約 4,150,960 件
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/8725.html
autolink() CS/S28-098 カード名:のばされた時間 カテゴリ:クライマックス 色:青 トリガー:本 ジャンケンマーク:チョコビ 【永】あなたのキャラすべてに、パワーを+1000し、ソウルを+1。 (本:このカードがトリガーした時、あなたは1枚引いてよい) 又兵衛「お前の言う通り、 最後にそれを使わないでよかった。 きっと姫様も同じことを……」 レアリティ:CR 14/04/09 今日のカード。 ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 男の約束 しんのすけ 2/2 8000/2/1 青
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/7742.html
autolink() GG/S23-096 カード名:隠された真実 カテゴリ:イベント 色:青 レベル:2 コスト:2 トリガー:0 あなたは自分の山札を見て《パイロット》?のキャラを2枚まで選んで相手に見せ、手札に加え、その山札をシャッフルする。 国際法に反する、 非人道的な人体実験の数々が明らかになりました レアリティ:C illust.
https://w.atwiki.jp/kokigame/pages/99.html
十六夜の花嫁 112 :名無したちの午後[sage]:2007/03/16(金) 07 19 38 ID 2Ibm8Fwh0 ほぼ全キャラに手コキ標準装備と聞いて十六夜の花嫁を買おうと思ったら何処にも売ってねぇ 113 :名無したちの午後[sage]:2007/03/16(金) 10 52 53 ID Y7c8/MPCO アレは中古市場でも値が高い 944 名前: 名無したちの午後 投稿日: 03/09/12 00 38 ID luVsIFe2 十六夜の花嫁かなりそそるシーンが多いよ。 フェラ、パイズリ、手コキ多めで射精シーンも多め。 919 名前: 名無したちの午後 投稿日: 03/09/07 23 31 ID IFZznAwB 十六夜の花嫁(ミンク)はほぼ全キャラに手コキが標準装備だよ。俺的には結構気に入ってるんだが、あんまり話題が出ないな。 関連レス
https://w.atwiki.jp/sakesake/pages/46.html
キャラ名:惨殺された花嫁 IN時間:21:00~25:00くらい。 仕事の都合でかなり変動あり。 兵科:使用武器 PM:Uzi AR:AK74 AK47 SR:SV98 サイドアーム: Beretta 92FS 稲吉・・・紋所検索したらこんなのでた。
https://w.atwiki.jp/gundamwarnexa/pages/2436.html
閉ざされた光 [部分編集] 第7弾 COMMAND 07D/C BK057U 2-黒1 (常時):敵軍キャラ1枚のプレイを無効にし、そのカードを廃棄する。 対抗 黒-V 黒には初となるカウンターコマンド。 対象はキャラのみと、本質は黒が得意とするキャラ破壊に近い。 アンタッチャブルで効果が通り難かったり、場に出た際に起動する効果をあらかじめ阻止する場合に有効。 しかしカウンターの常として、場に出たカードに対しては何ら効果が無い為、扱いが難しい所。
https://w.atwiki.jp/yumina/pages/221.html
[部分編集] 拘束された心 Lv 回数 オーディエンス値 ステータス変動値 必要 変動+リミット変動 [対象]心攻 分類 アクティブスキル 1 18 0 0 13 0 +4 +4 -13 +8 +1 -17 スキル種別 パラメータ変動 2 21 +6 +6 -21 +12 +2 -54 必要行動ポイント ■□□□□ 3 30 +9 +9 -30 +17 +3 -122 対象 相手任意 4 17 41 +12 +12 -41 +23 +4 -216 発動タイミング アクティブ 5 53 +16 +16 -53 +30 +5 -338 発動条件 ―― 6 66 +19 +19 -66 +37 +6 -486 効果継続時間 5ターン 7 16 82 +24 +24 -82 +46 +7 -648 支持率変動値 +6% 8 100 +29 +29 -100 +56 +8 -851 必要支持率 0% 9 121 +34 +34 -121 +67 +9 -1080 入手方法 ドロップ、購入 10 15 145 +41 +41 -145 +80 +10 -1350 必要アビリティ 冷徹な瞳 備考 付与スキル リトリート(オーディエンス×1.25) 詳細 敵任意を対象として心理攻撃力を下降させるスキルアクティブ行動を用いて使用されるこのスキルは効果も大きく、一定ターンの間効果が持続する
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/215.html
コトノハ 第7話『殺されたがり』 みっちゃんを闇に取り込み、ゲラゲラと笑い転げるもう一人の初。私は湧き出す殺意を抑えきれず、怒りに身を任せて決意した。 「お前だけは.......此処で殺すッ!!!!」 「出来るものならやってみなよ、アハハハッ!」 「うあぁああああああああ!!!」 瞳を赤く染め、殺意と怒りを込めた右手の拳を振り上げながら叫ぶ。 「消え失せろぉおおおおおおおおおッ!!!」 ギュンッ、と空を斬るような音を立てながら、私は初目掛けて勢いよく拳を振り下ろした。しかし、初は微動だにせずそれを片手で受け止める。 「なッ.....!?」 「...甘いんだよ。」 二タッ、と笑ったかと思うと、初は私の拳を掴んだまま思い切り力を込め始めた。 「うっ!?ぐ、あぁあッ!?」 「ハハハ.....折れろ!!」 初の指が私の拳にめり込み、バキバキと骨を砕いていく。赤い血が滴り落ち、やがてべキィッ!という音と共に手首ごとへし折られた。 「があぁああぁああぁあッ!!??!?」 「アハハハッ.....!痛そ〜!」 激痛に耐えきれず、私は地面に倒れ伏す。必死に手首を押さえるが、血は止まらなかった。 「初ちゃん!!」 「行こう、皆!初を助けるんだ!」 そんな私を見て、とうとう耐えかねた皆が一斉に教室を飛び出しグラウンドに集結する。 「来ちゃ、駄目.....だっ.......皆............!」 私は痛みに抗いながら叫んだけど、皆は止まろうとしなかった。 「初ちゃんを.....みっちゃんをよくも!!」 「あたしが行く.....!《女児符号・暁天-ガールズコード・ライジング-》!!」 旭の身体から、眩い光が放出される。その光は徐々に旭の両手に集まっていき、まるで太陽のように巨大な光球が出来上がった。 「はーーーーーーーーーッ!!」 