約 2,051,596 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/13016.html
登録日:2011/01/18(火) 02 02 11 更新日:2024/09/22 Sun 12 27 54NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 からくりサーカス ばあ… オートマータ コメディアンブレイカー ネタバレ項目 フランシーヌ 人形 母性愛 涙腺崩壊 真夜中のサーカス 笑顔 自動人形 芸人殺し からくりサーカスの登場人物。 錬金術を極めた男、白金が病に倒れ死んだ最愛の女性フランシーヌの代わりとして作り上げた自動人形。 デザインはまんまフランシーヌで、身体の殆どが後代の技術者をうならせるほどの技術で作られているが、髪のみ白金が白銀から受け取ったフランシーヌの遺髪を使っている。 他の自動人形と違い、体内に生命の水が流れている為、非常に人間らしく動くことができる。呼吸機能まで作られている。 しかし狂っている白金によって作られた上に間もなく放棄され為、人間の情や道理を知らずに長い時を過ごすことになった。 極めて人間に近いが、どんな手段をもっても微笑むことができなかった為、笑顔が印象的だったフランシーヌの代わりになれないと放棄された。 しかしその件がきっかけで、笑うことができれば造物主が戻ってくるという目的を得る。 目的を完遂する為に、造物主が残した書物等から錬金術を学び、生命の水を模した擬似体液を作り出して最古の四人を再起動させ、真夜中のサーカスを結成して笑う方法を求め旅立った。 【演目】 真夜中のサーカス結成までについては前述の通りである。 しかし旅を続けるうちに見つからない造物主と果たせぬ目的に疲れを感じ、自らの消滅を願うようになる。 その為自分の代わりとなるフランシーヌ人形を作り上げて「真夜中のサーカスの自動人形達を導く」という任務を託し、自らを分解してくれる技術を持つ東洋の人形職人を探して旅立った。 (この偽フランシーヌ人形はその後も任務を続け、サハラでの決戦でフランシーヌ人形の抱えていたジレンマに気づきながら機能停止し鳴海に破壊された。) 明治42年、彼女は東京にたどり着き、そこでしろがね用の操り人形を作る才賀機巧社の社長である才賀正二と出会う。 彼に分解を依頼するが、正二は自分が直接に真夜中のサーカスに苦しめられた者ではない為、その資格はないと、クローグ村の惨劇の当事者であるアンジェリーナに引き渡すまでは破壊しないことにしたので、彼によって人間以下の身体能力にデチューンされる程度にとどめられる。 その後、正二と共に身重のアンジェリーナが静養している黒賀村に到着するが、到着したその時にアンジェリーナが産気づく。 どさくさで出産騒ぎに巻き込まれるが、そこで初めて生命の誕生と、自分を犠牲にしてでも赤ん坊を産もうとする母の自己犠牲の態度を目の当たりにする。 そして誕生の際には産声をあげない赤ん坊(生まれた赤ん坊は泣かないと呼吸を始めることができない)の尻を叩き、産声を上げさせた。 それから生まれた赤ん坊、エレオノールの面倒を見るうちに彼女の成長を見届けたいと願うようになる。 (元ゾナハ病患者であるアンジェリーナもギイも自動人形への憎しみがないわけではないが、彼女のエレオノールへの真摯な態度から破壊しないことにしている) その後、策略で村を襲った自動人形達を留めようと命令するが失敗(後に分かるが、この時の自動人形は真夜中のサーカスの者ではなかった為)、アンジェリーナからエレオノールを託されて逃走する。 人間以下の身体能力の為、片足を破壊される等苦戦しながらも逃走し続ける。その途中で黒賀村で過ごした日々で人間と触れ合った事を思い出し、「もう自分が笑う事は無いんだ」と思うようになる。 しかし逃走中、誤って井戸に落ちてしまう。 その時エレオノールの体内にあった柔らかい石(賢者の石)が反応し、井戸の水が生命の水に変換されてしまう。 全てを溶かす生命の水にエレオノールが溶けないよう彼女を抱え上げ、怯えないようにエレオノールにべろべろばあする。 笑い返したエレオノールを見て、自分が生まれて初めて微笑みを浮かべていることに気づくことなく水の中に沈み、井戸の底を割って生命の水を流し出した後に完全に溶け去った。 このシーンはからくりサーカスでも五指に入る名最期 泣き回である。 彼女が溶けた生命の水をエレオノールが飲んだことにより、エレオノールはフランシーヌ人形の記憶と、オリジナルのフランシーヌの記憶を受け継ぐこととなった。 カーテンコールでは赤ん坊エレオノールを抱きながら正二やアンジェリーナやギイと共に笑っている。 ちなみに彼女が微笑むシーンは連載時にはカラーで掲載されたが、コミックス収録の際には白黒で収録され、ファンを嘆かせた。 【主な台詞】 「どうか私と来て…私が笑える方法を共に見つけておくれ。」 「どこに行こうとも、造物主は見つかりません。自動人形が人間に苦痛を与えているのを見ても、私はただ笑えぬまま……」 「私は、この世から消滅しようと思います。」 「そうですか…人形は…『罪』なのですね…」 「造物主様!!私が笑えないのがお気に召さないのであれば私は笑うことを学びますから。だから私を一人でこの菜の花畑に置き去りにしないでください。私を棄てないでください。雨が叩き風が唸る夜に、私を一人で朽ち果てさせないでください。私には造物主の御命令が必要なのです。」 「私は…貴方達人間でいうところの、『疲れて』しまった…」 「自動人形達は、常に私を笑わせようとしてくれる。でも私は、きっと百年たっても-」 「笑えることはない。」 「では…人間は…人間を自分の体内で創り出すのですか!」 「エレオノールが……今朝…私の指を…にぎったのです。」 「あんなに小さい指…あんなに…弱い…力で……あんな感触は…初めてでした…」 「でも、私はいつも感じていました。『私には大切な中心の歯車が欠けている』…と。」 「それが、どういう物かは自分でも、よくわかりませんが……それさえあれば私は何かになれる気がして……」 「でも、あの子の前では、そのようなことはどうでもよく思えてきます。」 「エレオノールは、私が機械だろうと人間だろうと関係なく泣き、わめき、そして私の指をにぎってくれました。」 「エレオノールの前でなら私は、ようやく別の何かになれそうな気がするのです。」 「そうだ…私がしてきたことも造物主様がしたこともまちがいだ」 「多くの人間を殺し、苦しめてきた……」 「人間は皆たくさんの過程を経て、成長してきたものなのに。」 「私はなんという恐ろしい存在だったのか…」 「でも、あの人間達は、私にエレオノールを託してくれた!こんな人形を……信じてくれた!」 「だから…私は、それに応えたい!死なせない。エレオノールは。」 「この子だけは私が、守ってみせる!」 「造物主様に会うためにではなく、自分で一度くらいは『笑って』みたかったけれど……今は、自分のことよりも、この子が大事!」 「神様!私は人間になどなれなくていい!」 「笑って…くれたのエレオノール…?こんな恐ろしい人形に…?」 「ほ…ほら、エレオノール…べろべろ…」 「ばあ……星が見えるわ…なんて、いい気持ち。」 そうさ…おまえはエレオノールを見捨てて逃げたりはしないさ。 全てを溶かす「生命の水」の中で、おまえは最期までエレオノールを守り通したんだよな。 「私には大切な『歯車』が欠けているような気がします。それがどういう物かはわかりませんが。それさえあれば、私は何かになれる気がして……」 井戸の底が割れている… ここから「生命の水」が流れ出て、エレオノールは溶けずに済んだんだ。 何度も打った跡がある…… 非力な腕で…最期の最期まで…エレオノールのために…… ……おまえの欠けた「歯車」は、埋まったのか…? おまえは、何かに、なれたのかい…… なあ、フランシーヌ……… △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ギイのフェイスレスに対する怒りはフランシーヌ人形の分も含まれてるんだろうな -- 名無しさん (2013-09-04 18 22 39) 涙腺崩壊ポイントだらけのからくりサーカス中でも、一、二を争う退場シーンだったな…… 誰かを笑わせてあげたいって心の底から思った時に初めて笑顔になることができた、その姿に涙が出た -- 名無しさん (2013-09-14 04 28 15) 感動的な最期だが、鳴海の事を考えると素直には感動出来なかったなあ…。 -- 名無しさん (2014-09-07 23 48 49) そのへんも含め悲劇の絡みあいだよね -- 名無しさん (2014-09-20 00 15 35) 個人的にべろべろばぁの後も、井戸に穴を空けたことでさらにやられた。 -- 名無しさん (2014-10-04 21 05 17) べろべろばぁはホントに卑怯。今思い出しても泣けてくる。 -- 名無しさん (2014-10-17 05 43 46) 無粋なことを言うようだが、デチューンされたフランシーヌ人形の力でエレオノールが溶けきる前に穴を空けられるものだろうか?それとも、井戸ってけっこう穴開けれるくらい薄くか脆く作ってあるもんなのか? -- 名無しさん (2014-12-08 13 29 29) 火事場の馬鹿力ってやつだな。 -- 名無しさん (2014-12-08 18 06 18) 強い思いがスペックや技量の低さを凌駕するのはからくりの定番だしね -- 名無しさん (2014-12-08 22 37 51) なぜか昔の歌「フランシーヌはおバカさん」を思い出した。 -- 名無しさん (2014-12-12 09 31 28) 個人的にだけど、べろべろばあは一回目が一番涙腺に来る。二回目は美しいって気持ちのほうが強いんだよねー。 -- 名無しさん (2015-01-07 15 02 07) 出力が人間以下でも痛みもなく素材も人間より硬いわけだからまぁ…そこは気にしてはいけない -- 名無しさん (2015-05-13 04 55 07) 自分はもう笑えないんだ(絶望→べろべろばぁ(´∀`*)ぐう泣ける -- 名無しさん (2015-11-09 21 55 43) ギイとのやり取りが好きだったなぁ、あのまま成長してればエレオノールの良い姉貴分になりそうだと思った -- 名無しさん (2018-03-05 13 54 52) 人間としての情緒があまりにまとも過ぎて笑うことができなかったというのが皮肉だよなぁ。そりゃあんな心根がド腐れてる造物主の趣味に合わせようとしてたら、笑える訳ねえよ… -- 名無しさん (2018-03-12 15 10 29) 文庫だと色はつくだろうか -- 名無しさん (2018-03-12 15 35 25) 自動人形を活動停止させるんじゃなくて、代替えを用意して動揺が起こらないようにするって選択をしたのが疲れはあっても心は出来てない事が感じ取れるけど、人間側で見るとふざけんなってなるからやっぱなぁ -- 名無しさん (2018-03-14 13 43 50) あくまで我々は人間だ、だから人間の目線を優先する、言ってしまえば彼女らは人間に勝手に生み出され勝手に役割を与えられ勝手に捨てられた、そして役割を果たすために直向きに歪みそしてああなった、いわば人間が引き起こした事なんだよな -- 名無しさん (2018-10-03 13 39 30) 井戸の壁が生命の水で溶解してもろくなっていたと考えれば…ね? -- 名無しさん (2018-10-11 14 15 44) 笑う事ができたのか、別の何かになれたのか、最後まで文章では答えを出さないところがまたいい。これ以上なく絵で語りかけてくる漫画という媒体の真骨頂。 -- 名無しさん (2018-11-12 08 18 11) 作中でモデルになった人物含め、名前の元ネタはおそらくルネ・デカルトが娘の死を悼んで作らせた『フランシーヌ人形』と思われる -- 名無しさん (2021-04-18 19 01 08) つうか出力が人間以下にされてたって別に有機体じゃなく腕は金属製だし。非力な女性がスコップとか持ってるようなもんで、一発一発は非力でも疲れも手の痛みもないのなら、あとは気合でやれそうだよ。 -- 名無しさん (2021-05-30 11 02 41) 井戸の壁ってあくまで周りの土が内側に崩れて来ないように囲ってるモノだから見た目より脆いだろ 構造上はアーチ橋をぐるっと巻いたようなもんだから内側から外側に力を加えれば抵抗はそんなにない筈 -- 名無しさん (2023-10-10 00 57 44) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3826.html
117 名前:1/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 52 24 ID 3vzC0qwc しまったな……サイトは困り果てていた。 「サイト……お話して?」 どこか印象が幼く感じるようになったタバサに、気まぐれで地球産の童話を話したのが間違いだった。 「始めて聞く」 それはそうだろう。 聞いたことある方がびっくりだ。 タバサの驚く顔が面白くて、サイトはついつい頑張った。 うろ覚えのシンデレラは姉の数が少なかったし、 一寸法師におじいさんは出ない。 メーテルリンクの青い鳥に至ってはオチしか覚えていなかった。 それでも…… 「すごい……すごい、もっと……もっとお話して」 いつも無表情だと思っていたタバサの、子供の様な笑顔にサイトは覚えている限りの話を語った。 ……が、限界は結構直ぐに来た。 「ごめん……タバサ……ん〜、これ以上は思い出せないな」 「お話……おしまい?」 ね、捏造するか? 一瞬だけ悩むが、話を作るのに自信の無かったサイトは諦めた。 「ごめんな……」 タバサの残念そうな顔に、悪い事をしたかのような罪悪感がわく。 ペットのエサを買い忘れたまま帰宅したのに、 当のペットは『待ってました〜』と、玄関先で迎えてくれた時のような。 「……ご、ごめん……本当に、悪い」 サイトは一切悪くないのだが、怒られるのならルイズで慣れているサイトも、 しょんぼりする女の子には勝てなかった。 岩よりも重い沈黙にサイトが逃げ出す寸前、 今にも泣き出しそうな顔でサイトの足元を見ていたタバサが、勢い良く顔を上げる。 「……じゃ、じゃあ……ね」 「お、おう」 「も、もう一度……一度聞いたお話でいいから……」 ここで喜んで了解したのが間違いの元だった。 「あのね、今のお話……もう一度」 「じゃあ……前の前のお話……ダメ?」 実は既に俺より覚えてないか? サイトがそんな疑いを覚えても、話を止めようとする度に…… 「……おしまい?」 サイトの目には、へちゃりとつぶれた犬耳と、きゅーんとうなだれた尻尾が見える気がした。 「……あー、もうちょっとだけな?」 「うん♪」 いつの間にかサイトの膝の上で『おはなし』を楽しむタバサ。 サイトは目じりを下げながら、タバサを楽しませることに集中していたため…… ――――三日後、ルイズがグレた。 118 名前:2/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 52 57 ID 3vzC0qwc 「ろーなってんにょよー」 「ル、ルイズ、落ち着きなさいって、昼間っからお酒なんてっ」 仮にもガリア王からの逃避行の最中。 モンモランシーはルイズの豪胆さに驚きながらも、同級生の深酒を何とかして止めようとしていた。 「ほら、ね? タバサこの間まで大変だったんだから……ねぇ?」 「ら、らからぁ、みっかもがまんしたじゃにゃいっ」 キュルケから聞いたタバサの境遇に同情したルイズは、 『す、少しくらいなら……仕方ないわね』 渋々サイトを『貸し出す』事を黙認していた。 が、 「にゃんで、あんにゃに、べたべたするかぁぁぁ」 我慢も限界に達しているようだった。 サイトがタバサに構っている間、ルイズはサイトの側にいることが出来ない。 一度一緒に話を聞こうとしたが……数分で見ているのが嫌に成った。 そうなって来ると、ルイズがサイトといる時間が激減し、 その不満を素直に口に出来ないルイズは、着々とストレスを溜めていた。 「あー、ほら、もうちょっとの間だけ……ね?」 「わひゃってるわぉう」 ちっとも分かっていない様子のルイズを宥めながら、モンモランシーは溜息を吐いた。 ルイズもタバサも大切な友達。 モンモランシーの立場で出来ることは少ない。 ここ最近のルイズの様子は知っているし、 タバサだって物語のように自分を助けてくれた男の子に懐くのは当然だろう。 別人のように笑うタバサを守りたいし、 こんなに追い詰められたルイズは見たくない。 「わたしも人の事言えないわね……」 モンモランシーはギーシュの気分が少しだけ分かった気がした。 それぞれの理由があって、両方守ってあげたいのだろう。 ……まぁ、ギーシュの浮気性と同一視するのは少し乱暴だけれども。 ルイズの火照った顔を見ながら、モンモランシーは思索に耽る。 多分まったく気がついていないサイトに、警告くらいはしておくか。 おせっかいを自覚しながらも、三人に笑っていて欲しいと自分の我侭さに少し笑う。 「もんもん〜」 「なーに? ルイズ」 「はく」 ………… 「ちょっ、待ちなさいっ、こっち来なさいっ」 一行の中で比較的常識人なため、 この旅の間中、貧乏くじを引き続けている少女は、 今日もまた、他人の世話に明け暮れる。 119 名前:3/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 53 38 ID 3vzC0qwc 「そーゆーわけだから、少しルイズに優しくしなさい」 珍しく部屋の外でサイトを見つけたモンモランシーが、この時とばかりに詰め寄る。 