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エキシビジョン 陸軍一佐フジクロ 名前 性 魔人能力 伝説の勇者ミド 女 おもいだす 池松叢雲 男 統一躯 陸軍一佐フジクロ 男 八咫鴉 採用する幕間SS なし 試合内容 【14年前――廃棄場】 小さな靴が瓦礫を踏みしめるたびに囁くような音と共に砕ける、 プラスチックや陶器の破片。 広がり続けた夢の島が広大な東京湾を埋め尽くし、 その島の名が希望崎学園と呼ばれるようになった今でもなお―― 人が生きる限り、その業が作り出す光景は変わらないのだろう。 形容しがたい悪臭。見渡す限りの廃棄物。 無論、本来は彼のような少年が入るべき場所ではない。 そして彼には、そうしなければならない理由があるわけでもなかった。 病んだ大気越しに歪む緑の太陽に、束の間ゆらめく、黒い翼。 少年はその瞳で、空を舞う優雅な影を追った。 ―― 一羽の鴉。 突然変異か魔人能力なのか。 その翼長は既に鴉の域を外れ、オオタカを思わせるほどである。 敗残兵の如く廃棄場に集う、鴉の群れ。そのどれよりも大鴉は強い。 この島に彼の天敵はおらず、大型犬すらも殺してのける。 人間を引き裂いて殺した事すらあった。 幼い少年は……その全ての場面を、ただ観察していた。 凪いだ無表情を湛えた黒い瞳で、ただただ淡々と。 大鴉に名前をつける事はなかった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【現在】 眼下に広がる光の海。 地上333m。池松叢雲は無限に広がる夜景の中央に聳え立つ赤い塔の先端で一人腕を組み、直立している。 英語の流れを、体内でコントロールしている故だろうか。 池松の上体は高空の風に揺れるアンテナ上にあって微動すらせず、 顔を覆う鳥面の奥の眼は、悠然と戦場を見下ろしている。 彼の立つ塔は空の闇と対照を成すように、オレンジ色の光にライトアップされている―― が、それは裏を返せば、眩いライトに隠れる影の領域が数多く存在する、という意味でもある。 戦場全てを見渡せるこの位置とはいえ、 この高度この距離から、戦うべき相手を判別することは可能だろうか? 無論問うまでもなく、可能である。 虹彩細胞を操作し……網膜への光量を自在に調整し得る、池松叢雲であれば。 「車ッ!(shut 「閉じる」という意味の英語)」 池松叢雲は一切の躊躇なく、覚束ない足場を蹴って跳んだ。 特徴的な英語の呼吸と共に中途の鉄骨を飛び石の如く渡り。 夜闇を切り裂く自由落下は、彼を速やかに求める敵の下へと到達せしめた。 大展望台へと続く外周階段、その踊り場に立つ黒スーツの男へと。 「顔を合わせるのは」 囲う金網と鉄柵をまとめて落下の蹴りで引き裂きつつ、落着する鳥面の男。 「初めてだな? 公安部のフジクロ」 「……池松叢雲」 「Nice-to-meet-you(「はじめまして」という意味の英語)。 僥倖だ。お前とは一度手を合わせたかった」 3羽の鴉が空中を旋回している。戦闘開始から40秒。策を仕込む時間もなかった。 その表情と内心に動揺が浮かぶ事こそないが、 これは無論、フジクロにとって好ましい展開ではない。 距離は4m。先の蹴りは池松にとって奇襲のつもりではなかったが、 それでも鉄骨に響く打音を察知したその瞬間から、予め距離を取る必要はあった。 「それとも、準備の時間が必要だったか?」 「これが状況だ。不平などは無意味な……」 答えながら、殺気の揺らぎすらも見せず―― 右手を抜くと同時、自動拳銃を撃ち放つ。 「疾ッ(shick 「病気の」という意味の英語)」 だが歓楽街の戦闘にて、アサルトライフルのフルオート連射を躱しきった池松叢雲である。 頭部を確かに狙った凶弾は踏み込みと同時に屈めた姿勢の上を通過。 そしてその踏み込んだ足元には。 「――やるな(Yallourn now 「なかなかやりますね」という意味の英語)」 池松の口元に、笑みらしきものが浮かぶ。 踏み込んだ足元には、万年筆大の金属容器が。 回避動作を取る暇もなく、震脚の衝撃で起爆する圧力信管。 音すらも抑えられた小規模な爆発が池松の右足親指を吹き飛ばし、脚肉を抉った。 間髪を入れず襲いかかる細いワイヤーを事も無げに手刀で切断して、池松はさらに踏み込む。 「Cooooooooooo……」 大気を震わす英語の呼吸は、フジクロを敵と見定めた先刻から、全く乱れてはいない。 常人であれば悶絶する激痛も不意を打たれた事実も、自己の肉体と精神を制御する池松の『統一躯』にとっては無意味なものだ。 血管の収縮操作によって、止血すらもこの短時間に完了している。 フジクロ本体は、踊り場から階段の下へ姿を消したようだった。 見事な手際であった。金網を蹴破って池松が降り立った時には、自身の足元に爆弾を仕掛けていたのだろう。 最初に距離を取った意味はそれだ。 夜闇に加えて抜き撃ちの拳銃弾へと注意を向け、踏み込む先への警戒心を薄れさせた―― 「なるほど。公安部の上に立つだけの事はある。 だが、少々……」 池松叢雲は階段を降りたフジクロを追わず、片膝を突いてその場に屈んだ。 罠を警戒しての行動ではない。単純な理由である。 「面倒だ(men-do-da:「面倒くさい」という意味の英語)」 地に叩きこまれた掌底を中心として、莫大な英語の破壊が地に伝播する。 橋脚の鉄骨に無数の罅を入れながら踊り場の床をぶち抜き、コンクリート煙と共に階下へと着地! だが同時、その煙に紛れて投擲されるナイフ! それすらをも空気の流れで読み、池松は手の甲で弾く! 前方の階段に影。フジクロ―― 「噂に違わない破壊力だ。 どうやら……逃がしてはくれないようだな」 「そのナイフや拳銃や爆弾が、お前の最大の一撃か?」 柄に括ったワイヤーで引き戻されるナイフを一瞥すらせず避けながら、池松は淡々と歩を進める。 フジクロの降りるべき踊り場は落下した瓦礫と池松の存在により封殺され、戻るべき踊り場も既に破壊している。 開始から3分。既に池松叢雲の、格闘の領域である。 「ならば使えばいい。見せてみろ」 「……そうさせてもらおう」 無表情に呟くと同時、黒い影が階段を駆け下りる。 適度な脱力と共にナイフを構えるその姿勢は、明らかに素人ではない。 相手の構えに格闘の心得を見て取った池松は、英語の呼吸を高めつつも迎撃の姿勢を取る。 「ふッ」 拳の射程に到達する直前、ナイフが放たれた。 池松が踏み込むであろう、その膝が狙いである。 (――足場を崩す。方法こそ違うが、日谷創面と同じ戦術か) 時間にしてコンマ秒以下。完全統制された精神でそれを認識した池松は――前ではなく『後ろ』に体を引いた。 踏み出すのではなく、体内で英語を練り上げ、溜める。 体を引いたその空間に、フジクロを誘いこむように。 一撃。一呼吸―― ナイフが外れ、柵にワイヤーが絡まる。 フジクロが階段から転倒するように体を投げ出す! 「蛇ッ(Jack 「ジャックさん」という意味の英語)! ! 」 「無駄だ……!」 明らかに音速を突破した衝撃が大気を巻き込むも、フジクロには命中しない! これは単なる転倒ではない。柵に絡めたナイフのワイヤーで体を支え、階段を滑り降りるように池松の懐へと潜り込んでいく! 無論、それを読めない池松叢雲ではない。 「Cooooooooooo!!」 側面至近距離に回りこんだフジクロに対して、砲弾じみた蹴り! 膝先から明らかに不自然な方向に曲がったその一撃は、『統一躯』――意図的に膝関節を外して放った迎撃だ。 ワイヤーから右手を離し、慣性で回避軌道を変えようと試みるフジクロであったが、 そのスーツの肩に、池松の爪先が僅かに掠り―― 「ッぐおッ! がッ……!!」 接触しただけで、スーツがまるでねじり込まれたようにフジクロの右腕を締め上げた。 信じ難い程のパワー。これが英検40段の完全熟達者(オーバー・アデプト)、その英語の力! さしものフジクロも口から呻きを漏らし、池松を通り過ぎ階段を転がり落ちていく……否! 「その攻撃は」 一瞬の交錯の内に攻撃を仕掛けていたのは、池松のみではない! 「判断を、誤ったな……」 フジクロの左手にはいつの間にか、先程までは握っていなかったナイフが。 池松の脇腹を刺し貫き、その場に踏みとどまっている! だが、取り出す素振りがあれば気づいたはずだ。ならばいつ……? (……鴉を使ったのか? あの一瞬でよくやる) 上空を旋回していた鴉の一羽が今、フジクロの傍に戻ってきている事に気付く。 ならばワイヤーを使ったあの接近の最中、背後から装備を手渡していたのか。 思えば、初期装備ではない爆弾を最初に使ったのは、 その分の『何か』――このサバイバルナイフを、鴉と『交換していた』ためだったのではないか。 思考を巡らせる間に膝関節を戻していた池松であったが、軸足のみで体を支えるこの一瞬だけは、踏み込む事ができない。 フジクロは脇腹のナイフを捻り込むように深く突き刺しながら、右手をスーツの中に差し入れ―― 「上か!?(waker 「起きる人」という意味の英語)」 直後池松は、傷口の筋肉操作で突き刺さったナイフを射出、その反動で上体を逸らす! 眼前3mmを爆弾が通過し、池松の一歩横に落ちて爆裂する! そう、フジクロの操作する鴉は一羽ではないのだ。 あの踊り場の破壊の混乱から一羽が戻ってきているというならば、上空から池松を狙う個体もまた存在し…… 「期待に添えず悪いが、私に『最強の一撃』などというものは」 そして本体の攻撃もそれに加わる! 連続して響き渡るスライド音! 至近距離からの4連射! 辛うじて左腕で庇うも、1発が肋骨へと喰い込む! 「――ない」 結果、階段を転がり落ちたのは池松叢雲である。 彼は頭上に回転する夜空を捉えながら、しかし無様な着地はせず、両足を踏みしめて立つ。 痛みは制御できている。ナイフで抉られた脾臓の損傷は重大だが、それは英語に関わる器官ではない。 「なるほど。侮っていたのは、どうやら俺の方か」 鋼線使いだというのならば、線の絡む金網や柵に囲まれたこの地形は、敵にとって優位だ。 加えて確かな技量がある。先のナイフと銃撃を織りまぜた近接戦闘も、軍隊格闘術の応用か。 「さて」 ズタズタに肉を掻き回された左腕を振り、流れる血を払う。 瓦礫の山から崩壊した踊り場を見上げた時は既に、フジクロの姿はない。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【1時間前――選手控え室】 「あの、申し訳ありません……渡葉美土様」 結昨日司は困惑の表情で訊き返した。 「今、『出場する』と?」 「うん」 未来ではどうか分からないが、公安部のフジクロが『SLGの会』と敵対してるというのは確かな情報のようだ。 しかし同じSLGの会である池松叢雲の参戦がほぼ確定している以上、 賞金も出ず、公開すらされないこの試合にミドが参戦するメリットは皆無と言ってよい。 ほぼ確実に、1対1の戦闘となるだろうと踏んでいたのだが―― 「あの……先程も説明いたしましたが、この試合は勝っても賞金の類は……」 「いいのよ。そこにいい男が居るなら、犯しに行くのがビッチでしょ? さっさと転送して……私の気が変わらないうちに」 「棄権しても構わないのですよ、渡葉美土様。 ……ふふ。けれど、今のあなたは――」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【現在】 「随分と……時間を与えてしまったな」 ベルトに結んだワイヤーの先端は、先の倒壊した踊り場の鉄柵に結んである。 フジクロは、レンジャー部隊のロープ降下の如く体を吊りながら、 新たなワイヤーをナイフで切り、降下用の命綱を目の前の柵へと結び直す。 スーツに隠されたシャツには、血の赤が滲んでいた。 右肩に掠っただけの池松の一撃は、どうやら相当な面積の皮膚を抉り飛ばしていたようだ。 この程度は魔人自衛官にとって軽傷の部類ではあるが、驚くべきは池松叢雲の英語だ。 先程はどうにか凌ぐ事こそできたが、逃げ場のないあのフィールドで近接格闘を続けていれば、 先に倒れているのは確実にフジクロの方だっただろう。 、 、 、 、 、 、 、 、 (そして、そのために時間を与えてしまった――渡葉美土に対して。 あれは僕と同じタイプの戦闘者だ。時間を与えれば与えるほど準備を整え、厄介になる。 可能限り早く始末しておきたかったが) 目的とする橋脚下部の階段からは、付属施設を収容するタワービルへと出入りできる。 エレベーターで地上とタワーを繋げるこの建物も、東京タワーの構造の一部だ。 鴉から受け取った小型爆弾を階段周りの金網の隙間に差し込み起爆、金網に侵入用の穴を開ける。 位置はちょうど建物の2階。ここからタワービル内に侵入すれば池松叢雲の追撃は逃れられるが、 それは同時にあのミドのフィールドへと踏み込む事にもなる。 (勿論、時間を与えた以上――可能な限りの対策は、取らせてもらう) 金網の穴から侵入したフジクロを追って、黒羽の群れが外周階段へと舞い込んでいく。 鴉と視界を共有し、指令を下す魔人能力――『八咫鴉』。 数は6羽。奇襲を受けた池松の時とは違い、万全の体勢で攻めこむことができる。 フジクロはドアノブに手を伸ばし…… ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (フジクロの能力は分かっている。 装備についても記憶した……『おもいだす』を使うまでもなく) 電源プラグをコンセントに差し込みながら、ミドは策を練る。 『おもいだす』の枠は3つしかない。更にこの戦いでそれ以上の数を記憶しようとした場合、 必要な記憶を忘れてしまうというリスクも存在する。 故に、結昨日司からの事前の説明は、メモに書いて記録を取ってある。 また、ミドには『SLGの会』の人脈もある。敵対するフジクロの経歴も知っている。 相手は本物の軍人だ――詐術や偽死の通用する類の人間ではないだろう。 故に情報においては、ミドや同じSLGの会の池松叢雲が、フジクロより一手先を行っていると言ってもよい。 (私に必要なのは装備。フジクロから『あまり』の装備を奪う以外に、おそらく勝ち目はない) 手持ちの『武器』は、殆ど1階のコンビニエンスストアから調達したものだ。 更に池松叢雲の先刻の破壊音は、このタワービル屋内にまで響いている。 先ほど外周階段に出て推測した限りでは…… (フジクロの初期位置は5階付近だった。 ……予備の装備を常に鴉に持たせているとも思えないし……) 鴉の機動力は確かに驚異的だが、装備を運搬させれば少なからず動きは鈍り、体力も消耗していく。 更にこの333mの巨大鉄塔だ。極端な上下移動はできまい。 つまりフジクロは、余分の装備を即座に調達できる位置に『隠匿』している…… 戦場をその位置から一定の範囲内に限定するつもりだ。タワー全体で戦うつもりは、最初からない。 (とにかく) 店内から調達した運搬用キャスターを押しながら、広い室内に仕掛けを施していく。 まるでトラップと悪意に満ちた部室棟ダンジョンの再現のように周到に。 しかしそれでいて、時間を稼ぐ最小限のものを。 塩水で濡らしたロープをドアノブに結ぶ。その先端には、中途で途切れたプラグコードが結わえてあり…… ミドはビニールで覆われたプラグ部を持って、ドア脇のコンセントへと接続する。 (次は……『人形』か) これは賭けだ。 しかしそれでも、池松とフジクロが戦うのであれば、決着には相当の時間を要するだろう。 戦わずして生き残る。それがミドの作戦である。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「……」 ドアノブに伸ばした手には、ナイフが握られている。 その刃に巻きつけたワイヤーの一端は、すぐ横の柵に結ばれていた。 フジクロは、この刃とノブの間でショートする火花から、既に罠の性質を看破している。 鉄柵とナイフを繋ぐワイヤーがアースとなっているのだ。 電流は全て柵へと散って、柄を握るフジクロに流れる事はない。 (ドアノブに対し即席で仕掛ける事のできるブービートラップは、電気か熱。 家庭用電源ならば、どの道然程のダメージにもならないが……念には念をといったところか) ネクタイを解き、アースの鋼線をネクタイの内に握りこんだまま、ノブを静かに捻る。 ドアの陰に隠れながら慎重に開くが、当然ながら奇襲はない。 (照明は消えている……か) 僅かなドアの隙間から鴉を侵入させ、視界の共有でそれを確認する。暗闇に乗じるつもりか。 敵の真意を推測すべく、フジクロは屋内へと踏み込み、 「ッぐッ!?」 響く破裂音! 腹部への強烈な打撃を紙一重で回避する! 咄嗟に銃を構えながら、フジクロは真横に転がる赤い物体を認識する。 その額から、冷や汗が一筋流れた。 「……ッ、く……」 (消火器か……ロープに結んで……ドアを開ききった時だけ、発射されるように……) 消火器の『ミサイル』だ。 予めホースを切り詰め、底部側をドアに向けて固定。雑多な物品で発射角を固定してあった。 電流を流し続ける塩水のロープは、ドアノブとコンセントの間でこの消火器のレバーに結わえてあり…… そしてドアを開く動きと共に、放出されるガスと共にロープの誘導で発射される。 (やはり厄介な敵だ……いや、これは私のミスか。 ドアノブに流れる電流に一度注意を向けておいて―― 二重にトラップを仕掛けているとはな) 意識を切り替え、闇に包まれた屋内を見渡す。 無敵の単体戦力を誇る池松叢雲とは異なり、ミドとの戦いはゲリラとの戦闘にも近い。 更に罠を仕掛けるとすれば、この暗闇を解除する照明のスイッチ付近。 そして、彼女の仕掛けた電流のロープはこの一本だけではないだろう。 鴉の偵察を防ぐために、この屋内に何本も張り巡らせているはずだ。 (そう、例えばこのように……網状に解いて) 警戒しつつ進んだ先で、それを発見する。 人間にとっては死に至る程ではないが、鴉が仮に網に引っかかれば、最低でも戦闘不能だ。 フジクロの能力を知った上で、鴉による探知をも防いでいる―― 「だが面白い。それでこそ試す価値がある。 渡葉美土……君は自らの意志で道を選ぶ―― 『魔人達の国』に足る人材なのか?」 フジクロは氷の無表情を保ったままで、土産物屋のマグライトで暗闇を照らし、進む。 電流のロープ。ばら撒かれたガラス片。蝋人形によるダミー。 想像し得る殆どのブービートラップは、やはり設置されている。 そして問題はもうひとつある―― 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 (さて……相手は本当に、この建物内に潜んでいるのか?) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「戦わずして勝つ……」 店から調達した双眼鏡で眼下を見下ろしつつ、ミドは小さく呟く。 作戦通りだ。幸運も味方した。 「って事は、つまり逃げればいいのよね」 、 、 、 、 、 、 暗闇に乗じるつもりなど、最初から無い。 ミドは、フジクロが侵入するよりも早く、1階から大展望台へと逃れていた。 池松とフジクロが交戦する階段の位置からは、角度的にエレベーターの稼働が見えない事も計算した上での策だ。 「とにかく、これでフジクロが建物の中に入ったわけね。 池松叢雲はさっきから動いていないようだけれど……」 軍人相手にブービートラップで挑む無謀は、ミドとて承知している。 敵を消耗させ時間を稼ぐ事が、彼女の作戦の狙いだった。 無論、トラップを仕掛けた屋内で池松とフジクロが潰し合ってくれれば理想的ではあるが、 格段に戦闘能力に劣る彼女にとっては、直接戦闘を回避している現状の展開も十分と言えよう。 また、相手がこの大展望台に上がろうと試みたとして、ミドはそれをエレベーターの稼働で把握できる。 地上と大展望台を結ぶエレベーターは3基。 ここへ登るために相手が1基を動かせば、ミドは別の1基で降りれば良いだけの話だ。 「そして恐らく、身動きの取れない展望台付近は、武器の調達範囲…… フジクロの想定する戦闘領域にも入っていな……」 「……!?」 ミドは双眼鏡を覗き込んだまま、息を呑んだ。 目を離した時間は一瞬だった。 遙か下の階段で座り込んでいた池松叢雲の姿が――消えていた。 「そんな、池ッ……」 パン、という音を立てて、遠くの背後で強化ガラスが割れたようだった。 恐らく、眼下の男が姿を消してから一分と経っていないだろう。 殺気や闘気と呼ぶにはあまりにも莫大な、質量のような死の予感が背後の空気を震わせた。 「コンバンハ(Kong ban what 「こんばんは」という意味の英語)」 「池松さッ……いや、ちょっと……待って!」 「あいにく俺に探知能力はないのでな。 手っ取り早く、見えた方から倒すことにした」 (あの距離を『見た』!? どんだけ化物なのこの人!?) 距離は10m。しかしフジクロの状況とは相手取る人間が違う。 ミドは池松叢雲とのこの距離以上に、死への距離が近づいているであろう事を悟っている。 相対するだけで、肺から空気が絞り出されていく。 戦闘状態の池松叢雲とは、これほどのものなのか!! 「あの、わ、私達……同じSLGの会でしょう!? こ、怖い…… あっ、でもやっぱり近くで見ると逞し……いやいや…… 怖い……怖かっこいい…… だだ、だからその、内輪でそういうのって……ほら、協力してフジクロを倒したほうが、多分色々と楽だろうし……」 「?」 構えを解くことなく、小首を傾げる池松。 その仕草にミドは恐怖を感じた。今はっきり分かったが、この男とは会話が成立しない! 「俺は構わん(Come one 「私は気にしませんよ」という意味の英語)」 「そうだ、トラップ! 下の階にトラップが仕掛けてあるから、その解除方法とか! 知っておかないと、後々フジクロと戦う時不利、」 「知った事ではない。 渡葉美土。これから俺がする事はふたつだけだ。 お前に近づき、英語を打ち込む」 「だ、だから話を聞いて――ッ!!」 「悪いが後がつかえている。これもLessonだと思って、耐えろ」 池松は死神の如く、一歩一歩の距離を詰める。 ミドの背後にはエレベーター。だが、これに逃げ込んだところでどうなるというのだろう。 一分足らずの間に大展望台まで鉄塔を駆け上った、人外の脚力。 密室内で池松叢雲と対峙すれば、それこそ100%の死だ。 