約 1,037 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8575.html
前ページ次ページゼロのペルソナ 審判 意味……変革・行き詰まり 優しい風が青々とした草を掻き分け、透きとおる水が柔らかな光を反射する風景。その幻想的とすら言える世界の中に4人の少女がいた。 内三人が同じ学校の制服を着ている。とはいえ一人は緑色のジャージを、一人は赤いカーディガンを羽織り、 一人は女性であるにも関わらず男子生徒が着る学ランを着ているのだから3人の服の意匠が似通っていると思うものはいないであろう。 そして最後の一人は一人オレンジ系統の私服を着ている少女だ。彼女の背後には大きな異形の姿があった。 彼女のペルソナ、カンゼオンだ。カンゼオンは探知能力に特化した稀有なペルソナであり、今もまさにその探索能力を働かせている。 それは両手で持っているバイザーを自身の主、久慈川りせにかけさせている。 彼女の頭がペルソナの両の手で包み込まれているようなこの状態が、カンゼオンの能力を使うときの体勢だ。 りせは精神を集中させ、文字通り頭がアンテナとなっているペルソナでテレビの中の世界を探知していた。 今まで彼女たちの旅において道先案内をしていた能力は全て、失踪した巽完二、花村陽介、クマの3人を探し出すことだけに使われている。 そのため、期待と不安をないまぜにした表情で見つめる三人の少女のことも意識には入っていない。 りせは海外ロケを終え、稲羽市へと来てすぐにジュネスのテレビの中へと入った。 消失した3人の仲間を一ヶ月テレビの中で探していた天城雪子、里中千枝、白鐘直斗らに劣らず、彼女はいなくなってしまった仲間たちを心配していたのだ。 3人の少女たちが自分たちに探知能力がないことを悔やんだように、八十稲羽に戻れなかったことを辛かった。 霧が晴れ、澄み切った世界。立って見渡せば世界の端までも見渡せるような世界の中で、自分が最も知る3人の探索にかかる時間はそう長いものではなかった。 しかし仲間たちの消息をつかみたい彼女たちにとってはまるで時計の針が遅らせられているような長い時間だった。 カンゼオンの姿が消えると——それは探知を終えたということだ——、緑色のジャージを着たボブカットの少女が焦ったようにりせに尋ねる。 「わ、わかったの?あいつらのいるトコ?」 りせは、自身の返答が3人を消沈させるものと理解しながらゆっくりと答える。二つにくくった髪が揺れる。 「見つからない。……この世界にはカンジたちはいないみたい」 冷静なはずの直斗も含め、りせの言葉に愕然とする。 「見落としってことはないのよね?」 赤いカーディガンを羽織っている天城雪子は後輩に念を押す。 「見落としなんてしないよ。たとえ霧がいっぱいにあってもあの三人だったら見つけられる自信もあるし」 「なんてことだ……。僕たちは一ヶ月も見当違いのところを探していたのか……!」 学ランに身を包んだ探偵でもある白鐘直斗は迂闊だったと思っているのだろうが、りせは否定する。 「ううん、見当ちがいじゃない。たぶんここで3人は消えたんだと思う」 「え……それはどういうことですか?聞かせてください」 「この世界に痕跡が残ってるっていうのとは違うかもしれないけど感じるの。一ヶ月くらい前……あの三人がほんの少しだけこの世界にいたみたい」 「少しだけいたということは、すぐにテレビの外に出たということですか?」 直斗は質問しながら頭の中で推理を組み立てる。 電化製品売り場近くで彼ら三人を見たという証言から推測したに、失踪前にテレビの中へ入ったということはまちがいではないようだ。 だがすぐにテレビから出たならその後の足取りがつかめないのは……。 推理を進めようとする直斗にりせは新たな情報を与える。 「いいや、たぶんジュネスに戻ってないと思うの。なんていうかな……まるでテレビを通り道にしみたいな、ヘンな感じなんだけど」 「なるほど。テレビを通ってどこか別の場所へ行ったために目撃はジュネスの家電売り場近くで途切れ、そして今この世界にも彼らはいないということですか」 筋は通っているように思える話ではある。 「でも、あいつらどこにいるの?」 千枝の疑問はもっともであり、何よりも肝要なのはそこであった。彼らがどこにいるかが分かれなければどんな推理も意味がない。 「ごめん、私の能力でもそこまではわかんない……」 りせも自分の無力さが情けないと言いたげであった。つらそうにする後輩の姿に、混乱している千枝もそれ以上は追及できない。 「悲観しない!」 大きく出された声に肩を落とし気味だった直斗、千枝、りせは少し驚く。 声を出したのは雪子だ。 「今日で今までわかんなかったことがわかったんだから悲観することなんてないと思う。それに彼もやって来るし」 彼とはこの場の4人、そしていなくなってしまった3人にとってもリーダーであり、そして大切な人物である。 一ヶ月親の海外出張に付き合っていたために八十稲羽にやってこられなかったが、あと数日で来るとの連絡もあった。 彼が来る。その言葉に全員が勇気付けられた。 人間たちの住む土地よりも東にあるエルフたちの住む世界。その東端、一般的にロバ・アル・カリイエと呼ばれる東の世界の境界線、そこに数千のエルフたちの姿があった。 彼らは敵に備えていた。 敵とは人間などという脆弱なものではない。もっと恐ろしいものだ。 エルフたちは戦列を組んで戦うことはしない。だから無造作に並んだように見える現在の状態も、敵と戦うための布陣である。 彼らの視界に無数の黒い鎧が現れる。それは100を、いや千を数えるかもしれないヴァリヤーグだ。 二束歩行で、しかも獣よりも早い速度で、列を整然となして突撃する甲冑はそれがおおよそ常識的存在ではないことを端的に示す。 長槍を持って突撃してくる影たちにエルフは第一波の攻撃を仕掛ける。 火が、風が、土が飛んで行く。 しかし突撃する敵は、炎で焼かれて体を溶かしたり、疾風で体の一部を切り取られたり、頭や足を土塊で潰され数を減らしても突撃を続行している。 まるで前から飛んでくる攻撃も、傍らで倒れていく仲間も目に入らないというように。 それでもエルフの攻撃でヴァヤリーグたちの突撃力はかなり削り取られた。だがエルフたちに一片の油断もない。 これからが正念場だからだ。先陣を切り突撃してきた敵に続いて、エルフたちの視界に入っていた別の二種の巨大な影も近づいてくる。 一つは小さな影と同じく大地を蹴って、もう一つは空から飛来する。 陸路を取る怪物は甲冑姿のヴァリヤーグと同じく金属光沢を放つ。 しかしヴァリヤーグが人に鎧を着せたような姿であるのに対し、その化物——ヨルムンガントはゴーレムが鎧を着た姿だ。 その大きさはヴァヤリーグよりも10倍はあるのではないかという巨体だ。 それはつまりヴァヤリーグとほとんど同じ高さであるエルフにとっても巨大であるということだ。 その巨大なゴーレムは大地を蹴って、まるで操り人形のような常識的なゴーレムとはまるで別種であることを主張するように、素早い動作でエルフに迫る。 もう一つ、空から飛来する影は火竜だ。竜はハルケギニアにおいて最も恐れられる魔獣の一種であり、それは人間だけでなくエルフにとっても共通の認識と言って相違ない。 しかいエルフたちが今見ている竜と比べればまるで普通の竜などかわいいものであった。それは火竜である。とても巨大な火竜である。 体長は40メイル近くあり、通常の火竜の二倍で、それどころかこの世界において最大の生物であることに疑いがない。 100近い火竜が空を飛びエルフたちに襲い掛かってくる。 歯がなりそうな恐怖がエルフたちを襲う。一体で、人間10人以上の力を持つとされるエルフたちが恐怖に耐えるさまは、それだけで人間には恐ろしい何かに見えただろう。 恐怖に飲まれないようにエルフたちは次なる迎撃行動に移る。 直系10メイルオーバーの岩、それもあらかじめエルフたちのよって強化された超硬度のものが、10数人分の精霊の力によって大砲よりも早い速度でヨルムンガントに撃ち出される。 一体を砕き、そしてさらに2体、3体を打ち倒していく。ヨルムンガントには火も、風も、水も通用しない。打ち倒すにはひたすら強力な物理的衝撃が必要だ。 空を飛ぶ火竜には水や氷の精霊の力が撃ち出される。さらにエルフたちの最大の戦力の一つである水竜も今回の戦線にいた。 水竜は相性もさることながら通常の火竜よりも強力な力を持つ。もちろん今戦っている火竜には純粋な戦力では劣るだろうが水は火を消す。 水竜は高圧力の水を口から吐き出した。それは上空高く飛ぶ火竜にダメージを与える。弱った火竜にエルフたちが水・氷を打ち込んでいき、倒していく。 エルフ側に戦況は優位であったが、しかし戦闘の趨勢は時に一瞬で反転する。 始まりは2,3体のヴァヤリーグがエルフの前衛を突破したことから始まった。 カウンター 使い手のエルフたちが最前線に出て“反射”で守りを固めていたのだが、ある一点が突撃を繰り返す槍の圧力に持ちこたえられなかった。 ヴァリヤーグはヨルムンガントよりも、巨大種の火竜よりもその大きさそして破壊力では下回る。 だがその使い手のエルフすら上回る機動力、そして他の二種の10倍の数の戦力によって防衛線は突破された。 エルフたちの戦列に紛れ込んだのはほんの数体だったがそれらは暴れ周りエルフたちの戦術をかき乱した。 その槍によって数十のエルフがその槍に襲われ、さらに混乱が広がる。 そうしたために化物たちへの攻撃に間隙が生じる。 その間を縫って一体のヨルムンガントが大地を蹴り、そしてエルフたちを蹴り進む。圧倒的な質量差の前に反射は意味をなさない。 エルフたちを文字通り蹴散らしながら、水竜にたどり着き、その巨大な金属のゴーレムは横振りに拳を叩きつけた。 腹部をまるで生物ではないかのようにへこませながら水竜は横っ飛びに吹き飛んでいく。 信じられないというようにそれの飼い主たちはぽかんと見つめている。 エルフたちの攻撃とその間の間断の時間は逆転していた。 攻撃の時間の合間合間にインターバルがあるのではなく、かろうじて思い出したように攻撃しているだけとなっている。 それも全くの統制を欠いたものである。そしてエルフたちの決壊寸前の勇気は最後の一押しを受ける。 空から何かが落ちてくる音が、騒がしい戦場にも確かに聞こえた。そのことから巨大な質量だということがいやでもわかる。 空から翼をたたみ落ちるように下りてきたのは火竜だ。それは今まで自分に牙を向いていた水竜を踏みつけて降り立った。 水竜は突然の重量に耐え切れず骨や内臓、筋肉の壊れる音がしながら圧死、その口からはグロテスクな悲鳴が小さくなった。 潰れた水竜を踏みつけて火竜は咆哮を上げる。まるで玉座に腰かけ、誰が竜種の王であるかを示すかのようだ。 ここに戦線は完全に崩壊した。 ヴァリヤーグたちはその槍を鮮血に染め、ヨルムンガントたちは走り回るだけで死を撒き散らし、火竜たちは全てを燃やし尽くした。 勇敢に戦っても、勇敢に死ぬことができるだけの戦いとも言えない戦い。誰もがただただ逃げた。 全ては6000年前からの延長線上、6000年前から続く戦いの歴史だった。 トリステインを侵攻したガリア王ジョゼフはトリステインから姿を消した。 そしてオルレアン公の遺児シャルロットを擁立したトリステインの勢力は抵抗らしい抵抗なくガリアの地へと分け入っていった。 民心はロマリア侵攻の際に離れかけていた。 そしてトリステイン—ゲルマニア—ロマリアが大連合を組み、オルレアン公の遺児シャルロットを新王として擁立した時点でガリア貴族の半数近くがジョゼフを見限った。 そういった中で、ジョゼフ王が姿を消せば、残りの半数がシャルロット新王側に鞍替えすることは何もおかしなことではない。 このとき、こういった事態に起こりがちな略奪も起こらなかった。それには3つの要因があった。 一つはこれが新王擁立のための侵攻であったからだ。略奪などすれば支持が受けられなくなってしまうのは当然である。 二つ目は貴族たちが戦うことなく受け入れるということは彼らの持つ兵たちは全く消耗していないということだ。 いわば略奪が起きないように睨みがきいているといえるだろう。 最後の一つはすでにトリステイン王となることが知られているアンリエッタ王女直々に略奪行為が禁止されていたからだ。 そうつまりこの軍の指揮をとっていたのはアンリエッタ王女であったのである。 こうしてトリステイン軍は、かつてのオルレアン派を中心としてシャルロットのもとに集まってくるものたちを吸収しながら進軍し、戦いらしい戦いなくガリア王都入りを果たした。 王都リュティスの郊外にある王族の城ヴァルサルテイル宮殿には現在ハルケギニアの有力者が集まっていた。 壮麗な宮殿の中でも青レンガで作られ異彩を放つグラン・トロワの一室にはゲルマニア皇帝をはじめ、ロマリア連邦の各権力者、またアルビオンからも何人かの有力者が訪れていた。 しかし彼らの顔に浮かんでいるものは多くは不満であった。それはトリステインがほとんど単独でガリア進軍を果たしたことに起因する。 彼らは自分たちを差し置いて手柄を独り占めにしたトリステインはガリアへの影響力を大きいものにしようとしていると考えている。 彼らの多くはせっかく軍を用意しながらもトリステインの早い進軍のためにすでに新王への支持を固めた地域を何もすることなく通ってきただけであった。 もはやそれは進軍とすらいえないものだった。 トリステインについて大きな声で批判を行えないのは、ジョゼフ王の子イザベラと新王シャルロットが進んでこれを支持したこと。 それと初めはトリステイン軍単独であった戦力がジョゼフ王から離反したガリア軍を吸収していき、 王都リュティスに到達することにはその数がトリステイン軍に拮抗して、新王シャルロット王も実質的な力を持つようになってなおトリステインとの協力体制を崩さなかったためだ。 しかし、小さな声では新王はトリステインの傀儡であるという者もいた。 「みなさんご足労感謝いたします」 そう言ったのはこの会議の主催者の一人であるアンリエッタ次期王であった。 そして隣には新王シャルロットがいる。円形のテーブルであるためこの会議には上座というものは無い。 二人も自分たちに寄せられている反感に気付いており、少しでもその反感を買わないためだ。 二人の心配の通りホストの言葉にいい反応をする者は少ない。 当然のことながらアンリエッタやシャルロットの二人の少女はこの会議の中で最年少であり、そのことでも低く見ているものもいるのだ。 構わずアンリエッタの隣に座っているもう一人のホストであるシャルロットが発言を引き継ぐ。 「皆に集まってもらったのは、ジョゼフ王に備えるため」 会議上はざわざわと騒がしくなる。それはどちらかといえば冷たい反応であった。それを代表するようにゲルマニア皇帝が発言する。 「ジョゼフはすでに逃亡していて、彼についた軍もない。何の脅威にもなりえないだろう。そもそもヤツが生きているのかすら怪しいものだ」 そうだそうだというように会議場がざわいめいた。 しかしアンリエッタは確信を込めて否定するように首を振る。 「いいえ、ジョゼフ王は……ジョゼフは生きています。そして必ず反攻します」 会議の場にいた者の中には露骨にアンリエッタを冷笑する者もいた。軍も支持者もいない元王がなんの脅威になるかと思っている者たちだ。 しかし王が生きて反攻を企てることが決して軽視できるものではないことを理解している者もいる。放っておけば大きな戦乱になるかもしれない。 そしてそれは今回のガリア奪還で何の活躍をすることが出来なかったトリステイン以外の国がガリアでの利権を得るチャンスがあるということだ。 「ジョゼフがどうして生きていて、そして反攻しようとしているかと推測したのか説明してもらえるのかな?」 ゲルマニア皇帝も自国の介入のために少しでも情報を得ようとして、アンリエッタに喋らせようとする。 「かまいません。みなさん全員にその理由をお目にかけましょう」 確信を込めた一言とその内容にハルケギニア指折りの有力者たちは眉をひそめる。そして顔に浮かんだ怪訝は驚愕あるいは戸惑いに変わる。 突然、彼らの囲んだ机の上に長い槍が現れたのだ。長さ4メイルはあろう槍が突然白いテーブルクロスの上に鎮座している。 「こ、これはいったい……?」 「みなさんにはこれからジョゼフの力と、そして私たちの立ち向かわなければならない運命を知ってもらいます」 混乱の中にいる彼らはアンリエッタの言葉を理解できるものもなく、そのため冷笑を返すこともできない。 そして落ち着きを取り戻す前に、彼らは全員は槍の記憶の中へと引きずり込まれた。 リコード 「どうやら全員、あなたの“記録”をかけられたようですね」 「はい」 先ほどまで議場にはいなかったはずの少女が現れていた。 ウェーブがかったピンク色のブロンドを揺らす少女、ルイズである。 手入れの行き届いた真っ白なテーブルクロスの上には不似合いな槍がある。それはトリスタニアを強襲したヴァリヤーグの槍だ。 ルイズのテレポートによって運ばれたこの槍にはヴァリヤーグの歴史が刻まれていた。 幾度となくエルフと戦った記憶があった。 人間が恐れるエルフたちを槍玉に挙げていくその姿。そしてその槍はエルフたちを襲う二種の巨大な存在も映していた。 エルフと並び恐れられる竜、それも人間の知るものの二倍はあろうという巨体を持ちエルフたちを焼き払い蹂躙する火竜。 鉄の装甲を持ちながらその巨体から想像もつかない走力を見せるヨルムンガンド。 3種の怪物たちがが数十どころか数百以上もいることをその槍は記憶している。 そしてジョゼフに使い魔として呼び出され、火竜とともにトリスタニアを襲ったことも。 こういった物の記憶を呼び起こし人に見せる魔法が虚無魔法レコードである。レコードは記憶を操る魔法で、ルイズは槍の記憶を想起させてアンリエッタの呼び出した全員に見せている。 そうハルケギニアの権力者たちを集めたのは会議のためなどではなかった。全ては彼らにハルケギニアに訪れる運命を知ってもらい、そして兵力を結集させるためだ。 全てはジョゼフがシャイターンの門からつれてくる使い魔たちの軍団に備えるためである。 もし座して待つだけならばガリアもゲルマニアもトリステインも、人間の住む全ての国という国が滅びることになるだろう。 前ページ次ページゼロのペルソナ
https://w.atwiki.jp/kolia/pages/429.html
徹底議論板に戻る。 当まとめサイトの現状と今後のあり方について、 一度総整理・見直しをし、今後どうするかを皆さんで考えましょう。 トップページ以外の各ページについての意見も書き込んで下さい。 当サイトには沢山のページがありますので、当サイトの各ページの内容について書き込む場合は、どのページについてのことか分かるように、そのページへのリンクを貼って下さい。 当サイトの各ページへのリンクは [[当サイトの各ページ名]] 又はURLを入力することで貼ることができます。 以下の場合は、各掲示板に書き込みお願いします。 作ったほうが良いと思うコンテンツについての要望 作って欲しいページ トップページについての意見 サイト構成の変更に管する委員会 過去の全コメントはこちら まとめ1 まとめ2 まとめ3 最新過去ログ←書き込み内容の修正ができます。 ■現在の議題 当サイトを総整理しよう ※注意 掲示板に書き込んでいる最中に他の人が書き込んだ場合、 自分の書き込みが反映されないことがあります。 それを防ぐには、 テキストファイルに先に書き、 コピペして書き込むようにしてください。 これなら仮にエラーが出ても、もう一度コピペすれば書き込みできます。 + ←過去のコメント 反日議員リストのように、反日ジャーナリストの定義を定めてください。田嶋陽子がSで、勝谷がSSSはおかしいと思います。勝谷は小沢を擁護する以外は、例えば竹島の問題を全国ネットで初めて取り上げたのも勝谷だし、改憲論者です。一方田嶋は極左中の極左のどうしようもない売国奴です。その他、辛坊や池上に関しても評価が悪すぎると思います。 - 名無しさん 2010-10-24 23 49 12 勝谷氏は外国人参政権を容認しており、世論を政権交代に巻き込んだ「偽装」保守。 - 名無しさん 2010-10-25 01 57 11 完全な保守派だったら、小沢を擁護することは絶対あり得ない。 - 名無しさん 2010-10-25 10 27 45 勝谷は改憲論者で韓国中国への批判も積極的です。一方極左の田嶋陽子は社民党の元議員ですよ?憲法9条が世界を平和にすると信じる馬鹿な論客です。左翼か右翼か中途半端な人間よりも極左の人間の方が良いということですか?それであれば左翼か右翼か中途半端な自民党よりも極左の社民党を応援してください。 - 名無しさん 2010-11-23 19 23 15 ↑ 綺麗事吐くなよ、偽装保守の愚か者が。http //www.nicozon.net/watch/sm12823087 - 名無しさん 2010-11-24 09 10 02ほんとだよな。マジ○ねよって感じ。 - 名無しさん 2010-11-24 09 30 19 ↑×3か↑×6ってさ、小和田家の問題でさんざん皇室を歪めた「アラン」ってヤツじゃないか。名前変えたって無駄なんだよ。 - 名無しさん 2010-11-24 09 50 26 それで偽装保守がましなの?極左がましなの?ちゃんとした反論しろよ - 名無しさん 2010-11-24 19 41 23 別に勝谷を擁護するわけじゃないよ。だけども精神構造と言動は極左と変わらないためSSS+。ってどういうことなの?左翼の精神構造って何? - 名無しさん 2010-12-11 03 24 31 勝谷は一度SSS+にしたので二度と変更できないので田嶋を「論外」に引上げるしかありません。 - 名無しさん 2010-11-24 10 21 30 今年の4月には、中国において、麻薬密輸の罪で、4人の日本人が死刑になりました。 - 名無し 2010-11-06 14 52 18 売国議員リストの売国度sssですが、永久認定はやめたほうが・・・。 - 名無し 2010-11-06 16 26 36 永久認定を止めることは変更できない評価を変更することであってそれもできません。 - 名無しさん 2010-11-06 19 30 58 チャンネル桜は統一教会とのつながりが指摘されているので,そこのところの反論も用意したほうがいいのでは? - 祐 2010-11-29 20 49 48 石原氏を親日有名人リストから削除願います。表現規制・ネット規制を言及し、完全に反日勢力の走狗と成り下がっています。 - 名無しさん 2010-12-09 17 33 52 該当ページが情報操作のためにロックされているため、暫定的に地方首長・地方議員その他の売国奴に論外レベルで追記してみた。あくまでこのサイトやマスコミに擁護されている現状を踏まえた暫定処置なので、行いとその度合いを差別・偏見なく議論し、より正確な評価を下して下さい。でないと、このサイトの売国度がますます上がるだけです。 - 名無しさん 2010-12-14 08 53 55 ↑SSS+にするとあなたのような工作員によるもの以外二度と変更できません。また地方自治体レベルのため全国規模の規制を首謀した高市より悪評価にすると辻褄が合いません。 - 名無しさん 2010-12-14 10 03 58 ↑ と、売国奴が申しております。……身勝手な判断で勝手に売国奴認定するぐらいだから、これぐらい書いても問題ないよな、うん。 - 名無しさん 2010-12-15 12 46 59 どうもお前は「特設ページで実施予定」の「と」の字も読めないようだ。 - 名無しさん 2010-12-14 10 05 50 SSS+は「二度と変動しない」だから暫定ならSS+かそれ以下の「将来引き下げできる」評価にしておく必要がある。 - 名無しさん 2010-12-14 10 22 06 投票所設置。 - 名無しさん 2010-12-14 13 00 24 どうもあなたはSSS+の「格付けは二度と変動しない」が読めてないようです。変更禁止の唯一の例外は「論外」への昇格です。よって暫定で使うことはできずやむを得ず消去したということです。あなたは「暫定でSSS+」と「SSS+=格下げ禁止」との矛盾をどう説明するつもりですか? - 名無しさん 2011-01-02 19 09 19 漫画の性表現を規制することが本当に「反日」なのか? 「反日」と「お前らが気に入らない」はちゃんと分けて考えてくれよ。それくらいもできないのか - 名無しさん 2011-01-06 00 39 26 一見性表現「だけ」を規制しているように見せかけて実際は非常に広範な規制が可能な条文にするのは今回に限らず規制派の常套手段です。 - 名無しさん 2011-01-06 00 47 09 常套手段というけど、前例はあるの? - 名無しさん 2011-01-07 01 56 03 あともう一つ聞きたいんだけど、「規制派」というのは反日なの? - 名無しさん 2011-01-07 01 56 40 はい。人の生命・身体に非可逆的な悪影響を及ぼす物品以外の所持を罰則をもって禁じることは憲法違反の疑いがあり、コンテンツ産業を衰退させ日本の反日特亜プラスワン勢力による侵略を加速します。 - 名無しさん 2011-01-07 07 46 30 例えば中国のような社会主義国家は言論の自由が規制されてますよね?これは外国の侵略を加速させていて、「反中」的な行為だと思いますか? - 名無しさん 2011-01-07 23 06 42 死刑廃止を売国実績から外していますが、そのことに対する是非を論ずる機会が必要と存じます。