サイトに一言も喋らせず、一息に言いたい事を言い尽くして満足したモンモランシーに対して、 話を聞くサイトの背中には、冷や汗が大量に流れていた。 「え……と、モンモン……あの……さ……」 「言い訳無用!! いい? タバサの相手もいいけど、ルイズを泣かさないようにね」 二股幇助としか取れないような言葉を残して、モンモランシーが立ち去ると、 ガサリと言う音共に、近くの茂みからタバサが現れた。 「……ごめんなさい」 「い、いや、タバサは悪くないって……俺が鈍いんだ」 久々に外に出たのは、タバサとの話の途中で話題になった『鬼ごっこ』や『隠れんぼ』の為だった。 地球に興味が無い様子のルイズと違い、サイトの話をうれしそうに聞くタバサに、 サイトは様々なことを話し始めていた。 「……どうするかなぁ」 サイトにとって昔の事を楽しく思い返す、思いのほか楽しい時間だったが、 ルイズを悲しませているのなら、サイトにとっては選択の余地はなかった。 「その……タバサ……あの……」 話を止めようとした時のタバサの様子を思い出し、サイトはぼそぼそとタバサに話しかける。 「ダメ」 やっぱりダメですか。 ルイズと、どうやって話すか悩み始めるサイトにとって、意外な言葉をタバサは続けた。 「ルイズと仲良くしなきゃ、ダメ」 「え?」 「ごめんなさい」 責任を感じたらしいタバサが、ペコリと頭を下げると後ろもみずに走り出した。 「ちょっ……タバサ?」 「待ってて」 色恋沙汰が苦手……そもそも上手く理解できないタバサは、頼りに成る親友に相談する。 殺そうとしても自分よりわたしを優先した人を、 自分を助けてくれたサイトを、 力の及ぶ限り助けたい。 そして、適うならば、魔法を使えない彼の杖になりたい。 そんなタバサにとって、自分がサイトの邪魔をしてしまった事は、 サイトやモンモランシーが思う以上にタバサを困らせていた。 「で、タバサはどうしたいの?」 そんなの胸の内を悟っている様子の親友は、タバサの単語を連ねた様な説明で容易く状況を把握する。 感謝しているとはいえ、心情的にはタバサの味方をしたいキュルケは、あえてタバサに意思を確認する。 言いよどむ様ならば、丸め込んでしまうつもりだった。 「二人に笑って欲しい」 サイトに惹かれている事を自覚し始めた少女の微笑みは、キュルケを黙らせるのには十分だった。 120 名前:4/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 54 10 ID 3vzC0qwc 「で、ヴァリエールの事をどれだけ知ってるの?」 酒場の片隅で顔に向かって灯りを向けられたサイトが目を細める。 ルイズのところに向かおうとするサイトを、キュルケが力づくでここまで引っ張って来たのだ。 「キュルケ、何の真似だよ?」 「いいから、きりきり喋りなさいっ!!」 右手がテーブルに叩きつけられる音に、酒場中の客がサイトに視線を集中させる。 「あなたがやったのよね?」 「って、何を?」 キュルケの射すくめる様な眼光に身を縮めるサイトを見て、キュルケはますます調子に乗った。 「あの子をあんなに女の子っぽくしたのは、だぁれ?」 「う……っ……いや……そのっ……」 実はキュルケは憂さを晴らしたいだけだった。 せっかく自分の得意分野で親友の役に立てると思ったのに。 タバサの望みは、自分ではなくルイズとサイトの仲を取り持つこと。 「どーして、そうなるのよっ」 「な、何がだよっ?」 キュルケの脈絡の掴みにくい行動に、サイトは非常に居心地が悪かった。 店に入った時は、店中の男達の羨望の眼差しに得意に成っていたが…… 今向けられるのは好奇の視線だけだった。 店の片隅で美人に詰め寄られる少年。 ――どう見ても浮気の釈明中です。 苦笑と冷やかしの視線が痛い。もっとも半分は 『なんでこんなのが、こんな美人捕まえて、しかも浮気? 何か間違えてないか?』 そんな視線だったが。 散々迷走した挙句に、少しだけ冷静さを取り戻したキュルケが、サイトに質問をぶつけ始めた。 「ヴァリエールの機嫌を取りたいのよね?」 「はい……」 「で、あの子の喜ぶこと何か知ってるの?」 ……あれ? サイトは少し悩んだ後、真っ白になった。 ルイズの為とか、ルイズが好きだから…… そんな事を言いながら、自分はさっぱりルイズを喜ばせることを知らない。 側に居るだけでルイズが喜んでくれる等と言い切る自信はサイトには無かった。 ルイズに自分は何か返せているのだろうか? サイトはキュルケの問いに返事が出来ない自分を恥じた。 「ご、ごめんなしゃい」 「プレゼントの一つもしたことないわけ?」 「あ、それは有ります」 すっかり小さくなったサイトは、ついつい敬語で答えてしまう。 「で、あの子は何を喜ぶの?」 「……分かりません」 「なってないわね」 「申し訳ございません」 タバサの事を一から仕込みたい! キュルケが誘惑に耐えながら、サイトのダメなところを挙げていく。 冷やかしていた周りの客が、あまりの落ち込みようにサイトに同情を始めた頃。 『ルイズの為に何でもさせていただきます』 サイトはキュルケに絶対服従を誓っていた。 121 名前:5/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 54 53 ID 3vzC0qwc 「お願い」 キュルケがサイトを躾ける間、タバサの方でルイズの足止めをするように。 そう指示されたタバサは、しばらく途方に暮れた後、 「はぁーい、おねえさま、シルフィにおまかせっ」 最悪の選択をしていた。 何を頼まれていたのか既に忘れていそうなテンションでサイトを探し始めるシルフィードをタバサは心配そうに見つめるが、 「わたしはルイズに会えない」 言われるまで気付かなかったとはいえ、ルイズが自分を優先してくれたのがうれしかった。 サイトとの楽しい時間はとても大切だったから…… それを気遣い、守ってくれたルイズにどれほど感謝すればよいのか分からない。 そして、だからこそ…… 「今……会えない」 涙で視界が滲む。 ルイズの優しさが痛かった。 妬いてしまうとはいえ、サイトの側に人が居ても許せる自信が悲しかった。 「あなたになりたい」 サイトに想われる彼女に、今会うのは辛すぎる。 感情を押し殺した表情の下で、見えない何かが荒れ狂う。 ほんの少し前まで、何が有ろうと怯まなかった少女が、 自分の奥に芽生え始めているものに怯え、 「ごめんなさい」 復讐に燃えていたときには決してとらなかった道を進む。 胸の疼きを押さえながら、タバサはルイズから逃げていく。 122 名前:6/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 55 30 ID 3vzC0qwc 「じっかん〜、じっかん〜、時間を稼ぐのー、きゅいきゅいっ」 シルフィードはご機嫌だった。 タバサと合流して気がかりの無くなった彼女は、純粋に話が出来るのが楽しかった。 風韻竜はその長寿と引き換えに出生率が低い。 個体数が少なくとも生き延びることが出来る生命力と、生まれた子供が成竜になる割合が高いからだが、 「お話、おっはなっし、た〜のし〜の〜」 長い時を一人で生きるのは寂しい。 同世代の同種すら希少な彼女にとって、タバサと知り合ってからの毎日は楽園だった。 「お姉さまも楽しそうだし、シルフィもうれしいのっ。 人の身体は窮屈だけど、こんな毎日なら別に少しくらいは我慢するのー」 タバサの側に長く居たシルフィードは、タバサの心が癒えていくのを無意識に悟り、 それがまた彼女の喜びになった。 タバサの事をタバサ本人よりも気にかけている使い魔にとって、 この一年で始めて全てがうまく行っている…… そんな実感に溢れていた。 「あー、ギーシュさまだ、やほー」 「元気が良いな、シルフィード」 ギーシュはシルフィードのことを知っても、『面白いじゃないか』の一言で全てを済ませていたし、 他の者が辟易して逃げ出すシルフィードとの会話も、我慢強く付き合った。 実は女の子と話をするのが好きなだけだが、聞き上手と言うのは得がたい資質だ。 同じく女の子が好きなマリコルヌは、シルフィードの話に付いていけないのを誤魔化そうと頑張って喋り…… 早々に話し相手失格の烙印を押されていた。 シルフィは話を聞くより話すほうが好きなのだ。 「どうしたんだい?」 「内緒〜、内緒だよ、ギーシュさま」 ついつい喋りそうになる自分の口を、両手で可愛らしく隠すシルフィードをギーシュは深追いしなかった。 「そうか、それじゃ仕方ないね。何か出来ることはないかな?」 「ん〜〜〜、んっ? あっ、ギーシュさま、ギーシュさまっ、しつもん、しつもん、しっつもーんっ」 シルフィードはルイズとの会話にギーシュの知恵を借りて…… 「きゅい?」 『ルイズが動かなくなるようなお話』に、不思議そうに耳を傾ける。 123 名前:7/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 56 03 ID 3vzC0qwc 「うーっ、頭痛い……」 宿の自室で水を飲みながら、ルイズは頭痛に耐えていた。 ひとまずタバサをゲルマニアに逃がすため、最も足が付きにくく、 最も効率が良い方法で、ガリア国内を移動していた。 シルフィードがバテるまで、風韻竜に出せる限りのスピードで移動し、 手近な宿で休む。 この繰り返しだった。 通常の移動手段を想定している包囲網に、この方法だと掛からない上に、 騎竜を探す役人も、まさか人間に成っているとは思わない為、全員でのんびり出来る 役人が探しているのは、数人の少年少女と竜であって、 保護者(キュルケとシルフィード)付きの旅行者ではないからだ。 高速移動と人化はそれなりに疲労するらしく、シルフィードがこの広めの宿で数日の休憩を要求したため、 彼女に負担をかけていることを自覚している一団が、しばらく休むことにしたのだが。 「のんびりしすぎたわ……」 実際、見つかってもどうと言うことは無い。 今のこの一団を地方の官憲程度で抑えられる筈は無いのだ。 恐ろしいのは、虚無の使い手そのものとエルフ程度だが、 ビダーシャルが出てきても、今回は逃げの一手が打てる。 虚無の使い手にしても、王族である公算が高いため、こんな辺境にほいほい出てくるとは思えない。 それでも気を緩めすぎだ。 ルイズは気を引き締めることにする。 「よしっ」 勢い良くベットから立ち上がり……暫し頭を抱える。 二日酔いは辛い。 「ま、負けない……」 よろよろと立ち上がり、コクコクと水を飲む。 アルコールで少しだけ鬱憤を吐き出したルイズは、もうしばらくだけ我慢するか、 それとも外聞を捨ててでもサイトに甘えるか悩む。 「……いたたたた」 二日酔いに考え事は向かない。 「サイトのバカ……なんでわたしばっかりこんなに苦しいのよぅ……」 考えるのを止めて、ぽつぽつと胸のうちを吐き出す。 「わたしにも甘えさせなさいよ……」 「タバサばっかりズルイ……」 「あんた大きい胸が好きなんじゃなかったの?」 「…………寂しい……ょぅ」 段々小さくなる声と、段々大きく成る想い。 膝を抱えて丸くなるルイズが、サイトに会いに行く決心をする寸前、 「ルイズ〜、ルイズ〜元気かなっ? きゅいきゅいっ」 二日酔いには最悪の来客が訪れた。 124 名前:8/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 56 35 ID 3vzC0qwc にゅぉぉぉぉ、頭がキンキンするぅぅぅぅ。 のたうつルイズを余所に、シルフィードは元気にご挨拶。 「あ、おっはようっ、ルイズ、元気かなぁ?」 「だ、黙りなさいよ……って、なんでタバサがお姉さまで、わたしはルイズなのよ」 余計なことを言ってしまったことを、ルイズは海よりも深く後悔した。 「えー、だってだって、ルイズはルイズって感じなんだもん。 ほらっ、ル・イ・ズって感じでしょ?」 弾むように大きくなる『ル・イ・ズ』が頭に響く。 「もう、ルイズで良いから、でてってー」 「え? 本当? わーい、ルイズでいいんだ、ルイズでいいんだー、きゅいきゅい」 「にゃぁぁぁ」 何を言ってもシルフィードの口は止まらない。 「あ、ルイズ、ルイズ、質問があるのっ、答えて、答えてっ」 「もー、分かったわよっ、答えるから、答えたら出て行きなさいよっ」 この言葉を、ほんの数秒後に後悔する事になる。 「ねぇ、ルイズ、『赤ちゃんてどこから来るの?』」 「え?」 「ねぇねぇ、ルイズっ、『赤ちゃんて……』」 「っっだ、黙んなさぁぁぁいっ!」 あまりのバカな質問に、二日酔いのことを忘れてルイズはシルフィードにたたみ掛ける。 「お、女の子がそんなこと言えるはずないじゃないっ」 「そうなの?」 「そうよっ!!」 釈然としない表情のシルフィードは、ギーシュに聞いた話と違う。 そう悩み始めるが、シルフィードも『赤ちゃんの作り方』に興味が出てきた。 「女の子には聞いちゃダメなの?」 「そうよっ、そんな事言える筈無いじゃない!」 フムフムと頷いたシルフィードは、おもむろに立ち上がると、 「ん、わかったー、サイトに聞いてくるね」 ―――――――――――――――――――――――― 「サイトー、赤ちゃんの作り方教えてー」 「よしっ、OKだ、シルフィード!! さぁっ、おいでっ!!」 ……妙に爽やかなサイトがシルフィードを抱きしめる様子が、一瞬でルイズの脳内で構築される。 ―――――――――――――――――――――――― 「だ、だめぇぇぇぇぇ」 「きゅい? 「そ、それくらいなら、わたしが教えるわよぉぉぉ」 125 名前:9/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 57 44 ID 3vzC0qwc 「えっと、だから……その……ね?」 「きゅい?」 話はまったく進んでいなかったが、ルイズの様子を見たシルフィードはじっと話が始まるのを待っていた。 「あの……やっぱり無しってのは?」 耐え切れなくなったルイズが、シルフィードに降参してみた。 「ひっ、ひどいのっ、ひどいのっ。 シルフィ、楽しみにしてたのにっ。 騙されたっ。シルフィ、ルイズに騙されたっ!」 暴れるシルフィードの次の台詞は、ルイズの顔を真っ青にするのに十分だった。 「ルイズが赤ちゃんの作り方教えてくれるって、シルフィの事もてあそんだぁぁぁ」 ひたすら人聞きの悪いことを絶叫しながら、部屋の外に駆け出そうとするシルフィードをルイズは命がけで取り押さえる。 「ま、待ちなさぁぁぁあああいっ、人に聞かれたら誤解されるでしょうがぁっ 言うからっ、説明するからっ」 「ならいいの、はやく、はやく〜、きゅいきゅい」 こいつ分かってやってないか? ルイズはそんな疑いを持つが、 「楽しみなの、楽しみなの、きゅいきゅい」 シルフィードはまだ子供だった。 世のお母さん、お父さんの苦悩をルイズはたっぷりと味わっていた。 (あぁ、ごめんなさい、ちぃねぇさま。ルイズは悪い子でした) 幼い頃、しつこく聞いてカトレアを困らせていた事を思い出す。 「あ、そうだっ」 「きゅい?」 「そうっ、コウノトリよっ、コウノトリが運んでくるのよ」 ありがとう、ちぃねぇさま。 ルイズは姉に無上の感謝を…… 「むー、嘘なの、ルイズはシルフィを騙そうとしているのっ」 「うっ」 「シルフィ、風韻竜ですもの、ルイズの産まれる前から空飛んでるもの。 でもでもっ、赤ちゃん運ぶ鳥なんていないの知ってるもの」 ……なんて厄介な。ルイズが賢いのかバカなのかわからないシルフィードをどう騙すのか考える。 「……ルイズ……嘘吐いた。 ルイズ、シルフィの事騙そうとした」 こ、この展開はっ、ルイズが嫌な予感に慄くと、 「ルイズが『赤ちゃんの作り方』で、シルフィを騙そうとしたっ。 シルフィ、ルイズにおもちゃにされたぁぁぁぁ」 「ちょっ、だからそんな事喚きながら、外に向かうなぁぁぁぁっ」 ルイズが力づくでシルフィードを取り押さえる。 「……シルフィ、『赤ちゃんの作り方』聞いただけなのに、ルイズがシルフィに馬乗りになって荒い息上げてるのっ、きゅいきゅい」 「っっっ、わ、わざとじゃないでしょうねぇぇぇぇ」 126 名前:10/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 58 17 ID 3vzC0qwc 「ふむふむー、なの」 「うぅ……お、お嫁に行けない」 シルフィードの精神攻撃に負けたルイズは、知っている限りの知識をシルフィードに公開した。 「ん〜、でも、本当なの? きゅいきゅい」 「……本当よ」 「でも、ルイズのっ……赤ちゃんが出てくるようには見えなかったの」 「っ! わ、忘れなさいっ、忘れる約束でしょうがぁぁぁぁ」 乱れた着衣を整えながら、ルイズはシルフィードに掴みかかる。 正確に話しても信じようとしないシルフィードに、オンナノコまで覗かせたルイズはシルフィードの記憶を消せるものなら消したかった。 (あぁぁぁぁ、ティファニアに呪文聞いとけば良かった) ここに始祖の魔道書が有れば、確実に読めるだろうに。 ビダーシャルと戦った時の百倍ほど、自分の不手際を呪っていた。 「んとんと、ルイズ」 「なによっ」 すっかりルイズに懐いたシルフィードが新たな質問を切り出した。 「赤ちゃんていいもの?」 「ま……まあ……ね」 「何人ほしいの?」 「へ?」 「サイトの赤ちゃん欲しいの?」 「ふえっ」 「サイトと赤ちゃん作りたいのっ?」 「い、いやぁぁぁぁぁぁ」 シルフィードの質問は止まる事は無く…… 「ルイズが教えてくれないのなら、サイトに聞くねっ。 あ、さっき見たの、サイトに教えてあげても良い? 良い? サイトが知らなかったら困るしっ」 「だ、だめぇぇぇぇ、わ、わたしが説明するからぁぁぁぁ」 シルフィードの質問から逃げることすら出来なくなったルイズは、 「……も、許して……」 「きゅいきゅい」 ルイズは精神が崩壊するまでシルフィードの質問に付き合った。 127 名前:11/11[sage] 投稿日:2007/02/22(木) 01 59 03 ID 3vzC0qwc 「いいわね?」 「はっ、ルイズの望みの物を聞き出し、早急にプレゼントする所存であります」 サイトはキュルケに連れられて、ルイズの部屋の前に来ていた。 「手伝う」 「ありがと、タバサ」 感謝の印とばかりに髪をくしゃりと撫でるサイトを、眩しそうにタバサが見つめている。 サイトと一緒になら……ルイズの前に立って、まずお礼を言おう。 そう決心したタバサは今ここに居た。 「いくぜ」 小さくノックしてから、ルイズの部屋に踏み込む。 サイトとキュルケに隠れるようにタバサが続く。 「ルイズ……寝てるのか?」 サイトの問いかけに答えるように、ゆらりとルイズが起き上がった。 ――シルフィードとの問答の途中に、いつの間にか意識を失ったルイズは、 鉛のように重く感じる体を起こした。 ……これは……夢? サイトが何か言ってる…… サイト…… サイト 寝惚けているルイズはサイトの顔を見ているだけで、シルフィードとの問答がリピートされていた。 ――ルイズの様子がおかしい気がしたが、サイトは予定通り行動を進めた。 アドリブで行動を変更できるほど、サイトは器用な少年ではない。 「い、今まで、俺ルイズの事……よく知ってるつもりだったけど…… 良く考えたら、俺ルイズの欲しい物もわからないんだ…… こ、これから頑張るからさ、 今日も、何かプレゼントするつもりなんだ…… 手に入るようにがんばるからっ…… ルイズっ『欲しい物』教えてくれっ!!」 ん――――と、空中を眺めていたルイズが、ふわりと笑って呟いた。 「赤ちゃん♪」 「「「は?」」」 ルイズの衝撃のおねだりに、三人そろって間抜けな声を上げる。 「赤ちゃん♪ かわいーの♪」 「が、頑張るんだっけ?」 「え……と……ルイズ?」 あまりの展開にキュルケとサイトが取り乱す。 「え……と……て、手伝う?」 タバサも変だ。 「赤ちゃん♪ 赤ちゃん♪ 赤ちゃん♪」 「「「…………ぅ……」」」 正気に返ったルイズが窓から飛び降りようとするまで、三人の硬直は解けなかったとか……
