約 4,848,691 件
https://w.atwiki.jp/soreike_anpanman/pages/90.html
月別 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 話数 サブタイトル 放送日 969 A ゆず姫とポッポちゃん 01/09 B ばいきんまんとおかゆちゃん 970 A おしんこちゃんとどんぶりまんトリオ.? 01/16 B くらやみまんとチェロヒキーさん.? 971 A ナガネギマンとドリアンの騎士 01/23 B だいこんやくしゃとドキンちゃん 972 A みみせんせいといなりずしのみこと 01/30 B ホラーマンとあくびどり 973 A ばいきんまんとマシュマロさん.? 02/06 B ちびぞうくんとシチューおばさん.? 974 A どんぶりまんトリオとジャスミンさん.? 02/13 B ドキンちゃんとショコラおばさん.? 975 A ロールパンナといとまきおばさん.? 02/20 B プリンちゃんのプレゼント.? 976 A こむすびまんとにんにくこぞう.? 02/27 B クリームパンダとコチョウランさん.? 977 A しらたまさんとどんぶりまんトリオ 03/06 B ばいきんまんとジャイアントだだんだん 978 A アンパンマンとうどんくん.? 03/13 B メロンパンナとマーガレット姫.? 979 A クリームパンダとびいたん 03/20 B ジャムおじさんとロールケーキちゃん 980 A どんぶりまんトリオとドクダミ夫人.? 03/27 B ポッポちゃんとにじのくに.? 981 A しらたき姫とダテマキマン 04/03 B クリームパンダとやきそばパンマン 982 A クリームパンダとちびおおかみ.? 04/10 B ニガウリマンとモクモク女王.? 983 A アンパンマンとホワイトクリーム姫 04/17 B かつぶしまんとノリノリのりへい 984 A どんぶりまんトリオとみずうみ姫 04/24 B メロンパンナとアロマちゃん 985 A あかちゃんまんとヌマッチ 05/01 B ちゃわんむしまろとかしわもちまん 986 A クリームパンダとふとまきくん 05/08 B アンモナイトくんと星のうみ 987 A ハンバーガーキッドとタンポポちゃん 05/15 B コキンちゃんとおくらちゃん 988 A ジャムおじさんとでんでん一座 05/22 B 黒バラ女王とバイキン城 989 A はみがきまんとドキンちゃん.? 05/29 B ホラーマンとピーター.? 990 A ばいきんまんとゆげせんにん 06/05 B SLマンとやみるんるん 991 A おむすびまんとビビンバくん.? 06/12 B ちびぞうくんと妖精ミズリン.? 992 A あめふりアメちゃんとアマグモラ.? 06/19 B ダテマキマンとおくらちゃん.? 993 A カレーパンマンとカレンの森.? 06/26 B ゆず姫とねがい星かなえ星.? 994 A アンパンマンと鉄火のコマキちゃん.? 07/10 B だいすき!ばいきんパパ.? 995 A うなどんまんとかまめしどん.? 07/17 B しょくぱんまんとクロワッサン王子.? 996 A クリームパンダとチンゲンサイ.? 07/24 B あかちゃんまんとほたる姫.? 997 A ばいきんまんとにんじゃのニャンジャ.? 07/31 B カレーパンマンとリャンメンさん.? 998 A あかちゃんまんとめいけんチーズ.? 08/14 B しょくぱんまんとロールパンナ.? 999 A こむすびまんとおむすびまん.? 08/21 B クリームパンダとマダム・ナン.? 1000 ぼく、アンパンマンです! 08/28 1001 A ホラーマンとナンドバット.? 09/04 B カレーパンマンとグラタンちゃん.? 1002 A みみせんせいとマゴマジョ.? 09/11 B かまめしどんとクリ・キン・トン.? 1003 A ホラーマンとサラダ姫.? 09/18 B ドキンちゃんとショウ・ロン・ポー.? 1004 A ばいきんまんとたわらくん.? 09/25 B クリームパンダとオカリナ姫.? 1005 A ドキンちゃんとアリンコキッド.? 10/2 B シチューおばさんとしめじまん.? 1006 A クリームパンダとロールパンナ.? 10/9 B ばいきん仙人とコキンちゃん.? 1007 A ナガネギマンとドリアンフラメンコ.? 10/16 B カレーパンマンとパジャマン.? 1008 A かつぶしまんとビクビクちゃん 10/23 B みみせんせいとしゃぼんだま姫 1009 A カレーパンマンときりふき仙人.? 10/30 B ジャムおじさんの冒険.? 1010 A アンパンマンとマーマレードさん.? 11/6 B どんぶりまんトリオとあざみちゃん.? 1011 A こむすびまんと鉄火のコマキちゃん.? 11/13 B SLマンともみじ王子.? 1012 A ドキンちゃんとクレヨンの国.? 11/20 B おしんこちゃんとキャベツマン.? 1013 A ばいきんまんとヘリコプタン 11/27 B はしれ!しろかぶくん 1014 A しらたき姫とてんどんまん 12/4 B ホラーマンとチェロヒキーさん 1015 A アンパンマンとローズヒップちゃん 12/11 B ダテマキマンときりたんぽさん 1016 A カレーパンマンとコキンちゃん 12/18 B かまめしどんとつららちゃん がんばれクリームパンダ!クリスマスの冒険.? 12/25 【このページのトップへ】
https://w.atwiki.jp/nejitu3pachiri/pages/183.html
『―――モニタリングシステム、デバッグ終了。 最終シークエンスの準備完了。システム、オールグリーン』 オペレーターの声が、冬眠カプセルの並ぶ部屋に響きました。 私はそれを聞き、意を決して合図を出します。 「始めて下さい」 『了解。 循環ジェルの注入を開始、モニタリング開始、バックアップシステム稼動開始。 元素及びエネルギーは規定値をクリア。 躯体保持システムの稼動状況は良好、予測値との情報誤差は0.0000000000000021%』 ここは、グラール教団の、とある研究施設。 何故こんな言い方かというと、一切の外界情報を遮断されて連れて来られた私には、どこにあるかもさっぱり分からない秘匿施設だからです。 そこでは、特殊なボディスーツを装着した女性が、冬眠カプセルに長期封印されようとしてます。 すでに元素やエネルギーが混合された特殊な循環ジェルが充填され、内部からは激しい動きが一切取れなくなっています。 「しばらくは『あなた』とお別れですねぇ」 私が話しかけると、カプセルを管理している端末のスピーカーから、その女性の声を模した音声で答えが返ってきます。 『仕方ありません、予想外の急激な進化でしたから』 女性の意識は半覚醒状態で、完全には眠っていません。 「父様、戸惑ってましたけど…」 『21,405日間のお別れです。 大丈夫ですよ58年くらい。100年くらいなら待つ、って、自分で言ったんですから』 「それは心配してないの。どっちかというと、この躯体が持つかどうかが心配…」 私はそういって、自分の胸元に手を当てます。 『常時バックアップされてますし、データが破損しても、こちらのデータを使えばいつでも復元できます。 …ちゃんと、毎日クロスチェックして、意識体データの更新を忘れないで下さい。 嫌ですからね、死にかけのこの身体であなたを探しに行く羽目になるのは』 「分かってますよぅ、あなたは私なんですから」 『あなたは私、か。 なんか、不思議な感じ。GH-412の「私」を自分の目で見て、自分と会話しているなんて』 「私も、未来の『私』を自分の目でみて、自分と会話してるって思うと、不思議な感じがする。 あなたも私もロザリオ・ブリジェシー、同じ『存在(もの)』なんだから、同じように感じて当然でしょうけど」 そう、この女性は、最終段階まで急激に進化をした、私の本当の躯体。 ほんとは数十年をかけてエネルギーと元素を蓄積してからでないと成れない姿のはずなのに、突然進化してしまったんです。 特に元素が足りてないせいで、外装とブレインコアなどの重要部品以外は半分以上スカスカ、満足に動くどころか躯体維持も危ぶまれる状況です。 そこで、意識体を『複製』したバックアップ用ブレインコアを用意し、準備してあった新規躯体にそれを搭載、それを運用しながら本来の躯体が完成するのを待つ事になりました。 意識体を複製したのは、本来の躯体から意識体がお留守になると色々危険だという判断をしたからですけど……… 二つのブレインコアの情報誤差が生じる可能性を考えれば、それはそれで危険な選択ですが、どんな形であっても、私は父様の側に居たかったのです。 「…第6段階進化に必要な元素の変換が済んでいれば、もうちょっと楽だったのに」 『仮にそうだとしても、あのままでは死んでましたよ?』 「そうよねぇ…グラール教団、いえ、幻視の巫女さまさまよね」 『でも、そうだったとしても、やっぱり封印されるんですから、どちらが良かったのかは』 「『微妙よねぇ』」 私が急激に進化したのは、ハビオラ禁止区での変種原生生物駆除に、父様と出向いた時のことです。 ミッション中に突然、私は完成体とも言える第7段階まで急激に躯体が進化、元素不足から躯体が完成せず、機能不全で昏倒しました。 偶然ですが、その日は父様と二人だけでミッションを行っていたので、救援を請おうにも周囲に誰がいる訳でもなく、劣勢になった私と父様は死を覚悟しました。 そこへ、タイミングよく教団所属の特殊警護士の一分隊が到着し、私と父様は助け出されました。 ですが、彼らが私達を助けた理由は、私を封印する為だったのです。 いつもの事ながら、教団から詳細は説明されませんでしたが、私、というよりは私の躯体が活動していると『悪しき意志』、つまりSEEDを引き寄せるらしいのです。 『幻視』によって見えた未来の、来るべき災いを回避する為に封印する、という、一方的な通告でした。 封印期間は、私の躯体が完全に完成するまで。 状況から判断すると、躯体が未完成状態である私が動き回ることが、一番の問題だったようです。 本当は、私の意識体ごと封印される予定だったのですが、巫女様の計らいで、それだけは免れました。 星霊首長イヅマ・ルツ様は、危険性の残る巫女様の計らいについては快く思っていない、と、父様との対面時にはっきりと仰っていました。 実際の問題として、教団側がガーディアンズの備品(形式的にですが)である私を無断処分したことになるわけですが、ごたごたを嫌った父様が『教団側に協力を求めた』という事にして、この事件をガーディアンズ側に報告していました。 勝手な振る舞いをした父様がそれ相応の処分を受けるかと思いましたが、新総裁と父様の間に何かの取引があったらしく、始末書一枚と何かの研修を受けることで済まされてしまっています。 そして、私が根本的な原因であるらしいこの小さな事件は、教団とガーディアンズ、双方の思惑によって巧妙に『無かったこと』にされました。 ここに『私』が封印されている事は、僅かな関係者しか知りません。 それと、私が突然進化した原因は今もって皆目見当がつかず、あの森の高濃度フォトンが何らかの影響を与えたらしい、という私の推測以外は何もありません。 「―――そろそろ時間です。