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LANDING GEAR 機種:AC 作曲者 (*1):中澤秀一郎 発売元:タイトー 発売年:1996年3月 概要 前作『トップランディング』から8年ぶりにリリースされた、「ランディング」シリーズの第3作目。 タイトルについて、パンフレットでは空白を開けた『ランディング ギア』、ZUNTATAは中点のある『ランディング・ギア』と表記している。 前作までの「旅客機を空港に着陸させる」ゲームから、「様々な状況で離着陸を行う」ゲームとなっている。 操縦する機種も一般的な飛行機だけでなく、水上飛行機・戦闘機・スペースシャトルといった変わり種も…。 SHU (*2) こと中澤秀一郎氏のBGMもゲーム内容と同様に前作とは全く異なった、ポップかつお洒落な曲が多い。 (前作:トップランディング 次作:ランディングハイジャパン) 収録曲 曲名 作・編曲者 補足 順位 Sublime Landscape (SELECT) 中澤秀一郎 Take Off Check (STAND BY) Riquid View (BGM#1) 初級 STAGE 1 離陸 / ランディング (RUNWAY18)上級 STAGE 5 離陸 / ランディング (RUNWAY36) Touch Down! (BGM#2) 初級 STAGE 2 ランディング (RUNWAY27)上級 STAGE 7 ランディング (RUNWAY12) Virgin Flight (BGM#3) 初級 STAGE 3 ランディング (18タイトーダム) Midnight Jungling (BGM#4) 作:不明編:中澤秀一郎 初級 STAGE 4 ランディング (RUNWAY30)上級 STAGE 4 離陸 / ランディング (RUNWAY30)原曲:『ミッドナイトランディング』より「DEMO」 T.Air Line (ROUND CLEAR) 中澤秀一郎 Flossy Feelin' (ENDING) Great Pilot (NAME) Broken Wings (OVER) サントラ収録オリジナル曲 Prologue 中澤秀一郎 イントロを『スペース遣隋使』の「野菜天国」で使用 After The Landing (IMAGE SKETCH) Epilogue Gear Up! (Control Tower Mix) サウンドトラック ランディング・ギア / サイド・バイ・サイド Apple Musicでの配信。このほかSpotify、moraでの配信あり。(音源は同名CDに収録のものと同内容)
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JETでGO! ポケット 機種:PSP サウンド・ディレクター:石川勝久 (ZUNTATA) BGM:中澤秀一郎 (シュウ・ナカザワ (ZUNTATA)) 効果音・ナレーション編集:石川勝久 開発・発売元:タイトー 発売日:2005年12月15日 概要 『JETでGO!』シリーズの携帯機版で、現時点でシリーズ最新作。 携帯機ということもあってか、タキシング、スポットイン、スポットアウト、巡航はプレイできなくなった。 機体コードを入力して機体情報を検索できたりなど、当時の資料集として活用することもできる。 BGMの多くは同社の『ランディング』シリーズ、『JETでGO!』シリーズやそのサントラに収録されたボーナストラックから採用されている。 新曲については『ランディングギア』、『JETでGO!2』も手掛けたシュウ・ナカザワこと中澤秀一郎氏が担当した。 (前作:JETでGO!2) 収録曲 (新曲のみ) 曲名 作・編曲者 補足 順位 Soar 中澤秀一郎 オープニングムービー Updraft リプレイモードでBGMとして選択可能 Over the rainbow リプレイモードでBGMとして選択可能 Give it to me リプレイモードでBGMとして選択可能 Floating mind リプレイモードでBGMとして選択可能リプレイ中の表記は「Floating Mind」 Ending 中澤秀一郎? エンディングムービー曲名不明 Staff 中澤秀一郎? スタッフロールムービー曲名不明 サウンドトラック ZUNTATA HISTORY L'ab-normal Limited 『ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド』購入者特典CD。 「Floating mind」、「Give it to me」、「Updraft」を収録 COZMO ~ZUNTATA 25th Anniversary~【初回限定盤】 特典CD1「ZUNTATA HISTORY L'ab-normal Limited2」に「Soar」、「Over the rainbow」を収録
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このゲームは、トゥルーエンドを見出すゲームだった。 そのことに間違いはありません。 しかし、このゲームはそれすらも通過点。 トゥルーエンドを見出すことすら真の終わりではないのです。 トゥルーエンドを見つけた先にある 前代未聞、唯一無二の 『仕掛け』 の存在に気づくこと、 気づいて初めて見えるもの。 それこそが、最後の真相 Remember11というゲームの真の姿―― では、その『仕掛け』とはなにか? PS2版の初回特典で、中澤氏はこうコメントしていました。 本作には、中澤がこれまで培ってきた様々なものを注ぎ込んだつもりだ。 7年間というゲーム製作過程で得たもの、27年間というまだ短い人生の中で知ったものを…。 まさに中澤にとって、ひとつのターニングポイントとなる作品だと言えよう。 皆さんは、この作品のすべてのクリアリストを埋めたとき、何を感じるだろう? 何も感じないかもしれない。あるいは何か感じるかもしれない。 願わくば、何か感じ取ってくれたとしたら、 それは中澤が訴えたかったものであるように、 と、そう祈ってやまない。 もし、ちゃんとそれらがイコールで結ばれたとしたら、中澤は嬉しくて嬉しくて堪らないのだから。 中澤が訴えたかったテーマ。 それは…。 This story is not end yet.――it is infinity loop! >すべてのクリアリストを埋めたとき、何を感じるだろう? >それは中澤が訴えたかったものであるように、 と、そう祈ってやまない。 私はこの言葉を、サトル編のグッドエンドとエピローグが かごめ歌の『夜明けの晩』の関係性になっていることだと思っていました。 そうではなかった。 オレ悟のエピローグが、真理の世界にとって通過点だったように、 『夜明けの晩』も『かごめ歌の通過点』だった。 では、リストにない、トゥルーエンドに気づくこと? 確かにそれは『本当の意味ですべてのクリアリストを埋めたとき』です。 一度は、これだ!と思いましたが・・、これも、そうではなかった。 仕掛けとは、 中澤氏が訴えたかったであろうこととは、 かごめ歌の終着点とは、 このゲームの最後の真相とは、 その2つの答えの延長線上にある。 それは 『エンディングリストにない、こころのラストシーンの名を呼ぶ』 こと―― その 『行為そのものの意味』 に、気づくこと―― ・・・お気づきでしょうか? 『見えないモノの名前を推測し、言い当てる』 この行為が 『かごめ歌の遊びと同じ』 だということに サトル編のグッドエンドとエピローグが、 かごめ歌の『夜明けの晩』なら、 ココロ編のラストは、かごめ歌の 『うしろのしょーめん、だぁーれ?』 だから、冬川こころのラストシーン、トゥルーエンドも、 同じ言葉で締めくくられていた。 「うしろのしょーめん、だぁーれ?」 と、問われ、その名前を答える。 名前を答えて、初めて、終わる。 それが、かごめ歌。 それが、このゲーム。 だから、 だからこのゲームは終わらなかった―― ――誰にも、その名前を呼んでもらえなかったから このゲームの本当に重要なことは、いつも見えないところにあった。 それはきっと、かごめ歌が『目を塞いで行われる遊び』だったから 中澤氏の訴えたかったテーマとは、きっと、 『Remember11はかごめ歌のようなゲーム』ということ それが、このゲームを読み解いた果ての最後の真相、 Remember11というゲームの真の姿 Remember11 -the age of infinity- は、 未完成でも、終わりのないゲームでもなかった。 そうだとわからない形で、トゥルーエンドまで用意されていたゲーム。 あることすら気づかれないであろう、そのトゥルーエンドを言い当てるゲーム。 見えないものを探り当てる、かごめ歌のようなゲーム。 それを知ることで、本当の意味で終わるゲームだったのです。