そのことを通報対象にするのは私は間違えていると思います。 - 名無しさん 2011-01-01 21 52 25 愛国議員リストと売国議員リストは、はっきりいって解散までの完成はムリだろう。頑張ってペースを上げて仕上げてほしい。でも全議員は厳しいので、①衆議院議員リスト②平成25年改選の議員③平成28年改選の議員と優先順位をつけて認定するのがいいと思う。なんとしても完成をいそいでほしい。 - 名無しさん 2011-01-03 21 30 44 とにかく総選挙に出る全員を評価をつけるべき。そっちが優先。ただし諸派はどっちでもいい。 - 名無しさん 2011-01-05 10 43 48 「自民党」「民主党」だけを評価すればひとまずそれでいいと思う。まだ余裕があればみんなの党とか立ち上がれ日本の評価。公明共産社民は論外なのがわかりきってるし評価は不必要。 - 名無しさん 2011-01-06 00 44 12 民主と自民は絶対だが、みんなは愛国と売国混ざってるし、たち日も保守議員が多く立候補すると思う。 - 名無しさん 2011-01-09 21 16 17 売国度SSS+は慎重に認定すべき最近乱立してるから - 名無しさん 2011-01-09 21 15 06 あとそれは掲示板で相談すべき。 - 名無しさん 2011-01-09 21 15 27 基準を新しくして、売国度SSS(永久国賊候補、もしくは暫定国賊認定)を作るべきだと思う。 - 名無しさん 2011-01-13 18 40 26 まったくその通りだ。いい加減な主観で永久認定を連発されても困る。SSSばかり付けられると、何が本質なのか分からなくなってしまう。 - 名無しさん 2011-01-31 00 07 12 渡部昇一がなぜ親日?朝鮮カルトが母体の世界日報を絶賛している野郎など反日の典型じゃないか! - 名無しさん 2011-01-13 23 15 39 愛国議員のS以上の評価がよくわからないです - 名無しさん 2011-01-15 17 19 58 なぜ議員の分類が「愛国」と「売国」の2種類しかないのですか?それだと売国でなければ愛国ということになってしまいませんか?その基準でいくと、表向きは反日行為を批判しながらも、目立たないところでさりげなく売国行為をするような巧妙な人物・議員が愛国に認定されてしまいかねないですよね。 - 名無しさん 2011-01-23 20 14 56 善悪二つに分ければ馬鹿にも分かりやすいからね。中高生洗脳するにはちょうどいいんでしょ。 - 名無しさん 2011-02-14 16 42 41 まさに、そこがこのサイトの問題点だと思うよ。 - 名無しさん 2011-02-17 17 17 52 英語の基本知識のところで「単語の勉強をするには~」の記述で、一日後、三日後、一週間後が良いと書かれていますが、あれは勉強した日からなのか、一日後から三日後(勉強した日から四日後)のどちらですか? - 名無しさん 2011-01-24 19 17 24 反日企業ランキング はどうするつもりですか? - 名無しさん 2011-01-29 13 36 09 中国の歴史・中国文明がわかりにくいという指摘があるけどどう思う? - 名無しさん 2011-02-14 10 50 43 全体的に見直しをしたほうがいいと思う - 名無しさん 2011-02-17 16 52 23 売国奴SSS+に何の議論もなく認定される議員が続出している件について - 名無しさん 2011-02-17 17 09 36 そもそも「中国文明」なんてないんだよ あるのは「支那文明」 書き改めたほうがいい - 名無しさん 2011-02-18 10 00 23 そんな細かいところは手前で書き換えろ - 名無しさん 2011-02-20 01 06 46 このサイトは反日の実態について国民に知ってもらうサイトとして『反日主義』がだいぶ下のほうにあるのが気になるだけど? - 名無しさん 2011-02-21 11 11 19 ページ全体が非常に繋がりにくく、まともにページを見れません。Dos攻撃を受けている可能性があります。至急、対策をしてください。 - 名無しさん 2011-03-22 00 20 57 参考 つttp //www.altech-ads.com/product/10001077.htm - 名無しさん 2011-03-22 00 21 43 小林よしのり氏の評価を変更すべきかも知れません。最近の氏の言動は勝谷のそれに非常に似通います。また、氏は勝谷と浅からぬ関係があるようですし。 - 名無しさん 2011-04-08 20 54 33 上杉隆が反日なのもおかしい。このHPを運営する朝日にとっては勝谷同様、都合の悪い人物に見えるんだろう。 - 名無しさん 2011-12-27 10 34 36 国際的な場では英国女王も天皇に上座を譲るのです。←これは、在位年数が関係してるって聞いたけど、どうなの? - こくみんA 2012-01-19 19 41 38 櫻井よし子さんの評価も変えた方がいいと思います。TPP関係で。 - 名無しさん 2012-01-20 16 37 33 誰だよAKB48を愛国リストに入れたアホは?成り立ちと後ろのどす黒さ等を加味したら売国SSS+でも問題ないぞ このままAKBヲタを放置し続けてたらこのWikiの信憑性まで疑われる危険性があります - 名無しさん 2012-02-11 03 14 51 「表現規制」関連のページをシコシコ編集してる奴って誰だよ。内容がヒステリックすぎてアニオタの自分でも見てて引くんだけど。このままほっといたらこのサイトの信用がなくなるぞ。 - 名無しさん 2012-02-12 16 41 43 http //www10.atwiki.jp/syoutai/pages/14.html←こいつの仕業。このWIKIに粘着していたい書き込みをしてる。こいつの作ったページを廃止しらいいいや批判してみると釣れるwそれでわかるから - 名無しさん 2012-02-29 22 39 14 氏との討論はここ で。 - 名無しさん 2012-06-18 21 05 03 ↑↑もう疑われてるよ。何故ならこのHPは朝日と創価と電通と博報堂と解同の自作自演。 - 名無しさん 2012-02-29 19 12 31 上杉が反日なのは?だが、勝谷が反日なのは同意。まぁ、都合が悪くなると朝日だの創価だのって妄想シコシコするしか能のないキモオタが多いから無理はないが・・・ - 名無しさん 2012-05-27 13 59 17 my日本批判よりも、当HPを反日勢力から我々一般日本国民が奪還せねばなるまい。 - 名無しさん 2012-06-06 13 38 28 ↑↑妄想じゃなくて、此処は反日勢力による保守派潰しの為のサイトだよ。いい加減目を醒まさないと。 - 名無しさん 2012-06-12 21 19 45 いずれにせよ反日在日朝鮮人を一掃するのは急務ですね - 名無しさん 2012-06-14 18 33 40 反日超汚染人 - 名無しさん 2012-06-18 18 39 46 ↑↑とか勇ましいこと書いてる割にな~んもしない。つくづくヘタレだなぁw - 名無しさん 2012-06-25 17 12 49 TPPの項目がない - 名無しさん 2012-09-09 01 39 48 正体がバレるのでシカトです。 - 名無しさん 2012-10-19 13 16 16 犬に対する度重なる非礼には今後注意していただきたい - 名無しさん 2012-09-19 05 40 08 「橋下徹の正体」のページにこの動画の記事の追加をお願いします。http //www.youtube.com/watch?v=gmsndCoIZoc - 名無しさん 2012-09-24 22 58 49 動画が多く組み込まれているページが重すぎます。直リンクするなどの対策をとっていただけないでしょうか?重いと感じるのは私だけではないと思います。普段インターネットを使う際、あまりストレスを感じない程度のスペックですから。 - 名無しさん 2012-09-28 23 17 21 コチラのほうがよさそうだと思い、書き込んでみます特定ゲーム会社のアンチスレにこのサイトの反日企業の内容をあげて「アンチ対象の企業よりもこの企業はマシ」とするような書き込みが存在します。無断転載は良いとしていますがこのような形で拡散したら心象を悪くすると思いますので「アンチ行為のために内容を転載しない」という形にできないでしょうか? - 名無しさん 2013-01-27 15 18 31 「拡散」と称して、関係のない場所へコピペをばら撒くのは逆効果ではないか? - 名無しさん 2013-03-13 10 36 15 戦争反対であるが故に反日扱いの人が居たがそれはオカシイと思う。戦争賛成の方が日本に悪影響を及ぼすはずだと思う。 - 名無しさん 2013-04-03 07 13 09 自民党の悪政はスルーですか?雇用制度(非正規増加)や賃金制度(生活保護引き下げ)の改悪は無視か?ここの管理人は米国共和党から雇われてるだろ、韓国は日本同様米国の衛星国だからな - あ 2013-05-03 20 56 30 矢張り、此処の管理人は天皇が嫌いなんだよね。日本を共和主義にしたいのか? - 名無しさん 2013-07-15 20 21 27 掲示板がしまっているのでここに書きます 7/31 に衆院選 岐阜の柴橋候補の編集を行いました そしたら変な風になってしまいました どうか誰か直していただければと思います - 初心者 2013-07-31 19 27 26 このサイトは大変支持してますが、フェミニズムはそんなに諸悪の根源なのですか?確かに色々読んでいると今の日本のジェンダーフリーが暴走し過ぎていると思います。でも男性差別が残っているとはどういう部分ですか?配偶者控除→男性差別とありましたが、私みたいに女で世帯主が自分でパートナーを養ってきた人達はどういう風に捉えれば良いのですか?働く女性を全面否定してはいないとありましたが、多かれ少なかれは批判なされているのですか?自殺者増加もありますが、職を失った男性で、それが理由で自殺されている方がよっぽど少ないと思います。自殺者の殆どが鬱病などで精神科での通院で、処方された抗うつ剤が、かえって鬱を煽り希死念慮を招いて自殺者増加傾向だと警視庁からでも発表があったと思いますが……犯罪も同じく向精神薬の影響もある可能性もあるとの事です。安易に自殺や犯罪における治安維持がフェミニズムと結びつけるのは乱暴な意見だと思いますが。あと洗濯などの家事を男性がしたら何か不都合なのですか?私は世帯主なので、パートナーを養う義務を果たしてきていますが、それでも女性は今だに男性の擁護しなければならいのですか? - 名無し 2013-08-31 10 05 22 あ〜あ、サイトの評価がおかしく偏重になってるんだけどここの管理人の脳おかしくなってんじゃね、しょせんただのクズだったのか・・・・・・ - 名無しさん 2013-10-01 22 51 08 何処のサイトにも偏った考え方したり、おかしな投稿する人を見かけますが、日本を良くしようとする思いは、みんな同じと思うので、思想の右も左も関係ないと思います。これからも、こういう場を大事にしていって下さい。 - 名無しさん 2013-10-02 16 48 04 それはbaikokukigyoによる自作自演ですよ。これを見てください http //www18.atwiki.jp/nihonnkiki/pages/243.html - 名無しさん 2013-10-08 19 03 32 右イコール善、左イコール悪てのは人類の常識ですが何か?ならば、鈴木邦男や義勇軍みたいな似非派は邪悪以外の何者でもない。 - 名無しさん 2013-11-24 23 23 55 ノンポリや右翼の個人情報を盗み、左翼仲間に叩き売るのがこのサイトの真の目的。まあ、暇つぶし、ネタ捜しには重宝しますがね。 - 名無しさん 2014-02-05 12 08 49 反日企業ランキングに、韓国系企業のNHNという会社を追加してもらえませんか? あの会社は最悪と思います。LINE利用者の個人情報を吸い上げしたり、livedoorのブログや、livedoorの掲示板は、日本人叩きする捏造記事があまりに多過ぎます。本当に悪質な企業と思います! - 名無しさん 2013-10-08 18 53 55 流石に取り上げないだろ。同じ穴の狢だからな。 - 名無しさん 2014-02-10 12 14 04 同じ中身のページを二つ作らないでください。 - 名無しさん 2013-11-01 20 12 30 反日マスコミ関係者名簿に手元の「反日有名人リスト」データから人物を転記、さらに1名を新規追加。 - 名無しさん 2013-11-15 20 52 14 内容は最高なのに、サイト表示までが長い。。。誰かの工作? - 名無しさん 2013-11-27 06 59 14 もう終ったねこのサイト - 名無しさん 2013-12-04 23 14 19 インターネット全般が終わってるでしょ。文句がある人は、日本版ウィキリークスのようなサイトを自分達で作ればいいと思う。 - 名無しさん 2013-12-05 17 00 47 クロヒョウと言うゲームプレイして感じたのですが今更ですがセガの中に特亜の社員いるめのですかね?所詮ゲームと言われればそこまでですけどね - 名無しさん 2013-12-09 07 34 41 au-net企業・人物への対処状況(8/16 19 20時点)企業 19社のうち1社解決(8/15に1社を反日と誤解されやすい企業に追加)人物 4名のうち1名解決(統合)・2名実質解決(荒唐無稽につき再追加の要なし)、未解決の1名に関しては議論を試みているものの参加者が現れない状況 - 名無しさん 2014-08-16 19 26 56 皆さんに読んでもらいたい記事→http //zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140819-00010003-agora-soci - 名無しさん 2014-08-19 18 51 28 このサイトが全てみたいな書き方をしてる - 名無しさん 2014-09-14 00 59 33 ↑続き 本当にこの国をなんとかしたいのならもっと中立になるべき - 名無しさん 2014-09-14 01 01 24 アニメの基礎知識ページにおいては当サイト既存ページと矛盾するスタンスや二重基準(無分別なガンダム叩き・一方で他の竹田P作品に対する高評価)などがみられ、これに対する改善を求めても無視されるばかりか改善する編集を行っても差し戻すなどの私物化的行為が繰り返されています。よってこのコメントをもって事実上の最後通告 とし、これが掲載されてから96時間以内に改善するかその意思を示さない場合は代執行を行うものとします。なお代執行に際しては丸付数字や可読性を損なう表現(かっこ書きの中にさらにかっこ書き)の排除・片手落ちな内容(宮崎駿作品のみに言及し高畑勲作品には触れず)の修正・評価方式および書式の変更も併せて行うこととします。(なお当方は回数規制により同頁掲示板に書き込めないため本掲示板で通告を行っています) - 名無しさん 2015-10-03 22 07 18 趣旨に賛同します。よって同ページ掲示板にて私が代理通告しておきます。 - 名無しさん 2015-10-05 17 00 26 アニメの基礎知識原作成者に対する警告 通告に基づき昨日行った編集が差し戻されたことを受け、下記の点につきまして再度警告いたします。1.二重かっこ書きの多用 可読性を大きく損ねており、当方においては順次排除を進めています。2.「機動戦士ガンダム」シリーズに対する一律なバッシング サイト内でのスタンス不一致であるばかりか、本ページ内においても露骨な二重基準となっています(サイト内でのスタンス不一致は読者だけでなく他の編集者にも無用の混乱を来します)。3.スタジオジブリ作品に対する片手落ち 同スタジオの作品については宮崎駿監督作品に限った言及がなられているが、他にも同様の思想傾向を持った監督が存在することを踏まえると片手落ちとしか言いようがありません。4.原始社会に関する表現 貨幣などが存在しない社会制度に対して「空想的社会主義」との語が用いられているが、こうした原始的社会制度に対して「主義」の語を用いるのは不適当であり「原始共産制 」とするのが正当と思われます。以上各点につきまして議論・改善の意思がない場合は再度修正を行うものとし、なお差し戻された場合はメニュー類から同ページへのリンクを削除するなどの対応を行うものとします。 - 名無しさん 2015-10-09 19 09 30 もう現行ページを編集しても堂々巡りなので、同ページをメニュー類から削除した上で誰もが気兼ねなく編集できる「新・アニメの基礎知識」(仮称)というような新規ページを作成し、そちらをメニュー類に追加するというのはいかがでしょうか。現行ページは孤立させ関わらないのがベストだと判断します。 - 名無しさん 2015-10-10 00 52 29 異議なし 残念だがこれも仕方ないこと - 名無しさん 2015-10-13 01 41 49 仮に新旧分離をしても新ページまで乗っ取られてしまう可能性が排除できない、したがって慎重に進める必要がある。なお同頁ではとうとうコメント消去まで行われるようになってしまった。 - 名無しさん 2015-10-14 21 23 35 それでは、管理人氏に当該編集者への規制を要請するしかありませんね。根拠はいくらでもありますから。 - 名無しさん 2015-10-15 00 18 43 最後通告の内容に従い孤立化作戦を試みたものの力及ばず、もはや何をしても焼け石に水。なおコメント消去からの防護・編集回数制限の回避のため今後の議論は外部掲示板に集約すべき。 - 名無しさん 2015-11-13 19 11 38 仮ページ60に既に誰かが編集中なので、とりあえずそちらを使用してくれ - 名無しさん 2015-10-15 00 09 12 ここの議論も参考に。http //www35.atwiki.jp/kolia/pages/2111.html - 名無しさん 2015-10-29 11 44 34 朝日新聞1面「ジオン公国全面降伏」? ガンダム版発売http //www.asahi.com/articles/ASH85678QH85UCVL01J.html - 朝日新聞はガンダム大好き 2015-10-29 11 46 12 ここにも荒らし行為をする者がいますね。 上記のうち最新20コメント 小林よしのり氏の評価を変更すべきかも知れません。最近の氏の言動は勝谷のそれに非常に似通います。また、氏は勝谷と浅からぬ関係があるようですし。 - 名無しさん 2011-04-08 20 54 33 上杉隆が反日なのもおかしい。このHPを運営する朝日にとっては勝谷同様、都合の悪い人物に見えるんだろう。 - 名無しさん 2011-12-27 10 34 36 国際的な場では英国女王も天皇に上座を譲るのです。←これは、在位年数が関係してるって聞いたけど、どうなの? - こくみんA 2012-01-19 19 41 38 櫻井よし子さんの評価も変えた方がいいと思います。TPP関係で。 - 名無しさん 2012-01-20 16 37 33 誰だよAKB48を愛国リストに入れたアホは?成り立ちと後ろのどす黒さ等を加味したら売国SSS+でも問題ないぞ このままAKBヲタを放置し続けてたらこのWikiの信憑性まで疑われる危険性があります - 名無しさん 2012-02-11 03 14 51 「表現規制」関連のページをシコシコ編集してる奴って誰だよ。内容がヒステリックすぎてアニオタの自分でも見てて引くんだけど。このままほっといたらこのサイトの信用がなくなるぞ。 - 名無しさん 2012-02-12 16 41 43 http //www10.atwiki.jp/syoutai/pages/14.html←こいつの仕業。このWIKIに粘着していたい書き込みをしてる。こいつの作ったページを廃止しらいいいや批判してみると釣れるwそれでわかるから - 名無しさん 2012-02-29 22 39 14 氏との討論はここ で。 - 名無しさん 2012-06-18 21 05 03 ↑↑もう疑われてるよ。何故ならこのHPは朝日と創価と電通と博報堂と解同の自作自演。 - 名無しさん 2012-02-29 19 12 31 上杉が反日なのは?だが、勝谷が反日なのは同意。まぁ、都合が悪くなると朝日だの創価だのって妄想シコシコするしか能のないキモオタが多いから無理はないが・・・ - 名無しさん 2012-05-27 13 59 17 my日本批判よりも、当HPを反日勢力から我々一般日本国民が奪還せねばなるまい。 - 名無しさん 2012-06-06 13 38 28 ↑↑妄想じゃなくて、此処は反日勢力による保守派潰しの為のサイトだよ。いい加減目を醒まさないと。 - 名無しさん 2012-06-12 21 19 45 いずれにせよ反日在日朝鮮人を一掃するのは急務ですね - 名無しさん 2012-06-14 18 33 40 反日超汚染人 - 名無しさん 2012-06-18 18 39 46 ↑↑とか勇ましいこと書いてる割にな~んもしない。つくづくヘタレだなぁw - 名無しさん 2012-06-25 17 12 49 TPPの項目がない - 名無しさん 2012-09-09 01 39 48 正体がバレるのでシカトです。 - 名無しさん 2012-10-19 13 16 16 犬に対する度重なる非礼には今後注意していただきたい - 名無しさん 2012-09-19 05 40 08 「橋下徹の正体」のページにこの動画の記事の追加をお願いします。http //www.youtube.com/watch?v=gmsndCoIZoc - 名無しさん 2012-09-24 22 58 49 動画が多く組み込まれているページが重すぎます。直リンクするなどの対策をとっていただけないでしょうか?重いと感じるのは私だけではないと思います。普段インターネットを使う際、あまりストレスを感じない程度のスペックですから。 - 名無しさん 2012-09-28 23 17 21 コチラのほうがよさそうだと思い、書き込んでみます特定ゲーム会社のアンチスレにこのサイトの反日企業の内容をあげて「アンチ対象の企業よりもこの企業はマシ」とするような書き込みが存在します。無断転載は良いとしていますがこのような形で拡散したら心象を悪くすると思いますので「アンチ行為のために内容を転載しない」という形にできないでしょうか? - 名無しさん 2013-01-27 15 18 31 「拡散」と称して、関係のない場所へコピペをばら撒くのは逆効果ではないか? - 名無しさん 2013-03-13 10 36 15 戦争反対であるが故に反日扱いの人が居たがそれはオカシイと思う。戦争賛成の方が日本に悪影響を及ぼすはずだと思う。 - 名無しさん 2013-04-03 07 13 09 自民党の悪政はスルーですか?雇用制度(非正規増加)や賃金制度(生活保護引き下げ)の改悪は無視か?ここの管理人は米国共和党から雇われてるだろ、韓国は日本同様米国の衛星国だからな - あ 2013-05-03 20 56 30 矢張り、此処の管理人は天皇が嫌いなんだよね。日本を共和主義にしたいのか? - 名無しさん 2013-07-15 20 21 27 掲示板がしまっているのでここに書きます 7/31 に衆院選 岐阜の柴橋候補の編集を行いました そしたら変な風になってしまいました どうか誰か直していただければと思います - 初心者 2013-07-31 19 27 26 このサイトは大変支持してますが、フェミニズムはそんなに諸悪の根源なのですか?確かに色々読んでいると今の日本のジェンダーフリーが暴走し過ぎていると思います。でも男性差別が残っているとはどういう部分ですか?配偶者控除→男性差別とありましたが、私みたいに女で世帯主が自分でパートナーを養ってきた人達はどういう風に捉えれば良いのですか?働く女性を全面否定してはいないとありましたが、多かれ少なかれは批判なされているのですか?自殺者増加もありますが、職を失った男性で、それが理由で自殺されている方がよっぽど少ないと思います。自殺者の殆どが鬱病などで精神科での通院で、処方された抗うつ剤が、かえって鬱を煽り希死念慮を招いて自殺者増加傾向だと警視庁からでも発表があったと思いますが……犯罪も同じく向精神薬の影響もある可能性もあるとの事です。安易に自殺や犯罪における治安維持がフェミニズムと結びつけるのは乱暴な意見だと思いますが。あと洗濯などの家事を男性がしたら何か不都合なのですか?私は世帯主なので、パートナーを養う義務を果たしてきていますが、それでも女性は今だに男性の擁護しなければならいのですか? - 名無し 2013-08-31 10 05 22 あ〜あ、サイトの評価がおかしく偏重になってるんだけどここの管理人の脳おかしくなってんじゃね、しょせんただのクズだったのか・・・・・・ - 名無しさん 2013-10-01 22 51 08 何処のサイトにも偏った考え方したり、おかしな投稿する人を見かけますが、日本を良くしようとする思いは、みんな同じと思うので、思想の右も左も関係ないと思います。