約 454,625 件
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/298.html
貴方の帰りを待っています early JS事件から数年後、スバル・ナカジマは湾岸特別救助隊の中でも特にその名を知られる存在となっていた。 その能力の高さ、またどんな状況でも決して諦めない意志の強さ。 更に、この数年でより美しく成長した事も相まって、広くその存在を知られるようになっていたのである。 当然そんな彼女とお付き合いしたいと迫る男性は多かったが、スバルはその誘いを全て断っていた。 既に意中の男性がいるようであったが、しかしそれが誰なのかは、誰にも分からなかった。 そして今、彼女はデスクワークをしていた。昔に比べて大分要領が良くなっている。 それはかつてのパートナーと、そして……彼女の「先生」のお陰でもあった。 スバルはペンを走らせていた手を止めると、ふぅと溜息をついた。 「先生……今どうしているのかなぁ……。」 彼女が先生と呼んだのは、無限書庫司書長、ユーノ・スクライアであった。 もっとも、彼は今無限書庫にはいない。というより、ミッドチルダにいないのである。 それどころか現在どこにいるかも分からない。 JS事件が解決してから一年程が経った後、ユーノは突然遺跡発掘の旅に出てしまったのである。 有給も凄まじい量が溜まっていたし、 何より彼自身がこの長期休暇を認めなければ管理局を辞すとまで言ってきたため、 やむなく許可を出したのである。 出発の直前、スバルはユーノに会いに行った。 暫く逢えなくなる事に悲しみ、涙ぐむスバルの髪を優しく撫でながらユーノは言った。 「泣かないでよスバル。別に今生の別れって訳じゃないんだから。」 だがスバルの涙は止まらない。 自分でも泣き顔ばかり見せていてはユーノに心配をかけてしまうと分かっているのだが、 それでも涙を止める事は出来なかった。 やがてユーノは苦笑すると、するり、と自分の髪を縛っていたリボンを外した。 その様子に首を傾げるスバルの手をとりそのリボンを握らせながらユーノは言った。 「これ、僕のお気に入りのリボンなんだ。 遺跡の探検で無くしたりしちゃうのはちょっと嫌だからさ、これをスバル、君に預けていくよ。 必ず取りに行くから、無くさずにもっていてね。約束だよ?」 ユーノはそう言うと、優しく微笑んだ。 スバルはその笑顔を暫く見ていたが、やがてごしごしと涙を拭くと、精一杯の笑顔を浮かべて言った。 「分かりました先生! このリボン、ちゃんと預かっておきますから……必ず、必ず取りに帰ってきて下さいね。 私……待ってますから。ずっと……待ってますから」 ユーノは笑顔で頷くと、そのまま旅立っていった。 スバルはユーノのリボンを胸に抱いたまま、彼を見送っていた。 「そろそろ帰ってきてもいい頃なんだけど……」 彼の休暇も後数日で終わる。何事も無ければそろそろ帰ってくるはずなのだが……。 と、そんな事を考えていたスバルに非常召集がかかった。 急いで救助隊の本部に向かったスバルに知らされたのは、 かつて自身が経験した空港火災と同等、もしくはそれ以上の規模の空港火災であった。 あまりの規模に二次災害を懸念され、出動出来ない救助隊。 スバルは悔しさを噛み締めながら飛行機の乗員リストを見ていたが、 とある名前を見た瞬間、制止を振り切り現場へと向かった。 現場の状況は想像以上に酷かった。だが、彼女には確信があった。 確かに酷い状況ではあるが、「彼」がいるなら……彼ならば、きっと皆を護ってくれているはずだと。 リボルバーナックルを振るい、障害物を次々と排除し奥へと進むスバル。 やがて一際大きい瓦礫を破壊した時、その奥から光が溢れ出した。 とても暖かく、とても優しく、そして……とても心を震わせる、翡翠色の光が。 「やあ久しぶりだね。君ならきっと来てくれると信じていたよ、スバル」 広範囲に結界を展開し、多くの人々をその背に護りながら、 その青年……ユーノ・スクライアはこのような状況であるにも関わらず、優しく微笑んだ。 「私も……信じてました。先生なら……きっとみんなを助けてくれてるって。護ってくれてるって……!」 スバルは熱くなる胸の鼓動を感じながらも、救援を要請した。 数時間後、次々と保護されていく人々をユーノとスバルは並んで見つめていた。 「……あ、そうだ。これ……」 そう言いながら、スバルは制服のポケットから一本のリボンを取り出した。 「え、それは……」 ユーノがそのリボンを見て驚く。それは、彼が出発の日にスバルに託したリボンであったのだから。 「えへへ、持ってきたんですよ、先生に逢えると信じてたから」 はにかみながらそう言うと、スバルはユーノの髪をそのリボンで結び始めた。 やがてリボンを結び終えると、スバルはユーノをぎゅっと抱きしめた。 「ス、スバル?」 「……おかえりなさい、先生。ずっと……ずっと待っていたんですから……。 うっ……さ……寂しかったんですからぁ……!!」 自分の胸にすがり付いて泣き始めたスバルを、ユーノもそっと抱きしめ返した。 「ごめんねスバル、さびしい思いをさせて……。でも、僕はちゃんと帰ってきたよ。ただいま、スバル」 「うっ……おがえりなざい、先生……ッ!! うぅ……わあああああああああああああああああああああん!!」 抱きしめあう二人は、まるで恋人同士であった。この後様々な事が起こるのだが、それはまた別のお話。 31スレ SS スバル スバル・ナカジマ ユノスバ ユースバ ユーノ・スクライア
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/227.html
正月帰省できない俺の魂の叫び 作者:ggJQOcvD 珍しく人の疎らな機動六課、いつもの姦しく賑やかな雰囲気とは打って変わって、 今はただコンソールを叩く音に埋め尽くされるだけのそこ。 響いたのは、本人の人柄がありありと顕れるような脳天気で朗らかな声。 「どうも、ご依頼賜りました資料をお届けに上がりました」 その意外な来客に、ティアナは少し呆気にとられながら、怪訝な様子はつゆとも見せず、 すぐにきいと椅子から立って対応する。 「スクライア司書長。どうなさったんですか、わざわざ直接いらっしゃるなんて」 「ユーノでいいよ。ちょっとなのはたちに話があってね」 いつものようにフランクに接するユーノに、 一応勤務中ですので、とティアナはこれまたいつものようにお堅く返す。 「聞いたのはそういうことじゃないんですが……。 ……なのはさんたちなら、つい先ほど上がりましたよ」 その言葉を聞いてあちゃーと顔を片手で覆うユーノに、ティアナはどうしたものかと眉を顰める。 「あー、言伝があるなら承りますが」 「や、大丈夫。今ごろなのはたちは転送ポートだろうから……直接メールも無理か」 再びうなだれるユーノに、ついに好奇心が勝ったティアナは尋ねた。 「あの、今年はミッドチルダと一緒で、なのはさんたちの故郷ももうすぐ新年を迎えるんですよね? ……スクライア司書長となのはさんたちは同郷だと、本人たちから直接聞いたことがあるのですが」 訊きながら、いつだったかチームプレイの肝要さを説かれた時に、 魔法に関わるきっかけやその時に携わった事件の顛末―― 『背中を任せられるパートナー(ユーノ君)の大切さ』とか 『パートナー(ユーノ君)の障壁がいかに堅かったか』とか 『いかに(ユーノ君と)パートナーシップを育んできたか』とか 『いざというときには意外と頼りがいがあるパートナー(ユーノ君)の姿』だとかについて語る、 だらしなく蕩ける某教導官の顔が自然と思い出される。 