約 1,037 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3576.html
地球、日本国、東京都練馬区、『猫飯店』にて。時刻は夕方。 長髪眼鏡の男が、誰もいない空間へ話し続けている。傍らには、かちかちとノートパソコンを操る美女。 「じゃからシャンプー、おらの話を聞くだっ! 乱馬が失踪した今こそ、シャンプーはおらと……」 「招き猫に向かって何話しかけてるか、ムース。私、乱馬以外の男と付き合う気ないね。 今、日本最大的電子掲示板使って情報収集してるとこある。静かにするよろし!」 ばっしゃんとシャンプーがムースに水を浴びせると、ムースはアヒルに変身した。 「がーっ、ぐわぐわぐわっ」 「まったく、騒がしいね。……でもこの掲示板、有益な情報あるのか、いまいち分からないね」 一方、お好み焼き屋『うっちゃん』にて。賑わう店内に、天道あかねも来ていた。 「はあっ……乱馬が失踪して、そろそろ3週間になるわね……。 Pちゃんもどこかへいなくなっちゃったし、どうしようかしら……」 「天道あかね、邪魔者は消えた。さあ、そろそろ僕の愛を受け入れるのだ(すりすり)」 「結構ったら結構ですっっ。(どかっ)」 どこからか湧いて出た九能を、天道あかねが店の外へ蹴り飛ばした。 店の主人・久遠寺右京は、別に気にもとめない。いつもの事だ。 「せやねえ、このまんま学校休み続けてたら、乱ちゃん退学かもせえへんで。 あの変態校長が喜びそうやなあ、そろそろゴールデンウィークやけど。はい、豚玉」 「そうかも知れないけど、それどころじゃないでしょ。最近良牙くんも見ないなぁ……」 「そら、いつもの事やんか。案外乱ちゃんみたく、鏡の中に迷い込んでるんと違うかぁ? まぁコロンのばあちゃんがヒント持ってたんやし、妖怪つながりで八宝斎のじじいにでも聞いてみたらどーやろ」 「そうねぇ、おじいちゃんの知識や蔵書は、大したもんだし。いろんな奥義書も持ってるもんね、盗品だけど。 皆を集めて、もうちょっと調べてみましょう」 「……ところで、あかねちゃん」 「何? おかわりはもういいわよ」 「今確か4月の末やんか。うちらいつまで高校一年生のままやねん」 「それだけはつっこんじゃダメよ、右京」 かくして、乱馬と良牙がいないまま、日常は続いていた。 さて、場面は異世界ハルケギニア、トリステイン王国。 トリステイン魔法学院では、姫殿下を迎えての『フリッグの舞踏会』が催されていた。 らんまはキュルケ・タバサとともに、ドレスに着替えて会場に集まる。 「ほえー、食堂の上にこんなダンスホールがあったんだな」 「これから絢爛豪華な舞踏会の始まりよ、ランマちゃん。……タバサは料理に夢中みたいね。 背は低いけどスタイルいいから、結構似合うわよそのドレス」 「下着まで女物にするのは、ちょっと抵抗があったがな……えーと、姫様とルイズは?」 「一応主賓だから、準備が整い次第入場じゃない? そう言えば、あのリョーガって男の子はどこ?」 「さーな。あいつ、超人的な方向音痴だし。俺も今夜は料理に舌鼓を打たせてもらおうか、いっただっきまーす」 「びゃんど~~じょぼぼ~~ん」「じゅびじゅぶじゅべ」「ぶべぼあ?」 宴もたけなわ、料理も減り続け、マルトー親父たちも大忙し。 タバサもらんまも、どこからか忍び込んだ怪しい僧侶も、ダンスそっちのけで食べ続ける。 キュルケは男たちに取り巻かれ、談笑に花を咲かせている。そして、ようやく主賓たちの登場だ。 「ラ・ヴァリエール公爵家令嬢、ミス・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの、 おなーーーーーーーーーりーーーーーーーーーーー!!」 「「おおーーーーっ」」 桃色の髪をポニーテールにし、華麗なドレスに身を包んだルイズが、しずしずと現れた。 黙っていれば、ルイズはとても可愛らしい。胸はゼロだが。 「だが、それがいい!(にやっ)」 「ちぇっ、ずん胴のちんちくりんの洗濯板がいいなんて、てめーらロリコンかよ。 けど、タバサはそれより小せぇなー。こんだけ食べてんのに、どこ入ってんだ?」 「余計なお世話」 「どうなんでしょーねー。胃袋が異常に大きいか、スタイルは変わらなくても体重だけ増えてたりして」 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーーーーーーーーーりーーーーーーー!!」 いよいよプリンセスの登場だ。今までルイズやらんまやキュルケに群がっていた男たちが、一斉に振り向く。 「う、麗しきプリンセス、どうかこのぺリッソンめと、ダンスのパートナーを」 「いえ、このスティックスこそ」「このギムリ」「レイナール」「ギーシュ」「マリコルヌ」「ペイジ」「ジョーンズ」 上座に座った姫殿下に群がる男子学生らを、傍らに立つ黒衣長身の男が叱り付ける。 「下がれ、悪童ども! 姫殿下がきさまらのご相手をなさると思ったか!!」 彼は、品評会でも姫殿下の傍近くに控えていた衛士だ。立派な貴族のようである。 年の頃は20代半ば、長身長髪でヒゲがあり、目は鷹の様に鋭い。 男たちはうぐっと黙るが、ルイズは思わず声をあげる。 「あっ……ワルド子爵!」 「わるど? なんでい、その悪役っぽい名前は」 「悪役とは失礼ね、王国のエリート部隊・魔法衛士隊の一つ、グリフォン隊の隊長よ! 私が小さいとき、よく家に来ておられたわ。それに、彼は……私の、許婚なの」 「許婚、かぁ。まぁ貴族にゃいるんだろーな、そういうの」 「両親が決めた事だけど、貴族の跡継ぎや令嬢はそうやって結婚するものよ。 ……そーいやランマ、あんたもいるそうじゃない、許婚。どんな男性なの?」 らんまが遠い目をする。そう言えばもう、20日ほども会っていない。 「……俺、許婚が二人と一方的婚約者が一人いるんだよな。あとストーカー。 どいつもこいつも、そんじょそこらの男よかよっぽど強いぜ。 今世話になってる家にいるのはよー、がさつで乱暴者で不器用でカナヅチで、嫉妬深くて意地悪くて、 へちゃむくれのオタンコナスで、そいつの手料理食べたら寝込んじまうような奴さ」 「……今あんたを世話してあげてんのは私だけど、そいつも大した言われようね……」 「は、は、はくしゅっ! くしゅん!」 「あらあかね、風邪気味? 暖かくして、早く寝なさいね」 「そーね、かすみお姉ちゃん。……誰か噂でもしてるのかしら」 と、どこからかもう一人の男がすっ飛んできた。 「乱馬、きさまあっ! あかねさんの悪口は許さーん!!(ばきっ)」 「あら、リョーガ」 「いちち……よー、シャルロット。言っとくがな、おめーとはダンスしねーぞ」 「誰がするかっ、オカマ野郎! 今の暴言を取り消しやがれっ(ひゅっ)」 「やるかっ、このブタ! 上等じゃねーか、『ガンダールヴ』がなくてもおめーなんかなぁ(しばっ)」 らんまと良牙は、場所もわきまえず喧嘩を始める。ルイズはおろおろするばかり。 「や、やめなさ「やめろっ、そこの二人! 殿下のご臨席の場で、狼藉は許さん!」 ワルドが二人をばしっと叱り飛ばした。ルイズもびくっとして、背筋を伸ばす。 「わ、ワルド様……すみません、私の躾が足りませんで」 しかし、ワルドはルイズに優しく微笑む。 「君が謝る事はない、僕のルイズ。そこのバンダナの男、招かれもせずに宴席に乱入し、 あまつさえミス・ランマを殴りつけるとは何事だ。この『閃光』のワルドが叩き出してやる」 スッ……とワルドが、細身の剣のような『杖』を抜く。 「おもしれえっ、やってもらおうじゃねえかっ!」 「おいおい、挑発に乗るなよ噛ませブタ。痛い目見るぜ」 「誰が噛ませブタだっ、あとでてめーもきっちり殴って……ぐえっ」 良牙は『エア・ハンマー』に吹っ飛ばされ、壁にめり込む。 「不粋な真似は好まない。彼を倒した後で、ルイズ、君のダンスパートナーを務めよう。 姫殿下やミス・ランマともね。ふふふふふ」 「こっ、このキザ野郎~っ」「ここで喧嘩することないでしょっ、外でやんなさいよ!」 だが、異常な耐久力を誇る良牙は、この程度では参らない。 「ふん、これしきの衝撃波で、俺をどーにかできると思ってんのか! 食らえ『獅子咆哮弾』!!(ドオオオン)」 「!!」 ワルドは咄嗟に空気の盾を張り、気弾を防ぐ。 「これは……まさか、先住の魔法か?」 「まだまだっ、『爆砕点穴』!!(ドッ)」 良牙が床に指を突き刺すと、そこが爆発して破片を撒き散らす! 「うおっ!?」 ワルドも少々油断していたようで、足に床の破片を食らう。彼の目が吊り上った。 「きさま……姫殿下への刺客か、あるいは忌まわしきエルフか……? しからばこちらも本気で行かせてもらおう! 食らえい我が蒼き雷、『ライトニング・クラウド』!!」 ワルドの杖から強烈な稲妻が走り、良牙を襲う! 「ぐわあああああーーーっっ!!」 吹っ飛んだ良牙はテーブルの上に落ち、熱いスープを入れた鍋が空中に飛び上がる。 「良牙!!」「きゃああ!! わ、ワルド、やりすぎよ!」 「ふっ……死んだか?」 良牙に駆け寄るらんまの頭にスープ鍋がぶっかかり、男乱馬に戻った。 「ぶわちちちちち、てっ、てめえワルド、何てことしやがる! おーし、次は俺が相手だ!!」 「ランマ! 待ちなさいよ!」 「何でい、止めんなよルイズ!」 「いーから、そのドレスを脱ぎなさい」 「うぐっっっ(ぴしっ)」 らんまのドレスを着たまま、乱馬は男に戻ってしまった。どう見ても変態だ。 「ミス・ランマのドレスを奪って纏い、僕のルイズにぞんざいな口を利く……。 どこから湧いて出た、変態の無礼者め。きさまもこの男のようになりたいのか?」 「ぬわにい~~っ、誰が変態だ、このロリコン野郎!!」 乱馬は、顔を赤らめながら、ばっとドレスを脱ぎ捨てて構えを取る。 「何だロリコンとは? 僕はそんな悪口を聞いたことないぞ」 「いい年こいた大人がなあ、ルイズみてーなちんちくりんのつるぺた少女と恋愛すんのを、 ロリコンって言うんだよ、この変態やろーっ!!」 「だっ、誰がちんちくりんのつるぺたよっ!」 「ほう……それでは、ドレスのみならず下着まで女物を纏った男を、変態と呼ばずに何と呼ぶ? 僕にはそっちの趣味はないぞっ(びしっ)」 そう、ワルドの指摘する通り、乱馬は女物の下着を身に着けていた。やっぱりどう見ても変態だ。 「……(ぶるぶるぶるっ)……ちっ、ちっくしょおおおおお!!」 乱馬は猛烈な勢いで、ダンスホールから逃げ去った。 「……あんの、バカ……」「終わったな……」「涙目だったぜ」「しばらく立ち直れないかもな……」 乱馬は泣きながら使用人控え室に飛び込み、男物の服を奪い取って着ると、 例の棍棒とデルフリンガーを持ってホールに戻ってきた。この間、僅か30秒。 「早かったな……」「なんて気持ちの切り替えの早さ……!」(どよよっ) 「ランマ! もうやめなさい!」 「うるせえっ! 今度こそワルドをぶっ殺して、良牙の仇を討ってやる!!」 「人を勝手に殺すんじゃねえ、ボケッ(ぐい)」 「どわっ!?(どてっ)」 伸びていた良牙に足首を掴まれ、前のめりにこけた乱馬に、アンリエッタ姫殿下が近寄り、しゃがみこむ。 「か・わ・い・い……」 「は?」 「この鉄棒可愛いっ、私のものっ。さあジュリエット、私と踊りましょう(ぐいっ)」 「どわっ、何すんだ姫様!? これのどこがジュリエットだ、離せよっ」 それを見ていたマザリーニは、ハンカチを取り出し、涙を拭う。 「ああ、姫殿下……王位継承という重圧からか、すっかりあーぱー娘に育ってしまわれて……。 国政を預かるこのマザリーニ、とうてい早死にはできませぬ(しくしくしくしく)」 「あら、何が悲しいのセバスチャン? 元気を出してもう泣かないで」 「セバスチャンではありませぬっ、このマザリーニをお忘れですかっ」 ふーっ、とルイズが溜息をつく。アンリエッタは鉄の棍棒を奪い取り、満面の笑顔だ。 「まぁ三人とも、姫様とこのルイズの顔に免じて、争うのはおやめなさい。 武道会、もとい『フリッグの舞踏会』を再開しましょう!」 「ジュリエットかんわいいよぉ~、お持ち帰りぃ~(くるくる)」 ワルドも、ふっと笑って杖を収める。 「……ま、よかろう。ところでミス・ランマはどちらだ? 盗賊フーケを撃退して秘宝を奪還し、本日の品評会で優勝した、あのマドモワゼルは」 「ここでいっ(ばしゃ)」 乱馬が水差しの水をかぶり、女になる。ついでに良牙にも水がかかり、Pちゃんになった。 「おお、ミス・ランマ! さっきの、おさげの男と同じ服……これは、一体?」 「まぁ、これこれこーいうわけでな、俺はお湯を被ると男になっちまうんだ。 ガサツなのは育ちのせいだ、勘弁してくれ。ほら、これがデルフリンガー」 「そ、そうだったのか。なんと可哀想なマドモワゼル! 安心したまえ、僕は女性には優しい。 さぁメイドたち、彼女を着替えさせてあげたまえ」 「「はい、ワルド様!」」 シエスタたちがらんまに群がり、更衣室に押し込んで新しいドレスに着替えさせる。 どうにか場が丸く収まり、一同は安堵した。ルイズは「ランマと踊りたかったな……」と呟いた。 「やれやれ、良牙のせいで酷え目に遭ったぜ。……ん、ワルド、まだ何かあんのか?」 「姫殿下がお呼びだよ、マドモワゼル・ランマ」 「ミス・ランマでいいよ、くすぐったい。……ルイズも一緒か、何でしょー姫様?」 アンリエッタ姫殿下は、すうっと目を細め、真剣な顔つきになる。 「何処に目が光っているか分かりません。パーティーが終了してしばらくしたら、ご相談があります。 ルイズ、ワルドとともに、学院長室に集合してください」 (続く)
https://w.atwiki.jp/jikkyomin/pages/337.html
解説 ○○警察とは、アニメにおける○○の描写に関して言及・指摘する者達の事である。 例えば、アニメにおいて弓を使うキャラクターが登場し、 その弓の扱い方の描写に少しでも違和感があると、 主に弓道経験者をはじめとした「弓道警察」が現れ、 「この弓の持ち方はおかしい」「この姿勢はおかしい」などという指摘がされる。 ただし、現実には「弓道警察」という組織は存在しない。 あくまでもネット上に出没する非公式の存在である。 当然の事であるが、アニメで弓の扱い方の描写がおかしいという理由で アニメの制作スタッフが本物の警察に逮捕されるような事は全くない。 もちろん、○○警察には逮捕権は一切ない。 治安維持のための組織ではなく、 アニメの劇中描写に何かとイチャモンをつけるクレーマー、といった方がいいだろう。 とりわけ、実況民の弓関連の雑談は、大概エロ方面の発展であり、高確率で 「巨乳の女性キャラが胸当てを付けずに弓を使うのはおかしい」 「アマゾネスは弓を射るために乳房を切り落としている」 などといった話題になる。 アニメはフィクションであり、現実世界の想像を超えた出来事が度々起こりうる。 人間離れした身体能力を持ったキャラや巨大ロボット、魔法、トンデモ魔球といったものはその一つだろう。 だが、2000年代になって、インターネット環境が一般にも普及し、 2chのようなネットコミュニティ掲示板や実況文化が誕生。 さらに、2010年代以降は、スマホが一般に普及、 Twitter(X)等のSNSが当たり前のように利用されるようになり、 ネット掲示板のスレやSNSの書き込み等をまとめる「まとめブログ」の数が増加。 “一億総批判社会”“一億総○○警察社会”になってしまった。 その結果、アニメにはよりリアリティーのある描写が求められるようになり、 「『ドラゴンボール』の戦闘中に地面に勢いよく叩きつけられて死なないのはおかしい」 「『機動戦士ガンダム』のMSのような巨大ロボットが二足歩行するのはおかしい」 等といった“指摘”が、アニメ放送中にリアルタイムで行われるようになった。 だが、現実のルールをフィクションの世界に過度に持ち込み、 アニメの「面白さ」を損なわせてしまうのは本末転倒である。 また、過度な言及は難癖と捉えられ、経験者・関係者達が厄介者扱いされて風評被害を撒き散らす危険性がある。 その一方で、現実世界に与える影響は決して無視できるものではなく、 制作者にはある程度の倫理感も求められるのも事実である。 特に、弓は殺傷能力の高い武器でもある。 アニメの武器の扱いを見て現実世界で真似をして、誤って人を殺傷してしまえば、取り返しのつかない事になってしまう。 残念ながら、実際にそのような事件が起こっているのも事実である。 「面白さ」の為に周囲に与える影響を省みなくなるのも問題であろう。 現実との兼ね合いは永久に問われ続ける難題である。 主な「○○警察」 警察名 指摘内容 宇宙警察 「宇宙空間では爆発音はしない」等、宇宙空間の描写について指摘してくる。某特撮とは何の関係も無い。 おっぱい警察 カツ丼警察 カレー警察 (夕食に)カレーを食べた後、残ったカレーを保管する時に、高確率で「ウェルシュ菌」という用語を用いて指摘してくる。 狐警察 狐や、狐をモチーフとしたキャラクターが登場した時に、高確率で「エキノコックス」という用語を用いて指摘してくる。 着物警察 脚立警察 弓道警察 弓道の防具や弓の構え方など、弓使いキャラの描写に少しでも違和感があると、「この弓の持ち方はおかしい」「この姿勢はおかしい」等の指摘をする。 蜘蛛警察 拳銃警察 銃火器の描写について指摘してくる。拳銃の構え方や発砲音、装弾数、薬莢、撃った後の反動など多岐にわたる。 故事成語警察(慣用句警察) 過去の地球が舞台の(歴史もの)アニメや、(異世界)ファンタジー系アニメで、舞台となった時代以降に誕生した故事成語や、その世界に存在しない(現実世界の)故事成語が出てくると出現し、指摘してくる。中世警察を兼ねている場合が多い。 コロナ警察 2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に乗じて登場した警察。作中の入学式・始業式・体育祭・文化祭・修学旅行等の学校行事やライブ等のイベントに対して「座席の間隔が狭い」「密です」「不謹慎だ」などと指摘してくる。現代の地球が舞台のアニメだけなく、過去や宇宙、異世界が舞台のアニメにまでケチをつけてくる。 座席警察 (特に和室の)座席に座る時に、座席の位置関係(「上座」や「下座」等)について指摘してくる。 潮時警察 シチュー警察 質量保存の法則警察 じゃがいも警察 中世~近世が舞台のアニメや異世界ものアニメで、じゃがいもが出てくると出現する。「中世警察」を兼ねている場合が多い。 神社警察 合格祈願の願掛けや初詣等のシーンで出現。「神社の石段を上り下りする時は真ん中を通るな」などと指摘してくる。 心臓マッサージ警察 あるキャラがプールや海で溺れたりして意識不明の心肺停止状態になり、別のキャラが心臓マッサージをして蘇生しようとすると、その心臓マッサージの描写にケチをつけて指摘してくる。 雑巾の絞り方警察 体臭警察 中世警察 近年増えてきた、異世界が舞台のアニメの増加に乗じて急増した警察。作中の描写に対して、現実の中世ヨーロッパの描写に照らし合わせて指摘してくる。 月警察 「天体警察」の中の一派。月の描写や、月の満ち欠け等について指摘してくる。 ティーカップ警察 紅茶等を飲むシーンで、ティーカップの扱い方や持ち方等について指摘してくる。 鉄道警察 「○○警察」の中でもかなり厄介な部類に入る警察。作中に登場する電車や新幹線などの描写について指摘する。その指摘内容はダイヤグラムや車両編成、車両内の構造、パンダグラフ、モーター音等々多岐にわたる。 天体警察 アニメにおける太陽や月、その他の惑星、宇宙から見た地球の描写等について指摘してくる。 電柱警察 街中に立っている電柱や、電線の描写について指摘してくる。 刀剣警察 剣や刀の構え方や鞘への納め方、差し方、刀剣の耐久などについて指摘してくる。また、「実際の戦場では兵士は剣や刀を使っていなかった」などと指摘し、槍や棍棒、果ては投石を持ち上げ、剣や刀を貶してくるケースもある。武器関連の「○○警察」では、「弓道警察」や「拳銃警察」と並ぶ存在である。 トマト警察 主に異世界ものアニメで、トマトが出てくると出現する。「じゃがいも警察」の同類。「中世警察」を兼ねている場合が多い。 トンカツ警察 生魚警察 川や海で釣りをした後、その釣った魚をその場で捌いて調理して食べる時に「アニサキスが~」「寄生虫が~」「食中毒が~」などと指摘してくる。 生水警察 野外で水道水以外の生水(川の水など)を飲む時に、「濾過しろ」「煮沸しろ」「寄生虫が~」「エキノコックスが~」「アニサキスが~」「ピロリ菌が~」などと指摘してくる。 入浴警察 深夜アニメによくある風呂や温泉、銭湯の入浴シーンで、「湯船に浸かる前に掛け湯をしろ」「湯船に浸かる前に身体を洗え」「入浴時には髪を束ねろ」などと指摘してくる。特に、女湯の湯気が濃かったり、女性キャラが身体にタオルを巻いて湯船に入ったりすると高確率で出現する。(実況民は下世話な独身中年男性が大部分を占めているので)単に女性キャラの裸を見たいだけの目的で指摘してくる輩も少なくない。 配膳警察 食事シーンで、食器の配置について指摘してくる。特に和食に対する指摘が多い。 ハンバーグ警察 異世界ものアニメで、ハンバーグが出てくると出現する。「じゃがいも警察」の同類。「中世警察」を兼ねている場合が多い。 病院のお見舞い警察 病院のお見舞いのシーンで出現。「病院のお見舞いに鉢植えの花を持ってくるな」等の指摘をする。 風鈴警察 物理法則警察 ペット警察 道端で野良犬や野良猫等の動物、捨てられたペットを拾ったりすると、高確率で「保健所が~」「雑菌が~」などと言いながら指摘してくる。 ペットの餌警察 「ペット警察」の中の一派。ペットの犬や猫に餌を与える時、「玉葱やチョコレートは○○にとって有毒」などと言いながら指摘してくる。 マスク警察 2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に乗じて登場した「コロナ警察」の中の一派。(不織布)マスクを着用していない作中のキャラに対して「マスクしろ」などと指摘してくる。 松葉杖警察 作中のキャラが足を骨折して、松葉杖を使いながら歩いていると、その松葉杖の使い方について指摘してくる。 屋台警察 祭りや学校の文化祭回等で出現。食べ物系の屋台を出店すると、「保健所に許可は取ったのか?」「検便はしたのか?」などと指摘してくる。 ロボット警察 作中のロボットの描写を現実の技術と照らし合わせて指摘してくる。特に巨大二足歩行人型ロボットについての指摘が多い。「巨大ロボットは自重で直立できずに倒れる」「ロボットが歩行する時の振動でパイロットがミンチになる」等々。決して「ロボコップ」や「パトレイバー」の事ではない。 目撃情報 実況ch [番組ch] “MX・tvk・テレ玉・チバ・群馬・とちぎ実況 ★ 54004” http //hayabusa7.2ch.net/test/read.cgi/weekly/1492782971/ 400 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/04/22(土) 01 09 57.53 ID QVp7o5Hc [3/4]心臓能作が酷いな本物の心臓見て描いてないだろこれ424 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/04/22(土) 01 10 14.14 ID wrYyHQ6l 400心臓警察!428 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/04/22(土) 01 10 20.30 ID tMGP0V1p 400これに何を求めている 実況ch [番組ch] “MX・tvk・テレ玉・チバ・群馬・とちぎ実況 ★ 54015” http //hayabusa7.2ch.net/test/read.cgi/weekly/1492867532/ 118 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/04/22(土) 22 52 30.82 ID Ro2FZ0Plなんていうかぜんぜんライブに聞こえないんだよなぁ音が209 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/04/22(土) 22 53 12.51 ID wrYyHQ6l 118ライブ警察! 実況ch [番組ch(朝日)] “キラキラ☆プリキュアアラモード #13「ムリムリ!ひまり、まさかのデビュー!」★4 [無断転載禁止](c)2ch.net” http //hayabusa7.2ch.net/test/read.cgi/liveanb/1493508116/ 915 名前:名無しステーション [sage] 投稿日:2017/04/30(日) 08 50 40.05 ID XRYhwrUK0 [6/6]弓道警察がくるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお974 名前:名無しステーション [sage] 投稿日:2017/04/30(日) 08 51 04.47 ID haouKiA50 915洋弓だから云々・・・ 実況ch [番組ch] “MX・tvk・テレ玉・チバ・群馬・とちぎ実況 ★ 54383 [無断転載禁止](c)2ch.net” http //hayabusa7.2ch.net/test/read.cgi/weekly/1495643598/ 23 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/05/25(木) 02 03 50.31 ID Lje4x8xW今期水曜アニメで一番面白いクソアニメやなあマキャベリ34 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/05/25(木) 02 04 27.02 ID eAwQrtMB 23べじゃないヴェだ二度と間違えるな57 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/05/25(木) 02 05 30.54 ID xwuJM9C8 34まさかのマキャヴェリ警察76 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/05/25(木) 02 07 25.85 ID sE7r3vyL 57俺もさっき怒られちゃったよ今後は気を付ける 実況ch [番組ch] “MX・tvk・テレ玉・チバ・群馬・とちぎ実況 ★ 54955 [無断転載禁止](c)2ch.net” http //himawari.2ch.net/test/read.cgi/weekly/1499867958/ 692 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/07/13(木) 00 18 49.09 ID /+6AoOEZすげえwwwガチのスペイン語訛りだw(´・ω・` )719 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/07/13(木) 00 19 04.46 ID nem+vCJM 692なんでスペイン語わかるんだよ750 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/07/13(木) 00 19 35.92 ID /+6AoOEZ 719スペイン語訛りが分かるんや!スペイン語はあんま分からんわ(´・ω・` )884 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/07/13(木) 00 20 57.33 ID nem+vCJM 750噛み合わねー919 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/07/13(木) 00 21 19.19 ID N/0sfgQQ 884噛み合わせる!766 名前:LIVEの名無しさん[sage] 投稿日:2017/07/13(木) 00 19 46.68 ID hN4YXS0Y 719さすがにスペイン語警察は希少だな962 名前:LIVEの名無しさん[] 投稿日:2017/07/13(木) 00 21 47.92 ID s0krl5GW 766Espanol es una lengua que esta hablado en todo el mundo.
