約 1,900,021 件
https://w.atwiki.jp/rumballion/pages/59.html
ディプロマティコ アネホ(Diplomatico Anejo) 概要 色 :ダーク 風味: 容量:750ml 度数:40度 甘さ: 価格:~3,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/408.html
五和「出来ましたよ~」 禁書「待ってたんだよ、さっさと食べるんだよ」 上条「あぁ、分かった。皆そろそろ退いてくれないか?」 シェリー「分かったわ(あぁ……あっという間だったな……)」 上条「(後で!?)ほら王女様も退いて下さい」 キャーリサ「……」ツーン 上条「あ、あれ?王女様?そろそろ退いて欲しいんですが……」 キャーリサ「……」ツーン 上条「あ、あれ?王女様?」 キャーリサ「名前で呼ぶし」 上条「え?いやいや王女様を名前で呼ぶなんて出来ませんよ!? (クーデターの時は調子に乗ってテメェとか言っちゃってましたけど、もう無理ですよ!? 上条さんも常識は弁えてますよ)」 キャーリサ「だから、名前で呼ぶし」 上条「あ、あのぉ~」 キャーリサ「……」 上条「ですから……」 キャーリサ「……」 上条「ですから……ね?」 キャーリサ「……」 上条「キャーリサ様」 キャーリサ「さ、様は要らないし」 上条「……、キャーリサ」 キャーリサ「や、やればできるし///後これから王女様なんて呼んだら覚悟しろよ///」ナデナデ 上条「は、はい、それはもう、これから友達感覚のように気楽に呼びますので!?てか恥ずかしいから頭撫で無いで下さいよ!」 神裂「(キャーリサ様も積極的ですね…)」 上条「じゃあフロリスと番外個体も退いてくれ」 フロリス「分かった~」 番外個体「は~い」 禁書「とうま、早くするんだよ!」 上条「あいよ、空いてる場所は…っと」 上条「じゃあ、いただきまぁ~す」 皆「いただきまぁ~す!!」 キャーリサ「(隣に当麻か……肩が今にもくっつきそうだし///)」 五和「(やりました! となりに上条さんが来ました!)は、はい、上条さんおしぼりです」 上条「おぉ、わざわざありがとな」 五和「いえいえ、それほどでも///」 上条「それにしても量がすごいなぁ~、これ3人で作ったのか?」 番外個体「そうだよ。まぁもっとも、殆どは火織と五和が作ったんだけどね」 上条「そうかそうか、でもお前も手伝ったんだろ? 3人ともありがとな」 神裂「いえ、居候の身ですから当り前ですよ」 上条「(その言葉をどっかの誰かさんにも言ってもらいたいよ)」チラ 禁書「」ハグハグハグハグ 上条「はぁ……、お?これは……」 五和「」ビク 上条「おぉ、このサンドウィッチはフランスで食べたのと同じだ。五和、お前が作ったのか?」 五和「(お、覚えてましたか///)はい、でも覚えてるとは思いませんでした」 フロリス「(それを覚えてる五和も五和だけどね)」 上条「まぁ、あんな出会い方は普通は体験しないからなぁ」 シェリー「どんな出会い方だったんだ?」 上条「あぁ土御門…友達に飛行機から落とされて、川で溺れかけたのを助けられたんだよ」 神裂「(土御門! あいつは!!)」 シェリー「それはそれは……」 キャーリサ「普通は体験しない出会い方だし」 フロリス「まぁそんなこと言ったら、ここに居る全員あり得ないで会い方だよね」 上条「まぁな、でも結局普通じゃ無い方が良かったって思うなぁ~」 神裂「それは何でです?」 上条「だって遠くに居ても忘れられないだろ? あぁ……あいつ元気かなぁとか、ふと考えますよ?」 皆「///」 上条「じゃあ俺はこのサンドウィッチを貰うかな」 禁書「とうま、今度からこのぐらいご飯作って欲しいんだよ!」 上条「って、はぁ!? もう半分無くなってるし! お前の胃袋は底なしか!」 禁書「な!? 女の子に向かって失礼なんだよとうま! それに私は成長期なんだから直ぐに大きくなるんだよ!」 上条「成長したって中身も育ってなきゃいけません!」 禁書「それは後からついて来るんだよ」 上条「(どうだかな……)」 五和「大丈夫ですよ、まだおかわりはありますから」 禁書「だってよとうま、良かったね」 上条「へいへい」パクッ 五和「……」ドキドキ 上条「はぁ~、やっぱ五和の料理は旨いなぁ~。これから毎日作って欲しいよ」 五和「が、頑張ります///」 神裂「(くっ、プロポーズとも受け取れる台詞を臆せず言って行きますね……)」 キャーリサ「(これは一発一発が致命傷だし)」 フロリス「(私も言われてみたいなぁ~///)」 番外個体「(ミサカもいつかは当麻にそんなこと言われてみたい///)」 シェリー「(改めて彼の能力を思い知ったよ。これは強敵だね……)」 上条「あ、キャーリサ。そっちにある春巻取ってくれるか?」 皆「!?」 キャーリサ「……」 上条「(ヤバッ!普通に頼んじゃったよ!? 何やってんですか俺!)すみません、ごめんなさい、自分で取ります」 キャーリサ「そ、そうじゃないし!これか?」 上条「え?あ、はい。それです(良かった~磔は免れましたよ?」 キャーリサ「ほら」 上条「あ、じゃあこの皿に置いて…」 キャーリサ「口あけるし///」 皆「!!」 上条「あの……?」 キャーリサ「早くするし///これ案外恥ずかしいんだから///」 上条「(こ、これは俗に言うカップルと言う勝ち組のツーマンセルが行う恒例行事ですか!?)」 キャーリサ「(受け取らないし……そうだよ……ね……身分が違いすぎるし……彼も……普通は気にするし……)」 五和「ほら、キャーリサ様落ち込んでるじゃないですか!!」コソコソ 上条「わ、分かりましたよ!? (五和がいつに無く怒ってらっしゃいますよ!? )」 上条「キャ、キャーリサ」 キャーリサ「何だし……」 上条「あ、あーん」 キャーリサ「無理しなくていいし」シュン フロリス「(何なんですか!? このキャーリサ様の恋する乙女状態は! 見ててギャップがヤバいんですけど!)」 上条「無理なんかしてねぇよ。ただ、いきなりでビックリしただけだから」 キャーリサ「ホント?」パァーッ 上条「あぁ、本当だ」 キャーリサ「じゃ、じゃあ……アーン」 上条「あーん」パク キャーリサ「どう?」 上条「あぁ、美味しいよ。ありがとう、キャーリサ」 キャーリサ「ど、どういたしましてだし……///」 上条「(ふと思いましたけど、これって一大事じゃないでせうか?)」 キャーリサ「///」 神裂「(キャーリサ様の意外な一面が見れましたね…戦闘の時のキャーリサ様と大違いです)」 五和「じゃ、じゃあ私も!」 上条「え!?」 五和「……」 上条「あ、あーん」 五和「はい、アーン」 上条「」パク 五和「(こ、これは癖になりますね///)」 フロリス「じゃあ私も!」 番外個体「ミサカも!」 シェリー「私もやらして貰おうか」 神裂「(なっ!?)じゃ、じゃあ私も!」 上条「いや、ちょっと?あのですね?本来こういうのは好きな人とやるべきで、俺なんかとする事ではありませんよ?」 皆「」ジーッ 上条「はい、一人ずつでお願いします」 上条「も、もう食べれねぇ……」 禁書「ふ~、もう食べられないんだよ」 五和「じゃあ、そろそろお風呂の準備しますね」 皆「!!」 上条「そんな時間かぁ~、分かった。俺が準備するよ」 五和「いや、私が……」 上条「いいよ、飯作ってくれたし。このぐらい俺がやるよ」 五和「でも……」 上条「いいから、五和はテレビでも見てて」 五和「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」 ――――― 上条宅 リビング 神裂「こ、これは……///」 番外個体「ミ、ミサカは何か緊張してきました///」 キャーリサ「///」 シェリー「///」 フロリス「で、どうするの?」 五和「どうする……とは?」 フロリス「順番よ、順番」 神裂「順番が違っても何も変わらないでしょう?」 フロリス「分かって無いね~」 神裂「な、何がです?」 フロリス「まず、そうだねぇ~、例えばオルソラさんの風呂上がりを見た後、インデックスちゃんの風呂上がりを見たらどう思います?」 神裂「そ、それは、オルソラさんはやっぱり凄いなぁ~って……」 皆「!!」 フロリス「そう、嫌でも比べられてしますのです!」 皆「!!」 五和「つまり、スタイルが……な順に入らないといけない訳ですね」 フロリス「そう、その通り!」 神裂「分かりました、それでは一番風呂はインデックスに任せましょう」 禁書「え?なに?どういうこと?」 五和「い、いえ何でもありません(即断でしたね……)」 シェリー「ここは正念場だね」 キャーリサ「ここは自己申告制で行くし。誤魔化しても自分が大変なことになるだけだからね」 禁書「じゃあ、一番風呂貰うんだよ」 上条「あ!?」 神裂「どうしました?」 上条「い、いえ何でも? (このメンバーが風呂に入る訳……だろ? そろそろ上条さんの理性も吹き飛びますよ? だって全員インデックスと比較になりませんからね!?)」 上条「(そ、そうだ! 上条さんに名案が浮かびましたよ!?)あ、あぁ、分かりましたよ。じゃあ俺はちょっと出かけて来きます。その間に皆風呂入ってて」 皆「!!」 キャーリサ「(お、思わぬ展開だし)」 シェリー「どうしたんだ?何かあった?」 上条「い、いえいえ?何もありませんよ? (正直に、皆の風呂上がりを見たら理性が吹き飛ぶから出かけます、なんて言えませんよ?)」 五和「じゃ、じゃあ私が代わりに行きます」 神裂「(ナイスです!!)」 上条「いや、そんな大したことじゃ無いから大丈夫ですよ? じ、じゃあちょっと行ってきます!?」 