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「れいな……」 薄暗い光の下、愛は静寂に満ちた無機質な廊下に立ち尽くし、小さくその名を呟いた。 しかし、それに応える声は返ってこない。 ほんの今まで隣に在ったはずのれいなの姿は、どこに視線をめぐらせても存在しなかった。 ―独りだ ―また……独り そんな孤独と寂寥に満ちた言葉が、愛に絶望を与えようとするかのように覆いかぶさってくる。 "お前は最初からずっと独りだったのだ"と言わんばかりの静けさが、ひしひしと押し寄せてくる。 「独り……?…違う。そうやない」 だが、しばらくして再び呟いた愛の口元には、絶望とは程遠い感情に満ちた微笑みが浮かんでいた。 小さな明かり取りの窓から仄かに射し込む月光が、その横顔を照らしている。 いつだったか、れいなと2人で絵里の見舞いに行った日のことが…そのとき噛み締めた思いが、愛の脳裏に甦る。 闇の中に独りきりだと思い込み、見上げることすらしなかった自分の頭上には、月が明るく輝き、静かにずっと見守ってくれていた。 それと同じように、どんなに淋しさに押し潰されそうになっているときでも、人はきっと本当は独りきりではない。 そう思い込むことこそが、本当の孤独なのだ――― ―どんな闇にも、光は射している ―どんな絶望の中にも、希望は輝いている それを愛に教えてくれたのは、かけがえのない仲間たちだ。 たとえ離れ離れになったとしても、心が繋がっている限り、二度と独りきりになることはないのだと教えてくれたのは。 薄暗い廊下に一人佇む愛の胸の中に、仲間たちの温かい笑顔が溢れる。 ―れいなも、里沙ちゃんも…きっと後から来てくれる。自分はそれを信じて先へ進もう。 柔らかい微笑を浮かべる愛の瞳からは、完全に迷いの色は消えていた。 それでいて―――そこには、同時に覚悟の色が浮かんでいた。 必ず後から来てくれるという2人の仲間への信頼と共に……もう二度と会えないかもしれないという、覚悟の色が。 ―――!? 瞬間、その相反する思いを内包した愛の瞳が僅かに見開かれた。 その視線の先で、景色の一部に裂け目が入っている。 「……久しぶりやな、愛ちゃん」 「あんたは…」 切り裂かれた空間の隙間から現れたのは、いつかの廃倉庫…れいなとの出逢いのきっかけとなった場所にいた女―中澤だった。 忘れようもない威圧感が、シンプルにまとめた衣装に身を包んだ全身から発散されている。 だが、あのときよりもおとなしめの髪色とカラーコンタクトを外した目は、どこか淋しさめいたものも感じさせた。 「あんたがれいなをどっかに連れてったんか?」 「そうや。聞くまでもないやろ」 「…なんのために?」 「この次会うときは命のやりとりになるかもしれん……あのときウチはそう言うたはずやで?」 だが、愛の問い掛けに対して静かに返される中澤の言葉には、ただ鋭さと冷たさだけが湛えられている。 「里沙ちゃんを襲わせたんも…あんたの指図か?」 真っ直ぐに視線を返しながら、愛は問いを重ねた。 即座に同じ言葉が返ってくるかと思いきや、中澤の視線が僅かに揺れる。 そのことは、あの件がおそらく辻の勝手な単独行動だったのであろうことを窺わせた。 「…あいつも…辻もかわいそうなやつなんや」 直接愛の問いに答えることはせず、その代わり中澤は心なしか言い訳の色を含んだ言葉を返した。 「人とは違うチカラを持って生まれたせいで、人のことを信じれんようになった人間はいっぱいおる。理不尽に疎外されてな」 中澤のその言葉に、仲間たちと初めて出逢ったときのことが再び愛の脳裏を過ぎった。 “普通”ではないというだけで孤独の闇に押しやられ、助けを叫んでいた仲間たちの悲痛な声が…表情がフラッシュバックする。 その愛から僅かに視線を逸らすようにしながら、中澤は淡々と続けた。 「そやけどな。あいつは…辻はもっと悲惨や。『自分しか信じられへん』のやない。自分さえ信じられへんのや」 「……え?」 「あいつの能力は知ってるな?“擬態能力―ミミックリィ”…他人に自在に変身できる能力のせいで、あいつは自分で自分自身の本当の姿が分からへんようになっとる」 「本当の姿が?」 「もちろん能力を解除すれば元の姿に戻る。そのとき鏡に映っとるんがほんまの自分や。そやけど……あいつは自信を持ってそれが自分やと言い切れへんのや」 その言葉の意味が、愛の胸に重く圧し掛かってくる。 辻希美の抱いているであろう孤独が、そして恐怖が、背筋を寒くさせた。 鏡に映る自分、今ここにいる自分の存在さえも信じることができなければ、一体どこに足をつけて立てばいいのだろう。 何を拠り所にして生きていけばいいのだろう。 「そやから…あいつにとっては“組織”だけが、自分とこの世界を繋ぎとめておけるものなんや。それを守ることだけがあいつにとっての…“正義”なんや」 内心の愛の問いに答えるように、中澤がそう言葉を継ぐ。 愛の中には、つい先ほどの生々しい一瞬の映像が甦っていた。 「死ね、裏切り者――」 辻のあの言葉は、そして行動は、彼女自身にとっては確かに紛れもなく“正義”だったのだろう。 自分にとって全てである“組織”――それを裏切った里沙は、辻にとって“悪”でしかないのだから。 だけど――― 「正義とか悪とか、元々あんなもん人間が神さんに無断で勝手に決めたもんや」 口を開きかけた愛の機先を制するように、中澤は言葉を重ねた。 「…ちゃうな。神なんておらへんからこそ誰かが決めなあかんのや。そやったら…それを決めるんはウチらでもええはずや。そやろ?」 そう問いかけておきながら、中澤は愛の答えを待つことなく話し続ける。 だがそれは、自信に溢れた主張故というよりもむしろ、中澤の不安や迷いの表れであるように愛には感じられた。 「そうせん限り、ウチらはいつまで経っても暗いところに押し込められたままや。そやから…それを変えるんがウチにとっての“正義”や。…どんな犠牲を払ってもな」 その言葉と共に向けられた中澤の鋭い視線にも、恐らくは意図的な敵意にも、愛はただ悲しげな…しかし強い決意を秘めた色を湛えた瞳で応える。 「どんな犠牲を払っても……あんたのところのあの予知能力者さんも…何かを“視”たんか?」 そして、数瞬の沈黙の後、唐突な問いを投げかけた。 それに対し、中澤は再び視線を僅かに揺らす。 愛の問いが意表を突いていたからというだけではなさそうだった。 「……カオリは……死んだ」 少し間を置いて、中澤が短く答えた。 「死んだ……?どうして……?」 そう問い返しながらも、愛はどこかそれを予感していた自分を感じていた。 おそらくは……れいなが休みを取って出かけたあの雨の日、愛佳を訪ねて「リゾナント」にやってきた予知能力者を見送ったあのときから―― 「どうして…か。ほんまの意味で何でかはウチにも分からん。誰にも分からんやろな。ただ……もし分かるとしたら、ウチらやなくてあんたらの方なんかもしれんな」 中澤の声に、僅かな苛立ちとも焦燥ともつかない感情が混じる。 「いつやったか、カオリは愛ちゃんとれいなのことを『変数』や言うてたよ。あんたらに関する“未来”は無限に拡散するって」 「あーしらが『変数』…?“未来”が拡散?」 「カオリの予知では、れいなもあのときウチらのとこにくるはずやった。それから…久住小春も。そやけど……その“未来”は来んかった」 「やけど、“未来”は……」 「そう、予知能力者の“視”る“未来”は絶対やない。そやけど、カオリの予知があそこまで大きく狂ったことはなかった。あんたらに関してのこと以外は」 「だから、あーしやれいなが“未来”にとっての『変数』……だと?」 「“神”が言うんやから…間違いないやろ」 そう言いながら口元に皮肉な笑みを浮かべる中澤の声は、それとは裏腹に飯田圭織のその言葉を胸に刻みこんでいるようにも聞こえた。 