約 454,635 件
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/5137.html
千葉県の、とあるホテルの一室。 魔導師の少年、ユーノ・スクライアはそこでベッドに転がされていた。 彼の両手足は、魔力のリングによって拘束されている。「バインド」と呼ばれる魔法である。 「なぜだ……。なぜ君が、僕にこんなことを……。答えてくれ、なのは!」 端整な顔立ちに戸惑いの色を浮かべながら、ユーノは眼前の少女に向かって叫ぶ。 その少女は、ユーノのよく知る人物であった。 彼の親友であり魔導師としての弟子でもある少女、高町なのはだ。 「こんなことをしている場合じゃないのはわかってるだろう! 今この瞬間にも、たくさんの人が命の危険にさらされてるんだ! 君は、それを放っておけるような人じゃ……」 「そうだね……。だから私は、自分の幸せをつかめない」 「なのは……?」 ゾッとするような冷たい声でつぶやくなのはに、ユーノは思わずたじろぐ。 「私ね、支給されたこれをつけたときに見ちゃったんだ……。私の未来を」 そう言いながら、なのはは自分の首に手を当てる。そこには、ユーノには見覚えのないアクセサリーがつけられていた。 目をかたどった、お世辞にもセンスがいいとは言いがたい首飾りだ。 「未来の私は、ひたすら仕事に打ち込んで、ひたすら戦い続けていた……。 25歳にもなって、まともな恋愛経験もなく……。 おかげでいき遅れだの喪女だの魔法少女(笑)だのと陰口をたたかれる始末……」 「な、なのは? 何を言って……」 「私はそんな未来、いや……。そんな未来、変えてやる……。だからさ、ユーノくん……」 幽鬼のごとき足取りで距離を詰めると、なのはは身動きの取れないユーノのズボンに手をかける。 「既成事実……作ろうよ」 1時間後、そこには枕に顔を埋めて静かに泣くユーノと、どこから持ってきたのかシガレットチョコを咥えてアンニュイな表情を浮かべるなのはの姿があった。 ◆ ◆ ◆ 「す、すごい……。今時の小学生って、こんなに進んでるの?」 そして柊かがみは、ことの一部始終を部屋の外から覗いていた。 【一日目・1時/日本・千葉県】 【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】 【状態】思考暴走 【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王 【道具】基本支給品一式 【思考】 1:ふぅ…… 【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】 【状態】ショック 【装備】なし 【道具】基本支給品一式、不明支給品 【思考】 1:こんなのってないよ…… 【柊かがみ@らき☆すた】 【状態】健康 【装備】なし 【道具】基本支給品一式、不明支給品 【思考】 基本:家族および友人と合流 1:どうしよう、この状況……
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/482.html
明日に架ける橋 ◆Qpd0JbP8YI 「それじゃあ、スクライア」 ブレンヒルトは銀色の艶やかな髪を後ろに撫で付けながら、話し始めた。 「まずはあなたのことについて話してもらおうかしら」 「ぼ、僕?」 彼女の見た目に似合わぬ流麗な様に多少見惚れながらも、 ユーノは質問にハッキリとした声で答えた。 「僕はユーノ・スクライア。時空管理局内の無限書庫の司書長をやらさせてもらっている」 「無限書庫?」 「うん、無限書庫というのは、あらゆる次元世界の書物やデータを集めたデータベースのこと。 世界の記憶を収めた場所とも呼ばれていて、そこにない情報はないとも言われているところだよ」 その言葉を聞いて、ブレンヒルトは心の中で笑みを浮かべた。 今まで足りないと思っていた情報。 それをフェレットが山のように抱え込んできたのだから、それも当然といえるだろう。 「なるほど、それなら司書長さん、ずばり聞くわ。あなたはこのゲームをどう考えているのかしら?」 ブレンヒルトの瞳が真っ直ぐとユーノに注がれる。 死と隣接するゲームに直面し、それでも抗おうとする真摯な目。 しかしその視線を受けて、ユーノは僅かに冷や汗を浮かべた。 殺し合いが始まって、既に半日が経過。 その間、何をしていたかと言えば、彼自身余り思い出したくないもの。 そこから何かしらの考察を得るというは、幾らユーノとはいえ、無理なことだった。 とはいえ、ユーノ自身、素直に何も考えていなかった、と言うのも憚られる。 「た、確かなことは、まだ何も言えない。情報が足らなさ過ぎる」 「スクライア、あなたは無限書庫の司書長なのでしょう? 情報は足りているんじゃないのかしら? それとも怪我のせいで思い出せないのかしら? だとしたら、大変ね。 その傷が頭に影響を与えているとは考えづらいけれど、 念の為にその傷がどうなっているいるか調べたほうが、やっぱり良いわよね?」 そう言いながら、ブレンヒルトは自らの手をニギニギとさせ、 ゆっくりとユーノのお腹へと近づけていく。 「ちょ、ちょっと待って! 幾ら司書長だからって、 全ての情報を記憶出来るわけないだろう? だ、だから、薄ら笑いを浮かべながら、こっちに来ないでくれ!」 悲鳴とも言えるユーノの声を聞いて、ブレンヒルトは盛大に溜息を吐いた。 「じゃあ、あなたはこのゲームについて、本当に何も知らないの?」 「う、うん。まだ確かなことは何も……」 使えないわね。 心の中で呟きながら、ブレンヒルトはユーノを見下ろす。 これならまだバルディッシュのほうが役に立つというものだ。 「じゃあ、あなたはこれからどうするつもりなの?」 「なのはと明日香と……ルーテシア、それにジュエル・シードを探そうと思っている」 恐らくは高町なのはを意味するであろう名前を声にする目の前のフェレットを ブレンヒルトは幾分か不思議に感じたが、今はそれに勝る疑問が彼女にはあった。 「そう……それであなたは無事に全部見つけたとして、どうするつもりなの?」 その質問には沈黙を返すユーノ。 その居ずまいに、思わずブレンヒルトの額に青筋が浮き立つ。 無限書庫と言われる何だか壮大な所に勤めておきながら、先を見通そうとしない浅慮。 ブレンヒルトの苛立ちに限界が来るのは当然のことだった。 「このバカフェレット! 今の状況が分かっているの? それじゃあ、あなたの目的を果たしたところで、全てが解決するというわけじゃないのよ。 今、私たちはデスゲームの真っ只中にいるの。 このゲームに対して、何かしらの解決策を導かなきゃ、あなたもあなたの探し人も全部終わりよ。 それともスクライア、あなたは優勝でも目指しているのかしら?」 波濤の如く押し寄せるブレンヒルトの言葉。 その波に飲み込まれて、平常心を保つのは難しい。 だけどユーノは平然と佇立し、思いがけない方法で、その波を受け返した。 「いや……ここからの脱出の手段なら、ないこともない……」 「何ですって!!?」 その言葉を聞いたブレンヒルトは、 思わず怪我をしているフェレット姿のユーノのムギュッと両手で掴み、詰め寄った。 「さっさと答えなさい、スクライア!」 「ちょ、痛い、痛い! ブレンヒルト、痛いよ!」 見てみれば、ユーノの傷からは僅かに血が滲み出ていた。 「あ、あら、悪かったわね、スクライア。つい興奮してしまって……」 「いや……うん……いいよ、ブレンヒルトの気持ちも分かるし」 ユーノはフィジカル・ヒールの魔法を新たに発動させながら答える。 その様子に若干の居た堪れなさを感じながらも、ブレンヒルトは未だ興奮を隠せずにいた。 「それでスクライア、その方法は何? それは今すぐに出来ることなの? というか、さっさと私を元いたところに返しなさい!」 「いや……えっと……」 「ほら、さっさと答える!」 まくし立てるブレンヒルトにユーノは思わず怯み、言葉を失う。 その様子に痺れを切らしたブレンヒルトは威嚇するかのようにモギュッとユーノの身体を掴んだ。 「ちょっ、痛いって! 痛い! 話すから放して、ブレンヒルト!」 「よし! それじゃとっと話しなさい」 そう言ってブレンヒルトはユーノをベッドの上に放った。 そんな手荒な扱いに内心文句を募らせながら、 ユーノはブレンヒルトの興奮を治めるように、ゆっくりと説明を始めていった。 「まず最初に言っておきたいんだけど、これは安全で確実な方法じゃない。一種の博打みたいなものなんだ」 「随分と剣呑な言い方をするのね。それじゃあ、失敗したら、私たちの身に危険が及ぶような口ぶりじゃない」 「うん、実際、危険な方法なんだ。そしてやる価値があるのかも、今は分からない。それでも聞くかい?」 「ええ、聞くわ。どの道、今の私にはここを脱出する手段なんて何も思い浮かばない。 それなら何もない道を進んで迷うよりかは、危険だと分かっていても、 今にも切れそうな吊り橋を渡った方が、よっぽど安心できるわ。 何てったって橋の先には明日が見えているんだからね」 「そうだね。そうかもしれない」 ブレンヒルトの言い回しに、ユーノは同意した。 「それで、その危ない橋を渡る方法は何かしら?」 「ブレンヒルトはジュエル・シードというものを知っているかい?」 「ジュエル・シード? さっきあなたが探しているものって言ってたわね?」 「うん」 「残念ながら知らないわ。説明をお願い出来るかしら?」 「うん。ジュエル・シードはロスト・ロギア、古代遺産の一つで、何でも願いを叶える宝石と言われているものなんだ」 「ちょっと、待って、スクライア。あなたの言う脱出手段って、 もしかしてそのジュエル・シードに、願いを叶えてもらうってことなの? それともこれは何かしらのジョークなのかしら?」 