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ハンゲームサークル 囲碁サークル【天元】 のページです。
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【りょう】 有栖川先生って本当に本当に本当にミステリが大っっ好きなんですね!!と力強く教えてくれる一冊。 この本の章のなかで「ミステリを書きたいあなたへ」という章があるんですが、これがとってもおもしろかったです。ミステリは色々制約があるし(そもそも論理的な解決をつけなきゃならないって結構大きな制約ですよね)、書くのは普通の小説よりも大変そうだなぁ、とぼんやりとは思っていましたけど、こんなに大変とは!!(^^;)読むほうも「論理的でオリジナリティがあって、それでいて小説的な見せ方もうまくて…」と無茶な期待をかけて読み始めるので、最後に失望することも多いんですけど、私自身どうしてミステリが好きなのかな?って考えると、時々良い作品に当たったときの、どんでん返しの驚きや、パズルのピースがピタッと嵌った時の爽快感などが忘れられないから、ってのが一番大きな気がします。後、最初に魅力的な謎が提示された時のドキドキ感かな~。この魅力的な謎が超自然的な理由で解決すると、私は途端に萎えます…(o_ _)o この章はミステリを書く人に対して書かれたようなんですが、途中で「(トリックを考え出すことを)楽しく苦しんでください。」という一文があって思わず笑ってしまいました。きっと有栖川先生も他の私が好きなミステリ作家の先生方も、うんうん唸りながらトリックをひねり出しつつ、でもミステリが大好きだからその苦しみすら楽しんでしょうね~。その姿を想像してしまい、ほほえましくなりました。これからも苦しみつつがんばって欲しいと思います(酷)。 それからこの本には有栖川先生の過去の短編集(両方犯人当て)が2編載っています!作家になる前に書かれた小説です。一本は手書き原稿がそのまま載ってて雰囲気満点でした。 なんだか、ミステリ好きが集まってわいわい犯人当てしてる光景も浮かんできてうらやましくなりました。安楽椅子探偵のドラマもすごい楽しいですもんね。みんなで、あーでもない、こーでもないって話し合いながらエレガントな解答目指してがんばるの。安楽椅子は深夜枠でかまわないので、是非全国放送にして欲しいです! まとめますが、この本は、有栖川先生の大ファンじゃなくても、ミステリ好きなら楽しめると思います! ミステリ大好きなかたは是非どうぞ! (2009.12.17)
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2009年大倉崇裕講演会記録 大倉: どうも大倉崇裕と申します。今日はわざわざ来ていただきありがとうございます。 昨日京都に来まして、学園祭という事でざっと場内を見ていたんです。私も一応大学で学園祭というのがあることはあったんですけれども、山登りの部活に入っていたものですから学園祭っていうと授業もないので山に行ってしまうんですね。 それなんで結局、四年間一度も自分の大学の学園祭っていうのを見ることがなくて……よもやこういう形で体験する事になろうとは思っていなかったのですけれども。 高校まではずっと京都に住んでいまして、下鴨神社のすぐそばに十八年ほど住んでいたんですけども。このあいだガイドブックを見たら下鴨神社が世界遺産になっているということを知りまして、すごく驚いたんですね。犬の散歩道みたいなところだったんですけども、それが世界遺産になっているということで「どういう風に変わったのかなぁ」と、「京都全体がどういう風に変わっているのかなぁ」と、昨日今日と過ごしてきました。 私、そんなにミステリに詳しくないのでどんなことが答えられるかどうか、わからないんですけども何か質問とかありましたら、遠慮なく御訊きいただけければと思います。 今日はどうぞよろしくお願いします。 司会: では大倉先生への質問に移らさせていただきたいと思います。 まず、一番目の質問です。 先生の読書遍歴について教えてください。 大倉: これ聞かれると結構難しいんですけど、私あんまり本を読まなかったんですね、昔。高校ぐらいまでは、ほとんど本を読まなくて、漫画すら読まなくて、で大学に入ってから、ぼちぼち読みはじめたって感じなんです。 大学時代お金が無くてですね。こんなこと言っていいのかわからないんですけど、本を読もうと思っても新刊が買えなくて、古本屋で買ってたんですね。まぁ、要するに古本屋にならんでる本しか買えないわけです。そうすると必然的に買える本も限られてきて、そこでたまたまあったのがアガサクリスティーだったんです。で、『ナイルに死す』と『五匹の仔豚』と、あと何かだったと思うんですけど、それが面白いかどうかわからないままに買うしかなかったんですね。それで三冊買って、読んで、すごく面白かったっていうのが始まりなんですね。 その後、春陽堂っていうところから「江戸川乱歩文庫」っていうのが出まして。毎月二冊ずつ、ものすごくおどろおどろしい表紙で、それを毎月買うようになったっていうのが、国内ミステリの方の出会いでした。 で、両方面白かったので、クイーンであるとか、ヴァン・ダインであるとかっていう所謂古典を読み始めて、横溝正史も読み始めて、その後、新本格というものにいったという形です。 なので、私「新本格」がちょうどストライクの年代なんですけど、原体験はしてないんですね。かなりたってから、新本格があるっていうのに気がついて、島田荘司さんので始めて、ちゃんとリアルタイムで読んだのは『アトポス』なんですね。『御手洗潔のダンス』とかは文庫で買って読んだと思うんですけど、それぐらいミステリとの出会いが遅くて、なので他の作家のかたがたとはちょっと視点がずれているようなところがいまだにあります。——というような感じです。ざっとなんですけど。 司会: ありがとうございます。 では二番目の質問です。 先生のお好きなミステリーを教えてください。 大倉: まず一番好きなものを一冊挙げると、やはり『獄門島』なんですけど、どこが、どう良いのかを話し出すと、時間がすごくなって(笑)。 映画のほうとかも語りだすとどうしようもないので(笑)、ある程度割愛しますけれど、やっぱり、色々なネタ、伏線と言うのが、ものすごく短く、割とコンパクトな中にぴたりと収まっていて、すごく余韻もある終わり方で。これはやっぱり日本でしか書けないミステリでもありますし、そういうところを総合的に見てやっぱり一番良くできているミステリで、こういうものが書ければ良いなといつも思いながら何度も再読をしているような感じなのですが……まあ、なかなかかけないとは思いますけども。(笑) 司会: ありがとうございます。三番の質問に移らさせていただきます。 先生は京都出身だと聞きましたが、京都の良いところや、オススメのスポットがあれば教えてください。 またこれから先、京都を舞台にしたミステリを書く事があるのでしょうか。 大倉: これは皆さん(立ミスの会員)とこっちへ来るまでに話して笑っていた事なんですけども。私、さっきまで言ったように、高校まで京都に住んでいたんですが、大学で東京へ行ってしまって、それ以降というのは法事くらいにしか帰ってきたことがないんですね。 で、東京にもう二十何年いて、東京の方が長くなってしまいまして、実は京都よくわからないんです。 で、私がいた頃って地下鉄が京都駅から北大路までしか通ってない時代で、御池の横に通っている線が無かったので、わたし未だに乗ったことがないんですね。京阪電車が地下に入ったとかそのくらいは知っているんですけど。ちょっとオススメスポットは逆に教えてもらいたいくらいです(笑)。 これは余談なんですけど、東京の人は皆京都が好きで、紅葉を見に行くって言うんですね。ガイドブックとかにも、紅葉とかについて載っているんですけど、私十八年間住んでいて紅葉ってほとんど見たことが無かったんですよ。あっても、気がつかなかったんですね。 で、京都に紅葉なんてどこにあるんだとずっと思っていて、去年かおととし、知り合いと初めて京都観光というのに来て、綺麗な紅葉を見たんです。そんな感じなので、スポットというのはよくわからないです(笑)。すいません、これはなんともお答えのしようが無いですね。ということで、ご了承いただきたいんですけれども。 京都を舞台にしたミステリーっていうのは、書いてみたいとは思うんですけども、やっぱり多くの方がもう書かれてまして。かなり裏の裏までやりつくされている部分があるんですよ。西村京太郎さんの動物園の裏の疎水に死体が浮かんでいると言うような話を読んだことがありまして、ここまでやりつくされているのであれば、なかなかやれないなぁと思うんですけども。 ただ、なんていうんですか世界観とかキャラクターとかトリックとかというものを考え合わせたときに、これはやっぱり京都が一番ぴったりくるんじゃないか、というように思い当たるときがあれば、それはもちろん京都を舞台にしてやってみたいなぁ、とはいつも思ってはいるんです。なかなかまだそういうものが思いつかないので、もしやるとしても先になるのかなぁという感じです。 司会: ありがとうございます。では四番目の質問です。先生が小説を書こうと思ったきっかけは何でしょうか、またその時何故ミステリというジャンルを選んだのでしょうか。 大倉: これはさっきも言いましたように、もともと読みはじめがミステリで、ミステリを面白いと思って本をたくさん読むようになったもんですから。で、私凝り性なので、ご存知かも知れませんが、やり始めると結構とことんまでやらないと気がすまない性質なんです。 ミステリって読みはじめると、年二百冊三百冊と読んじゃうんですね。でやっぱり五百冊とかそのぐらい読んでくると、ちょっとこう自分でも書きたくなる。皆さんも経験があるかもわからないですけども、なんとなくこう自分でもやってみたくなる、っていうのが本当の最初のきっかけで。 次は、内田康夫さんという方がいらっしゃって、その方がよくエッセイをお書きになっていまして、文庫本の後ろのあとがきなど自分でお書きになっていて、浅見光彦シリーズは結構好きで結構呼んだんですけども。「私はプロットを立てずに小説を書く」とおっしゃっていたんですね。何にも無い、真っ白のまま書き始めると、中のキャラクターが勝手に動いてですね、事件を起こして、意外な犯人まで勝手に見つけてくれるみたいなことをエッセイで書かれておりまして。で、それだったら俺にもできるんじゃないのかなぁと。という風に、あんまりこまめにプロットを立てたり細かい作業は苦手なものですから、だったら俺にもできるんじゃないかなぁ、と。ノートかなんかに、大学の頃だと思うんですけど、ザーッと書いて。内田康夫さんは天才肌だから出来たのであって、私にはぜんぜん出来なくて、結局全部頓挫したんですけど。ただその過程でわりとものを書いて構築していく面白さみたいなものは自分なりに理解できて、じゃもう今度はちゃんと書いてみようかなぁと。段階を追って進んでいったという感じです。ただ、ちゃんとしたものが出来るのにはその後三、四年かかってしまいましけれども。そのような感じです 司会: ありがとうございます。続きまして、五番目の質問です、先生は落語ミステリ(〇一年刊『三人目の幽霊』)でデビューされましたが、題材として落語を扱った理由を教えてください。また先生ご自身がお好きな落語は何ですか、教えてください。 大倉: 落語自体は、わりと好きですね、子供の頃からカセットとかレコードを聴いていたんですね。で、こう寝るときに落語のカセットをかけて、聴きながら寝る、っていうめちゃくちゃな小学生だったんですね。何度も何度聞いているので、だんだん覚えてきちゃう。そういう風にして落語っていうものを好きになりまして。 質問は前後するんですけど、一番好きな噺って言うのは言ってしまえば、『七度狐』が好きだったんですね。上方の桂米朝師匠とか枝雀師匠の『七度狐』っていうのをカセットテープで何度も何度も聴いて。たぶん何度もいろいろ聴いているうちに、落語っていうのはやっぱり起承転結がすごく明快であるということと、これ今更言うまでも無いですけど最後のオチがあって、ストーリーを良く考えていくと、変なところで伏線が張ってあったりですね、すごい構造がミステリに似ているんですね。で、その後、大人になってミステリを読みはじめて、特に本格ミステリと言うのに出会ったときにすごく構造が似ているな、と。いつかそういうのをですね、うまく似ている部分を融合できたら、落語ミステリと言うものができるんじゃないのかなぁと、そういうふうに思ってました。 都筑道夫さんの 砂絵 シリーズに落語を題材にしたものを集めた短編集があってですね、それはまぁ貶しているとかそういうのではなく、落語のストーリーをそのままミステリにしている。たとえば後日談と言う形をとって見たりとか、あるいは落語そのままの再現であったりとかする。 それを読むと、つまりそのまま再現できると言う事は、落語自体はそのままミステリになっているということなので、それを読んだときに考えとしては間違っていないのかな、という流れになりましてですね。それで一回やってやろうとずっと思っていて、で、『三人目の幽霊』と言うのはそれからだいぶ立つまで思いつかなかったんですけども。まぁそういうような形で、『三人目の幽霊』とか『七度狐』みたいなものに落ち着いていったという感じです。 司会: ありがとうございます。続きまして、六番の質問です。 先生の作品を読むと入念な下調べと、綿密なプロット、手間暇かけて作っているように感じられます。どの程度の時間をかけて作っているのでしょうか。またミステリのトリックなどのアイディアは、どんなとき思いつくのでしょうか。 大倉: 入念な下調べとか、綿密なプロットとか、本当はあんまりしていないんですけど、やっぱりある程度は半分思いつきみたいなところがあって、実はそれを言われるとどうしたものかなぁと思ってしまうんですけど。