ならばミドに賭けるところがあるとすれば――それは。 「なるほど。そのseatの下か。 いいだろう。それがお前の『一撃』だというのならば、受ける用意もある。 同じSLGの一人として」 「…………」 その一言に、両手で顔を覆った隙間から池松を見据えるミド。 先ほどまでの狼狽ぶりとは裏腹に、眼鏡越しの彼女の瞳からはその内心を伺う事はできない。 そう、シートである―― エレベーターの前に敷かれた単なるブルーシート、に見える。 彼女が賭けるのは『それ』であり。 「 鐚 一 文 (Bitch die Tim on 「ビッチがティムさんの上で死ぬ」)」 怪物的な踏み込みと共に肉薄する池松叢雲が賭けたその『一撃』は―― 「……!」 ミドに命中することなく、その背後……エレベーターの扉を砕く! やはり、足元のブルーシートだ! 仕掛けられた何がしかのトラップが池松の踏み込みを滑らせ、 自身の攻撃の慣性のまま、空のエレベーターシャフトへと転落する! 「……」 「油だな。ブルーシートの下に油を敷いて、 不用意に動く事でシート自体が滑るように仕組んでいた」 常人には致命的な距離を落下しつつも、しかし池松叢雲は冷静である。 英語を極めた完全熟達者(オーバー・アデプト)は、人類の域を超えている。 「エレベーターも1つだけを下階に下ろし、自分はその前に陣取っていたわけか。 さすがは伝説の勇者だ。確かめた甲斐があった……切ッ(set 「一揃い」という意味の英語)!」 池松の背後でひゅん、と風が動き、そしてギリギリという不快な金属音が響いて、流れる景色も停止する。 シャフト内壁、後ろ手に突き立てられた指先は、壁に4本の長い溝を刻んでおり…… 遅れて指先から血が滲むが、落下中に練り上げた英語によってその傷も然程ではない。 「フン。足場の乏しいここでは――」 下方から風。 「登るのに難儀する、『が』」 エレベーターシャフト内の圧力変化によるその豪風は、 今まさにエレベーターが内部で稼働している事を示している。 「……その必要もないようだな」 ――ミドは池松叢雲の戦力を知っている。 例えば先のシートの仕掛け、あれは拳銃を持つフジクロの対策として機能し得るトラップだっただろうか? 何か目的があって展望台の窓に顔を出し、池松叢雲との一騎打ちを誘ったのだとしたら、 当然攻撃手段は、地上145mからの落下などという『穏便』なものではなく―― 空気を押し出しながら、高速エレベーターの砲弾が迫る。 逃げ場のない密閉空間で迫るそれは、トンネルを突き進む地下鉄にも似ていた。 だが、池松は口に笑みを浮かべる。 この程度で池松叢雲を止められるとミドが考えたのならば、 (それは少々、読みが甘い) 突き立てていた指を離し、飛び降りる! 落下速度と、エレベーターの上昇速度――両者が真正面からぶつかり合うが、 「破ッ(Hat 「帽子」という意味の英語)!!」 エレベーターの天井を一撃で破砕したのは、無論池松のチョップであり、 そして…… (とはいえ……今度こそ) その勢いで突入したエレベーターの中でミドの真意を悟って哂うのも、やはり池松叢雲である。 、 、 、 、 、 、 (してやられたか――) 重量オーバーを感知したエレベーターが、無機質なブザー音を鳴らす。 狭い密室を埋め尽くす無数の缶と容器。 ガソリンが、油が、ビル内のありとあらゆる燃料が満載された巨大な『爆弾』には、 天井の亀裂から大量の空気が吹き込んで―― 破壊の振動で倒れたただ一つの蝋燭の火で、『起爆』した。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「……英語の弱点は『呼吸』を阻害されること。 なら密室で火災を起こして、その場の酸素を奪い尽くしてしまえばいい。 余裕を見せたのが運の尽き……ってね」 遠く下方から響き渡る轟音を確認すると、ミドは再び準備に入る。 ビニールシートを取り払ったエレベーター前には、何台かの運搬用キャスターが並んでいる。 大展望台に至るエレベーターは3基。1基は今、池松叢雲ごと破壊した。 (つまり今動いている1基は――十中八九、フジクロが私を捉えた事を示している……) この展望台は全周が窓だ。鴉に『見られた』事も十分あり得るが、 それ以上に今の爆発音で、上階での交戦を悟られた可能性の方が高い。 ならば自分は、残る1基で1階へと戻る。それだけだ。 運搬用キャスターの1台を、フジクロの登る1基の前へと立てかける。 大展望台1階のカフェから調達した包丁や重量物等、ありったけの危険物を積載した車両だ。 そしてもう1台同様のキャスターを、今度は自分の乗る1基の中に搬入する。 (私に体力の消耗はない。勝てるはずよ……運次第で!!) ミドの戦場は再び移り、光の夜景へと静かに降下していく…… ――― ―― ― エレベーターの扉が開くと同時、内から立てかけられていた危険物が、雪崩を打って外へと倒れこむ。 大展望台側ではエレベーターの『外』に仕掛けていたトラップと同じだ。 仮にフジクロが1階扉前で待ち伏せをしていたとしても、これで不意を打つことが可能なはずだった。 (でも、降りている間にすれ違ったエレベーター……あの中に居た影は、おそらくフジクロ。 どちらにせよ、私は不意打ちの可能性を排除して動くことができるわけだけど) 悠々とエレベーターから踏み出したミドの耳を、銃弾が掠めた。 「えっ?」 彼女の前に立つ黒スーツの男は、陸軍一佐フジクロ。 手には拳銃を構えていた。 「……」 無言のまま、続けて2度引き金を引く。 拳銃の射程では、雪崩が命中しなかったのも道理である。 ミドは崩れた重量物の山に隠れることで辛うじてこれを避けるが。 「な、なんで!?」 「見事なトラップだった。 池松の視力から逃れつつ1階まで降りるには、屋内を移動するしかなかった……が、 君の仕掛けも、それに引けを取らない脅威だ」 「……でも、エレベーター……!」 そこで気付く。彼女が仕掛けたのと同じ罠だ。蝋人形によるダミー。 仕掛け自体は片方のエレベーターのボタンだけを押して上昇させた単純なものだが、 同じ体型、同じスーツ姿の人影がエレベーターの中に存在すれば…… ライトアップされたタワー自体の逆光で、注意しても気付けなかったかもしれない。 「悪いが、始末させてもらう」 ホールを低空で旋回する8羽の鴉。 機械的な正確さで、P9Sの弾倉をリロードするフジクロ。 「し、仕方ない……かな!」 ミドは足を踏み込み、積み上げられた危険物内から消火器を跳ね上げる! そしてフジクロへと向け構える――その底面を向けて! 「!」 踏み込もうと構えていたフジクロは、一見無意味なミドの行動に反射的に回避を選択し、踏みとどまってしまう。 消火器自体を飛ばす、先のトラップを目にしている警戒故の反応だ! だが、その反応こそミドの狙い通り――! 「ふっ、『おもいだし』ちゃうのも大変ね!」 本体をあらぬ方向に向けながらも、ホースの先端は抜け目なく左手でフジクロを捉えている! 消火剤が撒き散らされ、フジクロの視界を覆い隠す…… 「次!」 武器は足元に揃っている。包丁を拾い、白煙に包まれたフジクロの影へ投擲! それは飛び込んできた鴉の爪で軌道を逸らされ落下するも、 ミドは抜け目なく次弾のパイプ椅子を構え、 「……しまっ、」 その椅子で咄嗟に頭上を守る! 「あぅっ!?」 破裂音と共に飛散したパイプの欠片が、ミドの肌を深く傷つけていく。 そう、ここには『8羽』いるのだ! 爆撃……ここで待ち伏せを受けた時点で、ミドは既に包囲されている! プラスチックを打つような、カシュ、という音。 二の腕を抉る感触に、激痛の悲鳴を押し殺す。 「鴉の『視点』からでは、やや狙いは付け難いが」 「……! フジクロ……」 「最初から、消火器への警戒は砲弾の仕込みのみで良かった。 情報は与えたはずだ。私に目眩ましは意味を成さない」 (……ミスった…… もう、無理……勝てない……こんな相手……!) 自他の策を敢えて無視する池松の性質を利用したように、 相対した敵の心理の隙を突くのが勇者ミドの戦いだ。 だがこのフジクロ――公安部のフジクロの、さらに数年後の姿だという――は、 ミドの付け入れるような『心理の隙』など、そもそも持ち合わせているのだろうか? エレベーター外の待ち伏せがなかったならば、このタワービル内で更に罠を張り巡らせる事もできた。 時間さえあれば、更なる上策が完成していたとも思う。 だが……やはりここまでか。 渾身の一撃を池松叢雲に喰らわせてやった。 仮にも魔人兵士を手こずらせ、賞賛の言葉すら得た。 上出来だ。だが、ここまでが―― ――これが、伝説の勇者ミドの限界なのだろうか? ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【1時間30分前――選手控え室】 「うぐぁっ! す、すいません! も、もう勘弁して…… あがっ、い、イく…………ひッ、ひぃぃぃ~~~っ!!」 半裸のミドの下で悶える少年の名は、石田歩成という。 本大会で何度目かの将棋対決。 欲求不満のために性欲も溜まり、しかも将棋でも敗北しそうになったミドは、 辛抱たまらず石田を押し倒し、将棋の勝敗をも有耶無耶にするという一石二鳥の策に出たのだ。 「……ふう。石田くん。優勝者の私に、何か一言は」 「えっ……おめでとうございます……? 対局前にも言いましたけど。 ああっそうだ、それと今日も良かったです! でもミドさん……何か悩みでも?」 「石田くん、奨励会を追い出されたのよね」 「それ僕の悩みですけど!? というかいきなりなんなんですか!?」 「いや、少し聞きたくて。 仮に石田くんが、魔人能力に目覚めずにプロ入りしたとして…… その後、物凄く強い一般人から対局を申し込まれたらどうする?」 「……」 「それは勝ったとしても何の得もない無名の相手で、 賞金なんか出なくて、しかも殆ど勝ち目なんてないくらい強いのよ。 しかも、逃げても誰も責めないとしたら」 「……それは……僕には答えられませんね。僕は結局プロ棋士にはなれなかった。 でも僕ならきっと、逃げてしまうでしょう。 プロ棋士になるには、リーグ戦で他の棋士を倒して上がっていかなければならないんです。 そういう人達の無念を背負っているなら尚更、名誉のない戦いはしたくないと思います。 でも、そんな時に――」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【現在】 白煙は晴れた。元より、消火器が作り出せる煙幕など、然程持続するものではない。 しかしあくまで油断せず、ミドの頭部に狙いを定めて撃つのみだ。 (爆弾は残り5発。全て僕が持っているし、もはや爆撃で無駄にできる数ではない。 そしてこの距離で外す事は――) ……しかし。その瞬間、フジクロの思考は止まった。 ミドが構えていたのは、刃物でも飛び道具でも、腰に携えた伝説の剣でもなく。 金色に光り輝く、一枚のコイン―― (真野……ッ!!) 記録映像で見た、真野風火水土の『イデアの金貨』―― 他の魔人の能力を、ミドが試合に持ち込んでいたとすれば。 金品のやり取りに関する禁則事項で、果たして能力の産物は禁止されていたか。 