約 2,428,489 件
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/276.html
ひとつ屋根の下 ◆AZWNjKqIBQ 昇り始めた朝日から放たれる光を、一様に東側の壁で受け止める住宅の群れ。 その中の一つ。特に他とは変わりのない一軒の民家の中に彼らはいた。 それは、スバル・ナカジマ、アルフォンス・エルリック、マース・ヒューズ、泉こなた――の四人だ。 先程までは、そこより西にあった大きな橋の下に潜んでいたが、 陽が昇り始めたことで明るくなってきた事と、海から吹き始めた風が思いのほか冷たかったために、 これでは休むに適さないと隠れる場所を屋内へと移したのだった。 無断で場所を借りたその家は、大きな通りから二つの小さな通りを隔てた場所にある、庭付き二階建ての一軒屋である。 別に金持ちの家というわけではなく、安く余った土地にそこそこの家が建てられているといった感じで、 その周りに立ち並ぶ住宅も似たような感じだった。 適度に見通しがよく、他者を警戒しながら潜むには都合がよい場所であった。 もちろん、この選択は要人警護などに精通したマース・ヒューズ中佐によるものである。 ◆ ◆ ◆ 「そっちはどうだ?」 ヒューズのその問いかけに、二階より降りてきたスバルは、 「はい。誰かが入ってきていたり、隠れているということはないと思います」 と答えた。それに満足すると、ヒューズは彼女に向って頷き、二人揃ってリビングへと戻る。 そこには、ソファに横になったこなたと、彼女を抱えて運んできたアルの姿がある。 「大丈夫かい? こなたちゃん」 リビングへと戻って開口一番に放たれたヒューズのやさしい言葉に、小さな彼女は、 「ん。もうほとんど平気です」 と、横になったままの姿勢で答えた。その身体の上にはこの家で調達した毛布がかけられている。 「じゃあ、そろそろ俺は駅の方へ偵察に行ってくる。」 潜伏している家の調査をあらかた終わらせた後、リビングでお茶を一口飲むと、そう言ってヒューズは立ち上がった。 そして、部屋の端に固めて置かれているバックの内、アルの物であった所から二つの物を取り出す。 こいつを借りていくぞと、片手に見せたのは軍隊の中でも使用される単眼鏡だ。 そしてこいつもと、もう片方に持った物を慎重にテーブルの上へと置くと、その包みを解いた。 「鋏……ですか」 「ああ。しかしこのままじゃ、無用の長物だろう?」 ヒューズが取り出したアルに支給された最後の品。それは12挺の、銀色の鋏だった。 これをそのまま武器とするには、やや使い勝手が悪いと言わざるを得ない。 なので、これをアルの錬金術で他の物へと練成してくれないか――と言うのが、ヒューズの頼みごとだった。 もちろん、これはそもそもアルの所有物であるため、その最終決定権は彼にある。 「いいですよ。ナイフで構いませんか?」 間を置かずしてアルはそれを快く承諾した。鋏は彼にとっても不用品で、これを断る理由はない。 そして、ヒューズの肯定を受けると、アルはバックからペンとメモを取り出して手早く練成陣を作り、 銀色に輝く12挺の鋏をその中央に置いた。 初めて見る錬金術に、スバルとこなたの二人は興味深げに注目する。 一瞬の後、練成陣の上に細い稲光と薄い煙が立ち上がり、12挺の鋏は12本の短剣へと姿を変えた。 目の前で起こった奇跡に、こなたとスバルの二人は小さな歓声と拍手をアルに贈る。 「兄さんほどじゃないから、強度と切れ味は保証できないけど……」 「謙遜だぜ、アル。じゃ、これはありがたく使わせてもらうよ」 言いながらヒューズはそれを懐に仕舞うと、改めて外へと向った。そして見送る三人に、 「アル。こなたちゃんを護るのはお前の役割だ。いざとなったら、その身体を盾にして護ってやるんだぞ」 「スバル。警戒と言っても緊張しすぎるのはだめだ。自分の中で適度な緊張感を保つよう意識しろ」 「こなたちゃん。君は今のうちによく休んでおくんだ。二人は頼りになる。心配することはないよ」 とそれぞれ言葉を残すと、扉を潜りその家を後にした。 ◆ ◆ ◆ (……期待が外れちまったな) 駅へと向かう道すがら、ヒューズは先程の家の中で集めた情報を、頭の中で整理しながら進んでいた。 民家に入ることを提案したのは彼自身だったが、それは何も休むためだけということではない。 目的は三つ。その内の一つは休息することだが、残りの二つは――監視体制の調査と、この世界の住民の行方である。 監視体制。つまりは、盗聴や盗撮。 狭い屋内に入り込めば、家捜しや外敵の侵入をチェックする振りをしてそれらを見つけることも容易いかと思ったが、 結果は芳しくなかった。残したスバルにも引き続き調査するよう指示してはいたが、期待薄だ。 ここから導き出される可能性はいくつもあるが、 まずポジティブに考えるとしたら――最低でも民家などの中は監視されていないという可能性がある。 しかしこれは前向きすぎるだろう。後に足元を掬われかねない。 最悪の可能性を考えるとしたら――自分達には思いもつかない方法や技術で監視されているという可能性。 やはり、こちらの線が強いと今は認識しておくべきだろう。魔法があるのだ。それ以上があっても不思議ではない。 そして、あそこで得られたもう一つの情報。 民家の中に入るそれまでは、姿を消した住民の行方を追えば、あるいは脱出の手がかりになるかと思っていた。 だがあの中で調べた限りは、元の住民達は忽然と姿を消されたとしか思えない。自分達がここに来た時同様に。 拉致や、避難させられた痕跡がないのはもちろん。日常生活の跡がまるで突然途切れたかのように残されていた。 これは、やはり自分達同様に何らかの不可思議な力で転移させられたとしか考えようがない。 何万人と居たであろう住人全てが――恐らくは一度に! 螺旋王が持つ力の強大さ、その空恐ろしさにヒューズの身体がわずかに身震いする。 だが、それはまだ始まったばかりだとヒューズは思考を切り替え震いを払った。 まずは仲間を探す事。自分達の顔見知りと合流することも大切だが、全く別世界の仲間も欲しい。 そうすれば、また情報も増える。圧倒的な力に対し、情報戦で切り込んでいくのは自分の領分である。 そのためにもと、ヒューズは駅の方へと向ける足を早め、その蒼い姿を目立たぬ路地の中へと滑り込ませた。 ◆ ◆ ◆ 「……ここも、OKと」 外に繋がる戸や窓を一つ一つ指差し確認しながら、スバルは家の中を一部屋ずつ回っていた。 ヒューズに言われた通りに、外敵の侵入に警戒するだけでなく、家の中に監視装置がないかも探しながら。 扉を閉め部屋の中から廊下に出たスバルの顔に、僅かながら笑みが浮かぶ。 同行するヒューズとは同じ軍属の身ではあるが、彼女は前線に出て戦う魔導師。つまりは兵士だ。 逆に、彼女に指示を与えたヒューズは後方支援。その中でも特に裏方に当たるエージェント。 彼から与えられた、まるで映画の中のスパイのような指示に、スバルの心は不謹慎ながらも浮き立っていた。 (……~♪) エージェント・スバルが大活躍し、みんなを助けて大団円。そんな未来を夢想しながらスバルは捜索を続ける。 広い家の中を端から端へと進み、そして彼女はついにその扉を開いた。 そこは家の大きさに相当する、広い台所だった。 怪しい人影などはない。だが、入った途端に、それまでスバルの顔に浮かんでいた余裕は消し飛んだ。 そしてそれと入れ代わりに聞こえてくるのは――……獣が発する唸り声の様な低い音。 ◆ ◆ ◆ (……暇だなぁ) ヒューズが家を出る際、君はできるだけ動かないようにとこなたは釘を刺されていたのだが、 体力も回復し、周りにも安全な人間しかいないと解ると、あれだけ高まっていた緊張感も次第に緩くなってきていた。 ソファの上から部屋の中を見渡しても、こなたの興味を引くような物は発見できない。 ゲーム機は勿論なかったし、DVDラックに収められているのも見知らぬ時代劇ものばかり……と、 「そういえばさ。あたしの支給品って、他はなんだったんだろう?」 最初に一つ拳銃を取り出したところでアルと出会った為に、他の支給品はまだ未確認だったことをこなたは思い出す。 「そうだね。じゃあ今のうちに確認しておこうか」 言いながら立ち上がると、アルはこなたのバックへと手を伸ばす。 そして、そこからゆっくりと取り出されたのは……一本の大きな山刀――マチェットだった。 巨躯であるアルが持って、丁度釣合いが取れるぐらいの大きさで、鞘から抜くとその刃がギラリと光を反射した。 刃の背に当たる部分にはギザギザの鋸が刻まれており、その大きさと相まってまさに凶器といった様相を醸し出している。 「……う~ん。これはあたしには装備できません。って感じだなぁ。」 「……そ、そうだね。じゃあ、他にもないか見てみるね」 再びアルがバックの中に手を入れて引き抜くと、次に出てきたものは先程よりもさらに凶悪なものだった。 (か、神殺し……!) こなたが胸中でそう思ったソレは、――巨大なチェーンソーだった。 今度の物は、アルが持ってもなお大きいと思わせるサイズがある。 こなたの胴回り以上もの太さのエンジン部分に、2メートルもの長さのチェーンを通すバー。 重さはゆうに20kg.程もあり、さらにこれを稼動させて振り回すとなると、相当の筋力が要求されると想像できる。 「……はは。これは絶対に無理。”こなたは装備できません”だ」 「……ハハ。ボクでもギリギリかも」 と、これでこなたに支給された物は出揃った。最初の拳銃も合わせて考えれば、これは当たりの部類に入ったろう。 もっとも、後の二つは威力はあるが、とても彼女に扱いこなせるような物ではなかったが。 アルが取り出した武器を改めてバックの中に仕舞って、ついでにと切れたストラップを修復していると、 そこに家の中を再チェックしていたスバルがふらりと帰ってきた。 彼女の顔色は先程よりも心なしか悪い様に見える。それをいぶかしむ二人に、彼女は――……。 ◆ ◆ ◆ 「……30分から、1時間ってところか」 先を焦がした枯れ草。土に刻み込まれた足跡。コンクリートの床に残った黒い煤。そして、壁にかかった乾いた血。 駅の隣に開けた空き地に残っていた戦闘の痕跡を検分したヒューズは、それがあったであろう時間を推測する。 (痛み分けだったみたいだな……) 焦げた床から炭と化した繊維質を取り上げ、ヒューズはそう推測する。 土の上に残った足跡から推測するに、ここで戦闘を繰り広げたのはおそらく三人。そして最低でも内二人が大きく負傷。 壁際に残された血溜りの跡からは真っ赤な足跡が、焦げた地面の上からも黒い煤の足跡が伸びている事から、 お互いにどちらも死には至っていないらしい……。 足跡はどちらもすぐに途切れてしまっているために追うことはできないが、どちらも北東方向へと向かっている様に見えた。 派手で特徴的な戦闘痕は様々な情報を、それを観察する者に伝える。 そして、それによりヒューズが確信したのが―― 「……何やってるんだ。アイツは」 此処に、さっきまで彼の親友であるロイ・マスタングがいたという事だ。 ヒューズは親友の愚行に、ポケットの中の発火布でできた手袋を握り締める。 燃料を使用せずに対象を直接燃焼させ、爆炎を起こす彼の能力の痕跡は、非常に特徴的で解りやすい。 もちろん、直接見た訳ではないからそれだけでは断言できない。他にも同等の能力者がいるとも考えられる。 だが、そんな可能性は床に転がった銀色のボタンが決定的な証拠となって否定していた。 「いつもいつも、勝手にでしゃばって来やがって……ケツを持つ方の気持ちも考えろってんだ」 恐らくは斬撃を受けた時に落ちたのであろう、彼の胸にある物と同種のボタンを拾いながら、ヒューズはひとりごちる。 