約 159,392 件
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3124.html
気弱な攻め クラスメイトであり恋人でもある秦野の姿が目に入った。 声をかけながら走り寄ろうとしたとき、数人の明らかに不良だと思われる男達が秦野を取り囲んで、 神社の裏手へと連れて行った。 中の一人が辺りを見回し、立ちすくむ俺と視線が合うと「さっさと消え失せろ」というように睨みつけてから 神社の裏手へと姿を消した。 そういえば、秦野は最近、以前揉めたことのある相手から因縁をつけられていると言っていた。 それがあいつらなのか――。 今は真面目に勉学に励んでいるが、秦野は元は不良だった。 「俺もけっこう無茶したから、いろんな奴から恨みを買ってるんだよな」と 他人事みたいに呟いた秦野は、俺の心配そうな顔に気づくと 「今はもう無茶なことはしないから」と安心させるように微笑んでくれた。 だけど、それは秦野の事情で、秦野に恨みを持ってる連中の知ったことではないだろう。 秦野を助けなくては! そう思ったが、足が竦んで動けない。 ――秦野は強いから、大丈夫だよ。 そんな声が頭の中でした。 ――だから、無理に助けなくても大丈夫。ここで待っていればいいよ。 そんな、ずるい声。 恐怖心に支配された俺の弱い心の声。 確かに秦野は強い。 筋肉質のがっしりした身体で手足が長く、身体能力に優れ、 反射神経が抜群で、なによりも度胸がいい。 実際に喧嘩の場面は見たことがないけれど、 噂では7人を相手にして全員のしたことがあるらしい。 俺が秦野と親しくなったのも、他校の不良数人に絡まれてた俺を 秦野が助けてくれたのがきっかけだった。 「うちの学校の奴に手を出すんじゃねぇよ」と秦野が睨んだら 俺を脅かしていたやつらはあっという間に逃げていったっけ。 それからお礼代りに俺が秦野の苦手な英語の手助けをするようになって だんだん親しくなっていって、 あるとき「俺、建築デザイナーになりたいんだ」と 夢を語ってくれた秦野の照れ臭そうな笑顔に胸がドキンとして、 その笑顔が頭から離れなくなって、 その気持ちが恋だと自覚して狼狽えて、 挙動不審になった俺を秦野に心配されて、 結局半泣きで告白したら受け入れてもらって、 その後やっぱり泣きながら「秦野の全部がほしい」ってねだったら やっぱり受け入れてもらって。 強面だから周囲から恐れられているけれど、 誰よりも心が広くて、優しくて、暖かい、秦野。 そう、俺の大切な、大好きな、恋人――。 「秦野!」 考える間もなく、夢中で駆け出した。 神社の裏の空き地に飛び込み、秦野と不良たちの間に割り込む。 秦野が俺を助けてくれたときと同じように、秦野を背後に庇った。 「秦野に手を出さないでください。俺が、代わりになります」 格好良く言い放ったつもりだったけど、耳に響いた自分の声は 甲高く、震えていた。 それでも、ガクガクしそうな足を踏ん張って、精一杯、目の前の相手を睨みつけた。 俺の前に立っていたリーダー格らしい目つきの鋭い男が、 驚いたように俺を見つめ、それから、笑い出した。 馬鹿にするなと頭にかっと血が上ったけれど――。 「水越……それ、俺のダチ」 背後からの声に振り向くと、ものすごく気まずそうな秦野の顔。 「俺に因縁つけてた奴、追っ払ってくれたんだ」 「え?」 慌てて視線を戻すと、いまだおさまらない笑いにくつくつと肩を揺らしていた男が顔を上げて、 「愛されてるねぇ、秦野」 俺の肩越しににやりと秦野にウィンクを送り、それから、 「秦野をよろしくな、水越クン」 俺の肩をぽんと叩いて、仲間とともに去って行った。 秦野と俺は、しばらく居心地の悪い沈黙の中に残されたが。 「なんか、ごめん」 「ありがとな、水越」 二人同時に口を開き、それから顔を見合わせて笑いあった。 ヤンデレを病ませない方法
https://w.atwiki.jp/erogekisei/pages/71.html
意見書 私たちは、「エロゲ販売規制問題まとめwiki」という、アダルトゲームの規制反対活動を行っているユーザーたちの集まりです。 我々はユーザーとして、昨今強まる規制の風潮と、それに対するソフ倫やメーカーの対応に不満を感じています。 メーカーの方々も大変お忙しいと思いますが、メーカーが自由な作品を作れユーザーがそれらを購入できる環境を守るためにもメーカーの方々にも明確な問題意識を持って行動していただきたいです。 そこでユーザーの立場からソフ倫及びメーカーに対して意見を述べるために今回意見書を送付させていただきます。 エロゲ販売規制問題まとめwiki http //www28.atwiki.jp/erogekisei/ 編集 河窪 陽介 1.意見の趣旨 我々ユーザーは法的規制と同様に過度な自主規制についても問題視しております。 昨今の性暴力ゲーム問題、児童ポルノ法改正問題などアダルトゲームを規制する動きの中で自主規制を行うことはやむをえない面もあるでしょうが、過度な自主規制は表現の自由を著しく制限するものであり、業界の多様性と活力を損なうことは避けられないでしょう。 また自主規制により表現が規制されれば、最も大きな犠牲を負うのは我々ユーザーであります。 さらにソフ倫の活動費の最終負担者も我々ユーザーであります。したがって、我々にはソフ倫に対して意見を述べる権利があり、ソフ倫にはユーザーの声に耳を傾ける責任があると考えます。 そして我々は、業界がここまで巨大化してしまった以上、ソフ倫の関係者がさまざまなところで述べている『嵐が過ぎるまで大人しくしている』という考えは非合理的であると考えます。 