約 3,690,715 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4435.html
【白糸台麻雀部】 淡「ロンー!跳満12000点!!」 モブ「アイター、と、跳んだ……」 淡「アハハ!今回も私が一番ー!」 モブ「半荘五回連続トップとか……」 モブ「今日も絶好調ですね、大星さん」 淡「うん!なんか今日は流れが来てるね。テルーにだって負けないよ」 照「ふーん……じゃあ、やってみる?」 淡「いいよ、打とうか!えっと、それじゃあ残り二人は……」 モブ「もうやめて、私達のライフはゼロですよ!?」 モブ「いやぁー……宮永先輩と大星さんが同卓じゃ東場すら耐えられる自信がないぃぃ……!」 淡「跳んだっていいじゃない、麻雀だもの」(キリッ 照「確かに」 モブ「な、なにか話を反らさないと……」 モブ「そ、そうだ、コレよ!」 モブ「それは……!」 モブ「そ、そーいえば宮永先輩、大星さん、二人とももうこれは読みました?」 照「ウィークリー麻雀TODAY?」 淡「うん、読んだけど?」 モブ「じゃ、じゃあじゃあココ読みました?ココ!?」 モブ「長野の県予選で優勝した男の子の記事、なんかこーいうのって気になりますよねー」 照「…………」 淡「あー見た見た、その記事。面白いことしてるよね!」 モブ「ですよね、ですよね!麻雀強くなって女の子に振り向いてもらおう、って必死なとこ、何だかカワイイですよね」 モブ「こんな風に一途に思われてみたいなー、私も」 モブ「宮永先輩と大星さんはこの人、どう思います?」 照「(長野に住んでるのは、少し気になるけど)特に何も……」 淡「一途なのはいいけどー、会ったことない人にこんなこと言われても困るよねー。正直、ストーカーみたいじゃない?」 モブ「いやいや、そういう考え方もあるかもしれませんけど、女の子ならこういう一途な人に好きになってもらうのは一種のステータス、乙女の嗜みって奴ですよ!」 モブ「そうですよ。特に照先輩や大星さんは雑誌とかテレビで出たこともあるし、やっぱりこの人――須賀京太郎君の想い人の可能性は高いですって!」 照「…………そんなこと急に言われても、困る」 淡「わ、照ーもしかして照れてる~?」 照「照れてない、なんとも思ってないし」 淡「そーかそーかー!」 菫「――――あいつらは何の話をしているんだ?」 誠子「さあ……」 尭深「あそこだけ、世界が華やか」(ズズッ 菫「いやいや、私達も華やかだから」 誠子「女子高生っ……圧倒的女子高生の真っ只中だから……!」 尭深「…………女子高生らしさって、何だったっけ」(ズズッ 菫「ま、麻雀?」(目ソラシ 誠子「つ、釣り?」(目ソラシ 尭深「…………」(ズズッ 淡「じゃあねー、テルー!また明日~!」(フリフリッ 照「ん」(フリフリ… ――――そんでもって大星家 淡「ただいまー!」 大星母「おかーえりー。お弁当箱、洗うからさっさと出しちゃってー」 淡「ハーイ……あー、今日も楽しかった!テルーとは打てなかったけど……まあ、明日対局すればいいよね」(鞄ゴソゴソ 淡「あ、麻雀TODAY持って帰ってきちゃった……。まあいいか、部で買ってるやつだし、明日返せば問題ないよね」(ポイーッ 淡「お母さーん、私、部屋でネット麻雀してるからゴハンになったら呼んでねー」 大星母「はいはーい。呼ばれたらすぐ来れるように、東風戦にしとくのよー」 淡「え~……しょうがないなー、了解ー」(トタトタ 大星母「ホントに麻雀バカなんだから、あの子は……。アラ?なにこれ、ウィークリー麻雀TODAY……ああ、あの子とか、先輩の……是永ちゃん?だったかが載ったりしてる雑誌か」(×是永→○宮永 大星母「――――ふーん、よく分からないけど将棋とか囲碁みたいに定石があるのね、麻雀って」(パラパラ 大星母「あ、ここからはいろんな学校の生徒さんの特集記事か。フフ、澄まし顔で写ってるわね、あの子――――――――アラ?」 『心に秘めた熱き夢!届くか、少年雀士の想い!?長野県男子個人戦一位の心を射止めた少女はこの中にいる――――!!』 大星母「長野……須賀京太郎――――――――アラアラまあまあ♪」 大星母「淡ー、ちょっと淡~!」(オイデオイデ 淡「なーにー?私、いま忙しいんですけどー!」 大星母「今やってる対局終わったらでいいからこっちに来なさいー。オヤツにシュークリーム用意してたの、お母さん忘れてたのよー」 淡「シュークリームと聞いてっ」(シュパッ 大星母「現金な子ね、少し心配になるぐらい。ちょっとお茶も用意してくるから待っててねー」 淡「ハ~イ♪」(チョコン 大星母「はい、お待たせ」 淡「わーい、いただきまーす!」(モフモフ 大星母「……食べながらでいいんだけど淡、この子の記事ってもう読んだのかしら?」 淡「ウマウマ……んー?長野の男子個人戦優勝した人でしょ。なんか、好きな人に振り向いてもらいたいからガンバッター、っていうの」(マフマフ 大星母「そうそう、その子。お母さん、麻雀はよく分からないけど大会で一番になるのって、とっても大変なんでしょう?」(淡母がプロだとか元プロだか設定出たら終わるね、イッチ 淡「ん~、わっかんない。長野がどのくらいのレベルか知らないもん」(モキュモキュ 大星母「薄情な子ね~……まあしょうがないか、あなたアホの子だものね」 淡「アホじゃないよ!?ちょっと物忘れが激しかったりするだけだもん!!」 大星母「じゃあ鳥頭ね~」(ウフフ 淡「ぶー……なんでそんな意地悪なこと言うのよー」 大星母「だって、かわいそうじゃないこの子」(記事指差し 淡「………どーして?」 大星母「アラアラ、やっぱり完全に忘れ去ってるわね、この子ったら」 淡「もきゅ?」(二個目 大星母「ほら、あなたが小さかった時、長野に旅行にいったことがあるじゃない?」 淡「長野に旅行…………ん~、あったような、なかったような」(ンムム 大星母「まあ、小学校に入るか入らないかって頃だから、忘れてても仕方ないのかしらねー」 淡「あー…………そう言われると、なんか思い出してきたよーな。けっこー長い間、お泊まりしたっけ?」 大星母「そうそう、それよそれ。観光なんて一日で一通りやっちゃって、やることなくて暇だったから地元の散策するようになったじゃない。そこであなた、地元の子達の遊びに混ぜてもらったの、覚えてない?」 淡「――――それって、公園……?」(モグモグ 大星母「それよー。なんだ、あなたちゃんと昔のこと思い出せるんじゃない、お母さんビックリしちゃったわ」 淡「長野で……公園…………地元の子――――あれ?」 ――――おまえー、なにやってんのー? ――――みんな、わたしがしらない子だからまぜてあげないー、って…… ――――フーン……ちょっとこっちこいよ! ――――うきゃ……てーひっぱんないでよ……! ――――いいからいいから。オーイ、この子もまぜてイロオニやろーぜー! ――あー、すが君だー ――えー、その子しらない子じゃん。しらない子とあそんだらいけないんだよ ――――そんなの気にするヤツは「ちっちぇえな」って、このあいだ王様がいってたぜー ――王様がいってるならしょうがないね ――そーだね、王様のいうことはぜったいだもんね ――――ホラッ、みんないいってさ! ――――わ、わたしもいっしょにあそんでいいの? ――――だいじょーぶだって、ホラ、オニきめるからジャンケンするぞー! ――オー ――――お、おー ――――そういやおまえー、なまえなんつーの? ――――あ、あわい……おーほしあわい ――――フーン、オレはきょーたろうな、すがきょーたろう。よろしくなー 淡「――――――――アアァァァァァァァッ!?」 大星母「あら、ちゃーんと全部思い出したのかしら。この子のお陰であなた、遊びに混ぜてもらったのよねー。それから帰郷するまで毎日、公園に行ってついて回ってたんだから」(京太郎が関東から引っ越してても死ねるな、コレ 淡「え、ウソ……なに、ホントにこいつがアレなの、あのきょーたろう君!?」 大星母「長野で須賀って苗字は珍しかったはずだし、同じ子だと思うわよお母さんは」 淡「え、ええぇぇ~……」 大星母「それでホラ、明日東京に帰るからってみんなにバイバイしに行った時、あなた急に帰りたくないーって大泣きしだして~」(ニマニマ 淡「ちょっと、やめて思い出させないで……」(カァッ ――――ヤダヤダ、かえりたくないー!ムリならきょーたろうくんもつれてかえる~! ――――おまえどこのジャイアンだよ…… ――――だってー…… ――――ん~、しょーがねえなー。だったらおおきくなったら会いにいってやるよ、おれが ――――ホント……?とーきょーって、ここからずーっとずっととおくにあるんだよ? ――――まあ、なんとかなんだろー、タブンネ ――――それに、オウチがどこにあるかもしらないと迷子になっちゃうよ…… ――――ん~、そしたらさ、なんかゆーめいになっとけばいいんじゃないの? ――――わたしが……? ――――そうそう、それならどこにいてもわかりそうじゃん! ――――な、なにでゆーめいになったらいいのかな…… ――――そんなのしらねー、なんかかんがえてくれ。オレ、バカだからよくわかんねーもん ――――え、えぇ~……んっと、んーーーっと……そ、それじゃあ、マージャンは? ――――マージャンって、あのドンジャラのニセモノ? ――――ドンジャラがニセモノだよー……あれがつよいと、テレビにいっぱいうつれるし。わたし、じつはマージャンとくいなんだよ! ――――フーン、ドンジャラってマージャンのニセモノだったのか…… ――――ダ、ダメかな? ――――んー、まあいいんじゃねーの? ――――それじゃあ、やくそくしたからね!ウソついたら点棒100ぽん、のますからね! ――――おー、いいぜー。テンボーがなんなのかしらんけど 淡「……………………え、あれ?いろいろ思い出したのはいいんだけど、この流れでなんできょーたろう君が麻雀やってるわけ?」 大星母「ホントーにアホの子ねえ、あなた。ここにちゃんと書いてるじゃない……漫画ばかり読んでちゃダメよー?」 淡「ここって……」 だから、今言えるのは……自分もあんな風に真剣に、楽しそうに麻雀を打てるようになりたい……それだけです―――― 大星母「あなた、麻雀だけは一人前だもんねー。