旭はその光球を初目掛けて勢いよく撃ち放つ。地面を、そして空気をも焼き焦がす程の熱と光が、初の放つ闇を掻き消した。 「チッ.........!」 初は咄嗟に攻撃を避け、私達の手が届かない高い所へと移動した。 「また邪魔者が入った.....めんどくさいから殺すのは今度にしてあげるよ!」 そう言い残し、初は姿を消した。私は追いかけようとしたけど、既に身体が限界を迎えていて立ち上がる余力すらも残っていなかった。 「初ちゃん!大変、手が.....!」 「誰か包帯持ってきて!消毒液も!」 「大丈夫、私に任せて。」 群がる皆の間に分け入り、玲亜がやってきた。 「玲亜.....」 「無理しちゃって........《女児符号・慈愛空間-ガールズコード・Affection Space》。」 玲亜がそう唱えると、ドーム状の光が私の身体を包み込んだ。ぐちゃぐちゃになった傷口を光が包み込み、手首から指先までゆっくりと修復していく。 「.........!」 しばらくして、私の手は完全に元通りになった。手首や指を何度か動かしてみても、全く痛みはない。 「どう?大丈夫そう?」 「......うん、大丈夫..........ありがとう........」 玲亜が生み出した空間の中に居ると、さっきまで殺意に満ちていた心もだんだん穏やかになっていく。私が完全に落ち着くまで、玲亜はずっと見守ってくれていた。 ................................. ............... 静まり返る教室。みっちゃんが居なくなり、クラスの雰囲気はかなり寂しくなった。 「........私のせいで.............」 私は机に顔を伏せ、必死に涙を堪えていた。あの時、もっと早くにみっちゃんを助けていたら.....私の力不足のせいで、みっちゃんは...... 「初ちゃん。」 耳元で声がして、ゆっくりと顔を上げる。隣の席に、玲亜が座っていた。 「.......玲亜.............」 私をじっと見つめ、優しく微笑む玲亜。堪えきれなくなった私は、ついにボロボロと泣き出してしまった。 「.....ごめん....っ......ごめんなさい.......!ごめんなさい.........!!」 「大丈夫......怒ってなんかないよ。」 玲亜はハンカチで私の目元を拭き、ポンポンと頭を撫でてくれた。 「初ちゃんは一生懸命みっちゃんを助けようとしたんでしょ?私はちゃんと見てたよ。」 「でも.......私、結局..........」 「あいつも言ってたでしょ?アタシは最強だ、って。ずっと一緒に居たから分かる、そう簡単にはくたばらないよ。あの筋肉バカは。」 玲亜はいつにも増して冷静だった。親友のみっちゃんがやられて誰よりも辛い筈なのに、決して取り乱さなかった。......私とは、大違いだ。 「旭ちゃん、これからどうする?私は、やっぱりちゃんと作戦を考えなきゃいけないと思うんだけど。」 「そうだね、次は絶対負けないように作戦会議しよう。皆、まだ諦めちゃ駄目だよ!あたし達が全滅しない限り、絶対に勝てるんだから!」 旭がそう言うと、さっきまで沈んだ顔をしていた皆も顔を上げて頷いた。 「皆..............」 「初ちゃんはどうする?」 再び私に向き直り、玲亜が問いかけてくる。 「.............私は」 力への恐れ、あいつへの憎しみ。また暴走してしまうかもしれない。正直、怖い。それでも、皆が希望を捨てずに戦い続けるのなら。 私の答えは、たった一つだ。 「......戦うよ、最後まで。私はもう、絶対に諦めない。」 「あいつの力は初ちゃんと同じ、言ったことを現実に引き起こす力.....それを打ち消せすには、初ちゃんの力が一番有効だよね。」 「あたし達の技で対処しきれない技を撃ってくる可能性もあるからね.....そういう時は、技を無効化しろーって初ちゃんが言えばどうにかなるんじゃないかな?」 確かに、私が「初の技を無効化しろ」と言えばそれで解決するだろう。しかし、何度も通じるわけではない。一度防がれても、次は必ず何かしらの対策をしてくるはずだ。 「相手への攻撃はどうする?さっきの戦い、ほとんどあいつにダメージ入らなかった.....防戦一方でも勝ち目はないよ。」 「何であんなに強いんだろうね、もう一人の初ちゃん.....」 「......あいつ....もう1人の私には、“恐れ”がない。だから『言刃』の効果も大きいんだ。『言刃』は自分の精神状態に影響される.....自分の力への恐れを捨てきれてない私と、完全に恐れを捨て切ったあいつでは、力の効果が全然違う。」 「初ちゃんは、自分の力が怖いの?」 「怖いよ.....この力を使って起きたことは、後から修正が効かないんだ。もし相手を殺してしまったら、『言刃』を使っても生き返ることはないんだよ。」 丸菜の問いにそう答えながら、また思い出してしまう。あの日、私がしてしまった事を。 「なるほどね....それは確かに怖くなるのも当たり前だよ。」 「あいつは、私が『言刃』の真価を発揮するのを待ってるんだ。皆を傷つけることで、私を焚きつけて.....そして..........」 私はもう一人の初が言っていたことを思い出した。 「本気で私を殺そうとする相手と戦いたい」 あの子は、自分を殺せる程強い相手と戦いたいのか。 それとも.....誰かに殺されたがっているのか。 そう考えると、あの子には何か事情があるのかもしれないと私は思った。 「..........ごめん。私、ちょっと行ってくる。」 「行くって、何処に?」 「もう一人の私を探しに。戦いに行くんじゃない、少し話がしたいんだ。」 「だったら私も行く。」 玲亜が立ち上がってそう言った。 「玲亜.....」 「多分、話し合いだけで済むとは思えないし。また初が怪我したら大変だから、念の為の付き添いだよ。」 私の肩に手を置いて、玲亜は力強く頷いた。私も頷き返し、玲亜と一緒に教室を後にする。 「待って!」 すると、旭が私達を呼び止めた。 「旭?」 「もし......もし、危ないと思ったらすぐに逃げてね!二人ともだよ!」 「.......分かった、危ない真似はしないよ。ね、初ちゃん。」 「うん、出来るだけ.....ね。旭、引き続き皆をよろしく。」 「うん.....待ってるからね、無事に帰ってくるのを.....」 私達は同時に頷き、もう一人の私を探しに向かった。 ................................... ................. 「はぁ......はぁ..........」 流石に、力を使いすぎた。一人潰すだけなのに、かなり無駄な労力を使った気がする。 「手こずらせるなぁ.....思ったよりも.......」 私の名は、音羽 初。 .......向こうからすれば、もう一人の自分に見えているだろうけど、それは違う。私も、あいつも、同じ“音羽 初”という一人の人間だ。 でも、私とあいつでは違うところが三つある。 