約 376,413 件
https://w.atwiki.jp/th_lotuscraft/pages/85.html
パチュリー・ノーレッジ 移動方法 ボーナス レベル HP 攻撃力 防御力 移動速度 射程 攻撃間隔 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 スペル1 火符「アグニレイディアンス」 アイコン タイプ Passive パチュリーの攻撃が命中した相手が継続ダメージを受けるようにする。 レベル クールダウン 射程 範囲 効果時間 対象 効果 1 - - 5秒間 敵 毎秒3ダメージ、防御力無視、5秒間 2 - - 10秒間 敵 毎秒3ダメージ、防御力無視、10秒間 3 - - 15秒間 敵 毎秒3ダメージ、防御力無視、15秒間 スペル2 火金符「セントエルモピラー」 アイコン タイプ Active 指定地点を中心に範囲ダメージを与える。 レベル クールダウン 射程 範囲 効果時間 対象 効果 1 - - 2.0 敵 攻撃力60、スプラッシュ範囲2.0 2 - - 2.5 敵 攻撃力120、スプラッシュ範囲2.5 3 - - 3.0 敵 攻撃力180、スプラッシュ範囲3.0 スペル3 賢者の石 アイコン タイプ Passive 近くに居る味方ヒロインのスペル準備時間を短縮する。 レベル クールダウン 射程 範囲 効果時間 対象 効果 1 - - 味方主 スペル準備時間-10% 2 - - 味方主 スペル準備時間-25% 3 - - 味方主 スペル準備時間-50% ラストスペル 日符「ロイヤルフレア」 アイコン タイプ Active 範囲内に居るユニット・建物にダメージを与える。 レベル クールダウン 射程 範囲 効果時間 対象 効果 1 ? ? 18秒間 敵、建築 0.5秒毎に50ダメージ、18秒間 スキル紹介 火符「アグニレイディアンス」 火金符「セントエルモピラー」 賢者の石 日符「ロイヤルフレア」 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/viptoho/pages/37.html
I have a dream. One day I hope my little child who has purple hair will be able to sit down at the table and have a good time with me and my wife. And I hope the wife is Patchouli Knowledge. Patchouli Knowledge, how sweet the sound. She taught me to love for things. She taught me mind of jealousy and reflection too. I like her who has beautiful purple hair and purple eyes which makes all living things soothing. So I can't help making a pass at her for the rest of my life. I want to go with UNMOVING GREAT LIBRARY right away. 小学生の頃はチック症を患っており、精神に異常をきたしていた。 周囲から死んだ魚の目をしていると形容され、誰かを思いやる気持ちなんて微塵もなかった。 そして遂には小学6年生になって大罪を犯してしまった。 子供だからなんてものではなく、精神的に幼稚園児レベルだったんだと思う。 今になって、本当に後悔している。 ごめんなさい。 大阪在住の中学3年生。ホモガキ。キャラスレ、混沌板民。元th民であり、中1からthにいたらしい。 ネットでははしゃいでいるがシマりが弱い。リアルでは暗い。 知識少女とか言う糞みたいなコテを名乗っていたが、今は名無し。偽パチュリー厨が繁殖した事があり。どうやらVIPの淫夢スレを荒らしていたらしく、そこの住民の精がケツに流れ込んできたとか。 ネットではホモネタをよく発言しているが、ただの馴れ合い目的である。 スカイプではホモネタはネタでしかないと発言している。誘い受けホモ。 学校ではDQNに蹴られたりズボンを脱がされたり掘られたりしているようだ。 はじめてだったらしく、色んな意味で痛々しい。さすが中学生と言ったところか。 ―――――― 最近では「中学生」の呼び方が定着してきている。 SSやイラストにも興味を示しているようで、いくつかそうした主旨のスレを建てている。継続する意志があるのかは不明。 何度か混沌板を引退しているが、その度、すぐに舞い戻っている。 独占欲から他のパチュリー厨を一様に嫌悪し、掲示板にも敵意を剥き出しにした発言をたびたび残している。特に、同じパチュリー厨であるゴクリンとは仇敵同士で、時を変え場所を変え幾度となく対峙その都度多くのギャラリーを巻き込んでは、罵り合い、煽り合いを行っている。なかでも、9月2日のVIP東方キャラスレ「おやすみ東方キャラ」上で行われた口論は彼らを代表する諍いでその後も続く中学生vsゴクリンの長きにわたる対立の口火を切った出来事といえる(後述)。 中学生が抱える嫌悪の感情はたいへん苛烈で、他のパチュリー厨の書き込みを見るだけで火が点き激しく燃え上がる。一時は、それが元で己が焼かれ、体調を崩してしまうことすらあった。心配した東方厨たちは、中学生にNG機能の使用や東方自体との接触を減らすよう勧めたが中学生の「無視しきれない」という性分ゆえに、結局は元の木阿弥と相成る。この事は本人としても真剣に悩んでいたようで、これを示唆する発言は、先述の「おやすみ東方キャラ」スレやその関連スレ「駄目だ俺は他人の発言に影響を受けすぎる」をはじめ、随所で見受けられる。 また、自身の個性についても悩んでいたようで、彼なりの工夫も、数人にではあるが「嫌悪対象である他人の二番煎じに収まっている」と揶揄され固着には至らなかった。例えば、喧嘩腰キャラを演じた際には、選んだ口調も相まって、博麗霊太との類似を指摘されている。この閉塞を抜け出すべく、彼がひねり出したのが「パチュリーちゃんきゃわわ///」という定型句であった。これは、数ある東方厨の発言の中から彼を識別する手立てとして、まもなくVIP東方厨たちの間にも広まり「“きゃわわ///”と言えばパ厨」と受け止められるようにもなっていった。しかし、それも中学生が抱える鬱屈を掃うに足るものではなかったようだ。 そうした状況の中、9月2日の夜、中学生は一念発起し、混沌板でスレを建て、他のパチュリー厨に対するNG指定と徹底無視を宣言。要は「自慰会場であるキャラスレで自分は自慰をしたいが、同キャラ厨の自慰を見るのは嫌なのでそれらを排斥する、という旨を他のパチュリー厨に知ってもらいたい」ということである。他の東方厨を巻き込む必要があるのか、との疑問が呈される中、キャラスレ専のパチュリー厨たちにも伝えるため中学生は、一部の名無しと協力しあう形でVIP東方キャラスレへと進出、件の喧伝を行う。しかし、実際に応答したパチュリー厨はゴクリンのみで、他のパチュリー厨は総じてスレを離れていたか、もしくはスルーという姿勢。中学生の目的はいきなり躓いてしまった。 その後は、中学生の宣言をゴクリンが己の主張で飲み込む形となって会話が加速、発端である嫌悪の行方を置き去りにしたまま内容がどんどん脇道へと逸れていき、結局、2人のパチュリー厨の確執が深まっただけでこの口論は終わる。中学生は、キャラスレに迷惑をかけたこと、事態が進展しなかったことなどを理由に混沌板他からの引退を宣言。しかし間もなく復帰し、混沌板をメインの活動場所に据えつつも、たびたび内外へ嫌悪や自身の主張、娯楽を発信し続けた。 現在は完全に名無しで活動。主に霊太や他のパチュリー厨など、嫌いな東方厨への悪意をスレを建てるなどして発散している様子。特に、先の言い争いで嫌悪がより深くなったゴクリンに対しては「こんなに他人を嫌いになったのははじめてだ」などと発言し復帰以降も変わらず並々ならぬ敵意と偏執をみせている。 また、最近は、パチュリー厨(魔理沙口調)にも探りを入れているようだ。マリサ気取りのキモイ野郎だと悪態を吐きつつ、「絵が描ける」という共通項についてたびたび詮索をかける様子がみられる。ただ、相手取る気はないのかキャラスレに乗り込むのは自重しているのか、いまだ直接の関わりをもってはいない。 成りすました個体かもしれないが、ケソサソ系からはたびたび擁護とも取れる発言をされており幼子を見守る親の視点なのか貞操を狙うホモの視点なのかは不明だが、引退撤回後も存在を許容されているようである。 混沌板には、中学生から「ゲロカスちゃん」と呼ばれる自称パチュリー厨がおり、たびたびスレ内で中学生と喧嘩をしている。本当にパチュリー厨なのか、そうだとしてどのパチュリー厨がそれなのかは確認が取れていない。
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/251.html
薄暗い図書館で、今宵も魔女が泣いている。 恐らく彼女は後悔しているのだろう。 「何故、私は彼を愛してしまったのだろう」と。 恐らく彼女は誰にともなく問うているのだろう。 「何故、人間はこんなに脆いのだろう?」と。 一冊の本が声にならない叫び声を上げる。 泣かなくていい!! 俺はここにいる!! だが、魔女に言葉は届かない。 そもそも、本は喋らない。 今宵も魔女は悲しみに暮れる・・・ どれだけの時が過ぎたのだろう? 肉体を失った今となっては時間の流れも曖昧だ。 ある日を境に、魔女は泣くのを止めた。 涙の枯れた眼で、何処か遠くを見ている。 疲れきった顔で。 吹っ切れたのならそれで良い。 俺はここにいるから。 ずっと一緒だから。 悲しむ必要も、悩む必要も無いんだ。 だがやはり、その言葉は届かない・・・ 今日は何かが違っていた。 魔女は酷く空虚な眼をしている。 死人のような顔で。 笑っていた。 俺がこの姿に変わってから初めて見せてくれた笑顔。 晴れやかであって欲しい笑顔は、酷く陰惨だった。 それから魔女は、勘違いしたまま俺に向かって話しかける。 「待ってて」 止めろ!! 「私もこれから逝くから」 俺はそこには居ない!! 「これからもずっと一緒よ」 そう言って一振りのナイフを取り出す。 俺はここに居る、ここに居るんだ!! 魂を本と同化させてまでお前の傍に残ったんだ!! だから―― 次の瞬間、図書館に紅い花が咲いた。 その光景は余りにも美しかった。 いや、美し過ぎた。 俺の意識はその光景に呑み込まれた・・・ 主を失った図書館。 今日も何処かの本棚で、一冊の本が夢を見続ける。 紅い紅い夢を。 半ば永遠に続くであろう悪夢を。 鋭いナイフの切っ先と、零れ落ちる紅い命の流れ。 そして、倒れ込む魔女の姿を・・・ ふと、その光景が揺らいだ。 「○○」 誰かの呼び声が聞こえる。 懐かしい声が。 俺の名を呼ぶ声がする。 「こんな所に居たの?」 「ああ」 「随分探したのよ? 死神に訊いたらまだ来てないっていうから」 「悪かったな、謝るよ」 「ずっと傍に居てくれたのに・・・ごめんなさい」 「いいって。 それより、そろそろいこうか。 パチュリー」 これも、夢の続きなのだろうか? もしそうだったとしても・・・覚めないで欲しいと願った。 うpろだ203 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「なあパチュ、図書館から出ようとしてもどうしても入り口に戻っちまうんだけど」 「入り口の空間を少し細工したのスペルカードも魔法も使えずなんの能力もない○○じゃ絶対出れないわ」 「ふーん、なんでこんなことしたんだ?」 「……○○が好きだからに決まってるじゃない 誰にも渡したくない、レミィにも咲夜にもメイリンにも」 「魔女って怖いな」 「ええ、古来より魔女は人々に恐れられてきたわ、だから魔女狩りが行われたのよ」 「……でもさ、涙を流しながら言われても説得力ないよ」 「っ!?だって、だって○○に嫌われたと思うだけで勝手に出てくるのよ」 「嫌そんなことないって」 「嘘よ、こんなことした女に愛想が尽きたんでしょ?」 「だからそんなことないって、むしろそこまで俺のことを思ってるパチュに感激してるぐらいだ」 「……本当?本当に私のこと嫌いじゃないの?」 「本当だよ、だから涙を拭いて かわいい顔が台無しだぞ」 「……馬鹿 大好き」 「ああ、俺もだ」 7スレ目 564 ─────────────────────────────────────────────────────────── 日の光から隠れるように、魔女の図書館は存在していた。 己よりも本を優先させた魔女の住処は暗く、埃に塗れている。 図書館はまるで人気を嫌うように、他人には極めて居心地の悪い場と成っていた。 しかし、そんな魔法図書館には今、主以外にも二つの人影が見えた。 一つは古くから住み込んでいる悪魔、名も無いそれは小悪魔と呼ばれ、親しまれている。 もう一つは、ここに存在していることが不思議なくらいに平凡な、人間の青年だった。 二人は向かい合い、時折笑いを木霊させながら、談笑を繰り返しているようだった。 「……○○、ちょっと来て」 「おう、どうした?」 そこへ、魔法図書館の主である魔女、パチュリーの声がかかる。 青年は小悪魔との会話を切り上げて、パチュリーの元へと向かう。 「……紅茶」 「わかった、少し待ってろ」 本から目を離さないパチュリー背を向けて、小悪魔に苦笑を見せながら、青年は一人厨房へと向かった。 青年が消えただけで、図書館には不思議な静寂が訪れる。 それはこの図書館にとって、本来在るべき静寂だったのだが、何故かパチュリーは違和感を感じてしまっていた。 青年の姿を追って本から目を上げると、小悪魔と目が合う。 微笑む彼女を無視するように、正常を装ってパチュリーは本へと視線を戻す。 らしくないと、パチュリー自身が気づいていた。 「お待たせした」 「……ん」 暫くして、青年の姿が図書館へ戻ってくる。 手には盆を、その上には温かなポットとティーカップが並んでいた。 静かに注がれるそれを、パチュリーは本の端から盗み見ている。 「……」 「何だ?」 「……貴方の分が、無いわ」 並べられたカップは一つ、それはいつもと変わらないことだった。 しかし、パチュリーは心の中で、引っかかるものを感じている。 「俺? いや、邪魔したら悪いしさ」 青年の返答はいつもと同じ、気遣うような言葉だった。 それっきり、青年はまた小悪魔と何かを話している。 何も言えるはずもなく、パチュリーは再び、本に目線を落とすことしか出来なかった。 「……茶菓子は?」 「すぐに持ってくる」 「……片付けておいて」 「はいよ」 「……この本を仕舞ってきて」 「わかった、次は何の本を持ってくればいい?」 青年が小悪魔と話す度に、パチュリーは用事を伝えていった。 その意味を、パチュリーは嫌でも気づいてしまっている。 つまりは――。 「一緒に居たいですか?」 本から目を逸らさずとも、それが小悪魔の声だと気づけた。 パチュリーに驚く様子は無い、平然とした態度で、小悪魔の言葉を聞き流している。 そういう風に演じているのだから、それは当然のことだった。 「パチュリー様、誤魔化しても駄目ですよー?」 「……何」 「――好きなんですよね」 今度こそ耐え切れなくなって、パチュリーは視線を小悪魔へ向ける。 本の先には、悪魔のような微笑を浮かべた小悪魔がいた。 「パチュリー様は、○○さんの事になると子供のように単純になります」 「そんなこと――」 無いと言えば、パチュリーは嘘をつくことになる。 現に、小悪魔がにやにや笑いを浮かべるほどに、パチュリーは挙動不審だったのだ。 「一緒に話したいんですよね」 「……別に」 「無駄ですってば。あの人のことになると、パチュリー様は嘘をつけません」 いつになく絡む小悪魔に、パチュリーは視線を逸らしながら、本で顔を隠すことしか出来ない。 そして、微笑が与える無言の重圧に、パチュリーは言葉を漏らしてしまった。 「嫌われたかしら……」 「何故、そう思うんですか?」 「嫉妬ほど、醜い感情はないもの……飽きれるわ」 自嘲気味に笑みを溢すパチュリーとは対照的に、小悪魔の微笑みは深くなっていく。 まるで愛玩動物を見るような表情に、パチュリーは訝しみながら目を細める。 威圧するようなそれに、小悪魔は何も感じていないようだった。 「知っていますか?」 「何よ」 「○○さん、パチュリー様に呼ばれるたびに笑顔になって、何とか平気な顔を作ってから振り返るんです」 「……何を言っているの?」 「パチュリー様のことを話すときだけ、嬉しそうなんですよ」 「……」 「頼りにされていることを、得意になってるんです」 唐突に、青年のことを語り始めた小悪魔を、パチュリーは止めようとしなかった。 眼前で微笑みながら、瞳の端に僅かに涙を浮かべる姿を、止める事など出来なかった。 「ちゃんと、一緒にお話しましょうって言わなきゃ……」 「小悪魔……」 「素直にならなきゃ……駄目ですよ?」 パチュリーは僅かに、頷いてみせる。 小悪魔は満足したように微笑んで、顔を下げてしまった。 青年の居ない図書館は、やはり妙な違和感を感じさせる。 それはきっと、ここの住人が彼を必要としているからなのだった。 7スレ目 654-655 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「えっ? 肌が白くなってる。ハハッ そうですね、日に当たってませんから …大丈夫ですよ、この位の事 貴方と一緒にいられるなら苦でも何でもありません」 7スレ目 669 ─────────────────────────────────────────────────────────── パ「○○、○○は居ないの!? まったく、どこに行ったのかしら・・・・」 小悪魔「あ、あのパチェリー様○○さんはもう・・・」 パ「・・・・・・・そう、そうよねもういないのよね 駄目だわいつまで経ってもなれないわね」 小悪魔「パチェリー様・・・」 パ「ごめんなさい小悪魔、少し・・・一人にさせてもらえる?」 小悪魔「・・・・はい」 7スレ目 676 ─────────────────────────────────────────────────────────── 耳鳴りがするほどの静寂、透き通った重圧に埃さえも舞うことは許されない。 そんな、暗い図書館で、一人の魔女が本に目を落としていた。 何かが足りない、その漠然とした想いを本の知識で埋め立てていく。 パチュリーは変わらず、本と共に在った。 「……紅茶」 静寂の中でさえ消え入るような呟きと同時に、ティーカップが音を立てる。 当然のように差し出されたそれを片手に、パチュリーは本の隅から湯気の向こう側を盗み見る。 「いかがいたしました?」 そこには変わりなく、当然のように小悪魔が立っている。 暫しの間放心していただけで、違和感など覚えてはいない。 パチュリーは、ずっと前からそうであったのだから。 「――何でも、ない」 「……はい」 小悪魔が背を向ける、パチュリーの視界から外れていく。 その先には勿論、誰の姿も見つけられない。 図書館は変わりなく、パチュリーと小悪魔の二人きりなのだから。 「……美味しい」 温かな香りを昇らせる紅茶は、極上の味を与えてくれた。 ティーカップが、小刻みに音を立てている。 「いつか飲んだ、あの不味い紅茶とは大違いだわ……」 紅い水面に波紋が広がって、小さく水音をたてた。 断続的に続くそれが、暗い図書館に嫌というほどに響き渡っていく。 「……不味い紅茶」 砂糖と塩を入れ間違えたのだろうか。 再び口をつけた紅茶は僅かな塩気を感じさせて、パチュリーの声が震える。 「○○の紅茶の方が、まだマシだわ……」 図書館で生きた平凡な青年はもう、居ない 7スレ目 677 ─────────────────────────────────────────────────────────── もう息が出来なかった。 我慢して、自分を叱咤して上げていた顔も、もう上がらない。 力なく垂れてしまった。 どれほど時間が経ったろう。 私の笛のような呼吸音に足音が混ざる。 レミィのものとは違う、重いそれ。 床を踏みしめて、近づく足音。 気持ちが溢れる。 ――嬉しい。 また、涙がこみ上げてきた。 さっきまでの物とは違う。 ぽん。と、私の頭に手が載せられた。 大きな、暖かな、優しい手だった。 「…………○○…っ……!」 「……貴方は……それでいいのね」 レミィが語りかける。 私に向けてではなく、○○に向けて。 彼女にしては、厳しい感情を込めたその言葉。 疑問を持たないでもない。 だけど、今はこの手のぬくもりを確かにしておきたかった。 私は疑問を頭の隅に追いやる。 それはすぐに幸せという名の霧に飲まれて、見えなくなった。 