彼の親友であるロイの目的は組織の中でトップを目指す事であり、ヒューズの目的は彼をその位置まで持ち上げることだ。 だが、上に立つ者は怠慢なぐらいが丁度よい……と言うのに、正義感と責任感が人一倍強い彼の親友は、 度々勝手に現場に出てきては、自分で直接物事を解決しようとしてしまうのだ。 今回のコレも、その結果であろうことが容易に想像できる。 溜息を一つつくと、ヒューズは壁際に放られたままのデイバックを拾った。 ここに落ちているということは、おそらく親友の持ち物だったのであろう。 そして、これは彼が荷物を拾う余裕すらなくここから離れたことを意味している。 「……銃が二挺、か」 置き去りにされたバックの中から出てきたのは二挺の拳銃だ。しかしどちらも偽物で、実弾が出るものではない。 どちらも見た目はリアルな拳銃そのものなのだが、片方は水鉄砲。もう片方は銀玉鉄砲だった。 ランタンが抜き出されていた事から、やはりこのバックが親友の物だったということと、 そして、やはり彼は不運な男だったということを確認すると、もう一つ溜息をついてヒューズは立ち上がる。 「……お前の方が死んじゃあ、元も子もないだろうが」 壁に残された血痕や、付近の地面を穿つ金属片を見やれば、親友がどういった状態に陥っているか察するのは容易い。 だが、ヒューズは親友を追おうとはしなかった。追うとなれば、それこそ愚の骨頂だ。 彼は護るべき人間を多数待たせているのである。それを無責任に放っていくことはできない。 「死ぬなよ……」 最後にそれだけを言い残すと、ヒューズはその場所を後にして駅の構内へと向かった。 ◆ ◆ ◆ 無人の駅構内で、列車のダイヤを手持ちのメモに書き写すと、ヒューズは調査も程々に仲間が待つ民家へと戻った。 螺旋王が実験と称するコレが始まって五時間足らず。夜も明けきれぬというのにもう殺し合いが始まっている。 しかも、錬金術師をはじめとしたビックリ人間達によってだ。 あんなものに襲われては、彼もその仲間達もひとたまりもないだろう。 それが、目を放していた内に仲間が死んでいたとなれば、なお最悪だ。 ヒューズは蒼い制服の裾を翻して走る。もうあの民家は近い。後一つ通りを超えればそこに辿り着く。 ――と、ヒューズはある「匂い」に気付いた。 「……あ、あいつら……まさか」 それは……その匂いは……その匂いが意味するものは。それが何を意味するのか彼はよく知っていた。 今までは至極冷静だったヒューズの顔色が変わる。最初は青褪め、次に赤く――。 「クソッ!」 一つ毒づくと、ヒューズは走る速度を上げて仲間の元へと急いだ。 近づくにつれ、その匂いもはっきりとしたものになる。そして……やはりその匂いはそこから零れているものだった。 ☆ ☆ ☆ 「「「 おかえりなさーい 」」」 それが、息巻いて戻ってきたヒューズにかけられた三人の言葉だった。 三人の内の一人であるこなたは、頭巾にエプロン、片手にお玉。その姿を見れば、彼女たちが何をしていたかは明白だった。 「おかえりなさいじゃないだろうっ!」 カウンターで浴びせられたヒューズの剣幕に、三人は思わずたじろぎ、廊下を後退してしまう。 何で彼がこんなにも怒っているのか? それが三人には解らない。 「お前達、状況を考えろよ。俺達は隠れているんだろうが! それなのに、こんなに美味そうな匂いをプンプンと外に漏らしてちゃあ――バレバレだろうがっ!」 その言葉に三人の表情が「あー……」という感じになる。 言われてみればその通りで、隠れ家から朝餉の匂いを漂わせている潜伏者など聞いたこともない。 あまりにも素直なその反応を見て、潜伏時の心得をきっちりと叩き込み直そうと考えていたヒューズの肩が落ちた。 「……まぁ、仕方ないか。 じゃあ、せっかくだしお呼ばれするか。腹も減ってるしな――飯にしよう」 その言葉に、三人の――特にスバルの顔が明るくなった。 ☆ ☆ ☆ 今朝の四人の朝食はこなた特製ジャガイモカレーだった。 最初に腹が減ったと言い出したのはスバルで、彼女はバックの中から大量のジャガイモを取り出して二人に見せた。 なんでも、それが彼女に支給された食料だったらしい。 でもそのままじゃ食べられないので、こなたがこの家の台所を使って調理するということになったのだ。 こなたはジャガイモの皮むきをアルに任せると、自分は台所を漁り使えるものがないか探し始めた。 その家はあまり無駄な物を溜め込まないらしく冷蔵庫はほとんど空だったが、いくつかの玉葱とカレー粉があったので こなたはその時点で、メニューをジャガイモカレーと定めた。 皮を剥いた玉葱を手早く微塵切りにして、深い鍋の底で炒め始める。 本来ならここは時間を掛けたい所だが、そうも言ってられないので適当なところで水と調味料を加えて煮始める。 アルがジャガイモを剥き終わると、水を足して大まかにカットしたそれを加え、さらに煮込む。 そして、ジャガイモが煮えたら、アクを掬い取って後にカレー粉を放り込み、最後の一煮立ち。 あっと言う間に……ではないが、これでこなた特製ジャガイモカレー(ライスはないよ)の出来上がりである。 ☆ ☆ ☆ 「――おいしい。おいしいよ、こなたちゃん。――おかわり!」 四人の中でも特にたくさん。しかもバクバクと音を立ててジャガイモを貪っているのはスバルだ。 食べていると言うよりも、むしろ蹂躙されているといった表現が適切かもしれない。 大量に作られたジャガイモカレーは、昼にもとこなたが用意したものだったのだが、朝の内に完食されそうな勢いである。 「はい。慌てて喉を詰まらせないようにね」 言いながらお茶を差し出すのは、彼女とは対照的に一切食事を摂らず、給仕に専念しているアルだ。 彼の身体は事情によりただの金属の鎧であるため、彼は食事をすることを必要とはしない。 「こなたちゃんもよく食べるんだぞ。じゃなきゃ大きくなれないからな」 帰ってきた時は不機嫌だったヒューズも何時の間にか上機嫌へと変わっていた。 子煩悩で、さらに家族思いであるため、この様なアットホームな食卓に心解されたのかもしれない。 「……いや、あたしもう成長期すぎてるし。てか、18歳だし」 ジャガイモを冷ましながらゆっくりと食べていたこなたが、ヒューズにそう答える。 そう。この中で一番小さく、下手をすれば小学生にも間違われかねない彼女だが、実はもう18歳である。 ある意味においては、もう大人と認められる年齢だ。 「――えぇっ! あたしより年上!?」(スバル・ナカジマ 15歳) 「……お姉ちゃんだったんだ」(アルフォンス・エルリック 14歳) 「……………………」(マース・ヒューズ 29歳) 三者三様の大げさなリアクションに、当のこなたは涼しい顔だ。 むしろ、最近はこういう反応も彼女は楽しめるようになってきている。 ☆ ☆ ☆ 「あのさ。ヒューズさんって、ウチのお父さんに似ている感じがする」 食事も終わりに近づいた頃、唐突にこなたがこんなことを口にした。言われたヒューズも敏感に反応する。 「へぇ、どんなところだ。格好よくて頼りになって、娘思いで最高のお父さんってところか?」 「ううん。女の子と食事してる時に、ニヤニヤしてるところ」 う……と、硬直。否定できない部分ではある。 「そ、それは……誰だってそうだろう。――って、アル。なんだその解るなぁって顔は!」 顔を真っ赤にするヒューズに対し、残りの三人はニヤニヤ顔だ。 まだ短い時間しか経っていないが、何時の間にかに四人は家族の様に仲良くなっていた。 真っ赤な顔の下で、ヒューズは一人安堵する。そして同時に、この三人を護ってやらなければと誓うのであった。 ☆ ☆ ☆ ……そう言えば、家族の写真をこいつらにはまだ見せていない。 それに気付いてヒューズは持っていたスプーンを置いて、手を懐に忍ばせるが……そこに写真はなかった。 何故かは解らないが、螺旋王に没収されたか何処かで失くしたらしい。そして、また別の事にも気付いてしまった。 「……アル。あいつらは、俺がいなくなった後も幸せに暮らしているか?」 それは、アルが連れて来られた時間では、すでに自分は死者となっているらしいということだ。 ならば気がかりなのは、そこで残された家族――妻と幼い娘の事だった。 「ヒューズさん…………」 ヒューズが死亡した時、アルと彼の兄はその近くにはいなかった。だからその時の詳しい事は知らない。 だが、その後に伝え聞いたことをアルは正直に彼へと伝えた。 「……そうか。あいつらが元気だったんならそれでいいんだ。 にしても、二階級特進とはな。アイツよりも先に偉くなって俺はどうするんだ。ハハハ……」 せっかくの朝食だったのに、暗くしてスマン。とヒューズは神妙な顔をした三人に謝った。 そして、気持ちを振り払うかのようにジャガイモをかきこみ始めた彼に、こなたが静かに声をかけた。 「……こういう言い方がいいのかはわかんないけど。 あたし、お母さんのことずっと好きだよ。 あたしが小さい頃に死んじゃったけど、あたしも、あたしのお父さんもお母さんをずっと愛してる。 だから、ヒューズさんの奥さんも。その娘さんも……」 こなたの言葉にヒューズの心が潤む。また、こんな素直な娘を持った彼女の父親を羨ましくも思った。 ありがとう。ただ、ありがとうとだけ、ヒューズはこなたに言葉を返した。 それ以上口を開けば、また別のものも一緒に零れてしまうと、そう思ったから……。 ◆ ◆ ◆ 和気藹々とした朝食が終わると、四人は気を引き締めなおして出立の準備を整えていた。 元々長く居座る予定でもなかったし、ヒューズが偵察によって持ち帰ってきた情報を聞くと仲間の安否が気になった。 「……じゃあ、まずはデパートへと向かうんですか?」 スバルの確認に、ヒューズは頷く。当初は駅と列車を利用する事を考えていたが、駅で時刻表を見てその考えは覆った。 「ああ。さっきも言ったとおり、停車時間が20分もあるんじゃ待ち伏せが怖い。 実際に駅周辺で戦闘が行われた形跡もあったしな。俺達四人じゃ、少しリスキーすぎる」 停車時間が20分あるということは、逆に言えば待ち伏せを受けた際に20分間は車中に釘付けにされるということだ。 すでに駅周辺での戦闘を確認している以上、他の駅でもそれが起こるという可能性は決して低くないだろう。 「ヒューズさん。大佐は……」 アルの言葉にヒューズは唸る。最優先で見つけ出したいが、それには手がかりが少なすぎた。 「怪我をしているなら、おそらくは病院。またはより近いデパートへとアイツは向かうだろう。 会えるかどうかは、アイツと俺達のどちらかに運があることを祈るしかないな」 「ハイお昼。残り物だけど」 キッチンから小走りで戻ってきたのはこなただ。 その腕に、人数分のジャガイモカレーが詰められたタッパを抱えている。 こなたの分は小さく、ヒューズの分は中くらい、スバルの分は特大で、残念ながらアルの分はない。 「忘れ物はないか、みんな?」 言いながら、ヒューズは腕時計で時間を確認する。手にはメモとペンを持っていた。 同様に、他の三人もその手にメモとペンを持っている。 ――時間は5時59分。予定されている螺旋王よりの放送。その1分前であった。 その緊張の1分を、彼らは穏やかな朝を過ごした家の中で待つ。 【F-4/民家/1日目-早朝(放送直前)】 【チーム:引率の軍人と子供たち】 [共通思考] 1.主催者の打倒。またはゲームからの脱出 2.首輪の解析、解除が可能な人物、技術、物を探す 3.互いの知り合いや、ゲームに乗っていない者を探し仲間とする 4.