金貨を持たぬ片手、あるいは足に何かを仕込んでいるのか。 そして、それらが全てブラフである可能性……!! あらゆる戦局に対して、常に冷たく迅速に答えを導出してきたフジクロの明晰な頭脳は…… 0.5秒にも満たぬこの一瞬に限り、裏目に出た。 真野風火水土の試合が刻んだ楔はそれほどまでに深く。 「馬鹿ね。これはただの――」 そして敗北の間際に至ってまでそれを利用しようとした勇者ミドが、それほどまでに悪辣だったのである。 「お土産のコインよ」 フジクロが引き金に指令を下し、ミドの射殺を試みる一瞬…… 彼女が親指で弾いたコインは宙を舞い。 ――大地が鳴動した。 「「……!!」」 ズン、と響く上階からの異様な轟音と共に、2人の立つ足場は大きく揺れる。 何が起きているかを察したフジクロは、ミドから視線を切り、壁を背に。 ミドは爆撃から実を守るべく、開け放たれたままのエレベーターの中へ。 密室に向かって、堰を切ったように殺到する鴉。 だが再び地は揺れて、落ちる天井の破片を避けて群れが散る。 何か奇妙な音が、鉄塔全体に反響している。 『――IS』 『THIS』 『A』『PEN?』(「これはペンですか?」) 「人の」 、 、 、 、 「人間の声だ」 肩の傷を抑えながら、ミドは幽かな声を漏らした。 都市の象徴。あらゆる日本建築物を優越して聳える333mの電波塔が、三度音声に揺れる。 『NO』 『IT IS』 『T O M ――』(「いいえ、それはトムです――」) 『人間の声』――というのは正確な表現ではない。 英語である。 「 COOOOOOOOOOOOOO……… 」 天井の破壊と共に降ってきた存在は…… ジェットエンジンめいて凶悪な呼吸音を響かせつつ、顔を上げて2人を見た。 落下と同時、左足で踏みつぶした鴉の一羽を蹴り払い、その存在は歩を進める。 「足で探すのは面倒だ。 何しろ俺に探知能力はない。この両眼以外は」 その数秒、フジクロもミドも、息を呑んだまま動くことができない。 「だから『声』で探した」 池松叢雲。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ エレベーターシャフト内の密閉爆発。 それに対し仮に英語を放っていれば、肺も気管も焼け、池松叢雲とて完全に戦闘不能になったであろう。 一酸化炭素の毒だけならば受容体の操作で対処のしようもあるが、 蛋白質を物理的に焼く『熱気』に関してはどうにもならない。 それがミドの策略の完璧な点であった。 故に池松は呼吸を止めた。無力な一般人がそうするように。 しかしとめどなく流れ出す汗は、追いつめられた事実への冷や汗ではなかった。 即ち。 (『統一躯』――) 体内水分の実に20%……死の寸前まで発汗機能を酷使し、燃え盛る火災の熱から体表を守ったのだ。 燃料による爆発炎上は、飛び散る破片で池松を吹き飛ばすことはなく。 そして体を炎に晒したまま、池松は地上145mまで耐えた―― 幸いにも、失った水分は大展望台1階のカフェ内で補給することができた。 次に行ったのは『探知』。 トーナメントの中では見せる機会のなかった技だが、今ここで使う事ができた。 英語は、リーディングやライティング……スピーキングのみではなく。 「単純な話だ」 なにか不気味な予感を孕む不協和音が、頭上からギイギイと響く。 一撃。一撃。吹き飛ばされ焼かれ、酷使した体で随分と動いたものだ。 そして、眼前の2つの影に、一撃ずつ。それで終わる。 「Listening――自ら放った英語の反響を『聞いた』。 そして2人の戦闘を聞き、ここに来た」 ズン、とフロアを貫いて、鉄柱が降る。 「……聞いたよりも出鱈目な戦闘力だな。 私達の位置を知るためだけに、支柱の全てを叩き折ってきたのか……?」 「俺の英語を響かせるために必要だったのならば、そうかもしれない。 そして……ここは1階だぞ。お前が空なら、俺はこの大地がterritoryだ。 これで足に気兼ねせず、全力の一撃が打てる。さあ――」 両腕を広げ悠然と構える池松に―― 頭上から、物体が飛来した。 左に跳んで避ける池松。床に落下したガラス片が四散する。 「弾切れか?」 訝る池松にワイヤーが迫る。 トーナメントを切り抜けた今の彼には、高張力ワイヤー程度は拘束にすらならない。 が、ワイヤーを受け止め引こうと試みた瞬間何かに気づき、直前で手を手刀へと変えて切断した。 切り飛ばされたワイヤーの先端が床に落ち、小爆発を起こす。 爆発の残響に、ギシギシと鳴る頭上の音が更に強まる。 「ワイヤーボム……!」 2人から距離を取りつつあったミドが、漸く攻撃の正体に気づき。 彼女の視線の先――フジクロを挟んだ向こうで池松が地を蹴る! 「疾ッ(shit 「座る」という意味の英語)!!」 視界を隠すべく眼前で翼を広げた鴉を無造作に引き裂き、フジクロへと2mの距離にまで迫る! しかし拳を繰り出す一瞬、そのワンインチの間隙で何かが跳ねた。 ピンを抜かれた小型爆弾―― 「吹ッ!!」「くっ!!」 咄嗟にフジクロを蹴り、反作用で距離を取る池松であったが、 フジクロもまたその蹴りに靴裏を合わせており、結果、両者は弾き飛ばされるように吹き飛ぶ。 直後、その中間地点で爆発。 さらに吹き飛んだ池松を追撃すべく、3羽の鴉が飛翔する! 「やるな。先の目隠しもこの布石か―― あのままでは自爆だったが、俺の反応も計算していたか?」 「どうだろうな」 両者にダメージはない! 立ち上がる……が、フジクロはミドに視線を向ける! 「……!」 ここに至って、ミドが初めて伝説の剣を抜き放つ! 池松と吹き飛ばしあったフジクロとの距離は、今は逆に縮まっている。 幻影の剣『まるごし』は、その内部に握りこんだ武器を覆い隠すが―― (銃ではない。鴉に隠させた銃はまだ取られていない。 射撃武器であれば、握りは変化するはずだ……が) 脳裏に走った予感に従い、『まるごし』の『射線』から逃れるフジクロ。 果たして予想通りそれは射撃武器であるが、 ビニール容器を利用した水鉄砲である――! (アルコール臭か。これをライターで発火させるつもりだとしたら……) この一瞬の内に鴉がミドの頭上に到達、ガラスの雨を降らせる! 「くっ、うぁッ……! 痛ッ!!」 出血と共に逃げるミドだが、 フジクロはそちらには銃を向けず……背後に迫る池松へと後ろ手に撃つ! 3羽……向かわせた3羽は池松の迎撃により肉塊と化していた。 「そろそろ限界が近い。これ以上受けてやるわけにはいかん」 続けざまに3発の連射。だが人外の反射神経に、銃弾は当然のように掴み取られる。 が、フジクロの狙いは、その位置で池松の足を止める事にあった。 ――何故、フジクロは『屋外にいる』残り4羽の鴉を突入させずにいるのか? それは外から『見ている』ためだ。 今まさに池松の英語の浸透で倒壊しつつある、東京タワーの様子を! 鉄柱の質量が天井を貫く! その位置は狙い違わず、池松の直上だ!! 「―――!! 喝ッッ(Cut 「切る」という意味の英語)!!」 しかし、池松が反射的に頭上に突き上げる拳は、鉄柱を受けてなお破砕する! 凄まじい重量に床を割りながらも、池松の放った一撃は赤い鉄柱を浸透し、 雑巾を捻るように歪な形へと変形させつつ、落下軌道から完全に弾き飛ばす! 「いや。それでいい」 (……まさか(Massacre 「皆殺し」という意味の英語)) 池松は声を出すことが、できない。 口に異物が詰まってる。何か羽毛のような感触が……鴉……? 8m先で振り向き、フジクロが作戦の成果を確認するが如く、冷徹に呟く。 「君の英語を防ぐためには、毒ガス程度では足りない。熱気でもまだ不足だ。 物理的に。完全に『塞ぐ』以外の方法を、私は思いつかない。 英語の一撃を繰り出した直後、肺の中の空気を全て吐き出した今。 絶対にこの特攻を命中させる一瞬が欲しかった」 足が止まっているだけならば、迎撃はできる。腕を止められても、避ける事はできる。 いざとなれば肉体の反射を無視して、『統一躯』でその身を稼働させる事ができる―― だが。大質量に押し潰され、押し付けられていた今の状況は。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 何をどうしたところで、動くことはできない……!! 「私の『八咫鴉』は、鴉の個体の意志を無視して指令を実行させる事ができる。 たとえ本能に反した指令だろうと、機械的に実行し続ける。 それが『池松叢雲の肺に潜り込め』というようなものであっても」 (――なるほど。公安部のフジクロ) 「『統一躯』を持つ君のどこを撃てば殺す事ができるかは分からないが、 この距離ならば外さない。これから残り全弾を君に撃ち込み殺す。それだけだ」 破壊の渦中に立ち尽くし、気道に潜り込んだ鴉に窒息しながらも、 池松は鳥面の奥……青く光る目でフジクロを見下ろしている。 、 、 、 (これがお前の全力か。これが) バキリ、と、骨が砕ける音が響いた。 鍛えることのできない口内。肺からの空気も枯渇するこの状況で、 その体内を侵攻し嘴で食い荒らす鴉を止める方法が一つある。 死んだ鴉には、もはや指令を下すことはできない。 仮に英語を抜きにしたとしても、咬筋のみで一羽の鳥を絶命させる事は、造作も無いことだった。 ――だが。 「そう。たとえ本能に反した命令でも実行させることができる」 肉を噛み千切った歯に当たる、この感触は。 「ピンを抜いた爆弾を飲み込ませる事も」 池松の頭蓋から響く、くぐもった破裂音。 糸が切れた人形のように、頭部を吹き飛ばされた影が崩れ―― 依然倒壊を続けるタワーの中。3つの頂点の内の一角は落ちた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【13年前――廃棄場】 「異形と呼ばれている」 真っ二つに切断された大鴉は、ただの汚らしい肉にしか見えなかった。 何よりも優雅で何よりも速く、そして強かった筈のその大鴉は、 半分以上の羽が抜け落ちて、歪んだ廃棄場の大気の中で無残にその黒を濁らせている。 「魔人能力に目覚めた……またはその影響を受けた動物の事を言うそうだ」 「知ってる。 生態系を乱す、いてはいけないものだって」 「飼っていたのか?」 「……違うよ。僕は見ていた。ただ、見ていたんだ」 能力に目覚めた動物は生態系を壊す。だから、殺される。 ならば。能力を持った人間は? 「僕は」 「止めろ(Year marrow 「やめてください」という意味の英語)。 英語のLessonならともかく、Counselingは俺の性に合わん。 それに」 鳥面に隠された目が、ゴミ山の麓に立つ少年の顔を見据えた。 少年は目を合わせることができない。 「言いたくない事を、無理に言う必要もない」 「……」 「それでも恐怖があるというのなら――」 「強くなろうと願えばいい。英語の全ては、そこから始まる」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【現在】 「残るは……渡葉美土。 やはり、最後の敵は彼女になったか……」 これ以上ない強敵を下したものの、フジクロの残す残弾も少ない。 鴉は6羽。銃弾は3発。爆弾は2発。予備の銃を回収する猶予はない。 