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行くぜ 1投 敷かれた布団の上にペタリと座るシェリルと向かい合うように腰を下ろすと、アルトは彼女の潤んだ瞳を見つめ、照れたような笑みを浮かべた。 「シェリル…」 吐息混じりに名を呼び、シェリルの華奢な身体をそっと抱きしめる。 抱き込まれた腕の中、シェリルは驚いたようにビクッと肩を震わせると短く悲鳴を上げた。 「いやっ」 「…え」 シェリルの反応に、アルトは反射的に抱いた腕を離してしまった。 え、嫌なの? ガーンと硬直してしまったアルトをよそに、シェリルは怒ったように眉を上げる。 「ちょっと、あんたなんでこんなに身体冷やしてるのよ!お風呂入ってきたんじゃないの?」 「あ、え…?」 あれ、嫌なわけじゃないのか…? 「んもう。あったまってこなかったの?」 心配そうな青い瞳に覗き込まれ、アルトはようやく我に返って愛想を崩した。 シェリルの反応を取り違えるなんて、余裕な振りをしたが、思った以上に緊張していたようだ。 あぁ先ほどまでの甘い雰囲気はどこへ行った…。 「あー…。水風呂?」 いろいろ鎮めるのに苦労してね、と心の中で呟く。取り繕うのもらしくないかと苦笑した。 「はぁ?やだ、なにやってるのよ。風邪引いちゃうじゃない!」 何かを誤魔化すように苦笑めいて言うアルトに、シェリルは心底呆れたような声を上げる。 「まったく…水風呂なんて。なんかの修業でもするつもり?」 馬鹿なんだから…と困った顔をして呟くと、シェリルはアルトをその豊かな胸に抱き込んだ。 「シェ、シェリル…!」 薄物の布越しの、ふにゃりと柔らかい感触を頬に感じ、アルトは上擦った声を上げる。 「ほら。こうすれば、少しはあったまるわ」 あんたの身体、氷みたいだったわよ、とアルトを胸に抱き込み、彼の絹糸のような黒髪を優しく梳きながらシェリルは言う。 2投 不器用なシェリルの、髪を梳く指先が優しい。 とても大切なものに触れるように動く、その白い指先から愛情が伝わってくる。 「シェリル…」 途端に愛しさが溢れてきて、アルトは唇に名を乗せた。 顔が見たい。その瞳に映るのが自分の姿であると確かめたい。 「なぁに?」 震える声で名を呼ばれ、シェリルは髪を撫でる手を止めると、アルトの顔を覗き込んだ。 なんて慈愛に満ちた優しい瞳をするのだろう。 その優しい瞳に写った自分は、なんと情けない顔をしているのだろう。 アルトは胸が苦しくなって、喘ぐように息を吐いた。 体中から溢れ出る想いに、溺れてしまいそうだ。 「アルト?」 どうしたの?と首を傾げるシェリルを、彼女の胸の中から見上げていたアルトは、首を伸ばしその唇にそっと口付けた。 「……んっ」 アルトからの口付けに、シェリルは鼻から抜けるような吐息を漏らす。 ちゅっちゅと音を立て、角度を変えてシェリルの唇を吸うと、ゆっくりと唇を離し、アルトはその青い瞳を覗き込む。 お互いの瞳に、お互いの情欲に濡れた顔が映っていることが、ひどく心を満たし、二人見つめあったままそっと唇を合わせた。 「シェリル…、好きだ」 唇を触れ合わせたままアルトは告げる。 間近に見つめた瞳は、涙の膜を張って青が滲んでいる。 それが美しいと、愛おしいと思いながら、アルトはゆっくりとシェリルの身体を布団に押し倒した。 3投 真っ白な布団に、シェリルの豪奢なストロベリーブロンドがふわりと広がる。 白くなだらかな頬を撫で緩く顎を固定し唇を開かせると、アルトは己の舌をそっと差し込んだ。 ぎこちないながら、二人舌を絡めあう。 「……ん…ぅ」 シェリルが深い口付けに懸命に応えている隙に、アルトは手馴れた様子で彼女の浴衣の帯を解き、抜き去った。 本当に和装で良かったと思う。不本意だが、シェリルに浴衣をすすめた糸目の兄に感謝した。 ちゅっと音を立てて唇を離すと、アルトはシェリルの浴衣の袷に手を掛け、ぐいと左右に広げる。 「えっ…あ、…っ」 浮かび上がる白く清らかな裸体に、アルトはごくりと喉を鳴らした。 「シェリル…」 熱を孕んだ声で名を呼ばれ、シェリルはぞくぞくと身体の奥を駆け抜ける感覚に身体を震わせた。 アルトはシェリルのひざを割り、己の身体を割り込ませると、胸元を隠そうと持ち上げられた彼女の両腕を取り、布団に押し付ける。 「隠すなよ」 自分には全て隠さずに見せて欲しいと、唇を尖らせてアルトは言う。 ついうっかりその細腕をきつく押さえつけてしまいそうになって、逸る気持ちを落ち着かせようと深く息を吐いた。 『シェリルさんの真っ白な肌にーなにするのー!』 以前浴びせられたランカからのお小言を思い出し、思わず苦笑いを浮かべる。 シェリルの肌に跡をつけるな、と。残念、それは無理な話だ。 むしろ積極的につけてやるよ、俺だけの証を。 4投 「…あ、ると?」 自分の手首を押さえたまま、苦く笑うアルトに、瞳に熱を宿したままのシェリルは不安そうに問う。 「跡、つけていい?」 「え?」 アルトはシェリルの手首を押さえつけていた手を離し、そっと左腕持ち上げると、しっかりと指を絡め、その指先に口付けを落とした。 一度、捕まえられずに離れてしまったこの手を、もう二度と離すものか。 「ダメって言われても…無理」 「えっ」 アルトは子供のようにそう言うと、シェリルの返事を聞くことなく、彼女の豊かな胸元に顔を落とす。 柔らかく、しかし張りのある白い乳房に唇を寄せると、ふと考えて左の乳房の上をきつく吸い上げた。 「あっ…ん」 くっきりとついた所有の証に微笑みを浮かべ、それでも足りず白い首筋にも唇を寄せ吸い付いた。 強く、弱く重量感のある乳房を揉みしだくと、それは面白いようにアルトの手の中で形を変える。 ツンと尖った頂を指先で捏ね回し、もう片方は唇で挟んで吸い上げる。 シェリルから紡がれる声が熱を帯び濡れている。 アルトは身体を起こすと、散々胸元を弄り回していた手を、そっとシェリルの秘所へと滑らせた。 「……っあぁ!」 くちゅっと下着の上からでも水音を立てるそこへの刺激に、シェリルは高い声で鳴いた。 「……すげ…、濡れてる…」 感嘆したように目を丸くして呟くアルトの言葉に、シェリルはカァと赤面するとギュッと目を閉じる。 「も…バカ!言わない、で…よっ…」 こんな自分の拙い愛撫に応えてくれたシェリルが、可愛くて仕方ない。 両手で顔を覆ってしまったシェリルをチラと見、アルトはそっとシェリルの下着に手を掛けた。 サイドストリングのそれは、思いのほか脱がせやすく、アルトはほっと胸をなでおろした。 5投 ふ、と有り得ない場所に吐息を感じ、シェリルは驚いて顔を上げた。 視線の先には、シェリルの秘部を凝視するアルト。 「…うそ、や…。アル、ト、見ちゃダメ…」 シェリルは顔を真っ赤に染め、力の入らない足を閉じようとする。 だが、アルトはそんなシェリルの弱々しい抵抗を、両太股に手をかけ、閉じられないよう固定することで阻む。 そして、アルトは何の戸惑いもなく、まるで花の蜜を求める蜂のように、シェリルの愛液に塗れたスリットに顔を埋めた。 シェリルの身体が、弓なりにしなる。引き攣ったかかとが布団を蹴った。 「………あ、…っあぁ!」 アルトの唇が、シェリルの下の唇を食む。じわりと溢れ出る蜜を夢中で吸い上げた。 もっと、もっとだ。全然足りない。 ぷくりと充血した花芯をひと舐めすると、アルトは蜜が湧き出す秘所に舌を捻じ込んだ。 「…ひっ…あ…、っ」 舌の動きにつられるようにあがる、シェリルの高い喘ぎが耳に心地よい。 散々舌で愛撫したそこから顔を上げると、シェリルの愛液と己の唾液で濡れた顔を手の甲でぐいと拭った。 アルトは身を屈めると、いまだ両手で顔を隠したままのシェリルの額にそっと口付け、ふぅっと息を吐く。 「シェリル……力、抜いて…」 宥めるように言いながら、アルトはその長い指を彼女の中に潜らせた。 6投 「……ぅっ、っく…」 とたんに上がる苦悶の声。 きつい。 「シェリル……」 思わず、情けない声が零れてしまった。 シェリルは顔を覆っていた手をそっと退けると、痛みに引き攣る頬を誤魔化すようにニコリと笑ってみせる。 「あ、ると…。平気、だから…」 「でも……」 それでもなお躊躇するアルトに、焦れたシェリルが声を張った。 「…もう!このあたしがいいって、言ってる…の!アンタ、だけ、なんだか、ら…!」 「……っ、お前…。そんなこと言って、やめてやれない、ぞ?」 シェリルの言葉に、アルトは頬を染める。 「のぞむところよ」 先に進みたいのはお互い様と言うわけか。 涙に濡れそれでも強い光を湛える空色の瞳を見つめアルトは、ふっと笑った。 こいつには敵わない。 「…覚悟しろよ、妖精さん」 7投 ようやくシェリルの中がアルトの指を二本受け入れたところで、二人大きく息を吐いた。 すでに脱がせてしまったシェリルとは逆に、アルトは浴衣を寛げただけなので、布地が汗で張り付いて気持ちが悪い。 さらに、下着は先走りで濡れている。 こりゃあんまり持たないかもな…とアルトは腹に力を込める。 「ある…と…」 「ん…」 「も、だいじょうぶ、よ」 シェリルの言葉に、彼女の顔色を伺うと、頬がうっすらと上気している。 「……うん。挿れる、ぞ…?」 「あ、まって。その前に、アルトも脱いで…」 あたしばっかり裸でずるいわと、頬を膨らませて言うシェリルに、アルトは眩暈を起こしそうになった。 壮絶な女の色香を放っているくせに、ふと見せる表情がどうにも無垢な子供のようなのがいけない。 くらくらしながら浴衣を脱ぎ捨て、ついでに下着もおろしたところで、こちらを凝視しているシェリルに気付きアルトは動きを止めた。 「……シェリル?」 「…えっ、あ…。あの、それ……?」 「それ?」 それと指差されたものは先走りを滴らせるアルトの屹立。 「……それが、入る…の?」 「……うん」 8投 あれ、何かおかしい?俺の…。 「入る、の?」 「え。う、うん…」 とたんにどこか及び腰になるシェリルに、今度はアルトが焦れる。 「やめてやれないって、言った」 むっとしたようにそう言うと、アルトはシェリルの細い腰を両手で捕らえる。 「えぇぇ…無理、よぉ…」 泣き言を言うシェリルにずいと顔を近づけると、アルトも眉を下げ言う。 「…って言うか、ホント、ごめんな。もう、さすがに我慢できない…」 最後は唸るように言うと、アルトは自身をシェリルの入り口に宛がい一気に押し入った。 「………ひっ…あぁっ…!」 挿入と同時に、シェリルが高く掠れた声を上げる。 途中、何かを突き破るような感覚がして、アルトはハッとして結合部に目をやる。 白い布団に散った赤。 そうなんだろうな、とは思っていたけど本人に聞くことでもないし、でもやっぱり、これは破瓜の… 「…シェリ、ル」 気付いたとたんに、頭に血が上るのが分かった。 俺が、シェリルの初めての…改めて認識したと同時に、ドクリと大きく脈を打つ。 「ヒッ…、バカ…なんでもっとおっきくなるのよ…」 「え、あ…ごめん。ちょっと、うれしくて…」 泣きながら睨むシェリルに、悪いと思いつつもアルトは頬がにやけるのを止められない。 「俺が、初めてなんだ…な」 嬉しくて思わずそう口に出すと、シェリルはカァと頬を染めた。 それと同時に、シェリルの中がキュッと締まる。 「ちょっ……!く、ぅッ…」 「…キャッ」 9投 ………いやいや、早すぎだろ、俺! シェリルのきつい締め付けに、限界まで挿入を堪えていたアルトの欲はあっけなく弾けてしまった。 いきなり最奥に、熱い飛沫を注がれたシェリルは目を見開いている。 うわ…そりゃ、そうだろ。アイツは挿れられて痛いだけで…俺は気持ちよかったけど…。 情けなくてシェリルの顔を見られず、アルトはがっくりと項垂れた。 「…ごめ、ん」 「……なんで、あやまるの?」 「いや、だって…」 「あたしは、嬉しかった、わ」 やっと繋がれたんだもの、といまだ涙が滲む瞳を細めてシェリルは言い、アルトの頬を両手で包みチュッと唇を寄せた。 はにかむような表情が可愛くて、シェリルの中に埋めたままのアルトがまた熱を上げる。 「えっ…あ、なんでっ…」 シェリルがそれを敏感に感じとり、身体を震わせる。 10投 「あんま、可愛いこと言うからだ…」 熱に掠れた甘い声で言うと、アルトはシェリルの身体を抱き起こしひざの上に乗せる。 「…ぅ…あぁっ…」 自重でアルトが最奥を穿ち、シェリルはアルトの背中に腕を回ししがみ付いた。 触れ合った胸が早鐘のように音を刻んでいる。 「シェリル…」 唇から零れる声が甘い。 ひざに乗せた身体を上下に揺さぶりながら、アルトはシェリルの頬を撫でる。 「シェリル…」 「…あっ、る…と」 切れ切れに悲鳴のように喘ぎながら、シェリルはうっすらと瞳を開けてアルトを見た。 情欲に濡れた瞳すら美しい。 「シェリル、好きだ…。好きだ、愛してる」 吐息のように囁いて、薄く開いたままの唇に口付けると、そのまま彼女の身体を揺さぶり続けた。 「あ、…アル、ト…もう…」 すすり泣くようなシェリルの声に、自分の限界も感じていたアルトはさらに奥を穿つ。 搾り取ろうとするかのような中の動きに、アルトは息を詰めシェリルの最奥へと欲を放った。 引き摺られるように、シェリルは身体を痙攣させると、目の前のアルトの肩に噛み付きながら果てた。 二人しばらく抱き合ったまま息を整えると、ふと目を合わせ、照れたように笑いながら唇を合わせた。 「愛してる、シェリル」 甘えるように、首筋に鼻先を寄せて囁くアルトの言葉に、シェリルは幸せそうな笑みを浮かべた。 11投 体中が軋むような痛みに、夜中にふと目を覚ましたシェリルは、自分を抱きしめる腕に気付き、そっと眠るアルトの顔を伺い見た。 気の抜けた、あどけない顔。シェリルはふっと笑みを漏らす。 「……寝てても綺麗な顔、ね。でも、男の人なのね…」 女よりも綺麗な容貌をしているくせに、抱きしめられた腕は力強く、頬を寄せた胸は思った以上に広かった。 男のくせに肌理の細かい白い肌を羨ましく思いながら、眠るアルトを見つめ、彼の肩口についた歯のあとに気付いたシェリルはカァと赤面する。 「あたし、とうとうアルトと……」 幸せな痛みだった。泣きすぎたのか、目元が腫れている気さえする。 いつだか、シェリルの入院中に、雑誌のウェディングドレスを指差し『それも夢で終わらない』と言ってくれた。将来を約束するような言葉はなかったが、それだけで充分幸せだった。 愛している人と身体を繋げる悦びを知ることなく、恋心を抱いたまま死んでいくのだと思っていた自分に、憧れだけで終わると思っていた『夢』を見続けていいと。 そんな彼が、好きだ、と。愛している、と言ってくれたのだ。これ以上の幸せを望むのは欲張りすぎだろうか。でも。 「ねぇアルト。……大好きよ」 でも、ね。出来れば、これからもずっとそばにいて。 シェリルは眠るアルトに口付けると、そっと彼の腕の中で再び目を閉じた。 以上です。なんか、途中で眠くなって、変なとこで投下したとことかあるかもしれない、けど確認してない ノリと勢いだけで書いたから、アルトとか誰これ状態ですが… っていうか、滝なんて初めてだよ!こんなんでいいの? 書く側じゃなくて、読む側なんだよ… かなりひどいお目汚し失礼しました…
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白く、しなやかな指がペンダントのチェーンにかかる。 絹糸のように細い輪の連なり。ほんの一瞬の抵抗の後、弾けるように宙に舞う。 手を真っ直ぐに伸ばす。千切れた鎖の先で輝きを放つ、幸せの素を高く掲げる。 贈ってくれた人の目に、しっかりと映るように。 向かい合う少女は、信じられないといった面持ちでその動きを見守る。 心は凍りつき、感情は形を成さない。思考だけが状況を正確に、そして無慈悲に、記憶に刻み込んでいく。 (やめて、お願い、やめてぇ――――!!) 届かない。どんなに叫んでも、今のせつなの声は決して届くことは無い。 これは、夢の中なのだから。 せつなと、そして、きっとラブにも刻まれた過ちの記憶なのだから。 チェーンをつかむ指から力が抜け、それはゆっくりと落下していく。まるで、スローモーションのように。 固いコンクリートの床に叩き付けられ、軽くバウンドする。 ズキン――――ズキン――――ズキン ズキン――――ズキン――――ズキン――――ズキン ズキン――――ズキン――――ズキン――――ズキン――――ズキン 痛い、痛い、痛い。心が――――砕け散りそうになる。 まるで自分の魂が、その緑色のアクセサリーに封じ込められてでもいるかのように。 踵で踏み付けて力を込める。形を変えるはずのない硬い樹脂が、ほんの一瞬だけ歪む。 軋みを上げることもなく、割れる音を大きく響かせることもなく。 悲しいほどにあっけなく、四散した。 『翼をもがれた鳥(第十七話)――――幸せの素に導かれて――――』 「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」 激しい運動ですら、滅多に乱すことの無いせつなの呼吸が荒れる。 額に滲む大量の汗は、寝苦しいほどに熱い気温のせいだけではないだろう。 「ある。――――ちゃんと、ここに……」 ベッドの宮棚に大切に置かれた、緑色のアクセサリーを手にする。 もう、欠片とは呼べないだろう。 砕けた破片の中から見つかった四つ葉の一枚。それを削って、磨き上げて、ハート型に仕上げたのだ。 このままでは、あまりにも悲しかったから。 後悔以外の――――意味を与えたかったから。 トン、トン、トン パジャマを着替えて、静かに階段を降りる。 まだ起きるには早い時間かと思ったが、あゆみは既に家事に取りかかっていた。 居間の隣、和室と呼ばれる畳で敷き詰められた部屋。そこで先の尖った器具で作業をしていた。 邪魔をしてはいけないと思い、その場で待つことにした。 しばらく後、作業が一段落したのか、あゆみは廊下でたたずむせつなに気が付いて振り返る。 「おはよう、せっちゃん。どうしたの? こちらにいらっしゃい」 「おはよう、あゆみおばさま。邪魔しちゃってごめんなさい」 なんとか丁寧語を崩そうと、懸命に努力しているせつなの挨拶が可愛らしかった。あゆみはせつなを招き 寄せる。 アイロンかけはほとんど終わっていたのだが、せつなの様子から、興味がありそうに見えたからだ。 不思議そうな顔で見つめるせつなに、やってみたら? とあゆみが持ちかける。 少し恥ずかしそうにはにかんで、せつなは頷いた。 霧を吹き、細かい部分から順に、直線的に動かしていく。 右手でアイロンの先を浮かして動かしながら、左手で器用に生地を引っ張っていく。 見る見るうちに美しく仕上がっていく。 あゆみは驚きに目を見開いた。 確かにアドバイスはした。素直に頷きもした。しかし、せつなの手はそれを始めから熟知しているかのよ うに動く。 その動きは、あゆみと比べても遜色のないものだった。 「すごく上手ね、せっちゃん。やったことあったのね」 「いいえ、これが初めてです」 「えっ? でも、教えていないことまで……」 「さっきまで、おばさまのアイロンかけを見ていたから」 そのとんでもない言葉に、あゆみは一瞬、驚愕して身を引いてしまう。 改めて、まじまじとせつなを見つめる。その表情には、自信も、誇らしさもうかがえなかった。 それどころか、困ったような、不安そうな様子すら感じられた。あゆみの反応に、何か失敗してしまった のではないかと心配しているのだろう。 ふと、あゆみはラブの言葉を思い出す。 とてもつらい所で生きてきた子だからって。失敗したり、言うことを聞かなかったりしたら、それだけで 命が奪われてしまう。 そんな世界で、ずっと暮らしてきた子だからって。 極限まで研ぎ澄ませた集中力。ずっと、この子はそんな風に張り詰めて生きてきたのだろう。 愛しくなって、あゆみはせつなをそっと抱き寄せた。 情緒が不安定なところもあるだろうけど、仕方がないの、わかってあげて。 ラブはそう言っていた。 情緒不安定はどちらかと思う。せっちゃんに変に思われないかしら? そう心配しつつも、抱き寄せる腕 を離す気にはならなかった。 この子に一番足りないのは、この温かさだって気がしていたから。 「おばさま?」 「ああ、ごめんなさい。嫌だった?」 「ううん――――」 「そうだ、何か用事があったんじゃないの?」 せつなは小さく頷いて、ポケットから緑色の塊を取り出した。 大切そうに、両手に乗せてあゆみに見せる。 「大事なものなんです。壊してしまって……。もし、使わないチェーンか何かあったら」 「直したいのね?」 「はい。始めは四つ葉の形をしていたんです」 「ええ、ラブから聞いているわ。あの頃ね――――」 ねえねえ、おかあさん、幸せの素って何だと思う? 