約 1,583,500 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/41760.html
【検索用 れいにー 登録タグ 2018年 VOCALOID v flower てとら れ 曲 曲ら】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:てとら 作曲:てとら 編曲:てとら 唄:flower 曲紹介 曲名:『レイニー』 てとら氏の4作目。 歌詞 (ピアプロより転載) こんな言葉も今だけは 慰めてくれるだろうか そっと触れた指はひどく 冷たいまま 夜に更けた 声は幽かな依怙地を孕んで あっという間 もぬけの殻 愛はエーテル 虚ろな花 それでも願う あなたから 気付けば痣だらけ 確かめたいだけ ただ二人の距離を 今更もう遅いかな 最低なレイニーレイニー 私はあなたに言えない こんな思いもどうして くだらないかな 曖昧なレイニーレイニー あなたが優しく笑うから こんな憂いがあること 笑えないよな こんな別れは夢現 消えかけのこの想いはメロウ あいも変わらず誤魔化すのさ 昨日 あなたの声は遠く どんな言葉を並べても 何もかもが嘘みたいだ きっともう届かないような 気がしてしまう あなたから 全部そう あなたのこと 知ったような顔してしまう 脆弱さには痛みだけが残るのに そうやってレイニーレイニー いつか私とあなたは そんな思いもどうして 言えないんだろう 低迷のレイニーレイニー 一つ二つとしまうように こんな憂いがあること 許してほしい ただあなたと笑っていたいのにな くだらない話でいいのにな 明日あなたにちゃんと言うからさ 声になるまで愛していて 最低なレイニーレイニー 私はあなたに言えない こんな思いもどうして くだらないかな 曖昧なレイニーレイニー あなたが優しく笑うからもう 笑えないよな コメント 思わず口ずさんでしまう -- たま (2020-08-03 20 19 45) この曲めっちゃ好き -- ねこたちと日本酒 (2023-06-22 20 07 12) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/54179.html
【検索用 れいにー 登録タグ 2023年 VOCALOID れ 初音ミク 曲 曲ら 楽園市街】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:楽園市街 作曲:楽園市街 編曲:楽園市街 唄:初音ミク 曲紹介 #013 レイニー - Rainy 曲名:『レイニー』 楽園市街氏の13作目。 歌詞 (YouTube本人投稿動画説明欄より転載) 僕が持つべき者は貴方さ、莉々 餐卓に並ぶ疑念 沈黙が降りる 奪して、奪して 其儘、口に出して わからないが解らないのだ 抗して、斯して 戻れない日々を拐う 病衣で部屋を出る 夜を盗もう 傘も差さず飛び出した 水溜りを荒らし舞った 右手に感じる熱を想い耽った 蝶は雨を予期し去った 魔法が僕等を照らした 此処においで、ミンストレル たったらた 濡れた石畳の上 たったらた 蒼きワルツを踊った 貴方とならば食傷気味の不幸も 添い遂げて擧げるから 後悔を分かち合おう 滾るワイングラスの底 瑕疵が覘く 歪み映り込む寝顔 微かな呼吸 只管、永遠を祈って ナイトテーブルを灯して シーツを汚して夜を亡くした 甘く頸筋を噛んだ 傷痕を指で捺塗った 全て僕の所為にしよう たったらた 入り込む陽射しが たったらた 是で了りみたいで 幸福の合図を手を擧げて掲げた 二人だけのカーテンコール 今だけは空も飛べる レイニィ、レイニィ 朽ち果てた教会で聲を潜めた レイニィ、レイニィ 挘り捨てて迄、望んだ未来を 爱你、爱你 愛しく感じているんだ 額を押し附け合った 馬鹿らしくて笑った 車窓に薤露青 汽車の半券は持った 忘れ物はないよ、アンドレイ 零時の到着を待つ 星座盤が示した鐘が鳴る方角へ 迎えは要らない 一緒に征こう 見間違える程に晴れ渡った空へ 車輛が飛び立って征く たったらた たったらた あ 瞳が翳った 瞳が僕を奪った 泣き腫らした最後に 貴方と笑い合えたら 「ドレスコードを召して。」 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/38308.html
【検索用 れいにー 登録タグ VOCALOID れ プリュ 曲 曲ら 結月ゆかり】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:プリュ 作曲:プリュ 編曲:プリュ イラスト・動画:プリュ 唄:結月ゆかり 曲紹介 叫んだ。 「ヴィクトリー・サイキスト」キャライメソン第一曲目 つまりV.P. ビクサイでいいです。 曲名:『レイニー』 歌詞 何時(いつ)から 独り言を呟くと 天から 変な物が降ってきました 私は 別に気にしていないけど どうやら 力を持っちゃった様なんです。 