そこで我々『エロゲ販売規制問題まとめwiki』は、ソフ倫に対して安易な規制に頼らない政治活動社会活動を行うように、貴社が理事もしくは会員として働きかけるようお願いしたいです。 2.意見書本文 2-1.メーカーの方々は決して他人事のように考えず、真剣に規制問題に取り組んでいただきたい。 この問題を決して他人任せにせず、まずは社内社外問わずに情報交換と意見交換を行い、明確な問題意識の下で実際の行動につなげていただきたいです。 2-2.ソフ倫には安易な自主規制を控えるよう理事もしくは会員として働きかけていただきたい 社会から受け入れられるための手段として自主規制はやむをえないというソフ倫の見解はある程度理解できますが、社会に受け入れてもらう手段は自主規制以外にも数多く存在します。 社会に受け入れてもらうという使命は場当たり的な自主規制ではなく、戦略をもった政治活動社会活動によって達成していただきたいです。 その上で、自主規制はやむを得ぬ必要最低限度に抑え、できる限り他の手段を取っていただきたいです。 そして貴社には理事もしくは会員としてソフ倫に対してそのように働きかけて欲しいと思います。 2-3.ソフ倫には積極的な政治活動を行うよう理事もしくは会員として働きかけていただきたい 現在政治家や役所で詳しい情報を把握している者は非常に少なく、情報の少なさから要らぬ誤解を招いていることが多いです。 したがって、ソフ倫には常日頃から政治家や役所に対して正しい情報を周知することにより、社会からいらぬ誤解を受けることを防ぐ活動を行っていただきたいです。 そして貴社には理事もしくは会員としてソフ倫に対してそのように働きかけて欲しいと思います。 2-4.ソフ倫には論客を雇うよう理事もしくは会員として働きかけていただきたい ソフ倫は論客を雇うなどして、己の意見を代弁や理論武装を積極的に進めていただきたいです。 学会などには法律論だけではなく文化論、社会論などからもポルノ規制に反対している方々が沢山います。その方々の力と権威を借りるべきだと思います。 そして、貴社には理事もしくは会員としてソフ倫に対してそのように働きかけて欲しいと思います。 2-5.ソフ倫はユーザーに対し、今まで以上にその活動を周知するよう理事もしくは会員として働きかけていただきたい ソフ倫の運営費の最終負担者はユーザーです。ですから、ソフ倫はユーザーに対しその活動を説明する責任ががあると考えます。 ソフ倫の活動の詳細を最終負担者である我々ユーザーにもっと開示していただきたいです。 そして、貴社には理事もしくは会員としてソフ倫に対してそのように働きかけて欲しいと思います。
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/641.html
ナビ 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話 最終話 部屋に帰ると、見知らぬおねーさんが隠してあったエロ本を読んでいた。 「……誰?」 「あ、おかえり。」 とっさに疑問が口に出たが、望んでいた答はもらえなかった。 しばらく玄関の前で立ち尽くして、よく状況を考えてみる。 俺は家からかなり遠い私立高校に入学したため、このアパートで一人暮らしをしている。 今日部屋を出る時、鍵は間違いなく掛けた。三回は確認したので間違いない。 鍵を持っているのは俺と両親と管理人のおっさんくらいだ。 ではこの人は管理人の娘さんだろうか。 しかしまだ疑問は残る。 この狭い部屋とはいえ、あの本の隠し場所は友人にも親にも一度も見つかったことがない。 なぜそれを見つける。探偵か? 女のくせに読みふけってるのは、彼女は実は男で変装しているというのか? 俺が探偵に調査されるような悪いことをしたのか? などとどんどん変な方向に思慮をめぐらせていると彼女が二言目を口にした。 「信じられないかもしれないけど、私は十年後の未来から来たの。」 「はい……?」 どうやら頭のおかしい人のようだ。どうやってお引き取り願おうか。 いや、やっぱりその前に正体だけでも聞いておくか。ここで追い払ったら一週間は気になって夜も眠れそうにない。 「あの……もう一度お伺いしますが、どちらさまでしょうか?」 彼女は何も言わず、何かをこちらに投げてよこした。 見るとどうやら免許証のようだ。俺はこれを見て、開いた口がふさがらなかった。 住所は違うものの本籍、生年月日が俺と同じである。そして交付日が六年後。 最後に、『氏名 田岸優子』。俺と一文字違いである。 「……こんな妙な偽造までして、手の込んだイタズラですね。」 「しょうがないなあ……じゃあ……」 彼女は顔を赤らめた。 そして何をするのかと思いきや、誰にも言っていない俺だけの秘密であるはずの出来事を話し始めたのだ。内容はとても言えない。 「……分かった?」 言っている本人も半分涙目である。 しかし俺はそんなことよりももっと別のことが気になり始めていた。 「で……女……なんですね……。」 この世界では五十年ほど前から思春期の男子が突然女の子になるという病気のようなものが浸透していた。 今のところ、それを防ぐ手段は性交渉のみであるということ以外は分かっていない。 つまりこういうことだ。この人は俺の、女体化した十年後の姿であるということだ。 まだ完全に信じたわけではないが、状況からしてそう考えるのがいちばん合理的であった。 「うっ、うるさいわね!」 なんかもう今にも泣きそうなので話題を変えることにした。 「ところで何故この時代に?」 「うちの教授がタイムマシン発明したんだけどね、実験自分で行くのが怖いからお前が行けって。」 「大変ですね。」 「他人事じゃないのよ。いい、あんたが私に何かしたら、全部未来の自分に跳ね返ってくるんだからね。」 「はいはい、分かりました。」 格好や態度や仕草があまりにも女しているので、俺はやはりこれが未来の自分だとは思えなかった。 「そういやこのときはまだ信用してなかったかな。……まあいいわ、しばらくここに泊めさせてもらうから。」 「へ?」 こうして、波乱の日々が始まった。 「じゃあ私はベッドで寝るから、優太は下で寝てね。」 「え、ちょっと……。」 「おやすみ。」 そう言うと、「私は寝てますよ」と言わんばかりに寝息を立て始めた。 こんなことを思うのは初めてだが、女は怖い。
