約 2,232,700 件
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作品一覧 作品一覧(プチ) 作品一覧 タイトル 作品集 サイズ ジャンル 主要キャラクター 備考 四十七作目の刺客 34 9kb コメディ 霊夢 魔理沙 ルーミア チルノ 美鈴 咲夜 小悪魔パチュリー レミリア フラン レティ 妖夢 幽々子リグル ミスティア 慧音 永琳 輝夜 妹紅 小町 映姫 文 作品一覧(プチ) タイトル 作品集 サイズ ジャンル 主要キャラクター 備考 パカッ プチ5 3kb コメディ 妹紅 霊夢 魔理沙 パチュリー レティアリス 上海人形 幽々子 慧音 輝夜 パカッ パカッ プチ5 4kb コメディ 妹紅 輝夜 永琳 霊夢 チルノ フランミスティア アリス 上海 蓬莱 橙 藍 えっち プチ5 4kb コメディ パチュリー 小悪魔 咲夜 めーりん プチ5 6kb おしり 咲夜 美鈴 妹紅 れみりゃ プチ5 4kb ほのぼの レミリア 咲夜 フラン 美鈴妹紅 慧音 パチュリー 小悪魔 ごーなな プチ5 2kb 幻想 レミリア ねこ プチ6 3kb ほのぼの パチュリー 小悪魔 ねこねこ プチ6 7kb ほのぼの パチュリー 小悪魔 橙 藍 ポンポンポン プチ6 4kb ほのぼの 妖夢 幽々子 メルラン よめ プチ6 5kb ラヴ 映姫 小町 よめよめ プチ6 8kb ラヴ 小町 映姫 慧音 ミスティア とんち プチ6 4kb コメディ 妖夢 藍 輝夜 紫 おーい プチ6 2kb ほのぼの 霊夢 魔理沙 ルーミア チルノ 美鈴パチュリー 咲夜 レミリア フランドール おーい おーい プチ6 2kb ほのぼの レティ 橙 アリス リリーホワイトルナサ メルラン リリカ 妖夢 幽々子 藍 紫 西行妖 あらすじ プチ6 8kb あらすじ 妹紅 輝夜 パチュリー 小悪魔 咲夜 美鈴 レミリア フラン慧音 幽々子 妖夢 映姫 小町 ミスティア 妖忌 萃香 ふくろ プチ6 2kb シュール 妹紅 輝夜 永琳 鈴仙 美鈴 たぬき プチ6 4kb ほのぼの 妹紅 たぬき たぬき たぬき プチ6 5kb ほのぼの 妹紅 たぬき 慧音 えーりん プチ6 4kb ほのぼの てゐ 鈴仙 兎たち 永琳 輝夜 もっと えーりん えーりん プチ6 4kb ほのぼの 輝夜 イナバ ちるの プチ6 4kb コメディ チルノ ミスティア リリカ てゐ 妖夢 咲夜 ちるの ちるの プチ6 5kb コメディ チルノ 鈴仙 文 幽香 映姫 つーん プチ7 3kb ほのぼの 咲夜 美鈴 レミリア つーん つーん プチ7 6kb ほのぼの 咲夜 美鈴 えいが プチ7 7kb コメディ 妹紅 輝夜 永琳 鈴仙 てゐ慧音 文 チルノ レミリア 咲夜 美鈴 あめ プチ7 3kb ほのぼの 八雲一家 かえし プチ7 4kb コメディ 妖夢 幽々子 妹紅 おれい プチ7 4kb ほのぼの オールキャスト ありす プチ7 4kb ほのぼの 上海人形 蓬莱人形 アリス さびしがり プチ7 5kb シリアス さびしがり 幽香 映姫 小町 けいね プチ7 5kb コメディ 慧音 村人 こーりん プチ7 10kb ほのぼの 霖之助 大妖精 チルノ ちち プチ8 2kb おっぱい 咲夜 美鈴 うた プチ8 3kb 歌 パチュリー 小悪魔 レミリア フランドール 咲夜 美鈴 みすてり プチ8 10kb 短編集 橙 紫 幽々子 妖夢 霊夢 魔理沙 アリス 妹紅小町 慧音 霖之助 チルノ 美鈴パチュリー 小悪魔 咲夜 レミリア わんこ プチ8 3kb ほのぼの 咲夜 パチュリー わんこ わんこ プチ9 4kb ほのぼの 咲夜 レミリア フランドール 小悪魔 わんこ わんこ わんこ プチ9 4kb ラヴ 咲夜 美鈴 ぱちぇ プチ9 5kb ラヴ レミリア パチュリー 小悪魔 れみぃ プチ9 3kb ラヴ レミリア フランドール しゅざい プチ10 5kb ラヴ 文 チルノ ほうらい プチ10 4kb ほのぼの 輝夜 永琳 鈴仙 てゐ イナバ きりさめ プチ10 2kb コメディ 魔理沙 美鈴 咲夜 フラン 橙 プリズムリバー三姉妹妖夢 ミスティア 霊夢 鈴仙 文 映姫 やたい プチ10 3kb ほのぼの ルーミア リグル 美鈴 小悪魔 咲夜 妖夢 藍慧音 永琳 文 小町 映姫 ミスティア ぶんがく プチ10 7kb 短編集 パチュリー 小悪魔 レミリア フラン 文 チルノ永琳 輝夜 魔理沙 橙 プリズムリバー三姉妹 妖夢ミスティア 霊夢 映姫 ふらん プチ10 3kb ほのぼの レミリア フランドール メイド うら プチ11 7kb コメディ アリス 魔理沙 レティ 文 リリカ メルランルナサ 鈴仙 てゐ チルノ 大妖精 おかえりなさい プチ11 3kb ほのぼの 藍 橙 うどんげ プチ12 3kb ほのぼの 鈴仙 てゐ うさぎ あし プチ12 2kb ほのぼの 咲夜 美鈴 たに プチ12 8kb ほのぼの 魔理沙 アリス パパ ママ たに たに プチ13 8kb ほのぼの 魔理沙 アリス パパ ママ ムーミン スナフキン あっきゅん プチ13 4kb コメディ 阿求 チルノ 美鈴 ふくぶくろ プチ13 15kb 短編集 レミリア フラン メディスン 幽香リリカ ルナサ 橙 藍 鈴仙 てゐ うさぎ咲夜 美鈴 アリス 魔理沙 阿求 すいか プチ13 2kb ほのぼの 萃香 慧音 らん プチ14 3kb ラヴ 藍 紫 おとめばやし プチ14 3kb ラヴ 美鈴 小悪魔 パチェ 咲夜 レミリア フランルナサ メルラン リリカ 妖夢 幽々子てゐ 鈴仙 永琳 輝夜 メディスン慧音 妹紅 橙 藍 チルノ 文 小町 映姫 そら プチ14 3kb ほのぼの 霊夢 そら そら プチ14 1kb コメディ 霊夢 おかえし プチ14 2kb ほのぼの 美鈴 小悪魔 パチェ 咲夜 レミリア フラン妖夢 幽々子 てゐ 鈴仙 永琳 輝夜 霊夢 ばいと プチ14 4kb ほのぼの 霊夢 妹紅 妖夢 りりか プチ15 4kb ほのぼの ルナサ メルラン リリカ レイラ まほうしょうじょ プチ16 4kb ほのぼの 美鈴 咲夜 フラン えいや プチ16 4kb KONAMI 霊夢 てゐ 鈴仙 うぇでぃんぐ プチ17 8kb 短編集 慧音 萃香 紫 霊夢 魔理沙 メルランフラン レミリア 鈴仙 輝夜 永琳 むしとり プチ18 2kb ほのぼの 霊夢 文 チルノ 大妖精 橙 ルーミアミスティア リグル ぶらんでー プチ18 1kb ほのぼの チルノ 文 ふらんでー プチ18 1kb ほのぼの パチュリー 小悪魔 咲夜 美鈴 レミリア フラン さんしょううお プチ18 5kb ほのぼの 妖夢 幽々子 ふぁいる プチ19 7kb ドラマ 魔理沙 スカリー モルダー アリス にとり プチ19 3kb ほのぼの にとり 椛 文 霊夢 魔理沙 まけず プチ20 3kb ほのぼの 諏訪子 ミスティア おてがみ プチ20 1kb ほのぼの 慧音 リグル もみじ プチ21 5kb セクハラ 文 椛 にとり 神奈子 もてる プチ22 4kb もてもて 妹紅 慧音 輝夜 たぬき かみ プチ22 4kb ほのぼの 早苗 神奈子 諏訪子 おせち プチ23 8kb 短編集 リグル ミスティア チルノ 文 映姫フラン 咲夜 レミリア 幽々子 妖夢 パチェ 小悪魔にとり 霊夢 魔理沙 諏訪子 橙 ルーミア妹紅 椛 永琳 輝夜 早苗 神奈子 かれーしゅう プチ23 5kb ほのぼの 神奈子 早苗 魔理沙 咲夜 妖夢 霊夢 文 てがみ プチ24 6kb ほのぼの 幽々子 妖夢 うそつき プチ25 4kb コメディ 文 チルノ 霊夢 小町 映姫 たすけてえーりん プチ26 6kb ほのぼの 輝夜 鈴仙 てゐ イナバ 永琳 へあっ プチ27 6kb ほのぼの 神奈子 諏訪子 早苗 たくさんのおれい プチ28 2kb ほのぼの オールキャスト よほう プチ29 2kb ほのぼの オールキャスト じょーんず プチ30 6kb NHK 魔理沙 モンタナ じょーんず じょーんず プチ31 4kb NHK 魔理沙 にとり モンタナ けーろう プチ32 3kb ほのぼの 文 レミリア フラン 幽々子 紫 輝夜 永琳 妹紅てゐ 神奈子 諏訪子 萃香 天子 慧音
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ヨハンクリスティアン(ヨハン・クリスティアン) 神聖ローマ帝国のプファルツ=ズルツバッハ公の系譜に登場する人物。 関連: テオドールオイスタッハ (テオドール・オイスタッハ、父) エレオノーレマリーアマーリアフォンヘッセンローテンブルク (エレオノーレ・マリー・アマーリア・フォン・ヘッセン=ローテンブルク、母) マリーアンリエットドラトゥールドーヴェルニュ (マリー・アンリエット・ド・ラ・トゥール・ドーヴェルニュ、妻) カールテオドール (カール・テオドール、息子) マリアアンナ(4) (マリア・アンナ、子) エレオノーレフィリッピーナフォンヘッセンローテンブルク (エレオノーレ・フィリッピーナ・フォン・ヘッセン=ローテンブルク、妻)
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ミスティ=フレイシア 性別:♀ 年齢:16 種族:人間 属性:聖 クラス:ウィザード(火)/バード 性格:自信過剰気味な上に人の話をあまり聞かない "自称"英雄になるために生まれてきた魔法少女 生活態度もだらしがなく、寮の自室(自宅も同様)は常に数多の本が 雑然と積み重なっており場所によっては歩くことが出来ないところもある。 あと、本を読むのに集中しすぎてよく食事と睡眠を忘れる。 常に一冊は英雄に関する書籍を携帯していて暇さえあればすぐに読み始める。 一人称は『私』 設定 昔、この世界で活躍した英雄や偉人(悪名を馳せた者含む、)に憧れ (一番の憧れは数多くいる火炎系形魔法の使い手の中でも抜きん出た 実力を持ち爆焔の魔女と呼ばれた「イン=フェノール」)、 『いつか自分もこの人たちのように歴史に名を残せる人になりたい!』 との想いからアカデミーにて火炎系杖魔術について教鞭を振るう父に 英雄になる方法を相談したところ 「憧れだけで英雄になれると思っているのなら大間違い、現実を甘く見てるといずれ痛い目を見ることになる本気で英雄になる気があるのなら アカデミーを首席で卒業してみろ!そうすれば、応援してやる」 と言われ、アカデミーを受験、上下巻各400pからなる英雄・偉人に 関して自分なりの考えをまとめたレポートを提出すると言う 異色の方法でアカデミーの入学審査を通過し、夢に向かって絶賛邁進中 いつもいる仲間とは、一緒にいるとそれなりに楽しいと思いつつも、 他人と長い時間一緒に過ごす経験がなかったので、どう接していいのか実はよく分かっていない。 現在 1年間好き勝手やってきた自分自身の行いを反省して勉強を進めるうちに英雄碑だけではなく、英雄たちが生きた時代そのものにも興味を持ち始め考古学者が自分の適業では?と思い、歴史書や未解明のの文献・古文書の解読に精を出している。
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前書き 多元レポを書いているrujiさんのレポのコメントでこんなのがあった というかリグルの強さが際立ってるだけじゃない? 誰か! 誰かリグル封印で! -- 名無しさん (2010-08-20 21 33 14) まあ、氷精といえばリグルだし、あの狭さなら勇儀とはなかよくできないしね それでちょっと変わったことをするために開拓者縛りをやったわけだけど、これだけじゃあぬるすぎた 今回はもうちょっと縛りを増やしてリトライしてみる リグルの生産禁止 AIと出会ったら即宣戦布告 開拓者禁止、都市はすべて破壊 いわゆるカスタムオプションの戦争チェックに、OCCっぽい風味を追加 ただし自主的なOCCなので国家遺産は2つまでだし、グローブOX製鉄所は建てられない まあ、1回勝っているマップだから立地や文明配置が分かってて簡単ではあるのだけど 方針 まず文化は仕様上無理 外交も同じく無理 平和的勝利も自力創始が出来ないだろうし、全都市破壊なので聖都保持が厳しい 制覇は1都市だとAIが降伏しないだろうから陸地6割が難しい 宇宙は戦争オプションでやるには厳しい ということで征服狙い 戦略 まともに生産力で勝負すると勝てるはずがないので、やっぱりボスユニット頼み よって、ボスユニットが1体しかいない序盤はひたすら自国領土で防衛 パターン、判定見切りでボスユニットが増えたら落とせる文明を一つづつ滅亡させていく グローブ座が建てられないため、攻めるなら一気に滅亡まで持っていかないと厭戦に悩まされる羽目になる こんにちは死ね 勇儀、妹紅、藍、香霖、輝夜とはすぐ出会って戦争状態に 即座に勇儀を滅ぼしに行くのも手ではあるけれど、 妹紅も近いのでボスユニットが侵略中に首都が留守という自体はよろしくない 今回初期生産したミスティアは足の速さがないし 幸いなことに、この立地は防衛戦がとてもやりやすい 勇儀は2マスの防衛でいいし、他の文明は陸上1マスを守れば本土が防衛できる 加えて食料資源が海産物なので、陸マップ故にあまり海軍を作らないAIに破壊されづらい ミスティアは防御ボーナスがある上に最初から先制1を持つので防衛で連戦しやすい ということで防衛は森防御のコンバットミスティアに任せてピラミッドを生産 都市圏内の森もすべて伐採したおかげでBC1000に完成 食料は豊富なので代議制で経済を回していく 共同戦線ボーナスのおかげで鎖国好きな姫もデレデレ状態になり、全文明に通行許可 ※ただし氷精は除く AD160にワイン派が伝播 交易路がないと自然伝播しないと思ってたけど、そうでもないらしい 幸福のために改宗する しかし市民は同じ宗教の人と戦いたくないと言い出して結局プラマイゼロ まあ宗教制度を利用できるのはありがたい 平和主義のために哲学ジャンプを試みるも、まさかの大技術者2連発で頓挫 仕方なく自力研究 土地が近い戦争屋ということで勇儀と妹紅のスタックは結構な頻度でやってくる 他の国も軍を送ってはくるが、迅速設定なので移動に時間がかかると到着したころには旧式だったりする ただ、神奈子と咲夜は未だにこちらと接触していないので交戦状態にない 勇儀は元々土地が少ない上に研究が疎かなのですぐに戦力外 妹紅のほうは森+要塞で凌ぐ あえてこのマスにだけ森を残しておいた 都市駐留+森+要塞+先制攻撃でミスティアの防御力が半端ない ディフェンスに定評のあるミスティア ちなみに衛生3の大将軍はミスティアの右下の丘にいる ミスティアと同じスタックだと、万が一ミスティアが撃破されて森羅結界で復活した際に大将軍が防衛する羽目になるため 全方位宣戦布告 パターン解禁でルーミアを出す 防御ボーナスがあり、ミスティアほど確実ではないものの先制が多くて無傷で勝ちやすい この時点で勇儀を滅亡させることも考えたが、勇儀はすでに後進国 世界の研究加速には加担しないし、勇儀との間に厭戦はない むしろ勇儀が滅亡した後地に咲夜や藍が都市を建てるほう面倒 よって判定見切りまで生殺し決定 AD560咲夜と遭遇、宣戦 AD710神奈子と遭遇、宣戦 これでやっと全文明と交戦状態に ちなみに最後の指導者神奈子と会ったのが法律が完成したターンだったが、他の国の技術はこんな具合 輝夜が紙独占という珍しいテーブル 咲夜は共同戦線ボーナスつくのが遅かったせいか、他の戦争屋からの態度が悪く思ったより伸びていない 経験値に余裕が出てきたら、ミスティアに砲撃スキルもつける これでさらに防衛がやりやすくなった 香霖は遠い道のりのせいでメイススタックが来るころには妹紅の胸甲騎兵が見える これが迅速のサガか 要塞から砲撃して相手の突撃を待つ簡単なお仕事 南から進入する勇儀軍はルーミアが各庫撃破 AD1380 自国防衛だけしてるはずなのになぜか不幸が発生 何かと思ったら奴隷解放だった すまない市民、うちの文明はやっと官吏が終わったところなんだ AD1420神奈子が自由主義一番乗り 戦争の影響でかなり遅い 西への反撃 AD1590判定見切り入手、チルノを出す 素のままだと連続戦闘すら取れないので、首都で待機していた大将軍を使って経験値を与える このころになると藍が共産と物理学、香霖が大量生産を入手している 香霖はライフルもあるので歩兵が出てくるころ さすがのチート志向組み合わせといったところか ちなみに我が文明はは鉄がどこにあるのか分からない そして連戦に次ぐ連戦でルーミアの経験値がアップグレード持ち越し上限の500を突破 ⑨、レティ印冷蔵庫までは研究するつもりなので2回も経験値切捨てがおこることになる もったいない さて、ユニットが3体そろったところでついに反撃体制が整った ミスティアが砲撃と要塞で防御、ルーミアが砲撃+連続攻撃して攻城にチルノ連続攻撃という役割分担 まずはたった3都市の隣国勇儀を滅ぼす ライフルすら出ていないのでもはやチルノの経験値稼ぎ AD1640地霊殿滅亡 続いて人間の里攻略 本土に近いので、防御の役割であるミスティアも砲撃で援護 AD1705人間の里滅亡 before after 次に藍、咲夜の西方向へ行くか輝夜、神奈子、香霖の東へ行くかになったが、 今回も西側から攻略することにする 一番の理由は香霖がすでに歩兵を出せること 視界のない敵地でスタック全部突撃されると厳しそうだ 先に西を攻略してチルノの経験値を稼ぎたい あと西側のほうが単純に都市数が少なくて早く終わるという理由 AD1730香霖の歩兵スタックが見える こちらの防御はミスティア、メイス2、衛生斥候の4体 ミスティアの戦闘力は素が17と一見歩兵相手は厳しそうに見える そこは高速移動+連射で3回砲撃が可能なミスティア 敵スタックが要塞に近づくまでにここまで戦闘力を減らすことが出来た いくら歩兵でもここまでHPが減ってはろくに戦えない そんなこんなで防御はミスティア一人に任せてチルノとルーミアはひたすら都市を焼いて回る 対火薬昇進がついてるけど、うちには火薬ユニットが一体もいないんだ、すまない 騎兵隊は先制無効がないので胸甲より危険度は低い これが全部側面攻撃*2昇進で先制無効がついていたら危なかったかもしれない 藍と咲夜はそもそもユニットをあまり作らない上に、これまでの戦争によって機動戦力がほとんどいない 篭城する相手ならば砲撃先当て、その後に連続攻撃といった黄金コンビで連戦連勝 相手の東方ユニットは2世代先ではあるが、これまでの熟練度が段違いなので問題なし 咲夜も歩兵を出してきたが、砲撃先当てが出来れば何も苦にならない AD1785紅魔館大陸から退場 AD1800白玉楼大陸から退場 しかしここへ着て大きな問題が 西の文明は都市数こそ少ないものの島に都市を持っていたのでどちらも滅亡しない ひょっとしたら降伏するかな?と思ったら自国に封建制がなかった なんてこったい よって厭戦感情がまったく収まらない 君主制にするべきだろうjk まあ不幸な市民からもビーカーが出る代議制なのでそれなりに研究は進む ちなみに海産物は敵に駆逐艦が出てきてからは放置 こっちは未だに三段櫂船が最高戦力なので、ボスが砲撃で減らしたとても倒せない 同じ理由で島に逃げた白玉紅魔へ止めを刺す手段がないので西の国はいったん放置 東側との決戦 AD1725未知の都市が文化全盛 AD1755香霖のアポロ計画完成 いい加減東の国も叩かないといけない 神奈子は産業化が終わっているのでそろそろ戦車が出てくる しかしどこも核は未研究なのでまだ余裕がある 戦争経過で特筆すべきことは特になし 首都に向かうスタックはミスティアが砲撃で迎撃し、ルーミアが削った都市防御部隊をチルノが破壊する 軍事学完了でチルノの進軍速度が加速したことくらいか あと、小さい1大陸マップでは珍しくガンシップが見れた そんだけ AD1880永遠亭滅亡 AD1882妖怪の山滅亡 AD1898博麗神社大陸から退場 香霖も主大陸以外にも都市を持っているらしい めんどくさい 残党処理 あとは孤島に逃げた文明掃除が残っている…が相手は潜水艦、こちらは何とか作れるようになったのが私掠船 氷精には鉄すらないのでこれが最高戦力 ウランはあるものの、内燃機関はともかく核融合(核分裂)が遠すぎる ということで、ガレオン2隻作った後は私掠船をひたすら量産して弾除けにする作戦 飛行船も一つ作って潜水艦を探る 私掠船がやられたら飛行船で暴いて砲撃で削って倒す、の繰り返し 1マス孤島は連続攻撃が出来ないので、砲撃で削ったらスペカでまとめて止めを刺す AD1987紅魔館滅亡 AD1993白玉楼滅亡 AD2019博麗神社滅亡 ということで征服完了 計300ターン、時間勝利まであと30ターンとさすがに手間取りすぎだった感がある 総評 今回のMVPは間違いなく森要塞 都市駐留を有効に利用することが出来た 防衛志向最強や!リグルなんていらなかったんや! 完 圧巻のレポ乙です。叙事詩で戦争オプション(もどき)だとシューティングルートの東方ユニットが2体来た時点で詰むと思ってたんですが、この状態だとミスチーには砲撃来ないんですか? -- 全自動洗濯バサミ (2010-09-13 22 46 39) 速攻も成功すれば実入り大きいけど、滅ぼせなかったら厭戦感情が40くらいすぐいきそうですね。俺は滅ぼされる前に忍耐勝負で負けそうだなぁ。 -- ruji (2010-09-14 06 30 34) 全自動さん AIは砲撃ユニットに行軍をつけないし頻繁にピチュるために連射もなかったので、防衛時はこっちの砲撃ダメージが蓄積して気にならない範囲でしたね。体力減ったユニットをボスと別マスに置いておくとそっちを優先して0%ダメージの砲撃を繰り返したりするし。ただ攻撃の際はめちゃくちゃ痛くて、砲撃が原因の結界発動がチルノルーミアともに何回かありました。 -- 筆者 (2010-09-14 19 46 53) rujiさん 防衛戦だけなら楽しいのだけど、中盤以降技術でガンガン置いていかれる様子は結構あせるわー -- 筆者 (2010-09-14 19 47 26) 不幸な市民からもビーカーが出るのは知らなかった -- 名無しさん (2010-09-17 18 21 08) 名前 コメント
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TerraMystica BGAでプレイ 訳語は個人で訳したもので、実際のゲームと異なる場合があります。このゲームはプレミアム会員のみがテーブルを立てることができます。 赤字の文章は勢力によって異なる内容です ゲーム画面 概要 イントロダクション コンポーネント 画面説明 セットアップ入門ゲームでのセットアップ ランダムゲームでのセットアップ ゲームの目的 ゲームの流れ ゲーム開始前の準備初期建物の配置 ボーナスカードの選択 フェイズ1:収入フェイズ建物からの基本収入 パワートレイについてパワーの獲得と消費 フェイズ2:アクションフェイズ アクション#1-地形の変換と建設住居の建設 地形の変換 住居建設の詳細 スコップ使用の詳細 「隣接」の詳細直接的な隣接 間接的な隣接 アクション#2-船舶レベルを上げる アクション#3-変換レベルを上げる アクション#4-建物の改築改築の方法 パワーの獲得建物の隣接ボーナスによるパワーの獲得パワーのコスト パワー獲得のサマリー 教団トラックからのパワー獲得 アクション#5-教団の修道会へ司祭の派遣 アクション#6-パワーアクションゲームボードのパワーアクション リソースの変換 パワーの破棄 アクション#7-特別アクション アクション#8-パス 町の設立町を設立することのメリット フェイズ3:教団ボーナスとクリーンアップフェイズ教団ボーナス そのほかの処理 ゲーム終了と最終得点計算教団得点 エリア得点 リソース得点 勝者の決定 パワーアクションの詳細橋の建設 司祭・労働者・コイン スコップ 恩恵タイルの詳細 得点タイルの詳細 ボーナスカードの詳細 町タイルの詳細 勢力の詳細オウレン ウィッチ アルケミスト ダークリング ハーフリング カルティスト エンジニア ドワーフ マーメイド スウォームリング カオスマジシャン ジャイアント ファキア ノマド faqについて テーブルオプションについての説明ゲームボード 勢力ボード勢力の競り 初期勝利点 手番の順序 ミニ拡張 特殊地形特殊地形に関する全般的なルール 特殊地形の効果 ゲーム画面 概要 ゲーム終了時に最も多くの勝利点を獲得していること。 -以下、フレーバーテキスト 長老議会による会議は喧騒によって中断された。 「ウィッチです!ウィッチです!」 若者が叫び、カオスマジシャンの祖先が一同に会した会堂のドアを叩きました。 ドアが開けられ、若い女性の魔法使いが入ってきました。 「見たのです!」 彼女は息をのむように叫んでいましたが、長老達の険しい顔を見て冷静さを取り戻しました。 「会議の邪魔をするつもりか?」 長老議会の由緒ある代弁者は彼女を叱責しました。 「真に重要な事項であるなら合理的に話しなさい。何を見た?」 彼女-シャラ・ニンデ-は深呼吸をして、見たものすべてを1つずつ報告することにしました。 「私は南端の森へ行ってきました。そこには至るところにウィッチがいたのです。彼女らは愚かなほうきに乗って空を飛ぶことで南の森へ降り立っています。今もなお、その人数は増えています!ここに定住するつもりなのです!」 長老議会にとって、この報告はとても不都合なものでした。 南の森を伐採し、そこに溶岩を流し込むことで、森林を荒地に変えることを決定したばかりだったのです。 この計画のためのチームは既に結成されていましたが、ウィッチによって先手を打たれてしまったようです。 ウィッチは森を住処としていたので、多くの森へと広がっていきました。 さらに悪いことに、ウィッチはすべての土地を徐々に森へと変換させようと、何もない土地に木を植えていたのです。 すべての土地を荒地に変えようとしているカオスマジシャンにとってこれは悪夢以外の何物でもありません。 そのとき、老齢の賢明なカオスマジシャン-マルクザール-が口を開きました。彼が賢明と呼ばれる理由は、彼が5回以上にも及ぶ自己実験に成功しているからです。 「できることは何もないが、『隣人』がいるということは必ずしも悪いことではない。よい交渉相手になりえるだろう。我々が住居を建設するとき、交渉によって多くの金を節約できよう。」 一部の長老は頷きましたが、疑問を呈した者もいました。 「諦めるのですか?我々には更なる荒地が必要です!作業の準備も森へ向かう準備もできています!」と代弁者は主張しました。 「シャラを西方の山へ派遣してはどうか。」とマルクザールは提案しました。 「山の地下には溶岩流があり、我々はこれを流出させることができる。山は森林よりも荒地への変換がはるかに容易だ。これが我々の魔女への対抗手段だ!」 決定は下されました。 「シャラ……其方には」 若い魔術師は険しい表情のマルクザールを見て、息をのみました。 「其方は頭がいいから、この使命を託したのだ。直ちに西へ発ち、山へ向かってくれ。」 イントロダクション テラミスティカでは、各プレイヤーが14の勢力のうち1勢力を担当し、誰よりも繁栄することを目指します。 テラミスティカは魔法の世界です。住人は住んでいる土地の地形を変えることができます。 各勢力は特定の種類の地形に縛られています。建物はこの「拠点地形」にのみ建設することができるのです。これが何世紀にも渡って各勢力がテラフォーミング能力を開発する必要があった理由です。 各勢力は「平原」「沼地」「湖沼」「森林」「山岳」「荒地」「砂漠」のいずれかを「拠点地形」としています。 各勢力はこれらの地形を必要に応じて変えていきます。 ゲーム中、プレイヤーは勢力を拡大させるために住居等を建設する必要があります。自分が建設した建物に直接的に隣接して他プレイヤーが住居を建てる、もしくは建物の改築を行うと「パワー」を得ることができます。このため、他プレイヤーとの隣接と拡大との適切なバランスをとることが求められます。 既存の住居は複数のステップを踏むことで改築できます。 最初は「交易所」に、次に「砦」や「神殿」に改築できます。「神殿」1つは「聖域」に改築できます。「住居」は労働者を生み出し、建物を改築するとコイン、パワー、司祭の入手量が増加します。 3つのステップを踏むことで住居は聖域に改築できます。聖域に改築する代わりに、交易所を砦に改築することもできます。 地形の拡張と建物の改築に加えて、プレイヤーは「火」・「水」・「土」・「風」の4つの教団を発展させることもできます。これの進捗状況は教団ボードで示されます。教団を発展させることでパワーやその他の報酬が増加します。 これらの教団を最も発展させたプレイヤーは勝利へと大きく近づくでしょう。 コンポーネント このゲームで使用するものです。 画面説明 1:ボード。ゲームボードと教団ボードです。 2:勢力ボード。各プレイヤーの勢力ボードが表示されています。 3:プレイヤー固有のサプライです。獲得した恩恵タイルなどもここに置かれます・ 4:全プレイヤー共通のサプライです。 セットアップ このセクションは2つのパートに分かれています。 入門ゲームをプレイする場合は1つ目のパートを、ランダムゲームをプレイする場合は2つ目のパートを参照してください。 まず、ゲームボードと教団ボードが置かれます。(ここまでは共通) 入門ゲームでのセットアップ 勢力の決定 次のように勢力が選ばれます。 2人プレイ:ウィッチ(緑)、ノマド(黄色) 3人プレイ:ウィッチ(緑)、ノマド(黄色)、アルケミスト(黒) 4人プレイ:ウィッチ(緑)、ノマド(黄色)、ハーフリング(茶色)、マーメイド(青) 5人プレイ:ウィッチ(緑)、ノマド(黄色)、ハーフリング(茶色)、マーメイド(青)、ジャイアント(赤) 各プレイヤーはランダムな勢力ボードを1枚受け取ります。 勢力ボードについて 勢力ボードには変換サイクルが描かれています。これには与えられた勢力の拠点地形を含む7種類の地形が示されています。(拠点地形の色は与えられた勢力の色と一致します。拠点地形はより大きなサイズで強調されて描かれています。) ボードのセットアップ 各プレイヤーは受け取った勢力ボードの色と同じ色の以下のものを受け取ります。 「建物コマ、司祭コマ、マーカー、橋コマ」 司祭コマと橋コマは各自が受け取った勢力ボードの脇に置かれ、プレイヤーごとに固有の「サプライ」が作られます。 建物コマは各自が受け取った勢力ボードの対応する建物トラックに置かれます。 7個のマーカーはそれぞれ次の場所に置かれます。 受け取った勢力ボードの船舶トラックの左端(0の位置)に1個のマーカーが置かれます。 (マーメイドのみ、「1」の位置マーカーが置かれます。ファキアとドワーフには船舶トラックがないため、このマーカーは置かれません。) 受け取った勢力ボードの変換トラックの一番下のスペース(3個の労働者が1スコップに変換されるスペース)に1個のマーカーが置かれます。 (ダークリングには変換トラックがないのでこのマーカーは置かれません。) 得点トラックの「20」の位置に1個のマーカーが置かれます。 (このマーカーはBGAでは表示されません。得点はプレイヤーインフォメーションにて数字で直接的に表示されます。) (これはテーブルを立てた時のオプションによって異なります。勢力ごとに異なる勝利点を持ってゲームを始めるオプションを選択した場合はこの限りではありません。) 残りの4個のマーカーは教団トラックの各教団「0」のスペースにそれぞれ1個ずつ置かれます。 勢力ごとのセットアップ 勢力ごとのセットアップはそれぞれの勢力ボードに示されています。 初期資源の受け取り ゲーム開始時の初期資源です。 これは勢力ボードの右上(勢力名の下部)に示されています。 対応する資源をそれぞれ受け取ります。(なお、これらの資源に加えて、第1ラウンド開始時、フェイズ1:収入フェイズにおいて収入として追加の資源も獲得します。詳細はフェイズ1:収入フェイズで説明します。) 例 ウィッチは3個の労働者コマと15コインを初期資源として受け取ります。 教団トラック 勢力ボードの初期資源を表すアイコンの横には教団のシンボルが描かれています。それぞれのシンボルについて、対応する教団トラック上のマーカーをシンボル1つにつき1スペース進めます。 例 ノマド(黄色)は火の教団と土の教団のマーカーをそれぞれ1スペースずつ進めます。 ハーフリング(茶色)は土と風の教団のマーカーをそれぞれ1スペースずつ進めます。 ウィッチ(緑)は風の教団のマーカーを2スペース進めます。 マーメイドは水の教団のマーカーを2スペース進めます。 パワートレイ 勢力ボードの左上には3つのパワートレイが描かれています。 それぞれのパワートレイに示されている数字と同じ個数のパワーコマがパワートレイⅠ、パワートレイⅡに置かれます。 例 ゲームボードと教団ボード 入門ゲームでは次の通りにセットアップされます。 最初に4人プレイ用の説明をします。その後、その他のプレイ人数でのセットアップ方法を説明します。 4人プレイの場合、次のようにセットアップを行います。 2人プレイの場合は次の通りにセットアップを行います。 3人プレイの場合は次の通りにセットアップを行います。 5人プレイの場合は次の通りにセットアップを行います。 各勢力は2つの能力を持っています(ただし「オウレン」だけは例外です)。 能力のうちの1つは、ゲーム開始時から持っていますが、2つ目の能力は砦の建設後に使えるようになります。 これらの能力の詳細は各勢力ボードに示されています。