約 4,150,846 件
https://w.atwiki.jp/sunday-landg/pages/227.html
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 11 59 49.21 ID Y9DxnKOpO叱られながらセクハラされたい。ローターあてられて罵られながら謝りつづけたい。 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 12 06 41.46 ID Y9DxnKOpO 26堅物のむっつりドSな上司とか、アランリックマンみたいなおじ様とかがいいw無能とか言われて酷い目にあいたい。 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 12 13 41.84 ID Y9DxnKOpO 34おもちゃつけさせられたまま、営業いかされたり、クレーム対応させられたり、叩かれては揉まれ叩かれては揉まれたい。 関連レス 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 12 16 43.09 ID qXpy9Os+0 40おもちゃ付きのせいでお客様を怒らせてしまって、それをまた厳しく叱られてしまうわけですねwどんどん激しくなりそうですw 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/30(日) 12 22 42.85 ID PRKIsjDz0 46スーツにパンスト姿でひどい目にあいたいのですか? 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 12 50 27.65 ID Y9DxnKOpO 54スーツきただけでもぞくっとくすから、就活とか楽しみwパンストは伝線しちゃうと、いつも引き裂いて妄想してから脱ぎますw 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 12 53 53.99 ID qXpy9Os+0 92いい妄想ですねw就職活動中にセクハラ面接とか受けたら、どうしますか? 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/30(日) 12 59 17.36 ID Y9DxnKOpO 96セクハラ面接…ぞくっときます。一応真面目なふりしてキリッと生きてるので、嫌がり続けるとおもいますけど……w 参考
https://w.atwiki.jp/preciousmemories/pages/5524.html
《明かされた真実》 イベントカード 使用コスト0/発生コスト2/青 [アプローチ/相手] 相手のキャラ1枚は、このターン、アプローチに参加することができない。 (ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ。) 劇場版魔法少女まどか☆マギカで登場した青色のイベントカード。 相手キャラ1枚のアプローチを封印する効果を持つ。 《急ブレーキ》と全く同じテキストを持つ。 使い方は《急ブレーキ》を参照。 カードイラストは第6話「こんなの絶対おかしいよ」/[前編]「始まりの物語」のワンシーン。フレーバーはその時のまどかのセリフ。 関連項目 《急ブレーキ》 《揺れる心(124)》 《軽蔑の目》 収録 劇場版魔法少女まどか☆マギカ 03-103 編集
https://w.atwiki.jp/cirring/pages/45.html
発表された譜面 制作者の方へ → 譜面を公開したら、その場で辞典も更新。これ基本。 発表された譜面(編集用テンプレ) 2012年5月 2012年4月 2012年3月 2012年2月 2012年1月 2011年12月 2011年11月 2011年10月 2011年9月 2011年8月 2011年7月(27譜面) 2011年6月(37譜面) 2011年5月(6譜面) 2011年4月(15譜面) 2011年3月(23譜面) 2011年2月(19譜面) 2011年1月(8譜面) 2010年12月(7譜面) 2010年11月(9譜面) 2010年10月(10譜面) 2010年9月(9譜面) 2010年8月(32譜面) 2010年7月(7譜面) 2010年6月(5譜面) 2010年5月(55譜面) 2010年4月(5譜面) 2010年3月(25譜面) 2010年2月(8譜面) 2010年1月(22譜面) 2009年12月(46譜面) 2009年11月(19譜面) 2009年10月(12譜面) 2009年9月(15譜面) 2009年8月(29譜面) 2009年7月(6譜面) 2009年6月(8譜面) 2009年5月(12譜面) 2009年4月(4譜面) 2009年3月(58譜面) 2009年2月(17譜面) 2009年1月(16譜面) 2008年12月(40譜面) 2008年11月(14譜面) 2008年10月(14譜面) 2008年9月(30譜面) 2008年8月(14譜面) 2008年7月(20譜面) 2008年6月(37譜面) 2008年5月(30譜面) 2008年4月(39譜面) 2008年3月(54譜面) 2008年2月(39譜面) 2008年1月(39譜面)
https://w.atwiki.jp/vipery/pages/29.html
山崎掲示板や山崎ブログから削除されたコメント 山崎行太郎のコメント専用ブログには、「「荒らし」と思われるコメントは、適時、削除していきます。為念。」という断り書きがある。また、2008年7月24日には、 ●悪質な投稿は、即削除します。 討論以前に他人を見下した慇懃無礼な投稿や、誹謗中傷を狙った怪しい個人情報等の記載されたブログやサイトのリンクを貼り付けた投稿は、「アラシ」と認定し、発見次第に、即、削除する方針ですので、ご承知おきください。したがって、「お前等」と「山田」名義の投稿を「アラシ」と見做して削除しました。今後、類似の書き込みは、ご遠慮ください。ただし、小生(山崎行太郎)の意見や、あるいはコメント欄の他の投稿意見への反対意見の真摯な書き込みは、今までどおり歓迎します。(from-山崎行太郎) http //d.hatena.ne.jp/yama31517/20080724 というエントリーが書かれている。 どのようなコメントが「荒らし」と認定されて削除されたのかを記録しておこう。 削除された「山田」コメントと山崎行太郎の返事 山崎行太郎 2008/07/24 11 46 山田 しかし、あなたもしつこいな。もうどうでもいいでしょう。 竹島の投稿でもしたらどうかな。 すみませんね。しつっこくて。俺は、しつっこいのが唯一の取り柄なんでね(笑)。 竹島問題に興味があるなら、さっさとテメーがやれよ。ネットウヨと馬鹿には、 つける薬はないな。俺のブログは、下位ブログで、「一人芝居」だそうだから、 耄碌気味のオヤジ・ウヨよ、精神衛生上よくない上に、目の毒だから、わざわざ 読まないでくれよ。以上。 これが「荒らし」? 幕之内吉雄 2008/07/29 23 36 ni0615様 こんばんは、不躾で申し訳ありませんが ワック版に於ける曽野綾子の誤読とは どのような内容なのでしょうか? それと、曽野が誤読をしていたとして それが沖縄の集団自決問題にどう関係あるのかも 教えていただけると嬉しいです。 (コメントが削除されているのに気づいたら、このページに追加してください。) 山崎行太郎『毒蛇山荘日記』のコメント専用ブログ 削除されたコメント コメント削除して承認制に 削除コメント20090424 削除コメント20090425 削除コメント20090426 削除コメント20090427 削除コメント20090427(2) 削除コメント20090428
https://w.atwiki.jp/kurokage136/pages/414.html
異世界、剣と魔法のファンタジーの世界 数年前に魔王が現れ、勇者が選ばれ討伐に向かう。 様々な仲間を連れ、少しづつ魔王城に向けて前進していたのだが……… 「オーリス、君にはこのパーティを抜けてもらう」 「な、何故………!?ちゃんと勇者や皆には貢献してるじゃないか」 「……お前が『毒魔法使い』だからだ」「そんな理由で!?」 「今までは我慢していたが、もう限界なんだ。正直、君を見ているだけで吐き気がする」 「お、俺だって、好きでこんな力を持って生まれた訳じゃない!ていうか何が悪いんだよ毒魔法使いの!」 「そりゃできることは毒魔法!相手をちょっと弱らせたりするぐらいで攻撃魔法は一切使えない!」 「それでもいい、充分に役に立ってるって言ってたじゃないか!」 「それだよ!! それが許せるのは最初の間だけ、どんどんモンスターは強くなるばかりだ!毒を使うやつより戦えるやつの方が大事になる!」 ……『毒魔法使い』 その場の魔力をモンスターにとって有害な成分に変えて弱らせる事からそう名付けられた。 最も、死に至らせる事は出来ないが…… 「…………だったら仲間を増やせばいいだろ!今まで毒があったからなんとかなっただろ、俺がいなくなったら」 「ああ、それだったら……」 リーダーである勇者が指差す先には………… 「うふふふふ、あら」 花弁が人の形をしたような優美な女性がいた。 「彼女は新しく入れたアギーラ、『花魔法使い』だ」 「花魔法使い……聞いたことがないが、花でも咲かせるのか?」 「花魔法使いは攻撃と毒、両方が出来る」 「!?」 そんな馬鹿な、毒魔法使い以外に毒を作れるものが居るわけがない 確かに植物にも毒はあるが、モンスターを苦しめるほどの効果があるものは存在していない 「……一体、彼女は何ができるんだ?」 「花魔法使いは、その名の通り花の力を使える」 「例えば、そこにある花を見てみろ」 その言葉と共に、勇者の隣にあった一本の花が見る間に枯れていく。 「なっ!!」 「これが彼女の毒の力……いや、生命を奪い取る力と言っていいだろうか」 「生命を奪う………俺には出来ない事だ」 「これで分かっただろう、毒魔法使いというものの立場が」 ………ここまでのことを見てしまえば、何も言えない かくしてオーリスは言われるがままにパーティから外されてしまったのだった。「くそぉおおお!!! なんでこうなるんだよおおおおおおお!! 俺はただみんなと一緒に居たかっただけなのにぃぃぃぃいいい!!」 …………それから数年後、彼は未だに1人で活動していた 「花魔法使い」が現れてからというものの毒魔法使いの立場は一気に落ち、勇者以外のパーティからも断られ続ける毎日だった 更に毒魔法使いは敵を仕留めきれる程の力が無いため収入もろくに得られず、苦しい生活が続くばかりであった 「何故毒魔法使いというだけでここまで冷遇されなければならないんだ……」 オーリスは考え、思いついた 毒魔法使いが冷遇されて相手にされないなら、全員毒魔法使いでパーティを組めばいいのだ。 