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シュネルゴス 1 名前 シュネルゴス 2 年齢 1年未満 3 性別 不定 4 種族 ゴーレム 5 外見 ブロックを組み合わせたボディを持つ。 ブロック同士の結着は強力で、液体などの内部への侵入を完全に防ぐ。 ブロックの素材は一見すると岩のようだが、実際は遥かに硬い特殊な鉱物で作られている。 その体格は巨大で重厚。動く城壁といった印象を受ける。 肘や肩などの関節も弱いわけでなく、間に武器を入れられて壊されるということもない。 頭部はチェスのルークの駒のようになっており、顔の正面にあたる部分には十文字に、目に当たる凹みがある。 体の部分部分には派手すぎない装飾がされている。 身長:562cm 体重:約13t 6 性格 忠実で実直。 敵対するのであれば容赦はなく、害とあらば排除する。 よく言えば素直で、思ったことはオブラートに包むことなく言うことが多々ある。 マスターであるヒルフェの指令は絶対。 よほどのことがない限り逆らうことなく忠実にこなす。 それ以外の、命令などを受けていないときは温厚で穏やか。 7 過去 アースガルドのゴーレムに興味を持ったのと、外部へとあまり接触しないように手伝えるダレかが欲しくてヒルフェに製造された。 性格は以前師弟関係だった竜聖の性格を基礎に構成された。 8 職業 手伝い 9 口調 発声ロジックがあまり上手くできていないため、どこかカタコトな喋り方になる。 「おハツに おメにかかります。ワタシは シュネルゴスと モウします。」 「マスターのメイにより ゴエイさせてイタダきます。」 「メイレイ フクショウ。コウセキのサイクツ オヨび カイシュウ ですね」 「モクヒョウ ホソク。ハイジョします。」 「リカイフノウ。そのヨウなコトをしても アナタのチノウはカイゼンされません。」 10 一人称、二人称 一人称:ワタシ 二人称:〜サマ。アナタ。ヒルフェに対しては「マスター」 11 好きなもの 特にない 12 嫌いなもの 特にない 13 好きな人 ヒルフェ(マスターとして) 14 パートナー ヒルフェ 15 属性 金 土 16 苦手な属性 特にない 17 戦闘スタイル 専守防衛。 基本的には仲間の盾となり壁となり様々な攻撃を防ぐ。 必要に応じて格闘戦を行う。 18 精神力 無機質。 まさしく鋼のように頑丈。 19 戦闘熟練度 ★★☆☆☆ 20 技や魔法 【ダブルラリアット】 上半身だけを回転させ、周囲の物をなぎ払う。 【ハンマードリル】 腕を高速回転させ、対象を削るようにして破壊する。 21 特殊能力・特殊技能 【浮遊】 地表から数cmだけ浮いて、滑るように移動することが出来る。 水面も沈むことなく、移動することが出来る。 また、水中ではこの力を応用して推進することが出来る。 【自動姿勢制御】 不意に倒れそうになった際、バランスを立て直し転倒しなくする。 思わず倒れて誰かをつぶしてしまうことはない。 【形状変更】 ブロックを並び替えてある程度の形に変化することができる。 また、ブロック同士がバラバラにされても、再度結合することが出来る。 【魔力自動回復】 コアに魔力を自動で回復させる魔術式が組み込まれている。 あくまで回復量は通常運用時を多少上回る程度。 過剰消費した際には休止状態に入り、機能を最低限に落とさないといけない。 【精神干渉無効】 精神に効果を及ぼす技・魔法・道具を無効化する。 【生命干渉無効】 生命に効果を及ぼす技・魔法・道具を無効化する。 【異常状態無効】 能力値変化を除く全ての異常状態を無効化する。 22 必殺技 【カウンターアーマー】 表面に魔力を流し、何らかの攻撃を受けると同時に同等のダメージを相手へと即座に反射する。 発動中はゆっくりとしか動くことが出来ない。 傍から見れば「何らかの魔術の発動準備」としか見て取れない状態。 反射するダメージ量は相手の防御力に依存する。 23 能力[E.まるで駄目 D.苦手 C.人並み B.得意 A.達人級 S.化物級 SS.神級] 体力 ない 物理防御 S++ 魔力 A+ 魔術防御 S++ 腕力 S++ 知力 C 素早さ B 命中 C++ 24 武器やアイテム 【ゴーレムコア】 直径10cm強の緋色のコア。 「シュネルゴス」を存在させるのに必要なものであり、ヒトで言う心臓や機械で言うエンジンにあたる。 これが破壊されない限り半永久的に活動を続けることが出来る。 アースガルドで言うところの魔石に順ずる素材を使用しており、品質としては上の下。 ヒルフェの手により魔術式を書き込める領域が広げられており、発揮できる能力はそれ以上。 後々に学習したことを追記するため、ある程度余地が残されている。 普段は強化魔術を施された布に包まれ、最も耐久力のあるブロックに包まれて内部に納められている。 ボディとコアとの距離を離さないことにより、強力なパワーを実現している。 25 その他 色々書き足していきますん。 ゴーレム 格闘
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ゴルフはクラブハウスを中心として行うスポーツのため マナー、エチケットが大切になるんじゃけぇの。 ジーンズやらでのプレーは論外で、色は同色か2色まで で統一するんが望ましぃんじゃ。 グローブ、帽子、ソックスやシューズも調和を考えて 選びたいもんじゃ。 夏は、えりのあるウエアにし 冬にするブレーカーやマフラーの調和も忘れんとぉに用意するといいじゃろう。 リンク 北海道 ゴルフ 場 神奈川 県 ゴルフ 場 沙耶のゴルフ日記 ゴルフプレー時の服装
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2021年8月29日に行われたV-WaVE Fesにて3Dの体がなかった夕影ミコトは最後まで出演を拒んだもののJewel in the Crownとして出演した。 なお等身大パネル形式である。 Fes当日は「パネル」「板」「ペラ影」などコメントが立ち並んだ。 その後も3Dの体を持たないV-WaVE所属者がパネルでライブに出演することがあるが運営内で「ミコトさん方式で撮影」との用語が横行しているらしい。 誠に遺憾。
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片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場をお気に入りに追加 楽天課 <片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場> 楽天GORAでコースガイドを見る、予約をする。 情報1課 <片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場> #bf 外部リンク課 <片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場> ウィキペディア(Wikipedia) - 片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場 楽天GORAで探す プレー曜日 平日 土日祝 プレー料金 指定なし 5,000 7,000 9,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 円~ 指定なし 5,000 6,000 8,000 10,000 11,000 13,000 15,000 17,000 19,000 21,000 23,000 25,000 円 エリア 全地域 北海道・東北 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 関東 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 長野県 静岡県 北陸 新潟県 富山県 石川県 福井県 中部 岐阜県 愛知県 三重県 近畿 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 中国 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 四国 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 九州・沖縄 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 海外 Amazon.co.jp ウィジェット 保存課 <片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場> 使い方 サイト名 URL 0314_golf-ladies_165x100%5B1%5D.jpg ezaki-g165.jpg 20090902_golf_putter_165x100.jpg 1221_golf-comparison_165x100.jpg 情報2課 <片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場> #blogsearch2 成分解析課 <片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場> 片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場の57%はやらしさで出来ています。