約 1,185,011 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1848.html
3.僕と彼女とコーヒーと 無機質な電子音が、僕を眠りの淵から引き上げようとしている。 毎日毎日繰り返される、同じ状況……慣れたものだ。 さしたる抵抗もなく僕は眠りから這い出し、せめてもの反撃とばかりに、目覚まし時計に一発くれてやる。 ぺし。 普段ならこれで大人しくなるはずの目覚まし時計が、今日は一向に鳴り止まない。 ぺし、ぺし。 続けて二度、三度と叩いても、やはり変化なし。 おかしい、どこか壊れてしまったのだろうか。 別に高い買い物でもないが、まだ買い換えてから三ヶ月ほどしか経っていないし、壊れるほど強く叩いているわけでもない。 そもそも壊れるなら音も止まってほしいものだ、スイッチだけ壊れて音が鳴り続けるなど迷惑にもほどがある。 まあ壊れてしまったものは仕方がない、店に持っていって修理してもらおう。 保証書はどこへしまったっけ? そんなとりとめのない思考を経て、眠気を引きずっていた意識が十分に覚醒した頃、ようやく僕は気付いた。 この人騒がせな電子音の元凶が、目覚まし時計ではなく携帯電話だということに。 「……」 自分の間抜けさ加減に少々うんざりしながらも、通話ボタンを押して電話に出る。 「はい……」 『もしもし、山城だ……って、酷い声だな、まさか寝起きか?』 電話の主は大地だった。 彼がプライベートで僕に連絡を取るとは珍しい。 他の人間に対してどうかは知らないが、彼と僕とのやりとりはほとんどが会社、もしくは仕事帰りのバーや飲み屋で完結することが常だったからだ。 「おはよう大地……珍しいね、電話なんて。今何時?」 僕が眠気を引きずる声で尋ねると、受話口の向こうから呆れたような溜め息が飛んできた。 『おはようじゃねえよ、もう十二時だぞ。お天道様がかんかんだ、二つの意味でな』 言われて僕は、携帯電話を持ったまま立ち上がり、カーテンを開け放つ。 なるほど確かに、太陽は空の天辺で燦々と輝いていた。 さすがに自分でも呆れる。 陽光の眩しさに、眠気は一気に吹っ飛んでいった。 「参ったな……昨日ちょっと遅かったからさ」 言い訳したところで昨夜のこと……僕の新しい家族のことを思い出す。 起動用バッテリーで動いていた彼女は、あの後すぐにスリープモードに入ってしまったので、僕は彼女の為のメンテナンス環境を整えてやる必要があった。 クレイドルと呼ばれる充電用装置の接続や、スキャニングソフトのインストール、それから実際にソフトを使っての簡易メンテナンスなどなど。 モニターに表示された彼女のコンディションを表すウィンドウを眺めながら、やっぱりロボットなんだなあ、なんてことをつらつらと考えていた。 全ての作業が終わり眠りについたのは、結局午前三時を過ぎた頃だった。 『そっか。ひょっとして神姫の関係か? ……おい、そんなに慌てるな、ってこら!』 途中からのセリフは僕に向けたものではなかった。 受話口の向こうが騒がしい、大地の他に誰かいるようだ……なんだか聞き覚えのある声のような気がする。 ばたばたと妙な音の後で、聞こえてきたのは、僕を再び眠りに誘うような間延びした声だった。 『狩野クン、おはよ~。彼女の様子はどう?』 電話の声と生の声は違って聞こえるとよく言うけど、若山さんの場合は口調が特徴的なのですぐにわかる。 大地の様子から察するに、昨日の神姫がどうなったかが気になって仕方なかったのだろう。 「おはよう若山さん。神姫のことなら心配ないよ。無事起動して、今はクレイドル……だっけ? その上でスリープモードに入ってるよ」 『そっかあ、よかった~。でも随分遅くまで寝てるのね~……ひょっとしてタイマー設定してない?』 タイマー? そんな機能があるなんて初耳だ……最も、僕自身神姫のことについてはまだまだわからないことだらけなんだけど。 『タイマー設定しておけば、毎日決まった時間に自分で起きてくれるわよ~。まあ、毎日自分で起こしてあげるっていうのもありだけどね。乙女の寝起きゲット! みたいな~』 後半やけに楽しそうに喋ってたのは気のせいだろうか。 相変わらず掴み所のない人だ。 『まあそれはともかく、その辺のことも含めて後で詳しく教えてあげるから~って、ちょっときゃあっ!』 また受話口からどたばたと騒がしい音が聞こえてくる。 今度は大地が若山さんから電話を取り上げているんだろう。 