約 2,867 件
https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/39.html
夜間飛行~ダークメルヒェン・その3~ それは、ゆっくりと部屋の中に忍び込んできた。 黒い影のようなその体は、ベッドの上で寝ている縁と仗助の顔を覗き込むと、さらに体色の黒が鮮やかになっていく。 そして、仗助に狙いを定めると、口の部分が笑っているかのように開く。 血のように赤い口が、嗤う。 その時-… 「ドラァ!」 「ギッ」 寸での所で拳をかわし、それはまるで爬虫類のように壁に張り付く。 「ったく…安眠妨害だっつーのよぉ…」 そういいながら、仗助は軽く首を回しながら起き上がり、それを見据える。 それは、再び赤い口を大きく開く。 今度は嗤っていない。 むしろ、怒っている様であった。 「ったくよぉ…何なんだオメーは…」 そういいながら身構えると、それは大きく腕を広げる。 その腕からヒレのようなものが伸びる。 「ギィィィィィィィィィッ」 「っ…!?」 古いドアの軋むような鳴き声を上げ、それはそのヒレを大きく振るう。 それは空気を切り裂き、僅かにかすった仗助の頬を傷つけた。 「ってぇ…」 思わず声を漏らすも、その目はしっかりとそれを捉えていた。 それは壁から降り、その腕のヒレを仗助に向けたまま身じろぎ一つしない。 じりじりとにじり寄るそれから、一定の位置を保つように仗助は後退する。 しかし、後ろには縁が寝ている。 あまり後ろへは下がり続けられない。 (どーすっか…な…) 不意に、ドアが視界の隅に入る。 (あそこまで…なんとか、いければ…) 相手に気づかれないよう、後退しながら進路をドアのほうへと少しずつ変更していく。 相手はまだ気づいていないようで、時折短く鳴きながら仗助へじりじりとよってくる。 だんだんと背後に扉が近づく。 そして、ついには背中がドアに付く。 「(来た…ッ!)ドラァ!!」 「ギッ…!?」 ドアを破り、外へ飛び出す。 すかさず、相手も仗助を追って部屋から飛び出した。 その間に、ドアはクレイジーダイヤモンドの力によって元通りに収まっていた。 「ギィィ…」 それの目が爛々と輝き、仗助をにらむ。 仗助は再び身構えると、それと対峙する。 「縁に近づけさすわけにいかねーからな…」 「ギィィィィ…」 それは腕のヒレの切っ先を仗助に向け、姿勢を低くし、一気に飛び掛る。 それにあわせるように、仗助は拳を繰り出した。 「ギィィィィィィィィィィッ!!」 「ドララララララララァーッ!!」 二つの影が交差する。
https://w.atwiki.jp/bizarre/pages/56.html
「なんで起きねえんだ!さっさと起きろよォォォォォ!」 リーゼントの男、東方仗助は死んだかのように眠る彼の父親(もっとも父親だとは気づいていないが) ジョセフ・ジョースターの胸倉を掴み悲痛の声を上げる。 クレイジー・ダイヤモンドは確かにジョセフの傷を治した。そう、仗助は治したのだ。 ジョセフを魂をも焼き尽くす残酷な傷みから救ってやったのだ。ジョセフの肉体は全くの無傷。健康的で雄雄しい筋肉が盛り上っている。 見たところ彼はまさに健康、今すぐ立ち上がってもおかしくはない。 しかし、現実は非情である。仗助が治してから三十分経つ。 ジョセフは仗助の嘆きに何の反応も示さず、硬く目を閉じ押し黙っている。 「億泰だって!億泰だって治ったんだッ!てめえが死ぬわけがねえッ!殴ってやるからさっさと起きろォォォォォ」 仗助の悲しき慟哭が夜の杜王町に響き渡る。彼の目は涙で腫れあがっていた。 「起きろォォォォ!クレイジー・ダイヤモンドに治せないモノはねえッ!」 仗助はもう何度目かもわからない叫びを上げる。彼をここまで必死にさせるモノは何なのだろうか。 仗助とジョセフが出会ってからまだ一日も経っていない。さらにジョセフは仗助の大切なリーゼントをけなした。 ジョセフがしたことは、仗助にとって見捨てるに値する行いである。 しかし、仗助はこの自分の髪型をバカにするふざけた男に奇妙な愛情を抱いていた。 血でも繋がっているかのような親近感を感じていた。 そんな思いからか、仗助はいまだにジョセフの復活をあきらめきれないのだ。 仗助の心中には治してからかなりの時間が過ぎた今でも、『この男だけは死なせない』という確固な思いがあった。 (死なせてたまるかッ!できることは何でもやってやる!石に噛り付いてでもこいつを治してやるッ) 必死に頭を働かせる。 仗助はクレイジー・ダイヤモンドを発現させる。 「承太郎さん、あんた、たしか前に言ってたな。 『死んでしまった者を生き返らせることはどんなスタンドにもできない』そんなことねえッ!俺はその概念を乗り越えるッ! こんなことやったことねえが生き返らせるためならッ!二回、三回、何十、何百、何千回とよぉ」 クレイジー・ダイヤモンドが拳を構える。 「何度でも繰り返し治してやるッ!いけ!クレイジー・ダイヤモンドォォォォォォ」 そして、彼の一縷の希望を乗せた拳を放つ。 「てってめーは!」 仗助は思わず目を疑う。ジョセフが目を開きゆっくりと立ち上がっている。 (こいつ起き上がった。ついに!ついに!復活したんだ。クレイジー・ダイヤモンドは治したんだ) 「おまえッ!生き返ったのかよォ」 「しっかしよぉー不思議に思うんだぜェ~~ てめえのよォ~クレイジー・ダイヤモンドだっけか?どんな仕組みで治してんだろう?ってな~~~っ」 ジョセフはしっかりと立ち上がり仗助の目を見据える。 完璧に治っている。クレイジー・ダイヤモンドはついに治したのだ。 クレイジー・ダイヤモンドはついに『死んでしまった者を生き返らせることはどんなスタンドにもできない』という概念を乗り越えた! これで荒木という名の狂人が仕組んだバトル・ロワイヤルは破綻せざるを得ないだろう。 仗助はついに、失われた命を取り戻すことに成功したのだから…… もう一度言っておこう。現実は非情である。 空が白み始めてきたころ仗助は『一人』、虹村邸跡の前に腰を下ろしていた。 目の前には、仗助にとって名も知らぬ大男が地に伏し死んでいた。 『まっ!オレ頭悪いから深く考えると頭痛おきるけどよォ~~っ』 (やめろ!こいつをあの時の億泰に重ねて考えるんじゃねェー!空しいだけじゃねえか) 仗助は雑念を振り払い、よろよろと立ち上がる。もう涙は流れていない。 「死んじまった。こいつは死んだんだ……オレのクレイジー・ダイヤモンドは『死』に負けちまった」 彼は踏ん切りがついたようだ。男の死をしっかりと受け止めている。 もちろん悲しいことは悲しいのだが、先ほどまでの狂う程の悲しみはない。 彼は『やるだけやったんだし仕方ない』という風に諦めていた。 仗助はこれからどうしようと途方に暮れる。 思い返せば……オレはこのクソゲームが始まってからずっと厄介事に巻き込まれてるな。落ち着いた時間なんて全くなかった。 とにかく、これからどうすりゃいいんだ! 殺し合いだぜ!一人しか生き残れないんだぜ!脱出なんてこのうざったい首輪のせいで、できないかも。どうすりゃいいんだ…… 何を考え何を目的に行動すればいい?アラキ打倒のため仲間を募るか?ゲームに乗って優勝を目指すか? どのルートを選んでも終着点はこいつみてえな『死』しかないのかもしれない。『この状況で自分は何をすべきか』 「クソッ!」 仗助は持っていたデイパックを地面に叩きつけた。 この心のもやもやが晴れるまでクレイジーダイヤモンドで暴れてやろうかとも思ったが、仗助はランダム支給品のことを思い出し拳を抑える。 デイパックの中にはいろいろな物が入っていた。ランダム支給品である小型時限爆弾、食料、コンパス、地図、そして名簿。 これだけ残酷な事が起こりもう少々のことでは驚かないと高を括っていた仗助もこの名簿には驚かされた。 ・・・・・・・・・・・ たしかに死んだはずの吉良、友だちである億康や康一達、そして何より自分の親父であり、今はもうただの老いぼれであるジョセフ・ジョースター。 「アラキの野朗……億康やジジイまで!」 仗助は吉良がなぜ生き返ったか、という疑問はわきに置き、友達や父親までをもゲームに巻き込んだアラキへ、さらに激しい怒りを燃やす。 億康達はジジイよりかは生き残れるだろう。問題はジジイ!どう考えても生き残れるとは思えねえ。あいつはけっこうボケてるしな。 とにかくジジイを探さねえと……でもどこを探す? ジジイが行きそうな所ってどこだ?見当もつかない。適当に歩き回ってたら会えるか~? いや……探す前にオレがみすみす死なせちまったこいつをどうにかしてやらねえと。このまま道路に置いてきぼりっつうのは酷な事だしよぉ~ こいつはオレの頭をけなしはしたが、あの鳥公の攻撃からオレを守ってくれたんだ。 オレには、死んじまったからといってこいつをこのままほっておく、なんて事はできねえよ 賢いとはお世辞にも言えない頭で仗助は考える。 「霊園……だな。こいつを埋葬してやらねえと。どうやって運ぶかが問題だけど、とにかく動いてりゃジジイに会えるかもしれねえし」 心身の疲労のせいで震える足をゆっくりと前に出し、仗助は男を埋めるためのスコップを探しに自分の家へ向かっていく。 すべきことを決めることができたという安堵からか、なんとも形容し難い感情が彼に襲い掛かってくる。 人が死んだ『悲しみ』、アラキへの『苛立ち』、そして自分への『怒り』。それら全てが奔流のように心中で渦巻く。 名も知らぬ男が死んだ直後のように、狂う程の『思い』の激流が再びやってきたのだ。 「仗助君……」 ……今、だれかオレを呼ばなかったか? 「誰だ!」 機敏な動きで振り向きクレイジー・ダイヤモンドを発現させる。 しかし振り向き見えたモノは名も知らぬ男の死体ひとつだけ。つまり、誰もいない。 「気のせいか……?」 これは何だ?幻聴ってやつか?とうとうオレはイカレてきたって事か?これ、いよいよやべぇんじゃねえの~~ 「気のせいなんかじゃねえぜ。もっともぉ~っと近づいて来てみな」 またしても声がする。仗助は気味悪く感じたが、どこか懐かしい気持ちにもなった。 (この声……小さくてわかりずらいが確かに死んでしまったあいつの声。声はあいつの死体がある辺りから聞こえてくる。) 仗助は死体へ向けて警戒しつつもゆっくりと歩を進める。 近づくに連れてぼんやりと見えてきた。死体の上で半透明のあいつがゆっくりと天へ向かって浮上している。 スタンドも月まで吹っ飛ぶこの衝撃!なるほど、杉本鈴美みたいな幽霊ってわけか……オレなんかが最後の別れを言う相手でいいのかよ。 オレはおまえを死なせちまったんだぜ。もっと、大事な人がいるだろうが。どうせ化けて出るんだったらその人の所へ行けよな。 「化けて出てまでオレなんかに会いたいか?どうしてオレの所になんて来るんだ?おまえを治せず死なせちまった男だぞ。オレとおまえは全くの他人だ。 会ってから一日も経っていない。もっと大事な人いるだろうが!」 ありったけの思いを言葉にする。名も知らぬ男は光に包まれ微笑んでいる。 「ちょっとぉ仗助君、しばらく見ないうちにずいぶんとネガティブになってんじゃないの」 「真面目に答えろよッ!」 激しい言葉に男は少しだけ驚いていたが、すぐにまた、優しい笑みを浮かべて仗助の質問に答えた。 「おまえが一番大事だぜ。理屈とかじゃねえ。『ここ』でわかる。」 男は胸を指差し言う。仗助の目に枯れたはずの涙が溢れてくる。 「お……おまえはこの杜王町に埋葬してやるから……オレが生まれ育ったいい町だよ」 「ありがとよ仗助君。わりいな、こんな簡単に死んじまって……『もうちょっと粘れるかなぁ~』とも思ったんだけどよぉ。無理だったぜ」 仗助はいよいよ涙で話すことも困難になってきた。喘ぎながらも話す。 「何でだよ。死……死ぬなよ。逝かないでくれぇ……おまえのことまだ……まだ全然知らないのに。逝かないでくれよぉ」 「わかるだろ?もう、時間ねえんだよ。仗助君、髪型……馬鹿にして悪かったな。死ぬんじゃ…ねえぞ」 男が溶けて行くかのように消えていく。 まてッ!まだッ!後少しだけ…… 泣くのを堪えこれで最後になるであろう言葉を放つ。 「『名前』ぐらい聞かせろッ!勝手に……勝手に消えんじゃねえッ!」 男は仗助の問いに答えることなく満足げな笑みのまま満天の星空に溶けていった。 仗助はしばらく空虚だった。何も考えることなく突っ立っていた。 そして地に横たわる亡骸を見て再び大粒の涙を流し悲痛の叫びを上げた。 首に巻きついた冷たい鉄の感触だけが妙にリアルだった。 【虹村邸跡の前の路上(Gー5) 一日目 早朝】 【東方仗助】 [スタンド] クレイジー・ダイヤモンド [時間軸] 四部終了時 [状態] 悲しみと荒木への強い怒り。右太股にツララが貫通した傷(応急手当済み)歩行に少し影響。 [装備] 無し [道具] 支給品一式、小型時限爆弾 [思考・状況] 1:とりあえず『2』を実行するため自分の家にスコップを取りに行く。 2:目の前の男(ジョセフ)を霊園に埋葬する。 (霊園へ運ぶ手段をこれから考える。手段がなければ背負ってでも連れて行く) 3:霊園へ向かう道中でジョセフ・ジョースターを探す。 4:億康たちを探す。 5:吉良を警戒(なぜ生き返ったかについてはまだ深く考えていません) 6:打倒荒木! [備考] 仗助はとうとうジョセフの名前を確認できていません。『波紋』という単語が引っかかっている程度。 【ジョセフ・ジョースター 死亡】 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 30 ダイヤモンドは凍らない ジョセフ・ジョースター 30 ダイヤモンドは凍らない 東方仗助 54 ドッピオ、兄貴から逃げる
