約 2,291,942 件
https://w.atwiki.jp/xaymaca/pages/588.html
SN0272 ジェニー・ドント・ユー・ルーズ・ハート ブルース・スプリングスティーン 2005/03/12 赤羽 函館 SN0310 ジャージー・ガール ブルース・スプリングスティーン 2005/07/09 赤羽 リッキーズ バー SN0536 シェリー・ダーリン ブルース・スプリングスティーン 2007/03/17 赤羽 ミュージック・バー・アポロ SN0893 サンタクロース・イズ・カミン・トゥ・タウン ブルース・スプリングスティーン 2009/11/14 高田馬場 カフェ・アルバート
https://w.atwiki.jp/europe/pages/118.html
「サマータイムマシン・ブルース」 「サマータイムマシン・ブルース2003」 ヨーロッパ企画 第8回公演 「サマータイムマシン・ブルース」 日時2001年8月23日(木)〜27日(日)全6ステージ 会場アートコンプレックス1928 作・演出上田誠 出演石田剛太 酒井善史 清水智子 諏訪雅 瀬戸中基良 玉田晋平 中川晴樹 永野宗典 本多力 松田暢子 夏。 サマー。 でもって、タイムマシン。 「じゃあクレオパトラとキスできんじゃん。」 「できねえよ。」 「別に何でもできるわけじゃないから。」 「過去に行けるってだけだから。」 ヨーロッパ企画がここにきて若さでお届けする 青春空想科学グラフティ。 あと、ブルース。 初めてちゃんとしたホールを借り、ビラもカラーにして万全の体勢で臨んだ、8ヶ月ぶりの、満を持しての本公演。 大学のSF研究会とカメラクラブの部室を舞台にした、当時のヨーロッパにしては珍しく若者っぽい青春群像劇で、なおかつタイムパラドックスとかを割と本格的に扱った、昨日と今日の登場人物がみみっちく交錯する夏のSF芝居。 かつてないプロット複雑さに、脚本がまたしても遅れたり、数々の仕掛けや備品の調達に手を焼いたりと、色々と大変だったが、終わってみればまたもや動員をぐっと伸ばし、割と好評もいただいた、甘酢っぱくもほろ苦い夏のぬけがら。 ヨーロッパ企画 第13回公演 「サマータイムマシン・ブルース2003」 大阪公演 日時 2003年8月12日(火)〜13日(水)全3ステージ 会場 近鉄小劇場 東京公演 日時 2003年8月29日(金)〜9月1日(月)全7ステージ 会場 下北沢駅前劇場 作・演出上田誠 出演 石田剛太 酒井善史 清水智子 諏訪雅 瀬戸中基良 玉田晋平 中川晴樹 永野宗典 本多力 松岡可奈子 夏。 サマー。 でもって、タイムマシン。 「じゃあクレオパトラとキ、キスできんじゃん。」 「できねえよ。」 「別に何でもできる機械じゃないから。」 「過去に行けるだけだから。」 「なんでどもってんだよ。」 ともあれ、青春空想科学グラフィティ、 タイムスリップよろしく2年ぶりの再演。 あと、ブルース。 2年前の初演を、設定やストーリーをそのままにオールリライトし、東京・大阪の2都市で上演。初演に比べていろいろ派手になった。 大阪では閉館前の近鉄小劇場で上演し、過去最大のキャパシティーに戸惑いながらも勢いで乗り切った。
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/1216.html
イエロードッグ・ブルース 題名:イエロードッグ・ブルース 原題:A Little Yellow Dog (1996) 作者:Walter Mosley 訳者:坂本憲一 発行:早川書房 1998.9.30 初版 価格:\2,500 イージー(エゼキエル)・ローリンズとマウスことリチャード・アレグザンダーのシリーズ5作目。どの作品も忘れ難い印象を残し、アメリカの郷愁を漂わせる黒人探偵のシリーズだが、イージーとマウスは本作では堅気の仕事に就いている。驚きの滑り出し。だが……。 マウスは、スペンサー・シリーズにおけるホークであり、バーク・シリーズにおける音無しマックスである。イージーの暴力の部分を一手に引き受けるばかりではなく、イージーとの間にも常に生存の緊張感を漂わせる闇の王者。天性のキラー。だが本作ではイージー自らが暴力に向かう部分を持っている。自分の生存のためではなく自分の守るべきもののために変わり行く彼の気配。 前作から2年が過ぎた1963年のLA。ありとあらゆる悲劇の予感。凶兆。JFK暗殺の同じ日に、LAのストリートで流れるもう一つの暴力の歌。強烈な終幕だけが待っている。 大戦後の暗闇から生まれた彼らの存在は、再びストリートという名の暗闇に引き戻されてゆく。凡百のミステリーではなく、正統派ハードボイルドの名に相応しい素晴らしいシリーズの非常に重要な里程標とも言うべき重要な作品。 ケネディの死の報を信じることができずにTVニュースに噛りつく7歳の娘フェザーの姿が心に残る。思えば、ケネディの撃たれた日にぼくはフェザーと同じ7歳であった。イージー・ローリンズの行く末ばかりではなく、フェザーの行く末さえも俄然気になってきてしまった。思わせぶりなラスト。アメリカのその後も、イージーらの生活の浮沈も、まだまだ先は見えない。どこまでも秀逸なシリーズである。 (1998.10.07)
https://w.atwiki.jp/akatonbo/pages/840.html
もてない男のブルース 作詞/31スレ22 作曲/Willie ◆9apfcBUyFo もてない男 俺はもてない男 もてない男 君ももてない男 yeah 俺らもてない男 だけど強く 強く 今日も生きている 笑うな もてない男が そんなに悪いか 淋しくなんかないさ 俺には 俺には 二次元で生きる彼女がいるんだ 淋しくなんか 淋しくなんか あるものか だけど時々無性に 叫びたくなる 夜の闇に 叫びたくなる もてない男 俺はもてない男 もてない男 君ももてない男 yeah 俺らもてない男 だけど強く 強く 今日も生きている 音源 もてない男のブルースはただいま管理人の手元にありません。持っている方くださいな。
https://w.atwiki.jp/cvssyourimessage/pages/806.html
ブルース《出典作:ロックマンエグゼシリーズ》 VS. ※灰#cccccc太字は原作ゲームを踏襲し「伊集院炎山」のセリフです。 対イギー【JOJOシリーズ:CAPCOM】「この犬、オレの髪型が気になるらしいな・・・・そういえば、光にもこの髪型の事をネタにされた記憶が・・・・」※投稿・テンチョ 対キム・カッファン【餓狼伝説シリーズ:SNK】 「正義を語るのはいいが、オフィシャルの邪魔だけはやめてもらおう。」※投稿・テンチョ 対ゼロ【ロックマンXシリーズ:CAPCOM】「ゼットセイバーを使えるのはお前だけじゃない、ソード系で攻め込むときは、やみくもに攻め込まないことだ。」※投稿・テンチョ 対ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ【KOFシリーズ:SNK】 「まるで、ダークチップに飲まれたかのような力だな・・・・」※投稿・テンチョ 対トロン・ボーン【ロックマンDASHシリーズ:CAPCOM】「お前のようなドジそうな女泥棒でも、犯罪者はとらえるのがオフィシャルの仕事だ、そのロボの機能を停止させてもらう、プラグイン!ブルーストランスミッション!」※投稿・テンチョ 対ナガセ【KOFMIシリーズ:SNK】「せいぜいそのパソコンの技術をハッキングに使用しないことだ。」※投稿・テンチョ 対フォルテ【ロックマンシリーズ:CAPCOM】 「ゲットアビリティシステムがある分コサック博士が制作したフォルテの方が手ごたえがあるな。」※投稿・テンチョ 対メヴィウス【ティンクルスタースプライツ:SNK(ADK)】「うぬぼれが強いお調子者の天狗は鼻を折られる・・・・どこぞのオペレーターのようにな。」※投稿・テンチョ ユーリ 【ストシリーズ:CAPCOM】 「この女・・・・まるで、プログラムのようなしゃべり方だな・・・・」※投稿・テンチョ 対ルガール・バーンシュタイン【KOFシリーズ:SNK】 「炎山様、自爆プログラムを解除しておきました。」※投稿・テンチョ &. &エックス【ロックマンXシリーズ:CAPCOM】 「お前と組むと知り合いのネットナビと組んだようだな。」 『お前を見ていると、ゼロを思い出すな・・・・』※投稿・テンチョ &トロン・ボーン【ロックマンDASHシリーズ:CAPCOM】「調子に乗って先走ると、痛い目を見るぞ、オレの知り合いがそうだからな。」『ふん、小生意気な小僧ね!あなたの指示などなくても平気ですわ!』※投稿・テンチョ
https://w.atwiki.jp/hotband/pages/14.html
動画 https //www.youtube.com/watch?v=88ZwcImbiA8 feature=youtu.be 歌詞 コード イントロ) A D E7 A D E7 AM7 Dm7 AM7 Dm7 (Aメロ) AM7 Dm7 AM7 Dm7 誰にも 分からない 本当の君の事 AM7 Dm7 AM7 Dm7 願いを吐き出せば 君は消えるだろう AM7 Dm7 AM7 Dm7 冷たい足元で 砕けた貝殻 AM7 Dm7 AM7 Dm7 それは粉々に 失くした優しさ AM7 Am7 DM7 G7 何処へ 行けばいい? 