約 454,620 件
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/120.html
ユーノとフェイトの歩き方 作者:ID lqOzD4Ym 担当していた事件も終わり、アースラの航海も無事に終えた。 細かい報告書とか調書とかの提出も無事に終了して、ほかに仕事のあるリンディ母さんやクロノに悪いと思いつつ先に上がらせてもらう事に。 自然と無意識に無限書庫の方に足を向けようとして――― 「あっ、お帰りフェイト」 タイミングを計ったようにユーノと鉢合わせて頭がパニックになった。 「えっ、どうしてユーノが……もしかして待ってたの?」 「うん。用事もそれに―――フェイトの顔が見たかったから」 淡い期待通りの答えに嬉しくなり、少し情けなくなる。 ストレートに思いをぶつけてくるユーノに答えられない自分に 思えば告白もユーノの方からされた時も私は受身だった。 ただ、自分の本心を全部さらけ出した上で私への思いを打ち明けてくれた時も言葉に出来なくて気付けばユーノに抱きついて、自分の答えにしていた。 「ゆ、ユーノは今日はお仕事終わったの」 「頼まれた資料をリンディさんに渡せば今日はもう上がりだよ。流石に休まないとまた色んな人に怒られちゃうしね」 「そ、そうなんだ。きょ、今日はお兄ちゃんもリンディ母さんも泊り込みで、その家は帰って……一緒にいたいと言うか、ええっと……」 「えっ?」 自分でも信じれない事を口にしていた。まるで誘惑するような真似を口にしていた。 確かに、今日は海鳴の家に帰っても一人だし、アルフも今日は用件があるとかで変えれないとか何とか…… 私の言葉の意味に気付いたユーノも馬鹿みたいに顔が赤い。 本当に、お互い必死で隠そうとしてるけどお互いにちょっと間抜けかもしれない。 「えっと、そろそろ行こうか。リンディさん待たせると大変だし、急がないとポートが閉じて海鳴に戻れなくなるよ」 「そ、そうだね。なら急がないと」 なら急ごうよ、とユーノは大きくなり始めた背中を背を向ける。 私はその……大きな背中に恐る恐る手を伸ばして……掴んだのは隣にいるユーノの裾の部分。 振り向いた彼の顔は少し驚いていた。当然だよね、いきなりこんな事…… 今は臆病な私には出来る精一杯の勇気を振り絞った行動。 すぐに穏やかな笑みを浮かべて、私のスピードに合わせてゆっくりと歩く。 だけどいつかはその暖かな笑顔にちゃんと答えたい 自分のありのままの気持ちをのせて 私にとってかけがえのない友人から一緒にいてくれて私を甘えさせてくれる強い人へ 13スレ SS フェイト ユノフェ ユーノ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/230.html
スバルの初夢 作者:early 長編が進まないんで息抜きがてらに小ネタを投下。 628 630 631辺りの電波を形にしてみた。ちょっとオリ設定みたいなものが混じってるかな? うざかったら、申し訳ないがスルーしてくれ。 「えへへ、お汁粉はやっぱり美味しいですね、先生!」 「うん、甘いものは良いね。頭が冴えてくる気がするよ」 そう言うユーノにスバルは苦笑する。この年末年始もユーノは働きづめだった。 おかげで授業もすっかり滞っていたので、様子見と差し入れにナカジマ家特製の餅とお汁粉を持って、 スバルは無限書庫へとやってきたのである。 だがそこで彼女が見たものは、働きづめのために幽鬼と見紛う程にやつれたユーノであった。 スバルは驚き、すぐに休憩をとらせ、自分が持ってきた差し入れを振舞っている、という訳である。 「それにしても、何で先生一人なんですか? アルフさんや他の司書さん達はどうしたんですか?」 訝しげに問うスバルに、お汁粉の甘みに目を細めて舌鼓を打っていたユーノは一旦お椀を置くと、こう答えた。 「うん、みんなにはお正月休みを与えたんだ。 アルフもそうだけど、家族がいる人達が多いからね。 やっぱり、こういう時には家族みんなで過ごすべきだよ。だから、一人身の僕が頑張っている訳さ」 お茶を飲みながらそう言うユーノを見て、スバルは不機嫌そうな顔をした。 「……どうして……」 「うん? 何だい?」 「どうして先生はいつもそうなんですか! いつもいつも他人のことばかり優先して!! もっと自分の事を大切にして下さい!!」 急に声を荒げたスバルに少し驚きながらも、ユーノは落ち着いて言った。 「大丈夫だよスバル。僕もちゃんと後で休みをとるから……」 「そういう問題じゃありません!! そういう問題じゃ……!!」 しかしユーノの言葉を遮るようにスバルは叫んだ。彼はいつもこうだ。 他人のことばかり気にかけて、肝心の自分のことはいつも後回し。 そのことで、どれだけ周囲に心配をかけているのか分かっているのか。 どれだけ自分に……辛くて、悲しくて、切ない気持ちを抱かせているのか分かっているのか。 スバルは溢れ出る気持ちが大きすぎる所為で、自分のその想いを上手く言葉に出来ず、俯き、拳を震わせた。と、そんな彼女の頭にふわり、と暖かいものがのせられた。 驚いたスバルが顔を上げる。 それは、ユーノの手であった。彼は優しい笑顔を浮かべて彼女の頭をくしゃくしゃと撫でると言った。 「ありがとう、スバル。君のその気持ちは本当に嬉しいよ」 頭を撫でられる心地よい感触に、スバルはとろんとしかける。 実際、いつもならばそのままその感触に身を委ねてしまうのだが、 今日はそうはいかないとばかりに精一杯憮然とした顔をする。 「本当に分かってますか先生? 先生がそんな無茶をしたら、みんなとっても心配しちゃうんですよ?」 私も含めて、という言葉を胸の内で付け加える。 そんなスバルの内心を知ってか知らずか、ユーノは笑顔で言った。 「うん、もちろん分かっているよ。でもね、僕を大切に想ってくれている人達の事を考えると、 つい頑張りすぎちゃうんだよね。もっとみんなの役に立ちたい、みんなを楽にしてあげたいってね」 そこで言葉を切ったユーノは、スバルを真っ直ぐに見据えた。 見つめられたスバルの心臓が、とくんと跳ね上がる。 「もちろんその人達の中には君も入るよ、スバル。いつも心配かけてごめんよ。 でも……ありがとう。君との授業は、僕にとってもとても楽しくて、大切なものだから」 だから今年もよろしくね、そう言ってユーノは再び笑顔を浮かべた。 スバルは感動のあまり、胸が一杯になっていた。 ユーノが自分をそこまで大切に想ってくれていたとは思ってもいなかった。 そして、感動に震えるスバルに、ユーノから予期せぬ追撃が行なわれた。 「あれ? スバル、ほっぺにあんこがついてるよ?」 そう言うが早いかユーノは手を伸ばして、すっとそれを掬い取った。 そしてそのままごく自然に自分の口元に運び、ぺろりと舐めた。 「うん、やっぱり甘くて美味しいね」 「──────────────────ッッッッッ!!!!!?????」 ユーノは疲れのためか正常な判断力を失ってしまっているようでにこにこと笑っているだけだが、 スバルの方はそうはいかない。 顔をこれ以上ないくらいに真っ赤にし、先程とは別の意味で言葉を失ってしまっている。 先程の言葉の後にこの仕打ちである。もうスバルの中の想いは爆発寸前……いや、爆発してしまった。 顔を真っ赤にしたままスバルはすっくと立ち上がると、 そのままユーノの後ろに行き、彼を後ろからぎゅっと抱きしめた。 「ス、スバル!? どうしたの!?」 背中に当たる、柔らかくも弾けるような弾力をもつ二つの餅の感触に、流石のユーノも狼狽する。 そんなユーノにスバルは言った。 「先生が……先生が悪いんですからね? あんなこと言って、そんな事しちゃうから……わ、私、火がついちゃったじゃないですか……!」 そう言われたユーノは一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐにいつもの柔和な笑みを浮かべると、 スバルの手にそっと自らの手を重ねながら言った。 「そうだね、確かに僕の所為だね。 それじゃ責任をとるという事で、今年初めての授業は……『姫始め』についてやらせてもらうよ」 「……姫始め? それって……。」 「大丈夫。ちゃんと教えてあげる。その言葉の由来も、その意味も。もちろん……実技込みで、ね」 ユーノはするりと体をスバルに向けると、正面から彼女を静かに、だが力強く抱きしめた。 