https://w.atwiki.jp/marurowa/pages/30.html
幼女の奇妙な冒険~ファントムリーゼント~ ◆uStZkrHCmI 畜生! 畜生! なんで俺は動かなかったんだ!? 首が飛んだ女の人も、撃ち殺された奴も俺が動いていたら救えたかもしれないのに。 ……何がクレイジーDだ、何がこの世で最も優しい能力だ。 結局はこの首輪が怖くって何も出来なかったビビリ野郎じゃねーか! 先刻の事を思い出した少年『東方仗助』は俯いた顔に暗い表情を貼り付けていた。 生命力に溢れているはずの体からは完全に力が抜け、チャームポイントのリーゼントも心なしか垂れたように見える。 心優しきが故にのしかかる重圧。 死ぬ覚悟さえあれば自分は先ほどの二人を救えたのではないか? 後悔、懺悔、怒り 複雑にミックスされた感情の渦は仗助の心を呑み込もうと襲来してきた。 が、彼は潰れたりしない。 金剛石のような強さと輝き、そして気高さを持つ魂がここで諦める事を拒むのだ。 「そうだ……そうだよな…。俺がここでクヨクヨしてる場合じゃねぇんだ」 ずっと泥を眺めていた視線が徐々に上へと運ばれてゆき、ついにその両目が前を見据えた。 学ランから覗く両手をグッと握り締めて拳を作り出す。 スッ 彼の半身『クレイジー・ダイヤモンド』の腕が音も立てずに仗助の腕から生まれ、分離してゆく。 そして、脱皮するように頭、胸、腰と順にヴィジョンが発生しては彼の肉体から離れていった。 プツンと切れるようにつま先が仗助から抜け出して、クレイジーDの容貌が明らかとなる。 180cmはある仗助よりも更に巨大な体躯。 鋼と呼ぶにふさわしい、高密度でありながらも盛り上がりを隠し切れない筋肉。 所々にハートを模った鎧を着たその姿は例えるなら闘士。 そしてそのスタンドが非常に様になるポーズで拳を構えて――― 「ドラララララララララララララララアアッッ!」 聞く物全てを怯ませる咆哮と共に拳の弾幕を放った。 砕かれ、削られてゆく木、岩、土。 拳が一発当たる毎に原型から姿を変え行く景色。 360°回りながら放たれたラッシュが止まったとき、仗助の半径5メートルからはありとあらゆるものが存在しなくなっていた。 「よっし! このくれーでいいかな?」 破壊しつくされた景色を満足気に見つめる仗助。 「助けられなくて本当にすまねぇ……。 お詫びって言うのもなんか違うけどよ、墓を作るから今の所はこれで勘弁してくれ」 その言葉を言い終わるか言い終わらないかの間に砕かれた岩や木、そして土が宙を舞う。 茶色や灰色といった飛礫のコンラスト決して美しい物ではない。 しかし、一点を目指して飛ぶそれらの姿は散った二人の魂のようで、欠片から生まれた十字架には魂が篭っている様に思われた。 「あんた達が何教徒だか分からないから一応十字架を立てておいたぜ。 大丈夫、あんた達の仲間を見つけたら後でキッチリ直しに来るからよ」 完成した十字架に手を合わせた後、支給品のペットボトルから水を半分ほど十字架にかける仗助。 そして再び手を合わせた後、自分の身長よりふた周りは大きいであろうそれに背を向けて仗助は去っていった。 ★ ☆ ★ さて……この状況をなんと言えばいい? 承太郎さん風に言えば非常にへヴィって奴だぜこれは。 まさかこの殺し合いの場にこんな強敵がいるとは思わなかったぜ。 流石の俺もこんな奴に勝てるわけがねぇ…… さて、これから俺はどう対処するべきだ? アイヌ風の服を着た獣耳の幼女によぉ~。 先ほどから無言で仗助を見つめるアルルゥ。 仗助の方からは何度もコンタクトを取ろうと図ったはずなのだ。 だが、そのどの質問にもアルルゥは答えようとしない。 物珍しそうな顔でボーっと仗助を眺めているだけ。 幼女相手に顔を真っ赤にするほど気が短いわけではない そうなのだがやはり無視されるのは腹が立つわけで。 腹が立てば、ムキになりやすい性格の彼は何とかして気を引こうと必死になるわけで。 だけど自分のスタンドを軽々と出すほど仗助の頭はマヌケではないわけで。 結局、彼は自分のディバッグから支給品を漁る事となった。 「さぁて、な・に・が・で・る・の・か・な・っ・と」 彼の手が触りなれた感触―プラスチック―の手触りを感じた。 形状は恐らくは箱。 更に中身を確かめるように軽く指を中へと入れる。 「あれ?」 指に感じるのは冷たく、ベタッとした何か。 危険を感じて即座に指を抜き出す。 付着した黒い何かの正体はすぐに分かることとなった。 ……ビンゴッ! 黒い何かの中にあるのは黒い豆。 仗助が知る限りはその豆が使用されるのは食べ物だと確定されている。 子供ならお菓子か何かで釣れるだろう。 ニヤニヤとPTAがその場にいたら即刻通報物の笑みを顔に貼り付けて袋の端を掴んだ仗助。 「きたぜ!君に決めたッ!!」 おどけた調子で思いっきり箱をディバッグから引きずり出す。 でてきたものは―――おはぎの入ったタッパ。 なにゆえおはぎが出る?…… そんな疑問を余裕でぶっちぎるほどの歓喜が仗助の胸に押し寄せる。 露伴にイカサマで一杯食わせた時よりもスッキリしたかもしれない。 さぁ、反応を示すのだ幼女よ。 仗助の頭に浮かぶ思考は只それだけであった。 「んん?」 初めてアルルゥが反応を示した。 「これはな、おはぎっていうとっても美味しいお菓子なんだ」 美味しいお菓子。 その一言だけでアルルゥの視線はおはぎに釘付けだ。 目はキラキラと輝き、口端が微妙に濡れだしたのを仗助は見逃さない。 「いや~本当においしいんだよな~俺も食べたいな~」 いやらしい口調でアルルゥを挑発する仗助。 しかし、よくよく見ると既に彼女の視線はおはぎから外れていた。 ……いや、正確に言うと、おはぎとその上を交互している。 おはぎの上にあるのは仗助の顔。 そして更にその上にあるのは大きく前に突き出した髪の毛。 「なぁ、もしかしてお前俺のリーゼントが気になってたのか?」 頭を指差しつつアルルゥへと話しかけた仗助。 「ん!」 表情をあまり変化させないまま頷いたアルルゥに思わず苦笑いが零れた。 杜王町では既に誰も気にしなくなってたのだが、ここはそうではない。 殆どが見知らぬ参加者なのだからリーゼントを見たら表面上はどうであれ内心驚くだろう。 アルルゥの場合は子供だから好奇心丸出しだっただけ。 その事に気が付かない自分が何となく恥ずかしくて少し笑ってしまう。 「ほら、意地悪して悪かったな」 少し身を屈めておはぎをアルルゥへと手渡した。 おずおずと仗助の手からおはぎを受け取ってアルルゥは問う。 「もらっていーの?」 「あぁ、俺からのプレゼントだ。ところでお前なんて名前なんだ?」 「アルルゥ!」 仗助から受け取ったおはぎを掴んで、掌に付く餡子も気にせずに大きく口を開けておはぎをほお張る。 アルルゥの目が大きく見開かれて、尻尾がぶんぶんと振り回された。 (おいしそうに食べる子だな) もぐもぐと咀嚼するアルルゥの様子を仗助は微笑ましそうに眺めた。 そして、アルルゥの喉がゴクリと鳴って、記念すべき奇跡的御萩初体験は終わりを告げる。 「どうだ? おいしかっただろ?」 「ん!」 「そうか、そりゃよかった。そういえば自己紹介が遅れたな。 俺は東方仗助。呼び方は……まぁ好きなように呼んでくr「「仗助おにーちゃん」」おにーちゃん!!?」 「ん、仗助おにーちゃん」 「あのよぅ、お兄ちゃんはちょっと勘弁してくれないか?」 「や」 周りは皆野郎。 もてるとは言っても意外と純情派で彼女いない歴=年齢。 その上不良もやっている彼からしたら『おにーちゃん』という呼ばれ方は耐えがたかった。 実際、顔を真っ赤にしてなんとかアルルゥを説得しようとあれこれ言い続けている。 が、アルルゥは頑なに意見を曲げようとはせずに、結局仗助が根負けして『おにーちゃん』と呼ばれることを否定しなくなった。 「はぁ~億泰とか露伴に聞かれた日にゃ自殺もんだぜこれは」 「おくやす?」 「あぁ、元の世界での俺の友人だ。こっちの方には康一って奴だけが呼ばれたみてーだけどよ」 多少忌々しげな声を出しそうになったものの、アルルゥを怖がらせてはいけないと思い極力声を抑える仗助。 だが次の瞬間、彼は溢れる感情を抑えることが出来なくなった。 アルルゥの言った残酷すぎる現実に。 「アルルゥのおとーさんとおねーちゃん、カルラおねーちゃんにトウカおねーちゃんもいた。あとは―――」 この場が殺し合いの場あることを分かっていないのか、アルルゥは嬉々として家族達の名前を語りだす。 幸せそうな語り口で優しい父や姉の事を話すアルルゥを仗助の手が遮った。 「もういい」 そう言った仗助の体は小刻みに振動して、内から溢れる感情を発散しようと必死になる。 話を遮られたことで不満そうなアルルゥであったが、仗助の口調、仕草、そして周りにあるオーラを感じて何も言えなくなった。 リーゼントの上部が剥がれて天を突く。 唇は噛み締められすぎて痛々しい色に変色した。 目は見開かれたかと思いきやきつく閉じられるという運動を短いスパンで連続する。 今の仗助は爆発寸前。 いや、もう起爆スイッチは入っているはずだ。 アルルゥが怖がるといけないから。その理由だけが仗助に理性を保たせていた。 おい、あのクサレ外道は何をやってやがる? 自分の復讐の為に? 失った信頼を取り戻すために? ふざけるんじゃねぇ! 吐き気をもよおす『邪悪』とはなッ、なにも知らぬ無垢なる者を利用する事だ……!! 自分の都合だけのために利用する事だ……あのクサレ外道がなにも知らぬ『家族』を!! てめーだけの都合でッ! ゆるさねえッ! テメーは今 再び オレを怒らせたッ! 俺はこんなふざけたゲームにゃぜってー乗らねぇぞ! 力が足りない奴がいたら力を貸して、命が足りねぇ奴には俺のスタンドで生命を注ぐ! ギラーミン! もう一度言うぜ! オメーの企みは警察や法律じゃあ裁けねぇだろうよ……だからこそ俺たちが裁いてやらぁ!! ★ ☆ ★ 「おにーちゃん?」 「あぁ、もう大丈夫だぜアルルゥ。心配かけちまったな」 押し黙ってしまい、急に全身を痙攣させた仗助を心配して声をかけたアルルゥ。 仗助もアルルゥの言葉で我に返ったらしい。 次の言葉を紡ごうとした瞬間にアルルゥの視点が一気に高くなった。 「お~」 「どうだ? アルルゥ」 アルルゥが仗助の肩の上に座る、所謂肩車。 急に高くなった世界に嬉々とはしゃぐアルルゥ。 「ん~と、おとーさんよりたかい?」 「そっかお父さんは俺より小さいか~」 嬉しそうに、しかしどこかに寂しさが入った声でアルルゥを担ぐ。 願わくばこの子の家族が皆無事でいますようにと祈りながら。 しかし、センチな思考は何処かへと吹き飛んでいってしまった。 仗助にとっては命に関わる危険。 ヤバイ。脳裏に警報が過った時には既に遅かった。 頭から信号が送られてくる。 (アル……ル…ゥ) 真っ白になってゆく意識の中で彼は幼子の名前を呼んだ。 自分の肩の上にいる幼女の名を。 「俺のリーゼントに触るんじゃねぇーーー!!」 そして仗助は自分の頭の上にいる幼女を下に下ろそうと躍起になる。 が、そう簡単にアルルゥは仗助の髪を放してはくれない。 「イタタタ、マジで止めろって。な?」 「や」 「本当に洒落になんねぇからよ。ほら、悪戯もいい加減にしねぇと怒るぞ?」 そうこういって数分間の格闘の末、疲れきったアルルゥが諦めた事によって事態は収束した。 ちなみにアルルゥ曰く、仗助のリーゼントは意外とフワフワして柔らかかったらしい。 辺りに警戒しつつも木にもたれかかって髪型を手櫛で整える仗助。 最初は手から感じる歪になった誇りに泣きそうになったが、相手は幼子。 怒りは喪失感となって仗助にやってきて彼は完全に意気消沈している。 ちなみに元凶のアルルゥとはいうと? 「んふ~」 2つ目のおはぎをご賞味なさっていた。 しかし、半分ほど食べたところでアルルゥの表情が変わる。 美味しいお菓子を頬張っていた至福の笑みから今にも泣きそうな顔へ。 一気にテンションを元通りに復元して、アルルゥへ近寄る仗助。 彼は見た。 吐き出されたおはぎの中に混ざる裁縫針を。 よくよく見たら、餅の白の中に血の朱が混じっていた。 犯人は? 言うまでもなかろう。ギラーミン以外に誰がいるというのだ? (卑怯な真似しやがってあの野郎) 何度目か分からないギラーミンへの怒りを感じたが、今はそれどころではない。 恐らく針の先端で口を裂いてしまったのだろう。 形のいい唇に少量の血液が流れる。 「おにーちゃん……」 涙目で訴えかけるアルルゥを仗助はそっと抱きしめる。 