約 1,185,342 件
https://w.atwiki.jp/jidoubunkorowa/pages/427.html
会場西部、デパート。 喫茶店や水族館ではアンジェロがスタンドによって多数の参加者を殺傷した。 ピラミッドでは罠によって内部に引きずりこまれる参加者も出た。 そして何人かのチョロ松と織田信長は、生きているあるいは死んでいる自分と遭遇した。 デパートも参加者による騒乱とは無縁でいられなかった。その中でも比較的日常の気風を保っているのは、上田次郎と蜘蛛の鬼(父)という死体も無く死んだ二人によるところが大きい。 郊外の巨大なビルディングは戦い終わった静けさに包まれ、買う者のいない衣食住の商品を提供している。 「これって万引きなんじゃ。」 「ゲームで言う会場ギミックみたいなもんだしいいんじゃない? そこら辺に落ちてる武器といっしょでしょ。」 「そうだぜ降奈ちゃん。どうせアイツらの用意したもんなんだから食わねえだけ損だぜ。」 「前も食べ物とか置かれてたしいいと思いますよ。じゃあ、いただきます。」 (意外と図太いなこの子。) デパートならどこにでもと言えるほどにあるデパ地下。修羅場を超えた星降奈・西塔明斗・虹村億泰・北神美晴の4名は、そこから思い思いに商品を取ると、エスカレーターの前で待機していたカザンと共に警備室へと向かった。 無骨なモニターに囲まれた部屋は安らぎとは無縁だが、館内と館外を伺う監視カメラが張り巡らされていた。戦い終えた者にとっては、不意をうたれないことよりもリラックスできることはなかった。 とはいえ、別に何か食べながら集まる必要もないのだが。 「前のギルティゲームでも何日も捕まえられてました。食べれる時に食べておかないと。いただきます。」 「そのギルティゲーム?ってなんなの美晴。おいそれぼくの。」 「かてえこと言うなよ。つーかよぉ明斗、その話しなかったっけ?」 「いやフルナにも説明しないと、ねえ?」 「あの……それより……」 それぞれ食べ始めた3人を前に、話を振られたフルナは口ごもった。自分が何から話せばいいかわからなかったからだ。 人が死んだのに食べてる場合かだとか、さっきの人は本当に死んだのかだとか、あの鬼っぽいのはなんだったのかだとか、こんな時だから食べておかないとってなんなのかだとか、ギルティゲームとはなんなのかだとか、何を話題にするかで言葉が出ない。 バチバチと体から静電気が発せられる。ストレスが電気となり、それを抑えようとしてまたストレスがかかって電気が流れる。そんなフルナを見て当然の疑問を美晴は口にした。 「ところで、なんでバチバチしてるんですか?」 「あう……それは……」 「スタンド使いなんだろ?」 「おい億泰……え?」 「え?ってなんだよお前だろ。」 「いや。ぼく知らない。なにそれ。」 「お?」 「あの……スタンド?ってなんですか?」 「え、お前ら違うのかよ。」 「億泰さん、どういうことですか?」 億泰の声と共に、メイトとフルナの視線が億泰の横へと動く。それを見て美晴は首を傾げ、そんな美晴を見て億泰も首を傾げて。そのままガリガリと頭を掻くとやおら気合いを入れた。 「え、あーしょうがねえな、『ザ・ハンド』! 美晴ちゃんはスタンド使いじゃねぇみてえだけどよぉ、お前らは見えてんだろ?」 「なんか水色のオーラっぽいのは見えてるよ。」 「いっしょです。」 「どうなってんだ? お前らもスタンド出してみろよ。」 「いやだからそんなの知らないって。はじめに触ったときもそんなの出なかっただろ。」 「あっ、そうか。それにフルナちゃんもスタンド出てねえのにバチバチしてるもんな。」 「あの、先からなんの話してるのかわからないんですけど、もしかしてみんな超能力者だったりしますか?」 「……」 「……億泰さん?」 「その反応じゃバレバレだろ、まあ、少なくともぼくはそうだよ。いわゆる読心能力って言えばわかるかな。」 「テレパシーみたいなものですか?」 「サイコメトラーかな。触れた相手の考えてることや記憶がわかるんだ。試してみる?」 フルナが能力を隠しているらしいので下手にごまかした億泰に変わって、メイトは己の能力の開示をした。彼のサイキックは秘密にすれば秘密にするほど人からの信頼を失う。それは経験則からのものだが、美晴はスっと手を差し伸べた。 「マジで?」 怪訝な顔になってしまうのを自覚しつつも言ったメイトに、美晴は覚悟を決めたような顔で頷く。嫌なものを感じつつも、察してその手に触れた。 (──グアッ……これ、は……) その瞬間、メイトが感じ取ったのは強烈な負の感情だった。 日頃から能力の使用には気をつけていて今も意識的に相手の心に踏まこまないように心がけていたのに、それでもなお顔に出そうなほどの感情が手を伝って脳内をかけ巡る。思わず手に鳥肌が立ち、直ぐにでも手を離してしまいたくなる。それほどの強いストレスに、メイトは思わず思った。 (美晴、君はこんなの抱えて生きてるのか?) 死への恐怖、理不尽への怒り、目の前で息絶える仲間への悲しみ、自分への無力感、生き残った仲間への信頼、そしてギロンパへの憎悪。 ドス黒い泥沼の中に、一つ眩く輝くものがある感情。なまじ黒一色でないぶん、黒より黒く感じずにはいられない。 「なるほど……これが、ギルティゲームか。同じ首輪が使われてるってことは、今回のコレももしかしたらってわけだ。」 「すごいですね、本物の超能力者なんだ。」 「まあね、驚いては……ないね。」 「はい。もう『そういうもの』だって思ってるんで。」 (そういうもの、ね。) 未来の世界の時間犯罪者系パンダ型ロボットと同列に扱われているようだが、それは口にしなかった。 美晴から見たギルティゲームは、この殺し合いに似ていた。違うところがあれば、より理不尽なところだろうか。時に完全な運で殺され、最後には誰一人として生かして返す気のない、デスゲームとは名ばかりの殺戮ショー。バトル・ロワイアルの方がまだ公平なそれにチャけることも許してくれない。 「明斗よぉ、お前だけでわかった気になってねえで説明してくんねえか?」 「あ~わりい、これ説明してたら長くなるやつだわ。その前に自己紹介片付けようよ、スタンドってなんなの?」 「話そらしてねえか? まあいいけどよ、おれのスタンドは──」 億泰がそう言うと、テーブルの上に置かれた缶ジュースのプルトップが開けられた。そしてそのままひっくり返される。口から溢れるジュースがテーブルへと溢れる寸前で、ジュースの滝がかき消える。それが何度も起こって、最後には缶そのものが消滅した。 「これがおれの『ザ・ハンド』よ。おれのスタンドは人型だからこんなふうに物を持ったりフタを開けたりもできる。しかも『ザ・ハンド』が右手で触れたものはなんでも削っちまえるってわけだ。」 「スタンドってのは能力の呼び方か。つーかずりいな、サイコキネシスと物を消せるのの2つできるのかよ。」 「サイコキネシスっつーか、自分の体がもう一個あるみたいな感じだな。人によっちゃあもっと色々できるらしいぜ。」 「あの、わたし!」 音を立てて椅子から立ち上がったフルナに視線が集まった。 「わたし、実は、体から電気が出せる能力があるんです!」 「やっぱり。」「だよなぁ。」「知ってる。」 「……い、以上です。」 誰にも秘密にすることになっている能力について話したのにアッサリとしたリアクションをされ、恥ずかしくなってすぐに座った。 