「…………そう。なら、いいわ。好きになさい」 そう言ってレミィは部屋を出て行った。 私は、知らない。 彼女が○○の何を知っているのか。 ○○は彼女に何を言われたのか。 私は知らない。 ただ。 「…パチュリー…………ごめんな…………」 ○○の言葉が。 酷く胸に痛かった。 ↓↓↓ 数年の時が経ち、私と○○の距離は縮まっていた。 有り体に言えば両思いということになる。 それでよかった。 私が望んだこと、それが叶っているのだから。 幸せだ、幸せだ。 「パチュリー? どうした、体調でも悪いか?」 いつしか○○は私を気遣うようになっていた。 それは優しさからきているのだと、思う。 ○○の持つ優しさ。 それが私に、私だけに向いている。 なんて嬉しいことだろう。 なんて誇らしいんだろう。 今でもまだ、彼の優しさに触れるたび、頬がほころぶ。 「ん、大丈夫よ。心配性ね」 「ほっとけ。……ゴホッ」 「ほらほら、私より○○の方が不健康そうじゃない。今日はもう休みなさいよ」 「ああ、もうちょっとだけな」 「ほんとに? 無理してないわよね?」 「大丈夫だって。パチュリーじゃないんだから」 「もう! また人を馬鹿にして!」 「ははは。すぐに終わるから、待ってな。少し散歩しよう」 そう言って、笑いながら去っていく。 その背中に、「うん」と返事をして、私は本に向かった。 最近、本に触っている時間が減ってきている。 本に触るよりは、○○と話している。 本を見るよりは、○○の姿を追っている。 こんなにも、こんなにも私が彼を。 愛すと。 そんなこと思わなかった。 でも、でも。 もっと、もっと。 彼と触れ合いたい。 彼を知りたい。 彼の全てを、私の全てを。 知りたい。 「おーい、パチュリー? 行こうぜ」 「うん」 ドアから○○が顔を覗かせる。 軽く返事をしてから、私は本を閉じた。 さよなら、私はもう貴方達とは別の世界にいるの。 閉じこもって、一人枕を濡らしていた頃とは違うの。 さよなら、私はもっと幸せな世界に行くの。 ○○と一緒に。 ↓↓↓ 「なあ、パチュリー。愛は永遠の物だって信じるか?」 「突然何よ……。まあ、その意見には賛成だけど」 「聞いてみたかっただけさ。気にするな」 紅魔館の庭を一緒に歩く。 大きくて、暖かくて、優しい○○の手を握って。 彼のもう一方の手には、一冊の本があった。 手の平からほんの少しはみ出す位の大きさ。 ○○のいた世界では単行本というらしい。 図書館にも、いくつかそんな形の本を見たことがある。 手にとって、読んだことは無いが。 ○○が読んだことがある、それでいて面白いという本を彼は持っている。 題名は『Lie』 「うそ? 騙したわね……」 「おいおい、何を騙すってんだ。とにかく、読んでみろよ。面白いぜ」 「……真っ白とか、そういうのじゃないわよね」 恐る恐る表紙に手をかける。 軽いタッチの、女子と男子の絵が目に入る。 色のついた絵が4ページほど続き、やっと題名が現れた。 そこで私は単行本を閉じる。 「…ライトノベルって言うんだ」 「ふうん、面白くなさそうね。いかにも陳腐だわ」 「そ、そうか……? で、でもさ、読んでみたら面白いってのもあかるかもしれないぜ?」 「ないわね。つまらない物はどこまでいってもつまらないもの」 目に見えて○○が肩を落とす。 相当気に入っていたらしい。 それを切り捨てられて落ち込んでる――? 少し、罪悪感を感じた私は 「まあ、時間があったら読んであげてもいいわよ」 と、言っておく。 「ま、まじか。サンキュ、パチュリー」 「ちょ、ちょっと、だからって抱き付かないでよ! 恥ずかしい…」 「あはは、パチュリーのほっぺたはぷにぷにしてるなぁ」 「もう! ふざけないで!」 ぱしゃり。 シャッターの音と、閃光がじゃれ合う私たちを包んだ。 光の方を向けば、カメラを構えた鴉天狗。 ニヤニヤと笑っている。 恥ずかしさにたまらず私は弾幕を張る。 それに巻き込まれた○○が悲鳴を上げて逃げ回る。 鴉天狗がそれをまた写真に収める。 きっと、明日の朝刊を飾るに違いない。 「そろそろ弾幕消してくれよ、パチュリー!」 「面白いからもうちょっとだけ、ね」 「こんな所だけかわいこぶるな!」 「失礼だこと。もうちょっと増やそうかしら」 「うわああ、許してくれパチュリー!」 今晩は腕枕でもしてもらおう。 私はそう一人きめて、逃げ惑う○○を眺めた。 ↓↓↓ 夜、私の部屋。 枕元に陣取る本の山を片付けて、○○の入るスペースを確保した。 意外と多いことに私は驚く。いやはや、本の虫とはよく言ったものだ。 私は本を食べて生きているわけではない。 きっと、幸せを食べて生きている。 生きている幸せ。 発作が起きない幸せ。 ――○○がいる幸せ。 きっと、それが幸せ。 「パチュリー、俺風呂入ってくるな」 「え、まだ入ってなかったの?」 「ああ、時間取れなくてな。パチュリーはもう入っただろ?」 「ええ、はいっ――――入ってない!」 「ええ? 俺はともかく何でパチュリーが」 「入ってないの!」 自分でもよくわからなかった。 なんでこんなことを叫んだのか。 勢いに乗った口は、私の意思に反して言葉を発し続ける。 ああもう、恥ずかしい。 なのに止まらない。 「――だから、一緒に入ろう!」 「……………………………………………は!?」 「ああもう! 何回も言わせないで! その……、一緒にお風呂に入ろうって言ってるの!!」 「…………えーと、パチュリーさん? 自分の言ってる意味がお分かりで?」 もうこうなるとやけだ。 私は衣装棚に飛びつくや否や、着替えを手早く纏める。 もちろん、下着も何もかも全て含めて。 魂を抜かれたかのように――本当に抜かれているのかもしれない。さっきから反応が全く無い――突っ立っている○○の手をとり、 冷たい廊下へと駆け出した。 ↓↓↓ 人のいなくなった脱衣所はとても寂しいものだ。 ただ広いだけ。 ただあるだけ。 冷え切った空気はただ肌に突き刺さるだけ。 包み込むような暖かさなど持たない。 「……パチュリー」 それでも、人が入浴という行為に焦がれるのは何故だろう。 それはやはり、入浴という行為は、母親の胎内に似た感覚をもたらすからだと私は思う。 どうしようもない郷愁に駆られるのだ。 だから人は肌を湯に浸す。 入浴とは、二度と戻れない、桃源郷への帰り道なのだ。 「パチュリー」 ただ、その道は何処へも通じていない。 繋がっている所を強いてあげるならば、そのは黄泉の国だ。 二度と戻れない、とは二重の意味を持つことになる。 一方は二度とは戻れない理想郷を。 一方は二度とは戻れない現実世界を指す。 どちらを選ぶかは、入浴をするものが選べるものではない。 「パチュリー!」 一度入ってしまえば、行くか戻るか二者択一。 どちらの道を行くかは決められない。 完全に運任せのロシアンルーレット。 当たるか外れるか。 そんな危険極まりない橋の上を、人は渡るのだ。 「パチュリー!!」 「…………なによ」 「何で俺はお前と一緒に風呂入ってるんだ!?」 「いいじゃない、たまには」 「だからって――」 「はいはい、黙って後ろ向く」 ああ――、私も実は恥ずかしい。 必死に無意味なことを考えて、気持ちを逸らしてきたというのに。 この○○は、それこそ無意味なことをしてくれる。 ああ、本当に! 恥ずかしい! 何で私は○○の背中に触れているのだろう!? タオル越しとはいえ、ひしひしと伝わってくるその肌の温もり。 硬い筋肉の感触。こんなに彼は強い体つきだった。 そして、脈打つ心臓。私の心臓と同じ。 早く、熱く。 一緒に刻むビート。 「……パチュリー」 「なによっ!」 「……………………近づきすぎ。当たってる」 「――――っ!」 脳があわ立つ。 言われてみれば、私の体は○○の背中に当たっている。 密着、というほどではないが、確かに当たっている。 密かに思う。○○に襲われやしないか、と。 まあ、それはそれでいいか。 開き直った私は、そのままの姿勢で○○の背中をタオルでこする。 そういえば、彼の背中を洗っていたのだった。すっかり忘れていた。 そして気付く。 「ねえ、○○? 痩せた?」 「――――どうしてそう思うんだ?」 「何となく……骨ばった感じがするわ。うん、絶対痩せてる」 「…………そうか」 シン。 無言の世界が訪れる。 もうもうと立ち上る湯気さえ、温度を失ってしまったかのようだ。 思わず、手が止まる。 縮こまってしまった○○の背に、問いかけても返事は無い。 ぺたぺたと、何かが這い寄る音が聞こえる。 私と、丸々の世界を壊す何か。 怖い怖い。 怖い! 「○○! ねえ、どうしたの!? ○○!!」 「――ああ、ごめんな」 困ったような声音。 とても、とてもとても、胸に突き刺さる。 その声は消え入るようなか細い声で、彼がどこか遠くに行ってしまったかのような。 そんな感じがした。 怖い。どこかに行ってしまいそうだ。 彼は、何処へ向かおうとしているのだろうか。 少なくとも、理想郷ではない。 なら――。 「――いやっ!!」 悲鳴を上げた。誰が? 私だ。 狂ったように、○○の背中に抱きついていた。 自分がなにをしているのか、分からなかった。 だけど、こうしていないと彼がどこかへ行ってしまいそうで。 それがとてつもなく怖くて。 彼がどこかへ行ってしまったら、私はどうやって生きればいいのだろうか。 一人は嫌だ。一人は怖い。 だから、今腕の中にあるこの温もりを失くしたくない。 「……パチュリー。大丈夫だから、俺はどこにも行かない、大丈夫」 優しく○○が私に声をかける。 それでも、それは。 今にも消えそうな、小さな声だった。 その声が腕をすり抜ける感触がする気がして、私はさらに言葉を紡ぐ。 「○○……怖いよ。どこにも行かないわよね? ずっと私の傍にいてくれるのよね!?」 「ああ、どこにも行かない。ずっとパチュリーの傍にいる」 ゆっくりと○○の身体が私のほうを向く。 見あげた瞳は優しく光っていて、暖かだった。 自分の立場も忘れて、○○に抱きつく。 大きな、暖かで、優しい手が私の頭を撫でる。 あの日のように。 「…………○○…さん? パチュリー様?」 「「~~~~っ!!」」 不意に、声がした。 私と、○○以外の、誰か。 固まりかけた視線を向ければ、タオルで体を覆った門番の姿。 怪訝な視線を私たちに向けている。 再び、頭があわ立つ。 大変な所を見られた。 どうしよう、どうしよう。 どうしようどうしようどうしようどうしよう。 「――――ロイヤルフレアああああああああああ!!」 「待てパチュリー俺が巻き込まれるっ!!」 ↓↓↓ 「ふぅ…………」 肩が重い。 魔道書を自身の手で書き写すことは、持ち主自身の魔力を増幅させる。それを書いた魔術師を理解することにつながるからだ。 それゆえ、多くの魔道書には手写しによるコピーが存在する。 そして今、私はそのコピーを作り出している真っ最中だった。 最近、魔力が落ちてきているような気がしてならない。 何気ない、ふとした瞬間、力がないような錯覚を覚える。 試しにスペルカードを発動させると、きちんと精霊を使役できるのだが……どうしても不安感が拭えない。 まさか、魔法が使えなくなる? そんな不安を掻き消すため、私は魔道書を必死に書き写していた。 「――と、インクが切れちゃったわね…。○○、そこのインク瓶取ってくれない?」 藁半紙を走るペンが、色をなくした。ただ、インクが切れただけ、ただそれだけだ。 インク瓶のそばに居た○○に、声をかける。 「おう」と返事をし、○○はインク瓶を握り締めた。 ――ゴドン。 そしてインク瓶が、机の上に転がる。黒い染みが津波のように机の上を這う。 ○○は驚いたように自分の手の平を見つめている。 その表情は、何かを酷く怖れているように見えた。 かたかたと○○の肩が小さく震えている。なぜ……? 私の視線に気づいた○○が、弱々しく笑みを浮かべる。 「は…はは…………手が滑っちまった…。はは、ははは…」 「ど、どうかしたの? 真っ青よ…?」 「いや、何でもない。ああ、ほら手洗ってくるよ」 そう言って足早に部屋を出ようとする。 真っ青な、人がするような顔色でない、死人のような顔色…………。 ――死人!? 自分の言葉に背筋が凍る。嫌な予感がする、途轍もない嫌な予感が。 机を叩いて立ち上がる。思わず叫んでいた。 「私も付いていく」と。 「来るな」 「だってそんな死にそうな顔して……」 「来るなと言ったっ!!」 叫んで○○が部屋を出て行った。 まさか、○○があんな声を出すなんて、正直怖かった。 力なく椅子に腰を下ろす。天井を見上げて目を閉じる。 わからない、彼の考えていることが。私だってもう、分かってるのに。 その身に何かを患っていること、もう彼が長くないこと。 なのに……。 「そばに居させてくれないのね…………」 そっと、古い引き出しを開けるように、思い出す。 彼がこの紅魔館に居つくようになった時のこと。 この図書館に彼が居つくようになったときのこと。 私が――彼を好きになった瞬間。 『じゃあ――ここにいる?』 『え? 俺……何も出来ないから…』 『話し相手にでもなってくれればいいわ』 ↓↓↓ 本棚の影からまろび出てきたのは、一人の男だった。 その姿は、知っている。レミィが食料だと言って、何処からか仕入れてきたものだ。 それが何故ここに、とは思った。けれど、憔悴しきった彼の様子には、小動物のような可愛さがあった。 哀れみを感じた、と言えば、それはそれで間違ってはいないのだけれど。 「あ…あんたは……人間か…………?」 「魔女が含まれるならね。……どう、紅茶でも飲んでいかない?」 「……………………」 「焼き菓子もあるわよ。と、言うより、貴方は淑女のティータイムを邪魔して詫びの一つも入れないのかしら」 おずおずと、男は椅子に腰を下ろした。 私は手を叩いて、リトルを呼ぶ。本棚の向こうから間の抜けた声が返ると、間も無くリトルが姿を見せた。 その姿に、男が驚く。そして、リトルがくすくすと笑った。 何せ悪魔なのだ、人間の怖がる姿を見て喜ぶのも仕方あるまい。 「彼に紅茶を。あと、何かお菓子を持ってきて」 「承知しました」 恭しくリトルが飛び去る。普段はそんな事しないくせに、この色魔が。 男のほうに目をやると、椅子の上で小さく縮こまったままになっていた。 「そんなに怖がらなくてもいいのに。彼女はそんなに悪い子じゃないわ」 「…………だって、」 「種族が違うのだもの、怖いのは仕方がないと思うわ。でも、だからって、無下に拒絶することは無いと思うのだけど」 「――…………」 また、本棚の向こうからリトルが現れた。手には、香り立つ紅茶。 男の前にコトリとおいて、一歩下がる。 「どうぞ、召し上がれ」 男がリトルの方を窺いながら、ティーカップに口をつける。 その目が、驚くように少し開かれる。 「美味しい……」 「…恐悦至極に存じ上げます」 「そういえば、名前聞いてなかったわね。貴方、名前は?」 「……○○…です。貴女は…?」 「パチュリー、パチュリー・ノーレッジ。パチェって呼んでも構わないわよ。あと、この子はリトル」 リトルが腰を折る。今まで、見たことも無いような丁寧さだ。この色魔め。 男――○○がそれに応じて、頭を下げた。 ああ――。 私は思う。 この人間は羨ましい。私にないものをきっと持っている。 私がなくしたものを、きっとまだ持っている。 コクコクと、紅い茶を飲み下す様を見て思う。 ああ――、なんて人間は愛おしい存在なのだろう。 だから、私は彼を近くに欲しがった。 もしかすると、私は彼が欲しかったのではなく、彼の持つ何かが欲しかったのかもしれない。 何れにせよ、途中から彼を本当に欲しがっていたことは間違いないのだけれど。 「○○、無理させてたのかしら。私が、貴方に甘えて、貴方に無理をさせてたのかしら」 きっと、彼なら「そんなことはないさ」って言ってくれるだろう。 彼は、優しいのだ。本当に、本当の意味で、優しい。 それ故に、きっと、いろいろと背負い込みすぎた。 レミィはこのことを分かっていたのだろうか。彼の命に限りがあること。 いや、それ自体は誰でも分かるだろう。私でも、リトルにも、レミィでさえ、いつかその命の灯が消える。 そんなこと分かっている。分かっているけれど……。 流れる涙を止めることはできない。 「今まで助けてもらった分、甘えさせてくれた分、返すわ」 貴方の命は私が助ける。 そう心に決めて、ベッドに眠る○○の唇にキスをした。 ↓↓↓ 「パチェ」 「…○○? 何やってるの、身体が冷えるわ。ほら、早く入って」 自室にいると、時折○○が訊ねてくることがある。 私と彼は、もう一緒の場所で寝起きしていない。 図書館は彼の身体に悪い。そう言って、出て行くように仕向けたのは私自身だ。 寂しくは無い、いつ何時でも彼を感じていられるからだ。 こうやって、彼のために薬の研究をしている時だって。 「○○、調子はどう?」 「こうやってここにいることが答えにならないか?」 「…………そうね」 彼がこうやって私のところに来たのはもう半年ぶり、いやそれ以上だ。 段々と、彼が床にいる時間は長くなっている。 初めの頃は一日おきに私のところに来ていた。 それが一週間ごとになり、一月ごとになり、二ヶ月ごとになり……。 次は何時来れるのだろうか、それが気になる。それとも――。 「まさか、ね」頭を振って、嫌な考えを振り払う。 「パチェ、今日の薬はあるのか?」 「ええ……ちょっと待って」 紫色の液体を、ベッドに座る○○に差し出す。 ○○はそれを「パチェ色だな」といって飲み下した。 頬が赤くなるのが分かる。○○を振り向くと、確信犯的な笑みを浮かべてこちらを見ていた。おのれ、○○。 それにしても、私は何て無力なのだろう。 図書館の主だ、大賢者だと言われても、こうして目の前にいる愛しい人さえ救えないのだから笑ってしまう。 苦笑する私の頭に、手が置かれた。誰の、とも言う必要などない。 こんなに大きな、暖かな、優しい手は○○以外の誰が持っているというのか。 「パチェ、俺を気遣ってくれるのは嬉しいけどな。お前が身体壊してちゃ笑い話にもならないぜ?」 「○○は…………私に何か要求しようとか思わないの?」 「こうやって薬貰ってるじゃないか」 「そうじゃなくて。もっと、こうして欲しいとか、ないの? 私、貴方に甘えてばかりで…………」 「よしよし、そんなに悲しそうな声出すな」 ○○が私の頭を撫でる。 手の平から伝わる暖かさが、心に染み入って、これから先を思わせて。 涙が出る。 ○○の手を胸に抱いた。泣いてはいけないと、頭では分かっているのに、どうしても涙が止まらなかった。 出来ることなら「死なないで」と叫びたかった。 大きな声でそう言えたら、そう泣けたら、どれだけ楽になるのだろう。 でも、それは許されない。○○が泣かないのだから。 助けると、言った私が泣いてどうする。そう自分を叱咤した。 「なあ、パチェ? やっぱり、俺もお前に甘えていいか?」 「う…うん! うんうん!」 「じゃあさ、今日一緒にねないか?」 …………はいい!? ねるって、ねるって……! ○○を見あげると、照れくさそうに笑って、後ろ頭をかいている。 「○○……ねるって…。そのベッドで?」 「ああ、一々図書館まで戻るのか?」 「二人きりで?」 「もちろん。それとも、大人数の方が趣味なのか?」 「え……あ……う……うう…………むきゅうぅ……………………」 「あ、おい、パチェ!?」 視界の端で○○が手を伸ばしている。 けれど、それよりの早く私の身体は床に倒れこんでいた。 これからきっと私と○○は、一時の甘い夢を見る。 ――つかの間の。そして、最後の。 うpろだ259 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ふぅ…………」 肩が重い。 魔道書を自身の手で書き写すことは、持ち主自身の魔力を増幅させる。それを書いた魔術師を理解することにつながるからだ。 それゆえ、多くの魔道書には手写しによるコピーが存在する。 そして今、私はそのコピーを作り出している真っ最中だった。 最近、魔力が落ちてきているような気がしてならない。 何気ない、ふとした瞬間、力がないような錯覚を覚える。 試しにスペルカードを発動させると、きちんと精霊を使役できるのだが……どうしても不安感が拭えない。 まさか、魔法が使えなくなる? そんな不安を掻き消すため、私は魔道書を必死に書き写していた。 「――と、インクが切れちゃったわね…。○○、そこのインク瓶取ってくれない?」 藁半紙を走るペンが、色をなくした。ただ、インクが切れただけ、ただそれだけだ。 インク瓶のそばに居た○○に、声をかける。 「おう」と返事をし、○○はインク瓶を握り締めた。 ――ゴドン。 そしてインク瓶が、机の上に転がる。黒い染みが津波のように机の上を這う。 ○○は驚いたように自分の手の平を見つめている。 その表情は、何かを酷く怖れているように見えた。 かたかたと○○の肩が小さく震えている。なぜ……? 私の視線に気づいた○○が、弱々しく笑みを浮かべる。 「は…はは…………手が滑っちまった…。はは、ははは…」 「ど、どうかしたの? 真っ青よ…?」 「いや、何でもない。ああ、ほら手洗ってくるよ」 そう言って足早に部屋を出ようとする。 