安心させるため、これから何を見ても不安がらないように。 「アルルゥ。その怪我を治してやるからちょっと目を閉じて口を開けてくれないか?」 「わかった」 そういって言われた通り大きく口を空けて目を閉じるアルルゥ。 仗助はその小さな口にクレイジーDの指を突っ込んで患部に触れる。 「?」 急に口内の痛みが引いた事に驚くアルルゥ。 姉、エルルゥの薬でもこんなに早く痛みが引くわけが無い。 もう目を開けていいぜという仗助の言葉に従って、瞼を持ち上げた後に、舌で口内を探る。 無い。 血の味がチョットだけ残っていたが、肝心の傷跡が無いのだ。 「おにーちゃんは何やったの?」 「ん? それは秘密だぜ」 訝しげな表情をするアルルゥを誤魔化すために仗助はずっと乾いた笑いをしていた。 ★ ☆ ★ 彼は森を歩いていた。 自身の正義から外れた男、ギラーミンをどのように断罪するかを考えて。 男は見た、男が幼女の口に異形の指を突っこんでいる場面を。 男にはその異形に見覚えがあった。 銀と青を基調とした制服の男はアルター使い。名は劉鳳。 彼の目には治療をする仗助の姿は、アルターで幼女を襲う卑劣漢としてしか映らない。 そして彼は飛び出した。 一瞬出るのが遅かったら二人の出会いは変わっていたのかもしれない。 昼間で、傷が治った後のアルルゥと仗助の姿をハッキリと見たら二人の出会いは変わっていたのかもしれない。 しかし、勘違いが産んだ悲劇は既に幕を空けた。 舞台に立つのは心優しき少年と無垢な少女、そして正義に縛られた哀れな男。 劉鳳は運命の一言を告げた。 「そこのふざけた髪型をした男! 正義の名の元に貴様を断罪する!」 「俺の髪型が何だって!? もう一度言ってみな!!」 ★ ☆ ★ 【H-8/森/一日目深夜】 【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:健康、激しい怒り [装備]:なし [道具]:支給品一式、不明支給品(0~2) [思考・状況] 1:俺の髪型がサザエさんみて~だと? 2:ギラーミンを倒し、ゲームから脱出する 3:うたわれ勢や康一と合流する 4:アルルゥと行動する ※アルルゥからうたわれ勢の名前を聞きました 【アルルゥ@うたわれるもの】 [状態]:健康 [装備]:おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式、不明支給品(1~3) [思考・状況] 1:ん? 2:ハクオロ達に会いたい 3:仗助と行動する ※おはぎは仗助の支給品です ギラーミン「いや…その針は特に意味がねえ、ただの悪意よ」 ※ココが殺し合いの場であることをイマイチ理解してません 【劉鳳@スクライド】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:支給品一式、不明支給品(1~3) [思考・状況] 1:そこのふざけた奴(仗助)を断罪する 2:ゲームから脱出する 3:カズマ達についてはとりあえず保留 時系列順で読む Back divided by three Next 自然に満ちた人形劇 投下順で読む Back ニコラス・D・ウルフウッドの受難 Next 笑顔 GAME START 劉鳳 正義-Justice- GAME START 東方仗助 正義-Justice- GAME START アルルゥ 正義-Justice-
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/34.html
幼女の奇妙な冒険~ファントムリーゼント~ ◆uStZkrHCmI 畜生! 畜生! なんで俺は動かなかったんだ!? 首が飛んだ女の人も、撃ち殺された奴も俺が動いていたら救えたかもしれないのに。 ……何がクレイジーDだ、何がこの世で最も優しい能力だ。 結局はこの首輪が怖くって何も出来なかったビビリ野郎じゃねーか! 先刻の事を思い出した少年『東方仗助』は俯いた顔に暗い表情を貼り付けていた。 生命力に溢れているはずの体からは完全に力が抜け、チャームポイントのリーゼントも心なしか垂れたように見える。 心優しきが故にのしかかる重圧。 死ぬ覚悟さえあれば自分は先ほどの二人を救えたのではないか? 後悔、懺悔、怒り 複雑にミックスされた感情の渦は仗助の心を呑み込もうと襲来してきた。 が、彼は潰れたりしない。 金剛石のような強さと輝き、そして気高さを持つ魂がここで諦める事を拒むのだ。 「そうだ……そうだよな…。俺がここでクヨクヨしてる場合じゃねぇんだ」 ずっと泥を眺めていた視線が徐々に上へと運ばれてゆき、ついにその両目が前を見据えた。 学ランから覗く両手をグッと握り締めて拳を作り出す。 スッ 彼の半身『クレイジー・ダイヤモンド』の腕が音も立てずに仗助の腕から生まれ、分離してゆく。 そして、脱皮するように頭、胸、腰と順にヴィジョンが発生しては彼の肉体から離れていった。 プツンと切れるようにつま先が仗助から抜け出して、クレイジーDの容貌が明らかとなる。 180cmはある仗助よりも更に巨大な体躯。 鋼と呼ぶにふさわしい、高密度でありながらも盛り上がりを隠し切れない筋肉。 所々にハートを模った鎧を着たその姿は例えるなら闘士。 そしてそのスタンドが非常に様になるポーズで拳を構えて――― 「ドラララララララララララララララアアッッ!」 聞く物全てを怯ませる咆哮と共に拳の弾幕を放った。 砕かれ、削られてゆく木、岩、土。 拳が一発当たる毎に原型から姿を変え行く景色。 360°回りながら放たれたラッシュが止まったとき、仗助の半径5メートルからはありとあらゆるものが存在しなくなっていた。 「よっし! このくれーでいいかな?」 破壊しつくされた景色を満足気に見つめる仗助。 「助けられなくて本当にすまねぇ……。 お詫びって言うのもなんか違うけどよ、墓を作るから今の所はこれで勘弁してくれ」 その言葉を言い終わるか言い終わらないかの間に砕かれた岩や木、そして土が宙を舞う。 茶色や灰色といった飛礫のコンラスト決して美しい物ではない。 しかし、一点を目指して飛ぶそれらの姿は散った二人の魂のようで、欠片から生まれた十字架には魂が篭っている様に思われた。 「あんた達が何教徒だか分からないから一応十字架を立てておいたぜ。 大丈夫、あんた達の仲間を見つけたら後でキッチリ直しに来るからよ」 完成した十字架に手を合わせた後、支給品のペットボトルから水を半分ほど十字架にかける仗助。 そして再び手を合わせた後、自分の身長よりふた周りは大きいであろうそれに背を向けて仗助は去っていった。 ★ ☆ ★ さて……この状況をなんと言えばいい? 承太郎さん風に言えば非常にへヴィって奴だぜこれは。 まさかこの殺し合いの場にこんな強敵がいるとは思わなかったぜ。 流石の俺もこんな奴に勝てるわけがねぇ…… さて、これから俺はどう対処するべきだ? アイヌ風の服を着た獣耳の幼女によぉ~。 先ほどから無言で仗助を見つめるアルルゥ。 仗助の方からは何度もコンタクトを取ろうと図ったはずなのだ。 だが、そのどの質問にもアルルゥは答えようとしない。 物珍しそうな顔でボーっと仗助を眺めているだけ。 幼女相手に顔を真っ赤にするほど気が短いわけではない そうなのだがやはり無視されるのは腹が立つわけで。 腹が立てば、ムキになりやすい性格の彼は何とかして気を引こうと必死になるわけで。 だけど自分のスタンドを軽々と出すほど仗助の頭はマヌケではないわけで。 結局、彼は自分のディバッグから支給品を漁る事となった。 「さぁて、な・に・が・で・る・の・か・な・っ・と」 彼の手が触りなれた感触―プラスチック―の手触りを感じた。 形状は恐らくは箱。 更に中身を確かめるように軽く指を中へと入れる。 「あれ?」 指に感じるのは冷たく、ベタッとした何か。 危険を感じて即座に指を抜き出す。 付着した黒い何かの正体はすぐに分かることとなった。 ……ビンゴッ! 黒い何かの中にあるのは黒い豆。 仗助が知る限りはその豆が使用されるのは食べ物だと確定されている。 子供ならお菓子か何かで釣れるだろう。 ニヤニヤとPTAがその場にいたら即刻通報物の笑みを顔に貼り付けて袋の端を掴んだ仗助。 「きたぜ!君に決めたッ!!」 おどけた調子で思いっきり箱をディバッグから引きずり出す。 でてきたものは―――おはぎの入ったタッパ。 なにゆえおはぎが出る?…… そんな疑問を余裕でぶっちぎるほどの歓喜が仗助の胸に押し寄せる。 露伴にイカサマで一杯食わせた時よりもスッキリしたかもしれない。 さぁ、反応を示すのだ幼女よ。 仗助の頭に浮かぶ思考は只それだけであった。 「んん?」 初めてアルルゥが反応を示した。 「これはな、おはぎっていうとっても美味しいお菓子なんだ」 美味しいお菓子。 その一言だけでアルルゥの視線はおはぎに釘付けだ。 目はキラキラと輝き、口端が微妙に濡れだしたのを仗助は見逃さない。 「いや~本当においしいんだよな~俺も食べたいな~」 いやらしい口調でアルルゥを挑発する仗助。 しかし、よくよく見ると既に彼女の視線はおはぎから外れていた。 ……いや、正確に言うと、おはぎとその上を交互している。 おはぎの上にあるのは仗助の顔。 そして更にその上にあるのは大きく前に突き出した髪の毛。 「なぁ、もしかしてお前俺のリーゼントが気になってたのか?」 頭を指差しつつアルルゥへと話しかけた仗助。 「ん!」 表情をあまり変化させないまま頷いたアルルゥに思わず苦笑いが零れた。 杜王町では既に誰も気にしなくなってたのだが、ここはそうではない。 殆どが見知らぬ参加者なのだからリーゼントを見たら表面上はどうであれ内心驚くだろう。 アルルゥの場合は子供だから好奇心丸出しだっただけ。 その事に気が付かない自分が何となく恥ずかしくて少し笑ってしまう。 「ほら、意地悪して悪かったな」 少し身を屈めておはぎをアルルゥへと手渡した。 おずおずと仗助の手からおはぎを受け取ってアルルゥは問う。 「もらっていーの?」 「あぁ、俺からのプレゼントだ。ところでお前なんて名前なんだ?」 「アルルゥ!」 仗助から受け取ったおはぎを掴んで、掌に付く餡子も気にせずに大きく口を開けておはぎをほお張る。 アルルゥの目が大きく見開かれて、尻尾がぶんぶんと振り回された。 (おいしそうに食べる子だな) もぐもぐと咀嚼するアルルゥの様子を仗助は微笑ましそうに眺めた。 そして、アルルゥの喉がゴクリと鳴って、記念すべき奇跡的御萩初体験は終わりを告げる。 「どうだ? おいしかっただろ?」 「ん!」 「そうか、そりゃよかった。そういえば自己紹介が遅れたな。 俺は東方仗助。呼び方は……まぁ好きなように呼んでくr「「仗助おにーちゃん」」おにーちゃん!!?」 「ん、仗助おにーちゃん」 「あのよぅ、お兄ちゃんはちょっと勘弁してくれないか?」 「や」 周りは皆野郎。 もてるとは言っても意外と純情派で彼女いない歴=年齢。 その上不良もやっている彼からしたら『おにーちゃん』という呼ばれ方は耐えがたかった。 実際、顔を真っ赤にしてなんとかアルルゥを説得しようとあれこれ言い続けている。 が、アルルゥは頑なに意見を曲げようとはせずに、結局仗助が根負けして『おにーちゃん』と呼ばれることを否定しなくなった。 「はぁ~億泰とか露伴に聞かれた日にゃ自殺もんだぜこれは」 「おくやす?」 「あぁ、元の世界での俺の友人だ。こっちの方には康一って奴だけが呼ばれたみてーだけどよ」 多少忌々しげな声を出しそうになったものの、アルルゥを怖がらせてはいけないと思い極力声を抑える仗助。 だが次の瞬間、彼は溢れる感情を抑えることが出来なくなった。 アルルゥの言った残酷すぎる現実に。 「アルルゥのおとーさんとおねーちゃん、カルラおねーちゃんにトウカおねーちゃんもいた。あとは―――」 この場が殺し合いの場あることを分かっていないのか、アルルゥは嬉々として家族達の名前を語りだす。 幸せそうな語り口で優しい父や姉の事を話すアルルゥを仗助の手が遮った。 「もういい」 そう言った仗助の体は小刻みに振動して、内から溢れる感情を発散しようと必死になる。 話を遮られたことで不満そうなアルルゥであったが、仗助の口調、仕草、そして周りにあるオーラを感じて何も言えなくなった。 リーゼントの上部が剥がれて天を突く。 唇は噛み締められすぎて痛々しい色に変色した。 目は見開かれたかと思いきやきつく閉じられるという運動を短いスパンで連続する。 今の仗助は爆発寸前。 いや、もう起爆スイッチは入っているはずだ。 アルルゥが怖がるといけないから。その理由だけが仗助に理性を保たせていた。 おい、あのクサレ外道は何をやってやがる? 自分の復讐の為に? 失った信頼を取り戻すために? ふざけるんじゃねぇ! 吐き気をもよおす『邪悪』とはなッ、なにも知らぬ無垢なる者を利用する事だ……!! 自分の都合だけのために利用する事だ……あのクサレ外道がなにも知らぬ『家族』を!! てめーだけの都合でッ! ゆるさねえッ! テメーは今 再び オレを怒らせたッ! 