スバルはその感触にこれ以上ないくらいに幸せそうな笑みを浮かべ、そして……。 「……っていう初夢を見たんだよティア!! 初夢って実際に起こるっていうよね!? 私、とうとう先生と結ばれちゃうんだ……! あ、私可愛い下着をあんまり持ってないや! 買いに行くの付き合ってよティア!!」 「あーもううっさい!! そんなの自分で行きなさい自分で!!」 正月早々何でこんな馬鹿話につき合わされなきゃいけないのかと、ティアナはげんなりとしていた。 そこで、ふと思いついた事を浮かれまくっているパートナーに告げる。 「どうでもいけどアンタ、そのことは誰彼構わず言うんじゃないわよ。 『あの人』達に知られたら、アンタ、只じゃ済まないわよ」 そう言ったティアナは過去のトラウマが蘇ったのか、肩を抱いて震え始めた。 そんなティアナにスバルは明るく言った。 「大丈夫だよ! 別に卑怯な事をする訳じゃないんだから、ちゃんと分かってくれるよ! みんな優しいもん!」 そう言い切るスバルの笑顔を見ながら、ティアナはその予測は甘すぎるなんてモンじゃねーぞと思ったが、 これ以上言ってもスバルは聞き入れそうになかったので、パートナーの無事を震えながら祈った。 後日、この初夢を正夢にすべく行動しようとしたスバルであったが、 ことユーノに関しては超常的な勘を働かせる某教導官や執務官や部隊長、 更には部隊長の私設戦力達や自分の姉や某中将の秘書、聖王モードになった教導官の義理の娘、 調整作業から帰ってきたユーノのインテリジェントデバイスなどにも妨害され、 その時無限書庫は阿鼻叫喚の地獄絵図と化したのだが、それはまた別のお話。 以上で投下終了。鍋もスバルには似合うね。 電波を送ってくれた方々には感謝。ユースバの布教に役立たせてもらいましたー。ではー。 19スレ SS スバル・ナカジマ ティアナ・ランスター ユノスバ ユースバ ユーノ ユーノ×スバル ユーノ・スクライア 夢オチ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/208.html
クリスマスの夜のパーティーで A9DU9a5D クリスマス。 第97管理外世界では盛大に盛り上がられるという行事の一つだ。 イエスの聖誕祭なのに、なぜかキリスト教との縁はほとんど無い日本など、関係なく国も含めて慌しい日だ。 さて、もちろんミッドチルダではそんな日などはない。 それに類する初代聖王生誕日なら、聖王教会系が行ってはいるが 地球でいう世界宗教ほど広まってもないし、日付も違う。よって、12月25日は普通の日なのだ。 だが、第97管理外世界の住民からすればそれは面白くない。 それにリインフォースの話もある。 そんなわけでなのは、フェイト、はやての三人は毎年この日にパーティーを開くのが定例になっていた。 毎年呼ばれるのは旧アースラクルーやなのはたちと個人的に親交のある人たちなのだが、 3年前のJS事件以降は旧機動六課メンバーも集まっており、その人数は相当数に上る。 聖王教会からはカリム・グラシアなどが出席するわ、管理局からは総務官をやっているリンディは行くわ、 人事部でも勢力を伸ばしているレティが出席するわ 挨拶の手紙だけとはいえ、あの三提督からもメッセージが来るほどの謎の集会。 そのせいで、局内では 「クリスマスとは97管理外世界で組織各方面の著名人を集めて行う一大友好会のことを言う」 と間違ったことすらささやかれる始末。 しかし、特に今年のクリスマスは盛大だった。 パーティー始まりの挨拶をしたはやてのせいで。 「ええ、皆さん集まっていただき私も嬉しいです。今日は先代のリインの命日です……」 そうしんみりムードで挨拶が始まり、全員耳を傾けてゆっくりと話を聞く姿勢に入り、 はやてのしんみりした話しが始まるかと思ったら、だ。 「まあどんどん騒んや!リインも騒いでれば私らがどこにいるかわかるで! 予算はたっぷりあるからもう限界で死ぬと思うまで騒ぐんよ!!!」 「「「「「おおおおっっっっ!?!!!」」」」」 予算って何だろう、予算って。 まさか、このパーティーの開催費は公費なの……? と横でなのはとフェイトが触れてはいけない秘密に密やかな疑問を持ったのが1時間前。 その後、はやてがそこそこの値をするワインを持ってきたのが45分前。 そして、現在は…… 「もっともっとなの!なの!ワインを持ってこないとお話し聞いてもらうなの!」 「なのは~わ、私も……もっと美味しいの持ってきてくれないとフェイト泣いちゃうよ~」 最悪だった。 というか、それを持ってきたはやてがお酒には強く、少しなら二人も問題ないだろうと思ったのが悪かった。 見る限りなのはは絡み上戸と怒り上戸のどちらかか。フェイトはあれは間違えなく泣き上戸の方だろう。 いつもの彼女よりも高圧的に要求をずっとするなのは。 フェイトの方は自分のことを私ではなくフェイトといっているところは明らかに普通じゃない。 はやてはお酒でその手の類はまったく起こさないので、目の前に惨劇に正直困った。 先ほどとめに入ったシグナムは泣き上戸なフェイト泣きつかれた挙句に なのはから言うことを聞かないという理由でディバインバスターを放たれて近くに転がっていた。 バリアジャケットを着てない状態なら誰でもあんなものだろう。南無南無。 ほかの騎士はわれ関せずと散らばっており、元六課の部下たちは…… スバルとティアナはなのはの状態に悪い記憶でもよみがえったのだろう ティアナなんてまだ震えて「悪魔が現れた!」と連呼している。可哀想な子だ。 エリオたちの方は、なぜか彼を巡ってルーテシアとキャロにヴィヴィオまでが争っており エリオがはやてに救援を求めてきていたが、そんなこと知ったことじゃない。 自分は自分の命が大切なのだ。かまっている暇はないと見捨てた。あっけなく。 はやてにあっさり見捨てられたエリオは、 孤立無援を悟ったドイツ軍のように連合軍の物量のごとく三人に飲み込まれていった。 ああ、そういえばそっちにも軽めのチューハイを置いてあったなぁ~と今頃のように思い出すはやて。 まあ、いいじゃないか相手がいるだけでも。 自分なんてこの年で相手はいなんやから、と勝手なご都合主義でごまかす。 「だいたい、なんてユーノ君が持ってきてくれないから悪いなの!」 「ユーノがいないとフェイト寂しかったよ~ユーノ~……ううぅ……」 「いや……なのはとフェイトが二人で抱きついていたら、取りにいけないんだけど」 こっちはこっちで同一人物に抱きついている。 片方は怒って、片方は思いっきり泣きついて。 ユーノは非常に困った。 前に二人にそれぞれ告白されたとはいえ、 二人とももともと表立って感情表現を過剰にしてくるような人じゃない。 むしろ、二人とも抑え気味なほうだろう。 とはいっても、お酒ひとつでここまで人は変わるものなのか。 二人とも心のままに行動しており、そもそも人前に抱きつくなんて今まで一度たりともしたことない。 「なんていうか……私、負けたような気分や。 飲んでも普通に酔うぐらいしかできへん私が損しとるような気がする…… ちゅうか、ユーノ君は飲んでも酔わへんのか」 「もともと、スクライア一族の血はお酒には比較的強い家系だからね」 そもそも、ここで4人で飲んでいたのだからユーノだって飲んでいる。 しかし、悪酔いしてるのは二人だけ。むしろ全員そろって酔えた方がどれだけ良かったか。 本当に相手がいないことに寂しくなるはやては責任逃れもかねて 「私、新しい出会いでも探してくるわ」と二人をユーノに任して席を発つ。 ただ、このパーティーにいるのは知り合いで新しい出会いも何もないのだから、8割以上は責任逃れだろう。 あるいは面倒ごとには巻き込まれたくないか。 どっちにしても、自分の左右の手に抱きついて好き勝手やっている二人は止めないと話にならない。 「とにかく、二人ともお酒は駄目だってば。二人の気持ちは良くわかったから落ち着いてよ」 「本当?フェイトのこと、ユーノ捨てない? フェイトのこと一生好きでいてくれるの?」 「違うのなの、私と一緒にユーノ君はいてくれるなの!生涯のパートナーは私!」 あああ……! と今のユーノは世界最大の列車脱線事故を聞いた鉄道会社の社長のようなぐらいに頭を抱えたくなる。 なんでその言葉でそこに飛躍するんだ。まあ、お酒に関しては言わなくなった分マシか。 