約 1,936,284 件
https://w.atwiki.jp/sentai-kaijin/pages/1036.html
「結局、一人きりの理想郷か…」 【名前】 ユートピア・ドーパント 【読み方】 ゆーとぴあ・どーぱんと 【声/俳優】 コン・テユ 【登場作品】 仮面ライダーWVW RETURNS 仮面ライダーエターナルオーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー仮面ライダージオウ 【登場話(W)】 第47話「残されたU/フィリップからの依頼」第48話「残されたU/永遠の相棒」 【登場話(ジオウ)】 最終話「2019:アポカリプス」 【分類】 ドーパント/NEVER/クオークス 【メモリ】 ユートピアメモリ 【綴り】 UTOPIA 【頭文字デザイン】 手を取り合う二人の人間(U) 【デザインモチーフ及び容貌】 朽ちていく理想郷を体現する怪人 【生体コネクタ位置】 ガイアドライバー(腹部) 【仮面ライダーW】 「ユートピア(理想郷)」のガイアメモリで財団Xの園咲家担当エージェント、加頭順が変身した財団Xの幹部ドーパント。 このメモリは加頭が「スポンサー特権」で入手したゴールドクラスのメモリで、彼との適合率は98%と驚異的な数値を示している(加頭はそれを「まさに運命」と称していた)。 人々の生きるための感情や力、つまり「希望」の力を吸い取って自分の力に変える能力を持ち、変身する前後には周囲の物体や人間が空中に浮かび上がる演出が取られている。 「理想郷の杖」と呼ばれる杖の動きに合わせて重力を自在に操る能力を発揮し、対象を浮遊、落下、粉砕させ、近距離攻撃や飛び道具も途中で停止、または歪曲させ寄せ付けない。 これに加頭自身がクオークスとしての処置を受けているためにサイコキネシスやパイロキネシスといった超能力を使うことも出来、ウェザーのように炎や雷、竜巻や地割れといった属性攻撃も使う。 これらのライダー達を遥かに超える驚異的な攻撃力はもとより、アクセルトライアルと互角のスピードも有している。 また他者が使用しているガイアメモリの効力を奪うことが出来、劇中ではアクセルトライアルからトライアルの力を奪ってアクセルに戻したり(トライアルメモリはドライバーに刺さったままだった)、タブー・ドーパントから力を奪って変身解除に追い込んでいる。 実は加頭は下記に記した経緯でNEVERと同様の存在になるよう処置された死人であり、生身でタブー・ドーパントの光弾を次々受けても平然としながら変身する高い耐久性を誇る。 強靭な肉体を持つNEVERがガイアメモリを使用しているため、一般のドーパントは一線を画す凄まじい強さを持つ。 超能力はNEVER由来のものであることがVシネにて判明した。 その目的はガイアインパクトを地球規模で行うことで、ガイアメモリに適性のある人間以外を全て消滅させること。 そのために一命を取り留めた若菜をデータ化して衛星にインストールし、それを元にガイアインパクトを引き起こそうと企む。 若菜と一体化したため地球に近付き過ぎたフィリップが、間もなく分解されて消滅してしまうことを知った翔太郎は動揺しつつも、加頭のいるガイアメモリ生産工場に向かったが、若菜を救出する寸前にユートピアが立ち塞がり、立ち向かったアクセルトライアルを圧倒し重傷を負わせる。 その真の目的はミュージアムに復讐することを望んだ冴子のために、ミュージアムの計画を乗っ取って彼女と共にガイアインパクトを成し遂げるための行動。 作中で度々冴子に対し「好きだ」と口にしているものの彼自身の感情が全く感じられないため、彼女は本気にしておらず加頭の好意に気づいたのは48話と遅い。 その目的のために冴子を匿い、それを園咲琉兵衛に知られても平然と振る舞い、若菜をさらうという行動に出る。 しかし、その好意は伝わること無く、妹を利用されることに反発し反抗してきた冴子を殺害したことで最悪の結末を迎えることになる。 上記の台詞は冴子を殺し、地面に横たわる彼女の亡骸を前につぶやいたときのもの。 加頭が本気で冴子と共に"理想郷"をつくろうとしていたことが解るヒトコトである。 その後、ダブルと文字通り最後の決戦に挑んだが、驚異的な力を発揮するCJXのパワーを吸収しようとするも2人の強い思いは吸収しきれるものではなく、オーバーロードを起こし弱体化する。 しかし、最後の力を振り絞って必殺技を繰り出すがダブルプリズムエクストリームを受け変身を解除。 そして、「お前の罪を、数えろだと? 人を愛することが…罪だとでも……」とつぶやき再度ユートピアメモリを起動して変身しようとするが、そのメモリは既にメモリブレイクされており、加頭も粒子化し消え去った。 彼の死をきっかけに、財団Xはガイアメモリから正式に手を引くことを決定する。 ただのちの劇場作品にてドーパントの複製体を用意しているため、ガイアメモリに頼らないドーパントのデータ自体は有用とみなしている可能性がある。 デザインが左右非対称なのは「未来的な高層ビル群(デザイナーのイメージする理想郷の象徴)」と「それが崩壊していく様(理想郷は永く続くものではないというデザイナーの認識)」を半々にモチーフとして取り入れた為(全体のカラーリングも「少しずつ朽ちてゆく理想郷」のイメージとして褪せた金色になっている)。 OVA版仮面ライダーエターナルにも登場。 クオークスの支援担当エージェントとしてドクターと接触しており、試作型のT1エターナルメモリを使って仮面ライダーエターナルレッドフレアに変身し大道克己達の目の前に現れるも、メモリに惹かれた彼がベルトに手を伸ばしたとたん機能を停止。 加頭はそれを「試作品ゆえの機能不全」と判断したが、実際はメモリ自体が克実と引き合ったため加頭の方を拒絶していた。克己を始末するためユートピアに変身し斥力や彼本人がクオークスであることからサイコキネシスやパイロキネシスを使って対処するも、完全にエターナルメモリの力を使いこなす克己に歯が立たず、エターナルレクイエムによって変身を解除され強烈なドロップキックを受け命を落とした。 しかし、上記のとおり彼を失うことのデメリットから、財団に残されていたNEVERの技術資料から蘇生兵士として蘇る事になる。 なお、彼がいつこのメモリを手に入れたのかは不明。 彼がW本編であれだけの強さを発揮していたのは、彼本人の素質に加え「クオークスとしての超能力」と「NEVERの強靭な肉体」を兼ね備えていたことであることがOVAで判明することとなった。 【オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー】 ショッカーの同盟怪人として登場。 【仮面ライダージオウ】 ン・ダグバ・ゼバ、ゲムデウスバグスター、サジタリウス・ゾディアーツ、仮面ライダーエボルというアナザーディケイドが呼び出した錚々たるメンバーの一体として登場。 アナザーワールドの性質上、原点における本人。 Wとの決戦に勝ち残った場合の加頭順が変身していると思われる。 グランドジオウの力を取り戻したソウゴとの決戦で呼び出され、召喚された鎧武パインアームズと激突するも、 格闘戦で圧倒し、杖から放つ金色の光線を浴びせて消滅させてしまった。 しかしソウゴがゲイツの死によってオーマジオウへと変身。 ウォズを急かす形で「祝え!」をやらせた時は一人だけ気怠げに拍手をしていたものの、アナザーディケイドがオーマジオウの力の吸収に失敗すると、 エボルトと共に即座にオーマジオウの排除に向かったが、パンチ一発で消滅してしまった。 これはかつて自分が陥った現象(CJXからエネルギーを吸収しようとして許容量の問題で失敗)を思い出したのでは?という視聴者の見方も。 【余談】 Wの作品として最後に仮面ライダーに立ちふさがったのはエナジー・ドーパントだが、実質このユートピアがラスボスと言える立ち位置となっている。 ユートピアメモリの頭文字デザインは手を取り合う人間たちのように見えるが、実はよく見ると手を取り合ってるわけではなく、 一人は相手に対して手揉みして媚びを売る構図となっている。 理想郷と言ってもそれを用意した側に暮らす者達は取り入るしか無い。結局は支配者と被支配者の構図は変わらないというデザインは、 左右非対称のドーパントデザインにも取り入れられている。
https://w.atwiki.jp/rowamousou/pages/1352.html
暗闇の中、パッとスポットライトが遊矢を照らす。 「レディースエーンドジェントルメーン! さあさお立ち会い! これよりワタクシ、榊遊矢のエンタメデュエルを披露します! まずはワタシの代表モンスターをお迎えいたします! ワタシは、《EM(エンタメイト)ディスカバー・ヒッポ》を召喚!」 「ヒッポー!」 元気よくディスカバー・ヒッポが姿を表わす。久しぶりの出番で気合が入っているようだ。 「おっと本日のディスカバー・ヒッポ、何時も以上に張り切っているようです。 さて続いては、南国育ちの妖気な踊り子達にご登場願いましょう! ワタシは、速攻魔法《カバーカーニバル》を発動!」 三体のカバートークンが特殊召喚され、さっそく踊りだそうとするが、遊矢が静止させる。 「そのままでも十分なのですが、魅惑のダンスを披露する前に更に魅力を引き出しましょう! 魔法カード《スマイル・ワールド》を発動!」 《スマイル・ワールド》が発動されるとディスカバー・ヒッポと三体のカバートークンが眩しい笑顔を放ち、踊り出す。 「さあ、皆さんも魅惑のダンスをお楽しみください!」 わあああああ、と観客達から歓声が上がる。 観客は見知った人達だ。柚子や権現坂に沢渡、セレナ、ジャック、ユーゴ、そしてあの日から数日間に出会った他次元の人達。 皆、遊矢のエンタメに魅了されている。 「遊矢!」「遊矢!」「遊矢!」「遊矢!」「遊矢!」「遊矢!」「ユーヤ!」「遊矢!」「遊矢!」 タン、と舞台から飛び降りて観客達の居る闇へと進みゆくが、何かがおかしいとふと思った。 (何で皆ここに居るんだろう……) 観客達に握手をしつつ、拭い切れない違和感が遊矢を襲った。 エンタメを見に来ているから当然だと遊矢は思い直そうとするが、問題は其処ではないことに気がついた。 (違う! ここに居る人達は皆、あの戦いで……! ……死んだんだ……!) 気づいた途端に観客の雰囲気が変わる。雰囲気だけではない。観客の肌がみるみるうちに腐っていく。 まるで『かれら(・・・)』と同じ症状を呈したかのように、遊矢への歓声は言葉にならないうめき声へと変わり始め、遊矢に襲いかかり始めた。 「や、やめろ!」 とっさに握手していた手を振り払い、舞台へと走りだそうとするもすぐに取り囲まれてしまう。 「な、何で!? どうして皆があいつらと同じ姿に!?」 混乱する遊矢をよそにゆっくり、ゆっくりと『かれら』が遊矢に近づいてくる。 「ど、どうしたら……」 『かれら』に噛まれてしまえばアウト、 『かれら』を何とかしようとしても残りの手札は振り払うときに気が動転していたせいで落としてしまった。 (こうなったら一か八か正面突破するしか無いのか……?) 八方塞がりの状況で何か手はないかと考えたその時、 「行けえ! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!! 反逆のライトニング・ディスオベイ!!」 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が『かれら』を吹き飛ばし、舞台への道を開いた。 振り返ると、『かれら』の背後にユートがいた。 