恐る恐る上目使いで、顔色を伺うようにそんな質問をするティアナに、 ユーノは一瞬だけはっとしたような顔をして、なんともぎこちなくそれを崩して返答する。 「同郷、か。うん、そうかもしれないね。そうか、なのはたちが……」 ユーノは短く嘆息してゆっくりと目を瞑る。 それは喧嘩に負けて影法師を踏む子供のような、 そして家の鍵を足下に見つけた会社帰りの大人のような、 しかし息子に人生を認められて救われた思いの、寝たきりの老人のような、 そんな感情が綯い交ぜになった危うい横顔を向けるユーノに、 ティアナは静かになにかが揺れるのを感じていた。 思い出深い場所なんですねと自然と促すティアナに、優しい顔をしてユーノは頷く。 会うたびに、なのはとの関係をからかう美由季さんと桃子さん。 なのは大怪我を負ったとき、なのはを危険な魔法世界に誘った責任を責めるどころか、 大きな両腕で震える体を抱き締めてくれた士郎さんと恭也さん。 失意に沈んだとき、吐き出された醜い弱音を受け止め、煤けたの背中を叩いて、 前へと押し出してくれたアリサとすずか。 異邦人の自分にも笑顔を向けてくれた海鳴の人々。 「無限書庫が今の僕の家だとしたら、そうだね、海鳴は――僕の故郷だよ」 みんなには感謝してもしきれないよと遠くを見て零すユーノに、ティアナはくすりと笑って一言。 「帰省が楽しみですね」 つい口から出たその言葉に、しかし何故か、ユーノはピキリと顔を凍らした。 「あ、あの、いかがなされました?」 とんと予想外の反応にティアナはおろおろする。 「いや、その、今年はミッドチルダも年末だから無限書庫が立て込んでてね……。 司書長の僕が抜けると本当にどうしようもなくなっちゃうから、海鳴に滞在するとなると……」 「ああ……それはつまり」 情けなく頷くユーノに、ティアナは呆れるほかなかった。すべては台無しになった。 * * 「……それで、これはいったいどういうこと?」 「もしかして今年度も来れないとか、まさかそんなことは、当然ありえないよね?」 場違いなほどこやかに微笑むすずかとアリサの突き出す携帯電話の液晶には、 無情にも『仕事が立て込んでて忘年会には参加できないかもしれません』の文字が。 「……」 言葉を失うのは正座するなのはら三人娘。そんな様子の彼女たちを前に、 海鳴二人組の内情を代弁するかのように、アリサの携帯はぎちぎちと恐ろしい音を立てる。 「あ、あのう、わたしたちもユーノが参加できないなんて初耳で……」 ぴしっと罅割れる携帯に、それ以上続けるのは危険だと本能的に判断するが早いか フェイトは反射的に言葉を引っ込める。 「い、いや、でも、いくらなんでも新年会には間に合うんちゃう?」 「去年も全く同じことを聞いたような気がするわね……」 ギロリと射抜くような目を向けられ、はやても怯む。 「ゆ、ユーノ君も忙しいから……」 はやてに詰め寄ったアリサが一歩引いて、すずかの方を振り返りなおそうとすると同時に小さな呟き。 「今のだれ!?」 耳ざとくその呟きを拾ったアリサは、すぐさま翻ってなのはたちに振り返った。 「ユーノが忙しいですって!?」 鬼の形相で再び詰めよる。 「ぶっとばされたいの?それを連れてくるのがあんたたちの役目でしょうが!」 ついに爆発したアリサに、三人はびくりと肩を震わせる。 「……答え無し? 」 ついフェイトが重圧に耐えなくなって顔をついと反らしたのを、アリサは目ざとく視認した。 「フェイトね、今のは」 「ち、違います!」 つかつかとアリサは迫る。 「嘘つきなさい!あんたでしょう、今呟いたのは!」 「ひ、ひはうー!」 隣でフェイトのほっぺたを両手でみよんみよん引っ張るアリサに、 居た堪れなくなったなのはは意を決して告白した。 「じ、自分であります、サー!」 「そっちのアホね……」 ぱっとフェイトの頬を開放し、薄ら笑いを浮かべながらアリサはなのはの正面に回る。 「勇気あるマジカル・コメディアン・ジョーカー一等空尉。 正直なのは感心ね。気に入ったわ。初詣後はユーノを持ち帰ってもいいわよ」 「あ、ありがとうございます、サー!」 「それで、あんたの言い訳は?」 「い、言い訳ですか?」 「アホ相手に質問するのはあたしの役よ!」 「サー・イエッサ!」 その一連の流れと緊張感の板ばさみに、いけないと分かっていながらも、 はやてはいよいよ堪えられなくなって少し噴出してしまった。アリサがゆっくりとはやてに振り向く。 「いらない子二等陸佐……なにかおかしい?」 「サー、ノー・サー!」 底冷えするような低く響く声に心臓を鷲づかみにされたはやては、直ぐになのはに倣って返す。 「そのむかつく笑みを消すのよ! 」 「サー・イエッサ!」 表情を引き締めようとするも、眼前に迫るアリサの顔と怒号がかえってそれを許さない。 「早く顔面に伝えなさい!」 「頑張ってます、サー!」 満足したのかアリサは一つ頷いて一歩引く。そして眉間に皺を寄せて腹の底から力いっぱい声を絞り出した。 「よし、起立! 総員、すぐにユーノを連れ戻してきなさい!分かったわね、この脳筋!」 「サ、サー・イエッサ!」 「ふざけるな!大声を出せ!」 「サー・イエッサ!!」 その頃、ティアナとナカジマ姉妹、ナンバーズ更正組はユーノを海鳴に帰省させるため、 (恩を着せる――あわよくばナカジマ家の新年会に参加させるため)無限書庫業務を総出で手伝っていた。 和気藹々としたその雰囲気をぶち壊す乱入者との戦いは、また別のお話。 17スレ SS アリサ・バニングス オールキャラ ギャグ コメディ ティアナ・ランスター ナカジマ家 ユーノ・スクライア
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/70.html
タイトル「裏庭のふたり」 作者 47-598 本文 昨日ユーアリSS書いた者ですが、ユーすずSSが出来たので送ります。ややエロいので注意、2レス消費します 季節は夏、蒼穹は果てなく高く、白い山脈のような入道雲がのんびりと流れている。月村邸の裏庭から小山に抜ける辺りの森の開けた場所に、ユーノとすずかは居た 「久しぶりのデートなのに…どこにもいけなくてごめんね?この辺りなんてすずかの文字通り庭なのに」 恋人同士の関係になってもう幾度か目の夏、高町の家へと籍を移した忍に代わり月村の一族を継ぐ事になったすずか、無限書庫司書長であるユーノ共に日頃忙しく 奇跡的に休日が重なり今日に至るのだ。本当なら話題の映画や遊園地、水族館や花火大会など色んな所へと出かけて遊び愛を深め合いたいと思うのが恋人と言うもの だが休めるのは一日だけ、互いに忙しさの架橋に居るため疲労も困憊状態であり、遠出は疲れるだけだと判断し昼からこうして青々とした裏庭の広大な自然を楽しむことに 「気にしなくてもいいよ。忙しいのはお互い様だし、それに今年中には一区切り付きそうだから…クリスマス、期待させてもらうね」 「勿論。