ブレンヒルトは何とも呆れた顔でユーノに聞いた。 期待して質問してみたら、返ってきた答えは、何ともメルヘンチックなもの。 そんな現実感を感じさせないご都合主義的なもので、彼女は到底納得できるはずもなかった。 「いや、ジョークじゃないよ、ブレンヒルト。大真面目さ」 侮蔑の眼差しを送るブレンヒルトに、 ユーノは至って真面目な視線を送り返し、更なる説明を加えていった。 「ジュエル・シードに願いを叶えてもらうってことで間違いはないけれど、厳密には違う」 「どういうこと?」 「結論から言えば、ジュエル・シードの力を解放させる」 「解放?」 「うん。ジュエル・シードは願いを叶えるという側面もあるけれど、その実体は次元干渉型のエネルギー結晶体。 そのエネルギーを解放させれば、次元震が起きて、このフィールドを覆う結界が壊れると思う。 また壊れないにしても、次元震が周りに与える影響は大きい。 恐らく……というより、十中八九、時空管理局がその反応を捉えて、ここにやって来ると思う。 そうなれば、プレシアもこんなゲームを続ける余裕はなくなるだろうし、僕たちも無事にここを脱出することが出来る」 ブレンヒルトはユーノの説明を聞き終えると、指を顎にあてながら、じっと考え始めた。 そしてその時間が終わると、すぐに彼女は口を開いてきた。 「スクライア、幾つか質問があるわ」 「なんだい?」 「まず最初にそのジュエル・シードがこの会場にあるかということ。 そんなゲームの盤台をひっくり返すようなものを、 あの腹黒そうなオバサンが私たちに支給するとは思えないわ。 二つ目は、その次元震とやらが、私たちにどういった影響を与えるか。 結界に覆われていても、尚、反応を確認できるようなエネルギーを目の前にして 果たして私たちは無事でいられるか。 そして三つ目。これは一番肝心なことよ。 スクライア、あなたの考えには首輪のことが欠落しているわ。 あなたは一体この首輪をどうするつもりなの? 取り敢えず、以上の三つよ。答えてもらえるかしら、スクライア」 「まず一つ目の質問だけど、答えは、ある。 実際ルーテシアのバッグに入っているのを僕が確認した。 恐らくはプレシアは殺し合いの促進を目的として、配ったんだろうね。 ジュエル・シードの願いを叶えるというのは、ものすごくあやふやなものなんだ。 上手く扱わなければ、ジュエル・シードは暴走して、持ち主を取り込んで、モンスターとなる。 そうなれば参加者の間に友好的な関係が出来るはずもなく、自然と戦闘が生じてしまう。 そういった事を考えれば、多分だけど、 他の参加者にも支給されている可能性も高いんじゃないかな」 「なるほど、ジュエル・シードがあるというなら安心だわ。 だけど、スクライアはそんな危ないものを上手く扱えるのかしら?」 「どうだろうね。ジュエル・シードの力を解放することは、僕でも出来ると思う。 だけど、それを完全に制御するとなると、僕一人じゃ、やっぱり難しいかな」 「一人……ね。というと、複数なら可能というわけね。 それでそのメンバーに入るのに、何か資格は必要なのかしら?」 「資格というわけではないけれど、補助系の魔法に長けた人物が欲しいね」 「それはこのゲームの中にいるの?」 「うん、僕の知る限りではシャマルとザフィーラの二人かな。 彼らがいててくれれば、何とか制御はできると思う」 「そう。それでその人たちは殺し合いに乗るような人かしら?」 「普段の彼らを見る限りでは、そういったことは考えられない。 でもこの場でなると、正直、分からないところがある」 「まあ、そうでしょうね。それにその人たちが脱出に必要というのなら、 どちらにしろ、会ってみないことには何も始まらないしね。 それじゃあ次の二つ目の質問の答えをいいかしら?」 「その答えは、何ともいえない。言っただろう、博打だって? 上手く制御できれば、何も問題はない。 だけど制御できなければ、次元震によって、この世界は崩壊。 そして、それに巻き込まれて僕たちは死ぬことになると思う。 勿論、全員ね」 「そう」 「そう、って……驚かないんだね」 「十分驚いているし、嘆き悲しんでいるわ。 でも、このままここにいても、死ぬという可能性は絶えず付き纏う。 だから、あなたのいうことは、今と大して状況が変わらないということなの。 なのに、それを今更、他人に分かるように驚いてみせる必要はないでしょう?」 「まあ、そうかもね」ユーノは苦笑した。 「それで三つ目は?」 「三つ目の答えは、僕自身、まだ何も考えていない」 「はー!? あなたは何を言っているの!?」 「いや、待って、落ち着いて! お願いだから、ブレンヒルトはこっちに手をのばさないで!」 「……ふん、あなたがそう言うとなると、まだ先に答えがあるというわけね?」 「うん。首輪の方は、多分、Lが考えていてくれていると思う」 「L?] 「僕のパートナー……というのかな? 探偵をしている人間だ」 「探偵ね~」 「そんないぶかしむ必要はないよ。彼の能力の高さは僕は保証する。 それに彼自身も名簿を見て、僕と同じ結論に達したと思うしね」 「結論? それは一体どんなものなのかしら?」 「結論といっても、そんな大げさなものじゃない。 ただ単に自分の役割を認識したというだけのことだよ。 僕がこのフィールドを覆う結界をどうにかして、 Lが首輪を解除の手段を模索するということを。 一応、僕が結界魔導師と呼ばれていることを、彼は知っている。 そしてその名の通り、僕は他の魔導師よりかは、結界について一日の長があると自負している。 そんな僕に彼が期待することは、勿論、決まっているだろう?」 「結界の解除、もしくは破壊といったところね」 「それにLには戦う能力はなく、また結界についての知識もない。 だとしたら、彼が選び取る行動の選択肢は予想がつく。 つまりは、首輪の解除。 Lがそう動いてくれるなら、僕は安心して他のことに専念できる」 「随分と信頼しているのね?」 「まあ、そうだね」 「信頼も結構だけど、スクライア、あなたはやっぱり今という状況を失念しているんじゃないかしら? あなたはさっき言ったわね。Lに戦う能力がない、と? そんな人がこんな所で無事に生き残っていられると思う?」 「う~ん」 ユーノは腕を組み、首を傾げながら、唸り声を上げた。 あの濁りきった目をした人間が、死ぬということが、上手く想像できなかったのだ。 寧ろ死んだとしても、そのまま普通に動き出しそうで怖い。 「どうだろう。 彼は頭も良いし、行動にも抜け目がない。 恐らくは生き残っていると思う。 でもそれについは、次の放送で分かるんじゃないかな」 「そうね。そういえば、放送も近いわね」 結果がすぐに分かるというなら、もしものことについてわざわざ頭を悩ます必要はないだろう。 「そういえば、あなたはジュエル・シードを持っているの? 見せてもらえるかしら」 「いや、ルーテシアに預けてあるよ」 ブレンヒルトは思わず眉をひそめた。 ルーテシアは先程、ユーノの腹を刺した張本人。 しかも、ゲームに乗っているという最悪な人物だ。 そんな人間の手に肝心なジュエル・シードが渡っているというのでは、 折角見えてきた脱出という文字が、遠ざかっていくのを感じずにはいられない。 そこで彼女が気になるのは、先程言っていたユーノの言葉。 「スクライア、あなたはさっきルーテシアを探すと言っていたわね。彼女を探して一体どうするの?」 「彼女と会って……うん……話をしてみるよ」 ユーノは言葉を選びながら、ゆっくりと答えた。 ゲームに乗ったものと対峙する。 ブレンヒルトはユーノとルーテシアの関係など、想像もつかなかったが、 それでもユーノの答えは危機感を放棄した馬鹿な考えとしか思えなかった。 「スクライア、確認するけれど、あなたは何故ルーテシアがあんなことをしたのか、ちゃんと分かっているの?」 ブレンヒルトの台詞を聞いて、ユーノはその答えを探す。 思い返せば、ユーノは出会って早々にルーテシアの裸を視姦し その次には彼女のいじらしい胸をまさぐっていた。 何とも破廉恥な行いをしてきたものだ。 それでは彼女が怒るのも当然といえる。 今まで無事だったのは、ひとえにユーノがフェレットという認識がルーテシアにあったからに過ぎない。 しかし、ユーノはミスを犯してしまった。 先の襲撃の際に、ユーノは咄嗟に変身を解いてしまい、人間体へと戻ってしまったのだ。 ルーテシアはマフィアだ。 そしてマフィアはプライドや面子を大切にするという。 あのナイフを持ったアクションは自分に不義を働いた人間ユーノに対して、 ルーテシアなりのケジメをつけたのだろう。 ユーノはそう判断する。 無論、何をするにしても、あんな状況ですることとは思えないが、ルーテシアはマフィアの跡目。 流石は肝が据わっている、ということなのだろう。 そんな彼女に対してユーノとて恐怖が湧かないわけではないが、 ここでちゃんと謝っておかないと、後々尾を引きかねない。 もし眼帯をした少女やそのファミリーにルーテシアの怒り、ユーノの正体がばれたらどうなるか。 それではこの会場における自身の危険性が遥かに増すし、 ユーノの関係者も見せしめとして処分されかねない。 またここを無事に脱出できたとしても、その後の命に保障がもてない。 やはり一番に解決すべき問題なのだろう。 「うん……分かっているよ」 ユーノは頼りなくはだが、しっかりと答えた。 「そう、分かっているのね」 今までとは違った優しい声が、辺りに響いた。 ユーノはてっきり軽蔑されるのかと思っていた。 自らの猥褻行為を省みれば、それも当たり前。 だけどユーノの目の先には、何とも柔らかな眼差しを送るブレンヒルトがいた。 「あなたがそこまで言うのなら、私からは何も言えないわ。 ただし、約束なさい。ちゃんと彼女を、ルーテシアを説得すること。いい?」 「えっ、う、うん、約束するよ」 ユーノの戸惑いをよそに、ブレンヒルトは感心していた。 