片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場の37%は黒インクで出来ています。片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場の3%は言葉で出来ています。片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場の1%は理論で出来ています。片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場の1%は信念で出来ています。片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場の1%はアルコールで出来ています。 報道課 <片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場> gnewプラグインエラー「片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場」は見つからないか、接続エラーです。 情報3課 <片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場> #technorati JAWS_260.jpg CAJ3CYVY.jpg 楽天GORAゴルフ場索引 北海道・東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 海外 楽天売れ筋ランキング ゴルフ総合 クラブ(メンズ) クラブ(レディース) ボール グローブ シューズ メンズウエア レディースウエア バッグ ヘッドカバー トレーニング用具 パーツ 小物 コンペ用品 その他 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ページ先頭へ 片山津ゴルフ倶楽部 山代山中ゴルフ場 このサイトについて 当サイトはキーワード毎にインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ページをブックマークしておけば、ほぼ毎日そのキーワードに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、キーワードが同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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Aチャンネル Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 発売日:9月27日 ◆黒田bb先生描き下ろしジャケット ◆黒田bb先生描き下ろしコミック ◆コミックスとTV OVAシリーズのOPEDテーマソング ◆サウンドトラック ◆劇中歌CD ◆既発映像特典「+Aチャンネル」全11話 2011年4月放送開始。2017年9月27日、新作OVA付きBlu-rayBOXが発売。OVAにAチャンネル+smileがある。 http //www.a-ch.jp/ 監督 小野学 原作 黒田bb 副監督 セトウケンジ シリーズ構成 浦畑達彦 キャラクターデザイン・総作画監督 佐々木政勝 デザインワークス 三股浩史 美術監督 松本浩樹 色彩設計 甲斐けいこ、池田ひとみ 撮影監督 林コージロー CGラインディレクター 田中臥竜 CGプロデューサー 松浦裕暁 編集 三嶋章紀 音響監督 鶴岡陽太 音響効果 倉橋裕宗 録音 矢野さとし 録音助手 砂庭舞 音楽 神前暁、MONACA アニメーション制作 Studio五組 脚本 浦畑達彦 絵コンテ 小野学 セトウケンジ 稲井仁 渡邊哲哉 追崎史敏 佐藤雄助 小島正幸 演出 小野学 セトウケンジ 北條史也 イシグロブヘイ 高橋正典 駒井一也 羽生尚靖 博史池畠 菊池勝也 作画監督 佐々木政勝 藤崎賢二 大田謙治 海堂ヒロユキ 杉藤さゆり 沈宏 小池智史 片岡英之 大舘康二 水上ろんど 酒井孝裕 横松雄馬 輿石暁 ■関連タイトル Aチャンネル Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray Aチャンネル vol.1 【完全生産限定版】 Aチャンネル +smile 完全生産限定版 Aチャンネル おりじなるさうんどとらっく Aチャンネル TVアニメ公式ガイドブック -colorful days collection- Aチャンネル.zip 「Aチャンネル」ビジュアルファンブック WAVE トオル 1/10スケール PVC塗装済み完成品 キャラアニ B2タペストリー 集合 キャラアニ トオル 抱き枕カバー クッションカバー A るん トオル プレシャスメモリーズ Aチャンネル スターターデッキ Aチャンネル タンブラー フィギュア・ホビー:Aチャンネル 原作コミック 黒田bb/Aチャンネル 1巻
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■種族が「エルフ」のキャラクター ■エルカティア ■メルル ■セルフィア ■フューネル ■リティア ■ジョンドゥ
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417 名前:543[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 00 52 07 ID ??? 皆様こんばんわ。 久方ぶりに投下いたします。 自分、おそらくイタモノや戦闘書けない人なんだと思いますw 今回は5、6回位分けの投稿になるかと思われ。(30レス内外) ◆成分 ・LAS中心だけど要素は薄いです。 ・萌えとかたぶんあんましないです。 ・全般的に日常の延長で存外平凡です。 てのに許容できるかねる方のNGワードは 経験の唄 で御願いします。 418 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 00 54 09 ID ??? 「アスカ、シンちゃん、明後日予定明けといてね」 そう宣言されたのは、宇宙から落下してくるという、対応を考える前に匙を 投げてしまいそうな第8使徒との戦いが終わった一週間後の夜だった――― この日、残務処理で忙しい筈のミサトが結構早く帰って来た。 何となくアスカとシンジが不思議に思いつつ晩御飯も食べ終わる。 洗い物の出来ないシンジの代わりにアスカが危なっかしく手伝いをして いた時、ミサトが唐突に口を開き、そう言った。 思い通りに手伝いが出来ないでいたアスカは、不満の矛先をミサトに向け、 振り向きざま遠慮もなく突っかかる。 「空けるも何も学校よ?そんな事わかってるでしょ?」 「放課後、何かあるって事ですか?」 シンジのほうは急な呼び出しや予定外の事態に慣れてきたせいか、案外落ち 着き払って聞いてきた。 「んにゃ、丸一日…かな?」 アスカとシンジはミサトの言葉を聞いて顔を見合わせた。 意味はともかく理由がまず解らない。 シンクの中にあった最後の皿をシンジに渡し、エプロンを取りながら アスカがミサトに訊く。 「んで?改まって何をやらせるの?」 「やらせるって言うか、んー、ある意味社会見学……いや、情操教育…… 違うわね。なんて表現すべきか……」 「まあでも、訓練とか演習とかなら仕方ないし、学校にも説明できるだろう から、別にいいんじゃないかな?」 「はんっ!なにイイコぶってんのよバカシンジ。そうやって理由も目的も 確かめずにハイハイ言ってたらいつか痛い目見るわよ!」 シンジがぐうの音も出ずにアスカの責めに目を逸らすのを、ミサトは気重な 思いを一緒くたにしてエビスで飲み干して、次の言葉を吐き出した。 