自分と同じ、酷い扱いを受けた者達で。「……よし、決めたぞ!」 こうして、オーリスは『毒使いの集い』を結成する事になった。 早速オーリスは全財産をはたいてギルドに募集用紙の枠を開けてもらった。 『毒魔法使い求む!年齢性別キャリア問わず』 『塵も積もれば山となる 毒も集えば猛毒になる』 …… 数日後、オーリスの元に数多くの毒魔法使いが集まった 「案外いるもんだな………」 しかし集まったのは男ばかりで、女は誰もいない。 「まあしょうがないよな、男しかなれないし」 「じゃあ……皆、よく聞いてくれ、確かに毒魔法使い1人で出来ることは他と比べ遅れている、なら毒魔法使いが10人集まれば?」 「これだけの毒があれば、俺達だって活躍出来るはずだ!」 かくして「毒使いの集い」は結集されたのだった。 まず最初にスライムに挑んだ、雑魚中の雑魚だがオーリスでも1人では倒せなかったモンスターだ 成功だ、毒魔法を一斉に唱えたら溶けて死んでいった 次に思い切ってドラゴンも狙った、勇者でも倒せるか怪しかった奴だ。 ドラゴンは泉の水を飲んでいた、仲間がそこに毒を放った 「待てっ……それはまずいんじゃ……」 オーリスが止めるまもなく泉は死の水となり、ドラゴンは血を吐き、泳いでいた魚達が次々と浮かんでいった 毒魔法使い達全員のレベルアップの音が鳴り響いた。 「やったぜ! これで俺達はもっと強くなった!」 「ああ、そうだな! でもドラゴンの血を飲んだが大丈夫なのか?」 「いや、もう死んでいる、早く次の場所へ行こう!」 「次はどこへ行く?」 「…………実は、ここに来る前にある情報を掴んだんだ」 「オーリス様を追い出したあの勇者が、四天王ベゼルグの居所を突き止めたとか………」 毒使いの集いのメンバーには、ベゼルグの居る集落への近道を知っていた者がいた。 そうしてオーリスは勇者より先にベゼルグが見える範囲まで辿り着いたのだが…… オーリスは警戒しながら隠れて言う 「慎重に動け、相手は四天王……『大嵐のベゼルグ』だ、今は様子を見よう」「おい、あれ見ろ! ベゼルグが誰かと喋ってるぞ!」 「何!?誰だ!!」 「あの花弁のような服は……花魔法使いです!」 それを見てオーリスははっとなった。 見間違えるはずがない、あの服、あの顔は……… 「アギーラ………!!」 自分が抜けて新しく勇者パーティに加わっていたアギーラだった。 オーリスは耳を済ませると、ベゼルグの話の内容が分かってきた 「………本気で言っているのか?」 「はい、勇者ピルルクの御言葉です……勇者は貴方達魔王軍に降伏します」 「…………本当なら嬉しい話だが、そんな事を許すわけにはいかない」 「…………そうですか、なら、私達が今から勇者として名乗りを上げます」 「………………」 ベゼルグは何も言わずに、その場を去って行った。 そして残されたアギーラは、こちらに向けて言った 「笑い飛ばしに来ましたか?毒魔法使い」 「!」 「気付いていたのか……」 オーリスはベゼルグが近くにいないことを確認し、アギーラに近づく 「………アギーラ、その、勇者が魔王軍に降伏するってどういう事なんだ?」 「俺がいない間に勇者達に何があったんだ!?」 アギーラは一瞬考えた後、こう答えた 「私達2日前、ベゼルグに挑んで………勇者と私以外が死にました」 「!!」 オーリスは絶句した、まさかあの勇者パーティが全滅していたとは………… 「…………それで、勇者は?」 「今は眠っていますが、戦える状況ではありません」 ………勇者の完全敗北、オーリスでなくても信じ難い状況であった。 愚かにも、自分達が不意打ちしようとした相手はそんな恐ろしい相手だったのだ。 毒使いの集いは震えが止まらず、恐怖のあまり口に出した言葉は 「………ベゼルグは、どうやって勇者様達を倒したんですか?」 「………デステンペスト」 「風に煽られただけで体のあちこちが使い物にならなくなりました」 オーリスは気付いた 『デステンペント』 風の中に毒を撒いてばら撒く最強の毒魔法 敵味方構わず苦しめ、風が毒を運んで街丸ごと侵す事も出来る あまりにも危険すぎて封印されたのだが……… 「ベゼルグは……貴方達と同じ『毒魔法使い』です」 なんて皮肉な結果だろう 毒魔法使いは役立たずと追い出した勇者が、最強の毒魔法に敗れ去るとは 「そんな奴に……どう勝てばいいんだ………」オーリスは絶望し、その場に崩れ落ちた。 「そういう事で、人間は完全降伏すると宣言してこいと」 そこで1つオーリスに疑問が出来た 何故彼女は無事なのだろうか デステンペストの規模は見たことないので知らないが、勇者が再起不能となり仲間達が死に絶えたというのに、彼女は傷1つなく我々と話している 「お前………無事なのか?」 「今のところは、と言った所でしょうか………極僅かですがベゼルグの生命を奪うことは出来ましたので」 「いつまで持つか分かりませんが……」 毒使いの集いは……とんでもない事を聞いてしまった。 最早魔王たちによって人間は滅び、全ては支配されてしまうのか………? 「いや、まだだ」 オーリスは………賭けに出た、このまま何も出来ず死んでしまうよりは……… 「ベゼルグを……倒す」 「そんな無茶ですオーリス様!!我々じゃ勝ち目も………」 「いや、ある!!」 オーリスが思い付いたベゼルグを倒すための最後の手段、それは……… 「俺達も………デステンペストを覚える!!」 「…………え?」 「俺達の毒魔法が奴の風の中でどこまで通用するか分からないけど…………」 「この数でデステンペストを放てば、四天王相手でも跳ね返せるかもしれない!!」 それを聞いてアギーラは冷たく答える 「なるほど………とんでもない賭けに出ましたね」 「もし失敗したら、貴方達の分のデステンペストも風に流れて全域に渡り魔王軍が来る前に何もかも死んでしまいます」 「それでも、やりますか?」 毒使いの集い達の答えは既に決まっていた。 「やるさ、元々俺達は嫌われ者の集まりだ……その程度で世界が救われるならどうってことない!」 「そうは言ってもどうやってデステンペストを覚えるんですか!?」 「小さい頃、デステンペストの使い方を教えてもらったことがある………」 「それを覚えれば……ベゼルグに勝てるはずだ…………!!」 メンバーの中には子供の頃、遊び感覚でデステンペストの練習をしていた事がある者が居たという それが今、ここで活きてくるとは誰もが思わなかっただろう ………あれから3日が経った ベゼルグはオーリス達の前に立つ 「お前は……魔王様から勇者の仲間と聞いたことがあるな、奴らの敵討ちか?」 「いや……同じ毒魔法使いとしてお前のような奴は見過ごせないと思ったまでだ」 「そうか、お前も毒魔法を使うのか……面白い、見せてみろ」 「皆行くぞ!!」 オーリス達は気を集中させ、風を集めていく 「その構えは………相手をしてやろう」 ベゼルグもまた同じやり方で気を集中させ、風を集めていく 「これで終わりだベゼルグ!! 」 「まとめて塵になるがいい!!」 「デステンペスト!!!」 両方向から猛毒の風がぶつかりあう!!オーリス達にとっては最後の希望を込めた一撃であった だが………… 「…………」 結果は、予想通りだった。 「そ、相殺………………!!」 デステンペストは、お互いの風力が威力を弱めていき………どちらも勢いを失って散ってしまった。 「なるほど、俺のデステンペストをかき消すとは大した力だが………もはやこれまで」 オーリス達は嫌な予感がした、そしてそれは直ぐに的中する事になる 「ま、まずい………あいつ!!デステンペストをもう一度撃つつもりだ!!」 1発飛ばしただけで毒使いの集い全員の魔力が枯渇する威力だというのに、ベゼルグはそれをまた飛ばそうとしている……… 「まさか…………」 「そうだ、俺は2度同じ技は喰らわんよ」 「例え、俺の得意な技であったとしたもな!!」 「くらえっ!!デステンペスト落とし!!!」 ベゼルグは力強く飛び上がり、溜め込んだデステンペストを真下に叩き込んだ!! 「う、上から風が飛んでくる………!?これじゃ避けようが…………」 風は下に向かって吹いている!俺達には当たらない!!」 「俺のデステンペストが風に乗っているだと…………?どういう事だ、何故こんな事が…………」 オーリスは……気付いた。 「あ、あの野郎…………『狙って』風に乗せて落したな!?」 「俺たちがさっきぶつけ合った、デステンペストの残りカスに!!」 死の風はお互いに威力が弱ったのみで毒は消えてはいない そこにベゼルグが風を叩き込んだことで……… 「ベゼルグの風の勢いが戻った!!」「く、くそぉ!!もうダメだぁ…………」 「お、おいしっかりしろ!!」 「わ、分かってるけど…………」 「無理だよ、あんな風にされてなんとか出来るのか!?」 毒使いの集い達はもう諦めそうになっていた だがオーリスは諦める訳にはいかなかった、もしここで死んだら、本当に人間は魔王軍に負けてしまう…… 「デステンペストだ………」 「え?」 「残った魔力を振り絞って!!もう一度俺達もデステンペストを放つぞ!!」 「威力はさっきより遥かに弱くなるが、もうこれしかない!!」オーリスは残りの魔力を全て振り絞り、デステンペストを放った 「無駄だ!何度やっても同じ事!!」 「こいつを………」 「こうする!!」 オーリスは回るようにして魔法を放つと、僅かな風は回転して竜巻を生み出す 竜巻はベゼルグの作った風も巻き込んで大きく強くなっていき、飛び上がっていたベゼルグも巻き込む!! 「グワアアアアアアア!!!だ、だがこのレベルの毒を浴びればお前たちもただでは済まないはずだ!!」 「昔どっかで見たんだ………竜巻の真ん中には風が通らない、だから魔法を唱えた俺のところには毒が回らない!!」 「ま、まさか俺が毒と風で人間に先を行かれるとは…………見事な毒魔法使いだ、ぐ、ぐわああああああああ!!」ベゼルグは、そのまま地面に叩き付けられる 「やった…………やったぞ!」 「さすがオーリスさん!!」 「はぁ………はぁ………終わった………」 あれから1週間も経った 毒魔法の集いも、そこそこ仕事が出来るようになってきた 「聞いてくださいよオーリスさん!!我々が倒した四天王ベゼルグの件、勇者が倒したことになってるんですよ」 「実際の勇者達は何も出来ずに負けて降伏まで考えてたっていうのに………」 「まあいいじゃないか 」 当のオーリスは気にせず答える 「毒魔法使いの立場は、ある程度マシになったじゃないか」 「そうですけど…………でも、もっと上に行きたいですよね~」 「まあな…………ま、またアイツがヘマこいたらこっそり助けに行くか」 「もうデステンペスト連発は勘弁ですけどな」 「それはそうだ!はははは 」 毒魔法使い達は今日もひっそり活動する 自分たちでも集まって頑張れば何にでも勝てる、そう思えただけでもオーリスは満足だった おしまい。
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/2902.html