ルーテシアはゲームに乗っていて、ユーノを傷をつけた。 それなのにユーノは彼女の行いを許し、説得しようというのだ。 全く馬鹿げた奴だ、とブレンヒルトは思う。 だけどそれと同時に、ユーノへの信頼が自分の内に湧いてくるのを、 彼女は感じずにはいられなかった。 【1日目 昼】 【現在地 H-8 畑の隅にある小屋】 【ブレンヒルト・シルト@なのは×終わクロ】 【状態】健康 【装備】1st-Gの賢石@なのは×終わクロ、バルディッシュ・アサルト(カートリッジ4/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、双眼鏡@仮面ライダーリリカル龍騎、首輪(矢車)、ランダム支給品0?1 【思考】 基本:ここからの脱出。 1.ジュエル・シードの捜索 2.L、シャマル、ザフィーラの捜索 3.残り15人になったら車庫の中身を確認してみる(信用できる人以外に話す気はない)。 4.キース・レッドとの約束は一応守るつもり。 5.戦闘には極力関わらない。 6.フェイトの生い立ちに若干の興味。 【備考】 ※自分とバルディッシュに共通する知人に矛盾がある事を知りました(とりあえず保留、別世界の可能性を考慮)。 ※キャロ、金髪の青年(ナイブズ、危険人物と認識)、銀髪の青年(殺生丸)の姿を遠くから確認しました。 ※車庫を無理に開けようとすれば首輪が爆発すると思っています。中身は単体で状況を変え得る強力な兵器だと思っています。 ※ルーテシアの話の真偽は保留。 ※ユーノ・スクライアのことを信用しました。 ※ルーテシアのことはユーノにまかせるつもりです。 【ユーノ・スクライア@L change the world after story】 【状態】魔力消費(中)、腹に刺し傷(ヒーリング中)、フェレットに変身中 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本:なのはの支えになる。ジュエルシードを回収する。フィールドを覆う結界の破壊 1.ルーテシアと話をする 2.ジュエル・シードの捜索 3.シャマルとザフィーラの捜索 4.Lや仲間との合流。 5.首輪の解除。 【備考】 ※JS事件に関連した事は何も知りません。 ※プレシアの存在に少し疑問を持っています。 ※ルーテシアがマフィアや極道の娘だと思っています。 ※ルーテシアに刺されてから小屋に着く途中まで気絶していたのでルーテシアや明日香がどうなったのか知りません。 ※ルーテシアに刺されたのは、自分が破廉恥な行いをしたからだと思っています。 ※結界を壊す一つの手段として、ジュエル・シードの力の解放を考えていますが、実際にやるかどうかはまだ分かりません。 Back かがみとバクラが堂々とホテルで休憩するそうです 時系列順で読む Next The people with no name Back かがみとバクラが堂々とホテルで休憩するそうです 投下順で読む Next The people with no name Back Reconquista(後編) ブレンヒルト・シルト Next 誇りの系譜(前編) Back Reconquista(後編) ユーノ・スクライア Next 誇りの系譜(前編)
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/310.html
遊乃堂奇譚その六?「造られし者達の」空気読まずに1レスもの R8rHjTvr ここは海鳴町の片隅にある古びた佇まいの古書店『遊乃堂』。 いつも静かな古書店はやはり今日も穏やかでゆっくりとした時が流れていた。 ――こんな物まで集めてくるなんて僕が想像しているよりも上をいっているな、あの“無限書庫”は。 ユーノは指定席となっているカウンターのある席で何やら分厚いハードカバーの本を読みふけっていた。 そしてそこに書かれている人物に対して思いを巡らせる。 ――でも彼も考えようによっては少し似ている存在なのかな。 それに彼があんな事を起こした気持ちもわからなくはないな、とも彼は思った。 「どうなさったんですか? 我が主ユーノ。何か浮かない顔をしていらっしゃいますが」 アインスは暗い表情で読みふけるユーノの顔を心配になってのぞき込んだ。 「いや、僕らの“無限書庫”でね、ジェイル・スカリエッティのデータを見つけたんだ。 それをまとめて文書データにした物を読んでいたんだけど……、だからたいしたことじゃないんだ」 ユーノが隠してしまうよりも早くアインスはその“書籍”の上に手をのせた。 その書籍と触れたアインスの手がほのかに青く光る。 「私が新たに復元される前に起こったJS事件の首謀者。彼のプロフィールも含まれています」 「まあ、そうだね」 ――相変わらずお優しい方ですね、主ユーノは。 「彼は私と同じ、何かをなす目的で人為的に作られた存在なのですね」 ――だから私のことを考えて暗い顔をなさっていたのでしょうか。 「いや、だから同じも別もないと思うけど……」 ――僕だってもしかすると何かによって造られた存在かも知れないんだよ。 ユーノは慰めにしか聞こえないその言葉をギリギリのところで口にするのをやめたが。 「そうですね。彼は人造であっても生命体であり私はデバイスの管制人格に過ぎず、比較対象にはなりません」 「だからさ、君にはそんなことを言って欲しくも考えて欲しくもないんだけど!」 珍しく大声を上げるユーノ。 「……申し訳ありません。僭越なことをいったようです」 深々と頭を下げるアインス。 「そうじゃなくてさ。 大切なのはどう生まれてきたかじゃなくて、どう生きていくかなんじゃないかって僕は思うんだ。 ……なるほど僕は幸せ者だよ。それは今、誰にも憚らずに胸を張って大声でいえるよ。 たとえ両親を知らなくてもや僕の生まれが実のところはよくわからなくてもね。 スクライアの村のみんなに育てられて、そしてこの世界でなのはやフェイトや、ま、クロノもかな……、 みんなに出会えて、そして今も君やアルフと一緒にここにいられるからね。 その上、夢だった書籍や資料に囲まれた生活が出来てるし。 だから君が不幸だと思っているとしたら、それは君の心の持ちようと、 そして主として側にいる僕に力がない からだと思う」 ――主ユーノ、貴方の幸せの中に私も含まれているというのならばそれだけで私はとても幸せです。 「申し訳ありません。……私にとって言葉というものは伝達がうまくいかなくてももどかしいものです。 私はこの自分という存在も生まれも別に悲しんではおりません。そのように聞こえたのであれば謝ります。 私がこのような存在だからこそ新たな主として貴方と出会うことが出来た。 今も貴方という存在のそばにいられる私は大きな幸せを感じることが出来る。 だからむしろ私がこのような存在であることに感謝をしたいくらいなのです」 ユーノはアインスのその言葉に正直ホッとした。 「ならいいんだ……。もし僕という存在が君の幸せであるというのなら君は僕のそばにずっといるといいよ」 「はい。主ユーノがおそばにいていいというのであればずっと」 ――いつか私という存在が消えるまで…… 見つめ合う二人の近くでわざとらしい咳払いが聞こえた。 「プロポーズの最中に悪いけどさ、アタシ晩ご飯の買い物に行ってくるんだけどいいかい?」 「ア、アルフ、プ、プロポーズって……」 「いいえ、主ユーノが私などにプロポーズをするわけはありません!」 「あれ、さっきのはそんな風に聞こえたんだけどね。ユーノはアインスじゃあご不満かい?」 「いや、そんなことはないけど……」 いたずらっ子のような笑みを浮かべてアインスに目配せするアルフ。 「じゃあ、いいんだ。そしてアタシはユーノに振られちゃったぁ~と♪ お邪魔虫は消えよっかな」 「だからさ~……」 アインスは幸せな気持ちを胸に抱いて 目の前の二人のいつもの掛け合い漫才のような会話を微笑みながら見守る。 窓の外には冷え冷えとした情景とは別にこの古書店の中には暖房よりも少しだけ暖かな空気が漂っていた。 29スレ SS アルフ ユーノ×アインス ユーノ・スクライア リインフォース・アインス
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/106.html
「ヴィヴィオとユーノ」 作者:ID S4BVzX9Y 世の中はいつだってこんなはずじゃなかった、そんな事ばかりだ 昔、そんな事を言った少年が居た。 彼女は、そんな言葉は知らないし言った人物の事もしらない。 だけれども、知っていたのならばその意味を噛み締めていただろう。 夜の誰もいない公園の片隅で。 なきじゃくりながら、これからどうしていいか解らずにいる。 「ふぇ…ぐすっ……うぐ……」 ここはとても寒くて、お腹も減った、疲れてもう歩けない。 家に帰れば、ママが作っておいてくれたゴハンもある、暖かいベットだって。 けれども、帰りたくない。 あんな場所、帰る場所じゃない。 少女は、ヴィヴィオはかつて機動六課があった場所を目指していた。 どっちの方に在ったかなど判らない、どれほどの距離があるのかも考えていなかった。 だから、全然違う所に来てしまって、とても心細くて。 それでも、あの場所に行きたかった。 なのはママとフェイトママ。スバルお姉ちゃん、ティアナお姉ちゃん、キャロお姉ちゃん、エリオお兄ちゃん。 はやてさん、リインちゃん、シグナムお姉ちゃん、ヴィータお姉ちゃん、シャマルおばちゃん、ザフィーラ。 怖いおじさんの所から逃げ出して、みんなに助けて貰った思い出の場所。 みんなみんな一緒だったあの場所に。 「かえりたいよぉ……」 自分はどうなってしまうのだろう。 このまま、迷子のままで何処にも行けないのだろうか? そう思うと、子供の心を押しつぶしてしまうには十二分過ぎるほどの不安が押し寄せてくる。 