しかし、二人の彼女たちは互いにけん制しあっている。雰囲気はむしろ悪化しただろう。 「ユーノはなのはより、フェイトの方がいいもん!フェイトはユーノのためならなんでもするよ!」 聞きようによっては相当に問題ある発言を平然としてなのはの方を見るフェイト。 同時にさっきより強く抱きついて、 ユーノの手がフェイトの胸に強く当たって、ユーノのほうがむしろ恥ずかしい。 ああ、いい気持ちだけど……いやいやいや!!何を僕は考えているんだ! 「フェイトちゃんはその程度なの! 尽くすしかできないフェイトちゃんより、私は一緒にパートナーとして戦ったの!」 そういってなのはもユーノにさらに強く抱きつく。もちろん胸を強く当てて。 ユーノのユーノでこの状態にあたふたふためく。いや、気持ちいいけどって違う違う! 「10年以上も前の話じゃない、今はフェイトがユーノのために何でもするの!だから邪魔しないで!」 「……フェイトちゃんみたいな我侭な子にはちょっとお仕置きが必要みたいなの……」 殺気すら漂い始めるパーティー、なんてあるのだろうか。 ユーノから手を離したなのはとフェイト。変わりに両者にはすでに起動しているデバイスが。 そして、それを唯一とめられるランクの魔導師さんはというと 何とか開放されたユーノの後ろで主に野次馬根性が勝ったらしく戻ってきて おもむろにデジタル・ビデオカメラを取り出して録画中。 きっと、後でからかいの種にするのだろう。 ただ、カメラ完備とは本当にいったいどういう人なのか八神はやて。 パーティーの一部の異常に周りの人は「これは良い見もの」と見てるので 基本的に元アースラクルーと六課の人間は野次馬根性があるのかもしれないが。 「フェイトちゃん、ユーノ君は上げないなの……だってユーノはなのはのものだもん♪」 『なんじゃそりゃ!?』 今までどちらかというと怖くて思いっきり怖い印象のなのはがいきなり甘々しい声を上げるものだから、倒れこける一同。 意外とボケも上手い人たちや、とこけてないはやてはこけてる人の方も撮っておく。本当にこの人は(以下略 「最初にフェレットのユーノを助けたときに、なんでもするって言ったなの~!だから、私のものなの~!」 頬も顔も真っ赤にして……まあ、お酒飲んだのでそのせいもあるが…… 恥ずかしそうに手で頬に当てるなのは。 ユーノは確かにそういったが……御礼はしなくても良い、となのはは言ったんだけど とフェイトに言いたかった。フェイトの方も……ダメダメだった。 「そんな昔のことなんてどうでもいいの! フェイトはユーノのためなら、いますぐドライブ・イグニッションしてもいいもん! それぐらいなのはよりも愛してるもん!」 『ドライブ・イグニッション!?』 やっと復帰したのにフェイトのあまりにも直接的な言葉に再び倒れこける一同。 いやいや、本当にどっちも楽しませてくれるなぁ~とカメラを最高画質に変更するはやて。 こうなったのははやてに問題があるのにもう私関係ない、で通すつもりだ。 ちなみにドライブ・イグニッションなんていう英語は存在しないが、 意味的には発火や起動など、始める的意味は持っている。 イグニッション・キーは車の鍵だが、 ここで言うドライブ・イグニッションは……まあ、各自で想像していただきたい。 「わ、私だってドライブ・イグニッションするなの!邪魔するものも排除するの!」 そう言ってなのはは、レイジングハートをフェイトに向けて魔法陣を展開する。 思いっきり吹き飛ばすつもりだ。 レイジングハートは完全に戸惑っているのはご愛嬌。 「フェイトはユーノのもの……ユーノにフェイト以外は必要ない~もん!」 こっちはこっちで、バルディッシュが躊躇ながらも大型魔法陣を展開。大技を繰り出すのは間違いない。 あわや流血……いや、流血以上に会場崩壊か、と思われたとき。 「二人とも、とりあえずやめて!そんなことしなくてもいいから!」 ユーノが間に割り込んで二人を止める。 それに応じてなのはもフェイトも魔法陣を切って、デバイスも解除するとこういうときは息ぴったりに 『ならどっちが大切(なの)?ユーノ!』と。 ――なんか、ユーノ君、ヒロイン風な立ち位置なのはなぜやろ、と思ったのは隠しておく元部隊長。 なのはとフェイトにいわれて困ったような顔をしているユーノは だがどう返事をするかで困っているような様子じゃなかった。 むしろ、周りが注目する中で言うのが恥ずかしそうな感じや、とはやてには見えて。 まあ、それでも人払いなんてしないのは彼女らしいが。 「本当はパーティーが終わってから言おうと思っていたんだけど…… フェイト、なのは。僕はどっちか決めて、といわれても多分決められない。今までも、これからも。 個人的な感情だとはわかってるんだ……でも、どっちに決めてたらもう片方が泣く、それは見たくない。 だから……二人とも、その一緒に結婚してくれる、かな?」 「……ほへぇ?」 「……うにゃ?」 突然の宣言に、野次馬一同はもとより当人であるなのはとフェイトも呆然として。 ミッドチルダは、その社会構成からあらゆる家庭の形式が許可されている。 聖王教会でも、その方面は寛容で、 それは歴史上、世界宗教が存在しないミッドチルダだからこその自由でもある。 と、なのはとフェイトがその意味を理解するのはその後すぐで。 理解した二人はさきほどの不仲が嘘のように目線で合図すると、ユーノの前まで歩いて。 「「ユーノ(君)にドライブ・イグニッション~!」」 大胆にもいっせいに二人で抱きつく。さっきまでの腕に、とは違って二人とも思いっきりと。 「な、なのは!?フェイト!?」 「なのはね、ユーノ君と一緒ならいいの……だから、ね?」 「私も、なのはと一緒にユーノなら問題ないよ……?」 二人ともそういうと……彼の唇に交代でキスをした。 周りはそれを見て、再び叫びだす。パーティーは開始当初よりもむしろ盛り上がっているほどだ。 「告白で二人の酔いも醒めたみたいやなぁ~さてと」 撮ったカメラからデジタル媒体と取り出してはやてはマイクを取ると。 「それじゃ、クリスマスパーティー改め、 ユーノ君となのはちゃん、フェイトちゃん婚約記念パーティーも行くで~!!」 もともとお祭り好きなメンバーが多いのに、さらに燃料投入。騒ぐなという方が無理だろう。 これで何日自分はからかわれるのやら…… 言ってしまったが、ため息をつきたくなる、ユーノだった。けど…… こういうのもいいかなって思ったり。二人が満足な笑みを自分に浮かべてくれて。それだけで満足だ。 「それじゃ、婚約記念にワインを追加しよか!」 「お願い、それはやめて!!!はやて!!!」 17スレ SS ギャグ フェイト・テスタロッサ・ハラオウン ユーノ・スクライア 高町なのは
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/340.html
遊乃堂奇譚十一話? 珍客来訪 1レス投下 ID +4UTz/lr ここは海鳴町の片隅にある古びた佇まいの古書店『遊乃堂』―― いつも静かな古書店の中にはやはり今日も穏やかにゆっくりと時が流れていた。 「ユーノさん、こんにちは!」 そういって笑顔を振りまきながら店に入ってきたのはシックなスーツ姿のギンガ・ナカジマ。 彼女は何が嬉しいのか、満面に笑みを浮かべてその閑古鳥が盛大? に鳴く古本屋に入ってきた。 「いらっしゃいませ、ギンガ」 そういってギンガにぺこりと頭を下げるアインス。 「やあ、ギンガ、久しぶり」 カウンター席で商品の古本に読みふけっていたユーノはギンガに挨拶を返すのが少し遅れてしまった。 「アインス、元気してた?」 そういいながらギンガはぐしぐしとアインスの頭をなでる。 『はい』とうなずき、くすぐったそうな笑顔を浮かべるアインス、そんな彼女をギンガは突然抱きしめた。 「幸せそうで安心したわ、アインス」 「はい、私は幸せです」 抱きしめられたまま、控えめではあるが曇りのない笑顔を見せるアインス。 そんな彼女を抱きしめながらギンガは妹を見守る姉のような暖かな微笑みを浮かべていた。 そんな感動の再会が一段落したギンガをユーノは胡散臭そうなものを見る目で彼女をみつめる。 「で、今日の用事は? また、僕とアインスを連れ出して遊びに行く、とかじゃないよね?」 以前、彼女が休暇の時に朝一で急に押しかけてユーノとアインスを連れ出して一日遊び回ったことがあった。 