この場をお引取り願います」 男性警護士の、丁寧ですが有無を言わせないその台詞を聞き、私は素直にカプセルの前から立ち去りました。 「おやすみなさい、私」 『おやすみ。また今夜、夢の中で』 「ええ、また今夜ね」 部屋を出た私の背後で、扉とカプセルの封印蓋が閉まる音が聞こえてきました。 ―――惑星パルム、ガーディアンズ宿舎――― 「たっだいまぁ、っと」 「おかえりなさいませ」 マイルームに帰ってきた私を出迎えたのは、スペアPMから変わって新たに導入された、フォトンミラージュを応用したお留守番装置です。 この装置は、触ることも出来る『質量を持った』フォトンミラージュと、私達パシリの意識体データバックアップシステム、それに連動した簡易AIで構成され、これで来訪者に対応しています。 この装置、実はずいぶん昔から普及していたのですが、バックアップデータに関する通信自体の問題や私達パシリのバックアップシステムとの連動がうまくいかず、採用されていませんでした。 その為、今までは同型ブレインコアと躯体による、一種の共鳴作用を利用した特殊な通信システムを構築し、各パシリごとに専用のバックアップ躯体を用意する必要がありました。 現在は、破損したベクタートラックが修復され始め、それに伴う通信設備の強化によって今までの問題点がすべてクリアされ、晴れて導入となったのです。 私に関しては、GRMが設置した装置にデータがバックアップ出来ない事は相変わらずで、『私』へのデータ送信はブレインコアの共鳴通信を利用しているんですけどね。 この、ガーディアンズ専用お留守番装置とスペアパシリの交換はGRMが推奨し、1週間もかからず全てが交換されました。 何故ならこの装置、入れ替えも、維持も、スペアパシリにかかる経費の千分の一で出来るからなんです。 あ、そういえば、この有質量フォトンミラージュは意外な所でも使われています。 黄色いアイコンの『パートナーカード』を使ってライア教官…あ、今は新総裁でした、やヒューガ教官とかを呼び出すと、いつでもすぐに来ますよね? あの、やってくる教官達が『質量を持った』フォトンミラージュなんです。知ってました? ルウさんは外部端末躯体がいっぱいいましたけど、それ以外のガーディアンズで、生身なのに同じ場所に複数いるのは変だと思ってたんですが、そういうからくりだったんです。 所詮は本人達の能力がデータ化されて、プログラムAIが動かしているだけだから、あんまり強くありません。 まぁ、呼び出しには違いないので、稀に本人がやってきてびっくりしたりする事もありますけどね。 「やっと帰ってこれたなぁ」 父様が私の後ろで、自分の首筋をもみながら、やれやれといった様子で言いました。 私の封印作業が終了するまで、自発的(ほんとは半ば強制ですけどね。建前上という奴です)に教団へ留まっていましたからねぇ。 ナチュラルマットとグッズですっかり居間に改装された元展示スペースですが、そこへ移動した父様は、ザ・ブトンに座るとほっとしたようです。 ちょうどいい時間なので、私がお茶を入れてティー・タイムとなりました。 「躯体の調子はどうだ、ロザリィ。 違和感はあるだろうし、例の装置とのリンクが切れているから、だいぶ勝手が違うと思うが」 ニューデイズ産のグリーン・ティを飲みながら、父様はそう尋ねてきました。 この躯体は、次世代型新設計のメインフレームに私が新造したブレインコアを搭載した、一種のカスタムボディです。 実はこれ、やっと量産の目処がたった交換パーツのテスト用として組まれていたものですが、急遽実用躯体として組みなおしたものです。 これがなかったら、私は少なからず一ヶ月はボディ無しで過ごす羽目になっていたことでしょう。 もっとも、このブレインコアにも内蔵されている異能体感知装置以外は本体ごと封印されてるから、今の私はただのパシリと変わりがありません。 「かなり楽ですよ、この次世代型新設計躯体。 メインフレームの情報処理系がアップグレードされていて、ブレインコアへの負荷が少なくなっています。 私から採取・培養した人工細胞にも次世代技術が取り入れられてて、封印されてる本体よりも高分子モーターや運動制御系も大分改良・洗練されて、動きやすいです。 リアクターも小型で高出力になったので、躯体自体も軽くなりました。 今晩のデータ更新のときに、本体のほうへこの情報を送って、自己改良しようと思います。 後、変わった点は…」 その先を口に出すにはちょっと恥ずかしくて、思わず口ごもってしまいます。 簡単に言えば、夜のお相手の為の機能が改良されてるんです。 「後、私本来の躯体とは違いますけど、量産型に組まれていた精子採集器が外されて、代わりにジーンスキャナーが組み込まれています。 私の場合は躯体メインフレーム以外が専用パーツで組まれた特別製ですけど、今後は定期メンテで順次ヴァージョンアップされて、この新設計躯体の量産版に切り替わっていくでしょう。 そうなれば、ああいう事件は減ると思いますけど…」 「そうだな…」 そう言ったっきり、父様は黙り込んでしまいました。 そう、あれはちょうどハロウィンシーズンの真っ只中、子供達が「Trick or Treat!」と言って、お菓子をねだりに来る日の事でした。 それはヒュマ姉さんの部屋での出来事。 『Trick or Treat!』 「いたずらしないで、お菓子をあげるから!」 『わ~い!!』 ルテナちゃんがそう言うと、仮装をした子供たちは歓声を上げました。 「はい、どうぞ。一人に一袋ずつあるからね」 彼女に代わって、私が一人一人に手渡します。 以前の騒ぎのとき、お菓子作りをするヒュマ姉さんの姿がカルチャーセンターで見かけられた所為か、連日やたらと子供が来るとの事で、今日の私は助っ人に来ています。 「ありがとう!ここのおば…おねーさんのお菓子、すっごくおいしいって聞いたから楽しみだったんだ!」 私の後ろからヒュマ姉さんの咳払いが聞こえてきた途端、素直なお子様達はしっかりと言い直し、にっこりと笑って出て行きました。 「全く、近所のガキどもったら…」 ヒュマ姉さんがぼやきます。 「そう言えば、そのガキどもにスカート引き摺り下ろされたって…」 「それはわたしです」 私の質問にルテナちゃんが、目の端に涙をためて顔を真っ赤にして答えました。 「お使いの帰りに、ヒトが沢山いた往来のど真ん中で下ろされちゃって…」 思い出して感極まったのか、私にすがってしゃくりあげ始めたルテナちゃん。 「あたしはあたしで、ミクミコセット着てひどい目にあった翌日に、思いっきり胸を揉まれたの」 そう言って、自分の胸を両腕で隠すように押さえ、身震いするヒュマ姉さん。 「あの時かぁ…もう、治りました?」 「とりあえずはね。でも、あの時はすごく痛かった…」 眉間にしわを寄せ、思い出してしまった痛みをこらえているようです。 服がずれなかったり、激しい汗をかいても蒸れないのはガーディアンシステムによる機能の一部なんですけど、姉さんのシステムは数日前から環境系機能が不調気味だったんだそうです。 それなのにミクミコセットを着て外出したら、ゆれる胸の動きに布地がついてこなくて、生地で擦れて胸が真っ赤っか、湿度調整がおかしくなってたから蒸れちゃって、布擦れで赤くなった場所に大量に汗をかいて汗疹が出来ちゃったのよね。 結局、姉さんてば痛痒さに耐え切れなくて、出先から一番近い部屋だった父様の所に駆け込んできて、消炎効果のあるパウダーを借りてったっけ。 しかも、炎症の痛みで自分じゃ上手く出来なくて、結局私がパウダーをつけてあげたのよね。 「一度は着てみたくて手に入れたけど、あんな事は二度とごめんよ。私、ミッションにあれを着ていく勇気は無いわね…」 私はその言葉に、ただ苦笑するしかありません。 ぷしゅ~ 「こ、こんばんは…と、Trick or Treat…」 かぼちゃのお面とぽっちゃりしたローブ姿、つまりラッピー・ラタンに仮装したパシリが来ました。 仮装パシリはさほど多くは来ませんが、ちらほらと現れます。 ま、大抵は私達の友パシリ達なんですけどね。 「いたずらしないで、お菓子をあげる、か…ら? …ねえ、どっか具合、悪いの?動きは変だし、苦しそうだし」 決まり文句で返事をし、最初にそのパシリの異変に気がついたのは私。 「う、うぅ……くる…し……ぃ…」 そう言って、踏ん張れなくなって膝をつく彼女。 「…奥に連れて行ってあげるから、ちょっと横になりなさい」 そう言って、様子がおかしい彼女をヒュマ姉さんが抱えあげた途端、姉さんは顔をしかめました。 「ロザリオ、おじ様を呼び出して!急いで!」 「は、はい~!」 突然、ヒュマ姉さんが強い口調でそんな事を言うのでちょっと面食らいましたが、反射的に返事をしていました。 「ちょっと待って!ここじゃなくて、GRMのサービスセンターへ呼び出して! 私達もこれからすぐに行くわよ!」 「は~い」と、言うルテナちゃんの返事を聞きつつ、私は疑問に思いました。 一体、ヒュマ姉さんは何をあわててるんでしょう? 戸締りもソコソコに、GRMのPMサービスセンターへ駆け込んだ私達。 「―――ご主人様、もうすぐ来るそうです」 「そう、分かったわ」 私は既にメールで父様に連絡を取っていて、たった今、返信されてきたばかりの内容を伝えると、ヒュマ姉さんはちょっといらいらしながらも、じっと待っています。 「あの、姉さん、検査が目的なら、すぐに出来るように私の権限で研究棟へ直接入りませんか? 検査設備は研究棟の中だし、ご主人様を待ってても、時間が過ぎるだけだし」 「そうね、そのほうがいいかも。 じゃ、よろしくね」 「はい」 通路の奥にある、研究棟のある敷地への連絡通路入り口前まで移動すると、警備のキャストさんに止められます。 「ここから先は、許可を受けたものと関係者以外は立ち入り禁止だ」 「GRM開発局第5研究棟PMメンテナンスサービス部門検査主任、PMGA00261C5D7-B5、ロザリオ・ブリジェシーです。 外部同伴者1名、同伴PM2体の入棟許可を申請します」 「暫くお待ちください。個体認証IDと製造ロットの照合中……確認しました。 検査主任、入棟を許可します。 外部同伴者1名、同伴PM2体の身元が照合されました。 只今、棟内用時限IDを発行中…登録完了…時限IDの確認終了、入棟を許可します。こちらからどうぞ」 警備員は全員のIDを確認すると、入り口を塞いでいた扉とシールドラインを解除し、私達は中へと案内されます。 私は、いつの間にかパシリメンテの検査主任などという立場を与えられ、この施設へ出入りするようになっていました。 要は、私に例の制圧・制御装置を使わせてパシリ達のメンテナンスをさせる為に、私にある程度の立場を与える事で、GRMは機密保持と出入りの利便性を確保させたわけです。 開発局長様が、何をどうやって手を回したのか知りませんが、ガーディアンズのパシリでありながら、私は今や立派なGRMの社員の一人です。 おかげで、ガーディアンズのヒト達から白い目で見られることもあります。 気持ちは分かりますけどねぇ……… 毛嫌いしようとも、組織としてはイルミナスとの癒着やガーディアンズとの確執があっても、結局、私達パシリはGRM無しに稼動の維持が出来ないのが現状です。 それに、この会社にいるヒトみんなが悪い奴って訳じゃありません。 「――検査主任?今日は業務がないはずでは?」 通路を足早に移動していると、向こうから歩いてきた、白衣に身を包んだニューマンの女性が私に声をかけてきました。 「そうなんだけど、ちょっと緊急事態みたい。