ガラスの弾も、建物そのものが崩れつつある今、補充は効かないだろう。 またしてもどこかで鉄柱が折れ飛び、地響きが足元を震わせる。 上層の鉄塔が完全に崩れ落ちるまで、あと少しに違いない。 「……」 点々と続く出血を追う。ガラスでどこかの動脈を切ったか。 だが圧倒的優位の状態にあってなお、フジクロに慢心はない。 機械のように冷徹に。その精神性こそが、陸軍一佐フジクロの最も恐るべき点である。 「……………デ……。……ァ、……ス…… …………!」 階段の先から、何かをブツブツと呟く声が聞こえてくる。 鴉を先に向かわせて罠の有無を見極め、その先の踊り場にミド本人が座り込んでいる事を確認する。 「……ス………。 ……追いつかれちゃったか。ふふ。 もう少しだったんだけどな」 追いついた鴉を見て、ため息と共に諦観の言葉を漏らすミド。 フジクロ本体が近づかずとも、今度こそ爆撃で仕留める事が可能だろう。 この一撃で。勝つ。 1発の爆弾を鴉に渡した直後…… 「――!!」 回避が間に合わない。 振り返ったフジクロの腹に、豪腕の一撃が突き刺さった。 「ぐッボォッ!」 打点から何か不自然な作用が打撃と共に浸透し、 異様な感触にフジクロは胃の中身を吐き出した。それはどす黒い血液だった。 浸透勁(sing-to-"K")という。 「何故、だ……! お前、お前はッ……!!」 「――」 舌を、喉を、気管を……そして肺を爆圧で根こそぎ吹き飛ばされた人間は…… 果たして何秒の間、生命を持続できるだろうか? 否。体内の爆風は呼吸器のみならず、脳をも損傷せしめたはずである。 だが。 だがそれでも、自らの身体と精神を制御する池松叢雲の『統一躯』は―― 「――ooooooo……」 「Coooooooo――ooooo……」 不自然な、血泡混じりの音が、池松の胸の辺りから響いている。 焼け爛れた肺に穴を開けて、呼吸をしているつもりか。 (違う。これは……血管に直接、空気を取り入れて!) 至近距離からの拳銃弾を、あやまたず喉へと叩きこむ。 だがそれすらも意に介さず放たれたさらに重い一撃が、フジクロの左上腕を砕き潰した。 『How are you doing?――』 生命維持のために酸素を取り入れているわけでもない。これは。 『Have a good day――』 不可解に浸透する声と共に、よろめくフジクロの右膝を蹴りの一撃が砕く! フジクロは爆弾を持たせた鴉を背後から特攻させ起爆、辛うじて距離を取るが―― 『英語とは』 『純度』 英語とは――リスニングだけを、スピーキングだけを、ライティングやリーディングだけを指すものではない! 英語圏の人間が行うコミュニケーション伝達において『それ』が占める割合は、実に60%とも言われている!! ボディー・ランゲージ!! (血管に流入する空気で……体で発音を行なっているのか! そして、意志乃戦で見せたような骨伝導で、直接叩き込んでいる……!) 池松叢雲の肉体は、文字通りの死に体である。 故に東京タワーを破壊したような、無尽蔵の攻撃力も今は失われている。 しかしそれは…… 『Thank you very much――』 「グバっ、うッ」 一人の人間を殺しきるには、十分過ぎる力だ! 無造作に歩み寄る池松。だが何故か足が地に貼り付いたように、回避が間に合わない。胃への一撃。 骨伝導を通して浸透する英語の力は、フジクロの体内を細かい振動の波となって破壊する。 血中にミシシッピ川を流し込まれていくような、膨大な英語の『圧力』! 目から、鼻から、血が噴出し、一撃ごとにその死は近づいていく―― (池松……池松叢雲。これが一撃への執念か。 僕には…………到底、不可能な――。――――) しかし朦朧とする意識にホワイトハウスの幻影を浮かべながら、フジクロは初めて…… 恐らくこの戦いで初めて、冷静さを失っていた。 震える左手に握った小型爆弾のピンを抜き、 (負けたくない――) 直後池松叢雲の右腕が繰り出したフックは、フジクロの左手が袖の中に落とした小型爆弾を撃った。 (恐怖を克服するためには……強くなければ……!!) 水風船の弾けるような――バシャ、という音と共に、赤黒い血液が床に大輪の花のように散った。 爆発反応防御。信管を刺激した一撃は、池松の右腕とフジクロの左腕をもろともに吹き飛ばしたのだ。 倒れた池松は、もはや動かなかった。 フジクロを死の寸前まで追い込んだ彼は、とうの昔に限界を越えていたのだ。 「……血液を、英語の浸透した血液を……ハァ、ハァ……抜いた、ぞ」 「生き残ったのは僕だ。池松叢雲……」 ……。 「――立って」 「まだ戦闘は終わっていない」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【???】 「棄権しても構わないのですよ、渡葉美土様」 「……ふふ。けれど、今のあなたは――少しだけ、格好いいですよ」 司会者に言われた言葉だ。 「そういう人達の無念を背負っているなら尚更、名誉のない戦いはしたくないと思います」 「でも――そんな時に勝ってしまう棋士に、僕はなりたかったんでしょう」 この言葉は石田歩成。 覚えている。 「どんなに敵が強大でも……自分の相撲を取るだけだ!!」 股ノ海。 その通り。これは自分の意志だ。自分の相撲だ。 なぜならば、見返りなどないのだから。 それでもなお勝つことができたのならば――何も怖いものなどない。 圧倒的な力を前に、己の勇気をもって。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【現在】 「渡葉……美土……」 階段の向こうから聞こえる声は、ミドだ。 フジクロは辛うじて立ち上がるも、全身の出血と破砕骨折は、 もはや本来の戦闘能力を絶望的に奪っている。 「幸運は……最善を尽くした人間にこそ訪れるって誰かが言ってたよ。 最善を尽くした人間にしか、それを実感する瞬間はないって」 拳銃は、2人の間の地面に落ちたままだ。 無論この状態では、拾う事ができるかどうかすら怪しいものだが。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 「さっきの戦い、動きにくかった? 池松の攻撃を回避するタイミングが遅れた?」 「……そうか」 得心が行ったように、フジクロは呟いた。 「そういう仕組みか」 先のアルコールの水鉄砲。あれはただの発火への布石ではない。 恐らくはセメダインか。アルコール溶剤の接着剤を混ぜて…… ならば直接付着しなくても、撒き散らされた地面を踏むだけで、 時間と共に、一瞬……コンマ数秒の差だが、 靴が地に『貼り付いたように』…… 「君は恐るべき魔人能力者だ。 そうか……僕は君のような人間を、ゲホッ、探していたのだろう」 「逃げれば、あなたは爆撃で勝負を決めにくる……そうでしょ? それに私もね……出血がちょっと、やばいの。 だから待つことはできなくなった」 「そうか。1対1だな」 ミドの得物はナイフだろう。少しでも距離を詰めれば勝負は決まる。そういう間合いだ。 「……あなたのこと、少し分かった気がする。 きっと戦いが、何かを乗り越える事が好きなんだ。 池松さんとも……私とも同じ。 あなた……笑ってるよ。今」 「笑ってる……? フフ、フフフ」 、 、 「僕が?」 その瞬間、ミドは動いた。床の拳銃に目もくれず、 2羽の鴉が張ったワイヤートラップをナイフの一閃で切断し、 ただ直線で、フジクロへと攻め入る――! 「……!」 感情の虚を付かれ、拳銃を取らない行動に予想をも外されたフジクロは…… ゼロ距離への侵入を、許してしまっていた。 そしてその距離こそが、ミドが今求めていた間合いでもあった。 「Cooooooooooo……」 ミドの能力『おもいだす』は、それ自体は些細な能力だ。 だがそれが言語であるならば、完璧に全自動で――再生を続けてくれる。 常に、常に、常に、正確な再生で常に。 『反復学習』という学習法がある。 一度の学習では時間と共に忘却される内容も、 何度も繰り返して学習することでより定着した、完璧な記憶となる。 そして反復学習は主として、語学の発音学習に用いられる―― それはミドがずっと前から知っていた、ひとつの単語だ。 先程から……否、この試合が始まってからずっと、口の中でつぶやき続けていた。 限界まで時間を稼ぎ今、ギリギリの瀬戸際に完成させた、最後のひとつの策。 「 G o t s 」 圧倒的な力を前に、己の小さな勇気をもって。 「 a n d 」 「 D e a t h 」 一撃。 渡葉美土の最後にして最大の一撃は、崩落する東京タワーと共に……世界に深く深く響き渡った。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「……そうか」 座り込んだミドは、大量の出血でもはや動けない。 満身創痍で立ち尽くすフジクロも、それは同じだったが。 「あの時……ワイヤーを張る鴉は2羽しかいなかった。 残りがどこにいたか……ちゃんと考えてなきゃ、いけなかったのに」 「……」 フジクロが、赤黒く凝固した黒のスーツを脱ぎ去る。 その胸元には、3羽の鴉が仕込まれていた。既に一塊の肉塊と化したそれらは、 未熟ながら致命的な英語の衝撃を、本体に辿り着く前に吸収した結果である。 「それでも君は、私を真に追い詰めた敵の一人だ。 池松叢雲も、君も……遙かに私の期待を超えて、強かった」 「私の知りたい事が、ようやく分かったかもしれない」 座り込んだままのミドが、フジクロを見上げた。 その右手にはナイフが握られている。 もはや逆転のカードはなく、その気力もなかった。 今からナイフを抜いて切り合っても、この男に勝つことはできないだろう。 「私は……降参だよ。 本当はあなたとも……セックスしてみたかったんだけど、その気力もないね……フフ」 「……分かった。 僕の」 フジクロは眼を閉じて、噛み締めるように言葉をこらえた。 端正な顔に浮かぶその表情は意外な程幼く見えて、 まるで親に褒められた子供のようだ、とミドは思う。 「――僕の勝ちだ」
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「チャージボトル!ツブレナーイ! チャージクラッシュ!」 【名前】 チャージクラッシュ 【読み方】 ちゃーじくらっしゅ 【登場作品】 仮面ライダービルド 【初登場話】 第19話「禁断のアイテム」 【分類】 必殺技 【使用者】 仮面ライダークローズチャージ仮面ライダーグリス仮面ライダーローグ 【詳細】 スクラッシュドライバーに生物(有機物)系のフルボトルをセットして発動する技。 攻撃よりも移動や防御等の補助技としての面が強く、 ドライバーにフルボトルをセットし、アクティベイトレンチを押し下げることで、 ボトルがプレスされ成分が抽出される。 その成分をヴァリアブルゼリーに変換し、スーツの各所にあるゼリーの噴出孔から勢いよくゼリーを噴出させ、ボトルの特性を活かした装備へと転換する。 仮面ライダークローズチャージ タカフルボトルで発動。 背中にヴァリアブルゼリーで作った翼のソレスタルウィングを装備し、空中を飛行する能力を得る。 仮面ライダーグリス クマフルボトルで発動。 両腕から噴出したゼリーで巨大なクマの手を作り出し、対象を攻撃する。 一瞬だが、『龍騎』の仮面ライダータイガの装備であるデストクローを象ったようにも見える。 最も、タイガのモチーフは白虎であり、熊ではない。