「共通点は超能力者ってことか。おれバカだからわかんねえけどよ、この殺し合いって超能力者が集められてるんじゃねえか? 美晴ちゃんもなんかこういうのあるのか?」 「いいえ。でも、超能力者が集められてるっていうのは正解だと思います。前の時は小学6年生が集められて殺されていったんですけど、おんなじように共通点のある人を集めて殺したいんだって、そんな気がするんです。」 「でも美晴は能力者じゃないんだろ?」 「それは……たぶん、うらまれてるからだと思います。前のゲームから脱出して警察にも話したんで。」 「口封じってことかよ。気に入らねぇ。」 「さっきの蜘蛛頭の巨人もなんかの能力で作った怪物ってところかな? だいぶヤバいじゃん。」 「……だな。」 自分の父親を思い出して言葉が出てこなくなった億泰は、美晴から目をそらした。超能力者を集めるという推理は、これまで億泰がやってきたスタンド使い集めから出たものだ。やってきたことはギルティゲームの主催者であるギロンパとそう変わりない気がして、怒りを迸らせている美晴を直視できなかった。 「それより、もっとやばいことがわかった」そうメイトが言ったときには救われた気さえした。 「みんな、今何年だ。」 「あ? そりゃ平成──」「令和──」 「お?」「あれ?」 「ああやっぱり。ぼくら多分全員バラバラの時代から連れて来られてる。」 「なにっ。」 「美晴の心を読んだときに平成って言葉が出てきたからもしかしたらって思ったが……そりゃ未来の世界からやってきたことは色んな時代からも集められるよな。」 「時間を操る……いくら超能力が使えても、そんなことまでできるんですかっ!?」 「いんや、できる。おれが知ってるスタンド使いに、時間を停められる人がいる。」 「……できればいてほしくなかったな。マジかよこれ……」 億泰が断言したのを見て、メイトは天を仰いだ。殺し合いの主催者がタイムリーパーの上に、時間停止までできる超能力者も存在していると来た。ここまで来るとどんな能力者でもいると想定しなくてはならない。そしてそれは同時に、能力者の想定などしきれないから無駄ということを意味する。 (フルナも億泰も比較的オーソドックスなサイキッカーっぽかったが、そんなチートまでいるのかよ。ただでさえ洗脳とか呪いとかのいがちなヤバい能力を警戒しなきゃならないのに、これかなりヤバくないか……?) 「でも、ギロンパは簡単には時間を巻き戻したりはできないと思います。この前はそういうことはしないで、ロボットに乗って襲ってきたあと爆発で倒したんで。」 「ちょ待てよ美晴ちゃん、ロボットってなんだよ? その、ギロンパ?がロボットなんだろ? ロボットがロボットに乗ってんのか?」 「ギロンパがロボットなのかはほんとのところはわからないですけど、そうです。なんか、アニメの悪役が使ってそうな感じので、ガーンッ!って。」 今度は億泰も天を仰いだ。未来の世界から襲ってくるのはわかる。そういうスタンドなのだろう。だがロボットは反則だろう。というかロボットでなくても反則だ。スタンド使い同士で戦いになるのはスタンド以外の部分は差が小さいからであって、これがロボットやら最新兵器など使われたらスタンドうんぬんの前に殺される。 頭にあるのは億泰の兄、虹村形兆のスタンドだ。ミニチュアの軍隊のスタンドの恐ろしさは弟としてよく知っている。あれが人間サイズになって襲ってくるとかその中にロボットがいるとなったらもうどうしたらいいかわからない。『ザ・ハンド』でいくら削ろうともミサイルや砲弾を何万発とぶち込まれれば死ぬのだ。 黙ってしまった年長の男性陣に、美晴とフルナは顔を見合わせて、何か言おうとして押し黙り持ってきたお茶を飲む。 場に会話が戻ったのは、人間たちの輪に加わっていなかったカザンが監視カメラに映る人影を見つけた時だった。 デパ地下に置かれていた米袋を、デパート入口から少し入った両柱際に土嚢のように積んでいく。その前には飲料水の入ったダンボールが置かれ、更に頑丈な家具がその前に積まれる。そしてそれらの高さ数十センチほどのバリケードには、十字砲火ができるように機関銃が小村克美と村上の手によって慎重に据え付けられた。 「ねえ村上さん、これなんかヤラレ役がよく居るあれっぽくない?」 「えーそういうこと言うなよ考えないようにしてたんだから。」 デパートの上階で蜘蛛の鬼に見つからないように息を潜めていた2人は、監視カメラによって発見されたあと、ありがちな交流を経て億泰たちのグループに加わった。 超能力関係や主催者関係の情報を知らされた時には驚いたが、それより驚いたのはあの鬼を撃破したことだ。あんな非現実的なものに勝てるのなら、超能力だろうが魔法だろうがない方がおかしい気がしてくる。どのみちこんなわけのわからない状況なので、何を言われても逆に自然に受け入れられた。むしろ2人が集めた大量の兵器に4人が呆然としていたほどだ。 「手榴弾だけで50発あるからなあ。よっこいしょ。」 「地面には置いておかないでほしいよな、転けそうになるから。」 集めた兵器はデパートの内と外を隔てる防衛へと使われることになった。今のデパートは全てのシャッターが閉められ(いくつかは商品や展示物のせいで閉められず、億泰たちが手分けして閉めに行く羽目になったが)、無人になったエリアはセンサーが入っている。これでこのデパートは密室状態というわけだが、なにぶんデパートに落ちていた対戦車銃や迫撃砲などを見ると、それだけでは不安が残る。というわけで入口全てに同様のバリケードを作ってデパートを要塞化することとなった。 「でもラッキーだよね、あんなモンスターにも勝てる人たちと仲間になれるとか。」 「村上さんたちー、休憩でーす。」 「はーい。まあね。けっこうなんとかなるかもな。」 億泰たちに比べると没個性的だと自分たちでも思うが、それは生き残ることとは無関係だ。と思いたい。美晴の呼びかけに叫び返すと、2人はサブマシンガンを肩にかけて警備室へと向かった。 「お疲れ、後は億泰だけか。あっ、フルナ、どうだ?」 「どこにもつながりません。」 「やっぱり電話もネットもだめか。」 戻った2人は難しそうな顔で話すメイトとフルナに出迎えられた。彼らが超能力者だとは、フルナから迸る電流を見れば納得するしかない。置かれていたお菓子をつまみながら少し待つと、デパート内を周っていた億泰と美晴とカザンも戻ってきた。 (でっかい犬だなぁ。) (ドーベルマンかな?) 「そろったな。じゃあ始めるか、まずはシャッターの──」 話し始めたメイトに2人は聞き役になる。 考察と戦力の拡充を進める対主催の集団と合流しても、2人はまだモブのままだった。 (このままたてこもられるのは面倒だ。) そしてそんな人間たちを静かに見つめ作為を巡らす存在が一つ。 妖怪カザンは犬のフリをしながら機を待つ。 彼らを竜堂ルナへとぶつける、そのタイミングを。 【0235 『西部』都市部・デパート】 【星降奈@異能力フレンズ(1) スパーク・ガールあらわる! (異能力フレンズシリーズ)@講談社青い鳥文庫】 【目標】 ●大目標 よくわからないけど誰かが傷つくのはイヤ。 ●中目標 明斗さんたちと一緒にいる。 ●小目標 1.明斗さんたちを助ける。 2.竜堂ルナを探す。 【西塔明斗@サイキッカーですけど、なにか? (1)ようこそ、ウラ部活へ!?(サイキッカーですけど、なにか?