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6644.html
前ページ次ページ重攻の使い魔 第10話『高貴なる空賊』 空賊に捕らえられ、ルイズたち一行は雑然と荷物が積まれた船倉へと押し込められていた。メイジである彼らは皆同様に杖を取り上げられ、手も足も出ない。扉には鍵が掛けられ、押しても引いてもびくとも動かなかった。マリーガラント号の船員達は自らの船を曳航させる作業を強要されているらしい。貴族と平民を隔離する目的もあるのだろう。ここには平民の姿は見えなかった。 皆が押し黙る中、海賊船にしては随分としっかりと造られた扉が軋みを上げながら開かれる。薄暗い船倉の中に海賊の一人であろう、小太りの男が入ってきた。男はルイズの前まで来ると、細い腕を無造作に掴んだ。 「おい、桃色頭のチビ。頭がてめぇをご指名だ。ついてこい」 「ま、待ってくれ。彼女は僕の婚約者なんだ。手荒なことはしないでくれ、頼む」 自らの婚約者である少女が単独連れて行かれそうになり、流石にワルドが割って入る。しかし、空賊の男はそんなワルドの顔を見ると、小馬鹿にした表情となり端正な顔に唾を吐いた。 「俺に指図できる立場だと思ってんのか、ええ? 他人のことより自分の未来でも心配しやがれ」 そう言い放ち、男はワルドを足蹴にする。ルイズはさっと男の手を振り払うと、無言で立ち上がった。船倉を出ろという命令に逆らうこともなく大人しくついていく。 「……ルイズ、諦めてはいけない。絶対、絶対にだ」 腹を蹴り上げられ、呻いていたワルドが発した言葉にもルイズは何ら反応しなかった。ギーシュらは扉が開いた瞬間に脱出しようかとも考えたが、見張りがいないなどということもなく、あえなく断念することとなった。 扉は再び軋みを上げながら閉じられ、船室は薄暗さを取り戻した。キュルケとタバサがとりあえずワルドの応急処置をする。とはいえ杖も持ち物も全て取り上げられてしまった以上、大したことができる訳もない。どうにか反乱軍の追っ手を振り切ったと思った所でのこの事態。ギーシュは思わず歯噛みする。 後ろから空賊に押しやられ、狭い通路を通り、細い階段を上り、ルイズが連れて行かれた先は空賊に似つかわしくない程に立派な調度が施された部屋であった。甲板上に設けられたその部屋こそが船長室であるらしい。 がちゃりと重々しい音を立てながら扉が開かれると、商人に見せればどれほどの値が付くか分からないような、精緻なエングレーブに飾られたディナーテーブルが置かれていた。最上座には先ほどの頭が尊大な態度で腰掛けている。 頭は足をテーブルの上に投げ出し、大きな水晶が取り付けられた杖を弄っていた。粗野な身なりとは裏腹に、それなりのメイジであるようだ。室内には頭以外にも多くの空賊がおり、入室してきたルイズをにやにやと下品な笑を顔に貼り付けながら眺めている。 後ろから挨拶をするように急かされるが、ルイズは頭を睨みつけるばかりで、口はきっと引き結ばれていた。そんなルイズを見ても、頭はなんら感じ入る所はない、むしろますます面白いとばかりに含み笑いを漏らす。 「くくっ、気の強い女は好きだぜ。たとえガキだとしてもな。さて、てめぇは今日から俺の嫁にすることにした。名前ぐらいは教えてもらわねぇとな」 「……黙りなさいよ。わたしがあんたの嫁ですって? 笑わせるわ」 ライデンを奪われたことで怒り心頭となっていたルイズは、自らの身を顧みることもなく、敵対的な態度を取り続けた。しかし意外なことに、空賊たちは特別ルイズに危害を加えようとはしない。 「大体、どんぱちやってるアルビオンにトリステイン貴族様が何の用だ? 戦争に巻き込まれてぇのか?」 「あんたたちに話すことなんて何もないわ」 頭はそこで、それまで纏っていた粗野な態度を若干改める。獲物を狙う鷲のように鋭い視線を向けた。それは幾度も危険な綱渡りをしてきたであろう、空賊を束ねる男に相応しい瞳だった。 「この時期にメイジがアルビオンへ渡るとすれば、それは戦争に何らかの形で関わるもの以外にない、と俺は考えている。……大方てめぇらもその口なんじゃねぇのか?」 頭の言葉にルイズは無言を貫いた。今の今まで怒りで冷静さを失っていたが、自分がアルビオンへ向かうのは正にそれが目的だったからだ。何も言わないルイズをよそに、頭は話し続ける。 「そしてわざわざ王党派に味方するような馬鹿がいるはずはねぇ。自分から死にに行くようなもんだからな。あんたたちは貴族派の応援にいくつもりなんだろう?」 「……何ですって?」 「ああ、とぼけなくてもいい。実はな、俺達は貴族派の連中相手に商売させてもらってるのさ。ついでに王党派に味方しようとする馬鹿を捕らえるのも請負ってるんだが、あいつらが言うような王党派に味方する馬鹿なんて一人もいねぇ」 「あんたたち反乱軍だったのね……!?」 「あくまで対等な立場ってやつさ。まああんたらには悪いことをしたな。こっちとしても馬鹿を捕まえるっていう建前があるんでな。ちょいとばかり乱暴なやりかたをしちまったが勘弁願おうか」 頭の話を聞いているうちに、ルイズの顔はみるみる真赤になっていく。ただでさえ怒りが許容量を超えていたところにこの話を聞いたことで、ルイズの怒りは大河が氾濫するが如く爆発する。 「ふざけるんじゃないわよっ! わたしたちが貴族派……? 馬鹿にするなっ!」 「へぇ、ってことはあんたらは王党派に味方する馬鹿の記念すべき第一号ってことか。おい、てめぇら聞いたか! こんな馬鹿がまだいたようだぜ!」 頭の言葉に空賊たちは大口を開けて笑い始める。腹を抱えて、これ以上おかしなことはないとでも言いたげな笑い方であった。 その様子を見て、ルイズはますます怒りを加速させる。 「あんたたちみたいな屑がいるからっ。ライデンも姫様もっ……!」 そう、反乱軍さえいなければアンリエッタが苦しむことも、ライデンが雷撃を受けて動かなくなることもなかった。ずっと平和な時間を過ごすことができたのだ。それを思い出し、ルイズの目尻にはかすかな涙が溜まる。 目の前の少女が思わず零してしまったであろう言葉を頭は聞き逃さなかった。席を立つと悠然とルイズの前へとやってくる。 「まあ王党派だってんなら予定通り捕らえなけりゃあな。ただ、お前を貴族派に引き渡して殺しちまうのはもったいない。あの赤毛の女と青髪のガキもだ。慰み者として生かしておいてやる。感謝するんだな」 「……っ! だ、誰が慰み者だっての!? そんな脅しが効くもんですか!」 慰み者という言葉にルイズの体は一瞬恐怖に凍りつく。自分だけでなくキュルケとタバサまでもが男達の玩具にされるという未来を予想し、思わず顔が青ざめてしまう。しかし気丈にも屈することはしなかった。 あくまで抵抗するルイズに、頭はにやにやと笑い続ける。 「くくっ、脅しじゃねぇぜ。貴族派につくってんなら話は別だが、そんなつもりは毛頭ねぇんだろ?」 「当たり前よっ! あんな連中に味方するくらいなら今ここで死んでやるわっ!」 頭は下卑た笑いを収めると、再度ルイズに質問する。 「あくまで王党派だってんだな?」 「何度も言わせるんじゃないわよっ!」 そこで頭は後ろを振り向き、湧き上がってくる笑いを抑えられないとばかりに肩を震わせる。そしてそれまでの品のない笑い方とは一転して、朗らかな、それでいて高貴な雰囲気を漂わせた笑い声を張り上げる。 ルイズが豹変した頭に呆然としていると、頭は優雅な動きで結んでいた布を取ると、爽やかな笑顔で語り掛けた。 「失礼した。どうやら君達は本当に王党派に味方してくれるらしい」 頭の豹変と同時に、それまで優雅さとはかけ離れていた雰囲気を漂わせていた空賊たちは一斉に直立不動の姿勢となる。 頭は縮れた黒い長髪を剥ぐと、下からは美しい金髪が現れる。眼帯を取り外し、作り物らしい髭を剥ぎ取り、顔に塗りたくっていた塗料を拭き取ると、そこにいたのは金髪の凛々しい青年であった。 「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官……、そしてアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。といっても今となっては意味のない肩書きだがね」 突然の事態に完全に置いてきぼりとなっているルイズに、ウェールズは申し訳なさそうに謝罪する。 「色々と手荒な真似をして誠に申し訳ない。こちらとしても迂闊に正体を現すわけにはいかなくてね。君の本心を聞くまで、どうしても疑念を捨て切れなかったのだ」 空賊から王国の兵士と姿を変えた部下達にワルド達を連れてくるように命令すると、苦々しげな表情を浮かべ、皇太子は更に話を続けた。 「全くもって情けない話だ。空賊を装うことでかろうじて貴族派の目から逃れられている。王族でありながら空賊稼業に身をやつした人間は私だけだろうね」 そこにワルド、ギーシュを連れた男が戻ってきた。キュルケとタバサがいないのは、少なくとも表向きはこの任務と無関係だからだ。事情を聞いたワルドが部屋の外で待っているように言ったらしかった。自己紹介をしたワルドとギーシュを見て、ウェールズは改めて謝罪する。 「ジャン・ジャック・ワルド子爵、ギーシュ君。今回は誠に申し訳ないことをした。部下のしたことは全て私に責任がある」 「いえ、殿下のなさることに私ごときが異論を唱えられるはずもありませぬ。殿下には何ら非はございません」 「本当にすまない子爵……。して、君達は何故戦乱吹き荒れるアルビオンへ向かっていたのだ?」 未だ呆けたままのルイズを見てワルドは内心溜息を付いたが、気を取り直して優雅な態度でウェールズへ自らが承った任務を話す。 「アンリエッタ姫殿下より、アルビオン王家への大使として密書を言付かって参りました」 「ふむ、姫殿下とな。と、そういえば、未だそちらのお嬢さんの名を聞いていないのだが」 そこでようやく、ルイズは正気を取り戻した。放心・激怒・放心と短期間に余りに感情を激しく起伏させてしまったので、ある種毒気を抜かれることとなった。 「も、申し訳ありません。わたしはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールでございます」 「なるほど、ラ・ヴァリエール公爵のご息女か。私の親衛隊に君達のようなメイジがもう十人ほどいれば、もう少し違った今があったかもしれないな。して、その密書とやらはどこにあるのだね?」 ルイズは自らの胸ポケットに収められたアンリエッタの手紙を取り出し、ウェールズへと渡す為に恭しく跪こうとしたところでふと尋ねた。 「あの、このようなことをお尋ねするのはあるまじき失礼であると存じ上げますが、……本当に皇太子殿下なのですか?」 「まあ、先ほどまでの顔と態度を見れば、そう思うのも致し方ない。でも僕は正真正銘の皇太子だよ。疑うのなら証拠をお見せしよう」 ウェールズは苦笑しながら自らの左薬指から透き通った宝石は嵌められた指輪を引き抜くと、ルイズの手を取り『水のルビー』に近づけた。二つの宝石は共鳴し合い、船長室に小さな虹の架け橋が現れる。 「この指輪はアルビオン王家に伝わる『風のルビー』だ。君がその指に嵌めているのはアンリエッタの『水のルビー』だね?」 ルイズが頷いたのを見ると、皇太子は軽く頭をかきながらきまりが悪そうに告げた。 「実はね、先ほど甲板で君がこの『水のルビー』を身に着けているのを見て、我が目を疑ったんだよ。なぜアンリエッタの指輪を君が付けているのだろう、とね。だから先に君だけを呼び出したんだが、全く、婦女子に対してあるまじき行いをしてしまった。怖かっただろう?」 「い、いえ! わ、わたしはその、ええと、……はい、怖かったです」 皇太子に頭を下げられ、ルイズは慌てて取り繕おうとしたが、安堵した心が本音を言うように強制した。 そんな少女を見て、皇太子は涼しげな笑顔を見せる。 「ははは、君は正直な女の子だな。それでいいんだよ」 それから、皇太子はルイズから手紙を受け取ると、愛おしそうにトリステイン王家の花押をなぞり接吻した。破らないよう慎重に封を解き、中に収められた便箋を取り出すと、真剣な表情で読み始める。徐々に表情は暗くなっていき、最後の一文に目を通すと、まるでアンリエッタがそこにいるかのように記された署名を指でなぞった。 「姫は結婚するのか? あの愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従妹は……」 ワルドら三人は無言で頭を下げ、肯定の意を表した。ルイズは皇太子が最後、少し言い留まったことが気になった。皇太子の声には紛れもない悲しみとやるせなさが含まれていたことを、少女は敏感に感じ取っていたのだ。 皇太子は軽く目を瞑り、しばらくの間黙りこくっていると、先ほどの憂いを感じさせない声音で告げる。 「了解した。姫はあの手紙を返して欲しいと、この私に告げている。何より大切な姫から貰った手紙だが、姫の望みは私の望みだ。その通りにしよう」 「それでは……」 ワルドが顔を上げるが、皇太子は手で制する。 「しかしながら、今は手元にない。ニューカッスル城の私の私室に置いてある。よもや大切な姫の手紙を空賊船に持ってくるわけにはいかないのでね。多少面倒だが、我が居城までご足労願いたい」 未だ任務が終わることはなかった。 前ページ次ページ重攻の使い魔
https://w.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/54.html
( ^ω^)「おかげで僕はここ数年射精どころか勃起すらしたことないお」 ( A`)「それはそれで勃起不全を疑えよ」 ( ^ω^)「これが悟りの境地なら開眼なんかしなくていいお」 ( A`)「だとしたら変だな。性欲が削がれてるはずなのにあいつら盛ってたぞ」 ( ^ω^)「元々の性欲が凄まじいか、隠れて肉食ってるかのどっちかだお」 ( A`)「肉とかどこで……あ」 ( ^ω^)「山を下りればいくらでも」 ( A`)「だよな」 ( A`)「頻繁に山を下りて町に出てる人といえば……」 ( ^ω^)「副寺の譲留和尚だお」 ( ^ω^)「ただあの人は女好きで有名だお」 ( A`)「坊主なのに女好きって……それはそれで嫌だな」 ( ^ω^)「俗世間に女を囲ってるという噂が流れてるお」 ( ^ω^)「これも余談になるけど」 ( ^ω^)「わざわざ下山して衆道にはまる雲水もいたそうだお」 ( A`)「なんじゃそりゃ」 ( A`)「町に出たら女を抱けよ……」 ( ^ω^)「女犯を常時気にかけてたのかただの少年性愛かは分からんお」 ( ^ω^)「江戸時代には陰間茶屋という売春施設があったらしくて」 ( ^ω^)「分かりやすく説明するとショタ専門の風俗」 ( A`)「凄まじくニッチな商売だな」 ( ^ω^)「とりわけ芳町という色街で流行ったらしいお」 ( A`)「しかしやたらと知識があるな……まさかお前も」 ( ^ω^)「なわけねーお」 ( A`)「しかしその鍛え上げられた肉体。俺の目からだとホモ受けしそうに思える」 ( ^ω^)「勘弁してくれお……」 (´ _` )「おお、まだこんなところにおられたか」ガララッ ( A`)「弟蛇和尚」 (´ _` )「さっさと布団を上げとくれ。朝粥の準備が出来たんだ」 (´ _` )「二人とも両手が空いてるようなら運搬を手伝ってくれるか?」 ( ^ω^)「承りましたお……」 ( A`)「ブーン、さっきまでの話は」 ( ^ω^)「僕から話せることは他にないお」 ( A`)ガチャガチャ ( A`)「膳を運ぶのも大変ですね……」 (´ _` )「この寺には百名近くの雲水がおるからな」 (´ _` )「一人逃げ、二人逃げ、三人墨染に袖を通す」 (´ _` )「それの繰り返しだ」 ( ^ω^)「全員分並べましたお」 ( A`)「おお続々とやってきた。なんか壮観だな」 (*゚ー゚)「粥座は僧全員が一堂に会する貴重な機会です」 ( A`)「椎伊」 (*゚ー゚)「ご覧下さい。諸梵和尚が最奥の上座にお座りなさっています」 (*゚ー゚)「その左隣が監寺の茂羅様。そして右隣が…都寺の荒巻様です」 / , 3「あー食べたい早く食べたい」チャンチャン / , 3「昨日は薬石食べずに寝ちゃったもんなー」チンチリリン ( A`)「あの匙をひっきりなしにチンチン鳴らしてるじいさんがそうなの?」 (*゚ー゚)「はい」 ( A`)「偉そうに見えない……」 ザワザワ / , 3「管主殿、もう全員集結しておりますぞ。早く号令を」 (´・ω・`)「そうですな。では」 (´・ω・`)「皆の者!」 シン…… (´・ω・`)「これより朝粥を頂かせてもらいますが」 (´・ω・`)「食事も修行の一環であること、そして食に対する敬意を忘れるでないぞ」 (´・ω・`)「それではいつものように私の後についてきてください」 (´・ω・`)「ひとつ、功の多少を計り彼の来処を量る!」 「功の多少を計り彼の来処を量る」 (´・ω・`)「ふたつ、己が徳行の全欠を忖って供に応ず!」 「ふたつ、己が徳行の全欠を忖って供に応ず」 (´・ω・`)「みっつ、心を防ぎ過を離るることは貪等を宗とす!」 「心を防ぎ過を離るることは貪等を宗とす」 ( A`)(……なあ、これ何?) (*゚ー゚)(五観の偈と申します。食前に唱える偈文ですね) (´・ω・`)「よっつ、正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり!」 「正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり」 (´・ω・`)「いつつ、成道の為の故に今此の食を受く!」 「成道の為の故に今此の食を受く」 (´・ω・`)「それでは――いただきます」 「わーいいただきまーす」 ( A`)「最後だけ小学生の給食みたいだったな」 (*゚ー゚)「朝は全ての礎です。しっかり食べて今日一日に備えましょう」 ( A`)「でもこの粥……味が薄い……」 ( ^ω^)「ほぐした梅干しが小皿にあるからそれ入れとけお」 ( A`)「梅干し苦手なんだよな」 ( ^ω^)「この期に及んで好き嫌いとか舐めてんのかお」 / , 3「ふいー食った食った」 (*゚ー゚)「荒巻和尚」 / , 3「おん?」 (*゚ー゚)「少し挨拶が遅れましたが、こちら、修行に参られた毒念さんです」 / , 3「おお、あんたが噂の」 ( A`)「ど……ども、よろしく頼みます」 / , 3「ま、慌てず気張らずごゆるりとな」 ( A`)「は、はいっ!」 ( A`)(近くで見ると凄い威光だ……かなりの高徳を積んでいるに違いない) / , 3「わし茶礼の時間まで掃除してくるから、時間きたら呼んでね」 (*゚ー゚)「承知いたしました」 (*゚ー゚)「荒巻和尚もほとんど単には上がりません」 ( A`)「譲留和尚と同じような感じか?」 (*゚ー゚)「いえ、そうではなく、既に座禅を極めてしまったためではないかと」 (*゚ー゚)「私たちはまだまだ未熟ですから禅堂に向かいましょう」 (*゚ー゚)「今日は僧堂での一日の解説、というより紹介をしたいと思います」 (*゚ー゚)「先程の粥座が四時、それを終えた者から座禅に取り組みます」 ( A`)「何十分ぐらいやるの?」 (*゚ー゚)「六時までですね」 (*゚ー゚)「人によっては作務と茶礼を飛ばして昼まで続ける雲水もおります」 ( A`)「うわ、だったらもうちょいゆっくり飯食えばよかった。なげぇ……」 (*゚ー゚)「何を言うんですか。己を見つめることこそが修行なのですよ」 (*゚ー゚)テケテケ (*゚ー゚)「到着しました」 ( A`)「既に先客が幾人もいるな」 ( A`)「ずらっと整列して一心不乱に瞑想してる……凄い絵面だ」 (,,-Д-)「……」 (*゚ー゚)「擬古和尚もおられます。せっかくですので直々に作法を教えていただきましょう」 ( A`)「ちょっ、ま、あんな集中してるとこ邪魔していいのかよ」 ( A`)「めちゃくちゃ怖いんだけど」 (*゚ー゚)「維那なのですからそのくらいは許してくださりますよ」 (*゚ー゚)「擬古和尚! 