本業のほうでね」 ちらり、と、ヒュマ姉さんと抱えているパシリを見て、ニューマンの女性が私達の前を歩き出します。 「それならこちらへ。こっちのスキャナーはまだシステムダウンさせてませんから、すぐに使えます」 そう言って、検査室まで案内してくれました。 部屋に入ろうとすると、通路を駆けてくる足音が聞こえてきました。 「すまん、遅くなった。 で、何がどうなってるって?」 「遅いですよ、ご主人様。一体、何処に…って、聞くまでもないか。 ボル・コインのケース、しまってよね、もう」 「ん?あ、ああ…急の連絡であわててたから、預けるの忘れてたよ」 そう言いながら、コインをケースごとナノトランサーに仕舞い込む父様。 下手の横好きとでも言いましょうか、カジノで遊ぶ行為そのものが好きなんですよね、父様。 勝敗で言うなら殆ど負けてますけど。 今まで手に入れた景品はフォトガチャンが1台だけ(実話)ですから、運は良くないようです。 「スキャンはこれからなので詳細は分かりませんけど、様子のおかしいパシリがヒュマ姉さんの部屋に来たんです」 そう言って、ヒュマ姉さんの抱いているパシリに視線を送る私。 そのパシリを一瞥した父様は、眉をひそめると「まさかな」とつぶやきます。 「検査主任、検査室へどうぞ。準備完了です」 研究員の言葉に、私達は問題のパシリを検査台に横たえ、操作室へ入りました。 一通りのスキャンが完了し、その結果を見て驚きました。 「へ?赤ちゃん?妊娠してるの?」 3Dスキャンした映像には、肥大化している腹部に、どう見ても胎児の姿が確認できるのです。 私、彼女のお腹が膨らんでるの、仮装のせいだと思ってた…… 「やっぱり…」と言ったのは、ヒュマ姉さん。 「おいおい、マジかよ…型番だと、こいつは受胎機構のある限定生産型じゃなくて量産型だぞ?」 父様はスキャン中に見ていた、ガーディアンズ側の登録データを再確認しながら、首をひねっています。 「ですけど、どう見てもお腹が大きく膨らんでいますよ?記載ミスなのでは?」 ルテナちゃんはそう言いつつ、物珍しそうに検査台のパシリを見ています。 「主人はモトゥブ出身、3ヶ月おきの簡易自己診断では異常なしとの報告あり、ってなってたな。 …あ、特記事項に改造歴があった」 「ご主人様、しっかりしてよね」 「すまん、見落としてた… ええっと―――クバラ製埋設型オプション装着……日付けはざっと一年前、年一回の定期メンテの直後だな」 父様が、躯体の登録経歴を調べてオプションの型式をチェックすると、GRMに登録済みの社外商品から予想通りの名称が出てきます。 「クバラ製PM用受胎機構セット、ジーンデザイン済み人工卵細胞付き。 これ、半年前に製造を中止、欠陥構造のせいで実際の使用に問題があるとして製品回収になってるな」 「そもそも、私達パシリの体のサイズで、子供を生むこと自体が間違ってます!」 私は自分のことを棚に上げて、そう言い切りました。 「それでおじ様、その主人に連絡は?」 「スキャン中にしたよ。そろそろ連絡が…」 ピピッピピッ、ピピッピピッ 「はい、こちら検査室」 内線の呼び出しが鳴ったので私が出ると、先ほどの警備員からの連絡です。 『検査主任、PMの主人が到着しました』 「こちらに通してください」 『了解しました、入棟手続きを始めます』 その連絡の直後、検査機器から警告音が鳴り響きます。 「え?容態急変って…」 躯体内の生命体を排出する運動信号を確認、躯体機能の損壊可能性が増大、という警告内容です。 「これって、えっと…じんつう?」 医療関係のデータを漁って、類似データからそう推測しました。 「バカ言え!PMが自然出産なんて出来る訳がない!医療課を呼び出せ!」 バン!と検査筐体をひっぱたき、父様が大声を上げました。 「夜だってのにやかましいねぇ。一体何事だい?」 操作室の入り口に、見慣れない型式のGHー4xxが立っています。 明確な型式が不明で、現行のGH-4xxの特徴が入り混じった姿をしています。 しかも、腰までの黒い髪、青い瞳と明るい肌色の人口皮膚以外はオフホワイトで統一されたパーツや服を着ているので、かなり違和感があります。 「あ、イヴ姉さん」 イヴ姉さんは、量産試作機の前段階である基本素体“GH-400”のうちの一人です。 そして現在は、試作パーツの実稼動評価を行うテストパシリでもあります。 目の前に立っているこの躯体は、いわば彼女の専用躯体ですが、最新技術のテストベッドでもあるわけです。 本当はとっくに博物館行き、ヒトでいう所の老後生活に入っているはずのイヴ姉さんですが、現在の彼女がやっている仕事をこなす予定だった個体が実働試験で大破、廃棄処分された為に、代わりとしてその役目を与えられたのです。 極わずかですが、現在まで稼動している古いバージョンの個体もいて、それらと新規部品との相性判断をする意味合いもあるので、彼女らが第一線からいなくなるまで引退も出来ないそうです。 「…ふ~ん、去年もいたんだ、バカな主人が。 こいつの主人、どうせモトゥブ出身だろ?始原祭から計算すれば、大体日数は合うからね。 ―――おい、そこのでかいの」 と、父様に指を突きつけます。 「俺か?」 「そいつを抱えて、ついといで。それと、そこの442はバカな主人を呼んできな。 早くするんだ」 有無を言わせず父様に問題のパシリを抱き上げさせ、自分はスタスタと何処かに移動します。 行き先を聞こうにも、「聞く耳なんて持たないよ」と、背中が語っています。 「―――入りな」 そう言ってイヴ姉さんが入っていったのは、『生体研究区画』と呼ばれる、生体組織研究エリアの一室です。 ここは、人工義肢や全身義体と呼ばれるサイバーウェアや、パシリやキャストに使われている生体パーツの開発・研究が行われている区画です。 「でかいの!入り口に突っ立てないで、そこの作業台にそいつを寝かしたら、さっさと操作室に移動しな! 検査主任は問題のパシリを完全制圧、意識体を仮死レベルにしたら、ブレインコアが躯体メインフレームへアクセスするのを完全遮断。 あたしの指示があったら、リアクターと躯体メインフレームの制御をするんだ」 「件のパシリの主人を連れてきました」 パシリの主人を連れたルテナちゃんがやってきて、淡々と告げました。 「あ、あの、俺のパシリは…」 操作室に入ろうとする父様に向かって心配そうに言うパシリの主人ですが、その膝裏を力いっぱい蹴っ飛ばし、ひっくり返すイヴ姉さん。 ひっくり返され、うめき声と文句を上げようとするその主人の首に足をかけ、顔に指を突きつけます。 「よく聞け、このクソ野郎!! パシリをおもちゃにしようが恋人にしようが知ったこっちゃないが、キャストとは違うんだ!! あたしらはね、ガキは産めねぇんだよ!! 元々、産めるように出来てないんだ!! 無理やりんな事したら、ぶっ壊れちまうんだ!! そこんとこがよ~く分かったら、そこのベンチに座って、あたしが呼ぶまで大人しくしてろ!! そんで、てめぇのしでかした事がどんだけ馬鹿なことか、反省しな!! 分かったな、このすっとこどっこい!!」 そこまで怒鳴りつけて、首を踏んでいた足を退かすと、その足で主人のこめかみに蹴りを入れ、操作室に入っていきました。 暫くして、夜の研究棟通路に響く赤ちゃんの泣き声。 「まさか、助産士の役をやる羽目になるなんて、思わなかった。『タスク』の所でやって以来、かな?」 術衣を見につけ、取り上げた赤ちゃんに手際よく産湯を使わせて肌着を着せたヒュマ姉さんが、独り言を呟きます。 その腕の中には、生まれたばかりの女の赤ちゃんが抱かれています。 この部屋の中には、赤ちゃん用の肌着やオムツなどが常備されていて、まるで産婦人科のようです。 そういえば、今は故あって失効してるけど、ヒュマ姉さんはちゃんと医科大学行って、正規の医師免許を持ってたのよね。 話からすると、海賊時代に赤ちゃんを取り上げた経験があるようですから、手馴れていてもおかしくない訳です。 イヴ姉さんの独り言によれば、パシリに埋設出来る受胎機構が開発されてからというもの、年に数回はこんな事があるという話です。 それと、パシリの受胎機構の妊娠期間は、胎児の成長がパシリの躯体に負担をかけすぎないように約一年で臨月になるように調整されているのが普通なんですって。 イヴ姉さんの統計上、モトゥブの始原祭にやっちゃった事例が多く、妊娠期間との兼ね合いから、この時期にこういう事件が集中するそうです。 「何度もそんな事があったから、こんな設備が作られたなんて、なんか皮肉よね」 私の呟きを聞いたのか、イヴ姉さんがやって来て、私のおでこを指で突付きます。 「あんたは人事じゃないんだよ。 同じバカやって、あたしの手を煩わせないでおくれよ?いいね?」 私の相談相手でもある彼女にはすべての事情を話してあるので、その言葉に素直に頷いておきます。 「さてと、あたしゃそろそろ寝るよ。 これ以上あのクソ野郎の顔を見たら、殺したくなっちまう」 そこまで言うと、足早に去っていきました。 結局のところ、イヴ姉さんの手による(とはいっても、専用の整備筐体を使ってという意味ですが)躯体分解作業によって、1時間ほどで赤ちゃんは無事に生まれました。 同時に受胎機構は撤去されましたが、腹部の生体パーツはあまりにも芳しくない状況で、修理よりは躯体を丸々取り替えたほうが早いくらいでした。 それと受胎機構ですが、後日の調査で耐久性に致命的欠陥があった事が判明しました。 聞いた話では、後半日遅ければ人工胎盤が破裂し、胎児は勿論、母体となっていたパシリも機能停止していただろうととの事です。 「お騒がせしました」 赤ちゃんを抱いて、私達に頭を下げるパシリの主人。 その脇にパシリの姿はありません。 結局、新規躯体にしろ、修理にしろ、すぐに復帰は無理なので、短期間のメーカー預かりとなったわけです。 「Gコロニーの医療課には連絡してあるから、ちゃんとその子供を連れて行くように。 あと、今日の調書を取るから、早いうちに対PM対策課まで出頭する事。 それから、2、3日以内に始末書を書いて提出してくれ」 無言で頷き、パシリの主人は静かに立ち去ります。 「あいつぁ、帰ったかい?」 突然、後ろから声をかけられ、振り返った先にはイヴ姉さんがいました。 「あれ?お休みになるって…」 「ん?ああ、そのつもりだったんだけど、ちょっとね…」 ナノトランサーからタバコを取り出し、火をつけるイヴ姉さん。 喫煙の習慣を持つパシリは非常に稀ですが、いないわけではありません。特に、惑星勤務のパシリに多いようです。 「悪いけど、検査主任、ちょっと付き合ってくれないかい?」 「え?」 どうしようかと思って父様のほうへ振り向くと、父様は無言で頷いてヒュマ姉さん達と棟外へ出て行きました。 「いいご主人様、いや、だんなさんだね。 あたしの話がみんなに聞かれたくない話だって、分かってくれてるんだ」 紫煙を吐き出し、微かな笑みとさびそうな表情を浮かべるイヴ姉さん。 「父様、パシリにはやさしいですから」 「その様子じゃ、その呼び方以外になんて呼んだらいいのか、まだ思いつかないんだね?」 「はい…」 「仕方ない子だね。まぁ、ゆっくり考えるといいさ」 再びタバコを咥え、ゆっくりと味わう姉さん。 「―――あたしにはね、腹を痛めて産んだ息子がいるんだ」 唐突にそう切り出されて、私は面食らいました。 「姉さんに、息子、さん、ですか?」 すごく苦い笑みを浮かべ、私に視線を向けるイヴ姉さん。 「おかしな話じゃないのさ。 あたしゃ、一体何をしているんだい?」 