朝から仲の良いことで……もう朝と言える時間でもないけど。 『あー……騒がしくてすまんな。まあ聞いての通り、成海がお前の神姫のことが気になって仕方ないみたいなんだ。ついでに俺もちょっと気になってるけど』 何がどうついでなのかはこの際気にしないでおこう。 何にでも首を突っ込みたがる大地のことだ、興味本位に違いない。 『で、だ。今日お前の家に様子を見に行きたいと思ってるんだけど、どうだ? 成海のヤツに色々教えてもらうのもいいと思うぞ』 大地の提案は僕にとってもありがたいものだった。 何しろ僕は神姫のことについては『ど』のつく素人だ。 インターネットで探せば情報はいくらでも出てくるだろうけど、やはり詳しい人間に直接教えてもらえるのは助かる。 「そうしてもらえると助かるよ。時間は……午後二時くらいでいいかな?」 『オーケー。いきなり押しかけるみたいで悪いな』 「気にしないでよ、別に用事があったわけでもないしさ」 『そっか。じゃあ、また後でな』 通話を終えて、電話を置く。 クレイドルを見ると、ノエルはまだすやすやと眠っていた……ってタイマーを設定していないんだから、起こすまで起きないのは当たり前か。 同じくスリープモードだったパソコンを立ち上げ、ノエルのメンテナンスツールを呼び出す。 コンディションは……うん、問題ない。 バッテリーも十分に回復している。 「ん……んんー」 起動コマンドを送ると、彼女はむにゃむにゃ言いながら目を覚ました。 ふあ、なんて欠伸してる姿が微笑ましい。 「おはようノエル。気分はどうだい?」 「あ、はいっ。おはようございます! 各部位チェック……完了、問題ありません!」 僕が声をかけると慌てて起き上がり、居住まいを正す。 そのあまりに人間くさい行動に、僕は思わず噴き出してしまった。 「そんなにかしこまらなくてもいいよ。これからは家族同然なんだ、もっと気楽にやっていこう」 「あ……」 僕の言葉に、ノエルはほにゃっとした笑顔を浮かべた。 堅苦しい関係は彼女も望むところではなかったのだろう。 そんな彼女の頭をこしょこしょと撫でてやる。 「さて、起きたばかりで早速だけど、午後から友達が来ることになったからね……急いで仕度をしよう」 ほわほわになってるノエルをそのままに、僕は食事の用意をするためキッチンへ向かう。 すると、ノエルも慌てて僕の後についてくる……クレイドルの段差につまづいて転ぶことも、忘れなかった。 「さて、今日の朝食は何にしようか……」 時刻は昼であったとしても、今日最初の食事なのだから朝食でいいのだ。 何にしようか、とは言いながらも、僕の朝食のメニューは大抵決まっている。 僕は卵とベーコン、それから何種類かの野菜を冷蔵庫から取り出した。 「暁人さん、何してるんですか?」 「ん? 食事の用意だよ……そういえば、ノエルは食事はするのかい?」 食パンをトースターに放り込みながら僕は訪ねた。 神姫は基本的にバッテリーによる電力供給で動いているし、それ以外に動力源となるものはないはずだ。 従ってエネルギー供給という意味では食事は不要なはずなのだが……。 「えと、食事をしなくても活動できますけど、コミュニケーション手段の一環として、物を食べるという機能は備わってます」 ノエル曰く、そういうことらしい。 確かに、食事というのは人と人の繋がりの中で大きなウェイトを占めていると思う。 「そっか、じゃあ一緒にご飯食べようか?」 僕が問いかけると、彼女は笑顔で頷いた。 何か手伝いたさそうな様子だったので、コーヒーを淹れてもらうことにする。 十五センチの体ではさすがに料理を作ることは難しいだろうが、コーヒーくらいならなんとかなるだろう。 天使型であるノエルは、付属のウィングブースターを背中に装着することによって空を飛ぶことが出来る。 なので、高い棚に入っているマグカップを取り出したりすることも問題なく任せられるわけだ。 ……実はブースターに関して僕は非常に不満な点があるのだが、それは追々語るとしよう。 かくして、僕らの遅めの朝食が完成した。 メニューはトースト、スクランブルエッグ、軽く焼いたベーコン、そしてグリーンサラダ……ドレッシングはこだわりのパステル・キッチン社製だ。 「いただきます」 二人揃ってお辞儀をし、食事を始める。 といってもノエルが使えるような食器はなかったので、彼女の分は僕が食べさせてやる格好だ。 「ほれ」 スプーンでスクランブルエッグをとって彼女に差し出すと、小鳥のように首を伸ばしてそれを食べる。 