髪の色、瞳の色。そして、『言刃』に対する恐れがあるか否か。 私は“否”の方だ。『言刃』の力は無限大、この力さえあれば何だって出来る。抵抗を抱く理由なんて何処にもない。 それなのに、あいつは恐れている。自分の力を......だから私を殺せない。不完全で中途半端な力でしか戦うことが出来ない。 「あいつが恐れさえ克服出来れば.....あいつは私を殺せるのに..........」 あいつの友達を傷つけるだけじゃ、足りないのかもしれない。それなら、もっとあいつを怒らせる方法があるはずだ。何か別の方法が。 考えろ。あいつが、恐れを捨てて私を殺しに来る方法を。 .................................. .................... ........... 「............そうだ。」 思いついた。あいつを本気にさせる方法を。 これならあいつは、絶対に.......... 「ハハッ....ッハハハハハハ........!これで私は..........やっと...........!!」 私は笑った。呼吸が出来なくなるくらいに。 当然だ。私はやっと............あいつに殺してもらえるかもしれなんだから。 続く
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3595.html
前ページ次ページゼロと魔砲使い 「ね、一体なにがあったのよ」 騒ぎを聞きつけてルイズがこの場に現れたとき、真っ先に反応したのはギーシュだった。 「ルイズ、君の使い魔は正気か!」 「なによいきなり。人の使い魔になんて事言うのよ」 もっとも、続きを聞いたとたん、ルイズも青ざめた。 「決闘を申し込まれたぁ?」 「そうだ! 君の使い魔は、よりにもよって僕に決闘を申し込んだんだ!」 付いてきたキュルケとタバサも絶句する。 「ちょ、ちょっと、なのは! 一体なにがあったのよ! 平民が貴族相手に決闘を申し込むなんて! 冗談抜きに死んでも文句言えないのよ!」 「勇気と無謀をはき違えるのはよくないわよ」 キュルケもさすがに見過ごせずに忠告する。 だがなのはの返答は二人の予測を超えていた。 「ご主人様。そんなに自分が、自分の呼んだ使い魔が信用できませんか?」 ルイズの目がまん丸になった。 キュルケは思わず杖を握りしめてしまった。 その影でタバサの目が、学院では決してみせることの無かった光を放っていた。 そう、彼女の雰囲気は一変していた。 なぜだか三人は三人とも、目の前にいるのがメイドではなく、王に仕える騎士に見えてしかたがなかった。 「ルイズ、頼むから言い聞かせてくれ。いくら決闘を申し込まれたからと言ったって、女性に手を上げるわけにはいかないじゃないか」 「そうよなのは。なにがあったかはとにかく、わたしはあなたが傷つくところなんか見たくないわ!」 ルイズは思い出す。昨夜、彼女は言った。自分はむしろ護衛の方が得意だと。 軍に近い組織にいたとも。 おそらく、普通に戦えばギーシュに勝つのは簡単なのだろう。だが彼は。 当然のことながら、ルイズはギーシュが得意とする魔法を知っていた。一対一の決闘では、そう易々とは勝てない、ある意味卑怯とも言える彼の魔法を。 「あのねなのは。ひょっとしたらあなたは見た目によらず強いのかも知れないけど、それでもメイジに、貴族に挑戦するのは無謀すぎるわ! わたしみたいのならともかく」 ルイズは必死に説得する。 「たとえドットのメイジでも、平民とは雲泥の差なの。特にギーシュの得意な魔法って、腕に自信があったって平民じゃまず勝てないわ。相性が悪すぎるもの」 だがなのはは言い切った。彼女にしては珍しい、傲慢きわまりない言葉で。 「負けませんよ、この程度の相手に」 繰り返すが、元機動六課の同僚がこんな言葉を聞いたら絶対に逃げ出している。なのはが格下相手にこんな言葉を吐くとしたら、それは心底怒っているときしかあり得ない。百歩譲って何か思惑があってのことか。 そしてこの言葉に反応したのはギーシュだった。 さすがにこれは見過ごせない。たとえ相手が女性だろうが子供だろうが、これを無視するわけにはいかない。小さい子供が無邪気に言ったのだとしても尻を叩いて叱るくらいはしなければならない。 ましてや女性とはいえ、れっきとした大人に言われたのなら。 「いいだろう、その決闘、受けてやる! 場所はここではまずいな。残りの仕事が終わったらヴェストリの広場に来たまえ。君の思い上がりを打ち砕いて差し上げよう!」 「なのは!」 ルイズが蒼白になってなのはにすがりつく。これもまた珍しいことだった。今度はキュルケの目が丸くなる。 「嘘……そんなに気に入ったの? あのルイズが人前で弱音を吐くなんて」 そんなキュルケとルイズを、タバサは少し不思議そうに見つめていた。 そしてキュルケにささやき声で聞く。 「親友?」 「悪友よ」 切って捨てるように、それでもどこか微笑みながら、キュルケは答えた。 ヴェストリの広場は、無数の野次馬で埋まっていた。よりにもよってあのゼロのルイズの使い魔が、無謀にもメイジに決闘を申し込んだというのだ。それもあの女には甘いギーシュが決闘を受けざるを得ないほどの侮蔑を受けてのことだという。 そしてその様子を、遠くからマジックアイテムを通じて見ている人物がいた。 オールド・オスマン。この学院の学長である。 その隣には、このことを知らせに来た女性が立っている。ミス・ロングビル。緑の髪も麗しい妙齢の美女である。 「なんとまあ、あのギーシュ・ド・グラモンがおなご相手に決闘とはのう。これはよほどのことを言われたと見えるわい」 「そんな悠長なことを言ってていいのですか? 学長。騒ぎを気にしている教師達から、『眠りの鐘』の使用許可を求められておりますが」 「放っておけ。子供の喧嘩にいちいち秘宝なんぞ使うな、馬鹿らしい」 「では、そのように取りはからいます……学長」 「ん? まだ何かあるかの?」 ロングビルはすっと足の位置をずらした。最後に幾分勢いを付けて踏み込まれたその足が、足下をうろついていたネズミの尾を見事に踏んづけた。 「あぎゃっ!」 奇声とともに尻のあたりを押さえて飛び上がる学長。 「が・く・ちょ・う、あれほど使い魔を使って下着を覗くのはやめてほしいと言いましたけど」 学長はあわてて逃げ帰ってきた使い魔のハツカネズミ、モートソグニルのしっぽを優しくさすっていた。 「むう……さわるのは自重すると約束したから覗くくらいいいではないか。減るわけじゃなし」 「減ります。わたしの心の忍耐という部分が減ります」 「ま、それはそれとして、どうやら始まるようじゃぞ」 そういわれてロングビルもマジックアイテム――『遠見の鏡』をのぞき込んだ。 「ギャラリーも充分集まったようだね。そろそろはじめようか」 ギーシュは待ち人がやってきたのを確認すると、巧みにアピールしつつ宣言した。 反対側からやってくるのは生意気な使い魔、タカマチナノハ。背後からルイズとキュルケとタバサが、介添人のように付いてくる。 