どんなときに思いつくかって言うのも、いろんな人が風呂だとか、寝る前だとか、色々おっしゃるんですけど、(自分には)あんまりそういうのもなくて。なんかの瞬間にフッ、と思いつくんですね。それがいつかというのは良くわからなくて、歩いてるときとか、プラモデルを作っている時とかいろいろするので何とも言えないんだけれども、ただ、それは要するに、思いつくまで待っているんですね。枠を作って一生懸命、机に向かって考えても、絶対プロットとかトリックとか出てくるものではないと思っているので、なんとなくぼんやりしたイメージみたいなものを持ちながら暮らしているとある瞬間にパッと思いついたりする。 (小説推理新人賞を受賞した)『ツール&ストール』っていうのは、なんとなく八割くらいは出来ていたんですけど、最後の部分って言うのがぜんぜん思いつかなくて。三年くらいそのままぼんやりあれこれ考えていました。会社から帰ってくるときに、家の前にある小学校のグラウンドを通ったときに思いついたんですね。「これアイツ犯人にしたら皆びっくりして、上手く落ち着くなぁ」というのを思いついて、で、最後までかけたと言うのがあるんです。 まあそういう風に、あんまりプロットはそんな綿密に立てないんですね。 で、下調べって言うのは、今はインターネットがあるので一概に言えないんですけど、どなたでもやられている程度しかしてないと思います。実はあんまり手間暇をかけていないというのが真実なものですから、すいません答えになっているような、なっていないような感じなんですけど……そんな感じです。 司会: ありがとうございます。続きまして七番の質問です。先生の作品には、学習院大学をモデルにしたと思われる学同院大学が登場しますが、大学生時代の経験が作品に影響を与えているというのはあるのでしょうか。 大倉: やっぱり皆、学同院が学習院だって言うのはわかるんですね(笑)。割と編集の方に学習院の方が結構いらっしゃってですね、時々会うと「学習院にどんな恨みがあるんですか」ってよく言われてですね――『オチケン』という作品に学同院という大学が出てきまして、その、学同院の中でおきているいろんなエピソードっていうのは、大半が皆さんフィクションだと思われているようなんですが、半文くらいは本当にあった事なんですね。 それこそ学園祭で裸で踊って退学になった奴とか、ライブで校舎からぶら下がってやっぱり退学になった奴とか、そういうエピソードは本当にありまして、始末書三枚で退学と言うのも本当でして、実はこの会場の中にも学習院を出た方がいらっしゃるんですよね、どなたかとは言いませんけど(*ミステリ評論家の佳多山大地氏のこと)。 で、私、二枚まで(始末書を)書きましてですね。ガラスを割ったのと、正門を乗り越えたのとが見つかったということで。始末書二枚書いて、後一枚で退学というとこまでいったんですけど、まぁギリギリで大丈夫だったんです。 全然関係ないんですけども、ま、大学って私は割と楽しくてですね、すごく自分の中では充実した――留年したので五年行ったんですけど――充実した五年間だったんです。ですので、良い事も悪い事も含めて、かなり色々な体験が下敷きだったので、やっぱり性格形成とかそういう部分にはすごく影響を与えていると思います。 今まで書いてきたものっていうのは、かなり大学時代の影響が色濃く出ているということはたしかです。ただ、そろそろネタを使い果たしてきたので、今後書くものはまたちょっと違った人生経験とかですね、そういったものを勉強してやらないといけないのかなぁと。今、ちょうど四十一になったんですけど、そう思っているようなところです。 司会: ありがとうございます。続きまして八番の質問です。作家になれて良かったことを教えてください。 大倉: 良かった事は、とりあえず、通勤をしなくても良くなったということですね(笑)。で、誰も信じてくれないですけど、私ちゃんと七年間、会社員やってたんですね。普段の生活を見ている人は、皆大学を卒業してすぐに、こういう生活に入ったと思われているみたいなんですけど、一応ちゃんと会社員やったんです。通勤もラッシュにもまれながらやったので、会社員の方の苦しみと言うのは良くわかっているつもりなんです。そういう枠とかから開放される、私はそれが一番うれしくてですね。あとは会いたかった人に会える、ってとこですね。もともとミステリが好きで、ミステリを書き始めたので、やっぱりミステリー作家の方々には会いたかったんですね、いろんな方に。 で、ミステリ作家になったんで東野圭吾さんにも会えましたし、北村薫さんにも会えましたし、有栖川有栖さんにも会えましたし、そういう部分でかなり良いことはいっぱいありました。 あと好きなものがいっぱいもらえるんですね、アピールすると(笑)。私ドラえもんが好きだって言ったら、色々グッズをですね小学館の人が持ってきてくれたりして、好きでも小さい話で申し訳ないんですけど、そういうような余力みたいなものがあって、毎日楽しいので、私自身は作家になってよかったかなと、今の時点では思っています。 司会: ありがとうございます。続きまして九番の質問です。仲の良い作家はいらっしゃいますか。 大倉: パッと思い浮かぶのは、蘇部健一さん、って皆さんご存知でしょうか。『六枚のとんかつ』(*蘇部氏のデビュー作で、屈指の「バカミス」として名高い)の方ですけど、私あの方と、お互いが物書きになる前からの知り合いでですね。未だに一緒に秋葉原行ったりするくらい仲が良いです。 私は『六枚のとんかつ』が大好きで、実はワープロ打ちの状態から『六枚のとんかつ』読んでいたんです、読んでくださいって言われて。で、おもしろいなぁと思ってねぇ。(短編の)三篇ぐらいだったんですけど、面白いなぁと思って。そしたらいつの間にか本になっていてびっくりしたんですけれども(笑)。 まぁそんなんで解説を書いたりですね、本業を離れた部分でもそうなんですけど、非常に親しくさせていただいています。 時々、ネタ交換とかやっているんです、実は。私がある作品に蘇部さんのネタを使って、でも私が提供したネタは蘇部さん使ってくれなかったんですけど(笑)。 一つ、短編の中に蘇部健一の考えたトリックってのが実は入っているんです。まぁそういうようなお付き合いをさしていただいてます。 司会: ありがとうございます。続きまして十番の質問です。特撮やドラマがお好きとうかがいました。今の大学生にオススメの作品がありましたら、その魅力と共にじっくりと紹介してください。 大倉: ええと(笑)、「魅力と共に」ってのはなかなか難しいですね、話が脱線すると怪獣研究会のようになってしまうので、難しいんですけど……。 「特撮」と言っても、ねぇ、私が固有名詞を並べても、皆さんわからないものが結構多いと思うので、どうしたものかと思うんですけど。ま、特撮はおいといて、ミステリーで言うんだったら『特捜最前線』(*一九七七年から一九八七年にかけてテレビ朝日系列で放映された刑事ドラマ)っていうのが私すごい好きでしたね。ご存じない方がほとんどかもしれないんですけど、五百話くらいある長寿番組で、乱歩賞もとられた長坂さん(*長坂秀佳。脚本代表作に『帰ってきたウルトラマン』やゲーム「弟切草」など。麻耶雄嵩や霧舎巧もリスペクトしてたりする)という方、あの人はメインライターで脚本を書かれていて、ものすごいんですよ。爆弾魔が出てきたり、誘拐犯が出てきたり、ものすごいトリックが仕掛けられていたり。高校の頃にその再放送の虜になりまして、三時から四時まで『特捜最前線』の再放送、で四時から五時まで『必殺仕事人』の再放送だったんですね。で、それを見たさに中学から飛んで帰って、三時十五分くらいに帰るので、冒頭の部分は見られないんですけど。そんな感じで、毎日「特捜」をみて過ごしていた時期があるんです。で、今にして思えばミステリの原初体験ってそこだったんじゃないかなと思うんですね。ずっと本を読んでこなかった人間だったので『特捜最前線』を見ていた時は気が付かなかったんですけど、今にして振り返ってみると、今出てるDVDや再放送を見てみると、やっぱりミステリの面白みって言うのは『特捜最前線』から教わって、だから大学に入ってパッ、とミステリを読んだときにうまく深みにはまれたのかなぁ、という具合には思っております。 最後に非常にオタクな話しになるので固有名詞だけ並べておきますけど、特撮ドラマでしたら『大鉄人17(ワンセブン)』」(一九七七年・TBS系・石ノ森章太郎原作)っていうのがありましてですね。それの最初の十三話目くらいまでが傑作なのでぜひ、機会があればご覧になることをオススメします。あまりにも視聴率が悪くて十四話から路線変更になってしまって、ぜんぜん違う番組のようになってしまうのですが、それまでの話がすごく面白い。ミステリとは全然関係ないです。ミステリ的な仕掛けもありません。単純に面白いのでそれだけ、ご紹介をさせていただきます。 司会: ありがとうございます。続きまして十一番の質問です。『刑事コロンボ』シリーズで一番好きな作品は何ですか。 大倉: ベストで言うと、これも説明を加えないと何で、って言われるんですけど、「仮面の男」って言うのが私大好きなんですね。かなりコアな方でないと「仮面の男」でピンと来る方はいらっしゃらないと思うんですけど、「別れのワイン」とか所謂メジャーな「二枚のドガの絵」とかそういうものよりは「仮面の男」って言うのが大好きで、あんまり実はよく出来た話ではないんですね。 二重スパイがCIAの工作員を殺すっていう話で、コロンボの捜査対象がスパイなのでCIAから圧力がかかって「それでどうするの?」みたいな部分もあるんですけど、犯人役をやっているパトリック・マクゴーハンという方が監督も勤めていまして、確信犯的にものすごく変な演出をしているんですね。必要ないのに遊園地に行ってホットドッグを食べてみたりだとか、そういう独特の間の演出があって、話そのものはあまりよく出来ているわけではないんですけど、それがとにかく大好きです。いつもベストワンにはそれを挙げています。 ベスト・ツー、次に来るのは「殺しの序曲」です。これもわりとマイナーな話なので、ご存じない方も多いかもしれない。これはコロンボが最後に初めて自分語りをするんですね、犯人相手に。自分が何で刑事になって、どういう気持ちで捜査に当たって、自分は昔出来が悪かったけれども、軍隊とか行くと自分より頭の良い奴がいっぱいいると、そんな人間と競っていくのは生半可な事じゃないことを実感して、だけどもう少し注意深く物事を見て、本を読んで勉強すれば、モノになるんじゃないかって、でなりましたよ、って言うんですよね。それが、ものすごくかっこいいんですよ。 これは架空の物語の台詞なんですけれども、私自身、それを高校の頃にテレビで聞いて、かっこいいなぁと感じると同時に、やっぱり真理をついているかなぁとも思いましたね。あの注意深く物事を見てね、じっくり勉強するって言うのは実生活でも必要なことなのかなぁと柄にもなくまじめに考えてですね――まぁ実践できているかどうかわからないんですけど――そういう教訓めいたものをコロンボから学んだっていう意味で、非常に好きな、思い入れのある作品です。ですので、その二作ですね。今はレンタルビデオでいくらでも借りて見ることが出来るようなので、もし機会があったら是非見ていただきたいなぁと思います。 司会: ありがとうございます。では十二番の質問です。コロンボの大ファンの大倉先生から見て、「新刑事コロンボ」としてコロンボが復活してよかったと思いましたか。それとも、旧シリーズ四十五話で終わっておくべきだった、とお考えですか。 大倉: 実はこの質問は公開掲示板で一度見せてもらっていて、すごい質問がくるなぁと思っていたんですけれども。 まぁブログにも書いたりしたんですけど、これちゃんと答えようとすると二時間ぐらいかかると思うので、かなり難しい質問なんですけど、結論だけ言っちゃうと「別に作っても良かった」と私は思っているんです。で、出来は全体的に良くないのは間違いなくて、あえて見る必要はない(笑)、と言わざるえないくらいなんですけれども。 ただ曲者なのは、十本に一本ぐらい傑作が入っているんですね。ハズレ九本見てやめようかと思った頃に、傑作が来るという、いやらしい構成になっていまして。 ですので、選択して見ればよいかなぁと思うんですけど。 「新刑事コロンボ」ってのはちょっと不幸だなぁっては作られた年代、時代っていうのが、こうアメリカのテレビの中でも若干過渡期にあるようなところがあって。もうちょっと前であれば思い切った感じで作れたと思うんです。で、もうちょっと後だとそれこそ「ER」だとかそういうものがでてきて、グッとドラマのレベルが上がる時期に入ってくるので、全く別ものの素晴らしいコロンボが見られたかもなぁとも思うんですけど、ちょうどその真ん中に入ってしまったので七十年代の時代性と、八十年代、九十年代の時代性がこう、ごちゃ混ぜになってしまって、あまりストレートな作品って言うのが出来なかった感じがして、その辺がちょっと不幸だなぁと。 あと日本でいうなら小池朝雄(俳優・声優)さんが亡くなっていたというのが私には一番大きくてですね、吹き替えの声がですね、別に石田太郎さんが悪いと言ってるんじゃないんですが、やっぱり小池さんのイメージがすごく強かったので、ちょっとノれなかったという部分はあります。 ただまぁやっぱり、コロンボはコロンボのパターンがあるんですね。一言で倒叙といっても、コロンボの倒叙っていう様式美みたいなものがあると思うので、そういう意味でどんな駄作だろうとも、いつまででも作り続けて欲しいなぁと思うんですが……(コロンボ役をつとめる)ピーター・フォークがどうにもならない状態のようなのでもう新作はちょっと難しいらしいです。 けど、またなにか形を変えてこういったコロンボみたいなものが受け継がれていくといいなぁと今も願っています。 司会: ありがとうございます。続きまして十三番の質問です。