空に 聞けばいい? D E7 Asus4 A7 景色は時を止める (Bメロ) D E C#m7 F#m 誰よりも深い 愛する心が Bm E7 Asus4 A7 掌 すり抜けてゆく けれど D E C#m7 F#7 こぼれる涙は 波がさらっていく Bm Bm7 F E7 いつか 聴こえてくるだろう きっと (サビ) AM7 G#m7 C#7 F#m F#m7 一人ぼっちの 君の為のブルース Bm Bm7 Dm7 E7 昔 からある 古いメロディ それは AM7 G#m7 C#7 F#m F#7 終わりが近づく時に 響いてくる Bm7 E C#m7 F#7 いつか聴かせてくれ 下手でもいいから Bm7 E Asus4 A7 歌う事に 答えは ない (間奏) AM7 DM7 AM7 DM7 333333 (Aメロ ) AM7 Dm7 AM7 Dm7 君でいる事を 理解できなかった AM7 Dm7 AM7 Dm7 全ての人達が 全部バカなのさ AM7 Am7 DM7 G7 君はただ 生きている それなのに それなのに D E7 Asus4 A7 世界が おとしいれる (Bメロ) D E C#m7 F#m 未来が見えない 立ち止まったまま Bm E7 Asus4 A7 背中で罪を背負う 君の D E C#m7 F#7 全てが愛おしい そんな僕がいた Bm Bm7 F E7 どうか 忘れないでいてね 夢を (サビ) AM7 G#m7 C#7 F#m F#m7 逃げてるだけの 弱い君へのブルース Bm Bm7 Dm7 E7 ルールがあるようで 何もない それは AM7 G#m7 C#7 F#m F#7 路地裏 歩く途中で 思い出して Bm7 E C#m7 F#7 口ずさんで欲しい うろ覚えでいいさ Bm Bm7 F E7 青い空は 聴いて くれている AM7 G#m7 C#7 F#m F#m7 □□□一人ぼっちの 君の為のブルース Bm Bm7 Dm7 E7 昔からある 古いメロディ それは AM7 G#m7 C#7 F#m F#7 弱さを認め合い 強さを 見つける事 Bm7 E C#m7 F#7 いつか聴かせてくれ 下手でもいいから Bm7 E Asus4 A7 歌う事に 答えは ない A D E7 A D E7 A D E7 A D E7 Asus4 A D A 長い版 https //www.youtube.com/watch?v=8iVOsmBftqU 歌詞 コード (イントロ) A D E7 A D E7 AM7 Dm7 AM7 Dm7 (Aメロ) AM7 Dm7 AM7 Dm7 眩暈が するような オレンジ色の空 AM7 Dm7 AM7 Dm7 季節は 過ぎたけど 海へ行かないか AM7 Dm7 AM7 Dm7 唇を 閉ざして 声も出さない AM7 Dm7 AM7 Dm7 膝を抱える 君の隣にいたい (小間奏) AM7 Dm7 AM7 Dm7 (Aメロ) AM7 Dm7 AM7 Dm7 冷たい足元で 砕けた貝の音 AM7 Dm7 AM7 Dm7 それは君のハート 失くした優しさ AM7 Am7 DM7 G7 何処へ 行けばいい? 空に 聞けばいい? D E7 Asus4 A7 景色は時を止める (Bメロ) D E C#m7 F#m 誰よりも深い 愛する心が Bm E7 Asus4 A7 掌 すり抜けて こぼれた けれど D E C#m7 F#7 流れる涙は 波がさらっていく Bm Bm7 F E7 目を閉じて 聴こえてくる きっと (サビ) AM7 G#m7 C#7 F#m F#m7 □□□一人ぼっちの 君の為のブルース Bm Bm7 Dm7 E7 昔からある 古いメロディ それは AM7 G#m7 C#7 F#m F#7 弱さを認め合い 強さを 見つける事 Bm7 E C#m7 F#7 いつか聴かせてくれ 下手でもいいから Bm7 E Asus4 A7 歌う事に 間違いはない (間奏) EM7 Em7 EM7 Em7 DM7 Dm7 CM7 Cm7 B♭M7 B♭m7 AM7 DM7 AM7 DM7 333333 (Aメロ 長かったら削除予定) AM7 Dm7 AM7 Dm7 見上げる 空の色 美しい 茜色 AM7 Dm7 AM7 Dm7 何処へも 行かないと 約束は風に消えた AM7 Am7 DM7 G7 退屈な ラブソング 胸に突き刺さる D E7 Asus4 A7 孤独が色を隠す (Bメロ) D E C#m7 F#m 未来が見えない 立ち止まったままで Bm E7 Asus4 A7 孤独を恐れてる だけの 君の D E C#m7 F#7 全てが愛おしく なるだけの事さ Bm Bm7 F E7 どうか 忘れないでいてね そして (サビ) AM7 G#m7 C#7 F#m F#m7 幸せを追う 弱い君へのブルース Bm Bm7 Dm7 E7 ルールがあるようで 何もない それは AM7 G#m7 C#7 F#m F#7 道端 歩く途中で ちょっと 思い出して Bm7 E C#m7 F#7 口ずさんで欲しい うろ覚えでいいさ Bm7 E Asus4 A7 青い空が 聴いて くれている AM7 G#m7 C#7 F#m F#m7 □□□一人ぼっちの 君の為のブルース Bm Bm7 Dm7 E7 昔からある 古いメロディ それは AM7 G#m7 C#7 F#m F#7 弱さを認め合い 強さを 見つける事 Bm7 E C#m7 F#7 いつか聴かせてくれ 下手でもいいから Bm7 E Asus4 A7 歌う事に 間違いはない A D E7 A D E7 A D E7 A D E7 Asus4 A D A パクリ元例 https //www.youtube.com/watch?v=MVi38OZvI1Y https //www.youtube.com/watch?v=2rpjc2gMIGQ https //www.youtube.com/watch?v=p1HhkyYgLkw https //www.youtube.com/watch?v=d-hY2Y6MHWM
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/629.html
ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA ■ ■ ■ 『C-5-中央部-The BLack EGG and YOU-』 「大丈夫か! 傷は浅いぞ!」 あたしが目を覚ましたとき、あいつがいた。 赤いハチマキなびかせて、熱風とともにやってきた。 金ぴかと声が似てるようで微妙に違う男、ドモン・カッシュ。 凄く、暑苦しくて、正直住む世界が違う気がする。最初はそう思っていた。 金ぴかの仲間ってことで事情を説明して、刑務所に向かう途中まではね。 偶然にもあの不死身の柊かがみに遭遇したときのことよ。 かなりビビッたわ。 だってアイツの相棒である衝撃のアルベルトが死んだってのにさ。澄ました顔してんだもん。 泣いた感じもなかったしさ、なんつーか薄情ってやつ? あ、いやいやアイツのことなんてどうでもいいんだ。 今は別のことを話したかったのよ。 『お前はあの謎のガンダムについて何か知っていることはないか! 』 そうそう、ガンダム。ドモン・カッシュが学校でも叫んでた謎のフレーズ。 そりゃ聞きたくもなるわよ。そう連呼されたら気になってしょうがないじゃない。 ……聞くべきじゃなかったのかもしれない、と後悔したのはその15分後だ。 「ガンダムは、正真正銘俺たちの世界では無くてはならないものだ。良くも悪くも、な」 信じられない。金ぴかの言ってたことがマジで現実味を帯びてきた。 昨日何の気なしに学校で読んだ本に書かれていたこと――ガンダム。 あんな御伽噺のような話が存在していたのだ。それも、別の世界で。 本当の意味でアタシとドモンは住む世界が違っていたのだ。 しかも、ドモンは既に金ぴかたちと博物館で別のガンダムを見つけてしまったらしい。 マジで!? あんなのがあと何体この場所に隠されているっていうの? もうチャイルドとかオーファンで太刀打ちできるレベルじゃないんじゃ……なんとかしなきゃマズイ。 「おそらくはあの黒い球体もガンダムの一種。誰かが俺たちより一足先に、見つけてしまったんだろう。 今すぐにでも搭乗者と接触を図るべきだ。俺たちのように正しき心を持つ者が乗っていなかったとしたらだ。 ――ガンダムはただの兵器と何ら変わりはない! その時はキング・オブ・ハートの名にかけて、破壊させてもらう! 」 でももっとなんとかしなきゃマズイのはこの男だ。 金ぴかと正反対の熱血一直線。あの金ぴかが良く一緒にいられたもんだ、と感心したくなるくらいの正反対ぶり。 そもそも破壊するとかどうやって? 他のガンダムは博物館にあるんでしょ? 生身でやれるわけないし。 でもこいつはこのままだと間違いなく刑務所へ行く。そして多分アタシも連れてかれる。 『お前と合流し刑務所に向かうと伝えた』とかすごい勢いで語ってきてる。正直しんどい。 第一、アタシまだアンタから完全に治療をしてもらってないんですけど……最初に言ってたこと忘れてない? ■ ■ ■ 『“B-5-卸売り市場”-④-コメンタリィ・ブレイン・スクラッチ-』 試合ってのは実に奥が深い。 体、リーチ、筋肉のつき方、性格、リング、天候。あらゆる要素が折り合わさって勝敗がつく。 かつて俺の心の師は言った。 『私は格闘技をやっているのではない。私が私自身を表現するための手段として修練をつんでいるのだ』 彼にとっては、それはあくまで物事の本質をつかむ為の手がかりに過ぎなかったのだ。 自分の行動がジークンドーと呼ばれることすら手放しで喜ばなかったという。 俺は今、師の言葉をつくづく痛感している。 数分前に俺が泥試合と切り捨てたこのカードが、いよいよ現実味を帯びてきたからだ。 「まだ続けるのかい。この程度じゃ僕は死なないぜ」 「ならアンタが死ぬまで続けるわよ」 そもそもきっかけは些末なことだった。 剣を振り回していた不死身が、バッグに剣を入れて、代わりにコルトガバメントを取り出し2発撃った。 ウルフウッド曰く、自分が落とした物らしい。つまり奥の手として隠し持っていたわけだ。 だが拳銃使いに素人が拳銃で戦おうなんざ、10年早い。 その場にいる誰もが、そう思っていただろう。 しかし奴だけは事情が違った。 撃った弾をよければ、その弾が後ろにいる『俺たち』に当たってしまうから、と奴は言った。 銃弾で弾くこともできるけど、ここで弾を無駄遣いすれば『俺』との対戦時に困るから、と言った。 早い話――ヴァッシュ・ザ・スタンピードはあえてガバメントの銃弾を受けた。 誰も殺させない、という答えを聞いたとき、俺は間違った解釈をしていた。 あの恐ろしい視線は、俺たちを威嚇するための物ではなかった。 奴にとっては、俺もシータも不死身の柊かがみも救いの対象だった。 2、3度話を聞いていたものだから、俺はすっかり奴のことを知ったつもりでいた。 しかしこいつは、本物だ……本物なんだが。 「トンガリ、何をちんたらやっとんねん! 適当にボコッてさっさと199回ダウンさせろや! 」 「わかってるさ。でも銃が効かないんだからね。殴ってもあんまり意味がないんじゃない? 足止めにはなるけど、ノックアウトして初めて1カウントなんだろ? これは骨が折れるなぁ~♪ 」 「……やっぱお前最初っから時間稼ぎしか頭にないんかいアホ! ホンマ相変わらずカラッポな頭しとるなぁ!! 」 「君がいいアイディア思いつかないのに僕が思いつくわけないでしょアホ! 誰も死なないようにするにはこれしかないよ。 