些事ですがよろしいでしょうか!」 (,,-Д゚)「……何用だ」 (*゚ー゚)「毒念さんに座禅の作法を授けていただきたいのですが」 (,,゚Д゚)「承知。では毒念殿」 ( A`)「ひゃ、ひゃい」 (,,゚Д゚)「まずは叉手を覚えてもらいたい」 (,,゚Д゚)「叉手とはこのように、左手で作った拳を胸のあたりに当て」 (,,゚Д゚)「そこに右掌を覆うように添える」 (,,゚Д゚)「左手の拳は親指を握り込むようにして作る。よろしいか」 ( A`)「こ……こんな感じですかね」 (,,゚Д゚)「うむ。この姿勢が禅堂に足を入れて歩く際の作法である」 (,,゚Д゚)「基礎中の基礎であるがゆえ、まずはこれを覚えてもらわぬことには始まらない」 (,,゚Д゚)「次は単に上がるに際した時の礼法である」 (,,゚Д゚)「隣位問訊と対座問訊を識っていただく」 ( A`)「なんですかそれ?」 (,,゚Д゚)「隣位問訊とは自分が座る場所に合掌し平頭することである」 (,,゚Д゚)「対座問訊とは背が合う雲水に行う同様の礼である」 (,,゚Д゚)「端的に言ってしまえば軽い挨拶だ」 (,,゚Д゚)「これを受けた僧……両隣と向かいの者だな」 (,,゚Д゚)「この者も合掌をする。ゆめゆめ忘れぬよう」 ( A`)「はっ、はい」 (,,゚Д゚)「毒念殿の座蒲……座禅用の座布団だな、堂内右奥に空きがあるので」 (,,゚Д゚)「それをお使いなさい」 ( A`)(それにしても男前だなこの人) (,,゚Д゚)「続いて座り方の作法だな」 (,,゚Д゚)「結跏趺座と半跏趺座があるが、前者は負担が大きく長時間の座禅には向かぬ」 (,,゚Д゚)「ゆえに半跏趺座を推奨する」 ( A`)「どのようにして座るのですか?」 (,,゚Д゚)「片方の足をもう片方の腿に乗せて座るのだ」 (,,゚Д゚)「重要なのは両膝を床に着けること。そして顎を引き背筋を伸ばす」 (*゚ー゚)「まさしく擬古和尚が今しがたやっておられた姿勢です」 (,,゚Д゚)「現実にやってみればすぐに理解できるであろう」 (,,゚Д゚)「更に足を組んでから法界定印を結んで瞑想に入る」 (,,゚Д゚)「乗せた足の裏に、両手を掌を上にして重ねるように置き、親指同士を合わせる」 (,,゚Д゚)「これが法界定印である」 (,,゚Д゚)「瞼は開けていても閉じていてもよい」 ( A`)「目開けててもいいんですか?」 (,,゚Д゚)「むしろ最初期はそちらのほうがよい。暗闇の中では睡魔に襲われるのでな」 (,,゚Д゚)「壁向かいに座るので正面の壁でも見つめておけばよい」 ( A`)「いや……一応つむっときます」 ( A`)(なんか気まずいし……) (,,゚Д゚)「ただ口は開いてはならぬ。唇を一文字に結んでおくよう」 ( A`)「わかりました」 (*゚ー゚)「それから……擬古和尚」 (,,゚Д゚)「分かっておる」 (,,゚Д゚)「毒念殿、最後に一つ注意点がありましてな」 ( A`)「な、なんでしょうか」 ( A`)「あなたにそんなふうに言われるととてつもなく恐ろしいんですが……」 (,,゚Д゚)「座禅を行う間直堂が堂内を巡回しながら監守する」 (,,゚Д゚)「少しでも心の乱れを察すればその雲水の肩を警策で打つ」 ( A`)「警策って、もしかしてバシーンバシーンってやるあれですか?」 (,,゚Д゚)「いかにも」 (,,゚Д゚)「直堂当番は寺の者が位の順に交代で勤める」 ( A`)「今日は誰が……」 (,,゚Д゚)「あの僧だ」 ( ^ω^)ニコッ ( A`)(野郎……) (,,゚Д゚)「以上だ。これより拙僧は瞑想に復帰させていただく」 (*゚ー゚)「ご教授誠にありがとうございました」 (*゚ー゚)「毒念様も」ボソッ ( A`)「あ、どうも、わざわざご丁寧にありがとうございました」 (,,-Д-)「……」 ( A`)(すげえ、もう自己世界に閉じこもってる) (*゚ー゚)「私たちも単に向かいましょう。私の座蒲はあちらですので……」 ( A`)「行ってしまった……俺もいっちょやってみるか」 ( ^ω^)「ふっふっふ」 ( A`)「てめぇ……やる気だな。俺は決して負けんぞ……」 ( ^ω^)「洗礼を浴びせてやるお」 ゴーン (*゚ー゚)「鐘が鳴りました。ということは六時ですね」 (*゚ー゚)「毒念様、終わりましたよ。朝の作務に向かいましょう」 ( A`)「お、おお……おうお……」 (*゚ー゚)「……どうなされましたか? 今にも息絶えそうですが……」 ( A`)「通算百四十七発打たれた……」 (*゚ー゚)「一分間に一発以上の頻度じゃないですか」 ( A`)「確かにちょっとぐらぐらしてたかも知れんが……完全に私怨だろあれは……」 ( ^ω^)「ストレス解消に最適だったお」ニコヤカ ( A`)「クソが……! 必ず復讐してやるからな……!」 (*゚ー゚)「揉め事は回避願います……」 ( ^ω^)「じゃあ僕は残って座禅する人たちの監督があるんで」 ( ^ω^)「さっさと作務に行ってこいお」 ( A`)「俺が正式に坊主になった暁にはお前の肩を完膚なきまでに崩壊させてやるからな」 ( A`)「ところで椎伊よ」 (*゚ー゚)「なんでしょうか?」 ( A`)「作務ってなにすんだ?」 (*゚ー゚)「基本的には掃除や畑仕事、補修作業……いわば労働ですね」 (*゚ー゚)「日々の仕事こそが最大の修行とも呼ばれています」 ( A`)「なるほどな……寺の中とはいえ働かなきゃならんのだな……」 (*゚ー゚)「頑張りましょう。すべては己の身になることですから」 ( A`)「俺の人生でやってきた仕事なんて文化祭で新聞紙の輪っか作ったことぐらいだよ……」 ( ´_ゝ`)「手が空いてるなら床板の修繕を手伝ってくれよ」 (*゚ー゚)「兄蛇和尚」 ( ´_ゝ`)「雑巾がけとか土いじりよりはちったあやりがいがあるぞ」 (*゚ー゚)「そうですね、では私と毒念さんで協力いたします」 ( A`)「直歳の仕事じゃないですか……僕が働かないことで誰かが職に就けるんですよ……」 ( A`)「席の数は決まってるんです」 ( ´_ゝ`)「どこまで無職体質なんだおまいは」 ( ´_ゝ`)「大体一人で全部やるわけないだろ。俺は現場監督みたいなもんだ」 ( A`)「まあ当然ですよね」 ( ´_ゝ`)「その日その日で暇な雲水を雇ってんだよ」 ( A`)「はあ。んじゃ手伝います。何していいかも分かりませんでしたし……」 ( ´_ゝ`)「おう。頼りにしてるぞーお前ら」 前へ 戻る 次へ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/25438/pages/1022.html
~~~~~~~~~~~~~~ 湖上の澪達は、一心不乱に船をこいで、歌う唯へと近づいていく。 唯「♪私前世は~上方人~」ジャカジャカ 澪「唯ー!やめろーっ!!」 律「早まるんじゃなーい!!」 梓「戻ってきてくださーい!!」 紬「唯ちゃーん!!」 唯「♪一、二、三、四、ご・は・ん!」ジャカジャカ ~~~~~~~~~~~~~~ いちご「……一、二、三、四、ご・は・ん」ブツブツ 晶「さっさと撃てぇ!!」 いちご「オホン……御意」 幸「晶!お願いだからやめて!!」 晶「ゴチャゴチャうるせーっ!!デカ女は黙ってろ!!」 幸「で、デカ女……」シオシオ 菖「ああっ、幸がどんどん小さく!ちょっと晶!いくらなんでも酷くないっ!?」 幸「…………もういいよ。晶、ホントはね、成田家はすでに降ってるの。城主が殿下に内通の意を示したの。だから……戦わなくても勝てたのっ!!」 晶「な、なにィ!?」 菖「うそっ!?私聞いてない!」 唯「♪一、二、三、四、ご・は・ん!」ジャカジャカ 晶「……………………」 唯「♪一、二、三、四、ご・は・ん!」ジャカジャカ 晶「………………………………………撃て」 菖幸「!!?」 いちご「御意」 カチャッ ジリジリジリ…… 幸「ダメェ!!!」 唯「♪一、二、三、四」 ニコッ いちご「…え」 ダァ――――――――――――――ンッ!!! 唯「♪ご・は・」 バズッッ!!! ッッ…… ッ… … バッシャ――――――――ンッ!!! 夜空に血しぶきの弧を描き、唯の身体は大きく吹っ飛んだ。 そのまま仰々しい水音を立てて、湖に落下する。 紬「ひっ……!」 梓「あぁ……あ……」 律「…………ゆ」 澪「唯ぃ――――――ッ!!!」 ドボーン! ドボーン! 澪達は次々に湖に飛び込み、唯の落ちたところまで一心不乱に泳いでいく。 水を朱く濁らせながら沈んでいった唯だったが、やがて力なく水面へと浮上していった。 澪「唯!唯ィ!!」 澪がいち早く、唯の身体に近づく。 唯「…………あ、澪……ちゃん」 澪「唯っ!急所は外れたかっ!!」 唯「……えへへ…………」ガクリ 澪「……唯のバカァ―――――――ッ!!!」 ~~~~~~~~~~~~~~ 菖「晶のアホ―――――ッ!!」ドゲシッ 晶「ぐえっ!何すんだこのっ!!」 菖「何で撃っちゃうのよ!何もしなくても勝てるって、幸が言ったじゃない!!」 幸「これでこの戦は泥沼……」シオシオ 晶「……フンッ!!どいつもこいつも私をみくびりやがってェ!!」 陣が一気に静まり返った中、昌はきびすを返してその場を去っていった。 いちご「…………あの子、何で笑った……」 ~~~~~~~~~~~~~~ 人夫「あ~あ、これでおしまいか。せっかく面白かったのによぉ」 純「…………」ボー 人夫「おい、どうした嬢ちゃん?」 純「…………上方軍め……」 =========== 桜が丘城本丸居館・寝間 =========== 唯は布団に寝かされている。それを澪、律、そして紬が見守る。 律「……とりあえず、一命は取り留めたな」 澪「ああ……でも、左肩を砕かれている。もしかしたら、一生上がらないかも……」 唯「…………う~ん……」 紬「唯ちゃん!気がついた!?」 唯「あいたたたぁ……」 澪「肩をやられてるんだから、ムリするな」 唯「……ねえ、城のみんなは?」 澪「兵も百姓も、上方討つべしと騒いでるよ……お前の狙い通りにな」 唯「狙い通り?どゆこと?」 澪「この期に及んでとぼけるなっ!」 律「死んで兵の士気を上げようとしたろ!」 唯「ほえ?」 紬「唯ぢゃん……」ワナワナ 唯「ムギちゃん……あれ?怒ってるの?泣いてるの?」 紬「……唯ちゃんのバカバカバカ!!死のうとするなんて許さないんだから!!」ブンブンブンブンッ 唯「あたたたた!!ムギちゃん、痛い痛い!!」ガクガクガク 澪「おい姫様!やめろ……」ガシッ 紬「いやぁっ!!」ブゥン! 澪「へっ!?」フワッ ドグシャッ! ドスン! バリバリバリ!! 律「ああ!澪が吹っ飛ばされて、障子を突き破ったまま廊下まで!?おい姫!いいから落ち着け!!」ガシッ 紬「もうっ!!」グイッ! 律「なっ!?」 ブゥオォンッ! ゴキッ!! 律「うぎゃああぁっ!!肩が!肩が外れたああぁっ!!」ジタバタ ~~~~~~~~~~~~~~ その頃大広間では、兵と百姓達が大勢詰め掛け、息巻いていた。上座に立つ梓は、ぐいぐいと詰め寄られている。 『なんで今すぐ打って出ないんだ!』ワーワー 『ふわふわ様の弔い合戦だーっ!』ギャーギャー 梓「ですから、唯殿は死んでませんってば!あくまで手傷を……」 『舟に乗って夜襲を掛けるぞ!』 『上方軍は皆殺しよっ!!』 梓「ちょっと落ち着いてくださーい!はぁ、もうどうすれば……」 憂「みなさん、静かに!」 突如叫んだ憂の声に、百姓一同は、一斉に口をつむぐ。 憂「下桜村の憂です。さっき、村の水練上手の子を放ちました!もうすぐ堤に辿り着く頃です。その子が堤を崩します!!」 梓「い、いつのまにそんな……」 憂「うふふふふ……お姉ちゃんを撃ったやつらなんて、みーんな濁流に飲まれて死ねばいいんだぁ」ニタァ 梓「……」ゾワッ ======== その頃――恩那堤 ======== ザバァ…… 月明かりの下、菫が湖面から姿を現した。 菫「(堤は俵を積み上げて出来ている……ならば俵を幾つか引き抜けば、水が抜けるはず!) 菫は敵兵の目をかいくぐり、かがり火の明かりが届かない堤の陸側へと回り込む。 菫「(……これは?)」 堤の崖の部分に、人が一人入れるくらいの穴が、ぽっかり空いていた。 ゴソゴソ…… 菫「(奥から何か来る!?)」 ヒョコ 純「……はー、はー、くそぅ……」ドサッ 菫「え……!う、うそ!?」 純「ス、スミーレ!?」 純菫「「どうしてここに!?」」 『ん、今何か聞こえなかったか?』 純菫「「(……しーっ!!)」」 純「な、何しに来たのよ、あんた?」ヒソヒソ 菫「命を受けて、堤を崩しに来ました……ふわふわ様の敵討ちです!」ヒソヒソ 純「……なら手伝って」ゴソゴソ 菫「どうして私より先に……?」 純「私が俵を外に出すから、スミーレは堤に沿って置いてね。見つからないようにね!」 菫「……侍が憎かったんじゃないんですか」 純「う、うるさいわねっ!///」ゴソゴソゴソ 純は照れながら、穴の中へ入っていく。そして、腰縄から抜いた小刀で、俵に穴を開け、中の土を抜いていく。軽くなった俵を引き抜くと、それを菫が穴の外へと運び出していく。 純「くそぅ、くそぅ……上方軍め、見てろ……よくも、よくもふわふわ様を……目にもの言わせてやるぅ……!」ザクッザクッ 菫「(……口ではいつも悪く言ってましたけど、やっぱりふわふわ様が好きだったんですね)」 純「くそぅ、くそぅ……百姓をなめるな……坂東武者の末裔を……」ザクッザクッ ブシャアアアアァ!! 純「うわっぷ!!」 菫「み、水が出た!!」 ブシャアアアア―――――ッ!! 純「スミーレ!逃げてえぇ!!」 菫「きゃあああああっ!!」ダダダダダッ 菫は一目散に逃げ出す。穴の奥から純も這い出てこようとしたその時、悲鳴に気づいた敵兵が、穴から顔をのぞかせた。 敵兵「おい!何をやって……」 純「どいて邪魔邪魔ぁー!」 ゴボゴボゴボゴボ…… 敵兵「なっ……水が ドッパァ―――――――――――ンッ!!! ==== 晶の本陣 ==== 大勢の兵がいる兵舎に、決壊した湖水が迫ってくる―― ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ 『む、何だこの音は!?』 ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ 『み、水だ!鉄砲水だあぁ!!』 『堤が破れたのか!?』 『に、逃げろお――っ!!』 ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”━━━━━━━━━━━━━━━・・・ 洪水は轟音を立てて、立ち並ぶ兵舎も逃げ惑う兵達も、ことごとく飲み込んでく。 ~~~~~~~~~~~~~~ ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ 晶「な、何だ何だ!!」 濁流は晶のいる兵舎にも迫ってくる。外に飛び出した晶は、噴出してくる水を目の当たりにした。 晶「嘘……だろ!?」 『堤が決壊したあああ!!』 『水が!水が来る!うわあああああああっ!!』 晶「落ち着け!高地へ逃げるんだ!丸墓山へ急げぇ!!」ダダダダッ === 丸墓山 === 晶と兵達は、全身全霊、必死の形相で山の斜面を駆け上っていく。 晶「頂上だ!頂上へ早く!」ダッダッダッダッ しかし―― ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ 低くなだらかな山肌を、濁流はあっさりと飲み込んでいく。 晶「もうすぐ!もうすぐだぞ!!」ダッダッダッダッダッ 『ひいいいいいいぃっ!!』 晶「……よし!頂上だ!着いた着いたぞ!ここまで来れば……」クルッ ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・ 晶「………………」 後ろを振り返った晶が見たもの、それは目の前で濁流が飛沫をあげて、後続の兵達を一人残さず引きずり込んでいく様であった。 晶「あ……あぁ……」ペタリ 晶は茫然自失となり、その場にへたり込んだ。 堤の決壊箇所は脆くも自壊し、水量はみるみるうちに増していき、山の周辺は一面の水で覆い尽くされた。 その一方で、桜が丘城を囲んでいた水はみるみるうちに引いていき、二の丸、三の丸までもがその姿を現していった―― =========== 桜が丘城本丸居館・寝間 =========== 澪「水が引いたって!?」 アキヨ「はいっ!堤が破れ、上方軍の陣に一気に流れ込んだと……」 律「マ、マジかよ!?」 澪「堤が破れた……はっ!?まさか唯……」 唯「……えへへ」ポリポリ 澪「水攻めを破るって、こういうことだったのか!?」 唯「城の外のお百姓さんも、みんな私達の味方だもん」ブイッ 澪「最初から士気を上げるのが狙いじゃなかったのか!気づかなかった……」ポカーン この時、澪は確信した。 澪「(唯……やっぱりお前は底知れない将器を持った、稀代の名将だよ…………)」 ======= 本丸居館・門前 ======= 憂「ええっ!?純ちゃんが!」 菫「はい……でも、逃げる途中で見失いまして……もしかしたらそのまま水に……」ポロポロ 憂「純ちゃん……」 梓「…………」 澪「梓!どうしたんだ?」テクテク 梓「澪殿!こちらにいる憂の村の者が、堤を破ったんです!」 澪「そうか、よくやってくれたな。これで城は救われるぞ」 憂「はい……でも破ったのは、城の外にいた者で……戦に加わらず、村を逃げ出していたんです」 澪「そんなことはもういい。その者にお礼を言いたい。今どこに?」 梓「それが……」ヒソヒソ 澪「え…………そうなのか」 憂「…………」グスッ ドド――――ンッ!! 澪「な、なんだ!?」 梓「堤の方からです!」 澪と梓は城塀までかけていき、外をのぞく。 ドド――――ンッ!! ドドド――――ンッ!! ザザザザザァ…… 堤の数ヶ所で爆発が起き、そこから水が外に流れ出している。 澪「発破をかけて、水を抜いてるんだ……あいつら、攻めてくるぞ!」 梓「水が退いたら……また一戦ですね」 澪「みんな!守り口が水から出てきたら、すぐに持ち場に戻れ!」 『応!!』 ===== 丸墓山頂上 ===== 晶「城が……浮いていく……」 晶は、避難に成功した家臣達と共に、湖からゆっくり浮上してくる桜が丘城を、半ば放心状態で見つめていた。 菖幸「「晶ぁーっ!!」」 ずぶ濡れになった二人が、山を駆け上ってくる。 幸「晶、無事だった!?」 晶「…………ああ……」 菖「も~、何回びしょ濡れになればいいのよ……」グショグショ 晶「見ろ、あれを……いつだったか、殿下が言ってた浮き城が、今そこにある……」 菖「あ……」 幸「ごめん……内通のこと、黙ってて……」 晶「いいんだ……今となっちゃどうでもいい。奴らは名実共に私達の敵。私達は戦をして、緒戦に敗れた。それだけのことだ……」 幸「晶……」 菖「でも、なんで堤が破れたんだろう?殿下が備中高松で築いたものより、強くしたのに……」 敵兵「申し上げます!!」 晶「ん、どうした?」 敵兵「この者が、堤を破ったと白状してござりまする!!」ドサァッ 晶「なんだって!?」 純「やぁ、久しぶりね……敵の総大将さん……」ボロボロ 地面に投げ出された純は、手足を縛られたうえに暴行を加えられており、顔を真っ赤に腫らしていた。 晶「お前が……堤を破ったのか」 純「……」ブー 敵兵「応えろ!!」 純「……フンだ!!ふわふわ様を撃たれ、田んぼをダメにされた百姓が、黙ってるとでも思った!?ざまーみろ!猿にしっぽ振る犬共めっ!!」 敵兵「ななっ……!?」 菖「こ、この子何てことを……!」 幸「(……やっぱり)」 敵兵「無礼者!今ここで斬り捨てるっ!!」 純「望むところよ!!」 晶「やめろっ!!」 敵兵「はっ……?」 晶「幸、これがあの時、お前が止めた理由か」 幸「……」コクリ 晶「利に転ばない奴がここに……これが、成田唯親の策か………… ……ちっくしょおおおおおおおーっ!!!」ガスッガスッガスッガスッ 菖幸「「!!」」ビクッ 晶「こいつは放せ!水攻めを破ったのはこいつじゃない……成田唯親だ!絶対に、絶対に奴を倒すっ!!」 菖幸「(ほ、本気だ……)」 晶「全軍に伝えろ!水がはけたら、総攻撃をかけるっ!!」 10
