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ランギヌス 「魔道の名門カールセン家当主としてこの戦、負けられぬ。」 プロフィール ステータス クラスチェンジ 短評 育成観点 出撃時台詞 退却時台詞 関連イベント ルーンナイツストーリー コメント プロフィール CV:牛山茂 50歳(215年3月時点) 旧アルメキアで魔道の名門とうたわれたカールセン家当主。レインの実父でありミレの育ての親。アルメキアの忠臣であったが、ゼメキス反乱の際は、領民たちの身を案じて城に残留し、そのままエストレガレスの将となった。 (エストレガレス滅亡後)旧アルメキアで魔道の名門とうたわれたカールセン家当主。レインの実父でありミレの育ての親。帝国崩壊後は隠居していたが、レインに促され、再び戦野に立つ。 ステータス 統魔範囲:4 統魔成長:B Lv クラス HP MP 統魔力 STR INT AGI 備考 ストーリー 16 ソーサラー 413 402 216 51 84 64 エストレガレス マルチ2 17 ソーサラー 419 407 221 52 85 64 エストレガレス マルチ3 18 ソーサラー 428 412 226 52 86 65 在野(ノルガルド) 期待値 1 メイジ 300 320.5 126 43.5 61.5 49 期待値 10 ソーサラー 365 372 180 48 75 58 期待値 20 ウィザード 465 442 240 53 90 68 期待値 30 ウィザード 545 512 300 58 110 78 クラスチェンジ 可否 不足STR 不足INT 不足AGI 備考 ファイター × -9 バーバリアン × -14 ほぼ不可能 レンジャー × -4 メイジ 済 プリースト ◯ 短評 ミレの養父。あの救世主を良くここまで育ててくれたと感謝したい男。 そこそこの初期統魔力と成長率を持ち、統魔力がギリギリ300に達する可能性のある騎士。 人材不足の帝国では本当にありがたい。 フルネームはランギヌス・カールセンだろうか。 カールセン家の当主であり、実子レイン養女ミレとの仲は良好なようである。 レインは32歳下、ミレは33歳下。 実子であるレインの統魔力も化け物レベルになる。 エストレガレスの救世主ミレを育てたことからもわかるようにきっと子育ての達人だったのだろう。 もしも、クエストか何かでレインを帝国に加入させるイベントがあったとしたらたぶん神ギヌス様と呼ばれていたんじゃないかな。 育成観点 最初からソーサラーであるため、育成がしやすく、ウィザードになれば統魔力の差でギッシュをも超える使い勝手を誇る。 ステータスはギッシュの下位互換と言っても良いが、そもそもギッシュのステータス自体が、 人外のリムライトを除くと純正の男性魔法使いの中では群を抜いて優秀なだけなので気にする必要はない。 レベルを上げてウィザードまで育ててしまうと、高いMPとINTに物を言わせて範囲魔法攻撃を撃ち分けて、戦況を一部隊で変えることができる。 とは言え、最終戦に連れて行くには心もとない統魔力であることは間違いないので、ある程度育ったらミラやミレの成長を支援した方が良い。 出撃時台詞 魔道の名門カールセン家当主としてこの戦、負けられぬ。 退却時台詞 ‥‥ぶざまなものだな。敗北というのは‥‥ 関連イベント 大陸マップイベント無し 戦闘マップイベント無し 特殊クエストレイン、父を説得する ルーンナイツストーリー 私闘の行方 コメント 名前 コメント
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戦友と協力してレイドボスを撃破しよう!! クエストを進めるとレイドボスと遭遇!! エリアには通常のボスも存在!! レイドバトルはRBP(レイドバトルポイント)を使って攻撃!! 20Pt消費して攻撃!! 50Pt消費して3倍攻撃!! RBPはリペアキットで回復!! 仲間とコンボアタックを重ねてレイドボスに大ダメージ!! 10分以内の攻撃でコンボ成立!! 2コンボ+20% 3コンボ+30% 4コンボ+40% 5コンボ+50% 強靭なレイドボスは救援して仲間を集え!! ▼イベント実施機関 2012/9/27~10/11 ▼ランキング報酬 デイリー勝利数ランキング ガチャチケット1枚 ▼累計撃破報酬 10体 回復薬 40体 ガチャチケット 100体 R自属性イグザクトレーダー 200体 SR自属性I.B.コンビネーションガンライト 400体 SR自属性G.S.クローバーライフルレフト ▼エリア到達報酬 30エリア レアガチャチケット ▼ログインボーナス ログインボーナス 日数 アイテム 1日目 回復薬 2日目 ガチャチケット 3日目 GP 4日目 リペアキット 5日目 GP 6日目 GP 7日目 回復薬 8日目 GP 9日目 GP 10日目 レアガチャチケット 11日目 GP 12日目 GP 13日目 GP 14日目 メダル 15日目 GP ▼攻略情報 下記の効果は、レイドボスに対してのみ有効です。 イベントで有利になるマシン マシン名 効果 メティスメガロフィア 攻撃力&防御力が5倍 メティスウィズダム 攻撃力&防御力が5倍 バーニングリキュオス 攻撃力&防御力が2倍 フレアリキュオス 攻撃力&防御力が2倍 メテオエイリアル 攻撃力&防御力が2倍 ソニックエイリアル 攻撃力&防御力が2倍 ダガーセラフィム 攻撃力&防御力が2倍 ブレイドセラフィム 攻撃力&防御力が2倍 ヴェスパロンギヌス 攻撃力&防御力が2倍