スパイクさん、シータちゃん、君に気を配りながら、逃げまくるのすっごく難しいんだよ! ……あー喋ちゃった」 「とっくにバレとるわ! ほんなら俺とお前の2on3でやったほうがよっぽどマシやったないけ! 」 「スパイクさん僕たちより銃持ってるし、お前もボロボロでパニッシャーもないんだからどうせ役に立たないよ!」 「なんや、俺はパニッシャーがなかったらただの牧師かい! ほんならお前は賞金稼ぎよりも弱い人外やな! 」 「ああそうですよ。どうせ僕は賞金稼ぎに背後を取られる、女の子もやっつけられないヘボ台風ですよーだ! 」 なんだか話がこんがらがってきた。 一応、無効試合として状況を整理してみよう。 ウルフウッドがシータに剣を突きつけている。その相殺として俺がウルフウッドに銃を突きつけている。 その前方でヴァッシュが陣取り、俺たちに危害が及ばないようにしている。銃の弾は充分にあるが温存中。ただし誰も殺さない。 その更に前方で不死身の柊かがみがヴァッシュに銃を突きつけている。 ウルフウッド曰く銃弾はおそらく残りはゼロ。不死身の柊かがみにヴァッシュを殺せるはずもない。 三竦みとはちょっと違うが、これ以上の進展は望めないだろう。 俺が非情になってヴァッシュとウルフウッドを撃つのが一番いいんだろうが、シータを巻き込みかねないしな。 ガキと動物と跳ねっ返りの女は嫌いだが、何の罪もない奴を殺すのは、俺の性に合わない。 「おお? なんやねん嬢ちゃ……!? 」 とか何とか考えていたらシータが右手で不死身の方を指しだした。 言葉を話せないようにされてるから、俺は指された方向を見るしか手が無いんだ……が!? まさか……冗談だろ? ヴァッシュ・ザ・スタンピードが、ダウンした。 奴の体には刃物が数本刺さっている。出血も激しい。 「これで私の……勝ちね!」 更に柊かがみが手に持っていた剣に体重を乗せてヴァッシュの体に深々と突き刺す。 その威力は、女であろうと痛恨の一撃に違いない。 なんだ。何があった。そもそも奴はどうやってヴァッシュの体に刺したんだ? 俺がシータとウルフウッドを見ている隙に、決定的な一瞬があったっていうのか。 この観客2人はそれほど信じられないものを見たっていうのか!? ……何がなんだかわからないが、全ては終わっちまったらしい。 ■ ■ ■ 『B-5-卸売り市場→上空-グッド・ラック・スター・ウーマン-』 最初は気のせいだと思っていた。 アルベルトが死んだ後、憂鬱な気分で葉巻を吸った後。 私は、たまりにたまったディバッグの中身を全部整理し直した。 大事なもの、武器になるもの、使えないもの、なんだかよくわからないもの。 次々と出てくる道具の山は、おもちゃ箱をひっくり返しているような気分だった。 その時だった。 私がデイバッグから取り出していないものが、いつの間にか自分の足元にあったことに気がついたのだ。 取り出すには重すぎる、“あの”英雄王ギルガメッシュの黄金の鎧。 別に必要ってわけでもなかったけど、捨てる理由も見つからなかったから、とっておいた無用の長物。 それがいつの間にか外に出ていた。 拾おうとしてもやっぱり重い。取り出すことに気づかないはずがなかった。 その謎の答え。あたしにはもうわかっている。 念じると現れる謎の穴。その穴からは、デイバッグに入ってるものが任意で射出される。 物が空間から弾丸のように自在に飛び出す、不思議な現象だった。 (衝撃の……この力、あんたが貸してくれたの? ) 原理はまったくわからなかったが、そう思うようにした。 ギルガメッシュもこの力を使っていたのを、私は覚えている。 つまり、彼に勝利したアルベルト。アルベルトを倒してしまった私、という風に受け継がれていく力だと納得した。 空間とバッグの間を繋ぐ門(ゲート)のようなもの。 この世界には、アタシの知らない魔法やシステムが沢山存在しているから。 深く考えたってわかるはずもな―― 「こんボケがっ! 」 ……やば、一発もらっちゃった。 蹴ったのは勿論ウルフウッド。シータとかいう女の子を片手で抱えたまま、飛び蹴りを私のアゴに喰らわせた。 私の体は吹っ飛ばされて、手に持っていた剣も手放してしまった。 ヴァッシュ・ザ・スタンピードに深く刺したままだったので、私の体につられて抜けなかったようだ。 「その娘を離してやれウルフウッド。この場で今すぐお前の命を奪おうとするやつなんざ、そこの女以外にいないさ」 スパイクとかいうもじゃもじゃ頭とシータがヴァッシュ・ザ・スタンピードにかけよって心配している。 ウルフウッドは、呆然として立ち尽くしていた。 少女を解放したということは、人質がいても私が容赦なく襲い掛かってくることを予測していたのだろうか。 それとも、友達が私なんかに敗北するはずがないと、信じ込んでいたのか。でも、おそらくそいつはもう助からない。 私が持ちうる限りの刀と、持っていた剣を全力でコイツにブッ刺してやったのだから。 でも馬鹿な男よね。拳銃で防ぐなり避けるなりすれば良かったのに、後ろのアイツらのために盾になったんだから。 「酷い怪我!! スパイクさん! 」 「いや、意識はある。問題は突き刺さった刃物の束だ」 「なんとかならないんですか!? 」 「……“これぐらい”じゃ死なない自信があったんだろう。傷だらけの体がそれを物語っている。 こいつが今までに潜り抜けた“修羅場”とやらで培ってきた……勝負勘のせいだろうな」 ……生きてんの? これだけ叩き込んでやったというのに。 まさかこいつも不死者……は、無いか。出血が戻ってない。 でもあの体中の傷は何なのだろう。ダブダブの赤いコートを着込んでいた理由は、その傷を隠すためだったのだろうか。 誰も死なせないと叫んでいたけれど、刻まれた傷はその代償なのだろうか。 とはいえ、コイツはしばらく戦闘不能。シータがロボットに乗せようとしてるけど、果たして何分もつのやら。 「シータ、とりあえず安全なところまで運んでやってくれ!」 「わかりました! お願い兵隊さん! 」 ……ちょっと何よ。あのロボット空も飛べるのね。私にはフラップターがあるけど、便利そう。 ま、これで不死身の柊かがみは晴れて賭けに勝ちましたので、ブツを戴かせてもらいます。 ニコラス・D・ウルフウッドも少しは思い知ったかしら。 あんたの自称お友達が、私の手によって無残にも戦闘不能にされたわよ。 あんたが私にやった恨み、じっくり味わいなさい。 「……お前の勝ちだ、不死身の柊かがみ。良かったな」 スパイクが相変わらずの寝ぼけ顔でアタシに近づいてくる。 何よ? もしかして加勢させてくれってこと? でも駄目よ。 この賭けはアタシとヴァッシュ・ザ・スタンピードの勝負。 アンタがアタシと一緒に戦わなかった時点で優先権は私にあるんだから。 「ええ、ウルフウッド復讐の権利はアタシがGET。文句無いわよね? 」 「ああ。いや、今日は実にいい日だ」 「……アンタの出番は無いわ。そこで黙って見てなさいよ」 「いや、それがそうもいかないんだ。アイツも賭けに勝っちまったんでね」 「だから黙って見てろって言ってん……え? 」 「ニコラス・D・ウルフウッドもヴァッシュ・ザ・スタンピードが負けるほうに賭けてたんだそうだ。 ところがBETを出しすぎたんで配当金が足りないんだよ。 ディーラーの俺としては、どうにかして、アイツに全額分のもうけを支払ってやりたい」 ディ……ディーラー? そんな話は聞いてないわよ。 どうして? ウルフウッドも勝ち? BET? 配当金? 不足分? 言ってる意味がわからない。ウルフウッドは賭けなんてしてないじゃない。 それってどういう―― 「だから不足分の金額を、お前の命で埋めさせてくれ」 スパイクの顔つきが、変わった。 その表情は嫌悪とか敵意とかじゃない。明確な……殺意? ええと……つまりこういう事か。 ――こいつは寝返った、と。 ■ ■ ■ 『???-???-Digging My Geranium-』 …………何処だ……ここは……? 何も見えないし、真っ暗だ。 いや違う。 見えているけど、周りが暗い。 暗いのに見えてるんだ。どうし―― 『まだ、夢を見ているのか』 君は! どうして!! 『言ったはずだ。君の信念は立派だが幼稚で傲慢だと。 本当にギリギリの場所では、そんなものなぞクソの役にも立たない。世界はそれ以外のもので動いている。 あれほど思い知らせてやったというのに、君はまるでわかっていない。 僕を殺しておきながら、君は相変わらず馬鹿なことをやっている。反省の色がない』 やめてくれ。 『だが、それでいい。そのままそうやって偽善を振りまき続けてくれ。 君が自分の主義を貫けば貫くほど、“僕を殺した事実に見て見ぬフリをして聖者を気取る”、という矛盾が大きくなる。 君はあの時、選んで折れたんだ。折れてしまった以上、もう主義を語る資格なんざ存在しないんだ』 わかってる……わかってるんだ。 『いいやわかってない。わかったと言い聞かせているだけなのさ。 今のヴァッシュ・ザ・スタンピードは我々と同類。“殺し”で解決させてしまう男だったんだよ。 哀れだね。綺麗事と痩せ我慢で己を蝕み続けるなんて。 君が長い間作り上げてきた愚かな幻想に巻き込まれ死んでいった者たちは、今の君を真っ直ぐに見ているのかな? 君の愛と平和がどれだけ欺瞞だったかを知らずに、“この地”で死んだ者たちは、昔の君を知ったらどう思うかな? 』 ……あ、あ、あああぁ……!? レム! ウルフウッド! 先生! ランサーさん! クロ! クアットロさん! 戴宗さん、ドーラさん、シロウ君、イリヤちゃん……みんな………………!! 『君が悪いんだぞ?』 やめてくれ! わかってるんだ、それでも…… 『続けるのか』 違う! 続けなきゃいけないんだ。 約束したんだ。命の灯を1つでも多く助けるって。 絶対に立ち止まらないって俺は誓ったんだ。 救えなかったとしても、救うことを諦めてはいけないんだ! 『それでも、何一つ終わりにしないと足掻き続けるのか。みっともないほど』 ああ、そうさ! それでも、それでも僕は諦めきれないんだ! だって……だってあの時も、あの時もあの時もあの時も! 死んでいったみんなは…… 僕の目の前で……生きていたみんなは…… 優しかったんだ…… ■ ■ ■ 『“B-5-卸売り市場”-⑤-Rush-』 「冗談キツイわよ。何なのアンタたち」 率直な意見を1つ、言った。 人をのけ者にしておきながら、勝手に盛り上がっているコイツらに。 やれ自分が守る、やれ自分が殺す、やれ自分が守る、やれ自分が殺す。 「事情が変わった。今の俺はウルフウッド・被害者友の会のメンバーじゃない。 ウルフウッド・被害者友の会メンバー兼、不死身の柊かがみ被害者友の会メンバーだ」 全く意味がわからない。 