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東証1部 (5801) 古河電気工業 HP 光ファイバー、電線 東証1部 (5802) 住友電気工業 HP 光ファイバー、ワイヤファーネス 東証1部 (5803) フジクラ HP 光ファイバー、フレキシブルプリント基板 (東証1部) (5804) 三菱電線工業 HP 特殊電線、シール材 東証1部 (5805) 昭和電線ホールディングス HP 電線 東証1部 (5807) 東京特殊電線 HP 電線 (東証2部) (5808) 理研電線 HP 極細巻線など 東証1部 (5809) タツタ電線 HP 電線、光ファイバー (東証1部) (5810) 第一電工 ☓ ウインテックワイヤー株式会社に合併 (ジャスダ) (5811) SEIオプティフロンティア HP 旧トヨクニ電線。光ケーブル (東証1部) (5812) 日立電線 ☓ 日立金属株式会社に合併 (店頭) (5813) 日立マグネットワイヤ HP 旧花島電線。日立電線子会社。巻線、エナメル線 (店頭) (5814) 京三電線 ☓ 東日電線株式会社に合併 (東証1部) (5815) 沖電線 HP 電線 東証2部 (5816) オーナンバ HP 電線ハーネス 東証2部 (5817) JMACS HP 防災用電線 (店頭) (5818) 東日京三電線 HP 電線 東証1部 (5819) カナレ電気 HP 放送用ケーブル 東証JQ (5820) 三ッ星 HP ゴム線、プラスチック線 東証1部 (5821) 平河ヒューテック HP 電線 東証1部 (5851) リョービ HP ダイカスト 東証1部 (5852) アーレスティ HP ダイカスト (東証2部) (5853) 京都ダイカスト工業 ☓ 株式会社アーレスティに合併 (東証2部) (5854) 東京理化工業所 HP ダイカスト (東証1部) (5855) アサヒプリテック HP 貴金属リサイクル (東証2部) (5855) 帝国ダイカスト工業 ☓ ミネベア株式会社に合併 東証2部 (5856) エルアイイーエイチ HP ダイカスト、不動産事業 東証1部 (5857) アサヒホールディングス HP 貴金属リサイクル (東証外国) (5880) アルキャン・アルミニウム ☓ リオティントに合併
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プレステージクラスに関するメモを追加していく予定。 Dwarven Charter Halfling Whistler Psychic Theurge
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【1時間30分前――選手控え室】 「うぐぁっ! す、すいません! も、もう勘弁して…… あがっ、い、イく…………ひッ、ひぃぃぃ~~~っ!!」 半裸のミドの下で悶える少年の名は、石田歩成という。 本大会で何度目かの将棋対決。 欲求不満のために性欲も溜まり、しかも将棋でも敗北しそうになったミドは、 辛抱たまらず石田を押し倒し、将棋の勝敗をも有耶無耶にするという一石二鳥の策に出たのだ。 「……ふう。石田くん。優勝者の私に、何か一言は」 「えっ……おめでとうございます……? 対局前にも言いましたけど。 ああっそうだ、それと今日も良かったです! でもミドさん……何か悩みでも?」 「石田くん、奨励会を追い出されたのよね」 「それ僕の悩みですけど!? というかいきなりなんなんですか!?」 「いや、少し聞きたくて。 仮に石田くんが、魔人能力に目覚めずにプロ入りしたとして…… その後、物凄く強い一般人から対局を申し込まれたらどうする?」 「……」 「それは勝ったとしても何の得もない無名の相手で、 賞金なんか出なくて、しかも殆ど勝ち目なんてないくらい強いのよ。 しかも、逃げても誰も責めないとしたら」 「……それは……僕には答えられませんね。僕は結局プロ棋士にはなれなかった。 でも僕ならきっと、逃げてしまうでしょう。 プロ棋士になるには、リーグ戦で他の棋士を倒して上がっていかなければならないんです。 そういう人達の無念を背負っているなら尚更、名誉のない戦いはしたくないと思います。 でも、そんな時に――」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【現在】 白煙は晴れた。元より、消火器が作り出せる煙幕など、然程持続するものではない。 しかしあくまで油断せず、ミドの頭部に狙いを定めて撃つのみだ。 (爆弾は残り5発。全て僕が持っているし、もはや爆撃で無駄にできる数ではない。 そしてこの距離で外す事は――) ……しかし。その瞬間、フジクロの思考は止まった。 ミドが構えていたのは、刃物でも飛び道具でも、腰に携えた伝説の剣でもなく。 金色に光り輝く、一枚のコイン―― (真野……ッ!!) 記録映像で見た、真野風火水土の『イデアの金貨』―― 他の魔人の能力を、ミドが試合に持ち込んでいたとすれば。 金品のやり取りに関する禁則事項で、果たして能力の産物は禁止されていたか。 金貨を持たぬ片手、あるいは足に何かを仕込んでいるのか。 そして、それらが全てブラフである可能性……!! あらゆる戦局に対して、常に冷たく迅速に答えを導出してきたフジクロの明晰な頭脳は…… 0.5秒にも満たぬこの一瞬に限り、裏目に出た。 真野風火水土の試合が刻んだ楔はそれほどまでに深く。 「馬鹿ね。これはただの――」 そして敗北の間際に至ってまでそれを利用しようとした勇者ミドが、それほどまでに悪辣だったのである。 「お土産のコインよ」 フジクロが引き金に指令を下し、ミドの射殺を試みる一瞬…… 彼女が親指で弾いたコインは宙を舞い。 ――大地が鳴動した。 「「……!!」」 ズン、と響く上階からの異様な轟音と共に、2人の立つ足場は大きく揺れる。 何が起きているかを察したフジクロは、ミドから視線を切り、壁を背に。 ミドは爆撃から実を守るべく、開け放たれたままのエレベーターの中へ。 密室に向かって、堰を切ったように殺到する鴉。 だが再び地は揺れて、落ちる天井の破片を避けて群れが散る。 何か奇妙な音が、鉄塔全体に反響している。 『――IS』 『THIS』 『A』『PEN?』(「これはペンですか?」) 「人の」 、 、 、 、 「人間の声だ」 肩の傷を抑えながら、ミドは幽かな声を漏らした。 都市の象徴。あらゆる日本建築物を優越して聳える333mの電波塔が、三度音声に揺れる。 『NO』 『IT IS』 『T O M ――』(「いいえ、それはトムです――」) 『人間の声』――というのは正確な表現ではない。 英語である。 「 COOOOOOOOOOOOOO……… 」 天井の破壊と共に降ってきた存在は…… ジェットエンジンめいて凶悪な呼吸音を響かせつつ、顔を上げて2人を見た。 落下と同時、左足で踏みつぶした鴉の一羽を蹴り払い、その存在は歩を進める。 「足で探すのは面倒だ。 何しろ俺に探知能力はない。この両眼以外は」 その数秒、フジクロもミドも、息を呑んだまま動くことができない。 「だから『声』で探した」 池松叢雲。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ エレベーターシャフト内の密閉爆発。 それに対し仮に英語を放っていれば、肺も気管も焼け、池松叢雲とて完全に戦闘不能になったであろう。 一酸化炭素の毒だけならば受容体の操作で対処のしようもあるが、 蛋白質を物理的に焼く『熱気』に関してはどうにもならない。 それがミドの策略の完璧な点であった。 故に池松は呼吸を止めた。無力な一般人がそうするように。 しかしとめどなく流れ出す汗は、追いつめられた事実への冷や汗ではなかった。 即ち。 (『統一躯』――) 体内水分の実に20%……死の寸前まで発汗機能を酷使し、燃え盛る火災の熱から体表を守ったのだ。 燃料による爆発炎上は、飛び散る破片で池松を吹き飛ばすことはなく。 そして体を炎に晒したまま、池松は地上145mまで耐えた―― 幸いにも、失った水分は大展望台1階のカフェ内で補給することができた。 次に行ったのは『探知』。 トーナメントの中では見せる機会のなかった技だが、今ここで使う事ができた。 英語は、リーディングやライティング……スピーキングのみではなく。 「単純な話だ」 なにか不気味な予感を孕む不協和音が、頭上からギイギイと響く。 一撃。一撃。吹き飛ばされ焼かれ、酷使した体で随分と動いたものだ。 そして、眼前の2つの影に、一撃ずつ。それで終わる。 「Listening――自ら放った英語の反響を『聞いた』。 そして2人の戦闘を聞き、ここに来た」 ズン、とフロアを貫いて、鉄柱が降る。 「……聞いたよりも出鱈目な戦闘力だな。 私達の位置を知るためだけに、支柱の全てを叩き折ってきたのか……?」 「俺の英語を響かせるために必要だったのならば、そうかもしれない。 そして……ここは1階だぞ。お前が空なら、俺はこの大地がterritoryだ。 これで足に気兼ねせず、全力の一撃が打てる。さあ――」 両腕を広げ悠然と構える池松に―― 頭上から、物体が飛来した。 左に跳んで避ける池松。床に落下したガラス片が四散する。 「弾切れか?」 訝る池松にワイヤーが迫る。 トーナメントを切り抜けた今の彼には、高張力ワイヤー程度は拘束にすらならない。 が、ワイヤーを受け止め引こうと試みた瞬間何かに気づき、直前で手を手刀へと変えて切断した。 切り飛ばされたワイヤーの先端が床に落ち、小爆発を起こす。 爆発の残響に、ギシギシと鳴る頭上の音が更に強まる。 「ワイヤーボム……!」 2人から距離を取りつつあったミドが、漸く攻撃の正体に気づき。 彼女の視線の先――フジクロを挟んだ向こうで池松が地を蹴る! 「疾ッ(shit 「座る」という意味の英語)!!」 視界を隠すべく眼前で翼を広げた鴉を無造作に引き裂き、フジクロへと2mの距離にまで迫る! しかし拳を繰り出す一瞬、そのワンインチの間隙で何かが跳ねた。 ピンを抜かれた小型爆弾―― 「吹ッ!!」「くっ!!」 咄嗟にフジクロを蹴り、反作用で距離を取る池松であったが、 フジクロもまたその蹴りに靴裏を合わせており、結果、両者は弾き飛ばされるように吹き飛ぶ。 直後、その中間地点で爆発。 さらに吹き飛んだ池松を追撃すべく、3羽の鴉が飛翔する! 「やるな。先の目隠しもこの布石か―― あのままでは自爆だったが、俺の反応も計算していたか?」 「どうだろうな」 両者にダメージはない! 立ち上がる……が、フジクロはミドに視線を向ける! 「……!」 ここに至って、ミドが初めて伝説の剣を抜き放つ! 池松と吹き飛ばしあったフジクロとの距離は、今は逆に縮まっている。 幻影の剣『まるごし』は、その内部に握りこんだ武器を覆い隠すが―― (銃ではない。