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属性 火属性 最大Lv 70 初期HP 3045 最大HP 4692 レアリティ ★5 タイプ 神 初期攻撃力 848 最大攻撃力 1289 初期防御力 850 最大防御力 1297 初期スピード 1009 最大スピード 1531 +HP上限 2115 最大HP上限 6807 +攻撃力上限 585 最大攻撃力上限 1874 +防御力上限 585 最大防御力上限 1882 +スピード上限 915 最大スピード上限 2446 リーダースキル フレイムペイン 火属性ユニットのクリティカル率を30%アップ フォーススキル1 断罪の炎 火属性のn%単体攻撃 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 195 - - - ディレイターン 3 フォーススキル2 焦熱の衣 自分自身にnターンの無敵効果を付与 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 進化前 なし 1 - - - 通常進化 [退魔の戦女神]ロンギヌス ディレイターン 5 幻獣契約 なし 特殊能力 なし 入手方法 アイテム交換所(コイン360枚) 備考 コメント 名前
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ロンギヌス・コイズミ(Longinus Koizumi)は、ロンギヌス隊員の1人で、アニメのオリジナルキャラクター。 C/Vは彼の名前の通り、小泉豊。 概要 名前が明らかになったのは第10話。 ただし、第2話あたりからアンゼロットの横に立っているのが確認できる。 常にアンゼロットの傍に控えているということから、彼女が信頼を寄せるほどの実力を持ったエリートウィザードであると推測される。 エピソード コイズミの活躍 第11話では、敵の攻撃魔法に対し防御魔法を張ったが、そのまま吹っ飛ばされている。 ただ、すぐ傍にいたアンゼロットは無傷だったことから、護衛の役目はきちんと果たしていたとも言える。 スタッフからの人気 どうやら、スタッフの中では人気キャラらしい。後述のアンソロジーノベルでは、執筆陣の「書きたいキャラNo.1」だったらしい。 ノベル「コイズミの恋」 単なる「ロンギヌスの一隊員」として用意されたモブでったはずのコイズミは、「特に何もしていないのに(菊池たけし談)」キャラクターが立ってしまい、番組終了後に発売されたアンソロジーノベルではコイズミが主役とも言えるノベル「コイズミの恋」が、シリーズ構成藤咲あゆな本人の筆により上梓されている。 なお、ノベルの設定によると年齢は二十歳。少々世間の雑事に疎いところはあるが、ウィザードとしては優秀という人物像がかいま見える。 二十歳でエリスの護衛のために輝明学園に編入したため、「下がる男第二弾」と命名されてしまうが、本人は「凄腕のウィザードである柊の愛称を受け継げるのは光栄」と、不名誉な称号である事に気付いていない。 ミニドラマ「星を継がない者」 アニメ終了記念の打ち上げにて(2nd EditionのルールブックCMの)柊の物真似をやって、柊の逆鱗に触れてしまう。 こちらでは柊本人に「二代目下がる男」に任命されてしまい、挙句の果てにアンゼロットにクビを宣告されてしまう。 以後の「星を継がない者」でもクビになって引きこもりになったというエピソードが語られているが、前述のノベルアンソロジーの事を考えると公式設定ではないと思われる。 裏設定 コイズミを演じた小泉豊は、たとえ端役であっても演じる人物の設定を頭の中で考えているそうだ。 彼によれば、コイズミは「もともと魂だけで漂っていたところをアンゼロットに拾われ、彼女に『人としての器』を与えられた人造人間」だという。 なお、このコイズミの裏設定は、のちにリプレイ「聖なる夜に小さな願いを」で小泉が演じた大泉スルガに流用されている。
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属性 火属性 最大Lv 99 初期HP 4404 最大HP 6625 レアリティ ★6 タイプ 神 初期攻撃力 1220 最大攻撃力 1815 初期防御力 1217 最大防御力 1808 初期スピード 1451 最大スピード 2186 +HP上限 2985 最大HP上限 9610 +攻撃力上限 810 最大攻撃力上限 2625 +防御力上限 810 最大防御力上限 2618 +スピード上限 1305 最大スピード上限 3491 リーダースキル ゲヘナペイン 火属性ユニットのクリティカル率を40%アップ フォーススキル1 神罰の炎 火属性のn%単体攻撃 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 220 233 286 ディレイターン 3 フォーススキル2 煉獄の衣 自分自身にnターンの無敵効果を付与 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 進化前 [神槍の麗人]ロンギヌス 1 2 通常進化 なし ディレイターン 4 幻獣契約 なし 特殊能力 なし 契約素材 入手法 通常進化 備考 コメント 名前 ステMAX 9610 2625 2618 3491 - 名無しさん 2015-11-08 04 55 42 +上限 +2985 +810 +810 +1305 - 名無しさん 2015-11-08 04 54 30 反映しました。 - 名無しさん 2016-09-09 07 55 30