「ふぇ……だれか、たすけて……」 「どうしたの? ヴィヴィオ」 突然、助けを求めた声に応えるモノがありヴィヴィオはびっくりして顔を上げる。 其処には、緑色の瞳を持った一人の青年がいた。 以前、何度か逢ったことのあるその青年の名前を、ヴィヴィオは涙混じりで呼んだ。 「ゆ、ユーノおじさん……」 名前を呼ばれた青年が、ヴィヴィオを抱きかかえる。 「こんな所に一人でどうしたんだい? ママは一緒じゃないの?」 「う……うわぁぁぁーーーーーーーーーーん!」 優しい声と、暖かい腕。 それを直接感じると、ヴィヴィオは堰を切ったように大声で泣き出す。 それまで我慢し、堪えていたモノが全て壊れてしまったのだ。 ユーノは、そんなヴィヴィオに戸惑いながらも、その小さな体をしっかりと抱きしめていた。 ヴィヴィオがベッドの中でスヤスヤと寝息を立てたのを確認して、ユーノはほっと胸をなで下ろす。 泣き続けるヴィヴィオをなんとかあやしたものの、彼女は頑として家に帰りたくないという。 仕方なく、ユーノは本局内部にある自宅にヴィヴィオを連れ帰っていた。 冷え切った体をお風呂に入れて温め、熱いホットミルクと簡単ではあるが食事を出してようやく落ち着いたのか、ポツポツと家出の原因を話してくれた。 「……なのは」 寝室を後にし、端末の前でユーノは苦々しく幼馴染みの名前を呟く。 数ヶ月前、11年という月日を超えて漸く結婚した二人の幼馴染み。 誰もがため息を吐くような純白の花嫁衣装に身を包み、はにかむように微笑んでいたなのはとフェイト。 結婚式を挙げた二人のママの事を心から祝福していたヴィヴィオを見て、これから親子三人で幸せに暮らして行くのだろうとユーノは信じていたのに。 長かった髪を短く刈り、以前よりも幾分か男性らしくみられようになった顔をしかめてユーノは端末に手を伸ばす。 とりあえず、ヴィヴィオを預かっていることを連絡しなくてはならない。 今夜は、嫌な夜になりそうだな。 そんな事を思いながら、ユーノはじっとなのはが出てくるのをまっていた。 12スレ SS ユーノ ヴィヴィオ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2961.html
時空管理局本局。 その医療ブロックへと向かう廊下を一人の少年が必死になって走っていた。 擦れ違う人々が驚いた様子で少年を振り返るが、本人は全く気が付いていないようだ。 少年の名前はユーノ・スクライア。 幼くして無限書庫の司書長に就任した新鋭である。 だが今の彼を包んでいるのは、才気溢れる溌剌さではなく、深い負の感情を内包したどこまでも暗い雰囲気である。 “任務中になのはが攻撃を受けた。重体だ” そう淡々と連絡を寄越してきたのは、出会ってから2年の付き合いになるクロノ・ハラオウンである。 最初、ユーノは自分の耳がおかしくなったのかと思った。 今回なのは達が任務に向かった場所は、自分が調査した上で何の害も無いだろうという判断を下した遺跡だった筈なのだ。 まかり間違っても攻撃を受けるような場所ではない。 しかし、通信画面に映っているクロノの顔はどこまでも無表情であり、友人のそんな態度を見せられては、今耳にした言葉が事実であると認めざるを得なかった。 (僕のせいだ!僕がなのはに魔法を教えてしまったから!僕がなのはと出会ってしまったから!) 後悔で息苦しくなりそうになりながら走った。 体中の力が抜け落ちそうになるのを何とか抑えながら走った。 胃の中に氷の塊があるように錯覚しながら走った。 目の前が涙で霞みながら走った。 頭がガンガンと痛んだがお構いなしに走った。 そして辿り着いた。 集中治療室の前。 そこに集まった知人達―――高町家、ハラオウン家、八神家の面々―――は、暗く沈んだ表情を浮かべていた。 恐らく自分も似た様なものだろう。 「ユーノ・・・」 こちらに気付いたフェイトが声を掛けてくる。 返事をしようとするが、ここまで全力疾走してきたので上手く答えられない。 呼吸を整えようとするが、動揺しているせいか逆に咳き込んでしまった。 「なっ、なのは・・・っは?」 ようやく出せた問いに、しかしながら答える者は誰も居なかった。 唯、“使用中”のランプが点灯した扉を見遣るだけである。 それを見た瞬間足が言うことをきかなくなり、床に座り込んでしまった。 立っていられるような状態でもなかったのだが。 「おい、ユーノ。そんな所に蹲ってないでこっちにきたらどうだ?」 「クロノ・・・」 そう言われ、のろのろと立ち上がりクロノの傍へ歩いていくと、力なく尋ねた。 「何があったんだ?あの遺跡にそこまで危険はなかった筈だ」 「・・・見たこともない質量兵器の襲撃を受けた」 「質量兵器?でもあの遺跡は・・・」 「分かってる。外部からの介入の線が高い。忙しいと思うが、事後調査に付き合ってもらうぞ」 「ああ、勿論さ」 「それと、自分を責めるな」 「・・・」 「今回の事は、誰が悪いわけでもないんだ。抱える必要の無い責任は、お前を苦しめるだけだぞ」 「それは・・・」 ユーノが反論しようとした時だった。 待合室の扉が開けられ、3つの影が差す。 1つはリンディのもの、そしてもう2つは・・・。 「レイヴン、シャドー・・・」 今まで項垂れていたヴィータがその姿を見て呟く。 しかし名前を呼ばれた当人は返事をすることなく、愕然とした表情を浮かべてユーノを凝視している。 視線に気付いたユーノは、居心地悪そうに問いかけた。 「あの・・・何か?」 「・・・いや、何でもない」 レイヴンはそう答えると、悄然とした様子のヴィータに向き直った。 「彼女の容態は?」 「分かんねえ。手術が始まってから結構経つんだけどよ、まだ終わらねえんだ」 「そうか」 「お前こそ、もういいのか?重要参考人だろ?」 「尋問は8割方終わったそうだ。ここに来たのは・・・手当てした身としては気になるからな。まあ、監視付きだが」 肩を竦めてリンディを示すレイヴン。 と、その時だった。 手術室の電灯が消え、手術を行っていた医師がドアを開けて出てくる。 その医師とは、唯一この場に姿を見せていなかったシャマルであった。 「手術は成功です。なのはさんは一命を取り止めました。しかし、現状での魔法の使用及び、自力での歩行は困難であると言わざるを得ません。リハビリを行っても、治るかどうか・・・」 重々しく告げられた内容に凍りつく一同。 そんな痛いほどの沈黙を破ったのは、ユーノだった。 「僕の・・・僕のせいだ。僕がなのはに魔法を教えてしまったから・・・」 そういって崩れ落ちるユーノ。 目から止めどなく涙が零れるが、それを拭えるほどの気力は今のユーノにはなかった。 そんなユーノをクロノは叱咤する。 「よせ、ユーノ。そんな事を言うもんじゃない。それに誰に責任があるかといえば、それは彼女の不調に気付かなかった僕だ」 「でも、なのはは僕と出会わなければ、こんな怪我をすることはなかった。僕と出会わなければ、普通に笑って暮らせていた筈なんだ・・・」 「いい加減にしろ、ユーノ。なのはがいたお陰で、フェイトとはやては、今こうやって生きていられる。その結果まで否定する気か?」 それを聞いたユーノは黙り込んだが、納得した様子は見られなかった。 クロノもこれ以上言うことはないのか、口をつぐんだままだ。 こうしてなのはが生還したことを喜ぶこともなく、待合室は再び重苦しい雰囲気に包まれ始めていた。 「ユーノとかいったか?あいつは誰なんだ?」 今までのやり取りを横目で見ていたレイヴンは、ヴィータに小声で話しかけた。 なのはが生きている事を聞いてホッとしていたのか、それとも後遺症の事にショックを受けていたのか、ヴィータはすぐには答えられなかった。 「おい、ヴィータ?」 「ん?ああ、すまねえ。何だ?」 「だから、あのユーノって男。何者なんだ?」 「ユーノか。あいつは、なのはの魔法に出会うきっかけになった奴さ。いい奴だよ。 そういや、なのはの魔法の先生もやってたな。攻撃はからきしだけど防御は硬いの一言につきるぜ。 まあ、責任感じるのは分かるけど、今回のは・・・」 「待て。今、何て言った?」 「?なのはの魔法の先生だったって・・・」 「違う、その後だ」 「防御が硬いってとこか?それが一体どうしたってんだ?」 「あいつは今、何歳だ?」 「?確かなのはとタメだから11歳の筈・・・」 「11歳・・・」 それを聞いたレイヴンは深刻な表情を浮かべた。 ヴィータは、目の前の男が始めて見せる真剣な表情を訝しげに見つめた。 この男はなのはが、怪我したときもこれ程深刻な表情を浮かべていただろうか? 「最後に一つ。あいつは孤児なんじゃないか?」 「あ、ああ。そうだけどよ。ユーノに何かあんのか?聞きたいことがあんなら、本人に直接・・・」 「・・・いや、こっちの問題だ。気にしないでくれ」 そう言うとレイヴンは待合室の隅に移動すると腕を組んで何か、考え事を始めたのだった。 Another View (Raven) 一目みた瞬間から、まさかとは思っていた。 あまりにも似通っていたのだ。 見た目だけではない、雰囲気もだ。 だが、それだけなら、唯の思い過ごしだと切り捨てることも出来た。 しかし、先程ヴィータから聞いた情報が確かなら、偶然で片付ける事は出来ない。 硬い防御力、11歳、孤児、そしてユーノという名前。 これらの要素を鑑みるに、ほぼ間違いないだろう。 第一、自分自身の直感が告げているではないか。 (間違いなくあいつは、11年前に行方不明になった、バンとフィーネの息子 ユーノ・フライハイトだ) Another View End 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/kyokuins/pages/8.html