このページはこちらに移転しました 踊らされた人間 作詞/21スレ592 踊らされた人間 踊らされた人間 踊らされた人間 踊らされた人間 踊らされた人間 踊らされた人間 踊らされた人間が東京を歩く ギャルを見てみろよ あゆみが黒髪にすればストリートは黒くなり パリスが下着をチラつかせれば クラブはまるでポルノと化す 美白ブームにのって日光浴を避けた女ビビってんじゃねぇ 今こそ厚底とガングロで渋谷を歩け ゴスロリ?甘ロリ?メイド?コスプレ?目の保養にもなんねぇ 化粧臭く近寄りがたい 会話もよく理解出来ない 渋谷神宮前 原宿竹下通り そんな奴らが闊歩 君は何に影響されたの? 返答は十中八九有名アーティストやモデル 似てんならまだいいけど 誰がどう見ても… コピー 模造品 贋作 個性を殺しあう 出演決定ビューティーコロシアム 両親に泣きついて整形費用を貰う これで私も変われますってか? 外見と内面が伴わない踊らされた人間の完成 (このページは旧wikiから転載されました)
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/11403.html
このページはこちらに移転しました micro chook 作詞/448スレ218 届かないのは分かってる 見下げる事は簡単だ 見上げる事もたやすい だけどこの手は触れられない つまらないのは僕のほう やめてよ涙目上目使い あなたは俺を足蹴にして 無い胸はってりゃいいのさ 真っ赤な舌をちらつかせ いつもどおりに“Get out of the way!” 足りないものは威厳で補え micro chook 子供服似合いすぎんだよ Oh my micro chook 冷ややかな目で言やあいいんだよ いつもどおりにGet me out of difficulty! できない事は俺にやらせろ micro chook 酒に弱すぎんだよ Oh my micro chook
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18245.html
迷いの無い笑顔。 大好きなお姉ちゃんを独り占めになんかしない微笑み。 その微笑みを見て、唯も決心出来たらしい。 唯はすぐにリュックサックを下ろすと、一瞬だけ憂ちゃんに抱き着いた。 その耳元で囁く。 「今日の夜……! 今日の夜、一緒にお風呂に入ろうね! 私、憂と色々話したい事があるんだ……! だから、今はちょっとだけ、またね……!」 瞬間、私は見逃さなかった。 唯に抱き着かれた憂ちゃんのその手が唯の背中を抱き留めようとして……、 でも、遂にはその手が唯の背中に回らず、唯の肩にだけに軽く置かれたのを。 憂ちゃんにも躊躇いはあるのかもしれない。 だけど、憂ちゃんは笑顔を崩さなかった。 「うん! 今日は一緒にお風呂に入ろうね、お姉ちゃん! いってらっしゃい……!」 「うん! 絶対だよ……! 絶対だからね……! りっちゃんも純ちゃんもまたね! いってきます!」 言って、唯は走り出した。 唯のスピードだからそんなに速くなかったけど、 出来る限りの全速力で澪とムギの所に向かってるんだろう。 すぐにその姿は校舎に吸い込まれていった。 軽く憂ちゃんに視線を向けてみる。 思った通り、唯が居なくなった後の憂ちゃんの表情は寂しそうだった。 やっぱり、少しだけ無理をしてるんだろう。 私が何か声を掛けようとした瞬間、それより先に純ちゃんが憂ちゃんに訊ねていた。 「本当によかったの? 何だったら、今日の私達の練習は早めに切り上げてもいいんだよ?」 そう訊ねる純ちゃんの表情も辛そうだった。 親友が寂しそうな表情を浮かべているのが辛いんだろう。 私だって、憂ちゃんが寂しそうにしてるのは辛い。 だけど、憂ちゃんはゆっくり首を振ると、また穏やかに微笑んだ。 寂しそうだったけど、安心出来る笑顔だった。 「ううん、駄目だよ、純ちゃん。 練習はちゃんとしなきゃいけないよ。 いいライブ、お姉ちゃん達に見せてあげたいし……。 それにね……、これは私が選んだ事なんだもん」 「憂の選んだ事……?」 「うん。 私ね……、純ちゃんには言ってなかったけど、一人で決めてた事があるんだ。 ううん、誰にも話してなかった事があるの……。 いい機会ですし、律さんも私の話を聞いて下さいませんか?」 まっすぐな視線を憂ちゃんが私に向ける。 私はリュックサックを下ろし、頷いてから憂ちゃん達を木陰に誘った。 この熱気の中、暑さに参りながら聞くような話でもないはずだ。 純ちゃんも一緒に、大きな木の陰に三人で腰を下ろす。 木に背を預け、緩い風に揺れる葉っぱの音が聞こえる。 小鳥の声や蝉の鳴き声なんかは聞こえないけど、いい雰囲気だ。 気持ちのいい昼下がり……って言えるのかな? 憂ちゃんが優しい笑顔を浮かべて、話を続ける。 「私、皆の姿が見えなくなっちゃって、 律さんや和ちゃんとほうかごガールズを組む前から、ずっと思ってた事があるんです。 お姉ちゃんが大学に入って、傍で暮らさないようになって、寂しかった……。 すっごく寂しかったけど……。 でも……。 寂しかったからこそ、出来る事があるって思ったんです。 寂しかったからこそ、やりたい事があったんです」 「やりたい事……って、ライブ……だよね?」 純ちゃんが首を傾げて、憂ちゃんに訊ねる。 憂ちゃんは少しだけ純ちゃんに視線を向けて、軽く頷いた。 「うん、そうだよ、純ちゃん……。 純ちゃんは知ってる事なんですけど、律先輩、聞いて下さい。 私……、お姉ちゃんと離れて暮らすようになって、ちょっと荒れてた時期があったんです……」 憂ちゃんが荒れてた……? どんな事になってたんだ……? 凄く難しかったけど、頑張って想像してみる。 結構経ってどうにか想像出来たのは、パーマを掛けて長いスカートを履いた憂ちゃんの姿だった。 スケ番憂ちゃん! ……って、我ながら発想が古いな……。 そうやって、私が変な顔をしてた事に気付いたんだろう。 純ちゃんが苦笑しながら、私に説明するみたいに言ってくれた。 「荒れてたは言い過ぎでしょ、憂? 私が差し入れしたドーナツのスーパーオールスターパックを全部食べちゃったくらいじゃん。 まあ、私がそれ全部食べていいって言ったんだけどさ。 でも、まさか、本当に全部食べちゃうなんてね……」 「うん……、私もあんなに食べられるとは思わなかったよ。 あの時はごめんね、純ちゃん……」 「いいのいいの、終わった事でしょ? 気にしない、気にしない」 言いながら、純ちゃんが憂ちゃんの頭を撫でる。 普段梓にやってるそれとは違って、憂ちゃんを撫でる純ちゃんの手つきは優しかった。 でも、やり方こそ違うけど、梓も憂ちゃんも純ちゃんの親友って事には違いない。 しかし、憂ちゃんにとっては、それが荒れてるって事なのか……。 確かにスーパーオールスターパックを全部食べるなんてただ事じゃないけどさ。 前に皆で食べたけど、あれ、かなり量あるよな……。 それだけ憂ちゃんの喪失感が深かったって事なんだろうな。 大学に入学するまで、唯も憂ちゃんもそれを気にしないようにしてたみたいだけど、 現実にそうなっちゃうとやっぱり寂しかったんだろう。 私だって聡と離れるのは結構寂しかったもんな。 そういや、唯の奴も一時期はかなり荒れてたな。 一回、ムギが用意した二日分のお菓子を一人で全部食べちゃった事があった。 その量、実にケーキ二ホール。 逆に凄いから、怒る気にもなれなかったよな、あの時は……。 ともあれ、姉妹揃って同じ荒れ方をしてたってわけだ。 荒れてた……ってのとは、多大に違ってる気がしないでもないが。 「そんな風に、私、お姉ちゃんが居なくなって寂しかったんですけど……、 純ちゃんや梓ちゃんが励ましてくれたおかげで、何とか元気になれたんです」 憂ちゃんが遠い目をしながら続ける。 梓や純ちゃんにしてもらった事を思い出してるんだろう。 その表情は優しく、嬉しそうだった。 「そっか……」 私は呟きながら頷く。 何にでも完璧に見える憂ちゃんにだって弱点はある。 失敗しちゃう事もあるし、悩んじゃう事だってあるんだ。 そういう所もある子なんだよな……。 憂ちゃんと同じバンドでセッションしながら、気付いた事がある。 憂ちゃんの演奏はほとんど完璧だ。 演奏歴が短いなんて思えないくらい、凄い速度で成長してるのが分かる。 合わせていて、安心も出来る。 でも、私にはちょっと物足りなかった。 憂ちゃんの演奏は完璧なんだけど、教科書通り過ぎた。 揺らぎが無い完璧で均一的な演奏なんだ。 勿論、それは欠点じゃない。 むしろ憂ちゃんの方がミュージシャンとしては正しいと思う。 だけど、長く唯と組んでた私にとっては、それが物足りない。 唯はよく失敗するし、難しいパートを弾けたと思ったら、簡単なパートで躓いたりもする。 唯とのセッションじゃ、一度として同じ演奏を出来た覚えが無いくらいだ。 でも、私にはそれがよかった。 唯の失敗は確かに多いけど、予想以上の大成功になっちゃう事も何度もあったからだ。 不思議な話なんだけど、唯とのセッションの方がワクワク出来るんだよな。 あいつは何をやってくれるか分からない面白さがある。 そこがあいつの魅力なんだ。 もしも私達の中の誰かがミュージシャンになれたとして、大成出来る可能性が一番あるのはあいつだろう。 あいつには揺らぎ……、可能性が沢山残されてる。 完成されてない魅力って言うのかな。 私がミュージシャンになれる可能性はほとんど無いと思う。 趣味としては続けるだろうし、 ライブとか音楽的な活動はするかもしれないけど、 商業的なレベルの世界で長く生き残るのは無理じゃないかな。 悔しいけれど、私にはそこまでの実力は無い。 いつかは皆揃ってライブする事も出来なくなるかもしれない。 でも……、唯には、羽ばたいてほしい。 あいつには才能があるし、私達の誰よりも音楽への愛がある。 あいつなら商業的にも成功出来るはずだ。 いつかはきっと、私達を置いて音楽の世界に羽ばたいていけるだろう。 その時まで、あいつの足を引っ張らなくないで済むように、私は精一杯あいつを支えたい。 結局、私は唯のギターが凄く好きなんだよな……。 憂ちゃんも私と同じような事を考えてるはずだ。 唯の事にしてもそうだし、私とのセッションの違和感に気付いてなくもないだろう。 菫ちゃんのドラムを聴いた事は無いけど、ドラムのセッティングを見る限り、かなり几帳面っぽい気がする。 きっと憂ちゃんの完璧な演奏に合わせた、正確なドラミングを刻んでるはずだ。 純ちゃんも生き残りの厳しいジャズ研で演奏してただけあって、意外にもその演奏は堅実だ。 そして、梓もアドリブより積み重ねた努力で魅せるタイプのギタリストなんだよな。 そう考えてみると、わかばガールズは技巧派集団ってやつか。 結構適当に活動してた放課後ティータイムの後を継ぐ者とは思えんな……。 タイプは全然違うけど、どっちが優れてるって話じゃない。 要はどっちが自分の性に合うかってだけの話だ。 結局、私の居場所は放課後ティータイムで、 憂ちゃんの居場所はわかばガールズだったんだって事だろう。 