こいつらはどこまであたしの同志で、どこまで敵なのか。 でも、さっきより話はシンプルだ。 ウルフウッドは私とこのスパイクに狙われていて、私はスパイクに狙われている。 つまり私は、スパイクを気にしながらウルフウッドを殺すだけだ。 「今のままだと、何をやっても私は殺せないわよ」 念のため、奴らに事実を再確認させるために私は宣言する。 アルベルトに話していた可能性について、考えていたから。 禁止エリアに入れば、死ぬ。首輪の爆発によって、不死者は死ぬ。 それは即ち、首と胴体が離れれば終わりということだ。 それだけのダメージを与えられれば、の話だが、油断はできない。 奴らにそれを気づかせてはいけない。 あくまで『禁止エリアに入らせなければ私は死ねない』と思い込ませなければ。 「拳銃でもダメなのか」 「不死身とは別のネタを使っとる。その服に銃弾は効かん」 「そいつは気の利いた服だな」 ……やっぱり不安だわ。 今の会話を聞く限り、こいつらは私を殺すことを諦めかけているとは思えない。 この服に打つ手が無い、とならば次に思いつくのは『服が無い部分を狙う』ことだろう。 私がウルフウッドから蹴りを一発アゴにもらったことは、スパイクだって見ている。 もう剣はこの手に無い。あのツンツン頭に刺さったままだ。 奴らが何を考えていようとも、私の危機レベルは変わらない。 「あんたが何をやってもどうせ時間の無駄だから。ウルフウッドを殺す邪魔をしないで」 「大人しく指くわえて見てろってか。やめとけよ。妙な自信を一回つけちまうと、ガキは周りが見えなくなるもんだ」 「言ってなさいよ!! 」 私はヴァッシュを仕留めた『門』の力を使って、所持していた大量の貴金属アクセサリを撒き散らす。 擦れあう金属音とひしめきあう金属の破片がウルフウッドとスパイクの視界を奪っていく。 案の定、奴らは腕を交差し目を隠す。私はその隙を突き、シルバーケープで闇に紛れた。 穴が開いた時はどうしたかと思ったけど、特に異常なく使えるみたい。 あくまでシルバーケープの秘密を隠すための、布石だったけれど、まずは一安心ね。 しばらくは身を隠して、落ち着いてじっくりと追い詰めてやろう。 うかつに近づいて、感づかれたら――なっ!? 「おぉぉうらったあぁあ!!」 ……ウルフウッドが持ってた剣でケープを大きく切り裂いた。 当然、私の姿はあらわになり、完全に無防備。 無防備は現在も進行中。スパイクが続けて私に素手で急接近してくる。 でも、私にはパンチは効かな――ちょっ!? 「短い隠れん坊だったな」 信じられない。てっきり拳を使うものだとばかり思っていたのに。 スパイクは一気にアタシとの距離をつめて……えと、これなんだっけ。 確か、香港映画なんかでよく見る、合気道みたいなヤツ。名前は忘れちゃったけど、とにかくの腕をつかんで投げ飛ばす技。 無意識な状態でやられると、この手の技は簡単に視界がひっくり返る。 当然、私には受身を取れる技術もなく、しこたま頭を地面に打ち付けられた。 でも何で居場所がこうも簡単にバレたのだろう。 「おう、少しは頭冴えたか? 」 「な、大丈夫じゃなかったろ。見えているつもりでも、意外と見えないもんなんだぜ」 どういうこと? 見えないはずが見えているの間違いなんじゃ……あ。 真っ二つに切り裂かれたケープの穴が開いたほうを観察してみる。 微妙に……本当によくみないとわからない微妙な違いだが、カモフラージュされている風景に若干のズレが見える。 実際小さな穴だったし、身を隠す上では支障は全く無かったはずだった。 だがその穴を隠すために、私は穴の周りの布を手で握りこむことによって穴を塞いでいたのだ。 そこに生じる微妙な迷彩の歪みを、あの2人は感じ取ったのだろうか? 「よく気づいたな」 「こんなの適当にやっとりゃ何とかなるわい。どうせ殺れるんなら、直接俺をやりたいはずやからな」 「勝手に向こうから近づいてくれるってわけか……ん? その赤いクリスタル、ちょっと見せてくれないか」 「なんや、恋人の落とし物かい」 「今のドサクサで一緒に出てきたんだろう……どうしてこいつがこれを持ってるんだ? ま、慰謝料代わりにもらっとくか」 偶然だったようだ。迷彩の歪みのことも、私の単なる思い込みだったのかもしれない。 というかあいつらはケープのことなんて最初から頭にない。ただ、本能に任せて暴れただけだったみたい。 けどこれではっきりした。 油断するしないの問題じゃない。 やっぱりこいつらは恐ろしい。経験も慣れも勝負勘も向こうが上。ちょっとした事で一気に形成をひっくり返される。 こいつら私が全力を出さないと遣り合えるレベルじゃない、『ラッド』を……使うしかないのだろうか。 そんな事を考えつつ、私はローラーブレードを吐いて、高速移動であいつらから距離をとった。 「なんや怖気づいたんかい」 「休憩だそうだ」 「……なら、俺らは本番と行こか!」 「初めてお前と意見が合ったな」 ……あの2人、私をほったらかして勝手に始めちゃった。 何よあの動き。怪我でフラフラだったんじゃないの!? スパイクはウルフウッドに紙一重で正拳をかすらせてるし、ウルフウッドはスパイクの体すれすれのところに切りかかってる。 パッと見誰でもできそうな動きなんだけど、その難しさを『ラッド』の“経験”が感じとっている。 不死と魔法の障壁のアドバンテージがなかったら、『ラッド』をフルスロットルに使って、初めて対等に戦えるかどうかだ。 考えてみれば、スパイクは拳銃を一回もウルフウッドに抜いてないし、ウルフウッドは拳銃を持ってない。 この時点ですら、まだ2人は全力全開ではないのだ。 「こんダボ!カス!モジャモジャ!! 一体おどれはどっちの味方やねん!」 「言ったはずだぜ。俺はどっちの味方でもあり敵でもある……あとは成り行きだ」 「あのトンガリに義理でも感じとるんか!」 「アイツのような男の代理人も、たまには悪くない。お前を許すつもりは全くないがな! 」 悔しい。悔しくてしょうがない。この上なく置いてきぼりにされている自分が憎らしい。 でも“今”の私ではこいつらに絶対に勝てない。 首を破壊されない限り負けはしないのだが、それが私の心をより一層惨めにする。 落ち着いて。『ラッド』の力を易々に出せばまた私は私でなくなるんだ。 焦って突っ込めばそれこそ犬死にになってしまう。それでは駄目。アルベルトに申し訳が立たない。 私はもっともっと強くならなければ、いけない! ひとまず退散して、状況を立て直さないと…… ――BANG! 「抜け駆けはルール違反だぜ」 「何やホンマに逃げるつもりやったんかい」 スパイクがポケットにしまっていた拳銃で、いつの間にか私に向かって撃っていた。 弾丸は私の頬をかすめたらしい。 2人から完全に距離を取るために、後ずさりした瞬間を狙っていたとしか思えないような一発。 これも、偶然だろうか。いつでもお前を狙っているという警告か。 でも、頭部を狙ったのは偶然? 本当に警告だけ? まさか、私のように不死者の能力制限の可能性に気づいたんじゃ…… 「何だ!? 」 「……真っ赤っ赤や」 ――その時だった。 私の不安をよそに、あの2人は明後日の方向を向いた。 2人ともキツネに摘まれたような顔をして、動きを止めてしまった。 私もあいつらと同じ方向を見た。 突然の衝撃音と共に、己の存在を私たち主張する“それ”は赤かった。 わかり易く言うと、“赤が刺さって”た。 赤外線センサーのような真っ直ぐで細い線が、あたし達から少し離れたところで天井から床に伸びている。 しかも1本だけではない。2、3、4、5……赤い柱はどんどん増えてゆく。 そして――ここの天井と地面を次々に破壊していった。 ひょっとして、あの赤い柱は……空から差し込んでいる破壊光線ってこと? 「逃げるか」 スパイクかウルフウッドのどっちかが呟いた言葉に、私も反応した。 ディバッグを漁り、ラッドが操縦していたという飛行船フラップターを取り出す。 こんなこともあろうかと、ちゃんとデイバッグに回収しておいて良かった! 「あ、おどれ卑怯やぞォ! 待てやこんボケぇ……!」 ウルフウッドの罵声も無視して、フラップターは猛スピードで卸売り市場を翔る。 ここを突っ切れば入り口を抜ける。天井の瓦礫からは、逃れられる。 ともかくこのビームの雨から一刻も早く脱出しないと私も無事ですまない。 銃弾と比べるまでもないが、この破壊力はヤバイ。 地面が抉り削られ、天井が穴ぼこチーズのように瓦解し始めている。 もし魔力の防護服にも通用するような威力だったとしたら! ――兵隊さん見て、人がゴミのようだわ。 ……私は、その声を聞いた気がした。 周りには誰もいなかったけど、私には確かに“あの女”の言葉を聞こえたのだ。 もしあれが事実だったとしたら、私はなんて馬鹿なことをしてしまったんだろうと後悔したい。 あんな事をこっそり耳打ちして、煽らなければこんな目に遭わずにすんだのだ。 でも、もしあんな事を言わなかったら、私は今頃あいつらに…… 「はっ!?」 遅かった。 遂に年貢の納め時が来たらしい。 あらゆる物をなぎ払う赤い雨が、とうとうフラップターを捕らえてしまった。 私は幸い直撃を免れたが、フラップターはもうダメだった。 じきに爆発することを考えれば、乗り捨てるという結論に至るのは当然のこと。 爆発に巻き込まれて、私が無事に済んだ経験はまだなかったら。 「でも……その矢先にこれかい」 飛び降りてから、ほぼ数秒。 爆走する私の上に、瓦礫の山が降ってきた。 幸い頭が潰されることはなかったが、体は完全に埋まってしまった。 抜け出すにはしばらく時間がかかるだろう。 早く脱出しないと、あの赤い雨がやってくる。 マズイ、早く何とかしないと……! 【B-5/卸売り市場内の瓦礫の山/2日目/早朝】 【柊かがみ@らき☆すた】 [状態]:不死者、髪留め無し、やや自暴自棄 、螺旋力覚醒(ラッドの分もプラス) [装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日- クラールヴィント@リリカルなのはStrikerS、ぼろぼろのつかさのスカーフ@らき☆すた 雷泥のローラースケート@トライガン、バリアジャケット [道具]: デイバッグ×14(支給品一式×14[うち一つ食料なし、食料×5 消費/水入りペットボトル×2消費]) 【武器】 超電導ライフル@天元突破グレンラガン(超電導ライフル専用弾0/5) 王の財宝@Fate/stay night、シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム 【特殊な道具】 オドラデクエンジン@王ドロボウJING、緑色の鉱石@天元突破グレンラガン、全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ) サングラス@カウボーイビバップ、アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日- マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ、ヴァッシュの手配書@トライガン、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル!! 