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(2014/2/1改定) この大会では、各作品ごとにチェックポイント(以下CP)が設けられています。 今大会では”カッコよさ”の観点からポイントを計算していきます。 最も多くのポイントを取得したチームには 運営から”素敵な粗品”が贈られる…? FINAL FANTASY 4 加点ポイント(各1pt) ・カイポの村のサハギン戦で、 ギルバートの攻撃が一度もミスすることなく倒す。 (戦闘中のアイテムの使用はOK。回復もOK) ・バブイルの塔の初回のルビカンテ戦で、 戦闘中、撃破する前にルビカンテが喋る ・ゼロムス戦でボムの魂を使用し、 ゼロムスが消えていくエフェクトカットが成功する。 FINAL FANTASY 5 加点ポイント ・青魔法ゴブリンパンチの習得が1ツモ or 青魔法ゴブリンパンチを習得せずに進める ・アトモス戦でくろのしょうげきが一発で成功する or くろのしょうげきを使用せずアトモスを倒す ・ピラミッド内部にてマシンヘッドに 衝突することなく走破する。 FINAL FANTASY 6 加点ポイント ・ディッグアーマー戦でロックのミラージュダイブが発動 or 瀕死状態のロックの打撃を使用しない戦術での突破 ・魔道研究所でのイフリート・シヴァ戦にて、 初回のイフリート⇒シヴァに入れ替わるタイミングでの 逃走による戦闘終了が一発で成功する (1キャラでも逃げれば戦闘終了が確定するので加点とする) ・シドを生存させる為にお魚を捕まえるRTAで 1番早かった方にポイント加算 (セリスが動けるようになってから~もう完全に回復したよ!というセリフまで計測) チェックポイントをクリアしていく上での注意事項 ①CPは必ずしも行う必要はありません! CPをクリアしていくかは走者・チームの自由です。 チームの順位にも影響しません。 ②ポイント取得の判断基準について ポイントは初回の戦闘もしくはイベントに限定される 全滅・リセットによる2回目以降の戦闘・イベントは 対象にはならない 例)FF6のディッグアーマー撃破後にリセット。 2度目の挑戦でミラージュダイブが発動しても ポイントには加算されない。 全滅・もしくはリセットするまでのポイントは有効 以上で大会特別ルールは終了です!
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マレブランケ ズィーガー・フォースと敵対する、12人の悪人。 アリキーノ(誘惑者) カイニャッツォ(がみがみ言う者) カルカブリーナ(恩寵を嘲笑う者) グラフィアッカーネ(犬のような者) スカルミリオーネ(毒をもつ者) チリアット(牙を持つ猪) ドラギニャッツォ(残忍な竜) バルバリッチャ(悪意に満ちた者) ファルファレーロ(中傷する者) マラコーダ(悪しき尾) リビコッコ(意地の悪い者) ルビカンテ(真っ赤になって怒る者)
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無人の草原を、その草の色に似た服を纏った少年が歩いていた。 しかしその顔色は青く、酷く浮かないものだった。 しっかりと根を張った草や、豊かに葉を付けた木々を『青々とした』と表現することが出来るが、彼の面に映るのは、酷く不健康そうな青だった。 だが、それも無理も無いことだ。 この世界で出会った仲間を失い、かつての世界で出会った仲間を失ったのだから。 不意にフラッシュバックしたのは、駅で見た、姫の様な女性の惨殺死体だった。 遠くにヒールごと吹き飛んでいた足。 転がっていた目玉。 焼けただれた豊満な胸。 飛び散った腸。 剥き出しになっていた赤と黄色の内臓と、全てを彩る真っ赤な血。 思い出すな思い出すなと念じても、その姿ははっきりとアルスの脳内に映り続ける。 「う………」 吐いたばかりなのに、またしても胃液が食道をせり上がって来る感覚を覚える。 「はあ……はあ……。」 どうにか今度は吐かずに済んだ。だが、まだ胸はムカムカして、悪寒も止まらない。 (僕がやって来たことは、何だったんだろうな……。) 今のアルスの胸の内を苛んでいたのは、自分が今まで積み重ねてきたことが全て無駄になっているのではないか、という恐怖感だった。 いわゆる『おきのどくですが、あなたのぼうけんのしょはきえてしまいました』に対する恐怖というものだ。 喪失感と、惨殺死体の鮮やかな記憶と、未来への恐怖を抱えたまま無人の草原を一人で歩くのは、下手な戦い以上に精神的に堪えた。 むしろ誰か敵が襲ってきた方がマシなぐらいだった。 少なくとも戦っている間は、そう言った考えを振り払うことが出来るから。 楽しかったことを思い出そうとしても、それはマリベルやガボとの思い出になり、それが巡り巡って彼女の喪失に伝わる。 本当に彼女には会えないのか。 もし殺し合いを終わらせ、元の世界に戻れたとしても、彼女の父親のアミットさんにどう報告すればいいのか。 そもそも、倒してもオルゴ・デミーラはまた復活し、何かを奪っていくんじゃないのか。 (それならば……?) そこまで考えて、頭を振った。 その先まで考えると、頭の中だけにとどめていたろくでもないことを行動に移してしまいそうだったから。 何を考えても良い方向には進展しなかったし、だからといって無心になる訳にもいかなかった。 敵でも味方でも、誰でも良いから来て欲しいと考えていた時、不意に嫌な風が吹いた。 南側から、心臓を握り潰すような圧迫感の持ち主、すなわちオルゴ・デミーラにも似たオーラを放つ者がやって来る。 すぐに広瀬康一から貰った剣を抜き、敵を迎え撃とうとした。 気配の主はすぐにやってきた。 姿が見えないくらい遠くにいても、強者である気配は伝わっていた。 だが近くに来ると、空気が刃物になったかと錯覚するぐらい濃い殺気が放たれた。 殺気の主たる黒い肌と赤髪の男は、じっとアルスを見つめていた。 「同じ緑帽子でも、違うか……。奴が一杯食わせたか、それとも間違えたのか……。」 男は何やら良く分からないことを言っている。 だが、その目的はろくでもないことだとはアルスにも伝わった。 「我が名はガノンドロフ。そこの小僧、貴様に似た帽子を付けた人間を知らぬか?」 鋭い眼光だった。 手だけではない。身体中の細胞が奥の奥まで震えているのが良く分かった。 だが、その恐怖を押し留めて叫ぶ。 「知らないし、知っていても教えない!!」 「ほう?小僧、我にそのような口を利く勇気があったか。だが過ぎたる勇気は早すぎる死を招くぞ。」 この男が言うことは何のはったりでもないことは、ガノンドロフと戦ったことのないアルスでさえも伝わった。 剣を握る両手に、自然と力が籠もった。 「何の因果か分からぬが、小僧と同じ剣を持った老戦士と、南の城で戦ったな。」 「メルビンさんを知っているのか?」 剣を持った老兵士という言葉を聞き、アルスの語調が強くなる。 それに対してガノンドロフはふっ、と笑みをこぼした。 「名前までは覚えておらぬが、大した力もない癖に向かって来たから、返り討ちにしてやった。 放送では名を呼ばれなかったが、今は我がつけてやった傷が原因で死んでいるかもな。」 「メルビンさんを侮辱するな!!」 猶更相手を生かしておけなくなったと思い、八双の構えでガノンドロフに斬りかかる。 「面白い。」 ニィと笑ったガノンドロフは、魔法剣を抜き、横薙ぎに振るう。 それは、ただのシンプルな斬撃。 しかし、力に愛された魔王が振るった時、岩をも砕く破壊の一撃に変わる。 (!!) 間一髪で姿勢を低くし、その一撃を躱すアルス。 大柄な相手には、自らの姿勢を獣のように低くして戦うのが有効な手段だ。 元々対格差ではガノンドロフの方が圧倒的に勝っている以上、自分の小柄さを最大限利用して討つしかない。 勇気と幸運の剣による斬撃が入る間合いまで入ることが出来た。 「真空ぎ……!!」 アルスが一撃を魔王に打ち込もうとした所、その胸に蹴りが入った。 「ぐはあっ……」 あと一歩で一撃が入る所で蹴とばされ、距離を大きく離される。 受け身を取ったため致命傷は負っていないが、それでも蹴られた腹部にズンと鈍痛が走った。 「まさか、剣だけの勝負だとは思っておるまいな?」 ガノンドロフは余裕しゃくしゃくといった態度で手招きをし、もっと打ってこいと言わんばかりに笑みを浮かべる。 無言でアルスは敵を睨み、剣を上段に構えて走って行く。 このまま剣と剣のぶつかり合いになると思っていた直前、アルスは1つ仕掛けを打っておいた。 「バギ!」 それは風魔法の使い手なら誰もが使える初級魔法だ。 だが、初級魔法ゆえにノータイムで、かつほとんど体力を消費せずに打つことが出来る。 「ぬう……」 そして、その風魔法は攻撃のために打ったのではない。 風圧で敵のバランスを崩し、草や土を巻き上げ、ガノンドロフの視界を遮った。 (正面からでは勝てない……だが……!!) アルスの心の内は先までとは打って変わって、冷静だった。 