これからも、こういう場を大事にしていって下さい。 - 名無しさん 2013-10-02 16 48 04 それはbaikokukigyoによる自作自演ですよ。これを見てください http //www18.atwiki.jp/nihonnkiki/pages/243.html - 名無しさん 2013-10-08 19 03 32 右イコール善、左イコール悪てのは人類の常識ですが何か?ならば、鈴木邦男や義勇軍みたいな似非派は邪悪以外の何者でもない。 - 名無しさん 2013-11-24 23 23 55 ノンポリや右翼の個人情報を盗み、左翼仲間に叩き売るのがこのサイトの真の目的。まあ、暇つぶし、ネタ捜しには重宝しますがね。 - 名無しさん 2014-02-05 12 08 49 反日企業ランキングに、韓国系企業のNHNという会社を追加してもらえませんか? あの会社は最悪と思います。LINE利用者の個人情報を吸い上げしたり、livedoorのブログや、livedoorの掲示板は、日本人叩きする捏造記事があまりに多過ぎます。本当に悪質な企業と思います! - 名無しさん 2013-10-08 18 53 55 流石に取り上げないだろ。同じ穴の狢だからな。 - 名無しさん 2014-02-10 12 14 04 同じ中身のページを二つ作らないでください。 - 名無しさん 2013-11-01 20 12 30 反日マスコミ関係者名簿に手元の「反日有名人リスト」データから人物を転記、さらに1名を新規追加。 - 名無しさん 2013-11-15 20 52 14 内容は最高なのに、サイト表示までが長い。。。誰かの工作? - 名無しさん 2013-11-27 06 59 14 もう終ったねこのサイト - 名無しさん 2013-12-04 23 14 19 インターネット全般が終わってるでしょ。文句がある人は、日本版ウィキリークスのようなサイトを自分達で作ればいいと思う。 - 名無しさん 2013-12-05 17 00 47 クロヒョウと言うゲームプレイして感じたのですが今更ですがセガの中に特亜の社員いるめのですかね?所詮ゲームと言われればそこまでですけどね - 名無しさん 2013-12-09 07 34 41 au-net企業・人物への対処状況(8/16 19 20時点)企業 19社のうち1社解決(8/15に1社を反日と誤解されやすい企業に追加)人物 4名のうち1名解決(統合)・2名実質解決(荒唐無稽につき再追加の要なし)、未解決の1名に関しては議論を試みているものの参加者が現れない状況 - 名無しさん 2014-08-16 19 26 56 皆さんに読んでもらいたい記事→http //zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140819-00010003-agora-soci - 名無しさん 2014-08-19 18 51 28 このサイトが全てみたいな書き方をしてる - 名無しさん 2014-09-14 00 59 33 ↑続き 本当にこの国をなんとかしたいのならもっと中立になるべき - 名無しさん 2014-09-14 01 01 24 アニメの基礎知識ページにおいては当サイト既存ページと矛盾するスタンスや二重基準(無分別なガンダム叩き・一方で他の竹田P作品に対する高評価)などがみられ、これに対する改善を求めても無視されるばかりか改善する編集を行っても差し戻すなどの私物化的行為が繰り返されています。よってこのコメントをもって事実上の最後通告 とし、これが掲載されてから96時間以内に改善するかその意思を示さない場合は代執行を行うものとします。なお代執行に際しては丸付数字や可読性を損なう表現(かっこ書きの中にさらにかっこ書き)の排除・片手落ちな内容(宮崎駿作品のみに言及し高畑勲作品には触れず)の修正・評価方式および書式の変更も併せて行うこととします。(なお当方は回数規制により同頁掲示板に書き込めないため本掲示板で通告を行っています) - 名無しさん 2015-10-03 22 07 18 趣旨に賛同します。よって同ページ掲示板にて私が代理通告しておきます。 - 名無しさん 2015-10-05 17 00 26 アニメの基礎知識原作成者に対する警告 通告に基づき昨日行った編集が差し戻されたことを受け、下記の点につきまして再度警告いたします。1.二重かっこ書きの多用 可読性を大きく損ねており、当方においては順次排除を進めています。2.「機動戦士ガンダム」シリーズに対する一律なバッシング サイト内でのスタンス不一致であるばかりか、本ページ内においても露骨な二重基準となっています(サイト内でのスタンス不一致は読者だけでなく他の編集者にも無用の混乱を来します)。3.スタジオジブリ作品に対する片手落ち 同スタジオの作品については宮崎駿監督作品に限った言及がなられているが、他にも同様の思想傾向を持った監督が存在することを踏まえると片手落ちとしか言いようがありません。4.原始社会に関する表現 貨幣などが存在しない社会制度に対して「空想的社会主義」との語が用いられているが、こうした原始的社会制度に対して「主義」の語を用いるのは不適当であり「原始共産制 」とするのが正当と思われます。以上各点につきまして議論・改善の意思がない場合は再度修正を行うものとし、なお差し戻された場合はメニュー類から同ページへのリンクを削除するなどの対応を行うものとします。 - 名無しさん 2015-10-09 19 09 30 もう現行ページを編集しても堂々巡りなので、同ページをメニュー類から削除した上で誰もが気兼ねなく編集できる「新・アニメの基礎知識」(仮称)というような新規ページを作成し、そちらをメニュー類に追加するというのはいかがでしょうか。現行ページは孤立させ関わらないのがベストだと判断します。 - 名無しさん 2015-10-10 00 52 29 異議なし 残念だがこれも仕方ないこと - 名無しさん 2015-10-13 01 41 49 仮に新旧分離をしても新ページまで乗っ取られてしまう可能性が排除できない、したがって慎重に進める必要がある。なお同頁ではとうとうコメント消去まで行われるようになってしまった。 - 名無しさん 2015-10-14 21 23 35 それでは、管理人氏に当該編集者への規制を要請するしかありませんね。根拠はいくらでもありますから。 - 名無しさん 2015-10-15 00 18 43 最後通告の内容に従い孤立化作戦を試みたものの力及ばず、もはや何をしても焼け石に水。なおコメント消去からの防護・編集回数制限の回避のため今後の議論は外部掲示板に集約すべき。 - 名無しさん 2015-11-13 19 11 38 仮ページ60に既に誰かが編集中なので、とりあえずそちらを使用してくれ - 名無しさん 2015-10-15 00 09 12 ここの議論も参考に。http //www35.atwiki.jp/kolia/pages/2111.html - 名無しさん 2015-10-29 11 44 34 朝日新聞1面「ジオン公国全面降伏」? ガンダム版発売http //www.asahi.com/articles/ASH85678QH85UCVL01J.html - 朝日新聞はガンダム大好き 2015-10-29 11 46 12 ここにも荒らし行為をする者がいますね。 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 修正したい場合は、コメント/総整理・総点検議論スレで書き込みの修正ができます。 改行は、改行する直前に br()を半角で書き込んでください。 当サイトの各ページへのリンクを貼る場合は [[当サイトの各ページ名]] と入力して下さい。 当サイトの各ページへのリンクで、ページ名と違う名前にする場合は [[任意の名前 ページ名又はURL]] と入力して下さい。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8827.html
前ページ次ページゼロのドリフターズ "白の国"アルビオン首都ロンディニウム、ハヴィランド宮殿のホール。 中心には巨大な円卓があり、上座の椅子に年老いたアルビオン王陛下ジェームズ一世が座る。 周囲をウェールズや信の置ける重臣達が囲んで、あれやこれやと意見を出し合い議論をしていた。 実際に国を動かす場所、その渦中に通されたルイズ達は雰囲気に圧倒される。 ふとシャルロットはよくよく見知った顔に気付いた。 少し離れて立って控えている正式なトリステインの使者達、その中に見える馴染みのある人物。 「父様?」 「・・・・・・え? シャルロット? 何故ここに・・・・・・?」 シャルロットとジョゼットの実の父親にして、元ガリア王家第二位継承者シャルル。 ウェールズに負けず劣らずの美男であり、未だ若々しさを保ちつつも、大人の渋みが加わっている。 現在はトリステインの竜騎士として働いていて、監視下に置かれていると同時にその優秀な実力を遺憾なく発揮していた。 昔は前線を結構暴れ回っていたものの、今は首都警護を担当している―― ――筈なのであるが、使者として派遣されているのを不思議に思う。 (そうか、やはり・・・・・・) シャルロットとシャルルのやり取りを横目で見ながら、ウェールズは心の中で思っていたことに確信を得る。 やはりシャルルは元ガリアの王族なのだ――と。 先だってシャルロットが元ガリア王族であることを知った。 よって青い髪色やその顔立ちからも、もしかして親族なのではと思っていた。 されどそのようなことを公然と聞けるわけもなく、彼の立場も察して言及したり質問することはしなかった。 改めて挨拶をしたいところであったが、ややこしいことになりかねないので黙ったままでいる。 「――そうか、特使か。いつの間にやら子供というものは立派になっているものだね」 「父様は・・・・・・――」 耳打ちで会話しながら、言いかけてシャルロットは口をつぐむ。 あまり深く突っ込んで話している状況でもないし、勘繰られて自分達が元ガリア王族の父子と露見しても困る。 そして恐らくは・・・・・・アンリエッタ王女の計らいなのだろうかと推察した。 ルイズとキッドとブッチの紹介もしたいところではあったが、それは後に回す。 今は議論の真っ最中であり、悠長に自己紹介をしている暇などない。 その議題とは――今の段になって、貴族派の中に焦燥が見出されたということであった。 下手をすると何かしらのアクションに出る可能性があり、危険なのがトリステインまでの道筋。 特にアルビオン大陸から出るまでの間である。その対策について話し合っている最中なのであった。 現在アルビオン国内は熱気に満ち満ちている。 発表されたウェールズとアンリエッタの結婚を大いに喜び、アルビオンとトリステインの同盟を歓迎している。 王族が未だ国民に受け入れらているという喜ばしさと共に・・・・・・。 反面、予想以上に追い詰められた貴族派が何をしでかすかわからない現況。 されど水面下である以上は、軍を動かすわけにもいかない。 よって密かに竜籠でもって運ぶという案などが持ち上がっている。 ウェールズとしては今後の支持や盛り上がりの為にも、大手振って港まで行こうという気であった。 しかし特にウェールズの側近が反対している。当然危険が伴うからだ。 貴族派をより抑え込むことを考えれば、堂々と往く方が良い。 しかし誘拐――最悪の場合、暗殺などをされようものなら本末転倒である。 どれだけ護衛をつけようとも安心は出来ない。それほどまでに貴族派は・・・・・・力を持つ貴族達は危険なのだ。 されど敢えて身を晒すことで、ほんの少しでも隠れた貴族派が動きを見せれば、情報を得る絶好の機会にもなる。 様々なメリット・デメリットを考え、アルビオンの首脳達で腐心しているのだ。 それほどまでに、反発する貴族派の危うさが鑑みられるというものであった。 同様に今の王党派の立っている場所も、非常に予断を許さない状況であるとも知れる。 しばし会議を見聞きしながら、シャルロットは前提や状況をまとめつつ一つの答えを導き出した。 「・・・・・・考えがあります」 シャルロットが手を上げて提案する。周囲の注目を集めたところで二の句を紡ぐ。 「ウェールズ様の意思を尊重しつつ、安全を確保出来る。そんな・・・・・・両立させる方法がございます」 予想通りにホール内がざわつきだす。 誰にも思いつかぬそんな方法をたかが少女が考えつくなどと。 あまつさえ不躾気味に意見をするなどと。 「どのようにだい?」 ウェールズが尋ねる。聡明な少女シャルロットのことは既に知っている。それに聞くだけなら損もない。 「ここにいらっしゃる皆々様を疑うわけではありません、が・・・・・・万が一を考えますればご内密に」 周囲から侮辱だなんだと声が飛ぶが、ウェールズが自ら諌める。 つまるところ最終的な判断と決断を下すのは、ウェールズの意志次第であった。 「いいだろう、では少しだけこの場を外すとしよう」 「キッドさん、一緒に来て下さい」 「ん・・・・・・? あぁ、わかった」 他の者達を残し、ウェールズに連れ立ってシャルロットとキッドはホールから出て行った。 † ウェールズの私室へと通されると、確かに三人しかいないことを調べる。 『探知』魔法でしっかりと確認した後に、周囲に『サイレント』を掛けて情報の漏れない万全の状態にする。 その上でシャルロットは考えた策の概要を、順を追って丁寧に説明した―― 「なるほど、確かにそれが可能であれば一石二鳥だな。しかしそれでは君達が・・・・・・」 「大局的に見ればこれが一番かと。それに私は問題ないです、後はキッドさん次第ですが・・・・・・」 「全然構わないよ」 チラリと窺うように目を向けるシャルロットに、キッドは快く承諾する。 キッドの決断は早かった。危険と言えば危険だがその程度は慣れっこだ。 それに次期アルビオン王に恩を売っておくことも悪いことじゃない。 「ありがとう、父様がいればキッドさんの安全も確保出来ると思うので」 身内贔屓ではなく、掛け値なしに父シャルルは凄腕のメイジだ。 伯父の話によれば、自分達の年の頃にはそれはもう華麗に空を舞って、火を完全に操った。 銀を容易に錬金して、水の根本すらも理解するほどの術者で、頭も良かったという。 四系統全てをそつなく使いこなし、竜騎兵として経験も積んでいる父。 幼き頃から、かくあるべしと目標にしてきた偉大な父親だった。 ――その才能こそ妹のジョゼットにしか受け継がれなかったものの・・・・・・。 「すまない二人とも、こたびの危難を乗り越えた暁には必ず報いると約束しよう」 ウェールズは何の躊躇いもなく頭を下げる。くだらないプライドは説得された夜に捨ててきた。 自分の為に、アンリエッタの為に、アルビオン・トリステイン両国と、両国民の為に協力してもらう。 「襲撃されると決まったわけではありません。殿下の方も油断はなりません」 次いでシャルロットは一応確認の意味も込めて、付け加える。 「それにウェールズ様にも少々血を流して頂くことにはなりますし・・・・・・――」 † 婚約と同盟を祝うパレードは派手に行われた。 首都ロンディニウムだけでなく、行く街、訪れる先々で沸きに沸き立つ。 民を味方につけ、しっかりとした基盤を築き直す。貴族派に付け入る隙を与えぬ為に―― そして――ウェールズの乗る馬車と護衛団の行程を知り、その道中で待つ集団があった。 ウェールズ達の目的地である港町ロサイスから近い街道沿い。道程も後少しとなり最も油断する頃合。 兵を適度に隠すことが出来る地形でもあり、恐らくここ以上の場所は望めない。 集団の中にあって最も異質なその男は音もなくあくびをした。 顔に大きく痛々しく残る火傷痕、筋骨隆々な肉体に、大きな鉄杖を手に持つメイジ。 "『白炎』のメンヌヴィル"。 戦場に身を置く者であれば、誰もがその名を聞いたことがあるだろう傭兵。 二つ名の通り火の系統を容赦無く戦場で振るい、その残虐性と悪名を轟かせてきた。 彼に付き従う者達も全員がメイジであり、修羅場を荒らし回ってきた歴戦の傭兵達である。 「どれくらいだ?」 メンヌヴィルは誰にともなく問うた。 「聞くところによるとこっちの3倍くらいですかね。さらにはトリステインの凄腕もついてるって話とか」 「ほう・・・・・・」 虚空を見つめながら舌舐めずりをする。 歯応えのある敵と闘り合えないのならば、わざわざこの依頼を受けた甲斐が少ない。 「王子も武人らしいですよ隊長」 そう言って、頭目たるメンヌヴィルを部下のセレスタンはさりげなく誘導する。 標的に逃げられでもしたら、前金だけでは到底割りに合わない 王党派を敵に回す以上はしっかりと今回の仕事をこなさねばなるまいと。 メンヌヴィルは戦闘狂だが、構成面子の大半は金を稼ぐことも大事だ。 凶暴な表情を浮かべたメンヌヴィルに、部下のセレスタンは味方ながらゾクリと怖気を感じた。 最初から誘導の意図まで察していたのか、それとも"読まれた"のか。 『白炎』は独りごちる。 狂おしいほどの飢え。忘れられない20年前のあの日から己は獣となった。 また"あの男"に会いたいと願いながら戦場を巡っている。 汚れ仕事も受けながら探している。あれほどの男がその業を――秘めたるを抑えられるなど思えない。 焦がれる炎が、身も心も焼き続けている。命尽きるその日まで、その渇き満たされるまで。世界を燃やしてやる。 そうしていればいつか辿り着くだろう、あの"20年前の隊長"に。 「来たようですぜ」 使い魔を通じて哨戒を行なっていた部下が戻ってくるのを見て、セレスタンが言った。 「・・・・・・ようやくか」 メンヌヴィルは立ち上がりゴキゴキと首を鳴らす。 「問題ないだろうな?」 戻ってきた部下は淡々と報告する。 「はい、道中すり替わってはいないと情報では聞いています。ウェールズの姿も確認済みです。 それなりに規模がある一団ですし、途中で入れ替わったりでもすればすぐに察知されるでしょうね」 そうなればすぐに貴族派のほうから連絡が来る筈だ。 メンヌヴィルは唸る獣が如く大きく息を吐く。ウェールズの一団は・・・・・・そう多くない。 50人前後くらいか。王子を守る護衛としては少ない。最低でもその倍はあってもおかしくない。 (囮・・・・・・か) 自分自身を餌に、貴族派を誘き出そうとでもしているのだろう。 一度はトリステイン国との同盟と婚姻を断ったと聞く。勇猛果敢と噂に聞く皇太子なら十分考えられる。 それに――腹心中の腹心で固めれば、その程度の規模になっても不思議ではない。 それほどまでに貴族派は潜伏し、情報網を持っている。 「まあいい、予定通り包囲後に殲滅だ」 メンヌヴィルの言葉に傭兵達は無言で頷くと、すぐに配置へとつき始める。 百戦錬磨の傭兵隊。個々の技量も、集団戦闘にも長けた生粋のメイジ達。 しばらくしてウェールズと護衛団が現れる。隙らしい隙はなかった。 こちらもこの街道沿いのおあつらえ向きな地形を戦場に選んだ。 逆に王党派もよく調べていれば、道すがらこの一帯が危険だと理解しているのだろう。 何よりも自分自身が撒き餌だと自覚しているからこそ、警戒は怠っていないようであった。 全員が騎乗している。先行する六騎、左右にも六騎ずつ。 ウェールズが乗っているであろう馬車を守るように配置されていた。 そして馬車の後方には、整然と並んだ重装騎兵。少ない人数でも相当な迫力を持っている。 正面に位置するメンヌヴィルは、ウェールズ一行を眺めながら気付いた。 ――"希薄"であった。メンヌヴィルだけが気付く明らかな違和感。 (ガーゴイル・・・・・・か) 魔法人形――形状は様々で翼の生えた異形から、純粋な人型まで豊富な種類である。 製作者・術者が一定の命令で動かす魔法人形が・・・・・・一団の内のざっと8割以上を占めているように"感じた"。 (なめてんのか、それとも・・・・・・罠か?) 餌として犠牲者を少なくする為に、精鋭だけで対応しようとしているのか。 それともこれほどまでに王党派は信頼に足る人材が不足しているのか。 どちらにしても現実問題として恐るるには足らない。 重装騎兵に偽装した選りすぐりのメイジを期待していたのだが肩透かしを喰らった。 されど思考とは裏腹に、歴戦の戦場人特有の嗅覚が何かを捉える。迂闊に手を出すべきではない、と。 どうしても拭い切れない違和感を覚えたその時、ウェールズ一行の背後から魔法が飛んだ。 観察している最中に、既に絶好の位置にまで進んで来ている。伏せた隊員達が攻撃を加えるのは当然であった。 「構わんか・・・・・・」 メンヌヴィルは己に言い聞かせるように口に出す。今更悠長にごちゃごちゃ考えても意味はない。 何かあったらあったで、それらを含めて楽しめばいいだけだ。 初撃で出鼻を挫いた後に、次いで両脇からも魔法が乱れ飛ぶ。 一団の一角は崩れ、対応を見せる一瞬の間隙にメンヌヴィルは『フレイム・ボール』を挿し込んだ。 ホーミングする炎球は豪奢な馬車の車輪部付近で爆発し、馬車は音を立てて崩れる。 護衛はすぐに馬車の周囲を固めて、怒号を喚き散らしている。 何頭か襲撃に驚いた馬を宥めつつ、奇襲の混乱と対応にも追われて、陣形も相当乱れてしまっていた。 メンヌヴィルは魔法で作った矢――『マジックアロー』を打ち上げると、散っている部下に指示を与えた。 「セレスタン――」 「了解」 直接指示された部下は伏兵として残る。残る三方にもそれぞれ一人ずつ残っている手筈だ。 ウェールズ一行が落ち着くまでに、メンヌヴィル含む傭兵隊は姿を見せて完全に取り囲んだ。 「誰の差金か!?」 老いた護衛の一人が剣幕を剥き出しに叫ぶ。流石にいきなり攻撃してくるような馬鹿な真似はしてこなかった。 そうなればたちまち包囲された状態からの混戦。皇太子を守り切るなど不可能だ。 (だが・・・・・・それは不正解だ) メンヌヴィルは心の中で呟く。ここは危険を顧みずに死中に活を見出すべきなのだ。 こちらはまともな対話をする気など一切なく、殲滅する気なのだから。 「お前達の置かれた状況はな、俺達を楽しませて死ぬだけだ」 「ふざけるなッ!!!」 メンヌヴィルは煽りにあっさり乗せられて一際感情的に老兵が叫ぶが、一転してメンヌヴィルは冷静に返す。 「どの口が言う、反抗勢力を釣りたいならもっとマシな陣容にしておけ」 「どうすれば・・・・・・見逃してもらえるのかな?」 馬車の中――からではなかった。先頭の一騎の内の一人が言った。 「・・・・・・ウェールズか」 メンヌヴィルの言葉に、馬から降りると目深に被ったフードを取る。 「あぁ、ぼくがアルビオン皇太子ウェールズ・テューダーだ」 死地にあっても威風堂々とし、王族でありながら武人らしい雰囲気を纏っていた。 「ウェールズ様、危険です!!」 側近らしい者達が盾となるように立つが、ウェールズは押しのけて前へと進んでメンヌヴィルと向かい合った。 「もう危険じゃない場所などない。それに彼らが本気ならとっくに死んでいるさ」 「その通りだ。お前らは袋の鼠、飛んで逃げれば蜂の巣だ。生き残りたいなら唯一ツ、俺達を殺すことだ」 「なに・・・・・・? 君たちは交渉をする為に、わざわざ姿を晒したのではないのか」 「いいや、違う。一応敬意を払っているのさ、あっという間に暗殺されたんじゃつまらんだろう?」 「なるほど・・・・・・一応聞いてはみるが、貴族派を裏切る気はないかい? "君達を雇った者の名前"を込みで、最低でも3倍は出そうじゃないか」 ウェールズの言葉に一瞬だけ隊員達の感情がザワつくが、それはすぐに収まる。 そんな色気を表に出した者はどうなるのか、骨身に染みるようにわかっているからだ。 「生憎だが傭兵ってのは信用で成り立つ稼業だ。そんなことをいちいち言わなくてもわかるだろう? 王子様よ」 当然である。より多い金を積まれ、容易く裏切る傭兵を雇う人間などいやしない。 そのような連中はどこからも疎まれ、下手をすれば同業者や雇い主によって殺される。 「無論だ、だから君たちの今後の生活も保障しよう。僕と部下の命と、国と民のことを思えば高い買物とは思わない」 「残念。俺達――いや少なくとも俺は、金の為に傭兵やっているわけじゃない。闘いが好きで戦場を愛してやまぬからだ」 「なるほど。傭兵の中では珍しいことじゃない・・・・・・が、今ここに至っては誠に残念だ」 「決裂だな・・・・・・いや、最初から交渉のテーブルなど用意されていない。武人なのだろう? ウェールズ皇太子。 この俺が素晴らしい死に様を与えてやる。だから安心して逝くがいい。俺は貴様の匂いを忘れないと約束しよう」 メンヌヴィルに呼応するかのように、周囲の傭兵達も下卑た笑みを浮かべる。 非効率でわざわざリスクを呼び込む首領。それでも隊員たちは実感している。隊長といれば分け前は大きい。 『白炎』のメンヌヴィルの絶対的な強さと実績を信頼しているのだ。 場に緊張が走り一触即発となるその時、メンヌヴィルが思い出したかのように言った。 「おっとその前に、さっきから気になっているんだが・・・・・・。後ろにワラワラいる"人形ども"は全部自動か?」 包囲された状況での反応の今一つさが特に顕著だ。そうでなくてもメンヌヴィルだからわかる理由がある。 「そんなことを聞いてなんとする?」 「いいや、誰かがどこかで操っているなら、そいつらを呼んでもらおうと思っただけだ」 "魔法人形"程度では話にならない。しかし逆に遠隔で操作しているメイジがいたなら、人数或いは実力が相当なものだ。 自律型は珍しくないものの、万が一があると思い一応確認する。ウェールズも相手が戦闘狂だと察した上で答える。 「ご期待に添えぬようだが、"ここにいる"のが全員だ」 「そうか――」 メンヌヴィルは"疑うこともなく"あっさりと納得する。 もし自分でもわからぬほど遠間にいればすぐに増援を呼ぶかも知れない。 だがウェールズは"嘘をついていない"。仮に嘘だったとしても、敵が増えるのは望むところだが・・・・・・。 「――それじゃあ・・・・・・始めるか」 メンヌヴィルの殺意が場を支配する。 言葉と同時に、数多の戦場を蹂躙し続けてきた炎熱が開放され舞い上がった―― 前ページ次ページゼロのドリフターズ