赤絵の具@王ドロボウJING、黄金の鎧@Fate/stay night(半壊)、シェスカの全蔵書(数冊程度)@鋼の錬金術師 首輪(つかさ)、首輪(シンヤ)、首輪(パズー)、首輪(クアットロ) 【通常の道具】 シガレットケースと葉巻(葉巻-1本)、ボイスレコーダー、、防水性の紙×10、暗視双眼鏡 【その他】 奈緒が集めてきた本数冊 (『 原作版・バトルロワイアル』、『今日の献立一〇〇〇種』、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』) がらくた×3、柊かがみの靴、破れたチャイナ服、ずたずたの番長ルック(吐瀉物まみれ、殆ど裸)、ガンメンの設計図まとめ 壊れたローラーブーツ@魔法少女リリカルなのはStrikerS [思考] 基本-1:アルベルトの言葉通りに二度と力に呑まれず、己の道を違えない。 基本-2:螺旋王を『喰って』願いを叶えた後、BF団員となるためにアルベルトの世界に向かう。 1:レーザーの雨から逃げたいけど動けない。抜け出すにも時間がかかりそう。 2:螺旋王を『食って』、全てを取り戻す。 3:ラッドを完全に使いこなす、もしくはそれに匹敵する戦力を手に入れてからウルフウッド(千里の敵)を倒す。 4:ヴァッシュ、スパイク、シータに敵対意識。 5:ラッド・ルッソの知識を小出しにし、慣れる。 [備考]: ※ボイスレコーダーには、なつきによるドモン(チェス)への伝言が記録されています。 ※会場端のワープを認識。 ※奈緒からギルガメッシュの持つ情報を手に入れました。 ※ラッド・ルッソを喰って、彼の知識、フラップターの操縦、経験、その他全てを吸収しましたが、 使用することにトラウマを感じています。(痛覚は繰り返しのフルボッコで心身ともに、大分慣れました)。 ※ラッドの知識により、不死者の再生力への制限に思い当たりました。 ※本人の意思とは無関係にギルガメッシュ、Dボゥイ、舞衣に強い殺意を抱いています。 ※『自分が死なない』に類する台詞を聞いたとき、非常に強い殺意が湧き上がります。抑え切れない可能性があります。 ※小早川ゆたかとの再会に不安を抱いています。 ※かがみのバリアジャケットは『ラッドのアルカトラズスタイル(青い囚人服+義手状の鋼鉄製左篭手)』です。 2ndフォームは『黒を基調としたゴシックロリータ風の衣裳です』 その下に最後の予備の服を着用しています。 ※王の財宝@Fate/stay nightは、空間からバッグの中身を飛び出させる能力(ギルとアルベルトに関係あり?)、と認識。 ※今回は刃物系の道具は全てヴァッシュに射出してしまったようです。 (ヴァルセーレの剣は結果としてヴァッシュに突き刺さったままになりました) ※シータのロボットは飛行機能持ちであることを確認(レーザービーム機能については不明)。 ※フラップター@天空の城ラピュタはレーザービームを受けて完全に破壊されました。 ■ ■ ■ 『C-5-中央部-You Make Me Cool』 あの黒い球体は依然その不気味な雰囲気を漂わせて、未だ東に鎮座している。 距離が離れすぎているために、あそこで何をしているのかがわからない。 今すぐこの足で現地に向かい、調べてやりたい。なんなら手合わせしてみたい。 しかし、時には自重しなければならないことを、俺は思い出させられた。 言峰綺麗の言葉は、この地に立っている俺に冷静さを保たせてくれる。 俺の最終目的はみなで螺旋王をヒートエンドすること。 そのために、俺は自分とソリの合わない奴にも呼びかけて同盟を結んだ。 その1人が英雄王ギルガメッシュ。思い出すだけでも腹立たしい。 ジンの気遣いで別行動をとることにはなったが、実はまだ奴の呪縛に悩まされている。 「ドモン・カッシュ、アタシのこと忘れてないわよね。もうちょっとスピード落としてよ! 」 俺の背中に乗っかって注文をつけている女、ナオ。 ギルガメッシュが臣下と謳った人物なので、彼女も有能なのだろう。 しかし……王が王なら家臣も家臣か。 気絶していたところを助けるまではよかったが、俺がギルガメッシュの仲間と知ると、いきなり態度が大きくなった。 やれ面倒くさいだの、危険は避けろだの、もっと優しく扱えだの、後ろ向きな発言が目立つ。 それなりに負傷をしているとはいえ、その不遜っぷりには少々辟易する。 だが皮肉にも、こいつの存在は俺の無鉄砲な行動を諌める鞘になっている。 怪我をしている彼女に無理強いをして、危険な目に遭わせてしまったら、ジンたちに申し訳が立たなくなる。 特にギルガメッシュとの戦闘は避けられないだろう。 本音を言えば願ったり叶ったりなのだが、そこを奴に付け込まれて見下されるのは癪だ。 今の俺ならばこの程度の試練は、耐えられる。 周りの状況を汲み取らず、一方的な振る舞いをすれば、どうなるかを俺は知っていた。 俺がパートナーのレイン・ミカムラに引き起こさせてしまったすれ違い。 あのような悲劇を、俺がもう一度繰り返してはいけない。 俺はいつの間にか言峰の言葉で、あの事件を思い出すようになっていたのだ。 だから不死身の柊かがみが逃げたあとも、俺は追いかけてガンダム・ファイト申し込まなかった。 「今から刑務所に行くって言ったって、刑務所は跡形もないんだよ!? 」 「だからこそ助けを求めているやもしれんだろう!! 」 「どうみても手遅れだよ! つか刑務所にいた奴らが、あの球体に乗ってるかもしんないじゃん! 」 「ガンダムは基本1人乗りだ! 」 「あれがガンダムじゃないって可能性は!? 」 「わからん!! 」 「じゃあ博物館に戻って金ぴかと合流したら!? 」 「今から向かっても入り違いになるだろう! 」 「わかんないじゃん! じゃ、あんた1人で行って。犬死にはゴメンだよ」 「それはできん!! 」 しかし、今度は一歩も動けなくなってしまった。 当然行動的な問題ではなく、指針的な問題でだ。 あっちが立てば、こっちが立たず。 いたずらに時間が過ぎていくのを、黙って見ている自分に、イラついていた。 ――その時だった。 「……何よあれ」 何気なく辺りを見渡していた結城奈緒の声が上擦った。 俺もつられて同じ方角に首を向ける。 地獄絵図という表現がぴったりだった。 飛来する戦闘機が真下の建物に、無差別にレーザービームを射出している。 赤い光が闇の中で際どく輝き、破壊音のオーケストラを喧しく奏でている。 このままでは、いずれあの建物は崩壊するだろう。 「…………決まりだな」 「え、ちょっと!? 」 自然と、足が動いた。 わかってはいた。 自分がどれほどらしくない決断をしたことは。 俺は遠くの火事より近くの焚火を選んだのだ。 しかし原因不明で完全に崩壊した施設と、明らかに何者かから襲撃を受けて崩壊しつつある施設。 より人を多く救えるとしたら、どちらだろうか。 ひたすらそう言い聞かせる自分がいた。 冷徹な判断を下せるようになった事に目を瞑る自分がいた。 『――だからお前はアホなのだァァァァァァ!!!』 師匠に笑われたような、気がした。 【C-5中央部/道端/2日目/早朝】 【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】 [状態]:全身に打撲、背中に中ダメージ、すり傷無数、疲労(中)、明鏡止水の境地 [装備]:カリバーン@Fate/stay night [道具]:支給品一式 [思考] 基本:己を鍛え上げつつ他の参加者と共にバトルロワイアルを阻止し、師匠を説得した後螺旋王をヒートエンド 0:目の前で崩壊寸前の卸売り市場へ、人命救助に行く。 1:カミナたちを探しながら、刑務所に向かう……だが何だあの物体は! 2:積極的に、他の参加者にファイトを申し込む(目的を忘れない程度に戦う) 3:ゲームに乗っている人間は(基本的に拳で)説き伏せ、弱者は保護し、場合によっては稽古をつける 4:傷の男(スカー)を止める。 5:一通り会場を回って双剣の男(士郎)と銃使いの女(なつき)と合流する。 6:言峰に武道家として親近感。しかし、人間としては警戒。 7:東方不敗を説得する。 [備考]: ※本編終了後からの参戦。 ※ゲイボルクの効果にまるで気づいていません。 ※ループについて認識しました。 ※カミナ、クロスミラージュ、奈緒のこれまでの経緯を把握しました。 ※第三放送は奈緒と情報交換したので知っています。 ※清麿メモについて把握しました。 ※螺旋力覚醒 【結城奈緒@舞-HiME】 [状態]:気絶、疲労(特大)、右手打撲、左手に亀裂骨折、力が入らない、全身に打撲、顔面が腫れ上がっている 左頬骨骨折、鼻骨骨折、更に更にかがみにトラウマ 、ドモンにおんぶされている [装備]:無し [道具]:無し [思考] 基本方針:とりあえず死なないように行動。 0:半ば強引にドモンと行動を共にさせられているので、やな感じ。 1:刑務所へ向かう予定だが、黒い球体の正体がわからないので、いつ行こうかちょっと迷ってる。 2:柊かがみ(inラッド)に非常に恐怖。 3:静留の動きには警戒しておく。 4:何故、自分はチャイルドが使えないのか疑問。 [備考]: ※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。 ※ドモンと情報交換済み。ガンダムについての情報をドモンから得ました。 ※第2、4回放送はドモンと情報交換したので知っています。 ※奈緒のバリアジャケットは《破絃の尖晶石》ジュリエット・ナオ・チャン@舞-乙HiME。飛行可能。 ※不死者についての知識を得ています。 ※ヴァルセーレの剣で攻撃を受けたため、両手の利きが悪くなっています。回復時期は未定です。 時系列順で読む Back よせあつめブルース Next 陸でなしと寄せ集めブルース 投下順で読む Back よせあつめブルース Next 陸でなしと寄せ集めブルース 255:よせあつめブルース 柊かがみ 260 小娘オーバードライブ(前編) 255:よせあつめブルース ヴァッシュ・ザ・スタンピード 255 陸でなしと寄せ集めブルース 255:よせあつめブルース ニコラス・D・ウルフウッド 255 陸でなしと寄せ集めブルース 255:よせあつめブルース スパイク・スピーゲル 255 陸でなしと寄せ集めブルース 255:よせあつめブルース シータ 255 陸でなしと寄せ集めブルース 255:よせあつめブルース ドモン・カッシュ 260 小娘オーバードライブ(前編) 255:よせあつめブルース 結城奈緒 260 小娘オーバードライブ(前編)