自らの意志でそうしたわけではない。氷の様に冷静に、炎の様に熱く、それでいて風の様に鋭く、土の様に固く戦わねば、この男は絶対に倒せない。 彼の全細胞がそれを認識し、自ずとそうした姿勢にさせたのだ。 どうやらアルスに気付いていないようだったガノンドロフに、後ろから斬りつけようとする。 「なっ!?」 突然ガノンドロフの周囲が眩しく輝いたと思うと、三角の光の壁が現れた。 急な壁の出現にアルスは止まれず、弾き飛ばされる。 魔法の力で痛みだけではなく、全身に痺れが走ったため、今度は受け身を取れなかった 「正面からでは勝てぬと踏んで、そう来たか。今の戦い方、実に見事だった。」 そう言いながらガノンドロフの右手には光が集まり、それが一つの弾を作っていく。 まだ地面に寝転がったままの状態だが、地面をゴロンと横に転がり、辛うじて一撃を躱す。 光の弾はパシュっと音を立てて、地面に弾けた。 「少しはやると思ったが、もう終わりか?戦いはまだ始まったばかりだぞ?」 ガノンドロフは続けざまに2つ目の光の弾をアルス目掛けて投げてくる。 「バギマ!!」 風の魔法では、光の弾は弾けない。 だが、地面に目掛けて竜巻を打つことで、その反動で空中に逃げた。 またも光の弾は外れることになる。 「なるほど。面白い逃げ方だ。だが翼も無いのに迂闊に空に逃げるのは悪手では無いか?」 ガノンドロフはすぐさま3つ目の光弾を作り、空を飛んだアルス目掛けて投げつけようとした。 「バギマ!」 そこでアルスは3度目の風魔術を打った。 「ゲルド砂漠に吹く砂嵐に比べればそよ風だな。」 ガノンドロフはものともせずに、魔法弾アルス目掛けて投げつける。 空中では、地上とは異なり柔軟な回避が難しい。 だが、魔法の弾道は逸れて、アルスはダメージ1つ無く着地する。 「そういうことか、やりおる。」 敵に大した効果が無いことを承知で撃った竜巻は、敵のボディーバランスを崩した。 そのため、コントロールが乱れた魔法はアルスに当たることは無かった。 着地したアルスは、すぐに攻撃に転じる。 僅かな戦いの間で彼は嫌というほど思い知らされた。 全ての力を出し尽くし、僅かな時間でもダメージ覚悟で攻撃を仕掛けないとこの男は倒せないことを。 まずは剣を中段に構えて、豹の様に猛然と走る。 そのまま敵の心臓に吸い付くかのように真っすぐ突く。 「ふん、つまらんな。」 (ダメだ……早くても一撃が弱いこの技じゃ……) 疾風突きはスピードに特化した一撃で、本来なら自分より早いはずの相手でも出し抜ける。 しかし、反面攻撃力は普通の一撃より劣る。 頑強な鎧と肉体に覆われたこの男の守りを破るには、到底至らなかった。 アルスの一撃は、ガノンドロフの纏ったガイアーラの鎧を僅かに傷つけるだけに終わった。 (だが、間合いには入れた!!) 今度は蹴りを横っ飛びで躱し、喉笛目掛けて逆袈裟に斬りはらう。 疾風突きより速さで劣る一撃は、簡単に首を逸らされて躱されてしまった。 (まだだ、隼斬りは二段攻撃!) 一撃目は躱されることを前提に打った攻撃だ。 身体を回転させ、もう一撃をガノンドロフの首目掛けて撃つ。 「良い一撃だ。我が反撃することを念頭に置かなければな。」 ガノンドロフは逃げることをせず、その場で身を回転させ、アルスに対して裏拳を放った。 (しまっ……!!) 敵に攻撃することばかり気がかりになり、反撃のタイミングを許してしまったことに気付くが、もう遅い。 強烈な拳をまともに受け、2,3度バウンドして地面に転がる。 この時にアルスは気づいてしまった。 自分の今までの戦い方は、この世界の戦い方に適していないことを。 元の世界で戦った時は、強い防具に身を纏った上で戦っていた。 また、ルカニなどで守りを緩められても、その間に誰かが庇ってくれることがあった。 だが、今の戦いはそれが出来ない。 武器こそはオチェアーノの剣や水竜の剣には劣るにせよ中々の業物だ。 しかし、防具がない以上はいつ致命傷を受けるか、常にその危険性を考慮しなければいけない。 要は、敵の攻撃を1人で、これまで以上の威力で受けねばいけないのだ。 駅での戦いで、クッパの一撃を受けて気絶してしまったのもそれに気付かなかったことが原因だと今になった分かった。 だが、それが分かった所でどうにもならない。 精々が、スカラで見の守りを固めるぐらいだ。 「辛うじてとはいえ、今の一撃を食らっても立ち上がるとは……。1つ我も面白い戦い方をしてみるかな。」 ザックから1つのアクセサリーの様なものを取り出す。 青白いハンマーの形をしたバッジだった。 「ぬうん!!」 ガノンドロフは力一杯その剣を振り回す。 どうにかしてブラフォードの剣で、敵の一撃を受け止める。 (くそ……重い!!) たった一撃を受けただけで、スカラまでかかっているのに肩までジインと重たい衝撃が走った。 あと2,3撃も受ければ、剣を落としてしまうだろうと考えてしまう。 しかし、アルスが驚いたのは単純な攻撃の威力だけではない。 服の袖の一部と、剣を握った手の甲が、冷たい氷に覆われていた。 「!!」 「なるほど、バッジというらしいが、面白いものが手に入った。」 ガノンドロフが胸に付けたのは、「アイスナグーリ」というバッジだ。 それを胸に付けた状態で力を込めて武器を用いた攻撃をすると、敵に氷属性の攻撃が出来るという代物だ。 勿論代償が無いわけではなく、魔力や体力を持ち主に応じて消費する。 だがどちらも無尽蔵に近いほど有しているガノンドロフにとって、大した問題ではない。 しかもそのガノンドロフは魔法の世界で造られた剣を持っているため、氷魔法に似通ったその攻撃はさらに威力を増す。 「ハハハハ!小僧の力は所詮その程度か!!」 「くっ……。」 今度は一転し、ガノンドロフの剣がアルスの首を狙いに来る。 まずはガノンドロフの一撃が横薙ぎに一閃。 手に走る凍傷の痛みも無視して、全神経を回避に注ぎ込み辛うじてアルスは躱す。 速さでさえもガノンドロフが勝っているが、力と力の差ほど離れている訳ではない。 だが、当たらなければ良いという訳ではない。アイスナグーリのバッジのせいで、かすっただけでもアルスにとって命取りになった。 よしんば一撃で殺されずとも、斬撃が入った際に来る氷は、確実に動きを阻害してくる。 動きを止められてトドメを刺されるか、凍らされてその身を砕かれるかのどちらかでしかない。 「これだけ力の差を実感してなお背の一つも見せぬか。だが勇気だけでは我は倒せぬぞ?」 (マヒャド斬りに似ている……いや、違うな……。) ガノンドロフの攻撃を受け流しつつ考える。 アルスもヒャド系の魔法やそれを応用した魔法剣を受けたことはある。 だが、それらの攻撃は凍傷によるダメージを目的としていたのであり、凍結により動きを阻害される危険性は孕んでいなかった。 だが、アイスナグーリを付けたガノンドロフの氷攻撃は、確実に攻撃を阻害してくる。 剣と剣がぶつかり合えば服の袖や柄を冷気が襲い、空を切って地面に当たれば地面を凍結させ、足場を悪くする。 従って、攻撃が決定打になるなら無い関係なく、ガノンドロフが剣を振れば振るほど、アルスが不利になっていく状況なのだ。 「ふむ、中々良い装飾品だ。少し形が不細工だがな。」 (はじめてだ。新しい技を助長させる装飾品だなんて) アルスも筋力を上げる腕輪や、足を速める指輪、果てには経験値が上がる靴など、不思議な力を持った装飾品を知っている。 だが、付けただけで新しい技を伝授するバッジなどは見たことが無かった。 (このままじゃ……) 正面からの攻撃では、すぐに負けるか僅かながら粘った末に負けるかのどちらかでしかない。 どうにかして懐に潜り込み、奪うことは出来ないにしろ、あの胸に付けた装飾品をどうにかせねばならない。 常に行動を氷で阻害され続けていれば、勝つどころか自分の身を守り切ることさえ難しい。 「我が胸にある飾りが邪魔か?ならば壊しに来るが良かろう」 攻撃の手を止めたかと思うと、不適な笑みを浮かべ、左手で鉤の形を作り、手招きする。 (言われなくてもそうする……いや、ダメだ!) ただ所持品が厄介なだけの相手ならば、そもそもここまでは苦労しない。 この戦いの目的はあくまで、バッジを奪うことではなくガノンドロフという男に勝つことだ。 氷の力を付与するバッジは、あくまで力のほんの一部でしかない。 それを壊すことに集中しすぎれば、そこに生じた隙を突かれて突かれて確実に命を奪われる。 「ふん、せっかく我が与えた千載一遇の機会を不意にしおって。我の施しを無下にした代償は高くつくぞ?」 ガノンドロフは再び剣を振り回し始めた。 「最初から勝機など与えてくれるつもりなどなかっただろ!!」 斜めから、横から、時には上から来る斬劇を避け続け、どうしても避けられないものだけ剣で受け止める。 直接の攻撃は受けていない。だが、敵が剣を振る度に切り裂いた空気の刃が、氷のつぶてがアルスの顔や腕、肩の傷を少しずつ増やしていく。 ガノンドロフはなおも涼しい顔のままだが、アルスの顔は焦燥しきっていた。 「飽きたわ。これで終わりにしてくれる。」 