約 4,477,751 件
https://w.atwiki.jp/cthulhuworksmemo/pages/347.html
作品情報 作品形式 小説 編者 大瀧啓裕 出版社 青心社 初版発行日 1989/1/25 収録作品 カルコサの住人 原題 著者 アンブローズ・ビアース 訳者 東谷真知子 黄の印 原題 著者 ロバート・W・チェンバース 訳者 大瀧啓裕 彼方からのもの 原題 著者 クラーク・アシュトン・スミス 訳者 東谷真知子 邪神の足音 原題 著者 A・ダーレス М・R・スカラー 訳者 森川弘子 暗黒のファラオの神殿 原題 著者 ロバート・ブロック 訳者 三宅初江 サンドウィン館の怪 原題 著者 オーガスト・ダーレス 訳者 後藤敏夫 妖術師の帰還 原題 The Return of the Sorcerer 著者 クラーク・アシュトン・スミス 訳者 三宅初江 丘の夜鷹 原題 著者 オーガスト・ダーレス 訳者 岩村光博 銀の鍵の門を越えて 原題 著者 ハワード・フィリップス・ラヴクラフト 訳者 大瀧啓裕 クトゥルー神話-逆転の発生学 著者 大瀧啓裕
https://w.atwiki.jp/majokkoxheroine/pages/74.html
魔法少女トゥインクル・オーガスト2 冬月町には、風杜神社というそこそこ大きな神社があり、そこには『波山流(はざんりゅう)杖術・剣道場』という道場が併設されていた。 休館日にも関わらずこの日、木と木が打ち付け合う高い音が、夜の境内にまで響き渡っていた。 例えるなら、大小の台風が一つずつ。 すさまじい勢いで、二つの棍がぶつかり合っては弾け飛ぶ。 二つの台風が、一瞬大きく間合いを開く。 先に動いたのは小さい方の台風だった。 「たっ、やっ、はぁっ!」 黒髪のポニーテールをなびかせながら、道着姿の天神はづきは、嵐のような突きを父でもあり師匠でもある天神雨水(あまがみ うすい)に向かって繰り出した。 しかし。 「ほほう、いつの間にか腕を上げましたね」 雨水は微笑みを崩さないまま、その連打を時に避け、時に受け流していく。 「あ、ありがとうございます……」 手を休めないまま、はづきは礼を言う。 小学四年生のはづきでは、長身の雨水との体格差は圧倒的だ。それでも、はづきは泣き言一つ言わず、攻撃の手を休めない。 が、不意に背筋が寒くなり、本能のままに跳躍した。 一瞬後、わずなか隙を突いて雨水の棍が横殴りに飛んできた。その棍を素足で踏み、そのまま後方へ跳躍。 とはいえ、空中にいる弟子の隙を雨水は見逃さない。 棍を振り抜き、そのまま逆の先端ではづきを狙い撃つ。 「男児三日会わざれば刮目して見よとは、よく言ったモノです」 乾いた音が響く。 持っていた棍の腹で、はづきが師匠の突きを受け止めたのだ。 「あ、あの、師匠……私、女の子……」 そのまま板床に何とか着地する。 「細かい事を気にする必要はありません。――しかし、まだまだですね」 ひょい、と足の裏を棍で掬われそうになる。 「あっ」 短い跳躍で、かろうじて回避する。 「……ほう、これを避けますか」 「ま、まだまだっ……!」 不安定な体勢のまま、はづきは棍を振り下ろす。 だが、いつの間にか半身の構えになっていた雨水には当たらない。 「棍で攻撃するとは限りませんよ」 攻撃直後のはづきを、雨水の掌底が打ち抜いた。 「ふゃっ!?」 道場の壁にまで吹き飛ばされる、はづき。 しかし何とか激突直前に垂直の板壁を足で受け止め、回転しながら床への着地にかろうじて成功した。それでもダメージはゼロではなく、片膝をついている。 「ほほう……」 雨水が笑顔のまま唸ったと同時に、道場の隅でブザーが鳴った。 試合終了だ。 雨水は棍で床を突いた。 「とはいえ、なかなか頑張りましたね。これからも精進して下さい」 「あ、ありがとうございましたぁ……」 精根尽きたはづきは、その場に崩れ落ちた。 天神家に受け継がれている八山流(はざんりゅう)杖術だが、実際の所杖術を習おうなどという酔狂な人間はまずいない。 という訳で、一般にも受け入れられやすい剣道を道場で取り入れていた。