商店街の福引の一等賞がそれなんだって。だから、どうしてもゲットするんだって。 キラキラと瞳を輝かせてラブはそう言っていた。 貯めていたお小遣いも全て使ってしまった。カオルちゃんのドーナツを食べるお金すら残っていない。 よく、そうボヤいていたものだった。 それでも諦めきれなくて、進んでお使いをかってでた。 買い物に出かけるたびに足を弾ませて、帰ってくるたびに肩を落として―――― ある日、素敵なお友達と知り合うことができたって、ラブはそう言っていた。 その子はドーナツを食べるのが初めてなのに、惜しみなく半分こしてくれたって。 ジュースも買えなくてお水で喉に通したけど、これまで食べたどんなドーナツよりも美味しかったって。 その後、やっと幸せの素を手に入れることができたって。そして、それをその子にあげてしまったって。 ごめんなさいって、ラブはあゆみに謝った。 あゆみは、良かったわねって、そう言って微笑んだ。 「だって、そうでしょ? もっと欲しいものが、見つかったってことなんですもの」 「はい……」 せつなは、それを両手に握りしめて瞳を潤ませる。 あの日から、あゆみはその子のことが、ずっと気になっていたって。だから、こうして家族になれて凄く 嬉しいって。 「そうそう、チェーンだったわね。待っててね」 「おばさま! それは――――」 清楚な光沢を放つ白銀のチェーン。その先に付いているのは、ハートをあしらったプラチナの細工物。 その中央に丸くて大きなルビーが収まっていた。 それは、樹脂で成型されたものなんかじゃない。本物の――――宝石だった。 「待ってください! それは、駄目です!」 「いいのよ。せっちゃん、赤が好きなんでしょう? だから、あげようと思っていたところなの」 専門知識の無いせつなにも、それが相当に高価なものだということくらいはわかる。 普段、宝石を身に付けないあゆみの持ち物であることを考えれば、大切な思い出の品だということも想像 がつく。 せつなの制止も聞かず、あゆみはそれをチェーンから外し、代わりに幸せの欠片を取り付ける。 「器用でしょう? これでも職人の娘なのよ」 「私、そんなつもりじゃ――――」 「いいの。ただし、ルビーは部屋にしまっておくこと。中学生が身に付けるものじゃないわ」 「中学生?」 「そうよ、もう手続きは済ませましたからね。せっちゃんはラブと同じ中学二年生よ」 できた! きっと、よく似合うわ。あゆみは、せつなに抱きつくような格好でペンダントをかけた。 そして、せつなの手を開いてルビーを握らせた。 情熱の赤い宝石。勝利の石とも呼ばれ、あらゆる危険や災難から持ち主の身を守り、困難に打ち克ち、勝 利へと導くという。 「きっと、せっちゃんのことを守ってくれるわ」 「ありがとう――――」 そこから先は言葉にならず、せつなは、今度は自分からあゆみに身を預けた。 飛び込むほどの勇気は出せず、触れるか触れないかの距離で全身を震わせて泣いた。 あゆみは優しくせつなの背中を撫でる。そして、心を込めて囁いた。 「幸せになりなさい。せっちゃん」 小さくて可愛らしいハート型のペンダント。せつなは、そっと首に戻して追憶を終える。 幸せになりなさい――――あの時かけられたあゆみの言葉に、結局せつなは返事をすることができなかっ た。 今なら、胸を張って答えられるだろうか? はい――――と。 無理だと思う。 それでも、せつなはこれから幸せをつかみに行く。 例え、一時のものであっても構わない。与えられるのではなく、自分から幸せを手に入れに行く。 (それをどうか――――許してください) せつなはペンダントを握りしめて、静かに祈りを捧げた。 コンコン 部屋がノックされる。音の響きでラブだとすぐにわかる。 せつなは、急いでペンダントを服の中にしまって戸を開けた。 「せつな! ブッキーがせつなに会いたいって」 「ええ、わかった。私が迎えに出るわ」 「そっか。じゃあ、あたしはお茶を淹れてくるね」 祈里からせつなに会いに来る。それがラブには大きな驚きだった。 まだ、美希や祈里はせつなと馴染んでいるとは言い難い。ラブとしても気の使うところだった。 まして、祈里は控えめな性格で、自分から行動を起こすことは少ない。それだけに意外で、そしてありが たかった。 せつなが玄関まで迎えに出ると、祈里は嬉しそうに微笑んだ。 手には大きな包みを抱えている。せつなは自分の部屋に祈里を案内した。 「いらっしゃい、ブッキー」 「お邪魔します。わぁ~、せつなちゃんのお部屋かわいい!」 「ありがとう。とても気に入ってるのよ」 せつなは本当に嬉しそうに微笑んだ。もともと、自分のことを誉められて喜ぶような子ではない。 だけど、この部屋は別だった。この家と、この家族は特別だった。 「今日は、せつなちゃんにプレゼントを持ってきたの」 「ありがとう。何かしら?」 「これは――――赤い、ダンス服? 私の……」 「せつなちゃんの、クローバー加入のお祝いよ。気に入ってもらえるといいけど」 「ありがとう――――さっそく着てみていいかしら?」 「うん、じゃあ、わたしは外に出てるね」 「それは悪いわ。ブッキーになら、見られても平気だから」 「うん、じゃあ着つけを手伝っちゃう」 下着姿になったせつなを見て、祈里は息を呑む。 透き通るような白い肌の下に秘められた、強靭なる筋肉。鍛え上げられたスレンダーな肢体なら、美希で 知っている。見たことがある。 だけど、またそれとは違う。魅せる力ではなく、秘める力。生き抜くことに特化した、戦うための肉体。 例えるならば、豹のようなしなやかさ。研ぎ澄まされた、刃物のような美しさ。一見女性らしい丸みを帯 びながらも、その奥に弾けるようなバネを感じさせた。 「せつなちゃん……すごい……綺麗」 「もう、恥ずかしいからジロジロ見ないで」 「ごめん、じゃあ、寸法の微調整もしちゃうね」 「ええ、お願い」 祈里は、メジャーと針と糸を引っ張り出して仕上げにかかった。 大まかな寸法はラブと同じと聞いていたが、念のため調整が効くように仕上げを残しておいたのだ。 「お待たせ、ブッキー、せつな。って――――何やってるの~~~!!」 「あっ、ラブ! これは」 「ちっ、違うの、ラブちゃん。脱がせてるわけじゃなくて!」 かろうじて、淹れたお茶をひっくり返さずにすんだラブに事情を話す。 フンフンと聞いていたラブだったが、納得がいくと、とたんに目を輝かせた。 「せつなって超キレイ~、あたしとはお風呂も入ってくれないんだよ」 「一緒に入ろうとしてたんだ……」 「ちょっと! もう、何の話よ。いいから服を返して!」 すっかりせつなの下着姿の鑑賞会になったことに、口を尖らせて抗議する。 身体を丸めてうずくまったせつなに、祈里は仕上げの済んだダンス服を手渡した。 「どう――――かしら?」 「せつなちゃん、よく似合ってる!」 「うんうん、これでせつなもクローバーだね!」 「ありがとう、ブッキー」 「えっ、今、せつなブッキーって……。それに、ブッキーもせつなちゃんて……」 「うん、この間からなの」 祈里が嬉しそうに事情を話す。せつなも恥ずかしそうに頷いた。 よほどダンス服が嬉しいのか、せつなは姿見を眺めながら何度もクルクルとまわる。 そして、ラブの携帯に着信が入る。 「もしもし、美希たん? えっ、せつなに? うん、代わるね」 「もしもし、ええ、今はブッキーと私の部屋よ。うん、わかった。一緒に練習しましょう」 今度は、美希からせつな宛ての電話だった。親しげに話す様子に、ラブは目をパチクリさせる。 明日は、せつなにとって初めてのダンスレッスンだ。事前に、基礎だけでも予習しておこうとの美希から の誘いだった。 四つ葉町公園の、いつものダンス練習ステージに四人は集まった。 ピンク、ブルー、イエロー、そしてレッド。一際目立つ真っ赤なダンスウェアが、クローバーを華やかに 彩る。 眩しい日差し、爽やかな風が心地良い。夏特有の命溢れる草木の薫り、生気漲る澄んだ空気が肺の中を満 たしていく。 せつなは目を閉じ、それらを全身で感じ取る。 そして、一言、感慨深くつぶやいた。 「本当に、ここに立つことができたのね」 「ほんとうにって?」 「ラビリンスのイースだった頃、一度だけここで、みんなと一緒に踊る夢を見たの」 「わたしたちと?」 「ええ、ラブも美希もブッキーも。そして、ミユキさんに指導してもらっていた」 静かに、淡々と、感情を込めずにせつなは語る。 それでも、時々声が震えてしまうのは隠すことができなかった。きっと、それは歓喜の震えなんだろう。 ほんと、図々しいわよね。そう、自嘲気味に笑って締めくくった。 みんなも、もう分かっていた。せつなは、ずっと前からみんなの知るせつなであったことを。 そして、もう一つ。一見物静かなせつなの胸の奥には、真っ赤に燃えたぎる情熱の炎があることを。 「さあ、明日までに基本を一つでもマスターして、ミユキさんを驚かせちゃおう!」 「始めはゆっくりでいいからね、せつなちゃん」 「頑張ろうね! せつな」 「ええ、ありがとう。大丈夫よ」 自信を漲らせてせつなが答える。他の何を失敗しても、これだけはモノにしてみせる。 それが、この場にせつなを立たせてくれた、ラブと美希と祈里と、そしてミユキの気持ちに応えることに なるのだから。 スタンドポジションからアティチュード、そしてアラベスク。コントラクションからリリース。 スポンジが水を吸収するかのように、せつなは次々に身に付けていく。 その動作の正確さは、最も美しいと言われる美希すら凌駕した。 「凄いよ、せつな。もうあたしより上手なんじゃ?」 「ラブ……。さすがにそれは問題があると思うわよ」 「あはは、でも、油断したらほんとうに置いていかれちゃいそう」 「ありがとう。ここまでは夢の通りね」 「そうだ! せつなのクローバー加入のお祝いに、ドーナツパーティーしようよ!」 「賛成!」 「いいね、やろうやろう!」 ラブの提案と、美希と祈里の賛成にせつなは目を丸くして驚いた。 ほんとうに、まるっきり同じ。もしかして、これも夢なんじゃないかとほっぺをつねってみた。 生々しい痛みと現実感。それが、涙が出るほどに嬉しかった。頬の痛みのせいにして、そっと目じりを拭 った。 そして、行きましょう! とせつなからラブの腕を引いて走り出した。 何もかも同じ展開なんて癪に障るから。それなら、自分から変えてやろうと思った。うんと、楽しんでや ろうと思った。 それに、最後は違う。絶対に違う。 これは夢ではないのだから。決して、覚めることはないのだから。 せつなは走る。 胸に輝くペンダントは、四つ葉ではないけれど。 もう――――儚く砕けることはない。今も、そしてこれから先も、せつなの幸せを明るく照らしてくれるのだから。 避2-690へ
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※「トカゲのたまご ~たまご~」の続きです。 ※今回、勝手ながらいくつかの作品を参考にさせて頂きました。 タイトル等は伏せさせて頂きますが、この場にてお礼申し上げます。 ※作者は元ネタの知識も無く、設定等適当なところがあります。 すいません、ご了承ください。 「とかげのたまご ~トカゲ~」 ド シ ン ッ ! ! ! 巣全体が激しく揺れる・・・。 「「「「ゆゆゆ?!!!!」」」」 「ゆ?!おちびちゃん達!!ゆっくり集まってね!!!」 「「「おきゃーしゃーーん!!」」」 突然の地震にゆっくり達は身を寄せ合った。 開放された2匹の子トカゲは、一目散に巣の外へと逃げてゆく。 そして代わりに巨大な影が巣の中に侵入してきた。 予期せぬ侵入者に親まりさが立ちはだかる。「ぷくぅぅぅぅぅぅぅ」と頬を膨らましながら。 侵入者は構わず、ドッシ、ドッシと重たい足音と共に侵入してくる。 「ここはまりさ達のおうちだよ!!かってに中・・・に??!!・・・はい・・・ぷしゅぅぅぅぅぅぅ.....」 侵入者が親まりさの目前まで近づき、口からシュルシュルと舌をだして親まりさを舐め回す。 影の正体を認識した親まりさはガタガタ震えながら頬の空気を抜いてゆく。 そしてゆっくりらしからぬ速さで、家族が集まる巣の奥へと退却した。 親まりさの落とした卵を嗅ぎつけて来たのかはわからない。 子トカゲの断末魔を聞きつけてやって来たのかはわからない。 そこには全長2m近い”オオトカゲ”がいた。 「「「「「「ヒイイイイイイィィィィィィィ!!!」」」」」」 「まままりさ!このトカゲさんはゆっくりできそうにないよ、ちゃちゃ、ちゃんと帰ってもらってね。」 「お゛お゛お゛おとなしくしてれば、ゆっくりできそうだよ。ままま、まりさはおとなしくしてるよ。」 「「「「ごわ゛いよおお!!!」」」」 親ゆっくりと姉ゆっくりは目の前の巨大な侵入者に震え上がった。 まだ一人で外に出たことの無い姉ゆっくり達から見ても、目の前の生き物が危険な事は一目瞭然だった。 逃げ出そうにも出口はオオトカゲの巨大な体躯に妨げられ、逃げる事は叶わない。 そんな家族の事を知ってか知らずか、赤ゆっくり3匹がオオトカゲの前に飛び出した。 「「あ゛がちゃん!!!!だめ゛えええええええええええええええええ!!!!」」 今しがた子トカゲの味を覚えたばかりの赤ゆっくり達にとっては、 「さっきのとは比べ物にならないほど"大きなご馳走"がやって来た!!」くらいにしか思っていないのかもしれない。 「ゆぅーー!!おっきなとかげしゃん、こんにちわ!!」 「とかげしゃんのあかちゃん、とてもゆっくちできたよ!!」 「おいちいあかちゃん、ありがとうね!!」 「「「ゆっくちちていってね!!!」」」 オオトカゲの前で跳ねながら、満面の笑みで礼を述べてゆく赤ゆっくり達。 お礼を言った後は、家族みんなで"おっきなとかげしゃん"を食べられるとでも思っているらしい。 そんな赤ゆっくり達の言葉がオオトカゲに通じたかどうかは分からない。 オオトカゲはシューーーッっと大きく鼻息を鳴らし、品定めするかのように赤れいむを舐め始めた。 「ゆゆ!とかげしゃん、くしゅぐったいよ」 「とかげしゃんもとてもゆっくちちているね」 「まりしゃも、ペロペロしてー!!」 「!!!!あ゛がちゃん!!!!ぞのトカゲさんはゆっくりできないよ!!!!!」 "大きなご馳走"を前に、親れいむ達の声は赤ゆっくり達には届かない。 一通り赤れいむを舐めまわすと、オオトカゲは口先で赤れいむを咥え、宙へと持ち上げた。 「「あ゛がちゃん!!!!にげてえええええぇぇぇぇぇっ!!!!」」 「わー!れいみゅ、たか-いたかーい!」 「お゛ねがいでず!!お゛ねがいじまずがら!!あ゛かちゃんを゛たずけてあげでね゛ぇぇ!!!!!!」 オオトカゲは何度か顎を動かし、赤れいむを喉の奥へと押し込んでゆく。 「とかげしゃん、おくち、くちゃぁぁぁぁい!!」 次にオオトカゲが口を開いた時、赤れいむの姿は見えなくなった。 「「「「「「!!!!!!!!!!!!」」」」」」 「こんじょはまりしゃのばぁんー!!」 「れいみゅもやってよー!!」 今度は赤まりさが咥え上げられる。紡ぎたての絹糸の様な金髪がたなびき、赤まりさはきゃきゃとはしゃいだ。 しかし赤まりさの目前に広がる巨大な暗闇から、姉妹の声が聞こえてくる。 「(ゆわぁぁん!!い゛だい゛っ!!ぐらいよぉぉぉぉぉぉ!!!ここじょこぉぉぉ?!)」 「ゆ゛ぅ?!」 全身に潰されるような力が掛かり、赤まりさは目の前の穴へと引きずり込まれていった。 「れいぶの!!!!れい゛ぶの、がわい゛い゛ぃぃぃあ゛か゛ちゃんがあ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 とうとう親れいむが、涙とよだれで顔をぐちゃぐちゃにしながらオオトカゲに跳びかかった。 オオトカゲは食事の邪魔をするなと言わんばかりにそれをはねのけた。 「っゆぐぇ!!!」 「おきゃあしゃん!!!」 目の前で親れいむが吹っ飛ばされ、ようやく事態の危うさに気づく赤れいむ。 親れいむの元に駆け寄ろうとするが、後ろからオオトカゲに咥えられてしまう。 「ゆぎゅあぁぁぁぁん!!!おぎゃあしゃんいじめる、いぐっ、どかげしゃんはぢんでね゛ぇぇぇぇ!!・・・」 そしてオオトカゲにペロリと飲み込まれてしまった。 「ま゛でぃざのあがぢゃんがえぜえええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 さすがの親まりさも目の前で我が子3匹が飲み込まれるのを見て、オオトカゲに跳び掛かった。 しかし親れいむ同様、巣の奥へとはね飛ばされてしまう。 オオトカゲの口から、胃袋で再会した赤ゆっくり達の叫び声が漏れてくる。 「(ゆぎぎぎぎぎぃぃぃ!!!い゛ぢゃいぃぃぃぃっぃ!!!ぐらいよぉぉぉぉっぉ!!!)」 「(ま゛りじゃいるのお゛ぉぉぉぉぉ??!!どこぉぉぉぉぉ??!!も゛う゛おうぢがえるぅぅぅ!!!)」 「(ゆぎゃあぁぁぁ!!ドロドロいぢゃいぃぃ!!ぎぃぃぃぃおべべがぁぁぁぁぁ!!!)」 「「「たじゅげでえぇぇぇぇ!!!おぎゃあぁぁじゃぁぁぁんんん!!!」」」 まるでオオトカゲが助けを呼んでいるようだった。 「「どおぢてごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉ!!!かってにひとのあがぢゃんたべるトカゲははやぐじんでね!!!」」 「「「「がわい゛い゛ぃぃ、いも゛ぉうとだぢがあ゛あ゛ぁぁぁぁぁ」」」」 巨大なオオトカゲの前に手も足も出ないゆっくり達。すでに巣の奥へと追い詰められ、後が無い一家。 オオトカゲは今度は姉まりさへと舌を這わせた。 全身をシュルシュルと這い回るオオトカゲの舌に、かつてない嫌悪感が姉まりさの体を駆け巡る。 「ゆぎぃいいい!!ベロベロやめ゛でええぇぇぇぇ!!!ばりざはおいじぐないよ!!!」 オオトカゲは姉まりさも一飲みにしようとするが、赤ゆっくりよりも大きく、うまく喰いつけない。 姉まりさの帽子だけがオオトカゲの口に咥えられた。 オオトカゲはそれを大きな花びらを食べるかのようにあっさりと飲み込んでしまった。 「ばりさのがわ゛びいぃ帽子がえしでね!!!ゆっくり帽子吐き出してねっ!!!!」 命と同等に大事な帽子を盗られた姉まりさは、恐怖に顔を歪ませながらもオオトカゲに跳び掛かっていった。 何度はね返されようともオオトカゲに跳び掛かる姉まりさ。 すでにかわいい妹たちの事は頭に無い。 「まりざぁぁぁぁ!!!いっちゃだべええええええ!!!!!」 「ぼうじがえじでね!!!!はやくかえじでね!!!ばりざのぼう・・ゆぎゅっ!!!!」 オオトカゲは命一杯に口を開き、姉まりさにかぶりついた。 オオトカゲの口には入りきらず、姉まりさの頬がオオトカゲの口からはみ出す。 赤ゆっくりの時とは違い、口内の鋭い牙を立てて獲物を逃がさないオオトカゲ。 「ゆぎいいいいいいい!!いだいいぃぃぃぃぃ!!!ぐぶぶぶぶぶ・・・!!!」 全身に上と下から鋭い牙が突き刺さり、強力な顎が姉まりさを押し潰した。 オオトカゲはなんとか飲み込もうと、狭い巣の中で姉まりさを何度も何度も壁に叩きつける。 さらに、オオトカゲの唾液内に棲息するバクテリアが、姉まりさの体を蝕み始めた。 人間やオオトカゲよりも大きな動物でも、バクテリアが体内に入り込むと敗血症を引き起こし、 早急に手当てをしなければ最悪の場合死に至る。 そのバクテリアが餡子にも効いたかは分からないが、無害でもなかった。 「ゆぐぐぐぅぅうぅ、さぶい゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!いだいぃぃぃぎいぃぃぃぃぃぃ!!!」 顔がパンパンに膨らみ、真っ赤に腫れる姉まりさの顔。目の周りには紫黒い隈ができている。 「だずげでぇぇ!!ゆぎゅっ!!!おぎゃざぁぁぁ!!ぐぎゃっ!!!!」 目の前で苦しむ我が子を前に、これ以上娘たちを失うまいと親れいむが立ち上がる。 「まりさ!!ゆっくり早く起きてね!!」 「ゆぐぅ・・・。ゆゆ??」 「まりさ!!二人で力を合わせておちびちゃんを救うよ!!」 「ゆ!ゆっくり理解したよ!」 二匹は互いの目を見つめ合い、意思を確かめ合うと交互にオオトカゲの顔に体当たりしはじめた。 「おぎゃあぁぁぁぁぁじゃん・・・!!」 「もう少しだよ!!ゆっくり我慢してね!!」 「お母さん達が今助けるよ!!」 親まりさが跳び掛かり、親れいむが跳び掛かり・・・。 そんな親ゆっくりを姉れいむ達も必至に応援する。 二匹の波状攻撃にさすがのオオトカゲも鬱陶しくなったのか、姉まりさを咥えたまま巣の出口へと後退してゆく。 「ゆゆ!!れいむ!!トカゲの奴逃げていくよ!!」 「ゆー!!