「ユート!? お前は無事だったのか! 良かった……」 ユートは何も答えない。ただ、早く行けと言わんばかりに立っているだけだ。 『かれら』もユートに気がついたのか、ユートへと向かっていく。 ユートを守ろうと《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》はユートの所へと戻っていった。チャンスは今しかない。 遊矢は舞台へと走りだした。 (《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を召喚しているならユートはきっと大丈夫だ。 舞台に行けば、カバートークンとディスカバー・ヒッポがいる。 相手はカバーカーニバルの効果でカバートークンにしか攻撃できないから、しばらくは大丈夫なはず。 その間に俺のターンが来てドロー出来るようになる。次のターンが勝負だ) 『かれら』は歩くほどの速度しか出せず、遊矢には追いつくことが出来ない。 順調に行くかと思われたがドン、と何かにぶつかった。勢い良くぶつかり、遊矢は尻もちをついてしまうのであった。 「いってて。何なんだ一体――」 見上げた瞬間、遊矢は背筋に冷たいものが走った。其処には水の眷属と化したマークスがいたからだ。 「マ、マークスさん……」 『かれら』と違って水の眷属は生前と同じように動ける。そればかりか会話も出来る上時折姿が見えなくなり、奇襲を容易に行える様になる。 マークスほどの実力者であれば眼前にいるこの状況で勝ち目は無いといっていい。 マークスが手に持つジークフリートを隙だらけの遊矢に無慈悲に振り下ろさんとする直前、 遊矢は丁度右手に落ちていたアクションカードを拾い、すぐさまデュエルディスクのスロット口へ入れる。 「アクションマジック、《回避》! 相手の攻撃を一度だけ、無効にする!」 とっさに前方へローリングしてマークスの攻撃をかわす。 うまくマークスの背後に回れた遊矢はマークスを無視して走り出そうとした瞬間―― 「ぐああああああああああああああ!!」 背後からジークフリートの放つ黒い稲妻に襲われて吹き飛ばされ、遊矢は倒れこんでしまう。 「ぐうっ……何、で……?」 ジークフリートは中距離の相手も攻撃できる。これ事態は遊矢は知っていた。 だからマークスが再び攻撃する前にジークフリートからの射程範囲外へ逃げようとしたのだ。 だが、二度目の攻撃が異常なまでに早かった。仮に追撃出来たとしても遊矢が行動するよりも速く追撃するなどいくらなんでも有り得ない。 何故なのか、それは背後を空中ブランコで飛び回る天空の奇術師の姿を見て悟った。 「《Em(エンタメイジ)トラピーズ・マジシャン》……の効果、か……いつの間に……」 トラピーズ・マジシャンの二つ目の効果はオーバレイユニットを一つ使い、 指定したモンスターをこのターン二回攻撃させ、もし出来なかった場合指定したモンスターを破壊するというものだ。 召喚時に通常は二つあるはずのオーバーレイユニットが今のトラピーズ・マジシャンには、 一つしか無いことからもマークスを対象にしたことは明らかだった。 「だ、誰がトラピーズ・マジシャンを、召喚……したんだ……?」 ふらふらになりながらも何とか立ち上がり、周りを見渡す。 姿が時々消えるため見づらいがマークスはこちらに向かってきているようだ。 ジークフリートの射程外に吹き飛ばされたのは不幸中の幸いと言える。 ユートは『かれら』の対処に当っていて手が放せない。 ……だが、『かれら』の群がっている奥に水の眷属がいた。右腕にデュエルディスクを付けているため、 彼女が《Em(エンタメイジ)トラピーズ・マジシャン》を召喚したことは明らかだ。 しかし離れている上に姿が曖昧なために誰なのかは判別できない。 でも、ここに居る人達は多次元の戦いで命を落とした者であるらしいこと、 右腕にデュエルディスクを装着していること、そして【Em(エンタメイジ)】を使用していることを考えれば、誰なのかはすぐに分かる。 「りーさん……」 若狭悠里。あの殺し合いで出会った、心が壊れかけた少女。 一度遊矢のエンタメで立ち直ってからは遊矢達のいいまとめ役となって、時には教えたデュエルで共に敵と戦い、励ましてくれた。 だが、親友のくるみが精神的には問題ないとは言えB.O.Wと言って差し支えない身体になってから再びおかしくなり、最期は精神が限界を迎えると同時にスタンド能力覚醒の『矢』に貫かれた。 「何で……いや、それよりも…… …………!?」 遊矢はその場から動くことが出来なかった。正確には下半身の動きが鈍く、歩くことさえままならない。 遊矢の知る限りこれはフリーズの杖によるものだ。 「そんな、まさか……」 遊矢の予想通り、悠里の近くに同じく水の眷属と化した少女がいた。 「エリーゼまで……」 あの殺し合いに巻き込まれた時に一番最初に出会った少女。遊矢と同じく戦争に苦悩し、止める方法を探していた。 エンタメデュエルで戦争を止めようとしていることを伝えるとユーヤなら絶対出来るよと応援してくれたし、 遊矢もエリーゼなら戦争を止められるかもしれないと思っていた。 けれど、聞いた話では大量の怪物から逃げる際に致命傷を負ったらしく、皆が元の世界へ帰っていく中にエリーゼの姿はなかった。 「……! 駄目だ! 今はこの状況を何とかすることだけを考えるんだ!」 感傷に引き込まれそうな思考を無理矢理切り替え、打開策を考える。 だがその前に《Em(エンタメイジ)トラピーズ・マジシャン》がオーバーレイユニットを自身に使い、遊矢に直接攻撃(ダイレクトアタック)を仕掛けてきた。 「く、頼む……」 周りにアクションカードは落ちていない。遊矢に残された手はカードをドローするしか無い。 マークスの攻撃が終了したので少なくとも相手のバトルフェイズは終了したと言える。 だが遊矢のターンが来ているかどうかはこの――あえて名付けるならファイティングデュエルか――形式のデュエルでは分からない。 「ドロー!」 デュエルディスクからエラー音は出なかった。遊矢は今引いたカードをデュエルディスクのスロット口に入れる。 「《EM(エンタメイト)バリアバルーンバク》の効果発動! 手札のこのカードを墓地に送ることで戦闘ダメージを一度だけ、0にする!」 《EM(エンタメイト)バリアバルーンバク》が遊矢の盾となり、《Em(エンタメイジ)トラピーズ・マジシャン》の攻撃を遊矢から守る。 「この攻撃を防ぐことは出来た……けど……」 二度目の直接攻撃(ダイレクトアタック)を防ぐ方法は遊矢には無かった。 再び《Em(エンタメイジ)トラピーズ・マジシャン》が遊矢を襲う。 「うあああああああああああああああああああ!!」 おもいきり吹っ飛ばされる。這いながら舞台を照らす光へ手を伸ばすも、すぐ後ろにはマークスがいた。 フリーズの杖の効果がまだ続いている遊矢にはもう打つ手が無い。 「己の信ずる道に……順ずるが良い!!」 動けない遊矢にジークフリートが振り下ろされ―――― 遊矢はそこで目を覚ました。 「ッつ、あ……はあ、はあ…………何だったんだ、今の夢……」 あの殺し合いでの仲間や友達が見るも無残な姿になって襲い掛かってくる夢なんて、悪夢以外の何物でもない。 まるで生き残った遊矢を恨んでいるかのように襲い掛かっていた。 (皆が俺を恨んでるなんて、そんな訳無い……) 分かってはいる。皆が生き残った遊矢を責めるような性格ではないことは。 けれどそう思ってしまった以上遊矢はその可能性を否定することは、出来なかった。 (眠れないな……今何時だ?) 机の上に置いているデュエルディスクを取って時刻を表示させると、夜中の二時頃だった。 (母さんも素良もフーパも……眠っているみたいだ) 眠れるような気分ではなかったので、気晴らしに夜中の散歩に出掛けることにした。 「行ってきまーす……」 起こさないように小声で家を出る。 とりあえずは何処へ行くかは決めずに歩いて行く事にする。 夜中の舞網市は都会らしくビルや街灯の明かりが多かった。 何時もより明かりが多い気もしなくはなかったが、今の遊矢にはそんなことを考える気は無かった。 (己の信ずる道に順ずるがいい、か……) 悪夢の中で最後にマークスが言った言葉は遊矢には痛いほど心に突き刺さっていた。 あの殺し合いが終わった後はシンクロ次元のトップスとコモンズの階級制度を無くし、ロジェの企みも潰した。 この時は元の日常に戻れると思っていたが、スタンダード次元に戻ってからハッキリと気付いた。 柚子も権現坂も、戻っては来ない。元の日常にはもう、戻ることはない。 そのことに気づいてから、デュエルをしようとすると涙が溢れてデュエルができなくなってしまう様になる。 (こんなんじゃ、皆から恨まれて当然だよな……) 気が付くと、中央公園にたどり着いていた。 ――デュエルで、笑顔を……キミの力で世界に……みんなの未来に……笑顔を…… ユートから《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を託され、デュエルで皆に笑顔とユートと約束した場所だ。 まだほんの一ヶ月ほど前の話なのに、まるで遠い昔の話のように思える。 デッキ入れている《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を眺めながら、遊矢は思う。 (ユート……俺、約束を果たせそうにないよ……俺の信じるデュエルをやろうとしても、皆のことを思い出して、涙が止まらなくなるんだ…… 皆を笑顔にしたい、けど俺自身が心から楽しめないと、ダメだと思うから……どうしたら……) 泡沫の想いは廻り続け、堂々巡りとなり、気がつけば、遊矢は泣いていた。 (このままじゃダメだって思う、でも、どうしたら涙を流さなくなるんだ……) 「榊遊矢、こんな夜中で何をしている」 「え? あ、赤馬零児……」 唐突に声をかけられて振り返ってみれば、其処には赤馬零児がいた。 「お前こそ、何でここに……」 「舞網市の各地にはレオコーポレーションの監視カメラが設置されている。当然この中央公園も例外ではない。 オペレーターから君が中央公園にいると聞いて、来てみたというわけだ」 「来てみたって、こんな夜中にか?」 「次元戦争の終結宣言や後処理、デュエルモンスターとは根本から異なる多次元との交流、 シンクロ次元へ渡るために後回しにしていた業務など、暫くの間私に休息の時はない。 強いて言うなら今のような深夜といったところか。最も寝る間も惜しむことなど、普通は無いがな」 「じゃあ、どうして……」 「君が夜中に出歩くなど、何か理由が無ければしないだろう? それに、私の方からも君に用があるからな」 理由――図星だった。慌てて零児の言っていた用事に話を逸らす。 「用? 俺に? 何の?」 「まずは例の殺し合い、君がいなければ我々が勝つことも、生き残ることさえ出来なかった。心から礼を言う」 ポケットから二枚のカードを取り出し、遊矢に手渡す。 「報酬というわけではないが、レオコーポレーションが新たに開発したカードだ」 「え!? これって……!」 「《EM(エンタメイト)プリンセス・エリーゼ》と《理想郷の魔術師》だ、受け取ってくれ」 イラストに書かれた少女はそれぞれエリーゼと悠里によく似ていた。 「どうして俺に……それに、効果も書かれてないし……」 「君がこのカードを所持するのに一番相応しいからだ。 次に効果が書かれていない事に関してだが……初めて私と君がデュエルした時のことを覚えているか?」 「ああ、よく覚えてるよ……」 初めて遊矢が出会った遊矢以外にペンデュラムカードを所持し、ペンデュラム召喚を決めた人物。それが赤馬零児だ。 