男の甲斐性、見せてあげるよ」 「ふふ、やったぁ」 満面の笑みを浮かべて、すずかは木陰から飛び出し裸足で小川へと駆け込んでいく。今の彼女の格好は、薄手な純白のワンピースと頭の上のつばが広い麦藁帽子だけ 強い夏の日差しにワンピースがから透き通るような白い素肌が見えてしまいそうで、おもわずドキリとユーノの心臓は高鳴る 「すずか、すべったりしたら危ないよ?」 「平気だよ、ユーノ君もこっちおいでよ、冷たくて気持ちいいよ~?」 満面の笑みを称えながら、すずかはひらりひらりとスカートを翻しダンスを踊る。それはさながら妖精が目の前に現れたかのような幻想的な光景 あぁ、夜の一族は昼ですらこうも男を魅了するのかととろけそうな熱にユーノの灰色の脳細胞がが変な思考をし始めた瞬間、全身が泡立った 「あっ?!」 「すずか!!」 足を滑らせ、すずかが体勢を崩した。ゆっくりと後ろへと倒れていく彼女、その先にはゴツゴツとした水辺の岩。瞬間、ユーノは足回りの筋肉を限界まで魔力で強化し、弾丸のように飛び出した 結果だけいえば、ユーノはすずかが倒れる前にその体を支えることが出来た。だが慌てていた彼は普段では考えられないような単純なミスを犯す 「ユーノ君!」 「すずか、大丈夫っておわ?!」 「きゃあっ!」 加速を計算に入れずがむしゃらに飛び出したため、着地した瞬間に勢いを殺しきれず、すずかを抱きしめたままぐるりと一回転し背中から川の中に飛び込んでしまった 幸運にも怪我はしていないようだ、水の優しい流れに痛みと火照りがすっと引いていくのを感じる 「すずか、大丈夫?」 「うん、私は平気…ユーノ君が助けてくれたから」 ユーノは思わず安堵のため息を吐いた。もしあのまますずかが倒れていたらと思うとぞっとする。数少ない私服がずぶぬれになってしまったが、大切な彼女の命には代えられない それに、頭も冷えて一石二鳥だ 「ユーノ君こそ平気?思いっきり背中から落ちたけど」 「はは、大丈夫だよ。体が頑丈なのも取り柄…だか…ら…」 いきなり回転した視点が日差しの明るさになれてきて、視界にはいったすずかの姿に、またユーノの鼓動は加速し体は熱を持ち始める 落下の衝撃からは護ることが出来たが、はじけた水からは逃れることが出来なかったようで、烏色の美しい黒髪とワンピースが水を吸って全身へとへばりつき、いたるところが薄く肌色に透けている 停止する思考、耳煩いなセミの声も遠く、世界が果てしなく広がっていくような錯覚を感じた 「っ?!」 覚醒する意識、慌てて首を90度直角に傾けた、グキリといやな音がしたが気にしない 「ど、どうしたのユーノ君?いきなり真っ赤になったけど」 「な、なんでもないよすずか!あはは!あははははは!」 一瞬目に入った桜色のナニかを記憶のかなたへと押しやり、とにかく起き上がろうとした矢先、腕を強くつかまれた 「すずか?」 「…ユーノ君の…えっち」 潤んだ瞳、紅潮した頬、普段は夜の闇の中かろうじてしか見ることの出来ない、女としてのすずかの顔がそこにあった 「胸…見たでしょ」 「う……ごめん」 咎める様な言葉とは裏腹に、すずかは身を一層自分へと押し付けてくる。女性特有のやわらかさと嗅ぎ慣れながらも未だに抗うすべなく思考を奪う甘い匂いが、炎天下の暑さと水の心地よさの二律相反とあいまって、ユーノの理性を殺いで行った 「今日休んだら…またしばらく会えないから…ね?」 彼女が何を言いたいのかはもう全てを聞き終わる前に理解していた。まだ生きている理性を総動員し、周囲に誰も寄せ付けない結界を張り、終えると同時にユーノはすずかの唇を奪う 「思い出……一杯作っておこうか」 長い夏は、まだ始まったばかりだ 以上でーす。真夏に黒いロングヘアー娘が真っ白ワンピースに麦わら帽子って最高だよね!日本の宝だよね! すずか ユノすず ユーノ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/313.html
こども相談室 C0WbQaBr 「それでね、フェレットさん。今日も相談があるの」 「うん、何でも聞いてくれていいよ」 無限書庫の司書長室で偶然フェレットモード時に遭遇したなのはの義娘、ヴィヴィオ。JS事件も終わり、普通に学校へ通うようになった彼女と「友達」の関係を築いた今は、こうして時折相談に乗ることがある。それは魔法のことだったり学校でのことだったりするのだが。 「あのね、実はなのはママのことなの」 「なのは――っと、ヴィヴィオのお母さんのこと?」 突然出てきたのはなのはの名前。どうやら今日の相談は家庭内のことらしい。 「うん、最近様子がおかしいの」 「おかしい、ってどんな風に?」 「えっとね、よく考え事してるの。 その時のなのはママは、お顔が真っ赤になってて、どこか苦しそうな顔してるの」 「それって、病気って事かな?」 そうなると相談のレベルを超えている。頼るべきは自分ではなく、病院であり、医者だが、 「違うと思う。それに、溜息も多いんだ」 「うーん……悩み事があるのかな? ヴィヴィオ、何か心当たりがある?」 どうやら体調不良というわけでもないようだ。 「うん……そうなる時って、いつも決まってるから」 「原因が分かってるってことだね。だったらそれを取り除いてやればいいと思うよ。 で、なのはママがそうなるのって、どんな時なの?」 「ここへ来て、家に帰った後はほとんどいつも」 「え……?」 なのはの悩みの原因が、無限書庫? そんなことがあるだろうか、と疑問に思う。ここへ来る時のなのははいつもどおりで、特に変わった様子は見られなかった。 「それでね、呟くの」 「呟くって……何を?」 「ユーノ君、って」 「え、ええぇぇぇぇぇっ!?」 「フェレットさん、声が大きいよ?」 「あ、ああああああそうだねっ」 (それって、なのはの悩みの原因が僕って事? おかしいな、僕、何かしただろうか? 知らない間に迷惑かけたりしてたのかな? それとも何か約束を忘れてしまってるとか?) 動揺を抑えながら考えるが、思い当たる節はない。 「ねえ、どうすればいいかな?」 「ど、どうって……」 答えられるはずがない。原因が自分で、しかもそれが何なのか分からなくて手も足も出ないのだ。 「ヴィ、ヴィヴィオはどう思う……?」 頼りに来た少女に頼るとは何とも情けない話だが、何か意見がないと始まりそうにないので、ヴィヴィオに訊ねる。相談を持ち掛けてくるとは言え、ヴィヴィオはある程度の考えを持ってやって来る。こちらは単にそれに対するアドバイスをする、ということの方が多いのだ。 「ユーノさんなら何とかしてくれるんじゃないかな、と思うんだけど」 「ぼっ、とと、司書長が?」 「うん。きっとね、なのはママ、ユーノさんとのことで悩んでるんじゃないかと思うんだ」 「ど、どういう風に?」 「ヴィヴィオはまだよく分からない気持ちなんだけど――」 そこで一旦言葉を切り、ヴィヴィオは言った。 「きっとね、なのはママ、ユーノさんのこと好きなんだと思う」 「え……?」 「3人でいる時もそうだけど、ユーノさんの話を聞かせてくれる時のなのはママって、 とっても嬉しそうで、楽しそうで、綺麗なの。うん、きっとそう。 だってあんな顔のなのはママ、他で見たことないもん」 「そ、そうなんだ……」 「だからね、なのはママがユーノさんに告白できればいいんじゃないかな、って思うんだ」 「ま、ママの方から告白なんだ……」 「だって、ユーノさんってぼくニンジンだし」 「がふぅっ!?」 