https://w.atwiki.jp/nipponnokiki/pages/318.html
【関連】 皇室の基礎知識 皇室の本 万世一系 日章旗と君が代 秋篠宮ご一家 世界最強の天皇陛下 <目次> ■かけがえのない御皇室 ■天皇の尊さ■世界最古・最長の君主家 ■世界唯一の皇帝(Emperor) ■「文明開花」の先陣を切った明治天皇 ■米国から見た天皇 ■無礼な朝鮮 ■反権力雑誌に論破された「女系天皇論」 ■天皇家を護るとてつもない守護 ■天皇=日本そのもの ■日本の滅亡は世界の迷惑 ■天皇の役割■独裁を防ぐ ■国民を統合する ■伝統文化の正統を、保存・表現する ■皇室用語の基礎知識 ■かけがえのない御皇室 ものづくりの最先端を行く日本。東京にはビルが立ち並び、その中でポップカルチャーが所狭しとあふれています。そんな日本国でありながらも、2600年以上もの昔から皇胤(こういん)を秘めながら、今もなお御所の深い杜のそのまた深いところで神話が奥ゆかしく息をしています。古(いにしえ)のしきたりと未来を拓く最先端技術が混沌と生きている国。それが世界に誇る神の国日本のあるべき姿です。 ■天皇の尊さ ■世界最古・最長の君主家 我が国の皇室は、紀元前660年に践祚された初代 神武天皇から第125代 今上天皇まで、2669年(平成21年現在)も続いている。これは、世界に現存する世襲の君主家の中で、最古・最長です。 ただ、「紀元前660年に践祚された」という記述を素直に解釈しますと、神武天皇は、127歳で崩御あらせられたことになり、あまりにも長寿である、という指摘があります。これについては、作家の八木荘司 氏が、支那の史書『魏略』の記述を基に、「昔の日本での『一年』は、今でいう『半年』である」と指摘し、「神武天皇の践祚は、西暦181年である」と主張しています(八木荘司 著、角川書店 刊 『角川文庫 古代天皇はなぜ殺されたのか』)。これを考慮しても、1828年(2009年現在)続いている計算になり、やはり世界最古・最長です。 ■世界唯一の皇帝(Emperor) 昔から、支那は、中華思想を持っていました。中華思想とは、自らの国を、世界の中央にあって最も文化の進んでいる国と見なす思想です。そのため、支那は、外国を、「夷狄(いてき)」と呼び、見下してきました。この中華思想に基づき、支那は、「冊封(さくほう)」という体制を、執っていました。冊封とは、支那の皇帝が、異民族の長(おさ)に、国を治める権利を、授けることです。中華思想では、支那だけが“世界の中央にあって最も文化の進んでいる国”なのだから、支那に認めてもらえない国は、彼らにとって、夷狄なのです。 ※(冊封(wikipedia)) 西暦607年になると、我が国の第33代推古天皇の摂政であらせられた聖徳太子は、小野妹子を、隋(当時の支那の王朝)へ、お遣わしになりました。このとき、聖徳太子は、隋の第2代皇帝である煬帝に、国書を、宛てられました。 原文  日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無きや 現代語訳  日が昇るところの天子が、書を、日が沈むところの天子に、届ける。元気か。 中華思想にとって、「天子」とは、支那の皇帝のみを指す言葉でした。しかし、聖徳太子は、国書の中で推古天皇を「天子」とお呼びになることで、「我が国と支那は、対等である」という態度を、示されたのです。これにより、我が国は、冊封から脱し、独立国としての矜持を、持ったのです。 それから現代に至るまでに、様々な皇帝(Emperor)が、洋の東西を問わず現れました。しかし、平成21年現在でも残っているのは、天皇だけです。 このように、我が国の天皇は、時間的には「世界最長・最古の君主家」、空間的には「世界唯一の皇帝(Emperor)」という特長を、有しているのです。それゆえに、天皇は尊いのです。 ■「文明開花」の先陣を切った明治天皇 1871年8月9日、散髪の自由が認められ、それまで長く続いていたチョンマゲの時代が「法律上」終わりを告げました。 よく「ザンギリ頭を叩いて見れば文明開化の音がする」などと言う言葉が有名なので、明治になった途端にみんなが我先にと大喜びでチョンマゲを切ったかと思われがちですが、実は散髪の自由が認められるまではチョンマゲを勝手に切ることは認められていなかったのです。 しかし、この日に認められたからといって物心付いた頃から当たり前と思っていた髪型を変えることには抵抗があったのか、多く出現した西洋床(散髪店)で洋髪(ざんぎり頭)にする人は実に少なかったのです。実態としてはチョンマゲの時代が続いていたのです。 しかし、それから2年後の1873年3月1日についに明治天皇が洋髪にしたために、ようやく多くの人々もそれに従うように散髪をするようになったのです。 参考リンク・明治天皇(知泉Wiki内) ■米国から見た天皇 米国の大統領は燕尾服に白い蝶ネクタイ(ホワイト・タイ)という最もフォーマルな姿で天皇と会います。 昭和天皇が昭和50年(1975)に米国にお出ましになった時の御真影。当時のフォード大統領はホワイト・タイをしめています。 http //www.whitehouse.gov/history/photoessays/crosshalls/06.html http //www.international.ucla.edu/eas/images/hirohito-ford.htm つまり、それほど至尊な権威が天皇陛下にはあらせられるのです。日本国が世界に誇るこの御皇室を廃止することは、日本国の尊厳を大きく損なう虞があります。 ■無礼な朝鮮 北朝鮮と韓国では天皇陛下を「日王」(「日本の王様」という意味。)などと呼称しています。朝鮮人にとって天皇は他民族の君主ではありますが、だからといって他国の君主に対して無礼な態度とっていいわけではないです。断固抗議すべきです。 天皇は国際社会においても「皇帝(Emperor)」と承認されており、「王様」などと表現するにはあまりにも恐れ多いです。英語でも、「Emperor」と言われています。そもそも天皇の「皇」は、皇帝の「皇」です。 ■反権力雑誌に論破された「女系天皇論」 「反権力スキャンダル雑誌」を売りにした月刊誌「噂の真相」が、女系天皇論の正統性の無さを指摘しました。「女系天皇」を主張する「民族派」が「天皇制廃止」を主張する「反権力雑誌」に「女系天皇論」を論破されるなど、しゃれにもなりません。 参考資料 噂の真相 90年12月号「神秘のヴェールに覆われた大嘗祭における秘儀の”真相”」 噂の真相 02年2月号 「雅子妃女児誕生フィーバー報道と台頭する女帝論者の歴史改竄の論理」 愛子さまが生まれてから、「『女帝』でもいいじゃないか」「女性天皇は、男女平等社会にふさわしい」という意見がでていますが、男系男子の皇位継承が天皇制の伝統です。 血統という差別を本質とする天皇制に平等という近代の概念を持ち込むこと自体が論理矛盾であることはもちろん、女性天皇の制度化は逆に、宮家の増大という差別構造の拡大再生産を引き起こします。 そもそも、天皇制には女帝では絶対につとまらない宗教的本質が存在するのです。 神道では古来より、死穢、産穢、血穢という3つの穢れがあるとされていたのですが、ある時期から、その3つの穢れのうち、出産の産穢、生理の血穢をもっている女性そのものが『不浄のもの』として、排除されるようになりました。いわば、この国の女性蔑視の伝統の礎ともいえるものです。 今でも、相撲の土俵に女性があがれないとか、トンネル工事に女性が入れないといった形で穢れ思想は生きていますが、その穢れ思想をもっとも厳格に守ってきたのが天皇家の祭祀なのです。 その象徴が、年に一度の新嘗祭、そして即位の際に行なわれる大嘗祭という、2つの宮中祭祀です。5世紀中頃から続いている天皇家でもっとも重要なこの2つの祭祀はいづれも、悠紀殿・主基殿と呼ばれる建物で行なわれるものですが、その内部には「八重畳の寝座」と呼ばれるものがしつらえられています。そして、天皇は「采女」と呼ばれるひとりの女性を引き連れて、夜通しそのベッドのある部屋に引きこもり、この祭祀を執り行ないます。 内部でどんな儀式が行なわれているかは、秋に収穫した穀物を皇祖である天照大神に供え、共に食べるということ意外には詳細は明らかにされていません。 民族学者・折口信夫が昭和3年の9月の講演「大嘗祭の本義」にて 『フンドシを解くことで天皇が性交に向かう』 と説いた廻立殿の小忌の湯の儀のついて、宮内庁は、今上天皇の大嘗祭にかんする記者会見にて、ある新聞記者からの質問に、「お湯を使うということ以外は、いっさい言えない」とつっぱねたといいます。 歴史学者の間では、「大嘗祭」には女性との聖婚儀礼的な意味合いが含まれているというのが有力な説となっています。 大化以前の朝廷では、地方の豪族に服従を誓わせるため、豪族の子女を一夜妻として差し出させるという風習がありました。その子女が「采女」であり、この風習が儀式化されたのが新嘗祭・大嘗祭であるといわれています。 そして、儀式では采女を大地を象徴する神妻とし、天皇はその神妻と一体化することで、五穀豊穣を保証します。別の説では、天照大神、あるいはムスビの神という穀霊と一体化するという説もあります。いずれにしても女性との聖婚儀礼であることは間違いありません。 新嘗祭・大嘗祭は現在も、天皇が天皇であることを証明するもっとも重要な祭祀として受け継がれています。そこに女性との聖婚儀礼的な意味があるとすれば、相手となる天皇の座に女性が就くことができるわけがありません。 「穀霊は、一般に生産する力、生殖する力をそなえた女性の霊格とされるから、新嘗祭の祭司をつとめることをもっとも重要な宗教的機能とする天皇は、終始、男帝を原則とし、女帝は例外的存在にとどまった」歴史学者・村上重良 ほかにも、宮中祭祀の中には、女性皇族が参加を許されていない儀式が多数存在します。たとえば、やはり天皇の即位の際に行なわれる剣璽等承継の儀では出席するのは男性の皇族のみ。女性皇族は一切関わることができないし、女性の参加が許されている儀式でも、女性が生理中、もしくは妊娠中は「マケ」と呼ばれ、一切の儀式への参加出席が許されていません。 女帝の制度化を目論む輩は、天皇制の持つこうした女性排除の宗教的本質を無視し、矛盾だらけの「女帝」を誕生させようとしているのです。 「女帝待望論」に対し、民族派の者が意義を唱えず、抗議行動を起こさないのがフシギです。 ■天皇家を護るとてつもない守護 参考資料 天皇家と日本を守る不思議な力(日本が好きなだけなんだよ内) 天皇家は、中国の皇帝とは異なり、「易姓革命」によって滅亡しないようになっているようです。 日本は歴史上、世界最古の国家ですが、その根拠は一系の天皇家が建国以来、実権はともかく形式的には頂点に君臨し続けてきたことによります。一系の家系とは、男系継承で続いてきた家系のことで、いわゆる万世一系のことです。女系天皇などというおかしな概念が生まれたせいで、男系継承などという言葉が生まれましたが、一部の例外を除けば、世界共通で家系は父方の血筋を元に記録されています。遺伝子的にはY染色体の受け渡しで継続される家系のことですが、これは男女差別云々以前に、男女の役割の差に過ぎないと思われます。 ■天皇=日本そのもの 日本は、地政学的に見て、歴史的に見て、常に内部侵害といった主権侵害の危機にさらされています。それを踏まえて話を進めます。 皇室は、2700年近くの伝統を持つ尊い存在です。現存する最古にして、最後の皇帝と世界で認識され、敬われています。国際的な場では英国女王も天皇に上座を譲るのです。あのかつて「大英帝国」としてわが世の春を謳った国の女王様がですよ!他にも、簡単な言い方をすれば米国大統領に最敬礼をさせる事が出来るのも、この尊さのほかなりません。我が国は本当に素晴らしい宝物を持っているのです。これはお金に変えられません。外交として天皇来訪は非常に効果的で、両国の緊密さをアピールする事にも繋がります。 そして何よりも天皇陛下は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴なのです(今までもそうでしたが、明文化したのは実は現行憲法が初めてです)。そう! 天皇陛下の存在が地政学にもかかわらず、日本が日本であり続けてきた最大の要素です。 ■日本の滅亡は世界の迷惑 日本が日本でなくなったら、支那に侵略・支配され結果、日本は滅亡します。「日本が日本たる所以」、即ち「国体」です。国体の滅亡こそ日本の滅亡なのであります。日本が滅亡をしたらどうなるのでしょうか? 笑ってすまされる問題ではありません。 また、日本の滅亡は日本という国一国の滅亡では終わりません。いつも日本や我々大和民族の悪口ばかり言っている支那や朝鮮まで含めた世界全体の経済にも多大なる悪影響を与えます。日本の滅亡は世界の経済産業モラルの崩壊を招きます。 第二次世界大戦後の日本は、世界経済産業の要でありつづけています。「とてつもない日本」をご覧になればお分かりいただけますが、このような「カイゼン」・「ノーキ」・秒単位での作業など、またそれに伴う高度なまでの職人的なものづくりは、日本人だからこそ出来るのです。 原子力プラントメーカーに至っては、WH・東芝、GE・日立、アレバ(仏)・三菱重工業、ロスアトム(ロシア)の4グループ体制であり、前三者は日本企業が関わっているため、反日勢力に完全に侵略されれば世界中に大混乱が起こります。 そのため、いくら支那がアメリカと張り合えるほどの経済力を誇ったとしても、その下支えになっているのは、他ならぬ日本です。支那が日本を日本でなくす工作を働くことは、日本社会の崩壊に留まらず、支那経済にとっても自殺行為です。これを「天に唾を吐く」と言います。 天皇陛下を御護りし日本の国体を護持する事、つまり日本が日本であり続けるということは、同時に世界平和のためにもなります。「世界平和」をとなえる皆さんは、そこのところを分かって言っているのでしょうか? 我々日本人は東アジアの諸民族とは身体面では似通っていても、精神文化は全然違います。そこを「同文同種」であると勘違いして朝鮮半島や支那大陸にお節介にものめりこんでいってしまったことが、明治以降から敗戦までの日本の失敗のもとになりました。我々日本は絶対に同じ愚を犯してはなりません。 ■天皇の役割 ■独裁を防ぐ イギリスのジャーナリストであるウォルター=バジョット氏は、「国家には、尊厳的部分と実践的部分が必要である」と述べています。我が国では、“尊厳的部分”を、天皇が、“実践的部分”を、内閣総理大臣が、担っています。天皇は世襲でありますから、内閣総理大臣は、どう頑張っても天皇にはなれません。これにより、内閣総理大臣は、自惚れたり、威張ったり、しなくなります。ゆえに、内閣総理大臣は、独裁者になりにくいのです。 ■国民を統合する 民主制(デモクラシー)は、多数決が原則です。ゆえに、少数派は、自分の意見が通らないために、苦悩を抱えてしまいます。しかし、我が国の法律案は、国会で可決されると、天皇が署名・捺印をなさった上で公布されるので、少数派は、「天皇がお認めになったのだから、仕方がない」と考え、諦めがつきます。これにより、多数派と少数派が対立することを、防ぐのです。 ■伝統文化の正統を、保存・表現する もし我が国が、三島由紀夫 氏が言う「無機質で空っぽな経済大国」になって、国民のほとんどが天皇への興味を失ったとき、良識ある国民が天皇の生活様式から、我が国の伝統文化を学びとることで、再び日本を復活させることができるでありましょう。 また我が国の独自性を、外国に印象付けるために、国旗・国歌があるが、天皇も国旗・国歌と同様の役割を担っています。つまり、天皇が、我が国の正統たる生活様式を、身をもって実践することにより、国家の独自性を、表現しているのです。 ■皇室用語の基礎知識 てん-のう【天皇】 我が国を統治する君主。すめらみこと。みかど。 こう-ごう【皇后】 男性天皇の妻。 こう-たいし【皇太子】 皇位を継承する皇子(天皇の息子)。東宮殿下。 こうたいし-ひ【皇太子妃】 皇太子の妻 しん-のう【親王】 皇子から皇玄孫(天皇の孫の孫)までの皇族男子の呼び名。 ない‐しんのう【内親王】 天皇の正妻の皇女(天皇の娘)、および、天皇の正妻の皇子の正妻の娘の呼び名。 へい-か【陛下】 天皇・皇后の敬称。 でん-か【殿下】 天皇・皇后以外の皇族の敬称。 皇族の一般的な呼び名 天皇陛下 ├───皇太子殿下 皇后陛下├─────┬親王殿下     皇太子妃殿下└内親王殿下 きんじょう-てんのう【今上天皇】 現在の天皇。 たいこう-てんのう【大行天皇】 崩じた天皇に、まだ、諡(おくりな)が無いときの呼び名。 ぎょう-こう【行幸】 天皇が、皇居を出て、よそへ行くこと。 ぎょう-けい【行啓】 皇后が、皇居を出て、よそへ行くこと。 ぎょう-こうけい【行幸啓】 天皇・皇后が、皇居を出て、よそへ行くこと。 せん-そ【践祚】 天皇の祚(くらい)を践(ふ)むこと。天皇の位に就くこと。 ぎょ-めい【御名】 天皇の名前。 ぎょ-じ【御璽】 天皇の印鑑。 ご-しょ【御所】 天皇の住まい。 ご-ふれい【御不例】 天皇が病気になること。御違例・御不予。 ちょく-ご【勅語】 天皇の言葉。 ちょく-し【勅使】 天皇の使い。 みこと-のり【詔・御言宣】 天皇の命令。 しん-ぱい【親拝】 天皇が参拝すること。 ぎょく-ざ【玉座】 天皇の席。 ほ-ひつ【輔弼】 天皇に助言すること。 (※このコーナーは別ページ万世一系を表示したものです。目次より直接それぞれの項目に飛ぶことは出来ませんので、お手数ですがスクロールしてご覧ください。)
https://w.atwiki.jp/kenkyotsukaima/pages/48.html
謙虚な使い魔~アンドバリの呪縛~ ゲルマニア皇帝、アルブレヒト三世と、トリステイン王女アンリエッタの結婚式はゲルマニアの首都ヴィンドボナで行われる運びであった。 式の日取りは三日後のニューイの月の一日に行われる。 そして本日、新生アルビオン政府の客を迎えるため、トリステイン艦隊がラ・ロシェール上空にて停泊していた。 昼の刻を過ぎた頃、空の彼方から『レキシントン』号率いるアルビオン艦隊が静々とラ・ロシェール上空へと降下してきた。 「『ロイヤルゾヴリン』号、いや、今は『レキシントン』号か。こうしてトリステインのフネとも並ぶと、流石アルビオン最大の艦といったところだな」 タルブの砂浜でウェントゥスは一人呟いた。 タルブの村に滞在してひと月近くになるウェントゥスは、この親善訪問の行く末を固唾呑んで見守っていた。 側に立つ黒鷲の使い魔の視界を借りて、ウェントゥスの目には各艦隊の様子が鮮明に映る。 「やはり、戦力差で言えば、トリステインだけでは圧倒的に不利だな」 ラ・ロシェール上空に並ぶ両国艦隊の性能、数、操舵の技術を見比べれば、その差は歴然だった。 空軍艦隊のみならず、地上軍でもトリステインはアルビオンのものより遥かに劣るだろう。 トリステイン王国の軍備は貴族を主軸としているため、流石にメイジの質と数ではハルケギニア随一の座は譲らないが、貴族連盟を通じて貴族メイジの数を増やしたレコン・キスタも負けてはいない。 「しかし、あと三日もすればトリステインとゲルマニアの軍事同盟が確固たるものになる。そうすればあの叛徒どもも手がだせないだろう。そしてその時、アンは…」 ウェントゥスはその先を口に出さず、呑みこんだ。 トリステインが現状のアルビオンに対抗するためには、これが最善の策であると散々自分に言い聞かせていた。 しかし、アンリエッタの式の日が近づくにつれ、何ともいえぬ焦燥感にウェントゥスは悩まされていた。 その気持ちを察したのか、黒鷲が「クァ……」と寂しそうに鳴き、主人の腕をその嘴でつつく。 「ああ、大丈夫だ。ただのつまらない未練だ。わかっているさ、今の彼女を迫りくる敵から守ってやれるのはこの杖を握る手ではなく、ゲルマニアの兵力だ」 実際、帝政ゲルマニアの兵質はトリステインとは対極に、平民の兵士を数多く揃えている。 金を積めば誰でも貴族の地位を買う事ができると言ったハルケギニアでは異例な政治体制を取っているため、金払いの良い軍人を目指す平民も数多く、それがメイジの少ないゲルマニアの戦力を底上げしている。 メイジ主体のトリステインと兵士主体のゲルマニアが同盟を結べば、新生アルビオンが脅かす事は実質不可能であるのは歴然である。 (……ハルケギニア統一を謳うレコン・キスタが、このまま黙って指を加えて式を見過ごすはずはないとは思ったが、こうしておとなしく訪問に応じるからには、トリステインが軍事同盟を結んだ事で諦めたのか?) その時、『レキシントン』号の大砲から火が噴き、煙が上がる。 実弾は込められていない、火薬を爆発させるだけの礼砲だ。 数秒の間をおいてから、鈍く、重い爆音が遠く離れたウェントゥスの耳にも届く。 ビリビリとした振動が肌で感じ取れる程だ。 (アルビオンの時とは違うカノン砲を載せているな。統一の野望を諦めた所が、新型の大砲を引っ提げて親善訪問にやってくるものだろうか?) いよいよきな臭くなってきた、と感じたウェントゥスは使い魔を促し、ラ・ロシェール上空へと飛ばした。 黒鷲の目を通じて、アルビオン艦隊を間近で見たウェントゥスは奇妙な点に気がついた。 新型の艦隊を揃えたアルビオン艦隊の最後尾に、使われなくなって久しい旧型艦『ホバート』号の姿があった。 (新型大砲を搭載して、威圧目的の砲艦外交であらば、なぜ時代遅れの『ホバート』号を連れてくる必要がある?) 黒鷲を艦隊の周りを旋回させて、『ホバート』号を注意深く観察すると、何やら乗組員の様子がおかしい。 『ホバート』号の乗組員達は退出用のボートに<フライ>の魔法をかけ、フネを乗り捨てている。 その時、トリステイン艦隊旗艦の『メルカトール』号が答砲を撃ち始める。 どん、どん、どん、と一定の間隔をおいて『メルカトール』号が空砲撃ち続けていると、突然『ホバート』号から火災が発生する。 『ホバート』号は見る間に高度が下がって行き、艦に炎が広まり、木っ端微塵に爆発した。 『ホバート』号は自分達で点けた火災で、あたかもトリステインの砲撃によって落とされたかの様に演出したのだ。 「馬鹿な!このような事で大義名分を得ようと言うのか、レコン・キスタは!」 ウェントゥスは驚愕する。 すでにこの事態を計画していたか、アルビオン艦隊の『レキシントン』号は既に込められた実弾にて、『メルカトール』号に向けて一斉射撃を行う。 辺りに響き渡る轟音と共に、『メルカトール』号に砲弾が着弾する。 マストが折れ、甲板に大穴が開く。砕け散った木片がバラバラと空に撒かれる。 ウェントゥスは眼下に目をやると、傭兵団の数隊が合流し始め、蟻の大群のように一斉にタルブへと向かっていた。 「ぬかった、傭兵どもの言う『タルブ』とはこの事だったのか!レキシントンの街を占領した様に、今度奴等はタルブを足がかりとするつもりか!」 大洋に面し、フネも直陸出来るほどの広い砂浜を有するタルブは、侵略の増援を送り込むのに絶好の場所であった。 王国の防衛隊が守るラ・ロシェールの街と違い、小さな村しかないタルブであれば大した抵抗も受けないであろう事もレコン・キスタは考慮済みなのだろう。 「まずいな、あと数刻もすれば傭兵どもがここにやって来ると言うのに、この様子であれば王宮の方は何も対処していないのだろうな……」 ウェントゥスは口笛を吹き、使い魔を呼び戻すと同時に、タルブの村へと駆けだす。 「急がねば、時間が無い!」 トリステイン王宮に、国賓歓迎のためにラ・ロシェール上空に停泊していた旗艦『メルカトール』号を含むトリステイン艦隊が全滅したとの報がもたらされた。 時同じくして、アルビオン政府から宣戦布告文が王宮に届けられた。 『貴国ハ不可侵条約ヲ無視シ、理由モ無ク我艦ヲ攻撃シタ事ニ、神聖アルビオン共和国政府ハ憤慨ノ意ヲ表ス。自衛ノ為神聖アルビオン共和国政府ハ、トリステイン王国政府二対シ宣戦ヲ布告ス』 ゲルマニアへのアンリエッタの出発でおおわらわだった王宮は突然の事に騒然となった。 すぐさま大臣や将軍達が集められ会議が開かれた。 しかし、会議は紛糾するばかりで少しも進展しない。 口々にアルビオンに急使を送りトリステインの先制攻撃が誤解である事を正すべきであるとか、ゲルマニアに急使を派遣し軍事同盟に基づいて軍の派遣を要請すべきであるとか意見はでれども、結論までには達せず、悪戯に時間ばかりが流れてゆく。 会議室にアンリエッタの姿もあった。 これから馬車に乗り込み、式のためにゲルマニアに向かう所であったので、純白のウェディングドレスに身を包んでいる。 アンリエッタは忘れ去られた人形の様に、会議室の上座に茫然とした表情で会議の行く末を見守っている。 「我が方は礼砲を発射しただけだと言うではないか!偶然による事故であると言う事を早急にアルビオンに打診すべきだ!」 「そうだな、全面戦争へと発展する前に、アルビオンに特使を派遣し、双方の誤解が生んだ遺憾なる交戦であったと言う事を明らかにして置くべきだ」 現状の政務を取り仕切っているマザリーニ枢機卿も、このアルビオンに特使を送る案に頷き、賛同した。 