https://w.atwiki.jp/83452/pages/907.html
翌朝(12月17日) 琴吹家食堂 唯「ふぁあ…」 紬母「唯ちゃんはまだお眠かしら♪」 やさしく唯に微笑みかけつつ、紬の母がそう言う。 唯「えへへ…」 唯たちは、紬の母とともに朝食を摂っている。 紬の父はとっくに自分のオフィスへ向っていたため、同席していない。 紬母「斉藤に学校まで送らせるから、ゆっくりご飯をとって頂戴ね。」 眉毛こそ沢庵でないものの、明るい髪色、おっとりとした雰囲気、 やわらかな物言い、と紬によく似ている。 憂「あずさちゃん、まだ来ないのかなぁ…」 梓は、バスルームを借りているところ。 律「寝汗かいて、下着までびっちょりだったんだってさ。」 紬「♪~」 おそらく、寝汗だけではあるまい。 紬は上機嫌だ。 律「ムギよ、豪くご機嫌だな…」 紬「そうかしら~♪?」 紬母「紬のクリスマスパーティは、あのツリーを使うそうね?」 紬「うん、唯ちゃんがすごく気に入ってくれたのよ♪」 唯「…」 唯は再び、昨夜のことを思う。 あの場から離れ、再び床の中に入ったも後も、中々寝付けなかった。 起きてからも頭の中の奥まで強くこびりついたまま。 あの精霊-ホーリエと名乗った-はいったい何者なのか? あのツリーは?? 天上のノモスとは??生命の実とは?? 人間の目的にまつわる悪とは?? 唯は本能的に、深く考えないようにしている。 だけれども、近いうちに、あの精霊と再び邂逅するであろうことを、 唯は知っている。 12月17日 桜高 昼休みの澪の教室 澪は和は二人で昼食を摂っている。 だが… 和「ずいぶんと熱心にやってるわね…」 澪は食事半分に、目前の書き上げ作業に没頭していた。 澪「これは良い機会なんだ…あいつらを、泥沼から引き上げてやれる…」 和へ視線を返し、澪はそう答える。 澪「何事もやれば変えられる!私達は絶対に変えられるんだ!!」 最近は、オバマ大統領の語録集を愛読書にしている澪。 和「さわ子先生に頼まれた手前だけれど、 私はあの子達のペースにあわせて教えさせてもらうわ。」 頼まれた、と言ったあと、 ああ違う、脅迫だったわ、と思い返す和。 澪「和、私は鬼になるから…!」 目が本気である。 12月17日 夕刻 琴吹邸 学校からの帰宅後、今日の分のパーティ準備をすませ、 唯達は紬の指導のもと、勉強に勤しんでいた。 数学を重点的に攻めているところである。 律「微分とかさ、絶対やる意味ないよな。 一生涯微分と無関係に過ごす自身あるぜ。」 唯「むふぅう…うううううう…」 かたや唯の脳味噌はパンク状態。 梓(まだ習ってないけど、予習は重要だよね…) その横ですらすらと二年生の問題を解く憂。 日本に飛び級のシステムが無いのが悔やまれる。 紬「そうは言ってもね、数学は論理的思考を鍛えるのに 一番良い教科なのよ。」 律「いやいやいやいや、あたしらがいくら頑張っても 頭の回転なんてぜんぜんよくなんねーからぁ。 な、唯?」 唯「くぅぅぅ…」 目前の計算に苦悶する唯。 憂「律さん!おねいちゃんはやればできる子なんですからっ!」 唯が"お馬鹿"にカテゴライズされるのが気に触るらしい。 紬「『人間は考える葦』って、ブレーズ・パスカルも言っているわ。」 紬「今の便利な世の中も全て、そのおかげでしょう?」 律「パスカルだかヘクトパスカルだか知らないけれどさぁ…」 そのとき、どこからともなく、唯の耳にある声が聞こえるて来る。 『パスカルは、≪力なき正義は無力であり、正義なき力は暴力≫ とも言ったわ。』 あのホーリエの声。 律たちの顔色を伺うが、誰も気が付いていないようだ。 『けれど、良き考えすら良き結果を生むとは限らない。 自分が良きことと考えることが、 隣人には許しがたいことであるかもしれない。』 唯「力なき正義は無力であり、正義なき力は暴力…」 唯がそう呟く。 律「は?」 唖、となる律。 紬「それも…パスカルの言葉ね。」 唯「正義は、誰が正義だって決めるんだろう? 暴力は、誰が暴力だって決めるんだろう??」 紬「パスカルはものすごく強い信仰心をもつクリスチャンだったらしいから…」 紬「パスカル自身の正義は、キリスト教の教えと切っても切きれない 、神様が下し示したもの、のはずだわ。」 唯「じゃあ、私達はどうなの??」 紬「…」 紬は答えに窮する。 しかし、刹那の思案の後に紬は答える。 紬「正義を深く考えなくても、人間は生きていけるわ。 けれど私は、よくよく考えて、それを、自分の正義を確かなもの にする必要があると思うの。」 紬「うちのお父さんは、そんなことをよく言うから…」 紬「だって、そうしないと、琴吹家に関係する多くの人間が 苦しむことになるでしょう?」 律(ムギの奴、唯のギー太を値切ってたよな、確か。) 唯「偉くなればなるほど、その人の考え方次第で たくさんの人が幸せにもなり、不幸にもなるんだ、ね。」 唯「でも、今の日本にも、他の国にも、色々な理由で苦しんでいる人はたくさんいるし、 他人を苦しめてまでお金を稼ごうとするひともたくさんいるよね。」 唯「そういう人たちはどうなるんだろう??」 梓「だから法律や警察があるんじゃないですか?」 梓が口をはさむ。 唯「でもやっぱり、苦しんでいる人はたくさんいるよ。」 梓「それは、人間は万能じゃないですし、自分が蒔いた種で苦しむ 自業自得な人たちもたくさんいますし…」 唯「他人のせいで苦しんでいる人もたくさんいるよ。」 律「まあ唯よ、なんだ、理想を言ってもはじまらねーし…」 律が口を入れる。 律「とにかく終わりだー終わりっ! 今日はもう切り上げてスマブラしようぜっ!」 律が場を収める。 けれど… その日、皆が眠りについたあと、唯は再び生命の樹の前に立つ。 そして、呟く。 唯「堀江さん…」 すると生命の樹から、あの紅く輝く光球が現れ、唯の目前へと下降する。 『ゆい、月並みだけれど、私はライブドアの元社長ではないのだわ…』 『ホーリエ、よ。』 『よく覚えて頂戴。』 唯「私だけに聞こえるように、声をかけてくれたよね?」 『ええ、そうよ。』 精霊は答える。 唯「なんかわたし、よくわからなくなっちゃった…」 『ふふ…ゆい、まずはそれでいいの。』 唯「…」 『昨日、あなたに話したわよね? 人間が意識を持ち始めてから、 それがためにずっと苦しんで来た、最大の"謎"のことを。』 『そう…大変巨怪な"謎"、≪エニグマ≫のことを。』 唯「えに…ぐま?」 『ゆい、あなたに教えましょう。』 『人間が長い間苦しんで来たこの謎は…』 『なぜこの世界に悪が存在するかということよ。』 『とくに一神教が優勢な地域においてだけれど、 なぜ完全である神のもと、世界に悪が生じたのか、 多くの人が頭を悩ませてきたわ。』 『多くの人々は悪を…』 『善が欠けている状態としたり、 神との距離のために神との関係が弱まったもの、としたり 神との距離のため、神が放射する勢力からの恩恵に、 より少なくしか預かれぬため、としたり、 人間の根源的罪のため、としたり…』 『その点、ゆい、あなたたち日本人をはじめとする、アジアの人々は 昔から実際的だっただわね。』 『生きることにおいて諦念を強く有する、とでもいうのかしら? 輪廻及び転生の概念を背後に持つ民族に多く見られるわ。』 『そして悪の改善や悪を消滅させる、ないし善に近づく、方法も…』 『人間の欲望を意識的に抑制するやり方。 まったく呪術的な方途にたよるもの。 善の知的追求による一種の啓蒙。 善のもと、悪とされたモノを意図的に排除する方法…』 『けれど、人間、種としても個体としてもの、この人間には、 悪は執拗にこびり付き、根付いて、 …決して分かたれることはなかった。』 『今の今まで、ね。』 『また、悪を遠ざけることが得てして…』 『全く逆説的な…結果、遠近法的な結果を多く生み出すだけ、だったわ。 つまり、あるモノに意識が集中されることで、 その周辺にある、そのモノから距離のある別のもの、 その輪郭がぼやけただけだった。』 『つまり、多く存在する悪をあいまいなものにし、 あまり目に付かないようにする、という結果になっただけだった。』 『意識的、無意識的な逃避でもあったわ。』 『人間が意識を獲得し、歴史を紡ぎ始めてから…』 『人間はずっと悪くなっていったわ。』 『悪への無関心も強くなっていった。』 『…けれど、こうも考えられたわ。』 『そうではなく、人間は、人間を悩ましてきたこの迷信から 自由になりつつあるのではないか、と。』 『必要なのは、この善及び悪という迷信ではなく、 ≪合理的かつ的確な采配≫なのではないか、とね。』 『例えるなら、あなたの時代の交通法規のようなもの、よ。』 『けれど、それでは同時に、個人が個人の内に持つ倫理感が 小さくなることを意味するわ。』 『倫理感は、一種の信念と恐怖感情の間の子。』 『倫理感を迷信として捨て去ったとき、そのときこそ、 あの怪物は、大きく開いた口をもって 人間という種をひと飲みにすることでしょう。』 『ふぅ…』 精霊は一息置く。 『あの太い眉毛の子、大変良い子だわ。 私も好きよ。』 唯「むぎ、ちゃん…」 『けれど…』 『動物はその体格が大きくなるほどに、多くの栄養を必要とし、 不要とされたより多くの排泄物を体外に捨て去る。』 『同じように、あの子の一族の富を糧に生きるものも多いけれど、 その分だけ、あの子の一族に起因する悪のために苦しむ者達も多い。』 『人間は汚れている、と考えたモノから目をそらそうとする。 これを虐待し、遠く離れたままにしておこうとするの。』 『あなたの生きるこの時代は、人間の歴史のなかで 最も、それが極大化している時代よ。』 『さて。』 『…今日はここまで。』 『ゆい、よくよく考えなさい。』 唯「…」 唯は黙ったまま。 『ふふ…大丈夫よ、ゆい。あなたは、結晶のような意志を持ち その意志のもと、透徹した直感を持っているのだから。』 そう言い終えると精霊は樹の中へとかえっていった。 精霊が描いた軌跡の残り香を見つめる唯。 唯「わたしも、たくさんの人を、苦しめてきた…のかな…」 そう独り言つ。 京都の冬はまだまだずっと、寒くなるはず。 翌日 12月18日 19時 琴吹家食堂 一同は食堂に会して夕食を摂っている。 今回は紬の父も同席している。 律(しかしまあ、親子で立派な眉毛ですこと…) 律は盗み見るように、琴吹父と琴吹娘の額あたりを見比べる。 紬の父も、それはそれは太い眉毛(ただし毛色は黒色だが)を持っている。 まるで、ぶっとく海苔を切り取って貼り付けたかのよう。 紬父「ん?田井中くん、やはり私の眉毛が気になるかな?」 律(しまった…!) 律「え、あ、ああ、いやぁ…ハハハハハハ…」 笑ってごまかそうとする律。 梓(これだから…) ため息をつく梓。 紬父「まあ、琴吹家と言えば眉毛!と言われるくらいだからね。」 紬父「着脱可能だと誤解されることもあるぐらいなんだよ?」 紬母「まあ、あなたったら♪」 紬の父は、にこやかに笑いながらそう言う。 やはり彼もどことなく、紬と同じ優しい雰囲気を漂わせている。 唯「あの、ムギちゃんのお父さん…」 唯が唐突に口を開く。 紬父「うん?なにかな、平沢くん?」 紬の父は、唯に顔を向ける。 唯は上座に座る紬の父の斜め左奥、 紬や律とテーブルを挟んで対面する形に座っている。 唯の両隣には憂と梓がいる。 唯「あの、聞きたいことがあるんです、けど…」 紬父「言ってみなさい、平沢くん。」 優しく微笑みかける紬の父。 唯「ムギちゃんのお父さんが、会社の社員の人たちの幸せのために、 心がけていることって、何なんですか?」 律(ん?唯らしからぬ真面目な…) 律は訝しげに唯を見やる。 紬父「ふむ…」 視線を天上に吊るされたシャンデリア状の照明に向け、 数秒、何事かへと考えを向ける、紬の父。 紬父「たくさんあり過ぎるけれど…」 視線を唯へもどし、真面目な、しかし柔らかな目持ちで答える。 紬父「そのうちで最も大切だと私が考えることは…」 紬父「私が判断と決定う場合に、最高度の内容と速さを持って、 この二つを行うこと、かな。」 紬父「これが、リスクを回避する上で最も重要なこと、 と考えているね。」 唯「…」 実を言うと、紬の父の回答は、唯にはよく理解できなかった。 『状況判断と命令』の重要性を、まだ年若い唯は、 現実味を持って捉えることができないのだ。 紬父「例えばだ、ある人が心臓発作で倒れたとしよう。」 唯がうまく反芻できていないことを悟り、紬の父はこう続ける。 紬父「そして救急車を呼び、救急隊員が来るまで応急手当を行って その患者を病院まで搬送する。」 紬父「脳内出血や心臓発作から生還する可能性は、 時間との格闘だ、ということはわかるね。」 コクリ、と唯は首肯する。 紬父「それに、応急処置や救急隊員の処置が不味いものであった場合にも、 あたりまえだが、患者の命はそれだけ危険にさらされる。」 紬父「企業を運営管理することも、これと同じ、ということになるね。」 唯「あ、そっか…」 唯は合点がいったようで、ふんふん、と頭を少し揺らす。 そのとき- コンコン。 食堂の扉がノックされる音がする。 扉の脇に控えていたメイドがゆっくりと扉を開ける。 「失礼します。」 4
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/5143.html
登録日:2010/10/12 (火) 08 50 14 更新日:2024/02/06 Tue 09 40 34 所要時間:約 15 分で読めます ▽タグ一覧 SDガンダム SDガンダム外伝 SFCでは13人揃ってリンチ ガンダム ナイトガンダム ブリティス円卓の騎士団 円卓 円卓の騎士 外伝 本家「円卓の騎士団」より、遥かに恐ろしい ブリティス円卓騎士団とは、『SDガンダム外伝 円卓の騎士編』『SDガンダム外伝 救世騎士伝承(スダ・ドアカナイトサーガ)』に登場する騎士団。 ブリティス王国に仕える最上級の騎士団である。 基本的に王を含めた13人で構成され、ブリティス城の円卓自らによって選出される。 欠員が出た場合は騎士による推挙で選ばれることもあるが、必ずしも13人必要なわけではないようだ。 円卓は上座も下座もないとされるため、円卓の騎士団には上下関係が(名目上は)存在しない。……が、時にはそれが裏目に出ることも。 (なお、実際には円卓でも上座下座はちゃんとあるのだが) 選出される基準については謎だが、現在までのところ何故か人間族が選ばれたことは一度もない。 新たに選出された者にはブリティス城の円卓により新たな称号が与えられる。 キングガンダムⅡ世時代の円卓の騎士 『SDガンダム外伝 円卓の騎士編』に登場。 皇騎士ガンダムがブリティス城を奪還した際に選出された。 ◆皇騎士(クラウンナイト)ガンダム / キングガンダムII世(ガンダム / パーフェクトガンダム) HP 800→2500(剛の鎧)→5000(フルアーマー)→15000(キングガンダム) キングガンダムI世の息子。 ◆鎧騎士(アーマーナイト)ガンダムF90 / 重甲騎士(ヘビーアーマーナイト)ガンダムF90(ガンダムF90 / F90V) HP 1200→1600(重甲騎士) ※ガシャポン及びレジェンド・オブ・ブリティスでは1600だが、神話復活編の単独カードダスでは2000。 ブリティス王国の近衛騎士だったが、厳密には先々代の円卓の騎士である。 長男マルスガンダムが先代円卓の騎士の一人竜騎士ファルコガンダムを闇討ち(未遂)した為、先代円卓の騎士の地位を辞任したという経緯の持ち主。 また、先代円卓の騎士の一人であった騎士アーサーガンダムの弟子でもある。 資料によっては鎧騎士が皇騎士の剣の師であるともされる。 ◆白金卿(プラチナロード)(百式改) HP 1000→1250 ※レジェンド・オブ・ブリティスより。 先代円卓の騎士の生き残り。ザビロニア帝国によるブリティス城襲撃の際には修行の旅に出ていた。 陥落直前に帰還して僧正ガンタンクRと組み奮闘するも及ばず、絶望して自害しようとしたがガンタンクRに杖で殴られて気絶させられて生き延びる。 滅亡後は独自のルートで活動、皇騎士が打倒ザビロニアの旗を掲げたのを聞き駆けつける。 卓越した戦略眼の持ち主である。 鎧騎士F90が先代円卓の騎士から辞任して空位になった席には、白金卿の推薦で親友である重戦士ガンキャノンが就任した。 しかし、ブリティス陥落の際にガンキャノンは死亡し自分は生き残った為、彼を推薦した事を終生後悔する事になる。 ◆勇剣士プラス / 勇騎士プラス(Ζプラス) HP 700→900(勇騎士) ※レジェンド・オブ・ブリティスより。 皇騎士が打倒ザビロニアの旗を掲げた時、集まってきた義勇兵の中にいたベルファスト村の隣村であるセンチネル村の剣士。ラナール決戦後、鎧騎士の部隊にて功績を立てるなどをし頭角を表した。 持ち前の「突撃気質」で特攻隊長に就任。 連撃を得意とするスピードファイターであり、手数の多さが彼の強み。 ◆風騎士ガンダムマークII / 嵐騎士(ストームナイト)ガンダムマークII(ガンダムMk-Ⅱエゥーゴカラー) HP 1500→2500(嵐騎士) 先代円卓の騎士、嵐騎士ガンマガンダムの第二子。落城寸前に父・兄と共に城を脱出後、二人と生き別れになった。 父ガンマの形見である槍(ウインドスラッシャー)を愛用、さらに嵐騎士となってからは父が城に遺していた鎧を受け継ぐ。 戦いの最中でザビロニアに洗脳されていた兄と再会し、傷つきながらも必死に説得して洗脳を解いた。 ◆麗騎士レッドウォーリア / 麗紅騎士(スカーレットナイト)レッドウォーリア HP 1400→1600(麗紅騎士) ※レジェンド・オブ・ブリティスより。 二刀流の使い手で美技に等しい流麗な剣技を駆使する。 名誉を求めてブリティス軍に参加するが、戦いの中で名誉以外にも大事なものがあることに気付く。 先代円卓の騎士の一人である薔薇騎士ロゼッタガンダムとは同じ一族の出身。 ◆重戦士ヘビィガンダム/剛騎士ヘビィガンダム(ヘビーガンダム) HP 1300→1500(剛騎士) ※ガシャポン及びレジェンド・オブ・ブリティス。 ブリティス軍に雇われた傭兵。かつては力のみが全てと信じるパワーファイターだったが、風騎士や麗騎士達の立ち振る舞いに感化され、重甲勇猛な立派な騎士に成長する 故に、自分自身への多少の被害はガン無視で突撃する「突撃隊長」を襲名する。 実は彼の父親、狩人ヘビィガンダムはキングガンダム1世の遠縁に辺りともに戦ったこともあり、 ブリティス王家とは結構関係がある人物だったりする。 ◆灼騎士(バーンナイト)ガンダムF91 / 灼熱騎士(バーニングナイト)ガンダムF91 / 幻影騎士(シルエットナイト)ガンダムRXF91 / 幻影卿(シルエットロード)ガンダムF91(ガンダムF91 / シルエットガンダム) HP 2500→5000(灼熱騎士)→6000(幻影騎士)→6500(幻影卿) ブリティス最大の反ザビロニア組織のリーダー。放浪の騎士と呼ばれる。 兄弟弟子はザビロニア帝国に所属し、ブリティス陥落の際に先代円卓の騎士である銀騎士Z ズィー を倒し、敬意からその称号を受け継いだ銀騎士ビギナ・ギナである。 彼の斬撃には、必ず空間爆砕が供なう。 次のシリーズである聖機兵編の第一章では主役を務めた。 実はものすごい優遇されてたりする ◆僧正(ビショップ)ガンタンクR(ガンタンクR-44) MP 1500→1750 ※レジェンド・オブ・ブリティスより。 先代円卓の騎士団の生き残り。