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5622.html
前ページ次ページゼロ 青い雪と赤い雨 ―――――――ギーシュの勝ちだ。 ヴェストリの広場の誰もがそう確信した。 剣を突き立てんとするギーシュは、アトリに対して完全に死角に入っており、 回避行動も恐らく間に合わないだろう事が予測された。 万が一間に合ったとしても軽傷では済まないだろう。 女生徒の中にはこれから起こりうる凄惨たる光景が脳裏に過ぎり、早々と顔を覆う者さえいた。 しかし、ギーシュのその蒼い瞳に映ったのは、振り向き様に蛇の様に笑う標的の姿だった。 読まれていたのか、という不安がギーシュの脳裏を過ぎるが、 前述の通りもはや回避行動は間に合わないであろう事、 そして自分は相手の頭上、つまり空中に居るため回避行動が取りづらく、 『攻撃は最大の防御』を証明する立場に回る方が結果的に安全である、と踏んだ。 結果から言うならば避ける素振りを全く見せないアトリに対し、ギーシュの攻撃は「予定通り」行われた。 ギーシュの全体重を乗せた剣の切っ先は、アトリが振り返ってしまった為 頸椎には至らなかったが、頭蓋に深々と突き刺さった。 誰もがアトリの死を予感した。 しかし、ギーシュの表情には人を殺めてしまった罪悪感や、強大な相手を倒した優越感は見当たらず、 その蒼い瞳は苛烈な光を湛えたままであった。 「“それ”は突き刺したというより、沈んでいったという方が正しかった」と後にギーシュは友人に語る。 なぜなら、剣が突き刺さった部位は、水面に小石を投じたかのように波紋が広がっていたのだ。 そして、ギーシュの手には手ごたえと言う物が全く感じられず、むしろその水面に引きずり込まれる様な感覚すらあった。 なによりもアトリの表情には、苦悶の色は存在しなかった、むしろ何も無かったかの様に笑い続けている。 ハルケギニアの住人である彼等は、強靭な生命力を持つ生命体にはある程度慣れているはずだった、が その情景は恐怖心を煽るには充分だった。 彼等は箍が外れたように口々に叫んだ、「化け物だ」「幽霊だ」と。 恐怖に駆られた観衆の中には、気絶する者や、杖を取る者さえ居たが、 ギーシュが現状において、生命の危機に陥ってる訳でも無い為、 決闘に横槍を入れる事を、『死に値する不名誉』とする、トリステイン貴族の子弟達には手出し出来ようも無かった。 一方のアトリはその時、頭蓋に剣を残したまま、その身を震わせながらただ笑っていた。 攻撃その物はアトリにとって拙く、欠伸が出る程鈍い物だったが その気概はアトリを満足させうるに充分だった。 そしてその狂喜を、一分も余す事も無く表情に映し出しアトリは言った。 「痛ぇな、殺す気かよ」 その言葉と共に赤藤色の瞳を、円形と見まごう程に見開きギーシュを見やる。 そしてその手を、ギーシュに向かってゆっくりと伸ばす。 ギーシュはそれを回避する為に、アトリの頭蓋より剣を引き抜こうとしたが、その必要は認められなかった。 剣は可視部分以外既に存在しなかった為である。 鋭利な刃で切断されたかの様な断面と共に、深々と刺さっていたはずの剣先は消え失せてしまっていたのだ。 引き抜こうと力んだ為にその勢いで体制を崩した物の、体を捻りアトリを蹴る事でその手を寸での所でかわし、距離を取る事に成功した。 脳天に剣を深々と突き刺しても死なない相手、死なない所かダメージを受けた気配すら無い。 脳、もしくは弱点が全く別の所にあるのか、又は物理攻撃が全く効かないのか。 前者であればまだ手のうち様があるが、後者であれば土のメイジであるギーシュに勝ちの目は無い。 決闘が始まって以降、初めて彼の蒼い瞳に、焦燥感が募り始めていた。 (とにかく、今は時間を稼がなくては・・・) 造花を振り先程突進させた“ワルキューレ”を反転させ、アトリに向かって突進させる。 それに対してアトリは不敵な笑みを浮かべ、両手を前に出す。 ――――次の瞬間、轟音と共に光の塊がアトリから放たれた。 一瞬にしてギーシュの“ワルキューレ”は光に飲み込まれてしまった。 “ワルキューレ”を飲み込んだ光はそこで止まる事は無く、その背にあった宝物庫の壁にその身をぶつけ、轟音を再び学院内に響かせた。 もはや観衆は騒ぎ立てる事すら出来なかった。 その足で歩みを進めるアトリに対し、ギーシュに残された戦力は盾兵一騎のみ。 しかしそれすらも、苦し紛れに繰り出す拳をアトリにその手で軽く止められ、 やがてチョコレートの様に溶けて生まれ故郷に還っていく。 「もう終わりかよ」 掠れた独特の声とアクセントで、対戦者は問う。 それに対しギーシュは鋭く睨み返しはした物の、誰の目にも余力がある様には見えなかった。 犠牲となった“ワルキューレ”達は作戦を練る時間はおろか、 精神力をわずかにすら回復する時間をも与えてはくれなかった。 通常よりも大きく、重厚な“ワルキューレ”を無理に錬成した上に、更に青銅剣の錬成。 多くの観衆の予測は正しく、ギーシュにこれ以上錬成を行う精神力はもう殆ど残っては居なかった。 『敗北』の2文字が、動かし難い現実となってギーシュの背に圧し掛かる。 圧し掛かる精神的重圧を感じながらも、ギーシュの瞳はまだ闘志を失ってはいなかった。 普段のギーシュならば、ここで早々に敗北を認めていただろう。 いや、彼は本来の気質を考えれば、本来なら急所である部位に剣を突き立てる事すら無かっただろう。 だが、敗北を甘受する訳にいかない理由がギーシュにはあった。 理由はただ1つ、『モンモランシーを泣かせた』事。 “貴族”という目線から見れば他にも多々あるのだろうが、ギーシュにはそれだけで充分だった。 真っ直ぐにその瞳でアトリを見据える。 杖を強く握りしめ、僅かに残るありったけの精神を研ぎ澄ます。 そしてしなやかに造花を振り、花弁を散らせる。 幾度目かの“錬金” 勝利の女神が貴族的、あるいは騎士的ロマンチシズムそれのみで、勝利の帰結が決まる事を是とする精神的糖尿病患者であれば、 この苦境を打破する事が可能である、と思わせる様な素晴らしい物を彼は“錬金”せしめただろう。 しかし、現実という物はそう甘くは無かった。 勝利の女神とは、人が願うより遥かにしたたかで、現実主義者である。 地面より生まれ出でたのは2体のみ。 それも“ワルキューレ”と呼べる物では無い、青銅の“何か”だった。 地中から生まれ出でた“それ”は、アトリの方へ数歩踏み出すと崩れ去った。 ―――主人であるギーシュと共に。 精神力を使い果したギーシュは、意識をその手から放したのだった。 体全体で倒れこむギーシュに対し、地面はしたたかな逆撃を加えようと待ち構えていた。 しかし、それは未然に終わる事となる。 地面に舌打をさせたのは、対戦者であるアトリであった。 アトリは瞬時にギーシュの元へ移動すると、その腕で受け止めたのだ。 そしてゆっくりとその場に寝かせる。 「ギーシュ!!!」 それとほぼ同時に悲鳴とも似た声と共に、事の発端となった少女、モンモンランシーがギーシュが気絶したのを見て駆け寄ってくる。 恐怖の対象であったはずのアトリが傍に立っているのだが、そんな事を気にする様子も無く、 何らかの魔法を唱えながら、ギーシュの容体を確認している。 気にする余裕がないというべきなのだろうか、アトリ等見えてはいないかの様であった。 アトリはそんな二人を見てため息とも取れると笑みをふっと浮かべると、彼等に背を向け、 独特の不思議な足音を響かせながら自らの主人の元へ向かうのだった。 その際、 「仲良くしろよ」 と最も近くに居たモンモランシーでさえ、気付くか気付かないかという程度の声量で呟いたのが彼女の耳に届いた。 ハッとして後ろを振り向くと、ルイズが荒れ狂う大波の様な形相で、アトリを大声で呼びつけていた。 今まで大勢の人を圧倒し続けた者が、遥かに小柄なルイズに成す術も無く怒られている。 そんな光景を見てモンモランシーは呆気に取られたのちに、不意にその表情に微笑みを取り戻すのだった。 前ページ次ページゼロ 青い雪と赤い雨
https://w.atwiki.jp/sugar_aa/pages/341.html
ヴィルフランシュ EXスキルカード コスト:黄黄 味方キャラ全てにHP+200する。 ターン終了時まで、味方キャラが受ける、バトルダメージ以外のダメージを0にする。 いらっしゃいませ!ラウンジ・ヴィルフランシュにようこそ! EX0024/K
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6909.html
戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ 3章 (57)シュペー卿の剣 メンヌヴィルという人間は、酷く簡単な価値観の中に生きている。 目を盲いた彼に感じられる世界とは、熱量にのみ左右される世界。 燃える熱、凍える熱、人の熱、石の熱、怒りの熱、喜びの熱。 全ては熱でできている。 そんな彼は、自身ら火のメイジを、他系統のメイジとは一線を画する存在だと考えている。 土のメイジは土と、水のメイジは水と、風のメイジは風と親しむ。 それは自然本来の摂理からすれば、至極当然の形だ。 生命とは元来そういうふうに作られている。 しかし、火だけは違う。 火と生命は本来相容れない。動物は本能的に火を恐怖するものだ。 だが、火のメイジは火を恐れたりはしない。火への恐怖心の克服は、火のメイジの基礎の基礎である。 相容れぬはずの火と親しむ、その一点でもって、火のメイジは他のメイジに比べてどこかが壊れている存在なのだと彼は考えている。 そして、そんな火のメイジの中でも更に一握り。 火に愛されている、そんな風にしか思えない人間がいるのだ。 熱にうかされ、火に魅せられ、精神を薪にして炎にくべてしまった人間がいるのだ。 たとえばこの少女のように、 たとえばあの背中のように、 ――たとえばこの自分のように。 キュルケが驚愕に目を見開く。 これ以上ない全力。間違いなく敵を葬るはずだった、必殺の一撃。 たが、メンヌヴィルはその絶攻を受けてなお、巌のように両の足で立っていた。 「かっ、かっ、はっ」 そしてメンヌヴィルの口から漏れる、呻きのようなかすれた笑い声。 男は倒れるどころか、途切れ途切れだが笑声を出す余裕すら見せたのである。 「心地よい温度だ、体が芯から温まる……その温度操作、今の炎。なるほど、軽くスクウェアクラスには達していると見える」 確かに魔法は直撃した。手応えもあった。だと言うのに、なぜこの男は笑っていられるのか。 疑問の答えを悠長に探している暇はない。 キュルケは接敵し続けている愚に気が付いて、一足飛びに距離をとった。 一方メンヌヴィルはというと、まだ低い笑い声を漏らし続けていた。 「貴様の魔法を扱う才は、この俺よりもよほど上のようだ。ならばここで一つ、戦いはクラスでは計れぬということを教えてやらねばならないな」 それを聞いた次の瞬間、キュルケの目にはメンヌヴィルの姿が掻き消えたように見えた。 「こっちだ」 不意に背後から響いた言葉。驚く余裕も与えられず、続けて彼女を襲ったのは重たい衝撃。 何事が起こったのかを理解する前に、キュルケは体をくの字に曲げて宙を舞っていた。 そうして軽く十メイル近くも吹き飛ばされて、彼女はその身を床に叩き付けた。 なにが起こったのかの理解が追いつかない。ただ痛みだけがいやに鮮烈だ。 「がっ、は、あ……っ!?」 腕に走った激痛と地面に全身を打った衝撃で、キュルケは思わず肺の中の空気を絞り出した。 体中を痛みが支配する中で、男の声だけがはっきりと意味をなした。 「ほう、あの一瞬で腕を折り曲げてガードしたのか。なるほど、悪くない反射神経だ」 憎い男の声を聞いて、キュルケは必死にメンヌヴィルを睨み付ける。 そして己の心に灯った火が、未だ燃えているのを確認する。 〝たかが一撃、まだやれる……〟 心の中でそれだけを繰り返し、彼女は無事なほうの腕を使って、笑う膝を支えながら立ち上がった。 「よし、それでいい。では続きといこう、簡単に死んでくれるなよ?」 メンヌヴィルはキュルケから数メイルは離れた距離で鉄杖を振りかぶった。 「……そらっ!」 裂帛の気合いと共に、鉄の塊であるそれを思い切り地面へと叩き付ける。 そしてメイスが地面と衝突するインパクトの瞬間に叫ばれる、火を意味するルーン。 「カーノ!」 轟音。 直後襲いかかってきたものを見て、キュルケは知らず、体中の毛が逆立つのを感じた。 恐るべき速度で向かってきたのは、赤熱したあまたの石片。 無論、それ自体がメンヌヴィルの魔法で生み出されたものではない。 床を砕いてできた無数つぶてを、魔法によって高熱の散弾化にしたのである。 「!?」 キュルケは咄嗟に攻撃のために唱えておいた呪文を、迎撃に切り替えて解き放つ。 ルーンの導きに応えてキュルケの前にごうと立ち上がったのは炎の竜巻。生み出されたそれが、紅蓮の盾となって飛び来た赤弾を悉く遮る。 まさに炎の壁。並の攻撃ならまず通すことのない強固な防護だ。 故に、キュルケは炎の嵐をそよ風を抜けるようにくぐり抜けて飛び込んできた男の姿に、反応することができなかった。 炎の壁を踏み越えて飛び込んできたメンヌヴィルは、キュルケの思考を置き去りにしたまま、見事なアッパーカットを彼女の顎に叩き込んだ。 再び、キュルケの体が宙を舞う。 「かっ……っ!?」 「なかなかいい腕だ。状況判断も悪くない。ただ、惜しむらくは炎の使い手との戦闘経験が、圧倒的に不足していたと言うことだな」 メンヌヴィルは軽く四メイルは吹き飛ばされたキュルケを見下ろしてそう言った。 キュルケは二度目のダウンから立ち上がろうとするが、脳震盪の起こした体は、手足に全く力を伝えてくれない。 それを見たメンヌヴィルは、仕切り直しを求めるように、キュルケに背をむけて距離を離していった。 「同系統のメイジ……特に火のメイジが火のメイジと戦う際には、ちょっとしたコツがいる」 地に伏したキュルケは、メンヌヴィルを殺意の籠もった視線で見つめていた。 視界に入るその姿は殆ど無傷。あれだけの炎に突っ込んだというのに軽い火傷一つ確認できない。 「特に炎の効きが悪い場合は、こうして物理的な攻撃を織り交ぜたほうが効率がよい」 キュルケは黙って男の言葉を聞いている。 「また、クラスが格上の者と相対する場合、距離を離した戦いよりも肉薄した接近戦が効果的だ」 そうして回復を待ちつつ、勝利のための糸口を必死に探す。 幸いにして、ハンデのつもりなのかメンヌヴィルが背を向けて離れてくれていったおかげで、彼我の距離はかなり開いていた。 これなら先ほどのように、一足飛びに懐に潜られることもない。 始めに接近戦に持ち込んだのは自分だというのは、実に皮肉的であったが。 「もちろん、お行儀のいい貴族の戦い方ではないがな……。さて、そろそろ十分だろう。休憩は終わりだ」 その言葉を聞くと同時、キュルケはかろうじて回復した手足を使い、体に鞭打ってその場から跳ね起きた。 そうやって立ち上がりながら一声叫ぶ。 「ファイアー・ボール!」 今日が始まってから、何度唱えたかもわからぬ魔法を放つ。 まずはあの異常な早さの正体を知らねば勝ち目はない。 それを見定めるための牽制攻撃である。 それを知ってか知らずか、 「無駄だ」 メンヌヴィルの姿が、またも忽然とかき消えた。 キュルケはわかっていながら目で追えないもどかしさに、きつく歯を噛みしめる。 だが、視覚ではない感覚的なもので、キュルケはメンヌヴィルが消えた場所に、輝く残滓を捕らえていた。 微かに残るそれは熱の残り香、炎の軌跡。 その意味するところはなにか。 いくつかの可能性がキュルケの頭を過ぎるが、直感的にその中の一つに当たりをつける。そしてその可能性に基づいて彼女は上を見上げた。 