道場に通いに来る小中学生は、全員がそちらを習っている。 幼い頃から、父親だけが杖術を使う事を不思議に思ったはづきだけが、それを受け継いでいた。これでも経験は六年になる。 はづきの頭に、ふわりと手拭いが下りてきた。 「さて、そろそろ晩ご飯の時間です。切り上げましょうか」 「う、うん」 父親の言葉にはづきは頷き、手拭いで汗を拭きながら後頭部のポニーテールを解いた。 その時、道場の隅に折り畳まれたはづきの制服と一緒に置いてあった携帯電話から、刑事ドラマの着信音が鳴り響いた。 「ぴゃっ……!?」 思わず、はづきが跳びはねる。 この着信音は、つい先日友人になった少年からのメールだ。 「どうかしましたか?」 「あ、その。ちょっと友達からメールが来て……」 「はい。それでは、先に家に戻っていますね」 父親の了承を得て、はづきは携帯電話のある部屋の隅へ駆けていった。 道着姿のまま、はづきは境内に出た。 夏の境内は蒸し暑く、はづきは噴き出した汗を手拭いで拭う。 本当は着替えたかったのだが、また制服に着替えるというのも変な話だ。かといって、相手はすぐ近くに来ているらしいので、部屋に戻っていると待たせる事になる。 だが。 「……あれ?」 はづきは、境内を見回す。 その相手は、境内にいなかった。 ……これなら、部屋で着替えた方がよかったかな。 そんな事を考えたその時。 「天神」 闇の中から声がした。 「ふゃあっ!?」 はづきは両手を挙げて驚いた。 よく見ると、神社の植え込みに溶け込むように、肩から鞄を提げた愛想のない短髪の少年が立っていた。全然気付かなかった。 「大きな声を出すな。せっかく気配を消していたんだ」 「な、ななっ、何で気配なんて消してたの……?」 「他に誰かがいたら困るからだ」 「あ……そ、そっか」 淡々と言う少年の名を、木島勇人(きじま ゆうと)という。はづきのクラスメイトだ。この愛想のなさは別にはづきが嫌いな訳ではなく、誰に対しても平等である。 故にクラスでは、やや怖い、という評価を受けている。 しかし、はづきは勇人が単に口下手なだけだという事を既に知っていた。 「驚かせたみたいだな。悪い」 「い、いいよ。気にしてないから……」 「そうか」 間が生まれる。 元々はづきは極端に内気な性格で、しかも相手が男子という事もあって、勇人と話すのも恥ずかしい。何を話せばいいのか、分からない。 一方、勇人も基本的に必要な事以外(たまに必要な事も)、ほとんど話さない。 境内を、静寂が包んだ。 やがて、沈黙に耐えきれず、はづきの方が口火を切った。 「そ、それで、また事件?」 「いや、今日は俺が図書館の帰りのついでに寄っただけだ」 言って、勇人は鞄を軽く叩いた。 「……精霊が関係するような、怪しい事件は今のところない」 「そ、そうなんだ……」 「必要な道具を持ってきた」 言って、勇人は鞄から何か細長いモノを取り出した。 ひょい、と投げられたそれを、はづきは受け取る。 「え、えと……これ、扇子?」 開いてみると、扇には日本画が描かれていた。独特の香の匂いが、はづきの鼻を刺激する。 「ああ。精霊を召喚するのには媒介が必要なのは前に説明した通りだ。この間捕まえたカマイタチは風の精霊だからな」 「それで扇子……」 暑いし、仰いだら駄目かな、とかはづきはちょっと考える。 「数が増えると、動きが鈍くなる。媒介用のアイテムは小さい方がいい」 「そ、そうだね」 この会話、誰かが聞いていたらどう思うだろう、とはづきはちょっと気になった。 何かのゲームの話とでも思ってくれるといいのだけれど。 「今、時間はあるか」 「ちょ、ちょっとだけなら……大丈夫だと、思う」 辺りを見回し、はづきは頷いた。 勇人が何を言いたいのかは分かっている。 「よし、それなら少し試してみよう。実戦で練習する余裕はないからな」 「そ、それもそうだね……じゃあ」 はづきは、胸元からネックレスを取り出した。 細い鎖の先に付けられているのは、青い光を放つ勾玉だ。不思議な事に、勾玉は宙に浮いていた。 右手を前に差し出し、左拳を腰に。 精神を鎮めると、それに呼応するように勾玉は光を増した。 「変、身……っ!」 