また、そのときのように無理矢理引きずり回されるのかと警戒するユーノ。 だがそれ以来、以前よりもアインスが彼やギンガにうち解けてくれたように見えるのも事実なのだが。 「今日はユーノさんに見せたいものがあって……、あれ?」 振り向いたギンガの後ろには閉じられた古くて重い木の扉しか見あたらなかった。 「もう、しょうがないわね」 そう一言文句を言って外へ出て行ったギンガに手を引かれて店に入ってきたのは社会復帰後に管理局預かりになり、無限書庫で司書を務めているはずのチンクだった。 その彼女のが白いワンピースに淡いブルーの春物のコートを羽織った頗るつきの美少女然とした姿で以前ユーノに見せていた挑戦的な態度とは違い、少し頬を染め、俯き加減で少しだけおどおどした表情で立っていた。 「チンク? すごく可愛いよ」 そのユーノの言葉にチンクは蚊の鳴くような声で『ありがとう』というとうつむいてしまった。 「今日はチンクがどうしてもユーノさんに逢いたいっていうから連れてきたの」 『そうはいってない』とチンクはもごもごと口の中でつぶやくが、ギンガは気がつかずに言葉を続けた。 「それから、はい、これ」 と彼女は鞄の中から分厚く大きい封筒、それもご丁寧に“○に封の字”の封がしたものを取り出して彼に渡した。 「お父さんから、もしできたら調べてくれないかって」 「あのね、もう僕は時空管理局の無限書庫司書長じゃないんだけど……」 「クロノ提督の推薦。ユーノさんならこういう微妙なことも秘密裏にかつ確実に調べてくれるって」 『あのむっつりすけべのむっつりクロスケめ、余計なことを』と耳がよければ聞こえる程度の小声で毒づくユーノ。 おそらくここにいる3人には確実に聞こえていることだろう。 「お父さん、それ相当の謝礼は払うっていってたから」 「いいや、だからそんなものもらえないよ。そうじゃなくってさ……」 「そう? でもクロノ提督があなたもよく知っている人達みんなにいってまわっていたらしいわよ。 『あのフェレット野郎の古本屋は閑古鳥鳴いて困ってるだろうから少しは協力してやってくれないか』って」 『やれやれ』と呟いて苦笑するユーノとそれをにこにこと見つめているギンガ。 「そういえば、ユーノさん血色良さそうね。よかった。ちゃんとご飯食べているみたいね、感心感心」 ギンガはユーノの頭をポンポンと軽く叩いた。 「管理局にいた頃は“10秒フルチャージ”とか“1箱で1日分の栄養素”なんてもの箱買いしてたのに」 「何時の話だよ。……まあ、あそこにいたときはそんなこともあったけどね。 こっちに来てからはアルフが料理してくれるしね。 それにさ、最近はアインスも料理するんだ。それがすごくおいしくて。暇だったら君達も食べてくといいよ」 「結構強敵に成長したみたいね、アインスは」 「強敵って?」 そんな会話をしている横でアインスをチンクは片眼で上目遣いにぎろりとにらんでいた。 一方、アインスも少し戸惑った様子ではあるがしっかりと正面からチンクを見つめる。 「まあ、あの二人にはちゃんとわかったみたいだけど」 ――私にもだけどね。とギンガは心の中で付け加えていた。 39スレ SS アインス ギンガ・ナカジマ チンク ユーノ・スクライア リインフォース・アインス
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/5314.html
(後一部屋……そこを潰せばこのホテル内の命は全部手に入る……) ディエンドはなのはとユーノがいる部屋の前まで来ていた。 そこにいる参加者を殺してハス太の支給品だった一斗缶(ガソリン入り)でホテルに放火する事で士への手向けを完了させるためだ。 そして、扉を開けたディエンドは翡翠の鎖に縛られた。 「なのははやらせないよ」 それを言ったのは、蜂蜜色の長い髪をリボンで括り眼鏡をかけた男――タイムふろしきで19歳となったユーノ・スクライアだった。 ショッキングな出来事が連続し過ぎて一周回って冷静になったユーノは、未来が簡単に変わってしまった事に疑問を抱き、とある仮説を立てた。 カオスロワという状況では未来は幾らでも変わる可能性があるというものだ。 それ故、自分を成長させた上で襲撃者との戦いに挑むことにした。 ユーノが、唯一使える射撃魔法であるシュートバレットを2発放つ。 「この程度で僕を止められるとでも!」 ディエンドはバインドを引き千切り、魔力弾をディエンドライバーの射撃で打ち落とす。 そのまま接近戦で方をつけようと殴りかかるディエンド。 しかし、その拳がユーノに届くことは無かった。 「ウェイブゲイザー!」 地面に仕掛けられていた魔法陣から鎖が幾つも伸び、ディエンドを攻撃する。 士の死亡によって冷静さを失っていたディエンドは、魔法陣に気付かず踏んでしまっていた。 「シールドバッシュ!」 突然の攻撃にひるんだディエンドに防御魔法を纏った拳が叩き付けられた。 これらの攻撃も、仮面ライダーであるディエンドには大したダメージではない。 しかし、格下相手にしてやられた事による苛立ちでディエンドの動きのキレが無くなってきていた。 『アタックライド』 ディエンドインビジブルで透明になるディエンド。 そのまま、ユーノの背後に回り込んで射撃を行うが、ユーノのスフィアプロテクションに防がれてしまった。 成長してより数の増えたマルチタスクを活用することによって、ユーノは相手の行動を予測しつつ、次々と術式を組み上げている。 それ故、ディエンドの攻撃はあっさりと防がれたのだ。 「うぜぇよ!これならどうだ!」 『アタックライド』 今度はディエンドブラストでユーノを攻撃する。 強化された光弾をディエンドライバーで連射するディエンド。 「プロテクションスマッシュ!」 対するユーノは防御魔法を纏ってディエンドに突撃した。 ユーノの強力な防御魔法は光弾を全て弾き、ディエンドをも跳ね飛ばした。 それでも有効打とはいえず、体勢を立て直すディエンド。 だが、それだけでユーノには十分だった。 「広がれ、戒めの鎖!捕らえて固めろ、封鎖の檻!アレスターチェーン!!」 無数の翡翠の鎖がディエンドの全身を締め付け、そのまま縛り上げる。 あらゆる方向からかかる強烈な不可に耐えられずディエンドは変身が解け、そのまま引き千切られた。 「悪いけど、なのはと守る為だから」 ディエンド――海東大樹の残骸を見下ろしてユーノはそう呟いた。 そんな光景をびくびくしながら見ていたハス太に彼が気付くのは数分後だった。 一方、ユーノの指示で浴室に隠れていたなのはは千年タウクで見える未来が変わった事に気づいた。 それは、世界を襲った大災害が数日以内に日本を襲うというものだった。 (どうしようユーノ君、世界、滅んじゃうよ……) 未来は変わった。 しかし、未だ最も大きな災厄の未来は変わる事が無い。 【一日目・11時20分/日本・千葉県 ホテル】 【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】 【状態】思考暴走、25歳の身体、ボンテージを着ている、激しいショック 【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王、タイムふろしき@ドラえもん、ボンテ―ジ 【道具】基本支給品一式 【思考】 1:どうしよう、世界滅んじゃうよう ※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在と日本に世界を襲った大災害が起こる未来を知っています。 ※タイムふろしきを使ったので、25歳の肉体に成長しました。 【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】 【状態】魔力消耗(小)、19歳の身体 【装備】なし 【道具】基本支給品一式 【思考】 1:なのはを護る。 ※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました。 ※PSP版の技が使えます。 【ハス太@這いよれ!ニャル子さん】 【状態】健康、びびる 【装備】 【道具】支給品一式、ガソリンの入った一斗缶 【思考】 1:ニャル子ちゃんたちは大丈夫かな 2:このお兄ちゃんは……こわい人なのかな? ※古の謎のパワーでホテルの出入り口を封鎖しています。外に出れません。 【海東大樹@仮面ライダーディケイド 死亡確認】 死因:アレスターチェーン