「……中澤さん、あーしは思うんよ」 しばらく視線を合わせて沈黙した後、愛は言葉を選ぶようにしながら口を開いた。 「あーしらが『変数』って言うなら、きっと誰だってそうなんだと思う。“未来”は誰にだって変えられる。特別な何かを持っていなくても」 「誰にでも?ウチにでもか?その辺で遊んどる子どもにでもか?そら多少は変わるかもしれん。そやけど――」 「できるよ。変えられる。“未来”を絶対に諦めず、真っ直ぐ立ち向かう勇気さえあれば……きっと誰にでも」 「………」 愛の脳裏に、駅のホームにたたずむ一人の少女の姿が映し出される。 あのとき……“未来”に押しつぶされそうになって俯き、助けを叫んでいたその少女――愛佳は、今では愛の中で堂々と胸を張り、笑顔を湛えていた。 ―“未来”は変えられる……でも未来は一つやと思うんです。 愛佳はそう言っていた。 一人ひとりの人間が、今の自分にできるだけのことをして……そして確定するものが未来なのだと。 “未来”が“視”える愛佳の思うところとは、もしかしたら違っているかもしれない。 でも、愛もきっとそうなんだろうと思う。 現在(いま)を生きている世界中の誰もが、“未来”を変え得る『変数』なのだと。 「カオリさんも、きっとそれに気付いたんやない?だから……」 「すまんけど、話はそこまでや愛ちゃん」 訴えかけるような…そして自分自身にも言い聞かせるような愛の言葉を、中澤は感情のない声で遮った。 「待って…!お願い!」 話を打ち切り、立ち去ろうとする気配の中澤を、愛は懸命に呼び止めようとする。 だが、中澤は静かに首を横に振った。 「もう、こうするしかないんや。今さら道を踏み変えたら……」 ――今まで犠牲にしてきたものはどうなるんや? 思わずこぼれ出たらしきその“声”を最後に、中澤は再び空間の裂け目の中にその姿を消した。 無機質な廊下に立ちつくす愛を一人残して――― back →『“未来”への反逆者たち ―闇と光(1)―』 next →『“未来”への反逆者たち ―闇と光(3)―』
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Cleopatra Fortune -クレオパトラ フォーチュン- 機種:AC, SS, PS, DC, PS2, Mob, PS4, NS, Xbox1, PC, EGRETII mini (アーケードメモリーズVOL.1) 音源: 1 原曲 AC, PS2, EGRETII mini 2 リマスター SS, PS4, NS, Xbox1, PC 3 アレンジ、追加曲 PS, DC 4 内蔵音源 mob 作曲者 (AC, SS):中澤秀一郎 (SHU NAKAZAWA (ZUNTATA))、高萩英樹 (C.HAGGY (ZUNTATA)) スペシャルサンクス (AC, SS):水谷郁 (NATSUME) サウンド (SS):中澤秀一郎 (SHU NAKAZAWA (ZUNTATA))、高萩英樹 (C.HAGGY (ZUNTATA))、倉橋真哉 (KURAHASHI (NATSUME)) 開発・発売元:タイトー 開発協力:ナツメ (AC, SS) 開発元:アルトロン (PS, DC) 発売日:1996年10月 (AC)、1997年2月14日 (SS)、2001年5月21日 (PS)、2001年6月21日 (DC) :2022年11月24日 (PS4, NS, Xbox1, PC)、2022年12月22日 (EGRETII mini AM1) 概要 宝石・棺を使う落ち物パズル。 元々は同社が家庭用通信カラオケ『X-55』で配信していたものをブラッシュアップして移植したもの。 全消しをすると主人公のパトラ子がコスプレをする事でも有名。 X-55版の作曲はZUNTATAのHAGGYこと高萩秀樹氏が一人で担当しており、アーケード版とは全く異なる曲だったという。(*1) アーケード版はZUNTATAのSHUこと中澤秀一郎氏と同HAGGYこと高萩氏のタッグ。(*2) エジプトモチーフな作品に合わせて全体的にメロディや音使いが中東風だが、しつこさや暑苦しさは感じられない。 ソロプレイBGMは「SHININ QUEEN」一種類でLEVEL区切り等でも停止しない為、ピンチにならない限り聴き続ける事になるが、 爽やかでありつつも程よい推進力のリズム感で、パズルに集中できるテンションに仕上がっている。 実質的なメインテーマであるこの曲は人気が高く、パトラ子がゲスト出演しているパズルゲーム『プチカラット』でもアレンジされ、パトラ子のテーマとして使用されている。 サントラにはセガサターン版をリマスターした音源を収録しており、高萩氏が作曲したものも中澤氏がリミックスしたものになっている。 家庭移植版ではモードが追加されるなどの変更がされており、特にPS版・DC版ではBGMも大幅にアレンジされている。 ベタ移植はPS2の『タイトーメモリーズ 上巻』および『EGRETII mini』の追加タイトルとしての収録がある。 また、携帯アプリ版も存在した。 (次作:クレオパトラフォーチュンプラス またまた神秘ですぅ) 収録曲 (タイトーデジタルサウンドアーカイブス収録順) 曲名 作曲者 補足 順位 CLEOPATRA FORTUNE 中澤秀一郎 タイトルデモ PLAY DEMO #1 高萩英樹 アトラクト プレイデモ CREDIT SELECT 中澤秀一郎 PLAY DEMO #2 高萩英樹 アトラクト 遊び方ルール説明 SHININ QUEEN 中澤秀一郎 メインテーマボイス:堀内理美子 (RIMMY) 第3回558位第4回48位第5回139位第6回160位第7回126位第8回233位第9回464位第10回541位第11回704位第12回593位第13回704位第14回497位第15回519位第16回331位アーケード160位第2回アーケード210位1990年代174位 STONE AGE 高萩英樹 対戦BGM PINCH! ピンチBGM JINGLE A 中澤秀一郎 CONGRATULATIONS (LEVEL 99 クリア) DESIRE エンディングボイス:堀内理美子 (RIMMY) 第5回526位エンディング183位 CONTINUE GAME OVER 高萩英樹 JINGLE B 中澤秀一郎 HERE COMES A CHALLENGER JINGLE C PS版 サウンドテスト収録音源 BGM 00 タイトル BGM 01 セレクト BGM 02 (CONTINUE?~)GAMEOVER BGM 03 作:中澤秀一郎 アーケードモードBGMLEVEL 20~29, 30~39, 40~49, 50~59, 60~69, 80~89, 90~99「SHININ' QUEEN」のアレンジ BGM 04 作:高萩英樹 アーケードモードBGMLEVEL 1~9, 10~19, 70~79「PLAY DEMO #1」のアレンジ BGM 05 アーケードモード LEVEL 99クリアCONGRATULATION! BGMDC版では「BGM 06」 BGM 06 バーサスモードBGMDC版では「BGM 07」 BGM 07 ミステリーモードBGMDC版では「BGM 08」 BGM 08 タイムアタックモードBGMDC版では「BGM 09」 BGM 09 アーケードモード ネームエントリータイムアタックモード ランク表示DC版では「BGM 10」 DC版 サウンドテスト収録 追加音源 BGM 05 『TAITO GAME MUSIC REMIXS』収録REMIX Fortune Seeker 作:中澤秀一郎編:void 「SHININ' QUEEN」のREMIX サウンドトラック ZUNTATA RARE SELECTION Vol.3 S'WORK'S Apple Musicでの配信。このほかSpotify、moraでの配信あり。 音源は同名CDに収録のものと同内容。 セガサターン版をマスタリングした音源を収録 (*3) COZMO ~ZUNTATA 25th Anniversary~ DISC2 LEGEND DISCにセガサターン版準拠の「CLEOPATRA FORTUNE」「SELECT」「SHININ' QUEEN」「DESIRE」を収録 タイトーデジタルサウンドアーカイブス ~ARCADE~ Vol.5 アーケード基板からのデジタル収録 TAITO GAME MUSIC REMIXS Apple Musicでの配信。このほかmora、Amazon Musicでの配信あり。(音源は同名CDに収録のものと同内容) void(Mournfinale)によるREMIXを収録