スゴイじゃない、自分の得意なことで男の子を必死にさせられるなんて♪」 淡「一人前どころか百人前だよ!」(フンゾリ 大星母「麻雀しか取り柄がないっていうのは、お母さんとしては心配なんだけど……まあ、しょーがないのかしら」 淡「アハハ、そっかー、きょーたろう君は私に会った時に恥ずかしくないよう麻雀強くなってるのか~!フッツーに会いに来てくれればいいのに、回りくどいことしてるな~、もう!」(ニヤニヤ 大星母「ついさっきまで、思い出を忘却の彼方に追いやってた子の言っていいことじゃないわねー」(ヤレヤレ 淡「よーし、なんかやる気出てきちゃったから私、もっ回ネット麻雀してくるね!さっき対局した【トーカ】っていうのが、ケッコー手強くてさ。最後まで振り込まないし、捲りにくるしで生意気だったの!」(プンスカ 大星母「ちゃんとご飯は食べにくるのよー」 淡「ハーイ!!」(ダダダッ 京太郎「――――ふえっくし!」 一「あれ、須賀くん風邪でもひいたの?」 純「っかしーな、ナントカは風邪ひかねーんじゃなかったっけ?」(ケラケラ 京太郎「酷いですねー……これはアレです、誰かが噂してるんですよ、噂」 衣「きっと、いつか相まみえる兵に違いないな!」 京太郎「だったら……望むところっ……」(ざわ… 衣「ククッ、その意気だぞ京たろー!」(ざわ…ざわ… 純「だからおめーら、そのざわ…ざわ…はやめろって」 透華「くーーーー、ムカツク、なんかムカツキますわ、さっきの相手!」 智紀「透華、どうかしたの?」 透華「どうもこうも!ネット麻雀で【あわあわ】とかいうのと対局したのですけど、最後他家を跳ばして私の四暗刻聴牌を台無しにしてくれましたのよ!?」 京太郎「あちゃあ、それは痛いですね」 透華「今度会ったらギャフンと言わせてやりますわ、ギャフンと!!」(ジタバタ 京太郎「ハハ、が、頑張ってください透華さん」 透華「ええ、もちろんですとも!だ、だからその時は応援よろしくですわ、京太郎!!」 京太郎「えー……俺が応援してもたいして変わりませんって」 一「須賀くん、そこは素直に任せてくださいって言うところだよ」 智紀「わかってない、乙女心」 衣「ダメダメだな、京たろーは!!」 純「おお、ダメダメだな。なんのことかよくわかんねーけど」 京太郎「皆ひどいっすね……」 ハギヨシ「――――皆さま、お食事の用意ができました」 京太郎「あ、もうそんな時間ですか?じゃあ、俺はそろそろお暇――」 ハギヨシ「もちろん、須賀様の分も用意してあります。どうか皆様と食事していってください」 透華「グッジョブですわ、ハギヨシ!!」 ハギヨシ「私、透華お嬢様の執事ですから」 そんでもって食事の時間―――― 一「そういえばさ、僕たちは小さい時から麻雀やってるわけだけど」(カチャカチャ 純「おー、なんだかんだで結構長いことやってるよな」(ガツガツ 智紀「私は……透華に外へ引っ張り出されてから」(チビチビ 一「ともきーはまあ、あれとして。須賀くんって高校になってから麻雀始めたんだよね、確か」 京太郎「ええ、そですね。周りで流行ってるのは知ってましたけど」(モグモグ 一「今時珍しいよねー。なんか切っ掛けでもあったの?こう、麻雀やってみようかなーって切っ掛け」 京太郎「んー……どうでしたかね」 京太郎(まさか、和が麻雀部に入るって優希と話してるの聞いて、同じ部なら近くでオモチを見れる――――なんて思った、とは言えねーな、言えねーよ) 京太郎「…………なんとなく、ですかね。麻雀でこう、新しい世界が開けるかも――みたいな?」 純「なんだよそりゃー」 一「男の子って、たまに変な理由で新しい趣味を見つけたりするよね~」 智紀「青春……?」 京太郎「そ、そこまで青臭いもんじゃないですけど……。そういえば俺、昔は麻雀ってドンジャラのパチモンだって思ってたんですよね」 衣「おお、絵合わせのゲームだな、知ってるぞ!」 透華「そ、それはさすがにどーかと思いますわ……」 京太郎「いや、まあ今思えばとんでもない勘違いなんですけど……そういや、誰だったっけ、ドンジャラが麻雀のニセモノだって教えてくれたの……?」 一「案外、将来の約束したかわいー女の子だったりして」(ケラケラ 透華「んな!ホントですの、京太郎!?」 京太郎「ハ、ハハ、そんな都合のいい思い出なんて……思い出…………ん?」 透一智純衣ハギ「――――――――え?」 京太郎「――――ナイデスヨ、タブン」 透一智純衣ハギ「そ、その間は何?」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4442.html
クリスマス当日 智美(サンタコス)「ワハハ、みんなー、サンタさんがプレゼント持ってきたぞー」 子供ABC「わーい!」 智美「こらー、ちゃんと順番通り並ばないとダメだぞー?」 京太郎(トナカイコス)「…………」 子供D「トナカイさんー、トナカイさんってなんて鳴くのー?」 京太郎(トナカイコス)「――――トナカイッ!」(野太い声で 子供D「ひっ……」(ビョク 智美「須賀君、いくらなんでもそれはヒドイぞー」(メッ 京太郎(トナカイコス)「痛いっ!?」 クリスマス三日前 京太郎「ハ……バイトの手伝いですか?俺が?」 智美「ワハハ、そうなんだな。幼稚園を訪問してプレゼント……まー、お菓子の詰め合わせなんだけと、それを配るアルバイトの人手が足りなくてなー」 京太郎「鶴賀の他の人には頼んだんですか?」 智美「ゆみちんやモモは一緒に出掛けるって言ってたし、佳織やむっきーは当日予定があるらしいぞ。ワハハ、みんな薄情だー」 京太郎「まあ仕方ないですよ、クリスマスといったら一年でも指折りのイベントですし。……それで、あの、なんでアルバイト手伝う話が俺に振られてるんでしょーか?」 智美「子供たちに配るお菓子を買ってた時に偶然、清澄の部長……元部長に会ってなー。手が足りないこと溢したら、荷物持ちに適任だって紹介してくれたぞー」 京太郎(またかっ、またあの人が原因なのか……!!) 智美「『須賀君のことだから、クリスマスは部屋でネット麻雀の大会にでも出て、最多跳び賞もらうぐらいしか予定ないから、誘っても無問題よ♪』って言ってたぞー」 京太郎「……本気でロッカーの中に押し込んで話つけてやろうか、あの人」 智美「ワハハ、なんでロッカーかはわかんないけど、犯罪臭がするから自重しといてほしいぞ……」 京太郎「まあ、元部長の言う通り、クリスマスの予定なんて何もないんですけどね……」 智美「ちょっと意外だなー、普通にモテそうな感じなのに」 京太郎「ハハハ、それを言うなら蒲原さんだって、元気があって可愛らしいからモテてそうですけど」 智美「ワ、ワハハ、私はほら、チンマイし女の子っぽくないから」 京太郎「いやいや、そんなことないですって」 智美「――――とっ、とにかく、クリスマスのアルバイトの手伝い頼んだぞー!」(ダダダ 京太郎「あっ!?蒲原さん……蒲原さーーーん!?」 京太郎(トナカイコス)(…………で、なんか流れに身を任せたら、トナカイのコスプレしてお菓子の詰まった袋を担ぐ羽目に) 智美(サンタコス)「よーし、あと一つで仕事は終わりだなー。おやつの時間に間に合わせなきゃだから、少し急ぐぞー?」 ―――ギャキキキキキキキッ! 京太郎(トナカイコス)(…………ゲキリュウニミヲマカセドウカスル)(ユクゾッ ――――そうして、頭文字にアルファベットが付きそうな智美のドラテクを堪能しつつ、子供たちにプレゼントを配り終えた京太郎を待っていたのは―…… 智美「…………須賀君、ちょっと時間いいかー?寄りたいとこがあるんだ」 京太郎「ええ、別に構いませんけど……?」 どこか思い詰めた表情の智美を不思議に感じながらも頷く。 比較的安全運転で連れていかれた寄りたいところは、鶴賀の近くにある小さな公園。 公園中央、ポツンといつ来るとも知れぬ子供を待つ錆の浮いた古い遊具が物悲しさを誘う。 智美「…………」 京太郎「あのー、蒲原さん……ここって」 風に揺られて、キイキイと寂しく歌うブランコの前。無言で立つ智美の背に、おそるおそる声を掛ける。 智美「昔、ここでよく一緒に遊んだ男の子がいたんだー」 京太郎「男の子ですか……」 智美「うん。ちっさい時の私って、嫌なことがあるとすぐに泣いちゃう子で、あの日もみんなに仲間外れにされてメソメソ泣いてたなー」 お前みたいな泣き虫はあっちいけ、と罵られ、石を投げられ。 ――――わたし、なにかわるいことしたのかなー……? ――引っ越してきたばかりで友達は一人もいなくて、だから誰かと仲良くなりたかった。 ――それなのに、どうしてこんな風にイジメられなきゃいけないのだろう。 智美「そんでなー、いつもみたいにメソメソ泣いてた私に声かけてくれたのが、さっき言った『男の子』だったんだ」 ――――よー、なんで泣いてんのー? 振り向いた先にいたのは、いかにもヤンチャそうな金髪の男の子。 この子も自分をイジメにきたのだろうか? ビクビクと怯える様子にバツが悪くなったのか、そっと差し出された飴玉。 ――――こ、これあげるから泣きやんで……泣くなよー。 智美「公園のベンチに座って、二人並んでアメ玉を食べてなー、それがすごく美味しくて笑った時に、その子が言ってくれたんだ……。『笑ってるほうがカワイイぜ。女の子の笑顔のマホーはさいきょうだ、っておとーさんもいってたし!』って……」 京太郎「………………あの、もしかしてそれって」 記憶がフラッシュバックする。 昔、住んでいた家の近くにある公園。 オヤツの飴をポケットに突っ込んで、遊び仲間を捜している途中に見つけた女の子―――― 京太郎「ぇ……ぇえええええっ!?」 智美「ワハハ、やっと思い出してくれたかー?これで完璧忘れられてたら、たぶん泣いてたなー」 十数年振りに『再会』できた喜びに、ほんの少しだけ涙を浮かべて、それでもかつて言われた通りに笑いながら、智美はずっと言いたかった台詞を口にする。 智美「須賀君……私と友達になってください!」 気恥ずかしさに頬を赤らめながら、真っ直ぐに彼を見て告げる。 それを目にしてしまったら、京太郎の出せる返事は一つしかなかった。 京太郎「――――ハイ、喜んで……!」 智美「…………ワハハ、ちょー嬉しいぞー」 ムニッと自分のニヤケ面を手のひらで挟む。 まさしく今、この瞬間、自分は最強の女の子の魔法を使えている。 一ミリの迷いもなく、そう信じることができた。 智美「せっかくの冬休みだし、このまま車で旅行にでもいかないかー?」 京太郎「おー……どこに行くんですか?」 智美「そーだなー……門仲にばーちゃんの家があるんだけどな、そこの離れを拠点にして東京見物っていうのはどうだー?」 京太郎「いいですね、楽しそうだ!」 智美「よーし、そうと決まれば全速前進だー!」 軽快なクラクションを一つ鳴らして、二人を乗せたワーゲンバスが走り出した―――― 一月、冬休み明け ゆみ「正月に蒲原から年賀状が届いたんだが……」 桃子「私のとこにも来たっすよ……」 佳織「ウチにもー……」 睦月「同じく……」 ゆみ「………………」 桃子「………………」 佳織「………………」 睦月「………………」 ゆみ桃佳睦月「どーして年賀状の写真に、蒲原(元部長さん)(智美ちゃん)(蒲原先輩)と須賀君(金髪さん)(須賀さん)が一緒に写ってるんだ(すか)(んですか)?」 ちなみに、この年賀状が元となり、一大抗争とも呼べる少女たちの争いが勃発するのだが、それはまた別の話。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4459.html