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/299.html
3レス投下 NcVkMIHT 午前8時、ドアの向こうから響く怒号は無限書庫司書事務室のみならず外の廊下にまで僅かに到達し、 そこを行き交う局員たちの注目を集めていた。事務室の司書たちも言わずもがなだった。 「だから、それは出来ない相談だと何度も申し上げているでしょう!」 どん、と重厚な両袖机の天板を叩くと、端に積んであった書類が雪崩を起こして床に殺到した。 ――ああ、片付けるの面倒だなぁ。 書類の崩れる音に冷静になったユーノは、一つ溜息を吐いてから再び顔を上げる。 無限書庫司書長室、ユーノは目前に展開される空間モニターに向かって厳しい視線を送っていた。 「しかし、スクライア司書長のお力添えがあれば……」 しつこい。ユーノはそう思った。 「そのために彼女を危険に晒せと仰るのですか?」 声は低く、忌々しげな様子だった。 「ええ、その通りです。 ……情報の重要さは、無限書庫司書長である貴方が一番ご存じのはずでしょうに! それに、彼女はこちらにくださった方が有効に活用できます。 そうすれば、上層部からの評価もましになるでしょう」 埒が明かない。傲慢な笑みと不遜な言葉に、ついには自制も利かなくなりそうになった。 「……なんにせよ、申し訳ありませんが、どうしてもそれは飲めません。もう話は終わりですかね」 眉間の眉を更に深くし、ユーノは歯を食いしばってからそれだけ言った。 「スクライア司書長!」 「失礼します」 続きを無視して回線を切り、モニターはぷつんと一本の光となって空間に融けていった。 ユーノは机に腕を乗せて祈るように手を組んでから目を瞑った。肺を絞るように、俯いて盛大に溜息を吐いた。 胸に溜まったものを幾分吐いてから目を開けると、 お気に入りだった木目調の机の天板には大きな傷が付いていた。 机を叩いたときにスーツの袖ボタンが抉ったようだった。沈んだ気分がさらに沈んだ。 駄目押しに、肋骨が内圧に凹むまで溜息を吐ききり、革張りの肘掛け椅子に背を預け、天を仰いだ。 「まったく、朝から嫌な……」 コンコン。言い切らないうちに司書長室のドアがノックされた。 ――どうやら自分は休む事を許されないようだ。 最後に一つ、何度目かの溜息。 弛んだ背筋を伸ばし、緩んだ顔を引き締め、ユーノは司書長としての表情を作った。 「どうぞ」 ガチャリと扉が開かれた。 「司書長、そろそろお時間の方が」 入ってきたのはスーツを着込み、 毛先に軽くウェーブがかかった金髪をバレッタでアップに纏め上げた女性だった。 それは、ユーノの秘書になったドゥーエだった。 ドゥーエは戦闘機人、ナンバーズの次女である。 昔はスカリエッティの配下だった。ユーノの部下でもあった。そして、今はユーノの部下になった。 かつて、スカリエッティに時空管理局への潜入を命じられた彼女は、最初は事務員として管理局に就職したが、 その片手間に無限書庫の司書として勤め始めた。無限書庫ほど諜報に適した場所は他には無かったからだ。 空を凌いで聳え立つ本棚にはあらゆる情報が詰まっているばかりか、依頼状況からは管理局の動きが見渡せる。 更に、 無限書庫の開拓時から勤め上げたドゥーエの信頼は厚かった――ユーノに機密情報の閲覧を許されるほどに。 そうして彼女は管理局に関するあらゆる情報を収集せしめ、 JS事件発生直前に無限書庫司書を辞職し、事件に加担したのだ。 事件後にドゥーエがスパイだと知ったユーノはただ悲しむばかりだった。 古参の司書として、彼女は家族も同然だった。 長年部下と上司して連れ添った彼女も、ユーノに情が移っていた。僅かながらに申し訳ないと思っていた。 ゼストによって機能停止に追いやられた機体の修復後、スカリエッティやナンバーズと共に投獄された後、 ユーノの熱烈な働きかけによって、ついに現在更正プログラムの一環として無限書庫に配属され、 かくして、ユーノ率いる無限書庫は再びドゥーエを迎え入れ、今に至るのだった。 ドゥーエの姿を見たユーノは強張った顔を和らげた。 「ああ、わかったよ。今日の予定はどうなってる?」 「午前10時からクラナガン中央市民ホールで行われる成人式に出席します。 この後モーターモービルで送迎いたします」 懐から手帳を取り出し、確認しながらドゥーエがは言った。 「成人式に出席?僕が?」 ユーノはきょとんとした顔で首を傾げた。 高度に発達した文明社会のため、 逆説的に就職年齢の低いミッドチルダでは成人年齢は低く、15歳ともなれば大人と認められる。 ユーノはもうとっくに19歳、大人の自分に関係のある話とは思えなかった。 「勿論講演の依頼ですよ。昨晩原稿をしたためていらっしゃったじゃないですか」 「ああ、すっかり忘れていたよ。続けて」 最近物忘れが激しいけど大丈夫かな、と自分の頭を案じながらユーノは促した。 「その後は11時40分から他の出席者の方とオーシャニックホテルで会食があります。 これは昼食を兼ねますので。 会食にはクラナガン市長もいらっしゃいます」 「それは丁度よかった。クラナガン中央図書館との連携計画について少し話したかったんだ」 「会合が終わり次第、本局に帰還して無限書庫の通常業務に戻ります。それ以降の予定はありません」 ドゥーエが手帳を閉じると、ユーノは顎に手をやった。 「現在の依頼状況は?」 「ロストロギアの調査関連が9件、裁判資料関連が3件、事務関連が24件です。 いずれも大した量ではありません」 読み上げるように返された。ドゥーエの優秀さにユーノは心底感心し、微笑を浮かべた。 「よし、それなら少し長居しても大丈夫そうだな。部下には申し訳ないけど」 ばらけた書類を片付けようと椅子から立ち上がると、ドゥーエがちらちらと物言いたげに顔を見てきていた。 「……あの、司書長」 「ん?なんだい?」 ユーノが器用に片方の眉を顰めると、決心したのか訊いてきた。 「その、先ほどの通信ですが……」 うわ、聞いていたのか! 情を露にする事を恥じるユーノは途端に狼狽しはじめた。 「た、立ち聞きとは、君も趣味が悪いな」 ユーノの落ち着かない糾弾に、ドゥーエは申し訳なさそうに抗弁した。 「いえ、あまりに声が大きかったので……その、嫌でも耳に入ってしまって」 「え、そんなに響いてた?」 「外にいた司書の方もみなさん驚いていましたよ」 「……今度防音工事しなきゃな」 ユーノはばつの悪い顔になった。 ドゥーエは続けて尋ねた。 「あの話、ですか?」 「そう。まただよ。諜報部は君を物か何かだと思っているらしい」 吐き捨てるようにユーノが言った。 そのさまは怒っているようにも悲しんでいるようにも見えた。 「……私は構いませんよ」 ドゥーエは優しい顔をしたが、微かな喜びか悲しみかが声に帯びていたようにユーノは感じた。 「いいや、僕が駄目なんだ。少なくとも、君を物扱いしている間は考えてもやらない」 きっぱり言い切った。言ってからちょっと恥ずかしくなった。 「ですが、諜報部に出向すれば私の観察保護期間も短縮されるはずです。 私も、これ以上貴方に手をかけさせる訳には……」 ユーノは気にした様子も無くかぶりを振った。 「君の監督責任者は僕だからね。悪いけど勝手に断らせてもらったよ」 「しかし……」 「……いくら君が諜報に長けてるからといって、潜入任務がとても危険なことは変わらないよ。 それに諜報は誰もが認める正義の行いではない。もちろん犯罪組織とかへの潜入もあるにはあるけど、 管理局が独善で敵対している組織への破壊工作や、その外国政府反勢力の煽動活動も多い。 わざわざ君が矢面に立つ必要はないし、僕は君にもう手を汚してほしくもない」 ユーノの目は真剣だった。それで引き下がるドゥーエでもなかった。 「それでも、事前の諜報活動があれば無為な犠牲は生まれません」 それは真摯な訴えだった。 しかし、その裏には他人に対する思いやりではなく自分に対する気遣いが勝っていたように感じられて、 ユーノは複雑な表情になった。 「君までそれを言うのか。ああ、確かにそれは尊いことだよ。 でも、僕には見ず知らずの他人を直接救う力も余裕もないからね。 本質を見誤ってはいけない。僕にとっては、人の命とは量より質なんだ」 これ以上は誤魔化せないか、と苦笑しながら真情を吐露した。 「……それは」 「あ、失望したかい?」 