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咲「京ちゃん…デキちゃったみたい…///」 京咲? 京太郎「原付?」和「違います!」 優希「……メガネ男子?」京太郎「違うわ!」 京太郎「咲って同性愛者なのか!?」咲「う、うん」 竹井久「暇だし安価で何かするわ」 咲「京ちゃんそこはうんちの出る穴だよ――」 京太郎「俺は人間国宝だ!」 咲「部室に来たら金髪の女の子が倒れてた」 咲「京ちゃんって何気にお金持ちですよね」久「そう?」 京太郎「女になった」 京太郎「たまには咲でも蹴るか」 久「それって… 浮気?」 咲「京ちゃぁぁぁああああぁぁん!!」 優希「京太郎の浮気を疑っているじぇ」 和「はい?」 優希「代理出産だじぇ?」京太郎「あぁ、頼みたい」 京太郎「清澄高校麻雀部一年組同窓会」 咲「ちょっと!京ちゃんに近づかないで!」和「え?」 京・清澄 ※咲発狂 菫「白糸台麻雀部は恋愛禁止だ」照「恋愛した人は坊主にするよ」 咲「おちんぽ欲しい」 咲「…京ちゃん?」京太郎「お前らが麻雀を楽しめるのは今日までだ」 京太郎「彼女が欲しい…」 京太郎「メアド交換オネシャースwww」 京太郎「よっ、優希ちゃん」優希「!?」 京太郎「パンツ~パンツはいらんかね~」照「パンツ屋さんだ」 ハギヨシ「合席よろしいですか」京太郎「あ、どうぞ…」 京優? ※ボーイズトーク 京太郎「おもちを奪い合う麻雀だと!?」 咲「強くてニューゲーム?」 咲クロス小ネタ集 咲(京ちゃんの指美味しそう…)池田「麻雀しようぜー!」 京太郎「オカルトの正体が分かった」 和「退部してくれませんか?」京太郎「え…」 ※百合和 京太郎「長野って結構オシャレだと思うんですけど」 玄「きょ、京太郎君!好きです!私と付き合ってください!!」カァァ 京憧←玄 ※玄凌辱 久「美穂子を貸して欲しい?一回、三万円ね」 ※嫌がるキャップとエッチ、鬼畜久 優希ちゃん「みやなヶ島のテル退治だじぇ!」 ヒサえもん 京太郎「朝起きたらオチンチンが生えてた!」咲・優希「ええっ!?」 京太郎「中ビーム!!」 京太郎「俺って部長のこと好きだったんだなwww俺てっきり」 京太郎「ついマジギレしたら部長が超しおらしくなった」 京太郎「おいタコス食わねぇか」 久「できたわ優希!須賀君を少しだけ幸せにするスイッチよ!」 京太郎「…力抑えるの忘れてた」咲「」 京太郎「オレを弟子にしてください」ハギヨシ「弟子ですか?」 ※ホモ 京太郎「もいっこ、カン!!」 ※未完 京太郎「染谷先輩、結婚しましょう」染谷「すまんがわしは…」 咲「愛宕絹恵さんが金玉を蹴り潰すという風潮」 京太郎「誕生日だぜ!」 京太郎「脱衣麻雀…?」 京太郎「どうせチョコ貰えないだろうから自分で作った」 咲(京ちゃんの指美味しそう…)池田「麻雀しようぜー!」 京咲←池田 京太郎「はぁ!」ネギュウッ 悪い奴「ぐはあやられたー」 ハギヨシ「悩み…ですか」京太郎「……はい」 京太郎「ドキドキが壊れそう1000%ラブ」 京太郎「麻雀を教えてください!」ハギヨシ「はい?」 ※ホモ 京太郎「ククク・・・孕め」 咲「え・・・・?」 京・清澄・龍門渕・白糸台 ※凌辱 京太郎「ゲイ・ストーリーってオモチャ達の映画にレズ・ライトイヤーってキャラ居たよな」 玄宥「松実旅館へようこそ!!」 ※クレイジーサイコレズ 京太郎「生死の境をさまようと雀力が上がる……?」ゴクリ ※唐突なTS 京太郎「いや、俺に恋愛相談されても……」 京太郎「女の子が淫魔になった」 ※R-18 京太郎「女の子がどんどん淫魔になっていく」 和「ips細胞?あぁ、そんなのありましたね」 和「ips細胞?ふふふ、もう私には必要ありませんよ」 淡「京太郎を寝取られた……」 白望「京太郎が寝取られた……ダルい……」 末原「須賀君が寝取られた……メゲるわ……」 ナレーター「須賀京太郎の朝は早い」 和「ホモなんだろ?」 京太郎「こんな麻雀部は嫌だ」 京太郎「悠久の時を越えてくる」玄「君に逢いにきた」宥「あったか~い!」 QB「僕と契(y」 須賀京太郎「…いいだろう、結ぶぞっ!!その契約!!」 京太郎「癒されますね…」プカプカハギヨシ「そうですね」プカー 京太郎「安価で部活を作るぞ」 エトペン「京太郎、イくぞ…ウッ!」 京太郎「〜♪」ハギヨシ「あ、危ない!」 京太郎「小説家を目指してみようと思う」 ※小説批評、未完 咲「京ちゃんの存在価値って…」 京太郎「コーエー龍門渕から咲無双が発売したらしい」 京太郎「おちんちんチャンバラ?」久「ええ。相手は龍門渕の執事よ」 京太郎「い、痛いです先輩…」染谷「大変じゃあ!?」 京太郎「『アカイイト』? 霞「本当に潰してもよろしいのですね?」京太郎「・・・はい」 怜「Y染色体D2系統、ハプログループM7a。合格や」 京太郎「タコスの限界に挑戦?」優希「そうだじぇ!」 咲「で、出たーwwチンチン股に挟んで女の子奴ーwww」京太郎「…」 京太郎「ビューティフル・ライフ」 京太郎「咲和こそ至高」 京太郎「部キャプは王道」 京太郎「咲のことが好きだ」 京太郎「愛されてえ…」 京牌 京太郎「咲で抜くのももう飽きたな…」 京太郎「俺をバンビーノって呼ばないで下さい」染谷「じゃかあしい」
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361874491/ 京太郎「モモー、いるかー?」ガラッ 桃子「いるっすよー。どうかしたっすか?」 京太郎「やっぱ部室にいたのか。先生が呼んでたぞ」 桃子「あー進路調査っすかねえ」 京太郎「まだ出してなかったのか? まだ1年だし適当に書いてればいいだろ」 桃子「そういう適当なの好きじゃないっす!」 京太郎「そう言って遅れてりゃ世話ないって」 桃子「それはまあそうなんすけどね。とりあえずあと少しだし、これ読み終わったら行くっす」ペラ 京太郎「さっさと行けよ……何読んでんだ?」 桃子「少女漫画っすよー。ゆみ先輩に借りたっす」ペラ 京太郎「ゆみさん少女漫画好きなのか」 桃子「前に少女漫画の2人乗りのやり方を真似たとかあったじゃないっすか」 京太郎「あー……?」 桃子「ああ、そういえばあのとき京太郎は一瞬意識飛んでたっすね」 京太郎「お、俺はそんなことを忘れたのか!? ちくしょう!」 桃子「一緒に帰るとき毎回2人乗りしてるんすから、今更そんなのいいじゃないっすか」ペラ 桃子「まあともかく、ゆみ先輩は少女漫画大好きっすよ。私から貸すこともあるけど、借りるほうがずっと多いっすね」 京太郎「そうなのか」 桃子「そうだ、ゆみ先輩にこの主人公みたいなことやってみたらどうっすか?」 京太郎「どれだ?」 桃子「これっすよ。後ろからギューッて。俗にいうあすなろ抱きっすね!」キャーッ! 京太郎「こ、これはちょっと恥ずかしくないか」 桃子「女の子がやってもらいたい抱きしめ方第1位っすよ!」 京太郎「これやってゆみさんに拒否られたら俺立ち直れねえぞ……」 桃子(ゆみ先輩が嫌がるとか本気で言ってるんすかねこれ) 桃子「まあまあ、騙されたと思ってやってみるといいっす」 京太郎「いやでもなあ……」 桃子「……しょうがない、先にネタばらししてあげるっす」 京太郎「ネタばらし?」 桃子「ゆみ先輩がこれ見て『……いつか、私もやってもらいたいな』って言ってたんすよ」 京太郎「マジで?」 桃子「大マジっす。ゆみ先輩の望みを叶えるためにもやるっすよ!」 京太郎「そういうことなら……!」 桃子「その意気っす。私は先生のところに行ってくるから頑張るっすよー!」 京太郎「おう!」 ゆみ「京太郎、もう来ていたのか」ガラッ 京太郎「ゆ、ゆみさん!?」ガタッ ゆみ「な、なんだ?」ビクッ 京太郎「あ、す、すみません。特にどうというわけでは……」 ゆみ「おかしな奴だな」クスクス 京太郎「部長たちは説明会とかで遅れるみたいです」 ゆみ「ああ、もうそんな時期か。懐かしいな」 京太郎「ゆみさんはこの時期には進路決めてましたか?」 ゆみ「おおまかにはな。……まあ、プロを目指そうとは露ほども思っていなかったよ」 京太郎「試合とか出れてなかったですもんね」 ゆみ「ああ、私がプロになろうと思ったのは君のおかげだよ」 京太郎「お、俺ですか? 別に何もしてないですよ?」 ゆみ「そんなことはないさ。少なくとも全国へ行けたのは、長野の決勝で宮永に勝てたのは君がいたからだ」 京太郎「?」 ゆみ「分からなければそれでもいいよ」フフッ 京太郎「気になるじゃないですか」 ゆみ「……それじゃ、私が君に感謝しているということだけ分かってくれ」ボソッ 京太郎「……! は、はい」カアァァ ゆみ「……へ、変なことを言ってしまったな。ええと、この間の牌譜は……」クルッ 京太郎「……ゆみさん!」ダキッ ゆみ「ひゃっ!?」 京太郎「俺こそゆみさんには感謝してもしきれないですよ。麻雀を始めたのも、少しずつでも上手くなっているのも……」 ゆみ「わ、わかった。わかったから!」アワアワ 京太郎「……あれ? い、嫌でした?」ギクッ ゆみ「い、嫌なわけないだろう。ただ突然だったから……」カアァァ 京太郎「よかった……! 嫌がられたらどうしようって思ってました」ギュウ ゆみ「ひゃぅ……な、なんでこんなことしようと思ったんだ?」カアァァ 京太郎「モモからゆみさんがこういうの憧れてるって聞いたんですよ」ギュッ ゆみ「……ちょっと待て。私はそんなことを言った覚えはないぞ」 京太郎「……え?」 ゆみ「そもそも憧れてもいない」 京太郎「えっえっ?」 京太郎「えっと、じゃあこれは……」ダラダラ ゆみ「……」 京太郎「……あ、メールが」 桃子『先生にこってり絞られたんで今日は部活行かないで帰るっす(/_;)』 桃子『PS.騙されたと思ってやってくれたみたいっすね! ちゃんと写真も撮ったっすよ!(≧∇≦)/』 京太郎「……そういうのは騙されたと思ってって言わねえよ!!」 ゆみ「……写真も添付してあるな。というか部室に来てるじゃないか……モモお前その辺りにいるだろう!?」 シーン 京太郎「……くそっ、あいつ本当に帰ったみたいですね」 ゆみ「そのようだな……」ハァ 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎「……」ギュッ ゆみ「あっ」 京太郎「ハッ、す、すみません! つい無意識に! い、今離します」ワタワタ ゆみ「ま、待った」ギュッ 京太郎「……? ゆみさん?」 ゆみ「もっと……」 京太郎「へ?」 ゆみ「も、もっとやってくれ。嫌じゃ、ないから」カアァァ ゆみ「その、君に包まれているようで安心するというか落ち着くというか」 ゆみ「いつも君の後ろから抱きついているけれど、こうして抱きしめられるのもいいなというか……」ハッ ゆみ「わ、私は何を言っているんだ……」カアァァ 京太郎「」ズキューン ゆみ「きょ、京太郎? すまない、今のは忘れて……」 京太郎「忘れられるわけないじゃないですか!」ギュッ ゆみ「きゃっ!?」 京太郎「ああもう、ゆみさん大好きです!!」ギュー ゆみ「きょ、京太郎!?」アワアワ 京太郎「ゆみさんすげー可愛いです。愛してます! もう一生離しません!」ギュゥ ゆみ「ば、バカなことを言うな。その、嬉しいがこんなところを見られたら……」 京太郎「大丈夫ですってモモも来ないって言ってま――」 ガラッ 睦月「こんにち――」 佳織「遅くなってごめ――」 京太郎「……」(抱きしめてる) ゆみ「……」(抱きしめられてる) 一同「………………」 睦月「す、すみませんでしたー!」ダダダッ 佳織「ご、ごゆっくりー!」タタタッ ゆみ「ま、待て! ち、違う、これは違うんだ!」バッ 京太郎「そ、そうです! モモに騙されて!」バッ 佳織「そんな力強く抱きしめといて何言ってるの!?」タタタッ 睦月「今日は自主練習にしておきますから!」ダダダッ 京太郎「ちょ、せめて走りながら抱きしめてとか言うのはやめてください!!」 ゆみ「……行ってしまったな」 京太郎「……まあ、冷静に考えたら誤解も何もないですよね」 ゆみ「まったくだ。何をしていたんだ私たちは……」ガクッ 京太郎「どうしましょう。もう今日はみんな来ないでしょうし帰ります?」 ゆみ「そうだな……。もう誰も来ないか……」ハッ ゆみ「じ、実はいい麻雀の教本を持ってきたんだ。よければ一緒に読まないか?」 京太郎「いいですよ。……って一緒に?」 ゆみ「あ、ああ。2冊あればよかったんだが1冊しか持っていないんだ。だから一緒に……」 京太郎「一緒に……も、もしかしてさっきので?」 ゆみ「……」コクッ 京太郎「……わかりました。じゃあそこのソファーで。俺の上に座ってください」 ゆみ「! あ、ああ」 京太郎「はい、どうぞ」 ゆみ「それじゃあ……ど、どうだ? お、重かったら言ってくれ」 京太郎「重くなんてないですよ。むしろ軽いです。……それよりあんまり深く腰掛けないでくださいね」 ゆみ「なぜだ?」 京太郎「えっと……まずいので」 ゆみ「? まあわかったよ」 京太郎「ありがとうございます。じゃ、じゃあ本借りますね」 ゆみ「あ、ああ。その、一緒に勉強しよう」 京太郎「は、はい」 京太郎「……」ペラ ゆみ「……」 京太郎「……」ペラ ゆみ「……落ち着くな。普段より頭に入ってくる気がする」 京太郎「俺も全然眠気とか感じないです。本読んでるとよく眠くなるんですけど」 ゆみ「……そういうことを言っているのではないんだが」ハァ 京太郎「え!?」 ゆみ「まったく、もっと知識も付けないとダメだぞ」フフッ 京太郎「はーい」 イチャイチャ 智美「……なんだこれは」 ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ ――新人戦―― 京太郎(これを通さないときっと勝てない……!) 下家「……それだ。ロン。8000」 京太郎「うげ……」ガクッ アナ『試合終了ーー! 須賀選手、最後の最後で振り込んでしまいました』 藤田『夏のような回避は出来なかったか。まあミスをして振り込んだというわけではないが』 アナ『これで須賀選手はこの卓で3位に転落。現在総合順位は4位ですから3位以内に入るのは難しくなりました』 藤田『上位のミス待ちだが、こういう流れではそれも期待薄だろうな』 京太郎「なんであんなの切ったかなあ……」 下家「よう、また会ったな」 京太郎「あ、下家(しもや)さん」 下家「3ヶ月で随分上手くなってるじゃねえか。夏大じゃ俺もヤバイかもな」 京太郎「1位の癖に何いってんですか」 下家「まあ負ける気はねえよ。リベンジは夏までしか受け付けてねえからな。楽しみにしてるぞ」スタスタ 京太郎「……俺が負けられなかったのは今回だったんですよ」ハァ 京太郎「はぁ……」ガチャ 桃子「お疲れさまっす。ため息なんてついてどうしたっすか?」 京太郎「最後の最後で振り込んだからだよ……ちなみに順位はどうだった?」 桃子「変わらずっすね。4位っす」 京太郎「あー、やっぱりそうか……」ガクッ 睦月「落ち込むな……って言ってもダメかな。後一歩だったね」 京太郎「はい……」ハァ 桃子「そんなに落ち込むことないすっよ。麻雀初めて1年も経たないのに県4位なんて凄いじゃないっすか」 京太郎「上出来だとは思うけど、どうしても、というか出来れば今回全国へ行きたかったんだよ……」 桃子「そりゃあ出来れば勝ちたいのは当然っすけど、そんなこと言ったらキリないっすよ」 京太郎「まあ確かに負けてから言ってもしょうがないんだけどな……」ズーン 佳織「そんな顔してたら加治木先輩に心配かけちゃうよ? いい成績だったんだから胸を張らないと」 京太郎「ゆみさん……」ハァ 佳織「あ、あれ? 余計元気なくなった?」アセアセ 桃子(あーもしかして) 睦月(加治木先輩がいる間に全国に行きたかったのかな……?) 睦月(加治木先輩は別に気にしないと思うけど……本人の問題だしなあ)ムムム 桃子「……ほら! クヨクヨするのはその辺にして、私たちの応援するっすよ!」 睦月「! そうだね。せっかく私たち3人決勝に行けたんだから、頑張って応援してもらわないと」 京太郎「……そうですね。すみません、自分が終わったからって……」 睦月「ううん。ただ、それは私たちじゃどうにも出来ないから、帰ってからゆっくり2人で話してね」フフッ 京太郎「えっ」ギクッ 桃子「あれだけわかりやすかったんすから、そんなバレたみたいな顔しないで欲しいっすね」 京太郎「ええ!?」 佳織「えっえっ?」 桃子「かおりん先輩はそれでいいんすよ」ポンッ 佳織「気になるなぁ……」 睦月「後で教えるから、今は決勝をがんばろう」 佳織「うん。わかった!」 桃子「それじゃ行ってくるっす。応援ちゃんとするっすよー」 京太郎「ああ、分かってるよ。先輩たちも頑張ってください!」 ――帰りの電車―― 桃子「~♪」 佳織「嬉しそうだねー」 京太郎「電車の中であんまりはしゃぐなよ?」 桃子「あれ、僻みっすか? 僻みっすね? 男の嫉妬は見苦しいっすよ~♪」プププ 京太郎「殴りてえ……!」 佳織「だ、ダメだよそんなことしちゃ」 京太郎「そりゃしませんけど気分として……!」 睦月「まあまあ、全国に行けたんだから今日のところは多目にね」 桃子「そうっすよ。心を広く持つっす!」 京太郎「本人に言われると腹立つな!」 睦月「あはは。……それにしても夏と秋、連続で全国出場するなんて想像もしてなかった」 桃子「来年はきっと新入部員たくさん来るっすよー!」 佳織「そうだね。新入生に負けないかちょっと怖いな」ブルブル 京太郎「佳織先輩は大丈夫ですよ。何があっても入れます」 佳織「京太郎くん、3年生だからってそれはよくないよ」 京太郎「いや、実力ですよ」 佳織「……? あ、それまでに上手くなれってことだね。頑張ります!」 京太郎「…………はい!」 佳織(少し間が空いたのが気になるなあ……?) 桃子「次は団体で全国に行きたいっすね」 睦月「うむ。私も部長として恥ずかしくないように頑張らないと」 京太郎「団体戦は俺も出たいなあ」 佳織「来年は出られるんじゃないかな? 夏の最後の試合はかっこよかったよ」 京太郎「ほんとですか! 俺に憧れる後輩が出来るのか……!」 桃子「今日の最終戦で振り込んだのがどう出るかっすね」 京太郎「忘れようとしてたのに言うなよそれを……」ガクッ 睦月「大丈夫だよ。別にミスってわけじゃないんだし」 京太郎「結果的に振り込んじゃいましたから……」 桃子「まったく、いつまでも引きずるんじゃないっすよ」 京太郎「誰のせいだよ!?」 佳織「まあまあ。そろそろ着くよ」 京太郎「あ、ほんとですね。モモなんかにかまってる場合じゃありませんでした」 桃子「なんかとは失礼っすね」 京太郎「お前が悪い」 桃子「んー! 疲れたっすー!」 佳織「だいぶ遅くなっちゃったね。もう暗くなってる」 睦月「もう秋だね。夜になると寒いや」ブルッ 京太郎「ですねえ。……これじゃ今日はゆみさんに報告出来ないなあ」 睦月「え? まだしてなかったの?」 京太郎「はい。直接言おうと思って。もうちょっと早く帰れるかなと思ってたんですが」 桃子「勝ってたらいいっすけど負けてるとあれっすね」 京太郎「わかってるよ! 言うなよ!」 睦月「でもそれなら悪いことしちゃったかな。蒲原先輩に結果送っちゃったから、もしかしたら加治木先輩にも伝わっちゃってるかも」 京太郎「まあそれはそれでしょうがないです」 京太郎「どっちにしろこれじゃ明日になりますから、ニュースか何かで知っちゃうかもしれないですし」 佳織「もう一本早い電車に乗れてればよかったね」 京太郎「そうですね。電車が少ないと辛……!?」 ゆみ「おかえり、京太郎」 京太郎「こ、こんな寒い中何やってんですか!?」 ゆみ「寒さは大丈夫だよ。ほら」ピトッ 京太郎「わっ!?」 ゆみ「カイロを持ってきてるんだ。さっきまで電車にいた君の頬より暖かいだろう。まあカイロを使うには時期が少し早いが」 京太郎(あわわわわ。やばい、顔が熱い。いや手が熱いから顔も熱くなってるんだけどそれだけじゃなくて……) 京太郎「って、そうじゃなくて! それはそれです! カイロがあるからってこんな寒い中ずっと外にいたら体に良くないです」 ゆみ「京太郎が頑張って来たんだからこれくらいなんてことはない。それにしょうがないだろう。君の結果を早く聞きたかったんだ」 京太郎「すげえ嬉しいですけど、もっと自分の体も大事にしてください。せめて喫茶店とかで待ってるとか」 ゆみ「しかし……」 京太郎「しかしじゃないです」 ゆみ「わかった……」シュン 京太郎「あ、い、いや。凄い嬉しいんですよ? 嬉しいんですけどゆみさんのほうがずっと大事なので……」 ゆみ「大丈夫、わかってるよ。ありがとう」 ゆみ「ところで結果はどうだったんだ?」 京太郎「ええと……」 桃子「私は全国出場出来たっすよー!!」 ゆみ「本当か!? 凄いじゃないかモモ!!」 桃子「先輩に続いて夏秋連続っす! 鶴賀も強豪の仲間入りっすよ!」 ゆみ「よくやった!」 桃子「嬉しいっす!」 京太郎(モモおおぉぉぉ!! お前が先に言うと俺が言いづらいじゃねえか!! せ、せめて最後にならないように……) 京太郎「俺h」 睦月「私は決勝リーグには行けました。順位はあまり良くありませんでしたけど……」 佳織「私も決勝リーグに出場出来ました! でも順位は良くなかったです……」 ゆみ「そうか、2人もよく頑張った。夏は予選で敗退してしまっていたんだから、よく成長しているよ」 ゆみ「順位なんて後から付いてくるものだ。そんなに気にする必要はないさ」 佳織「はい、ありがとうございます」 睦月「わかりました。でも部長として恥ずかしくないくらいの順位は取っておきたかったです……」 ゆみ「別に部長が強くなければならないというわけじゃない。要は部をまとめられるかどうかだよ。蒲原もそうだろう?」 睦月「……そうですね。蒲原先輩みたいになれるよう頑張ります」 京太郎(先輩ー! いい話なんですが、前とほとんど変わらない俺が余計言いづらい空気に!!) ゆみ「……それで京太郎は――」 桃子「あ、もう遅いし私たちは先に帰ってるっす」 睦月「2人でゆっくりしてください」 佳織「京太郎くん、加治木先輩を送って行ってね」 ゆみ「ん、そうか」 京太郎「ちょ、お、おいモモ」 桃子「なんすか?」 京太郎「お前こんな雰囲気で置いてくなよ! 前回と似たような感じでしたなんて言いづらいじゃねえか!」ヒソヒソ 桃子「……や、正直惚気けるの分かっててこの場に居るのはちょっと」 京太郎「はあ!?」 桃子「……そんな心外だみたいな顔されても」 ゆみ「……何をこそこそ話しているんだ?」 京太郎「い、いえ。なんでもないですよ」アハハ 桃子「それじゃ私たちはお先に」 睦月「さよならー」 佳織「また明日ね」 京太郎「うわ、ほんとに帰った……」 ゆみ「いいじゃないか。その、き、気を使ってくれたんだろう」 京太郎「まあそうなんでしょうけど……」 ゆみ「……それに、2人きりになったのにそんな顔をするのはどうなんだ」 京太郎「あ、いえ、決して嫌というわけではなくてですね……」アセアセ ゆみ「それはわかっているが……まあなんだ。し、嫉妬したくなるからやめてくれ」カアァァ 京太郎(あ、やばい。めちゃくちゃ嬉しい)ジーン ゆみ「そ、そんなことより! 大会の結果はどうだったんだ!?」 京太郎「うっ」ギクッ ゆみ「?」 京太郎「そ、その……4位でした」 ゆみ「……なんだ、さっきから言いづらそうにしていたから何かと思えば。いい成績じゃないか」 京太郎「いえ、モモが全国に行ったり、睦月部長たちは決勝リーグに進めるようになったり成果上げてるのに」 京太郎「俺だけほとんど変わりないですし……」 ゆみ「そうか? 4位になれたんだ。私は十分成長したと思うよ」 京太郎「でも得点的にも前回と比べて誤差くらいのもんですよ?」 ゆみ「そうかもしれないが、今回は前回までいた2人の魔物が混ざっていないだろう?」 ゆみ「あまり場が荒れない中でそれだけの点数を稼いだんだ。よく頑張った」 京太郎「それはそうかもしれませんけど」 ゆみ「ただまあ、それとは別に後一歩で全国へ行けなかったというのは単純に悔しいだろうと思う」 京太郎「……そうですね。夏に続いてですし」ガクッ ゆみ「お疲れ様ということで残念会……というと失礼かな。ともかく、よければこの辺りで食事でもしていこう。今日は私が奢るよ」 京太郎「家の方は大丈夫ですか?」 ゆみ「遅くなるかもと伝えてあるから問題ないよ。帰り道も君が送ってくれるだろう?」 京太郎「それはもちろん」 ゆみ「なら安心だ」フフッ 京太郎「じゃあ行きましょうか。……でも奢るのはいいですよ。というかむしろ俺が出しますって!」 ゆみ「君をねぎらうのに君が出しては本末転倒だろう」 京太郎「じゃあせめて割り勘で」 ゆみ「ダメだ。今日は先輩として私が出す」 京太郎「いやでも……」 ゆみ「それじゃあ次は彼氏として京太郎が出してくれ。それでいいだろう?」 京太郎「……わかりました。それじゃ今日はご馳走になります」 ゆみ「うん、素直なのが一番だ」 京太郎「それじゃどこに行きます?」 ゆみ「私の好きな店があるんだ。そこでいいか?」 京太郎「いいですよ」 ゆみ「わかった。それじゃ行こうか」 京太郎「はい」ギュッ ゆみ「!」 京太郎「どうかしました?」 ゆみ「……いや、なんでもない。案内するよ」 京太郎「わかりました」 ゆみ(寒いと言ったからかな。恋人繋ぎ) ゆみ(初めてではないけれど、自然にやってくれたのは多分初めてだ。恋人らしくなっているのかな)フフッ 京太郎「ゆみさん、なんか嬉しそうですね」 ゆみ「ああ、京太郎のおかげだよ」 京太郎「え?」 ゆみ「ふふっ」 京太郎(……よくわからないけど、ゆみさんが嬉しそうだしいいか) ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ 咲『こんばんはー』 ゆみ『こんばんは』 咲『この間京ちゃんと会っちゃいました。加治木さんのいないところで2人きりで』 ゆみ『ああ、私は大会に行かなかったからな』 咲『普通に返されてちょっと悲しいです』 ゆみ『何を期待しているんだ何を』 咲『ちょっと焦らせようと思ってもいいじゃないですか!』 ゆみ『はぁ……』 咲『まあそれは置いておいて、東横さんの全国出場おめでとうございます』 ゆみ『ああ、よくやってくれたよ』 咲『私も振り込んじゃいましたから、全国ではリベンジしたいです!』 ゆみ『リベンジも何も勝っているだろう。まさか一度も振り込まないことを目指しているのか……?』 咲『そ、そういうわけじゃ』 ゆみ『ふふ……君も断トツでの全国出場おめでとう。全国2連覇へ向けて好調だな』 咲『うーん、でも全国には大星さんとか荒川さんとか強い人がたくさんいますから……』 ゆみ『同じ長野の代表として、モモの次に応援してるよ』 咲『ありがとうございます!』 咲『……ところで、京ちゃんはどうでしたか?』 ゆみ『どうというと?』 咲『その、また後一歩ってところで負けちゃったから落ち込んでたりとかは……』 ゆみ『……そうだな。落ち込んでいたよ』 咲『そうですか……』 ゆみ『もう少しだったみたいだからな。多少はしょうがない』 咲『(ここで私が元気づければ……!)』 ゆみ『こら、何を考えている。それにその日のうちに私が元気づけたからもう遅いぞ』 咲『ちぇー』 ゆみ『本当に毎回油断も隙もないな……』 咲『本気なら書きませんって』 ゆみ『どうだか』 咲『信用してください!( _ )』 ゆみ『……悪いと思って今まで聞いていなかったんだが……夏大の後京太郎に告白したりしたのか?』 咲『……それを私に聞くんですか?』 ゆみ『冗談と分かっていてもさすがにこう何度も言われると気が気じゃないんだ』 咲『……断られると分かっててするわけないじゃないですか!!』 ゆみ『……そうか、それはすまなかった』 咲『そうですよ。するなら京ちゃんと加治木さんが別れてからです』 ゆみ『おいこら』 咲『傷心の京ちゃんを慰める私。そしてずっと好きだったのと囁く』 咲『いつも身近にいた幼なじみからの突然の告白』 咲『離ればなれになって何かが足りないと思っていた京ちゃんは本当に大切だったものに気がついて……』 ゆみ『それが狙いかお前は!!』 咲『別れるまでは何もしないので安心してください!』 ゆみ『出来るか!!』 咲『待つのは私の自由です!』 ゆみ『うっ……』 咲『……最初は私も諦めようと思って部活のみんなにそう言ったんですけど』 咲『優希ちゃんからそんなことで諦めるのかって言われて……』 咲『部長……竹井先輩からも確かに2人が別れる可能性は低いかもしれないけど』 咲『悪待ちって意外と来るものよって言われたんです!』 ゆみ(久か! あいつがこの元凶か!) 咲『でも本当に私から何かすることはないので安心してください。恨まれるからやめたほうがいいわよって言われましたし』 ゆみ『……そういう気遣いまで教えるのかあいつは。はぁ……』 ゆみ『ちなみにそういうことは私に言わないほうがいいとは言われなかったのか?』 咲『どっちでもいいけど、後腐れなくしたいなら言ったほうがいいかもとは言われました』 ゆみ『本当にあいつは……!』 ゆみ『……まあ何もしないなら私がどうこう言うことじゃない。ただ、無駄に時間を費やすだけだからやめたほうがいいとは言っておく』 咲『はい、わかってます。大会で久しぶりに会ったときも加治木さんのことばっかり話すんですよ。どう思います?』 ゆみ『嬉しいな』 咲『ですよね! うぅ……まあおもちには弱いみたいですけど』 ゆみ『おもち? どういうことだ?』 咲『あ、胸のことです。京ちゃん巨乳が好きじゃないですか』 ゆみ『初耳だ』 咲『そうなんですか? 全国大会のとき永水の巫女さんたち見て鼻の下伸ばしてましたよね』 咲『この間の大会で会ったときも私より先に和ちゃんのおもちのほうを見てましたし……』 ゆみ『ほう……』 咲『……! ち、違いますよこれは! 加治木さんも知ってると思ったからで……!』 ゆみ『ああ、うん。大丈夫だ。別にこれで別れるとかそういうことはないし、むしろ貴重な情報を伝えてくれて感謝している』 ゆみ『それではまた今度』 咲『ああぁぁ……。京ちゃん、ごめんね……』 ――部室―― ゆみ「……」 京太郎「……おい、どうしたんだ今日のゆみさんは」ヒソヒソ 桃子「知らないっすよ。