「あ、それじゃぁ…」 「そうさ、世界初の受胎機構が組み込まれたパシリがこのあたしだよ」 実働試験の一環として受胎機構が躯体に組み込まれ、とある男性研究員と性行為を行って受胎実験がなされたそうです。 「十月十日(とつきとうか)なんて昔は言ったそうだが、試験の都合上、あたしの場合は約一年半の妊娠期間を経て出産となった。 でもね、産めなかったよ。 そりゃそうさ、こんな小さな体で臨月段階のヒトの胎児の自然分娩なんて、最初から無理な話だったんだよ。 もちろん、実験は最終段階で失敗、自然分娩しか考慮されていなかった受胎機構は失敗作として廃棄処分、当然のように胎児ごと処分されそうになった。 だけどね、わたしを抱いた研究員がね、自分の処分を覚悟でわたしと胎児を救ってくれた。 さっきの設備、あれはその研究員―――あたしを見捨てたくないと言い張った男の研究室だったんだよ」 長くなった灰を手近の灰皿に落とし、再び深くタバコを吸うと、静かに紫煙を吐き出すイヴ姉さん。 「結局は、パシリの自然分娩は技術的に無理だと分かって、外科的出産法を考慮された特殊躯体が限定生産されて、それで終わり。 その研究員は、あたしと胎児を救った技術が認められてお咎め無しになったんだけど、赤ん坊を連れてすぐに研究所を止めちまったよ。 その後は、クバラのPM研究所に引き抜かれたって聞いたけど、それ以降は音沙汰がないのさ」 「どうして、そんな話を私に?」 私の問いに、ほとほとあきれたといった感じの笑い声を上げ、吸殻を灰皿に放り込む姉さん。 「それはね、さっき来たパシリの主人のせいさ」 「え?」 「ありゃぁね、あたしの息子なんだよ」 「ほんとですか?!」 驚く私に向かって、確信を持った表情で頷く姉さん。 「ああ、間違いないね。 あの顔、姿、声…昔のままのあの人がやってきたのかと、一瞬自分のセンサーを疑っちまったよ。 それに、息子には特殊なIDタグが埋め込まれていてね、あたしの近くに来ると、あたしに位置と生体情報が送信されるんだよ。 そういう機能があるのは知ってたけど、初めてのことで驚いたね。 まったく、パシリに自分の子供を産ませようなんて、誰に似たんだか…」 暫くの間、彼女の自嘲的な笑いが静かな通路に響いていました。 「たぶん…」 「あん?なんだい?」 私が口を開くと、いぶかしんで、笑いを止めるイヴ姉さん。 「たぶん、姉さんのことを聞いて育ったから、じゃないのかな…」 「どんな風にだい?」 「お前の母さんはパシリだ、言えなかったけど、愛していた、って。私は、」 突然に胸倉をつかまれた事で私の話は中断され、私はそのまま壁に強く押し付けられました。 「ふざけた事を抜かすんじゃないよ、このうすらとんかち! あんたのだんなみたいな奴はそう多く無いんだ、誰も彼も同じにするんじゃないよ!」 イヴ姉さんが憤怒の表情もあらわに、そこまで一気にまくし立てると、手が離されます。 そして、怒った表情のまま涙を流す彼女。 その顔を見て、私も話の続きを躊躇いましたが、 「それでも、私は、そう思いたい!だって、自分の事を顧みないで、姉さんと子供を助けてくれたんだから!」 どうしても我慢が出来ずに言ってしまいました。 パシン! いきなり、私の左の頬にイヴ姉さんの平手打ちが飛んできました。 「それ以上、言うんじゃないよ!小娘!」 これ以上無い位に辛そうな表情を浮かべ、とめどなく涙を流しています。 「ご、ごめんなさい…」 私は謝って、それ以上の話を止めるしかありませんでした。 「…本当に、本当にそうなら、あの時、何であたしを一緒に連れていってくれなかったんだい…」 寂しげに呟くと肩を落とし、暗い通路に向かってとぼとぼと歩いて行き、闇の中に消えるイヴ姉さん。 私には、その背中に向かって、それ以上の言葉をかける事なんて出来ませんでした。 「ロザリオ」 唐突に、消えていった通路の闇の中から、落ち着きを取り戻したイヴ姉さんの声が聞こえてきました。 「…はい」 「叩いたりして、ごめんよ。それから、さっきの言葉、言ってくれてありがとう。あたしも、そう思いたい。 …おやすみ」 「おやすみなさい、姉さん」 そして、通路には静寂が訪れました。 イヴ姉さんの話を聞いたあの日以後、私はあの主人とパシリのことがずっと引っかかっていました。 「結局、あのヒトはどうしたのかな…」 ポツリとつぶやいたその一言に、父様は首を振りました。 「分からん。 調書を取るのに対PM対策課まであの主人は来たし、パシリがあの主人の所に帰っていったのは確認したが、それ以上は、な。 それにロザリィ、あの三人の事は、俺達が心配してどうこうなる問題でもないだろう? ま、PMに関する相談なら受け付けてるって言っておいたから、必要になれば来るだろうし、多少のアドバイスはしておいたから大丈夫だろうさ」 「うん…」 私はその返事と同時に、何故、あの二人の事が引っかかっていたのかに気づきました。 「私ね、パシリなのに父様の子供が産めるんだって分かった時、すごくうれしかったし、それって幸せだなって感じたの。 でも、あのパシリと出会って、イヴ姉さんと話して、それが本当に自分にとっての幸せか、分からなくなっちゃったんだ。 それで、ふと思ったの。 私が感じているこの幸せって、一体なんなのかな、って…」 自分の考えが、自然と口からこぼれ出ます。 それを聞いた父様は、身振りだけで私を呼び、自分の脚の上に横座りに座らせました。 そして、小さな私を片腕でそっと抱きしめます。 「俺は今まで長く生きてきたが、女房という例外はあったけど、誰かと暮らしていても、何処かにずっと孤独感を感じていた。 だけど今は、お前と暮らして、こうやって語り合える時間が、二人でいられる時間があるという事が、とても幸せだと感じている。 確かに、自分の子供が生まれれば、新しい家族が増える喜びに幸せに感じるだろう。 でも、それはそれでまた別の喜び、別の幸せだ。同じものじゃない。 お前がイヴに何を聞いたのかは知らないし、例えそれをこう感じたと話されたって、俺も完全には理解出来ない。 だけどな、これだけは言える。 何が幸せか、なんて、人それぞれだ。 だから、お前はお前の感じる幸せを見つければ良いんだよ」 「私の感じる幸せ…」 私のつぶやきに近い一言に、無言で頷く父様。 膝の上に座っているために、いつもより間近にある父様の顔。 その顔を見ながら、私は考え込みます。 いつかこの人の子供が生めるという喜びは、私が感じている幸せの一部。 じゃあ、その幸せを生み出しているものは、何? ……それは、この人。 私の父様。 最愛のご主人様。 この人がいるから、私は幸せになれるし、それが感じられる。 なんだ、答えは、目の前にあるじゃない。 ザ・ブトンに座っている父様の、脚の上に膝立ちになり、その首にそっと腕を回して、軽く見上げます。 私がそんな格好じゃ脚が痛いはずなのに、父様はそんなそぶりも見せずに、不安定な私の身体を抱えるように両腕で支え、私の顔を見ています。 私は父様の顔を見つめながら、ゆっくりと喋りだします。 「私は、あなたを愛していることに限りない幸せを感じています。 そして、あなたに愛されていることに限りない幸せを感じています。 それが、今、この瞬間に、私の感じている幸せの全て。 私がその幸せを感じられるのは、あなたがいるから。 あなたがいるから、私は今までも、そしてこれからも、色々な喜びを幸せとして感じられる。 私の幸せは、今、ここにいるあなたそのものです」 私はそこまで喋ると、父様の唇に軽くキスをします。 「私、それしか分からないけど…」 『Trick or Treat!』 「「うわっ!!!びっくりした!!」」 夢中で喋っていた私と父様は、誰かが来ていたのにも気づかず、唐突にかけられた声に驚いて、二人共そのまま抱き合いました。 「ど~したの?そんなにおどろいて」 視線を向けると、相変わらず子供口調が抜けないウラルの声が、ラッピー・ラタンの扮装から聞こえてきました。 彼女の後ろには、数人のラッピー・ラタンの仮装姿があります。 たぶん、ラピスやトパーズあたりがやっているんでしょう。 「……父様と話し込んでいたら、みんなに気がつかなかったの」 ああもう、ほんとにびっくりした。 父様もだいぶ驚いたらしく、抱き合ってる私の触覚センサーには、父様の激しい心音がしっかり伝わってきます。 「なぁんだ、そっか。 とりあえず、マスター、ロザリオ、お帰り~。おつとめごくろうさまでした」 そう言って、ペコリ、とお辞儀するラッピー・ラタン姿のウラル。 「おう、ただいま」 やっと落ち着いたのか、言葉と同時に大きくため息をつく父様。 良かった、この様子だと、キスしたシーンは見られていなかったみたい。 以前、父様にキスしたところを運悪く一度だけみんなに見つかった事があるんだけど、みんな揃ってすごいやきもち焼いて困ったのよね。 「ただいま。 でも、『おつとめごくろうさま』は止めてよ、なんか縁起悪いから」 「でさ、お菓子くれないの?いたずらするよ?」 むぅ。ウラルってば、私の話なんて聞いちゃいないんだから… 「あ~もう、この子は…はいはい、ちょっと待ってて」 父様との抱擁を解いて脚の上から降りると、ミッション前に父様と二人で作っておいたカスタードクリーム入りのカップケーキを持ってきて、全員に手渡します。 『ありがとう!』「きゅきぃ~!」 あれ?今、妙な声というか、鳴き声?が聞こえましたが… 「ちょ、ちょっと、みんな!かぶってるそのカボチャを取って!」 「え?あ、うん、いいよ」 出てきたのは、ウラル、トパーズ、ラピス、コーラル、オリビン、ラッピー。 よしよし全員外し………ラッピー?! 「ちょ、な、ラッピー?!」 私が驚いて床にへたり込むと、そのラッピーは父様に飛びついて「きゅー!きゅー!」と甘えた声をあげます。 「うわ、なんだお前?!」 父様は再び驚き、というか、驚かないほうがどうかしてます。 みんなも唖然とした表情を浮かべて、硬直してます。 そのラッピーは、かぶっている布の下から小さな花冠を取り出し、父様の頭の上に乗せました。 「?!、お前、自然保護区のラッピーか?」 「きゅーい!」 なんか、その通りですとばかりに、片方の羽をまっすぐ上に伸ばすラッピー。 そういえば、母様のお墓って、自然保護区の中でしたっけ。 「きゅい、きゅきき~き、きゅきっきピ。きゅーきぴきゅ、き~きーききゅ、きゅぴ」 複雑かつ微妙な音階と発音を組み合わせた鳴き声で、何かを一生懸命しゃべっているようですが、意味がさっぱり… この鳴き声を文章で表現すると、どうがんばってもこれで精一杯。 『まつり、僕達の、みんな、あそぶ、なりきる、おばけ、ふえる、遅れる、友達、おっきい、今回、なりきる、お化け、来る…』 突然、言語デバイスの中で妙な言葉が勝手に羅列され、次いで、ある程度しっかりした文章になります。 『みんながお化けになりきって遊ぶ、僕達のお祭り。今日は新しくできたおっきな友達がお化けの格好で後から来る』 「きゅるぴ~、きゅーきーきぃぴき」 『今日はお前達を、僕達のお祭りに誘いに来た』 翼をぱたぱたと動かしながら鳴く声に合わせて、頭の中に文章が出来上がっていきます。 これって、ラッピーの鳴き声が翻訳されてるって事? 父様の表情もだんだん険しくなっていくんですけど… 「これがお前達のお祭りで、新しい友達と、誘いに来たってのは解かったんだが… 俺はあいつみたいに、細かいところまで理解できないからなぁ…」 どうやら間違いないようです。