俺はこんなふざけたゲームにゃぜってー乗らねぇぞ! 力が足りない奴がいたら力を貸して、命が足りねぇ奴には俺のスタンドで生命を注ぐ! ギラーミン! もう一度言うぜ! オメーの企みは警察や法律じゃあ裁けねぇだろうよ……だからこそ俺たちが裁いてやらぁ!! ★ ☆ ★ 「おにーちゃん?」 「あぁ、もう大丈夫だぜアルルゥ。心配かけちまったな」 押し黙ってしまい、急に全身を痙攣させた仗助を心配して声をかけたアルルゥ。 仗助もアルルゥの言葉で我に返ったらしい。 次の言葉を紡ごうとした瞬間にアルルゥの視点が一気に高くなった。 「お~」 「どうだ? アルルゥ」 アルルゥが仗助の肩の上に座る、所謂肩車。 急に高くなった世界に嬉々とはしゃぐアルルゥ。 「ん~と、おとーさんよりたかい?」 「そっかお父さんは俺より小さいか~」 嬉しそうに、しかしどこかに寂しさが入った声でアルルゥを担ぐ。 願わくばこの子の家族が皆無事でいますようにと祈りながら。 しかし、センチな思考は何処かへと吹き飛んでいってしまった。 仗助にとっては命に関わる危険。 ヤバイ。脳裏に警報が過った時には既に遅かった。 頭から信号が送られてくる。 (アル……ル…ゥ) 真っ白になってゆく意識の中で彼は幼子の名前を呼んだ。 自分の肩の上にいる幼女の名を。 「俺のリーゼントに触るんじゃねぇーーー!!」 そして仗助は自分の頭の上にいる幼女を下に下ろそうと躍起になる。 が、そう簡単にアルルゥは仗助の髪を放してはくれない。 「イタタタ、マジで止めろって。な?」 「や」 「本当に洒落になんねぇからよ。ほら、悪戯もいい加減にしねぇと怒るぞ?」 そうこういって数分間の格闘の末、疲れきったアルルゥが諦めた事によって事態は収束した。 ちなみにアルルゥ曰く、仗助のリーゼントは意外とフワフワして柔らかかったらしい。 辺りに警戒しつつも木にもたれかかって髪型を手櫛で整える仗助。 最初は手から感じる歪になった誇りに泣きそうになったが、相手は幼子。 怒りは喪失感となって仗助にやってきて彼は完全に意気消沈している。 ちなみに元凶のアルルゥとはいうと? 「んふ~」 2つ目のおはぎをご賞味なさっていた。 しかし、半分ほど食べたところでアルルゥの表情が変わる。 美味しいお菓子を頬張っていた至福の笑みから今にも泣きそうな顔へ。 一気にテンションを元通りに復元して、アルルゥへ近寄る仗助。 彼は見た。 吐き出されたおはぎの中に混ざる裁縫針を。 よくよく見たら、餅の白の中に血の朱が混じっていた。 犯人は? 言うまでもなかろう。ギラーミン以外に誰がいるというのだ? (卑怯な真似しやがってあの野郎) 何度目か分からないギラーミンへの怒りを感じたが、今はそれどころではない。 恐らく針の先端で口を裂いてしまったのだろう。 形のいい唇に少量の血液が流れる。 「おにーちゃん……」 涙目で訴えかけるアルルゥを仗助はそっと抱きしめる。 安心させるため、これから何を見ても不安がらないように。 「アルルゥ。その怪我を治してやるからちょっと目を閉じて口を開けてくれないか?」 「わかった」 そういって言われた通り大きく口を空けて目を閉じるアルルゥ。 仗助はその小さな口にクレイジーDの指を突っ込んで患部に触れる。 「?」 急に口内の痛みが引いた事に驚くアルルゥ。 姉、エルルゥの薬でもこんなに早く痛みが引くわけが無い。 もう目を開けていいぜという仗助の言葉に従って、瞼を持ち上げた後に、舌で口内を探る。 無い。 血の味がチョットだけ残っていたが、肝心の傷跡が無いのだ。 「おにーちゃんは何やったの?」 「ん? それは秘密だぜ」 訝しげな表情をするアルルゥを誤魔化すために仗助はずっと乾いた笑いをしていた。 ★ ☆ ★ 彼は森を歩いていた。 自身の正義から外れた男、ギラーミンをどのように断罪するかを考えて。 男は見た、男が幼女の口に異形の指を突っこんでいる場面を。 男にはその異形に見覚えがあった。 銀と青を基調とした制服の男はアルター使い。名は劉鳳。 彼の目には治療をする仗助の姿は、アルターで幼女を襲う卑劣漢としてしか映らない。 そして彼は飛び出した。 一瞬出るのが遅かったら二人の出会いは変わっていたのかもしれない。 昼間で、傷が治った後のアルルゥと仗助の姿をハッキリと見たら二人の出会いは変わっていたのかもしれない。 しかし、勘違いが産んだ悲劇は既に幕を空けた。 舞台に立つのは心優しき少年と無垢な少女、そして正義に縛られた哀れな男。 劉鳳は運命の一言を告げた。 「そこのふざけた髪型をした男! 正義の名の元に貴様を断罪する!」 「俺の髪型が何だって!? もう一度言ってみな!!」 ★ ☆ ★ 【H-8/森/一日目深夜】 【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:健康、激しい怒り [装備]:なし [道具]:支給品一式、不明支給品(0~2) [思考・状況] 1:俺の髪型がサザエさんみて~だと? 2:ギラーミンを倒し、ゲームから脱出する 3:うたわれ勢や康一と合流する 4:アルルゥと行動する ※アルルゥからうたわれ勢の名前を聞きました 【アルルゥ@うたわれるもの】 [状態]:健康 [装備]:おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式、不明支給品(1~3) [思考・状況] 1:ん? 2:ハクオロ達に会いたい 3:仗助と行動する ※おはぎは仗助の支給品です ギラーミン「いや…その針は特に意味がねえ、ただの悪意よ」 ※ココが殺し合いの場であることをイマイチ理解してません 【劉鳳@スクライド】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:支給品一式、不明支給品(1~3) [思考・状況] 1:そこのふざけた奴(仗助)を断罪する 2:ゲームから脱出する 3:カズマ達についてはとりあえず保留 時系列順で読む Back divided by three Next 自然に満ちた人形劇 投下順で読む Back ニコラス・D・ウルフウッドの受難 Next 笑顔 Back Next GAME START 劉鳳 正義-Justice- GAME START 東方仗助 正義-Justice- GAME START アルルゥ 正義-Justice-
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1719.html
第16話 復讐者~ギーシュ~ あの事件から1週間が過ぎた。 ギーシュは授業にも出ず、ましてやルイズや仗助の前に現れる事は無かった。 周りの方も、事の顛末を見ていた者も多く、ギーシュの自業自得と思うか、仗助の背から揺らめく人型、クレイジー・ダイヤモンドが一瞬見えた事や、純粋にあの一撃に恐れを覚えたらしく、ちょっかいを出す者は皆無であった。 今日もまた、皆が一同食堂に会し朝食をとる。平民としては破格の待遇を約束されている仗助も、ルイズの隣で食事中だ。流石にあの貴族達のハイカロリーメニューはキツいので、トニオ手製の軽めのラインナップではあるが、味は全くもって申し分無い物だった。 ・・ざわ・・・ざわ・・・・ その時突然、食堂内にざわめきにが起こる。その中心、皆の視線の先にはあのギーシュ・ド・グラモン。傷は完治したのか顔には痕一つ無い。 「ギーシュ・・・・・・」 ルイズの顔が青くなる。仗助は彼を殴ったのだ。何を言われるか分かったものではない。 無論、家の力はルイズの方が圧倒的だが、仗助は人間とは言え、ルイズの中では自分の下僕たる使い魔、との認識であり、たかが平民の使い魔の為に御家騒動に出来るわけもないと思っていた。 とは言ったものの、オスマンが仗助とトニオの後見人になっておりある程度の客人待遇になっている事でそんなことにはならないのであるが、ルイズは気付いていない。 ゆっくりと、そしてしっかりとした足取りで近付いてくるギーシュ。やがて、仗助の前で立ち止まり、 「決闘だ、平民」 静かに言い放った。 「ちょっとギーシュ・・・・」 ルイズが抗議するも 「ルイズ、まさか平民を庇って、彼の行いを正当化するつもりかい?」 こう言われてはぐうの音も出ない。こういう展開になるのが嫌だったのだ。 「ったくよォーーー人の事平民平民言いやがってよォーー、『アンシャン・レジーム』って言ったっけか?ガッコの授業でよォーーー。俺は経済大国日本人だっつの。基本的人権尊重に反してんじゃあねぇーのかァーー?」 なんだかギーシュを見てからどんどんと機嫌が悪くなっている仗助である。 「何をぶつぶつと・・・勿論、受けてくれるんだろうね?」 邪悪な笑みを浮かべて問う。そこに一種のキナ臭さを感じた仗助だったが、後に引く気も無かった。 「いいゼェーーー。頭を馬鹿にしやがったオメーからなら遠慮なく買うっすよォ~~」 既に仗助、臨戦態勢。 「そんなみっともなくいきり立たないでくれたまえ。・・・昼食後、ヴェストリの広場で待っている。逃げるなよ?」 そう言い残し、身を翻し去っていくギーシュ。依然としてざわめきは大きくなるばかり。 モンモランシーは不安そうに見ていた。邪悪な笑みに固まったギーシュの顔に・・・・・ 「ジョースケさん・・・・」昼、約束の時間の少し前。仗助は厨房に呼ばれ、マルトーから豪華な食事を振る舞われていた。 そんな中、シエスタは不安そうに仗助を見詰めていた。 「貴族の方を怒らせてしまったら・・・・殺されちゃう」 しかし、虚しくもその呟きは喧騒の中に消える。 「おう!我らの拳よ!喧嘩前の食事だ!沢山食え!」 「何スかァ~?マルトーさん、我らの拳ってよォー」 やたらと鼓舞、というかここまでくるともはや煽っているのでは?と思える状態のマルトーが豪快に笑う。 「お前さんはあのクソ生意気な貴族のガキに一発喰らわしてやった。俺たちゃぁ立場上マトモに逆らえねーからよ、一撃でのしたってのは痛快愉快なのさ!はははははは!!!だがら『我らの拳』だ!」 成る程、人型スタンド使いは時たま、スタンドと同じ様なモーションをするときがある。彼らからしてみれば仗助が直接殴った様に見えたのだろう。実際、仗助も直接殴っていたから事実ではある。 「お前さんは敗けやしねぇ。何となくだがそう感じるんだ!まぁ、負けてもらっても困るがよ!!」 料理人達が一斉に笑う。その様子に仗助は「ちょっとばかし強めにボコッてもいいんじゃあねーか?」と感じた。 「仗助サン」 そこにトニオが大鍋を持って現れる。 「昨日から仕込んでいたスープデス。皆サンで食べテもらおうト思ッテタンデスガ、丁度イイ時に出せマシタ!」 ぞろぞろと皿に盛って食べ始める皆。 「グレート!何時もながらトニオさんの料理は最高だゼェ!」 他の者も各々に、旨い等と口にする。 「余りケンカは好キじゃあアリマセンが、彼は態度が悪スギマス!イタリア人ナラッ!女性をアノ様に悲しまセル真似はしまセンよ?」 皆の激励を一身に受け、満腹の仗助は席を立つ。 「そんじゃ、行ってくるッス」 やけにデカイ声援に送られ、約束のヴェストリの広場へと仗助は赴くのだった・・・・・ 魔法学院内、風と火の塔の間にある中庭。それがヴェストリの広場。 「諸君、決闘だ!」 声高々に叫ぶギーシュ。しかし見物人は多いこそすれ、歓声を上げるのは半分。 残りはあの現場を目撃し、仗助を恐れているか、興味を持っている、若しくはギーシュがぶちのめされる光景が見たい連中だ。 やれ先住魔法だの霊を操る禁呪だの囁かれているが、仗助には何の事かサッパリだった。 「よく逃げないで来たね。誉めてあげるよ」 相変わらず邪悪な笑みを崩さないギーシュ。 「御託はいいからよォーさっさと始めようゼ」 「ふん!その余裕もここまでさ。では始めよう!」 開始宣言と共に手にしたバラの花を振るうギーシュ。宙に舞った一枚の花弁は 「グレート。ゴーレムって奴か」 ・・・甲冑を着込んだ女戦士の姿になった。 「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。君の相手はこの『ワルキューレ』がするよ。メイジが魔法を使うのに文句はないだろう?」 RPGもよくやる仗助には然程驚くものでもなかった。それに、遠隔操作型スタンドだと思えばますます彼にとっては馴染みのあるものの様に見えた 「ワルキューレ・・・ヴァルキリーか。こないだやったプレステのゲーム思い出しちまうじゃあねェーかよォーーー」 さっさと順応したとは言え、元の世界が恋しいのは変わらない。ワルキューレの登場はむしろ仗助を少しプッツンさせる結果となった。 「行けェ!ワルキューレ!」 「クレイジー・ダイヤモンドッ!」 己がスタンドを出す仗助。その瞬間やはりざわめきが起こるが戦闘中の二人には関係が無かった。 「ドラァッ!!」 難なくワルキューレを打ち砕く仗助。 ギーシュは一瞬眉を潜めたが、妙な力を持っているとは聞いていたので動揺はしなかった。 ニヤリ・・・・ いやッ!この男ッ!笑っているッ! 「そろそろか・・・・」 遮るものが無くなった仗助が一直線に向かってくる。クレイジー・ダイヤモンドを背に。 「フルボッコにしてやんゼェーーー!!」 誰もが迎撃は間に合わないと確信していた・・・・・ 「グァァァァァァァッ!!いてェーーーーッ!!!」・・・・しかし、それは仗助が苦しみもがいて倒れるという現実に覆された・・・・ To Be Continued・・・・・⇒