殺し合いはしない ※首輪から、会話が盗聴されている可能性に気づきました ※盗撮に関してはあくまで推測の域なので、確定ではありません ※螺旋王には少なからず仲間や部下がいると考えています ※それぞれの作品からの参加者の情報を共有しました 【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】 [状態]:健康、腹一杯 [装備]:S W M38(弾数5/5) [道具]:デイバック(×2)、支給品一式(×2、-ランタン×1)、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師 S W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数5/6)、短剣×12本 制服のボタン(ロイ)、単眼鏡、水鉄砲、銀玉鉄砲(銀玉×60発)、ジャガイモカレー(中) [思考]: 基本:主催の打倒。または脱出を目指して行動。仲間を集める 1.デパートや病院等、人が集まりそうな場所を目指す 2.ロイ・マスタングを探す 3.首輪や脱出に関する考察を続ける 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]:健康、腹一杯 [装備]:リボルバー・ナックル(左手)(カートリッジ:6/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS [道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のじゃがいも、2/3][水])、ジャガイモカレー(特大) ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ(×12発) [思考]: 基本:仲間を集めて事態の解決を目指す 1.ヒューズに従って行動する 【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:デイパッグ、支給品一式 [思考] 基本:仲間を集めて事態の解決を目指す 1.ヒューズに従って行動する 2.兄やロイ・マスタングを探す 3.こなたを護る ※アルの参戦時期はヒューズ死亡後のいずれか 【泉こなた@らき☆すた】 [状態]:右頬に銃創、疲労・小、腹一杯 [装備]: [道具]:デイバック、支給品一式、マチェット、チェーンソー、ジャガイモカレー(小) [思考] 基本:死にたくないので助かるよう行動する。みんなと再会したい 1.ヒューズに従って行動 2.柊かがみ、柊つかさ、小早川ゆたかを探す ※こなたの参戦時期は原作終了後 【単眼鏡@現実】 片目に当てて使用する望遠鏡。 集光機能付きで、暗い場所でも僅かな光さえあればクリアに見ることができる。 【チックの鋏@BACCANO バッカーノ!】 ガンドールの拷問係であるチック・ジェファーソンが拷問の際に使用している鋏。 特に何の変哲もない既製品。 【大型マチェット@現実】 刃渡り50センチ程の大きな山刀。主に山中でのサバイバル用具として使われる。 グリップにナックルガード付き。 【大型チェーンソー@現実】 重さは20kg.を超え、バーの長さも2m.を超える大型のチェーンソー。 【水鉄砲@現実】 見た目は拳銃そのもの。だけど中身は水鉄砲。子供用の玩具で威力はない。 【銀玉鉄砲@現実】 見た目は拳銃そのもの。だけど中身は、バネの力で銀玉を飛ばす玩具。 銀玉は粘土製で当たっても痛くない。弾は全部入っており、振ればジャラジャラと音がする。 時系列順で読む Back あの馬鹿は荒野を目指す Next 流血へのシナリオ 投下順で読む Back あの馬鹿は荒野を目指す Next 流血へのシナリオ 076 美少女と甲冑、他 スバル・ナカジマ 108 ちぎれた翼で繋いだ未来へ 076 美少女と甲冑、他 マース・ヒューズ 108 ちぎれた翼で繋いだ未来へ 076 美少女と甲冑、他 泉こなた 108 ちぎれた翼で繋いだ未来へ 076 美少女と甲冑、他 アルフォンス・エルリック 108 ちぎれた翼で繋いだ未来へ
https://w.atwiki.jp/sin-changerowa/pages/252.html
「おいおいおいおい。まずいだろ、これは……」 手鏡を見て、マース・ヒューズは顔面を蒼白にして呟いた。 普段からビックリ人間を見慣れているおかげで、精神の入れ替えという超常現象もなんとか受け入れられた。 死んだはずの自分が生きているのも、完全に死ぬ前に精神を別の肉体に移したのだとしたら納得できる。 だが、その移した先が問題だ。 「よりによって、ロイかよ!」 ヒューズに与えられた体。 それは彼が支え続けると誓った親友、ロイ・マスタングのものだった。 「死ぬわけにはいかねえなあ、こりゃ……」 すでに一度死んだ身。妻子のことは果てしなく心残りだが、ここでまた死んでもそういう運命だったと受け入れられる。 そのはずだった。 だが自分の肉体が親友のものになっているのでは、そうも言っていられない。 自分の死は、親友を道連れにすることと同義なのだから。 「こりゃ気合い入れて……」 ヒューズの独白は、途中で途切れる。 軍人として鍛えられた彼の感覚が、近づいてくる気配を察知したのだ。 (失敗したな……。何はなくとも、まずは武器を確保しておくべきだった。 いくらロイの体でも、俺じゃ錬金術使えねえし……) 錬金術の基礎は、「理解」「分解」「再構築」の三段階。 知識が無いゆえに「理解」ができないヒューズでは、いくら国家錬金術師の肉体でも錬金術を使うことはできない。 (できる限りの抵抗はするが……。 頼むから、殺し合いに乗ってないやつであってくれ!) 最低限の備えをしつつ、ヒューズは近づいてくる相手を待ち構える。 やがて、それは暗闇の中から姿を現した。 「はぁ?」 「警戒させたのなら済まない。俺は殺し合いに乗るつもりはない。 よければ、情報の交換を……おい、聞いてるか?」 「あ、ああ。済まん。 その、ちょっと……ビックリしちまって」 「そうか。まあ、無理もない。 こんな体じゃな」 ヒューズの前に現れた男。 その姿は、骸骨だった。 ◆ ◆ ◆ 「……とまあ、俺の人生はこんな感じだ。 骸骨に変身してはいたが、まさか本物の骸骨になっちまうとはなあ」 「そんな冗談めかして言っていい話なのかよ、これ……」 少し後。 ヒューズは骸骨になった男……鳴海壮吉と共に近くの建物に入り、そこでお互いの身の上を語っていた。 「しかしこうして情報を交換してみると……」 「ああ、明らかに世界が違うな。 俺の世界じゃ、錬金術なんて何百年も前に廃れた学問だ。 そもそも名前こそ同じだが、中身が同じかどうかは甚だ疑問だぜ」 「こっちもガイアメモリなんて、聞いたことないぜ。 それに、日本……だっけ? そういう国も知らないしなあ」 「おまけに、こいつだ」 そう言って、壮吉がタブレットを突き出す。 そこに表示されているのは、「バルトス」なる彼の肉体のプロフィールだ。 「魔王だ勇者だ……。どう考えても、ファンタジーの世界だ。 とうてい同じ世界の住人とは思えねえ」 「それ以前に、骸骨が生きてる時点で別の世界だろ……」 「まあそりゃそうだが……。 俺の世界には、たまにこういう化物が出てくるんでな」 「マジかよ……。まあこっちの世界にも、合成獣(キメラ)とかはいるしなあ」 額に汗を浮かべつつも、ヒューズは納得する。 「さて……それでどうする、ヒューズ。 体の入れ替えにばかげた月、おまけに異世界。 とうてい信じられないことばかりだ。 この狂った箱庭で、おまえは何をなす?」 「聞かれるまでもないさ。 こちとら善良な軍人さんなんだ。 こんなことやらかす連中、野放しにしておけるかよ」 壮吉の問いに、ヒューズは迷わずそう答えた。 「そうか……。 なら、改めて頼もう。 俺に手を貸してくれ、ヒューズ」 「ああ、喜んで」 二人が、がっちりと握手を交わす。 「あっ、そうだ」 「どうした?」 「いや、ガイアメモリの話を聞いた時から気になってたんだがな。 さっき手鏡を取り出す時、それっぽいものを見かけたような……」 「本当か?」 「えーと、どこだ……? ああ、これだ」 ヒューズはデイパックから一つの支給品を取り出し、壮吉に見せた。 「これがガイアメモリで合ってるか?」 「これは、トリガーメモリ……。 だが、俺の知っているメモリとは少しデザインが違うな。 俺が死んだ後に作られた新型か?」 壮吉はメモリを、まじまじと見つめる。 「ヒューズ……。悪いがこのメモリ、俺に渡してもらってもいいか?」 「ああ、もちろんだ。 知識がある人間の方が、有効活用できるだろうからな」 「済まない。代わりに俺の支給品から、好きなものを持って行ってくれ」 そう言って、自分の支給品を広げる壮吉。 ヒューズは、その中の一つに目をつけた。 「こりゃたしか、東の国で使われてる投擲武器だったな。 よし、これをもらうぜ。こういうのの扱いは得意なんでな」 「わかった」 壮吉の許可を得ると、ヒューズはそれを軍服のポケットにしまい込む。 「じゃあ、そろそろ行きますか。 ここから脱出する手段を見つけて、高みの見物を気取ってる連中をぶっ飛ばす!」 「ああ、そうだな」 二人は、肩を並べて歩き出す。 出会ったばかりにもかかわらず、彼らの間にはすでに充分な信頼関係が築かれていた。 二人にとって、相手の身の上を聞けばそれだけで信頼するには足りた。 相手が「家族を愛する父親」であることは、痛いほど理解できたから。 「家族を幻滅させるような父親には……」 「なりたくねえからなあ」 【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】 [身体]:ロイ・マスタング@鋼の錬金術師 [状態]:健康 [装備]:操のクナイ(30本)@るろうに剣心 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考・状況]基本方針:主催者の打倒 [備考] ※参戦時期は死亡後 【鳴海壮吉@仮面ライダーW】 [身体]:バルトス@ドラゴンクエスト ダイの大冒険 [状態]:健康 [装備]:T2トリガーメモリ@仮面ライダーW [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考・状況]基本方針:主催者に、罪を数えさせる [備考] ※参戦時期は死亡後 【操のクナイ@るろうに剣心】 隠密御庭番衆、巻町操の用いる武器。 大きく振りかぶり、大量のクナイを一度に投擲する「貫殺飛苦無」が彼女の必殺技である。 【T2トリガーメモリ@仮面ライダーW】 財団Xが開発した新型ガイアメモリの一つ。 従来品と異なり、コネクタを刻印しなくても適合者の体内に入り込み変身させる。 これによって変身できるトリガー・ドーパントは、右腕と一体化した銃による狙撃を得意とする。 197 少女狂乱 投下順に読む 199 未・完・優・真
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/251.html