ブリティス落城時の戦いで自害しかけた白金卿を杖で殴り倒し、共に脱出した後はゼ・ダン要塞近くのソ・ドンの町に隠れ、世捨て人を装い反旗の時を待っていた。 御老体ながら実力は本物。一対のスタッフを使い、とんでもない砲撃魔法をブッ放す。 ブリティス陥落の際に同僚であり当時は旅に出ていた円卓の騎士、法術師メテオガンダムの様に攻撃魔法を使えなかった事を悔やみ、老齢の身でありながら幾多の攻撃魔法を習得したという経緯を持つ。 先代当時の称号は僧侶だった。 ◆剣士F90ジュニア/騎士F90ジュニア(ガンダムF90Sタイプ) ◆闘士F90ジュニア/重戦士F90ジュニア(ガンダムF90Dタイプ) ◆僧侶F90ジュニア/法術士F90ジュニア(ガンダムF90Aタイプ) HP 700→800(騎士/重戦士/法術士) ※ガシャポン及びレジェンド・オブ・ブリティス。 鎧騎士ガンダムF90の子供達。兄弟の序列は一切不明。それぞれ技・力・魔法を学び三人で行動・戦闘する。参戦を父に止められていたが納得できず、灼騎士の反乱軍に加わった。 全員が、それぞれの技能に特化し過ぎている為、お父ちゃんガッカリ。 しかし、兄弟全員がその道のスペシャリストであり、三人が互いの欠点を補いながら繰り出す戦法は歴戦の戦士にも真似が出来ない。 別名アン・ポン・タン。 なお、重戦士F90ジュニアはごく一部のカードダスで、"重騎士"と誤記されている。 ◆闇騎士(ダークナイト)ガンダムマークⅡ(ガンダムMk-IIティターンズカラー) HP 9999→10000(円卓の騎士就任後) 「ブリティス円卓騎士団」最後の一人。 先代ブリティス円卓騎士団の嵐騎士ガンマガンダムの長男であり、風騎士マークⅡの兄。 ちなみに、父と同じ嵐騎士の称号は弟「嵐騎士マークⅡ(白)」に継がせているが、その代わりに先代円卓の騎士の一人である闘士メガガンダムから受け継いだ斧"チェーンアックス"を使用している。 途轍もない技量の持ち主であり、円卓騎士団内ではキングⅡ世に次ぐ実力者。 父と弟が先代キングガンダムに殺されたというザビロニアの偽情報によって洗脳され、帝王グレートデギン直属の騎士として活動していた。 ブリティス城奪還戦の際に皇騎士に襲いかかるが、風騎士の身を挺した説得により洗脳が解け、円卓の騎士最後の一人として覚醒する。 城の円卓ではなく戦場での任命という変則的な就任であったためか、円卓の騎士就任後も明らかに物騒な称号を使い続けている。 弟同様、ブリティス王国でも数少ない空戦騎士の一人。 後の「聖騎兵物語」ではブリティス王国の援軍として参戦。 キングガンダムI世時代の円卓の騎士 かつて「総統の尾」と呼ばれる巨悪に立ち向かった王と12人の円卓に選ばれし騎士たち。 2人メンバーが替わったため、キングを含めて全15名。 ◆爵騎士カノンガンダム/騎士団長カノンガンダム/キングガンダムI世 HP 2500(爵騎士)→HP 3000(騎士団長)→HP5000(騎士団長 剛の鎧と神の鞘装備)→HP17000(キングガンダム)→MP3000(霊体時) 聖杯と円卓に選ばれ、二大幻獣や獣王と契約を交わしてブリティス王国に加護をもたらし平定した偉大なる国王。 キングキャリバーだけでなく神鞘インヴィンシブルという神器を持っていた。 死後、その魂は冥府に行くことなく円卓の間に留まって息子が来るのを待っていた。 後に神鞘を入手した曾孫と冥府で邂逅する。 ◇騎士マルスガンダム/傭兵騎士マルスガンダム/騎士ガンダムF90II HP ?(幼少期)→4000(傭兵騎士)→4200(ネオジオン協力時)→8000(改心時) 素行が悪い王弟アーサーガンダムを修行の旅に出すよう進言したファルコガンダム。 父の師であるアーサーを追放しようするファルコの陰謀を疑ったマルスガンダムは、ファルコガンダムに襲いかかる事件を起こして、家出してしまった。 F90ジュニア三兄弟の兄にあたる。聖機兵物語にて父や弟と再会している。その後はブリティス王国には帰らず傭兵業を続けているらしい。 ◇鎧騎士 アーマーナイト ガンダムF90 HP 1000 息子マルスガンダムの責任を取るため円卓の騎士を辞任。 しかし、キングガンダム1世からの信頼は厚く近衛騎士として皇子の護衛の任についていた・ ザビロニア侵攻の際は皇子を守り抜き、皇子を賢者アントニオに任せて自身はいつか来る皇子の決起に向けて反ザビロニア勢力を集めてレジスタンス活動を開始する。 そして上記の通り、後にII世の新生円卓の騎士に加わった。 ◆嵐騎士 ストームナイト ガンマガンダム HP 1000 マークII兄弟の父。 ◆銀騎士Z シルバーナイトズィー ガンダム HP 2000 騎士ビギナ・ギナとの一騎打ちで戦死。彼の意気に感銘を受けたビギナ・ギナは銀騎士の称号を守り継いだ。 ◆闘士メガガンダム HP 800 アルガスの闘士ダブルゼータの親戚筋にあたり、彼のダブルハンマーについている同系の鉄球を鎖につないで武器にしている。後にそれとアーサーガンダムから譲られた斧を繋ぎ合わせてして愛用している。 ザビロニアのブリティス城に侵攻してきた際には奮闘したものの死亡する。遺品となった斧は嵐騎士ガンマガンダムが所有していたが彼も死亡した後はザビロニアに回収されて巡り巡ってその息子の闇騎士ガンダムマークⅡが持つようになる。 モチーフは逆襲のギガンティスに登場するメガゼータ。 ◆白金卿 プラチナロード HP 1000 後にII世の新生円卓の騎士に加わった。 ブリティス陥落時は旅に出ており不在だったが、陥落直前に帰還。 ◆僧侶ガンタンクR MP 500 後に僧正ガンタンクRとしてII世の新生円卓の騎士に加わった。 ◆騎士アーサーガンダム HP 1500 キングガンダムI世の弟。F90の師でもある。F90を通して皇騎士ガンダムに伝授された剣術の始祖。 事件後、ファルコガンダムの進言通りタビト城へと修行に出されたため、ブリティス陥落時は不在だった。 その後のどういった経緯で命を落としたか不明であるが、自身が陥落の要因となったことを死後も冥府で気にしており、 2人の皇子の時代には冥府のゲートが開かれた際には、王国を守る固い決意とともに冥府から駆け付けた。 ◆竜騎士ファルコガンダム(聖龍騎士ファルコガンダム)/幻魔王バイスガンダム HP 3000→70000(聖龍騎士)→7500(幻魔王)→68000(戦闘時) 雷の一族の出身で、かつてグラナダ王国で嵐の一族の嵐虎騎士ブイツーとは聖騎士の称号を競ったライバル。 雷龍剣や龍機ドラグーンといった絶大な力を自らに禁じて武者修行の旅に出た。このため、本来はキングガンダムⅠ世以上のHPを誇る。(聖龍騎士としてのHPは不明) ドレスデン王国のジェイバーやブイツーが差し向けた暗殺者コナンガンダムとも親友になり、共に円卓の騎士になった。 貪欲な野心家で、キングガンダムI世とは公私に渡るライバル関係だったという不穏な人材。 そのためマルスガンダムから嫌疑をかけられ闇討ちを仕掛けられたが最強なのであっさり返り討ちにした。 後に、グラナダ地方で異変が起こり、調査のためにコナンガンダムやジェイバーと共に派遣され、 旅には幼い息子のゼロガンダムも連れていった。 そして異変の中心である磁気嵐の中で、悪の機械生命体フューラーザタリオンと遭遇、 雷龍剣と龍機ドラグーンを用いて、記憶を取り戻したコナンガンダムと共に撃退する。 さらに戦いで疲弊して、龍機を動かすための神器・白金のハルバードも磁気嵐の外へと紛失してしまった彼らを 異世界の魔王と契約した嵐虎騎士ブイツー改め、幻魔皇帝アサルトバスターが襲撃、 ファルコガンダムはジェイバーとゼロを磁気嵐の外へとなんとか逃がして敗北、 洗脳されて幻魔王バイスガンダムになってしまったのだった。 ゼロは時空が乱れている磁気嵐の影響でII世即位後の未来へと出てしまい、彼が円卓の騎士の父の空席に就くことはなかったが、 後にシャッフル騎士団にキングガンダムII世と共に名を連ねることになる。 ◆蛮騎士 バーバリアンナイト コナンガンダム(暗殺者コナンガンダム)/コマンドガンダム(Vコマンドガンダム) HP 2000 ブイツーがファルコガンダムに差し向けた暗殺者だったが、親友になり共に円卓の騎士になった。 グラナダ地方の異変の調査でフューラーザタリオンと遭遇して全てを思い出す。 彼の正体は「SDコマンド戦記G-ARMS」のコマンドガンダムであった。 フューラーとの戦いで次元を越えて墜落、記憶を失っていたところをファルコガンダム恨むブイツーが 僅かに思い出した宿敵をファルコガンダムの事だと誤認させて暗殺させようと企んだのであった。 そしてボディを破壊されながらもコアだけ逃げるフューラーを追って、友に別れを告げる暇もなく別次元へと消えた。 なお、たどり着いた先はガンドランダーの世界であった。 名前を聞かれて「コナ…」と言いかけたところ現地の人々に伝説の勇者コナーと勘違いされて 勇者の鎧を与えられてターボランダーとなり、逃げてきたフューラーが再生した魔総統と戦った。 モデルとなっているのはコナン・ザ・グレートに登場するコナン。コマンドガンダムのモデルであるジョン・メイトリックス大佐と同じくアーノルド・シュワルツェネッガー氏が演じたキャラクター繋がりであり、他の世界での通り名もどこかで聞いた事がある物ばかり。 ◆仮面騎士ジェイバー(騎士団長ジェイバー) HP 2000 ドレスデン王国の騎士団長。モチーフはガーベラ・テトラ。 ファルコガンダムとは親友であり、彼も技を封印して顔と立場を隠し、伝説の円卓騎士団がどのようなものかを学ぶために円卓の騎士になった。 アサルトバスターから逃れた後、磁気嵐の影響でブリティス王国が陥落後だったためそのままドレスデン王国に復帰。 ◆法術士メテオガンダム/魔法剣士メテオガンダム MP 1500 術を極めるために旅をしていたところ円卓の騎士に選ばれた。 平和になり円卓内でゴタゴタもあったので円卓の騎士を辞して再び旅に戻っていった。 後にダ・バード王国に再就職。機甲神伝説編にて登場している。(後付のため先に出ているが。) ちなみにモチーフは小説版逆シャアの「機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー」版νガンダム。 ◆薔薇騎士 ローズナイト ロゼッタガンダム HP 1300 円卓の騎士の紅一点。13人目の円卓の騎士。ブリティス陥落時は帰省していた。 海賊船エターナル(レッドウォーリア一族に伝わる魔法の船エターナル)を使って海賊活動を行なった初代船長。 一般公募で入選したキャラのためモチーフは特に無い模様。 ◆重戦士ガンキャノン HP 900 F90の空席を埋めるため白金卿の推薦により就任した若者。 ブリティス陥落時に戦死。白金卿の羽根飾りは彼の形見。 後に判明したが、実はラクロアの戦士ガンキャノンとダバードの闘士ガンキャノンMとは兄弟だったりする □騎士ユニコーン HP 不明 アーサー「兄上、あの者は一体?」 I世「円卓の騎士に選んだ覚えはありませんが」 「総統の尾」との戦いでいつの間にか仲間に紛れ込んでいた、時を駆ける騎士。 アーサーを巡る諍いで4人の騎士が城を離れ、補充はしたものの、 グラナダ地方の異変調査のため3人の騎士が不在となり、さらに2人が旅で不在。 こうして、円卓の騎士の戦力が半分以下になっていたことが、ザビロニアの侵攻を受ける隙になってしまったのだった。 もしファルコガンダムが残っていたら聖龍機マルスドラグーンで無双してストーリー台無し。 なおよく先代の円卓の騎士で語られる 騎士アーサーガンダムが高齢で、娘が鎧騎士ガンダムF90と結婚している。 闘士メガガンダムがアルガス騎士団内の権力争いに嫌気にさして出奔 蛮騎士コナンガンダムが片言しか話すことができない 薔薇騎士ロゼッタガンダムが皇騎士ガンダム決起の直前で死亡する などといった設定だが、これらは先代円卓の騎士発表時期に出た二次創作での設定であり、公式ものではないので注意をしよう。 キングガンダムIII世の時代および2人の皇子の時代 10人しかおらず3人の空席があったが、2人死に、新たに新世代の円卓の騎士が5人選ばれた ◇キングガンダムIII世 HP 4000 II世の息子。即位前の名前はおそらく皇騎士ガンダムII。文武両道。レッドウォーリア一族のもとへ通って、機兵研究をしており、レッドウォーリア一族と親交が深い。 ダバード王国の協力によって父がキングガンダムI世に似せて造った皇機兵キングヴァトラスは、円卓の騎士たちの口出しのせいで使い物にならならない出来だったため、 III世は機兵研究を行なって自分用の第2世代型機兵・皇機兵キングヴァトラス改を新造した。 創世軍オズワルドの侵攻を息子と共に防いだ。 二大幻獣の加護を受けたキングシールドが契約期限切れの徴候を示し始めたため、2人の皇子に幻獣と再契約する試練を課した。 アンチユニオン族との戦いで、冥府の邪竜のXソウルに憑依されて黒き暴君タイラントノワールとなり、力をXソウルに持っていかれる。 浄化後、神官騎士F90ジュニアが石化の魔法で衰弱を止める措置を取った。 守護神サンボーンの新たな聖杯の力で蘇える。 ◆皇騎士ガンダムIII/皇青騎士ガンダム/皇騎士ストライクガンダム/皇騎士フリーダムガンダム/キングガンダムIV世/ブリティス公爵ストライクガンダム HP ?→3000→5000→6000→8000→14000→ 第一皇子。ブリティス量産機兵ジェイガン乗りのキラと協力して、父の機兵研究を応用したヴァトラスの剣の強化改造に取り組んでいる。 父の機兵研究の成果である第3世代型機兵・皇機兵レジェンドヴァトラスを自分用として所有。 幻獣グラスパーグリフォンから授かった皇騎鎧が国を想う心に応えたことでストライクに進化。弟が入手したシードクリスタルが2つに分裂して鎧に宿りさらに進化。 力を失ったヴァトラスの剣を父のキングキャリバーに持ち替え、割れたキングシールドの片割れを携えて、冥府の試練を突破、フリーダムに進化した。 冥府から帰還後、キングキャリバーによって聖剣王キングガンダムIV世として即位。 戦争終結後に第一皇子としての責務に縛られることなく世界を見て回りたいという夢を叶えるため王位を返上。弟がキングガンダムV世となる。 思いに応えた皇騎鎧は赤くなり赤の海賊団の一員として旅立っていった。 ◆皇騎士レッドガンダム/皇騎士イージスガンダム/皇騎士ジャスティスガンダム/キングガンダムV世 HP 2500→5000→6000→8000→15000 第二皇子。天才肌でカリスマ性があるが王位に興味がなく、一時期、王城ではなくレッドウォーリア一族に身を寄せていた。 レッドウォーリア一族の海賊船エターナルの赤の海賊団エターナルウインドを仲間に加えた。 幻獣メビウスゼロマーライオンから授かった皇騎鎧が仲間を想う心に応えたことでイージスに進化。さらに人魚の秘宝シードクリスタルによって進化。 割れたキングシールドの片割れを携えて、冥府の試練を突破、二大幻獣の力はこちらのキングシールドに蘇り、ジャスティスに進化した。そして冥府神アルファハデスより王の器があると見込まれて古びた鞘を授かる。 守護神サンボーンにも認められて聖盾王キングガンダムV世へと進化、鞘も神鞘インヴィンシブルとして覚醒、割れていたキングシールドは1つとなり、兄からキングキャリバーを譲り受けて、全盛期のI世以来の完全装備が揃い、冥府から蘇った炎獄皇帝ジークジオン・イグニスを討ち滅ぼした。 ◆白金卿III世 プラチナデルタ HP 1500→3000 I世とII世時代の円卓の騎士だった白金卿の孫。 勤勉実直で真面目な好青年。 ◆サムライマスターガンダムアストレイ HP 1300→2300 アルガス出身。冥府の門番ムシャゴーストから得た刀"胴田貫・真打"により、髪を第三の腕にした三刀流を操る。 厳格な人柄に憧れ、古風な口調で話そうとするが、慌てたり興奮すると、すぐにボロが出る。 流浪の冒険で見聞した物事を、皇兄弟に聞かせていた。 ◆騎士ユニコーン HP 新世界安定の使命を与えられてガンダム族の姿になった幻獣ユニコーン。 コールの魔法で歴代キャラを召喚可能。幾つもの世界を巡り、その瞳は何を見るのか? I世時代に行った際は過去への干渉ということもあり円卓の騎士に紛れ込んでいたが、今回は正式に就任している。 ◆神速騎士 ナイト・オブ・ゴッドスピード F90ジュニア HP 2000 最古参の円卓の騎士の一人。ブリティス騎士団団長を兼任。 II世時代からの円卓の騎士、騎士F90ジュニアが成長した姿。 ◆重甲騎士 ヘビーアーマーナイト F90ジュニア HP 2000 最古参の円卓の騎士の一人。衛士長を兼任。 II世時代からの円卓の騎士、重戦士F90ジュニアが成長した姿。 ◆神官騎士 ホーリーオーダー F90ジュニア HP 2000 最古参の円卓の騎士の一人。国教の最高責任者を兼任。 II世時代からの円卓の騎士、法術士F90ジュニアが成長した姿。 ◇深紅騎士 クリムゾンナイト シナンジュ/純白騎士 ブランシュナイト シナンジュ・スタイン HP キングガンダムIII世を救うためには冥府の聖杯が必要だと2人の皇子に吹き込む。 しかし死んで冥府で妖精女王ディアナの近衛騎士として純白騎士シナンジュ・スタインになっていた本物のシナンジュと出会い、偽物と発覚。 闇の皇帝ジークジオン復活を画策する騎士バウが本物を暗殺してすり替わっていた。 偽物がジークジオン復活のために冥府のゲートを開いたことで、本物も冥府から援軍として駆け付け、IV世と協力して偽シナンジュ(バウ)が変化したシナンジュ・リバウンドを討った。 ◆蒼炎騎士 ナイト・オブ・ブルーフレイム ガンダムF91 HP 1500→2500→3500 地方領主となっているII世時代の円卓の騎士・ガンダムF91の息子。 ◆侍従騎士 サーヴァントナイト ウーンドウォート HP 1000→2000 蒼炎騎士ガンダムF91が幼い頃から仕えてる従者。女性。 ルーンシフターであり、変身して戦う。 ◆切り込み隊長 デトネイター クロスボーンガンダム/海賊騎士クロスボーンガンダム/銀騎士 シルバーナイト ガンダムF97 HP 1500→3000→6000 II世時代の円卓の騎士だった赤爺ことレッドウォリアーが後見人を務める「赤の海賊団」の斬り込み隊長。 ラゴゥから第二皇子イージスガンダムをかばったことで円卓から選ばれた。 海賊騎士としての力を奪われ、銀騎士ビギナ・ギナ譲りの銀騎士の力を解き放った。 F91の家系と関係があるらしい。 ◆獣王ラゴゥ HP 4000→5000→6000 衰弱したキングガンダムIII世に代わって円卓に選ばれた。 キングガンダムI世と人の王の正義を計る天秤となる権利持つ契約を交わした獣王の末裔。 ◆戦乙女 ヴァルキリー ガンダムヘイズル。 HP 1300→2300(円卓の騎士就任時) II世時代の円卓の騎士だったマークII兄弟の孫娘。 ルーンシフターであり、変身して戦う。 追求、修正は円卓の間で聖杯の鍵を手に入れてから行って下さい。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] マークⅡの解説、機兵が騎兵なってるな。 -- 名無しさん (2013-11-25 02 48 27) 最近のナイトガンダム関係の項目書いてるのは同じ奴か?とりあえず文才無いから修業してこい。 -- 名無しさん (2013-11-25 07 36 54) ↑これ、サルベージ項目だと思う・・・ -- 名無しさん (2013-11-25 07 56 58) 書き直すなら新約の方も追加せな -- 名無しさん (2013-11-26 20 00 32) 新約における円卓の席は定例通りならシナンジュ除いて残り二つ(仮にアンポンタンが引退したら五つ)。