何かが深々とユーノの心に突き刺さった。もうクリティカルヒット。 「きっと、ユーノさんから告白する度胸なんてないよ」 「ぐはっ!?」 クリティカル2回目。 「そういうのを、なんて言うんだっけ……えーと」 「ヴィ、ヴィヴィオ……?」 「そう、ヘタレ!」 つうこんのいちげき! 「あ、あはは……」 「どうしたのフェレットさん?」 「な、何でもないんだ、何でも……」 涙しながらユーノは答える。何もそこまで言わなくても…… 「それに、ユーノさんがなのはママのこと好きかどうかも分からないし」 「……え?」 「って、どうしてフェレットさんがそこで驚くの?」 「あ、い、いやいや、別に驚いたワケじゃないけど……」 「ひょっとして、ユーノさんも一人の時に呟いてたりするのかな、なのは……って」 「さ、さあ……そこまでは知らないけど……」 実はどこかに盗聴器でもしかけてあるのではないかとユーノは周囲に視線を巡らせる。図星だったから。 自分の中の気持ちが何であるのかはとうの昔に気付いている。ただ、それを言い出せないまま時が過ぎてしまった。ヴィヴィオにヘタレだと言われても仕方ない。 「そっか。じゃあ、やっぱりなのはママに告白させるしかないね。 ユーノさんからの告白は絶望的だし、なのはママが動かないと何も始まらないみたいだし」 うん、と頷いてヴィヴィオは椅子から立ち上がった。 「それじゃあ、自分で色々考えてみるね」 「う、うん……」 そのままヴィヴィオは扉を開け、外に出ようとして立ち止まる。 「よかったら、また相談に乗ってくれる?」 「う、うん。僕でよければ」 「ありがとう、ユーノさん。それじゃあ、司書長によろしくね」 そして、パタンと扉が閉まり、ヴィヴィオの姿は見えなくなった。 そこで、気付く。 「ユーノ……さん……?」 確かにヴィヴィオはそう言った。つまり―― 「あの子、僕の正体に気付いてて――!」 やられた。考えてみればフェレット時の写真も何枚か存在する。それをなのはが見せていてもおかしくはないのだ。 「……これって、後押しだよね……」 まだ幼女といってもいい子供に背中を押されるとは何とも情けないものがある。しかしそれも自分の意志が弱いからだ。変化を恐れ、拒絶されることを恐れて、前に踏み出せなかった自分の責任。 変身魔法を解除して、ユーノは机の引き出しから薄桃色の小箱を取り出し、時計を見る。 「なのはの今日の仕事は確か……うん、決めた」 そしてスーツのポケットにそれを押し込むと、頬をパンと叩いてユーノは司書長室を後にする。 ここまでされた上に相手の動きを待つなど、できようはずもない。いまさらな気もするが、まだ間に合う、と信じたい。ここで動けねば自分は一生ヘタレだ。 行き先は――決まっていた。 36スレ SS ユノなの ユーノ・スクライア ヴィヴィオ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1393.html
メタルサーガsts読みきり短編 『バトーのマブダチ、ユーノ・スクライア』 バトー博士。 次元震でたまたまこちらへ来てしまった2人と2基のうちの1人。 パイナップルのような髪型にアロハシャツという姿。 それとは正反対の印象を与える理知的な言葉使いにサングラス越しにのぞく鋭い目。 そんな彼の願いはトモダチが欲しいというもの。 元より優しいユーノ君のことだから『トモダチになって』と言われたら『いいよ』と 即答しただろう。 過剰なまでに丁寧な言葉で会話されていたことも原因なのかもしれない。 「それじゃマブダチになったんだから名前で呼び合うなんて他人行儀なことやめて アダナで呼び合わないとね。」 そして予想通りユーノ君はバトー博士のトモダチになってくれないかな宣言に笑顔で 『いいよ』と答えた。 笑顔が凍りつくっていうけれど目の前のユーノ君が今現在まさにそれになっている。 「君のアダナはインジュウだね。これでぼくらはマブダチさ。」 子供のようにはしゃいで嬉しそうにバトー博士がユーノ君にそう告げている。 一方のユーノ君はなにを言われたのか理解できていないのだろう。 呆けたような表情で耳を疑っているようだった。 当然かもしれない。 ほんのついさっきまで物凄い丁寧な言葉で会話していた人の口からでたとは 思えない言葉だったから。 あまりにも広大で無限とまで枕詞をつけられた無限書庫の中、奇妙なまでに バトー博士の言葉は響いて、そこで働く課員達は一律時間が止められたかのように ピタリとその足を停めては視線をこちらに向けてくる。 彼をここに連れてきた私は困ったような曖昧な笑みをみなさんに返すしかない。 集まる視線に聞き間違いではないと理解したのかユーノ君は慌て始める。 「ちょ、ちょっと待って。ぼくは・・・」 焦ったようなユーノ君の声が聞こえないかのようにバトー博士の言葉は止まらない。 「イ・ン・ジュ・ウ。うん。やっぱりインジュウはインジュウだね。 女の子のシャワーを覗いたり小動物に変身して女湯に堂々と入ってじっくり見入ってそうな顔してるもんね。 ムッツリと違って後で文句言われても堂々とすっとぼけるくらい当たり前に やりそうだもの。インジュウにこれほどピッタリのアダナはないよね。」 ユーノ君が私に喋ったのかといわんばかりに視線を向けてくる。 一言も喋ってないと必死にアイコンタクト。 でも、顔を見ただけでここまでぴたりと言い当てられるものなのか。 私のときも・・・。 ユーノ君も覚えがあるだけに顔を真っ赤にして言葉に詰まるばかり。 書庫にいた女性課員の視線はユーノ君の反応に興味深げなものから冷ややかなものへ 変わり始めていた。 「マブダチをアダナって呼ぶっていいよね。そうだ。ぼくはデバイスの資料を借りにきた んだけど、そのついでにインジュウの手伝いをしていってあげるよ。インジュウのことだ からろくに仕事も片付けらなくて女の子の裸を覗く時間も作れないだろうからね。なんた ってぼくは天才だからね。インジュウのみみっちい仕事なんかすぐに終わらせてあげるさ。 なんたってぼくたち、マブダチだろ?」 そう言ってアハハと笑い、助手のアンドロイドのサーズデイを連れて台車をガラガラと 転がしながら書庫の奥へといってしまった。 取り残された私とユーノ君。 女性課員全部から向けられるユーノ君への冷ややかな視線が突き刺さる。 「・・・なのは、彼はいったい・・・なんなんだ。」 しぼりだすようにユーノ君がそう尋ねてきた。 トモダチになってと言われて『いいよ』と答えた途端に飛んできた罵声の嵐。 六課の皆は既に先日経験済み。 ヴィータちゃんはグラーフアイゼンを振り回して大暴れしたし、 シャマルさんは膝をついて泣き出しちゃったし、 ザフィーラさんは鏡の前から動かなくなっちゃったし、 はやてちゃんは凹んで使い物にならなくなっちゃったし、 フェイトちゃんは髪を振り乱してモールへ服を買いに行っちゃった。 言葉だけで六課の機能が麻痺してしまったことに驚くべきなのだろうか。 かく言う私も演習場をつい・・・。 平然としていたシグナムさんにはさすがと思ったものだ。 気を取り直してユーノ君に答える。 「ちょっぴり口の悪いおじいちゃん・・・かな?」 「Master, I think a little is extremely understatement. (訳:ちょっぴりは控えめすぎる表現に思います。)」 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1961.html
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 空にとどまるユーノの眼の前に、木の枝で編まれた壁はもう無い。 その代わり地面には線を引いたように地面を掘り返した跡があった。 線に沿って倒壊した建物が痛々しくも見える。 「出てこねえな」 「きっと、ハエトリグサと同じだと思う」 ハエトリグサは感覚毛に獲物がさわると二枚の葉が閉じ、獲物を捕らえた後は再び葉を広げて次の獲物を待つ。 木の壁が何に反応しているのかはわからないが、もっと近づかなければ出てこないのだろう。 「迂回するか?」 ユーノは首を横に振る。 壁はかなり大きいし、他に壁があるかもしれない。 隠れた壁の場所はどこかもわからない。 それなら、すでに壁があると解っている場所を突破した方がやりやすい。 ――それに 「ルイズが保たないと思う」 視線の先には全身をくまなく蔓で覆われたルイズがいる。 上を向いて口を開いたり閉じたりしているのは呼吸が難しくなっているのだろう。 「ルイズ……」 左手のルーンがわずかに輝きを増した。 「じゃあ、坊主。どうするんだ?」 ユーノはデルフリンガーを握り直す。 切っ先を背中に隠し、脇に構えた。 緊張は感じない。気負いもない。汗もでない。 代わりにこれからどう体を動かして、どう剣を振り抜くか。それが具体的な感覚と一緒に頭に浮かんでくる。 剣を振るったことのないユーノはそんなことを思いつくはずがない。 それでも浮かんでは消える戦いの思考に、自分以外の何かが頭の中にいて考えているような違和感を感じたりもするが、今はそれに頼ることにした。 「このまま行くよ」 「おう!」 空中を蹴る。魔力を走らせる。体が風を切る。ルイズの姿が大きくなる。 その度に左手のルーンはより強く輝き、ユーノの体に力を与えた。 ユーノは先程と同じ軌道で、しかしより速く飛ぶ。 木の枝で編まれた壁が瓦礫と土を巻き上げながら、空を覆いそうな高さまで伸びた。 ユーノはさらに速度を上げる。 ――さっきと同じだ。 木の壁が、枝で作った鞭をからみつこうとする蛇のようにうねらせながら伸ばし、ユーノを打ちのめそうと呻りを上げる。 その数は10、20、もっと多い。とても数えられない。 ――だけど、見える! 前は見えなかった枝の通る道が見える。死角の枝が気配となって感じられる。 全ての鞭が決して通ることのない隙間が解る。 だから速度を落とさない。 今までは怖くて出せなかったくらい速く飛ぶ。 でもルイズを見ていると怖さなんて全然感じない。 下から枝が来た。体を少しひねっただけで枝は宙を切る。 速度を落とす必要もない。動く枝の隙間に体を滑り込ませるだけでいい。 次は右。片手を突き出す。 回る魔法陣がシールドになって、枝が弾ける。 以前のようにシールドを出しっぱなしにはしない。同じ方向からは鞭が来ないことが分かるから。 もう壁は目の前。 壁が伸ばした枝を引き戻す。 上下、左右、後ろ。全ての方向からユーノを包み込むように迫ってきた。 ――そうか、こうすればいいんだ。 ユーノは頭に浮かんだとおりに剣を動かす。 「やあぁぁぁぁああああ!!」 デルフリンガーを横に振り抜く。 重みも衝撃を感じない。 素振りをしたように、だが素振りにはない手応えを見せて剣は走る。 途端、壁は裂け目を生じる。 軋身を挙げる裂け目は瞬時に広がり、自重を支えきれなくなった壁は悲鳴と木くずを飛ばしまがら枝の鞭もろとも倒れた。 ユーノの阻む壁はもうない。 壁の切り口からは小さな枝が生える。 枝同士が自身を編み上げ、壁を作り直そうとするがユーノの速さには追いつかない。 「ルイズっ」 ルイズはもう目の前にいる。 そのルイズは酸素を求めて金魚のように口を開いている。 胸を押さえつけられて息ができないのだ。 苦しさに歪むルイズの顔が目に飛び込んで来たとき、ユーノの体にカッと熱のようなものがルーンの輝きと共に走った。 「今助けるよ!ルイズ」 今のユーノにはどう剣を振れば蔓だけを切れるかがはっきりと見えていた。 その感覚に逆らうことなく剣を走らせるだけで、蔓はバラバラに飛び散る。 戒めを解かれたルイズはバリアジャケット姿を見せる。 支えを失い遙か下の地面に倒れようとするルイズをユーノは両手で抱きしめた。小さい体が落ちてしまわないように。 耳元でルイズが息をする音が聞こえた。 あらく、せわしない音がゆっくり、静かに落ち着いていく。 「ルイズ、大丈夫?」 「はぁ、はぁ。ユーノ、遅いわよ!」 「ご、ごめん」 「あの蔓、巻き付いてきて、締め付けてきて……それに、それに、服の中まで入ってきて!!気持ち悪かったんだからぁっ!!!」 ルイズは腕を振り上げ、ユーノの背中をこれでもかと叩く。 「わぁっ、ルイズ。危ない、危ないよ」 元気なのは嬉しいが魔法を使っていてもこんなに叩かれたらルイズを落としてしまう。 バランスを戻し、空中に体を固定しようとするユーノの耳にいつもなら聞こえないような風を裂く音が届いた。 「危ないっ!」 ルイズを片手で支えたまま長剣を振る。 片手だけであってもデルフリンガーを振るうのに問題はない。 ルイズを再び捕らえようとする蔓をユーノは熟練した剣士のような動きで3つに分断した。 「早くジュエルシードを封印しないと。町にどんどん広がっているみたいなんだ」 「そうみたいね」 ルイズは足下に3対の光の羽を作り出す。 光の羽に支えられたルイズはユーノの手を離れて空を飛んだ。 「やるわよ。ユーノ。ちゃんと守ってよね」 「うん」 返事をするユーノにデルフリンガーが横やりを入れる。 「おいおい。こんな娘っ子が何ができるんだよ」 「なによ。そのインテリジェンスソード。どこで拾ってきたのよ。そんなの捨てちゃいなさい」 デルフリンガーは瞬時に悟った。この娘っ子は本気だ。 本気で俺をこの高さから叩き落とそうとしている。 固定化はかかっているが限度と言う物がある。 この高さから落とされては無事で済む保証は全くない。それどころか曲がってしまっては大変だ。 デルフリンガーは刀身から汗でも噴き出しそうなほど慌てた。 「お、俺は小僧とおめぇを助けに来てやったんだぜ。いきなり捨てるってこたぁないだろ」 「ユーノ、ほんと?」 「本当。それにこの剣、すごく使いやすいんだ」 ユーノはルイズの横に感じた気配に向けて、軽く剣を振る。 「ほら、ね」 ルイズに巻き付こうとしていた色鮮やかな生えたばかりの蔓が分断され、樹液を散らせながら落ちていく。 「後でその剣のことも説明よ。いいわね」 「いいよ」 ルイズは両手でレイジングハートを構える。 その先はジュエルシードが隠されている節くれ立った巨木に向けられる。 「リリカル、マジカル」 力ある言葉が魔力をくみ上げる。 その魔力は足下で広がり新しい魔法のために大きな魔法陣を描き出す。 「リリカル、マジカル」 魔法の完成まではルイズは動けない。 そんなルイズを捕らえるのは、簡単なことだ。 だが、ルイズは慌てない。 今ルイズを守るのは誰よりも防御魔法に長けた魔道師・ユーノだからだ。 「はぁあっ!」 水平にデルフリンガーを払う。 