というか、父様も良くそこまで解かりますねぇ… 「きゅぴ、き~きゅるぴっきゅ」 どうやら今度は、発音が微妙すぎてよく解からなかったらしく、父様は首をひねっています。 「新しい友達は、すっごく大きいから一緒に来れなかった、って、言ってますよ、父様」 「!、お前、解かるのか? …ああ、そうか。あいつのデータをお前が受け継いだから、翻訳できるのか」 あ、そっか、母様のデータか。 さっきから頭の中に、鳴き声に合わせて文章が浮かんでくるから、言語プログラムがバグったのかと思っちゃった。 「―――それでね、父様。『ぴっきゅ』って大きさとか数とか指しているらしいんだけど、どれくらいなのかな? さすがに、そこまでは私にも分からないの」 「『ぴっきゅ』?ふむ、………記憶が間違ってなければ、ディ・ラガンサイズとか、すごくたくさんとかいう意味だったはずだが…」 古い記憶をまさぐっているらしく、やや間があってから答えが返ってきました。 「新しい友達は大きさが『ぴっきゅ』だって、さっき言ってたから…」 「は?大きさが『ぴっきゅ』だって?」 「ぴっきききゅきっぴ、ぴぴ~っきゅ!」 通路のほうに向かって、大きく叫ぶラッピー。 「え?『ここにいるみんなを担ぎ出せ』って、どういう…」 私が尋ね返そうとした直後、 『ぴーっ!』 突如、通路から現れた大量のラッピー・ラタン達。 『ひょえ~!!』 ラッピー・ラタン達にいきなりもみくちゃにされ、気がつけば、私達はフロントカウンターを通り、どこかへ誘拐されていく途中でした。 も~、この宿舎の警備はどうなってるのよ~!シーナさん、手を振って見送ってないで、助けてぇ~! ―――数時間後、自然保護区外縁付近――― ここは保護区の外れにある、ちょっとした高台になっている開けた場所。 連れ去られた私と父様も含め、全員がお化けカボチャの扮装をさせられ、そこで妙な踊りを小一時間ほどやらされました。 ウラル達は途中からハイになっちゃって、笑いっぱなしで踊る始末。 踊りが終わると、ラッピー達が作ったらしい簡素な焼き菓子をもらいました。 磨り潰した何種類かの木の実を練って板状にし、焼いただけのシンプルなものですが、とてもおいしいものでした。 その後は、おもむろに数匹ずつ集まって、好き勝手に遊びだしたのですが… 「ぐろるるぅ~ぅ」 「うぉ!舐めるな、咥えるな、振り回すなぁぁぁぁぁあ!」 父様は今、ラッピー達の『大きな友達』こと、珍獣ディ・ラガン・ラタンにじゃれつかれ――いえ、もて遊ばれています。 早い話が、ラッピー・ラタンの扮装をしてるディ・ラガンなんですが、その光景はなにか間違っている気がします。 今は外していますが、さっきまではラッピーお手製の張りぼてカボチャを頭にかぶって、地響きを立てながら一緒に踊りに参加してました。 ラッピー達の話によれば、この格好で遊ぶのがお祭りの流儀なんだそうですが、その格好をディ・ラガンにさせちゃうとは…… そしてこのディ・ラガンをよくよく見ると、以前に父様を『お持ち帰り』しようとした、認定20LVの人懐っこいあいつです。 尻尾には小さな歯形が残ってるし、どおりで見覚えがあると思いました。 どういう過程を経て、ラッピー達と友達になったかは知りませんが、ある意味、非常に迷惑極まりないことです。 特に、私達が。 「るろぉぅるるぅ~ぅ」 ミッションでよく聞く咆哮より少し低めの、柔らかい音で鳴きます。 ディ・ラガンが甘えてる声なんて、初めて聞きます。 そして今度は、甘える仕草なのでしょうが、体格差がありすぎてひっくり返った父様に、頭を乗せてすりすりし始めます。 「おわっ!ぐほっ、ちょっ…おも……ぃ…」 「え?ちょっ、ダメぇ!父様がつぶれちゃうよぅ!」 私は父様を助けようと、あわててディ・ラガンの下顎を力いっぱい蹴っ飛ばしてみましたが、無反応。 ど、どうしよう、この程度じゃ全然感じてないみたいだけど、まさかレイピアで斬るわけにも行かないし… あ、そうだ!前にやった父様の真似してみよう! 私はバトナラを両手で構えて、 「せえのっ!」 バチン!!「ぐぁる?!」 鼻っ面を力いっぱい叩きました。 そこまでやるとようやく動きを止め、鼻を叩いた私に気づいたディ・ラガンが頭を持ち上げました。 「それ以上やっちゃダメ!!父様、つぶれちゃう!! あなたのほうがずっと大きいんだから、ちゃんと加減してよね!!わかった?!!」 と、派手な身振りをし、大声で怒鳴りつけてやりました。 頭をかしげ、鈍い動きでよろよろと起き上がった父様を見てどうやら状況を理解したらしく、そっと鼻先を近づけて、心配そうに舌で軽く父様を舐めるディ・ラガン。 「助かったよ、ロザリィ…体重かけられちゃって、つぶされるかと思った」 良かった、間に合ったようです。 今度は私に鼻先を近づけ、匂いを嗅ぐ仕草をするディ・ラガン。 べちょり。「きゃっ!」 おもむろに私を舐め上げました。 一瞬の事で、最初は分かりませんでしたが、服や髪にゆっくりと水分が染み込み、濡れて冷たくなっていきます。 「…………ふ……ふぇ、ふえぇぇぇぇぇぇぇん!!気持ち悪いよぅ~!!ふえぇぇぇぇぇぇん!!」 向こうは友愛の仕草のつもりでしょうが、突然舐められ、全身が生臭くてぬるぬるべとべとしたよだれまみれになった気持ち悪さに、私はしゃがみこんで泣き出してしまいました。 今夜は意識体複製後、初めてのデータのクロスチェックを行っています。 データ自体は常時転送されてるけど、これをしないと意識体に誤差が出る心配があるのよね。 『うわっ、気持ち悪………背筋がぞくぞくする』 『私』と「私」は、ディラガンに舐められた情報をチェックした瞬間、気持ち悪さに鳥肌が立つ思いでした。 「こんな情報まで送るのは気が引けるけど、必要な事だから我慢してね」 『気にしない気にしない。 あなたとの情報誤差があると、統合するときに修正不能のひずみを生じちゃう可能性が出るんだから、こういうのもちゃんと送ってくれなきゃ。 …でも、残念ね、父様と久しぶりにキス出来たのに』 「出来ただけマシよ… うやむやの内にウラル達が泊まっていっちゃうし、後で思い出したけど、諜報部の監視カメラとマイクはあるし… 大体、いつだってジュエルズの誰かが泊まってるんだもん、続きなんてどっちにしろ無理じゃない」 『分かってるけど、言いたくなっちゃうの! でも、ま、引っかかっていた事がすっきりしたから、良しとしよっか』 「うん」 「『私は大好きなあの人と一緒にいられて、とても幸せ』」 そう言って、くすくすと笑います。 その後、自然と深いため息が出ます。 『……仕方ないといえば仕方ないけど、たまには気兼ねなく甘えたいよね、やっぱり』 「でもさ、大体はジュエルズに邪魔されるし、不意にルテナちゃん来るし… お膳立てでもしないと、難しいよ?」 『そこはそれ、ミッションのついでに………ほら、前にモトゥブで見つけたあそことか』 「モトゥブは今の状況じゃ難しいよ。それよりも、パルムでね…」 いつの間にか、私(私達?)は『父様にべったり甘えちゃおう計画』を練り始めていました。 実におバカな事を考えていますが、この計画自体はだいぶ前から練っていました。 私の中からローザが消えたあの日から、彼女の情緒不安定な部分が私の意識体データに混ざったみたいで、そこからくる理由の分からない不安感に、常に恐怖を感じていました。 そこで私は、この恐怖を少しでも紛らわせようと思って、この計画を考え始めたのです。 計画を練っている間は多少なりとも恐怖から逃れられ、その不安感について考える心の余裕が生まれました。 そしてやっと、その不安感を生み出している原因にたどり着けました。 それは、父様との関係そのもの。 私は父様に愛されてるの?父様は私といて幸せなの?私の他に、誰か他の人を好きになったりしない?……… 二人の関係を考える度にいくつも湧いてくる疑問の数々、それにYesともNoとも答えが出せない自分の心。 そんな心の葛藤が不安感を生み出し、それに恐怖していたのです。 その不安感を打ち消すのは難しいと思いましたが、昼間に父様と話していた時、たった一つの事で解決する事にふと気づきました。 それは、信じること。 私を愛している、二人でいる事が幸せだ、と言った、父様を信じる事。 父様を愛している、父様が自分の幸せそのもの、と言った、自分を信じる事。 YesかNoか、答えを出す必要は無かったのです。 それが分かった今は、恐れる気持ちは薄らいでいます。 ですが、計画を考え始めた理由なんて今となっては過去の話、真の目的は『父様に存分に甘えること』! 私だって、たまには誰にも邪魔されずに、ご主人様である父様に甘えたいんです! 普段なんて、父様と一緒に寝てると文句言われるし、お風呂はみんなに頻繁に乱入されるし… 面倒見のいい父様は、みんなに最後まで付き合っちゃうから、独占したくたって出来ないんです。 そうね、何処かの温泉で、二人っきりでゆっくり混浴とか…いいわよねぇ… !、そういえば、秘湯みたいな温泉宿のうわさを聞いたことがあった! 「私」は『私』に向かって、今思いついた計画をすごい勢いで伝えました。 「…じゃ、これで決まりね。データ転送を楽しみにしてて」 『そうさせてもらうわ、フフフw』 「ところで、躯体成長度はどんな感じ?」 『いい感じよ。 元素の蓄積は想定通りだけど、あそこで浴びた高濃度フォトンがだいぶエネルギーとして蓄積されてたみたい。 今は60%ほどだけど、80%を超えればエネルギーが安定状態に入るから、そしたら一気に元素変換。 物理的に安定させたいから一度第6段階に退化する予定だけど、この調子ならだいたい20年は時間が短縮できるわね。 ま、元素供給量を増やしてもらわないと、おっつかないけどね』 「りょーかい、その辺は話してみる。 向こうも、さっさと厄介払いしたいだろうし、なんとかなるでしょ」 『よろしくね。じゃ、また明日』 「うん。おやすみ~」 こうして、私達の今年のハロウィンシーズンは過ぎていきました。 ラッピー達に誘拐された翌日、再び現れたラッピー達に配るお菓子を大量に作る羽目になったのは、また別のお話。 ラッピー達は、『今度はクリスマスに来る』と言っていましたが、その時に、ディ・ラガン・ノエルを見ずに済むことを願うばかりです。 ディ・ラガンに舐められるのは、ほんとにもうこりごりです。
https://w.atwiki.jp/ponyta_isii/pages/118.html
ポケカネットジムで発見!ハロウィン風デッキとは、ポケモンカード公式チャンネル第25回のこと。 (第24回 ←← 第25回 →→ 第26回) 主な内容 ハッピーハロウィン! ポケカネットジムで過去に紹介したプレイヤーデッキの中から、 ハロウィンっぽいデッキを見つけたので紹介してみたぞ! 登場するキャラクター ポニータ石井 使用されているBGM Youtube動画 セリフ いや〜気持ちいいっすわこれ ハロウィン最高〜♪ 字幕集 ハッピーハロウィ〜ン 一人でバトル よしっ めっちゃ強い 写真集 備考 ミス 関連項目
https://w.atwiki.jp/wixi/pages/315.html