右拳を腰に戻し、両腕を交差。 勾玉の光が極限まで高まった所で、腕を下ろす。 青い光がはづきの身体を包み、代わりに勇人の身体が赤色の光を放つ。 その輝きがやむと、はづきは白と朱の巫女装束をまとっていた。 一方、勇人の身体は縮み、人形サイズの赤い子鬼と化していた。 数日前、クラスの友人達と行った肝試し。 そこで、二人は巨大な鬼と出会った。 鬼の名はボルト。魔界の住人であり、この世界に逃亡した精霊達を追ってきた獄卒鬼だ。 しかし、ボルトと脱走精霊の争いに巻き込まれ、勇人ははづきを庇う形で生命を落としてしまう。 現界の人間を巻き込む事をよしとしなかったボルトは、その魂を勇人と融合した。 力の大半を失ったボルトに代わり、彼の意志を継いだ勇人と、現世で精霊力を振るう事の出来る契約者・トゥインクル・オーガストとしてはづきは、精霊達を捕らえる仕事をする事となったのだった。 二本角のミニ赤鬼・ボルトがはづきの肩に乗る。 身体を包む精霊の力を抑え、肉体に馴染ませる。 軽く跳躍すると、五メートルほどの高さに至る。 着地と同時に、石畳に落ちた葉が何枚かふわりと宙に浮く。そのスローモーションの動きを確かめ、トゥインクル・オーガストの手が瞬いた。 次の瞬間には、トゥインクル・オーガストの細い指の間には何枚もの葉が挟まれていた。 「よし、それじゃやってみるぞ。まずはカマイタチ」 「うんっ! ――『風』の証に依りて出でよ、『カマイタチ』!」 懐の扇子に意識を集中する。 すると、トゥインクル・オーガストの手に風の力が集い始めた。 「振れ!」 「う、うん!」 轟、と掌から突風が生じ、境内の木々を大きく揺らした。 「す、すごい力……」 風になびく黒髪を抑えながら、はづきは呆然と声を漏らした。 はづきが込めた力は、全力ではないのだ。その気になれば、『カマイタチ』の名にふさわしい、風の刃を生じる事も可能だっただろう。 精霊の力を調節して、二度、三度と小さな風を掌から放つ。 全力全開は危険だな……と、トゥインクル・オーガストは思った。 「『鬼』の力も使ってみようか」 「う、うん……」 こちらはあまり気が進まない。 とはいえ、鬼の力を借りて変身するトゥインクル・オーガストは、唯一媒介いらずの能力でもある。 一番、使うのになれなければならない力なのだ。 「『角』の証に依りて出でよ、『アカオニ』!」 叫ぶと共に、トゥインクル・オーガストの全身を見えない重さが包んだ。 その重さは圧倒的なエネルギー。 例えるなら人の形を取ったダンプカー、あるいは石油タンカー、あるいは原子力発電所。 「ふぅー……」 トゥインクル・オーガストが息吹を整えると、石畳が軋みを上げ、ボコリと円状の亀裂が走った。 ちょっと悲しくなった。 「どうした?」 それを察したのか、ボルトが顔を覗き込んできた。 「……これ、何かすごく体重が増えてるような気がしてちょっと嫌」 トゥインクル・オーガストも、女の子なのである。 「でも、非常時にすぐ使えるように慣れておく必要はある」 「そうなんだけどね……」 実際、その通りではあるのだ。 この力は強すぎて、下手をすると容易に周囲を巻き込みかねない。小学生がダンプカーのアクセルを踏むようなモノなのだ。 「扱いには気をつけろ。これは、オーガストの主力精霊でもある。力が強い、というのは純粋に有利だ」 「……うん」 故に、この力がトゥインクル・オーガストには、ちょっと怖い。 「オーガスト、武器を」 ボルトの声に、ハッと我に返る。 「う、うん」 懐から、扇子を取り出す。 閉じたままの扇子の骨を握りしめると、扇子は青い光を放ちながら棍へと変化した。 「精霊棍も、召喚には別に本物の棍は必要ない。今みたいに扇でもいいし、物干し竿でも割り箸でもいい。棒をイメージするモノを手にすれば、召喚が可能だ」 「た、例えばアンテナとか……?」 トゥインクル・オーガストの問いに、ボルトは頷いた。 「ああ。それも、有りだな。街の中にはいくらでもそういうモノがある。色々試してみるのもいいかもしれない」 「……例えば標識とか?」 