「んで、その予定だけど、二人ともお葬式に出てもらいます。勿論これは 個人的な御願いじゃなく、純粋に命令よ」 「はぁ?」 「へ?」 状況が飲み込めない二人には、困惑を含めたそんな返事しか出来なかった。 419 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 00 55 14 ID ??? * 「ちょっとアスカーー、まだなの?」 「もうちょっとだから急かさないでよ!」 襖の向こうから急いでいるらしいどたばたした音は聞こえてくるが、待って いるミサトとシンジにはその努力もイライラの対象でしかない。 シンジはいつもの制服姿なのですぐに準備は終わり、その埋め合わせのように 普段の倍の家事労働をする羽目になった。 朝の5時ごろ帰ってきたミサトは、不機嫌と化粧のノリの悪さはひとっ風呂 浴びても解消出来ていなかった。 『おまけにこんな気重な行事。残務終えたら日帰りでいいから有給とって温泉 行きたいなぁ……』 今日の予定が人任せなシンジは結構気楽なもので、少し濃い目の化粧と、 肌色と対照に黒尽くめの上下で固めたミサトを不思議そうに見る。 ミニスカート姿の多いミサトが今日はパンツ姿なのが、どことなく冷たく 精悍な印象を醸し出していた。 「お、お待たせ!」 威勢良く開く襖の音に振り向いた二人の先には、半袖の黒いワンピースに、 赤い髪をアップにしたアスカが立っていた。 「おぉぉーーー」 声になるかならないかの感嘆が二人の口から漏れると、アスカは少し赤面 してすぐさま玄関に向かう。 「アスカぁ、お化粧してたの?めっずらしー」 冷やかすミサトに、ドツボに向かう間違った反応と知りつつアスカも振り 向いて突っかかる。 420 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 00 56 06 ID ??? 「っさいわねぇ!公的な席に出るんだからこんくらい礼儀でしょ!」 「なかなか綺麗よぉ、馬子にも衣装とはよく言ったもんね」 「孫ってなによ?あたしのおじいちゃんやおばあちゃんとは何の関係もない じゃない!」 「その、アスカ、馬子ってのはそういう意味じゃなくて……」 「あぁんもういいじゃない!急いでるんでしょ?早く行こうよ!」 すっかり顔が紅潮したアスカは、手に持って出ていた黒のローヒールを 乱雑に玄関に放り出し、同じく黒で揃えたショルダーバッグを袈裟懸けに してどすどすと外に出て行った。 「シンちゃん、ちゃんとおめかししたアスカ褒めてあげてね」 いつものハイヒールをシンジの肩を使いながら履いているときに、ミサト が茶目っ気たっぷりに言った。 「これからお葬式に行く格好なのに、それってちょっと不謹慎じゃないですか?」 「なーに言ってんの、褒められて嬉しくない人間なんていやしないわよ。 髪のセットも慣れない化粧も、アスカきっと頑張ってたからあんなに時間 かかったんだろうし」 人差し指でシンジの唇をぺちぺち叩きながら、ミサトもそう言い置いて アスカの後を追った。 『確かにアスカの服装も化粧も似合ってるし綺麗だったけど……』 別に褒めるのは嫌でもないしむしろ言いたいとは、思う。 『……先生も言ってたけど、結婚式や葬式に男の出る幕が無いっての、本当 なんだな……』 いつもと違う二人に代わり映えしない自分。それが少しシンジは寂しかった。 421 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 00 57 14 ID ??? 「あれ?ミサト、今日は車は……」 「今日はハイヤーよ。派手なスポーツカーで乗りつけるような場所じゃない しねー」 「ま、そうよね。…それで、あとどれくらいで来るの?」 「んー、もう2、3分じゃないかな?」 腕時計を眺めながらミサトが呟く。 『見ない時計だな…誰かにもらった……やつ?』 いつもと違うミサトの格好の中でも、その時計は何となくアスカの目に 止まった。 目ざとくいつもと違う持ち物をいろいろ見てしまうのは、アスカ自身が今日 そうだからだろうなと少し思う。その点所在無げに突っ立っているシンジ は笑える位にいつも通りだ。 「ハイヤーなら待たせとけばよかったんじゃないの?第一、私ら遺族じゃないん だし、少しくらい遅れても問題ないんでしょ?」 「結構な人数来るんだから、遅れたらいい赤っ恥よ。そ・ん・な、事よりぃ、 えいっ!」 「ちょっと、ななななにすんのよミサトォォ!」 「あり、ファンデやった位か。まあわっかいんだからあんまいじくりまわす 必要はないか…」 突然ミサトはアスカを後ろから羽交い絞めにすると、びっくりして悲鳴 を上げたアスカの顔をじろじろ眺めまわしはじめた。 「ちょ…や!」 「やっぱアスカ肌のキメ細かいわねー。前から気にはなってたけど、所謂 湯上り卵肌てやつか」 「ミサトぉ……」 混乱して赤面するアスカにお構いなしに、尚もジロジロ眺め回し、あまつ 指で頬や項や唇をいじりまわす。 シンジは真っ赤になって呆然としていた。 ―――でも目線は二人に釘付けだった。 422 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 00 58 27 ID ??? 「お、この口紅今年の新色じゃないの。何気にチェック早いわねぇ」 「み、店の人の言いなりで買っただけだから、わっかんないわよそんな事!」 「ほほぅ、言いなりでメイク指導もちゃんと聞いてきたのねん。一体誰の為に 勉強したのぉー?うりうりうり」 「やだぁ、ほっぺたいじるなぁ!お化粧落ちちゃう!」 「落ちやしないわよこんくらいで。…にしても睫毛ながっ!ビューラーか なんかやってんの?」 「何にもしてないもん!だからもう離してよ!」 「ぬ、それはまた羨ましいな、くのっ!」 「やぁぁぁん、息吹きかけないで、そこ弱いのぉっ!」 意外と怪力なミサトにかかれば、軍で訓練を受けているとはいえアスカが 敵いっこなかった。 心なしかシンジの耳には、段々とアスカの声が甘味を帯びてきたような 気がした。 「そだアスカちゃぁん、今のうちにシンちゃんにマーキングしときなさいよ」 「ふぇ?マー…なに?」 ガン見しているシンジの耳に十分聞こえる小声でミサトが囁いた。 「キスしちゃいなさいってことよん。今ならもれなくキスマーク付けれるし」 アスカは返事の代わりに思わずシンジをまじまじと眺めると、沸点を通り 越して絶句してしまった。 向かいのシンジも仲良く硬直してしまい、同じように切羽詰まった眼で アスカを見ていた。 ミサトは羽交い絞めを解くと、シンジの後ろに回り込んで肩を押して、 アスカの目の前に立たせる。 「ホラ、シンちゃんも呆っとしてないでアスカの変身に一言位言ったげな さい」 423 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/06(金) 01 00 11 ID ??? 『な、何をどう言えっていうのこのタイミングで!』 ミサトの一言に二人同時に横を向き、アスカは心臓が早鐘を打つのを 感じ、シンジはかける言葉を必死で探った。 ミサトもアスカもこの場をごまかして通り抜けることは、絶対許してくれない だろうという確信がシンジにはあった。 『エヴァに乗ってる時の方が楽かも……』 そんな事を思う日が来るとは思わなかったシンジだが、現実は時間の経過と ともに重圧が増すだけだ。その重圧から逃げ出すように言葉を吐き出す。 「えと、アスカ……今日はなんか、綺麗だし…その、化粧も服も似合ってるよ…」 「こ、…んも、この、そんな…誉め……」 シンジが必死に絞り出した誉め言葉に、アスカは感嘆符だらけの何かを少し 喋りかけてそのまま俯いて黙り込んでしまった。 『あちゃあ、ちょっちやりすぎたかなぁ?』 お互いに横を向いてもぞもぞしている二人を見ながらミサトは少し反省した。 『でも初々しくって可愛いのよねこの子たち』 反省は本当に少しだけだった。 ミサトが二人をニヤニヤ眺めているうちに、ハイヤーが駐車場に滑り込んで きた。 433 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 22 18 50 ID ??? * 突如降り出した雨が、黒い車体を容赦なく叩く。 車は北に向かってトンネルを超え、たまに現れる国道の行き先表示板には、 御殿場の文字があった。 会場の近くになると戦自の車両が所々道路脇に現れるようになり、誘導の 係員がずぶぬれになりながら関係車両を捌いている。 はじめお互いを過剰に意識して黙りこんでいたアスカとシンジは、今度は 場の空気に感化されて無口になった。二人が交互に見た左に座るミサトの顔も、 心なしか段々と重く沈んでいくように見える。 