バタン 皆「……」 フロリス「行っちゃったね」 番外個体「ミサカはちょっと安心します」 神裂「全く……」 シェリー「強敵……だな」 ―――――― コンビニ 上条「ふぅなんとか切り抜けましたよ?」 店員「いらっしゃませぇ~」 上条「おぉ……これは旨そうなメロンパン、こっちはカレーパンかぁ……」 上条「ん~、皆に何か買っていくか……」 上条「でもなぁ……キャーリサの口を満足させる物なんてなぁ……適当に駄菓子でも買っていくかなぁ……」 店員「合計で120円になります」 上条「はい」 ガサゴソ 上条「あ、あれ?」 上条「ちょっと待って下さい (財布が……無い!? 落としたか!? どこで? やっぱり不幸なのは変わってませんでしたね!? お金を貰ってもすぐ財布を落とすこのクオリティー! )」 ガサゴソ 店員「あ、あの~」 チョンチョン 上条「はい?」 結標「落し物、貴方のでしょう?」 店員「ありがとうございました~」 上条「いやぁ~助かったよ、ありがとう結標。でもどうしてここが分かったんだ?」 結標「土御門に家を聞いたのよ。で、家の前に来たら貴方が出て来るのを見たから追いかけただけよ(ただチャイムを鳴らす勇気が無かったのは内緒だけどね)」 上条「いや~、財布が無いと気付いた時は焦りましたよ。例の不幸確変が起きたかと……」 結標「えぇ、傍から見てて面白かったわ」 上条「そりゃどうも。直ぐに渡してくれれば良かったのに」 上条「面白いって、いくら不幸な上条さんでも見世物な訳ではございませんよ?」 結標「ふふふ。じゃあ私はこれで」 上条「あ、ちょっと」 ガシッ 結標「な、何?///(わ、私の手握ってる///)」 上条「財布を届けてくれたんだし、何か奢るよ」 結標「え、いいわよそんな」 上条「遠慮はいいですよ?いつもなら財布が無くなってる所ですからね。ここは感謝して奢っても罰は当たりませんよ」 結標「いや、そんなの悪いわ」 グーッ 上条「……」 結標「あ……(夕方から何も食べて無いんだった)」 上条「ははは」 結標「わ、笑わないでよ///」 ―――――― ファミレス 結標「じゃあ、このサラダセットで」 上条「そんなんで足りるのか?」 結標「(気になる人の前で食べれる訳無いじゃない!それに服が服だし……)女の子はこんなものです」 上条「そんなもんかぁ……(家の居候とは大違いだな)」 結標「そう言えば、上条の学校って何やるの?」 上条「へ?何って何でしょうか?」 結標「何って、文化祭よ」 上条「え……文化祭?」 結標「もう、そろそろよ?」 上条「何も学校で話してないんですけど」 結標「それは……まずいわよ?後2週間有るか無いかだけど、大丈夫?」 上条「マジですか……」 結標「まぁ頑張ることね」 上条「はぁ……」 結標「楽しみにしてるわ」 上条「そう言えば結標のとこは何やるんだ?」 結標「球遊びよ」 上条「球遊び?」 結標「えぇ、日本一高い山からのフライを捕れるかって出し物よ」 上条「へ?」 結標「用は、私の能力で約3000メートル上空まで野球ボールを上げるから、落下してくるそれを捕れるかって出し物」 上条「硬式?」 結標「えぇ、当り前じゃない」 上条「それは……死人が出そうですね」 結標「さぁ?そこは何とかなるんじゃない?上条もやる?」 上条「全力で遠慮しますよ!? 上条さんの不幸スキルなら確実に死ねますからね!」 上条「あ、ドレッシング付いてるぞ」 結標「え?どこ?(え?は、恥ずかしい///早く取らなきゃ///)」カァー 上条「右の方に」 結標「こっち?」フキフキ 上条「結標から見て右(すいか割みたいだ……)」 結標「こ、ここ?」フキフキ 上条「もう少し下かな?」 結標「ど、どう?」フキフキ 上条「気持ち上」 結標「どう?取れた?」フキフキ 上条「ここだよ」フキフキ 結標「///」 上条「あ、す、すまん!!(無意識にやってしまいましたよ!? 上条さんは紳士ですから、無意識を意識することなんて余裕だったはずなのに!? って俺は何を考えてるんだ!)」 結標「別に……いいよ///」 上条「……」 結標「……」 結標「こんなことしてていいの?」 上条「こんなことって?」 結標「こうやってることよ」 上条「上条さんは楽しんでますよ?」 結標「な!?///」 上条「最近、全然会えなかった人と会えるんですよ」 結標「……」 上条「上条さんはこんな幸せだと後が怖いですよ、今までの不幸が嘘のようですからね!」 結標「じゃ、じゃあ、今も?」 上条「勿論ですよ? 財布も帰って来たし」 結標「(なんだ……)」 上条「それに」 結標「……」 上条「久しぶりに結標に会えたしなぁ」 結標「な///」 上条「じゃあ、時間も遅いしそろそろかな」 結標「わ、私は能力があるから何時でも///」ゴニョゴニョ 上条「何か言ったか?」 結標「な、何でも無いわよ」 上条「あぁ、それじゃあな」 結標「それじゃ(上条当麻か……)」シュッ 上条「行ったか……。それにしても結標とあんな喋るのは初めてか……思ったより話しやすかったなぁ」 上条「そろそろ皆風呂上がったかな……冷たい飲み物でも買ってくか」 ―――――― 上条宅 上条「ただいまぁ~」 神裂「お帰りなさい」 五和「どこ行ってたんですか?」 上条「あ、あぁ、風呂上がりは喉乾くだろ?飲み物買ってきたよ(寝間着姿…… 沈まるんですよマイボディー!?紳士な上条さんの本領はこっから発揮ですよ!?)」 ドサッ 上条「み、皆風呂入ったか?」 シェリー「勿論だ……当麻も早く入ってくればいいよ」 上条「あぁ分かった……ってフロリスと番外個体は……」 キャーリサ「二人は寝てるし」 五和「流石に疲れたんですね」 神裂「えぇ、何せ全力でここまで来ましたからね」 キャーリサ「(まぁ、アレイスターのお陰なんだけどね。その分代償も大きいけど)」 上条「(良く寝てるなぁ……それにしても寝顔可愛い……って何を考えてるんだ俺は!)じゃ、じゃあ風呂入って来るよ」 ―――――― 風呂 上条「ふぅ~、いい湯だなぁ~」 上条「それにしても、何だかここ最近は普通の高校生ライフを満喫してますよ?」 上条「まさか、死ぬ間際の幸せだったりして。ハハハハ」 上条「……」 上条「い、いやいや、これが普通なんですよ、今までが不幸すぎただけです!」 上条「父さんの気まぐれ一つでこうも変わるとは……」 上条「はぁ……、この毎日が普通の高校生活かぁ……楽しすぎて涙が出ますよ……」 上条「あ~、サッパリした~」 フロリス「当麻遅いよぉ~」 上条「お? 起きたのか?」 番外個体「さっき起きたよ」 フロリス「だって夜と言ったらやる事いっぱいあるじゃない」 上条「(よ、夜にやる事!?) いやいや駄目ですよ!?そんな事は……」 フロリス「何言ってるの? これだよ!」 上条「それは……トランプ?」 神裂「すみません、どうしてもやりたいって言うもんですから」 フロリス「火織だって楽しみにしてるくせに」 神裂「な!? そんな事は! 無い……とは言いませんが……」 キャーリサ「へ~、トランプ……私もやるし」 シェリー「面白そうだな……私も入れてもらうよ」 上条「残念ながら上条さんは空気を読まずパスを宣言しますよ」 番外個体「ミサカは何でか尋ねるよ?」 上条「明日は学校なんです。早く寝ないとまた小萌先生に怒られますからね……」 フロリス「逃げるんだ」ボソ ピクピク 上条「何か言いましたか? フロリスさん?」 フロリス「別に~、負けるのが怖くて逃げるんだなんて言って無いよ~」 上条「一言増えてますよね!? ふっふっふ、その言葉は宣戦布告と受け取りましたよ!? 学園都市のトランパーと呼ばれた上条さんの実力を見せてあげませう!!」 フロリス「じゃあ当麻も参加決定ね」 神裂「では、何からやりますか?(た、単純ですね)」 禁書「Zzz~、もう食べられないんだよ~」 ―――――― ダウト 上条「10!!」 フロリス「それ、ダウト」 上条「なっ!? ほ、本当にいいの? 今ならキャンセルが効きますよ?」 フロリス「ダウト! いいから捲って!」ペラッ 3 上条「ぬっぁ~!? あっと言う間に手札が山札レベルになりましたよ!?」 キャーリサ「私だね、1、これで上がりだし」 上条「(こ、ここはなりふり構ってられませんよ!?)ダウト!! それダウト!」ペラッ 1 フロリス「うわぁ~、ダウトの禁じ手使って負けるんだぁ~」 上条「う、うるさいでザマス! 次こそは負けませんよ!!」 ――――――― 七並べ 上条「(なっ!? 絵札とAしかありませんよ!? これは……)」 神裂「じゃあ、ダイアの7からですね」 五和「私です、ハートの6」 シェリー「ハートの5」 番外個体「クローバーの6」 フロリス「じゃあクローバ―の5」 神裂「ではダイヤの6」 キャーリサ「ダイヤの8だし」 上条「……、パス」 五和「ダイヤの5」 シェリー「スペードの8」 番外個体「スペードの9」 フロリス「ダイヤの4」 神裂「クローバーの8」 キャーリサ「クローバーの9」 上条「……、パス」 皆「……」 上条「……、な、何でせうか? 続けましょう?」ダラダラ 五和「パスです(顔に出てますよ)」 シェリー「パスだな(顔で言ってるだろ)」 番外個体「ミサカはパスだよ(電磁波を使う意味無いね)」 上条「!?」 フロリス「う~ん……(どうしようかなぁ~)」チラ 上条「(こ、ここは気を送るんです!? 祈れば通じるはず!!)」ジーッ フロリス「パース♪(当麻に見られてる///でもバレバレだよ///)」 神裂「パス……ですね(すみません、ここは空気を読みます。それにしても分かりやすすぎです……)」 キャーリサ「パスだし(バレバレだし……)」 上条「後悔しないのか?(何が何でも!!)」キリッ 上条「い、今なら1ターン巻き戻せる権利を与えませう!!」 皆「……」 上条「……」 番外個体「ほら、当麻の番だよ?」