能力の詳細は勢力の詳細で説明します。 ゲーム開始前に、プレイヤー全員が使用する勢力の能力を確認することが望ましいでしょう。 ランダムゲームでのセットアップ 入門ゲームとは異なり、使用するボーナスカードと得点タイルがランダムに選択されます。 その後、プレイヤーは使用する勢力を自由に1つ選びます。また、最初の住居コマを置く場所も自由に選ぶことができます。 勢力の選択 テーブルオプションの「勢力ボード」オプションによって勢力ボードの選択方法が異なります。 「プレイヤーによる選択」を選んだ場合は、スタートプレイヤーから順に使用する勢力を1つ選び、対応する勢力ボードを受け取ります。スタートプレイヤー以降のプレイヤーは、残っているものの中から1つを選びます。 「ランダムなボード選択」を選んだ場合は、各プレイヤーにランダムな勢力ボードが1枚配られます。その後、各プレイヤーは配られたボードの表と裏のどちらを使用するのかを選択します。 勢力が決まったら、導入ゲームと同様に勢力ごとのセットアップが行われます。ただし、住居コマはまだ置かないでください(詳細は初期建物の配置で説明します)。 得点タイル ボードには6つの得点タイルを置くスペースがあります(それぞれには1~6の数字が描かれています)。それぞれのスペースが1つのラウンドに対応します。 得点タイルがシャッフルされ、スペース6から下に向かって、各スペースに得点タイルが1枚ずつ、表向きに置かれていきます。得点タイルのうち、左側のスペースにスコップが描かれているものがスペース5もしくはスペース6に置かれた場合はその得点タイルは取り除かれ、別の得点タイルが代わりに置かれます(この例ではそのタイルはスペース3に置かれています)。 最後に、ゲーム終了トークンがスペース6の得点タイルの右側を覆うようにして置かれます。 ボーナスカード 9枚のボーナスカードがありますが、プレイヤー人数に応じて使用するカード枚数が異なります。 プレイヤー人数 2 3 4 5 ボーナスカード枚数 5 6 7 8 9枚のボーナスカードがシャッフルされプレイヤー人数に応じた枚数のボーナスカードがランダムに用意されます。残りのボーナスカードは今回のゲームでは使用しません。 ゲームの目的 ゲーム終了時に勝利点が最も多いプレイヤーが勝者となります。 ここでは、このゲームで勝利点を獲得するための様々な方法を示しています(勝利点は月桂樹の花冠を含む茶色い四角アイコンで描かれています)。 得点タイル 6つのラウンドのそれぞれには得点タイルが1枚割り当てられています。 住居・交易所・砦・聖域の建設によって勝利点が得られることを示すもの、地形の変換(スコップが描かれているもの)や町の建設(鍵のシンボルが描かれているもの)によって追加の勝利点が得られるものがあります。 これによってジレンマに直面するでしょう。自分の勢力にとって有利になる建物(多くの場合は神殿を、1勢力だけは砦)を早めに建築したい一方で、ラウンドでの得点を得るためにこれらとは異なる建物を建てたいとも思うことでしょう。 ボーナスカード 9枚あるボーナスカードのうち、3枚は勝利点を得られるものがあります。 これらはラウンド中のアクションフェイズで実行したいすべてのアクションを完了した場合に獲得できます(詳細はアクション#8-パスで説明します)。 例えば、上記3枚のボーナスカードの内容は次のようになっています。 「ゲームボード上にある自分の色の住居コマから勝利点を獲得」「ゲームボード上にある自分の色の交易所コマから勝利点を獲得」「ゲームボード上にある自分の色の砦と聖域コマから勝利点を獲得」 恩恵タイル 恩恵タイルの中には住居や交易所を建設するたびに勝利点を獲得できるものがあります。 また、「パス」をするたびに建設されている交易所の個数によって勝利点を獲得できるものもあります。 町タイル 町を設立すると勝利点を獲得できます(詳細は町の設立で説明します)。 さらに、町タイルからは追加の報酬も得ることができます 船舶トラックと変換トラック 船舶レベルを上げた場合に勝利点を得られます(詳細はアクション#2-船舶レベルを上げるで説明します)。 変換レベルを上げた場合にも勝利点を得られます(詳細はアクション#3-変換レベルを上げるで説明します)。 変換レベルを上げるのはゲーム序盤にももちろん役に立ちますが、これによって終盤でも意味があります。 特殊能力 勢力の中には特殊能力として追加の勝利点を得られるものがあります。例えば、アルケミストはコインを勝利点に変換できます ゲーム終了時 ゲーム終了時にボード上での建物の連結数の順位によって勝利点を獲得できます(エリア得点)。 船舶レベルや変換レベルの上昇は直接的な勝利点をもたらすだけでなく、エリア得点獲得のためにも役立ちます。 また、ゲーム終了時に4つの各教団トラックの順位によっても勝利点を獲得できます(教団得点)。 より大規模にエリアを拡大するためにはたくさんの住居を建設したいと思うでしょう。一方で、神殿と聖域はより多くの司祭をもたらします。これは教団得点を得るためには重要になります。 勝利点に関する補足説明 他プレイヤーとの間で「隣接関係」が生じた場合に勝利点を支払うことでパワーを得ることができます(詳細はパワーの獲得で説明します)。 これがゲーム開始時の勝利点が0点ではない理由です。 ゲームの流れ 次のセクションで説明する「ゲーム開始前の準備」を行った後、ゲームを開始します。 ゲームは第6ラウンドの終了をもって終わります。 各ラウンドは次の3つのフェイズで構成されています。 フェイズ1:収入フェイズ フェイズ2:アクションフェイズ フェイズ3:教団ボーナスとクリーンアップフェイズ これらのフェイズを数字の順に実行していきます。 それぞれの説明をします。 ゲーム開始前の準備 初期建物の配置 この「初期建物の配置」は導入ゲームをプレイする場合は読む必要はありません。導入ゲームをプレイする場合はセットアップの指示通りに住居コマを置いてください。 スタートプレイヤーから順に、ボードに住居コマを置いていきます。自分の勢力と同じ色の土地のどこか1つに、自分の住居コマ1つを置きます。最後手番のプレイヤーが住居コマを置いたら、次は手番とは逆順に2個目の住居コマを置いていきます(カタン方式。4人プレイなら1番手→2番手→3番手→4番手→4番手→3番手→2番手→1番手の順に住居コマを置きます)。 「ノマド」のプレイヤーは3個目の住居コマを置かなければいけません。3個目の住居コマはすべてのプレイヤーが2個目の住居コマを置き終えた後に置きます。 「カオスマジシャン」のプレイヤーはすべてのプレイヤーが住居コマを置き終えた後に住居コマを置きます。「ノマド」がいる場合には「ノマド」が3個目の住居コマを置き終えた後に「カオスマジシャン」は住居コマを置き始めます。また、「カオスマジシャン」のプレイヤーは住居コマを(2個ではなく)1個だけしか置くことができません。 補足説明 住居コマを置く際のルールは「自分の勢力と同じ色の地形にしか置けない」という制限のみです。 ゲーム開始時は地形の変換をまだ実行できませんが、後でこれは実行可能になります。 住居コマを含むすべての建物コマは、自分の勢力ボードの建物トラックの左側にあるものから順に使用されます。 これは収入に関わります(詳細はフェイズ1:収入フェイズで説明します)。 ボーナスカードの選択 最も手番の遅いプレイヤーから、手番とは逆順にボーナスカードを1枚選んで獲得します。 ボーナスカードは追加の報酬をもたらしたり、特殊なアクションを実行できるようになったり、勝利点を獲得できるようになるものがあります。詳細はボーナスカードの詳細を参照してください。 その後、誰にも選ばれずに残ったボーナスカードそれぞれにサプライから1コインが置かれます。各ラウンド終了時にボーナスカードを獲得する際に追加で1コインも得ます。 フェイズ1:収入フェイズ 新たな労働者コマ、コイン、司祭コマ、パワーを得ます。 (ゲーム開始時には、勢力ごとに得た初期資源に加えて、第1ラウンドのこのフェイズによる収入も得ます。) 収入は各プレイヤーの建物、ボーナスカード、恩恵タイルによってもたらされます。 収入はコンポーネントに描かれる「手のひらのアイコン」で示されています。 建物からの基本収入 労働者 自分の勢力ボードの住居トラックを参照します。このトラックで見えているキューブのアイコンと同じだけの労働者をサプライから得ます。 例 この場合は、住居トラックで3個のキューブのアイコンが見えているので3個の労働者コマをサプライから得ます。 コイン 自分の勢力ボードの交易所トラックを参照します。このトラックで見えているコインのアイコンと同じだけのコインをサプライから得ます。 司祭 自分の勢力ボードの神殿トラックを参照します。このトラックで見えている司祭のアイコンと同じだけの司祭をサプライから得ます。聖域を建設しているなら更なる司祭コマを手に入れられるようになります。 (スウォームリングとダークリングは、聖域を建設しているなら司祭コマを(1個ではなく)2個得られます。) 新しく得た労働者、コイン、司祭は自分の勢力ボードに置きます。 (労働者とコインはサプライの上限がありません。司祭だけは7個が各自のサプライ上限です。) パワー 自分の勢力ボードの交易所トラックを参照します。このトラックで見えているパワーアイコンと同じだけのパワーを得ます。砦を建設しているなら追加のパワーを得られます。 (砦を建設している場合に得られるものが一部の勢力は異なります。アルケミストはパワーではなく6コインを、カオスマジシャンはパワーではなく労働者2個を、ファキアはパワーではなく司祭1個を追加で得ます。) 次のパートでパワーの獲得についての詳細を説明します。 追加の収入 所持しているボーナスカードや恩恵タイルによって追加の収入を得られる場合があります。 例 パワートレイについて 各プレイヤーは12個のパワーコマを持っており、これらは3つのパワートレイに置かれています。 パワーアクションを実行するにはトレイⅢに置かれているパワーコマを使用する必要があります。 例 この場合、5個のパワーコマを使用することができます。トレイⅠ、トレイⅡにあるパワーコマの数に関わらず、トレイⅢにあるパワーコマを全て使うことができます。 パワーの獲得と消費 ゲーム中にパワーを得る場合(収入や他プレイヤーが隣接して建物を建設した場合、教団トラックを進めた場合など)、新たなパワーコマを得るわけではありません。パワートレイにあるパワーコマを移動させることでパワーの獲得を行います。パワーアクションでパワーを消費する場合はパワーコマを失うわけではなく、パワートレイ間のパワーコマを移動を行います。 パワートークンの移動は次のルールに従って行います。 パワーの獲得 パワーを獲得する場合は次の手順で行います。 1.パワートークンがトレイⅠにある場合、獲得するパワー1につきトレイⅠのパワーコマ1個をトレイⅡに移動させます。 2.トレイⅠが空なら、獲得するパワー1につきトレイⅡのパワーコマ1個をトレイⅢに移動させます。 3.すべてのパワーコマがトレイⅢにあるなら、それ以上のパワーの獲得はできません。 例 この例では3パワーを獲得しています。 トレイⅠにコマが2個あるので、まず、この2個をトレイⅡに移動させます。次に、トレイⅠのコマが無くなったので、トレイⅡのトークン1個をトレイⅢに移動させます。 パワーの消費 消費できるのはトレイⅢにあるパワーコマのみです。消費する際にはトレイⅢからトレイⅠにパワーコマを移動させます。 例 この例の場合、トレイⅢに6個のパワーコマがあるので、この6個のパワーコマを消費できます。 フェイズ2:アクションフェイズ アクションフェイズでは、スタートプレイヤーから順に、各プレイヤーが1アクションを行います。これを、アクションを実行するプレイヤーがいなくなるまで続けます。 アクションは8種類あります。「アクション:パス」を除いて、全てのアクションは同一フェイズ内で繰り返し実行しても構いません(ただし、1手番にアクションは1回しか実行できません)。 これから各アクションの詳細について説明していきます。 それぞれのアクションの概要は次の通りです。 アクション#1は空いている地形に住居を建設します。 アクション#2とアクション#3は建設を容易にします。ゲーム終了時のエリア得点の獲得にも繋がるでしょう。 アクション#4は建物を改築します。多くの勢力において砦の早急な建設が望まれますが、神殿や聖域はゲーム終了時の教団得点を獲得するための司祭や恩恵タイルをもたらすため、これらも重要です。 アクション#5は教団得点に直接的に影響します。さらに、司祭や教団によって追加のパワーをもたらすでしょう。 パワーは特殊なパワーアクション(アクション#6)に使用します。 アクション#7はゲーム中に実行できるようになる特別なアクションに関するものです。 アクション#8は「パス」です。そのラウンドのアクションフェイズで、これ以上アクションを実行したくない、もしくは実行できない場合にこのアクションを実行しなければいけません。 それぞれのアクションの詳細を説明します。 アクション#1-地形の変換と建設 まず、1つの地形ヘクスを選び、選んだ地形の種類を変えることができます。このとき、自分の勢力の拠点地形に変えたなら、この地形ヘクスに即座に住居を建設することができます。 住居の建設 住居を建設するためには、建設をしたい地形ヘクスが次の状態になっている必要があります。 自分の勢力と同じ色(自分の勢力の拠点地形) その地形ヘクスに何も置かれていない 自分の建物のうちのどれか1つと直接的もしくは間接的に「隣接」している (「隣接」の定義は「隣接」の詳細で説明します。) また、住居の建設にはコストを支払う必要もあります。 住居1つにつき、1労働者と2コインをコストとして支払う必要があります。 (一部の勢力はコストが異なります。エンジニアは1労働者と1コインで、スウォームリングは2労働者と3コインです。) 地形の変換 住居を建設するための条件の1つである「地形が自分の色」という条件を満たすために、住居を建設する直前に、空いている地形を自分の勢力と同じ色の地形に変換することができます。地形を変換したら、当該地形ヘクスに地形タイル置きます。 地形変換のコスト 地形の変換にはコストを支払う必要があります。 勢力ボードに描かれている変換サイクルにおいて、元の地形から目的の地形までの間に描かれているスコップ1つにつき、1スコップがコストとして必要です。 そのため、変換サイクルにおいて隣り合う地形の場合は変換のコストは1スコップです。変換サイクルにおいてちょうど反対側の地形の場合は変換のコストは3スコップです。なぜなら、変換サイクルは時計回りだけでなく、反時計回りに参照することができるからです(またはその逆も)。ただし、最大3スコップまでしか使用できないというわけではなく、あえて「遠回り」することは可能です。 (ジャイアントはどの種類の地形でも、拠点地形に変換するためのコストは一律で2スコップです。) スコップの獲得 スコップは様々な方法で獲得できます。 労働者との交換 労働者をスコップに交換できます。勢力ボードに示されている変換トラックで交換レートが示されています。ゲーム開始時には3労働者で1スコップというレートになっています(詳細はアクション#3-変換レベルを上げるで説明します)。 例 この場合のレートは3労働者につき1スコップに交換できます。 パワーアクション パワーアクションの中には1スコップ、もしくは2スコップを得られるものがあります(詳細はパワーアクション:スコップで説明します)。 ボーナスカード ボーナスカードの中には1スコップをもたらすものがあります(詳細はボーナスカードの詳細で説明します)。 2スコップを獲得したとき、拠点地形に変換するために1スコップだけが必要なら、残りの1スコップを別の地形のために使用できます。ただし、この2番目に変換した地形ヘクスに住居コマを置くことはできません。 住居建設の詳細 建物(住居も含む)を建設するときは、自分の勢力ボードの建物トラックに置かれている各コマのうち、左に置かれているものから使用されます。 そのラウンド中の得点タイルが住居を参照するものなら、住居を建設するたびに2勝利点を獲得します。 例 この得点タイルは住居を建設するたびに2勝利点をもたらします。 スコップ使用の詳細 スコップは後のアクションのために保持しておくことはできません。獲得したスコップは即座に使用しなければいけません。 そのラウンド中の得点タイルがスコップを参照するものなら、アクションフェイズ中にスコップを使用することで勝利点を獲得します。 例 この得点タイルはスコップを使用するたびに2勝利点をもたらします。 地形を変換した後に住居を即座に建設する必要はありません。後の別のアクションで建設しても構いません。 地形タイルは自分の拠点地形まで変換する必要はありません。(スコップの余裕がない場合など、)途中で止めておくこともできます。ただし、他プレイヤーの手番でその地形を利用されてしまうかもしれません。地形タイルが置かれている地形ヘクスは、建物コマが置かれていないなら「空いている地形ヘクス」と見なされます。 1回の地形変換アクション中に変換サイクルの向きを変えて地形を変換することはできません(時計回りに1回変換した後、反時計回りにもう一度変換するなどはできない)。 自分の拠点地形まで変換したら、そのアクション中は当該地形ヘクスに対してそれ以上変換を行うことはできません。 住居コマを置かずに地形を変換するときも、変換したい地形ヘクスは直接的もしくは間接的に自分のその他のコマと「隣接」していなければいけません。 建物コマが置かれている地形は変換することができません。 教団ボーナスによってもスコップを獲得できます。ただし、これで得られたスコップはアクションフェイズで得られたものではないため、すぐに住居を建設することはできません。また、さらにスコップを獲得するために労働者を交換することもできません。(住居を建設するためには次のアクションフェイズを待つ必要があります。) 「隣接」の詳細 地形ヘクスの「直接的」、「間接的」な隣接には明確な区別があります。 直接的な隣接 地形ヘクスとそこに置かれている建物が他の地形ヘクスと互いに辺を共有しているなら(辺が重なっているなら)、それらは「直接的に隣接している」と見なされます。また、2つの地形ヘクスの間に河川ヘクスを挟む場合でも、その河川ヘクスに橋コマが置かれているなら、橋を介して2つの地形ヘクスは「直接的に隣接している」ことになります(橋についての詳細は橋の建設で説明します)。 例 この2つの地形ヘクスの間には河川ヘクスがありますが、橋を介しているので直接的に隣接しています。もう一方の地形ヘクスに建物を建設したなら、2つの建物も直接的な隣接関係になります。 間接的な隣接 地形ヘクスとそこに置かれている建物が他の地形ヘクスと直接的な隣接をしていない場合、それらの間に河川ヘクスがあり、船舶レベルが間にある河川ヘクスの数と同じかそれ以上あるなら、それらの地形ヘクスは互いに「間接的に隣接している」と見なされます(船舶レベルの詳細は次のセクションで説明します)。 (ドワーフの「トンネル工事」とファキアの「絨毯飛行」によって建設された住居や住居コマが置かれている地形ヘクスも、もう一方のその他の地形ヘクスと「間接的に隣接している」と見なされます。) 例 これら2つの建物を間接的な隣接関係とするためには、船舶レベルが2以上である必要があります。なぜなら、これら2つの建物が置かれている地形ヘクスの間に河川ヘクスが2つあるからです。 アクション#2-船舶レベルを上げる 川を挟んだ先の地形へ勢力を拡大しに行きたい場合、建物が置かれている地形ヘクスと、川を挟んだ地形ヘクスを間接的な隣接関係にさせなければいけません。そのためには船舶レベルを上げる必要があります。このアクションはコストを支払って船舶レベルを上げます。 1アクションとして船舶レベルを1レベル上げることができます。船舶レベルを上げるために必要なコストは勢力ボードに示されていて、そのコストは1司祭と4コインです。 コストを支払って、自分の船舶トラックのマーカーを1スペース進めます。 このアクションを行うと、船舶トラックに示されている勝利点も得ることができます。 例 船舶レベルを上げてこの画像のようになった場合、3勝利点を獲得します。 これによって船舶レベルは2になったので、上記の例のように地形ヘクスの間に河川ヘクスが2つしかないなら、これらの地形は間接的に隣接していることになります。 アクション#3-変換レベルを上げる ゲーム開始時には3労働者を1スコップに交換できます。 1アクションとして、この交換レートをより良いものにすることができます。変換レベルを上げるために必要なコストは勢力ボードに示されていて、2労働者と1司祭と5コインが必要です。 コストを支払って、自分の変換トラックのマーカーを1スペース進めます。 このアクションを行うと、変換トラックに示されている勝利点をも得ることができます。 (ハーフリングはこのアクションのためのコストとして支払うコインが安く済みます。ダークリングは変換トラックが存在しません。その代わりに司祭をスコップに交換します。) 例 この画像の場合、2労働者を1スコップに交換できます。 アクション#4-建物の改築 建物は段階を踏んで、より良いものに改築することができます。 改築に必要なコストはどの建物に改築をするのかによって決まります。 新たに建物を建設するときには自分の勢力ボードに置かれている建物コマのうち、左側にあるものから使用されます。 建物を改築するときは、まず、ゲームボード上の自分の建物コマのうち置き換えたい建物コマを選びます。選んだ建物コマは自分の勢力ボードの対応する建物トラックに戻されます。このとき、自分の勢力ボードの対応する建物トラックの空白を埋めるように、右側に詰めて置かれます。これによって収入が減ることもあります。その後、ゲームボード上の建物コマを取り除いた地形ヘクスに新たな建物を置きます。 例 交易所を建設するには、住居コマを自分の勢力ボードに戻してから改築します。 改築の方法 改築には4つの方法があります。(そのうちの2つはゲーム中に1回しか行えません。) 住居から交易所への改築 住居から交易所への改築には2労働者と6コイン(*)がコストとして必要です。 改築をする住居に、少なくとも1つの他プレイヤーの建物が直接的に隣接しているなら、改築のコストは6コインではなく3コインとなります(労働者のコストは変わりません)。 そのラウンド中の得点タイルが交易所を参照するものなら、交易所に改築するたびに3勝利点を獲得します。 例 この得点タイルは交易所に改築するたびに3勝利点をもたらします。 交易所から砦への改築 このアクションはゲーム中に1回しか実行できません。 交易所から砦への改築コストは勢力によって異なります。砦を建設すると、勢力ごとに特別な能力を使用できるようになります(詳細は勢力の詳細で説明します)。そのラウンド中の得点タイルが砦を参照するものなら、砦に改築すると5勝利点を獲得します。 交易所から神殿への改築 交易所から神殿への改築コストは2労働者と5コイン(*)です。神殿を建設後、即座に恩恵タイルを1枚(**)獲得します。獲得した恩恵タイルの効果は即座に発揮されます。もしくは獲得した恩恵タイルの特別アクションをアクションフェイズ中に使用することができるようになります。既に獲得した種類と同じ恩恵タイルの2枚目を獲得することはできません。恩恵タイルの効果の詳細は恩恵タイルの詳細で説明します。 (*エンジニアは交易所と神殿への改築コストが1コイン少なくて済みます。スウォームリングは交易所と神殿への改築コストが1コイン多く必要です。) 神殿から聖域への改築 このアクションはゲーム中に1回しか実行できません。 神殿から聖域への改築コストは勢力によって異なります。聖域を建設後、恩恵タイルを1枚(**)獲得できます。そのラウンド中の得点タイルが聖域を参照するものなら、聖域に改築すると5勝利点を獲得します。 (**カオスマジシャンは恩恵タイルを1枚ではなく2枚獲得します。) パワーの獲得 他プレイヤーがあなたの建物に直接的に隣接して建物を建設、もしくは建物を改築したとき、あなたはパワーを獲得することができます。 建物の隣接ボーナスによるパワーの獲得 それぞれの建物にはパワー値が割り振られています。各建物のパワー値は勢力ボードの各建物トラックの右側に示されています。 例 新たに住居の建設や建物の改築を行った際、それに直接的に隣接する建物があるならば、その建物の所有者はパワーを得ます。得られるパワーの総数は、新たに建てた建物に直接的に隣接する建物のパワー値を合計したものです。 例 青のプレイヤーが新しく住居を建設しました。これによって黄色のプレイヤーはパワー3を得ます。 なぜなら、新たに建設された住居と黄色プレイヤーの住居1個と神殿1個が直接的に隣接しているからです。 これらのパワー値は住居は1、神殿は2のため、合計で3のパワーを得ます。 黄色の交易所は直接的に隣接していないことに注意してください。 補足説明 自身が所有する建物に直接的に隣接させて新たな建物を建てたとしてもパワーを得ることはありません。パワーを得られるのは、あなたの建物に他プレイヤーが隣接して建物を建てた場合だけです。 この方法でパワーを獲得できるプレイヤーが複数人いる場合、手番プレイヤーの次のプレイヤーから手番順に、パワーを獲得するかどうかを決めていきます。(パワーの受け取りを拒否することもできます。詳細は次のパートで説明します。) パワーのコスト 建物の隣接ボーナスによって得られるパワーは無料で得られるわけではありません。この方法でパワーを獲得するには、獲得するパワー合計値から1を引いた値と同じだけの勝利点を支払う(失う)必要があります。 つまり、1/2/3/4/…パワーを得るためには0/1/2/3/…点を支払う必要があります。 例 この例において、3パワーを得るなら2勝利点を支払う必要があります。 補足説明 勝利点の下限は0点です(勝利点を0より小さくすることはできません)。 勝利点の支払いを避けるためにパワーの一部のみを受け取ることはできません。勝利点を支払ってパワーをすべて受け取るか、パワーをすべて受け取らないかのどちらかです。(例外:パワートレイⅠ、パワートレイⅡに十分な数のパワーコマがない時は、可能な限りパワートレイⅢにパワーコマを移動させ、それに対応するだけの勝利点を支払います。また、支払える勝利点が足りない場合(例えば3パワーを得られるが、勝利点が1点しかない場合など)は勝利点が0点になるまで支払った勝利点と対応するだけのパワーを得ることができます。) パワーを獲得する際に勝利点を支払わなければいけないのは建物の隣接ボーナスによってパワーを獲得する場合だけです。その他の方法でパワーを獲得した場合は勝利点の支払いは必要ありません。 パワー獲得のサマリー パワーは以下の方法で獲得できます。 あなたの建物に直接的に隣接させて他プレイヤーが建物を建てる、もしくは改築したとき 交易所と砦からからの収入(エンジニアの場合はさらに神殿からも得られます) 特定のボーナスカードからの収入 特定の恩恵タイルからの収入 町の設立を行った際、特定の町タイルを取得した場合の報酬 特定の得点タイルが有効になっている場合のフェイズ3における教団ボーナス(詳細は教団ボーナスで説明します) 教団トラックのマーカーを進める(詳細は次のパートで説明します) 教団トラックからのパワー獲得 各教団トラックからもパワーを獲得できます。 各教団トラックの3/5/7/10スペース目にマーカーが到達する(もしくは通過する)と1/2/2/3パワーを獲得できます。 この方法では、該当スペースにマーカーが到達した(もしくは通過した)1回のみパワーを獲得できます。 例 黄色のプレイヤーは風の教団トラックのマーカーを3スペース動かし、4パワーを獲得します。 補足説明 各教団トラックの10スペース目には1人のプレイヤーのみがマーカーを進めることができます(早い者勝ち)。 10スペース目にマーカーを進めるためには町の設立が必要です(詳細は町の設立で説明します)。 例 町を2つ設立していたので2つの教団トラックにおいて10スペース目にマーカーを進めることができます。(ただし、他プレイヤーが既に10スペース目にマーカーを置いている場合は、その教団トラックの10スペース目にマーカーを進めることはできません。) アクション#5-教団の修道会へ司祭の派遣 教団ボードの各教団トラックの下部には、司祭コマを1個だけ置くことができるスペースが4つずつ用意されています。 1アクションとして、司祭コマ1個をこのスペースに置くことで対応する教団トラックのマーカーを3スペースもしくは2スペース進めることができます(司祭を置くスペースによって進めるスペース数が異なります)。 もしくは、手元にある司祭コマ1個をストックに戻すことで任意の教団トラックのマーカーを1スペースだけ進めることができます。 司祭の派遣についての詳細 教団トラックのマーカーを進める際、対応するスペースにマーカーが到達(もしくは通過)すると、パワーを得ることができます 修道会へ派遣した司祭コマ(教団ボードに置いた司祭コマ)を取り戻すことはできません。司祭コマは各プレイヤー固有のサプライで上限が7個であることに注意してください。 司祭コマを失いたくない場合はストックに戻すことで1スペース進めるアクションを実行してください。 修道会の4つのスペースが全て埋まっていたとしても、司祭コマをストックに戻すアクションは実行できます。 マーカーを進められないにもかかわらず、(他プレイヤーの邪魔をするためだけに)修道会のスペースへ司祭コマを置くことは可能です。 アクション#6-パワーアクション パワーアクションには2種類のアクションがあります。 ゲームボードのパワーアクション ゲームボード上のパワーアクション(オレンジ八角形のアイコンで示されています)は各ラウンドでそれぞれ1回しか行うことができません。 このアクションを行うたびに、表示されたコストの数字と同じ数のパワーコマをパワートレイⅢからパワートレイⅠまで移動させます。次に、このアクションがこのラウンドではもう使用できないことを示すために、ゲームボード上の対応するスペースにアクショントークンを置きます。それぞれのパワーアクションの詳細についてはパワーアクションの詳細で説明します。 例 パワーアクションが使用できないことを示すためにパワートークンを対応するスペースに置きます。ゲームボードのパワーアクションのコストは3,4,6のいずれかです 補足説明 他プレイヤーの邪魔をするためだけにパワーアクションを実行することは可能です。例えば、サプライに司祭コマが無いにもかかわらず、司祭コマ獲得のパワーアクションを実行することができます。ただし、アクション実行のために必要なコストは支払う必要があります。 リソースの変換 「自分の手番中」かつ「アクションの行う前か行った後」のときに、望むだけ変換を実行できます。これはアクションとは見なされません。 次の変換を実行できます。(これは勢力ボードにも示されています。) 5パワーを1司祭に変換 3パワーを1労働者に変換 1パワーを1コインに変換 1司祭を1労働者に変換 1労働者を1コインに変換 補足説明 リソースの変換は手番中の1アクションには数えられません。 アクションを行った後、もしくはアクションを行う前でも手番中なら何度でもリソースの変換を行えます。 パワーの破棄 特定のパワーアクションまたはリソース変換を実行する際、パワートレイⅢに十分な数のパワーがない場合、即座にパワートレイⅡからパワートレイⅢにパワーコマを移動させて目的の行動を実行できます。 ただし、この方法を採る場合、移動したパワーコマ1個につきパワートレイⅡからパワーコマ1個を除外する必要があります。除外されたパワーコマはゲームから取り除かれ、それ以降使用することができなくなります。つまり、パワーサイクル中のパワーコマの総数が減ります。 また、パワートレイⅡにパワーコマが1個しかない場合は「パワーの破棄」を行うことはできません。 アクション#7-特別アクション 各特別アクションは、パワーアクションのように各ラウンドにつき1回しか実行できません。 特別アクションはオレンジ色の八角形のアイコンで示され、様々なアクションがあります。 いくつかの勢力では砦を建設すると特別アクションを実行できるようになります(詳細は勢力の詳細で説明します)。 例 ウィッチは砦を建設すると「1ラウンドにつき1回だけ住居1個を無料で建設できる」という特別アクションを実行できるようになります。 恩恵タイルやボーナスカードの中には任意の教団トラックのマーカーを1スペース進めるための特別アクションを実行できるようになるものがあります。また、ボーナスカードの中には地形を変換するためのスコップをもたらすものもあります。 例 これらのうちのどちらか1つでも獲得をすれば、任意の教団トラック1つのマーカーを1スペース進める特別アクションを実行できます。 特別アクションを実行したら、その特別アクションはラウンド中に再度使用できないことを示すために、アクショントークンが置かれます。 アクション#8-パス ラウンド中にこれ以上アクションを行えない、もしくは行いたくない場合はこのアクション:「パス」を実行して、ラウンドが終わるのを待たなければいけません。 