応急で作られた車回しにハイヤーが横付けされ、仮設の巨大なテントが弔問 の人々を次々に吸い込んでゆく。 多少雨脚は弱まったものの、いまだに雨は降り続き、テントの下でさえ方々 にぬかるみを作っていた。 「下ろしたてなのにぃ……」 車を降りると周りはぬかるみだらけで、アスカは悲しそうに泥をはねる靴を 眺めた。 『NERV受付』『戦自受付』『一般受付』と書かれた帳場にそれぞれ列が出来 上がり、NERVの列だけが不自然なくらいに長い。 とくに遺族でもなさそうなシンジたち三人は、どことなく視線を集めるらしく、 落ち着かない心持をさらに居心地悪くさせた。ミサトはなにか気になる事がある のか、先ほどからいらついているように見えた。 「ちょっと、どういうことなの?」 「どうもこうもありませんよ。まるで話が違うんですから。総務部の連中が今 戦自の実行本部に怒鳴り込んでる最中です」 帳場でミサトは日向に戸惑いながら食って掛かった。 「嫌な空気ね。なんかに嵌められてるんじゃない?」 「その可能性は否定できませんね…」 「なんにせよ情報を頂戴。パイロットの対応も色々考えないといけないから」 「わかってますよ。今日は保安部も諜報部も協力的ですから問題ありません」 「頼りにしてるわ」 「頼りにされますよ」 434 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 22 19 59 ID ??? 受付にいた日向とミサトの会話は、ここに来るまでの雰囲気と相俟って、 シンジとアスカの気分もかなり神経質にさせた。 空気に気圧され目線がどんどん下がるシンジをじっと見守っていたアスカは、 ミサトが戦自のお偉いさんに捕まる寸前に行動に出た。 「ちょっと来なさいよ」 そう言ってシンジの腕を掴むと、帳場の脇をすり抜けて勝手口から裏手に 出る。人の気配が無いのを確認すると、アスカはシンジを壁を背にして立たせ、 その前に腕組みをして仁王立ちになった。 相対するアスカの表情も硬い。その表情がシンジを更に強張らせるが、そんなの はアスカにはお構い無しだった。 「アンタこういう席初めてでしょ?自分のせいで人死に出たって所に参加 するの」 「うん……」 「予想通りというか、早速場に呑まれてるわね…… いい?バカシンジよく聞きなさいよ。要はココの中は全部敵よ。どんな事が あっても謝っちゃダメ。碇指令みたいに上から冷たく見下ろす覚悟でいなさい。 弱気見せたら絶対ダメよ!」 「で、出来ないよそんなこと……」 「出来る出来ないじゃないのよ、バカ!やるしかないのよ」 「出来ないって!大体そんな態度、傲慢すぎるよ!」 「アンタの中じゃ謝ったり泣いたりするのは優しさだろうけど、何事もケース バイケースよ。賭けてもいいけど、アンタの謝罪はまともに受け取られないわよ」 「でも……」 「それに!戦闘地域に残る覚悟持った人間なら、絶対どこかに遺族も『仕方ない』 って思ってる所があるし、事実仕方がないのよ!アンタ、そうやって納得している 遺族もいるのに、その人たちまで傷つけて平気なの?」 「そういぅアスカは、こんな所、平気でいられるの?」 一瞬怯みそうになるのをアスカは立て直し、弱みを見せないようにシンジに食って 掛かる。 435 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 22 21 21 ID ??? 「アンタばかぁ?すっかり忘れているみたいだけど、私一応軍人よ?命令を 守って任務遂行して、きちんと結果を出す。途中で誰かが巻き込まれて死んじゃう のもとっくの昔に覚悟してるわよ!」 「だけど……」 「つべこべ言わないの!アンタ男でしょ?何があってもドンと構えてなさいよ!」 「何か……あるの?」 不安そうにシンジがアスカに聞いたが、眉根を寄せて困った顔をしたアスカは 多少口ごもりながら答える。 「わかってたらちゃんと教えられるんだけど、……ぶっちゃけ私にもなにが 起こるかなんてわかんないわよ……」 「そう……なんだ……」 シンジも頼りたいのは山々だったが、アスカが虚勢を張らない上に、いっぱい いっぱいなのは見ていて解った。 使徒とアダムが接触する前に自爆する覚悟でネルフは使徒との戦いに臨んでいる。 いつかミサトにそう言われた言葉がシンジの脳裏に蘇る。 「頑張って…みる」 気力を振り絞ってアスカに面と向かい、シンジは頼りなさげに言った。 「一人で戦えなんて言わないから、せいぜい足引っ張らないで欲しいわね。もし どうとも出来ないんならずっと下向いてくれて、黙ってればいればいいのよ」 「その辺も、努力するよ」 アスカの変わらない口ぶりに薄ら笑いを浮かべ、シンジはほんの少し勇気を 貰った気がした。 自分のことで精一杯のシンジには、安堵の溜息をつくアスカは視界に入って いなかった。 436 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 22 22 44 ID ??? * 手短にミサトが二人にした説明によると、今回の合同葬は戦自が企画し、 対使徒戦の犠牲者を追悼することを通して、お互いのパートナーシップを確認 云々と言うのが目的だったらしい。 気前良く会場の準備や警備を買って出た戦自の献身に訝しく思いながら、もしか したら本当に何の打算も策略もなく動いていると、ネルフ側は受け取った。 その後も慎重に戦自の出方を伺っていたが、態度も対応も変わることなく過ぎ、 それならばと、副指令の発案でパイロットも葬儀に参加してみてはどうかという 話になった。今日こうしてシンジとアスカが参列しているのはその結果だ。 「確かにお互い協力的なら私らにも戦自にも意味のあるイベントよね」 「協力的、ならね」 ミサトは苦々しそうに続けた。 「それが会場に来てみたら、通告の無かった民間人の参列者がいたり、受付から 何からNERVぶんは自分たちでやれだの、意図的に指示や説明食い違ってたり、NERVの 幹部連中にやたらと戦自が話しかけてきたって訳。…ま、それだけなら我慢も するんだけどね」 「まだ何かあるの?」 「戦自が私たちの情報、今日来てる民間人にリークしてるみたい……」 一瞬アスカが息を呑み、シンジは目を逸らして俯いた。 「何それ……てゆーか大体戦闘地域に何で民間人がいるのよ?退去完了は嘘だった訳?」 「最近増え始めたのよ、避難拒否する人……」 「なんでよ、意味わかんない。そんなの……自殺行為じゃない」 「そ、自殺そのものよ」 戦争神経症かPTSDの亜種みたいなもの…… ミサトの説明の内容は大体そんな感じだった。 度重なる使徒との戦闘で、地域住民にも精神的に参ってきた人が増えているらしい。 『どうせそのうち死ぬ』『どこにいても結局一緒』『同じ死ぬなら自分の家で』 そんな台詞を吐く避難民が増え始めていた。今回の戦闘ではその数、47名。 設備や体勢の整った第三新東京市近辺と違い、郊外地域の避難誘導は地元の警察 と消防団、場合によっては町内会が担当している。 437 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 22 23 58 ID ??? 避難拒否をする人々を、彼らは見捨てることも出来ずに説得を続けていた。 「報告を捏造して現場に残って説得を続けた人たちもかなりいたらしいわ…」 「なんという…、報告内容曲げられたらどうしようもないじゃない……」 「ま、そうなのよ。おかげで巻き込まれた関係者も100名越えちゃって……献身的 なのはありがたいけど、これはちょっちねー……あ、もう始まるわ」 アスカとミサトの会話が続く間、シンジは一言も口を挟めなかった。 とてもついていけない。そして話の内容がシンジには重すぎた。 エヴァに乗って必死に走り回っていたその足元に、戦闘とは無関係の生きている 人間が、いた。 その事実が、シンジを責める。 話の内容からすると、民間人遺族も今日ここに参列している。しかも、そこに 乗っていたパイロットも知られていることになる。 喪服の葬列の向こうにある通路を、きらびやかな袈裟を纏った僧侶の列が通過し、 その様を別世界の出来事のようにシンジは眺める。 脂汗が滲み、数珠を握り締めたシンジの手が震えだしていた。 そのシンジの姿にはっとしたアスカは、周囲に気付かれないようにシンジの手を 上から握った。 アスカに振り向くシンジの目線の先には、自分も困惑しているはずなのにじっと シンジを見据えるアスカの顔があった。 式の前の二人の会話を思い出し、シンジは深く静かに深呼吸して、添えられた アスカの手を握り返して指を絡めた。一瞬逃げそうになったアスカの指先は、 すぐにしおらしくなってゆっくりとシンジの掌を包み込む。 重く、幾層にも響き渡る読経の声がテントの中を反射し、あちこちから忍び泣く 声が纏わりつく。 