そんな姿が可愛らしくて、どんどん彼女に食事を与えてしまう。 彼女もこの餌付けが気に入ったらしく、笑顔で頬張っては「おいしいです」と繰り返してくれた。 作った僕としても、やはり美味しいと言われるのは嬉しいものだ。 「今度は料理をお手伝いしたいです」 もきゅもきゅと口を動かしながら、ノエルはそう言ってきた。 そうだな、彼女と一緒に料理をするというのも悪くなさそうだ。 ちゃんと教えてあげればそれなりのものは作れるだろう……教えることは多々ありそうだが。 「そうだな、まずは砂糖の分量を覚えような」 いささか甘すぎる――甘党である僕をもってしても、だ――コーヒーを飲みながら、僕は少しだけ意地悪くそう言った。 2.目覚めは猫の鳴き声で TOP 4.猫侍、見参
https://w.atwiki.jp/xatsushix/pages/21.html
缶コーヒー(微糖) 性別 ♂ 年齢 15 誕生日 自称4月1日 説明 声が豊富な奴で缶コーヒーを飲むと覚醒する
https://w.atwiki.jp/kagerou2/pages/39.html
コーヒー豆 ステージ内に11個+火垂屋常設の1個の合計12個 (行方知れずの風穴ステージのみ4個) 箪笥や机の上に置かれている 集めることで龍の髭で飲めるコーヒーの 種類が増える 小ネタ (情報提供求む・・・)
https://w.atwiki.jp/nichee/pages/164.html
コーヒー券【こーひー-けん】 岩鞍でシーズン券を買うと貰える. コーヒー券という名称であるが,ゲレンデ内ほとんどの店でそれ以外の飲み物も飲める. 何が飲めるかは店によって,また店員さんによって異なるので,お店で確かめてみよう.
https://w.atwiki.jp/mitlocke/pages/195.html
コーヒー (とある魔術の禁書目録) 使用条件 条件なし 効果 [戦闘][対抗(M、固有)] 「熱膨張って知ってるか?」と言いながら、この能力カードを使用することで、対象の[M]または[固有]をその戦闘中使用不可にする。 このカードは1度使用したら破棄する。 備考 「熱湯の中に浸け込んでりゃ、細かいパーツの一つ二つは歪んじまうだろ!!」 この能力カードへの意見 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/1713.html
このページはこちらに移転しました ブラックコーヒー 作詞/俺 口の中に広がる苦さに まだ舌を出してた頃 君は笑って、そっと角砂糖を一つ入れてくれた。 何時もの朝の始まりに 差し出される白いカップ 君の笑顔とコーヒーがやけに眩しかった。 大切にすればするほど、心がすれ違って 混ざり合わないミルクみたいにクルクル回ってしまう。 未だに飲めないブラックコーヒー、手持ちぶさたに掻き混ぜる。 一口、口に含むと苦さに顔をしかめながら 君と言う砂糖がなきゃ、飲めないブラックコーヒーは 今の僕にはもう遅いけど、まだ少し早すぎたみたいだ。 (このページは旧wikiから転載されました)
https://w.atwiki.jp/wiki9_tds/pages/37.html
ユカタン・ベースキャンプ・グリル メニュー ベースキャンプ・ビーフパティ単品…¥714/セット…¥997 ユカタントマトソース、メキシカンライス、ベジタブル付 スモーク・ポーク単品…¥714/セット…¥997 メキシカンライス、ベジタブル付 スモーク・チキン単品…¥661/セット…¥945 メキシカンライス、ベジタブル付 ※上記セットにはハウスサラダとソフトドリンク(レギュラーサイズ)が付きます お子様セット…¥780 ハンバーグ、ピラフ、エビのフリッター、フレンチフライポテト、 フルーツカクテルゼリー、ソフトドリンクのチョイス 大麦と野菜のスープ、ガーリック風味 ¥290 スモークチキンサラダ ¥504 ポークチリビーンズ ¥367 ユカタンソーセージ&チョリソー、フレンチフライポテト添え ¥290 カフェオレムース、スーベニアカップ付 ¥480 レモンクリームチーズケーキ ¥315 ミルクとコーヒーのゼリー ¥290 バナナマフィン ¥262 コーヒー ¥189/¥231 ウーロン茶 ¥189 アップルティー ¥189 ミルク ¥157 ホットココア ¥210 