刹那の破裂音 機制通りの音(ね) 重力のストラト 追憶とバラバラ 鈍くなる銃声 にじって鳴る亡霊 混ざり合う悲鳴 ゼロ・エルステッド 擦過(さっか)からの真っ赤の欠片で 下降を超え合う群れの声 私だけは見ないでくれよ きっと私の所為(せい)じゃないから 何時から 独り言の癖になり 診断 閉じこもって心敗血症【心無し】でした 私は 別に如何(どう)なって良いけど どうやら 衆【目】が怖かった様なんです。 臨界周波数で 聴力に省エネを 貴方の愛情も落ちたり落ちたり 前頭葉に遮蔽(しゃへい) 平衡化(へいこうか)に不応 人すら見えないんですよ、ピアジェ様 遡(さかのぼ)る真っ赤の感覚が 加工の嘲笑を後悔に代えた 私では何も出来ないよ 「助けて」の言(こと)すら猛毒になるから 唇から 鉄の味がする 雨降る度に 叫びたくなる 擦過からの真っ赤の欠片が 肺血(はいけつ)と混ざって固まるまで 私はどれだけに黙れば この不自然に慣れるのかな 傷付ける子なんて要らないわよ。 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/7155.html
水浴(みずあび)の極致レイニー 水文明 C コスト 3 1000 パーフェクト・ハート ■ネクスト・バースト [NB]-カードを2枚まで引く。 (F)ほら、雨のように。 作者:セレナーデ 収録 星戦編 第一弾(プラネット・コマンド) 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/44642.html
れいにー【登録タグ VOCALOID れ 午後ティー 曲 鏡音レン】 作詞:午後ティー 作曲:午後ティー 編曲:午後ティー 唄:鏡音レン 曲紹介 午後ティー氏の19作目。 歌詞 (動画より書き起こし) 街は群青の雨に塗られて 濁った街灯 オーナメント 喧騒が鳴りを潜めた 深夜0時 雨曝し 哀 哀 哀と頭を垂れて 抉った内傷 泣いた毎夜 相対だって息も詰まる 啀み合い 狂いそう 曖昧な関係なんて水泡と変わんないな 離れてはくっついて互いの首を絞め爆ぜていく レイニー どうか僕を置いていけ 泣き止まない君は たった一つのやっと触れた温度だった ずぶ濡れの愛が 溶けてなくなる夜に "後悔"という名の傘が咲いた 脳裏を探っている 寄る辺ない生活を 怠惰に喰らう 腐った林檎 バッドエンド 延々と降り頻る雨 落雷とカンパニュラ 惨 惨 惨 徒労 成れの果て 湿ったベッド 泣いた毎夜 「関係ない」と嘯く度 絞首跡が疼いて痛い 雨漏りのハネたリズムで退廃が加速す る 枷が食い込む足で錻力のバケツを蹴り 飛ばした 「最低だ」って言って 嫌ってくれ それで君も 歪な結い目 愛憎を解ける そう思うんだ ひび割れた声で 存在ごと否定してよ 「全て君の為なんだ」なんて信じちゃくれないか 僕ら 群青の雨に塗られて 迷った隘路 迷子ごっこ 迷妄だって 恋と呼んで 戯れに 目合って 清々すんぜ 明日は晴れ 死んだ愛慕 尽きた愛想 論争なんかしたかないね ねぇ 聞いてレイニー 早く僕を置いていけ 泣き止まない君は たった一つのやっと触れた温度だった 酷く膿んだ愛が 溶けてなくなる前に 再会もしない様に いっそ「最低だ」って言って 嫌ってくれ それで君も 歪な結い目 愛憎を解ける そう思うんだ ひび割れた声で 存在ごと否定してよ 全て君の為なんだ レイニー 最後は笑っていたい コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/19907/pages/47.html
曇天の魔術師レイニー (ナンバー0034) 青・クリーチャー S4/C3 あなたのエンドフェイズ時、相手の場のクリーチャー全てのパワーを-1する。 フレーバー:今日は空も真っ黒で、本当にいい天気だね。-曇天の魔術師レイニー 【魔術師】 パワー:1 収録:第一弾リスト
https://w.atwiki.jp/otakuhoumon/pages/317.html
レイニーの部屋データ みんなのお部屋はこちら 初期部屋 初期家具(赤字は固定家具、青字は入れ替えのみ可能、緑字は撤去可能) カエルのチェア ガスレンジ シンプルなとけい? シャワー しろいソファ せんぷうき ダブルラジカセ(机上) ねこあしバスタブ みどりのカウンター みどりのテーブル みどりのタンス レトロなれいぞうこ 壁紙 サイケなかべがみ 絨毯 きいろいピータイル ♫初期BGM けけサルサ 固定家具等の情報提供をお願いします! しろいソファ 撤去可能です -- 名無しさん (2015-05-10 18 28 48) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jpops/pages/20089.html