その時、急報が入った。伝書フクロウによってもたらされた書簡を手にした伝令が会議室に飛び込んだ。 「急報です!アルビオン艦隊は降下して占領行動に入りました!」 「場所はどこだ?」 「ラ・ロシェール近郊のタルブの砂浜のようです!」 「なんだと!?よりによってあのタルブだと!?確か領主が不在の地であったな。これはやっかいだぞ」 伝令はまだ続ける。 「なお、身元不明の傭兵の数隊が同じくタルブへ向かっているとの事です!」 「傭兵団だと?王宮が傭兵を雇い集めていたとは聞いてないぞ。貴殿は知っておりましたか?」 隣に座る有力貴族に、話を振られた白髪の老獪そうな印象を与える貴族は首を振った。 「さて?このリッシュモン、その様な報告は今まで聞いておりませぬなあ……」 シエスタは幼い兄弟達を抱きしめ、寺院の天窓から空を不安げな表情で、炎の様に赤く染まる夕焼けの空を見つめていた。 先ほどウェントゥスの報を受けて、タルブ村の住人は寺院へ集められていた。 最初は突然の事に家から離れたがらない村人もいたが、アルビオン艦隊から飛来した火竜の騎士隊にドラゴンのブレスで村を焼かれ始めると、皆は異を唱えることなくウェントゥスの誘導に従い、寺院まで避難してきたのだ。 村人の何人かは以前イージスが飾られていた所に向かって祈っている。 中には村の御神体がいなくなったために村に不幸が訪れたと嘆く者もいた。 「何が起こっているの?お姉ちゃん」 幼い弟や妹達がシエスタにしがみつき訪ねる。 「大丈夫よ、すぐに怖い事は終わるわ」 シエスタは兄弟達を安心させようと言ったが、自分自身もぶるぶると震えていた。 ウェントゥスは村の全員が無事寺院に避難できた事を確認次第、寺院の扉を閉め、一人だけ外に出て何かをやっている様だった。 光を取り入れるための天窓しか無いため、中からは外の様子がまったく確認できないが、時折外から不気味な風を切る様な音が聞こえてくる。 ヒュー、ヒューと鋭く鳴る、その身も凍りそうな冷たい音が、シエスタ達の不安を煽る。 夕刻を過ぎても、王宮の会議室では未だに不毛な会議が続けられている。 「やはりゲルマニアに軍の派遣を要請しよう!」 「竜騎士隊全騎をもって反撃してみては?」 「いや、攻撃したらそれこそアルビオンに全面戦争の口実を与えてしまう、ここはやはり特使を派遣すべきだ」 一向にまとまらない会議に、マザリーニも、結論を出しかねていた。 彼は未だに外交による解決を望んでいたが、どうも現状ではそれは難しいようだ。 怒号が飛び交う中、アンリエッタは薬指に嵌めた『風』のルビーを見つめた。 人形の様に黙って佇む自分の姿を今ウェールズが見ていたら彼はどう思うのだろうか? 優しい彼の事だ、アンリエッタを責める様な事は一言も言わないだろう。 軽い冗談の一つも言って、気を紛らわせようとしてくれるだろう。 アンリエッタが大好きだったあの屈託の無い笑顔を浮かべて「なに、心配ないさ。私にいい考えがある」とでも頼もしい事を言ってくれるに違いない。 しかし、彼はもういないのだ。 レコン・キスタの手によって彼はもういなくなってしまった。 「タルブの村、炎上中!なお身元不明の傭兵隊はアルビオンの占領行動に加わったようです!」 その急使の声で、アンリエッタの中に何かが弾けた。 (これ以上、あの者達の好き勝手にさせるものですか!) アンリエッタは突如立ち上がる。 途端、会議室は静まり返り、一斉に視線は王女へと注がれた。 「姫殿下?」 「あなた方は恥ずかしくないのですか?国土が敵に侵されていると言うのに、同盟だの、特使だのと騒ぐ前にする事があるでしょう」 「しかし、姫殿下、我らは不可侵条約を結んでおったのだ、偶然の事故が生んだ誤解から発生した小競り合いですぞ」 「偶然の事故にしては随分と都合よく、アルビオンに味方する傭兵が集められる事ですわね。もとより条約を守るつもりもなかったのでしょう。時を稼ぎ、我々の虚を突くための口実に過ぎません。アルビオンは明確に戦争をする意思を持って、全てを行っていたのです」 「しかし、姫殿下……」 「我らは何のために王族、貴族と名乗っているのですか?このような危機の際に会議を開くためだとでも言うのですか?ですがこうしている間にも民の血は流され、大切なものを奪われていくのですよ。その力無き彼らを守るために我ら貴族の務めではありませぬか?」 誰も、言葉を返せなかった。 「あなた方は怖いのでしょう?大国アルビオンに反撃をくわえても勝ち目は薄い。そして敗戦後、反撃を率いた者として責任を取らされたくないと。ですが、そうしてアルビオンに恭順して生きながらえ、傷ついた民の前に立ち、尚も貴族と名乗るつもりですか?」 「姫殿下」 マザリーニがアンリエッタをたしなめるが、アンリエッタは言葉を続けた。 「よろしい、ならばわたくしが率いましょう。あなた方は好きなだけこの会議室で踊っていればよろしいですわ」 アンリエッタが会議室を飛び出した。 マザリーニや数名の貴族が王女を押しとどめようとした。 「なりませぬ!姫殿下!お輿入れ前の大事なお体ですぞ!」 「結婚一つで今ある危機を救う事ができますか?今この国を救える者がいるのであれば、連れてきなさい、わたくしは幾らだってその方と結婚してみせますわ!」 マザリーニを押しのけ、中庭にでたアンリエッタは叫んだ。 「わたくしの馬車を!近衛!参りなさい!」 聖獣ユニコーンが繋がれた王女の馬車が引かれてきた。 アンリエッタは馬車からユニコーンを一頭外し、自分のドレスの裾を縦に引き裂くと、ひらりとユニコーンの上に跨った。 「これより全軍の指揮をわたくしが執ります!各連隊を集めなさい!」 状況を知った魔法衛士隊の面々が集まり、一斉に敬礼する。 その様子をぼんやりと見つめていたマザリーニは、天を仰いだ。 彼もいずれアルビオンとは戦になる事は薄々感づいてはいた。 しかしまだ軍備が整わない今、小を切っても負ける戦をしたくはなかったのだ。 そのために時間を稼ぐべくマザリーニが傾注した外交努力も今となっては泡となり消えていた。 姫の言うとおり、今は会議室で騒ぐ時ではない。 国のため、民のためにすべき事があるのだ。 次々と幻獣に跨る魔法衛士がアンリエッタのあとを追って駆け出して行く中、一人の貴族がマザリーニに近づいて耳打ちした。 「枢機卿、特使の派遣の件ですが……」 マザリーニは被った球帽をその貴族の顔に叩きつけた。 「おのおの方!馬へ!姫殿下を一人行かせたとあっては、我ら末代までの恥ですぞ!」 その日の夜、トリステイン魔法学院にて。 明日の朝には、式に出席するために出発すると言うのに、ルイズは未だに詔を完成する事ができないでいた。 自分の詩心の無さを呪うルイズだったが、それ以上にアンリエッタの事を考えると素直に祝福する言葉が思い浮かばなかった。 自室で未だに白紙の『始祖の祈祷書』と睨めっこを続けているルイズを横目に、ブロントは昼間ギーシュのゴーレムの訓練で余った矢を集めて、一つに束ねているところであった。 未だに<レンジャー>の扱いが慣れないと言う事で、訓練に使うためギーシュは矢を張りきって生成したまでは良いが、百数本程の矢を<錬金>したところで精神力を使い果たし、倒れてしまい、訓練どころではなくなってしまったのだ。 そんな訓練の様子を見ていたモンモランシーは呆れて、「ギーシュとはもう別れたから」と何だかんだ言いながらも、ギーシュを部屋まで運び込み、甲斐甲斐しく世話をしているようだ。 矢を一束に纏め終え、鞄に仕舞った時、部屋の窓がコツコツと叩く音がする。 ルイズとブロントが窓に目をやると、大きな黒鷲が窓を嘴でしきりに突いている。 ブロントが窓を開くと、黒鷲は慌てふためくようにバサバサと翼を振りまきながら部屋に入るなり、「クァ!クァ!」と激しく鳴く。 黒鷲はすかさずブロントに飛びかかり、しきりに足の爪でブロントに突きだす。 「おい、やめろ馬鹿!」 「待って、ブロント。足に何か付いているわよ」 ウェントゥスの使い魔の足に、紙が釣り糸で括り付けてあった。 それにルイズが気づいた事を理解したのか、黒鷲はクイックイッと首で頷き、大人しく床に立ち止まり、紙が巻かれた足を差しだす。 ルイズは釣り糸を机にあったペーパーナイフで切り、くしゃくしゃになった紙を広げ、中身を読み上げた。 「えーっと、『タルブにアルビオン軍襲来。村人は寺院に匿い、これを死守す。恥を偲び、友の助力求む -風より-』って、何ですって!?」 黒鷲は「クァ!」と返答すると、窓枠に飛び上がり、そこから学院の使い魔の宿舎へと滑空する。 「マジでふざけンなよ!」 部屋のドアをバタン!と音を立ててブロントがイージスとデルフリンガーを携えて駆け出す。 「あ、ちょっと!待ってよブロント!」 ルイズも『始祖の祈祷書』を手に取ると、ブロントのあとを追った。 ブロントが寮の塔を降りて外に出ると、先ほどの黒鷲がタバサの風竜シルフィ―ドの頭に乗って、ブロント達を待っていた。 ウェントゥスの使い魔にすでに言い包められたのか、シルフィードはその場に屈み込み、きゅい、と鳴いて、ブロント達に乗るようにと頭で背中を差す。 「シルフィード、何をしているの?」 タバサだった。 キュルケが突然シルフィードを借りたいとしつこくタバサに頼みこんできたので、タバサは渋々シルフィードを呼んだが、いつまで経ってもやってこないので探しに来たのだ。 主人に気づかれないようにこっそりと抜け出して、ブロント達を送るだけのつもりであったシルフィードは慌てふためく。 タバサはシルフィードの角を掴み、建物の陰まで引っ張って行く。 「どういう事?」 「うー、今タルブの村が大変なのね!ブロントさんが行かないといけないのね!早く行かないと、おいしい丸ごとツナがもう食べられなくなってしまうと鷲さんが言っていたのね!」 シルフィードの頭の上に乗った黒鷲が「クァ!ククァ!」と鳴く。 「きゅい、お姉さまも気にいっていたあのサラダも、皆全部燃えちゃって食べられなくなると言っているのね!」 タバサはしばらく考え込んで、答えた。 「……なら行っていい」 「本当!お姉さまありがとなのね!あらん、お姉さまはついてこないの?」 「眠い」 タバサは寝間着姿で、眠そうに目を擦っている。 寝ていた所をキュルケに突然叩き起こされたのである。 「じゃ行ってくるのね!すぐ戻ってくるね!きゅいきゅい!」 シルフィードはその巨体を揺らしながら、のしのしとブロント達の下へと歩いて行く。 韻竜の頭に乗った黒鷲が優雅に翼を開いて、タバサに向かって一礼をする。 ルイズとブロントを乗せたシルフィードが飛び立ち、西の空へと向かうのを見届けた。 寮の自分の部屋に戻ろうとしたタバサが飛び出てきたキュルケにぶつかる。 「きゃ、あ、タバサ!シルフィード見つかった?」 「貸した」 「ブロントさんとヴァリエールがこんな夜中に二人きりで出かけたのよ!早く追いかけ……って、ええ!?あんた、シルフィードをこのわたしにだって貸出したりした事無かったじゃない!?どうしたのよ」 キュルケはタバサの肩を掴み、ぐいぐいと揺らす。 タバサは首をかくんかくんと揺らしながらぼそっと呟く。 「貸し借り、これでゼロ」 第22話 「鎖と絆」 / 各話一覧 / 第24話[前編] 「追憶の風に抱かれて」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3551.html
前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ 始祖ブリミル降臨暦6242年、年末はウィンの月、第一週マンの曜日、軍港ラ・ロシェールにて。 遂にトリステイン・ゲルマニア連合軍は、史上稀に見る大艦隊に乗り込み、アルビオン侵攻を開始した。 出征を前に、両国の首脳と司令官から手短に演説と激励がある。 まずは、トリステインの女王アンリエッタ。喪服を纏い、傍らにはウェールズ皇太子の棺を置いている。 「……この大戦は、ただの戦にあらず! 卑劣なる『国王殺し』クロムウェルの政権を倒し、 ウェールズ皇太子のご遺体を祖廟にお帰しして、アルビオン六千年の王統を弔うための戦い! また、ここにおられるブラウナウ伯爵は、ゲルマニアの貴族にして、教皇聖下の側近でもあられる方。 彼が参戦するという事は、ロマリア皇国もその聖なる権威を持って、 アルビオンの邪悪な簒奪者どもを討伐する意思を示したという事です!」 女王の紹介に、ブラウナウ伯爵が敬礼する。 「で、あるならば! 我らはハルケギニア大陸を共和制の暴風から守り、 始祖ブリミルの定めたもうた、聖なる共同体の秩序を防衛する『神の盾』であります! おお、勇士諸君よ! 諸君に神と始祖ブリミルのご加護、豊かにあれ!!」 「「AMEN!! AMEN!!」」 烏合の衆であった6万の大軍は、聖なる使命に気を引き締め、戦意を高める。 続いてゲルマニア皇帝アルブレヒト三世、マザリーニ枢機卿、ド・ポワチエ将軍、ハルデンベルグ侯爵の訓辞。 一応ガリア以外の諸国が参戦しているが、主導はやはり『聖女の王国』トリステイン。 となれば、これは『白の国』アルビオンを、トリステインの青地の旗で染め替える戦争でもあるのだった。 「では諸君、我らも行こう、雲の上なるアルビオンへ! かの地に真の『千年王国』を築き、万民を救済する計画のために!!」 「「AMEN!! AMEN!!」」 松下率いる『千年王国教団』の精鋭も、メシアに鼓舞されて出征する。 かくして、ここにトリステイン・アルビオン大戦の第二幕は上がったのであった。 ラ・ロシェールの『世界樹桟橋』から、総数500隻を超える大艦隊が浮かび上がる。 戦争終結はアルビオン全土の制圧まで。その間、ラ・ロシェールとタルブが後方支援を行う。 両国の首脳陣は、出征を見送ると、各々の首都へ帰っていった。ウェールズの棺も一旦トリスタニアに戻る。 さて、松下とルイズは自前のフネから、旗艦たる竜母艦(空母)『ヴュセンタール』へ移る。 トリステインの切り札『東方の神童』及び『虚無の担い手』として、軍議に参加するのだ。 甲板士官のクリューズレイが出迎え、狭い艦内の奥にある会議室に案内する。 一番上座に座るのは、四十過ぎの美髯の将軍。 「ようこそ、お二方。我が軍の旗艦『ヴュセンタール』へ! ご活躍は聞き及んでおりますぞ。 改めまして、総司令官のオリビエ・ド・ポワチエです。今後ともよろしく。 こちらは参謀総長のウィンプフェンに、空軍指揮官のラ・ラメー伯爵。 それにゲルマニア軍司令官の、ハルデンベルグ侯爵です。他、多数の将軍・参謀らが集っています。 教導士官のボーウッド卿は、ただいま艦隊の視察に当たっておられます。ブラウナウ伯爵も一緒だそうで」 「よろしく、諸君」 「よ、よろしくお願いします」 「はは、まあ楽にして、お座り下さい。ミスタ・マツシタにミス・《虚無(ゼロ)》」 「ミス・ルイズ・フランソワーズと呼んであげて下さい。彼女を兵器扱いしてはいけない」 「いや、これは失敬。ミス・ルイズ・フランソワーズ、お許しを。 ……では、ひとまず軍議を始めてしまいましょうか。議題はこれですな」 皺の深い小男、ウィンプフェン参謀総長が司会役となり、配られた資料を読み上げる。 「ええ、アルビオンまではラ・ロシェール空港からフネで約半日、大艦隊ですのでまあ、夜半には着きます。 そこで上陸作戦を敢行するわけですが、目的地となる大型の軍港は二つ。 アルビオン最大の軍港ロサイス、これは大陸の南部にございます。地図ではここですな。 もう一つ、この規模の大艦隊が上陸できるだけの空港となりますと、やや遠回りして、 北部にあるこのダータルネス港しかありません。スカボローは狭すぎます」 アルビオン大陸の、長方形の地図をウィンプフェンが指差す。南北600リーグ、東西は120リーグほどか。 「最短距離でなら、ロサイスを正面から強襲するのが早かろうが」 「敵もそれなりの準備をしておりましょう、こちらの被害も大きくなりますぞ。 長途来た我々には、補給線を確保するとともに、首都ロンディニウムに着くまで軍の消耗を抑える必要もあります」 「風石にも、火薬にも限りがある。二分して一方をダータルネスに向かわせ、そちらに敵をひきつけている隙にだな」 「その囮は、当然トリステインがやるのでしょうな?」 「何ィ? 共同作戦に決まっとろうが、侯爵」 「トリステインとゲルマニアでは、話す言葉も指揮系統も大いに違いますものでなァ」 なんと、連合軍は未だに上陸地すら決まっていなかった。 ラ・ヴァリエールとツェルプストーの争いに代表されるように、始祖以来続くトリステインと新興国ゲルマニアは、 本来は水と油、いや『水と火』の関係なのだった。よく連合軍などできたものだ。 どうやら上陸作戦の障害は、いまだ有力なアルビオン艦隊に対する錬度の高くない自軍、 そしてダータルネスへ敵を吸引する欺瞞作戦の不備、の二点であるようだ。 松下とルイズは口を閉ざし、両国将軍達の論争を呆れ顔で見ている。なんとも凡将揃いの大軍なのであった。 と、そこへカンカンカンカンという警鐘の音が鳴り響く。伝令兵が会議室に走りこんできた。 「敵襲! 敵襲です!!」 「なんと、もう迎撃に来おったか。空中で艦隊を待機させていたか?」 「い、いえ将軍、襲ってきたのは人間ではありません!!」 「あァ?! 野良竜でも出たか?」 「いいえ、『悪魔』です」 ぐにゃり、と伝令兵の顔が醜悪に歪み、背中から大きな黒い皮翼が生える。 尻からは長い蛇のような尻尾が伸び、口から炎の玉が吐き出された! 「うおっ!?」 「閣下、危ないっ!」 士官が咄嗟に『水の槌』を放ち、ド・ポワチエを狙った炎を掻き消す。 「ケケケ、命拾いしたな。けどよ、もうこのフネは俺たちのものさ!」 「こいつは……ダンテの地獄第八圏第五濠『汚職収賄の濠』に棲む、低級鬼神のマラコーダ(邪悪な尻尾)か。 俺たち、ということは、他のマレブランケ(悪しき爪)の連中も来たのか?」 「そーだよぉ、『東方の神童』さまぁ!! バルバリッチャにカニャッツォ、 スカルミリオーネにカルカブリーナ、ついでに阿呆のルビカンテ! その他もろもろ、愉快な仲魔が勢揃いさ!」 マラコーダは、ぶばっと黒い屁をこくと、その煙に紛れて姿を消す。 甲板に飛び出すと、雲霞のような悪鬼(デーモン)の大群が、このフネに飛び降りてくるではないか! 彼らは地獄の獄卒マレブランケと、空中に潜む妖怪グレムリンだ。 一体一体はせいぜいオーク鬼程度の強さだが、数が尋常ではない。フネは大混乱に陥る。 「ここが旗艦だ、こっちに来い! よォし、てめえら地獄の悪鬼よ、人間どもをぶっ殺せ!」 「ひひひ、いざ、奴らをイナゴのように食い荒らしちまえっ!」 《朝になると、東風がイナゴの大群を運んで来た。イナゴは、エジプト全土を襲い、エジプトの領土全体にとどまった。 このようにおびただしいイナゴの大群は前にも後にもなかった。イナゴが地の面をすべて覆ったので、地は暗くなった。 イナゴは地のあらゆる草、雹の害を免れた木の実をすべて食い尽くしたので、木であれ、野の草であれ、 エジプト全土のどこにも緑のものは何一つ残らなかった》 (『モーセの十災・イナゴの災い』:旧約聖書『出エジプト記』より) 《噛み付くイナゴが残した物は、移動するイナゴが食らい、移動するイナゴが残した物は、若いイナゴが食らい、 若いイナゴが残した物は、食い荒らすイナゴが食らった》 (旧約聖書『ヨエル書』第一章より) 空中で悪鬼の指揮を取っているのは、ベリアル配下の小悪魔・こうもり猫とマラコーダだ。 グレムリンは兵士や竜に取り憑き、火薬を暴発させ、フネの操縦を誤らせる。 マレブランケは大きなフォークを振り回し、兵士を突き刺し、掬い上げては甲板の外へ放り投げる。 空賊よりタチが悪い。哄笑と羽音と断末魔が響き渡る。 「な、なんだ、これは!?」 「アルビオンが操る『悪魔』、いや『悪鬼』どもです。 なるほど、渡ってくる途中で叩けば、にっちもさっちも行きませんな」 「感心せんでいい! な、なんとかしたまえ! きみも『悪魔使い』だろう!」 「そうですな。ルイズ、きみの持っているバッグの中に、小さな金属の壷がある。それを出してくれないか」 「ご主人様に命令するなっ! ……こ、これね」 「命令ではない、依頼だ。では、ぼくはこの網を取り出して、と」 松下は、魔法のかけられた投網を取り出し、呪文とともに天へ投げ上げる。 すると網はパアッと広がり、フネ全体を包み込んだ。 再び呪文を唱えると、悪鬼だけが網にかかり、その網が見る見る縮んでいく。 遂に網は何百という悪鬼ごと、金属の壷に吸い込まれてしまった。松下はきゅっと壷に蓋をする。 「これでよし、と。天網恢恢、疎にしてなんとやらだ。残りの掃討は竜騎士に任せよう。 さ、方々、軍議を続けましょうか……」 「「は、はい! マツシタ伯爵!!」」 《(イエスは)シモンに「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。 シモンは「先生、私たちは夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。 しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。 漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。 …(彼らは)二艘の舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。 …すると、イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる」 そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った》 (『シモン・ペテロの弟子入り』:新約聖書『ルカによる福音書』第五章より) 結局、連合軍の上陸作戦は次のようなものとなった。 連合軍の主力は、このままロサイスへ向かう。ただし、ゆっくりと。 一方ダータルネスへは、松下とルイズと『千年王国教団』の兵が向かう。 そして、『虚無の魔法』で敵軍の増援をダータルネスへ引き付けておき、油断したロサイスを叩く。 紛糾の末の、ベターな作戦であった。ルイズの提案という点を除けば。 「まさか、きみが作戦を立案するとはな。しかも、それが通るとは」 「あんたばっかりに活躍させないわよ。私だって『虚無の担い手』なんだし。 この『水のルビー』の指輪を嵌めて『始祖の祈祷書』をめくったら、いい呪文が浮かんだのよ」 『虚無の魔法』か。松下には『祈祷書』を読めないが、今ルイズが使えるのは、爆発と解呪だけのはず。 ……いや、タルブでは松下と同一の呪文を唱え、協力して『地獄の門』を開けたのだった。 「……そういえばエロイムエッサイムとか、タルブでの戦いの時の呪文や、 ラグドリアン湖での『ヘカス・ヘカス・エステべべロイ』はこちらのルーンではないぞ。 『東方』のヘブライ語やギリシア語、あるいは古代エジプト語でも書いてあるのか?」 「知らないわよ、そんなの。あんたを召喚したときは、以前読んだ魔法書にそういう呪文があったから、 必死に唱えてみただけだし。『祈祷書』に浮かぶのは確かにこう、こんな文字だった気はするけど、 呪文は直接頭の中に響いてくるの」 ルイズは、メモ帳代わりの羊皮紙にさらさらと文字を書く。 ……これは、『エノク語』だ。16世紀末に英国の神秘主義者ジョン・ディーが発明したとされる、 架空のオカルト文字だ。始祖ブリミルとは、一体……? 「それに、呪文を唱える前のトランス状態の時、こんな言葉も聞こえたの……」 《我は始祖、ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ。 我が知りおきし真理をこの書に記す。資格なき者はその真理を知ることあたわず。 この世の全ての物質は、小さな粒より成る。四大系統はその小さな粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめるなり。 神が我に授けたまいしは、さらなる小さな粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしむる力なり。 四にあらざれば、これを『零(ゼロ)』、すなわち『虚無』と名づく。 これを読みし者は、我の行いと理想と目標とを受け継ぐ者なり。またそのための力を担いし者なり。 志半ばで倒れし我とその同胞のため、異教に奪われし『聖地』を取り戻すべく努力せよ。 虚無は強力にして詠唱は長きにわたり、時として命を削る。汝、心せよ……》 「……ってね。我ながらよく覚えているものだわ、『虚無の担い手』だからかしら」 「……ふぅむ……」 ともあれ、わずか3隻の『千年王国艦隊』は、夜陰に乗じて北のダータルネスへ急ぐ。 しかし、敵も簡単にはアルビオンへ近付かせない。 「おおっ、メシア! 敵の警戒線に接触し、哨戒カラスが我々を発見した模様! 竜騎士がやってきます!」 「よし、『魔女のホウキ』部隊出撃だ! 竜の翼を狙い、撃ち落せ。日ごろの訓練の成果を見せろ! ただし、なるべく生き残ることを優先しろ。ルイズとぼくは一番早い風竜でダータルネスに急行する!」 「了解!!」 ホウキ部隊が手に手に杖や銃を構え、竜騎士と戦う。小さな艦隊からも砲撃が始まった。 ダータルネスまで、距離にして数百リーグ。そこへ到達できるのは二人だけでよく、あとは援護に回る。 快速船で飛ばしても片道丸二日以上はかかるところを、数時間でぶっ飛ばす。 風竜の能力を最大限まで引き出す、『神の右手』ヴィンダールヴだからこそ出来る芸当であった。 やがて、眼下にダータルネス空港が見えてきた。 