ニヤニヤ 上条「……、パス……です」 チュンチュン 上条「も、もう朝か……」グッタリ フロリス「当麻って本当に運無いんだね~」 五和「何回切っても最初にババがある時は驚きました」 番外個体「で、誰も引かないんだよね」 神裂「えぇ、顔に出て無くても引かれませんでしたからね」 キャーリサ「これは逆に誇れる事……だし?」 シェリー「これは残念としか言えないな……ご愁傷様だね」 上条「も、もう6時……学校の準備しなきゃ……」 フロリス「だから、3時ぐらいで止めようって言ったのに」 神裂「ま、まぁ気持ちは分からないでもありませんが」 キャーリサ「ビリ意外になって無かったし」 番外個体「で、何回ぐらい負けたんだっけ?」 上条「50敗目から数えてませんよ……」 五和「じゃあ私は朝食の準備しますね」 神裂「手伝います」 番外個体「ミサカも~」 フロリス「私も手伝うよ~」 トントントン、ソレトッテー コレー?ソウソウソレ 上条「てか……何で皆はそんな元気なんだよ……」 キャーリサ「ほら、少し眠るし」 上条「一回寝たら起きない自信がありますよ……」 シェリー「大丈夫だ……私達が責任もって起こすから」 上条「そうか……? じゃあ一時間だけ……」ストン キャーリサ「なっ!?(こ、これは膝枕状態だし!?///)」 シェリー「シーッ」 キャーリサ「」コクン 上条「Zzz」 シェリー「良く寝てるな……いい寝顔だね」 キャーリサ「」コクン 上条「Zzz」 シェリー「(ちょ、ちょっとぐらいいいよな……いいよね?///)」サスサス キャーリサ「(頭撫でてるし……、私も……///)」サスサス シェリー「///」サスサス キャーリサ「///」サスサス 一時間後 五和「ご飯出来ましたよ~」 キャーリサ「(はぁ……良かったし///)ほら、起きるし」ユサユサ シェリー「(もう終わりか……残念だよ//)当麻」ユサユサ 上条「Zzz」 キャーリサ「(このまま居たいし///)」 シェリー「(癒される///)」 モゾモゾ 禁書「ん~、良く寝たんだよ……って(とうまが王女にひ、ひ、膝枕されてるんだよっ!)」 禁書「とうまの破廉恥!!」ガブッ 上条「痛っ!? 朝から噛みつき!?」 禁書「ほらっ! とうま! 朝だよ!」 上条「は、はい!! 待って下さい今朝ごはんを!?」 神裂「何を寝ぼけてるんですか……」 上条「??」 神裂「はい、朝ごはんです」 フロリス「お待たせしましたぁ~。それとこれは緑茶ね、これで目が覚めるよ」 上条「(そうか……皆居るんだったな)ありがとう」ゴクゴク 禁書「ほら、早く食べるんだよ」 上条「あぁ、分かったよ。五和達もありがとな」 五和「///」 神裂「それより、早く席に着きましょう。インデックスがお待ちかねです」 フロリス「はぁい」 番外個体「分かったよ~」 禁書「それじゃあ、いただきまぁ~すなんだよ!」 皆「いただきます!」
https://w.atwiki.jp/rdstn/pages/99.html
オアシス都市アリアンの傭兵団 商人組合のトゥーファが管轄している 隊員募集担当:グレイツ 新兵訓練担当将校:メカジャ 盗難・紛失事件担当:アネズカ 東門の警備兵:ドゥムガ
https://w.atwiki.jp/mobapurowiki/pages/1774.html
外野/L//左/中/右 左投げ/左打ち/183cm/87kg アメリカ合衆国/読売ジャイアンツ 13/COST:30 史上最強のエンターティナー 特徴的なクラウチングスタイルでヒットを量産した屈指の好打者。 あわや日本球界初の4割打者か、というほどの打力圧巻の活躍を見せる。 また、陽気な性格で、万歳三唱を促したり、相手投手をおちょくるようなパフォーマンスを披露し、ファンを喜ばせた。 質の高いプレーとキャラクターの両方で球場を沸かし、ファンに愛された史上最強のエンターテイナーである。 ステータス 期数 打撃 守備 パワ 走力 肩力 更新 1 12 7 12 7 7 up130818 2 12 7 12 7 7 up130818 3 12 7 11 7 6 up130818 4 12 6 11 6 5 up130818 5 9 4 8 4 3 up130818 6 8 3 7 3 2 up130818 7 7 2 6 2 1 up130818 8 6 1 5 1 1 up130818 9 5 1 4 1 1 up130818 10 4 1 3 1 1 up130818 守備適性 ※四段階表示、モバプロ画面で濃いオレンジが4、チョイ薄めが3、濁ったオレンジが2、グレーが1にしています。 4 4 4 1 1 1 1 1 打順適性 1番 2番 3番 4番 5番 6番 7番 8番 9番 2 1 4 4 4 4 4 1 1 特性/球種 ムードメーカー 広角打法 アベレージヒッター 悪球打ち 積極性 抜群の勝負強さ 打撃の起爆剤 更新日:2013-08-18 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/rumballion/pages/58.html
ディプロマティコ レセルバ 6年 (Diplomatico Reserva 6 Year Old) 概要 色 :ダーク 風味: 容量:750ml 度数:40度 甘さ: 価格:~3,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/7318.html
■魁!! クロマティ高校 演出 OP 1 9 16 22 26 ■関連タイトル 魁!!クロマティ高校 vol.1
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/7317.html
■魁!! クロマティ高校 音楽 ■関連タイトル 魁!!クロマティ高校 オリジナルサウンドトラック
https://w.atwiki.jp/sirenindex/pages/19.html
上条 当麻 / 19:44:33 / 第十五学区 太陽は沈み、夜の帳が下ろされる。 元々雨雲に隠れていた太陽だが、いざ地平線の向こうに消えてしまうと、辺りの暗闇は一層深さを増した。 雲は相変わらずかかっているようで、月明かりは全く見えない。 自動点灯の街灯が、陽光の消えた学園都市を照らす。 だが、その光景はいつもの学園都市とは大きく違う。 街のあちこちに見かけられる、『変わってしまった』人間。 彼らは、変異してしまう以前の、人間と同じような生活を続けていた。 友達(だったモノ)と一緒に街路を歩く者、子供(だったモノ)を連れて家路に急ぐ者。 中には、飲食店の席に座って赤いゼラチンのようなモノを咀嚼する者もいる。 学園都市内の人間のほとんどが、変わってしまっていた。 生き残っていた人間も、少しずつ、変わってしまった人間達に駆逐されていく。 少しずつ、少しずつ、人間が、入れ替わっていく。 その学園都市の中を、上条当麻が走る。 その顔には疲労の色が濃く、足取りもふらついている。 彼は、もう当初の目的―――インデックスを探すことを忘れかけていた。 ただただ、目の前の惨劇から逃げる為に、そして目の前の惨劇を止める為に、彼は走っていた。 雨は止んでいた。既に体中ずぶ濡れだが、これ以上雨に体力を奪われないのは都合が良い。 一日中走り通しで、上条の脚はボロボロだ。明日にでもなれば、筋肉痛で立ち上がることも出来ないかもしれない。 それでも、上条は走る。 その上条に、背後から声をかける者が居た。 ???「上条当麻ッ!!」 上条にとっては、何時間ぶりかに聞く、人間の声。それも、よく知る間柄の人間。 上条は脚を止めて、振り返る。 そこに居たのは、紛れもなく、神裂火織だった。 ポニーテールに纏めた長い黒髪。 ボロボロ(というわけではないらしいが)のTシャツとジーンズ。 腰に差した、身の丈ほどの七天七刀。 上条「神……裂……!? お前、学園都市にいたのか!?」 その声に、神裂は首肯だけを返す。 上条「……神裂? 何か、あったのか?」 神裂の顔を伺いながら、上条はゆっくり話しかける。 その顔は、どこか、上条の知っている神裂とは違うような気がした。 もちろん、赤い涙を流しているワケでも、歪な笑みを浮かべているワケでもないのだが。 何となく、虚ろな表情に、見える。 神裂「……大丈夫、です。 朝から、色々あったので、少し疲れましたが」 その言葉を聞いて、上条は何となくだが、理解した。 上条が青髪ピアスと出会ったように、神裂も、誰かと出会ったのだろう。 もちろん神裂の力量を鑑みるに、戦闘に関しては心配いらないだろうが、それでも精神的なダメージは話が別だ。 上条がそんなことを考えていると、神裂が喋り始めた。 神裂「それより、上条当麻。 今、この街で起きている事について、私が考え得る限りの事を話します。 ですから――――どうか、力を貸してください」 上条「………!」 神裂の顔が、悲痛に歪んでいた。 上条は何も言わずに頷くしかできない。 神裂の、ここまで痛々しい表情を、上条は初めて目にした。 一体、神裂火織に何があったのか。 それは、上条の知る由もない。 ひとまず安全そうな路地裏に身を隠した後、神裂は、この異変について分かる限りの事を、上条に話して聞かせた。 異界、赤い海、変異した人間、何者かの作為、そして、赤い水。 神裂「この『呪い』の正体は、この世界に蔓延する『赤い水』と関係があると思われます」 上条「赤い水……って、朝から続いてた、あの赤い雨のことか?」 朝からポツポツと降り始めていた雨は、正午前に激しくなり、そのまま夕方過ぎまで降り続いた。 ちょうど雨が激しくなった頃、上条は、その雨水が『赤い』ことに気がついていた。 神裂「……ええ、そうです。