そして、見上げた先にはメイスを振りかぶって落ちてくる巨漢の姿。 キュルケが即座に転がってそこを離れる。 直後、派手に火の粉を爆ぜ散らしながら、肉弾がその場所を襲った。 「ちょこまかとよく逃げる……」 ゆっくりと立ち上がった男がくつくつと嗤う。 だが、体をふらふらとさせながら、キュルケはそんなことなど気にも留めない。 彼女が注視しているのはただ一点。 その足元。 無骨なブーツ。 「まさか、あなた……」 「……頭のめぐりも悪くない。たったこれだけの時間で大道芸のカラクリに気付いてくれるとは嬉しい限りだ」 また男が笑う。何処までも深い、暗く淀んだ笑いを漏らす。 「ならば今更出し惜しむ必要もない」 そう言ってメンヌヴィルが右足を一歩踏み出す。 その途端、 そのブーツの足元が爆ぜた。 足裏から噴出した炎。その直後に起こった爆発を、踏み蹴るようにして男は跳ぶ。 勢いに乗って、砲弾のように飛び込んでくる。 「くっ!」 恐るべき速さで迫る敵に対して、反射的な防御としてキュルケは杖を振って前方に向けて炎弾を撃つ。 咄嗟に放たれた炎の数は三、それぞれがメンヌヴィルの足元、胴体、頭を狙って飛ぶ。 「甘い!」 しかしそれと接触する直前、男は二歩目を地面に叩き付けるように踏み込んだ。 男の足裏、またしても爆発する白い炎。 一足目で一直線に飛んできたメンヌヴィル。それがなんと二足目で、上へとその指向を上へと変えた。 白光を迸らせながら、軽やかに宙へと駆け上がる巨体。炎弾はその変則的過ぎる動きを追随できずに、虚しく空で爆ぜて散る。 無論、それで終わるはずがない。 「はあああああああああっ!」 叫びと共に三歩目。なんとメンヌヴィルは、空中にあって三歩目を踏み込んだのである。 高さ五メイル。身を捻りながらオーバーヘッド気味に回転した男は、その高さで後方斜め上に白い炎を出現させた。 そしてその爆発を蹴る。 三度の進路変更。 今度こそは敵を仕留める一撃を見舞うためのもの。 引き絞った弓から放たれる、鋭き矢の如き蹴撃。それがキュルケを狙う。 「パイルパイルパイルパイル!」 「ゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブ!」 「キョーッキョキョキョキョキョッ! ファナティーック!」 「俺のパイを食ったやつはどこだー!」 土煙を上げて、猛然と快走する赤い肌をした亜人達――ゴブリンの一団。 気のせいか先ほどまでよりも一回りほども規模が大きくなっている気がする集団の先、百メイルの距離を走る少年の姿があった。 「うわあああああああああああああああああああああっ!!」 逃げる、逃げる、逃げる。 おとぎ話の笛吹きよろしく、ゴブリン軍団を引き連れたギーシュ・ド・グラモンは自前の足で走って逃げる。 二本の腕を必死に振って、二本の足をせかせか動かし、それはもう力の限り全力で走る。 「ヒャッハー!」 と、追いかける集団からぽーんと一つ飛び出した影。 それはソリだ、 ゴブリンを乗せたソリが、ギーシュを追いかけて空を飛んだのだ。 ソリの踏み台にされたゴブリンが後続のゴブリン集団に踏みつぶされたのも気に留めず、宙を舞うソリ乗りゴブリン。 その一匹はサーファーのように空中で華麗にポーズをキメて、真っ逆さまにギーシュへ向かって落ちていく。 「うわわわわわわっ!」 と、たまたま後ろを振り返って気付いたギーシュが、慌てて体を横にずらす。 「ムギャア!」 目標を失って地面に激突したゴブリンは、ソリごと地面に衝突し、あまつさえそのまま地面に突き刺ささった。 そしてその少しあと、地面に刺さったままのソリとゴブリンは、やっぱり後続のゴブリン集団に巻き込まれて踏みつぶされた。 『ゴブ』 『ゴブ』『ゴブ』 『ゴブ』『ゴブ』『ゴブ』…… 振り返ったときにちらりと見えたゴブリンの集団は、先ほどよりも更に数が増しているように思えた。 ここまでくればギーシュにもわかる。彼らは時が経つにつれどんどんと増えているのだ。 「ひいいいいいいいいいいいい!!」 激走。産まれてこの方こんなに真剣に走ったことはないという勢いでギーシュは駆ける。 だが、次の瞬間、 「ひでぶっ!」 ギーシュは窪地に足を取られ、豪快に顔面から地面に激突した。 激突して、それでも勢い止まらず、そのまま体が一回転。 「はぎっ! うぶぉらっ! ぎゃああああああ!!」 ぐるんぐるんと更に一回りと半分も縦回転をして、地面に二度目のキスをしたギーシュは、そのままずざざと顔で地面を滑り、 『なんで僕がこんな目に……』 そんなことを思いながら気を失った。 ◇◇◇ ふと気付いたら真っ白な世界にいた。 なんだかふわふわして暖かい、ぬくぬく気持ちいい世界にギーシュはいた。 〝こ、ここは……〟 そんな風に呟いてみても答えは出ない。こんな光景を見るのは初めてだった。 「何処だっていいじゃない」 そんな声が聞こえて、ギーシュはぎょっとして声がしたほうを見た。 目をやったそちらも漂白の世界。ただ、そこに人の姿が在ることだけが先ほどまでと違う。 純白の世界に立っていたのは、裸に白い薄布を巻いてイケナイ部分だけ申し訳程度に隠した、世にも美しい女性だった。 そう、彼女は美しい。 とても美しくて……なんだかとっても見覚えがあった。 〝モ、モンモランシー?〟 美の化身の如き彼女の姿は、どこをどう見ても幼なじみのモンモランシーであった。 「いいえ、私は苺妖精のイチゴちゃんよ」 〝い、イチゴちゃん?〟 「ええ。私はあなたをイチゴの園に導くためにここに来たの」 〝……イチゴの、園?〟 頭がどうにかなりそうだった。 さっきまで戦場にいたというのに、どうして自分はこんなところに立っているのか。 そもそもここはどこだろうか? もしかしてここは天ご―― あまり考えたくない方向に思考が振れかける。 だが、そんな考えは瞬時に霧散霧消。泡となって吹っ飛んでいった。 「イチゴは嫌い?」 そう言って前屈みになった彼女の胸元が、ちらりと見えたからだ。 自然、ギーシュの視線と思考はモンモランシーそっくりの妖精さんのボディに引き寄せられていた。 彼女は同級生のキュルケを含めた一部の女性達のような、肉感的な体つきをしていない。むしろスレンダーと称して誤りはない。だが、それでも彼女の体はギーシュの目を捕らえて放さない。 だって彼女はあまりに薄着で、とても無防備で、ともすればいろいろ見えてしまいそうなのだ。 そんな状況で刮目せずにいられようか、いや、できない。 むしろ目を逸らすのは失礼にあたるに違いない。 そんな想いを抱いて、手に汗握ってもんもんとしているギーシュに、イチゴの妖精は妖しく微笑みかけた。 「私はね、あなたにイチゴを食べてもらいに来たの」 〝い、イチゴとな〟 「そう、イチゴをね。あなたは欲しくない? イ・チ・ゴ」 塗れた唇が動いて、彼女が悩ましげに体をくねらせると、体に巻いた薄布がわずかにずれた。 薄布一枚隔てた彼女の胸元に、一瞬肌とは違う色が透けて見える。 〝い、いいいいい、イチゴちゃん!?〟 「わたしのイチゴ、食べてみない?」 〝た、たべ、たべっ!?〟 イチゴちゃんが肩を震わせた。すると、肩に掛かっていた薄布がずり落ちる。 その姿がどんどん扇情的になる。 〝た、たたたた、食べたいっ!〟 ギーシュは煩悩とかいろいろなものの連合軍に白旗を振って、堪らず叫んだ。 「うふふっ、だったら私を捕まえて頂戴」 悪戯っぽく笑いかけたイチゴちゃんは、そう言って軽い足取りで白一面の世界を駆け出した。 〝に、逃がさないぞぅ!〟 続いてギーシュも彼女を追いかけ始める。 「捕まえてごーらーんーなーさーいー♪」 〝まーてーよー♪〟 あはは、うふふと笑い声。 それは幸せな ……とても幸せな夢であった。 ◇◇◇ 慣性に引きずられて数秒。 顔面で地を耕すように滑った末、崩れ落ちて動かなくなったギーシュの周りを取り囲む人影があった。 「見たか! 俺たちゴブリン穴掘り部隊!」 「掘って埋めるだけの作業は誰にも負けねぇ、ゴブリン穴掘り部隊!」 「む、無敵のゴブリン穴掘り部隊なんだなっ!」 取り囲んだ三体のゴブリン達が歓声を上げる。 ギーシュが足を取られた窪地、それは彼らが掘った落とし穴だったのである。 「よしっ、それじゃあ早速ゴブリンロードの貢ぎ物にするぞ!」 「きっと新しいスコップ貰えちまうぜぇ!」 「う、嬉しいんだな、だな」 と、ゴブリン達がギーシュを縛るために引きずり起こそうとしたときだった。 それまでぴくりとも動かなかったギーシュが、バネ仕掛けの人形のように飛び起きたのである。 そしてゴブリンに目もくれず、彼は天に届けと声を張り上げた。 「バナナくんイチゴちゃんとミルクまぜまぜしたいにゃん!」 戦場の中心で彼は叫んだ。 おお、人よ見よこの屹立を。 この瞬間、確かにギーシュ・ド・グラモンは漢となった。 跳ね起き、意識を覚醒させた彼が目にしたもの。 青い空、白い雲、目の前の亜人達。 耳に届くのは周囲の喧噪とゴブリン達のわめき声。 それで嫌でも全てが察せられる。 先ほどのアレは、ただの夢。 泡沫の幻。 だが、大切なものに気付かされる一時であった。 「嗚呼モンモランシー、僕は大切な物を見失うところだったよ」 天を仰いだまま目をつぶり、彼はそんなことを呟いた。 その頬を涙が一滴零れ落ちる。 何故こんな目に? 彼女のために自分が選んだからに決まっている。 他の誰でもない、自分で望んだからここに立っているのだ。 そのことに後悔があるのか? いや、有るはずがない。 だったら形ばかりの臆病者はもう終わりにしよう。 背筋を伸ばせ、前を向け、歯を食いしばれ。 今こそギーシュ・ド・グラモンの男を示すときだ。 彼は掴んだ。 人はなんのために戦うのかを。 男は誰のために戦うのかを。 「モンモランシー……」 ――瞳の裏に焼き付いいているのは彼女の姿。 全ては愛のために。 愛を勝ち取るため。愛を守るため。 その単純な理由のために男は戦うのだ。 そう、全ては愛ゆえに! 「……モンモランシー!」 ギーシュが視線を下に降ろすと、そこには先ほどまで抱えて走っていた大剣が転がっている。 彼はそれをゆっくりとした動作で拾い上げた。 引き離していた敵は、既に衝突が避けられぬ距離に迫っている。 しかし、それでももう彼に立ち向かうことへの迷いはない。 戦って、戦って、戦い抜いて彼女の元に帰る。 誰のためでもない。自分と彼女の物語のために、少年は剣を取る。 「僕は……戦う!」 決意と共に、ギーシュは鞘から剣を抜き放つ。 その瞬間、周囲のマナが爆発する。 そして少年の左手の甲から、目映い光が発せられた。 「来た! 上から来た! ええと、火の玉が一つ二つ三つ……たくさん!」 「た、たくさんじゃわからないのねっ!」 「いいから! 早く避けて!」 「りょ、了解!」 急速旋回。失速ギリギリまで減速してのターン。 そしてヒュゥッと音を立てて、先ほどまでの進路に降り注ぐ無数の火の玉。 シルフィードは何度目かになる危機を今度もなんとかやり過ごす。 モンモランシーはその背で息を吐いて、胸をなで下した。 空中の激突は続いていた。一方的な展開で。 それは勿論、モンモランシー達の圧倒的な不利という形である。 「カカッ。カカカッ」 竜はさもおもしろそうに笑う。 本来ならば彼はこのような嬲り殺しに近い展開に、愉悦を覚えたりはしない。 だが、この戦いは彼にとって、とても意義あるものであった。 彼にしてみれば、この戦いは試薬を入れた試験管を振っているのと一緒。結果がわからぬ実験であるのだ。 爪先を弾いて炎弾を飛ばす、氷弾を弾く、雷撃を走らせる。 その一つ一つが、未知なる結果を導くための行程。 元来彼が受けていた指示は、速やかに彼女達を抹殺して〝虚無の巫女〟の眼前にその屍を放り出してやることだった。 だが、竜はそれを無視する形で、こうして彼女達と戦っている。 それは好奇心による行動であった。 彼は見てみたいのだ。 己の手によって、生命が純化するその瞬間を。 命の限界。その果ての果て、選ばれた一握りのものだけがたどり着くことが許される極限。 そこに至る究極の一瞬。 彼はその〝転化〟の瞬間を、無邪気なまでの好奇心でもって、待ち望んでいるのだ。 「タバサ! 準備はいい!?」 風音にかき消されないようにするために、怒鳴りつけるようになってしまったモンモランシーの問いかけに、タバサは小さくコクンと頷いてみせる。 彼女のその動作は、反抗の機会が巡ってきたことを示していた。 彼女達はこれまで炎の雨を三度、氷の雨を二度、石の雨・雷撃・猛吹雪をそれぞれ一度ずつ、全てギリギリで回避している。 一撃でも貰えば非力な彼女達などひとたまりもないが、それでも彼女達は未だ健在である。 そこに、勝機があった。 正直、ドラゴンの攻撃は狙いが甘い。 派手さや威力に対して、精度や効果に関して非常にムラがある。 そこからはまるで本気が感じられない。 むしろ一連の攻撃からは、子供が遊んでいるかのような稚気すら感じられる。 ならばこそ、その油断が必殺を牙を隠した彼女達の勝機であった。 「それじゃ、手はず通りにいくわよ!」 「モンモンこそヘマしたら、丸かじりなんだからね!」 「……ごー」 モンモランシー、シルフィード、タバサ。 二人と一匹はそれぞれに気合いを込めて、命を預け合う仲間達に声をかけた。 なにせ、お互いの連携こそがこの反撃作戦の要なのである。 「ほう、仕掛けてくるか」 先ほどから機会を伺っていた様子の相手が動いたことで、竜がますます機嫌良く笑った。 その度、口元の牙の隙間からはチロチロと火の粉が舞い散る。 彼の視線の先には、氷の弾幕を張りながら上昇していく仔竜の姿。 太陽を背に急降下攻撃を仕掛けてくるつもりであることが容易に知れる。 だが、竜はあえてそれを許した。 「被験体No.11923号に対する、『絶望による心的影響による効果実験』を継続する」 彼は最初から、それがどのような形であれ、タバサ達の策略に乗るつもりであったのだ。そして、その上で叩きつぶすつもりなのである。 それは慢心と言えば慢心だ。だが、人が蟻を踏みつぶすという行為に、慢心があるだろうか? あまりに存在としての格が違う場合、そこには慢心すらも存在しないのだ。 タバサが渾身の力を込めて作り出した氷の弾雨が、竜の吐き出した赤い炎に相殺されて消える。 けれども、タバサ達に動揺はない。彼女達とて馬鹿ではない。これまでの短い交戦で、その程度の力の差が有ることは十分承知しているのだ。 間髪入れずに、第二第三の魔法が放たれる。 「無駄な足掻きを!」 最初に襲ったのは、周囲の大気を急激に撹拌させる恐るべき乱気流。 「ふんっ」 普通の竜ならば飛行不能に陥るその中を、竜は涼しい顔をして飛び続ける。風の流れを読むことなど。彼の知識と経験を持ってすれば造作もない。 続いて発生したのは氷刃を巻き込んだ巨大な竜巻。 竜は一瞬の思考を巡らせて、それから赤いマナを集めて翼に集中させた。そうして炎を纏わせた翼を羽ばたき、火炎迸る風を発生させて氷刃を次々打ち落とす。 続けざまに魔法が防がれるが、それでもタバサの攻撃は続く。 四度目。今度は頭上の死角から、真空の刃がいくつも奔る。 すると竜はそれを予期していたように首をそちらに向けると、遠く何リーグ先までも聞こえるような音量の咆吼を上げた。 そして豪吼によって生じた空気の振動とぶつかって、真空の刃は消滅してしまう。 「ふん、この程度で終わりか?」 最初の氷撃から始まった一連の波状攻撃を難なく防ぎ、期待と失望が入り交じった声で竜は言った。 彼が見ている方角には、目映い昼天の太陽が光を放っている。 流石の竜といえども、太陽光を相手にしては目を眇めるほかにない。 タバサ達がとった一連の行動から彼が読み取ったのは、彼女達が距離を縮めようとしていることだった。 逃げるつもりならば適度に距離を離して戦えばいい。だが、彼女達は今や陽光を背に急降下を仕掛けてようとしている。 これは明らかに接近戦、あるいは肉弾戦を仕掛けてくるつもりの動きである。 さしもの彼にも、タバサ達がどのような切り札を隠しているのかまではわからない。 けれど彼女達の行動から、近寄って放つその切り札に全てを賭けているであろうことは伺えた。 ならばこそ、竜はそれをおもしろいと思う。 先ほどまでの攻撃を自分が凌いだように、自分の攻撃を彼らは凌ぐつもりでいるのだ。 実に、不遜である。 不遜ではあるが、竜はそれを許すつもりでいた。 困難を突破した末に放つ切り札。それが破られたときの絶望はどれほどのものであろうか。 全身全霊を込めて放った切り札を、ジョーカーによって力任せにねじ伏せられた絶望は、如何ほどであろうか。 その絶望がもたらすかも知れない〝転化〟、彼はそれを心待ちにしているのだ。 かつて『始祖』と呼ばれるプレインズウォーカーがこの世界に施した魔法。彼が行った血統実験、竜はその結実を彼は見てみたいのだ。 『始祖』の直系に連なるもの、色濃く『始祖』の血を受け継いだ者の中に時折発現するという、虚無の系統。 だが虚無の系統の発現は副次的効果に過ぎないと、竜は確信している。副次効果として、プレーンとの高い親和を持つに過ぎない。 その本来の形は、偶然でしか世界に生まれ落ちることのない、久遠の闇と繋がる火花を持つ者を培養するという、数千年をかけた『始祖』の恐るべき血統実験の結果だ。 その成果を見届けた時に浴するであろう、探求の悦楽こそが、この竜の真の目的なのである。 そして、竜にとって幸いなことに、今やワルドはプレインズウォーカーが孕む狂気のために、一人の少女の虜となっている。 かのプレインズウォーカーの目には、既に他の王家に連なる者のことなど目に入っていまい。 それはつまり、彼女の近くにいて、強く彼女の影響を受けた王族の娘、「シャルロット・エレーヌ・オルレアン」に注意が向けられていないということを意味している。 竜にとってタバサは、最初に出会ったそのときから格好の実験対象であったのだ。 加えて、二人のプレインズウォーカーの気配がこの世界から消失していることも好都合だった。 なにもかもが都合のいいほうに転がっている。 今こそは、内に秘めたる欲望を解放する絶好の機会であった。 白炎を纏わせた魔人の蹴撃。 結局それがキュルケに届くことはなかった。 旋風を纏い、突如割り込んできた何者かが、手にした棒状のものでメンヌヴィルの跳び蹴りを受け止めたのである。 そして受け止めた杖を斜めにずらし、何者かはメンヌヴィルの力を受け流す。 すると、狙いがそれたメンヌヴィルが体勢を崩した。 だが、メンヌヴィルは空中でバランスを崩されたというのに、その驚異的な身体能力を使って体を捻り、豪腕を振るって反撃に移ろうとする。 けれどそれよりも速く、男が棒に伝わった力をてこの原理で利用し、コマのようにその場でくるりと一回転。そして遠心力まで加えた杖の一撃が、メンヌヴィルの攻撃が届くよりコンマ先に、その横頭部をしたたかに狙い打った。 流石のメンヌヴィルも、空中で追撃を受けて躱せない。頭部に受けた一撃によって勢いよく弾き飛ばされた。 けれど吹き飛ばされて、それでつけ入る隙を与えたりはしない。 彼は着地と同時に転がって、勢いそのまま跳ねるようにして飛び起きた。 そうやって立ち上がった、その顔に浮かぶは、 「おお、ついに……ついに……俺の前に立ちはだかるか」 歓喜。 一方、助けられたキュルケは呆然として、突如現れた者の姿を凝視した。 現れたのはマントを羽織った長身の男。 杖を手にした彼の顔には見覚えがある。 いや、少し前までは日常的に目にしていた。 彼の名は―― 「ミスタ・コルベール……」 そうして炎の熱に炙られる戦場に、教師コルベールはただ静かに立っていた。 英雄は、いつだって遅れてやってくる。 ―――ギーシュ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