ルイズは防寒具にくるまり、呪文を呟きながらトランス状態に入っている。松下は、それを無言で見守る。 ブリミル。ぼくの記憶が正しければ、北欧神話の原初の巨人ユミルの別名の一つだ。 まさかその本人ではあるまいが、ルーンだの世界樹だの、この世界には北欧神話と似たような要素が多い。 なぜ、エノク語? 物質の小さな粒とは、原子か素粒子か? そういえば、この世の初めは大きさが『ゼロ』にほぼ等しい極微粒子で、そこからビッグバンが……。 「アパラチャノ・モゲータ!! 実質に等しき大いなる幻よ、この空間に漂うべし! 虚無の魔法の初歩の初歩、『幻影』!!」 ルイズの叫びとともに、空間の『極微の粒』がゆらぎ、白い雲の中から巨大な幻影が現れる。 先ほどまでいた、60隻の連合艦隊の立体映像だ。 「おおっ」 これには松下も驚いた。圧倒的な迫力で、本物と見分けがつかないではないか! 「よし、この幻影に紛れて、全速力で離脱する!」 だが、ダータルネスを防衛する竜騎士たちは、風竜に跨ってぐんぐん近付いてくる。 「マツシタ! このままでは、追いつかれるわ!」 「ならば、この壷を使ってしまおう。トペ・エト・ラリリ、トロトペ、タッ!」 松下が先ほどの壷に呪文を呟き、蓋を開くと、雲霞のような悪鬼どもが出てくる。 その目は虚ろで、足には例の網の糸が絡みつき、敵と味方の判断もつかない。相討ちになり、次々と墜落する。 悪鬼どもが竜騎士を足止めしているうちに、松下たちは離脱に成功した。 「これで、アルビオン軍が騙されてくれるといいのだがな」 「はああ、疲れたわ。早く戻りましょう、マツシタ」 その頃ロサイスでは、敵の守備艦隊と連合軍主力による砲撃戦が始まっていた。 轟音、雷火! 木片と肉片が飛び散り、フネ同士が激突して軋む。焼き討ち船が突撃し、爆発する。 アルビオンは三列縦隊を組んで善戦するが、包囲陣を突破するには、やや戦力差がある。 「よおし、我がゲルマニアの誇る火砲の威力、思い知るがよい!!」 興奮するハルデンベルグ侯爵。一斉に連合艦隊の大砲が炸裂し、囲まれていた敵艦が轟沈する。 「わはははは、やはり戦場はいいのう! この轟音、硝煙と血肉の香り、たまらんわい! そおれ敵の空兵ども、総員玉砕せいっ!! わははははは」 その隣に、すっと小柄な黒髪の男が立つ。 「では、私も砲火をお目にかけましょう。火の国ゲルマニアとロマリアの同盟、成れり! 『ヒンデンブルグ』号、空対空ミサイル『サイドワインダー』発射!!」 「「了解! 『サイドワインダー』、発射!!」」 ちょび髭のゲルマニア貴族、アドルフ・ヒードラー・フォン・ブラウナウ伯爵の命令の下、 彼の率いる軍団のフネ『ヒンデンブルグ』から、細長い円柱状のものが何本も射出される。 それらは逃げ回る竜騎兵やフネを蛇行しながら追いかけ、至近距離で爆発した! 「お、おお伯爵、アレは?」 「我々『薔薇十字団』の最新技術で作られた、特殊飛行兵器『サイドワインダー』です。 まぁ、火薬の詰まった巨大な鉄の火矢を撃ち出すようなものですな。 先端部に魔法技術を使用しておりまして、動き回る標的にも確実に命中いたしますぞ」 「おほっ、また当たりよった! 素晴らしい!」 侯爵は、玩具を見た子供のようにはしゃぐ。ブラウナウ伯爵も、面白そうに目を細めた。 「うふふふ、ご所望ならば、六本セットからお売りしましょうか? 値段はこれほどで済みますよ」 「おお、案外安いではないか。よし、わしの侯国で予約注文させてもらおう」 「お買い上げありがとうございます、ハルデンベルグ侯爵。今すぐ手配いたします。 我々の新兵器はまだまだありますから、じきにお見せしましょう。実戦の場でね」 死の商人が笑う。戦争は戦争によって栄養を取る、この軍拡の原理はいつ、どこの世も変わらない。 『ヒンデンブルグ』号には、鈎十字(ハーケンクロイツ)の軍艦旗がはためいていた……。 (つづく) 前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ
https://w.atwiki.jp/gsmayonarumayo/pages/14.html
鬼畜キミ子がロリ真宵に無理やりつっこます話。 ロリというか幼女(?)ものが苦手な人は要注意。 オフィシャルでの正確な時間軸が分からないので、年齢はぼかしてます。 「私、キャリアウーマンになる!」 「きゃりあうーまん??」 「そうよ…弁護士になるの!……だから…私、綾里を出る事にしたの…」 「………お姉ちゃん…」 「ごめんなさいね…真宵…けどこんな田舎じゃあ満足に勉強できないのよ…弁護士になるからにはもっとしっかりとした環境で全てを吸収したいの!」 「………」 「…真宵を1人にはしない…電話もするし…休みには会いに来るわ…」 「頑張ってお姉ちゃん!…あたし応援する!あたしなら大丈夫!! …それにあたし前から1人暮らしに憧れてたしね!!やったね!これでテレビのチャンネル争いをしなくていいんだよ!!とのさまん見放題!!」 「真宵…」 「だから…お姉ちゃんは弁護士のお勉強頑張ってね…お姉ちゃんなら絶対になれるよ!!」 「………ええ…私、絶対に弁護士になってみせるわ!…だから、真宵は次期家元としてしっかり修行しなさい…」 「…うん!……そうだね…あたしも頑張るよ!!」 * 「真宵様…」 「…なんですか?キミ子さん?」 千尋が里を出て数ヶ月たったある日。 真宵は遊びつかれた春美を布団に寝かしつけていた。 神妙な面持ちでキミ子は真宵に呼びかけ、眠っている春美を起してはいけないと、真宵を別の部屋に連れて行った。 「…キミ子さん?あのー…ここは?」 「いいから…付いて来なさい…」 「は、はい」 真宵が連れてこられた場所、そこは霊媒をする際に使用される儀式部屋だった。 修行中の身である真宵は、滅多にこの部屋を出入りする事はなかった。 窓が少なく薄暗い室内に妖しげな儀式道具が並び、篭った空気は埃っぽさと線香の香りが部屋を充満している。 他の部屋とは一線を画した雰囲気が漂っている。不気味なこの部屋に入ると変な緊張感に襲われるので、真宵はあまり好きではなかった。 キミ子は上座に座り、真宵は向かいに座るように促された。 威圧するような雰囲気に圧倒され、真宵は縮こまる様に畳に直に正座した。 すると次々と、式服を着た倉院の女性数名が儀式部屋に入って来てた。 その中の1人は手に大事そうに、装飾の施された木箱を持っていた。 全員が部屋に入った後、最後の人が重そうに扉を閉め鍵を掛けた。 部屋には一切の光が入らず、蝋燭の炎だけが正面に座るキミ子と真宵の周りを囲む女性達を不気味に照らし出した。 真宵が不安そうに周りを見回す。 「…あの…今から何を??」 「真宵様はまだ小学生でしたわね?」 「……は、はい……」 「…では次にお伺い致しますが…真宵様は次期家元の自覚がお有りでしょうか…?」 「え」 「お答え下さい…」 「…はい…」 キミ子は真宵に真剣な表情で問いかけた。 勿論、真宵には千尋との約束があるので、キミ子の質問に肯定した。 真宵の答えを聞いたキミ子は着物の袖を口元に持って行った。 表情を隠したが、真宵には一瞬キミ子が笑った様に見えた。 「でしたら…今から真宵様には次期家元になる為の儀式をいたしますわ…」 「…儀式ですか?」 「ええ…倉院は現家元である舞子様の失態によりその名声が失われつつありますから、次期家元になる方にはソレ相応の霊力がありませんと…」 キミ子の棘のある口調に真宵は少し怪訝な表情をした。 母親の失敗もさる事ながら、これではまるで霊力の弱い自分は家元にはなれないと言われている様だったからだ。 真宵は持ち前の負けん気の強さで、キミ子の威圧に負けじと言い返した。 …これがキミ子の挑発であるとも知らずに。 「分りました…あたし頑張ります!」 「…それはいい心がけですわね…では、下着と装束と髪飾り…身に付けているものを全て外して下さいな」 「え…ここでですか?」 「当然で御座ぁますわ…」 キミ子は特有の口調で真宵の疑問を切り捨て、有無を言わさず強行させた。 真宵は渋々その場に立ち上がり、髪飾りを全て外し、装束を脱いだ。 下着を下ろすのを戸惑っていると、キミ子の視線がより威圧的になり真宵は顔を赤くしながら下着をずり下ろした。 真宵は恥ずかしそうに胸元と下腹部を手で多い、隠すように前屈みになった。 「…あの…キミ子さん…着替えは…」 「そんなもの御座いませんよ」 「!?」 「霊媒はその体に死者の魂を宿して行いますので…真宵様のお体がそれに耐えうるものかを判断するには、装束は邪魔なだけです」 「そ…そんな!?」 「嫌なら…止めるまで…しかしその時点で真宵様は次期家元には相応しくないと判断致しますわ…」 「………」 「さあ…どうなさいます?…もしもこの儀式をお受けになるのでしたら、隠さずに全てを私達に見せて下さいまし…」 「……………わ、わかりました…」 真宵は姿勢を正し、手を横に持っていき、キミ子の前で自分の全裸を晒した。 いくらキミ子が昔から良く知る親戚であっても、この様に面と向かって自分の裸を見られるのには抵抗があった。 真宵の身体には、女性らしい変化はまだ現れておらず、身体つきはある1点を除き少年のシルエットとさほど変わらなかった。 その身体をキミ子はまるで哀れむかの様な目で見回した…。 真宵は顔を赤くし歯を食いしばり俯いた。 すると真宵を囲んでいた女性達がキミ子の指示で行動を起した…その姿はさながら女主人と侍女の様だった。 真宵は1人の侍女に後ろから肩を掴まれた。 無言でテキパキと作業をこなす侍女たちに、真宵は言い知れない恐ろしさを感じ身を震わせた。 「…はうう…」 「では…そこにお座りに」 真宵は身体を震わせながら、そっとその場に座った。 すると後ろに居た侍女が後ろから真宵の足を持ち上げ、ぐっと開帳した。 真宵は背中を侍女に預け、恥ずかしい部分をキミ子に見せる姿勢になった。 キミ子は前かがみになり、露になった真宵の聖域を、着物の裾から除き見た。 「きゃ!…や…な…」 「…真宵様の身体には、まだ早いかもしれませんね…」 「や…やだやだ!!…離して…!!」 「お黙りなさい!!見苦しい!!」 「きゃうっ!」 突然の辱めに驚き逃げようとする真宵にキミ子は張り手を食らわせた。 真宵の瞳が恐怖で怯え、涙目になる。 キミ子は真宵が大人しくなった事を確認し、固く閉ざされた聖域を指で無理やりこじ開け、人差し指を突き入れた。 「ひっ!!…あ…いや!!」 「狭いですわね…」 「や…いやああああ!!!」 真宵は悲鳴を上げた。 未発達で人を受け入れるにはまだまだ幼いソコを、キミ子の指が容赦なく侵入してくる。 痛がる真宵などお構いなしに、キミ子の指はみるみる真宵の身体の奥深くまで入り込んだ。 今までに経験した事の無い、身体の内側から襲う焼けるような痛みが全身を駆け巡った。 真宵は全身に力が入ったまま硬直し、足の甲が反り返り、キミ子の指が突き進むたびにビクビクと跳ね上がった。 「ああ!!あああ!!!…痛い…痛い…痛いよおお!!!…おねえちゃあああん!!!ああああ!!!!」 「…真宵様…儀式はこれからですわよ…」 「嫌…いやあああ…痛い痛い痛い痛い!!!!」 「…真宵様…手間をかかせないで下さいな……」 「むぐ…!!!」 真宵は痛みと恐怖による混乱で、形振り構わず泣き叫んだ。 その姿を見たキミ子は面倒くさそうにため息を吐き、後ろで待機していた侍女に指示し、真宵にさるぐつわを施した。 真宵は無理やり口を拘束される。 侍女に後ろから身体を固定された上に、声を出すという最後の抵抗ですら、キミ子には届かなくなった。 幼い真宵には自分の置かれている状況が理解できず、助けを求める様にキミ子を見つめた。 しかしキミ子はそんな真宵には気にも留めず、儀式を進める。 差し込んだ人差し指をゆっくりと動かし、もう1本指を居れ、聖域の中をぐっと開かせた。 キミ子の指の隙間からは、穢れのない真宵の膣内が露になった。 真宵は声を出す事が出来ず息苦しそうに、自分に襲い掛かる痛みに大粒の涙を流しながら苦悶し、逃げるようと手足をばたつかせる。 「んーー!!!んんんんーーー!!!」 「…わたくしも真宵様の苦しむ姿を見るのは大変心苦しゅう御座いますわ…しかしこれも次期家元になる為の試練で御座います…」 キミ子はそっと袖で涙を拭う素振りをする。 しかしそこには一滴の涙も零れてはいなかった。 キミ子は侍女に儀式で使用する神器を持ってくる様に指示をする。 侍女はすっとキミ子の傍らに跪き、装飾の施された木箱を差し出した。 さび付いた錠前を外し蓋を開けると、其処には形容し難い禍々しさのある数個の神器が収められていた。 形は種類によって区々だが、どれも共通して一定の長さで棒状だった。 深緑色の鉱石で出来ておりそれらは個々に妖しく光っていた。 キミ子はその中から最も大きく練飴の様に複雑に曲がりくねった物を手に取った。 周囲の侍女達がどよめいた。 「き、キミ子様…それは真宵様のお体には無理で御座います!」 「…何を言っているのです…次期家元たるものこの程度の試練で値を上げていては務まりませんよ…」 「し…しかし…」 「おだまりなさい!…真宵様の家元の素質を愚劣だとそう言いたいのですか?」 「…そんなつもりは…」 「では…真宵様を信じるのです…そして真宵様が次期家元として立派に成長するお姿を見守るのです…」 「…は、はい…」 侍女達の制止の声を一喝し、キミ子は手にした神器を高々と掲げ真宵に見せる。 世間知らずな真宵でも、自分の置かれている状況とそのおどろおどろしい形容をした神器を見て、それがどの様に使用されるのか…薄っすらとではあったが理解できた。 その予想がお願いだから外れてくれと、真宵は心から願ったが…開帳され露になった聖域に神器がゆっくりと宛がわれ、真宵は血の気が引いた。 「参りますよ」とキミ子が真宵に声を掛け、その刹那、真宵の覚悟が出来る間もなく、無理やり指でこじ開けた隙間からゆっくりと挿入し、同時に指を抜いた。 今まで真宵の体内に入っていたその指先には血が付いていた。 108 名前:ロリ真宵4[sage] 投稿日:2009/07/18(土) 01 16 03 ID ??? 「ん、んーーーーーーー!!!!!!!」 「真宵様…耐えるのです…これも次期家元になる為の試練…あなたのお母様もこれに耐えたのですよ…」 真宵は絹を引き裂く程の悲鳴をあげる。 さるぐつわをされていても尚、その痛烈な声は断末魔の様に部屋内に響き渡った。 真宵のまだ未発達な聖域に、キミ子は容赦なく力の限り神器を押し込んでいく。 その神器の大きさは、誰がどう見ても幼い真宵には大き過ぎて、 それがずぷずぷと真宵の身体に沈んで行く様子を見ていた侍女達は、あまりの壮絶な光景に思わず目を背けた。 「んんんんっーーーーー!!!!!!!」 「真宵様…力を抜いて下さいまし…このままでは儀式を行えませんよ…」 真宵にはキミ子の声は聞こえない。 あまりの痛さに錯乱状態になった真宵を、キミ子は押さえつける様にと侍女達に指示した。 涼しい顔をして自分に神器を突き刺してくるキミ子を見て、真宵はかつて無いほどの絶望を感じた。 このままでは、自分の身体が壊れてしまう…!!真宵の脳内で警鐘が鳴り響いた。 この世のモノとは思えぬ程の、全身を引き裂かれる様な激痛から逃れるため、真宵は強制的に意識を途切れさせた。 次第に身体の力が抜けていき、開ききった聖域は容易く奥まで入り込むようになったが、キミ子はつまらないと言った素振りでその場から立ち去った。 「キミ子さま…!?」 「…このぐらいで意識を失うとは…もういいでしょう…儀式は終わりです…春美ちゃんが部屋で1人で不安にして居られるかもしれません」 「何をおっしゃって…」 キミ子は真宵に突き刺さる神器もそのままに儀式部屋を後にした。 その後、医師を呼びに走る慌しい足音と騒ぎ声がキミ子の耳に届くが、まるで他人事の様に知らぬ素振りで愛娘の眠る部屋へ向かった。 キミ子の表情は、不気味な程晴れやかな笑顔だった。 * 「真宵!!…大丈夫!!!」 「…平気だよ…お姉ちゃん…!…まだちょっと痛いけど…」 「ごめんなさい…私がもっと気をつけていれば…」 「もう大丈夫だよ…それにお姉ちゃんに会えたからきっとすぐに治るよ!!」 真宵はその後かかりつけの医師により治療を受けた。 損傷は深かったが、医師による素早い対応により性器の破損を免れた事だけが、不幸中の幸いだった。 しかし、キミ子に傷つけられた其処は寝返りを打つだけで激痛が走り、真宵はしばらくの間、寝たきりの生活が続いた。 千尋はその翌日、連絡を受け授業を投げ出し駆けつけた。 真宵の身に起きた事を全て把握した千尋は、自分の浅はかさを思い知らされた。 自分が綾里を捨てれば、真宵が次期家元になり、地位の低いキミ子は何の手出しも出来なくなる…そう考えていたからだ。 幼い真宵は、この傷が完治さえすれば、全てが解決すると考えている様だった。 久しぶりに姉に会えてニコニコと笑っている真宵を見て、千尋は何ともいえない苦々しさを感じた。 真宵はただ儀式が失敗しただけという認識の様だが、話を聞いた千尋からしてみれば、キミ子が真宵に行った事は暴行以外の何物でもなかった。 身体の傷は次第に治るが、心に出来た傷は一生掛かって癒されるかどうか…。 千尋は真宵に気付かれない様に、怒りで拳を振るわせた。 もう2度と妹をこんな目に遭わせたりしないと決意して。 「…真宵様…」 「き…キミ子さん…!!」 突然障子が開き、キミ子が現れた。 真宵はキミ子の姿が突然視界に入り身構えた。 痛がる自分に涼しげな表情をしながら神器を突き刺して来た時の恐怖がフラッシュバックし、冷や汗をかき身を震わせた。 「真宵…大丈夫…」 「う…うん…ちょっと寒気がしただけだよ…」 「千尋さん…真宵様と大事なお話があるので、2人きりにしてくれませんか?」 「な、何を言ってるんですか!!」 「お姉ちゃん大丈夫だよ……」 「真宵…?」 「お姉ちゃんが付いてるもん…だから大丈夫…」 千尋は真宵に促される形で、渋々部屋を出た。 しかし、妹に指一本でも触れ様ものならば…あの女に飛び掛ってやる…と千尋は怒りに満ちた表情で部屋の様子を伺った。 「真宵様…お加減は如何ですか?」 「…だいぶ楽になりました…」 「それはそれは…早く治るといいですわね…春美ちゃんがあなたと遊びたがっていますから…」 「………あの…」 「…何ざましょ…」 「…この前は…申し訳ありませんでした…私の力不足で…」 「!」 「けどけど!…あたし、頑張りますから!!…だからキミ子さん!あたしにもう1回チャンスを下さい!!…今度は絶対に最後まで頑張ります!!」 キミ子と部屋の様子を伺っていた千尋は、真宵の言葉に耳を疑った。 誰の事も疑わず真っ直ぐな瞳をし、そう自分に言った真宵を見て、キミ子は開いた口が塞がらなかった。 次期家元の座を愛娘のものにしようと目論んでいたキミ子は、真宵の存在が邪魔だった。 しかし地位の低い自分に真宵の降格を決める権利はない。 真宵の口から「次期家元は諦める」と言わせる方法はないか…画策したキミ子は、あの儀式を利用する事にしたのだ。 通常あの儀式をするのは正式に家元になった成人女性で、使用する神器も身体に合わせたものを使用して行うのだが、 キミ子はその事を真宵に告げず、周囲にも「倉院の復興の為」などと綺麗事を並べて無理やり説得し行動に移したのだった。 アレだけ痛い思いをすれば…自分を怖がり家元の座も諦めるとそう踏んでいたからだ…。 しかし真宵はキミ子を疑わなかった。 それどころか、自分の失敗だと言って再びあの儀式をしてくれと頼んだのだ。 流石のキミ子も、真宵のその純粋さに負けを認めざるを得なかった。 それに、真宵が大怪我をしてしまった事は周囲に知れ渡っているので、この「儀式」を行う事はもう出来ない。 「……あの儀式は1度きりです…」 「そ…そんな!!…あたし今度こそ成功させますから!!お願いです!!」 「…『次期家元』の儀式は1度きり…そういう事です……」 「え…?」 「家元になりたいのでしたら、もっと修行を積みなさい…『家元』に相応しいか…それは真宵様が家元を継承する時に判断致しますわ…」 「じゃあ…!!」 「…ではわたくしは、道場での修行の様子を見に行きますので…」 「ありがとうございます!!」 真宵は痛む身体を無理やり動かし、キミ子に頭を下げた。 キミ子はさっと視線を真宵から障子に移動させ、そのまま無言で部屋を出る。 すると千尋が駆け寄って来た。 千尋は目に涙を浮かべ、歯を食いしばって、キミ子に言い放つ。 「…真宵はあなたには負けません……私はあなたを許しません…」 「………」 「今度真宵に何かしたら、私はあなたを法で裁きます…どんなに巧みな罠であっても、絶対にあなたの犯した罪を立証します」 キミ子は何も言わず千尋に背を向けて歩き出した。 道場へ向かう途中、キミ子の表情は見る見る不愉快なものに変わって行った。 自分の人生を狂わせた妹も、先ほどの真宵や千尋に似て純粋で真っ直ぐで決して最後まで諦めない強さを持っていた。 …キミ子はそんな妹が大嫌いだった。 「…あなたは失踪しても尚、私の夢を阻止し続けるのですね…」 キミ子は手に持っていた扇子を、怒りに任せてへし折り中庭に投げ捨てた。 あの時、千尋がキミ子に言い放った通り、キミ子の巧みな罠は千尋の弟子である成歩堂龍一の手により阻止され、全て失敗に終わる事となる。 最後までキミ子の夢が叶う事は無かった。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6149.html
前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ 《幼な子らを私のところに来るままにしておきなさい、妨げてはならない。 神の国はこのような者の国である。よく聞いておくがよい。 だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこに入ることは決してできない》 (新約聖書『ルカによる福音書』第十八章より) 時は始祖降臨暦6243年、第二月ハガルの月。 三週間ぶりに現世、アルビオン大陸に復活した松下・ルイズ一行。 そこには『胸革命』としか形容しようのない、謎のハーフエルフ……ティファニアがいたのであった。 松下たちは、ひとまず包み隠さず、彼女にこれまでの事情を話す。 いかに親切で善良とはいえ、不信感を抱かせたままでは、積極的な情報提供は望めないのだ。 まぁ異世界から来たとか、ルイズが虚無の担い手だとか、地獄巡りをして来たなんて重大な話は伏せておいたが。 「……あなたたちが、トリステインの殿軍を? ……冗談でしょう?」 「本当だ。仲間はかなりいたのだが、残念ながら殲滅されたようでね。これから改めてアルビオンを征服しに行くところさ」 「せ、征服? あの、でも、クロムウェルって人も処刑されて、今この国はゲルマニア軍に占領されているのよ? ……ねぇ、やっぱり冗談でしょう?」 困ったような顔をするティファニア(テファ)。なにせ、メイジと言っても子供と小娘だけで、もう一人はただの平民だ。 メシヤ? 東方の神童? 千年王国? トリステイン軍の大隊指揮官? その上、アルビオンを征服? あまりにも現実味の薄い話に、どうも余計に彼女の不信感が増したようである。 「ねぇマツシタ、あんたの話はぶっ飛びすぎて、一般人には通じにくいのよ。 彼女、よくわかんないって顔しているじゃない」 「むう、無知な者に説明するのは疲れるな。まぁわかりやすくいえばだね……」 と、窓の外に気配と物音がする。言葉を切った松下は、ぐるりと首を巡らせた。 ―――見つめているのは、20人ほどの子供たちの目。 おおかたは10歳以下だ。大小男女取り混ぜて、いろんな顔があった。金髪、赤毛、栗毛、黒髪、ニキビ、メガネ出っ歯……。 どの子も薄汚れた服を着ていたが、目はいきいきと輝いている。 「お、お姉ちゃんたち、お、おはよう」「おはよー」「おはようございます」「さっき変な叫び声がしたけど、大丈夫?」 「生きていたんだ、人間ってすげぇー」「近づいていいの? ヤバくない?」「あのガキ、どう見たってヤバくねーか?」 「俺らと同い年ぐらいだろ、大丈夫だろ」「でもさぁ、メイジっぽいし」「眼つきとか極悪じゃん、危ねーよアレ」 口々に勝手なことをしゃべる子供たち。もちろん、この小さなウエストウッド村の住人であろう。 「ああ、この村の子供たちね。もの珍しがられるのは分かるけど」 「ご、ごめんなさい。……みんな、おはよう! この人たち、生きていたわ! 今朝目を覚ましたの! すぐにご飯の準備をするから、待っていなさいね」 「「「はーーーーーーーーい」」」 どうやら、彼女は子供たちの世話をしているらしい。 「あの桃色頭の姉ちゃん、おっぱい全然ないな」「なー、黒髪の方はそれなりにあるのになー」 「マチルダ姉ちゃんぐらいが普通だろ、常識的に」「テファ姉ちゃんがでかすぎるんだよ」 ゼンゼンナイ、と申したか。カチーンとルイズが反応し、殺人的な視線で睨む。 子供たちは蜘蛛の子を散らすように、わーっとはしゃぎながら逃げていった。 「あ、あの、あなたたちも一緒に朝食を食べましょうか。何かお腹に入れたほうがいいわよね」 「じゃあ、私準備を手伝います、慣れていますから。メシヤたちはごゆっくり」 パタパタと納屋へ駆けていくテファとシエスタ。その後を数人の年長の女児が追う。 ルイズと松下はひとまず村内を見回って、久しぶりに外界の空気を吸うことにした。 「ああ、やっぱりシャバはいいわねぇ……冬場だからちょっと寒いけど、地獄のことを思えばどうってことないわ。 ちゃんとお腹も空いてきたし、生きているって素晴らしいわね、ほんと。ほほほほほ」 陽光に目を細め、微笑むルイズ。ちょっとハイになっている。 「しかしまぁ、小さな村だな。まったく森の中に孤立したようなところだぞ」 本当に小さな村、というか集落だ。