先生は刑事コロンボのノベライズもされているそうですが、自分の作品を書くのと違って何か変わったことはありますか。 大倉: あれ本には“翻訳”と出ていますけど、なんだか向こうの都合でそう書かれていますが、単純に言ってしまえばノベライズです。私ぜんぜん英語わかりませんので、日本語の脚本とかビデオを元におこしたっていうものなのです。時々、誤解をされてですね、大変な目に会うのであえて言っておきますけれども(笑)。 で、コロンボのノベライズって言うのは、実質的に私がまだ本を出していない、創元推理短編賞を頂いた直後に(出版社に)持ち込んだんですよね。コロンボのパスティーシュを、ある人との合作でね。 私は、ぜんぜんしり込みをしていたんですけど、その人が非常に行動派の方でですね。二見書房に電話をして、コロンボの担当者を電話口に呼びつけてですね、こういうものを書いたんだけど見ろと。 そしたら「見る」っていうんですよね。で、持ってこいって言うんで、そこで初めて、その担当の方とお会いして、で、パスティーシュはまぁ論外だったんですけど……意外に話しがはずんでですね。で、さっき言ったように私が「殺しの序曲」が大好きだとお話して、当時『殺しの序曲』だけノベライズは旧シリーズで出てなかったので(『愛情の計算』もノベライズされていない)、じゃあ丁度いいってことで、話が進みまして、だったらやってみないか、ということでやったんです。 で、その方はやっぱり優秀な、二十何年間も一人でコロンボをやってられる方なんですけども、その方がおっしゃるにはコロンボのノベライズにも約束事がある、と。 そのいくつかを教えていただいて、それでやったんですけど。まだ当時駆け出しだったので、ものすごくいっぱい(校正の)赤が入ってくるんですよね。原稿に、ここは切れとかなんとか、もうものすごい量が入ってきて。当時は僕、殺してやろうかと思ったんですけど、今にして思うとやっぱり文章というもののみがき方みたいな物はその方に教わったという部分があります。当時はまだ私の担当の編集の方なんて誰もいないときでしたので、今にして思うとすごく勉強になったんぁと思います。 あとはその人に教わったコロンボの、書く時の約束事ですね。 一つ言えば、コロンボの心理描写を絶対するなって言うんですね。「コロンボが何を思っているか」って言うのは絶対に読者に言ってはいけない。犯人側、あるいは第三者の視点で書きなさいと。「コロンボは思った」とか書いちゃいけないんですね。コロンボが何を考えているのかわからないんです。犯人からも第三者からも仲間内からも、何を考えているのかわからない。だから「ウチのかみさんが……」って言ってますけど、ほんとにかみさんがいるかどうかは実はわからない。何人も、何人も、親戚が出てきますけど、どこまでが本当かわからない。そこがコロンボの魅力でもあるっていうのはすごく言われまして。最終的にその時の経験が福家(「福家警部補」シリーズ。コロンボと同じく犯人が判明した状態で話が進む倒叙法式をとっている)を書くきっかけというか、思いつきに後々結びついていくという形で。ですから、まぁコロンボのノベライズにかかわることが出来たって言うのは非常に光栄な事ですし、物書きとしても駆け出しの頃に色々面倒を見てくれたと言う事で、その編集者の方にはいまだに感謝しています。 司会: ありがとうございます。続きまして十四番の質問です。 先生はネット上の日記の中で、たびたび平成ライダーについて言及なさっていますが、大倉先生の一番好きなライダーはなんですか? 平成、昭和別々に答えていただくとありがたいです。 大倉: これはこういう場で答えて良い質問なのかわかりませんけど、えーと、平成ライダーについてそんなに書いたかなぁ(笑)? まぁ、ぼろくそ書いたことはあるかもしれないですね。 昭和のライダーですと、わかるんですかねこの人話してて、聴いていらっしゃる方は……(質問者より手が挙がる)。 旧2号とかってわかりますか? えーと「仮面ライダー」(一九七一‐七三年・毎日放送系)には新2号と旧2号があるんですけども。昭和のライダーでいうと仮面ライダー2号。藤岡弘、さんがやられていたのが旧1号っていうもので。あんまり説明すると大変な事になるので簡単にしますけど(笑)。 仮面ライダーは全九十八話あるんですけど、十四話から五十一話くらいまでに出てきた、仮面ライダー2号——線が一本だけ入ったライダーがすごく好きで、出てくる怪人も好きでですね、よく模型を作ったりしています。 で、平成はやっぱりまぁ、「仮面ライダークウガ」(二〇〇〇年)ということになるのかなぁと思うんです。やっぱりクウガはすごく、刑事物としてよく出来てるんですね。今「相棒」ってドラマがすごくヒットしていますけど、ちょっとそれに通じるような、仮面ライダーって名前は借りているんですけど、警察物として、すごく構成が良く出来ていてしっかりしていて、そういう観点からもすごく好きです。そういう意味で今やっている「仮面ライダーW」(二〇〇九‐)っていうのも、あれは探偵物なんですけど、すごく良く出来てますね。 しばらく日曜に早起きしてみることはなかったんですけど、最近は欠かさず観るようにしています。 司会: ありがとうございます。続きまして十五番の質問です。 ウルトラマンシリーズで好きな話、好きなウルトラマンは何でしょうか。 大倉: こういうの続きますね(笑)。 ウルトラマンでどれが一番好きかというとやっぱ、最初の「ウルトラマン」が好きなんですね。「ウルトラセブン」が好きって方が多いと思うんですけど、私は最初のウルトラマンがすごく好きで、ものすごいファンタジックなんですよね、ジュブナイルと言うかなんというか、すごくロマンチックで美しい感じがしましてですね。とてもバラエティ豊かなんですね、怪獣が出てきてウルトラマンが倒すと言うパターンの中に、あるときは宇宙怪獣であったり、あるときは宇宙人であったり、あるときは植物の怪獣であったり、昆虫であったり、というかたちで手を変え品を変えやっている。 で、そういうものがすごく好きなもので、だからミステリでいうところの連作短編みたいなものが好きなんですね、一つの様式の中で、色々なバリエーションを試してみるっていうことに、こう、すごく魅力を感じるものですから、その辺はもしかしたら最初のウルトラマンの影響があるのかなぁ、と思います。 で、好きな話って言うといっぱいありすぎて困るんですけども、強いて言うなら、最初の「ウルトラマン」に「悪魔は再び」っていうエピソードがありまして。古代人が怪獣を液体に変えて地中に埋めて、それを掘り出して間違えて開けちゃってものすごく強い怪獣が二匹出てきちゃう、単純に言うとそういう話なんですけれども。なんて言うんですかね、口では上手くいえないんですけど、すごく魅力があって、ロマンのある話なんですよね。古代本の解読とかっていうサスペンスもあって、最後にはやっぱり怪獣も出てきて、ウルトラマンも出てきてっていう様式がちゃんと守られているんですけれども、そういう部分でその話がすごく好きで、それ以外にも話は尽きないんですけど、やっていると日が暮れてしまうので、とりあえず今回はこのぐらいでやめておこうかと思います。 司会: ありがとうございます。続きまして十六番の質問です。 好きな怪獣・怪人は何でしょうか。 大倉: こういう話を続けていて良いと言うならいつまででもやりますけどね(笑)、皆さん帰っちゃうかもしれないので……。 好きな怪獣は、私「ゴジラ」が好きなんです。 ゴジラが作品ごとに顔が違うって言うくらいはご存知なんでしょうか? まぁ知らない方がいらっしゃったら「そうなんだな」と思っていただくしかないんですけど、ゴジラ映画の三作目、「キングコング対ゴジラ」っていう、1962年かな。私が生まれる前の作品なんですけれども、そのキングコング対ゴジラに出てきたゴジラって言うのが私は大好きで、年がら年中私はその、「キングコング対ゴジラ」を略して「キンゴジ」って言うんですけどもね、「キンゴジ」がすごい好きで、その模型ばっかり作っているんです。 (↑参考画像 「キンゴジ」) だからやっぱり一番好きなのはそれで、ちょっといま、別の小説の取材を兼ねて怪獣の気ぐるみを作っている方とか、そういう方にお会いして話を聞いたりすると、やっぱり「キンゴジ」は素晴らしくて、今と違って技術——ウレタンとかですね——が確立されてない時期の話なので、試行錯誤で作ってたと。 すごい職人の方が試行錯誤して作っていて、中にスポンジとか、いろいろ詰めてたりですね、だからあの顔っていうのは偶然出来たらしいんですよね。 だからゴジラの顔がみんな違う、っていうのはそのせいもあって水を吸ったりするとすぐ顔が変わったりとかですね、そういう面白い話を、まぁミステリとは全然関係ないんですけども、お聞きして、そのあたりが魅力的でですね、とにかく好きです。 「キンゴジ」って検索するとバーッと画像が出てくると思うんですけど、ちょっと愛嬌があって好きですね。 怪人はちょっとですね、とっさには出てこないんですけど、仮面ライダーとか、ああいう怪人っていうのは、どちらかと言うとやっぱりヒーローの方に肩入れしてしまうので、自分にとって影が薄いんです。 やっぱりさっき言ったように、仮面ライダー2号の時のサボテンブロン(サボテンの怪人)とかですね、その辺が出てくるとこがすごく好きで、家にフィギュアがいっぱいあるんですけど、だいぶ話しが濃くなってきているのでこの辺でちょっとやめておきます。 司会: ありがとうございます。続きまして十七番の質問です。 日本版刑事コロンボとして「古畑任三郎」シリーズがありますが、 そちらについてはどうおもわれますか。 大倉: 「古畑任三郎」もやっぱり私大好きなんですね。 で、これは実際良く出来ていると思います。「古畑任三郎どう思います?」は、よく聞かれる質問です。 一つ一つあげつらっていくと、良いのもあれば、悪いのもあるっていう風になるのは、それはもうしかたがないことなんです。 で、やっぱりすごいなと思ったのが、主人公に田村正和を起用したってところなんです。『刑事コロンボ』でいうなら、ピーター・フォークですね。それこそノベライズに「ぼさぼさの頭をした背の低い醜男が」って書いてあるんですけど、ピーター・フォークって決して醜男じゃないんですよ、むしろハンサム。 画面の中のあのコロンボのメイクをしたピーター・フォークも、実はよく見たらすごくかっこいいんですね。間違ったコロンボ像にありがちなのは、本当に醜男を当ててくるんですね。本当に背が低くて、わりとこう、醜男を、髪をくしゃくしゃ、不精な感じにして、「コロンボですよ」って当ててくるんですけど、実はそれは勘違いしてる。 ピーター・フォークってすごくハンサムな人なので、良い男にわざとああいう格好をさせて、あと演技ですよね、フォークの演技で、あのコロンボは出来上がっている。 で、「古畑任三郎」を作っていた方は、たぶんその辺をわかっていたんでしょう。だから、一般的な俳優ではなくてあえて田村正和を——あんまり汚い格好はさせませんでしたけれども——を選んだってっていうところで、すごく良くわかっているんだなぁと、感心しました。 ですので、シリーズは終わったと言われていますけど、もし復活すれば、性懲りもなくずっと見るでしょう。というか、本当に復活して欲しいなぁと思う次第です。 司会: ありがとうございます。続きまして十八番の質問です。 大倉先生は怪獣はもちろんですが、海外のミステリードラマについても造詣が深くていらっしゃいます。「刑事コロンボ」は別格として、いまお気に入りの海外ミステリードラマは何ですか。 大倉: 「怪獣はもちろん」っていうのがちょっとひっかかりますが(笑)。 まぁ本当のことなので仕方がないです(笑)。 海外ドラマは確かによく見ているんですけれど、そうですね、どれもすごくレベルが高いので、なかなかこれって言えません。 強いていうなら『CSI』ですか。今スピンオフを繰り返して三本、『CSI』っていうラスベガスを舞台にしたものと『CSI マイアミ』っていうのと、あと『CSI ニューヨーク』ってのがあるんですが、これはドラマとしてすごく良く出来ている。 全部あわせると四百本くらいになると思うんですけど、毎回フーダニットなんですよ、「誰が犯人か」って言う。 それを毎週毎週やってるものすごさ、っていうのもあるんですけど、とくに歌野晶午さんと話しをしていて、特に「CSI ニューヨーク」が素晴らしいと、完全に本格だといって熱弁を振るっておられましてですね。それは私も全く同意です。 三作それぞれカラーが違うので、一概には言えないんですけど、特に『CSI ニューヨーク』、都会を舞台にしているという部分で平気で密室とかですね、不可解な状況での死体とかってのがいっぱい出てきて、わりとそれが論理的なんですね。 で、歌野さんがすごく気に入ったっておっしゃったのは、これは例えっていうかネタばらしになるんですけど……。 宝石強盗に入って、銃も撃ってないのに、ショーウインドウのガラスが全部割れるという事件があって、最初それは音波を使っていっせいに割ったという事になるんです。それを取っ掛かりとして強盗が入ってきたとき犬が吼えたってなるんですね。 で、その音波って言うのは犬にしか聞こえなかったっていうようなノリで、端的に言うとそういう風に伏線と手がかりと論理の部分っていうものがすごくよくできているんですね。 歌野さんが(私もそうですけど)すごく本格のマインドを感じるということで、今日は『CSI ニューヨーク』をお勧めしたい。 あと『名探偵モンク』。これはNHKの衛星とかでやっていたのでご存知の方は多いと思います。 これは現代の『刑事コロンボ』に匹敵するぐらいの良さがあります。ちょっとDVDになっていないので、なかなか見るのが難しいかと思うんですが……。 司会: ありがとうございます。 続きまして十九番の質問です。 先生の日記を見るとフィギュアについての記述が多いですが、月にどれくらいフィギュアを買われるのでしょうか、またお気に入りのフィギュアは何ですか?