https://w.atwiki.jp/francisyuki1991/
フランシー@wikiへようこそ Twitterで痔の化身と呼ばれ切痔に苦しみながらも必死にツイートをしていると巷で噂のあの人、フランシーのWikiです。 自由に編集してくださって構いません。 #twitter_widget_profile ※フランシーって? フランシーマジ痔 ※痔について 血が止まらないのほぉ! ※フランシー情報版 痔は人生 まずはこちらをご覧ください。 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能紹介 @wikiの設定/管理 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください @wiki助け合いコミュニティの掲示板スレッド一覧 #atfb_bbs_list その他お勧めサービスについて 大容量1G、PHP/CGI、MySQL、FTPが使える無料ホームページは@PAGES 無料ブログ作成は@WORDをご利用ください 2ch型の無料掲示板は@chsをご利用ください フォーラム型の無料掲示板は@bbをご利用ください お絵かき掲示板は@paintをご利用ください その他の無料掲示板は@bbsをご利用ください 無料ソーシャルプロフィールサービス @flabo(アットフラボ) おすすめ機能 気になるニュースをチェック 関連するブログ一覧を表示 その他にもいろいろな機能満載!! @wikiプラグイン @wiki便利ツール @wiki構文 @wikiプラグイン一覧 まとめサイト作成支援ツール バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5763.html
前ページ次ページ虚無と狂信者 才人は中庭に出て一つ伸びをした。 何とかルイズが元気になったことは彼にとっても嬉しい。 アンデルセン不在の今、少女の面倒を見るのは自分の務めだ。 そこでふと見ると、中庭の中央で何やら騒ぎが起きている。 その中心にギーシュとシエスタ、そしてシルフィードの姿を見止め、才人もまたそこへ駆け出した。 才人は目の前の男と何やら言い争いをしているギーシュに声を掛ける。 「ああ、サイト実はだね……」 「はん! ギーシュ! やっぱりお前はそこの平民と親しいんだな」 ギーシュの前にいる、彼に突っかかっているらしい男を見る。 「……誰?」 「ああ、彼は……誰だっけ?」 「ロレーヌだ! まあいい……。貴様か? この竜の主人は?」 いきなり話を振られ、才人は考える。 (確かに俺とシルフィードとの関係って謎だよなあ……。 いちおうこいつが恩義に感じて俺に協力してるってことはこいつの完全な自由意志ってことで……。 だから俺が主人っていう関係とはあまりに……。) などと考えているとシルフィードはきゅいきゅいと喚き始めた。 才人は近寄り、彼らに聞こえぬよう話す。 「……別にオッケーなのね……」 「了解」 才人はロレーヌに振り返り、頷いた。 「じゃあ貴様はメイジなのか?」 (ああ!そうなっちゃうのか!) 「ぼ、没落した貴族なんだよ。俺は」 (*1) ギーシュとシエスタは二人揃って等しく突っ込む。 しかし、周りは驚いたように声を上げる。 はっきり言って才人の存在は生徒達の間では有名だった。 よくわからないという点で。 使い魔品評会の後に厨房で働き始めた珍しい顔立ちの少年。 夜な夜な鍛練に勤しんでいる。 何やらルイズやキュルケなど家柄で見れば最高級の子女と仲がいい。 変わり者のコルベール先生の悪魔のような(臭い的な意味で)研究室に度々出入りする。 キュルケの使い魔の吸血鬼とは知りあいのようだ。 そしてどうやらルイズの使い魔である異教の神官を慕っている。 よく分からない。 しばらくたって今度はタバサと仲好く本を読む姿が目撃されるようになり、 その後何やら見事な風竜を連れて来た。 しかもその餌代は学院が払ってくれる。 オールド・オスマン直々の口添えで。 全く分からない。 前後してタバサの使い魔が授業に出てくるようになった。 アンデルセンを避けていたのだが、もうバレたので仕方無いということらしい。 そのキュルケクラスの美女である女性や、中々イケメンな隻眼の男。 学院の恋愛事情を一変させた彼らは、やはりあの吸血鬼や神官と知り合いな異国風の人とされた。 そんな彼らともやはり仲がいい。 やっぱり分からない。 大体アーカードやアンデルセンの存在も謎である。 片や使い魔召喚の儀式で回りの生徒を失神せしめた、学院の野性味ない生徒達でも一目で 分かる化け物。そんな彼がトライアングルであるとはいえ、ただの学生であるキュルケの 使い魔で納まっているのがそもそも異常だ。 また、片や時たまその吸血鬼に遠慮なくこれまた裂帛の気合を発散し、かと思えば それこそ学院の先生達よりはよっぽど教育者らしい態度をとる謎の神官。 その彼らと怯むこと無く気さくに話かける彼は一体何者となっても仕方ない。 そうこうする内に女王陛下来賓とその後の女子寮での騒ぎの後、件のルイズ、キュルケ、タバサ、 おまけにギーシュとその使い魔諸共数日学院から消えたことで、彼らの才人に対する評価は、 『オールド・オスマンに厚遇され、女王陛下直々の密命らしいことに参加し、風竜を操る、何だか凄そうな平民』 という何とも謎なポジションだった。 そこでおまけに没落貴族発言である。風竜を扱う点から鑑みればやはりとなって、 彼らは才人をどう扱うか測りかねてしまった。 (何かマズイな……) 鈍い才人とてこの状況は不味いことはわかる。オスマン老の庇護を得ているとはいえ、 それにはやはり自分は目立たないことが前提だ。でなくば、 「ふうん? 口から出まかせじゃないだろうな? もしそうならただでは置かないぞ!?」 と、このように快く思わない連中が出てくる。 「ああ、でも俺は魔法を使わないけどな」 「ほう、何故だ?」 才人は遠い空を見上げる。 「俺はあの頃から……あの事件から……二度と魔法は使わないと決めたんだ……」 (*2) シエスタとギーシュはまたも二人揃って突っ込んだ。 だが誤魔化しきれたようだ。皆これ以上は追究できない雰囲気に包まれた。 いかな中二設定とはいえ、娯楽もあまりないこの世界では結構効くようだ。 間髪入れずに才人は話題を転換する。 「で? 俺がギーシュと仲がいいから何だってんだ? 確かそんな話だったよな?」 ギーシュは言いにくそうに薔薇で口元を隠し、シエスタはおろおろする。 「ふん! 貴族が平民に尻尾を振るなんて名誉を落とすからやめてくれと言ったんだ」 「は?」 才人は間抜けな声を上げ、ギーシュの耳に口を近づける。 「何? そういう考え方すんの?」 「いやあ……あんな極端なのはそうはいないんだけどな」 「頭の固い保守派って奴か?」 「まあ、そんなとこだ」 そういえばワルドもそんなようなことを言っていたな、と思いだす。 確かにこんなのばかりなら祖国を裏切ったとてそう責めきれない。 「全く貴族の誇りとやらが無いらしいな、ギーシュ・ド・グラモン。 そう言えば貴様そこのメイドと訓練まがいのことをしているらしいな。 はっはっは!お笑い草だ!」 才人達は申し訳なさそうにギーシュを見る。理不尽とて自分達のせいでそこまで馬鹿にされているのだ。 さらにいえばシルフィード云々の下りから、竜を駆る才人に対するやっかみも一因らしいから。 しかし、彼はそんなサイトとシエスタにウインクして見せた。普段の彼の間抜けな仕草と違いサマになっている。 「貴族の誇り……ね。確かに、僕は強くなりたかった。ゆえに彼女に師事した。それが 誇りの無い行為だというのなら、まあそう言えばいいさ。」 ギーシュの殊勝な言葉に一同は驚く、以前の彼なら顔を真赤にしているところだろう。 「まあ、何だ。君がミス・タバサにした行為を思えば、そしてその結果を思えば、 そんな君に貴族の誇り云々言われるのはとても悲しいが、謹んで受け入れようじゃないか」 その瞬間周りの生徒達の間に失笑が漏れ、ロレーヌの顔が本当に真赤になった。 「ギーシュ何があったんだよ?」 気になったサイトは急いで訊ねる。皆笑っているなかで自分がその原因を知らないのは居心地が悪い。 「漏らした」 「は?」 「ミス・タバサに彼が決闘を申し込み、それは無様に倒されたという訳さ」 「成程、そりゃそんな奴に貶されても、どうってことはないな」 そこにふらりと誰かが現れた。タバサだ。傍らにはベルナドットを伴っている。 「何の騒ぎ?」 彼女は極めて自然に中心にいる才人に近づいて来た。 タバサがキュルケ以外にそうした態度をとることが既に驚きに値する。 「ミ……ミス・タバサ……」 ロレーヌがゆらりと立ち上がり、怒りを押さえて聞く。 「き、君はそこの男と一緒にここ数日居なくなっていたが……それは何故かね。 まさかそこの男と何かあった訳ではないだろう? 貴族ともあろうものが」 タバサは顔だけそちらを向けて、じっと見つめた後、ポツリと言う。 「誰?」 ロレーヌは何か空気の塊を吐き出す。 「知らないのに親しげに話しかけるとか、ストーカーじゃねえか?」 ベルナドットが銃に手を掛ける。タバサはそんな彼の影に隠れようとしたが、 やはりその顔をじっと見て、才人の影に隠れた。 「だからそれはやめろよ~~」 自分を置いてコントを始める彼らに、虚仮にされたと感じたロレーヌは怒りで震えながら杖を振り上げ叫ぶ。 「決闘だ!!」 「誰と?」 互いに目を見合わせる長い沈黙のあとにそう問われ、ロレーヌは逡巡した。 タバサは無理、トライアングルであるし、敵わない。 その使い魔を相手にしても、彼女に恨まれるだろう。 ギーシュ相手なら勝てるだろうが、貴族同士の決闘は厳禁。となると。 「そこの没落貴族。貴様が相手だ!」 タバサがその言葉にズイッと前に出る。 「彼は私より強い」 「ちょ! タバサ!」 その言葉に驚きが辺りを支配する。学院でも数少ないトライアングルであり、 その戦闘力はロレーヌとの決闘で証明済み、その彼女が極めて当然という風に言ったのだ。 この場で最も蒼くなったのはロレーヌだ。もし彼が本当にメイジなら、竜を使い魔にするほど 才能あるメイジということになる。そうでないにしたってタバサより強いとなれば勝ち目は薄い。 まさかメイドと決闘する訳にもいかない。よって、 「ギーシュ! 決闘だ!」 となってしまう。しかし、ギーシュがしれっと言う。 「貴族同士の決闘は禁止されている」 勝ったとしてギーシュに旨みは全くないのだ。 さらにロレーヌは一応ラインであるから、それなりに危険な決闘だ。受ける義理は全く無い。 「は! 怖気づいたな! 所詮ドッドか!」 そんな批難をされたとて、もはや負け犬の遠吠えに近い彼には怒りよりむしろ憐みの感情 の方が大きくなってしまう。 それに彼はシエスタに言われたことがある。 「いいですかミスタ・グラモン。そもそも戦闘にあって戦うなどというのは下の下です」 「どういうことだい」 「真の護身というのは、危うきには近寄らず、本当に戦うべきときにのみ戦うことです そうしないで、ただ振るいただ傷つけるのはただの暴力です」 ギーシュは感銘を受けた。そんなことを教えてくれた人はいなかった。 けれどそれはとても大事なことだ。力を得ようとするなら。 「成程……。大丈夫。僕は貴族だ。僕は僕の守るべきものの為にのみ君から教えられた力を振るおう」 ゆえにギーシュはさらりと流している。シエスタはそんな彼を見てしきりに頷いた。 才人もギーシュの纏う一種の余裕に感じ入っていた。 ロレーヌのその言葉が出るまでは。 「ふん! 大方! そのメイドに乗り換えようとしているのだろう! モンモランシーに振られたからって!」 才人は何かが切れる音というのを初めて聞いた。 「貴様にゃ関係ねえだろおおぉおぉおお!!!!!! 決闘だあああ!!!!!!」 いきなり貴族らしからぬ声を上げ、目から液体をまき散らしながら薔薇の造花を振りまわす ギーシュを才人とシエスタは慌てて止める。 「ちょっと待て! 一体何があったよお前!」 「うるさい黙れ! このモテ杉くんが!」 「誰だよ!」 「お、落ち着いて下さい! ミスタ・グラモン!」 「うぇえええええん! 離せ! こいつだけは許しておかねえ!」 ネズミを見つけた某青狸とそっくりなトチ狂いっぷりをみせる彼に、タバサの雪風が が炸裂し、その頭を霜だらけにする。 「頭冷えた?」 「あ、ああ。ありがとう。ミス・タバサ……」 気を取り直してギーシュは杖を向ける 「おい! ええと……。ま、いいや何とか・ド・ロレーヌ! 腸をぶちまけろ!!」 決闘の作法も何もかもすっ飛ばそうとするギーシュに、タバサのやや本気めのエア・ハンマーが炸裂した。 「こら! 何の騒ぎです!」 もはや中庭は混乱の極地に至っている。当事者ももはや何をしたいか分からない。 そこにコルベール先生がやって来た。才人の視界には何やら後光が見える。 というとあまり褒めているとは思えない。彼の頭的な意味で。 事情を説明し、彼は重そうな溜息をつく。 「とにかく散りなさい。ミスタ・ロレーヌ! あなたに課題を渡します!」 正直あのまま決闘になったら勝とうが負けようが停学ものなので彼も納得した。 無様な姿のギーシュに駆け寄るのは才人とシエスタだけだった。 「サイトオォ~~~~……」 顔から色んな汁を垂らし胸元に抱きついてくる彼に肘を見舞おうと思ったが、 あまりにも哀れな姿なので突き飛ばすだけにした。 「あ、ま、まあどうだね? ミスタ・グラモン。少し話をしようじゃないか」 流石に哀れになったのかコルベール先生も肩を叩き、タバサも頷いた。 厨房の傍らのテーブルにて話を聞く。 ギーシュはモンモランシーに惚れている。これはもはや周知の事実であり、本人達もその気の筈だ。 しかし、どうもギーシュの軽薄さと、モンモランシーの嫉妬深さで事はややこしいらしい。 「ケティとはね……手を繋いだだけなんだよ? モンモランシーとは軽くキスしただけだ。 それで……軍曹とは本当に何もない。それは知っているだろ?」 「軍曹とは?」 コルベール先生とタバサが不思議そうに聞く。 「ああ。シエスタですよ。シエスタ・ハートマン軍曹」 「おはずかしながら……。あとハートマンって誰です?」 コルベール先生は不可解な顔をしたが、まずは続きを聞こうと思ったらしい。 「それでも……モンモランシーは信じてくれなくて……。僕が軍曹に手を出してるって……。」 「お前あんなに怖がってるのにな」 シエスタがムッとするも、まあ事実であろうし何も言わない。 「それで誤解を解こうと軍曹に引き合わせてみたけど話も聞いてくれなくて……。 あんたなんか知らないって……」 最後の方は言葉にならず、机に顔をつけ泣いていた。 「あ、でも。モンモランシーだって話せば……」 「会ってもくれないんだ~~」 「ひっつくんじゃねえ! 鼻水つくから! らめ~~!」 身を捩りつつシエスタを見る。 確かに軍曹モード時は怖いが普段は清楚で可愛い娘である。 貴族の中でも少し気に掛けている男はいるらしい。 成程、こんな娘と毎晩会っていたら邪推もするだろうか。 やっていることを見ればそんな風には思わないだろうに。 「どうせ僕は、ドッドだし、あの使い魔達には及ぶべくもないし……。駄目人間なんだ~~!」 どうもルイズのように、人間落ち込むとそれとは関係の無い所まで自分を卑下するようだ。 「あの使い魔達は……。いや、キュルケやタバサだって……。ルイズだって軍曹だって君だって……。 でも、僕は全然活躍できなくて……。だからもっと頑張ろうって思っただけなのに……」 そんなことを言われると才人も放っておけない。あの桃髪の少女に重なる。 頑張っているのに認められないのは、辛い。 「ああもう! お前ホントルイズに似てんな!」 才人の目からも何か変な汁が出て来た。何とか彼を元気づけられないだろうか。 とりあえず生徒が落ち込んでいるのだから、コルベール先生に聞くのが筋だろうと彼を見据える。 「ああ、そうだね……。つまり話を要約すると、ミスタ・グラモンは自分の周りの人々が凄すぎる、 けれど自分はそれに比べてあまりに情けないと思っているのだね?」 ギーシュはコクリと頷く。 「ああ、例えばだね。