https://w.atwiki.jp/wrtb/pages/1724.html
ブルース・ボックスライトナー 名前:Bruce Boxleitner 出生:1950年5月12日 - 職業:俳優 出身:アメリカ 出演作品 1980年代 1982年 トロン(アラン・ブラッドリー* / トロン*):池田秀一、土田大 1986年 ダウン・ザ・ロング・ヒルズ 遥かなる荒野*(スコット・コリンズ) 2000年代 2003年 ★Tron 2.0*(アラン・ブラッドリー*) 2006年 キングダム ハーツII(トロン*):土田大 2010年代 2010年 ★Tron Revolution*(トロン*) トロン:レガシー(アラン・ブラッドリー* / トロン2.0*):大塚芳忠 2012年 トロン:ライジング*(トロン*):高瀬右光
https://w.atwiki.jp/makes-design/pages/37.html
ブルースクリーンを繰り返す ブルースクリーン(以下画像のような画面)を繰り返す場合は、HDDの故障の可能性が高いので、至急総務部までご連絡ください。またむやみに電源のON・OFFや強制終了を繰り返すとHDD内のデータが救出不可となってしまう可能性がありますので実施しないようにお願いいたします。故障したPCは2~3営業日程で交換となります. コメント
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/628.html
よせあつめブルース ◆hNG3vL8qjA 『C-5-南部-ヒューマノイド・ホーセス』 あらゆる物を疑ってかかること、それが重要だ。 情報なんてしょせんは情報。自分の目を見開いて、耳をかっぽじって聞き、そして自分の脳を使って考えること。 すべてを疑いつくした後に、やっと何かを信じられるんだ。そう、信じるために疑うんだ。 俺はそーゆーのが好きなんだよ……しかし、しかしだ。 これは一体何の冗談だ? これって前にもあったよな? 急に周りの世界がパーっと変わっちまって、気がついたら見たことも無い光景が広がってる。 いわゆる神隠しってヤツを俺はすでに一回やってるんだ。 昨日は、確かリードマンに付き合わされて、川沿いを歩いたんだよな。 で、ラーメン屋に行って温泉入って襲われてチャーシュー食って、ようやく事の重大さに気がついたんだったな。 じゃあそれからの俺は、どうだった? 消防車でぶらりと散策して、焼肉食って……いやいや、もっと大事なことがあっただろ。 仲間の死を乗り越えながらも、昔の因縁にケリをつけたじゃねえか。 そいで腕利きの奴らと取引して、この異世界から脱出する算段を立てているはずだったんだ。 「――GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOONNNNNNNNNNNNNNNNNNNN!!!」 だったよな? あそこで大暴れしてるドラゴンと八岐大蛇は、一種のアトラクションだよな? ようやくこの状況に順応し始めたってのに、今度はあれを相手にしろってのか。 あんなの最初はいなかったよな。あんな馬鹿でかい物を見逃すはずがない。 なぁ誰か教えてくれ。こいつはまさか――また別の世界に飛ばされたってことなのか? 違うよな? 俺の脳みそはまだヨーグルトになっちゃいないよな? 周りの景色が全く変わっちゃいない。これはまやかしだ。落ち着け。 さぁ目を閉じろ。瞑想するんだ。今、リーの概念で動かなくてどうする。 丹田に気を集め腹式呼吸によって雑念を吐き出せ。 俺はスパイク・スピーゲル、心の師はブルース・リー、嫌いなものはガキと動物と跳ねっ返りの女。 考えるな、感じろ。あらゆる物を柔軟に取り入れる『水』になるんだ。 よし、さぁ目を開けるんだスパイク。大丈夫。今度こそお前の目には、真実が映っているはずだ。 「――ふぅ、危なかった。ありがとう兵隊さん。ここまで来れば大丈夫……あれ? 」 ……大丈夫じゃ、ねぇ。 不思議な不思議な妖精さんがもう2匹増えちまった。 こりゃなんだ。目を一回閉じるごとに2匹プラスされるってのか。笑えない手品だぜ。とんだパレードだ。 どっからどうやって現れたんだ? それに首輪をつけたこの女(同属か? )はともかく、後ろのオモチャはなんだ。 モノシステムを使った最新機器にも、時代遅れの骨董品にも見えねぇ。 こいつはいわゆる『異世界モノ』ってやつなのか? 「初めまして、シータといいます。こっちは私の兵隊さん。空も飛べるんですよ」 ……最近のガキは大層なオモチャを持ってんだな。つまりそいつに乗ってここまで来たと。 へぇ、中々どうして不公平じゃねぇか。 か弱い少女にはお抱え運転手つきで、貧乏賞金稼ぎにはシケモクの恵みすらくれないのかい。 っつーことはあのファンタスティックな怪物たちは、俺と同じ立場か、それとも誰かの用心棒か。 あの名簿の82名は、全員が人とは限らないってことか? まぁ……猫もいたしな。 そういやヴァッシュ・ザ・スタンピードが言ってた藤乃静留の蛇ってのはまさかあれの事か? 話に聞いていたよりずっとデカイんだが……まさか、な。 ■ ■ ■ 『B-5-南部-タイフーン・ファンク』 薄々はわかってたさ。 それほど長い付き合いではないけれど、僕は僕なりにアイツのことを知っている。 馴れ馴れしいほど親しみを押し付けてくるくせに、一瞬でドライになる。 だけどアイツがドライに入る時。それはアイツが自分に目を背ける時。 本音を押し殺して、勝手に限界を作って、現実主義を気取ってこっちに見せつけてくる。 こっちが悲しくなるくらい、アイツは虚ろなフリをするんだ。 「友達? あんたコイツの仲間ってこと? ……へぇ~なんか意外」 「コラぁトンガリぃ! なんやその『助けに来たよ』的な顔は! 救いのヒーローにでもなったつもりかい、こんアホンダラァ! 」 HAHAHA怒ってる怒ってる。でもそれでいいんだぜウルフウッド。それが本来のお前だ。 ガサツに振舞って罵声を浴びせて激昂するほうがよく似合ってる。やっぱり熱い男なんだよ。 嬉しいな。 またこうして馬鹿騒ぎができることが、僕には夢のようだ。 これまで100年間、やれるだけのことをやってきた。 それでも救えなかった時の悔しさを、僕は全部覚えている。お前が死んでしまった時の僕は、本当に項垂れていたよ。 神様。ああ神様。お願いです。 僕の知ってるアイツが一度死んでいることを、今だけ忘れさせてください。 僕はニコラス・D・ウルフウッドと――共闘(たたか)いたいんだ!! 「おいトンガリ。コイツの相手な、お前に任せるわ」 ……あれ? 「コイツん名は柊かがみ。ただのイモくっさいガキにしか見えへんけどな、騙されんな。 どんだけ銃弾食らわせても刀でぶった切ってやっても死なん"不死身人間"やで。 それもグレイ……GUN-HOーGUNSのナインライブズみたく種も仕掛けもあらへん。 何をやっても体が再生してまうんや。正直、ロストジュライの力を使ても始末できるかどうかもわからん。 雷泥……あの侍と遣り合った時にかました大砲ならヤれるかもしれんが、お前はあれ使いとぉないんやろ? 結論。俺にはとても始末に負えんからパスさせてもらうわ」 え、え、え。 「信じられへん、と言いたそうな顔しとるな。せやけどホンマや。 おそらくコイツを殺す手立ては2つ。 1つはこいつの体の再生が始まる前に完膚無きまま消滅させること。頭部も心臓もまとめて全部な。 もう1つは禁止エリアや。螺旋王が言うっとったの覚えとるか? 禁止エリアに入ると俺らは粛清を受ける。 つまりこの"実験〟のルールに当てはめてヤれっちゅうことやな……が、今の状況では厳しい」 いや、そうじゃなくて。 「禁止エリアはこっから大分離れとる。おまけに今のこいつには銃弾はまるっきし効かん。さっき見とったやろ? こっちは一応種も仕掛けもあるんやろけど、原理がわからん。とにかくタマを文字通り弾いてしまうねん」 「で、どうするの? あんたそれでもこいつに加勢する? 1対2でやっても手間は変わらないと思うけど」 「茶々入れんなやアホ。誰が好んで"解説君〟するか。こっちはもうボロボロやぞ。 え~バッター、ニコラス・D・ウルフウッドに代わりましてぇ~人間台風~ヴァッシュ・ザ・スタンピードぉ~~」 あ、右手を挙げてこっちに近づいてくる。タッチしろっていう選手交代のサインかな。 いや頼ってくれるのは嬉しいけどさ。でもちょっとそれはないんじゃない? あのさ、僕さ、すごく期待してたんだよね。ニコラス・D・ウルフウッドくぅーん。 君と僕の絶妙なコンビネーションでさぁーあの女の子をさぁー説得するっていう作戦がさぁー。 ぜーーーーーーーーーーーんぶパーじゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。 「……トンガリ? 」 やっぱりだめだ。 ああ神様。どうやらコイツには説教が必要みたいです。 ■ ■ ■ 『B-5-南部→北部-Black Egg And I』 ……ハァ、ハァ……きっつー。 ちょっと走ったくらいでこんなに息があがるなんて。 薄々は気づいてたけど不死者になっても疲れるのね。ちょっと意外。 だってそうでしょ。世の不死身キャラはたいてい完璧超人ばっか。 そりゃ油断して死ぬオチが多いけどさ、基本はHurry!hurry!叫んで暴れまくる無敵キャラなわけで。 『不死身なはずのあいつがまさかの死亡確認!』ってのが言わば最高の見せ場。 その名場面はさ、そいつがチートキャラであればあるほど良いに決まってる。 ――不死身キャラクターが息切れするっていう設定はあまり聞かない。 でもそんな事を話したら、アイツらはこぞって言い返してくるんだろう。 『わかってないなぁかがみん、だがそれがいいんじゃないか』とか『でもあたしは息切れもアリだと思う~』とか。 ……友達、か。 あのツンツン頭と関西弁が何をどうやったら知り合いになれるんだろう。 