真っ青な、人がするような顔色でない、死人のような顔色…………。 ――死人!? 自分の言葉に背筋が凍る。嫌な予感がする、途轍もない嫌な予感が。 机を叩いて立ち上がる。思わず叫んでいた。 「私も付いていく」と。 「来るな」 「だってそんな死にそうな顔して……」 「来るなと言ったっ!!」 叫んで○○が部屋を出て行った。 まさか、○○があんな声を出すなんて、正直怖かった。 力なく椅子に腰を下ろす。天井を見上げて目を閉じる。 わからない、彼の考えていることが。私だってもう、分かってるのに。 その身に何かを患っていること、もう彼が長くないこと。 なのに……。 「そばに居させてくれないのね…………」 そっと、古い引き出しを開けるように、思い出す。 彼がこの紅魔館に居つくようになった時のこと。 この図書館に彼が居つくようになったときのこと。 私が――彼を好きになった瞬間。 『じゃあ――ここにいる?』 『え? 俺……何も出来ないから…』 『話し相手にでもなってくれればいいわ』 ↓↓↓ 本棚の影からまろび出てきたのは、一人の男だった。 その姿は、知っている。レミィが食料だと言って、何処からか仕入れてきたものだ。 それが何故ここに、とは思った。けれど、憔悴しきった彼の様子には、小動物のような可愛さがあった。 哀れみを感じた、と言えば、それはそれで間違ってはいないのだけれど。 「あ…あんたは……人間か…………?」 「魔女が含まれるならね。……どう、紅茶でも飲んでいかない?」 「……………………」 「焼き菓子もあるわよ。と、言うより、貴方は淑女のティータイムを邪魔して詫びの一つも入れないのかしら」 おずおずと、男は椅子に腰を下ろした。 私は手を叩いて、リトルを呼ぶ。本棚の向こうから間の抜けた声が返ると、間も無くリトルが姿を見せた。 その姿に、男が驚く。そして、リトルがくすくすと笑った。 何せ悪魔なのだ、人間の怖がる姿を見て喜ぶのも仕方あるまい。 「彼に紅茶を。あと、何かお菓子を持ってきて」 「承知しました」 恭しくリトルが飛び去る。普段はそんな事しないくせに、この色魔が。 男のほうに目をやると、椅子の上で小さく縮こまったままになっていた。 「そんなに怖がらなくてもいいのに。彼女はそんなに悪い子じゃないわ」 「…………だって、」 「種族が違うのだもの、怖いのは仕方がないと思うわ。でも、だからって、無下に拒絶することは無いと思うのだけど」 「――…………」 また、本棚の向こうからリトルが現れた。手には、香り立つ紅茶。 男の前にコトリとおいて、一歩下がる。 「どうぞ、召し上がれ」 男がリトルの方を窺いながら、ティーカップに口をつける。 その目が、驚くように少し開かれる。 「美味しい……」 「…恐悦至極に存じ上げます」 「そういえば、名前聞いてなかったわね。貴方、名前は?」 「……○○…です。貴女は…?」 「パチュリー、パチュリー・ノーレッジ。パチェって呼んでも構わないわよ。あと、この子はリトル」 リトルが腰を折る。今まで、見たことも無いような丁寧さだ。この色魔め。 男――○○がそれに応じて、頭を下げた。 ああ――。 私は思う。 この人間は羨ましい。私にないものをきっと持っている。 私がなくしたものを、きっとまだ持っている。 コクコクと、紅い茶を飲み下す様を見て思う。 ああ――、なんて人間は愛おしい存在なのだろう。 だから、私は彼を近くに欲しがった。 もしかすると、私は彼が欲しかったのではなく、彼の持つ何かが欲しかったのかもしれない。 何れにせよ、途中から彼を本当に欲しがっていたことは間違いないのだけれど。 「○○、無理させてたのかしら。私が、貴方に甘えて、貴方に無理をさせてたのかしら」 きっと、彼なら「そんなことはないさ」って言ってくれるだろう。 彼は、優しいのだ。本当に、本当の意味で、優しい。 それ故に、きっと、いろいろと背負い込みすぎた。 レミィはこのことを分かっていたのだろうか。彼の命に限りがあること。 いや、それ自体は誰でも分かるだろう。私でも、リトルにも、レミィでさえ、いつかその命の灯が消える。 そんなこと分かっている。分かっているけれど……。 流れる涙を止めることはできない。 「今まで助けてもらった分、甘えさせてくれた分、返すわ」 貴方の命は私が助ける。 そう心に決めて、ベッドに眠る○○の唇にキスをした。 ↓↓↓ 「パチェ」 「…○○? 何やってるの、身体が冷えるわ。ほら、早く入って」 自室にいると、時折○○が訊ねてくることがある。 私と彼は、もう一緒の場所で寝起きしていない。 図書館は彼の身体に悪い。そう言って、出て行くように仕向けたのは私自身だ。 寂しくは無い、いつ何時でも彼を感じていられるからだ。 こうやって、彼のために薬の研究をしている時だって。 「○○、調子はどう?」 「こうやってここにいることが答えにならないか?」 「…………そうね」 彼がこうやって私のところに来たのはもう半年ぶり、いやそれ以上だ。 段々と、彼が床にいる時間は長くなっている。 初めの頃は一日おきに私のところに来ていた。 それが一週間ごとになり、一月ごとになり、二ヶ月ごとになり……。 次は何時来れるのだろうか、それが気になる。それとも――。 「まさか、ね」頭を振って、嫌な考えを振り払う。 「パチェ、今日の薬はあるのか?」 「ええ……ちょっと待って」 紫色の液体を、ベッドに座る○○に差し出す。 ○○はそれを「パチェ色だな」といって飲み下した。 頬が赤くなるのが分かる。○○を振り向くと、確信犯的な笑みを浮かべてこちらを見ていた。おのれ、○○。 それにしても、私は何て無力なのだろう。 図書館の主だ、大賢者だと言われても、こうして目の前にいる愛しい人さえ救えないのだから笑ってしまう。 苦笑する私の頭に、手が置かれた。誰の、とも言う必要などない。 こんなに大きな、暖かな、優しい手は○○以外の誰が持っているというのか。 「パチェ、俺を気遣ってくれるのは嬉しいけどな。お前が身体壊してちゃ笑い話にもならないぜ?」 「○○は…………私に何か要求しようとか思わないの?」 「こうやって薬貰ってるじゃないか」 「そうじゃなくて。もっと、こうして欲しいとか、ないの? 私、貴方に甘えてばかりで…………」 「よしよし、そんなに悲しそうな声出すな」 ○○が私の頭を撫でる。 手の平から伝わる暖かさが、心に染み入って、これから先を思わせて。 涙が出る。 ○○の手を胸に抱いた。泣いてはいけないと、頭では分かっているのに、どうしても涙が止まらなかった。 出来ることなら「死なないで」と叫びたかった。 大きな声でそう言えたら、そう泣けたら、どれだけ楽になるのだろう。 でも、それは許されない。○○が泣かないのだから。 助けると、言った私が泣いてどうする。そう自分を叱咤した。 「なあ、パチェ? やっぱり、俺もお前に甘えていいか?」 「う…うん! うんうん!」 「じゃあさ、今日一緒にねないか?」 …………はいい!? ねるって、ねるって……! ○○を見あげると、照れくさそうに笑って、後ろ頭をかいている。 「○○……ねるって…。そのベッドで?」 「ああ、一々図書館まで戻るのか?」 「二人きりで?」 「もちろん。それとも、大人数の方が趣味なのか?」 「え……あ……う……うう…………むきゅうぅ……………………」 「あ、おい、パチェ!?」 視界の端で○○が手を伸ばしている。 けれど、それよりの早く私の身体は床に倒れこんでいた。 これからきっと私と○○は、一時の甘い夢を見る。 ――つかの間の。そして、最後の。 ↓↓↓ 「……ねえ、どうやったらそんなになるのかしら」 「そんなって……生きてきた年月が違いますから…」 「私と対して違わないくせに……!」 恥ずかしげに頬をかく、リトルを睨みつける。 その肢体が羨ましい、タオルの向こうの膨らみが羨ましい! 何で私はこんなにも……ここがないのか。断崖絶壁だ、日本海か!? …………よし、今ぺったんことか幼児体形とか言った奴、前に出なさい。賢者の石で灰にしてくれる。 「まあ、あまりに強い魔力は成長を阻害するって言いますね」 「そうなの? そんなの聞いたことないんだけど」 「ええ、図書館の蔵書の中にありました。確か…… 『身に余る魔力はいずれ術者に死をもたらす。 それは魔力とはそもそもが人の持てるものではないこと、 そして人にとって毒であることに他ならないからだ。 まして、魔力を持つ人間が成長することはまず考えられない。 魔力を行使するには若き意志、瑞々しい肉体が必要となるからだ。 つまり、魔力を持つものはヒトとしての輪廻をはずれ、長き世を傍観するものとなる。 しかし、例えばの話だ。ここに強大な魔力、しかしヒトの世に干渉できるものがいたとしよう。 それはもう、ヒトではなく正真正銘の化物であるといえよう。 何故か、それは私が書き記せるものではない。 何故なら、私はこの身に魔力を持つものであるが、化物では無いからだ』 だったと思います」 「よくそんな長い文章暗誦出来るわね…」 得意げなリトルを半ば呆れるような視線でねめつける。 要するに、彼女が言いたいことは、 『魔法使いなら成長しなくて当然』 だろう。 ……慰めになるわけない。 「まあまあ、セックスアピールは人それぞれですから」 「ちょっと待って。私そんなことするって言ってないわ」 「じゃあ何でこんな時間にお風呂入ってるんですか?」 「それは――……薬品臭い身体で○○と寝るわけにはいかないし……」 やっとのことで、言葉を紡ぎだす。 リトルの胸から視線を離せば、湯気に満ち満ちた浴場が見える。 私とリトル以外の姿はなく、閑散としている。 この状況、○○と混浴したあの夜を思い出す。また門番は来るのだろうか。 先刻、不覚にも、あまりの興奮に気を失ってしまった私は、気がつけば○○の腕の中にいた。 薬品臭い身体のままことに及ぶのはあまりに恥ずかしい、そう言って私はリトルと共に逃げ出した訳だ。 ……何か勘違いをしているような気がしないでもない。 「んー、でも何で○○さんはそんな際どいことを言い出したんでしょうね?」 「私に聞かないでよ……」 「そうですね、どうせすぐ忘れちゃいますし」 「え……忘れる…?」 「ええ、きれいさっぱり。やっぱり、○○さんとパチュリー様じゃ寿命が全然違いますもの。 ○○さんと過ごした時間なんて、一瞬ですよ。長いスパンで見れば」 「私は……忘れない、○○のこと絶対忘れない」 「無理無理、無理ですって。大体パチュリー様、どうやって私を使い魔にしたか覚えていませんよね?」 「……………………」 「ほらぁ! 絶対忘れますって、間違いなく。ま、そのほうが楽なんですけどね」 「私、先に上がりますね」 そう言ってリトルは軽い足取りで浴場を後にした。 残された私は裸で突っ立ったまま、足元を見つめ続ける。 いつか……○○を、○○と過ごした日々を忘れる……? そんなこと、そんな恐ろしいこと、絶対ありえない。 だって私は、彼と出会った日のことを、彼の笑顔を、彼の仕草を、癖をいくらでも思い出せる。 でも、だからってこれから先、百年経ってもオボエテル? 私の中、猜疑心が語りかけてくる。 お前は、そんな事を言って、絶対に忘れてしまうだろう。 いつもいつも、自分を過信して失敗するくせに。 そうだ、今だってそうだ。自分には永淋には無い技術がある。 そう過信して、○○を診察させなかったのは誰だ? 永淋に診せさえすれば、天才の彼女だ、○○を治してくれたに違いない。 そういったレミリアを無視したのはだれだ? レミィは、私を、私と○○を思って言ってくれたのに! 「やめて……!」 ああ、なんて嫌な奴なんだ、私は。 友を思う友を、無下に、傲慢に下した。 そのせいで○○は……死ぬ! ああ、なんて可哀想なやつだ、私は! 「違う違う違うっ!」 耳を塞いだ。頭を抱えた。 冷たい床に倒れ臥した。もういっそ、このまま喘息の発作でも起こればいいのに……。 耳なんて聞こえなければいい、言葉なんて発せなくていい。 何も考えたくない。 ソウスレバワスレラレル。 「パチェ?」 ○○が死ぬなんて真実。 ↓↓↓ 「落ち着いたか?」 「うん……ありがとう、○○」 本当、この男は何て都合よく現れるのだろう。 私が寂しい時、都合よく現れては抱きしめてくれた。 私がイラついている時、焦ることは無い、ゆっくりやろうぜと、励ましてくれた。 本を持って行かれた時、一緒に取り返しに行こうと、肩を叩いてくれた。 いつも優しく、時には辛く。影のように私の傍にいて、ほのかに微笑んで。 彼を――忘れたくない。 「○○…………お願いがあるの」 「ん、いきなりどうした?」 「…抱いて」 「あ? いきなりどうしたよ」 ○○は驚いた声を上げる。それは仕方ないと思う、私だってそんな事言われたら驚くほかない。 でも、私は何かに突き動かされるように○○に言っていた。 抱く。それ即ち彼氏と彼女、そんなものを飛び越えて、男と女の関係で、ということだ。 その行為は、死ぬまで私の身体に疵として残る。 それでいい、私はそれが欲しい。彼を忘れないために、欲しい。 「ねえ、抱いて」 「パチェ、冗談にしてもつまらないぜ?」 「冗談なんかじゃないわ。…お願い」 ○○の言葉を無視して、パジャマのボタンを外してゆく。 少しずつ肌蹴てゆく服と、露出していく肌。冷たい空気が素肌に触れる。 かじかんだように動かない指で、一つ一つボタンを外していく。 その手に、大きな手が重ねられた。大きな、暖かな、優しい手。 「パチェ、俺はそんなつもりで……」 「違う、違うの、○○は悪くない。私は、あなたを忘れたくなくて、こうするの」 「パチェ……」 「……○○…どうして?」 どうしてそんな目で見るの!? 私は何も悪いことしてないじゃない、何が悪いっていうの!? 彼氏と彼女なら当然でしょ!? 男と女なら当然でしょ!? 何で、止めるのよ! 何で邪魔するの! 私は貴方がほしいの、全部知りたいの! なのになんで貴方は私に知らせてくれないの!? 「パチェ!」 「っ!」 首が曲がるかと思った。 あまりにも強い、あまりにも優しい衝撃だった。 気がつけば私の頬は真っ赤に腫れていた。呆然とそこに手をやる。 口の中は血の味がする。生理的反射で、涙が頬を伝った。 ○○に頬を張られたと気付くまで、時間がかかった。 「ごめん、パチュリー。俺、やっぱ一人で寝るな。 あと、もう薬はいらないから。俺ももう長くないし。 だから、きちんと睡眠は取れよ。……じゃあな」 「待っ……!」 ○○が去ってゆく。ドアの向こうへ、私の手の届かない所。 その先にあるのは暗い闇だけなのに。そんな暗夜航路を行くと、一人で行くと○○は言う。 こうも言った。『私は必要ない』そう言った。 それ見たことか! もう一人の私がせせら笑う。 お前は必要ないと、笑う。さあ、寝てしまえ、忘れてしまえと、囁く。 私は貴方の身体が欲しかったわけじゃない。 貴方の心が欲しかったのに、どうしてこんなことになってしまうのだろう。 「おやすみ、パチュリー」 ドアは閉じる、閉じる。きっと、二度と開かないだろう。 私はただ、それを見つめるだけだった、何も出来ず、ただ見つめるだけだった。 何も考えられない、考えがまとまらない。 呆けたように、ドアを見つめ続けた。それが開くことを願って。 だけどそんな都合のいいことはもうない、あるはずもない。 ――彼は死ぬのだから。 うpろだ268 ─────────────────────────────────────────────────────────── 私は小悪魔です。名前はまだパチュリー様がつけて下さいません。 ある日突然パチュリー様の魔法で呼び出され、それ以来従者としてこの図書館の司書をしております。 パチュリー様は本を読む、書く、喘息で寝込む、の三パターンの生活と、時たまやってくる侵入者の撃退、あるいは敗退を繰り返すというような、 平穏な日常を過ごしておりました。 蔵書の数はパチュリー様が飽きもせずに執筆されますので、一時期は本棚が足りなくなりそうで図書館の増築を具申しようと思っておりましたが、 ある日から突然本の数が減るようになりまして、本棚のこと”だけ”は心配をせずに済むようになりました。 ただ生傷の発生する可能性が今までより150%増えました。つまり侵入者が来て負傷してさらに負傷する確率が50%ということです。 ですのでパチュリー様に新たに魔法を教えてもらおうと貴重な時間を割いて頂ける様考えておりました矢先のことでした。 「あらパチェ? 今日は踊り食い? 貴方にしては珍しくアクティブね。それとも生贄かしら?」 紅魔館の主人であるレミリア様です。ちなみに一言も冗談をおっしゃられてません。 「いいえレミィ、残念だけど命の恩人って奴だから、しばらくココで住まわせてもらってもいいかしら?」 「……珍しいこともあったものね、明日は紅魔館に槍が降るんじゃない?」 「槍で済めばいいけどね」 どうやらパチュリー様が何の間違いか人間に助けられ、その人間をここに連れてきて、しばらく紅魔館に住ませたい、とおっしゃっている様です。 ……レミリア様は特に反対という訳では無さそうでしたが、あまりいいと言う風でもありませんでした。 メイド長の咲夜様は何もおっしゃられません。フラン様はまだこの人間のことをご存知ありません。 話を立ち聞きしていたのですが、どうやらパチュリー様と件の人間がこちらに向かって来そうでしたので、慌てて仕事に勤しんでいるフリをしました。 連れてきた人間はたまに見る幻想郷の人間よりもひ弱そうで、しいて言えば肉が柔らかそう、といった印象でした。 「そう、そこの椅子に下ろして頂戴、後は大丈夫だから」 パチュリー様はどうやらひどい喘息の発作に襲われたらしく、息も絶え絶えなご様子でした。 人間の方も先ほどのレミリア様のおっしゃっていたことが堪えたようで、こちらも青ざめていました。 「ほ、本当に大丈夫かい? さっきは……」 「それ以上口にしたら本当に食べるわよ」 パチュリー様の一言が効いたようでそれから人間は黙ったままでした。 喘息の発作がひどいようでしたので、いつも通り私は薬茶を、そして客人には普通の紅茶を出しました。 パチュリー様はいつも通りに飲まれていましたが、人間の方は紅茶をじっと見つめ、手を出せない様子でした。 ……毒は入れていませんよ、あと血も……。ちなみに紅茶はベノアです。どこかのフランス語教諭みたいな名前ですが関係ないそうです。 あと電車とかの単語をイメージされた方は私と弾幕ごっこをしましょう、ね。今日はたまたまそれがあったから使ったということです。 「大丈夫、毒とかは入ってないわ」 パチュリー様も私と同じことを考えられたようで、微笑みながら紅茶を勧めます。 というかホストに対して失礼極まり無い男ですね、この人間。パチュリー様がいらっしゃらなければマルカジリにしてたところです。 「そ、そうかい、じゃぁ……」 紅茶を口にした途端、男の表情が緩みました。どうやら紅茶の味は分かるようです。少し印象が良くなりました。 「お、おいしいねこれ」 「そう言ってもらえると嬉しいわ」 何か妖しい微笑みです。ああいった顔をされた時は十中十九は良いことを考えておられません。悪い目に合うのが九割ということですよ。 それから二人は取りとめもなくお話をされていました。パチュリー様の喘息も調子が良くなったみたいです。 小耳に挟んだ限りでは男は○○という名前で、車(馬車のことでしょうか?)に乗ってトンネルの中を歩いてみていたらいつの間にか 館近くの湖に来ていたらしいのです。そこで行き倒れておられたパチュリー様をお助けになったようです。 非常に気になる点がありますが、何はともあれ、パチュリー様がご無事でよかったと思います。 夜が明けてきましたので、私はパチュリー様の寝台と、最近とみに使われることの多くなった来客用の寝台の準備をしました。 パチュリー様は普段はお眠りにならなくても平気なのですが、喘息の発作がひどい日には眠られることもございますので、 念のため今日は準備をしておきました。 ……準備をしておいて良かったと思います。パチュリー様は予想通り今日はお眠りになられるようでした。 日がそろそろ上がりそうでしたので、私は○○を来客用の部屋に案内しました。 何か包丁とかヤマンバとかブツブツ言ってましたが、特に気にすることなくお通ししました。 今日はそれ以外は特筆すべきこともなく、私も自分の寝床に入って休みました。 日が傾きかけた頃、私の生傷のおおよそ90%を生成する黒白魔法使いがやってきました。 私はいつもの通りにスペルカードを用意し、そしていつものようにまた生傷を作りながら負けるのでした。 やはりパチュリー様に魔法を教えてもらった方が賢明だ、と考えております。昨日あの○○が来なければ多少はマシだったのかもしれません。 「パチュリー、今日も本を借りにきたぜ!!」 「図書館の貸し出し期限は2週間って学校で教わらなかったのかしらね」 「生憎学校にゃ行ってないぜ」 「じゃ私が直々に教えてあげるわ!! 延滞分も含めてね!!」 そしていつも通りに弾幕……、と思いましたが、今日は違いました。 何とあの○○が二人の間に入って止めようとしていたのです。 ……最近の人間は魔法使いを恐れないのが仕様なのでしょうか、弾幕ごっことはいえ、間に入れば確実に消滅するというのに。 