「……それは、国土交通省とかいう奴が、調査に乗り出しそうだから自重した方がいい」 精霊棍は呪印を刻み込んだ、金属製の棍だ。 軽さの割に、相当な威力がある。 トゥインクル・オーガストは、普段から習っている型を軽く演じてみた。 一振りする度に、棍が派手に空気を切った。 「これで終わり……かな?」 精霊棍を扇子に戻し、懐に入れる。 「もう一つ、前回は使えなかったけどイッタンモメンがあっただろう」 「あ……あのタオルに取り憑いてた精霊だね」 カマイタチが起こした切り裂き事件の一つ前の事件を、トゥインクル・オーガストは思い出した。 「そう。タオルはかさばるからという事情で持たなかったけど、ちょうどいい のが手元にある」 そう言ってボルトが指差したのは、近くの木の枝に引っかかっていたはづきの手拭いだった。 「あ、これ?」 「そう、それでちょっと試してみよう」 「う、うん」 トゥインクル・オーガストは手拭いを握ると、精霊の力をそれに注ぎ込んだ。 「ぬ……『布』の証に依りて出でよ、『イッタンモメン』!」 すると、青い光と共に手拭いは全長は十メートルほどはあろうか、長い布へと変化した。 「わ……」 恐ろしく軽いそれに意識を込めると、それに応じて身体にまとわりついてきた。 さながら、天女の羽衣のような形を取る。 「ほう……」 「す、すごいね」 「もしかして、飛べるんじゃないか?」 「飛べると言うより、跳べる、かな……」 そう、イッタンモメンの力をまとったトゥインクル・オーガストの肉体は、まるで羽のように軽くなっていた。 「布の精霊だからな」 「風に乗るって感じ……かな?」 微かに吹く風を意識して、足を乗せてみる。 すると。 「わ、と、わあぁっ……!?」 トゥインクル・オーガストの身体は、風に乗って高く空に流された。 「落ち着け」 「お、落ち着けって言われても……!」 「体制を整える事だけ考えろ。それ以外は余分だ。落ち着いたら、泳ぐイメージを取ってみろ」 「う、うん……!」 ボルトに言われた通り、体制を整える事に集中する。 やがて安定すると、やがて風に身を任せる事にも慣れてきた。 そしてふと眼下を見下ろすと、そこには冬月町の夜景が広がっていた。 「わぁっ……」 闇に浮かぶ無数の輝きに、トゥインクル・オーガストは歓声を上げる。ひときわ多く光が集まっているのは、おそらく繁華街だろう。 「感動している所悪いが、あまり長居は出来ないぞ」 「え……?」 肩から聞こえてきたボルトの声で、トゥインクル・オーガストは我に返った。 「この状態で時間切れになったら、死ぬぞ」 木島勇人と融合したボルトの力は、現界では三分間しかもたない。 それはつまり、トゥインクル・オーガストの力もたった三分しか使えない事を意味していた。 この夜空でそれが解けたら……。 「お、下りる! すぐ下りる!」 トゥインクル・オーガストは、急いで風杜神社に向かって落下していく。 境内に着地すると、ほぼ同時に変身が解けた。 「空を飛べるのはいいけど、遅いのが難点だな」 人間の姿に戻った勇人がボソリと呟く。 「うん、風任せだからね。あと、袴が……」 「どうかしたのか?」 「な、何でもない!」 はづきは、真っ赤になりながら両手を振った。 「風と言えば『カマイタチ』と同時に使ってみたらどうだろう」 「……多分、突風すぎて、制御出来ないんじゃないかな」 布にジェットエンジンの噴射をぶつけるようなモノだ。 「となると、それは最後の手段だな」 「最後の手段でも、あんまりしたくないけど……でも、『イッタンモメン』は楽しいかも」 「そうか?」 「う、うん。何て言うかこう、魔法! って感じがする」 「確かに超怪力や風の刃よりはな」 「それにわたし、魔法少女はどっちかって言うと戦うより人助けがお仕事じゃないかと思うし……」 少なくとも、はづきが知ってるアニメは、そういうモノだ。 言われ、勇人も小さく唸る。 「言われてみれば、戦ってばかりだな……しかし、困っている人を助ける、っていう意味では間違ってはいないはずだ」 「むー……」 はづきにも、言わんとしている事は分かる。 でも、何となく納得がいかないのだ。 そんな様子のはづきに、勇人はポケットに手を突っ込んだまましばらく考え。 