ガノンドロフが力を右腕に込めて、剣を地面に思いっ切り刺した。 「!!」 何をする気か分からないが、背筋に悪寒が走ったため、後退しようとする。 「何処へ逃げても同じよ。」 アルスの周囲に三角形の光が現れる。 「うわあああ!!」 それは先ほど受けた結界に弾かれた時の鈍痛だけではない。 凍傷にある熱さと冷たさが同伴したような鋭い痛みもアルスの両足を襲った。 アイスナグーリのバッジと、ガノンドロフが既に覚えていた結界魔法の合わせ技だ。 (凍ってる!?) アルスの両脚は、薄い氷に覆われていた。 彼が打った技は、まさに動きを封じる氷の檻だ。 (くそ……動け!!) 「そう焦らずとも、我がその両脚を斬り落としてやろう。」 ガノンドロフが突進して来る。 抵抗することもままなら無い。 せめて何か一矢報いてやろうとアルスが考えたその時だった。 「ブルルルルルーーーーーーッ!!」 東側から獣の雄たけびが響いたと思うと、鉄の鎧を纏った猪がガノンドロフめがけて突進してきた。 「これは……」 ガノンドロフは突進をどうにかして躱す。 「君は……。助けてくれてありがとう。」 誰とも分からぬ猪の騎手である、赤マントの男に感謝の言葉を告げる。 「お前に感謝をされる謂われはない。ファイア。」 そう言いながら猪から降りた彼は、炎魔法をアルスに撃った。 ルビカンテは彼を攻撃したつもりではない。 「動ける!!」 「火傷は自分で治せ。後は逃げろ。」 氷の足かせに対する炎魔法。 これほど有用な武器があるだろうか。 勿論アルスは凍傷と火傷、2つの傷を負うことになったが、これぐらいならば制限されている回復魔法で十分リカバーできる。 「戦いに水を差しおって……。」 ガノンドロフは苛立たし気に赤マントの男、ルビカンテを睨みつける。 「ならばその怒りを私にぶつけてくるがよい!!ファイガ!!」 ルビカンテは十八番の炎魔法を、ガノンドロフに浴びせる。 しかし、氷の力を纏った斬撃で、いとも簡単に火球は払われる。 「ふん、つまらぬ。その程度か?」 アイスナグーリによる攻撃や、彼自身の生命力だけではない。 「ダメだ!あの男には炎が効かない!」 ガノンドロフが身に纏っているガイアーラの鎧は、炎や爆発と言った熱の攻撃に大きな耐性を持つ。 アルス自身がかつてオルゴ・デミーラの居城で見つけ、装備したから良く知っていることだ。 「私に指図するな!!」 ルビカンテはアルスの忠告を無視して、炎の爪を付けた右手に力を籠める。 「せっかくの忠告を無視するとはな……まあいい。まだ手札があるならば使ってみるがよい!!」 ガノンドロフはルビカンテ目掛けて突進する。 「その余裕は、この技を見ても貫けるか?火焔流!!」 先程より強い熱気と、炎を纏った紅蓮の竜巻がガノンドロフを締め上げる。 「確かに素晴らしい炎の使い手の様だ。だが……。」 炎の龍が魔王の喉笛に食らいつく直前、彼は姿勢を低くし、剣を大きく二重に振り回す。 大回転斬りによる風圧とそれに纏う氷は、簡単に火焔流を切り裂いた。 渾身の力を込めて放った炎は、ガノンドロフの剣に近い場所から消えていく。 「まだだ!!」 味方が増えたことにより、攻撃のチャンスが増えたアルスは、支給品袋から水中爆弾を取り出した。 魚の頭がモチーフになっているそれを、氷の斬撃と炎の竜巻がせめぎ合っている場所目掛けて投げつけた。 (これでダメージにならなくても!!) 火焔流で引火した2個の爆弾は、ドドンと派手な音を立て、爆風を巻き上げた。 「逃げろと言ったはずだ!!」 「そんなことを言っている場合じゃ無い!!」 爆発の余波と、火焔流と打ち消した際の水蒸気で、ガノンドロフの周りには煙が濛々と上がっている。 だが、そんな煙幕など、魔王は斬撃一発で払う。 しかしそこに出来た一瞬のスキを利用し、アルスとルビカンテは魔王目掛けて突撃する。 「懲りぬ奴等だ……。」 再び魔王の周囲に光の結界が現れる。 「ぐわああ!」 ルビカンテは最初のアルスの様に、光の壁に弾き飛ばされる。 だが、すでに一度攻撃を見切っていたアルスは、結界の範囲や消えるタイミングを見抜いていた。 そして光が消え始めた瞬間、アルスが満を持してガノンドロフに目掛けて走る。 「その程度で我を欺けると思ったか!」 カウンターの掌底がアルスの腹を貫こうとする。 だが緑の風は魔王に攻撃するのではなく頭上を跳び越え、背後に回り込む。 「な?」 ガノンドロフが虚を突かれた隙にルビカンテも立ち上がり、アルスと挟み撃ちにする形で突進する。 「ファイガ!!」 「真空斬り!!」 魔王の正面から、火球が迫りくる。 魔王の背面から、風を纏った斬撃が迫りくる。 どちらかに対処すればどちらかの攻撃を食らう、筈だった。 「小賢しい!」 しかしガノンドロフはあろうことか、自ら火球に飛び込む。 否、その一撃を受け入れたわけではない。 氷の力を得た魔法剣で、火球を貫き、そこに出来た突破口を走り抜ける。 当然、彼も無傷では済まないが、ガイアーラの鎧の力でそのダメージを大きく落とした。 その行動はアルスの攻撃を躱し、同時にルビカンテの予想を覆した一撃を作り出した。 「く……。」 あわてて炎の爪で袈裟斬りを受け止める。 炎の魔力を秘めた爪と、氷の魔力を秘めた剣がぶつかり合い、ジュウウとドライアイスを鉄板の上に置いた時のような音が聞こえる。 鍔迫り合いは互角。 だが、格闘術はガノンドロフの方が有利。 「ぬぐぅ!!」 ルビカンテのマントに包まれた腹部に、魔王の膝蹴りが入った。 (やはり僕たち一人だけでは勝てない……だが……) そこに、殺し合いの会場とは思えないほど澄み切った青空に黒雲が集まり始める。 「集え、天の力よ、開花せよ、天空よ。」 「「!?」」 魔力の高まりに、ルビカンテもガノンドロフも驚く。 静かだった天は詠唱と共に、騒がしくなり始める。 (サンダガ……?それにしてはすさまじい魔力だ……) (恐怖しておる?我が?) 「来たれ、勇者の雷!ギガデイン!!」 デイン系の魔法は、他の魔法より多くの魔力と詠唱時間を食われる反面、確かな威力を発揮する。 今までは時間が無かったが、魔王がルビカンテにかかりきりになっている隙に、詠唱を始めていたのだ。 ぴかりとそれだけで目の一つも焼き切ってしまうほど強い光が瞬き、無数の白銀と黄金の槍がガノンドロフ目掛けて落ちる。 どうなったかは強すぎる光が邪魔をして、詠唱者であるアルスでさえも見えない。 だが、一拍置いて光に遅れたズンと重たい衝撃音が響く。 (やった、成功した………!!) 「ぐああああ!!」 悲鳴が響いた。 だが、その悲鳴は魔王のものではなかった。 アルスより魔王の近くにいたルビカンテが殴り飛ばされていた時の悲鳴だ。 アルスは目を見開いて、その瞬間をただ見ることしか出来なかった。 「雷の魔法か……そう来ると思ったわ……。」 「そんな……勇者の雷が……。」 雷が落ちる瞬間、ガノンドロフは空に剣を投げて、即興の避雷針を作り、ギガデインを回避した。 (くそ……もう一発……。) だが、時間稼ぎをしてくれる相手もいないまま、詠唱時間のかかる魔法を唱えさせてくれるほど、甘い相手ではない。 空を舞っていた魔法剣を握りしめて、ガノンドロフはアルス目掛けて斬りかかる。 (マリベル……みんな……ごめん…。) アルスは死を覚悟した。今度は躱す暇も与えてくれえそうにない。 その時、何かがブーメランのように飛んできて、魔王に命中した。 「次から次へと……!」 「無事か。」 盾を投げて走って来たのは、何の因果かアルスと同じ緑フードの青年だった。 「君は……。」 確か、最初の殺し合いの会場で自分の隣にいた男だと、アルスも思い出した。 「馬鹿者!図書館へ行けと言ったはずだ!何故ここへ来た!!」 「アンタ一人じゃ苦労すると思ったからだ。」 だが、もう一人の緑の服の勇者は、アルスやルビカンテの言葉を軽く受け流し、ガノンドロフを睨みつけていた。 その時、魔王の手の甲の正三角形が、黄金に輝く。 「なるほどな。貴様が勇者リンクか。」 力のトライフォースの持ち主である魔王は嬉し気に笑う。 青年の方を見ると、同じように手の甲の正三角形が黄金に輝いた。 「アンタがガノンドロフか。死ぬほど会いたかったぜ。」 それだけ言うと勇気のトライフォースの持ち主は、正宗を抜いた。 この2人の因縁は、当事者にしか分からない。 だが、その因縁は確かなものだと、この場にいる者全員が自ずと分かった。 奇妙な運命の果てに巡り合った2人の緑の勇者と、魔王の戦いはまだ始まったばかり。 →
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【モンスター】 ・アーリマン? ・オイルシッパー? ・機械兵? ・狂人ヨルノエイユウ? ・巨人制御システム? ・巨人兵? ・元首相? ・黒のワルツ3号 ・ゴージュシール ・サムライソウル ・サボテンダー ・スラッパー ・ソーン? ・ゾーン? ・天使のなっちゃん ・ドラゴンイゾルデ? ・ブリッツ? ・バルバリシア? ・メズマライズ? ・モルボル? ・ラストアーム? ・ルゲイエボーグ? ・ルビカンテ? ・ワイルドフック? 【宝箱】 ・異界の影?×1 【妖精】 【天使】 ・けむりだま?×20