アイスココア ¥231 アイスコーヒー ¥210 ¥273 アイスウーロン茶 ¥210 ¥273 コカ・コーラ ¥210 ¥273 スプライト ¥210 ¥273 ファンタオレンジ ¥210 ¥273 Hi-Cグレープ ¥210 ¥273 メロンソーダ ¥210 ¥273 スコールウォーター ¥210 ¥273 キリンアップルティーソーダ ¥210 ¥273 キリン生ビール ¥577 赤ワイン/白ワイン ¥472 テーマポート ロストリバーデルタ サービスタイプ カウンターサービス お子様メニュー 予算 円~円 席数 屋内外約620席 その他 アルコール提供 オススメ度 選択肢 投票 ★☆☆☆☆ (0) ★★☆☆☆ (0) ★★★☆☆ (0) ★★★★☆ (4) ★★★★★ (8) コメント 雰囲気が好きです 味はチープかもしれないけど(・д・) -- montan (2006-04-05 17 58 10) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/introintrointro/pages/68.html
『コーヒー豆』(こーひーまめ)は2ちゃんねるに存在する固定ハンドル トリップ ◆MAME.flgAA 特徴 VIPPERらしかぬね、和み系レスが売りだった vip仲間達の『やり過ぎた悪ふざけ』により引退を余儀無くされた また、名残なのか自己紹介板には「コーヒー豆」スレが継続している 交友関係 まきひととは懇意だった 所属 vipオールスターズ 固定ハンドル名簿へ
https://w.atwiki.jp/nichee/pages/169.html
コーヒー豆【コーヒー-まめ】 キリマンジャロやブルマンより希少. 飲み会時にたまに2粒だけ生産される,レアブランド. ニッシェ人で味わったことがある人物がいるかどうかは不明.
https://w.atwiki.jp/putihedora/pages/36.html
まだ漆黒の空が全てを覆いつくす時刻。 夏と秋の変わり目の時期、極寒とまでもいかないが、肌寒い季節。 そんな中、少女は冷えた身体を温めるように自分の両腕で身体を抱き締めた。 はぁ、と息を吐き出すと白い湯気がよくみえる。 そんな事をしていると、背後から 缶コーヒーを掴む手が伸びてきた。 「怜、お疲れ」 にこりとも笑いもせず、彼は私にそれを手渡す。 缶のプルタブを威勢よく開け、一口を飲み込むと 彼女はその温かさに自然と頬を緩ませた。 そんな光景に、彼も自然と唇の端を持ち上げた。 「・・・どうかした?」 「いや、やっぱり怜は普通なんだなと思って」 「それ、どういう意味?」 彼女は怪訝な顔で聞いた。 「いや、別に貶してるんじゃないんだ。ただ・・・その普通なところが、俺は好きだ」 「・・・天然」 ――いつも通りの会話。当たり前の会話。 そんな当たり前さが、彼女には心地よかった。 ふと、無機質的な音が響き渡る。 その音は、彼女を不安がらせる事を、彼は知らない。 彼は携帯電話の相手の名前を見ると、頬を緩ませ、すぐさまボタンに指を滑らせていた。 ――それに対し、彼女の表情は対象的だった。 だってそれは、あなたとの 「おう、美里、どうした? ・・・」 時間を終わらせるものだから ゴジラ ファイナルウォーズ リバース番外編 ~コーヒー~ 学校はとっくに終わり、今はM機関の会議室の席に座っている。空はすっかり赤みがかった色から星の色へと移り変わろうとしている。 会議では、教官の熊坂が壇上で今後の予定について説明している。 そんな時、両目一杯に涙を溜めながら、うつむいたような格好でその話を聞いている隣の彼女。そのときに、零れた涙が書類に濡れたけど・・・気にしないでおこうかな。私は、とりあえず由美子に聞いてみることにした。 「・・・どうかしたの?」 「あう、えっとぉ・・・次のテストで赤点だと、りゅ、留年・・・ふえぇぇん!」 先生の言葉を思い出したのか、大声で泣きだす由美子。大粒の涙が書類に張り付いていくのがよくわかる。近くの席の数人は驚いてこちらを振り向くが、すぐに視線を元に戻していた。 幸い、シュミレート映像のメガギラスの声で、熊坂には気づかれなかったようだ。 しかし、気づかれて呼び出しでも受けたらたまらない。そう思った私は励ますように由美子に話しかけた。 「大丈夫だって、きっといい点数取れるから。