それだけでなく、この学園都市内の上下水道を含めた水の供給は、全て『赤い水』に埋め尽くされています」 上条「それって、つまり……水道の蛇口をひねったら、赤い水が流れてくる、ってことか……?」 神裂「ええ」 上条は、ゴクリと唾を呑む。 神裂「そして、負傷することによって流した血液の分だけ、赤い水が体内に入り込む。 それによって、黄泉戸喫(よもつへぐい)と同じ呪いを受ける。 ――――つまり、『不死の呪い』を」 上条は、合いの手を入れる事も無く、話を聞く事に集中していた。 神裂「『不死の呪い』を受けてしまった人間―――仮に『屍人(しびと)』と呼びましょう―――は、 今は、生前と同じ生活習慣に従って行動しているようですが……いずれは、完全に『人間以外のモノ』に変わってしまうでしょう」 上条「……そん……な…… でも、アレが呪いっていうんなら、何で俺の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』で打ち消せなかったんだ!?」 神裂「呪いの本体は、体内の赤い水にあります。 ですから、『容れ物』に過ぎない身体に触れただけでは、呪いを打ち消す事が出来ないのでしょう。 貴方自身の体内の呪いなら、その右手が打ち消すでしょうが……」 上条「じゃ、じゃあ、『屍人』になった人間を元に戻す方法は……?」 神裂は、一度だけ深呼吸して、告げた。 暗い瞳のままで、冷静に。 神裂「ありません。 恐らく、変わってしまった人達は、二度と、元には、戻らない」 上条「っ!!!」 神裂「本国の解呪のエキスパート達ならば、或いはこの呪いも解く事が出来るかもしれませんが……」 上条「なら今すぐそいつらを呼んで―――」 神裂「不可能です。言ったでしょう、現在この街は外界とは霊的にも物理的にも完全に遮断されている。 この異界そのものを破壊しない限り、外部と連絡を取る事は出来ません」 上条「ならこの異変を起こしてる魔術師を倒せば―――」 神裂「それも可能性としては低い。まず、原因となる魔術師を倒しても、この異界が解かれる確証は無い。 加えて、この呪いは黄泉戸喫と同じ、だと言ったでしょう。その示す意味を考えれば、明らかです」 上条「っ、何なんだよ、そのヨモツヘグイってのは!?」 神話の話。イザナギとイザナミの話。 死んだイザナミを黄泉の国から連れ戻そうとしたイザナギ。 しかし、イザナミは黄泉から帰ることはできないと言う。 その理由が、黄泉戸喫。 黄泉の国の食物を食べたイザナミは、既に黄泉の住人となってしまった。 だから、黄泉から還ることは出来ない。 黄泉の国の食物。赤い水。 黄泉の住人。屍人。 これが意味するところは、つまり。 神裂「黄泉のモノを取り込んだ人間は、黄泉の住人となる。 つまり、この世界を崩壊させたとしても、既に黄泉の住人となってしまった彼らは、もう――――」 上条「――――っるっせえんだよっ!!!」 神裂「!」 上条は、あらん限りの声で怒鳴った。 自分達が、身を隠している事も忘れて。 上条「そんなごちゃごちゃした理論なんてどうでもいい! そんなハナっから決めつけられた考えなんざどうでもいいんだよ!! お前だって見たんだろ!? 変わっちまったヤツらを! どうしようもないくらいおかしくなったアイツらを!!」 朝からひた隠しにしていた、無力感、絶望感。 それらを纏めて打ち払うように、上条は叫ぶ。 神裂「……」 上条「それを見てて……なのに……何で、そんなこと言えんだよ……!!」 神裂「………」 神裂は、何も言わない。 上条「……朝、俺のクラスメイトの一人に会った。そいつも、顔から赤い水流してて、俺に襲いかかって来た。 他の知り合いには会ってねえけど、もしかしたら―――もしかしたら、他の奴らだって、ああなってるのかも知れねえ」 神裂は、何も言わない。 上条「インデックスとか、土御門とか、御坂とか、あいつらだって、今この瞬間に、赤い水に冒されてるのかも知れねえ! もしそうなってもお前は、戻る事は無理だ、諦めろ、って言えるのかよ!? 大人しく、化物になっちまったままで残りの人生楽しんでくれ、って言うのかよ!?」 神裂は、何も言わない。 上条「そうじゃねえだろ!? そんなくだらねえコトが、認められる訳無えよな!! だったらもっと足掻けばいいだろ! みっともないくらい足掻き抜けばいいだろ!!」 神裂は、何も言わない。 上条「それが幻想だろうが理想だろうが知った事じゃねえ! そんなふざけた現実なんざ、片っ端から俺がぶち殺してやる!!」 そこで初めて、神裂が口を開いた。 顔には、僅かな笑みが浮かんでいる。 神裂「貴方なら、そう言うだろうと思いました」 だが、目は笑っていない。 遠いモノを、眩しいモノを見るような、寂しい目で、上条を見つめている。 神裂「私にとっても、この状況は未知数。今の発言も、現段階では全て推測にしか過ぎない。 ならば、貴女の幻想を信じてみるのも、悪くない」 けれど、と神裂は続ける。 神裂「その幻想を信じ続けると言うのなら、まず貴方自身が生き残らなくては、話になりませんよ?」 神裂の言葉が終わるのを待たず。 二人のいる場所に向けて、一条の稲妻が走った。 上条「!?」 上条が咄嗟に右手を稲妻に向けて突き出すと、稲妻は音を立てて砕け散った。 片や神裂は、事も無げに、鞘に収めたままの刀を振るって稲妻を掻き消した。 上条「クソッ! 見つかっちまったのか!」 神裂「当たり前でしょう! あれだけ大声で叫べば、嫌でも見つかりますよ!」 上条「すいませんちょっとテンションあがっちゃってたんです!」 上条と神裂は軽口を叩きながら、電撃が飛んで来た方向を見る。 その先に居たのは、 上条「御坂……じゃ、ない……御坂妹か!?」 御坂美琴そっくりの、クローン。違うのは、頭に携えた軍用ゴーグル。 1人ではない。 5人。御坂美琴と同じ顔の少女が、5人揃って、そこにいた。 『超電磁砲(レールガン)』のクローン、通称『妹達(シスターズ)』は現在約1万人ほど存在するが、 学園都市内に居留しているのは、その内でも精々6000~7000人程度。 それも、身体機能の調整の為に医療研究施設に全員収容されていたはずだ。 その彼女達が、今、顔から赤い水を流しながら、そこに立っている。 上条の知っている『妹達』―――個体番号10032号、『御坂妹』が、その中にいるのかどうかは、分からない。 彼女達の顔を見て、上条は想像してしまった。 御坂美琴が、赤い水を顔から流している姿を、ありありと。 上条「……っ! おい! お前ら―――」 神裂「後ろです!」 神裂の声に反応した上条の右手が、背後から飛んで来た雷撃の槍を叩き壊した。 見れば、背後の路地からも『妹達』が幾人か、上条達を狙っていた。 5人どころではない。次から次へと、湧いて出るように、『妹達』は増えていく。 神裂「……致し方有りません。 上条当麻! あなたは此処から離れなさい! 私が此処で足止めを担います!」 上条「離れるって、どうやって!?」 狭い路地裏のどこを見渡しても、表通りに繋がる道は全て『妹達』に封鎖されている。 少なくとも、道を塞ぐ『妹達』を倒さないと、逃げようがない。 だが、『聖人』にそんな常識染みた通せんぼが通用するはずもなかった。 神裂は、何も言わず、すぐ傍にあったビルの壁に、素手の一撃で大穴を空けてしまった。 穴は、ビルの内部、果ては表の街路へも通じている。 更に襲い来る電撃を、七天七刀の鞘と幻想殺しが払い飛ばし続ける。 上条「……わぁい、これって弁償費とか、どうすんだろ」 神裂「そんなものは最大主教(アークビショップ)にでもツケておけばどうとでもなります! さあ、早くここから!」 上条「うっ、わ、分かった! でも、神裂―――お前も、気をつけろよ!」 神裂「言われるまでもありません。たかが能力者如きに、手間取ることなどあり得ませんよ」 神裂はそう言って、少しだけ笑った。 上条は、ビルに空けられた大穴を通り、表通りへ向かう。 その場に残されたのは、神裂と、数え切れないほど多くの『妹達』。 いつの間にか、その数も増えていた。 神裂が知る由もないが、『妹達』は『ミサカネットワーク』の接続により情報を共有している。 故に、『ミサカネットワーク』により次々と増援が呼ばれているのだった。 『妹達』は、上条を追おうとしているのか、ビルの穴に向かってスタスタと近付いてくる。 もちろん、神裂がそれを許すはずもない。七天七刀の鞘打ちで、近付く『妹達』の脚を砕く。 遠距離から襲いかかる電撃も、全て払い飛ばされる。 神裂「通すまいとする立場は、逆転したようですね。 私は元より、攻めるより守る方が得意ですから、心してかかってきなさい。 それに……」 神裂は、七天七刀を、鞘から抜き放つ。 2メートル以上もの刀身を持つそれは、闇夜においても、艶な輝きさえ放っている気がする。 神裂「彼がいない以上、手加減する理由もありません。 『聖人』神裂火織の名に於いて―――神の御許へと、貴方がたを葬送しましょう」 そして、一番近くにいた『妹達』の頭と胴体が、切り離された。 上条「ぐっ、はぁっ、はぁっ、今日は、走り詰めだな、はぁっ、はぁっ」 上条は、息を切らせながら街路を走る。 神裂との会話である程度体力は回復していたが、それでも脚の筋肉疲労まで全快するわけではない。 辺りに人の気配が無い事を確認して、上条は走るのを止めた。 上条(屍人になった人達は、今までの生活習慣に従ってる、って言ってたな…… じゃあ夜になったら、家に帰ってる、ってことか?) もちろん、20時前の現時刻では、部活を終えた学生や残業帰りの会社員もチラホラ見受けられる時間だ。 ここは学園都市内にしては閑静な街並みだが、繁華街などに行けば、より多くの『屍人』が居る事だろう。 もちろん、今、此処においても、油断は出来ない。 