急ごしらえのほうかごガールズじゃ、どうしてもその演奏に違和感は生じて来る。 勝手の違いは仕方が無い。 だけど……。 「だけど……」 憂ちゃんの言葉と私の考えが重なった。 ひとまず私は憂ちゃんの言葉に耳を傾ける事にした。 多分、憂ちゃんも私と同じ気持ちなんだろうから。 憂ちゃんは続ける。 「お姉ちゃんと離れて、寂しくて、辛くて……、 お姉ちゃんの事ばっかり考えてて、ある日に私、気付いたんですよ、律さん。 この寂しさも、辛さも、私がお姉ちゃんの事が好きだから感じてる事なんだって。 心と胸が痛いけど、それもお姉ちゃんと離れたから、感じられた事なんだって。 そう思えたら、何だか私の寂しさをそのままにしておくのが勿体無く思えたんです。 この寂しい気持ちは、そのままお姉ちゃんの事が好きだって証拠なんですから。 お姉ちゃんが傍に居ないからこそ、 私にとってお姉ちゃんが本当に大切な人なんだって気付けましたから……。 そんな私だからこそ出来る演奏を、お姉ちゃんに聴いてもらいたいんです。 寂しさや、辛さや……、そんな事を感じられた私だから出来る演奏を……。 それが……、私のやりたい事なんです」 憂ちゃんの決心がこもったその言葉は私の胸に強く響いた。 憂ちゃんはそれだけの決心でライブに臨んでたんだ。 今だからこそ出来るライブをやるために。 寂しさや辛さや切なさを、強さに出来る子なんだ、憂ちゃんは。 この閉ざされた世界の中でも……。 私は微笑んで、感心の溜息を吐きながら言った。 「憂ちゃんは凄いな……。 こんな時でも笑顔で、唯の事を考えて動けてて、凄いよ。 なあ、純ちゃん、憂ちゃん……、 こんな事訊くのも変だけど、正直に言ってくれないか? 演奏しててさ、セッションに違和感……あるよな?」 「そんな事……」 気遣いから否定しようとして、慌てて憂ちゃんが言葉を止める。 私が真剣な視線を向けてる事に気付いたんだろう。 憂ちゃんも真剣な表情になって、私の言葉に応じてくれた。 「はい……、違和感……あります。 やっぱり、わかばガールズとは違うなって思います……。 律さんと和ちゃんの演奏が嫌いなわけじゃないんです! 二人の演奏、大好きです! でも、何かが違ってる気がして……」 「私も感じます、律先輩」 憂ちゃんの言葉に純ちゃんが続いた。 その純ちゃんの表情は真剣だったけど、口の端では微笑んでいた。 「やっぱり違和感ありますよ。 そんなの当然じゃないですか、元々のお互いのバンドが違うんですから! 方向性もメンバーも違いますし、何か違うなって思う事が結構あります。 スミーレならここはこう演奏してるだろうなって、そう考えた事だって……。 でもですね……」 「うん……。でも……」 純ちゃんと憂ちゃんが視線を合わせる。 二人して微笑んで、私に優しい表情を向ける。 そこから先は後輩に言わせる事でもないだろう。 私は深呼吸して、二人の肩を抱き寄せて言った。 二人とも温かった。 「そうだな……。 ほうかごガールズじゃ、どうやっても放課後ティータイムやわかばガールズみたいな演奏は出来ない。 所々ちぐはぐな演奏になっちゃうだろうな……。 でもさ……、同じようにほうかごガールズでしか出来ない演奏もあるはずだよ。 こんな事になって、この世界には八人しか残ってないって無茶苦茶な状況になって、 だけど……、そんな今だからこそ、出来る演奏があるはずなんだ。 あってほしいよね……」 私にしては恥ずかし過ぎる言葉だったかもしれない。 だけど、憂ちゃん達は私の腕の中で頷いてくれた。 「ありますよ、絶対! 澪先輩達に聴かせちゃいましょうよ! 私達だけに出来るカッコいい演奏!」 純ちゃんがモコモコを揺らしながら、興奮した感じで宣言する。 マイペースで、元気で、可愛らしい。 純ちゃんが傍に居てくれれば、梓はこれからも退屈する暇もなく元気に過ごせる事だろう。 「出来る……と思います! だから、お姉ちゃんと離れてたからこそ出来る演奏のために、 寂しいですけど……、ちょっと辛いですけど……、 もう少しだけお姉ちゃんとは距離を置きたいって思ってます。 寂しかった頃の気持ちも忘れたくありませんから……。 でも、ライブが終わったら……、 終わったら、その時は……」 憂ちゃんが私の腕の中でちょっと身体を震わせる。 全身を支配する寂しさに耐えてるんだろう。 私は手を動かして、憂ちゃんの柔らかい髪をゆっくり撫でた。 「うん。 ライブが終わったら思いっきり唯に甘えちゃいなよ。 唯も寂しがってたしさ、姉妹水入らずで思いっきり甘えちゃえ。 あいつ、きっと喜ぶからさ」 私が言うと、「はいっ!」って返事をした憂ちゃんが、私の背中に手を回して抱き着いた。 抱き着かれる寸前に見た憂ちゃんの潤んだ瞳と赤い頬はすっごく可愛らしかった。 畜生、可愛いなあ……。 私は憂ちゃんのあまりの可愛さに、自分の顔が熱くなっていくのを感じる。 どうやら私のその様子を見られていたらしい。 純ちゃんが猫みたいに悪戯っぽい表情を浮かべて、意地悪く私に訊ねた。 「お、律先輩、照れてますね?」 「て、照れてねーよ……」 「あらまあ、りっちゃんったら可愛い!」 純ちゃんに急にりっちゃんと呼ばれ、思わず咽た。 自分で言った事ながら、急に呼ばれると恥ずかしい。 私は腕の中の純ちゃんを解放してから、軽く腕を頭上に掲げた。 「りっちゃんって言うなー!」 「りっちゃんがりっちゃんって呼んでいいって言ったんじゃないですか。 今更、撤回は無しですよー、りっちゃん!」 「それはそうなんだが……、うーっと……、えーっと……。 それよりほら! 梓と和はどうしたんだ? 音楽室で練習でもやってるのか?」 「お、誤魔化しましたね、律先輩。 まあ、今回だけは許してあげましょう。 梓は音楽室で和先輩とボイストレーニングしてますよ。 ピアノでボイストレーニングってやっぱり基本じゃないですか。 私が言うのも何ですけど、梓、前よりずっと上手くなったと思いますよ! そりゃ……、感動的なほど上手ってわけじゃないですけど、でも……」 純ちゃんが一瞬だけ不安そうな表情を見せる。 何だかんだ言って、やっぱり梓の事が心配なんだろう。 純ちゃんのモコモコを触ってから、今度は私が笑ってやった。 「分かってるよ。 梓が歌が苦手なのも分かってる。 でも、その梓がボーカルに挑戦してくれるって事が、やっぱ嬉しいよ。 ライブの時にさ、純もコーラスで梓を支えてやってくれよな」 「勿論です! ……って、今、私の事、『純』って呼びました?」 「ふっふっふ、どうだったかなー?」 「あ、純ちゃんいいなー。私も呼び捨てで呼んでもらいたいよー」 憂ちゃんが私から離れず、羨ましそうな表情を私に向けた。 どうもおねだりされてるみたいだったけど、憂ちゃん相手にはまだちょっと照れる。 今はりっちゃんって呼ばれたお返しに勢いで『純』って呼べたけど、 その勢いのままで『憂』って呼ぶのは無理だった。 でも、まあ、そのうちだな。 この調子なら、ライブの頃には二人を呼び捨てで呼ぶ事も出来そうな気がする。 その時の梓の反応を想像すると、何だか楽しくなって来る。 梓の奴、どんな反応するかな? 梓の事だから、きっと表面上は気にしてない振りをしながら、 私の目の届かない所で純ちゃんと憂ちゃんにあれこれ詮索する事だろう。 「律先輩に弱味でも握られたの?」って訊ねたりしそうだな。 いやいや、失敬な! あいつは私の事を何だと思ってるんだ……。 まあ、ともかく、もうすぐライブだな。 今の私達だからこそ出来るライブをやってやる。 その先に何が待ってたって、私達はほうかごガールズのライブをやってやるんだ。 この世界で八人で生きていくのか、 それとも元の世界に戻る方法を探し続けてやるのか。 ライブの後でなら、逃げずに皆と真正面から話し合えると思う。 そのためにも、ライブは絶対に成功させたい。 30
https://w.atwiki.jp/vice2rain/pages/78.html
特別頭がいいわけでもなく、見た目がかっこいいわけでもなく(だからといってかっこ悪くもない。至って普通の、現代的な学生だと思っている)、死神のノートを拾ったわけでもなく、ましてや海賊王になれそうもない大学生、秋山 刃は日が暮れた住宅街へと続く道をボーっとしながら歩いていた。 季節は春。今年、大学2年生になったばかりである。そのためだ、サークル、剣道部の新入生歓迎会でここ数日飲み会が続いた。それに、彼女が居ない身としては合コンに参加しない手はない。二日酔いで疲れている体にムチ打って無理やり参加したのも悪かった。なお悪いことに、結構お調子者だからか、テンションをムリにあげてしまう。あぁ、コレがきっと「いい人」止まりの理由だろうな、そんなことは彼は重々承知していた。こういう性分だ、仕方ない。 とにかく、そんなこんなで頭がボーっとした状態でよろよろとしながら家へ向かっていたのだ。自分以外に道を歩いている人はぜんぜん居ない。ほとんどの人はもう眠っている時間だろうから当然だ。一人暮らしのアパートまではまだ距離もあった。 その時だ。向こう側からぼろぼろの服を着たガリガリの男がよろけながら歩いてきた。ホームレスか、と一瞬思ったがどうやらそれも違う。なにより雰囲気が異質だ。というより人の雰囲気がしない。人よりもなにか、もっと怖いもの… 「!?」 男は突然殴りかかってきた。少し反応が遅れてしまったがなんとか身を翻してそのこぶしを避けた。だが、酒のせいで視界も狭いし判断力もかなり鈍ってしまっている。刃は走って逃げようとした。だが、相手の男もすごいスピードで追いかけてくる。足音が妙だった。ガシャガシャという音が聞こえる。一瞬振り返ると、男の顔が見えたのだがそれは腐った肉がわずかに張り付いた、骸骨だった。 「オバケエェェェェェェェェェ!?なんだよコレェェェ!俺心霊体験なんて初だっつーの!神様アァァァァ!俺一応クリスチャンよ?!助けてくれてもいいんでないの!?」 刃がわめいた瞬間後ろの骸骨が叫び声を上げて燃え上がった。暫くすると、灰となって骸骨は消えていった。 そして、骸骨が消えた所に今度は別の男が立っていた。男というには若い、だが少年というには大人な男。黒い瞳、黒い髪、唇は紫色で顔色も青白い。全体的に露出がぜんぜんない、ローブのような黒い服を着ている。極めつけに、背には漆黒の羽。 ここまで真っ黒だと、刃もある一つの決断に行き着くほかなかった。 「・・・も、もしかして・・・あの有名な・・・」 男はほくそ笑んだ。 「そうだ。」 「マジィィィ!?これが真っ黒黒助ぇぇぇ!?」 「アッハッハ、お前ブチのめすよ。違うわ。天使じゃボケ。」 「天使・・・っ?だって羽が黒い!」 「そーいう奴もいる。善良な天使ってのは羽が黒いもんだ。俺の名はアポリオン。リオンとでも読んでくれ。」 刃はアポリオンという名前を聞いたことがあった。聖書に出ていた名だったはず。いったい、なんの天使だっただろうかと考えていて思い出したのは、ヨハネの黙示録。たしか、アポリオン…注釈に乗っていたあの名は… 「アポリオンってサタンの別名じゃねぇかよーーーーーーー!天使名乗るな!」 「よく勉強してんな、カミサマも喜んでるだろうな。