まりさ!!れいむ達の愛の勝利だよ!!」 「おかーさんがんばれぇぇぇぇぇ!!!!」 このゆっくりとした大自然の中で、家族みんなでいつまでもゆっくり過ごしたかった。 自然の素晴らしさをもっと赤ちゃん達にも伝えてやりたかった。 しかし突如として一家に降りかかった災い。どうして自分達がこんな目に? とてもゆっくりできない事がいくつもあった。 だがこの困難も家族みんなで立ち向かえばきっと乗り越えられる! ふと3匹の赤ゆっくり達の笑顔が思い返される。 今ならまだ3匹の赤ちゃん達も助けられるかもしれない!!! そんな思いがゆっくり一家の脳裏によぎった。 ついにオオトカゲは巣から出ていった! あとは子供達を救うだけだ。一家は家族の絆を確かめ、高なる思いを胸に巣の外へと飛び出した。 巣の外ではオオトカゲが姉まりさを地面に何度も何度もこすりつけていた。 何度も痛めつけられた姉まりさの顔からは両目の眼球がこぼれ落ちていた。 こぼれ落ちた眼球にかぶりつく2匹の子トカゲ。 子トカゲにとっては、この世に生れ落ちて初めての食事だった。 姉まりさの眼孔はぽっかりと黒い穴が穿たれ、中から餡子が漏れ出していた。 「ゆぶぎゃああああぁぁぁぁ!!!おべべぎゃあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「おちびちゃん今助けるよ!!!!」 親まりさがオオトカゲに跳びかかった。 バッッヂン!!!!!!! 強烈な痛みと共に、重たい音が響き渡る。 オオトカゲの強烈な尻尾のムチを顔面に喰らった親まりさは、巣がある剥き出しの断層に叩きつけられた。 その口からは餡子が漏れる。 さらに・・・。 「「ゆぎゃあああああああ!!!」」 「おぎゃああじゃああああん!!!」 「たずけで、まりざああざぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」 家族の悲鳴が響き渡る。親まりさは、はっと周囲を見回した。 そこには何匹いるか分からないオオトカゲの群れと、それに弄ばれる家族の姿があった。 姉れいむは先の姉まりさと同じように地面に叩きつけられていた。 もう1匹の姉れいむは、2匹の取り合いに巻き込まれ、左頬と右頬にそれぞれ噛み付かれて引き裂かれようとしていた。 残りの姉まりさは、オオトカゲの大きく鋭い鉤爪を突き刺されて踏み付けられていた。 そして最愛のパートナーである親れいむは、頭のおさげを咥えられて樹木に叩きつけられていた。 「たずげでええぇぇぇぇぇ!!!ま゛りざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「「「おぎゃあぁぁぁぁぁぁざあああああぁぁぁん!!!!!」」」 親まりさは誰から助けて良いのかわからない。 「み゛んな゛まりさが助けるよ!!ゆっぐり順番を待っでね!!!!」 しかし大自然の食欲は"待つ"という事を知らない。 ついに初めに捕まった姉まりさの左頬がずるりと崩れ落ち、姉まりさだった物はオオトカゲの胃袋へと収まった。 他の姉ゆっくりたちも、叩きつけられ、引き裂かれ、全身をズタズタにされて飲み込まれていった。 「ばりざのがぞくがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりざああああぁぁぁぁぁぁ・・・」 愛するパートナーが自身を呼ぶ声に振り向く親まりさ。 その視線の先で「ズバチンッ!!」と大きな音を立て、親れいむは樹木に叩きつけられ、大量の餡子を撒き散らして弾けた。 「れぇぇぇいぶうぅぅぅぅぅぅう゛う゛あ゛ぁ゛ぁぁぁああああああぁぁぁ!!!!!!!!!」 呆然と、喰われてゆく家族を見回す親まりさ。 崩れ落ちた姉まりさの左頬に2匹の子トカゲが群がるのが見えた。 その時である・・・。 姉まりさの餡子を貪るのに夢中な子トカゲに、オオトカゲがかぶりついた。 「ゆ゛????!!!!!」 子トカゲに獲物を横取りされたと感じたのか、 オオトカゲはそのまま子トカゲを飲み込んでしまった。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎ????????????!!!」 親まりさは混乱した。 これまで愛情を込めて子供達を育ててきたのは何の為だったのか。 子供達の喜ぶ顔が見たくて、空腹を我慢しながらも森中を駆け回り、食物を集めてきたのは何の為だったのか 怯える子供達を必至に守ってきたのは何の為だったのか。 誰よりも先に脅威に立ち向かったのは何の為だったのか。 あっさりと同類の子トカゲを喰ってしまったオオトカゲを見て、親まりさは訳がわからなくなってしまった。 「ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!! ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!・・・」 親まりさは白目をむいて泡を吹きながら、跳ね回り、わめき散らした。 そして親れいむと子ゆっくり達を食べ終えたオオトカゲ全てが、親まりさに群がった。 はじき飛ばされ、かじられ、引き裂かれ、叩きつけられ、親まりさはオオトカゲに貪られた。 親まりさは「ゆぐ・・・、ゆぎぎ・・・」と呻き声を漏らしながら、絶命した。 それから程なくして、森のあちこちから様々な鳥獣の鳴き声とゆっくり達の悲鳴が上がり始めた。 ゆっくり達がこの森に馴染むには、まだしばしの時間を必要としていた・・・。 あとがき 卵の描写に関してスレでの多くのご指摘ありがとうございました。 多くは語りません。 色々調べたつもりだったのですが、にわか知識で動物を描写するのは無謀でした。www エンディングも後味悪いし個人的に大失敗ですた。\(^o^)/ おでんのが書いてて楽しかった。 今まで書いたもの 「おでんとからし ~おでん~」 「おでんとからし ~からし~」 「トカゲのたまご ~たまご~」 「トカゲのたまご ~とかげ~」 このSSに感想を付ける
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▼ A Moral Manifest? 依頼者: フックノックス(Hooknox) / 祭壇の間 依頼内容: ゴブリンの泥棒フックノックスは オズトロヤ城に盗みに入ったが、 変装がばれてしまい、面が割れてしまった。 彼女に代わって、地下宝物庫から お宝を盗み出すのだ。 もちろん、ヤグードにばれないように…… 祭壇の間 Hooknox アィキァトビリディハプゥ! イィニィブディウェトゥファンアゥ プァフックノックスゥネヴァビィブゥトゥショ ハァプティゴビィフェスンパブリッアガ…… Hooknox ……………… Hooknox ええーッ、まじィッ!? 人間の冒険者じゃないのォ! 前門の狂鳥、後門の冒険者ってわけェ!? Hooknox ……なんてねッ! あんたに敵意はないよッ。見逃してくんない? 同じ冒険者なんだしさァ。ねッ? Hooknox そ、そっか……先に名乗んないとだねッ アタシはフックノックス。 見てのとおり冒険者ァ。ノックスって呼んでッ! Hooknox んでッんでッアタシが ここで何してたかっていうとォ…… 最近、ここの教団のカミサマがァ近東の国から すんごいお宝を贈られたッて小耳にはさんでェ…… Hooknox もゥ、ソッコー 競売所にダッシュしてェ 買ったヤグードの羽根で変装してェ…… Hooknox で、ここに忍び込んだんだけどォ なんかァ身体中かゆくなっちゃってェ あと一歩んトコで変装がばれちゃったってわけェ。 それからは、もゥここまで超必死ィ。 Hooknox ま、命あっただけマシかもォ。 ところでェ、あんたも自由な冒険者なんだしィ ここでアタシと取り引きしてみる気はあるゥ? Hooknox 噂だとォ、そのお宝 近東の技の粋を注いだ危険なブツって話らしいしィ アイツらに持たせとくとォ後でやばいかもよォ? どォ? 詳しく聞きたくなってきたァ? 選択肢:聞きたい? いいえ Hooknox ……あッ、そうなんだァ 案外、人間ってアタシたちより個人主義よねェ まッいいや。この話はなかったことにしよ? はい Hooknox あんたも人間よね…… っとッ、なんでもないないッ じゃあ、条件決めと行こ? Hooknox 要はァ面が割れたアタシの代わりにィ あんたがここのカミサマのトコに忍び込んでェ 寝所の地下宝物庫からァお宝をゲットしてェ ここに戻ってくればいいわけェ。超簡単でしョ? Hooknox ちなみにィその宝物庫のカギはァ すでにアタシが苦労して入手済みィ。 それがないとト~ゼン宝物庫の蓋は開かないよォ。 Hooknox んでェ、お宝は山分けってことで。 それが宝石とかならアタシがァ、兵器ならあんたが 手に入れてェその半分相応の金を相手に支払うの。 ……どォ? やってみるゥ? 選択肢:やってみる? いいえ Hooknox えええェッ? アタシの見込みちがいィッ? 別にいいけどォ、自力でも何とかなるしィ…… じゃ、バィバィッ! はい Hooknox うれしィッ! じゃ、これで契約成立ゥ。 でもォ……その姿じゃやばくない? Hooknox アタシほど完璧な変装は 無理としてもォ、せめて最低限ここで 怪しまれない格好をしとく必要はあると思うしィ。 Hooknox ……そうだァ! 街に行って誰か針仕事の得意な人にィ その恐い顔を隠すマスクを作ってもらえばァ? Hooknox じゃ、アタシは隠れてるしィ あんたの準備ができたら、またここでねェ。 ウィンダス森の区 Ponono あら、なんですの? わたくしのオーダー・メイドとなると 数年先まで順番を待っていただかないと…… Ponono ………… Ponono ……なるほど。 それはゆゆしき話ですわね。 お引き受けしましょう。ただ…… 狡猾なヤグードの目を欺くのは難しいですわ。 Ponono それに、もしもばれたら わたくしの咎だけでなく、我が国とヤグードとの 外交問題にも発展しかねないし……… Ponono でも、とにかくやってみましょう。 わたくし、しばらく型紙を検討してみますから あなたはビロードと 虹布を探してください。 Ponono あ、事情が事情ですし 手数料は10000ギルでいいです。 一緒に払ってくださいね。 Ponono まだ、型紙を考案中なんです。 それにあなたにビロードと 虹布を探してきていただかないと…… あと10000ギルも忘れないでくださいね。 Ponono それとも…… けっこう材料費もかかることですし またの機会になさいますか? あきらめた場合、クエストはキャンセルされ、 オファー前の状態に戻ります。 あきらめて、クエストをキャンセルしますか? あきらめる あきらめない(キャンセル) 本当にあきらめてよろしいですか? 本当にあきらめる やっぱりあきらめない(キャンセル) クエストがキャンセルされました! (Ponono に材料と10000ギルをトレード) +... ビロード 絹糸と毛糸または木綿糸を編んで作った布。 虹布 虹糸を編んで作った布。 Ponono わたくしの型紙もできてるし、 あなたの努力で材料もそろいました。 では、しばらくしたら取りにいらしてください。 それまでにわたくし、大まかに裁断しておきますわ。 Ponono ……まだ、終わってませんわ。 羽根を移植する微小な穴を開けつつの 作業ですから、長時間は作業できないんです。 もう少しお時間をください。 ※ヴァナ0時経過後。 Ponono 裁断は終わりましたわ。 なかなかの出来ですわよ。 はい、どうぞ…… ヤグード頭衣シートを手にいれた! ヤグード頭衣シート Rare ヤグードに扮する頭衣製作のために裁断された布。 Ponono それが完成すれば ヤグードも見紛うような 彼らそっくりの被り物が完成するはずですわ。 Ponono さて、わたくしの協力はここまで。 我が国とヤグードは平和条約を結んでるし 仕上げまでウチでやったギルド製品となると ばれちゃった時、何かとまずいですから…… 自作できるスキルがある場合 +... Ponono ……さて あとはあなたががんばる番。 作り方は教えますけれど、一度しか言いません。 よく耳をすませて聴いてくださいね。 Ponono まず加工用に土のクリスタル。 材料はヤグード頭衣シート、ブガードの牙、 コカトリスの皮、毛糸、 さらに植毛用にヤグードの羽根を2セット。 Ponono それに、眼には…… そう黒真珠2個がいいわね。 それで合成してみてください。 ちょっと多いですけど、覚えましたか? Ponono ……あと、補足です。 あなたなら材料から想像がつくと思いますけれど 骨と皮を扱う技も必要なんです。 Ponono だいじょうぶ。わたくしは信じてます。 多くの困難を乗り越えてきた、あなたですもの。 今度も……きっと成し遂げられますわ。 自作できるスキルがない場合 +... Ponono ……でも、あなたが ご自分でその面を仕上げるのは ちょっと難しそうですわね………… Ponono ……いいことを考えました。 Ponono ここで皆伝を得た冒険者裁縫師に お願いして仕立ててもらったらどうかしら? 作り方を一度だけ教えますから よく覚えて裁縫師に伝えてください。 Ponono まず加工用に土のクリスタル。 材料はヤグード頭衣シート、ブガードの牙、 コカトリスの皮、毛糸、 さらに植毛用にヤグードの羽根を2セット。 Ponono それに、眼には…… そう黒真珠2個がいいわね。 それで合成してみてください。 ちょっと多いですけど、覚えましたか? Ponono ……あと、覚えておいて。 これを作るには骨と皮も扱える職人さんでないと。 お願い前に、本人に聞いてみることを勧めますわ。 Ponono このギルドで裁縫を修めた 冒険者職人さんたちは、ステキな人ばかりでした。 わたくし、きっと協力してくれると思いますよ。 Ponono ……あっ、それから 彼らは厳しい修行の末、皆伝を得た裁縫のプロ。 お代はちゃんと払うのが礼儀です。忘れないで。 ヤグード頭衣シートを捨てた場合 Ponono ………… あの……まさか、ひょっとして ヤグード頭衣シートの再注文ではありませんよね? 選択肢:ヤグード頭衣シートを作ってほしい? はい いいえ(キャンセル) やっぱりあきらめる(クエストのキャンセル) Ponono ふぅ……仕方ありませんわ。 材料も余ってますし、もう一度裁断しましょう。 ただし、今回は過失ですから、手数料として 100000ギルいただきます。よろしいですわね? 選択肢:100000ギル払いますか? はい いいえ(キャンセル) Ponono ……確かに。 では、これから裁断を始めます。 しばらくしたら、取りにいらしてくださいね。 (指定された材料を合成する) +... 黒真珠 黒色の宝石 毛糸 獣毛をつむいだ糸。 ヤグードの羽根 ヤグードの風切羽。 コカトリスの皮 ぬめぬめしたコカトリスの皮。 ブガードの牙 ブガードの発達した歯。 ヤグードヘッドギアを手にいれた! ヤグードヘッドギア 防5 耐火+5 耐氷-25 耐風+5 耐土+5 耐雷+5 耐水+5 耐光+5 耐闇+5 Lv61~ All Jobs 祭壇の間 (ヤグードヘッドギアを装備してエリアチェンジする) Hooknox ブゥゥゥゥッ! ずいぶん待ったんだけどォ? 人間の社会じゃァ…………!? Hooknox ……………… Hooknox ……ねッ、ねェ なんかの人間の冗談だとは思うんだけどォ まさかァあんたそれでヤグードになったつもりィ? Hooknox ………やッ、やばくない? もぅこうなったらァ黙ってるしかないよォ。 無言の行をしてる僧の真似でもしてェ…… じャ、はいこれェ。 だいじなもの 宝物庫のキープを手にいれた! 宝物庫のキープ ヤグードが連絡や記録に用いる結び縄文字。 1本のロープにつけられた結び目の結び方、 間隔、数や色に数多の情報が含まれている。 ノックスの話では鍵の役目も果たすらしい。 Hooknox ……そのロープの結び目がァ 宝物庫の蓋のカギになってるからァ 怪しい床を見つけたら、はめ込んでみてェ。 Hooknox ……じゃ、アタシは この辺に隠れてるしィ、がんばってねェ。 Hooknox …………何よォ、文句あるのォ? アタシはァ、カギを手に入れるの苦労したんだしィ あんたもォ、ドジ踏まないでよねェ。 (Stone Lidを調べる) 彫り込まれた部分に宝物庫のキープをはめた。 ??? ……クククククゥッ かかりおったな、不浄なるネズミめ…… Yagudo Avatar きっとここにまた現れると思い 見張っておった甲斐があったぞ。 我が明主の御寝所に忍びし大罪。 万死をもって贖うがよい…………… Yagudo Avatar ……クククククッ 愚かなる邪教徒よ、偉大なる神力を知れ。 シシュ様……我が最期の戦い、ご照覧あれ! [Your Name]は、Laa Yaku the Austereを倒した。 [Your Name]は、Poo Yozo the Babblerを倒した。 [Your Name]は、Goo Pake the Bloodhoundを倒した。 [Your Name]は、Fee Jugu the Ramfistを倒した。 [Your Name]は、Kee Taw the Nightingaleを倒した。 [Your Name]は、Duu Masa the Onecutを倒した。 [Your Name]は、Yagudo Avatarを倒した。 (Stone Lidを調べる) ??? ハッモヤラーム…… サルミ、コポラーイ? Tzee Xicu the Manifest ほう これはこれは…… 盗みに入ったばかりか、かような乱暴狼藉。 我を全能なる神と知っての無礼であろうな? Tzee Xicu the Manifest ……………… Tzee Xicu the Manifest これは笑止。 我らが近東の邪教徒より贈り物を受けとるなど 天地が逆さになろうともあり得ぬこと。 まして、あの国は今………… Tzee Xicu the Manifest ……ふむ。 たとえ浅ましき人間といえど 濡れ衣を着せられるのは不快よの。 よかろう、我が順をおって話してやろう…… Tzee Xicu the Manifest 我が国が古より はるか東の国と交流があるのは知っておるか? 中には彼の地に渡り その王に仕えたハラカラもおるほどよ。 Tzee Xicu the Manifest 先日がこと。 その末裔より危急を知らす使者が送られてきた。 ……汝も聞き及んでおろうが 彼の地では恐ろしき天変地異が起きておると。 Tzee Xicu the Manifest しかも 報告はそればかりではなかった。 混乱に乗じて近東の軍勢が大挙来襲し 国境を脅かしておるのだそうだ…… Tzee Xicu the Manifest だが、宝刀を献上し 涙ながらに嘴を床に打ちつけて救援を請う そのかつての同胞に、我がしてやれたことは わずかな兵をつけてやることと……… Tzee Xicu the Manifest その宝刀を 再び返してやることだけであった。 神といえど無力なこともある……分かったか? おそらく、それがくだらぬ風説の始まりであろう。 Tzee Xicu the Manifest 近東の宝など まして兵器などここにはないのだ。 はなからな……… Tzee Xicu the Manifest だが、人間よ。 その憂国の志は異教徒といえど見事である。 汝がごとき者がいつの日か彼の地に渡りて 何事かなすのかもしれぬな…… Tzee Xicu the Manifest ……ふむ、我は決めた。 特別に恩寵として、汝に神器をとらそうぞ。 我らが姿を真似た頭衣をその蓋の上に置くがよい。 (Stone Lidを調べる) ……わずかに床が浮き上がっている。 その石には細長い渦巻き模様が彫り込まれている。 (Stone Lidにヤグードヘッドギアをトレード) Tzee Xicu the Manifest ……ほう。 汝は肝が据わっておるな。 修行を積んだ高僧でもなかなかそうはいかぬ。 Tzee Xicu the Manifest 誰かある? Tsoo Haja the Umbra これに…… Tzee Xicu the Manifest ツォーか? 汝、これよりその人間が冒険者の僕となれ。 Tsoo Haja the Umbra お、恐れながら、 こやつは人間。