あの時の衝撃を忘れることは無いだろう。 「あの時の《DD(ディーディー)魔導賢者(まどうけんじゃ)ガリレイ》と《DD(ディーディー)魔導賢者(まどうけんじゃ)ケプラー》にはペンデュラム効果が無かった。 だが私のターンが来た途端、テキストが浮かび上がった。 最も内容はデメリットであり、プロトタイプの不安定さを実感することになったのだが…… 今ではペンデュラムカードの開発も発達し、安定したカードを作り出せるようになった。 ……だが、逆に言えば君に匹敵するほどの高い数値の召喚エネルギーを生み出すことは未だにできていない。 だから未知のカードを創造出来る君にこのカード達の効果を創造してほしい。 それに、そのほうがそのカード達には相応しいと思えるのでな」 「けど、そんなこと言われたって俺が好きに出来るわけじゃないし……」 「そのようなことは百も承知だ。だが、信じればカードは必ず応えるのもまた事実。榊遊矢ならば必ず使いこなせると私は思う」 「……ありがとう、とりあえず、受け取っておくよ……」 零児から受け取った二枚のカードをデッキに入れる。 「次に……三日後に舞網市で他次元のデュエリストを交えた大会が開かれる。 だが、その大会に未だに君がエントリーしていないのは何故だ? まさか知らないわけではあるまい」 「それは……」 レオコーポレーションは次元戦争の終結を発表すると同時に舞網市で他次元のデュエリストを交えた大規模な大会が開かれることを明らかにした。 三回戦で中止になった舞網チャンピオンシップの代わりもあるのだろう。また、他次元と繋がってしまったことによる混乱を防ぐ意味合いもあった。 「……俺、この世界に戻ってからデュエルが出来ないんだ…………」 「デュエルが出来ない?」 「デュエルをしようとすると涙が溢れて、それどころじゃなくなるんだ…… もうあの頃には戻ることはないんだって、そう実感してから……あの夢だって……これじゃ、二度と笑うことなんて出来ない……!」 「夢?」 「皆が俺を襲ってくるんだ、最後にはマークスさんが己の信ずる道に順ずるがいいって言って……そこで目を覚ましたんだ」 「……成程、それで眠れずここに来た、ということか」 「ああ……」 暫くの間、沈黙がこの場を支配する。 その沈黙を最初に破ったのは零児だった。 「……それで君自身はどうなんだ?」 「どうって、何がだよ」 「君自身はデュエルをしたいのか?」 「そんなの、当然デュエルをやりたいに決まってるだろ」 「ならば今一度、自分が何のためにデュエルをしたいのか、もう一度良く考える事だ。恐らくマークスも、そう伝えたいのだろう。 ……私への連絡先だ。既に大会の登録期限は過ぎているが、もし参加したいと思うのならばここへ連絡しろ。では、失礼する」 零児は電話番号を遊矢のデュエルディスクに送信すると、その場を立ち去った。 (やはり慣れない真似はするものではないな……マークスよ、これでいいか? 私に出来るのはこれが限界だ) (俺が何のためにデュエルをしたいのか、か……デュエルで皆を笑顔にする事以外にあるのかな?) 零児に言われたことを考えるも、思いつかない。 (もっと昔の……俺がデュエルを始めたいと思った理由は父さんのエンタメに憧れたからだ…… 父さんだったら、こんな時、なんて言うだろう……) 首に掛けているペンデュラムを降る。ユラリ、と振り子の軌道を描き、往復する。 (揺れろ、ペンデュラム……大きく、もっと大きく……) ――泣きたいときは笑え、精一杯大笑いするんだ。笑っているうちに本当に楽しくなってくる。 怖がって縮こまってちゃ、何も出来ない。勝ちたいなら勇気を持って……前に出ろ! (――!! 父さん……!) もう一つ、遊矢にはデュエルをやりたい理由があった。 それは相手に勝ちたいという、デュエリストとしては当然のもの。 だが遊矢にはただ皆をデュエルで笑顔にしたいと、そのことばかり思い続け、何時しか気付かないフリをしていた。 そして対戦相手よりも観客の方ばかり見ていた。観客ばかり見ていて、対戦相手をないがしろにしていたのかもしれない。 (……俺、どうすればいいのか分かったような気がするよ……) 決心した遊矢は零児に電話をする。 「あ、あの……」 『榊遊矢か、大会に出場する気になったか?』 「赤馬零児!……ああ、どうすれば良いのか、何をしたいのか、きっと大会に出てみれば……わかると思うから」 『分かった、では……』 「あ、ちょっと待って!」 『どうした?』 「出来たらでいいんだけど……………………………………」 『……うむ、良いだろう。ではそのように取り計らってもらおう」 「ありがとう」 遊矢からの要望を零児は了承し、大会の出場登録の手続きを済ませると言うと電話を切った。 気がつけばもう朝方の時間になっていた。 「そろそろ帰らないと、心配かけちゃうな」 遊矢は急いで家に帰るのであった。 三日後、大会当日。 他次元のデュエリストが集まる中其処に遊矢の姿はなく、その事に気づいた人々が疑問に思う中、開会式が始まる。 会場の周りから花火が揚がると同時に、その声が響いた。 「レディースエーンドジェントルマーン! 本日は皆様お集まり頂きありがとう御座います!」 「しししし! ユーヤン! お出まし~!」 遊矢の声が響き、舞台の上からリングが出現し、そこから遊矢が現れた。 「すっげー!」 「何だあの技術!?」 「まるで別の場所から転移したみたい!」 奇想天外な遊矢の現れ方に観客達は驚愕と驚きの声を上げる。 フーパの持つ能力だ。 「どう? びっくりした?」 観客達の驚く様子に管制室で待機しているフーパは満足しているようだ。 「これより私、榊遊矢のデモンストレーションを始めたいとおもいます!」 遊矢が零児に頼んだこと、それは大会のデモンストレーションを行わせてほしいというものだった。 遊矢はゴーグルを掛けると、二枚のカードを見せる。 「俺は、スケール1の《EM(エンタメイト)プリンセス・エリーゼ》とスケール12の《理想郷の魔術師》で、ペンデュラムスケールをセッティング!」 二本の青い柱が遊矢の左右に発生し、その中にそれぞれエリーゼと若狭悠里をモチーフとしたモンスターがいる。 「これでレベル2から11のモンスターが同時に召喚可能! 揺れろ、魂のペンデュラム! 天空に描け、光のアーク! ペンデュラム召喚! 現われろ! 俺のモンスター達!」 上空のペンデュラムの動きが激しくなり、ついには円を描く。そしてまるで異空間に通じてるかのような穴から二つの光が降り注ぐ。 「穢れ無き白金の剣! 《オッドアイズ・セイバー・ドラゴン》! 雄々しくも美しく輝く二色の眼!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!」 二体のドラゴンが現れ、沸き立つ観客たちだが、管制室にいる赤馬零児は遊矢の様子に気になる所を見つけた。 「カメラを榊遊矢の目にアップしろ!」 映しだされて映像には、遊矢の目から涙を流しているのが確認できた。 「榊遊矢が泣きながらデュエルを?」 困惑する中島だが、零児には遊矢の意志が分かった。 (まさかこみ上げる悲しみを無理矢理抑えこみ、これから先も観客に知られずにデュエルをするつもりか?) 遊矢はデュエルが出来なくなったわけではない。 正確にはデュエルをするとわけもなく悲しい気持ちが強く現れて涙が溢れ、自分も相手もデュエルをするような気分がなくなるからだ。 だから遊矢はゴーグルで涙を隠し、偽りの笑顔でそのような気持ちを感じさせないようにした。 遊矢の思い通り、観客や参加者達には遊矢が泣いている事に気づいた者はいなかった。 だが、遊矢の本当の考えは零児とは異なっていた。 「さあて、デモンストレーションはまだ始まったばかり! お楽しみは、これからだ!!」 (皆……俺、多分暫くの間はまだ完全には立ち直れないと思う。 でも、こうやって皆を笑顔にしていけば、俺自身もいつか笑顔になれると思うんだ。 使命とか約束とか関係ない。だって俺は、人を笑顔にするのが好きだから。 きっとこれから先も迷ったり、揺れ動いたりすると思う。でも――) ――決して立ち止まらないで 「――え?」 遊矢に聞こえた声。囁くような感じだったが、近くに人はおらず、周りを見渡してもそのようなことを言った人はいないようだった。 誰が言ったのかはわからないが、遊矢はそれに答えようと思った。 「ああ。何度辛い目に遭っても、何度迷っても、俺は俺の信じるデュエルをまっすぐ貫くって約束するよ。 そして何時の日か、偽りの笑顔じゃなく、本当の笑顔で皆とデュエルが出来るようにしてみせる。 だからもう少しだけ、俺の心を解き放てるその日が来るまで、待っててくれ……」 【混沌バトルロワイヤル2 榊遊矢 完】
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/18018.html
ゆーとぴあ【登録タグ muu ゆ 初音ミク 曲】 作詞:muu 作曲:muu 編曲:muu 唄:初音ミク 曲紹介 イラストは あさい氏。 歌詞 ある日曇りの 日曜日 俯き加減 歩いてく 「何かいいこと ないかなぁ」 喉が渇いて たまらない ただひび割れた 皿の上 水をついだら 飲み干そう 視界に揺れる マンジュシャゲ 眠る言葉が 爛れてく ほら眠そうな 目を開けて 甘いお菓子を さあどうぞ 君に捧ぐよ 愛の歌 毒を消しても まだ臭う 漂う視線 定まらず 収束してく リンパ腺 「君と一緒さ 最後まで」 なんて言葉を 絡ませて 相対している つまらないこの日々を ぶち壊しても 変わるはずが ないだろう さあさあ行こうか 彼方まで続く道 無理じゃあないさ 君とならば どこまでも したたりおちた 血液は 潮騒の匂い させていた 錆びた時計は 針無くし 止まったままで 動かない 私の記憶 零れてく 砂の上には 花が咲く 切り詰められた 螺旋には 何かの意味など ありゃしない カード切ったら ジョーカーが 夢の邪魔して 笑ってる 疲れたんだと 叫んでは 猫と兎が 踊ってる 張った負けたの 勝負事 折れた指針は 誰の為 暴露するのは 弱い人 したたりおちる 甘い蜜 行方すら知らないで(変わらない変わらない) 映すのは夢うつつ(交わって溶けていく) 従順な犬は きっとどこかで笑い 愚鈍な僕は 見下ろしては ねめつける いつか夢見てた 素敵なユートピアは かすりもせずに 煙みたい 消えるんだ 沢山の人が 罵声を浴びせながら お決まり文句 垂れ流して 嗚咽する 僕はここだよと 叫んでも空しいさ 見つけておくれ 君だけだよ 頼んだぜ コメント なかなかいい曲。もっと評価されるべき -- 名無しさん (2011-09-08 00 21 27) 好き! -- 名無しさん (2011-10-23 15 16 27) すごい中毒曲!! -- 名無しさん (2012-01-10 07 27 08) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tanosiiorika/pages/3382.html
守護聖天ラブ・ユートピア ゼロ コスト10 SR 進化クリーチャー:ガーディアン 20000 ■超無限進化―無色のクリーチャー ■0(ラブ)・エンパシー(このクリーチャーを召喚する時支払うコストは、バトルゾーンにある自分のマナの数字が0の無色クリーチャー1体につき1小さくなる。) ■自分の無色クリーチャーを召喚コストを、このクリーチャーの下にある無色のカード1枚につき1小さくしてもよい。 ■メテオバーン―自分がマナの数字が0のクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、このクリーチャーの下にあるカードを1枚選び、手札に加えてもよい。 ■Q・ブレイカー (マナの数字:0) (F)- 作者:レッド ゼロのユートピアの総大将。フィニッシャーというよりは高パワー高打点のエンジン。 一気にコストを下げながら再展開を行い相手を圧殺したい。 収録 エピソード0第一弾 ユートピア・ゼロ 評価 名前 コメント -