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というわけで。 どいういわけで? あたしはよくわからないうちに森を目指しているのだった! いやまぁ、行く場所に困ったので剣を倒したらこっちになっただけなんだけど。 それでもまぁ暑いよりは良いかと、『E3』に向かっているのだった。 と、ここまでが状況説明だろうか。 今の所誰かに出会うと言うこともないし、疲れや何かもない。 あたしの体はこの程度で答えるほどやわではないのだ! まぁ、おかげで特筆することが何もないんだけど。 そんなわけで森の中。 あたりにぽつぽつと木が浮かんでいる。 どうにも、道のようなものはなく、ただ歩いていれば迷ってしまいそうだ。 まぁ、外の世界の人間なら……だけど。 流石にあたしだって森の歩き方くらい心得ている。 ……で、目の前に人影。 見る感じ“外”の子供っぽい。 何だか目つきが悪そうな……悪がきって感じだろうか。 もしただの子供なら、ゲームに反発しているかもしれない。 わざわざ話しかける必要性はないかな…… でも…… いや、だからこそかな。 ここは――話しかける。 ルミャの事、このゲームに対する彼の事。あたし自身のこれからの事。 結構悩みは尽きない。 だったらいっそ、放しかけてしまうのも手か…… 彼と合流するつもりはないし、それに―― 彼、直ぐに死んじゃいそうだから。 あはは、何考えてるのやら。 まぁいいか。 うん、どうでもいいや。 「ねぇ――」 ぴくりと、彼は振り向いた。 「何さ」 多少の緊張をもってか、それは受け入れられた。 向こうは不遜と言うかなんと言うか、そんな視線を向けている。 「ちょっとあたしの知り合いを知らない?」 「頼みごとをする前に、名前くらい名乗ったほうがいいんじゃないの?」 「単純な話だからいいんだよ、あんたが殺し合いに乗ってなければ直ぐに済むはずだから」 会話する気も、多分偶然だから、問題はないんじゃないかな。 あるとしたらここで殺し合いを始めちゃうのは面倒ってくらいか。 いや、あくまで精神的に……だけど。 「……まぁいいや。それで、どんな感じなの?」 投げやりと言えば投げやり。 彼はそんな感じの答えを出した。 あたしはルミャの姿を思い浮かべながら、ある悪戯を思い浮かぶ。 「その子はね、金髪に白と黒の服を着てるの。スカートね? 黒が基調かな」 少し思い出すように、彼は考えるしぐさを見せる。 数秒ほど、ここまでの事を思い出しているのだろう。 やがて答えが出たのか、顔を上げる。 「見たよ、うん、あの顔は忘れようがない、だって人を……殺してたから」 何だか、凄い単純だ。 まぁ、引っ掛けすら見せてなかったから仕方ないのかもしれないけど。 「……あ! そうだ。その子さ、リボンをしてたんだよ、御札みたいなの、顔を見たなら忘れようがないと思うけど」 だましてた。 ごめんね、嘘はあたし、普通につくから。 「っ! ……てめぇ」 「だましたわけじゃないよ、言わなかっただけ。 ただね? もし普通に見てたんなら、普通に気がつくと思ったから」 そもそも、その反応がダウトなんだよ。 だって大分あいまいな説明したし、とぼけることも可能だったと思うからね。 「じゃあね。 ……鬼はうそが大嫌いなんだよ? 気をつけることだー」 言って踵を返す。 時間を無駄にしてしまったなぁ。 早く別の場所に行こう。 ……背を向けるあたしの後ろで、何かカチャリと音がする。 けれども、それ以上は動けないだろう。 何せ常人が動けないような威圧を、こっちは行っているのだから。 所変わって先ほどまで春夏がいた辺り。 ほんの数分前までそこには人(モドキ)がいたのだ。 そこに今いるのは二つの強者。 片方はふざけたようなしぐさで箒を横なぎに振り回す。 片方はそれを肉弾で受け止めながら軽くけりを放つ。 箒を持つ者の名はハスタ・エクステルミ。 対する徒手空拳はルビカンテ。 であった途端にハスタが問答無用の投降勧告と言う名の襲撃を行ったのがそもそもの原因。 とはいえルビカンテもそれなりに乗り気ではあったが、はっきり言ってこういったつぶしあいは好まない。 相手は強者。 だがその強者が多く入るとは限らない。 今現在この戦いは拮抗――多少ハスタが押しているもの、切り替えしは十分可能だ――状態にあり、長く続けば消耗が激しい。 ならば、とルビカンテは口を開いた。 「お前はメインディッシュというものをどう思う?」 同時に押されている形であったハスタに反撃を仕掛ける。 ハスタがルビカンテの攻撃を防いだところで、そこからファイアを放つ。 打撃が勢いをもち、爆発する。 「ぐなななーん!」 吹き飛ばされながら、ハスタはギリギリで着地する。 ルビカンテは追撃をしようとはせず、代わりに後ろへ跳んだ。 「こう言い換えてもいいな。 イチゴは一体いつ食べる?」 両手でファイアを生み出しながら問いかける。 向こうは狂人だ、これの意味を理解してもらえると助かるのだが。 結果として、ハスタは箒を大きく自分ごと振り回しながら答えた。 「後から食べる、オレ、ケーキだいすきー」 それを終えると箒を下ろし、振り上げてから肩に提げる。 「けってーい。オレがお前でお前がオレで、大作戦結構決行」 「まったく意味が解らんぞ」 かくいうルビカンテも両手を握りつぶし、炎をかき消した。 なんだかんだで凶悪な殺人コンビと言ったところか。 武人と殺人鬼、目的が同じでも、随分と武人が有情に見えるが。 そして―― そこは戦場ではなく惨劇の生贄が移る祭壇だった。 哀れな子羊が二つと、残酷な蛇が一つ。 子羊の内一つは既に意識がなく、この状況であれば死は免れ得ない。 「…………う」 意識を持つ子羊、シーナは思わず声を出す。 思考の内から咄嗟に浮き出たような声。 「嘘! いや! レミリィ! ねぇレミリィ! 起きてよ、おきておきて……」 死にたくないと、シーナは言った。 誰にでもなく願望として。 当然それを、ソウルは否定する。 「嫌ねぇ、馬鹿みたい。 生きるか死ぬか、貴方はそんな事を言える立場にないじゃない」 せめてそのジャマなのをどこかへやってから言うべきだと、ソウルは笑った。 笑って哂って、嗤った。 「そんな、む、無理ですよ。レミリィを見捨てるなんて、嫌。嫌。嫌!」 気絶したレミリィを抱えたまま、シーナは後ずさりする。 一歩、二歩、距離をとる。 けれどそれはカタツムリと同じだ。ネズミと同じだ。 踏み潰す側からしてみれば、鈍間な愚図にしか見えない。 ソウルはひとしきり笑って、ずいっと顔を二人へ近づける。 恐怖を大きく誘う笑顔。 思わずシーナが悲鳴を上げた。 息を呑むような小さなそれはソウルへ届く。 「それじゃあ、仲良く地べたを枕にすることね。 安心なさい――冥府の扉は、貴方達を歓迎するわ」 ゆっくりと顔を放し、絶対の余裕でソウルは語る。 それはもはや決定した戦いの、強者ゆえの余裕。 シーナは思わず目を瞑る。 もうだめなのだと、息をのむ。 いや、ソウルのそれは油断だった、と言うべきか。 「ど、ど、どいたー!」 唐突に響いた少女の声。 飛び込んでくる一つの塊。 黒い羽と、どことなく平凡な少女。 そして元気なハスタ氏。 惨劇ののろしは、ゆっくりと消えようとしていた。 事の発端と言うべきか。 塔を目指そうとしていた朱里と悟(+プリニー)の二人(以下略)は助けを求める叫びを聞いた少し後、先ほどコンビを組んだばかりのハスタルビカンテに襲撃を受けていた。 まず最初にハスタが上から降ってきて朱里に襲い掛かってきた。 朱里に加勢しようと悟が動いたところにルビカンテが襲撃、というのが大体の流れである。 その後二人を囲んで戦闘開始と言ったところだったのだが、二人が飛び掛ってきたところでルビカンテが大技『ファイガ』を放った。 コレにより朱里と悟プリニーは分断され、戦闘が一対一になった。 ハスタとしても一人でゆっくり殺したほうがおいしかったので、この案は賛成である。 こうして一対一になった……のだが朱里がそこで逃亡した。 わざわざ戦う意味はないと踏んだのだ。 その結果、逃げる場所を特に考えなかった所為で彼女はソウルの独壇場に躍り出ることになる。 こうして三人――ソウル、朱里、ハスタが一堂に介する。 最初に動いたのは朱里。 この場からいち早く離脱しようと、牽制の羽を放ち、同時に飛翔する。 その標的となったソウルは一度レミリィとシーナに意識を移すが、動くことは出来ないだろうと、すぐさま意識を敵に移す。 丁度いい、 「質より量。全部纏めて吹き飛ばせばいいわ」 得物の大鎌を大きく振るう。 すると波のように分散された風刃が飛び上がる。 それは先行する羽を全ていとも簡単に薙ぐと、続けて朱里に切りかかる。 朱里にはそれは見えない、しかしふと感じた嫌な予感と共に、彼女は自身の体に翼を纏う。 進行は残念ながら急停止だ。 「ぶにゃーんと」 翼を払った朱里に襲い掛かったのは上空から飛び掛るハスタだった。 