バレンタインデー二週間前……龍門渕邸 一「透華ー、食事の時間だよー。もうみんな食堂に集まってるんだけどー……透華ー?」(knock…knock… 透華「むー、こんなありきたりなものではなくて、もっとこう、私が贈るに相応しい高級感溢れるチョコはありませんの……?」(ブツブツ…パラパラ… 一「透華ー、いないのー……っているじゃないか。穴が開きそうなぐらい本睨んでなにして――――って、そっか、そういえばもーすぐバレンタインデーだったよねー」(ニヤニヤ 透華「はっ、一……!?あああなたっ、いつの間に私の部屋に入ってきたのですの!?」(ババッ…! 一「えー、僕ちゃんとノックしたよ?透華が気付かなかっただけじゃないかー」(ニヤニヤ 透華「うぐ……!」 一「あーぁ、バレンタインまでまだ二週間もあるっていうのに、そんなに必死にどんなチョコ贈るかで悩んじゃって……ヤレヤレ、須賀君は幸せ者だねー」 透華「うく、うぅぅ……」 一「まあ、そーいう悩みの相談は大歓迎だからさ。三人よれば文殊の知恵とか言うじゃない?僕たちにも、須賀君がびっくりするよーなチョコを作る手伝いさせてよ」 透華「一……あなた……」 一「恩人の恋路ぐらい応援してもいいでしょ、透華お嬢様?」 透華「…………一、あなたは……いいえ、あなたたちは私の友達!友達に恩人などと呼ばれる覚えはなくってよ?」 一「そりゃどーも。さ、ご飯だよご飯。急がないと衣が拗ねちゃう!」 透華「フフ、それは大変ですわね。急ぎますわよ、ついてらっしゃい、一!」 一「いや、透華を呼びに来た側なんだけどね、僕…………ま、いいけど」 『ハートを掴め勝利の鍵は完全手作りチョコレート・知られざる執事の苦悩』 そして、龍門渕での過酷なチョコ作りの日々が始まった…… ハギヨシ「ではお嬢様、まずはチョコを湯煎にかけて――――」 透華「湯洗……お湯の中に放り込めばよろしいのかしら?」(ドポポ 衣「鍋で煮とかした方が早いぞ、トーカ!」 透華「その手もありましたわね」 ハギヨシ「」 チョコ作りを知らない少女に一から教える…… その道のりは過酷を極めた…… ハギヨシ「で、では、次は溶かしたチョコの温度を下げてテンパリングに――――」 一「アチチ、もう少しパパっと温度冷まさないとダメなのかな?」 智紀「そんなこともあろうかと、扇風機と氷を用意しておいた……」 透華「さすがですわっ、智紀!」(バッシャー ハギヨシ「」 度重なる失敗を経て…… しかし、作業は進む…… ハギヨシ「そ、それでは次に飾り付けようのクーベルチョコの作製に入ります。まず人肌まで温めたシロップと水飴を混ぜたものに、先程テンパリングしたチョコを投入して練り合わせて――――」 衣「弾けて……混ざれぇ!」(バッシャー ハギヨシ「」 倒れても倒れても、その度に製作陣は立ち上がり…… ハギヨシ「仕上げに入ります。一日冷蔵庫で寝かせておいたものを」 透華「み、見当たりませんわよ?」 ハギヨシ「え?」 純「……ワリ、そこに入れてあったチョコ、食ったら不味かった?ちょびっと摘まむつもりが、めちゃくちゃ旨くてついさー」 透華「」 ハギヨシ「……お嬢様、さ、もう一度最初から頑張りましょう」 透華「あ、ありえませんわーーーー!?」 そんなこんなでバレンタインデーは刻一刻と近付いてきていた…… バレンタイン二日前……須賀家 京太郎「はあ、人数あわせに卓に入って打つ……それってアルバイトですか?」 ヒロ『ま、そんなとこだね。原田さんのとこの連中とこっち側、四四で打つって話になったんだけど、天さんの奥さん……二人目の方だけど、その人が急に産気づいちゃったらしくて……』 京太郎「いま、すごく変なこと聞いた気がするけどスルーして話進めると、俺が天さんの穴埋めで参加すればいいんですね」 ヒロ『うん。赤木さん、僕、京太郎君、それに岸辺さんっていう人を合わせて丁度四人。どうかな?バイト代は弾むけど……』 京太郎「……そんなの参加するに決まってるじゃないですか!」 ヒロ『はは、よかった。これで断られたら、本当に人数が足りなくなるところだったんだ。でも大丈夫?明日はバレンタインデーだけど、誰かと約束してたりしない?』 京太郎(あ、そういえば明日17時に龍門渕近くの公園に来てください、って透華さんからメール来てたな……) 京太郎「えーっと、その勝負ってどのくらいの時間やるんですか?」 ヒロ『うーん、まあさすがに明後日の夜までやることはないと思うけど……』 京太郎「そうですか…………じゃあ大丈夫です!」 ヒロ『わかった、それじゃあ明日の朝、京太郎君の家に迎えにいくから』 京太郎「はい!どこまで役に立てるかわっかんねーけど、俺なりに精一杯頑張ります!」 ヒロ『フフ、僕も赤木さんもその辺の心配はしてないよ……それじゃあ、おやすみ』 京太郎「あ、ヒロさんもおやすみなさい!」 京太郎「――――さー、明日は忙しくなりそうだぜ。俺、頑張ってくるからな、カーたん!」 カーたん「ぐー……(本当に行っても大丈夫?)」 京太郎「大丈夫、大丈夫!約束の時間までには終わる、ってヒロさんも言ってたし。さー、今日はさっさと風呂に入って寝ないとなー」 カーたん「クワー(知ーらないっと)」 ――――バレンタインデー当日 公園……15時22分 透華「フ、フッフ……私としたことが、少し早く着いてしまいましたわ。ま、まあ遅刻するよりは断然マシですし?むしろこれはレディーとして当たり前の行動という奴です!」(ドヤァ 透華「………………京太郎、早く来ないかしら」(ソワソワ 15時51分……とある料亭。 梅田「……悪いなぁ、兄ちゃん。それ当たりや。ロン!裏三枚で倍満や!」 京太郎「ぐ……!?」 大正「これでお互いの勝ち数が並んだの。サドンデス突入で決着は次の半荘に持ち越しや」 岸辺「あ、あんま気に病むなよ。片側の死んだバッタ待ちを見逃すなんて考えねえんだから……」 京太郎「………いえ、これは俺の不注意です。裏ドラを乗せる……そんな当たり前のことを失念していたから……」 岸辺「裏ドラを乗せる…………あぁっ!?ってことは、奴ら……!」(ざわ… 大正「……フフ、さてなんのことやら」 梅田「たまたまや、たまたま」 赤木「……ククッ、ケチな真似しやがる」 ヒロ「状況的に考えられたことですが……これは、痛い」 原田「……チッ、アホどもが」 赤木「どうした原田よ……これでお前の側にも勝ちの目が見えたんだぜ?」 原田「アホか。上客を楽しませるために中継しとる対局でサマなんぞやられて喜べるかっ」 ヒロ「学生だと侮った京太郎君に勝たれたら、あの人たちも今後、しのぎがやりにくくなる……だから」 赤木「――――ま、心配あんめえ。奴らだって次の半荘でサマを続けたらどうなるかぐれえ理解してるだろうし」 ヒロ「……次の半荘が正念場ですね」 原田「少し待ってろ……さっきの和了を不満に思ってる客たちを落ち着かせてくる。再開は十分後や」 京太郎(十分したら再開か。いま何時…………ヤベ、約束の時間まであと二時間ねえぞ) 京太郎「…………クソッ」(ギリッ… 大正「悪く思うなよ……こっちにも面子っちゅうもんがあるんや」 岸辺「ヘッ、学生相手にサマ使ったとこで丸潰れになってるよ」 梅田「安心せえ……次は最初から本気や。サマなんぞ使わずに、お前らまとめて叩き潰したる」 岸辺「んだと、てめえら虫のいいことばっか言いやがって……!」 京太郎(あまり時間をかけるわけにはいかないし……。ここは……あんまりやりたくないけど……) 京太郎「――――岸辺さん、言わせたいことを言わせておいてあげましょうよ。どうせ……次の半荘、勝つのは俺たちなんだから」(ニヤリ… 岸辺「お、おう……」 梅田「…………このガキ」 大正「あんまり調子に乗ってんなよ……」 京太郎「フフッ……どうしたんですか、切羽詰まった顔してますよ?」 京太郎(絶対に間に合わせてやる……!) ……公園 透華「遅いですわ……私との待ち合わせなのだから、一時間早く来るぐらいの甲斐性は見せて欲しいところですわね!」(プンスカ 透華「チョコは……うん、この気温なら溶ける心配なしですわね。――――クシュン!……フ、フフフ、京太郎の驚く顔が目に浮かびますわ!」(ニコニコ 現在の時刻……16時15分。 約束の時間まで…………あと四十五分。 京太郎「…………リーチ!」 梅田「リー棒は出さんでええぞ……その牌、ロンや!12000!!」 京太郎「ぐ、し、しまった……!」 南4局…… 親:梅田 ドラ:中 岸辺(なんでか知らねえけど、かなり焦ってんな。このままだと負ける可能性が高ぇ……。坊主の手は筒子の混一……待ちはたぶん1―4―7!勝負の内容はペアの収支……差し込みで一旦点数を平らにしてオーラスに賭ける――――!) 打:1筒 京太郎「…………!」 京太郎手牌:111234(5)6789p中中 大正「おどれ……!?」 岸辺(どうした、和了んねえのか坊主!) 京太郎「っ――――リーチ!!」 岸辺(なっ……バカヤローッ、意地張ってる場合か……!) 京太郎「確かに……もう時間も点棒の余裕もなくて、一秒でも早く、この対局を終わらせたいですけど……!」 京太郎「誰かに恵んでもらうような和了…………俺は、いらない!」 岸辺「……!」 