https://w.atwiki.jp/riceofbackup/pages/63.html
今日は七夕。 ベビィマリオとベビィルイージは空を見上げました。 今は曇っています。 ベビィマリオ「曇ってまちゅね。」 ベビィルイージ「晴れると思ってましゅたが・・・。」 ベビィマリオ「そうでちゅね。」 そして、夜になっていくにつれて晴れていくではないか。 二人はわくわくと期待を胸に、空を見つめていました。 そして、短冊に親たちは書いています。 それを見守る二人。 そして、飾る。 そう、その日の夜たまたま晴れたのです。 見えるのは、綺麗な天の川。 ベビィマリオ「わぁ〜っ!」 ベビィルイージ「凄いでしゅね!!!」 ベビィマリオ「そうでちゅね。」 綺麗な天の川を見て、その日は眠る事にしたのでした。 無事に完成しました。 ぐだぐだですいません。 ユートさん以外お持ち帰りは禁じます。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/18765.html
電磁の侵略者(アグレッサー) ユートラ UC 水文明 (4) クリーチャー:ヴォイド・アグレッサー 3000 ■ドミネイト4(相手の超次元ゾーンにあるカードの枚数が自分より4枚以上多い場合、このクリーチャーは次のDM能力を得る) DM-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを3枚まで引く。 作者:123 収録 DMSS-08 「時門編 第三弾 覚醒×覚醒(ジ・アルティメット・ゲート)」 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kaijinmato/pages/121.html
「結局、一人きりの理想郷か」 【名前】 ユートピア・ドーパント 【読み方】 ゆーとぴあ・どーぱんと 【声/俳優】 コン・テユ 【登場作品】 仮面ライダーW など 【分類】 ドーパント/NEVER 【メモリ】 ユートピアメモリ 【綴り】 UTOPIA 【頭文字デザイン】 手を取り合う二人の人間(U) 【デザインモチーフ】 朽ちていく理想郷を体現する怪人 【生体コネクタ位置】 ガイアドライバー(腹部) 【仮面ライダーW】 「ユートピア(理想郷)」のガイアメモリで「財団X」の園咲家担当エージェント「加頭順」が変身した幹部ドーパント。 メモリは加頭が「スポンサー特権」で入手したゴールドクラスのメモリで、適合率は98%と驚異的な数値を示している(加頭は「まさに運命」と称していた)。 人々の生きる感情や力、つまり「希望」の力を吸い取って自分の力に変える能力を有し、変身する前後には周囲の物体や人間が空中に浮かび上がる。 「理想郷の杖」と呼ばれる杖の動きに合わせて重力を自在に操る。対象を浮遊、落下、粉砕させ、近距離攻撃や飛び道具も途中で停止や歪曲させ寄せ付けない。 更には加頭順自身がクオークスとしての処置によりサイコキネシスやパイロキネシスといった超能力を使うことも出来、ウェザー・ドーパントのように炎や雷、竜巻や地割れといった属性攻撃も使う。ライダー達を遥かに超える驚異的な攻撃力、アクセルトライアルと互角のスピードがある。 また、他者が使用しているガイアメモリの効力を奪う事が出来、劇中ではアクセルトライアルからトライアルの力を奪ってアクセルに戻したり(トライアルメモリはドライバーに刺さったままだった。)、タブー・ドーパントから力を奪って変身解除に追い込んでいる。 実は加頭順は「NEVER」と同様の存在で、生身で「タブー・ドーパント」の光弾を次々受けても平然としながら変身。強靭な肉体を持つNEVERがガイアメモリを使用し、これまでのドーパントとは一線を画す凄まじい強さ。 『仮面ライダーエターナル』においてNEVERになるまでの経緯が描かれる。 目的はガイアインパクトを地球規模で行う事で、ガイアメモリに適性のある人間以外を全て消滅させる事。 一命を取り留めた園崎若菜(クレイドール・ドーパント)をデータ化して衛星にインストールし、ガイアインパクトを引き起こそうと目論む。 若菜と一体化し地球に近付き過ぎたフィリップが、間もなく分解されて消滅してしまう事を知った翔太郎は動揺しつつも、加頭順のいるガイアメモリ生産工場に向かったが、若菜を救出する寸前に「ユートピア」が立ち塞がり、立ち向かったアクセルトライアルを苦しめ重傷を負わせる。 感情が全く感じられず、園崎冴子に向けていた好意は伝わる事がなく、故に冴子が加頭順の好意に気づいたのは48話と遅く(「好きだ」と度々口にされてはいたのだが、本気にしていなかった)、妹を利用される事に反発し反抗してきた冴子を殺害。 その後、ダブルと文字通り最後の決戦に挑んだが、驚異的な力を発揮するCJX(エクストリーム)のパワーを吸収しようとするも2人の強い思いは吸収しきれるものではなく、オーバーロードを起こし弱体化、最後の力を振り絞って必殺技を繰り出すが「ダブルプリズムエクストリーム」を受けた事で変身を解除。 「お前の罪を、数えろだと? 人を愛する事が、罪だとでも」とつぶやき再度変身しようとするが、ユートピアメモリは既にメモリブレイクされ、加頭順も他のNEVER同様に蓄積されたダメージによって粒子化し消え去った。 加頭順の死をきっかけに、「財団X」はガイアメモリから正式に手を引く事を決定。 全ては「ミュージアム」に復讐する事を望んだ冴子に、「ミュージアム」の計画を乗っ取って冴子と共にガイアインパクトを成し遂げる行動。冴子を匿い、知られても平然とし、若菜をさらうという行動に出た。 好意は伝わる事なく、結果として最悪の結末を迎える事になる。上記の台詞は冴子を殺し、地面に横たわる亡骸を前につぶやいたときのもの。加頭が本気で冴子と共に"理想郷"をつくろうとしていた事が解る一言。 デザインが左右非対称なのは「未来的な高層ビル群(デザイナーのイメージする理想郷の象徴)」、「それが崩壊していく様(理想郷は永く続くものではないというデザイナーの認識)」を半々にモチーフとして取り入れ(全体のカラーリングも「少しずつ朽ちてゆく理想郷」のイメージとして褪せた金色になっている)。 『仮面ライダーエターナル』にも登場。 クオークスの支援担当エージェントとして「ドクター・プロスペクト(アイズ・ドーパント)」と接触しており、試作型のT1エターナルメモリを使って仮面ライダーエターナルレッドフレアに変身し、大道克己達の目の前に現れるも、メモリに惹かれた大道克己がベルトに手を伸ばしたとたん機能を停止。 加頭順は「試作品ゆえの機能不全」と判断したが、実際はメモリ自体が克実と引き合って加頭順の方を拒絶していた。 大道克己(仮面ライダーエターナル)を始末するのドーパントに変身し斥力や本人が「クオークス」としてサイコキネシスやパイロキネシスを使って対処するも、エターナルメモリの力を使いこなす大道克己に歯が立たず、エターナルレクイエムによって変身を解除され強烈なドロップキックで命を落とした。 上記のとおり失う事のデメリットから、「財団X」に残されていたNEVERの技術資料から蘇生兵士として蘇る事になる。いつメモリを手に入れたのかは不明。 W本編であれだけの強さを発揮していたのは本人の素質に加え「クオークスとしての超能力」と「NEVERの強靭な肉体」を兼ね備えていた事だとOVで判明する。 【オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー】 ショッカーの同盟怪人として登場。 復活したダブルサイクロンジョーカーと交戦。
https://w.atwiki.jp/kizuna1999/pages/328.html
ゼアルの94話で発せられたセリフ…………というか字幕。 正確には(無言の手刀)で、カッコが付く。 後述する問題故に、無言の手刀()ではないのかという気もするが、あくまで(無言の手刀)なのであしからず。 この字幕が表示されたのは、デュエルに負けて昏睡状態になっていたギラグとアリトに対するベクターの煽り発言にミザエルがキレた時で、ミザエルがベクターに行ったことを示したものである。(*1) ミザエルが仲間想いであるということを示したシーンなのかもしれないが、当のミザエル自身もギラグとアリトに関する悪口を陰で言ったことがあるため、若干の矛盾が生じている。 一応、ギラグとアリトが昏睡状態になった原因はベクター(と遊馬先生)にあるため、視聴者目線からすればベクターの醜悪さが示されたシーンではあるのだが、別にミザエルがその事実を知っているわけではない。 これだけ聞くと何の問題もない字幕のように感じるだろうし、実際にこの字幕自体には特に問題もないのだが、例によってゼアル信者はこのなんでもない字幕すらもゼアル関連の問題の一部にしてしまっていた。 というのも、この字幕も他のゼアルネタ(*2)同様にゼアル信者があちこちでマーキングするという荒らしに必死になるため、ゼアル及びゼアル信者が疎まれる原因を自ら作っているのである。 何が彼らの笑いのツボにはまったのかは定かではないが、どうもお気に入りなネタであるようだ。 ゼアルネタの例に漏れずキャラクターを嘲笑するネタになっているため、その劣等感が透けて見える。 正直なところ面白く無い。滑っている。 そしてその被害はゼアルだけに収まらず、後続作品の遊戯王ARC-Vにまで持ち込んでおり、こちらも暴走する黒咲を止めたユートのパンチがこのネタに絡められ、(無言の腹パン)ということになっていた。(*3) ただ、ユートのエクシーズ召喚も含め最初は無理矢理にでもゼアルを絡めて騒いでいたゼアル信者だが、後にゼアルの問題をARC-Vに擦り付けられると感じてからは態度が一変、御存じの通り放火が行われるようになっている。 なお、にわかには信じたいことだが、ゼアル信者がARC-Vを中傷する際に発する暴言の1つに、ARC-Vはネタ厨に媚びるな!というものがある。 ……もうなんというか、呆れてものも言えない。 マッチポンプをしなければならないほど、そして何よりブーメランが刺さる痛みを感じないほど、彼らは追い詰められているのだろうか? あと、まぁなんというか、ツッコミを入れたら負けのような気もするが、一時の恥をしつこく広められてしまっているスタッフも気の毒なので、最後に一言だけ言って終わることにする。 ミザエルが行っていたのは「手刀」ではなく「貫手」である 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/galgerowa/pages/414.html