https://w.atwiki.jp/ff11_gameproject/pages/354.html
遊佐「いい天気だなぁ」 学校の屋上でのんびりしながら欠伸をする。 あの騒動から数日が過ぎた。 事情聴取やらであわただしかったけど、ようやく落ち着ける時間が取れる。 姫乃さんは伊従さんのと同じ様な手口で、他からも金を巻き上げていたらしい。 けど、どこかのホストに入れ込んで殆ど使い切ったというのだから笑い種だ。 取り巻きらしい男連中は全員お縄。 姫乃さんの実年齢とかを知って逆恨みしてるらしい。 馬鹿な連中だ。 伊従さんも詐欺やら何やらで、余罪がバンバン出て今も警察が色々調べている。 詳しく調べられると、ましろちゃんの虚言も危なかったかもしれないらしい。 けど、加村さんが有耶無耶にしてくれた。 他で証拠が十二分にある事件とかゴロゴロ出てきたから、後回しにしてくれたそうだ。 こちらから蒸し返さなければ、そのままになる可能性が高いらしい。 と、言うわけで平和な日常を取り戻した俺はのんびりと授業をさぼっていた。 色々忙しかったし、別に良いだろう。 ましろ「あ、ここに居たんだ?」 遊佐「ましろちゃんか……何しに来たの?」 ましろ「あはは。ひどいなぁ」 苦笑しながらましろちゃんが俺の横に座る。 確かに少し言葉が悪かったかなぁ。 ましろ「やっと一息つけるね」 遊佐「そうだね」 ここ数日本当に忙しかった。 その前は心労で忙しかった。 うむ。平和なのは良い事だ。 ましろちゃんとぼーっと空を眺めながら、また欠伸をする。 ましろ「今日は雲が多いねぇ」 遊佐「曇天って程じゃないけどね」 ましろ「遊佐君は雲好き?」 遊佐「ん? 考えた事もないかな」 ましろ「そっか」 そこで会話が途切れて、また静かになった。 ちょっと気になったので横目でましろちゃんを見てみる。 ましろちゃんは機嫌良さそうに空を眺めていた。 遊佐「ましろちゃんは好きなの?」 ましろ「ん?」 遊佐「雲」 ましろ「うん。好きだよ」 遊佐「へぇ~。何で?」 ましろ「空を見るのに退屈しないで済むから。かな」 遊佐「というと?」 ましろ「雲ひとつ無い青空って、見ててつまらないから」 遊佐「そうかな?」 ましろ「まあ、わたしにとっては、だけどね」 遊佐「ふぅん」 ましろ「だから、退屈な青空に浮かぶエッセンスって感じ」 遊佐「なるほど」 ましろ「エッセンスの意味しらないけどね」 遊佐「俺も知らないけどね」 小さく笑いあって、再び空を眺める。 気づいたら、空を流れる雲を見つめていた。 雲は形を変えながらゆっくりと空を進んでいく。 なるほど。退屈しのぎにはなる。 平和だなぁ。 この前の騒動が遠い出来事みたいだ。 遊佐「そういえば」 ましろ「ん?」 遊佐「ましろちゃんが、あんなに必死に引き止めてくれるとは思わなかったよ」 ましろ「ああ、そうだねぇ」 そうだねぇ。って他人事みたいに言うなぁ。 ましろ「それだけ遊佐君が大切って事なんじゃないかな?」 遊佐「疑問形なのか」 ましろ「わたしの自己分析なんてそんなものだよ」 遊佐「あらま、人生で選び続けたましろちゃんにしては弱気な事を」 ましろ「それは関係ないんじゃないかなぁ」 遊佐「でも、これから選ぶのに困るんじゃない?」 ましろ「そうかもね」 遊佐「選ぶのやめる?」 ましろ「あはは。それは無いよ」 にこやかな笑顔で否定された。 ましろ「わたしはこれからも選ぶよ」 遊佐「そっか」 ましろ「今までそうやって来たんだもん。急には変えられない」 遊佐「そりゃそうか」 ましろ「こればっかりはね。癖みたいなものだし」 遊佐「じゃ、もしもまた、ああいう状況になったら?」 ましろ「うん。もう決めてあるよ」 遊佐「さすがましろちゃん。仕事が速い」 ましろ「どういたしまして」 遊佐「それで、どうするの?」 ましろ「それはね……」 ましろちゃんがにこやかな笑顔を浮かべる。 ましろ「ないしょ。だよ」 今まで見たどの笑顔より、暖かな笑顔だった。
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/92.html
早漏 「アイツ超早漏! 顔がよかったから付き合ってみたのに、マジありえないんですけど~」 「でも、お前アイツとまだ付き合い始めたばかりじゃ…」 「連れて歩くにはまあまあでしょ? クリスマス近いし、今狙ってる男落とせるまではキープしとくって感じ。 それにさー、早漏だけじゃなくて童貞だったし。なーんか一緒にいてつまんないんだもの」 俺に向けてくれた彼女の優しい微笑みが、たぶんどこかから演技だったと知ったある日の放課後。 下校時間が過ぎた廊下に響き渡る彼女の声は、まぎれもなく俺が好きになった彼女のそれ…… 不幸中の幸いか、廊下にも教室にも、彼女とその話し相手、そして俺の他には誰もいないようだった。 教室のドアをあけることどころか、微動だにできなかった。 ただ、その隙間から漏れる彼女の声と、それを諌めるような誰かの声を黙って聞いていた。 指の先から全身が冷たくなっていくような気がした。 