その気迫、あるいは無謀に驚いたのか二人ともスペルカードを展開することはありませんでした。 そしてその後……、 「じゃぁ君は人の本を勝手に拝借して、しかも返さないのか」 「死ぬまで借りてるだけだぜ」 な、なんと黒白に説教を始めたようです。信じられません。私の短い人生の間でもこれは間違いなく珍しいことです。 「君はそれでいいだろうが、本を勝手に借りられた挙句あらされる身にもなってみなさい」 「……」 しかも黒白は説教を受け入れている……。あぁ私は今何という光景を目にしているのでしょうか、神々しくさえ見えます。 あ、今の悪魔の言うことじゃないですね、とにかく、その冗談のような風景に私も、パチュリー様でさえ目を白黒させるだけでした。 「……ぜ」 黒白が観念したかのように何かを言っています。まさか……。 「すまなかったぜ……」 あぁ私は今ななな何を言っているのか理解でききました。あああああの黒白がああああああ謝っています。 パチュリー様も今にも倒れそうな顔をされています。今の光景は間違いなく二度とありえないことでしょう……。 「じゃぁ、今日は本を読ませてもらうだけだぜ」 黒白は観念して、いくつかの本を選び出し、それをもって私たちからは見えない席へと持って行きました。 私はまた何か悪いことをたくらんでいると思い、こっそり気配を消して黒白のいるところへ向かいました……。 「全く、何で香霖みたいな奴がこんなとこにいるんだよ……」 何かブツブツ言っています。が私はそんなことよりも私は黒白のやっていることがあまりに意外で驚いたのです。 「香霖、というよりはおや……、いや違う違う。ありえないぜ……」 ブツブツ言いながら黒白は何と……、筆写を行っていたのでした、しかもかなり真剣に。 いつもなら本を抱えて壁を壊して逃げるところでしたでしょうが、今日は何故か本当に大人しいのです。まるで借りてきた式の式です。 私は急いでパチュリー様の元へこのことを報告に参りました。 私の報告を聞いてパチュリー様は卒倒しました。○○が慌ててパチュリー様の体を支えます。 私はパチュリー様の寝室へ○○を案内しました。その間○○はパチュリー様を抱えて来ました。 ひ弱そうだったのに案外力があるものだ、と思いながら中へと通し、寝台を指しました。 ○○はパチュリー様を寝台へと寝かし、何とそのまま寝台の横へと椅子を持ってきて座りました。 横に座っているだけで何もできないのに変わったことをすると思いましたが、言っても無駄そうでしたのでそのままにして私は仕事に戻りました。 夜が更けたころ、疲れきった様子で黒白は帰りました。ちなみに一冊も本は持っていません。 「邪魔したぜ……、いずれ返しに来る」 私はその内容に驚きましたが、黒白はいたって普通の顔つきでした。 そして空へと消えました。 魔女がまっとうになる……、私は何やら不吉なことを感じつつも、悩んでも仕方ないのでまた仕事に戻りました。 パチュリー様はあれからお目覚めになられまして、またいつもの通りに本を読んでいます。 ○○は、というとまた彼も本を読んでいます。ちらっと見たところ外から来た魔法書でした。 私でもあれは読めないのに……、と思っておりましたが、もしかすると彼は外の世界の魔法使いなのかもしれません。 魔法使い、となると相当厄介なことになりました。しかも今日のこともありましたので倍率ドン!さらに倍といったところです。 パチュリー様もそれをご理解しているようで本を読まれてはいましたが、どうやら気が気でないようです。 当の○○はというと至って普通な様子でした。それが却って私には恐ろしく感じられました。 フラン様と対峙する時も似たような感じです。全てを握られているというのは心地よいものではありません。 何 故 な ら、 パ チ ュ リ ー 様 は ま だ 対 価 を 支 払 っ て い ま せ ん、 命 を 救 わ れ た 対 価 を ……。 「あ、貴方は私に一体何を望むのです……?」 「……?」 とうとう堪えきれなくなったパチュリー様が○○に問いただします。 ○○はというと、何を言っているのか理解できないようでした、どうやら外の魔法使い達の間では契約というものも廃れている、 と思いたいところでした……。 「そうだなぁ……、じゃあこれを機にお付き合い、というのはどうだろう?」 私は目の前が真っ暗になりました、パチュリー様がに、人間なぞとおお付き合いをせねばならないなんて……!! 「……」 事態を理解したパチュリー様は顔面蒼白でした。 「あ、ごめんごめん本気に……」 「りょ、了解しました」 契約成立です。あはははは……。 「え、あ……」 「……」 人間、貴様何をしたか分かっているのだろうな……。 最 早 パ チ ュ リ ー 様 は 貴 様 を 全 身 全 霊 で 愛 す る し か で き な い の で す ……!! そう、私がパチュリー様に仕えるように……。 過去のことを嘆いていては仕方有りません。 そう、パチュリー様が契約に縛られていようが、私の主であることに変わりはありません。 パチュリー様も同じお考えのようで、結ばれてしまった契約に従い、○○に対して最大限好意的に振舞います。 どうやら○○は魔法に対して強く興味を持ったようで、パチュリー様に手ほどきを受けています。 救いは彼の理解が早かったということでしょうか、やはり彼は外の世界の魔法使いのようです。 (やはり紅茶に毒を入れておけばよかった……) 私の痛恨のミスでした。人間なぞ生かしておいてもロクなことがありません。 ですが今となってはもうあまりにも遅すぎるのでした。 契約に縛られたパチュリー様はもし○○を殺せば間違いなく私を殺すでしょう。 それだけではありません、私はパチュリー様に仕えなければならないという契約を反故にしてしまうことになります。 契約を守らなかった悪魔は……、この先は想像もしたくありません。 パチュリー様の方は……、契約に縛られているせいか彼を愛するのが当然といった感じです。 最早契約のことなども忘れ、彼を本気で愛しているのでしょう。魔法の手ほどきが本当に楽しそうです。 私にできることはと言えば……。 翌日、パチュリー様と○○はどこかへおでかけになりました。 帰ってくると何故か大量の本を持って帰ってきました。おそらくは黒白の家から取り返してきたのでしょう。 何故か黒白は○○のことが苦手のようです。何故かは分かりませんが。 翌々日、パチュリー様と○○はまたどこかへおでかけになりました。 パチュリー様はとても楽しそうです。○○もまんざらでもないという様子でした。 私めができることは少ないですが、それでもパチュリー様の幸せに協力することはできます。 私はそれをするだけのことです。 例えばおいしい紅茶をお入れするとか、○○にも理解できるような魔道書を見繕うとか。 後は万が一フラン様に出会ってしまった場合の対策をお伝えする、といったことでしょうか。 主が一人増えただけ、と考えれば今までとそう変わりはしない生活です。 そういえば一つ変化がありました、何とパチュリー様が私めに名前を下さるとのことです。 何でも○○が呼びにくいから、という理由だそうですが……。 名前がつく理由は引っかかりますが、パチュリ-様から名前をいただくという名誉の前にはそのようなことも小さなことです。 私の新たな生活がこれから始まろうとしています。 その生活を生み出すきっかけを作ってくれた○○には少しは感謝してもいいかもしれません。 ですので、不本意ながら私めも、一つだけ願わせて頂きます。 パ チ ュ リ ー 様、 ○ ○ 様、 ど う か 、 お 幸 せ に ……。 私の語りはこれで終了です、この先は○○、つまり貴方の妄想次第。 どうぞパチュリー様を死ぬほど愛してください。私もそれに一生付いていく所存です。 やあ (´・ω・`) ようこそ、ヤンデレルートへ。 このルートはサービスで可能性の一つだから、まず落ち着いて欲しい。 うん、済まない。これが大分抑えてるけど本来の作風なんだ。元々グROスレでヤンデレなんて言葉が生まれた頃から書いてたから。 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。 でも、このキーワードを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない 「おぞましさ」みたいなものを感じてくれたと思う。 春度に満ちたこのスレで、こういう愛の形もあるということを忘れないで欲しい そう思って、このルートを作ったんだ。 じゃあ、引き返すなら今のうちだよ。 十六夜咲夜の日記 ○月○日 今日、パチュリーが人間の男を連れてきた。 何でも喘息の発作を起こして動けなくなったところを救われたらしい。 それならば何故外に出たか気になるところだったが、魔法使いなりの理由があるのだろう。 それにしても喘息で動けなくなるなどどこかの革命家じゃあるまいし、と思ったものだ。 それでふと思いついて「み~らい~♪ ボ~リ~ビ~ア~♪」と口ずさんでいたらお嬢様に見られた。 お嬢様は心底ニヤニヤしていた。あぁ憎らしい可愛らしい……。 ○月X日 今日は魔理沙がやってきたらしい。 らしい、というのはいつも通りの弾幕ごっこが行われた様子がなかったからだ。ただ小悪魔は負傷していたが。 そして驚いたことに魔理沙は一冊も本を持ち逃げしなかったと小悪魔から聞いた。 明日は槍が降ってくるかもしれない。もしかすると幻想郷も明日を無事迎えられるか分からない。 ○月△日 どうやら無事に今日を迎えることができた。 このまま何事も起こらなければよいが……。 ○月◇日 なんと昨日パチュリーが魔理沙の所から本を持ち帰ってきたらしい。 それでも今日は何も起こることなく存在している。 ……、今度神社に行ったら異変が起こってないか霊夢に問いただしてみよう。 それにしても……。気になるのは○○のことだ、 何故か○○にパチュリーがやたらと懐いている。彼も霊夢と似たような人間なのだろうか。 お嬢様が誑かされなければいいが……。 ○月☆日 今日も魔理沙がやってきた。 少々躊躇われたが、魔理沙に急に本を返すようになった理由を問いただしてみた。 「う、うるさいんだぜ!!」 と言うと顔を赤くしながら星弾を撃ってきた。全くうるさいのはどちらなのだろうか。 いつも通りに大人しくさせ、話を聞いてみると、 「こ、香霖……」 みたいなことをつぶやいていた。あの店の主人のことか。 魔理沙はよく出入りしているが彼が一体どう関係があるのだろうか。 そういえばたまにあの店に行く時に魔理沙がいることがあるが時々不自然な感じになるのは関係があるのだろうか? 気にしても仕方のないことだが……、何はともあれ魔理沙の悪いクセが無くなるのはいいことだ。 後小悪魔がこぁという名前になったそうだ。命名はパチュリーらしい。 お嬢様に並ぶネーミングセンスだ。だが小悪魔の方は喜んでいた。何も言うまい。 ○月$日 今日はアリスと魔理沙がやってきた。 アリスはどうやら新しく来た○○を見に来たようだ。 たまたま通りかかった小悪魔、いやこぁに話を聞いてみると○○は魔法に興味があるようでそれで魔法使い三人の教えを受けているらしい。 パチュリーが人に物を教える姿は想像が付かない、魔理沙辺りは何だかんだ言いながら教えてくれそうだが。 アリスは……、気が向けば教えてくれるだろう。少なくとも私の知るパチュリーよりは確率が高いと思う。 ○月¥日 パチュリーが図書館の増築に関してお嬢様と話合っていた。 魔理沙から取り返した本を収納する場所が無いらしい。後香霖堂からもいくつか買ったという話だ。 ○○は外の世界の魔法使いらしいが……。 いいや何も書くまい。 ○月#日 今日はパチュリーに妙なことを聞かれた。 「人間の時を止めることってできるの?」 はて…、そういったことはてっきり100年以上生きている彼女の専門ではなかったのだろうか? 私ができない、ということを伝えると残念そうにしていた。一体何だったのだろう。 ○月★日 最近パチュリーの様子がおかしいらしい。 「我慢できない我慢できない我慢できない…………」 と呟いているとメイド達が恐れていた。 こぁに話を聞こうと思ったが、生憎今日は買出しがあったので聞く暇が無かった。 今度会った時にでも聞いてみようか。 ○月д日 今日も生憎用事があったのでこぁに様子を聞くことができなかった。 お嬢様もご心配の様子だったが、妹様が暴れそうだったので私と抑えていたのだ。 その日もパチュリーの姿を見ることは無かった。 ○月℃日 今日ようやくこぁに話を聞くことができた、と言いたいところだったが、 こぁの方が大分参っているらしく、ろくに話を聞くこともできなかった。 断片的な情報をまとめると、パチュリーは不眠不休で魔法書を読み漁っているらしい。 いつもと何が違うのか、と思ったがこぁの様子を察するにいつもと何かが違うということだろうか。 明日本人に聞いてみることにしよう。 ○月◎日 今日は久々にスペルカード以外の攻撃を受けた。 何のことは無い、最近様子が変だというパチュリーに話を聞こうと思ったらいきなり襲い掛かられたのだ。 しかもスペルカードルールなど無視した本気の攻撃だ。 私も久しくこのような攻撃を受けていないので驚いた。 何とかお嬢様に気付かれる前に取り押さえ、寝室へと押し込んだ。 眠れば多少は落ち着くだろう、という希望的観測を抱いてだ。 戦闘中ずっと彼女は 「邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな……」 と呻いていた。一体何だというのだ。 ○月⑨日 今日はお嬢様がお冠だった。 勿論理由はパチュリーのことである。 最近全く相手にしてもらえないことにご立腹の様子なのだ。 何とか今日は誤魔化し通したが、明日になればまた同じことを問われるだろう。 一体どうしたものだろうか。 ○月●日 生憎今日は新月だった。 お嬢様も力の落ちる厄介な日だったが、それでもパチュリーのことが心配らしい。 せめて満月まで待っていただけないか、と申し上げたが無駄だった。 パチュリーを呼び出すが、使いに出したこぁが戻ってこない。 何が起こったか図書館に見に行けばこぁはまるでボロ雑巾のように焼け焦げて転がっていた。 そしてパチュリーはというと、落ち窪んだ瞳に底光りした恐ろしい、だが焦点の全く合っていない、瞳孔の開ききった死人のような目をしていた。 顔は頬がこけ、肌も土気色でまさに歩く屍といった塩梅だ。何やらブツブツ言っているがいつもに増して小声で早口のため何を言っているか 全く聞き取れない。妹様も少々おかしいのだがその比ではない。 そのただならぬ様子にお嬢様もたじろいでいた。 パチュリーはというとそんな私たちに目もくれずに本を読み、破り捨ててはまた本を読んでいた。 掃除をしていた妖精メイドが運悪くパチュリーの進路を妨げた、と思った瞬間妖精メイドは消し飛んでいた。 理由を尋ねようとするお嬢様を何とか押さえ込み、気の済まない様子だったのを必死になだめすかし、 明日あの宇宙人どもの所に相談に行く、と決めた。 ○月▲日 宇宙人というものは何を考えているか全く分からない存在だと思っていたが、少なくとも情けというものはあるらしい。 あの永琳とかいう薬師がわざわざ往診に来てくれた。 そして図書館で彷徨うパチュリーを無理矢理に(それにしてもタガの外れたパチュリーを見事に取り押さえた力量は大したものだと思う) 取り押さえ、彼女の寝室のベッドに縛り上げた。 彼女の寝室自体は特に変わった様子はなかった。が永琳が嫌な気配がすると言ったので、隣の客間に行ってみた。 そこには……、 止めておこう。書いても無駄だ。今できるのはパチュリーが元通りに戻ることを祈るしかない。 八意永琳カルテ 患者名:パチュリー・ノーレッジ 疾患名:不明(悪魔憑き? 犬神憑き? 恋の病?)、喘息、栄養失調、失血性貧血、 病状:せん妄、錯乱、極度の鬱状態・被害妄想、極端な攻撃性、が見られる。 意思疎通を図るも言語を理解しているかどうかも疑わしい。 患者の様子から何らかの降霊術を行った模様。ただし何を契約したかは全く不明。 患者が直前に書いたであろう手記には(……は判読不能) 「……他人の吸った空気を吸うのも許せない、食べても排泄されるし霊魂は閻魔に取られる、時間は止められない、 止める止められない止める止められない止める止める止める止める止める止める止める止める止める止める止める止める止める……」 といったようなことが羅列されていた。彼女が何かを行っていたらしい部屋には血文字で 「……アイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテル……」 「……ワタシノモノワタシノモノワタシノモノワタシノモノダレニモワタサナイダレニモワタサナイダレトモハナサセナイダレニモフレサセナイ……」 などと部屋中書きなぐられていた。その部屋で患者○○を発見するも重度の精神的外傷のため廃人状態である。 現在両名とも治療のため隔離しているが治療の目処は立っていない。 うpろだ321 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○○の隣で私は本を開き、活字の中で過去を振り返る 奇妙な浅い眠りの中で、俺は過去の夢を見る 2人の始まりを…… 記憶のページをめくり始める―― 薄暗くてカビと埃の臭いが漂う図書館。 小悪魔は奥に本を取りに行っているから、今は2人きりだった。 その静かな空間に、○○の声はよく響いた。 「今何て言ったの?」 彼の言葉に耳を疑い、聞こえていたのに問い返してしまう。 内心動揺しているせいか、ただでさえ小さな声が余計に小さくなった。 でも、彼は決して聞き逃す事は無いだろう。 今までそうだったから……。 失敗した。 無視すれば良かった。 そう思った瞬間 「私はパチュリーさんが好きだと言ったんです」 ○○が告白を繰り返した。 無駄な飾りは無しに、はっきりと想いをぶつけてくる。 そんな○○に私が返した言葉は 「そんな戯言を言われても困るんだけど」 自分でも驚くほど辛辣だった。 彼を傷つけたくない筈なのに、無心で言い続けた。 「今の○○は一時の感情に流されているだけ。 私への好意は恐らく友人としての物、あるいは一種の憧れを勘違いしているだけよ。 そんな勘違いで告白されても困るわ……。 いい? 現実はロマンチシズムに富んだ小説の世界じゃないの。 貴方のちょっとした気の迷いが恋愛に発展するわけないでしょ? それに私は妖怪で、○○は人間。 その辺の事をよく考えてから物を言いなさい」 適当な事を言って誤魔化そうとした。 種族の違いなんて、彼はどうでも良いと思っているだろう。 今まで一緒に過ごしてきて、それなりに○○の事は理解できているつもりだ。 だから、本気で好きだと言ってくれているのも解っている……。 妖怪だとか、人間だとか、そんな事は関係なく私が好きだと。 でも、○○の想いを受け入れる事も、拒む事も出来ない。 私も○○が好きなのに……。 自分が何をしているのか解っている。 これは逃避だ。 ここには沢山の本があって、小悪魔がいて。 そして、少し前から○○が……私にはそれだけで充分だった。 彼の想いを受け入れても、拒んでも、その日常が遠くへ行ってしまうような気がした。 だから○○の告白に、はっきりした返事を返したく無かった。 私も好きだったって言えば良いのに。 ただの部下だって、○○の事なんか好きじゃないって言えば良いだけなのに、それで済むのに……。 苦悩する私に、○○が決断を迫る。 「私はちゃんと考えた上で言っています。 だから、誤魔化さないで返事を聞かせて下さい」 ○○の声が、黙示の日に吹かれる角笛の音のように、何か怖ろしい物のように心を揺さぶる。 私は何でもない風を装いながら、内心では相当焦った。 いっそのこと返事は先送りにさせてもらおうかとも思った。 だけど、どこまでも真剣な○○を見て、私も自分の想いに正直になっても良いのかな? と、そう思えた。 だから、最後の悪あがきで彼に幾つかの問い掛けをする。 「私、本ばっかり読んでて○○の相手なんてほとんどしないと思うけど?」 「それは知ってますし、本は私も好きですから大丈夫です。 読書や魔法研究の邪魔はしません」 「体も弱いし喘息持ちよ?」 「それも分かってます。 体調が悪い時は付きっ切りで看病します」 「○○よりもずっと年上だけど……」 「私は年上好きなんです」 「私も一応妖怪だから、ひょっとしたら人間だって食べるかも知れないわよ?」 「それは人が動物を食べるのと同じ事でしょう? そうだったとしても気にしませんし、パチュリーさんに食べられるなら本望です」 私はもう、逃げるのを止めた。 「分かったわ……実を言うと私も○○の事好きになってたの。 私達、付き合ってみましょうか?」 「本当ですか!?」 安堵と喜びの入り混じった笑みを浮かべる○○を見て、私はこれから、もっと○○を好きになれる、そう思った。 「これからは敬語は止めてちょうだい。 