最初にパスを行ったプレイヤー次のラウンドのスタートプレイヤーとなります(スタートプレイヤーコマを受け取ります)。 「パス」をしたとき、自分が所有するボーナスカードを1枚戻した後、3枚の取得可能なボーナスカードから1枚だけを取ります(例外:最後のラウンド(第6ラウンド)ではボーナスカードを取りません)。このとき、他プレイヤーが既に戻したボーナスカードを取っても構いません。 もし、コインが置かれているボーナスカードを取ったなら、そのコインも同時に獲得します。 ボーナスカードの中には戻した際に勝利点を獲得できるものがあります。 ボーナスカードの例 アクション:パスを行った際、このボーナスカードを戻したなら、ゲームボード上にある自分の住居コマ1個につき1勝利点を獲得します。 アクション:パスを行った際、このボーナスカードを戻したなら、ゲームボード上にある自分の交易所コマ1個につき2勝利点を獲得します。 アクション:パスを行った際、このボーナスカードを戻したなら、ゲームボード上に自分の砦コマか聖域コマがあれば、4勝利点を獲得します。 パスについての補足説明 取得可能なボーナスカードは3枚のうちのどれかです。戻したボーナスカードを即座に取得する(つまり、戻したものを再び取り戻す)ことはできません。 保持できるリソースについての制限はありません。次ラウンドにすべてのリソースを持ち越すことができます。 他プレイヤーがパスをしたとしても、パスをしていないプレイヤーは望むだけアクションを実行することができます。全てのプレイヤーがパスを行ったらアクションフェイズは終了しますが、それまではアクションフェイズは続行されます。 町の設立 次の2つの条件の両方を満たすと、町が自動的に設立されます(これはアクションではなく、条件を満たすと自動的に行われる)。 条件1 自分の色の建物4つ以上(4つも含む)が互いに直接的に隣接していること 例外:聖域を含む場合は建物3つ以上が互いに直接的に隣接することで条件1を満たせます。 条件2 「条件1」で隣接している全ての建物のパワー値合計が7以上(7を含む)であること 補足:住居のパワー値は1、交易所・神殿のパワー値は2、砦・聖域のパワー値は3です。 これらの条件を満たしたら、町タイルを取ります。町を設立したことを示すために、町を構成するこれらの建物コマが置かれている地形ヘクスのいずれかに町タイルを置きます。 町を設立することのメリット 取得した町タイルに記されている数字分の勝利点を即座に獲得します。そのラウンド中の得点タイルが町を参照するものなら、追加の5勝利点を獲得します 例 この得点タイルは町を設立するたびに5勝利点をもたらします。 取得した町タイルに示されている報酬を即座に獲得します。これは町タイル取得時に一度だけです。(報酬は各教団トラックのマーカーを1進める、1司祭、2労働者、6コイン、8パワーのいずれかです。) 町タイル1つを取得すると「鍵」を1つ獲得します。鍵1つにつき1つの教団トラックの最後のスペース(10のスペース)へマーカーを進めることができるようになります。(この鍵がなければ教団トラックの9のスペースまでしかマーカーを進めることができません。なお、教団トラックのスペース10に進めるならば、鍵を保持してスペース10に勧めない選択を取ることはできません。鍵は強制的に使用されます。) 補足説明 町を設立する際、条件を満たすのに必要な数以上の建物があったとしても、互いに直接的に隣接する建物全てが1つの町を構成します。(このとき、橋の存在に注意してください。) 間接的に隣接する建物は町の設立条件を判定する際に無視されます。(例外:マーメイドは町の設立時に河川ヘクス1つを無いものとして見なすことができます。) 既存の町を構成する建物に、直接的に隣接させて新たに建物を建設する場合、新たな町を設立することにはならず、既存の町を拡張するだけです。 新たに建物を建設して2つの既存の町が繋がった場合、これらの町が持っていた個々の権利や機能が失われることはありません。 1ゲーム中に設立することができる町の上限数は10です。 フェイズ3:教団ボーナスとクリーンアップフェイズ フェイズ2ですべてのプレイヤーが「アクション:パス」を行ったら、そのラウンドでのアクションフェイズは終了します。 第1~第5ラウンドではアクションフェイズが終了した後、次ラウンドの準備のためにクリーンアップフェイズが行われます。(第6ラウンドではクリーンアップフェイズは行われません。) 教団ボーナス まず、現在のラウンドでの得点タイルに示されている教団ボーナスの処理を行います。 各プレイヤーは得点タイルに示されている教団トラックを必要なだけ進めていたなら、それに示されている報酬を受け取ります。これは複数回の受け取りが起こる場合があります。 例 左の得点タイルの場合、風の教団トラックにおいてマーカーを6スペース分進めていたなら3労働者を獲得します。 右の得点タイルの場合、土の教団トラックにおいてマーカーを8スペース分進めていたなら2スコップを獲得します。 補足説明 教団ボーナスは次ラウンドでのプレイ順で与えられます。(これはスコップに関係します。) 教団ボーナスでスコップを獲得した際に追加のスコップを獲得することはできません。(教団ボーナスでスコップを獲得したとき、ファキアの絨毯飛行やドワーフのトンネル工事を行うこともできません。なぜなら、これらの能力に必要なコストはアクションフェイズ以外で支払うことができないからです。また、ジャイアントが教団ボーナスによってちょうど1個のスコップのみを獲得した場合にはこのスコップは使用できずに失われます。) 教団ボーナスで獲得したスコップを次のターンに持ち越すことはできません。(獲得したそのフェイズ中に使用しなければいけません) 教団ボーナスで獲得したスコップを異なる地形に別々に使用しても構いません。(もちろん、スコップを使用できるのは自分の建物と隣接している地形のみです。) フェイズ3では住居の建設は行えません。 そのほかの処理 アクショントークン 「ボード上のパワーアクションスペース」、「勢力ボード、恩恵タイル、ボーナスカード上の特別アクションスペース」にあるアクショントークンが全てサプライに戻されます。 ボーナスカードのコイン 残っているボーナスカードそれぞれにサプライから1コインが置かれます。(もし、2ラウンド連続で誰にも選ばれずに残っているボーナスカードがあるなら、それには2コインが置かれることになります。) 得点タイル 現在のラウンドで使用した得点タイルが裏向きになります。これによって、現在が何ラウンド目なのかを知ることができます。 例 この画像の場合、2枚の得点タイルが裏向きになっています。つまり、現在のラウンドは3ラウンド目です。 第3ラウンドが終了すると、表向きの得点タイルのうち一番下のタイルが裏向きになります。 ゲーム終了と最終得点計算 第6ラウンドのアクションフェイズですべてのプレイヤーが「アクション:パス」をしたら最後のラウンドが終了します。ゲーム終了トークンで示されているように、最後のラウンドでは教団ボーナスがありません。 教団得点 4つの教団トラックそれぞれから教団得点が得られます。 各教団トラックにおいて、最も高くまでマーカーを進めているプレイヤーは8勝利点を得ます。 各教団トラックにおいて、2番目に高くまでマーカーを進めているプレイヤーは4勝利点を得ます。 各教団トラックにおいて、3番目に高くまでマーカーを進めているプレイヤーは2勝利点を得ます。 ただし、各教団トラックにおいて、「0」の位置にマーカーがあるプレイヤーはその教団トラックからは勝利点を得られません。 これらの値はゲームボードの左上に示されています。 1スペースに複数のマーカーがある場合(マーカーの進度の順位が同じ場合)は、同率のプレイヤーの間で勝利点を均等に山分けします(端数は切り捨て)。 例 2人のプレイヤーが火の教団の9スペース目までマーカーを進めており、進度の順位が同率1位でした。この場合は(8+4=12)勝利点を2人のプレイヤーで均等に山分けします。そのため、2人は6勝利点ずつ得ます。 エリア得点 各プレイヤーは、まず、自身の建物が一連に接続している最大の建物群を参照します。それに含まれる、互いに直接的もしくは間接的に隣接している自身の建物数を数えます(この建物数を「①」とします)。ただし、このとき船舶レベルに応じて河川ヘクスを挟む地形が間接的に隣接することに注意してください。 例 これら8個の建物は船舶レベルが1以上であれば、全てが互いに隣接していることになります。なぜなら、船舶レベルが1なら、河川ヘクス1スペース分を挟んだ地形は間接的に隣接していると見なされるからです。ただし、河川ヘクス2スペース分を挟んだ地形同士が間接的に隣接するには船舶レベルが2以上必要となります。 (ドワーフの場合、トンネル工事によって到達できる建物も隣接していると見なされます。ファキアの場合、絨毯飛行によって到達できる建物も隣接していると見なされます。しかし、ウィッチのほうき飛行で到達できる建物は隣接しているとは見なされません(詳細はウィッチで説明します)。) その後、次のように得点処理を行います。 ①が最も多いプレイヤーは18勝利点を獲得します。 ①が2番目に多いプレイヤーは12勝利点を獲得します。 ①が3番目多いプレイヤーは6勝利点を獲得します。 これらの値はゲームボードの左上に示されています。 一連に接続している建物数が同数の場合(一連に接続している建物数の順位が同じ場合)は、同率のプレイヤーの間で勝利点を均等に山分けします(端数は切り捨て)。 例 あるプレイヤーは10個の建物を接続させていました。別のプレイヤー3人が9個の建物を接続させていました。まず、10個の建物を接続させていたプレイヤーは18勝利点を獲得します。次に、3人のプレイヤーは6勝利点ずつ獲得します。なぜなら、(12+6+0=18)勝利点を均等に山分けするからです。 リソース得点 最後に、残っているリソースによって勝利点を獲得します。残っている3コインにつき1勝利点を獲得します。このとき、残っている全てのリソースをコインに変換することができます。詳細はリソースの変換を参照してください。 勝者の決定 ゲーム中に獲得した勝利点と、これらの勝利点を全て合計します。 最も勝利点の多いプレイヤーがゲームの勝者です。 同点の場合のタイブレークはありません(同点のプレイヤーは同順位となります)。 パワーアクションの詳細 橋の建設 パワートレイⅢからパワートレイⅠにパワーコマ3個を移動させることでこのアクションを実行できます。 河川ヘクス1スペースに橋を建設できます。このアクションを行うには、橋を建設することで接続する地形ヘクスに自身の建物が1つ以上含まれていなければいけません。橋を建設することで、これらの地形ヘクスや建物は直接的に隣接します(詳細は「隣接」の詳細を参照してください)。 橋を建設できるのは次のような箇所です。これはゲームボードに示されています。 補足説明 船舶レベルが0の場合、川を挟んだ地形へは、橋によって接続することによってのみ到達することができます。橋を介して直接的に隣接した地形ヘクスは変換したり、住居を建てることができます。 橋を介して接続している建物は直接的に隣接していると見なします。これは町の設立などで一連に接続していると見なされます。一方で、船舶レベルによって間接的に隣接している建物はこの限りではありません。 建設した橋を取り除いたり移動することはできません。橋のサプライはプレイヤーごとに固有で上限数があることを忘れないでください。 司祭・労働者・コイン 司祭 パワートレイⅢからパワートレイⅠにパワーコマ3個を移動させることで1司祭を自身のサプライから取り、勢力ボードに置きます。 労働者 パワートレイⅢからパワートレイⅠにパワーコマ4個を移動させることで2労働者をサプライから取り、勢力ボードに置きます。 コイン パワートレイⅢからパワートレイⅠにパワーコマ4個を移動させることで7コインをサプライから取り、勢力ボードに置きます。 スコップ 1スコップ パワートレイⅢからパワートレイⅠにパワーコマ4個を移動させることで、「アクション#1-地形の変換と建設」を実行するための無料の1スコップ獲得します。 この無料の1スコップだけでは拠点地形まで変換することができないなら、自身の「変換レベル(労働者とスコップの変換レート)」に応じて、労働者(*)を支払って追加のスコップを得ることができます。 2スコップ パワートレイⅢからパワートレイⅠにパワーコマ6個を移動させることで、「アクション#1-地形の変換と建設」を実行するための無料の2スコップ獲得します。 この無料の2スコップだけでは拠点地形まで変換することができないなら、自身の「変換レベル(労働者とスコップの変換レート)」に応じて、労働者(*)を支払って追加のスコップを得ることができます。 また、自身の拠点地形に変換するのに1スコップだけで十分な場合は、残りの1スコップを別の地形ヘクスを変換するのに使用することができます。ただし、追加で変換した別の地形ヘクスに住居を建設することはできません。 (*ダークリングは労働者の代わりに1司祭を支払う必要があります。) 恩恵タイルの詳細 神殿や聖域を建設すると恩恵タイルを1枚獲得できます(カオスマジシャンは1枚ではなく2枚の恩恵タイルを獲得します)。獲得した恩恵タイルは表向きにして手元に置きます。恩恵タイルは同じ内容のものはなく、全12種類です。 即座に、そして一度だけ、対応する教団トラック1つのマーカーを3スペース進める効果を持つ恩恵タイルが4枚あります。各教団に対して1枚ずつあります。 残りは獲得すると特殊な能力を使用できるようになる恩恵タイルです。これに加えて、即座に、そして一度だけ対応する教団トラックのマーカーを2スペースもしくは1スペース進める効果を持つ恩恵タイルです。各教団に対して1種類ずつあります。 (これらの恩恵タイルの効果によって教団トラックのマーカーが進んだ結果、パワーを得ることがあります。(詳細はパワーの獲得を参照してください)。) 以下、それぞれのタイルの詳細を記します。 教団トラック火の教団トラックのマーカーを2スペース進める。タイル効果町を設立する際、7パワーではなく6パワーで条件が満たされることになります(詳細は町の設立を参照してください)。(このタイルを獲得したことで今まで町の条件を満たしていなかった場所に町が設立する場合があります。) 教団トラック水の教団トラックのマーカーを2スペース進める。タイル効果特別アクションとして任意の教団トラック1つのマーカーを1スペース進めることができるようになります(これはアクションフェイズ中に1回のみ実行可能)。このアクションを実行したらアクショントークンがこのタイルに置かれます。(詳細はアクション#7-特別アクションを参照してください)。 教団トラック風の教団トラックのマーカーを2スペース進める。タイル効果フェイズ1:収入フェイズにおいて、追加の4パワーを獲得します。 教団トラック土の教団トラックのマーカーを2スペース進める。タイル効果フェイズ1:収入フェイズにおいて、追加の1労働者と1パワーを獲得します。 教団トラック火の教団トラックのマーカーを1スペース進める。タイル効果フェイズ1:収入フェイズにおいて、追加の3コインを獲得します。 教団トラック水の教団トラックのマーカーを1スペース進める。タイル効果住居から交易所に改築した場合、即座に追加の3勝利点を獲得します。 教団トラック風の教団トラックのマーカーを1スペース進める。タイル効果アクション#8-パスを行った際、ボード上にある自身の交易所コマが1/2/3/4個なら、追加の勝利点2/3/3/4点を獲得します。 教団トラック土の教団トラックのマーカーを1スペース進める。タイル効果住居を建設した場合、即座に追加の2勝利点を獲得します。 得点タイルの詳細 ゲームボードに置かれている得点タイルはそれぞれ1ラウンドを表しています。得点タイルの左側には、そのラウンド中に追加で勝利点を得る方法が示されています。右側にはラウンド終了時に(フェイズ3で)与えられる教団ボーナスの条件とその内容が示されています。教団ボーナスを受け取るために、教団トラックのマーカーを戻す必要はありません。 なお、教団ボーナスにおいて無料のスコップを得るものがありますが、これを使用する際に労働者(ダークリングは司祭)を支払って追加のスコップを獲得することはできません(詳細は教団ボーナスを参照してください)。 以下に得点タイルの詳細を記します。 アクションフェイズ住居を建設した場合、追加の2勝利点を得る。 ラウンド終了時水の教団トラックにおいてマーカーを進めていれば、4スペースごとに自身のサプライから1司祭を得る。 アクションフェイズ住居を建設した場合、追加の2勝利点を得る。 ラウンド終了時火の教団トラックにおいてマーカーを進めていれば、4スペースごとに4パワーを得る。 アクションフェイズ交易所を建設した場合、追加の3勝利点を得る。 ラウンド終了時風の教団トラックにおいてマーカーを進めていれば、4スペースごとに即座に無料の1スコップを得る(これは次ラウンドでの手番順に獲得する)。 アクションフェイズ交易所を建設した場合、追加の3勝利点を得る。 ラウンド終了時水の教団トラックにおいてマーカーを進めていれば、4スペースごとに即座に無料の1スコップを得る(これは次ラウンドでの手番順に獲得する)。 アクションフェイズ砦もしくは聖域を建設した場合、追加の5勝利点を得る。 ラウンド終了時風の教団トラックにおいてマーカー進めていれば、2スペースごとに1労働者を得る。 アクションフェイズ砦もしくは聖域を建設した場合、追加の5勝利点を得る。 ラウンド終了時火の教団トラックにおいてマーカー進めていれば、2スペースごとに1労働者を得る。 アクションフェイズスコップを使用するたびに追加の2勝利点を得る(1スコップにつきなのか、1回の使用につきなのかは不明。恐らく1スコップにつき2点だと思われる)。 ラウンド終了時土の教団トラックにおいてマーカー進めていれば、1スペースごとに1コインを得る。 アクションフェイズ町を設立するたびに追加の5勝利点を得る(町1つにつき5点、鍵1つにつき5点ではない)。 ラウンド終了時土の教団トラックにおいてマーカーを進めていれば、4スペースごとに即座に無料の1スコップを得る(これは次ラウンドでの手番順に獲得する)。 ボーナスカードの詳細 ボーナスカードは9種類があります。これらを持っていることでフェイズ1:収入フェイズにおいて追加の収入を獲得します。すべてのボーナスカードの効果は1ラウンドにつき1回のみで、ラウンド終了時にボーナスカードをボードに戻さなければいけません。 以下にボーナスカードの詳細を記します。 フェイズ1において、追加の1司祭を獲得します。 フェイズ1において、追加の1労働者と3パワーを獲得します。 フェイズ1において、追加の6コインを獲得します。 フェイズ1において、追加の3パワーを獲得します。さらに、このボーナスカードを所持している間だけ、フェイズ2において船舶レベルが1上昇します。ただし、第6ラウンドにおいてこのボーナスカードを所持していたとしても、最終得点計算時に船舶レベルが1上がる効果を受けることはできません。(ドワーフとファキアは船舶レベルが1上がる効果を受けることができません。) フェイズ1において、追加の2コインを獲得します。さらに、このボーナスカードを所持している間だけ、フェイズ2において「アクション#1-地形の変換と建設」を行うための無料の1スコップを獲得するという特別アクションを実行できるようになります。(この特別アクション実行時、拠点地形に変換するためのスコップが足りないなら労働者を支払って追加のスコップを獲得することができます。ダークリングは1スコップにつき1司祭の支払いが必要です。) フェイズ1において、追加の4コインを獲得します。さらに、このボーナスカードを所持している間だけ、フェイズ2において「任意の1つの教団トラックのマーカーを1スペース進める」という特別アクションを実行できるようになります。 フェイズ1において、追加の2コインを獲得します。また、「アクション#8-パス」でこのボーナスカードを戻した際、ボード上にある自身の住居コマ1個につき1勝利点を獲得します。 フェイズ1において、追加の1労働者を獲得します。また、「アクション#8-パス」でこのボーナスカードを戻した際、ボード上にある自身の交易所コマ1個につき2勝利点を獲得します。 フェイズ1において、追加の2労働者を獲得します。また、「アクション#8-パス」でこのボーナスカードを戻した際、ボード上に自身の砦コマもしくは聖域コマがあるなら4勝利点を獲得します(どちらもあるなら8勝利点を獲得します)。 町タイルの詳細 町タイルは5種類、それぞれ2枚ずつの計10枚があります。町を設立したら町タイルを1枚選び、それを取得します。町タイルを取得したら、即座に一度だけタイルの報酬を獲得します。町タイルを複数取得する場合、同じ種類の町タイルを取得しても構いません。 以下、町タイルから得られる報酬の詳細を記します。 9勝利点を獲得します。さらに、自身のサプライから1司祭を獲得します。 8勝利点を獲得します。さらに、4つの各教団トラックにおいてマーカーを1スペースずつ進めます。 7勝利点を獲得します。さらに、サプライから2労働者を獲得します。 6勝利点を獲得します。さらに、8パワーを獲得します。 5勝利点を獲得します。さらに、サプライから6コインを獲得します。 勢力の詳細 14勢力の特別な能力、砦を建設後の報酬について説明します。また、テーブルオプションで勢力ごとに初期勝利点が異なるオプションを選択した場合の点数についても説明します。並びは勢力(拠点地形)の色別です。 オウレン オウレンは肉体を持たずに存在すると言われている森林に住む謎の種族です。残念ながら、あなたが森を彷徨っている間に彼女らの姿を見ることはできないので、その存在を証明することはでないでしょう。危機を感じたり、仲間が訪れたことを感じ取ると、彼女らは木々と同化し見えなくなるのです。 初期勝利点 27点 能力 なし 砦 砦を建設した場合、即座に、そして一度だけ恩恵タイルを1枚獲得します。さらに、アクショントークン1枚を獲得します。以降、特別アクションとして(1ラウンドにつき1回だけ)、任意の教団トラック1つのマーカーを2スペース進められます(もちろん、10スペース目にマーカーを進めるには鍵が必要)。アクショントークンはこのアクションを実行したことを分かりやすくするために使用します。 ウィッチ ウィッチは森に住んでいると同時に風を支配する種族でもあります。彼女らはほうきに乗って飛行することができます。これが、ウィッチが目撃されていなかった森に、突然たくさんのウィッチが住み着いている理由です。彼女らはとても社交的な種族で、大規模なウィッチの町に行くことを好みます。そこでは惚れ薬と携帯用の呪いが交換されています。 初期勝利点 19点 能力 町を設立するたびに5勝利点を獲得する。 砦 「ほうき飛行」砦を建設した場合、即座に、そして一度だけアクショントークン1枚を獲得します。以降、特別アクションとして(1ラウンドにつき1回だけ)、空いている「森林」の地形ヘクスに住居を1個建設できます。このとき、住居建設ためのコストを支払う必要はありません。また、この能力によって住居を建設する時だけ、隣接ルールを無視できます。このアクションによって、任意の森林ヘクスに住居を建設できます。ただし、「ほうき飛行」は任意の地形ヘクスを森林に変換できるわけではないことに注意してください。アクショントークンはこのアクションを実行したことを分かりやすくするために使用します。 アルケミスト アルケミストは世界を構成するエレメントに対する深い知識を持っており、彼らのある目的のためにエレメントの使用法を模索しています。彼らは金の生成法を知っています。しかし、その生成法は非常に緻密なもので、金が本当に必要な時にしか価値がありません。錬金術師は硫黄やその他の試薬を安定的に得られる沼地を好んで定住します。 初期勝利点 27点 能力 「賢者の石」任意のタイミングで何度でも、「1勝利点→1コイン」に、もしくは「2コイン→1勝利点」に交換できます。 砦 砦を建設した場合、即座に、そして一度だけ12パワーを獲得します。以降、スコップの獲得方法に関わらず、スコップを使用して地形変換を行うたび、スコップ1つにつき2パワーを獲得します。 ダークリング ダークリングは邪悪で汚れたクリーチャーで、危険な沼地に誘惑して略奪と殺害のみを楽しみとしていると言われています。これらの噂を確かめようとしたのはごくわずかですが、ダークリングがエレメントについてかなり熟練した技術を持っていることだけは確かです。司祭はダークリングの秘密の知識を使って土地を広げています。 初期勝利点 15点 能力 地形を変換するためのスコップを獲得する際、(労働者ではなく)司祭を支払う必要があります。この能力で1司祭を支払って、地形を1段階変換するたびに2勝利点を獲得します 砦 「司祭の任命」砦を建設した場合、即座に、そして一度だけ所持している労働者コマを司祭コマに交換できる。労働者コマ1個につき司祭コマ1個と交換でき、交換は最大3回まで可能です。 ハーフリング ハーフリングは力が強いわけではなく、賢明なわけでもないという魔法の世界に見合わない小さな種族です。そのため、生活のためにとてもよく働きます。彼らは勤勉なので、驚くべきことを達成することさえあります。ハーフリングの家族が現れた土地は彼らの手によって一瞬にして立派な農場になるでしょう。 初期勝利点 20点 能力 スコップの獲得方法に関わらず、地形変換を行うたび、スコップ1つにつき追加の1勝利点を獲得します。 砦 砦を建設した場合、即座に、そして一度だけ3スコップを獲得します。これによって獲得したスコップによって通常ルールに従って地形を変換できます。このスコップを使用しなかった場合は失われてしまいます。これによって獲得したスコップを使って地形変換を行った後、コストを支払って、住居1個を建設しても構いません。 カルティスト カルティストは儀式を重んじます。彼らの生活は常に厳しい規則に基づいています。最も簡単な儀式でさえ、秘密のシンボルとエレメントへの祈祷を伴います。例えば、カルティストがバケツ一杯の水を井戸からくむ時、初めに土のエレメントと水のエレメントをそれぞれ分けて集める必要があります。さらに、くんだ水によって火のエレメントを消失させるつもりがないと誓わなければいけません。これはあまりにも精緻な作業のように思われるかもしれませんが、カルティストはエレメントの力を利用して大いに恩恵を受けることができているのです。 初期勝利点 16点 能力 カルティストの建設アクションによって、1人以上のプレイヤーがパワーを得ることにしたとき、カルティストのプレイヤーは任意の教団トラック1つを選び、その教団トラックのマーカーを1スペース進めます。パワーを得ることにした人数にかかわらず、1スペースだけ進めます。他のすべてのプレイヤーがパワーを得ないことにした場合、マーカーを進めることはできませんが、代わりにカルティストのプレイヤーは1パワーだけ獲得します。(他プレイヤーの建物と直接隣接していない場合、この能力は効果を持ちません) 砦 砦を建設した場合、即座に、そして一度だけ7勝利点を獲得します。 エンジニア エンジニアは元々、僻遠の谷間や渓谷に住む種族でした。今や、彼らは遠隔の居住地を繋ぐ橋や山道の建設法を学びました。彼らは自らの技術で自然を支配する手段をたくさん知っています。彼らが建設計画を練るとき、他の勢力にとって奇抜なものに見えるでしょう。 初期勝利点 16点 能力 1アクションとして、2労働者を支払って、橋を1つ建設できます。このアクションは1ラウンド中に何回でも行うことができます。また、このアクションを実行した後もパワーアクションで橋を建設することもできます。 砦 砦を建設した場合、以降、「アクション#8-パス」を行うたびに自身の建物2つを接続する橋1つにつき3勝利点を獲得します。 ドワーフ ドワーフは常に宝物や貴重な鉱石を探し求めて、絶え間なく掘削をしています。彼らは通常は鉱山を掘削していますが、その熱によって、時には周辺の土地まで掘り進めることもあります。その土地に住人が住んでいたとしても、ほとんどはドワーフが突然反対側の土地に現れるまでドワーフの存在に気が付きません。ドワーフは多くの土地を掘り起こし、これによって新たな山を形成します。将来的に、ドワーフはこの山を何度も掘削するのです。 初期勝利点 20点 能力 「トンネル工事」「アクション#1-地形変換と住居の建設」を実行するとき、2労働者を追加で支払うことによって、地形ヘクスもしくは河川ヘクス1スペースをスキップした地形ヘクスに対してこのアクションを実行できます。この能力を使用するたびに4勝利点を獲得します。ただし、ドワーフには船舶レベルがありません。最終得点計算時、トンネル工事によって到達できる建物は互いに隣接していると見なされます(その時点での労働者コマの数にかかわらず隣接していると見なされます)。 砦 砦を建設した場合、トンネル工事の能力を使用するためのコストが2労働者ではなく1労働者になります。 マーメイド マーメイドは美しい水の生き物で、テラ・ミスティカに生息し、川を使って旅をします。彼女らの魅力に惑わされて、多くの土地の所有者がマーメイドはテラ・ミスティカを水の世界に変えようとしていたことを忘れていました。マーメイドは尾びれを2本の脚にすることで陸地を横断できますが、そうするのは水上都市のために川を氾濫させる時か、建材を必要とする時だけです。 初期勝利点 19点 能力 町を設立する際、河川ヘクス1スペースをスキップして、河川ヘクスを挟んだ先にある建物と隣接していると見なすことができます。この能力の使用は任意です。この能力を使用せずに町の設立を見送ることもできます。この能力によって町を設立した場合は、スキップした河川ヘクスに町タイルを置きます。町タイルが置かれた河川ヘクスに橋を架けることは通常通り行えます。 砦 砦を建設した場合、即座に、そして一度だけ船舶レベルを1上げます。これによって船舶レベルを上げる場合は、1司祭と4コインをコストとして支払う必要はありません。船舶レベルを上げることによって勝利点を獲得できるなら、その勝利点を獲得します。 スウォームリング すべての勢力のなかでスウォームリングは最も社会的な種族です。その理由は単純で、彼らは孤独に耐えられないのです。彼らはいつも大勢の群れで活動します。ほとんど水の中にいますが、陸地にも上がることもあるようです。そんなスウォームリングが仕事を受けるときには友人や親戚筋からの強い支持や支援が保障されているでしょう。このようにして彼らは厳しい内容でも完遂してしまいます。 初期勝利点 22点 能力 町を設立した時、3労働者を追加で獲得します。 砦 砦を建設した場合、即座に、そして一度だけアクショントークン1枚を獲得します。以降、特別アクションとして(1ラウンドにつき1回だけ)、住居を交易所に改築できます。この特別アクションで改築する場合、コインや労働者をコストとして支払う必要はありません。アクショントークンはこのアクションを実行したことを分かりやすくするために使用します。 カオスマジシャン カオスマジシャンは破壊の力を至上のものとし、荒地を最も好みます。彼らは火を崇拝し、常に地下の溶岩流を探しています。噴火によって溶岩を流し、土地を荒地に変えようとしているのです。彼らは他者の時間を止めるという能力を持っており、しばしば混乱を招いています。 初期勝利点 19点 能力 カオスマジシャンのプレイヤーはゲーム開始時に住居コマを(2個ではなく)1個だけ置いてゲームを開始します。また、他のすべてのプレイヤーが住居コマをすべて置き終えた後に住居コマをボードに置かなければいけません(ノマドがいる場合はノマドのプレイヤーが3個目の住居コマを置き終えた後に置く)。神殿や聖域を建設したときに恩恵タイルを1枚ではなく2枚獲得します。恩恵タイルを2枚獲得する時、その獲得順は自由に選ぶことができます。 砦 砦を建設した場合、即座に、そして一度だけアクショントークン1枚を獲得します。以降、1ラウンドにつき1回だけ特別アクションを実行できるようになります。特別アクションの実行後、次のプレイヤー手番を実行する前に、カオスマジシャンのプレイヤーはアクションを2回実行します。同じ種類のアクションを2回実行しても構いません。ただし、「アクション#8-パス」も1アクションに含まれます(1回目にパスをしたら2回目のアクションは実行できない)。アクショントークンはこのアクションを実行したことを分かりやすくするために使用します。 ジャイアント ジャイアントは巨大で屈強な体を持つ種族です。彼らには木を引き抜くことや、山を平坦にすることなど造作もなく、彼らはこれを楽しみとしています。彼らはどんな地形ですら瞬時に荒地に変えてしまいます。彼らの中には荒地以外の土地に変換を試みた者もいましたが、全て失敗に終わりました。どうやら彼らは繊細な技術を扱うことはできないようです。 初期勝利点 25点 能力 ちょうど2スコップで任意の地形を拠点地形に変換できます。ただし、1スコップのみでは地形を変換することができません。また、拠点地形以外の地形に変換することができません。 砦 砦を建設した場合、即座に、そして一度だけアクショントークン1枚を獲得します。以降、特別アクションとして(1ラウンドにつき1回だけ)、地形変換のための2スコップを獲得します。