次の章で揃うかなぁ? -- 名無しさん (2014-10-19 17 29 25) ↑改心したバンシィが入る可能性がある -- 名無しさん (2014-10-19 17 46 28) F90はファミコンでは元円卓だった「私と同じ円卓の騎士だった白金卿」と言っていたし。その1ヵ月後に出たSFC版では円卓メンバーではなく、「白金卿どの」なんて他人行儀に呼んでいた。 -- 名無しさん (2014-10-19 18 00 07) ↑当時の設定じゃ曖昧だったからしょうがない。今じゃ円卓の騎士→息子のゴタゴタで円卓の騎士を辞退→キングガンダム2世の代で返り咲き -- 名無しさん (2014-10-19 18 27 39) 予想してたとはいえ、いつの間にかウーンドウォートとヘイズルも円卓の騎士になってたな。 -- 名無しさん (2014-11-28 16 49 23) ガンダム騎士団では過半数がザコモンスターに殺される…どうしてああなった -- 名無しさん (2015-01-08 16 10 29) ↑というかあの漫画活躍したのレッドウォーリアか最後に召喚した奴らだけじゃん。それはそうとシナンジュの正体あいつかよ・・・。 -- 名無しさん (2015-01-08 16 50 30) ラゴゥが入るのは予想外すぎた -- 名無しさん (2015-03-23 01 01 57) ヘイズルってどっちの孫なんだよ…? -- 名無しさん (2015-09-10 22 22 46) ↑兄弟の子供同士(つまり従兄弟)が結婚したと予想してみる -- 名無しさん (2015-09-11 02 14 52) 皇青騎士ガンダムの進化(フェイズシフト)した姿でキラの搭乗機体モチーフは全部出したんだよな。 -- 名無しさん (2015-11-15 20 55 32) まだ種死やアストレイで後継機・改造機残ってるし円卓関係か別の地方でごたごたしそう -- 名無しさん (2016-03-13 19 39 56) ストライクフリーダムモチーフの外伝キャラ来たなあ・・・と思ったら別なモチーフは意外なとこからぶっ込んで来たなwww -- 名無しさん (2016-03-20 12 38 22) 次の携帯スパロボで参戦しそうだな。Fateとかでアーサー王(女体化含む)と円卓が有名になってきてるし。 -- 名無しさん (2018-03-11 16 15 27) ↑声もないし、仲間の数が凄すぎるしストーリーも組み込み辛いから厳しいんじゃね? -- 名無しさん (2018-03-11 17 15 37) ↑あるとしてもソシャゲの方でしょうね…参戦は -- 名無しさん (2018-04-30 19 17 23) 誰がアーサー王版円卓の誰に該当するかも書いてくれたら嬉しいなぁ。 -- 名無しさん (2018-04-30 19 20 49) ↑そうですねー。自分としては、モードレッドとベティヴィエールが誰なのかが気になる -- 名無しさん (2018-07-29 22 42 36) 時代的にも、本家との比較は気にしてない気が -- 名無しさん (2020-03-17 00 24 24) 色々と読みづらかった部分を修正。……Ⅱ世世代だけ。残りはまた後日修正するつもり -- 名無しさん (2020-03-21 02 24 16) メガガンダムとロゼッタの顛末は二次創作ネタだったんかい…ずっと公式だと思い込んでたぞ -- 名無しさん (2020-11-11 02 14 42) 円卓の騎士のカードダスで重甲騎士ガンダムF90が右手に持っている新しい武器の名前知ってる人いますか? -- 名無しさん (2023-09-27 00 16 41) 白金卿とガンタンクRのHPはそれぞれ1200と1800でよかったと思うんだよなぁ。HP4桁の時はその方が見栄えがいいのに -- 名無しさん (2023-10-08 02 17 52) ガンダムF91のHPの伸びが最初は倍の2500も増えたのに次は1000で最後は500と尻すぼみになるのなんか悲しいな・・・ -- 名無しさん (2023-10-08 02 20 51) ヘイズルがマークII兄弟の孫娘って、マークII兄弟の子供はいとこ同士で結婚したのか? -- 名無しさん (2023-10-08 02 45 06) ↑4 まんまF90ハルバート -- 名無しさん (2023-11-30 22 23 35) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/1145.html
オフィーリア 再会 結局は、航路なのだ。 オフィーリアは硬筆を砂皿に投げ出して、背もたれに寄り掛かる。 収支を示す表に、インクの染みはつけられない。砂皿は、撒いて余分のインクを吸わせる砂を入れてあるものだ。 そして結局は、航路。 表に並ぶ数字は、ほぼ増減が無い。つまり投資もできなければ、利益も上げられていない。 オスミナはゴーラ諸国の一つであった。それがオフィーリアの降嫁をもって、帝國の友好国となるまでには、長く複雑な道があった。今ではそれを悪いとは思っていない。オフィーリアという一人の古人にとっては。 けれど、オスミナという国にとってみれば、それまでの生き方とは違うものを示されている。ゴーラの一国ではなく、帝國の衛星国としてだ。 それはゴーラ諸国から見れば裏切りと言っていい。ゴーラでのオスミナの立場は地に落ち、港すらも自由に使えぬありさまとなっていた。 「……」 伴ってきたオフィーリアの資産は、腐らないもので良かった。だが現物であるから秘匿警備しなければならない。もっとも、持ち出したからと言っておいそれと使えるものでもない。 手元に置いておいても仕方ないのだけれど、やはり一枚が手元にある。鍵をかけた引き出しの奥にだ。引き出せば、灯りに七色の光を返す。手のひらほどもあり、厚みもある。そこには今上皇帝リランディア陛下の横顔が浮き彫りにされている。 「……」 その横顔をそっと撫でてみる。良く似ていた。これはきっと、このために職人に拝謁を許したのだろう。目を閉じているのは、リランディアの魔眼が職人を死に至らしめかねないからかもしれない。 銀貨に目隠しを掘りこむような優美を欠いたことは行わないだろう。これを作らせたレイヒルフト副帝陛下は。 「……」 オフィーリアは決済銀貨を握りしめる。すべては遠いことだ。それでもそのおもてを隠し切れはしない。不思議な色合いの光を照り返し続けている。 この銀貨はただの銀ではない。精霊銀だ。この銀貨は魔法的な力を持つ精霊銀で作られている。貿易決済用の超高額通貨だ。これ一枚で、抱えきれないほどの銀貨に変えることができる。両替をするものがいるならば。 穀物よりはるかに高価な鉄を売る以上、その決済を安全に行う貨幣が必要になる。ゴーラ湾には、ゴーラ帝国で作られたこの通貨が出回っている。帝國もまた同様の銀貨を作っていた。 オフィーリアが手にしたこの銀貨は帝國にて鋳造されたものだ。オフィーリアに持ち出しの許された資産は、ほとんどこの形に限られていた。もちろん、そうされたことの意味と意図は判っている。帝國が作った、この精霊銀通貨は、ゴーラ湾の通商に大きな力を示すだろう。それがゴーラと帝國の貨幣戦争の始まりとなるはずだ。 高く、扉を叩く音がする。 「何か」 応じる声は女官のものであり、告げる言葉は、宮廷官僚が宮廷用向きのため参上したとのことだった。すでに夕餉の時を過ぎている。過ぎているからこそ、オフィーリアは己の資産をみていたのだが。 「通せ」 現れた宮廷官僚は、悪事はなせぬが良事も成せぬ、それはそれで信じるには足るものだった。そういうものだからこそ、役目としてオフィーリアに仕えているのだろうが。 「遅い時間に失礼いたします、王妃陛下」 オフィーリアは応じる。 「なにごとか」 「帝國公使、シリヤスクス・XX様が至急のお目通りを願われ、すでに参内されておられます」 「公使?」 宮廷官僚にそうだと判るよう、オフィーリアは不機嫌な声で言った。 「明日以降にせよと申さなかったのか」 「申し上げました。しかし、公使閣下は伴い人をお連れになっており、王妃陛下のお目通りを願いたい、と」 「伴い人?」 「はい」 宮廷官僚は、オフィーリアの様子をうかがっているようだった。そして伴い人の名を言う。 「皇帝近衛騎士団マルクス・ケイロニウス・レオニダス騎士卿閣下と申されております」 「誰であろうと、無礼ではないか。このような時間に、伴い人を引き合わせるなどと」 「はい。おかえりいただくことが、典礼的に筋でありましょうと申し上げたのですが、しかし公使閣下は、是非にお目通り願いたい、と」 「では待たせよ」 オフィーリアは言う。 「女官、風呂の用意を」 「王妃陛下、公使閣下方はいかがされましょうか」 「琥珀の間にて待たせよ。王妃は入浴中であり、例によっていつになるともしれぬと言え」 「承知いたしました」 宮廷官僚は頭を垂れ、退いてゆく。オフィーリアは黙って帳面に砂を撒き、インクを吸わせてから、羽根箒で掃き捨てる。帳面を閉じ、魔法の封じを行い、それからリランディア決済銀貨と共に鍵の引き出しに収めた。 それから立ち上がり、女官の待つ扉へ向けて歩いて行った。 入浴はたっぷり半刻の時を費やして行った。髪を乾かさせ、謁見に合うよう結わせ、しかし服は公式謁見のものではなく、夜会のためのものを選ばせた。あえて時をかけて選び、選んでから別の物に選び直しもした。それでさらに半刻を費やした。 時は夜半に近づいている。 そのあと、ゆっくりと琥珀の間に向かった。琥珀の間は宮中でも比較的小さな謁見の間であった。謁見というより、親しいものとの面会と言った方が近い。帝國公使を待たせるには、格の低いところであった。 女官がその扉を開き、役の物が呼び上げる。 「オスミナ王国、王妃陛下オフィーリア陛下、御来臨!」 オフィーリアは小さな謁見室の上座の席へと構わず歩いてゆく。謁見室にはすでに二人の姿がある。 帝國の公使はすでにおなじみだった。ガイユスに近いもので、小ガイユスをして「いかなることでも諸々御相談いただいて構わない」というものだ。年の頃は四十をやや越えている。 公使は踵を合わせ、最敬礼を行う。口上も穏健なものだった。夜半突如の訪問を心より詫び、このようなこととなったのは公使その人の不徳である、と。しかしながら、用向きこれは、帝國とオスミナとの間の止むを得ざることであり、もってお許し願えれば幸いであると。オフィーリアは不機嫌に応じる。 「そこまで言うのであれば、さぞかし大事であろう。忌憚なく申せ」 公使は言う。用向きはこちら、皇帝近衛騎士団マルクス・ケイロニウス・レオニダス騎士卿より言上申し上げます、と。 黒の軍装を身に着けたもう一人は、一歩踏み出し、踵を合わせ、軍装に見合った敬礼を行う。 「皇帝近衛騎士団マルクス・ケイロニウス・レオニダス騎士卿であります」 「息災であられたようだ、レオニダス騎士卿。以前は近衛騎士団ではなかったと思う」 「御記憶頂き、光栄であります。王妃陛下」 「余とてあの夜のことは忘れたことは無い」 公使がちらりと近衛騎士卿をうかがった。しかし近衛騎士卿はまっすぐに応じる。 「光栄であります、王妃陛下。わたくしにも忘れがたき思い出であります」 「ふむ」 オフィーリアは背もたれに身を預ける。 「して、レオニダス騎士卿、余への言上とは何か」 「本日は、特段のご配慮を願いたく、お願い申し上げに参上いたしました。オスミナを通るヴィルミヘ河の通行について、国王陛下におとりなし願いたく存じます」 扇子を持ってこなかったのは失敗だったな、とオフィーリアは思った。 「続けよ」 「軍船十隻、これの通過をお願いいたしたく存じます」 だから投げつけるものすらなく、オフィーリアは座の肘掛を打った。 「帝國は、オスミナを何と心得るか!」 近衛騎士卿は動じず、オフィーリアをまっすぐに見返す。その面は毛筋ひとつ動かない。 「余を何と心得る!余はオスミナの王妃。オスミナとともにある!その余を深夜に訪れ、言うことがそれであるか!愚弄にもほどがある!」 「しかし陛下、わたくしはご返事を頂くまで、ここを動くわけにはまいりませぬ」 「勝手にせよ!いたければいるがよかろう!」 オフィーリアは座を立ち上がった。 「謁見の間を閉じよ!このものらは朝まででも居させるがよかろう!」 そして、足音も高く、琥珀の間を後にする。慌てて開かれた扉をくぐる前に、足を止め、振り返る。 「宮中の物、この間にてこれらの者の用向き聞くことまかりならぬ!オスミナへの謀反と思え!」 あわてて、宮中の者らが謁見の間を後にする。 「間を閉じよ!出たいと泣くまで出すでない!」 背後で音を立てて扉が閉じられる。それを確かめ、オフィーリアは足音も高く、化粧室へと向かった。 結った髪を解かせ、梳らせる間も、オフィーリアは不機嫌を保った。 いくらかすればモウルデンの耳に入るだろう。モウルデンは愚か者ではない。モウルデンの名において、謁見の間より公使とマルクスを連れだし、後の善処を確約して、これを無かったことにするだろう。 そうなっては遅い。それにシャルロッテがいなくて本当に良かった。あの子に知れたら、それだけで大騒ぎになっただろう。 モウルデンが動く前、それからアークリンデが寝室にやってくる前に、話をつけなければならない。 女官らに下がるように命じると、むしろ嬉々として退いてゆく。それを待って、オフィーリアは立ち上がった。 再び琥珀の間に向かうのだ。表からではなく、裏から。琥珀の間は親しいものを招き入れる場でもある。表向きの好き嫌いや、会う会わないの都合を離れた相手と会うところでもある。 よって裏口がある。 オフィーリアは風の魔道を使い、足音を消して廊下を進んだ。裏口の扉を開く音も、閉じる音も、同じく消して。 琥珀の間の灯りは保たれていた。さすがに消して退くのは気が退けたのだろう。 帝國の二人の姿は変わらずあった。丸一刻の間待たされ、さらに罵倒を叩きつけられることも、織り込んでいたというように。 「貴卿らは判っておるのか。オスミナで、帝國軍の通行これ許せなどと言うか。わたしがそれを許せると思うか」 「承知しております、王妃陛下」 マルクスは先と変わらぬ口調で言う。オフィーリアはその姿に歩み寄りながら眉をしかめる。 「その口調と物言いは止め給え。嫌味たらしいよ。近衛騎士卿」 「……」 マルクスは、姿を見せて初めて片方の眉を捻りあげて見せる。あれから何年経っただろうか。古人は年を取らないとよく言われる。あの時の青年将校の姿と、少しも変わらないように見える。オフィーリアはそのマルクスの前に立ち、その顔を見る。 「君の眉毛語なんか判らない」 「だとしても、軍船十隻。これは変わらない」 「君は私が今でも物を知らないとでも思っているのかい。帝國の軍船十隻、そんなものの通行を許して、ゴーラ諸国がどう出るか、判らないと思うのかい!」 「それでも、軍船十隻」 「無理だ」 「軍船十隻」 「駄目だ」 オフィーリアは人差し指で、マルクスの胸を突いた。 「たとえ君が、わたしへの捧げものであったとしても……」 「それは無い」 マルクスはごくきっぱりと言い切る。 「オフィーリア。俺は妻を裏切るつもりはない。そういう命令が来たら、たとえ皇帝陛下その人の口から出るものであろうとも、俺はそれを拒む」 かすかな驚きを、オフィーリアは飲みこんで、マルクスを見かえす。 「ではなぜ君は、ここに来た」 「君と話をするためさ、オフィーリア。帝國は、快速軍船十隻を求めている。それは俺が導いた数だ。副帝陛下にそれを申し上げた」 「……」 「陛下は俺に言った。必要と考えるなら、その手段を取って構いません、マルクス・ケイロニウス・レオニダス卿、と」 マルクスは続ける。 「オフィーリア。俺に言えるのは、帝國北方軍は、快速船を十隻、必要としている」 「オスミナ海軍は動かせない」 「だが十隻だ」 オフィーリアは腕組みをする。マルクスを見つめ、そして言う。 「つまり、君は知っているんだね」 「何かをね」 マルクスは言う。 「でも、俺にできることは限られている。俺は副帝陛下に話を通した。俺にできるのはそこまでだ。あとはオフィーリア、君が副帝陛下と話をするしかない」 その長い手は、世界のどこまで届くのだろう。 あるいは時の何処まで先に。 「……」 オフィーリアは、ゆっくりと腕組みを解いた。 それからマルクスを見る。 「十隻は無理だよ。わたしの持つ船は今のところ六隻だ」 「残りの三隻は帝國から出す」 「言い訳くらいは考えてるんだろうね」 「大丈夫。君が傭船すればいい」 そう、オフィーリアが早い船を好むことは、すでに知られている。もちろん、ただ好んでいるだけではない。そう思われているだけのほうが良いことも多い。オフィーリアは続ける。 「その金は?」 「帝國が出す」 「わたしの船も帝國が借り上げると考えていいね」 「もちろんだ。だが指揮官として帝國軍人が同乗し、帝國軍人が指揮する」 「二倍」 「了解した」 しまったな、とオフィーリアは思った。だから重ねた。 「ゼニア貨幣決済で」 「それは無理だ。軍用金は帝國公用貨幣のみしかない」 「君が副帝陛下に交渉する」 「だとすると支払いは非常に遅くなる。オフィーリア。俺がここに来るのは、ずっと先だ」 「……」 思わず口をつぐんだ。 その意味を、オフィーリアは考える。それから言う。 「金額の半分を、貨幣以外の形で受け取ることはできるの?」 「それは君が副帝陛下に交渉する」 「君の口添えは?」 「軍事的に許容できるなら」 「……」 オフィーリアはさらに少し考える。 「じゃあ、今君の助言を買いたい。オスミナが売れるものは他にある?」 「……」 マルクスは初めてすこしの笑みを見せ、それから片方の眉を上げて見せる。 「わたしにわかる言葉にしてくれないと、アドバイスは買わないよ」 オフィーリアは笑った。 今、航路が見えた。 あるいは、オスミナという鞘を払って、オフィーリアという剣を抜いた、その時だったのかもしれない。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/10520.html