the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 「はっ……はっ……はっ……!」 つぐみは逃亡しながら腹を押さえる。 ぽたぽた、と止め処なく染み出した血液が黒服を染めていく。身体に力が入らなくなってしまう。 キュレイの力を持ってすればこの程度、とは思えない。何故なら、すでに太陽は昇っているのだから。 逃げられない、と悟った。 純キュレイ種は太陽の下には出られない。よって、逃げられる場所は限られている。 (っ……諦めないっ……) 自らを叱咤するも、背後から死神が追ってくる幻想が意識にこびり付いて離れない。 こうなれば賭けに出るしかない。つぐみは前方を少し速度を落として走るアセリアの背中に言葉を投げかける。 「ここで二手に分かれるわっ……次の道をアセリアは右、私は左!」 「んっ……!」 アセリアとも別れる。ふと、何かに不安を感じた。違和感とでもいうのだろうか、アセリアへの。 それは迷いだとつぐみは思う。千影の話では悠人と真正面にやりあえるのは、彼女ぐらいのものらしい。 何か今、言わなければならない気がして、その背中につぐみは思いの丈を投げかけた。 「アセリア!」 「ん……?」 「できれば貴女が悠人を助けてあげなさい! 必ず何か手段があるはずだからっ……それを考えなさいっ!!」 つぐみが、武を助けてやれたように。それをつぐみは願う。 間違えれば不幸な結末しか残らない。一生懸命助けようとした圭一が、武の手にかかってしまったときのように。 お互い、足は止めない。すでにアセリアは自分よりも先に行っている。 永遠神剣を持ったアセリアはハイロゥを展開できる。つぐみの言葉を受け入れ、彼女は文字通り飛んだ。 世界の違いに若干の驚愕と苦笑を交える。彼女はちゃんと言葉はちゃんと受け取ったか、それを論じている暇はない。 後ろを僅かに振り返るが、悠人の姿はない。諦めたのか、それとも標的を変えただけなのか。 マナを求めるというのなら、アセリアのほうを追ったのかもしれない。だが、助けに行くと考えることはしなかった。 刺された腹を止血しようと立ち止まる。デイパックそのものは武に渡してしまったし、持っているのはウージーと大鉈。そして僅かの医療用具。 (まったく……こんなときに再生能力が落ちているなんて) むしろ、こんなときだからこそか、と包帯を巻きながら溜息をつく。 理想としては武たちを連れてホテルへと帰りたかったのだが、どうやら海の家の方向へと逃げてきてしまったようだ。 もっとも、最後まで追われたことを考えると純一たちと悠人を引き合わせるのは危険すぎる。 朝日が昇ってきたことを確認して、この近辺で数少ない木陰へと足を向ける。 武との決闘のときからつぐみの身体は危険だった。まだ弱い紫外線のままの朝日だから、すぐには影響がなかったのだが。 それでも長らく浴びているのがまずいらしい。つぐみは明確な体力の衰えと疲労を感じていた。 ドオォンッ!!! だから、つぐみは気づくことが出来なかった。 自分に害意ある存在が近づいているということに。巨大な剣を扱うその姿に、自然に身体が萎縮するのを感じた。 「そう……」 その鉄塊のような大剣を、あろうことか悠人は投擲してきた。 破壊力だけを重視したその武器は切れ味など二の次になっている。数少ないつぐみが隠れていた木は、音を立てて崩れ落ちた。 つぐみの身体が紫外線に晒される。近くに逃れられるようなものなどなく、そしてそんな行為を悠人は許すつもりがない。 「これも因果応報っていうのかしらね」 あのとき、武を案じるあまりに悠人を止めようとしなかった。付いて行こうともしなかった。 間違ったことをしたつもりは微塵もない。その結果、武は正気を取り戻した。他の仲間たちの命も結果的に守れた。 だが、その代償として悠人は神剣に乗っ取られた。形こそ違えど、今の悠人は武と同じようなもの。何かに自分を振り回されている状態。 ウージーの弾薬はまだたくさん残っている。 もっとも、銃という武装ですら心強いとは思えない。一人、この状態でこの武装では勝てない、と。 答えはとうに出ているのだが。 ◇ ◇ ◇ ◇ ツグミと別れ、私は海の家へと向かっていた。 太陽は二日目の朝を向かえたことを告げるように輝いている。遠目に見える海は幻想的に輝いていた。 私はその光景を呆気に取られながら眺めている。まるでこの現実から逃げ出したくなるような、そんな想いと共に。 「………………ユート」 今までその行為に迷いを抱くことはなかった。 私が戦うこと。それは存在意義だったはずだ。それを生きる活力として考えていた。むしろ戦うことは息をすることと同じくらい当たり前だった。 傷ついて、それ以上に傷つけた。それに何の疑問も抱くことはなかった。ただ敵を殺せばそれでいい、と思っていた。 だけど、分からない。この島では戦うことだけが全てじゃなかった。 カルラが、アルルゥが、アカネが、ミズホが、エリコが様々な立場を示した。憎しみを捨てて許す、なんてここに来た当事は考えもしなかった。 思えばそう、彼女たちよりも私に教えてくれた人がいた。確かにいたんだ、私に戦い以外の道を示そうとしてくれた人が。 「ユート……」 自由に生きろ、戦う意味を持て。 そう諭してくれた人がいた。今なら分かる、それがどれほど大切なことということが。 なのに、ユートは敵となった。私だけじゃない、ツグミやミナギたちに剣を向けた。私を殺そうともした。 敵――――それなら、倒すだけ。そう、いつも通りだ。 (ユートが……敵?) 確認するまでもない。ユートは私たちに敵意を抱いているのは明白なのだから。 だけどあの時、私は永遠神剣をタケシから受け取ることが出来なかった。私にはその選択が出来なかった。 押し倒され、マナを奪われかけた時……それでも私は、抵抗らしい抵抗ができなかった。 ―――――好きなの? その悠人って人のこと。 好きか、と聞かれたら好きだ。だけどサラはそれを特別な好きだ、と教えてくれた。 私には違いが分からない。ただ、私は他の誰よりもユートを殺したくないと思ってしまった。 まだユートに謝ってない、とか。そんなことすら些細なことに感じる。 戦うためだけに存在するはずのスピリットが……戦いたくない、と感じてしまった。 「いやだ……」 これは罰なのだろうか。多くの余分な感情をスピリットの身で覚えてしまった私への。 これは罰なのだろうか。感情に身を任せて、ユートやハクオロに罵声を浴びせた私への。 だったら、誰か教えてくれ……どうしてユートがこんな目に合わなければならないんだ。私はユートをどうしたいんだ? 「ごめん……ごめん、ツグミ……」 私にはユートを助ける方法なんて思いつかない。どうすればいいのか分からない。 ユートは私を指名してくれたのに、私にはユートを助けられない。 結果的に迷惑ばかり掛けてしまった……今更、私は手にした『求め』を抱く。ユートの愛剣からユートを感じるように。 「ごめん、ユート……私は」 私は、戦えない。この手でユートを殺す覚悟なんて決まらない。 戦いたくない、というスピリットは異端でしかない。私は、何のために戦っているのだろう。そんな疑問がふと生じた。 殺してくれ、とユートは言った。 だけど、私の覚悟はまだ決まらない。ユートの愛剣を抱きしめながら、私はしばらくの間動くことが出来なかった。 【H-6 通路/2日目 朝】 【アセリア@永遠のアセリア -この大地の果てで-】 【装備:永遠神剣第四位「求め」@永遠のアセリア -この大地の果てで-】 【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、鉄パイプ、国崎最高ボタン、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-、情報を纏めた紙×2】 【状態:肉体的疲労大、右耳損失(応急手当済み)、頬に掠り傷、ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)】 【思考・行動】 基本:ゲームには乗らない 0:教えてくれ……誰か…… 1:悠人との戦いに迷い 2:瑞穂とことみとの合流地点(海の家)に向かう 3:無闇に人を殺さない(殺し合いに乗った襲撃者は殺すが、悠人はまだ覚悟が決まらない) 4:存在を探す 5:ハクオロの態度に違和感 6:川澄舞を強く警戒 【備考】 ※永遠神剣第四位「求め」について 「求め」の本来の主は高嶺悠人、魔力持ちなら以下のスキルを使用可能、制限により持ち主を支配することは不可能。 ヘビーアタック 神剣によって上昇した能力での攻撃。 オーラフォトンバリア マナによる強固なバリア、制限により銃弾を半減程度) ◇ ◇ ◇ ◇ 武と千影の二人は西へと進路を取っていた。 この向こうには美凪がいるはずだし、純一という人物にも逢えるだろうから。 ほとんど千影は武に抱きかかえられている状態だったが、ようやく病院から離れたことを認識して腰を下ろす。 ひとまず小休止といったところだ。これからの詳しい方針や仲間との合流方法など、考えることはたくさんある。 暴走した悠人への対処法なども含めると枚挙に暇がない。こうして休養している間も、二人は様々なことを話し合っていた。 「……それで、身体はもういいのかい……?」 「疲れのほうはな。でも、そのH173のほうは……簡単に治りました、ってわけにはいかんらしい」 「どういうことだい……?」 うむ、と武が頷くとデイパックから注射器を取り出した。 それはもともと千影が持っていたC120のアンプルも一緒に入っている。いつの間に……と千影は思わないでもない。 「まだ、俺にはこいつが必要だ。まだ疑おうとする心がどこかにある……まだ、俺は治っていない」 「……つまり、それが切れたら元通りになってしまうってことかい……?」 「そうだ。キュレイウィルスさえ完全に機能してくれるなら、こんな特効薬の力を借りなくてもいいのにな……」 すぐにデイパックの中へと直す。 当然だ、武が『倉成武』であるための生命線のようなものなのだから。 「思えばストレスが起因になってた気もする。まあ、その場凌ぎの対抗策はあるけどな」 「……それは?」 「日常を演じること。あくまで苦し紛れなんだが、これは効果あるかも知れん。多分な、多分……きっと……もしかしたら、いけるかも」 「……どんどん、自信がなくなっていく様子だけは伝わってきたよ……」 まあ、それはいいとしても、だ。 千影にはどうしても気になることがある。いや、本当に今更な話ではあるので、口にするのもどうかと思ったのだが。 「……武くん、服は着ないのかい……?」 「ん……? ああ、そうか。悪い、ずっと上は裸のままだったな」 「……あ、ああ……」 まあ、お姫様抱っこでここまで走ってきたのだから、かなり長いこと胸板に押し付けられていたのだが。 そう考えると少し妙な気分になるので、千影は思考はシャットアウトすることにした。 とにかく、このまま裸で行動させるのは色々な意味で気が気でないので、何か着てもらおうという考えに至った。 「でも、なあ……他に何も着るもの、持ってないんだが……?」 「待ってくれ、確か」 ごそごそ、デイパックを漁る。 武は少し嫌な予感がして、後ずさりした。やがて千影が取り出してきたのは……女物の洋服。 かつてネリネが収集したものだが、それがこんなところで役に立つことになろうとは! そんな気分で千影は武にそれを押し付ける。 「……フリフリ、ですが?」 「とても高級品ばかりだよ、生地も良質……さすがに、センスがいい」 「…………コレヲ オレニ キロ ト?」 「……何故、片言……?」 何か色々なものの自尊心が崩れ去っていく予感。 このまま流れに呑まれてはならない、と武は思う。もしも女性の服装で他の参加者に出逢ってみろ、それは大変だ。 武はそれを振り払うと、千影のデイパックの中を漁った。絶対にわざとに決まっている、あんなフリフリが出てきて溜まるか、と。 ある意味、疑心暗鬼時代の名残とも言うのだろうか。その暴挙に焦りだす千影の目の前で、武は服を探した。 だが。 武が最初に掴んでデイパックから取り出したのは……薄い水色の下着だった。 