赤木「ククッ……バカだな、京ちゃんは」 ヒロ「いやいや……」 原田「手本が悪すぎたからやろーが……」 京太郎「熱くっ、どこまでも真っ直ぐ……!それが、俺の……麻雀だっ――――!!」 梅田「……!?」 京太郎「……ツモ!!」 大正「こ、これって……」 111234(5)6789p中中中 京太郎「――――リーチ一発ツモ・中・混一・一通・ドラ3赤1……8000・16000」(ボッ…! 梅田「お、親っ被り……」 大正「ま……捲られた……」 京太郎「さあ……オーラスだ!」 ……そしてオーラス。 岸辺「ツモ……400・700。終わりだな」(ドヤァ 梅田「ぐおっ……ぐおっ……ぐお……!」 大正「じょうじじょじょじょーじじょぎぎぎぎ……!!」 京太郎「お、終わった……。そそそれじゃ俺、大事な用があるからもう行きますねっ……!?」 岸辺「あ、ああ、お疲れ……」 京太郎「岸辺さんも!赤木さん、ヒロさん、原田さん、さよなら!また今度!」 原田「あ、おい、急いでるならうちの者に送らせ……行っちまった」 ヒロ「約束の時間、聞いておいてあげればよかったですね……」 赤木「ククッ、まったくしょうがねえな……」 ヒロ「バイト代、今度持っていってあげないとなー」 ――16時55分 透華「まったく、京太郎ときたら。約束の時間の三十分前には到着するのが社会の常識という奴ですわよ!」 透華「ま、まあ、私、鬼ではありませんので時間ギリギリになっても怒るようなことはいたしませんが……。そ、それにしても遅いですわね……」 ―――17時07分 透華「私を待たせるなんて京太郎のくせに生意気ですわ!携帯にかけても留守番サービスにしか繋がりませんし……まったくもってあり得ませんわ!」 透華「うー……さ、さすがに少し寒くなってきましたわ。で、でも、まあ?もう十分ぐらいでしたら待ってあげないこともないですし、早く来いですわ京太郎!」 ――――17時39分 透華「………………まったく、遅すぎですわ。も、もしかして、事故かなにかに巻き込まれたのでは……ま、まあ、そんなはずないですわよね。もしそうだとすれば、今頃ハギヨシか一辺りが教えにきてくれてるでしょうし……。フ、フン、変な心配させるなんて許せませんわ!到着したら心の底からの謝罪を要求してあげます……!」 透華「本当に……どうして来てくださらないのですか、京太郎……。せっかく今日の日のために頑張ってチョコ、用意したのに……」 一「ねえ、ハギヨシさん、もうさ……」 ハギヨシ「帰宅を促したところで、お嬢様は聞き届けてくれないでしょう」 一「そりゃ、透華の頑固さはよく知ってるさ。でも、だからってさ……」 ハギヨシ「お嬢様が待つと決めてあそこにいる以上、私にできるのは、お嬢様と同じように必ず須賀さんは来ると信じることだけです……」 一「…………意外と融通が利かないなぁ、執事も」 ハギヨシ「はい。私、あくまで執事ですので」 一「あーもうっ、どこほっつき歩いてるのさ、須賀君は!」 ―――――17時52分 透華「きょ、今日はきっと都合が悪……かったのです、わ……。そ、そう、きっと外せない急用ができて……」(ジワ… 透華「わ、私ったら、すっかり舞い上がってて、そ……の、可能……性をまったく考えてなくて――――」(グシグシ 透華「――――――――ぅ……ふ、グス……」(ポロポロ 京太郎「い…………いた……っ、と、透華さ……ん!」 透華「――――京太郎……?」(グスン 京太郎「ゼヒッ……ゼヒッ……!ず……ず日ませんっ、こんなに遅く……なるとか――――ゼヒッ、げへっ、ガホッ……ォ、オエ……」(ドシャリ 透華「きょ、京太郎、大丈夫ですの?し、しっかりしてくださいまし……!」(オロサスオロサス 京太郎「エッホ……ウプ……と、透華さんの方こそ……ハァー……ハーッ……だ、ぃじょぶなんですか……?手……こんなに、冷たくなって……」(ギュ 透華「っ……だ……誰のせいだと思ってますの……?」 京太郎「一から……百まで、俺、のせいです……ゼー……ゼヒーッ」(ギュー 透華「そ、その通りですわっ……。あ、あんまりにも……遅い、から……私……私、もうここには来てくださらないかと―――」(ポロポロ 京太郎「わ、わっ、な、泣かないで、泣かないでください……」(オロオロ 透華「せっかくチョコを用意して待ってたのに、いつまで経っても京太郎は来ないし、だんだん寒くなってくるし、辺りも真っ暗で……気味悪かった……ですし……!」 京太郎「すみません……本当に……すみませんでした」(ダキッ 透華「ぅぅ……どうせどこかで麻雀でもしてたんでしょう……。そんなんじゃ、全然……グス……足りませんわ」(ギュー 京太郎「は、はい……」(ギューー 透華「……まだ、不十分です」(ギュギューー 京太郎「……はい」(ギュギュギュー 透華「京太郎……」(ジッ… 京太郎「ぅ…………ハ、ハイ――――」 一「んー……い、いちおー丸く収まった、のかな?」(テレ… ハギヨシ「お嬢様としてはそうなるかと」 一「でも、さすがに今回の須賀君のポカは看過できないものがあるよねー」 ハギヨシ「それについては、私も同意せざるを得ませんね」 一「あれ、ハギヨシさんにしては珍しく本音の窺える意見――――」 ハギヨシ「……ので、透華お嬢様が今度出席される立食パーティーに、須賀さんもエスコート役として参加していただくべきだと、大旦那様に具申してみようかと」 一「」 一(須賀君……君、どうやら一番本気にさせちゃいけない人を本気にさせちゃったみたいだよ……) 透華「…………京太郎」 京太郎「な……なんですか透華さん」 透華「――――私を泣かせた責任……ちゃんと取ってもらいますから。その……覚悟しておいてくださいまし!」 京太郎「ハ、ハハ……肝に命じておきます」 透華「………………そ、それはそれとしてきょ、京太郎、さ、さっきのをも、もう一度……ダ、ダメですか?」(テレテレ 京太郎「――――――――」 透華「そ、その、あ、味気なかったのでしたら、こ、ここにチョコもありますわよ……!?」 京太郎「お、落ち着いてください、なんか凄いこと口走ってますよ!?」 バレンタイン小ネタfinal 龍門渕透華編……カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4409.html
憩「ウッフッフッフー、京太郎君ーあーそーぼー♪」 京太郎「はーあーいー……って、反射的に返事しちゃいましたけど、気軽に遊びに来れる距離じゃないですよね!?」 憩「いやいやー、大阪―長野って結構遠いんねえー」(家入れて入れて 京太郎「なんでまた、こうもいきなり……」(招き招き 憩「そりゃあもちろん……京太郎君に会いたなったからやよー」(おおきにおおきに 京太郎「……………………」(絶句 憩「…………エヘヘヘヘへ」(テレ 京太郎「お、お茶淹れてくるんで、さ、先に部屋へどうぞ!」(テレレ 憩「はーい、お邪魔しますぅー♪」 京太郎「……ちくしょう、不意打ちすぎだぜ」 カーたん「?」(パコッ……パコッ……! 憩「うえっ、なんなんこの子…………ね、ネズミ?」 カーたん「……?」(フンスフンス 憩「ヒァ……ちょ、ちょっと、ゴメンやけどあんま引っ付いてこんといてーや……!」(逃げ逃げ カーたん「――――♪」(ククッ……鬼ごっこか、面白い……! 憩「だ、だからー、足に抱きついてこんといてーって……ちょ、やめ――――あっ!?」(本棚の本、倒壊! カーたん「!?」(パコッ……! 憩「あ、し、しもた、変に手ぇついたせいで本落ちてもうた…………んー?」 憩「なんやろ、この本、カバーと中身が違って――――」 えちぃ本「ほう……我が擬態を見破るか」 憩「お、おー……コレはあれかな、全国の思春期な男の子のマストアイテム……エ、エロ本」(まじまじ 憩「へー……ほー……ふーん……っ、こ、これはこれは……立派なオモチをお持ちで、なーんて―――」 京太郎「………………」(ジー 憩「………………あ」(カッ 京太郎「……………………ンッ、ンンッ!」(目そらし 憩「ぁ、あー……ゴメンなー、本落としてもうたんよー」(戻し戻し えちぃ本「さらば……また会おう」 京太郎「…………お茶、どうぞ」 憩「ど、どーもー」 京憩「………………」(カチコチ 憩「えーっと、ど、どの辺から?」 京太郎「ほー……ふーんの辺りから……です」 憩「そ、そうなんやー、アハ、アハハハッ!」 京太郎「意外と女の子も、あーいう本を食い入るように読んだりするんですね……」 憩「ちゃうねん!あれは不可抗力、そう不可抗力やってん!!」(アタフタ 京太郎「い、いやいや、大丈夫っ……大丈夫ですからっ……!あーいうのに興味を持つのは、俺達の年齢なら当然……!なんら非難されるいわれは……ないっ……!」(ざわ……ざわ…… 憩「そんな顔濃うしたシリアスモードで慰めてくれんでええからっ……!?」 憩「だ、だって……しゃーないやん、京太郎君ってど、どーいうシチュエーションとか……ぶ、ぷれい……が好きなんかなー、って……」(上目遣い 京太郎「ゴブフッ……!?」(茶を噴いた 京太郎「ぷ、ぷぷぷぷれい!?いきっ、いきなりなに言ってんですか!?」 憩「え?あ、いやー……テヘッ♪」(ポッ 京太郎(これは――――どう受け取ったらいいのかわかんねえー、まったくもってわっかんねえー……!)(モンモン 京太郎(誘われてる……まさかっ……!ちょっと気のありそうな言葉に心踊らせる……期待する……痩せた考えっ……!) 京太郎(いい加減、気付けっ……!世の中そうそう、エロゲやエロ本みたいな展開は望めないっ……!)(ざわ……ざわ……! 憩(………………危険牌切ったんやけどなー、見逃しかな今回は) 憩(山越し狙うんもありやし……今度はもうちょい際どい服で来たろうかな♪)(主にナース服など 荒川さん、実は策士説。 終われ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4440.html