ルイズを絡め取ろうとした蔓をあっという間に剪定されてしまう。 正面からも蔓が来た。 今度はバラバラに動く捕らえようとする蔓ではない。 互いを寄り合わせて、引き締め、固まった無数の蔓がそれこそ1つの槌となって轟音を立てる。 「おい、いくら何でもありゃ切れねえぞ」 「だったら、これで!」 デルフリンガーを持ったまま突き出す両手の前に描き出された光る魔法陣が蔓とぶつかる。 強い衝撃がユーノを襲うが、デルフリンガーを握ったときに生まれた力がそれと拮抗した。 「リリカル、マジカル」 レイジングハートの周りにも新たな魔法陣が生まれる。 帯のような魔法陣はレイジングハートの中心に回転を始める。 魔法の準備は完成した。 「私の体を這い回った上に締め付けてくれるなんて……植物の分際でよくもやってくれたわね」 捕まっていた感触を思い出して歯を食いしばる。 奥歯が斬りと音を立てた。 「受けなさい!私の全力を!」 ルイズは魔法の反動で飛ばされないように足を少し広げる。 この魔法はそれほど強い。 「ユーノ、どいて!」 ルイズの合図に合わせてユーノは下に加速。 マントと髪が風になびいて持ち上がった。 「ディバインバスター!」 杖の先にはルイズの身長ほどもある光球が輝く。 そこに満ちる力を解き放つのは今しかない。 「シューーーーーート!」 光球は瞬時に光の奔流となる。 目の前まで迫っていた蔓の槌は光の壁に飲み込まれ、形をなくす。 光の滝はさらに突き進みルイズが定めた巨木を貫く。 まず、幹に穴が開いた。 光は穴を押し広げ、内側から巨木を崩壊させていく。 幹の半分が塵となったとき、光の中には青い宝石が浮かび上がってきた。 「捕らえた!レイジングハート」 「Sealing form, set up」 青い宝石はジュエルシード。 捕らえてしまえばもう離さない。 レイジングハートはそのための形に姿を変える。 「リリカル、マジカル。ジュエルシードシリアル2 封印!!」 ジュエルシードは青い軌跡を描き、流星となってレイジグハートに吸い込まれる。 「Sealing.Receipt Number Ⅱ」 レイジングハートから放たれる光は力を弱め細くなる。糸のように細くなった光が消えるのにあまり時間はかからなかった。 ジュエルシードの力を失った木々は町を覆い尽くすのを止め、光となってはじけ飛ぶ。 傘のように町を覆っていた枝葉は消え、大通りが姿を現していく。 その先には美しいトリステイン城が見えた。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/278.html
【風のある風景】 LHUy/g8S (解;アインス・【風のある風景】“メンテ"後 主の自室を整理していると、思わぬものを見つけた。私は、思わず手にとっていた “アルバム・独白" ぱら、ぱら、ぱら。一枚一枚をゆっくりと捲っていく。そこには、ユーノ・スクライアの記憶が在った。 高町なのはと笑っている姿。フェイト・テスタロッサに助力する強い顔。 海鳴に住む同い年の少女らと遊ぶ年相応の顔。 クロノ・ハラウオンと争う怒り顔。 はやてやすずかと好きな本について語り合う楽しそうな顔といった友人達との記憶。 また、それ以外にも様々な、誰かの家族といる姿があった。 高町家、月村家、ハラウオン家、バニングス家。そして……八神家。 だが、ユーノ自身の家族……スクライア家と呼べるようなものは、一枚も写っていなかった。 主の家族は、どのような人だったのだろうか?それを知っているのは……… 嘗て主のデバイスだったもの、レイジングハート、か。 ……いや、よそう。今、最も主の側にいるのは、私なのだから だが……本当にそうだろうか? 「主、貴方の家族は誰ですか?その中に、私は含まれていますか?」 “家族・お話" 「これは、誰ですか?」 写真に写っている一組の双子を見て、リインフォースが問いかける 「ああ、それはカレルとリエラ。クロノとエイミィの子どもだよ」 はたきをかけていたユーノが、振り向いて答えた。 「……そうですか。あの小さな子が、もう父親に成るのですね」 クロノ、クライドとリンディの息子。我が闇に飲み込まれた……我々の、私の被害者の一人。 時は移ろいゆく、悲しみに慣れ、命はまた結ばれる。 そして、新たな温もりが生まれる。だが、罪は消えない。 無限書庫の中、特に多くの本が飛び交う場所がある。 その中心の一つは無限書庫司書長。そしてもう一つは、一冊の本。 そこに、とある人物からの通信が入る。 クロノ・ハラウオン提督から資料の追加請求だ。 そして、用が済んだ通信は切れる。 「また、か。あの黒尽くめ。シスコン、ムッツリ、かっこつけいじめっこ……!」 『ハラウオン提督のこと、随分お詳しいですね。ユーノ』 此処にいないものに怒りをぶつけるユーノに、アインスがからかうような声をかける。 「……まあ、付き合いだけは長いからね。嫌でも色々と知ることになる」 『そうですか、とても仲がいいのですね』 「ちがうよ、敵のことは良く知っておかないといけないからね。それだけ」 『ええ、わかっていますよ』 ユーノの否定する声にも、アインスは楽しそうに笑っていた。 「おい、そこの眼鏡男」 「なんですか、提督様」 お昼時、黒色が翠色に声をかける。 「四の五の言わず、家にこい。待ってるからな」「はい!?」 「いらっしゃい、ユーノくん」「いらっしゃーい」「一応歓迎してやる」 「ほいよ、よくきたさね。ユーノ、お前さんも」 ハラウオン家に来たユーノを、4人の声が迎える。そして、アルフらが2人を 「それで、なんのようさ。いきなり呼びだして」 「……まあ、すぐにわかるさ」 どうゆうことか、ユーノが問いただしそうとする前に、足音がし、小さな重みがユーノに二つかかった 「よくきた、おじさーん!」「ユーノさん、いらしゃーい!」 こういうこと?そういうことだ。ユーノとクロノがアイコンタクトを交わす 「おはなし、おはなしー!」「ユーノさん、またお話しして!」 「そうだね……じゃあ、今日は…」 ユーノが手持ちの本を選んでるとき、双子の声が割り込む。 「これがいい!」「です」 二人が指さしていたのは……黎明の書、リインフォースだった。 リインフォースは困った。闇の書で在ったとしても、収集されてない時は白紙だ。 闇の書ですらない今は、ページすらない。 子どもに聞かせられる話など、そこには無かった。そう思っているときユーノが語り始めた。 「わかった、わかった。……昔々、一冊の本が有りました」 それは、とある昔話 「その本は、持ち主の願いを叶える魔法の本でした」 「なんでも?」「ですか?」 誰かの願いが、始めたお話― 「そう、なんでも。本の出来ることなら、なんだって本は叶えようとしました」 「ほえー」「健気です」 ずっとずっと戦ってきた― 「本は持ち主に尽くしました。ですが、本がどんなに頑張っても、持ち主は亡くなってしまうのです」 「かわいそう」「本はどうなっちゃったのです?」 旅をしてきた、彼らの話― 「本は別の人の所に行きました。自分を必要とする人の下に。 ずっとずっと、長い旅をしてきました。4人の騎士と共に」 「ずっと……」「いつまで続くです?」 果てのない、空を駆け行く騎士達の話― 「ですが、その旅に変化が訪れます。一人の死に行く持ち主が、その本に呪いを掛けたのです。 