恋人なんだから」 あの頃の私は、自分がこんな事をするなんて思ってもいなかった あれから共に過ごして、俺はパチュリーの事を解ったつもりで何も解っていなかった 大きくなり過ぎた○○への愛情はやがて、その大きさ故に歪み、ねじれ、私の心を蝕み……それは狂気へと形を変えていった―― これは罰だ、彼女が俺の行動をどう思っているかも考えずに、パチュリーを苦しめた俺への、砂糖漬けのように甘い拷問―― 紅い悪魔は楽しそうに囁く 「さあ、次の手は? 夜は長いのよ? もっと足掻いて見せて? もっと楽しませて? もっと面白い物を見せて?」 まるでチェスでも指しているように、遊んでいるように繰り返し囁く だが、自己満足と罪悪感で彩られた2人だけの世界に、その言葉は届かない 悪魔は、全く進展しない退屈なゲームにチェック・メイトをかけようとしていた 私は 俺は そんな事は知りもしない 狂った2人は間違いだらけの悦びに恍惚としていた―――― あれから更に一週間が過ぎた。 ○○さんがいなくなって丁度二週間。 どう考えてもおかしい。 本当にパチュリー様が仕事を任せるとしても、こんなに時間のかかる仕事の筈がない。 パチュリー様は○○さんの事が本当に好きだ。 常に一緒にいたいと思っている筈だ。 それなのに、今日も1人で平然と本を読んでいる。 何度かさり気なく○○さんの事を訊いてみたけれど、返事はいつも 「大丈夫」 「心配ない」 と、適当で奇妙な自信に満ちた物だった。 初めは何とも思わなかったが、私は徐々に違和感を感じていった。 そう、パチュリー様は○○さんの事を全く心配していないのだ。 それが余りにも異様で不気味だった。 二週間もの間、恋人から連絡すら無いというのに……。 どうしてそんなに平気な顔でいられるのだろう? 疑念は日増しに大きくなり、とうとう主への不信に至った。 パチュリー様の目を盗んでこっそり図書館を抜け出し、目的の人物を探す。 こういう事を相談出来るのはパチュリー様と対等の御方。 お嬢様ぐらいしかいない。 しかし、パチュリー様の使い魔に過ぎない私が、直接お嬢様に相談に行くのは気が引けた。 だから……。 「こんな所で何をしてるの?」 広間に差し掛かった時、急に背後から呼び止められた。 鋭い声に振り返ると、そこには目的の人物、十六夜咲夜が立っている。 「メイド長……」 「ど、どうしたのよいったい? そんな捨て犬みたいな顔で」 余程情けない顔をしていたんだろう。 咲夜さんは随分と驚いたようだった。 だが、そんな咲夜さんは関係無しに、私の口は急ぎ動いた。 「こんな事相談出来るのはメイド長しかいないんです。 何とか出来るのはたぶんお嬢様だけなんです。 だから、だから――」 「分かったから少し落ち着きなさい。 何言ってるのか分からないわ」 窘められて我に返り、数回深呼吸を繰り返す。 少し、冷静さが戻ってきた。 様子を見て咲夜さんが口を開く。 「落ち着いた? それで、そろそろ仕事をサボって、図書館を抜け出してまで私に会いに来た理由が知りたいのだけど?」 「実は……」 ○○さんが行方不明な事、パチュリー様の様子がおかしい事、 私はこの二週間で積もりに積もった疑念を吐き出していった。 話を聞いて、咲夜さんは少し難しい顔をした後、 「分かった。 お嬢様には私から話しておくから」 そう言って、私を安心させる為か柔和な笑みを浮かべた。 その笑顔に少し救われたような気がした。 「それじゃ、パチュリー様にばれるといけないので私は図書館に戻ります」 「ええ。 その方が良いわね」 咲夜さんに頭を下げてから、私は図書館へ急いだ。 ○○とパチュリー様がそんな事になっているなんて気付かなかった。 毎日ティータイムには必ず、パチュリー様にお茶をお持ちしていたというのに……。 確かにこのところ○○の姿を見ていなかったが、蔵書の整理が忙しくてお茶の時間にも仕事をしているのだとばかり思っていた。 パチュリー様の様子にも特に不審な点は見られなかったし、その程度の事を、いちいち気にもとめていなかった。 だが、小悪魔の話を聞いて、○○とパチュリー様が付き合いだしてからの図書館の様子を思い返してみて初めて気付く。 2人が付き合い始めた頃から、○○はあの時間には必ずパチュリー様の傍にいた。 それがこの二週間、○○はティータイムに1度も姿を現していない。 この変化にもっと早く気付くべきだったのに……。 ○○とパチュリー様が恋仲になる以前の、 ○○が紅魔館に来る以前の日常が余りに長過ぎて、むしろ2人が一緒にいる事の方が、私の中で非日常のようになってしまっていた。 慣れたつもりでも、心の何処かで新たな日常が不自然な物に感じられていた。 だから、こんな事にも気付かなかったんだろう……。 私はちょっとした自責を感じつつ、お嬢様へお持ちするお茶の用意を始める。 何気なく見た時計の針は、不吉にも13を指した。 時を刻んだ瞬間の音が呪いの慟哭の様に聞こえ、私の耳に不気味に残った。 軋んだ針の音はまるで、空想上の髑髏の死神が、大鎌を振り上げた音のように感じられた。 上質な紅茶の味と香りを楽しみながら、咲夜から、小悪魔に受けた相談についての話を聞く。 一通り話を聞いて、最初に口をついて出た言葉は、 「つまらない」 その一言だった。 「申し訳ありません。 小悪魔にはお嬢様に伝えると言ってしまいましたし、一応報告した方が宜しいかと思いましたので」 見当違いな咲夜の謝罪に何ともなしに答える。 「そういう意味で言ったんじゃないわよ。 とうとう使い魔に感付かれたか……パチェもツメが甘いわね」 がっかり、という風に呟き、チョコレートを1つ口に放り込む。 とても甘い筈なのに、気分のせいかやけに苦々しく感じる。 口の中に残る泥のように粘ついた感触が嫌になって紅茶で流し込んだ。 「要するに、お嬢様は初めから全てご存知だったと、そういうわけですか?」 「私はここの主なんだから知っていても不思議はないでしょ? パチェが○○に何をしたのか、これからあの2人がどうなるのかも見当は付いてるよ」 そう、バッドエンドだ。 ○○は自我の崩壊を起こして肉人形と化し、それもいずれは腐って骨になる。 パチェは狂人にでもなって、それで終わりだ。 何のひねりもない悲劇的な結末。 あの2人は、これからずっと、そんなつまらない道化を演じるつもりなのだろう。 「もっと面白い展開を期待してたんだけどね……」 「いかが致しますか?」 咲夜の問いに少し考え込む。 ○○が幻想郷に迷い込んだのも 最初にこの屋敷に辿り着いたのも その流れ者に過ぎない○○を屋敷に置いたのも 本好きだというだけで図書館で仕事をさせたのも そこでパチェと○○が出会い恋仲になったのも 全ては偶然と私の気紛れ。 そして、それは運命。 だとしたら、2人が今向かっている結末に行き着くのも…… そうとは思えなかった。 第一、そんな結末は私が望まない。 カップに残った紅茶を飲み干すと、私は立ち上がった。 「お嬢様?」 「こんな事する柄じゃないけど、パチェの所に行ってくるわ」 「行ってらっしゃいませ」 送り出す咲夜を背にして扉を開け、友人のもとへゆっくりと歩を進めた。 重い扉を開けて図書館の中に入ると、蔵書の余りの多さに改めて驚嘆した。 立ち並ぶ無数の本棚はまるで、主を守護する防壁のようだ。 ここは私の屋敷にあって私の物ではない場所。 パチェの、唯一無二の閉ざされたテリトリー……。 「あら、レミィがここにくるなんて珍しいわね。 何か用?」 私に気付いたパチェが声をかけてくる。 その態度には何ら不審な点は見られない。 だが、その目には確かに、魔女の釜の底のような暗く陰鬱な影があった。 「パチェ、単刀直入に言うわ。 ○○を解放しなさい」 「何のことかしら?」 そう言って微笑むパチェを見て、背中をひんやりとしたものが駆け巡る。 不味い。 精神を相当やられている。 「とぼけても無駄よ。 私に気付かれないとでも思ったの?」 「だったらどうだっていうの」 作り笑いが消え、暗く、冷たく私を睨む。 「○○は私の男よ。 レミリアには関係ないわ」 愛称ではなく、名前で私を呼ぶ。 それは明らかな敵意の表れだった。 「邪魔するなら力尽くでそれを解らせてあげるけど?」 スペルカードを出さない。 なのにパチェの殺気はより強く、魔力がより大きくなっていくのが分かる。 彼女は本気だ。 「私に勝てるとでも思ってるの?」 「やってみなきゃ分からないわ」 そのまま暫く睨み合いが続いた。 さながら龍と虎だ。 待っていれば引いてくれるかと思ったが、今のパチェは冷静な思考を完全に失っていた。 実力の差なんて分かっているでしょうに……。 ふと視線を逸らすと、小悪魔が訳も分からずおどおどとしていた。 それを見て、私はすっかり興がそがれてしまった。 少し考えて、試しにこちらから引いてみる。 「止めましょう……馬鹿馬鹿しい」 「えっ?」 パチェが呆気にとられた顔で私を見る。 「私は別に喧嘩しに来たわけじゃない。 少しだけ、私の話を聞く気はない?」 私の提案に彼女が視線で先を促す。 策にかかった。 疑似餌に食らいついた魚は、あとは釣り上げるだけだ。 「貴女が○○にどれだけ強力な魔法を使ったかまでは知らないけど、○○はこのままだと物言わぬ肉人形のまま死んで、腐敗して、骨になるだけ」 「生命維持はできてるわ」 「忘れたの? ○○は人間。 それも数十年で終わりよ」 ○○の死を口に出しても、パチェの表情には何の変化も無かった。 まだ気付かないのか……。 「でもね、その前にもっと重要な事が起きるわ。 自我の崩壊よ」 「それは……」 パチェの態度に明らかな変化があった。 傷口を抉る様にその先を続ける。 「今のような状況に置かれて、ただの人間に過ぎない○○の精神はどれだけもつのかしら?」 「それでも……私は……」 揺れるパチェの心を、鋭い言葉の切っ先で更に切りつける。 「心が消えるっていう事は、彼の貴女に対する想いも消えるっていう事よ。 パチェはそれで良いの? ○○が本当の意味で死んでも。 それともパチェは外見だけ残ってればそれで良いの?」 この言葉が決定打となった。 「そんな事……無い……」 自らの過ちに気付いて泣き始めたパチェには、それ以上言葉は必要なかった。 「貴女の創った自分勝手な楽園は、今終わったのよ。 後は自分で考えなさい」 それだけ言ってパチェに背を向ける。 「どうして……?」 背後から投げかけられた問いに、悪魔的な笑みで答えた。 「友人の幸せの為、あとは……そうね。 退屈だったからかな?」 最後にそう言って図書館を後にした。 結局、第三者の私に出来るのはここまでだ。 パチェの言う通り、これは2人の問題なのだ。 こと、恋愛事に関しては。 強過ぎる愛情がその大きさ故に歪み、ねじれた。 それだけのこと。 やれる事はやった。 これから2人が、パチェがどんな道を選ぼうが知った事ではない。 だけど、願わくば 「幸せになって欲しいかな……」 そう呟き、咲夜が待つ自室へ向かう。 今、私が見たいのはハッピーエンドだった。 途中、少ない窓の1つへ目を向けると、赤みのかかった月が昇っていた。 部屋に戻ったらまず咲夜に紅茶を淹れてもらおう。 血を多めに入れてもらって、あの月の様に赤い紅茶を。 なんだか妙に疲れてしまった。 本当に、こういう事する柄じゃない……。 レミィが去った後も、私の心は揺れ続けていた。 ○○を独占したい、○○に愛されていたい。 矛盾した2つの感情の狭間を、私の心は狂った時計の針の様に行き来した。 「パチュリー様? パチュリー様?」 心配そうに私を呼ぶ小悪魔の声も、何処か遠い木霊のようだった。 「悪いけど、本の片付けをお願い」 それだけ言って○○のもとへ急いだ。 怖かった。 ○○がいなくなってしまいそうで。 今まで長い時を生きてきてこんな感情は初めてだった。 本だけが愛情を注ぐ対称だったから。 本は決していなくなったりしないから。 だから私は、○○を失うのが怖くて堪らなかった。 何も見えない世界で、彼女だけが心の拠り所だった。 何も聞こえない世界で、彼女の声だけが心に訴えかけてきた。 だけど、今はその姿も薄く、蜃気楼のようで その声も遠く、幻聴のように通り過ぎていった。 ただ、泣いている事だけは分かった。 子供のように、俺を前にして泣きじゃくる。 「どうした?」 俺の声は届かなかった。 「何で泣いてるんだ?」 俺の口は言葉を紡いではくれなかった。 それでも、俺は……パチュリーを愛していた。 愛する人を泣き止ませたかった。 笑顔を見たかった。 だから……諦めずに呼び続けた―― ○○の為の部屋、特にお気に入りの本と○○だけの部屋で、 彼を前にしても、涙は止め処なく流れた。 「ねえ○○。 私はどうしたら良いの?」 問いかけても彼は何も答えてはくれず、ただ微笑むだけだった。 「怖いの……○○を失うのが、怖くて堪らないのよ……」 心の中の時計の針は、より激しく、矛盾した感情の間で揺れた。 「○○」 彼に抱きつき、その胸に顔を埋めてただただ泣き続けた。 ○○はそんな私に、何も言わず微笑んでくれる。 でも、これは違った。 偽りの笑顔。 今の○○は私が好きな○○じゃなかった。 だから余計に涙が溢れた。 ○○をこんな風にしたのは私なのに……。 再び彼の胸に顔を埋めた時、頬に何か硬い物が当たった。 「?」 胸のポケットを弄る。 「指環……」 安物の宝石がついたちゃちな指環。 だけど、私はその指環に目を奪われた。 もしかして? ひょっとしたら? 「○○? 何なのこれは! どういうことなの!?」 疑念と期待に駆られ本棚へ急ぐ。 目的の本を見つけると無我夢中でページをめくった。 お気に入りの本がどうなろうと知った事ではない。 ページが折れ、ぐしゃぐしゃになっても気にも留めなかった。 もっと深く知りたかった。 彼の想いを。 もう一度聞きたかった。 彼の言葉を。 目的のページを開いた私は、そこに記された言葉を急ぎ読み上げた。 あれほど激しく動いていたのに、心の揺れが止まっていた。 壊れた時計の様に、2つの感情を行き来していた針が、正しい時間を刻み始める。 『やっと面白くなった』 そんな声が何処かで聞こえたような気がした―― 閉じた楽園に声が響き渡る。 それは、ある種の荘厳な宗教音楽のように聞こえた。 これは愛する人の歌声。 俺を現実へと引き戻す声。 「パチュリー……」 その祝福の賛美歌の中で、2人の歪んだ楽園は終わりを告げた―― 「ぐっ……うぅ……」 久しく聞いた○○の声。 その声に、自分でも驚くほど安堵していた。 「どうかしたか?」 寝ぼけ交じりでとぼけて訊ねる彼に、私は泣きながら抱きついた。 それしかできなかった。 深く、強く、抱きつくことしか……。 いきなり抱きつかれて、少し面食らった気分だった。 「おいおい、どうしたんだよ?」 優しく訊ねる俺に、パチュリーが涙混じりに答える。 「ごめっ……なさ……ごめんっ……なさいっ……」 泣きじゃくる彼女の、顔にかかった髪を優しく掻きあげる。 「なんか俺、凄く悪い夢を見てた気がする」 「それは本当にあったこと。 全部私のせい……私……○○に酷い事した……」 「気にしなくて良いから。 悪いのは俺の方だ……ごめん。 もっとパチュリーの事、考えてあげてたら……」 「違う! ○○は悪くない! 私が勝手に――」 全て自分のせいだと言い張る。 痛々しく、かすれた声で謝り続ける。 俺はそんな彼女を見ていられなかった。 だから……。 泣きながら言い続ける彼女に、そんな事はどうでも良いのだと分からせる為に、キスをした。 優しく、深く。 口内に舌を侵入させ、貪欲に愛する人を求める。 「んっ……ふぁ……ぁ……」 「もう良いかな? 今ここに俺がいる、それが答えなんだろ?」 そう問うた俺に、パチュリーが頷き、熱を持った目で問い返してくる。 「あの指環は?」 「パチュリーにいつか渡そうと思って持ち歩いてたんだけど、見付かっちゃったか……」 悪戯を見付かった子供のように言う俺を、パチュリーはじっとりと睨んだ。 「あれが無かったらたぶん、○○はまだ戻ってきてないわよ?」 「そうか……こんな時でなんだけど、結婚しよう。 愛してる。 永遠なんてこの世に存在しないかも知れない、でも、それでも君と、可能な限り一緒にいたい。」 「喜んで」 その答えを合図に、俺達はどちらからともなく、再び深い口付けを交わす。 唇を離した時に余韻を引く銀の糸すら、欲望を増徴させる道具に過ぎなかった。 その長く保たれた唾液は蜘蛛の糸。 そこに巣食う魔物は2人の理性を捕らえ、食らい尽くし、情欲の世界へと誘う。 お互いがお互いを求め、2人の舌が互いの口内を蹂躙していく。 さながらアダムとイヴを楽園の外へ導く蛇のように、舌は暴れ、踊っていた。 「あっ……んちゅ……うむぅ……ふぅ……」 「パチュリー……」 「もっと」 「?」 「まだ……足りないから……もっとして……」 椅子が倒れ、本は軽い音をたてて床に落ちた。 それでもパチュリーの手のひらには、しっかりと婚約指環が握られていた。 結婚式は紅魔館で執り行われる事となった。 この屋敷に教会なんてある訳はないが、俺達にはそんな場所よりも余程お誂え向きな式場だ。 「さすがに緊張するな」 誰にともなく呟く。 窓の外を見ると、日が沈み、丁度月が顔を出す頃合。 式の始まりは月が昇った時、という何ともアバウトなものだった。 神父役と参列者達に少し不安を抱きながら、鏡で最終チェックを済ませて控え室を出た。 純白のドレスは妙に気恥ずかしかったけれど、今日○○と結ばれる。 そう思うだけで私の心は喜びで満たされ、恥ずかしさなんてどうでも良くなった。 「お綺麗ですよ、パチュリー様」 小悪魔が微笑みかけてくる。 「ありがとう」 誤った道を選びそうにもなったけど、こうしてこの日を迎えられた事が嬉しかった。 「この世のあらゆる書物も、おまえに幸福をもたらしはしない、か……」 誰にともなく呟く。 「何ですかそれ?」 不思議そうに訊ねる小悪魔に、皮肉交じりに話す。 「ヘルマン・ヘッセとかいう外の文学者の詩の一文よ。 前に○○がこの人の詩集を読んでたから 気になって私も読んでみたんだけど、その中の書物って題の詩の書き出しがそれだったわ」 「なるほど」 そう言って名前通り小悪魔的な笑みを浮かべる小悪魔に少し腹が立ったが、その反応には納得できた。 昔の私なら……○○と出会う前の私だったらこんな言葉は一笑に伏しただろう。 でも今は、そうなのかも知れないと思えた。 確かに私は、本以外で幸福を見つけたのだから。 「これからも○○さんにいっぱい幸せにしてもらって下さい」 「言われなくてもそのつもりよ」 「あっ!! パチュリー様、そろそろ時間です」 席を立ち、小悪魔と共に部屋を後にして、式場へ向かう。 渋々ながら神父役を引き受けてくれた友人のもとへ。 将来を誓い合う○○のもとへ。 楽しみはその時までとっておこう。 そう思い、パチュリーのドレス姿を事前に見なかった事を少し後悔する。 フラワーガールに任命されたフランドールお嬢様の花をまく可愛らしさも何のその。 小悪魔にエスコートされた新婦の入場と共に、 俺は純白の衣装に身を包まれたパチュリーに目を奪われ、大分惚けた顔をしていた。 「○○? しっかりしなさい!」 「あ?……はっ、はい!」 レミリアお嬢様に小声で窘められ我に返る。 不規則に花びらの並ぶ中央通路を歩き終え、パチュリーが隣に来ると余計に、俺の心臓は早鐘のように鳴った。 当然の如く賛美歌斉唱や聖書の朗読は省略され、主役が揃ったところでお嬢様がいきなり宣誓を尋ね始める。 尤も、それはお嬢様が適当にアレンジを加えた物で、吸血鬼らしさのある神への誓いとはとても呼べないような代物だったが……。 俺とパチュリーは誓い合い。 式はついに、メインイベントを迎えた。 「それでは、誓いのキスを」 緊張し、震える手でパチュリーのヴェールを上げる。 だが、その下のパチュリーの幸せそうな表情を見て、俺の緊張は何処かへ消えてしまった。 「○○……」 「パチュリー」 互いの名を呼び合い、俺達は誓いの口付けを交わす。 それと同時に上がる参列者達の歓声、幽霊楽団の奏でる風変わりな結婚行進曲。 大きな祝福の音の嵐の中で、必要最低限の短過ぎる挙式は幕を下ろし始める。 私と○○の2人きりになった式場で少し休憩。 他の皆は既に外に出て、私達を待ち構えている。 「あとはブーケ・トスだけだな」 そう言ってホッとした様子の○○に釘を刺す。 「だけってなに? それも結婚式の内よ」 そう聞いた途端彼は再び緊張し始め、少し顔が強張ったようだった。 「そんな顔しない。 私たちの結婚式なんだから」 「そう、だな」 緊張しながらの不器用な笑顔と共に差し出された○○の手に、自分の手を乗せる。 「じゃあ行こうか」 「ええ」 私達は参列者達のもとへ歩を進める。 それだけじゃない。 私達はこれからずっと、2人で歩んで行くのだ。 表に出るとそこは、ブーケを狙う参列者達の殺気によってまるで戦場のようだった。 主役の私達なんてお構い無しだ。 それでも、 レミィは フランは 咲夜は 小悪魔は 美鈴は 紅魔館の皆は私達を見ていた……前言撤回。 フランは私達よりブーケの方に関心があるみたいだ。 興味津津で私の手元を見ている。 でも、それで充分だった。 幸福の絶頂の中で、この挙式の終わりを天へと投げ打つ。 我先にと手を伸ばす人々の上で、紅い月光の下で、ブーケは踊った。 