私が来たときからずっとあそこに座って腕組んでるっす」ヒソヒソ 智美「京太郎、何したんだー?」ヒソヒソ 京太郎「お、俺ですか!?」ヒソヒソ 桃子「そりゃ他にいないっすよ」ヒソヒソ 京太郎「身に覚えがまったくねえよ……」ヒソヒソ ゆみ「おい、モモ」 桃子「は、はいっす!」ビクゥ ゆみ「ちょっとジャンプしてみてくれ」 桃子「はい?」 ゆみ「いいから」ゴッ 桃子「わ、わかったっす!」プルンッ 京太郎「?」チラッ ゆみ「……ありがとう」 桃子「ど、どういたしましてっす」 ゆみ「……」トコトコ 京太郎「……? あの、ゆみさん今日はどうし――」 ゆみ「」ツネリ 京太郎「いたっ、痛いですよ!?」 ゆみ「まあこれで許してやろう」 京太郎「何がですか!?」 ゆみ「後で教えてやる」 京太郎「えええ……今教えて下さいよ」 ゆみ「これは京太郎に対する私の慈悲なんだが……まあ、そこまで知りたいなら今教えてもいい」 京太郎「な、なんか怖いんでやっぱりやめてください」 ゆみ「うん、賢明だ」 桃子「ゆみ先輩は急にどうしたんすかね? まあ京太郎がなんかやったんだと思うっすけど」 智美(さすがに自分でやらせてあれってことはないだろうから、今までの分かなー?) 智美「それにしても今さらって気はするけどなー」ワハハ 桃子「あれ、智美先輩はなんのことかわかってるんすか?」 智美「わかってるぞ。まあ秘密だけどなー」 桃子「気になるっすー!」 智美「ワハハー」 ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ ゆみ「おじゃまします」 京太郎「どうぞ上がってください」 ゆみ「ここが京太郎の家か……」キョロキョロ 京太郎「そんな面白いもんじゃないですよ」 ゆみ「綺麗だな。家が出来てから半年くらいか?」 京太郎「もう少し経ってます。10ヶ月くらいですかね」 ゆみ「ふむ……」 京太郎「それがどうかしました?」 ゆみ「いや、小さい頃から暮らした家から引っ越すというのは寂しいのかなと。……私が思うのも失礼だな。なんでもない」 京太郎「まあ、寂しくなかったかって言ったら嘘になりますね。でも住めばここもいいもんですよ」 ゆみ「ん。そうか」 京太郎「それに向こうにいたままだったらゆみさんに会えませんでしたし! それだけでもこっち来てよかったですよ!」 ゆみ「そ、そうか」カアァァ 京太郎「じゃあここで待っててください。お茶でも出しますよ」 ゆみ「ああ、ありがとう」 ゆみ(日当たりが良くて気持ちいいな) 京太郎「粗茶ですが」 ゆみ「おかまいなく……何を言わせるんだ」 京太郎「一度言ってみたかったんです」 ゆみ「はぁ……ふむ、緑茶か」 京太郎「紅茶のがよかったですか? 煎れ慣れてないんでこっちにしたんですけど」 ゆみ「いや、和室にはこちらのほうが合っているさ」コクリ ゆみ「ん、おいしいな。煎れるのが上手いんだな」 京太郎「母親によくやらされたんですよ」 ゆみ「しっかり成果は出ているな」フフッ ゆみ「……そういえばご両親はどちらに」ソワソワ 京太郎「親父は仕事です。おふくろはなんか急に引っ越す前の友達と遊びに行くとか言って出てっちゃいました」 ゆみ「そうか。安心したような気が抜けたような……」ホッ ゆみ「……っ! と、ということは今この家には……!」 京太郎「え? ……! や、ち、違いますよ! ちょ、ちょっと待っててください!」バタバタ ゆみ(ど、どうしよう。気軽に遊びに行きたいなんて言ったがまさかこんなことになるなんて) ゆみ(ご両親と会うことは覚悟して来たけどこっちは覚悟してないぞっ。……か、覚悟って何の覚悟だ!?) 京太郎「ゆみさん」 ゆみ「ひゃっ!? お、落ち着け京太郎! まだ私たちには……!」 京太郎「まずゆみさんが落ち着いてください。ほら、連れてきましたよ」 ゆみ「……うん? それは?」 京太郎「ペットのカピです。ゆみさんこいつが見たくて来たんじゃないですか」 ゆみ「……そ、そうだったな」 京太郎「こいつがいるから2人きりじゃないですよ。だからその、決してそういうつもりだったわけでは……」 ゆみ「あ、ああ、うん。わかった。変なことを言って悪かった」 京太郎「俺もちゃんと言っとけばよかったですよね。すみません」 ゆみ「これがカピバラか……」キラキラ 京太郎「はい。ほらカピ、ゆみさんだぞー」 カピ「キュー」トコトコ ゆみ「おお……! な、撫でてもいいか?」 京太郎「もちろん、いいですよ」 ゆみ「で、では。カピー」ナデナデ カピ「キュ~」 ゆみ「意外と毛は固いんだな」ナデナデ 京太郎「ええ、ちっちゃい頃は柔らかかったんですけどね。手が痛くなりますから、あんまり撫ですぎないほうがいいですよ」 ゆみ「でも気持ちよさそうにしているしな……」ナデナデ カピ「キュ~」 京太郎「あんまり甘やかし過ぎるのもよくないんですよー」 ゆみ「まあたまにはいいじゃないか。しかし可愛いなあ」フフッ 京太郎「ですよね! こののんびりしたところがほんと可愛くて……!」 ゆみ「ふふっ。カピバラを飼っているなんて家は初めて見たが、どうしたカピバラを飼おうと思ったんだ?」 京太郎「大した理由じゃないですよ」 京太郎「俺が小さい頃にテレビを見て、可愛いとか飼いたいとか言ってたら無理して買って来てくれたんです」 ゆみ「そうなのか。いいご両親だな」 京太郎「あー……まあ、そうですね」 ゆみ「素直に感謝してもいいんだぞ?」クスッ 京太郎「やめてくださいよもう……なんか恥ずかしい」 ゆみ「ふふっ。おや、カピはどうしたんだ?」 カピ「キュゥ……」スースー 京太郎「ああ、寝ちゃったみたいですね。日当たりもいいですし、ゆみさんが撫でたのが気持ちよかったんですよ」 ゆみ「そうか。じゃあ起こさないように静かにしないとな」 京太郎「そうですね。すみません、こんな早く寝ちゃって。普段は日中寝たりしないんですけど」 ゆみ「それだけくつろいでくれたなら嬉しいよ。気持ちのいい日だしな」アフゥ 京太郎「ゆみさんもあくび出てますよ」アハハ ゆみ「うん、休日のこの時間はよく寝ているからな。恋人の家に来てこれは我ながらどうかと思うが……」ウトウト 京太郎「自分の家みたいに思ってもらっていいですよ。というかゆみさん昼寝とかするんですか? あんまりイメージじゃないですけど」 ゆみ「よくしているよ。私の好きなものは昼寝だからな」 京太郎「……え? 智美先輩じゃなくてですか?」 ゆみ「君は蒲原をなんだと……いや気持ちはわかるが。ともかく、私の趣味は昼寝だよ」 京太郎「てっきり読書とかそういうのが趣味なのかと思ってました」 ゆみ「それも好きだが、昼寝のほうが好きだよ」 京太郎「そうなんですか。意外な一面ですね」 ゆみ「意外も何も隠しているつもりはないんだが……」 京太郎「普段の姿から想像できないから一緒ですよ」 ゆみ「むぅ」 ゆみ「まずい、こんな話をしていたら本当に眠くなってきた……」ウトウト 京太郎「昨日あんまり寝れなかったんですか?」 ゆみ「京太郎のせいだぞ」 京太郎「え?」 ゆみ「君の家に行くと思うと楽しみでなかなか寝れなかったんだ」 ゆみ「ようやく眠れそうになったときにはご両親がいることに気付いて今度は緊張して眠れなく……」ウトウト 京太郎「俺のせいですかそれ!?」 ゆみ「ああ」 京太郎「理不尽だ……そんなに眠いなら寝ててもいいですよ。というか一緒に寝ましょう」 ゆみ「しかし初めての京太郎の家でそれは……い、一緒にねね寝る!?」 京太郎「ちょ、ち、違います! 昼寝するだけです!!」 ゆみ「紛らわしいことを言うな! ああもう、想像してしま――ってないからな!!」 京太郎「ほんとすみませんっ!」ペッコリン ゆみ「……しかしそうだな。お言葉に甘えようか。カピも気持ちよさそうに寝ているし」ウトウト 京太郎「はい。少し仮眠とりましょう。何か掛けるもの持ってきますよ」 ゆみ「いや、いいよ。十分暖かいし」 京太郎「そうですか? じゃあ枕代わりにクッションでも――」 ゆみ「いや、それもいい。その……」モジモジ 京太郎「?」 ゆみ「きょ、京太郎に腕枕してもらいたいんだ。ダメ、かな?」カアァァ 京太郎「」ズキューン ゆみ「昔から憧れてたんだ。い、嫌だというなら別にいいんだが、出来ればやってくれると、その、う、嬉しい」モジモジ 京太郎「もちろんやりますよ! いくらでもやりますとも!」 ゆみ「ほ、本当か?」パアァァ 京太郎「当然です! さあすぐにやりましょう!」 ゆみ「ああ!」 ゆみ「んっ」 京太郎「どうですか? 寝心地はあんまり良くないと思いますけど……」 ゆみ「これはどちらかというと精神的に落ち着くためのものだよ。京太郎に守られてるようで安心する」 京太郎「それにしてはちょっと遠いような気が」 ゆみ「これ以上近づくとドキドキしすぎて眠れそうにない。仰向けなのも同じ理由だ」カアァァ 京太郎「全然落ち着いてないじゃないですか」 京太郎(まあ俺もこれ以上近づかれたり、顔がこっち向いてたりしたら寝るどころじゃないだろうけど)ドキドキ ゆみ「それはそれ、これはこれだ。……それじゃあおやすみ、京太郎」 京太郎「はい、おやすみなさい」 …… … ゆみ「ん……」コロン ………… ……… …… … 京太郎「ふわぁ……うわやべ。3時間も寝ちゃって……っ!?」 ゆみ「」スースー 京太郎(ゆ、ゆみさんの顔が目の前に!? ち、近い近い! 動いたらぶつかりそうだよ!) ゆみ「んー」モゾモゾ ゆみ「ぅん、おはようきょうたろう」トロン 京太郎「お、おはようございます」 ゆみ「ふわぁ。ん~……うん!?」バッ ゆみ「ち、近っ!? な、何がどうした!?」アワアワ 京太郎「お、落ち着いてください! と、とりあえず起き上がりましょう」 ゆみ「そ、そうか。私が起きないと君も起き上がれないのか。よっ……っと」バサッ 京太郎「ふぅ。心臓が破裂するかと思うくらい驚きました」バサッ ゆみ「私もだ。一気に目が覚めたよ。……どうも私が寝返りを打ったせいのようだ。すまない」 京太郎「いえ、その、役得でした」 ゆみ「そ、そうか」カアァァ ゆみ「……ところでこのタオルケットは一体?」 京太郎「ほんとですね、いつの間に……まさか」サアァァ ゆみ「? あれ、テーブルの上に紙が」 京太郎「すげー嫌な予感がします」ペラッ 『京太郎へ こんな時期に何も掛けずに寝るなんて何考えてるの!? あなたはともかく、彼女さんが風邪でも引いたらどうするの。 恋人の体調を守るために最善を尽くすくらいの甲斐性は持ちなさい。ただ腕枕をしたのはいい選択だったと思います。 ゆみさんへ 初めまして。手紙での挨拶になってしまってごめんなさい。 まず息子がこんなに美人な子と付き合っているということに驚きました。 今日は自分の家のようにリラックスしてもらえたようでとても嬉しいです。 生憎これからまた出かけなければならないのでお話はできないのですが、今度は起きているときにお会いできるといいですね。 こんな情けない息子ではありますが、これからもよろしくしてやってください。 』 ゆみ「」サアァァ 京太郎「ほんとやめてくれマジで……」ガクッ ゆみ「私のバカ! なんでせめてお母様が来たときに起きなかったんだ!」 京太郎「いいですよ、気にしないでください。俺から言っときますから」 ゆみ「しないわけがないだろう!? 何を言うんだ!? うあああぁぁ……」 京太郎「大丈夫ですって。こんなの書き残したのは最悪ですけど、書いたことには悪気とか悪意とかはないですから」 ゆみ「そういう問題じゃ――」グスッ 京太郎「ゆみさん」ギュッ ゆみ「ひゃう!?」 京太郎「またウチに来てください。そのときにもう一回やり直しましょう」 ゆみ「……うん」コクッ ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ 京太郎「ゆみさ~ん」ダキッ ゆみ「ん、どうした?」 京太郎「うーん」 ゆみ「?」 京太郎「あすなろ抱き、やっぱり前より喜んでもらえてないのかなあと」 ゆみ「そんなことはないさ。嬉しいよ」 京太郎「だって最初の頃みたいに慌ててくれなくなったじゃないですか」 ゆみ「それはまああれだけやられればな。1日1回くらいのペースでやっていただろう。どうしたんだいきなり?」 京太郎「いや、モモからこんなこと言われたんですよ」 --------------------------------------- 桃子『またあすなろ抱きやってたっすね』ゲッソリ 京太郎『最初にやれって言ったのお前だろ。というか人がいるところではそんなにやってないはずだけど……』 桃子『あれで隠れてやってるってのも驚きっす。それに最初に言ったのは私でも限度があるっすよ。……!』ピコーン 桃子『それにゆみ先輩も実はそんなに嬉しくないんじゃないっすか?』 京太郎『そんなはずないだろ?』 桃子『でも最近は最初の頃みたいに慌ててないじゃないっすか』 京太郎『それは確かに……』 桃子『慌ててないってことはドキドキしてないってことっす! つまり飽きられてるってことっすよ!』 京太郎『な、なんだってー!?』ガガーン 桃子『だから控えたほうがいいっす。わかったっすか?』 京太郎『そんなバカな……』 --------------------------------------- 京太郎「こんな感じで」 ゆみ(モモには後でお仕置きだな) ゆみ「飽き……というか慣れてきたのは確かだが、別に嬉しい事に変わりはないぞ? ギュッと君に包まれている感じがして落ち着く」 京太郎「でも最初の頃ほどの感動はないですよね?」 ゆみ「感動というと違和感があるが、まあそうだな。……だからと言ってやめるなんて言ったら嫌だぞ」キュッ 京太郎「もちろん、俺も嫌ですよ。ですがこのあたりで改めていく必要はあると思うんです!」グッ ゆみ「改める? どうするつもりなんだ?」 京太郎「俺たちが一番よくやるのは俺の上にゆみさんが座って、俺が後ろから抱きしめるって形じゃないですか」 ゆみ「うん、そうだな」 京太郎「ここで逆向きにしましょう」 ゆみ「逆か? ううん……」 京太郎「どうでしょう」 ゆみ「京太郎がしたいというのなら私も頑張るつもりだが、あまり長くやるのは難しいな」 京太郎「え? なんでですか?」 ゆみ「さすがに京太郎を私の上に乗せて長時間というのは……」 ゆみ「まあ、どうしてもというなら構わないが。強引なのも嫌じゃな……」ゴニョゴニョ 京太郎「ゆみさんにそんなことさせるわけないじゃないですか!? 逆にするのは位置じゃなくて向きだけですよ! 向きだけ!」 ゆみ「なんだ、向きだけか」シュン 京太郎(落ち込んでる……? まあいいか) 京太郎「そうですよ。お互い向き合ってギューッと」 ゆみ「ふむ、たまには違う形でやってみてもいいかもしれないな」 京太郎「じゃあさっそくやりましょう!」 京太郎「……あの、それとは別に後ろから抱きつくの今度やって貰えませんか? 俺がゆみさんに乗るとかはやりませんけど」 ゆみ「ああ、いいぞ」フフッ 京太郎「ど、どうぞ」 ゆみ「あ、ああ。……と」ギシッ 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「ちょっとバランスを崩しただけだよ。しかしこの体勢は少し恥ずかしいな」 京太郎「何がです?」 ゆみ「……君の両足を挟む形になるから足が開いてしまって、その、スカートが無防備にだな」カアァァ 京太郎「可愛い」ボソッ ゆみ「なぁっ!?」 京太郎「い、いや、すみませんつい!」 ゆみ「き、君はまったく」ウツムキ 京太郎「それでえっと、どうしましょう。止めますか? やっぱそれは良くないでしょうし」 ゆみ「いや、いいよ。どうせソファーじゃ向こうからは見えないし、私の気分的な問題だけだからな」 京太郎「そうですか。じゃあもうちょっと近くに」 ゆみ「ん……このくらいでいいかな」カオアゲル ゆみ「逆向きになってみたわけだがどうだきょうた……ろう……」 京太郎「はい、新鮮でいいです……ね……」 京太郎(やばいこれやばいやばいやばいって! すげー近い! ゆみさんの目に俺の顔が映ってるのが見えるし!?) ゆみ(まずい。これはまずい。こんな近くで見つめ合うなんて……瞳に吸い込まれそうだ)クラクラ 京太郎(……近くで見て改めて思うけどゆみさんって綺麗だな) 京太郎(まさにクールビューティーって感じだ。まあ顔は真っ赤だけど。……ドキドキしてくれてるんだな) ゆみ(……顔で好きになったわけではないが、やっぱりカッコいいな) ゆみ(思わず見入ってしまう。緊張して真っ赤な顔も様になるんだから卑怯だ) 京太郎(耐えられるかわからないけど、もう少しこのまま) ゆみ(……これはダメだ。見惚れてしまって動けそうにない)ポー …… … 京太郎(……もうダメだ!) 京太郎「ゆみさんっ」ギュッ ゆみ「ひゃぅ!? きょ、京太郎!?」アセアセ 京太郎「ごめんなさい、あのままだともう耐えられなくなりそうだったんです!」ギュー ゆみ「た、耐えるって今のこれはなんなんだ!?」 京太郎「耐えてるんです!」 ゆみ「そ、そうなのか? うぅ……」カアァァ 京太郎「……」ギュー ゆみ「あうぅ……」 京太郎(ゆみさんの耳、小さくて可愛いな) 京太郎「……」ウーン 京太郎「……愛してます」ボソッ ゆみ「~~~~~っ!!」カアァァ ゆみ(み、耳元でっ! 愛してるって! ば、バカじゃないのか!? バカじゃないのか!?) 京太郎「ゆみさん、大好きです」ボソッ ゆみ「ふあぁぁ……」ヘニャァ 京太郎「……」カプッ ゆみ「んぁっ……ってこのバカ! それは違うだろう!?」 京太郎「す、すみません。つい」 ゆみ「ついじゃない! それにさっきもついと言っていただろう。何度言うつもりなんだ」 京太郎「反省してます」 ゆみ「いまいち信用出来ないな」 京太郎「信用してください……俺、本気で反省してます」ボソッ ゆみ「~~~っ! だ、だからそういうところが信用出来ないんだ!」 京太郎「あれ、こっちも嫌でした?」 ゆみ「……嫌じゃない。続けてくれ」カアァァ 京太郎「はい」 智美「……モモー?」ワハハ 桃子「わ、私が悪いんすか!?」 智美「あの2人にそんなこと言ったらこうなるに決まってるだろー! 心配して見に来たらこれだー」 桃子「私が甘かったっす……」ガクッ 智美「反省するんだぞー」 智美「さて、後はどのタイミングで入ってやるかだなー」ワハハ 桃子「私がステルスして2人の目の前に突然現れるのはどうっすかね」 智美「それはちょっとやり過ぎ感があるなー」ワハハ 桃子「そうっすか?」 智美「こういうのは見られたか見られなかったかわからないくらいのほうが緊張感が出ていいんだ」 智美「見られたと知ったら開き直りそうだしなー」 桃子「勉強になるっす」 智美「中の様子は――」 チュッ フゥ……ンッ ユミサン…… キョウタロウ…… 智美「……これ以上ほっとくのはダメだ。今すぐ開けるぞー!!」 桃子「はいっす!」 ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ 智美(ワハハですが部室の空気が最悪です) ゆみ『むぅ、ここでこういうことをやるのはあまり気が進まないんだが』 京太郎『いいじゃないですか。2人しかいないんですから』 ゆみ『しかし』 京太郎『それにゆみさんも気持ちいいって言ってたじゃないですかー』 ゆみ『確かにそう言ったが……』 智美(……風紀的な意味で) 智美(気持ちいいって、あ、あの2人何してるんだ!?) 智美(……なんてなー。私は騙されないぞ。こういうのは早とちりだって相場が決まってるんだ)ワハハ 智美(まあそれはそれとして面白そうだからもう少し立ち聞きしてみるかー) 京太郎『俺が言い出したことですけど、ゆみさんがこんなにハマるとは思ってませんでした』 ゆみ『勘違いされたら困るが、決して私が進んでしたがってるわけではないぞ』 京太郎『そんなことないでしょう? この間俺がしたいって言わなかったときは先輩の方からしたいって言ってきたじゃないですか』 ゆみ『そ、それは……!』 京太郎『ほらほら、どうなんです?』 ゆみ『調子に乗るな』コツン 京太郎『痛っ』 ゆみ『……私が進んでしたがってはいないというのは嘘じゃない』 京太郎『え?』 ゆみ『私がしたがるのはそれ自体が好きというより君とだからだよ』 京太郎『ゆみさん……』 智美(……) 智美(いやいや、騙されないぞ。したいとかしたがってるとか言ってるだけだしなー)ワハハ 智美(……まずそうになったらドアを開けよう) 京太郎『でもなんで好きじゃないんですか? てっきりゆみさんも楽しんでたのかなって思ってたんですけど』 ゆみ『楽しんでないわけじゃないんだ。ただやるにしても適度じゃないと』 京太郎『そんなに激しくしましたっけ……?』 ゆみ『私にとってはな。……していると、なんというか変になってしまいそうで』 京太郎『そんなことないですって。ゆみさんはしっかりしてますから』 ゆみ『ううん、京太郎に弱いところを見せたくないんだ。だから……』 京太郎『確かにこれなら俺でもゆみさんに負けてませんからね』アハハ ゆみ『君の前ではいつでも頼れる先輩でいたいんだ』ムゥ 京太郎『何でもかんでも負けてたら俺の立つ瀬がありませんって』 ゆみ『それでもだ』 智美(変になる……いやいやいや。まさかさすがにそんな) 京太郎『んー、それじゃ止めます?』 ゆみ『っ!』ピクッ 京太郎『やっぱりやりたいんじゃないですか』アハハ ゆみ『う、うぅ』 京太郎『いいじゃないですか、そんな恥ずかしがらなくても』 ゆみ『仕方ないだろう。あまり見せたくないところを見せてしまうんだから』 京太郎『ゆみさんはあまり見せたくないかもしれませんが、俺にとっては見たいところです!』 ゆみ『まったく君は……』フフッ 京太郎『……それじゃしましょうか』 ゆみ『……うん』 智美(い、今からここで!? こ、これはさすがに止めないと) 智美(正直気まずいけど、いくらなんでも放ってはおけないしなー)ワハハ 智美「何してるんだ2人と……も?」 京太郎「あ、智美先輩」 ゆみ「蒲原か。どうしたんだ?」 智美「……ワハハー?」 智美「2人麻雀?」 京太郎「はい。最近ゆみさんとやってるんですよ」 ゆみ「あまりやったことはなかったがなかなか楽しいぞ」 智美「気持ちいいとか言ってたのは何だったんだー?」 京太郎「……? ああ、確かに言いましたけど、結構前に言ったことのような。いつからいたんですか?」 智美「ちょっと入るのを戸惑ったんだー」 京太郎「? まあそれは点数のことですよ。2人麻雀は萬子と字牌でやってるんで点数が高いんです」 ゆみ「そのままだとすぐ飛んでしまうからトビはなしにしているがな。結構気持ちいいぞ」 智美「激しくとか変になるとかはどういう意味なんだ?」 京太郎「激しくは頻度ですね。そんなにやってないと思うんですけど……」 ゆみ「十分多い。こんなルールで毎日やっていたら変な癖がついてしまうだろう」 京太郎「そんなことないですって」 ゆみ「それでもし弱くなったらと思うとな。そんなところ君に見せたくはない」 京太郎「あれ、そういう意味だったんですか? てっきりこれなら俺が勝ち越してるからだと思ってました」 ゆみ「……まあそれもある」プイッ 京太郎(可愛いなー) 智美「ってことは見せたくない姿っていうのはゆみちんが負けるところって意味だなー?」 ゆみ「ああ、勝負の結果とはいえ見せたいところではないさ」 京太郎「俺は見たいんですけどね。まだまだ滅多に見れませんし」 ゆみ「普通の麻雀で見れるようにしろ」コツン 智美「なるほどなー」ワハハー 京太郎「あはは」 智美「……紛らわしい!」 京太郎「うわっ」 ゆみ「い、いきなりなんだ」 智美「なんだじゃない! 最初は騙されないぞと身構えてて、聞いててまずそうだと思ったらこれかー!?」 京太郎「知りませんよ! 大体騙されるってどう騙されるんですか」 智美「気持ちいいだの変になるだの言ってたんだからわかるだろー?」 ゆみ「……! な、ば、バカかお前は!」カアァァ 智美「こっちの台詞だー!」ワハハー! …… … 京太郎「ふぅ。智美先輩、落ち着きましたか」ハァハァ 智美「あ、ああ。なんとかなー」ハァハァ ゆみ「勘違いされそうな言葉を使っていた私たちも悪かったよ」ハァハァ 智美「いや、勘違いした私が悪いんだ」 京太郎「ともかく誤解が解けてよかったです」 智美「そうだなー」ブルッ 智美「ところでちょっと寒くないかー? なんで窓が開いてるんだ」ピシャリ 京太郎「ああ、すみません。昼休みから開けててそのままにしてました」 智美「なんだ、昼休みもここにいたのかー」 ゆみ「いつもではないが、たまに来ているな」 智美「でも窓開けてたら寒くなかったか?」 京太郎「4限に体育があったんですけど、ちょっと汗臭くなったんで開けてたんですよ」 智美「なるほど。そのとき制汗剤も使ったなー」 京太郎「え? 使いましたけどわかります?」ギクッ 智美「私はモモを匂いで見つける女だぞー。柑橘系の匂いがするから何かと思ったんだ」クンクン ゆみ「そ、そんなにお前の鼻は効くのか」ギクッ 智美「ゆみちんからも同じ匂いがするなー。ゆみちんが貸したのかー?」クンクン ゆみ「あ、ああ。私も少し汗をかいたから使ったんだ」 智美「そうなのかー。冬に珍しいなと思ったんだ」 京太郎「……その、他には何か感じます?」 智美「いや、特にはわからないなー」クンクン 京太郎「そうですか」ホッ 智美「? それにしてもみんな遅いなー」 京太郎「ああ、今日は部活休みですから」 智美「えっ、私は知らないぞ」 京太郎「すみません伝えてなくて」 ゆみ「謝らなくていい。蒲原はもう部員じゃないんだから、あるかどうかは自分で先に確かめろ」 智美「ゆみちんは厳しいなー」ワハハ 京太郎「でも智美先輩鼻いいんですね。そこまでとは知りませんでした」 智美「犬にだって負けないぞー」ワハハ 京太郎「ほんと凄いですよ。ゆみさんのいうとおり窓開けたり制汗剤使ったりしなかったら危ないところでした」アハハ ゆみ「バ、バカ! 何言ってるんだ!!」 京太郎「えっ――あ、な、何でも、何でもないですから!!」ブンブン 智美(……) 智美(……) 智美(……) 智美(……………………え?) ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ ――加治木宅前―― ゆみ「ありがとう、京太郎」 京太郎「いえいえ。それじゃまた明日……あれ」 ポツポツ ゆみ「雨が降ってきたようだな」 京太郎「そうですね。でもこれくらいなら――」 ――ザァーザァー ゆみ「強くなってきたな」 京太郎「そ、そうですね。でもこれくらいなら――」 ゆみ「意味のない意地を張るな。夏じゃないんだから風邪引くぞ?」 京太郎「そうですけど傘がないので」 ゆみ「ここは私の家だぞ? 他人の家というわけじゃないんだ。傘くらい貸すさ」 京太郎「あ、そうですね。じゃあすみませんけど貸してください」 ゆみ「ああ、じゃあちょっと待って……」ピコーン ゆみ「そうだ。せっかくだしちょっと上がっていくか?」 京太郎「え、ゆみさんの家にですか?」 ゆみ「うん、私は京太郎の家に何度か行っているが、京太郎が来たことはなかっただろう?」 京太郎「いやそうですけど突然上がるわけには」 ゆみ「こんな雨なんだから上がる理由としては十分だろう」 京太郎「ええとその……」 ゆみ「もしかして私の両親と会うかもしれないと思って緊張しているのか?」 京太郎「はい、突然だったんで心の準備が」 ゆみ「私も君のお母さんと会うときは緊張するから気持ちはわかる」 京太郎「ですよね! だから今日は傘だけ借りて――」 ゆみ「だから覚悟を決めろ。いずれ会わなきゃいけないだろう?」 京太郎「べ、別に今じゃなくても」 ゆみ「……君が会うつもりがないというなら別に構わないんだが」 京太郎「」ホッ ゆみ「……つまり私と一緒になるつもりがないということだろうか」ウルッ 京太郎「ち、違いますよ! 気持ち的には高校卒業したらすぐにでも――って何言わせるんですか!?」 ゆみ「そうかっ。それならほら中に」パアァァ 京太郎「いやその……はい。わかりました」ガクッ ゆみ「うん、嬉しいよ」 京太郎(うぅ、ゆみさんのお母さんと対面か。緊張するなぁ)ドキドキ ゆみ「ただいまー」ガチャ 京太郎(最初が肝心だよな。会ったら丁寧に挨拶を……)ドキドキ ゆみ父「おかえり。遅かったな」 京太郎「」 ゆみ「部活が少し長引いたんだ。お父さんこそ早いじゃないか」 ゆみ父「ああ、今日は何か早く帰った方がいい予感がしてな。半休を取ったんだ。そちらの彼は?」 ゆみ「彼は私のこい――」 京太郎「後輩の須賀京太郎です! 初めまして!!」バッ 京太郎(ゆみさんいきなり何言おうとしてんの!? よく反応した俺! 自分で自分を褒めてやりたい!)ドッドッドッ 京太郎(というかいきなりラスボスかよ!? もっと段階踏ませてくれ!)ドッドッドッ ゆみ父「そうか。君が須賀君か。君のことはゆみからよく聞いているよ」 京太郎「そ、それはどうも」 ゆみ父「ゆみと付き合っているそうだな」 京太郎「」 ゆみ「うん……」モジモジ 京太郎(誤魔化した意味なかったー! ゆみさん喋ってたんだ!? でも可愛いなもう!) ゆみ父「それでなんで須賀君は来ているんだ?」 ゆみ「部活で遅くなったから送って貰ったんだ」 ゆみ父「そうか。それはすまなかった」 京太郎「い、いえ。とんでもないです」ブンブン 京太郎「それじゃあ俺はこれで……」 京太郎(よし、滅茶苦茶慌てたけど無難に対応できた! 少なくとも悪印象じゃないはずだ! よくやった俺!)グッ ゆみ「あれ、帰るのか? 上がっていくと言っていたじゃないか」 京太郎(ゆみさん勘弁して下さい!!) 京太郎「い、いやほら、家族水入らずなわけですし俺が上がるわけには……」 ゆみ「お父さんが単身赴任しているわけじゃあるまいし、水入らずなんて大袈裟なものじゃないさ。そんなこと気にするな」 ゆみ父「……そうだな。雨も降っているしせっかくだから上がっていくといい」 ゆみ父「色々と聞きたいこともあるしな」チラッ 京太郎(あ、これダメなやつだ) ゆみ「お父さんもこう言っているし、どうかな京太郎。もちろん無理にとは言わないが」シュン 京太郎「……その、じゃあ少しお邪魔させて貰います」 ゆみ「そうかっ」パアァァ 京太郎(ああ可愛いなあ)ポワー ゆみ父「……」ジッ 京太郎(ひっ!)ビクッ ゆみ「それじゃ京太郎。