先頭を歩くなのはの足取りにはおびえの色など全くなく、知らぬ人が見たらその姿は従者を三人引き連れた女騎士かと思っただろう。 さて、表面上は堂々とかっこつけているギーシュであったが、内心には一抹の、いや、かなり多量の不安が渦巻いていた。 ギーシュも武門の貴族だ。父はこのトリステイン王国の元帥。軍人としては超エリートの家系である。そのギーシュの拙い目でも、相手の女性はあまりにも堂々としていた。 ギーシュは、ギーシュだけは判っていた。 少し時間をおいて冷静になってみれば判ることなのだ。あそこまで露骨な挑発をしたということは、彼女はおそらく自分の勝利を確信している。驕りではなく、事実としてそのことを認識している。 何かまだ隠し球がある、ギーシュはそう睨んでいた。 一方、なのは達は。 「ねえ、本当に大丈夫なの?」 「ご主人様。あたしを、自分の召喚した使い魔を、もっと信じてください」 この期に及んでまだ不安がっているルイズと、それをいなすなのは。 そんな二人を温かく見守るキュルケ。 じっとなのはに注目するタバサ。 「あ、ここまでで。ここからは、わたし一人で」 みんなを後に残し、なのはは前へと進み出る。 ギーシュとなのは、二人の視線がぶつかり合った。 「さて、そろそろはじめようか」 ギーシュはそう言い放つとともに、いつも手にしている造花の薔薇を振るった。 ギーシュが小さな声で詠唱する中、はがれ落ちた一枚の花弁が地に触れる。 そのとたん、まるで大地から生えてくるかのように、見事な造形のブロンズ像が現れた。 ほぼ等身大の人型で、その姿は優美な戦乙女。 これこそが、ギーシュの最大にして得意な魔法であった。 「改めて名乗ろう。僕はギーシュ・ド・グラモン。二つ名を『青銅』のギーシュ。君の相手は、僕の操る、この『ワルキューレ』がお相手いたしましょう」 初めて見たものはギーシュの造形の確かさと、ワルキューレの動きのなめらかさに驚嘆し、よく知るものは「うお、本気かよ」「いくら何でもやり過ぎじゃ」などと意見を交わしていた。 そして当事者のなのはは。 「見事ですね。確かにこのままでは勝てそうにありませんわ、ご主人様の言ったとおり」 「今ならまだ降伏を認めるよ」 一見弱気なことを言うなのはにすかさずギーシュが合わせる。もっともギーシュも、そんなことはないと判っている。 彼女のことだ。このままではない何かがあるのだろう。 「わたしも、本気で行かせていただきます」 そういうと、彼女は首からさげていたペンダントのようなものを手にした。よく見ると、それには真球と思われる真紅の貴石が付いている。 それを左手で持つと、その手をすい、と真横にのばした。 「風は、空に」 そしてその手をすっと真上に上げる。 「星は、天に」 次の言葉と同時に、その手はまっすぐ前方へ、腕を伸ばしたまま下ろされていく。 「輝く光はその腕に」 続いて伸ばしていた手を胸の前に持って行き、貴石を親指と人差し指でつまむように持つと残りの指を握り込んだ。 「不屈の心はその胸に!」 彼女の言葉とともに、ぼんやりと光を放ちはじめる貴石。 ギーシュだけではない。ルイズも、キュルケも、タバサも、まわりの観客も、そして遠見の鏡でその様子をうかがうオスマンとロングビルも。 なのはの一挙手一投足から目が離せなくなっていた。 そしてなのはは、最後の、そして決定的な言葉を口にした。 胸に当てた手を勢いよく側方に突き出すとともに、 「レイジングハート、セット・アップ!」 「Stand by Ready, Set-Up」 なのはの声とともに、貴石にほんのりと文字が浮かび、どこからともなく女性のものらしき声が響く。 そう思った瞬間、貴石は爆発したかのような強い光を放った。 あまりの光量に、その場の全員の目がくらむ。そのほんのわずかの間。 いち早く視力を回復したルイズは、目に飛び込んできた光景に唖然とした。 それは彼女に限ったわけではない。全員がそうであった。 なのはの姿は先ほどまでのメイド服と一変していた。 サイドポニーからツインテールに変わっている髪型。 白をベースに、青い縁取りのされた服。類似するものが思いつかない斬新な形態の上着に短めのスカート、そしてそれを取り巻く鎧のように、一回り長い覆いが前方のみを開ける形でついている。 だが、何よりも目を引いたのは。 先端に巨大な真紅の貴石をまるで浮いているかのように取り付けている、長大なまでの『杖』。 なのははそれを左手で軽々と振るうと、とん、と自分の左側に突き立てた。 「な、なのは、あなた、メイジだったの? 貴族だったの?」 ルイズが声を震わせながら問いかける。なのははいつもと変わりないまま答える。 「わたしは魔導師ですけど貴族ではないですよ。ほら、杖は持っていますけどマントはしていないでしょ?」 そう答えつつも、その脳裏には金髪の親友がバリアジャケットを纏った姿が映っている。 (フェイトちゃんがこっち来て変身したら、絶対貴族だと思われちゃったね) ちなみに親友の変身後の姿には、杖とマントが付属している。 (確かに。それとマスター) (なに? レイジングハート) みんながあっけにとられている間、なのははレイジングハートと念話で会話している。 (モード変換と同時に、左手の紋章が発動いたしました。そのため、この紋章との間に擬似的なコンタクトが成立。具体的な能力がある程度判明いたしました。とりあえず現状問題はありません。詳細は後ほど) (ん、今はこっちに集中しないとね) そしてなのはは、改めてギーシュと視線を合わせ、少し胸を張ると、高らかに名乗りを上げた。 「時空管理局本局武装隊、航空戦技教導隊所属戦技教導官、高町なのは一等空尉、参ります」 ただの平民だと思っていた使い魔の変わりっぷりにルイズがおたおたしている脇で、キュルケは隣の親友の様子が少し変なことに気がついた。 「どうかしたの、タバサ」 「あの人、たぶんものすごく強い」 キュルケは親友の口調が、また固くなっていることに気がついた。 ちょっとヤバい方に気が行っている印だ。 「よく判るわね」 それをそらすべく話題を振る。固いままであったが、返事は打てば響くように帰ってきた。 「彼女、教導、っていった」 「言ったわね」 「ねね、それってどういう意味なの?」 タバサの言葉にルイズまで食いついてきた。キュルケはしめしめと思いつつするりとルイズに合わせる。ちなみにキュルケは教導の意味を知っていたが、そんな様子はおくびにも出さない。 「わたしにも教えて」 「簡単に言えば、教官の先生」 「教官? 軍の?」 「そう。先生に教えられるような人、つまり」 そこでタバサは不動の構えを取るなのはをじっと見つめる。 「所属する軍の中で、上から数えた方が早いくらいの腕利き」 「騎士隊長クラスって事ね」 「団長クラス」 キュルケの相づちを、タバサは訂正した。 「さて、ギーシュ君」 あっけにとられたまま、戦うことも忘れていたギーシュになのはは声を掛ける。 「今のうちに言っておくけど、それ一体きりじゃ、あなたの勝ち目はゼロよ。