「………………」 「………………」 「まあ……こんなことも、十回に九回くらいあるさ」 ゴン! 問答無用とはこのことだろうか。 口元を引き攣らせながら、出来るだけ自然な笑みで下着を掴みながら振り返る武の頭に、ゴルフクラブの一撃が入った。 「信じられないね……いきなり下着を引き当てるなんて」 「ううっ……」 「罰として、そこで目を瞑って後ろを向いていてくれ……私が決めるから……ああ、疑心暗鬼は大丈夫かい?」 「さー、いえっさー」 後ろを振り向いて頭を抱える武。千影は安堵の溜息をつく。 疑心暗鬼が大丈夫か、と言った理由は自分のデイパックの中身にある。そういえばまだ、もうひとつのほうに誰かの生首が入っているのだ。 そんなものを見た日には全て水泡に帰す。圭一の墓の近くに放置しておくのが正解だったはずだけど、と溜息をついて僅かにデイパックの中を開く。 「あれ……?」 「どうした、千影」 「いや……なんでもないよ」 結論から言うと、生首が消えていた。代わりに別の支給品が入っている。 包丁や救急箱、人形に服に刀の鞘。そして名簿らしきものや、キックボード。折れてしまった刀とかも入っている。 ふと、背中に冷たいものが流れた。そういえばあのデイパックの隣にもうひとつ、美凪のデイパックが置いてあったような気がする。 「これは……ちょっと、まずいね……」 「なんだ、何がまずいんだ?」 バキ! いつの間にか背後に立っていた武に、容赦なく鞘で顔面を殴打してやった。 痛みに転がりまわる武を見ていると、どうにも緊張感が出ない。第一印象がシリアスだっただけに、ギャップが酷すぎる。 ああ、でも、と。 久しく忘れていた日常を思い返すには十分で、少しは気が楽になってきた。 「罰を破った武くんには……これがお似合いだね」 「――――――――」 場が凍りついた。いい具合に武の周囲から時間が止まっている。 千影も武が演出する日常に乗ることにした。それが一時的なものだとしても。 美凪のデイパックから取り出した服……と言えるかは微妙だが、それでも服装には違いない一品。 それは、スクール水着だった。 「いやだぁぁああぁぁあああっ!!!!」 ある意味、今世紀最大の絶望感に。 武は即座に土下座モードと移行。様々な意味でそれを着ることは許されなかった。 結局、様々な押し問答(武が一方的に許しを請う状態のこと)の末に。 「精神的陵辱だ」 派手なフリルの付いた地味な色のワンピース、という矛盾した洋服に身を包んだ武が誕生した。 ちなみにズボンやらも凄まじい激戦でボロボロになっていたため、上下ともに着替えることに。 ああ、こんなの着てる奴が俺の友達にいたなぁ、17年前、とか遠い目で眩しい朝日を迎えていた。図らずも感動で涙が出てくる。 「これは……っ……刺激が強すぎるね……」 「殺してくれ」 結局、ワンピースも没となった。 やがて日常も終焉を迎える。あまりふざけていられる状態ではないのだから。 無難な洋服と動きやすさを基点としたジーパンがあったので、それに着替える。言うまでもないが女性用である。 「それにしても役に立たないものが多いな。この人形は……手作りか? 金髪の女と見た」 「……そうだね……まあ、そろそろ休憩も終わりにしよう……」 両者、共に頷く。人形はデイパックの中に放り込んで。 そうして二人は立ち上がり、目的地を目指して歩き出そうとした、そのとき。 「……つ、ぐみ……?」 ふと、武は振り返った。 そこに一抹の不安と疑問を浮かべながら。それは第六感というものだったのだろう。 何故か、つぐみが呼んでいるような気がした。 ◇ ◇ ◇ ◇ ひゅー、ひゅー、風が吹く。 それは自然の風ではなく、そして悠人の喉からでもない。すでに魔力を整えた悠人はもう苦しまない。 ならばこの風は何処から吹く? それは地面に倒れ伏す、敗者の喉から漏れていた。ひゅー、ひゅー、虫の息。 血溜まりの中に少女は倒れていた。 どくどく、流れ出るのは生きるために必要なもの。それを見下ろす冷酷な死神は、少女から奪ったミニウージーとマガジンを回収する。 自らがズタズタに切り裂いた少女には目もくれず。ただ全生物の殺害を誓って行動する。 「………………?」 ふと、目元から涙が毀れた。それは悠人本人の心が壊れた証拠かも知れない。 ホテルでは戦い、そして仲間だったはずの少女をこの手で殺した。 永遠神剣の本能のままに行動する悠人には涙の意味が分からない。無表情に彼は次の獲物を捜し求める。 軽傷はすでに回復したが、まだ内蔵まで治療は終わっていない。 まだ足りない。まだ足りない。もっとマナを、もっとマナを。まるでそれしか知らないと言わんばかりに呟いている。 踵を返す。間もなくつぐみは絶命するだろう。もはや、立てるはずがない。それほどの致命傷を負っていた。 「かっ……ごほ、ごほ……」 ミニウージーを乱射したが、弾切れと同時に勝負は決まった。 ベレッタに込められた銃弾……マガジンに入っている16発を全弾、容赦なく撃ち込まれたのだ。 頭はかろうじて防御したが、それを差し引いてもまだ生きていられる自分は、やっぱり化け物なんだろうな、と呟いた。 日光はさんさんとつぐみを照らす。 身体中から悲鳴が上がっていた。動かなくても、持って10分。もしも動くなら……身体を動かすだけで寿命が半分になるだろう。 悠人はつぐみを見ていない。ただゆっくりと歩きながら、根元から折れた木に落ちている巨大な大剣を回収しに行っている。 (……無様、ね) もう何度死んだか分からない。そんなつぐみは死ぬことなんて怖くなかった。 ただ、自分が死んだ後、武や子供たちが悲しむことが心残りだった。そんなことを考えられるほど、彼女の身体は絶望的だった。 キュレイは日光に遮られて効力を発揮しない。血は後から後から流れていく。だんだん、意識が遠くなってくる。 このまま眠れば、きっと楽に逝けるだろう。 思い残すことは多々あるが、武や純一ならきっと大丈夫だ、と。やはり全幅の信頼を寄せながら瞳を閉じる。 それは終焉の合図。長い長い人生の終点。ゆっくり、死を受け入れるように大きく息を吐いて。 つぐみは僅かに残った寿命までも放棄して、近くに落ちたままの大鉈を掴んでいた。 (それじゃ、ダメなのよね) 大鉈を杖にして、ゆっくりと立ち上がる。ぼたぼた、と身体から鮮血が噴出すのにも構わずに。 つぐみが顔を上げる。まだ瞳は諦めを宿していない。 当然だ、自分が愛した人はどんな絶望的な状況でも決して諦めなかったのだから。なら自分だって出来るはずだ。 (行かせない、わ……) ここで悠人を放置してはいけない。 彼は文字通り、一人で参加者を皆殺しにする力を持っている。そんな彼を五体満足で見送るわけにはいかない。 何より、ここで終わるなんて癪だ。せっかく武に逢えたのだから。こんなところでは終われない、こんなところでは倒れない。 (敵わないにしても……腕の一本、貰っていくっ……) 脚力は全開に、地面を蹴る。まるで狩りを始めた豹のような身の動き。 とても満身創痍の動きではない。だが、それすらつぐみは当然だと思う。むしろそうでなければならない。 今まで人の一生を滅茶苦茶にしてくれたキュレイの力。せめてこれくらいの役には立ってもらわないと、割に合わないというものだから。 「はっ……ぁぁあああああああああっ!!!!」 「……!」 叫び声に悠人が遅れて気づく。背後に振り返りながらデイパックに収めた武装を取り出そうとしていた。 さすがに反応が早い。今の悠人なら気配にさえ気づければ数秒足らずで戦闘準備を終わらせるのだろう。 だが、遅い。その動きを持ってしてもつぐみの疾走のほうが早い。 決着は本当に一瞬だった。 悠人の首を狙って振り下ろされる最後の一撃。彼の片手は無手で、もう片方はデイパックの中。 回避行動を取る暇さえない。それは完全に意表をつき、つぐみは残った全ての力をその一撃に集約した。 「タイム――――アクセラレイト」 ただ、デイパックの中で掴んでいた『時詠』さえなければ。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「……………………」 呆然と、武は立ち尽くした。全身の力が理由もなく抜けるような気がした。 ホテルへ向かう途中だったが、千影は武と生首を引き合わせて疑心暗鬼を刺激することを恐れて、進路を変えようとしていたときのこと。 何故かはわからないが、無くしてはいけない大切な物を無くしてしまったような、そんな喪失感を憶えた。 「……武くん?」 「あ、ああ、すまない。今いく」 我に返って、武は千影の下へと走る。 気のせいだろう、と武は思うことにした。頭の中に浮かぶつぐみのイメージを振り払いながら。 「……だから、まずは悠人くんをどうにかするしかない。アセリアくんと合流しよう……」 「でも、アセリアもあいつには敵わなかったぞ?」 「……いや、それは永遠神剣さえあれば何とかなるはず……今のアセリアくんなら、きっと互角のはず……」 もっとも、それはアセリアと悠人が互角の力量であるならば、ということ前提なのだが。 それにアセリア自身が武から『求め』を受け取ろうとした。『求め』を回収しても戦おうとしなかったことから、扱えなかった可能性もある。 だが、正直なところ今の悠人に真正面から戦って勝てる存在はいないと思う。同じく人外のアセリア以外には。 「それにハクオロくんとの誤解を解かなくてはいけない……彼女たちとの確執を何とかするには私が必要だからね……」 「そうだな、それもある」 「……朝倉純一という人物とも合流したいな……」 「やること多いな。まあ、とにかく……出来ることから始めていこうか」 千影は背伸びをしながらそう語る千影に不思議なものを覚える。 さっきまでは殺人鬼だったのに、まだ疑心暗鬼は完全に直ってもいないのに、どういうわけか頼りがいがあると感じてしまう。 自分の違和感が可笑しくて、思わず口元を歪めてしまうのだった。 「……唐突だが、千影」 「……なんだい?」 「本当に脈絡ないんだが……あの手製の人形、何故だかとある誰かへの腹いせに燃やしたくなった。貸してくれ」 もちろん、断られる。ついでに半目で睨み付けられる。 そんな日常を進んで演じながら、武は心の奥にある違和感の正体を掴めなかった。 結局、違和感の正体は分からないまま……それが今後どう転がるのか、それは誰にも分からない。 【G-6 マップ中央/2日目 朝】 【倉成武@Ever17 -the out of infinity-】 【装備:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に祭、スタングレネード×2、貴子のリボン(右手首に巻きつけてる)】 【所持品1:支給品一式x3、天使の人形@Kanon、バール、工具一式、暗号文が書いてあるメモ、バナナ(台湾産)(3房)】 【所持品2:C120入りのアンプル×7と注射器@ひぐらしのなく頃に、折れた柳也の刀@AIR(柄と刃の部分に別れてます)、キックボード(折り畳み式)、大石のノート、情報を纏めた紙×2】 【状態:L5緩和、頭蓋骨に皹(内出血の恐れあり)、脇腹と肩に銃傷、女性ものの服着用】 【思考・行動】 基本方針:つぐみと合流し、ゲームを終わらせる 0:突然訪れた喪失感に対する不安 1:咲耶との約束の履行のためにも、千影を守る 2:つぐみや美凪、アセリアを心配 3:自分で自分が許せるようになるまで、誰にも許されようとは思わない 4:L5対策として、必要に応じて日常を演じる 5:ちゃんとした服がほしい 6:高嶺悠人が暴走した事に対する危機感 【備考】 ※C120の投与とつぐみの説得により、L5は緩和されました。