■時空管理局局員の華麗なる日々 5、仮定的世界における人格構成の不変性 ①昨日ギャートルズなんて言った手前書きたくなった 過去か未来か別次元か、石器時代とかそんなニュアンスを適当に漂わせる世界がーあったーそうなー(CV下條アトム 二本の足で立ち上がった人類と本能のままに生きる獣達が共存し、そして時に互いの生命を食らい合う・・・(CV玄田哲章 キョクイン「ウッホ!ウッホ!」 キョ「カイナカイ ニラバハキアタシア アナ?」 キョ「シタッカナテッイ ンキイサ エネイイ!」 アルフ「あんた達何でおサルの真似してるの?」 キョ「あれ?原始ネタって聞いたからてっきりこんな感じで進行するのかと」 キョ「普通に喋っていいなら言ってくださいよ。逆言葉で会話するのすんげー疲れるんですから」 キョ「ヨタッダツレンチ ノイカツアツベクト スクッミコノs'A ラタッイ ズーマーゲ」 キョ「オンドゥルルラギッタンディスカー」 そんな根本的に何も変わっていない世界に繁栄を極めた集落があったーそうなー(CV下條アトム ~ウミナリ村~ ア「あ、時間だ。王様のーおなーりー」 ギギイイイイィィ なのは「はいユーノ君、あーん」 ユーノ「あ、あーん」 フェイト「あ!こ、こっちもおしいよユーノ!ほらあーん」 ユ「え、あ、うん、あーん」 ヴィータ「おいずりーぞお前らばっかり!あたしにもあーんってさせろよ!」 シグナム「そんな物よりユーノ君、この私の完全栄養食品を!さぁ!」 シャマル「母乳なんて出ないでしょ妊娠もしてないのに!それよりユーノ君、このバナナを握ってあどけない表情をこっちに向けてくれないかしらうふふふぇへへへへ」 ユ「いやだから、その、ちょっと、」 ア「あ、ごめーんまだご飯の途中だった?」 キョ「スゲー何あの恋愛資本主義の勝者」 キョ「王様バンザーイ!恋愛帝国主義の独裁者バンザーイ!」 キョ「アネハ族も真っ青のフラグの乱立施工バンザーイ!」 ユ「いやだから僕は王様になんかならないって!皆が勝手に決めたんじゃないか!」 な「第一王妃の私が決めたんだから問題ないの、フェイトちゃんだって賛成だもんねー」 フェ「うん、皆で仲良くお嫁さんになればいいと思うよ。その・・・夜も皆での方が楽しいと思うし・・・」 ヴィ「夜?皆で寝るのか?でもでっかい寝床じゃないとこの人数は狭っ苦しいと思うんだけど」 シグ「フ、お子様は何も知らなくていい。ただアホみたいな寝顔をさらけ出して爆睡していればそれでいい」 シャ「それよりユーノ君!今度はこのバナナを咥えて下から見上げるような視線でこっちをうふうふぁうへへへへ」 ユ「だーかーらーううぅ・・・」 キョ「まぁまぁ皆さん、ここは一つ落ち着いてユーノ君いや王様の言い分もですね」 な「うるさいの、奴隷は黙って私達の新居のピラミッドでも作ってればいいの」 キョ「DO・RE・I!?俺ら奴隷ッスか!?人権無き強制労働力ッスか!?あとピラミッドって墓じゃないんスか!?」 キョ「いやだってさっきナレーションで根本的に何も変わっていないって・・・はっ!?まさか!?」 キョ「そんな!書類持っていけとかジュース買って来いとか脱衣場からユーノ君のパンツ盗ってこいとかあれは全部誇り高きパシリだと思っていたのに奴隷だったなんて!」 な「とーにーかーく!ユーノ君は王様でなのはは第一王妃なの!これは決定なの!」 シグ「ちょっと待てタカマチ、先程は聞き流したが今度は聞き捨てならないぞ、第一王妃は私だろう」 ヴィ「なーさっきからダイーチオーヒって何の事だ?」 シャ「そうねーわかりやすく言えば奥さんがたくさんいる場合誰が一番のお嫁さんかってことね」 ヴィ「何!?そんならあたしだってそのダイチーオーヒーだ!」 フェ「えと・・・その・・・皆で仲良くすればいいんじゃないかなって私は思うんだけど・・・」 キョ「あ、でも奴隷なら重りつけられたり首輪とかされちゃうんじゃない?」 キョ「首輪!?そんな屈辱的な・・・屈辱的な・・・屈・・・前屈み・・・」 キョ「あ!お前今ユーノ君に首輪をつけられるところ想像しただろ!このエッチめ!俺もだ!」 ア「あぁ~これが夢にまで見た原始肉・・・!しあわせ~(モグモグ)」 ②一発ネタだったけど使い所再び フェ「でも毎日全員だとユーノも疲れちゃうからやっぱり順番を決めた方がいいと思うけど・・・」 な「いいの!なのはは第一王妃なんだからいつもユーノ君と一緒にいるの!」 ヴィ「順番?なんの順番だ?ユーノの隣で寝る順番か?」 シャ「結構正解よヴィータちゃん、ところでこの首輪ユーノ君にぴったりのサイズなんだけどちょっと試着してみない?美少年+首輪、これね!」 シグ「胸を枕にするとしたら縦と横どちらが寝心地がいいものか・・・ユーノ君はどう思う?」 ユ「話を聞いてーーー!」 エイミィ「はいはーいお取り込み中悪いけどお知らせで伝達で緊急連絡!川向こうの集落が攻めてきたよー」 シグ「敵襲か!」 ヴィ「おーしぶっ潰す!」 な「なのはとユーノ君のラブラブ新婚生活を邪魔しようなんていい度胸なの・・・!」 キョ「なんてかわいそうな襲撃者なんだろう」 キョ「俺ら出番無さそうだけど楽そうだから文句は言わないでおこう」 キョ「あぁ大人だよな俺ら」 ~村はずれ~ キョ「はいそれでは現場に繋いでみましょう、現場のキョクインさーん」 キョ「はーいこちら現場のキョクインです。現場では襲撃者の到着を今か今かと待ち構える皆さんでごったがえしております」 な「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 キョ「無言の殺気があたりを包んでいます。って言うか怖いです!なんだか体験したことあるような気がする恐怖感です!(ガクガクガクガク」 キョ「しかしどこから来るんだろうか・・・お?あれは!?」 キョ「鳥か!?飛行機か!?って言うか飛行機ってなんだ!?」 キョ「空飛ぶメイドさんか!?空飛ぶお兄ちゃん大好きな義妹か!?」 はやて「全部ちゃうわーーー!」 ズドーン 巨大モンスター「■■■■■■■■■■―――――!!!!」 キョ「うおおおお!?あるはずの無い記憶に出てくる怪獣キター!?」 キョ「その上に乗っているのはヴォルケン村のヤガミ=ハヤテ女王!」 キョ「しかもネコミミつけてるー!?どうだろうあの破壊力は!」 巨「■■■■■■■■■■―――――!!!!(ネコミミ娘バンザーイ!)」 は「ふふふふふモンスターマスターとでも呼んでや」 青い爬虫類「ギョッギョガガギグギャ!(旦那の親分は俺達の親分!長い物に巻かれて生きていこうぜ!)」 青「ギョゲッゲギャグガ!(オイオイ見ろよ!なんか頭の悪そうな哺乳類がいるぜ!)」 青「ギョヘーギャギッゲガ!(あぁ全くだ!四六時中アニメやゲームのことばっかり以下略だぜ!)」 青「ギギャゲギョガガーギギュ!?(なんだかよくわからないけど言わなきゃイケナイ気がするので言っておこう第二第三の俺達ウヴォアー!?)」 ドォーン な「はやてちゃん、その程度の取り巻きで正面から挑んでくるなんていい度胸なの」 は「流石やななのはちゃん、でも今日こそはユーノ君に私のお婿さんになってもらうで!」 ザフィーラ「と言うかそこの3人は立ち位置的にこちら側だろう」 ヴィ「え?あぁそー言えばそうだよな」 シャ「ユーノ君を誘拐に来たつもりがあまりのかわいさについ目的を忘れてしまっていたわ!」 シグ「だが本来の目的を思い出した今するべきことはただ一つだトウッ!(ガバッ」 ユ「あーれー!?」 は「おーナイスツッコミやザフィーラ!成長したなー師匠として鼻高々や!」 ザ「恐縮です主」 フェ「あっ!ユーノ!」 キョ「って言うか敵が紛れ込んでたのになんで誰も気付かないんですか」 な「むむむむむあまりにも堂々と馴染んでいたからわからなかったの!とにかく!さっさとユーノ君を返すの!」 キョ「帰すじゃなくて返すってあたりがかわいそうだなぁ」 ???「ちょーーーーと待ったーーーーーー!」 キョ「はて誰だろうあのガチショタホモっぽい声は?」 キョ「あ、山向こうのアースラ村の族長だ」 クロノ「どいつもこいつもユーノの意見を無視して!これだから女って奴はブツブツあぁ大丈夫だよユーノ、今すぐ僕が助けてあげるからそして村に帰って二人でハァハァウッ」 な「♂のくせにユーノ君を求めるなんて人間的にも生物的に終わってるの。いいから絶滅確定種はすっこんでろなの!」 は「せや、人の恋路を邪魔する野暮な子は人のペットに蹴られて死んでまうでー」 巨「■■■■■■■■■■―――――!!!!」 ク「ふん、そいつの弱点は既出だ。出番だリーゼ's!」 ロッテ「呼ばれて飛び出てにゃにゃにゃにゃーん!クロスケのためならえんやこら!」 アリア「というのは表向きで美少年獲得のためなら協力は惜しまなおっと本音が出てしまった」 ロ「そんな即席のネコミミには真似できない匠の技を見せてあげるわ!」 アリ「さぁ見るがいい悶えるがいい!必殺!ネコミミポーズ!」 ロ&アリ「「にゃにゃにゃにゃーん♪」」 巨「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ロ「何よその失礼な反応は!」 アリ「これほど完璧なネコミミなど無いはずだ!」 巨「■■■、■■■■、■■■。」 青「ギャーギギャギグゲギョガ(いやーやっぱネコミミの完成度より若さがねーだそうです)」 キョ「だ、そうです」 エ「ナチュラルに意思疎通できてるのね君達」 キョ「言葉はわかんないですけどなんか言わんとすることはわかっちゃうんですなんとなく」 アリ「ほう・・・年増に興味は無いと・・・」 ロ「あー言っちゃいけないこと言っちゃったー知らないよー知らないよー五体満足じゃ死ねないよー」 ク「落ち着け二人共、年増化け猫になんて興味無いと言われたくらいでブフッ!?(ドガッ」 ロ「もー怒った!全員血祭りに上げた方が手っ取り早いニャー!」 アリ「お前達の屍の上に立ち世紀末伝説を打ち立ててくれる!」 