教えてください。 大倉: えーと(笑)、買いますよ。 もうほんとに金の続く限り、買いますね。自分でもいくら使ったのか、怖いんでよく見てないっていうのもあるんですけど、二日にいっぺんくらい宅配便が来るんですよ(笑)。で、宅配便のピンポーンってチャイムで起こされるんですよね。大抵、箱に「精密模型」とか書かれてたりするんですけど、時々商品名がちゃんと書いてあったりして「ケロニア」とかあるのが届くと、非常に恥ずかしいです(笑)。 とにかく、かなり買ってますね。 具体的に金額を言うと泥臭くなるのであれですけど。 十体とか十五体とかは来るんじゃないかと。大小織り交ぜて。 私、あの、これもなんかオタクな話しで申し訳ないんですけど、完成品を買ってくるよりは、自分で作るのが好きなのです。やっぱ自分で作ったものっていうのは愛着度合いが違うんですよね。中学のとき作ったものがまだ残ってたりしますし。 「お気に入り」っていうと、中学の頃になけなしのお金で買った「ウルトラマン」っていうのがまだ残っています。九千八百円位したんですね、当時、二十年くらい前で。どうやって買ったか、もう覚えてないんですけど、なんかコテコテに色を塗ったりなんかして。もうぼろぼろなんですけど、それはすごく愛着があって捨てられないですね。 オークションだと今でも五万六万で売られているらしいんですけど、それをいま大切にとってあります。 で、その頃に出た怪獣の模型を探してですね、安ければ買ったり、オークションで落札するというのが、今の自分なりの流行です。ヤフオクとかで時々徘徊しておりますので、「ああコイツ」とか見かけたら暖かい目で見守ってやってください。 司会: ありがとうございます。続きまして二十番の質問です。 趣味を仕事にしてしまった感のある大倉先生ですが、世間では趣味を仕事にしてはいけないなどとよく言われます。そこで、仕事と趣味について思うところを教えてください。 大倉: それは確かによく言われます。 私も大学を卒業する時に――当時はバブルだったので今と状況が違うんですけど―― 一応さっきも言ったように会社員になろうとおもっていましたので、その時に酒のメーカーとあと、言ってしまうと、バンダイを受けたんですね。 で、実は両方とも最終面接まで行ったんですね。良くしたものでその面接が重なっていたのかなにかで、「両方には行けない」という状況で選択を迫られたときに、ご質問と全く同じ事を考えたんですね。趣味をとるなら明らかにバンダイなんです。しかし、趣味を仕事にしてしまってよいものだろうか、と考えまして、結局、酒のメーカーに入りました。一年で辞めちゃいましたけど。 だからこれ、一概に言えないと思うんですよね。 私の場合、幸い、物を書くという好きなことをやって、生計を立てていられるという非常に幸せな状態にあることは自覚しているんです。それは良かったなあ、と思うんですけど、これはいまそれなりに、ものを書いて生活できているからそう考えるのであって、これが今に仕事が来なくなって、食うや食わずになったとしたらどうでしょう。 非常に後悔して、そのまま酒のメーカーにいればよかったと思うでしょうし、そこも一概には言えないんでしょうけど。 もう一つ、これは質問の根本を変えてしまって申し訳ないんですが、私たぶんミステリーっていうのは、割と早いうちから、趣味とは考えなくなっていた部分がありました。 「自分で書いてみよう」って決断した時点から、もう趣味の領域を超えていたのかなぁという気がするんですね。 ですので、最初の数年っていうのは趣味でミステリを読んでいたんですけど、それ以降は仕事とまでは言いませんけれども、なにか趣味を超えたようなものだった気がするもんですから、今は趣味を仕事にしたっていう認識はあんまりないんですね。 なので、うまい答えにはなってないんですけど、趣味と仕事っていうのは、なかなか両立しようとおもっても出来ないですし、難しい問題だとは思います 司会: ありがとうございます。続きまして二十一番の質問です。 構想に十年を費やしたと言う、『聖域』面白く読ませていただきました。そこで質問です。先生にとっての山登りとは何ですか。 大倉: えっと……難しい質問ですね。 山登り…山登りこそ趣味でやっていたところがちょっとあるんです。人生を大きく変えたものであることは間違いないです。 やっぱり、大学時代は充実していたって言いましたけどもそれは山登りがあったからだったんですね。 それまではたいして運動もしないで、普通に学校に通っていたんです。それが上京して、もちろん一人暮らしもはじめて、全部生活環境が変わったところに山登りをはじめた。で、いろいろ、こう、得がたい経験をしまして、その五年間って言うのはその後の自分にもすごく重要なものになっています。 なので、山登りがなかったらそこまでその五年間——山登りがなかったら四年で卒業できてたハズだったんですけど——は存在しなかったんじゃないでしょうか。 そういう意味では自分にとってかなり大きいものですね。 だからこそ、まぁ構想十年って本当なのかな、と今思っちゃうんですけど、『聖域』とか山岳ミステリを書くという時もそういう思いを込めてがんばって書いたところもありますので。自分とってはすごく大きくて特別なものです。 ちょっと今はあまり山に登れていないんですけれども、ゆくゆくは再開したいなぁと計画しているもののうちの一つです。 司会: ありがとうございます。続きまして二十二番の質問です。 ご自身の作品の中で一番のお気に入りはなんですか?理由ともに教えてください。 大倉: 私、あんまり自分の書いたものに自信がないんですよ。 で、胸張って、「これ良いでしょ」なんてとても誇れないんですけど……一つだけ自信を持っていえるのは、「エジプト人がやってきた」っていう話でですね。 これ、ご存じない方も結構多いかもしれないんですけど、その昔光文社で鮎川哲也先生が選考委員をされていた公募短編賞があったんです。十本なり、十何本なりが毎回文庫に掲載される、『本格推理』って言う雑誌風な文庫本。 たぶん私が自分のものが活字になった、商業誌で活字になったっていうのは本格推理の10だと思うんですが、その「エジプト人がやってきた」という作品が最初なんですね。五十枚くらいの短編です。 それの元になった話がありまして、友達と飲み屋で話しをしていて、あるネタのオチだけを友達から教えられたんです。こういうことがあるんだぜ、こういうことが本当になるかもしれないな、って言ったのを、なんとなく直感的に、「これ本格ミステリになるんじゃないか」と思って、逆算して、三日ぐらいで書いたものなんですけど、五十枚で。 それを送ったら鮎川先生が、感想つきで選んでくださいまして、で、掲載の運びとなったんです。ちょっと読まれてない方がいらっしゃるとあれなので、あまり突っ込んだ話しは出来ないんですけど、自分のなかではそれが凄くお気に入りの作品ですね。 今でも自信作は何ですか? と聞かれると「エジプト人がやってきた」ですというように答えるようにしています。 今はもうなかなか読めなくなって久しいので……ただ短編集に入れるって言っても、どうにも頭のおかしな話なのでなかなか難しいんですけど。機会があったらいずれどっかでちゃんと発表したいなぁ、とは思っている作品です。質問、自信作だけでよかったですか? 司会: 他にもありましたら……。 大倉: いえ、他には特にないんで、けっこうです(笑) 司会: では、続きまして二十三番の質問です。白戸修や、越智健一のように主人公がお人好しなのは、先生の性格がそうだからでしょうか? また作品の中に自分に似ていると思う登場人物はいますか? 大倉: これよく言われますね。私そんなにお人好しじゃないと思うので(笑)、一応、「違う」と言う事にしていただけるとうれしいです。 白戸修っていう主人公を考えたときに、ああいう風になるとは実は自分でも思っていなくてですね、「お人好しだ」っていう風に言ったのは、たぶん担当の編集さんだと思うんですね、 自分ではお人好し探偵と言う言葉は実は作っていなくて、作品が転がっていく中で出来上がってきたキャラクターなんです。でも、一つ、白戸修を最初に書いたときに「冴えないけどかっこいい行動をとる主人公にしよう」と思ったんですね。頼まれると引き受けてしまったり、困っている人をみたらどうしても助ける事になってしまう。 「主人公にはかっこいい行動をとらせよう」というのだけは意識してやってたんですね。それが結果的に第三者の目にはお人好しに映るらしい、と。それは本当に偶然なんですけども。 わたし、お人好し、っていうのはどういうニュアンスがあるのかわからないんですけど、決して悪い言葉ではないな、とでは自分では受け止めているんです。普段は、あんまりいい場面では使われない言葉ですよね。しかし、非常にこう、お人好しはかっこいい人じゃないかと、自分では何時も思うようにしていまして、だったらね、お人好しになりたいくらいなんですけど、私はどうも、ちょっと邪な心がはいっているので無理なんです。 なんで本当に白戸修は偶然出来たキャラクターですね。 越智健一っていう人は、ちょっと質問からは脱線してな恐縮なんですけど、『オチケン!』って言うのはもともと低年齢層向けっていう建前——半分建前なんですけど―—十二歳とか十三歳とか、ちょっと若めの人をターゲットにして書いてくれといわれていました。 で、どうしようかなぁと色々考えて、キャラクター的には探偵の役を三つに分けようと思ったんですね。ワトスンがいて、探偵がいていろいろ考える……んじゃなくって、探偵そのものを三つに分けたんです。頭の良い「解決する人」と、行動して「情報を集める人」と、「説明する人」の三人に。それがオチケンに出てくる三人のキャラクターで、「説明する人」を最終的に越智健一が担当することになった。非常に損な役回りなんです。 彼、本当は非常に頭が良いんでしょうけれども、立場上そういう立場になってしまって、非常にかわいそうなキャラクターなんです。しかし、そういう流れでやっていくうちにやっぱりどうしても、お人好しなキャラクターになってしまうのかなぁ、という部分がありまして。 白戸と越智の二人は非常に自分の中ではほとんど同一のキャラクターみたいな、そういう感じで作ってきました。 ただまぁ、私自身にはどちらも似ていないというのが結論だと思っていただければ良いです。 司会: ありがとうございます。続きまして二十四番の質問です。 福家警部補のシリーズを書こうと思ったきっかけを教えてください。また犯人の設定を考えるのに何かこだわりがありましたら教えてください。 大倉: さっき触れちゃった部分もあるんですけど、言ってみれば「刑事コロンボ」のノベライズっていう部分から「福家」はすごく影響を受けているんです。 最初から福家というキャラクターがあったわけではなくて、あるときですね、道を歩いていたり、コーヒーを飲んでいたりした時かなんかにふと、コロンボのノベライズで色々教わったことが浮かびあがるんですね。 倒叙ものって言うのを自分でやってみたかったんです、すごく。犯人が最初からわかっていて、それを何らかの形で追い詰めていく、っていう形のものはやりたくてずっと考えていたんですけど、基本的に倒叙ものってどうがんばっても面白くないんですよ、隠しておくものが何もないので、犯人がわかっているっていうのはやっぱり大きなマイナスなんです。 それで、かなり秀作を書いてみたんです、試しで。原稿用紙にすると長編一本くらい書いては捨て、書いては捨てってやったと思うんですけど、とにかくもうある一定の枚数に到達した瞬間からつまらなくなるんですね。わかりきった事をやってるだけになってしまって。 で、ずいぶん頓挫してたんですけど、ある時に二見書房の方から教わった心得をふっと思い出しまして、短編で、コロンボと同じように探偵役が何を考えているのか全くわからないようにして、常に第三者の視点から事件を描いていく。その合間合間、どうしても犯人がわかってたり、情報が出てしまっている部分の合間を伏線でうめていく。これを小ネタって呼んでいるんですけど。 その、「なんで傘を持っているんですか」とかね、例えばそういうような小ネタ小ネタをびっちり埋めていけば、百枚くらいの短編だったら面白く書けるんじゃないかって。それが一番最初なんですね。で、その時たまたま、「コロンボ」研究家の町田暁生さんという刑事コロンボの同人誌を作ってる方がいらっしゃいまして、私たまたまHPでそれを拝見しまして世の中にはこんな凄い人がいるのかとおもって、すぐにその同人本を買ってですね、感想を送ったりなんかしてちょっと面識があったんですね。 で、その過程で町田さんも実はコロンボみたいな話を自分でも作りたいと……こんな話を町田さんのいないところでどんどん暴露して良いのかどうかわからないんですけど……思っていらして、ただ自分には小説として構成するだけのはないと(やれば出来ると思うんですけどね)おっしゃってて、ただ小ネタ、今言った小ネタみたいなものはいっぱいためてあるんだと。だったらそれを活かして、合作という形でやってみませんか、という流れがあったんです。それらがちょうど平行して同時期に起きたんですね。最終的に「合作」は、町田さん自身がご辞退されたので、協力という形にはなりました。 あんまり言うとネタばらしになってしまうんですが、非常にコロンボ的な、「何でそこにライトがついているのか」とか、なんで「車のボンネットが温かいのか」とか、そういうようなネタをいっぱい頂いて、それを元に組み立てていったというのが、福家の一番最初なんです。 ただ、その「コロンボ」とどういう違いを出すのかという部分はすごく悩みました。鳥の巣のような頭をした小男が出てきちゃ駄目なわけですよ、絶対ね。レインコートなんか着ていたらもってのほかで、かといってハンサムだったら古畑になっちゃうし……っていうのがあってものすごく悩んで、最終的に一番楽な方法は性別を変えることだと気が付いたんです。 