獲得したスコップを使用して地形を変換した場合、その地形ヘクスにコストを支払うことで住居を建設できます。アクショントークンはこのアクションを実行したことを分かりやすくするために使用します。 ファキア ファキアは身体的欲求を最小限まで抑え込むことで霊的な力を大幅に向上させた種族です。彼らは絨毯を空中に浮遊させるという方法で問題を解決してきました。絨毯は操作方法さえ知ればとても便利な飛行道具です。ほうきとは異なり、絨毯は輸送を行えます。ファキアは砂漠に住むことを好みます。砂漠は植物や動物が不足しており、彼らの瞑想的なライフスタイルにマッチしているからです。 初期勝利点 33点 能力 「絨毯飛行」「アクション#1-地形変換と住居の建設」を実行するとき、1司祭を追加で支払うことによって、地形ヘクスもしくは河川ヘクス1スペースをスキップした地形ヘクスに対してこのアクションを実行できます。この能力を使用するたびに4勝利点を獲得します。なお、ファキアには船舶レベルがありません。最終得点計算時、絨毯飛行によって到達できる建物は互いに隣接していると見なされます(その時点での司祭コマの数にかかわらず隣接していると見なされます)。 砦 砦を建設した場合、絨毯飛行によって地形ヘクスや河川ヘクス2スペースまでスキップできるようになります。これは最終得点計算時にも適用されます。 ノマド ノマドは砂漠の騎馬民族です。彼らは常に移動しており、テントで生活していました。今日も、彼らは軽い素材を使用して住居を建設していることでしょう。こうすることで、大規模な移入を素早く行うことができるのです。ノマドは砂漠にしか住みませんが、彼らが群れることで砂嵐を起こし、周辺の土地まで砂漠を広げることができるのです。 初期勝利点 19点 能力 ノマドのプレイヤーはゲーム開始時に住居コマを(2個ではなく)3個置いてゲームを開始します。他のすべてのプレイヤーが2番目の住居コマを置いた後に3個目のコマを置きます(カオスマジシャンがいる場合はカオスマジシャンのプレイヤーが最後に住居コマを置く。ノマドのプレイヤーが3個目の住居コマを先に置く)。 砦 「砂嵐」砦を建設した場合、即座に、そして一度だけアクショントークン1枚を獲得します。以降、特別アクションとして(1ラウンドにつき1回だけ)、自分の建物に直接的に隣接する地形を、その種類によらず拠点地形に変換できます。これによって変換した地形ヘクスにコストを支払って、住居を即座に建設することができます。この能力は河川ヘクスや橋を介した地形ヘクスに対して使用することはできません。また、この能力で地形を変換してもスコップを使用したことにはなりません。アクショントークンはこのアクションを実行したことを分かりやすくするために使用します。 faqについて BGGにて公開されているfaqについても、その一部を含めてここでは説明しています。 ただ、詳細を説明しなくても理解できそう、ほとんど起こりえないであろうことは説明を省略しています。詳細を確認したい方は以下のページをご覧ください(ただし英語です。) BGGのfaqページ テーブルオプションについての説明 BGAにおいて、テーブルを立てる際に選択できるオプションの詳細を説明します。 ゲームボード ゲームボードは3種類から選択できます。 基本マップ 改訂版マップ 湖マップ 勢力ボード 入門ゲーム 「入門ゲーム」を選んだ場合は、「入門ゲーム」用のセットアップが行われます。「入門ゲーム」については入門ゲームのセットアップを参照してください。「ランダムゲーム(入門ゲームではなく、通常のゲーム)」でプレイしたい場合は、以下のいずれかのオプションを選んでください。 プレイヤーによる選択 スタートプレイヤーが任意の勢力を1つ選びます。その後、他のプレイヤーも手番順に従って任意の勢力を1つ選んでいきますが、残っているものしか選ぶことができません。そして、選んだ勢力の勢力ボードを受け取ります。 ランダムなボード選択 各プレイヤーにランダムな勢力ボードが1枚配られます。その後、プレイヤーは受け取った勢力ボードの表と裏のどちらを使用するのかを選択します。 競りによる選択 使用する勢力ボードを競りによって決定します。この方法による選択方法は以下を参照してください。また、このオプションは初心者がプレイする場合には導入しないことをオススメします。 勢力の競り 最初に、この競りにおける手番順がランダムに決定されます。次に、手番順に従って、使用する勢力を1人につき1つずつ選びます。ここで選ばれたすべての勢力に対して勝利点を使用した競りを行います。なお、選択はボードごと行うため、既に選択された勢力自体と、その勢力ボード裏面の勢力を後手番のプレイヤーが選択することはできません。 競りは何回かのラウンドを繰り返し行います。 まず、1番手プレイヤーが勢力1つを選び、その勢力を使用するためにどれくらいの勝利点を支払うのかを0~30の範囲内の値を1つ宣言することで入札し、その勢力を使用する権利を一時的に保有します。 次に、2番手以降のプレイヤーも同様に勢力1つを選び、0~30の範囲内で数字を1つ宣言します。ただし、既に誰かが入札している勢力に対して応札する場合は、その時点でのその勢力の最高値を上回るような数字を宣言しなければなりません。これによって入札した場合、今までその勢力を使用する権利を保有していたプレイヤーはその権利を失い、新たに最高値を付けたプレイヤーに権利が移ります。 最後のプレイヤーが入札し、一巡したらラウンド1が終了します。 ラウンド2以降でも同様のことを行いますが、直前のラウンドで勢力の使用権を保有しているプレイヤーの手番はスキップされます。直前のラウンドで他プレイヤーによって勢力の使用権を奪われたプレイヤーのみが手番を行います。ラウンド1と同様に、使用したい勢力1つを選んで入札を行います。このとき、今までのラウンドで選ばなかった勢力に対して応札しても構いません。 全プレイヤーが勢力の使用権を持った状態で一巡したら競りは終了します。 競りが終了したら、各プレイヤーは「(30) - (入札で宣言した値)」の点数を初期勝利点として持ってゲームを開始します。なお、ゲームの第1ラウンドの手番順は競りで勢力の使用権を保有したのが早かったプレイヤーが1番手、次にその保有が早かったプレイヤーが2番手…となり、最後に勢力の使用権を保有したプレイヤーが最後手番となります。 最初のラウンドの手番順は、競りの際に勢力の上にある#1~#5がそのまま手番順になります。(2020/9/5 修正) 例 4人でゲームをします。 まず、1番手から順番に競りをする勢力を1つずつ全員が選びます。 その結果、次のようになりました。 今回は、ノマド、カルティスト、ダークリング、マーメイドに対して競りを行います。 まず、プレイヤーAがカルティストに対して「2点」の値をつけて応札しました。 (BGAでは勢力の上に出ている数字がその勢力でゲームを開始した場合の初期勝利点を表します。) プレイヤーBはダークリングに対して「1点」の値を付けて応札しました。 プレイヤーCはノマドに対して「0点」の値を付けて応札しました。 最後手番の「waka_pirokal(プレイヤーDと読み替えてください)」はノマドに「1点」の値を付けて応札しました。 これで一巡したので、競りラウンド1が終了します。そして、プレイヤーCは「waka_pirokal」に勢力に使用権利を奪われたため、勢力の使用権利をまだ持っていません。そのため、新たな競りラウンドが開始します。 競りラウンド2が始まります。 プレイヤーA、プレイヤーBは既に勢力の使用権利を持っているため、手番をスキップします。 プレイヤーCはカルティストに「4点」の値を付けて応札しました。 「waka_pirokal」は既に勢力の使用権利を持っているため、手番をスキップします。 これで一巡したので、競りラウンド2が終了します。プレイヤーAはプレイヤーCに勢力の使用権利を奪われたため、新たな競りラウンドが開始されます。 競りラウンド3が開始されます。 プレイヤーAはカルティストを諦め、マーメイドに「0点」の値を付けて応札します。 これですべてのプレイヤーが勢力の使用権利を保有したことになり、競りが終了します。 プレイヤーAは初期勝利点30、マーメイドでゲームをプレイし、第1ラウンドでは4番手としてプレイします。 プレイヤーBは初期勝利点29、ダークリングでゲームをプレイし、第1ラウンドでは1番手としてプレイします。 プレイヤーCは初期勝利点26、カルティストでゲームをプレイし、第1ラウンドでは3番手としてプレイします。 waka_pirokalは初期勝利点29、ノマドでゲームをプレイし、第1ラウンドでは2番手としてプレイします。 初期勝利点 標準 すべての勢力はゲーム開始時点での勝利点が20点となります。 勢力による調整あり ゲーム開始時点での勝利点が変動します。 初期勝利点は使用する勢力とゲームボードの種別によって、次の通りに変動します。 基本ゲームマップ 初期勝利点 勢力名 30 ファキア、ジャイアント 25 オウレン、アルケミスト 20 ノマド、ドワーフ、マーメイド、スウォームリング、ハーフリング、カオスマジシャン、ウィッチ 15 エンジニア、カルティスト、ダークリング 改訂版ゲームマップ 初期勝利点 勢力名 30 アルケミスト 25 ファキア、オウレン、ジャイアント 20 ドワーフ、エンジニア、スウォームリング、ハーフリング、カルティスト、カオスマジシャン、ウィッチ 15 ノマド、マーメイド、ダークリング 湖マップ 初期勝利点 勢力名 30 ドワーフ 25 ファキア、スウォームリング、ジャイアント 20 ハーフリング、マーメイド、オウレン、ウィッチ、カオスマジシャン、アルケミスト 15 ノマド、エンジニア、カルティスト、ダークリング 手番の順序 ゲーム中の手番順に関するオプションです。 スタートプレイヤーから時計回り 最初にパスをしたプレイヤーが次ラウンドでのスタートプレイヤーとなります。そして、スタートプレイヤーから時計回りに(BGAの場合はプレイヤーインフォメーションにおいて下側に移動するよう)に手番を行います。 前ラウンドのパス順 最初にパスをしたプレイヤーが次ラウンドでのスタートプレイヤーとなることは変わりませんが、それ以降の手番は前ラウンドでパスをした順序と同じになります。 例えば、プレイヤーA、B、C、Dの4人でプレイしていて、前ラウンドでプレイヤーAが最初にパスをし、次にプレイヤーCが、その次にプレイヤーBが、最後にプレイヤーDパスをしたとします。この場合の次ラウンドに置ける手番順はプレイヤーA→C→B→Dとなります。 初心者と一緒にゲームをする場合には、このオプションを選択することをオススメします。 ミニ拡張 町タイル3枚4種とボーナスタイル1枚が追加されます。 追加の町タイル 11勝利点を獲得します。 4勝利点を獲得します。さらに、無料で自身の船舶トラック上のマーカーを1スペース進めます。(これによる勝利点も獲得します) 上記の船舶レベルを上げるタイルの裏面になり、ファキア専用です。4勝利点を獲得します。さらに、「絨毯飛行」によってスキップできる距離が1へクス伸びます。 2勝利点を獲得します。さらに、すべての教団トラック上の自身のマーカーを2スペース進めます。この町タイルには鍵が2本あります。 追加のボーナスタイル フェイズ1において、追加の3パワーを獲得します。また、「アクション#8-パス」でこのボーナスカードを戻した際、自身の船舶レベル1につき3勝利点を獲得します。| 特殊地形 このオプションでは、各勢力が特殊地形を配置できるようになります。 特殊地形には様々な特殊効果があり、より戦略の幅が広がるでしょう。 特殊地形に関する全般的なルール 各勢力は特殊地形を1枚だけ持った状態でゲームをスタートします。つまり、ゲーム中に1枚の特殊地形を置くことができます。 特に指定が無い場合は、プレイヤーはアクションフェイズ中に地形を自分の拠点地形に変換したとき、通常の地形タイルを置く代わりに特殊地形を置くことができます。教団ボーナスフェイズ中には配置できません。 特殊地形は「パワー値1の建造物」として扱います。 町の設立条件として、このパワー値を考慮に入れます。 他プレイヤーがあなたの特殊地形に直接隣接しているヘクスで建設した(またはそのヘクスに特殊地形を置いた)とき、あなたはパワーを得ることができます。 他プレイヤーの建造物(または特殊地形)に直接隣接しているヘクスに特殊地形を置いたとき、対象のプレイヤーはパワーを得ることができます。 エリアの得点計算や最終得点計算タイルにおいて建造物として点数計算を行います。 特に指定が無い場合は、特殊地形は既存のどの種類の建造物とも見なされません。たとえば、特殊地形は住居とは見なされないので、住居(および他の種類の建造物)によって勝利点をもたらすいかなるタイルも、特殊地形によって勝利点をもたらすことはありません。 特殊地形を他の建造物に改良することはできません。いったん置かれた特殊地形は、ゲーム終了までそのヘクスに残ります。 「2スコップ」パワーアクションを実行したとき、地形を特殊地形にするために1本目のスコップを使った場合、その特殊地形にのみ隣接している地形ヘクスを変換するために2本目のスコップを使うことはできません。 特殊地形の効果 オウレン:静穏の木 前提条件 なし 効果 静穏の木を置いたあと、オウレンは教団トラックのスペース10にマーカーを進めるたびに4勝利点を得ます。 ウィッチ:カラス小屋 前提条件 神殿2個 効果 カラス小屋を置いたあと、新たな町を設立するたびに、ウィッチは通常通りに5勝利点を得るか、または任意の教団トラック1つでマーカーを3スペース進めるかを選ぶことができます。 アルケミスト:薄暗い工房 前提条件 砦 効果 薄暗い工房を置いたとき、アルケミストは即座に(そして1回だけ)船舶トラック上でマーカーを1スペース進めることができ、さらにスコップの交換効率トラック上のマーカーを1スペース進めることができます(どちらか一方だけ実行することもできます)。このとき、司祭を支払う必要はありませんが、他の資源は支払わなければなりません。これによって、アルケミストは通常通りに勝利点を得ます。 ダークリング:キャンプ 前提条件 砦 効果 キャンプは住居として数えます。このため、住居によって勝利点をもたらすタイルは、キャンプによっても勝利点をもたらします。 キャンプを改良することはできません。 カルティスト:教団の宮殿 前提条件 なし 効果 ゲーム中、教団の宮殿は追加の効果をもたらしません。教団の得点計算中、カルティストは引き分けに勝利します(つまり、各教団トラック上で実際にマーカーがあるスペースよりも半スペースだけ進んでいると見なされます)。 ハーフリング:掘削機 前提条件 砦 効果 掘削機に直接隣接している地形ヘクスを変換するとき、ハーフリングは支払うスコップを1本少なくすることができます(ただし、最低1本は支払います)。 ドワーフ:大トンネル 前提条件 なし 効果 大トンネルをスタート地点として、ドワーフは地形/河川ヘクスを(1つではなく)2つ飛ばしてトンネル工事を行うことができます。また、教団ボーナスとしてスコップを得るたびに、ドワーフはそのスコップを使って(そして労働者を支払うことなく)トンネル工事を行うことができます(この場合、大トンネルをスタート地点とする必要はありません)。 エンジニア:橋塔 前提条件 なし 効果 橋塔を置いたとき、エンジニアは通常の橋と同じ方法で陸橋を建設する能力を得ます。 各陸橋は橋塔があるヘクスの6つの頂点のうち1つから出発し、その角に隣接している2ヘクス間の境界線沿いに伸ばさなければなりません。エンジニアはその境界線上に、実際に橋コマを置かなければなりません。その両側にあるヘクスのいずれかが河川であっても、両方とも陸地であってもかまいません。 また、両側にあるヘクスのいずれか(または両方)に自分や他プレイヤーの建造物があってもかまいません。 このため、エンジニアは陸橋によって、他プレイヤーの建造物のために通過できない場所を「突破」することができます。陸橋は、その両側にあるヘクス上の建造物の隣接を妨害しません。 砦を建設したあとの橋の得点計算において、陸橋は通常の橋として数えます(つまり、陸橋が自分の建造物2個をつないでいれば、エンジニアはその陸橋から3勝利点を得ます)。 マーメイド:珊瑚礁 前提条件 なし 特殊コスト スコップ1 効果 珊瑚礁は、マーメイドの建造物に直接隣接している(そして空いている)河川スペース上に置かなければなりません。珊瑚礁は、他プレイヤーが拡大や間接的な隣接のためにその河川スペースを使うことを妨げません。他の建造物と同様に、マーメイドは珊瑚礁を起点にして船を使うことができます。 スウォームリング:繁殖場 前提条件 聖域 効果 繁殖場を含む町は、より大きくなって追加の町タイルを得ることができます。 •パワー合計が14になったとき、この町は都市になり、2枚目の町タイルを得ます。 •パワー合計が21になったとき、この都市はメトロポリスになり、3枚目の町タイルを得ます。 •パワー合計が28 になったとき、このメトロポリスはメガシティになり、4枚目の町タイルを得ます。 「火2」の恩恵タイルを持っていれば、各段階の必要パワー合計はそれぞれ12、18、24に減ります。 カオスマジシャン:混沌の門 前提条件 砦。砦配置時に無料で配置する。 効果 砦を建設したとき、カオスマジシャンは即座に任意の空いている荒野(ゲームボード上のどこでもかまいません)に混沌の門を無料で置くことができます。 ジャイアント:叡智の洞窟 前提条件 神殿 効果 叡智の洞窟を置いたとき、ジャイアントは即座に(そして1 回だけ)、スコップの変換トラック上のマーカーを無料で1スペース進めることができます。そうした場合、ジャイアントは通常通りに6勝利点を得ます。 ファキア:飛行学校 前提条件 なし 効果 飛行学校を置いたあと、ファキアは絨毯飛行をするたびに2コインを得ます。 ノマド:交易キャンプ 前提条件 交易所 特殊コスト 変換か砂嵐 効果 交易キャンプに隣接して他プレイヤーが建設を行うたびに、ノマドは通常通りにパワーを得るか、またはストックからちょうど1コインを得るかを選ぶことができます。コインを得た場合、ノマドは勝利点を失いません。
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ある日一人の青年は朝起きると散歩がてら歩いていた。 日課としてだったので大して気にせずいつもの道を歩いていると 彼の目に飛び込んできたのは木に寄りかかり気を失っている一人の少女だった。 慌ててどうしようかと思ったが自分以外誰も居ない状況ということもあり、 彼女を担ぎ上げると自宅へと運んでいった。 これが青年と少女との初めての出会いであった。 自宅へと戻り彼女を布団に寝かせ幸いながら目立った外傷などは見当たらなかった為簡単に看病の形を整え終わってから 目覚めるまで待っていると今更ながらに少女が人間ではないことに気が付いた。 背中に羽が生えていることと多少人間と比べると長い手の爪が特徴的だったからだ。 「妖怪……だよな。まいったな。人間の姿を取っているから人食いではないとは思いたいけども。」 そう思ったが少女をそのままにしている訳にもいかずどうしたものかと考えていると少女が目を覚ました様だ。 「良かった、気が付いたみたいだね」 しかし彼女は酷く動転した様子で落ち着かない様子だ。 目覚めたら知らない場所で知らない人間が近くに居るのだ。 当然といえば当然の反応なので落ち着くまで待っていると 何やら口をパクパクしながら手を振り回している。 どうしたのやらと思っていると喉の辺りに手をやりながら酷く困惑している様子だ。 「もしかして……喋れない?」 そう問いかけてみると多少落ち着きを取り戻したのかコクコクと頷いて見せた。 小動物の様な感じがして可愛いと思ったがとりあえずどうしたものかとしばし考え、案を思いついたので尋ねてみる。 「君は字は書けるのかな?もし書けるのであれば多少不便だけどもこれに書いてもらえるかな、 このままじゃどうすればいいのかわからないし」 そういって紙と筆を渡してみる。 幸い、彼女は字を理解している様でさらさらとメモに書いてくれた。 【字はわかります】 そういって紙を見せてくれる。安心した青年はまだ彼女に名乗っていなかったことを思い出した。 「良かった、字がわかるのなら意思疎通は出来そうだね。それとまだ名乗っていなかったね。僕の名前は○○。 散歩の途中に君が倒れているのを見つけて悪いかもしれないとは思ったんだけども介抱させてもらったんだ」 そう伝えると彼女は頭を軽く下げると紙に筆を走らせて私に見せてきた。 【私の名前はミスティア・ローレライ。夜雀の妖怪です。 昨夜普通に飛びながら歌を歌っていたのですが急に声が出なくなってしまい混乱していると気づけば目の前に木があって…… その後はよく覚えていないんです】 そう言って伏し目がちに目を伏せる彼女。 なるほど、何故あの場所で気を失っていたのかは理解出来た。 しかし自分は妖怪に対する知識などはほとんど持っておらず彼女の病状などを解決するということも出来そうになかった。 どうしたものかとしばし思案し、思いついた事があったので彼女に告げてみる。 「もし良ければ自分と一緒に人里に行ってみないか? 自分は妖怪に対する知識などがないのでミスティアの病状を治すことは出来そうにないけれども 人里ならば賢人が何人かいらっしゃる。 彼女達ならばもしかしたらミスティアの病状の解決法を知っているかもしれない。」 この家は人里から少し離れた位置に建てているので多少歩くことにはなるが 人里には賢人である上白沢様や幻想郷縁起を執筆されている阿求様がいらっしゃる。 自分の様な凡人と違う彼女達ならもしかしたらこの病状の知識や解決策を知っているかもしれない。 それでなくとも里には時たま妖怪兎が薬の行商で立ち寄るらしい。 それこそ彼女に効く薬があるかもしれない、そう思ったのだ。 しかし彼女は浮かない顔をしている、どうしたのかと思っていると 【そこまで迷惑はかけられない。時間が経てば治るかもしれないし構わなくても構わない】 そう筆を走らせた。 彼女がそう言うのであれば仕方ないかとも多少思ったが 弱々しい彼女の様子を見て考え直した。 「まだ本調子ではないのだろう? それにこれも縁と思ってもらって構わない、 別に迷惑などとは思っていないし弱っている女性を放っておくわけにもいかないさ。気にしないで。 それにまた何処かで倒れられたりしたらそれこそ大事になってしまうしね」 そう伝えるとまだ納得していない様だったが頷いてくれた。 それから出かける用意をして外に出ると何やら彼女がまたもや困惑した様子をしている。 どうかしたのかと思っていると筆を走らせ、 【飛ぶことが出来ない、試してみたけれども弾幕も撃てない】 といったメモを見せてきた。 こちらは完全に一般人のため飛ぶことも弾を撃つことも出来ないため彼女の困惑が上手くわからなかったが成る程、 今まで普通に出来てたことが出来ないとなったら困惑もしてしまうな、と思い至った。 「そうなのか……自分は飛べもしないし弾も撃てない身だから上手くは理解出来ないけども大変そうだね。 それも含めて人里で伺ってみようか。大丈夫、なんとかなるさ」 そう出来るだけ明るい口調で言ったがやはり落ち込んでしまっているようだ。 なので話題を変えるために歩きながら軽い質問をしてみた。 「ミスティアは夜雀ということだけれどもどういった妖怪なんだい? 縁起では項目を見た気もするんだけれども失念してしまっていて」 そう尋ねるとまだ不安気ではあったものの筆を走らせてくれた。 【夜雀は歌を歌うのが好きなの、暇さえあれば歌っているわ。それに私だけだけども八目鰻の屋台もしているの。 焼き鳥を撲滅するためにしているのよ! 味にも自信あるし焼き鳥なんてものを絶対にこの世から撲滅してやるんだから!! それに……】 そういって書いている内にテンションが多少上がっていたミスティアを面白く見ていると急に筆が止まって俯いてしまった。 具合でも悪くなったのかと思っていると続きを書きだした。 【……それに夜雀は人を鳥目にして見えなくしてから襲ってしまうの】 そう書いた紙を見せて前を向いてしまった。 成る程、それは確かに伝えづらいことだ。と思ったが心配させないよう努めて軽い口調で返した。 「それは怖いね、自分もまだ食べられたりはしたくないし。ただミスティアは大丈夫だろう?」 そう返してやると理解出来ないといった様子で首を傾げて尋ねてきた。 【貴方は怖くないの?】 「だって君は今力を使えないのだろう? それならば怖がることもないさ。」 そう伝えると多少納得した様子だった。 「……それに君は目を覚ました時に僕を襲おうとしなかった。それだけで十分じゃないのかな? 確かに種族としては怖いのかもしれないけどもミスティアに対しては怖いという気は起きないよ」 そう伝えると少しぼーっとした様子だったがすぐに前を向き紙をこちらに見せてきた。 【貴方は少し危機感が足りないと思うわ、もう少ししっかりした方が良いと思う】 そうして少し小走りになるミスティアを見て、照れているんだろうか? そんな恥ずかしいことを言ったつもりはなかったが……と困惑する○○であった。 そうして半刻程歩いていると人里の入り口が見えてきた。 さて、上白沢さんはいらっしゃるだろうか。この時間では寺子屋で授業中かもしれないな、 と思って寺子屋まで行ってみるとやはり授業中の様でしっかり通る声が聞こえてきた。 流石に授業中に邪魔をするわけにもいかないと思いどうするか考えているとそういえばまだ食事を取っていないことに気が付いた。 「少し時間がありそうだね、そういえばお腹は空いていないかい? 目覚めてからまだ食べてないだろう?」 そうミスティアに尋ねてみると首を左右に振り、 【お腹、空いていないから大丈夫】 と渡してきた。 ふむ、それならばどうしようかと思っていると可愛らしい音が後ろから聞こえたので振り返って見ると 顔を赤くして俯いているミスティアが居た。 しばし互いに沈黙していると慌てた様子でぺンを走らせ、 【なんでもない! なんでもないのよっ!!】 と書いてきた。苦笑しつつ自分が何も食べていないので小腹が空いてしまった。 時間も多少あることだし何処かでお昼でも食べようか、と伝えると真っ赤な顔をしながらも頷いてくれた。 何か食べたいものはあるかと尋ねてみると 【焼き鳥以外なら……】 と返してくれた。 なのでせっかくの女性連れなのだからということで行ってみたかった最近出来たと有名な甘味所に行ってみることにした。 甘味所に付き、なんでも頼んでみると良いと伝えると多少困惑したが気にしないで良いと伝えると嬉しそうな表情で注文をしている。 こういう所だけ見ると普通の女の子だなぁと益体もないことを考えていると注文した品が運ばれてきた。 なんとも幸せそうな表情で甘味を頬張る彼女を見ながらよくよく考えればこんな可愛らしい子と一緒にこんな場所に来れることなんてなかったなぁ…… うん、貴重で幸せな体験を噛みしめておこうと益体もないことを考えながら自分も箸を動かした。 食事も終わり寺子屋に向かうと丁度授業も終わった様で子供達を送り出している上白沢様を見つけることが出来た。 彼女もこちらに気づいたようでこちらに来ると 「珍しいな○○、どうかしたのか?」 と問いかけてきた。確かに基本人見知りな自分は余り人里には来ていなかったなと苦笑しながら思い、用件を伝えた。 「いえ、ちょっと上白沢様や阿求様にお伺いしたいことがございまして。こちらの彼女についてなのですが……」 そういって後ろにいるミスティアを見るとちょこんと自分の背中に隠れている。 不安気な彼女を見ると上白沢様は 「うん? 夜雀じゃないか。いつも元気に歌っているのに静かだから気づかなかったぞ、今日はどうしたんだ?」 と覗き込みながらミスティアに問いかけたが黙っている彼女に少し困惑している様子だったので助け舟を出した。 「お伺いしたいことというのはそのことなのです。 何故かはわからないのですが声が出せず、空を飛ぶことや弾を撃つことも出来ないそうなのです。 なので賢人である上白沢様や阿求様でしたら何かしらご存知ないかと思いお伺いさせていただきました」 そういって簡単にミスティアと出会った経緯についても伝えると、 「成る程な……しかし声が出せないということは私も聞いたことがないな……すまない。 ただ、確かに阿求だったら何かしら知っているかもしれないな。今から伺ってみようか」 そう言いながら歩を進め始めた。 ありがとうございます、と礼を言いながら後ろのミスティアにも 行ってみようかと伝えると不安気な表情をしながらもコクリと頷いてくれた。 そうして稗田家に到着すると上白沢様が使用人の方と話を進めてくれているので待っていると 後ろから袖を引かれ振り向いてみるとミスティアが紙を差し出してきた。 そこには 【迷惑かけてしまって本当にごめんなさい】 と書いてあったので苦笑しながら 「気にする必要はないよ、しばらく振りに人里の方にも来れたし行きたかった甘味所にも行けたしね」 そう言って彼女の頭を撫でてあげるとくすぐったそうにしながら俯いてしまった。 妹とか居たらこんな感じなんだろうか……と思っているとこほん、と咳払いが聞こえ 「もう中に入れるが……もう少し待っていた方が良いかな?」 と苦笑いされてしまったので二人して慌てて彼女に付いていった。 中へ通されるとやはり立派な建物なのを再認識し感嘆していると声が聞こえた。 「こんにちは、初めまして稗田家当主の稗田 阿求と申します。本日は慧音様までご一緒とはどの様なご用件でしょうか?」 そう言って朗らかに微笑んでいるこの子が阿求様なのだろう、 実際に会うのは初めてなので年端もいかない可愛らしい少女なので少し面食らってしまったが落ち着いて用件を伝えることにした。 「こんにちは、わざわざお時間をお取りいただきまして真にありがとうございます。 用件というのこちらの少女についてのことなのですが……」 そうして概要を伝え終わったがやはり上白沢様同様浮かない顔付きをしていた。 「申し訳ありません……私も慧音様同様そういった事例は聞いたことがありません……」 そう言って頭を下げてくるので慌てていえこちらこそ申し訳ないと謝る。 そうして三人で悩んでいると再度袖を引かれたので振り返るとミスティアが再度メモを出してきた。 【迷惑を掛けて本当にごめんなさい、私は大丈夫だから……】 と書いてあったので再度気にするな、と頭を撫でてやった。 そうして二人に対して振り向くともう一つの案として考えていた行商について尋ねてみた。 「里には時たま薬売りの行商がやってくると聞いています、次は何時来るかというのはわかりますでしょうか?」 そう尋ねてみると 「成る程、確かに病魔関連の問題なのかもしれないな。 ただ先日来たばかりなので一、二週間程先かもしれないな」 「私も文献に似たような事例が残っていないか調べてみましょう。 稗田家になくとも紅魔館の大図書館ならばより多く文献も残っているでしょうし、 命蓮寺も里の近くにありますので良ければ伺ってみると良いかも知れませんね」 と答えてくれた。 「畏まりました、色々と教えていただきありがとうございます。 それではとりあえずは行商が来るまでは様子見ということになりますね」 そう礼を伝えて後ろのミスティアにもお礼を言うように促す。 【ありがとうございます】 簡素な言葉に三人で苦笑しながらも改めて自分もお二人に礼を伝える。 「それはそれとしてこの後はどうするのだ?もし良ければ私が面倒を見るが」 と上白沢様が仰ってくれた。確かに男の元に居るよりも女性である上白沢様との方がミスティアも安心出来るかもしれないな、 と思い振り向きミスティアに問いかけてみる。 「ミスティアはどうする?僕は別に一、二週間程度ならば居てもらっても構わないけども」 そう伝えるとミスティアは多少困惑し悩む仕草をした後に 【……人里にずっと居るというのは私には少し居づらいです。 助けてもらった恩返しもしたいですし宜しければ貴方と過ごさせていただいても良いでしょうか?】 そう書いて伝えてきた。 成る程、確かに妖怪であるミスティアがずっと人里に居るというのは辛いものがあるのかもしれないな、 と納得し二人にその旨を伝えた。 「わかった。無理やり住ませるよりかは自分で選んでの選択の方がいいからな」 と上白沢様が納得してくれたのでそこで話はまとまった……はずだった。 「しかし……ミスティアは可愛らしいからな。間違いなど起こすんじゃないぞ?」 等とくだけた口調で続けなければ。 「人のことをなんだと思っているんですか……」 勢いあまっていただいていたお茶を噴出す寸前だったが勢い良く咽てしまいそれを見て大笑いする二人と 真っ赤になって慌てふためくミスティアが印象的だった。 そうして二人に礼を言って別れ、ミスティアと共に家へと向かっていると再度ミスティアが紙を差し出してきた。 【本当に良かったの? やっぱり迷惑なんじゃ……】 と泣きそうな表情で渡してきたので出来るだけ不安を感じさせないように笑いながら 「今更何を言っているんだい、迷惑なんて全く思っていないし今まで一人きりで寂しかったぐらいだからね。 勝手だけど妹が出来たみたいで嬉しいぐらいだよ」 だから気にせずなんでも伝えてきな。 そう言いながら撫でてやると少し嬉しそうな顔をしながらしかしどこかしら不満げな顔で 【わかった……】 と伝えてくれた。 ────────────────────── …そうして私は再度ここに戻ってきた。 どうしてかわからないけれども声を出せなくなり 混乱している内に樹にぶつかり気を失っていたらしい私は目覚めたら見知らぬ場所に居た。 混乱しながら周りを見渡すと見知らぬ人間が居て私は叫んでしまった。 …いや、正確には「叫ぼうとした」、だ。 相変わらず声は出なかった。 何故なのかわからず困惑していると人間は紙とペンを差し出してきた。 「君は字は書けるのかな? もし書けるのであれば多少不便だけどもこれに書いてもらえるかな、 このままじゃどうすればいいのかわからないし」 そう伝えてきたのでわかるということを伝えるために紙に書き伝えた。 彼の話を聞くと散歩の途中に気を失った私を見つけ家まで連れてきて介抱してくれたらしい。 なので彼に礼を言いながらこれからどうしようかと考えていると人里に行ってみないか? と尋ねてきた。 彼が言うには里には物知りな人間や薬売りが居るそうなので私の不調を解決出来るかもしれない、 ということらしかった。 しかし見知らぬ人間にこれ以上迷惑は掛けられないと思い筆を走らせた。 それに対して彼は、 「まだ本調子ではないのだろう? それにこれも縁と思ってもらって構わない、 別に迷惑などとは思っていないし弱っている女性を放っておくわけにもいかないさ。気にしないで。 それにまた何処かで倒れられたりしたらそれこそ大事になってしまうしね」 と返してきた。確かに本調子とは程遠いし人里まで程度なら助けてもらおうか……と考え直した。 ……彼意外と頑固そうだし。 それから出かける用意をし、外に出て飛んでいけば早いだろうと思い飛ぼうとする。 だが……身体は動かない。嫌な予感が身体を駆け巡り弾幕を放とうとしてみるがこちらも手からは何も出ない。 愕然としていると彼が再度声を掛けてきた。 なので弾を撃てないこと、飛べないことを伝えてみた。 意外なことに黒白や紅白などの様に飛んだり弾幕を張ったり出来ると思っていたが基本的には 人はそのどちらも出来ないらしい。 彼は簡単なフォローをしてきてくれているが理解出来ているのか怪しいものだ…… こんな事態に陥ったことがないのでどうしようかと悩んでいると彼が気を利かせてくれたのか 話題を振ってきてくれた。 どうも彼はあまり妖怪を見たことがないらしく私の種族についてもあまり良く知らないらしい。 それなのに妖怪を助けるとは余程のお人よしか馬鹿なのか…… 聞かれて答えないわけにもいかないしと思い筆を走らせていると思った以上に興が乗ってしまったらしい。 屋台についてなど私のことに関してまで書いてしまっていた。 だけどもその先……伝えなければいけない。夜雀について。 ……鳥目にして人を襲うということについて。 書き終えると彼より先に出た。 なんとなく……なんとなくだけども彼の顔を見たくなかったのだ。 きっと、……恐怖しているだろうから。 しかし聞こえてきた声は畏怖の声ではなかった。 私は理解出来ず怖くないのか? と尋ねた。 そうすると彼は怖いけれども君は大丈夫だろう? と答えた。 曰く、今の私は脅威ではないということらしい。 確かに今の私は無力だ。弾も撃てない鳥目にも出来ない。歌で惑わすことも出来ない。 成る程、と納得しようとしたところに更に理由を続けてきた。 ……断言しよう。この人間はお人よしだ。 何故か熱くなった顔を見られたくなくて私は前を向き筆を走らせた。 そうして半刻程だろうか、人里に着いた。 私は彼の目当ての人物がわからないので彼に任せていたが 見つからないのか彼は立ち止まると お腹は空いてないか? と尋ねてきた。 そういえば目覚めてから何も口にしていないと思い返すもご飯をねだるのも雛鳥が親鳥にねだる様で恥ずかしいので 空いていないと答えた。 ……私のお腹の馬鹿。 自己主張したお腹を誤魔化すように必死に筆を走らせる。 しかし無駄な努力だった様で目当ての人物に会う前に甘味所に行くこととなった。 甘いものは食べたかったけども恥ずかしくて顔が上げられない……調子狂うなぁ…… 甘味所に着くと何でも頼んで良いと言われ遠慮しようかとも思ったが 腹の虫まで聞かれてしまっているのだ……開き直り甘味を注文させてもらった。 甘味はやはり美味しいなぁ……屋台でも何かしら追加してみようかしら? 女性が多いのだから人気が出るかもしれない。お酒と合うようなのを考えてみよう。 などと食べながら考えていた。 ふと見ると彼も美味しそうに食べていた。男性も甘いものが好きなものなのだろうか? ならばメニューとしてはやはり二重丸かもしれないわね…… 食事が終わり改めて彼の言う目当ての人物の場所まで行くこととなった。 そして彼が見つけ声を掛けたのだがその人物は私も知っている人物だった。 上白沢慧音……堅物であまり良い印象は持っていない。 だからだろうか?彼が話している間に知らずに彼の背中に隠れてしまっていたのは。 いきなり振り向かれて少し面食らってしまった。……何か調子狂うなぁ。 上白沢に話しかけられ自分の異常についてを伝えると彼女もやはりわからないらしい。 それも当たり前か……と思っていると他にもわかりそうな人が居るらしいので付いて行く事になった。 そうして人里でも大きな建物の前に到着する。 上白沢は面会の許可のために別の人と話している。彼と二人取り残される形になったので 改めて謝罪の言葉を書いた紙を彼に渡した。 そうすると彼は苦笑しながら……私に触れてきた。 突然のことでどうしたらいいかわからずされるがままになってしまっていると咳払いが聞こえたので 慌てて彼が手を離した後二人して慌てて彼女を追いかけていった。 …落ち着くまで時間がかかったが何処となく触れられた部分が寂しかった。 そうして通された場所では一人の少女が待っていた。 彼女が目当ての人物だったようで幼いながらにかなりの知識人らしい。 しかし、彼女も同じく私の異常を解決する知識は持ち合わせていなかったようだ。 三人で悩んでいる姿を見ているしかなかった私はこれ以上はやはり迷惑はかけられない、と思い 再度彼にメモを手渡した。 そうすると彼はまた苦笑しながら私に触れてきた。 ……まただ。彼に触れられると私は何も出来なくなってしまう。 何故だろう? 嫌なのだろうか? それならば振りほどけば良いだけなのだが…… 考えていると彼は手を離し再度彼女達に向き直り解決策を探り出した様だ。 私は彼の話を聞きながら片隅で彼に触れられた時の感覚について考えていたが……それが何なのかはわからなかった。 そうして少しぼーっとしていると話がまとまった様で彼にお礼を言うように言われた。 慌てて紙を差し出したがどうにも簡素な感じの文面で三人に苦笑されてしまった。 ……恥ずかしい。 そうしていると上白沢からこの後どうするかと言われた。 薬売りが来るので必要ならばそれまで住居は提供する、ということらしい。 少し迷ったが助けられた恩をまだ全然返していないし人里にずっとというのは妖怪である私には少し辛いものがある。 なので彼の好意に甘える形にはなるがしばらくお邪魔させてもらうことにした。 彼も了承してくれたので話はそれで終わりだと思った。……思っていたのだ。 ……あんな事を言われるとは思わなかった。そもそもそういう事はわからないし…… だから私は赤い顔のまま俯きながら咽て苦しそうな彼の背中を擦ることしか出来なかった。 そうして二人と別れ彼の家への帰路へとついていた。 彼の家にしばらくの間住ませてもらうというのは一応の了承は得ていた。 しかしやはり迷惑ではないのか? と思い立ち彼に再度メモを手渡した。 だが彼は微笑を浮かべ気にしなくても良いと言ってくれた。 なのでしばらくの間だけでもやっかいにならせてもらおう、そう思った。 その時私に触れながら彼が言った言葉に少しだけちくり、としたものを感じた気がしたけれども それが何かはわからなかったし努めて考えないようにした方が良いと思った。 さて……とりあえずはどうやって恩を返したら良いのかな? そんなことを考えながら。 …そうして私は再度ここに戻ってきた。 ────────────────────── そうして、彼女は戻ってきた。 「さて……戻ってきたはいいがどうしようか」 とりあえず家には戻ってきたもののまだ少し夕飯には早い時間だ。 ミスティアも居ることになったわけだし簡単に掃除とかでもしておこうか…… などと考えていると袖を引かれる感触がした。 振り返ってみるとミスティアがこちらを見上げながらメモを差し出している。 (う……改めてみると可愛いなミスティア。 まぁ心細い中頼ってくれているのだから平常心平常心。 彼女は妹みたいなもの……うん、大丈夫) 何が大丈夫なのかは全くわからないがとりあえず彼はメモを受け取った。そこには…… 【なにか私に出来ることはありますか?】 といった内容が書いてあった。 成る程、早速恩返しをしたいということか。と考えが思い至った。 しかし掃除を手伝ってもらうにしても勝手がわからないことに加え 一々メモで確認を取っていると逆に遅くなってしまうかもしれない。 何か別にやってもらうことなんてあったかな…… そう考えているとミスティアとの会話、というよりも筆談を思い出した。 「そうだな……それならもう少ししたらでいいんだけども夕飯の支度をお願いしてもいいかな? 僕は簡単に掃除をしなければいけないから少し待ってもらうことになるけれども」 屋台をしていたということなので料理の腕は恐らく確かなのだろう。 しかしいきなり知らない場所での料理は難しいと思うので一緒に台所には立つがそれならば役割分担にもなる。 そう思い至ったのだ。 その考えは間違っていなかったようで朗らかな笑顔でミスティアは頷いた。 掃除も手伝おうとしてきたが理由を言うと納得してくれたのか大人しく待ってくれていた。 掃除もとりあえず一段落したので居間に待たせていたミスティアの様子を見に行ってみると…… 「あら……寝ちゃってるか」 静かに寝息を立ててちゃぶ台に突っ伏しているミスティアが居た。 緊張していたんだろうなぁ……知らない場所、知らない人、思い通りにならない身体。 疲れていて当然だな、と思い台所の内容を教えるのはまた今度かなと考える。 大した物は作れないけれどもとりあえず夕飯を作るか、とそのままでは身体に悪いと思い毛布を掛けてあげて台所に向かう。 簡単にではあるが夕飯を作り終えミスティアを起こそうと声を掛ける。 「夕飯出来たよ、起きれるかい?」 しかし声だけでは反応がない。どうやら大分ぐっすりと眠ってしまっているようだ。 どうしたものかとしばし思案しているとミスティアの様子が変わってきていることに気づいた。 大分うなされ、酷い汗も出てきた。 「ミスティア!? 大丈夫か!?」 もしかしてわからなかっただけでどこかしら怪我をしていたのでは…… 必死になり身体を揺さぶってみる。すると… 「!? !!? !!!!」 意識を取り戻したミスティアはがむしゃらな様子でこちらに飛びついてきた。 「ミスティア!! 大丈夫なのか!? どこか痛むところとかは!?」 がたがたと震えてはいるがとりあえず首を振る仕草をしているのでひとまず安心して落ち着くまでそのままにしていることにした。 ……多少落ち着きを取り戻した様だったのでミスティアの様子を伺いながらも声を掛けてみた。 「大丈夫? 落ち着いたかな?」 出来るだけ優しく聞いてみた所ゆっくりではあるが頷いてくれた。 ほっと安心していると未だに抱きしめていることに今更ながらに気づいてしまったので慌てて距離を取る。 出来るだけ平常心を取れるように努めた後にミスティアに問いかけてみる。 「嫌な夢でも見ていたのかな?」 そう問いかけるとこくり、と頷いた後に筆を震える腕で走らせた。 【夢を見たの怖い夢を】 【そこでは私は夜の闇に溶けていた】 【いつもと逆なんだ……私が闇に囚われていたの】 【姿も見えずカタチもわからないの】 【でも……わかるの。身体を突き刺すものが】 【声が迫れば逃げようとも思うのに……】 【聞こえてくるものは私の荒い息だけなの】 【そうしていると世界が白く染まっていくの】 【でもわかってしまった……その世界に私の居場所はないって】 【もう何も喋れない……】 【もう……歌すら歌えない……】 そこまでを一気に書ききると少し落ち着いたのかこちらに向き直り謝ってきた。 【ごめんね? いきなりでびっくりしたでしょう? みっともない所も見せちゃったし……料理するって言ってたのに寝入っちゃってたし……ごめんなさい】 そういって謝ってくるミスティアが……どうしようもなく儚く見えて消えてしまいそうに思った。 だからなのだろうか? 「大丈夫、みっともなくなんてないさ。僕だってミスティアの様な状況、 例えば声が出なかったり腕が動かなくなったりだとか目が見えないとかになったら混乱する。 ミスティアみたいに立派になんて振舞えなくて喚き散らしたりしちゃうと思う。 ミスティアは立派だよ。自分が一番辛いのに他の人に頼ったら迷惑だと思えるんだから」 「でも大丈夫、ミスティアがここに居る間ぐらいなら頼ってくれて構わない。 なんでも出来るとは決して言えないけども辛い時の捌け口くらいなら僕でも出来ると思うから」 そうミスティアをあやすように軽く抱きしめながら声を掛ける。 少しの間きょとんとしている風なミスティアだったが言葉を噛み締めたのか 胸に顔をうずめ震えだした。自分に出来るのはこれくらいだろうと思い再度落ち着くまでそのままにしていた…… しばらくして落ち着いたのかミスティアが離れた。 泣きはらし赤い目をしていたが、 【ありがとう、大分楽になったよ。もう大丈夫】 そういって儚げながらも笑みを見せてくれた。 その笑みはどこか消えてしまいそうになりながらもとても綺麗で…… 良かったと思いながらも先ほどの自分の台詞を嫌でも思い出してしまい 逆にこっちが赤面してしまった。勢いに任せてだけども大分凄いことを口走ってしまった気がする。 とりあえず夕飯の支度が出来ていたことを思い出し二人して真っ赤になりながらではあったが 多少遅くなったご飯を食べた。 「ご馳走様でした」 【ごちそうさまでした】 ミスティアにお風呂に入るように伝えた後に気付いたことがあった。 「……服どうしよう」 失念していたが男一人での生活だったために当然のことながら女物の服なんてあるわけがなかったのだ。 とりあえず寝巻きは自分の予備を使ってもらうことになるなぁ……と考えているとミスティアが戻ってきた。 もう入ったのか?2分も経ってないがと思ったがミスティアの服装がそのままだったため戻ってきただけだとわかった。 「どうかした? お風呂の場所わからないとかかな?」 そう問いかけてみるとふるふると首を振る。 あ、それならば寝巻きのことだろうかと思っているとメモを差し出された。そこには…… 【ごめんなさい、一人だとさっきの夢を思い出して怖いの。一緒に入ってもらえないかしら……?】 かなりの間幽体離脱していたと思う。和服の美人が手を振りながら 『私の分残しておいてね~♪』 と言っていた気がしたが全力で聞かなかったことにした。 さすがに一緒に入るというのは自分の理性が確実に持たなかったのでお風呂場の外に居る、ということで納得してもらった。 自分情けなさ過ぎるな……泣きたい。 「湯加減は大丈夫かい? 大丈夫だったら手を叩いてくれればいいから」 そう言ってみると一回叩く音が聞こえた。 「それなら良かった。ゆっくり浸かると良いよ、お風呂はリラックス出来るからね」 再度叩く音が聞こえたので安心して今後の事について考えることにした。 『とりあえず明日再度上白沢様の所に赴いて必要な物を工面してもらおうか…… 考えてみれば女性の必需品とか全くわからないもんな。 その後は時間があれば紅魔館かもしくは話に出ていた命蓮寺にでも行けたら行ってみるか』 そんなことを考えていると手が鳴る音がした。意識を戻して出るのかな?と問いかけてみる。 「もう出るかい?」 ぱん、と音が聞こえたので持ってきていた寝巻きを置いて去ろうとした。 ……去ろうとしたんだよ…… 「それじゃ寝巻きは僕ので悪いけども置いておくね、タオルはわかるだろうから着替えたら居間に来るといい」 そう伝えたところぱんぱん、と素早く2回手を叩く音がした。 ……理性頑張れ、と思いながら問いかける。 「どうか……した?」 ぱん。 「えーと……離れると怖い……ってことかな?」 ぱん…… 弱々しい音が響いた。 「……わかった。後ろ向いてる。絶対見ない。絶対だ。だから早めにお願いします!後生です……」 最後の方は涙声だったと思う。うん。 自分が意外と忍耐強いということを思い直しながらお風呂に浸かる。 ただ悪気があったわけではないと思うし不安で仕方ないのもわかる。 だからそんな考えになってしまっている自分が一番どうしようもないのだ。 そんなことを考えながら扉を挟んで居るであろうミスティアに明日の予定を伝えたりしながらゆったりと浸かった。 出る時にさっきと逆になるのだ……ということは考えないようにして。 そうして風呂から上りさて、明日に備えて寝るかと思い至った時に直面してしまった。 「布団一つしかねぇ……」 当たり前じゃない、一人暮らしだもの。客なんて滅多に来なかったからなぁ……仕方ない。この機会に明日布団もだな。 などと考えていると寝巻きの裾を引かれた。 【居間で寝ようか?】 ということらしいがそんなことは女の子にはさせられるわけもない。 なので当然ではあるのだが自分が居間で寝ることを伝えた。 大分反対されたのだがこれはさすがに譲れない、一日だけならば大丈夫だ。と伝えると納得してくれた様だ。 そうしてしっかりとミスティアを寝かしつけ(怖くて傍に居てくれないと寝付けないというので) 自分も居間に戻り明日のことを考え眠ることにした。 そうして少し経った頃だろうか? ガタン、と音が聞こえてきた。 そうして思い至る、彼女は悪夢にうなされているのではなかったかと。 後悔しながらも寝室に入り彼女を必死に起こす。 そうするとしばらくして目を覚ました彼女はやはり震えながらこちらへと飛び込んできた。 再度震える彼女をあやしながらこれは手でも握っていてあげないとダメだな……と ……そうして彼は徹夜で理性をフル回転させることにしたのだった。 ────────────────────── どうしてなのかはわからない。 半日振りになるのだろうか、私は彼と共に再びこの家に戻ってきた。 結局彼の家にしばらくの間住まわせてもらうことになった。 ……彼にはもう大分迷惑を掛けてしまっている。 せめて何か恩返し出来ることはないかと思い彼の服の袖を引いてみる。 そうしてメモを書き彼に手渡す。今日だけでも何度目か覚えていないぐらいの意思疎通方法だ。 多少不便は感じるものの慣れてきたのかそれ程手間取らなくなってきた。 早く声が出せる様になればいいのだが…… そんな事を考えながら仕事を与えられるのを待っていると彼から食事の用意を頼まれた。 成る程、屋台をやっているということを伝えたからだろう。 彼はまず簡単に掃除に取り掛かるから居間で待っていてほしいそうだ。 確かに声での意思疎通が出来ない私では 捨てて良いものか悪いものかの確認にわざわざメモを持っていかなければならない。 そうすると彼に余計な手間を掛けさせてしまうことになってしまう。 彼の手助けをしたいと思っているのに作業を増やしてしまっては本末転倒だ。 本当に今の自分が恨めしい…… 料理の方も同じで使って良い食材、彼の好み、調味料の場所なども把握しなくてはならない。 結局は彼の掃除が終わるまでは私は待っているしかない、ということだ。 なので今は居間で彼が掃除が終わるのを待っている。 しかし手持ち無沙汰というのは大分時間が過ぎるのが遅いものだ。 そういった時程……変な考えというものは浮かぶと思う。 (よくよく考えてみると……男の人の家に居るんだよね、私) その考えに思い至った途端何故かわからないが急に顔が熱くなった。 それが何故なのか努めて考えないようにして目を瞑っていると疲れが溜まっていたのか 急速に眠気が襲ってきた。 考えてみれば気を失って倒れていたのに碌に休まず半日歩いていたのだから当然かもしれない。 飛ばずに歩くというのも大分久々のことだったし…… (少しだけ休んでおこうかな……) そうして目を瞑っていると意識は急速に闇に溶けていった。 ……今まで私が獲物を鳥目にしていたのと同じ闇へ…… ……私は走る。闇の中をただひたすら。 (飛べない、どうして!?) 何かが迫るのがわかる。それが何かはわからない。 (逃げようと足掻いては見るものの闇で見えず転びながらどんどん翼は汚れていく) 自分の荒い息だけしか聞こえない。他には何も聞こえず、見えない。 (何かが熱を持っているのがわかる、でもそれが自分なのかナニカなのかはわからない) いやだよっ……こんなの……またあの広い空へ…… (声を出そうとしても言葉にならず、口からは聞きなれていた音の変わりに荒い呼吸の音だけが響く) 瞬間、世界が変わった。黒だけで何も見えなかった状態から白一色の世界へ。 ([別れは告げた?]ナニカが問いかけてくる) もう……もう……歌も歌えない。何も喋れない。何も触れられない。 (世界は白く霞んでいく) もう……なにもきこえない…… 最後に、白い世界で誰かの姿を見た気がした。 そうして私は意識を目覚めさせた。 酷い汗で呼吸もままならない状態だったが周りを見渡してみると…… ……彼だ!! 無意識での行動だった。 どうしようもなく怖くて、頭も上手く回ってなくて…… とにかく必死に彼にすがり付いた。 少しでも安心したくて……ぬくもりが欲しくて。 私は此処に居るんだということを確かめたかったからなんだと今になるとそう思う。 それなりの時間が経過し、私も落ち着きを取り戻す。 彼が心配し通しだったので頷き落ち着いたということを伝えてみる。 「嫌な夢でも見ていたのかな?」 そう優しく問いかけてくる彼に頷いた後、未だ震えている腕ではあったが筆を走らせた。 内容を覚えている範囲……最後の白くなった以降以外なのだが、を書ききると 彼に対して更に迷惑を沢山掛けてしまったことに思い至った。 なんせ彼が掃除をしている間に待っているはずがいつの間にか眠りこけてしまっていて その上目覚めていきなり彼にすがりついてしまったのだ。 今気付いたが良い匂いも漂っているので恐らくは料理も終わってしまっているだろう。 なので謝罪の内容のメモを彼に手渡した。 ……その後は一瞬記憶が飛んでしまっている。 彼に抱きしめられたのだ。 痛いくらいに強くという訳ではなく優しくといった感じだったがどうしようもなく身を竦めてしまった。 そして……彼の言葉を理解していく内に胸の内に溜まっていたものがどうしようもなく溢れてしまった。 彼の胸を借りてであるが今までの不安や恐怖、全てが溢れてしまいしばらく彼の胸から離れることは出来なかった。 この感情はなんなのだろう……? 理解してもらった嬉しさ? 同情してもらった嬉しさ? 全てがしっくりこなかったがとりあえずしばらくはこうさせていてもらおう……そう思った。 しばらくの時間が経ち、私も多少落ち着きを取り戻すことが出来た。 なので彼から離れて感謝の気持ちを込めたメモを手渡す。 本当に大分楽になった気がした……溜め込んでいたものを吐き出すことが出来たからだろうか? そうして彼の顔を見てみると大分真っ赤になってしまっていた。 何故だろうと考えて彼の言葉を思い返し私も大分真っ赤になってしまった…… うぅ……恥ずかしいなぁ。 その後彼が用意していてくれた夕食をいただき、ゆったりとした時間を過ごしていると 彼からお風呂が沸いているということを伝えられた。 確かに昨日から湯浴みはしていなかったことを思い出し、彼に匂いとか気にされてただろうか? と少しだけ不安になった。 そうして何度目かわからないぐらいの彼の好意に甘え浴場まで行こうと部屋を出て少し歩いたのだが…… 暗闇の空間を見た瞬間に夢の映像がフラッシュバックしてしまい足が竦んでしまった。 ……情けないにも程があるのだが、 鳥目にすることが私の力だったはずなのに今はその暗闇が恐ろしくてたまらない。 今の私ではどうすることも出来ないと思い至り、居間へと戻った。 ……彼が居てくれるであろう居間へ。 そうして私は今湯浴みをしている。 彼は浴室の外、扉を隔てた位置で待ってくれている。 最初は一緒に入ってもらいたいと懇願したのだが どうしてもそれは出来ないと彼に逆に懇願されてしまった。 ……恥ずかしいのは私も当然なのだが…… しかし、一人では発狂してしまうぐらいに今の私は不安定らしかった。 そうしていると彼から湯加減について聞かれる。 丁度良い温度になっているので大丈夫と伝えようとしたが 伝える手段がないことに気付いてしまった。 さすがに浴室までメモを持ち込めるわけがないのだから。 しかしその悩みも簡単に解決した。 彼が「手を叩いてくれれば良い」、と伝えてくれたのだ。 成る程、確かにそれは名案だと思い早速一回手を叩いてみた。 彼から了承の言葉をもらえたので見えていなくても疎通は問題なく出来ると 思うとなんだか嬉しくなった。 その後湯船に浸かっていたのだが それなりに長時間入りすぎてしまったようだ。 そろそろ出ようかと思い彼に知らせるために手を叩く、すると彼が反応してくれた。 どうやら寝巻きは用意してくれているらしい。 しかし、居間に戻るという彼の言葉を聞いた途端反射的に私は手を二回叩いていた。 少しはマシになったかとも思った。しかしダメなのだ。 またいつあの光景が……どうしようもない恐怖が襲ってこないとも限らない。 彼から……離れたくないのだ。 それは恐怖のため……だと思う。とりあえずはそれ以外は思いつかない。 そんなことを考えていると彼から泣き声に近い返答があったため、出来るだけ手早く浴槽から上がることにした。 ……こちらに背を向けながら必死に何か呟いている彼を見て少し可愛いと思ったのは仕方ないと思う。 ……彼が浴槽から出る時に全く同じ状況になるということをまだ私は知る由もなかった…… そうして彼もお風呂から上がり二人で居間へと行き明日に備えて寝ようかと考えていると 彼がしまった、という様な仕草をした。 どうも布団が一つしかない様なのだ。彼は一人暮らしの様だし当然といえば当然だ。 それならば私が居間で寝れば良い、と彼に伝えるが女の子にそんなことはさせられない。 と言われてしまった。 私は妖怪で人間である彼よりも丈夫だから大丈夫だと伝えるもこれ程だったかと驚くくらいに頑なだった。 最終的には私が折れる形になり彼は居間で眠ることになった。 しかし私は暗闇が怖い。……夜雀である私が暗闇を怖がるなんて笑い話にもならないのだが。 なので寝付くまで傍にいてもらうことにした。 彼が傍に居てくれる……そう思うと不思議な程安らかに私の意識はまどろみに沈んでいった。 ……まただ。またなのだ。逃げられないのだ。 (なにもみえない、なにもきこえない、なにもふれられない) 怖い、怖くてたまらない。これからずっとなのだろうか。 (だれかがささやくこえがきこえる。なにかをささやくこえがきこえる) ずっと続く……これからこれが……私は…… (とけていたやみがかたちをとりもどそうとしている) 壊れてしまうのだろう。何処か冷静な私がそう感じていた。 瞬間、以前の様に世界が白く染まった。意識が覚める瞬間以前も見た人影が…… そうして目が覚めた。目の前には彼。何を考えるよりも早く私は再度彼に抱きついていた。 もうダメなのだ……私は壊れてしまったのだろう……そう思いながら。 その後、彼が落ち着くまで手を握ってもらいながら横になるとやはり不思議な程意識はまどろんでいった。 ……夢は何故かその時は出ることはなかった。 ────────────────────── 放っておけるわけがないじゃないか。 朝日が差し込む感触を感じて目を覚ます。 ……どうやら寝入ってしまっていた様だ。 少し無理な体勢だったためか少し節々が痛みを感じる。 そうして布団を見ているとミスティアの姿が見えない。 どうやら先に目を覚ましていたようだ。 そうして自分も意識をしっかりさせていると居間の方より 食欲を刺激する匂いが漂ってきた。 その匂いに釣られる様に居間へと向かうとエプロンを着けたミスティアが料理をしていた。 驚いているとこちらに気付いたのか、一旦調理していた手を止めメモを書き出した。 【先に目が覚めてしまったので悪いとは思ったのだけども台所を見させてもらって 朝食の用意をさせてもらったわ。 もうすぐ出来上がるから居間で待っててもらえるかしら?】 そう伝えてくるので申し訳ないとは思ったが好意に甘え出来上がるのを待つことにした。 少しの間待っていると出来上がったのかミスティアが料理を運んできたので 自分も手伝い朝食の用意を終えた。 出来上がった料理を見て大分驚いたのだが何処ぞの料亭の料理かと間違うくらいに 鮮やかで食欲をそそる内容であった。 【口に合うといいのだけれど……】 と少し不安気に聞いてくるので早速一口いただいてみると今まで食べたことのある どの料理よりも美味しかった。なので素直に感想を言うと照れながらではあったものの はにかみながら嬉しそうに微笑んでくれた。 朝食をいただいた後に早速今日の予定、もう一度人里に赴き 上白沢様の所に行き日常品の手配を頼むことと紅魔館か命蓮寺のどちらかに行ってみようと 思っている旨を伝えた。 ミスティアも了承してくれたので少し腹休めをした後に早速向かうことにした。 昨日と同じ様に歩きながら、二人で人里への道を歩いていた所 向こうから歩いてくる人影があった。 相手も自分達に気付いた様で手を振るとこちらへと近づいてきた。 「よう○○……と夜雀か? 珍しい組み合わせだな」 そう言って声を掛けてきたのは霧雨魔理沙という少女だった。 彼女とは時たま魔法の森の近くまで行った時に採集中の彼女と話すことがあるくらいの仲だった。 「こんにちは魔理沙、後ミスティアとも知り合いなのかな?」 妖怪であるミスティアと知り合いなのに少し驚いたがよくよく考えれば 彼女も人間ではあるが魔法使い、弾幕も撃てるし空も飛べる。魔法も使えるという 自分の様な一般人の括りに入らない存在なのだということを思い出した。 「あぁ、そいつとは何度か弾幕遊びもしたことがあるし屋台でも私は常連だからな。 逆に村人である○○と知り合いなのに少し驚いたんだ。 ……それはそれとして今日は静かなんだな? いつもは歌っていてうるさいくらいなのに」 そう言ってミスティアに尋ねかける魔理沙。 ミスティアを見ると少しだけ辛い顔をしていた ……しまったと思ったのでミスティアの代わりに彼女に説明することにした。 「実は……」 説明し終わるとやはり彼女も夜雀も喋れなくなるということに驚いていたが 納得するとしばし考え始めた。 もしかして何かしら対処法を知っているのかもしれない……と思ったが やはり彼女も何故なのかはわからなかった様だ。 「成る程な、そう言ったことは聞いたことがないけれどもミスティアの様子を見ると 本当らしいな……力になれなくてすまない」 「いや、気にしないでいいよ。 ミスティアの体調が良くなるまでは面倒を見るつもりだし」 「そうか……結構なお人よしだったんだな○○は。 少し意外だぜ」 そう言ってくる魔理沙……自分はそんなに薄情に思われていたのだろうか。 少しショックだ…… 「私も少し調べてみるよ、家に何かしら資料があるかもしれないし パチュリーやアリスなら何かしら知っているかもしれないからな」 アリスさんは時たま人里で見かけたことはあるがパチュリーさんとは知り合いなのだろうか? 会ったことがない人物なので少し気になって問いかけてみると、 「あぁ確かにあいつは滅多に外に出ないからな。 紅魔館に住んでいる魔女で図書館の主なんだ。 知識と本だけはだいぶ持っているから知っていることがあるかもしれなくてな」 そう伝えてきた。成る程、丁度お伺いしようと思っていた人と知り合いなのか。 上白沢様に連れて行ってもらおうと思っていたところなのでそれならばと魔理沙に尋ねてみた。 すると魔理沙も快く了解してくれたので後日都合のいい時に一緒に連れて行ってもらうこととなった。 そういった形に話がまとまったのでミスティアと二人魔理沙に頭を下げて 彼女と別れ人里との道を再度歩き出した。 その途中ミスティアから魔理沙と知り合いなのかと問いかけられた。 何故か何処となく不安気な顔をしていたので友達だよ、と答えると 納得したのか足取りが軽くなっていた。 共通の知り合いということで嬉しかったのだろう。 そうして人里に着くと今日は授業がなかったようで上白沢様を見かけることが出来た。 なので彼女に声を掛けると彼女も気付きこちらへと向かってきた。 「こんにちは○○。 昨日は大丈夫だったか?」 そう尋ねられたので日用品などの準備が全然出来ていなかったことを伝えた。 なので布団や日用品に対して少し工面してもらえないだろうか? と伝えると 二つ返事で了承してもらえたので申し訳ないとは思ったが重ね重ねお礼を伝えておいた。 そうして用意を始めようとしてくれていた上白沢様だったが思うところがあったので、 「上白沢様、命蓮寺に本日は行ってみようと思うのですが場所がわからなくて…… もし良ければどなたかに日用品をミスティアと選んでもらってその間教えてもらえないでしょうか?」 そう伝える、すると上白沢様も言おうとしていたことをわかってくれたのか、 「それならば阿求に日用品については頼もう、彼女ならば事情も知っているし問題ないだろう」 と仰ってくれた。 わざわざ申し訳ない、と上白沢様に伝えた後に後ろに居るミスティアに先に 稗田家に行くことになったと伝えた。 彼女はしばし離れてしまうことに対して不安気な様子だったが、 「……下着とかも必要品に入ると思うから」 そう伝えると真っ赤になって下を向き納得してくれた。 稗田家に着きミスティアを阿求様に預けると上白沢様に尋ねられた。 やはり聡明な方だからだろう、言葉の裏の意図を読み取ってくれていたようだ。 「それで……話とはなんだろうか?」 「はい、実は昨晩家に戻った後なのですが……」 そうして昨日のミスティアの様子、悪夢でうなされていたこと、暗闇を怖がっていることを伝えた。 「成る程、何かしらのトラウマが出来ているのか不安にうなされているのか…… 聞いたかもしれないが夜雀とは元々獲物……人間だな、を鳥目にする。 