しかも憎むべき異教徒…… Tzee Xicu the Manifest 痴れ者めが! 神の言に疑問を挟むでない。 ツォーよ、その冒険者が頭衣を被りて命じし時 汝は命に代えても護るのだ。よいな? Tsoo Haja the Umbra 御意っ! なれど、もし………… Tzee Xicu the Manifest 我を襲えと命じたら ………か? 務めをまっとうすればよい。 それともツォーよ……汝は神の不滅を疑うのか? Tsoo Haja the Umbra めっ、滅相もなきこと。 されば、これにて失礼つかまつる。 Tzee Xicu the Manifest 汝に、 この頭衣を返そう。 ハジャヘッドギアを手にいれた! ハジャヘッドギア Rare Ex 防10 耐火+10 耐氷-50 耐風+10 耐土+10 耐雷+10 耐水+10 耐光+10 耐闇+10 エンチャント ヤグードヒーロー召喚 Lv75~ All Jobs 30/30 0 30/[20 00 00, 0 30] Tzee Xicu the Manifest あやつの名は 影法師のツォー・ハジャ。東方の忍術を修め 人間の言葉も解する如才なき武僧だ。 汝の思うようにあやつを使ってみせよ…… Tzee Xicu the Manifest さて、用は済んだ…… 早々に我が寝所より立ち去ってもらえるかな? 無礼なる冒険者よ。 Tzee Xicu the Manifest 今日のこと 我と汝の秘密ぞ。神は邪教徒に声をかけぬ。 邪教徒は神を目にした刹那に死すべき定め。 それは今後も変わらぬ事実……今をのぞいてな。 称号:ヤグードイニシエート (ハジャヘッドギアを装備してエリアチェンジする) Hooknox 遅かったじゃないッ! でも、その自身に満ち溢れた顔。 しっかりお宝をゲットしたんだ? Hooknox ……………… Hooknox …………そんな。おッ、お宝が アタシのお宝がッ、あ・り・ま・せ・ん・でした。 ですってェェェェェッ!? Hooknox …………ハァハァハァッ ウソは言ってないよ~ねッ。 ん、もう仕方ないッ! アタシも冒険者だもん、きっぱり諦めるよッ! Hooknox …………はい、コレ。 Hooknox アタシからの報酬だよッ! ッと、えとォ……私の計画で無駄足させたしィ それに危険な目にもあわせたしィ…… Hooknox 驚かないでよォ! ゴブリンにだってェ信義もあれば正義もあるしィ 友情だってェ…………… 獣人金貨を手にいれた! 獣人金貨 クゥダフの鋳造した金の硬貨。 獣人社会で広く流通している。 Hooknox じゃ、これで ほんとにお別れだねェ。バィバィ! Hooknox ……いつか、またァ どこかのダンジョンで出会ったらァ…… 今度はいっしょにパーティ組んでみようよッ! ▲ ■関連項目 オークの謙譲 , クゥダフの博雅 , ゴブリンの仁義 , 祭壇の間 Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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※「トカゲのたまご ~たまご~」の続きです。 ※今回、勝手ながらいくつかの作品を参考にさせて頂きました。 タイトル等は伏せさせて頂きますが、この場にてお礼申し上げます。 ※作者は元ネタの知識も無く、設定等適当なところがあります。 すいません、ご了承ください。 「とかげのたまご ~トカゲ~」 ド シ ン ッ ! ! ! 巣全体が激しく揺れる・・・。 「「「「ゆゆゆ?!!!!」」」」 「ゆ?!おちびちゃん達!!ゆっくり集まってね!!!」 「「「おきゃーしゃーーん!!」」」 突然の地震にゆっくり達は身を寄せ合った。 開放された2匹の子トカゲは、一目散に巣の外へと逃げてゆく。 そして代わりに巨大な影が巣の中に侵入してきた。 予期せぬ侵入者に親まりさが立ちはだかる。「ぷくぅぅぅぅぅぅぅ」と頬を膨らましながら。 侵入者は構わず、ドッシ、ドッシと重たい足音と共に侵入してくる。 「ここはまりさ達のおうちだよ!!かってに中・・・に??!!・・・はい・・・ぷしゅぅぅぅぅぅぅ.....」 侵入者が親まりさの目前まで近づき、口からシュルシュルと舌をだして親まりさを舐め回す。 影の正体を認識した親まりさはガタガタ震えながら頬の空気を抜いてゆく。 そしてゆっくりらしからぬ速さで、家族が集まる巣の奥へと退却した。 親まりさの落とした卵を嗅ぎつけて来たのかはわからない。 子トカゲの断末魔を聞きつけてやって来たのかはわからない。 そこには全長2m近い”オオトカゲ”がいた。 「「「「「「ヒイイイイイイィィィィィィィ!!!」」」」」」 「まままりさ!このトカゲさんはゆっくりできそうにないよ、ちゃちゃ、ちゃんと帰ってもらってね。」 「お゛お゛お゛おとなしくしてれば、ゆっくりできそうだよ。ままま、まりさはおとなしくしてるよ。」 「「「「ごわ゛いよおお!!!」」」」 親ゆっくりと姉ゆっくりは目の前の巨大な侵入者に震え上がった。 まだ一人で外に出たことの無い姉ゆっくり達から見ても、目の前の生き物が危険な事は一目瞭然だった。 逃げ出そうにも出口はオオトカゲの巨大な体躯に妨げられ、逃げる事は叶わない。 そんな家族の事を知ってか知らずか、赤ゆっくり3匹がオオトカゲの前に飛び出した。 「「あ゛がちゃん!!!!だめ゛えええええええええええええええええ!!!!」」 今しがた子トカゲの味を覚えたばかりの赤ゆっくり達にとっては、 「さっきのとは比べ物にならないほど"大きなご馳走"がやって来た!!」くらいにしか思っていないのかもしれない。 「ゆぅーー!!おっきなとかげしゃん、こんにちわ!!」 「とかげしゃんのあかちゃん、とてもゆっくちできたよ!!」 「おいちいあかちゃん、ありがとうね!!」 「「「ゆっくちちていってね!!!」」」 オオトカゲの前で跳ねながら、満面の笑みで礼を述べてゆく赤ゆっくり達。 お礼を言った後は、家族みんなで"おっきなとかげしゃん"を食べられるとでも思っているらしい。 そんな赤ゆっくり達の言葉がオオトカゲに通じたかどうかは分からない。 オオトカゲはシューーーッっと大きく鼻息を鳴らし、品定めするかのように赤れいむを舐め始めた。 「ゆゆ!とかげしゃん、くしゅぐったいよ」 「とかげしゃんもとてもゆっくちちているね」 「まりしゃも、ペロペロしてー!!」 「!!!!あ゛がちゃん!!!!ぞのトカゲさんはゆっくりできないよ!!!!!」 "大きなご馳走"を前に、親れいむ達の声は赤ゆっくり達には届かない。 一通り赤れいむを舐めまわすと、オオトカゲは口先で赤れいむを咥え、宙へと持ち上げた。 「「あ゛がちゃん!!!!にげてえええええぇぇぇぇぇっ!!!!」」 「わー!れいみゅ、たか-いたかーい!」 「お゛ねがいでず!!お゛ねがいじまずがら!!あ゛かちゃんを゛たずけてあげでね゛ぇぇ!!!!!!」 オオトカゲは何度か顎を動かし、赤れいむを喉の奥へと押し込んでゆく。 「とかげしゃん、おくち、くちゃぁぁぁぁい!!」 次にオオトカゲが口を開いた時、赤れいむの姿は見えなくなった。 「「「「「「!!!!!!!!!!!!」」」」」」 「こんじょはまりしゃのばぁんー!!」 「れいみゅもやってよー!!」 今度は赤まりさが咥え上げられる。紡ぎたての絹糸の様な金髪がたなびき、赤まりさはきゃきゃとはしゃいだ。 しかし赤まりさの目前に広がる巨大な暗闇から、姉妹の声が聞こえてくる。 「(ゆわぁぁん!!い゛だい゛っ!!ぐらいよぉぉぉぉぉぉ!!!ここじょこぉぉぉ?!)」 「ゆ゛ぅ?!」 全身に潰されるような力が掛かり、赤まりさは目の前の穴へと引きずり込まれていった。 「れいぶの!!!!れい゛ぶの、がわい゛い゛ぃぃぃあ゛か゛ちゃんがあ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 とうとう親れいむが、涙とよだれで顔をぐちゃぐちゃにしながらオオトカゲに跳びかかった。 オオトカゲは食事の邪魔をするなと言わんばかりにそれをはねのけた。 「っゆぐぇ!!!」 「おきゃあしゃん!!!」 目の前で親れいむが吹っ飛ばされ、ようやく事態の危うさに気づく赤れいむ。 親れいむの元に駆け寄ろうとするが、後ろからオオトカゲに咥えられてしまう。 「ゆぎゅあぁぁぁぁん!!!おぎゃあしゃんいじめる、いぐっ、どかげしゃんはぢんでね゛ぇぇぇぇ!!・・・」 そしてオオトカゲにペロリと飲み込まれてしまった。 「ま゛でぃざのあがぢゃんがえぜえええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 さすがの親まりさも目の前で我が子3匹が飲み込まれるのを見て、オオトカゲに跳び掛かった。 しかし親れいむ同様、巣の奥へとはね飛ばされてしまう。 オオトカゲの口から、胃袋で再会した赤ゆっくり達の叫び声が漏れてくる。 「(ゆぎぎぎぎぎぃぃぃ!!!い゛ぢゃいぃぃぃぃっぃ!!!ぐらいよぉぉぉぉっぉ!!!)」 「(ま゛りじゃいるのお゛ぉぉぉぉぉ??!!どこぉぉぉぉぉ??!!も゛う゛おうぢがえるぅぅぅ!!!)」 「(ゆぎゃあぁぁぁ!!ドロドロいぢゃいぃぃ!!ぎぃぃぃぃおべべがぁぁぁぁぁ!!!)」 「「「たじゅげでえぇぇぇぇ!!!おぎゃあぁぁじゃぁぁぁんんん!!!」」」 まるでオオトカゲが助けを呼んでいるようだった。 「「どおぢてごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉ!!!かってにひとのあがぢゃんたべるトカゲははやぐじんでね!!!」」 「「「「がわい゛い゛ぃぃ、いも゛ぉうとだぢがあ゛あ゛ぁぁぁぁぁ」」」」 巨大なオオトカゲの前に手も足も出ないゆっくり達。すでに巣の奥へと追い詰められ、後が無い一家。 オオトカゲは今度は姉まりさへと舌を這わせた。 全身をシュルシュルと這い回るオオトカゲの舌に、かつてない嫌悪感が姉まりさの体を駆け巡る。 「ゆぎぃいいい!!ベロベロやめ゛でええぇぇぇぇ!!!ばりざはおいじぐないよ!!!」 オオトカゲは姉まりさも一飲みにしようとするが、赤ゆっくりよりも大きく、うまく喰いつけない。 姉まりさの帽子だけがオオトカゲの口に咥えられた。 オオトカゲはそれを大きな花びらを食べるかのようにあっさりと飲み込んでしまった。 「ばりさのがわ゛びいぃ帽子がえしでね!!!ゆっくり帽子吐き出してねっ!!!!」 命と同等に大事な帽子を盗られた姉まりさは、恐怖に顔を歪ませながらもオオトカゲに跳び掛かっていった。 何度はね返されようともオオトカゲに跳び掛かる姉まりさ。 すでにかわいい妹たちの事は頭に無い。 「まりざぁぁぁぁ!!!いっちゃだべええええええ!!!!!」 「ぼうじがえじでね!!!!はやくかえじでね!!!ばりざのぼう・・ゆぎゅっ!!!!」 オオトカゲは命一杯に口を開き、姉まりさにかぶりついた。 オオトカゲの口には入りきらず、姉まりさの頬がオオトカゲの口からはみ出す。 赤ゆっくりの時とは違い、口内の鋭い牙を立てて獲物を逃がさないオオトカゲ。 「ゆぎいいいいいいい!!いだいいぃぃぃぃぃ!!!ぐぶぶぶぶぶ・・・!!!」 全身に上と下から鋭い牙が突き刺さり、強力な顎が姉まりさを押し潰した。 オオトカゲはなんとか飲み込もうと、狭い巣の中で姉まりさを何度も何度も壁に叩きつける。 さらに、オオトカゲの唾液内に棲息するバクテリアが、姉まりさの体を蝕み始めた。 人間やオオトカゲよりも大きな動物でも、バクテリアが体内に入り込むと敗血症を引き起こし、 早急に手当てをしなければ最悪の場合死に至る。 そのバクテリアが餡子にも効いたかは分からないが、無害でもなかった。 「ゆぐぐぐぅぅうぅ、さぶい゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!いだいぃぃぃぎいぃぃぃぃぃぃ!!!」 顔がパンパンに膨らみ、真っ赤に腫れる姉まりさの顔。目の周りには紫黒い隈ができている。 「だずげでぇぇ!!ゆぎゅっ!!!おぎゃざぁぁぁ!!ぐぎゃっ!!!!」 目の前で苦しむ我が子を前に、これ以上娘たちを失うまいと親れいむが立ち上がる。 「まりさ!!ゆっくり早く起きてね!!」 「ゆぐぅ・・・。ゆゆ??」 「まりさ!!二人で力を合わせておちびちゃんを救うよ!!」 「ゆ!ゆっくり理解したよ!」 二匹は互いの目を見つめ合い、意思を確かめ合うと交互にオオトカゲの顔に体当たりしはじめた。 「おぎゃあぁぁぁぁぁじゃん・・・!!」 「もう少しだよ!!ゆっくり我慢してね!!」 「お母さん達が今助けるよ!!」 親まりさが跳び掛かり、親れいむが跳び掛かり・・・。 そんな親ゆっくりを姉れいむ達も必至に応援する。 二匹の波状攻撃にさすがのオオトカゲも鬱陶しくなったのか、姉まりさを咥えたまま巣の出口へと後退してゆく。 「ゆゆ!!れいむ!!トカゲの奴逃げていくよ!!」 「ゆー!!まりさ!!れいむ達の愛の勝利だよ!!」 「おかーさんがんばれぇぇぇぇぇ!!!!」 このゆっくりとした大自然の中で、家族みんなでいつまでもゆっくり過ごしたかった。 自然の素晴らしさをもっと赤ちゃん達にも伝えてやりたかった。 しかし突如として一家に降りかかった災い。どうして自分達がこんな目に? とてもゆっくりできない事がいくつもあった。 だがこの困難も家族みんなで立ち向かえばきっと乗り越えられる! ふと3匹の赤ゆっくり達の笑顔が思い返される。 今ならまだ3匹の赤ちゃん達も助けられるかもしれない!!! そんな思いがゆっくり一家の脳裏によぎった。 ついにオオトカゲは巣から出ていった! あとは子供達を救うだけだ。一家は家族の絆を確かめ、高なる思いを胸に巣の外へと飛び出した。 巣の外ではオオトカゲが姉まりさを地面に何度も何度もこすりつけていた。 何度も痛めつけられた姉まりさの顔からは両目の眼球がこぼれ落ちていた。 こぼれ落ちた眼球にかぶりつく2匹の子トカゲ。 子トカゲにとっては、この世に生れ落ちて初めての食事だった。 姉まりさの眼孔はぽっかりと黒い穴が穿たれ、中から餡子が漏れ出していた。 「ゆぶぎゃああああぁぁぁぁ!!!おべべぎゃあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「おちびちゃん今助けるよ!!!!」 親まりさがオオトカゲに跳びかかった。 バッッヂン!!!!!!! 強烈な痛みと共に、重たい音が響き渡る。 オオトカゲの強烈な尻尾のムチを顔面に喰らった親まりさは、巣がある剥き出しの断層に叩きつけられた。 その口からは餡子が漏れる。 さらに・・・。 「「ゆぎゃあああああああ!!!」」 「おぎゃああじゃああああん!!!」 「たずけで、まりざああざぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」 家族の悲鳴が響き渡る。親まりさは、はっと周囲を見回した。 そこには何匹いるか分からないオオトカゲの群れと、それに弄ばれる家族の姿があった。 姉れいむは先の姉まりさと同じように地面に叩きつけられていた。 もう1匹の姉れいむは、2匹の取り合いに巻き込まれ、左頬と右頬にそれぞれ噛み付かれて引き裂かれようとしていた。 残りの姉まりさは、オオトカゲの大きく鋭い鉤爪を突き刺されて踏み付けられていた。 そして最愛のパートナーである親れいむは、頭のおさげを咥えられて樹木に叩きつけられていた。 「たずげでええぇぇぇぇぇ!!!ま゛りざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「「「おぎゃあぁぁぁぁぁぁざあああああぁぁぁん!!!!!」」」 親まりさは誰から助けて良いのかわからない。 「み゛んな゛まりさが助けるよ!!ゆっぐり順番を待っでね!!!!」 しかし大自然の食欲は"待つ"という事を知らない。 ついに初めに捕まった姉まりさの左頬がずるりと崩れ落ち、姉まりさだった物はオオトカゲの胃袋へと収まった。 他の姉ゆっくりたちも、叩きつけられ、引き裂かれ、全身をズタズタにされて飲み込まれていった。 「ばりざのがぞくがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりざああああぁぁぁぁぁぁ・・・」 愛するパートナーが自身を呼ぶ声に振り向く親まりさ。 その視線の先で「ズバチンッ!!」と大きな音を立て、親れいむは樹木に叩きつけられ、大量の餡子を撒き散らして弾けた。 「れぇぇぇいぶうぅぅぅぅぅぅう゛う゛あ゛ぁ゛ぁぁぁああああああぁぁぁ!!!!!!!!!」 呆然と、喰われてゆく家族を見回す親まりさ。 崩れ落ちた姉まりさの左頬に2匹の子トカゲが群がるのが見えた。 その時である・・・。 姉まりさの餡子を貪るのに夢中な子トカゲに、オオトカゲがかぶりついた。 「ゆ゛????!!!!!」 子トカゲに獲物を横取りされたと感じたのか、 オオトカゲはそのまま子トカゲを飲み込んでしまった。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎ????????????!!!」 親まりさは混乱した。 これまで愛情を込めて子供達を育ててきたのは何の為だったのか。 子供達の喜ぶ顔が見たくて、空腹を我慢しながらも森中を駆け回り、食物を集めてきたのは何の為だったのか 怯える子供達を必至に守ってきたのは何の為だったのか。 誰よりも先に脅威に立ち向かったのは何の為だったのか。 あっさりと同類の子トカゲを喰ってしまったオオトカゲを見て、親まりさは訳がわからなくなってしまった。 「ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!! ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!・・・」 親まりさは白目をむいて泡を吹きながら、跳ね回り、わめき散らした。 そして親れいむと子ゆっくり達を食べ終えたオオトカゲ全てが、親まりさに群がった。 はじき飛ばされ、かじられ、引き裂かれ、叩きつけられ、親まりさはオオトカゲに貪られた。 親まりさは「ゆぐ・・・、ゆぎぎ・・・」と呻き声を漏らしながら、絶命した。 それから程なくして、森のあちこちから様々な鳥獣の鳴き声とゆっくり達の悲鳴が上がり始めた。 ゆっくり達がこの森に馴染むには、まだしばしの時間を必要としていた・・・。 あとがき 卵の描写に関してスレでの多くのご指摘ありがとうございました。 多くは語りません。 色々調べたつもりだったのですが、にわか知識で動物を描写するのは無謀でした。www エンディングも後味悪いし個人的に大失敗ですた。\(^o^)/ おでんのが書いてて楽しかった。 今まで書いたもの 「おでんとからし ~おでん~」 「おでんとからし ~からし~」 「トカゲのたまご ~たまご~」 「トカゲのたまご ~とかげ~」 このSSに感想を付ける