………この世には、けして表沙汰にしてはならぬ戦いというものがある。 どんな非情な手段を使ってでも勝たなければならない、血で血を洗う醜い戦いだ。 冷やし透華「…………凍死(ロン)」 咲「そんな……私の嶺上開花が……!」 透華手牌:12312345678p西西9p 透華「リーチ・平和・一通・槍カン・一盃口・混一・ドラ……3で三倍満ですわ!」 咲「ぁ……ぁっ……!?」 例え悪魔と罵られ、魔王の謗りを受けようとも……。 久「狙い打ちだー!咲の十八番・嶺上開花を華麗に撃ち落としたぁーっ!」 まこ「他家が九筒ポンさせたの見てから染めに走って、よう間に合わせたの……」 和「しゅ、執念という奴ですね……」 優希「まるで、正ヒロインは自分だと主張するかのような和了りだったじょ」 まこ「なんにせよ決着じゃな」 久「そうね―――クリスマスの予定カップin長野!優勝は龍門渕透華さんー!」 「ゴメンね……京ちゃん、私負けちゃった……」 「病んでさえいなければ……コフッ」 「高校百年生なのにー……もー!」 「ちょお、なんで私の順が下がってんのよ……?」 (以下略) 透華「フ、フフ……勝った……私、勝ちましたわよ!」 死屍累々、名前さえ出ることなく消えていった少女達から選ばれたはずの少女が三人、膝をついて現実に打ちひしがれる中、真の勝者となった透華が高々と笑う。 透華「フフ、フ……オーホッホッホ!!これで聖夜に私と京太郎のデ……デートを邪魔する無粋な存在は現れませんわ……!これで、これなら……!」 赤木「ククッ……蚊帳の外、か」 天「おい、ひろ。今からでも遅くねえから、ちょっと女装してあいつらと打ってこようぜ」 ひろ「なに言ってんですか、アンタっ……!」 時は、全国の非リア充が、歯よ砕けよと呪詛を吐きながら、非現実の少女との逢瀬に走る十二月。(注:個人的な意見を言うなら推奨) 透華「覚悟なさいまし、京太郎……!聖夜の私は少々凶暴ですわよ!」 某少年とのクリスマスデート(非公認)の聖戦は、こんな感じで幕を開けた―――― 十二月二十四日・クリスマスイブ 京太郎「…………まさか、透華さんからクリスマスイブにデートのお誘いが来るなんて」 悲しいことに前日まで誰からも声がかからなかったロンリーボーイには嬉しいサプライズなんだけど。 一月ぐらい前から、一さんとかにクリスマスは予定開けとけって、耳にタコができるまで聞かされてのは……もしかしてこのため? 透華「お、遅いですわよ、京太郎!いま何時だと思ってますの!?」 京太郎「…………約束の時間の一時間前です」 透華「甘いですわ!私はさらにその一時間前からスタンバってましたわ!」 京太郎「二時間前からはさすがに早すぎですよ……。ああほら、指赤くなってるじゃないですか……」 透華「こ、このぐらい屁でもありませんわ……」 京太郎「ダーメーですっ、雀士の指は商売道具も同然なんですから!息ハーしてください、ハー」 透華「こ、子供扱いしないでくださいまし!」 京太郎「もー、衣さんみたいなこと言わないでくださいよ。しょうがないな、手貸してください」 ――――きゅむ 透華「……………………ふぁっ!?」 京太郎「ちょっと恥ずかしいですけど、こーやって手を繋いでたらその内、暖まりますよね」 透華「ぇ、ぁ……そ、その考え方、一理ありですわね……」 京太郎「…………と、とりあえず、どこに行きましょうか」 透華「で、では、最初はあっちの方にあるブティックを見に行きたい……です」 京太郎「かしこまりました、お嬢様」 透華「クス……ぶっちゃけ似合いませんわよ、その台詞?」 京太郎「ククッ……俺もそう思います」 それから一分後。 いちゃつくカップルの波を掻き分けるように歩く中で、赤くなった顔を俯かせて京太郎が音を上げた。 京太郎「………………勢いでやって、いま猛烈に後悔してるんですけど、も、もう離してもいい、ですか?」 透華「―――――」(ギュー 京太郎「………………」(ギュッ 透華「ふぁ……」(ビョクッ 京太郎「(押されるとダメなんだよな……)も、もー少ししたら逆の手も……握りましょうか……?」 透華「な、ナイスアイデア……ですねっ」 透華(なんというか……至福、そうっ、至福ですわこの状態!) 京太郎(うん、なんていうか……そう、すばらっな反応だなぁ……。なんか照れるぜ) ★「…………虫酸ダッシュ!」 子供「虫酸ダダッシュ!」 透華「そういえば京太郎、私、どうしても今日参加したいイベントが一つありました」 京太郎「え、どこですか?実は俺も、今日行ってみたいイベントが――――」 透華「あ、ホラ、あそこの雀荘です、アッシュフォード学園という、変わった名前の雀荘」 ――――雀荘『アッシュフォード学園』 初心者歓迎! サービス満点!! クリスマス大会、本日20:00時より開催!二名一組、優勝者には豪華賞品をプレゼント!!! ――――現在時刻、19:40分 京太郎「ぇ」 透華「ホ、ホラ、あそこのペア限定の麻雀大会。京太郎はああいうの好きそうだと思って私、ちょっと前から目をつけてましたのよ!」(フンス 京太郎「へ、へー、ペア限定の麻雀大会ですかー、それは面白そうだぜー」 京太郎(ヤッベー、予定が被った……) 透華「京太郎が参加したいイベントは何ですの?もし時間に余裕があるなら、ちょっと腕試しして……そ、その、二人で優勝しておおいに目立ってやりましょう!」 京太郎「あー、いや、俺の方はど、どーでもいいイベントなんでっ!こ、こっちの雀荘イベントの方を楽しみましょう、それがいいです、はい!」 透華「アラ、私、京太郎と一緒でしたら多少つまらなくても全然平気ですのに……」(ムー 京太郎(ゴハァッ……!こ、ここでこんな殺し文句出されても困る……!) 京太郎「え、えっと、じゃ、じゃあ、あそこのイベント終わった後に教えますから!ま、まずはあそこで一暴れしてやりましょうよ!」 透華「フフッ、もったいぶるなんていけずですわね。いいですわ、その内緒のイベントを励みに、にわかペア共にわ、私たちの息のあったプレイを見せつけてやりますわよ!」 京太郎「いや、通しはダメでしょう、フツーに考えて……」 そして次の次の日…… 一「…………健気だねえ、透華も」 智紀「相手の好みのイベントを用意しておく……あざとい」 純「つーかクリスマスのデートに雀荘行くなよ、お前ら……」 透華「ほ、放っておいてくださいまし!」 衣「それでそれで!イベントはどーなったんだ!?」 透華「フフン、私と京太郎のペアの前に敵などいませんでしたわ!そうして手にいれた優勝商品がこれ!ご覧なさい――――この、ぺ、ペア、ペアのリ、リングを……!」 一「そんな恥ずかしがることないじゃん……」 透華「で、ですが、知らない人がこれを見たら、その、私と京太郎の関係が一目瞭然ですし……」 智紀「変なとこで、ウブい」 純「まー、その辺がギャップ?とかいう奴なんじゃねーの。知らんけど」 衣「深慮策謀だな、トーカは!」 一「天然なとこあるからねー。全然これっぽっちも小悪魔タイプじゃないのに」 透華「天然ってどういう意味ですの?」 智紀「透華は知らなくて、いい」 純「人間、細かいことは気にしない方がいいもんな」 一「そーそー。あ、それで雀荘のイベントで大暴れしたのは分かったけど、その後はどしたの?須賀君が参加しようと思ってたイベントってなんだったの?」 透華「――――――そ、それは……」(ポッ 智紀「意味深な……顔赤らめ……」 純「おいおい、まさかの爆弾発言はやめろよ?」 透華「ぁ、ぁの、ですね……雀荘のイベントに参加したせいで、京太郎が行きたかったイベントはもう終わってしまったということで……ぇ、えっと……その―――」(ゴニョゴニョ 衣「お、おお、まさか透華……大人の階段を登ったのか!」 一「い、いやいや、まさか……。須賀君だよ?いくらクリスマスだからって、早々奇跡は起こらない―――」 透華「せ、せっかくだし、い、家に来ませんか……と、しょ、招待されて……その、い、一夜を―――」 一「き、奇跡が起きた!?」 智紀「そ、その時の内容を詳しく!」 透華「こ、これ以上は……い、言えませんわ!」 純「……ハギヨシに赤飯頼んだ方がいいのかね、これ?」 衣「ウム!念願成就のお祝いだな!龍門渕は今後も安泰間違いなしだ!」 透華(え、ええ、言えるわけありませんわ!京太郎だけじゃなく、京太郎のお、お父様とお母様に紹介された後、楽しく団欒して過ごしただなんて……!) この時、透華が変に思わせ振りなことを言ったせいで誤解が誤解を生み、龍門渕を挙げての記念祭が開かれたり、そのことが麻雀TODAYに取り上げられて、とある少年の身に本格的に危機が迫るのだが…………それはまた別のお話。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4429.html
久「というわけで、須賀君が小さなオッパイ……オモチが大好きな子だったら、どうなってたのかしら?」 まこ「なにが『というわけ』なんじゃ?」 和「脈絡がなさすぎて反応に困ります」 久「アハハ、そー言わずにさ、ちょっと考えてみましょうよ」 咲「小さなオモチが好きなんて言う京ちゃん、私の想像力じゃちょっと……」(ジー まこ「ほうじゃのう……」(ジー 和「ちょ、ちょっと、どうして宮永さんも染谷先輩もこっち……っていうか、私の胸を見るんですか!?」 久「まー、和のを見てたら須賀君が虜になる気持ちも分からなくはないけどねー」 和「と、虜って……」 咲「――――――――いいな」(ペタペタ まこ「咲、自分のと和の胸を比較するんはやめとけ、虚しくなるだけじゃ」 咲「ハイ……」 久「なに食べたらそんなに大きくなるのかしらね~」 まこ「一応、わしらも女じゃからのー、気になるっちゃなる」 咲「は、原村さん……ぜひご教授を!」 和「宮永さん、必死すぎて怖いですよ……」 咲「だ、だって……なにかっていうと京ちゃん、『やっぱり大きなオモチが一番だぜ』とか、『和にオモチが備わり最強に見える』ってよく言ってるから」 まこ「ホンマにあいつは何を言っとるんじゃ」 久「案外、変な契約でも結んでるんじゃない?胸のない子とフラグが立つけど、大きなオモチ好きでい続けないとおけない……とか」 咲「ち、小さいけどなくはないですよ!?ちょっと、ちょっとはありますから!!」 久「あれ~?別に私、咲のこと胸がないとは言ってないけど?」(ニヤニヤ まこ「わかりやすい反応じゃのう……」 咲「え……いや、な、なんのことですか?アハハー……!」 和「宮永さん、いくらなんでもそれは無理がありますよ」 咲「――――あうぅ……」 和「あまり胸のことばかり言われるのは、あまりいい気はしないですけど……」 まこ「けど、なんじゃ?」 和「須賀君が小さなオモチ好きだと、それはそれで問題なような」 まこ「どういう意味じゃ?」 和「いえ……須賀君と親しくなる子って、基本的に――――」 優希「主役は遅れて到着だじぇー!タコスパワーフルチャージの私を止められるかな、みんな!?」 京太郎「もうちょっと静かに入れよな……。あ、もう打ち始めちゃってんの?それじゃ、俺はいつも通りネット麻雀でもしようかなー」 優希「お、京太郎はネト麻するのか?よし、なら優希ちゃんがお前に一手指南してやるじぇー!」(体ヒッツケ 京太郎「いやいや、やめとけって。お前みたいな奴がこの世界知っちまったら、二度と牌に触れなくなるから」 優希「なんだと!?ネット麻雀界はそんなにも修羅の国なのか!」(ベタベタ 京太郎「ちゅーか、暑苦しいからあんまひっつくんじゃねー」 和「…………あんな感じですし」 久「あー……」 まこ「アレに欲情するタイプなら、いろいろと大変なことになっとるのう、確実に」 久「需要と供給が釣り合わないのは世の常ってことねー」 咲「…………うぅ、どうして私の胸ってこんなに中途半端なのかなぁ」 終われ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4413.html