それが今は出来ないのだから今までとは逆に自分が獲物となるのかもしれない、 そう感じてしまっているのかもしれないな」 そう言われた。 確かにそうなのかもしれないな…… 例えば自分が目が見えなくなったとしたらその恐怖は想像も出来ない。 「話を聞いていると○○に対しては恐怖というものは感じていないようだな。 雛鳥が始めてみた親鳥に対して感じる刷り込みと同じようなものかもしれない。 だから私がお願いするのもおかしな話だとは思うが…よろしく頼む」 そう言われたので当然です、彼女が頼ってくれている内は必ず。と伝えておいた。 そうして話終わると丁度彼女達も終わったのかミスティアと阿求様が戻ってきた。 日用品に関しては阿求様が使用人に持っていくように手配をしていてくれていたらしい。 申し訳ないとは思ったが阿求様に、 「少しでも早くミスティアさんの不調を治すためにも命蓮寺に赴いた方が良いのでは?」 と言われ確かにそれが一番重要だ、と思い申し訳ないとは思ったがご好意に甘えることにした。 彼女達と別れ歩き出そうとするとミスティアに袖を引かれ、 【命蓮寺の場所はわかったの?】 と、メモを手渡された。 命蓮寺の場所じたいは初めから知っていたので大丈夫だと伝えると 安心した様子で微笑みを浮かべた。 多少歩かなければいけないと伝え、疲れたら伝えてくれれば良いからと言って命蓮寺へ向かって歩を進めた。 そうしてしばらく歩き命蓮寺が見えてきた。 どなたかが居ないか……と思っていると境内で掃除をしている尼の格好をしている人を見かけた。 「あら、こんにちは。 参拝客の方でしょうか?」 そう問いかけてくる彼女に自己紹介をした後に用件についてを伝える。 「なるほど……私は雲居 一輪と申します。その様な事でしたら姐さん……聖がわかるかもしれませんね。 案内させていただきますのでこちらにおいでください」 そう言われ寺の中へと案内される。 なので何処となく所在なさげにしていたミスティアを連れて奥へと進むことにした。 「失礼します、姐さんにお尋ねしたいという方がいらっしゃっています」 そう尋ねる雲居さんの言葉に振り向く女性、彼女がどうやら白蓮様らしい。 「これはこれは、わざわざこの様な場所までご足労いただきありがとうございます。 私は聖 白蓮と申します。して、尋ねたいこととは一体どんなことでございましょうか?」 そう穏やかな雰囲気でただずむ彼女に早速問いかけてみることにした。 「初めまして聖様、私は人里に住む○○と申します。本日はお時間を取っていただき誠にありがとうございます。 お尋ねしたい事というのはこちらの彼女の事についてなのですが……」 そう言ってミスティアについて尋ねてみる。 「成る程……申し訳ないのですが私はつい最近まで別の場所に居まして知識としても 未熟なところがあるのです。申し訳ないですが解決策についてはお力になれそうもありません……」 そう頭を下げてくる白蓮様だったので慌てて頭を上げさせる。 「いえ、そんないきなり押しかけてしまったのはこちらですので……どうぞ頭を上げてくださいませ」 「本当に申し訳ありません……ただ私は人妖分け隔てなく救いの手を差し伸べております。 今はお力にはなれませんが何かしら困ったことなどありましたらなんでも仰ってくださいね」 そう優しい笑顔で微笑みかけてくれたので少し見惚れていると後ろから視線を感じたので 振り返るとミスティアが何処かジト目地味た目でこちらを見ていた。 はて、何か怒らせる様なことでもしただろうか……と思っていると何故か白蓮様と一輪さんに笑われてしまった。 そうしてしばらくして時間も夕刻に近づいてきたので彼女達に礼を良いお暇させてもらうことにした。 帰り際に白蓮様に、 「彼女の一番の助けになれるのは○○さんでしょうから……助けになってあげてくださいね」 と言われたので当然です、と力強く返事をしておいた。 そうして帰宅しているのだが……やはり解決の目処が立たないのが不安なのだろう。 伏し目がちになっているミスティアに気付いた。 なので彼女に近づき頭に手を置いた。 「大丈夫、不安になるのは仕方ないとは思うけれどもなんとかなるさ。 時間が経てば解決するかもしれないしまだまだ当てはあるさ、だからそんな顔しないで?」 そう言いながら撫でてやるとくすぐったそうにしながらではあるが微笑みを見せてくれた。 ……うん、彼女にはやはり儚げな顔よりもこういった笑顔の方が似合う。 そんな感じで家へと戻り、山の様に積んであった日用品の山に目が眩んでしまったのは仕方ないと思う。 ────────────────────── 何故こんなに優しくしてくれるのだろう? 唐突に目が覚める。 外を見てみるとまだ朝日が昇り始めたぐらいの様だ。 そうして手に違和感を感じる、そうしてその先を見ると…… 「……!?」 彼と手を握ったままだったことに今更ながらに気付く。 どうやら昨晩はずっとこうしてくれていたようだ。 座りながら寝ている彼に感謝と申し訳ない気持ちを抱きながら 結局昨夜は料理も出来なかったことを思い出す。 なので勝手で悪いかもしれないとも思ったが 台所を見させてもらうことにした。 ……そういえば昨日はあの後悪夢を見なかったな……良かった。 そんなことを頭の片隅で思いながら。 大分調理も進み、朝日も昇ってきたぐらいのときに後ろに気配を感じる。 振り返るとやはり彼が驚いた表情で立っていたので説明のためにメモを手渡した。 すると、『一緒に手伝おうか?』と尋ねられたが、もう後は最後の仕上げくらいしか 残っていなかったために居間で待っていてもらうことにした。 そうして料理も出来上がり彼に運ぶのを手伝ってもらった後朝食とすることにした。 ……味付けは大丈夫だとは思うけども彼の口にあうかしら……? 少し不安になりながらも聞いてみると、『今まで食べた物のどれよりも美味しい。』と答えられた。 ……良かったけれども率直に感想を言われるとさすがに少し照れる。 恐らく赤くなっているであろう顔を見られない様に食事を再開した。 食事も終わり、片付けをしていると彼から今日の予定を聞いた。 どうやらもう一度人里に行った後に昨日言っていた場所に行くらしい。 命蓮寺は私は行ったことがないのだが……紅魔館か……ちょっと不安だ。 そうして彼と家を出て歩いていると前から見たことのある人影が見えた。 あの服装は間違えようがない。彼女もこちらに気付いた様でこちらへと向かってきた。 どうやら彼女……魔理沙は○○と知り合いだった様で話し込んでいる。 そうしていると魔理沙に話を振られる。 ……どうやら私が静かなのが不思議らしい。 ……今の自分が普段とは違うのだということを嫌でも意識して少し胸が痛んだ。 しかしそうしていても仕方ないと、説明しようとしたところに○○が口を挟んでくれた。 ……彼なりに気を使ってくれたのかもしれない。 しばらく話し込んでいる二人だったが話がまとまったらしい。 魔理沙と別れ人里への道を歩いている途中、ふいに気になった。 ○○は魔理沙と知り合いみたいだったけれども、どういった関係なのだろうか? 人間通しだし話が通じやすいのかな……私は妖怪だし…… と考えて○○に聞いてみると、『友達だよ、たまに会ったら話すことがあるぐらいだ』と 答えを返された。 ……成る程、知り合いなのか。 その後の道筋は何故か足取りが軽かったのが不思議だ。 そうして人里に着くと上白沢を見つけることが出来た。 そして○○と上白沢が話しているのを横目に見ていると、どうやら○○も命蓮寺への 行き方がわからないらしく、確認を取っている間……阿求、と言ったか。 昨日の少女と共に必要な物を選んでほしいと言われる。 人里で彼と離れることに不安を感じたのだが……彼から言われた言葉に真っ赤になりながらも頷くしかなかった。 ……確かに男性である彼と一緒に選ぶなんて出来っこないじゃない……あぅ。 稗田家につき、○○と上白沢と別れる。 そして阿求と共に必要な物を選んでいたのだが…… ○○の事を考えていてぼーっとしていたのだろうか、 「意識ここにあらず、と言った感じですね」 と阿求に笑われる、ハッとして【そんなことはないわ】と書いたメモを渡したが 確かに彼のことを考えていて意識が少し疎かになっていたことに言われて気付いた。 ぼーっとしている暇があるなら早く必要な物を選んで彼の所に戻らなきゃ……と思っていると、 「本当に可愛らしいですね、○○さんも幸せ者ですねー」 と言われた。 何故だろう? ○○には迷惑を掛けてこそすれ、何かしらの恩返しも碌に出来ていないのに。 よくわからずに困惑していると、 「今はまだわからないのならば良いのですよ、さぁ、パッパッと選んでしまいましょうか」 と話をはぐらかされてしまった。 うーん……人間はよくわからないなぁ…… そうして必要な物を選び終わり、○○と上白沢に合流する。 どうやら品物は阿求が運んでくれる様だ。 そのままの足で命蓮寺へ向かえることにありがたいと思い礼を言って二人と別れることにした。 ……結構な時間選んでしまっていたけれども○○は上白沢と何を話していたのかな……? 何故か気になったので○○の袖を引きメモを渡してみる。 そうすると場所もきちんとわかったし、その後は世間話をしていただけの様だ。 少し安心して命蓮寺へと歩みを進めた。 ……何で安心したんだろう? 迷ったりする心配がなくなったからかな? 少し自分の考えが気になったがよくわからなかったので気にしないことにした。 そうしてしばらく歩いていると命蓮寺へと辿り着く。 そして境内で掃除をしている尼僧を見つけ……どうやら彼女も妖怪らしい。 (妖怪を受け入れているというのはどうやら本当らしいわね……) そう思っているとどうやら聖という人物の元へと連れて行ってくれるらしい。 一輪と名乗った彼女の案内を受け、寺の中へと入っていくことになった。 ……初めて来る場所はやっぱりちょっと落ち着かないなぁ。 そうして案内された場所には一人の女性が居た。 ……人間……? でも何処か違う雰囲気を感じるけれども彼女も妖怪なのだろうか…… そう思っていると彼女は振り向き、自己紹介をしてくれた。 ○○と共に挨拶を交わし、彼に説明を代わりにしてもらう。 やはり説明の時は話せた方が便利だなぁ…… 今言っても仕方ないことではあるのだが…… 話終わり、聖から何かしらの解決策がないかと思っていたが、残念なことに彼女もやはり何故なのかはわからない様だった。 まぁ仕方ないか……と思って○○を見てみると、聖を見て見惚れている様だった…… ……むう。 何故か少しいらいらして彼を見ていると彼が振り向いた。 少し彼の顔が見たくなくて顔を逸らすと一輪と聖に笑われた。 ……何故か少し恥ずかしかった。 そうして日も傾いて来た様なのでお暇させてもらうこととなった。 親身になって一緒に考えてくれた二人に礼を言って立ち去ろうとしたところ、彼が聖に話しかけられた。 その時の彼の返事に嬉しさと気恥ずかしさを感じて少し赤くなってしまった。 ……なんか恥ずかしいなぁ。 見られてないと良いけども。 そうして帰宅している途中、まだ顔が赤かったので伏し目がちに歩いていると急に彼に近づかれて、頭を撫でられた。 急に触られたことに固まってしまっていると、彼から『大丈夫、なんとかなるさ』と言われた。 不安に感じていると思われたのだろう。 彼の気配りにありがたく思ったのと、撫でられる心地よさにしばらくなすがままにされていた。 ……彼に触れられていると何故か安心するなぁ。 そんなことを考えていた。 ────────────────────── 僕はお人良しじゃないと思う あくる日、また彼女の朝食を味わっていると玄関を叩く音がした。 来客とは珍しいと思いながら玄関まで向かうと そこには白黒の魔女がにこやかな笑みを浮かべ、佇んでいた。 「良い匂いに釣られて来たぜ、もちろん紅魔館に行くためだけどな。 丁度良いから私も朝食のご同伴に預からせてもらおうかな」 そう言ってきたので苦笑しながらも魔理沙を家へとあげた。 「うん、さすが屋台をやっていただけあって美味しいな。 朝からこんな美味しいご飯が食べられるとは○○も幸せ者だな」 そういって茶化してくる魔理沙だったが、確かにその通りだ。 ミスティアの作ってくれる料理は自分などとは比べ物にならずとても幸せな思いをさせてもらっている。 「その通りだね、今のところ毎日作ってもらえているけれども 全然飽きがこないし何時までも作ってもらいたいくらいだよ」 そう素直な感想を言うとミスティアは何故か真っ赤になっているし 魔理沙にいたっては、 「……渋茶はないのか?」 と言ってくる始末だった。失礼な、客人に渋茶なんて出すわけがないだろうに。 そうして食事を終え、早速紅魔館へ向かうこととなったのだが 外に出て箒に乗ろうとしている魔理沙を見て慌てて駆け寄る。 「すまない、魔理沙。僕は当然なんだけれども今は彼女も飛ぶことが出来ないんだ。 だから徒歩になってしまうんだけれども」 そう伝えると力まで使えないことに驚いた様子の魔理沙だったが 納得してくれたのか箒から降り、徒歩で向かうことに了承してもらえた。 紅魔館まではそれなりに距離がある様だった。 湖までは何度か行ってみたことがあるのだが実際に紅魔館まで赴くというのはこれが初めてのことだった。 「魔理沙は紅魔館には良く行くのかい?」 「あぁ、図書館に本を借りに行くこともあるし住人に会いに行くことも多いな。 結構気さくな奴らばかりだぜ……いや、やっぱりそうでもないのか?」 「また不安になる様なことを……」 そう魔理沙と会話しながら歩いていると、ミスティアが少し遅れていることに気付いた。 「大丈夫? 少し疲れちゃったかな?」 そうミスティアに問いかけると、少しハッとした顔をした後に 【ううん、大丈夫。 気にしないで?】 とメモを返してきた。それなら良いのだけれども…… 心配していると横から魔理沙が話しかけてきた。 「こないだもそうだったけどもお前らはそうやって会話しているのか?」 成る程、確かに端から見たのならば何処かしらおかしな光景かもしれない。 「あぁ、彼女には不便を強いているけれどもね。 彼女も結構慣れてきてくれたのか結構書くのも早くなってきたし凄い助かっているよ」 そう魔理沙に伝えると少し強い力で後ろから袖を引かれる。 【不便だなんて思ってないわ、逆に貴方に対して不便をかけてしまっているのだもの】 そう返してくるミスティアに何も問題はないよ、と頭を撫でてあげた。 嬉しそうにしているミスティアを見て何処かしら穏やかな気持ちになっていると 「……魔法でお湯を沸かして渋茶でも入れるか……」 先に進みながらそんな言葉を呟く魔理沙に二人して慌ててついていった。 そうして紅魔館に着いたのだがさて、どうしようかと思い魔理沙を見ると こっちだ、と門の方を指差した。 門の前まで向かうと緑と白の服装をした紅色の髪の少女がいた。 魔理沙は彼女に話しかける、どうやら門番の様な者らしい。 「よぉ、今日は門から邪魔するぜ。 パチュリーは図書館に居るよな?」 「あら、魔理沙じゃない。 正門から歩いて来るなんて珍しいわね。 パチュリー様だったらいつもの様に図書館に居るはずよ。 うん? 他にもお連れの方がいらっしゃるのかしら」 そう言ってこちらを見てくる彼女にたいして自己紹介がてら挨拶をする。 「こんにちは、初めまして。 僕は人里に住む○○と言います。 それとこちらは夜雀のミスティア。 彼女についてこちらにお住まいのパチュリーさんに お尋ねしたいことがありまして伺わせていただきました」 「これはこれはご丁寧にどうも。 私は紅魔館の門番をしている紅 美鈴と言います。 この館の主であるお嬢様はまだご就寝中だとは思いますがパチュリー様でしたら 図書館にいらっしゃると思いますのでどうぞお通りくださいな。」 「そうだ、美鈴。 すまないんだが私は先にフランに顔を見せてくるから暇だったら咲夜にでも 案内させてくれないか?」 そう玄関のドアを開けながら魔理沙が言ってくる。 案内役を買ってでてくれたのにと苦笑しながらも、礼を言って魔理沙を見送った。 「それでは私はこの場を離れるわけにもいきませんので館内でお待ちくださいませ」 そうして美鈴に礼を言って館内へと歩を進めた。 「……彼女体調でも悪いのかな? 何処か気の流れがおかしかった気がしたけれども」 もしかしたらそれに関しての来訪なのかもしれない。 美鈴はそう思ったがパチュリー様なら恐らく大丈夫だろう、と思い 門番の仕事に戻ることにした。 玄関ホールで待っていると階段から一人の少女が降りてきた。 彼女が咲夜さんだろうか? 随分奇抜な格好だな……と思っていると ミスティアに袖を引かれた。 なんだろう? と思って振り返ると不安気な顔で背中に隠れている。 「……?」 不思議に思っていたが咲夜さんから問いかけられ意識をそちらに戻す。 「こんにちは、紅魔館へようこそ。 魔理沙から用件は伺っていますわ。 図書館へと案内させていただきますのでこちらへどうぞ」 そう瀟洒な仕草で言われる。 「忙しい中ありがとうございます、ではよろしくお願いします」 「構いませんわ、お客様はおもてなしするのは従者として当然ですもの」 そう言って二コリと微笑まれた。 しばし見惚れていると再度袖を引かれる。 しかし振り返ってみると先程とは違い顔はこちらを見ていないのだ。 何か怒らせてしまっただろうか……と思っていると何故か咲夜さんがくすくす笑っていた。 「心配しなくても取って食べたりはしませんわ。 ではどうぞ」 咲夜さんは何やら理解しているようだ。 よくはわからなかったがそのまま図書館へと向かうことにした。 「パチュリー様、お客様をお連れしました」 そう言って、ドアをノックする咲夜さん。しばらくするとドアの向こうから、 「入っても大丈夫よ」と声が聞こえる。 失礼致します、と咲夜さんが言って図書館のドアが開かれる。 そして中を見て……圧倒されてしまった。 本、本、本。 何処を見渡しても本棚以外は見えないという部屋だった。 成る程、これは確かに大図書館であるしここならば何かしらの解決策が 見つかるかもしれない。……探し当てるのは骨が折れそうだが。 そうして図書館に圧倒されていると咲夜さんにこちらです、と声を掛けられる。 案内されて中を進んでいくと長テーブルに座りこちらを見ている女性が居た。 「こんにちは、初めまして。当図書館にどの様なご用件かしら?」 と、問いかけられる。彼女が恐らくパチュリー様なのだろう。 早速用件を伝えることにした。 「初めまして、里に住んでいる○○といいます。 今日こちらにお邪魔させていただいたのは彼女のことについてです。 こちらには様々な書物が置いてあるということと、パチュリー様も 豊富な知識をお持ちということでお力を貸していただければと思い こちらにお邪魔させていただきました。」 そう言って用件と、ミスティアのことを紹介した。 彼女はしばし考えるそぶりをした後に、 「そう、用件はわかったわ。 私は夜雀の生態についてはまだ詳しくないの。 だから何故声が出せなく、力も使えないのかはわからないわ。力になれずごめんなさい。 なのだけれども確かにこの図書館にならば夜雀について載っている資料もあるかもしれないわね。」 そう言って彼女は本の整理をしていた一人の女性を呼びつけた。 「小悪魔、本の整理は後でいいわ。 悪いのだけれども今日はこの方達についていてもらえるかしら。 何かしら用件がある時は呼ぶから。 勝手に触らせて命を落としてもらっても困るし…… そもそも普通の里人では読めないでしょうからね」 そう言って彼女は読書へと没頭してしまった。話はこれで終わりということだろう。 「ごめんなさいね、パチュリー様は基本的に本の虫でして……」 そう先程小悪魔と呼ばれた女性は苦笑いしながら伝えてくる。 「聞こえているわよ小悪魔」 「ひゃっ!! すみません~……」 非難するような言葉だったが声色はそんなこともなく、互いに信頼しているのだろう、と他人事ながらに思った。 「では生態系の本でしたらこちらになりますね、ご案内いたしますのでどうぞ」 そう言われ、パチュリーさんと咲夜さんに礼を伝え小悪魔さんについて行くことにした。 その後魔理沙が戻ってきて一緒に探してもらったのだが残念ながら 解決策が載っていそうな本を見つけることは出来なかった。 「あんまり根を詰めすぎても逆効果ですわ、良ければ紅茶でもご一緒いかがかしら?」 そう咲夜さんに尋ねられミスティアと一緒にご同伴に預かることとなった。 「しかし……声が出せない、力も使えないなんて聞いたこともないなぁ。 パチュリーでもわからないなんてなぁ」 「私にだってわからないことはまだまだあるわ。魔理沙よりかは知識は深いけれどもね」 「私は興味が湧くことを突き進んで調べるからな。 なんでも無駄に知識を入れているわけではないんだよ」 「魔道とは結局突き詰めれば知識と応用の問題よ、無駄になる知識なんて何もない。 優先順位は確かにあるけれども遅いか早いかの違いね」 そう話している二人を尻目にミスティアに紅茶美味しいね、と問いかける。 一般人である自分には魔道のまの時も当然ではあるがわからないのだ。 【えぇ、美味しいわね。 私も紅茶やお菓子の作り方を勉強しようかしら】 「今でも十分ミスティアの料理は美味しいけれどもね。 もし作るのだったら味見させてもらえると嬉しいかな」 【当然よ、貴方にはお世話になっているし貴方には一番に食べてもらいたいわ】 「それは嬉しいな、感想とかは月並みな事しか言えないだろうけどもね」 【貴方に食べてもらえるのならそれだけで良いのよ】 そこまで書いたメモを受け取ったのだが…… 周りが静かになっていることに気がついた。 はて、どうかしたのだろうか? と思っていると、 「咲夜、コーヒーも淹れてもらえるかしら? 砂糖はいらないから」 「私もお願いするよ、この紅茶じゃちょっと甘すぎる」 「奇遇ですね、私も今丁度コーヒーを淹れているところだったのですわ」 そう口を揃えて言っていた。 はて、そんなに甘いのかなこの紅茶……ミスティアに問いかけても 丁度良い風味だ、と感じているみたいだ。 うーん……自分は結構味覚音痴なのだろうか。 そうして夕刻に時間が近づいてきたので、使えそうな書物は見つからなかったが お暇させていただくことにした。 「今日は本当にありがとうございました、司書さんまでお借ししていただいて……」 「良いのよ、本は読んでもらえなければ意味がない。 読まれるからこそ本は 存在しているのだから。」 本は書くだけなら知識として持っているだけでいい、 他の者に読まれ、知識を共有するためにこそ本はあるのだ、ということらしい。 「だから必要ならば再度尋ねなさい。 貴方の糧にもなるでしょうし 得た知識は決して無駄にはならないのだから」 ただし、汚したり持ってったりしなければね。 そうふざけながら言ってくれるパチュリーさんに改めて礼を伝え、図書館を後にする。 「まだ夕刻ですし魔理沙も居るのですから妖怪などは大丈夫でしょう、 パチュリー様からも許可が出たようですしこれからは気軽にいらっしゃってくださいね。 お嬢様とは時間が合わないので大丈夫だとは思いますが私から伝えておきますので」 「何から何までありがとうございます、就業中なのに貴重な時間を使っていただきありがとうございました。 お嬢様という方にもよろしく伝えておいてください」 「お客様をおもてなしするのは従者としては当然のことですわ、御気になさらず」 そういってお辞儀をする咲夜さんに礼をし、魔理沙、ミスティアと共に紅魔館を後にする。 帰り道、三人で歩いている途中に唐突に魔理沙に尋ねられた。 「そういえば○○、お前はなんでそこまでするんだ?」 「そこまでって?」 言葉の意味が良くわからなかったので逆に尋ね返す形になってしまった。 「道すがら倒れていた妖怪を保護する、そこまではまぁわかるんだ。 妖怪とはいえ姿は女の子だからな。 だけども話を聞く限りだと慧音に後を引き継がせることも出来たんだろう? 慧音だけではなくお前も行った命蓮寺なんかもある。 あそこなら妖怪を保護しているしただの一般人であるお前といるよりも脅威的な面では安心だろう。 それなのにお前はそうしなかった。 失礼かもしれないがお前は何処か人とは一線を引いている感じがしていたからな。 だから意外に感じていたのと不思議だったんだよ」 「失礼な。確かに僕はそれ程人付き合いは得意な方ではないけれども困っている子が居るのなら見捨ててはおけないよ。 押し付けられるから押し付けて、はい、それまで。 なんてことも出来ないしね」 「それでお前は毎日歩き回って色々な所に行っているんだろう? 面倒だ、とかは思わないのか?」 「さすがにそろそろ怒るよ? そんなことは全く思ってないしこれからも思わないよ」 何故魔理沙に挑発地味たことを言われなければいけないのだろうか…? 本当に意図がわからなくて困惑してきた。 「悪い悪い、純粋に気になったから聞いたんだが聞き方が悪くなってしまったな。 純粋に人助け……妖怪助けか? だとわかって安心したよ」 全く……と思っていると魔理沙は箒に飛び乗りながらこう尋ねてきた。 「んじゃ……最後に。 お前はミスティア以外でもこんなに必死になるのか?」 そう言った後には魔理沙はもう飛び去ってしまっていた。 ……どうなんだろう。自分は『困っている人が居るから』必死になって動いているのだろうか。 それとも……『ミスティアだから』、なのだろうか。 しばらくぼーっとしているとミスティアに袖を引かれる。 【大丈夫……?】 そう不安気に尋ねるミスティアを心配させない様に微笑みを浮かべて頭を撫でてあげた。 ────────────────────── 彼は誰にでも優しいんだろう。 きっと。 ある日のこと、いつも通り朝食を作り彼と食べていると玄関を叩く音がする。 ここに住むようになってから彼への来客は初めてだな、と思いながら玄関へ向かう彼を見送る。 そうして戻ってきた彼の隣には魔理沙が居た。 どうやらご飯の匂いに釣られて来たらしい。 まぁ二人でも三人でも一緒ね……そう思いながら三人で朝食を食べることになった。 「うん、さすが屋台をやっていただけあって美味しいな。 朝からこんな美味しいご飯が食べられるとは○○も幸せ者だな」 魔理沙がそんなことを食べながら言う。 私が作っているのだし美味しいのは当然なんだけれども…… ○○が幸せ者だっていうのは…… そう思っていると彼がとんでもないことを言った。 ……毎日……毎日……あぅ。 彼は無意識に私を真っ赤にさせることが出来るらしい。 そうして食事も終わり、紅魔館へと向かうことになったのだが魔理沙が箒へ飛び乗ろうとする。 そういえば声が出せない、ということは伝えていたけれども力も使えないということは伝えていなかったんだった。 すると○○が魔理沙を呼び止め、代わりに説明してくれた。 ○○の説明に魔理沙も納得してくれたのか、徒歩で紅魔館まで向かうこととなった。 紅魔館まではここからだとそれなりに距離がある。 三人で歩きながら向かっているのだが…… 紅魔館か、そしたらあの二人も居るよね……そう考えると少し憂鬱になってしまった。 そんなことを考えていると気付かない内に少し歩幅が遅れてしまっていたようだ。 彼に振り向かれて、『疲れているんじゃない? 少し休もうか?』と、問いかけられる。 そう言われて、今更ながらに二人に遅れてしまっていたことに気付く。 なので彼に、大丈夫だよ、心配しないで? というメモを手渡す。 その様子を見ていた魔理沙に『メモで会話しているのか?』と問いかけられる。 確かに端から見たらおかしな光景だろう。 彼にも大分面倒を強いているし…… そう考えていると、彼から逆に私に不便を強いていると言われてしまった。 ……そこだけは訂正しなければいけない、と思い少し強めに彼の腕を引く。 そうして思いを伝えると彼に微笑まれながら頭を撫でられる。 何処かしら子供扱いされているのかしら……? そんなことも思ったが 心地良かったのでそのままにされていると、魔理沙に茶化されたので 二人して慌てて魔理沙の後を追った。 そうして紅魔館に辿り着くと門の前で佇んでいる門番に気付いた。 確か美鈴だったか……そう思っていると魔理沙が彼女に話しかける。 彼と挨拶をしているといつの間にか先に行っていた魔理沙が先に行くところがあるから、と 館の中へと入っていった。 案内役買ってでてくれたんじゃなかったのよ……もう。 そう彼と美鈴と共に苦笑しながらも連れてきてもらったのは確かだったので軽くお辞儀をしておいた。 そうして館の中に入り、案内役を待っていると…… 階段から降りてくる少女が居た。 はぁ……やっぱり、居るわよね…… そう思い降りてくる少女、十六夜 咲夜を見ていた。 彼女はあの明けない夜や、咲き誇る花々の異変の時に何度か弾幕勝負をしたことがある。 ……勝負というよりかは転がる石ころを邪魔だからどかされた様な感じではあったが。 だからだろうか。 彼女に対してあまり良い印象を持っていないのは。 しらずしらずに彼の後ろに隠れ、袖を引いてしまっていたらしい。 不思議そうにこちらに振り向く彼だったが咲夜から話しかけられすぐにそちらに向き直る。 どうやら魔理沙が説明してくれていた様で図書館へと案内してくれるらしい。 瀟洒な仕草……というのだろうか。 ニコリと微笑む彼女を見て…… ……また見惚れている様子の○○に気付き少しカチンときて顔を背けながら袖を引く。 ……なんで怒っているんだろう? 私。 『心配しなくても取って食べたりはしませんわ。』 そう言って笑う彼女に何故か気恥ずかしくなった。 そうして図書館に着き中へと入る。 初めて訪れる場所ではあるが中の様子を見て驚いてしまった。 ……どれだけ時間を掛けようとも読みきれなさそうな本が出迎えてくれたのだ。 そんな中咲夜だけが中へと進んでいく。 こちらです、と案内されて彼と共に、圧倒されながらも歩を進めていく。 そうして進んでいくと一人の少女が部屋の中に居た。 どうやら彼女が図書館の主で魔女、パチュリーらしかった。 どの様な用件で図書館までただの里人と妖怪が来たのかを問いかけられ、 彼が説明をしてくれた。 するとしばらく考えるそぶりをしていたが魔女である彼女でも夜雀の生態は知識外のことなのか わからないという事であった。 少し残念に思っていると、パチュリーにまた別の女性が呼ばれた。 名前からしてそうだろうが私と同じ様に翼も持っている、彼女は悪魔の類なのだろう。 そうして代わりに図書館を案内してもらうこととなった彼女に礼を伝え、 彼女と彼と共に書物を漁ることになった。 その後用事が終わったらしい魔理沙と共に生態や、過去の文献を探してみたのだが 残念ながら有効そうな内容を見つけることは出来なかった。 ……しばらく探していると、咲夜に声を掛けられる。 紅茶でもご一緒どうかしら? ということらしい。 確かにずっと本と睨めっこな状態で疲れていたのでありがたくいただくことにした。 お茶の場では魔理沙とパチュリーが知識論についてあーだこーだ、と話している。 私は魔法とかの小難しい話は端からわからなかったので紅茶の香りを楽しんでいると 横から彼に話しかけられる。 確かに香りといい味といい絶妙な具合だ。 さすがの従者というところだろう。 ……私も作り方を覚えようかしら? 彼も甘い物は好きそうだし良いかもしれないわね…… そんなことを思いながら彼と疎通をしていると、何やら周りが静かになってしまっていた。 そして私と彼以外の全員が苦めのコーヒーを頼んでいた。 ……この紅茶甘過ぎもしないしお茶請けとコーヒーは合わないと思うのだけれども…… そう彼と共に不思議がっていた。 そうして時間も夕刻に近づいて来たので彼と共に図書館を後にすることにした。 これからお邪魔することも増えるかもしれないと伝えたところ、快く了解してもらえたので 再度礼を伝えておいた。 あまり本を読むのは好きではないけれども……我侭は言ってられないわよね。 私のために皆力を貸してくれているのだし。 そして紅魔館を後にする時に咲夜にも礼を伝える。 今までとは違う感じにこれからは印象を改めようかな、と思った。 話してみれば印象が代わるものだと思って……あの吸血鬼はやっぱりまだ怖いけれども、ね。 紅魔館から帰る途中に魔理沙に彼が唐突に尋ねられる。 ……私も少し不思議に思っていたことではあるので気になっていると、 純粋に私を放っておけない、ということらしかった。 その気持ちにありがたく思っていると、最後に言った魔理沙の言葉が私の中に残った。 ……彼は誰にでも優しいのだろう、きっと。 だから…… 【私だから】必死になってくれている訳ではないのだ。 そう思うとチクリ、と胸が痛んだ。 魔理沙が飛び立って行った後、彼がぼーっとしているので、大丈夫かな? と思い問いかけてみる。 すると何処か無理したような表情で微笑みを浮かべて頭を撫でられる。 その表情を変えてあげたかったが……今の私は無力で。 撫でられているままにしか出来なかった。 ────────────────────── ―――何時からかはわからないけれども――― 夜中に目が覚める。 幸いにもミスティアを起こすことはなかったようで、穏やかな寝息を立てている。 ……阿求様から日用品をもらってからミスティアとは同じ寝室で寝ている。 自分が手を離してしまうとミスティアが眠りにつけないのだということが一つ、ミスティアがうなされた時に すぐ駆けつけられる様にというのがもう一つだ。 初めの頃は恥ずかしさもあったものだが今ではもう慣れてしまっている。 穏やかに寝息を立てているミスティアを見ていると、先日魔理沙に言われたことを思い返す。 ―――お前はミスティア以外でもこんなに必死になるのか?――― ……魔理沙に問いかけられた言葉に未だに答えは出ていない。 確かに、自分は人付き合いが得意ではない。 だからこそ、こんな人里の辺境と言ってもいい様な場所に家を建てているのだから。 それなのに今はミスティアを助けるために必死になっている。 彼女を助ける手段を探すために人里に力を借りに行ったり、今まで行く機会など皆無であった場所にも積極的に行く様にしている。 ……それが苦痛なわけではない。 