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※「トカゲのたまご ~たまご~」の続きです。 ※今回、勝手ながらいくつかの作品を参考にさせて頂きました。 タイトル等は伏せさせて頂きますが、この場にてお礼申し上げます。 ※作者は元ネタの知識も無く、設定等適当なところがあります。 すいません、ご了承ください。 「とかげのたまご ~トカゲ~」 ド シ ン ッ ! ! ! 巣全体が激しく揺れる・・・。 「「「「ゆゆゆ?!!!!」」」」 「ゆ?!おちびちゃん達!!ゆっくり集まってね!!!」 「「「おきゃーしゃーーん!!」」」 突然の地震にゆっくり達は身を寄せ合った。 開放された2匹の子トカゲは、一目散に巣の外へと逃げてゆく。 そして代わりに巨大な影が巣の中に侵入してきた。 予期せぬ侵入者に親まりさが立ちはだかる。「ぷくぅぅぅぅぅぅぅ」と頬を膨らましながら。 侵入者は構わず、ドッシ、ドッシと重たい足音と共に侵入してくる。 「ここはまりさ達のおうちだよ!!かってに中・・・に??!!・・・はい・・・ぷしゅぅぅぅぅぅぅ.....」 侵入者が親まりさの目前まで近づき、口からシュルシュルと舌をだして親まりさを舐め回す。 影の正体を認識した親まりさはガタガタ震えながら頬の空気を抜いてゆく。 そしてゆっくりらしからぬ速さで、家族が集まる巣の奥へと退却した。 親まりさの落とした卵を嗅ぎつけて来たのかはわからない。 子トカゲの断末魔を聞きつけてやって来たのかはわからない。 そこには全長2m近い”オオトカゲ”がいた。 「「「「「「ヒイイイイイイィィィィィィィ!!!」」」」」」 「まままりさ!このトカゲさんはゆっくりできそうにないよ、ちゃちゃ、ちゃんと帰ってもらってね。」 「お゛お゛お゛おとなしくしてれば、ゆっくりできそうだよ。ままま、まりさはおとなしくしてるよ。」 「「「「ごわ゛いよおお!!!」」」」 親ゆっくりと姉ゆっくりは目の前の巨大な侵入者に震え上がった。 まだ一人で外に出たことの無い姉ゆっくり達から見ても、目の前の生き物が危険な事は一目瞭然だった。 逃げ出そうにも出口はオオトカゲの巨大な体躯に妨げられ、逃げる事は叶わない。 そんな家族の事を知ってか知らずか、赤ゆっくり3匹がオオトカゲの前に飛び出した。 「「あ゛がちゃん!!!!だめ゛えええええええええええええええええ!!!!」」 今しがた子トカゲの味を覚えたばかりの赤ゆっくり達にとっては、 「さっきのとは比べ物にならないほど"大きなご馳走"がやって来た!!」くらいにしか思っていないのかもしれない。 「ゆぅーー!!おっきなとかげしゃん、こんにちわ!!」 「とかげしゃんのあかちゃん、とてもゆっくちできたよ!!」 「おいちいあかちゃん、ありがとうね!!」 「「「ゆっくちちていってね!!!」」」 オオトカゲの前で跳ねながら、満面の笑みで礼を述べてゆく赤ゆっくり達。 お礼を言った後は、家族みんなで"おっきなとかげしゃん"を食べられるとでも思っているらしい。 そんな赤ゆっくり達の言葉がオオトカゲに通じたかどうかは分からない。 オオトカゲはシューーーッっと大きく鼻息を鳴らし、品定めするかのように赤れいむを舐め始めた。 「ゆゆ!とかげしゃん、くしゅぐったいよ」 「とかげしゃんもとてもゆっくちちているね」 「まりしゃも、ペロペロしてー!!」 「!!!!あ゛がちゃん!!!!ぞのトカゲさんはゆっくりできないよ!!!!!」 "大きなご馳走"を前に、親れいむ達の声は赤ゆっくり達には届かない。 一通り赤れいむを舐めまわすと、オオトカゲは口先で赤れいむを咥え、宙へと持ち上げた。 「「あ゛がちゃん!!!!にげてえええええぇぇぇぇぇっ!!!!」」 「わー!れいみゅ、たか-いたかーい!」 「お゛ねがいでず!!お゛ねがいじまずがら!!あ゛かちゃんを゛たずけてあげでね゛ぇぇ!!!!!!」 オオトカゲは何度か顎を動かし、赤れいむを喉の奥へと押し込んでゆく。 「とかげしゃん、おくち、くちゃぁぁぁぁい!!」 次にオオトカゲが口を開いた時、赤れいむの姿は見えなくなった。 「「「「「「!!!!!!!!!!!!」」」」」」 「こんじょはまりしゃのばぁんー!!」 「れいみゅもやってよー!!」 今度は赤まりさが咥え上げられる。紡ぎたての絹糸の様な金髪がたなびき、赤まりさはきゃきゃとはしゃいだ。 しかし赤まりさの目前に広がる巨大な暗闇から、姉妹の声が聞こえてくる。 「(ゆわぁぁん!!い゛だい゛っ!!ぐらいよぉぉぉぉぉぉ!!!ここじょこぉぉぉ?!)」 「ゆ゛ぅ?!」 全身に潰されるような力が掛かり、赤まりさは目の前の穴へと引きずり込まれていった。 「れいぶの!!!!れい゛ぶの、がわい゛い゛ぃぃぃあ゛か゛ちゃんがあ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 とうとう親れいむが、涙とよだれで顔をぐちゃぐちゃにしながらオオトカゲに跳びかかった。 オオトカゲは食事の邪魔をするなと言わんばかりにそれをはねのけた。 「っゆぐぇ!!!」 「おきゃあしゃん!!!」 目の前で親れいむが吹っ飛ばされ、ようやく事態の危うさに気づく赤れいむ。 親れいむの元に駆け寄ろうとするが、後ろからオオトカゲに咥えられてしまう。 「ゆぎゅあぁぁぁぁん!!!おぎゃあしゃんいじめる、いぐっ、どかげしゃんはぢんでね゛ぇぇぇぇ!!・・・」 そしてオオトカゲにペロリと飲み込まれてしまった。 「ま゛でぃざのあがぢゃんがえぜえええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 さすがの親まりさも目の前で我が子3匹が飲み込まれるのを見て、オオトカゲに跳び掛かった。 しかし親れいむ同様、巣の奥へとはね飛ばされてしまう。 オオトカゲの口から、胃袋で再会した赤ゆっくり達の叫び声が漏れてくる。 「(ゆぎぎぎぎぎぃぃぃ!!!い゛ぢゃいぃぃぃぃっぃ!!!ぐらいよぉぉぉぉっぉ!!!)」 「(ま゛りじゃいるのお゛ぉぉぉぉぉ??!!どこぉぉぉぉぉ??!!も゛う゛おうぢがえるぅぅぅ!!!)」 「(ゆぎゃあぁぁぁ!!ドロドロいぢゃいぃぃ!!ぎぃぃぃぃおべべがぁぁぁぁぁ!!!)」 「「「たじゅげでえぇぇぇぇ!!!おぎゃあぁぁじゃぁぁぁんんん!!!」」」 まるでオオトカゲが助けを呼んでいるようだった。 「「どおぢてごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉ!!!かってにひとのあがぢゃんたべるトカゲははやぐじんでね!!!」」 「「「「がわい゛い゛ぃぃ、いも゛ぉうとだぢがあ゛あ゛ぁぁぁぁぁ」」」」 巨大なオオトカゲの前に手も足も出ないゆっくり達。すでに巣の奥へと追い詰められ、後が無い一家。 オオトカゲは今度は姉まりさへと舌を這わせた。 全身をシュルシュルと這い回るオオトカゲの舌に、かつてない嫌悪感が姉まりさの体を駆け巡る。 「ゆぎぃいいい!!ベロベロやめ゛でええぇぇぇぇ!!!ばりざはおいじぐないよ!!!」 オオトカゲは姉まりさも一飲みにしようとするが、赤ゆっくりよりも大きく、うまく喰いつけない。 姉まりさの帽子だけがオオトカゲの口に咥えられた。 オオトカゲはそれを大きな花びらを食べるかのようにあっさりと飲み込んでしまった。 「ばりさのがわ゛びいぃ帽子がえしでね!!!ゆっくり帽子吐き出してねっ!!!!」 命と同等に大事な帽子を盗られた姉まりさは、恐怖に顔を歪ませながらもオオトカゲに跳び掛かっていった。 何度はね返されようともオオトカゲに跳び掛かる姉まりさ。 すでにかわいい妹たちの事は頭に無い。 「まりざぁぁぁぁ!!!いっちゃだべええええええ!!!!!」 「ぼうじがえじでね!!!!はやくかえじでね!!!ばりざのぼう・・ゆぎゅっ!!!!」 オオトカゲは命一杯に口を開き、姉まりさにかぶりついた。 オオトカゲの口には入りきらず、姉まりさの頬がオオトカゲの口からはみ出す。 赤ゆっくりの時とは違い、口内の鋭い牙を立てて獲物を逃がさないオオトカゲ。 「ゆぎいいいいいいい!!いだいいぃぃぃぃぃ!!!ぐぶぶぶぶぶ・・・!!!」 全身に上と下から鋭い牙が突き刺さり、強力な顎が姉まりさを押し潰した。 オオトカゲはなんとか飲み込もうと、狭い巣の中で姉まりさを何度も何度も壁に叩きつける。 さらに、オオトカゲの唾液内に棲息するバクテリアが、姉まりさの体を蝕み始めた。 人間やオオトカゲよりも大きな動物でも、バクテリアが体内に入り込むと敗血症を引き起こし、 早急に手当てをしなければ最悪の場合死に至る。 そのバクテリアが餡子にも効いたかは分からないが、無害でもなかった。 「ゆぐぐぐぅぅうぅ、さぶい゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!いだいぃぃぃぎいぃぃぃぃぃぃ!!!」 顔がパンパンに膨らみ、真っ赤に腫れる姉まりさの顔。目の周りには紫黒い隈ができている。 「だずげでぇぇ!!ゆぎゅっ!!!おぎゃざぁぁぁ!!ぐぎゃっ!!!!」 目の前で苦しむ我が子を前に、これ以上娘たちを失うまいと親れいむが立ち上がる。 「まりさ!!ゆっくり早く起きてね!!」 「ゆぐぅ・・・。ゆゆ??」 「まりさ!!二人で力を合わせておちびちゃんを救うよ!!」 「ゆ!ゆっくり理解したよ!」 二匹は互いの目を見つめ合い、意思を確かめ合うと交互にオオトカゲの顔に体当たりしはじめた。 「おぎゃあぁぁぁぁぁじゃん・・・!!」 「もう少しだよ!!ゆっくり我慢してね!!」 「お母さん達が今助けるよ!!」 親まりさが跳び掛かり、親れいむが跳び掛かり・・・。 そんな親ゆっくりを姉れいむ達も必至に応援する。 二匹の波状攻撃にさすがのオオトカゲも鬱陶しくなったのか、姉まりさを咥えたまま巣の出口へと後退してゆく。 「ゆゆ!!れいむ!!トカゲの奴逃げていくよ!!」 「ゆー!!まりさ!!れいむ達の愛の勝利だよ!!」 「おかーさんがんばれぇぇぇぇぇ!!!!」 このゆっくりとした大自然の中で、家族みんなでいつまでもゆっくり過ごしたかった。 自然の素晴らしさをもっと赤ちゃん達にも伝えてやりたかった。 しかし突如として一家に降りかかった災い。どうして自分達がこんな目に? とてもゆっくりできない事がいくつもあった。 だがこの困難も家族みんなで立ち向かえばきっと乗り越えられる! ふと3匹の赤ゆっくり達の笑顔が思い返される。 今ならまだ3匹の赤ちゃん達も助けられるかもしれない!!! そんな思いがゆっくり一家の脳裏によぎった。 ついにオオトカゲは巣から出ていった! あとは子供達を救うだけだ。一家は家族の絆を確かめ、高なる思いを胸に巣の外へと飛び出した。 巣の外ではオオトカゲが姉まりさを地面に何度も何度もこすりつけていた。 何度も痛めつけられた姉まりさの顔からは両目の眼球がこぼれ落ちていた。 こぼれ落ちた眼球にかぶりつく2匹の子トカゲ。 子トカゲにとっては、この世に生れ落ちて初めての食事だった。 姉まりさの眼孔はぽっかりと黒い穴が穿たれ、中から餡子が漏れ出していた。 「ゆぶぎゃああああぁぁぁぁ!!!おべべぎゃあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「おちびちゃん今助けるよ!!!!」 親まりさがオオトカゲに跳びかかった。 バッッヂン!!!!!!! 強烈な痛みと共に、重たい音が響き渡る。 オオトカゲの強烈な尻尾のムチを顔面に喰らった親まりさは、巣がある剥き出しの断層に叩きつけられた。 その口からは餡子が漏れる。 さらに・・・。 「「ゆぎゃあああああああ!!!」」 「おぎゃああじゃああああん!!!」 「たずけで、まりざああざぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」 家族の悲鳴が響き渡る。親まりさは、はっと周囲を見回した。 そこには何匹いるか分からないオオトカゲの群れと、それに弄ばれる家族の姿があった。 姉れいむは先の姉まりさと同じように地面に叩きつけられていた。 もう1匹の姉れいむは、2匹の取り合いに巻き込まれ、左頬と右頬にそれぞれ噛み付かれて引き裂かれようとしていた。 残りの姉まりさは、オオトカゲの大きく鋭い鉤爪を突き刺されて踏み付けられていた。 そして最愛のパートナーである親れいむは、頭のおさげを咥えられて樹木に叩きつけられていた。 「たずげでええぇぇぇぇぇ!!!ま゛りざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「「「おぎゃあぁぁぁぁぁぁざあああああぁぁぁん!!!!!」」」 親まりさは誰から助けて良いのかわからない。 「み゛んな゛まりさが助けるよ!!ゆっぐり順番を待っでね!!!!」 しかし大自然の食欲は"待つ"という事を知らない。 ついに初めに捕まった姉まりさの左頬がずるりと崩れ落ち、姉まりさだった物はオオトカゲの胃袋へと収まった。 他の姉ゆっくりたちも、叩きつけられ、引き裂かれ、全身をズタズタにされて飲み込まれていった。 「ばりざのがぞくがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりざああああぁぁぁぁぁぁ・・・」 愛するパートナーが自身を呼ぶ声に振り向く親まりさ。 その視線の先で「ズバチンッ!!」と大きな音を立て、親れいむは樹木に叩きつけられ、大量の餡子を撒き散らして弾けた。 「れぇぇぇいぶうぅぅぅぅぅぅう゛う゛あ゛ぁ゛ぁぁぁああああああぁぁぁ!!!!!!!!!」 呆然と、喰われてゆく家族を見回す親まりさ。 崩れ落ちた姉まりさの左頬に2匹の子トカゲが群がるのが見えた。 その時である・・・。 姉まりさの餡子を貪るのに夢中な子トカゲに、オオトカゲがかぶりついた。 「ゆ゛????!!!!!」 子トカゲに獲物を横取りされたと感じたのか、 オオトカゲはそのまま子トカゲを飲み込んでしまった。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎ????????????!!!」 親まりさは混乱した。 これまで愛情を込めて子供達を育ててきたのは何の為だったのか。 子供達の喜ぶ顔が見たくて、空腹を我慢しながらも森中を駆け回り、食物を集めてきたのは何の為だったのか 怯える子供達を必至に守ってきたのは何の為だったのか。 誰よりも先に脅威に立ち向かったのは何の為だったのか。 あっさりと同類の子トカゲを喰ってしまったオオトカゲを見て、親まりさは訳がわからなくなってしまった。 「ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!! ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!ゆっぐりしでいっでね!!・・・」 親まりさは白目をむいて泡を吹きながら、跳ね回り、わめき散らした。 そして親れいむと子ゆっくり達を食べ終えたオオトカゲ全てが、親まりさに群がった。 はじき飛ばされ、かじられ、引き裂かれ、叩きつけられ、親まりさはオオトカゲに貪られた。 親まりさは「ゆぐ・・・、ゆぎぎ・・・」と呻き声を漏らしながら、絶命した。 それから程なくして、森のあちこちから様々な鳥獣の鳴き声とゆっくり達の悲鳴が上がり始めた。 ゆっくり達がこの森に馴染むには、まだしばしの時間を必要としていた・・・。 あとがき 卵の描写に関してスレでの多くのご指摘ありがとうございました。 多くは語りません。 色々調べたつもりだったのですが、にわか知識で動物を描写するのは無謀でした。www エンディングも後味悪いし個人的に大失敗ですた。\(^o^)/ おでんのが書いてて楽しかった。 今まで書いたもの 「おでんとからし ~おでん~」 「おでんとからし ~からし~」 「トカゲのたまご ~たまご~」 「トカゲのたまご ~とかげ~」 このSSに感想を付ける
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戦士 <強化必要素材(各部位共通)> ●エカルラートクロス ●アルジェロリベット ○ダークブロンズ板 頭 20枚 ファイターマスク 防24 HP+15 DEX+3 INT+1 敵対心+1 Lv56~ FTマスク+1 防28 HP+15 DEX+5 VIT+5 敵対心+1 ヒーリングHP+1 Lv74~ 胴 30枚 ファイターロリカ防47 HP+20 VIT+5 耐火+10 敵対心+8 Lv60~ FTロリカ+1 防50 HP+20 VIT+7 攻+10 敵対心+8 Lv74~ 両手 15枚 ファイターマフラ防16 HP+13 STR+4 盾スキル+10 敵対心+3 Lv54~ FTマフラ+1 防22 HP+13 STR+6 盾スキル+15 敵対心+3 Lv74~ 両脚 15枚 ファイタークウィス 防34 HP+15 命中+3 回避+3 敵対心+2 Lv58~ FTクウィス+1 防39 HP+15 命中+5 回避+5 敵対心+3 ヒーリングHP+2 Lv74~ 両足 15枚 ファイターカリガ 防14 HP+12 AGI+3 ダブルアタック効果アップ 敵対心+1 Lv52~ FTカリガ+1 防19 HP+12 VIT+3 AGI+3 ダブルアタック効果アップ 敵対心+1 Lv74~ モンク <強化必要素材(各部位共通)> ●天竺金糸 ●エンシェントブラス (胴) ○シルバーブロケード (両足) ○黒虎のなめし革 (頭、両手、両脚) ○有翼獅子のなめし革 頭 25枚 テンプルクラウン防21 HP+16 MND+5 集中効果アップ Lv56~ TPクラウン+1防23 HP+16 MND+8 集中効果アップ ヒーリングHP+1 Lv74~ 胴 40枚 テンプルシクラス防41 HP+20 VIT+3 命中+5 チャクラ効果アップ Lv58~ TPシクラス+1防44 HP+20 STR+6 VIT+6 命中+5 チャクラ効果アップ Lv74~ 両手 20枚 テンプルグローブ防14 HP+14 STR+4 耐闇+10 ためる効果アップ Lv54~ TPグローブ+1防15 HP+14 STR+6 ためる効果アップ モクシャ+4 Lv74~ 両脚 25枚 テンプルホーズ防29 HP+18 ガードスキル+10 カウンター+1 Lv60~ TPホーズ+1防31 HP+18 MND+4 ガードスキル+15 カウンター+3 Lv74~ 両足 20枚 テンプルゲートル防12 HP+12 DEX+3 耐光+10 回避効果アップ Lv52~ モ TPゲートル+1防15 HP+12 DEX+5 MND+5 回避+10 回避効果アップ Lv74~ モ シーフ <強化必要素材(各部位共通)> ●サップルスキン ●ライトフィラメント (頭、胴、両脚) ○草帆布 (両手、両足) ○大羊のシャミ革 頭 30枚 ローグボンネット防23 HP+13 INT+5 受け流しスキル+10 ぬすむ+1 Lv54~ ROボンネット+1防24 HP+13 DEX+3 飛命+8 回避+10 Lv74~ 胴 40枚 ローグベスト防44 HP+20 STR+3 耐土+10 かくれる持続時間アップ Lv58~ ROベスト+1防45 HP+20 STR+6 命中+10 かくれる持続時間アップ Lv74~ 両手 20枚 ローグアームレット防15 HP+10 DEX+3 耐氷+10 ぬすむ+1 Lv52~ ROアームレット+1防16 HP+10 DEX+3 ぬすむ+1 だまし討ちダメージアップ10%)Lv74~ 両脚 30枚 ローグキュロット防32 HP+15 AGI+4 盾スキル+10 ぬすむ+1 Lv56~ ROキュロット+1防34 HP+15 DEX+2 AGI+4 ぬすむ+1 Lv74~ 両足 20枚 ローグプーレーヌ防13 HP+12 DEX+3 とんずら持続時間アップ ぬすむ+2 Lv60~ ROプーレーヌ+1防15 DEX+3 飛命+5 とんずら持続時間アップ ぬすむ+2 Lv74~ 白魔導士 <強化必要素材(各部位共通)> ●ベネディクトシルク ●ベネディクトヤーン (頭) ○エーテルコットン (胴) ○ホーリーレザー (両手) ○エーテルレザー (両脚) ○レインボービロード (両手) ○エーテルホリー 頭 30枚 ヒーラーキャップ防21 MP+13 MND+4 耐闇+15 敵対心-1 Lv54~ 白30枚 HLキャップ+1防21 MP+28 MND+7 敵対心-1 ヒーリングMP+1 Lv74~ 白 胴 40枚 ヒーラーブリオー防40 MP+15 耐風+10 弱体魔法スキル+10 敵対心-4 Lv58~ 白 HLブリオー+1防40 MP+35 弱体魔法スキル+12 敵対心-4 ヒーリングMP+5 Lv74~ 白 両手 20枚 ヒーラーミトン防14 MP+10 STR+5 回復魔法スキル+15 敵対心-4 Lv60~ 白20枚 HLミトン+1防14 MP+15 STR+7 MND+7 回復魔法スキル+15 敵対心-4 Lv74~ 白 両脚 25枚 ヒーラーパンタロン防28 MP+15 VIT+3 神聖魔法スキル+15 敵対心-1 Lv56~ HLパンタロン+1防28 MP+30 VIT+5 神聖魔法スキル+15 敵対心-2 Lv74~ 白 両足 20枚 ヒーラーダックビル防12 MP+10 AGI+3 詠唱中断率20%ダウン Lv52~ 白 HLダックビル+1防12 MP+15 AGI+5 INT+5 詠唱中断率25%ダウン ヒーリングMP+1 Lv74~ 白 黒魔導士 <強化必要素材(各部位共通)> ●ディアボリクシルク ●ディアボリクヤーン (頭、胴、両手) ○エーテルレザー (両脚) ○エーテルコットン (両足) ○エーテルホリー 頭 25枚 ウィザードペタソス防20 MP+25 INT+4 耐雷+10 敵対心-4 Lv60~ 黒 WZペタソス+1防20 MP+30 INT+5 敵対心-4 ヒーリングMP+1 Lv74~ 黒 胴 25枚 ウィザードコート防38 MP+16 VIT+5 弱体魔法スキル+10 敵対心-3 Lv58~ 黒 WZコート+1防38 MP+36 