ライオンの群れがあるとする」 「はあ」 「そのライオンの群れの中で一匹だけ元気に生活しているウサギがいるとする。 だったらこのウサギは凄いウサギだと思わないか」 その言葉に厨房にいる全員が反応する。 「成程! 確かにそいつは凄いウサギだ!」 「つまりだ! 君の中にすむ悪魔を私に見せてくれ!」 「先生! 意味がわかんないよ!」 咄嗟に突っ込んだ後、ギーシュはあることに気づきポツリと言った。 「僕……ウサギ……?」 「控え目に言って」 一層濃い影をしょい込んだギーシュ。サイトは、今度はシエスタに話を振る。 「え、ええっと。それではダルフに伝わる闘魂注入法を」 一同は何か響き的に嫌なものを感じたが黙って見ている。 シエスタはギーシュを立たせ、その肩をポンと叩く。 「失礼」 シエスタが思いっきりその腕を振りかぶる。 彼女の口から「シイィィィィ」とか聞こえてくる。 ギーシュはヤバい予感を肌で感じとった。 「ちょっと待―――」 「チェエエエエエストオオオォォォォォォォオオオオーーーーーー!!!!!」 ギーシュはシエスタにビンタを喰らい、叩きつけられた。 壁に。 そのまま動かなくなるギーシュ。サイトはそんな彼を一瞥し、彼女の肩を叩く。 「シエスタ。今度からはそれはある程度元気な人に、死なない程度にやろうか あと警察に行こう」 「え? まさか死……」 一応ギーシュは生きていた。顔も腫れていない。鼻血は凄い出ている。 「まあ、女の子だってよお。お前のことを本気で好きだから嫉妬してんだろ? だったら焦らなくても大丈夫じゃないか?」 隊長が中々ポジティヴな意見を言ってくれた。流石はフランス人である。 ギーシュも少し自信ができたらしい。 「それはそうと何故か頭が痛いのだが」 皆視線を逸らした。 「……なあ、サイト」 「んだよ?」 「『君を愛してる』以上に愛を伝える言葉って一体何があるんだい?」 (控え目に言ってキモイ。いやもうマジキモイ!) 「無言じゃね?」 (隊長かっけええええええええ!) 目を輝かせる才人。しかし、タバサがポツリと呟く。 「伝わってるの?」 主人の鋭い指摘に、床に伏すベルナドットだった。 才人はそんな彼が余りに哀れ過ぎて何も言えなかった。 そこに久し振りに見る顔が現れる。数日振りの赤い髪に黒い肌の少女だ。 「タバサ。サイト。え~とギーシュ。何やってるの?」 「キュルケ……。え~と。って……。」 「なあにギーシュ。またモンモランシーと痴話喧嘩? 飽きないわね~」 「おお。キュルケ。久し振り」 「サイト久し振り! や~んタバサ! んも~また可愛くなっちゃって~!」 そう言って、タバサの顔が胸に埋まる。 (あ~。ちゃんと喜んでるんだな。あれ……) タバサの表情が読めるようになった彼は感心する。隊長が唾を飲む音は聞かないことにした。 『今こそ感覚の共有を!』とかは本当に聞こえないことにする。 「それはそうとギーシュ! あんたこんなとこで管巻いてる暇あったら何かプレゼントするなりしたら?」 凄くタメになる解決策が出た。 「金がない」 全てを無にする節理だ。しかし、そんな哀れなギーシュにキュルケは人さし指を立てる。 「まっかせなさい! 今すぐってわけにはいかないけど、当てはあるのよ」 (タバサが何か嫌そうな顔したな) 「それはそうとタバサ~。魔法の練習に付き合って~」 キュルケの彼女とはあまりにかけ離れた言葉に、タバサは黙ってディテクトマジックをかける。 「失礼ね! 私だって……向学に燃えることもあるのよ」 「キュルケ! 病院行こう!」 「ギーシュ! どういう意味よ!」 「頭? 心?」 「タバサまで!」 「まあ……。そういうことなら皆でやろう……。ぶっちゃけ一人でいるのが辛いの……」 そう言ってギーシュはまた暗い影を背負った。 「ギーシュ。本当に参っているのね……。 でも、あなたが逞しくなって勲章の一つでも持ってくればモンモランシーも喜ぶんじゃない?」 その言葉にピクっと震えたギーシュは手を振り上げ叫んだ。 「やってやるぞ! 見返してやる!」 頭の出来がシンプルなのがこの男の良いところである。 「……夜に広場」 「そうね……。いいのよ! 男は逞しければいいんじゃない? とりあえず!」 どうも皆で訓練する方向に行った。ギーシュも時間さえ置けばいいだろう。 (でも何であのキュルケがこうもヤル気になったんだ?) アーカードがさっきギーシュの出した鼻血を指で掬って舐め、噴き出した。 「マズ!!」 (それはそうでしょう……。てか、最強の吸血鬼が拾い喰いするなよ) 才人はそんな彼を微妙な目で見る。アーカードはそんな彼を見て言う。 「なかなか面白い面構えになったな」 「面白いって……」 「いや、いい意味だ……」 アーカードは一同をぐるりと見回す。 「素晴らしい。やはり人間は素晴らしい」 ふと思う。 人間とは何だろうかと。 今ならわかる気がする。 それは変わること。 諦めず変わろうとすること。 だからアーカードさんは……。 彼はもう死んでいて、 己の技を練り上げることはない。 だから、俺達が変わろうとすることを、 何より望んでいるのだ。 前ページ次ページ虚無と狂信者
https://w.atwiki.jp/retroadventure/pages/66.html
トランシルバニアⅡ 1986年発売 (スタークラフト/ポーラーウェア) ストーリー 操作方法 コマンド入力方式 作品解説 マイコンBASICマガジン 1986年 5月号に掲載。 Polarware(1986年に "Penguin Software" から社名変更)から、1985年に発売されたappleⅡ版ソフト(The Crimson Crown)の移植。 関連項目 トランシルバニア ザ・クエスト リングクエスト 照魔鏡の伝説 外部リンク 懐かしいアドベンチャーゲームをやろうよ! --- レビュー&攻略テキスト
https://w.atwiki.jp/wakucana/pages/20.html
セドロ・ランシア imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (300300.png) 目次 セドロ・ランシア 目次 概要 人物 性格 戦闘能力 過去 家族 余談 現代コンバート 関連タグ 関連ふせったー 概要 『セリフ』 CV: 「アルカナ名」 人物 性格 戦闘能力 過去 家族 余談 現代コンバート 関連タグ 関連ふせったー
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/55500.html
登録日:2024/01/08 Mon 01 27 20 更新日:2024/08/18 Sun 20 47 12 所要時間:約 40 分で読めます ▽タグ一覧 GOD機関 きれいなゴルゴム しつこい またお前らか アポロガイスト ガランダー帝国 クライシス帝国 グランショッカー ゲドン ゲルショッカー シャドームーン ショッカー ジェネラルシャドウ ジャーク将軍 ジンドグマ デストロン デルザー軍団 ドクトルG ドグマ王国 ネオショッカー バダン ブラックサタン ライダー系悪の組織リンク 世界征服 仮面ライダーSD 八鬼衆 十面鬼 地獄大使 大ショッカー 怪人軍団 悪の組織 所要時間30分以上の項目 昭和ライダー 暗闇大使 暗黒結社ゴルゴム 暴走軍団 最強組織 漫画版仮面ライダーリンク 装甲戦闘車両 集結した悪 【概要】 【主な登場作品】仮面ライダーSD マイティライダーズ 仮面ライダーSD 怪奇!?クモ男 仮面ライダーSD 仮面ライダーSD 爆走笑学校 仮面ライダーSD 疾風伝説 仮面ライダーSD グランショッカーの野望 仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン 仮面ライダーSD 走れ!マイティライダーズ 【構成員】魔神大首領 グランショッカー八鬼衆地獄大使 ドクトルG アポロガイスト 十面鬼 ジェネラルシャドウ 暗闇大使 シャドームーン ジャーク将軍 その他の構成員、関係者 【グランショッカー基地】 【概要】 「グランショッカー」とは、『仮面ライダーSD』に登場する悪の秘密結社である。 かつて仮面ライダー達と戦い壊滅した悪の秘密結社の構成員達が、謎の魔神大首領の手によって強化再生手術を受け復活、結成された組織。 魔神大首領以下、「グランショッカー八鬼衆」と呼ばれる各組織から選抜された8人の大幹部が権勢を振るっている。 組織の戦闘員は多くの作品でショッカー戦闘員が務めているが、作品によっては八鬼衆がかつて所属していた組織の戦闘員が登場する事もある。 多くの戦闘車両を戦力として保有しており、移動式の基地で世界各地を急襲し、悲願である世界征服を目論む。 世界各地に散って孤軍奮闘を続けていた11人の仮面ライダーは、立花藤兵衛の招集を受けて「マイティライダーズ」を結成し、これに立ち向かっていく事となる。 『仮面ライダーBLACK RX』放送終了後の90年代前半におけるテレビシリーズ空白期間を支えたコンテンツ『仮面ライダーSD』。 グランショッカーは歴代仮面ライダーが集結するというお祭り作品の敵として相応しい、歴代悪の組織のオールスターになっている。 ……が、昭和2期の敵組織はバダンを除き首領・幹部クラスが不在(*1)という憂き目に遭っている。スーパー1は早い段階でフィギュアが発売されたりと優遇されていたのに。 マンガ、ゲーム、フィギュア、OVAと様々な媒体でメディアミックス展開された『仮面ライダーSD』だが、作品によってキャラクターの性格や細部の設定などは大きく異なる場合が多い。 ただし幼年誌での展開が多いためか、当時人気だった『SDガンダム』や『コンパチヒーローシリーズ』に準じてコミカルな感じで描かれているのが大半。一方で、以下のように大きな戦果を挙げている作品もある。 ・日本各地で同時多発的に侵略作戦を展開し、マイティライダーズは常に後手に回る事となった『仮面ライダーSD グランショッカーの野望』 ・戦闘車両だけでなく空中戦艦をも保有する強大な戦力で、最終的には11人のライダーのうち4人を戦死させた『仮面ライダーSD 疾風伝説』 組織を表すシンボルマークはショッカーと同じ鷲。アルファベットのGを模った台座の上に立っている。 なお、当時発売されたフィギュア付録の小冊子(*2)などではGRAND SHOCKERという英語表記が確認される。 直訳すると「偉大なショッカー」または「大いなるショッカー」となり、ファンの間では後年のシリーズに登場する組織の元ネタと目されている。 【主な登場作品】 仮面ライダーSD マイティライダーズ コミックボンボン及びデラックスボンボンで連載されていたギャグマンガ。作者はあおきけい。 『仮面ライダーSD』は前述の小冊子に記載されていた公式設定の時点で中の人ネタや原作での描写を誇張・拡大解釈したものが異常に多かったが、本作は連載初期を中心に怪人の鳴き声や作戦内容といった原作に準じた小ネタが豊富でファンからの評価も高い。 作中での1号、2号の台詞を見る限り、本作では原作通り過去にダブルライダーとショッカーの戦いがあった模様。 仮面ライダーSD 怪奇!?クモ男 上記のマンガの第1話をベースにしたOVA作品。脚本はかの井上敏樹。 作画の都合かショッカー骨戦闘員のカラーリングが原作の黒と白から青と黄に変更されており、ゲルショッカー戦闘員っぽくなっているのが特徴。 登場する怪人はショッカーとデストロンから。モブでドグマ王国やゴルゴムなどの怪人も映っている。 そして視聴者の間で今なお語り草となっているのが、モブ怪人の群れの中に本作発売の前年に発表されたばかりのシンが混ざっていたという事実。そのお陰か本作は『真』『ZO』『J』のネオライダー3作をセットにしたブルーレイBOXに映像特典として収録されている。 仮面ライダーSD てれびくんで連載されていたギャグマンガ。作者は竹村よしひこ。 同時期に作者がコロコロコミックで連載していた『わ~お!ケンちゃん』同様にお下劣ギャグが特徴。 同名の作品がテレビランドでも連載されており、そちらの作者はのなかみのる。 仮面ライダーSD 爆走笑学校 小学館の各学年誌で連載されていたギャグマンガ。作者は玉井たけし。 簡単に説明するなら、同作者の『ウルトラ怪獣かっとび!ランド』の登場キャラをライダーや怪人に置き換えたもの。 八鬼衆によって極端に出番に差があり、一番出番が多いのは地獄大使。逆にシャドームーンやジャーク将軍ら近年のキャラは殆ど出てこない。 また、原作における幹部クラスは八鬼衆以外は全て一介の怪人扱いになっている。 登場する怪人もショッカー、ゲルショッカー、デストロンからのチョイスとなっている。 仮面ライダーSD 疾風伝説 コロコロコミックで連載されていたダークかつハードな作風のマンガ。作者はかとうひろし。 本編開始前に1号と戦い壊滅したショッカーが母体となっているが、壊滅の際に苦し紛れに超重力次元兵器を起動して全世界を荒廃させるというシリーズ最大規模の悪行を行っている。 世界各地の水源を制圧する事で、無政府状態と化した作中世界を実質支配下に置いてあり、仮面ライダー達はそこからの解放のために戦うレジスタンスとなっている。 本作では後述するグランショッカー基地は登場せず、本部基地である「暗黒城」を始め、世界各地に城を築いて拠点にしている。 後年、作者自ら連載は打ち切りだった事を公言しており、物語が端折られた余波で八鬼衆のうち半分が最終決戦まで目立った出番なし(うち3人が台詞なし)という憂き目に遭っている。 昭和2期の敵組織の中ではネオショッカー怪人が多く取り上げられている一方で、原作では幹部怪人だった死人コウモリが一介の怪人だったり本作オリジナル怪人が多く登場するといった部分も見受けられる。 仮面ライダーSD グランショッカーの野望 ファミコンで発売されたボードゲーム風RPG。 本作では日本征服を第一目標に据え、日本各地を8つのブロックに区切って八鬼衆がそれぞれ侵攻を開始している。 が、肝心の八鬼衆はイベントシーンに立ち絵が用意されておらず、代わりに戦闘員が喋っているためいまいち締まらない。 雑魚敵に関しては歴代悪の組織から満遍なく選抜されているが、やけにマイナーなチョイスが多い。ゲルショッカー枠がネコヤモリだったり、ドグマ王国枠がロンリーウルフ(*3)だったり。 コミックボンボン増刊号にてコミカライズが行われており、こちらの作者は佐藤元。 仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン スーパーファミコンで発売されたレース風アクションゲーム。 全10ステージで各ステージの最後にボスが登場するが、八鬼衆は3人しか出てこない。 立花藤兵衛のおやつを盗んだりとセコい悪事を働く一方で、工場の爆破などそれらしい悪事も働いている。 仮面ライダーSD 走れ!マイティライダーズ ゲームボーイで発売されたレースゲーム。 こちらは更に少なく、八鬼衆は2人しか出てこない。一人はシャドームーンと妥当なチョイスだが、もう一人は何故か暗闇大使。 【構成員】 魔神大首領 【基本設定】 グランショッカーアジト内に鎮座する巨大な魔神像を介して八鬼衆に指令を下す謎の首領。 組織の真の目的はこの魔神像が動くためのエネルギーが充填されるのを待つ事であり、世界各地で行われるテロ行為もそのための時間稼ぎに過ぎない。 だがこの事実は八鬼衆にすら伝えられておらず、あくまでも自身が世界征服を行うための手駒としてしか考えていない事が透けて見える。 + その正体は…… もちろんいつものショッカー首領…ではなく、かつてショッカーの最高幹部だった死神博士その人。 が、頭部のコクピット部分に襟を立てた特徴的なシルエットが描かれていたため、仮面ライダーに詳しいファンなら早い段階で勘付いていたと思われる。 しかしながら死神博士がどうやって蘇ったのかは不明のままであり、ひょっとしたら別に黒幕がいた可能性も否定できない。 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 最終決戦において正体が判明。死神博士自身もその姿を現している。 ゴルゴムから奪った天・海・地の石の力を動力源とする事で魔神像の起動に成功し、役立たずの八鬼衆を粛清して自ら世界征服に動き出す。 圧倒的なパワーでマイティライダーズを壊滅状態に追いやるも、唯一人残ったRXが怒りと悲しみの感情からキングストーンの力を覚醒させた事で形勢を逆転され、ライダーファイナルキックを受けて魔神像諸共に消し飛ぶ事となった。 じじい呼ばわりされるとブチ切れるが、そう言いつつも魔神像の武器はゲートボールのスティックだった。 【仮面ライダーSD 怪奇!?クモ男】 声 池水通洋 出番は冒頭のみ。改造人間製造工場をマイティライダーズに破壊されご立腹していた。 担当声優の池水氏は、後年発売されたゲーム『仮面ライダー 正義の系譜』でも死神博士の声を担当している。 【仮面ライダーSD 爆走笑学校】 本作に魔神大首領は登場せず、代わりに小学校を訪れた謎の占い師として死神博士が直接登場する。が、それとは別のエピソードにモブ怪人でイカデビルも登場している。 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 打ち切りの影響か魔神像は最終決戦で唐突に起動し、死神博士も最後までシルエットのままだった。 崩壊する暗黒城内にて1号の特攻を受け相討ちとなる。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 本作発売時点ではまだネタバレが解禁されていなかったため正体については濁されている。 日本征服計画が頓挫した後、逃げ帰ってきた八鬼衆を全員粛清するとマイティライダーズの前からそのまま姿を消してしまった。 【仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン】 まだ正体が判明する前に開発されたのか、2面ボスとしてイカデビルが出てくる。 時速300㎞超で移動可能なトンデモ性能を有した多脚戦車に乗って出現し、自身の触手を伸ばしての攻撃で2号と戦った。 グランショッカー八鬼衆 地獄大使 【基本設定】 物量だけならグランショッカー最大を誇る「怪人軍団」軍団長を務める、元ショッカー最高幹部。 強化再生手術によって右目の周辺と顎の部分が機械化しており、左手の鉤爪も大型のドリルにパワーアップしている。また、側頭部には一対の大きな角が取り付けられている。 短気で直情的な性格。従兄弟の暗闇大使とは反りが合わず非常に仲が悪い。 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 アホなうえに悲しいぐらい人望がない。 半径100メートル以内の自分の悪口は絶対に聞き逃さない地獄耳を持ち、それで戦闘員にキツく当たるためますます人望を失っている。 コブラ男に小学生からお年玉を巻き上げさせて軍資金を稼ごうとするなど、異常に効率の悪い作戦ばかり立てる辺りやっぱりアホ。 だが邪魔な暗闇大使の足を引っ張る目的でマイティライダーズに情報を提供するなど、アホなりに頭を使う場面も。 なんだかんだで八鬼衆の中でも出番は多い方だったが、最期は残りの八鬼衆諸共に粛清されてグランショッカー基地ごと爆死する。 【仮面ライダーSD 爆走笑学校】 グランショッカー側の中心人物。左手のドリルは普通の手に変更されている。 クラス委員長の座を虎視眈々と狙い、度々ライダー達に勝負を吹っかけてくる。 レース対決の際は改造バイクを乗り回していた。また、理科の授業中にあり合わせの機材で改造人間を作り出すという才も見せる。 見た目や言動がジジ臭いのは自覚あり。 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 暗黒城での最終決戦にて暗闇大使とタッグを組み、1号&2号のダブルライダーと戦った。 最期は2号の打撃を受けて倒れる。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 近畿エリア担当。京都を訪れた観光客を次々と眠り病に罹患させ、混乱を引き起こしていた。が、それで何をしたかったのかは最後まで不明のままだった。 ガラガラン・スペシャルα 地獄大使の愛機。自身の怪人態であるガラガランダの姿を模した戦闘車両。蛇のように細長い車体が特徴。 現実のガラガラヘビが尾を振って音を出すという習性を踏まえ、車両後部に複数の空き缶が結び付けられガラガラ音を立てている。うがいでガラガラの10数年前からこんな感じである。 ドクトルG 【基本設定】 機械的な強化が施された怪人による「サイボーグ怪人軍団」軍団長を務める、元デストロン大幹部。 原作では腰に短剣を提げていたが怪しげな薬品が入った試験管に変更されており、愛用の戦斧も背中に背負って代わりにフラスコを手にしているなど、武闘派の側面は消え科学者としての設定が強調されている。 「ライダー」を「ラーイダ」と発音する癖はそのまま。 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 作中最初に登場した八鬼衆。人呼んで「グランショッカーの発明王」。 老化ガスなどの自作の発明品を用いて作戦を実行する。 捕らえたRXの遺伝子にゴキブリの遺伝子を掛け合わせて作ったクローンライダー、通称「ゴキライダー」を使って世界征服に成功するも自分達もゴキライダーの群れによって滅ぼされた。 歴史を変えるべく未来からやって来た立花藤兵衛らによって計画は未然に防がれるが、ドクトルG自身は死の運命を回避する事ができず、ライドロンに撥ねられて基地のエネルギー炉に激突し八鬼衆最初の戦死者となってしまった。 最終章である「ゴルゴム編」冒頭にも登場するがそのままフェードアウト。作者によると時系列的には「ゴルゴム編(第1話) → タイムマシン編 → ゴルゴム編(第2話以降)」という流れであるためとの事。(*4) 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 本作では原作同様に武闘派としての側面が強く、暗黒城での最終決戦にて戦斧を手にスカイライダー&ZXと戦った。 この2人を同時に相手取っても倒れる事なく、それどころかボウガンで武装した戦闘員の部隊を編成し、崩壊する城から脱出を図るライダー達に追撃を仕掛ける。 そこで殿を務めたストロンガーを射殺するという大金星を挙げるも、直後に城の崩落に巻き込まれ絶命する。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 九州エリア担当。人工的に大津波を発生させる装置を手中に収めるべく、開発者の博士を誘拐する。 スコーピオン・GT ドクトルGの愛機。デストロンのシンボルであるサソリの姿を模した戦闘車両。 複座になっていて尾の部分にはドクトルGが乗り指揮を執っている。頭部の方にあるコクピットではデストロン怪人・ヒーターゼミが操縦を担当している。 よりによって車体のど真ん中にドクトルGのかつての所属先であるナチスドイツのハーケンクロイツが刻まれている。 アポロガイスト 【基本設定】 神話に登場する神々・英雄・幻獣の力を宿した怪人による「神話軍団」軍団長を務める、元GOD機関秘密警察第一室長。 再生アポロガイストの姿をベースに強化再生手術が施されており、頭部のデザインのディテールとベルトのデザイン、そして右腕のアポロマグナムの形状が原作から変更されている。 正々堂々とした戦いを好む性格。「アーム爆弾で一緒に死ねぇッ!!」なんてなかった。ただ、詰めの甘さが珠に傷。 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 失敗続きの地獄大使に業を煮やした魔神大首領が日本へと呼び寄せた。立花藤兵衛曰く「きちょうめんでルールにきびしく責任感があり約束をまもる礼儀正しい悪の怪人」。 悪の組織の構成員とは思えぬほど社会規範に厳しく、ルールを守らない相手は誰だろうと容赦なく発砲する。 わざわざ作戦予告を自ら口頭で伝えるべくマイティライダーズの基地にやって来た事も。(*5) 最期は残りの八鬼衆諸共に粛清されてグランショッカー基地ごと爆死したが、マイティライダーズ宛に自身の葬儀の案内状を既に送っているという抜け目のなさだった。 原作ではキングダークの配下だった悪人怪人軍団も指揮下に置いている。と言うか後述の通りキングダーク自身も神話軍団に編入されている。 【仮面ライダーSD 爆走笑学校】 比較的出番は多く単行本の主要キャラ紹介でも取り上げられているのだが、これと言って目立った活躍や設定はない。 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 レジスタンスの本拠地、通称「太陽の神殿」に各軍団の怪人で編成された混成部隊を率いて総攻撃を仕掛けた。 ガイストダブルカッターからコンクリートを融解する程の熱量のファイヤーハリケーンを巻き起こし戦う。 2号とライダーマンを瞬殺し、RXのリボルケインを防いでカウンターを叩き込む程の高い戦闘力を見せるも、家族を殺害された事実を知ったRXが悲しみの感情の高ぶりと共にロボライダーへのフォームチェンジ能力を覚醒させた事で形成を逆転される。 ロボライダーの能力で火炎を無効化され、更にガイストダブルカッターもボルティックシューターで砕かれ、最後の手段として原作でも見せた自らの肉体を炎に変える能力(*6)で決戦に挑む。だが1号のサポートで風を操る能力を開花させたV3によって炎を払われ、最後は渾身のロボパンチを受けて敗れ去った。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 中部エリア担当。偵察に訪れていたスカイライダーを捕らえ、処刑しようとした。 【仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン】 5面ボスとして登場。エジプトの砂漠にて秘宝を盗み出していた。 後述のアポロチャリオッツとは異なる専用の赤いバイクに乗ってXライダーと因縁の戦いを繰り広げる。 アポロチャリオッツ アポロガイストの愛機。古代ローマの騎馬戦車を模した車両で、形状はGOD機関のマークを模っている。 ただし曳いているのは馬ではなく、高速移動が可能なGOD怪人のマッハアキレス。 ちなみにマッハアキレスは原作において二度もアポロガイストに反逆した怪人として有名。そのためか座席のアポロガイストは容赦なく鞭でマッハアキレスを叩いている。三度目の反逆待ったなし。 キングダーク 悪人怪人軍団を率いるGOD機関の巨大ロボット。 原作では呪博士が操縦していたが、『仮面ライダーSD マイティライダーズ』ではアポロガイストの乗機となっている。 スイカ割りの要領でガスタンクを破壊するという作戦に投入されたが、アポロガイストがスイカ割りのルールに固執した結果、V3とRXに両膝を攻撃され破壊されてしまう。 ちなみに動力はゼンマイ式。 『仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン』では5面背景としてキングダークを模った砂像が出てくる。 十面鬼 【基本設定】 従来のものより強い獣性を持つ怪人による「獣人軍団」軍団長を務める、元ゲドン首領。(*7) 原作の時点で粗野で乱暴な性格だったが、本作では上半身に毛皮を纏い両手に棍棒を持った原始人スタイルとなっており、知能指数低下に拍車が掛かる事となった。長老バゴーの助手という設定は何処行った。 また、原作と異なりガガの腕輪を引き続き所有している。そのため右腕は切断されておらずそのまま残っている。 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 足し算すらマトモにできないバカ。自分でもその事を気にしており、「バカ」と聞くと怒りから見境なく暴れて周囲に被害を齎す。 ゴルゴム編にて他の八鬼衆と共に気球で天空城を目指している最中、少しでも軽くするためにと気球から落とされそのまま物語からフェードアウトする。 何故か中世の日本にて十面鬼とは真逆の天才肌の先祖が生活しており、鬼ヶ島の鬼を率いて暴虐の限りを尽くしていた。 原作ではガランダー帝国の構成員だった獣人も配下に置いている。また、モグラ獣人が完全な悪党として所属しているのも特徴。 【仮面ライダーSD 爆走笑学校】 本作では下半身の人面岩が後述の十面オープンではなく原作通りのデザインになっている。 そのため跳びはねて移動する。 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 暗黒城での最終決戦にてアマゾンと戦うも、胸を切り裂かれて倒れる。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 東北エリア担当。各地の火山を噴火させる作戦を指揮していた。 十面オープン 十面鬼の名の由来である下半身の人面岩を戦闘車両に改造した物。埋め込まれた9人の悪人の頭脳は、原作における決戦でアマゾンの攻撃を受け石化した状態のままになっている。 その石化した顔の額部分には銃口が取り付けられ、全方位に銃撃ができるようになっている(『仮面ライダーSD(てれびくん版)』では十面機関銃と呼称)。 原作だと人面岩の口の部分から可燃性の液体や溶解泡などを吐き出して攻撃していたが、本作では放熱フィンに改造されているため使用できるかは不明。 また、人面岩の両側には石を加工して作った車輪が、背面にはマフラーが装備されるといった感じで完全に車両として改造されているため、原作同様の飛行能力が残っているかも不明となっている。 ジェネラルシャドウ 【基本設定】 個々人が他組織の大幹部クラスの実力を持つ13の改造魔人によって構成された「デルザー軍団」軍団長を務める。原作で組織のリーダー格だったマシーン大元帥の立場がない。 強化再生手術によって顔の左半分が黒くなっているほか、ワンポイントとして黒いシルクハットを被っている。また、ベルトのバックルが他の改造魔人と同じデルザー軍団の物に変更されている。 その他の変更点として、使用しているトランプが原作の任天堂製からデルザー軍団のマークが入った本作オリジナルの物になった。グランショッカーも最強法務部には敵わなかったという事か。 原作での戦闘スタイルややたらトランプ占いをやっていた影響と当時大人気だったマジシャンのトランプマンの影響か、様々なマジックに精通しているという設定になっている。 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 手品が趣味で、空気を読まずにところ構わず披露する。そしてウケが悪いと激しく落ち込む。 ゴルゴム編ではその技術を活かし、マイティライダーズが手に入れた天・海・地の石を偽物とすり替えるという活躍を見せるも、残りの八鬼衆諸共に粛清されてグランショッカー基地ごと爆死する羽目に。 ブラックサタンの機械人も配下に加えている。 【仮面ライダーSD 爆走笑学校】 シルクハットを取った頭がチョンマゲという衝撃的な姿を披露していた。 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 アポロガイストの死後に登場。武人然としていた原作とは異なり卑劣な性格。加えて野心家で、八鬼衆のトップに上り詰める事を画策し暗躍した本作後半のトリックスター。だが結果的にグランショッカー壊滅の遠因となってしまう。 家族を殺されて天涯孤独となったスーパー1を保護し、恩を着せる事で自身の用心棒として利用していた。言わずもがな、ジェネラルシャドウ自身の手によるマッチポンプである。 しかしジャーク将軍との会話中に真相を口にしてしまい、それをスーパー1に聞かれた事で反旗を翻されてしまう。 感情を制御できず隙を見せたスーパー1の左腕をシャドウ剣で貫くも、直後に掌打を顔面に受けて形勢は逆転。命乞いをして油断を誘おうとするも通用せず、自らのシャドウ剣を突き立てられて死亡する。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 四国エリア担当。四国の人々を洗脳し、自分達をオーストラリア人だと思い込ませるというちょっとよく分からない作戦を実行していた。 ただ、洗脳による服従を目的とした作戦としては実際に成功しており、四国の人々は自分達を導いてくれた存在としてジェネラルシャドウを妄信するようになっていた。 スーパートランプ ジェネラルシャドウの愛機。様々な奇術道具を組み合わせた大型車両。車両前面はラスベガスのような派手なネオン看板でデコっている。 空中戦艦 『仮面ライダーSD 疾風伝説』に登場。グランショッカー本部直属の殺戮部隊の旗艦で、巨大なエネルギー砲が武器。 ジェネラルシャドウが指揮権を持っており艦長として搭乗している。艦のコントロールはブラックサタン戦闘員が担当。 V3が新たに編み出した、風を一点に集中して射出する「疾風弾」をエネルギー砲の砲門に叩き込まれ撃沈された。 暗闇大使 【基本設定】 時空魔法陣によって強化された怪人による「ロイド軍団」軍団長を務める、元バダン最高幹部。 強化再生手術によって左目の周辺と左胸が機械化している。 冷静沈着な策士タイプ。従兄弟の地獄大使とは反りが合わず非常に仲が悪い。 スカイライダーとスーパー1の敵幹部がいないのに特番1回だけの出番の彼がいるのはまず間違いなく地獄大使の従兄弟設定のおかげ 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 連載中一回しかメイン回がない。 まあ原作が単発の特番だった以上、原作のネタを拾い上げる事の多い本作には登場させ難かったのだろうが……。彼が大活躍するのは10年近く先の話である その時の作戦内容は、タイガーロイドを指揮して北極の氷を巨大な湯沸かしポットで溶かして大洪水を起こすというもの。その前段階としてポットを動かすために必要な乾電池を大量に盗んでいたがマイティライダーズに阻止される。 頭脳派で人望厚く、配下の怪人や戦闘員にも優しい性格。しかし地獄大使の事は子どもみたいに煽る。 ちなみにゴルゴム編から最終決戦までの流れで暗闇大使だけ最後まで出てこない。これについては後年、作者が「大首領の裏切りに気付き、配下を連れてグランショッカーを逃げ出したから」と回答している。うっかり描き忘れたのかなぁとは言ってはいけない。 【仮面ライダーSD 爆走笑学校】 地獄大使同様に見た目や言動がジジ臭いが、それを利用して泣き落としを仕掛けてくる抜け目のなさの持ち主。 たまに作画ミスでショッカーベルトを巻いている。 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 暗黒城での最終決戦にて地獄大使とタッグを組み、1号&2号のダブルライダーと戦った。 最期は1号に左胸を貫かれ倒れる。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 中国エリア担当。人間を鬼に変えるウィルスを霧に混ぜて撒き散らし、各地を混乱に陥れていた。 【仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン】 8面ボスとして登場。アメリカにて立花藤兵衛を詐欺に引っ掛けるというセコい悪事を働いていた。 バダンのマークが入った飛行船に乗って、追ってくるZXから必死で逃げようとする。 サザン・スペシャルβ 暗闇大使の愛機。