結局、ああいう福家みたいなキャラクターになったんですが、最初はもっとその、じつは福家にはあまりキャラクターはつけないでおこうと思っていたんですね。キャラクターによるんではなくて、あくまで事件の小ネタと犯人像みたいなもので魅せていこうと思っていたんです。しかし、やっぱり四回五回やっていくうちにですね、キャラクターって勝手についてきちゃうんですね。 一冊目の短編集をだした後で、そういう、福家のキャラクターに関するお褒めの言葉みたいなものずいぶん頂きまして、そういう形で望まれているのであれば、もうちょっとそういう面も出さないといけないのかなぁ、という風に考えながら試行錯誤試行錯誤のうちで今も続けているようなところがありますね。 で、犯人像の部分なんですけど、やっぱり犯人の職業って言うのを一番最初に決めるんですよ。何よりも先にまず、職業ありきで、そっからその、トリックとかを逆算していくんですね。で、それこそ町田さんがくれた小ネタ集とかがあるんですけど、その中から一番しっくり来るものを選んだり。 あんまりトリックから攻めていくことはないですね。逆に例えば司書だったらどういう殺し方があるかとか、酒蔵だったらどういう殺し方があるかとか、杜氏だったらこうやって殺すんじゃないかとか、じゃ場所はどこかとか……犯人の職業って言うのはそれが決まれば、かなり、もう四割くらい出来たようなところがあります。すごく重要なんです。 ただその職業もだいぶ、八本もやっていくとだんだんいい職業がなくなってくるんですよね。いまちょっと困っていて、九本目も書けと言われ続けてて、一年過ぎたんですけど。 今のところつぎは漫画家のしようかなぁと思っていて、漫画家と警察官、警察官同士の対決にするって言うのは二本決まっているんです。まぁ、ちょっとそれがどうなるか、っていうのはもうしばらくお待ちいただくしかないという感じなんですけど。 ちょっと脱線しましたがこんなところで。 司会: ありがとうございます。次回作楽しみにしています。 次の質問です。『丑三つ時から夜明けまで』は幽霊が存在する世界を舞台とした作品ですが、先生は幽霊の存在を信じていますか? 大倉: 私、あの、幽霊嫌いなんですよ……もう怖がりで。 旅館とかホテルに一人で泊まるのがすごい嫌いなんですね、ですのでいるとは信じたくないんですけど、多分いるだろうなとは思っているんです(笑)。ちょっと難しい質問なんであれなんですけど、多分いることは間違いないです。 宇宙人みたいなもので、いることは間違いないんじゃないのかなぁと思うんですが、なるべくなら出会わないで過ごしたいと思っています。 ミステリーの良いとこって、論理的に解決するとこじゃないですか。最初は幽霊の仕業みたいに思えても所詮は人間の仕業だったりして、読んでいて落ち着けるんですよね。でも、そのまんま幽霊だったかもしれないっていうのは、やっぱり怖くてですね……幻想とかホラーとかは怖くてなかなか読めない時があったり、映画はもってのほかで、絶対ああいうホラー映画とかは見に行きません。 ただ、それもまたあれで、『特捜最前線』とかですね昔のテレビドラマって言うのは時々、幽霊話が入ってるんですよ。毎週、普通に。刑事ドラマなのに、真夏の怪談シリーズとかね。 いきなり始まって婦警さんが幽霊目撃したりするんですよね。で、それが解決すればいいんですけど、時々解決しない本当の怪談話みたいな、あってはいかんだろうと思うようなドラマが一本だけはいっていたりしてですね。 その、そういう流れが昔からすごく好きで、ああ、『危ない刑事』にもありますね。最後、幽霊で終わるヤツ。で、昔のそういうドラマの度量の広さが好きで、それで『丑三つ時から夜明けまで』を考え出したところがあります。 ずーっと普通に本格なんだけど、ある瞬間から幽霊の話になって、「ああ本当に幽霊なんだ」みたいな話をやってみようと書いてみて、それをたまたま続けてくださいと注文されたので、ああやって続けた次第です。未だに文庫にもしてもらえないって恨み言もあるのでアレなんですけど、個人的にすごく思い入れのある作品です。 いつか誰か文庫にしてくれないかなぁ。 司会: ありがとうございます。続きまして二十六番目の質問です。 『無法地帯』の続編は書かれるのでしょうか? 大倉: これも良く聞かれる質問ですね。まぁ『無法地帯』は、あれは本当に何も考えないで、好きなもんだけで書いたっていう、非常に楽しい、書いててあれほど楽しいことはなかったっていう作品で、思い入れもひとしおなんですが。続編……書いてる時は続編があるんなんて思いもしないで書いてましたんで構想自体は全くなかったです。 続編を書いてください、なんて事はよくあるので、漠然と考えてはいたんです。で、もうかなり最後までいって、あとは書くだけかなぁと考えていたんですけど、現実的にこう、世の中の変化っていうのが激しくてですね。 例えば秋葉原とか見ていてもぜんぜん雰囲気が違うんですよ。私が『無法地帯』を書いていたときにはもうちょっと、私ぐらいの世代とか、そのぐらいのおっさんがうろうろしていても楽しくてですね、あまり違和感のない世界だったんですけど、それがほんの一年二年くらいで、世代が若返ったりとか、傾向が変わったりとか。 一時期メイドカフェが流行りましたけど、それもバーっと進出して、バーっと消えていったりしてましたね。 秋葉原でいうなら、大きな電機屋や家族連れのレストランができて、家族連れの町になっているんですね。『無法地帯』の時のような、中年のおっさんが大暴れするような、いかがわしさみたいなものが全くなくなってしまいました。その中でキャラクターを秋葉原とか、中野とかで今大暴れさせても、悲しいだけなんですよね。雰囲気が合わなくて。それがわずか二年くらいのスパンでおこった事で、それを今やっても面白くないんじゃないかと思いまして、実は一本ほとんど破棄というか、書くのをやめてしまったんです。 そんなこんなでなかなか続編ができなくなっていて、もう一個新たにプロットをたてたりしたんですけど、そうすると秋葉原で無差別殺人が起きたりですね、色々して、またちょっと時代が移ってしまって、なんかいたちごっこみたいな感じでなかなかしっくり来る背景っていうのがこないんですね。あえて時代を戻すとか、昔の話にするとかの必然性も感じないので、こればかりはどうしたものかなぁと自分でもつかみかねているところです。 まぁただ書きたいなとは自分でも考えていますので、気長に待っていただければうれしいなと、ただ中途半端なものにしたくない、思い入れの強い分だけ中途半端なものにしたくないというところがあるのでなかなか取り掛かれずいるということで……ご了承いただければなぁと思います。 司会: ありがとうございます。続きまして二十七番の質問です。 ご自身の作品のドラマ化(永作博美主演で09年正月に単発ドラマ化された「福家警部補」)についてどのように思われますか? 大倉: ドラマ化といっても一つしか出ていないので何ともいえないんですが(笑)。これはまぁ、「ドラマ化したいです」っていうお話は、実現するしないはともかく、話だけはけっこういただくんですね。 私はそのテレビドラマってよく見ているので、良くも悪くもドラマと小説っていうのは全然違うもんだっていうのはある程度認識しています。 テレビ局の方でも、「ちょっと変えたいんですけど」みたいなお伺いっていうのは必ず一応はたててくれるんですね。黙って変えるっていうことはしないので。ちょっと変えたときに、企画書を送ってくれたりとか、そこで男が女になっていたりとか、まるで違ったものになったりとか色々するんですね。私がそこで「嫌だよ」と言うと話しはそこで止まるんですけど、まぁそれは別物だっていうイメージがありますし、向こうはテレビのプロですから、あんまりそんな……ねぇ? よく知らない、いくら原作やったからといってそれでギャーギャー言ってもしょうがないと思っているので、「どんなに変えてもらっても私はかまいません」という立場を常にとっていますね。 と言っているわりには、なかなかドラマ化実現しないんですけど(笑)。 なので、まぁここで言うなら福家なんですけど、あれはあれでああいうものなんじゃないかな、良くも悪くも。ああいう風にするしかないんじゃないかと、大人の判断みたいで気持ち悪いんですけど。たとえば福家なら一月二日の九時から、NHKだから北海道から沖縄まで映るわけですよね。それで「オッカムの剃刀」(シリーズ第一巻『福家警部補の挨拶』に収録されたエピソード)をやってですね、あれの通りに、タバコの箱を入れ替えて、その中に一本入れて、テープはがしてとかって、そんなのコタツに入ってテレビ観てる視聴者がいちいちわかるわけないわけで。だからもう、ある程度簡略化して、わかりやすく見せるっていうのはドラマサイドとして当然の判断だと思っていましたし……まぁ逆にあんなわけのわからないどうでもいいキャラクターを付け加えるなよとか……正直なところ、そういう部分での不満っていうのも逆にありますし、とにかく色々な思いがありますね。 ただまぁ、まとめてしまえば、やっぱりドラマにする限りある程度内容が変わるのはしょうがないです。そうしてできたものが原作を愛してくださっている方々に不評であるっていうのは悲しい現実だったりするんですけれども。それはもう、しょうがないんじゃないかなぁ、と。 ですので、福家の次は、またそういう話が来たら少々変えていただいてもけっこうです、ということで返事をしようと私は思っています。 司会: ありがとうございます。続きまして二十八番の質問です。 『オチケン』の漫画についてどう思われますか? 大倉: えっと、これも一本だけ載っただけなので、何ともいえないんですけど(笑)。ドラマのときとほとんど一緒ですよね。あの、漫画化の時もキャラクターのその容貌、見た目であるとかそういう部分は変えると思いますみたいなことは事前にありました。 それはもう変えてくださいと。体型でもなんでいくらでも変えてくださいと申し上げて、一応ラフというかネームというか全部頂いたんですけど、それはもう了解の上ですよ。 あんな……ねぇ? 男三人しか出てこないような、あの漫画を、その通りの容貌でやったら読めたもんじゃなくなります(笑)。 ただ、お話の中身自体は本当にちっちゃな情報までほとんど拾って詳細に漫画化してくださってます。けっこうご苦労されたんじゃないかなぁ。 最初はバーっと読んで、漫画にしようと思ったんでしょうけれど、意外にいやらしい伏線とかですねごちゃごちゃ張ってあるので、描きながら「しまったなぁ」と思われたんじゃないのかなぁ。 第二話目もネームは頂いてて、それは半年か一年くらい前なんですけど、その後進んだという話はあまり聞かないので、やっぱりかなり苦労されているのかなぁ、と。 ただできたら掲載はされるみたいです。私としては、その前に『オチケン3』を書かないといけないんですが。 司会: ありがとうございます。 最後に差し支えない範囲で次回作についてのご予定を教えてください。 大倉: 次回作は来年のわりと早いうちに白戸修の短編集(二〇一〇年四月に既刊・『白戸修の狼狽』双葉社)が出ると思うんです。こないだの『小説推理』で五本目の短編が前後編で掲載されて、まぁそれでボリューム的にかなりまとまるので、出てから九年ぶりかな? 六話目を書いてかなり時間がたってしまっているので、ちょっといろいろ修正したりだとかっていう部分で手間取る可能性があるのでスケジュールは遅れるかもしれないんですけど。 これも私個人的に好きなんですけど全然売れなかった『警官倶楽部』という新書がもうじき文庫(二〇一〇年三月に発売。祥伝社文庫)になるかも。あとは、そうですね、「メフィスト」に今ちょっとペットが出てくるミステリーっていうのを連載してまして、それが二月号で終わるんですね。 で、終わったらまとめましょうといってくださったものですから、それが多分五月か六月くらいに出るはずです。 今のところ決まっているのはそれくらいですね。もう一つPHP研究所の出している「文蔵」って言うので山岳ミステリの『白虹』っていうのを月間連載しているんですけれども、それが来年やっぱり五月くらいに連載が終わる……というかまだ書いていないのでちょっとどうなるかわからないんですけど。初めての月間連載で自分でもどうなるか、ちゃんと終わるかわかりません(笑)。終われば、年末くらいに単行本にまとめてくれるのかなぁと言うところです。いまのところはそんな感じです。遅れる事はあっても早くなる事はないと思うので(笑)、言葉半分くらいで受け取っておいていただければ幸いです。 司会: ありがとうございます。 では来場者からの質問に移らさせていただきたいと思います。 【来場者から質問コーナー】 Q. 先ほど、大倉さんの一番好きなミステリと言う事で「獄門島」を挙げていただいたんですけど、ご自身でそういう、例えば厳しい因習に囲まれた家族とか、古い集落で起きたおどろおどろしい殺人だとか、そういう設定で作品を作りたいなという思いはおありでしょうか? 大倉: それはかなり強く思っていますね、出来ればやりたいなぁというのがあって、ちょっとその『七度狐』を書いたときも『獄門島』みたいなものがずっと頭の中にはあったんですけど、なかなか因習とかですね、時代的なものもあって、割りと大人しめの設定になってしまったんです。クローズドサークルがすごい好きなので、いつかはやってみたいですね。できるかどうかはあれとして、常に考えてはいるジャンルです。 Q.大倉先生の作品は割りと湿った、じめじめとしたところがないような印象だったので、(さっきの答えは)すごく意外に思いました。そういうものに対する憧れみたいなものは、やっぱりお持ちなんでしょうか? 大倉: そうですね。 なんていうかこう、恋愛のどろどろとしたものとは別に、因習とか、そういう部分っていうのは、さっきも言いましたがロマンチックですよね。なんとなくね。なのでやっぱりミステリってロマンが大事だと考えていますから、そういう意味でも、そういう世界観に合致した構成とかを思いつければ、迷うことなくそういう世界は描いてみたいです。 