登録日:2010/10/29 Fri 16 57 12 更新日:2024/09/04 Wed 14 53 59NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 1993年 RPG SFC まさに外道 カルラ ゲーム スーパーファミコン トラウマ ←一部 ハドソン パロディ リメイクは難しい ←待ってます 名作 新しい村 新桃太郎伝説 昔話 桃太郎 桃太郎伝説 鬱展開 鬱展開の嵐 鬼畜 『新桃太郎伝説』はハドソンから発売されたスーパーファミコン用ゲームソフトである。 ・概要 ・ストーリー ・主な登場人物桃太郎と仲間たち 敵対する鬼達たち ・本作の魅力システム 登場キャラ プレイのハードさ ・余談 ・概要 ジャンルはRPG。 ファミコンなどの機種で桃太郎伝説1や2が展開されており、内容は2のリメイク(*1)であるが、新桃太郎伝説単体でプレイしても特に問題はない。 CM バーイ、ハドソンッ! 伝説の桃から生まれた…あ桃太郎~っ!!!! 新桃太郎伝説 今回は…何故か月から墜とされて、村人みんなに助けられ、行ってきますと鬼退治!スリの銀二と旅に出たぁ!!常識外れの立体マップ!!! 斜め見おろしマップ ベベル・ビュウ・マップ お供従えアクティブウォーク♪ キャラの速さで歩く アクティブ・ウォーキング・システム 年末の 発売待たずに ハドソンは 今から見せちゃうっ~!!!!! スーパーファミコン版 新桃太郎伝説 買わなきゃ、ハドソン♪ CMのノリは結局いつものハドソンであった…。 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の作中作かと思った人はこちらへ。 ・ストーリー 悪さをする地獄の「えんま様」をこらしめた桃太郎(以上初代『桃太郎伝説』参照)であったが、地獄ではそのえんま様に対する処遇が問われていた。 鬼の一匹「カルラ」は、地獄の王「伐折羅王」に取り入って、「えんま様」を失脚させ、更には月の「かぐや姫」を誘拐するよう進言。かぐや姫に危機が迫る。 それを聞かされ桃太郎はかぐや姫を助けに向かうため牛車に乗り込む かくして「桃太郎」は鬼の野望を阻止するために月へ向かうのだが…。 新桃太郎伝説の物語はここから始まる。 前作や前々作ではギャグ要素たっぷりの仕上がりになっていたが、今作はシナリオに力を入れておりなかなかにハードな仕上がりになっている。 特に「明確に命を奪われる」シーンが存在するのは大きく異なる点である(*2)。 「己が悟りを得て仏にいたる」宗教である上座部仏教と、「功徳を積み、衆生全てが救われる」宗教である大乗仏教の対立がテーマ。 ……まぁ、上座部側が悪役な分、だいぶ偏見が入っているのはご愛嬌。 と言ってもところどころにえのっぴどぅー!な演出や桃太郎シリーズ恒例のあのシーンは健在。 ・主な登場人物 桃太郎と仲間たち 桃太郎 我らが主人公。 今回も刀を片手に悪事を働く鬼達を懲らしめ、愛と勇気を伝えていく。しゃべらない。 お供は犬のポチ、猿のモンタ、キジのキーコ。 平均以上のステータスに豊富な術と立ち回りは何でもござれ。ただしやられると、たとえ仲間が残っていてもゲームオーバーなので注意。 本作は敵も強力だし、集中攻撃をしてくる敵も多いので。 ちなみに切り札であるろっかくの術を使うと「刀の鋭さ」があがるが、伐折羅王曰く「桃太郎の刀からは血の匂いがしない」ため、斬ってはいないらしい。 金太郎 「桃太郎でねが!」 相撲の技を駆使してパワフルに戦う。体力・力共に申し分ないいわゆる戦士タイプ。 術は使えないが、体力を消費してステータス等に影響を及ぼす「すもう技」を使うことができ、ただの脳筋キャラでは終わっていない。 対ボス戦は特に重宝するが、特化型の特性上、一部ボス敵とは非常に相性が悪いのが難点。 天気の弱点は日照りで何も出来なくなってしまう。 浦島 「桃太郎さん!頑張りましょう!」 術を駆使して補助回復。素早いが、体力・攻撃力は若干心許ないいわゆる賢者タイプ。 といっても高性能な武器がすぐに手に入るので、攻撃面では長い間頼りに出来る。 体が弱く、苦手な天気は4つと仲間中最多で、天候不良になると防御力が半分になる。 かぐや姫 月に住んでるお姫様。再び鬼に狙われるが終盤で……。 銀次 桃太郎によって改心し実家の料亭を継いでいたが、桃太郎の危急を聞いて飛んできた。 最初の仲間だが、離脱する場面が多く正式な仲間になるのは桃太郎城が建ってからである。 10段になると盗みを解禁し、資金・経験値・ドーピング用のアイテムを集めるのに活躍する。敵は勝手に攻撃して相手を倒してしまうお供 武器を4種類持てるが戦闘中に武器を「使う」ことができなかったり、ステータス的に今一歩劣る部分がある。 寝太郎 ほとんど寝てる。 実はステータスが非常に高く、起きた時には庇えば全員を庇い、攻撃も必ず会心の一撃になったりするのだが、起きる確率がかなり低く(1/16)扱いにくい。 寝言があれば… 日照りになると永眠する。 でか太郎 雪が降っている北国の庵に住んでいるふんどし一丁の巨人。「アッポー」が口癖。庵の裏の池や塔の中のつづらを回収してくれるいい奴。 武器や防具を装備できないが、攻撃した時にダメージが1~攻撃力までのランダムになる(*3)という特徴を持ち、 さらに空中の敵に対しても命中率が落ちないのは良い点(*4)。 しかしステータスが劣悪(*5)な上にほぼ上位互換のましら(*6)がいるので・・・ はらだし はらだしは種族の名前で、本名は里吉。桃太郎の仲間になることを夢見ているが、きびだんごをトカゲのしっぽと勘違いして覚えている。 ヌルヌルした身体のため物理攻撃が一切効かず、しかも体力がずば抜けて高いので他人をかばうだけで活躍できる。 防御力も高いが先述の理由から無意味。 しかしレベルを上げていくと体の一部を露出する強力な術を使うこともできるので、何をさせるか悩みどころ。 戦闘中温泉旅行に行く事も出来る。 この他レベルを5ずつしか上げられない、専用の回復アイテム「はらだしのお茶」(*7)を持つといった特徴も持つ。 えんま様 前回桃太郎に懲らしめられた。今回はその罰として失脚し、幽閉されるなど散々な目にあう。 苦境に立たされつつも桃太郎に教えられた愛と勇気は決して失わず、地獄の未来を憂いている。 デフォルトで2回行動が可能であり、ステータスも高く術も便利なものが揃う。バグで99回行動までできる今作1、2を競うチートキャラ。 強いて欠点をあげるなら、術力の最大値が低めなことぐらいか。 えんまを慕う鬼達は幹部クラスで実力も高い。特に風神、雷神コンビは… あしゅら えんま様の懐刀と呼ばれる鬼。 知略に長け、希望の都では謎掛けで桃太郎達を苦しませるが、改心した後は味方になる。 癖のある術が多いものの攻撃・回復・補助全てこなせるためかなり便利。攻撃力と素早さも高く、防御力がやや低めなことを考慮に入れても使えるキャラ。 しかし分身の術に分身が倒されると人気が下がってしまうという欠点がある。分身なのに倒されてはいけないとはどういうことなのか… といちやはあしゅらの術全てを使う事が出来ない。 風神 「ぴゅるるるるぅー!」 えんま様の側近の一人。 カルラにえんま様の減刑をちらつかされたことで、再び桃太郎と戦う。 初登場時にはその風でパーティーメンバーを世界中のどこかに吹き飛ばしてしまう。 その後2度桃太郎と戦った後に、鬼側(というかカルラ)を見限ってえんま様を救出するために桃太郎の仲間になる。 例によって1段からの鍛え直しになるが、風神と雷神に関しては初期能力が非常に高いため装備さえ揃えてやれば即戦力になる。 仲間としては物理寄りの万能型。風神という名前の割に風系の術を中位までしか覚えないが、そこそこの回復術と桃太郎と同等以上の肉弾戦能力が頼りになる。 雷神 「ぐゎらり!ぐゎらり!」 えんま様の側近の一人。 風神の親友で、彼と桃太郎一行との戦いに助太刀に現れる。 後に最初から風神とコンビを組んだ状態で桃太郎と再戦。この時の戦闘の厳しさはゲーム中最難関とも言われる。術を封印可能な夜叉姫、あしゅら、ましらがいれば相当楽になるが 戦闘後は風神と一緒に加入。 見た目の割に打撃力はいまいちだが、代わりに攻撃系の術のエキスパート。 素の状態でも雷系・炎系を使えるが、風神と一緒にパーティーにいると風系・波系の全体攻撃術まで使用可能になる。風系が風神よりも強いのまで覚えるというのはどうなんだ。 加えて技(MP)は全キャラ中トップクラスで、体力(HP)も意外なほど高いため術使いとしては異例のタフネスを誇る。 また二人で合体攻撃も使えるのだが、こちらは敵味方全体にダメージを与えてしまうため使い勝手は悪い。素直に術で攻撃しよう。 なお、このゲームはこいつのセリフ「ぐゎらり!」のためだけに「わの小文字」という珍しいフォントがある。 夜叉姫 伐折羅王の娘である鬼姫様。本作では鬼と人間のハーフで、鬼三兄弟の末妹という設定である。 ダイダ王子、アジャセ王子の異母妹で、桃太郎に力試しを挑んだ後、改心して仲間になる。 「お風呂に入るのに着物のままなんておかしいわよね!」 敵として戦うときには正に鬼の強さなのは『桃太郎伝説Ⅱ』同様で、削除された分身の術に代わって身に着けた流れ星の術(*8)が非常に強烈。油断しているとこの時点で体勢が一挙に崩されてしまうほど。 更に本気を出してステータスアップもオリジナル版同様のルーチンだが、こちらではテキスト上はどの程度上がったのかが ぼかされていたオリジナル版と違い、すべてのステータスを明確に「2倍」も強化するというあり得なさでプレイヤーを絶望に陥れた。 一方、仲間になってからの性能については残念ながら「敵幹部が仲間になると弱体化」のセオリーをくらってかなりの弱体化が施されてしまい、 流れ星の術の威力がさほどでもなくなってしまうことも相まって、劣化桃太郎といったポジションに収まっている(*9)。 懲らしめてから仲間に加入するまでの流れは『II』を踏襲しているが、オリジナル版では口調や物腰が女の子らしくしおらしくなるのに対して、 本作では戦闘前とあまり変わらず、ハキハキとした快活な口調のまま。 その代わり、本作では加入を快く受け入れてくれた桃太郎に対し、言いよどむ様に呼び捨てからさん付けに改めるようになっていて、ツンデレ度が少し上がった。 ましら サルの鬼。 自覚はないが音痴であり、ほほえみの村で大音量で歌を歌って村人たちに迷惑をかけていたが、桃太郎に負けて改心する。 武器を装備する事ができず、攻撃も鍵盤を3つ押し三和音を出して攻撃するという独特な攻撃方法で、音が出ない場合は何もしなかったことになる。 クセは強いが鍵盤による攻撃方法が最初から全て解禁されていることもあり、性能は非常に高い。唯一日照りに強い。 雪だるま 桃太郎に会うとおにぎりをくれる女の子。風鈴をあげると仲間になる。 一切の装備が出来ず攻撃も気まぐれで、そのどれもが敵はおろか味方にすら影響を及ぼすものばかり。 そのためまともな戦力としては期待できないが、極々マレに敵全体を一撃で葬る必殺技「1000本の氷の刃」を繰り出し、 ザコはおろかボスすらも一撃で葬る必殺仕置き人と化す。 黒河童 桃太郎たちのアイテムを持ってとんずらしてしまう嫌な敵。 しかしきゅうりには目がなく、手持ちにあれば最優先で取っていき、きゅうりをかじってしばらく動けなくなり、きゅうりを食べてる間に倒すと仲間になる。 一切の装備が出来ず、攻撃する時はユキだるまと同様気まぐれな攻撃を行うが、多少の術を使う事が出来る。ただし攻撃を受けるとよく攻撃力が下がる。 福の神 桃太郎に会うと金をくれる神様。人気度が一定以上あれば、神々の里で仲間にできる。 本人曰く「自分がいればお金がたくさん手に入る」とのことだが、実際のところは福の神が絶好調状態の時限定で敵の落とすお金が2倍になる、というもの。 しかし術や特殊技を持たずステータスも低いため、戦力としては辛い。 一応全キャラ中最も絶好調になりやすいという長所はあるが……。 天邪鬼 桃太郎に会うとひねくれた願いの叶え方をしてくれる。 名前は鬼だが(一応)神様で、神々の里で要求してきたもの全てを見せると仲間になる。ただし一つでも足りないと全て集め直し。 一切の装備が出来ず、松竹梅特の4種類から選んでその中からランダムな攻撃を行う。 自パーティーにマイナス影響を及ぼすものも多いのでかなり使いにくい。特に、「特」を選ぶ時は覚悟したほうがよい。 能力は最低クラスな上にランダム攻撃のせいで不安定なので、パーティーには完全にお遊びで入れるキャラ。 貧乏神 こちらも神々の里で仲間になる。シリーズおなじみのお邪魔キャラだが、神様たちの中では唯一無条件で仲間になってくれる。 加入時には好きな名前をつけることができるのだが、この時「えのん」「えのっぴ」「えのもと」のいずれかにすると加入時に一歩ごとにお金を落としてしまう。 一応は隠し要素なのだが、当時は「ジャンプ放送局」の影響によりこれらの名前をつけるプレイヤーが多かったため全く隠れていなかった。 戦力としては「敵全体にダメージ&同時にお金を盗む」専用の術を覚えるため、上記の名前を避ければ逆に金儲け要員として働ける。 とはいえこの術の燃費が非常に悪い上に、ステータスも福の神よりやや下程度なので使えるキャラとは言い難い。 貧乏神のレベルを99段まで上げると… キングボンビー へとまさかの進化を遂げ、一気にパワーUP…と思いきや、 装備品もつけられなくなり、術まで使えなくなるので実質的には弱体化してしまう。得意・苦手な天気が変わるだけ。 とはいえレベル99な時点でもう桃太郎達に敵はいないが… といちや おなじみ道具とお金の預かり業を営む商人。 預けたお金が一定額を超えると、桃太郎の仲間になれば儲けられるのではないかと考えて自分を仲間にしないかと持ち掛けてくる。 ここで30000両を支払えば仲間の一員になる。 払うのはどの村のといちやでも構わず、また一度払えば城で自由に入れ替えられる。 というか一度条件を満たすと、仲間にしない限りといちやを利用するたびに仲間にしろと迫ってくるのでうざったいことこの上ない。お金があるならさっさと仲間にしてしまったほうがいい。 胴装備ができず脆いが、現在の仲間が使える術のうち一部を除く全てを使う事ができる。 ただし防御と道具使用以外の全ての行動で金を請求する上、特に術は性能に応じて額が高くなり高威力の術だと65535両しか持てないのに万とか請求する。がめつすぎる・・・ 補助系は比較的割安ではらだしの術も使えるため変質者になればかなり活躍できる。 敵対する鬼達たち 伐折羅王(ばさらおう) 地獄の鬼を統べる王様。部下(主にカルラ)の発言を真に受けちゃう王様。そのおかげでこっちは大変だよ…。 パラレル関係の『桃太郎伝説2』のラスボス・地獄王のポジションで、夜叉姫の父であるなど共通要素も多いが、『2』の地獄王とは大きく恰好が異なる(*10)。 カルラ ま さ に 外 道 伐折王の腹心の部下。 上の者には媚びへつらい、下の者には容赦なし。鬼の鬼による鬼のための世界をつくるべく、人間をひたすらに嫌っている。 その上、同族の鬼すらも自身の出世の道具としてしか見ておらず、邪魔するものを抹殺することに躊躇しない外道である。 なお、本作オリジナルキャラで『桃太郎伝説2』には登場しない。 ダイダ王子・アジャセ王子 夜叉姫の二人の兄。ダイダ王子は鬼と鬼子母神の間に生まれた純血、アジャセは月の民とのハーフ。 武に秀でたダイダ王子と知に秀でたアジャセ王子。 それぞれがこれからの地獄についての考えを持っているが、 出自の違いゆえの確執により、仲が良くない。 双方本作オリジナルキャラで『桃太郎伝説2』には登場しない。 酒呑童子 羅生門 三千世界 ダイダ王子直轄の鬼で、「三軍神」と呼ばれる。 あれ、これなんて3兄d(ry いずれも確かな漢達ばかりである。 なお、酒呑童子と羅生門は『桃伝(1)』からの続投(*11)。 酒呑童子は三人の中では一番の後輩だが、直属の部下「四天王」を筆頭に将来有望な若い鬼たちを率いるリーダー気質で、直属ではないえんま様配下の鬼たちにすら一目置かれている。 羅生門は前作での桃太郎との戦いを通じてだいぶ友好的だが、桃太郎が鬼の未来を救えるのかを確かめるために敢えて再戦を挑んでくる。 三千世界は伐折羅王すら凌ぐと言われる最強の鬼。自らの力の強さを怖れて普段は誰も立ち入れない場所で隠棲しているらしいが……。 + 開発中のウラ話 三千世界は、当初は設定通りに(伐折羅王より前に戦うのに)伐折羅王より能力値を高くしていたのだが、そのせいで桃太郎たちのレベルがカンストしても倒せなくなった。 加減しろ莫迦 そのため本編では「手加減している」ということにして能力値を下げたという経緯がある。 実際に作中の三千世界本人も手加減したことを言及しており、本気を出したら桃太郎たちもカルラも勝てない相手だと思われる。 右魂鬼&左魂鬼 「うこんき」「さこんき」と読む。 カルラが自らの魂を分けて作り出した2体の分身。 そのためカルラの命令に忠実で、また倒されてもカルラ本人が生きている限り何度でも生み出せるとても厄介な存在。 + ……だったのだが(終盤のネタバレ注意) 桃太郎たちに一度倒された後に実際にカルラによって再生されたのだが、何故か彼らは桃太郎たちへの攻撃を行わず自ら消えてしまい、おまけにカルラの再生も受け付けなくなってしまった。 彼らがカルラの魂の分身であることから、恐らくはカルラに残っていた最後の良心のカケラの具現化だったのではないかと推測されている。 そもそもカルラは自らのあまりの外道な振る舞いのせいで同族の鬼たちですら誰も従わなくなったため、その代わりの部下として生み出したのがこの分身たちである。 にも拘わらずその分身たちにすら否定され、いよいよカルラは完全に孤立することとなるのだった。 ・本作の魅力 システム このゲームの魅力の一つとして、仲間の多さがある。 仲間は旅の途中でどんどん増えて総勢19人。 その中には、金太郎や浦島といった童話のヒーローからかつて懲らしめた鬼達まで様々である。 だが…当然能力もピンキリ。 安定した攻撃力・重装甲の金太郎や回復エキスパートの浦島はメンバー筆頭である。 その他にも仲間になるのは遅いがハイスペックなえんま様、癖はあるが強力な術使いのあしゅら等も候補。 しかし、あらゆる行動が料金制で所持金がガンガン減る「といちや」や、必ず会心の一撃を繰り出すが、そもそも行動出来る確率が1/16の「寝太郎」など、 アクが強いキャラも多い。 「ましら」も普通に使うには弱すぎる。が使い方を理解するとバランスが崩壊してしまう。 色物キャラの格差のみならまだしも、夜叉姫などストーリー上で重要なキャラでも格差が大きく、この点は嘆かれがち。 誰を使うも自由であり、安定したメンバーで旅を続けるも良し、妙なメンツで波乱の旅をするも良し(相当な苦行になるが)の自由度の高さが魅力である。 他にも戦闘時ランダムで天候が変わる「タクティカル・ウェザー・バトル」 キャラがマップ、村や都等で一列に並ばず自由に動き回る「アクティブ・ウォーキング」 と斬新なシステムが多い。 登場キャラ 鬼側も鬼側でなかなか個性豊かなキャラばかりだが… そのなかでもカルラの外道・鬼畜さは目に余る物がある。 桃太郎に鬼をけしかけて、鬼が負けるとその鬼を処刑する(*12)。 人間界で起きた事態を自分の都合の良いようにでっちあげて地位を高めると共に、自分の思うがままに主君を欺き利用する。 とある村での惨劇(*13) など数えるとキリがない。 この世にゲームは数あれど、これほどの外道はなかなかいないのではないだろうか…。 ――ただし、実のところ、カルラとて生まれついての悪党だったわけではなく、確かな青雲の志をもっていた時期はあった。 しかしながら実力で大きく劣るカルラは段々とゆがんでいき、己の無力さを憎み、卑劣さでのし上がる道を選んでしまった。 その結果、最終的には全ての鬼達から見放されてしまう末路に(*14)。 このゲームの「ストーリー」のハードさはカルラによってもたらされる部分が大きい。 プレイのハードさ 全体的に敵が強く、こちらの回復手段は限られるため、考え無しに突っ込むと大変まずいことになる(*15)。 特に桃太郎が力尽きてしまうとゲームオーバーのため、うまく立ち回る必要がある。 また、要所要所に挟まるボス等も対処法を知らないと返り討ちになる場合が多く、一種の初見殺し。 特に物語中盤に挟まる風神雷神戦はかなりの難易度でトラウマになりがち。 前述のとおり仲間キャラの格差も大きい上に、中盤でパーティーが強制で解散されるイベントがある。 離脱キャラの選択やパーティー編成をしっかりとしないと辛いことになるが、対策を練ればちゃんと勝てる辺り、バランスは言うほど悪くない。 すべての敵に一つ以上の特殊技を! のコンセプト通り、何の取り柄もなくただ殴ってくる敵は一種類しかいない。一番最初に出会うであろう赤鬼だけである。 能力が尖っていたり、序盤から「痛恨の一撃」を繰り出してきたり、技(MP)を吸い取ったり、回復用の食べ物を盗んだり……実にバラエティ豊か。 ただ、ハドソン製ソフトの宿命か…若干レスポンスが悪く、移動も遅く、ノーマル状態のエンカウント率が非常に高いため、 全滅→遠方から再開→やっとたどり着く→また全滅 などとなった時はストレスがマッハになる事請け合いである。 (バランスの悪さそのものは、開発期間が4か月しかなかったというやむに已まれぬ事情もあるのだが) しかし、操作性には難あれど、RPGとしては中々の完成度を誇る今作をプレイする価値は十二分にある。 ちょっとハードなゲームがプレイしたいという方は手に取ってみてはどうだろうか? ・余談 桃太郎シリーズはこれ以降「桃太郎電鉄」の方にシフトしてしまったため、続編は出ていない… 伝説の続編やリメイク(移植)を望む声も大きいですよ!