よく解らない掛け声と共に、箒で朱里を覆うように降りかかる。 朱里は一瞬あたりに視線を這わせ、多少のスペースがある後ろへ跳んだ。 着地するハスタ。 そこに、勢いよくソウルの大鎌が降りかかる。 当然のごとく木製の箒で受け止めるハスタ。 ソウルからしてみれば纏めて切り抜くつもりだった。 だのに、結局箒以上のものには切りかかれない。 因みに、余談だがこの箒、説明書には『霧雨製の頑丈な箒です』と書かれていた。 まぁハスタ氏が適当に鼻かみに使ってしまってもうないのだが。 「ららぁ!」 そこへ、朱里が高速で羽を連射する。 数は十とそこらだろうか、穿てばハスタをソウルの手で引導を渡させることくらいは出来そうだ。 まぁ夢見は悪いだろうが……というか、死にそうにもないが。 実際ハスタは大鎌を弾くと、一回転しながらソウルに切りかかる形になった。 羽を纏めて薙ぐと、次いでソウルへ襲い掛かる。 鎌を弾き飛ばされ、身動きの取れなくなっていたソウルは咄嗟に鎌を捨てると後ろへ飛ぶ。 風を切る音と鎌が地に落ちる音は同時だった。 一回転、後ろへ行くとそのまま立ち上がり、鎌を手にする。 低い姿勢のまま一気に鎌を振り上げる。 ハスタはそれを何のためもなくバック転して回避する。 ついでに朱里の後ろへ回った。 危険を感じた朱里はすぐさま翼で自分を覆う。 するとそこへ衝撃があった。 ハスタが思いきり箒で突いてきたらしい。 大きく前に押し出される。 けれど、これで大分ハスタと距離が開けた。 次いで、羽を広げた途端に襲い掛かってくる何か。 感じ取れはしないものの、すぐさまいくつかの羽を飛ばす。 あてずっぽうの内一つが丁度よくクリーンヒットして、それは消え去ったようだ。 随分と近かったが。 なんにしても問題は多い。 さし当たってはこの状況を何とかしないといけないだろう。 状況的には先ほどのハスタと同じだ。 そして朱里は実質二対一の状況に陥って、その両者を捌けるほど強くはない。 この三人の中で恐らく最も強者なのはあの変なのだろう。 (あたしじゃあどうしても手数が足りないし、あっちは手数はあるようだけど技術と機動力が足りない) どうやったってこのままではただ飛び回るだけの朱里では打ち落とされてしまうだろう。 ソウルの攻撃が不可視で、遠距離様のものだと言うのも些かまずい。 ならばと考えるが、結局行きつく先は二対一を崩す以外に方法はなかった。 少しでも判断をミスすればすぐさまこの世からおさらばごめん。 殺されるのは嫌だし殺すのも嫌だ。 ならば仕方ない、逃げるしか、朱里にはない。 シーナは唐突に惨劇の祭壇が激闘の戦場へ変わったことに、驚きを隠せないでいた。 どういうことなのかと、木々の合間を縫って行われる戦闘を暫く目にしていた。 が、そのうちそれは自分たちには関係のないことなのだと気がついた。 そう気がついたら、やがてそれは喜びに変わった。 死から逃れた歓喜。 それはシーナにとって最高の清涼剤であった。 死の漂うあの渦中、シーナはひたすら恐怖した。 恐怖の中に一種の諦めのようなものも持ったりもした。 何で自分が、と憎悪のように悔しがったりもした。 どれもコレも事実であり、気絶してしまったレミリィを羨んだのもまた事実。 けれど、もう大丈夫なのだと、戦場は語っていた。 偶然の中に現れた奇跡。 自分は、レミリィは助かったのだ。 早くここから立ち去ろう。 そうだ、それがいい。 今はまだここには死が存在している。 あの三人、だれが被害者なのかはわからないが、殺しあっているのは事実だ。 だったら近寄りたくはない、出来れば今すぐ何処かへ行ってしまいたい。 早くだれか頼れる人を見つけよう。 シーナの抱いていたものは希望だった。 紛れもない安堵、そこから沸いてくる希望の数。 それはどうしようもなく冒しようがないし、純然としたものだ。 (帰ろう、居場所に帰ろう。 大丈夫、レミリィもいる。 そうだ――) 恐怖も、憎悪も、何もかも。 シーナはヘタレでここぞと言うときに何も出来ない。 けど、それはこう考えればいい。 今はここぞと言うときではない。 そう考えて、余裕を持てば、 考えていた。 少なくともその瞬間は。 「起きて、レミリィ、私たちは、何も怖くないんですよ」 声をかけて、その瞬間だった。 タンッっと、シーナの心臓を黒い何かが通り過ぎた。 アレ、何か。 痛い? 紅い? 血? 鉄のにおい。 誰の? 熱い。 自分の、血。 血。血。血。 あふれて、痛い。 こぼれて、熱い。 いやだ、熱いよ、痛いよ。 熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。熱い。痛い。 ああアアアああああああああああああああああァァァァァああああああぁああああああああああアアアアアァァァァああああアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああぁぁぁぁぁぁああああぁあぁあアアアアアッッッッ!!!! ―― ―――― ――――――――と゛う゛し゛て゛こ゛う゛な゛っ゛ち゛ゃ゛た゛の゛か゛な゛あ゛。 ―――― ―― ―――(2)へ
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FINAL FANTASY Ⅳに登場するボスモンスターである土のスカルミリョーネ、水のカイナッツォ、風のバルバリシア、火のルビカンテの4人の総称。 ニコニコ動画にて、ユーザーが「FF4で、ゴルベーザ四天王登場!」という楽曲を投稿しており、これを車の中で聴くとトラブル(ケツを掘る、道を間違えるなど)が発生するといういわくつき。 元ネタ 「FF4で、ゴルベーザ四天王登場!」 http //www.nicovideo.jp/watch/sm2479135
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様々な場所を見た末に、アルスが見つけたのは自分の家だった。 煙突からは、母さんの焼いた魚と、アンチョビを塩漬けにした時の匂いが流れてくる。 臭いとか、香ばしいとかではなく、どこか心を落ち着かせてくれる匂いだ。 ここに家族がいて、マリベルがいる。 ずっと好きで、これからも好きでありたい場所だ。 ギイと少しきしむ木の扉を開けて、家の中に入る。 「良い家ね。」 「うん。世界を旅して、ここより良い家を見たけど、やっぱりこの家が一番好きだな。」 「ただいま、母さん。」 どういうわけか、アルスの母マーレの姿はなかった。 まあ、買い物でも行っているんだろうと考える。 そこに、魚が火にかけっぱなしなのに気付いた。 このままじゃ魚は焦げるし、火事になる可能性もあるので、火を消す。 料理をそのままにしておき、梯子を上り、2階へ上がる。 ベッドを見ると、アルスの瞼は一層重くなった。 アルスとマリベルは、1つのベッドで眠りに落ちようとする。 暖かい、幸せな少年と少女が1つになる瞬間。 それは大して、特別な景色でもない。 特別では無いが、それゆえにアルスは優しく、穏やかな笑顔を浮かべていた。 (…………………………………………………違う!!!!!!!!!!!!!!) 「どうしたの?アルス、一緒に寝ようよ。私、アルスのこと好きよ。」 違う。絶対に違う。 何が違うのか分からないが、違うという事だけは分かった。 「お前は誰だ!!」 アルスはマリベルに怒鳴りつける。 「変なことを聞くのね。あたしはあんたの知ってるマリベルよ。アミットの家に生まれて、フィッシュベルで育った……。」 「その口を開くな!!」 今になって、アルスは気づいた。 本物のマリベルならば、絶対に自分に対して好きとは言わないと。 横っ面をはたいてくるのがマリベルなのだと。 「アアアアあああるるるルルルルルススススススすすすすすす」 マリベルの顔が、次いで全身が漆黒に包まれ、スライムの様に形を変えて行く。 それが再び形を作られていくと、目の前にはザントの姿があった。 「宴は楽しんでもらえたかな?幸せな日々を取り戻せて、良かったかな?」 「うるさい!!僕を元の世界に戻せ!!」 アルスはザントに目掛けて言い放つ。 「元の世界?戯言も大概にするがよい。」 ザントが指を鳴らすと、アルスの胸に激痛が走った。 「既に心の臓を刺され、死した今、元の世界に居場所があるとでも?」 「!!」 胸に手を当てる。 傷こそは無かったが、その奥にあるはずのそれは、動いていなかった。 「諦めろ。あの幻影に気付いたのは予想外だが、もうどうにもならぬ。全てを影に委ねれば良かろう。 それとも、影の世界でもう1度死んでみるか?」 ザントの両手に、真っ黒な魔力が溜まる。 (本当に、本当に何も出来ないのか?) その時だった。 何処からともなく現れた黒い糸の様なものが、ザントの全身に絡み付く。 (!?) 闇に紛れて非常に見え辛いため、それが髪の毛だということに気付くのに僅かながら時を要した。 「な、何だ?」 ザント自身も驚く。 しかし、驚いている暇も無く、髪の毛はどんどん増えていく。 