森を切り開いた空地に、小さな藁葺きの家が十軒ばかり、寄り添うように建っている程度。 周囲には柵が作られ、多少の畑や菜園はあるが、自給自足もできそうにない規模であった。 しかも、家々には子供たちしか住んでいないではないか。彼らに話を聞こうとしたが、警戒されたか逃げられてしまう。 小一時間ほど散策するうち、テファが「ご飯ですよー」と声をかけたので、彼女の家へ戻った。 集会所とも言うべきテファの家は丸太と漆喰造りで、他の家々よりはやや大きく、納屋が一つと部屋が三つある。 松下たちが寝かされていた部屋、彼女の部屋、そして暖炉がついたわりと広い居間(リビング)である。 大きな食卓には、30人近い子供たちが座っていた。テファに招かれ、三人は上座に席をもらう。 メニューは雑穀入りパンと温かいシチュー、素朴なチーズに新鮮なバター、それに茹で卵と少々のサラダ、果物類。 昨夜のうちに下拵えはしていたのだろう。質素ながら一通りのものは揃った、こんなショボくれた集落にしては上等な食卓だ。 ルイズの腹が「くぎゅうううううう」と妙な音で鳴った。 改めて、テファが三人を彼らに紹介する。 「さ、お待たせみんな! この子はマツシタくんで、このお姉ちゃんたちはルイズさんとシエスタさんよ。 トリステインから来たそうなの。神様と始祖に感謝して、一緒に朝食をいただきましょう!」 「「「いっただきまーーーす」」」 挨拶も早々に、一同は一斉に食事を始めた。なんともはや、蜂の巣をつついたような騒がしさである。 それにしても、安心してまともな食事ができるなど、地獄巡りも含めて何日ぶりであろう。 ルイズは目じりに感涙を浮かべながら朝食をとる。ああ、この村こそ天国か楽園なのではなかろうか? 食事を終えて人心地ついたところで、テファへの質問を再開する。 「うむ、ご馳走さま。ところでテファ、見たところこの村には、きみの他には子供しかいないようだが……」 「ただの開拓集落なら、大人がいなけりゃ生活が成り立たないわよね。 こんな森の奥に、あんただけで隠れて暮らすなら分かるけど」 テファは少し俯き、ぽつりぽつりと喋り出す。 「……この村は、孤児院なのよ。ここ何年も、アルビオンは戦争や飢饉や疫病が続いていてね。 近隣の親を亡くした子供たちを引き取って、数年前からみんなで暮らしているの。 子供たちは3人で一軒を与えられて生活しているけど、朝晩の食事はこの居間で取っているのよ。 私は一応年長だし、ご飯や洗濯なんかの世話や、読み書き算盤を教えたりしているわ」 「お金はどうしているの? 食料とか、衣服とか」 「昔の知り合いの方が、ここを維持するのに必要なだけのお金は送ってくださるのよ。 気心の知れた行商の人が来て、生活必需品は充分に賄っているわ。外界の情報も、それなりにね」 「ふぅむ、昔の知り合いね。貴族か聖職者か商人か知らないが、いい慈善家のようだな」 さっき子供らが言っていた、マチルダとかいう女性だろうか。一応タルブ伯領内にも救貧院や孤児院はあるが。 読み書きの教養があるテファはおそらく貴族の庶子か何かだろうし、これだけの生活を保障できるのは庶民では無理だ。 と、年長の子供たちが話を引き受けて続ける。 「へっ、それというのも世の中が麻のごとく乱れて、やたらと戦争ばかりしてっからだよ」 「しかも大人たちはてめぇらが生きるのにオロオロして、おいらたち不運なベビィには手を差し伸べてくれねぇんだ」 「差し伸べてくれたって、牛馬の代わりにコキ使いやがるのがせいぜいさ」 「今の政治はくさっている。いいえ、世の中が、世界がくさっているのよ、フハイしているのよ」 「そうだ、だからこそおれたちの幸福は、おれたち自らの手で作っていかなきゃならねぇ。 商品作物となる野菜や果物も少ないながら作っているんだぜ。いずれ仕送りからも自立した経済を構築するさ」 「ここは孤児院なんて威勢の悪い場所じゃねぇ。自由・平等・博愛を建国の主旨とする健全な理想国家、『子供の国』だ!」 ばかに大人びた、ケッタイなほどたくましい子供たちであった。さすがに松下も苦笑する。 「ハハハ、大きく出たな」 「おうとも。おやつの芋の配給だって平等にして、力が強くても弱くても、一人につき一日一個と決めているんだ。 平等に腹を空かせ平等に食べることで、我々の団結心は強まるのだ」 「弱い者に福祉を与え、物資や生産手段を共有し、共同で働くことによってこの国は成り立っているのだ。 どうだい、真面目で立派な、素晴らしい政治だろう?」 どこの原始共産制社会だ。ルイズもシエスタも松下も、ぽかんと口をあけた。 「……マツシタ。あんた死ぬ前にこの森のあたりへ、なんかヤバい薬とか散布してないわよね?」 「いや、ぼくも驚いている。例の『白い粉』はまだ散布していないんだが」 「まだ?」 《信者の群れは、心を一つにし、思いを一つにして、だれひとりその持ち物を自分のものだと主張する者がなく、 一切の物を共有にしていた。使徒たちは主イエスの復活について、非常に力強くあかしをした。 そして大きな恵みが、彼ら一同に注がれた。彼らの中に乏しい者は、ひとりもいなかった。 地所や家屋を持っている人たちはそれを売り、売った物の代金を持ってきて、使徒たちの足もとに置いた。 そしてそれぞれの必要に応じて、誰にでも分け与えられた》 (『原始教会』:新約聖書『使徒行伝』第四章より) 客人に生意気な口を利く子供たちを、テファが慌てて遮り、説明する。 「ご、ごめんなさいね、私がこういう思想を吹き込んでいるんじゃないのよ。 何人かの子供たちは、最近『水平派』とか『平等派』とかいう、怪しい人たちと関わっているらしいの。 まぁ言っていることはそんなに悪くはないけど、ほら、貴族やゲルマニア軍に知れたら危ない思想でしょう? ちょっと困っているのよねぇ……」 水平派、平等派か。たしかクロムウェルの共和革命に協力した団体で、兵士・市民・貧農が支持母体の左翼党派だ。 革命成立後は、共和政府の貴族や富裕市民らと対立して弾圧され、セクト化して野に下ったとか。 こういったユートピア的社会主義思想は、地球から持ち込まれずとも自然に発生するものなのであろう。 やがて、松下と年長組との思想論争が始まる。まぁ年少組は特に高尚な思想はなく、騒がしい普通の子供たちのようだが。 冬場はたいした農作業もないし、仕事と言っても屋内で紐や織物を作ったりする程度。 思いがけない外国からの来客は、この小さな村にとっては貴重な情報源かつ娯楽なのであった。 テファは笑いながら一行をもてなし、歌や踊りで歓迎会を開く。穏やかに時間が過ぎていく。 そこに、乞食であろうか……ボロ布を纏い荷物を背負った、不潔で貧相な男がやって来る。 「ふぇっくし! いやはや、見るからに景気の悪そうな村だこと……。 ……おっ、意外にもナイスバディなお姉ちゃんがいるじゃないの! こんにちは、待ってました!」 時刻は昼下がり。納屋へ行こうとしたテファを見つけ、怪しい男は下品な笑顔を浮かべる。 「な、何の用ですか? あなた、お名前は?」 「ヒヒヒヒ、心配しないで。あたしゃあネ、かの有名なコシマキデザイナーのカルダンっていうものよ。 ご存知ない? いやぁ、流行に遅れていらっしゃる。ガリアでもゲルマニアでも引っ張りだこなんだから。 貴族の奥方にデザインしたコシマキがよかったっていうので、皇帝サマから勲章まで授かったのよ、ホラ見てコレ」 カルダンと名乗る男はテファに摺り寄り、背中の荷物からいろいろな布地を取り出した。どうも押し売りのようだ。 「どうこれ、桃色のコシマキよ。今年の新作デザインだぜ、これで下半身のお色気もばっちり! うひひひひ」 「あのぅ、済みませんが、今みんな忙しくって……それどころではありませんから。 手持ちのお金も少ないし、こんな上等なコシマキは……」 「いやいやいや、今日はね、お代はけっこう。一緒に名刺置いとくから。 お嬢さんの美貌と胸に免じて、ね、これプレゼント。またご贔屓にしてくれたらね、充分だから充分」 オロオロするテファに、強引に名刺とコシマキを押し付けるカルダン。そのうち子供たちが出てきて、彼に食って掛かる。 「こらーっ、お姉ちゃんから手を離せ!」「見るからに怪しいやつ!」「わるもの、不審者、変質者!」 子供たちは手に棍棒や石礫を握り、歓迎されざる闖入者を追い払おうとする。カルダンはびっくりして後ずさった。 「わあこら、諸君、ちょっとした誤解だよォ! 落ち着いてくれっ。 おれはちっとも悪意はないんだ、海外の先進文化を伝えに来ただけなんだ。 このデリケートなコシマキのミリキが分かればね、こんなしけた村も文化が向上してだ、大いに発展して……」 「うるせぇ! 貧乏人にものを欲しがらせるのは、商人の悪い癖だい」 「薄汚い資本主義者め、どうせこの村に害毒を撒き散らして、くさった社会にして私腹を肥やそうって考えだろ。 うじ虫野郎、制裁を加えて国外に追放しちまえっ」 「な、なんかえらいところに営業に来ちまったみたい……あは、あはは」 武装した子供たちにじりじりと取り囲まれ、焦るカルダンの前に、救世主が現れた。 「おい、何の騒ぎだい……あッ、こいつは!?」 「きゃーーッ、このおぼっちゃまはッ!? あらら、お嬢様まで」 コシマキデザイナーのカルダンとは世を忍ぶ仮の名、その正体は、昔懐かし『ねずみ男』ではないか。 去年トリスタニアで店を構えていた頃、松下に酷い目に遭わされた彼は、冷や汗を流して激しく怯えた。 「なんだ、きみか。久しぶりじゃないか、よく生きていたな」 「え、えへへへへへ、ご機嫌うるわしゅう。意外なところで再会しやしたね。 ねぇホラ、今はこの通り行商人をやっているんでして、なんにも怪しくなんかありませんから、ネ」 「きみァ、存在自体が怪しげじゃあないか。こないだは商品偽装をしていたし、今だって押し売りに来たのだろ」 テファたちは、珍客同士のつながりに驚く。 「マツシタくん、ルイズさん、この人と知り合いなの?」 「知り合いといえば知り合いだが、ま、ロクなやつじゃないな」 「そうね、さっさと追放した方がいいわ。でも、このまま逃がしたら危険かしら? 私たちがこの村にいるって、ゲルマニア軍に知られたら……いっそ、埋めちゃう?」 「ヒイイ、あ、あの、命ばかりはッ」 ここはしょうがない、『最臭兵器』の出番か。ねずみ男は覚悟を決め、下腹に力を込めた! 「まぁ、なにも殺さなくてもいいだろう。『窮鼠猫を噛む』という諺もあるし、ぼかぁ無駄な殺生は嫌いだ。 ついでだから、商品を提供してもらうか。命の代わりに、外界の情報を聞くとするよ」 心優しい松下の提案に、ねずみ男はホーッと安堵する。だがその息は子供たちの鼻を襲い、バタバタとなぎ倒した。 「うあっ」「げーっ」「ううう、おれぁ生まれてこのかた、こんな不快な臭いを嗅いだことがねぇ」 飛ぶ鳥どころか、ハエさえも落とす悪臭だ。包囲が遠巻きになり、殺気が増した。 「ちょっと煙で燻しておいた方がいいんじゃねぇか」「汚物は消毒すべきだよな」「火刑にしちまおうぜ」 「あ、いや、これはその、ちょっとした事故だよ、事故だってば」 ともあれ、捕縛されたねずみ男は松下たちに尋問され、最新の国際情勢を話す。 あれから各地を放浪し、ゲルマニア軍に潜り込んでいたとのことで、かなり情報には通じていた。 アルビオン全土はゲルマニア軍に占領され、クロムウェルら革命政府の要人は宗教裁判ののち処刑。 トリステインはガリア・ゲルマニアに挟撃されるところだったが、ガリアでは反国王分子のクーデターが勃発。 シャルロット姫殿下率いる『オルレアン派』は空軍や地方都市を掌握し、首都リュティスでも異変が起きている様子。 ゲルマニア本国でも新教徒が蜂起して有力諸侯間の紛争が始まり、国外へ攻め入るどころではないらしい。 どうにかこうにか、トリステインは崩壊の危機を免れていたようである。 「―――ふうん、マツシタの予言がいちいち当たっているじゃない。でもシャルロット姫殿下って、生きていたの?」 「ああ、第六使徒のタバサがそうだったんだよ。うまくいったようだな。 オルレアン派人脈と彼女の繋がりを強化するかわりに、ちょっと利用させてもらったのさ」 テファも目を丸くする。どうもこの客人たちは、本当にトリステイン王国の高級貴族らしい。 「あ、あなたの言っていたこと、本当なのね? マツシタくん」 「うむ、わかってくれたかい。まあ、きみらにはあまり迷惑をかけたくない。 今夜一晩はベッドを借りるが、明日にはここを立たせてもらうよ。生き延びた仲間がぼくの命令を待っている」 そう言うと、松下はねずみ男の方へ振り返る。 「さて、こいつは逃がすとあとあと面倒だが、半分ネズミならこの『右手のルーン』で操れないかな」 ひらひらと顔の前で右手を振ってやると、ヒゲがピクピク動く。ちょっとは効き目がありそうだ。 商品偽装をされた時も、この『手』を使うべきだったかも知れない。 「え、こいつまで使徒にする気? 私はイヤよ、気持ち悪い」 「眠らせておくだけさ、半月ぐらい。クルクルクルのパーッと、ほら眠れ、ねずみ男」 指先をクルクル回して呪文を呟くと、ねずみ男はフニャッと寝入ってしまう。 ……このアルビオンを、征服する。彼は確かにそう言った。 これは運命か、天佑か。テファは意を決し、松下たちに話を切り出した。 「あの、じゃあ今晩、私の話を聞いてくれる? 私が何者で、なぜここに住んでいるのか、あなたたちに伝えておきたいの」 《三柱の神々をお連れしました。四柱目の方は来ようとなさいません。 その神様は、自分こそ本当の神で、他の三神に代わって裁量すると仰せられます》 (ゲーテ作『ファウスト』第二部第二幕より) (つづく) 前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8816.html
前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― タルブの村を奪還してから半刻程経ち、空が僅かに明るみ始めた頃……。 エツィオは村の中央に据え付けられた物見櫓の上から、迎撃の準備を整える傭兵達を俯瞰していた。 先ほど、エツィオが進んで死者の埋葬を行ったためか、兵士たちの士気は高いようだ。劣勢にありながらも逃げだそうとしなかったあたり、彼らは元々質のいい傭兵団だったのだろう。 村に運び込まれた大砲を据え付けている彼らを見て、エツィオは共に戦う仲間達がいることをうらやましく思った。 ルイズ達は確かに大事な仲間なのだが、自分が孤独なアサシンであることに変わりはないのだ。 「アウディトーレ」 そんな風に物思いにふけっていると、背後から名前を呼ばれエツィオは振り向く、梯子を上ってきたアニエスがひょこっと顔を出した。 「兵の一人に首をもたせて本陣に向け出発させた。最も馬の扱いに長けた者だ、迂回するルートとはいえ、おそらく夜明け前までにはラ・ロシェールへ辿りつけるだろう」 「彼の遺体は?」 「首を取った後、埋葬した」 「そうか……。わかった」 エツィオは一つ頷くと、大草原の上空に浮かぶアルビオン艦隊を見上げる。 旗艦『ゴライアス』号を始めとしたアルビオン艦隊は、三千メイル上空で、ラ・ロシェールを中心に展開したトリステイン艦隊と睨みあっている。 「さて、どうしたものかな……」 エツィオが小さく呟き首を傾げると、隣に立ったアニエスも空を見上げた。 「アルビオン艦隊か」 「ああ。これが海だったらまだ何とかなったんだろうけどな、空に浮いてるんじゃ手も足も出ない」 「流石のお前も、艦隊には歯が立たぬか」 「生憎、俺は空を飛べなくてね。最も、飛べたとしてもアレの相手はご免だけどな」 「ふふっ、なるほど、お前も人の子と言うわけか」 エツィオが笑みを浮かべ肩を竦めると、アニエスもつられてクスッと笑った。 「まあ、艦隊の相手はトリステインに任せるとするさ。俺達には俺達のできることをしよう。そう言えば、元々ここの指揮をしていた指揮官はどうした? 討ち取れたのか?」 アニエスは首を横に振った。 「いや、まだだ。ここを制圧する時に指揮を執っていた指揮官は、ヴィリアーズ公の到着に合わせ前線拠点へと向かったようだ。 捕虜からの聴取によると、そいつが地上部隊の副指令にあたる、ということだそうだ」 「前線拠点?」 アニエスはなにやら筒のようなもの取りだすと、エツィオに手渡した。 「これは? 何に使うんだ?」 筒を受け取ったエツィオは小さく首を傾げアニエスに尋ねる。 するとアニエスは、僅かに眉間にしわを寄せた。 「はあ? お前、ふざけているのか?」 「いや、ふざけるも何も、初めて見たんだ、これは何をする道具なんだ?」 本当に何も知らないと言いたげなエツィオに、アニエスは唖然とした表情で見つめた。 「何って、これは遠眼鏡だろう? まさか、本当に知らないのか?」 「だからそう言ってるじゃないか……」 肩を竦めるエツィオに、アニエスは遠眼鏡をひったくると、筒を伸ばし、端についた小さいガラスを指さした。 「ここを覗いてみろ」 「どれどれ……? うわわっ!」 言われたとおりエツィオが遠眼鏡を覗き込む。そして驚きの声を上げた。 それからエツィオは、まるで新しいおもちゃを与えてもらった子供のように何度も遠眼鏡を覗きこんだ。 「これはすごいな! 遠くのものが近くに見えるのか!」 「まったく……、遠眼鏡も知らんとは……何なんだお前は?」 アニエスは目の前で無邪気にはしゃいでいるエツィオを見つめ首を傾げる。 その様子は、どこか子供っぽく、とてもアルビオン軍がその名を聞いただけで震えあがるアサシンとは思えなかった。 「……堪能したか?」 「あ、ああ。レオナルドの奴に見せたらどんな顔をするかな」 「なによりだ、本題に戻ってもいいか?」 にこにことほほ笑むエツィオに、アニエスはこほん、と小さく咳払いし、草原の片隅を指さした。 「あの寺院が見えるか?」 遠眼鏡を再び覗き込むと、なるほど森と草原の境目あたりに古びた木造の寺院が見えた。 「ん、ああ……、随分変わった形だな」 「ずっと昔、ここの村の住民が建立したものだそうだ。何が祀られているかは知らないがな」 「なるほど……。篝火に……歩哨が見えるな、となると……」 エツィオが呟くと、アニエスが肯定するように頷いた。 「ああ、アルビオン軍だ、そこに地上部隊副司令官がいる」 「そいつの名は?」 「ウィリアム・フィールディング。お前の標的である貴族議会の議員ではないが、それでも名のある貴族らしいな」 「なるほど……、副指令と言うことは、彼が新しい司令官になるのか」 エツィオは遠眼鏡から目を離すと、小さく畳んで腰のポーチにしまい込んだ。 東の空を見上げると、僅かに空が明るくなりつつある。エツィオは顎に手を当てなにやら考えると、アニエスに尋ねる。 「奴らの予定では、夜明けと共にラ・ロシェール攻撃だったな」 「そうだ、無論トリステインもそれを察している、ヴィリアーズ公の死でどう影響が出るかはわからんが、空は空、陸は陸で両軍のぶつかり合いになるだろうな」 「そうか……、なら、先手を打っておく必要があるな」 エツィオはニヤリと笑うと、突如手すりに足をかけ、物見櫓から飛び降りた。 アニエスが驚いて櫓の下を見やる、するといつの間にか馬に跨ったエツィオが、こちらを見上げていた。 「アニエス! 俺が戻るまでの間、留守番を頼む!」 「待て! アウディトーレ! どこに行く気だ!」 「新しい司令官殿に御挨拶をな! 開戦前までにケリを付ける! 戦いの準備を怠るなよ!」 「あっ、おい!」 エツィオはそれだけ言うと馬の腹に蹴りを入れる、驚いた馬は馬首を上げながら一声嘶くと、村の外へと向け一直線に走り出した。 「くっ……! 好き勝手言ってくれる……!」 物見櫓に一人残されたアニエスは、苦い表情で呟くと、地上でぽかんとアサシンの姿を見送っていた傭兵を怒鳴りつけた。 「見ての通りだ! アサシンが出撃した! 夜明けまでに戦う準備を整えろと全員に伝えろ! 急げ!」 タルブの村から少し離れた森の外れ……丁度森と大草原の境目に位置する古びた寺院を臨時の前線拠点としたアルビオン軍の幕僚達は、 日の出と共に行われるラ・ロシェール攻撃作戦について話し合っていた。 「……と、このような形で我らはラ・ロシェールに総攻撃をかける、なにか意見はあるかね?」 小さなランプの灯りの下、長方形のテーブル、祭壇を背にした上座に腰かけ、会議の進行を執り行っているのはラ・ロシェール攻撃部隊参謀、ウィリアム・フィールディング伯。 アルビオン軍総司令官であるジョージ・ヴィリアーズ公の副官でもある彼は、その補佐の為に先んじてこの前線拠点へと赴き、 幕僚を始めとした、各部隊を指揮する野戦指揮官達と会議を行っていたのであった。 「トリステインの対応がここまで早かったのは予想外であったが、この戦、何としても短期で決せねばならぬ、 この戦い、ヴィリアーズ総司令閣下が直接指揮をなさる、各員の奮闘に期待したい」 「ヴィリアーズ公は今どちらに?」 「地上司令部だ、たしか、タルブの村と言ったか。そろそろお見えになる頃だが……」 指揮官からの質問にウィリアム伯がそう答えた、その時……。 俄かに外が騒がしくなった。何事かと一人のメイジの士官が窓を開けると、 寺院の周囲を警備していた見張りの兵達がなにやら慌てて一か所に集まりつつあるのが見えた。 そこへ向かおうとしている一人の若い兵を呼び止め、士官は問うた。 「おい、どうした、なんの騒ぎだ?」 「はっ! 森の奥で小火が起きたようです! おそらく焚火の不始末かと」 兵士の答えに、士官がそちらを見ると、たしかに森の奥、暗がりの中から黒い煙がもくもくと上がっているのが見えた。 「たるみ過ぎだ馬鹿者! すぐに火を消し止めろ!」 「は、はっ! も、申し訳ありません!」 「まったく……」 兵士をどやしつけ、眉根を顰めながら席に戻る。 「何か起こったのかね?」 「いえ、ただの小火騒ぎの様です。すぐに消し止められるでしょう」 士官が再び席についた時、今度は寺院の扉が、ドンドンドン! と強く叩かれた。 「誰だ、今は軍議中だぞ」ウィリアム伯が問うた、次の瞬間、会議場の中に連絡士官が飛び込んできた。 「でっ、伝令! ち、地上司令部が陥落! サー・ジョージ・ヴィリアーズ総司令閣下が戦死なされました!」 「戦死? 陥落だと!」 ラ・ロシェール攻撃を前に届いたその衝撃的な報せに、会議場が騒然となる。 ウィリアム伯は、信じられないと言った様子で立ち上がった。 「馬鹿な! 一体何があったのだ! トリステインはまだ部隊を隠していたのか?」 「サー。そ、それが……、司令部を陥落させたのは『アサシン』であります! 『アサシン』が地上司令部を強襲! 我が軍が捕虜としていたトリステイン兵を解放し扇動、蜂起を起こさせた模様です!」 「あ……アサシン……だと! まさか……奴か!」 ウィリアム伯は、目を丸くし、呆然と立ちつくした。顔を蒼白にし、握っていた杖を思わず取り落とす。 集まった幕僚たちは愕然とした面持ちで顔を見合わせた。 「アサシン……! 奴が……この戦場に?」 「ど、どうするのですか? サー! 総司令官が討たれたとあっては、兵達の……いや、それどころか、全軍団の士気と統制にすら関わりますぞ!」 会議場の指揮官たちは立ちつくすウィリアム伯に向け直立した。総司令官が討たれた今、代わって指揮を取るべき人物は彼以外にはいない。 「と、とにかく、ご命令を! 総司令閣下!」 「閣下!」 その声で我に返ったウィリアム伯は、はっとした表情で顔を上げた。 そうだ、とにかく今は、この混乱を治めなければ。総司令官を失い、統制と士気を失った軍団に未来はない、 もし今トリステインに攻め込まれれば、あっという間に地上部隊は壊走してしまうだろう。 いや、それどころか、アルビオン艦隊含む全ての部隊に多大な影響を及ぼすかもしれない。それだけはなんとしても避けなければならなかった。 ウィリアム伯は伝令に向け発令した。 「ぜ、全部隊長に伝達! 戦死したヴィリアーズ総司令閣下に代わり、私が指揮を取る! 部隊の混乱を治めるのだ!」 「はっ!」 命を受けた伝令は、一礼すると、会議場の外へとすっ飛んでゆく。 それを見送ったウィリアム伯はどかっと椅子に腰を下ろすと、頭を抱え、うめき声を上げた。 予想どころか想像すらしていなかった、アサシンの襲撃という最悪の事態。 今、アルビオンで最も恐れられるアサシンが、よりにもよってこのタイミングで現れ、総司令官を暗殺してゆく。最早悪夢以外の何物でもなかった。 「ああ……なんということだ……。アサシンッ……! あの悪魔め……!」 やり場のない怒りに、唇をきつく噛みしめテーブルを殴りつける。 「どうか冷静に、ここで取り乱しては、奴の思う壺です!」 「ともかく、今はラ・ロシェールを陥落させる事が先決かと、今はアサシンを相手取っている余裕はありませぬ」 「ご安心を! アサシンなど、トリステインもろとも虫けらの如く捻りつぶしてやりますとも!」 幕僚たちは勇ましい声を上げ、椅子から立ち上がる。 その声に、ウィリアム伯が俯いていた顔を上げた、その時……。 「悪いがそうはいかない」 突然聞こえてきたその冷たい声に、何事かと幕僚たちが辺りを見回す。 その瞬間、会議場中央に置かれたテーブルの上に、白のローブに身を包んだフードの男が、どすん! という音と共に着地する。 突然の闖入者に唖然とする幕僚たちの目の前で、その男は目の前にいたウィリアム伯の胸倉を掴むと、ぐいと手元に引き寄せた。 「さらばだ、『総司令閣下』」 顔を鼻先に突きつけ、呟くや否や、左手首から飛び出した短剣を振い、ウィリアム伯の首を深々と貫いた。 ウィリアム伯の身体が椅子から床に崩れ落ちる。就任したての新たなアルビオン軍総司令官、彼の死は不意に、そして速やかに訪れた。 突然の出来事に、一瞬、会議場が静まり返る。周囲にいた幕僚たちも、瞬時には何が起こったのか理解しかねていた。 