やがて、頭から煙を噴きながら頭を振った。 「……すまん。うまい言葉が出てこない」 それでも、勇人は表情を崩さない。 が、勇人の必死さは伝わった。 「い、いいよ。無理しなくても。それ以上考えると、木島君、倒れちゃう」 そうだな、と勇人は頷いた。 「精霊事件も、まだ三回。最初の事件を引いてもたったの二回。戦わないで済む事件も、そのうち出くわすだろう」 「そうだといいな……」 「だな。別に俺も、争いが好きな訳じゃない」 何となく沈黙が生まれた。 やっぱり間が持たなくなって口を開いたのは、はづきだった。 「そ、それと、たった三分ってのは、問題だよね……」 「一応、変身時間を延ばす事も出来るが……」 「……木島君達の魂を消耗するんだよね。それはやっぱり駄目だよ。せっかく木島君、生き返ったのに」 「まあ、最後の手段だな。それじゃ用事も済んだ」 勇人は自分の携帯電話を取り出すと、時計を確かめた。 「あ、うん」 はづきも自分の携帯電話を懐から取り出した。この携帯電話もボルトの力で強められており、精霊を封印する力を持っている。 お守りと一緒で、トゥインクル・オーガストに変身している時に装備していないと、精霊の力を借りる事は出来ないのだ。 時間を確かめると、長かったようで、五分も経っていない。 「じゃあな、天神。おやすみ」 「う、うん、おやすみなさい」 足音もなく境内を去っていく勇人の背を、はづきは見送った。 はづきは息を吐き出す。 「ふむ……」 唐突に、背後からそんな声が聞こえ、 「ひゃあ!?」 はづきは死ぬほどビックリした。 振り返ると、父、雨水が立っていた。 雨水は既に着替えを済ませており、ワイシャツにスラックス。その上にエプロンを羽織っていた。 「はづきちゃんもいつの間にか大人になってるんですねぇ……ちょっと感慨にふけってしまいます」 うんうん、とお玉を手にしきりに頷く雨水であった。 「お、お父さん、いつの間に……!?」 「ついさっきですよ。それとも何か、お父さんに知られたくない事でもあるのですか?」 いつもと変わらない微笑みに、はづきは内心うろたえる。トゥインクル・オーガストの事がばれたのかばれていないのか、さっぱり分からない。 「な、な、ないけど」 「接吻はお父さん、少し早いと思います」 「してないよ!」 「そうですか。よかったです。お父さん、小学生を相手に本気を出したくありませんから」 微笑みのまま、雨水が何かすごい迫力を出してきた。 はづきには、何だか手に持っているお玉が精霊棍より物騒な武器に見えた。 「し、死んじゃうから! 木島君、死んじゃうから駄目!」 「木島君というのですね。お父さん、覚えました。今度の授業参観が楽しみです」 「何する気なの!? だ、駄目だよ? 木島君のお父さん、警察官なんだから!」 「ああ、なるほど。道理で聞いた事のある苗字だと思いました。そうそう、警察官と言えばですね、警察署にも道場があるのは知っていますね?」 「? ……うん」 父、雨水は時折、所轄の警察署に武道の指導に出向する事があるのだ。 「僕もよく指導に行くんですけど、あの人達は別に強くなるのが一番の目的じゃないんですよ。町の治安を守るためです。犯罪と向き合うのは危険な仕事ですからね」 ふと、はづきはさっき勇人と交わした会話を思い出す。 「お巡りさんの本分は、困っている人を助ける事です。パトロールをしたり、 迷子の子を保護したり、それと同じなんですよ」 「困っている人を助ける……」 雨水も勇人と同じ事を言う。 ただそれは、口下手な勇人の言葉を補強しているかのようにはづきには感じられた。 「はい。戦わずに済むなら本当に、それが一番なんですけどね。何のために強くなるのか、何のために戦うのか。忘れそうになっているのに気付いたら、それを見つめ直すといいでしょう」 そして雨水は、娘の頭にポンと手を置いた。 「という事を、まだ小学生のはづきちゃんに話しても、ピンと来ませんよね。さあ、家に戻りましょう。晩ご飯が冷めてしまいますよ」 「あ、うん」 二人は手を繋いで、家に向かう。 はづきは少し考えてから、雨水を見上げた。 「……あの、お父さん」 「何でしょう?」 「ご飯終わったらもう少し、稽古いい?」 「はい、軽くでしたら」 微笑む雨水に、少しだけスッキリしたはづきだった。