自身の怪人態であるサザングロスの姿を模した戦闘車両。複数の砲門を装備している。 操縦はバダン戦闘員のコンバットロイドが担当し、暗闇大使は助手席でふんぞり返っている。 シャドームーン 【基本設定】 「ゴルゴム軍団」軍団長を務める、元暗黒結社ゴルゴム世紀王。 打倒RXのために三神官の制止を振り切り、ゴルゴム怪人を引き連れてグランショッカーに合流した。 そう、本作の世界線ではゴルゴムは壊滅していないのである。そのため八鬼衆では唯一再生怪人ではなく、武器も『BLACK』の時と同じくサタンサーベルを用いる。 コンテンツ展開中にマイティライダーズと同じ規格のフィギュアが作られている。 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 RXの宿命のライバル。語尾に「ム~ン」と付けて喋るアホの子。 精神年齢がとにかく幼く、しかもワガママ。立案する作戦はいずれも(悪い意味で)子どもの発想レベル。おもちゃが大好きで、作戦成功の暁には魔神大首領からプレステを買ってもらえるとご満悦だった。 八鬼衆の中では唯一粛清されず生き残ったが、そもそも状況を理解できていなかった。 本作ではサタンサーベルとシャドーセイバーの両方を使用する。 【仮面ライダーSD 怪奇!?クモ男】 声 塩沢兼人 イケボの無駄遣い。 本作ではRXと同じ幼稚園に通っていたいじめっ子という設定。 RXを一方的にライバル視しているが、当のRXには名前を「サンシャインムーン」と間違えられたりと散々。 なお、マンガ版と違い語尾に「ム~ン」は付かない。 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 作中では配下となる怪人を持たず、常に単独で行動している。役立たずは容赦なく粛清する非情な性格。また非常に計算高く、満身創痍のアポロガイストを暗殺してその手柄を横取りし、グランショッカー内での立場を固めている。 個人の戦闘能力は紛れもなく本作トップクラスであり、暗黒城内の戦いではフルパワーの2号とチャージアップストロンガーを相手に互角以上に戦っていた。 本作ではサタンサーベルではなくシャドーセイバーを武器として用いており、普段は長剣の方のみを用いているが本気で戦うべき相手には短剣の方も出し二刀流となる。 また、本作はV3が主役(*8)である都合上、シャドームーンはV3のライバルとして描かれている。 雑誌連載時及びコミックスではグランショッカー壊滅の際にそのまま消息不明となるが、後年発売された完全版にてV3との最終決戦が加筆された。 V3の技を封じるべく彼の両腕を使用不能にするも、V3が体内の全風力エネルギーを解き放ち繰り出した最強必殺技・V3疾風キックの直撃を受け敗れ去った。この頃からデータにないものには対応できないという弱点が付与されている。 戦いの後、シャドーセイバーを拾ったV3にトドメを刺すよう促すも、お前を倒しても死んだ仲間は戻ってこないと拒否され見逃される。 ちなみに本作では、ゴルゴム怪人は全てクライシスに編入されている。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 関東エリア担当。発電所を狙った爆破テロ、ゴミ埋立処分場の占拠、怪電波による通信障害を同時に引き起こして首都機能をマヒさせていた。 【仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン】 最終面ボスとして登場。 ここまでのプレイで、とあるキャラクターに対するヘイトが溜まりまくっていたプレイヤーにとって文字通りの救世主となる。 ついシャドームーンを応援してしまったプレイヤーもいたのではないだろうか。 ヘルシューター シャドームーンの愛機。原作では剣聖ビルゲニアのマシンだった。 ただし特徴的だったカウル部分のキャノン砲は撤廃され、代わりに三神官が開発したデスランナーの物に似たフロントカウルが取り付けられている。 『仮面ライダーSD マイティライダーズ』では、三輪車しか乗れないシャドームーンのためにリモコンで外部から遠隔操縦されている。だがそのタネを見破られて大破し、以降は一度も使われていない。 『仮面ライダーSD 疾風伝説』では、瞬間移動と見紛う程の超高速移動を行いシャドームーンの戦闘を助ける。 『仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン』では、最終面にてこれに乗ったシャドームーンと戦う事になる。高速移動による分身とサタンサーベルから放つ火球と落雷を使い、RXと死闘を繰り広げる。 ジャーク将軍 【基本設定】 妖族・異生獣・ロボット・獣人で構成された「クライシス四軍団」軍団長を務める、元クライシス帝国地球攻撃兵団最高司令官。 強化再生手術によって頭部に機械が埋め込まれ、顔の左側にはインカムが装着されている。 グランショッカー内でも最大の発言力を持つ。 【仮面ライダーSD マイティライダーズ】 中の人ネタで『巨人の星』パロを行うため、和風好みという設定でちゃぶ台を愛用している。 終盤の長編エピソード「タイムマシン編」はジャーク将軍がテレビで『水戸黄門』を見たのが全ての始まり。 また、配下の怪人や戦闘員には重いコンダラ整地ローラーを引かせたり養成ギブスを着用させてど根性を鍛えさせている。 原作にも登場したサム博士に造らせた時空結合装置によって時空間を制する事に成功し、人類の文化を滅ぼすために動き始めるも、巨大なダイナマイトの爆発に巻き込まれ時空間の藻屑と化した。 【仮面ライダーSD 怪奇!?クモ男】 声 青野武 マンガ版とは異なり、彼がクモ男を指揮してアスリート誘拐作戦を実行している。 また、作画の都合か頭部の機械は描写されておらず、ほぼ原作通りの見た目になっている。 中の人が違う関係もあってか巨人の星パロは使われず、その代わり極度の潔癖症という設定が付けられた。 どれくらいかと言うと害虫駆除をするのにマシンガンやバズーカまで持ち出し、勢い余って自分のアジトを幾度となく破壊してしまう程。 ちなみにこのアジトには、石ノ森章太郎の萬画(*9)版でビッグマシンが使っていた物と同じコンピューターが置かれている。 【仮面ライダーSD(てれびくん版)】 原作ではクライシス皇帝から与えられた黄金の鎧兜を着用しているという設定があるのだが、本作では兜ではなく元からそういう顔であるとされ、V3らに「ハゲ」と馬鹿にされるシーンが存在する。 【仮面ライダーSD 疾風伝説】 八鬼衆最大の権力者。捕らえた2号&ストロンガー、そして1号を人質に暗黒城内にてレジスタンスを待ち受ける。 原作では主に四軍団長へのおしおきに使われていた杖からの電撃で、ライダー達を一撃の下に叩き伏せるという圧倒的な戦闘力を誇る。 RXのリボルクラッシュを素手で受け止めてみせるなど格の違いをこれでもかと見せつけたが、V3の攻撃で片腕を切り落とされた事で形勢不利と見て撤退。 だが待ち伏せしていたジェネラルシャドウに暗殺されるという最期を迎えた。その際命乞いをするなど一転して小物と化している。 【仮面ライダーSD グランショッカーの野望】 北海道エリア担当。北海道全域に大雪を降らし、交通網をマヒさせる作戦を実行していた。が、道民にはいつもの事らしく札幌では普通に雪まつりが開催されていた。 クライシスキャリア クライス要塞の姿を模した戦闘車両。 ジャーク将軍と四軍団長が乗り込み、トランスポーターに配下の怪人や車両を大量に搭載して出撃する。 クライス要塞 『仮面ライダーSD マイティライダーズ』では原作同様ジャーク将軍はこれに乗っている。 タイムマシン編にて時空結合装置を応用したタイムワープ機能を組み込まれ、様々な時代を行き来できるようになった。 それによって人類の文化に大きく影響を与えた偉人を各時代から拉致するという作戦を実行していたが、拉致していたノーベルが作った巨大なダイナマイトにV3とストロンガーが着火した事でジャーク将軍ら諸共爆発してしまう。 なお、途中から「クライシス要塞」と表記されるようになったが、そもそもクライス要塞自体が誤記が定着したものなので誤植と呼んでいいのかは微妙なところ。 その他の構成員、関係者 黄金狼男 ショッカー大幹部・ゾル大佐の怪人態。 『仮面ライダーSD 爆走笑学校』ではV3に警察犬代わりに使われたり、地獄大使の策略で犬のぬいぐるみを着てライダー達に接触したりと怪人達の中では出番は多い。 『仮面ライダーSD 疾風伝説』ではモブとしてアポロガイスト率いる混成部隊の中に混ざっていた。ちなみにこの場面では、ブラックサタン最高幹部のデッドライオンの姿も確認できる。 『仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン』では1面ボスとして登場。4連ミサイルとジェットエンジンを装備したオープンカーに乗って1号とチェイスを繰り広げる。 吸血マンモス デストロン結託部族・キバ一族の長であるキバ男爵の怪人態。 『仮面ライダーSD 疾風伝説』ではグランショッカー本部直属の殺戮部隊に所属する怪人の一人として、原始タイガーに率いられ空中戦艦と共に反乱分子の粛清に現れる。 『仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン』では3面ボスとして登場。 ホッピングに乗って時速300㎞超で飛び跳ねながら落石を引き起こしライダーマンに襲い掛かった。 ヨロイ元帥 デストロン結託部族・ヨロイ一族の長。 『仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン』9面ボス。 スノーモービル型の青いマシンを駆り、ビームを撃ちながらスーパー1とデッドヒートを繰り広げる。 残念ながら(?)ザリガーナの姿にはならない。 ゼロ大帝 ガランダー帝国首領。 『仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン』4面ボス。 可変メカに乗り、機銃掃射でV3を攻撃してくる。 このステージにはスコープドッグそっくりの量産型ロボットが配下として出てくる。スパロボより先にバンダイのゲームに出ていたのか。 タイタン ブラックサタン大幹部。 『仮面ライダーSD 疾風伝説』では一つ目タイタンの姿で登場。マシンガンで武装した戦闘員の部隊を引き連れて、暗黒城内で戦い続けるライダー達の排除に向かう。 そこでXライダーを射殺するという大金星を挙げるも、激高したスーパー1のエレキハンド掃射を受けて戦闘員諸共死亡する。 『仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン』では百目タイタンの姿で7面ボスとして登場。 中国大陸を舞台に、ラーメンの丼型の飛行メカに乗って上空からの爆撃でアマゾンに挑む。 鋼鉄参謀、荒ワシ師団長、ドクターケイト、磁石団長、ヨロイ騎士 いずれもデルザー軍団13の改造魔人の一人。 鋼鉄参謀は『仮面ライダーSD 出撃!!ライダーマシン』6面ボスとして登場。 軍事基地を制圧し、鹵獲した巨大戦車に乗ってストロンガーの前に立ちはだかる。 荒ワシ師団長、ドクターケイトは『仮面ライダーSD 疾風伝説』に登場。 前者はウォータータウンと呼ばれる町を根城にし悪政を敷いていた。原作同様に直属のデルザー軍団戦闘員を複数常に従えている。 スカイライダーとの間に因縁があり、混戦のどさくさに紛れて抹殺を目論むも、ZXのサポートを受けて窮地を脱したスカイライダーの反撃を受け死亡する。 後者はグランショッカー本部直属の殺戮部隊に所属する怪人の一人として、原始タイガーに率いられ空中戦艦と共に反乱分子の粛清に現れる。 混戦の最中ジェネラルシャドウに裏切られ、空中戦艦の艦砲射撃を受けて他の怪人諸共全滅してしまった。 磁石団長、ヨロイ騎士は『仮面ライダーSD マイティライダーズ』に登場。 いずれもジェネラルシャドウの配下という形での登場だが、原作での設定を踏まえてかシャドウとはタメ口で会話をしている。 前者は人間の方向感覚を狂わせる磁石ビームを使って街を混乱させ、後者はファンタジー世界風テーマパークを占拠して入場者を拉致していたがいずれもマイティライダーズの前に敗れ去る。 マリバロン クライシス帝国の怪魔妖族大隊を率いる諜報参謀。四軍団長の中では唯一複数の作品に登場しているが、いずれも原作と顔は似ていない。 『仮面ライダーSD マイティライダーズ』ではジャーク将軍の中の人ネタに合わせて明子姉ちゃんのポジションに収まっており、よく木の陰から涙ながらに覗いている。また、作者の画風の関係で少女のような見た目に描かれている。 タイムマシン編にてジャーク将軍諸共ダイナマイトの爆発に巻き込まれて死亡。 『仮面ライダーSD 疾風伝説』では「ジャーク四人衆」の一人として登場。 無機質な能面のような顔にアレンジされている。妖術を用いてアマゾンと戦うも敗北する。 ゲドリアン クライシス帝国の怪魔異生獣大隊を率いる牙隊長。 『仮面ライダーSD 疾風伝説』では「ジャーク四人衆」の一人として登場。 原作では怪光線と体術を駆使して戦っていたが、本作では異生獣という設定を活かし、口から吐き出す強固な糸と毒牙を使って戦うという生物的なアレンジが施されている。 V3を糸で絡め取り繭状にしてじわじわと殺害しようとするも、V3が巻き起こした強風で繭は破られ、逆襲の疾風弾を受けて絶命する。 ガテゾーン クライシス帝国の怪魔ロボット大隊を率いる機甲隊長。 『仮面ライダーSD 疾風伝説』では「ジャーク四人衆」の一人として登場。 ジャーク将軍の命を受け、2号&ストロンガーと戦うシャドームーンに横槍を入れた。 決戦の際にはロボライダーを相手に銃撃戦を繰り広げた。本作のRXは戦闘経験が浅いため、フォームチェンジが解除される程の深手を負わせる事に成功するも、自身もボルティックシューターで顔面を撃ち抜かれ戦死する。 ボスガン クライシス帝国の怪魔獣人大隊を率いる海兵隊長。 『仮面ライダーSD 疾風伝説』では「ジャーク四人衆」の一人として登場。 ゲドリアンとの連携でV3を翻弄した後、得意のナイフを使いライダーマンと戦った。そしてライダーマンとタイマンで戦い敗北している。ボスガンの名誉のために言うとこの作品のライダーマンはかなり強いので仕方がない。 大神官ダロム ゴルゴム三神官の一人で「天の石」の所有者。 『仮面ライダーSD マイティライダーズ』ではゴルゴムはかつて地球上に存在した国家の名前と設定されている。 ダロムら三神官は創世王候補であるRXとシャドームーンの子守役だったが、二人が揃ってアホだったため後継者なしとしてゴルゴムは滅んでしまった。 鳥の巣箱を模した天空城を拠点にしており、城に棲む無数の鳥を遺伝子操作ビームで怪人に変え手先として操っている。 RX、ライダーマン、アマゾンのトリプルライダーキックを受けて敗れた後はRXの実力を認め天の石を託し、自身は本来の姿である三葉虫の大怪人ダロムへと変貌した。 魔神大首領との最終決戦にもバラオム、ビシュムと共に駆けつけマイティライダーズを応援している。そう、本作のゴルゴムは最終的にまさかのライダー側の協力者というポジションに収まっている。 戦いを終えたRXの下に、マイティライダーズや少年仮面ライダー隊と共に涙ながらに駆け寄る三大怪人など本作以外では絶対に見る事はできないだろう。 大神官バラオム ゴルゴム三神官の一人で「海の石」の所有者。 『仮面ライダーSD マイティライダーズ』では絶海の孤島「ひょっこりじょーだん島」を拠点にしている。 生息するあらゆる生き物が侵入者を笑い殺すためにギャグを連発するという非常に危険な島で、バラオム自身もギャグで相手をずっこけさせる笑撃波の使い手。 実は笑いのセンスが常人と真逆であり、悲しい物語で笑ってしまうという弱点を突かれRXとXライダーのコンビの前に敗れ去る。 海の石を手放した後は本来の姿であるサーベルタイガーの大怪人バラオムへと変貌した。 大神官ビシュム ゴルゴム三神官の一人で「地の石」の所有者。 『仮面ライダーSD マイティライダーズ』ではアリゾナ砂漠の地下に広がる地下帝国、通称「ふしぎの国のアリ巣」を拠点にし、無数のアリ怪人(*10)を配下に従えている。 マリバロン同様に少女のような見た目で描かれており、作中で披露するアリスのコスプレがめちゃくちゃ可愛い。その可愛さを武器に不意打ちを仕掛けてくるのが常套手段。 予知能力でマイティライダーズと八鬼衆を翻弄するも、RXの予知をも覆す予測不能な行動「幼稚能力」の前に敗れ去る。 地の石を手放した後は本来の姿である翼竜の大怪人ビシュムへと変貌した。 【グランショッカー基地】 その名の通りグランショッカーの本拠地。 宇宙刑事シリーズの敵組織よろしく、普段は異空間を漂っている。 地上に出現した際には、八鬼衆の各車両を発進する「基地モード」と直接移動する「爆走モード」の二形態に変形する。 この爆走モード、基地下部の多脚で動き回るのだが何故か一切使用する事のないタイヤが取り付けられており、公式でもツッコまれている。 追記・修正は今度こそ世界征服を達成してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 展開時期が近いからか、ヒーロー戦記のライダー系幹部連中はこっちからも影響受けてるっぽい奴がちらほらと。アポロガイストだけかもしれんが -- 名無しさん (2024-01-08 06 11 44) あおきけい版ではアポロガイストが好漢だった記憶だから在庫処理みたいに殺されたのは残念だな… -- 名無しさん (2024-01-08 15 21 39) シャドームーン、加藤 賢崇さんが似合いそうな緩いキャラなのに塩沢兼人が演じたのが意外 -- 名無しさん (2024-01-08 15 39 52) 名前 コメント