https://w.atwiki.jp/bizarre/pages/295.html
一緒に行動中◎ 遭遇アリ○ △名前は知ってる 遭遇なし× ※上の記号は現在の生存者に対してのみです。 現在調整中。ちょっと不確かな所があるので注意。 \ 1部のキャラ 2部のキャラ 3部のキャラ 4部のキャラ 5部のキャラ 6部のキャラ ダイアー × × ○アブドゥル × × × ジョージ △ダイアー × ○承太郎○アブドゥル ◎仗助◎ミキタカ ◎ナランチャ◎ブチャラティ ◎エルメェス シーザー × △ワムウ × △東方仗助 × × 空条承太郎 ○ダイアー○ジョージ × ○アブドゥル × ○ナランチャ△ブチャラティ × アブドゥル ○ジョージ○ダイアー × ○承太郎 × × × 東方仗助 ◎ジョージ△ダイアー ○ワムウ△シーザー △承太郎△ポルナレフ ◎ミキタカ ◎ナランチャ◎ブチャラティ ◎エルメェス ヌ・ミキタカゾ・ンシ ◎ジョージ△ダイアー ○ワムウ △承太郎△ポルナレフ ◎仗助 ◎ブチャラティ◎ナランチャ ◎エルメェス ブチャラティ ◎ジョージ△ダイアー ○ワムウ △承太郎△ポルナレフ ◎仗助◎ミキタカ ◎ナランチャ ◎エルメェス ナランチャ ◎ジョージ△ダイアー × ○承太郎○アブドゥル ◎仗助◎ミキタカ ◎ブチャラティ ◎エルメェス エルメェス ◎ジョージ△ダイアー × △承太郎△ポルナレフ ◎仗助◎ミキタカ ◎ブチャラティ◎ナランチャ ×
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/14.html
ジョジョソン第4部リスト 岸辺露伴、吉良吉影、4部総合、川尻親子、杉本鈴美を別ページにしました。 ■071003 杜王イレブン歌ってみたbyおぐ、文字と重力の悪魔 ジョジョ4部 ■070924 ┗Love me (由花子) 歌わせていただきました、Everything 【ジョジョ4部 作って歌ってみた】 ┗『杜の詩』(ジョジョ) 歌ってみた、露伴3つ、鈴美1つ、吉良1つ Vocal off 4部総合 東方仗助 『杜の詩』作ってみた(ジョジョ) 『杜の詩』カラオケver(ジョジョ) ドララの呪文~ジョジョ4部 (多分)仗助替え歌 作ってみた~ My first huntin ~ジョジョ4部 仗助替え歌 作ってみた~ 杜王・イレブン ~ジョジョ4部 仗助替え歌 作ってみた~ 岸辺露伴が騙せない ~ジョジョ4部 仗助替え歌 作ってみた~ 東方仗助、虹村億泰 ふたりはジョジョキュア 仗助と億泰 【ふたりはジョジョキュア】歌詞をフルで作ってみた 仗助&億泰なら大丈夫(ジョジョ) 東方仗助、空条承太郎 【ジョジョ四部】ハンティングソング(歌詞のみ) 岸辺露伴 吉良吉影 川尻親子 杉本鈴美 山岸由花子 Love me(4部 由花子)+おまけ 歌ってみて デラックス・キッス~ジョジョ4部 由花子替え歌 作ってみた~ 支倉 未起隆(ヌ・ミキタカゾ・ンシ) ジョジョ4部☆カッワーレ→エイリアンミキタカ(歌詞のみです) 静・ジョースター 透明赤ちゃん~ジョジョ4部 静・ジョースター替え歌 作ってみた~ 噴上裕也 ただの裕也伝説 ~ジョジョ4部 噴上替え歌 作ってみた~ Vocal on 4部総合 東方仗助 ジョジョ四部【ツッパリHigh School 杜王町】作って歌ってみた ドララの呪文 をどうしても歌いたくって歌ってしまった。 『杜の詩』(ジョジョ) 歌ってみた 杜王イレブン歌ってみたbyおぐ 東方仗助・虹村億泰 ジョジョキュア 歌ってみた(ソロ) 東方仗助、空条承太郎 【ジョジョ四部】ハンティングソング~女が作って歌ってみた 岸辺露伴 吉良吉影 川尻親子 広瀬康一 ECHOES?/広瀬康一(ジョジョ+ハルヒ 替え歌) 文字と重力の悪魔 ジョジョ4部 山岸由花子 純愛でしょでしょ?~山岸由花子はシンデレラに憧れる~ 「山岸由花子のシンデレラ」ジョジョ4部偽キャラソン~ vol.2 山岸由花子のシンデレラ オフボで再録に挑んでみました。 デラックス・キッス 挑んでみました。 Love me 挑んでみました。 Love me (由花子) 歌わせていただきました Everything 【ジョジョ4部 作って歌ってみた】 杉本鈴美 トニオ トッニーオ↓スペクタクル (ジョジョ ハルヒ) 音石明 元祖音石明伝説 鋼田一豊大 God knows..ver.鉄塔男 作って歌ってみたお 辻彩 キューティーツジー リズム感無いやつが歌ってみた
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/61.html
正義-Justice- ◆YhwgnUsKHs 暗闇の場(フィールド)に落ちた2人。 少女の涙をきっかけに相対する2人。 自らの魂の髪の否定を嫌う東方仗助。 仗助を悪と断ずるホーリー隊員劉鳳。 互いに譲れぬ正義は、戦いの中でしか和解を許さないのか 全ての真実は、影と金剛石の中に。 ***** 「誰の髪型がサザエさんみたいだこらぁぁぁぁぁぁ!」 「この毒虫がぁぁぁぁぁ!!」 ありったけの怒りに満ちた叫び声が森に響く。 叫ぶのは、相対する2人の男。 2人は互いに地を駆け、勢いよく互いに走り近づいていく。 まるで磁石のS極とN極のように。 1人は、東方仗助。 自身の髪であるリーゼントに並々ならぬ情熱を傾ける男。 それは過去に見たある憧れの人物がリーゼントだったから。彼にとって、その髪型は憧れ、尊敬する男の象徴と言っても過言ではなかった。 だから、彼は髪型への愚弄を許さない。 愚弄には全力の怒りで応える。それが彼の流儀。 もう1人は、劉鳳。 ホーリー隊員にして、正義を信じる男。 過去に謎のアルターによりあらゆるものを失った彼にとって、犯罪者や規律を破る者、他者を傷つける者は許せない存在。 彼はそれを毒虫と侮蔑する。 だから、彼は少女に乱暴を働いた男を許さない。 正義の名の下に、正義に反する毒虫には全力の制裁を。それが彼の流儀。 「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「絶影!」 拳を構え、猛然と駆けて来る仗助に、劉鳳は自分の『武器』の名を呼ぶことで応えた。 途端、劉鳳の周りの地面や木の一部が抉られたように削れて行く。 頭に血が上った仗助はそれを意に介さず、突っ込んでいく。 そしてその目の前に……『絶影』が現れた。 「!?」 小柄な、顔が半分隠れている人形のような、それ。 腕は出ておらず、直立不動で立つその背からは、2本のリボンのようなものが生えている。 それが、突然仗助の目の前に現れた。 頭に血が上った仗助もさすがにそれ、『絶影』には気付き、足を止めた。 だが、足を止めたのは驚いたからではない。 邪魔な絶影を、どかすためだ。 「クレイジーダイヤモンド!!」 劉鳳が自身の武器の名を叫び、顕現させたように、仗助もまた、同じように自身の武器の名を叫び、顕現させた。 仗助のすぐそばに現れた人型。 劉鳳と違い、周りの景色が砕ける事はなく、すぐに宙に現れたそれは、目の前の障害物に向かって、仗助自身の動きに合わせてその拳を放った。 「ドラァ!!」 仗介の叫びとともに、人型、『クレイジーダイヤモンド』の拳が目の前の絶影に向かう。その拳は速く、当たればかなりのダメージがあるだろう。 当たれば、だが。 「遅い!絶影!!」 クレイジーダイヤモンドの拳が絶影の顔面を直撃した――かに見えたが、それは残像。 絶影はクレイジーダイヤモンドの拳速を越えたスピードで移動したのだ。拳は空振りし、そして。 「っ!」 仗助の横に回りこんだ絶影の背のリボンのような2本の触鞭が、仗助に向かって高スピードで伸びる。その先は鋭利で当たればただではすまないだろう。 「くそっ!」 毒づいた仗助がとっさに首を捻り、同時にクレイジーダイヤモンドの拳で触鞭の一つを跳ね上げた。 そして、すぐに地を蹴り、絶影から距離をとる。 「はぁ……はぁ……」 (ちっ、ちょっと頭冷えたぜ、今のはよォ~) いきをつく仗助の左頬、そこには細い傷が残り、そこから血が少し流れ出していた。 攻撃直後の、しかも真横方向からの攻撃をクレイジーダイヤモンドでは一つしか跳ね上げる事が出来ず、もう一つの触鞭は首をひねてなんとかかわした。 まさに紙一重。それは頬の傷が証明している。 だが、その痛みが逆に頭に血が上った仗助を冷静にし、理性をいくらか取り戻させていた。 (あれは……康一のエコーズみてえに自分からやけに距離を離せるタイプのスタンドかよ。 それでいてスピードは速いってか……) 仗助は絶影をスタンドだと思っている。だが、実際は違う。 劉鳳の絶影はアルターといわれる能力であり、スタンドとは別である。 もっとも、それを仗助に察しろというのは難儀な話だが。 (……つーか、つい頭真っ白になっちまったが。 今のは俺が襲い掛かったってェことになっちまうのかなぁ……。 もしかして、あいつ別にやる気じゃないんじゃ……) 仗助も大分頭が冷えてきたのか、冷静に状況を観察してきていた。 よく考えれば、手を出したのは自分であり、もしかしたら相手は正当防衛をしただけかもしれない。 この殺し合いの状況、それはおかしくないと思えた。 仗助は相手に呼びかけてみることにした。 「なあ、あんた。ちょ」 っと話を聞いてくれ、といおうとしたところで。 「断罪しろ!絶影!!」 聞く耳持たないといわんばかりに、絶影が瞬時に仗助の前に現れ、触鞭を突き刺してきた。 「おい!ちょっ!おおおい!!!」 慌てて地面を蹴り、その辺に合った大岩の影に転がり込む仗助。 「なんだよあいつ! 話しようとしてる奴の話くらい聞けっての!」 もしかしたらあいつは本当に殺人者なんじゃないか、と仗助が考える暇もなく。 「逃がすか!」 劉鳳の声とともに、振り返った仗助の目の前に、触鞭が自分に向かって突っ込んでくるのが見えた。 (嘘だろっ……!? 岩に隠れて……!?) 仗助の目の前に飛び込んできたのは、岩の上辺りで、垂直に曲がった触鞭だった。 絶影は岩を越すように触鞭を伸ばし、途中で折り曲げて死角の仗助を狙ったのだ。 「曲がるのかよっ……!」 仗助が毒づき、再びかわす。 触鞭が地面に刺さり、勢いよく破片が散る。 「どれだけの勢いで刺してんだ!容赦なしかよっ!」 仗助は決めた。とても相手は話を聞くタイプではないらしい。 殺人者である可能性も充分ある。 なら、どうするべきか……彼にはもう、一つの結論しか見えていない。 「ぶっ飛ばすしか、ねえよなァ!」 ***** (あの男のアルター……どうやら近距離しか攻撃できん単細胞。 カズマと似ている……ふっ、やはり毒虫は似たタイプが多いらしい!) 劉鳳も仗助をアルター能力者と思い込んでいた。 互いに互いの認識では、異能力者がそれぞれしかいないのだから仕方ない事かもしれないが。 だが、劉鳳にとってはそんなことはどうでもいい。 相手がアルターを少女の口に手を突っ込むような悪漢であることには変わりないのだから。 岩を乗り越えた触鞭が地面に突き刺さった音がする。仕留める事はできなかったらしい。 (仕方ない、一旦引き戻し……!?) 次の攻撃にかかろうとした劉鳳の思考を遮ったのは、突然の叫び。 大きな、勢いのある、その叫びは-。 「ドララララララララララララララララララララララァァッ!!!!」 その声とともに、劉鳳が見据えた、相手が隠れた岩が、一瞬で砕け散った。 「なん、だと……!?」 仗助自身が隠れていた岩を吹き飛ばした物。 それは別に隠し持っていた武器でもなんでもない。 クレイジーダイヤモンドの拳だ。 ただし、それを近距離限定で連続でラッシュを繰り出す必殺の攻撃。 それを目の前の、自分より少し大きい岩に放った。ただそれだけ。 パワー型、単細胞と断じ、カズマを連想し繋げてしまったのが劉鳳の仇となった。 確かにカズマは一撃必殺、拳の一撃のスタイルで仗助と似ている。 だが、だからといって全く同じなどとは限らない話だった。 結果的に、相手の攻撃速度が予想外の事に驚愕する劉鳳。 僅かな硬直。だが、敵である男、仗助は、そんな隙も許さない。 「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」 砕け散った岩の破片、その中からクレイジーダイヤモンドを伴った仗助が猛スピードで突っ込んできた。 その先には……絶影が立っている。 (俺ではなく、絶影を一か八かで仕留めにきたか……! だが、やはり単細胞! 絶影のスピードなら、すぐ背後に回れる!) 「絶影!!」 劉鳳が絶影に指示し、仗助の背後へと高スピードで移動させる。 そして、後ろから触鞭で仗助を貫かせる。 はずだった。 