Q. ブログなどをよく拝見さしていただくんですけど、よく趣味の話題とかしていらっしゃいますよね。だいたい一日どのくらい仕事を、執筆時間としてはとられているのかな、と。 大倉: えっとですね……それは非常に厳しい質問になりますね(笑)。 えっと、本当のことを言うと自分でノルマを決めていて、これが多いか少ないかわかんないんですけど、何があっても一日五枚というノルマを決めているんですよ。だからその、多分一日の枚数としては五枚って言うのは少ないと思うんですけれども、ただし、何があっても、葬式とかは別として、例えばこういう移動があったりとか、何かあったとしても、五枚書くまでは寝ないぞみたいにね(笑)。そういう縛りをすると一ヶ月百五十枚とかの計算になってくるんですけど、まぁ実際その通りにはなかなかいってはいきません(笑)。 その五枚っていうのがどのくらいの時間でかけるかっていうのは毎回ちょっと変わってくるので、時間はまちまちです。こないだは結局三時間かけて一文字もかけなかったりしたので、そういう時はやっぱり五時間とか六時間になっちゃいますし、十五分で終わるときもありますし、そんな感じなんですね。 Q. お話ありがとうございます。先ほど都筑道夫さんの落語のスト-リーをお話されてましたが、最近ですと田中啓文先生ですとか鮎川先生とかが落語のミステリーを書かれていますが、その中でオススメのとか、読んでいて面白かったなぁというのがあれば、なにか。 大倉: 鮎川さんのも、田中啓文さんのも、私大好きで全部読んでるんです。で、もうほんとに甲乙はつけがたいんですけど、やっぱりちょっと描いてる世界が違うので、全くおんなじ物じゃないですけど、どちらも……凝った事考えますよねぇ、あれ。私上方落語を聴いて育ってきたので、田中啓文さんのあのシリーズってのはやっぱり大好きです。 ミステリとしてもそうなんですけど、成長物語としても凄く良く出来ていますよね。新刊が出ると欠かさず読んでいます。 Q.今日はお話ありがとうございました。二見書房でのコロンボのノベライズがきっかけだと伺ったんですけど、二見書房で最後にコロンボが出てから五、六年ほど新刊が出ていません。 もし今後、なにかあるのであれば、新刑事コロンボではまだノベライズされていないのもあると思うんですけど、もしなにかそういうお話とかお聞きになられていたら……。 大倉: そうなんですよね。私もちょっと、その最後に一冊出して以来、双見さんとお仕事をしていないので、その編集の方ともちょっと疎遠にはなっているんです。 まず現実的にちょっと世代が変わってきて、昔程コロンボが売れなくなったっていうのがありまして。新刑事コロンボ自体も出来不出来が激しいので、これをノベライズするのは難しいんですよね。何年か前にもノベライズの企画自体はけっこう出ていてですね、それでやっぱり頓挫してしまったものがかなりあるらしいですね。で、最後に二冊ほどパスティーシュが出て、それっきりになってしまっているみたいなんですけど。 あまりそういう動きがあるっていうことは、悲しいかな私もあんまり聞いておりません。 出れば私も喜んで買いたいなと思ってるんですけど。 Q.「古畑任三郎」も好きだと伺ったんですけど、特に好きなエピソードとかありますか? 大倉: ありがちなんですけど、将棋指し(『古畑任三郎』第一シーズン第五話「汚れた王将」)の話と、古道具屋(第二シーズン第二十話「動機の鑑定」)の話、他の方わかるかな? 「汚れた王将」は本当に良く出来てまして、あれはすごく好きです。あとなんだろう、松嶋奈々子(SP第四十二話「ラスト・ダンス」)の話とかね、好きは好きなんですけど、結局松嶋奈々子が好きなんじゃないかと(笑)。 そうですね、最近しばらくDVDも見ていないので急にあれなんですけど、パッと思い浮かぶのは将棋の話ですね。 Q.『ウルトラセブン』が好きなんですが、その中で特に好きな回とかあれば。 大倉: 「セブン」ですか、ウルトラマン好きなんですけど、「セブン」も十分好きなんですね。セブンで一番好きなねぇ、話も含めてと言うのであれば……「明日を探せ」(第二十三話)って、覚えていらっしゃいますか? シリーズのものすごい中ほどにある、地味ーな話。 ガミラって怪獣が出てくる。占い師のおじいさんが出てきて、「秘密基地が爆破される」って予言するんです。最初誰もその占い師の話を信じないんですけど、隊長だけが信じて捜査していくと、とそれが現実になっちゃう。実はそのおじいさんは実際にエスパーなんですね。本当に侵略者の計画を全部見抜いちゃうから、侵略者から狙われているんですけど、誰も信じてくれない。 だから今日が駄目でも、明日を探そうって言う話で、ちょっとわかりにくいですけどそれが良いですね。 あと「北へ帰れ」(第二十四話)っていう北極の話もあります。 「明日を捜せ」と「北へ帰れ」っていう、その二つがものすごく好きで。すいませんこんな話で(笑)。 何かお好きなのあるんですか?(質問者に) 質問者:好きなのは、ガッツ星人の回ですね(三十九話・四〇話「セブン暗殺計画」)。 大倉: ああ、あれは良いですね。食玩集めちゃいますね、あれね、十字架の食玩とかね(笑)ウルトラマンとかはご覧になっていないですか?(これも質問者に) 質問者:ウルトラマンのほうはあんまり観てないです……。 大倉: ぜひ観てやってください。面白いですから絶対。 Q. 凄く個人的で、もしかしたらご存じないかもしれないんですけど。落語がお好きで、ドラマも結構見られているようなので、あまりミステリとはそこまで関係ないんですけど、ドラマの『タイガー&ドラゴン』はご覧になっていたでしょうか。 大倉: あぁ、あれは見ていました。大好きでした。良くできていたと思います。 最初全然そういう方面では期待していなくて見てたんですけど、意外とかっちりしているんですよね。伏線とかねその辺が。 東京で今再放送やっているんですよ。それでこないだちょっと、偶然なんですけど、観直したんですけど。じゃあ、あのあたりのネタとかはもともとご存知だったんですか(質問者に) 質問者:いや、私はあれから落語を始めたので、それが初めてなんです。そのあともやっぱり田中先生のシリーズを読んだりして、面白いなぁと思って、『オチケン』も読んだんです。面白かったです。 大倉: わぁ、ありがとうございます。 Q.先生のマニアックな話に、若干ついていけなかったのですが、面白かったです。……えっと、『オチケン』を書かれていて、幼い頃から落語が好きだったということですけど、大学に入ったときに落語研究会に入ろうかなという事は考えなかったんですか? 大倉: もうまったく考えていなかったんですよね、人前で落語をやるとか実は考えた事もなかったです。というか、ほんとに大学生の時は考えてなかったですね、落研って言う選択肢は。 学習院ってわりと大きな、有名な落研があってですね。 もう亡くなられた柳家小さん師匠の家が近くだっていうことで、割りと大きな、有名な落研があったらしいんです。後で聞いたんですけどね。 自分でやろうとは、全然思った事がなくてですね、愛川晶( 神田紅梅亭寄席物帳 シリーズなどの落語ものを手がける推理作家)をさんとか本当にオチケンだったんですよね。それで結構詳しいんですけど。 私はなぜか、気がついたら山登りのクラブに入っていましたね(笑)。 質問者:どうして山登りのクラブに入ったんですか? 大倉: これは、若干まじめな話になるんですけど、私の父親が結構山登り好きだったんですね。 もうちょっと私が大学生のときに他界してしまったんですけれども、高校三年の時にね、なんか知らないけど山登り連れて行ってくれたんですよ。 本当はあんまり行きたくなかったんですけど、(長野の)白馬の方とか連れてていってくれて。その時は何とも思わなかったんですけど、大学入ると、入学式とかの後に新入生歓迎で——今あるんですかね?——新入生の争奪戦があって、運動部とかが無理やり部室に連れて行って、入部を強要するということが、私の時代には平然と行われていたんですね。 で、私が入学式が終わってぼんやりしていると、いきなりね、少林寺拳法部に連れて行かれたんですよ(笑)。「いや少林寺拳法は簡単だから」とか「体力要らないから」とか言われたんですけど、どう考えても尋常じゃない、と思って逃げ出して、学食まで逃げたんですよ。 で、学食で、偶然山岳部の人が声をかけてきてくれて、それで部室に連れて行ってくれていろいろ説明をしてもらって、そのときにやっぱり前年にのぼった山のことがあったので、で、その説明を聞いて面白そうだなぁと思ったのが最初なんですね。それまではあんまり山とか登ってなかったんですけど。本当に偶然ですね。 少林寺拳法部の人がいなかったら、今頃人生が変わっていた可能性がありますね。 Q.落語シリーズの『やさしい死神』の解説にも言及があったと思うんですが、(主人公の)間宮緑さんの外見の描写の少なさって言うのは何かの意図があっての事なのでしょうか? 大倉: ないです。すいません、こんな身も蓋もない答えで申し訳ないんですけど(笑)。 そもそもあれって、ほとんどはじめて書いた本格ミステリで、まぁ言ってしまえば明確にあの北村薫さんの( 円紫と私 シリーズ)が頭にあったんですね。あの「私」というのが明確に頭にあったというのは確かで、それで女性にしたんです。 やっぱりワトソン役って描写いるのかなぁって、最初の頃だったので思っていて、あんまり描写をしないまま、書いてしまってですね、一度担当の編集者の方にも指摘を受けたりしたんですけれども、結局「逆にそのほうが良いよね」みたいな話になって、そのままいっているようなところがあります。 Q.今日はありがとうございます。気に入っている山とかはあるんでしょうか? 大倉: 北アルプスが好きで、剣岳ってあるんですけど、自分が登ったときに印象的だったこともあって、すごく好きです。外観は穂高も良いですよね。でも穂高に上ったことがないんですよ。 で、来年ちょっと何とか登りたいなぁと思っているところではあります。そういう意味で、北アルプスの五岳連峰っていう、ちょっとまたマニアックな話であれなんですけど、そういう山脈があるんですけれど、その山域が全体的に大好きなんですね。 質問者:映画の『剣岳』とかは観たりとかは 大倉: ああ、あれねぇ。結局、観られなかったんですよねぇ。見たかったんですけどねぇ。尋常じゃないですよね。あんなとこにいって撮影するなんて(笑)。 興味があって観に行きたかったんですけど、いけなかったんですよね。 Q.先ほどコロンボの作品でお好きな話について話していただいたんですけど、ミステリとしてよく出来ていると思う話はどれでしょう? 大倉: ミステリとしてよく出来ているもの……そうですね、なんだろうな……正攻法でよく出来ているって言うことですよね……ミステリで……うーん、なんだかコロンボがミステリとしてよく出来てないような感じになっちゃいますけど(笑)。 「二枚のドガの絵」とかはなんか答えにしたくない気があって、なんだろうな。やっぱりでも「二枚のドガの絵」とか、どこに重きを置くかにもよるとおもうんですよね、最後のエンディングのアレでいくのか、その、全体的なトリックとか構成でいくのか。 ただあの、コロンボってレヴィソン&リンクが作っていますけど、レヴィソン&リンクが作ったコロンボ以外のものにミステリとして凄いものが結構多いですよね。「二枚のドガの絵」とか、初期の「溶ける糸」とかああいうのはやっぱりよくできているなぁ、と思いますね。トリックがどうのとか言うと、今のレベルで考えるとあんまりたいしたことないのかも知れないんですけど、作品全体としては良く練られてて、よく出来ているなと思いますね。 Q.ゴジラとか特撮とかの話しが良く出来ているんですけど、例えば戦隊シリーズとかはご覧になられるんでしょうか? 大倉: もちろん観ていますよ。 質問者:お好きなシリーズとかは? 大倉: これも身も蓋もないんですけど、私、「ゴレンジャー」が大好きなんですよ、一番最初の。もちろんそれ以降も好きですし、いまの「シンケンジャー」も見ていますけど。「ゴレンジャー」はとにかく好きですね。 またマニアックな話しになっちゃうんですけど、真ん中辺に本当にギャグ路線に突っ走ったですね、ものすごい回が色々あったんです。「テレビ仮面」っていうのが出てくる回があってですね、テレビに変装して敵の秘密基地に潜り込むんですね。で、テレビから機関銃が出てきて全員射殺しちゃうってのがあるんですけど、それが意外に真剣に作ってあって、テレビが撃ったって誰も思わないアングルから撮ってるんですよ。誰が撃ったかわからないまま、基地の全員が射殺されているんですね。 それでゴレンジャーがいきりたって部屋に飛び込むと誰もいないんですよ。そうするとなんか「修理屋でーす」とかってテレビが運び出されていくわけですよね(笑)。そういうちょっと「人間椅子」っぽいのとかがありましたね。 全然余談なんですけど、そのテレビ仮面が最後にやられるときに、なんていうんですか、ゴレンジャーストームっていう爆弾みたいなのが、最後敵の一番の弱点になるものに変わるんですよね。そしたら大きな手に変わって、チャンネルをガチャガチャガチャってやられて、最後「終わり」ってでて、アーって爆発しちゃうんですよ(笑)。 口で言ってもあんまり伝わらない部分もあるんですけど、妙にそういうところとかがあって好きです。最初のゴレンジャーが一番で、そんで世代的に「チェンジマン」とかですね。要所要所でしめてくれるような作品が好きで毎回観ていましたね。 すいません、こんなシメで(笑)。 司会: それでは、本日の講演会はこれにて終了とさせていただきます。 大倉先生、本日はお忙しい中誠にありがとうございました 二〇〇九年十一月十四日 -立命館大学衣笠キャンパス以学館四号教室にて 講演を快く引き受けてくださった大倉先生、そしてご来場の皆様にこの場を借りて、厚く御礼を申し上げさせていただきます。 立命館大学ミステリ研究会一同