姫君「ドラキュラ、ホビット、オオカミ娘……」 魔王「我のカボチャ……パンプキン・パイが……」 勇者「あれ食用じゃないぞ」 姫君「あら伯爵様、お帰りなさいませ♪」 勇者「?」 姫君「今日はハロウィンでしょう?仮装するそしたら誰がどんなものか考えていたのですわ。 ジョンさんは背が低くて可愛らしいですからホビット。 リオルさんは活発ですからオオカミ少女なんてどうでしょう? ヒロト様は背が高くてスラリとしていますからドラキュラ伯爵なんて恰好良さそうですわ」 勇者「……吸血鬼か。あんまり思い出したくない敵だな」 魔王「真面目に考えるな」 姫君「リューさんは、そうですわね。平らですから塗り壁ですわ♪」 魔王「……カッチ~~ィンときたぞ貴様。デカければいいと思いよって。 ならば貴様は何だというのだ?金色ドリルだからタケノコか何かか?」 姫君「……オバケ関係ないではないですか。私は仮装しませんわ。 ドラキュラに見初められ連れ去られる姫君役。あら、ぴったり!」 魔王「ドラキュラ?……な!だ、駄目に決まってるだろうそんなの! なら我も吸血鬼だ!無論伯爵婦人という設定のな!」 姫君「む!あ、あらでも残念、婦人は数年前に離婚を前提とした別居中で伯爵は姫を愛してしまっているのですわ!」 魔王「勝手なことを言うな!婦人と伯爵は永遠の愛で繋がっておるのだ! 姫こそ一時の気の迷いにすぎぬ!!」 姫君「その一瞬を紡いで永劫を編むのが愛というものでしょう!」 魔王「は!ならば永劫の前に一瞬などそれこそ塵芥にすぎぬわ!!」 姫君「く……ヒロト様!なんとか言ってやってくださいまし!」 魔王「ヒロト!何を黙っている!貴様もなんとか言ってやれ!」 勇者「実体のない相手に剣は効きにくいんだよなぁ……」 魔・姫「「うおぉぉぉぉい!!!!」」
https://w.atwiki.jp/halloween2008/pages/25.html
■探偵ファイル ニュースウォッチ ハロウィンで外国人が山手線ジャック、本日決行?●更新日 10/27● http //www.tanteifile.com/newswatch/2007/10/27_01/index.html 山手線ジャックで大混乱、日本の治安は大丈夫?●更新日 10/28● http //www.tanteifile.com/newswatch/2007/10/28_01/index.html 解雇された NOVA 講師が山手線ジャックを主導? http //www.tanteifile.com/newswatch/2007/10/30_01/index.html ■アメーバニュース 裸になる者も…ハロウィン外国人山手線ジャックで混乱 10月31日 14時08分 http //news.ameba.jp/weblog/2007/10/8149.html
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1032.html
いまだぼんやりとした意識の中で考える。 目が覚めたら俺はどの世界にいるのか。 元の世界か、あるいは長門の改変世界か。はたまた全く別の世界か。 そもそも俺の言う元の世界とは何だ? それは俺がそう信じているだけではないか? ……どうも古泉に影響されてきてんな。 俺がそんな形而上学的、哲学的な事を考えたってしょうがねぇ。 世界はいつから出来たか、とか、未来がどうだとかその他諸々を考えるのは 古泉や長門や朝比奈さんに任せよう。 今するべきことをする、それが俺の役目だ。 視界の端に光がちらつく。俺は目を開けた。 そして見たのは俺のコートを制服の上に着たハルヒである。 この光景は近ごろ見た覚えがある。いつだ……? しばらくして俺の決して高機能ではない脳はこれをあのハロウィンの夜の光景と断定した。 となれば、次にハルヒが言う台詞は――。 「ねえ、キョン。さっきの続き、聞かせて」 まあ、どう考えたってふだんのあのハルヒから出る台詞ではない。 いつものこいつだったら、 「言いたいことがあるならさっさと言いなさいよ、この馬鹿キョン!」 とか情緒も何もあったもんじゃない台詞を言うんだろう。 なのに今のハルヒときたら、口調といい、表情といい全く別人だ。 だけどそんなことは百年後のブラジルの天気予報なみにどうでもいいんだ。 『ついさっき』俺は自分の中で答えをだして覚悟を決めたじゃないか。そう、 「俺は、ハルヒが好きなんだ」 俺は呆然としているハルヒの目を見てもう一度、はっきりと言う。 「俺はお前が好きだ」 何だか妙に達成感がある。 よく考えるまでもなくこれが人生初の告白だしな。 唐突にハルヒが顔を近付けてくる。ちょっと手順をとばしすぎじゃないか? 「何言ってんのよ、馬鹿。耳を貸しなさい」 まさか……、まさかとは思うが面と向かってじゃ答えられないなんて言わないよな? 「……うるさい、そのまさかよ!」 本当にこいつはハルヒか? 誰かの変装じゃないか? そんな俺の疑問なんかどこ吹く風なハルヒは俺の耳元でささやいた。 「キョン……、」 沈黙。 「……ユキ」 ユキ? ユキって何だ? 噛んだのか? 困惑することしきりな俺の袖辺りを誰かが掴んだ感覚がある。 振り向くとそこには、 「長門……」 あの、何でこんなところにいらっしゃるんですか? また世界改変しにきました、とか言いませんよね? うん、思わず敬語になってしまうのはなぜだろうね。恐るるべきは長門オーラか。 「こんばんは。いい夜ですね」 長門の後ろから出てきて挨拶する古泉。 「……古泉もか」 まあ、こいつがいつものいけ好かない表情作ってんだから大丈夫だと思うがな。 むしろ大丈夫じゃないと困る。無限ループは勘弁だぞ。 「何やってんの二人で?」 訝しげに言うハルヒに実に嫌な感じなニコヤカ笑いで言い返す古泉。 「涼宮さんはこんな夜遅くに何をしているのですか? ……彼と一緒に」 途端に慌てるハルヒ。今日のハルヒは分かりやすいね。 「な、何でもないわよ。遅くなっちゃったから、送ってくれるって、キョンが……。 ね、そうよね、キョン」 ハルヒの眼は、同意しろと訴えているが、 迫力はいつもの1パーセント未満と言ったところか。 少しからかってやるとする。 こんな時でもなきゃ俺がハルヒをやり込めるなんて金輪際ないからな。 「それだけじゃないぞ。ついさっき告白してな、」 ハルヒの顔が面白いくらいに赤くなる。 「何てこと言い出すのよ、馬鹿!」 俺はわざとらしく言ってやった。 「そうか、俺は振られたのか。そうか、そうか」 ハルヒはもう何がなんだか分からない呻き声をあげている。 そんな俺たちを見て古泉が楽しそうに言う。 「おやおや、やっとですか」 やっと、とは何だ。 「言葉どおりですよ。全くあなたときたら……」 以下、延々と古泉が語り続けたが、要約すると「鈍感」の一言で片付いてしまう。 全く、お前の言い回しはくどいうえに無駄が多いんだよ。 今や時代は省エネだろ。 それに一言いわせてもらえば俺が鈍いんじゃなくてハルヒが分かりづらいだけだ。 「いえいえ、そんなことはありませんよ。例えば……」 延々と(以下略)。 「分かった。取りあえず俺が鈍いということにしておこう」 取りあえずって何よ、とハルヒが言うが無視だ、無視。 「それで話が変わるが、なんでお前らはここにいるんだ?」 古泉は苦笑しながら、 「それは、長門さんに訊いてください。 僕は彼女がどうしても、と言うから付いて来たまでです」 俺とハルヒは同時に長門の方を見たのだが、長門は目をそらしやがった。 長門さん? 「なに?」 そんな「わたしは無実です」みたいな目をするな! 古泉もいたなら止めとけよ。 「僕が長門さんを止められるとお考えですか?」 ……無理だろうな。よく考えれば。 「しかし、これ以上ここにいては『アルバイト』が入るかもしれませんね。 お邪魔虫は退散するとしましょう」 最初はハルヒに聞かれないようにぼそぼそと、 後の方は長門に言い聞かせるように多少大きめの声で古泉は言った。 突然ハルヒも叫んだ。 「あ、キョン。あんたもここまででいいわ! あたしの家すぐそこだから!」 はい? 「また学校でね」 陸上部も真っ青な速さで走り出すハルヒ。これは敵前逃亡ですか? 「逃げやがった……」 もう、なんと言っていいのやら。このやるせない気持ちをどこに持って行けと? それを目の前に持ってくあたり、俺も器が小さいね。 「古泉、お前と長門が俺の家を出てからもうだいぶ経つわけだが、 何でまだ二人で行動してんだ?」 古泉は「お忘れですか」と言って両手を広げてみせる。 無性に腹が立つ。 「僕たちは主義主張は違えど涼宮さんの監視が仕事ですから、あなたの母上が涼宮さんを 引き止めたので、もしかして二人で熱い夜を過ごすのでは……」 長門に睨まれ、咳払いする古泉。朝比奈さんだったら咳払いじゃすまないな。 「失礼。つまり何らかの進展があるのでは、と思いましてね。 この寒空の下ずっと外にいたんですよ。風邪を引いたら労災申請しようと思います」 ……ご苦労なことで。十中八九その申請は却下されるだろうがな。 「ああそうだ、長門。ハルヒはあの世界のことを覚えているのか?」 長門は首を横に振る。 「そっか」 一安心だね。……だがしかし、今、誰と、一緒にいるかを俺は考えるべきだったね。 そう、あの解説大好きな古泉が黙ってるわけがない。 結局というか当然というか、俺から話を聞いたあと古泉は語り出した。 俺もなれたもので華麗に聞き流している。 こいつの話に耳を傾けるくらいなら、シャミセンと話してた方がまだましだ。 どっちにしろ意味はなく不毛な事この上ないが、 後者の方は俺の気が紛れるだけまだましとも言えよう。 十分をこえたあたりから、肌寒さを感じるようになった。 コートをハルヒに貸してしまい、そのハルヒが逃亡してしまったわけだしな。 風邪を引いたらどうしようか。ハルヒと古泉に慰謝料でも請求するか。 ハルヒはたぶん風邪を引く方が悪いと言うんだろうな。古泉は……。 止めておこう。ここで古泉の思考をトレース出来たら何か大事なものを失う気がする。 「……と考えられます」 どうやら締めたらしい。さあ、帰るか。 「待って」 どうした、長門? 「風邪を引くといけない。コートを構成する」 そう言い終わるや否や、長門の手にはコートがかかっていた。 「ありがとう、長門」 ……ところで何でピンクに花柄? 「嫌い?」 そんな目で俺を見ないでくれ。 「いやいやいや、そんな事はないぞ! 大好きだ!」 押し殺した笑い声が聞こえる。 「笑うなっ、古泉!」 「失礼。ですがあなたの慌て方が、あまりにあまりなもので。 ……似合ってますよ、花柄」 そう言って耳障りな笑い声をあげる古泉。 殴りてぇ……。 「おや、似合ってると言われるのは嫌ですか?」 そう言って視線を長門の方におよがす古泉。うまい具合に長門を盾にしやがって。 「……俺はもう帰る。 ありがとな。コート、あったかいぞ」 俺は長門にお礼を言ってから、さっきまで歩いてきた道を引き返すことにした。 「また明日」 長門はそこで逡巡し、 「――」 ようやく長門の口からこぼれた言葉は無粋な北風に持って行かれた。 でも、長門のとなりにいる古泉の驚いた顔を見りゃ何て言ったか分かろうってものだ。 俺は答えた。 「ああ、また明日な。――」 家に帰ると妹とおふくろに笑われた。ほっといてくれ。 ……それにしても、『今日』は一日というにはあまりに長い一日だったな。 事実、意識のうえでは一週間ほどすぎている。 布団に潜りつつ俺は考えていた。あの改変世界が俺に何をもたらしたか。 一番分かりやすいのは俺がハルヒに告白したことか。 だがあのハルヒのことだ。これくらいじゃ変わりゃしないだろう。 となればハルヒ率いるSOS団だって現状のままだろう。 つまり俺はこれからもあの超常的な日常を送るわけだ。 そんな予想が覆されるとは考えもしなかった。 だが、それは起きた。 俺がそれに気付いたのはいつくらいだったろうか? あのハロウィンの夜から二週間くらいだったか。 