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ボクとセカイのユークリッド 機種:PC 作曲者:ZIZZ STUDIO 発売元:tangentθ 発売年:2015 概要 女性向けPCゲーム 原画:守岡英行 シナリオ:宮本夕生、神尾アルミ 音楽:ZIZZ STUDIO 収録曲 曲名 作・編曲者 補足 順位 TRUE QUALIA (SHORT VER.) 磯江俊道 歌:いとうかなこ 変わらないセカイ 黒川陽介 明日の花 磯江俊道 あの記憶 安谷屋真之 真実の痕 Amazing 黒川陽介 キミの想い 磯江俊道 真冬の月 安谷屋真之 何のため 繰り返すセカイ 真実の答え ANOTHER QUALIA 磯江俊道 Desert Snow 歌:中澤まさとも サガミナミ 優しい嘘 黒川陽介 ボクの願い 安谷屋真之 紫夜の星 磯江俊道 越えるセカイ 安谷屋真之 ここにいたんだ 磯江俊道 歌:田丸篤志 中澤まさとも つなぐ想い 歌:田丸篤志 ミニドラマ「キミとワルツを」 CV:田丸篤志 中澤まさとも ここにいたんだ 那由多ver. 磯江俊道 歌:田丸篤志 ここにいたんだ 真冬ver. 歌:中澤まさとも サウンドトラック ボクとセカイのユークリッド オリジナルサウンドトラック PV
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ガメラ2000 機種:PS サウンドディレクター:中西宗博 作曲者:高木正彦 、中澤秀一郎 、中西宗博 ムービーミュージック:河本圭代 効果音:石川勝久 ムービー効果音:中西宗博 開発元:デジタルフロンティア 発売元:大映 販売元:ヴァージンインタラクティブエンターテインメント 発売日:1997年4月25日 概要 映画ガメラシリーズを元にした3Dシューティング。 自機は戦闘機で、ガメラはプレイヤーの補佐役として登場。 ZUNTATAが外注 (*1) としてサウンドを製作しているが、タイトーが主となって開発した作品ではない。 『レイストーム』が本作の源流と言われることもあるが、サウンド以外で共通するスタッフというと タイトーからデジタルフロンティアに移籍し初仕事 (*2) としてメカデザイン (*3) を担当したいわたあつし氏くらいのもの。 ZUNTATAの石川氏はZUNTATA NIGHTにおいて「音楽をZUNTATAがやっただけでタイトーのゲームではない」と言い切っている。 ゲームパートのBGMは高木氏・中澤氏が、ムービーパートのBGMは河本氏が作曲。 なお「MAN machine」、「The Promise」、「♀HUMANOID♂」には高木氏がrichard h.b.名義で参加している。 これは、今までの自分とは少し切り分けて別の表現をしなければと考え使用した名義であるという。 (*4) 収録曲 (サントラ収録順) 曲名 作・編曲者 補足 順位 Game section ACHTUNG ! 高木正彦中澤秀一郎 STAGE 2 HAWAIIAN ISLANDS 道中~ボス 初代PS256位 「ゆれる影」 - an illusion - STAGE 7 DRAGON FORTRESS 第一形態 MAN machine 中澤秀一郎高木正彦 STAGE 1 TOKYO BAY 道中 The Promise ~ to be born again and see you... STAGE 1 TOKYO BAY ボス serching for love STAGE 3 DEEP FOREST UNDER THE TABLE 高木正彦中澤秀一郎 STAGE 4 UNDERWORLD 道中~中ボス NOTORIOUS GYPSY STAGE 4 UNDERWORLD 道中終盤~ボス The One GENESIS スタッフロール The end of 1996 H.K. 高木正彦中西宗博中澤秀一郎 STAGE 6 NEO HONG KONG 道中 第7回777位第8回929位第9回606位第11回993位シューティング122位初代PS48位夜135位 ♀HUMANOID♂ 中澤秀一郎高木正彦 STAGE 6 NEO HONG KONG ボス TOKIO DREAM 高木正彦中澤秀一郎 サウンドテスト MUSIC 09 ElekTeo STAGE 8 敗北後 再戦 フォーリー・ア・ドゥ (妄想伝染) 高木正彦 First Attention 高木正彦中澤秀一郎 STAGE 5 ALCATRAZ ESION KISUM STAGE 8 LAST BATTLE Last Note STAGE 7 DRAGON FORTRESS 第二~第三形態 Movie section VISITORS WITHOUT NOTICE 河本圭代 オープニングムービー 1 ALERT オープニングムービー 2 BEFORE A TEMPEST STAGE 1 開始前ムービーSTAGE 1 出撃準備シーン BRAVELY CIRCLE STAGE 2 クリア後ムービーSTAGE 3 出撃準備シーン GADGET STAGE 4 クリア後ムービーSTAGE 5 出撃準備シーン IMMORABLE EXISTENCE STAGE 5 クリア後ムービー FIRE WALL STAGE 6 クリア後ムービーSTAGE 7 出撃準備シーン GIGANTIC STAGE 7 クリア後ムービー SENCE OF CRISIS STAGE 8 敗北後ムービー HIKARI (faultly take) シルバーランククリアエンディングムービー HIKARI (nearly take) ブロンズランククリアエンディングムービー HIKARI ゴールドランククリアエンディングムービー サウンドトラック ガメラ2000 ~オリジナルサウンドトラックス~ ZUNTATA HISTORY L'ab-normal 3rd Apple Musicでの配信。このほかSpotify、moraでの配信あり。(音源は同名CDに収録のものと同内容) 「The end of 1996 H.K.」、「ACHTUNG!」を収録 GAME MUSIC II 黎明記 THE VERY BEST OF Mar. Apple Musicでの配信。このほかSpotify、moraでの配信あり。(音源は同名CDに収録のものと同内容) 「The One GENESIS」、「The end of 1996 H.K.」を収録
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――里沙の死を告げられたときのような感覚は、もうなかった。 里沙が残してくれたメッセージが、その思いが、今も自分の進むべき方向を指し示してくれているから。 だが、先ほどとはまた違う思いが胸に込み上げる。 ――れいなを一人にするようなことはせんから あの夜……自分の部屋を訪ねてきたれいなに、愛はそう約束した。 それなのに――― 唇を噛み締める愛の脳裏に、そのときのれいなのぎこちない笑顔が浮かぶ。 喪失感は、不思議と感じなかった。 ただ、その笑顔を…そして約束を守れなかった申し訳なさが、愛に静かな涙を流させた。 「…さっきも言うたけどな。あのときウチは――」 「この次会うときは命のやりとりになるかもしれない…」 「………そうや」 言わずもがなの言葉を言い訳のように重ねかけた自分に苛立つかのように、中澤は愛から……愛の涙から視線を逸らした。 「でも何で……他にだってやり方は絶対あったのに。あるはずなのに」 そう続ける愛の言葉には答えず、中澤は一枚のカードを取り出した。 次いで、無言のまま、傍らのドアに設置されたカードリーダーをくぐらせる。 微かな電子音と共に、赤く点灯していたランプが緑に変わり、室内への扉が開いた。 何も言わず実験室の中へと入っていく中澤を数秒眺めた後、愛も黙ってその背中に続く。 靴音だけを響かせ、中澤は実験室の中央に設置された、強化ガラス製と思しき小さな部屋へと歩み寄った。 