それから、記憶がなかった。逃げるように走っていたのだけ覚えてる。 気づいたら家のそばの公園のベンチに座ってた。 朝の天気予報が今日の寒さは今年一番のものだと言っていたのに、コートは教室に置いてきていた。 心身ともにこのまま凍ってしまうんじゃないだろうか。 心が冷たい、体も冷たい…… 他人事みたいに考えていたそのとき。 「うわっ!!」 「……何してんの」 突然首筋に熱いなにかが触れ、思わず振り向いた。同じクラスの村上だ。 「コーヒー。寒いだろ?」 そのなにかは、ホットの缶コーヒーだった。 これ、俺の好きなヤツ。 文化祭の準備んとき、一緒に買い出し言ったとき話したの、村上、覚えてたんだ…… 村上が隣に座って、俺はコーヒー飲んでて。しばらく沈黙が流れてた。 「なあ」 ぼそぼそと、呟き始めた声に顔をあげた。 「ユミさ、俺の幼馴染なんだ」 ユミ。俺の付き合ってた彼女の名前。 「さっき、お前聞いてただろ?」 「な、なにが?」 咄嗟に誤魔化そうとしても、どうしても動揺が顔に出てしまう。 「教室で。ユミ、あいつ中学入ったころからあんな感じんなっちゃってさ。…気にすんなよ」 「気にしないとか、できるわけないだろ!」 怒鳴ってしまってすぐ後悔した、村上が悪いわけじゃないのにって。 でも、ユミは初カノだった。高校二年にもなって、ようやくできた彼女。頭がいっぱいだ。 確かに俺も、途中から年相応に「彼女」がほしかったのか、ユミが好きなのかわからなくなってた。 「くそっ」 舌打ちをしたのは俺じゃなかった。 「なんで俺黙ってたんだ。……知ってたのに!」 「……でも…俺早漏だって。一緒にいてつまんないって。自覚なかったわー…」 はは、と乾いた自嘲の笑みが漏れてしまった。ダサい。 「俺、お前と一緒にいて楽しいけど」 「そんな、フラれたばっかの俺にフォローとか逆にむなしくなるからやめろよ」 「緊張してたり、相手への気持ちが真摯だったりすれば、早くなんのだっておかしくないことだよ」 「だからやめろって」 「好きなんだって!」 「へ?」 「お前が好きなんだよ! 俺は! だから怒ってんの!」 ふわっと暖かい空気がうごいた。……村上に、抱きしめられてた。 なんだこれ、心臓がすごい速さなんだけど。こんなん、彼女と一緒にいてもなったことなかったのに。 俺、ヘンタイになったのか? で、村上は? ホモ? ?が頭んなかいっぱいに浮かんでは消えたけど、途中から何も考えられなくなった。 どうして、いつのまに…… 「……見せてよ」 「?」 「ユミに見せてないお前の顔、見せて。早いんなら、その分何度でもしてやるから」 「バカかお前!!」 後頭部を思いっきり張っ叩いてやった。 気づいた時には、もうどこも、冷たくなかった。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1816.html
「やあキョン」 「やっぱり佐々木か」 まとわりつくシャミセンを振り切ったある日の事。 俺の背後から声をかけてきたのは、いつもの笑顔を浮かべ、いや、珍しく笑顔を浮かべきっていない佐々木だった。 「やれやれ、やっぱり、とは失礼な奴だなキミも」 「そう思うなら常に人の意表を突こうとするその登場パターンをなんとかするんだな」 「くく、そうか。パターン化はマンネリ化というものだ。考慮しておくよ」 言って喉奥で笑ったものの、音響になんというか張りが無い。 なんだ、どうかしたのか佐々木? 「おやおや、キミは鈍重な感性がウリだと思っていのだが」 「人の特性を妙な方向性で固定するな。なんとなくだよ、なんとなく」 「ふ、くく、そうか、い」 笑顔を広げようとして失敗する。 おい、なんか本格的におかしいぞ。どうした? 「キョン、キミが余計な事を言うから余計に意識してしまったじゃないか。……ただの」 歯痛だよ、と付け足すように言った。なんだそんなことか。 別にそんなの恥ずかしがることじゃねえだろ。 「自分の不摂生を晒しているようなものだからね。僕にも恥じる気持ちくらいあるのさ」 「別に珍しいことじゃねえだろ」 「そうかな」 「そうだろ」 誰にでもある事なのに恥ずかしがるな。 お前はそうやって妙に潔癖にあろうとするのが難といえば難だな。……とまでは流石には口に出さない。 「くく、そうかい」 「なにがだ」 「さてね?」 とぼけた顔で笑う。相変わらず笑顔のストックが多い奴だ。 「しかし歯医者と言うのは巷で聞くとおり恐ろしいところだね。歯痛の痛みも然りであるが」 「なあにそれも人生の貴重な経験って奴だと思っとけばいいだろ」 「他人事だと思って。薄情だなあキミは」 「なんだ、深刻ぶって欲しかったか?」 「ふ、……くくくくく。まさか」 「まあ確かに一度は経験しておいたほうが良いだろう。人生の貴重な教訓にもなる」 二度は御免だがね、と肩をすくめる。そこはまったくの同意だ。 まあ俺は一度目も丁重に辞退したいところだがな。 「で、だ、キョン。キミにも共感してもらう方法を思いついた」 「おい何をやらかすつもりだ物騒な」 宇宙人印の珍妙な道具とか言わんだろうな? 「ああそれなら大丈夫。強いて言うならぼ、あー、そうだ、特別性とは言わないがね。ほら」 言って、品良くラッピングされた小さな箱を俺に押し付ける。 数日前に貰った品々と似た雰囲気の品だった。 「やや遅れてしまったが季節柄の品だ。これを食べてキミも僕と同じ歯痛の苦しみを味わうと良い。貴重な経験になるだろうからね」 三日遅れのバレンタインだ。そう笑った佐々木の笑顔は、中学生の頃やあの春よりもずっと、なんというか。 そう、例えて言うなら、あー、いやなんでもない。なんでもないぞ。 )終わり 「だってキョン、想像してみたまえ。口の中を鋭い刃が動いているんだ。例えば少しでも舌を動かせばズタズタになるんじゃないかな?」 「やめろ変な想像させんな」 「口を開けっ放しにする習慣なんてないからね、口がどんどん疲れてきてだね……」 「やめんかい!」 数ヵ月後、俺に呪詛の一種を投げかける佐々木である。 そのとき俺の口内がどうなっていたかなんて、まあ言うまでもないだろ。ちくしょう不摂生で悪かったな。 「くく、キョン、そうとは限らないよ」 「何故だ佐々木」 「聞いた事はないかい? 虫歯の原因となる口内細菌、ミュータンス菌というものは経口で感染するものらしいのだよ」 「……話がよく見えないんだが」 「くくっ」 「キミの不摂生ではなく、キミが僕の唇にくれた親愛の表現が原因なのかもしれないんじゃないか、ってことさ」 )終わり