鋼の錬金術師の参加者の支給品の経過と消費 エドワード・エルリック ・ダブルキャノン(弾数30)@サイボーグクロちゃん →【D-6/総合病院前】→【ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ムスカ大佐)@天空の城ラピュタ】[2発消費] →【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】→【E-6/デパート前】載宗の死体の側 アルフォンス・エルリック ・単眼鏡@現実 →【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】→【F-5/商店街・布団屋の中】→【F-5/商店街・マース・ヒューズの墓】 →【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】→【F-4/住宅地・川沿い】 →【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】→【スカー(傷の男)@鋼の錬金術師】 ・チックの鋏(12挺)@ BACCANO バッカーノ! →【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】→【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】[短剣に練成・短剣12本] →【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】→【F-5/商店街・布団屋の中】→【F-5/商店街・マース・ヒューズの墓】 →【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】→【F-4/住宅地・川沿い】 →【ヴィラル@天元突破グレンラガン】[1本【E-6/デパート跡】に放置↓][【B-7/南部境界線付近?】で5本破壊] →【ヴィラル@天元突破グレンラガン】[2本] →【スカー(傷の男)@鋼の錬金術師】[4本] →【ジン@王ドロボウJING】[1本] ロイ・マスタング ×拳銃型ライター@現実爆散 ・水鉄砲@現実 →【F-5/駅近く】→【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】→【F-5/商店街・布団屋の中】 →【F-5/商店街・マース・ヒューズの墓】→【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 →【F-4/住宅地・川沿い】→【ヴィラル@天元突破グレンラガン】→【スカー(傷の男)@鋼の錬金術師】 ・銀玉鉄砲(銀玉・弾数60)@現実 →【F-5/駅近く】→【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】→【F-5/商店街・布団屋の中】 →【F-5/商店街・マース・ヒューズの墓】→【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】→【F-4/住宅地・川沿い】 →【ヴィラル@天元突破グレンラガン】全弾消費→【スカー(傷の男)@鋼の錬金術師】 リザ・ホークアイ ・ダーツ24本セット@現実[2本消費] →【E-6/デパート】に放置 ・泉そうじろうのデジタルカメラ説明書付@らき☆すた →【E-6/デパート】に放置 スカー(傷の男) ・時計仕掛けのブドウ(10個)〈段ボール入り〉@王ドロボウJING[1個消費] →【A-4】に放置 ・猫の写真(50枚)@アニロワ2ndオリジナル →【A-4】に放置 ×犬のぬいぐるみ@サイボーグクロちゃん →【B-1/海岸沿いの倉庫】バラバラ マース・ヒューズ ×リボルバー・ナックル(左手)(カートリッジ6個)・予備カートリッジ(12個)@魔法少女リリカルなのはStrikerS →【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】[カートリッジ1個消費] →【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師】に融合 [カートリッジ3個消費]消滅 ・S W M38(弾数5)・S W M38の予備弾(弾数20)@現実[4発消費] →【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】→【F-4/住宅地・川沿い】 →【ヴィラル@天元突破グレンラガン】[1発消費]→【スカー(傷の男)@鋼の錬金術師】
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/120.html
勇気の意味を知りたくて ◆o4xOfDTwjY ここはF-3エリアの路上。敷き詰められたアスファルトのベッドに一人の少女。 その少女が目を覚ますと、その視界には先ほどの部屋とはうって変わり、一面の星空が広がっていた。 少女は自分が仰向けになってることに気づくと、ゆっくりと上半身を起こす。 茶色を基調とした機動六課の制服を身に纏うその少女の名はスバル・ナカジマ。機動六課スターズ分隊のフォワードを務める魔導師である。 スバルは自分の隣にデイバックが置かれていることに気づく。それを見て、先ほど起こった出来事を思い出す。 突如現れた螺旋王ロージェノムと名乗る初老の男。彼は優秀な人間を選ぶために、あの部屋にいた人間に殺し合いをしてもらうと言った。 それに反抗して無残に散っていったモロトフと呼ばれた男。 見覚えのない魔法だったが、強力に見えたランスの攻撃をあっけなくバリアで防ぎ、首輪を爆発させた。 スバルは自分の首を手で触り、首輪の感触を確かめると、ため息をついた。 先ほどの広間で起こったことが夢ではないかという淡い期待を抱いていたが、どうやら現実のようだ。 再び、あの男の発言を思い返す。たしか武器を没収すると言ってたような、そう思ったスバルはデバイスが没収されているかどうか確認しようとする。 「マッハ・キャリバー!」 スバルは愛用のデバイス『マッハ・キャリバー』に声をかけるが、返答はない。 やはりデバイスもあの男に没収されていた。 その代わりに渡されたのが足元のデイバックというわけである。 「あっ!そうだ、ティアは…」 先ほどの部屋には確か、相棒のティアがいたはず。 スバルは魔導師のスキルのひとつである念話を使用して、参加者の1人である、ティアナ・ランスターに交信を試みる。 しかし返事はない。その後、他の六課のメンバーにも念話による交信を試してみたが結果は同じであった。 きっとあの螺旋王によって念話が使えないように制限されているのだろうと考え、スバルは念話による交信を諦めた。 気持ちを切り替え、とりあえず支給品を確認してみようと思い、スバルはデイバックを漁る。食料、飲料水、ペン、コンパス、ランタン、地図…。 この殺し合いで行動するのに最低限必要であろうものが出てくる。 スバルが次に手にとったものは一枚の紙。その紙には参加者の名簿が記されてあった。 ランタンに明かりをつけ、その名簿を読むと、そこにはよく知った名前があった。 「エリオにキャロ、シャマル先生にティア。それに八神部隊長まで!」 六課のメンバーが5人もこの殺し合いに参加させられている事実に驚きを隠せずに、思わず大声を出してしまった。 一方ここはF-3エリアの道路。ここにもこの殺し合いに巻き込まれた者がいた。 「おいおい、勘弁してくれよ…。家で妻と娘が待っているっていうのによ」 青い軍服らしきものを着たその男はアスファルトの道を歩きながらそうぼやくと舌打ちをした。 男の名前はマース・ヒューズ。アメストリスの軍法会議所に所属する中佐であり、極度の親バカ・愛妻家である。 「ビックリ人間の万国ビックリショーに俺みたいな一般人を巻き込むなっつうの」 あの螺旋王ロージェノムとやらも、それに刃向かったモロトフという名の男も明らかに一般人と言えるような人間ではなかった。 名簿にもエルリック兄弟やロイ、そしてスカーの名前まであった。 きっとこの舞台には、ビックリ人間ばかり呼ばれているんだろう。 ヒューズがそう考えてながら歩いていると、近くから女の子の声が聞こえた。 「他の参加者か!?ちっ、とりあえず様子を見るか」 ヒューズは支給品である銃を手に、声のした方向へ向かう。 建物の陰に隠れ、声の主の様子を窺う。月の光がほどよく当たってるため、声の主の姿はある程度確認できた。 エドと同じぐらいの年代の少女が(身長は彼よりひと回り高いが)、支給された名簿らしきものを読んでいてこちらには気づいてない。 (女の子か。とりあえず… 接触してみるか) ヒューズは念のために銃を腰とベルトの間に納め、制服の上着で隠れて見えないようにする。 そして少女のいる方向へと歩きだす。 「おいおい嬢ちゃん。こんなところで大声出したら危険だぞ」 スバルが後ろを振り返ると、1人の男が立っていた。驚いたスバルは立ち上がり、戦闘体勢をとる。 しかし男はデイバックを地面に置き、両手を挙げてからスバルに向かって話しだす。 「おいおい、待った待った。俺の名前はマース・ヒューズ。この趣味の悪い殺し合いなんかに付き合う気はまんざらねえよ。嬢ちゃんはどうなんだ?」 スバルは一瞬困惑したが、とりあえず戦闘体勢を保ったまま男の問いに答える。 「あっ、あ…あたしも、殺し合いなんてする気はまったくありません!」 突然現れたヒューズに動揺していたのだろうか、スバルの口調は安定してなかった。 「そうか、良かった。とりあえず色々と聞きたいことがあるんでね。協力してくれねえか?」 スバルはヒューズを完全に信用したわけではないが、あからさまな敵意は感じないし、見た目は悪そうな人ではないのでとりあえず話をしてみることにした。 まずは自己紹介を簡潔に済ませる。 そして次に互いの知り合いについて情報交換をした。 「あたしが知っているのは、エリオ、キャロ、シャマル先生、ティア、八神部隊長、それとこのクアットロっていう人の6人です。」 スバルは名簿を指さしながらヒューズに情報を伝える。 「クアットロ以外は機動六課のメンバーでいい人で、頼りになります。それで、このクアットロっていう人なんですけど…。 あたしたちの上官が逮捕した人で、危ない人だと聞きました。とにかく要注意人物です」 スバルはクアットロという人物について思い返す。たしか、ゆりかごに突入した時になのはとはやてが逮捕した人物だ。 あの事件後に得た情報を整理する。彼女は自分たちと対峙したナンバーズの指揮を務め、ヴィヴィオとなのはを戦うように仕向けたという話も聞いた。 どっちにしろこのクアットロという人物は警戒するべきであることは確かだ。 クアットロについて話し終えると、次は仲間の外見や能力などを簡潔に話す。 ヒューズは自分の名簿を見ながら、スバルの出した名前に印をつけて確認する。 「次はこっちの番だな。俺の知り合いはエドっていうチビ錬金術師、そいつの弟アル。 そしてロイ・マスタングっていう、まあこいつとは腐れ縁だ。それにこいつの部下のホークアイ中尉。 こいつらは頼りになる奴らだ。あと1人、知っている奴がいる。このスカーっていう顔に傷がある野郎なんだが、こいつは危険な奴だ。 国家錬金術師を何人も殺害している。殺し合いに乗りかねない野郎だ」 次にお互いの住んでいた場所について簡潔に話す。 2人の話を合わせて明らかになったことは、2人の住む場所はまったく別の世界ということだ。 スバルの世界ではミッドチルダ以外にも他の世界があるということは常識であるので、ヒューズが別の世界の人間だということについて理解するのは容易だった。 逆にヒューズがスバルの住む世界について理解するのは難しいことであった。 ましてやその世界には魔法という錬金術よりも信じがたいものがあるという話まで聞かされては、 さすがに頭のキレるヒューズも混乱してしまう。 「魔法ねえ…。 