そうだ俺がサタンだ。だが別に悪いことをしているわけじゃない。」 「は・・・?だって、人類を5ヶ月間絶望の淵に立たせたって・・・」 「あぁ、そりゃウソだ。せいぜい俺にできる悪いことなんて、そうだな・・・他人の家のインターホン鳴らして猛ダッシュとか。」 「ピンポンダッシュかよ!器小さいなお前はアァァ!ていうかお前目立つ!こんなトコにいたらマズいよ、とりあえず俺んち来いよ。どうせ一人暮らしだから。」 「おいおいふざけんなよ、やだよ、男はみんな獣だぜ。」 「お前は年頃の娘か!っていうかそれが天使のいう言葉かアァァァ!お前も男だろうが!」 「天使に性別はありまっせーん。まぁ、お前の言うことにも一理あるな、案内してくれよ。」 リオンをつれて、刃はアパートへ、今度はヘンなお化けに襲われることもなく無事に辿り着いた。あまり広くはない一室。几帳面な性格のおかげで、一人暮らしの男の部屋とは思えないほどきれいに片付いていた。水をコップに注ぎながら刃はリオンに問いかける。 「で、なんでそのサタンが人間界に来たんだよ。まさか俺にとりついて人間殺そうなんて考えてんじゃないだろうな。」 「まさか。そんなわけないだろ。いいか、神の国が近づいた。今世界は―最後の審判が行われ始めている。」 「最後の審判?それでさっきのお化け・・・?つまり、あれは死んだ人ってことかよ。」 「そうだ。テレビつけてみろ。多分そろそろ、報道が―」 リオンの言ったとおりに刃はテレビをつけた。眉間にしわを寄せたリポーターがマイクを片手に記事を読み上げる。 「世界各地で不可解な事件が起こっています。至るところで白骨化死体が動き出し、人々を襲う怪奇現象、原因については調査中で、FBIの超能力研究者たちも首をかしげる程の規模です。原因はまだわかっていません。あっ、今情報がはいりました!北海道で82歳の女性が白骨化死体に襲われ死亡です!この女性は墓地の近くにいたということです!また、この白骨化死体はキリスト教会を避けるように活動をしている模様です!みなさん、家から決して出ないようにしてください!そして、墓地には向かわない!キリスト教会が近くにある方はそちらに避難してください!えー、もう一度繰り返し…」 「…世界各地、か…。ちょっとまってくれ、最後の審判って神様の前にみんな並ばされて、っていうのじゃなかったのか?」 「そのことだけどな…全員が生き返らないとそれはできない。元々の神は、生き返った人間に魂が戻ると信じていたんだが、そうならなかったから一度千年王国をあきらめたんだ。だが、現在の神―2000年前に就任した神が―強行してな。俺は何度も助言したんだ、やめたほうがいいって。そうしたら俺は封印された。俺の他に、3人封印された。俺だけなんとか封印を破って飛び出してきたわけさ。このままじゃ千年王国なんてムリだからな。地球が滅んでしまう。そうだ…もうひとつ誤解をといておくが、サタンっていうのは悪魔じゃない。天使だ。ミカエルと肩を並べるくらいのな。本来の意味は、知恵ある者、だったんだ。」 「知恵ある者…?」 「俺を知恵ある者として創ったのは先代の神さ。だけどな、今の神はなんかおかしい…。他に封印された天使は、善の天使、勇気の天使、力の天使。どれも要になるようなものばかりだぞ。どうもにおうんでね、俺は神にケンカを売るつもりなんだ。それで、心力の強そうな奴を探してたんだけど」 「心力?」 「そのままだ、心の強さ。お前、なかなあ太い神経してんじゃねーか。俺サマの配下に加えてやるよ。」 「いや、ちょいまち。話が見えない。」 「だぁーかぁーらぁー、ゾンビをやっつけながら神をおびき出してやっつける仲間がほしーの。俺は天使だから神に傷を負わせられねーの。人間がいねーと駄目なわけ。アンダースターン?」 「アンダースターンしたけど俺やだよ。」 「やだよっつったってねぇ…一週間もすりゃ武器を持って歩く時代が訪れるぜ、この日本でも。」 リオンは不適に笑った。彼は戦うことを少し楽しんでいるような雰囲気を帯びていた。 がっくりとうなだれる刃。しかし、そんな時間は彼らには与えられなかった。 外から大きな声が聞こえてきたのだ。 『人間のみなさん、神の国は近づきました。死者は蘇り、審判のときを待つことになります。信仰のないものは襲われることもありましょう。しかし信じて待ちなさい。神の教えに帰依しなさい。そうすれば、神は、あなたがたを選ばれた民として迎え入れるでしょう…』 「…くそ、やられたな……」 リオンは苦虫を噛み潰したような表情をした。 話が見えないままの刃は口をひらこうとしたが、それよりも早くリオンは口早に説明をしだした。 「俺の計画では、人間たちが神を信仰しなくなることによって力を減らすつもりだった。神の力は人間の信仰心によるからな…。だが、こうなった以上恐れた人間たちは神を信仰するしかなくなる。そうすれば、神の力はますます増える。」 「おい、リオン。そもそもなんで神は千年王国を―?」 「千年王国が完成すると、その後千年間は神のいらないと判断した者を黄泉の国に閉じ込めておける。…けど……俺にはどうも…リスクが大きすぎるとしか…まぁそれだけ今の神はお馬鹿さんなんだけど…。どうだ刃。協力する気になった??」 「まぁ確かに、19年間信じてたものを裏切られて燃えてきたかもしんねーよ。しかたねーな、俺でよければつきあってやるよ。どうすればいいのかはリオンが教えてくれんだろ?」 「やったーーーーー!助かるよ、リオン!絶対絶対神倒そう!地球守ろう!俺ァそれだけが気がかりで気がかりで…」 黒い翼を持って、真っ黒な服装をしているが、やはりリオンは天使だった。天使らしい純粋な笑みも、心も持っている。刃は突然笑えてきて、二日酔いなんかどうでもよくなった。 危険なことにかわりはない。だけど、なんとかなりそうだった。 この世―天国も巻き込んでもリオンより頭の良い者はいないのだ。そんな彼がいるのだ、なんとかなるだろう。 しかし彼は知らなかった。何事もノリで決断してはならないということを―
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/909.html
File5 残骸に遺された記憶 「あーー、もう! ホントムカつく! なにが“結局はそういうことだろ”よ! 自分だけわかったみたいな口ぶりしてんじゃないっつの!」 自動運転のバスの中で少女の怒号が響きわたる。 このバスは時間帯からすると帰宅部の者が乗るはずだが、今は風紀委員の湖后腹と一厘しか乗っていなかった。 帰宅部の連中が乗っていないのは、夏休み前の文化祭の準備を実行委員に手伝わされているかららしい。 「あはは……まぁ、一厘さん落ち着いて」 やりづらいな、と湖后腹は思った。 今日の昼休みから隣の座席に座るこの少女、一厘鈴音は酷く不機嫌なのだ。 その理由はなんでも今日の昼休みの食事中に百城とケンカしたとか。 湖后腹もその時一緒に食事を取ってたが、途中で抜け出したため何が発端でケンカに発展したかはわからなかった。 「私は落ち着いてるわよ……それで、これからどこ行くの?」 未だ不機嫌な一厘は急かすように尋ねてくる。 そう、今 湖后腹達は『あること』の調査のため第十学区に向かっていた。 本来ならば今回の調査は湖后腹だけでいく予定だったのだが、破輩が怒り心頭の一厘に『頭を冷やすついでに湖后腹についていけ』と命を下したので、一厘と一緒にこうして行動している。 「えっと……それはですね」 湖后腹は焦りながら答える。 「とりあえず、アヴェンジャーの隠れ家に行ってみようと思うます」 「!?」 アヴェンジャー。 今この学園を荒らしまわっている、無能力者(低能力者も含む)狩りのグループ。 そんな者達の隠れ家がわかったなら、さっさと教えて、風紀委員総力を上げて乗り込むべきだ。 なのに何故この男、湖后腹真申は二人だけで、しかも顔色を変えずに至って冷静なのだろうか。 そんな一厘の苛立ちと困惑の交じり合った表情を見て、湖后腹は慌てて言い直した。 「あ……少し言葉足らずでした。正確には“元”アヴェンジャーの隠れ家“だった”場所です」 なんだ、と一厘はため息をついて、 「“元”アヴェンジャーって、前の会議で言ってた、『一ヶ月前』くらいに潰れたスキルアウトのこと?」 「そうっす。一厘さんは前回の会議に遅れてきたのに、よく知ってましたね」 「あの後厳原さんから大方の話しは聞いたのよ。バカにしないで」 ……で、それが何か関係があるの? と、一厘は先を促す。 「実は、その『一ヶ月前』というのがちょうど校内で“今”のアヴェンジャーによる暴行やカツアゲが始まった時期なんです」 「偶然……にしては、出来過ぎてるわよね」 「はい」 バスは湖后腹達の座ってる座席に振動を与えながら、尚も進み続ける。 途中で何人かの乗客者が入ってきたため、湖后腹は少し声を小さくして言った。 「だから。その“元”アヴェンジャーについてざっと調べてみたんです」 一厘に手渡したのは一つのファイル。中には何人かの顔写真と、事件の記録の紙が入っていた。 一厘はそれを慣れた手つきでパラパラとめくる。ひと通り目を通すだけでも十分ばかりかかった。 「……酷い」 読み終えた一厘から出てきた言葉はたったそれだけ。 それだけだというのに、その内容がどれだけ酷いものかを表情で物語っていた。 「実際“それ”があった建物に入るわけだから、一厘さんは今ここで戻っても構いませんよ」 湖后腹は、急に気分を悪くした一厘に気を使うように声をかける。 今から少し前、第十学区には“元”アヴェンジャーの隠れ家があった。 それは表向きは閉店した『占い屋』として置かれていた建物だったらしい。彼らは“能力者狩り”を主に行動していたスキルアウトで、様々な学区を転々としては、気に食わない能力者を潰していった。 能力者が持つ力なんてほとんどが拳銃に対抗できるかどうかのシロモノだ。彼らにとっては数の暴力で能力者を潰すのはわけもないことだったのだろう。 だがそれが、終わりを告げたのは今からちょうど一ヶ月前。 第一発見者は第十学区に住む一人の学生だったらしい。 占いに興味を示したその学生は、その店が閉店だとも、偽りだとも気づかずその中へと足を踏み入れていってしまった。 そこで彼が目にしたのは、血の海。鮮血とは言えないほどに濁って、汚れきった大量の血だった。 壁や天井は激しい戦闘の後が残り、中には壁にめり込んでいる者もいたという。 彼はすぐに警備員に通報。 後にわかったことはアヴェンジャーは何者かに潰されたということだけ。 それ以外は皆目検討もつかないまま調査は今もまだ停滞していた。 そして、そのアヴェンジャーのリーダーである『クイーン』という女が警備員付属の病院で奇妙な言葉を残していた。 それが―――― 『私達は名を奪われた』、か……どういう意味なんだろね」 「わかりません、が、その事件でアヴェンジャーのメンバーはほとんどが重体……死者がいなかったってのが奇跡なぐらいです」 プシューと音を上げ、その事件が起きた第十学区にバスが停止する。 