シリーズ)@ポプラキミノベル】 【目標】 ●大目標 殺し合いから脱出することを考える。 ●中目標 1.知り合いが巻き込まれていないか調べる。 2.フルナたちを守る。 ●小目標 1.デパートを基地にする。 2.ギルティゲームやサイキッカーについて考える。 3.竜堂ルナを探す。 【虹村億泰@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】 【目標】 ●大目標 殺し合いから脱出する道を探す。 ●中目標 スタンド使いを集めてるなら、親父を治せるやつもいるんじゃねえか……? ●小目標 デパートを基地にする。 【北上美晴@ギルティゲーム(ギルティゲームシリーズ)@小学館ジュニア文庫】 【目標】 ●大目標 今回のギルティゲームから脱出する。 ●中目標 億泰さんたちを助ける。 【カザン@妖界ナビ・ルナ(5) 光と影の戦い(妖界ナビ・ルナシリーズ)@講談社青い鳥文庫】 【目標】 ●大目標 タイと合流する。 ●中目標 竜堂ルナを殺す。 ●小目標 明斗とフルナを利用する。なんか知らんけど2人死んだからヨシ! 【小村克美@ブレイブ・ストーリー (1)幽霊ビル(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】 【目標】 ●大目標 よくわからないが死にたくない。 ●中目標 メイトたちに着いていく。 ●小目標 メイトたちの指示を待つ。 【村上@泣いちゃいそうだよ (泣いちゃいそうだよシリーズ)@講談社青い鳥文庫】 【目標】 ●大目標 よくわからないが死にたくない。 ●中目標 メイトたちに着いていく。 ●小目標 メイトたちの指示を待つ。
https://w.atwiki.jp/hptrade/pages/48.html
2011東ティモールツアー報告 2008「東ティモールツアー ──コーヒー生産者を訪ねる旅」報告 ほっかいどうピーストレード 荒井 久代 ■日 程/2008年7月20日~27日 ■主 催/パルシック ▼クリックするとご覧になれます。 2008「東ティモールツアー ──コーヒー生産者を訪ねる旅」 ※PDFファイル http //www13.atwiki.jp/hptrade?cmd=upload act=open pageid=48 file=2008Timor-Leste.pdf *
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/667.html
━━━━おもわず言葉に出してしまった胸に秘めた想いを、誤魔化すためにかけた音楽が不覚にも甘く切ない求愛系だった…。 だいたい…今夜は、何もかもが上手く行かな過ぎる。 売り切れたシュークリーム…ペアのマグカップ…そして…幸せそうに微笑む朝比奈さん… まったく、調子外れな夜だ。 この夜は…このまま何処へ流れて往くのだろう…━━━━━━━ 【コーヒーふたつ8・後編】 迂濶にも選んでしまった甘いメロディーが、車の中を充たしている…。 僕は胸の内を悟られぬ様に必死に平静を装いながら、何事でも無いようにハンドルに軽く手を添え、国道を飛ばした。 隣に座る朝比奈さんの様子が気になってしょうがないものの、今はマトモに視線を投げ掛ける事すら出来ない。必然的に気まずい沈黙が生まれ、それが暫く続く。 そして、その沈黙を破ったのは朝比奈さんの思いがけない一言だった。 「この曲の様に…こんな風に想われたら、どんなに素敵な事でしょうね?」 「えっ?」 「それとも…古泉君の気持ちそのものなのかしら…」 あまりにも大胆で唐突な彼女に、僕は答える術を失ってしまった。 そして…心を見透かされた気がして、腹立たしさにも似た恥ずかしさを覚える。 (このまま、言われてばかりでは…) 「そうですね…。でも、貴女がそう想って欲しい相手は僕では無いでしょう?」 精一杯悪びれたつもりだった。 このまま、彼女を不愉快にさせて…嫌われてしまっても良いと思った。 そうすれば、傷付くのは僕だけで済む…いや、僕が楽になれる。 (終わった…な) 彼女は、僕の言葉に目を丸くして…そして、少しだけ考える素振りをした後で突然笑い出した。 「うふふっ…、キョン君の事ですね?」 「えっ?いや…」 「好きでした…いいえ、今でも好きですよ?」 「そう…ですか…」 「でもね、今のその感情は貴方が考えている様なものではないのです。」 「えっ…?」 「貴方には…いずれ話しておかなければならないのかもしれませんね」 「何を…です?」 「キョン君と私の…本当の関係を…」 もう…僕は何がなんだか解らなくなっていた。 そして混乱する僕の心を、掌の上で転がすかの様に朝比奈さんが助手席で微笑む。 僕は、今持ち併せる全ての平常心を掻き集めて「それは…実に興味深いですね。是非、伺いたいものだ…」と答えてみせた。 「では、夕食の時…その後があるのでしたら、その時でも構わないですよ?」 「今…という訳にはいかない様ですね。」 「だって、この車は貴方のモノでは無いでしょう?…貴方を疑っている訳では無いのだけど…」 そう言われて、僕は自分が機関の人間である事と、この車が機関の所有物である事を思い出した。 (なるほど…盗聴を警戒しているという事か…) 「…解りました。では、その様にしましょう」 彼女の言う「キョン君との本当の関係」には何か秘密が隠されている様だ。 もはや、これは僕の想い如何の問題ではない。 そして僕は「彼女とキョン君の本当の関係」に該当する情報を機関からは何も得てはいない。 彼女が盗聴の可能性までもを警戒するという事は、それなりの情報なのだろう…。 僕は車を走らせながら、今改めて再び思う。 この夜は…このまま何処へ流れて往くのだろう…と。 レストランへと向かう間の時間は、僕に平常心を取り戻させるのには充分だった。 だからこそ僕は、レストランの駐車場に着いた後も、シュークリーム屋に着いた時と同じように彼女をエスコート出来たし、普段通りの自分で居られる事が出来た。 朝比奈さんも、先程の車の中での会話などはまるで幻だったかの様に、僕の良く知っている微笑みを浮かべながら普段通りに振る舞っている。 そして、海岸線に沿う様に建つホテルの一階にあるその店の入り口に立つと「…高価そうなお店ですね…」と心配そうな表情を見せた。 僕は、今の彼女と先程の車の中での彼女とのギャップがおかしくて、思わず声を出して笑ってしまう。 「な、なにがおかしいんですかっ?」 「アハハッ…いや、失礼!先程の…朝比奈さん思い出すと、今の朝比奈さんはあまりにも普段通りで…安心してしまったんですね、多分…」 「そんな…」 「いやいや、本当に失礼しました。…この店は、上にあるホテルのオーナーが『趣味』を兼ねてやっている店でして、まあ僕の様な若輩者でも気軽に立ち寄れる店ですから、御心配なく!」 「趣味…ですか?」 「ええ、中々素敵な『趣味』ですよ?とりあえず中へ…」 僕は店の入り口に立つボーイに「二人…」と告げ、彼女と共に店の中へと進んだ。 そして、途中に待ち構えていたウェイトレスに連れられて客席に向かう。 やがて、店の中を進むにつれて客席の様子が見えて来ると、彼女が驚きの声をあげた。 「あら、古泉君…これは?」 「驚きました?」 「ええ…電車、ですよね?おそらく本物の…」 「はい。ここのオーナーがその道のマニアでして…趣味が高じて、このような買い物をしてしまったんだそうですよ?」 