私の部屋はこっちだ」 京太郎「え? は、はい」 ゆみ父「……ゆみの部屋に行くのか?」 京太郎「い、いえその」 ゆみ「うん。この間京太郎の部屋に行ったから、今日は私の部屋を見てもらうと思って」 ゆみ父「須賀くんの部屋に行ったのか」ジロ 京太郎「あ、あはは……」 ゆみ父「ゆみの部屋に行ってしまうのではあまり話せないな。ついでだ。夕飯も食べていくといい。母さんに言っておく」 京太郎「い、いえ、そこまでご迷惑をかけるわけには!」 ゆみ「何か予定があるのか?」 京太郎「そういうわけじゃないですけど」 ゆみ「それなら遠慮するな。ありがとう、お父さん」 京太郎(胃がキリキリしてきた……) 京太郎「ここがゆみさんの部屋ですか」キョロキョロ ゆみ「あまりジロジロと見るな」 京太郎「うーん」 ゆみ「どうかしたか?」 京太郎「いえ、机と椅子しかないほどさっぱりした部屋か、これでもかってくらい少女趣味な部屋かのどちらかだと思ってたんですが」 ゆみ「なんなんだそのイメージは」 京太郎「見た目通りかギャップ萌えかです!」 ゆみ「何を言ってるんだ……それで、実際に見てどう思ったんだ?」 京太郎「普通ですね」 ゆみ「もしかして喧嘩を売られているのかな私は」 京太郎「そんなことないです。ゆみさんの部屋ってだけで感動してますよ!」 ゆみ「そ、そうか。そういえば普通って他の女子の部屋を知っているのか?」 京太郎「知ってますよー」フフン ゆみ「ほう」ゴッ 京太郎「し、知ってるっていっても咲ですよ。中学まではお互い行き来してたんで」ダラダラ ゆみ「ああ、そうか。そうだったな。そういえば宮永から聞いたことがあったよ」 京太郎「咲からですか? あ、メールとかよくしてるんでしたっけ」 ゆみ「うん、散々自慢された」 京太郎「自慢って。まああいつからしたらそんなつもりじゃないと思いますよ」アハハ ゆみ「……そうだな」ハァ 京太郎「?」 ゆみ「ちなみに宮永の部屋と比べて私の部屋はどうだ?」 京太郎「咲の部屋より綺麗ですね。あいつ読みかけの本とかよくその辺に置いてるんですよ」 ゆみ「宮永は本が好きなんだったな」 京太郎「はい。中学のときは暇さえあれば読んでましたよ」 ゆみ「ふむ、私も読書は好きだがさすがにそこまでではないな」 京太郎「あーでも少女漫画はゆみさんのほうが多いですよ」 ゆみ「それはあまり喜べない情報だな……宮永はたくさん持っていそうなイメージだったんだがそれより多いか」ガクッ 京太郎「咲も少女漫画読みますけど、メインは小説ですからね」 ゆみ「くっ」 京太郎「でも部屋に入って初めてゆみさんが少女漫画好きなんだなって実感しましたよ」 ゆみ「あまり男子とまともに話すことがなかったからな。少女漫画を読んで憧れたりしていたんだ」 京太郎「そうなんですか」ヘー ゆみ「……」ピト 京太郎「ゆ、ゆみさん?」ドキッ ゆみ「蒲原に散々からかわれたが、憧れが現実になったときは嬉しかったよ」 京太郎「え、えっとそれは……」カアァァ ゆみ「もちろん京太郎のことだ。まあ後輩ものはほとんどないんだが」クスクス ゆみ「それでも、あれくらい劇的な告白はそうないんじゃないかと思うよ」 京太郎「そう言われるとプレッシャーですけど、告白の後も少女漫画のイケメンに負けないように頑張りますよ」 ゆみ「無理せずにな」クスッ 京太郎「はい」ハハ ゆみ「もうこんな時間か。……そうだ、私はお母さんの手伝いに行ってくるよ」 京太郎「え?」 ゆみ「初めて君が来たんだからそのくらいしないとな」 京太郎「そしたら俺は……」 ゆみ「ここにいてもいいぞ? 大したものはないが」 京太郎「い、いや、それはやめときます!」 ゆみ「そうか? それじゃリビングで待っていてくれ」 京太郎「は、はい……」 ゆみ父「……」 京太郎「……」 京太郎(やっぱこうなるよな! 気まずい……) ゆみ父「須賀くん」 京太郎「は、はい!」ビクッ ゆみ父「君は中学までは別のところにいたと聞いたが」 京太郎「あ、はい。父の仕事の都合で卒業と同時にこっちのほうへ引っ越してきました」 ゆみ父「鶴賀に入ることにしたのは何故だ?」 京太郎「偏差値的にちょうど良かったんです」 ゆみ父「去年まで女子校だが、入ってから大変そうだとは思わなかったか?」 京太郎「……その辺りはよく考えずに偏差値と進学実績だけ見て選んでました」アハハ ゆみ父「ふむ、そうか」 京太郎(元女子校って響きに憧れたなんて言えねえ……!) ゆみ父「それと、須賀くんには聞きたいことがあったんだ」 京太郎「は、はい!」 ゆみ父「君は――」 ゆみ母「お父さん、須賀くん。ご飯できたわよ」 ゆみ父「む、そうか。須賀くん、話は食卓で」 京太郎「は、はい……」 京太郎(生殺しだ……)ゲッソリ ゆみ母「須賀くん、改めて初めまして。挨拶が遅れてごめんなさい」 京太郎「い、いえ。おれ……僕のほうこそ、ゆみさんのお母さんに挨拶に行かずにすみません」 ゆみ母「無理しないで俺でいいわよ」クスクス 京太郎「は、はい」アセアセ ゆみ母「それと、ゆみさんのお母さんなんて言いづらいでしょう? お母さんでいいわよ。ねえお父さん」 京太郎(ゆみさんのお母さん、お願いですからそっちに振らないで!) ゆみ父「いや、ゆみさんのと付けたほうが礼儀正しくていいと思うが」 京太郎(何にもしてないのに地雷踏んだよちくしょー!) ゆみ母「そう? 私はどっちでもいいと思うけど」 ゆみ「お母さん、京太郎をあまり困らせるな。京太郎、遠慮せずに食べてくれ」 ゆみ母「あら、作ったのほとんど私じゃない」 ゆみ「結構手伝ったじゃないか。変なこと言わないでくれ」 京太郎「あはは……」パクッ ゆみ母「お口にあうかしら?」 京太郎「はい、おいしいです」 ゆみ「京太郎、こっちも食べてみてくれ」 京太郎「は、はい」パクッ 京太郎「……」モグモグ ゆみ「ど、どうかな」 京太郎「おいしいですよ」 ゆみ「そ、そうか」パアァァ ゆみ「と、ところで最初に食べたとの後に食べたのではどっちがおいしかった?」 京太郎「え? ええと……」 ゆみ「……」ドキドキ 京太郎「あ、後に食べたほうがおいしかったですよ」 ゆみ「そうかっ! 実は後に食べた方を私が作ったんだ」パアァァ 京太郎「そ、そうだったんですか」アハハ… ゆみ母「ゆみ。そんなにプレッシャーかけたら、後に食べた方をおいしいっていうに決まってるじゃない」 ゆみ「私がどっちを作ったかなんて言ってないじゃないか」ムゥ ゆみ母「あなたのそういうところ、少しは知っていたつもりだったけど……」ハァ ゆみ「?」 ゆみ父「須賀くん、さっきの話の続きなんだが」 京太郎「は、はい!」 ゆみ父「本題に入る前に1つ聞きたい。君は昔から金髪なのか?」 京太郎「はい、昔からです。でも染めてるわけじゃなくこれは地毛なので生まれたときから……」 ゆみ父「ああいや、それは構わない。……そうか。地毛か」 京太郎「ええと、はい」 ゆみ父「……すまない。本題に入ろう。私が聞きたいのは麻雀の大会のときの話だ」 京太郎「大会ですか」 ゆみ父「ゆみから聞いたんだが、君は大会会場の大勢がいるところでゆみに告白したらしいな」 京太郎「は、はい」ダラダラ ゆみ「恥ずかしくて仕方がなかったけど、でも嬉しかったよ」 ゆみ父「ああ、まあそこまではいいんだ。情熱があって悪いことではないと思う」 京太郎「あ、ありがとうございます」 ゆみ父「ゆみから聞いたのはここまでだが、インターネットで長野の大会会場でのある噂を見たんだ」 京太郎「どんな噂ですか」 ゆみ父「金髪の学生が先輩に大声で告白した後全力で逃げ出したという噂だ」 京太郎「」 ゆみ父「挙句よく分からない条件を付け、最終的にその次の週の個人戦で」 ゆみ父最初に告白された女子の先輩の方から自分に告白させたとか」 京太郎「」 ゆみ父「……まさかとは思うのだが、これは君のことか?」 京太郎「え、ええとそれはですね……」チラッ ゆみ(すまない、フォローできない)フイッ 京太郎(ですよねー) 京太郎「すみませんでしたぁ!! もう2度といたしませんっ!!」ドゲザ ゆみ父「そこまでしなくてもいい、というか2度あっても困るんだが……やはり君とゆみのことだったか」フゥ ゆみ母「まあまあいいじゃない。ちょっとヘタレなところがあったほうが可愛らしくて」クスクス 京太郎「」グフッ ゆみ「きょ、京太郎! 2人ともいいじゃないか別に! 確かにあのときは本気で腹立ったけどそんなダメなところも好きなんだ!」 京太郎「」ガクッ ゆみ母「あなたがとどめ刺してどうするの」 ゆみ「え?」 ゆみ父「……」ハァ …… … 京太郎「今日はどうもありがとうございました」 ゆみ母「こちらこそ、ゆみを送ってくれてありがとう」 ゆみ父「また来なさい。今度は落ち着いて話そう」 京太郎「は、はい」ダラダラ ゆみ「じゃあ私は家の前まで見送るから」 ゆみ母「はいはい」クスクス ゆみ「今日は楽しかったよ」 京太郎「こちらこそ。大会のこと言われたときは死のうかと思いましたけど」ハハ… ゆみ「告白されたということは話していたが、まさか2人が知っているほど噂になっているとは……すまなかったな」 京太郎「まあ自分のやったことですし。後になってバレるよりよっぽど良かったですよ」 京太郎「それより告白のときのこと知っても優しい対応してくれたのが嬉しかったです」 京太郎「一人娘の彼氏とかどんな対応されるかと思ってましたよ」 ゆみ「私は男子と普通に話したことがほとんどなかったからな。2人とも心配してたんだよ。君には感謝していると思う」 京太郎(感謝ってことはないと思うなあ、特にゆみさんのお父さんの方は)アハハ… ゆみ「……いつまでも話していたら遅くなってしまうな。京太郎、また明日」 京太郎「はい。また明日」 ゆみ「そうだ、ちょっと待った」クイッ 京太郎「はい?」 ゆみ「今度来るのは2人のいないときにな」ヒソッ 京太郎「えっ」ドキッ ゆみ「フフッ、それじゃ今度こそまた明日」ガチャッ 京太郎「はい……」 京太郎(急にあんなこと……あーもう、ずるいって)カアァァ ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ ――卒業式後 部室―― ゆみ「私たちも卒業か……」 智美「早かったなー」ワハハ ゆみ「そうだな、特にこの1年は時間がすぎるのがあっという間だった」 智美「3年間色々あったけど、一番印象的なのはやっぱりあれだなー」 ゆみ「ああ、部員が揃って団体戦に出られたのは本当に嬉しかったよ」 智美「いやそれじゃな……って個人戦で全国に行けたことじゃないのか。ゆみちんらしいなー」 ゆみ「まあ個人戦は私が意地を張って出なかっただけだからな。蒲原こそこれじゃないならなんなんだ?」 智美「私のもゆみちんがよく知ってることだと思うぞ」 ゆみ「気になるだろう。もったいぶらずに言ってくれ」 智美「ゆみちんが本気で転校しようか悩んでるって相談してきたときだなー」 ゆみ「なっ!?」 智美「理由を聞いたときは、初めてゆみちんのことをバカなのかと思ったなー」ワハハ ゆみ「し、仕方ないだろう!?」 智美「女子校に来たのに男子が来るから転校したい、とか言い出すのが仕方ない状況なんてないと思うぞ」 ゆみ「女子校なんだからそう思う女子がいてもいいだろう別に!」 智美「何かあったとかならわかるけど、何を話したらいいかわからないってだけで転校したいってのはなー」ワハハ ゆみ「本気で悩んでいたんだ! なのにお前は笑い転げて……!」 智美「そもそも3年生と1年生じゃ話す機会があるかどうかもわからないのに」ワハハ ゆみ「実際あったじゃないか!」 智美「まあそうだなー」 ゆみ「だから私はおかしくない」 智美「その後輩と会ってから数ヶ月で付き合ってなければおかしくなかったなー」ワハハ ゆみ「うっ」ギクッ 智美「しかも付き合ったかと思ったら人目も憚らずイチャイチャイチャイチャ。あのときの言葉は何だったのかと思ったぞ」ワハハ ゆみ「人のいるところでは控えていたはずだ!」 智美「あれで控えてたのか……まあ、人がいないところではしてたって自覚はあるんじゃないか」 ゆみ「ぐっ」ギクッ 智美「男子と話せないなんて言ってた親友がすぐバカップルになるとか人間不信になりそうだ」ワハハ ゆみ「べ、別にバカップルじゃない。それに京太郎じゃないと上手く話せな……」ゴニョゴニョ 智美「まだ言うかこいつは。お、京太郎たちが来たぞー」 京太郎「ゆみさん、智美先輩。卒業おめでとうございます!」 桃子「2人ともおめでとうっす!」 佳織「加治木先輩、智美ちゃん、おめでとうございます。寂しくなりますね」 睦月「そ、卒業おめで、とうございます」グスッ ゆみ「みんなありがとう。津山はそんなに泣くな」ポンポン 智美「もうすぐ新入生が入るんだから、頼れる先輩にならないとダメだぞー」ワハハ 睦月「わ、わかってますけど」グスッ 佳織「今日くらいは仕方ないですよ。わ、私だって」グスッ 京太郎「2人とも湿っぽくするのは止めようって言ったじゃないですか! もっと明るい話題にしましょう!」 桃子「そうっすよ! とりあえず智美先輩の進路が決まってよかったっす」 智美「私の実力なら心配なんていらなかったけどなー」ワハハ ゆみ「お前そう言ってギリギリだったじゃないか」 智美「勝てば官軍だー」ワハハ 佳織「もう、なにそれ」アハハ 睦月「ぐすっ……智美先輩も大学で麻雀を続けるんですか?」 智美「そのつもりだぞ。ゆみちんとは敵同士だなー」ワハハ ゆみ「ああ、負けないぞ」 智美「ゆみちんは長野一の強豪行くんだから負けたら赤っ恥だなー」ワハハ ゆみ「いちいち話の腰を折るな」ハァ 桃子「私も2年後はゆみ先輩の大学に行くっすよ! 全国制覇を目指すっす!」 睦月「わ、私も目指します!」 佳織「私は――」 智美「私のところには来ないんだな」ワハハ… 佳織「わ、私は智美ちゃんのところに行くよ!」 智美「無理しなくていいんだぞ」ワハハ… 佳織「別に無理なんて……」 智美「いやまあ麻雀やるにしても佳織の学力的にも、あえて私の大学目指す理由なんてないしなー」ワハハ 佳織「それ言っちゃうんだ……」 桃子「春からは2人とも女子大生っすかー」 睦月「大人の女って感じがするね」 京太郎「大人の女……」ウーン 桃子「京太郎、アウトっす」 京太郎「何でだよ!?」 智美「目つきがアウトだったなー」 佳織「京太郎くん……」 京太郎「響きだけでも惹かれるんですよ! しょうがないじゃないですか!」 ゆみ「……それは私があまり年上らしくないからかな」シュン 京太郎「ち、違いますよ。ゆみさんが女子大生になるところ想像してたんです」 ゆみ「ん、そうか」パアァァ 京太郎「はいっ」 桃子「唐突なイチャつきやめてくれないっすかね」 睦月「鮮やかだったね」 智美「最後までこんな感じだったなー」ワハハ 佳織「来年はもう見られないと思うと少し残念かな」 ゆみ「私たちをなんだと思ってるんだ!」 京太郎「まるでいつもいちゃついてるみたいに!」 一同「……そのものじゃない」 京太郎・ゆみ「そんなはずは」 一同「それ!」 桃子「バカップルは置いといて、先輩たちの送別会もちゃんとやりたいっすね」 睦月「そうだね、盛大にやろう」 智美「それはちょっと恥ずかしいな」ワハハ 京太郎「今日はクラスで集まりますよね」 ゆみ「そうだな。さすがに今日はそっちに出る予定だ」 京太郎「それじゃ土曜日にやりましょう。精一杯送り出しますよ!」 智美「寄せ書きとか憧れるなー」ワハハ ゆみ「この人数で寄せ書きというのも難しいだろう」 智美「ちょうど四分割すればいいから書きやすいんじゃないか?」 ゆみ「そういうものかな。私も書いたことがないからよくわからないが」 睦月「その、出来ればそういう話は控えていただけると……」 智美「おお、ネタ潰ししてたら悪かったなー」ワハハ ゆみ「すまない、あまり気にしないでくれ」 睦月「い、いえ……」アハハ 京太郎(ハードル上がったな)ヒソヒソ 桃子(わざとかって感じっすね)ヒソヒソ 佳織(土曜日までに何か考えないと……)ヒソヒソ 京太郎「そうだ、せっかくだし記念写真でも撮りましょうか」 桃子「いいっすね。でもカメラはあるんすか? まあ携帯でもいいっすけど」 京太郎「携帯にセルフタイマーとかあるのか?」 桃子「結構あるっすよ。というか大体あるんじゃないすか?」 京太郎「マジかよ。全然知らなかった」 桃子「機械に疎いっすねー。それでも男の子っすか!」 京太郎「携帯は大抵女子のが詳しいだろ」 智美「盛り上がってるとこ悪いけどちゃんとカメラはあるぞー」ワハハ 佳織「用意いいね。卒業式だから持ってきたの?」 智美「いや、部費で買ったカメラだ」ワハハ 睦月「部費で!?」 ゆみ「いつの間に、というかどう誤魔化して買ったんだ」 智美「全国大会出場をアピールして押し通したんだ。いい順位なのに写真も残せないなんて恥だとか何とか」 京太郎「さっぱりわからないですけどさすが智美先輩!」 智美「もっと褒めるといいぞー」ワハハ 佳織「智美ちゃん、部費で買ったなら私たちに言っておこうよ」 智美「……ワハハー」 ゆみ「私たちまで誤魔化すな」ハァ 京太郎「それじゃタイマーセットしますよ。10秒です」 ゆみ「ああ」 京太郎「行きまーす」 ピッピッピッピピピピピ……カシャッ 智美「どんな感じかなー」 睦月「うん、よく撮れてますね」 桃子「このカメラの最初の写真が卒業式の集合写真っすか。もっとたくさん撮りたかったっすよー!」 智美「買うだけ買って忘れちゃってなー。まあ今日でデータがいっぱいになるくらい撮ろうじゃないか」ワハハ 佳織「いっぱいって何枚くらい撮れるの?」 智美「確か千枚ちょっとかなー」ワハハ 佳織「ちょっと多いよ!?」 智美「私たちが打ち上げに行くまで撮ってればきっと撮れるだろー」 京太郎「1分間に1枚どころじゃないんですが」 智美「まあなんとかなるさ」ワハハ ゆみ「いい時間だし、そろそろ私と蒲原は昼ご飯を食べに行こうと思うがお前たちはどうする?」 桃子「行くに決まってるじゃないっすか!」 佳織「もちろん行きますよ」 睦月「なかなか言われないのでこっちから切り出そうかなと思ってました」 ゆみ「そうか。それじゃあちょっと先に行っていてくれ。ちょっと京太郎と蒲原に用があるんだ」 京太郎「?」 睦月「時間かかります?」 ゆみ「いや、すぐに終わるよ。少しだけ待っててくれ」 桃子「了解っす」 佳織「わかりました」 京太郎「用ってなんですか?」 蒲原「私も残ってていいのか?」 ゆみ「あー、いやその、だな」チラッ 蒲原「……あー。京太郎とツーショット撮りたいんだな」ワハハ 京太郎「えっ?」 ゆみ「……」コクッ 智美「そんな顔真っ赤にするくらいなら、わざわざかしこまらなくてもこの後流れで撮ればいいじゃないか」 ゆみ「……部室にはもう来ないだろうから、京太郎と思い出を残して置きたいんだ」カアァァ 京太郎「ゆみさん……」ジーン 智美(聞いた私が馬鹿だったなー)ワハハ… 智美「待たせると悪いから速く撮るぞー」 ゆみ「あ、ああ」 京太郎「は、はい」 ゆみ「……」ドキドキ 京太郎「……」ドキドキ 智美「ほらほら、さっさとくっつけー」イラッ 京太郎「は、はい!」グイッ ゆみ「きゃっ」 智美「」パシャ 京太郎「どうですか?」 智美「こんな感じだなー」 京太郎「いいんじゃないですか?」 智美「それじゃ行こうかー……ゆみちん?」 ゆみ「……その、もう一枚だけ」 智美「え?」 …… … ――10分経過―― 智美「も、もうそろそろいいだろー?」グッタリ 京太郎「睦月部長たちをこれ以上待たせちゃ悪いですし……」 ゆみ「そ、そうだな。じゃあこれが本当に最後で」アハハ 智美「本当に最後だぞー」 ゆみ「もちろんだ」 智美「それじゃ撮るぞ」 ゆみ「ああ」クイッ 京太郎「ゆみさん?」オットト ゆみ「」チュッ 智美「」パシャ 京太郎「――な、ゆ、ゆみさん!?」カアァァ ゆみ「最後だし、ほっぺくらいいいだろう」カアァァ 智美「どんどん大胆になってたけど、こっちの身にもなって欲しいなー」ワハハ… 京太郎「なんというか慣れてきてましたね」アハハ… ゆみ「そ、そんなことはない。ほら行こう――」ガラッ 桃子・睦月・佳織「あ」 ゆみ「え?」 一同「……」 ゆみ「お、お前たち見てたのか!?」 桃子「いやー遅かったから気になったんすよ」アハハ… 睦月「見たら写真撮っててマズイかなーと思ったんですけど」アハハ… 佳織「好奇心に負けてズルズルと」アハハ… ゆみ「……こ、後輩にあんなところを見られるなんて」ガクッ 智美「気にするなゆみちん。正直今さらだから」ワハハ ゆみ「そ、そんなはずは……」チラッ 桃子「いやー」フイッ 睦月「その」フイッ 佳織「あ、あはは」フイッ ゆみ「くっ……」ガクッ 京太郎「ゆみさん。大丈夫です、俺がいますから」 ゆみ「京太郎ぉ」ギュッ 一同(こんなことしてるのになんでそんなはずはなんて言えたんだろう……) ………… ……… …… … ――加治木宅前―― ゆみ「まさかあんな風に思われていたとは……」 京太郎「意外でしたね」 ゆみ「知られていたのならあまり隠さなくてもよかったのかな」 京太郎「そうかもしれませんね。まあどっちにしろこれからは隠さなくてもいいじゃないですか」 ゆみ「そうだな。……家についてしまったか」 京太郎「はい。家でよかったんですか?」 ゆみ「ああ、どちらにしろ一度着替えなきゃいけないからな」 京太郎「あ、そうですね」 ゆみ「……こうやって君に送られるのも最後か」 京太郎「……はい」 ゆみ「今まではなんとなくしていたのに、出来なくなると思うと寂しいな」 京太郎「会えなくなるわけじゃないですし、すぐ慣れますよ。まあそれも寂しいですけど」 ゆみ「……そうだ。京太郎、第2ボタンをくれないか?」 京太郎「俺は卒業生じゃないですけど……」 ゆみ「いいじゃないか。私は卒業してしまうんだし」 京太郎「それもそうですね。よっと……」 ゆみ「ああ、いいよ。私が取る」モゾモゾ ゆみ「……ん、取れた」 京太郎「な、なんか恥ずかしいですね」 ゆみ「そうだな」フフッ ゆみ「京太郎、私の第2ボタンも貰ってくれ」 京太郎「え? でも女子のは縫い付けてあるじゃないですか」 ゆみ「ハサミくらいあるよ。ほらこれで」スッ 京太郎「そ、それじゃあ失礼します」 ゆみ「ああ」 京太郎「っと……」チョキン ゆみ「大切にしてくれよ」 京太郎「当然です。ゆみさんこそ俺のボタン大切にしてくださいね」 ゆみ「もちろんだ」 京太郎「でも珍しいですね。ゆみさんは写真もボタンも好きそうですけど、自分からはあんまり言い出さないのに」 ゆみ「……卒業が近くなるともっとああしておけばよかった、こうしておけばよかったと思うんだ」 ゆみ「今から戻ることは出来ないから、せめて写真とかボタンとか、形になるものを思い出として残しておきたいと思って」 ゆみ「……自分から言うのは少し恥ずかしかったけどな」カアァァ 京太郎「ゆみさん……」 ゆみ「悔いはあるけれど、京太郎と写真も撮れたし、ボタンも貰えた。これで大学生活も頑張れそうだ」フフッ 京太郎「……俺、毎日電話しますよ!」 ゆみ「ああ、ありがとう。君も高校生活を頑張れよ。2年間は長いようで短いから」 京太郎「はい。……ゆみさん、1年間ありがとうございました」 ゆみ「私のほうこそありがとう。まあ、ここから離れるわけじゃないんだがな」フフッ 京太郎「一応高校生活のけじめです」 ゆみ「そうか。……そろそろ準備しないと。またな、京太郎」 京太郎「はい。また」 ――大会会場―― 桃子「あ、ゆみ先輩! 今週も来てくれたんすか!?」 ゆみ「ああ、当たり前だろう? まあ少し遅れてしまったが」 桃子「京太郎の個人戦開始には間に合わなかったっすねー」ニヤニヤ ゆみ「べ、別にそういうわけでは」 桃子「そんな無理しなくていいっすよ」ニヤニヤ ゆみ「まあなんだ。電話はしたしな。間に合わなくて残念じゃないといえば嘘になるが……」 桃子「そ、そうっすか」エー 智美「ゆみちんの惚気けっぷりをなめちゃダメだぞ―」ワハハ 佳織「智美ちゃんも来てくれたんだ」 智美「もちろんだ」ワハハ 睦月「お二人ともありがとうございます」 ゆみ「気にするな。後輩の晴れ舞台を見るために来たんだから」 智美「団体戦の雪辱を果たすんだー!」ワハハ ゆみ「雪辱といっても4位だし十分立派じゃないか」 智美「ダメだぞゆみちんそんなこと言っちゃ。自分がそう言われて納得できたかー?」 ゆみ「む」 桃子「そうっす! 私は来年も4位に甘んじるつもりなんか微塵もないっすよ!」 佳織「私がもうちょっと振り込まなければなあ……」 桃子「や、天江宮永を相手に役満2回も和了ったかおりん先輩を責める人なんていないっすからね?」 佳織「でも……」 睦月「あの2人で対抗しあってたとはいっても、十分凄いことだよ? ほんとに」 ゆみ「妹尾は相変わらずのようだな」 智美「これでこそ佳織ってかんじだなー。でも個人戦まで引きずっちゃダメだぞ」ワハハ 佳織「それは大丈夫。みんなに余計な心配かけたくないから」 睦月「うん。その意気」 ゆみ「それでその……」 桃子「なんすか?」ニヤニヤ ゆみ「きょ、京太郎の様子はどうだろうか」 桃子「ようやく本題に入ったっすね!」 ゆみ「ほ、本題とはなんだ。私は別にただ後輩の応援に来ただけで」 智美「来るときに途中経過出てたと思うけど見なかったのかー?」ワハハ ゆみ「……怖いじゃないか」ボソッ 智美「ゆみちんは可愛いなー」ワハハ 睦月「京太郎くんは……あ、ちょうど映るみたいですね。見てください」フフッ ゆみ「あ、ああ」ビクビク アナ『ついにオーラスを迎えたこの卓。現在総合1位の下家選手と総合3位の須賀選手がトップを争っています』 藤田『下家の総合1位はほぼ確定だが、須賀は4位との差が小さい。須賀はなんとしても勝ちたいだろうな』 アナ『その須賀選手はなかなかの好配牌。他家と比べても手が速そうです』 藤田『打点も悪くない。1位も十分狙えそうだな』 ゆみ「全国圏内じゃないか!」 睦月「はい。京太郎くん頑張ってますよ」 佳織「凄いですよね。後はここで勝つだけです」 桃子「私たちも負けていられないっすね!」 智美「ちょっと気が早いぞ。まずは応援だ」 ゆみ「頑張れ、京太郎くん……!」ギュッ ………… ……… …… … --------------------------------------- 京太郎「ツモ! 3000・6000!」 アナ『試合終了ーーー! オーラスで須賀選手が下家選手を逆転! トップで終了です!』 京太郎「~っしゃあ!!」 下家「あー負けちまったか。須賀、おめでとう」 京太郎「ついにリベンジが果たせました」アハハ 下家「総合順位じゃまだ俺が勝ってんだからな。借りは全国で返す」 京太郎「俺も今度は総合順位でも勝ってみせます!」 下家「言うようになったじゃねえか。それじゃ全国でな」 京太郎「はい!」 スタスタスタ… 京太郎(……試合前は来てなかったけど、ゆみさん来てくれてるかな) 京太郎(多分全国も決まっただろうし、ちゃんと言わないとな) --------------------------------------- 桃子「全国行きほぼ決まりっすね!」 佳織「京太郎くん凄い!」 睦月「誰よりも頑張ってたもんね。報われてよかった」 智美「卒業してからも頑張ったんだなー」 ゆみ「京太郎くん……!」ウルッ 智美「ん? ……ゆみちん、京太郎のところへ行って来たらどうだー?」ワハハ ゆみ「い、いやしかし卒業した私が今の部員より先に行くわけには……」ウルッ 睦月「気にしないでください。ほら、私たちは私たちの決勝の準備とかありますし」 佳織「それに私たちはおめでとうっていう機会はいくらでもありますから」 ゆみ「でも……」グスッ 桃子「というかあれっすよ。決勝を控えてる私たちの前で惚気けられるのもちょっと」 ゆみ「だ、誰がそんなこと」グスッ 智美「まあ既に泣いてる時点で説得力はないなー」ワハハ ゆみ「うっ」 桃子「ほら、行ってくるっす。京太郎も待ってるっすよ」 ゆみ「……わかった。ありがとうみんな」タッタッタッ 智美「まったく、付き合ってるんだからあんなに躊躇しなくていいのになー」ワハハ 佳織「大学生になってもやきもきさせられるところは変わらないね」フフッ 桃子「ゆみ先輩らしいっすよ」 睦月「真面目だよね。私たちのことなんて気にしなくていいのに」 智美「まあ本当に気にしないで目の前でやられてもそれはそれで困るけどなー」 睦月「それはそうですね」クスッ 睦月「……さあみんな、ここからは切り替えて、京太郎くんに負けないように私たちも決勝がんばろう!」 一同「おー!」 京太郎「よし! 全国決まってた! 結果見ると安心するなー」ホッ 京太郎「次は控室で応援を――」 ゆみ「京太郎!」タッタッタッ 京太郎「ゆみさん!? 来てくれてたんですか」 ゆみ「もちろんだ……まあ、少し遅れてしまったが」 京太郎「それでもすげー嬉しいです!」 ゆみ「ん、そうか。京太郎、全国出場おめでとう」 京太郎「ありがとうございます! ……その、ゆみさん、先に謝っときます。ごめんなさい」 ゆみ「うん? どうした?」 京太郎「……ゆみ」 ゆみ「!? な、なんだどうしたいきなり!?」ドキッ 京太郎「俺、全国に出られたら言おうと決めてたことがあるんだ」 ゆみ「う、は、はい」ドキドキ 京太郎「俺もプロを目指すよ。ゆみの隣にずっといられるように。ゆみと同じ大学に行って」 ゆみ「!」 京太郎「今まではその、自分に自信がなくてそんなこと言えなかったけど、やっとゆみと同じだけの結果を残せたから」 京太郎「ずっとゆみと同じ道を歩いて行きたいんだ。……今の俺はまだ後ろにいるけど、いつか追いつきたいし、追い越したい」 京太郎「だから、これからもずっと一緒に頑張りたい! ダメだって言っても追いかけるけど、出来れば認めてほしい」 ゆみ「……敬語を使わなくなったのも、これでようやく私と同じところに立てたとか思ったからか?」フフッ 京太郎「うっ。は、はい。その、嫌でしたらもちろんやめますので……」 ゆみ「もっと自信を持って欲しいな。呼び捨てでいいなんて前にも言ったろう?」 京太郎「そ、そうで……だったっけか」 ゆみ「まあその、驚いたし多分顔も真っ赤になっていると思うが、直に慣れるから気にしないでくれ」カアァァ 京太郎「わかった」 ゆみ「それでプロを目指すんだな。そんなこと、私が認めるも認めないもないだろう」 京太郎「いやでも……」 ゆみ「うん、まあ言いたいことはわかるよ。