弱体魔法スキル+12 敵対心-5 ヒーリングMP+5 Lv74~ 両手 15枚 ウィザードグローブ防13 MP+12 CHR+3 精霊魔法スキル+15 敵対心-1 Lv54~ WZグローブ+1防13 MP+17 INT+3 CHR+3 精霊魔法スキル+15 敵対心-2 Lv74~ 黒 両脚 30枚 ウィザードトンバン防27 MP+14 回避+5 暗黒魔法スキル+15 敵対心-1 WZトンバン+1防27 MP+19 暗黒魔法スキル+15 敵対心-2 ヒーリングMP+1 Lv74~ 両足 20枚 ウィザードサポ防11 MP+10 AGI+3 詠唱中断率20%ダウン 敵対心-1 Lv52~ 黒 WZサボ+1防11 MP+15 AGI+5 MND+5 詠唱中断率20%ダウン ヒーリングMP+1 Lv74~ 黒 赤魔導士 <強化必要素材(各部位共通)> ●緋絹糸 ●カーディナルクロス (頭、胴、両手、両脚) ○レインボービロード (両足) ○黒虎のなめし革 頭 20枚 ワーロックシャポー防23 MP+20 INT+3 精霊魔法スキル+10 ファストキャスト効果アップ Lv60~ 赤 20枚 WLシャポー+1防24 MP+25 INT+5 精霊魔法スキル+10 ファストキャスト効果アップ Lv74~ 赤 胴 30枚 ワーロックタバード防44 MP+14 CHR+5 詠唱中断率10%ダウン 弱体魔法スキル+15 Lv58~ 赤30枚 WLタバード+1防44 MP+34 詠唱中断率12%ダウン 弱体魔法スキル+15 ヒーリングMP+5 Lv74~ 赤 両手 15枚 ワーロックグローブ防16 MP+12 DEX+4 耐闇+10 受け流しスキル+10 Lv54~ WLグローブ+1防17 MP+17 DEX+6 INT+2 MND+2 受け流しスキル+15 Lv74~ 赤 両脚 20枚 ワーロックタイツ防33 MP+13 MND+3 回復魔法スキル+10 強化魔法スキル+15 Lv56~ 赤20枚 WLタイツ+1防33 MP+18 MND+5 回復魔法スキル+10 強化魔法スキル+15 Lv74~ 赤 両足 25枚 ワーロックブーツ防13 MP+11 AGI+3 耐水+10 盾スキル+10 Lv52~ 赤25枚 WLブーツ+1防15 MP+16 AGI+3 INT+3 MND+3 盾スキル+10 Lv74~ 赤 ナイト <強化必要素材(各部位共通)> ●スノーイサーメット ●ホワイトリベット (頭) ○ゴールドインゴット (胴) ○ゴールドブロケード (両手、両脚、両足) ○聖なるミスリル板 頭 25枚 ガラントコロネット防24 HP+12 MND+3 かばう効果アップ 敵対心+2 Lv56~ ナ GLコロネット+1防28 HP+12 MND+6 かばう効果アップ 敵対心+3 Lv74~ ナ 胴 30枚 ガラントサーコート防47 HP+20 VIT+4 神聖魔法スキル+5 敵対心+2 Lv60~ GLサーコート+1防55 HP+20 VIT+6 神聖魔法スキル+8 敵対心+2 Lv74~ ナ 両手 20枚 ガラントガントレ防16 HP+11 DEX+3 耐光+10 敵対心+2 Lv54~ ナ 20枚 GLガントレ+1防22 HP+11 DEX+6 VIT+3 敵対心+2 Lv74~ ナ 両脚 20枚 ガラントブリチーズ防34 HP+15 AGI+3 強化魔法スキル+5 敵対心+2 Lv58~ GLブリーチズ+1防43 HP+20 AGI+4 強化魔法スキル+10 敵対心+2 Lv74~ ナ 両足 20枚 ガラントレギンス防14 HP+15 CHR+5 盾スキル+10 ホーリーサークル効果アップ Lv52~ ナ20枚 GLレギンス+1防19 HP+20 CHR+5 盾スキル+12 ホーリーサークル効果アップ Lv 暗黒騎士 <強化必要素材(各部位共通)> ●ダークオリハルコン ●ブラックリベット (頭、両手、両脚、両足) ○ダーク板 (胴) ○ダークアダマン板 頭 25枚 カオスバーゴネット防23 HP+12 STR+4 暗黒魔法スキル+5 暗黒効果アップ Lv60~ 暗25枚 CSバーゴネット+1防27 HP+12 MP+12 STR+7 暗黒魔法スキル+5 暗黒効果アップ Lv74~ 暗 胴 30枚 カオスキュライス防46 HP+20 VIT+3 攻+5 弱体魔法スキル+5 Lv58~ 暗 CSキュイラス+1防49 HP+20 MP+20 STR+7 VIT+7 攻+10 弱体魔法スキル+5 Lv74~ 暗 両手 15枚 カオスガントレット防12 HP+11 DEX+3 耐闇+10 ウェポンバッシュ効果アップ Lv54~ 暗15枚 CSガントレット+1防20 HP+11 MP+11 STR+6 DEX+6 命中+3 ウェポンバッシュ効果アップ Lv74~ 暗 両脚 20枚 カオスフランチャー防31 HP+15 INT+3 回避+5 受け流しスキル+10 Lv56~ CSフランチャー+1防38 HP+15 MP+15 DEX+5 INT+5 回避+5 受け流しスキル+15 Lv74~ 暗 両足 20枚 カオスソルレット防10 HP+15 MND+5 アルケインサークル効果アップ Lv52~ 暗 CSソルレット+1防17 HP+15 MP+15 STR+5 MND+5 アルケインサークル効果アップ Lv 獣使い <強化必要素材(各部位共通)> ●スマルトレザー ●フェティドラノリン (頭) ○ビーストホーン (胴、両手) ○ホワイトムートン (両脚、両足) ○ダルメルのなめし革 頭 30枚 ビーストヘルム防22 HP+15 INT+5 なだめる成功率アップ あやつる+4 Lv56~ 獣 BTヘルム+1防26 HP+15 INT+8 MND+8 なだめる成功率アップ あやつる+4 Lv74~ 胴 40枚 ビーストジャック防44 HP+20 VIT+3 いたわる性能アップ あやつる+5 Lv58~ 獣 BTジャック+1防49 HP+20 VIT+6 いたわる性能アップ あやつる+6 Lv74~ 獣 両手 20枚 ビーストグローブ防12 HP+11 DEX+3 受け流しスキル+5 あやつる+3 Lv54~ 獣 BTグローブ+1防15 HP+11 DEX+5 CHR+5 受け流しスキル+10 あやつる+3 Lv74~ 獣 両脚 30枚 ビーストトラウザ防30 HP+15 CHR+4 キラー効果アップ あやつる+6 Lv60~ 獣BTトラウザ+1防34 HP+15 STR+6 CHR+6 キラー効果アップ あやつる+6 Lv74~ 獣 両足 20枚 ビーストゲートル防10 HP+11 AGI+3 いたわる効果アップ あやつる+2 Lv52~ 獣 BTゲートル+1防14 HP+11 AGI+5 CHR+5 いたわる効果アップ あやつる+2 Lv74~ 吟遊詩人 <強化必要素材(各部位共通)> ●コイルドヤーン ●ブラウンドスキン (頭) ○金糸 (胴、両手、両脚、両足) ○有翼獅子のなめし革 頭 15枚 コラルラウンドリト防15 HP+11 MND+3 受け流しスキル+5 敵対心-1 Lv54~ CHラウンドリト+1防19 HP+11 MND+6 CHR+6 受け流しスキル+5 敵対心-2 Lv74~ 胴 40枚 コラルジュストコル防38 HP+13 VIT+3 弦楽器スキル+3 敵対心-1 Lv58~ 吟 CHジュストコル+1防45 HP+20 VIT+10 CHR+10 弦楽器スキル+6 敵対心-3 Lv74~ 両手 25枚 コラルカフス防15 HP+14 CHR+4 歌唱スキル+5 敵対心-1 Lv60~ 吟 CHカフス+1防18 HP+14 VIT+7 CHR+7 歌唱スキル+10 敵対心-1 Lv74~ 吟 両脚 25枚 コラルキャニオンズ防27 HP+12 STR+5 管楽器スキル+3 敵対心-1 Lv56~ 吟 Hキャニオンズ+1防31 HP+12 STR+8 DEX+8 管楽器スキル+8 敵対心-2 Lv74~ 吟 両足 25枚 コラルスリッパー防10 HP+10 AGI+3 耐風+10 回避+5 Lv52~ 吟 25枚 CHスリッパー+1防14 HP+10 DEX+5 AGI+5 回避+5 ヒーリングHP+2 ヒーリングMP+2 Lv74~ 吟 狩人 <強化必要素材(各部位共通)> ●カメレオンヤーン ●チャコールコットン (頭、胴) ○ハンターコットン (両手、両脚) ○クァールのなめし革 (両足) ○黒虎のなめし革 頭 25枚 ハンターベレー防21 HP+13 INT+3 飛攻+5 ラピッドショット発動率アップ Lv54~ 狩25枚 HTベレー+1防24 HP+13 AGI+4 INT+4 飛攻+5 ラピッドショット発動率アップ Lv74~ 狩 胴 40枚 ハンタージャーキン防41 HP+20 VIT+3 飛命+10 カモフラージュ効果アップ Lv58~ 狩40枚 HTジャーキン+1防45 HP+20 VIT+4 AGI+4 飛命+10 カモフラージュ効果アップ Lv74~ 狩 両手 20枚 ハンターブレーサー防10 HP+10 DEX+3 耐闇+10 影縫い効果アップ Lv52~ HTブレーサー+1防14 HP+10 DEX+6 AGI+6 乱れ撃ち効果アップ 影縫い効果アップ Lv74~ 狩 両脚 25枚 ハンターブラッカエ防27 HP+15 MND+5 狙い撃ち効果アップ Lv56~ 狩 HTブラッカエ+1防32 HP+15 AGI+5 MND+5 敵対心-3 狙い撃ち効果アップ Lv74~ 狩 両足 25枚 ハンターソックス防12 HP+10 AGI+4 回避+5 スカベンジ効果アップ Lv60~ 狩 HTソックス+1防16 HP+10 DEX+6 AGI+6 回避+5 スカベンジ効果アップ Lv74~ 狩 侍 <強化必要素材(各部位共通)> ●緋威 ●杖くろがね (頭) ○ゴールド板 (胴) ○伊予札 (両手、両脚、両足) ○野牛の撓革 頭 15枚 明珍桃形兜防20 HP+10 MND+5 護摩の守護円効果アップ 黙想効果アップ Lv60~ 侍 明珍桃形兜改防25 HP+13 STR+5 MND+5 護摩の守護円効果アップ 黙想効果アップ Lv74~ 侍 胴 25枚 明珍胴丸防41 HP+10 VIT+3 耐闇+15 被ダメージ時のTP増加量が時々多くなる Lv58~ 侍25枚 明珍胴丸改防50 HP+10 STR+6 VIT+6 命中+12 被ダメージ時のTP増加量が時々多くなる Lv74~ 侍 両手 20枚 明珍筒篭手防15 HP+15 DEX+4 敵対心+2 おにぎりの真の味がわかる Lv56~ 侍 明珍筒篭手改防21 HP+15 STR+7 DEX+7 敵対心+2 おにぎりの真の味がわかる Lv74~ 侍 両脚 30枚 明珍板佩楯防30 HP+15 STR+3 耐土+10 受け流しスキル+5 Lv54~ 侍30枚 明珍板佩楯改防40 HP+15 STR+5 VIT+5 受け流しスキル+10 ストアTP+4 Lv74~ 侍 両足 20枚 明珍筒脛当防13 HP+20 耐火+10 回避スキル+5 敵対心+5 Lv52~ 侍20枚 明珍筒脛当改防18 HP+20 攻+8 敵対心+5 残心効果アップ Lv74~ 侍 忍者 <強化必要素材(各部位共通)> ●真田紐 ●烏漆 (頭、胴、両手、両足) ○軽量スチール板 (両脚) ○野牛の撓革 頭 20枚 乱波半首防21 HP+10 CHR+5 耐氷+10 忍術スキル+5 Lv56~ 忍20枚 乱波半首改防22 HP+10 AGI+8 CHR+8 回避+8 忍術スキル+5 Lv74~ 忍 胴 30枚 乱波鎖帷子防41 HP+15 VIT+3 二刀流効果アップ 被物理ダメージ:ブレイズスパイク Lv58~ 忍30枚 乱波鎖帷子改防46 HP+15 DEX+5 VIT+5 二刀流効果アップ 被物理ダメージ:ショックスパイクLv74~ 忍 両手 15枚 乱波手甲防14 HP+13 DEX+3 飛攻+20 投てきスキル+5 Lv60~ 忍15枚 乱波手甲改防18 HP+13 STR+6 DEX+6 飛命+20 飛攻+20 投てきスキル+5 Lv74~ 忍 両脚 30枚 乱波袴防29 HP+15 飛命+10 夜間:回避+10 Lv52~ 忍 30枚 乱波袴改防31 命中+5 飛命+10 夕方~早朝:回避+10 Lv74~ 忍 両足 15枚 乱波脚絆防12 HP+12 AGI+4 夜間:移動速度+25% Lv54~ 忍15枚 乱波脚絆改防15 HP+12 AGI+6 INT+6 夕方~早朝:移動速度25%アップ Lv74~ 忍 竜騎士 <強化必要素材(各部位共通)> ●コバルトミスリル板 ●ブルーリベット (頭、胴) ○雄羊の撓革 (両手、両脚、両足) ○雄羊のなめし革 頭 30枚 ドラケンアーメット 防16 HP+12 MND+5 耐雷+10 飛竜:ブレスを効果的に使う Lv60~ 竜 DCアーメット+1防25 HP+12 VIT+8 MND+8 スピリットリンク効果アップ 飛竜:ブレスを効果的に使う Lv74~ 竜 胴 40枚 ドラケンメイル防38 HP+15 VIT+4 耐氷+10 飛竜:リジェネ Lv58~ 竜40枚 DCメイル+1防49 HP+15 STR+6 VIT+6 攻+7 飛竜:リジェネ Lv74~ 竜 両手 20枚 ドラケンフィンガー防15 HP+11 DEX+3 受け流しスキル+10 飛竜:命中率アップ Lv56~ 竜 DCフィンガー+1防19 HP+11 STR+5 DEX+5 受け流しスキル+12 飛竜:命中率アップ Lv74~ 竜 両脚 25枚 ドラケンブレー防27 HP+15 耐土+10 エンシェントサークル効果アップ 飛竜:HP+10% Lv52~ 竜 DCブレー+1防32 HP+15 命中+9 エンシェントサークル効果アップ 飛竜:HP+15% Lv74~ 竜 両足 20枚 ドラケングリーヴ防10 HP+12 AGI+3 回避スキル+5 ジャンプ効果アップ Lv54~ 竜 DCグリーヴ+1防16 HP+12 DEX+5 AGI+5 回避スキル+10 ジャンプ効果アップ Lv74~ 竜 召喚士 <強化必要素材(各部位共通)> ●グリッターヤーン ●アストラルレザー (頭) ○コーラルホーン (胴、両手、両脚) ○ウルフフェルト (両足) ○神代木 頭 25枚 エボカーホーン 防15 MP+20 INT+3 召喚魔法スキル+5 召喚獣:敵対心-3 Lv60~ 召 EKホーン+1 防15 MP+25 INT+6 MND+6 召喚魔法スキル+5 召喚獣:敵対心-3 Lv74~ 召 胴 35枚 エボカーダブレット防35 MP+15 MND+3 召喚獣属性の耐性+20 召喚獣:敵対心-2 Lv58~ 召 EKダブレット+1防35 MP+45 召喚獣属性の耐性+25 契約の履行使用間隔-4 ヒーリングMP+5 Lv74~ 召 両手 20枚 エボカーブレーサー防11 MP+15 VIT+4 召喚獣属性のダメージを時々MPに変換 召喚獣 敵対心-2 Lv54~ 召 EKブレーサー+1防11 MP+19 契約の履行使用間隔-1 召喚獣属性のダメージを時々MPに変換 召喚獣:敵対心-2 Lv74~ 召 両脚 30枚 エボカースパッツ防25 MP+15 回避スキル+10 召喚獣:命中率アップ 敵対心-2 Lv52~ 召 EKスパッツ+1防25 MP+22 敵対心-3 召喚獣:命中率アップ 敵対心-2 Lv74~ 召 両足 15枚 エボカーピガッシュ防10 MP+15 AGI+5 召喚獣:回避率アップ 敵対心-2 Lv56~ 召 EKピガッシュ+1防10 MP+25 召喚獣維持費-1 召喚獣:回避率アップ 敵対心-4 Lv74~ 召
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書くつもりはなかったオリンピア編本番w 一応、色々萌え、滝にポロポロ投下してたSSから繋がってるよ シェリルの柔らかな身体を壁に押し付け、貪るような口づけを交わす。 アルトは強引にシェリルの膝を割り開くと、彼女の愛液に濡れたショーツ越しに己の太腿を押し付けた。さらに、すっかりと熱を取り戻した劣情をシェリルの下肢に擦り付け、ゆっくりと腰を揺らす。 「……あっ」 敏感な秘所と、ガーターストッキング越しの太腿への焦れったい愛撫。 縋り付くように、アルトのジャケットの肩口を握り締めていた白い手が、高く結い上げられた彼の絹糸のような髪をクイッと引いた。 頭皮に走るむず痒いような感覚に、アルトは一旦濡れた唇を離し、シェリルの潤んだ青い瞳を見つめる。 「…ん、なんだよ……」 言いながらも、シェリルの下肢に挟まれてしまった己の足を引き抜き、代わりに不埒な指をシェリルの秘所に這わせた。 溢れ出したシェリルの愛液が染みて、アルトのボトムスの太腿部分は、濃く色を変えている。 ぐっしょりと濡れ、張り付くショーツの上から秘所を撫で上げると、鈍い快感にシェリルは身体を震わせた。 「…あっ、ん…。あると、やだぁ…」 「何が、やなんだ?」 意地悪く笑って、アルトは問う。ショーツの上を往復する指はそのままに。 「…さわっ、て……ちゃんと、触って…」 熱を孕んだ上擦った声で、欲に濡れた瞳で、シェリルはさらに先を懇願する。 アルトは背筋を這い上がる衝動に、ぶるりと身体を震わせた。 焦らしたつもりが、煽られた。 「そんな煽って…知らねぇぞ…」 チッと舌打ちをして、アルトはシェリルのショーツの隙間から指を差し入れる。 「…はは、大洪水……」 シェリルの下の唇から潜らせた指は、蠕動する内部に奥へ奥へと導かれる。 アルトの指から愛液が滴るほどに潤っているシェリルの内部だが、久しぶりのせいかいつも以上にきつい。 「あっ、あっ…ん」 中を探るアルトの指に、シェリルはさらに刺激を求めて腰を揺らす。 堪らなくなって、シェリルはアルトの熱に手を伸ばした。 「…あ、る…と、もう…がまん、出来、ない…」 先走りに濡れるアルトを先端から撫で下ろし、シェリルは熱い吐息を彼の耳元に零した。 「…っおま、…どこで、そんなこと、覚えてくるんだ……」 シェリルからの愛撫に、ともすれば射精してしまいそうになったアルトは、熱を散らすように、ゆっくりと息を吐いた。 「挿れるにも、多分、まだきついぞ?」 「いいからぁ……」 ゆっくりと中に挿れた指を動かしながら気遣うアルトの言葉にも、シェリルは首を振る。 立ち昇る女の色香にアルトはゴクリと喉を鳴らすと、濡れた指を引き抜きシェリルのショーツのサイドストリングを解いた。 そして、シェリルが触れている己の熱に手を伸ばしかけ、アルトはハッと動きを止める。 「…あ。あー…、ダメ、だ」 天を仰いで溜め息を吐くアルトに、シェリルは瞳を瞬かせた。 「……え?」 「シェリル、俺今日、スキン持ってないわ…」 欲を押し殺すように、細く息を吐きながらアルトは言う。 思わず触れたままのアルトの雄に目をやり、ハッと我に返って頬を染めたシェリルは、一瞬のあと、顔を俯かせて頷いた。 「…いい、わ」 「え」 「そのまま、して。…ツアー中は、ピル、飲んでるって、…知ってるデショ」 頬を染めたままアルトから視線を外し、シェリルは少し唇を尖らせて言う。 「…そうだけど」 「いいの!…中に…、欲しいの…」 自棄になって語気を強めて言うも、言葉尻は羞恥に震える。 耳朶まで真っ赤に染めながら雄を強請るシェリルに、アルトは理性をかなぐり捨てた。 「……ほんとに、お前は……っ」 吐き捨てるように呟いて、アルトはシェリルの片脚を抱え上げると、その身体を壁に押し付け、一気に灼熱を突き入れた。 「…あぁっ…!」 待ちわびた男の熱に、シェリルは白い首を仰け反らせて嬌声を上げる。 容赦ない突き上げに、つま先に引っ掛けた華奢なヒールのミュールが脱げ落ち、毛足の長い上等な絨毯敷きの床が、それを優しく受け止めた。 「あっ、あん…ある、と…っ」 背中は壁に押し付けられているが、細いヒールのミュールを履いた片脚だけで身体を支えるには不安定で、シェリルはアルトの首に腕を回し必死にしがみつく。 「アルト、ある、と……!」 ギュッとしがみつかれ思うように動けないアルトは、片脚で身体を支えガクガクと震えているシェリルの膝裏に手を差し入れると、力任せに抱き上げた。 「あっ……あぁぁ…!」 両脚が宙に浮いた状態になり、自重でアルトを最奥まで銜え込むことになったシェリルが、一層高く声を上げる。 