「どうしますか、やっぱ俺に任せて、一厘さんは戻ったほうが……」 先に降りた湖后腹は未だに煮え切らない思いを顔に出しながらそう言った。 おそらくこれから向かう先は一厘の日常からは大きく掛け離れた、残虐で、非道で、狂気に満ちた場所だろう。 だが、一厘は声色一つ変えずに言う。 「私も行くよ、ここまで来ちゃったんだし、後には引けない」 ◇ ◇ ◇ バスから降りた二人はタクシーに乗り換えてその場所に向かう。 第十学区というと、学園都市で唯一墓地があることや、地価が安いことで有名だが極めつけは治安の悪さだ。 そのせいか、すれ違う人物は大きく分けて二種類しかいない。 誰かを襲おうと、目をぎらつかせている人物。誰かに襲われるんではないかと、目を泳がせている人物。 「なんか、ここ怖い……」 タクシーから外を伺う一厘はそれだけをポッと呟いた。 「そうですか? 住めば都というし、案外ここで生活しだしたら慣れるかもしれませんよ」 湖后腹の言葉に返答はなかった。 常盤台のお嬢様にはやはりこういうところは苦手なのだろうか。 「それで、そのアヴェンジャーを潰した組織ってまだわかってないの?」 「今のところは……。ある話では救済委員だとか無能力者狩りの集団による報復とも言わていますが、どれも根も葉もない噂で……」 一厘の頭の中に、クイーンという女が残した言葉がよぎる。 『私達は名を奪われた』 これがどういうことを意味するのかわからない。 名とは何か。 アヴェンジャーを潰した者たちにとって彼女達の名を奪って何の得があったというのか。 「う~~ん。深く考えても仕方ないかなっ! そんな事より着くまでの時間、しりとりでもしない?」 急に元気を取り戻した様に大声を上げる一厘。 だがそれは湖后腹にしてみれば、ただの空元気にしか見えなかった。 「ハハッ、いいですね! 俺の『る』責めにどこまで保ちますかな!?」 それでも、湖后腹は今はこの少女に付き合って上げようと思った。 これから目にする現実から少しでも離れさせてあげるために。 ◇ ◇ ◇ 数分後にタクシーは到着した。 ドアの外に広がる世界は同じ学園都市とは思えない光景。 すっかりと荒廃してしまった建物が立ち並び、スプレーで落書きされた壁や建物が一層酷く映る。 「あそこにあります」 運転手が指さしたのはその中の建物の一つ。外観は周りのものと大差ないが、その建物を取り巻く黄色いテープが異様さを際立てている。 「じゃあ、行きましょうか一厘さん」 「うん」 タクシーからその建物の距離はそんなに離れていない。 ゆっくりと歩いたとしても三分あれば辿りつけてしまう距離だ。 だが、そこへと進む一歩一歩がひどく重く感じられた。 ザッザッと、足音が響く。湖后腹は一厘に目をやると、 「まったく、いつまで湖后腹君は私に気をつかってるの? 別にあそこで死人が出たわけじゃないんでしょ? ちょっとくらい血の跡が残ってるだけなんでしょ? 私はそんぐらい屁でもないんだから」 何度も自分の様子を伺ってくる湖后腹に気づいていたのか、一厘はその建物に入る前にそう言った。 「確かに、“アヴェンジャーの人物では”死人は出ませんでした。だけど……」 「え……? ちょっと、それはどういう……」 「死人はいました」 バッサリと断言した湖后腹。それを見る一厘は裏切られたかのような表情をする。 「アヴェンジャーによって捉えられ、監禁され、拷問され、そして殺された人物が三人。原型を留めない状態で、発見されたんです」 一厘の表情が強張る。大きな瞳は震え、ワナワナとその場に倒れこんだ。 「バカッ……なんで……それをもっと早く言わないのよ」 「すいません。もっと早く言うべきでしたけど、なかなかタイミングが合わなくて……」 同年代とはいえ、この少女にはまだその世界を見るには早かったようだった。 しかし湖后腹は一人でも進む。 たとえそれが殺人現場だとしても、学園のためになるなら進むしかないのだ。 ガチャリ、と軋んだ音を立てながらドアを開けると、 「俺が見てきます。一厘さんは……ここで待っててください」 そう伝えて室内に入ろうとした。 が、 「待ってよ」 その一言で湖后腹は引き止められる。 気がつくと一厘は立ち上がっていた。震える手で必死に湖后腹の袖を掴みながら。 「そんな場所なら、尚更一人でなんて行かせられないよ……私もついていく。仲間と協力するのが風紀委員、でしょ?」 「一厘さん……」 湖后腹は少し迷った。こんなに震え、怯える少女をその原因となっている場所へ向かわせていいのか。 しかし、来るなといってもこの少女は絶対についてくるだろう。 一厘と同じ支部として働き出したのはわずか二ヶ月前だが、彼女がどれほど頑固かは理解していた。 「気持ち悪くなったら、無理しないで外に戻ってくださいよ」 一厘はコクンと頷く。 それを確認した湖后腹はついにドアを完璧に開けて中へと進むのだった。 ◇ ◇ ◇ ビュウと風が吹き抜ける。 室内のあちこちには銃痕があり、そこら辺にぶちまけてあるのは原型すらとどめていない椅子や机。 それでも血の跡などは残されていなかった。少なくともここで死者が出たとは思わせないくらいに。 「うっ……」 一厘は持ってきたハンカチで鼻を覆う。いくら見てくれを綺麗にしたって、この建物に充満する血の臭いは消えていない。 外はもう夕暮れ時、建物の中も次第に暗くなっていくが、明かりはつかなかった。 「あちゃーー、これじゃ部屋全体を調べることもできないな」 真っ暗な建物内で、湖后腹は手さぐり状態で電源を探す。電気が通ってないとしても自分の能力を使って電流を流せば、一時的にだが電気をつけることができるかもしれないのだ。 壁をさすったり、床に手を伸ばしたりするが一向に電源のようなものは見つからない。 もしかしたら戦闘に巻き込まれて壊されてしまったのかもしれない。 「ねえ……湖后腹君。まだ見つからないの? いい加減怖くなってきたんだけど」 「もう少し、待ってて下さい……あとちょっとで」 とりあえず、自分の周りを手で掻き分けていく、すると―――― ムニュリ 湖后腹は何やら柔らかいものを掴んだ。 その感触はゴムでもなく、紙でもなく、もちろん金属なんて物ではない。 ちょうど手にすっぽりと収まるぐらいの調度いいサイズ。 「え……もしかして――――」 どっかの一級フラグ建設士ならばこのまま気づかずに触り続けるだろうが、湖后腹は察しがいいのか、それが何であるのか気づいてしまった。 その柔らかい物からはドクンドクンと振動が伝わってくる。そしてそのすぐ近くには人の気配が感じてとれた。 もちろんこの場所にいるのは湖后腹と一厘の二人しかいない。 と、言うことはだ 「な、な、な……」 湖后腹の顔に軟らかい声と甘い吐息が小切れに振りかかる。 それは、いきなりのことにしどろもどろしている―――― 「な、なにしてんのよーー! このバカチン!!」 胸を触られた一厘が今まさに叫びをあげようとしている予兆であったのだ。 「す、すいません!! ついうっかり!!」 手を即座に離して、光の速さで土下座を繰り出す湖后腹。もし支部の女性(主に破輩)を怒らせた場合、こう対処するようにと鉄枷に教わっていた。 「うっかりじゃ済まないわよ! この……!」 だがそこで、一厘はピタリと手を止める。 別段湖后腹を許したわけではないが、あることに気づいたのだ。 (あれ、私……) そう、先ほどまでの恐怖が、震えが、嘘のように収まっていたのである。 「……ぷ、」 一厘の表情に笑みが戻る。それは良い感じに緊張がほぐれたせいだったのかもしれない。 「あははは! なんでこんなとこでこんな事やってるのよ、私たちは。ふふっ」 (……? 一厘さんの怒りが収まった? ありがとうございます鉄枷先輩!! 貴方の考えだした能力『光速謝罪《ドゥーゲイザー》』のお陰で俺なんとか事なきを得ました!!) そんなことには気づかず、湖后腹は、鉄枷が編み出したただの土下座……否、ドゥーゲイザーに感謝するのであった。 「もう、いいから、早く見つけてよね。電源」 「言わずもがなですよ!」 それからわずか三分で湖后腹は電源を見つけた。それが、なんのおかげかは言わないでおこう。 「はぁ……ようやく明るくなったわね」 「足元に気をつけてください、まだ木片があちこちに転がっているので」 「私は木片よりも湖后腹君に気をつけてなきゃいけないわよ」 顔を赤らめながら一厘はずんずんと先へ進んでいってしまう。こんなんならさっきの状態のほうがマシだったかもしれない。 とりあえず、二階は一厘に任せるとして湖后腹は地下に向かった。 蛍光灯が壊れている場所は先ほど見つけたLEDライトで照らして進む。 血と腐臭の交わった臭いは風通しの悪い地下ではそう消えることはない。湖后腹は反射的に鼻を押さえて、 「確かに、この臭いはキツイな……」 あちこちが欠けた階段を下りながらそう呟いた。最後の一段を降りると、錆びている扉を開ける。 その扉の先は囚人を納めておくような牢獄の作りになっていた。 主にペットショップが大型の動物を閉じ込めておくのに利用する檻。それが、何段にも積み重ねられておいてあったのだ。 湖后腹は想像する。 アヴェンジャーの連中はこの檻に能力者を閉じ込め、いたぶり、そして―――― (―――――ウッ!) 突如として吐き気を催す湖后腹。胃袋から酸味を帯びた内容物が逆流しそうになるがなんとかこらえた。 確かに、ここで殺された能力者の死体はとっくに片付けられてしまっている。 だが、そこには言葉で形容できない“なにか”があったのだ。 (こっちには……一厘さんはこさせない方がいいな) その後、部屋の隅々を探ったが、この地下にも“今”のアヴェンジャーに通ずるものは何もなく、急ぎ足でその場を後にする。 もちろん後ろなど振り返ったりはしない。 「湖后腹君。こっち来て!」 二階の方から一厘の声が聞こえてくる。一人でいた時間なんてたったの数分だというのにその声はとても懐かしく感じさせた。 何事かと思い、急いで階段を駆け上がって行くと、 「これ、なんか変じゃない?」 一厘が指差したのはただの壁。そう、ここから見る限りは。 「変って……何がっすか?」 「いいから、触ってみればわかるよ」 言われるがままに湖后腹はそこの部分に触れる。 すると、そこには膨らみのようなものが感じてとれた。 「この壁の内部に何か埋まってるのか?」 「わかんない、けど私の能力じゃこの壁は壊せないよ、なんか道具があればいいんだけど……」 そう言って一厘は部屋を見渡すが、あるのは家具の残骸のみ。 あとの物は証拠物件として警備員に回収されたか、破棄されたのだろう。 「よし、じゃあ俺の電撃でぶっ壊します。危ないから一厘さんは少し下がってて下さいね」 「あ、あのさ。自分の提案だからこんな事言うのも何だけど、勝手に壊しちゃってもいいのかな? 後で警備員の人に怒られたりしない?」 「大丈夫っすよ。もう既にボロボロなんですから、今更壁に一つや二つ穴が開いたってバレやしません」 ニッと湖后腹はイタズラな表情を浮かべ笑った。 直後、その指先から『雷撃の槍』が繰り出される。 ドオォォォン!! という激音と同時にコンクリが砕け、その粉塵がバラバラと舞って視界を埋め尽くした。 