アナウンサー「――――それでは、清澄高校・須賀選手に優勝したことについてのコメントを頂きたいと思います!」 京太郎「え、あ、は、はは、はい、その……や……やってやったぜ、って感じです、ええ……」(カチコチ アナウンサー「おや、対局中の自信溢れる様子からは想像できないぐらい緊張してますねー」 京太郎「す、すみませんっ……」 アナウンサー「いえいえー、これも一種のギャップ萌えで受けがいいと思いますよ」 アナウンサー「聞けば須賀選手、麻雀を始めてまだ半年程度とか。それでこれだけの結果を残せたのには、何か理由があるのでは……!?」 京太郎「…………そうっすね」 アナウンサー「も、もしよければ教えておただけませんか!?」(スクープ!盛り上がる! 京太郎「友人に……伝えたったんです。『俺はあなたのことが大切です』、って!」(キリッ 会場「ざわ…… ざわ……」 アナウンサー「お、おお……思いの外、お熱いコメントいただきました!この言葉を送られた人は幸せ者ですね!」 京太郎「は、はあ……?」 妙にテンションの上がったアナウンサーに首を傾げる。 後で振り返ってみれば、この時の彼はまだ幸せだったのだろう。 アナウンサー「しかし、伝えたった……アハハ、少し噛んじゃいましたね」 京太郎「――ス、スミマセン」(カァッ アナウンサー「まあ、緊張しちゃうのも無理ないですよね」 恥じ入る京太郎に苦笑を浮かべ、アナウンサーがフォローの言葉を口にする。 アナウンサー「流石に日本全国に放送されてる中での告白ですし」 京太郎「――――――――ハ?」 アナウンサーの言葉に目を丸くする。 アナウンサー「県予選レベルまでいけば、民営放送や動画で視聴できますからね!きっと須賀選手の言葉は届いていますよ!!」 京太郎「え?あれ……ちょっと待って――――」 アナウンサー「ではっ、これにて優勝者インタビューを終了したいと思いまーーーーすッ!」 図らずとも全国に向けて京太郎が発してしまった意味深なコメント。 それはまず会場にいた少女達に、さらに長野県の県予選に関心を寄せていた人物――達へと届く……届いてしまった。 透華「……………………!!」 一「とーか、大丈夫~?」 透華「ちょっ、ちょ……ちょっと……そっとしといてくださいませんか!?」 一「目立ってなんぼな透華が、顔覆ってしゃがみ込んじゃってるよ……須賀くん、これで責任取らなかったら犯罪だよコレ」 透華(た、大切です……?俺はあなたのことが大切ですって……それって、それってどう考えても―――!!) 透華(あ、ダ、ダメ、まだ早いですわ……!いくら両想いになれるからといって、あっさり受け入れては品位が疑われてしまいますし……!) 咲「俺は……あなたのことが大切です――――アハ、ハハ……そ、そんな風に言われたら……て、照れちゃうよ」 和(宮永さん……ここ数日、精彩を欠いていましたが、復活したようですね) 咲「よーし……京ちゃんの応援は終わったし、県予選女子の部がんばろうね、原村さん!」 和「――――ハイ!!」 優希「おー、だじぇ!」 まこ「とりあえず、やる気が出たんはええことかのう?」 久「後が怖いけど、とりあえず今は県予選を突破することを考えるべきよね」(キリッ まこ「面倒ごとはゴメンじゃいうとるんはよく分かった……」 ―――大阪 京太郎『伝えたったんです。「俺はあなたのことが大切です」、って!』(キリッ 怜「――――ゴホォッ……!」 竜華「と、怜……!?怜ぃぃぃぃぃィッ!?」 浩子「ああ、園城寺先輩がおっ立てた立直棒が真っ二つに折れてもうた……!」 泉「いや、そこは今驚く場所ちゃいますて!?」 セーラ「アカン、怜が……怜が血ぃ吐いて倒れてもうた――――って、これ鼻血かーーーーい!?」 怜「京ちゃん……アカンで……。こ、こんな全国ん人が見とる中でそんなん言うたら、て、照れてまうやん……」(エヘヘ 浩子「まあ、これ以上ない熱烈な告白でしたけど……たぶん意図してのもんちゃうん思うのうちだけでしょーか?」 泉「あ、実は私も……」 セーラ「ゴメン、俺もや」 竜華「…………怜には悪いけど、うちも」 ――――同大阪 京太郎『伝えたったんです。「俺はあなたのことが大切です」、って!』(キリッ 郁乃「やぁん、いくらなんでも日本中の人が見てるかもしれんとこでは……」(テレモジ 漫「うはあ、監督がなんかクネクネしとる……」 由子「須賀君のこと気に入ってたしなあ、しゃあないのよー」 漫「丁度、愛宕先輩とかが買い物に行ってたんが不幸中の幸いかも」 由子「主将とかおったら大騒ぎだったのよー。ねえ、大将…………大将?」 恭子「――――――――」(ドンッ……! 漫「す、末原先輩……仁王立ちの姿勢で固まってもうてる――――!?」 恭子「ぇ、ぁぅぁ……あ、ひゃう……?」(ガクブル 漫「ああー、これは『俺はあなたのことが大切です』発言を頭が処理しきれてないっぽいのよー」 由子「バンカラスタイルの仁王立ちで真っ赤な顔と涙目って新し過ぎるのよー」 郁乃「末原ちゃ~ん、須賀君が県予選で優勝したお祝いにえっちぃ写真でも撮って送ったろうや~♪」 恭子「へ……ぇ、な、なんで私なんですか……?」(ウルウル 郁乃「そんなん決まっとるやん~、次会った時にガッツリいくためやよ~」(ニッコニッコ 恭子「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~……」(ズルズル 絹恵「お姉ちゃん~、なにしてんの早よ戻らな練習できへんでー」 洋榎「お、おー……!」 絹恵「もー、携帯で動画見ながら歩いたら危ないで、お姉ちゃん」 絹恵「っちゅーか、なんか顔赤いで。も、もしかして風邪ひいたん!?」 洋榎「だ、大丈夫、大丈夫やよ絹……心配せんでええからっ!」 絹恵「んー……ホンマに?」 洋榎「ホンマホンマ」 洋榎(『伝えたったんです。「俺はあなたのことが大切です」、って!』……肝心なとこで噛んでんとちゃうわ、アホ……)(ニマニマ 絹恵(なんかお姉ちゃん、ええことあったんかなー?) 波及する。 やえ「フ、フッフ……これだからにわかは話にならんよ……!」 下級生(小走先輩、なんか腕組みながら真っ赤になってる……) 京太郎の不用意な全国に向けての発言が問題を波及させていく。 咏「おほー、言ってくれるねー♪」 えり「ちょっと三尋木プロ、解説中に動画見ないでくださいよ……!」 咏「いいじゃん別に~。こっちは今、年下の少年にあっつい告白されたとこだぜ」 えり「そ、そうですか、よかったですね……」(イラァ 健夜「ぅ、うあー……うあー……!」(ゴロンゴロン 恒子「なんか悶えてんねー、すこやん。なーんかいいことあったの?」(ジー 健夜「うわっ、いつの間に部屋に!?べ、別に、こーこちゃんにはあまり関係ないから……」 健夜(動画越しにだけど、あなたが大切ですなんて告白されちゃったなんて言えないよ……) 恒子「ふーん?あ、これは……長野の県予選!さっすがアラフォー、オフの日でも麻雀以外興味なし!」(ジジー 健夜「アラサーだよ!!……って、あの、こーこちゃん、その手に持ったカメラは何?」 恒子「あ、コレ?ちょっと『今日のすこやん』って企画に使う映像がほしくって。休みの日に、ベッドの上で長野の県予選の男子!個人戦見ながらモゾモゾモジモジ怪しい動きをしてる小鍛治プロの様子を記録――」(ジジジー 健夜「いつから撮ってたの!?」 恒子「え、男子個人戦決勝の東3局辺りから特定の子を応援――――」(ジジジノジー 健夜「――――」(ガッ!! 恒子「うお……力強――――って、これもしかして本気ッ!?」(グググッ ひろゆき「…………なんていうか、コレは荒れますね」(苦笑 天「本当になにやってんだろうな、あの坊主は……」(呆れ 赤木「ククッ……注意散漫だぜ、京ちゃん」 ひろゆき「赤木さん……楽しんでますね」(ヒソヒソ 天「最近、暇だ暇だ言いまくってたからな……」(ボソボソ 赤木「そういえばひろ、今日はどっかに用事があるんだろ」 ひろゆき「ええ、プロ麻雀せんべいのプロモーションカード用の写真撮影です」 天「まさか、俺達にまで声がかかるとはなあ」 ひろゆき「まあ、大沼プロや僧我さんなんかに『お前らもやれっ……!』てお願いされましたし」 天「いやあ、ありゃ脅迫だったろ……。ったく、若いねーちゃんにも人気なひろならまだしもよー」(頭痛 ひろゆき「ハハハ……天さん達だって根強いファンがいるじゃないですか」 赤木「ククッ……ま、暇潰しにはなるか」 赤木「――――――――だが、俺達だけが見世物にされるってんじゃ……面白くないな」 ひろゆき(赤木さんがまたなにか考えてる……) 天(ありゃあロクなこと考えてねえ顔だな) 赤木「…………この間、龍門渕の爺でも使うか」 赤木「最近は女子供にも有名な連中がいるからな……求める奴はいるだろうっ……!」 ひろゆき「天さん……」 天「…………まあ、いずれはプロになるガキもいるんだ、面通しにはいいんじゃねえか」 ひろゆき「こっち見て言ってくださいよ……」(頭痛 終われ。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4422.html