急激に晴れ上がった空がテント越しに光線と熱気を送り込み、吹き抜ける風が むせるような熱気と湿気をテントの中に運んできた。 額に汗を浮かべながらその不快な状況に耐える二人の姿を、ミサトは温かい目で 見ながら、ほんの少し安堵の息を漏らした。 449 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 23 11 41 ID ??? * 「何しに来たのよ!この…人殺しっ!!」 突如中年女性が立ち上がり、戦自と民間犠牲者の側へ一礼したシンジにそう 叫んだ。 場内がどよめくのと、一足遅れて焼香したアスカが振り向くのはほぼ同時だった。 シンジは葬儀の前にアスカと話した事を律儀に守り、顔も上げずに下を向いた ままで固まった。 会場はざわつき始め、シンジの態度を笠に着た女性は更に罵声を浴びせる。 「あんたらが来なけりゃうちは壊れなかったし母ちゃんも死ななかったんだよ! あんた、どう責任とってくれるんだよ!」 式場の端で戦自幹部に掴まっていたミサトが、罵声に振り向き声の方向に向かった が、席を往来する焼香客に阻まれてなかなかたどり着けない。 孤立無援を悟ったアスカがシンジに歩み寄り、固まるシンジを促して通路を歩かせ ようとして両肩を掴んだ。 「シンジ、いいから行って。後ろつかえてる」 その言葉に反応してシンジがゆっくり歩き出す。 アスカもシンジに続き遺族に向け頭を下げた。 「あんた逃げるんかい!」 先ほどの女性は鬼のような形相で列席の筋を掻き分けて通路に向かってきた。 狂奔と表現するに相応しい突進で通路に出てきたとき、アスカは体を張って シンジを庇う様に女性の前に立ち塞がる。けれどもその表情は強張った上に 青ざめていて、『覚悟が出来ている』人間のそれではなかった。 シンジはアスカの顔色に気付いて、咄嗟にアスカの肩を掴んで無理矢理 後ろに引き下がらせる。 シンジの目の先にいる女性の姿が、トウジと重なった。 こんな状況なのに、止まることなく読経は続いている。 遮るシンジの前に出ようとしたアスカは、シンジの掌に絡め取られた腕に 力が込められたところで止まった。握り返す力の強さにアスカが顔を一瞬 歪める。 450 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 23 13 06 ID ??? その女性が更にシンジに罵声を浴びせようとする瞬間、周りのどよめきや 慌しい人の動きとは別に、遥か後方の式典会場入り口から別のざわめきが二人に 近付いてきた。 振り向いたシンジが目にしたのは、悠然とこちらに近付いてくる碇ゲンドウ その人だった。 闊歩してくる勢いに呑まれて、騒ぎで通路を塞いでいた人並みが綺麗に左右 に分かれる。 物々しく並べられた数百の遺影の前にゲンドウが焼香して頭を下げた。 振り返ったゲンドウが女性の前で歩みを止め、無機質に深々と一礼し、事務の 申し送りのようないつもの淡々とした口調で話し始める。 「ネルフの責任者として、様々なご協力を頂いた遺族の皆様にはここに御悔みを させて頂く。今後の補償はネルフと戦自が責任を持って対処するので、どうか ここは穏便に済ませて頂きたい」 「か、金で解決しようってのかあんたたちは!」 「それが一番公平で的確な対処です」 「そ、そんな誠意のかけらも無い態度で遺族が納得できるとでもおも…」 「避難勧告も避難指示も遅滞なく遂行され、殆どの避難対象者が指示に従ったと 報告を受けております。むしろ貴方はご家族が巻き込んだ関係者への補償を 考えなければならないでしょう。それに、パイロットは命令に従い作戦行動 を行っただけです。彼らを責めても何の意味もありません。責任の帰趨は 私にあります」 451 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 23 14 08 ID ??? 一分の隙も無いゲンドウの言葉に、何も言い返せない女性へ周囲の視線が 集中した。 「まだ公務が有りますので失礼する。繰り返しになりますが補償に関して はネルフと戦自が対処しますのでご心配なく。では」 入ってきたときと同様にゲンドウはSPを引き連れ悠然と退場していく。 やっと自分を立て直したアスカが真っ先にシンジを見たが、シンジは愚直 なまでに下を向いたまま、悄然としていた。 『素直と言うかバカ正直と言うか……』 たまに鬱陶しくなることがあるとは言え、こういうシンジの律儀なところは アスカも嫌いではなかった。 「ま、まだ話は……」 それでも尚言い募ろうとする女性が言葉を発しようとしたとき、今度は ミサトがにこやかに立ち塞がる。 「そう言う訳で、生臭い話はこの場の空気にそぐわないと思うので、別室でお話 いたしましょう。お連れして」 やっと役割を思い出したかのように保安部職員が姿を現し、ミサトの後ろから 女性を囲んで表に向かった。 両脇を黒服の男たちに抱えられて退場させられる女性の脇に、素早く何か打ち 込まれるのをアスカは見逃さなかった。 『えげつな……』 そういう対処に抵抗は無いとはいえ、あまり見ていて気持ちのいいものでは ない。 「ホラ二人とも、私たちももう出ましょ」 事の成り行きについていけていなかったシンジが背中をぽんと叩かれ、その 反応にあわせるようにアスカが歩き出す。 452 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 23 14 53 ID ??? * 「ミサト、今回標的にされたのってさ、もしかしてバカシンジ?」 「ん?んー、かもねー」 「ったく、隙だらけだから狙われちゃうのよあんたは……」 そういうアスカの口調も、いつものような覇気が無い。 「アスカはユーロ所属だから迂闊に手を出せない、レイは周囲のガードが固すぎ。 確かにそうよね。あのオバチャンはアスカに目もくれずだったから、はじめから シンちゃんにミソつけるつもりだったのかも」 「戦自もパイロットのリサーチは良くやってるって訳ね。ところでえこひいきは?」 「レイは碇司令と一緒に来ることになっていたから、多分車の中に置いてきた んじゃない?受付の段階でどこからか連絡は行ってただろうし」 「なにそれ!全く、一人だけ上手く逃げていいご身分だわね」 「そう言いなさんな。たまたまなんだから」 「わかってるわよ!こうでも言わなきゃ腹の虫が収まらないの!」 「ま、ねぇー」 水溜りを避けるようにしてあちこちに出来た人の塊の一つに、三人はいた。 悲しみの分かち合いだとか慰め合いだとか、そんな意識の共有なんて無い様に しか感じられなかった。 式場の緊張と罵倒から解放されたシンジが、慰めや甘い言葉を期待していた ミサトとアスカも、先ほどから悪意に満ちた言葉を無造作に吐き出している。 二人は単にささくれ立った心やぶつけどころの無い怒りを、お互いに吐露して 落ち着こうとしているだけだった。 けれど、余裕の無いシンジにはそんな風にはとても感じられない。 453 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 23 15 52 ID ??? 「で、どうすんのこれから。あたしもう会場に入るのはご免蒙るわよ」 「私も嫌だな……ま、二人は先に来たときの車で帰っていいわよ。後は私が何とか しとくから」 「その『何とか』だけどさ、このお礼は三倍返しじゃ済ませて欲しくは無いわね」 「何も知らない民間人巻き込んでこんな茶番仕込んだんだから、勿論タダじゃ 終わらせないわよー」 「おぉー、期待してるわよ作戦部長」 「まっかせなさいな。そんなわけでシンちゃんも心配しないで今後は……」 「もうやめて下さいよ!」 屯している集団の幾つかがシンジの叫びに振り向いた。 ミサトとアスカはシンジの表情に我に返って、ばつが悪そうに目線を反らす。 誰も何も言い出せずに数瞬が過ぎて、最初に行動に出たのはミサトだった。 「じゃ、後は任せて……」 そう言い置くと、行きたくないと言っていた会場内にそそくさと消えていった。 『ミ・サ・トぉ……逃げたなぁ!』 取り残されたアスカは必然的にシンジと対峙することになる。 とはいえシンジの気持ちを上手く汲み取る手段なんて、アスカには全然と言って いいほど持ち合わせていない。その上後ろめたい思いが足を引っ張った。 いつものような強気な出任せでも言おうとした気力は、シンジの責め立てる視線 に消され、それでも尚対応を考えているうちに、慣れない髪型がやたら気になって むずむずしてきた。 『ええい!もうなるようになれ!』 そう思って無造作にカチューシャと髪留めを抜いて頭の重心を低くする。 「あ……」 予想の範囲外のアスカの反応にシンジが戸惑っている隙に、アスカはさもあたり 前のようにつかつかと車へ向けて歩き出した。 