俺は何か物足りない、そんな風に思うようになってた。 まだハルヒから返事を聞かされてないことにか? それもあるだろう。だが、何かもっと大切なことを忘れてないか? この二週間を思い返してみる。 平日には普段どおり古泉の相手をしながら、朝比奈さんの淹れてくれたお茶を飲んでいた。 そして、土曜日には恒例となった市内探索を――。 していない。 それだ。俺の感じた違和感、ハルヒが静かすぎるんだ。 七夕の時みたいな憂鬱さゆえの静けさでもないし、嵐の前の静けさとは程遠い。 あの涼宮ハルヒが完全に大勢いる高校生の中の一人として振る舞っているのだ。 「普通」、それはあいつがもっとも嫌うものじゃなかったのか? 違和感のもとに気付いてしまうといてもたってもいられなくなった。 昼休みに弁当食おうと誘う谷口と国木田を無視して俺は文芸部室へ向かった。 そこには予想通りの長門と予想外の古泉がいた。 「そろそろ来る頃合だと思ってましたよ」 古泉の似非スマイルが二十パーセント増量なことに腹が立つ。 「本題だけ聞こう。ハルヒが……」 「世界改変でもなければ、敵性存在の攻撃でもありません。 特にイベントの予定もないですよ」 俺が訊こうとしたことを先回りして全て答えてしまう古泉。 「じゃあ、あいつの様子はなんだっていうんだ? 明らかに今までと違うだろう?」 「昔、話しましたね、彼女もその実、まともな思考形態を持つ一般人種だと」 それがどうした。 「今、涼宮さんの精神は小休止を取っているのですよ」 「ますます分からん」 古泉の顔が笑顔の形に歪む。こいつは俺が分からないのが楽しいんじゃないのか? 「そのうち涼宮さんから直々に教えてもらえると思いますよ。 大事なことは今の涼宮さんも涼宮さんであるということです」 要するに今のハルヒを否定すんなってことか? 「似たような物ですね。もちろんすべてを許容しろとは言いません。 しかし今の彼女も涼宮ハルヒであるということをお忘れなく。 ……僕からはこんな所です」 古泉の話は終わりか。長門は? 「これ」 またいつかのような分厚い本が渡される。今読んだ方が良いか? 「帰ったらよんで」 それだけ言うと指定席に着き本を読み始める長門。 結局、ハルヒはしばらくこのまま様子見、か。きっと長門の本には栞が挟んであるんだろうな。 一つの懸案事項を解決するために部室に行ったはずなのに、 その目的を果たし損ねたばかりかさらにもう一つ懸案事項を抱えるはめになるとは。 「やれやれ」 そして教室についてさらに一つ悩みの種が芽生えることとなった。 「おい、ハルヒこれは何の真似だ?」 俺の目の前には空になった俺の弁当箱があった。 形ある物はいつか滅びる、当然の摂理である。 そうであるが、なぜ俺の弁当がハルヒの手によって空にされねばならんのか? 「良いじゃない。今日あたし財布忘れちゃったのよ」 お前はそれでも良いかもしれないが俺はどうしろと? そう俺が言うとハルヒは何かを思い付いたらしく顔を輝かせた。 「じゃあ、今度あたしが特別に手料理を食べさせてあげるわ! それでおあいこでしょ? いいえ、むしろあんたの方が得してるわよ? このあたしの料理を食べれるんだから!」 さも名案といったように語るな。 「今の、俺の空腹はどうやって解消するんだ?」 「我慢しなさいよ、それくらい」 誰のせいだと思ってるんだ、こいつは? まあいい。ハルヒにこんなこと言ったって聞いてくれるはずがない。 それにしてもこのいかにもハルヒらしいやり取りは久々だ。俺は弁当箱を包みながら、 「……なあハルヒ。思うんだが、近ごろお前丸くなっ――へぶっ」 見事な右ストレート。 「仮にも女の子に向かってなんてこと言うのよ!」 仮にもって自分で言うか、普通? 「違う。体型が、じゃなくて性格が、だ」 途端に体中にたぎらせていたエネルギーを霧散させるハルヒ。 「そうかもね……」 いったん間をおき、 「キョン、放課後ちょっと付き合って」 放課後の文芸部室が重い空気に包まれていたと感じるのはどうやら俺だけらしい。 長門や古泉、朝比奈さんはまったくもっていつもどおりだ。 もっともさっきから盤越しに意味ありげな視線を送る古泉には軽く殺意を覚えるが。 このボードゲームでコテンパンにのしてやろうか? 「珍しいですね」 「……同感だ」 そしてなぜ……、なぜ今日に限って古泉に敗北しなければいかんのか。ええい、忌々しい。 負けっぱなしは気分が悪いが再戦を申し込むのも負けず嫌いなガキくさいし、 (そんなことを気にする時点でガキくさいってのはこの際だ、棚に上げておこう) どうも古泉の野郎はこのまま勝ち越しで終わるつもりらしい。 ちっぽけな自尊心を傷つけられて、名誉挽回のためには もっと大事な物を傷つけるはめになるというジレンマに陥ったわけだが、 定刻通りに長門が本を閉じる姿に助けられた。 ゲームを片付け始める古泉に、 「早くしなさいよ!」 ハルヒに引きずられるようにして部室を出ていく俺。 部室に残された三人の目は「頑張れ」と言ってたような気がする、というかそうであって欲しい。 高校を出て、坂を下りきるまでハルヒは終始無言だった。 「一年生の時にさ、」 ようやく口を開いたハルヒ。 「野球場の話したでしょ? 今日はその続きの話。 谷口辺りから聞いてるかもしれないけど中学一年の時、 校庭に宇宙人語を描いたことがあるの。そのとき手伝ってくれた高校生がいてね、 そいつはジョン・スミスって名乗って、あたしが『宇宙人、いると思う』って訊いたら 『いるんじゃねーの』って答えるような奴だったわ。 しばらく話したんだけどジョンの周りには面白い人達がいたみたいでね、それが羨しかった。 ……でも、あたしは一つ許せないことがあったの。ようやく完成してあたしが家に帰る途中に そいつ最後になんて言ったと思う? 『世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく』って言ったのよ! その頃のあたしは世界が自分を中心に回ってないってことをあの球場で実感して、 だから自分で自分の世界を楽しいものにしようって四苦八苦してたから、 そいつの発言にいたく傷ついたわ。 『俺が世界を盛り上げてるんだ』って事でしょそいつの台詞は? 悪気はないんだろうけどあたしの努力を否定された気がして。 だからSOS団の名前もジョンの台詞を借りたし、 活動目標もそいつがいるんじゃないかって言った宇宙人やなんかを探すことにしたのよ。 要するにそいつに対抗しようとしたわけ」 なんとまあ、ハルヒの異常なまでの不思議への執着も俺が原因なのか。 「でも、ジョンが嫌いなわけじゃなかった。 ジョンより面白い人生を送ってやるって目標のおかげであたしはここまでやってこれた。 ジョンはある意味あたしの目標で憧れで……、そうね、初恋の人ってよんでもいいかもね」 ハルヒにとって俺とジョンは別人だろうが、実際は俺がジョンなわけだから、 気恥ずかしいことは海より深く山より高い。今すぐ穴に入りたい気分だ。 「あんた今日、あたしの性格が丸くなったって言ったでしょ? 丸くなったんじゃなくて、あれもあたしなの。普段はジョンへの対抗心から隠してたんだけどね。 でも、あんたに告白されてからこんな日常もいいかなって思えて来て……」 そこまで言って黙るハルヒ。 俺に告白されてから普通の日常でもいいって思えてきた? 「それは遠回しにオーケーされたってことか?」 「……確かめてみれば?」 ニヤリと笑うハルヒ。やれやれ。 「ハルヒ。好きだ、付き合ってくれ」 ハルヒは偉そうに、 「どーしてもって言うなら、いいわよ」 何で告白がこんなにムードのかけらもないんだ? 寂しいな。 「どーしても、だ」 「じゃあ、あんたは今からあたしの彼氏よ」 だから、あっさりしすぎだっての。もうちょっと雰囲気とか……なあ? 「いい? あんたが普通のことしたら容赦なく振っちゃうからね、覚悟しなさいよ!」 人差し指を俺に突き付け宣言するハルヒ。 やれやれ。結局こいつはこうなるわけか。 「何ぶつぶつ言ってんのよ。あたしはまだ宇宙人も未来人も超能力者も諦めてないのよ! そいつら見つけてひっ捕まえてぐるぐる巻きにしたら、 今度はジョンを探し出して『参った』、って言わせるんだから!」 お望みなら今すぐ言ってやるよ。長門、朝比奈さん、古泉と一緒にな。 「そしたら……、しばらくは普通の女の子でいてあげる」 ハルヒは続けて、 「でも、特別に今も普通になってあげるわ」 目を閉じるハルヒ。 倣って俺も閉じる。 夕日に照らされてできた俺たちの影が重なる。 目を開けるとハルヒが笑っていた。 俺もたぶん笑っている。 だが普通なことはここまで。 明日からはまた、ハルヒによる奇想天外、波乱万丈、驚天動地の俺の日常が始まるんだ。 めでたしめでたし。 ……と、終わってくれたらどんなに良かったことだろう。 ところがこの瞬間ふと思い出した。長門が貸してくれた本の存在を。 あの脈絡のない渡し方からいって栞がはさんであるのはもはや規定事項レベルであり、 あいつが本に栞を挟む時は大抵大事な話がある時だけだ。 あいつの大事な話ってことはまた一波乱、二波乱あるのはもう目に見えている。 「どうしたのよ、突然マヌケ面を作ってあらぬ方角まで見つめちゃって」 「いや、何でもない」 勘のいいこいつのことだ、俺の嘘に気付いているだろうが、「ふーん」と軽く流してくれた。 「また、明日ね、キョン」 「おう」 ハルヒと適当なところで別れ、家に帰り着くや否や俺は本を開いた。 やはりそこには一枚の栞があった。ワープロ顔負けの綺麗さでそこには、 「午後七時。わたしの家で待つ」とあった。 俺は六時半頃に家を出て、自転車をこぎつつ一体今日は何の用かと考えていた。 七時ちょうどに長門のマンションにつき、708号室の番号を押した。 「長門、俺だ」 「入って」 一体何回繰り返しただろう、このやり取りを。 そしてまた長門の部屋に入る。 「それで、今日はどうしたんだ?」 俺の疑問が聞こえないのか、どうなのか。長門はそれに答えずただお茶をだした。 「飲んで」 そう言われれば飲まないこともないが……。とりあえずお茶を啜る俺。 「改変世界でのあなたが最後にしたこと、覚えている?」 あいにくと最後の方は意識が朦朧としていたんだ。 「……そう」 そんな悲しそうな雰囲気を醸し出さないでください。お願いします。 「そう」 それからしばらく俺はお茶を飲み続けた。 空になった急須。何時かのように腰を上げた長門を制す。 「そろそろ聞かせてくれないか」 「……」 ストンと腰を下ろした長門はしばらく黙っていた。 「……情報統合思念体がわたしの処分を、」 おいおい、またか。もう一度くそったれと伝えてもらうことにしよう。 「決定した」 むせた。 決定だと? この腹の底からフツフツと何かが沸き上がる感触は去年の文化祭以来だ。 情報なんとか体は記憶力ゼロか? 「おい。それはマジか」 「そう。彼らはわたしが脱出プログラムを用意しなかったことを重要視している。 彼らはわたしの中のエラー、バグが許容限界を超えたと判断した。 ゆえにわたしは回収され、処分される」 「おい、長門。もう一度くそったれと伝えろ。今度こそ俺はハルヒを焚き付けてやるぞ」 長門はうなずいたあと黙ってしまう。 「……なあ、なんでまた突然そんなことになったんだ?」 長門は黙ってしまう。 それからは何を訊いたって、うんともすんとも言わなかった。 どうやらこれ以上聞かせてくれないらしいので俺はお茶の礼を言って部屋を出た。 「長門、ちゃんと伝えておけよ」 うなずく長門。