https://w.atwiki.jp/zatsubun-zinkai/pages/23.html
9:由実系、尻で割り箸を折る。 もう、慎一系宅はひどい有様だった。彼や由実系の友人達三人が集まっているのである。 先程から、酔った由実系は妙齢の少女が口にすべきでない言葉ばかり垂れ流している。かえって慎一系等男性陣の方が参ってしまう程だった。 その時、彼女が慎一系の方を見て言った。 「あたしここの洗面台でおしっこしたことあんねんか」 「何やってんのよあんた」 他の女子達も流石に目が笑っていない。 「だって慎一系がトイレ入っててんもん」 「それ正直関係ないやろ」 「じゃぁ何?」 やはり酔った時ともなると由実系のしつこさも増幅するようだ。 「流しでした方が良かったとか言うん?」 「誰がそんなん言った」 「もういいし」 若干不機嫌な様子で立ち上がると、彼女は歩きながらベルトに手を掛けた。 「何してんねんお前」 思わず慎一系が追いすがる。 「おしっこしてくる」 「どこでや」 しかし彼女は歩みを止める様子はない。慎一系は部屋に他の一同を残して由実系を追いかけた。 やがて、彼女は台所に入って行った。すぐに追い付いた彼が目にしたのは驚くべき光景だった。由実系が蓋を開けたカップ麺の容器の前で股間を露にしていたのだ。 「お前何すんねん」 すかさず、彼は歩み寄ってカップ麺を遠ざけた。 由実系はニヤニヤした目で見上げて来る。 「冗談やって」 どうやら全部芝居だったらしく、彼女は平然と下着を履き直した。だが、一向にジーンズを履く気配がない。 「早よ履けよ」 そう促したものの、何か考えがあるようで由実系はそんな格好のままでいる。 「先行ってて」 とりあえず、慎一系が先に部屋に戻って来た。 「由実系どうした?」 「すぐ来るって」 ほとんど彼がそう言ったのと同時に、由実系が入って来た。何と、先程同様下半身には下着して着けていない。 男性陣が呆気に取られる中、慎一系は次に何が起こるか確信した。彼女の片手には何本かの割り箸が握られていたのだ。 「じゃぁ一発芸やるし」 今一つ呂律の回らない口調で言い、由実系は下着を大きな尻に食い込ませた。生の尻を見慣れているはずの慎一系でもこれは異常に卑猥に見える。彼の予期した通り、おそらく十膳はあるだろう割り箸を彼女は尻に挟んだ。 僅かに由実系が息む。その直後、拳で握るのがやっとな程の割り箸の束が真っ二つになった。 「痛っ」 小声で彼女がそう言ったのが聞こえてきた。 「どうしてん?」 無言の一同を気にしながら慎一系が歩み寄る。 「何か刺さったっぽい」 確かに、半分になった割り箸が菊穴に刺さっているらしい。 「抜いて」 「俺が?」 曖昧に頷かれては仕方がない。嫌々ながら彼は割り箸を抜き取ってやった。 「何かヒリヒリすんねんけど」 「大丈夫け?」 この時までは、慎一系は真剣に心配していた。 だが、直後に由実系はこんなことを言ったのである。 「慎一系、痛いし舐めて」 「何言うてんねんお前」 彼は他の連中にこのやり取りが聞こえていないか気が気でなかった。 それにしても恐るべきは由実系の尻の強靭さであろう。十膳の割り箸を僅かに尻を赤く染めただけで見事綺麗に折って見せた。 「凄くない?」 今度ばかりは素直に頷かざるを得ない。 「多分スプーンとか余裕で曲げれると思うわ」 この女は自分が尻で曲げ、再度曲げ直したスプーンを食事の折に平気で出して来る可能性があるので慎一系としても他人事ではない。 「パイプとかへし折れたら格好良いやんか」 「どこ目指してんねん」 最早それはごく一般的な女子高生の範疇で夢見ることではない。 FPシリーズ S2 Episode List
https://w.atwiki.jp/vip-subject/pages/10.html
ss(長編)のまとめです。 2スレ以上使ったssをまとめています。 順はなるべく投下された順にしているつもりです。 理科「ちょっとこれ繋げて読んでみてよ」 数学「えっと、ラッキーマン、コーヒー、ライター」 理科「もうちょっと滑らかに」 数学「ラッキーマンコーヒーライター」 理科「うわ、恥ずかしい」 数学「え、何が恥ずかしいの?教えて?」 数学「(うーん。よくわかんないなぁ)」 数学「(そーだ、誰かに聞いてみよう)」 数学「えっとー、あれはぁ、現代文ちゃんだぁ」 数学「あ、現代文ちゃん?ねえちょっと聞きたいことがあるんだけど」 現代文「これから会議なんですけど」 数学「あ、すぐ終わるからぁ。えっと、理科ちゃんがぁ(略)っていったんだけど、どういう意味?」 現代文「プルプル・・・・」(震えている) 数学「え、どーしたの、現代文ちゃん、真っ赤になっちゃって」 現代文「他の人に聞いてよ!もう!私知らない!」 数学「(わかんないな。なんで現代文ちゃん怒って行っちゃったんだろう)」 数学「(あそこにみんなが集まってるから聞いてみよう)」 数学「ねぇ、みんな理科ちゃんが(略)って言ってたんだけどどういう意味なの?」 