まあ俺の周りもビックリ人間ばかりだけどよぉ」 ヒューズはそう言うと、この殺し合いにも参加しているロイやエドのことを思い出して苦笑した。 とりあえずスバルの住む世界や魔法については考えてもどうしようもないので、とりあえず彼女の言うことを信じることにした。 「そういえば支給品は確認したか?」 そういうとヒューズは腰から何かを取り出す。 「俺はとりあえずこの銃が支給品だ。他にも支給品はあったが、役に立ちそうじゃあなかったぜ。スバルちゃんの支給品はどうだったんだ?」 「ええと、あたしはまだ… その確認してなくて… エヘヘ、すみません。今から見てみますね」 スバルはデイバックの中を探る。 まず最初に取り出した支給品と思われるもの。それは手袋だった。 「手袋…です。これはハズレですね」 たしかにスバルにとってはハズレアイテムなのだが、ヒューズにとっては見覚えのあるものだった。 そう、ヒューズの親友であるロイ・マスタングの発火布製の手袋だった。 「スバルちゃん、悪いけどその手袋必要ないのならくれないか?俺の親友の大事なものなんだ」 「ええ!?そうなんですか?あっ、そのハズレとか言ってすみません。お譲りします」 スバルはそう言うとヒューズにその手袋を渡す。ヒューズは手袋をデイバックをしまい、代わりに何かを取り出す。 「使えるかどうかは知らんが、代わりにこれでも貰ってくれねえか?」 そう言うと、ヒューズはスバルに自分の支給品を渡した。その支給品はグローブの形をしている、スバルには馴染み深いものであった。 「これは、ギン姉のリボルバー・ナック!?」 スバルの姉であり、魔法の教育をしてくれたギンガ・ナカジマ。 彼女もまた、六課のメンバーと同じく、スバルにとって大事な存在であった。 そのギンガが愛用していた左手用のリボルバー・ナックル。ゆりかごに突入したときに、自分の右手用のリボルバー・ナックルと共に使用したこともある。 それが今再び自分の手に渡った。それは単なる偶然か、何かの運命か。 情報交換が終わると、ヒューズは地図を見ながら現在地を確認する。 「そこに『空港まで南に約1km』という看板があるからここは大方F-3辺りだな。さぁて、これからどうするかだ」 「あたしは早く仲間を見つけることが大事だと思います。六課のメンバーはみんな強くて頼りになるし、ヒューズさんの話してくれた仲間たちも頼りになりそうですし」 「ああ、それも大事だが…」 ヒューズは途中で言葉を切り、首輪を指差す。 「残念だが、俺にはこいつを外せるような知識は持ってねえ。だから外せそうな知識と技術を持った奴を探したい」 「あ!確かにそうですね。シャマル先生か八神部隊長なら首輪の構造を解析する魔法を使えるかもしれません」 スバル自身はそういった魔法は使えないが、補助系魔法を得意とするシャマルや、レアスキルを持つはやてならそういった魔法を使えるかもしれない。 スバルはそう考えた。 「さて、どう動くか…」 ヒューズは考える。この状況では何より情報が大事になる。できる限り多くの情報を収集したい。それには他人との接触が必要不可欠だ。 他人と接触するためには人が集まりそうな場所に行けば良い。しかしそれは殺し合いに乗った危険人物に遭遇する恐れもある。 ヒューズは軍人であり、それなりに戦闘をこなすことはできる。 しかし、ロイのような錬金術師やスバルが話していた魔導師のような『ビックリ人間』が相手だった場合はどうだろう。 いくらこっちが銃を持っていようが、勝てる気がしない。 それでもこのバカげた殺し合いを止めなければならない。だが死んでしまっては元も子もない。それが無駄死にならなおさらだ。 どうするべきか、悩んでいるヒューズにスバルが問いかけてきた。 「ヒューズさん、あたし駅に行こうと思います。駅なら人がきっと集まると思うんです。知り合いにも会えるかもしれませんし。ヒューズさんはどう思います?」 「確かに駅には人が集まりやすいかもしれない。だがそれは殺し合いに乗った危険な奴に出会うかもしれねえってことにもなる。それでも行くのかい?」 「はい、行きます。あたしは泣いてばかりは嫌だと思って、強くなるって決めたんです。強くなって誰かを守れるようになるんだって。 きっとこの殺し合いでも、助けを求めてる人だっているはず。あたしは誰かを助けたり守ったりするために自分の力を使いたい。あの時のなのはさんのように」 そう語るスバルの瞳に、ヒューズは彼女の強い意志を感じた。 (エルリック兄弟といい、スバルちゃんといい… ったく最近のガキは若いくせして無理しすぎだぜ) 「しょうがねえなあ。俺もついていく。だけどいいか?無理はするなよ。若い奴は無理する奴が多いからよ。それで死んでもらったら困るからな」 「えっ!?あっ、はい、わかりました。ありがとうございます」 「よし、じゃあ行くぞ」 ヒューズは地図とコンパスを手に、駅に向かって歩きだした。それに続いてスバルも歩きだした。 (ティアに、エリオとキャロ。それにシャマル先生と八神部隊長もいるんだ。こんな殺し合いもきっと止められるよ。 それにきっとなのはさんやフェイト執務官も他の六課のメンバーもこの状況に気づいてすぐに出動してくれる。 それまではあたしがみんなを守るんだ。そのために強くなったんだから、それに…) スバルは左手のリボルバー・ナックルを見る。 (きっと母さんとギン姉もあたしを見守ってくれているよね。今度はあたしが守る番なんだ。 六課のメンバーもヒューズさんとその友達も、誰一人として死なせない!) 闇夜に浮かぶ満月を睨むかのように見つめ、スバルはそう決意した。 【F-3/道路付近/1日目深夜】 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態] 健康 [装備] リボルバー・ナックル(左手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6) [道具] 支給品一式、ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ数12発 [思考] 基本 殺し合いには乗らない。仲間や殺し合いをしたくない者を守る。ヒューズと行動。 1 機動六課のメンバー、ヒューズの仲間との合流 2 首輪解除の方法を探す 3 1のために、人の集まりそうな駅を目指す ※ヒューズの住む世界と錬金術、エド、アル、ロイ、リザ、スカーについての情報を得ました。 ※ジェイル・スカリエッティ事件後からの参加です。 ※スバルはジェイル・スカリエッティ事件後の調査などでクアットロについて多少の情報を得ていると思われるので、クアットロを『要注意人物』と判断しました。 ※左手用のリボルバー・ナックルのカートリッジの装弾数は公式には設定されてませんが、右手用のリボルバー・ナックルが6発であること、 もともとリボルバー・ナックルは両手で使われていたことから、右手用と同じ6発としました。 【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】 [状態] 健康 [装備] S W M38(弾数5/5) [道具] 支給品一式、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師、S W M38の予備弾数20発 [思考] 基本 殺し合いには乗らない。スバルと行動。 1 情報収集(できれば首輪関連の情報を得たい) 2 1のために他の参加者と接触 3 エド、アル、ロイ、リザ、及び機動六課のメンバーと合流 4 駅を目指す ※スバルの住む世界、魔法についてヒューズのわかる範囲で理解しました。 ※機動六課からの参加者の情報を得ました。また、クアットロを要注意人物と認識しました。 時系列順で読む Back 復活のマオ Next 『高遠少年の事件簿』計画 投下順で読む Back 魔人 が 生まれた 日 Next ディシプリン・コンチェルト スバル・ナカジマ 057 得意分野 マース・ヒューズ 057 得意分野
https://w.atwiki.jp/cscs/pages/2717.html
特徴 軍人を持つカード ロイ・マスタング アレックス・ルイ・アームストロング リザ・ホークアイ アイザック・マクドゥーガル ジャン・ハボック マース・ヒューズ バスク・グラン エドワード・エルリック&ロイ・マスタング ハイマンス・ブレダ ヴァトー・ファルマン ケイン・フュリー 「氷結」のアイザック ヒューズ中佐 マスタング大佐 特徴 軍人に関連する効果を持つユニット リザ・ホークアイ 特徴 軍人に関連する効果を持つキャラ マスタング大佐
https://w.atwiki.jp/ammworld/pages/15.html
こんなピグを見つけたら9割5分アミューズさんです(11/2現在)
https://w.atwiki.jp/ouga/pages/975.html
本体が触れた物体に、制限を施す『ヒューズ』を埋め込む能力。 『ヒューズ』を埋め込まれた物体は、その物体が本来可能である行動のうち、 本体が指定した範囲の行動を抑制させられてしまう。 包丁に『ヒューズ』を埋めることで『タマネギだけは切れない包丁』とすることや、 重火器に『ヒューズ』を埋め込むことで『特定の人物には当てられない銃』とすることが可能。 この制限により物体そのものが損傷するとしても問題は無く、また生物も対象にできる。 『インコグニート』 Incognito 破壊力:- スピード:- 射程距離:B 持続力:A 精密動作性:A 成長性:D
https://w.atwiki.jp/nanodesu/pages/55.html
ミスチーへ 手持ちのスイッチは6.5Φのものしか無かったのでスイッチパネルが使えません インパネ等に穴をあけるか、適当な物に穴をあけてスイッチ付けて貼り付けるか、スイッチを裸で置くかw 上記でやるのであれば下記①②はいらないです LINEで送ったようにするのであれば ①-1 カバー無しパネル ①-2 カバー付パネル ② スイッチ各種 ③-1 電源取り出し ③-2 電源取り出し ④ コンパクトリレー ①はパネルのカバーの有無のみの差 ②12Φのon-offスイッチなら何でもいいです。最安は\399 ③ヒューズからの電源取り出しグッズ。ヒューズ種類やグッズそのものの形の違いのみ。ヒューズの種類はヒューズボックス見てみないとわかりませんw ライト連動にする場合は、テスターで調べてみないと分からないけど、別途④がいるかもしれません LED取り付けにあたって負担してもらうのは上記だけで足りると思いますー コードやギボシ等が手持ちで足りれば!だけどねw
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/345.html