それに、こっちの仕事だってあるんだし、先生もわかってくれるよ」 それに、と言葉を紡ぎ由美子に微笑みかける。 「由美子は頑張ってるよ」 一瞬だけぽかん、とだらしなく口を開けていた由美子だったけど、私の言葉を聞いた瞬間再度涙を零し私の名前を呼びながら抱きついてきた。 「怜ちゃん!」 「ちょっ、ゆ・・・」 突進するような強い衝撃の所為でぐらり、と自分の身体が揺れるのと数枚の書類が落ちるのがよく分かった。 私は慌てて何かを掴もうと、丁度目に映った机へと手をかけようと身体を動かした。 だが、健闘空しく私の身体は床に思いきり叩きつけられてしまった。 気づいたときには由美子に押し倒されたかのように床に寝ていた。 書類が花吹雪のようにゆっくりと空中で舞い落ちる。 あまりにも不意の事で、私はただ顔を変に歪めるしか出来なかった。 横目で前を見ると、熊坂はまだ気づいていないようだった。今度はチタノザウルスに助けられたようだ。 「れ、怜ちゃん、ごめん・・・!」 私が倒れるとも思ってなかったみたいで、慌てて身体を退かす。 大丈夫、と声を出そうとした。 したのに 何でだろう、声が出ない。 「怜・・・ちゃん?」 いつもと様子が違う私に戸惑ったのか、私の顔を覗き込むように顔を近づけてきた。 私は、心配をかけないようにと、戸惑いながらも微笑んで返す。 「大丈夫。だから・・・」 「大丈夫じゃないよ!」 由美子とは思えないほどの大声で、私に怒鳴る。私は見つかったんじゃないかとまた前を気にするが、熊坂はアルバトロスを落とす放射熱線に夢中のようだった。 「だって怜ちゃん・・・泣いてるんだよ?」 由美子に言われて初めて気がついた。 目元を指先で触ると乾燥した指先が水の潤いで湿った。 寝ている所為で頬は濡れないけど、しっかりと床は濡れていて。 その二つによって私は涙を零している事実に実感する。 そして会議中という事も忘れ、由美子の腕を思い切り掴む。あまりの力の強さに由美子は体勢を崩し、私はそのままその背中に腕を回し、声が涸れるまで泣き叫んだ。 ――もちろん今度も、ラドンとキングシーサーがしっかり助けてくれた。 あの光景が頭を離れない。 窓の外に見えたのは人知れぬ校舎の裏での 彼と美里の情事。 彼が美里の話をすると笑っているのも 美里が彼と話しているのを楽しんでいるのも 二人が惹かれあっているのも知っていた。 だからこんなことになるのも、わかっていたつもりだった。 けど、私にはその事実を受け入れるのが早かった。 その事実を知るのが怖かった。 何分、泣き続けていたんだろう。 咽喉が痛いし、泣き過ぎて目も充血しているんだろうなー・・・と割と冷静に頭の隅で考えている。 「怜ちゃん・・・」 声のままに振り向くと、間近に由美子がいた。 そういえば、抱きついてたんだっけ・・・ 「ごめん、すぐ離れるね」 ゆっくりと上体を起こして、席に着き直す。それで初めて、今まで話を聞いていなかったことに気がつく。熊坂は再びスケジュールを掲示していた。かなりハードスケジュールで、日常生活にすら影響がありそうだなと思う反面、自然と学校について考える自分がいた。 ――こんなハードスケジュール、学校なんていってられないじゃない。 でも、そのお陰であの二人に会うこともなくなる。 どちらも否定する事ができない自分の思い。 滅茶苦茶に引き裂きさきたい私の醜い感情。 でも、引き裂く事なんて出来ない。 私はきっとこの状況に逃げていただけだから。 そんな時、由美子がふと私の名前を呼んだ。 私は虚ろな視点の中、彼女の顔をじっと見る。 「怜ちゃん、私には・・・多分、怜ちゃんが泣いてる理由を聞いてもどうにもならないと思うんだ」 「う、ん・・・」 由美子は時々、私が思っているより大人に見える時がある。 決して大人ぶっている訳でもなくかといって子供じみてもない。 一ついえるのは、私より『遠く』を見ているという事。 「でもね…その悩みを一緒に悩んで、理解することはできると思うんだ」 そっと、由美子が私の手を握りその握力と比例するように私に優しく微笑みかける。 「だからね、頑張ろうよ」 留まる事なく再び零れる雫。 先程のとは違う、 きっとドロドロな感情を洗い流してくれるそんな気がした。 あの時の缶コーヒーの空をポケットの中に入れたまま あなたから初めてもらった贈り物だったけど 今日こそはゴミ箱に捨てたい だってポケットの中がコーヒーの匂いでいっぱいになっちゃったら あなたのことを、思い出したくなるから ただそれだけ