衝撃のアルベルトとパートナーを組んでいた私が、人のことを言える筋合いはないけどね。 でも『説教だ! 』とかわめきながら、ツンツン頭が関西弁男の手を引っ張って逃げ出したときは驚いた。 ツンツンどころかデレデレじゃん。その手の話にもってくつもりはないけどさー……ぶっちゃけキモい。 ああ問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。あんたら国籍すら違うんじゃないのかと。 そんなに仲良くなれるシチュエーションでもあったのかと。杯でも交わしてんのかと。 「止まれ! 不死身の柊かがみ!! 」 ……どこかで聞いたことのある声かと思って振り向いたけど、気のせいだった。 見るからに暑苦しそうな男だ。なんかわけのわからないこと叫んでるわね。 多分、後ろでこそこそしてる――結城奈緒に色々吹き込まれたんだろうけど。 ま、いっか。 あんた達を相手にしてる暇はない。私はあのツンツン頭と関西弁男を逃すわけにはいかないんだから。 さっき2人が卸売り市場の中に入っていったのはわかってる。それほど遠い距離じゃない。 「お前はあの謎のガンダムについて何か知っていることはないか! もしそうなら話だけでも聞いてくれ! 」 ? ガンダムって何のこ……“思ってた以上に”随分と大きいわね。あれ。 あんな物を用意して、螺旋王は私たちに何をさせようと考えているのかしら。 不死の酒といい次から次へと何でも出てくるわよね……誰かあれに乗ってるのかしら? 「や、やめなよ。こんな奴に構ってる時間はあたしたちには無いんだし、関わらない方がアンタのためだよ」 残念ね。せっかく話してあげようかなって少し思ったのに。 あの黒い大きな球が何のために存在する物なのか、教えてあげても良かったんだけどね。 あの黒い球体は、おそらく“大怪球フォーグラー”。 アルベルトが私に話してくれた地球静止作戦。幻夜というエージェントが考えた、大規模なテロ行為。 その作戦の中核を成すのが、あのフォーグラなのだー……私も直接見たわけではないので確証はないけど。 でももしあれが本物なら、いずれ回収したいわね。BF団としては大事なものだろうし。 「お前はこの状況に何とも思っていないのか!! 今は己の私利私欲のためだけに動くべきではない。 貴様も螺旋王討伐が目的ならば、俺たちは私怨を捨てて互いに協力すべきだ!」 ま、いっか。地球静止作戦はアルベルトもあんまり乗り気じゃなかったみたいだし。 最終的に螺旋王を食べてしまえば、あの大怪球の制御システムの知識も得られそうだ。 今は後回しにしよう。それより今は―― 「お前のことは奈緒から全て聞いている! だからこそあえて問いているのだぞ!? 仲間の死を越えてなお、お前が優先するものはなんだ!奴――衝撃のアルベルトの仇討ちか! 」 ――――半分、当たり。 ■ ■ ■ 『C-5→B-5-上空-ラピュタ・ジャズ』 良いことの後には必ず悪いことがきます。世の中ってバランスが取れてますよね。 最初は兵隊さんに乗って、卸売り市場へひとっ飛びするつもりだったんです。 兵隊さんの飛行スピードなら、禁止エリアだって突っ切ることも可能ですから。 でも、まさかあんな近くで巨大な怪獣さんたちが暴れているなんて…… もう少しで兵隊さんが破壊されてしまうところでした。すっごく危なかったです。 このままだと禁止エリアに停滞せざるをえなかったので、海沿いを遠回りをして進みました。 「言峰綺礼……お前の言う神父には、まだ会っちゃいねえな」 でも今度は着陸の瞬間をスパイクさんに見られてしまって……これじゃ奇襲どころではありません。 ストラーダのように一瞬で近づくことが出来ない『兵隊さんならではの作戦』を立てないといけませんね。 そしてこれからは誰かと遭遇してしまった時のために、もう少しよく考えるべき、と考えました。 例えばスパイクさん。 まだ色々とお話していないのですけれど、私の目標を話したとして、あの方は協力してくれるでしょうか? ルルーシュさんたちのように価値観の不一致で済ませれる程度の問題なのですが、あの人はとっても強い人です。 充分に利用価値があります。私のために動いてくれるのなら実に頼もしい。 みすみす手放すのも勿体無い話です。 海に突き落としてあげたはずのニアが生きている以上、私と仲が悪い人をこれ以上増やすのは大変です。 だって彼女が誰かと徒党を組んで、よってたかって私をいじめてきたら。 それこそ『数の暴力』で攻められたとしたら、余計な気苦労も増えてしまいます。 一応、言峰神父からもう一度令呪をいただいて全員殺せば済む話なんですけれど。みなさん意外と強いんですよね。 「だがアジア系で妙な訛りの牧師なら知ってるぜ。おそらくエドを殺したのはそいつ、ニコラス・D・ウルフウッドだ」 だから、私以外の人にも協力してもらって、憎むべき相手を殺してもらおうと思うんです! 何という偶然。何という幸運。やっぱり神様はいるんだわ。 ロボットの兵隊さんに、カウボーイのおじさま! どうして神様はこんなにも私に優しくしてくれるのでしょう。 そうです。これは天罰なんです。 神様の名の下に使えるはずの牧師が人を殺してしまったら、報いを受けるのは当たり前です。 ――え? 怪獣の側に人がいないか聞かれなかったっかって? さぁ、どうでしょうか。見ていたとしても、スパイクさんには話しませんよ。 彼には一刻も早く、私のために動いてもらいたかったから。 「シータ、このまま卸売り市場に乗りこんじまおう。ウルフウッドは北へ向かった。ここで休んでるかもしれない」 くすくす。ようやくエドの敵を討てるかもしれません。 ごめんねエド。待っててね。今、兵隊さんに乗った私たちがそっちに向かって飛んでるから。 着いたら必ずお参りしてあげるね。ウルフウッド牧師がいたら、一緒に謝らせて、エドの目の前で復讐するからね。 くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす。 ウルフウッド牧師、出ておいで~♪ 出ないと目玉をほじくるぞ~……♪ ■ ■ ■ 『“B-5-卸売り市場”-①-Waltz for Wolfwood』 「ウルフウッド、君ちょっとここに正座! さぁ言いなさい、何があったんだ」 なんやかんやでまたここかい。3歩進んで4歩下がるって感じやな。 あーキモいキモい。今更ここで何を聞くっちゅうねん。 愛と平和についてか? 主義の違いについてか? 俺が生きとる理由か? 知るかボケ。 いきなりここに呼ばれて人殺しただけや。どうせ聞いてもいつもと全く変わらんぞ。 大体な、こんなやりとり今まで何べんお前と繰り返したかちゃんと覚えとるんか? ワイが誰かを屠ってお前がケチつけて水掛け論して喧嘩して飲んで笑って……もうオチまで見えてもうたぞ。 「少なくともあの女の子の恨みを買うような事は、したんだな? 」 はい正解よくできました。わかっとるやないけトンガリ。 俺の目をじっと見てみ。お前と俺の付き合いや。察せれるよな? ……やっぱこの世界でも変わらんのやなぁ。相変わらず人の心に土足で上がりこんでずけずけ抜かしよるか。 ま、伊達に長く生きとらんわな。あがいてあがいてあがき続けることが、お前の戦いやもんなぁ。 何があっても綺麗ごとしか言わん。綺麗ごとで生き抜こうとしとる。 お前が何年生きとるか知らんけど、信念をずっと貫いとるスタンスには呆れの言葉しか出てきぃへん。 うらやましいでホンマに。 師匠を殺さずに倒したあの時、忘れたくても忘れれんわ。 確かに、俺は満足しとった。 人は人を殺さずに争いを終わらせることができるんだ。こんな俺でもやればできるやないけ! ってな。 でも、後悔もしとった。 勇気を振り絞った代償が命やなんてあんまりやないか。あいつらが帰りを待っとる。俺はまだ死にとない! ってな。 俺の人生はあの時、終わってもうたんや。 簡単には死ねんお前には、この気持ちは一生わからんやろな。 それでもお前は言い返すんやろ。『でも君は生き返った! またやり直せばいいじゃないか! 』とか。 「――その通りよツンツン頭。そいつは私の友達を撃ち殺したの。私“も”めちゃくちゃフルボッコにされたわ」 アホ。だったら俺はなんやねん。ポーカーの手札かい。 『ブタだから捨ててやり直しだ。なに、次はきっといい手札がくるさ! 』か? ええ加減にせぇよ! ゲームと一緒にすなホンマに! 俺のあの1回目の人生は、2回目を差し出されるくらい安っぽい人生だったんか! 毎日毎日葛藤し続けて生きてきた俺の生き様は、やり直しのチャンスを与えられてしまうくらい格下かい! 主よ! 神は人の前では皆平等やろが! こんなサービスを期待して俺は不殺を貫いたんやないぞ! 確かに俺は死にとぉなかった! 体中の力が抜けていくあの時、悔しくて悔しくてしょうがなかった! もし今度生き返ったら、トンガリやあの保険屋の娘たちとのどかな暮らしを……とも思っとった! けどそれは全部不可能な話やと思っとったからや! 最後の最後にちょっとばかし覚めない夢、見とっただけやぞ! 「――そして俺と彼女の仲間、エドをこの場所で惨殺したそうだ。おそらく他にもやってるんじゃないか? 」 「スパイクさん! 」 「事情が変わった。今の俺は賞金稼ぎじゃないぜ。ウルフウッド・被害者友の会のメンバーだ」 「ウルフウッド! 逃げ……おい! 」 人は必ず最後に死ぬ。 その終わりを知ってるからこそ、人は頑張れる。 1回こっきりの人生とわかっとったから、俺はあん時全てを覚悟して腹をくくれたんや。 ありえへん妄想を描いて現実を認めたくない自分が、俺の中にはおった。 だから、志半ばで死んだ事を受けられる自分も、俺の中にはおった。 自分の本音を何にするのかは本人の問題。ウルフウッドの気持ちはウルフウッドが決めなあかん。 突き立てた牙も突き立てれへんかった牙も自分のうちや。 「何ボーっとしてるんだウルフウッド! しっかりしろこの野郎ぉ! 」 だから、俺はここで見境なく暴れまくった。 やり場のない怒りに、身を任せた。その結果がこれや。 冷めた目をして見下す男と女と何かよくわからんデカ物が合計4人、仇討ち目的で俺らを取り囲んどる。 主よ。 どや? 2回目もつまらん人生送ってるで? スマンがもう1回手札切りなおしてくれるか。 ……なんてな。言ってみただけや。 今さらそんなサービスくれるんやったら、休むことなく俺に『死ね死ね』言わんわな。 ホンマさっきから何回言うねん。もうええ加減慣れたぞ。 ■ ■ ■ 『“B-5-卸売り市場”-②- LIVE in Blackmarket』 両手を思いっきり広げて、地面にくっつける。