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襲撃の翌日、日本から連絡があった。優の上司である山本という男からだ。内容は鉤十字騎士団なる組織の動向、そしてアジトの調査の結 果。アーカムの活動は全世界規模で行われており、なかでも魔術や錬金術が栄えたヨーロッパには、念入りにアーカムの情報網が張り巡らさ れている。しかし敵もさるもので、いまのところ有力な手がかりは掴んでいないとのことだった。追って連絡すると言葉を残し、山本からの 通信は切られた。 「さて、どうする」 そこはアーカムが経営するウィーンのホテルの一室だった。山本との連絡を終えた優は、ティアの個室に来ていた。その顔には苦々しいも のがあった。完全に手詰まりの状況にあったからだ。いまウィーンではA級エージェントと憲兵隊とが協力し合い、グルマルキンらが潜んで いると思われる場所を洗っている。しかしあの撤退の手際のよさを見る限り、まだ魔女らが国内にいる可能性は低かった。着々と勢力を伸ば しつつあるネオナチの手助けで、すでに国外に逃亡したと考えたほうがいいだろう。問題はその逃亡先だった。信望者の多いドイツに渡った ことは間違いないだろうが、そのアジトの特定が難しかった。ネオナチの本拠地であるドイツでは妨害もすさまじく、さすがのA級エージェ ントも困難な活動を強いられることになるだろう。武装SSにでも出くわせば壊滅する可能性が高い。優としては今すぐにでもここを飛び出 し調査に参加したかったが、切札ともいえるスプリガンが迂闊に動くわけにもいかなかった。時間だけが無為に過ぎていく。いずれ居所はつ かめるにしても、時間が掛かりすぎる。まだあの魔女がロンギヌスで何を企んでいるのかもわからないのだ。 ティアは窓の近くに立っていた。その窓は開け放たれ、冷たい空気が部屋に流れ込んでいる。彼女の手にはカラスが一羽とまっていた。お そらく伝聞(ディール)をつかさどる使い魔なのだろう。ばっと黒い羽が散り、護符がティアの手におさまった。 「何かつかめたか?」 ティアは首を振った。彼女の魔術でも、グルマルキンの行方を追うことは難しいらしい。 「くそ……とりあえず、山本さんからの連絡を待つしかないか」 「そうでもなさそうよ」 「なに?」 くすりとティアが笑う。魔女の行方は掴めなかったようだが、他の手がかりは掴めたようだ。 「情報提供者があらわれたわ。ナチ専門の活動家よ」 ウィーンの中心部から少し離れたところにある飲食店を、情報提供者は指定してきた。グルマルキンとその部下は、一般人だろうがなかろ うが邪魔になれば見境なく殺す。だから人の多いところはできるだけ避けるべきだった。店の外観は古きよき欧羅巴の特徴を持っていた。情 報提供者はなかなかいい趣味を持っているようだ。昼時にもかかわらず店内にあまり人はいなかった。奥の個室に案内された。すでに店主に はアポをとり、個室に盗聴器の類がないことは確認済みだ。すでに情報提供者は部屋の中にいた。 情報提供者の名はクリステル・フォン・エッシェンバッハ。70を越える老齢だが、その容姿は50代でも通用するほど若々しく、足腰も しっかりしていた。彼女の経歴は少々複雑なものだった。戦前、彼女はナチスドイツのオカルト研究部隊"超人兵団"に所属していた。しかし 、その残虐さに嫌気が差し、部隊を脱走し、後に遺産を悪用するナチスの野望を阻むために戦っていた。戦後は政界入りし、荒廃した祖国を 立て直すのに尽力し、東西ドイツ統合を見届けた後、欧州の小国に隠棲した。その一方で、まだ不穏な動きを見せるナチ残党の動向に目を光 らせる活動家という顔も持っていた。またティアと旧い友人らしく、ナチスから遺産を守るために何度か共闘したことがあるらしい。 「久しぶりね、クリス」 「ええ、ティア。あなたも元気そうね」 クリスは微笑んだ。その瞳には理知的な光があった。また再会の喜びや、過去を懐かしむ感情も垣間見ることができた。二人は固く握手を 交わした。 「そして、あなたが御神苗優ね」クリスの視線が優に向けられる。 「噂は聞いているわ。スプリガンの中でも、数々の遺跡を封印してきたトップガン。ネオナチの野望を阻止したこともね。再びドイツが戦火 に見舞われるところでした。本当にありがとう」 「いや……そんなたいしたことじゃねーよ」 「なに照れてるのよ」からかうような口調のティア。 「て、照れてねーよ」慌てて取り繕う優。その仕草は歳相応の少年のものに見えた。とてもあらゆる特殊部隊に怖れられる精鋭、スプリガン とは思えない。 その様子があまりにおかしかったから、クリスは微笑んだ。そしてすぐに表情を引き締めた。 「では、本題に入りましょうか」 クリスはこれまで集めてきた情報を提示した。その中にはアーカムもいまだつかめていない鉤十字騎士団の詳細な情報があった。 鉤十字騎士団。総統権限を無制限に行使できる、親衛隊内部でも存在が知られていなかった秘匿部隊。遺産管理局アーネンエルベやトゥー レ協会と繋がりが深く、魔術師をはじめ多くの人外が集まっていた。課せられていた任務は戦局を一転させる超兵器――遺産の探索だった。 オカルトに傾倒するSS帝国指導者の庇護もあり、ククルカン作戦、聖櫃回収作戦などの重要任務を任されたが、それぞれある日本人と偉大 なる冒険家の妨害によって失敗の憂き目にあった。以後も遺産獲得のために各国諜報部隊と暗闘を繰り返していたが、敗戦が濃厚になった戦 争末期、忽然と騎士団は姿を消した。南米に渡ったとか、南極でナチ高官の護衛をしていると様々な噂が流れたが、いずれも信憑性は乏しく、 この騎士団の名は次第に人々の記憶から消えていった。しかし、 「最近、ネオナチの活動が活発になっていたんです」クリスの顔が苦渋に歪む。 「あなたたちが総統の復活を阻止した以来、その活動は収縮傾向にあったので、私たちも何が原因か探っていたのですが……グルマルキンが 一枚かんでいたのですね」 鉤十字騎士団の命令は総統の命令に等しい。半世紀たった今でもその効果は持続している。魔女は半ば強引にネオナチに協力させ、その見 返りに組織の増強を約束したのだろう。グルマルキンはあらゆる魔術に精通している。傾いたネオナチを立て直すぐらいわけはないはずだ。 その程度の見返りで聖遺物が手に入るのならば、安いものだったのだろう。 「しょうがないわ。