立ち尽くすシンジにアスカは面倒くさそうに声をかける。 「何してんの、早く行くわよ……」 466 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/12(木) 00 38 07 ID ??? * 「アパートに行かなくていいわ。御殿場駅まで送ってちょうだい」 「え?しかし……」 「いいからやって」 「は、かしこまりました……」 「あ、アスカ?」 「アンタにも付き合ってもらうわよ。どうしても真っ直ぐ帰る気になれないの」 抗議しようとしたシンジは、アスカの顔を見た途端にその気が失せた。 ミサトと対等に話し、シンジを叱咤激励し、会場では咄嗟に庇おうとした アスカはそこにはいなかった。 シンジと同じように苦悩と悔しさと後悔を滲ませ、ぶつけ所を失った爆発 しそうな感情の渦をひたむきに押さえ込んでいるようにシンジには見えた。 塞ぎこんで落ち込んでいたシンジの気分が、単純なことを見逃していた。 『そうだよな……アスカもパイロットなんだよな……』 口でどんな強がりを言っても何も感じていない訳もなく、冷静に割り切って 受け止められる訳でもないのだ。 「わかったよ……」 「悪いわね」 「いいさ。僕も、なんだかすぐに家には帰りたくないや……」 「……別に、あたしに合わせなくてもいいのよ」 「ホントだって。」 「信じらんないわよ、そんなおべんちゃら」 「ホントだよ」 「信じない」 「ハハ、別に信じなくったっていいよ」 『そう言う言い方されると、私のほうがバカみたいじゃない……』 いや実際バカかもしれないと思いながら、アスカの口元に少し笑みが浮かぶ。 シンジはそれに気付きもせずに、一度もこちらを向いてくれないアスカの 背中をじいっと眺めていた。 ……だからアスカは振り向けないのだけれど。 467 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/12(木) 00 39 10 ID ??? ハイヤーの運転手は最後までこれでいいのかという顔をしつつ、きちんと 御殿場駅まで送ってくれた。 車から降りてひと伸びしたアスカを、シンジは黙って見つめる。 「どうする?これから」 「まずは昼ご飯ね。何するにしてもお腹へってたら気合入らないもの」 「もう1時か。言われてみるとお腹減ってきた」 「いい反応ね。あんまり長いこと辛気臭い顔しててもいい事なんてないわよ」 「わかってるよ……」 アスカがばちんと叩く背中の感触も、今日は何かの救いのようにシンジは感じた。 駅ビルに二人で入ると、よく利いた冷房で体が少し震える。 「アスカ、何にする?」 「ん、オムライス食べたい」 『迷いが無いよなー、いつも…』 シンジの何食べたいの問いに大概アスカは即答する。 もっとも、即断即決が過ぎてシンジが一方的に振り回されることも多いの だけれど、シンジはそれにはあまり気を留めていない。 上手い具合にあったオムライス専門店に入り、お互い自分の好きそうな品物 を注文した。 「あたしはこのケチャップのやつ」 「んー、じゃあ僕はこのチキンとほうれん草の照り焼きクリームソース」 「かしこまりました、メニュー繰り返します……」 ウェイトレスがオーダーを繰り返している間、アスカはシンジの頼んだメニュー を見本写真と共に見返す。 「どうしたの?」 「何がよ」 「頼んだ後でメニューじっと見てたから、何かあったのかなって」 「なんか、あんたの頼んだの方が美味しそうな気がして……」 アスカは自分の意地汚さを自覚して、何となく目線をシンジから逸らしながら 呟いた。 「あるよねそういうの。じゃあアスカ、どっちも半分こしようよ」 「え?」 『そ、それは何て名案!』 468 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/12(木) 00 40 24 ID ??? 心の中で叫んだアスカの快哉は、表に出るときは『多少喜んだ感じ』に減殺 されている。シンジにはそれでも反応としては十分だったみたいだ。 「……いい?きっちり均等に半分こよ!」 「大丈夫だよ。多い方はアスカにあげるし」 「なにそれ、あたしが食い意地張ってるような言い方しないでよ」 「別にそんなんじゃないって」 「うそ臭い……」 「ほ、本当だってば……」 アスカの追及を逃れるべく、シンジはアスカの前に開いているメニューを あちこち指差しながら「これどんな味なんだろ?」「カルボナーラ風ってなん だろね?」などと一々問いかけた。 多少アスカは鬱陶しく思いながら、シンジの問いかけに淡々と答えては、言葉の 接ぎ穂を失って言い淀むシンジを眺めていた。 『ばーか。メニューの講評よりも、今日助けてくれたアスカさんに一言くらい 欲しいものね……』 触れられたら逆切れするのを自覚しつつ、生返事をしながらアスカはそんな事を 考えていた。 「アスカ昨日帰ってくるの遅かったけど、ここのビルに来てたんだったりして」 些細な受け答えの最中、無邪気に軽口を言うシンジに、アスカは虚を突かれて 思わず「そうよ」と答えてはっとする。 「あ……」 二人同時にそう口にしてから、そのまま二人で固まった。 ……実はアスカ、この駅ビルにはつい昨日来ている。 ミサトにからかわれた化粧品を見立ててもらって買った店は、この上の階にある。 何となく気恥ずかしくてそのことを黙っていたのだ。 気まずい時間が流れる中、先ほどのウェイトレスが注文の品をもってきた。 「お待たせしました―――」 469 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/12(木) 00 43 40 ID ??? 我慢し切れなかったアスカは、昨日ここのビルに買い物に来て、オムライス 専門店というフレーズにすっかりやられてしまった事を、ぽつりぽつりシンジに 説明した。 シンジはそれにくすりと笑ったきりで突っ込んで聞かなかった。 「しかしさあ、あんたが作ってくれれば外で食べる必要ってないんだけどね」 「流石にハードル高いよ。こんな感じでふわふわのとろとろはまだ作れないや」 「お弁当に入れてくれてもいいんだけど」 「ごめん、それもっとムリ」 「わかってて聞いてんのよ、バカ」 食べ物の力は偉大だった。約束どおりお互い均等に半分ずつオムライスに舌鼓 を打ちながら、お互い機嫌がいい時の穏やかな会話が続く。 満足して食べ終わるとアスカはさっと席を立ってしまい、慌ててシンジも 追いかけて会計を済ませた。何となく居場所を見つけられずに駅ビルを出て、再び むせるような暑さと湿気が纏わりつく。 「どこに行くっていうのよ……」 アスカは露骨に不機嫌になる。さもシンジのせいでこんな目にあっていると 言わんばかりの態度だ。 律儀に自分の責任を感じたシンジは、この宙ぶらりんな状況を何とかしようと 頭をフル回転させていた。 「アスカ、カラオケ……」 「アンタばかぁ?日本語のテロップ出てくる上に知らない歌ばっかりのところに あたしを連れてってどうしようってのよ!」 「じゃあ、映画……」 「却下!ていうか、つまんない映画だったらあたし多分映画館で叫ぶわよ?」 「なんで叫ぶんだよ!」 「気に入らなけりゃ文句を言うのが当たり前じゃない!」 「いや、意味わかんないし。あ、それじゃビリヤードとか……」 「なんかキューでアンタ殴りそうだからやだ」 「じゃあどうするんだよもう……」 470 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/12(木) 00 46 07 ID ??? 『デートメニューには期待してなかったけど……』 シンジにこの先どうするかを考えてもらうのは無茶があると知りつつ、自分で 考えるのは嫌なのでアスカはこうやって甘えている。 何度かシンジの献身ぶりに見返りがないという事は言ったはずなのに、シンジ はまるで自分の態度を変えない。 バカな奴と思っていたその行為が、アスカの心を少しずつ溶かしていった。 気付かないうちにその態度はアスカの中で『当たり前』のものになり、無意識 のうちに『当てにしている』ものになっていた。 「ねえ、他に何か無いわけ?」 「うーーん……」 困惑を全身で表現するシンジに少々愛想が尽きたアスカは、何の気なしに周囲を 眺め回す。 少し繁華街から外れると、街は急速に退屈なる。 諦めて第三新東京市まで帰ろうかと言おうとしたとき、遠くから甲高い金属音が して、ふと音の方向を振り返った。 音の先には、低いビルの屋上に緑のネットを張った建物がある。 何だろうと眺めているとき、また同じような金属音がする。 「シンジ、あれ、なんなの?」 「あれ……って、あのビルの屋上の?」 「他に何があるのよ?」 「あー。バッティングセンター……かな?」 「はぁ?なにそれ?」 