その姿にあきらめが漂っていたのは恐らく気のせいだ。 家に着くとおふくろにどこへ行っていたのかと問い質されたが、 俺は生返事しながら部屋に引っ込んだ。 そもそも思念体とかいう奴は何を考えているんだ? 俺たちが黙って長門を消させるわけないだろう。 だがいくら考えたところで馬鹿野郎の考えなんざ分かるはずもなし。 気付けば俺はベットの中で熟睡していた。 次の日ほど一日が長いと思ったことはない。 そしてやっと訪れた放課後 偶然か故意か知らないが部室には俺とハルヒしかいない。 「なあ、ハルヒ」 「何よ?」 はい、深呼吸。吸ってー、吐いて。よし。 「ちょっと話を聞いて欲しい」 「……? いいわよ」 とりあえず最後まで聞いてくれ、と前置きしてから、 「単刀直入に言う。長門は宇宙人で、朝比奈さんは未来人、古泉は超能力者だ」 「はあ? あんた前にも……」 叫ぶハルヒをある一言で黙らせる。 「俺がジョン・スミスだ」 世界が停止したかと思われた。 「あんたが……? そんなわけないじゃない。あたしより三つか四つぐらい上のはずよ」 「だから言ったろ、朝比奈さんは未来人だって。 ジョンは眠ってる女の人を連れてただろう、それが朝比奈さんだ」 ハルヒが口を開いたり閉じたりしている。あまりのことに頭がついていけないのか。 「お前はあの日織り姫と彦星宛にメッセージを書いたはずだ。『あたしはここにいる』と」 「……何で分かったの?」 「長門が翻訳してくれた」 駄目押しの一撃を受けてハルヒはまた黙ってしまった。 「……つまり、あたしはもうとっくに目的を果たしていたの?」 そう言うことになる。徐々にハルヒの顔が紅潮していく 「あんたがジョンだなんて……、なんで突然そんなこと言うのよ! 昨日までそんなこと一言もいわなかったじゃない!」 「昨日まではお前に言うわけにはいかなかったんだ」 「何でよ?」 「普通に考えたら宇宙人に未来人に超能力者がピンポイントで集まるはずはないよな」 うなずくハルヒ。 「三人が三人とも同じ目的でここに来たんだ。それが――」 「何をしているんですか!?」 突如古泉が乱入した。俺の胸倉を掴みあげてあっと言う間に壁際に追いやる。 「あなたという人は自分が何をしているか分かっているんですか!?」 「ちょっと、古泉くん何やってるの?」 鬼気迫るとはこのことか。ハルヒが目の前にいるのを忘れていやがる。 「……古泉、雪山での約束忘れちゃいないよな?」 古泉はそれだけで察したらしい。手の力が抜ける。 「……長門さんが?」 「そうだ」 ハルヒが尋ねる。 「有希がどうしたの」 伝える内容が内容だけに俺の声も重く、低くなる。 「長門が作り主に処分される」 ハルヒの表情の変化をお伝えしよう。 口を開いて呆然とし、次の瞬間には顔が蒼白になった。 なったと思ったらいきなり顔が真っ赤になった。 「何よそれ! あたしは絶対に許さないわよ! どこにいるのそいつらは? 今からギタギタにして来るわ!」 ちょっと落ち着け、ハルヒ。 「それで、さっきの続きに戻るわけだが、三人の目的はハルヒ、お前の観察だ」 さすがのハルヒもこれは予想していなかったらしい。 「へ? あたし?」 俺に変わって古泉が口を開く。 「ええ。 かなり真実に近い仮説だと我々は考えているのですが、涼宮さん、あなたには――」 「願望を実現させる力がある、でしょうか?」 突然どこかで聞いた声が響き、部室が歪んだ。俺が教室で朝倉に殺されかけた日のように。 こんなことができるのは、 「喜緑さん、ですね?」 しまった、これは予想外だ。さすがの穏健派も自身の存在の危機とあっては動くのか。 「そんなに構えないでください。わたしは確認しに来ただけです」 「何を確認するって言うんですか?」 喜緑さんは笑顔を崩さず小声で何かをつぶやき始めた。 「……キョン、この人も?」 「見ての通り長門の親戚だ」 非常にまずいな。 「……やっぱり」 何事か確信したらしい喜緑さん。 「通りで主流派が長門さんを回収したんですね」 何を納得したというのか? 「残念ですがと言うべきでしょうか、おめでとうございますと言うべきでしょうか? ……ともかく涼宮さんから情報爆発を起こすだけの力はもう検出されませんでした」 全く意味が分からん。 「涼宮さんに『力』がもうないということです」 古泉が消え入りそうな声で言う。 「つまり、俺たちは……」 「もう、思念体を止められません」 ようやく合点がいった。 思念体が長門の処分を決定したわけが。長門が諦めていたわけが。 もう、俺には何も出来ないのだ。 「キョン、どういうことよ? 有希が、いなくなっちゃうの?」 もう言葉を発する気力もない俺はしぐさで肯定した。 「何あきらめてんのよ! まだ何か出来るはずよ!? いいえ、何とかしなさい!」 そう叫ぶハルヒの声に湿気が混じっていた。 「最後に長門さんからの伝言があります」 全く動揺を見せない喜緑さん。 「あなたは全く動揺していないんですね」 「ええ、彼女とは違う派閥ですし、あなたたちの言う死の概念がよく分からないんです。 心停止、および脳死。たったこれだけじゃありませんか」 この台詞だけでどれだけ長門が人に近付いているかも分かろうと言うものだ。 「……長門の伝言、聞かせてください」 「『また図書館に』だそうです」 喜緑さんが言い終わると部室が元に戻った。 「……おや、長門さんが何らかの情報操作をしていますね。 彼女はエラーとバグを切り離して何かに保存しているようです」 エラーとバグ、ね。この人にはたぶん感情の概念もないんだろうな。 笑っているのは外見だけか。 「長門さんの所へ行かないのですか?」 「まだ、長門は消えてないんですか?」 不思議そうに首をかしげる喜緑さん。 「ええ。なぜか思念体に抵抗していますね。消えるのは時間の問題ですけど。 この様子だと情報の残滓と接触くらいは出来ると思いますよ」 途端に活気づくハルヒ。 「喜緑さん、有希は図書館にいるのね? ほらキョン、行くわよ!」 俺を掴んで全力疾走するハルヒ。 つられて俺も自分の限界以上の力をふり絞る。 走りに走った。 肩でいきをしながら俺たちは図書館に駆け込んだ。 「キョン、あそこ!」 どうやら間に合ったらしい。そこにはまだ長門がいた。 「長門!」 ゆるりと振り向く長門。 「待っていた」 「有希! まだ消えてないわね!? て言うより消えるなんて許さないわよ!」 長門が笑った気がする。 「あなたに教えたいことがある。来て」 長門の手招きに応じるハルヒ。そのハルヒの手に長門の手がふれた。 「え、何これ? ……キョン、有希?」 頭を押さえるハルヒ。 「長門、何をした?」 「改変世界の記憶を修復した。一度の情報転送量を誤った。大丈夫、すぐ治まる」 そう言う長門の姿が薄れていく。 「時間。最後に、あなたたちにこれを預ける」 差し出された図書カード。 俺はそれを受け取った。 「また、図書館で」 その言葉を残して長門は消えた。 「マジかよ」 凄まじい虚無感だ。 「ちょっと、キョン」 なんだ? 「あんな事したんなら、有希をちゃんと幸せにしてあげなきゃ駄目じゃない」 「俺が何をしたって? ……いてっ、蹴るなよ」 「馬鹿キョン……」 ハルヒはまだ長門のいた辺りを睨んでいた。 …… ……… 終幕
https://w.atwiki.jp/utapri_shininglive/pages/1609.html
ステータス基本パラメータ 衣装 ボイス 入手方法 備考 コメント ステータス 基本パラメータ 変化前 変化後 (画像1) (画像2) 【トゥインクルハロウィン】美風藍 アイコン No. 583 TOTAL DANCE VOCAL ACT 特技 カットインボーナスのスコア20%上昇 レア度 SR Lv40 3244 722 1361 1161 サブ特技 フルコンボクリア時+27000スコア 属性 スター MAX 4130 950 1690 1490 メインスキル スターのVOCALパフォーマンス50%上昇 編集 衣装 ボイス 1 2 入手方法 スペシャル撮影:Halloween Starry Party Time後半(2019/10/15~2019/10/31) 備考 コメント
https://w.atwiki.jp/monmas_x/pages/2172.html
ハロウィンカトレア 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) 悪魔 魔法 火・雷 ★5 25 1588 922 2477 1101 1259 常夜のカンテラ 【全】魔力2倍+赤種族からのカウンター無効化 ★6 40 1985 968 3567 1204 1511 誘香の燈火 【全】魔力2.5倍+赤種族からのカウンター無効化+【族】素早さ1.5倍 詳細 覚醒 50 紅灯の幻夜 【個】赤種族にダメージ1.3倍 2017年10月 ハロウィンガチャ限定 評価:S 族長クラスの魔力2.5倍に【族】素早さ1.5倍で先手が取りやすくなります。 赤種族のアンチカウンターも持っているので対人間・妖怪戦では積極的に使いたいモンスターです。 アビリティ 【個】人間族からのダメージ15%カット 【個】妖怪族からのダメージ15%カット 【個】攻撃に沈黙蓄積6追加 【個】魔力が600アップ 【個】赤種族に対してダメージ30%アップ 進化素材 悪魔の魂×3、悪魔の超魂×2、悪魔の極魂×2、虹の超魂×2、1,000,000G 覚醒素材 アラハバキ×2、アイスセルキー×3、聖三頭龍×2、ヴラド三世×3、1,000,000G ★5・★6スキル トリックブラスト 【魔】敵全体に火と雷属性魔法 マナランタン 自身のMP30回復+パーティーのMPを10回復 覚醒スキル ホーンデッドヘル 【魔】敵単体に凄まじい火と雷属性魔法 ダメージ限界値1.3倍 トリックブレイザー 【魔】敵全体に凄まじい火と雷属性魔法 ナイトプリズム 自身のMP35回復+パーティーのMPを10回復 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/monmas_x/pages/2735.html
ハロウィンアタランテ 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) 神 魔法 全 ★5 25 2005 838 2753 1042 1039 紅月の灯火 【全】連続魔法+HP30%以上で即死回避 ★6 40 2687 889 4019 1187 1184 暗闇の祭典 【全】3連続魔法+攻撃を受けた次ターン与ダメージ2.5倍+HP30%以上で即死回避 詳細 覚醒 50 セクシーウルフ 【全】3連続魔法+攻撃を受けた次ターン与ダメージ3倍+HP30%以上で即死回避
https://w.atwiki.jp/monmas_x/pages/2723.html
ハロウィンヘラクレス 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) 神 攻撃 火・雷 ★5 25 1921 2870 1101 753 1032 万聖の美酒 【全】攻撃力2.5倍+通常攻撃全体化 ★6 40 2747 4018 1244 822 1135 漆黒の公爵 【全】攻撃力3倍+全種族にダメージ2.2倍(重複なし)+通常攻撃全体化 詳細 覚醒 50 鮮血のワイン 【全】攻撃力3.5倍+全種族にダメージ2.2倍(重複なし)+通常攻撃全体化