あの時は皆、グルマルキンは死んだと思っていたもの。私も、ギヨームも、ジュネもね。クリス一人の所為じゃないわ」 「ありがとう、ティア。少し、気が楽になったわ。では、話を戻しましょう」 クリスは地図を広げた。それにはドイツとオーストリアの地理が描かれており、いくつか赤い丸がつけられていた。そこにネオナチの拠点 があるという。赤い丸はゆうに10を越えており、これでもまだ調査の途中で、実際にはこの倍の拠点が存在するとのことだった。 「ネオナチはかなりの人数が動員して、それとともにある場所に多くの物資がつぎ込んでいます」 拠点を示す赤い丸からは、ネオナチの使うルートを示す赤い線が伸び、ある場所に集中していた。つまりはそこはネオナチが集まっている 場所で、何か重要な意味を持つ場所だということだ。現在の状況を鑑みるに、そこがナチスのロンギヌス奪還作戦の中心である可能性は高か った。そして、 「グルマルキンも、おそらくここにいる」優の言葉に、クリスがうなずく。 「場所は?」 「ドイツバイエルン南東部、フュルステンベルク城です」 蝋燭がともり、ほの暗い空間にわずかな光があらわれた。小さな灯りが照らすのは、石壁に掛けられたハーケンクロイツの旗だ。そして暗 闇の中で威圧的に浮かぶその旗の前にある椅子に、グルマルキンは腰掛けていた。 彼女は血のように赤いワインを飲んでいた。 勝利の後の祝杯は最高だが、このワインは格別だった。ロンギヌスを手に入れ、宿敵を出し 抜くことができたのだから。だが、まだ足りなかった。彼女が受けた過去の屈辱は、こんなものだけではそそぐことはできない。唯一それが できるのは、宿敵――ティア・フラットの死だけだ。 ティア・フラットのあり方。遺産を集め、それを封じる。グルマルキンには決して理解できないあり方だった。力とは振るうためにあるも のだ。何故、それを封じてしまう必要がある。同じ魔女でありながら、彼女達はあらゆる面で違いすぎた。だから彼女らが分かり合うことは 永遠にない。いずれかが消え去るしかない。決着はいずれつける――そうグルマルキンが思った時、ドアをノックする音が聞こえた。 「失礼します」 親衛隊の男が一人入ってきた。かつりと踵をあわせ、ナチス式の敬礼をする。 「ハルトマンか」 彼はグルマルキンの副官であった。人間を下僕にするのは彼女にとって珍しいことだったが、その有能さと冷徹な態度が気に入り、延命の 術を施し今日まで部下として使っている。 彼は淡々と魔女に報告をのべた。 「アーネンエルベの研究班がロンギヌスの解析と儀式の準備を進めています。一両日中にはすべての準備が整うかと」 「急がせろ。スプリガンが諦めるとは、到底思えん。万一儀式が失敗に終われば、ランドルフ閣下に申し訳がたたん。準備が整うまで、奴ら を足止めする必要がある」 「御伽噺部隊をぶつけてみては?」 御伽噺部隊――グルマルキン直属の部下達。ウィーン王立博物館を襲撃したアイン、ドライもその一員だ。いずれもスプリガンと拮抗しう る精鋭である。 「そうだな、やつらも退屈している頃だろう。遊びにはちょうどいい、すぐにウィーンへ向かわせろ。だが、ティア・フラットだけは生きた まま私の前へ連れてこさせろ。それ以外は好きにしてかまわん」 鉤十字の魔女は心底楽しそうに笑った。一方、ハルトマンは複雑な心境にいた。 戦争は貴族のゲームとはよく言ったものだが、グルマルキンには少々遊びすぎる傾向があった。いかに御伽噺部隊の面々が精鋭ぞろいであ っても、数々の遺跡を封じスプリガンを軽視するのは危険であった。ましてやティア・フラットを殺さず生け捕りにするなど、御伽噺部隊で あっても困難を極めるはずだ。だが、彼に許されているのはただ忠実に命令を実行することだけであり、所詮人間である自分にできることは 少なかった。上官の判断が正しいと信じるしかない。 ヤーと敬礼し、ハルトマンは部屋を出て行った。 「クク……ハルトマンめ、心配性なやつだ」 一人残されたグルマルキンは笑う。 「お前もそう思うだろう――アイン」 暗闇の中から、すぅっと人影が現れた。親衛隊の勤務服――アインだった。軍帽を目深に被り、死人のように青い唇は薄く閉じられてい る。魔女の問いに答える気配はない。グルマルキンも彼女がそんなことに頓着しない性格だと知っていたから、返答は期待していなかった。 だから魔女は、アインがもっとも興味を抱くことをいった。 「どうだ。御神苗優は、お前が斬るに値する人間だったか?」 その瞬間、わずかではあるが、アインに感情めいたものが見えた。それは迷いであった。 アインはしばし逡巡し――わからない、とでもいうように首を振った。 「ほう、珍しいな。お前がそんな風に迷うとは。お前の目をもってしても、御神苗優の実力は見切れんか。――愉しいか、アイン」 こくりとアインはうなずいた。まったく迷いのない動作であった。そしてアインは笑っていた。それは強敵と相対した時に修羅が浮かべる ような笑みだった。 グルマルキンは満足そうにうなずいた。 「お前が負けることなどありえない。お前には私の知りうる限り、最高の身体を与えた」 アインの身体――死人のように白い肌。そして口元からこぼれる、肥大した犬歯。 「その身体で思う存分敵を斬り殺し、お前の望みを叶えるといい。そしてそれが私の望みでもある」 アインだけではなく、御伽噺部隊の面々はグルマルキンと同じく冷酷で苛烈で残虐だ。ひとたび解き放たれれば、貪欲に血を求めるだろ う。さらに多くの血が流されることになる。今以上に。グルマルキンの望み――第三帝国の復活。それにはまだまだ血が足りなかった。
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新世紀エヴァンゲリオン?で使徒?を倒すための最終兵器 綾波レイ?が零号機に乗り投げた 名前 コメント すべてのコメントを見る
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あ