レイニー・ヤンをお気に入りに追加 レイニー・ヤンのリンク #bf Amazon.co.jp ウィジェット レイニー・ヤンの報道 恋の始まり 夢の終わり|ドラマ|TOKYO MX - TOKYO MX フェイ・ウォンとニコラス・ツェー「世紀の瞬間」なるか、復縁7年で番組共演に期待が高まる (2021年9月21日) - エキサイトニュース 全米テニス女王18歳が中国版ツイッターのウェイボー開設 中国語挨拶に「東北弁がある~!」 - auone.jp 全米テニス18歳女王が流暢な中国語を披露し中国で話題 - auone.jp 【全米OP】18歳ラドゥカヌは「英国女子史上最高額を稼げるスターになる」と大注目 (2021年9月10日) - エキサイトニュース 【全米OP】イライラ選手がコートにドリンクぶちまけ中断! ズベレフがお掃除手伝う - auone.jp 全米OPで快挙の18歳女子 台湾で人気沸騰「英国のレイニー・ヤンだ!」 - 東スポWeb 【全米OP】イケアのビニールバッグでジョコビッチとの対戦に臨んだ18歳新星が話題 - auone.jp BS11台湾ドラマ「私の隣に元カレ」第36話-最終回あらすじ:変わらない結末~Goodbye VS Hello|予告動画 - navicon [ナビコン] BS11台湾ドラマ「私の隣に元カレ」第31-35話あらすじ:愛はせわしなくVS愛は果てしなく~元フィアンセとの再会|予告動画 - navicon [ナビコン] “イケメン”柔道・ヤン選手が話題沸騰「台湾の光!」 (2021年7月24日) - エキサイトニュース レイニー・ヤン×ラン・ジェンロン「私の隣に元カレ」BS11で6月日本初放送!見どころと予告動画 - navicon [ナビコン] チャドウィック・ボーズマン&ヴィオラ・デイヴィス主演! Netflix映画『マ・レイニーのブラックボトム』 - GQ Japan 歌手で俳優の小鬼さんが死去 36歳 自宅で見つかる 死因は調査中/台湾 (2020年9月16日) - エキサイトニュース レイニー・ヤンが20周年ライブ 11月に台北アリーナで3日間/台湾 (2020年8月17日) - エキサイトニュース レイニー・ヤン×ラン・ジェンロン「私の隣に元カレ」7/2(火)よりセル&レンタルDVDをリリース!日本語予告動画が公開! - navicon [ナビコン] 「あすなろ白書」、台湾で2度目のドラマ化 レイニー・ヤンが応援 (2019年3月12日) - エキサイトニュース レイニー・ヤン主演×「イタズラな恋愛白書」の脚本家が贈る、女の選択。台湾ドラマ『恋の始まり 夢の終わり』DVD-BOX発売決定! - ValuePress! 【まったりUFO動画】台湾歌手レイニー・ヤンさんのサイン会中に謎の飛行物体が激撮されたと話題に - ロケットニュース24 レイニー・ヤンとは レイニー・ヤンの99%はカテキンで出来ています。レイニー・ヤンの1%は魂の炎で出来ています。 レイニー・ヤン@ウィキペディア レイニー・ヤン Amazon.co.jp ウィジェット 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ レイニー・ヤン このページについて このページはレイニー・ヤンのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるレイニー・ヤンに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/38438.html
れいにー【登録タグ Guiano IA VOCALOID れ 曲 曲ら 殿堂入り】 作詞:Guiano 作曲:Guiano 編曲:Guiano 唄:IA 曲紹介 『 今が一番生きてる気がするんだ 』 絵:テルハ 歌詞 (動画より書き出し) + 前奏 流れ流され三千里 気が付いたら僕は東京にいた 何をするでも無く生きてきた僕には 少し毒が強すぎたみたいだ いつしか見ていたあの空を眺めることも苦しくなった こんなんじゃいつまで経っても 泥水をすする生活とは別れられないから どうか神様、この雨をやまさせてはくれないか って願えば叶うほど甘くないんだよ なんて言われる前にやめにしよう 重い足取りで東京を歩いた 路上で歌ってる青年に訊いた 「金もねぇのに歌い続けて馬鹿のままで生きていくんですか」 ふと笑いながら青年は言う 「今が一番生きてる気がするんだ」 馬鹿なやつもいたもんなんだな 客も一人もいない駅前 そりゃそうだ彼の歌は酷いもんさ 自分で気づいているのかも怪しいくらいに でかい声でさ 社会への不満をぶちまけている 土砂降りの中歌い続けてる彼を 僕はまだ分からなかった レイニー レイニー + 間奏 彼は下手くそな歌を東京中にまき散らしていた 一曲歌い終える度にお礼を言う彼、もちろん客はいない そんな彼を横目に笑いながら街行く人を見て 僕はなんだか無性に腹が立った 明日の行方も知らないまま 僕は東京を歩いている 目まぐるしく回る環状線に 一度身を預けてみても悪くないかなって 少し思った そんな僕の前で今日も歌ってる 相変わらず客は一人もいないな 僕は彼に一つ訊いた 「金もねぇのに歌い続けて 馬鹿のままで生きていくんですか こうして今日も棒に振っている 人生を続けていくんですか」 「たとえ食っていけないとしてもさ 誰かに届けばいいや、それに」 ふと笑いながら青年は言う 「今が一番生きてる気がするんだ」 + 間奏 そう言って彼はまた歌いだす なるほど、この人は本当の馬鹿なんだ そんな彼の笑顔はとても真っ直ぐだった 僕があんな風に笑えたのはいつが最後だっけ 土砂降りの雨の中でも歌う 彼のことを馬鹿だと思ったよ 街行く人に馬鹿にされながら 歌う彼を馬鹿だと思ったよ こんな雨なら悪くないなって 笑う彼を馬鹿だと思ったよ 彼のように空を見上げて笑っていたい + 後奏 彼の歌を聴いて色々思い出した 僕は昔、未成年喫煙や飲酒にすごく憧れていたんだ もちろん今までもこれからもやらないが 何かに真っ直ぐになって生きる姿勢に尊敬すら覚えていた それもそのはずだ、僕はいつだって迷ってばかり 自分の進んでいる道が正しいのか分からず、その恐怖で全て投げ出して 正解を見つけようとしていた だが彼は間違い続ければそれが正解になると信じていた 昔遊んでいたことも、罪を犯したことも 全て抱えて生きている彼はとても素晴らしい人間に見えた 半端者にだけはなりたくねぇな 僕はそう思うようになっていた 過ちを全て背負う覚悟がある者にだけ 光が差すのかもしれないな ありがとうございます、僕は彼に一言告げて 雨の東京を歩き出した コメント なぜ伸びない。何故まだ埋もれてるんだよ -- 名無しさん (2019-01-28 21 08 14) もー大好きこの曲 -- 名無しさん (2019-04-07 23 14 35) 隠れた名曲? -- のある (2019-04-11 17 28 27) これGuianoさんの曲の中で1番好き!追加乙です。 -- ピポ (2019-05-15 07 26 14) うわぁ、神曲だ。最後の「今が一番生きてる気がすんだ」が好き。同士いない? -- 名無しさん (2019-08-28 15 47 11) これGuianoさんの曲の中で1番好き!追加乙です -- 名無しさん (2020-08-05 16 47 23) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/604.html
雨の降る中で私は空を見上げた。 泣き出した空から降り注ぐ大粒の雫に、私の頬が、頸が、二つに結んだ髪が、制服が濡れていく。 例えば、雨の中で濡れながら、濡れた草を踏んで、裸足で歩くこと。 『それは自分が生きているという実感がすることだ』と、ある映画のヒロインが言っていた。 ――生憎、私は映画のヒロインではないけれど。 そして、私は裸足ではなく、靴を履いているけれど。 降り注ぐ水の中で、自分の心臓の音や体の温度が輪郭を持ち始めるのを感じていた。 『レイニー・レイニー』 雨が降ると、気持ちが沈む。 一概に、すべてがそうだとは言えないけれど。 例えば、雲の所為で太陽が見えない暗い空や、湿気のこもった室内の匂い。 外に出れないこととか、歩くときに靴下が汚れること。 そういう小さな雨の憂鬱が積み重ると、『雨が降ると気持ちが沈む』ということにはなるのかもしれない。 ――雨の日は憂鬱。 目の前に座る親友も、その言葉の例に洩れないようだった。 こなたはいつもの眠そうな目をさらに眠そうにして、どことなく物憂げに空を眺めていた。 そんなこなたの様子を見て、つかさが言う。 「こなちゃん、今日元気無いねー」 つかさの声にこなたは微かに目を大きくすると、ゆっくりと振り返って顔を向けた。 「んあ……そかな」 普段に比べて、心持ち少ない声量で呟いた。 それからまた窓の外を眺めて、「きっと、雨の所為だネ」と言う。 「ここのところ長く、雨が続いていますからね」 その呟きに、みゆきが響く。 「やっぱり長雨が続くと、気持ちが沈みやすくなりますよね」 それから彼女は、眼鏡の向こうでその長い睫を瞬かせた。 私は頬杖をつきながら、何となく黙ってそのやりとりを聞いていた。 天気予報が梅雨を知らせ始めた、六月の中旬。 私たちの住む町には長い雨が降っていた。 しとしとと、時にざあざあと。 緩急をつけながらも止まない雨は、なんだかんだでもう五日も続いている。 もう随分と、太陽の姿を見ていない。 そんな日のお昼休み。 ご飯も食べ終わった私たち四人は、とりとめない話をしていた。 B組の教室はこんな雨の日に一体みんな何処に行ってしまったのか、あまり人がいない。 私たちの他には二、三人だけ。みんな息を潜めるようにして言葉を交わしている。 どこか大きな声を出すことが憚られるような、でも穏やかな空気の中で、つかさが囁くようにみゆきに問いかけた。 「ゆきちゃんは、雨キライ?」 みゆきは唐突な質問に驚いていたけれど、誠実そうに考えて、「少し苦手かもしれません」と苦笑いをしながら答えた。 「私の髪は癖が強いので、雨が降ると朝の支度が大変なんです。寝癖がなかなか直らなくて」 そう言って「お恥ずかしながら」と頬に手を当てる。 それに私たちは揃って小さく笑った。 「寝癖のみゆきさんもそれはそれで萌えだけれどネ」 こなたがにまっと笑って、いつもの軽口を叩いた。 「お前はまたそれか」 私はいつもどおりに突っ込みをいれる。 そしてまた笑い声。 いつもと同じリズム。私たちの言葉。会話。やりとり。 でもそれは少しだけいつもより、テンポが緩慢。 やっぱりそれは雨の所為なのだろうか? 「そっかー、寝癖は困っちゃうよね」 つかさが自分の髪を触りながら言った。つかさも寝癖には毎朝苦労させられている一人なのだ。起きるのが遅いから尚更。 私が支度を終えている横で、ドライヤー片手に悪戦苦闘しているのを朝の洗面所でよく見かける。 「でもね私、雨って、キライじゃないんだ」 自分の髪を撫で付けながら、つかさは「雨が降るとね」と話し始めた。 