構えました。 何枚か撮影してみたものの、なかなか思うようなアングルで写真が撮れません。 焦れったくなったKさんは、思わず身を乗り出し、その拍子に足を滑らせ数メートル下の斜面に滑落してしまいました。 幸い怪我もなくカメラも無事です。 「しまったなぁ。しかし夏も終わりとはいえまだまだ暑いし、この山は気軽なトレッキングが楽しめる初心者向けの山。遭難した話も聞かないし、まぁ大丈夫だろう」 そう楽観的に考えたKさんは一旦休憩し、山道に戻ろうとめぼしい場所に向けて道なき道を進みました。 しかし、何の手入れもされていない山の中を進むのは難しいものです。ましてやKさんは山歩きが趣味とはいえ、藪漕ぎの経験などありません。 ようやく山道らしきものに行き着いた頃には、日は暮れかかり辺りには夜の気配が漂い始めていました。 Kさんは心細く不安になる気持ちを何とか奮い立たせ、リュックの中に入れていた携帯用ライトで先を照らしてみました。 山道は随分荒れており、長い間人が通った形跡は見当たりません。野草が繁茂し、大きな石が転がる道を見失わないようにKさんは必死で歩きました。 どれくらい歩いたでしょう。 同じ様な風景が続く山の中、ふとKさんは自分の後方に何かがいる事に気づきました。 草を踏みしだく音、時折石にあたる爪の「チャッ」という音。微かに聞こえる息遣い。 狸か狐か。それとも何か他の野生動物でしょうか。ここいらに熊が出る話は聞きませんが、Kさんはライトを向けて確認してみました。 薄ぼんやりした明かりに照らされた後ろには、見た感じ生き物はおらず、荒れた山道しか見当たりません。 隠れたか逃げたか、まぁ良い先を急がなければ。Kさんは明かりを前に戻し歩き続けました。 159 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 00 32 45.18 ID AgCPeYID0 [7/97] 一向に麓に近づく雰囲気がなく、暗い山道を足を取られながら進むうち、Kさんの中で少しづつ焦りと恐怖が膨らんできます。 後ろに先程と同じ気配をまた感じましたが、好奇心旺盛な狐か何かが自分を窺っているのだろう、 そう思ったKさんは相手にしませんでした。 「疲れた…」滴る汗を拭い、水分を補給しようと立ち止まったKさんですが、ふいに嫌な事に気付きました。 後方の気配は未だ変わらず、「ザサッ、チャッ…チッ」という足音に「…ハッ、ハッ…フーっ」という吐息。明確にKさんの後をつけてきている意思を感じます。 更に、最初に感じたよりも、かなり大きい。 足音の重さや雰囲気で、姿を確認せずとも人は大体の大きさを察することが出来ます。 少なくとも大型犬くらいはある、そう感じたKさんは追いつかれる事に恐怖を感じ、歩みを早めました。 「チッ、チャッ…ハッ、ハッ…」 これだけの大きさのある野生動物。Kさんはこの音の主に当てはまりそうな動物を片っ端から考えましたが思い当たりません。恐怖で散漫になる思考に、じわりと嫌な、嫌なイメージがKさんの脳裏に浮かびました。 「ガサッ、チャッ…チャッ」 石にあたる爪は、マニキュアの剥げたボロボロの女の爪。 「…フーッ、ハッハッハッ…」 ざんばら髪の合間から覗く、裂けたような大きな口から漏れる荒い吐息。 そんな訳ない!そんな訳ない! 自分はアイツを見ていないのだから、これは疲労と恐怖が見せる何かだ!! そう必死に自分に言い聞かせるKさんですが、何故か後ろにいるのはアレに違いないと確信していました。 まるで自分の頭の後ろに目の様な器官があって、後ろの映像をKさんの脳内に流し込んでいる。そんな感覚でした。 160 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 00 33 36.13 ID AgCPeYID0 [8/97] ボロボロの爪の赤いマニキュア。泥だらけの汚い長い髪。四つん這いの体もどこかおかしく、ギクシャクと部分がどこか欠損しているよう。 違う!違う! 恐怖のあまり走り出したKさんですが歩き詰めの体は限界で、のろのろと歩く速度でしか進めません。太ももや脹ら脛がビキビキと痙攣しているのが分かりました。 「…、…◯◯ぁ◯ー…」 ゆっくりとですが確実に後ろの気配はKさんに近づき、吐息に混じって何事か呟きが聞こえてきます。 痛いほど乾いた喉から嗚咽が漏れ、視界が滲んでいるのに、Kさんは自分が泣いているのに気づきました。 走って逃げ出したいのに、今にも止まってしまいそうな身体。 もう無理かもしれない。後ろを振り返って終わりにしてしまいたい。 Kさんがそんな事を思った時、鬱蒼とした木々の先にぼんやりとした明かりと人の気配がしました。 「おーい!…おーい!誰かっ」 弱々しい嗄れた声でしたが、Kさんの助けを呼ぶ声は幸いにも聞き届けられました。 Kさんに気づいた1人がライト片手に、木々の合間を縫ってこちらに向かって来てくれます。 どうやら壮年の男性のようでした。 161 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 00 34 44.19 ID AgCPeYID0 [9/97] 「どうしましたー?」 大丈夫ですか?そう言おうとしたであろう相手はライトに照らされたKさんを見て絶句しました。 相手の恐怖に固まった顔と視線から、「あぁ、後ろのアレを見たなこの人…」そう思ったのを最後にKさんは気を失ってしまいました。 Kさんが意識を取り戻した時、既に時刻は明け方でした。 痛む体を引きずって寝かされていたテントから出ると、そこは見知ったキャンプ場で、どうやらKさんはここの裏手に辿り着き、倒れたところを介抱されていたようです。 心配していた周りの人が車で病院まで送ってくれる事になり、ほっとしたKさんですが、皆の中に1人だけKさんと視線を合わさず遠巻きにしている人がいます。 昨夜、Kさんを発見してくれた、あの男性でした。 爽やかな早朝の光の中では、あの夜の事が嘘の様に感じられ、Kさんは一言お礼を言おうと、その男性に近づきました。 口を開きかけたKさんは、しかしその男性に遮られ、 「あのね。あなたもう山に入らないほうが良いと思うよ。私ももう行くことはないと思う」 そう一方的に告げられたそうです。 〈完〉
https://w.atwiki.jp/dngssl/pages/283.html
十三川"JOKER"遊子 順位 キャラクター名 合計P あやまだ CAT 銀河 クオンタム 珪素 さささ 滝口流 ぺんさん 無知園児 ロケット商会 12位 十三川 JOKER 遊子 11 1 1 1 2 0 2 1 1 1 1