今はキュレイウィルスとC120で完全に押さえ込んでいる状態です。 定期的にアンプルを注射する必要があり、また強いストレスを感じると再び発祥する恐れがあります。キュレイの制限が解けるまでこの危険は付き纏います ※前原圭一、遠野美凪の知り合いの情報を得ました。 ※救急車(鍵付き)のガソリンはレギュラーです。現在の燃料はごく僅かです。何時燃料切れを起こしても、可笑しくありません。 ※キュレイにより僅かながらですが傷の治療が行われています。 【千影@Sister Princess】 【装備:トウカのロングコート、ベネリM3(4/7)、12ゲージショットシェル96発、ゴルフクラブ】 【所持品1:支給品一式×11、九十七式自動砲の予備弾95発、S W M37 エアーウェイト弾数0/5、コンバットナイフ、タロットカード@Sister Princess、 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×7 9ミリパラベラム弾68発】 【所持品2 トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・染髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】 【所持品3:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、デザートイーグルの予備弾92発】 【所持品4:銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルト80、キャリバーの残弾は50)、 バナナ(フィリピン産)(5房)、各種医薬品】 【所持品5:包丁、救急箱、エリーの人形@つよきす -Mighty Heart-、スクール水着@ひぐらしのなく頃に 祭、顔写真付き名簿(圭一と美凪の写真は切り抜かれています)情報を纏めた紙×1、永遠神剣第六 位冥加の鞘@永遠のアセリア -この大地の果てで-】 【状態:洋服の上から、トウカのロングコートを羽織っている。右肩軽傷、両手首に重度の擦り傷、左肩重傷(治療済み)、魔力残量微量、悲しみ】 【思考・行動】 基本行動方針:罪無き人々を救い、殺し合いに乗った者は倒す。 1:武と共に行動し、ゲームを終わらせる 2:アセリアと合流して、悠人への対処法を考える 3:また会う事があれば智代を倒す 4:永遠神剣に興味 5:北川潤、月宮あゆ、朝倉純一の捜索 6:舞を何とかしたい 7:つぐみ、美凪、アセリアを心配 8:高嶺悠人が暴走した事に対する危機感 【備考】 ※四葉とオボロの事は悠人には話してません ※千影は原作義妹エンド後から参戦 ※ハクオロを強く信頼。 つぐみ、美凪、武も信用しています ※不明になっていた人形と服はエリーの人形とスクール水着でした ※これからの目的地は『ホテル』『海の家』が候補としてあがっていますが、他の場所でも構いません ◇ ◇ ◇ ◇ ひゅー、ひゅー、今度こそ悠人の口から空気が漏れる。 油断したことに対する反省もなければ、出し抜かれたことに対する憤りもない。ただ人形のように悠人は歩き続ける。 やられた、と。使う予定ではなかったタイムアクセラレイトの行使により、彼の身体は再び不安定な状態に戻らされた。 「………………」 残りの魔力は自身の存在を固定することと、傷の治療に当てる。 早急にマナ補給が必要だ。そのためには、あの青い妖精を貪り尽くさなければならない。あれはまさに極上だった。 触れているだけでマナが流れ込んでくるほどの魔力量。アセリアを殺せば、きっとマナ不足に悩まされることはないはずだから。 日本刀は血に濡れている。 これは先ほど殺した少女の血。『時詠』の力を使い、その刀で切り刻んだ。容赦なく、躊躇なく命を奪ってきた。 即死だっただろう。涙すらもう流れない。悠人の心は奥深くへと封じられた。諦観と絶望の波を漂って。 悠人は進軍する。目的地は特に決まっていない、ただアセリアを捜し求めて。 本能と僅かに残った理性、その二つがアセリアを求めている。 マナを寄越せ―――――永遠神剣の本能がそう命じる。 殺してくれ―――――最後に残った理性が、ただ唯一の願いを心中で呟いた。 【G-6 マップ左上/2日目 朝】 【高嶺悠人@永遠のアセリア -この大地の果てで-】 【装備:永遠神剣第三位"時詠"@永遠 のアセリア-この大地の果てで-、スタングレネード×2】 【所持品1:支給品一式×5、バニラアイス@Kanon(残り6/10)、暗視ゴーグル、FN-P90の予備弾、電話帳】 【所持品2:カルラの剣@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、竹刀、トウカの刀@うたわれるもの、ベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15+1)、懐中電灯】 【所持品3:単二乾電池(×2本)バナナ(台湾産)(1房)、投げナイフ2本、ミニウージー(25/25)】 【所持品4:手術用メス、パワーショベルカー(運転席のガラスは全て防弾仕様)】 【所持品5:破邪の巫女さんセット(弓矢のみ10/10本)@D.C.P.S.、乙女と大石のメモ、乙女のデイパック、麻酔薬、硫酸の入ったガラス管x8、包帯、医療薬】 【状態:疲労大、魔力消費極大、左肩と脇腹と右太股に銃創、肋骨数本骨折、数本に皹、内臓にダメージ、暴走】 【思考・行動】 1:全ての生物を殺して、マナを奪い尽くす 2:アセリアを優先的に狙い、マナを搾取する 【備考】 ※バニラアイスは小型の冷凍庫に入っています。 ※悠人の身体は、永遠神剣の本能に支配されています ※悠人本人の意識は僅かに残っていますが、身体には一切干渉できません ※パワーショベルカーの窓ガラスは、一部破損しています ※暴走悠人の身体能力は、時詠にマナを注ぎ込めば注ぎ込む程強化されます。 つまり、マナが切れ掛けている今の状態では、カルラの大剣を振り回したりするのは、まず不可能です。 ※魔力持ちの相手を殺せば、マナを回復させる事が出来ます(回復量は、相手の魔力量に比例) ※暴走悠人は時間経過と共にマナ回復しますが、神剣を持っている限り回復したマナは吸われていきます。 ※悠人とアセリアは身体をマナで構成しているため、マナ回復できれば傷の治癒も可能です。 ◇ ◇ ◇ ◇ (ああ……負けたんだ……) ぼんやりと、私は思い出す。私が繰り出した大鉈は悠人の首には届かなかった。 瞬きをしたつもりもなかった。捉えた、と思った瞬間に悠人の身体は視覚から消え失せてしまった。 それを疑問に思う暇もなく、この身体はズタズタに切り裂かれた。 血溜まりはさらに広がっている。もはや何をしようと助からない。とはいえ、こんな致命傷でも即死しない私は、重ね重ね化け物だ。 だけど、そのキュレイもさすがに打ち止めらしい。 日の光、紫外線が私の身体を炙っている。吸血鬼もこんな気分なんだろうか、と意味のないことを漠然と考えてしまった。 もう、指一本まともに動かない。17年前はあんなに遠かった死がひどく身近に感じる。 (まったく……皮肉なものよね……) 死のうとして、生き抜いて。生きようとした途端にこうして死ぬ。 これが運命だとしたらあまりにも馬鹿馬鹿しい。そんなひどい話が現実にはいくらでも転がっている。 ああ、あの子たちは大丈夫だろうか。私がいなくても強く生きていけるだろうか。 いや、きっと大丈夫。私がいなくてもあの子たちは強く生きた。 きっと悲しんでくれるだろう。だけど、大丈夫。武がいるんだから。私の代わりに必ず、この悪夢を終わらせてくれる。 このまま追憶と走馬灯に身を任せていよう。それが私に許された最後の望みなんだから。 「……あ、れ……?」 目を閉じようとしたけど、私の視界の端に何かが移った。 大鉈はすでにバラバラに破壊されている。あれを無意識に盾にしたのだけど、容赦なく私ごと破壊されてしまっているらしい。 違う、私の気を引いたのは……黒い四角の物体。それはそう、確かに見たことのあるもの。 「あ……」 武のPDAだ。デイパックの中ではなく、私の服の中に入れていたもの。 それが悠人の攻撃による衝撃で吹っ飛んでしまっているらしい。本当にすぐ近くにある。普通に手を伸ばせば届く場所に。 だけど、ダメなのだ。もう指一本だって動かせない。それに意識を費やしていたら、最後に許された走馬灯すら放棄してしまう。 見れば当の昔に壊れてしまっている。それは何の意味もない。さっさと目を瞑って、ほんの少しの安らぎを手に入れたほうがいい。 「……でも、そうね……悪くないかも」 私は笑っていたと思う。よほど私は毒されていたらしい。 最後に自然に与えられる安らぎよりも、自分自身で掴み取る幸せのほうを握りたい。たとえそれが、無駄だとしても。意味がなくても。 もぞもぞ、と指を動かした。その間にもじりじりと太陽の光が私の命を削っていく。血が抜けて私の体力は奪われていく。 それでも、私は私自身の力をもらって戦っていた。 「っ……っ……っ……!」 もうまともに身体も動かせないのに。 もぞもぞ、と全身全霊を振り絞って、持てる力を使い切って、ようやく腕が動く程度。指一本だって全力だ。 届くはずがない。指が精一杯だなんて届くはずがない。理論的なかつての私か諦めろ、と囁くのにも関わらず。 痛い、悲しい、苦しい、辛い。 やがて私の目が用を成さなくなってくる。視界が暗転し始め、私は涙が出てきそうになった。もう枯れ果てたと思った雫が頬を伝う。 待って、待ってほしい。せめて、それに手が届くまで消えないでほしい。 (届けっ……届けぇ……!) 持てる全ての力を振り絞って、たかが機械ひとつに腕を伸ばすなんて愚かだろう。 そうしている間にも寿命は刻一刻と消えていくのに。暴力的な力に身を任せた私は決して諦めようとしない。 必死に願いながら手を伸ばす。真っ直ぐに、私は最後まで決して諦めない。武や純一のように、一途にそれに手を伸ばす。 そしてようやく、心が其処に至ったような気分になって。 その手が、ちょっと血塗れになってしまっているその手が、武のPDAに触れる感触。続いて、それを掴み取った満足感を手に入れた。 「ああ……」 たったそれだけの行為で、寿命は半分に減ってしまったけど。 その代わり心はきっと満たされた。手の感触が嬉しかった。 目が見えなくなった。もう真っ暗な闇と、そしてじりじりと照らす白しか分からない。だけど、胸に抱いた希望は決して離さなかった。 じりじり、と。しつこいぐらいに私の焼くのは紫外線。 無遠慮な日光は私にとって地獄の業火のようなもの。それでも、自分の手で掴み取った幸せは温かだった。 「……あは」 最後の力で僅かに首を上げる。 これが本当に最期の最後、皮肉めいた笑みを浮かべて太陽を見据える。 武なら、純一ならきっとやり遂げてくれるだろう。そんな願いを込めながら。 「本当……憎らしいほど、素敵な朝日……ね」 無限は今、終焉を迎えた。 静かに私は瞳を閉じる。幸せを胸に抱き、勝ち取った希望の温もりを感じながら。 カナカナカナカナ…… 静寂の中にひぐらしの鳴き声が届いた。 永遠はここに、終末を迎えたことを認めるように。あるいはそれを憤るように。もしかしたら、それを悲しむかのように。 【小町つぐみ@Ever17 -the out of infinity- 死亡】 184 the end of infinity(前編) 投下順に読む 185 どんなときでも、ひとりじゃない 184 the end of infinity(前編) 時系列順に読む 185 どんなときでも、ひとりじゃない 184 the end of infinity(前編) 倉成武 189 求めのアセリア/Lost Days(前編) 184 the end of infinity(前編) 高嶺悠人 189 求めのアセリア/Lost Days(前編) 184 the end of infinity(前編) アセリア 189 求めのアセリア/Lost Days(前編) 184 the end of infinity(前編) 小町つぐみ 184 the end of infinity(前編) 千影 189 求めのアセリア/Lost Days(前編) 184 the end of infinity(前編) 遠野美凪 195 覚醒、決意、そして……アサクラジュンイチ(前編)