禁忌の身体 ◆AZWNjKqIBQ 此処はどこなのだろう。 ――暗い。目の前に何を捉えることもできない。それだけでなく何もかもが朧だ。 手を伸ばしてみる。そのつもりだが、本当に身体が動いているのかそれすらもわからない。 何もその先に触れるものはない。暗闇の中、何かがないかと求めてみるが何にも触れることができない。 足を一歩前にだす。そうしているつもりだ。だが、本当に私の足は地面を踏みしめているのだろうか。 私は地面の上に立っているのだろうか。いや、そもそも―― ――私は生きているのだろうか? 何もない此処こそが死後の世界なのではないだろうか。 そうかもしれない。だがもしそうだとしても、もう少しだけ足掻いてみよう。 果たさなければならないことがある。成し遂げなくてはならないことがある。救わなくてはならない友がいる。 ならば、この僅かに残った心の火が……それが燃え尽きるまでは―― ◆ ◆ ◆ 日が昇りきり、本来ならばそこを行き交う人々によって賑やかになっているはずであろう街の中。 そこを、マース・ヒューズ、アルフォンス・エルリック、泉こなた、スバル・ナカジマの4人は進んでいた。 彼らは河に沿って走る大通りは使わず、駅のあった所より北東へ向かい真っ直ぐと市内を突っ切って進んでいる。 それは、とりあえずの目的地であるデパートに向けて近道を使っているということであるが、 それよりも駅に夥しい血痕を残して行方の知れなくなった、ヒューズとアルの仲間であるロイ・マスタング。 彼との遭遇、再会を期待しているという部分の方が大きい。 先頭に、リボルバーナックルを装着しバリアジャケットを展開したスバル。 真ん中に、アルとその陰に隠れて続くこなた。3人のバックアップに銃を構えたヒューズ。 そんな形で、4人は慎重にゆっくりと街中を進んでいる。 駅より北東へと離れたのは怪我を負った仲間だけではない。その怪我を負わせた敵も存在するのだ。 一級の国家錬金術師であるロイ・マスタングに重症を負わせた敵。それに対し警戒を怠ることはできなかった。 しかし、彼らの歩みが遅いのは敵を警戒しているということからだけではない。 彼らの足を重くし、目から精彩を奪っているのは、仲間や友の死という不安だ。 放送が必ずしも真実ではないと、誰も死んではいないと、それを聞いた時はそう誤魔化した。 そう。それは所詮誤魔化しでしかない。口先ではどう理屈をつけようと、そうであることは誰しもどこかで解っていた。 しかし、崩れ落ちかけた理性を支えるには、そんなご都合主義にすら頼らざるを得なかったのだ。 今は心を支えるそのか細い柱が折れてしまわないか。それが怖い。 いつか来るであろう、誤魔化しが破かれ真実に向き合わなくてはならない時。それが怖い。 一歩足を踏み出す度に近づく不可避の真実。それを恐れるが故に、4人の足取りは錘をぶら下げたかの様に重かった…… ガンッ――と、不意に何かを倒す音が通りに響き、4人の耳に飛び込んだ。 「ヒューズさん……」「……ああ」 ヒューズは音が漏れてきた角へ拳銃で狙いをつけると、壁沿いにスバルを先行させる。 そして、アルにこなたを庇うよう言葉を残すと、自身もスバルとは反対側の壁際に沿って慎重にそこへと近づいた。 ◆ ◆ ◆ ――寒い。此処はとても寒い。まるで最後の残り火を私から奪おうとするかのように。 ◆ ◆ ◆ スバルとヒューズが通りの向こうに発見したのは、まるでそこに打ち捨てられたかのように倒れていたロイ・マスタングの姿だった。 「ロイ! しっかりしろ」 駆け寄ると、ヒューズはそう言いながらロイのうつぶせの身体を仰向けに返す。 「……う」 それを見たスバルは思わず口に手を当て、顔を顰めた。 あらわになったロイの腹。その部分がまるで巨大な獣に噛み付かれたかのように酷く抉れ、そして焼け爛れている。 とてもではないが、正視に耐えられるものではなかった。 すくむスバルとは対象的に、ヒューズは冷静だった。いや、必死に冷静であることを努めた。 どう見ても、助かるなどとは言えない状態だ。次の瞬間にも目の前の親友は死んでもおかしくない。 だから、今は一手たりとも間違いを犯すことはできない。ましてや、取り乱すなどということは絶対に。 心中で暴れ狂おうとする感情を、ヒューズは鋼の理性で必死に押し留め、叫び声を洩らしそうになる口を硬く結ぶ。 「…………スバル。アル達を呼んできてくれ」 一瞬の沈黙の後、スバルにそう指示を出すとヒューズは改めて親友の容態を観察した。 抉られた腹を焼いたのは彼自身だろう。恐らくは大量出血を防ぐための緊急的な処置。 出血や細菌の感染を防ぐために傷口を焼く――よいとは言えないが、極めて緊急な場合にはそういう処置も取られないこともない。 だが…… (これは無茶苦茶だ……) 皮膚や筋肉までならまだしも、それは内臓にまで達していた。どう見てもいくつかの内臓はその機能を失っている。 また、傷はそれだけではなかった。全身に隈なく刻まれた傷によって、青かった制服は血によってどす黒く染まっており、 自身が起こした爆風を浴びたのだろうか、体中に埃と煤を被っている。 「一体、どんな化物と戦ってたんだよ。おまえは……」 よくも生きているものだとさえ思える。ましてや、ここまで歩いてきたなど…… ◆ ◆ ◆ ……………………………………………………………………………………………………………………。 ◆ ◆ ◆ 「お湯を汲んでくるっ!」 そう言うと、こなたは店の奥へと駆け足で消えていった。 ヒューズはスバルがアルとこなたを連れて戻ってくると、アルにロイを担がせ手近な商店の中へと運ばせた。 そこは小さな布団屋だった。医療品はないが、その代わりに清潔なタオルや布団には事欠かない。 店の奥、ある程度の広さがあるスペースに布団を敷き、とりあえずはそこに傷ついたロイを横たわらせる。 アルがボロボロになった服をロイから脱がせ、スバルは店内を使えそうな物がないかと探し回っている。 そして、こなたは血と煤に塗れた身体を拭くために必要なお湯を調達しに店の奥へと入った。 そんな中、ヒューズはそれらを見守りながら難しい顔で思案に耽る。 (……どうすれば、こいつを助けられる?) 応急手当ぐらいまでならしてやれるだろうが、所詮はそれぐらいだ。 そして、目の前の親友の傷はそんなものでは済むものではないということも解っている。 医師による、それも極めて高度な治療が必要だ。だが、そんなものはここではとても期待できない。 仮にこいつを病院にまで連れて行ったとしても、そこには医師は―― 「ヒューズさんっ!」 ――と不意にかけられたスバルの声によってヒューズの思考は中断された。 「どうしたんだスバル?」 ヒュースは店の出入り口で慌てふためいているスバルに何事かと問う。 「とにかく来てくださいっ! 八神部隊長の声が聞こえるんですっ!」 「――!?」 ◆ ◆ ◆ 『――――最後に……皆、絶対に諦めたりしたらあかんで!!』 それは紛れもなく、スバル達が敬愛する八神はやて――機動六課部隊長の声であった。 機械を通してのものであったが、この場に来てより初めて聞いた仲間の声に、スバルは心の中に希望を取り戻す。 そして、それは彼女の隣に立つヒューズにとっても僥倖であった。 (……地獄に仏とはまさにこのことか) つい先程までは彼が取り得る手は皆無といってもよかった。だが今、遠く細い道ではあるが手立てを見出した。 「スバル。今すぐ彼女を探し出して合流するんだ」 そう言うヒューズを見るスバルの顔には小さな疑問と困惑の表情が浮かんでいた。 八神部隊長の元へ向かえと言われればもちろんそうしたい。だが…… 「あの、ロイさんはどうするんですか? すぐに治療しないと――あ!」 言葉を口にしている途中でスバルも気付く、瀕死のロイを助けることのできる――今唯一の方法を。 「そうだ。お前さんが言っていたシャマルという仲間。彼女を隊長さんと合流して探し出してきてくれ」 とても普通の治療では間に合わない。それこそ魔法の力でも借りなければ…… そう思ったところに丁度天より声が響いた。まるで神が彼らに救いの手を差し伸べているような、そんな錯覚さえ感じる。 スバルが語った、風の癒し手と称されるシャマルという名の魔導師。 彼女をロイの元にまで導くことができたなら、全快とまではいかなくとも死は免れることができるだろう。 「わ、解りました。じゃあ今すぐにでも……」 と、慌てて走り出そうとするスバル。だが、ヒューズはその肩を掴んで押し留めた。 「……まてまて、お前は隊長さんがどこにいるのか解っているのか?」 「え? あ、そうか……」 戸惑うスバルの両肩に手を置き、顔を見合わせるとヒューズはこれまでにない真剣な顔で言葉を紡いだ。 「声が聞こえた方角と音の大きさから推測すると、彼女はここから南の川向こうにいるんだと思う。 そして北へ向かうとだけ言っていたが、見つけてもらうことを考えれば捻くれた道は通らないだろう。 恐らくは……この、川沿いの大通りを素直に北上してくるはずだ。 だから君はこのデパートの先、E-7にある丁字路へと向かえ。そこで待てば十中八九会える」 地図を取り出し説明するヒューズにスバルはうんうんと頷きながら、彼の冷静さに感心していた。 これだけ気が焦るという状況なのに、決して目の前の男は無鉄砲にはならない。 「……いいか。なにも彼女を探すのは君だけじゃあないはずだ。 このクソッたれたゲームに乗った殺人者。そんなのも近づいてくるだろう。 正直な話。そんなところへ君を送り出すのは申し訳ないと思っている」 「でも、ロイさんを救うには他に方法がありませんし、私も八神部隊長に早く会いたいです。 それに他の六課のメンバーもあれを聞いてたかも知れませんし」 「そうか。そう言ってくれると助かるよ。ありがとう……スバル」 大きな責任を押し付けられている。なのにそれでも真っ直ぐなスバルにヒューズは明るい希望の光を見た。 それはどんな重く苦しい絶望の闇をも切り裂き、そして希望の道に我々を導いてくれるだろう。 そうなることを願い、ヒューズは彼女を独り送り出す。 「じゃあ、こなたさんとアル君にもよろしくお願いします」 「ああ。それと、ここが禁止エリアになったら俺たちはさっきまで潜伏していた民家へと移動する。 そこもダメなら俺たちが最初に出会った所を待ち合わせ場所にしよう」 最後に「ハイッ!」と気持ちのよい返事をすると、スバルは通りを猛スピードで駆けて行った。 見送るヒューズが余韻を感じる間もないうちに、その視界から消えてしまう。 (……頼んだぞスバル) 見送るとヒューズは踵を返し、彼女の幸運を祈りながら店舗の中へと戻った。 どれだけ順調に事が運んでも半日程はかかってしまうだろう。その間、親友の命を繋ぎ止めるのは彼の役割である。 【F-5/市街地/1日目-午前】 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]:健康、腹一杯、バリアジャケット [装備]:リボルバー・ナックル(左手)(カートリッジ:6/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS [道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のじゃがいも、2/3][水])、ジャガイモカレー(特大) ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ(×12発) [思考] 基本:仲間を集めて事態の解決を目指す 1:八神部隊長を探し出して合流(そのためにE-7の丁字路に向う) 2:八神部隊長と合流できたら、協力して他の仲間を捜索する 3:シャマルと合流できたら、彼女を連れてヒューズの元へと戻る(F-5/商店街・布団屋の中) 4:その後は、八神部隊長やヒューズの指示を仰いで行動する 5:キャロや他のみんなもまだ生きていると信じたい ◆ ◆ ◆ …………暖かい……なんだろうこれは? ………………………………? ◆ ◆ ◆ ふうと一息つくと、こなたは暖かいタオルをロイの身体から離し、脇に置いたバケツの中で濯いだ。 血と煤に汚れたタオルを通すと、お湯は見る見る間に赤黒く染まってしまう。 「お湯変えてくるね」 そう言うと、こなたはロイの近くにアルだけを残してまた店の奥――居住空間にある風呂場へと向かった。 その足取りは硬い。