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2011年8月2日 早川書房の雑誌『ミステリマガジン』は、2000年10月号で韓国ミステリ特集を組んでいる(→早川書房公式サイト 2000年10月号内容紹介)。 その号に掲載された鄭泰原(チョン・テウォン)「韓国ミステリ事情」に以下のように書かれている。 鄭泰原(チョン・テウォン)「韓国ミステリ事情」(『ミステリマガジン』2000年10月号) 韓国推理作家協会は一九八三年二月八日ソウルで創立された。初代会長は英文学者の李佳炯(イ・ガヒョン)。現在は推理作家の李祥雨(イ・サンウ)がその任にある。筆者の鄭泰原(チョン・テウォン)が常任理事、李秀光(イ・スゴァン)が事務局長を務めている。所属作家は八十名を数え、毎年会員の作品を集めた短篇集を発行し、新人発掘にも力を入れている。 (中略) 韓国推理作家協会は、九〇年代初頭から日本推理作家協会との交流・相互訪問を始め、鄭泰原と中島河太郎の間で書簡のやり取りも行われた。 ほとんどの人はその名前を聞いたことがないと思うが、日本に日本推理作家協会や本格ミステリ作家クラブがあり、台湾に台湾推理作家協会、中国に北京偵探(ていたん)推理文芸協会があるのと同じように、韓国には韓国推理作家協会がある。ミステリ専門誌『季刊ミステリ』を刊行し、季刊ミステリ新人賞を主催するほか、毎年夏に推理作家と読者の交流イベント「夏季推理小説学校」を開催している。 推理作家のチョン・ソクファ(鄭石華、@mystery_writer_)氏のツイートによれば、今年の第24回夏季推理小説学校は7月29日から7月31日にかけて開催され、韓国推理作家協会前会長で推理作家のイ・サンウ(李祥雨)氏の講義や、『季刊ミステリ』編集長のパク・クァンギュ(朴光奎、박광규)氏による講義「日本の推理小説のすべて」(写真:早川書房『ミステリマガジン』が紹介されている様子(チョン・ソクファ氏のツイート、以下同じ))、推理作家・歴史小説作家のイ・スグァン(李秀光)氏の講義「歴史推理小説を知る」(写真:講義中のイ・スグァン氏)、推理作家のキム・ソンジョン(金聖鍾)氏の講義(写真:講義中のキム・ソンジョン氏)などが行われた。 引用文中にある「会員の作品を集めた短篇集」は、2011年現在も刊行が続いている。1998年版のみ邦訳が出ている(『コリアン・ミステリ 韓国推理小説傑作選』バベルプレス、2002年)。 (なお、上記の記事を書いたチョン・テウォン氏は2011年6月10日に病気のため亡くなった。56歳。翻訳での業績はこちらにまとめた→Togetter) さて、本題は、引用文中にある日本推理作家協会との交流である。ミステリ界での日韓交流といえば、江戸川乱歩が1950年代に韓国の推理作家の金来成(キム・ネソン)と文通していたことがあった(金来成の生涯や乱歩との交流については、「韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)」を参照のこと)。その後、日韓ミステリ界の交流は途絶えてしまったが、鄭泰原(チョン・テウォン)氏のエッセイによれば、1990年代には再び書簡を交わすなどの交流が行われていたというのである。このことについて詳細を知るため、東京・池袋にあるミステリー文学資料館に赴き、日本推理作家協会会報のバックナンバー(1990年1月号から1997年12月号までの8年分)をチェックしてきた。 以下は、日本推理作家協会会報で知ることができた、日本推理作家協会と韓国推理作家協会との交流の詳細である。なお、以下では敬称は省略する。 Index 日本推理作家協会内に国際委員会を設置 (1)1990年8月、韓国推理作家協会代表団が来日 (2)1992年6月、日本推理作家協会代表団が訪韓 (3)1993年5月、韓国推理作家協会代表団が来日 補足 韓国の推理作家 日本推理作家協会内に国際委員会を設置 1990年ごろ、日本推理作家協会にソ連や韓国などからの交流の申し込みが相次ぐ。1990年6月、海外との交流の窓口として、また日本の推理小説の国際的普及をはかる目的で、協会内に国際委員会を設置することが決まる。メンバーの人選等は渉外担当の阿刀田高常任理事に一任された。(会報1990年7月号) なお、これ以前の1988年、日本推理作家協会はソ連作家同盟(会員1万人、うち推理作家800人)の申し出を受け、7名からなる訪ソ団をソ連に送っている。この時の参加者は、三好徹(団長)、小松左京、山村正夫、松村喜雄、長井彬、高柳芳夫、中津文彦である。(松村喜雄「ソ連の推理小説事情 第1回日ソ推理小説シンポジウムに参加して」『本の雑誌』1988年9月号) (1)1990年8月、韓国推理作家協会代表団が来日 韓国推理作家協会の代表団が8月21日より1週間日本を訪れた。8月22日、日本推理作家協会は東京・日比谷の料亭「鴨川」で歓迎夕食会を開催。夕食会には、韓国側からは会長で英文学者のイ・ガヒョン(李佳炯、이가형)、副会長の推理作家イ・サンウ(李祥雨)ら13名が参加。日本側は、生島治郎理事長、阿刀田高国際委員長のほか、韓国語が話せる麗羅、豊田有恒、ほかに井沢元彦、大沢在昌、新津きよみらが参加した(役職はすべて当時のもの)。韓国推理作家協会代表団はこのとき大量の本を持ってきており、それらは韓国語が読める麗羅が預かった。(会報1990年9月号) この交流の模様は、韓国では雑誌『季刊推理文学』に掲載された。同号には生島治郎のインタビューも掲載された。(会報1991年3月号) 『季刊推理文学』1990年冬号によれば、このときの韓国側の参加者は前述のイ・ガヒョンとイ・サンウのほかに、キム・ソンジョン(金聖鍾)(1941 - )、ノ・ウォン(魯元)(1931 - )、ハン・デヒ(韓大煕、한대희)(1952 - )、イ・ギョンジェ(李慶載、이경재)、イ・ウォナ(李源河、이원하)、キム・ナム(金楠)、チョン・ヒョヌン(鄭賢雄、정현웅)(1949 - )、イム・チュンナム(林春男)らがいた。 交流会の翌月に行われた理事会では「韓国推理作家協会との交流の件」が話し合われ、「今後、積極的に韓国側との交流をはかる。同時に、両国の推理作品の相互紹介について、出版社の選定等仲介の労をとるなど、出版についても協力を惜しまない。」とされた。(会報1990年10月号) なお、1991年夏策定の予算から、新項目として「国際交流費」が設けられるようになった。(会報1991年8月号) 1991年11月には、日韓それぞれの推理作家協会での検討を経て、「日韓翻訳出版統一契約書(案)」が決定した。(会報1991年12月号) (会報1993年8月号で、韓国で日本の推理作家のアンソロジーが出版され、協会にその印税収入が入ったことが報告されている。一方、韓国の推理小説は翻訳されなかったようである) (2)1992年6月、日本推理作家協会代表団が訪韓 韓国南部のプサン(釜山)に1992年3月、推理小説を中心とする図書館、推理文学館(추리문학관)が開館。韓国推理作家協会の招待で、6月に推理文学館にて日韓の推理作家協会の交流会を行うことが決定した。なお、推理文学館は、韓国の推理作家のキム・ソンジョン(金聖鍾)が私費を投じて建設したもので、下記のプサン市公式ブログの紹介によれば、推理小説約17000冊、一般文学約14000冊、外国書籍約6000冊など、合計で約5万冊の蔵書がある。日本で刊行された推理小説も多数収集されている。 プサン市公式ブログ記事:「謎を解け、推理文学館(2011年2月1日)」(推理文学館の紹介記事。写真あり) 韓国文化館協会サイト:推理文学館紹介ページ(写真あり) 1992年6月8日、日本推理作家協会の代表団が訪韓し、推理文学館にて交流会。日本からの参加者は、生島治郎(団長)、山村正夫、豊田有恒、麗羅、大沢在昌、西木正明。ほかに講談社のN部長と、日本推理作家協会事務局員1名が参加した。(会報1992年7月号) 韓国側の参加者は、ミステリ作家のキム・ソンジョン(金聖鍾)(1941 - )、イ・サンウ(李祥雨)(1938 - )、ノ・ウォン(魯元)(1931 - )、ユ・ウジェ(柳禹提)(1955 - )、ハン・デヒ(韓大煕、한대희)(1952 - )、チャン・セヨン(張世娟、장세연)、クォン・ギョンヒ(権敬姫、권경희)、イ・ギョンジェ(李慶載、이경재)、イ・ウォナ(李源河、이원하)、ミステリ評論家・翻訳家のチョン・テウォン(鄭泰原、정태원)、英文学者・ミステリ評論家のユ・ミョンウ(柳明佑、유명우)、そして初代会長のイ・ガヒョン(李佳炯)。 推理文学館前での日韓推理作家集合写真(韓国側の参加者、クォン・ギョンヒ氏のブログ記事) - 1枚目の写真は1992年3月の開館式の日のもの。2枚目の写真が1992年6月8日の日韓交流会の日のもの。 なおこの時、日本推理作家協会は推理文学館に日本の推理小説を300冊寄贈した。(会報1992年7月号に翻訳掲載されたスポーツソウルの記事参照) 日韓の推理作家一行はその後、2日目にはポハン(浦項)製鉄所を見学。3日目はキョンジュ(慶州)の仏国寺を見学したのち、北上しソウルで夕食会。この夕食会には、韓国のマスコミ関係者も多数参加した。6月11日、帰国。 (3)1993年5月、韓国推理作家協会代表団が来日 1992年の招待への返礼として、日本推理作家協会で公式に韓国推理作家協会を招待することにし、阿刀田高常任理事を中心とする歓迎プロジェクトチーム(委員会)が作られる。日本推理作家協会が公式に外国の訪問団を招くのはこれが初めてであった。(会報1993年2月号および6月号) 5月18日、韓国推理作家協会の代表団13名が日本を訪れた。日韓の推理作家一行は、京都の名所や東京の出版社、テレビ局、警視庁科学警察研究所(警視庁科学捜査研究所? or 警察庁科学警察研究所?)などを見学した。ガイド役は韓国語が話せる麗羅、豊田有恒が主に務めた。20日には生島治郎理事長(当時)の主催で、東京・新橋の料亭「新橋亭」で歓迎パーティーを開催。新聞社や出版社の出席もあった(日韓で合わせて40人が参加したようだが、日本側の出席者については明記されていない)。韓国推理作家協会会長(当時)のイ・サンウ(李祥雨)は以下のように述べた。「われわれとしては日本との交流を深め、韓日が中心となってアジアの推理作家協会を実現させたい、と思っております」。韓国の代表団は21日、帰国。(会報1993年6月号) 韓国推理作家協会の代表団13名は以下の通り。 ミステリ作家:キム・ソンジョン(金聖鍾)、イ・サンウ(李祥雨)、ノ・ウォン(魯元、会報では本名のチュ・ジンギュン[朱鎮均、주진균]で示されている)、ユ・ウジェ(柳禹提、会報では本名のユ・ジェヨン[柳済永、유제영]で示されている)、ハン・デヒ(韓大煕)、クォン・ギョンヒ(権敬姫)、イ・ギョンジェ(李慶載)、イ・ウォンドゥ(李源斗)(1938 - )、カン・ヒョング(姜亨求、강형구、ペンネームはカン・ヒョンウォン、2011年12月より韓国推理作家協会5代目会長) ミステリ評論家・翻訳家:チョン・テウォン(鄭泰原) 出版関係者:パク・ミョンホ(朴明浩、박명호)、ソン・ギョンヒ(成慶姫、성경희) 不明:チョン・ギョンア(鄭京我、정경아) なお、日本推理作家協会会報は1997年12月号まで目を通したが、1993年以降は特に交流は行われていないようである。 韓国では最近、日本のミステリの翻訳が急激に増加している。韓国推理作家協会が集計したデータでは、2006年に韓国で翻訳出版された日本のミステリは32冊だったが、2009年には98冊にもなっている。いまや、韓国では1年間に日本のミステリがおよそ100冊も翻訳刊行されているのである。韓国のミステリファンのWebサイトでは、日本のミステリだけを対象にした読者投票によるランキングなども行われている(「韓国のWebサイト「日本ミステリを楽しむ」で実施された日本ミステリランキング」参照)。一方、日本語に翻訳された韓国ミステリは、すべて合わせても「これぐらい」しかない。 今後の日韓交流の再開や、韓国ミステリの邦訳の進展を期待したい。 補足 補足1 推理作家の麗羅(れいら)は、本名チョン・ジュンムン(鄭埈汶、정준문)。1924年12月20日、朝鮮に生まれる。1934年に来日。1973年、「ルバング島の幽霊」でサンデー毎日新人賞を受賞して日本で作家デビューした。ペンネームの「麗羅」は、下の東洋経済日報の記事によれば、高句麗(こうくり)と新羅(しらぎ)から一文字ずつとってつけたものである。1983年には『桜子は帰ってきたか』で第1回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞している。2001年8月4日逝去。76歳。(『日本ミステリー事典』新潮社、2000年 参照) 日本推理作家協会会報2001年8月号 作家・麗羅さんの思い出(東洋経済日報 2001年8月24日) - 無署名記事 ミステリ作家・評論家の野崎六助氏のサイトで著作の書影を見ることができる。 補足2 1989年から1993年まで日本推理作家協会理事長を務め、韓国推理作家協会との交流を積極的に進めた生島治郎は、2003年3月2日、70歳で逝去した。韓国推理作家協会からは、会長のイ・サンウ(李祥雨)と顧問のイ・ギョンジェ(李慶載)の連名で追悼文が寄せられている(役職は当時のもの)。 日本推理作家協会会報2003年7月号 追悼 韓国の推理作家 上で名前が出てきた韓国の作家のうち、邦訳がある作家について簡単に紹介する。 日韓交流参加者 キム・ソンジョン(金聖鍾、김성종)(1941 - ):金来成(キム・ネソン)の次の世代を担う韓国ミステリ界の中興の祖。長編『最後の証人』(論創社、2009年) 長編『ソウル 逃亡の果てに』(新風舎文庫、2005年) 短編「帰ってきた死者」(『ジャーロ』4号(2001年夏号)) 短編「失踪」(『コリアン・ミステリ』) イ・サンウ(李祥雨、이상우)(1938 - ):韓国推理作家協会2代目会長。スポーツ新聞の編集長なども務めた。短編「地獄への道行き」(『コリアン・ミステリ』) ノ・ウォン(魯元、노원)(1931 - ):スパイ小説の第一人者。KCIA(大韓民国中央情報部)の元局長という異色の経歴の作家。ペンネームの「ノ・ウォン」は「no one」(=誰でもない)から来ている。短編「ブラック・レディ」(『コリアン・ミステリ』) ユ・ウジェ(柳禹提、유우제)(1955 - ):1987年、第3回韓国推理文学賞新人賞。1993年、第9回韓国推理文学賞大賞。短編「敵と同志」(『コリアン・ミステリ』) イ・ウォンドゥ(李源斗、이원두)(1938 - ):新聞記者を経て作家となった。短編「妻を守るために」(『ミステリマガジン』2000年10月号)(『ミステリマガジン』での表記は「イ・ウォンズ」) その他 イ・スグァン(李秀光、이수광)(1952 - ):韓国推理作家協会4代目会長(在任期間:~2011年12月)。長編(ノンフィクション)『シルミド 裏切りの実尾島』(ハヤカワ文庫NV、2004年5月) 短編「その夜は長かった」(『ミステリマガジン』2000年10月号)(『ミステリマガジン』での表記は「イ・スゴァン」) 短編「月夜の物語」(『コリアン・ミステリ』) チョン・ソクファ(鄭石華、정석화)(1965 - )長編(映画ノベライズ)『シュリ ソウル潜入爆破指令』(文春文庫、1999年) 「韓国ミステリ紹介 目次」に戻る