「ああ!さっき言ってた趣味って…」 「そうです。それで、ただ飾って置くのはつまらないという訳で、このような形で…店舗の客席として使用しているのだそうです。」 僕達はウエイトレスに導かれ、屋内にあるそ電車に乗り込んだ。 そして、客室の窓に沿う様に並べてあるいくつかのテーブル席のひとつに案内されると、お互いに静かに腰を下ろした。 「なんだか…このまま走り出してしまいそう…」 彼女が、まるで少女の様に瞳を輝かせながら辺りを見回す。 そしてメニューを差し出しながら「気に入って頂けましたか」と微笑みかける僕に「ええ!とっても!」と笑顔で答えた。 「さて…朝比奈さんは、どんなパスタがお好みですか?」 「パスタならなんでも好きですよ?そうね…古泉君のお奨めは何かしら?」 「僕でしたこの…ブラウンバターとミゼトラチーズソースですかね。」 「じゃあ、私も同じものを。」 「飲み物は、どうします?」 「そうね…では、カンパリを頂こうかしら。」 僕は、ごく自然にアルコールを選んだ彼女に違和感を覚えながらも、近くに居たウェイトレスを呼び寄せ注文を済ませた。 そして数分後、運ばれてきた料理を目の前にして、彼女が一層目を輝かせた。 「わあっ!美味しそう!」 「さあ、冷めないうちに頂きましょう。」 「うふふっ、頂きます。…でも、なんだか悪いわ…私だけ、お酒を頂いちゃって。」 「構いませんよ。僕は運転がありますからね?僕まで飲んでしまっては、帰れなくなる…」 「あら、帰る事を考えなければ良いのではないかしら?」 そう言いながら彼女は、人指し指を立ててホテルのある上の方を指差してみせた。 よく見ると、カンパリの注がれていたグラスが既に空になっている。 「どうも、ここのカンパリはよろしくない様だ…。貴女に悪ふざけをさせる…」 「あら、ふざけてなんかいませんよ?当然の展開…だと思いません?それに…さっきの話の続きもあるし…」 (なるほど、そういう事か…) つまり彼女は、完全に外部から遮断された空間で先程の車の中の続きを語りたいのだろう。 僕はウェイトレスを呼び寄せると、上のホテルに適当な部屋を用意する様に言付けた。 平日の夜だからだろうか、あまりにも簡単に僕達はスイートルームの鍵を手にする事が出来た。 チェックインを済ませ彼女と共に部屋へ向かいながら、僕は今日一日を振り返る。 (やれやれ、スウィーツを買いに出掛けたつもりがスイートルームか…。) 普通のデートならば、男冥利に尽きる展開だが、今はそれどころでは無い。 彼女がこれから語ろうとしている事…それだけに今の僕は心を奪われていた。 いや、厳密に言うとそれだけでは無いな…。 僕は彼女と食事をした時…彼女が自然にアルコールを選んで見せた時から、ある疑念を抱いていた。 そしてそれは、その場面についてのみではなく、彼女と待ち合わせをした時から無意識のうちに感じていた事なのかもしれなかった。 (とりあえず、全てはこの部屋で…) 僕は少しだけ鍵を固く握ると、部屋の前に立ちドアを開けた。 「わあ!広いっ!見て、古泉君!海が見えますよっ?」 「ああ…本当だ。さすがにスイートルーム…と言った感じですね。」 「うふふっ…。さて、古泉君?先にどちらをします?」 「え?何がです?」 「先程の車の中での話の続きをするか、それとも今日のデート自体の続きをするか…」 「先に…という事は、どちらも有りという事になりますね…」 「私が相手では…嫌?」 「既に僕の心を見抜いている癖に…今更ですね…」 僕は彼女にそっと近付くと、腰に手を回して少し強引に抱き寄せた。 そのまま…彼女が瞳を閉じると同時に、奪うようにキスをする。 唇から頬へ…頬から首筋へ… そして、唇が首筋へと辿り着いた瞬間、先程感じた疑念は確信に変わった! 僕はそっと彼女から離れると、突然中断した行為に拍子抜けした彼女へ向かって語りかけた。 「貴女は…朝比奈さんではありませんね?」「…え?」 「いや…厳密に言うと『僕とバス停で待ち合わせを約束した』朝比奈さんではない…」 「古泉君…何を言っているの?」 「いや…盲点でしたよ。貴女が時間を飛び越えられる事を知っていながら、まんまと騙されてしまいました。 …それで、いつ入れ替わったんです?『その先の未来から来た』朝比奈さん?」 「…………あはははっ!とうとう、ばれちゃったか!さすがは一樹…いえ古泉君ね! でも、おかしいわね…ついさっきまで完璧だったのに、何故判ったのかしら?」 「臭い…ですよ。」 「臭い?」 「そう、貴女は僕と待ち合わせをした時『部室にあった衣装を適当に合わせた』と言ってましたよね?」 「え?…ええ。」 「先程、僕が触れた貴女の首筋からは部室の臭いなんて全然しなかった…」 「あ…。」 「それだけではありません。その服は、コスプレの衣装なんかじゃない…。 抱き締めた時の感触で判りましたよ?その他にも色々とありますが……とりあえず、これだけの理由で十分ですか?」 「……なるほどね。完敗だわ…。実は、貴方に伝えたい事があって、『こちら』に来たのよ。それで部室に近付いたら、丁度貴方と『私』の会話が聞こえて来てね?チャンスだったから少し細工をして『私』には帰ってもらったわ。」 「細工…ですか?」 「そう、『私』の下駄箱に貴方の名前で置き手紙をしたのよ。『急用が出来ました、また次回にでも…』ってね。」 「そして…バス停には貴女が現れた…」 「そうね。本当はそこで、貴方に用件を伝えてオシマイ…でもよかったのよ。 でも、少し欲が出ちゃって……色々と考えるのに必死だったわ…。服装の言い訳とか、貴方に対する喋り方とか…ね?」 彼女は喋り終わると、少し溜め息をつきながら「残念!いいところだったのにな…」と笑った。 そして、そのままソファーに腰を下ろすと上目使いで僕を見ながら、乱れた襟元を整えた。 僕は話を続ける。 「なるほどね…まあ、貴女の存在は過去に把握してましたからね。 確か以前も…この時代にこのような現れ方をした事があった筈だが…」 「詳しいのね?」 「仕事ですから…それで、用件とは何です?それと、車の中での話の続きも気になりますね。」 「そうね…、どう伝えたら良いものかしら…」 そう呟くと彼女は目を閉じて黙りこんだ。 そして、少し考える素振りを見せた後、ゆっくりと目を開けて語り始めた。 「今日、私が伝えたかった事と貴方に車の中で話した事は、実は深く関係がある事なの。まとめて順番に話すけど…それでいい?」 「構いませんよ。」 「それと…あまり直接的な表現は出来ないの。考えながら理解してもらうと助かる。」 「承知しました。」 彼女はそっと立ち上がり窓辺に立った。そして、暗い海を見つめながら静かに語り始めた。 「私の家は……父と母と私の三人家族なの。 お父さんもお母さんも若い頃に結婚したせいか、まだまだ若々しいのよ。 私にあまり手がかからなくなってからは、毎週日曜日になると必ず二人でドライブに出掛ける……でも、最近お父さんは仕事が忙しいみたいで、せっかくの日曜日でもなかなか布団から出て来ないの。 お母さんは、そんなお父さんがじれったくて、いつも大声で起こすのよ。 『さっさと起きなさいよっ!このバカキョンっ!』ってね。」 何……だと? 「ここまで、なんとなく把握して頂けて?」 「ええ…。まあ…続けて下さい……。」 「私が組織から母の持つ力について初めて告げられたのは、高校一年の冬だった…。 