その能力から考えて、山岸由花子がいたのかと思ったが、髪の先にいたのは似ても似つかぬ、黒髪の巨漢だった。 「君は?」 「俺の名はブラフォード。君が持っている剣のかつての持ち主、と言えば良いか。」 本来ならば、決して起こりえぬはずの奇跡だった。 既に死したはずの剣の持ち主が、次の持ち主に語り掛けてくるなど。 「悪に挑みし勇気ある少年よ。時間はあまりない。だが、名前だけ聞かせてくれ。」 「アルス……。」 「そうか、アルスよ。俺の髪が指してある方向に向かえ!!」 「離せ……離せええ!!」 ピョンピョンと猿の様に暴れるが、いっそう髪は強く絡み付き、ザントを拘束し続ける。 だが、一房だけザントを縛っておらず、別の方向を指した髪があった。 「ありがとう!!」 アルスはその方向に向かって走って行く。 「俺もかつて愛した女を失った事実に耐え切れず、悪に身を委ねた。異なる世界の友人よ、お前の瞳から俺を救った勇者と同じものを感じる。 だから、行け!!振り返るな!!俺のようになるな!!」 初めて出会った剣士の声が、アルスの背中を押す。 段々声援が小さくなると、その先にいたのは、マリベルだった。 「ようやく気付いた?あんたって本ッッ当にドンくさいんだからねえ!!」 この強気な口の聞き方、間違いない。本物のマリベルだ。 「あらあら、何泣いてるのよ。まだやることがあるんじゃないの?」 「ごめん……マリベル。」 「謝るなら、自分のやることを全てやってからにすれば?このマリベル様がそれさえも待てないぐらい気が短い女だと思っていた?」 「思ってないよ。」 そして、マリベルはアルスの手を強く握った。 「そうだ。1つ言い忘れていたことがあったわ。」 「何?」 「前、あたし言ったわね?『死が必ずしもその人の価値をなくしちゃうとは限らないわよ。もしアルスが死んでもあたしはきっとアルスのこと忘れないもの』って。 その通りだったでしょ?」 フォロッドで、人の死をこれまでより目の当たりにしてきた僕にかけてきた言葉だった。 その時、アルスが思い出した、彼が冒険で一番印象に残った言葉はそれだった。 初めて彼は、『冒険のこれからのこと』を考えるきっかけになった言葉だから。 どれほど世界を変えられるのか、結局変えられぬままなのか、その果てで何かを喪うのか。 その言葉は本当にその通りだった。 マリベルはこんな場所でも、アルスの言葉を覚えていた。 彼女との思い出を確かめられて、それだけでよかった。 きっと、元の世界に戻っても、残りの命はほんのわずかだ。 だけれど、自分のことを知ってくれる人がいる、無駄じゃ無いってことが分かっただけで戦い続けられる。 命が残り僅かならば、閃光のようにその僅かな時間だけ輝くだけだ。 「行ってらっしゃい!!アルス!!」 「行ってきます!!」 影に覆われた世界を走って行く。 身体の痛みが戻って来る。 刺された心臓が、凍傷が、火傷が、切り傷が、全ての痛みが新鮮になって来る。 だが、それは光の世界に戻ってきているということだ。 「うおおおおおおおあああああああ!!」 雄たけびを上げ、痛みに抗い続ける。 (勝つ!!) (ザントじゃない!!) (オルゴ・デミーラじゃない!!) (ガノンドロフにでもない!!) (自分に勝つ!!!!!!) そして、痛みが最高潮になる中で、アルスの両の眼に、知っている景色が飛び込んできた。 早速、ガノンドロフの胸に斬撃を見舞う。 その一撃は浅く、とどめを刺すには至らなかった。 だが、ガノンドロフに衝撃を与えるには十分すぎる瞬間だった。 「みんな……ごめん。」 「な……なぜ……。」 ガノンドロフは、驚愕のあまり目を見開いた。 最も、リンクもルビカンテも反応は大して変わりはなかった。 嘘のような出来事だ。 だが、影の虜になったアルスが元に戻ったフリをしているとか、そういった嘘ではないことは分かった。 影の剣に操られていた時と違い、両の目は決意を秘めた人間の目をしていたからだ。 アルスの右手の痣が輝く。 その瞬間、胸に刺さっていたままの剣は、光に包まれる。その剣を胸から抜いて、投げ捨てた。 忘れるなかれ。 彼はトライフォースに選ばれた勇者では無いが、水の精霊に選ばれしエデンの戦士なのだ。 「ど、どういうことだ……。」 影の剣を消すなど、今ガノンドロフが持っている聖剣の力が無ければ出来ない筈だ。 「色んな人が、影に飲まれそうな僕を助けてくれた……。」 死の寸前とは思えないほどの力で、異なる世界の友人の剣を握りしめる。 アルスは、勇気ある人間などではない。 世界を取り戻す冒険に出るたびに、失うものが怖くて仕方が無かった。 でも、その恐怖はもうない。 喪っても、失ってもその相手を覚えていられるし、自分のことを覚えてくれる相手がいると分かったからだ。 「僕は、お前を許さない!!」 右手のブラフォードの剣に、雷が宿る。 「ギガ、スラーーーーッシュ!!」 「ぬぐおおおおお!!!」 勇者の雷が剣に集まり、ガノンドロフの右肩から脇腹までを斬り裂く。 本来なら最早ギガスラッシュを放つ魔力は切れていた。 しかし、影の剣が齎した魔力が、皮肉なことにアルスの魔力を復活させたのだ。 「俺も忘れるな。」 リンクは大きく隙が出来たことを見つけ、前転を繰り返して敵の目の前に突っ込む。 一度剣を鞘に納める。 ―――伍の奥義、居合い さらに、魔王の傷を増やす。 その瞬間を見て、ルビカンテは涙を流した。 どういう理屈かは分からぬが、あの少年は自らが終ぞ乗り越えられなかった闇を、乗り越えたのだと、自ずと伝わった。 初めて、彼は正義の心を持つ人間を認めた瞬間だった。 「その程度で勝ったと思うな!!勇者共!!」 ガノンドロフは全身を血で汚しながらも、敵意を飛ばす。 魔法の剣で地面を引っ掻き、氷の力を秘めた衝撃波が襲い来る。 「ファイガ!!」 しかしその壁は、炎の力で撃ち飛ばされた。 「隼斬り!!」 文字通り隼のように鋭く速く放たれた攻撃を、一発は受け止め、もう一発は後方に退くことで無力化させる。 ―――参の奥義 背面斬り その退いた背を、リンクが斬りつける。 「急所突き!!」 心臓に目掛けて放たれた一撃を、魔王は即死だけを免れるために最低限の動きで回避する。 その剣は心臓スレスレを傷付けるが、死ぬことは無い。 そのまま左手の拳で、アルスを突き飛ばす。 そして、リンクの放った回転斬りを跳躍して躱す。 魔王は逆転の一撃を狙い、まずはリンク目掛けて魔法の剣を振り下ろす。 後方にいたルビカンテは、もう間に合わない。 だが、アルスはリンクを突き飛ばしたため、事なきを得る。 その代償でアルスは大きく肩から腿にかけて切り裂かれるが、既に死しているアルスにとっては大したダメージではない。 「これで終わりだ!!魔人斬り!!」 渾身の力を込めた一撃を放つ。 本来なら命中率が著しく低いが、この至近距離なら外さない筈。 「くっ……」 だが、その一撃は当たらなかった。 攻撃は最大の防御と言わんばかりに、ガノンドロフはアルスを蹴とばし、自分も後退してさらに距離を離す。 「行くぞ!!」 「勿論だ!!」 距離を離されても、2人の緑の勇者は剣を再び構え、ガノンドロフに斬りかかる。 「ギガ……スラッシュ!!」 「でええやあああああ!!」 しかし、ガノンドロフの周囲に三角の結界が現れ、二人の攻撃を食い止めようとする。 この勢いならば、2人は止まらず結界に激突する。 魔王はそう思っていた。 「「うおおおおおおおお!!」」 アルスは勇気の雷を纏った剣で、結界を破ろうとし始めた (ま、まさか!?) ギガスラッシュだけではない。 リンクの正宗もまた、結界を破ろうとしていた。 1本の剣は勇者の雷を浴びて黄金に輝き、もう1本の剣は炎を浴びて紅蓮に輝く。 魔法剣を使えないリンクは、この世界で魔法剣をマスターしたのだろうか。 答えは否である。 「行けえええ!!!」 「助かる!!」 ルビカンテがファイガを、リンクの正宗に纏わせる。 「ぬおおおおおおおおお!!!」 魔王は必死で結界を守ろうとする。 2つの力を秘めた剣が、魔王の結界を破ろうとする。 それはまさに、2つのギガスラッシュ。 いや、ギガ・クロススラッシュと言うべきか。 「「ぶち抜けえええええええええええええ!!!!!」」 魔力の壁が二人を襲おうと、凍結の力が二人を凍らせようとしても、2人の心の炎は消えることは無い。 赤と黄金で造られた十字架が、氷と光の結界を破り、ついに魔王を貫いた。 2つの斬撃は、魔王がかつて処刑された時の傷を中心に交わる。 「これで終わりなのか?我は。」 腹に大きな十字の傷を浮かべたガノンドロフは、疑問符の付いた言葉を発しながらも、どこかその結果を受け入れている様だった。 「ああ。」 リンクは短く答えた。 「そうか……。だがこれで全てが終わったと思うなよ。我と緑の勇者が再び相まみえるその時まで、せいぜい足掻き続けて見せよ。」 それは、魔王ガノンドロフが浮かべた最後の笑みだった。 魔王は、後悔も懺悔も無く、笑みを張り付け、立ったまま事切れた。 この瞬間、勇気の剣士と力の魔王の物語が、1つ幕を閉じた。 「やった……。」 