ドゥーエの苦々しい様子を、しかしユーノはけらけらと笑いとばした。 「言ってる事はかつての最高評議会と同じだからね。 でも、理想論だけで大切な人を失うわけにはいかないんだよ」 優しい顔でドゥーエを直視した。 「……上や諜報部から良い目で見られませんよ」 目を左下にそらしながら尚も食い下がるドゥーエを、ユーノはしつこいとは思えなかった。 そしてユーノは胸の内奥からこみ上げる心底からの笑みが抑えられなくなって、片方の口角が吊り上がった。 「ドゥーエさんのためなら、僕は悪役にもなるよ」 自然に出た言葉だった。クサいのは自分でも分かったが、それがどうしたとユーノは思った。 一方ドゥーエは面食らってたじろいでいた。何故かとても恥ずかしくなって胸の内部がどよめいた。 気を取り直すためにこほんと一つ咳をして、こうも自分を惑わすユーノに仕返しをすることにした。 「……それって、プロポーズですか?」 ユーノは笑みを浮かべていた顔から凍りつき、そこから全身へと硬直が波及していった。 ついにしてやった! ドゥーエはにやける頬を押さえられなかった。 「……とにかく、当分は無限書庫にいてもらうからね」 すかさず机の脇に設置されたポールハンガーからトレンチコートとカバンをとった。 ユーノは早足でドゥーエの横を通り過ぎ、扉へ進み、外の事務室へ逃げようとする。 予期せぬ返答を咀嚼するのに時間がかかったドゥーエは、一拍おいて動き出した。 「あ、ちょっと。もう、逃げないで答えてくださいよ」 「さぁ、今日もお仕事お仕事」 がちゃり。扉を開けたユーノは飄々と歩みを速め、むっすりとしたドゥーエは小走りに追った。 仲良く司書長室から出てくる二人を司書たちの笑い声が包み込む。 ようやく静寂を取り戻した司書長室。床にはぽつんと書類が散らばっていた。 21スレ SS ドゥーエ ユーノ×ドゥーエ ユーノ・スクライア
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/346.html
その後のクビになった司書長 作者:ID ZCyMSw+o ■ あらすじ ■ すずか「おかえりなさい、ユーノくん♪」 アリサ「ユーノ、おかえり。あれ? その猫二匹」 ユーノ「ただいま。……僕の、新しい家族だよ」 なのは「私、ユーノくんのことが好き! 絶対諦めないんだから!!」 フェイト「ユーノ、私ずっと大好きだったんだよ?」 はやて「ユーノくん、今ならわたしだけでなくリインにヴォルケンの皆まで付いてお得やでー!」 アリサ&すずか&美由希「「「だーめ♪」」」 ユーノ「……とりあえず、友達からという事で」 無限書庫の区画整理終了と、デバイス『百科事典』の完成によって、 時空管理局上層部から無用の長物と判断された無限書庫司書長ユーノ・スクライアは、 閑職への異動を固辞し管理局を離れる事となった。 そのことを後日知る事となり驚くクロノやなのはら三人娘、 ところがそのことを彼女ら以外の親しい人は殆ど周知と言う更なる驚愕の事実が発覚する。 改めてその十年を振り返ると驚くほどユーノとの接触が希薄であったなのはら三人娘にクロノたち、 その事実に軽く打ちのめされそうになるも周囲の励ましに支えられ 彼女達はユーノとあらためて向き合ってゆく。 そんな中、ギル・グレアムの訃報と共に時空管理局に新たなる暗雲が迫りつつあった。 ■ 迫り来る脅威 ■ ユーノ・スクライアは管理局を辞職後、第97管理外世界の海鳴市に住居を移し、 その地を拠点にスクライア一族としての家業を再開した。 新住居はハラオウン家と同じマンションで、 ユーノはそこで故ギル・グレアムより受け継いだリーゼ姉妹と共に 忙しいながらも充実した日々を送っていた。 ユーノが管理局を辞めてから半年が経過した。 すでにユーノの週末の日課となっているアリサ、すずかとのお茶会に、 あれ以来必ず参加するようになったなのはたち三人娘が珍しく疲れた表情で愚痴をこぼしていた。 「はぁ~、最近はあかんわ~。ここんとこほぼ毎日出動やで~」 はやてが、ぐで~とテーブルに突っ伏してお茶請けをむさぼる。 「アハハ、はやて。ちょっとだれ過ぎ」 「でも、はやてちゃんの気持ちも分かるよ。最近管理局はどこもピリピリしてるし……」 フェイトになのはも、はやてほどではないにしろその表情には疲労の色が強い。 「なんと言うか、アンタたちも大変よね~。ようやく一息ついたと思ったらまた一大事なんてね」 なんとも忙しい組織だな、とアリサはこのお茶会で親友の疲労が少しでも癒されればと思った。 「……と、お姫様は幸せに暮らしました。って、寝ちゃったか」 「フフフ、勉強で疲れていたんでしょうね」 ヴィヴィオをいつもの定位置に座らせ物語を聞かせていたユーノは、 すっかり寝息を立てている少女に苦笑する。 そのことに気付きつつも言わないすずかは相変わらず穏やかな笑みを浮かべたままだ。 JS事件後、再集結された機動六課は本局次元航行艦隊と共同でとある犯罪組織を追っていた。 無論、陸からは六課以外にも複数の部隊が参加しており、 現在時空管理局の3割近くがこの件に動員されている。 そこに至る理由は聖王教会のカリム・グラシアによる新たな予言が、 解釈次第では先のJS事件以上の被害を管理局と管理世界にもたらすという内容だったのだ。 三提督のトップ就任以来かなり風通しの良くなった管理局がこの件を捨て置くわけも無く、 今回の大動員となったのである。 ~賢者は去りし、虚無来たる~ ~失われし星の使者、混沌の底より現れし~ ~司法の塔は炎に消える、灰の中より蘇りしは光なり~ さてその犯罪組織であるが、管理局がその一端を掴んだのが10年以上も前になる。 そして、オーバーSランクの特別捜査官が複数捜査に当たっているにも拘らず、 今回の大動員まで末端の構成員すら捉えることが出来なかったと言う稀有な組織だ。 スカリエッティの例を出すまでも無く、時空管理局に敵対する組織はその戦力差を埋める為、 自陣営の戦力増強と共に各管理世界へのテロを行うことで管理局の戦力を分散させるのが常識となっている。 ところがこの組織、どこから見つけてきたのか危険度A~B程度のロスト・ロギアを適当な管理外世界に放り込むだけなのだ。 今のところ世界が崩壊したなどの事態はないものの、 この件に関しては管理局はもう10年以上も後手に回っている。 その最大の原因としてこの組織、目的が未だに不明なのである。 初期は潜在魔力の高い子供を無理やり覚醒させるものかと思われていたのだが、 ここ10年間その組織がかかわったと思われる事件は実に37件。 その全てにおいてPS事件時の高町なのはのように覚醒した高ランク魔導士が管理局に保護され、 のちに局入りしている事からこの線は薄いとされている。 そして此度の大動員でもいまだその組織の影すら掴む事が出来ていない。 組織の名は“ロスト・プラネット”。 失われし星の名を掲げた、今回の予言が出るまで脅威度の低い謎の組織がはやて率いる機動6課の敵であった。 ユーノはそんな慌しい管理世界の蠢動をよそに、 月村・バニングス両家の支援の下、地球の古代遺跡の発掘事業に勤しんでいた。 現在ユーノ争奪戦は高町美由希が一歩リードしている。 外見的になんら問題はないとは言え、流石にそろそろ適齢期とは言いがたい為本人が必死な上、 あの両親のサポートが大きなアドバンテージを生んでいる。 続くすずかとアリサは美由希に対抗する為同盟を組んでいるのだが、 それが逆に一家総出でのサポートを受けづらくしており美由希のリードを許していた。 が、その差は美由希の勝利を確約するほどのものではなく、 最近の三人の会合でいっその事体の相性では決めてはどうか? と言う話題が挙がっている。 特に美由希とすずかは義兄義姉の子供が出来て以来非常に子供を欲しており、 最悪シングルマザーをも視野に入れている。 この点で一番潔癖なのはアリサといえよう。 彼女はユーノを自身の伴侶にすることを望んでおり、 この話題が挙がったときから議論は平行線を続けている。 なのは・フェイト・はやての三人にとって、 二人がアリサを口説き落とすまでが実質的なタイムリミットと言える。 とは言えその勝算は限りなく0に近い。 なのははユーノとの開いてしまった距離を詰めることに必死であるし、フェイトはアルフという絶対的な突破口があるが、ユーノの誤解を解くところから始めなければならなかったためスタートラインが一番遠い。 そしてはやてはシャマル、ザフィーラの支援はあるものの、シグナムからはライバル宣言され、ヴィータはこの件に関してはどこ吹く風のため、色々策をめぐらすものの他の二人と大差ない状況であった。 そんな三人を尻目に、シグナムは海鳴組三人とは別のアプローチでユーノと独自の絆を形成し、ヴィータはそれに便乗しつつどこか兄妹的なポジションに落ち着いている。尤もヴィータに言わせれば自分が姉となるであろうが。 中々思い通りにならないユーノとの関係に三人は焦りを感じるものの、 決して仕事は手を抜かなかった。 それが大人としての矜持であるし、 なによりそこで色恋を優先するような人間をユーノが選ぶはずが無いからだ。 そんな訳でなのはたち三人は疲労の極致であった。 38スレ SS アリサ・バニングス フェイト・テスタロッサ・ハラオウン ユーノ・スクライア ヴィヴィオ 八神はやて 月村すずか 追放系 高町なのは