https://w.atwiki.jp/faren_ency/pages/1222.html
クィントゥス 共同シナリオ「オリゾンテ大陸」に登場。ティトゥス陣営のイベント人材。 教皇庁からの亡命組。影が薄い。 -- 名無しさん (2022-06-08 22 22 50) 戦士としてはこれといって致命的な弱点は無いが突出した点も無い。取って付けたようなヘルプファイルが特徴。 似たようなステータスのネフェルドと比べると攻撃力で勝り魔法で劣るといったところ。 -- 名無しさん (2023-12-09 10 59 22) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/cthulhuworksmemo/pages/344.html
作品情報 作品形式 解説書 編著 株式会社レッカ社 監修 佐藤俊之 出版社 PHP研究所 初版発行日 2008/12/17 解説されている事項 神格とクリーチャー アザトース ヨグ=ソトース ニャルラトテップ シュブ=ニグラス アブホース 異形の神の幼生 ウボ=サスラ トゥールスチャ トルネンブラ クトゥルフ ハスター イタクァ クトゥグァ ツァトゥグァ ツァールとロイガー アトラック=ナチャ ヴルトゥーム ガダモン グルーン ゴル=ゴロス セベク ハン モルディギアン ルリム・シャイコース フジウルクォイグムンズハー ボクルグ ノーデンス バースト ヒプノス リリス ロビグス 古のもの ショゴス ダゴンあるいはハイドラ 深きものども イスの偉大なる種族 ティンダロスの猟犬 ミ=ゴ 食屍鬼(グール) 夜鬼(ナイトゴーント) 大地の妖蛆 ハイパーボリア人 書 ネクロノミコン 妖蛆の秘密 ルルイエテキスト ナコト写本 無名祭祀書 金枝篇 エイボンの書 法の書 黄衣の王 屍食教典儀 セラエノ断章 水神クタアト 舞台 セイレム アーカム インスマス リヴァーバンクス ダンウィッチ ンガイの森 クン・ヤン マチュ・ピチュ テンプル・オブ・ザ・トード ブリチェスター ゴーツウッド シュトレゴイカバール エジプト 無名都市 レン高原 アラオザル ナコタス 狂気山脈 ルルイエ ハイパーボリア大陸 ムー大陸 レムリア大陸 太陽系 セラエノ カルコサ ドリームランド カダス セレファイス ウルタール ムナール ングラネク山 怪奇作家 ハワード・フィリップス・ラヴクラフト オーガスト・ダーレス フランク・ベルナップ・ロング クラーク・アシュトン・スミス ロバート・ブロック ロバート・E・ハワード スティーヴン・キング 菊地秀行
https://w.atwiki.jp/yamamura2/pages/11842.html
【TOP】【←prev】【PlayStation】【next→】 にじいろトゥインクル ぐるぐる大作戦 タイトル にじいろトゥインクル ぐるぐる大作戦 機種 プレイステーション 型番 パズル ジャンル SLPS-01506 発売元 アスキー 発売日 1998-8-27 価格 5800円(税別) タイトル にじいろトゥインクル ぐるぐる大作戦 BEST ASCII CASUAL COLLECTION 機種 プレイステーション 型番 パズル ジャンル SLPS-02971 発売元 アスキー 発売日 2000-10-5 価格 2000円(税別) 駿河屋で購入 プレイステーション
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/2960.html