そして、無造作に手を伸ばすと、そこに掛けられていた白い布を引き剥がす。 ベルト、電極……そして様々な機器と繋がる、長々と伸びたチューブやカラフルな何本ものコードが、愛の目に飛び込んでくる。 そして――― その中央に、“彼”はいた。 半獣化した体を横たえ、全身にチューブやコードを固定された姿で。 ただ静かに……しかしその体内に絶望的な“未来”を抱いて――― 「……確かに、多くの人間が死ぬ。そやけどそれは必要な犠牲や」 「必要な犠牲?」 “彼”の方に視線を向けたままでしばらくぶりに発された中澤の言葉を、愛は小さく繰り返す。 「そうや。『ノアの方舟』の話は知っとるやろ?あれと似たようなもんや」 「ノアの……方舟……」 そのフレーズを聞くのは、これが初めてではなかった。 それこそが、愛佳の告げた“未来”であったから――― 降りしきる雨に霞む視界の中、全身を雨に打たれながら愛佳が見たのは、この世界の終末に等しい光景だった。 呆然とする愛佳の頭に、『創世記』の中の有名な逸話、「Noah s Ark――ノアの方舟」の一場面が浮かぶ。 神の教えを蔑ろにし、好き勝手にふるまう人間たちに下された審判。 40日40夜降り続いた雨は、150日もの間地上を覆い、方舟に乗っていた一部を除いたすべての生命を滅ぼし尽くした――― それと同じことが今まさに起こっている――― 愛佳は慄然とした思いで、その事実と凄惨な光景の前に立ち尽くすしかなかった。 ウイルスという名の洪水は、地球上の陸地を全て浸していた。 おびただしい数の“人間だったもの”もまた同様に。 そして、そこに冷たく降り注ぐ雨を生む闇色の雲は、二度と訪れることのない青空を思わせた――― 「……ゆうても、ノアの大洪水みたいにほとんどの人間が死ぬいうわけやない」 中澤の声に、愛の意識が現在へと引き戻される。 同時に、その言葉と声の調子に愛は疑問を抱いた。 「中澤さん、あんたはどれくらいの人間が死ぬと……?」 視線を愛の顔へと戻し、中澤は吐き出されたため息と共にその問いに答えた。 「この国で1000万人、世界でその15倍…いうところか。少なからぬ人数や。そやけど何かを変えるには――」 「違う…!……違うよ、中澤さん」 真っ直ぐに視線を合わせ、愛は中澤の声を遮った。 その表情には、怒りともやるせなさともつかない色が浮かんでいる。 「そらウチかって完全に正しい思ってやってるわけやない。でも――」 「違う。そうじゃない。あんたの思ってる“未来”は間違ってる」 「………なんやて?どういう意味や」 再び言葉を遮った愛に訝しげな表情を体ごと向け、中澤は硬い声で問い返した。 「犠牲は……あんたらが思ってるよりずっと多い。そんなものじゃ済まない」 「な………っ!?」 口を半開きにした中澤の瞳の中に、様々な色が見え隠れする。 だがそれも一瞬のことで、中澤はその愛の言葉が嘘ではないと判断したようだった。 「…あんたとこの予知能力者が視たんか?どれぐらいの……犠牲が出る言うんや」 低い声でそう問いながら、中澤は愛の瞳を覗き込んだ。 冷静さを装った声の出だしが少し掠れたことに苛立つような素振りが、その内心を物語っている。 複雑な感情を浮かべた視線を返しながら、愛は静かにその問いに答えた。 * * * 「世界ではおよそ55%。この国では……約80%の人が……死ぬ」 愛の言葉に、中澤は息を呑んだ。 思わず出かかった、「そんなはずはない」……という言葉もまた、愛の表情の前に呑み込まざるをえなくなる。 「そやけど……カオリは……」 そう、カオリはそこまでの被害が出る前に食い止められると言っていた。 他でもない、自分たちの“組織”が開発するワクチンが歯止めをかける形になって。 実際、既に極秘裏にワクチンの製造は始められている。 完成までにそれほどの時間は要さないところまで来ているはず――― ―――『変数』 先ほど愛に向けた言葉が頭を過ぎる。 高橋愛の存在によって、また“未来”は思わぬ方向へと変わってしまったのだろうか。 だが、確かめたくてもその術はない。 “未来”を知る者は……飯田圭織はもう、存在しないのだから。 突然姿を消した飯田から、最後に電話が掛かってきたときのことが思い出される。 どういうことなのか、どこにいるのかと問い質す中澤に、飯田はまったく関係のない言葉を返した。 神にも変えられない“未来”がある。だけどね、自分だけがその“未来”を変えられることもあるんだよ。 神にも変えられない“未来”を……自分だけが。そう、未来は……この手の中にある。いつだって。 その言葉の意味は、はっきりとは分からなかった。 普段口にしていた、「未来を知るあたしは神」という意味合いとはおそらく異なっているということが、辛うじて感じられただけで。 ……そして、飯田圭織が帰ってくることはなかった。 何一つ理由が告げられることはなく、何があったのかも分からないままに――― だからそう、だから…戻れないのだ。 新たに自分に“未来”を告げてくれる者はもういない。 この道が枝分かれすることはない。 …いや、させてはいけないのだ。 最後までこの道を往き、歩んできた自分の足跡が紛れもなく“正義”であることを証明しなければならない。 「ノアの方舟」――その言葉が再び浮かび上がる。 犠牲が想定していたより遥かに多いとしても……それこそ、それが“神の思し召し”なのかもしれない。 ……そう、未来という名の神は望んでいる。 新たな「創世」が為されることを――― 「だからお願い―――」 「愛ちゃん、ウチは戻る気はない。ウチが往く道の前に立ち塞がるなら……排除するだけや」 愛の懇願を断ち切るように、中澤は低い声で言い放った。 その声には、愛を反射的に身構えさせるだけの殺気が込められていた。 「中ざ―――!?」 「―――!?」 それでも説得を重ねようとしたらしき愛の言葉が唐突に途中で止まり、視線が中澤の背後へと向けられる。 その視線を追った中澤の目も、愛と同じように驚きに見開かれた。 「後藤………」 そこに在ったのは、凄みのあるオーラで包まれた怖いくらいに端整な容貌――― 今まさにこの部屋に足を踏み込んだ、後藤真希の姿だった。 「愛ちゃん、最後のお願いに来たよ」 「………?」 * * * 抑揚の乏しい…それでいて切羽詰まったような響きを持つ後藤の言葉に、愛は困惑の表情を浮かべた。 だが、そんな愛の様子には一切構うことなく、後藤は淡々と言葉を継ぐ。 「ねえ愛ちゃん…あたしを殺してよ。愛ちゃんならできるよね?あたしの全部を……殺してくれるよね?」 「―――――」 あの日―――久住小春と初めて出逢った日の後藤の瞳が思い出される。 苛立ち、哀しみ、諦観、そして恐怖……… 一見無感動な表情の中、後藤の瞳には多くの感情が揺らめいていた。 あのときはその意味するところがはっきりとは分からなかった。 でも、今なら少し分かる気がする。 「そんなことはできん。あーしは……人を殺すために生まれてきたんじゃない。あーしのチカラはそんなためにあるんじゃない」 だが、愛はそうきっぱりと後藤に告げた。 里沙が遺してくれた言葉は、二度と迷わぬよう、愛の進むべき道を照らしてくれていた。 「…いいよね、愛ちゃんは。“光”でさ」 愛の言葉を受けた後藤の瞳が、その暗さを増す。 「あたしは…“闇”だから。あたしのチカラは。光も届かない真っ暗な……闇なんだよ、愛ちゃん。暗くて…何も見えなくなりそうなんだよ。自分さえも」 あたしは“闇”――その言葉に、愛は再びあの日のことを思い出す。 空中を自在に移動し、れいなを軽々と吹き飛ばした後藤のチカラは、“念動力―サイコキネシス”のようにも見えた。 しかしそのすぐ後、愛は後藤のチカラの意味するところを知ることになる。 「何の話や…?“光”?“闇”?後藤、あんたのチカラは“重力―グラヴィティ”…やなかったんか?」 蚊帳の外に置かれて困惑したような中澤の声が、愛の思考を遮った。 まるで今初めてそこに中澤が立っているのを見つけたかのような目を向けると、後藤は緩慢な動作で首を振る。 「違うよ。いや、違いはしないんだけどさ。あたしのチカラは“闇―ダークネス”だよ、裕ちゃん。あたしは闇なんだよ。真っ暗な……闇」 「“闇―ダークネス”………」 後藤の持つあまりにも強大なチカラ。 空間が歪んで見えるほどの巨大な重力。 それは、全てを飲み込むブラックホール――闇を形成する。 