な「邪魔すると全員塵なの!行くよ!レイジングハート!」 RH「All right,my master」 フェ「ユーノは返してもらうから・・・!バルディッシュ!」 B「Yes, sir.」 キョ「あ、デバイスは有りなんだ」 キョ「御都合の すごい 設定!」 キョ「つーか俺ら益々空気だな」 は「おーしこっちも行くで!皆!」 シグ「了解!レヴァンティン!」 Le「Jawohl!」 ヴィ「行くぜグラーフアイゼン!」 Gr「Schwalbefliegen」 シャ「お願い!クラールヴィント!」 Kl「Americanform」 巨「■■■■■■■■■■―――――!!!!」 青「ギャギャゲギョギゲガ!(なんか行けそうな展開!)」 青「ゲゲギャギグギャ!(ヨッシャア!便乗して勝ち名乗りを上げようぜ!)」 青「ゲヒャギヘギギャー!(美しき者伝説第2章の幕開けだぜ!)」 ク「ちょっと待てユーノは僕の物だ!行くぞデュランダル!・・・デュランダル?」 Du「Boss・・・Overload・・・(バチバチ」 ク「まさか・・さっきリーゼ達に殴られた時に!?」 Du「Eternal Coffin Wide Area Shift」 ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・ ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・ ビュオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・ こうして世界は氷河期を迎えー栄華を誇った巨大な生物は姿を消しー極寒を世界を生き延びた哺乳類の時代がやって来るのだったー(CVクイック・下條・ストライク・アトム ~ウミナリ村洞窟~ な「だーかーらー!第一王妃は私なの!」 シグ「それだけは譲れんな!ユーノ君への愛で負けるわけにはいかない!」 ヴィ「ダイチーオーヒーはあたしだって言ってんだろー!」 フェ「えとね、やっぱり皆で仲良くユーノのお嫁さんになればいいんじゃないかなって・・・」 シャ「ねぇユーノ君?ちょっとこのネコミミつけてみてくれないかなぁウヒョアー!?似合う!似合い過ぎよ!この感動を壁画に残さなくっちゃ!」 巨「■■■■■■■■■■―――――!!!!(ネコミミ少年!これも有りだ!)」 ク「あぁそのかわいさは犯罪的だよユーノ!ぼかぁ!ぼかぁもう!」 ロ「はーいクロスケはこっちねー(ズルズルズル」 アリ「こうなったら後の世の為に子孫を残そう!あぁ残しまくろう!」 は「んーこれはこれで面白いからありやなー」 ユ「静かに暮らしたい・・・(シクシク」 キョ「ダウソンヘイタ ハミコユフノシトコーア」 キョ「ナヌシ トイナカイテシ ビウソンカウボ リカッシ」 青「ギョヘ?ギョギョギョゲガ!(コミケ?なんだその楽しそうな響きは!)」 青「ギャギョギョゲガギーゲ!(そいつは是非俺達も連れてってくれよ兄弟!)」 青「ゲゲギギョゲーガゲガ!(俺ら足になるからさぁ、なぁなぁ!)」 キョ「ヨダコド ウョジイカ カーツ」 エ「んーもうすぐ春かなー」 ザ「Zzzzzzzz・・・」 ア「お肉おいしい~(モグモグ」 LYRICAL KYOKUIN ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ なんじゃこりゃ 朝一でA'sコミック買うために横浜に繰り出したよ俺。 アニメイトは見てないけどとらのあなは普通の新刊扱いだったよ。 でもゲーマーズが新刊コーナーの他に4×3の平積みで入口に特設コーナー作ってたよ。 市場に一番敏感なのはゲマ屋だということかー 特典ペーパーはメイトはレジ配布だったけどそれ以外の店はコミックのビニール包装で確認できた。 アニメイト:店により色つき、でもペラ紙(チラシ並) ゲーマーズ:硬さは一番ポストカードに近い とらのあな:大きさは一番、硬さはメイト以上ゲマズ以下って感じ 以上のリサーチでゲマズで買いましたとさ。 長谷川せんせーはクロノとバルディッシュとザフィーラ好き、ちぃ覚えた。 描きおろしって10~13話あたりの文章ダイジェストと挿絵の事なのね。しかも2ページて。 でもこれはいいものだ。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3236.html
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 窓から顔を半分だけ出したタバサは、階下をぐるり見渡した。 下にはたいまつがいくつか。 特に襲撃者が集まっている様子はない。 よく見ると襲撃者達の装備はまちまちだ。統一性という者に欠けている。 つまり、彼らは傭兵なのだろう。たまに山賊になるかも知れないが。 それのほとんどが正面に集まっているようだ。 「あれやって」 「あれ?」 タバサの最小限の説明がギーシュにはわからない。 わかるのは少し遅れて来たキュルケの方だ。 「あんたのワルキューレよ。人数が減ってるのがわかったら囮にならないでしょう」 「あ、ああ。そう言うことか。まかせたまえ」 ギーシュが杖を振ると、舞い落ちるのは赤い花びら2つ。 床に落ちた2枚は、わずかの間に2体の青銅像になった。 「これで本当にあの二人の代わりになるのかい?」 作っては見た物のいささか不安だ。 青銅の乙女はどう見てもワルドとルイズの二人には見えない。 「暗いから」 そう言ったタバサは小さい体を窓の外に飛ばす。 「そう言うこと。あ、ワルキューレはちょっと遅れてから下ろしなさいよ」 続くキュルケも窓の外に身を躍らせる。 小さく呟いたレビテーションの呪文が効果を現すと、キュルケは地面に激突するようなこともなくふわりと地面に降り立つ。 その後はギーシュ、最後に2体のワルキューレが壁を砕いて飛び降りた。 タバサとキュルケは間をおかずに再びレビテーション。 ワルキューレは金属音を立てずに、地面に降りた。 フーケに雇われた傭兵達が、壁を破って降りてきた5人に気づかないわけはない。 近くの傭兵達は5人組に燃えるたいまつをかざす。 「いたぞ!学院の貴族どもだ」 「なに?」 「捕まえろ!!」 怒号が飛び交い、傭兵達は5人組に殺到する。 「ひ、ひぃいいいいいいっ」 ギーシュ達は走り出した。 囮なのだから宿屋からなるべく離れなければならない。 任務としてはごくごく正しいものだ。 だが、ギーシュはそんな役割なんか忘れて全力疾走をしていた。 貴族としての誇りも、平民は貴族の相手にならないという常識もすでに吹き飛んでいる。 「ば、ばれた方がよかったぁあああああ」 傭兵達は殺気立った目をギーシュ達に向けている。 さらには、たいまつにあぶられ、顔をしかめている。 それが炎に照らされてゆらゆらと揺れているのだ。 理屈なんか超えて怖い。 一回、怖いといったくらいじゃ足りない。 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い これくらい怖い。 「いたぞ!」 「追え!」 「逃がすな!」 追いつかれては終わりだ。そんな予感がひしひしとする。 「来るなぁああああああああああああああああああ」 ギーシュは必死に走る。 そして叫ぶ。 その叫びがより多くの傭兵達を引きつけていた。 同じ頃、ワルドはユーノを肩に乗せたルイズを抱いて、ギーシュ達と反対側の窓から飛び降りていた。 「うまくいったようだな。あの三人、思った以上によくやる」 時間差で降りた窓の下に傭兵は誰もいない。 ギーシュ達を追って行ってしまったのだ。 「今の内に桟橋まで行こう」 「ええ」 ほとんどの傭兵の目がギーシュ達に集まっている。 逃げるなら今の内だ。 ワルドはルイズを下ろし、小さな手を引いて走る。 だが、引きつけられたのはほとんどだ。 全ての目ではない。 「こっちにもいたぞーーー!」 目端の利く者というのはどこにでもいる。 ギーシュ達を追っている傭兵に比べれば遙かに少ない数であるが、幾人かの傭兵がルイズ達を見つけ、後を追ってくる。 「そううまくはいかないか」 ワルドは足を速めようとしてやめた。 ルイズでは訓練された魔法衛士隊の足についてこれるわけがない。 ワルドは少しずつ差を詰めつつある傭兵達を見ると、腰に差した杖に手を伸ばした。 ユーノが走るルイズの肩から飛び降りる。 壁際の闇の中を走り、路地に飛び込んだ。 (ユーノ!?) ルイズはユーノを止めようとした。 だが、その暇もなくワルドに手を引かれ走り続けるしかなかった。 傭兵達とルイズの距離はさらに縮まる。 明らかにルイズより傭兵達の方が速い。 まもなく追いつかれてしまう。 「そろそろ迎え撃つしかないようだな」 ワルドは足を止め、ルイズを背中に隠した。 剣のこしらえをした杖を迫る傭兵に向けて構える。 「ワルド……」 「大丈夫。僕は魔法衛士隊の隊長だ。武器を持っているとはいえ、たかが平民。あのくらい蹴散らしてやるよ」 ワルドはルーンを唱える。 風が杖の先に集まりつつあった。 そのとき傭兵達は驚きの声を上げ、足を止めた。 それは、ワルドの魔法がもたらした結果ではなかった。 空から降りてきた少年を見た傭兵達は、もちろんわずかに逡巡を見せた。 だが、それもすぐに無くなる。 少年はマントを着けている。 つまりメイジだ。 メイジが空を飛ぶのは当たり前だからだ。 それより、わざわざ剣の間合いに入ってきた愚かさを笑う。 この距離ならば魔法より剣の方が速い。 ためらうことなく邪魔な少年に刃を振り下ろす。 そして、剣は傭兵の手を離れた。 地面に剣が落ち、金属が石畳を叩く音が響く。 ユーノが斬りつけてきた傭兵の剣をデルフリンガーで跳ね上げたのだ。 ユーノは傭兵達の前に立ちはだかり、両手を広げ、精一杯の声で叫んだ。 「ここから先は行かないでください!」 