……実を言うと、私も想像していたんだ」 京太郎「え?」 ゆみ「京太郎もプロを目指してくれたらいいなって私も思っていたんだ」 ゆみ「学生の間だけじゃなくて、大人になってからもずっと同じ道を歩いていけたらって」 京太郎「ほ、本当に!?」 ゆみ「ああ、だから君がそう言ってくれて、おんなじことを考えていたんだなって思うと嬉しかったよ」フフッ 京太郎「……ゆみ!」ガバッ ゆみ「ひゃぅ!? な、何を!?」ワタワタ 京太郎「俺頑張るから! とりあえず全国で入賞できるように応援しててくれ!」ギューッ ゆみ「……うん、応援も出来るだけ行くようにするよ」ギュッ 京太郎「いや、それはお金がかかるでしょうから無理しなくても」 ゆみ「なんでそこだけ現実的になるんだ」ハァ 京太郎「抱きしめたらちょっと冷静になって来たんですけど、そしたら恥ずかしくなってきたので少し現実逃避を」 ゆみ「今さら遅い。だからもう少しこのままでいてくれ」 京太郎「……いや、でもいつものパターンだとこの辺りで」 ゆみ「蒲原たちか? 決勝を控えてるんだからいくらなんでも――」チラッ 智美・桃子・睦月・佳織「あ」 京太郎・ゆみ「え」 一同「…………」 ゆみ「お、お前たちもうすぐ決勝だろう!? なんでここにいるんだ!」 桃子「いやーこんなの放置して行ったら麻雀に身が入らないっすよ」 睦月「むしろ見たほうが落ち着くかなと……」 佳織「まあその、そういうわけで……」 智美「面白そうだったからなー」ワハハ ゆみ「くっ、何故私はもっと我慢できなかったんだ!」 京太郎「お互いもっと忍耐力付けないとダメだな」アハハ… 桃子「いやいいんすよ。そろそろ見るのが楽しくなってきたっす」 ゆみ「うるさい!」 睦月「藪蛇みたいだし、そろそろ会場に行こうか」アハハ 佳織「そうだね。遅れたら大変」 桃子「京太郎、先輩たち、応援頼んだっすよー!」 京太郎「知るかー!」 智美「ダメだぞーちゃんと応援しないと」ワハハ ゆみ「おまえが言うな!」 智美「それじゃ控室に戻ろうか。先に行ってるぞー」ワハハ ゆみ「はぁ、まったく何度目だこのパターンは」 京太郎「ごめんな。ゆみを見ると我慢が出来なくて」 ゆみ「それは私も一緒だ。もっと耐えられればいいんだが」 京太郎「それじゃ2人とも反省しないと」アハハ ゆみ「ああ、そうだな」フフッ 京太郎「そうだ。麻雀部のほうはどう?」 ゆみ「夏大のレギュラーになりたかったんだが、さすがに甘くはなかったよ。美穂子に先を越されてしまった」 京太郎「福路さん1年でレギュラーになったのか……」 ゆみ「ああ、風越のキャプテンは伊達じゃないな。まあ個人戦でいい成績が残せるように頑張るよ」 京太郎「大学はやっぱり厳しいのか?」 ゆみ「そうだな。挫けそうなこともあるよ。でも……」 京太郎「でも?」 ゆみ「京太郎もプロを目指すと言ってくれたから、もうそんなことは言ってられないな。情けない姿は見せられない」 京太郎「そんな気にしなくていいのに。そういうときは俺が支えるよ」 ゆみ「ありがとう。でもこれは私の意地の問題だから」 京太郎「そっか、なら頑張れ。俺もすぐ追いつけるように頑張るし、つらかったらいつでも頼ってくれ」 ゆみ「ああ、ありがとう。……じゃあ頑張れるおまじないでもしてもらおうかな」 京太郎「え?」 ゆみ「ん」メヲツブル 京太郎「……もう」チュッ ゆみ「うん、これで次に君に会うまで頑張れそうだ」フフッ 京太郎「そんな何ヶ月も会わないわけじゃないのに」 ゆみ「会うごとにしてもらったほうがおまじないも強力になるだろう」 京太郎「そんなもんなのか」 ゆみ「そういうものだよ。プロになれるように頑張るんだからいくらあっても足りないさ」 京太郎「そっか。俺も頑張らないとな」 ゆみ「ああ、一緒に頑張ろう」ニコッ ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ えり『グランドマスター杯いよいよ開幕です!』 咏『小鍛治プロはいつこのタイトル失冠するんだろうねー。知らんけど』 えり『それは本当にわかりませんねー』 えり『小鍛治プロを記念して作られたタイトルですから別の人がならないとってのもあると思うんですけど』 咏『小鍛治プロが無理矢理出場させられて当然のように初代王者になったけど、正直何考えてんだろうって思ったよ』 えり『3年ほど前からどちらか一方が小鍛治プロの点を上回れば勝利という変則的なタッグ戦になりましたけど』 えり『小鍛治プロは依然として圧勝してますね』 咏『タッグがアナウンサーだからって、小鍛治プロにとっちゃその程度ハンデにもならないさ』 えり『タッグ戦だと勝手も違いますしねー』 えり『しかぁし! 今回の相手は麻雀界きってのおしどり夫婦! タッグ戦はお手の物!』 えり『小鍛治プロはこの2人も今まで同様退けるのか!?』 咏『……麻雀はともかく、盤外戦術的には敗北するかもねぃ。知らんけど』 京太郎「」タン ゆみ「」タン 恒子「」タン 健夜「」タン 京太郎「」チラッ ゆみ「」チラッ 京太郎「」タン ゆみ「ロン。3900」 健夜「ちょっと審判! またあの2人目を合わせてたよ!? イカサマじゃないの!?」ガタッ 審判「そ、そう言われましても本当に目を合わせただけですので……」 恒子「諦めなすこやん。そういう夫婦ってのはいるもんだよ」 健夜「卓上の麻雀牌がわかるならともかく、目を合わせると相手の欲しい牌だけがわかるなんてありえないよ!」 恒子(すこやん、そっちのほうがありえないからね) 京太郎「すみません、小鍛治プロ。でも本当に合図出したりとかはしてないんです」 ゆみ「そうなんです。目を合わせたるとなんとなくわかるってだけで確信を持ってるわけでは……」 健夜「合図なんて出してないのはわかってるけど認めたくないの!」 京太郎・ゆみ「?」 恒子(あー若さって怖いなー) 健夜「……再開しようか。中断させちゃってごめんね。でも絶対負けないから!」 京太郎・ゆみ「はい、私たちも負けません!」 ……… …… … 京太郎「あーやっぱ強いな小鍛治プロ」 ゆみ「そうだな。2人がかりでも全然届かなかった」 京太郎「うん、でも何も出来ないわけじゃなかった」 ゆみ「私たちも少しは成長してるのかな」 京太郎「きっとそうだよ。もっと強くなって2人で一番を目指そう」 ゆみ「ああ、これからも一緒にな」 イチャイチャ 健夜「……なんだろう。勝ったのに全然喜べない」 恒子「すこやん! 勝者は勝者らしくしてないとダメだよ!」 健夜「わかってるんだけど……」 イチャイチャ 健夜「……つらい」ウゥ… 恒子(開始前にやってたらすこやん負けてたかも……)アハハ 健夜「宮永さん、ちょっと聞いてよ!」シクシク 咲「どうしたんですか急に」 健夜「それがさあ……あ、生一つ」 咲「私はウーロンハイで。それでなんですか?」 健夜「今日グランドマスター杯ってあったの知ってる?」 咲「はい、もちろん。相変わらず圧勝でしたね」 健夜「まあ結果的にはそうなんだけど……」 咲「あ、もしかして途中でサマとか言ってたやつですか? あれは違いますよ」 健夜「うん、それはわかってるの。わかってるんだけど認めるのが辛くて……」 咲「確かに牌が見えてるならともかく、目を合わせたらお互いの欲しい牌がわかるなんて信じられないですよね」 健夜「そう、そうなんだよ! 独り身にはそんな通じあってるところ見せられるのはキツイんだよ!」ゴクゴク 咲「……そうですね」ピキッ 健夜「それで対局の後、あの2人何してたと思う?」 咲「どうかしたんですか?」 健夜「負けたのにすっごく爽やかなんだよ! 少しは成長したかなとかもっと頑張って2人で1番目指そうとか!」 健夜「ちょっと私には厳しいものがあって」 咲「……へぇ」ピキッ 健夜「麻雀界きってのおしどり夫婦とは聞いてたけどあんなに仲良かったんだね……見てたら眩しくてもう……」 咲「……」ブチッ 健夜「?」 咲「」ゴッゴッゴッゴッ 咲「」ダンッ 健夜「み、宮永さん……? い、一気飲みはよくないよ……?」 咲「小鍛治プロ」 健夜「は、はい」ビクッ 咲「私が京ちゃ……須賀プロと幼なじみだったのって知ってます?」 健夜「う、うん。だからこそ今日呼んで……」 咲「私は京ちゃんのこと好きだったんですよ。いや正確に言うと今も好きなんです」 健夜「えっ」タラー 咲「それに気づいたのは京ちゃんと加治木さんが付き合い始めたときからだったので、もう手遅れだったんですけど」 健夜「そ、そうなんだ」ダラダラ 咲「それで京ちゃんとは幼なじみの関係のままで、まあ仲はいいので良くメールしてるんです」 咲「昔みたいに毎日とは行きませんけど、2日に1回くらい」 健夜「な、仲いいんだね」ダラダラ 咲「メールの中身は大抵なんてことない日常のやりとりなんです」 咲「でもだからこそ、加治木さんとの惚気話が送られてくるんですよ。何度も何度も何度も何度も」 健夜「へ、へぇ……」ダラダラ 咲「小鍛治プロ」 健夜「は、はい!」ビクッ 咲「私が何年間この生活をしていると思います?」 健夜「い、いえそこまでは……」ダラダラ 咲「わからないですよね?」 咲「その私に向かってたった1日、それも対局と前後含めた数時間一緒にいただけで……小鍛治プロはなんて言いましたっけ?」 健夜「い、いえその……す、少し辛かったかなあと」ア、アハハ… 咲「……はい、別にそれでいいんですよ。気持ちはわかりますから。もっと素直な気持ちを言ってください」 健夜「み、宮永さん……! ありが――」 咲「代わりに、私の話も聞いてくださいね」ニコッ 健夜「」 ………… ……… …… … ――翌日―― 恒子「すこやん、昨日はあの後宮永プロ呼び出したんだって? ダメだよ愚痴言いたいからって若い子連れ回しちゃ……すこやん?」 健夜「ゴメンナサイ。 アノクライデ クルシイ ナンテイッテ ゴメンナサイ。ジブンガ ワルイノニ モテキガコナイ ナンテイッテ ゴメンナサイ」ブツブツ 恒子「す、すこやん? どうしたの?」 健夜「あ、こーこちゃん。もう私結婚できなくて辛いなんていわないよ」 恒子「ど、どうしたの!? 昨日何があったの!?」 健夜「私なんてまだまだだったんだね。私ごときが幸せなカップルを見て辛くなるなんて甘かったよ……」 恒子「よくわからないけどすこやんが結婚諦める理由にはなってないと思うよ!? すこやん正気に戻って!!」 健夜「あははははー……」 カン
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346308252/ 己のカルマと戦う京太郎の前に現れたステルスモモ 彼女から持ちかけられた悪魔の契約に対して、決意を固めたはずの京太郎の心は揺らぐ 彼は自らの生き方を切り開くことができるのか!? 京太郎(師匠……すみません……) 京太郎(俺はやっぱり、自分の身がかわいい臆病者みたいです……) 京太郎「分かった、そちらの要求を飲もう」 桃子「あなたならそう言ってくれると思ってたっす」 桃子「合宿中は無理に行動を起こさなくて良いっす」 桃子「実際に行動に移すのは、清澄に帰ってからということで」 京太郎「分かった。しかし今は情報が足りない」 京太郎「うちの部長とそっちの先輩ってのは、一体どれくらい親密なんだ?」 桃子「……名前」 京太郎「ん?」 桃子「あの女、私の先輩を下の名前で呼びやがったんす!」 桃子「私でさえまだ苗字に先輩って付けただけなのに……」ギリッ 京太郎(こ、これは……) 京太郎(百合場面名鑑収録「下の名前で呼んで」の亜種か!) 京太郎(いやいや、喜んでる場合じゃないだろ) 京太郎(落ち着け、冷静になるんだ) 京太郎(たかが下の名前で呼ぶようになっただけで、そこまで危険な段階に入っていると言えるか?) 京太郎(下の名前で呼び合うくらいまでなら別に……) 京太郎(…………) 京太郎(かじゅ久、いや、久かじゅ……か) 京太郎(アリだな) 京太郎(部長という職務の重責……そこから生じるストレスを抱えながら部活を発展させようとしてきた二人) 京太郎(奇しくもそれぞれが在籍する麻雀部は歴史がゼロと言っても過言ではない状態の新生部) 京太郎(同じような境遇にある者同士がある日交錯したとき、物語は始まる) 京太郎(ん?鶴賀の部長はカマボコみたいな口の人だっけか) 京太郎(まあいいか、立場的には似たようなものみたいだし、やはりそこから生じる共感g) 桃子「不愉快な妄想をしているようなら、あんたにはもう用はないっす」ニコッ 京太郎「!? ち、違うんだ! 待ってくれ!」 桃子「次はないっすよ?」 桃子「とにかく、くり返すっすが方法は問わないので、可及的速やかに処理をしてくださいっす」 桃子「こうしている間にも、あの女の毒牙が先輩に迫ってるんっすから」ギリッ 京太郎(これは……マジだな)ゴクリ 桃子「最終的にあの二人の接触を断つことができれば良いことにするっす」 桃子「だけど、もしも間に合わなかったら、その時は……」ゴゴゴ 京太郎「分かってる! 分かってるからそれだけは……それだけは許してくれ…」 桃子「じゃあ、今日のところはこれくらいにしておくっす」 桃子「期待してるっすよ、須賀京太郎君?」 桃子「あ、それと、万が一先輩の着替えを覗くとか、そういうことをした場合もその場で処刑確定なので注意してくださいっす」 桃子「では」スゥ… 京太郎「ふぅ……」ドサ 京太郎(なんてことだ……まさかこんなことになるなんて……) 京太郎(どうすれば……師匠に助けを) 京太郎(いや、それだけは絶対にできない) 京太郎(俺の尻拭いを師匠にさせるなんてことは、絶対にあってはならない……) 京太郎(しかし、師匠の思いを踏みにじることも避けたい) 京太郎(くそっ……八方塞がりか…) 京太郎(……いや、待てよ) 京太郎(今のこの状況、一見すると男である俺が百合の園を土足で踏み荒らそうとしているように見える) 京太郎(しかし、今俺がそんな行動に出ようとしているのは、紛れもない百合娘・東横桃子からのアクションがあったからだ) 京太郎(実際のところこれは、百合娘が自らの願望を成就させるための手段だと考えられないだろうか?) 京太郎(ならば今の俺は、百合の舞台の上にある一つの小道具……) 京太郎(百合の花を咲かせるためだけに存在する、ひとつの背景に過ぎない) 京太郎(それならば……俺は飽くまで流れの中で求められ、使われているに過ぎない!) 京太郎(そう、主人が執事に……透華さんや衣ちゃんが師匠に命じて、師匠がそれに応えるという関係のように) 京太郎(俺が桃子さんの要求に応じるのは、何の違和感もない行動だと言えるんじゃないか!?) 京太郎「く、くくく」 京太郎(これは、むしろ僥倖かもしれん) 京太郎(行動の理由を自らの外に置きつつも、それでいて自らのためになる行動ができる) 京太郎(しかもそれは、俺自身の規範に逆らうものではない) 京太郎(いいねぇ、望むところだ) 京太郎(やってやろうじゃないか!) 京太郎(俺は舞台の上で、俺の役を演じきってやる!) 京太郎(アトモスフィア京を舐めるなよ!!) ――久主催部屋―― 久「その手を鳴かずに進められるのね…」 ゆみ「これを鳴いて和了れる相手とは思っていない」 久「あら、随分と評価してもらってるみたいね」 ゆみ「当然だ、聞くところによるとインターミドル時代も猛威を振るっていたそうじゃないか」 ゆみ「高校に入ってから麻雀を始めた私から見れば、大先輩だよ」 久「いやねぇ、そんなことまで調べてあるの? ちょっと怖くなっちゃうわ」 ゆみ「敵情視察は戦略の基本だ」フッ 久「怖いわね、滅多なことができなくなっちゃう」 京太郎(ふむ、思った以上に親密になっているようだな) 京太郎(桃子さんの杞憂というわけではなさそうだな) 京太郎(部長が加治木さんを誘った時に下の名前で呼んでるのを見て、大慌てで俺に話を持ちかけてきたわけか) 京太郎(凄まじい行動力……いや、執念と呼ぶべきか) 京太郎(しかし……) 美穂子「うえ……竹井さん」 久「うーん、ねぇ美穂子」 美穂子「す、すみません! 失礼なことを……」 久「いや、別に上埜って呼ばれるのを気にしてるわけじゃないのよ?」 久「ただ、ゆみも私のことを名前で呼んでるし、美穂子も私のことを名前で呼んでくれないかしら」 久「ほら、私も“美穂子”って呼んでるわけだしね」 美穂子「え、でも……」 久「よし、決めた」 美穂子「え?」 久「“久”って呼んでくれないなら、なんにも反応してあげないことにするわ」 美穂子「え、そ……そんな、冗談ですよね?」 久「……」 美穂子「た……竹井、さん?」 久「……」 美穂子(うぅ……) 美穂子「ひ、久さん」 久「うーん、“さ”が続くと響きが悪いわねぇ」チラッ 美穂子「そ、そんな……」 久「あーあ、さみしいなぁ」チラッチラッ 美穂子「……」 美穂子「……久」ボソッ 久「……」スッ トトト 美穂子「え?」 久「……」ギュウ 美穂子「えっ!? ひ、ひゃ」 久「なぁに、み・ほ・こ♪」フゥ 美穂子「あ、わあうああうああ」カアァァァ 美穂子(息が、息が耳に……!) 衣「おい久、対戦相手の手牌を盗み見る気か?」 久「あら、ごめんなさい。そんなつもりはちっとも無かったんだけど」 久「あんまりにも美穂子が可愛いもんだから、自分を抑えきれなくなっちゃってね?」 美穂子「うぅぅ……」 ゆみ「まったく」ニガワライ 京太郎(…………) 京太郎(たまらん) 京太郎(なんだなんなんだこの最高の桃色空間は!?) 京太郎(ってか部長! あんた最高だよ!!) 京太郎(女の子を手玉に取るすべを身につけすぎてて、逆に怖い!) 京太郎(これは間違いなく歴戦の百合娘!) 京太郎(今までも相当な数の生娘をその毒牙にかけてきたに違いない!) 京太郎(はっ!?)ピキュイィィン 京太郎(そ、そういえば、うちの部室ってやたら恵まれた環境にあるよな……) 京太郎(部員数ギリギリ団体戦に出場可能なくらいしかいない弱小中の弱小部なのに) 京太郎(しかも、中古で買っても決して安くない自動卓まである) 京太郎(ここから導き出される結論、それはすなわち……) 京太郎(百合売春!!) 京太郎(いや、実際には売春というより、何かしらの備品をかけての麻雀勝負だったのではないだろうか) 京太郎(「部員がいないからちょっとだけ付き合ってくれない?」と誘われ、軽い気持ちで部室に足を踏み入れた彼女たちだったが) 京太郎(そこで会話をしていくうちに、次第に久という存在に惹かれるようになる) 京太郎(そしてある日、部室に置く備品をかけての勝負を持ちかけられる) 京太郎(賭けられるものがないように見えることを久に伝えると、彼女は自分の躰を賭けると言い出す) 京太郎(はじめは驚いて勝負を拒否するが、あっさりと久は引き下がる) 京太郎(拍子抜けした状態で帰宅するも、ベッドの中でそのことを反芻し、勝負を受けなかったことを後悔する) 京太郎(そして翌日、放課後になると真っ先に麻雀部の部室に向かい、そこの主に「賭けをしよう」と持ちかけるのだ) 京太郎(そしてギリギリの勝負の末、見事勝利を掴み取る。高鳴る胸の鼓動) 京太郎(なんとか平静を保とうとしていると、久がゆっくりと立ち上がり、部屋の隅のカーテンをそっと開く) 京太郎(そこには真っ白なシーツがかかったベッドが。ベッドの上に腰掛け、制服を徐々に崩しながら、誘うような目つきで見てくる久) 京太郎(そして耐えられなくなった欲望がり性を粉々に打ち砕き、久の体躯を、息を荒げながら乱暴に組みしだく……) 京太郎(一度味を知ってしまったらもう後には戻れない) 京太郎(自らの私物やポケットマネーを賭けてまで戦いに挑み、徐々に泥沼にはまってゆく) 京太郎(絶妙なバランスで勝敗を調整しながら、久は彼女たちの心を弄んでいく……) 京太郎(こう考えれば、不自然なほど揃っている備品の数々、そしてあのベッドの説明がつく) 京太郎(そして和は、かつて部長が甘い声を上げながら) 京太郎(時には上げさせながらシーツを濡らしていたなどということに微塵も気づかず、そのベッドで無防備に睡眠をとっているのだ) 京太郎(…………) 京太郎(い、いかん、これは危険だ) 京太郎(平常心が保てなくなりそうだ……落ち着け俺)フゥ ゆみ「ん?」 京太郎(っ! まずい!) 京太郎(アトモスフィアモードを……冷静に……)スゥ ゆみ(…………気のせいか) 京太郎(……危なかった) 京太郎(しかし、さすがと言わざるを得ないな) 京太郎(あの桃子さんの気配を、完全に隠蔽していない状態とは言え察知できるだけ……) 京太郎(しまった、本来の目的を忘れるところだった……!) 京太郎(今は百合妄想に浸っている場合ではない。何とかして現状を打開しないと……) 京太郎(しかし、俺のSPY-Lレーダーの情報が正しければ、キャプテンはもう既に陥落しているが、肝心の部長が問題だ) 京太郎(今回のオーダーは部長を加治木さんから引き離すこと) 京太郎(最終的に部長そのものをどうにかしなければ意味がない……) 京太郎(しかし、ここに来てからの部長の姿を見る限り、彼女を特定の誰かと結びつけることはかなり難しい) 京太郎(おまけに今回は時間が限られている) 京太郎(一度この合宿が終わってしまえば、これだけのメンバーが一堂に会することは殆どなくなるだろう) 京太郎(解散してしまえば部長と加治木さんの接触自体は減るだろうが) 京太郎(もし個人的に合うといった状況になった場合、それを事前に察知するためには部長のプライベートに張り付く必要が出てくる) 京太郎(そして周囲にフレアとして使えそうな人材がいるとも限らない) 京太郎(合宿終了まであと何時間だ?) 京太郎(なにか……何かないのか……) 京太郎(師匠……俺に力を……) 京太郎(……ん? 待てよ?) 京太郎(このSPY-Lの反応……) 京太郎(はっ!?) 京太郎(そうか! この手があったか!) 京太郎(…………しかし、これは成功する確率が高いとは言えない……) 京太郎(どうする、別の手を考えるか……?) 京太郎(いや、迷っている時間はない) 京太郎(失敗すればジ・エンドだが、何もせずにいて失敗しても結果は同じだ) 京太郎(ならば、俺は全力を尽くして死ぬ方を選ぶ) 京太郎(それに、これは紛れもない百合娘からの願いでもある) 京太郎(指をくわえて見ているだけなどというのは、百合男子道に背く行い!) 京太郎(よし! 『オペレーションNH』始動だ!!) ――清澄部屋―― 和「はぁ、流石に疲れましたね」 咲「朝から晩まで打ちっぱなしだったもんね……」 咲「優希ちゃんなんか爆睡してるよ」 優希「ZZZzzz……」ホボゼンラ 和「ゆーき……なんてはしたない…」 咲「それにしても、今回の合宿は勉強になったなぁ」 和「ですね、みなさんやっぱり決勝まで残っただけありました」 咲「はぁ、京ちゃんも来れてたら強くなれたんじゃないかなぁ」 和「」ムカッ 和「もし来れていたとしても、部長の命で雑用をやって終わりだったと思いますよ」イライラ 咲「うーん、部長ももう少し京ちゃんに優しくしてあげればいいのに……」 和「」イライライライライライライライライライライラ 和「み、宮永さ」コーイーシチャッタンダ タブン キヅイテナーイデショー 咲「あ、これって」 咲「京ちゃんからメールだ!」パァァ 和「」プチッ 和「みやながさ咲「え?」 和「!」ガバッ 和「どうしましたか宮永さん!まさかセクハラまがいのメールを!」 和「前からうすうす怪しいとは思っていたんですが、やっぱりやらかしましたかあの変態!」 和「私たちの方を見てたまにニヤっと笑っていたんですよ!」 和「気持ち悪いなぁとは思っていたんですが部活の平穏を乱したくなくて今まで野放しにしてしまいました! 申し訳ありません!」 和「今すぐヤツからのメールや着信履歴を全て削除してアドレスからも消去」 和「ついでに着信拒否リストに入れて、麻雀部、いや清澄高校、いいえ長野から永久追放してしまいましょう!!」 和「大丈夫です!裁判なら両親に頼めば必ず勝てますし、宮永さんは私が必ず守りきってみせます!」 咲「え? いやそんなメール京ちゃんはしてきてないよ?」 咲「ただ、ちょっといきなりっていうか、よく分からないっていうか……」 咲「ほら、これ」スッ 和「…………え?」 和「……何ですか、これ?」 咲「私も全然分からない……」 咲「あ、も、もしかして……」 咲「京ちゃん……あの人のこと……」ジワッ 和「!?」 和(私の咲さんを泣かせるなんて…………) 和(凌遅刑が神からの祝福に思える位の罰を与える必要がありますね……!)ゴゴゴ 和「今すぐ電話して、目的を問いただしましょう!」 咲「う、うん」ピピッ 和(短縮の0番!?)ワナワナ 咲「…………電源が入ってないみたい」 和「宮永さん! こんな訳のわからないお願いなんて聞く必要ありません! もう今日は寝ましょう!!」 咲「…………ううん、行くよ、私」 咲「きっとなにかワケがあるんだよ」 咲「私は京ちゃんを信じる。京ちゃんの力になりたいから……!」グッ 和「」イライラブルブルワナワナバキバキグシャグシャバリバリゴクン 和「…………分かりました」 和「では、私もご一緒させていただきます」 和「私も(咲さんの)力になりたいですから」ニッコリ 咲「原村さん……!」 和「行きましょう、あんまり遅くなると、寝てしまうかもしれませんよ」ニコニコニコニコ 咲「うん! 行こう!」 ――鶴賀部屋―― 桃子「ん?」 桃子(この気配……) 桃子「ちょっと出てくるっす」 ワハハ「んー? あんまり遅くなるんじゃないぞー」ワハハ 桃子「はいっす」 ガチャ バタン 桃子「で、なんの用っすか? 須賀京太郎」 京太郎「今、手を打っているところです。おそらく明日出発するまでには結果が出るでしょう」 桃子「!!」 桃子(本当? ブラフ? いくらなんでも早すぎないっすか?) 桃子「合宿中は無理みたいなことを言ってたと思うんすけど、あれはなんだったんすかねぇ?」 桃子(これは警戒しなくてないけない? いやしかし……) 京太郎「俺の認識不足でした。むしろこの機会を逃すわけにはいかないんです」 京太郎「……そして、この作戦を遂行するにあたって、桃子さんにも協力していただかなくてはなりません」 桃子(きたっ!) 桃子「確かに協力するとは言ったっすけど、内容によるっす」 桃子「当然納得できる理由も話してもらわないと」 京太郎「理由までは……ただ、殆ど手間は取らせません」 京太郎「大丈夫です。俺を信じてください」 京太郎「必ず貴女の望む結果をご覧に入れます」 桃子(……話だけなら、聞いてやるっすか…) ――外―― 桃子(一応、要求されたことはやったっすけど、あれは一体何の意味が……) 桃子(あとはここで少し待てばいいって……) 桃子(少しってどれくらいなんすかね?) 桃子(一応アイツの行いの証拠は、分散して保管してあるから、今のうちに処理するのは無理っすけど……) 桃子(10分待って何も起こらなかったら、処刑確定っすね) ゆみ「……」タッ タッ タッ 桃子「……先輩?」 ゆみ「桃子」 桃子「!?」ビクッ 桃子(こ、これは……) 桃子(先輩……怒ってるっすか……?) 桃子(一体何が……) ゆみ「桃子」 桃子「は、はいっす!」ビクッ ゆみ「ひとつ、聞きたいことがある」 桃子「なな、なんっすか?」ビクビク ゆみ「須賀京太郎をいう男の事を知っているか?」 桃子「!!??」ビックゥ 桃子(ま、まさかアイツ……みんな先輩にバラして……)ブルブル 桃子(こ、殺すっす!!) 桃子「な……んのことだか、さっぱりわからないっすね」プイッ ゆみ「声が上ずっているぞ」 ゆみ「その反応、やはりヤツの言っていったことは本当だったか……」 桃子(なんで、そんなに怒ってるんすか……) 桃子(なんで、そんなに悲しそうな顔するんすか……) 桃子(私のこと、恋愛ではないにしても、好いていてくれていたんじゃないんすか……) 桃子(じゃあなんで……今まで……勘違いさせるようなこと)ギリッ 桃子(あんまりっすよ……) ゆみ「桃子……本気なのか?」 桃子(……!)ギリリッ 桃子「そうっすよ! 本気っす!」ジワッ 桃子「でも何が悪いんすか! 先輩が悪いんっすよ!」ポロ 桃子「私は……私は、ただ……」ポロポロ ゆみ「……」スッ 桃子「っ! 触らないでくださいっす!!」バシッ ゆみ「」ギリッ ゆみ「桃子!」グイッ 桃子「きゃ!?」ドサッ 桃子(え? 何? 押し倒され……) ゆみ「桃子」 桃子「は、はい……」 ゆみ「お前を見つけたのは、私だ」 桃子「え、あ、はい」 ゆみ「だから、お前は私のモノだ」 ゆみ「誰にも渡しはしない」ギュウ 桃子(…………???) ゆみ「私が悪かった」 ゆみ「お前は、なんだかんだでちゃんと分かってくれていると思っていた」 ゆみ「全く、笑い話にもならないよ」 ゆみ「だから」 ゆみ「しっかりと、躾てやらないといけないな」 桃子「はぇ?」 ゆみ「だれがお前の持ち主なのか」 ゆみ「心にも、躰にも」 ゆみ「刻みつけてやる……!!」グイッ 桃子「な、にを んんうぅ!?」チュウゥゥ 桃子(これは一体何がどうなってこうなったんすかぁぁぁ!?) ゆみ「ふぅ」 桃子「はぁ、はぁ……せ、んぱ」ハァハァ ゆみ「……」グイッ 桃子「や、ちょ、そこは!?」ググッ ゆみ「初めてか?」 桃子「……はぁ…? そりゃ、そうっすけど……?」 ゆみ「そうか、そうじゃなかったらモモを殺して私も死んでいたよ」 桃子「ぇ?」 ゆみ「それに、痛くなければ躾にならないだろう?」 ゆみ「一生忘れられないくらい、痛くしてやるからな」 桃子「ちょ、ま、せんぱ」 ~少し前~ ――廊下―― ゆみ「やれやれ、さすがに疲れたな」コキコキ ゆみ(しかし……楽しかったな)フッ ゆみ「…………ん?」 ゆみ(これは、なんだ?) ゆみ(押し隠したような気配……モモに近いが、違う) ゆみ(それにこの感じ……久たちと打っている時にも一瞬感じた) ゆみ「そこかっ!」バッ 京太郎「流石ですね」スゥ ゆみ「! 君は……確か清澄の男子部員」 京太郎「! これは……覚えていただけているとは、意外でした」 ゆみ「なぜここにいるんだ? 