「ゴホッゴホッ……ちょっとやりすぎたかな? これでもパワーはセーブしたんだけど」 既に窓ガラスが割れているので換気の必要はない。 煙っぽさがなくなって、その壁を見てみると、 「うわっ……これはいくらなんでも……」 一厘はその光景を見て唖然とする。 その壁に半径一メートルに渡る巨大な穴がポッカリと開いてたのだ。 「まさか、埋まってた物ごと消し飛ばしちゃってないよね……?」 一厘の懸念の言葉に湖后腹は、 「いえ、なんとか無事だったみたいですよ」 瓦礫の中からあるものを拾い上げた。 どちらもコンクリの粉を盛大に被っていたので手で払ってみると、 「それって、フォトアルバムと日記帳……だよね。なんでこんな所に?」 そこに現れたのは写真がたくさん収納されているアルバムと、古びた日記帳。 「空間移動か、または念動力系の能力で、この壁に埋め込んだんじゃないですか? 問題なのは“何故”こんなとこに隠したっか、ってことですね」 湖后腹は何気なく腕時計に目をやると時刻はもう七時を回っていた。 外もすっかりと暗くなり、鈴虫の鳴き声が不協和音のように聞こえてくる。 「とりあえず、ここからは出ましょうか この中身を確認するのはそのあとにしましょう」 ◇ ◇ ◇ 「うわーー、もうこんなに暗い。そんなにいなかったつもりだけど時間の流れって早いものねーー」 満点の星がきらめく夜空を眺めながら一厘は感嘆の声を上げた。 その瞳に映る星も同調するかのようにして輝く。 まるで、さっきまでのことを全て洗い流してくれるように。 「さて、これからどうしましょうか。この内容を拝見するのにバス内では無用心すぎますし……」 手元にある二つの本を持て余すように、湖后腹は問う。 すると一厘は携帯の画面を湖后腹に向けて、 「心配ご無用。ちゃんと部屋を予約しておいたから」 『予約完了』の文字がでかでかと表示された携帯の画面。 それを見て湖后腹は目を点にした。 「え……? 今から、ですか?」 「そうだけど。どうしたの湖后腹君。なんか問題ある?」 個室サロンとは学園都市でのポピュラーなサービス業の一つ。 形式としては少し豪華なカラオケボックスのような所で、時間を決めて部屋を借りれる自由な空間だった。 主にはパーティーを開くときなどに使われているが、朝まで借りて一夜を過ごすといった使い方をする者もいる。 特にそんな使い方をするのは学生間のカップルに多いと聞くが、それが何をするためにかと言えば…… 「いやいやいやいや!! さすがに風紀委員である俺達がそ、そ、そ、そんなことしちゃいけないっしょ! それにまだ中学三年なのに早すぎるというか! 心の準備ができてないっつーか!!」 「……? なに言ってんの。もう八時から二名様で予約しちゃったんだから、キャンセルなんてもったいないでしょ」 アタフタする湖后腹の手をグイッと手を引く一厘。 それで更に湖后腹の顔は赤くなった。 「ちょ……!?」 「それに私、お腹すいちゃったし、そこで適当になんか食べたいからさ。早く行こうよ」 どうせなら、と一厘は付け加えて。 「私が、湖后腹君が好きなものも頼んであげる」 (え、一厘さん今なんて言った……?) あまりの慌てっぷりに湖后腹は一厘の言葉を聞き流していた。 耳に入ってきていたのはどれも断片的な単語ばかり。 『私』……『湖后腹君』……『好き』……『あげる』 それを脳内で組み立てなおしていくと一つの文が出来上がった。 (『私を湖后腹君の好きにさせてあげる』!!??) 「どうしたの!? 漏電してるよ!?」 能力の制御が効かなくなって体からバチバチと漏電させる湖后腹。 「まじで、まじでそれはやばいッスよ!! 支部に戻って閲覧しましょう、これは! その方がお互いのためになります!!」 「なんでそうなるのよ! それに今日はそのまま寮に帰るから、支部には戻らないし!」 (『今日は“寮”に戻らないし』!!? ほんとに一夜過ごす気なのか!?) 一度暴走した思考は止まることを知らない。一厘の言葉は何もかもが意味深な言葉に置き換えられてしまい、まともに湖后腹には届かなかった。 結局こんな事もあろうかと用意したビニール手袋をつけた一厘によって、漏電状態の湖后腹はグイグイと引きずられてく。 制止を呼びかけるが、動作では示さないのが湖后腹の弱さだった。 ◇ ◇ ◇ 「まったく、湖后腹君がうだうだ言うせいで、予定の時間よりも五分遅れちゃったじゃない!」 受付からルームキーをとってきた一厘はプンスカ怒りながら湖后腹と指定の部屋に向かっていた。 こんな十学区だが、ビルの内部は綺麗に清掃されていて、好感を持てる。 しかしながらやはりは第十学区。すれ違う客はどれも、いかつい格好をしたカップルや不良どもの集まり。 いくらビルが綺麗だとしても中に住むものが汚れていては元も子もない。 「すいません。でも腕章の件だけは譲れなくて……」 入り口間際で論争になったことは、風紀委員の腕章を付けて入るかはいらないかということ。 こんな時間に男女の風紀委員が一緒の部屋に入るなんてとこを目撃されたら大問題になるのだ。 一厘は『別に悪いことをするわけじゃないんだからいいじゃない』と、反対。 このお嬢様はたとえ自分にそんな気がなくとも、相手に誤解されてとられるかもしれない可能性をまったく危惧してなかったのだから恐ろしい。 それでもなんとかの説得の上、頑固な一厘を説得することに成功した。 『もしそんな噂が広まったら破輩先輩にどやされますよ』と、言ったらすんなりと納得してくれたのだ。 「あ、この部屋ってシャワーつきなんだ……でも着替え持ってきてないから。いいかな」 部屋に入ってみるとそこはまさしくカラオケボックスと同じような作りになっていた。 奇妙にも設置されてある、部屋の奥のシャワーとダブルベッドを除いて。 (おいおいおいおい!! 何が仮眠用のベッドだよ!! めっちゃ手の凝った作りじゃねえか!) 湖后腹の心臓が激しくビートを刻む。もはやこのまま勢いで……なんて事にはならないだろうかと心配した時。 ピンポーンと、チャイムの鳴る音が聞こえてきた。 それは受付時に頼んだ食事を店員が運んできてくれたのであった。 テーブルに並べられた幾かの食事。その大半は湖后腹の頼んだもの。 「よく、そんなに食べられるわね……」 ひと通り食事が並べられたところで一厘が呆れながらも訪ねてきた。 「え? ま、まあこんぐらいでも腹八分目ってとこですよ!」 実際は嘘だった。 ただこうでもしないと間が持たない。 密室で女子と二人っきりになるだなんていうサプライズは湖后腹にとって刺激が強すぎるのだ。 「ま、いっか。そいじゃまーーいただきまーす」 一厘が頼んだのはシーフードサラダとオレンジジュースだけ。それに引き換え湖后腹が頼んだものは肉……肉……肉。もはや肉料理オンリーで埋め尽くされていた。 ガツガツガツとものすごい勢いで料理を喉に通す湖后腹。 一厘はそれを見ながら、 「“あれ”を見るのは食べ終わった後でいいよね……?」 「はい。おそらく、食事中に見れるものじゃないと思うんで」 湖后腹はソファに置かれたアルバムと日記帳に目をやる。今のところまだ中には目を通してないが、恐らく内容は凄まじいものなのだろう。 何せ、殺人集団の一人によって書かれたものなのだから。 しばらくして、一厘が食事を終えた。だが湖后腹の前にはまだたっぷりの料理が残っていてこれを全部食べ終えるにはまだ時間がかかりそうだった。 「私は待ってるから、早く食べ終えてよね。そ、その一人で見てろなんて言わないでよ!」 「はいはい、わかってますよ」 苦笑いしながら湖后腹は思う。 もう少し考えて料理を頼むべきだったと。 それは肉料理ばかりのせいで、三品目でもう胃がもたれて来たのだ。 「はぁ……キツイ」 パンパンになった腹を苦しそうにさする湖后腹。 気がつくと一厘が食べ終えてからもう十分が経過しようとしていた。 普段ならここで、『なにやってんのよ、ばかじゃないの?』という一厘の毒舌が飛んでくるのだが―――― 「!!??」 コトン、と一厘が湖后腹の右肩に頭を乗せてきた。 一瞬止まった思考を再起動作さて湖后腹は確認する。 「あ、あの一厘さん!?」 返事はない。代わりに聞こえてきたのはかすかな寝息だった。 「スーー、スーー」 (寝ちゃってる……どうするよこの状況) 今日の一日で、一厘は様々な感情がかき回されて相当疲れたのか。 その寝顔は可愛らしくも、少々悪夢にうなされているようにも見えた。 このままでは料理を食べることもできない。 そう判断した湖后腹はそっと一厘の身体を元の体勢に戻させる。 しかしまたしても一厘の頭が湖后腹の右肩に乗ってきた。 このままソファーの上で横にさせるのも考えたが、さすがにこのあまり柔らかくないソファーの上で寝かせるのは男としてどうかと思う。 「頼むから起きないでくださいよ……」 そう言って、湖后腹は一厘の首の後と両足の太ももの後ろに手を回りこませる。 所為、お姫様抱っこというわけだ。 一厘の身体は思っていた以上に軽く、ベッドまで運ぶのはさして困難ではなかった。 問題なのは途中で一厘が目を覚まさないかということ。 もし、そんな状況で目を覚まさせられたら、先日の鉄枷の二の舞だ。 そっと、そっと、割れ物を扱うかのごとく慎重にベッドに寝かせる。 結局、手を離す瞬間まで一厘が起きることはなかった。 (―――――ふぅ) そっと胸を撫で下ろす湖后腹だが、そこであることに気づく。 そう、一人残された自分と、そのままの二冊の本のことである。 「しゃーない。俺一人で見るか」 頭をボリボリと掻いて湖后腹はベッドに腰をかける。 先ほどのソファーの方で見ようかとも思ったが、目の前の料理をこれ以上見たくなかったのと、あの位置からだとグッスリと眠っている一厘のスカートの奥を思わず見てしまいそうだったのでここにした。 「さて……と。始めるとしますか」 まずはアルバムから目にする。 一ページ目に映されているのはどれも真っ黒な写真。否、マジックでグチャグチャに塗りつぶされた写真だった。 塗りつぶされていない日付が写っているのを見ると今から一年前の日付となっていた。 その後も二ページ、三ページとペラペラめくっていく。だがどれも似たようなものばかりでその写真の内容がどのようなものかを把握することはできなかった。 だが最後のあたりのページでようやく塗りつぶされていない写真を見つけた。 だが、それほど見なかった方が良かった思う写真はないだろう。 何せその写真は、『あの地下室』で拷問から殺害までの経過が映し出されていた写真だったのだから。 七割は血の海、そしてもう三割は痛みにもがく能力者の顔だった。 (―――――うぇ!) 湖后腹はそれを思いっきり放り投げると、洗面所に向かった。 そして、抑え切れない吐き気をそのまま洗面台にぶちまける。 (はぁ……はぁ……はぁ……狂って、やがる……) 酸っぱいものが口中に充満して気持ちが悪い。 湖后腹は何度かうがいをしてまたベッドの方へ戻った。 一厘はまだ眠っていた。 できるなら立場を逆転させて欲しい思ったが、それでも次は日記帳に手を掛ける。 先ほどのようなことがあったので今度は慎重に一ページ目を開く。 