会場一同『透華お嬢様、お誕生日おめでとうございます!!』 透華「ウフフ、今日はお集まりいただきありがとうございます、皆様」(ドレース 京太郎「……金持ちってスゲーなあ」 純「これでもだいぶ抑えたらしいぜ?」 一「目立ちたがりの透華をして『そのぐらいで十分ですわ』とか言ってたもんねー」 智紀「そのぐらい……?」 京太郎「船一つ使っての誕生日パーティーで十分?価値観が狂ってやがるっ……!」(ざわ……ざわ…… 衣「おぉー、京たろーのざわざわだ!」 純「なんかもう驚かなくなってきたぜ……」 一「須賀くんのこのバージョンも悪くないかも――って、透華がこの前、呟いてたよ……」 智紀「だいぶ感覚がマヒしてきてる……」 透華「何の話してますの?」 一「あ、トーカ」 衣「トーカたんイェイ~♪」 透華「フフ、ありがとう衣。京太郎も招待に応じていただけて嬉しいですわ」 京太郎「は、はあ……予想外すぎる規模で、正直来たことを後悔しちゃいそうなんですけど……」 純「だよな、客船一つレンタルってマトモじゃねーよ」(ボソボッソ 一「それだけ龍門渕がすごい家ってことなんだろうけどね」(ヒッソヒソ 智紀「あるとこには、ある」(コショッコショ 透華「と、とりあえず京太郎、私これからお爺様のご友人などに挨拶で回らなければなりませんので―――」 京太郎「あ、じゃあ俺は適当にその辺で料理をごちそうになって――」 透華「なんでですのっ!い、一緒に回りますわよ!!」 京太郎「ええっ、なんで!?」 一「いつもは純君の担当だったけど、今回は須賀君がいるからねー」 純「あー、そういや誕生日会って毎回それがあったよな」 智紀「ガンバッテ」 衣「京たろー、透華は任せたぞ!」 京太郎「なんですか、なんなんですかソレ!俺、一体何させられるんですか!?」 透華「い、一緒に来れば分かりますわ!」(グイッ 京太郎「ちょっと、待って……詳しい説明をお願いします――――――――!?」 純「……行ったな」 一「行っちゃったねー」 智紀「よく考えたら……既成事実?」 衣「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、だな!」 ハギヨシ「見様によってはその通りでございますね、衣様」 一「あ、ハギヨシさん、いたんだ」 ハギヨシ「透華お嬢様と衣様いるところにハギヨシあり、でございます」 純「執事ってすげえな……」 イケメン「誕生日おめでとうございます、透華お嬢様。どうです、よければ僕とダンスを一局――――」 透華「申し訳ありません、連れがおりますので」(ジャストディフェンス 京太郎「ど、どーも……」 イケメン「……チッ」 キザな男「どうです龍門渕のお嬢さん、海でも眺めながら話でも――」 透華「失礼、今お爺様のご友人に挨拶して回ってますので。行きましょう、京太郎」(手を取らせ 京太郎「ハ、ハイー」 キザな男「ウヌヌ……」 金持ち「やあ、透華さん、誕生日おめでとう。ハイ、プレゼント。あまり高いものではないけど、よかったら受け取ってくれないかい?俗に言う三ヶ月分って奴さ」 京太郎(小指の爪ぐらいのサイズの石がついてるんだけど……アレってもしかしてダイヤ?っていうかコレ、プロポーズか?) 透華「フフ、とても素敵なプレゼントですわね。でもごめんあそばせ、そうしたものを受け取りたい相手は自分で見つけますので」 金持ち「ギギギ、悔しいのう、悔しいのう……!」 透華「――――まったく、次から次にキリがありませんわ」(プンスカ 京太郎「な、なんていうか……凄いですね。みんな透華さんに熱を上げてる感じで」 透華「あんなもの、お爺様や龍門渕の名声ほしさで寄ってきてるだけです。さっき話しかけてきた連中なんて、私が幼稚園の頃からすり寄ってきてるのですから!」 京太郎「え、なにそれ怖い……みんな二十、三十代って感じだったのに……」 透華「お付き合いするなら、もっと歳の近い方を選びますわ私……」(ジー 京太郎「は、はあ……それはそうですよね、ええ」 透華「――――――――京太郎?」(ジトリ 京太郎「アハ、アハハハ……」(ソラシソラシ 透華「……まったく――――さあ、挨拶回り再開しますわよ。あ、あとでお爺様に紹介しますから、覚悟だけはしておくよーに」(手掴み 京太郎「えっ、ちょっと、それってどういう意味――!?」 透華「フッ……そのままの意味に決まっているでしょう?」(ニヤリ 京太郎「え……ええぇぇぇぇぇぇっ!?」 ――――それからどうした 龍門渕爺「……そうじゃのう、せっかくじゃしここにおる面々で勝負の一つでもしてもらおうか。種目は――――麻雀でええかのう」 ハギヨシ「麻雀卓の用意、並びに観戦モニターの準備全て整ってございます」 龍門渕爺「ご苦労。それでは皆様、ゆるりと楽しんでくだされ」 招待客1「これはなかなか面白いことになりましたな」 招待客2「私はイケメンに賭けましょうかな。誰か透華ちゃんのご友人に賭ける人はおりませんか」 招待客3「ハンデが欲しいところですな、はっはっは」 招待客4「庶民臭い少年に勝てますかなあ……」 招待客5「――ククッ、じゃあ京ちゃんには俺が賭けておくか……」 招待客6「ホォ、大穴に賭けますなあ」 イケメン「面白い……麻雀の強い人が龍門渕のお嬢様は好きらしいからね」 キザな男「ただ嗜んでるというレベルじゃないってこと、教えてあげるよ」 金持ち「まあ……ゲームに勝つだけで龍門渕の御老公の覚えが良くなるなら、これ以上に好都合なことはないな」 京太郎「え……………………え?」 透華「ちょっとお爺様、いきなりそんな提案をするなんて反則ですわっ!」 龍門渕爺「余興じゃよ、ちょっとした余興。面白くてなんぼ、面白くてなんぼじゃ」 透華「っ、まったく信じられませんわ、このワガママっぷり!」 一(血は争えないって感じだよねー) 純(目立ってなんぼとか言ってる透華が怒ってもなあー) 智紀(うんうん)(コクコク 衣「よし見せてやれ京たろー、貴様の力の真髄を!!」 ――――そんでもってどうなった ざわ…… ざわ…… ざわ…… ざわ…… 金持ち「こいつが通れば……リーチだっ!」 打:七筒 京太郎「ククッ、残念……そいつです」 京太郎手牌:東東東中中中66788ⅡⅡつ7 京太郎「一盃口・自風・場風・中……50符4飜――12000点」 イケメン「来たよ、リーチ!」 打:二萬 京太郎「目が曇ってやがる……ロン」 京太郎手牌:白白一三123123ⅠⅡⅢつ二 京太郎「一盃口・三色・チャンタ・ドラ1跳満18000点!」 キザな男「この勝利、透華お嬢様に捧げてみせる――――!」 打:四索 キザな男「よし……通った!」 京太郎「……馬鹿かアンタ?賭けるなら自分のプライドを賭けろよ」 京太郎手牌:白白八八八55588ⅧⅧⅧつ8 京太郎「――――ツモ……四暗刻8000・16000」 ざわ…… ざわ…… ざわ…… ざわ…… 招待客1「これは……番狂わせですな」 招待客2「ぬう……オケラですよ、私なんて」 招待客3「グググ……まさか、こんなっ……」 招待客4「…………」(真っ白 招待客5「クク、悪いな……俺の一人勝ちだっ……」 招待客6「悪魔めっ……!私などまっとう……!あのガキこそ悪魔だっ……!」 透華「フ、フフフ……圧倒的、圧倒的ではないですか!見ましてみなさま、あれが私のた……大切な友人ですわよ!!」(ミョンミョン! 招待客一同『ホウ……大切な友人』(ざわ…… 一「トーカ、嬉しそうだね」 純「そりゃあ……なあ?」 智紀「圧倒的に華々しいデモンストレーション」 衣「フッフッフ、ぐうの音も出ないだろーな、透華に寄っていた有象無象共は!!」 ハギヨシ「ここに来た皆様に面通しするのにちょうど良い勝負でございましたね」(ニッコリ 一「須賀君……これ完全にハメられたようなもんだよね」 純「実はこれが本当の目的だったりしてな」 智紀「ある意味、手段を選ばない」 ハギヨシ「はて、一体何のことでございましょうか?」 終われ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4444.html
京太郎「どうしてこうなった……?」 玄「ゴゴゴメンね京太郎君!この料理、菊の間のお客様のとこに運んで!」 京太郎(年末年始、うちの旅館でゆっくり過ごすのはどうでしょうか!って玄さんに誘ってもらって……染谷先輩家の雀荘でアルバイトして資金を貯めて――――) 玄「きょきょきょ京太郎くーんッ、このビールを薔薇の間にー……!」 京太郎「何で奈良に来てまでバイトしてんだ、俺……?」 玄「あーっ、百合の間のお客様にお鍋を持っていってー!」 京太郎「―――ァイ、喜んでー!」 玄「居酒屋さんみたいな挨拶しないでよー!?」 京太郎「――――だはぁ!つ……疲れた……」 宥「ふ、ふふ、ゴメンね……。なんだか夏の大会が終わった後からウチの旅館……とっても人気になっちゃって……」 京太郎「…………あー、全国大会を破竹の勢いで勝ち進んだ選手の実家ですもんね。一度来てみたい、って考える人は多いですか……」 宥「う、うん、そうだねー……」 京太郎「玄さんみたいな美少女が仲居やってたらなおさらですしね……」 宥「玄ちゃん、すごく張り切っちゃってて……頑張りすぎないか、少しだけ心配……」 玄「心配ご無用だよ、お姉ちゃん!」 宥「わ、うわ……く、玄ちゃん驚かせないでよぉ……」 京太郎「玄さん、お客様はもう大丈夫なんですか?」 玄「うん!皆さん酔い潰れたり、二年参りに出掛けたりですっかり落ち着いたから」 京太郎「そですか、それはよかった」 玄「この度はまことに申し訳ありませんでしたー……」(深々 京太郎「え?あぁ、旅館の手伝いのことですか?」 玄「はいー……せっかくウチの旅館に遊びに来てもらったというのに、猫の手も借りたい忙しさに、つい悪魔の囁きに耳を傾けてフラフラとぉ……」 京太郎「ア、アハハ……大丈夫……大丈夫ですから……」 玄「ちゃんとお手伝い料、色をつけてもらえるよう交渉しておくからね!」 京太郎「悪いですよ。ここはいい経験させてもらったってことで、一つ」 宥「うふふ……今年は最後まで京太郎君に助けてもらっちゃったね、玄ちゃん……」 玄「うん、そうだねお姉ちゃん……。何だか年上として肩身が狭いよー……」 京太郎「あの……俺、なにかしましたっけ?」 玄「えっとほら、初めて龍門渕で会った時とか……全国大会でもイロイロとしてもらったでしょ?」 