迷惑だとも全く思っていない。 それは当然だ。 彼女を助けるためなのだから。 ……だけれども、それが他の誰かならばどうなのであろうか? 自分はミスティアではなくとも、これ程までに必死になるのだろうか? ……考えていても今は答えは出ないかな、とかぶりを振ると喉が渇いていることに気付く。 少しの間だけなら、と思い彼女の手をほどき井戸へと向かう。 井戸で水を飲んでいると闇の中、何処かから歌声が聞こえてきた。 恐らくミスティアと同じ夜雀が歌っているのだろう。 里から遠い分だけ、時たま夜雀の歌声を聞くことは前からあった。 「……ミスティアはどんな歌声をしているんだろう」 ……誰ともなく呟いた声は闇に溶けていった…… ―――夢を見ている――― またいつもの悪夢か……嫌だな…… そう思ったが、今回は何やら様子が違った。 辺りが真っ暗なのは変わらない。 自分の息遣い以外は聞こえないのも一緒だ。 しかし不安ではないのだ。 何故かと思い身体を見ると身体の一部分、片手の掌が何故か白く光っていた。 いつもの悪夢の最後に切り替わるのと同じ様な白色に。 その腕からは心地良い温もりがあった。 まるで何かに包まれているかの様に…… 不思議に思いながらも、夢だとはわかっていたのでそのままにしながら考えることにした。 身体はいつになったら治るのだろうか……という考えよりも先に浮かんだのは何故か○○のことだった。 ……不思議な人だ。 ただの人間でしかないはずなのに、いきなり迷い込んだ妖怪を助けるだけではなく 心配し、一緒になって悩み、必死になってくれている。 今まで見た人間とは何処かしら違った。 ……私は、彼のことをどう思っているのだろう? 助けてくれるただのお人よし? ……これは正しいと思う。 何の能力もない普通の人間は妖怪を助けよう等とはわざわざ考えないものだ。 しかし、それだけではないのだろう、とも思う。 それが何なのかは今はまだわからないけれども…… とりあえず今は、この心地良さに浸っていたい……そんな風に手の温もりを感じながら私の意識はまどろみに沈んでいった。 紅魔館に初めて行った時から一日のリズムとしては朝食を食べた後に紅魔館へと赴き 図書館で本を調べ、家へと帰り着く。 といったものになっていた。 今日もいつもの様にそうしようかとも思ったのだが、 さすがに連日お邪魔していたのでは向こうにも迷惑かもしれないと思ったのと、 ミスティアも少し疲れ気味に感じたからだ。 だからという訳ではないのだが今日は一旦調べるのを止めて外で羽を伸ばすことにした。 『今日は気分転換にピクニックでも行かないかい?』 そう彼にに問いかけられて、始めはよく意図がわからなかった。 【ピクニック?】 なのでそう小首を傾げて問いかけてみた。 何故か彼が口を手で押さえ顔を逸らされた。 ……なんでだろう? 『あ、あぁ……ピクニック。 毎日図書館に通いっきりだと疲れてしまうだろう? だからたまには息抜きとしてどうかな、と思って。 ミスティアの料理も、外で食べればより美味しく感じるだろうし』 そう言われて、少し考えた後にこくり、と頷くと彼に向けて微笑んで、 【わかったわ、腕によりをかけてお弁当作るから楽しみにしておいて!】 と腕まくりをしてメモを差し出した。 何故か彼が再度顔を背けていたのが不思議だった。 ピクニックに行かないか? そう問いかけてみると最初はよくわからなかったようだが羽を伸ばすためだ、と言うと納得してくれたみたいだ。 ……だけどその小首を傾げる様子は……その……困る。 そうしてお弁当を作ってくれる事も了承してもらえたので自分も出掛ける用意をすることにした。 ……腕まくりして嬉しそうにしている彼女を見て、直視出来ないのは男性なら仕方ないと思う。 その様子の破壊力が凄くて、少しだけ顔を背けていた。 そうしてミスティアと共に霧の湖まで辿りついた。 「この辺りなら湖も近いから心地よさそうだね」 【そうね、天気も良いし見晴らしも良いしで休むには良さそうかな】 【このところ通いっぱなしだったから少し疲れちゃってたんだ、だから誘ってもらえて本当に嬉しかった。ありがとう】 「気にしないで良いよ、僕もミスティアと一緒で毎日本を読みっぱなしで少し疲れてしまっていたし」 そう言って互いに笑いあう。 本当に天気も良いし心地よい感じだ。 しかし、これだけ良い天気だと眠気も襲ってくる。 「少しだけ横になろうかな……」 湖に足を濡らしているミスティアを遠目に見ながら、草原に横になると次第に眠気が襲ってきたので、 ミスティアには悪いと思ったがそのまままどろみに任せることにした…… ……寝てしまったのかしら? 湖に足を濡らしながら、彼の方を見てみると横になってしまっている。 この所、毎日私に付き合ってもらって歩きっぱなしだったしね…… そう思い、彼の近くへと寄り添い顔へと手をかざす。 彼の寝顔を見ながらふと、今朝の夢の続きを考える。 彼がどういう人なのかは数日共にしただけだけれども、大分理解したつもりだ。 力を失ってしまっているとはいえ、妖怪である私の横で寝つけているのだから 大分危機感とかは足りないとは思うけれども…… そうして、ふと考える。 ……私は、彼のことをどう思っているんだろう? ……手助けしてくれるお人よしな優しい人間? ……うん、これは大分近い気がする。 彼に対しては感謝してもしたりないしね…… けれども…それだけではない様な気もした。 それでは他に何かあるのだろうか……? しばらく思いふけってみるがいまいち、これといった答えが浮かんでこない。 考え込んでいたが、答えも出ず、考えることにも疲れてしまったので 彼の寝顔を眺めていると、自分も眠気に襲われてきてしまった。 なので、彼の横になり、一緒に眠ってしまうことにした。 ……大分寝てしまっていたのかな? 意識を取り戻すと太陽が真上に昇るくらいになっていた。 放ってしまっていたので悪いと思いながらミスティアの姿を探すと…… 「……どうしてこうなってるんだろう」 自分の腕に寄り添う様にして幸せそうに眠るミスティアの姿があった。 動くことも出来ずどうしたものかとも思ったが、幸せそうな寝顔を見てそのままにすることにした。 「……信頼されてるんだろうな、多分」 自画自賛に近いものではあったが隣で幸せそうに寝ているミスティアを見ていると、恐らく間違ってはいないと思う。 そうしてミスティアと共に寝転がりながら再度、前に魔理沙に言われたことを考えることにした。 「あの時はどうかはわからなかったけども……」 ―――そう、初めて出会った時は夢中だったからわからなかったけれども――― 「今はそうだな……」 ―――幾日もの時を過ごした。ミスティアと共に。彼女と共に――― 「ミスティアだからこそだと言えるんだと思うな」 ―――それは確かな気持ち。ミスティアだったからこそ。不安気な表情を浮かべていた彼女だったからこそ――― ―――助けたいと、その儚げな表情を変えたいと、そう思ったのだろう――― そう思い、隣で寝ている彼女を見ていると……目が合った。 そうして二人して慌てて飛び起きる。 「……起きてたの?」 『……』 こくり、と頷いた。 「ごめんね、いつの間にか寝入ってしまったみたいだ」 【そうみたいね、貴方も疲れているんだと思ってそのままにしていたんだけども…… 私も少し眠くなってきてしまって、そのまま一緒になって眠ってしまっていたみたい】 「申し訳ない……そうしたらそろそろ良い時間だし昼食にしようか、 シートの用意をするからご飯の支度をお願いしてもいいかな?」 【わかったわ、今回も自信作だから期待していてね?】 そう笑いかけてくるミスティアにこちらも笑い返しシートの用意をすることにした。 ……独白聞かれたかな? と少し気になったがミスティアが普通にしていたので自分も気にしない様にした。 どうやら思ったよりも眠ってしまっていたみたいだ。 意識が覚めると隣に居る彼が独り言を呟いているのを聞いてしまった。 『ミスティアだからこそだと言えるんだと思うな』 そう聞いた瞬間何故だか知らないが顔が真っ赤になってしまっていた。 何が私だからなのかはわからないけれども…… そうして真っ赤になっていると彼と目が合ってしまい、二人して慌てて飛び起きる。 そうして互いに眠ってしまっていたことに苦笑した後に昼食の用意をすることにした。 独り言を聞かれていたからだろうか……何処となく彼が恥ずかしそうにしている様子を見て 自分も何故か恥ずかしくなったが、努めて気にしない様にした。 そうして昼食を食べ終わり再度横になりながら隣に座っているミスティアと会話する。 「やっぱり外で食べるご飯っていうのは美味しく感じるものなのかな、美味しかったよ」 【そうだったのなら嬉しいわ、気合いを入れたかいがあったってものね】 【でも……あんまりがっついて口に放り込むのはあんまり褒められたものではないわね?】 「う……ごめん、あんまり美味しかったからつい……」 そうして声はないがクスクスと笑うミスティアの方を見るのが恥ずかしく、所在なく辺りを見渡す。 ミスティアの料理が美味しすぎるのがいけない……いや、どう考えてもがっついた自分の性だな。 【でも……いいのかな?私はこんなことしていて】 そう言って少し落ち込みながら控えめにミスティアがメモを渡してくる。 「こんなことって?」 【貴方とこんな風に遊んでいていいのかな、って。だって私の身体の問題なのに貴方に任せっきりになってしまっている。 本当なら自分一人ででも解決するために動いてなければいけないはずなのに。……だめね、貴方に甘えてしまっているみたい】 そう伝えてきて顔を伏せる。 その様子を見て自分は起き上がり…… 「えいっ」 軽くチョップした。 「!?」 おー混乱してる混乱してる。 どうやら何故叩かれたのかわからず困惑している様だ。戸惑ってる顔もこんな感じだったら可愛いなぁ…… などと思いながらも彼女に告げる。 「全く、何度言わせるんだい? 僕は初めから迷惑だなんて思ってないし存分に甘えてもらって構わない。 ミスティアの力になれている今が僕は凄い嬉しいんだ。 だから、身体が良くなるまでは……僕と一緒に居てもらいたい」 最後の台詞は自分的にはだいぶ勇気を振り絞った台詞ではある。振り絞ったんだ。……そこヘタレとか言うな。 しかしそれが自分の偽らざる本音であるし、訂正する気もなかった。 【……うん、わかった。 もう迷惑を掛けてるとか言うのはやめるね? ごめんなさい……そしてありがとう】 そうメモで伝えてきた後、背中に寄りかかってきたミスティアの背中が震えている様なのでしばらくそのままにしていた…… そうして気付いてしまった。 何故、彼女に対してこんなにも必死になっているのか。 何故、ミスティアの事だからこそ必死になれているのか。 それは…… そうして昼食を食べ終わった後に横になった彼と一緒に雑談を始める。 作った料理は彼の口に大分合った様で、口の中に掻き込んで、 喉に食べ物を詰まらせ必死に水を欲しがる彼の姿には思わず苦笑してしまったものだ。 そうして話をしていると、ふいに考え込んでしまう。 私は……彼に迷惑をかけてしまっているのに、こんな風に笑っていても良いのだろうか……? と。 彼も私の様子に気付いた様だったので、考えていたことを彼に伝える。 ダメだなぁ……何度言われても良くない方に考えてしまう。 そうして顔を伏せていると…… 『えいっ』 彼にいきなり頭を叩かれる。 いきなりだったので混乱していると…… ……ダメだ。 我慢出来そうもない。 したくもない。 だから彼にお礼を伝えた後に背中を貸してもらうこととした。 そうして彼の温もりを感じながら私は…… ……気付いてしまった。 わからなかったことに。 今まで考えていてしっくりこなかったことに。 ……彼への感情がどういうモノなのかということに…… それは…… 人間と妖怪、初めから違うモノ。 でも自覚してしまったのだ。 ―――自分はミスティアが好きだということに――― ―――自分は彼の事が好きなのだということに――― ────────────────────── ――― いつか、きっとその時が。――― あくる日のことである、ミスティアと一緒に人里へと行っていたところ 上白沢様に呼び止められる。 「こんにちは、○○。 相変わらず仲良さそうだな」 そんな風に茶化されたので恥ずかしくなり、咄嗟に繋いでいた手を離す。 ……仲良さそうに見えているのか。 それなら少し、嬉しいかな。 「あはは……今はミスティアから離れる訳にはいかないですから。 どうかしたんですか?」 「あぁ……こないだ話していた薬の行商なんだが明日こちらに来るそうだ。 ……まだミスティアは治っていないんだろう?」 、と問いかけられる。 ……あれから、やはりミスティアは喋れもせず力も使えないままだ。 自分も、好きだという気持ちを意識したとはいえ必死になっている彼女の迷惑になるわけにもいかないので 変に意識しない様に接している。 寝る時などはさすがにどきどきしてしまうが…まぁなんとかなっている。 そうして、日々としては特に変わらず図書館に行ったり命蓮寺に赴いたりしてはいたものの、 やはり有効な手段は見つかっていなかった。 「えぇ……色々と調べてはいるのですがさっぱりで……まぁ、気長に文献を漁ってみようとは思っています」 「あまり根を詰めすぎないようにな……お前が倒れてしまえばミスティアの助けになれる者が居なくなってしまうのだから」 「承知しています、ミスティアに無用な心配も掛けたくないですし」 そう言って、ミスティアを見るとやはり上白沢様と同じ考えなのか、こちらを心配そうに見ている。 なので、大丈夫だという気持ちを込めて頭を撫でてあげる。 「やれやれ……本当に雛鳥みたいだな……」 その様子を見ていた上白沢様にそんな風に言われてしまったので、恥ずかしくなり手を離した。 「茶化さないでくださいよ……全く。 行商の方は明日の何時頃にいらっしゃるのでしょうか?」 「あぁ、すまんすまん。 確か昼頃にはこちらに来るそうだ、いつもの様に夕刻ぐらいまでは居るんじゃないかな?」 「了解しました、それでは明日そのぐらいに里に来るようにしますね」 そう礼を伝えて、上白沢様と別れる。 ……薬や診察で治れば……せめて、原因が判ればいいのだが。 そうして、次の日早速人里へと赴き、広場の方へと向かうと、 薬を売っている兎の耳を着けている女性と白いワンピースの女の子を見つけることが出来た。 「すみません、行商の方でしょうか?」 そう問いかけると、明るい笑顔で答えてくれた。 「はい、そうですけれども何処かしら不調なのかしら? 薬でしたら色々ありますので症状によってお売りしますが?」 「いえ、僕ではなくて彼女についてなのですが……」 そう言ってミスティアを前に出す。 すると、 「あら、ミスティアじゃないの。 最近屋台も開いてないし歌声も聞かないからどうしたのかと思えば」 そう白いワンピースの女の子がミスティアに話しかける。 どうやら知り合いだったらしい。 少し笑顔になるミスティアだったが、話しかけられないことに気付き少し困惑している。 なので、いつもの様に助け舟を出すことにした。 「ごめんね、今ミスティアは声を出すことが出来ないんだ。 それで何故なのかを色々調べていて…… もし良ければ薬だけではなくきちんと診察も受けられればと思うんだけれども」 「成る程ねぇ……夜雀が声を出せなくなる……なんかどっかで似たような話を聞いたこともある気がするけども…… ごめん、ちょっと思い出せないや」 そう言って謝ってくるワンピースの子に少しだけ問い詰めようともしたが 彼女も妖怪である様だし長い年月を過ごしてきたのだろう……と思い至った。 なので、気にしないで良い、ただ思い出せたらすぐにでも教えてもらいたい、ということだけ伝えておいた。 「もちろんよ、私もしばらくミスティアの屋台に行ってないからね。 今度行った時にツケにでもしてもらえれば問題ないわ」 「またてゐはそういう事を言って……診察のことだけども大丈夫よ、明日また里の方には来ることにするから これから師匠の所に向かいましょうか」 「恩は売れる時に売っておくものよ? 鈴仙。 それが、長生きと健康と円滑な人間関係の基本、ってね」 「はいはい……全く。 それじゃあ、行きましょうか? 案内させていただきますね」 そう漫才染みた事をしている二人に礼を言って、ミスティアと共に診療所に行くこととなった。 「竹林の中は私達に着いてこないと一瞬で迷ってしまうから気をつけてね、まぁその時はてゐに探してもらうけども」 「そうやってすぐ私に頼る……まぁ更に恩が売れるのなら私としては願ったり叶ったりだけどね。 さすがにわざと迷わせたりはしないけれども」 「それはさすがに勘弁してください……こちとら身を守る術を全く持っていないものですから」 そうてゐに対して苦笑を返す。 実際問題、自分はまだ良いとしても、力を失っているミスティアを危険に晒す訳にはいかないのだ。 彼女もまた、今は無力である。 だから守らなければいけないのだ。 ……好いている人でもあるわけだし。 「なんかえっちぃことでも考えているのかな?」 そんな事を考えていると赤くなってしまっていた顔をてゐに見られてしまい、竹林を歩いている間ずっと茶化されてしまった。 ……何処となく後ろを歩くミスティアの視線が刺すような感じで怖かったのは……きっと気のせいだろう。 そうして竹林を抜けると、目の前には稗田家と比べても遜色ない……いや、こちらの方が立派だろう。 それ程大きなお屋敷が見えてきた。 どうやらここが永遠亭らしい。 「それじゃあ、私は師匠に確認取ってくるからてゐは二人と待っていてくれる?」 「りょーかい、早めにしてねー」 そう言って鈴仙は屋敷の中へと入っていった。 そうしてしばらく待っていると、不意にてゐに話かけられる。 「しっかし、あんたもお人よしだよねぇ。 自分から厄介ごとを進んで受け入れてるんだから」 そう、魔理沙と似たようなことを言われる。 「厄介ごとなんてとんでもない、僕は自分の意思で彼女を助けたいと思っているんだから」 「そこがお人よしっていうのよ。 普通の人間っていうのは自分から厄介ごとに関わろうなんて事は思わない。 余程のバカか……何かしら理由がないとね?」 そう、含みのある言い方で言われてドキリとした。 まさか…… 「まぁその理由がなんなのかは私にはわからないけれどもね、自分で理由を判っているんだったら良いんじゃない?」 「……降参だ。 君は随分頭が良いんだね」 「私はそこらのよりも長生きしているからねー。 その分だけ他人に対して敏感なのさ。 おっと、どうやら師匠の方も準備出来たみたいだね」 そう言うと、玄関から出てきた鈴仙の方へと走っていく。 聞き取れなかったが、何かしらミスティアにもすれ違い様に話しかけた様だ。 何故か顔を赤くして離れていたミスティアを連れて、屋敷の中へと入れてもらうこととした。 「初めまして、八意 永琳と言うわ。 今日は薬ではなくて診察をご希望ということだけれども……」 そうして通された部屋には何かしらの器具に回りを取り囲まれて、 赤と青を基調にした服に身を包む銀髪の女性が居た。 八意 永琳と名乗った彼女がどうやら医者の様なので、早速ミスティアの症状を説明してみる。 「……という訳なのですが、何かしら治療法などご存知ではないでしょうか?」 「ふむ……声が出せないとなると考え付くのはまず喉の不調、扁桃腺の腫れなどね。 後はストレスから来る心理的な問題。 それとぶつかった時の衝撃で……あぁこれは違うわね。 ぶつかってから声が出せなくなったのではなくて声が出せなくなったから混乱してぶつかったのだから」 そう考えながら呟く八意先生。 研究家気質なのだろう、何かしら考えながらも 候補を一つずつ絞り込んでいるようだ。 そうしてしばらくして、結果を待っているこちらに気付いたのか、向き直ると診断を伝えてくれた。 「……あぁ、ごめんなさいね。 少し考え込んでしまっていたわ。 とりあえず結果から言うと……原因不明ね。 喉も調べてみたのだけれども特に異常は見当たらないし…… 後は原因として考えられるのはストレス性のものだけれども、こちらはカウンセリングをしっかりしないと わからないものだわ。 一朝一夕でデータが取れるものではないの」 ……いくつか専門用語が混ざっていたので理解出来ない部分もあったが結果としてはやはりお手上げ、ということらしかった。 「いえ、仕方がありません。 色々と聞いているのですが皆さん同じ答えでしたし…… ただ、何処かしら怪我をしている等ではなかったとのことなので、そこは安心しました」 「そうね、外傷・内傷共に異常は見当たらなかったわ。 だからその点は安心しなさいな」 そうして礼を伝え、帰ろうとしたのだがもう一つ気になっていたことを思い出したので聞いてみる。 「そうだ、最近はないのですが時たま、悪夢にうなされることがある様なのです。 これも原因はわかりますでしょうか?」 「悪夢……ね。 そうね…… 一概にはそうとは言い切れないけれども声が出せないこととの繋がりは十分理由としては考えられるわね。 直接の原因ではなく、悪化の要因として……ね。 恐らくストレス性の物だとは思うのだけれども一応安眠出来る薬も出しておきましょう。 今は見ていない、というのであればそのままにしていてもいいのだけれどもね。 薬は、毒にもなりえるのだから」 そう微笑んでくれる八意先生に礼を伝え、鈴仙に里まで送ってもらうこととなった。 「……しかし、声が出ない夜雀か。 ……なんか何処かで聞いた覚えがある気がするのよねぇ」 「ありゃ? 師匠もそう思う? 私もそうなんだよねぇ、思い出せないんだけれども」 「てゐもそうなの? うーん……そうすると昔の文献とかかしら。 ちょっとカルテでも漁ってみようかしらね」 「そりゃまた忙しそうなことで。 師匠もそれなりにお人よしねぇ」 「あら? 私は純粋な学術的興味よ? 何処かのお人よしさんとは違うわ」 「理由の違いは男女の違い、ってね。 私もまたああいったお人よしさんと出会えると良いんだけどなぁー」 「本心を隠している内は無理な話ね……さて、てゐも暇なら手伝ってもらおうかしら」 「うぇー……やぶへびだ……鈴仙早く帰ってこないかなぁ……」 そうして里まで辿り着き、鈴仙さんに薬を手渡される。 「これが……で……になります。 こっちが……ですので、回数と時間は間違えない様に」 「ありがとうございます、また診察に伺うこともあるとは思うのですが、その時はよろしくお願いします」 「はい、その時はてゐにでも迎えに行かせますので」 それではお大事に、と鈴仙さんと別れる。 そうして家へと帰宅していると、もう日が沈んでいるからだろうか……何処かから夜雀の歌声が聞こえた。 【私も……歌いたいわ。歌うことが夜雀の一番の幸せなのだから】 【貴方に……私の歌声を聴かせる事が出来る日は……来るのかな……】 やはり手がかりがないことに消沈しているのだろうか、そんなメモを渡される。 「大丈夫、きっとなんとかなるさ。 それに僕もミスティアの歌声っていうのを聴いてみたいからね。 どんな歌を歌うのか凄い興味があるし、楽しみにしているよ」 そう伝え、もう癖になってしまっているのだが……ミスティアの頭を撫でる。 【私も……貴方に聴いてもらいたい歌があるから。 早めに治せる様に頑張るね?】 そう笑いかけて、伝えてくるミスティアに自分も微笑みを返して、家への帰路へと着いた。 ────────────────────── ――― sing a song for you ――― あれから……彼とは特に代わり映えしない日常を送っている。 いつもの様に図書館に行って調べたりなどだ。 紅魔館の魔女も、従者も、司書も、門番も、皆気さくに接してくれて、心配もしてくれている。 そして彼…… 彼の事がその……好きだ、ということに気付いたわけなのだが、純粋に私のために必死になってくれている彼に 迷惑を掛ける様な真似は出来るわけもなく、いつも通りに過ごしている。 ……当然だ。 彼は人間。 私は妖怪。 そもそも初めから実る事はない想いなのだから…… そんな事を考えながら、人里を通り紅魔館へ向かおうとしていると 上白沢がこちらに向かってくるのが見えた。 そうして、こちらに話しかけられ……何故かいきなり茶化されてしまった。 いきなりなんだろう……と思っていると彼に繋いでいた手を離される。 あ……という声が出そうになった。 ……声が出せないということを初めて感謝したかもしれない。 彼と手を繋いでいるのは……その……なんというか、安心出来るのだ。 話を聞いていると、どうやら明日以前話していた行商……恐らくてゐ辺りだろう、が来るみたいだ。 有効な薬とかあればいいのだけれど……そんな事を考えながら話を聞いていると、どうやら彼は 上白沢に無茶をし過ぎない様に心配されているみたいだった。 確かに、彼は私のために必死になってくれている。 だけれども、それで彼が体調を崩してしまっては元も子もない。 ……その時自分はどうしたらいいのか全くわからない。 なので、彼のことを心配して見ているとこちらに振り向き、『大丈夫だよ』、と頭を撫でられる。 ……やはり彼に触れられるのは幸せだ。 どうしようもなく……悲しくなるほどに。 そうして撫でられていると、再度上白沢に茶化されて手を離されてしまう。 ……むぅ。 そうして話も終わった様なので、上白沢と別れ今日は紅魔館へ行く予定を止めて、明日を待つことにした。 そして次の日、私達は再度人里へと向かった。 里に着き、中心にある広場へと向かうと、やはり見知った姿を見ることが出来た。 彼が鈴仙に話しかけているとこちらに気付いたのか、てゐが私に話しかけてくる。 久しぶりに会ったので話でもしようかとも思ったが…… 話す、というそんな簡単な事すらも、今の私には出来ないのだ。 そうしてどう伝えようかと困惑していると、以前の様に彼に助け舟を出されて少し安心する。 どうやらてゐは今の私と似たような話を何処かで聞いたことがあるかもしれない、というのだった。 以前、てゐ自身から聞いたことがあるが、彼女は外見とは裏腹に大分長生きしている妖怪なのだ。 なので知識はかなり豊富なのである。 しかし……どうやら覚えていない様だった。 もう……肝心なところで……まぁしょうがないか。 そうして永遠亭にて診察もさせてもらえることになり、四人一緒になり永遠亭へと向かうこととなった。 竹林の中を歩きながら彼女達に付いて行くと、何やら彼とてゐが楽しそうに話している。 ……羨ましいなぁ…… 二人の様子を見てそう思った。 私は彼とはメモでの疎通しか出来ない。 てゐの様にふざけあったりが……出来ないのだ。 もし……もし、声が出せる様になれば彼とあんな風にお喋りをしたり ふざけあったり出来るのだろうか? それとも……声が出せる様になれば、彼と離れなければならないのだろうか。 そんな自分の考えを振り払っていると、彼がてゐに何事か言われて顔を真っ赤にしている様だった。 むぅ……なんか面白くない……そう思いながら彼のことをジト目で眺めていた。 そうして進んでいると、竹林を抜けて大きな屋敷の下へと辿り着く。 屋台引いて来た事はあるけれども……相変わらず、無駄に大きいわね。 そんなことを考えていると、どうやら鈴仙が永琳を呼びに行く様だ。 なので、てゐと彼とで三人で待つ事とした。 そうしてしばらく経った時、彼がてゐに尋ねられる。 ……悪気はないのだろうけどもてゐの言葉に少し胸がチクリと痛んだ。 厄介ごと……それを否定する気はない。 いきなり迷い込んで、それも同じ人間ではなく妖怪なのだ。 厄介ごとではなくて何だというのか? そう思っていると、 『厄介ごとなんてとんでもない、僕は自分の意思で彼女を助けたいと思っているんだから』 そう彼がてゐに答える。 迷いを感じられないその言い様に、不覚にも泣きそうになってしまった。 それを見咎められたくなくて、少しだけ彼らから離れる。 ……どうしよう、どうしようもなく……嬉しい。 私と彼は違う。 そう頭では納得していても心が悲鳴を上げるのだ。 しばらくして自分の感情を落ち着かせていると、鈴仙が戻ってきたらしい。 ふいに、てゐがこちらに近寄る。 そして…… 「あんたもよ? 理由がわかっているのならそれを押さえつける必要なんてないんだからね」 そう彼に聞こえない様な声で、ボソリと言われる。 何について言われたことなのかを一瞬で理解し顔が熱くなる。 しかし、てゐは一瞬で私の傍から離れると、鈴仙のところまで飛んでいってしまった。 ……恨むからね。 そんな私の心の呟きはてゐには届くはずもなかった。 そうして中へと入り、永琳の居る部屋まで通される。 中は胡散臭い物で溢れていて、良くこんなところに居れるものだわ……と思った。 そうして永琳がこちらに向き直り、さっそく彼が説明を始める。 そして説明を聞いた永琳に喉の奥や身体を触診される。 一通り診察し終わった永琳は紙に何やら書きながらボソボソと呟いている。 そうして診断が纏まったのか、こちらに伝えてくる。 ……結果からいえば原因不明ということらしかった。 残念ではあるけれども、彼の言うように怪我などが 見当たらないということがわかっただけでも収穫だったかもしれない。 そうして里へと戻ろうとしたところ、彼が永琳に問いかける。 ……そういえば……最近全然見ないわね、悪夢。 ……何故見なくなったのかはわかっている。 少し恥ずかしくはあるのだが……彼が手を握っていてくれるからだろう。 ……彼に触れられていると、安心出来るのだ。 思えば、最初に彼に触れられた時から私は彼に囚われてしまっているのかもしれなかった。 あの白い世界に変わる瞬間の人影も今ならばわかる。 あれは彼だったのだろう。 彼が私の意識を悪夢から呼び起こしてくれた時に、決まって漆黒の闇は白い世界に切り替わっていたのだから…… あの温もりを知った時から……彼に惹かれてしまったのは当然なのかもしれなかった。 そうして鈴仙に人里まで送ってもらい、彼女と別れ彼の家へと帰ることになった。 もう通いなれてしまった道筋を歩いていると……何処かから私ではない夜雀の歌が聞こえた。 ……私は、彼に歌を歌いたい。 そう思い彼へとメモを手渡す。 すると微笑み、頭を撫でてくれる。 彼へと笑みを返しながらも私は考えていた。 ―――私が貴方に贈りたい歌、それは――― ―――感謝の気持ち、そして……――― その歌を歌っても……言葉に乗せて奏でてもいいのかは……今の私にはまだわからなかった。 ────────────────────── それは突然の通り雨の様に 診療所での診断を彼らが終えてから、数日が経ったある日のこと…… その日はいつも通り代わり映えしない一日であった。 だからだろうか……ミスティアと外へ行こうと不意に思ったのは。 「天気が良いのでまた何処かへ出掛けてみようか?」 そう彼が伝えると、彼女……ミスティアも喜んで了承の意を示す。 【いいわね、だいぶ晴天だし……梅雨入り前の今の時期が外に行くには一番かしら。 ……貴方と出掛けるのは楽しいしね?】 最後にそう付け加えると、準備をしてくる、という仕草をして台所へと引っ込んでいくミスティア。 後には、顔を赤くしている○○がだけが取り残された…… 「いけないいけない……変なこと考えてる暇があるなら、用意しちゃわないとな」 そう頭を切り替える彼ではあったが顔が若干にやけてしまうのは、好いた人に一緒に居ると楽しい、と言われたからに違いない。 好きな異性に、そう言われてしまっては男なら仕方のないことだろう。 きっと。 ――例え、ミスティアが自分に向けてくれる気持ちが、自分の感情とは違うものなのだとしても。 そう、○○は考えていた。 そんな風に○○が考えている頃、台所に飛び込んだ……逃げ込んできたミスティアも若干息を切らせながら赤い顔をしていた。 はぁ……ダメだわ、全く。 彼と出掛けられるのが嬉しくてついつい余計な言葉も付け加えてしまった。 ――私は……思いを伝えることは出来ないのだから…… ――出来る限り、自然にしていないと。 そう、彼は人間。 私は……妖怪。 最初からわかりあえるものではないし、この想いを伝えてしまっては絶対に、彼に迷惑を掛ける。 だから今のまま、今の関係を維持していかなければいけないのだ。 ……決して今の関係には不満はない。 彼はこんな私にも、とても親身になって優しくしてくれる。 甘えてしまっている今が情けなく感じることもあるが、しかしそれ以上に嬉しく感じるのだ。 だけれども、それに甘えっぱなしになるわけにはいかない。 ――彼は純粋に、私のことを心配してくれているのだから。 そう、何故なら…… ―――― 私のこの想いと、彼の優しさは、決してイコールではないのだから ―――― そう考えを纏めると、気持ちを切り替えるために料理に手を付けることにした。 そうして以前と同じ、霧の湖まで足を運ぶ。 以前来た時はお互いに寝入ってしまっていたっけか……先に寝ちゃったのは自分だったが。 そんな風に○○が考えていると、ミスティアがこちらを見ていることに気付く。 どうやらメモを差し出されていた様だ。 ぼーっとしてしまっていた事に気付き、謝りながらメモを受け取る。 【大丈夫? ぼーっとしていたみたいだけれども……】 「あぁ、ごめんね? 風が気持ちよくて少しぼんやりとしていたみたいだ。 どうかしたのかい?」 【ううん、特にというわけではないんだけれども…… そうだ、もし良かったら貴方のことを教えてもらえないかしら? 考えてみたら貴方のことをよく知らないから……】 「僕のこと……ねぇ。 特に面白い人生を送ってきたわけでもないから、特にこれだっていうこともないんだけど……」 そう、話に聞いたことがある外の世界から来ただとか、何かしら特別な家系だ、などの面白いことはないのだ。 普通にこの幻想郷で生まれ、生きてきた。 多少、人付き合いが得意ではなかったので里から離れて暮らしているだけといった程度だ。 【それでも知りたいの。 貴方のことを。 それに……私のことを貴方だけ知っていたんじゃ不公平でしょう?】 そうおどけた感じでメモを手渡される。 