久は君を置いてきたと言っていたはずだが」 京太郎「ええ、まあちょっとした理由がありましてね」 京太郎「加治木さんに接触したのも、その理由と関係していまして」 京太郎「少しお時間をいただけないでしょうか」ニコッ ゆみ(……どういうつもりだ?) ゆみ(この男、確かに気配を感じることはできたが、まるであえて私に察知させたような、そんな不自然さがあった) ゆみ(つまり、今の今まで私にも気づかれないような状態で”何か”をしていた可能性が高い) ゆみ(それでも、犯罪行為をしようとしていたなら、気配を消した状態でいくらでも出来たはず) ゆみ(私に直接危害を加えるようなことは、今の時点でするつもりはないということか) ゆみ(……ここで誘いに乗らなかった場合、この男は再び姿を消すだろう) ゆみ(目的が全くわからないままロストするのは避けたい……) ゆみ「わかった、話だけなら聞こう」 京太郎「そうおっしゃっていただけると思っていました」 京太郎「ここでは人目につきます。場所を移しましょう」 ――外―― ゆみ「で、こんな所でしか話せないということは、なかなかに後暗い話題をしたいと見えるが」 京太郎「後暗い、というほどではありませんが……」 京太郎「大手を振って話せるものでもありませんね」 京太郎「……同じ無名校として、決勝での鶴賀の活躍には驚きましたし、素直に敬意を覚えました」 ゆみ(……? なんだ、わざわざ胡麻をすりに来たわけでもないだろうに) 京太郎「とくに、うちの原村を抑えて、副将戦で収支1位を飾った東横桃子さん」 ゆみ「……」ピクッ 京太郎「加治木さんも素晴らしい立ち回りをされましたが、やはり彼女の働きには非常に強い印象を覚えました」 ゆみ「……何が言いたい」 京太郎「そのままです。東横さんが優秀だというお話ですよ」 京太郎「原村和は去年の全中チャンピオン」 京太郎「そして龍門渕透華さんも、去年のインハイでは大いに活躍したそうじゃないですか」 京太郎「そんな二人を押しのけて、鶴賀を優勝まで後一歩のところまで押上げた彼女のような才能が」 京太郎「これを最後に終わってしまうのかと思うと、あまりにももったいなくて」 ゆみ「!?」 ゆみ「それは、どういうことだ?」 ゆみ「モモはまだ1年だ。来年も再来年も、鶴賀のエースとして活躍する」 ゆみ「ここで終わるわけがないだろう!」 京太郎「冷静に考えてみてください」 京太郎「確かに鶴賀は県予選で決勝まで上り詰め、大いに活躍しました」 京太郎「しかし、それだけで来年からも部員が入ってくれるでしょうか?」 京太郎「本当に麻雀がやりたい人なら、長野だと普通は風越に入ります」 京太郎「それに、風越は確かに名門ですが、ここ最近の2連敗は間違いなく看板の価値を落としているでしょう」 京太郎「ではほかの学校はどうか?」 京太郎「今回の決勝の4校で考えてみましょうか」 京太郎「龍門渕のメンバーは全員が2年生で、来年もレギュラーメンバーは変わらないでしょう」 京太郎「メンバーに空き枠がなく、横のつながりだけで強さを保っているところに、新入生が入るとは考えにくい」 京太郎「そもそもあのチームは学校の麻雀部というより、龍門渕さんの私設クラブとしての色合いが強いですから」 京太郎「そうなると鶴賀と清澄はですが、ここは両方共ほぼ無名です」 京太郎「目立った戦果は、今年の物のみ」 京太郎「そして、両方が無名ならば」 京太郎「『全国優勝校』という泊のついた清澄の方を、普通ならば選ぶでしょうね」 ゆみ「!!??」 ゆみ「ちょっと待て!」 ゆみ「自分の仲間に対して自信があるのは結構だが、随分と大きな風呂敷を広げるじゃないか」 ゆみ「そんな根拠の乏しい推測をもとに、うちの麻雀部を不当に低く評価するとは、君は随分恥知らずな人間のようだな」 京太郎「本当に根拠に乏しいと言えますか?」 京太郎「先鋒の片岡は、個人戦で歴代ハイスコアを出すほどの腕前」 京太郎「副将の原村は言わずもがな」 京太郎「大将の宮永は、去年のMVPである天江衣を制し、個人戦でも全国出場が決定しています」 京太郎「そして、常に収支を±0にするという驚異的な実力」 京太郎「これは個人戦でも本人の気が変わるまでやってのけていましたから、全国でも通用すると思われます」 京太郎「どんなに異常なことか、加治木さんならよくお分かりでしょう?」 京太郎「残りの二人も、ほかの3人ほどの派手なモノはありませんが」 京太郎「どちらも安定してハイレベルな試合ができるというのは、加治木さんも骨身にしみて理解しているはずです」 京太郎「ここまでの実力者が揃いながら、清澄が優勝を狙うには力不足だと思えるのなら」 京太郎「それは少しばかり観察眼というか、まあ“何か”が足りないんじゃないでしょうか」ニコッ ゆみ「君は……随分と人をからかうのが好きなようだなっ……」ギリリッ ゆみ「仮に、だ」 ゆみ「仮に来年鶴賀の麻雀部が団体戦に出られないとしても」 ゆみ「モモには個人戦があるだろう」 ゆみ「そうなれば、少なくとも彼女の才能が埋もれるということはない!」 ゆみ「彼女は、あの特殊な能力が先行してはいるが、麻雀の実力も文句のないレベルだと思っている」 ゆみ「問題は全くない」 京太郎「……東横さんは、どうして麻雀部に入ったんでしょうか?」 ゆみ「!」 京太郎「どうやら彼女は初めから麻雀部に入ろうとは思っていなかったようですよね?」 京太郎「誰かが強引に麻雀部に連れ込んだと聞いていますが」 ゆみ(この男……いったい…) 京太郎「もしもですよ」 京太郎「もしもその人がいなくなってしまったら」 京太郎「東横さんが麻雀部にいる理由、その物自体が消えてしまうということになるのではないでしょうか?」 ゆみ「!?」 ゆみ(そんな……モモが……) ゆみ(いや、そ、そんなことはないはずだ) ゆみ(…………ホントにそう言えるのか……?) ゆみ(いや、まて、相手のペースに飲まれるな!) ゆみ「どうも人の周りを嗅ぎ回るのが好きな、趣味の悪い人間がいるようだが」 ゆみ「いったい、どこからそんな噂話を仕入れてきたのかな」 京太郎「加治木さん、あなたほど聡明な方だ」 ゆみ(無視、か) 京太郎「人の気持ちに鈍いというわけでもない」 京太郎「なら、もう気づいているんでしょう?」 京太郎「東横さんがあなたに向けている感情に、ね」 ゆみ(…………っく!?) 京太郎「自らの存在を非常に認識されにくいという、あまりにも特異な体質を持って生まれてしまった、一人の女の子」 京太郎「存在を気づいてもらえないがために、誰からも必要とされることなく生きてきた」 京太郎「だがある日、そんなつまらない日常から自分のことを引き上げてくれる人が現れた」 京太郎「彼女がどれほどの喜びを感じたかは、想像に難くありません」 京太郎「そして、求められるということに喜びを感じた彼女は、恩人とも呼べるその人に着いていくことを決める」 京太郎「ですが……」 京太郎「自分を見つけてくれたその人は、自分自身が麻雀の大会に出るための頭数が欲しかっただけで」 京太郎「高校生活最後の試合が終わると、目の前から姿を消してしまう」 ゆみ「!!……ち、違う!!」 ゆみ「私はそんな……そんな道具のような扱い方をモモにしてきたことは断じてない!!」 ゆみ「モモは私の大事な……大事な仲間だ!」 京太郎「仲間……そうですよね」 京太郎「あなたから見れば、彼女は確かに大切な仲間です」 京太郎「ですが、お分かりのはずです」 京太郎「彼女が貴女との間に求めている関係は、もっと特別なものだと」 ゆみ「そ……れは」ビクッ ゆみ(たしかに、モモが求めているものはわかっている、が……) 京太郎「そして、貴女がどんなに彼女のことを大切に思っていたとしても、鶴賀を去ってしまうのは、曲げることのできない事実」 京太郎「彼女が麻雀部にいる理由を失ってしまうのも、従って事実です」 京太郎「ですから“このままでは”彼女の才能は埋もれてしまうんですよ」 ゆみ(…!) ゆみ(まさか、コイツの狙いは) 京太郎「本題に入りましょうか」 京太郎「東横桃子さんが後腐れなく清澄の麻雀部に入れるように、彼女との縁を完全に断って頂きたい」 ゆみ「ば……馬鹿かお前は!」 ゆみ「私がそんなことをすると思っているのか!」 京太郎「他のメンバーの方のことでしたら、どうぞご心配なく」 京太郎「彼女たちも、まとめて受け入れる準備は出来ていますから」 ゆみ「準備が出来ている……だと?」 ゆみ「まさかこの話、久も噛んでいるのか……?」 京太郎「おっと、この話は完全に俺のワンマン企画ですよ」 京太郎「うちの部長はああ見えて、曲がったことが大嫌いでしてね」 京太郎「おまけに頭がキレて、感も鋭い」 京太郎「部長にばれずに準備をするのは大変でしたよ」 京太郎「本当はもっと面倒な手順を踏んで東横さんに接近するつもりだったのですが」 京太郎「今回の合宿企画が持ち上がったのは本当に幸運だったというより他ありません」 京太郎「この機会を逃すと面倒なので、加治木さんには早くご決断をして頂きたいのですが……」 ゆみ「……君が清澄の戦力の増加のために、モモをうちから盗ろうとしているのは分かった」 ゆみ「しかし、君は男子部員で、女子部員の成果は直接利益になるとは思えない」 ゆみ「なのにどうしてそこまでモモに固執するんだ?」 京太郎「……正直言って、今の清澄は部長の強力なリーダーシップによってまとめられている状態です」 京太郎「飄々としていながら、彼女ほど抜け目のない人間もなかなかいない」 京太郎「うちのメンバーは、一人ひとりが優れた雀士ではありますが、部長の跡を継いで組織を引っ張っていける人間がいない」 京太郎「宮永はそもそも内向的な性格ですし、片岡は自分勝手すぎる」 京太郎「原村は信念が強すぎるあまり、狭窄な考えに陥りがち」 京太郎「染谷先輩は一番まともではありますが、いい人どまりでリーダーとしては力不足な感が否めません」 京太郎「そうなったとき、いったい誰が部の舵取りをしていくのか」 京太郎「そうなった時に、俺がその責務を引き受けようと思っているわけです」 ゆみ「随分自己評価が高いと見えるな」 ゆみ「私にはただの自惚れにしか感じられないが」 京太郎「消去法ですよ、手配の中に安牌がこれしかなかったんです」 京太郎「ともかく、俺がそうやって部をチームとしてまとめ上げていくとなれば、当然勝ち進むために何ができるのか、と考えるわけです」 京太郎「そして、まずは強力な人間の頭数を増やそうと思ったわけです」 京太郎「部内に強者が大勢いれば、内輪の練習だけでも十分技量の進歩は望めますから」 ゆみ「この陰険な謀は、全て部のためにやっていることだと言いたいのか」 京太郎「もちろん、それだけではありません」 京太郎「先程も申しましたように、清澄麻雀部は高い確率で優勝杯を持って帰るでしょう」 京太郎「そして、来年、再来年とそれを続ければ」 京太郎「史上初の3連覇を成し遂げる、ということになります」 京太郎「……今や、麻雀はこの世界で最大のゲームとなっています」 京太郎「そして麻雀強豪国である日本のインターハイで殿堂入りになるということは」 京太郎「世界レベルで実力が認められることになるでしょう」 京太郎「そうなったとき、そのチームを間接的に勝利に導いた人間も、十分すぎるおこぼれを貰えるのでは」 京太郎「そう考えたんですよ」ニコッ ゆみ(やはり私腹を肥やすことを考えていたようだな) ゆみ(しかも仲間を利用して……どこまでも下衆な男だ) ゆみ「久に……この話が知れたらどうするつもりだ?」 ゆみ「たったさっき自分で言ったばかりじゃないか」 ゆみ「久は曲がったことが嫌い、そう自分で言っただろう。短い付き合いだが、それは私もよく知っている」 京太郎「確かに多少面倒なことになりますが、問題ありませんよ」 京太郎「そもそも、この話は加治木さんに伏せたまま進めても、何の問題も無かったんですよ?」 京太郎「大切なのは“桃子”さんの意思ですから」 ゆみ(桃子……だと!?) ゆみ「キサマが彼女をその名で呼ぶな!!」 京太郎「落ち着いてくださいよ、加治木さん」 京太郎「俺があなたにこの話をしたのは、桃子さんができるだけ憂いを残さずに清澄に来れるようにしたかったから」 京太郎「俺は心の底から彼女のことを案じているんですよ?」 ゆみ「減らず口をっ……!」 京太郎「よく考えてみてください」 京太郎「一度求められることを、暖かさを知ってしまった彼女は、もはや以前のような孤独には耐えられなくなっているでしょう」 京太郎「いつ瓦解するかもわからない、風前の灯のような部活で、孤独に耐えながら暮らすのと」 京太郎「全国制覇の錦を飾る場所で、みんなから必要とされながら送る高校生活」 京太郎「どちらが桃子さんにとって幸せだと思いますか?」 ゆみ(…………) 京太郎「ねぇ、加治木さん」 京太郎「いい夢、見れたでしょう?」 ゆみ「な……っ!?」 京太郎「皆で全国を目指して走り続け」 京太郎「途中で敗退はしたけれど」 京太郎「それでも夢のように楽しかったんじゃないですか?」 京太郎「高校生活最後の、素敵な思い出は“もう出来ている”んですよ」 京太郎「ですが、桃子さんにはまだまだ未来があります」 京太郎「あなたが自分の思い出のため“だけ”に作った部活に、無理に残す必要はないでしょう?」 京太郎「彼女を夢の抜け殻に縛り付けておくなんて残酷な真似が」 京太郎「あなたにできるんですか?」 ゆみ「そ、んな……しばる、なんて……そんな…つもりは」 京太郎「加治木さん、あなたと桃子さんの関係、どうして俺が知っていたと思います?」 ゆみ「…………あ、え……?」 京太郎「直接聞いたんですよ。“モモ”から」 ゆみ「何を……」 ゆみ(何を……言っているんだ……この男は) 京太郎「話の流れで気づきませんでしたか」 京太郎「モモは、もうこの話を了解済みなんですよ」 京太郎「だから、あなたとのことも全て知っているんです」 京太郎「“モモから皆聞かせてもらいましたから”」 ゆみ(…………なんだ、なんなんだこれは) ゆみ(このおとこはいったいなにをしゃべっているんだ) 京太郎「ですから…………ぁ……」ボソッ ゆみ(え?) 京太郎「いいえ、なんでもありません。話を続けましょう」 ゆみ(なんだ、この男、一瞬むこうを見) ゆみ(!) ゆみ(モモ、と、清澄の……原村と、宮永……?) 京太郎「……こでは……ろと……あれだけ……」ブツブツ ゆみ「な、んの、ことだ」 京太郎「…………いえ、モモにはその、清澄に入ってからもスムーズに行くように」 京太郎「人間関係もある程度構築しておくように言っていたんですが……」 京太郎「できるだけ内密にしろと言ったはずなんですが……」ハァ ゆみ( ) ゆみ( ) ゆみ( ) 京太郎「ああ…………加治木さん」 京太郎「彼女はこっちに来ることを決めてからも、あなたのことでずいぶん悩んでいました」 京太郎「最後までモモの心を縛っていたのは、部活でも麻雀でもなく」 京太郎「貴女だったんですよ、加治木ゆみさん」 京太郎「だから、俺は最後の憂いを立つために、あなたにこのお話をしたんです」 京太郎「分かって頂けますよね」 ゆみ「」ガクッ ゆみ「」ドサッ ゆみ「モモ……私は…………お前……モモ」 京太郎「色よい返事を……いえ、返事は結構ですので、行動で示してください」 京太郎「失礼します」スゥ… ~翌朝~ ――車の前―― 久「それにしても、なんだかつやつやしてない?」 ゆみ「まさか、今にも倒れて眠りたい気分だよ」 久「確かに、あなたの後輩の……東横さんはそんな感じだけど……」 ゆみ「ああ、二人でちょっと遅くまで話をしていてな」 ゆみ「うちの麻雀部は来年も人集めが大変だし、そのことについて、な」 久「ふぅん……」 ワハハ「おーい、そろそろ出発するぞ。名残惜しいのはわかるけど、早く車に乗ってくれ!」ワハハ ゆみ「だそうだ。悪いがもう行かせてもらうよ」 久「ええ…………ねぇ、ゆみ」 ゆみ「ん?」 久「あんまり無理させちゃダメよ?」 ゆみ「………………善処しよう」 久(微塵も反省してないみたいね) 久(東横さんも大変ねぇ……) 桃子(痛いっす……あらゆる箇所が痛いっす……) 桃子(須賀京太郎……まさかこんな搦手を使ってくるとは……) 桃子(でも) 桃子(やっぱり、誰かに求められるっていうのは、あったかいっすね)フフ 佳織「桃子さん……? どうかしました?」 桃子「いや、楽しかったなぁって」 桃子「新しい知り合いも出来たし」 桃子「今までの私の人生じゃ、考えられないくらい楽しかったっす」 佳織「人生って……」 桃子(ん? あれは) 京太郎「」サムズアップ 桃子(……今回は感謝してやるっす) 桃子「須賀京太郎」ボソッ ゆみ「」ピクッ 桃子(あ、やば) ゆみ「モモ」 桃子「は、はいっす……」 ゆみ「今日はそういえば、午後から私の家で勉強を見てやる予定だったよな」ニコニコ 桃子「いやぁ、その、今日は疲れたから家でゆっくり休みたいかなぁって……」 ゆみ「なら、私の家に来て、我慢できなくなったらそのまま寝ればいい」 ゆみ「泊まっていってもいいしな」 桃子「き、今日は帰って撮っておいたドラマを」 ゆみ「 モ モ 」ニ゙ゴッ ワハハ「……!?」ゾク 睦月(なに!?)ゾクゥ 佳織(ひぃ)ゾクゾク 桃子「……はいっす」 桃子(前言撤回) 桃子(ちょっと……いや、かなりやりすぎっすよ…) ――清澄部屋―― ブオォォォン ブロロロロロロ 和「んんぅ……」 和(車……そうか、もう朝なんですね) 和(鶴賀の人たちが帰るんでしょうか) 和「ふあぁ」ムクリ 和(それにしても……) 和(結局昨日の須賀くんのメールはなんだったんでしょう) 和(指定した時間に指定した場所で、東横さんと親しげに話して欲しいって……) 和(何を考えていたんでしょうか) 和「?」 和(この香りは……)スンスン 和(同類――百合の香り!?)バッ 和(あっち……鶴賀の車の方から……) 和(これは……)スンスン 和(加治木さんと、東横さん……でしょうか…) 和(おかしいですね……) 和(昨日の時点では何も……) 和(あのあと、何かあったということでしょうか?) 和「…………」 ――何処かの木の上―― ハギヨシ「京太郎君……」 ハギヨシ(まさか、あそこまでのことをやってのけるとは) ハギヨシ(彼のやったことは、話術で相手を乱すだけではない) ハギヨシ(衣様が月の力を得て、卓上を支配するように) ハギヨシ(彼はこの周囲一帯の空間を、自らの気……いや、自らそのもので染め上げた……) ハギヨシ(まさか、使えるものが今の世に生まれようとは……) ハギヨシ(一体貴方はどこへ行こうというのです……) ハギヨシ(もしかしたら私は、とんでもない怪物を目覚めさせてしまったのでは……) ハギヨシ(………………) ハギヨシ(師としては失格かもしれません) ハギヨシ(しかし、私は……) ハギヨシ「見たい」 ハギヨシ「京太郎君、あなたがどんな覇道を征くのか」 ハギヨシ(あんなものを再び“魅せ”られては、どうしようもないですね) ハギヨシ(そういえば、あの方は今一体何をしているのでしょうか……) ~帰宅後~ ――木間書店―― 京太郎(今回はさすがに疲れた……) 京太郎(まさにカミソリの上を滑るような、危険な賭けだった) 京太郎(アトモスフィアでの情報収集の成果がなければ、あそこまでうまくいかなかっただろう) 京太郎(まさに日頃からの地道な作業が実を結んだと言える) 京太郎(なぜか失敗のビジョンは少しも浮かばなかったが) 京太郎(もしかしたら、咲とか衣ちゃんの感覚って、あんな感じなのかもなー) 京太郎(しかし、丸く収めるためとは言え加治木さんには随分ひどいこと言っちまったな……) 京太郎(今度会うことがあったら、ジャンピング土下座で謝る必要があるか) 京太郎(得られるものも多かったけど、やっぱりこんなことは二度とやりたくないな……) 京太郎(まぁ二人の様子はしっかりと記録させてもらいましたがね!) 京太郎(それにしても、ボロボロになったことに変わりはないか……) 京太郎「さっさと帰って」 『ひらり』 京太郎「これを読んで、癒されたい……」 京太郎(昨今、百合雑誌が増えてきている) 京太郎(まだまだマイナーなジャンルであることは否めないが、それでもこの流れは喜ばしい限り) 京太郎(中でも百合姫の他に出版されている百合雑誌『つぼみ』と『ひらり』の存在は大きい!) 京太郎(今回買う『ひらり』は、平尾先生の短編や、最近画力が向上してきた袴田先生の作品など目を離せない要素がたくさんあるが) 京太郎(なかでも俺が注目しているのはTONO先生の「ピンクラッシュ」!) 京太郎(ガチ百合娘のアタックを受けているうち、徐々に彼女のことを受け入れていくマールの姿が堪らない!) 京太郎(ただ、初期に掲載されていた小説がなくなってしまったのは残念ではあるが……) 京太郎(まぁそれより今は、さっさと家に帰ってこいつを堪能する方が重要だ!) ?「あれは……」ジー カン!
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特別編 文化祭おまけ 照「…………」紅茶まみれ 咲「あ、えっと……その……」 「み、宮永さん!?も、申し訳ありませんお客様!!」 「すぐに何か拭くものを!!」 照「……咲?」 咲「ひっ!?」 照「怒ってないよ?ただ、さすがにこれは無いよね?」 咲「お、お姉ちゃんごめんなさい……」 照「転んで飲み物を狙ったようにかけるなんて……私でも中1までしかやってないよ(ボソッ)」 咲「うぅ……」 京太郎「……咲?それに照さん!?」 照「京ちゃん!?そ、その恰好……」 京太郎「あ、やべ……ゴホン、照お嬢様、一体どうなさいました?大体の予想はつきますが……」 照「て、照お嬢様!?」 咲「きょ、京ちゃん……その……」 京太郎「申し訳ありません、こちらの不手際でこのような不快な思いをさせてしまって……すぐにシャワーとお召し物のご用意をさせていただきます」 京太郎「おい、シャワー室と何か女子のジャージかなんか用意できないか?」 「シャワーはすぐいけると思うけど……ジャージなんて持ってきてる人いる?」 「いても汚れてたり使ってたりでしょ。宮永さんの制服とかは?」 咲「私メイド服で帰るの!?」 京太郎「さすがに原因とはいえ咲が可哀想だな……俺もジャージとかないし、俺の服貸す訳にもな……」 咲「お姉ちゃーん、京ちゃんの制服でいいー?」 照「おっけー」 京太郎「おい咲!?照さんもいいの!?あ、よろしいのですか?」 照「別にいい。それより」 京太郎「はい?」 照「執事が失態を犯して、何も無し?」ニッコリ 京太郎「はい、照お嬢様、アーン」 照「あーん……ん、おいしい」 京太郎「それは何よりです」 照「次は紅茶が欲しいかな」 京太郎「……照お嬢様?」 照「何?」 京太郎「差し出がましいことを言うようですが……さすがに男性の膝の上にずっと座っているというのは、少々はしたないのでは?」 照「執事が命令を聞けないというの?」 京太郎「……了解致しました。紅茶の砂糖はいくつになさいます?」 照「2つで」 咲「お姉ちゃんずるい……」 「執事な須賀くんの膝の上に座ってアーンまで……羨ましすぎる……」 「おまけにそのまま30分も……これがチャンピオン……」 「宮永さん、私にこの紅茶かけて」 咲「それ熱いやつだよね!?やめてって!!」 照「次はスコーンで、もちろん食べさせてね」 京太郎「……そろそろ勘弁してもらえませんか?」 照「……だーめ」 京太郎「かしこまりました……麻雀部の方に行くまでにはお願いします」 照「……京ちゃん次第かな」 この後、嫉妬の化身と化した咲とのインハイ時以上の対局が始まるのだった
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388042098/ ガチャ 京太郎「すいませんっ掃除当番で少し遅れました!………ってあれ……?」 尭深「………」ズズズ 京太郎「えっと…渋谷先輩だけですか…?」 尭深「…うん」ズズズ 京太郎「………今日部活休み…とかじゃないですよね……?」 尭深「…うん」 京太郎「で、ですよね!…みんな遅いですね……」 尭深「…うん」 京太郎「皆何か用事でもあるんですかね……」 尭深「………」 京太郎「…………」 京太郎(き、気まずい!………やっぱり渋谷先輩と話すのは少し苦手だなぁ…) 京太郎(顔はムチャクチャかわいいんだけどなぁ……それにおもちも……)チラッ 尭深「……須賀くん…」 京太郎「は、はい!!」ビクッ 京太郎(や、やべ……胸見てたのばれたか……?) 尭深「須賀くんもお茶………飲む……?」 京太郎「あ……お、お茶ですね!はい……っていいですよ!自分で入れますから!」 尭深「……須賀くんは私のお茶じゃ…いや……?」 京太郎「い、嫌なわけないじゃないですか!そうじゃなくて先輩に煎れてもらうなんて……って意味で…」 尭深「私が煎れたいだけ……だから……」 京太郎「で、でも………」 尭深「だめ……?」 京太郎「うっ…………」 京太郎「……………わかりました……じゃあお願いします…」 尭深「……うん」 尭深「はい………」コト 京太郎「あ、ありがとうございます!……凄いいい香りですね……もしかして茶葉変えました?」 尭深「うん……あたらしいの買ってみたの……」 京太郎「そうなんですか!じゃあ戴きますね」 尭深「どうぞ……」 京太郎「…………」ズズズ 尭深「……………どう…かな……?」 京太郎「………うん!凄く美味しいですよ!」 尭深「…!」パァァ 尭深「よかった………」ニコ 京太郎「っ!」 京太郎(か、かわいい……) 尭深「………?須賀くん?どうかしたの……?」 京太郎「…はっ!な、何でもないですよ!ハハハ…」 尭深「でもよかった……須賀くんに美味しいって言ってもらえて……」 京太郎「そ、そんな!俺こそこんな美味しいお茶が飲めて嬉しいですよ!!」 尭深「どうしても最初に須賀くんに飲んでもらいたかったんだ……」 京太郎「え………?」 尭深「……………あ…///」 京太郎「えっと………それh ガチャッ 淡「すいません!遅くなりました!決して追試験をうけてたわけじゃ………って、あれ?タカミとキョータローだけ?」 尭深「………」 京太郎「………」 淡「???……どうかしたの?二人とも黙りこんじゃって…?」 京太郎「な、なんでもねぇよ……あと先輩たちならまだ来てないぞ…」 淡「なんだぁ……慌ててきて損したよ……スミレったらホントに時間に厳しいんだもーん」 京太郎「…それより淡、お前また追試受けてたのか?」 淡「…ち、違うよ!私がそんなバカなはず無いじゃん!」 京太郎「はいはい、そうですねー あわいちゃんはお利口さんでちゅもんねー」 淡「むー!そうやってバカにしてー!大体キョータローだって馬鹿じゃん!」プンスコ 京太郎「おれはだれかさんと違って赤点とったりしないからな~」 淡「ムキーー!なんなのさっきから!麻雀弱いくせに!」 京太郎「ぐっ………お、俺はまだ始めたばっかりだから……」 淡「始めたばっかりっていってももう5ヶ月はたつじゃーん!私が始めてそのくらいの頃にはもっと打ててたもんねー!」 京太郎「う、うるせーペタンコ!お前の場合取った栄養が全部雀力に吸収されてるだけだろ!」 淡「…っ!そ、そやって胸ばっか見て!変態!!スケベ!!近寄らないで!!」 京太郎「心配せずともお前みたいなちっぱいには浴場しねーよ」 淡「なっ……!……う、うるさいうるさい!キョータローなんかこうしてやるー!」バッ ゴクゴク ブーーッ 京太郎「っうわぁぁあ!!きったね…!」 淡「あははは!ばーかばーか!」 京太郎「てめー!なにすんだこの……!」ダッ 淡「あははは!捕まえてみろー!」ダダダダ 京太郎「待てこのやろー!」ダダダダ 淡「またないよーだ!あはははh…あっ!」ガッ 京太郎「おわっ!」 ドスーン 淡「いたた………………っ!///」 京太郎「………………」ムニュ 淡「……………」 京太郎「わわわ!ご、ごめん!」バッ 淡「…………///」 京太郎「その……わ、わざとじゃないんだ……すまん …」 淡「べ、べつに…!私だって悪かったし……」 淡「それに……そんな悪いきはしなかったし……」ボソッ 京太郎「……え?」 淡「……!な、なんでもない!!私トイレいってくる!!」ダッ ガチャ 京太郎「お、おい!淡!」 京太郎「どうしたんだあいつ………って絶対俺のせいだよな……ハァ……」 尭深「………」ズズズ ガチャ 菫「すまない……クラスの用事で遅くなった……」 京太郎「あ、 弘世先輩……こんにちわ」ペコッ 菫「うむ……それよりさっき淡の奴が走ってでていったのは…」 京太郎「あ……じ、じつは………」 説明中--- 菫「ハァ………まったくお前らは何を考えてるんだ……」 京太郎「す、すみません……」 菫「別にイチャイチャするのは構わんが、そういうのは外でやってくれ…」 京太郎「え!?そんなイチャイチャだなんて!あいつとはそんなんじゃ無いですよ!」 京太郎「だいたいあいつが俺のことそんな風に見てるとは思えないし……」 菫「…………」 尭深「…………」 京太郎「……え?えっと……」 菫「ハァ……これは淡にも少し同情するな…」 尭深「………」コク 京太郎「え……?え?」 菫「あぁ、それと今日は照は休みだ……どうやら熱が出たらしい……」 京太郎「え!?大丈夫なんですか!」 菫「まぁそこまで大したことはないみたいなんだが……しかしどうやらあいつの家に今ちょうど親がいないらしくて1人らしいんだ」 京太郎「それは大変ですね…」 菫「そこでだ……須賀には照の家にいって様子を見てきてもらいたいんだ…」 京太郎「え!?おれがですか!?」 菫「あぁ…本当は私が行くべきなんだがもう大会も近いし我々レギュラーは抜けられなくてな……」 京太郎「で、でも!勝手にオンナノヒトの家に上がり込むのは……」 菫「大丈夫だ……照の了承はとってある……」 京太郎「で、ですが……」 菫「頼む須賀……お前にしかたのめないんだ……」 京太郎「う…………わ、分かりました……行きます…」 菫「ありがとう!じゃあこのプリントとノートのコピーも渡しといてくれ……あとこれがあいつの家の住所だ…」 須賀「わかりました、じゃあ行ってきますね!」 菫「頼んだ」 廊下---- 京太郎「えーっと…照さんの家は………うお、割りと遠いんだな……毎朝まよったりしてないのかな……」 淡「あ……キョータロー……」 京太郎「おお、淡か」 淡「どこいくの……?」 京太郎「ああ、照先輩のお見舞いに行くんだよ……」 淡「え……?なんで京太郎が…?」 京太郎「なんか大会前だからレギュラー陣は忙しいみたいでな……」 淡「…………」 京太郎「じゃ、俺はいくから……お前もはやく部室もどれよ」 淡「…………」ギュ 京太郎「え………?」 淡「わたしも……いく………」 京太郎「は?…でもお前…練習は……」 淡「私はスッゴク強いから大丈夫!なんたって高校百年生だし!」 京太郎「………でもなぁ………」 淡「お願い……キョータロー……」ギュ 京太郎「うっ………」 京太郎(ど、どうすればいいんだ……) 京太郎「よし淡!お前の家を教えてくれ!!てか連れてって!」 淡「えぇぇ!?な、なんで私の家……?」 京太郎「いいから!!」 淡「う、うん………」 淡「ここが私の家だよ」 京太郎「おぉ………これは………!」 京太郎(普通のマンションだ…) 淡「で……どうするの……?」 京太郎「そうだった!淡!今家に誰かいるか!?」 淡「え………今はだれもいないと思うけど……」 京太郎「よし入るぞ!」グイッ 淡「わわ…!引っ張らないでよ!」 ガチャ 京太郎「おぉ…ここが淡の家か……」 淡「うん………」 京太郎「淡の部屋はどこだ!?」 淡「え!?……………あそこの扉だけど……」 京太郎「お邪魔しまーす」ガチャ 淡「ちょっと!!ま、まって!!」 京太郎「おぉぉここが淡の部屋かぁ……割と片付いてるんだなぁ……」 淡「…………あんまり………見ないでよ…」 京太郎「じゃあ淡!ここ座って!!」ポンポン 淡「え………?ってそこ私のベッドじゃん!!」 京太郎「まぁまぁ」 淡「……………はいっ!これでいい?」スッ 京太郎「…………あわい……」グイッ 淡「きゃぁ!」ボスンッ 京太郎「……………」 淡「きょ、キョータロー……?」 京太郎「……………」スッ ペロッ 淡「ひゃぁ///きょ、キョータロー!なにやって……!」 京太郎「…………」ペロペロ 淡「ひにゃぁ///そ、首っ舐めちゃらめ………んっ!」 京太郎「はぁ…はぁ……あわいぃ……」モゾモゾ 淡「や、やめて……お願い……グスッ…」 京太郎「うぉおおおおぉぉ!!」ガバッ 淡「うっ……グスン……うぅ………恐いよぉキョータロー……やだよぉ……」ポロポロ 京太郎「……っ!」ピタッ 淡「ぐすっ……キョータローは…優しくないけど…優しくて…」 淡「頼りにならないけど…頼りになって……」 淡「かっこよくないけど………かっこよくて………ぐすん…」 淡「こんなキョータロー………やだよぉ……」ポロポロ 京太郎「…………あ、あわい………」 京太郎(しまった!泣かせてしまった……!お、俺はどうすれば……) 京太郎(そうだ!こんなときはお菓子を……!)ゴソゴソ 京太郎「淡……ごめんな………俺どうにかしてたよ……お菓子食うか?」スッ 淡「……グスン………うん……」ガサガサ 京太郎「これ一昨日出たばっかりの新作のチョコみたいだぞ!」 淡「……………」モグモグ 京太郎「どうだ……?」 淡「………美味しい……」モグモグ 京太郎「そ、そうか…!よかった!」 淡「……………」モグモグ 京太郎「……………」 淡「………ねぇキョータロー……」 京太郎「お、おう、なんだ……?」 淡「………どうして……こんなことしたの……?」 京太郎「そ、それは……だな………」 京太郎「愛し照」 淡「………え?」 京太郎「お前が好きなんだ……それでこんなことを……」 淡「……え?………なにいって…」 京太郎「愛してるぞ……淡……」 淡「……っ!///」 京太郎「でもホントごめんな怖い思いさせて………もうしないk 淡「わたしも!」 京太郎「……………?」 淡「わたしも……キョータローのこと好き……だもん……」 淡「さっきはちょっと怖かったから……でも京太郎に………その………されるの別に嫌じゃないよ……?」 京太郎「あ、あわい……」 淡「だから…………その………」モジモジ 淡「続き………してもいいよ……?///」 菫「たく……須賀のやつ遅すぎるだろ……淡もかえって来ないし………亦野は行方不明らしいし………」プルルル 菫「…あ、照か?須賀はまだそこにいるn……え?まだ来てない?」 菫「何を考えてるんだあいつら………!」ワナワナ 尭深「…………」ズズズ 淡「きょうたろー………」ギュ 須賀「淡………」ギュ 完