「コンクリートの匂いがするでしょ。あれ、好きなんだー」 言われて私は思わず自然に周囲の空気の匂いを、くん、と嗅いだ。 開け放った窓から流れ込んでくる空気は、つかさの言っている匂いに近い気がした。 「それからね、木が元気になるのも好きだよ。いい匂いだよね。あと、靴が濡れちゃうのはイヤだけれど、お気に入りの傘がさせるのも好き」 そう言うと、つかさは私たちの顔を見回して、「エヘヘ」と笑った。 その笑顔は身内の私が言うのもヘンだけれど、抱きしめたくなるくらい可愛かった。 「そうですね」 つかさの屈託の無い表情に、みゆきが優しげな微笑を浮かべる。 「私も雨の匂いは好きですよ。水や緑の匂いには癒しの効果があると言われていますしね」 「マイナスイオン?」 「ええ、マイナスイオンです」 つかさの言葉にゆったりと答えるみゆき。 そんなみゆき自身からこそマイナスイオンが出ているような気がして、私は頬杖をついたまま低く笑った。 賛同者を得られたつかさは、身体を軽く揺すって喜びを示していた。 そのままつかさとみゆきが会話を始めたので、私は何となくこなたの方を見た。 彼女は前に向かって伸びをしていた。 そしてそのまま口をもぐもぐ動かすと、机の上に丸くなる。 その一連の仕草はまるで猫みたいだった。 そう言えば、猫は湿気や濡れるのが苦手なので、雨が苦手だという。 だから、こなたも雨は苦手なんだろうか。 「んにゃ? どったのかがみ?」 こなたがいつの間にか私の視線に気付いて、その顔を上げていた。 その上目遣いのくりくりとした大きな瞳は、本当に子猫みたいに愛くるしい。 「あんたって猫みたいよね」 私は思ったままを口にしてみた。 するとこなたは俄かに口角を上げた。 「ねこ、ってどっちの?」 意味が分からなかったので私は眉を顰めて返した。 「どっちのって、他に何があるのよ」 「キャットの方?」 「キャット以外に何があるのよ」 「いやー、ほら、いわゆる受けの人のことを専門用語でネコと言…」 「言っても言わん! ていうかそっちの活用で『ネコみたい』って普通言わないだろ!」 「あるいはかがみなら」 「言わねえよ!」 とんでもないことを言い出しやがる。 雨の憂鬱と静寂を吹っ飛ばす勢いで突っ込む私に、こなた口元に手を当てて、にまあっと厭な笑いを浮かべた。 「ていうかかがみ、そっちの活用知ってたんだネ」 思わぬ反撃に、顔に一気に血が上るのを感じる。 しまった。 顔を紅くするのはこなたの思う壺だと分かっているのだけれど、こればかりはどうしようもない。 私は赤面症なのだ。 自分がすぐに顔を紅くするということを、私はこなたに出会ってから知った。 「一体何処で知ったのかな?かな?」 「う、うっさいな! 本に出てきたのよ! だから偶々よ、偶々!」 しつこく絡んでくるこなたを振り払っていると、つかさが不思議そうに首を傾けた。 「ねえ、こなちゃん。『いわゆる受け』ってどういう意味?」 とんでもないことを聞きやがる。 こなたは目を光らせた。 「うむ、よくぞ聞いてくれたネ。いわゆる受けというのは」 「余計なこと教えるな」 私はこなたの後頭部を掴んで机に押し付けた。 潰されたこなたは「むぎゅ」という小さな悲鳴を上げる。 ちょっとだけ、可愛かった。 + + + 雨が降れば、気持ちが沈む。 そんなに人間って単純なものじゃないと思うけれど。 雨の日だって、楽しい日はある。 いつかのレインコートで走り回っていた子供のように、雨の日を謳歌することだってあるだろう。 でも、今日の私はそういう気持ちではないようだった。 連日続く雨は頭のどこかを腐らせていくみたいで、倦怠感ばかりが募っていく。 それはこなたも同じようで、雨が降ってからは毎日気だるそうにしているので、そう思っているのは私ばかりではないんだなと思う。 放課後。 廊下を一人で歩いていた私は、溜め息を吐いて窓の外を見た。 雨は昼休みの時より強くなっていた。 ざあ、というノイズのような音が途切れることなく耳朶を打つ。 「早く止まないかなあ…」 遠くに見える土の校庭は、まるで大きな水溜りのようになっていた。 こんな場所で駆け回る運動部はきっと悲惨なことになるだろう、と私は思った。 ――もっともこの雨が止まない限り、このグラウンドで活動することもできないのだけれど。 すう、と息を吸い込むと、濃い雨と土と緑の匂いがした。 つかさが好きだと言っていた匂い。 みゆきも好きだと言っていた。 「そう言えば…」 こなたはどうなんだろう。 あの時は何も言っていなかった気がする。 ――こなたは、雨の匂いは好き? どうしてか聞いてみたい気がした。 でも今日は私は委員会で遅くなることがわかっていたので、彼女たちには「先に帰っていて」と言ってある。 こなたもつかさもみゆきも、もう多分学校にはいない。 私は窓から視線を外して、廊下の突き当たりの壁にある時計を見た。 時間はもう下校時刻に近い。 この雨で多くの部活動が休みになったのか、周りの教室にも、渡り廊下にも、見えるところに人の気配は無かった。 ――なんだか今日の学校は、妙に、人がいないような気がする。 そう考えると、すう、と何だか寒くなったような気がして、私は身震いした。 (早く帰ろ) 私は荷物が置いてある自分のクラスに行くために、早足で廊下を歩いた。 (ん…?) しかしB組の前を通り過ぎたとき、視界の端に見慣れた影を見た気がして、私は数歩戻って、教室を覗いた。 窓際の席に、小さな背中が見える。 机に顔を伏せているけれど、頭に立つクセ毛でそれが誰と知れた。 「……こなた?」 私は名前を呼んだ。 とうに帰ったと思っていたのに。一体何をしていたのだろう。 さっと教室を見渡してみるけれど、つかさやみゆきがいる様子もない。 彼女は一人で、電気もつけずに、小さな身体をさらに小さくするようにして、机に伏せていた。 「こなた」 もう一度呼びかけても、その背中は動かなかった。寝ているのだろうか。 私は教室に足を踏み入れた。 きっ、きっ、と小さく床を軋ませながら、私はこなたに近づく。 私の声は、雨の音に紛れて聞こえなかったのだろうか。 ――それとも顔が上げられないとか? そう考えた途端、私は何故か唐突に『こなたが泣いているんじゃないか』という気になった。 こなたが泣いているところなんて、一度も見たことが無い。 でも何故か私はその時、その小さな背中を丸めてこなたが泣いているように思えた。 私は彼女の傍に半ば駆け寄ると、その顔を覗き込んだ。 結論を言うと、こなたは泣いてなどいなかった。 ただ目を閉じて、規則的な息を吐いて眠っているだけだった。 「何よ…」 ほっとして私は息を吐いた。 大体、どうして泣いているなどと思ったのだろう。 長雨で私もどこかおかしくなっているのかもしれない。結露で部品が錆びるみたいに。 「…ていうか、コイツはここで何してるんだ」 寝ている相手に突っ込んでも仕方が無いことだけれど。 確か昼休みに、私が先に帰っててと言った時は「わかったー」といつもの間延びした口調で返事をしていたはずなのに。 それが下校時刻も近づいた今、暗い教室で一人で眠っている。 結構音を立てていると思うのに、こなたが目を覚ます様子はなかった。 完全に熟睡している。 「……私が来なかったらどうするつもりだったのよ」 巡回に来た警備員さんにでも起こされて、お説教を食らったのだろうか。 その様子を想像して私は、くくっと笑った。 そしてこなたを起こそうと手を伸ばした瞬間。 私はその手を止めてしまった。 こなたの寝顔を見ていたら、起こすのが憚られてしまったのだ。 それは登下校のバスや電車で何度も見た、いつものこなたの愛嬌のある寝顔ではなくって。 静かであどけないのに、どこか疲れたような寝顔。 まるで、待ち疲れて眠ってしまった子供の寝顔だった。 母親の帰りを待っている子供みたいだ、と続けて考えて、私ははっとなった。 こなたにはお母さんはいない。 「んん……」 こなたが寝息を漏らした。 起きたのかと思って黙っていると、また再び規則的な寝息が聞こえてくる。 私はこなたの前の席の椅子に静かに座った。 ――自分の頭の中の声が聞こえるわけが無いんだけれど。 何だか私はこなたに悪いことをしてしまったような気がして、その髪を撫でた。 こなたの髪は、柔らかで指に優しい感触がした。 それでも起きる様子が無いので、私はこなたの寝顔を観察し続けた。 ――こなたは、誰を待っているのだろうか? まず現実的に委員会に行っていた私のことを待っているのだろうか、と考えた。 それから少し非現実的に、考えてしまった。 それとも。 待ち疲れて眠ってしまうほど、子供のこなたが、ずっと待っていた人。 心の底で、もしかして。 でももう、その人は――。 そこまで考えて、胸がずきっと痛んだ。 こなたは「気にしてない」と言っているのに、こんなことを考えるなんて。 こなたに失礼だ、と思った。 これ以上一人でじくじく考えていると、思考が止まらなくなりそうだったので、私はこなたの肩を思い切って揺さぶった。 「んあっ…?」 身体を大きく揺さぶられたこなたは、流石に目を覚ました。 私が何か声をかけようとした瞬間、そのとろんとした瞳が、すっと私の方へ向く。 すると、さっきまで考えていたことが見透かされたような気がして。 私は言葉を呑んでしまった。 こなたの瞳が私を捉えて、止まる。 私はその瞳に捕えられて、動けなくなった。 窓の向こうから聞こえる。 ざああ、と止まることのない雨のノイズが耳朶を打つ。 私たちが言葉をつむがない代わりに、それらが沈黙を埋める。 薄暗い教室で、私たちは無言で視線を合わせ続けた。 「………」 ゆっくりと、こなたの瞳が時間をかけて、焦点を合わせる。 「……かがみ?」 「……」 どうしてか、言葉が出ない。 やっぱり雨で私も何かおかしくなってるんだ。 機能不全になってる。絶対にそうだ。 「………………………………何で帰ってないの?」 とても時間をかけて私は、やっとそう口にした。 こなたはそれを受けて、いつものように猫のような口を作って笑う。 「いやぁ、ネ」 こなたは未だ自分の髪に触れたままの私の手に驚いた後、妙に明るい声を出して手を振った。 「六限の世界史爆睡してたら、放課後黒井先生に呼び出されちゃって。遅くなっちゃったから、かがみでも待っていようかと思って」 こなたの声はどうしてか少し上ずっていた。 「あ、つかさとみゆきさんには先に帰ってもらったヨ?」 言いながら、ちらちらと自分の髪に触れている私の手に視線を送る。 私はそれでやっと「触りっぱなしで変だ」ということに気がついて、こなたの髪から手を離した。 