確かに、ミスティアに関しては屋台をやっているだとか、どういう妖怪なのかということは最初に聞いていたんだよな…… ふむ……特に面白おかしくは話せないけれどもまぁいいか。 そうして自分についてそれとなく語りだす…… そうして、彼の話を聞いていた。 確かに、彼の言う様に特に波乱万丈な人生というわけでもなかったし、普通の人間と同じ様な生い立ちといった感じではあった。 しかし……私は彼の言葉を、一言も聞き漏らさない様に必死に聞いていた。 彼の事ならなんでも知りたい……そう思っているからだ。 そうして語り終わった彼に、『普通過ぎて退屈だっただろう?』 そう、彼に問いかけられたので、ゆっくりと首を振る。 彼の話は聞いていてとても面白かった。 ――恐らくは、彼と語らうということが、今の私にはとても幸せを感じられることなのだろう。 そう、思いながら。 【ううん、退屈だなんてとんでもないわ。 貴方の事を知ることが出来て良かった】 そう笑いかけてくるミスティアがとても可愛くて……思わず直視出来ず目を逸らしてしまう。 すると、辺りが若干暗くなってきてしまっていることに気付く。 ――ありゃ……梅雨の時期を若干舐めてしまっていたかな。 そう思っていると、ぽつり、ぽつりと少しづつ空から水滴が落ちてくる。 そうして、少しずつ強まってくる雨足を見て慌てて荷物を整理しながら、ミスティアに声を掛ける。 「どうやら降ってきたみたいだね。 強くなるとまずいし、今日は帰ろうか」 そうミスティアに話かけ、二人で帰路を急いだのだが強くなってきた雨足に仕方なく、 丁度見つけた大木の下で落ち着くまで雨宿りをすることとなった。 ――あれだけ晴天だったのに……やっぱりこの季節の天気は当てにならないわね…… 屋台の時もこの時期の天気には大分苦労させられていたのだ。 しかし最近は晴れの日が続いていたので、油断してしまっていたみたい…… そうして、今彼と共に樹の下で足を止められている。 『まいったなぁ……しばらく止んでくれなさそうだ』 そう愚痴をこぼす彼に苦笑しながら、特に急いでいるわけではないのだからゆっくり待ちましょう? と、伝える。 そうして微笑んでくれる彼と共に、雨音の中二人だけで樹の下に佇んでいた。 そんな静かな時間が流れているからなのだろうか……彼のことを考える…… この頃はいつもふとした時にいつも考えてしまうのだが、やはり最後はどうしても気持ちが沈んでしまう。 私は、この気持ちをどうしたいのだろうか…… 彼に伝えたいという思いはもちろんある。 だが、今まで妖怪として過ごしてきた私がそれを否定する。 ――彼に迷惑を掛けてしまう。 どうしても……そう思ってしまうのだ。 それは当然のこと。 今まで何度も自分の中で確認し、その度に押し殺してきた想いだ。 ――でも、私はこの気持ちを何時までも我慢出来るのだろうか……? 今は……答えは出そうになかった。 もしかしたら……ずっと解決しない思いなのかもしれない。 そう……思った。 ……しばらく二人で、雨が止むのを待っていたのだが中々止みそうにない。 ――この季節は不安定だからなぁ……自分が濡れるのは構わないけれども、ミスティアを濡らすわけにはいかないし。 そう○○が考えていると、隣のミスティアが伏し目がちになっていることに気付く。 ……結構な長い時間を一緒に過ごしてきたからわかったのだが、ミスティアはどうも塞ぎがちというか 悩んでいることを自分の中で仕舞いこんでしまう癖がある様だった。 ――まぁ、体調が悪いときは自分も同じ様なものか…… そう考えながら、ミスティアに語りかける。 「また悩んでいるのかい? 悩みがあるのならば、教えてもらいたいかな。 こんな僕でも少しはミスティアの力になれるだろうし」 【ありがとう……でも大丈夫、これは私の気持ちの問題だから……】 そう伏し目がちに微笑んでくれるミスティアだったが、やはり彼女にそんな顔はさせたくはない。 「……結構話すだけでも、楽になることって多いからね。 あんまり一人で悩み過ぎては解決するものも解決しないから…… 頼りないかもしれないけども、少しでもミスティアの力になりたいからさ」 そう、出来るだけ優しく語り掛ける。 ――そう、力になりたいのだ。 ――彼女の。 それが何故かはわかっている。 だけど言葉には出せない。 人間と妖怪、その差はやはり大きい。 自分は彼女が妖怪であることは何も気にはしないが、彼女は……きっと違うだろう。 身体の調子さえ良くなれば……ただの人間の元に居る理由なんて有り得ないのだから…… ――だけど、それでも構わない。 ――ミスティアの助けになりたいという、この気持ちは確かなものなのだから。 優しく語り掛ける彼の瞳が、じっと私を見ている。 何の恐怖も畏怖もなく、只々……優しい瞳が。 ――私は……そんな彼の瞳がとても……とても綺麗に思えて…… ―――― そうして、気付いた時にはミスティアの顔が近づいていた ―――― そして…… どうしてこうなったのかはわからない。 頭も働いてくれない。 ―――― もう何も見えず、聴こえない ―――― ―――― ミスティアの息遣い以外は、もうなにもきこえない ―――― ……しばらくの間、何も出来ずそうしていると、不意にミスティアが離れる。 何を語りかければいいのかもわからず、ただ立ち竦んでいると…… ミスティアはとても悲し気な表情を浮かべ、雨の中に走り去ってしまった。 ――― 少しずつ晴れ間が見えて弱まっていく雨の中、どうしたらいいのかわからず立ち竦むしか ――― ――― その時の自分には、出来なかった ――― ────────────────────── そうして、歩みを進める/立ち止まり続ける ――そして、私は一人となった。 何処をどう走ったのかは覚えていないが、気付いたら辺りは竹が生い茂っている。 どうやら、迷いの竹林まで来てしまっていたらしい。 ……あれだけ降っていた雨も、いつの間にか止んでしまっていた。 ――もう少し降っていてほしかったかな…… そう、雨とは違う水滴で濡れている頬を触りながら思う。 ――私は……なんてことを……もう彼の元には戻れない…… ……当たり前の話だ。 彼に対して何も伝えず、あんなことをして勝手に逃げ出してきたのだから。 ――自業自得とは正に今の私のことだな…… そう自重しながら、竹林を彷徨う。 ――そういえば、せっかく作ったのに料理食べなかったな…… 突然の雨に食べる間もなく、彼の元へと残された料理を思う。 そうして……彼の顔を思い浮かべる。 しかし、どうしても滲んできてしまう。 それは自分の目が滲んでしまっているからだということに、今のミスティアは気付く余裕もなかった。 そうして彷徨い歩いていると、前から誰かが歩いてくるのが見えた。 ―――― もう、どうでもいいや ―――― ――そう思いながら、憔悴しきっていたミスティアの意識は、深い闇へと落ちていった。 ――やっぱり……居ないか。 あの後、しばらくの間その場に立ち竦んでいた○○だったが、すぐに追わなければいけない、という事に思い至る。 しかし結構な時間を立ち竦んでしまっていたらしく、ミスティアの姿を見つけることは出来なかった。 ……もしかしたらと思い、家に辿りつくもそこにもミスティアの姿は……なかった。 ――何故自分はあの時すぐにでも、ミスティアのことを追わなかったのか…… 後悔が○○を苛むが、今の○○ではどうしようもする事が出来なかった。 そうして気落ちしている○○の耳に、玄関の扉を叩く音が聞こえてきた。 ――戻ってきたのか!? そう思い、一目散にドアへと向かい開ける○○だったが、玄関に居たのはミスティアではなく、別の人物だった。 ―――― 私は闇に囚われている ―――― ……この感覚は久しぶりだ。 ○○と出会ってから初めの頃に見ていた悪夢。 意識を失ってしまったからだろう。 そう、漆黒の闇を見つめながら、何処か冷静に思う自分が居る。 襲い来る闇と、私を責め立てる声に、今の私は抗うことが出来ない。 抗うつもりも……ない。 ――当然の報いよね…… そう思いながら自分の身体を見渡すと、以前は暖かな白に包まれていた手は、今は真っ黒な闇に包まれて何も見えない。 ――当然ね……私が、自分で振り払ってしまったんだから。 そう自虐しながら思う。 ――私はきっと、もうこの闇から目覚めることはないのかもしれない…… ――――それでも良いか……私が○○にしちゃったことはそんなことじゃ償いきれないしね…… そう思い、闇に意識を完全に委ねようとすると、何処からともなく声が響く。 『そうやって、悲劇のヒロインを気取っているつもりかしら?』 ――誰の声だろう、私ではない。 だけども以前何処かで聞いたことがある様な…… そう考えていると、更に謎の声は私に問いかけてくる。 『貴女はそれでいいかもしれないわね。 所詮は人間と妖怪。 初めから実るはずのない想い。 奇跡でも起こらない限りは……ね』 「……えぇ、その通りよ。 彼は人間。 私は妖怪。 種族も違えば、寿命も違う。 在りかただって異なっている。 初めから……抱いてはいけない思いだった」 もしかしたら自分で気付かなかった思いが、声として語りかけているのだろうか。 夢の中だからだろう。 声も不思議と出せていたので、その声と向かい合うことにした。 ――どうせ時間はあるのだから、これからずっと……闇の中なのだから。 『そうして貴女は意識を閉ざして、妖怪としても生き物としてもその存在を終わらせる。 えぇ、それも貴女の選択ですわ。 この世界はどんな選択だろうと優しく残酷に受け入れるのだから。 それに反対はいたしません』 「ならば放っておいて。 私は彼に酷いことをしてしまった。 それは今更どんなことをしても、償いきれるものではないわ」 そう――だからこそせめてもの償いとして私は、この暗闇で苦しみ続けることを選んでいるのだから。 『妖怪と人間の愛憎模様、それはまさしく悲恋譚。 古今東西、幸せな結末を迎えたことなど数える程もないでしょう』 「そこまでわかっているのなら……」 ――何故邪魔をするのか そう問いかけようとした。 ……その声に遮られなければ。 『けれども……貴女は今の彼の事を、考えたことがあるのかしら?』 その言葉にズキリと胸が痛んだ。 「……彼には何も言わず別れてしまって申し訳ないと思っているわ……でも彼は人間。 里に住んでいれば、いつかは私のことなど忘れてくれる」 そう、苦虫をすり潰した様な顔で声へと伝える。 ――そう、彼は忘れるだろう、私のことなど。 ……彼のことは出来るだけ考えないようにしようと思っていた。 何故なら、私が彼と共に過ごした日常こそが、異変だったのだから。 彼にとっては、その異変の原因が勝手に居なくなっただけにすぎない。 だから異変は解決して、異常は日常へと戻っていく。 ――ただそれだけの話だ。 ――そう思っていた。 ――だから、あんなに悲しそうな彼の表情を見せられた時に、何故だか泣きそうになった。 「魔理沙……か。 ……ごめんね、ちょっと今立て込んでいて魔理沙の相手をしてられないんだ」 玄関の扉を開けてそこに居る人物を確認すると、白と黒のいつもの服に身を包んだ、霧雨魔理沙だった。 「おっす、たまたま近くを通りかかってな。 今日もミスティアの飯をいただきに来たぜ。 ……っておい、大丈夫か? 顔が真っ青だ」 ……どうやら昼食をご馳走になりに寄ったらしい。 最初は残念がっていたが、自分の様子がだいぶおかしいことに気付いたのか、家へと上がってきた。 「おいおい、本当に大丈夫か……? だいぶ酷い顔色をしているが……そういえば、ミスティアは居ないのか?」 「大丈夫、心配される程ではないよ。 ミスティアは……ちょっと今居なくて……」 ――そう、この家に今ミスティアは……居ないのだ。 今まであれだけ暖かかった我が家は、何処かがらんどうに感じるくらいに寒々しいものだった。 「……何かあったみたいだな。 話を聞かせてもらおうか」 「そんな、悪いよ。魔理沙に迷惑は……」 かけられない、そう続けようとした所魔理沙に詰め寄られる。 「友達が気落ちしているっていう時に助けにならないでどうするって言うんだ! 迷惑とか云々抜かす前にさっさと話せ!!」 そう、強い口調で咎められる。 ……そのぶっきらぼうであるが、自分を心配してくれていることが伝わってくる魔理沙の言葉がとても有難く、 少し目が滲んでしまったが、何があったのかを話すことにした…… 「成る程な……全く、どっちもバカというか子供というか……」 「返す言葉もないよ……」 大体の説明をし終えると、魔理沙にそんな風に飽きれられる。 「んで……だ、……お前はなんでこんなところに居るんだ?」 唐突に、そう魔理沙に言われる。 どうやら僕が此処に居ることにだいぶ怒っているようだ。 「なんでと言われても……彼女が戻って来るかもしれな……」 がすん。 何が起こったのかは始めはわからなかったが、頭に痛みが染み出して理解した。 魔理沙に箒で殴られたのだ。 いきなり何をするんだ! と、問い詰めようとした所、逆に圧倒されてしまった。 「お前はアイツの宿り木気取りだったのか!? 納得して別れたのか!? 違うだろうがっ!! 何でアイツを探しにも行かずこんな所でのうのうとしているんだっ!!」 そう烈火の如く捲くし立てられる。 「そんなことを言ったって、僕は人間で彼女は妖怪だ! 僕なんかに思われていたって、彼女の迷惑でしかないはずだ!」 ――そう、そんなことは前からわかっていたことだ。 それを自分は納得していたんだから。 しかし…… 「迷惑!? そんなこと誰が決めた、そう思っているのはお前だけだろうが!!」 ――お前は、ミスティアに迷惑かどうかを聞いたのか―― そう、魔理沙に問いかけられ、僕は何も言葉を返すことは出来なかった。 「幻想郷でも妖恋譚は確かに少ない、悲恋譚になることの方が多い。 当然だ、在りかたも生き方も寿命も何もかも違うんだからな…… でもそれだからって……最初から諦めていたんじゃ、どうにもならないじゃないか! 想いを伝えて、判り合えるかもしれないじゃないか! それなのに……何でそれもしないで諦めるんだ! ……お前の想いってのはそんなもんだったのかっ!!」 ―――― ……少なくとも、私は絶対に諦めない。 ……絶対に ―――― そう呟いた魔理沙の言葉は、何処となく僕だけではなく……自分にも言い聞かせている様に感じた。 「……ありがとう、魔理沙。 憑き物が落ちた様な気持ちだよ」 ――そうだ、自分はまだ何もしていない。 ――彼女にさよならを告げてもいなければ……この想いを、伝えてもいないのだ。 ――まだ、お話は続いている。 諦めない限りはずっと。 「気にするな、私は何をして良いのかわからない軟弱物に道を指し示しただけだからな。 この後どうするのかは、ソイツ次第だしな。 なんてったって……」 ―――― 私は恋色の魔法使いだからな ―――― そう、若干照れながら笑う魔理沙に、泣きそうになりながらも礼を伝えて家から飛び出る。 ――泣いている暇はない。 ――何処に行けばいいのかもわからない。 ――だが、もう立ち止まってはいられないのだ。 ―――― 彼女に想いを伝えるまでは ―――― ――いきなり目の前に不思議な穴が現れる、その中には…… 「○……○……」 打ちひしがれた表情で、○○の家に居る彼の様子が映し出された。 ――何故こんな表情をしているのだろうか…… 私という異変が解決して、晴れやかな表情をしているはずではなかったのか…… ―――― 何故、そんなにも泣きそうな顔をしているのだろうか ―――― そう思っていると、声が話しかけてくる。 『これが貴女の結果。 貴女がしでかしてしまったもの。 ……貴女が向き合わなかったからこそ、起きてしまった……罪』 「そんな……そんなことって……」 ――違う、違うのだ、私は彼にこんな表情をさせたかったわけではない。 ――笑っていてほしかったのだ。 彼には、ただ笑っていてほしかったのだ。 ―――― あの、何処か安心出来る微笑みで ―――― 『……貴女は、自分から何一つ伝えなかった。 声が出せなくとも、伝えることは出来たのに。 本心はただひたすら隠し通した。 ……その結果、事態はこうなってしまった』 「……どうすれば……どうすれば良かったっていうの!? 今更こんなモノを見せて! 今更……今更私はどうすれば……」 『さて、ね。 私は言った筈よ。 全てを受け入れる……と。 諦めるのも自由だし……もちろんその逆も』 「もう……遅いわ、遅すぎるのよ……」 ――彼に対して今更何をすれば良いというのだろう、もう彼の元に戻るなんてことも、今更出来るわけもない…… 『……そう思うのならばそれでも良いでしょう、妖怪側は諦める。 それも良くあるお話ですわ』 『妖怪側は……ね。 私から言えるのはそれぐらいですわ、それではごきげんよう……さ よ う な ら』 それきり……声は聞こえなくなり、私の意識は闇へと再び沈んでいった。 漆黒の闇へと。 もう、助けてくれる光は……ない。 ――そして、私は闇の中、一人となった。 ―――― もうなにもきこえない ―――― ────────────────────── もうなにもきこえない 魔理沙と別れ、家を飛び出してから、とにかくミスティアの姿を捜し求める。 まずは今まで行った場所から……しらみ潰しに探そうと考えた。 人里へと赴く。 ――上白沢様も阿求様も、ミスティアのことを心の底から心配してくれていた。 命蓮寺へと駆け込む。 ――白蓮様も、一輪さんも、心配して一緒に探そうとしてくれた。 しかし、丁重にお断りしておく。 ミスティアを探し出すのは……自分で成し遂げなければ意味がないのだから。 紅魔館の門をくぐる。 ――パチュリー様も、咲夜さんも、美鈴さんも、小悪魔さんも、皆心配してくれている。 必ず見つけ出して、またミスティアと一緒に訪れることを約束して、紅魔館を後にする。 短い間ではあったが、これ程までに沢山の人と出会い、助けてもらっていたことを実感する。 だけれども……感慨に耽るのはまだ早いし、隣に居るべき彼女が居ないのだ。 だから走る、ただひたすらに。 ――何にも代えようがない、かけがいのない彼女…… ――また、あのミスティアの笑顔を見るために…… ――今は走り続ける ――大好きな彼女を探し続ける 力のない自分には、それしか出来ないから。 ――何よりも自分が、そうしたいから。 そうして―― 最後の候補である永遠亭に行くために、迷いの竹林まで辿り着いた。 ――そろそろかな…… そう思っていると、竹林の入り口に入ってくる人影が見えた。 「ふーん……あのへなちょこそうな顔が、随分と立派になって」 知らず知らずに、笑みが零れる。 それはそうだ。 これからとてもとてもとても楽しい場面に立ち会えるのだから。 そんな風に思いながら彼女、 ――因幡 てゐは、○○の前へと躍り出た。 そうして目の前に躍り出てきた彼女、てゐに○○は気付く。 息を調えながら、○○は彼女に問いかける。 「はぁ……はぁ……すまない、てゐ。 今ミスティアを探しているんだ。 はぁ…… 何処かで見かけただとか、知っていることがあったら…… はぁ……教えてもらえないか?」 そう途切れがちに問いかける○○。 その動きは今にも酸欠で倒れてしまいそうで、てゐの様子を伺う余裕もあるはずがない。 もっとも……彼女が人間である○○に、心を見透かされるはずもないのだが。 ――楽しくて、笑い出してしまうのを必死に堪えている、彼女のその心境を。 「○○、良かった…… 今からそっちに行こうと思っていたのよ。 いい? ……落ち着いて、聞いてね?」 ――そうして、彼は目の前が真っ暗になってしまった。 「竹林で倒れているところを私が見つけて…… 今、永遠亭に居るんだけども全く意識が戻らないの……」 ―――― そうてゐに告げられて ――― ……案の定、だいぶショックを受けている様だ。 それは当然か、好いている相手が意識不明の重体だというのだから。 ――さて……これからどうするのかな? ただの人間。 ……結果がある程度見えてはいるのだが、その過程を楽しむのが長い寿命を持つ妖怪だ。 ――精々私達を楽しませてちょうだいね……? しばらくの間、放心してしまっていたが、何時までもそうしてるわけにもいかないと意識を取り戻す。 ――彼女の意識がないというのなら、目覚めるまで傍に居るだけだ。 ――彼女を……一人にはさせたくない。 そう、強い思いを抱きなおして。 「てゐ、悪いけれどもすぐにでも永遠亭に行きたいんだ。 案内してくれないだろうか?」 そうてゐに問いかけると、こくりと頷いてくれた。 「もちろんよ、私はそのために此処まで来たのだから。 最短距離で行くからしっかり着いてきてね!」 そうてゐに言われ、力強く頷く。 ―――― もう少しだけ待っててくれミスティア ―――― そう思いながら、再度疲れきっている身体に力を入れて走り出す。 ――人間側は大丈夫ね、後は彼の頑張りとあの子次第…… ――さてさて……お話の結末はどうなることやら…… そうして、永遠亭へと辿り着くとドアを蹴破る勢いで開け放ち、ミスティアの居る場所へと急ぐ。 途中すれ違った兎がだいぶ驚いていたが気にしている余裕も今は、ない。 「やっと来たのね、○○」 そう、ある部屋の前に居た鈴仙に話しかけられる。 「すまない、遅くなった……ミスティアは!?」 「落ち着いて、今彼女はここで眠っているわ…… 師匠が言うには体調の衰弱もあるのだけれど以前貴方が言っていた悪夢…… あれが再発してしまっていてそれがどうも良くないみたい。 ……妖怪は、体調面よりも精神面でより大きなダメージを負ってしまうから……」 ――だから絶対安静に……静かにしなかったら蹴り出すわよ? そう鈴仙に言われて、予想以上に重症そうだということを意識して、部屋の中へと入る。 「……ミスティア」 部屋の中には布団に横たわり、だいぶうなされている様子の捜し求めていた彼女が居た。 最初に、家で悪夢にうなされていた時よりもだいぶ辛そうで…… ……その姿を見ていたくなくて目を逸らしそうになったが、それでも彼女の元へと寄り添う。 ――そうしてミスティアの手を握り、語りかける。 ―――― 聞こえていなくても良い、それでも、少しでもいいからミスティアへと届く様に ―――― そう思いながら。 ――耐えられないかもしれない。 闇に囚われながらそう思う。 ……耐えなければ、楽になれるのだろう、 それが私というモノが居なくなる……ということなのだとしても…… しかし、私はそれを拒んでいた。 少しでも長く苦痛を味わうことが、私の受け入れるべき罰なのだと思っていたし…… 何よりあの闇から問いかけてきた声と、最後に見せられた○○の表情が心に残るのだ。 ――私は、まだ都合の良いことを考えているのだろうか。 そんな事を考える。 ○○に私を受け入れてもらえる、そんな都合の良いことを。 ……有り得る筈がない、と何度も自分の中で答えを出した。 しかし、望んでしまうのだ。 あの、私にとっての素晴らしい日常を思い出してしまうのだ。 ――人里へと行った。 初めは怖かったが、上白沢も阿求もどちらもとても優しく、接してくれた。 ――命蓮寺へ赴いた。 妖怪を受け入れると公言している彼女達は、私に対してもとても真剣に考えてくれた。 ――紅魔館で探し物をした。 今までの怖かったイメージを持っていた従者や、図書館の魔女なども皆、実は優しいのだと知った。 ――永遠亭で診察をしてもらった。 今考えると、てゐはきっとあの時気付いていたのだろう。 ……私の想いに。 ……思えばこの短い間に色々な場所に行ったものだ。 そして……思い返せば……いつも隣には彼が居た。 ――人里では一緒に甘味所に行った あの時は、お腹が鳴ってしまって恥ずかしい思いをしたっけ…… ――命蓮寺では聖に見惚れていた○○に対して少し怒ってしまった。 ……彼は気付かなかったでしょうけどね。 思えばあれは嫉妬だったのだろう。 思い返せば、あの頃にはもう彼のことを意識していたのかもしれない。 ――紅魔館では一緒に本を探し、紅茶を飲んだ。 ○○に私が作ったら食べさせてあげるって約束……守れなかったな。 ごめんね……。 そういえば、帰り際に魔理沙が言ってた言葉の答えも聞いていないな…… でも……私だから、必死になってくれていたのだったら……嬉しい……かな。 ――永遠亭ではてゐにからかわれて顔を赤くしている彼に少しだけ心がざわついた。 勝手な言い草よね……でも、診断を受けて身体に何も異常がないとわかった時に 彼が浮かべてくれた笑顔が眩しかった。 嬉しかった。 ……彼に、歌声を聴かせるという約束は守れなかった。 それどころか、声すら聞かせることが出来なかったのだ。 その事が……心残りだ。 ――他にも思い起こせば色々と行ったなぁ…… ピクニックにも行った、買い物にも行った、様々な場所へと行った。 ……いつも隣に居てくれた彼は、もう居ない。……私のせいで。 ――きっと私は、ずっとこうやって後悔していくのだろう。 意識が持つ間はずっと…… そうして、意識を更に深い闇へと向かわせようとすると……また誰かの声が聞こえてきた。 聞き覚えのある、ずっと心の中で求めていた声が。 ――そうして彼は語りかけている。 ミスティアの手を握りながら、今までのこと、今までの日々、今までの記憶を。 そして、今まで言おうとしなかった……想いを。 「思えば、君が僕の家の近くで倒れていたのを見つけた時は、とにかく必死だったよ……」 散歩に出掛けてみれば女の子が倒れているのだ。 必死にならない方がどうかしているだろう。 ただ、今はミスティアだったからだと、そう思いたいが。 「初めは、妖怪だって気付いた時少し驚いた。 正直、戸惑いもした。 でも、目覚めた君を見た時にそんなことはどうでも良くなったんだ……」 目覚めたミスティアは、正に親鳥とはぐれた雛鳥というような表現が一番正しかったと思う。 だからだろうか……心細そうにしている彼女を見て、助けになりたいと感じたのは。 「人里へ行った時は上白沢様が初め忙しくて、甘味所にも行ったね。 美味しそうに食べる君を見てなんだか僕も嬉しかった……」 そんな彼女の様子を見ながら、 妹や娘が居たらこんな感じなんだろうか……と思ったりもしたものだ。 「君が悪夢にうなされている時は本当に心配で…… もう目が覚めないんじゃないか、とも考えてしまった。 だから、目を覚ましてくれた時は、本当に嬉しかった。 ……安心した」 そう、あの時は本当に生きた心地がしなかった。 そうして無意識の内に彼女の手を握った。 離れない様に、安心させる事が少しでも出来る様に。 「命蓮寺にも行ったね、あの時は帰り際、何故君が機嫌悪かったのかが 何故なのか未だにわからないけれども……」 妖怪を受け入れてくれる、と言う白蓮様に微笑みかけられている君を見た時に 安心した笑顔を見せてくれて、それに見惚れたりもした。 「紅魔館では紅茶をご馳走になったね、あの紅茶は今でも見事な物だったと思っているんだけどなぁ。 図書館にもだいぶ通い詰めさせてもらったし……」 紅茶や、新しい料理を作ったときには一番に味見をさせてもらう。 他愛もないことだが、確かに約束したのだ。 だから……その約束を果たさないわけにはいかない…… 「永遠亭では君の身体に異常がない、って聞いて凄く嬉しかったよ。 来る途中ではてゐに茶化されたりして、大変だったけどね……」 そう、てゐには初対面だったのに何故か気持ちがバレてしまっていたんだったんだ。 やはり生きてきた年数が違うからなのだろうか…… そして、帰り道にミスティアと交わした約束。 ……そう、自分はまだミスティアの歌声も、声も聴いてはいないのだ。 彼女の奏でる歌声を……どうしても聴きたい。 だから、彼女に届く様に、ただひたすら語りかける。 「ピクニックにも行ったし、色んな場所に行ったね……」 そう、色々な場所へ行った。 今でもはっきりと、今までのことが思い出せる。 その日々はかけがいのないもので、しかしそれは彼女が居たからこそのものだ。 だから、眠っているミスティアに届く様に…… ―――― そうして、想いを込めて言葉を紡ぐ ―――― ―――― 眠り続ける彼女へと届く事を願って ―――― ―――― そうして、私はその声を夢の中で涙を浮かべながら聴いていた。手の辺りから広がる暖かい白色と共に ―――― 「ミスティア、僕は君の事が好きだ。 君が居ないと生きていけそうもない。 待っているから……ずっと、ずっと待っているから……起きたら、君の歌声を聴かせてほしい」 ――もう君の事以外なにもみえない―― ――なにもきこえないから―― ――そうして、私は目を覚ますと、衰弱し、ふらついてしまっている身体で何とか彼に抱きつく。 そして――想いを伝える。 彼に負けないくらいの、気持ちを込めて。 「私も……私も貴方の事が大好きです、もうずっと前から……貴方に捕われていました。 ……ありがとう、こんな私を思ってくれて……本当にありがとう……」 ――私も貴方の鼓動しかきこえない、貴方の息遣いしかわからない、もう貴方以外――なにもきこえない―― ――そう確かな言葉で伝え、彼が居ることの……彼に触れられることの幸せを噛み締めながら、眠りに落ちていった。 暖かな温もりに包まれながら……漆黒ではない、眠りへと……
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基本的なシステム 主人公の蓮子がバトルフィギュアとともに、 8つのジムをはっ倒すゲームです。 バトフィは、野生で出てくるものを、捕まえます。 っていっても、運ゲーです。 注:このシステムは、ウサギマスク様の「アクター量産システム」のスクリプト を使用しています。 本当にありがとうございました! 主なバトフィ ミスティア・ローレライ むし ひこう すばやさが高く、サポートスペルを多く覚える。 序盤は使いにくいところがあったりするが、育てていけば、 かなり優秀なサポーターになり得る。 橙 じめん 序盤のアタッカー。 静葉に会ったら即終了だが、先制技なども覚え、 ステータスもそこそこ。 リグル・ナイトバグ むし つき 夜にしか出てこない。 全体攻撃をはじめから覚えていて、序盤の即戦力。 育てていくと、凶悪なスペルばかり覚え、 粘り勝ちも良し、速攻も良しの万能アタッカーになる。 ルーミア あく つき 覚えるスペルは少ないものの、 育てると化ける。 かなりの攻撃力の持ち主。 やればできるんです。 秋静葉 くさ 序盤に野生で出てきたらただの恐怖の塊。 火力は十分で、使ったら負け!? とくこうがとっても高い。 画像はUNK教団の野望様の画像を加工したものです。 ありがとうございました!
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《大天使(だいてんし)クリスティア》 効果モンスター(準制限カード) 星8/光属性/天使族/攻2800/守2300 自分の墓地に存在する天使族モンスターが4体のみの場合、 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。 この効果で特殊召喚に成功した時、 自分の墓地に存在する天使族モンスター1体を手札に加える。 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 お互いにモンスターを特殊召喚する事はできない。 このカードがフィールド上から墓地へ送られる場合、 墓地へは行かず持ち主のデッキの一番上に戻る。
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Dog氏 作品 キャラクター SS DL 元画像 備考 ミスティア ○ ○ 赤りんご氏 ミスティア × ○ 同上 上のスキンの修正版 サイト 『犬』製作によるFace置き場
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コンセプトデザイン 静秋氏 ストラティア級軽巡空艦 Stratia-class Light cruiser 基本情報 種別 軽巡空艦 命名規則 前級 次級 設計 インペリーア・ヴィマーナ造船所 所属 クランダルト帝国帝政ダルト国 製造 3隻 世代 第三紀 性能諸元 全長 XXmlt 全高 XXmlt 器官 浮遊嚢器 2器循環器 1器 総代謝 510q 最高速度 155km/h 航続距離 XXgaias 武装 15fin榴弾砲 2基2門13.7fin連装対空砲 9基18門5fin連装機関砲 9基18門3fin三連装機関砲 10基30門機銃多数 補助装備 戦闘機グランミトラ 3機 乗員 380名 - 概要 クライプティア級やアルバレステア級で名を馳せたヴィマーナ造船所の最終設計船。 次期軽巡充足計画に伴い、帝国軍に常に不足してきた対空火力を補うために提出された補助軽巡の提出案であったが、グレーヒェン工廠のガリアグル級の一大採用に伴って計画は中止されてしまった。 最新理論を採用した流線型の避弾経始装甲を取り入れつつ、旧来の生体器官配置による建造のしやすさを売りにしつつ、艤装類には最新技術を惜しみなく投じた設計である。 なによりも第二紀のアルバレスティア級重巡を彷彿とさせる、鬼のような対空戦闘能力が特徴。 これらは左右の砲が共通の弾薬庫を使用して、武装数を維持しつつ防御範囲を限定する意図で設計された、一般的にドラム式/パドル式と呼ばれるユニークな構造だ。 結果論から言えば帝国はこの艦を採用するべきであったが、軽巡に武装を詰め込んだ結果 補助軽巡のはずが、生体器官の基礎代謝や乗組員はアクアルア級重巡を凌駕しており、その燃費は重巡のような軽巡という中途半端な代物となってしまったのが不採用の遠因となった。 3隻が製造され各戦線へ回された。司令部もこの艦の有用性を認めていたが、インペリーア・ヴィマーナ造船所は本級の失敗と同時に解散してしまい 生産ラインも生体技師も確保できないまま、シルクダッド戦役で最後の1隻が失われた。 + Description Description must be less than 300 words - 兵装 ADJUSTMENT + Armament ADJUSTMENT