とても人を脅せるような声色ではないが、傭兵達は足を止める。 そして、ある者は剣を構えなおし、ある者は剣を弓に変え、その目標をユーノに移した。 「君は!ユーノ君か?」 「はい」 背中にいるワルドに答えてもユーノは後ろを見ない。 デルフリンガーが教えてくれていた「絶対に目を離すな」と。 「ワルドさん。ルイズを任せていいですか?」 「無論だ。ルイズは僕の婚約者だ。言われるまでもない」 「お願いします!」 ワルドは構えた剣を腰に戻す。そして、ルイズの手を引いた。 「ワルド、本気?ユーノは……!」 「わかっているよ。彼が普通の子供ならこんな事はしない。だが、彼はそんな者じゃない。わかるだろ?それに君には任務がある」 「でも……」 ルイズはユーノを見た。それからワルドを見て、もう一度ユーノを見る。 どうすればいいのかわからなかった。 ここでユーノを守ればいいのか。それともワルドの言うとおりに、任務のために走ればいいのか。 どちらを選べばいいか、全然わからない。 「ルイズ!早く行って」 その一言がルイズの決心を決めた。 たいまつの炎に照らされ、背中を見せるユーノがどんな顔をしているのかルイズにはわからない。 けれど今まで一緒にジュエルシードを集めてきたユーノなら、この危険もどうにかできると思えた。 「ユーノ、危なくなったら……わかっているわね」 「うん。前と一緒だね」 ルイズは走った。 ユーノに背を向け、ワルドの手を握り、桟橋に向かってひたすら走った。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
https://w.atwiki.jp/tmnanoha/pages/321.html
「お前がユーノスクライアか」 視界が回復する。顔を上げればユーノの前方に一人の男が立っていた。 外套から何から、全てが黒で覆われている。その顔には深い皺が刻まれているが、それは歳月を経たからではなく深い苦悩によるものだ。 その中で、眼だけがぎらぎらと鋭く光っている。それはまるで真理を求める哲学者のようだ、とユーノはぼんやりと思った。 男を認識するまでは気配すら感じなかったというのに、一度認識すれば息が苦しくなるほどの重圧を放つ。そんな奇妙な存在だった。 「傷が深い。このまま放置しておけば半日と持たぬだろう」 それは、困る。 ユーノはこの地に散らばったロストロギアを回収しなければならない。自分から志願しておいてロクに任務もこなせず死亡、では笑い話にすらならない。 なんとしても、どんな手段を講じてでもジュエルシードを回収し、封印を施さなければ―――― 「助けてほしいか」 再び重い声が聞こえる。相手を圧倒するだけかと思われたその言葉は、しかしこの上なく欲しかった一言でもある 現地での協力者。今のユーノにはそれが必要不可欠だった。 当然危険を伴う仕事だ。命の保証もできない。だが、この男ならあるいは、とそう直感した。 そして、その催眠じみた問いに、ユーノは知らず頷いていた。 「承諾した。その願い、叶えよう」 男は無造作にユーノを拾い上げ、そのまま彼を外套の中へしまいこもうとする。 だがその前に―――彼は一つだけ問うた。 「あなたは、何ですか?」 その質問に、男はつまらなさげに答えた。 「魔術師――――荒耶宗蓮」 言葉は神託のように、重く路地裏に響き渡った。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/31756.html
【検索用 ゆーのうひーこっく 登録タグ 2015年 VOCALOID VY1 ゆ サイオナP 曲 曲や】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:サイオナP 作曲:サイオナP 編曲:サイオナP 唄:VY1V3 曲紹介 「ひとり着飾る、ひとり聞かざる。」(原題:クジャクとユノ) 曲名:『ユーノウピーコック』 サイオナPの40作目。 イソップ寓話を基にしたコンピCD 『STORYWRITER』 収録曲。 「ユーノー」とは、ローマ神話で女性の結婚生活を守護する女神。孔雀が聖鳥とされている。 歌詞 (動画より書き起こし) しゃがれかけた 歌声 響く 引っかかる睫毛 きっと 耳障りと息を吐いて 歪み 纏い ノイズの ように ゆっくりと 僕の頭の中を 掻き乱した そんな 綺麗な嘘と こんな 汚い音が ずっと 続いてしまえばいいなんて 外れかけた通信の どこかに堕ちた キラキラ輝く 言葉に 全てを変えられる 力があるのならば それは 「勘違いだよ」 たったそれだけの声 泣き喚いて怒鳴っても 僕らは 精一杯 着飾ることしか できない 「あれが欲しい」 「あの子はいいな」 寄せては返す きっと 終わることのない連鎖 そんな 綺麗な君と こんな汚い僕が ずっと 出会わなければいいなんて 揺らいだ上筒尾には 目を奪う星空が 「どんなもんだ」と叫んでは 人ごみを濁らせる こぼれ落ちた中心で いつか忘れた ゆらゆら翻す 翼で 全てを隠しても 最後は笑いながら死んでゆけ 「自己満足ね」 たったそれだけの声 好きに言えばいいさ 僕らは まぶた閉じ 聞かざることしか できないのですから 外れかけた通信の どこかに堕ちた キラキラ輝く 言葉に 全てを変えられる 力があるのならば それも 「必要ないさ」 たったそれだけの声さえ 僕は聞こえぬフリして 精一杯の歌声 響かせて嘆く コメント おおお!! -- 名無しさん (2015-03-31 19 30 44) これ好きだな -- 名無しさん (2016-11-30 20 08 25) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/193.html
不明 作者: ◆Kp0ufkma.M 投下します。 ユーノ・スクライアが増えすぎた仕事で有休を消化できなくなって、既に十年が過ぎていた。 人事部の局員はユーノに休暇を取らせるのが大きな仕事となり、 あらゆる手段を講じてきたが、失敗に終わる。 新暦0077、休暇より最も遠い人物だったユーノ・スクライアが突然、十日間の旅行を目的に休暇を申請し、 管理局に仕事の休止を求めてきた。 本来ならば容易に受け入れられた休暇も、彼が同時に提出した条件によって事態は複雑化することになる。 彼が出した条件、 それは『隔離施設にいる更生中の戦闘機人二名を護衛として同行させる』 JS事件の実行犯であり、高い戦闘力を持つ機人を隔離施設の外へ出すというのは問題があるとして保安部隊をはじめとした各部署はユーノの休暇の撤回を要求。 それに対し、人事、総務、無限書庫一同はどんな条件であろうと休暇は取らせるとして、その要求を棄却。 前線部隊が実力行使に出ようとするまで揉め続けたこの問題は、 『ユーノに休暇を取らせない奴等がいる』と噂を聞いた彼の友人達による『お話』によって一気に解決する。 人々はその『お話』に恐怖した。 なお、『お話』の後、教導官や執務官等、ユーノの休暇に合わせて休暇を取った人達がいましたがこの話には関係ありません。 見渡すばかりの砂漠。 魂までも焼き焦がさんとするかのような暑さの中、二人の少女が並んで歩いていた。 一人は、腰まである茶色の髪をリボンで縛った少女。 砂色の外套を纏い、細い体躯に不釣り合いな巨大な砲を担いでいる。 もう一人は、隣の少女よりも幼い外見の少女で、地味な色合いのコートを身に付けている。 長く伸ばした銀髪と右目の眼帯が特徴的な少女だ。 二人は、時折見える何かの白骨以外は全て砂という変わらない風景の中を、 さくり、さくりと足音を立てながら進んでいく。 進む先に有るのは一人分の足跡――彼女らを隔離施設から連れ出した張本人であるユーノ・スクライアの足跡だった。 「……暑いな」 「暑いね」 「砂、というものは思った以上に足を取られるな」 「うん。知らなかった」 幼い少女――チンクの呟きに砲を持った少女――ディエチが相槌を打つ。 二人は市街戦を想定して造られていたため、砂漠は知識としては知っていたが歩くのは初めてだった。 無論、砂漠に適応しているわけもなく、照りつける光と不慣れな足場に体力を消耗させていった。 彼女達とユーノがこの世界に来て二日、旅行を始めてからは七日目になる。 それまでに三人は様々な管理外世界を回り、数々の体験をしてきた。 ある世界では陸地の大半が海に沈んでいたし、別の世界では陸地が空を飛んでいた。 海鳴という場所で美味しいケーキを味わった。 どれもが姉妹には真新しく、感動を与えるものだった。 だが、姉妹を連れ回した張本人であるユーノは今はいない。 『道を確かめてくる』と言って先行中だ。 木製の一本の杖を手に、背には姉妹よりも多くの荷物を背負っているにもかかわらず、 砂漠を草原でも歩くかのように軽い足取りで渡っていった。 道標として残した足跡と、時折杖で書いたのだろう注意を頼りに姉妹は歩く。 見晴らしの良い場所なら彼の背中が確認出来たのだが、今は小さな山程ある砂丘を登っている。 日が傾き、砂が赤く染まり出した頃にようやく、丘の頂上でテントを用意しているユーノを見つけた。 彼も姉妹に気付いたのか、強度を確認すると二人に軽く手を振る。 「お疲れ様。食事の用意をするから少しゆっくりするといい」 ユーノはそう言って大きめのテントを指差すと、その横にある小さなテントへ荷物を取りに入った。 「簡単なものだけどね」 ユーノが渡してきたのは焚き火で温めていた、野菜と豆の入ったスープ。 下拵えは済んでいたらしく、姉妹が荷物を置いて直ぐに呼ばれた。 炙った肉を薄いパンで挟んだものとスープ。後はコーヒーと紅茶。 これがこの日の夕食だった。 やや塩気の強いスープで喉を潤し、パンをちぎって口に入れる。ほのかな甘味が歩き詰めの体に染み渡った。 チンクはそこで一息吐き、自分用のコーヒーを淹れていたユーノに声をかける。 