「ドラァァァァァァ!!」 「なにぃぃっ!?」 劉鳳が驚愕の声を上げた。 その視線の先には……。 クレイジーダイヤモンドの拳を受け、宙を舞う絶影の姿があった。 「絶影!!」 絶影が地面に叩きつけられる。が、すぐに体勢を立て直す。 しかし、その顔面には痛々しい拳のあとが残っていた。 「バカな……何故、お前は絶影のスピードについてこれた……! なぜ、横を通る瞬間、貴様の拳が!」 さっき起こった事。 絶影が向かってくる仗助の横を高スピードで通り過ぎようとした瞬間、仗助が瞬時に拳を絶影に向けて放ち、喰らわせた。 それだけの話だった。 だが、それだけでも劉鳳には信じられない。確かにさっきまで、あの男は絶影のスピードについて来れなかったはずだからだ。 その問いに、仗助は不適な笑みで答える。 「聞きてえかァ?簡単な話だ。お前の絶影チャンのスピードが遅くなったから、だ」 「なんだと……!?」 それこそ劉鳳には信じられない話だ。 絶影のスピードが遅くなった。そんな馬鹿なことが……。 と、劉鳳は絶影の異変に気付いた。 体勢を立て直した絶影。だが、その触鞭が、さっき壊された岩の方に伸びたままになっている。 「何をしている絶影! ……なっ!」 その触鞭の先を見た劉鳳は、スピードの制限の理由がやっと分かった。 触鞭の先が、地面に吸い込まれたようになってしまっている。 突き刺さったまま動かない? 違う、その程度ならすぐに引き抜ける。 そんなレベルではない。あれは 「地面と……融合している…!?」 「俺のクレイジーダイヤモンド……能力は、殴ったものを直す。お前がさっき壊した地面の穴、そこをすぐに殴って直してやったのさ。 絶影チャンの一部を『巻き込んで』な。さっき、岩を殴るのと……同時によォ」 「同時……!?まさか!」 そう、さっきのラッシュ。 仗助の本当の目的は、岩を壊すことではなく、それにカモフラージュして地面に刺さった触鞭の穴付近の破片を殴って、触鞭を巻き込んで直す。 それにより、触鞭は地面に完全にくっ付いた状態になる。そんな状態で絶影が高スピードで動けばどうなるか。 体勢を崩し、スピードが低下する。仗助はそこを狙って拳を繰り出した。 ただ、それだけだ。 「馬鹿な……」 「さっ、どうする? 話を聞いてやるなら、これ以上は勘弁してやっても……」 「ふざけるな毒虫が!!」 「っ!」 劉鳳の叫びとともに、融合した触鞭が一瞬にして崩壊、瞬時に周辺の物が砕け、新しい触鞭を構成した。 それがすぐさま絶影に戻っていく。 「そんなのアリかよ……」 反則だぜ、と言わんばかりにため息をつく仗助。 やはり、本当にぶちのめすしかないか、と拳を構える。 一方の劉鳳は、怒りに顔を歪ませていた。 自分が毒虫に遅れをとったこと、それが許せなかった。 それが彼のプライドを傷つけた。 故に。 「貴様は……絶影の真の姿で、早急に片をつける!」 「っ!」 劉鳳の言葉に仗助は攻撃を仕掛けようとする。 ハッタリではないことは、相手の様子でよくわかる。 その前に、決着を…。 「絶-!」 だが、その前に劉鳳が絶影の封印を解こうとした。 その時だった。 仗助も、劉鳳も、互いの相手ですっかり忘れていた事。 それは、そもそもの発端となった者。 そして、争いを是としない、少女のことだった。 「けんか、だめーーーーーーーー!」 そして、辺りを閃光と爆風が包み込んだ。 ***** 「ぐっ……一体、何が起きた……」 辺りに土煙が立つ中、劉鳳はなんとか立ち上がった。 突然の少女の声。 そこに振り向いた時、空になにか物体が見えた。 小さな陶器のような物体、一体何かと思う間もなく、それが空中で破裂した。 空中で爆発したそれは、直接的な被害こそ劉鳳にもたらさなかったものの、その爆風は仗助の相手に集中していた劉鳳にとってはまさに不意打ちで、 絶影が助ける暇もなく、地面に体を打ち付けてしまった。 「今のは、まさか……さっきの、少女が……!?」 声からしてまずそうだ。そして、その声の方向から物体……おそらく、爆弾が飛んできた。 つまり、投げたのは彼女。 「何のために……まさか、俺と奴をもろともに……」 劉鳳は愕然とした。 まさか、自分が助けようとした相手が隙を見て相手を仕留めようと言う狡猾な悪魔だった、などと。 だがここは殺し合いなどと告げられた場所。子供と言う弱い存在が生き残るには……。 「……あの獣のような耳の少女……気をつけた方がよさそうだ……信じたくはないが……」 辺りを見回す。 気配を感じられない。 どうやらリーゼントの男も、少女も逃げ失せたらしい。 ぎり、と劉鳳は歯軋りする。 倒せなかった。悪漢を。 止められなかった。少女を。 「だが、俺は諦めん……ここに毒虫がはびこっている事はわかった! ならば俺は…奴らを全員、断罪するのみ!! そして、その危険に晒される一般市民たちを保護する! 必ず、必ずだ!」 劉鳳が、夜の空にむけて断罪布告をする。 その横に、彼の従者たる絶影が静かに立っていた。 その顔に、仗助の一撃による傷跡を残したまま。 【H-8/森/一日目黎明】 【劉鳳@スクライド】 [状態]:全身にやや痛み 疲労(少) [装備]:なし [道具]:支給品一式、不明支給品(1~3) [思考・状況] 1:会場にいる人物を見つけ、毒虫(犯罪者の類)かどうか判断し、毒虫は断罪、無害な一般市民は保護する。 2:リーゼント男(仗助)は必ず断罪する。 3:獣耳少女(アルルゥ)はかなり怪しい…だが、信じたくはない。 4:カズマ達についてはとりあえず保留 ※アルター『絶影』の顔にクレイジーダイヤモンドによる傷が残っています。 直すかどうかは後続の書き手に任せます。 ***** 「はぁ……はぁ……」 仗助は走り続けていた。脇にはデイパックを二つ分、そして背中にはアルルゥを背負って。 背中でアルルゥは目を閉じ、優しい寝息を立てている。 「ったく、無茶するぜ……」 そう呟き、仗助は脇に抱えたデイパックのうち、アルルゥのデイパックをちら、と見た。 さっきの時、仗助もアルルゥの声に気づき、そちらを振り向いた。 そして、劉鳳と同じように空を舞う爆弾に気付いた。 ただし、仗助が劉鳳と違った点は、ついさっき仗助はアルルゥのデイパックを見たとき、それを見ておりその正体を知っていた事だ。 なにが起こるかわかっていた仗助は、クレイジーダイヤモンドで近くの木にしがみつき、爆風をよけ、火の粉を拳で追い払った。 そして、すぐさまアルルゥのほうに向かうと、アルルゥは倒れて気絶していた。 おそらく、突然すぐ近くの頭上で轟音と閃光が起こったことで、ショックで気絶してしまったのだろう。 とにかく、劉鳳にどうも話が通じない状態で、このままだと泥沼になりそうだと判断した仗助は、アルルゥをかついでその場から逃走したのだった。 (……多分、知らなかったんだろうなァ……爆弾だったなんて) 『けんか、だめ』 仗助は聞こえていたその言葉。おそらく、彼と劉鳳が喧嘩していると思い、それを止めようとして石を投げた程度のものだったのだろう。 だが、運悪く、それは彼女に支給された爆弾だった。本当なら、ピンをはずさなければ作動はしないのだが、 彼女が持って投げる時、そのピンを思い切り握って捻ってしまった。それが事の真相。 アルルゥはただ、2人の喧嘩を止めたかっただけだった。 走りながら仗助は思う。 (そうだよな……喧嘩、してる場合じゃねえんだよな……) 今の状況は、過酷だ。 誰が殺人者かわからない。でも、おそらくいる。 そんな中、ただの勘違いかもわからない相手と長々と戦闘し、アルルゥを完全に忘れ、放ってしまっていた。 もし、あの間に誰かがアルルゥを襲っていたら……。 (わかったよ……今度は、ちゃんと相手を見極める。 自分から仕掛けたりはしねえ。 しばらくしたら、さっきのところにも戻ってやるかな。 少しすれば、あいつも頭冷えるだろうし) ともかくは、まずはアルルゥをどこかで休ませないといけない。 地図を取り出しながらも、仗助は走り続けた。 こうして、3つの正義は互いにすれ違い……別れる。 そして、互いが正義だとも知ることなく。 正義が共になること、それはこの場ではあまりに難しい。 【H-8/森/一日目黎明】 【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:健康 頬に細い傷 [装備]:なし [道具]:支給品一式、不明支給品(0~2) [思考・状況] 1:アルルゥをどこかで介抱する。 2:しばらくしたら、劉鳳を捜す事も検討。 3:ギラーミンを倒し、ゲームから脱出する 4:うたわれ勢や康一と合流する 5:アルルゥと行動する 6:軽率な行動は控え、できるだけ相手の出方を見て行動する。 ※アルルゥからうたわれ勢の名前を聞きました 【アルルゥ@うたわれるもの】 [状態]:健康 気絶中 [装備]:おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0~2) [思考・状況] 1:?? 2:ハクオロ達に会いたい 3:仗助と行動する ※おはぎは仗助の支給品です ギラーミン「いや…その針は特に意味がねえ、ただの悪意よ」 ※ココが殺し合いの場であることをイマイチ理解してません ※H-8から移動中です。どの方角に向かっているのかは後続の書き手に任せます。 ※H-8の空中で爆発が起こりました。小規模なものなので、同エリアでの確認がやっとだと思われます。 時系列順で読む Back 一触即発 Next Doubt & Trust 投下順で読む Back 列車より響く叫び声~迫りくる卸し金~ Next Doubt & Trust 幼女の奇妙な冒険~ファントムリーゼント~ 劉鳳 海賊ロロノア・ゾロvsアルター使い劉鳳 幼女の奇妙な冒険~ファントムリーゼント~ 東方仗助 プッツン共の祭典 幼女の奇妙な冒険~ファントムリーゼント~ アルルゥ プッツン共の祭典
https://w.atwiki.jp/jidoubunkorowa/pages/195.html
「《クレイジー・ダイヤモンド》!」 東方仗助の手にビジョンが重なり、そのままに胸から血を流す少女に触れる。 民家の中、室内に広がった出血量を考えれば、そして虚ろに開かれた目を見れば、その少女が死んでいるという判断は十人が十人ともするだろう。 それでももしかして、という思いで仗助は少女に触れ続ける。 するとどうだろうか、死体から胸に開いた銃創が消えていくではないか。服の損傷も共に戻っていき、まるで時間が逆に戻るかのように。傍から見れば眠っているようにしか見えなくなった。 だがそれでも、少女が息を吹き返すことはない。 いくら《クレイジー・ダイヤモンド》がどんな物も治せる超能力、スタンドでも、死者だけは生き返せない。 そのことは仗助本人が一番良くわかっている。 つい先日も、祖父を助けられずに、冷たくなっていくその肉塊を前に歯噛みしたばかりだ。 それでも、いや、だからこそ仗助は少女を助けようとする。 いわばこれは一つの儀式だった。目の前で親しい人を助けられなかったのに、また顔見知りを助けられないことに対する。 「――悪ぃな由花子、もう少し早く来てれば。」 別にそんなに親しくもなかった、むしろ苦手な部類だった同級生が、祖父の時と同じように体温を失っていくのを、仗助はそうして見送った。 「やれやれ、だぜ……」 民家にあった布団を敷くと、その上に由花子の死体を寝かせて、シーツをかける。 イカれたやつではあったが、なにも死ぬことは、ましてや殺されていいようなやつでは無かった。 であるからして、仗助としては下手人に一つ気合を入れる必要がある。そう思い改めて由花子が倒れていた場所へと戻る。彼女がどうやって殺害されたかは簡単に推理できた。犯行現場には明らかに銃痕があったからだ。窓ガラスの割れ方から見ると、おそらくは外からの銃撃を受けて殺された、と死んだ祖父のように警官になった気で考えてみる。 では問題はどこから銃を持ってきたか?だ。 (銃なんて簡単に手に入るわけがねえ。てことは、《バッド・カンパニー》みたいなスタンドか?) そもそも仗助が由花子の死に自分の想像以上に動揺したのは、彼がこの間戦ったスタンド使いにある。 祖父の死の遠因となったその男、虹村形兆。男はミニチュアの軍隊のスタンド《バッド・カンパニー》を操り、ある目的のために数多の人間の命を奪ってきた。 最終的に仗助の目の前で死んだので彼ではないと思う――死んだ人間が生き返ることなどありえないのだから――が、似たような武器を操るスタンド使いが存在する可能性は頭に大きくある。 あのツノウサギとかいう変なスタンドに一発くれてやろうとし、失敗してこの無人の謎の空間に囚われて以来、時折聞こえる銃声がその危惧を肥大化させている。 そのとき彼は見つけた。手に銃を持ち、首には首輪を付けられて街を歩く少女を。 いわゆるピストルを両手で持って、キョロキョロと辺りを見渡しながらこちらへと歩いてくる。 「……冷静になれよ、仗助。あの子が殺ったとは限ンねーぜ。」 飛び出しそうになった身体を抑えて、仗助は呟いた。 いくら銃を持っているからと言って少女が殺したという証拠は何もない。