それは、お湯を満たしたバケツが重たいからだけというわけではない。 冷たく硬いマネキンの様な身体。傷口に纏わりつくねっとりした半乾きの黒ずんだ血。 初めて見る――死にかけの人間。 毎夜プレイしているMMORPGの中でなら何度も見かけた光景だ。 もしそこでこの様な状況に遭遇したならば、簡単な通信で癒し手を呼ぶか、 倒れている人に「デスペナからのリカバリがんばってね」と、簡単な励ましを送って通り過ぎるだろう。 だが、ここはそういった仮想の世界ではない。痛みや、死。失うということがリアルな現実の世界だ。 カタカタとバケツが揺れ、その縁から濁った水しぶきを床へと零す。 指や、手や、腕や、肩や、脚や、頭が、――こなたの心が再び恐怖と緊張にカタカタと揺れていた。 ◆ ◆ ◆ 「ヒューズさん、これを見てください。大佐の身体がおかしいんです」 ヒューズが近くに戻ってきているのに気付くと、アルはすぐに声をかけた。 そこに含まれた不穏な言葉と、戸惑いを含んだ声の調子に、ヒューズは足を早め寝かされている親友の身体を覗き込む。 「……なんだ、これは?」 アルによって上着とシャツを脱がされ、露出したロイの上半身。そこには大小様々な傷とは異なる奇妙な異変が起こっていた。 鈍色の鱗がロイの右肩を中心に広がり、胸と右腕を覆っていた。触れてみるとそれは金属質で、冷やりとした感触を手に返す。 「……これは一体なんなんだアル? 錬金術の一種か?」 問われるアルは首を横に振る。彼も最初は錬金術の一種かと思ったが、それを確定させることはできなかった。 身体を金属で覆い、その頑丈さや刃で以って戦いの道具にする――そういう錬金術師は少なくない。 ゆえに、最初は身体を守るためにそうしたのではないかと思った。ロイは火を起こすことを得意としているが、 何も他の錬金術が全く使えないというわけではない。事情や必要があれば火以外の術も使うだろうと。 「おかしいんですこれ。金属の鱗が直接身体から生えてきていて……つまりは融合しているんです」 言いながらアルはロイの腕に手をのばし小さな鈍色の鱗を捲ってみせ、そこが癒着していることをヒューズに見せた。 「それに、これも見てください……」 今度は手を胸の上へと滑らし、鱗が生えている部分とまだ生身の部分との境界を示した。 「……少しずつですけど、侵食しています」 二人が見ている前で生身の皮膚の一部がささくれ立ち、色を変えて一枚の鱗へと変化する。 瀕死のロイに埋め込まれたDG細胞。 それが、見守る者も。宿主さえも知らぬうちにじわりじわりとその身体を別種の物へと書き換えていた。 ◆ ◆ ◆ …………ぬくもりは何処だ? ………………さっきのぬくもりは? ………………………………あれは? ◆ ◆ ◆ 「何か心当たりはないのかアル? こいつはこのままだとどうなっちまうんだ?」 得体の知れぬ感情に、今まで平静であり続けていたヒューズの心が揺らぎ始めていた。 生きるか死ぬか、それとはまた全く違う何かに親友は陥ろうとしているのではないか。そういう不安に。 「……生体合成。キメラの一種かも知れません」 その言葉を聞き、ヒューズの背中に冷たい汗が一つ流れ落ちた。 キメラ――生体合成。それは2種以上の生物を錬金術によって無理やり一つの生き物へと組み合わせる術だ。 生き物の命を徒に弄ぶこの術を知っていい顔をする人間は少ない。 ましてや人間との合成は禁忌扱い。その使用が明らかになれば術者は厳しい刑に処されることになっている。 誰が、どうして、こんなことを? これは錬金術なのか、それとも魔法か。はたまた全く未知のものなのか? そして、どうすれば目の前の男を救うことができるのか? 「アル。お前の錬金術じゃあどうにかならないのか?」 どうにかなるのならアルは行動を起こしているはず。だが、無駄と解っていててもヒューズはそれを口から零した。 言葉は返ってこない。ただ、アルが首を横に振る時に鳴る金属が擦れる音――それが答えだった。 ◆ ◆ ◆ ……………………寒い………………寒い…………寒い……寒いのはいやだ。 ◆ ◆ ◆ その後、二人が出した結論は代謝を抑えるためにロイの身体を冷やすということだった。 それが有効かどうかはわからない。だが、鈍色の鱗も生物なのだとしたら冷やせば活動が弱まるかもしれない。 しかし、自分達がしていることが正しいのか解らないゆえに焦燥感は募る。 もしかしたら、これが親友の命を奪うことになってしまうかも知れない。 だが、それがどれだけ不明な道であっても、何もせずに時が経つのを待てるほど彼らは冷静ではなかった。 「こなたちゃん。そっちの奥にタオルがあるから、ありったけ持ってきてくれ」 その指示に、こなたは素直に従って小走りで店内の通路をかけていく。 ヒューズの目の前では、アルが氷水に浸したタオルをロイの身体の上に這う鈍色の鱗へと被せている。 また一枚のタオルを氷水の中から取り出すと、アルはそれをロイの鱗が浮かんだ右腕に巻こうとして――気付いた。 ◆ ◆ ◆ ………………やめろ…………やめろ……寒いのはいやだ……私は……私はまだ………………! ◆ ◆ ◆ 巻きつけようとしていたタオルを脇に置き、アルは鱗に包まれたロイの右腕を取る。 微か、ほんの微かにだが彼の腕が震えていた。弛緩していた筋肉に力が戻ってきたのか……? 「大佐……?」 アルの聴覚にただの呼吸ではない吐息が聞こえてきた。それはほんの僅かでまだ言葉としては捉えられない。 ”…………ヤ…………ロ……” 「大佐。解りますか? ボクです。アルフォンス・エルリックです…………大佐?」 アルは覆いかぶさるような形でロイの口へと顔を近づける。震える唇が何を紡ごうとしているのかを確かめるために。 「 邪 魔 ――ダ ! 」 ◆ ◆ ◆ ロイの口から漏れたそれをアルは聞き取ることができなかった。それと同時に鳴った派手な破壊音に気を取られたからだ。 アルより見て左側、それほど離れていない棚の中に何かが飛び込んでいた。 それはロイの腕を掴んでいたはずの、アルの左腕だった。だが、それに気付く間も彼には与えられなかった。 (……アレ?) 気がついたらアルは宙を待っていた。 投げ飛ばされたのかと一瞬彼は思ったが、グルグルと回る視界の端にまだ残ったままの己の身体を見てそれを悟った。 (首を刎ねられたんだ……) そして同時に、自身の存在が空気に溶けるほど希薄になっていることに気付き、兄から貰った刻印が破られたことを知った。 固い床の上を派手な音を立てて兜が転がるのも、最早ひとごとの様に感じる。 最後の瞬間。おぼろげな視界の中に見えたのはこちらを覗き込む少女の顔だった。 ” ……こなたさん。逃げて……ください…… ” ちゃんと最後の言葉を発することができたのか。目の前の少女はどんな表情をしていたのか。 それを確かめる間もなく、アルの魂は解けて――消えた。 【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師 死亡】 ◆ ◆ ◆ ………………五月蝿い…………私の……私の行く手を、阻むな……私は、私には…………! ◆ ◆ ◆ その一瞬の出来事に、ヒューズの心と身体は凍り付いていた。 それは、命の危機が迫る恐怖によってではない。友を、無二の親友をこの世から喪失する恐怖によってだった。 ヒューズは見た。振り払った手がアルの腕を引き千切り脇の棚に放り込むのを。 そして、返す手刀でアルの金属の身体をまるで紙に鋏を入れるかのように容易く裂くのを。 バネ仕掛けの玩具の様に飛び起きた彼の親友は、仲間であるはずのアルを一瞬で無残な姿へと変えてしまった。 刻印を破壊され、ただの鎧となったアルの身体は床に倒れると派手な音を立ててそこに四散した。 「 アル君――――ッ!」 立ち上がったままの姿勢で彫像の様に静止していたロイと、同じく動けないでいたヒューズはその悲鳴を号砲として同時に動き出した。 十歩はかかる距離をたったの二歩で進みきると、ロイは鋼の鎧を切り裂いた手刀を目の前の少女に突き出す。 その一瞬前、ヒューズの持つ銃の狙いはピタリと親友の頭にポイントされていた。後は、引き金を引く指に力を入れるだけ―― ◆ ◆ ◆ ……………………暖かい…………これがもっと欲しい……私の身体を……凍ってしまった身体を溶かしてくれ。 ◆ ◆ ◆ 「――――――ぅぶッ」 こなたの鼻と口から鮮血が噴出し、目の前の怪人の顔を赤く染める。 腹の真ん中に挿し込まれた獣の腕は、彼女の小さな身体の中を何かを求めるようにまさぐり、奥へ奥へと侵入する。 圧迫する柔らかで温かな臓物の壁を押しのけながらそれが深い処へと進むたびに、吊り上げられたこなたの身体は揺れた。 身体の内側を抉られる刺激に、彼女はびくりびくりと大きな反応を返し、それに合わせて長い髪と細い足が宙で揺れた。 力無く人形のものの様に垂れる脚を伝い、幾筋もの紅の線が落ちその足元に少しずつ赤い円を広げてゆく。 こなたは思う。もっと早くに気付くべきだったと…… この事態に巻き込まれた時から、どこかでこう思っていたのだ――「自分が死ぬはずがない」と。 殺し合い、そして死ぬ。そんな不条理や不都合、不幸が自分に降りかかる訳がないと。何の根拠もなしにそう思っていた。 それどころか、自分はこの物語の主人公であると、そんな風にすら思っていた。 特別なところはない。魔法や錬金術のような不思議な力は持ってないし、命を賭ける度胸も持ち合わせてはいない。 導かれるに値する運命などとも無縁だし、古より伝わる血統なんてものにも心当たりはない。 だが、何ももってはいないからこそ。一本の旗も立っていないからこそ、自分は意味のある存在なのだと。 これこそが典型的な巻き込まれ型主人公のポジションであると、自分が好む非日常の物語の中にあるものだと。 そして、自分はその位置に立っていると、何の根拠もないのにそう思っていた。 紆余曲折はあるにせよ、自分が途中で脱落するなんて夢にも思っていなかった。 最後まで自分は物語の中心に立っていて、全てが終われば全部いい思い出に変わるだろうと…… だが―― (……二次元と、リアルは………………) ――違った。 最後に一際大きく痙攣すると、こなたは遺言を語るべき口から血の塊を吐き出し、何も言い残さずにそのまま死んだ。 【泉こなた@らき☆すた 死亡】 ◆ ◆ ◆ ――ヒューズは引き金を引くことができなかった。 目の前の親友を――すでにもう自分の知る親友ではないのに――撃てなかった。 その逡巡は十分の一秒にも満たない短いものだった。だが、それが少女の生死を別けた。 アルと一緒に現れた小柄な少女。最初は周りを取り囲む何もかもに怯えきっていたが、それが彼女の本質でないことはその後すぐに知ることができた。 かわいい女の子だ。自分の娘に匹敵するぐらいに、彼女の親を羨むぐらいに…… 殺されてしまった――自分のせいで。 殺させてしまった――無二の親友に。 これは一体どんな悲劇なのだろうか。螺旋王は一体何を望んで自分達をこんな舞台に立たせたのか。 目の前の親友は、未だ少女の身体を弄んでいる。彼は一体何者になってしまったのか。 「――やめろ! やめるんだロイ!」 室内に乾いた破裂音が連続して鳴り、それに合わせてロイのまだ肌色だった部分から血が迸る。 銃撃を加えるヒューズの目。その端には理性で抑えきれない分だけ涙が溜まっていた。 逆に、鬱陶しそうな動きで身体を向けたロイの目に感情はない。灰色に濁っており、ヒューズの姿も捉えられてはいなかった。 「ロイ! 俺だ! ヒューズだ! 正気を取り戻せ!」 ヒューズは訴えながらさらに弾丸を叩き込む。だが、声も衝撃も彼の心に届いているようには見えなかった。 