鴉に隠させた銃はまだ取られていない。 射撃武器であれば、握りは変化するはずだ……が) 脳裏に走った予感に従い、『まるごし』の『射線』から逃れるフジクロ。 果たして予想通りそれは射撃武器であるが、 ビニール容器を利用した水鉄砲である――! (アルコール臭か。これをライターで発火させるつもりだとしたら……) この一瞬の内に鴉がミドの頭上に到達、ガラスの雨を降らせる! 「くっ、うぁッ……! 痛ッ!!」 出血と共に逃げるミドだが、 フジクロはそちらには銃を向けず……背後に迫る池松へと後ろ手に撃つ! 3羽……向かわせた3羽は池松の迎撃により肉塊と化していた。 「そろそろ限界が近い。これ以上受けてやるわけにはいかん」 続けざまに3発の連射。だが人外の反射神経に、銃弾は当然のように掴み取られる。 が、フジクロの狙いは、その位置で池松の足を止める事にあった。 ――何故、フジクロは『屋外にいる』残り4羽の鴉を突入させずにいるのか? それは外から『見ている』ためだ。 今まさに池松の英語の浸透で倒壊しつつある、東京タワーの様子を! 鉄柱の質量が天井を貫く! その位置は狙い違わず、池松の直上だ!! 「―――!! 喝ッッ(Cut 「切る」という意味の英語)!!」 しかし、池松が反射的に頭上に突き上げる拳は、鉄柱を受けてなお破砕する! 凄まじい重量に床を割りながらも、池松の放った一撃は赤い鉄柱を浸透し、 雑巾を捻るように歪な形へと変形させつつ、落下軌道から完全に弾き飛ばす! 「いや。それでいい」 (……まさか(Massacre 「皆殺し」という意味の英語)) 池松は声を出すことが、できない。 口に異物が詰まってる。何か羽毛のような感触が……鴉……? 8m先で振り向き、フジクロが作戦の成果を確認するが如く、冷徹に呟く。 「君の英語を防ぐためには、毒ガス程度では足りない。熱気でもまだ不足だ。 物理的に。完全に『塞ぐ』以外の方法を、私は思いつかない。 英語の一撃を繰り出した直後、肺の中の空気を全て吐き出した今。 絶対にこの特攻を命中させる一瞬が欲しかった」 足が止まっているだけならば、迎撃はできる。腕を止められても、避ける事はできる。 いざとなれば肉体の反射を無視して、『統一躯』でその身を稼働させる事ができる―― だが。大質量に押し潰され、押し付けられていた今の状況は。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 何をどうしたところで、動くことはできない……!! 「私の『八咫鴉』は、鴉の個体の意志を無視して指令を実行させる事ができる。 たとえ本能に反した指令だろうと、機械的に実行し続ける。 それが『池松叢雲の肺に潜り込め』というようなものであっても」 (――なるほど。公安部のフジクロ) 「『統一躯』を持つ君のどこを撃てば殺す事ができるかは分からないが、 この距離ならば外さない。これから残り全弾を君に撃ち込み殺す。それだけだ」 破壊の渦中に立ち尽くし、気道に潜り込んだ鴉に窒息しながらも、 池松は鳥面の奥……青く光る目でフジクロを見下ろしている。 、 、 、 (これがお前の全力か。これが) バキリ、と、骨が砕ける音が響いた。 鍛えることのできない口内。肺からの空気も枯渇するこの状況で、 その体内を侵攻し嘴で食い荒らす鴉を止める方法が一つある。 死んだ鴉には、もはや指令を下すことはできない。 仮に英語を抜きにしたとしても、咬筋のみで一羽の鳥を絶命させる事は、造作も無いことだった。 ――だが。 「そう。たとえ本能に反した命令でも実行させることができる」 肉を噛み千切った歯に当たる、この感触は。 「ピンを抜いた爆弾を飲み込ませる事も」 池松の頭蓋から響く、くぐもった破裂音。 糸が切れた人形のように、頭部を吹き飛ばされた影が崩れ―― 依然倒壊を続けるタワーの中。3つの頂点の内の一角は落ちた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【13年前――廃棄場】 「異形と呼ばれている」 真っ二つに切断された大鴉は、ただの汚らしい肉にしか見えなかった。 何よりも優雅で何よりも速く、そして強かった筈のその大鴉は、 半分以上の羽が抜け落ちて、歪んだ廃棄場の大気の中で無残にその黒を濁らせている。 「魔人能力に目覚めた……またはその影響を受けた動物の事を言うそうだ」 「知ってる。 生態系を乱す、いてはいけないものだって」 「飼っていたのか?」 「……違うよ。僕は見ていた。ただ、見ていたんだ」 能力に目覚めた動物は生態系を壊す。だから、殺される。 ならば。能力を持った人間は? 「僕は」 「止めろ(Year marrow 「やめてください」という意味の英語)。 英語のLessonならともかく、Counselingは俺の性に合わん。 それに」 鳥面に隠された目が、ゴミ山の麓に立つ少年の顔を見据えた。 少年は目を合わせることができない。 「言いたくない事を、無理に言う必要もない」 「……」 「それでも恐怖があるというのなら――」 「強くなろうと願えばいい。英語の全ては、そこから始まる」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【現在】 「残るは……渡葉美土。 やはり、最後の敵は彼女になったか……」 これ以上ない強敵を下したものの、フジクロの残す残弾も少ない。 鴉は6羽。銃弾は3発。爆弾は2発。予備の銃を回収する猶予はない。 ガラスの弾も、建物そのものが崩れつつある今、補充は効かないだろう。 またしてもどこかで鉄柱が折れ飛び、地響きが足元を震わせる。 上層の鉄塔が完全に崩れ落ちるまで、あと少しに違いない。 「……」 点々と続く出血を追う。ガラスでどこかの動脈を切ったか。 だが圧倒的優位の状態にあってなお、フジクロに慢心はない。 機械のように冷徹に。その精神性こそが、陸軍一佐フジクロの最も恐るべき点である。 「……………デ……。……ァ、……ス…… …………!」 階段の先から、何かをブツブツと呟く声が聞こえてくる。 鴉を先に向かわせて罠の有無を見極め、その先の踊り場にミド本人が座り込んでいる事を確認する。 「……ス………。 ……追いつかれちゃったか。ふふ。 もう少しだったんだけどな」 追いついた鴉を見て、ため息と共に諦観の言葉を漏らすミド。 フジクロ本体が近づかずとも、今度こそ爆撃で仕留める事が可能だろう。 この一撃で。勝つ。 1発の爆弾を鴉に渡した直後…… 「――!!」 回避が間に合わない。 振り返ったフジクロの腹に、豪腕の一撃が突き刺さった。 「ぐッボォッ!」 打点から何か不自然な作用が打撃と共に浸透し、 異様な感触にフジクロは胃の中身を吐き出した。それはどす黒い血液だった。 浸透勁(sing-to-"K")という。 「何故、だ……! お前、お前はッ……!!」 「――」 舌を、喉を、気管を……そして肺を爆圧で根こそぎ吹き飛ばされた人間は…… 果たして何秒の間、生命を持続できるだろうか? 否。体内の爆風は呼吸器のみならず、脳をも損傷せしめたはずである。 だが。 だがそれでも、自らの身体と精神を制御する池松叢雲の『統一躯』は―― 「――ooooooo……」 「Coooooooo――ooooo……」 不自然な、血泡混じりの音が、池松の胸の辺りから響いている。 焼け爛れた肺に穴を開けて、呼吸をしているつもりか。 (違う。これは……血管に直接、空気を取り入れて!) 至近距離からの拳銃弾を、あやまたず喉へと叩きこむ。 だがそれすらも意に介さず放たれたさらに重い一撃が、フジクロの左上腕を砕き潰した。 『How are you doing?――』 生命維持のために酸素を取り入れているわけでもない。これは。 『Have a good day――』 不可解に浸透する声と共に、よろめくフジクロの右膝を蹴りの一撃が砕く! フジクロは爆弾を持たせた鴉を背後から特攻させ起爆、辛うじて距離を取るが―― 『英語とは』 『純度』 英語とは――リスニングだけを、スピーキングだけを、ライティングやリーディングだけを指すものではない! 英語圏の人間が行うコミュニケーション伝達において『それ』が占める割合は、実に60%とも言われている!! ボディー・ランゲージ!! (血管に流入する空気で……体で発音を行なっているのか! そして、意志乃戦で見せたような骨伝導で、直接叩き込んでいる……!) 池松叢雲の肉体は、文字通りの死に体である。 故に東京タワーを破壊したような、無尽蔵の攻撃力も今は失われている。 しかしそれは…… 『Thank you very much――』 「グバっ、うッ」 一人の人間を殺しきるには、十分過ぎる力だ! 無造作に歩み寄る池松。だが何故か足が地に貼り付いたように、回避が間に合わない。胃への一撃。 骨伝導を通して浸透する英語の力は、フジクロの体内を細かい振動の波となって破壊する。 血中にミシシッピ川を流し込まれていくような、膨大な英語の『圧力』! 目から、鼻から、血が噴出し、一撃ごとにその死は近づいていく―― (池松……池松叢雲。これが一撃への執念か。 僕には…………到底、不可能な――。――――) しかし朦朧とする意識にホワイトハウスの幻影を浮かべながら、フジクロは初めて…… 恐らくこの戦いで初めて、冷静さを失っていた。 震える左手に握った小型爆弾のピンを抜き、 (負けたくない――) 直後池松叢雲の右腕が繰り出したフックは、フジクロの左手が袖の中に落とした小型爆弾を撃った。 (恐怖を克服するためには……強くなければ……!!) 水風船の弾けるような――バシャ、という音と共に、赤黒い血液が床に大輪の花のように散った。 爆発反応防御。信管を刺激した一撃は、池松の右腕とフジクロの左腕をもろともに吹き飛ばしたのだ。 倒れた池松は、もはや動かなかった。 フジクロを死の寸前まで追い込んだ彼は、とうの昔に限界を越えていたのだ。 「……血液を、英語の浸透した血液を……ハァ、ハァ……抜いた、ぞ」 「生き残ったのは僕だ。池松叢雲……」 ……。 「――立って」 「まだ戦闘は終わっていない」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【???】 「棄権しても構わないのですよ、渡葉美土様」 「……ふふ。けれど、今のあなたは――少しだけ、格好いいですよ」 司会者に言われた言葉だ。 「そういう人達の無念を背負っているなら尚更、名誉のない戦いはしたくないと思います」 「でも――そんな時に勝ってしまう棋士に、僕はなりたかったんでしょう」 この言葉は石田歩成。 覚えている。 「どんなに敵が強大でも……自分の相撲を取るだけだ!!」 股ノ海。 その通り。これは自分の意志だ。自分の相撲だ。 なぜならば、見返りなどないのだから。 それでもなお勝つことができたのならば――何も怖いものなどない。 圧倒的な力を前に、己の勇気をもって。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【現在】 「渡葉……美土……」 階段の向こうから聞こえる声は、ミドだ。 