身体の中心を貫く楔に深い安堵を感じながら、シェリルはアルトの動きに合せぎこちなく腰を振る。 高く響く水音と、肌を打ち合う音が響く。 「…アルト、どうしよ…もう、いっちゃう……っ」 熱く荒い吐息と共に耳元で零された言葉に、アルトも下腹部をブルリと震わせる。 「…あぁ、俺も…もう」 「アルト、あっ…あぁ…ん」 「シェリル…、中に、出していいか?…お前の、中……」 子宮口をこじ開けるような勢いで突き上げてくるアルトに、シェリルは必死に頷いた。 「いい、いいから…!アルト、中に、出してぇ…!」 啜り泣くようなシェリルの嬌声に、アルトはグッと息を詰めると、彼女の子宮めがけて熱い飛沫を迸らせた。 「あっ、…あぁぁ!」 腹の中でビクビクと跳ねる肉棒を銜え込んだ内部が、最後の一滴までも搾り上げるかのように蠕動し、シェリルも気を放った。 子宮を満たす白濁に、恍惚とした笑みを浮かべながら。 触れ合わせた胸から、早鐘を打つ心臓の鼓動がおさまらない。 アルトは抱え上げていたシェリルの両脚をゆっくりと床に下ろす。 「…平気か?」 「…ん」 腕と腰を支えて立たせながら、ふと足元に視線を落としたアルトは刮目する。 「うわぁぁ……。これ、怒られるか?」 「え……?」 アルトの視線を追って、己の足元に目をやったシェリルはかぁと赤面した。 「……アルトのせいじゃない」 「俺かよ!」 シェリルの白い脚を滴り伝った愛液と白濁が、絨毯に染みを作っていた。 そのそばに、挿入時に剥ぎ取ったショーツとミュールが絨毯の上に転がっている。 そういえば、服など何一つ脱がしていない。 あまりの余裕のなさに、お互い気恥しくなって俯いた。 「…お前、今日はどうしたんだ?」 情事後の気だるくも心地好い空気の中、優しくシェリルの髪を梳きながらアルトがぽつりと口を開く。 結局、お互いの熱が冷めやらず、ベッドに雪崩込んで二回戦を始めてしまったわけだが。 「…なにが?」 「あんなに積極的なの、滅多にないだろ」 「………別に」 アルトの言葉に、シェリルはシーツを被る。 「なに拗ねてるんだよ。言ってみろよ」 からかうようなアルトの物言いに、シェリルは唇を尖らせる。 「……アルトが悪いんだから」 「へ?」 ぽつりと零れたシェリルの言葉に、アルトは間の抜けた声を上げる。 「アルトが悪いのよ。久しぶりに会えたのに、女の子たちにキャーキャー言われて…」 アルトに非がないことは分かっているから、言葉尻が弱い。 「え。言われてたか?お前が、じゃなくて?」 シェリルの言葉に、アルトはきょとんとして首を傾げる。 2週間振りにアルトが護衛に付くことになってシェリルは浮かれていた。 午前中はツアーラストのオリンピア公演に向けて、スタッフと打ち合わせをし、昼から夕方にかけて雑誌のインタビューを数本受け、そして最後がウェブマガジン用の動画撮影だった。 紙媒体とは違い、ウェブ物は撮影しチェックが済めばすぐにアップ出来るのが楽でいい。 今回の動画も来週末には配信される予定だ。折角だからと、シェリルは季節に合わせ衣装に浴衣を選んだ。 「へぇ、浴衣、ですか?」 「えぇニホンの夏と言えば浴衣、なのよ?」 得意気なシェリルの言葉に、ヘアメイクの女性は感嘆の声を漏らす。 「シェリルさんの和装って、想像つかなかったけどいいですね!ご自分で着付けされたんでしょ?どこで習ったんですか?」 「うふふ。ヒミツ」 悪戯っ子のように笑って、シェリルはその話題を煙に巻く。 病気療養中に早乙女邸で過ごしたときに着付けを習ったなどとは、誰にも教えるつもりはない。 振袖も問題なく着付けられるのだから、浴衣の着付けなど朝飯前だが。 「でも…ちょっと着付け大胆すぎたかしらね…」 姿見の前でくるりと回ってシェリルはしばし考える。ここはやはり大先輩の意見を聞くべきだ。 「アル……早乙女大尉」 「…はい」 「ちょっと…」 控え室のドアを開け、シェリルが廊下で待機していたアルトを呼び寄せる。 「どうした?」 護衛として付いているので、必要以上に親しい素振りは出来ないが、アルトは優しい声を潜めシェリルを見る。 「うん…。あのね、これどう思う?」 向けられる眼差しの優しさに胸をときめかせながら、シェリルはアルトの前でもくるりと回ってみせた。 「へぇ…。その浴衣の意匠に兵児帯を合わせたのか。斬新だけど、悪くない。お前らしくていいよ」 濃紺の浴衣の裾には、白い藤の花が大胆にあしらわれている。 大人っぽいシックな浴衣に、薄い紅色と金地のふわふわの兵児帯の重ね付けが、シェリルの女性らしさを引き立てる。 アルトの言葉にシェリルが小さく笑を零すと、アルトも瞳を細めて柔らかく笑う。 その瞬間、シェリルの肩越しに、撮影スタッフの女の子たちの黄色い歓声が聞こえた。 耳聰いシェリルがそっと背後に聞き耳を立てる。 何あのイケメン!やだ、なにあの笑顔、超美人!っていうか、SMSの隊服着てるってことはシェリルさんの護衛?え、彼氏じゃないの?でも、超お似合い。もしフリーだったら連絡先聞いちゃおうかなぁ 聞こえてきたのは、アルトを讚美する言葉たち。もちろん、シェリルも悪い気はしないのだが。 「……シェリル?どうした?」 「………なんでもない」 なぜか途端に気持ちが急降下し、シェリルは唇を尖らせた。 婚約のことは内緒だから、SMSでもフロンティアの一部にしか知られていない。 その証拠に、急用が入ってしまったクランの代わりに護衛に付いた、オリンピア支部の年若い隊員は、シェリルとアルトが醸し出すそこはかとない色気に当てられ、今日一日ずっと居心地の悪そうな顔をしていた。 あーぁ、早くアルトのお嫁さんです!だから、アルトに手を出さないでね!って大声で宣言したいのに…と、シェリルは心の中で溜め息を吐いたのが、数時間前のこと。 「んもう!どうしてそう自覚がないの!」 「だって、ほかの女なんて興味ないし…」 「アルトが興味なくったって、女の子たちは興味津々なのよ、もう!アルトはあたしのなのに……っ」 そこまで言って、シェリルはしまったと口を噤む。 「…俺がお前の、なんだって?」 ポロリと零れたシェリルの可愛い本音に、アルトはニヤニヤと緩む頬を撫でながら問う。 「なんでもない!」 かぁっと頬を染めて背中を向けてしまったシェリルに、アルトは相好を崩す。 「馬鹿だな、お前」 「なんですって!」 笑みを滲ませる声色に、シェリルは思わずアルトを振り返り、声を上げる。 「…なにも心配することなんてないのに、婚約者殿」 ふわりと笑って、アルトはシェリルの首から下げられた華奢なネックレスに指を絡める。ペンダントトップ代わりに付けられたのは、エンゲージリング。 「…分かってるもん」 アルトがあたししか見てないのは。 それでも、自分の婚約者が女の子たちに騒がれるのは誇らしくあるが、面白くはない。 複雑な乙女心なのだ。 拗ねた振りをして、自分の胸に顔を擦り付けてくるシェリルに、キスの雨を降らしながらアルトは言う。 「あのさ、なんだかんだ忙しくて大まかにしか話進めてなかったけど…」 「うん?」 「…お前、来年は音源製作中心にするんだよな?」 「…うん」 「ん、良かった。スケジュール変わってなくて。俺も来年は長期休暇取れるから、さ。そろそろ、式の準備始めないとだろ?お前が憧れてたジューンブライドだ」 「…ジューンブライド」 いつかの病室で憧れだったと教えたことがある。それをずっと覚えていてくれたアルトに、シェリルは幸せそうに瞳を細めた。 「そう。ウェディングドレスのデザインもするんだろ?…あれ、一年近く猶予あるから、準備間に合うんだよな?」 なんせ初めてだから段取りが分からないと眉を下げるアルトに、あたしだって初めてよ!とシェリルは笑う。 「そっか、ジューンブライド…。あ。ね、アルト」 「ん?」 「白無垢!」 「え?…あぁ」 子供のようにキラキラと目を輝かせるシェリルに、アルトは笑みを零す。 「白無垢着たいわ!アルトのお母様の…。お義父様にお見せしたいの!」 「……そこで、親父かよ」 愛しい婚約者の口から零れた言葉に、アルトはガックリ肩を落とす。 「…なによ」 「先ず、俺に見せたい、だろ?」 「あら」 拗ねたように唇を尖らせるアルトに、シェリルは小悪魔の笑みを浮かべる。 「…ね、あたしがフロンティアでのライブで会場にした、教会ステージ覚えてる?」 「そりゃ…。忘れるわけ、ないだろ」 「ふふ。あそこ、バジュラ本星に移築保存されたらしいんだけどアルト、知ってる?」 「いや…俺たちがオリンピアに移ったあとのことだから、直接見てはいないけど…」 そう言えば矢三郎兄さんが言っていたな、とアルトは思案する。 「あのステージ、使えないかしら。…あたしが子供の頃に、花嫁を夢見て過ごしたギャラクシーの教会を模してるの……」 「あぁ、そうだったな。いいかもな。もともとお前のステージ用に作られたんだ、新政府軍に申請出せばすぐに許可降りるんじゃないか?」 「白無垢は、早乙女のお屋敷でお義父様や矢三郎さんに見てもらって…。ウェディングドレスは、大切なお友達だけを呼んでホームパーティーみたいなお式で着るの!」 どう?と夢見るような瞳に見つめられて、アルトは優しく微笑み返す。 「そうだな。婚約は内密にしたけど、結婚式は、多少のパパラッチくらいなら我慢してやるか。なんせ、銀河の妖精の挙式だからな。全銀河の野郎どもに、俺の嫁だ!って宣言しなきゃだな」 「そうよ、アルトは幸せ者なのよ!」 数時間前、ひとり拗ねていたことを思い出してシェリルは瞳を潤ませる。 アルトは全部、分かってくれているのだ。 「あぁ。銀河一幸せな亭主だ」 すんなりと告げられた言葉に、シェリルは思わずきゅんとして眉を下げ、慌てたように言葉を繋げる。 「じゃ、じゃぁ、次のオリンピア公演が終わるまでに、ドレスのデザイン纏めなきゃ!」 善は急げよ!と今にもベッドを抜け出して画用紙に向かってしまいそうなシェリルの身体を抱き寄せ、アルトは苦笑する。 「おいおい。今日は、このままゆっくり…だ」 なんならもう一回戦出来るぞ?とシェリルの白い背中に下腹部を押し付けるアルトに、シェリルはぴくっと肩を揺らした。 「……来年は、もうピル飲むのやめようかな」 そっと背中を振り向き、チラと上目遣いに呟かれた言葉に、アルトはかぁっと赤面した。 「…お前、不意打ちすぎる……」 思わず口元を抑えて唸るアルトに、シェリルも頬を染めて笑い返した。 END
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第24話 幻想の楽園 「美希、お待たせ!」 自分を呼ぶ声に美希のとりとめの無い物思いは遮られた。 手を振って駆けてくるせつなが見える。 「いつから待ってたの?ごめんなさいね」 「ううん、こっちこそゴメンね。友達と一緒だったんでしょ?」 電話した時、せつなに別れを告げる数人の声がしていた。 もしかしたら友人との時間を邪魔してしまったのかも、と少し気まずかった。 「ああ、由美たち?平気よ。ちょうど帰るところだったから」 「ならいいんだけど…」 どうしてせつなを呼び出そうと思ったのか自分でもよく分からなかった。 しかし無性にせつなの声を聞き、顔が見たかったのだ。 そして改めて気付く。美希にはラブや祈里と気まずくなった時、相談出来るような友人は他にいない事に。 勿論、学校の友人やモデル仲間。仕事で会う大人など知り合いは中学生にしてはかなり多いはずだ。 それでも少し突っ込んだ悩みを話せるような仲の友人は皆無と言っていい。 強いて言うなら師匠でもあるミユキさんやよろず相談役の様なところのあるカオルちゃんくらいか。 しかしこの二人はいくら親しくして可愛がってもらってはいても、友人、と言うのは違う。 (まあ…いても同じか…) たとえ他に無二の親友がいたとしたってこれはとても話せる事ではないのだから。 結局自分一人で抱え込まなくてはならないのに変わりはなかっただろう。 「…せつな、何だか楽しそうね…」 少し弾む様な足取りで隣を歩く少女に、つい僻みっぽい口調になってしまう。 完全な八つ当たりだし、せつなは一番の被害者なのだからお門違いもいいところだが、 つい沈んだ気分がそのまま出てしまう。 「楽しいわよ?だって、久しぶりじゃない?美希と二人っきりって」 美希の暗い口調を敢えて気にしないかの様にせつなは明るく答える。 「…嬉しいの?アタシと二人っきりで…?」 「当たり前じゃない」 変な美希。と、せつなは変わらず軽くスキップするかの様に並んで歩く。 (そっか……嬉しいんだ…) 美希の頬が緩む。 自分と二人でいるのが嬉しい。 ただ、そう口に出して言って貰えるだけで驚くほど心が柔らかくなってくるのを感じる。 美希もせつなと二人でいるのが楽しいのだ。 会いたいと思ったのはこの為だったのかも知れない。 自分に真っ直ぐに向けられる好意。 せつななら、それをくれる。そう心の奥が知っていたのかも知れないと思った。 さっきまでの深刻な自分が何だか滑稽になってきた。 寂しくて、ただ気心の知れた友達に会いたくなっただけなのかも、と。 (……確かに可愛いんだけどさ) マジマジとせつなを見つめる。 確かに可愛い。はっきり言って綺麗な女の子なんて見慣れている美希だ。 芸能クラスに席を置き、自身もモデルをして目は肥えまくっている。 美希の知る中でもせつなの容姿は完璧に近いと思った。 ともすれば整い過ぎた顔立ちは無機質な人形のようで却って面白味が無く飽きやすい。 どこかほんの少し、足りない部分や隙があった方がより魅力的に感じたりするものなのだ。 せつなの場合は顔のパーツのバランスで言えば下唇がやや厚目だろうか。 よく見れば大人びた落ち着いた顔立ち。 ふっくらと肉感的な唇は年に似合わぬ色香を感じさせる。 しかしそこに浮かぶどこか無防備であどけない表情が、幼く危う気な印象を与えている。 「美希…さっきから何なの…?」 「何が?」 「だって…物凄く見てる……。ーーっ!ひゃあっ…何?!」 美希はせつなの腰をわしっと鷲掴みにして撫で回す。 (ふむ…キレイに括れてるわよね…。スタイルもかなりのもんだわ…知ってたけど) 身長に対して腰の位置が高い。脚も膝下が長くて形が良い。 それにラビリンスには正座の習慣も無かったのだろう。膝頭も出ていないし完璧だ。 細身だがしっかりとした凹凸のあるメリハリの効いた肢体は同世代の男の子には 目の毒ではないのかとすら感じてしまう。 加えて幼い頃からの戦闘訓練の賜物だろうか、驚くほど姿勢が良い。 頭が小さく頭身が高い所為もあり、それが彼女を実際よりも長身に感じさせる。 美希は初めて隣に並んだ時、せつなが思っていたより遥かに小柄なのに驚きを隠せなかった。 動作の一つ一つに凛とした緊張感があり、それが一見儚げな容姿でありながら 弱々しい印象を与えなかった。 と、モデル目線で観察してみたが、やはり美希には理解出来なかった。 「もうっ、美希!一体何なのよ?」 「いやいや、気にしないでよ」 「いきなり撫で回されて気にするなって無理でしょっ!」 頬を紅潮させて、戸惑い気味に腰が引けてる様子も可愛らしい。 確かに魅力的な女の子だと思う。 滑らかな頬や艶やかな唇、絹糸を集めたようにサラサラと流れる髪。 それに触れてみたい、と思わないでもない。 シャツを押し上げている胸の膨らみは、触れたらさぞ気持ち良いだろう、とも思ってしまう。 しかしそれは美希にとっては、単なる興味や好奇心。 ふくふくした子犬や子猫を抱き上げてみたい。 赤ん坊の丸々した手足や頬をつついてみたい、と言うような気持ちと大差ないものだ。 美しい宝石や花に心を動かされるように、せつなのたおやかな姿や流麗な仕草に 感嘆の溜め息が出る事もある。 自分を見つめる曇りの無い無垢な瞳に愛しさも感じる。 しかしまかり間違っても、恋愛の対象として見たり、ましてや性的な意味で 肉体的な接触を持ちたいなどとは夢にも思えなかった。 この少女のどこに、今までごく当たり前の女の子にすぎなかったラブと祈里を 狂気とも言える行動に駆り立てるほどの魔性があったのだろう。 やはり美希にはピンと来ないのだ。 あくまでも美希にとってのせつなは幼馴染み以外で初めて出来た、 気の置けない親友としか思えなかった。 「…ラブは、一緒じゃなかったの?」 せつながラブの所在を知っているのかが気にかかり、なるべく素知らぬ風を装い、尋ねてみる。 「ああ。ラブはね、逃げちゃったのよ」 「?」 「由美たちに数学教えて欲しいって頼まれたの。ラブも一緒にって言ったんだけど…」 美希は思わずぷっと吹き出す。 引きつった顔で後退さるラブが目に見えるようだった。 まあその後の行動を思い出せば笑いたくなる気分は急速に萎んでいったが。 ラブったらどこに行ったのかしら、そう頬を膨らませるせつなの横顔から 美希は思わず目を逸らす。 「ねぇ、せつな。今日うちに泊まりに来ない?」 「……今から?」 「今から」 「私一人で?」 「せつな一人で」 「………いいの?」 「ダメなら誘わないし。それに、せつなは一人でうちに来た事無かったし」 ね、そうしよ。少し唐突かも、と思いながらも美希は誘う。 小首を傾げ、少し躊躇う風に間を置いた後、にっこりとせつなは微笑む。 「じゃあ、そうしようかな」 「よし、決まりね!」 「あ、待って!」 今にもせつなの手を引いて連れて行こうとする美希をせつなが引き止める。 一応お母さんに断らないと、とリンクルンを取り出すせつなの姿に 美希はつい目を細める。 (お母さん、か…) 同居し始めた頃は、「おば様」と、口にするのすら遠慮がちだった。 お母さん、そう自然に呼ぶ姿に微笑ましさと安堵が湧き上がる。 もうすっかりあの家の娘なのだな、と。 「………駄目ですって…」 「え?…あ、そうなの?」 軽く唇を尖らせてそう告げるせつなに美希の気分は急下降だ。 確かに躾に厳しいところのある桃園家なら、今日いきなり泊まりに来いと言われても 許す訳には行かないかも知れなかった。 正直蒼乃家はその辺はかなり緩い方なのでうっかりしていた。 「一度帰ってからちゃんと準備して行きなさい、って」 「…へっ?」 悪戯っぽく様子を伺う上目遣い。 がっかりする美希の姿を観察して楽しんでいるのだ、とようやく気付く。 「ーーーっ!もぉっ、いつからそんなに悪いコになったの、せつなはっ?!」 「きゃあっ!やめてっ、ごめんなさい!」 捕まえて頭をぐりぐりと撫でる。 指をするすると通り抜ける柔らかい髪や、抱き締めた体の温もりは 予想通りとても気持ち良い。 一頻りじゃれ合った後、急いで家路につくせつなを見送る。 屈託の無い笑顔で何度も振り返りながら手を振るせつな。 同じ様に笑顔を返しながら、美希は内心苦笑する。 まさか命懸けの戦いを潜り抜けた宿敵を親友と呼び、お泊まりに誘う日が来ようとは。 (随分やられたのよねぇ…) 命を奪い合う覚悟でやり合った。 少なくともイースにとってはそうだったはずだ。 戦いを離れれば平和な日常に戻る美希達プリキュアと違い、 イースには戦闘と策謀こそが日常だったのだから。 自分達とは日常と非日常が完全に逆転していた。 「せつな」と言う少女のベールを纏い、偽りの微笑みを浮かべ、自分達の世界に擬態していた異物。 生まれ変わったその場所で、仮面だったはずの笑顔が本物になる日が来た。 皮肉、と言うのは言葉が悪いだろうか。 しかしこれほど先の分からない運命を生きる少女に出会う事は、もう一生無さそうだ。 (まったく、あれがあのイースと同一人物とはね…) その時、不意に美希の背筋を冷たいものが滑り落ちて行った。 (イースと……同一人物…) イース。管理国家ラビリンスの幹部。侵略の為の兵士。 あり得るのだろうか。そんな事が。 ラビリンスの生活がどんなものだったのか。正確な事は何も分からない。 せつなも詳しくは語らず、周りも無理に聞き出しはしなかった。 しかし断片的な情報だけでも、心を灰色に塗り潰されていくような寒々しい思いに駈られる。 こちらとは比ぶべくも無い、過酷な生活。 生命すら管理され、それを疑問に思う事すら許されない世界。 文化、教育、習慣、何一つ共通点の無い異世界。 あり得るのだろうか。 そんな世界で育った人間が、これほどの短期間でこの世界で違和感無く溶け込むなど。 今のせつな。容姿端麗、頭脳明晰でスポーツ万能。 しかしお高く止まった所はまったく無く、寧ろちょっと抜けてて天然風味。 ずば抜けて恵まれた容貌が男子にとっては高嶺の花。女子にとっては憧れの的。 ラブに学校でのせつなをそう聞いていた。 でもそれは、異様な突出を見せているのではなく、ごく普通の中学生としての 能力から逸脱しない範囲で。 (せつなってば、勉強もスポーツもすっごいんだよ!可愛くて男子にも女子にもモテモテなんだ!) 自慢気なラブの声。 