上条「……あ! そういや神裂にインデックスの事だけ聞いてねえじゃん! しまった……でも、アイツも気にしてないみたいだったし…… とにかく早く捜さねーと……!」 当初の目的をようやく思い出した上条。 しかし、 上条は、目が合った。暗闇の中でも、確かに。 赤く染まった目。煌くような瞳。 いつの間にか、目の前に立っていた。 距離にしておよそ5メートル。暗闇で、近付くのが分からなかったのか。 初めは、『妹達』かと思った。 だが、『妹達』が頭に着けているはずの軍用ゴーグルが無い。 それに、あの顔は、あの表情は。 どう見ても―――― 美琴「と゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉま゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ??」 上条「み、さか―――――?」 御坂美琴が、立っている。 『屍人』になった、御坂美琴が。 1、逃げる →2、戦う 終了条件2:『御坂美琴』を倒す 静けさ。 音は何もない。 例えあったとしても、二人には聞こえなかっただろう。 御坂は、雷撃の槍を繰り出した。 上条は、無意識に幻想殺しを突き出して、雷撃の槍を掻き消す。 御坂が電撃を放つ。 上条が右手で払う。 雷撃の槍。右手が殺す。 砂鉄の槍。右手が殺す。 超電磁砲。右手が殺す。 本物の雷。右手が殺す。 御坂の攻撃は、全て上条に防がれる。 能力こそ、かつて同じよう使えてはいるが、その使い方が余りに甘い。 ナイフを持った幼稚園児が怖くないのと同じように、 今の『超電磁砲(レールガン)』に、超能力者(レベル5)としての強さは残っていない。 上条「御坂――――」 美琴「 ア 」 美琴「 ハ ハハ ハ ハハ ハ ハハハ ハ ハハ ハ ハ ハハ ハ ハハ ハ ハ ハ ハ ハハ ハハハ ハハハ ハハハ ハ ハハハ」 御坂は、笑った。嬉しそうに。楽しそうに。 上条の顔を、真正面から見つめながら。 上条「……っ」 上条は、嗚咽を呑み込んで、御坂の顔を見る。 赤く染まった顔を。笑みに歪んだ顔を。 そして、脚を踏み出した。 ―――恐らく、変わってしまった人達は、二度と、元には、戻らない 神裂の言葉を思い出す。 ―――黄泉のモノを取り込んだ人間は、黄泉の住人となる 神裂の言葉。 さっき打ち払った言葉が、今更のように、頭に響く。 上条(そんなワケ、ねえよな) 襲いかかる電撃を、右手一本で払い除けながら、上条は脚を進める。 御坂の顔を見ながら、一歩一歩、進んでいく。 上条(御坂、お前は、俺が、必ず――――!) 美琴「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛―――――――z______ッッッ!!!!」 御坂の叫びも、叫びと共に放たれた電撃すらも、上条の幻想殺しが受け止める。 上条「御坂アアアアアッ!!」 御坂と上条の距離は、既に1メートルも無い。 上条は、最後の一歩を、踏み出した。 御坂の身体から弾け飛ぶ電撃に、右手を突き出す。 それだけで、数億ボルトの電撃が幻のように消え去っていく。 電撃を全て掻き消した瞬間、上条は、大きく右拳を振りかぶった。 上条「――――必ず、元に戻してやる」 そして、御坂の顔に、その拳を―――― 御坂「 と ォ ま ♪ 」 ――――ぶつける事が、できなかった。 御坂の赤く染まった笑顔を見たからか。 その声に、インデックスを思い浮かべたからか。 神裂の話を思い出して、動揺していたからか。 上条の拳は、御坂の顔の手前で、止まっていた。 青髪ピアスは殴れたのに。 どうして、今、止まってしまったのか。 上条にも、分からなかった。 美琴「 え ヘ ♪ 」 御坂の小さな手が、赤い水で濡れた右手が、上条の顔を掴む。 上条「ッ!!!」 上条が気付いた時には、もう遅い。 幻想殺しが打ち消せるのは、右手に触れた異能の力だけ。 美琴「 イ ッし ょ に な゛ ろー ネ ♪」 上条の頭に、十億ボルトの電流が流される。 かつて、橋の上で対峙した時とは違う。 正真正銘、御坂美琴は、上条当麻を殺害する為に、全力を込めた電流を、その頭に流し込む。 ――――上条当麻は、死亡した。 終了条件 未達成
https://w.atwiki.jp/sirenindex/pages/24.html
上条 当麻 / 20:46:15 / 第二学区 暗闇と霧雨に包まれた学園都市の中で、上条当麻は、戦っていた。 上条「クソっ! どけよ、どいてくれ!」 上条の周りには、十人前後の人だかり。 学生、教師、警備員(アンチスキル)。顔触れは様々だが、皆一様に、『屍人』と化している。 上条に襲いかかる異能。念動力(サイコキネシス)、発火能力(パイロキネシス)、風力使い(エアロマスター)。 それらを全て、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』で撥ね退ける。 警備員の手に握られた拳銃。 それから銃弾が放たれる前に、射線から体をずらし、他の屍人を壁にして銃撃を防ぐ。 それでも攻撃は止まらない。上条の身体は、少しずつ痛めつけられていく。 赤い水に濡れた手が、上条を殴り、引っ掻き、掴み、締めつける。 上条「チクショォ……ッ!!」 あらゆる異能を打ち砕く右手も、今この時は、攻撃を防ぐ以外の役には立たない。 勿論、それが無ければ上条はあっという間に紙屑のように吹き飛ばされてしまうだろうが、 しかし、攻撃を防ぐだけでは、状況は打開しないのだ。 上条の身体能力そのものは、あくまでも一般人の域を出ない。 何らかの神憑り染みた力が働きでもしない限りは、拳一つで十人以上もの人間を打倒するなど、不可能だ。 何より、変わってしまったとは言え、『無関係の』『善良な一般人だった』モノ達を、躊躇無く殴れはしない。 少なくとも、上条当麻には、そんなことが出来る筈がない。 しかし、屍人達は、何の容赦も無く上条に襲いかかる。 それは上条に対してだけでなく、屍人達自身に対しても、容赦無く。 指が砕ける事などまるで気にせず、拳を叩きつける。歯が折れる事などまるで気にせず、獣のように食らいつく。 攻撃を受ければ一度は怯むが、いずれ立ち上がり、再び襲いかかる。 屍人達には、恐怖という概念が欠落しているかのように、上条には思えた。 或いは、上条程度のちっぽけな存在がいくら抗ったところで、屍人達の恐怖には成り得ない、ということなのかもしれない。 上条「が……ァッ!」 屍人の一人、教師風の男の拳が、上条の鳩尾を突いた。 息が詰まり、動きが止まる。 機を逃さず、屍人達が一斉に上条へ群がる。 だが、一瞬、屍人の群れが大きく揺らいだかと思うと、 ステイル「――――Ash to Ash(灰は灰に)」 その内およそ半数の屍人の身体が、突如として燃え上がった。 ステイル「――――Dust to Dust(塵は塵に)」 更にもう半分。 上条を取り囲んでいた屍人達が、絶叫を上げながら燃え落ちる。 魔術によって生み出された、赤灼の業火によって。 ステイル「土は土へ。灰は灰へ。塵は塵へ。 死せる塵の人形(ひとがた)は、憐憫無く祝福無く、只々塵へ還るがいい――――」 ステイル・マグヌスが生み出した、劫火によって。 上条「――――!!」 上条は、一瞬の忘我の後、いつの間にか目の前にいたステイルの胸倉に掴みかかる。 ステイル「……何だい? その目は。折角なけなしの力を振り絞って助けてやったと言うのに」 上条「ふざけんな!! あの『屍人』達だって、元々は普通に生きてた一般人なんだぞ!? それを……あんな……!」 怒りに身を任せて詰め寄る上条を睨んで、ステイルは大仰に溜息を吐いた。 ステイル「神裂に会って、聞いているんだろう?」 上条「……っ!」 ステイル「ああなったらもう、元には――――」 上条「この……ッ!!」 上条はステイルの頬に拳をぶつけようとして――――気が付いた。 ステイルの、青く染まり、やつれ切った顔に。 瞳は、生気の光が抜け出てしまったように暗く淀み、 常時固く結ばれていた口元はだらしなく緩み、 皮肉的な口調とは裏腹に、まるで人間らしい表情が見られない。 上条「……何か、あったのか?」 ステイル「……!」 上条の言葉にハッとしたのか、ステイルは慌てて表情を取り繕った。 取り繕った、ということが上条にさえ分かるほど、急場しのぎ染みた仕草だ。 ステイル「フン、いつから君は僕の心配が出来るような立場になったんだ? なんてことはない、ただ『屍人』の群れに襲われて疲れてるだけさ。どちらにせよ君には―――――」 フラッシュバック。 焼ける肉の音。燃える骨の匂い。 『彼女達』の断末魔。『彼女達』の呪いの声。 ステイル「――――関係ない、話だ」 ステイルは、内からこみ上げてきた吐き気を、無理矢理に押し戻す。 出来る限りの平静を装って。 上条「……」 上条は、ゆっくりと、ステイルの首襟を掴んでいた手を離す。 何も訊かない。何も訊けなかった。 ステイル「まあ有り得ないとは思うが……一応聞いておこう。 何か、この状況を打開するような考えがあるかい?」 数秒の沈黙の後。 何事も無かったように、ステイルは話し始めた。 どうやら、これからの行動について話をしたいらしい。 上条「この状況を打開できることかどうかは分かんねーけど…… インデックスを探し出すのが、何より先決だと思う」 ステイル「やはり、君も彼女の居場所を知らないんだね?」 ステイルは、上条に悟られぬよう、コートの下の拳をキツく握りしめた。 何を差し置いても守ると誓った少女。禁書目録。 今、彼女は、どこで、何をしているのか。 上条「ああ、俺が朝起きて、『こうなって』たと思ったら、もうインデックスは居なくなってた。 一体いつの間に、どこへ行ったのかも分からねえ。 クソ……ッ!」 