https://w.atwiki.jp/moikomi/pages/29.html
《ユートピア》→《ユートピア》の国債 定義 区別 《ユートピア》と国債 http //oshiete1.goo.ne.jp/qa3367160.html 日本の国債の債権者は、どのような人たちなのでしょうか。 -- http //www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/saimukanri/2005/saimu02b_12.pdf ## http //www.nochuri.co.jp/report/pdf/f0606dki.pdf -- 公的部門(郵貯、簡保、財政投融資、政府系金融機関など)が50%近くを持っているそうです。 日本国債 保有者でググルと次のようなサイトに当ります。 http //www.mof.go.jp/singikai/saimukanri/tosin/ksk151125_s07.pdf http //www.yuichiro-itakura.com/archives/2005/08/22-0640.html http //www.yuichiro-itakura.com/archives/2005/08/22-0640.html 日本政府の借金=国債は、一体誰が保有(=誰が政府に対する債権者)しているのか・・・ 国債発行残高は、およそ740兆円。 国家予算のおよそ10倍!です。 公的部門(郵貯、簡保、財政投融資、政府系金融機関など)の保有は、 なんと、45.1%! その中で、国債残高全体の22.4%が、郵貯&簡保による保有です。 また、民間金融機関の保有は、37.2%。 個人や一般企業、などがその他ってことです。 たけ(tk)の借金は100億円です、その債権者のうち、99億9999万円の債権者はたけ(tk)です。って??。たけ(tk)の借金は100万円ありますが、その内の50万円の債権者は、たけ(tk)自身であり、49万円はカーちゃんです。てなかんじか? 金本位制ではないので、日銀は自由に通貨を発行して、国債を償却できる。円による貿易取引を増大させれば、円の需要が増えて、通貨供給量を増大させてもOK。 GDBを増大させれば、GDBの中での国債の割合が減る。景気が良くなればGDBが増えるので、問題なし。景気対策のほうが重要。 外国が債権者だと厄介だが、円建てであれば同じこと。 本当に債務といえるのは、外貨建で借金をしている場合だけ。 http //www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/790.html 「ここまで読んで、不良債権とか、財政危機、とかこの数年(マスコミに)騒がれていること、って大したことじゃないはずだなあ、という感想です。だって、いざとなれば、日銀に国債を買ってもらって、「国債サイクル」を繋げば良いわけだし、60年かけて、穏やかなインフレを継続する政策を取りながら、ボチボチ、ボチボチ、返していけばいい訳だし。足りないところは、明示的でない国債や財投債のなかで、資金を融通すればいいわけで、じゃ、この財政危機騒動は、なんだったのかしらん。」 -- 毎年35兆円を超える赤字財政支出を日銀の支援を受けながら維持してもなお「デフレ不況」が続いているというのは、日本が高い生産性と国際競争力を誇る産業国家であるが故です。 それは同時に、経済活動を通じて獲得した利益(付加価値の一部)が、固定資本形成や消費に使われず、株式を含む金融取引に使われる“余剰通貨”になっていることを意味します。 ざっと言えば、日銀が買い支えていない20兆円ほどの赤字国債は、 固定資本形成や消費に自主的には使われないためにわざわざ政府は借り入れをして代わりに使われているとか、 固定資本形成や消費に自主的に使われないことで陥っている税収不足を補填するために政府が借り入れせざるを得なくなっているものです。 お金が偏って淀んでいるために流通しない現状を政府が借り入れをしてなんとか補っているのが日本です。 このような財政政策がこの10年間で中央政府の債務を500兆円も積み増しし、いわゆる「財政危機」と呼ばれる現実を生み出しました。 そして、「財政危機」の叫び声は、ただでさえ余裕のない低中所得者の公的負担増政策を正当化する呪文となっています。 -- 日本企業が自己利益にこだわれば、海外から得た収益(経常収支の黒字源)を日本円に転換せず海外で外貨のまま保有する可能性もあります。 こうなると輸入決済も思うようにならず、政府が外貨建て国債を発行して国際決済資金を調達する事態にもなりかねません。 (外貨で借り入れをすればその外貨で利払いや元本返済をしなければなりませんから、国民生活が窮乏化しても輸出で外貨を稼ぐことを強いられるようになります) -- 政府は、まず、低中所得者減税を行い、年金給付率維持(60%水準)を確約する政策をとる必要があります。そして、財政支出を田中長野県知事(新党日本代表)が言っているように、土地や鉄鋼・セメントの購入を押さえ人的活動により多く回す政策を採らなければなりません。(鉄鋼やセメントは輸入原料を除けば人的活動に支出することになりますが、土地の購入は既に“余剰資金”を持っている人にお金を回すことになる場合が多いからです) -- 「デフレ不況」は天災ではなく人災ですから、それを克服できなかった(しなかった)政府のすべての責任です。 http //www.asyura.com/2002/hasan10/msg/203.html 「景気の回復」が“国債不安”を生じさせるというパラドックス -- 「景気の回復」が“国債不安”を生じさせるというパラドックスは、それを“逆手”に取って、先行的にインフレ誘導策をとって景気を回復させるという政策の可能性を示唆するものである。 緩やかな金利上昇と「低中所得者減税」が、「デフレ不況」を脱却するための一つの方策なのである。 金融政策と税制変更は、財政支出による景気対策と違って、基本的に財政コストがかからないものである。 国債に関しては、いろいろな詐欺的手口が残されている。 日銀がぼちぼち引き受けて、永遠に持ちつづければ問題なし。金融政策の責任者である日銀が、日本の経済を破綻させてまで、返済を迫るはずがない。 日銀がぼちぼち引き受けて、ぼちぼち債務免除をしていくと、日銀が通貨供給量を増やしたのと同じような結果になる。((それをすると日銀の金融政策に悪影響が生じるという指摘もあるが、その程度の影響だし、金融政策の範囲内で償却してしまえば問題ない))。 GDBが増えれば、国債のGDBに占める割合が減るので、国債発行残高が減ったのと同じ結果になる。 通貨発行権を有する国が、自国通貨で、自国民に国債を発行した場合には、家計における借金とは全く異なった捉え方が必要。 自国通貨で、他国民に発行した場合には、不安定になる。為替レートで調整されることになる。その国の通貨の信用の問題が生じる。 他国通貨で発行した場合には、家計における借金と同じ問題が生じて、破綻する。自国通貨の信用がなくなると、他国通貨で発行せざるをえなくなる。((アルゼンチンの円建て国債が破綻した:http //www.asyura.com/2002/hasan8/msg/180.html))。 なんで普通の借金と異なるのか? 一言で言えば、通貨発行権を有する国家による借金だから、かな? もともと、通貨というのは国家の借用証だから、通貨そのものが国債と同じ性質を有する。 違うのは、通貨は国家機関のうちの日銀が発行し、国債は国家機関のうちの政府が発行する、という国家機関内部の取り扱い部門が違うだけ。 通貨発行に比べて(金利)コストが高いから、あとで影響が大きくなる。 家計での借金とのアナロジーで感じられるほどの悪影響はない。 似たような悪影響は在る。新規国債の引き受け手がなくなる。国債の発行ができなくなる。緊縮財政や大増税が必要になる。 国債問題を他に転化することはできるが、他に転化すれば、他で問題が生じてくる。悪性インフレ(通貨需要を超えた通貨供給によるインフレ。商品需要が商品供給を上まわる事によるインフレが普通のインフレ)、円の為替レートの下落・暴落/ソフトランディング、・・。 解消方法には 踏み倒し。 増税・緊縮財政 日銀引き受け。国家機関や統制下に在る金融機関の引き受け。(1)破滅的な払戻請求はしない。(2)通貨供給にからめて債権放棄をさせれば減る。 GDB拡大。景気浮揚。内需拡大。・・GDB(形式的GDBでよい)が増えれば、(1)相対的な大きさが減る。(2)税収が増えるので償却しやすくなる。もちろん、その時点でさらに国債を発行するような欲ボケ政策を取ればアウト。 http //72.14.235.104/search?q=cache fFC8hebch_kJ rdarc.itakura.toyo.ac.jp/webdav/hisamatsu/public/Macroeconomics/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%EF%BC%A9%EF%BC%A9_1.ppt+%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6+%E5%9B%BD%E5%82%B5 hl=ja ct=clnk cd=59 client=opera 表5-2 代表的な政策手段 外国為替市場への介入 マネーサプライの調整(増減) 金利調整(上げ下げ) 金融政策 政府支出の調整 税の調整(減税や増税) 財政政策 マクロ経済政策=財政政策+金融政策 財政政策とは、 政府の支出額や税を調整することでマクロ経済に影響を及ぼそうとする政策。 財務省が担当。 金融政策とは、 金融市場や外国為替市場に働きかけて金利や為替レートを通じてマクロ経済に影響を及ぼそうとする政策。 日本銀行が担当。 思うに、財政・金融政策というのは、血圧、脈拍、造血量の調整のようなもの。たしかに、健康の指標になるし、その調整が健康の維持・増進に役にたつこともあるが、もし、それだけで健康を診断し、維持し、改善し、病気を治そうとする医者がいたとするなら、明らかにやぶ医者だと言わなければならない。《ユートピア》とマクロ経済。 中央銀行の資産残高のGDBにたいする割合の数値目標税が必要? ○: http //www.nochuri.co.jp/report/pdf/f0606dki.pdf、図表2:日銀バランスシートに占める国債シェア、日銀資産合計、右目盛。 日銀に対する税金を増減させる。 無限に増加させてしまうと、治外法権の巨大権力に成長してしまう。 ×:。 《ユートピア》でも国債の発行って在るの? ○:。×:。