ちなみに……披露宴、というより式後の宴会で…… 「○○、パチュリーの事泣かせたりしちゃ駄目だぜ」 「魔理沙には言われたくない。 いつも勝手に本持って行きやがって。 むしろパチュリーを泣かせてるのはお前だ。 というかそこの霊夢!! お前さっきから遠慮無しに飲み食いしてるがあのご祝儀は何だよ!? 綺麗な石って……貝殻って……」 「ここにくる途中、湖に落ちてたから拾ったの。 あんたに払うお金なんかないわよ! 結婚式は普通に考えれば家の神社でやるべきものなのにそれを…… 出席しただけありがたく思いなさい。 だいたいご祝儀持ってきたのなんて数えるぐらいしかいないじゃない」 「あんなのなら持って来ない方がましだ!! だいたいお前の神社で結婚式なんてやったらとんでもない額請求するだろ?」 「花婿さぁーん。 ちゃんと飲んでる?」 「ちょっ!? す、萃香ちゃん!? いきなり抱きつかないでよ! 痛いって! 角当たってるから!!」 「良いのがあるから一緒に飲もうよ」 「テキーラの有名銘柄? 何でこんな物が……」 「私が持ってきたのよ」 「紫さん!! 何てことしてくれるんですか!!」 「あら、お気に召さなかった? ○○は外から来た人間だから外のお酒のが好きだと思ったんだけど……やっぱりスピリタスの方が良かったかしら」 「それを持って来なかった事には感謝します……」 「さあ飲もー!」 「や、止めて萃香ちゃん。 お願いだからさ。 ラッパ飲みは無理だよ」 「大丈夫だって」 「駄目だこの人たち……パ、パチュリ~助けて」 「……知らない」 という感じに、○○は皆と随分楽しそうにしていたから放っておいた。 新婚旅行は無かった。 私達にそれは、必要なかったから。 特に旅行に向いている場所があるわけでもなかったし、行きたい所も無かった。 この図書館が2人の居場所で、本の傍こそが最も居心地の良い場所なのだ。 のんびりと本を読んで過ごすのが1番良い。 一緒にいられるだけで、他には何も要らない。 「私は○○のものよ。 ねえ、○○は?」 悲劇の前と同じ問いかけに、彼もあの時と変わらず、同じ答えをくれる。 その返事に嬉しくなって、私は隣に座る○○の肩に、頭を預けた。 彼に出会うまで、独りが寂しいなんて思わなかった。 でも、今は…… ○○がいつも傍にいてくれる。 ○○がずっと一緒でいてくれる。 自己満足のための、偽りの人形なんかじゃなくて、本当の○○が。 私の好きな、私を好きでいてくれる○○が。 私は1人じゃない。 それはとても……幸せだった。 だから私は、彼を失わない為に、考えていた計画を実行に移す事にした。 パチュリーの問いは、あの時のように涙に濡れたものではなく、問いというよりは確認に近いものだった。 その言葉はまるで、質の良い柔らかなベルベットのように俺の耳を撫でた。 彼女への気持ちは変わらない。 むしろ、その想いは以前よりも強かった。 だから、 「俺もパチュリーの物だ」 迷う事無くそう答えた。 俺の答えを聞いて、嬉しそうに頭を預けてきたパチュリーの髪を優しく撫でる。 それを彼女はくすぐったそうにしていた。 まさかあの時、パチュリーがあんな事を考えていたなんて、夢にも思わなかった……。 結婚式からもう一ヶ月か。 新婚生活は順風満帆その物だ。 今日はパチュリーと小悪魔は何か重要な魔導書を取りに行くとかで図書館の奥に消えてしまった。 俺は手伝いを断固拒否された事を不審に思いつつも、仕方ないので 適当な本を読みながら、2人が戻ってくるのを待っている。 「なんだ、○○だけか? 奥さんはどうしたんだ?」 唐突な声に顔を上げると、目の前に白黒の少女が立っていた。 「魔理沙……またうちの本を盗みに来たのか?」 「盗むなんて人聞きの悪い事を言うな!! 借りるだけだ!!」 屁理屈で弁解する魔理沙に、事前に作っておいた物を差し出す。 「何だこれ?」 「お前専用の貸し出しカードだ。 俺もパチュリーも寛容だから期限は一年にしてやる」 カードを受け取りながら、魔理沙は酷く気まずそうに苦笑した。 「わざわざ作ってもらって悪いんだが……たぶん意味無いぜ? 期限なんて守る気ないし」 「折角作ったのにそんな正直に言うなよ……」 そんなやりとりをしていると、奥から重なる足音と話し声が聞こえてきた。 「さすがにこれだけあると重いわね」 「パチュリー様大丈夫ですか? やっぱり旦那様にも手伝ってもらった方が……」 「これぐらい平気よ。 ○○に頼んでもし感付かれて逃げられでもしたらどうするつもり?」 「それはそうですけど」 感付かれるとか逃げられるとか……どういう意味だ? 「ふう、ただいま○○。 あら魔理沙、来てたの?」 思索に耽る俺を余所に、大量の本を抱えて戻ってきたパチュリーは魔理沙と話し始めた。 「どうしたんだパチュリー? そんなに本抱えて」 「初歩的な魔導書をあるだけ持ってきたの。 使う事なんて滅多になくて奥に押し込めてたから探すのに苦労したわ」 そんな物何に使うんだ? パチュリーには必要ないんじゃ――。 俺の頭に疑問が浮かんだのと同時、 「何に使うんだ?」 と、魔理沙が尋ねた。 「○○に魔法を教えようと思って」 「ええ!?」 「……」 パチュリーの言葉に魔理沙が驚きの声を上げ、余りの衝撃に思考が停止した俺は言葉を失う。 我に返ると、俺は訳も分からずに抗議した。 「ちょっと待て!! いきなり何言い出すんだよ!? 無茶だって!!」 「私はたかだか数十年で○○に死んでほしくないの! 私のために魔法使いになってちょうだい!」 それっきり黙り込む俺たち。 夫婦喧嘩は犬も食わないと言うが、本来の意味ではなく言葉通りに 「邪魔なようだから私はこの辺で失礼するぜ。 じ、じゃあな」 などと言って、魔理沙は盗る物はしっかり盗ってそそくさと帰ってしまった。 途端にパチュリーが沈黙を破る。 「ねえ、○○は私を置いて先に逝くつもりなの? 一緒にいてくれるって……傍にいてくれるって言ったじゃない! あれは嘘なの!?」 問い質すパチュリーに、俺は何も言い返せなくなってしまった。 その言葉と気持ちに、嘘偽りは無いのだから。 仕方ない、無謀な挑戦だが頑張ってみるか。 これも愛する妻の為……そう心の中で自分に言い聞かせ、覚悟を決める。 「嘘じゃない。 分かったよ……で、何から始めればいいんだ?」 俺がそう言うと、パチュリーが笑顔で本の山から一冊を取り出す。 「まずはこれから始めましょう。 いずれは得意なのを重点的に鍛えていきたいんだけど、どうせならあんまり見た事の無い類いの物が良いわね。 召喚魔法とか身体能力強化とか――」 パチュリーは熱心に語りながら、新しいオモチャを買ってもらった子供のように、嬉しそうに本の山をごそごそと漁りだした。 何か不安だ。 「落ち着いて下さいパチュリー様! 旦那様は逃げないみたいですから!」 とりあえず今日のパチュリーの体調は絶好調のようだった。 徐々に熱を上げていくパチュリーは手近な本棚からも本を取り出し始める。 「最終的にはこの辺りが良いかしら」 そういって差し出された古めかしい本に、俺は首を傾げた。 「何だこれ?」 「レメゲトンだけど」 題を聞いた瞬間、勝てる見込みの無いゲームに全財産をBETしたような気分になった。 パチュリーは今、俺が1から始めるド素人だという事を忘れてるんじゃないだろうか? 「いきなりそんな有名所を出されても困るんだが……。 最終目標はいいから基礎的な事から教えてくれ」 「ごめんなさい、熱くなり過ぎたわ。 それじゃあさっきも言ったように最初はこれから始めましょう。 割と簡単だから安心して。 まず――」 パチュリーは魔導書の内容だとか、どういった言語で書いてあるとか、鍵がどうのなど説明してくれているが、 それで俺に解った事は、読めるようになるまで相当苦労するという事だけだった。 とりあえず外の魔導書を選択してくれた事にだけ感謝する。 元々は外の世界にあった物だと思うと、少しはなんとかなりそうな気がした。 あくまで少しだし、鍵やら何やらで大変そうだが……。 しかし、本当に前途多難で、先行き不安だ……。 「ちょっと○○聞いてるの? ○○?」 ~エピローグ~ 過去の物語は○○の目覚めの兆候と共に薄れて行く。 「あれからも色んな事があったね」 そう呟くと、彼が小さな呻き声を上げた。 聞こえたのだろうか? 私は本を閉じ、もうすぐ居眠りから起きるであろう○○の寝顔を眺めた―― まどろみの中の追憶から、覚醒と共に、意識は現在へと引き戻される。 どうやら座ったまま寝ていたようだ。 目が覚めるのと同時に、図書館に充満する独特な匂いが鼻を突いた。 でも、この匂いは嫌いじゃない。 これは、この図書館と本たちが歩んできた年月の香り。 それは、俺達が歩んできた年月でもあった。 「○○? 起きたの?」 「ああ……」 顔を横に向けると、椅子に座ったパチュリーが本を膝に置いてこっちを見ている。 優しい表情だった。 「昔の夢を見てたよ」 「奇遇ね。 私も○○が寝てる間、昔の事を思い出してたの。 告白された時から今までの事」 「不思議だな……2人共、同じ時に昔を振り返るなんて、やっぱり夫婦だから気が合うのかな?」 俺がそう言うとパチュリーは可笑しそうに笑った。 「そうかもね」 「何だよ。 笑う事無いだろ?」 文句を言いつつ、俺も自然と笑みが浮かんだ。 2人で、過去と現在を思い、笑い合う。 「愛してるよ、パチュリー」 「私も」 どちらからともなく、唇が触れるだけの軽いキスをする。 「はぁ……。 御2人とも、いったいいつまで新婚気分でいるおつもりですか?」 唇が離れるのとほぼ同時、溜息交じりの小悪魔の声が聞こえてきた。 「たぶん死ぬまで」 俺の返答に、小悪魔はうんざりした顔で抗議する。 「勘弁して下さい……少しは見せつけられる方の身にもなって下さいよ!! 毎日毎日イチャイチャし過ぎです!!」 「実害は無いんだから良いでしょ? それとも貴女は私達に夫婦喧嘩でもして図書館に不穏な空気を流せって言うのかしら」 「そこまでは言いませんが私の心に実害はありまくりです」 「それぐらい我慢してちょうだい」 言い合うパチュリーと小悪魔に、俺は苦笑を浮かべた。 そこにあるのはいつも通りの日常だ。 パチュリーと小悪魔と3人で過ごす、掛け値なしに幸福で、当たり前の日常。 今日は少し、この2人は虫の居所が悪いみたいだが。 それでも、幸せな事に変わりは無い。 「○○?」 1人感慨に浸っている俺に、棘のある感じでパチュリーが呼びかける。 「何だ? 結婚記念日のプレゼントに欲しい物でもあるのか? 分かってると思うが高いのは買ってやれないぞ」 冗談交じりで言った俺に、パチュリーはちょっと怖い顔をした。 「違うわよ。 ○○も小悪魔に何か言ってやってちょうだい! でもそうね……記念日は3人でのんびり過ごしたいかな。 ワインなんか開けて、本を読みながら」 「パチュリー様……」 「当然でしょ?」 「あの、その……先程はすみません」 小悪魔は申し訳なさそうに、ちょっと照れながら謝罪した。 微笑ましい光景を見て、物の入手を心配しつつ俺も口を開く。 「じゃあそれで決まりだな。 ワインが問題だが」 「レミィに言えば何本か用意してくれると思うわ」 とりあえずワインはなんとかなりそうだが、同時に別の心配事が浮上した。 あの享楽的なお嬢様の事だ……。 「本当に大丈夫かな……お嬢様の事だから、記念日を理由にパーティーとか開いたりしないか?」 「それは心配しなくて良いんじゃない? もしパーティーを開いたとしても、私達がいなくたって向こうは向こうで勝手に盛り上がるだろうし」 「それもそうか」 「記念日、楽しみですねー」 3人で談笑しながら、俺は居眠りする前に読み終えた、テーブルの上の本を閉じる。 それは同時に、物語の終わりを意味していた。 「○○。 これから先もずっと……一緒に記念日を祝おうね」 先に死なないで欲しい、という意味が込められているであろうパチュリーの言葉に 「時の許す限り」 そう答えた。 時の流れは止められない。 いつ死ぬかなんて……分からない。 俺の返答に、パチュリーは複雑な表情をした後、 「私達は例え死んだとしても一緒なんだから」 そう言って背筋の凍るような微笑みを浮かべた。 どうやら俺は、先に死んでもあの手この手でパチュリーに三途の川を渡らせてもらえなさそうだ。 そう思った瞬間、蜜のように甘い誘惑が俺の心を弄る。 そこまで想われてるなら、もう世の理なんてどうでもいいや。 どんな手を使ってでも、死んでも一緒にいよう。 どんなものにもいずれ終わりは訪れる。 でも、彼女はそんな前触れなんか消してくれる。 「まあ、それもありかな」 苦笑混じりに呟いた俺に、パチュリーが抱きついてくる。 「大好き」 小悪魔は抱き合う俺達を見て、微笑んでいた。 こうして追憶の物語が終わり、読み終えられた本は長い眠りにつく。 いつかまた、俺が いつかまた、私が 過去を思い返すその日まで……。 「乾杯」 「乾杯」 「乾杯」 全ては三つのグラスの赤に吸い込まれていった―――― The End 10スレ目 286 ─────────────────────────────────────────────────────────── ***幽香「桜花之恋塚」と↑のコラボです 「結婚おめでとうございます」 「大変なのはこれからだがな――ありがとう」 図書館の外れ、物置同然の部屋で、カップを鳴らす音が響く。 部屋には、乱雑に置かれた雑誌類、古ぼけたテーブルと草臥れた椅子、 そしてそこに座り、カップの中身を消費する二人の人影がある。 あたりに漂う香りは珈琲。 昼間から酒を飲む趣味は、この二人には無いらしい。 「しかし――お前が自分からご足労とはね――『留年皇』」 人影の片方――作業着と思しき革のツナギ姿の小柄な青年が、黒い霧を吹いた。 もう一方、着崩した司書服の男は「ぅわ汚な」と、トレーでそれを回避。自分と周囲の本を守った。 「その名で呼ばんといてくださいorz」 「はっはっは」 お互いの存在を知ったのは、互いの伴侶の邂逅と時を同じくする。 とはいえ、何か大事があったわけではない。 『留年皇』の伴侶は、この館の庭の花園と、上質の紅茶を目当てに、時折ここを訪れる。 その折に、館の主は勿論、七曜の魔女と会うこともある。 ならば、その傍らに連れ添う者同士に縁があるのも無理は無い、というだけの事。 ごほごほと咽ていた青年が、それは置いといて、と話題を変える。 「まあ、困った事があったら、何でも言ってください。 人外付き合いも、結婚生活も、こちらの方が先達なので」 「あー、その事なんだが、な」 早速、相談がある――。 そんな色がありありと現れた表情で、司書の男はしかし、言い淀んでしまう。 作業着姿の、まるで用務員のような青年は、それを茶化す事も急かす事もせず、ただカップの中身を継ぎ足し、言葉を待つ。 ややあって、言葉を選びながら、重々しく沈黙が解かれた。 「うちの奥さんさあ――嫉妬深いんだよ」 「まあ良くある話です。でもどんな風に?」 努めて軽く、しかし真剣に。 聞き上手の手本のような仕草で、意見を聞き出して行く。 「特にきついのが、視線の置き方でな? ほら、黒いのとか人形師とか、色々客が来るだろ?」 成る程、と思案げに目線を天井へ向ける用務員。 「あの人たちも可愛いですからね」 「ああ。パチュリーが一番愛らしいがな」 「でも、パチュリーさんは、その気持ちを汲んでくれない、と」 話が早い。と諸手を上げ、司書は「降参」のジェスチャーを示した。 「元を辿れば、騒動の一因だからな。 そこが可愛い所でもあるんだが――あんま頻繁だと、お互いに宜しくない。 ――単刀直入に言うが、良い知恵は無いか?」 上手く、場の空気を和らげられれば良い。 とは言っても、普段が比翼連理を地で行く間柄である。 どちらかが折れる、譲るというのは、互いの性分に合わない。 「――ふむ」 ひとつ、思い付きました、と。 作業着のポケットの一つから、何かを差し出す用務員。 「……グラサン?」 「ミラーシェイド、っていうとお洒落ですよ?」 縁が無く、蔓は鍵型ではなく棒状で、ただ骨格に適度な弾力でフィットし、保持されるタイプの色眼鏡。 職業柄、日向の苛烈な日差しから目を守る目的で、掛けているのだという。 司書は訝しげながらも手に取り、それで、と先を促す。 「目線を隠せます」 「あー?そりゃ尚の事失礼だと思うんだが」 だからですね、と。 用務員は、ある台詞を呟いた。 「……そりゃ、用法が違わないか?」 「いえ、だから、ちょっと捻った使い方を」 そうやって、青年のレクチャーは続いた。 最初は不審げだった司書の顔も、徐々に合点が言ったのか、頷きが深くなっていった。 「いやー、あのフラワーマスターを口説き落としただけはある」 「雑学が多いだけですよ」 「まあ確かにそんなに趣味人じゃあ、留年もするわな」 「……一言余計ですorz」 ――そして、実践編と相成る。 先制から、司書の奇行は極まっていた。 「あ、あのー○○さん?」 「何だ?」 「し、室内でサングラスを何故?」 「ミラーシェイドだ――格好良いだろう?」 薄暗い室内で、必要も無いのに色眼鏡を掛ける男。 幸か不幸か、精悍な顔立ちに、その鋭角なワンポイントは、意外なほど似合っていた。 だが、そんな彼の姿に、終始不機嫌な者が一名。 「目悪くなるぜー?」 「お気遣い有難う、魔理沙――おや、リボンの色を変えたのかい?お洒落だね」 「……お前、やっぱそれ外せよ」 黒白に楽しそうに世辞を吐き。 「アリスこんにちは。えーっと、今日連れているのは――上海?」 「違うわ」 「じゃあ蓬莱」 「オルレアンなんだけど」 アリスと漫才をしてみたりするが。 「……」 「ぱ、パチェ、目が怖いわ」 「あらレミィ、大丈夫よ?私は絶好調。 ――今なら、ロイヤルフレア詠唱破棄出来そうな程度には」 よりにもよって、今日一日。 パチュリーの方は、一度も向いていないのだ。 魔女の機嫌は、見る見るうちに悪くなり―― べきり、と。 鈍い音を立てて、魔道書の鉄と革の装丁に、その細い指が突き立ち。 それを見たレミリアが、全速力で図書館から逃げ出した。 「どういうつもりよ!?」 「何を?」 「な――それを私に言わせる気!?」 「まあ怒鳴るなパチュリー、目が血走っているぞ」 「貴方のサングラスが赤いのよ!?」 「ミラーシェイドだ」 「どっちでも良いわよッ!!」 案の定、その日の暮れに、とうとう爆発。 夫婦喧嘩の時間と相成った。 ただこの光景もまた、いつもとは違っていた。 一方的に捲くし立てるパチュリーに対し、彼は反論するでもなく、ただ曖昧に応答するのみ。 口論というよりは、一方的な小言であった。 「……聞いているの?」 その態度に、息を整えて、しかし声のトーンを落として睨み付けるパチュリー。 もはや険悪な空気が渦巻いて見えるような状況で―― 「聞いてない」 「――え?」 男が、意外な一言を放った。 男は漸くミラーシェイドを外し、目頭を揉みながら、あのな、と続ける。 「――『眼鏡の下は、別の女性を物色中』って台詞、知ってるか」 「……ええ、身分を偽る影武者の女王に対して、側近の男が吐いた台詞ね」 『眼鏡の上からは、仕えるべき人として。眼鏡の下では、愛しき女として』。 そんな意味の込められた、この上なく芝居がかった台詞。 「って説明に――」 「違う。俺の場合は、そんなに捻った使い方はしてない」 訝しがるパチュリーの目の前で、「あー目が痛え」と呟いた彼の瞼が、漸く開き、 真剣そのものの視線が、パチュリーの瞳を射抜く。 それまでの態度から一転した彼の様子に、先程までの剣幕は何処へやら、 パチュリーの瞳は、戸惑いと、一抹の不安さえ見せていた。 それを、静かに見つめて、さて、と一息。 「じゃ、パチュリーはずーっと俺を見ていたわけだ?」 「……ええ、見ていたわ」 「なら答えられるな――問題です」 その一言と共に。 「!?」 彼が一息に踏み込み、パチュリーに詰め寄る。 背後の本棚に両手を置き、彼女の左右を塞ぐ様に詰め寄った。 互いの吐息を、鼻先に感じるほどの、至近距離。 あまりの強引且つ脈絡無いその展開に、魔女はとうとう怯えの色さえ見せ始めた。 しかし、彼はその強引な態度と裏腹に―― 「今日一日、俺がパチュリーの顔を、どんだけ向いていたっけ?」 努めて、優しい声で、呟いた。 「……」 何を言われたのか、解らない。 そんなパチュリーの表情が、数秒ほど続き―― 「!!」 一転。 普段血色の悪いその容貌が、紅一色に染め上げられる。 そう。 彼は一度も、パチュリーを見ていないのだ――眼鏡の上からは。 「……以上、説明終わり」 その姿に、してやったりな笑みを浮かべる。 あんだすたんど?と回答を求める彼に、蕩けた表情のまま、彼女は辛うじて頷いて見せた。 「さて、じゃ――埋め合わせだ」 その彼女との距離が、零になる。 「ん――!?」 あまりに唐突で、強引なキス。 パチュリーの目が一瞬、驚きに見開く。 「――」 だが、彼は止めない。 優しく、だが硬く彼女の身を抱き寄せ、その唇を音を立てて味わう。 「――ん――む――」 彼女もまた、身体の力を徐々に抜き、彼の背に手を置き、身を預けていった。 「――は」 彼女の無呼吸記録を軽く塗り替える時間を置いて、二人の唇が離れる。 