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http //hayabusa5.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1394986844/ 姉帯豊音は孤独だった 県の中でも特に深い山奥にある豊音の村には子どもが少なく、 家の外へ遊びへ行こうとも幼少期の豊音には既に面白みというものは無かった ある日、豊音は自分と同年代の少年と出会った 都会から親の里帰りで連れてこられたというその少年と豊音が仲良くなるのにそう時間はかからなかった 豊音は自分が知り尽くした山へ少年を連れて遊び回った 少年と過ごした時間は、孤独感に苛まれていた豊音にとってとても貴重な宝物のように感じ、 夏休みの終わりが近づくほど、少年との別れを期した豊音は悲しんだ 少年と過ごす最後の日、豊音は涙で腫れた目を隠すために帽子を被った、彼に目を見られないように深く、深く それでは前を見れないだろう、と普段とは逆のように少年が豊音をエスコートすることになった、 雨雲が去った晴れ空の下を、自分が見つけた景色を見せようと胸を張る少年の歩いた後を、豊音がついて歩く 土の色が濃くなり、緑が増えていく。風の鳴る音が鳥のさえずりへと塗り替えられていく、これが最後になるのだと豊音は帽子を下げた 目的地が近づき少年は走り出した、豊音も彼の後ろを追って走った 少年の背を追って、夏の日差しに目を狭めた――瞬間 少年の悲鳴が聞こえ、反射的に手を伸ばす。しかし、指先は届かず、足を滑らせた少年の背は山の底へと消えて行った。 冷たい空気が背中から抜けていく、肌が粟立っていく、首の後ろが熱くなっていく 豊音はまた、孤独になった 少年は事故死した。貴女の責任ではないんだと少年の親は言って、村を去った 「姉帯の娘が都会の子を突き落とした」 少年の悲鳴を聞き付け、駆け付けた老婆が流した噂はねじ曲がって広まった 「姉帯の娘が背後から絞いた」 奇妙なまでに鬼気を帯びた赤眼のせいもあってか、豊音は故郷で「背向のトヨネ」と呼ばれるようになった 村の中を歩けば陰口を耳にする、目を向ければ怯えられる 豊音は外へ出ることを止めた 一人娘の気持ちを受け取った両親は、豊音へ新しいテレビを買い与えた 何も欲しがろうとしない豊音が麻雀に目を輝かせる様子を見て、両親は牌を買い与えた 豊音は孤独だった 昼間はテレビを見て、遠くから送られてくる宿題を片づけて、両親が帰ってくるとマットを広げ、牌の準備をして三麻を打つ ただそれだけをして過ごす外部から隔離された生活だったが―― 姉帯豊音は笑顔だった 和「……一応、書き終えました」 久「須賀君、これ届けてきてくれるかしら」 京太郎「和のサインなんて、そんなん和が届けた方がいいじゃないっすか?」 和「そうしたいのは山々なのですが、この後に取材が入っていまして……」 京太郎「なら仕方ねえ……か」 京太郎(つーわけで届けに行こうとしたけど……) 豊音「ふぇぇ……ここどこぉ……」ガクガク 京太郎「姉妹かっ!?」 豊音「えっ」ビクッ 豊音「…………」ガクガク 京太郎「…………」ジリッ 豊音「背が高い人!?ちょー怖いよー!」 京太郎「その言葉はそのままお返しします!」 豊音「金髪!?ちょー怖いよー!」 京太郎「宮守にも金髪の人がいましたよね!」 豊音「学ラン!ちょー怖いよー!」 京太郎「もうツッコまなくていいや……」 豊音「……ぐすっ」 京太郎(とりあえず泣き止ませたいけど……あ) 京太郎「あの、これ……」ススッ 豊音「姉帯豊音さんへ……!」 豊音「これ、原村さんのサイン!」 豊音「わぁ!わぁ!君のおかげでウルトラハッピーだよー!」パァァ 京太郎(気変わり早いなこの人) 豊音「けど、どうして君が原村さんのサインを?」 京太郎「あ、俺清澄高校の須賀京太郎って言います」 豊音「そっかー、ありがとねっ!」ニコッ 京太郎(姉帯さんかわいい) 京太郎「姉帯さんは迷子なんですか?」 豊音「……うん」 豊音「恥ずかしい話だけど、おトイレに行きたいんだけどどこに行けばいいかわからなくて……」 京太郎(咲と同レベルじゃねえか……) 京太郎「トイレならこっちですけど、付いていきましょうか?」 豊音「わわっ、そんなこと悪いよー」アワアワ 豊音「方向も教えてもらったし、私一人で大丈夫だよっ!」ギュッ 京太郎「それダメなパターンのやつですよ!」 豊音「それじゃあねー!」フリフリ タッタッ 京太郎(大丈夫かなぁ……) 豊音「うわぁ!」ドテッ 京太郎(大丈夫じゃないよなぁ……) 豊音「……ぐすっ」 京太郎(姉妹だなぁ……) 豊音「おトイレ待たせちゃってごめんねー」 京太郎「いえ、慣れてますから」 豊音「えっと、宮守の控室は……」 豊音「…………」 京太郎「姉帯さん?」 豊音「…………」ウルッ 京太郎(もう何も言うまい) 豊音「――――そこで暗炎龍がね!」キャッキャッ 京太郎「姉帯さん、着きましたよ」 豊音「本当だ!あっという間だったねー」 豊音「須賀くんには感謝してもしきれないくらいだよー!」 京太郎「そんな大したことしてないっすよ」 京太郎(泣き止ませて案内するとか咲にやってきたのとまるまる同じだもん) 京太郎「それじゃ、俺は帰りますね!」 豊音「ちょー感謝だよー!」フリフリ ピピピッ 京太郎(あとは宮守の人たちに任せよう) 京太郎(須賀ードワゴンはクールに去るぜ)ヴヴヴッ 京太郎「ん、メール?」ピッ 久『試合が終わって宮守と清澄のみんなでお茶してまーす!』 京太郎「…………」 京太郎「なんでやねん」 豊音「あれ?塞から電話?」ピッ 京太郎「ん?」 豊音「……うん……うん」 豊音「え、宮守と清澄のみんなでお茶してるの?私も行きたかったよー」 京太郎「なんでやねん」 久『P.S.そういうわけだから姉帯さんを見つけてたら連れてきて頂戴』 京太郎「なんでナチュラルに省かれてんだろ俺」 京太郎「……」チラッ 豊音(´;ω;`)ブワッ 豊音「ごめんね、私がここに来る前にメールに気づいていれば良かったのに……」 京太郎「いや、まさか会場の入り口で偶然会ってお茶することになってたなんて」 京太郎「姉帯さんのメールで事情が知れて良かったっすよ」 京太郎(精神的に死んじゃうところだったぜ) 京太郎「んで、喫茶店は……地図わかりにくいな」 豊音「東京はおっきいからね」 京太郎「経験者は語るってやつですね」 豊音「そうだねー……って違うよ!まだ迷ってないもん!」 京太郎(段々この人が咲っぽく見えてきた) 豊音「むぅー」プクー 豊音「須賀くん須賀くん」 京太郎「何ですか姉帯さん」 豊音「そこは『なんだい姉帯くん』でいいんだよー」 京太郎「何でしたっけそれ」 豊音「パペットマペットだよ、一回やってみたかったんだ!」 京太郎(懐かしいなオイ) 豊音「あとどのくらいかかりそうかな?」 京太郎「まだ歩きそうですね、あの人たちは疲れてないんだろうか」 豊音「そっかー……」グゥゥ 豊音「あっ」カァァ 京太郎「ちょっとコンビニに寄りましょうか」 豊音「うん!」 豊音「コンビニ!コンビニ!」 京太郎「あんまお腹埋めるとまずいんでパンひとつくらいですよ」 豊音「どれもおいしそうで迷っちゃうなー」 京太郎「コッペパンとか安定ですよ」 豊音「それもおいしそうだけどー……うーん……」 豊音「お好み焼きパンちょーおいしいよー!」 京太郎(選ぶのに10分もかかってた……) 京太郎「鰹節、口元についてますよ」 豊音「うわわっ、こっち?」フキフキ 京太郎「右です」 豊音「こっち?」フキフキ 京太郎「もうちょい下」 豊音「うーん……」フキフキ 京太郎「ここですよ」ヒョイ パクッ 豊音「……」カァァ 京太郎「どうかしました?」 豊音「す、少し恥ずかしかったかな……って」 京太郎「あっ……すんません」 豊音「こっちこそ、ごめんだよー……」カァァ 豊音(これ、これってよく考えたらテレビとかでよく見る間接キス、なのかな) 豊音(恥ずかしい……よー)カァァ 豊音(でもでも、口元なわけだからノーカンじゃないっかなー……) 豊音(やっぱり恥ずかしいかも!)カァァ 京太郎「……っと、ここかな?」 豊音「あっ!塞たちがいる!」 京太郎「咲……ぅゎ」 豊音「須賀くんも早く行こうよ!」 京太郎「いや、俺は……いいですよ」 豊音「なんで?」 京太郎「……どうせ、省かれてんですから」 53 名前:以下、転載禁止でVIPがお送りします[] 投稿日:2014/03/17(月) 03 29 44.86 ID DckyGLxh0 豊音「えっ!?そんなことないよー」 京太郎「ほら見てくださいよ、あそこの席、姉帯さんが座ったらもう空きが無いんですよ」 豊音「あ……本当だ」 豊音「でもでも!部長さんが頼んで一個椅子が運ばれてきたよ?」 京太郎「……子供用じゃないっすか」 豊音「……酷い!」 豊音「須賀くんは良い人なのに酷いよこんなこと!」 京太郎「姉帯さん……」 豊音「須賀くんも一緒に来て!私が部長さんを説得するよー!」ズンズン 京太郎「姉帯さん……」 豊音「うわっ」コケッ 京太郎「姉帯さん……」 京太郎「すみません、俺のために姉帯さんの席まで移動してもらって」 豊音「ぼっちは寂しいのはちょーわかるからね」 豊音「それに、須賀くんが目の前にいるから私は楽しいよ」ニコッ 京太郎「そうっすね、俺も同じっす」 豊音「えへへー」 豊音「おいしそうなケーキがいっぱいだよー」 京太郎「どれにするか迷いますね……」 豊音「こっちの苺のケーキとこっちのチーズケーキの耐え難い誘惑がー!」 京太郎「んじゃ、分け合いっこしません?」 豊音「分け合いっこ?」 京太郎「俺と姉帯さんでこれ頼んで半分こにするんすよ」 京太郎「それならどっちも楽しめますよ」 豊音「須賀くんちょー頭良いよー!」 豊音「なでなでしてあげるねー」ナデナデ 京太郎「そんな、犬じゃないんすから」 京太郎「どっちから食べましょうか?」 豊音「んー……こっち!」ズビシッ 京太郎「苺の方からでいいんですか?」 豊音「あぅ……やっぱりチーズの方!」ズビシッ 京太郎「本当に良いんですか?」 豊音「うぅ、どっちか迷うよー」ウルウル 豊音「はい、須賀くんあーん」 京太郎「あーん」パクッ 京太郎「これもおいしいっすね」ムシャムシャ 豊音「私の目に狂いは無かったんだよ、えっへん!」 豊音「須賀くんも、私にあーんして!」 京太郎「はい」 豊音「あーん」パクッ 豊音「やっぱりおいしいねー」 京太郎「ですねー」 豊音「こーゆーの憧れだったんだー」 京太郎「憧れ?」 豊音「うん、こうやってあーんして食べさせ合うのがね」 豊音「テレビで何回も見て、私もいつかはーって」 京太郎「その憧れの相手が俺で良かったんですか?」 豊音「勿論だよー」 豊音「って!須賀くんのことが好きってわけじゃないよ!」 豊音「あ、いや、好きだけど、それは違うって言うかな、え、えーっとぉ……」 豊音「そのぉ……ぐすっ」 京太郎「なんで泣きだすんすか……」 塞「トヨネーそろそろ帰るよー」 豊音「うんー!」 豊音「須賀くん、今日は本当にありがとうね」 京太郎「こちらこそ、ありがとうございました」 豊音「……なんだか、寂しいね」 京太郎「俺で良かったら、またいつでも付き合いますよ」 豊音「ええっ!そんなの須賀くんに悪いよー」 京太郎「俺もまた、姉帯さんとどこかに遊びに行きたいので、気にしないでください」 豊音「あっ、じゃあふるふるしようよ!」 京太郎「ふるふる?」 豊音「ラインの機能だよ!」 豊音「須賀くんもスマホ持ってるでしょ?」 豊音「ラインやってないの?」 京太郎「いや……俺ガラケーなんで」 豊音「ご、ごめんねー」 京太郎「謝る必要ナッシングっすから!むしろ傷つきますから!」 塞「それじゃあ今日はお疲れ様でしたー」 胡桃「ほらシロ立って歩く!」 白望「匍匐前進で十分……」 エイスリン「シロ、ゾウキン!」 白望「それ傷つくなぁ……」 久「私たちもさっさと帰りましょう」 まこ「今日は疲れたわい」 優希「早くタコスが食べたいじぇ!」 咲「楽しかったねー」 和「そうですね」 京太郎「俺も何だかんだで疲れましたよ」 久「……誰?」 京太郎「そんなんだから疲れるつってんですよ!」 豊音『須賀くん須賀くん!』 京太郎「なんだい姉帯くん」 豊音『おぉ!今回は正解だよー』 豊音『えへへ、嬉しいなぁ』 京太郎「それで、今日はどうしました?」 豊音『団体戦優勝おめでとうって言いたかったんだ!』 京太郎「ありがとうございます、って俺は何もしてませんけどね」 豊音『ううん、須賀くんのサポートあってこその結果だよ!』 豊音『須賀くんも自信持っていいんだよー?』 京太郎「……姉帯さん」 豊音『私たちは今日海水浴行って来たんだー』 京太郎「海水浴っスか」 豊音『永水の人たちとで、ちょー楽しかったなぁ』 豊音『そうそう、石戸さんのおっぱいなんて海に浮かんでて凄かったよ!』 京太郎(何その光景ちょー見たいよー) 豊音『――――それで、振り返……ったら狩宿さんが犬神家になってて……ね……』 京太郎「姉帯さん?」 豊音『んぅ……はっ!』 豊音『ご、ごめん!ちょっと寝てた!』 京太郎「疲れてそうですし、もう終わりにしましょうか?」 豊音『全然そんなことないよ!』 豊音『私、まだ須賀くんとお話ししていたい!』 豊音『須賀くんとお話しするの、なんだかすっごく楽しいから……』 京太郎「……明日から個人戦が始まるのに疲れ溜めたら駄目ですよ」 豊音『わかってるけど、でも……でも……っ』 京太郎「……はぁ」 京太郎「あと五分だけですよ」 豊音『あ、ぅ、うん!』 豊音『……うぅ、五分経っちゃたよぉ』 京太郎「それじゃ、明日頑張ってくださいね」 豊音『須賀くんも男子の個人戦頑張ってね!』 京太郎「えっ」 豊音『ちょー応援してるよー』 京太郎「…………」 豊音『須賀くん?』 京太郎「もっもちろん!優勝してきてやりますよ!わははは!」 豊音『二人で優勝できたらいいねー!』 京太郎「でっすねー!」 京太郎(現在進行形で心が抉られる!) 豊音『おやすみ、須賀くん』 京太郎「おやすみなさい」 豊音『…………』 京太郎「…………」 豊音『須賀くんが切っていいよー』 京太郎「いや、姉帯さんのタイミングでいいですよ」 豊音『ううん、須賀くんが切ってよ』 京太郎「いやいや、姉帯さんが切っていいっすよ」 豊音「ううん、須賀くんが」 京太郎「姉帯さんが」 豊音「須賀くんが!」 京太郎「姉帯さんが!」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 京太郎(そんなこんなでさらに五分が経った) 豊音『すふー…………』 京太郎(すぐに寝ちまって、ほんと、見た目と中身が釣り合ってない人だよな) 京太郎(……よし、俺も寝よう) 京太郎「ほい、タコス」 優希「御苦労だったな犬、私の隣の席に座る権利をくれてやろう」 京太郎「取っといてくれたんだな、ありがとよ」 まこ「和も咲も頑張ってほしいのぅ」 久「あ、須賀君の愛しの彼女が映ってるわよ」 京太郎「姉帯さんはそんなんじゃないですってば」 塞「ほれ見たことか」 エイスリン「サビレタカンケイ!」 胡桃「あの一日でそんな関係に!?」 京太郎「違うって言ってますよね!?」 トシ「あの子、毎晩電話やらメールやらしていたわね」 塞「君、本当に豊音に何したのさ」 京太郎「何もしてませんよ」 塞「本当に?」 京太郎「本当に真剣にガチでマジっすよ」 エイスリン「ワルイヤツ、タイテイソウイウ!」 京太郎(誰だよこんな言葉覚えさせた人) 胡桃「よく言ったエイちゃん!」 京太郎(アンタかよ) 京太郎「俺はただ、道に迷ってた姉帯さんを喫茶店まで連れて行っただけっすよ」 京太郎「特に変なことは何もしてません」 塞「まーあの子人懐っこいもんね」 久「そういえば、咲ともすぐに仲良くなってたわね」 胡桃「トヨネの村、若い子がいなかったらしいから友達がいっぱい欲しいんだろうね」 塞「いやーでもウチの高校が仲の良い女子校で良かったよ」 塞「もし共学にでも行って恋愛のゴタゴタで豊音から友達が離れて行ったらすっごく悲しむと思う」 胡桃「ようやく作った友達に裏切られたら辛いだろうね」 京太郎「」ピクッ まこ「そうじゃのう」 エイスリン「トヨネ、ヒキコモリ?」 優希「有り得るじぇ」 京太郎「」ピクッ 京太郎(どどどどどうしよう!) 京太郎(適当に笑って冗談でしたーとか言おうと思ってたけどこれじゃ無理があるじゃあねぇか!) 豊音『ウソ……須賀くん、そんな人だったんだ』 豊音『……泣いてないよー』 豊音『私は大丈夫だよ……っ、須賀くんは原村さんの応援に行ってきて』 豊音『ぐすっ……』 京太郎(アカン) 京太郎「俺!雉打ち行って来ます!」ドヒューン エイスリン「キジウチ?」 久「男子のトイレよ」 エイスリン「Oh!」 エイスリン「キジウチ!キジウチ!キジウチ!」 胡桃「恥ずかしいからやめて!」 京太郎(とりあえず逃げ出してきたけどどうすりゃいいんだよ!) 京太郎(……夏みかんゼリー飲んで落ち着くか)チャリン 豊音「須賀くんだぁー!」ギュゥッ 京太郎「むぎゅぅっ!」 京太郎(背中に柔らかい弾力があるぜェ!) 豊音「須賀くん、忙しいのに応援に来てくれたんだね!」 京太郎「え、いやぁ、そのぉ……まぁ」 豊音「須賀くんが来てくれたんだから私も頑張らないと!」 豊音「ちょー嬉しいよ!」 京太郎「アハハ……アリガトウゴザイマス」 京太郎(言い出せねー!) 豊音「須賀くんは何飲んでるの?」 京太郎「夏みかんゼリーです、これは確か姉帯さんたちと同い年だったと思いますよ」 豊音「へぇー、おいしそうだね!」 京太郎「おいしいっすよ、一口要ります?」スッ 豊音「じゃあ一口だけ……」 豊音(これ飲んだら流石に間接キス……だよね) 豊音(…………)ジーッ 京太郎「さあ、グイッと」 豊音「や……やっぱりやめておくよー」 京太郎「えっ、これ美味しいですよ?」 豊音「そういうことじゃないんだけどー……」カァァ 豊音(これも憧れてたはずなのに……) 豊音(意識すると、ドキドキしちゃうよー) 京太郎「?」 ピンポーン 豊音「じゃあ、頑張ってね須賀くん!」 京太郎「あ……はい」 タッタッ… 京太郎(結局言えなかった……)ズーン 京太郎「やばいよ言いづらいよどうしよう」 京太郎「……部長の所に戻ろう」 京太郎「ただいま戻りました」 まこ「随分と長かったのぅ」 京太郎「姉帯さんと会っちゃいまして……」 まこ「結局誤解されたまんまだったんか」 京太郎「誤解……ってなぜそのことを」 優希「さっきお団子の人が京太郎も頑張ってーってな」 京太郎「あぁ……」 豊音「……」タン 憩「ロン、3900ですーぅ」 豊音「……はい」 豊音(うぅ、集中できない……) 京太郎『一口要ります?』 豊音(間接キスが頭から離れないよー!) 憩(姉帯さん、大丈夫かなぁ?) 豊音(どうして私、あんなに意識しちゃったんだろう) 豊音(須賀くんとすることに……胸がドキドキしちゃって) 豊音(なんでなんだろう……) 憩「ツモ、16000オールですーぅ」 豊音「えっ」 豊音(須賀くんのこと考えすぎて、荒川さんにしてやられちゃった) 豊音(……決勝戦、行けそうにないなー) 豊音(須賀くんに約束したのに……) 豊音「……ぐすっ」 京太郎(まさか宮守の人たち全員に誤解されてるとは……) 京太郎(姉帯さんがトんだのも、俺が変なプレッシャー与えちゃったからかもしんないし) 京太郎(マジどうしよ) 京太郎「はぁ……」 京太郎「はぁ……っ!?」 豊音「ぐすっ……」 京太郎(偶然てすげーなオイ) 豊音「須賀くん……」 京太郎(なんか呼ばれてるし) 京太郎「呼びました……?」 豊音「えっ」ビクッ 京太郎(デジャブを感じる……って、泣いてるじゃねえか) 豊音「須賀くん、どうして――ぐすっ」 京太郎(名前呼んでたってことは、やっぱ俺が関係してるってことなんだよな) 京太郎(……今度こそ、ちゃんと言うんだ) 京太郎「俺、ただの雑用なんすよ」 京太郎「個人戦なんて県予選で初戦敗退でした」 京太郎「ここに来たのはみんなの付き添いで……でも俺には、何もできないから」 京太郎「何もすることが無いから、雑用をしてただけなんですよ」 京太郎「それで姉帯さんに出会って、変な誤解をさせてしまって……」 豊音「全くもってそんなことないよ!」 豊音「勝手に誤解しちゃったのは私の方で、約束したのも、気にしてたのも私だもん!」 京太郎「元はと言えば、俺が姉帯さんの誤解を正さなかったから……」 豊音「もう、それ以上言ったらちょー怒るよ?」 京太郎「うぐっ……それはご勘弁で」 豊音「私は大丈夫なので、須賀くんも気にしなくていいよー」 豊音「須賀くんって、少しネガティブだよね」 京太郎「ネガティブ……」 豊音「でもでも、話してると楽しくて、頼もしくて、ちょーかっこいい」 豊音「私、頑張って来るから須賀くんは応援してくれると嬉しいな」 京太郎「……わかりました」 豊音「うんっ!」 ピンポーン 京太郎「もう行かなくちゃ……遠くからですけど、応援してます」 豊音「……ね、須賀くん」 京太郎「はい?」 豊音「おまじない、手伝ってくれるかな?」 京太郎「え―――――」 京太郎「もう行かなくちゃ……遠くからですけど、応援してます」 豊音(また、胸がドキドキしてるよー) 豊音(……さっきとほとんど同じ) 豊音(……私、須賀くんと離れたくないんだね) 豊音「……ね、須賀くん」 京太郎「はい?」 豊音「おまじない、手伝ってくれるかな?」 豊音(頑張るための、おまじない) 京太郎「え―――――」 豊音(これが、きっと――――) 豊音(恋をするって気持ちなんだねー) 京太郎「―――――っ!?」 豊音「じゃっ、じゃぁ、そういうことだから!」アセアセ 京太郎「え…………」 京太郎(……つまり、そういうことなのか?) 京太郎(そういうこと、なんだよな) 京太郎(……ファーストキス、奪われた) 京太郎(それからの姉帯さんの活躍は凄まじかった) 京太郎(並みいる全国の強豪をちぎっては投げ、またちぎっては投げる) 京太郎(その様相は、人喰いこそはしないもののまさに巨人だった) 京太郎(振り向けば遠ざかっているその背中を喩えて「背向の豊音」と呼ばれるようになった) 差出人:須賀くん 宛先:姉帯豊音 ―――――――――――――――――――――――――― 試合が終わった後で 20XX年8月1X日 ―――――――――――――――――――――――――― 伝えたいことがあるので、読んだら返事ください To 姉帯豊音 From 須賀京太郎 ―――――――――――――――――――――――――― Sub Re 試合が終わった後で ―――――――――――――――――――――――――― いいよー(^O^) どこに行けばいいのかな? 京太郎(そんなわけで二人っきりになったけど) 豊音「……」モジモジ 京太郎「……」 豊音「……」モジモジ 豊音(昼間は誤魔化しちゃったけど、ちゃんと言わないと……) 京太郎「……」 京太郎(こういうのって男の役目だもんな……) 京豊「「あのっ!」」 京太郎「……」 豊音「……」 ざわ…… ざわ…… ざわ…… ざわ…… 京太郎(くッ!) 京太郎(空気が、重い……ッ!) 豊音(須賀くんの表情……私、ダメだったのかな) 豊音(……そうだよね、私みたいなぽっと出のノッポ、略してのっぽ出な娘なんてイヤだよね) 京太郎(ここで怖気づいてどうする須賀京太郎!) 京太郎(姉帯さんの気持ちに応えるんだ!) 京太郎(いやぁ……でもいざ言うとなるとなぁ……) 京太郎(あっ、ソーダ) 京太郎「姉帯さん」 豊音「なっ、なにかな?」 京太郎「目、瞑ってくれませんか?」 豊音「うん……」 京太郎(何も、想いを伝える方法は言葉だけじゃないんだ) 京太郎(……多分、感づかれてるだろうけど) 京太郎(はぁ……つくづく、俺のチキン加減を思い知らされるぜ) 京太郎(麻雀も、恋愛も) 京太郎(焼き鳥だけに) 豊音(これって、よくテレビで見るチューの場面……だよね) 豊音(ということは、ダイジョーブなのかな) 豊音(……でも、何もしてこないよー?) 豊音(ということは、エスケープされたのかなー……)ジワッ 京太郎(なんでまたまた泣き出してんだよ……) 京太郎(まぁ……そういうところも、可愛くて) 京太郎(それで、俺はこの人を好きになったんだ) チュッ 京太郎「えっと、では、改めまして」 京太郎「俺は、貴女のことが……好きです」 豊音「―――うんっ!」 豊音「私も、須賀くんのこと大好きだよー」 某年3月16日 今年のこの日も、俺と姉帯さんは一緒に居た 「須賀くん須賀くん」 「なんだい姉帯くん」 「今年の誕生日プレゼントは何かなー?」 「帰って来てからのお楽しみですよ」 「そっか、ちょー楽しみだよー」 「楽しみにしすぎてプロ初のオープン戦でやらかさないようにしてくださいよ」 「わ、わかってるよー」 「というか、私が大会でいなくて成績がガタ落ちしてた須賀くんには言われたくないかなー」 「それはしょうがないというか……姉帯さんのことが好きなんですもん」 「あー言えばこー言うね、須賀くんは」 「須賀くん、今日もおまじない!」 「よく飽きませんね、ホント」 「心の中が幸せでいっぱいいっぱいになって気持ちいいんだよー」 「いっぱいいっぱいになったらダメでしょうが」 「ありゃ、そうだったねー」 つま先で身長差を埋めて、短く唇を繋げる 大事な試合の前の恒例行事になっているこの行為を終えると、姉帯さんはきまって――― _____ ... ´ ` .、 / \ / \ / l |∨ . ′ / /l | ‘, . | / / / l | ̄∨ | / / /´ / /x=ミ! |. ‘ | / / ≠ミ / /´ , , ,| | ‘ | / l / , ,,,/ / 〉 | | ‘ l / / / / | | | |/ /、_, // v ¬ 八 リ / / / }\/ `ニ゚ / ∨ 「それじゃ、頑張って来るよー」 / / / |/_≧=┬ ...イ l| |. / / / / /_〕 ̄] /l| |. / / / / /---=ニ二\/ / | | / / / / /ニ/ニニニニニニ∨\」 リ / / / / /ニ/二二二二二{ \/ / / / / / /ニニ/二二二二二/\/ /. / l / / /ニニニ{二二二二二/ニニ∨.. / | l /}二二二|二二ニニニニ/ニニニ、 / /| | /ニi二二二|二二二二/二二二} ――――と、笑顔になる その幸せそうな笑顔を見るたびに、俺が生きる意味を実感させられる ああ、俺は姉帯さんの笑顔を見るために生きているのだ、と思ってしまう そして、これからも俺はそのために生きていくんだろうな、とも思ってしまう ――――でも、今日からは少し違う 誕生日プレゼントの内容をまだ知らない姉帯さんを見送った後、 豊音さんとの新しい生活と豊音さんの笑顔を夢見て、俺は今夜の予行演習を始めた カン