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アージェント・デスサークル R 闇文明 (7) 呪文 ■S・トリガー ■相手のカードを1枚、バトルゾーン、マナゾーン、またはシールドゾーンから選び、持ち主の墓地に置く。 作者:123 関連 《トンギヌスの槍》 収録 DMSS-06 「時門編(サイキック・ゲート)第一弾」 評価 効果を変更しました -- 123 (2015-04-18 23 06 18) 名前 コメント
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「……ッらァッ!」 裂帛一閃、オリハルコンナイフがフィーアに向けて放たれる。 自分を正確に捉えてくるその一撃に戦慄しながらも、 フィーアは寸前でその切っ先を蹴り払う。返礼とばかりに彼女もまた鋭い蹴りを見舞うが、"水の心"の境地に至った優には、 やはり、当たらない。逆に右足を掴まれ、勢い良く投げ飛ばされる始末だ。 「……二人がかりでもこのザマとはな」 先程、優の膝蹴りによって破壊された顎を自動再生している最中のツヴァイが、苦々しく呟く。 膝をつき、荒々しく呼吸を繰り返している。 数あるナチ残党のなかでも、自分達は、一級の戦力を保有している自負はあった。だが結果はどうだ。 たった一人の人間すら仕留められず、劣勢を強いられている。だが別段、その事実に打ちひしがれる事も、落胆することもない。 帝都ベルリンが燃え落ちたあの日から、自分は負け続きだ。己の無力さに涙したのは一度や二度ではない。 だがこのまま終わりはしない。地べたに這いつくばってでも、泥水を啜ろうとも、必ず戦友の無念を晴らし、 祖国の復興を遂げてみせる。そのためなら、何度負けても構わない。 そういう戦い方を、ツヴァイは今日まで行ってきた。 だが彼女は違う。まだ若いが故に、容易く怒りに飲み込まれる。 「――貴様ァッ!」 フィーアが激昂の声を上げ、優に突進する。拳銃から放たれた弾丸のように。 "赤い靴"の超スピードにまかせ、何の策もなく、ただ攻撃を繰り返す。 よくない兆候だ、とツヴァイは思う。 己より力量が上の相手を前にして、彼女は精神を揺さぶられている。元より頭に血が上りやすい性格に加え、 自分の無力さを自覚している彼女のことだ、おそらく自分の不甲斐なさへの怒りが、ああいった捨て鉢な行動をとらせているのだろう。 ――だが、それだけではあるまい ――相手があの御神苗優という事実が、お前から冷静さを奪っているのだろう。 かつてツヴァイは、スプリガン御神苗優の経歴を見たことがある。 まだ幼いながらも戦闘技能におけるほぼすべての項目が最高値に達し、 単騎で各国の特殊部隊を殲滅しうるポテンシャルを秘めている彼に、ツヴァイは薄ら寒い思いをしたものだった。 だが最も目を引かれたのは、彼の幼少期の記録だった。 ――私はそのとき、似ている、と感じた。 ――ともに幼い頃に両親の命を奪われた、お前達のことを。 優は幼少期、遺跡保護を目的とするアーカムに危機感を抱いた米軍によって、 遺産発掘隊に参加していた実の両親を殺されていた。 誰かの一方的な都合によって、大切な人間の命を奪われたのだ。 フィーアも似たような過去を持っている。 おそらく彼女は、同じような境遇である彼と自分とを重ね合わせているに違いない。 まるで鏡合わせのような存在。しかし、まるで違う立場にいる。 ――お前は彼のことを許しがたいのだろう ――おそらくは同じ理由で戦っているのに、何故、自分とは違う方法をとるのかを。 このままではいけない。はやく戦列に復帰しなければならない。 彼女の暴走を止められるのは、この場において、自分しかいないのだから。 だがダメージが蓄積した所為なのか、先程から再生速度が遅くなっている。 ――そこそこにガタがきているということか。 ――無理もない。もうかれこれ60年近く、この身体で戦い続けてきたのだからな。 だが、もう少しだけ無茶を許容してもらうぞ。 ツヴァイはそう呟き、己を叱咤させ、立ち上がる。 「何故だ! 何故、何故!」 フィーアの怒涛の攻めが、優に襲い掛かる。赤い靴の加護により、銃弾を凌駕する速度を付加された蹴りのひとつひとつが、 彼に浴びせられる。しかし優は、フィーアのことを、それほど脅威とは認識していなかった。怒りに身を任せ正確さを欠いた一撃 ならば、"水の心"で先読みするまでもなく、楽に回避できる。それだけの余裕が彼にはある。 だが、フィーアにはそれがない。彼女は完全に冷静さを失っていた。 故に、普段は隠している世界への――とりわけ、自分と同じような理由で戦っている者達への懐疑を、止めることができない。 「それだけの力を持ちながら、何故、グルマルキン大佐の邪魔をする! 何故、鉤十字を信仰しない!」 「……なにいってんだお前?」 「遺産の保護、それになんの大義がある! どこに正義がある! 貴様らが遺産を正しく扱う保証が、どこにあるというんだ! わたしは知っているぞ、貴様らが以前、遺産による力と経済による力とで戦争をコントロールし、世界を支配しようとしたことを! 遺産の力に魅入られたあのヘンリー・ガーナムという男の暴走を許したことを!」 その言葉を浴びせられたとき、優の動きにわずかに揺らぎが現れた。 優は、フィーアの言葉を否定できなかった。実際に彼女の言葉通りのことが行われたのだ。 すなわち、アーカム財団による遺産の濫用が。 フィーアの言葉は止まらない。激情にまかせ、とめどなく自らの思いを吐き出す。 「貴様らは遺産を保護すると言いながら、結局はその力で他人を屈服させたいだけだろう! わたしから両親を奪った人間と、同じように!」 「なに……?」 優は、完全に動きを止めた。そのせいで致命的な隙を生じると自覚していたが、 ――両親を奪われたという彼女の言葉は、優の意識の間隙に滑り込み、 彼の精神の一切を縛っていた。 