そして、私はそのまま貴方…いいえ、古泉君が得ている情報と同じ様なモノをそこで身に付けて、この任務に着いたの。」 「……ちょっと待ってください。では、あちら側での朝比奈さんは、どうなってるんです?」 「留学中…という事にはなっているらしいのだけど…。 フフッ…まあ、よく解らないのよ。続けて良い?」 「ええ、どうぞ… 」 「こちらに来たばかりの頃ね、あたしは毎日が不安で不安でしょうがなかった…。 でも、そんな中で友達が出来て…そしてキョン君と凉宮さんに出会う事も出来た。 もう気付いていると思うけど…あの二人は私にとって一番遠くて一番近い存在なの。 だから、出会った頃は少しキョン君に惹かれてしまったりもしたけど、どうにもならない事だって解ってたからなんとか出来た…。 まあ、貴方の存在もあったし……ね?」 「………。」 「……まあ、こんな感じかしら。ここから先の話は、今この時間に対しての未来の出来事になってしまうから、当然話す事は出来ない。」 「いえ……十分ですよ、朝比奈さん。」 僕は、ただ呆然とするしかなかった。 なんとか理解しようとするものの、把握するだけで精一杯だ。 彼女は更に続ける。 「それで…伝えたかった事はね?キョン君と凉宮さんの事なの。」 「彼等の?」 「そう。これから少し後で二人は少し大変な事になる。それを支えるには、この時間平面上に常駐する『私』では役不足なの。 だから、貴方に助けてほしい。」 「……承知しました。」 全てを語り終わると、彼女はそのまま静かに息をしながら海を眺め続けた。 僕は、彼女に対してこれ以上どんな言葉を語ればいいのか解らずに、彼女の背中をしばらく見つめていた。 そして… 1つだけではあるが…質問を思い付いた。 「朝比奈さん…」 「何かしら?」 彼女は振り返ると、じっと僕を見つめた。 僕も彼女から目を反らさずに、静かに問掛ける。 「貴女にとって…僕は…なんなんです?」 「……それは……私がここに居る時点で出ていた答え…でしょ?」 そう言って彼女は静かに笑うと「帰るわね」と告げ、部屋の出口に向かった。 (行かせない…っ!) 気が付くと僕は後ろから…彼女を抱き締めていた。 そして…特に驚く様子もなく彼女は僕に体を預ける。 「こうしてくれるって…判ってしまうのよ。つまり、貴方と私は……」 僕は、そう言いかけた彼女の肩をつかむと、振り向かせて唇を素早くキスで塞いだ。そしてそのまま再び抱き締める。 「…一樹?」 「…話してくれて…良かったですよ?それだからこそ…今僕は、躊躇わずに貴女を抱き締める事が出来る…。」 「…抱き締めるだけ?」 「さあ…どうでしょうね…」 僕は再び彼女に唇を重ねながら、少しだけ考える。 今は家で眠っているであろう朝比奈さんと、僕の腕の中に居る彼女の事… そして、彼女の居た未来での僕はどうしてる? 彼女は僕を名前で呼んでいた様だが… まあ、いい…今は今夜のデートの締め括りをしようじゃないか……………。 朝、目を覚ますと彼女はもう居なかった。 僕はとりあえず体を起こして、枕元にある受話器を取り上げると「コーヒーをくれないか?」とだけ告げ、直ぐに元に戻した。 そしてその拍子に、ベットサイドに一枚のメモを見付けた。 『先に出ます。 みくる』 なんとなく、ぼんやりと海を見ながら昨日の彼女を思い出してみる。 そして…それから今日の彼女を想ってみた。 (シュークリーム屋に…連れていかなければならないな) 僕は手早く着替えると、ルームサービスのコーヒーを待たずに急ぎ足で部屋を後にした。 終
https://w.atwiki.jp/gods/pages/59166.html
ミルクサン(ミルクさん) ミルクカミの別名。
https://w.atwiki.jp/coffeeselect/pages/18.html
温度別、軟水硬水などにいろいろ比べました。 水質 日本なら、水道水がベスト。 硬水軟水いろいろ試しましたが、マグネシウムとナトリウムはくせ者です。コーヒーがまずくなる。エグイ。 又、軟水などはコーヒーのエッジが無くなってしまって物足りない味になり、クセがでるのでこれもNG。 ブリタなどのフィルタリングした水も水のまま飲む分には最高ですが、軟水と同じ理由でコーヒーにはNG。 日本の水道水はなにげに素晴らしいですよ。 温度 これはズバリ75-85度。 ポットでなくて、沸騰前のお湯がいいです。沸騰したら少し水で温度を下げてから煎れてください。 溶かす温度は本当に味が変わります。 温度が高すぎると、瞬間溶かす瞬間はすごくいい匂いがしますが、飛びが早いです。 温度が低いと、色が濁ったりします。匂いも悪いです。とゆうか美味しい匂いがしません。 アイスコーヒーで飲みたい時も一度75-85度のお湯少量で溶かしてから氷で冷やしたほうが数倍おいしいです。 保存 夏場は水分を吸って劣化するので冷蔵もしくは冷凍するほうがいいです。 美味しさを保てますよ。 まとめ 簡単なのですが水道水を用い、沸騰前の75-85度で作る。これがベスト。 wikiのコーヒーは全てこの作り方で比較しています。 今のところこれがベスト!!迷ってるならこれをまずこれから試すべし。
https://w.atwiki.jp/wpaa/pages/72.html
15 00 15 コーヒー(ジャニーズ主催) ┏━┓┃ ┃[[コード]] ┃ ┗┛ ┃ 狼 ┗━━━━┛ _ _ / ;ゝ──- 、._/ ヽ ヾ-"´ \ | / _ _ ヾノ | / ヽ / ヽ | l ( ⌒ ノ ▼ヽ⌒ )l ` 、、、 (_人_) 、、、 / `ー 、_ ー / (__つc■ | ̄ ̄ ̄ ̄|_ | ぱ ん だ D) ヽ___/" ┏━━━━┓ ┗━┓ ┏OHNNY S☆狼◆
https://w.atwiki.jp/sasasa123/pages/122.html
ミルク砲 / Milk Cannon テト譜 このテンプレのポイント 土台 片側セットアップ率 左右反転込みセットアップ率 4段パフェ率15.24% 2パターン このテンプレの弱み 派生一覧 テンプレ概要
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/6501.html
747 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 04 11 57.33 ID ??? 変な流れはコーヒー一杯飲んでる間に解決するってドクターが言ってた 刹那「と言う訳でコーヒーを頼む」 マリナ「砂糖なし、ミルク多めで良かったわね?」 刹那「ああ、それとケーキを2つ」 マリナ「2つ?」 刹那「マリナも食べると良い。許可は貰っている」 マリナ「良いの?」 刹那「俺が勝手に頼んだだけだ、気にするな」 メイリン「マリナさん嬉しそう…」 シーリン「ケーキ運ぶ度に物欲しそうにしてたし、せっかくだからね」 ギリ「……気にならないのか、そばかす女」 ネーナ「なになに?マリ姉とせっちゃん?あたしが食べてない新作ケーキでも出したの!?」 ギリ「いやだから、ガンダム少年が…まあ気にならないなら良いさ」 748 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 07 53 49.97 ID ??? 刹那「美味い」 マリナ「ありがとう、刹那。