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1364050545/ 京太郎「……あれ?」 京太郎「ない!ないない!アレがないぞ!」 京太郎「ちょっと待て!身長も低い気がする…、ってか胸」 ぷにょん 京太郎「……」モミモミ 京太郎「……俺、女の子の胸とか触った事ないけど多分これがおもちだ」モミモミ 京太郎「落ち着け落ち着け…。クールになれ須賀京太郎」 京太郎「昨日の夜までは…、普通だったよな?」 京太郎「確か…」 和『須賀君、クッキー作ってみたんですけど試食して貰えませんか?』 京太郎『和が俺に?何の冗談だ』 和『じっけ…いえ、たまたま作りまして。ほら、今日は咲さんがお休みじゃないですか』 京太郎『確かに咲は休みだが…。優希とか居るけど』 和『須賀君に食べて欲しいんです!ぜひ!ぜひぜひ!』 京太郎『い、頂くよ。和の手作りとか珍しいからな』カリッ 和(食べましたね!)ニヤリ 京太郎『結構美味しいぞ』ポリポリ 和(効果が出るのは12時間後。とある病院で開発された性別反転キノコを使ったクッキーです) 和(もし…、これが成功すれば咲さんから咲君になって、咲君は私の体の虜になるはずです) 和(男の子は大きいおもちが大好きですからね。須賀君の視線もいつもおもちばっかりですし) 和『えーコホン。明日は必ず部活に来て下さいね』 京太郎『風邪でも引かない限り行くつもりだが?』 和『風邪引いても来て下さい!お願いしますね!』ギロッ 京太郎『お、おぅ…。今日はいつになく優しいな』 和『須賀君は清澄麻雀部に欠かせない存在ですからね』ポッ 京太郎(これは…、脈ありなのか…。優希すまん!お前に悲しい報告をする日が来るかもしれねぇ) 須賀家のトイレ 京太郎「やっぱりチ○コないわ」cv井上麻○奈 シャアアアアア、ブリュブリュュ 京太郎「オシッコしようと思ったらウ○コまで出たぞ!?女の体って不便だなぁ」 京太郎「……」フキフキ 京太郎「あんまりグロいから見たくないな。ちくしょう!モザイクの向こう側はこんな世界だったのかよ!」 京太郎「とりあえず部長に相談してみるか。学校行こう」 33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/24 02 17 18 ID 9roUFHEs0 部室 京太郎「ちわー」ガチャ 久「あら?見かけない顔ね」 まこ「もしかして入部希望者かの?」 京太郎「いや…、俺…」ゴニョゴニョ 久「一年生誰か!お茶と和菓子の用意を」 咲「は、はい。今すぐ用意して来ます」タッタッタ 咲「お茶もお菓子もどこに仕舞ってあるのかなぁ…。普段は京ちゃんが全部やってるからわかんないよー」ゴソゴソ まこ「困ったの。優希、買いに行ってくれるか?」 優希「ラジャー」 京太郎「あの…、お茶なら白糸台の渋谷さんが送ってくれた玉露がまだありますし」 咲「え?」 京太郎「そこの戸棚の左奥だよ」 咲「こんな所にあったんだ」ゴソゴソ 咲「ど、どうぞ粗茶ですが…」コトッ 京太郎「…どうも」 京太郎(やっぱり気がつかないのか) 久「それで貴方は何年生なのかしら?麻雀部は見学に?」 京太郎(いつもいいように使われてるし、たまには仕返ししてやるか…) 京太郎「い、一年生の山田花子と申します」ペコリ 京太郎「麻雀は点数計算とか出来ない素人で、初心者です」 久「うんうん、麻雀の点数計算は難しいものね。初心者とか全然気にして無いから」ニコッ まこ「そうじゃ、私らがいくらでも教えてやるわい」 京太郎「えー、お…私に出来るかなぁ~」 京太郎(女と男でなんでこんなにも態度が違うんだよ!) 京太郎、男の時 久「須賀君さー、まだ符計算覚えてないわけ?」 京太郎「はい。俺の練習相手ってネトマだから覚えなくても問題なくて」 久「そんなんで上手くなれるわけないでしょ!ほら、紙にでも書いてチャチャと覚える」 和「符計算くらい覚えて貰わないと清澄麻雀部の一員である資格なんてありませんよ」 京太郎「えぇ~」 京太郎「どうしようかな~」悩むふり 久「ね、ね、お願いよ。実は私が卒業して清澄麻雀部の部員が4人になるの」 咲(京ちゃん入れて5人ですが) 京太郎「そんな事言われても私には関係ないし~」 久「全国大会団体戦は5人居ないと出場出来ない。来年、新入部員が入って来る保証もない」ジリジリ 京太郎(女)との距離を詰める久 久「私で良かったら…、何でもするからさ…」サワッ 京太郎(なんか知らんが手を握られた) 京太郎「何でもですか?」 久「金銭的相談以外ならね」ウィンク まこ(あーあー、安請け合いしよってからに) 京太郎「コホン。じゃあ、おもちタッチいいですか?」 久「へ?」 京太郎「おもちタッチですよ。同性ですし、別にいいかなって」 久「うっ…、胸を触らせろって事ね///」 京太郎「はい、触らせて貰えたら入部を考えます」 久「胸かー。胸をねぇ…」ウーム まこ(一応、初対面なんじゃが…) 咲(でも全国大会にも居たなぁ…、そんな女の人) 玄『和ちゃん、お久しぶりですのだー』モミモミ 和『玄さん!?』 久『誰?和の知り合い?』 玄『清澄の部長さんですね?初めまして、和ちゃんの幼馴染の松実玄です』モミモミ 久『…触っていいって言ってないけど?』 玄『これは奈良式の挨拶でして』モミモミ 久『……ふーん』 玄『私のおもちも触りますか?』ズイ 久『結構です』 玄(Cカップですか…。清澄のおもち力は全国でも下から数える方が早いですね) 玄(後は…)チラッ 咲「それでね、そのドラマの女優さんが…」 優希「へぇー、ごり押しじゃないのか」 まこ「最近よくCMで見るのぉ」 玄(さて、次の学校に行きますか) 京太郎(女の人なら初対面でも胸を揉んでいいのか…。男なら即警察行きだからなぁ) 咲「そんな事があったな。後から聞いたら松実さんは大のおもちマニアだとか」 まこ「なーに一人でブツブツ言ってるんじゃ」 京太郎「で、どうしますか?俺、麻雀は初心者ですが料理、裁縫、日曜大工。雑用なら何でも器用にこなせますよ」 久「…うーん。欲しい」 久「ふ、服の上からよね?///」 京太郎「今日の所はそれでいいです」 久「減るもんじゃないし…、いいわよ///」コクン 京太郎「では、触ります」フニフニ 久「んっ…、んふっ…」 京太郎(うーむ、柔らかいけど大きさがなぁ…。俺の方が大きいかもしれん) 京太郎「……」モミモミ 久「あっ…、あん!た、タッチって言ったじゃない!?」 京太郎「失礼しました、つい考え事をして」ペコリ ガチャ 和「おはようございます」 久「で、これが入部届ね。約束は守って貰えるのよね?」 京太郎「はいはい、もちろ…」 和「須賀君ですか?」 京太郎「ぎくっ!?そそそそ、そんなわけあるか!俺は女だぞ」 京太郎「須賀君は男じゃないか!」 和「……」ジトーーー 久「入部届ありがとう。あら?山田花子さんじゃないの?」 咲「須賀京太郎って書いてますけど…」ジトー 優希「おい、山田。お前の持って来た鞄を見せるじょ」ヒョイ 勝手に京太郎の鞄を取る優希 優希「……」クンクン 優希「これ、犬の家の匂いだじぇ!?」 久「きゃあああああああああ!」 まこ「おぬし、京太郎か!」胸倉掴む 京太郎「マジすいません!ほんの出来心で…」ブルブル 咲「最低だよ、京ちゃん」 和「ホントに最低ですね」プンプン ・ ・ ・ 久「で、言い訳とかあれば聞くけど?」ムスッ 京太郎「来年も清澄の雑用係として末席に置いて下さい」ドゲザ 久「ったく。男の子に胸触られるのとか初めてだつーの!」 咲「ホントに京ちゃんなの?」 京太郎「信じられないかもしれないが、須賀京太郎だ。起きたら女になってた」 和(実験は成功ですね)ニヤリ 久「いくつか質問をしましょう。他校から送られてきたスパイかも」 まこ「まぁ…、わしらは仮にも全国大会で優勝したチームじゃしな」 優希「京太郎の事は私が一番詳しいじぇ。おい、花子。私の質問に答えろ」 京太郎「花子じゃねーよ!」 ・ ・ ・ 優希「あっ、間違いないじぇ。この花子は、京太郎だ」 咲「だよねぇ…。私と京ちゃんの中学時代の事まで知ってるなんて」 和(咲さんの中学生時代の話が聞けて貴重でした) 京太郎「信じて貰えましたか?」 久「次は本当に女になったかをチェックね」 咲(胸、どう考えても私より大きい!こんなのってないよ)ズーン 京太郎「ははは…、女の体って不便ですね。体力は絶対落ちました。筋力もですけど」 久「私は貴方の体を触る権利あるわよね?」 京太郎「た、多少は」 久「ふふっ…、少し楽しみね。さぁ、須賀君そこのロッカーに入りなさい」 京太郎「は?」 ギィィィィィ まこ「どうぞ、ごゆっくり」 京太郎「……」ビクンビクン 久「ふぅ、一仕事終えたわ」フキフキ 咲「部長、本当に女の子でした?」 久「間違いないわね。身長169cm、体重49kg、BWHは90-62-92」 久「清澄では和に次ぐナイスバディーよ」 優希「犬の癖に生意気だじぇ」 咲「京ちゃんいいなぁ…。私もバスト90とかなってみたい」シュン 和(咲さん、安心して下さい。私がもうすぐ咲さんをバスト(胸囲)90に変えてあげますからね) そして京太郎が女のまま夏がやってくる 県大会予選 まこ「いいか。優希で稼ぐ。そして次鋒の京太郎に繋ぐ」 京太郎「は、はい」 優希「私が他校を飛ばしてしまってもいいんだじぇ?」 まこ「もちろん。京太郎はあくまで防御にこだわるんじゃぞ」 京太郎「はい、ベタ降りの練習はずっとして来ましたから大丈夫です」 咲「京ちゃん、何点取られても気にしないでね」 和「私達が取り返せばいいんです」 京太郎「おぅ。お前らに任せた。俺は飛ばされない事だけを考えて打つよ」 優希「大丈夫だじぇ。半年間私と咲ちゃんの東場で練習して来たじぇ。もうちょっと自信持つじぇ」 パーン 京太郎の腰を叩く優希 京太郎「いてて…」 まこ(次鋒は火力が高い選手が少ないからの。大丈夫じゃと思うが…) まこ(久が居ない分、去年より確実に厳しい。しかし、京太郎が女になってくれたおかげで県大会出れたんじゃ) まこ(京太郎に感謝せんと) なお県大会優勝は龍門渕 10年後 京太郎「おっ…、動いた!」ドクン 優希「私も動いたじぇ。流石双子」 和「双子なんですかね?まぁ…、母体が違うだけで遺伝子は同じですからね」 京太郎「しかし、和には感謝してるぜ。iPS細胞での女性同士の妊娠。滅茶苦茶お金かかるからな」 優希「何年かかってもお金は必ず返すじぇ」 和「気にしないで下さい。私は須賀君にとても感謝してるのです」 京太郎「俺に?」キョトン ?「京ちゃんも優希ちゃんもお腹大きくなったねぇ~、久しぶり!」 京太郎「お前、咲か!?ヒゲ似合ってねーなー」 咲「むっ?厳つい感じを出したかったのに…」 優希「咲ちゃんはカワイイ男の子だから、ヒゲなんて辞めといた方がいいじぇ。イチローって言うかムネリンタイプ」 和「世界大会はどうでした?」 咲「ごめんね、負けちゃった」エヘヘ 京太郎「ニュースで見たぜ。監督の指示ミスなんだよな?」 咲「違うよ。私の責任。ちょっと焦ってリーチかけちゃったのが原因」 優希「ネットでは戦犯とか言われてるけど、気にする事ないじぇ」 和「当たり前です!咲さんは日本を代表して戦ってたんです、リーチかけて直撃振り込んだからって戦犯だなんて…」 咲「事実だよー。大将だからね、責任は取らないと」 咲「和ちゃん、ごめんなさい。坊主にして来ました」ぺっこりん 帽子を取って坊主頭を見せる 和「咲さん」ウルウル 咲「私の事、嫌いなった?」 和「……」フルフル 和「坊主頭くらいで嫌いになれるわけないです」 咲「良かった。そうそう、日本に帰って来たらね…。ホントは勝って言うつもりだったんだけど…」 咲「け、け、結婚しませんか?」 和「喜んで」ニコッ 京太郎「おおっ!ついに咲が…」 優希「明日の朝刊の一面は決まりだじぇー。染谷先輩や竹井先輩に報告しないと」 こうして女になった京太郎は末永く優希と暮らしました。 男になった咲さんも、末永く和ちゃんと暮らしましたとさ 終わり
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1383660043/ 咲「もうっ京ちゃんのバカッ!もう出て行ってやるんだから!!」 京太郎「何をいきなり馬鹿な事を言ってんだ咲?」 京太郎「お前と俺は…大学を卒業してすぐ結婚してから三年……」 京太郎「ケンカもしたけど今までここで、一つ屋根の下で一緒にやってきたじゃないか」 咲「それはそうだけどっ――――」 京太郎「それによぉ。俺はさ…お前の事だけは一日たりとも忘れた事も無かったって言うのによ……」 咲「よくそんな事言えるね…京ちゃん!いつもいつも私の事を騙してばかりで……」 京太郎「騙すって……人聞きの悪い事を言うな!」 咲「どうせ私が何にも知らないとでも思ってるんでしょ?!!」 京太郎「何の事だよ?」 咲「私聞いたんだからね!京ちゃんが和ちゃんと浮気してるって!!」 京太郎「!?」 咲「ふんっ…知ってるんだからね!」ぷい 京太郎「お…俺がのど――原村先生と……?そ…そんな根も葉もない嘘をよく言うよ」 京太郎「良くそんなゲスい妄想出来るもんだよ?流石…文学少女だな」 咲「……妄想じゃないよ…教えて貰ったんだもん。京ちゃんが麻雀雑誌の編集記者であるのをいい事に……」 咲「プロ雀士の和ちゃんに言い寄って、夜の密着取材をしてるって……」 京太郎「だ…誰がそんな事を……」 咲「お姉ちゃん…だよ。ほら…証拠の写真もあるよ……」す… ぱらぱら 京太郎「!?」 京太郎<こっこれは…前に和と入ったホテルの、入る時と出る時の写真……?でも……ど…どうやって?> 咲「驚いた?私も最初は信じられなかったけど、お姉ちゃんが探偵さんを雇って調べて貰ったって」 京太郎「くっ……どうしてお義姉さん……宮永先生がこんな事を……」 咲「お姉ちゃんねぇ……何年か前にあったか~い詐欺の女に好きな人を盗られたて。凄く辛い想いをしたんだって……」 京太郎<なんだよ?…あったか~い詐欺って……> 咲「それ以来…私にはそんな想いをさせたくないって、その為なら手段を選ばないって、私を見守ってくれてるの」 京太郎<何?だとすると俺は……俺と和はずっと…あの人に監視されていたのか……>ゾー 咲「どう?ぐうの音も出ないでしょ?あはは…ゲスいのは京ちゃんの方だったね?」 京太郎「……俺や…原村先生を監視(ストーキング)してるお前らにだけには、言われたくねーよ」けっ 咲「で…どうなの?これでも認めないつもりなの?」ずいっ 京太郎「……くっ―――ああそうだよ!俺は原村先生と浮気しましたよ!!」 咲「認めたね?認めましたね?京ちゃん」 京太郎「そうだよ。認めたよ!で、どうしたいんだよ…お前は?俺と別れたいとでも言うのか?」 咲「そ…それは……」 京太郎「フン…結局お前はどうなっても俺と離れようとはしないんだ。結局は惚れたお前の負けなんだよ」 咲「京ちゃん…私は……」 京太郎「ええ?お前がモテない俺が好きって言うなら、考え直してやるけどな?まぁそんな俺は俺とはいえないけどな」ニヤリ 咲「ばっ…馬鹿言ってないでよ!京ちゃん」 京太郎「馬鹿言ってるのはお前だよ?咲」 咲「京ちゃん……京ちゃんは和ちゃんに遊ばれている事にも分からない様な、可哀想な人なんだね!」 京太郎「はっ!何を言っていんだよ?咲」 咲「私…お姉ちゃんから聞いたんだよ。和ちゃんは男も女もお構いなしの、おしりが大きいのに軽い女なんだって」 咲「だから、他の女流プロ雀士からはバイパイピンクなんて言われてるんだよ?」 咲「そんな人が京ちゃんなんかに本気になる訳が無いよ?」 京太郎<バイパイピンクって……バイで倍のパイで頭の中も外もピンク色の色情魔だって事かよ!!> 咲「おまけにPMなんて呼ばれてもいるんだよ!言っとくけど午後の事じゃないよ?」 京太郎<ピンクホルスタインって事かよ!?もう言いたい放題!貶め放題だな!!> 京太郎<…………やっぱ女子プロの世界って怖えー…………知ってたけど……>しみじみ 咲「どう?目が覚めた、モテモテのモテ男の京ちゃん?」 京太郎「くっ…だったら……三年目の浮気ぐらい大目にみろよ」 咲「はっ!?」カチン 咲「京ちゃんのその…ひっ…開き直るその態度が気に入らないの!!」 京太郎「じゃあ…どうすりゃいいんだよ?」 咲「ふんだっ!もうっ……両手をついて謝ったって許してあげないんだからねっ!!」 …………。 京太郎「で…結局、お前はどうしたいんだよ?」 咲「もうっ!京ちゃんがそんな態度を取るんだったら、私から荷物をまとめて出て行ってやるんだからっ!!」 京太郎「は?出てく?お前が?」ぷぷ… 咲「なっ何よ!?」 京太郎「お前…俺が出張に行く時も、帰った時も泣いて見送る様な寂しがり屋じゃねーか」 咲「//////うっ…それは……」 京太郎「そんなお前が、荷物をまとめて涙も見せずに出ていけるのかよ?」 咲「で…出来るもんっ!!」 咲「……た…確かに……もうこうなったら末原さんに頼んで……」 京太郎「末原さん……?もしかして俺達より二つ上で関西出身の?」 咲「うん…その末原ナンとかさん」 京太郎「てか、お前あの人とは、高校、大学何度か打ってるぐらいで、殆んど面識はないじゃねーか」 咲「うっ!?」ぎくっ 咲「で…でも何度もゴッ倒してるし、今度もゴッすれば言う事を聞いてくれる様な気がして……」 京太郎「はぁ…なぁ咲さん…もうそろそろ適当に思い付きで言うのは止めろよ?」 咲「うっ!!」どきっ 京太郎「それにあの人は大阪在住だろ?脅して押し入ろうとしたって、追い返されるのがオチだぞ?」 京太郎「まったく尼崎じゃないんだからさ。そんな無茶苦茶がまかり通る訳ないだろ?」 京太郎「……ま、大阪も似た様なもんだろうけどな?知らんけど」 咲「ううう……」 京太郎「はぁ…だいたい交友関係の狭いお前g―――――」 咲「―――――はっ!!」 咲「……じゃ…じゃあっ!実家に帰らせて頂きますっ!!」 京太郎「実家?ああ…それなら出来そうじゃないか?」 咲「えっ!?」 京太郎「いや、なに…こうなったら暫くの間。お互いに距離を置いた方が良いんじゃないかって」 咲「きょっ…京ちゃんは私と離れたいの!?」 京太郎「お前…何言ってんだ?お前から先に自分から出て行くって、言ったんじゃないか?」 咲「うっ…それは……」 京太郎「まぁ…お前が言う様に、俺が和に遊ばれているって言うんなら……」 京太郎「まぁ俺もそれなりに浮気みたいな事もするけどさ……俺だって本気になれないだから、可愛いもんだと思わないか?」 咲「!!」ピキッ 咲「よくそんな事が言えるね京ちゃん!!」 咲「いくら京ちゃんでも、こんな勝手な言葉が出てくるとは思わなかったよ!!」 京太郎「そうか?」 咲「そうだよ!!最早!京ちゃんの性根を…人格を疑うレベルだよ!!」 京太郎「言ってくれるじゃねーか咲さんよ?だがな、俺がこうなったのも元はと言えばお前にも原因はあるんだぜ?」 咲「どう言う事よ?」 京太郎「どうもこうもねーよ。そりゃ…お前が沢山あったプロチームや実業団、 強豪大学の誘いを全部蹴って……俺と同じ大学を受けるって聞いた時は、そりゃ嬉しかったさ」 咲「そうだよ。京ちゃんと一緒の大学に行く為に、たくさん勉強したんだからね」 京太郎「それで大学の麻雀部に入って、最初の挨拶の時にいきなりお前が、お嫁さん違いますけど彼女です――――」 京太郎「――――なんて言い出して、いつも俺にくっついているもんだから、 みんな妙に気を遣って俺は大学時代、殆んど遊べなかったんだからな!」 咲「付き合っているんだから、それは当り前の事だよ?」 京太郎「お前の場合は束縛し過ぎなんだよ。結婚した今でも、一日にニ十回以上もメールして来るし……」 京太郎「俺はキャンパスライフをもっとエンジョイしたかったんだよっ!!」 咲「…………」 京太郎「それで大学を卒業して、少し羽を伸ばせるようになったから――――」 咲「ふーん。すっごく自己中心的な考えだね。京ちゃんらしいよ」 京太郎「お前にだけは言われたくはないよっ!」 咲「私はただ一途ってだけだよ……」 京太郎「一途って……物は言い様だな。全くお前は、何時も俺に甘えてばかりでさ……」 京太郎「今でも…ちょっと俺が他の女の子と話そうもんなら、すぐ焼きもち焼くし……」 京太郎「もうそんな事しても可愛くないんだよ。もっと大人になれよ?」 咲「――――!!京ちゃん馬鹿な事言ってないでよ!!」 京太郎「ふん。俺だって男だ、羽目を外したら、ハメたくなるってもんだろ?」 咲「……………」 京太郎「……………」 咲「京ちゃん…………サイテー……」 京太郎「確かに今のだけは最低だった」ぺこり 咲「そうだよ!今のは麻雀で言ったらチョンボ並みにサイテーだよ!」 咲「まったくこんなサイテーな京ちゃんのキョウチャンなんかチョンボしちゃうんだからね!!」 京太郎「咲……お前…本気で俺のオレをチョンボしたいのか?」 咲「うっ…………」じー 咲「……………」ごくり… 咲「……やっやっぱりそれだけは赦してあげる////////」 京太郎「フフン。やっぱりお前は『俺』と『オレ』なしじゃいられないんだよ」 咲「うっ……自惚れないでよっ!京ちゃん!!」 咲「―――――それに…私にだって、その気になれば相手はいるんだからね!!」 京太郎「へー。どこのどいつだよ?いいから言ってみろよ?」 咲「の…和ちゃん……」 京太郎「だから和だったら本末転倒だろうが!?何度も同じ事を言わすなよ、咲さん?」はぁ 咲「うっ…それはそうだけど……」 京太郎「まったく…大学時代、俺にくっ付いてばかりで、殆んど他の知り合いを作らなかったからこうなるんだぞ?」 咲「うう……だって京ちゃんがいれば、もういいって…他に何も要らないって……思ってたんだもん……」うー 京太郎「!!」どきっ 京太郎「そ…そうかよ……」 京太郎<やべっ一瞬、どきってしちまった…もう結婚して3年にもなるのにな……> 京太郎<……てか、こうは言ったものの、もし咲が本気で和に近づいたら、和は喜んで受け入れそうだな……> 京太郎<なんたってバイパイピンクとかPHとか言われてるくらいだからな……> 京太郎<しかも、和がそうなったきっかけは、どうも咲によるものらしいしな……> 京太郎<はっ!!もしかして和が俺と寝たのは…これを狙って……俺と咲を別れさせて、咲を俺から取り返す心算とか……> 京太郎<つまり俺は当て馬で…本命は咲だと言うなのか……?> 咲「?」 京太郎<……いや…それよりも…それ以前に俺にとってこいつは…咲は……> 京太郎<特別美味い物でもないけど、毎日食べても飽きない、一口食べるとほっとする…ご飯の様な存在なんだよな……> 京太郎<分かっていたけど俺はやっぱりこいつの事が――――――> 咲「ど…どうしたの京ちゃん……?急に黙りこんで……」 京太郎「……咲…………」じっ 咲「京ちゃん……?」 京太郎「……今回の事は色々あったとはいえ、俺が悪かった…俺がバカだったよ……」 咲「そっそうだよ京ちゃんが悪いおばかさんなんだからね……」 京太郎「今になって俺にはやっぱりお前が必要だって思った」 咲「京ちゃん……」じーん 京太郎「だから咲……謝るから許してくれるか?」 咲「…………ゆるs――――――やっぱり両手をついて謝ったって許してあげないっ」 京太郎「じゃ…じゃあどうすれば……」 咲「私……今すっごく欲しいものがあるの……」 京太郎「欲しいもの?お前が俺に強請るなんて珍しいな……それを用意したら許してくれるのか?」 咲「うん…許してあげる」にこ 京太郎「よし!俺が用意出来るモンだったらなんだって用意してやる!!」 咲「ほ…ほんと?京ちゃん……//////」 京太郎「ああ。男に二言は無いぜっ!!で。何が欲しいんだ?」 咲「じゃあ…じゃあ言っちゃうね……私ね……」 京太郎<……………余り高い物じゃなければいいが……>ごくり 咲「私……京ちゃんの赤ちゃんが欲しいなっ」 京太郎「え?」 咲「えっ!?」 京太郎<…………ある意味…俺が用意出来るモノの中で一番高く付くモノだった……> おしまい。
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【4月第3週 平日】 京太郎「新しい朝が来たぞっと」 京太郎「このまま高校ではぼっちになるのかな…なんて考えてたら全然眠れなかった…」 京太郎「一応、遅刻はしなさそうだな」 男1「な、お前最近は彼女とどうなん?」ワイワイ 男2「ええ調子よ、お前はどうなん?」ガヤガヤ 男3「小生も毎日縛られて叩かれて幸せでござる」ブヒブヒ 京太郎「はぁ…。うらやましいな」 京太郎「購買に行ってみるか」 京太郎「確かに何でもあるな…」 京太郎「制服から文房具、プロテインまで置いてある」 京太郎「お、この弁当美味しそうだな。これを買うか……ん?あれは…」 照「…」キョロキョロ 京太郎「やっぱり照か……」 京太郎「くっ、そろそろ誰かと話したい……!」 京太郎「でもここで話しかけたら負けな気がする!」 京太郎「だから……やめとくか」 アリガトウゴザイマシター 京太郎「はぁ…このから揚げ弁当美味しいな」 京太郎「気を取り直して部活に行こう!」 京太郎「きっと誰か居るはずだからな!」 京太郎「咏は…もういないや…」 ―――――――――――― 京太郎「こんにちワン!」 エイスリン「!」カキカキ エイスリン「コンニチワン!」バッ |こんにちワンの絵| 憩「やっぱり絵上手やな~エイちゃんは」 咏「うん確かに上手いね~知らんけど」 京太郎「…」ウルウル 憩「あれ、どうして京太郎君はそんな涙目なん?」 京太郎「やっと…やっと俺に応えてくれた…」 京太郎「うわああああああん」ポロポロ 咏「ちょっ、これどうするよ」 エイスリン「ワカラナイ」カタスクメ 京太郎「憩さん!一緒に特訓しましょう!」 憩「うーん、でもエイちゃんが…」 咏「エイスリンなら私が雀荘に連れてっとくよ~」 憩「え、そう?ならよろしく頼むわ」 咏「じゃ、行ってくるよ~」フリフリ エイスリン「イッテキマース」フリフリ 憩「二人も行ったことだし、始めよか」 京太郎「はい!」 京太郎「へー、そうなんですかー」 憩「そうなんやで、それはそれはすごかったな~」 京太郎「おお!」 京太郎「……あれ?」 京太郎「俺らって麻雀の特訓をしていたんじゃ…」 憩「ありゃ~日が暮れるまで話してもうたな」ハハハ 京太郎「予習してきて憩さんを驚かそうと思ったのにな…」 憩「え!京太郎君休みの日も麻雀やっとったん!?えらいなぁ~」ナデナデ 京太郎「あ、ありがとうございます!」 キーンコーンカーンコーン 憩「…ん、そろそろ下校時刻やな」 京太郎「俺、今日は雀荘行くんでお先に失礼しますね」 憩「頑張るな~じゃあね~」フリフリ 京太郎「また明日ー!」 【雀荘】 京太郎「こんにちはー」 店員「お!荒川の嬢ちゃんの彼氏やないか!」 京太郎「彼氏じゃないですってば」 店員「そういや、さっきまで三箇牧の嬢ちゃんが2人来てたで」 京太郎「あれ?帰っちゃったんですか?」 店員「せや、中々面白かったわ」 店員「けど面白い客ならまだいるで」 店員「ほら、あの卓の嬢ちゃんや」ユビサシ 怜「ロン」 おっさん「また一発……じゃと?」 おっさま「園城寺ちゃんはやっぱり面白いわ~」 おばさん「また和了ったん?偉いわ~飴ちゃんいるか?飴ちゃん」 怜「いや、ええよ」 おばさん「そう言わんといて、ほれ」 怜「だからええって……美味しな」 京太郎(なんだこの漫才) おっさん「おい、園城寺んとこの!まだ続けるで!」 怜「あんた今のでトビやないか」 おっさん「あれ……?」 おっさま「ん、君は確か荒川ちゃんの……」 京太郎「彼氏じゃないです須賀です」 おっさま「おお、せやった須賀ちゃんや」 怜「その制服、三箇牧のやな。ほんでここにおるってことは」 おっさま「せや、三箇牧の新入部員やで」 怜「ほお、そうなんか。ならそこの須賀……って言ったか?」 怜「私と打っていこうや」 おっさん「待て待て!園城寺と打つんはわしやろ!」 怜「あんたは黙っとれ」 京太郎「わかりました、受けて立ちましょう!」 結果 1位 おっさん 2位 京太郎 3位 おっさま 4位 トキ おっさん「げっげっ、これで終わりや園城寺!ツモ!」 おっさま「調子いいな~」 京太郎「なんとか2位か…」 怜「はぁ…はぁ…」 おっさん「どうだ!園城寺んとこの!」 怜「せやな……はぁ…流石やわ…」 京太郎(この園城寺さんって人、様子がおかしいぞ) おっさん「せやろ!さっすがやろ!げっげっげっげっ」 おっさま「そのへんにしときいや」 怜(あかん…消耗しすぎたわ……) 京太郎(さっきからフラフラしてるし) 怜(そんな無理するんやなかったな…) 怜(ごめん…竜華…) バタッ 京太郎「やばい!」 ガシッ 怜(あ…れ、誰や?) 京太郎「大丈夫ですか!園城寺さん!」 怜「ああ…まあ…大丈夫や…」クラッ ―――――――――――― 怜「こ…こは…?」 店員「お目覚めかい?園城寺の嬢ちゃん」 怜「私は…?」 怜「せや!さっきの男…須賀君は!?」 店員「ああ、彼なら帰ったよ。迎えを呼んでくるとか言うとったけど」 竜華「すんません!怜は!?」 店員「園城寺の嬢ちゃんはこっちやで」 竜華「怜!大丈夫なん!?」 怜「もう大丈夫やで」 竜華「怜ぃ…1人でどこか行かんといてや…心配やったんやから」グスッ 怜「迷惑かけてすまんかったな、竜華」 竜華「ええよ、そんなこと」 竜華「謝るなら須賀君に謝るんやな、ウチに連絡してくれたのあの子やし」 怜「……そうなんか」 竜華「ほんま、須賀君には感謝やな」 怜「せやな」 怜「なあ、竜華」 竜華「なんや?」 怜「竜華って須賀君の連絡先知ってるん?」 