恍惚に震える彼女は、残滓を取り払うのももどかしく、 「……○○……○○……」 熱に浮かされた声で、愛しい人の名前を呼ぶ。 「……二人っきりの時は」 その声に答えるように、彼は、想いの丈を言葉に乗せた。 ――ずっと、君だけを見ているから。 彼女は、涙さえ流して、彼の瞳を見つめ返し―― 「見るだけじゃ……嫌」 自分より背の高い彼を、抱き寄せる。 彼の身体は、軽いはずの彼女の重みに負けて、次第に下がり―― 「――確かめて。確かめさせて」 かしゃん、と。 彼が手に持っていた色眼鏡の落ちる音がして。 ランプに照らされた、二人の影が、重なった――。 「おう留年皇!やったぞ!」 「それはそれは――って留年皇言うな!?」 「しっかし、よく思いつくな!?あんな臭い言い回し」 「あー、あのですね」 「ん?」 「実は、試したんですよ」 「あの、花のお嬢さんにか」 「結果、どうなったと思います?」 「さあ?」 ――色眼鏡で私を見るたあ良い度胸ね!! ――え?いや、これは色々と事情gあー O)))) _/L 「見事に首が飛びましたよ。 問答無用、前座の仕込みも出来ませんでした。 いやー、見事に残機、減りましたねぇ」 ←※現在、蓬莱人 「そ ん な も ん を 俺 に 勧 め た の か ッ !!?」 「まあ貴方ですから。 ほら、本読んでいるから、語彙とハッタリでどうにでも――あ、待ってください、椅子はヤバイd」 「そ の 首 貰 い 受 け る ッ」 (豪快に何かが飛び散る音がしました) 10スレ目 300 ─────────────────────────────────────────────────────────── 〇〇「いきなりだが魔法を教えてほしい」 パチュ「本当にいきなりね」 〇〇「頼む!」 パチュ「却下」 〇〇「うう。……いいよ、アリスに頼むから」 パチュ「―― 待ちなさい」 〇〇「なに?」 パチュ「魔法は明日から教えてあげる。だから、アリスの所には行かないで」 〇〇「ん、わかった。今日はパチェで遊んでる」 パチェ「……好きなだけ遊びなさい」 どうやって遊ぶのかは内緒 というか思い付かぬ 7スレ目865 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「…で、パチェで遊ぶと決めたわけだが! ……何しようか」 「その前に、『で』じゃなくて『と』でしょ」 「んにゃ、『で』が正しい」 「妖しい響きね……。それで、具体的には?」 「とりあえず乳繰り合おうか」(ワキワキ) 「え……何その手!? ちょっ、待って、心の準備が……」(後ずさり) 「問答無用っ!」(こちょこちょ) 「ぁ……ダメっ・・・…そんなとこ…触られたらっ…!」(頬を染め) 「へっへっへ、可愛い声出すじゃねぇか嬢ちゃんよ」(興奮してきたお) 「んっ! だめ……だって、ふぁ……」(口が半開きになって) 「へっへっへ、観念しなっ」(やめられないお) 「ふぁ…………ふぁ……………………ふああああああっくしょん!」 「……………………パチェ」 「ななななに!? ○○が悪いのよ! あんなとこ触るから!」 「だからってくしゃみは無いと思うぞ」 「うるさいわね! とにかく、謝りなさい!」 「何で俺が…………」 「うるさいうるさいうるさい! あやまれ~~~~!」(じたばた) 「はいはい、すみませんでした」 「むきゅ~~!! 誠意が感じられないっ、もう一回!」(じたばた!) 「…………(なんでツンデレ仕様なんだ)」 7スレ目868 ─────────────────────────────────────────────────────────── 〇〇「……仕方ないなぁ」 ぎゅっ パチェ「ひゃっ!いきなりなによ」 〇〇「ごめんね、パチェ。ちょっと調子に乗りすぎたよ」 パチェ「わ、分かればいいのよ」 〇〇「ありがとう」 パチェ「何で礼を言うの」 〇〇「? パチェが許してくれたからだよ」 パチェ「そう」 〇〇「さて、改めてパチェで遊ぼ「却下」えー」 パチェ「『と』ならいいけど『で』はダメ」 〇〇「そっか。……たまには無理矢理もいいよね?」 パチェ「無理矢理って―― ちょっと、本を取らないで」 〇〇「駄目。今日はパチェには抱き枕になってもらうから」 小悪魔(熱いなぁ) 7スレ目871 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○「パチュリー」 パ「…………」 ○「ぱっちゅさーん」 パ「…………」 ○「パチェー」 パ「…………」 ○「紫もやしー」 パ「…………」 ○「……反応無しですか」 スゥーーーーーー ○「パチュリーーーーーーーーー!!!」 パ「不下うwさmさえふぃh&7dふぇえw8!!??」 ○「ああ、やっと気づいたか」 パ「ま、○○?なによいきなり大声出して」 ○「何って何度呼んでもパチュリーが返事をしないから大声出して呼んだだけだ」 パ「……悪かったわよ」 ○「で、なに読んでるんだ?」 パ「○○には関係ないことよ」 ○「ふ、お前のことで俺に関係ないことなんて一つもないんだよ」 パ「…………馬鹿」 ○「と、言うわけでパチュリーが読んでる本GET」 パ「あ……」 ○「結婚雑誌?」 パ「な、なによ悪い?」 ○「いや悪いなんてことはないけど……パチュリーって結構結婚願望あるんだなーって思ってさ」 パ「べ、別に結婚願望があるわけじゃないわ、ただ……」 ○「ただ?」 パ「ま、○○と結婚したいと思っただけよ////」 ○「うおぉーーーーーー!!パチェーーー!!好きだーーー!結婚しよーーー!!」 だきっ! パ「むきゅー!?」 7スレ目962 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「……ふぅ」 手が届かない。どうしたものか。 目当ての書籍を前にして、悩んでいると 影が私を覆った。 「はい、どうぞ。パチュリー様」 「あ、ありがとう、○○」 (いつのまに後ろに……?) 「そこの本棚に用事があったのですよ。苦戦しているパチュリー様が見えましたので、そのついでです」 尋ねてもいないのに答えが返ってくる。 (顔に出ていたのかしら……それよりも) "苦戦している"、ということはとどのつまり。 ジャンプやら背伸びまでして取ろうとしていた姿を (見られてた――!?) 最初から見ていたのならすぐに手伝いなさい、と叫ぼうと後ろを振り向いた時には既に遅く。 彼は遠い本棚の隙間へと消えていた。 彼が、どうして此処へ来たのか、私は知らない。 この館の主である吸血鬼のレミリアにどういうわけかいたく気に入られ、 身の回りの世話はメイド長がしているということで図書館の司書に、ということだった。 人間にしては細かい所まで目が行き、司書としての働きは悪くない。 何しろ乱雑に並んでいるだけだったこの図書館の膨大な書籍を 彼は一月足らずで分類別、かつアルファベット順に並び替えるという所業をやってのけたのだ。 それは知識を得ることが容易になったということでもあり 私にとっては、とてもありがたいことでもあった。 司書として優秀なのは上述した通り、なのだが 彼は一切の素性を伏せている。 「別にいいじゃないですか、そんな事」 といって、何度尋ねても笑って誤魔化す。 そもそも、レミリアに何の段取りもなく謁見したということは、あの門番を倒してきたということで。 (……ただの人間に、役立たずとはいえあの門番が倒せるのかしら) 只者ではないということは確かである。 「よし……と」 今日の仕事も滞り無く終わった。 魔理沙という魔法使いの少女が、「読み終わったから返すぜ」と 3ケタになろうかという本を持ち寄った時にはさすがに面食らったけれど。 いつものようにパチェリー様は本を読み耽っている。 本当に知識欲が旺盛な方だ。 件の本の山もようやく棚に戻し終え、帰りに苦戦するパチェリー様を手伝い、今に至る。 「さて、やることが無くなりましたね……どうしましょうか」 家事に関しては一般人程度にはできるものの、この館のメイド長には遠く及ばない。 手伝おうかとも思ったけれど、また「私の仕事までやらなくてもいいのよ」とやんわり拒絶されそうだ。 (お茶を淹れるくらいなら問題は無いでしょう……さて、キッチンはどこでしたっけ) 廊下を歩いているメイド(妖精)の誰かに尋ねれば分かるかな。 パチュリーの反応楽しみにしつつ、鼻歌交じりで廊下へ続くドアを開けた。 「あら、○○。仕事はどうしたの?」 廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。 「おや、咲夜様。本日の仕事でしたら、全て滞り無く終わりましたよ」 「途中で魔理沙が本を返しに来たはずだけど、それも含めて?」 「ええ、勿論」 「まだ夕刻には程遠いのに……凄いわね」 感心するように溜息をつく咲夜様。 「それ程の事でもございませんよ。図書館という、小さな空間での事ですから……それよりも、昨夜様?」 貴方に言いつけてある仕事の量なら、夜までかかるはずなのだけれど、と呟いていたメイド長に、尋ねる。 「あ、ええ……何かしら?」 「キッチンは、どこでしょうか?」 「さて、こんなものでしょうか」 咲夜にキッチンの場所、ポット、茶葉、ティーカップの在処を尋ねた後、別れてからキッチンに辿り着くまでおよそ15分。 (想像以上に広いですねぇ、この館は……) 妖怪の類や、人間のハズなのに飛べるメイド長からしたら短いのかも知れないけど、徒歩ではいささかキツい。 「保温ポットが確かここに……ああ、ありました」 時間を考えると淹れてからそのまま図書館に戻るようでは冷めてしまう。 淹れたお茶を保温ポットに移しなおし、腕に抱えて歩き出す。 (喜んでくれるといいのですが) 「パチュリー様? ああ、そちらにいらしたんですね」 「○○? どうしたの?」 「いえ、喉が渇いたかと思いまして。お茶をお持ち致しました」 壁の時計を見やる。丁度アフタヌーンティーくらいには丁度いい。 要不要の声も聞かずにポットからカップへお茶を注ぐ○○。 ただし、そのお茶は暗がりで見てもやや青い。 「……何ソレ、毒?」 今まで見たことがない色のお茶であったため、少々警戒を抱く。 「まさか、とんでもない。私も飲むのに毒を入れるわけが無いじゃないですか」 そうして淡々と二つのカップにお茶(?)を淹れ終わり、私に一つ差し出す。 「では、ご賞味くださいませ」 「本日のお茶はマロウブルーティーです。ちょっとしたハーブティーですよ」 喘息持ちの彼女の為に、直接的ではないが、喉へ良いと書かれていたお茶を差し出す。 まさか茶葉の棚にハーブティーまであるとは予想もしていなかった。 普通の紅茶を淹れようと思っていたのだが、目的のハーブを見つけたのでそれを淹れることにした。 「効果は?」 「さて。"知識"の名を冠す貴女なのだからもうご存知だと思っていたのですが」 「もったいぶらずに教えなさいよ」 「万病の予防になると言われています。喉や声に特によく効くのだとか」 素っ気無く言い、そのまま自分の分に口をつける。うん、苦い。 彼女の分には砂糖を一応つけておいたのだが、自分のを用意するのを忘れるとは……不覚。 「それなりに苦いですから、砂糖をつけることをオススメしますよ」 ちょっと顔をしかめつつ、笑顔で忠告をくれる○○。 なんでこうも気がよく回るのだろう。 なんでここまで優しいのだろう。 何故、色んなことを知っているのだろう。 私でも知らないことが、あるのに。 「パチュリー様?」 呆けてしまっていたらしい。私としたことが。 「え、ええ……わかったわ。ご忠告ありがとう」 「どういたしまして。残りはここに置いていきますね。保温ポットですからしばらくは持つはずです」 「貴方はどうするの?」 「明日の仕事になりそうな事をあらかじめ片付けておきます。 カップ等を下げたくなったらお呼び下さい。すぐに参ります」 それだけ言って自分のカップを手に踵を返す○○。 「ねえ、○○」 ふと、口から零れてしまった。 「どうかしましたか?」 「これからは、私のことは呼び捨てでいいわよ。何ならパチェ、でもいいわ」 彼の事が、もっと知りたい。 私の中の知識欲に、小さな火が灯る。 「しかし、貴女は私の主の御友人。そうそう無礼をはたらくわけには」 「良い、と言っているのよ。わからないなら命令よ、コレは」 「……承知致しました。パチュリー。…これでよろしいですか?」 「ええ。下がってもいいわ」 「御意に」 彼の姿が見えなくなってから、自分の顔を抑える。 (言っちゃった…言っちゃった…!) 今、顔はきっと火のように赤いのだろう。 でも、それはそれで良かったような気もする。 これから、少しずつ仲良くなればいいのだから。 少しずつ、知っていけばいいのだから。 うpろだ547 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「あら○○、お茶の時間かしら」 「はいパチュリー様、レミリア様が呼ばれていますよ」 「ありがと・・・どう?紅魔館にはなれたかしら?」 「・・・まぁ、まぁと言った所です」 少し言いよどんで眼を背けた その様子からまだなじめないでいるのは解かる 「・・・人間と言うのは慣れるイキモノよ、人間だった貴方も例外ではないわ」 「そう・・・だといいんですが」 「慣れるわ、人間は人殺しすら慣れてしまうもの」 そう言って彼女は可笑しそうに笑った 俺を残して彼女はお茶を飲みに行った、俺はとんでもないところに来たと再認識した 「あら・・・何をやってるの?」 「あ、パチュリー様、少々散らかっていたので本の整理を・・・埃も溜まっていますよ、喘息にはよくありません」 「・・・あ、ありがと」 そのまま片づけを再開した、埃が立つので数冊の本を持って出て行ってもらった 「何か片付けが楽しくなってきた・・・」 「おいパチュリー!本を借りに来たぜ!」 ドアを乱暴に開け放ち白黒が登場した 「出たな白黒!この図書館は清掃中だ!貴様の好きにはさせん!!」 「おのれ○○!またしても私の邪魔をするか!」 なんとノリのいい魔法使いだ、絶対特撮見てやがる 「と、言うわけで清掃中だ、悪いが今日は帰れ」 「ああ、邪魔して悪かったな、仕事がんばれよー」 立った数分で退場、白黒の出番は基本的に少ないらしい ふいてはわいて、本を整理して、一段落したので開けている窓を閉めようと 「え?」 うっすらとだが空が白み始めている 「・・・徹夜か・・・パチュリー様怒ってるかな」 「怒ってないから安心しなさい」 「そっかーそれなら・・・!?パチュリー様!」 「おはよう○○、もう6時ぐらいかしらね」 図書館を見て回るパチュリー、それをびびりながら見る○○ 「綺麗になったわね・・・ありがとう○○この図書館も喜んでると思うわ」 「い、いえもったいないお言葉です、はい」 「ふふふ・・・いい子ね、使い魔にしたいぐらい・・・レミィ怒るかしら」 「そ、それは」 「その気になったらいつでも言いなさい、すぐに僕にしてあげるわ」 「は、はい考えておきます、それでは」 彼女の読書を邪魔すまいと思い図書館を去ろうとしたとき 「○○・・・本当に色々と、ありがとう」 今世紀最高(当社比)の笑顔をくれた、朝日をバックにした彼女の笑顔は最高だった 「眼がー眼がー!!灰にー」 日の光を浴びる莫迦な吸血鬼、色々台無し 終 8スレ目 562 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/tanqroku/pages/27.html
加入条件 紅魔館10階で撃破。 初期装備:魔法書、帽子 能力 HP LP AP1 AP2 AP3 腕力 器用さ 知力 敏捷 体力 精神 霊力 耐性 防御 備考 Lv.1 20 28 1 1 0 3 4 9 4 3 5 0 - 熱5 冷5 天5 地5 妖怪特効の対象 Lv.50(V1.01) 401 772 9 6 3 16 22 49 22 16 27 0 Lv.99 1500 2499 18 12 6 30 40 90 40 30 50 0 アビリティ アビリティ名 Lv. OP 効果 属性 依存パラ 範囲 溜め 消費呪力 消費AP 条件 備考 1 2 3 焦熱 1 1 魔法 知力 敵範囲 0 2 × × × なし 2 1 敵範囲 0 2 ○ × × 集熱Lv.1 3 2 敵全体 0 2 × ○ × 集熱Lv.2 太陽光線 1 1 魔法 知力 敵範囲 0 1 × × × 集熱Lv.1 2 1 敵範囲 0 1 ○ × × 太陽光線Lv.1 3 2 暗闇効果 敵範囲 0 1 × ○ × 太陽光線Lv.2 落雷 1 1 対空特効 魔法 知力 敵単体 0 1 × × × 太陽光線Lv.1 2 1 対空特効 敵単体 0 1 ○ × × 落雷Lv.1 3 2 対空特効 敵範囲 0 1 × ○ × 落雷Lv.2 クロスファイヤー 1 1 魔法 知力 敵単体 0 1 ○ × × 集熱Lv.1 2 1 敵単体 0 1 × ○ × クロスファイヤーLv.1 3 2 敵単体 0 2 × ○ × クロスファイヤーLv.2 サーマルバリア 1 1 冷熱属性を無効化する盾を作る 魔法 自身 0 0 ○ × × クロスファイヤーLv.1 2 2 冷熱属性を無効化する丈夫な盾 自身 0 0 ○ × × サーマルバリアLv.1 吹雪 1 1 敏捷ダウン効果 魔法 知力 敵範囲 0 2 × × × なし 2 1 敏捷ダウン効果 敵範囲 0 2 ○ × × 吹雪Lv.1 3 2 敏捷ダウン効果 敵範囲 0 2 × ○ × 吹雪Lv.2 烈風 1 1 対空特効 魔法 知力 敵範囲 0 2 × × × 吹雪Lv.1 2 1 対空特効 敵範囲 0 2 ○ × × 烈風Lv.1 3 2 対空特効 敵範囲 0 2 × ○ × 烈風Lv.2 異界の風 1 1 腕力ダウン効果 魔法 知力 敵範囲 0 2 × × × 烈風Lv.1 2 1 腕力ダウン効果 敵範囲 0 2 ○ × × 異界の風Lv.1 3 2 腕力ダウン効果 敵範囲 0 2 × ○ × 異界の風Lv.2 冷たい手 1 1 気絶効果 魔法 知力 敵単体 0 1 ○ × × 吹雪Lv.1 2 1 気絶効果 敵単体 0 1 × ○ × 冷たい手Lv.1 3 2 気絶効果 敵単体 0 2 × ○ × 冷たい手Lv.2 氷バリア 1 1 1ターンのあいだ射撃と冷を回避 魔法 自身 0 0 × ○ × 冷たい手Lv.1 2 2 1ターンのあいだ射撃と冷を回避 自身範囲 0 0 × × ○ 氷バリアLv.1 水弾 1 魔法 知力 敵単体 0 1 × × × はじめから 2 1 敵単体 0 1 ○ × × 水弾Lv.1 3 2 敵単体 0 1 × ○ × 水弾Lv.2 豪雨 1 1 魔法 知力 敵全体 0 2 × × × なし 2 1 敵全体 0 2 ○ × × 豪雨Lv.1 3 2 敵全体 0 2 × ○ × 豪雨Lv.2 クロスサンダー 1 1 魔法 知力 敵単体 0 1 ○ × × 豪雨Lv.1 2 1 敵単体 0 1 × ○ × クロスサンダーLv.1 3 2 敵単体 0 2 × ○ × クロスサンダーLv.2 地響き 1 1 スタン効果 魔法 知力 敵全体 0 2 × × × なし 2 1 スタン効果 敵全体 0 2 ○ × × 地響きLv.1 3 2 スタン効果 敵全体 0 2 × ○ × 地響きLv.2 振動波 1 1 体力ダウン効果 魔法 知力 敵全体 0 2 × × × 地響きLv.1 2 1 体力ダウン効果 敵全体 0 2 ○ × × 振動波Lv.1 3 2 体力ダウン効果 敵全体 0 2 × ○ × 振動波Lv.2 シールド 1 1 あらゆる攻撃を一度だけ回避 魔法 自身 0 0 × ○ × クロスサンダーLv.1振動波Lv.1 2 2 あらゆる攻撃を一度だけ回避 味方単体 0 0 × × ○ シールドLv.1 初期呪力増加 1 パッシブ 太陽光線Lv.1烈風Lv.1豪雨Lv.1 ジェリーフィッシュプリンセス 1 1 攻撃を一定回数回避 魔法 自身 0 0 × ○ × 豪雨Lv.2 2 1 攻撃を一定回数回避 自身 0 1 × ○ × ジェリーフィッシュプリンセスLv.1 3 2 攻撃を一定回数回避 自身 0 2 × ○ × ジェリーフィッシュプリンセスLv.2 賢者の石 1 1 術のコストをなくす 魔法 自身 0 0 × × ○ 落雷Lv.1豪雨Lv.1振動波Lv.1 2 1 知力上昇 術のコストをなくす 自身 0 1 × × ○ 賢者の石Lv.1 3 2 知力3段階上昇 術のコストをなくす 自身 0 2 × × ○ 賢者の石Lv.2 サイレントセレナ 1 1 魔法 知力 敵全体 0 0 × × ○ 振動波Lv.2 2 1 敵全体 0 1 × × ○ サイレントセレナLv.1 3 2 敵全体 0 2 × × ○ サイレントセレナLv.2 ロイヤルフレア 1 1 魔法 知力 敵全体 0 1 × × ○ 太陽光線Lv.1クロスサンダーLv.1 2 1 敵全体 0 2 × × ○ ロイヤルフレアLv.1 3 2 敵全体 0 3 × × ○ ロイヤルフレアLv.2 備考 最大火力はNo1?