きっと自分自身さえも飲み込んでしまうほどの、深く……凶悪な真の闇を――― 「自分が…消えてしまいそうなんだよ、もう。だから……だからそうなる前に……あたしを殺してよ、愛ちゃん」 暗く、深い色を湛えた瞳を愛へと戻し、後藤は感情の消えた声で再びそう言った。 「……さっき言ったはずや。そんなことはできん」 飲み込まれそうな深さを湛えた後藤の瞳を真っ直ぐに見つめ返しながら、愛もまた再びそう告げた。 れいなと…里沙と…そして、かけがえのない時間を共にした仲間たちと出逢ったときのことを、愛は思い出す。 皆、最初は心の中に深い闇を抱えていた。 そこから抜け出せずに助けを叫んでした。 …いや、きっとずっと心の闇は抱え続けていたはずだ。 辛い過去が消えるわけではないのだから。 不安な未来が無くなるわけではないのだから。 ただ―――その闇を照らすことのできる光を、自分の力で……そして仲間と共に見つけただけで。 「闇は誰かって抱えてる。あんただけやない。それは……あんたの甘えや」 そう言い切った瞬間、後藤の瞳から完全に感情の色が消えるのを愛は見た。 「そっか……。なら…あたしはもうほんとの闇になるしかない。全てを飲み込む……闇に」 「……後藤!何を―――」 「裕ちゃんは外に出ててよ。死にたくないなら」 緩慢な口調からは想像もつかないほどの凍りつくような気配を湛え、後藤は視線も向けずにそう言った。 僅かに怯んだ表情を一瞬浮かべながらも、中澤は後藤に手を伸ばす。 「待て―――」 「邪魔しないでって言ってんの!」 「ぐ………っ!」 何かが軋むような音が聞こえ、後藤の肩に手をかけようとしていた中澤がそのままの姿勢で吹き飛ばされる。 壁面に叩きつけられる寸前、その背後に裂け目が現れ、中澤はその中へと姿を消した。 「愛ちゃんがあたしを殺してくれないなら、あたしが愛ちゃんを殺す。…光なんて言ってもさ、本当の闇は……照らせないんだね、やっぱり」 中澤の方はもうまったく見遣ることもなく、後藤は表情を無くした顔を愛に向ける。 「だからさ、愛ちゃんの“光”のチカラでは、あたしには勝てないよ。ブラックホールは光さえも出られない真の闇。……光は闇を照らせない」 「―――――!!」 瞬間―――圧倒的なエネルギーが愛を襲った。 “光”でさえ抗えないほどの、圧倒的な“闇”のチカラが。 そして……全てを飲み込もうとする闇の中、遠ざかりかける意識の片隅で、愛は聞こえるはずのない声を聞いた気がした。 もう、二度と聞くことができないはずの元同居人―――れいなの声を。 To be continued... back →『“未来”への反逆者たち ―闇と光(4)―』 next →『“未来”への反逆者たち ―闇と光(6)―』
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「なぁ、どこまで行けばいいと?」 不審と苛立ちをその声に滲ませ、田中れいなは前方を行く少女に訊ねた。 廃倉庫が立ち並ぶこの一画には他に人影もない。 街灯さえほとんどなく、今はまだその姿を残している陽が完全に落ちきれば、あっという間に周囲は漆黒に塗りつぶされると思われた。 「もう少しだから黙ってついてきなって。相変わらず心が短いねれいなは」 それを言うなら“気が短い”っちゃろ?―という言葉を飲み込み、れいなは少女の背中を見つめた。 施設で一緒だったこの少女―東奈(はるな)―とは、特に親しかったわけではない。 …というより、現在と同様親しい人間など一人もいなかったし、必要だとも思わなかった。 それでも、数少ない同い年の同性ということもあり、東奈と一緒に過ごした時間は確かに比較的長いと言えるかもしれない。 だが、こんな風に気安いやりとりをした記憶はない。 「両親のこと知りたくない?」 街中で久しぶりに遭った東奈は、馴れ馴れしく肩に手を置きながらいきなりれいなにそう告げた。 物心ついたときには、一葉の写真だけを残して自分の前からいなくなっていた両親。 ずっとどうでもいい風を装ってきたが、本当は気になって仕方がなかった。 どんな人だったのか、どうしてれいなを残していなくなってしまったのか―― だかられいなは思わず東奈の言葉に頷き、「ついてこい」というその言葉に従った。 だが、冷静になってみれば、東奈がどうしてれいなの両親のことを知っているのかという当然の疑問が頭をもたげる。 東奈とは両親の話をしたことも、もちろんたった一枚残された写真を見せたこともない。 それなのに―― そのれいなの思考は、ようやく立ち止まった目の前の少女の声で断ち切られた。 「この中だよ。見せたいものがあるんだ」 れいなを振り返りながらそう言う東奈の前にあるのは、立ち並ぶ廃倉庫のうちの一つだった。 東奈が示すその倉庫は、比較的新しい部類に入るかもしれないということの他は取り立てて何の特徴もない。 一体こんな廃倉庫の中に自分の両親にまつわる何があるというのだろう。 そしてそれをどうして東奈が知っているのだろう―― 再び湧き上がるれいなの疑念を遮るかのように、東奈は倉庫の扉を引き開けた。 錆びついた扉が軋み、内部への入り口が姿を現す。 東奈はその中へと無造作に踏み込み、振り向いてれいなを手招きした。 一瞬躊躇いを覚えたれいなだったが、東奈の後に続いてゆっくりと倉庫の中に足を踏み入れた。 内部は日が落ち始めた外よりもなお薄暗く、廃墟に特有の湿気た空気が満ちている。 その中をどんどん奥へと進んでいく東奈の背中を追い、れいなは内部へと歩を進めた。 ――ギィィ そのとき、不意に背後から聞こえた音にれいなは振り返った。 それとほぼ同時に目に入ったのは、今しも完全に閉じられようとしていた入り口の扉。 そして、その扉を背後に立つ数人の男たち。 「東奈っ……!」 瞬時にその意味するところを悟り、れいなは再び倉庫の奥へと視線を戻す。 先ほどまで背中を見せていた東奈が体ごと振り返り、笑みを浮かべている姿がそこにあった。 その両サイドからも男が数人出てくる。 もはや、東奈がれいなを罠に嵌めたのは明白だった。 「どういうことか説明してもらうけんね」 鋭く睨みつけながら低い声でそう言うれいなに一瞬たじろいだような表情を見せた後、東奈は虚勢を張るように再度笑みを浮かべた。 「話はのんじゃなくて後で他の人がすることになってるから」 「…………のん?あんた…東奈やないっちゃね?」 「あっ…!いや……その……」 しまったという表情をあからさまに浮かべると、“東奈"は慌てて周りの男たちに指示を出す。 「とにかく捕まえて!」 その声に従い、周囲を取り囲むようにしていた男たちがゆっくりとれいなの所に歩み寄る。 一人の手に注射器らしきものを認め、れいなは不敵に笑った。 「何でれいなのこと狙ったんか分からんっちゃけど、あんたらなんかに捕まるわけ……ないけんね」 次の瞬間――注射器はそれを持っていた男の腕ごとへし折られた。 絶叫が響き、驚愕の視線が飛び交ったと思ったときには、さらに2人が声も出せないまま土ぼこりの積もった床に胴体着陸していた。 そちらに気を取られてれいなの姿を見失った数人の意識も、ほぼ同時に突然の暗闇に襲われる。 数瞬の間に残り僅かとなった男たちのうち、なんとか武器を手に持つことができたのが1人、それを使うことができた者は…いなかった。 「あんた…何モン?なんでれいなのこと捕まえようとしたと?それになんで東奈とおんなじ顔しとー?」 地面に転がる男たちにはもう目もくれず、れいなは“東奈”を睨みつけながら両手をブラブラとさせる。 「そ、そんなにいっぺんにきかれても覚えられるわけないだろ!…あ、っていうかこ、答えるわけないだろ!」 「…じゃあ答える気になってもらうだけやけんね」 「ま、待って待って……待てよ!昔の友達を殴る気かよ!」 「あんた、東奈やないとやろ?まあ知り合いやろうが何やろうがれいなには関係ないっちゃけど」 話しながら、一歩一歩“東奈”の方へと歩み寄っていたれいなの目がすっと細められる。 完全に戦意を喪失して後ずさる“東奈”がその獣のような目に恐怖した次の瞬間、それはすでにその眼前にあった。 だが――― 「――――っ!?消え……!?」 獣の爪牙は獲物を捉え損ね、その炯眼は対象すら見失って驚きの色を浮かべた。 確かに間合いに入ったはずの“東奈”は、一瞬のうちにれいなの眼前から消えていた。 比喩ではなく、その言葉の通り、確かに今いたはずの場所から紛れもなく消え失せていた。 ―いや、やはりその表現は正しくない。 “東奈”は確かにれいなの目の前から消えはしたが、倉庫内を彷徨うれいなの視界の中に再び飛び込んできたから。 いつの間にか倉庫の最奥部に現れていた一人の女とともに。 今起こった理解しがたい現象も当然気になったが、それよりもれいなは新たに現れたその女そのものに気を取られた。 半ば金色に見えるくらい脱色された髪と、淡いブルーのカラーコンタクト。 年齢はれいなよりもかなり上――おそらく一回り以上は年上だろう。 シックなモノトーンのパンツルックに身を固めたその立ち姿は、それほど大柄ではないのにも関わらず不思議な威圧感を湛えている。 「つじぃ……誰がこんなやり方せぇ言うた?」 倉庫内の様子に眉をしかめて盛大なため息をついた後、女は“東奈”を呆れたように見ながらそう言った。 ――関西弁? 油断なく新たな“敵”に視線を注ぎながら、れいなは2人のやりとりを見守る。 関西弁の女の言葉から察するに、“東奈”の本当の名前は「つじ」だか「つじい」だかなのだろう。 「えーっ!だってなかざわさんが…」 「ウチはその子をここまで連れてきてくれ言うだだけやろ?何をどうしたらこんなことになるねんお前はほんまいっつも……まあええわ」 早口にまくし立てていた女は途中で諦めたように言葉を切ると、視線をれいなに移した。 「田中れいな…やな?ウチは中澤裕子。こいつは辻希美や。すまんかったな、このアホが勝手なことして。後でよう言うとくから堪忍や」 「アホって言うな!のんは――」 「あーもううるさい!お前がおると話が進まへんわ!ちょっと頭冷やしながら待っとれ!」 「―――!」 中澤がその言葉を発した瞬間起こった現象に、れいなは目を見開いた。 それは、空間が――景色が一瞬にして裂け、それがその次の瞬間には元通りに閉じるという信じ難い現象だった。 しかも、傍らに立っていたはずの辻を飲み込んで――― 「これでやっとゆっくり話せるわ」 「あんた…今何したと?東奈は…やなくて辻とかいうやつはどこ行ったと?」 目の当たりにしたありえない事象に警戒を顕わにしながらも、れいなは中澤に真正面から訊ねた。 「ん?今のか?あれがウチの能力や。“空間裂開能力―スペース・リッパー”たらなんたら言うらしいけど」 そんなれいなを面白そうに見遣りながら、中澤は無造作に答えを返す。 「スペース……何ねそれ」 「まあ簡単に言うたら…そやな、異次元への入り口と出口を好きなとこに作れるみたいなもんや。ほんまはちょっとちゃうけど」 「そうやなくて何でそんなことができよるんかって訊いとー!」 「は?何でって……」 思いもかけないことを訊かれたというように、中澤は目をパチパチさせる。 れいなはそれに構わず言葉を重ねた。 「もしかしてさっきの辻とかいうやつもあんたみたいなヘンなチカラで東奈に化けとったんか?」 「……そや。あいつのは“擬態能力―ミミックリィ”っていう…まあ他人に化けられる能力やな」 れいなの問いにとりあえず答えながらも、中澤は訝しげな表情を作る。 「あんた…田中れいな…やんな?間違いなく」 「そうやった!それもやった!なんであんたらはれいなのこと知っとー?れいなはあんたらなんて全然知りよらんっちゃけど」 「何で知ってるかいうんは話が長なるけど……なあ、あんたもウチらと一緒なんやろ?」 「は?何が?」 「そやから…あんたも“能力”持ってるんやろ?」 「はぁ!?いきなり何言っとー?そんなわけないやん。れいなあんたらとは違って普通の人間やけんね」 れいなのその言葉に、怒りとも悲しみともつかない複雑な表情が中澤の顔を過ぎった。 だがそれも一瞬のことで、すぐに元の表情に戻った中澤は静かに言葉を返す。 「…ウチらかて普通の人間や。それにあんたの言うところの“普通の人間”がこんなことできるいうんか?…どうやった?何をした?」 いまだ倒れ臥したままピクリとも動かない男たちを軽く顎で指し示し、中澤はれいなの目をじっと見つめた。 「れいなケンカには負けたことないけんね。もっと大勢を叩き潰したこともあるけん」 しばらくれいなの目を鋭く睨みつけていた中澤の目に、次第に呆れと困惑がない交ぜになったような色が浮かぶ。 「嘘を言うてるわけでもなさそうやな……ほんまに気付いてへんのか……?」 「何を一人でブツブツ言っとー?やけんれいなはあんたらとは違って普通の人間やってさっきから言うとろーが!」 再びれいなの口から繰り返されたその言葉には、中澤はもう表情を動かさなかった。 「こっちもさっき言うたけど…ウチらかて普通の人間や。化けもんでもなんでもない、ただの普通の…人間や」 だが、その声にはやはりどこか形容しがたい複雑な色調が滲んでいた。 「なあ、れいな。あんたは今…幸せか?自分が生まれてきたことに意味を感じられてるか?」 一瞬訪れた沈黙の後、中澤は唐突にれいなにそう問いかけた。 思いもかけない突然のその問いに対し、れいなは咄嗟に言葉が出てこなかった。 中澤の問い自体に意表を突かれたからというのはもちろんある。 だが、それ以上に――― 「れいな。あんたはさっき自分はウチらとは違うって言うてたな?」 黙り込んだれいなに、中澤はゆっくりと言葉を重ねる。 「“能力”のことはこの際置いとこ。そやけどな、れいな。それでも……一緒や。あんたはウチらと」 先ほどと違い、何故か否定の言葉は口から飛び出さなかった。 中澤が何を言いたいのか、何となく理解できたからだろう。 それはつまり、確かに中澤に対してどこか自分と「同じ」臭いを感じ取ったからだと言わざるをえない。 「この世界には昼と夜がある。ウチらや…れいな、あんたは夜の世界でしか生きられへん存在なんや」 中澤のその言葉は、確かな説得力を持ってれいなの心に響いた。 というよりも、それは元々れいなの中に存在していた所懐であったのかもしれない。 物心がついてからこの方、れいなはずっと独りだった。 もちろん周りに誰もいなかったというわけではない。 だけど――いつも孤独だった。 喩えるなら、出口の見えない暗いトンネルの中をただ独り歩き続けているかのような毎日だった。 ――いや、過去形ではない。 今現在もそうなのだから―― 「ウチらんとこにおいで、れいな」 「…………あんたらの…とこ?」 再びの唐突な言葉に、れいなの思考は空転する。 そんなれいなに対し中澤は静かに頷き、そのややハスキーな声で言葉を継いだ。 「夜にしか…闇の中でしか生きられへんのやったら、自分も闇になればいい」 「闇に……?」 「そうや。闇から這い出ようとするからしんどいんや。……ちゃうか?」 「それは……やけど……」 「あんた見とると昔の自分を思い出すんよ。よう似とる。他人とは思えへん。そやからこそ…余計にほっとけへん」 「…………」 ―もう、この闇と同化するしか自分には救いはない― そんなフレーズが頭の中に浮かぶ。 それはまさに、ここのところれいなを支配し始めていた思いだった。 そしてそれは、れいなにとって等しく“絶望”だった。 だけど―― 「あんたらと一緒に行ったら……救われると?れいなは……」 それはもしかすると“絶望”ではなかったのかもしれない。 この人の言うように、それが自分の生きるべき世界なのかも――― 「そんなん絶対おかしい!」 「………!?」 だが、れいなの思考は新たな声によって遮られた。 れいなと中澤の視線が同時にその声の方――倉庫の隅へと向かう。 そこに立っていたのは、一人の小柄な少女だった。 警戒と当惑が相半ばした表情を浮かべる中澤の口元が微かに動き、小さな声が漏れる。 その声は誰にも届くことはなかったが、もしもすぐ傍に立っていた者がいたとしたら「どういうことやねんカオリ」という言葉を耳にしただろう。。 「あんた…何もんや?いつからそこにおった?どうやって入ったんや」 一呼吸の後、中澤はすぐに感情を消し、鋭く少女を睨みつけて矢継ぎ早に問い質した。 だが少女はそれには答えず、その瞳をれいなに真っ直ぐに向けた。 「確かに夜は辛い。孤独は辛い。ほやけど、ほやさけぇいうて…間違うとるよ、そんな考え」 「間違ぉとる?あんたにれいなの何が分かると!?ずっと…ずっと独りで生きてきたれいなの何が!暗闇でしか生きられんれいなの何が分かるっちゃ!」 たまにどこのものとも知れない方言が混じるその少女の言葉に一瞬呆気にとられながらも、れいなは思わず激しい口調でそう言い返していた。 「夜しか生きられん人間なんておらん。夜しか生きたらいかん人間もおらん」 だが、その目をじっと見据えたまま力強くそう言い切る少女に、れいなは先ほどとはまた違った意味で言葉を失くした。 