そうね……たぶん後六体くらいは出せると思うんだけど、さすがに操りきれない?」 「な、何故判った」 つい真面目に答えてしまうギーシュ。 「確かに僕の最強は七体のワルキューレによる一斉攻撃。でも何故それを」 「ふふ、答えはその薔薇よ。見たところ後六枚花弁が残っているから」 「く……その通りだ」 渋々認めるギーシュ。 「けど、あなたに魔法が使えると判ったからには、掛け値なしに全力で掛かりますよ」 そして再び造花の杖を振るギーシュ。 それに合わせて、六体のワルキューレが出現した。 「なら、一つだけこちらもあなたに合わせてあげる、ていうか、そうじゃないと決闘にならないし」 「なにを?」 聞くギーシュに対して、なのはは軽く杖を動かした。彼女の体が、ほんのわずかだが、ふわりと浮き上がる。 「これ以上高くは飛ばないようにするからね。あなたのワルキューレ、飛べないでしょ?」 図星であった。相手に飛ばれたらワルキューレの戦闘力は激減する。 「じゃ、はじめようか」 その後の光景は信じられないものになった。 なのはは超低空飛行というか、ホバリングしたような状態でゆらりゆらりと、立ちポーズを崩さずに移動する。ただそれだけなのに、七体ものワルキューレの攻撃がことごとく空を切る。 「もったいないなあ」 攻撃をよけつつ、なのはは言った。 「これ、すごい能力だよ。造形、召喚速度、操作。どれをとっても一流だと思う」 ギーシュは答えない。答える余裕がない。 「でも、わたし、よけるのは苦手なのに、それでもよけられちゃう。連携がダメダメ」 なのははワルキューレのパンチや体当たりを、巧みに時間差の機動でかわす。 「動きも画一的だし、陣形もおざなり。せっかく数の優位があるのに、これじゃ意味なしだよ」 そういうと彼女は、一度距離を取って静止した。 「……どういうつもりだ?」 ギーシュがいぶかしげに言う。対するなのはの答えは。 「ちょっと考え直さないと全然意味ないよ。仕切り直し、しよ」 そしてこんなことまで言った。 「今度はなるたけ動かないようにするから、ちゃんと考えて攻撃してね。君のこの『ワルキューレ』は、もっともっと強くなれるよ。ギーシュ君が魔法だけじゃない、いろいろなことをうんと勉強すれば」 「くそっ、負けるものか。はっきり言って決闘自体はもう明らかに僕の負けだけど、せめて一発はぶん殴る!」 なのはの言葉で何かに火が付いたのか、ギーシュは今までとは比べものにならないくらい真剣な表情で杖でもある薔薇を握りしめた。 決闘は長引いた。昼休みが終わってもギーシュはやめようとせず、大半の生徒が教室に戻ってもギーシュはなのはに向かい続けた。 そして決着が付いたのは夕刻。それまで受けに徹していたなのはに、ついに攻撃魔法を使わせた。 その戦いにおいては、なのはのアクセルシューターでワルキューレ六体を吹き飛ばされつつも、使い魔のジャイアントモール、ヴェルダンデの掘削能力とのコンボによる地下からの奇襲でなのはの隙を突き一撃入れるのに成功。 それを見届けたのと同時に、精神力切れでギーシュもぶっ倒れた。 この決闘を最後まで見続けていたのは、ルイズ、キュルケ、タバサの三人と、鏡を介して見ていたオスマンだけだった。 「やっと片が付いたの……どっちもタフなのね、意外と」 「ギーシュ、別人」 二人のツッコミも無視して、ルイズはなのはの元に駆け寄る。 「呆れた……むちゃくちゃ強かったのね、なのは。その気になってたら瞬殺だったんじゃない? それになんなの、この魔法。系統魔法でも先住魔法でもないわよね」 「一応、ミッドチルダ式魔法、といいますけど、ここでは見かけませんというか、根本から違うみたいですね」 「ま、それはちょっと置いとくわ。それより一つ聞いていい? なんで決闘なんかしたの。負けるわけ無いのはよ~~~~く判ったけど、それだけじゃないでしょ」 「どうして、そう思いました?」 ちょっと驚いたようになのはが問い返す。 「まだ一日しかつきあってないけど、何となく判るわよ。あなた、意味なくこういうことする人じゃないわ」 「ばれました?」 なのはは歳に似合わないいたずらっぽい笑みで答える。 「これで少しはご主人様の評価が改まれば、と思いまして」 「わたしの?」 「はい。彼が言ってました。『メイジの評価は使い魔をみれば判る』って」 「ちょっと! それじゃなに? あなたの強さを見せつければ、わたしも馬鹿にされなくなるって、そういうこと?」 「はい」 頷くなのは。ルイズは―― すこぽーん! なのはの頭を、容赦なく張り飛ばした。 「なによ! あのね、いくら使い魔が強くたって、それだけであたしの評価上がるわけ無いでしょ! そういうのは互いの力が拮抗していてこその評価なの! 今のあたしにあなたみたいな使い魔が居たって、『分不相応だ』って陰口たたかれるに決まってるでしょうが!」 あたた、と頭を押さえつつ起き上がったなのはは、ルイズの言葉を聞いてまた頭を垂れる。 「まずかったですか?」 ルイズはなのはの頬を、ぺち、と軽く叩いた。 「まずいわよ……でも、うれしかった」 そういってなのはの頭を無理矢理抱え込む。体勢が崩れてわたわたとなるなのは。 そんなご主人様に、なのはは小声で言った。 「ご主人様、本当は私、今の場で魔法を濫用するのはあんまりよくないことなんです。でも、必要となったらためらわないでください。私は全力でご主人様をお守りします」 「頼りにしてるわ」 その様子は、仲のよい姉妹か友人のように見えた。 「ま、なんというか。落ち着いたみたいね」 「でも、予想以上だった」 戦いの間、タバサはまったく目を離そうとはしなかった。あまりにも真剣すぎて、キュルケはタバサから目が離せなくなるほどに。 「特に最後、ナノハがついに攻撃魔法を使ったとき」 「ああ、あの光の玉。すごかったわね。どう見ても系統魔法じゃないわよ、あれ。先住魔法かしら」 「それは細かいこと。一番のポイントは」 ただでさえ引き締まっていたタバサの雰囲気が、キュルケですら滅多に見たことのない雰囲気――自分と決闘したときのそれに変わる。 「あの人、フライを維持したまま光の球を撃った」 「あ」 指摘されてキュルケも気がついた。そういえばワルキューレの攻撃を光の盾で防いだときにも、彼女はずっと浮き上がっていたままだった。 「それって確か超高等技術よね」 「滅多に出来る人はいない」 普通のメイジは同時に二つの魔法を使うことは出来ない。フライを維持したまま攻撃魔法を放つことは、ほとんど「不可能ではない」というレベルの技術だ。 「決めた」 殺気に近い気を纏わせたまま、タバサは短く言う。 「はいはい。好きになさい……あ、ギーシュ、ほっとくわけにはいかないわね」 キュルケにはタバサがなにを決めたかなどお見通しであった。 「ちょっと! そこの二人もじゃれ合ってないで手伝って!」 「誰がじゃれ合ってるって!」 何のかんのと言いつつも、四人は仲良く気絶したギーシュを医務室へと運び込むのであった。 