フィーアもまた、動きを止めていた。 彼女の顔には、過去の耐え難い疵跡を思い返すような、悲痛な色があった。 「わたしの両親は、ただの科学者だった。アーネンエルベに所属する、ただの研究者だった。 知っての通り、アーネンエルベは遺産を収集し、ナチ残党に戦力を供給する組織だ。 だがわたしの両親は、戦いのために、誰かを殺すために遺産を研究してはいなかった。 古代の神秘を、人間社会の発展のために解き明かそうとしていた。 ……だが、殺された。ただアーネンエルベに与しているという理由だけで! だから、わたしは憎む! いたずらに人の命を奪う劣等を、それを許すこの世界を! そしてその世界を守ろうとする貴様のこともだ!」 フィーアの敵意に満ちた視線が、優の瞳を射抜く。 いま彼女の口からついで出たことが事実なら、彼女は、自分とよく似ている。 古代文明の超技術の結晶である遺産は、世界を崩壊に導くほどの力を秘めている。 常に力を渇望する人間は、遺産を巡る醜い争いを際限なく繰り広げてきた。 彼女もまた、その醜い争いの被害者なのだろう。 ――誰かの一方的な都合で、大切な人を奪われ、踏みにじられたことの悔しさ。 自分もそれと同じ想いを抱えたことがあるからこそ、彼女の想いも理解できる。 だが、自分と同じような存在であるが故に、優は、彼女のことを許すことができなかった。 「……ああ、そうだよ。確かに、お前の言う通りだ。アーカム財団はやり方を間違えた時もあった。 誰かの都合で、他人を従えることなんて、あっちゃならねえ。人の命を奪うことも、だ。 けどよ、それはお前らだって同じじゃねーか。お前らだって自分の都合で、遺産を悪用しようとしてるだろ」 「違う。グルマルキン大佐は、ロンギヌスの槍で、この世界を変えると仰った。大佐なら、正しく遺産を行使してくれる。 それだけの叡智を持っている。人の命をいたずらに奪う劣等を駆逐し、わたしのような存在が生まれることのない世界を作ってくれる。 大佐なら、我々なら、それが可能だ!」 「……気にいらねーな。なら、聞くけどよ。お前らが正しいって保証は、どこにあるんだよ」 優の脳裏に蘇るのは、無残に殺されたオーストリア憲兵隊の姿だ。 誰かを守るために戦った彼ら。明日を奪われた彼ら。 彼らは死すべき存在だったのだろうか? そうではない、と優は思う。 「お前はいま、いたずらに人の命を奪う奴を、劣等って言ったよな。確かに人間の中には、 そんな最低な奴もいることは、否定しねーよ。だが、お前が殺した人間は、本当にそんな奴らだったのかよ。 いいや、違うね。あいつらは、家族を、愛するものを、大切な誰かを守るために銃をとったんだ。 お前は、その誰かから、永久に大切な人を奪ったんだぜ。それのどこが正しいってんだ!」 「! そ、それは……」 「お前は、自分がやられたことを、他の誰かにやり返してただけじゃねーのか? そんなこともわからなかったのか? ならお前は、ただあの魔女の言いなりになって人を殺してただけじゃねーか!」 優の言葉は、フィーアの精神の奥底まで突き刺さり、その根底を揺さぶらせた。 フィーアは、小さく呻き、あとずさった。 これまでの戦いのことを思い出す。熾烈な任務の只中で、自分が殺してきた人間達に思いをはせる。 ただの一度とて、楽な任務はなかった。常に熾烈な抵抗を受けてきた。 自分は"赤い靴"という圧倒的な力を持っているのに、いつも苦戦を強いられた。 そのたびに、彼らの瞳の中に、確固たる意志を垣間見た。 ――それは、大切な誰かを奪わせまいという意志ではなかったか。 ――そんな人間をたくさん殺してきたわたしは……。 ――わたしの両親を殺した人間と、同じ……。 誰かの命を奪うことの意味。それを自分は、本当に理解し、覚悟を決めていたのだろうか。 フィーアは苦悶する。自らに問いかける。だが、答えは出ない。答えは出ない。 「……へっ、こんな説教、俺にする資格なんてないことは、わかってる。 俺だってお前と同じように、たくさん人を殺してきたからな。きっと、俺が手をかけた奴の中にも、家族や愛する誰かがいたんだろうな。お前は、それを知りつつも戦ってきたんじゃないのか?」 「……ッ! わ、わたし、は……」 答えを示さなければならない。そうしなければ、これまでの自分の戦いが無駄になる。 そう思いはしても――ついに、フィーアは何も言うことができなかった。 「……もうやめろ、フィーア。言葉ですべて解決しないときもある。私達のようなものが、それを証明している」 誰かの大きな手が、フィーアの震える肩に掛けられる。 傷の再生を完了したツヴァイが、フィーアの背後に立っていた。 「ツヴァイ……」 「君の言う通りだ、スプリガン。だが彼らも、死を覚悟して戦いを決意したはずだ。求めるものを手に入れるために。 それは平和や、愛する者を守ること、人によって様々だろう。しかし、そんな君はどうなのだ? 君は、まだ若い。 私のように、戦争の呪いに縛られる年齢ではあるまい。軍人は人を殺す稼業だ。そのために技術を磨く。 だが、年端もいかない若者を戦場に駆り立てる者達に、私は吐き気をもよおすのだよ。 たとえ人を殺す技術に秀でているのだとしても、子どもは、そのような業を背負うべきではない」 「へ、そんなことが言える人間がいるってだけで、この世界はまだ捨てたもんじゃねーって思えるぜ。 ……俺が人を殺した事実は、どんなに悔やんだって変わりはしないんだ。俺の手は、とっくに血で汚れてる。 けどよ、そんな俺でも、まだできることはある。お前らみたいな自分勝手な正義を振りかざして、遺産を悪用する奴の手から、 俺の大切な人を守ることだ! 相手がアーカムだろうがナチだろうが、それは変わりゃあしねぇ!」 優の力強い決意の言葉を、フィーアは、呆然と聞いていた。 自身の精神を支配していた激情が、急速に萎えていくのを感じる。 ――こいつは、わたしと似ているようで、まったく違う。 ――わたしは、戦い、命を奪うことの意味すら知らぬまま、ただ……。 「……なるほど。借り物の理由ではない、ということか」 まぶしいものを見るかのように、ツヴァイは優のことを見つめていた。 そして、声もなく、いまにも崩れ落ちそうなフィーアのことを、悲しげに見つめる。 ツヴァイは、フィーアに、慰めの言葉を掛けようとはしなかった。 そんなことは、彼女にとって何の意味もない。他人がどうこうできる問題ではない。 だからツヴァイは、あえてフィーアをそのままにした。 「……しかし、きりがないな、スプリガン。お互い決め手がないというのは、苦しいものだな」 「ああ、そうだな。だがよ、お前さんの再生速度が、確実に鈍ってるってことは感じるぜ。 さっきまでならその程度の傷、一瞬で治っちまってたってのによ」 「ふ、ばれていたか」 「あと何発かお見舞いすりゃあ、あんたは動けなくなる。そうだろ?」 「さて、どうかな。好きに想像するといい。 しかし、君の動きも段々と精彩を欠いてきたと見えるのは、私の思い違いかな?」 優の表情が僅かに険しくなる。確かにその通りだった。明鏡止水の境地――"水の心"は、過度の集中を強いられる。 "水の心"に目覚めた者は無類の力を発揮するが、長時間その状態が続けば、確実に精神が疲弊する。 そして一瞬でも注意力が途切れれば、致命的な隙が生じる。 本音を言えば、疾く勝負をつけたい。優はこの戦闘の間、ずっと思っていた。 だがこの不死身の肉体を持つ人狼を、この超高速を誇る少女を、どうすれば打倒できるのか。 オリハルコンナイフもAMスーツで強化された打撃も、この二人に対しては効果が薄い。 「いいことを教えてやろう」 どん、とツヴァイは自身の厚い胸板を叩いた。 「私の弱点は、ここだ。ここにある人工心臓を破壊さえすれば、私は全機能を停止する」 「ツヴァイ! なにを言っているんだ!?」 フィーアの驚愕の声に、ツヴァイは何も答えない。 彼女のことを無視し、ただ優にだけ言葉を投げかける。 「君のオリハルコンナイフなら、易々とこの鋼の獣毛を貫くだろう。 人狼型改造人間である私といえど、賢者の石より精製されたそのナイフの前では、死から逃れることはできない。 だが私も、フィーアほどではないが、反射神経には自信があってね。 切っ先が心臓に達する前に、ナイフごと君の腕をもぎ取れる――それだけの自信はある」 「……」 「さて、どうする? 君とて、時間に余裕があるわけでもあるまい。こうしている間にも、 ロンギヌスによる儀式の準備は着々と進んでいる。ひとり殺れば、その阻止がぐっと楽になるぞ」 「……へっ、見え透いた挑発には乗らねーよ。だが、いいこと聞いたぜ」 じり、と優は僅かに距離を縮める。 「殺しきれない相手じゃないってことが、わかったんだからな」 「その意気だ。では、再開といくか」 優とツヴァイ、両者の殺気が膨れ上がる。 ツヴァイは静かに、優に悟られないよう、自身の脳髄に埋め込まれた人工精霊にアクセスする。 それは魔女グルマルキンによって備え付けられた、使用者の第六感を強化し、 簡易的な精神感応を可能とさせる霊的ツールだ。フィーアの意識と霊的なリンクを繋ぎ、声なき声で、彼女に語りかける。 (フィーア、よく聞け。奴は必ず、私の心臓を狙ってくるだろう。奴は焦っている。次で勝負を決めるつもりだ。 だが、次に何かするのかさえ読めていれば、対応は容易い。私が奴の動きを封じる。たとえ命を捨ててでも。だから、 お前はその隙を突いて、確実に奴の首を刈り取れ) (な……!? だ、だめだ! それだけはだめだ!) フィーアの精神が激しく揺れるのがわかった。いまだショックから立ち直れていないところに、 突然こんな命令が下されたのだから、ここまで動揺するのも無理のないことだろう。 だがツヴァイは、彼女の精神の均衡がとれるのを、待つわけにはいかなかった。 (フィーア) 有無を言わさぬ声音/意思。言うことを聞かない幼子へ向けられるような響き。 (わかってくれ。この方法、この状況下でしか、奴は殺せない。この機会を逃せば、奴は私達との戦いを学習し、 殺すのは一段と困難になる。……そんな顔をするな、フィーア。 たとえ私が死んでも、お前さえ生き残り、奴を殺せば、私達の勝ちだ) (い、いやだ! まだわたしは、あなたからすべてを学んではいない! まだわたしにはあなたが必要なんだ!) (大勢を生かすために個人を犠牲にする、それが兵士というものだ。 そして上官の命令には絶対遵守、これも兵士というものだ。 ――では、頼むぞフィーア!) なおもフィーアの叫びが伝わってきていたが、ツヴァイはそれを無視した。 人口精霊の活動の一部分を休止させ、フィーアの意識とのリンクを解除する。 そして、全身に残された力を振り絞り、優に向けて吶喊する。 「グルオオオオオオオオオォォォッ!!」 ツヴァイの口から迸る、戦場全体を震撼させるウォークライ。 ナイフを構え、ツヴァイの突撃に備える優。 両者の激突は不可避のものであるように思えた。 だが―― 上空から飛来した"何か"に、ツヴァイは動きを封じられた。 彼女の足に、刀身が極度に細長い剣のようなものが刺さっている。 その場にいた三人は、それが何なのかを、すぐに悟った。 ――黒鍵。教会に所属する代行者のみに許された投擲兵装。 「――そこまでです」 声が聞こえた。三人はその方角を向き、三者三様の反応を示す。 突然の闖入者への驚愕と、その人物が保有する戦力への畏怖と、 ――友人との再会を果たした喜びとを。 「焦ってはいけませんよ、スプリガン。命が惜しければね。 そこにいる人狼は、己の命を犠牲にしてでも、必ず敵の喉笛を食い千切る。 そういう決意を秘めた目をしています」 オーストリア憲兵隊の施設の上に、ひとつの影があった。 しなやかな肢体にまとったカソック。眼鏡の向こうにある強く輝く空色の瞳。 両の手に黒鍵を構え、油断なくこちらを見下ろしている。 優は、その人物の名前を知っていた。 