「今日はここで休むのか?」 チンクの知識では、砂漠は日中に体を休めて夜に道を行くというものだった。 それが、今回はまるで逆。前日に用意を整え、明け方から今までの強行軍。 バリアジャケットでの防護と戦闘機人としての身体能力がなければ倒れていた。 そんなチンクの非難混じりの視線を受けても平然とした態度でユーノは返す。 「この辺りは夜に砂嵐が吹くからね。どうしても日中に移動しないといけないんだ。 それと、夜までに目的地に着けたから、無理したかいはあったと思うよ」 姉妹にとって、砂漠を一日連れ回された労力に対してここは不釣り合いな場所に思える。 砂丘の頂上付近というだけで、ここから見えるのは今までと変わらず砂と石だけの世界。 初めて砂漠を見たときには感動があったが、一日歩かされてはもう砂など見たくもない。 ここに来た意味を問い質そうと、 姉妹が口を開く前にユーノは口を付けていたコーヒーを飲み干し、丘の先へ視線を向けた。 食事の後、ユーノに案内されてきたのは丘の先。歩いてきた方向とは逆の裾野を一望出来る場所だった。 そこは、夕暮れの光に照らされてなお黒い砂が大河のように流れている。 旅の間で見てきたものとは違う、禍々しさを感じるそれを見、 チンクとディエチは思わずユーノにすがり付く。 「これが、見せたかったものか?」 チンクの微かに震える声を聞いて、ユーノは安心させようと彼女の頭を軽く撫でる。 「……今日はもう休もう」 テントの中。 チンクが服を脱ぐと汗の匂いが彼女の鼻腔に広がった。 バリアジャケットが熱や陽射しから身を守るとはいえ、砂漠の暑さの中で、快適とは言えなかったようだ。 砂漠の夜は冷える。 ユーノに教えられた通り、布で汗を拭うと下着から衣類を交換する。 チンクが荷物から新しい下着を取り出すと、ディエチの姿が見えた。 ディエチもまた着替えの途中で、丁度ブラジャーのホックを留めた所だった。 「何、チンク姉?」 姉からの視線に気付き、着替えを止めてチンクの方へ向き直る。その時に形の良い胸がふるりと揺れた。 チンクは視線を下に向ける。 絶壁だった。 「……チンク姉……チンク姉」 「ん……」 ディエチに起こされ、まだ重い瞼を擦り眠気を払う。 「なんだディエチ?」 「ユーノ先生が呼んでるんだ」 「ユーノが?」 猫さんパジャマの上からコートを羽織り、テントから顔を出す。 そこで見たのは、真円を描く銀の月とその光の中でも煌めく無数の星。 そして、その幻想的な世界で佇む一人の青年だった。 ユーノは杖の先に炎を灯し、先程も歩いた道を先導する。 何らかの魔法か、炎を纏っていても杖には燃え移っていない。 無言のまま三人は歩き続け、やはり先程の場所に出る。 ユーノが少し指を振る事で炎は消え、月の光だけが周りを照らしていた。 「あれが、キミ達に見せたかったものだ」 ユーノが杖で指すのは黒い大河があった場所。 しかし、今そこに広がるのは 「――花、畑?」 銀の光が照らす下にあるのは無数の黒薔薇。 満開に咲き誇り、月明かりで彩られた漆黒の花弁。 チンクとディエチはその光景に圧倒され、魅入られた。 「夜の砂嵐が止むとね、砂流も止まり、削られた砂の形が浮かぶんだ。 何で薔薇の形になるのかは知らない。けど、チンクと、ディエチに見せたかった」 いつまで見ていたのだろう。 ユーノが説明するまで二人はただただ黒沙の薔薇を見詰めていた。 ようやく現実に引き戻され、この感動を口にしようと開きかけた時、一陣の風が吹く。 「あ……」 麓に吹くそれは、漆黒の花に触れると、黒い砂を巻き上げ散らしていく。 満開の花畑だった麓は、瞬く間に禍々しい砂の河へと戻る。 ユーノは声を漏らしたディエチに自分の纏っていた外套を掛け、言った。 「風が出てきた。もう戻ろう」 ユーノの温もりを感じるようにきゅっと外套を抱きしめたディエチは静かに頷いた。 そして、三人は無言のままにテントへと戻る。 テントの中。 あの景色を思い返し、チンクは眠れなかった。 冴え冴えとした銀の月、天涯まで散らばる無数の星々。 そして、儚く散った黒い薔薇。 そのどれもが美しかったが、チンクの脳裏に最も強く焼き付けられたのは、 自慢の宝物を見せつける子供のような笑顔をした青年だった。 (あんな顔も出来るのだな……) チンクがユーノに初めて会ったのは二年前、留置場で裁判を待つ彼女達に面会を求めに来た時だった。 その時のユーノは酷く冷たい目をしていたのを覚えている。 彼から幾つかの質問を受け、正直に答えていった。 一つ質問に答える度、彼の表情から険しさが消え、最後の質問を終えた時には優しいものへと変わっていた。 そして、裁判が終わり隔離施設に収監された後、特別講師として招かれた彼と再会した。 後にギンガに聞いた話によると、自分から講師に志願したのだとか。 裁判の時も、有利に進むよう数々の資料を提出したとも聞いた。 何故、彼がここまで尽力してくれるのかチンクは知らない。 ただ、保護者としての顔ばかり見せていたユーノの、新しい一面が見れた。 その事にチンクの頬は知らず知らず緩んでいた。 小さな胸の奥からも、心地好い暖かさを感じる。 チンクはそのまま、暖かさに身を委ねて瞳を閉じた。 そして夢の中(ドリームランド)への階段に足を踏み出そうとした時、不意に声を掛けられた。 「チンク姉、起きてる……?」 「ん?」 隣を見ると、頬を染めたままのディエチがチンクを覗き込んでいた。 彼女はユーノの服をまだ身に付けていて、借りた時からずっと頬が赤くなっている。 何故か今のチンクには、そんなディエチの様子が気に入らなかった。 「あの、あのね……」 言葉を濁すディエチ。 チンクは何か嫌な予感を感じた。 けれど姉として、妹が迷っているなら助けてあげたい。 その思いがディエチの言葉の続きを促した。 「あのね、あたし、ユーノ先生の事――」 おまけ ~とあるホテルの昼食風景~ ち「注文を取るぞー。私はカツ丼にするが二人はどうする?」 ゆ「僕はビーフカレーを。辛口でね」 ち「ディエチは決まったか?」 で「えーと、えーと……。ねぇ、この『ハンバーグ』って何?」 ち「何!? ディエチはハンバーグを知らなかったのか!?」 ゆ「ハンバーグはとってもふっくらでジューシーなんだよ!」 ち「ディエチ、それをお前はっ……」 で「ごめんなさいごめんなさい」 ち「ハンバーグとはパン粉、卵、タマネギ等を加えた挽肉を丸めて平たく伸ばしてやいたものだ! よし、それを食べろ!」 で「でも、あたしタマネギ苦手……」 ゆ「安心して。タマネギは細かく刻んであるから気にならないよ」 で「じゃあそれで。あとプリンも……」 ゆ「プリンあったのか。じゃあ僕も……。チンクはどうする?」 ち「私は……いらん! そんな子供の食べる物など!」 ゆ「そう。じゃあこれで全部だね。頼んでくるよ」 ち「あっ……」 おまけ2 「これでよし」 チンクの長い髪が緑色のリボンで一つにまとめられている。 明日砂漠を渡るのだから、とユーノが梳り纏めてくれた。 「うん。似合うじゃないか」 首の後ろで縛られた銀の髪。これなら風が吹いても邪魔にならないだろう。 「そうか?」 「うん。あたしも可愛いと思うよ」 「ふふ。そうか」 二人の言葉に浮かれ、上機嫌で買い出しに向かうチンク。 ユーノとディエチは苦笑を交わすと、その後をゆっくりと追っていった。 「あらお嬢ちゃん。パパとママと一緒の髪型で、仲良しさんねぇ~」 その日。チンクは宿で二時間寝ると、店員の言葉を思い出し、泣いた。 おまけ3 「チンク姉者。砂漠地方では『人間クーラー』という物が存在したそうな」 「ほほう。どんな物だディエチ妹者」 「砂漠の気温はグングン上昇し45℃を超える暑さにもなる。だが、人間の体温は一定だ」 「つまり外気よりも低い温度の人肌に触れると涼しくなるわけか」 「流石姉者。その通りだ」 「つまり裸でユーノと密着し『こら。汗臭いんだからそう匂うな』『臭くなんてないさ。チンクの良い香りがする……』と言う事だな」 「そうだ。『先生、あたし汗で濡れてますよ……』『そんな事は気にしないよ。でも、ここが濡れてるのは汗じゃないだろう?』と言う事だ」 「と言う事は……(省略されました)」 おまけ4 「どうぞ」 「ありがとう」 セッテの徳利から熱燗が注がれる。 外は雪が今も降り続けているのだろうが、この部屋の中ではそれを感じる事は出来ない。 窓の側まで行けば見えるのかもしれないが、この炬燵から足を出す気にはなれなかった。 「はい、チンク姉。生姜が欲しかったら自分で入れてね」 「すまないなディエチ。カニ、カニ、カニィ」 妹から蟹の身が詰まった取り鉢を受け取りその味を堪能するチンク。 (こうして見てるとどちらが妹だか……) そう思いつつユーノも鍋に箸を伸ばす。鍋を囲む四人のうち三人は戦闘機人。 手早く確保しなくては酒ばかりを胃袋に放り込む破目になる。 「フグと言うものを初めて食べるのですが、危険はないのですか?」 「カニカニィ。私はフグよりカニが好きだな」 セッテの疑問をチンクが軽く投げ飛ばす。ダメだこの姉早く何とかしないと。 「戦闘機人に毒の心配はいらないと思うんだが……」 「そうですか。ではいただきます」 ユーノの言葉であっさりと鍋に手を付ける。余程食べたかったらしい。 「美味しいですね、このフグ」 「……それ、鱈」 「なん……だと……」 ディエチがセッテの間違いを指摘している間に、ユーノは本物のフグを口に運ぶ。 グダグダなまま終了。 戦闘機人とかヴォルケンリッターとかは毒やらアルコール、タバコなんかは効かないという妄想。まあ、おまけは某ラノベのパクリですが。 でも酒には酔う。その方がエロいからだ。 某ドラゴンなクエストで、特産品の場所がわからないからとりあえずさばくのバラ博物館にしておいたのは私だけじゃないはず。 107スレ SS チンク ディエチ ユーノ・スクライア