上条は、怒りを隠すことなく、拳を握りしめる。 自分自身に向けての怒り。 そして、誰にも頼らず、何にも頼らず、たった一人で行ってしまった禁書目録に向けての怒り。 ステイル「……君には言っておいた方が良いだろう。 いいか、何としてでも、必ずインデックスを見つけ出すんだ。 彼女は、隠れているか、逃げ回っているか、或いは――――」 ――――或いは。 ステイルは、その先に続く言葉を、呑み込んだ。 ステイル「――――とにかく、インデックスを探せ。僕も探す。 彼女を見つければ、もしかしたらこの『異界』から脱出する術も見つかるかもしれない」 上条「! 本当か、ステイル!?」 ステイル「ああ……」 希望を見出した様子の上条とは対照的に、ステイルの表情は再び沈んでいた。 だが、上条はそれに気付かない。 上条「そうか……確かに、インデックスなら、この妙な世界を作り出してる魔術について、何か知ってるかもしんねーしな!」 ステイル「……」 魔道図書館。10万3000冊の禁書目録。 彼女の脳(アタマ)には、きっとこの世の全てがあり、そして恐らくは何も無い。 ステイルは、何も言わなかった。 そして、二人の会話は、そこで中断される。 突如、空より飛来した、一条の雷撃によって。 ステイル「っ!!」 まず反応したのは、ステイル。 稲妻が二人に到達するコンマ数秒前に、稲妻を察知して、身体を向けた。 しかし、遅過ぎる。面と向かい合った状態からの攻撃ではなく、完全な奇襲だ。防御結界の展開も、僅かに間に合わない。 上条「ッ!?」 遅れて、上条が反応する。 ステイルの突然の動きに対応するように、その方向へと視線を向ける。 上条の眼が、その稲妻を捉えた瞬間、『右手』は、条件反射のように、稲妻へと突き出されていた。 音を立てて、稲妻が砕け散る。 上条の右手。『幻想殺し(イマジンブレイカー)』によって。 ステイル「チッ、どうやら、あまり長々とお喋りしている余裕は無かったみたいだね! 盾の代わりくらいには役立てよ、『幻想殺し』!」 稲妻が打ち消された事にホッとする間もなく、ステイルは臨戦態勢をとる。 ルーンのカードを何十枚と懐から取り出し、同時に中規模の炎剣を顕在化、稲妻の飛んできた方向を見据える。 しかし、上条は、右手を突き出した体勢のままで、動かない。 上条「…………っ」 何も言わず、嗚咽を呑み込むように、動かない。 ステイル「……? どうした、上条当麻! 『敵』だ!」 上条「…………」 ステイルの叱咤も聞き流し、上条は空を見る。 稲妻が飛んできた方向。そこには。 ブーン ブーン ブーン ブーン ブーン ブーン ブーン ブーン 飛んでいた。 頭から生えている、虫の様な六枚羽を羽ばたかせて、少女が飛んでいた。 バケモノになった御坂美琴が、飛んでいた。 上条の友人で、 上条が殴り倒して、 上条が別れを告げた、 御坂美琴が、バケモノになって、空を飛んでいた。 御坂は、何も言わない。 昆虫のような複眼で、変わりきった異形の顔で、上条とステイルを見ていた。 上条は。 上条「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!!!」 喉から、振り絞れるだけの音を吐き出して。 狂ったように、叫んだ。叫ぶように、狂った。 上条「何だよ何だよ何なんだよ何なんだよオオオオオォォォォッ!! 御坂が何したっていうんだよ何もしてねえだろ何も出来るわけねえだろおおお!!! 何でこんなコトになるんだよ何でこんなコトにならなくちゃいけねえんだよ何で何で何で何で何で何でだよオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」 吠えるように、呪うように、叫んだ。 周囲に憚ることなく、御坂以外の何物も目に留めず、ただ叫んだ。 己の無力を悔み、世界の不条理を恨み、叫び続けた。 奇しくもそれは、いつかどこかで、白い少年が世界の不条理を嘆いたように。 今、上条当麻の心は、その重みに、潰されかけていた。 ステイル「――――」 ステイルは、その姿を見て、何を思ったのか。 かつて、記憶を消さなければ死んでしまう少女がいたこと。 かつて、その少女を守る為に、その少女を傷付け続けた己のこと。 或いは、もっと近い記憶。 つい先刻、己の炎で焼き払ってきた『彼女達』のこと。 世界は優しくなんてない。世界は美しくなんてない。 無為に、無意味に、無作為に、誰かが傷付き、誰かが死んでいく。 世界は、絶望で満ちている。どう足掻いても、絶望に、満ちている。 ステイル「――――上条当麻ッッ!!」 それでも。 だからこそ。 ステイルは、目の前の少年に叫ぶ。 かつて、絶望に満ちていると『思っていた』世界を、右手一つで、粉々にぶち殺してしまった少年に。 上条「――――」 先ほど上条がそうしたように、今度はステイルが上条の胸倉を掴み、その目を睨みつける。 炎剣は片手に保ったまま、空に浮かんだ御坂からも目を反らして。 ステイル「『アレ』が、お前にとってどんな意味を持つ人間『だった』のかは知らない! だがな、これだけは忘れるなよ……! 『アレ』を倒さなければ、『アレ』は、他の人間を襲うんだ」 上条「――――」 そんなことは、知っている。 ステイル「『アレ』を倒さなければ、お前も、他の人間まで殺される」 そんなことは、解っている。 ステイル「『アレ』を倒さなければ――――『彼女(アレ)』は、いつまでも、人を殺し続ける」 そんな、ことは。 ステイル「『アレ』を倒さなければ――――今も尚抗い続ける『誰か』が、殺される」 分かって、いる。 御坂美琴は、決して、人を殺したりしないだろう。 けれど、『アレ』は、かつて御坂美琴だったあのバケモノは、きっと、人を殺す。 何の為に殺すのかは分からないけれど、『屍人』は、人を殺す。人がいる限り、殺し続ける。 御坂美琴は、そんな人間ではないけれど。 今の『アレ』は、もう、御坂では、ないのだから。 上条「――――分かってる。 分かってるんだよ、そんなこと」 上条の瞳には、光が戻っていた。 上条の拳には、力が戻っていた。 ステイル「なら、戦え。最後の、最後まで。 このフザけた世界を、お前の右手で壊し尽くすまで」 上条「分かってるって――――」 刹那の閃光。 ステイルの背後から、再び飛来する雷撃の槍を。 上条の伸ばした『幻想殺し』が、完膚なきまでにぶち殺す。 上条「――――言ってんだろ……!!」 上条は、ステイルの掴む手を力任せに振り払い、空を飛ぶ御坂を、強く睨みつける。 ステイル「そうだ、それでいい……!」 黒い少年と、赤い魔術師が並び立つ。 少年は右手を握り締め、魔術師は炎剣を構える。 上条「悪い、御坂。もう少しだけ、我慢してくれ。 お前を倒して、インデックスを探し出して、このふざけた幻想(セカイ)をぶち壊すまで――――!」 そして、戦闘が始まった。 終了条件1:『頭脳屍人(ブレイン)』を倒す 上条当麻3-1
https://w.atwiki.jp/sirenindex/pages/13.html
上条 当麻 / 5:54:44 目覚まし時計が鳴った。 上条当麻は時計を叩きながら起き上り、しばらくぼーっと部屋の壁をみつめる。 上条(あー、何か全然寝足りねーな。やっぱ夏場は暑くて駄目だ、エアコン買おうかな……) ……うちのエンゲル係数がもう少し下がってくれればな……) 横目で、大喰らいの居候の寝床を覗き込む。しかし。 上条「…あれ? インデックス? どこだ?」 居るはずの女の子が居なかった。 昨晩は確かにそこで寝ていたのを確認したのだが、今は布団以外に寝そべっているものは無い。 上条「おかしいな、この時間ならまだアイツは寝てるはずなんだが……って、あらら?」 時間を確認しようと目覚まし時計に手を伸ばす。 時計が示している時間は、6時前だった。目覚まし時計は普段7時にセットしているはずなのだが。 上条「ってかよく見たらまだアラーム鳴ってねーじゃん。 ……んー?」 上条は顎に手を当てて、少し考え込んだ。 その時。 ―――ォォォォォォォォ――― 音が聞こえた。 上条「ん…? サイレンの音?」 地の底から響いてくるような音だった。 サイレンのような音。さっきはこれをアラームと勘違いしたのだろうか。 上条「何だ? 能力者が暴れてんのか? ってかそれならインデックスが……!」 上条は慌てて寝床から飛び出して、服を着替え、外に飛び出した。 雨が降っている。 霧雨程度の雨だったので、上条は気に留めなかった。 インデックスは見当たらない。 サイレンの音も、止まらない。 上条(ったく、アイツ一体どこに……) そこまで考えて、上条は僅かな異変に気がついた。 上条(……頭痛?) ―――オオオォォォォン――― サイレンの音に共鳴するように、頭の奥から痛みが響いてくる。 上条(ク…ソッ…何なんだ、この音…!) 上条は頭痛をこらえながら、アパートの階段を駆け降りる。 街路を見渡しても、やはりインデックスの姿は無い。 インデックスが、早朝のこの時間に上条に一言も告げずに外出するなどということは、今までに一度も無かったことだ。 上条(まさか、また魔術師関係の事件に巻き込まれたのか?) とりあえず、いったん部屋に戻って知り合いに連絡を取ってみようか、と考えた上条だったが、 直後、銃声が響いた。 上条「……ッ!」 銃声は数キロほど離れた場所から聞こえてきたようだが、恐らくは第七学区内であろうと思われた。 続け様に、更なる銃声と、爆発音のようなモノまで聞こえてくる。 上条(何だ!? 警備員(アンチスキル)が誰かと戦ってんのか!?) 上条の背筋が強張る。 以前、学園都市に魔術師が侵入したことは幾度かある。 勿論、それらの多くは隠密行動に長け、学園都市との正面衝突を回避していた。 