5/22 今日、妊娠検査薬を使ってみると私は妊娠していることが判明した。 ようやく彼との間にできた子供。この子を私は立派に育てていきたい。 一ページ目に数行という随分贅沢な使い方だが、これといって変わりのない女性の日記のようだった。 湖后腹は次のページをパラパラとめくって読み進めていく。 11/14 ついに来月で妊娠6ヶ月だ。お腹は膨らみ、私の赤ちゃんはたまに内側から蹴ってくる。 それを感じるたび、私は彼と笑いあった。 今の私はとっても幸せだ。 …… 12/23 私の弟からプレゼントが届いた。 レベル4の弟が私にくれたのはこれからのための育児キット。 こんなレベル0の私だが別け隔てなく接してくれるそんな弟が私は大好きだ。 明日は彼とドライブの約束をしている。はやく寝なくては。 そのあとは何ページか空白のページが続いた。 何故こんな途切れ方をしているのか不思議に思う湖后腹。 そうして、十ページ目で日記は再開されていた。 2/3 気がつくと私は病院にいた。 そこで、気がついたのはボロボロになった体と、すっかりとしぼんだお腹。 クリスマスイヴの日、私は無能力者狩りに遭い、お腹の中の子を流産させられたらしい。 彼も今意識不明の重体に追い込まれた。 ここまでした能力者の顔を私は鮮明に覚えている。 絶対に見つけ出して…… そこで言葉は止まっていた。 そして次のページには、 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す そんな言葉でぎっしりと埋め尽くされていた。 湖后腹はさっきとはまた違った恐ろしさに目をそむける。 (これは、“元”アヴェンジャーのクイーンって奴が書いたもんなのか……?) 3/25 私はあの能力者を見つけ出すため、『アヴェンジャー』を結成し、各地で能力者狩りを始めた。 情報はあまり集まってこない。 だが『奴』から受け取っていたこのキャパシティダウンさえあればどんな能力者だって潰せるから心配はいらない。 すぐに見つけ出して、息の根を止められるはずだ。 …… 4/9 ついにあの3人組の能力者をひっ捉えた。 このクズどもは凝りもせず『無能力者狩り』を行なっていたらしい。 すぐには殺さない。タップリと地獄を味あわせてから最後に惨たらしい殺し方をしてやる。 それからは延々と拷問の記録が書かれ続けていた。湖后腹はそれをまともに直視できない。 『むにゃむにゃ……ごめんなさい形製さん……今日も遅れまふ……』 そんな時、隣りで一厘の寝言が聞こえてきた。その気楽さに羨ましく感じながらも、少し和んだ湖后腹はなんとか続きを読む。 4/19 今日、ついに三人組の中の一人が死んだ。死体はとりあえずそのままにしておいた。 ああ、なんて今日は気分がいいのだろう。 …… 4/20 私は久々に能力者狩り以外の用事で外に出た。とても日差しが気持ちい。 きっと、天国の赤ちゃんが私によくやったといってくれているのだろう。 そのままブラブラしていると私は二人の少年に声をかけられた。 一人は小学生の少年。もう一人は黒と金のツートンカラーの髪が目立つ高校生ぐらいの男だ。 小学生の少年が言うには、なんでも『わるいやつらにさらわれたオネエちゃん』を探してるだとか。 私はそれとなく少年とその姉の名前を聞いてみた。 私はここに戻ったら大爆笑した。何故ならその少年が探している姉とはつい昨日ぶっ殺したクソアマだったんだもん。 ザマァみろ。 …… 4/29 最近『暴食部隊《マンイーター》』とかいう組織が私達のことを嗅ぎまわってるらしい。 もしも戦闘になったとしたら、こちらには大きな被害が出るだろう。 そろそろこの隠れ家を変えて違う学区に拠点を移したほうがいいかもしれない。 …… 5/6 新しい拠点となる物件を探すため私はまた外に出かけた。 すると数日前に出会ったあの二人の少年にまた出会ってしまった。 偶然にしてはでなにかうま過ぎないか。 …… 5/13 ついに次の拠点が決まった。 明日の午後7時に出れるよう準備で忙しい。 そして、拷問してた残りの二人も昨日ようやく死んだ。 引越し前に余分なゴミが消えて嬉しい。 …… 5/14 まさか今日、能力者の襲撃に遭うとは思はなかった。おそらく下の階は地獄と化している。 今隠れながらこれを書いてる間にも六人の襲撃者は私を殺そうと躍起になって探しているんだろう。 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ 嫌だ、 嫌だ、 嫌だ、 嫌だ 嫌だ嫌だ 死に たく は な い そこから先は、何も続きが書かれていなかった。 五月の十四日と言うと、アヴェンジャーが潰されたとされている日。 この日記と一致していた。 「何なんだよこれ……」 湖后腹は気味が悪くなって、日記を閉じようとした時。 最後の日が記されているページをよく見ると、靴に踏みつけられたような跡が残ってることに気づいた。 本来ならそれだけの話で済むのだが、この靴の跡はどこかで見た覚えがある。 と、いうより。 「――――!!」 湖后腹はとっさに自分の靴の裏側を見る。 そう、この靴の跡は、風輪学園指定のローファーのものだった。 ここに来て大きな手がかり。 そしてクイーンの残した『私達は名を奪われた』というのは―――― (そうか……そうか、そういうことだったのか!!) 湖后腹は立ち上がると、近くで寝ていた一厘の身体をさする。 「起きてください一厘さん! わかりましたよ “元”アヴェンジャーと今活動しているアヴェンジャーの繋がりが!」 「ん~~……むう?」 一厘は寝ぼけまなこで湖后腹を見つめると、 「もうどこ行ってたのよ~~、私の『ハグハグくまさん』~~」 ベッドに押し倒す様な形で思いっきり抱きついてきた。 『ハグハグくまさん』とは今女子の中で流行の抱きまくらで、それを湖后腹と勘違いしているらしい。 「え!!?? ちょ、ちょっと何やってるんですか!?」 湖后腹はそれをすぐ引き離して考える。 これは単なる寝ぼけなのかそれとも、 (もしかして……) 一厘からほのかなアルコールの匂いが香ってきた。 まさかと思い、先ほど飲んでいたオレンジジュースを確認すると 「……これ、チューハイじゃねえか!」 急いで中身を破棄して一厘の様子をもう一度確かめる。 「う~~ヒック。あれ……空がなんか、回ってるよ?」 その姿はやはり寝ぼけているというより、酔っているといった方が正しかった。 チューハイがいくら酒の部類に入ると言っても焼酎などと比べてはアルコール度数は数%と明らかに少ない。 それをコップ半分程度飲んだところでここまで酔うとは、どれだけお酒に弱いのだか。 「はあ……どうしたものか」 さっきまでのシリアスな雰囲気から一転。すっかりと空気が変わってしまった。 これじゃわざわざ話しても一厘は覚えてはいないだろう。 「仕方ない……ここはあの人に」 だから、湖后腹はある者に電話をかける。自分の支部のリーダーたる破輩に。 何度かのコールのうち、ようやく電話がつながった。 『もしもし、どうだった湖后腹。何か分かったか?』 「はい。“元”アヴェンジャーの隠れ家からある物を見つけました」 『なんだそれは?』 湖后腹は話す。 壁に埋まってたフォトアルバムと、日記帳のことを。 そして、その内容も包み隠さずすべて伝えた。 『なるほど……で、それが今この学園ではしゃいでる、アヴェンジャー《バカども》と何が関係してるんだ?』 「それは、足跡ですよ」 『足跡?』 「日記の最後のページに、誰かが踏みつぶしたかのような跡が残っていました。その足跡は風輪学園のローファーと同じ型だったんです」 『!!』 破輩の驚愕する顔が電話越しにも伝わってきた。 「そしてクイーンの残した言葉『私達は名を奪われた』とは、つまり……」 湖后腹が結論を言う前に、破輩が口を開いた。 にわかに信じがたいので確認のため自分が言いたいといった感じで。 『要するに、“元”アヴェンジャーを潰したのは風輪《うち》の生徒で、その目的は『アヴェンジャー』という名前を奪うため。そして、今その名で私達の学園を荒らし回っている……ということか』 「そうです」 『可能性としては無くはないが……私は自分で見たものしか信じないからな。明日にでもその二つ見せてくれ』 わかりま……、と言い掛けて湖后腹は口を止める。 「明日……ですか? どうせ俺今から支部に戻るんで、今日中に目を通したほうがいいんじゃないですか?」 『はぁ? 今何時だと思ってる? 私はとっくに寮に戻ってるつーの!』 湖后腹は携帯で時間を確認すると時刻はもう十時を過ぎていた。 確かここに来たのは八時。もう何だかんだで二時間が経過していた。 「げっ!! もうこんな時間っすか!? やっべ……バスあるかな」 『安心しろ、塾に通ってる生徒のために夜でもバスが通ってるところはある。それに第七学区をまたぐことになるが、走って帰ることもできるだろ』 「走って……って、何時間掛かるんですか!? いいです、今からバス停に行くんで!」 湖后腹は持ってきたバックの中にフォトアルバムと日記帳を詰め込み、身支度をする。 『そう言えば、一厘はどうした。お前と一緒同行してったんじゃないか?』 「ああ、一厘さんなら――――」 湖后腹は急いでたので、現状のままを破輩に伝えてしまった。 それが、大きな誤解を招くとは気づかずに。 「俺の隣で寝てますよ」 返事はしばらく返ってこなかった。 「……あれ、どうしたんですか破輩先輩?」 『湖后腹……ことと場合によちゃあ、お前を務所にぶち込まねえといけねえかもなぁ……』 破輩の、背筋まで凍るかのようなドスを利かせた声が耳元に響く。 そこで湖后腹は初めて自分の失言に気づき、 「え、いやいやいや!! それは誤解です!!」 『明日会うのを楽しみにしてるよ? ……その時じっくりとお話しようか。湖后腹君』 その呟きを残して電話は切れた。 ツーー、ツーー、ツーーという電子音がやけに長く聞こえる。 「あぁぁぁ!! 最悪だ!! 殺される、まじで破輩先輩に殺される!!」 壁にガンガンと頭をぶつける湖后腹。 その音で酔いから覚めた一厘が飛び起きた。 「ん……なにやってんの湖后腹君…… ――――って、もうこんな時間!? なんで起こしてくれなかったのよ!」 「ええい、誰のせいだと!! とにかくここからさっさと出ますよ!!」 湖后腹は半ばヤケクソ気味に部屋を飛び出す。 「ええっ!? ちょっと、待ってよーー!」 それを追いかける一厘。 夜空の下、二人の男女がバス停をゴールとする追いかけっこを繰り広げる。 すれ違う者たちからは『爆発しろ!』なんて声が嫉妬混じりで聞こえてきた。 こんな状況にどこに妬む要素があるといのか、と湖后腹は考える。 「ちくしょーー!! ああ、もう最悪だーー!!」 そう、湖后腹にとってこの状況は“不幸”のなにものでもなかったのだから。 次の日、湖后腹は破輩のよって徹底的に制裁《おしおき》された。 本当ならば一厘が弁明してくれるはずだったのだが、飲んだ酒によりその日は二日酔いでダウン。 携帯にすら出てくれなかったので、確認のしようがなかったとか。