一部始終を午後いっぱいつきあって眺めていたオスマンは、思いっきり伸びをした。 「やれやれ、なんちゅう腕前じゃ、あの娘」 「終わったのですか?」 さすがにロングビルは仕事があったので途中で鏡からは離れている。 「ああ。たいしたものじゃ。その気になれば、三秒でギーシュの負けじゃったわい」 「ならば何故あのように延々と戦っていたのでしょうか、彼女は」 ずっと見ていたわけではないが、何しろ午後いっぱい戦っていたのだ。折に触れ彼らの戦う姿は目に入っていた。 「さての。まあ、強いて言えば、まるで特訓でもしているかのようじゃった」 「特訓……ですか?」 いぶかしむロングビル。 「二人は決闘しているはずなのに、何でまた」 「わしにも判らんよ」 その時、ノックの音がした。 「学院長、よろしいでしょうか。コルベールです」 「ああ、入りたまえ」 入室したコルベールは妙に興奮しているようだった。 「何事かねコルベール君」 「こ、これを」 差し出されたのは一枚のスケッチと古ぼけた書物。タイトルは『始祖ブリミルの使い魔』。 「これが?」 「見比べてください」 コルベールが本のページを開いて指し示す。 それを見比べたとたん、オスマンの顔が引き締まった。 「ミス・ロングビル」 「はい」 呼びかける声と、答える声。それは昼間のセクハラ親父とお色気秘書のそれとは別人のようなやり取りであった。 「すまんが席を外してくれたまえ」 「かしこまりました」 打てば響くように、ロングビルはオスマンの命令通りにその場を辞す。 彼女が部屋を出たのを見届けると、ことさらに声を潜めて、オスマンはコルベールに話しかけた。 「こういうときにサイレンスが使えるといいのじゃがな……しかし、ガンダールヴじゃと?」 「はい。タカマチナノハ嬢の左手のルーンは間違いなくこの記録のものと一致します。場所も記録通りの左手。間違いはないかと」 「なんとまあ。それであの身のこなしか。元々の才もあった上に、か」 「これは大変なことです……至急王室に報告を」 「せんでいい」 「は?」 いきなり予想外のことを言われて惚けるコルベール。 「落ち着きたまえコルベール君。ただでさえナノハ嬢は、先ほどまで行われていた決闘で、あれだけの技量と、未知の魔法を使って見せたのだぞ?」 「確かにあれはとんでもなかった……フライを使ったまま攻撃魔法まで使うとは」 コルベールもまた、なのはの技量が超一流であることを理解する者であった。 「おまけに伝説なんぞというてみい。女王はともかく、まわりの貴族どもがなんというか判らん君ではあるまい?」 「――確かに」 これまた別人のように真面目な表情になるコルベール。 「彼女たちのことはしばらく様子を見る。出来うることならそっとしておくのが一番じゃ。過ぎた力は身を滅ぼす元じゃからな」 「判りました」 コルベールも力強く答えた。 前ページ次ページゼロと魔砲使い
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18277.html
◎ 色んな話を重ねた。 多くの想いを交わした。 繋いでいるんじゃなくて、結び合った手を重ねながら、私達は誓い合う。 ただ傍に居る事じゃなくて、傍に居たいって一人でもずっと思い続ける事を。 仲間を大切に思い続けるって事を。 話は尽きなかったけど、尽きさせたくなかったけど、 それでも、いつまでもこうしてるわけにもいかなかった。 不意に少しだけ会話が途切れた時、梓が静かにリボンを解き始めた。 「もう……、いいのか……?」 少し残念そうに、澪が梓に訊ねる。 心を強く持っている澪だって、まだこうしていたいって気持ちはあるんだろう。 私にだって、勿論ある。 唯とムギ、梓にだってあるだろう。 手を繋ぎ合ってるのは、絆を感じられて、凄く安心出来る事には違いないんだから……。 だけど、梓はゆっくり頷いたんだ。 寂しそうでも、少し口の端で微笑みながら。 「はい……! もう……、大丈夫です。ありがとう……ございました!」 力強い意志のこもった言葉。 梓は決めたんだ。 一瞬だけの安心や温かさに頼らず、長い孤独の中でも未来を信じて歩いていく事を。 後輩の梓にそんな事をされてしまったら、先輩の私達としても負けているわけにはいかない。 皆で頷き合うと、一斉に手首のリボンを解いてやった。 不安、恐怖、後悔、そんな感情が一瞬だけ私の心の中に生まれる。 離れていく事は、やっぱり怖い。 一人で多くの恐怖に耐えながら生きていけるほど、私は強くない。 でも、私はそれを笑い飛ばしてやった。 一人を怖がっているのは私だけじゃない。 卒業で離れ離れになって、ずっと怖がっていたのは皆も同じだったんだ。 皆だって、誰だって、見えない未来に不安を抱いてるのは同じなんだ。 この世界に来る事になって、それだけはよく分かったから。 自分や皆の不安や恐怖に嫌でも目を向ける事が出来たから……。 だから、きっと大丈夫。 私も、皆も、大丈夫なんだ。 結局、私達は自分の中の不安や恐怖から逃げ出す事は出来ない。 逃げ出せないんだったら、それを抱えながら生きてやるだけだ。 この先に何が待ってるとしたって、笑いながら生きてやろう。 未来、一人っきりで生きる事になったとしたって、 私達が生きて来た思い出を皆が憶えていてくれるって、私は思えるから。 笑顔で生きていける、きっと。 一斉に立ち上がり、皆で顔を見合わせる。 皆、微笑んでいた。 不安や恐怖や後悔を抱えながら、それでも。 未来を、信じて。 不意に。 一陣の強い風が吹いた。 目を閉じたくなるくらいのとても強い風。 でも、私達は目を閉じない。 手も繋がず、肩も寄せ合わず、自分だけの足で立って、ただ自分の想いを信じる。 そして、皆でリボンを持った腕を掲げる。 リボンを風に靡かせて、強い風を手の中に感じて……、 その手を、皆で同時に放した。 リボンが風に乗り、空に舞い上がる。 リボンが宙を舞う。 私達を繋いでいた物、結んでくれていた物が飛んでいく。 繋がれていた私達の心を解放していく。 残されたのは私達の孤独で自由な心。 何処までも不安と隣り合わせの心。 でも、それでよかった。 私達はこれまで自分達の心を雁字搦めに縛っていた。 皆と傍に居なきゃいけないって強迫観念に囚われていた。 それで自分だけじゃなく、皆の心まで雁字搦めに縛ってしまっていたんだ。 だけど、そんなの……、孤独よりももっと酷くて悲しい事だ。 私達は自由になって、自由にさせるべきなんだ、皆の心を。 宙に舞ったリボンを目で追えなくなった頃、 唯が軽く微笑みながら、また突拍子も無い事を言った。 「ねえ、皆……。 ライブ会場まで走らない?」 「走る……って、唯、おまえ、体調は……?」 私が訊ねてみると、唯は軽く首を横に振って続けた。 その瞳には強い想いが宿ってるように見えた。 「身体の調子なら大丈夫だよ? 澪ちゃん達のおかげで結構休ませてもらったもんね。 勿論、危ないと思ったらすぐに走るのやめるよ。 何だかね……、今とっても走りたい気分なんだ。 駄目……?」 駄目なわけなかった。 