小さく呟いた後、言葉にならない雄たけびを上げた。 勝利の喜びか、失ったものに対する悲しみか、それは分からない。 これまでリンクが培ったものが、彼の脳裏に止めどなく流れていく。 咽喉が枯れるまで叫ぶと、少年の地面に倒れこむ音が聞こえた。よく見れば、彼が持った剣も折れている。 「君!!しっかりしろ!!」 名前も知らない、僅かな間だけの戦友を呼びかける。 けれど、既に鼓動の音は聞こえなかった。 既にアルスは戦いで猪の牙を刺された時、死んでいた。 一度蘇り、戦いに参加していただけでも奇跡でしかないのだ。 「アルス……だよ。僕の名前……。」 「アルス!!しっかりしてくれ!!魔王を倒した!!ありがとう、君のおかげだ。」 リンクは叫び、ザックを開けて何か助けられそうな物を探す。 しかし、彼の死はどうしようもなく不可避の事実だった。 イリアを、姫を、そして戦友を助けられなかったリンクは、アルスの顔に雫を零す。 「回復魔法ではどうにも出来ん。」 ルビカンテはただそれだけ呟いた。 「最後に……お願いがある……。僕の仲間、メルビン……さんと、アイラと……友達になって欲しい……。」 「最後とか言うな!!まだ君は目的を果たせてないだろ!!」 必死で揺さぶり、意識を取り戻そうとする。 「マリベル……僕は君のこと、好きだよ。」 最後に、恋人の名前を呟き、言葉を話さなくなる。 「ガノンを倒せたのはアルスのおかげだ。だから、お前のことを忘れない。 必ずデミーラを倒すよ。」 別れの言葉を告げた後、涙にぬれた瞳で、ルビカンテを見る。 「ルビカンテ。」 「良いのか。」 「ああ。」 魔力を切れかけたルビカンテが、最後の魔法を唱える。 冷たくなったアルスの遺体を炎が包み込む。 それは彼の放った魔法の中で、一番優しい炎だった。 【キングブルボー@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス 死亡】 【ガノンドロフ@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス 死亡】 【アルス@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち 死亡】 【残り 32名】 【B-3と4の境目/草原/一日目 昼】 【リンク@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス】 [状態]:ハート1/15 肋骨一本損傷 服に裂け目 所々に火傷 凍傷 疲労(特大) 死霊使い(佐々木ユウカ)に対する怒り(大) [装備]:正宗@FF4 トルナードの盾@DQ7 [道具]:基本支給品 ランダム支給品0~2 水中爆弾×5@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス アルスのランダム支給品1~2 (武器ではない) [思考・状況] 基本行動方針:主催を倒す 1.イリアを操っているはずの死霊使いを殺すか。 2.ピンクのツインテールの少女(彼女が殺し合いに乗っているかは半信半疑)から、可能ならば死霊使いの情報を聞く 3.アルスの想いを継いで、仲間を探し、デミーラを必ず倒す ※参戦時期は少なくともザントを倒した後です。 ※地図・名簿の確認は済みました。 ※奥義は全種類習得してます 【ルビカンテ@Final Fantasy IV】 [状態]:HP 1/20 魔力0 疲労(特大) [装備]:炎の爪@ドラゴンクエストVII フラワーセツヤク@ペーパーマリオRPG [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:この殺し合いを終わらせて受けた屈辱を晴らし、生き延びた者と闘う 1.とりあえず休む ※少なくとも1度はセシルたちに敗れた後です。 【支給品紹介】 【アイスナグーリ@ペーパーマリオRPG】 ガノンドロフに支給された、青白いハンマーの姿をしたバッジ。 これを使うことで、体力や魔力と引き換えに敵をダメージと共に氷漬けに出来る「アイスナグーリ」を使える。 原作ではFPを使うが、誰が付けたかによって体力だったりMPを消費したりする。 また、ハンマーによる攻撃だけではなく、剣や槍などでも追加効果がある。 ※ガノンドロフ、アルスの周囲には、折れたブラフォードの剣@ジョジョの奇妙な冒険、柊ナナのスマホ@無能なナナ マスターソード@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス 火縄銃@新世界より ガイアーラの鎧@ドラゴンクエスト7、美夜子の剣@ドラえもん のび太の魔界大冒険、アイスナグーリ@ペーパーマリオRPGが落ちています。 Back← 067 →Next 066 愛する人へ 時系列順 075 見えざる刃 投下順 068 切望のフリージア(前編) 058 炎の裏で思考する者達 ルビカンテ 083 影濃くなれども リンク 053 おんぼろ アルス GAME OVER 066 ジジ抜きで警戒するカード ガノンドロフ
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The Dreadful Fight 収録作品:ファイナルファンタジーIV[SFC/PS/WSC/GBA/NDS/Mob/PSP/iOS/And] 作曲者:植松伸夫 概要 さあ!回復してやろう! 全力でかかってくるがいい! 曲名の通りゴルベーザ四天王との対決で流れる戦闘BGM。 ファイナルファンタジーシリーズ初の通常ボスの曲とは別に作曲された上位ボスの曲であり、四天王戦の他にドワーフ城におけるゴルベーザとの闘いや月の地下渓谷の最強武器守護モンスターとの戦闘等でもこの曲が使われる。 緊張感と疾走感がある「バトル2」に対して、重々しいイントロから始まり主旋律のヴァイオリンとトランペットの裏でティンパニーが打ち鳴らされる重厚感と緊迫感に比重が置かれた曲である。 この曲が初めて流れるのは試練の山でのスカルミリョーネ第2戦目。 橋を渡り終えた途端、背後から倒したはずのスカルミリョーネが現れまさかのバックアタック。 アンデッドの姿でこの曲を引っ提げバトルに突入するインパクト抜群の流れは、「ゴルベーザ四天王」という集団がこれまでのボスとは別物の存在であることをプレイヤーに思い知らせることとなった。 その後もバロン城でのカイナッツォ戦、ゾットの塔でのバルバリシア戦、ドワーフの城でのゴルベーザ戦とストーリーにおける重要局面での戦闘で流れる曲であることからも印象深い曲である。 バブイルの塔でのルビカンテとの対決はこの曲が流れる中、上記の台詞とともにパーティを全回復した上で戦闘に突入する『FF4』全体で見てもかなり有名なイベントである。 現在では個性あふれるゴルベーザとその四天王のテーマ曲として認知され、数あるFFシリーズの曲の中でも知名度の高い曲であり、他作品にて複数のアレンジ曲が存在する。 『シアトリズム ファイナルファンタジー』ではBMSに原曲が収録されプレイできるのだが、究極の譜面が「ビッグブリッヂの死闘」、「ブレイズエッジ」そしてDLCの「Force Your Way」と共に途轍もない難易度になっている。 スタッフの間でもこの曲が最高難度であったと認知されていたらしく、続編の「シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール」では連続スライドトリガーを中心に難易度の抑えられた譜面に修正されている。 なお、『FINAL FANTASY IV ORIGINAL SOUND VERSION』において、「ゴルザベーザ四天王とのバトル」と盛大に誤植されていたりする。 我が業火に呑まれるがいい! 炎は、こうして使うものだ! 『ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ』ではゴルベーザと配下の四天王が登場することになり、この曲も多数アレンジ曲が実装されている。 パッチ6.2“禁断の記憶”でのバルバリシア戦の曲「ゴルベーザ四天王とのバトル ~禁断の記憶~」はFF14の音源に沿った正当アレンジとなっているが、間奏部分にSFC時代の音源のフレーズが入っており、音源の落差に一瞬不意を突かれそうになるだろう。 パッチ6.3“地の鳴動、天の祝祭”にてゴルベーザ四天王最後の一角であるルビカンテが実装されたが、「ルビカンテ討滅戦」の曲「Forged in Crimson ~紅蓮の求道者~」を手掛けたのはまさかのヒャダインこと前山田健一氏であることが公式Twitterで明かされた。 前山田氏はかつて野良でニコニコ動画にアレンジ曲を掲載して大きな反響を受けた経験があったが、今回のアレンジのフレーズは正にニコニコ動画の雰囲気そのままであり、14年の時を経てFF14でまさかの事実上公式化を果たすという驚天動地の展開となってしまった。 