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五所川原市のサークル情報 「五所川原市内」で活動している「サークルの情報」に限り誰でも自由に書き込めますが、表題にマッチしない記事は管理人が削除する場合があります。会員の募集、イベント開催の告知などにご利用下さい。 ★一度投稿された記事の修正はできません。改行できます。URLは自動的にリンクします。文字のサイズや色を変更することはできません。タグは一切使用できません。 お名前(HN可) サークル情報の内容 すべてのコメントを見る 彼女俺にまたがりっぱなしで、朝まで休ませてもらえんかったww http //younube%2enet/calnova/54372 -- (ボンちゃん) 2009-05-31 11 23 16 /
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天童市のサークル情報 「天童市内」で活動している「サークルの情報」に限り誰でも自由に書き込めますが、表題にマッチしない記事は管理人が削除する場合があります。会員の募集、イベント開催の告知などにご利用下さい。 ★一度投稿された記事の修正はできません。改行できます。URLは自動的にリンクします。文字のサイズや色を変更することはできません。タグは一切使用できません。 お名前(HN可) サークル情報の内容 すべてのコメントを見る 彼女俺にまたがりっぱなしで、朝まで休ませてもらえんかったww http //younube%2enet/calnova/61566 -- (ボンちゃん) 2009-05-31 15 25 55 /
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作品名 J・G・リーダー氏の心 書影 原題 The Mind of J. G. Reeder 作者名 エドガー・ウォーレス 訳者名 板垣節子 解説 板垣節子/飯城勇三 あらすじ 52歳独身、山高帽に黒いフロックコート。鼻眼鏡に雨傘姿の名探偵が難事件に挑む!ファン待望の傑作短編集!! 出版社 論創社 形態 論創海外ミステリ 刊行日 2016/9/3 レビュー 役人J・G・リーダー氏を主人公とする、「クイーンの定員」に選ばれた短編集です。 ホームズ以降、個性化に尽力を注がれること著しい名探偵たちですが、その中でもリーダー氏の(ある意味での)“不気味さ”は頭抜けています。「犯罪者の心を持つ」とのたまう超悲観的なこの御仁は、弱気で低姿勢、感情の死滅した武闘派という恐るべき52歳なのであります。 他人の悪意に敏感で、初見の犯罪者も見抜き、時には仕込み杖を振り回し、見事なスリの手腕を示しつつ犯罪者同士の殺し合いを目論む彼は、今日も親子ほど歳の離れたキャリアウーマンに片想いをするのです。普通に怖いです。どっちが犯罪者だよっていう。 そんな無敵超人が活躍する短編集なわけですから、フェアな謎解きを求める方には物足りないかもしれませんが、ホームズらしさのある古き良きクラシック・ミステリ短編集をお望みの方にはぜひぜひオススメ。ところでリーダー氏シリーズには長編もあるのですが、無敵超人である彼が「長編」でなければ解決できない事件とはどういったものなんでしょうね? -- グリオ (2016-10-09 03 37 43) 名前 コメント
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ルーン系クエスト メインクエスト10完了後発生 発生順 クエスト名 探索場所 探索物 条件 報酬 1 ルーンストーン どこでも 初心者キット(大) 獲得したらキットからルーンを取り出す 金貨300・経験値30 2 ミステリオとエンジェル 書斎・図書室 白いミステリオ(書斎)・青いエンジェル(図書室) 金貨600・経験値60 3 ルーンの鏡文字 矢印に従いルーンをプレイ※1 金貨450・経験値40 4 マヤの本 ブードゥー教のネックレス作成 金貨600・経験値90 5 マヤのレリック マヤのピラミッド作成 金貨1200・経験値135 以上で完結 ※1 クエスト2完了後、マップ左上(下図参照)にルーンが現れる ベローズのお屋敷・マップ左上のルーンをクリック 目的 制限時間(5時間)内で、マップ上にあるアイテムを集める。(クリア条件があるわけではなく一旦開放したら5時間はそのまま) ルーンは探索報酬で得られる他、ショップ(ルーンのセット)で購入可能 ショップ購入は金貨使用・クリスタル使用でルーンの出現確率(ショップでキットのアイコンをクリックして確認できる)が変わるが、ルーンをプレイする主目的はクリスタルを得る事なので、クリスタルで購入するのは本末転倒。 ①左上のチェスト(銅の宝箱) 黒い石(ブードゥー教の腰布用パーツ)は5種のうちどれか1つ 運が良いとマヤのブードゥー教のブレスレット(ブードゥー教のサンダル用パーツ) 何よりクリスタル5個が確実に得られる 序盤ではエネルギージャムもありがたいし、金のタロットも貴重 経験値200と多目なので注意 ②右上のチェスト(銀の宝箱) 青い石(ブードゥー教の棒用パーツ)は5種のうちどれか1つ 運が良いとルーンの表(ブードゥー教のサンダル用パーツ) 序盤ではソーダもありがたいし、銀のタロットも貴重 クジャクの羽はアフリートの宮殿探索に必要 ③左下のチェスト(木の宝箱) 茶色い石(ブードゥー教の仮面用パーツ)は5種のうちどれか1つ 運が良いとマヤの置物(ブードゥー教のサンダル用パーツ) ルビー色のこけももはホビット小屋の探索に必要 紫のガーベラは謎に包まれた展望台探索に必要 ④ マップ上にアーティファクト用パーツが落ちていることがある (ブードゥー教のネックレス用パーツ) マヤ戦士のかぶと・マヤ戦士のシールド・マヤ戦士の槍・マヤ戦士の肩甲・マヤ戦士のマント (ブードゥー教のサンダル用パーツ) 古い金塊・マヤの花瓶 ⑤ 運が良いとルーンひとつ消して2クリスタルゲットなんてことも 補足 マップ上のすべてのアイテムを拾っても(仮にすべてのルーンを消したとしても)完了にはならない。 クリックしてマップを出すのに金貨もクリスタルも何ひとつ必要ない。入ってみて無理そうなら、5時間放置すればよい。 5時間経過したら、マップが更新される。残時間表示の右にある回転矢印をクリックすれば随時更新できるが、クリスタルが必要なので本末転倒。
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おがけんの紹介です。 活動内容はこちら→活動 サークルのメンバーはこちら→メンバー サークル実績はこちら→実績
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アイテム 種別 用途 レベル 価格 ライスペーパーのシート ? ランスロットの剣 ? アーサーのベルト ? パーシヴァルのカップ チャージ コレクション「広間」チャージに必要 ? 炎の頭蓋骨 ? 寿司用ハシ ? 真珠貝殻 ? マーリンの指輪 ? モルガナのマスク ? メッシングの時計 ? ガラハドの兜 ? イースターケーキ ? カッパーフィールドのカード ? キューピッドの弓 ? キューピッドの矢 ? 黄金の種 ? フーディーニのキー ? ギネヴィアの王冠 チャージ コレクション「広間」チャージに必要 ? キューピッドの翼 ? インク ? 毛筆 ? ボタン ? キューピッドの冠 ? 電子レンジ ? 庭バサミ 5 メビウスのバンド チャージ コレクションチャージに必要 5 クラインのフラスコ チャージ コレクションチャージに必要 6 甘いパンケーキ 6 シュレーディンガーの青箱 チャージ コレクションチャージに必要 7 シュレーディンガーの黄箱 チャージ コレクションチャージに必要 8 ヘアドライヤー 8 メビウスの弓 8 シュレーディンガーの箱 8 クラインの壺 8 豆 8 二重のメビウスの輪 8 クラインの花瓶 8 ハサミ 9 1かせの糸 9 毛糸玉 9 銀の針 9 砂糖 10 水晶 10 ヘアローラー 10 みかん 10 手榴弾 10 ティーパッケージ 10 ブラシ 10 バター 15 玉ねぎ 15 1ドル硬貨 15 クランベリー 15 スノースター 15 兵士のベルト 15 旗 15 装飾入りバンド 15 ペンキ 18 太陽灯 18 紙の束 18 レンガ 20 アイスキューブ 20 貝殻 20 リボン 20 燃料容器 20 カラーバンド 20 白のペイント 20 チューイングガム 20 黒檀 20 小麦粉 20 パン 20 花束のバスケット 20 ヘリウム風船 20 包装紙 20 肩章 23 石油缶 24 望遠鏡 ? 弾丸キャリア 25 セメント 25 羽根ペン 25 塩 25 顕微鏡 26 カメラの三脚 27 蓄音機 27 クリーナーチューブ 28 扇 30 首あて 30 メイプルシロップ 30 ピンクベルト 30 スペースコンパス 30 カットされたダイヤモンド 30 黄金のサンゴ 30 ハンドドリル 30 長椅子 ? こて 30 幸運のチャーム 30 蒸留器 30 卵 30 掃除機 30 電気グリル 30 メガホン 34 タイル 35 イカリ 35 わし座 35 海賊の帽子 ? 氷のムチ 35 オシロスコープ 35 バッテリー 35 砂漠の砂 ? 巻き取り式テープレコーダー 37 ブリキ板 40 スケルトンのペンダント 40 プロジェクター 40 チベットのはちみつ 40 特殊な採鉱 40 マイク 42 椰子の葉 ? ノット 45 延長コード 45 計算機 45 レフリーホイッスル 50 サーペンタイン 50 ドワーフのカッター 50 リアクター 50 燃料電池 50 ソースボート 50 船乗りのストライプ入りベスト 55 厚板 60 火薬樽 60 光子ランプ 65 骨のパイプ 65 ロビンソンのフラスコ 75 ヘアピン 80 衛星アンテナ 99 花嫁のハンドバッグ 99 ハドロン反応炉 99 空調装置 99 ゴム手袋 99 リム 99 トイソルジャー 99 米国の讃美歌 99 ニンニク 99 花火 99 タバコ入れ 99 ココナッツ ? 将校の帽子 99 甲板長の笛 99 銀の弾丸 99 安全装置 99 水かき 99 ビーコン 99 ロープホルダー 99 蝶ネクタイ 99 アストロ真珠 99 アスペンの枝 99 アストロヘッジホッグ 199 黒い傘 199 ウッドストックチケット 199 海賊旗 ? タキオン加速機 199 ディスコグラス 199 フォトンロケット 199 ダイバーのマスク ? プレイダイス 199 対のワイングラス 199 量子変換機 299 まくら 299 ダイスカップ ? ダンサーシューズ ? 調停者マッカートニー 299 結婚式の招待状 399 ボア 399 シャンパン”69スナッチンズ” 5ダイヤモンド ミネラルウォーター 6ダイヤモンド ピッチフォーク 8ダイヤモンド たいまつ 10ダイヤモンド 閃光銃 12ダイヤモンド 竹のケージ 14ダイヤモンド バナナガン 15ダイヤモンド 拳銃 18ダイヤモンド 魔法のカボチャ 24ダイヤモンド 銀のクシ 30ダイヤモンド 夜目 60ダイヤモンド 炎の斧 2400キラン リアナ・スラッソ 2400キラン ブーメラン 2600キラン 野球バット 2700キラン 木の杭 4800キラン チェーンソー 5700キラン 聖水 6500キラン 銀のナイフ 7800キラン アステカのチャーム 8400キラン 目覚まし時計 5 6ダイヤモンド 警笛 5 1200キラン エアハンマー 6 1300キラン おもちゃの拳銃 7 2400キラン 爆竹 8 2600キラン 吸入キャップ銃 9 8ダイヤモンド ダンベル 9 20ダイヤモンド コーヒー 10 6ダイヤモンド 木の剣 10 10ダイヤモンド 黄金の象 10 18ダイヤモンド 超寛大なモール 10 60ダイヤモンド エキスパンダー 11 6ダイヤモンド チョコレートメダル 15 1ダイヤモンド チョコレート 15 8ダイヤモンド 黄金の不死鳥 15 22ダイヤモンド ウェート 19 18ダイヤモンド ハンバーガー 20 18ダイヤモンド しっかり朝ご飯 25 24ダイヤモンド