実を言うと、私だって今すぐにでも走り出したい気分だった。 自分でも自分の中の想いが掴み切れてない。 でも、走りたかったんだ、どうしても。 私は自分のわけの分からない衝動に苦笑しながら、澪、ムギ、梓の順で視線を交わしてみる。 三人とも苦笑しながら、多分、私と唯と同じ想いを抱いてるみたいだった。 私はまたもうちょっとだけ苦笑してから、唯の頭に軽く手を置いて言った。 「いいんじゃないか? 私もちょっと久々に走ってやりたい気分だったからさ。 でもさ、走るのがちょっとでも辛くなったら、すぐに言えよ? 別に急がなきゃいけない用事ってわけでもないんだからな」 「うんっ! ありがとう、りっちゃん、皆! じゃあ、早速……、 よーい……、ドン!」 言い様、唯が勢いよく飛び出して行った。 まあ、ゆっくり追い掛けるか、とか思っていたら、 既に結構先に行っていた唯がとんでもない事を言い出しやがった。 「最下位の人は一週間料理当番ねー!」 「ちょっ……! おま……、ずるっ!」 唯の言葉に驚いた私から、澪、ムギ、梓の順で唯の後を追い掛け始める。 唯はそう足が速いわけじゃないし、体力もそう無いから、すぐに追い付けるはずだ。 料理が嫌いなわけじゃないけど、流石に一週間の料理当番は面倒臭い。 これは言い出しっぺの唯に涙を呑んでもらう事にしよう。 ……あれ? となると、もし唯が最下位になったら、 これからの一週間、私達は唯の料理を食べ続けなきゃいけないわけか? それはそれで微妙な感じだな……。 まあ、唯の料理は外見は悪いけど、不味いわけじゃないから別にいいか……? 唯の足は予想以上に遅かった。 私達四人はすぐに唯と肩を並べる事が出来た。 このまま抜き去るべきかどうか迷っていたら、ちょっと驚いた。 横目に見た唯が満面の笑顔を浮かべていたからだ。 楽しそうに、嬉しそうに、もうすぐ抜かれそうだってのに眩しいくらいの笑顔で。 唯は、走っていた。 私は思わず丁度隣に走っていた梓に視線を向けてみる。 梓も面食らった表情をしてたけど、すぐに唯と同じくらい眩しい笑顔になった。 少し離れた距離でムギと澪のペースがちょっと落ちてるのを見ると、 二人ともいつの間にか笑顔になっちゃってるみたいだ。 まったく……、こいつらは何がそんなに面白いんだか……。 そう思いながらも、私もいつの間にか自分で気付けるくらい満面の笑顔になってた。 「あ……、ははっ。 あははっ。あははははははっ!」 声を上げて大声で笑い始めてしまう。 唯も澪もムギも梓も大声で笑い始めていた。 何がそんなに面白いのかは分からないし、自分でもどうかしてると思う。 だけど、確かに嬉しかった。 心の中の不安や恐怖はまだ全然消えてない。 喉元に引っ掛かった魚の小骨みたいに、気になり続けてる。 それでも、そんなのよりずっと嬉しい気持ちが私達を笑顔にさせていた。 私達は本当は一人でも、いつか一人になったとしても、 こうして皆で居られた時間は確かに存在してたんだって、そう思うと嬉しくなるんだ。 私達の時間は確かにあったし、あるし、これからもあるかもしれないんだ。 信じよう、と思った。 実は私が梓の想いを受け入れられなかったのは、もう一つだけ理由がある。 それには気付いてるだろうけど、梓もそれについては触れなかった。 触れるべき事なのかどうかは、私にも分からなかった。 私が梓を抱き締められなかったもう一つの理由……。 それはこの夢の世界から目覚められた後の話だ。 きっと私達はいつか目覚められる。 どんな形であれ、和達みたいに元の世界に戻る事が出来るだろう。 重要なのは元の世界に戻った後での話だ。 私は思うんだ。 元の世界に戻った時、私達はこの夢の世界での事を憶えてるんだろうかって。 この世界は唯……というか、私達全員が同時に見ている夢だ。 夢の世界での出来事なんだ。 今は勿論、鮮明に憶えてるし、自分の意志で色んな事を考えられる。 だけど、その記憶や想いがどうなるのかは、目覚めてみるまで分からない。 この世界で考えた事や思い出が、何もかも無かった事になっちゃうかもしれない。 むしろその可能性の方が高いんじゃないかなって思う。 そんな状態で、梓と恋人みたいな関係になる事なんて出来なかった。 例えばそれは、いくらでもやり直せるからって、 気に入らない展開になったゲームをロードして再開するみたいなものだった。 この世界で梓と恋人になって慰め合って、 目覚めた後で何も憶えてないなんて悲しいじゃないか。 私の想いも、梓の想いも、何もかも無駄になっちゃうじゃないか。 それ以上に、無かった事に出来るかもしれないって現状に甘えたくなかった。 無かった事に出来るから、とりあえず梓を抱き締めておくなんて事は、絶対にしたくなかった。 だからこそ、梓と恋人になるにしろ、元の先輩後輩に戻るにしろ、それは目覚めた後での話にしたいんだ。 私は一度きりの人生を生きてるし、一度きりの人生を生きてたい。 ゲームみたいにやり直せる人生なんて、自分にも梓にも失礼で残酷でしかないから。 だから、きっと梓も「忘れないで」と言ったんだろう、と思う。 この世界での出来事が夢みたいに消えてしまうかもしれないから……。 でも、信じる。未来ってやつを信じてみせる。 全部は無理にしたって、私達は少しでもこの世界での出来事を憶えてられるはずだって。 確かにあったこの時間、この想いを憶えててやるんだって。 絶対に……。 「うわあああああああああああっ!」 いつの間にか私は走りながら大きな声で叫んでいた。 それは不安や恐怖からの叫びでもあったけれど、未来に対する決意からの叫びでもあった。 忘れたくない。忘れてやらない。 私はこの世界での想いや記憶、皆との思い出、梓がぶつけてくれた想いを忘れない。 そして、絶対に唯と一緒に元の世界に戻るんだ……! その意志を込めて、私は大声で叫んだ。 気付けば、私に倣って唯達も大きな声で叫んでいた。 世界に向けて、皆に向けて、自分に向けて。 きっと多くの不安を抱えながら、だけど、私も含めた全員が笑顔で。 未来を信じるために、私達は叫びながら走ってやった。 ◎ 最初に転移させられた広場に辿り着いた時、正直、私は驚いた。 会場自体は雨よけに建てられたテントの中に、 レジャーシートを敷いただけの物だったけど、それはそれで十分だった。 私達は別にそんなに豪華なライブをやりたいわけじゃないんだからな。 それより驚いたのは揃えられた楽器の方だ。 ギー太にエリザベスにむったん……、 ムギのキーボードに私のドラムまで全て同型の楽器が揃えられていたからだ。 いや、同型ってだけじゃなく、カラーリングまで全部同じだった。 よく見ると、シート脇に置かれてるギターケースとかも同型なんじゃないか? 「おい、これ……」 私が指差して訊ねてみると、 走ってきた事でちょっと息を切らした唯が、両手を腰に当てて鼻息を荒くした。 「あ、気付いた、りっちゃん? 色んな楽器屋を回って皆のと同じ種類の楽器探すの大変だったんだよー? もっと褒めてくれていいんだよー、ふんすっ!」 