さくまさん! と思っていたら、何と「旧ハドソン側が桃太郎シリーズのプログラムを破棄してしまったため(*16)、移植やリメイクはできない」という事がさくまあきらのブログで明かされてしまった……。 一から作り直せばよいのでは? 天の仙人 「ウヒャヒャヒャ…ウィキ篭りよ!何をそんなにあせっておる!」 「項目達を消すのではなく、追記と修正を伝えるのじゃ!あせることはない!」 「もう一度めいでんをこらしめてみせい!」 「ウィキ篭り、おまえなら出来るはずじゃ…ウヒャヒャヒャ…!」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ギャグや面白いパロディが売りだったのにカルラのせいで全てが台無しになった感が否めない。 -- 名無しさん (2014-03-01 11 01 09) カルラに言いくるめられてるバサラ王は無能だと思う -- 名無しさん (2014-03-01 14 54 39) 桃太郎版天外魔境 -- 天外魔境IIの項目はまだか。 (2014-09-13 18 29 49) でもカルラの存在があってこそ、名作とよばれる所以でもあるんだよね -- 名無しさん (2014-09-18 00 23 23) まぁ今のKONAMI見てると絶対無理だろうなぁ・・・ -- 名無しさん (2015-02-18 14 08 04) 実際には「ただ殴るだけの敵」は赤鬼以外にもいる。ただし、そういう敵は同時期のザコ敵より攻撃力がズバ抜けて高いので、正しくは「“何の特徴もなく”ただ殴るだけの敵は赤鬼のみ」となる -- 名無しさん (2015-04-28 21 22 48) ここまでキャラ性能差がピンキリなゲームも珍しい気がするわ・・・ -- 名無しさん (2015-11-13 11 39 04) ガキの頃にプレイできて良かった。良い思い出だよ。 -- 名無しさん (2016-08-25 23 04 41) ハドソンゲームの常でエンカウントや色々きついところもあるが、今やっても十分に楽しい傑作RPG -- 名無しさん (2016-11-07 19 12 34) 鯉と銀次のおかげで基本的に金に困らないが装備を固めてもエンカ率が高くてキツいのと持ち金がといちやと合わせて13万と少しが限界なので終盤常に金欠という類を見ないゲーム -- 名無しさん (2018-07-19 21 02 00) シナリオは素晴らしいのだが、テキストに「!!」が多用されすぎてて読んでてちと疲れるのが残念だ。リメイクが不可能なのが惜しいなあ -- 名無しさん (2019-01-05 21 11 09) バサラ王が無能かと言われるとなあ、「鬼は嘘をつけない」という大前提があって、それが実際カルラ以外にはずっと通用していたわけでな -- 名無しさん (2019-06-24 19 23 35) 荒らしコメントを削除 -- 名無しさん (2019-06-28 13 37 13) 風神・雷神が仲間として微妙、という記述があったので修正。実際に使えばわかるけど普通に強いぞこいつら。 -- 名無しさん (2020-11-07 19 46 24) ↑3無能ってよりも良くも悪くも武人気質な王って印象だったな ちなみに小説版ではカルラの悪行に気づき処刑しようとするもカルラの毒の刃によってあと一歩の所で返り討ちにされてしまうというオリジナル展開になってる -- 名無しさん (2020-11-07 20 34 23) 自分はライブアライブのオディオ、スぺマリのディメーンとこの作品のカルラの3体と合わせて印象にかなり残った悪役なんだよなぁ シリアス展開は嫌いじゃないけど、それの反動かPS版無印桃太郎伝説はほぼほのぼの系になったという -- 名無しさん (2020-11-13 20 06 21) そもそも最初から桃太郎シリーズとして作られた訳ではなく、文学性の高い作品をという志がまず先に合って、とっつきやすさを重視して桃太郎の世界観を載せたってのが真相だぞ。まあそのおかげでシリーズとしては賛否ある異色作になったのも事実ではあるが。 -- 名無しさん (2020-12-04 08 02 57) ↑3 鬼の世界を統一するにもいろいろな苦労や辛いこともあって、そこを言いように付け込まれ、誰が悪いのか本当は理解できたけど認めたくないという心理状態に追い込まれてしまった結果があのあがきだったのではないかな -- 名無しさん (2020-12-04 08 05 21) ちょっとクローンゲー的な続編を作りたいという気が起きたけど、あの面白さはさくまあきらさんしか出せないだろうしなぁ……。 -- 名無しさん (2020-12-04 09 59 49) ライブアライブだってリメイク出来たんだ、これだってもしかしたら... -- 名無しさん (2022-08-25 00 50 29) リメイクでも移植でもいいからまたやりたい・・・っていうかなんでswitchオンラインで出してくれないんですか・・・? -- 名無しさん (2022-08-25 01 05 29) 鍵盤入力を知ってれば強すぎる技が揃ってるましらだが。「一々のコマンド入力が面倒くさい」という一点のおかげで絶妙にバランスが取れていたりする。ボス戦ならともかくザコ戦一回一回に入力面倒なんだわこれが -- 名無しさん (2022-11-22 20 26 08) 仮に続編の企画があったとしても、エンディングのその後を考えるのが極めて難しいだろうしなぁ…何せ大団円で終わる訳じゃないし -- 名無しさん (2022-11-22 20 49 39) 閻魔様唯一の弱点である技の少なさは和菓子でカバー出来るから自重しない限り欠点はないという。 -- 名無しさん (2023-04-09 08 57 46) リメイクも移植も、「今までの形」でやってほしいという話なら、土居ちゃんがさくま氏に頭を下げて和解しないと無理。switch版の桃鉄のようになって良いリメイクだったら一応可能ではある。 -- 名無しさん (2023-04-09 11 46 29) ↑え? 土居んってさくまとケンカ別れしてたの!? -- 名無しさん (2024-06-14 09 19 10) あまりに印象的だったので、カルラという名前のキャラを見るたびにここのカルラを思い出す羽目に。 -- 名無しさん (2024-07-12 15 08 50) カルラは独立させてもいい気がする -- 名無しさん (2024-08-09 20 05 51) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4301.html
前ページ風林火山 ―――――その光景に、勘助は目を丸くした。 「これが、『桟橋』・・・『空船』か」 ギーシュが必死にフーケと戦っている頃、勘助達は桟橋へとたどり着いた。 (話には聞いたのだが・・・やはり、己の目で見れば、違う) 改めて、この国の技術に驚かされる。 「時間が無い。急ごう」 ワルドが、驚いている勘助に声をかけた。 3人は、薄汚れた階段を昇りはじめた。 ―――ザッ 背後で、靴が地面と擦れる音がした。 「―――!?」 勘助とワルドが反応し、振り向いた。 そこには、フーケと共にいた、黒マントが立っていた。 「姫様っ!」 「ルイズッ!」 勘助とワルドが、黒マントの男とルイズの間に割って入る。 勘助は、デルフリンガーを。 ワルドは、杖を抜き、構えた。 黒マントは、呪文を唱えながら勘助とワルドを避けるように回り込み、ルイズへと迫った。 「姫様!」 勘助は機敏に反応し、ルイズをその手で抱えた。 そこへ、ワルドと黒マントが、同時に呪文を唱える。 だが、完成したのは黒マントの方が一瞬、早かった。 その呪文の正体に気づいたデルフリンガーが、声をあげる。 「『ライトニング・クラウド』!いけねぇ相棒!」 即座に、ルイズを後ろへと弾く。 「グッ」 瞬間、デルフリンガーを介して激しい電流が勘助の体を走り回る。 「勘助っ!」 腰を地面に打ち付けながらも、ルイズは思わず叫んだ。 黒マントは、その勢いのままルイズへと突進する。 「くそっ!」 そこへ、呪文を完成させたワルドの『エア・ハンマー』が叩きつけられた。 黒マントは、うめき声一つ上げずに、階段からはるか下へと落とされた。 「勘助!」 ルイズが、勘助を抱き上げる。 「大丈夫!?勘助!勘助!」 「姫様、ご無事で・・・」 朦朧とした意識の中、それだけを言うと、勘助の瞼は重なった「。 ―――――自分の、せいだ。 (私のせいで・・・勘助が・・・) 目にいっぱいに涙を浮かべて、ルイズは勘助を抱きかかえていた。 その横に、ワルドがスッとしゃがみ込み、勘助の脈をとっていた。 「大丈夫。どうやら、気を失っているだけのようだ」 ワルドは、やさしくルイズにささやく。 「でも、あれだけの攻撃を受けたんだもの・・・一刻も早く、治療しないと・・・」 ワルドが頷く。 「そうだね。・・・でも、ここから下に降りるには遠いし、それに、そんな時間もない。このまま、彼を連れて船に乗るしかないな。船医が居てくれることを祈ろう」 慰めるように優しく、ルイズの肩を抱きしめた。 2人は、気絶した勘助をレビテーションで移動させ、船へとたどり着いた。 そして、ワルドが交渉をすませ、特別に船を出発させることになった。 (やっぱり、ワルドは凄い・・・) ルイズは、何所か惹かれるように、ワルドの事を思った。 だが、同時にそれを意識する度に、チクリ、と得体の知れない胸の痛みをも味わっていた。 ふと視線をやると、目を閉じたまま浅く呼吸をしている、異相の青年の姿があった。 (勘助・・・) ―――――これは一体、どうしたのだろう。 辺りの混乱によって、勘助は深い眠りから目を覚ました。 キョロキョロと、周囲を見回してみる。 「ここは船の中だよ、相棒」 声は剣から発せられていた。 「相棒が黒マントにやられてから、あの男爵が相棒をここへ運んで、そのまま出発したんだ。今はアルビオンの目の前ってところだな」 「なるほど。だが、この騒ぎはいったいどういうことだ?」 深い眠りから目覚めたばかりでも、勘助の頭はしっかりと働いていた。 デルフリンガーが説明してくれたことに感謝しつつ、疑問をぶつける。 「どうやら、空賊に捕まったらしいね。そら、外から笑い声がするだろ?あれさ」 それに、目を見開いて驚いた。 「なんということだ!こんな時に捕まるとは、運がないな。して、姫様は・・・」 勘助の最大の心配事を聞いた。 最も、このアルビオンで事を行っているからには、恐らくは反乱軍の作戦の一つだろう。 トリステインの、それも上級の貴族であるルイズには、まだおいそれと手を出すことができないはずだ。 「さあ。娘っ子も表にいるようだが。まぁ、まだ捕まって何分もたっちゃいない。どうにかなってるってことは無いと思うがね」 それを聞いて、勘助は胸をなでおろす。 ついで、デルフリンガーと刀を手に取った。 「とにもかくにも、様子を見ねばならん」 言うと、そのまま船室のドアを開き、空賊達の前に姿をさらした。 「船の積み荷はすべて買った。料金は手前らの命だ」 そこには、空賊の頭と思われる人物と、頭を落とした船長らしき人物がいた。 「勘助、目を覚ましたのね!」 ルイズは、空賊に手を捕らえられながらも、勘助の姿を見ると言った。 ついで、空賊の頭が勘助を見やった。 「おぉ、まだいたのか・・・ほう、中々上等な装備じゃねぇか。そこの貴族の従者か?まぁいい。そいつもフン縛って連れて来い!」 ―――――捕らえられた勘助達は、船の営倉に閉じ込められた。 勘助は武器を取り上げられ、ルイズとワルドは杖を奪われていた。 周りには、うず高く積まれた積み荷があった。 酒樽や穀物の詰まった袋、武器や弾薬までもが雑然としてあった。 勘助とワルドが、それらを興味深く眺める中、ルイズが口を開いた。 「勘助、大丈夫なの・・・?」 見れば、体を縮こませたルイズが、心配そうな眼で勘助を見ていた。 昨日の出来事を、深く気に病んでいる様子だった。 「いえ、もう問題はございませぬ。しかし、不覚を取り、姫様を危険に晒してしまった。そのこと、深く反省しております。ワルド男爵がいなければ、今頃は二人とも生きてはいなかったでしょう」 慌てたようにルイズが言う。 「そ、そんなことないわよ!勘助がいなかったら・・・」 そこへ、ワルドが口を挟んできた。 「尤もだ。確かに、貴方は人を指揮し、戦略を立てる能力は素晴らしい。この僕でさえ、遠く及ばないだろう。その事は、身を持って理解した。」 勘助を正面に見据えながら、だが、と言葉を続ける。 「こういう事態とあれば話は別だ。訓練を受け、素晴らしい力を持っているようだが、いかんせんメイジとの戦闘経験が不足している。」 鋭い目で、勘助をにらんだ。 そして、一息貯めて、言った。 「それでは、ルイズは守れない。」 「ワルド!そこまで言わなくても!」 ルイズが慌てて口をはさむ。 「いや、事実だ。このことをしっかりと認識してもらわなくては、また同じ事になるかもわからない。なにせ、ここを上手く脱出した後は、さっきよりも余程危険なことになるのだからね」 ワルドはルイズに振り返り、言った。 「ルイズにも、そのことを認識して貰わなければならない。僕は、元々君たちの護衛の為に呼ばれたんだ。当然、君たちよりも強く、戦いに長けている。」 しっかりと、ルイズの目を見つめて、告げる。 「ルイズ。君を守れるのは、僕だけだ。」 じっと、ルイズの目をワルドは見つめた。 だが、不意にルイズは視線を逸らしてしまった。 「ふぅ。まぁ、まだ仕方ないね。でも、僕は急がないよ、ルイズ」 優しく、ワルドはルイズに囁いた。 その様子を、勘助は静かに見つめていた。 ―――――ガシャン、と突然扉が開かれた。 やせ過ぎの空賊だった。 その男は、じろりと三人を見回すと、どこか楽しそうに言った。 「お前たち、アルビオンの貴族派か?」 誰も答えない。 「おいおい、ダンマリじゃわからねぇよ。でも、そうだったら失礼したな。俺たちは、貴族派と手を結んでいてな。ここを自由に荒らす代わりに、王党派を捕まえる密命を帯びているのさ」 「じゃあ、やっぱり反乱軍の軍艦なのね?」 「いやいや、俺達は雇われているわけじゃねぇ。あくまで、利用し合う対等な関係さ。まぁ、お前らには関係無い。どうなんだ?貴族派か?そうだったら、きちんと港まで送ってやるよ」 勘助とワルドは、内心ほっとした。 ここで、しっかりとルイズが答えれば、ひとまずは危険を冒さずに港へと降りられる。 さらに、ここである程度気に入られれば、近くまでは危険を冒さずに行けるかもしれないのだ。 だが、ルイズは首を縦には振らなかった。 「誰が薄汚い反乱軍なものですか。私達は王党派への使いよ。まだ反乱軍が勝ったわけじゃないのだから、アルビオンは王国で、私たちトリステインを代表してそこに向かう貴族なのだから、大使ね。大使としての扱いを要求するわ」 「「な・・・」」 二人とも、思わず声が出てしまった。 ルイズは、それをジロリと睨むと、 「何よ、ウソついて頭を下げるくらいなら、死んだ方がマシよ」 と言い捨てた。 そんな様子を見て、空賊は呆れたように笑った。 「正直なのは美徳だが、長生きはできねぇな。まぁ、そこでよく考えて待っていろ。ただじゃ済まねぇだろうがな」 空賊は去って行った。 「ひ、姫様!一体何を・・・」 珍しく、勘助が狼狽している。 それを、どことなく楽しそうに見ながら、言った。 「最後の最後まで私はあきらめないわ。地面に叩きつけられる瞬間まで、ロープが伸びることを私は信じてる」 (姫様・・・) 苦々しい思いを持ちながら、しかし勘助の目には、ルイズがとても眩しく映った。 しかし、どう言っていいものか分からず、思わずため息をついた。 ワルドが寄ってきて、ルイズの肩を叩いた。 「いいぞ、ルイズ。さすがは僕の花嫁だ」 ルイズは、複雑な表情を浮かべて、うつむいた。 すると、扉が開いた。 先ほどの、空賊だった。 「頭がお呼びだ」 ―――――そこは、立派な部屋だった。 豪華な内装に、豪華なディナーテーブル。 その上座に、空賊の頭が座っていた。 大きな水晶のついた杖を持っている。 どうやら、メイジらしい。 それだけでなく、脇に控えている幾人もの空賊も、杖を持っていた。 「さて、単刀直入に言おうか。王党派と言ったな?」 「ええ、言ったわ」 「何をしに行くんだ?あいつらは、明日にも消えちまうよ」 頭は、歌うように笑って言った。 「貴族派につく気はないか?あいつらは、メイジを集めている。礼金も、たんまり弾んでくれるだろうさ」 「死んでもいやよ」 そう答えたルイズの体は、小刻みに震えていた。 怖いのだろう。 だが、それでもルイズは前を向いて、どうどうとしている。 (姫様が・・・!) 勘助は、目から涙が出そうだった。 あの、姫様が。 病弱で、今にも倒れてしまいそうだった姫様。 もう、一年も生きられぬと言い、いなくなってしまった姫様。 (その姫様が、ここまでにどうどうと・・・) そこまで思い、何かおかしなことを考えていることに気づいた。 (一体何を考えて・・・姫様が死んだ?馬鹿な) 一体、自分は何を考えているのだろうか。 勘助の敬愛する姫様は、ここにいるルイズだけであり、彼女は健康そのものといえよう。 気力も満ち、これから成長なさる方だ。 勘助は、自らのおかしな思考に呆れる思いだった。 「もう一度聞く。貴族派につく気はないかね?」 その言葉を聞き、勘助は今まで考えていたことを、内心で一笑して片付けた。 ルイズが、再び口を開く。 「たとえここで殺されようと、貴族派につくなんてことはあり得ないわ」 (ここまで言った以上、もうどうにもならん・・・頭を抑え、港まで何とか逃れるしかあるまい) 勘助は、あたりを見回し、行動する瞬間を探した。 ワルドも同じなのだろう。 彼も、周囲に気づかれぬように目をやり、腰を若干落とした。 だが。 頭は、突然大声で笑い出した。 「トリステインの貴族は、気ばかり強くてどうしようもないなぁ。まぁ、どこぞの国の恥知らず者どもよりは、何百倍もマシだけれどね」 それまでの態度を一変させた頭領に、3人は戸惑った。 「失礼した。貴族に名乗るのなら、こちらから名乗らなくては」 周りに控えた空賊共が、一律に笑いをおさめ、直立した。 頭は、カツラだったのだろう、黒髪を剥いだ。 ついで、眼帯を取り、作りものだったらしいヒゲをも取り外した。 すると、そこに現れたのは凛々しい金髪の青年だった。 「私は、アルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官・・・」 若者は、身なりを整え、威風堂々と声を発した。 「そして、アルビオン王国皇太子。ウェールズ・テューダーだ」 ―――――なんという・・・ 流石の勘助も、苦笑を隠すこともできないでいた。 (反乱軍を制圧するために、補給を断つという手段は定石といって良い。だが、大将自らがその船に乗り、賊として働くなど、古今東西聞いたことすらない) それだけ切羽詰まっているのだろう。 大将自らがとなれば、それこそ王軍は100の手勢すら無いのかもしれない。 そう思ってもおかしくは無い出来事である。 (もはや、崩れゆく旧権力に味方する者はおらんのだな) この国々の貴族たちは、己の国の名誉のためには命をも投げ捨ていると聞いた。 だが、実際は保身を第一に考え、利に貪欲な者達だったのだ。 甲斐の者達と何も変わらない。 だが、人である以上それは当然なのだろう。 越後の侍共は、主君の、上杉家の為に命をも捨てて戦った。 あのような豪傑共が多く集う国なぞ、極々希少な存在に違いない。 チラ、とウェールズを見た。 この国はもう、幾分とも持たないだろう。 様子を見る限り、今この瞬間に滅んでしまっても驚きはしない。 (だが、血は絶やしてはならぬ。王の血が残っている限り、国は滅びはしない。皇太子をトリステインに導き、その名の下に戦えば、味方の士気は著しく上がるだろう) 勘助は、すでにこの皇子をどうやってトリステインまで亡命させるかを考えていた。 前ページ風林火山