学園都市の防衛機構は、並大抵の国家軍ならば退けることが出来るとさえ言われているほどだ。 が。それにも例外はある。 前方のヴェント。後方のアックア。 この二人は、学園都市のセキュリティと警備網を、文字通り正面から力ずくでぶち破った。 そのことを、上条は思い出していた。 インデックスが消えた。 街には銃声が響いている。 この二つが無関係だと言い切る事が出来ない程度に、上条は非日常に慣れていた。 上条(くそ、どうする…! インデックスが家を出たのがいつなのか分からない以上、あまり遠くを探してもマズイ場合もある。 まずは学区の中をを探すか…!?) 1、学区外へ出て探す →2、まずは第七学区の中を探す 3、その他 終了条件2:『フード』の発見 上条(アイツは走るのもそこまで速くねーし、交通機関の使い方も分かってない。 まだそこまで遠くには行って無い筈だ……!) 上条は走り始めた。 同時に、ズボンのポケットから年季の入った携帯電話を取り出して、アドレス帳を開く。 上条(まずは誰かに連絡を……とりあえず、土御門にしとくか) 元魔術師にして、現無能力者(レベル0)の隣人。 土御門元春に電話をかける。 無機質なコール音が、絶えず響いてくる銃声にかき消される。 いつの間にか、サイレンの音と謎の頭痛は止んでいた。 十数回目のコール音。 『こちら、○○お留守番電話センターです……』 上条「クソッ! まさかアイツもどっかで巻き込まれてんのか!?」 いったん通話を切って、再びアドレス帳をめくる。 上条(誰か、力になってくれそうなヤツは……) 瞬間。 上条の右手に持っていた携帯が、見えない『何か』に押し潰されるように、粉々に砕け散った。 上条「ッ!!」 バギン、と『何か』が砕ける音。 『何か』は、携帯を潰し、上条の体も潰そうとしたところで、上条の右手によって砕かれた。 異能の力を問答無用で打ち砕く、幻想殺し(イマジンブレイカー)によって。 上条「念動力(サイコキネシス)か……!?」 上条(っつーか俺の携帯……もう新しく買い替える金が……不幸だー……) 上条は前方を見る。 携帯電話を眼前に掲げていたため、周囲への注意が疎かになっていた。 そのおかげで、壊されるのは携帯だけで済んだのだが。 上条の前には、制服姿の少年が立っていた。 年の程は15,6だろうか。上条と同年代か、更に下。 顔に見覚えは無い。 というよりも、見覚えがあっても、分からないだろう。 少年の顔から、赤い液体が噴き出していた。 目から、鼻から、口の端から、挙句には耳からも。 赤い、赤い、血が噴き出しているようだった。 上条「……っ」 上条は思わず息を呑む。 あまりの異常さと恐怖に、体が動かなかった。 声を掛けようにも、舌が引き攣って声も出せない。 少年は、ゆっくり、近付いてくる。 のそり、のそりと。 ゾンビ映画のゾンビ達のように、脚を引きずることはない。 日常生活を送る人間のように、ごく普通に、上条に向かって歩いてくる。 上条(……?) しかし、上条は、少年の右手に握られているものに気がついた。 見覚えのある、白い『フード』。 その白いフードは、少年の腕から零れる血で、赤く染まっていた。 ぎちり、と拳を握る音。 上条の体は、もう動く。 元より、怖がることなど何もない。 異常は飽きるほどに見てきた。恐怖は慣れるほど感じてきた。 その全てを、右手一本でぶち壊してきた。 上条「おい、お前、そのフードをどこで手に入れた?」 上条の質問を聞いて、少年は笑った。 口の端から血が零れ落ちるのも気に掛けず、口が裂けるくらい、にっこりと。 少年は、静かに右手を上条に向けた。 念動力(サイコキネシス)。 上条「ッッ!」 バギン! 飛来した念動力を、突き出した右手で迎え撃つ。 上条「やっぱ誰かに操られてるみてーだな……!」 念動力の塊を打ち消したと同時、上条は少年目がけて走り出す。 少年は尚も同じ体勢で念動力を撃ち出しているが、全て幻想殺し(イマジンブレイカー)によってかき消されていった。 元々10メートルも無かった二人の距離は、あっという間に縮まった。 上条(とりあえず操ってる魔術を打ち消してから、話聞かせてもらおうか!) 少年の右腕を払いのけ、上条の掌底が、少年の頭を打ち抜いた。 少年は後ろによろめき、フードを取り落とす。 しかし。 少年「あ゛、あ゛、あ゛ー?」 上条「!?」 その両腕が、今度は上条の喉を捉えた。 少年は、何も変わっていない。顔から血を垂れ流し、虚ろな表情を浮かべている。 上条「が、ふっ…!」 少年の両手に力が入る。人間とは思えないほどの力だった。 ミシミシと音を立てているのは、上条の喉笛だけではない。 少年の両腕が、過剰な力に耐えかねるように、軋んでいる。 上条(やべ、今の状態で念動力(サイコキネシス)を使われたら……!!) 上条「が、ああああっっ!!」 上条は目一杯の力を込めて、少年の体を蹴りつけた。 蹴る場所は、心臓。 少年「がう゛っ!?」 少年の口から、呻きと共に血が漏れる。 腕から力が抜ける瞬間を見計らって、上条は少年を突き飛ばし、距離を取った。 上条「が、はっ、げほっ、ごほっ」 心臓部に外部から強い圧迫を加えると、心原性の失神を誘発する。 これは頭部に打撃を加える場合よりも、遥かに確率が高いことを、上条は知っていた。 少年は、言葉も無く崩れ落ちた。どうやら、上手くいったらしい。 上条「とっさにやっちまったけど……死んだりしてないよな……?」 倒れた少年は、体を丸めてうずくまっている。ピクリとも動かない。 だが、呼吸はしているようだ。 上条は安堵して視線を移す。 頭を掌底で打った時に地面に落ちた、白いフード。 上条は改めてそのフードを見た。 上条(…やっぱり、インデックスの『歩く教会』……!) 禁書目録の頭脳を保護する為にあてがわれた、大聖堂級の結界能力を持つと言われる個人用防御礼装、『歩く教会』。 しかし、上条の幻想殺し(イマジンブレイカー)によって破壊され、今は何の防御能力も持たない布切れだ。 上条(インデックスは、まだ近くにいるのか……?) 上条は、うずくまった少年をジロリと睨む。 当然のことだが、何の反応も無い。 しかし、上条はある事に気がついた。 上条(この制服……長点上機(ナガテンジョウキ)の制服か?) 長点上機学園。 学園都市内でもトップクラスのエリート開発校だ。 学園都市内の高レベル能力者のほとんどが所属、またはかつて所属していたとも言われる。 上条(でも、それにしては、能力の使い方がお粗末だったな…… いや、それは操られてるから……というか、魔術で操られてるってんなら、俺の右手で……ん?) 様々な疑問が頭の中で渦を巻く。 居なくなったインデックス。サイレンのような音。戦闘音。顔から血を流す少年。右手を使っても戻らない意識。 そもそもこの状況、今何が起こっているのか、上条に判明していることはほとんどない。 確かな事は、インデックスが居ない事。学園都市に異変が起きている事。 上条「……黙って突っ立ってるだけじゃ、何も変わらねぇ」 上条は再び走り始める。 ひとまずは、第七学区内を見て回り、インデックスを探す。 もし見つからなかった場合は、第十八学区を探す。 長点上機学園の生徒ならば、十八学区が主な活動エリアのはずだ。 長点上機には寮もある。少年は十八学区で何者かの攻撃を受け、その後で第七学区に来た可能性もある。 手掛かりになるようなものは一つもない。 だから、走れるだけ走らなければならない。 上条は走った。 終了条件2達成(ミッションコンプリート) アーカイブ:『歩く教会の一部』 上条 当麻 / 8:23:52 学園都市内での『成績』は、主に能力の強度、学力、その他の特殊技能等を元にして掲出される。 中でも重要なのは、言わずもがな、脳開発で得た超能力の強大さ。 より強力で、より特殊な能力を持つ学生が、『成績優秀』として評価されるのである。 当然ながら、その『成績優秀者』を集めたエリート校も存在する。 例えば、御坂美琴の通う『常盤台中学』や、学園都市の5本指にも数えられる『長点上機学園』、『霧ヶ丘女学院』など。 そして、それらエリート校が集中して本拠を構えるのが、第十八学区。 現在、上条当麻が走り回っている学区である。 上条「ぜっ、ぜっ……ぐ、のっ、結局、知り合いにゃ、誰一人、会わなかったな……」 上条が大きく息を切らしているのは、自宅のある第七学区からここまで、走り通しでやってきたからだ。 初めは公共の交通機関を使おうとも思ったのだが、電車もバスもタクシーも、全く運行していなかった。 学園都市内の公共交通機関はほとんど機械化されているため、運転手などの業務員は必要ない。 システム自体に何らかの異常が起きているか、学園都市側が強制的にストップさせたか、どちらかである。 上条「……にしても、一体、皆どうなっちまってんだよ……?」 上条は、第七学区から第十八学区まで来る間に、フードを持っていた少年のように、顔から血を流して虚ろな目をした人間を何人も見かけた。 というより、見かけた人が全て、そうだった。 なるべく見つからないように、時には物陰に隠れてやり過ごし、時には正面から全力疾走で振り切って、ここまでやってきた。 更に言えば、強力な銃器を持った警備員(アンチスキル)までもが、おかしくなっていた。 上条の右手が打ち消せるのは、『異能の力』だけ。 銃器を使って襲ってくる人間には、到底勝ち目はない。 必死の思いで辿り着いた十八学区だが、インデックスに関する手掛かりも、今の状況を理解する手掛かりも、何も得られていなかった。 上条「くそっ!」 上条は思わず舌打ちをして、近くの電柱に拳を打ちつける。 右拳。あらゆる異能を打ち消す、幻想殺し(イマジンブレイカー)。 けれど、今の状況を打開する為に、この右拳で、一体何を殴ればいいのだろうか。 上条「………ん?」 