京太郎「…………?」 宥「きょ、京太郎君……?」 京太郎「………………………………あ、会うたびにに、阿知賀のみんなと麻雀したのは覚えてますよ?」 玄宥「………………」 玄「あ、お姉ちゃん、私年越し蕎麦もってくるね。京太郎君もお腹すいたでしょ?いっぱい食べてね!」 宥「うんー、ありがと玄ちゃんー。うふふ、あったかいお蕎麦、楽しみだね……」 京太郎「あ、や、やめてください、そんな腫れ物に触るような反応やめてください……!」 宥「ハム……ン、あったかーい……♪」(チュルチュル 京太郎(……なんか言葉の響きがエロく感じるのは俺だけなんだろーか)(ズルズル 玄「おかわりもあるから、遠慮なく言ってねー♪」 京太郎「うーっす」 宥「――――ぁ……除夜の鐘」 玄「今年もついに終わりだねー」 京太郎「新年かー。なんかあっという間に一年が過ぎた気がしますね」 玄「うん……」 宥「私は……とっても楽しかった、よ?」 玄「私もだよ、お姉ちゃん……」 京太郎「俺もちょー楽しかったです」 玄「麻雀三昧だったもんね!」 京太郎「ハイ!!」 玄「即答ですか……ムムッ、これは病気が悪化してるよね。最近はおもち力も落ちてきてるし……せっかくの同志が……」(ブツブツ 宥「きょ、京太郎君はなにか抱負、あるの?」 京太郎「来年……いや、もう今年のですか?抱負、抱負かー……」 玄「お、それはぜひお聞かせ願いたいですよー」 京太郎「んー……やっぱり麻雀強くなりたい、ですかねー」 玄宥「や、やっぱり……」 京太郎「ああ、あとはあれですね、せっかくの青春なんだからいい加減、彼女が欲しいなー、なんて」 玄「恋人ですかー、ふんふむ」 宥「わ、わー……」(ポッ 京太郎「お二人みたいに、俺ももっと才色兼備な感じだったら、こんなこと抱負にしなくていいんですけどね」 玄「アハハ、お世辞でも嬉しいよ京太郎君」 宥「ああ、あり、ありがとー……」 京太郎「お世辞じゃないですって。…………うん、でも」 玄宥「?」 京太郎「とりあえず今は、こうやって親しくしてくれる人たちとお蕎麦食べられるだけで十分幸せだよなー、って思います」 玄「京太郎君……」 京太郎「玄さん、宥さん……明けましておめでとうございます。今年も、よろしく」 宥「ここっ、こちらこそ、ふ、ふつつかものですがー……」 玄「お姉ちゃん、その挨拶は何か間違ってるよー!?」 宥「はわぅわわ……!?」 京太郎「アハハハ!そんな風に言われたら、もうこのままよろしくお願いされるしかないですね」 玄「やめるのです京太郎君!あまりお姉ちゃんをからかうのはダメー!」 宥「うぅ、か、顔……熱くなってきちゃたよぉ……」 そんなこんなでゆく年くる年が過ぎ…… 後日、松実館には須賀京太郎少年が接待してくれるサービスがあるという記事が麻雀TODAYに掲載されて、とあるご新規のお客様が数名同時に訪れて一波乱起きるのだが――――それはまた別のお話。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4445.html
長野のローカル局で放送されている、ご当地麻雀番組(通称:まどでしょ)である! 内容はいたって平凡。メインパーソナリティーの福与恒子と小鍛治健夜、そして師匠・須賀京太郎とイーピンちゃんこと安福莉子が麻雀の結果に応じて各地を旅し、色んな目に遭う……それだけ! 恒子「――――はいどもー!ひっっっっさしぶりにやって来ました、麻雀どうでしょうのお時間でっすー!」 健夜「ホントに久しぶりに……」 恒子「今日も今日とて、ふくよかじゃない恒子ちゃんとあらふ……すこやんの二人で進行してくよー」 健夜「ねえ、今アラフォーって言った?言ったよね!?」 恒子「ま、よくあるこった、気にすんな!」 健夜「それはスペシャルな作品の主人公(金)の台詞だから使っちゃダメだよ!」 恒子「えー、いいじゃん。そんな細かいこと気にしてると婚期逃……ぁ、もう逃してるかー」 健夜「久しぶりだけど全然変わってないね、こーこちゃんは!」 恒子「はいはーい、それじゃサクッと話進めるよー」 健夜「あのゴメン、あからさまに無視しないで、正直に傷つくから……」 恒子「まずはこの人がいなけりゃ話が進まない!師匠こと須賀京太郎くーん!」 健夜「…………メゲるよ」 京太郎「…………まだ続いてたんだ、この企画」 恒子「長野は娯楽が少ないから」注:あくまで恒子ちゃんの意見です 京太郎「おい、ちょっと聞き捨てなんねーですよ今の発言!」 恒子「えー、だって長野って聞いて私が思い付くのって、ピーマンの嫌いな吸血鬼ぐらいだし」 健夜「あ、僕血だね。続編の僕月も面白かったよね」 恒子「コスモス荘が傑作な気もするけど、あれは漫画版が神っちゃったし。私的におちゃらか駅前劇場とか九官鳥刑事辺りのノリでもう一回―――」 京太郎「ネタがわっかんねーし!つーか、麻雀があんでしょーが麻雀が!?」 健夜「あわわ、それは何もないって言ってるのと同じだよ須賀く……師匠!」(ギュー 京太郎「どさくさにまぎれて抱きつかないでほしいっす、小鍛治さん!」 恒子「……はい!師匠が疲労困憊でツッコミできない内に番組続けちゃおー」 京太郎「ハァ、ハァ……くっそ、またこの人のペースに乗っちまった」 健夜「しょうがないよ、こーこちゃんだもん……」 京太郎「空見上げながら言わないでください、悲しくなります」 恒子「なーんだか黄昏ちゃってる二人に構わず、次のゲストを呼んじゃいましょう!やっぱりこの番組には彼女の力が必・要だぁー!!」 京太郎「お、やっぱり莉子も参加させられてるんだ」 健夜「もうレギュラーだもんね、須賀君と莉子ちゃん」 京太郎「ええ、認めたくないことですが、まだ道連……相方がいる分、リアクションも取り易――――」 誠子「えーっと、ども……」 恒子「白糸台チーム虎姫からやって来ました!和了もコメントも思いのままに釣りあげる!フイッシャー・亦野誠子ちゃんでーす!いらっしゃいませー」 京太郎「なんでだああぁぁぁぁぁっ!?」 誠子「うぉっ?」 恒子「女房と畳はナントヤラというわけで、リアクションに新鮮味を求めてちょっと相方をチェンジしてみましたー☆」 誠子「まさか私がこの番組に出るなんて……。つーか、女房と、みたいな表現されると後で大星になに言われるかわからなすぎて怖いんだけど……」 京太郎「莉子……いや、イーピンちゃんカムバーーック!」 ―――某所 淡「うー!うー!なんで私が麻雀どうでしょうに出れないのー!?」 菫「そのうーうー言うのは止めろ!あと、師匠の相方を勤めるには一つ絶対条件があるからだ」 照「それは初耳」 菫「フフ、これはまだDVDに収録されていない回でこーこちゃ……恒子さんがうっかり漏らした情報だからな」 尭深「ファンなんだ……」 菫「それほどではない。ただ……」 照「ただ?」 菫「番組の無茶な企画決定権を賭けた麻雀対決で健闘虚しく、オーラスにド高めを振り込んだイーピンちゃんや、役満親被りでまくられた時のししょ……須賀君の愕然とした表情が――――な、わかるだろ?」(ゾクゾク 照「のーこめんとで」 淡「きょーたろー君いじめちゃダーメー!」 尭深「それで……さっき言ってた絶対条件って?」 菫「おっと、忘れてた。それはだな……コホン――――手痛い、あるいは致命的な失点をしていること、だ」 淡「つまりどーゆーこと?」 菫「振り込んだりした跳んだ数が多い人ほど選ばれやすい、ってことだよ」 尭深「なるほど」 照(あ、だから須賀君は師匠なのか……) 誠子「そういや私、なんで師匠の相方に選ばれたんだろ」 京太郎「知りませんよ。つーか、亦野さんまで俺を師匠とか呼ばないでください」 恒子「本当はねー、頑張ってる師匠へのご褒美ってことで、阿知賀の松実選手を相方にって意見もあったんだけど……スポンサーの方から猛抗議が来ちゃってさー」 京太郎「猛抗議、ですか。いったいどこのスポンサーが……」 恒子「うん。えっとね、りゅ―――」 京太郎「あ、いいです、もうわかりました」 恒子「残念だったね、おもちが拝めなくて!」 京太郎「ハイハイそーですねー、あー残念残念…………マジで残念だ、チクショウ」 健夜「須賀君、すっかりやさぐれちゃって……」 恒子「何が悪かったんだろうね。ああっ、あの頃のおもちに並々ならぬ情熱を持っていた師匠はいずこへ!」 誠子「なんとなく原因は目の前の人のよーな気がするな」 健夜「うん、みんなそう思ってるよ」 恒子「さて、役者も揃ったことだし、そろそろ今回の企画いってみよー!」 京太郎「どーせ今回もどっか地方に飛ばされて跳ばされる企画なんだろーなー……」 恒子「今回の企画は……なななんと!――――美少女雀士を自分好みにプロデュースして、次世代の雀ドルに育て上げろ!『THE雀DOLM@STER』プロジェクト、っでーーーす!!」 京太郎「………………あ?」 恒子「番組スタッフによる厳選なる審査を通過した十数名の美少女雀士!師匠にはこれから三ヶ月間、彼女達とコミュニケーションを重ねて、共に笑い、時に涙してトップ雀ドルへの道を駆け抜けていただきます!!」 京太郎「さ、三ヶ月!?なんすかそれ、聞いてないですよそんなの!」 恒子「言ってないですからー!」 京太郎「またこのパターンか!おい、カメラ止めろ!!」 健夜「おお、落ち着いて、暴力はダメだよ師匠!」(ダキー 恒子「キャー、おーそーわーれーるー♪」 誠子「えーっと…………あ、これ読めばいいんですね」 ついに始まった新企画! まどでしょプロ、トップ雀ドルへの道! 恒子「万が一失敗したら、南米コスタリカで――――」 京太郎「また南米か!」 誠子「めんどくさ……」 莉子「は、話が違うじゃないですか!今回の企画に協力したら私、卒業じゃなかったんですか!?」 京太郎「おい莉子、一度腹割って話そうか」 莉子「魔が差したんですー!」 健夜「み、みんなで頑張れば大丈夫だよ!」 恒子「―――全責任取るってことで、師匠にはウエディングドレス姿のすこやんと撮影していただきます!」 健夜「…………す、須賀君、パスポートは持ってる?いっ、今のうちにパスポート取っておいた方がいいんじゃないかな!かな!?」 京太郎「企画に成功しても失敗しても決着くせーぞ俺の人生ェ!?」 誠子「はたして師匠は自由を勝ち取れるのか!それでは、また来週ー…………南米ってどんな魚釣れるのかな?」 終われ