美味しかったわ」 ギリ「(作ったのは僕だけどな」 刹那「喜んでもらえて何よりだ」 マリナ「ん…クリームが口についてるわ」 刹那「ん」 指で救い、ペロ マリナ「まだまだ子供ね、ふふ。ご馳走さま」 刹那「………///(何だ、この気持ちは…」 ギリ「そろそろフラッペでも作るか」 ネーナ「フラッペってあのかき氷みたいな奴っしょ?楽しみ~」 ギリ「食べ過ぎて腹を壊すなよ」 ネーナ「壊したら責任、とってくれるんでしょ?」 ギリ「っ!?」 ネーナ「にひひっ。早く作ってよ!はーやーく!」 ギリ「せ、急かすな…仕込みに時間がかかるんだ…」 シーリン「あらあら。冷房の温度を下げないといけないわね」 749 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 09 05 58.49 ID ??? ウッソ「マリナさんにあんなことしてもらえるなんて羨ましいですよ 刹那兄さん!!」 シン「おまえだって酒楽のお姉さん方から毎日あんなことやってもらってるだろ~がぁぁぁ!!」 キラ「自分だってステラさん・マユちゃんにやってもらっているくせに何を言ってんだか」ボソッ 750 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 11 15 01.25 ID ??? 刹那が女に興味を示しただと? 751 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 11 20 57.15 ID ??? 刹那「真のガンダムであるアムロ兄さんを真似てみた。 行動の意味を理解出来たら、俺はもっと兄さんに近付ける!」 752 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 11 36 38.69 ID ??? コーヒー一杯飲んでる間に変な刹那が生まれてしまった 753 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 11 50 01.45 ID ??? アムロ「どうしてこうなった…い、いや、まずはコーヒーでも飲んで落ち着こう」 テクス「と言うことで私の下に来たと?」 アムロ「刹那についての相談もしたかったので」 テクス「私はコーヒー屋でも人生相談屋でも無いんだがな… まずは自分の身辺整理をすべきではないかね?」 アムロ「……と言うと?」 テクス「刹那君が君の真似をするなら君が模範的な恋愛の姿を見せてやれば良い」 アムロ「……今の俺の姿は模範的ではないと」 テクス「私の目から見てもスケジュール力と話術とNT能力を駆使し 複数の女性と付き合う姿が模範的だとは思わんね」 アムロ「………」 762 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 18 17 15.82 ID ??? 748 (ぺたり) シーリン「これでよし」 【節電対策の為、夏季の店内でのイチャラブ行為を禁止します】 ネーナ「へーそんな奴いるんだ」 ギリ「季節と場所考えろよな」 ルナマリア「テメーらの事だよ」 764 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 18 48 28.03 ID ??? 762 シャギア「店内のみか、なら問題は無いな」 オルバ「そうだね兄さん。もしこの町全体でガロードや他のカップル達が イチャラブ禁止になったら」 シャギア「死活問題だな」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/643.html
━━━━最近、冷え込みが厳しくなって来たせいだろうか、起きぬけの布団の中の温もりが愛しくてしょうがない。 目覚めてからの数分間の至福の一時・・・ そして日曜日の朝の今、俺はこの愛しき温もりを存分に堪能するのだ。 忙しい平日の朝には叶わない、細やかな贅沢。 しかし、この至福の一時には日曜と言えども、僅ながら制限が課せられている。 ほら、その『制限』が廊下をパタパタと走りながらそろそろ来る頃だ・・・ 朝のアニメを目当てに、無駄に早起きな『制限』がっ! ・・・「キョン君~おきろぉ~っ!」━━━━━━ 【凉宮ハルヒの休日@コーヒーふたつ】 俺は、毛布の裾を強く握りしめ、来たるべき妹の猛攻に備えた。 (だいたい「一緒にマイメロ観ようよ~」とか言いながら布団をひっ剥がすか、布団越しに俺の上に乗って飛び跳ねるんだよな・・・) ここで持ち堪えれば、昼までぬくぬくと布団の中で過ごせる。 俺は体制を保ちながら、布団の中で息を潜めた。 部屋のドアが開く音が聞こえ、妹の近付く気配がする。 (寝てるふり、寝てるふり・・・) 「キョン君~っ!寝てるの~?凉宮さんから電話だよっ?」 えっ? 俺は「たった今、目が覚めた」様な素振りをして見せながら、電話のある台所へと向かった。 まったく・・・携帯に電話してくれれば良かったのにな。 台所じゃ話し辛いし、しかも寒いだろうが。 やれやれ・・・と思いながら受話器を耳に当てると「もしもし」とも言い終わらないうちに、ハルヒの怒声が俺の耳を貫いた。 「ちょっとっ!何時間待たせんのよっ!」 「待たせたのは悪かったが『何時間』は大袈裟だろ!だいたい、携帯にかけてくれれば・・・」 「携帯が通じないから家にかけたのよ! どうせ寝る前にウェブでもやりまくって、電池切れになったまま寝ちゃったんでしょうけどっ?」 「ぐっ・・・(そう言われると、そんな気がする・・・)」 「しかも、どうせ観てたのはエロサイトね?あ~嫌だ嫌だっ!」 「おいっ!それは違うっ!・・・馬鹿な事言ってないで、さっさと用件を言えよ!」 「大至急、ウチに来て!」 「はぁ?」 「緊急なのよっ!わかったわね?大至急よっ!遅かったら死刑だからねっ!」 そう言い終えると、ハルヒは電話機にトドメを刺す様な勢いで、電話を切った。 (一体、何だってんだ?) さっぱり訳が分からないまま、俺は出掛ける支度をする。 適当にクローゼットの中から洋服を探し出し、着替えようと目の前に並べたところで、ふと重要な事に気が付いた。 (ハルヒの家に行くって・・・当然、日曜日だから親父さんやお袋さんも居るんだろうな・・・) 俺は、用意した「普段通りの服装」を元の場所に戻して、滅多に着ないジャケットと地味目な色のパンツを取り出す。 まあ、第一印象が肝心だからな。 そして、早々と着替えてコートをはおると、自転車に飛び乗りハルヒの家へと急いだ。 天気の良い日曜日だというのに、ハルヒの家の周りは静かだった。 いや!天気が良いからこそ、みんな何処かに出掛けたんだろうな。 それに比べて俺ときたら、ハルヒに都合よく呼び出されて・・・ とりあえず俺は、ハルヒの家族に対する挨拶の言葉を必死に探しながら、彼女の家の玄関へと向かう。 少しばかりではあるが、手土産も用意した。 (まあ、いずれこんな日が来るだろうとは思っていたが・・・緊張するな・・・。) 少し躊躇いながらインターホンを押すと『はい』とハルヒの声がした。 「ああ、俺だ。」 『ちょっと待って?今出るから』 やがて玄関のドアがガチャリと開き、ハルヒが顔を見せた。 「あがって・・・って、あれ?何でお洒落して来たのよ!」 「い、いや・・・ほら、親父さんとかに挨拶・・・」 「・・・アハハッ、馬鹿ねぇ!