次の持ち主に嫉妬して」 「ひでー」「どうなっちゃったの?」 それは、夜空が闇に染まるとき― 「その本は、持ち主を苦しめるようになりました。 そして、壊すことでしか、願いを叶えられなくなったのです」 「それは……」「やだ、」 悲しみが空を覆い、絶望が心を包む― 「長い長い旅の中。お供の騎士達は呪いのことを忘れてしまいます。 そして、知らずに持ち主の命を奪ってしまいます」 「バットエンド……」「良かったのかな?」 永い夜が、心を蝕む― 「そして、旅の果てに、一人の少女の下に辿り着きます。 そこで騎士達は幸せな時間を過ごします。少女の家族として」 「幸せはいいもんだー」「でも、呪いが……」 とても幸せな時間。でも、それは破滅へのプレリュード― 「そう、やがて呪いは少女を蝕み始めました。 少女を助けるため、騎士達は戦いました。いままでどうりに」 「やっぱバットエンド」「救いはそこにありまーすかー……ルールルー」 救いは何処にもなく、また全てが滅んで終わるはず。でも― 「それでも救う術など無く、いつものように少女は死ぬはずでした。でも、そうはなりませんでいた」 「フラグぶれいかー」「みゃっ?」 そう、長い悪夢の終わるとき。闇が解き放たれる― 「とてもかわいらしい光の天使が、騎士達に力を貸してくれたのです。みんなで、呪いの力を打ち破り、 こんどこそ、誰もが幸せになりましたとさ。めでたし、めでたし」 『ハッピー、エンド!』 それから、子ども達との体力勝負をやり、夕飯を食べ、皆が寝静まった頃ユーノに声がかかる。 「なあ、さっきの話し。僕の知ってる結末と違ったんだが? 最後の少女にとって、手放しで喜べる終わりじゃなかったはずだ」 「おはなしってのはそういうもんだよ。 時を経るごとに変質し、誰が誰に、いつ何処で話すかによっても変わってくる」 「なるほど、なら何も不思議なことなど無いな」 「そうゆうこと、だよ」 ほんの数秒の沈黙を置いて、クロノ纏う雰囲気が変わる。冷たい、氷の刃のような目へと― 「だが、敢えて聞くぞ。お前はあれを、ハッピーエンドだと思うのか?」 少女から、家族が一人奪われた。そうならなくてもよかったはずなのに、それでも? そう、目が言っていた。 「思ってないよ。だから、これから変える。ハッピーにしてみせる、よ」 それを聞いてクロノは何かを懐かしみ、また慈しむような、親の顔をした。 「……そうか、ならこれだけ聞いていけ。僕は幸せだと。 大切なはずの人を失い、恨んだり、憎んだりしたこともあったがもう、違う。 愛し、愛されてるうちに、それて気付かぬまま忘れていたさ。 全て失わなかったから、なのかもしれんがな……例え、そうじゃない奴がいたとしても、 それは君のせいじゃない。だから、君も……幸せに成るべきなんだ」 それだけいって、クロノは眠ってしまった。 『主も、そう思われますか?』 不安そうに、声が尋ねる。 「当たり前。言ったはずだよ?今の主の権限として、必ず君を幸せにする」 みたいなことをね。そう、ユーノは返した。 『なら、一つお願いがあります』「なにかな?」 『私をユーノの家族にして、もらえませんか?』 それを聞いて、ユーノは笑う。おかしそうに、楽しそうに― 「もう、家族だと思ってたのは僕だけだったのかな?……歓迎だよ、アインス」 はい。そう呟いたアインスは、涙と幸せで、いっぱいで。 ユーノの笑顔が、よく見えなくて。そのことを、少し残念に思った FIN 26スレ SS アインス クロノ・ハラオウン ユーノ×アインス ユーノ・スクライア リインフォース・アインス
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2526.html
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 青い三日月と赤い満月が空にかかる夜に、顔をローブで隠した女が魔法学院の塔の屋根に降り立った。 女の名はフーケ。 土くれのフーケ。 今のトリステインでその名を知らぬ者を探す方が難しい名うての盗賊である。 そんな彼女が今狙わんとしているのは魔法学院の宝物庫だ。 その中には様々な、そして高価な宝が眠っているに違いない。「破壊の杖」と呼ばれるものには特に興味がある。 だが、それだけの宝が眠っているだけあって魔法学院の宝物庫は実に厳重だ。 綿密に調べてみたが隙がない。 扉にはロックの魔法。 壁や天井には固定化の魔法。 どちらも何人ものスクウェアのメイジ によって念入りにかけられたものである。 扉の鍵を入手しようとしたこともあった。 だが鍵を持っている学院長のオールドオスマンは普段は飄々としているのに、さすが高名なメイジと思わせる鋭さを時々見せる。 宝物庫の鍵の管理もオールドオスマンが未だもうろくしていないところ見せるところで、フーケは結局鍵を諦めざるを得なかった。 今、フーケは錬金の魔法を試している。 いかに強力なメイジによってかけられた固定化の魔法といえどもそこは人間のやること。 どこかにミスがあるのではないかと思い壁から床、天井に至るまで少しずつ調べてきたのだ。 そして今日、いよいよ最後の場所を調べているのだ。 結果、スクウェアのメイジ達の仕事は一分の隙もないことが判明する。 「さて、どうするかねえ」 無駄足は無駄足だが、中のお宝のことを考えると諦めてしまうのはおしすぎる。 「なら、あの方法を使うしかないようだね」 この学園の教師から入手した情報に宝物庫の壁は物理的衝撃に弱いのではないか、という話を聞いたことがある。 ただし、この壁はかなり厚く半端な力ではびくともしない。 その教師もゴーレムを使わなければならないと言っていたほどだ。 フーケはゴーレム作成と使役には自信がある。 それを試してみるしかないだろう。 ただ、今はできない。 そんなことをすれば、魔法学院の警備兵ばかりでなく教師をも相手にしなければならないだろう。 できれば警備兵や学院のメイジ達が一カ所に集まったときに決行したい。 「さて、どうするか」 悩むフーケに風が声を運んできた。 「!!!!!!!!!!!!」 その方向には女子寮があり、部屋のいくつかは明かりが灯っている。 普段はもうみんな寝ている頃なのに何をしているのか、と考えたところで思い当たる節があった。 「そうね、そろそろあの時期ね」 フーケのローブがばさりと揺れる。 唇を青い三日月のような形にしたフーケの姿は闇に溶けるように消えた。 「ぬわぁんんだこりゃぁああああああ」 ルイズが思わず両耳を閉じるような声でデルフリンガーが叫ぶ。 「俺の、俺の、俺の体がぁああああああああ」 デルフリンガーは錆びてはいても長剣だった。 幅広で身が厚い実用一辺倒な作りは貴族受けはしないもののそれなりに立派なものだ。 「おおぉおおおおおおおお」 ああ、なんたる哀れ。なんたる悲劇。 「何よ、そのくらいでうろたえないでよ」 「でもよぉ、でもよぉ、でもよぉおおおおおおおおお」 その姿は今や長剣とはほど遠い。 「あはは。ルイズ。もう良いかな?」 何とも言えない笑いを返すフェレット姿のユーノの背中にデルフリンガーは背負われていた。 むろんフェレットに長剣が背負えるはずもない。 なら、何故背負えているか。 デルフリンガーは今やユーノの背中でフェレットサイズの長剣という針のような変わり果てた姿になっていたのである。 