それに、部屋につけられた痕は連射されたもののようにも見える、拳銃ではああはならないだろう。もっとも、仗助の知識にあるそれは件の《バッド・カンパニー》によるものだけなのだが。 とにもかくにも、話を聞く必要がある。犯人ならば殴るし、そうでないのなら話を聞く。どのみちこの殺し合いで最初に出会った他人だ、会ってみるほかない。 仗助は部屋を後にするとキッチンへと移った。玄関から出て正面から鉢合わせるよりあるかどうかはわからないが勝手口から出て後ろを抑えた方が良い、そう判断してドアを開けたところで、テーブルの上にデカデカと寝そべるそれにギョッとした。 「ライフルだと? なんでこんなもんが家ん中にあるんだ?」 黒光りするそれはどっからどう見てもライフルだった。それこそ《バッド・カンパニー》の歩兵が持っていたような、仗助は名前を知らないがアサルトライフルに属するものだ。民間用ならば例外はあるがそんなことを知らなくても、それが連射できそうな武器だということはわかる。 問題は、なぜそれが家の中にあるか、だ。 「な〜〜んか、思い違いをしてる気がするぜ。違和感っつーか……」 数秒考えた末にそう言うと、仗助は勝手口から出た。わからないことだらけのところに更にわからないことが増えたが、まずは例の少女だ。見失うわけにはいかない。 仗助は家から出ると、狭い路地を抜けて少女の後ろを取り声をかけた。 「あの〜〜、もしかしてなんスけどアンタも巻き込まれた――」 「……っ!?」 「――人っスか?」 銃を両手で持ったまま振り向きざまに放たれたハイキック。 何か武道をやっているらしくもあるそれを、経験と筋力差で片手で押さえ込むと、仗助は何もなかったかのように話を続ける。 そして同時にほぼ白だと断定した。 咄嗟に銃ではなく蹴りを選ぶのは殺し合いに乗っていないからだ。単に蹴り慣れているのかもしれないがそれにしては素人っぽい、にわか感のある蹴りだ。つまりたぶん、この女の子は殺っていない。なにせこうして片足を掴まれ不安定な体勢であってもなお強い視線を向けても銃口をこちらに向かせないのだから。 「あ、おれ東方仗助っス。もちろん殺し合いなんてやるわけないっスよ。」 明らかに年下だが一応敬語で名乗る。よく考えたらこんな近くで突然後ろから、見知らぬ年上の男子に声をかけられたらビビるよなという反省と共に、手を離してやり自由にする。二三歩あとずさられるが、相変わらず強い視線を向けては来るものの逃げも戦おうともしない。そして少女は口を開きかけて、パクパクと動かして、閉じた。 小さい声だ、と思った。緊張して声が出ないのだろう。そう思って仗助は少し近づきながら声をかけようとして。少女の視線の変化に気づく。なぜかはわからないが、少女の目はとても悲しいものに変わっているように見えた。目にこもる、いわゆるメンチのような気合は感じるのだが、なぜかこもっている感情が別のものに見えた。それと同時に察する。少女の口の動きに変化があった。それは仗助の地元でカツアゲにあっているやつがする、独特な口の動きだからだ。 「ごめんなさい」、そう声が出ずに言う、アレだった。 (あの喉のアザ、こいつは。) 喉のあたりに置いた手にも目が行って気がつく。少女の喉にはアザがあり、手はそのアザを抑えている。いや、掴んでいる。手の強ばりを見るにかなりの力がこもっていると察した。 そのアザを《クレイジー・ダイヤモンド》で治しながら、仗助はバツの悪い顔で言った。 「あー……驚かせて悪かったっス。そういえば、この、ほら、コレあるんで、筆談にしてもらって良いスか?」 トントンと首輪をつつきながらそう言うと、少女はコクンと首を縦に振りながら口を動かした。しかし、治したはずのその口から言葉が出ることはない。 「じゃあ、なんか書くもんもってくるんで、ちょっと待っててください。」 らしくない敬語言っちまってるなと思いながら、仗助は家へと戻った。そして勝手口の扉を閉めると、壁を殴りつけようとして、止めた。 「声を出せねぇ女の子を拉致って殺し合いさせるとかよぉ……杜王町でも見たことねぇレベルの下衆だぜ、クソっ。」 代わりに吐き捨てるように言うと、手近な鏡の前に立って髪を整えた。家の外に人を待たせてるのに、物に当たってそれを直してというのは、ましてあんな女の子の側でやるのはできなかった。 仗助はなんとなく、本当に直感的にあの少女から心の傷を感じ取っていたのだ。仗助自身も、母の朋子も、家族を失ったときはああいう雰囲気だった。杜王町にスタンド使いを増やしていた虹村兄弟も、纏う空気にさみしさがあった。大切な誰かを失った人間には、同じような匂いがまとわりつくのだろうか。辛気臭えのはなしだな、と呟いて、いまいちキマらないままの髪で、仗助はメモ帳とボールペンを見つけると家を出た。 「待たせちまってすみません。じゃあ、あそこのサ店で話聞かせてもらってもいいスか?」 二人で近くのカフェに入る。テーブルや床に転がる銃にギョッとしながら、一番入り口から遠い席に座ると、情報交換がはじまった。 ──紅絹 「くれない、きぬ?」 ──もみ、です 「なんか頭良さそうな名前っスね。」 少女、紅絹が書き、仗助がそれを読み、また書く。ときおり頭の悪いことを言いながら、仗助はなんとか話を聞きだしていく。 まとう空気は悲しげでも、ショートカットで地味ながら整った顔をしているからか、それとも出会い頭の蹴りのせいか、なんとか変に気負わず接せている。その甲斐あってか、筆談にしてはスムーズに会話が進む。とはいえ、わかったことなどほとんど無かったが。 「じゃあ、紅絹ちゃんも気がついたらあそこで変なウサギの話聞いてたんスね?」 こくり、と頷く紅絹に相槌を打つと、仗助はしばらく無言で考え込んだ。 はっきり言って手詰まりだ。仗助がここに来てから得た以上の情報は何も無かった。あまりの手がかりのなさにこれからどうすればいいかの指針も立てられない。 そしてそれ以上に、紅絹との接し方がわからず戸惑っていた。 仗助はリーゼントに改造制服という不良そのものな外見に加えて、ハーフのために身長もある。だが別に不良というわけではないと自分では思っていた。たしかにプッツンするところはあるが、授業態度もそこそこ真面目で、外見からは想像しにくいほどに普通の高校生である。ではそんな男子高校生が線の細い年下の女子中学生に気を配って円滑にコミュニケーションできるかというと、NOだ。割と女子からの好感度が高い方の彼であっても、さすがに相手が悪い。 そもそも紅絹は失語症のため、並大抵の人間では会話が成り立たない。彼女が行為を抱く青年は少女漫画に出てくるようないい男なのでそのあたりなんとかなっているし、周りの人も優しい人が多いのでなんとかやっていけているが、本来は断じて殺し合いに参加できるような資質ではないのだ。 ──東方さんはこれからどうしたいですか? 「おれは、銃の音がする方を調べたいっスね。人と会うならそれしかなさそうなんで。」 ──いっしょにいっていいですか? 「それは……危ないっスよ。ここにでも隠れてたほうが……」 ──なら、二手にわかれませんか ──探している人がいるんです だが資質があろうとなかろうと、選択はしなくてはならない。 紅絹が選んだのは、行動。安全な場所に隠れるのではなく、自分と同じように巻き込まれているかもしれない家族を探しに行くことだった。 筆圧の強さからその意思の強さを感じて、仗助は言葉をなくした。 正直に言えば、紅絹は足手まといだ。口の聞けない女の子を守って動けるほど仗助は器用ではない。だが彼女の思いは大切にしたいし、なにより隠れていても由花子のように撃ち殺されかねない。 それでも悩んでいる仗助の耳に、銃声が届いた。 近い。そして大きい。 由花子のことが頭によぎった直後なのもあって、必然彼女を撃ち殺した犯人が撃ったのかもしれないと気になる。 ──今の音をしらべたいです 「わかったス。ただし、おれも着いていきますよ。」 少し考えて仗助はそう答えた。 迷っていれば更に死人が増えるかもしれない。もうあんな思いはゴメンだった。 適当に保存の効く食べ物や飲み物を漁ると、仗助はレジにいくらかの金を置いて喫茶店を出る。二人でしばらく歩くと、赤い霧の合間から赤く点滅する光が見えた。それが交番のパトランプだと仗助が気づくのと、紅絹が走り出したのは同時だった。止めようとして交番の前に倒れる人に気づいて、紅絹を追い越して駆けつけた。 「《クレイジー・ダイヤモンド》!」 それが血塗れで倒れている子供だと分かるより早く仗助はスタンドを使う。バッサリと斬られている傷口が治っていく、苦しげな顔が一転して柔らかくなる。それに安堵したところに聞こえてくるのは、荒くなった息。目の前の少年が息を吹き返したか? そう思った仗助の視界の端で何かが倒れた。 「紅絹ちゃっ──なにっ!?」 慌てて抱えあげようとして驚く。交番の中には、更に血塗れの人間が倒れていた。よく見れば一人ではない。女子らしき子供二人に、男性二人の計四人。らしき、というのは、一人は顔面が性別が一目でわからないほどにギタギタにされていたからだ。 「くっ、《クレイジー・ダイヤモンド》! 全員治すぜ!」 思わず覚えるのは吐き気。それを気合いで耐えると、紅絹を含めた五人を治す。が、誰一人として動くことはない。紅絹は精神的なショックによるものだろうが、あとの四人はそうではないというのはやる前からわかっている。それでもやるだけのことはやった。 死体が四つに、大怪我を負った子供が一人に、気絶した子供が一人。同級生が殺された姿を見たあとに出くわすには中々にヘビーなものだ。 「やれやれだぜ……」 「……あの、すみません。おれは風見涼真です。さっきは助けてもらってありがとうございました。それで、三つ聞きたいことがあるんですがよろしいでしょうか?」 愚痴る言葉を遮る声が聞こえた。顔を上げると、さっき治した少年が立っていた。 イケてるという自負がある仗助からしてもイケメンだとわかるような顔が、真剣に仗助を見つめている。これスタンドのこと聞かれんのかなあと思った。 「おれもだ。色々聞かせてもらいてえんだが、悪ぃが急いでるんでな……それで、リョーマ、聞きたいことってのはなんだ?」 「ありがとうございます。一つ、さっきおれを治したのはあなたですか。二つ、それは怪我をした人間以外にも使えますか。三つ、あなたに自分を守る護身術などの経験はありますか。」 「お、おお。隠してもしかたねえか、こりゃ……さっきのはおれっつーか、おれのスタンド《クレイジー・ダイヤモンド》の力だ。まあ、超能力だと思ってくれ。怪我でも壊れたもんでも直せるが、死者を生き返らせたりはできねぇ。護身術ってほどじゃないが、スタンドってので戦えるぜ。」 テキパキと聞いてくるリョーマに面食らいながら答える。いやに落ち着いているのでスタンド使いかと疑ったが、出して見せた《クレイジー・ダイヤモンド》にまるで視線を向けないので、相手を測りかねる。 「わかりました。それでは申し訳ありませんが、おれ、私と同行してもらえませんか。近くに銃と刀で武装した通り魔がいます。さっき襲われて、私が保護していた方には警察署に一人で逃げてもらっています。彼女を早急に保護する必要があります。」 「マジかよ……つまり、殺し合いに乗ったやつに襲われて、女の子逃して戦って殺されかけたってことだよな。」 「はい。そして、暴徒は少なくとも二人います。その交番で亡くなっている四人は、おれが暴徒から逃げている時には既に亡くなっていました。」 コイツ『アレ』を見ておいてこんなに冷静なのかよと、仗助は心の中で思った。さっきの大怪我を治してから数分と経たないうちに冷静に情報交換してくる涼馬に、引くほどの凄みを感じる。 よくよく見れば、涼馬は仗助よりも明らかに年下だった。ハーフなのでタッパのある仗助よりもたいていの同世代は背が小さいので気づくのが遅れたが、おそらくは中学生ぐらいだろう。 「年下が覚悟決まってんのにブルってるわけにはいかねーよなあ。《クレイジー・ダイヤモンド》!」 仗助は交番に入ると、遺体に一度手を合わせて、スタンドで奥の扉をぶち破った。慌てて見に来る涼馬をよそに中を漁ると、お目当てのものを見つけて戻る。その背後で壊れた扉がひとりでに元通りになるのを見て目を丸くしている彼の横を通り抜けると、交番の脇にあったバイクに持ってきた鍵を入れた。 「この子は紅絹。さっき会った子だ。置いてくわけにもいかないから連れてく。リョーマ、この子の後ろに乗れ。」 「三人乗りですか……わかりました。」 (ようやくふつうっぽいリアクションが出たな。) 「彼女が向かったのはこの道を真っ直ぐです。今ならそう遠くに行っていないはずです。」 「OK。しっかり掴まってろよ。」 涼馬が立ち乗りして、気絶している紅絹ごと仗助の肩に手を置く。エンジンをかけると、仗助はバイクを走らせた。 「そういやまだ名前言ってなかったな。東方仗助だ。」 「風見涼馬です。保護していた方の名前は宮美三風。中学一年生で、身長はおれより低くて、制服を着ています。髪は黒です。通り魔は、仗助さんと同じぐらいの身長で白髪です。