アタシ以外誰も居ないわよ。あ・・・そうとも言いきれないんだけど。」 「なんだ?それ。」 「まあ、いいわ!とにかくあがって!」 ハルヒは俺の手を引き、玄関からリビングへと導き入れた。 そして、リビングに入るなり自分の鼻先に人指し指を立てて「シーっ」と言う仕草をしながら、ソファーのある方を指さした。 ソファーの上には大きめの籠が在って、その中には・・・ ・・・赤ん坊が眠ってるっ! 「ど、どうしたんだ?それ!」 「あ・・・馬鹿っ!静かにって言ってるでしょっ?起きちゃうじゃないのよ!」 「す、すまん・・・」 「ちょっと、こっちに来て!」 ハルヒはそう言うと、今度はリビングからキッチンへと俺を引っ張った。 一息ついてから、再びハルヒに訊いてみる。 「で、どうしたんだ?」 「うん・・・。今朝ね?隣の祥子姉ちゃんが来て、午後まで預かってくれないか?って。」 「ええっ?お前、赤ん坊の世話なんかやった事無いだろ?しかも、どう見てもアレは0歳児だぜ?」 「ちがうの!親父も母さんも留守だったんだけどね? そこのスーパーの朝市に行くって言ってたから、すぐに帰ってくると思ったのよ。 母さんさえ帰って来れば別に問題無いと思ったし、祥子姉ちゃんもそのつもりで預けて行ったんだと思うんだけど・・・」 「思うんだけど・・・どうした?」 「さっき、親父から電話があって『天気が良いから、このまま母さんとデートしてから帰る』だってさ。 コッチの話なんか聞かずに、言いたい事だけ言って電話を切っちゃうのよ?困ったもんだわね!」 なるほど!その親にして、この娘在り・・・と言うところだな。 「それで、俺に電話をしたと?」 「ふふん、そういう事。まあ、二人でやれば何とかなるでしょ!」 何とか・・・って。 やれやれ、とんだ日曜日になりそうだ。 しかし、赤ん坊の世話なんて何年ぶりだろう。 妹が生まれた時は・・・とにかく嬉しくて、母親に色々訊きながら子供ながらにも一生懸命世話をしたっけ。 はたして今、その内容を覚えているものだろうか。 俺は、かつての記憶をなんとか思いだそうとしてみる。 すると、ハルヒが突然声をあげた。 「あれ?ねぇ、キョン! 赤ちゃんの声が聞こえない?」 「ん・・・ああ、本当だ!おそらく、起きたな。」 (たしか・・・起きたらオムツを替えて、ミルクをあげるんだったよな。) 「おい、ハルヒ!オムツを用意してくれ! あと、お湯で濡らして絞ったタオルもな。」 「え?ああ、わかった。」 俺は、赤ん坊に近付くとハルヒからオムツを受取り、それまで赤ん坊が着けていたオムツを手早く外す。 タオルが冷えてない事を確かめると、赤ん坊の股をサッと拭き新しいオムツを履かせた。 「随分、手慣れてるのね・・・」 「ん?ああ。妹が生まれた頃によくやってたからな。 ところで、ミルクは?」 「一応、「作り方」見ながら作ったけど・・・」 ハルヒはそう言いながら、珍しく自信無さげに捕乳瓶を差し出した。 俺は、それを受取りながら温度を確かめる。 「もう少し冷ます様だな。捕乳瓶ごと振って、人肌の温度くらいまで冷ますんだ。なかなか冷えなかったら、水道の水で冷やしてくれ。 でも、冷やしすぎに注意するんだぞ?」 「う、うん!」 ハルヒに言い終えてから、俺は少しだけ自分自身に驚く。 我ながら意外と・・・記憶に残っているものだ・・・。 しばらくすると、ハルヒが捕乳瓶を持って戻って来た。 俺は、赤ん坊を抱きかかえながら、ミルクを飲ませる。 そして、飲ませ終ると赤ん坊を横に抱いた状態から静かに縦に抱き直し、赤ん坊の背中をトントンと指先で軽く叩いた。 その様子を、ハルヒが不思議そうに見ている。 「ねえ、キョン?何やってんの?」 「こうやって、ゲップをさせてやらないと吐いちゃうんだ。赤ん坊は自分でゲップが出来ないからな。」 「ふ~ん。」 ハルヒは、頷きながら何か考えている様な素振りをすると、急に納得した様な表情を見せた。 「ん?どうした?」 「うん。なんとなく、妹ちゃんがキョンにベッタリな理由が解る気がしただけ。」 また訳の解らん事を・・・と思いながら、俺は抱いている赤ん坊に幼い頃の妹の表情を思い出して重ねてみる。 (帰ったら、少しだけ妹のゲームの相手でもしてやるかな・・・) 気が付くと、赤ん坊は再び眠りについていた。 俺は、元の場所に赤ん坊を寝かせると、ハルヒと一緒にリビングから先程のキッチンへと場所を移した。 ハルヒはキッチンに立つと「まあ、適当に座ってよ。」と言いいながら、お茶の用意を始めた。 俺は、そんなハルヒの姿を見ながら「思った程、悪くない日曜日だな・・・」と思う。 しかし、そんな気持ちは次の瞬間に脆くも崩れ去った。 「ふぎゃ~ぁぁああっ!」 リビングから赤ん坊の泣く声がする! ひと息いれようとキッチンに来た俺達は、ものの数分でリビングへと呼び戻されてしまった。 (やれやれ、お茶くらい飲ませて欲しいぜ) 激しく泣いている赤ん坊を見ながら「何で泣いてるのかしら?まさか、もうお腹がすいたとか?」とハルヒが首を傾げる。 俺はオムツが濡れていない事を確かめると、「何かオモチャみたいなヤツは無いか?それかオシャブリとか・・・」とハルヒに訊いた。 ハルヒは「ちょっと待って?」と言いながら、赤ん坊の母親から預かったと思われるトートバックをガサガサと覗きこむ。 「おかしいわね・・・。オシャブリがあったと思うんだけど。」 「無いのか?」 「んー、見当たらないわ・・・」 まったく、ハルヒはいつもそうだ。 いつぞやの課題のノートも然り、とにかく無くし物が多い。 俺は少しイヤミを込めて「無ければ自前でなんとかしたらどうだ?」と言ってみる。 「あ、そうか。それは名案ね!」 (いっ?冗談のつもりだったのに・・・) 「ちょっと!キョンは向こう向いてんのよ? アンタを喜ばせる為に片乳出す訳じゃないんだからねっ!」 そう言うと、ハルヒはシャツのボタンを外し始めた。 「ほら!向こう向いてなさいよっ!エロキョン!」 エロキョン・・・とはあんまりだ。 俺は仕方無く壁と向き合い、耳のみでハルヒの様子を伺う事にした。 赤ん坊は・・・泣きやんだ様だ・・・。 「うふふっ・・・いゃだ、くすぐったいわね・・・」 なんとなく気になって、ハルヒにバレない様に少しづつ振り返る。 すると、昼下がりの柔らかい陽射しに包まれたハルヒと、ハルヒに抱かれながら乳房に顔を埋める赤ん坊が、まるで本物の親子の様に俺の視界に飛込んできた。 ハルヒが優しく、赤ん坊に微笑みかけている。 なんだか、胸の奥がじんわりと暖かくなる。 (もしも、俺とハルヒが結婚したら・・・こんな光景に、また巡り逢えるのだろうか・・・) 俺は、ぼんやりとそんな事を考えながら、こっそりと二人を見つめ続けた。 しばらくして赤ん坊も落ち着きを取り戻し、ハルヒも今更ながら「もう、こっち向いていいわよ!」と言うので、俺は元の姿勢に体を戻した。 気が付くと、時計の針は午後の1時を回っていた。 「そろそろ、祥子姉ちゃんが迎えに来るわね・・・」 ハルヒが寂しそうに呟く。 たしかに、こんなに大変だったにもかかわらず、いざ居なくなると寂しいものだな。 「携帯でさ、赤ん坊の写真でも撮るか?」 そんな気やすめを言ってみた瞬間、インターホンが「ピンポーン」と鳴った。 ハルヒは「ちょっと待ってて?」と俺に告げると、赤ん坊の眠る籠を静かに持ち上げながら、玄関へと向かった。 そして数分後、がっかりした顔でリビングへ戻って来た。 「あーあ、帰っちゃった。・・・つまんないの。」 「仕方が無いだろう?まあ、将来に向けて育児の予行演習が出来たと思えば、このうえないじゃないか!」 「予行演習・・・ねぇ。」 そう呟いた途端に、ハルヒは少し頬を赤らめながら『いい事思い付いたっ!』の時の顔をした。 「な、なんだ?」 「ふふっ、ねえキョン?育児の予行演習の後は、その前の段階の予行演習をやるって事でどう?」 「はあ?」 「もうっ!鈍感ねっ!親父も母さんも、夜まで帰って来ないのよ?」 ハルヒはそう言いながら俺の側に詰め寄り、肩に頬をすり寄せる。 (なんだ・・・そういうことか。) 俺はハルヒの顔を、覗き込むように見つめながら「ふん、さっきは人の事をエロキョン呼ばわりした癖に。」と意地悪っぽく囁く。 そして、ハルヒの唇が小さく「ゴメン」と動くのを確認して、少し長めのキスから始めた。 おわり