フジクロは辛うじて立ち上がるも、全身の出血と破砕骨折は、 もはや本来の戦闘能力を絶望的に奪っている。 「幸運は……最善を尽くした人間にこそ訪れるって誰かが言ってたよ。 最善を尽くした人間にしか、それを実感する瞬間はないって」 拳銃は、2人の間の地面に落ちたままだ。 無論この状態では、拾う事ができるかどうかすら怪しいものだが。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 「さっきの戦い、動きにくかった? 池松の攻撃を回避するタイミングが遅れた?」 「……そうか」 得心が行ったように、フジクロは呟いた。 「そういう仕組みか」 先のアルコールの水鉄砲。あれはただの発火への布石ではない。 恐らくはセメダインか。アルコール溶剤の接着剤を混ぜて…… ならば直接付着しなくても、撒き散らされた地面を踏むだけで、 時間と共に、一瞬……コンマ数秒の差だが、 靴が地に『貼り付いたように』…… 「君は恐るべき魔人能力者だ。 そうか……僕は君のような人間を、ゲホッ、探していたのだろう」 「逃げれば、あなたは爆撃で勝負を決めにくる……そうでしょ? それに私もね……出血がちょっと、やばいの。 だから待つことはできなくなった」 「そうか。1対1だな」 ミドの得物はナイフだろう。少しでも距離を詰めれば勝負は決まる。そういう間合いだ。 「……あなたのこと、少し分かった気がする。 きっと戦いが、何かを乗り越える事が好きなんだ。 池松さんとも……私とも同じ。 あなた……笑ってるよ。今」 「笑ってる……? フフ、フフフ」 、 、 「僕が?」 その瞬間、ミドは動いた。床の拳銃に目もくれず、 2羽の鴉が張ったワイヤートラップをナイフの一閃で切断し、 ただ直線で、フジクロへと攻め入る――! 「……!」 感情の虚を付かれ、拳銃を取らない行動に予想をも外されたフジクロは…… ゼロ距離への侵入を、許してしまっていた。 そしてその距離こそが、ミドが今求めていた間合いでもあった。 「Cooooooooooo……」 ミドの能力『おもいだす』は、それ自体は些細な能力だ。 だがそれが言語であるならば、完璧に全自動で――再生を続けてくれる。 常に、常に、常に、正確な再生で常に。 『反復学習』という学習法がある。 一度の学習では時間と共に忘却される内容も、 何度も繰り返して学習することでより定着した、完璧な記憶となる。 そして反復学習は主として、語学の発音学習に用いられる―― それはミドがずっと前から知っていた、ひとつの単語だ。 先程から……否、この試合が始まってからずっと、口の中でつぶやき続けていた。 限界まで時間を稼ぎ今、ギリギリの瀬戸際に完成させた、最後のひとつの策。 「 G o t s 」 圧倒的な力を前に、己の小さな勇気をもって。 「 a n d 」 「 D e a t h 」 一撃。 渡葉美土の最後にして最大の一撃は、崩落する東京タワーと共に……世界に深く深く響き渡った。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「……そうか」 座り込んだミドは、大量の出血でもはや動けない。 満身創痍で立ち尽くすフジクロも、それは同じだったが。 「あの時……ワイヤーを張る鴉は2羽しかいなかった。 残りがどこにいたか……ちゃんと考えてなきゃ、いけなかったのに」 「……」 フジクロが、赤黒く凝固した黒のスーツを脱ぎ去る。 その胸元には、3羽の鴉が仕込まれていた。既に一塊の肉塊と化したそれらは、 未熟ながら致命的な英語の衝撃を、本体に辿り着く前に吸収した結果である。 「それでも君は、私を真に追い詰めた敵の一人だ。 池松叢雲も、君も……遙かに私の期待を超えて、強かった」 「私の知りたい事が、ようやく分かったかもしれない」 座り込んだままのミドが、フジクロを見上げた。 その右手にはナイフが握られている。 もはや逆転のカードはなく、その気力もなかった。 今からナイフを抜いて切り合っても、この男に勝つことはできないだろう。 「私は……降参だよ。 本当はあなたとも……セックスしてみたかったんだけど、その気力もないね……フフ」 「……分かった。 僕の」 フジクロは眼を閉じて、噛み締めるように言葉をこらえた。 端正な顔に浮かぶその表情は意外な程幼く見えて、 まるで親に褒められた子供のようだ、とミドは思う。 「――僕の勝ちだ」
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雪花艦隊キャラページ草案 【雪花艦隊】 【離島一派】 【宿毛湾泊地】 【横須賀鎮守府】 【横須賀新聞社】 【呉鎮守府】 【佐世保鎮守府】 【舞鶴鎮守府】 【大湊警備府】 【鹿屋基地】 【リンガ泊地】 【笏楠花艦隊】 【オイゲン家】 【黎明の結社】 【フリート・アームズ・コーポレーション】 【イタリア海軍】 【深界】 【リランカ四天王】 【ネームド深海棲艦】 【異邦人】 【その他】 【雪花艦隊】 +... 瑠奈花 吹雪 白雪 綾波 曙 子日 暁 山雲 清霜 島風 菊月 天龍 長良 大井 高雄 プリンツ・オイゲン 龍驤 祥鳳 赤城 雲龍 比叡 伊168 U-511 秋津洲 神風 【離島一派】 +... フィディス ルサルカ グランシャリオ(ホワイトドレス) 【宿毛湾泊地】 +... 黛志戸 村山英刃 二衛堂斬月 ユカリ 【横須賀鎮守府】 +... 門川龍興 相模彩羽 サカモト提督 春雨吹雪 蹠球半地 【横須賀新聞社】 +... 三船編集長 アリサ アンリ・フルサワ 【呉鎮守府】 +... 竹中三郎 【佐世保鎮守府】 +... 黒田源吾 【舞鶴鎮守府】 +... ザハ 【大湊警備府】 +... ユイ 【鹿屋基地】 +... 美濃部芙蓉 葛葵冷士 リカルド・ベレンゲル 【リンガ泊地】 +... 澤井中将 磯波 【笏楠花艦隊】 +... 神山ミシロ 金髪の盗賊 風呂清掃のお姉さん 【オイゲン家】 +... クラウス・オイゲン シンディ・オイゲン 【黎明の結社】 +... イブ・レインズ 【フリート・アームズ・コーポレーション】 +... フジクラ 【イタリア海軍】 +... レジナ・マルゲリータ ヴィットリオ・ヴェネト マエストラーレ グレカーレ リベッチオ シロッコ 海軍大臣ウルバノ 海軍大臣ジルベルト 【深界】 +... 深海ノ偉大ナル神々 北海棲姫 東海棲姫 西海棲姫 南海棲姫 雷巡棲姫 装甲空母姫 深海星鬼 【リランカ四天王】 +... ブリューナク アルセーヌ ドラゴンスレイヤー ドライゼン 関窮戯 【ネームド深海棲艦】 +... ウィッチレイド アルケミスト ソーサラー トゥンヌス(霊体) ブレイズエッジ クラフティ タイムキラー 【異邦人】 +... 遊月ルナト ネメシス ルナ るなか(ネコ) 【その他】 +... 春雨吹雪 平田篤史 深瀧勇雄 シュン タクト 安倍晴明 クズハ 未来吹雪 未来の葛葵 未来の暁 未来の白雪 萩風(悪の半身) 駆逐水鬼 松永大将
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順不同 AHEAD ecco HEAD ONOFF PING S-YARD ScottyCameron T.P.MILLS TMJ WOSS アキラプロダクツ アシュワース アダバット アダムス アディダス アルバトロス アルベルト アンダーアーマー アーノルドパーマー イオミック イオンスポーツ ウィン ウイルソン ウォズ エコー エスヤード エドウイン エナ エヴィスゴルフ オデッセイ オバスカ オリマー オークリー カタナ カッター&バック カッパ カムイ カンゴール ガールズゴルフ キャスコ キャロウェイ クラップコート クランク クリーブランド クルーズ クローバー グラファイトデザイン グラムフィールド ゲージデザイン ゲーリンライフ コスビー コブラ コンテオブフローレンス コンフィデンス ゴルフダイジェスト ゴルフプライド ゴーセン サクソン サソー シーモア ジパングスタジオ ジャック ニクラウス スウサス スコッティキャメロン スネークアイ スポルディング スラセンジャー スリーラック セントアンドリュース ゼブラ ソフトスパイク ゾディア タイトリスト タッドモア タバタ ダイワ ダンスウィズドラゴン ダンロップ チームヨシムラ ツアーエッジ ティアドロップ テーラーメイド デュカ トゥルーテンパー トップフライト トップランキング トミーアーマー トムモリス ナイキ ニッケント ネバーコンプロマイズ ハンドメイド バリーゴルフ バーディ バートン パワービルト パーフェクトプロ ヒロマツモト ビックアップルゴルフ ビバハート ピナクル ピュアスピン ピン ファウンダース フィドラ フィラ フォーティーン フジクラ フットジョイ フライングドラゴン ブラックウィドウ ブリヂストン ブルークラッシュ プラネットゴルフ プリセプト プレシジョン プロギア プーマ ヘクサス ヘッド ベティナルディ ベルディング ベンホーガン ポルシェデザイン マイノリティコレクション マグレガー マスダゴルフ マミヤオーピー マリクレール マルマン マンシングウェア ミエコウエサコ ミズノ ヤマハ ユナイタス ヨネックス ライト ライル&スコット ラッセルノ ラム ラムキン リョーマ リンクス ルコック ルーツゴルフ レノマ ロイヤルグリップ ロイヤルコレクション ロサーセン ワークスゴルフ 三浦技研 三菱レイヨン 山田パター 島田ゴルフ 日本シャフト 朝日ゴルフ 本間ゴルフ 軽撃区 PAR72 ページ先頭へ 楽天GORAゴルフ場索引 北海道・東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 海外 楽天売れ筋ランキング ゴルフ総合 クラブ(メンズ) クラブ(レディース) ボール グローブ シューズ メンズウエア レディースウエア バッグ ヘッドカバー トレーニング用具 パーツ 小物 コンペ用品 その他 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック
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ノウレッジクラッシュ ノウンスライム専用の奥技。 とりあえず自分の持ちうる知識を全て使い、 自分に出来そうな技や魔法を出来るだけ叩き込んでみるという、 少しばかり、行き当たりばったりが過ぎる技。
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★ラウンジクラシック 番号表示された携帯からイタ電がくるのだが 漫画家のビッチ嫁がニコ厨と不倫→離婚 避難所58(動画)2 漫画家のビッチ嫁がニコ厨と不倫→離婚 避難所58(動画)1 ニコニコからきますた 【中村イネ】冷パア動画作成所【柏木志保】 3 【中村イネ】冷パア動画作成所【柏木志保】 2 【中村イネ】冷パア動画作成所【柏木志保】 01j3 01j3 2 02j3 02j3 2 03j3 03j3 2