古文「うふふふ(喜んでる)」 漢文「数学カワイソス」 保健「今から手取り足取り教えてあげるわ」 倫理「理科ったら純粋な少女何を教えたんですか!もう許さんです!」 英語「まあまあこれぐらいの悪戯は良くあるんじゃないの?」 美術「動かないで」 英語「oh…でもこの姿勢とても辛いデース…」 美術「でも駄目」 英語「…あとどれくらいかかりマスか?」 美術「あと少し」 英語「わかりまシタ…」 30分後 英語「あとどれくらいかかりますカ?」 美術「あと少し」 英語「少しってどれくらいデスカ?」 美術「…二時間」 英語「おだてられて話に乗ったワタシがバカでシタ…」 美術「バカ」 英語「他人に言われるとムカつきマス…」 美術「がんば(ぐっ」 英語「完全に他人事デース…」 美術「出来ましたよ!」 英語「oh!ついに解放されマシタ!」 美術「スミマセン、ご迷惑おかけしちゃって…」 英語「hahaha、気にしないでクダサーイ!」 美術「そう言ってくださると助かります」 英語「それにしても美術は絵を描いてる時と普段では別人デスネ」 美術「はぁ…いつも夢中になるとまわりが見えなくなっちゃって」 英語「それだけheartを込めて描いた絵、きっと凄いはずデスネ」 美術「えぇ、今年で最高の出来ですよ」 英語「それは楽しみデース、見せてクダサイ」 美術「どうぞ」 英語「………」 美術「どうですか?」 英語「ワタシ…こんなに胸小さくありまセーン!(ビリビリ」 美術「アッー!」 数学「………」 英語「どうしたデスカ?数学」 数学「…何食べたらそんなに背高くなるの?」 保健「え?ナニを食べ…」 給食「落ち着けバカ野郎」 数学「は、話の輿を折られちゃったけど…」 英語「ン~…何と言われても普通にしてただけデース」 数学「食文化の違いかなぁ…」 英語「小さいこと気にしてマスカ?」 数学「あぅ…その…」 給食「数学、まだ気にしてるの?」 数学「給食ちゃんは黙ってて!」 英語「oh…喧嘩はダメデース」 給食「大体ね、英語は確かに背は高いけど乳は小さいのよ?」 英語「そっ、それは関係ありまセーン!」 給食「大事なのはバランスよ?」 数学「う、う~ん…」 英語「ちょっと納得してるー?!」 数学「給食ちゃんはスタイルいいからそんな事いえるんだよぅ!」 給食「まぁ確かにその辺の女とは格が違うし?」 英語「ワタシの胸を見て言わないでクダサイ!」 保健(給食はスタイル良し…っと) 数学「小さいって生徒にまでからかわれるんだよ?」 英語「ワタシも陰で貧乳言われてマース…」 保健「また揉んであげ…何で逃げるの~?」 数学「私だって大きくなりたいよ…いつも上から見下ろされて…」 給食「いいじゃない別に」 数学「どうして!?」 給食「私は今のままの数学が好きだよ(きゅっ」 数学「ななななな何を…!?」 給食「変わりたいなんて言わないで…今のままで魅力的だから」 数学「給食ちゃん…」 給食「ぬいぐるみみたいで可愛いわよ」 数学「あぅ~…またバカにするぅ…」 保健「百合の匂いがするから戻ってきたのにぃ」 給食(あぶねー、厄介なのにバレるとこだったわ…)
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/720.html
前へ いつもの通学コース。 駅でバスを降りて、ここから高校までは電車で二駅。 その改札口へ向かっていると、そこで見知った人を見かけた。 通勤通学の人波の中でも、ひときわ目立つその二つ縛りの髪型。 この人は何も変わらないんだな。 このフリフリの格好で大学にも行ってるんだ。キャンパスをこの原色の色使いで闊歩していると。 なんというか、さすがです。 その人も僕に気付いてくれた。 「桃子さん、おはようございます」 「おはよ、少年。これから学校?」 「はい、そうです。桃子さんはこれから大学ですか?」 「うん。だけど、その前にちょっと学園にね」 これから学園へ? 何しに学園へ行くんだろう? 「午前中は授業が無いから、学園に遊びに行こうと思って」 学園に遊びに行くって、この人なにか勘違いをしているのではないだろうか。 学園ってのは学校であって、大学生が暇つぶしのために遊びに行くような、そういう場所じゃないと思いますけど。 目の前の桃子さんは僕を見て何かを思いついたように、ニヤッと笑った。 嫌な予感がする。早々に退散しよう。 「そうですか。それじゃ僕はこれで」 「何言ってンの? 少年も一緒に行くんだよ」 学校に向かっているという僕の意向は完全無視ですか、そうですか。 このあいだの熊井ちゃんといい、この人達は僕の通学を邪魔するという行為に対して何の疑問も感じていないんだな。 「僕も一緒に? 何しに僕が学園に行くんですか」 「学園に着けばわかるよ。さあ、レッツゴー!」 再びバスの車内の人となり、今やって来たルートをまた戻って行く。 しばらくは静かな車中だったが、桃子さんが話しを切り出してきた。 「そういえば少年、その後どうなってるの?」 「それですよ。聞いてください桃子さん。この間なんて僕の学校にいきなり乗り込んで来たんですよ。たった一人で!」 「乗り込んで来たって、舞ちゃんが?」 「舞ちゃん? 違いますよ。舞ちゃんがそんなDQN行為をするわけ無いじゃないですか」 「もぉは舞ちゃんのことを聞いたつもりなんだけど? 誰の話をしてるの?」 あ・・・ 舞ちゃんのこと聞いたのか。 「あ、いや、熊井ちゃんのことですけど、えっと・・・」 「ふーん・・・?」 桃子さんがじっと僕を見つめる。 な、なんですか、その顔は? でも、いま僕は何で熊井ちゃんのことを考えたんだろう。 