片手に少女を引きずり、緩慢な動きでヒューズの方へと歩み寄ってくる。 「ロイ――――――ッ!」 遂に感情を解き放ち、叫びと共に放たれた弾丸によって鮮血と剥がれた鱗が宙に舞い、ロイの片腕よりこなたが滑り落ちる。 だがもうそれには興味を失ったのか、加えられた傷に怯むことなくロイはさらに一歩前に出る。 「ヒューズだ! 俺が解らないのか!? ――ロイッ!!」 必死の訴えに対するのは無言の一撃だった。アルやこなたを屠った手刀がヒューズに対しても容赦なく振るわれる。 ◆ ◆ ◆ ……五月蝿い。五月蝿い。五月蝿い。五月蝿い。五月蝿いぞ、ヒュー…… ◆ ◆ ◆ 床に真新しい血が音を立てて落ちる。 親友から繰り出された必殺の一撃を辛うじて避けたヒューズは片手で傷を庇い、もう片方の手で銃を構える。 「……ふざけるなよ。お前がそんなものになっちまってどうするんだ」 ロイは相変わらず無言だ。まるで殺すために作られた機械の様に、無感情でヒューズの方へと詰め寄ってくる。 それに合わせてヒューズもじりじりと後退する。だがすぐに背中に壁がつき、彼は部屋の隅へと追い詰められた。 構える銃の中にはもう一発しか弾丸は入っていない。予備はあるが、それを取り出す余裕は与えられないだろう。 ヒューズは静かに、銃口の先を親友の眉間へとポイントする。 いくら化物になったとはいえ彼は人間なのだ。頭を撃ち抜かれれば死ぬに違いない。 そう――死んでしまうのだ。死んで彼は永遠にこの世から失われる。夢も何もかも諸共に―― 「……ロイ。思い出せ……俺を、仲間を、そしてなによりもお前自身を! ――お前が目指していたものを!」 ――だが、死ねば罪も悪夢も諸共にこの世から連れ去ることができるだろう。 「――目を覚ませっ! ロイ!」 ◆ ◆ ◆ ……私はあの時、自身を取り巻く世界というものに対し絶望した。一人の人間のなんと無力なことか……と。 そしてまた、自身の無力さと臆病さにも絶望した……そのままだったら、私はただ朽ちて世界から消えるだけだっただろう。 だが、私は一人ではあっても独りではなかった。 だから足掻けるのだ。絶望に包まれた世界の中でも――いつかそれを改変できる時が来ると信じて。 心をも凍る絶望と暗闇の中でも私は抗う。たとえ光が無くとも、這ってでも前に進んでやるさ。 そして、今度こそアイツを救うんだ。私を独りにはしなかったあの男を――! ◆ ◆ ◆ 侵食を続けていたDG細胞は、それに必要な時間を経てついにロイの身体を覆いきった。 彼の眼の中に消えていた虹彩が戻り、久しく失われていた光が取り戻される。 そして、それと同時に靄の中にいたような意識も少しずつ晴れ、はっきりとしたものになろうとしていた。 通常ならばDG細胞に脳を侵されれば、碌な意志を持たないゾンビ兵へと成り果ててしまう。 だが、ロイは強靭な意識によってそれを跳ね除けた。この世の天元を目指す強い意志で――! まだ取り戻したばかりで薄ぼやけた視界の中に誰かがいる。それは闇の中で声を聞いた親友なのだろうか? 「……ヒューズ。お前なのか…………? ヒューズ…………?」 目の前に捜し求めていた親友――マース・ヒューズがいた。 もう二度と死なせはしないと誓ったその男が――目の前で死んでいた。 真っ黒に乾いた血の円の中で親友は蹲り、胸にポッカリと大きな穴を開けて死んでいた。 ―― ナ ン ダ コ レ ハ ? ――ひ、と口から小さな悲鳴が漏れた。 こびり付いた血によってどす黒く染まった自分の手は、何時の間にかに自分のものではなくなっていた。 そして、血に塗れた手と親友の胸に空いた穴を見比べれば、もう寒くはないのにガチガチと歯が震える…… 一歩後ずさろうとして、何かを蹴ってしまったことに気付く。 薬缶かバケツを蹴ってしまったのかと思ったが、そうではないとすぐに気付いた。それは彼がよく知る者の「一部」だった。 室内を見渡せば、それが散らばっているのが解る、そしてその合間に見知らぬ少女の死体も発見できた。 俄かに脳内が粟立ち、恐怖や不安、焦燥や絶望。何もかもが入り混じったものが身体中を駆け巡り心を掻き乱す。 強く天の方向へと伸びていた強固な意志は雲散霧消し、心に灯った赤い炎は明るさを失う。 闇に閉ざされた中よりもより最悪な光景に、現実感は急速に失われていき立っていることすら覚束無くなってくる。 そして彼は見た。透き通ったショウウィンドゥに映った自身の姿を。そこに映し出された化物の姿を―― マース・ヒューズは死んだ。 暗雲がロイの心に覆いかぶさろうとしている。だが……まだ雨は降っていなかった。 【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師 死亡】 【F-5/商店街・布団屋の中/1日目-昼】 【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師】 [状態]:激しい混乱、DG細胞寄生、上半身裸 [装備]:なし [道具]:なし [思考]:?????????? ※DG細胞は全身に行き渡りました ※布団屋の中に、ヒューズ、アル、こなたの支給品が落ちています [マース・ヒューズの支給品] デイバッグ(×2)、支給品一式(×2、-ランタン×1)、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師 S W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数5/6)、短剣×12本、制服のボタン(ロイ) 単眼鏡、水鉄砲、銀玉鉄砲(銀玉×60発)、ジャガイモカレー(中) [アルフォンス・エルリックの支給品] デイパック、支給品一式 [泉こなたの支給品] デイバッグ、支給品一式、マチェット、チェーンソー、ジャガイモカレー(小) ※死んでいるマース・ヒューズの手に拳銃が握られています >[S W M38(弾数1/5)] 時系列順で読む Back 黒の騎士団 Next くずれゆく…… 投下順で読む Back 黒の騎士団 Next くずれゆく…… 108 ちぎれた翼で繋いだ未来へ スバル・ナカジマ 160 突っ走る女たち 108 ちぎれた翼で繋いだ未来へ マース・ヒューズ 108 ちぎれた翼で繋いだ未来へ 泉こなた 108 ちぎれた翼で繋いだ未来へ アルフォンス・エルリック 110 Ashes to ashes ロイ・マスタング 145 悪魔(デビル)が哭く夜! 復活のデビルマスタング
https://w.atwiki.jp/irukakiss/pages/55.html
2011年1月9日(日) マンションの2階の部屋の人から連絡があった。 「突然お湯が出なくなりました。」 それは大変困ります。寒いのにお風呂に入れないのはつらいですよね。 ガスコンロでお湯を沸かして拭くぐらいのことしかできない。 突然だから困ります。徐々に調子が落ちてきたのなら、新品を取り寄せる準備もできるのに。 2階の壁に付いているから厄介。16号だけどやけに小さい。 とりあえず原因を調べるためにカバーをはずす。 電源は来ている。お湯の蛇口を開けると点火せずにパイロットランプが3回点滅。 ムムッ、温度ヒューズ断線のエラーらしい。 温度ヒューズの場所は、結構ややこしい。 これは内部の上の方。排気口の下。バーナーの上。ボイラーのところ。 その奥のほうに赤い線が入り込んでいる。そして、白いガラス繊維でできたチューブ(エンパイヤチューブ)に入っている。この中に温度ヒューズがあるのだ。 エンパイヤチューブは2本ある。 わかりづらいが、画面中央下に小さいネジが見えるが、そのネジの左上に1本目のエンパイヤチューブの端っこが見えている。ボイラーの下の方の裏側に突っ込んである。 2本目のエンパイヤチューブはその3cmほど上のところに端っこが見えている。 エンパイヤチューブを2本引っ張り出した。下の方のエンパイヤチューブを取り去ると、抵抗のようなものが2本直列に圧着スリーブで付いている。これが169℃の温度ヒューズ。テスターで測ると、下の方1本が断線していた。直接の原因はこれだ。 上の方のエンパイヤチューブには、よく見かけるタイプの温度ヒューズが入っていた。96℃のものだ。やはり2本直列で入っている。こちらの方がやや太い。エンパイヤチューブもそれに合わせて太い。こちらのヒューズは2本とも切れていなかった。 ヒューズを取り出して見てみる。 上の方が96℃。下の方は169℃。何でこんな半端な数字? 直接の原因はとにかく4本の温度ヒューズのうち1本が切れていたということ。しかし根本的な原因=つまり何故ヒューズが切れたかということに関しては不明だがとにかく古いので老衰だと思う。ヒューズの経年劣化。1989年製だから20年以上経っている。もはや、他の部分もぼろぼろだろうし、多臓器不全になる寸前だろう。新品に換えるべき。 とりあえず新品を発注し、それが来るまで急場をしのぐために切れたヒューズのところは直結。まだあと3本ヒューズがあるんだから、事故にはならないと思うけど、異変に注意しながら使うべし。(読んだ人は直結なんて恐ろしいこと真似しないで下さい。) 2011年1月12日(水)新品の給湯器が来た。楽天で買った。翌日今の給湯器と交換する。上の方からロープで下ろしていくのだ。 給湯器に付属のステンレスタッピングビスは、大げさに長い。5cmぐらいある。そのくせネジの頭が小さい。これはやめて、1cm径ぐらいの頭で3cmぐらいの長さのステンレスタッピングビスにした方がいいと思ったのでそうした。5cmぐらい打ち込むとなると、下手をすると下穴を開けている時に運悪く配管をぶち抜くなんて事になりかねないと思うんだが。 前の給湯器と取り付けビスの位置が違うので、一番上の1本だけはそのまま使ったが、あとの2本はコンクリートに8mmのカールPCプラグを打ち込む穴を開け直し。このとき、下穴は水平より下向きになってしまいがちなので注意すること。そうなると、給湯器本体が邪魔になってドライバーの角度が合わず、ネジをなめることになる。(実際失敗したからそれが言える。)そんな馬鹿な事はしないって?高所なので結構大変ですよ。足場もないし梯子を片手で持って振動ドリルを片手で持って、8mmの穴をコンクリートに開ける。手がだるくなって、下に向いてくるんですよ。 写真は給湯器の上の部分だが、下も同じように固定する。合計4箇所新たに穴を開けてビスで固定した。 どう考えても付属のビスだったら頭が小さすぎるでしょ。はじめ付属のビスでやったけど、取り付け部分の鉄板に開いている穴から抜けそうになるので1cm径ぐらい頭のビスに替えました。 新品のほうが図体が大きい。ノーリツの16型。効率が良いらしい。 ガス管のシール剤。いつまでも乾かないねばねばしたやつだ。昔Monotaroで買った。今はこんなもの使わないんだろうね。きっと。 注.給湯器の設置は、ガス配管資格や給水装置主任技術者資格が必要なだけでなく、指定工事店に所属している事が必要なので、素人がやってはいけません。ガス会社の指定業者にやってもらうしかありません。以下の内容は業者の人がやっっているのを記録したものです。 右から、フレキのガス管、ガス接続口(シール剤を塗り、フレキとのアダプタをまずねじ込む)、電気の線、給水口、出湯口(給水口の陰に隠れている)。 アダプタにガス管を接続。ゴムパッキンが入っているのでここはシール剤は塗らない。 給水口。前の給湯器をはずした時はパッキンなんてなかったと思うけど、パッキンなしでやったらやたらと水漏れしたんで、パッキンつけた。 出湯口も同様に接続。 保温材を巻いて完成。