さすがに歌詞はそのままにするわけにはいかないので新たに書き起こされたのだが、作詞を担当したのは時田貴司氏という力の入りようである。 当の前山田氏も「なんだこの夢みたいな現実は。いや,夢かもしれない。本当の私は2008年くらいに頭を打っていて,そのまま夢を見続けているのかもしれない。」とまで語るほど、歓喜と困惑が混在するほどだったようである。 パワーをメテオに! そしてパッチ6.4“玉座の咎人”にて遂にゴルベーザとの決戦が実装された。 おなじみのメテオだけではなく、攻略の鬼門となるウィンドスフィア等の様々な攻撃を繰り出してくる強敵となっている。 これほどの大物が相手なだけあり、戦闘曲「ヴォイドの救済者」はなんと後半部分に「ファイナルファンタジーIV・メインテーマ」までもが組み込まれたものとなっている。 前半部分のドスの効いた威圧感はこれまでのアレンジ曲の比ではなく圧倒されそうになるほどだが、その分コーラスを交えた後半のメインテーマと終盤の「プレリュード」の壮大さに驚かされることだろう。 四天王との格の違いのみならず、「ゴルベーザ」の名を冠することの重みがどれほどのものであるかが思い知らされるはずである。 過去ランキング順位 ファイナルファンタジーIV「ゴルベーザ四天王とのバトル」 第6回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 954位 第8回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 987位 第16回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 939位 みんなで決めるスクウェア・エニックス名曲ベスト100 113位 第2回みんなで決めるスクウェア・エニックス名曲ベスト100 99位 FINAL FANTASY BGMランキング 20位 みんなで決めるスーパーファミコンBGMベスト100 231位 みんなで決める1990年代の名曲ランキング 123位 みんなで決めるボス戦BGMベスト100 14位 ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ「Forged in Crimson ~紅蓮の求道者~」 第16回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 703位 みんなで決める2023年の新曲ゲーム音楽ランキング 114位 サウンドトラック FINAL FANTASY IV ORIGINAL SOUND VERSION 「ゴルザベーザ四天王とのバトル」が収録されている。 関連動画 「ゴルベーザ四天王とのバトル」Full PV From『FINAL FANTASY IV OST REVIVAL DISC』 【DISSIDIA FINAL FANTASY】バトルムービー:ゴルベーザ FF 4で、ゴルベーザ四天王登場! FF14の「Forged in Crimson ~紅蓮の求道者~」は事実上この曲のアレンジになる。 「Forged in Crimson ~紅蓮の求道者~」-『ファイナルファンタジーXIV』ルビカンテ討滅戦 - FINAL FANTASY XIV パッチ6.4トレーラー「玉座の咎人」
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【一日目・朝】 投下No. タイトル 作者 登場人物 場所 041 I m Not Okay (I Promise) ◆S33wK..9RQ レッド、サカキ、博麗霊夢 A-3 042 いるはずのない真犯人(1)いるはずのない真犯人(2)いるはずのない真犯人(3) ◆dGUiIvN2Nw レミリア・スカーレット、瀬多総司、風見幽香、アドレーヌ、足立透、霧雨魔理沙 D-4 043 Shadows and Regrets(1)Shadows and Regrets(2)Shadows and Regrets(3)艶かしき安息、躊躇いに微笑み ◆S33wK..9RQ 十六夜咲夜 、 ハル・エメリッヒ 、 里中千枝 、 リボルバー・オセロット、 漆黒の騎士、カイン・ハイウィンド 、 セシル・ハーヴィ、 アシュナード 、アリス・マーガトロイド、天城雪子 、 カービィ 、 キョウ 、 ゴルベーザ E-3、D-3 045 銀河に集う星たち(前編)銀河に集う星たち(後編) ◆.dRwchlXsY アカギ、雷電、東風谷早苗 B-3 046 アフターダーク ◆S33wK..9RQ 花村陽介、ルビカンテ、レッド B-2 【一日目・午前】 投下No. タイトル 作者 登場人物 場所 044 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─狂乱劇 第二幕 ─二匹の気高き狼─狂乱劇 第三幕 ─一人の重みと八人の重み─宴を邪魔する者達 第一幕 ─折れた赤き翼─宴を邪魔する者達 第二幕 ─一輪のひまわりの花─終幕 ─円卓会議、そして新たなる怪物──Interim Report─ ◆dGUiIvN2Nw レミリア・スカーレット、瀬多総司、風見幽香、アドレーヌ、足立透、霧雨魔理沙、十六夜咲夜、ハル・エメリッヒ、里中千枝、漆黒の騎士、カイン・ハイウィンド、セシル・ハーヴィ、アシュナード、カービィ、キョウ、ゴルベーザ D-4、C-4 047 神と支配者(1)神と支配者(2)神と支配者(3) ◆dGUiIvN2Nw サカキ、博麗霊夢、アカギ、雷電、東風谷早苗 D-2 048 心一つあるがまま ◆S33wK..9RQ イザナミ、マルク、八意永琳 不明 049 僕たちの行方 ◆.dRwchlXsY 花村陽介、ルビカンテ、レッド B-4 【一日目・昼】 投下No. タイトル 作者 登場人物 場所 050 Reach Out To The Truth(1)Reach Out To The Truth(2)Reach Out To The Truth(3)Reach Out To The Truth(4)Reach Out To The Truth(5)Reach Out To The Truth(6) ◆dGUiIvN2Nw レミリア・スカーレット、瀬多総司、アドレーヌ、十六夜咲夜、里中千枝、漆黒の騎士 D-4
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(それにしても……) セシルとローザ、それにリディアとはぐれ、カインと二人行動する中エッジは一人ごちる。 (いつの間にかこいつらと行動を共にする事になっちまったな……) 本来ならば自分の目的はルビカンテを倒し、お袋や親父の敵を、エブラーナの無念を晴らすことであった。 勿論、お袋や親父をあんな目にあわせたのはルゲイエという男であるのだし、セシル達の口からゴルベーザという 黒幕が存在する事も聞いていた。 ルビカンテを倒した後も奴らと一緒に戦おう――心のどこかではそのような決意も存在していた。 (こうも急な形となるとな――) 格好がつかない。とまではいわないがもう少し決意を固める時間がほしかった。 それに、セシル達はここを脱出したら自分は国に帰ると思っているのかもしれない。 ならば自分はこの後は国に帰るべきか。王族として後を継がねばならないし。爺や達も心配している―― 「おい……おいっ! 聞こえてるのか!?」 少し、いや……大分前から自分にカインが話しかけていたようだ。 「ああっすまねえ少し考え事を!?」 物思いにふけって相手の話を聞き逃す自分の悪い癖だ。 「まあいい、これから格納庫を探すぞ!」 「格納庫?」 「飛空艇のだ。お前も見たことはないかも知れんが聞いたことはあるだろう?」 「まあな」 バロンの天翔ける船の話はエブラーナにも届いていた。島国であるエブラーナにゴルベーザ が侵攻する際にも用いたのも知っていた。 「どうした? 敵の兵器を使う事に不満が? それとも自国を滅ぼしたものに頼るのは嫌か?」 「へん……そんな思いは毛頭ないぜ」 エッジにとってはエブラーナは祖国であり、この国は伝統などといったものを重視する場所であった。 しかし、当のエッジは保守的な思想よりも革新的な思想の持ち主である。他国の良い部分はどんどん 取り入れるべきであるし、飛空艇に対しても興味があった。 「ならばいい。おそらく格納庫には飛空艇がある。ここから最も確実に脱出するにはそれを奪うのが もっとも的確だ」 「なるほどな」 「それに……おそらく奴も、セシルも同じことを考えているはずだ。向こうはローザにリディアを抱えている はずだからな。安全に脱出する方法を考えればそれしかない。ならば、俺達も格納庫を目指せばセシル達と 合流できる可能性は高いはず」 状況を的確かつ冷静に分析するカイン。反論する余地もない。 「いいぜ、それに従う……」 「決まりだな」 それだけのやりとりで再び足を速めるカインとエッジ。 絆17