「えーと、何て説明すればわかってもらえるんだろ……」 「?」 478 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 00 56 35 ID ??? * 「つまり、飛んできた球をバットで打つ。要はそれだけの事なのよね?」 「うん、簡単に言うとそうなるんだけど……」 「簡単この上じゃない。問題ないわ。さ、行くわよ」 「い、行くの?」 「話聞いてると結構スカッとさせてくれそうな感じだし、当然よ」 『いや、確かにきちんとボールをバットに当てればそうだけど……』 シンジにでも、アスカはまず間違いなくまともにかすりもしないと予想できる。 そんなシンジの危惧は無視して意気揚揚と赤毛の少女がバッティングセンターに 喪服で乗り込む。 入口で退屈そうに新聞を読んでいたおじさんが、アスカの格好と前のめりな勢い に呆然としながら姿を見送った。 「ところでこのケージ、何か違いがあるの?」 ズラリと並ぶ扉を右から左に一瞥して、アスカがシンジに尋ねた。 「えっと確か球の速さとか球の種類が違ってたはずだよ」 「へぇーえ、じゃあ一番球の速いケージってどれよ?」 「あ、あのアスカ……初心者なんだしせめて最初は球速遅いやつから……」 「あんたバカ?あたしらの仕事はいつだってぶっつけ本番でしょ!だから最初に 一番難易度高いとこぶつかってそれをモノにする。それがパイロットってもんよ!」 『その持論に僕を巻き込まないで……』 容易に予想できるその後の展開を憂鬱に思いながら、渋々『球速150km ピッチャー野茂』のケージにアスカを案内した。 シンジの説明に従って投入口にお金を入れてバッターボックスに立つ。 投球口のスクリーンにピッチャーの姿が映し出された。 「へーえ、本格的ね……」 感心してそう呟くアスカは、見よう見真似のフォームで来る球を待ち構える。 『あ、手の位置逆だ…』 「アス……」 ズドンッッッッ!!! 479 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 00 57 22 ID ??? シンジが声をかける隙もなく、悠々と構えていたアスカの余裕を全て打ち砕く 勢いで、白い楕円の物体が猛スピードで通過した。 それから後はもう大変だった。 球速にびびったアスカはボックスに棒立ちになり、シンジが慌ててケージ内に 入るまで足がすくんで動けなかった。 それこそシンジがバットの持ち方から立つ位置まで教えたが、アスカは丁寧 にシンジにバットを託すと一目散にケージの外に消えた。 『えー………』 仕方無しにバットを構えるシンジの肘の下を風切り音と共に白い楕円体が過ぎる。 『あははは、ムリ』 バットを振り抜くのを諦めると、シンジはバットを平行に差し出した。 それだけでも威力は半端なかった。辛うじて左手に残ったバットと、両腕を襲う 強烈な痺れが暫く取れない。以降はバットに当てることも出来ずにケージを出た。 少々ばつが悪そうなアスカは、そのあと結構素直にシンジの助言に従って 『80km ソフトボール』のケージに移動した。 「まずは止めたバットに当てて感触味わってみるのもいいと思うよ」 「そ、そうね」 先ほどの鬼球速にびびってしまったのか、アスカはかなり腰が引けている。 バットはわざと当たらないように工夫しているんじゃないかと言う疑い すら思い浮かぶ、ぎこちない持ち方だった。無理矢理ケージの中で付き合わ されているシンジも、溜息交じりにバットに手を添える。 「ほら、ちゃんと平行に持たないと当たりにくいから」 「う、うん」 シンジの手がアスカの手を支えるように添えられたバットが、飛んできた ボールを力なく受け流す。 「わ、わぁぁ!」 アスカがすぐさま手を離し、簡単に二人の手からバットが落ちた。 「ダメだよちゃんと握ってないと」 「わ、私に当たったらどうしたらいいか判らないじゃない!」 「よければ…いいと思うよ」 480 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 00 58 41 ID ??? なんか昔誰かに似たようなことを言ったなと思いつつ、シンジはアスカの 後ろに回りこむ。 「アスカ、ちゃんと支えとくから逃げないで、集中してよ」 「な、ちょ……!」 おそらくはシンジは純粋に手助けのつもりなのだろうが、アスカに覆い被さる ようにバットを握っていると、否が応でも体が密着する。必死になっているシンジは、 自分の行動があまりわかっていないらしい。 『ど、ど、どっちに集中しろってのよ―ー!』 首筋からお尻にかけて存分にシンジの感触を味わいながら、アスカは 一人で混乱して興奮していた。 その時間を打ち破ったのは、シンジに握られた両手に痺れるような衝撃が 走ったときだった。 鈍い打撃音と共に、捕らえたボールは転々と地面をマシンに向けて転がって ゆく。 「お、おぉーーーー……」 アスカは呆然と転がるボールを眺めて、もう一度手に残った痺れを味わう。 『いい、これいい』 浸っている間に投げ込まれた一球を余裕で見逃し、球の来る方向を見据えて アスカはバットを差し出す。今度は打球がケージの上で跳ね返って落ちた。 「シンジ、これ面白い!」 「そ、そう?」 感触がどういうものかが解ると、不安や恐怖は途端に薄れたようで、 アスカは当てるだけだったバッティングが、段々おおきく振りかぶって 構えるようになった。 このケージに入ってコインが三枚目になる頃には、アスカは一心不乱に ボールを追いかけ始める。自然に左足がステップすることを覚え、顔には シンジの見慣れた獰猛さが顕れてきている。 すっかり夢中になったアスカからそっと離れると、シンジはケージの外に 出た。 481 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 01 00 15 ID ??? 『やっぱアスカは運動神経いいなあ……』 気付けばアスカは立ち位置はバッターボックスの中でもベース寄りに 移っている。 ボールも段々正面に飛ぶようになり、当たりもライナー性のものが 混ざり始めた。 「えいっ!」「やっ!」「この!」 当たりが良くなるに従い、アスカが打つたびに気合と共に叫ぶように なり始めた。 「あんたもやってみれば?楽しいわよ」 段々自信もついてきたのか、清清しい顔でケージから出てきたアスカはそう シンジに提案した。休む間もなくもっと早い球を打つためにアスカは『110km スライダー 渡辺俊』のケージに向かう。 「えー、あまり自信ないんだけどなあ…」 と呟きつつ、シンジはアスカの手前の『100km ストレート 岸』の ケージに向かった。シンジも何だかんだと楽しくないわけでもないらしい。 アスカは映し出される画像に三球くらい面食らったあと、画像よりボールを 追いかけはじめて、打球がガンガンスピードを上げていった。 2回目のコインを入れる頃には大体のコツを掴んだらしく、アスカの打球は 大体前方に飛んでゆく。 「ふう……」 画面が切り替わって東急終了になると、シンジは目の前で一心不乱にバットを ぶん回すアスカを眺めた。心なしか、その様に鬼気迫るものを感じる…… そう思った矢先にアスカが呟く。 「戦自の……」 タメのあと、叫び声と共にアスカは一気呵成に力を解放する。 「バッカヤロォーーー!」 金属バット特有の爽快な打撃音。アスカは両手から体を突き抜け、その衝撃を 存分に味わう。 482 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 01 01 32 ID ??? フルスイングで雄叫びを上げるアスカの背中が、シンジの中の何かを燃え 上がらせた。 『良く恥ずかしくないなあ…でもなんかいいかも……』 なにか浮き浮きしながらシンジはコインを投下する。 何故だか球筋がさっきとは比べ物にならないくらいはっきりしていた。 シンジがバットを構えると、タイミングを取りながらステップを踏んで 思い切り振り抜く。 軽快な金属音を震わせて、ボールは弾丸になってホームランの的の下まで 飛んだ。 「っっしゃあ!」 思わず叫んだその声にアスカが振り返る。 それで怖じ気づきそうになったシンジに、アスカはにやっと笑って向き直り、 さっきよりも張り上げる声が大きくなった。 「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!!」 力み過ぎて空振りしたアスカは、悔しそうにバットで地面を叩くとすぐに また構えた。 『っはは!凄いなアスカ……』 なんだかシンジも楽しくなってきて、いつもの弱気が消し飛んでしまい、 いつしかアスカと競うように声を張り上げて球を打ち返していた。 たまにお互いの意味不明な叫び声に滑稽さを感じながら、二人とも相手を からかう事もしなかった。 ……なんで大騒ぎをしているのか、その理由が同じだったからだ。 483 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 01 07 06 ID ??? * 「あはは、僕もう肩が抜けそう」 「あたしも明日の筋肉痛が怖いわ……」 「アスカ、明日は女子の体育バスケじゃなかった?」 「うぁ……」 二人がバッティングセンターを出たのは、もう学校帰りの学生たちがちらほら 他のケージに入ってくるようになった夕方四時ごろだ。 よくもまああんなに長い事いたものだと話しながら駅まで帰り、今こうして 電車を待っている。 「またこようねアスカ」 「そ、ね。ストレス溜まったら来るといいかもね」 「そういえばアスカ、凄い叫んでたもんね」 「あ、あんたも人のこと言えないじゃないの!」 「他の人迷惑して無かったかなあ?」 「知ったこっちゃないわよそんな事。店の人も何も言わなかったし、いいんじゃ ないの?」 ホームラン賞で貰った金属バットを足でコンコン叩きながら、アスカは上機嫌 だった。 「若いっていいねえ」 そう呟いたおじさんの言葉にシンジは意味深なものを感じていたが、アスカは 額面通りに受け取ったらしい。 乗り込んだ電車の中はまばらに乗客がいるだけで閑散としていた。 そろそろ低くなり始めた太陽光線が窓から飛び込み、二人の視界を狭める。 発射のベルが鳴って扉が閉じ、ちょっとした静寂のあとで低いモーターの唸り声が 響き、電車の振動が小刻みに体を揺らせた。 心地よい疲れに浸っている中、二人の会話は途切れた。 たまに線路沿いの建物が、オレンジに染まる車内に影を投げかける。 「あんた…………エヴァから、降りる?」 頬杖をついて窓の外に顔をそむけるアスカが、ポツリとシンジに聞いた。 ストレートな質問にシンジは困惑しながら答える。 484 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 01 09 25 ID ??? 「え……と、そう言われると考えちゃうな……」 「なんか、今日の事でそんな事言いだしそうな気がした……」 「……」 「あたしは止めないからね。自分で考えてよ」 アスカの表情はシンジの位置からは窺い知れなかった。 電車は山越えに入り、トンネルに突入した衝撃音の後で、車内にまた静寂が 訪れる。 真意は測りかねたが、今日の一日の流れからシンジも存外素直に心のうちを 吐露できた。 「最初にエヴァに乗ったときの戦闘で、トウジの妹が怪我したんだ」 「……」 「それで、会った初日にトウジに殴られてね……まあ、それは仕方ないと思う」 「まだそれ尾を引いてるんだ?」 「ううん、トウジとはその後の使徒の戦闘とかでも色々あって、今は何とも ないんだ。それよりも殴られた後のやりとりの方が今から考えるとひどいなって」 「また殴られたとか?」 「うん、そう。『僕だって好きでエヴァに乗ってるんじゃない』って言った瞬間に、 ガーーンって」 「あんたってホントに馬鹿ねぇ…殴られて当然じゃない」 「あははは、僕もそう思う」 アスカはやっとシンジに振り向く。その顔は暴言の割にシンジにもわかるくらい 安堵が滲んでいた。 「なぁんだ、じゃああたしが今日わざわざ釘刺す必要もなく覚悟は出来てたって訳ね」 「いや、そんな事無いよ。やっぱりああ言って貰わないといろいろ恐かったし。 その……アスカがいてくれて助かったよ」 そう言ってにこやかに感謝するシンジに、アスカは何も言い返せなくなって沈黙 で答えた。 あとに続く無言の時間は、少し居心地が悪く感じながらも、二人とも嫌では なかった。何も喋らなくても、横に戦闘の相棒がいる。立場を理解できる唯一の存在が そこにいる。それだけで充分だった。 485 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 01 11 46 ID ??? ぼうっと流れる景色を眺めていたアスカに、暫くしてシンジの頭が肩に乗りかかって きた。 吃驚して見たシンジの顔は、無防備で締まりがなくて、それがアスカにはどこか 安堵を感じさせた。 『しょうのないやつ……』 そう思いながら前髪をつついて、眉をしかめたり寝返りを打とうとするシンジを 見遣る。自分の顔が今まで人に見せたことのない優しさを醸し出していると、当の アスカは全く知らない。 ……今日一日怯む心を思い止まらせたのは、アスカにとってはシンジだった。 出かける前の照れくささも、葬儀会場の敵意も、バッティングセンターでの怖気 づきも、自分ひとりでは乗り切れても、今のような気分にはなれなかっただろう。 『誰かがいるっていいもんだわね……』 肩にかかる体重と体温。嗅ぎ慣れた髪の匂いに、仄かな汗の匂いが混じっている。 いつの間にアスカも疲れが出て眠り込んでしまい、気がついたときには夕闇に 染まる芦ノ湖を眺めていた。 シンジの髪についたヨダレを咄嗟に拭うと、文字通りシンジを叩き起こして一通り 詰った後、次の駅でホームに下りた。 跨線橋を渡り向かいのホームに移動すると、手近なベンチに二人で座る。 乳白色の西の空が闇に溶けようとするのを、シンジがぼうっと眺めていた。 自分が隣にいるのに空を眺めるシンジにアスカは少し不満だったが、『ま、いっか』 と思い直して同じように空を見た。 時折視界を蝙蝠が横切り、闇と静寂が深まるにつれて、ホームの照明がぎらぎらと 輝きを増す。スピーカーから機械的な女性の声で電車の到着を予告し、微かな轟音が 段々と近付いてきた。 立ち上がったときに二人同時にミサトからのメールが入った。 486 名前:経験の唄[sage] 投稿日:2009/11/14(土) 01 14 45 ID ??? 『ゴメン!今日も本部に泊まり!!それはそうと保安部から報告聞いてるけど、 二人ともとっとと家に帰りなさい! 追伸:戦自よりさっき報告あり。戦闘時避難誘導に1個連隊派遣。善通寺の精鋭 部隊らしいわよん 以上!』 「よかったねアスカ」 携帯を閉じたシンジがにこやかにアスカに話しかけると、当のアスカは難しい顔で まじまじと携帯画面を凝視していた。 「漢字多くて追伸のほうがちょっと意味不明……」 「あ、それなら避難誘導に戦自が部隊派遣してくれるって内容だよ」 「へーえ、…………そっか。ミサト、頑張ってくれたんだ」 「うん、そうみたい」 ちょうど開いたドアに合わせて二人で車内に入り、適当に座った座席でも、二人は さも当たり前のように肌が触れ合う至近距離で座った。 不意にアスカがかざした左手を、シンジが同じく左手でハイタッチをした。 車内に小気味いいぱちんという音が反射し、誰もいない車内に響く。 ――すっかり日の落ちた窓の向こうには、自分たちが守った街並みが光の帯になって 横たわっていた―― 劇終
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81/169 ドネル 種族 ガジュマ Lv 36 HP 37300 Gald 3000 Exp 3676 斬撃 打撃 術撃 攻撃力 290 100 250 防御力 170 120 190 アイテム バーストボトル 100% スチールメイル 100% 防御行動 特定攻撃後 弱点 鋼体 半減 防御 属性 風 - 地 - 出現場所 登山洞 マオ評価 土のフォルスを持つ王の盾の能力者。 ドネルがフォルスで作った泥人形は、倒しても しばらくすると復活しちゃう。本体を叩け! 攻略 なにかと ド を付ける人。リーチの長い武器を使って攻撃してくる。 風が弱点であるが、偽サレと偽トーマを連れているのがかったるい。特にサレは風を半減する。 このサレとトーマ、本物と同様にそれぞれ衰弱、鈍足の潜在能力を持っているので、厄介を通り越して危険である。特に衰弱は、FGが回復しなくなる=術技でのHP回復ができなくなるということになり、かなり危険なので要注意。鈍足も、回復分配が受けられなくなるので厄介。 マオは「泥人形は無視しろ」と書いているが、実際には前衛3人を組み込み、とにかく総動員で敵3体の行動を押さえた方が良い。倒しやすいヤツから順次戦闘不能にし、敵の戦力を少しでも削ぎ落とすこと。泥人形が復活したらすぐ叩いて、何度でも戦闘不能にするのだ。 HPが減ってくると、瞬殺天翔撃のような見た目の強力な遠距離攻撃を使ってくるので注意。 ちなみに彼のクローン、つまりクローンドネルのクローネルという名前の敵もいる。 名称 範囲 解説 ロックバラージ 単体 地の導術。ドロックバラージ! ストーンブレイク 中範囲 地の導術。ドストーンブレイク! グランドダッシャー 1ライン 結晶導術。地&光属性。ドグランドダッシャー! 倒した後は行方不明になるが、終盤に記憶喪失になった状態でキョグエンにいます。