上は黒のインナーと柄もので……やつです!」 「会うの早すぎんだろ!」 走り出して会話が始まった、と思ったら直ぐに涼馬は叫んだ。ツッコみながらも仗助も《クレイジー・ダイヤモンド》を出す。涼馬が今言ったのと全く同じ特徴を持つ人影が、霧の彼方の道の先に見えたからだ。 「このまま跳ねる。」 「え。」 「安心しろ、治すから。」 人影はバズーカのようなものを構えた。 「ちょっと待てなんでバズーカ」 言い終わるより早く、発射されたRPGを回避するために《クレイジー・ダイヤモンド》で無理矢理バイクの軌道を変える。気絶した紅絹と涼馬の三人乗りなので無茶苦茶な動きはできないが、ギリギリで躱して近くの民家に突っ込むだけですんだ。 迫る壁を殴り抜け、バランスを崩して和室を三人で転がる。二人を《クレイジー・ダイヤモンド》に庇わせながら仗助は身体を走る衝撃に身悶えした。 「いってぇ〜〜〜! な、なんでバズーカなんか持ってんだアイツ! 日本だろ!」 「東方さん、来ます!」 身体に痺れが走るのもおかまいなく、学ランの背中が引っ張られる。ぶん、という音ともに、目の前に刀が振り下ろされた。 誰の刀だ?と思ったところで、腹に蹴りが入り、後ろにいたらしい涼馬ごと吹き飛ばされる。馬にでも蹴られたのかと言うぐらい重い一撃に、たまらず吐く。それはどうしようもない隙だった。 うずくまって完全に無防備になった背中を仗助は晒す。ちょうど首を落とされる罪人のような格好だ。その首筋になんの躊躇もなく刀が振り下ろされた。そして、その刀が当たる寸前で、急速度で首筋から遠のくのを、涼馬は見た。 「ぐっ……はぁ!」 「ぜーっ……ぜーっ……へへ、一発は一発だぜ……」 刀を振り下ろしていた男が、突然何かに殴られでもしたかのように腹をくの字に折って、仗助が突入してきた壁から外へと飛んで行ったのだった。 「リョーマ、こいつはおれがタイマンする。『女の子』を頼んだぜ。」 「……! はい。おれたちはさっきのところの近くにいます。」 なんとか立ち上がると、仗助はそう言い残して壁から出た。頭のいい涼馬なら、これで意味を察して逃げてくれるだろう。 ふらつきながらも、涼馬は紅絹をおぶり家の中の戸を開けた。それを見送ると、仗助は前を向く。殴り飛ばした男の姿は、無い。 瞬間、響いた発砲音を、仗助は《クレイジー・ダイヤモンド》に持ち上げさせた瓦礫で応える。近くのビルの二階から、先程の男が銃を向けていた。 「別にお前が由花子を殺したかはわかんねえけどよお、人にいきなりバズーカ撃ってくるようなやつは焼き入れられても文句は言えねえぜ?」 睨む仗助に答えるように、男も殺意のこもった視線を向けてくる。 東方仗助と雪代縁の戦闘が始まった。 仕切り直してからの先手を取ったのは縁だ。ライフルをフルオートで連射する。その弾丸を隣家の壁を殴り抜けて家へと入り躱すと、同じように民家にトンネルを作りながら仗助は接近を試みた。 仗助は縁を時間停止できるスタンド使いの可能性も考えて行動している。先程のバイクで横転してから刀で斬りつけられるまでにかかったのは五秒ほど。その間に走って距離を詰められるとは考えにくい。もしそれができるなら、相手は100メートル走のメダリストか何かだろう。 ──縁の生きていた時代にオリンピックがあれば間違いなくメダリストになれていただろうから、その意味では仗助の考えは当たっている。 「ドラァ!」 掛け声一発、仗助は穴を開けた壁から縁のいるビルへと突入、しない。すぐさま《クレイジー・ダイヤモンド》で直す。予想通りに発砲音が壁の裏でしたのを聞きながら、ビルの入り口から突入した。 「ちぃ!」 「ようやく射程距離だぜーっ! ドララララァ!」 弾丸が切れたのか投げつけてきた銃を殴り壊しつつラッシュを仕掛ける。壁を壊すことを囮に距離を詰める作戦は完全に目論見通りだった。 誤算があるとするならば、その距離は縁の間合いだということだ。 「虎伏──」 《クレイジー・ダイヤモンド》のラッシュが、縁に地に伏せるような下段の構えですかされる。それは単なる偶然だが、仗助にとっては最悪の偶然だ。 仗助は一つ大きな勘違いをしていた。 縁はスタンド使いなどではない。 体系的に言えば、彼の父の若かりし頃と同じく技術によって鍛え上げられた人間だ。 先程の斬りつけも、RPGを発射してから即座にダッシュして躊躇いなく斬りつけた、ただそれだけのことだ。 ただそれだけができるほどだから、雪代縁は十代で清の裏社会を渡り歩き、二十代にしてマフィアの頭目とまでなったのだ。 そして最も単純な理由。 縁が頼みにするのは銃でも爆弾でもない。己が仇敵を殺すために磨き上げた倭刀術だ。 「──絶刀勢!!!」 「──ララララ『憎』ラララ『恨』ララ『怒』ラ『忌』『呪』『滅』『殺』『怨』」 背後に回り込む動きは、超神速。投げつけられた銃に目が行っていたところに気づいたその動きに、ラッシュの向きを変える。が、間に合わない。生身でスタンド並の速さで動いている、それを認識するより先に、背中に強烈な熱を感じた。 (あちぃ! なんだ、スタ……ン……) 火や熱を操るスタンドか?そう思うより先にすべきことは、宙に切り上げられた身体をスタンドでガードすることだった。だがそれは酷な話だろう。今自分が斬られたことすら、まだ仗助はわかっていないのだから。 「轟墜刀勢!」 落ちてきた仗助に下から倭刀が突き立てられる、串刺しにされたまま地面に叩きつけられ、仗助は絶命した、 【0140 住宅地とその近くの公園】 【桜木紅絹@天使のはしご1(天使のはしごシリーズ)@講談社青い鳥文庫】 【目標】 ●小目標 ??? 【風見涼馬@サバイバー!!(1) いじわるエースと初ミッション!(サバイバー!!シリーズ)@角川つばさ文庫】 【目標】 ●大目標 生き残り、生きて帰る。 ●中目標 どこかに拠点を作り、殺し合いに巻き込まれた方を保護する。 ●小目標 紅絹を連れて交番まで戻る。 【雪代縁@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】 ●大目標 人誅をなし緋村剣心を絶望させ生地獄を味合わせる。 ●中目標 警察署へ向かい緋村剣心と首輪を解除できる人間を探す。 ●小目標 三風について行く。 【脱落】 【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
https://w.atwiki.jp/jojotoho_row/pages/217.html
「すんませんでしたーーーッッ!!!」 腰を90度に曲げて、勢いよく頭を下げてきたのは、東方仗助だった。 彼といえば、あまりに不良な体裁。前髪は前に突き出たポンパドールにサイドの髪は後ろに流したリーゼント。 服は胸元を大きく開け、至る所にアクセサリーをあしらった学ランだ。しかも、身長は優に180cmを超える大男である。 そんな奴がいきなり謝ってきては、見た目とのギャップもあり、さしもの比那名居天子も戸惑わずにいられなかった。 「ちょ、いきなり何なのよ、貴方? それとも貴方は私に何かしたの?」 「いや、どうもこうもないっすよ、天子さん。話を聞いてみれば、天子さんはオレより年上っつうじゃないすかあ。 知らなかったとはいえ、随分と生意気な口をきいてしまったんで……本当すんませんでした!!」 「ああ、そんなこと」 と、天子の疑問は簡単に氷解した。 確かに仗助は天子をまるで年下の女の子のように扱い、話をしていた。 妖怪の山を歩いている道中で出会った二人は、お互いに戦意がないことを確認すると、早速情報交換に移ったわけだが、 そこで天子は退屈な会話に一興をと、自分の本当の年齢を仗助に告げたのだ。 天子としては、それは場を和ませるための一種の冗句のつもりであったのだが、そこに返ってきたのは何と謝罪。 仗助のツッコミや驚いた顔を想像していた天子の考えとは、正反対に位置するようなものである。 そのためか、天子の頭はフリーズを起こしてしまったが、仗助の真意を理解すれば、言葉は泉のように湧いてくる。 天子は仗助に怒るでもなく、天人らしく穏やかに、ゆっくりと口を開いていった。 「礼節を以って人は人と成す。貴方の心掛けは立派ね。でも、貴方の敬語は、どうにも不恰好よ。普通に話しなさいな、仗助」 「はあ……でも、うちの親は、こういうことにうるさいんすよ。舐めた口を年上にきいたってバレちまったら、それこそ頭カンカン。 雷が落ちてきちまいます。だから勘弁してください、天子さん」 仗助は後頭部を手で掻きながら、申し訳なさそうに呟いた。 素直であり、頑固でもある。容易に見て取れる仗助のそんな性格に苦笑しながら、天子は優しく応える。 「ん~、なら、しょうがないか。別にそこまでこだわることでもないでしょうし。貴方の不細工な敬語、特別に我慢してあげるわ」 「はあ、すんません」 「それじゃあ、さっきの話を続きをしましょうか。幻想郷や私のことは話したし、次は貴方の番ね。さ、聞かせて」 「そうっすね~、じゃあ、まずオレの仲間のことから……」 「……ああーーッ! ちょっと待って、仗助! 先に訊きたいことがあったわ!」 天子は仗助の話を遮り、声を上げた。 勿論、仗助の仲間のこと、そして仗助が住まう外の世界にも興味があったが、それ以上に天子の目を引くものが眼前に置いてあったのだ。 「仗助は何でそんなバカみたいな髪型をしているの? それって何かの罰ゲーム? 外の世界の人間は残酷なことをするわね。 私がそんなことをさせられたら自殺ものよ。恥ずかしくて外を歩けないわ。まさかとは思うけれど、そのハンバーグヘアーは自分でしたわけじゃないわよね? だとしら、チョーウケルんだけど。貴方のセンスって一体どうなっているのよ? ひょっとして、ギャグ? ギャグなの? ねえ? 本当にバカみたい。猿でも、もう少し格好つけられるわよ。アハハハハハハ!!」 その瞬間、天子の顔面を轟音と共に拳が貫いた。 仗助のスタンドであるクレイジーダイヤモンドの拳は鋼のように硬く、大砲のような威力を併せ持つ。 天子は鼻血を振りまきながら、何メートルも地面を転がり、勢いよく後頭部を岩場へとぶつけた。 「おい、ババア!! 今、何つった!? オレの髪型が何だってぇーー!!? もういっぺん言ってみろや、コラーーーッ!!!!」 天子の悲惨な状態など、どこ吹く風と仗助は吹き荒れる感情のままに捲くし立てる。 自慢のヘアースタイルをバカにされて湧き出た仗助の怒りは未だ治まることを知らず、血走った目と燃えるような怒気を盛んに溢れさせていた。 しかし、仗助の鬼の形相を見ても、天子は怯むことなどせずに、逆に白い歯を全部見せるような豪快な笑みでもって応えた。 「詐を用いるのならば、その業によって閻魔に舌を抜かれる。ま、要するに因果応報ってことね。 何が殺し合いの打破? 私は嘘が大嫌いなのよ。今までだって、一度も嘘を吐いたことないしね。 だから、仗助……貴方が今からどんな目にあっても、文句を言う筋合いはどこにもない!! マーダーは死すべし!!」 天子による仗助へのマーダー認定。不意打ちに遠慮が一切排された一撃は、真っ直ぐにその結論へと導かせた。 一体誰が、あの髪型に相手を殺しかねんほどの怒りの源があると思えるだろうか。 天子は自分の考えに何ら疑問を持たず、マーダー排除という異変解決への第一歩を、殺意を含んだ木刀と共に力強く踏み出した。 【E-1 妖怪の山(麓付近)/黎明】 【比那名居天子@東方緋想天】 [状態]:鼻血ダラダラ、後頭部ズキズキ、ヒャッハー! [装備]:木刀@現実 [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いに反抗し、主催者を完膚なきまでに叩きのめす。 1:仗助をブチのめす 2:殺し合いをおじゃんにする為の手段や仲間を捜す。 3:主催者だけではなく、殺し合いに乗ってる参加者も容赦なく叩きのめす。 4:自分の邪魔をするのなら乗っていようが乗っていなかろうが関係なくこてんぱんにする。 5:紫には一泡吹かせてやりたいけど、まぁ使えそうだし仲間にしてやることは考えなくもない。 [備考] この殺し合いのゲームを『異変』と認識しています。 東方仗助をマーダーだと思っています。 【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない】 [状態]:怒りが有頂天!!!! [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いの打破 1:天子をブチのめす 2:勿論、天子をブチのめす 3:やっぱり天子をブチのめす [備考] 参戦時期は後続の書き手の方に任せます 幻想郷についての知識を得ました 怒りで自分を見失っています 054:狐狸大戦争、そして 投下順 056:ヒガシカタプロジェクト? 053:Kindle Fire【焚きつける怪炎】 時系列順 059:インタビュー・ウィズ・プリズナー 014:偽りの空を裂く 比那名居天子 077:和を以て貴しとなせ 遊戯開始 東方仗助 077:和を以て貴しとなせ