桃子さんの聞いてきたことに対して、一番最初に思い浮かんだ人が熊井ちゃんだなんて。 ひょっとして僕は・・・まさか・・・・ ・・・なーんてね。 つい先日、僕が学校で目の当たりにしたのは、もぉ軍団の人が起こしたあれだけ強烈な出来事なのだ。 そりゃあ、軍団長である桃子さんに報告もしたくなるじゃないか。 この間のメチャクチャな出来事を桃子さんに話す。 その話を軍団長は楽しそうに聞いてくれた。 そりゃあ聞いてても楽しいでしょうよ、当事者じゃなくて他人事なんだから。 「くまいちょー、頑張ってるねー。でも、そろそろもぉがいなくて寂しがってるんじゃない?」 「はぁ。どうでしょう」 「あれ?どうしたの? ため息みたいのついちゃって」 桃子さんが僕の顔を覗き込んでくる。 こうやって普通にしててくれると、優しいお姉さんに見えるんだけどな。 そんな年上の人を前にして、つい気持ちの弱いところをさらけだしてしまいそうになる。 軍団長・・・ その熊井ちゃんなんですけど・・・ 彼女のことを考えると、神経が高ぶってきてしまう。 「桃子さん!」 「な、なに・・・?」 「熊井ちゃん、ここのところもう完全に僕のことを子分扱いなんですよ・・・」 「あははは。すっかりその立場なんだ少年は」 「子分、舎弟、奴隷、召し使い。あんまりです」 「でも、そんなの今に始まったことじゃないんだし。くまいちょー、いったん決めたことはそう簡単には変えたりはしないよ。あきらめたら?」 「考えてみれば、僕が熊井ちゃんの舎弟というのは、とても体裁が悪いんじゃないだろうか・・・舞ちゃんの彼氏たる者が熊井ちゃんの舎弟では・・・」 「何をブツブツ言ってるの?」 「やっぱり僕が熊井ちゃんの子分では都合が悪いんです」 「えー? いつまでももぉ軍団の舎弟でいいじゃん、少年」 「それじゃダメなんです。僕はもっと強くならないと。舞ちゃんのためにも!」 「そ、そっか・・・うん、そうだ強くなるんだぞ少年。頑張ってもっとやりあってね。くまいちょーと少年のやりとりは面白いからねウフフフ」 「はぁ。だといいんですけどね」 なんか熊井ちゃんのことを考えると気分が乱高下してしまう。 これって、パニック症候群とかいう奴ではないだろうか。 僕はそんなに精神的負担を感じているっていうのか。 そんな僕を、桃子さんは(いつものように)心ゆくまで楽しんでいるように見えた。 「で、話し戻すけど、舞ちゃんとはその後どうなってるの?」 「そう、舞ちゃんの話しをしましょう!」 “舞ちゃん” そうだ、その固有名詞こそ僕の希望。 「お陰様で、最悪の事態だけは避けられたようです。あの後、一応僕に顔を合わせてくれましたから、舞ちゃん」 「そうなんだ。舞ちゃんは思ってることストレートに態度へ出す子だから、じゃあ本当に嫌われてはいなかったってことかー」 「はい!」 「じゃあさ、気持ちを伝えられた上でそれなら、それって進歩したってことじゃないの? 良かったじゃん」 桃子さんが優しく微笑んでくれる。 「桃子さん・・・」 桃子さんの見せてくれた優しさに、思わず感動しそうになる。 だが、僕もいいかげん学習した。 桃子さんがこのような優しい笑顔をくれる時、そこには必ずもう一つ裏の意味を含んでいるのだ。 そして、今回もどうやらその例に漏れないようだった。 「もぉに感謝してよね」 「え、えぇ、もちろん」 「言ったね。その気持ち、この後しっかり見せてもらうからね」 正門の近く、学園の塀沿いまで来ると、桃子さんは立ち止まった。 こっそりと正門の様子を探るように覗く桃子さん。 「思った通り。今日は風紀チェックやってる」 「風紀チェックある日とか、何で知ってるんですか?」 「もぉぐらいになると、カンでわかるんだよ。やってるかどうかぐらい大体の所は」 「あの、僕を連れて来たのって、ひょっとして・・・」 「さすが少年、話しが早いね。そう、いいんちょさんの気を引き付けておいて欲しいの」 「む、無理ですよ、そんなの。僕はなかさきちゃんから完全にチェックされてるみたいだから」 「そんなの知らないよ。さっき言ったでしょ。もぉへの気持ちを見せてもらうからね」 「そ、そんな・・・」 「ちょっとここで待っててね」 そう言うと、桃子さんは一人で正門に赴き、そこにいた風紀委員の人に声を掛けた。 その風紀委員の生徒さんたちは、桃子さんの姿を見ると一斉に狼狽した様子だった。 さすが桃子さん、有名人だなあ。 なーんて。他人事のように事態を見ていられた。まだこの時は。 そして、その生徒さんがあわてて報告に走った先は、風紀委員長さんのところだったようだ。 報告を受けやってきたなかさきちゃんは、桃子さんの姿を認めると、この遠目からでもわかるくらい顔がひきつっていた。 それに対して、ニッコリと笑う桃子さん。 ふたりは何かやりとりをしている。 あまり楽しそうなやりとりじゃないのがここからでも分かる。 すると、桃子さんがこっちを指差した。そう、この僕のことを。 こう言っている様子がありありとわかるその感じ。 (あそこで校内を覗き込んでる不審な男の人がいるんだけどぉ) 視線をこっちに向けたなかさきちゃん。 すると、なかさきちゃんは即座に行動を起こした。 彼女は鬼の形相になって僕に向かってきたのだ。 ひょっとして、桃子さんが言ったのはその程度のことじゃないのかも。 もっとひどい言いがかりをでっち上げたのかもしれない。 だって、なかさきちゃんがあの桃子さんを放置してまで僕に向かって来るぐらいなんだから。 いったい何を言ってくれたんだ、桃子さんは。 なかさきちゃんがずんずんとこっちに小走りで向かってくる。 風紀委員の人達も委員長さんをフォローするように後に続く。 僕には見えていた。 風紀委員の人達の後ろ側で、桃子さんがしてやったりという笑顔を浮かべながら、僕に軽く手を振っているのを。 誰もいなくなった正門を、桃子さんがくぐっていくのが見えた。 そして、その姿はゆっくりと学園の中に消えていった。 (なかさきちゃん、後ろーっ!!) そう叫びたかったが、迫ってくるなかさきちゃんの物凄い形相のその迫力に声が出てこない。 「ちょっとッ!! そこで何をやってるんですか!!」 誰何するなかさきちゃんの甲高い声を聞きながら、僕は無い知恵を絞って必死に考えていた。 いったい、この場をどうやって切り抜ければいいのだろう。 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/10014.html