何度も矛を交え、また共闘した回数も少なくない、戦友といえる間柄だ。 「お前――シエルじゃないか!」 「お久しぶりですね、スプリガン――いいえ、御神苗君」 シエルと呼ばれた女性は、優の言葉に微笑を返した。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……埋葬機関のお出ましか。いよいよもって、私達の手に負えなくなってきたな」 「私のことを知っているのですか」 優の傍らに降り立ち、黒鍵を構えるシエルに、ツヴァイは苦々しい表情を向ける。 「当たり前だろう。教会の鬼札、かのアレクサンド・アンデルセンと並び畏怖される埋葬機関第七位"弓"のシエルを知らんものなど、 我々の仲間内ではひとりもいないさ」 「あの神父様と同列に扱われるのは、あまりいい思いはしないんですけど……」 そう言いよどむシエルであったが、彼女のまんざらでもない表情を見る限り、やはり嬉しかったりするのかもしれない。 「まあ、この場合は手っ取り早くていいですね。さて、埋葬機関である私とスプリガン、この二つを敵にすることが、 どれだけ無謀なのかわかりますね。だったら……」 「撤退するぞ、フィーア。時間稼ぎはすんだ。生き残りたければ、私の命令に従え!」 電動ノコギリのような音が響き渡る。MG42機関銃が、優とシエルの足元に向けて放たれる。 巻き上がる土と石。それは二人の視界を奪う。そして、土煙が晴れたときには、もうツヴァイとフィーアの姿はなかった。 鮮やか過ぎる引き際に、しばし二人は言葉を失う……。 「……逃げられちゃいましたね。まあそれほど遠くにはいっていないでしょう。 では優君、追跡を始めましょうか。私があの二人の魔力を探知できるうちに」 「いやちょっと待て」 さも当然といわんばかりに走り出そうとするシエルの肩を、優は掴んだ。 シエルは意外そうな表情を返してくる。それを見て、優は頭が痛くなった。 「あら、私と一緒に行くのは不満ですか?」 「いやいや、敵同士だろ、俺たち。いくら互いに勝手知ったる間柄でも、お前は教会側、俺はアーカム側なんだから。 どうせお前も、ロンギヌスの槍を奪いに来たんだろ? なら、容赦しないぜ」 「そのことは追跡の途中で説明しようと思っていたんですけど――まあ、仕方ないですね」 シエルはぴんと指を立てる。その姿はまるで学校の先生のようだ。 「たしかに聖遺物ロンギヌスの槍の奪取を命じられましたが――個人的には、あなたとは敵対しなくないんですよ。 あなたと戦うのはとても骨が折れますし、それに、あなたに助けられたことは、一度や二度ではないのですから」 「なんじゃそりゃ。いいのかよ、そんな適当で」 「私は熱心な信徒ではありませんから。正直な話、私としては、ロンギヌスの封印がとかれて迷惑してるんですよ。 鉤十字騎士団があれを手に入れたことで、余計な仕事が回ってきたんですし。殺気立った各国政府は教会の出方に目を血走らせてるし。 こうしてあなたと共闘するのだって、教会とアーカム財団が手を結んで、ロンギヌスの槍を独占しようとしてるんじゃないかって、 教会の立場が危うくなる可能性もあります。だからはやいとこナチどもをふんじばって、 ロンギヌスをあるべき場所へ返したいんですよ。もちろん、ホーフブルク宮殿の王宮博物館に、ね」 彼女の言葉が真実なら、少なくとも、その本心は遺産の独占ではない、ということになる。ならば彼女と手を組むことは、 優としても異論はなかった。むしろ、化け物じみた退魔の専門家が集う教会において、なお最高戦力として恐れられる埋葬機関の ひとりとの共闘となれば、諸手をあげて歓迎したい。 「なるほどな。けど、ここにいるのは俺だけじゃないぜ。オーストリア憲兵隊はどうするんだよ。 もうお前が現れたことを、上の方に連絡を入れてるかもしれないぞ。俺との共闘がばれたら、大変なんじゃないのか?」 「大丈夫です。さっき、ここ数時間の記憶が消えるよう、全員に暗示をかけておきましたから」 「……さいですか」 「では、話もまとまったことですし、行きましょうか」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 目まぐるしく周囲の風景が変わっていく。優とシエルの二人が、人の身では到底不可能な速度で走っているためだ。 AMスーツにより強化された脚力で、優は地を駆ける。なんの装備もしていない、ただの生身であるはずなのに、 シエルもまた優と同じ速度を維持している。異教徒――概ね人を辞めた吸血鬼――との闘争を生業とする彼女なら、 この程度は出来て当然のことなのかもしれない。 「しかし、どうして魔女グルマルキンはロンギヌスの槍を奪取したのでしょうか。彼女は、聖槍の有用性を知っていたのでしょうか。 あれがどんな効力を有しているのか、聖遺物管理局マタイにだってわからなかったのに。優君はご存知ありませんか?」 「いや、知らねーな。ティアに聞けばわかるはずだが……」 「げ。あの魔女さんもいるんですか?」 「? ああ、そうだが」 「……不味いことになりました。お願いですから優君、彼女達と話す時は、魔女さんの名前は出さないようにしてください」 「彼女達って、誰だよ」 「ハインケル・ウーフーと高木由美江です」 「あの狂信者達も来てんのかよ! そ、そうだな……確かにそれは不味い。非常に不味い」 「会った瞬間に殺し合いが始まっていた……なんてことも考えられなくはないですからね」 シエルはため息をついた。彼女のいまの気持ちが、優には痛いほど理解できた。異端に対して絶対根絶のスタンスをとる イスカリオテの精神が形になったようなふたりだ。彼女らには、話し合いが通じない。教会が異端認定した魔女ならなおさらのことだ。 鉤十字騎士団との戦闘をおさめたところで、もう一波乱あるかもしれない……そんなありがたくない未来を思い描きつつ、 優もまた、シエルと同じように、深く深くため息をついた。