その時、上条の数十メートル先の道路を、よく知った姿が横切るのが見えた。 上条「あれは、美琴!」 御坂美琴。 『超能力者(レベル5)』の一人、『超電磁砲(レールガン)』の能力者。 上条とは、とある『実験』に関する事件を経て以来、友人のような関係だ(と上条は思っている)。 上条(そうか。常盤台中学も十八学区の学校だったっけ。 何か、必死に走ってる感じだったな……。 それに今アイツ、右肩を押さえながら走ってたような……) 上条は考える。 周囲には、顔から血を流す警備員(アンチスキル)が増えてきている。 加えて、第十八学区は『エリート』の集まる学区だ。 当然、能力の強さも、低くて強能力者(レベル3)、下手をすれば超能力者(レベル5)すら出てくる可能性もある。 安全を考えて、インデックスの手掛かりを効率よく探るなら、なるべくこの学区は離れた方が良いのではないだろうか。 上条(……) →1、御坂の後を追いかける 2、御坂は放っといて、学区外へ出る 終了条件2:『青髪ピアス』を倒す 考える。 御坂美琴は、電気を操り、雷さえも呼び起こす力を持った能力者だ。 たった一人で、最新装備の軍隊一個大隊と渡り合えるほどの力を持った、学園都市第三位の超能力者。 ―――でも、たった十四歳の女の子でもある。 上条(……もしかしてアイツ、誰かに襲われて怪我でもしてるんじゃ……) 走っていた御坂の表情は、離れていた上条には分からない。 本当に怪我をしているのかどうかも分からない。 でも、もし、御坂美琴が誰かに突然襲われて、負傷して、必死に逃げ回ってる途中なのだとしたら。 『あの時』と同じように。誰かの助けを待ってるんだとしたら。 上条当麻は、そんなことは見逃せない。 上条は、街中に消えていった御坂の後を追って走り始めた。 上条(まあ、無事なら無事でいいんだし、それに美琴もインデックスとは知り合いだから、もしかしたらどっかで見かけてるかもしれねーしな!) 勿論、あまり大声で呼びかけたりすると、周りの『操られている』人たちに気付かれてしまう。 なるべく他人に見つからないように、それでも出来る限り速く。 上条は走った。 上条(ってか大覇星祭の時も思ったけど、アイツ走るの速くねー? ……って、どこいった!? やべ、見失った!) いくら自分も疲れているからとは言え、十四歳の女子中学生(もしかしたら怪我人)に走り負けるという事実を、 上条は認められない。 上条(ぐ……ちくしょ、こっちに行ったのは分かってんだ、思いっきり走れば見つかるだろ!) 上条は疲れた体に鞭打って、無理矢理速度を上げる。 とっくに息は切れ、脚もフラフラするが、しかし上条にとってこんなことは日常茶飯事でもある。 それでも、上条は気がつくべきだった。 背後から近付いてくる足音に。 ごがっ 上条「!?」 軽い音がして、上条の身体が前方に強く押し飛ばされる。 前傾姿勢で疾走していた上条は、当然姿勢を保てる訳もなく、地面に叩きつけられて、ごろごろ転がっていく。 上条「っ、なん、だ!?」 辛うじて受け身を取れたお陰で、怪我はほとんど無かったが、背中にまだ衝撃の余韻が残っている。 誰かから攻撃を受けた、と考えるまでもなく、上条は立ち上がり、背後へ向き直った。 上条「―――――お、まえ」 そこに居たのは、これまたよく見知った顔だった。 ただでさえ大した能力も無い人間を集めた上条の高校のクラスの中で、 更に上条と並んで『クラスの三バカ(デルタフォース)』と称される、落ちこぼれの一人。 漫画のような青髪に、不良ぶったピアス。 人のよさそうな笑顔と、線の細い体。 関西人が聞いたら耳に障りそうなエセ関西弁。 その『アイツ』が、そこにいた。 青ピ「かぁーみ、やぁーん♪」 顔から、ドロドロと、血を流して。 上条「――――」 上条は、何も言えなかった。 あの少年を見たときもそうだったが、今度はそれ以上に。 『一般人が』『操られている』。上条は、先ほどそう考えた。 ならば、上条の知り合いもまた、同様に操られている可能性があるのは、自明の事だ。 この、青髪ピアスのように。 上条「――――ぁ、て」 青ピ「へ、へへへへ、かみやぁぁ~~~ん♪ かみ、かみ、かみ、かぁみやんんんんん♪」 青髪ピアスは、楽しそうに笑いながら、上条に歩み寄る。 そういえばコイツは、肉体強化能力の無能力者(レベル0)だったっけ。 だから、後ろから俺に追いついてきたのか。 多分、走ってきて、そのままドロップキックでもしたんだろう。 上条の頭は、そんな無為な思考で埋め尽くされ、十分に機能していない。 青ピ「へ、へへへ、へへへへへへへへへへへ」 青髪ピアスは笑っている。楽しそうに笑っている。 青ピ「かみやぁーん♪」 楽しそうに、幸せそうに、笑いながら、言った。 青ピ「 た ノ し イ ナ ぁ ♪ 」 上条「――――ッ」 上条は、何も言わず、背中を向けて、逃げ出した。 上条(そんな、そんなそんなそんなやめろやめろよやめてくれなんだよそれなんなんだよこれ!) 吐き気を抑えて。疲れも忘れて。走った。 走って走って、逃げて逃げて、そのままどこかへ行ってしまおうと。 でも、もう一度、背中に衝撃。 もう一度、地面に転がる。 青ピ「かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ みぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ん????????????」 さっきと同じ。走っていて、追いつかれて、蹴り飛ばされた。 じゃあ、走って逃げられる筈が無い。 上条「……っ……っ」 上条は立ち上がれない。 今度は、蹴り飛ばされて転がされるだけでなく、そのままマウントポジションにもちこまれていた。 青髪ピアスの腕が、上条の首に伸びる。 万力のような力で、上条の首が締めつけられる。 あの少年の時と同じく、人間とは思えない力。 操られている人は、どうやら力も多少強くなっているようだ。 いや、青髪ピアスは肉体強化を使っているからだろうか。 上条の思考は脱線する。 何も考えたくなかった。 昨日まで、普通に学校に行って、普通に馬鹿騒ぎをして、普通に遊んでいた、友人。 いつも三バカ三バカと呼ばれて、何かと一緒につるむことも多かった。 昨日も、夜遅くまで、担任の教師の自宅で、三人並んで特別補習を受けた。 その友人が今、自分の首を容赦なく締めつけている。 上条「……が……っ……ぁ」 名前を呼ぼうとするが、声が出ない。 精神的にではなく、肉体的に、直接喉を締められているのだから。 青髪ピアスは、笑っている。 上条の首を締めながら、笑っている。 ふと、目から流れる血の筋が、上条には涙を流しているようにも見えた。 それでも、腕の力は緩まることなく、上条の意識を削っていく。 上条(………ぁ) そこで、上条はふと思った。 御坂美琴。 大の大人が100人まとめてかかっても敵わないであろう、『超電磁砲(レールガン)』の少女。 彼女が、本当に怪我をしていたのだとしたら、その理由は何だったのだろう。 警備員(アンチスキル)の銃器も、磁力の壁は突き破れない。 学園都市第三位を傷付けられる能力者も、そうはいない。 そもそも、銃器や能力を前にすれば、御坂美琴も警戒するし、それなりの防御行動はとるだろう。 でも、もし。彼女が攻撃されたのが、彼女の友人だったなら。 今、この瞬間の上条と同じように、親しい友人が、顔から血を流して襲ってきたのなら。 御坂美琴は、学園都市第三位の超能力者。 電気を操る、最強の電撃使い(エレクトロマスター)。 ―――でも、たった十四歳の、女の子。 上条の拳に力が入る。 上条の勘違いなのかもしれない。勘違いであってほしい。 それでも、一度考えてしまうと、上条にはそれが許せないことに思われた。 それは御坂美琴でなくともいい。学園都市に住む、ごく普通の学生、教師、その他の一般人でも構わない。 親しい友人、家族、先生、生徒から、突然攻撃を受ける。 殴られ、蹴られ、首を絞められる。 それが、どれだけ惨いことなのか。どれだけ悲しいことなのか。 そう考えるだけで、上条の拳は、硬く、硬く握り締められていた。 上条「……ぉ」 青ピ「?」 上条「――――ッッ!!!」 硬く握った右拳を、青髪ピアスの頬にブチ込む。 容赦はしない。できない。 突然の反撃を受けた青髪ピアスの腕から、僅かに力が抜ける。 それを見逃さす、左腕で青髪の右腕を掴んで引き剥がす。 上条「ごほぉっ! が、はっ、げほっ、げほっ!」 呼吸が戻る。急な酸素供給で頭が揺れる。 それに怯んでいる暇はない。 頬を殴った右拳で、そのまま青髪の耳を掴み、目一杯引っ張る。 青ピ「アアァァァ~!?」 耳を引っ張り、体勢を崩し、マウントの体勢から脚を抜く。 そのまま脚に力を込めて、青髪の身体をひっくり返すように立ち上がる。 そしてそのまま、今度は上条が上になって、マウントポジションを取った。 肉体強化とは言えど、所詮無能力者(レベル0)。 完全にマウントを取ってしまえば、そうそう崩せはしない。 上条は、再び右拳に力を込める。 上条「……悪い、必ず、俺が元に戻して見せる。 だから、今はちょっと我慢してくれ」 青髪の顔面を殴っても、耳を引っ張っても、やはり『何か』を破壊出来た感覚は無かった。 人を操っている『何か』は、直接身体を触っても破壊出来ない類のモノなのだろう。 青ピ「 ア ァー」 青髪は、一声呻いてから、 青ピ「 さ すガ は カ ミヤ ン や ネ 」 ―――確かに、そう言って、笑っていた。 上条は迷わない。 全力を込めた右拳で、青髪の顔面を、真上から叩き伏せた。 硬いコンクリートの路面に、青髪の後頭部を叩きつけるようにして。 冗談みたいに、小さく、軽い音がして、青髪ピアスの少年は、動かなくなった。 終了条件2(ミッションコンプリート)