フードの男が、テーブルの上で立ち上がり、ゆっくりと幕僚たちの方を振り返る。 はらりと、肩に掛かっていたマントが垂れ下がる。そのマントに刺繍された紋章をみた士官が、我に返って叫ぶ。 「アサシン!」 そう叫んだ彼の眉間に、深々と一本のボルトが突き刺さる。そして彼が床に横たわるよりも早く、アサシンが動いた。 いつの間にか手に持っていたクロスボウを投げ捨て、すぐ近くにいたメイジの騎士に襲いかかる。 馬乗りになる形で押し倒し、メイジの首にアサシンブレードを突き立てる。鋭い刃が頸椎を断ち、あっという間に死に至らしめる。 「お、おのれ!」 士官の一人が杖を引き抜き呪文を詠唱する、杖の先から巨大な火球が飛び出し、アサシンを焼き尽くす……筈だった。 だが、その瞬間はいつまでたっても訪れない、それどころかその士官の額には一本の小ぶりな短剣が突き立っており、そこから一筋の血が流れ落ちてゆく。 「……ぁ」 どうっ、と士官がその場に崩れ落ちる。士官が杖を振り切るよりも早く、アサシンの手から放たれた小さな投げナイフが寸分たがわず彼の額を撃ち抜いたのであった。 最後に残された将校が杖を引き抜く、だがアサシンが再び投げナイフを放ち、彼の手から杖を叩き落した。 「ひっ……! ひいッ!」 杖を失った将校は、情けない悲鳴を上げながら祭壇へと逃げてゆく。 そしてその祭壇に祀られていた一振りの短刀を手に取ると、鞘から引き抜きアサシンに突きつけた。 「こ、この悪魔め! くっ、来るな! 来ないでくれ!」 「悪あがきはよせ、観念するんだな」 「う、うわああああっ!」 恐怖に駆られた将校は、悲鳴に似た叫び声を上げながら、アサシンに斬りかかった。 死に物狂いで振り回しているだけに攻撃の軌道が読みにくい、振り下ろされた短刀が、アサシンの左前腕を叩く。 鈍い衝撃が走ったが、金属の手甲が腕を守ってくれた。無傷のアサシンに、将校は目を剥いている。 「お、お前はっ! お前は悪魔に守られているのか!?」 その姿にひるんだ瞬間を、エツィオは見逃さず、将校の手首を捻り上げ、握っていた短刀を奪い取る。 そのまま短刀を逆手に持ち、相手の首筋に刃を添える。首元で鈍い光を放つ短刀に、将校は怯えたようにアサシンを見つめた。 「や、やめろ……、やめてくれ! ど、どうしてこんなことをする!」 「それを問うか? お前達がここにいるからだ」 将校の問いにエツィオは小さく呟くと、相手の首筋に添えた短剣を横に滑らせた。 その短刀は驚くほどの切れ味で、ぱっくりと将校の喉笛を切り裂いた。 「汝らの死は必然なり――眠れ、安らかに」 喉笛を裂かれた将校は、かっと目を見開いたかと思うと、ほどなくその身体は弛緩して膝から床の上に崩れ落ちた。 瞬く間に全員の息の根を止めたエツィオは返り血を拭きとると、先ほど短刀が叩きつけられた左腕の腕甲をみて、思わず目を見張った。 見るとアルタイルの文献を元に、レオナルドが作り上げた特殊金属製の腕甲に傷が入っているではないか! 防具としての機能に問題はないものの、重装兵の斧の一撃にもビクともしなかった腕甲に傷が入ったのはエツィオにとって些かショックな事であった。 「俺の腕甲に傷を付けるなんて……」 エツィオは信じられないと言った様子で呟くと、先ほど殺した将校から奪い取った短刀を見つめた。 刀身が鏡のように磨かれた、とても美しい片刃の短刀である。人を切ったと言うのに脂が付いておらず、錆一つ浮いていない。 この寺院の祭壇に祀られていたところを見るに、この寺院に治められた聖遺物、あるいはそれに準ずるものなのだろうとエツィオは当たりを付けた。 「ほー、こりゃすげえ短刀だな」 「わかるのか?」 興味深げにそれを見ていたエツィオに、腰に下げたデルフリンガーが感嘆したように呟いた。 「まあ剣だからな、……しっかしこりゃあ、相当な業物だぜ。相棒ツイてるな、これ持ってっちまえよ」 「いいのかな……」 「いいんだよ、どうせここ置いてたって、アルビオンの連中が持ってっちまうぞ、連中にゃもったいないだろうが」 さすがに祀られていた物を勝手に拝借するのは気が引けるのか、エツィオは顔を渋める。 しかしデルフリンガーの言うことも尤もである。先ほどこの寺院を占拠していた士官達は全員がメイジだったからこそ、この短刀に興味を示さなかったのだろう。 エツィオは祭壇に向き直ると、何となく厳粛な気分になったのか胸の前で十字を切った。 「しばらくの間、お預かりいたします、願わくば我が力とならんことを」 エツィオが呟き、落ちていた鞘を拾い上げた、その時であった。 異変を察知し駆け付けたアルビオン兵が、寺院の扉を開け、中に踏み込んできた。 「閣下! なっ……! あ、ああ……!」 中に踏み込んだアルビオン兵は、寺院の中に転がる幕僚達の死体を見て言葉を失った。 いずれもが名のあるメイジの貴族である彼らが、皆一様にして首を裂かれ、或いは急所を貫かれ絶命してしまっている。 その中にはアルビオン軍総司令官に就任したばかりの、ウィリアム伯の姿まであるではないか。 その地獄の様な惨状に唖然としていたアルビオン兵であったが、祭壇の前に血の滴る短刀を握り締めた一人の男が立っていることに気がついた。 瞬間、アルビオン兵は恐怖でたちまち凍りついた。赤黒いマントに白のローブ、間違いない、この男は! 「あ、アサシン! だ、だだ、誰か来てくれ! アサシンだ! アサシンが出たぞ!」 我に返ったアルビオン兵は悲鳴を上げながら、ほうほうの体で逃げ出した。その絶叫に、にわかに外の様子が騒がしくなった。 見ると騒ぎを聞きつけた敵兵達が寺院に殺到より先に、エツィオは驚くほどの俊敏さで壁を駆けあがり、天井の梁へと飛び移る。 そのまま梁の上を伝い、侵入経路であった換気用の窓から外へと出ると、屋根の淵に手をかけ、寺院の屋根の上へよじ登る。 彼がその上から身を躍らせた時には、あまりの早業に、敵の兵達はぽかんと口をあけていた。 風を受けてマントが翻るなか、アサシンブレードを発動させたエツィオは馬に乗っていたアルビオンの軍曹に飛びかかって鋭い刃で切りつける。 エツィオは敵を落馬させてそのまま馬を乗っ取ると、他の兵が反撃に出るより前に森へ向け全速力で走り出した。 一度も振り返らず、拠点である村を目指すことだけを考えて、さらに速く馬を駆り立てていった。 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
https://w.atwiki.jp/yukimi0/pages/189.html
――人は『何かを成し遂げるため』に『生きる』のでは無い。 『生きた』からこそ『何かを成し遂げられた』のだ―― ユウナ=ロマ=ライセン ……暗闇。初めはそれだけ。 でも、世界に突然“銃声”が轟く。私が何時からか、聞き慣れてしまった音。 私は何処か、安心していたんだと思う。……あの人達は、どんな時でも還ってきてくれた。恐ろしい戦場を何処吹く風で。何時しか、それは当たり前の事の様に思えてしまった。 少しでも考えてみれば、それは明らかな間違いだと直ぐに気が付くのに。放たれた銃弾の一つ一つが、容易に私や、あの人達を壊してしまう事に。 <――ソラ、逃げて!> あの子は私にそう言った。私を引っぱたいて、私を嫌っていたはずのあの子が。そして、私はあの子もきっと大丈夫だと、何の裏付けも無しに信じていた。――私を庇って、相当な出血をしていて、それでも――。 <……アンタ、あったかいよね……冷たくならな……> ……それが、最後の言葉。その時の私には意味の解らない――私の大事な友達の、思い出のカタチ。 世界は暗闇だった。それを私は、見ない様にしていただけだったんだ……。 目を開くと、馴染みのある天井が目の前に広がっていた。窓一つ無い、ほんの少しの家具だけが置いてあるソラの部屋――リヴァイヴでのソラの個室だ。 ソラは、汗をびっしょりとかいていた。けれど、拭う気にもならない。 胸が痛い――締め付けられる様に。 (また、あの夢……。) ここ数日、ターニャ――タチアナ=アルタニャンの夢を見ない日は無い。それだけあの一件はソラの心に刻み込まれていた。彼女と過ごしたのはほんの数日――しかし、自分と彼女はもっと前から知り合っていた様な錯覚すら感じる。彼女が居ない今、その思い出も遠い日の様で、しかし決して消えない記憶となっていた。 もしあの時、自分が何かしていれば―― 自分がもしも、シンさん達の様に強かったなら―― (……ターニャは今頃、私に変わらず笑いかけてくれていた?) それは――後悔。どうにもならない思いを、どうしようもなく反芻するだけの―― 思い、悩んでも、何一つ解決する事は無い。結論は、とうの昔に出てしまったのだ。ターニャがソラを庇って死ぬ――ただ一つの、その結論が。それはソラにも解っている。 だが…… ソラは、何となく己の両手のひらをを見る。汗だくの手のひら――それがみるみるうちに赤く染め上げられていく――あの日の様に。それが幻覚だと解っていても、ソラはそれを恐れ、そして……。 「…………!」 (――ターニャ!) 口に出せば、激情が止められなくなってしまう。そんな思いが、ソラを止める。 人が命を失う瞬間。それをソラは見てしまった。感じてしまった。体温が失われ、命というものが人の体から抜け落ちる瞬間。どうしようもない、人が死体に変わる瞬間。 それにソラは立ち会ってしまったのだ。ソラという人間が信じていた世界。その外に居る者達が何故これ程までに切望するのか――何となくだが、ソラには解った気がする。 ……その瞬間を見たくないが為に、人は戦うのだ、と。 あの後、ソラとシンは二人でターニャの祖父に報告に行った。 「気が済むなら、幾らでも俺を殴ってくれ。……詫びて済むもんじゃない。」 シンは既に、大尉に――見ているソラが痛くなる位――殴られていた。けれどシンは一言も弱音を吐かなかった。むしろ、殴っている大尉の方が辛そうだった。 そして、ターニャの祖父はシンを殴らなかった。ただ、シンとソラを一瞥しただけで、こう言った。 「アンタを殴って、ターニャが還るならそうするさ……。」 シンの顔が歪んだ――百発殴られた方がマシな位に。 ……どうすれば良かったのだろう。 何一つ、救いは無い。それだけは解った――解らざるを得なかった。 その後、ソラはターニャの最後の言葉を祖父に伝え、そして知った――ターニャの言葉の意味を。 (あの子は、幼い頃妹を亡くした。一緒に寝ていた時に、な。……その時感じたのだろうさ、妹が冷えていく瞬間を。『自分の体温を分けてあげたかった。』――何時だったか、泣きながらそう言ったのを良く覚えているよ。……最後の最後に、あの子はアンタに救われたんだな。礼を言わせて貰うよ……。) 一言一句、良く覚えている。……忘れられる訳が無い。 <……アンタ、あったかいよね……冷たくならな……> 人が人を救う事が出来るのなら。人が温もりを分け与える事が出来るのなら。 そういう事が出来る者は、結局それ以上の不幸を身に染みて知っている者達だけだ。だからこそ、ターニャはソラを命を賭して救ったのだろう。――文字通りの意味で。 ターニャはもう一人の妹を作りたくなかった。……しかし。 (……ターニャ……。) ソラの心からターニャの事が離れる事は、おそらくこの先永久に無いだろう。それは、ソラという個人が命を救って貰った事への紛れもない代償。目を閉じれば、幾らでも思い出せるターニャの面影。……そしてその死。思い出す度、親しい人と会える嬉しさと、死という別れ。――それはたかが十五歳の少女が背負うには、厳しい内容だった。 ソラは泣いた。泣き続けた。……それ位しか、出来なかった。 夜のゲルハルト=ライヒの邸宅は豪奢ではあったが、同時に薄ら寒さを感じる場所だった。 (……まるで、住んでいる人間の心を移したかの様な雰囲気ね。) 黒を基調として、控えめに赤い宝石をあしらったカクテルドレスに身を包んだメイリン=ザラは、運転手にエスコートされながら送迎のリムジンを降りる。降り立ったのは、彼女一人。本来こうした席には居るはずの夫、アスラン=ザラの姿は無い。……それはそうだろう、これは夜会であって夜会ではない――ゲルハルト=ライヒ率いる治安警察幹部達の会合なのだ。 その席に、メイリンが招かれた。……ということは。 「余程、ライヒ長官は『カテゴリーS』を恐れておいでの様ね。」 メイリンは玄関から続く赤絨毯を踏みしめ、ゴシック様式で統一されたライヒの“城”に入っていく。それは現世に蘇った貴族の城であり、ライヒの何処か人間臭い虚栄心を間見た様な気になりながら、メイリンは歩んでいった。 “会合”に参加したのはライヒ、メイリンを入れて五名。そして、席次はメイリンにとって奇異を感じるものだった。細長いテーブルの上座にライヒが座り、居並ぶ様に他の者達が差し向かいに並んでいく――そこまでは奇妙でも何でもない。しかし一方の側にはメイリンだけしか座らず、残りの三人がメイリンの差し向かいに座る状況は、非常に圧迫感を感じるものであった。 (新参への嫌がらせ? 随分と姑息な事をするのね、治安警察は……。) 出てきた料理は非常に高級なもので、一口食べただけでそのシェフの技量が当代きってのものであろうと想像出来る。……しかし、この状況はとても“美味しく”頂ける状況ではない。 それはそうだろう、眼前に居並ぶ三人の人間の瞳がメイリン一人に注がれているのだ。それは好奇の瞳に間違いなかった。失礼だとか無礼だとか、そういう事を一切考慮しない、値踏みの視線。メイリン自身、男性にそういう視線で見られた事は少なくない。だが、こうも遠慮無く射すくめられるのは不快でしかない。 この状況が奇異なのは、他にも理由がある。 (席に着いた時、私は名乗った。……名乗らされた。なのに彼らは誰一人、名乗りはしない。礼法など一切守る気は無い、という事?) 目の前に居る三人は、三者三様、個性的な人間達だった。独創的と言っても良い、街中を隅から隅まで歩いても、彼らと同じ人種には会えないだろう。彼らに共通していたのは、その瞳。油断無く、好奇の様でいて――そうではない。己の命を守るために、彼らは常に誰も彼もをそうした瞳で見ているのだろう。……既に死ぬ場所を戦場と定めた、人間の瞳。 一番左の男は初老、といって良かった。体格は非常にがっしりとしており、おそらくこの夜会に集まった者達の中ではもっとも恵まれた体格の持ち主だろう。首も指も太く、ワイングラスを割れない様にそっと指二本で摘んで飲む様は何処かしらユーモラスだ。 一番右の男は――いや、女か。男装の麗人、そう言えばいいのか。この夜会の中ではもっとも若い年齢の女……というより“女の子”だ。おそらくメイリンの見立てではこの少女は十四~十五歳位だろう。礼儀作法は他の二人より余程洗練されており、良家の子女として育てられたであろう事が伺える。だが、油断無く辺りに気を配る様はとても良家出身とは思えない。 そして中央の男は、もっともメイリンに嫌悪感を与えていた。容貌や佇まいに文句は無い。未だ二十代位だろうか、相応の美形なので女性の人気もまずまずと行った所か。だが、メイリンはこの男の目が一番気に入らなかった。まるで狐の様な、細く――襲いかかる様な瞳。従順な様で、決して何者にも従わない。そういう意志が何処かしら感じられる瞳。 誰も彼もが、曰くなどダース単位でありそうな者達だった。 そして彼らは愛想も何もなく、ただ淡々と食事をする。油断無く、メイリンを見据えながら。まるでメイリンが彼等の領域に不埒にも侵入してきたかのように。……これではメイリンの方も礼法をかなぐり捨てて、彼等の瞳を受け止めるしかなかった。そして、夜会の主催者ことライヒは、その様子を楽しそうに眺めている。 メイリンは、我ながらかなり長い間その苦境に耐えたと思う。……しかし、遂にメイリンの堪忍袋も切れる時が来た。あろう事か、中央の男が「クスッ……」と、メイリンを眺めながら笑ったのだ。その瞬間、血が逆流するのをメイリンは止められなかった。 バァン! 料理が散らばるのも構わず、メイリンはテーブルを力任せに引っぱたいた。大した力では無いが、静かな食卓ではあったので部屋中に響き渡る音だった。そして――それでも出来るだけ抑えたのだろう――静かに中央の男に向かって言う。 「……非礼を詫びて頂くわ、ミスター。」 静かな、低い声。だからこその恫喝――本気で怒った自分を抑えるかの様に。 メイリンと中央の男は、しばし睨み合った。男の目は冷静で、荒事など何度と無く潜り抜けてきた――そういう凄みがある。一方、メイリンは怯みそうになる自分を押さえ込み、冷ややかな目線で男を睨み付ける。 (……私だって、もう『守られている女』じゃない。そこらの男に負ける様な女じゃない!) 緊迫した雰囲気――さすがにこの状況で食事を続行出来る者は居ない。ライヒを除いて。ライヒだけはこの状況を薄笑いすら浮かべて眺めている。まるで“微笑ましい事”を見ているかの様に。 不意に、中央の男が目を剃らした。そして、席から立って頭を下げる。 「非礼をお詫びしますよ、新しい治安警察の“実行部隊隊長殿”。」 男が唐突に非礼を詫びた――その事よりも男が言った事の方がメイリンに衝撃を与えた。 「……え?」 メイリンは、一瞬思考停止した。その間を縫う様に、更にメイリンの前に座っていた残りの二人も立ち上がる。 「エイガー=グレゴリーじゃ。水中戦ならば並ぶ者はおらんと自負しておる。」 「エルスティン=ライヒ。空間認識能力はクラスAを記録。……実戦配備出来るレベルです。」 そして、中央の男も名乗る。 「オスカー=サザーランドです。宜しく。」 立て続けの衝撃――その三人の名前にメイリンは心当たりがあった。治安警察の中でもドーベルマンに次ぐ実働部隊のエース――ライヒ子飼いの精鋭部隊の事実上の幹部達。その三人が今、メイリンに頭を垂れた。という事は……、 「よろしい。この瞬間より我が治安警察省公安部隊は、前隊長ドーベルマンよりメイリン=ザラに引き継がれる。……宜しく頼む、メイリン=ザラ“隊長”。」 ライヒの朗々とした言が、メイリンの思考を現実に引き戻す。まさか、と思った事が現実に起こっている。メイリンは混乱する頭を無理矢理クリアにして、状況を把握する。 (ドーベルマンから私に引き継ぐって……治安警察の部隊を!? 何を考えて居るの、ライヒ長官!) メイリンはライヒに向き直る。そして、メイリンが何か言うより早く、ライヒは言う。 「君の予想通り、私は『カテゴリーS』シン=アスカを恐れている。……おそらく、この地球上で誰よりも、だ。その彼を屠るのに、君という適任者を得た。これはその事への正当な評価、という事だよ。」 メイリンは喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。自分が言わんとする事をライヒは先回りして語った。それはきちんとメイリンという『個』を見て言っているという事だ。それほどまでにライヒはシン――『カテゴリーS』という存在を恐れているという事だ。 だが――確認しなければならない事もある。 「ドーベルマンは納得しているのですか? 私には地位争いをする意志はありません。高く評価して頂いたのは感謝致しますが……。」 思った通り、ライヒはほんの少しだけ眉根を寄せた。が、直ぐに淡々と語る。 「ドーベルマンには失脚して貰わねばならなくなった、という事だ。」 「…………?」 これは解らない。メイリンが怪訝な顔をしていると、意外な所から説明が来た。 「議会で現在、主権返上についての論議が行われています。大筋で東ユーラシア政府は主権返上に反対の立場を執っています。ですが、現状の東ユーラシア政府ではコーカサス州の治安確保に乗り出せるだけの戦力が無い事も事実です。それ故、東ユーラシア政府首脳は妥協案に出ました。『コーカサス州の治安を確保してくれるのなら、主権返上に部分的に応じても良い』――東ユーラシア政府は“名を捨て実を取る”つもりのようですね。」 何らの感情を込めない声でエルスティンが淡々と語る。その説明をオスカーが引き継ぐ。 「コーカサス州において東ユーラシア政府軍は大きく弱体化した。そのため、東ユーラシア政府は多国籍軍――オーブ軍の出撃を必要としている。現在、“世界の敵”として『カテゴリーS』――ひいてはリヴァイヴというコーカサス州のテロリストは必要な存在になるんだ。居なくなればオーブが介入する余地は少なくなる。皮肉な事だが、現状ではシン=アスカという存在は居た方がこちらにとっても都合が良いという事なのさ。」 更に、エイガーが説明を次ぐ。 「……ドーベルマンの大将は『負け犬は御免だ。』と打診してきた。なるほど、あの御仁らしいとは言える。融通の利かん、剛直な男じゃ……。」 エイガーはワインを一息に飲み込む。既に顔は赤かったが、酒は次から次へと注がれていく。彼なりにドーベルマンの行く末に思う所があるのか……。 (ドーベルマンは“負け犬”になるしか無くなってしまった。それ故に、私が“隊長”というポストに就く。なんて混迷の世界なのかしら……。) メイリンはようやく座ると、自分のグラスにワインを注いだ。気が付けば皆がワイングラスを片手に持っていたので、なし崩しに乾杯をした。せめてこの混迷の時代が長引かない様に――それだけはこの場の全員の思いであると信じて。 地中海上空、二十三時―― こんな時刻に地中海上空を飛ぶのは、余程の酔狂人か新聞記者だけだ。その両方と言って差し支えないジェス=リブルは長距離輸送機の窓から珍しそうに外を眺めている。――この男は世界を見るのに“飽きる”という事は無いようだった。その様を半ば呆れながらカイト=マディガンはジェスに今後のプランの説明をする。 「……このまま一旦俺達はコーカサス州上空を飛ぶ。エンジントラブルと見せかけて、な。その最中、“荷物が落っこちた事”にしてお前とアウトフレームを降下させる。その後、本機“ポリグラフ”と俺は近くのセヴァン湖に“修理”と称して着陸する。一週間後、お前は脱出用にハチが用意したバルーンを使って……って聞いてるのかお前は!」 「ん? ああ聞いてるよ。――見ろよカイト! あの帆船、すげぇ年代物だ!」 怒鳴るカイト、瞳を輝かせてジェス。もはや何年見たか判らないこの二人のコントにハチは画面に顔文字『……( ̄へ ̄|||)』を表示して呆れてみせる。 何処で仕入れてきたか判らない様なオンボロ貨物機ポリグラフでいつもの様に始まった二人の言い合いは――他の搭乗員にも慣れっこだったので――何時終わるとも知らず続いた……。 「……で? なんでそんな面倒な言い訳しなきゃいけないんだ? 正々堂々正面から行けば……」 そのジェスのぼやきは最後まで言えなかった。 『馬鹿野郎! お前さっき何を聞いてたんだ!』 ジェスは先程からアウトフレームのコクピットに居た。気圧の事も考えてパイロットスーツを着せられている。隣ではハチが忙しく発進準備を整えていた。カイトは輸送機のコクピットで最終調整をしているはずだ。 コーカサス州に戒厳令が敷かれたのは三週間も前の事だ。テロリストを国外に出してはいかん、というのが東ユーラシア政府の答弁。だが実際は出稼ぎで呼称『テロリスト』達――実際はその辺に居る青年達――が国外に出稼ぎに行くのは、特に寒さの厳しいコーカサス州では当然の事だった。それを敢えてやらせない所に、東ユーラシア政府側のささやかな報復がある。 当然産業に乏しいコーカサス州は反対したし、労働力を期待していた隣国からも反対された。だが戒厳令は実行され、海外からの客も激減、勿論報道も自由には出来なくなった。プロパガンダされては堪ったものでは無い、という事だろう。もはや東ユーラシア政府にとってコーカサス州は紛争地域という認識である様だった。 そんな場所に“野次馬”ジェス=リブルが行く――カイトは長い付き合いだから反対こそしなかったが、余計なトラブルにならない様に三日徹夜で今回のプランを考え出していた。 プランとは次の様なものだ――『正規の空港や空路を使わず、エンジントラブルと見せかけて領空に侵入。防空機が飛んでこない内にアウトフレームを放り出してすさかず領空から脱出。その後、取材の終わったジェスをバルーンで空中に飛ばし、ポリグラフに装備されているハーネスでアウトフレームごとジェスを回収する。』というものだ。本当はカイトもジェスに付いて行きたかったのだが、ポリグラフの方でも各方面にひたすら打診をしなければならない。要するに東ユーラシア政府やその他の場所に嘘八百を並び立てなければならないのだ。……それは、結局カイトがやるしかないのである。 『いいか、余計な事はするなよ! リヴァイヴのリーダーにインタビューをするだけだぞ! ……ハチ、しっかり見張っておけよ!』 『ガッテンだ。』 今回から追加された音声出力デバイスで、ノリノリのハチ。ジェスはそれに呆れながらも、 「そう心配するなよ、カイト。大丈夫だって……。」 『お前がそう言って大丈夫だった試しがあるのかぁぁ!!!』 カイトは、誰よりも良くジェスの事を理解していると自負している。そしてそれは決して間違いでは無い。この生まれついての“野次馬”は何処でも彼処でも“野次馬”なのだ。トラブルの絶えない訳である。 『そろそろ降下ポイントに着くぞ。ジェス、カイト準備しろ。』 ハチの的確な突っ込みが怒鳴り合うジェスとカイトを止める。……正しくは怒鳴りまくるカイトに、宥めようとして火を付けまくるジェスだが。 「カイト、そういう訳だから行ってくるぜ!」 『どんな訳だ、ったく……。』 しかし――ぼそりと『死ぬなよ』と聞こえてくる。それを言うとまたカイトが怒るな、と思いジェスも言うのを止めた。 モニタに出撃可能のランプが灯る。一瞬の内にアウトフレームは漆黒の夜空に吸い込まれていく。その中でジェスは、 「イ――――ヤッホ――――オオォォォォ!!」 ……雄叫びを上げつつ、アウトフレームを降下させていく。今、ジェスの胸は高鳴りつつあった。この瞬間が好きだからこそ、記者なのである。