685 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 01 11 50.37 ID YcNYBa9K0 依頼を受けたのが云々というより ただの劣化虚淵にしか見えん件 俺もそういう胸糞系GMに当たったことがあるなあ SW2.0で「穢れた敵に触れた存在は何であろうと始末しなければ悲劇の連鎖が生まれます」とか前口上で言って 助けた人質を村に返すと後で人質の匂いを追跡したとか何とかで村がまるごと焼かれたりとか 檻に入った小鳥を助けるとさえずりから位置がわかった敵が奇襲を仕掛けてくるとか(放置しても小鳥が騒いで同上) こちらが人質(?)を取ろうものならそれを聞きつけたボスが魔法強化完了+奇襲態勢で襲いかかってくるとか そういうのを批判していたらなんかこじらせたのか、高レベルモンスターに付け狙われた依頼主を王城の宿まで護送したら 報酬をもらった後で「君たちは何の対策もしていなかったので相手は町中に潜入した蛮族の手下に惨殺されたよ」 とか言い出してクエスト失敗として処理しようとしたから叩きだした 686 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 01 16 47.99 ID iM1aRu9m0 [1/3] ただの他人が不快になっているのを見て喜ぶ屑だな 劣化虚淵ですらない 687 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 01 26 53.41 ID k52q6rx10 [2/9] その嫌なエンドはやられた者の心にはずっと残るだろうが、それは同時に屑GMの罪状としても残るんだがな 688 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 01 42 28.34 ID RyOc5z7p0 [1/2] 「手垢の付いた昔からよくある話ですね。クソGMの例として」とハッキリ言って良いと思う 689 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 01 52 50.89 ID XFdoykAW0 この手の人間は暴言吐かれた時点で論点ずらしてぐだぐだの言い争いになるよう仕掛けてくるかも つまんないっすね、の一言で十分だと思われ 690 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 02 00 16.54 ID 9ErKNFwY0 [2/2] 否定されたらされたで「この苦味が分からないなんて子供なんですねw」みたいに 煽ってきそうだからなあ。残念だが関わったのが失敗でしたね案件と言うか。 691 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 02 07 54.65 ID XYiy1Wkw0 つーかそういう事繰り返したら何がダメってGMへの信頼と信用が失せるのが…… それこそ「何やったってどうせ欠片も描写されてないストーキング蛮族のせいで失敗するんでしょハイハイ」になり、 そんな状況たいていの人族は楽しめないので「あいつ抜きでやった方が楽しくね?」になり、叩きだすことへの心理的ハードルがみるみる下がる(叩きだされる可能性がぐんぐん上がる)というね 692 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 02 34 43.32 ID BjBsLxCE0 その手の輩は予想は裏切ってもいいが期待まで裏切ったらただの駄作だってことを理解してないんだよなぁ 鬱展開でもバッドエンドでも王道外すならよっぽど上手く魅せなきゃ期待外れに終わるから扱いが難しいんだってーのに 693 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 03 45 38.33 ID GXSrQyvX0 [2/4] 小説やゲームなんかでバッドエンドが娯楽として成立するのは、結局他人事だからなんだよな 選択肢を選んだのは自分でも、あらかじめ用意された中から選んでるに過ぎないわけで。 TRPGの場合はそれが「自分自身が選んだ結果」である以上、エンターテイメントではなくなってしまうんだ 694 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/25(火) 04 31 00.45 ID XB5rZZ020 [1/4] 事前告知でバッド確定とぶっちゃけてふるいにかけるとか キャンペーンのスピンオフとして、悪役が悪墜ちするに至った経緯を追体験するとか 擦り合わせや工夫さえあればできないことはないけど、労力を惜しんで押し付けに走る奴はダメ 全くダメ スレ402