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/653.html
風が・・・凄いな・・・。 部室の窓がカタカタと揺れている。 この前、俺が貰って来たストーブによって多少は寒さが抑えられてはいるものの、やはり・・・冷えるな。 部室の入り口越しに吹き込む、廊下からの隙間風にも多少の要因はあるだろう。 後で何か対策・・・ 「・・・ン君、キョン君の番ですよ?」 ああ、悪いな。 俺は、古泉とカードゲームに興じていた。 トランプの「ババヌキ」の要領で互いのカードを引き合い、同じ色や数字が揃ったカードから捨てていく・・・最後までカード捨てきれずにアガれなかった者が負け。 そう、アガる直前に「うの!」って言うあれだ。 しかし、この手のゲームをやる時の古泉は手強い。 なにしろ、鋼の「ニヤけ面」を持つ男だからな。 手札が全く読めん・・・・。 そういえば、古泉はこの前の事を覚えているんだろうか。 あの事件以来、俺と古泉は二人きりになる機会が無く、色々と訊きたい事や話したい事があったにもかかわらずそれを出来ずにいた。 そして、その思いは長門に対しても同じだ。 カードを捨てながら俺は、ふと長門の居る方へ目をやる。 (あれ?) いつもは本を読んでいる長門が、ノートパソコンを膝の上に置いて何やら指先を忙しく動かしていた。 「趣味は、多ければ多いほど人生を豊かにしますからね。」 古泉が俺の視線をなぞり、その先を見ながら感慨深げに頷く。 まあ、それには同意だな。 「と、いうわけで・・・・申し訳ありません、『うの』です。」 いっ!駄目だ・・・負けた。 「もう一回やります?」 ああ・・と言いかけてて俺はハルヒの様子が妙な事に気が付く。 「んー、ふー、んー」 鞄を机の上に置いて、その上に手をかざし何やら唸っている。 おい、ハルヒ? 聞きたくないが、一応訊いてやる。 一体、何をやってるんだ? 「念じているのよ!願いをこめてね!」 何を! 「鞄の中に札束が産まれるように!」 ・・・なんだ?それ・・・と言いかけて俺は息を飲んだ! まさか・・・とは、思うが・・・ この前のあの事件・・・あの時、俺はハルヒにハルヒの持つ力の事を打ち明けた。 そして、結果的にハルヒが元の世界を望み・・・俺は、この世界に帰ってきた。 こちらに「帰って」来てからの日常は、あまりにも普通で、まるで全てが夢だったのではないかと疑いたくなる程だった。 当のハルヒですら、これといって変わった様子は無く、そのために俺とハルヒは、あの事件の前のままの生活を送る事が出来ていた。 朝比奈さんだって、今はこの部室で相変わらずの愛らしい笑顔を振り撒きながら今日も変わらずハルヒの隣に立ち、お茶を入れるタイミングを伺っている。 だからこそ俺は、古泉や長門に訊きたたかったんだ。 もう、これで大丈夫か?って。 しかし、ハルヒは今「自分の願う力」に対して何か気付いている様子を見せている! これが、どういう事なのか俺には皆目見当ががつかない。 ただ、マズい事にならない事を祈るだけだ。 複雑な気持ちのまま、俺はハルヒと二人きりになれる下校の時間を待った。 日が沈んで窓の外が暗くなりはじめると、しばらくして長門がパソコンを閉じ「帰る」と呟いた。 古泉も「じゃ、僕も失礼します。」と席を立つ。 ハルヒ、どうする? 「うん、そうね!みくるちゃん、着替えるでしょ?鍵、頼めるかしら?」 「はい!」と朝比奈さんは心地よく返事をする。おいおいハルヒ、もっと朝比奈さんを大切にしろ?あの居なくなった時の激烈な寂しさを、願わくば思い出させてやりたいものだ。 「ちょっとキョン?ボサッとしてるんじゃないの!帰るわよ!」 そんな感じで、我がSOS団の本日の活動は無事に終了した。 帰り道、俺は相も変わらずペダルを踏みながら、後ろに座っているるハルヒに話しかける。 ハルヒ、さっきの話しさ、テレビか何かで視たのか? 「?、なんの事よ。」 いや、『鞄の中に札束』の話しさ? 「ああ、一昨日・・・だったかしら。夢を見たわ。少し怖い夢だったけど、一大スペクタクルだったわね!来年の文化祭で是非採用したいくらいだったわよ!」 非常にその夢の内容が気になったが、今はとりあえず話しの続きを訊く事にする。 「でも、あんまり縁起の良い話じゃない部分があったの。だから、誰にも言わなかった。それに・・・最後の方は悪夢だったわ。」 ・・・そうか。 「でね、アタシは辛くて悲しくて・・・どうしようもなくなって・・・」 おい、ハルヒ? もういい。 悪かったな、変なこと思い出させて・・・ 「ううん、大丈夫!それでね、続きだけど・・・そしたら、キョンが出てきて・・・」 そう言いかけて、ハルヒは黙った。 気になって少し振り返る。 ハルヒは耳まで赤くして恥ずかしそうにうつむいている。 俺がどうしたって? 「え、あ・・・それで・・・そうだキョン!いつもの販売機に寄って?」 ん?ああ。 しばらく走ると、いつもの販売機に辿り着いた。 荷台から、ヒョイッと軽く飛ぶ様に降りたハルヒが、こっちを振り返って恥ずかしそうに笑う。 「それでね、キョンが言うのよ!」 さっきの続きか? 「そう!」 で、俺はなんて言った? 「・・『願いは叶うさ、ハルヒの思うままに』って!まったく、何様のつもりかしらね!」 俺は、自転車を停めたついでにコーヒーとカフェオレを買って、カフェオレをハルヒに手渡した。 そして、ベンチに座る。 ハルヒも俺の隣に座り、続ける。 「でもね、夢の中のアタシは信じてしまうの。そして・・・幾つもの幸せな結末を必死に願うのよ。そしたら・・・」 そしたら? 「目が覚めて、朝が来て、キョンが迎えに来た。」 ・・・いや。 「それから、なんとなく夢の中のキョンが言ってた言葉が忘れられなくて・・・今日一日その事ばかり考えてた。馬鹿ね・・・アタシ。」 ハルヒ・・・。 「何?」 俺はハルヒに少し長めのキスをする。 そして、ハルヒの唇から体温を感じながら、少しだけ考える。 さっき、部室で少しだけ感じた悪い予感は見事に外れた。 ハルヒはハルヒだった。 ただ、ハルヒが願った幾つもの幸せな結末とは・・・時間を戻す事?朝比奈さんが居る事?・・・まあ、いいや。 俺がここで、この世界で今こうしている意味がなんとなく解ったから。 唇を少し離して、ハルヒに囁く。 今のって、お前の今現在の願いが叶った・・・事にならないか? 「もう!知らない・・わよ・・・」 また、俺達は唇を逢わせた。 Ⅴ-Ⅵ fin