「いきなり現れて分かったようなこと言うてくれるやないか」 その代わりに中澤が再び少女に話し掛ける。 今度は少女もその声の方に視線をやった。 「誰や知らんけど…間違いなくあんたも“能力者”やろ?そやったら分かるはずや。この世界がどんだけ理不尽か」 抑え切れない怒気を孕んだ中澤のその言葉にも、少女はまったく怯んだ様子も見せずに向き合っていた。 知らず、中澤の方が怯むほど真っ直ぐな瞳で。 「ウチはあんたより長く生きてる。そやからこの世界の腐りきった部分もその分多く見てきとる。…分かってへんようやったらはっきり言うといたるわ」 瞬時気圧された自分に戸惑いながら、それを振り切るように中澤は言葉を継ぐ。 「ウチらは夜の世界でしか生きられへん。なんぼ足掻いても闇から抜け出すことはできん。この世界自体が変わらん限りはどうやってもな」 少女はその言葉に微かに表情を動かした後、静かに…しかしキッパリとした口調で言った。 「終わらない夜なんてない。夜の後には必ず新しい朝が……明日があるんやから」 そんな画に描いたような理想は現実にはありえないと確信している中澤ですら、言い返す気を殺がれるほどに決然と。 「ほんまに……?れいなも……」 ―明るい場所を歩くことが許されるのだろうか。 ―暗闇のトンネルの先に、光を見ることは叶うのだろうか。 その思いは言葉にならなかった。 だが、まるでその問いに答えるかのように少女はれいなに視線を移して深く頷き――そして言った。 「朝は必ず来る。誰にでも。どんなときでも」 「誰にでも……どんなときでも……」 れいなはその言葉を呆然と繰り返した。 自分の中に、かつて経験したことのない何か不思議な感覚が湧き上がってくるのを感じながら。 「…どうやらやり方を変えざるをえんみたいやな」 そのとき、倉庫内に響いた中澤の声にれいなの背筋は凍りついた。 口調が変わったわけではない、それにも関わらず先ほどまでとはまるで違う響きを含んだその声に。 「結局あのアホとおんなじやり方になってしまうんは癪やけど…しゃあない。……れいな、あんたがウチらんとこに来るんは―――」 「…ッ!?」 ―まるでスローモーションを長々と見ているようだった。 言葉の途中で中澤の姿が空間の裂け目に消えたのを目の当たりにしたれいなは、慌ててその姿を探す。 その直後、背後から聞こえた「運命なんや」という中澤の声に慄然としたれいなは、間に合わないと心のどこかで悟りつつも振り返る。 刹那、視界が奇妙にぶれ………れいなは先ほどまでとは全く違う場所に立っていた。 ―その実、それらはほんの数瞬の出来事だった。 中澤が、唖然とした表情で立ち尽くしている。 れいなもほとんど同じような表情を浮かべていた。 2人の視線が交わる先には――いつの間にかれいなのすぐ隣に立つ少女の姿があった。 「瞬間移動か…なるほどな。それでここにもいつの間にか入ってこれたいうわけか。…しかし解せんな。今のはまるでウチの心を――」 そう言いかけて、中澤は愕然とした表情を浮かべるとともに息を止めた。 再び微かに動く口元は、こう呟いていた。 「まさか高橋愛…か?嘘やろ?」――と。 その直後、今度は少女の表情に驚きの色が走った。 「あーしのこと…知ってるんか?」 自分の呟きを“聞”いて目を見開く様を見て、中澤は認めざるをえなかった。 目の前の少女が高橋愛であるという、俄かには信じがたい事実を。 「……知っとるよ。少しだけやけどな」 美人に育ったんやな…という言葉を飲み込み、中澤はそれだけを返した。 1人で“瞬間移動―テレポーテーション”と“精神感応―リーディング”の2つの能力を持つ特異な存在。 れいなとともに、“組織”にとって特別な意味を持つ存在。 いつかは相見えることになると思っていた。 だが、それが今日このときになるとは思ってもいなかった。 いや――“そんな予定はなかった”はずなのだ。 それなのに今、現実に愛は自分の前に立っている。 それも隣のれいなと寄り添うようにして、紛れもなく目の前に――― その光景を前にして、中澤は理解した。 今この瞬間に、自分の往く道と田中れいなの往く道は分かたれたのだと。 定まっていたはずの運命は、その形を変えたらしいと。 「れいな。それから……愛ちゃん。最後にもう一回だけ聞いとくわ」 返ってくる答えを既に知りながら、中澤は尋ねた。 「ウチらと一緒に…ウチらのための世界をつくらへんか?」 視線を交錯させた後、2人は中澤の予期した通りの言葉を返した。 「この次会うときは…命のやりとりになるかもしれんで?それでもか?」 重ねたその問いに対する答えもやはり同じだった。 「そうか……分かった」 ため息を吐くと、中澤は体から力を抜いた。 やはり“未来”は…運命は完全に形を変えて確定してしまったらしいと苦い思いを噛み締めながら。 「…なあれいな。あんたが昔のウチになんとなく似とるいうんはほんまや。他人には思えへんいうんも」 それでも、中澤は言わずにはいられなかった。 「れいな。あんたがハタチになったとき、もしウチの隣におったら………」 だが、結局最後までは言えなかった。 ― 一緒に酒でも飲もうや。 もう、そんな未来が訪れることはないことを知っていたから。 道が交わることはもうないのだと……知っていたから。 「……ほな。またな。気ぃつけて帰りや」 中澤は静かに首を振って言いかけた言葉を止め、代わりにそう言うと、空間の切れ目の中に姿を消した。 わだかまるいくつもの疑問や、訊ねたいことを敢えてそのままにして―― * * * 「えっと……大丈夫やった?…って言うんも何か変か…」 「…言っとくけど、別にまだあんたのこと信用したわけやないけんね。まだ名前も聞いとらんし」 どう接すればいいのか探っているかのような愛の言葉に、れいなはそう返した。 床に倒れ臥したままの男たちも次々空間の切れ目に飲み込まれて消え、薄明かりの中に立つのはいまや2人の少女だけだった。 「あ、ほやった!ごめん。あーしは…わたしは愛。高橋愛」 「田中れいな。……一応礼は言うとくけん。やけど、一体何がどうなっとー?分かるように説明してもらえん?」 そのれいなの言葉に対し、愛は困ったような表情を浮かべた。 「ほやのー…でも簡単に話せることやないし…それにわたしも分かってないことが多すぎて……」 先ほど、精神感応のチカラを持つ愛の心に響いてきた“声”。 助けを叫ぶようなその声は、これまでになかったほど遠くから聞こえ、今までのどの声よりも強く響き渡っていた。 そして―その声を目指して“飛”んだ先にあった声の主は、初めて逢うにも関わらずどこか懐かしいような不思議な印象を与えた。 ―誰の手も借りず、一人で生きていこうと思っていた。 自分の運命に、誰かを巻き込んでしまうことは避けようと。 だが、れいなの“声”を“聞”いて―― そしてその姿を目の前にして、愛の胸の中に何かが生まれた。 れいなの“声”を“聞”いて、愛は知った。 自分が、気付かぬうちに半ば以上暗闇の中にいたことを。 出口を見失いかけていたことを。 「ほや、あの…田中さん、今はどこに住んでるん?」 この出逢いにはきっと大きな意味がある。愛はそう感じていた。 だからこそ、これで終わりにはしたくなかった。 「………今はどこにも住んどらん。前住んどったとこ出てきたばっかしやけん」 「あ、そうなん?その…行く当てはあるん?」 「別にないっちゃけど…どうとでもなるけん」 「なあ、もしよかったら…あーしのとこで一緒に暮らさん?」 「……は?一緒に?」 ぽかんと口を開いたれいなに、愛は一枚のカードを差し出した。 「喫茶リゾナント?あんたのやっとー店なん?」 「うん、こないだから。住居スペースも一緒になっとって、まだ部屋も空いてるし。その……田中さんがよければやけど」 お願いだから来て欲しい――そうは言えず、愛は遠慮がちに小さく言った。 れいなはしばらくカードを見つめ――そして顔を上げた。 「お断りっちゃ」 「そう………そうだよね………」 淋しげに微笑む愛に、れいなはニヤリと笑い返す。 「“れいな”って呼んでくれん限りは絶対に嫌やけんね。――愛ちゃん」 愛の顔がパッと輝き、次いでいきなりの抱擁がれいなを襲った。 一瞬、びっくりしたような顔をしたれいなだったが、不思議な心地よさに思わず笑みが浮かぶ。 陽は完全に落ちようとしていた。 “共鳴”という名の運命に引き寄せられて出逢った2人の少女を残して―――