いやいや、楽器屋を回ったからって、色まで同じ楽器を全員分集められるもんなのか? いくら何でも都合よ過ぎだろ、それ……。 待てよ……? そうか……、ここは唯の夢の世界なんだよな……。 そう楽器に詳しいわけじゃない唯の事だから、楽器の種類の多さなんて考えずに、 楽器屋を回れば全員分の同じ楽器が見つけられるはずだって、無意識の内に思っていたのかもしれない。 それで都合よく私達の楽器と同型の楽器を揃える事が出来たのかもしれない。 私は唯にそれを指摘しようと思って口を開いたけど、すぐにそれをやめた。 やめよう。 楽器自体は唯の夢の産物かもしれないけど、 楽器屋を回って全員分揃えてくれたのは、確かに唯達の努力の結晶なんだ。 大変だった、って言ってたわけだし、かなり苦労して探し出してくれたんだろう。 それだけは間違いないんだ。今はその事だけで十分じゃないか。 私が唯の頭に軽く手を置いて「ありがとな」と言うと、唯は照れた様に微笑んでくれた。 「それにしても……」 自分のムスタングと全く同型のギターを手に持ちながら、梓が目を俯かせて呟いた。 「本当に今からライブをするんですか、唯先輩? 勿論、私だってセッションはしたいですよ? でも……、まずは皆で練習してからの方がよくありませんか? 最近全然演奏出来てませんでしたし、私、自信無いです……」 「いいんだよー、あずにゃん」 言いながら、唯が梓に抱き着く。 梓は唯に身を任せながらも、また首を傾げて訊ねていた。 「いい……ですか?」 「うん、いいんだよ、あずにゃん。 自信が無いのは皆同じだし、練習出来てないのだって皆同じなんだよ? でも、何度も言うけど、下手でもいいんだって思うんだよね。 これから私達がやりたいのは上手いライブなんじゃなくて、 今の私達が出来る今の私達の精一杯のライブなんだもん。 それはあずにゃんも一緒でしょ?」 「そうだぞ、梓」 唯の言葉を継いだのは澪だった。 唯に抱き締められながら、梓が澪に視線を向ける。 「実はさ、本当は私達も練習したかったけど、 それは梓達に卑怯だと思ったから、楽器だけ集めて練習してなかったんだ。 今の私達の実力をそのまま曲にしたかったからさ。 そんな事で上手く演奏出来るわけないし、下手でいいんだって思うんだよ。 鈍っちゃった自分達の実力を再確認して、 自分達の無力さを知って、それからやっと前に進んでいけると思えるんだ。 だから、ぶっつけ本番でライブをやろうよ、梓。 そりゃ……、私だって鈍っちゃった自分の演奏を聴かれるのは恥ずかしいけどさ……」 「お願い、梓ちゃん! 私の我儘で悪いとは思うんだけど、やっぱり私も唯ちゃん達と同意見なの。 だから……、練習より先に皆でライブをやらせてもらっていい……?」 ムギが両手を胸の前で合わせて梓に頭を下げる。 皆、真剣だった。真剣な表情と想いで、未来に進もうとしてた。 梓もそれが分かったのか、軽く微笑んでから唯の胸の中で頷いて言った。 「……分かりました! 私、自信ありませんけど……、皆さんも同じ気持ちなんですよね……。 それでも、今の自分達に出来る演奏をしたいって気持ち、私にも分かります……。 私も、今の実力を知って、それからまた努力を始めたいです……!」 「ありがとう、あずにゃんー!」 唯がまたつよく梓を抱き締めて、澪達も嬉しそうに梓の頭を撫でていた。 それはとてもいい事だったんだけど、何となく疎外感が胸に湧いたから訊ねてみた。 「……ちなみに私の意見については誰も訊かないのかね?」 何故か数秒の沈黙。 どうしてそこで黙るんだよ……。 しばらく後、梓が唯から身体を離すと、肩を竦めながら生意気に答えてくれおった。 「律先輩は練習してもあんまり変わらないんじゃないですか?」 「中野アズスンアズー!」 一気に梓との距離を詰めて、得意のチョークスリーパーを食らわせてやる。 もう遠慮はしない。 遠慮はお互いのためにもならないはずだし、本気で嫌なら梓も言ってくれるだろう。 こういうのが私達の関係でいいはずだ。 不意に見回してみると、澪達が微笑みながら私達を見つめている事に気付いた。 そういや、澪達の前で梓にチョークを食らわせるのは、久し振りだったかもしれない。 多分、私達の様子を懐かしく思ってるんだと思う。 優しい視線を私達に向けてくれていた。 でも、澪達はすぐに苦笑を浮かべたままで、自分達の楽器に向かって歩いていった。 早くライブを始めたい気持ちもあるんだろうな。 練習云々はともかく、私だって同じ気持ちだった。 そう思って私が梓から身体を離そうとすると、 梓が首に回された私の腕を強く握って、私以外の誰にも聞こえないくらいの声で囁いた。 「律先輩、あの……、私……。 歌いたい曲が……あって……」 その言葉だけで梓が何を言いたいのか分かった。 ほうかごガールズのメンバーとして、それを分かってやらないわけにはいかなかった。 『演奏したい』じゃなくて、「歌いたい」って梓は言ったんだ。 つまり、それは……。 私は軽く梓の頭を撫でてから、 腕を頭上に掲げて、皆に宣言するみたいに声を大きくして言ってやった。 「おーい、皆ー! ぶっつけ本番って事は、どの曲を演奏してもいいって事だよなー? って事は、部長権限で私に演奏する曲決めさせてもらってもいいよなー?」 「えー……。いきなり何言ってんのさ、りっちゃん元部長ー……」 唯がちょっと不満そうに言ったけど、その目は笑っていた。 唯としても演奏出来さえすれば、曲目はどれでもいいと思ってるんだろう。 わざとらしく勿体ぶってから、ちょっと後に唯が折れてくれた。 「まあ、いいかあ……。 それで何を演奏するつもりなの? ひょっとして『冬の日』とか?」 「何でもいいけど、どうしてそこで『冬の日』が出て来るんだ?」 「え? だって、今のロンドン、二月みたいだから……」 「それだけかよ! まあ、演奏する直前で私が伝えてやるから、その辺もお楽しみって事で。 それが真のぶっつけ本番ってやつだぜ!」 「うーん、合ってるような合ってないような……。 私はいいけど、ムギちゃん達もそれでいい?」 62
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/15553.html
5HY/W83-T64 カード名:残された二人 中野 四葉 カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:1500 ソウル:1 特徴:《五つ子》・《リボン》 【自】[手札を1枚控え室に置く]このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、あなたは自分のクロック置場の《五つ子》のキャラを1枚選び、手札に戻し、自分の山札の上から1枚を、クロック置場に置く。 【自】このカードがアタックした時、あなたは他の自分の《五つ子》のキャラを1枚選び、そのターン中、パワーを+1000。 そうでしょうか? レアリティ:TD 五等分の花嫁収録