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/101.html
『ねえ、ユーノ君。お花見にいかない? 家の方が今、桜が見ごろなんだ』 そうなのはが言ってきたのは、つい昨日のこと。 ちょうど急ぎの仕事もなかったユーノは、かつて過ごしたなのはの世界のことを思い出す。 春。穏やかでうららかでたまに嵐のある季節。その到来の先駆けのように咲く花がある。 それは桜という薄紅色の花。香りはないけれど、春と言う季節にぴったりの色彩と雰囲気漂う花だ。 一枝でも十分に綺麗だが、それらが集まった場所は空間さえも桜色に染まる。 その膝元で花を眺め、親しいひとたちと語らいながら飲んだり食べたり。 そうやってわいわい楽しくするのもいいが、誰もいない静かな場所で眺めるのも格別で。 『ユーノ君は賑やかよりも静かな場所の方がいいかな』 まるで心を読んだかのようななのはの言葉に、内心驚く。 顔にでも出てたのかな。 思わず頭をかくと、画面の向こうでなのはが笑った。 『ユーノ君ならそっちの方が好きかなって思っただけだよ』 ほら、やっぱり読まれてる。 なのはにはかなわないなあ。 でも、それでいい。それがいい。 それだけ、僕のことをわかってくれて、気遣ってくれてるってことだから。 その後少しだけ話をして通信を切る。 「……さてと。仕事をさっさと切り上げて明日に備えるとするか」 くいっと眼鏡を上げると、ユーノはそれまで以上の速度で仕事を片付け始めた。 「綺麗だね」 「本当に……夜の桜っていうのもいいね。ありがとうなのは。こんないい場所を見つけてくれて」 「たまたまだよ」 「ここ、たまたまで見つかるような場所だとは思えないんだけど」 翌日、二人がやってきたのは前人未到の山奥に人知れず咲き誇る桜の園だった。 ユーノとの通信の後すぐに海鳴市に戻ったなのはがその夜こっそりと空を駆け、探しに探して見つけた場所だった。 ここにいるのはたったふたりだけ。 周囲は一面薄紅の海。あえかな風にあおられて、はらはらひらひらと花弁が舞う。 昼間なら幻想的で美しいその場所も、夜の今では桜に攫われてしまうのではないかという不安を煽るような闇の美しさを纏う。 だが、なのはとユーノは恐ろしさなど欠片も感じてはいなかった。 「あ、ユーノ君。頭に桜の花びらがついてるよ」 「これだけ花が散ってるからね。ほら、なのはにもついてる。取ろうか?」 「いいよ。どうせまたついちゃうし。それにこういうのも風流だと思わない?」 「だね。じゃあこのままでいいか」 「うん」 二人でいる。 ただそれだけの、けれど絶対的な安心感と幸福感の前には桜の魔性も通用しないのだ。 「ね。ユーノ君。そろそろ何か食べる?」 「……もうちょっとだけこのままがいいなあ」 幸せそうに笑うと、ユーノはすりすりと柔らかな枕に頬ずりする。 温もりと香りと甘えさせてくれる彼女。 いつもならどちらかの部屋だけの彼女だけど、今はこんな風に外でしてくれる。 なのはお手製の和菓子と緑茶、及びお弁当の魅力さえ、この状態にはかなわない……とユーノは思う。 「お昼早かったでしょ? お腹すいてないの? ご飯はちゃんと食べないといけないんだよ」 「まだ空いてないからいいの」 「もう。しょうがないユーノ君だなあ」 くすぐったさに笑いながら、なのはは優しくユーノの髪や背を撫でた。 自分の膝を枕にしている幼馴染の瞳が気持ち良さそうに細められ、やがて瞼が閉じられる。 安心しきったその姿を見ていると胸の奥から温かくて優しい気持ちが自然と溢れてきて、なのはももうしばらくはこのままでいいかな、と思ったのだが――。 ……きゅううううう。 なんとなく昔のユーノの別なる姿の声にも似た音。 自分のものではないその音に瞳を瞠ったなのはを見上げると、ユーノは少しだけ恥ずかしそうに、かつ微妙に視線を逸らしながらぼそりと言った。 「えーと………………なのは。お腹が空いたから何か食べたいんだけど」 「はいはい。食欲に負けちゃったんだね。何がいいですか、司書長」 「その言い方、少し意地悪じゃないかな」 「ふーん。じゃあ、さっき私の提案を断ったのは誰だっけ」 「だって、あの時は」 反論しかけたユーノの唇を白い指先がそっと押さえる。 「もういいよ。困ってるユーノ君が可愛いから許してあげる。お菓子もお弁当、どっちからがいいかな」 「……お弁当が先で、デザートにお菓子がいい」 はぐらかされて釈然としないが、とりあえずユーノは食欲を満たすことを優先する。なにしろ、なのはの手料理はとても美味しいのだ。つまらない意地を張って食べないというのは、あまりにも愚かすぎる。 よいしょと起き上がる少しの間に、なのははてきぱきとお弁当一式を広げ終わっていた。 多種多様、色とりどりの内容。手間がかかっていると一目でわかる。 「作るのに結構時間かかったでしょ」 「んーまあね。でも楽しかったし、お母さんにも手伝ってもらったから」 卵焼きをお箸で一口大に切ると、なのははにっこり笑う。 「はい、あーんして」 「え、ちょ、それは」 「あんなに甘えモードだったのに、今更どうして恥ずかしがるのかな。どうせなら最後まで貫こうよ」 「いやでもそれはやっぱり照れるし恥ずかしいってば」 「ここには二人しかいないよ。誰も見てないよ。さあ、観念して口を開ける!」 しばしの逡巡の後、司書長は食欲に従った。 「……あーん」 「よろしい」 頬を真っ赤に染めて口を開けたユーノに御機嫌よろしく頷くと、なのはは卵焼きを食べさせる。 「う」 卵焼きを噛み締めた次の瞬間、ユーノが眉を顰めて呻く。 「ユーノ君?」 「……なのは。とりあえずこれを食べてみて」 首を傾げるなのはに、今度はユーノがあーんで卵焼きを食べさせる。 すると先ほどのユーノと同じように、なのはも眉を顰めた。 「ちょ……なにこれ。凄くしょっぱいよお」 「作った本人が何言ってるのさ」 「でも、私ちゃんと作ったもん!」 「ちゃんと作ってこれって、いわゆるひとつの嫌がらせとか」 「そんなことしないもん! ユーノ君の意地悪! たまたま何か手違いでこうなっただけだよ! 他のは普通だよ! 食べてみて!でもその前に」 「?」 「……たまたまとはいえ、変なの食べさせて本当にごめんね」 ……これだもの。 さっきまでの勢いはどうしたのかっていうくらいしゅんとして、ちゃんと謝りつつ口直しのお茶を差し出すなんてツンデレですか。 本当に、ちょっと悪ノリしてからかっても、予想外の方向からそんなものふっとばすんだから。 さすが砲撃魔導師。なんちゃって。 謝るなのはに不覚にも胸ときめかせつつお茶をごきゅごきゅ飲み干し、ユーノは脳内で妙な方向へと思考を飛ばす。 とどのつまりは「なのは可愛いよなのは」とか「ああもう大好きさなのは」といった感情が静かに短距離暴走しているだけなのだが。 そんなユーノの眼前に、今度は違うおかずをはさんだ箸が突きつけられる。 「今度こそ大丈夫だよ! 先に私が味見したから! さあユーノ君、いざ!」 なぜ闘志めいたものを瞳に燃やすか高町なのは。 しかしその意気や良し。受けてたとう。 とりあえず間接キスだね。 普通のキスもそれ以上のキスもしてるっていうのに、なんだかこそばゆくて頬が桜色に染まっちゃいそうだよ。 そんなことを思いながら、ユーノは再びあーんと口を開けた。
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/152.html