単純にせつなは人気者なんだ、と感心している様子だった。 本当に、そうなのだろうか。 初めて習ったダンス。せつなはあっという間に追い付いた。 初めてダンスをやるのではない、初めてダンスと言うものの存在を知った人間が、だ。 歌も踊りも無い。ダンスと言う概念そのものを知らなかった人間が。 美希は全身が粟立つのを抑えられなかった。 それこそがせつなの特異性を示しているのではないか。 自分の生きてきた世界とは何一つ重ならないこの場所で、彼女は未だ多少世間知らずな 雰囲気を醸し出しながらも奇異な目で見られる事無く暮らしている。 それこそが、異常な事ではないのか。 何故今まで、その事を疑問に感じなかったのだろう。 それはせつなが、あまりに自然に微笑んでいたから。 戸惑い、躊躇いながらも幸せを受け入れて行く彼女の姿が、あまりにも普通の女の子に見えていたから。 そして、その感覚は突然やって来て美希に覆い被さった。 暗く寂寥とした荒野に身一つで放り出された様な圧倒的な孤独。 どれほど叫んでもその声は風にほどけ、どれほど彷徨っても 丸く切り取った様な地平線の輪の中からは出る事は叶わない。 せつなは、独りなのだ。 広い世界のどこにも、彼女と同じ思いを抱えた人間はいない。 似た経験をした人間すらいないだろう。 イースの冷たく冴えた貌。 産まれてから一度も微笑みを浮かべた事が無いような固く引き結ばれた唇。 鋭く欠けた月の様な静謐な美貌。 一度見たら忘れられない。 意志など無視して心を奪い去ってしまわれそうな、魔力を持った姿。 それが、ただの可愛らしい中学生として暮らしている。 彼女は凄まじいスピードで学んで行ったのだろう。 ラブや自分達、学校の友人、街をゆく様々な人々から。 仕草、表情、立ち居振舞い。この場所で生きていくのに必要な情報を。 全神経をアンテナにして。 全神経を磨り減らして。 彼女には、それが出来る能力があった。 未知のものを吸収し、自分の血肉とし、そして周りからはみ出さない程度に合わせながら。 気の休まる時などあったのだろうか。 美希は立ち止まり、せつなの帰った方向を見つめる。 彼女は幸せになった。 温かな家族、恋人、友人。手に入れたはずだった。 せつな………… たった一人、彷徨っていた荒野。 暗闇を見上げれば満天の星。 降り注ぐ光は手を伸ばせば届きそうで。 しかし、決して届かない事は分かっている。 触れる事すら叶わない、眩いばかりの煌めき。 それを孤独を癒す慰めと受けとるか、それとも闇を際立たせる仇と捉えるか。 イースは恐らく後者だった。 暗闇を這いずる己には、柔らかな光すらその身を蝕む毒だった。 しかし、ラブに出会い、闇から掬い上げられる事は叶わないと知りながらも、 その光に包まれ命を終える事を選んだのだろう。 文字通り生まれ変わり、自分がその光の内に身を置く事になるとは夢にも思わずに。 せつな………… 生まれ変わっても、安らぎばかりではなかった。 新たな裏切り。新たな苦しみ。 光の傍らにはより深い闇があった。 それでも、彼女は幸せだったのだろうか。 美希の頬を冷たい涙が流れて行く。 さっき流した、自分を憐れむ温かな涙ではない。 ぽっかりと空いた底の見えない穴から湧き出るような、冷たく痛い涙。 これは、きっとイースが今まで流した涙。 きっとイースは、こんな涙しか流した事がなかったのではないか。 自分の力ではどうにもならない。 他者に運命のすべてを握られ、己の運命を見つめる事すら許されない。 メビウスと言う絶対的な、絶対だと信じていなければならなかった存在。 それから目を逸らし、己を顧みれば、その時点で命が終わるのだから。 祈里に裏切られ、ラブに傷付けられ、美希にはすべてを許して受け入れて欲しいと哀願された。 せつなは黙って、微笑んでくれた。 彼女は最初から誰も責める気などなかったのだ。 許しも、謝罪も、何も彼女は望まない。 ただ、ここで生きて行く。 ただ、自分を見つめ。愛する人を見つめ。 過去の罪、現在の傷。そして、見えない未来。すべてを胸に抱きながら。 幸せに、なってくれたと思っていた。 暗闇の世界から解放されたのだと。 本当に? この場所に来れば自動的に幸せになれると盲信していなかったか。 ただ入れ物を用意し、そこに放り込み、せつながその形に添うかどうかなど考えた事はあっただろうか。 どうして、アタシは……… やはり、自分は子供なんだと思った。 ラブや祈里を詰る資格など無い。 結局、自分も同じだった。 せつなが何とかしてくれると思っていた。 せつなが来た事で変わってしまった関係。 だからせつなが何とかするのが当たり前ではないのか。 心のどこかで、そう考えていた事を否定出来ない。 美希の中に、砂漠の真ん中で膝を抱えてうずくまる小さな女の子が見えた。 まだ、せつなはひとりぼっちのままだ。 あなたはひとりじゃない。ひとりにはならない。 そう断言してみせたのに。 せつなは、その言葉だけで満足してくれてたのに。 まだまだ気付いていない事はたくさんあるだろう。 自分にも、ラブにも、祈里にも、勿論せつなにも。 でもせつなだけは始めから知っていた。 人は誰でも一人きりで生きている。 誰もその孤独を分かち合う事は出来ない。 だから、抱き締め合う相手が必要なのだ。 分かり合えなくても、傷付け合っても、ただ温もりが側にある。 それだけで、笑う事が出来るのだと。 流れるままに任せていた冷たい涙に、ほんのりと体温が移り始める。 孤独だと思っていた自分。輪から弾き出されたと感じていた自分。 始めから輪など無かった。ただ一人一人、手を繋いでいただけだ。 繋ぐ相手が変わったり。増えたり減ったり。 変化は当たり前で、嘆く事も怯える事もないのだ。 美希は考える。 自分は少しでも、せつなを温める光になれていたのだろうか、と。 親友、あまりに簡単に口にしていたその言葉。 あまりにも軽く使っていた言葉。 美希はもう一度、その意味を考える。せつなの笑顔を心に浮かべながら。 第25話 すべてを包む空へ続く
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前ページ次ページデュープリズムゼロ 第二十二話 『帰還~邂逅』 ____ 魔法学園 中庭 『やめろっやめろ~!!やめっ!!!ギャアァァァァ~~~……………………!!!!』 魔法学園の平和な昼下がり…静寂を引き裂いて響き渡ったのは男の絶叫と一発の落雷の轟音。 「別に吸収出来るんなら良いじゃ無い。…で、実体を伴った衝撃までは消しきれないみたいだけど電撃何かは問題なしね。 これであたしの魔法も一通り試したけどあんた意外とやるじゃない。」 アルビオンでその真の姿を見せたデルフリンガー…ミントはその力をこの数日で試していた。友人となった他のメイジの魔法、自分の魔法。全て例外なくデルフリンガーは吸収してみせる。 相変わらず記憶は曖昧な為ブリミルや生きた古の情報は得られなかったが… 「褒めてくれるのは嬉しいがよ相棒。お前さんほんとやる事が無茶苦茶だぜ。何て言ったっけか?あの黒い大球『グラビトン』か…あれは流石の俺様もへし折れるかと思ったぜ。」 「何言ってんの、折れてないんだから良いじゃ無い。」 「ひでぇぜ相棒。」 「あ、居た居た。ミント~!!」 地面に突き立てられたデルフリンガーを引き抜きながらミントが満足そうに笑っていると少し離れた所からミントの名を呼びながら誰かが連れだって中庭へと歩いてくる。 「ん?キュルケとタバサじゃない。どしたの?」 「へっへ~、面白い物手に入れたからあんたに見せに来たのよ。きっとあんたこういうの好きだと思ってさ。」 言ってキュルケは近くに備え付けられたテーブルへと腰を落として手にした羊皮紙の束をミントに見せつけるようにひらひらと遊ばせる。 その直ぐ隣に腰掛けてタバサはいつもの如く本の世界へと意識を落とす。 「地図?」 「そっ、実家の息が掛かった商人から買い取ったお宝の地図。」 「お宝っ!?」 ルイズ、ミントがアルビオンでの任務を終えて魔法学園に帰還して一週間が経った。 あの後無事に帰還を果たしたルイズとミントはアンリエッタにはラ・ロシェールまでの道中からアルビオンで起きた全てを報告した。 アンリエッタは残酷な事実とウェールズの死に悲しみに暮れるように泣いたが既にレコンキスタの薄暗い陰謀が迫る以上事態はそれを許しはしない。嫌が応にもこの危機に立ち向かわなくてはならない。 「アンリエッタ…あたしがウェールズから貰ってた風のルビー、あんたにあげるわ。 その代わりと言っちゃ難だけど『遺産』『ヴァレン』『エイオン』『デュープリズム』これ等について調べて貰える? それとあたしが帰る為に貴女の力が必要な時は協力してもらいたいの…」 「勿論です。ミントさんはわたくしの為に危険を冒してまで尽力して下さった大切なお友達。今度はわたくしが手を貸す番です!!」 「アン…」 「ミントさん…」 そんなやり取りの結果ミントは当初の目論見通り、王女の全幅の信頼を手に入れた。望めば始祖の秘宝すら借り受ける事も可能だろう。 おまけに抜け目ないミントはアンリエッタに一筆を書かせることにも成功した。 【 この書を持つ女性ミントは王女アンリエッタ・ド・トリステインの盟友にして大恩ある恩人であり、その身は王家とヴァリエール家にて保証をする物也。 故に王女の権限においてこの書を持つ女性の活動に対し諸貴族は最大限の便宜を図るようお願いする物也。 アンリエッタ・ド・トリステイン 】 そんな常識外れな書を背中の鞄に収めてミントは今キュルケの手にした宝の地図に瞳を輝かせて注目する。 「タバサと何日か授業サボって宝探し行こうと思うんだけど、どうするミント?」 キュルケはミントの返答がわかりきった事を聞きながら悪戯に口角をつり上げた。 「行くにきまってるじゃない!!このあたしに掛かれば宝探しなんてどうってことないわ~!!」 「フフフ…だと思ったわ。やっぱり声かけて正解だったわね。」 「ルイズの許可は?」 揃ってノリノリで握り拳を天に振り上げたミントとキュルケにタバサがぽつりと呟くように問い掛ける。 「あ~そんなのいい、いい。そりゃ一声位はかけるけどあたしが行くって言ったらそれはもう決定なの。 ルイズ自身は腕の怪我もあるし何よりアンリエッタの結婚式の祝詞っての考えなきゃいけないからどうせあの子は図書館や自分の部屋に缶詰よ。あたしには関係ないわ。」 ___ ルイズ自室 「あ~…もうっ!!全ッ々思い浮かばないわっ!!」 備え付けのテーブルに座って白紙の書物と向かい合い、ルイズは降って湧いた名誉でありながらも厄介な事案に嘆きながら自慢のピンクブロンドの髪を掻き毟って項垂れる。 と言うのも数日前、ゲルマニアとの軍事同盟締結の為、アンリエッタ王女と皇帝アルブレヒト3世との結婚式がおよそ一月後に行われる事に決まった。 だが、アンリエッタからの直々の依頼によって伝統である祝詞の巫女にルイズが選ばれた。 それは良い、しかしオスマンを通じて渡された秘宝【始祖の祈祷書】は表紙以外は全て白紙という驚愕の仕様で秘宝と言う事で食いついたミントも一目でガラクタと断じた代物だ。 本番ではルイズは祈祷書を手に、あたかもそこに祝詞が記されているかのように自分で考えた詩を読み上げなければいけない。 そして、ルイズには残念ながらそう言った詩を謡う才能が決定的に無かったのである。 「うぅ…誰か助けて…」 ルイズは一人自室で誰とも無く恨めしげに助けを求めて深く溜息を溢す。因みにミントはルイズに対してはっきりと面倒だから手伝う気は無いと伝えていた。 ___ 中庭 「で、他には?あたし達だけなの?」 「一人メイドを連れて行くわ。偶然お宝の隠し場所の近くに実家がある子が居たから連れて行く事にしたわ。聞いてみたら地理にも明るいみたいだし、私達の食事の世話もして貰わないといけないしね。」 「へ~それは助かるわね。あ、それとそういう雑用なら一人連れて行きたい奴がいるんだけど大丈夫かしら?」 旅慣れているのかキュルケの以外に周到な段取りにミントは感心する。そしてミントの頭に一人お供として連れて行くのに最適な人物の顔が思い浮かんでいた。 「美少女に囲まれて冒険の旅だなんて…きっとあいつ泣いて喜ぶわよ~。」 ミントは言いながらにんまりと意地悪く微笑みを浮かべて食堂脇のテラスを見やる。 そこにはやはりというかこの後訪れる不幸などつゆ知らず、恋人であるモンモランシーと談笑しながら優雅に午後のティータイムを楽しむ男子生徒の姿があった。 「…少しだけ同情するかも…」 キュルケはそんなミントの視線の先に居るギーシュ(生け贄)のこの先の苦労を思うと思わず苦笑いを浮かべた。 ___ ウェストウッドの森 所変わってここはアルビオン大陸、サウスゴーダの街の外れにあるウェストウッドの森…今、この木々生い茂る深い森をローブを纏った一人の人物が歩いていた。 「ハァ~…ようやく戻ってこれたよ。ティファは元気にしてるかね~。」 独り言を呟きながら歩くのはかつてミス・ロングビルと呼ばれ、土くれのフーケを名乗り、マチルダ・オブ・サウスゴーダの名を隠した年…妙齢の女性。 「まっ、ラ・ロシェールの闘いであたしもレコンキスタから上手い事抜けられたしね、あのガキ共にしてやられたのは癪だけど御陰でこうやってここに戻って来れたってんだからあれも結果オーライって所だね…」 思い出すのはラ・ロシェールでのキュルケ、タバサ、ギーシュの三人を相手取ったあの夜の闘い…作り出した巨大ゴーレムは尽く氷と落とし穴の嫌がらせや足止めに会い、雇った傭兵は気づけば全滅。 マチルダの精神力が底を尽き始めた辺りで熱疲労と油の練金の合わせ技によってゴーレムを一気に崩され、最終的には意表を突いて風龍の背から飛び降りるように勢いを乗せて放たれたタバサのドロップキックでゴーレムの肩からぶっ飛ばされてしまった… 「あ~~~~っ!!!…思い出すだけで腹が立つ!!」 マチルダがそこまで思い出して一人森の中でストレスを発散するように叫んでいると不意に森の奥から人の気配を感じとり足を止める。 マチルダが今目指しているウェストウッド村はまだまだこの先でそこの住人というか子供達はこんな森の入り口付近にまで一人で出ては来ないよう教育されている。 「そこに居るのは誰だい!?出てきな!!」 マチルダは言ってタクト状の杖を抜いて油断無く構える。すると進行方向に生えていた桃林檎の木の陰から一人の男が静かに、だが堂々と姿を現した。 「(仮面?怪しい奴だね…)何者だい?」 マチルダの行く手を阻むように現れた男は主に目鼻を隠すような黒い仮面を付けていた。マチルダはつい最近共に仕事をしたあのいけ好かない白い仮面のメイジを思い出して警戒心をむき出しにする。 「悪いが名乗るつもりは無い。小娘、私はこれより先にはお前を進ませる訳にはいかん。 悪い事は言わん、このまま立ち去るならばそれで良し。立ち去る気が無いのならばこちらも少々強引な手をとらせて貰う。」 男の言葉にマチルダの表情は強張った… マチルダには自分がティファニアの元に帰る事を邪魔しようとする人物が居る事に心当たりがある。脱走まがいに抜けたレコンキスタの追っ手か…フーケ時代の追っ手か…それとも直接ハーフエルフのティファニアを狙う人物か。 マチルダは知らなかったがこの仮面の男こそは先日ティファニアが召喚した人物、ルシアンだ。そしてルシアン自身もマチルダの名前こそティファから聞いていたが目の前の怪しい女がそうとは知らない。 いわばこれは不幸なすれ違いによる事故なのだ。 「引く気は……無さそうだな。よかろう…」 マチルダの様子に引く気が無い事を悟り、ゆらりと流れるような動きでルシアンは戦闘態勢に移行して軽く足を肩幅に開き半身を前にだす。 (こいつ…強い!!) マチルダはその一動作だけでルシアンから発せられるプレッシャーを感じ、一瞬でルシアンの力を感じ取る。 伊達に荒事に身を置いていた訳では無いが杖すら持たずただ立っているだけでこれ程の威圧感を感じるなど尋常では無い。これが盗みの仕事なら逃げている所だ。だが、マチルダにはここで引く訳にはいかない理由がある。 次の瞬間、杖を振るったマチルダの足下の土は一気に隆起し、巨大な人型を形作りマチルダを肩に乗せた。これこそがマチルダの十八番の巨大ゴーレムだ。 ルシアンはマチルダのゴーレムが完成するまでの時間その様子を興味深げにただじっと見つめる。 「悪いけど、私の邪魔をするなら潰れて貰うよ!」 マチルダの意思に呼応してゴーレムがその豪腕を振り上げてルシアンへと一気に振り下ろす。しかし、ルシアンはそれに対して回避等の行動は一切行わなかった。 「わが魔力に挑むとは……無謀の極みだな。」 その代わり、ただ一言言って自らの左手をゴーレムの拳に向けて突き出し、手の平に魔力を集中させる。次の瞬間、それだけでゴーレムの拳はまるで何かに阻まれるようにルシアンの眼前でピタリと止まった。 「嘘、そんなっ…バカな!!一体何がっ!?」 どれだけ魔力を送り込んでもピクリとも動かなくなったゴーレムの上でマチルダは驚愕の声を上げる。ルシアンは杖すら持っていないし一言も呪文を唱えていない。ただ手を翳しているだけだ。 理解出来ないその現状にマチルダが混乱していると不意にゴーレムを押さえつけていた強力な力が消え去り、そのまま慣性に従いゴーレムは地面に拳を突き立てる。 予期せぬゴーレムの動きにマチルダの視界は揺れ、一瞬自分の足下だけを映す事になる。 ルシアンがどうなったかも分からず、まずは状況を確認しようと慌ててマチルダが再び顔を持ち上げ前を向くとそこにはマチルダにとって信じられない光景が映り込んでいた。 「これまでだ。」 目の前には杖も詠唱も無く、纏った甲冑法衣の飾り帯を毒蛾の羽のようにたなびかせて浮遊するルシアンの姿。 (あぁ…こんどこそ私もお終いね…ごめんねティファ…) そうしてルシアンの掌が閃光を発したと思った瞬間、マチルダの意識はまさに手も足も出ないまま衝撃と共に途切れたのだった。 「…う…ぅ~…ん…」 「あ、ティファ姉ちゃんマチルダお姉ちゃん目を覚ましそうだよ。」 一人のまだまだ幼い少女が簡素な木製ベッドに横たわるマチルダが僅かに声を上げた事に気が付いてティファニアを呼ぶ。 「ん…ここは…」 ようやく意識を取り戻したマチルダはぼんやりとした意識のまま見慣れた天井を認識し、上半身をベッドから起こす。と、そこに突然暖かく柔らかな衝撃がマチルダを襲い再びその身体をベッドに押し倒す。 「マチルダ姉さん!!」 しばらく耳にしていなかったその最愛の妹の声にマチルダの意識は一気に覚醒した。先程森の中で怪しい男に敗れ、気を失ったというのに目覚めれば自分の目指した目的地に辿り着いているのだから意味が分からない。 「ティファ…」 それでもマチルダは甘えるように自分に抱きついてきたティファを強く抱きしめ返し、絹糸のような金髪を優しく撫でてやる。その感触は間違いなく今が夢幻であるという事を否定していた。 「どうやら目を覚ましたようだな。」 そんな水入らずのやり取りを行っていた二人に部屋の扉の側から声がかけられる。 その声の主は仮面を外し素顔を晒したルシアンであり複数の子供達に法衣の裾を握りしめられている。その姿を認めたマチルダは分からない事ばかりだと無意識に表情で語る。 「先程は知らぬとはいえ悪い事をした、素直に謝罪させて貰おう。手荒い真似をしてすまなかった。」 「いや…え?あんたは一体何者だい?」 「姉さんこの人は……………」 マチルダの当然の疑問、それに答えたのはティファニアだった。 召喚の儀式から村の一員になるまでの経緯、狩りや子供達への教育、悪意を持って森に入り込んだ部外者を捕まえてはティファの元に連れてきたりと様々な面でウェストウッド村を助けてくれていると言う事。 そして人間では無いと言う事も… 「成る程ね…」 ティファの説明にマチルダは頷いて納得する。 今更亜人の類いだから等で差別をする気も無いし周りのルシアンに対する態度を見れば不器用ながらティファや子供達に対してどれだけ真摯に誠実に相対してきたかは覗える。 「分かったよ。これからこの国も物騒になりそうだからね、あんたみたいな強い男が側に居るなら私も安心だからね。よろしく頼むよルシアン。」 「あぁ、こちらこそよろしく頼む。マチルダ。」 言ってぎこちなく笑ったルシアンと優しくも厳しい姉然としたマチルダは堅く握手を交わす。 こうしてルシアンとマチルダはこの仮面を必要としない平和な村で互いにティファニアと子供達を守るという理念の元、少々のすれ違いを経て邂逅を果たしたのだった… 「所で……ルシアン、あんたティファに手を出したらぶっ殺すからね…」 「いらぬ心配だな…だが、心得ておくことにしよう。」 前ページ次ページデュープリズムゼロ