竜華「まあなー」 怜「じゃあ、さ、私にも教えてくれへん?須賀君の連絡先」 竜華「ほほー、怜は須賀君に惚れたんやな―」 怜「ちちち、違うわ!た、ただお礼のメールを送りたい思うただけや!」カァァ 竜華「まーたまたー」アハハ 【4月第3週 平日】終了 【4月第3週 休日】 京太郎「ふぁああ、今日はよく眠れたぞ」 京太郎「あの後の園城寺さんは大丈夫だったんだろうか」 京太郎「さて、今朝はなにをしよう」 京太郎「麻雀の勉強をしよう」 京太郎「今日はどうしようかな」 京太郎「今日も張り切って行こう!」 京『よろしくお願いします!』 こまきん『よろしくお願いします!』 とよねぇ『よろしくだよー』 ボンバー『よろしくお願いします』 ボンバー『ロン』 とよねぇ『ロンだよー』 こまきん『ロンですっ!』 京『』 終局 結果 1位 こまきん 2位 ボンバー 3位 とよねぇ 4位 京 とよねぇ『おつかれさまだよー』 こまきん『おつかれさまでした!』 ボンバー『またどこかの卓で』 京『おつかれさまでした…』 京太郎「負けてしまったか…」 京太郎「昼は何をしよう」 京太郎「少し離れた街に行ってみるか」 京太郎「大阪の中心街にはまだ行ってないんだよな」 京太郎「大阪城に来てみたぞ!」 京太郎「早速中に入ろう!」 京太郎「中々面白い所だったな。ん、あの人は…」 霞「今日は休日を使って大阪城に来たけど、やっぱり良い所ね」 霞「来週は姫路城に行こうかしら」トントン 霞「何かしら…」フリムキ プニッ 霞「あら、京太郎君」 京太郎「どうも…ってノーリアクションですか」ホッペプニプニ 霞「親戚にそういう悪戯好きな子がいるからもう慣れてるのよ」プニプニサレル 京太郎「霞さんも大阪城に?」 霞「ええ、もうこれで30回目くらいかしらね」 京太郎「そんなに来て飽きないんですか…」 霞「来る度に新しい所が見れて面白いのよ」 京太郎「立ち話ってのもあれなのでどっかに行きません?」 霞「それなら近くにいい喫茶店があるから、そこに行きましょうか」 京太郎「凄いですね、ここ。季節関係なく春夏秋冬の料理を扱ってるなんて」 京太郎「霞さんは何を頼むんですか?」 霞「私は今日は春の特選スイーツにするわ」 京太郎「それじゃあ僕は秋の特選スイーツにしましょうか」 京太郎「霞さんは大阪城に来たときにはいつもここに来るんですか?」 霞「そうよ、この喫茶店は、私が初めてお父様と一緒に大阪城を見に来たときに連れてきてもらったところなのよ」 京太郎「霞さんは、大阪城が好きなんです?」 霞「んー、大阪城だけ、というよりは城とか、昔からあるものが好きなのよね」 霞「でも大阪城には特別な思い入れがあるのも確かね」 京太郎「お父様と初めて一緒にきたところだからですか?」 霞「そうね、いつも厳格なお父様が大阪に来て一番最初に連れてきたところが大阪城だったのよ」 京太郎「そのお父様は、今何をしてるんですか?」 霞「今は鹿児島の実家にいるわ。去年までは私と清々荘の管理をしていたから憩ちゃんや華菜ちゃんは知っているはずよ」 オマタセシマシター 京太郎「そういえば創部には教師が1人必要って聞いたけど、霞さんを誘おうかな」 京太郎「そういえば、霞さんは部活の顧問とかしているんですか?」 霞「顧問はしていないけど、それがどうかしたのかしら?」 京太郎「実は、麻雀部の顧問になってほしいんです!」 霞「麻雀部?」 京太郎「はい、今俺と憩さんで作り直しているんです」 霞「ふんふむ、わかったわ。私も去年までは千里山で麻雀部に入っていたから、それなりのことは教えてあげられるわよ」 京太郎「え、霞さんって千里山にいたんですか?」 霞「お父様が共学の三箇牧には通わせない!って言っててね、だから女子高の千里山に通うことにしたのよ」 京太郎「ははは、それは厳しいですね」 【食後】 霞「うーん、それじゃあ5月に千里山と練習試合をしましょうか」 京太郎「そんなことができるんですか?」 霞「モチのロンよ、私の人望をあまり甘く見ないでほしいわね」 京太郎「それは頼もしいですね」 霞「私、まだ見て回るところがあるからそろそろ行くわね」 霞「それと今度私の家に来るといいわ、いいものを見せてあげるから」 京太郎「はい、ありがとうございました」 京太郎「よし!あとは部員を2人集めるだけだ!」 京太郎「でも照はどうしようか…」 京太郎「ひとまずコンビニに行こう」 京太郎「何を買おうかな」 京太郎「適当に菓子でも買ってくか」 プリン、ポッキー、プロ麻雀せんべい、かりんとう、マシュマロを買った! アリガトウゴザイマシター 京太郎「次はどこにいこうか」 京太郎「よし、雀荘に行こう!」 京太郎「中心街の雀荘に来てみたぞ!」 おっさま「いらっしゃーいっと、君は須賀ちゃんやないか」 京太郎「あれ、あなたは三箇牧の雀荘にいた人じゃないですか」 おっさま「休日はこの雀荘のマスターやっとるんよ」 ??「マスター、誰と話しているのよー?」 おっさま「おお、真瀬ちゃん。こちらがさっき話した三箇牧の須賀ちゃんや」 京太郎「どうも」 おっさま「で、こっちの子が姫松の真瀬ちゃんや」 由子「よろしくなのよー」 おっさま「じゃあ一打ちしましょか」 開局 おっさま「ツモ、500・1000や」 短パン「あぶねえあぶねえ」 京太郎 24000 おっさま 27000 由子 24500 短パン 24500 短パン(今日はなんだか調子が悪いぜ…これなら草むらでポッポ探してりゃよかったぜ)トン 京太郎「それだ!16000!」 短パン(急所に当たった!) 東3局 京太郎 40000 おっさま 27000 由子 24500 短パン 8500 オーラス開始時 京太郎 42000 おっさま 27000 由子 22500 短パン 8500 おっさま(今日は須賀ちゃんの独壇場やったな) 由子(須賀君、流石は憩ちゃんの後輩なだけはあるのよー) 京太郎「来た!ツモ、4000・8000」 短パン「ゲージ赤でなんとか耐えきったぜ!」 終局 京太郎 58000 おっさま 23000 由子 19500 短パン 500 短パン「ありがとうございました!それじゃあ賞金を…」 おっさま「ええからええから」 由子「須賀君、おつかれさま、なのよー」 京太郎「どうも真瀬さん、おつかれさまでした」 由子「三箇牧っていまどうなっとるん?」 京太郎「あと部員を2人集めるだけですね」 由子「千里山には勝てそうなの?」 京太郎「わかりませんね、でも新生三箇牧は負けませんよ」 由子「私らも頑張って全国に行くから、そのときはよろしくなのよー」 京太郎「はい!」 由子「それとこれ登録しといて、なのよー」 京太郎「これは?」 由子「私の連絡先なのよー。恥ずかしながら部の中じゃあ私はそんなに強くないのよ…だから、もしよければ須賀君と一緒に練習しようかなーって」 京太郎「そうですか、それじゃあ一緒に全国を目指しましょう!」 由子「はい、なのよー」 京太郎「三箇牧に戻ってきたぞ」 夜 京太郎「本を読むか」 京太郎「牌のお姉さんか可愛い人だな」 京太郎「そうだ、買ったときに帯が付いてきてたな」 京太郎「邪魔だから外してたけど…」ペラッ 『瑞原はやり(28)が教える!人気教本!』 京太郎「28歳か…キツイな」 京太郎「ふむふむ、わかりやすいな」 『…のことをスジといい、…のことを裏スジといったりしますっ☆』 京太郎「☆の数多すぎるだろ…」 【4月第3週 休日】終了 【4月第4週 平日】開始 京太郎「今日こそは脱ぼっち登校だ!」 テレビ「今日とってもラッキーなのは…O型の方です!誰かが構ってくれる素敵な日になりそうです!」 京太郎「やっと誰かと登校できるんですね、やったー!」 そして授業 担任「よし、授業を始めるぞ!」 京太郎「結局ぼっち登校だったじゃないですか、やだー!」 昼 京太郎「部室で食べよーっと」 京太郎「ちはーっす」ガチャ 部室「シーン」 京太郎「でっすよねー」 放課後 京太郎「本日2度目の部室である」 京太郎「ちはーっす」 部室「シーン」 京太郎「」 京太郎「…一番乗りだったんだ。きっとそうだよ」 結局部員は全員来ました 憩「今日、京太郎君はどうするん?」 京太郎「照を誘いに行こうと思います」 憩「ノーリアクションかいな」 エイスリン「ドユコト?」 咏「今日と京太郎のきょうをかけてたんだね~知らんけど」 エイスリン「ナルホド!」 憩「恥ずかしいからやめて…」 霞「でも照ちゃんがどこにいるのかわかるの?」 京太郎「とりあえず電話してここに呼ぼうと思っているんですがよろしいでしょうか?」 霞「もちろんよ」 照「京、入るぞ」 京太郎「おう、来たか!」 照「で、私と打つのは?」 憩「ウチと京太郎君と……誰にしよっか?」 咏「なら私が打つぜぃ~」 照「わかった、早速始めよう」 開局 京太郎「ツモです!3000・6000!」 憩「お、きれいな手やな~」 咏「わっかんね~調子悪いな~」 照「……」 【照魔鏡】発動! 憩「見られたか~」 【白衣の護り】が発動不可になりました 東2局 照 19000 親 京太郎 37000 憩 22000 咏 22000 咏(なんだったんだ今の…) 照「…」 京太郎(この調子この調子) 憩(うぅ、やっぱり凄いわ、あれ) 咏「わっかんね~」 照「ツモ、300・500」 東3局 照 20000 京太郎 36500 親 憩 21700 咏 21700 憩(まだアレは温存しとくか…) 咏「わっかんねーな」 照「ロン、2000」 咏「うえぇ、マジかよ…」 東4局 照 22000 京太郎 36500 親 憩 21700 咏 19700 照「ロン、3900」 咏「うぅ」 憩(そろそろや) 京太郎「まだまだ!」 南1局 親 照 25900 京太郎 36500 憩 21700 咏 15800 憩(連荘はさせたくないんで、仕掛けてくでー) 【孔穿つ閃光】発動! 憩「悪いな、咏ちゃん。それロンや3900な」 咏「」 照(連続和了を止めた…か) 憩「はぁ…」 南2局 照 25900 親 京太郎 36500 憩 25600 咏 11900 照(荒川さんは相変わらずだな…) 憩「はあ…」 照(そして京も…) 京太郎(まだまだ!) 咏(もうなんもわっかんねーよ)グスッ 京太郎「それです!ロン!18000!」 照(相変わらず…だね)クスッ 終局 照 25900 京太郎 54500 憩 25600 咏 -6100 京太郎「よっしゃ!」 憩「京太郎君すごいな~咏ちゃん雀荘でも誰にも負けへんかったんに」 咏「うぇぇぇん」 エイスリン「ヨシヨシ」ナデナデ 霞「で、照ちゃんはここに入るのかしら」 照「はい、これからよろしくお願いします」ペコッ 憩「これからよろしくな!照ちゃん!」 咏「よろしく…」グスッ エイスリン「ヨロシク!」ナデナデ 京太郎「よろしく頼むぜ!照!」 照「うん!」パァァ 京太郎「この後はどうしよう」 憩「京太郎君はこの後どうするん?」 京太郎「今日は街に行こうかと思います」 憩「わかったわ、ほなみんな帰ろかー」 【街】 京太郎「さてとどこいこっかなー」 京太郎「ゲーセンに来たぞ!」 京太郎「そしてこれが初ゲーセンだ!」 ※京太郎くんは寂しい人生を送ってきました 京太郎「何から遊ぼうかな…っとあれ?」 チンピラ1「なあなあ嬢ちゃん、ワイらと遊びに行かへん?」 ??「は、離してや~」 チンピラ2「そう言わんといて、なあ、どうやワイらと楽しいことせえへん?」 チンピラ3「ほお、よう見たらええ顔しとるやん。漲ってきたわ」 チンピラ4「はよ連れてくでー」 ??「ちょっ、そんなところ触らんといて、ひゃっ」 チンピラ5「おお!ええケツしとるやん~ええわ~」 チンピラ6「クルマガクルデー」 京太郎「女の子が絡まれているぞ…どうする?」 京太郎「助けに行こう!」 チンピラ3「ほな、はよしいや!」 ??「いやや!いやや~」 チンピラ1「しゃあないわ、こうなったら組織で新しく開発された薬を試すで」アポトキシーン ??「やめ、んぐっ」 京太郎「やめろおおおおお!」ブンッ チンピラ2「がはっ」 チンピラ6「キンテキガハイッタデー」 チンピラ1「おう兄ちゃん、ワイのダチに何しとるんや?」 京太郎「うるせえ!とにかくその人を離しやがれ!」 チンピラ4「なんや正義の味方ごっこか?」 チンピラ5「えらいな~兄ちゃん、でもな勇敢と無謀は違うんやで」ニコッ チンピラ1「おら!やったれ!」 京太郎(今のうちに逃げて)アイコンタクト ??「」コクッ ドコッバカッゴキッ チンピラ1「これで懲りたか?兄ちゃん?」 チンピラ3「ア、アニキ!」 チンピラ1「どうした?」 チンピラ5「小娘が、小娘がいません!」 チンピラ1「なんやと!?」 チンピラ1「こんのガキィ…」ギリッ ファンファン チンピラ6「サツガキタデー」 チンピラ5「チッ、覚えとれよガキ」 京太郎(あの子は逃げられたか…良かった…) ??「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」 京太郎「うっ…こ、こは……?」 京太郎(確か…女の子を助けて) ??「やっと起きた……良かった~」グスッ 京太郎「あなたはさっきの……」 京太郎(この人…さっき見たときとはなんか感じが違うぞ) 京太郎「って、なんで戻ってきてるんですか!?」 ??「なんでって…君が心配だったから…」 ??「私は赤阪郁乃いうんやけど…君は?」 京太郎「俺は須賀京太郎、三箇牧高校の1年生です」 郁乃「そうか~京太郎くん言うんやな~」スッ 郁乃「助けてくれて、ありがとな~」ダキッ 京太郎「…結局何もできませんでしたけどね」 京太郎「それはそうと、赤阪…さん、がさっきとどこか変わっているように思えるんですが…」 郁乃「郁乃でええよ~、なんかな…」 郁乃「小ちゃくなっちゃったみたいなんや~」 京太郎「や~、ってそんな能天気な……あ!?なんだって!?」 郁乃「あの男の人達に飲まされた薬のせいみたいなんやけど~」 京太郎(人を小さくする薬…?そんな某探偵マンガよろしくな展開あるわけ……ないよな) 京太郎(でも、初対面とはいえこの郁乃さんに違和感を感じてるのは確かだし……) 郁乃「せや~、京太郎くんこれ、私の連絡先やからよろしくな~」 京太郎「あ、はいどうも」 郁乃「じゃあ私はここでおさらばや~」 京太郎「おさらばって、行くあてがあるんですか!?」 郁乃「ん~ないかな~取り敢えず知り合いの女の子の家か、元監督の家に行こか思うとるんやけど~」 京太郎「わかりました、それじゃあ……」 京太郎「ウチに…来ませんか?」 郁乃「え、ええの~?」 京太郎「大家さんに頼めばなんとかなると…思います…多分」 郁乃「大家さんってことは京太郎くんは下宿でもしとるん~?」 京太郎「そうです、清々荘っていうアパートに住んでます」 郁乃「そーなんや~、それじゃあよろしくやで~」ニコッ 京太郎「はい…」 ―――――――――――― 説明はキンクリじゃ! 【石戸宅】 京太郎「…というわけなんです」 霞「ふんふむ、それで京太郎君はこの子をここに住まわせたい…と」 霞(この女の子…見覚えがあるのだけど…) 霞「あなた、名前は?」 郁乃「はい、赤阪郁乃いいます~」 霞「あかっ、赤阪郁乃!?」 京太郎「知り合いなんですか?」 郁乃「ん~私は知らんな~」 霞「この人は南の名門姫松の現監督よ!」 京太郎「姫松って…真瀬さんのいる?」 郁乃「京太郎くん、真瀬ちゃん知っとるん~?」 京太郎「一度打ったことがあるんです」 郁乃「あ、思い出した~千里山の石戸ちゃんや~」 京太郎(この人…) 霞(マイペースすぎる…) 京太郎「お願いします!」 霞「いくら京太郎君の頼みでも、こればかりは駄目よ!」 霞「この人の経歴はある一点を除いて全くの謎、この大阪では『Dark Excistence』として有名な人なのよ!」 京太郎「でも!今は17歳の女の子なんですよ!」 郁乃「『Dark Excistence』か~かっこええな~」 京太郎「って郁乃さん!?」 郁乃「無理しなくてええんよ、京太郎くん」 郁乃「結局私はどこにも行けないんやから」ボソッ 霞「今日はお引き取りください」 京太郎「ちょっと待ってくださいよ!霞さん」 郁乃「じゃ、お暇するわ~」 京太郎「郁乃さんも!」 郁乃の入居に失敗しました 【4月第4週 平日】終了 【4月第4週 休日】開始 京太郎「昨日の郁乃さん…なんだか悲しそうだったな…」 京太郎「今朝は何をしよう」 京太郎「気を取り直してバイトでもするか」 京太郎「コンビニでもらってきた求人雑誌を…」 京太郎「ん?『雀荘のスタッフ募集中!』?」 京太郎「この雀荘って先週行った中心街の雀荘じゃないか」 京太郎「面白そうだからやってみよう!」 ―――――――――――― バイトに参加するまでの過程はキンクリじゃ! ―――――――――――― おっさま「…というわけや、ほなこれからよろしく頼むで須賀ちゃん!」 京太郎「ありがとうございましたー」 おっさま「ええ仕事しとるやん須賀ちゃん、給料割増しとくでー」 京太郎「ありがとうございます!」 由子「こんにちは、なのよー」 京太郎「あ、真瀬さんじゃないですか」 由子「お、須賀君なのよー」 京太郎「その制服…ってことは真瀬さんもここで働いているんですか?」 由子「実は先週入ったばかりなのよー」 京太郎「奇遇ですね、俺も今日入ったばっかりなんですよ」 京太郎「真瀬さんはどうしてこのバイトをしようと思ったんですか?」 由子「気になったからかな?」 由子(須賀君を待つために須賀君が来た翌日から始めた、なんて言えないのよー) 京太郎「そうですか」 カランコロン 京太郎「いらっしゃいませー」 ?「ふむ、ここが大阪の雀荘か東京とあまり変わらんな」 由子「むぅ…あの人は…」 京太郎「知っているんですか、真瀬さん!」 由子「あの人は白糸台高校の主将、弘世菫なのよー」 京太郎「白糸台…照のいた高校か」 菫「ほう、君は照を知っているのか」 京太郎「はい、っていつの間に!?」 菫「それに、君は確か、姫松の真瀬…といったか」 由子「初めまして、なのよー」 菫「ふむ、これはいい。そこの二人、私と打たないか?」 京太郎「照に勝った俺をなめるな!受けて立つ!」 菫「君が照に勝った?笑わせてくれる、では早速始めようか!」っマシュマロ 菫「よろしく頼む」モグモグ 京太郎「よろしくお願いします」 おっさま「よろしくさん」 由子「じゃあ始めるのよー」 開局 おっさん「悪いな真瀬ちゃん、それロンや1000」 由子「はい、なのよー」 菫「…」モグモグ チラッ 京太郎(さっきからやたら弘世さんに見られてる感じがする) 東2局 由子 24000 親 京太郎 25000 おっさま 26000 菫 25000 全員ノーテンのため流局→東3局へ 東3局 由子 24000 親 京太郎 25000 おっさま 26000 菫 25000 全員ノーテンのため流局→東4局へ 東3局 由子 24000 京太郎 25000 おっさま 26000 親 菫 25000 菫(ようやく張れたか…よし) 【シャープシュート】 標的:京太郎 京太郎(なんだこの殺気は…!) 菫「ロン(物理)」 京太郎「は……!?」 東4局 由子 24000 京太郎 13000 おっさま 26000 親 菫 37000 京太郎「ここで一気に取り返す!」 おっさま「お、いい威勢やな」 京太郎「それです!ロン!」 菫(私の親がががが)ポロッ 由子「マシュマロが卓に落ちたのよー」 【店長の権限】 対象:菫のマシュマロ おっさま「おい姉ちゃん、さっきから黙っとったけどいい加減それ食いながら麻雀するのやめーや」ゴッ 菫「」ジワッ 南1局 親 由子 24000 京太郎 21300 おっさま 17700 菫 37000 おっさま「真瀬ちゃん、それロンや」 おっさま「ワイもそうやすやすと取られとるわけやないんやで」 京太郎「で、点数は?」 おっさま「2000や」 ズコー 菫(これが本場大阪のノリというものか) 南2局 由子 22000 親 京太郎 21300 おっさま 19700 菫 37000 京太郎「今度は流さねえ!」 京太郎「ツモ!6000オール!」 菫「なん…だと?」 南2局1本場 由子 16000 親 京太郎 39300 おっさま 13700 菫 31000 由子「そろそろ混ぜるのよー」 由子「ツモ、8100・16100なのよー」 京太郎「え?」 おっさま「ちょっと待って、え?」 菫「」ジワッ 由子「緑一色なのよー」ドヤ 南3局 由子 48300 京太郎 23200 親 おっさま 5600 菫 22900 京太郎とおっさまが同コンマのため流局 南3局1本場 由子 47300 京太郎 22200 親 おっさま 8600 菫 21900 菫(うぅ…マシュマロがないと駄目だ…) 京太郎「ロン!16300!」 菫「」ウルウル オーラス 由子 47300 京太郎 38500 おっさま 8600 親 菫 5600 由子「このまま逃げ切るのよー」 由子「ロン、1000なのよー」 終局 1位 由子 48300 2位 京太郎 37500 3位 おっさま 8600 4位 菫 5600 由子「お疲れ様なのよー」 おっさま「お疲れ様やでー」 京太郎「お疲れ様でした」 菫「お疲れ様でした…」 京太郎「じゃあ俺はそろそろ昼休みなので抜けますね」 おっさま「ういー」 菫「なあ、君」 京太郎「俺のことですか?」 菫「君、名前は?」 京太郎「俺は三箇牧高校麻雀部一年の須賀京太郎です」 菫「そうか、須賀か…覚えておくよ」 菫「それと…これを渡す。私の連絡先だ、いつか私がここに来たときにまた打とう」 京太郎「わかりました、ありがとうございます!」 菫「それでは私は行くよ、じゃあな」 由子「ありがとうございました、なのよー」 京太郎「昼休みも終わったし、午後も頑張っていこう!」 由子「おう、なのよー!」 カランコロン 京太郎「いらっしゃいませー」 怜「いらっしゃいましたでー」 京怜「「あ」」 京太郎「園城寺さんじゃないですか!」 怜「須賀君やないか!」 由子「あれ?2人は知り合いなの?」 怜「ふっふっふ、私は須賀君の腕の中で寝た女なんやで」 由子「それは本当なの?」 京太郎「少なくとも真瀬さんが想像しているものとは程遠いものですが、一応本当です」 怜「実はな……」カクカクシカジカ 由子「なるほど…なのよー」 怜「あのときの須賀君はかっこよかったなー」 怜「せやった、これ私の連絡先や」 京太郎「あ、どうも」 怜「それでや、須賀君、由子、私と打たへん?」 京太郎「はい、よろこんで!」 由子「こちらこそ、なのよー」 怜「よっしゃ!」 怜「ほなよろしく~」 京太郎「よろしくです~」 おっさま「よろしくやで~」 由子(この空間はなんなのよー) 開局 京太郎「ツモ!3200オール!」 怜「やっぱり中々やるなー」 東1局1本場 親 京太郎 34600 南 おっさま 21800 西 怜 21800 北 由子 21800 怜「とにかくこの流れを止めるわ」 怜「ロン、1300や」 おっさま「ほいほい」 東2局 京太郎 34600 親 おっさま 20500 怜 23100 由子 21800 京太郎「親は流されたけど!まだまだ行くぜ!」 おっさま「ロン、9600や」 京太郎「Oh…」 東2局1本場 京太郎 34600 親 おっさま 31100 怜 23100 由子 12200 怜(またつかわせてもらうわ) 【先読み】発動! 跳満から4段階下降で3900。したがって おっさま(お、ひっかかったわ) 【蜘蛛の巣】発動! 京太郎「リーチ!」 おっさま「通らんわ、ロン、6100や」 東2局2本場 京太郎 28500 親 おっさま 37200 怜 23100 由子 12200 京太郎「ロン、8600です!」 由子「役満和了ってから調子が出ないのよー」 東3局 京太郎 37100 親 おっさま 37200 怜 23100 由子 3600 怜(この勝負は終わらせない、最後まで、続ける!)キィィィィン 【先読み】発動! 満貫から4段階下降の2000 京太郎「ロン、2000です」 東4局 京太郎 39100 おっさま 37200 怜 23100 親 由子 1600 怜(ようやく和了れるわ) 【先読み】発動せず! 怜「ロン、2000や」 終局 京太郎 39100 おっさま 37200 怜 25100 親 由子 -400 京太郎「おつかれさまでした」 おっさま「おつかれやでー」 由子「おつかれなのよ…」 怜「おつかれさま…」ハァハァ 京太郎「大丈夫ですか?」 怜「ああ、まあ大丈夫や。須賀君と打てて楽しかったで、ありがとな」 京太郎「いえいえこちらこそ、ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」 おっさま「おー、須賀ちゃんも言うようになったなー」 由子(やっぱり蚊帳の外なのよー) おっさま「これが今日の分のバイト代や」 京太郎「ありがとうございます!」 おっさま「礼を言うのはこっちや、初めてなのによう働いてくれたわ。ほいじゃ、おつかれさん」 京太郎「おつかれさまでした」 京太郎「さて、このあとはどうしようか」 京太郎「金も入ったし買い物に行くか」 京太郎「スーパーに行くか」 商品リスト 1.プリン 70円 2.マシュマロ 70円 3.かりんとう 70円 4.ポッキー 70円 5.プロ麻雀せんべい 70円 6.WEEKLY 麻雀 TODAY 650円 7.ティッシュ 400円 8.自由 京太郎「こんくらいでいいか」 プリン 食べると調子up ポッキー 誰かの部屋に行くときに持っていくと好感度up プロ麻雀せんべい 当たった大人キャラに、街に行くと会えるようになる かりんとう 使用してから1週間コンマ下一桁判定のとき+1、2桁判定のとき+10 マシュマロ 対局前に使用選択、対局中雀力×1.5 ティッシュ ハッスルの成功率が上がる、使用可能回数5回 WEEKLY 麻雀 TODAY 1回しか読めません。 無条件で雀力up 買い物をした! 京太郎「夜は何をしようか」 京太郎「エイスリンさんと勉強しようと思ったけど、流石にこんな時間に会いに行くのは迷惑だろうからやめた!」」 【4月第4週 休日】終
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《初顔合わせ》 京太郎「あー……あのさ」 京太郎母「何?どうしたの?あ、もしかしてお祝いどこ行くか気になるの?」 京太郎「そうじゃないけどさ」 京太郎母「そんな気にしなくてもいいわよ!ちょっとコース予約しただけだから」 京太郎「どこ行くのさ!?」 京太郎母「だってインターハイ優勝よ?これぐらいしなくちゃ。あ、お父さんもちゃんと来るから安心して」 京太郎「って、それはどうでもいいんだけどさ……ちょっと話したいことが」 京太郎母「何?」 京太郎「彼女に会わせたいんだけど……」 京太郎母「…………」 京太郎母「あ、もしもし、先ほど予約させていただきました須賀ですけど……はい、先ほどは三人って言ったんですけど、四人でも……はい、大丈夫ですか。よろしくお願いします」 京太郎(何も聞かずにいきなり食事の席に座らせるのか……) ───────── ────── ─── 京太郎「大丈夫?理沙さん」 理沙「…………」 京太郎母「あら、ごめんなさい、遅れちゃって。えっと……理沙さんってよんでもよろしかった?」 理沙「!?」 京太郎父「おい、失礼だぞ。すみません、京太郎父です。いつも息子がお世話になってます」 理沙「……っ!」 京太郎「はい、ストップ。理沙さん人見知り激しいから落ち着いて」 理沙「だ、大丈夫!」プンスコ 京太郎「嘘。びっくりして上手く喋れてないし、手震えてるし、目泳いでるし、頬ふくらんでるし」 理沙「」シュン 京太郎「とりあえず、入ろう。こんなところで立ち止まってても仕方ないし」 京太郎母「お父さん、見て見て!京太郎ったら偉そうよ」マー 京太郎父「仕方ないだろ、母さん。京太郎だってかっこつけたい年頃なんだ」 京太郎「い・い・か・ら、入れーーっ!!!」 京太郎母「それで、私今気付いちゃったんだけど、野依プロじゃない?雀士の」 京太郎父「おお!テレビで何回も見たことあると思った」ポン 京太郎母「ちょちょ!なんで話さなかったのよ!」 京太郎「聞かれなかったし、ていうか話す前にホテルに帰っちゃったし会った時でいいかなって」 理沙「…………っ!ぇ、えと……ふ、不束者ですがよろしくお願いします!」 京太郎「なんか色々早いよ!挨拶すらしてないから!!」 理沙「!?」ワタワタ 京太郎母「あら、テレビで見たとおりの性格だわ」 京太郎父「うむ、むしろ想像以上だな」 理沙「……す、すみま「カワイイ~!!」!?」 京太郎母「すっごく可愛いわねー。娘にしたいくらい」 京太郎父「娘同然になるんだよ、母さん」 京太郎母「あら、そうだったわー」オッホッホ 理沙「!?!?」 京太郎(駄目だ、止まんないよ、この馬鹿親) 京太郎「ていうかまだ結婚出来ないから」 京太郎母「あら、そうだったわね。ごめんなさいねー理沙ちゃん。この子早生まれだから一年と半年も待たせちゃうわ」 京太郎父「甲斐性のないやつだ」 京太郎「え?俺の所為?ちがくね?」 京太郎「ていうかいいの?自分で言うのなんだけど結構歳離れてるし、ていうか俺が働きはじめてからちょっと経ってからのがいいと思うんだけど」 京太郎父「俺の知り合いなんか二十離れてるのに結婚したし問題無い。金が心配なら支度金をいくらでもやる」 京太郎母「年の差なんてわかってて付き合ってるんじゃないの?」 京太郎「そうだけどさ」 京太郎母「それに、もう決めてるんでしょ。なら私達から言うことは何もないわ」 京太郎「母さん……!」 京太郎母「それにこんなに可愛い娘が出来るのよ!反対するわけないじゃない!理沙ちゃん、後で買い物しましょう!」ハァハァ 理沙「!?!?!?」 京太郎「母さん……」 ───────── ────── ─── 京太郎母「それじゃぁーね~」フリフリ 京太郎「……大丈夫?」 理沙「…………」コクリ 京太郎「まったく、あの二人は……」 理沙「……良い両親」 京太郎「あんなに振り回されてたのに?」 理沙「よろしくって」 理沙「頑張りすぎるからって」 理沙「……よくわかってる」 京太郎「……」 理沙「今日は泊まる。だから……」 ギュ 理沙「帰ろう」 京太郎「……うん。一緒に帰ろう」 カン!