「この世に生まれて6000年。こんな情けねえ姿になったのは初めてだ」 「ルイズ、そろそろ止めてあげようよ」 男泣きに泣くデルフリンガーがさすがに哀れになったユーノがルイズに頼むがルイズには聞く気はないようだ。 「いいじゃない。もう少し」 にやにやと面白そうに笑いを浮かべている。 そもそもこんなふうになったのは、デルフリンガーを以後どうやって扱うかを考えていた頃に始まる。 長剣は人間の姿のユーノと比べても大きい。 担いでも両手で持ってもずるずる地面を引きずってしまう。 空を飛んでいれば関係ないが、いつも飛びっぱなしというわけにはいかない。 フェレットの姿になっているときは論外だ。 ならルイズが持ち歩くというのもあるがこれも却下だ。 貴族が杖ではなく剣を持ち歩くのは格好のいいことではない。 様式と礼式に反してしまう。 貴族としてふさわしい態度を養う魔法学院の生徒としては、はなはだまずい。 そこで、2人でうんうん呻りながら考えてたときにルイズが唐突に妙案を出した。 「じゃあ、ユーノがそのデルフリンガーを背負ったままフェレットに戻ったらどうなるの?」 ユーノの本来の姿に関するルイズの勘違いは置いておくとして、ユーノは人間からフェレットの姿に変身すると服やマントに靴はまとめて消えてしまう。 この時、腰のポーチに入れている小物も消えてしまう。 なら人間の姿の時にデルフリンガーを背負って、そのままフェレットに変身したらどうなるだろうか。 試してみました。 さすがは魔法の剣。 服のように消えてしまうことはなかったが、人間の姿のユーノが小さくなるにつれて一緒に小さくなってしまったのである。 ユーノがうごくのにじゃまにならないサイズになってくれたのは嬉しい誤算だ。 と言っても、長剣デルフリンガーは今や針剣デルフリンガーだ。 そして嘆きのデルフリンガーとなってしまったわけである。 「ねえねえ、ユーノ。今度は剣を抜いてみて」 「うん、いいけど……」 背中でデルフリンガーがえぐえぐ鼻をすすっている。 どこに鼻があるのかは謎だ。 「ごめん、もうちょっと手伝って。後で元に戻すから」 「相棒、本当か?本当なんだな」 手足があったら拝んでいただろう と思うような声でデルフリンガーが喜ぶ。 ほっと、一息ついたユーノは背中の剣に手を伸ばす。 「んっ」 間違い、フェレットなので手ではなく前足だ。 「ふんっ」 体をちょっと強くねじった方がいいようだ。 ユーノは今度は勢いをつける。 「ふんっ、ふんっ、ふんっ」 「何してるのよ、ユーノ」 「ルイズ」 少し息切れをしたユーノが顔を上げる。 「手が届かないよ」 「え?」 当然だが、フェレットの前足は短い上にそもそも背中に手を回すようにはできていない。 おまけに人間のようにものを持つような構造にもなっていない。 「ちょっと、そんなはず無いでしょ。もうちょっとこう」 「え、え、待ってよ。ルイズ!」 フェレットの骨格構造を知らないルイズは納得がいかない。 ユーノの肩を持ってぎゅうっとねじり上げた。 「いいいいい、いたいいたいいたいたい。止めて、止めてルイズーーーっ」 「おおおおっ、止めてくれ、相棒がぁあーーーーっ」 抗議の二重奏を聴いてルイズはやっと自分が何をしていたかに気づく。 慌てて手を放し、ユーノの背中をさすってやった。 「ごめん、ユーノ。大丈夫?」 「うん、大丈夫。でも、ルイズ。デルフリンガーを抜く事なんてできそうにないよ」 「そっかぁ」 ルイズも何が何でも背中の剣を抜かせたかったわけではない。 ユーノの体には変えられないので、諦めてもいいのだがそれではとても困る者がいた。 「おおおおおっ。じゃ、じゃあ。俺はずっとこのままなのか?ずっと小せえままなのか?」 「うるさいわねえ。私が抜いてあげるわよ」 ルイズはユーノの背中のデルフリンガーを針でもつまむように親指と人差し指でつまむ。 針のように小さいのでこれが一番やりやすい。 鞘を逆の手の人差し指で止めて、そっと抜いた。 「きゃあっ」 抜いたデルフリンガーが突然光る。 その光はユーノが変身するときの光と同じだ。 ルイズはデルフリンガーを思わず落としてしまう。 床に落ちたデルフリンガーはこれもユーノが変身するときと同じようにサイズを大きくしていき、元の長剣に戻っていった。 「おおおお。俺の、俺の体が元に戻った」 またも号泣するデルフリンガー。 手足があれば踊っているかも知れない。 「ユーノ、これって」 「たぶん僕から放したら元のサイズに戻るんだと思う」 「じゃあ、ユーノがその姿の時は剣は使えないのね」 「うん。無理だと思う」 「そっかぁ」 実はルイズは小さい剣を振るフェレットを見てみたかったのだが、無理ならしょうがない。 ため息と共に諦めることにした。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
https://w.atwiki.jp/aren1202/pages/103.html
劫火を纏いし深紅の騎士精霊 ユーノと契約を交わす炎の上位精霊、「公爵」という称号が示す通りかなり高位の存在 普段は契約者であるユーノに力の一部を付与するだけだが、実体を具現化させると炎と深紅の鎧を纏った騎士の姿で現れる 騎士の姿をしていること、また公爵という名から高貴なイメージを抱くが、その実は狡猾かつ激情に身を任せる暴君。 かつて氷将との戦いにおいて彼を封印することに成功するが、力を使い果たし存在すら危うくなったため 幼きユーノに憑依、あるいは寄生する形でその身に宿る。 ユーノの成長と共に力を取り戻すが、未だ不完全であるため彼女の力と肉体を利用するため形式上において契約。 以後、肉体を乗っ取るチャンスを常に見計らっており、非常に危険な状態である。 関連項目 ユーノ 氷徒士 氷将 風の姫君
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/72.html
タイトル「二面性のすずか」 作者:52-881 本文 「ユーノ君」 よく知った人の姿をした誰かがそう囁く。 彼女は10年前から知り合った仲だ。だというのに始めて出会ったかのように感じる。 「ねぇユーノ君? 私、とってもユーノ君の―が欲しいな」 ニッコリと囁くように告げる。もしも写真で彼女の表情を見たのならば、まるで愛の告白をしたとも思えるだろう。 告白。そう、確かにこれは告白だ。己が思いをその対象に告げるのだから、告白と言えよう。 「前から、ずっと欲しかったんだよ。ユーノ君」 歌うように囁き、一歩また一歩と僕に歩み寄る彼女。 僕は4人の手によって拘束され、AMFで転移魔法による逃走すら封じられている。 「皆、放して!」 『ダメ。』 「ダメだよユーノ君。もうミンナ私の虜なんだよ。」 クスクスと哂う―――。 「それは、どういう――」 「みーんなの―とても―――かったよ。でもね、ユーノ君の―の香りの足元にも届かないよ。」 もう僕の目の前まで来た―――。本能が告げる、「ニゲロ」と。しかし、現状は逃げる事自体不可能だ。 「だから、ね。頂戴、ユーノ君」 「まっ――」 喉に食い込む牙。ゴクゴクと飲まれる血。それと同時に体を駆け巡る黒いナニカ。 消えゆく意識の中、僕はすずかの恍惚とした表情を最後に見た。 すずか ユノすず ユーノ