「ん……で、かがみはどしたの?」 さっきから黙りっぱなしの私に流石のこなたも奇を感じたたらしい。 訝しげに眉を顰めて、顔を横に傾けた。 「別にどうもしてないわよ」 「そ? ――いや、やっぱ変だよ」 私が突っぱねると、こなたは軽く首を振ってみせた。 そして続けた。 「そう言えば、昼休みからなんか変だったよね?」 そう言われて私は驚いた。 「はあ?」 「ウン。なんてゆーか、妙に口数少ないし」 こなたは言いながら確信めいたものを感じたらしく、一人でウンウン頷き始めた。 「――っ、それを言うなら」 あんただってそうだったじゃない、と続けようとして、私は言葉を失った。 こなたが穏やかな表情で私を見つめてきたからだ。 私が言葉を飲んでしまったのを見て、こなたが続けた。 「かがみんのことならなんだってわかるのだよー」 それはからかう様な、いつもの口調なのに。 笑顔が酷く優しかった。 「いつも、一緒にいるからネ」 やっぱり、私は変だ。絶対変だ。 だってそんなこなたのいつもの軽口にどうしてか、泣きそうになってしまったのだから。 「かがみん、帰ろっか?」 こなたは立ち上がると、いつもの調子に戻ってそう言った。 + + + 「最低だわ…」 生徒玄関の前で、私は半ば諦観の心地で呟いた。 あの後、帰る為に自分の教室に傘と鞄を取りに行ったのだけれど。 傘箱の中に私の傘は無かった。というか傘箱自体がからっぽだった。 考えられる理由は二つ。 間違えて持って帰られてしまったか、盗まれてしまったか。 (こんなことならビニール傘なんかじゃなくって、つかさみたいにちゃんとした傘を買えばよかった) ビニール傘は安価だけれど、その分持っていかれやすくもある。 私が思うにビニール傘を使う人間には、「いつか何処かで傘を失くすだろうと思っている」心理があると思う。 私自身ももいつか出先で失くすだろうと思って、ビニール傘を選んだ。 ――しかし、それが、何も、今で無くてもいいじゃない。 私は空を見上げた。 屋根の途切れた先から見える、滝のような雨。 教室にいた少しの時間で雨は本降りになっていた。 「どうしろっていうのよこれ……」 「あれぇっ、かがみん、傘は?」 昇降口で待ち合わせをしていたこなたが、ととと、と歩いてきた。 私は大仰に溜め息を吐いて言った。 「間違えて持ってかれた。もしくは盗まれた。でも他の傘残ってなかったから、多分盗まれたんだと思う」 それを聞いて、こなたは眉を寄せた猫口顔になる。 そしてこう言った。 「ブルータス、お前もか」 「お前もか、って」 まさか、と思うと、こなたは鞄しか持っていない手を私にひらひらと振って見せた。 「私も持ってかれちゃったみたいなんだヨ」 そういえばこなたも今朝はビニール傘だったと私は思い出した。 「ビニール傘は持っていかれやすいのが難点だよね」 私がさっき考えていたのと同じようなことを口にする。 そして探偵よろしく、顎に手を当ててみせた。 「盗む時に罪悪感が少ないからかな?」 「盗みは盗みだろ」 私が指先を額に当てた。 こなたはくふーっと、妙な溜め息を吐いた。 「んー、コンドルのジョー亡き後の地球の人心は荒廃してるネ」 「そんな人は最初から現実世界にはいない」 「続編でサイボーグになって現れてるけれど、私としてはあそこで散っているのが男のロマンだと思うんだよネ?」 「知るか!」 「まあそれはともかく」 こなたは左手の指先をくるくると空中で回した。 「ビニール傘って、盗まれたり無くなったりしても何かお互い様って感じするよネ」 「それはまあ…わからなくもないかな」 「自分のがどれだかわかんなくなることよくあるし。そういう時、適当にそれっぽいの持ってきちゃうこと無い?」 「おま、そういうことするから最終的に私たちみたいのが出るんだろうが!」 「んー、『ビニール傘は天下の回り物』?」 「回すな」 ざあざあざあ、と私たちの鼻先で雨は降り続けている。 「でも朝も雨降ってたのに。ソイツどうやって学校来たんだろ」 「うーん、朝はここまで土砂降りじゃなかったしねえ。ま、とにかくそろそろ、バス停行こっか」 言うなりこなたは土砂降りの中を普通に歩き出した。 「ちょっ! こなた!」 「んん?」 雨の中でこなたが振り返る。 十秒もしないうちにこなたはあっという間にずぶ濡れになった。 その青空の欠片みたいな髪が翻って、雫を落とす。 「だって、こうするしかないじゃん?」 こなたは雨の中で軽く手を広げて見せた。 その間も雨雫はこなたの前髪や頬や顎を伝って地面に落ちていく。 「次のバス逃すと当分来ないし」 「――こなたは」 ほんの五メートル先。ずぶ濡れのこなたが立っている。 「雨が好き?」 私は思わず口にしていた。 するとこなたは目を少し丸くして、私の瞳を見つめ返す。 そして、ゆっくりと苦笑いを浮かべてこう言った。 「嫌いだヨ」 ざあ、ざあ、ざあ、ざあ。 私は一歩踏み出す。 屋根が途切れた瞬間、幾千の雫が私に降り落ちる。 泣き出した空から降り注ぐ大粒の雨は、私の頬を、頸を、二つに結んだ髪を、一瞬にして濡らして行く。 ――例えば、雨の中で濡れながら、濡れた草を踏んで、裸足で歩くこと。 『それは自分が生きているという実感がすることだ』と、ある映画のヒロインが言っていた。 ――生憎、私は映画のヒロインではないけれど。 そして、私は裸足ではなく、靴を履いているけれど。 降り注ぐ水の中で、自分の心臓の音や体の温度が輪郭を持ち始めるのを感じていた。 また一歩、こなたに近づく。 鼻先を雨雫が掠めていくけれど気にしない。 私はこなたの目の前に立つと、その顔を見下ろして言った。 「……私も嫌いよ」 自然と見上げる形になるこなたは、降ってくる雨に目を細めていたけれど、私の目をしばらく見つめると、くしゃっと笑った。 「同じだネ」 と、言って笑ったこなたは、何だかいつもより大人びた顔だった。 そして私たちはバス停に向かって、走り出した。 雨が騒ぎ立てる中で、走りながらこなたが何かを言い始めた。 「――雨が、降ると」 「え?」 ざああああ。 自分が水溜りを蹴立てる足音と、跳ね回る雨の音とでよく聞こえなかったので、私は聞き返した。 しかしこなたは聞こえていようがいまいと構わないようで、意に介さず言葉を紡ぎ続ける。 「――雨が――と、空が見えな――るからイヤだ」 雨の向こうで途切れ途切れに、こなたの声が聞こえる。 聞き返そう、と私は口を開いた時、こなたは足を踏み出しながら、一際微かな声で言った。 「青は――――んの色なのに」 それは聞こえなかったはずなのに。 私の胸は音を立てた。 ざあ、ざあ、ざあ、ざあ。 私たちが走っていく先の道路で、バスが飛沫を上げて停車するのが見えた。 + + + エンジンが唸りを上げて、洪水のような雨の中を進んでいく。 バスの大きなワイパーがフロントガラスを拭っても、すぐに雨が滑り落ちてくるのが見えた。 私とこなたはバスの車両の真ん中辺りに並んで立っていた。 他に乗客はいなくて、私とこなただけだったけれど、二人とも全身濡れ鼠だったのでシートに座らず立っていることにしたのだ。 床に小さな水溜りをいくつも作って、私たちはバスの揺られていた。 隣のこなたが小さくくしゃみをしたので、私は「寒い?」と聞いた。 「んん…」 少し鼻を啜ってから、こなたが応える。 「少し」 その時、大きな窪みを通ったのか、がったん、と車内が大きく揺れた。 私とこなたはいつものように足で踏ん張ってバランスを保とうとしたのだけれど。 いつもと違って足元は水溜りだったから、こなたが「ふぉっ!?」と声を上げて足を滑らせた。 私はとっさにこなたの手首を掴んで支える。 間一髪こなたは転ばずに済んだ。 「大丈夫?」 「あ、ありがとう」 目を白黒とさせたこなたが体勢を整える。 そして、私に掴まれた手首を見た。 しばらくじっと見つめると、こなたはゆっくりと掴まれた手を解いて、その手のひらを私の手のひらに絡ませた。 そして、私の手をぎゅっと握った。 繋いだ手のひらから、雨で濡れた肌の感触と、こなたの体温が伝わってくる。 「かがみの手は温かいね」 そのまま繋いだ手を、私たちの間に落とす。 「これくらいじゃ、温かくないでしょう」 「ううん……温かいよ」 そう言ってこなたはまた鼻を鳴らした。 こなたは体が小さい分、冷え易いのかもしれない。 私はこなたに握られた手をぎゅっと握り返した。 すると、こなたが驚いたように顔を上げた。 真っ直ぐな眼。 途端に私は恥ずかしくなって、視線を窓の外に投げた。 「す、少しは温かいでしょ? あんたが寒いって言うから…」 「ツンデレ」 こなたがぼそりと言う。うるさい。 でもその口調は何処か嬉しそうだったから、そのままにさせて置くことにした。 景色が畑を抜けて、雨に滲む街が姿を現し始める。 駅が近づいてきた。 私の髪から、ポツリと緩やかに雫が落ちた。 そして、その雫のように、口も言葉が零れる。 「…雨」 「ん…?」 「早く止むといいね」 「ウン」 こなたが微かに手を握り返してくる。 ――いつも、一緒にいるからネ。 さっき、教室で聞いたこなたの言葉を思い返す。 きっと深い意味なんて無いんだろうけれど。 こなたの小さな手を感じながら、私も、この子の側に出来るだけいたい、と思った。 雨が止んだのは、それから二日後だった。 子供の時間へ続く コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-28 16 01 04) 感動的。そしてユリウス・カエサルみたいな小ネタを随所に入れていてよく作り込んでるなぁと… -- 名無しさん (2018-09-12 23 05 01) Gj -- 名無しさん (2014-08-26 01 17 45) なにか知らないけど心にじわっと来ました! -- 名無しさん (2010-11-15 22 54 01) 今日は雨が降っていたから、ふと読み返した。 こなたが雨を嫌いと言っていたシーンを思い出した。 なんだかとても悲しい気持ちになった。 あなたの書く作品はどれも素晴らしくて心に染みる。。 このSSを作ってくれた事を感謝します。読ませてくれてありがとう。 -- H1-52 (2008-10-05 23 29 01) うーん、これはすごい 作品から雨の降り続く日の情景がにじみ出ているようです それにすごく文章が上手いですね 続きも楽しみにしています -- 名無しさん (2008-05-21 00 38 05) 心に染み入る名作だこれは・・! -- 名無しさん (2008-05-20 15 48 40)