服従の深夜散歩 作者:ID 623kRwJ5 ―――身に着けているのは脚を覆うニーソックスと、 忠誠の証の首輪だけ。 恥ずかしげに身体を隠そうとして隠せていないフェイトをユーノは いつもとまったく違う目で見下ろしている。 「良い格好をしてきたね」 「・・・クリスマスの・・・プレゼントだから・・・」 ユーノが酷薄な笑みを浮かべ、俯き加減につぶやくフェイト の頭をなでると彼女は頬を紅潮させながら軽く身を震わせる。 「ごほうびが、必要だね」 言葉を聞き、フェイトが期待と不安を入り混じらせた表情で ユーノを見上げる。 「散歩に、連れてってあげるよ」 薄暗い廊下に男女が一組。 女はほぼ一糸纏わぬ姿で四つんばいで歩を進めている。 首には首輪がつけられ、鎖を男が握りしめている。 「もうダメ・・・お願い、誰か来たら・・・」 フェイトは小さな声でつぶやいて、ユーノを見上げる。 僅かな光の中で彼の瞳だけが、彼女に語りかけていた。(あぁ・・・また・・・) ユーノは、普段は誰にでも優しい。そんな彼が、フェイトだけに見せる本当の表情。 (私にだけ・・・私だけのユーノ) 彼を本当に独り占めできる限られた時間。 ゾクゾクするような感覚。 空調管理されているとはいえ、服を着ていなければ少し肌寒い。 しかし、彼女の身の震えは寒さのせいではない。 恍惚に身体全体を紅潮させながら、歩をまた進める。 夜は、まだ長い。 15スレ SS フェイト ユノフェ ユーノ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/264.html
* 作者:W13zo6nE 目に入ったのは、見知った天井だった。しかしそれはおかしなことだった。 「ここは――」 自室のベッド。言い切らないうちに起き上がろうとすると、酷い頭痛に襲われて断念した。 「なんで……」 片手で顔を両の目を覆う。直ぐに、ブラッディ・マリーの鮮烈な赤が脳裏の暗闇を支配した。 ――そうだ、僕ははやてと飲みに行っていた筈だ。 頭痛に負けじと翳した手に力を込め、脳漿を搾り出すように頭を掴んだ。思い出せ。過去を顧みろ。 しかし――カウンターに座り、はやてから部隊の指揮統制システムについて相談を受け、 古代ベルガの軍政に於ける戦略C4ISRについて論じ、 無限書庫が巻き起こした情報RMAの旋風を軽んずる本局監察査察室の頭の固さについて愚痴った後は―― 何一つ覚えていなかった。 それでも、薄ぼんやりとした何かが頭に引っ掛かった。 そして、途端に視界へ色が戻った。鳥の囀りが耳を洗った。違和感が腕を掴んだ。 喉がからからに渇き、その内からきりきりと首を絞めていた。 嫌な予感に動かされて、ユーノは恐る恐る顔を横に向けた。 案の定、胸の中、驚くほどすぐそばにはやての顔があった。 一気に目が覚めた。頭が真っ白になって、ユーノはしばらく何も考えられなかった。 はやては純白のシャツを羽織っていたが、それは気休め程度にそっと身を包んでいるだけだった。 肌蹴た衣からは鎖骨が見え、胸が飛び込み、臍が覗いたところで、ユーノは慌てて視線を戻した。 そしてそのまま、ただ虚ろにはやての寝顔を観察していると、 示し合わせたかのようにその両の目蓋がゆっくりと開いた。 静かに息を飲むユーノに、はやては微笑みで彩られた寝ぼけたような顔を向けてきた。 「はやて――」 噛み締めるように呟いた。それでもユーノは現実感を抱けずにいた。 はやては身を捩って顔を上げた。 首を伸ばし、ユーノの首のあたりにキスをし、そのまま唇をユーノの口まで滑らせた。 口の中に舌が潜り込む。意識せずユーノは目を瞑り、はやての頭に手を回し、髪をかき撫でまさぐった。 ずずっ、じゅる、にちゅ、ぴちゃ、くちゅり。 打ちっぱなしの壁に生々しい水音が響いていた。興奮が脊髄を走り、快楽信号が頭を散らす。 二人は唇を押しつけ、舌を絡ませ、受け入れ、押し返し、引き抜き、差し込み、歯を愛撫して、頬を嬲った。 ほんの目の前に迫る、だらしなく肉欲に浮かんだ煽情的な顔を薄目になって見ると、一層劣情が掻き立てられた。 情欲の赴くままに、更に舌を蹂躙し、歯茎を凌辱し、唇を甘噛みして、その粘膜をたっぷりと犯した。 喉を鳴らす。酒気は飛んでいたが、濃厚なトマトジュースの味が交じった淫美な味だった。 それを孕んだ熱く荒い吐息が、口内に篭り、更に互いを行き来していた。 二人の唇からは、そのどちらのものともつかない唾液が止めどなく溢れていた。 渇いていた喉は、とっくに潤っていた。 「ふ、あ……」 やがてはやてがゆっくりと顔を引いたことによって、永遠かと思えた逢瀬も幕を閉じる。 しかし、銀糸は別離を惜しむかのように、未だに二人を繋いでいた。ユーノは口に残る唾液を嚥下した。 熱の冷めやらぬうちに、上気した顔ではやてが訊いてきた。 「気分はいかが?」 「……わけがわからない」 初めて顔を見合わせる。ユーノは目を瞬いた。はやては蕩けた瞳で見上げていた。 「……覚えとる?」 「残念ながら、全く」 ユーノは感情を抑えた低い声で言った。それは虚偽であった。はやての顔が歪んだ気がした。 脳裏に断片的な映像が激流となって一気に戻った。そこから記憶が派生し、広がり、均していった。 柔らかい唇、肌蹴た服、なまめかしい肢体、滑らかな肌、甘い吐息、艶やかな髪、弾ける嬌声、そして――。 ――その胸の内奥には、二人で飲みに行くようになってからは、朧気な予想が確かにあった。 はやても確信があったかもしれない。 もう大人の男女なのだ。酒に呑まれて一夜の徒情、ということも十分ありえた。 そして、そんな未来を何処かで許容していた。 それは認識ある過失ではなく、未必の故意だった。自ら望んだことなのかもしれない。あるいは……。 ――しかし、それでも! ユーノは醜くくも、惨たらしく後悔していた。しかし、言葉が出なかった。 ただ、眼前のはやてに懺悔するように眉を歪ました。 「ユーノ君……」 どんな罵詈雑言が吐かれるだろうかと案じ、萎縮し目を瞑った。 ふと、胸に温かいものが広がった。しかし、内奥は未だ極寒。それは、はやてが覆いかぶさってきたからだった。 はやては頬を胸に摺り寄せた。口許に残っていた唾液が滑油となって胸を濡らす。 つつ、と舌が這う感触があった。胸を吸われる痛みがあった。 それがどうしようもなくおぞましく思えて、ユーノは言ってしまった。 「ごめん」 謝罪がユーノの急務だった。 はやては顔を上げてしばらくユーノの顔を見つめた後、そっと唇を寄せてきた。 それは小鳥が啄ばむような可愛いキスだった。 「ええんよ」 ユーノは息を飲み、はやての目を見返した。目尻が柔らかく緩んでいた。心臓の鼓動が速まった。 「でも」 しかし、ユーノの声に張りはなかった。 「責任、感じてるん?」 「それは……」 口ごもった。図星だった。 「……私じゃ、不満?」 更に詰問され、言葉に窮した。 「僕は……」 「ええんや」 はやては胸に身体を預けて俯き、それだけ言った。 軽く一蹴されて、ユーノは落胆した。しかし、再びの宥恕には、あっさりと引き下がる気にはなれなかった。 「責任は、ちゃんと取るよ」 考えあぐねた末という顔をユーノは作った。声は重く、悔恨を帯びていた。 しかし、胸の中で表情が厳しくなった気配がした。直ぐにはやてが下から睨めあげてきた。 「そんなの、必要ない」 はやては顔を近づけてきた。じっと目を見つめてくる。瞳の中には、黒み掛かりたじろぐユーノがいた。 像は収斂せず、ただ乱反射していた。ユーノはさかしまに写るり、歪む自身の横っ面を張りたくなった。 まもなく、はやてはユーノの手をそっと握った。吐息に酒気は無かった。 「私は、ええんや」 そう答えながらもはやての声は震えていた。握られた手が痛かった。いよいよ瞳が光に歪んだ。 一瞬にして心が奪われ、漸くユーノは微酔から抜け出した。 最初に感じたのは陶然だった。二度目は自責だった。三度目は……。 それを見て奥底がら湧き上がった確かな真情を、ユーノは隠さないことにした。 誤魔化すな、欺くな、そうだ、僕は――。 「僕は、君が欲しい」 意外な言葉を耳にしたというように、はやては目を丸くした。 はやての返事を待たずにユーノははやての頭をかき擁き、深い深い接吻をした。 張らした頬を舐めると、塩辛い味がした。 20スレ SS ユノはや ユーノ・スクライア 八神はやて 微エロ