おでこは擦り付けるように下げるのがコツだ。 猫背にしてお尻を高くあげればもう最高。体を震わせるとなおいいぞ! 強烈な視線を感じるけど気づかないフリ気づかないフリ。とにかく全力で頭を下げるんだ。 スパイクさんは悪い人じゃない。ああは言ってるけど、良識のある人だ。 「……土下座して何になる、ヴァッシュ・ザ・スタンピード」 「そやでトンガリ。らしくない真似はやめろや」 ひいいトーンが低いよスパイクさん。やっぱり怒ってる。顔は見えないけど怒ってる。 ウルフウッドめ、お前のためを思ってやってるんじゃないか! まさかよりによってスパイクさんの仲間を殺しちゃってたなんて。なんて運が悪いんだよお前は! いや、殺したことを正当化しているわけじゃないぞ。僕だって本当はお前を叱りたくてしょうがないんだ。 でもさ、ここで僕が相手をしないとあの人たちマジでお前を殺しにかかるのかもしれないんだぞ!? この世がラブ・アンド・ピースなら、みんな手を取り合うべきだ。誰も死ぬべきじゃない。 それ以前に争いなんてするべきじゃないんだよ! 「俺はお前たちに全部情報を話しちまった。だからこれ以上他の仲間を危険に晒すわけにはいかないんだ」 「スパイクさん、こちらの眼鏡の方も黒ずくめの方の仲間なんですか? 」 「……こっちはヴァッシュ・ザ・スタンピード。ただの人間じゃない。元賞金600億の男だ」 やめてやめてスパイクさんやめて。そこの女の子、怖がってるじゃナイデスカ。 そりゃ懸賞金は事実だけど、僕はいたってどこにでもいる普通の男なんです。 「で、よってたかって俺らを殺すっちゅうんか? 両手に花こさえてのぉ。いい気なもんや」 「まずはお前が先だウルフウッド。殺したことに対して自責の念は、無いんだよな」 「フン。おどれは害虫始末するときに一々あやまっとんのかい」 「そうさ、俺は優しい男なんだ。だからごめんな害虫くん」 やめてやめてスパイクさんやめて。らしくないよあなたのキャラじゃないよ。ウルフウッドキレかかってるよ。 あなたはもうちょっとクールで渋い方がイイデス。っていうかお願いします。 どうしよう。何とかしなきゃ。何とか時間をかけてゆっくりと皆と和解を……そうだ! 「スパイクさん、僕と勝負していただけませんかっ!? 」 「勝負して何になる。お前の賞金になんざ、興味はないぜ」 「お金じゃありません。賭ける物は、ここにいるお馬鹿なウルフウッドの命です!! 知っての通り、僕は誰にも死んでほしくありません! ウルフウッドを含め、ここにいる全員にです! どんな事情があれ、この場に僕がいる限り、僕はあなた達を止めます! この程度の修羅場なら慣れていますから!」 「……お前を殺せば、誰も俺たちを止めるやつがいなくなるから、か。割に合わないんじゃないのか? 」 ……スパイクさんから殺気が消えた? 困惑しているのかな? でもいいや。迷ってくれているのなら、狙い通り! 少しでも彼らが悩んで時間を稼いでくれるのなら、どんな下手な言い訳だってついてやるさ! さて、今のうちに何か上手い妥協案を探し―― 「良いわよ、賛成。あんたを殺せば私は気兼ねなくウルフウッドとさっきの続きができる」 「このロボットの兵隊さん、私が命令すれば容赦なくあなたに襲い掛かるんですけど……」 「……と、いうわけだヴァッシュ。慣れてんだろ、せいぜい頑張れよ」 あ、あれ? やるの? マジで? 「良かったなぁトンガリ~ほんなら俺は遠くで見守っとるでぇ~」 「待てよウルフウッド。賞品を逃がすわけないだろ。こっちで大人しくしてろ。 妙な素振りを見せたらヴァッシュの頭が吹き飛ぶことになるぜ」 「別にええでぇ~せやけどあんまりトンガリにかまけとるとなぁ~害虫がこの娘を食ってまうぞぉ~」 え、え、ちょっと。 ウルフウッド、お前いつの間にシータちゃんの喉元に剣突き立てちゃってんの! わわわスパイクさん、落ち着いて落ち着いて! 「ウルフウッド、その剣を降ろしてもらおうか」 「どうせ死ぬんなら、ここらでもう1人くらい殺っとかんと死ぬに死ねんなぁ。 ハッ! しれっとしとるけどよう言うわ……もう一丁持っとるくせに。さっさと俺とトンガリの両方に銃向けんかい」 どうなっちゃってるの? えと、ウルフウッドはシータちゃんを人質に取ってるから動けない。 で、シータちゃんは剣を喉元に押し付けられて喋れないから、ロボットは動かない。 スパイクさんはウルフウッドと僕に2重の威嚇をしてるわけだから、勿論動けるはずがない。ってことは―― 「一番手は私ね。3対1ってのもこっちが悪者みたいだから、ちょっと安心」 ……不死身の柊かがみ、か。 ウルフウッドが言っていたタチの悪い相手だ。 どこまで不死身なのか、その定義はなんなのかはわからない。銃弾も効かないんだっけ。 よっぽどのことが無いと戦闘不能にはならないだろうなぁ。 「で、あんたの勝ちはどうするの?」 「君を100回ダウンさせたら、でどうかな?」 「ダメ、200回」 本当のところはすっごく好都合なんだけどね! ■ ■ ■ 『“B-5-卸売り市場”-③-N.L.(Norman's Land) Rush-』 というわけで、ゲームの始まりだ。 ここからは俺、スパイク・スピーゲルがなるべく俺なりの解説を加えて、状況を説明させてもらおう。 いずれあいつ等と対峙する事を考えると、思わぬ収穫があるかもしれないからな。 左、ヴァッシュ・ザ・スタンピード。 身長はおよそ180cm、体重は40……いや、軽すぎるな。筋肉のつき方が尋常じゃない。 上半身も下半身も締まりに締まって、余分なところが全てそぎ落とされている。 相当の鍛錬と修行を積んできた証拠だ。 小刻みに踏むステップ、リラックスしたような構えを見る限り、我流のようだが隙が見当たらない。 相当の場数と経験を積んでいる証拠だ。 これほど完成された腕利きを、俺は見たことがない。 それなのにどうしたものか、奴の体からはステロイド系の人工的な香りが全くしない。 右、不死身の柊かがみ(自称)。 身長は約160cm、体重は……野暮だな。 見たところ服装以外は特に目立った特徴は見られず、その辺にいる少女と変わらない。 構えは悪くないが、素人臭さが抜けていないな。戦闘に入れば、否応なしに我流で戦わざるをえないだろう。 問題は、“不死身”という事実か。 俺は不死身じゃないから、アイツの手の内が全くわからないが、フカシでは無さそうだ。 両目を見ればわかる。『何としてでも勝つ』という意思がはっきり読み取れる。 あの雰囲気はそこらのガキが粋がって得られるものじゃない。 ま、左が年月を重ねて醸造されたウィスキーだとすると、右は差し詰め何種類もの安酒を混ぜ合わせたカクテルだな。 ――お手並み拝見といこうか。 「私はね! この場所に! 呼ばれてから! 不死身になったの! それまでは! ただの! 女の子だった! 最初にここで出会った人、誰かわかる!? このスカーフの持ち主なんだけど! 双子の妹よ。殺されてた! あたし、その時『不死の酒』を見つけたのよ。無我夢中で飲んだわ」 「……妹さんのお墓は立ててあげたのかい」 「後で! 戻ったら! グチャグチャに! されてたわ! 首だけ持ってったけど! それも! 失くしちゃった! 」 「短い間に、ズイブンと穏やかじゃない人生を送ってきたんだね」 「どう!? 少しは! 同情してくれるかしら! でもね、そんな私にも! できたのよ! 友達が! きっちりしててね! 不死身になった! あたしの事を! 受け止めて! くれる子だった! 」 「その子を殺したのが、ウルフウッドか」 「ハァ、ハァ……ええ。ゴキブリを始末するように、私たちに一発ずつ。でも私は死ねなかった。 だからウルフウッドは私に乱暴してきたの。何度も何度も叩き潰された。 不死身とはいえ女の子なのよ? ……女の子にとって顔と体がどんなに大切か、わかるでしょ! 」 ……こりゃ予想以上の泥試合になりそうだ。 人間台風はひたすら不死身の攻撃をかわしてすたこら逃げるだけ。 駄目だな。埒があかない。北風と太陽の童話を思い出すぜ。 ヴァッシュ・ザ・スタンピードは少しでもウルフウッドの寿命が長引かせるのが狙いだからな。 このままだと、82人中、俺たちだけが生き残るまで続くぞ。やっぱり意地でも一番手を譲るべきじゃなかったか。 だが俺が今すぐヴァッシュとウルフウッドの頭を撃ち抜く、ってわけにもいかないんだよなぁ。 さすが600億$$だぜ。『俺とシータとウルフウッドの素振りも同時に』気にしてやがる。 妙な真似をしちまったら、それこそ弾丸の無駄になるな。 「あたしが! こんな思いをしてるのに! あんな! 人間のクズが! 何とも! ないなんて!不公平じゃない! 放っておけば! 犠牲者は! もっと増える! あたしのように! 傷つく子は! もっと出てくる! そんなの! ごめんよ! 」 「……だからさぁ」 不死身も不死身だぜ。 攻撃の手は休めないし、格闘センスも悪くないが荒削りすぎる。剣術は完全に素人の振り方だ。 だが、何よりも引っかかかるのは奴自身も手加減をしているという点だ。 一体全体どういうつもりだ? 本気を出さなければ勝てない相手だってのはわかってるはずなのにな。 だが出さない。本気を出そうとしない。ギリギリのところで力をセーブしている。 ヴァッシュ・ザ・スタンピードへの殺意はあるのに、あと一歩踏み出そうとしない。 ヴァッシュの奥の手を警戒しているというより、『自分が本気を出すこと』を恐れている。 何故だ? 不死身人間が持つ、不死身以上の切り札ってなんだ? 「きゃあっ!? 」 「そうゆー生きていい奴とかそうでない奴とか、そうゆーのを勝手に決めつけちゃだめだ。ハタクぞ」 おっ、1ダウン。 いや、向こうがヴァッシュの銃撃を剣でガードして勝手に尻餅ついただけか。 ……不死身の人間が頭を庇う必要あんのか? いや、自分の体が傷つくのが嫌なだけか。女は顔が命だしな。 時系列順で読む Back 今はまだ飛べない翼 Next ろくでなしとブルース 投下順で読む Back 今はまだ飛べない翼 Next ろくでなしとブルース 252:盟友 柊かがみ 255 ろくでなしとブルース 252:盟友 ヴァッシュ・ザ・スタンピード 255 ろくでなしとブルース 252:盟友 ニコラス・D・ウルフウッド 255 ろくでなしとブルース 252:盟友 スパイク・スピーゲル 255 ろくでなしとブルース 248:童話『森のくまさん』 シータ 255 ろくでなしとブルース 253 王たちの狂宴(後編) ドモン・カッシュ 255 ろくでなしとブルース 253 王たちの狂宴(後編) 結城奈緒 255 ろくでなしとブルース