【元ネタ】ローマ神話 【CLASS】ライダー 【マスター】 【真名】ユートゥルナ 【性別】女性 【身長・体重】150cm・41kg 【属性】混沌・中庸 【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷B 魔力A+ 幸運D 宝具A+ 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 騎乗:A+ 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。 ただし、竜種は該当しない。 【固有スキル】 女神の神核:B 完成した女神であることを現すスキル。神性スキルを含む複合スキル。 ライダーは生まれは半神であった為、ランクはB止まりとなる。 精神系の干渉を緩和し肉体の成長もなく、どれだけカロリーを摂取しても体型が変化しない。 変化:A 自分の姿を意のままに変える能力。 年齢体型問わず、変幻自在にその姿を変え、声色までも模倣する。 扇動:C+ 大衆・市民を導く言葉と身振り。変化スキルと併せれば絶大な効果を生む。 ただし最も愛する兄にだけは通用しなかった。 英雄の介添:D 英雄に加護を与える女神としての性質がスキルになったもの。 魔力を同調させ、対象が行うあらゆる成功判定にプラス補正を与える。 【宝具】 『朔風越ゆる鮮紅の吹雪(ウェントゥス・ニワーリス)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:100人 北風の神馬が牽く戦車『乱吹く白雪(セプテントリオ)』の暴風走法。 兄トゥルヌスが祖父より受け継いだそれは、雪よりも白く美しく、俊足は風にも優ったが、 その美麗さに反し、ひとたび戦場に出れば敵兵を隊列ごと轢き潰して血飛沫を散らし、 騎乗者は猛り狂って軍神マルスの如くと化したという。 ―――戦場に満ちる“怒り”や“恐怖”を吸って、その速度と威力は向上する。 【解説】 ローマ神話に語られる水の女神(ニンフ)の一柱。 兄トゥルヌス王と同じく元は半神と思われるが、最高神ユピテルに純潔を奪われたことで神の座を得た。 英雄叙事詩「アエネーイス」の終盤、敵対していたトゥルヌスとアエネイアスの両軍の将は決闘によって 戦を終わらせる次第となったが、トゥルヌスが不利なのは明らかであった。 そこでユーノー女神に唆されたユートゥルナはルトゥリー族の男に化けて兵を扇動し、 乱戦を巻き起こして決闘をうやむやにした。 アエネイアスはトロイア軍を殺戮するトゥルヌスを追いかけ、ユートゥルナは兄を助けるべく 戦車御者に化けて兄の戦車を操った。 ユートゥルナは兄に敵軍殺戮を専念させようとしたが、トゥルヌスは決着をつける 心を固めてアエネイアスの元へ向かった。……兄は、最初から妹であると見抜いていた。 それでも妹は剣を渡して兄を助けようとしたが、これを最後にユピテル神に援助を禁止され、 死にゆく兄と共に死ねない己の不死を嘆き、ユピテル神へ恨み言を残しながら水中に消えた。 【コメント】 兄の為にめっちゃ尽力してて家族想いだなぁと感心していたが、 お兄様と一緒に死にたいわとか言いだしたので、あっこの人凄いブラコンなのだと思った。 適正クラスはライダーのみ。
https://w.atwiki.jp/casterchronicle/pages/693.html
《トゥインクルチャーム LV2》 魔法少女 レベル2/月/望月 李果 レスト,他の"トゥインクルチャーム"1枚を破棄する コスト2以下の味方怪異1体を対象とする。 それと同じカード名の怪異を味方デッキから探し、 戦場に出す。 その後、味方デッキをシャッフルする。 レスト カード1枚を引く。 究極の努力と至高の才能で登場のレベル2の土星の魔法少女。 コスト2以下の戦場に存在する怪異と同名怪異をリクルートする能力と1ドローする能力を持つ。 1つ目の能力は、同名カードをコストに戦場に存在するコスト2以下の味方怪異と同名怪異をリクルートする能力。 同弾登場の新体操部のサポートにもなり、また属性や種族を指定しないため、他のデッキでも様々な活用法が考えられる。 新体操部は全てコスト2以下であり、また並べることに意義がある。 一部は重複してもあまり意味はないが、〈クラブ〉・〈ボール〉であれば重複することで能力を高めることが可能。 それらに能力を使用していきたい。 また新体操部に限らずコスト2以下の怪異を多く採用するデッキに活用が期待できる。 例えば月であれば〈魔法少女ロボ マジカロイド 44〉、その他、土星の〈ただもり〉、水星の〈潜航する暗殺者 スイムスイム〉が狙い目だろう。 2つ目の能力は、1ドローする能力。 レストする以外に他に一切の条件がなく無駄にならない。 ただし、レベル2であるこのカードをレストする必要があるため、1ドローに2オドを使用することと同意義となる。 他のレベル1魔法少女はドロー条件を持つものも多く、それらを満たすために何らかの動きを必要とする。 しかし、それらのカードでもうまくコンボすることで実質ディスアドバンテージなくドローすることも可能となる。 そのため、積極的に使用するのではなく、オドを余らせることなく有効に使う手段の一つとして考えると良いだろう、 カード情報 フレーバー・イラストレーター いいなぁ!わたしも!(BP01) もう一ついかがぁ〜?(BP01S2) illust Tam-U 収録 究極の努力と至高の才能 BP04-052 UR 魔法少女大戦争 BP01S2-053 RE
https://w.atwiki.jp/gods/pages/80364.html
トゥルフトゥルス(トゥルフ・トゥルス) トゥルッフトゥルウィスの別名。
https://w.atwiki.jp/cthulhuworksmemo/pages/97.html
作品情報 作品形式 私家版小説 原作 ヘンリー・カットナー 翻訳 海野しぃる 協力 大網鐵太郎 発兌 綺想社 発行日 2022/3/12 ヘンリー・カットナーの全クトゥルフ神話作品を集めた私家版小説。 収録作品 墓場の鼠 原題:The Graveyard Rats クラリッツの秘密 原題:The Secret of Kralitz 魂を喰らうもの 原題:The Eater of Souls セイレムの恐怖 原題:The Salem Horror 闇の接吻 原題:The Black Kiss ドルーム=アヴィスタの戯れ 原題:The Jest of Droom-Avesta 初邦訳作品。 人々の間で災の訪れが噂されるベル=ヤルナクの街。一人の錬金術師がエリクサーの創造を目指し、境界線上の神ドルーム=アヴィスタを呼び覚ました。 ダゴンの落とし子 原題:Spawn of Dagon 境界の侵犯者 原題:The Invaders 蛙 原題:Frog 恐怖の鐘 原題:Bell of Horror ハイドラ〜魂の射出者〜 原題:Hydra 狩り立てるもの 原題:The Hunt 「カットナー神話とその散逸」 ヘンリー・カットナーのクトゥルフ神話作品に対する論評。日本に置ける邦訳作品、掲載誌・書籍のリスト。
https://w.atwiki.jp/cthulhuworksmemo/pages/350.html
作品情報 作品形式 小説 編者 大瀧啓裕 出版社 青心社 初版発行日 1989/10/15 収録作品 星から訪れたもの 原題 The Shambler from the Stars 著者 ロバート・ブロック 訳者 大瀧啓裕 怪奇小説作家の主人公は探求の末にサウス・ディアボーン・ストリートの古書店で「デ・ウェルミス・ミステリイス(妖蛆の秘密)」を手に入れる。 人血を啜ると輪郭があらわれる不可視の星から訪れた魔物が登場。 食屍鬼、父なるイグ、暗きハン、蛇の髭を持つバイアティスが言及される。 「ネクロノミコン」、「エイボンの書」、「屍食教典儀」言及。 闇をさまようもの 原題 著者 ハワード・フィリップス・ラヴクラフト 訳者 大瀧啓裕 尖塔の影 原題 著者 ロバート・ブロック 訳者 岩村光博 永劫より 原題 著者 ヘイゼル・ヒールド 訳者 大瀧啓裕 アッシュールバニパルの焔 原題 著者 ロバート・アーヴィン・ハワード 訳者 岩村光博 セイレムの恐怖 原題 著者 ヘンリイ・カットナー 訳者 三宅初江 イグの呪い 原題 著者 ゼリア・ビショップ 訳者 東谷真知子 閉ざされた部屋 原題 著者 ラヴクラフト ダーレス 訳者 東谷真知子 クトゥルー神話画廊Ⅰ 著者 大瀧啓裕