強すぎる知識と日向の少女 パッと見てまず目を引くのが、素の状態でも一線級の高い知力である。 逆にそれ以外のステータスは見るも無残というほか無いが、補って余りあるだけのものはある。 体力が病弱一般人である阿求より低く、BPで補強したとしても前衛は絶対に任せられないが、 HPとLPはそこまで低い方ではないので、装備に気をつければさほど問題にはならない。 腕力と同じくらい敏捷も低いが、これはPTによってはメリットにもなるため、気にする必要は無い。 雑魚の掃討からボスの駆逐まで、幅広く活躍できるだろう。 アビリティはほぼ全ての魔法を網羅しており、いささか豊富すぎて迷うほどの数がある。 上位アビリティを使うための前提条件も多いので、最終的にかなりの種類を覚えることになる。 ステータス画面からよく使うアビリティを上のほうに持ってくれば使い勝手は多少マシにできる。 純火力キャラだけあって、どの魔法も育てれば相当の威力になるので、 自分の好みに合わせて、バラエティー豊かな育て方を楽しめるキャラである。 なお、編成能力の「新魔法党」を発動させれば、火力は更に上がる。こだわりが無いなら狙ってみて欲しい。 育成 序盤はずっとガマンの子 近接型のアビリティを所持せず、おぼえるのもEN消費型ばかりなので1ターン目から動きにくい。 金烏玉兎集を手に入れれば格段に使い勝手が良くなるので、まずそれを狙っていきたいところ。 幸い、攻撃アビリティとして最初から覚えているのが、威力も高く終盤までお世話になる「水弾」なので、 序盤から知力に絞ってBPを振っていけば、例え武器が無くても十分戦えるのがありがたい。 またAPは増えにくいほうなので、最初のうちはLv1で止めておくべきアビリティも多い。 AP3が使える様になってからが本番なので、そこまで頑張って育てよう。 後衛とはいえ、相手によっては攻撃を食らうため、HPは並行して伸ばしていくと一撃死が少なくて済む。 精神と体力は、最終的に防御をあまり気にしなくて良いほど火力が上がるので、無視してしまっても構わない。 豊富なアビリティから選ぶべきもの 以下に、取得されやすいアビリティについてまとめる。 水弾 初期から使用可能、Lv1のままならAP消費が無く、基本攻撃として使い勝手が良い。 またどういうわけか基礎攻撃力が非常に高いため、最後まで主力として使用していける。 Lv2にあげるとAPを消費するようになり使い勝手が落ちるためLv1で止めておくのがいいだろう。 参考までに、Lv99で知力をしっかり補正した「水弾」は、雑魚敵に対して3000程度のダメージが出る。 これはLv70台の大抵の雑魚が一撃で落ちる威力である。 豪雨 初期から取得できる上、Lv1ならばAP消費無しで全体攻撃が出来るが、EN消費2がネック。 Lvを上げても威力自体そこまで高いわけではなく、あまり使う機会のない部類に入る。 ただ、「賢者の石」の前提条件なので早めにおぼえておきたいアビリティ。 地響き 優秀な全体スタン攻撃……なのだが、いかんせんパチュリーの敏捷が低いのがネック。 ただし、場合によっては「豪雨」なんかより余程使える場合があるので侮れない。 「振動波」の前提条件なので、余程変な育て方をしない限り必ずLv1はおぼえる事になる。 振動波 「賢者の石」と「サイレントセレナ」の前提条件なので、おぼえた人も多いだろう。 特に「サイレントセレナ」の条件であるLv2になると敵全体に対してLv1の「水弾」と同程度のダメージを与える。 焦熱 熱系のツリーの基礎となるアビリティ。「賢者の石」や「ロイヤルフレア」のためには必須。 ただし、Lvを上げてもそこまでたいした威力にはならない。 太陽光線 「賢者の石」と「ロイヤルフレア」のためには必須のアビリティその2。 初期呪力増加の前提条件でもあるので殆どの人がおぼえることになるだろう。威力はそこそこ。 落雷 「賢者の石」の前提条件で、Lv1ならAP消費無しで燃費も良い。 また腕装備の羽衣でダメージの強化が可能であり、その威力は「水弾」に匹敵する。 「水弾」はたまにmissが出るので、確実性を求めたいならこっちをメイン攻撃にしても構わない。 クロスサンダー 「ロイヤルフレア」の前提条件で、単体高火力アビリティ。 汎用アビリティで強化するなら、「クロスファイヤー」よりもどうせ取らなきゃいけないこちら。 Lv1で止めたままでも、最終的にはかなりのダメージをたたき出してくれるようになる。 冷たい手 パチュリーの使う「冷たい手」は、何故か早苗やチルノの使う「冷たい手」の半分程度しか威力が出ない。 Lv3まで育ててみてもLv1の「水弾」とどっこいどっこいなので残念ながら彼女にとってはお荷物なスキル。 頑張っておぼえてもいいことは無い。OPの無駄。 初期呪力増加 金烏玉兎集と同等の効果。EN消費の激しいPTならば、あると非常に便利。 サイレントセレナ Lv1ならEN消費無しの全体攻撃。発動速度が早いのか、嫌な雑魚の掃討に便利。 ただし、AP3は「ロイヤルフレア」と被る為、基本的に物凄く微妙な要らない子。 「ロイヤルフレア」が効きにくい敵に対して使うくらいか?他のキャラなら主力級の性能なのに…… 賢者の石 Lv3にすると、一回の使用に付き知力が一気に三段階上昇するという反則アビリティ。 また、一度発動すれば効果継続中は「ロイヤルフレア」もコストゼロで撃ち放題になるため超強力。 さらに「賢者の石」自体の重ねがけも出来るという、相手にとっては正に悪夢のようなスペルである。 ロイヤルフレア 画面上の敵全てを薙ぎ払うパチュリー最強のスペル。味方には当たらないので安心。 「賢者の石」と組み合わせて対ボス用の切り札的存在であり、その威力は絶大の一言。 やりようによってはメガフレアなんてメじゃないほどの大ダメージをぶちかますことも…… ダブルキャストとの相性 非常に威力の高い魔法攻撃をいくつも持っているパチュリーは「ダブルキャスト」と相性が良い。 本人が使えないので他に使えるメンバーを連れてくる事になるが、「新魔法党」がつく魔理沙が一番適任だろう。 ほかには、「想起」でスペルをコピーできるさとりあたりがベストチョイスである。 パチュリー自身の敏捷が低いため、一番最後にスペルを使う事が多く、その分「想起」はうってつけ。 二人でロイヤルフレアを連発しまくるのは非常に爽快で面白い。 なおこの「ダブルキャスト」は、魔法属性であれば何でも二重にするため、実は「賢者の石」も二重になる。 これを利用すると…… 参考資料 この日輪の輝きを恐れぬのならかかって来い! 適当にLv3「賢者の石」を重ねて撃っただけでこんな威力になる凶悪スペル、「ロイヤルフレア」。 これに以下の条件をそろえてみた。 装備とステータスはこんな感じで、かなり知力特化装備をさせ…… これに、このようなPT編成にして、「新魔法党」を発動させ、陣形ボーナスで知力を更に上げる。 次に、光属性に弱点のあるレミリアと戦闘にはいって、 1ターン目: 魔理沙→アリスにダブルキャスト、さとり→パチュリーにダブルキャスト パチュリー→「賢者の石」、アリス→決闘歌、阿求→決闘歌 2ターン目: 魔理沙→阿求にダブルキャスト、さとり→魔理沙にダブルキャスト パチュリー「賢者の石」*2、アリス→決闘歌*2、阿求→決闘歌 3ターン目: 魔理沙→さとりにダブルキャスト、さとり→「賢者の石」 パチュリー「賢者の石」*2、アリス→決闘歌*2、阿求→決闘歌*2 とこのようにモリモリとパチュリーを強化して次のターンに「ロイヤルフレア」を放ってみる。 すると…… (;゚д゚) ・・・ (つд⊂)ゴシゴシ _, ._ (;゚ Д゚) …!? それがこのざまである。 なお、これは理論上の限界には達していないダメージであり、最大ダメージはさらに伸びるものと推測される。
https://w.atwiki.jp/musclenaisei/pages/16.html
パチュリー __,,,,....,,,_ _ ,.ヘ.__''"´ 、 .ト`>)`ヽ く \|-─< ̄ ̄八 ー' ノ、 /\ |\__./>-─''"´ ̄ ̄`' ー< ,ハ /] __ノ-‐へ/ / /|__ .! , \|‐ァ' . |__/| ,' /´| __/| /! |__ | ヽ| `! | | /‐r‐‐r└' !、」__ !`| |' | | .!/|、弋_,リ |_lj |/ ,' | | ⊂⊃ ' ⊂!__/ | | | ∠ ] ,ハ || | | ト 、., __,,.. イ ! !!. | | |ヽ-、\_|`ヽ、| || | ∧ !7\__/ム /| ,'| | |/ ヽ..レヘ.__く_八)」`! / .! ', | .,' [>l]く]ハ }| ll |{ [>l]く] ヽ| .! \」 | {| |} | ハヽ! `|, |、 }| ll |{ |__」 ヽ、__ __/ |___{| |} ! / __`ヽ. | / .! !lll|| ll |{ | ,' /r‐-、 ', | ,' | |lll|.! |} !. ! | {二 | | | i .| |lll||. ll |{ ハ | | ヽこノ/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【パチュリー】 13歳 ♀ 人間HP1/MP99【ステータス】体力 1 知覚 55 腕力 3 魅力 61 知力 85 敏捷 38 話術 26 幸運 21 魔力 100 政治 71好きなもの:メロン嫌いなもの:死ぬこと【スキル】ファールス語 LV5 難解な古文までのファールス語の読文が可能外国語 LV5 近隣諸国の言葉を理解し、読文が可能魔法使い LV3 魔法が得意 1時間でMPが30自動回復する【魔法】リザレクション HPがなくなったとき、HPが全快になるように回復する HP1あたりMP1消費するベホイミ HPを20回復させる MPを5消費するキアリー ある程度の毒を解毒できる MPを5消費する
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/1876.html
いでじゅう! キャラクター コメント モリタイシ先生による、2002年より2005年まで週刊少年サンデーに連載されていた漫画作品。 キャラクター ハヤシガメ:林田亀太郎 ハリテヤマ:藤原虎呂助 ホエルオーorガチゴラス:三浦単一 イワパレス:皮村薫 チュリネ:綾川苺 ソーナンス:チョンメイジ(チョメジ) スリーパー:東菊千代 ヤンヤンマ:愚地よしお コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/603.html
パチュリー6 5スレ目 108.111 今日も不健康だタバコがうまい。 などと考えつつ赤と白の庭でただボーっとしていた。もち、右手にタバコ、左手は携帯灰皿で。 「しっかし」 すう、と煙を肺に入れる。 「なんで彼女に惚れたんだろ……」 煙交じりのため息と共に呟いた。 彼女、とは俺の勤める地下図書館の主のこと。 詳しい話は省くとして、こういう経緯を経て俺は彼女を好きになった。 ・館内周り→地下図書館 ↓ ・紫色の少女を見てズキュウゥゥゥゥン(否キス) ↓ ・としょかんきんむ にしろ!おれは あいつの そばにいるんだ! 三番目でメイド長さんにどつきまわされたのはぜんぜんよくない思い出だが。 そして図書館勤務について少し経った頃、驚愕の事実が言い渡された。 「紫もやしは……喘息だったんだよ!」 「な、なんだってー!?」 よりによって喘息だなんて……ヘビーではないが愛煙家の俺にとってはかなりのショックだった。 そんな感じで一応司書のこぁさんにのみ喫煙者だと教え、たまに休憩を取らせてもらってる。 「……って う お っ あ ち っ !!!」 思考にふけったせいでタバコに火がついたままだということを忘れ、火傷しかけた。 「……何やってるの、貴方」 指をふーふーしていると後ろから声をかけられた。 て言うか今の声ってただの聞きまちが いだよね幻聴だそうだよでもこれって 犯罪者の言い訳っぽいな「幻聴なんで す!誰かがこうしろっていったんです!」って 「パパパパチェ萌え、じゃないパチュリー様ぁ!?」 「まったく……いつもいつもどこかに消えると思ったら……」 「いや、それはその……たまには外の空気が吸いたくて」 「それが『外の空気』?」 タバコを指差され、しまった!とすぐに後ろに隠したがもう遅い。 魔物に見つかった後にコインをくわえる様なものだ。 「小悪魔から聞いたわ。喫煙者なんですってね」 「……はい」 ああ、もう駄目だ。よく考えればこぁさんは彼女に召喚された身。強制的にでも喋らせる事はできる。 「だったら、館の喫煙所を使いなさい。灰皿も完備されてるわ」 ……へ? 「言っておくけどここは勤務が過酷なせいかタバコを吸うメイドも少なくないわ。 だから館内には喫煙所もあるしタバコの売店もある」 ああ、なるほど。……って 「じゃあいつもいつも庭に来てこっそりタバコ吸ってた俺の気遣いは……」 「無駄」 き、きっぱり言われた…… 「無駄とか言わないでくださいよぉ……パチュリー様のためだったってのに……」 思わず小さく呟いてしまう。 「私のためって……」 「えあいやパチュリー様喘息だからというか絶対に本に臭いが付くだろうしそれに個人的な感情がほとんどですけど」 「……要約して話す」 ジト目が薄くなる。まずい。 「つまりっ、要はあなたが好きだから迷惑かけたくなかっただけです!」 全てを言うしかないだろう。後はなるようになれ、だ。 「……ふうん」 吉が出るか害が出るか……間違えた。凶が出るか、だ。 「タバコ、やめられる?」 「……無理っぽいです」 よし、振られフラグ確定。……だって、いまさらやめろったって…… 「……なら、私の前では絶対に吸わないこと。それと……」 いったん言葉を切り、唇を重ねた。 「……こういうときに苦いから吸った後は口の中を洗っておくこと」 そんな俺はセブンレボパチュリーメンソール。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 5スレ目 201-202 パチェなのにパチェじゃないと悩まされる。 つまり彼女は残留思念。 流行には乗り遅れてますよ。 「ごほっ、ごほっ!!」 紅魔館のある場所に響く苦しそうな咳。 「はぁ……」 その後に聞こえたなんとも物憂げな声。 彼は苦し紛れに漏らした。 「なんで俺が―――」 紅魔館の図書館、の途中の廊下。 俺は頭を抱えながら歩いていた。 「はぁ……」 何回ため息をついたかな。 ん? 頭を抱えている理由? 風邪引いたんだよ。 パチュリーが。 一応自他ともに認める病弱っ子だし、喘息持ちで引きこもりである。 しかし! しかしだ。 病弱っ子であるはずの奴は喘息以外の病気なんて滅多におこさないのだ。 しかも逆に調子がいいわーなんて言って俺にストレスというものを押しつけてくる。 そんなパチュリーが風邪を引いたんだ。1ミクロンほどだが驚いてやった。 ま、それだけだったのなら別になんともないし、俺は嬉々としてパチュリーが居ない平和なライフを過ごしていただろう。 看病なんて小悪魔がやってくれるだろうし、うるさい奴がいないからぐだぐだ言われないし。 数日間だけだとは思うがストレスが無い日が続くだろうなー。 なんて思っていた時期もありました。 何を思ったのかパチュリーは看病を俺に任せるなんて言いやがった。 勿論抗議したさ。 だがそんな声もパチュリーには火に油を注ぐ結果になってしまったようで、 「私が決めたの。あなたは黙って従いなさい」 って言われたら逆らえないし、これ以上言ったらなんかやられそうなので黙った。 そういうことで俺はパチュリーの看病をする羽目になってしまったのだ。 ……なんで? とりあえず現在、パチュリーの昼食となる粥を持って寝室へと向かっている。 寝室に入るのは初めてじゃないので緊張も何もせずに入る、のだが。 「遅かったわね」 「何言ってるんだ、昼食取りに行ってから一刻もたってないぞ」 上半身を起こして微熱気味な紅い頬をしているパチュリーは若干、いやかなり不機嫌そうだ。 ……どうせ本が読めないとかそんな理由だろうと思うが。 足元の本を避けてベッドについた俺はパチュリーの膝へと粥を乗せた御盆を乗せた。 「食べ終わったら端に置いておいてくれ、後で取りに来るから」 そう言い残し寝室を出ようとした――のだが、パチュリーはとんでもないことを言ってきた。 「一人で食べろって言うの?」 「……へ?」 一人で食べないならどう食べろと。 「食べさせて」 「……な、なんだって?」 「食、べ、さ、せ、て」 何を言い出すんだコイツは。 自分で食べられるだろうに……俺に食べさせろだって? うーん、これはもしや……。 「なにしてるの?」 「いや、パチュリーの頭のネジをな、探してるんだ」 ゴスッ! 「馬鹿言ってないでさっさと食べさせなさい」 むぅ……こうなったら覚悟を決めるしか無い様だ。 痛む後頭部を我慢しながら粥をパチュリーの所に持っていく。 それを食べるパチュリー。 スプーンを取ろうとして中々取れなかったり早すぎかったり。 そのたびになんかぐだぐだ言われた。 そんなこんなで長々とした時間が過ぎていく。 途中小悪魔と思われる人物が扉を開けてすぐ閉めたような気配がしたがキニシナイことにした。 よーやく食べ終わらせた俺は空っぽになったなべやかんを持って寝室を脱出した。 出る前、 「退屈だとは思うがちゃんと寝てろよ」 全力を出してパチュリーの様態を心配した言葉を投げかけたが、パチュリーは何も答えなかったのが凄まじく怪しかった。 まぁ、そんなことを言うのは結局俺の安泰のためなんだけど。 こんなのが三日四日なんて続いたら死ぬ。色んな意味で。 そんなことを思いつつ、なべやかんを食堂に返し変わりにリンゴなどが乗っかった皿を貰ってもう一度向かう。 病人の世話がこんなに面倒だったとはねー。 ……いや、パチュリーだからかな。 寝室に帰還した俺だが、今度は寝ている可能性もあるので音も立てずに部屋に入り、 そして部屋に入って俺は呆れた。 パチュリーが無理してますよオーラ全開で本をうつ伏せになって読んでるじゃありませんか。 その状況に、流石に温厚な俺も頭の上あたりに十字交差点が浮かび上がるってもんだね。 いやいや、俺のせいじゃないさ。無理をしている紫もやしのせいなんだ。 俺は皿をゆっくりと置き、変わりにHARISENを持った。 そしてうつ伏せ状態でこちらに気付いていないパチュリーの背後に近づき……。 スパーン!! いい音がしたので内心ガッツポーズ。 で、叩かれた本人はと言うと、 「なっ、にすんのよ!」 「これはお前が原因だ!」 「病人にHARISEN振り下ろしておいて何を言っているのよ!」 「やかましい! 口から咳垂れる前にむきゅーと言え!」 この後色々両者共々罵詈雑言を言い合ったが、パチュリーの身体的ギブアップにより終わった。 「覚えておきなさいよ……」 「……そんなに元気があるならもう看病しなくていいだろ」 「ああ……頭が……」 「嘘つけ」 まったくこの魔女は何をしたいんだろうか。 ってか元気じゃないのか? ……まあいいか。追求しても殺されるだけだろうし。 それよりもさっさと仕事を終わらせて平穏な時間を手に入れなければ。 そう思い、俺は置きっぱなしだった皿をパチュリーのところまで持っていき、 「後は自分で食べろよ! それか小悪魔に頼め!」 パチュリーに何も言わせずそれだけを言い残して扉を閉めた。 一応ああ言ってしまったので、小悪魔に手伝ってもらう事にする件を話すと、 「いいですよ」 と快く承諾してくれた。 「それにしても……」 「ん?」 「大変ですね、○○さんも」 こちらの心配もしてくれた小悪魔。 いい子だ。 「まったくだ……パチュリーもなんで俺を指名したんだ……」 「あれ? 分からないんですか?」 「へ?」 「ああいや、何でもありません」 そう言って小悪魔はそれじゃあと言って飛んで行った。 最後のほうの言葉はなんか引っかかるけど、何か考えことでもしてたのだろうか。 その後も色々な事があったのだが、翌日になるとパチュリーはケロリと治ってしまったそうだ。 で、俺はと言うと……。 風邪を移されてしまった。 そして小悪魔に看病されているわけだが。 「なんで俺がこんな目に……はぁ……」 仕事は休めると言っても、この状況じゃ休んだうちに入りません。 でも、パチュリーの呪縛からは一時的に解き放たれるけど。 「あ、私やる事があるので」 「ん? そうか、悪かったな。風邪なんか引いちまって」 「一応代わりを呼んでおきますね」 「頼むよ」 パチュリーとは大違いだ。泣けてくるね。 小悪魔が出て行くと、途端に部屋は静かになった。 久々の平穏にまったりとしていたら、突然部屋の空気が変わった気がした。 どちらかと言うと、危機の方に。 嫌な予感がした俺は、恐る恐る入り口のほうを見てみると……。 「パ、パチュリー……」 しかもなんか手に自然界では表現できない色の液体が! まさか、それを飲ませる気か!? 「勿論」 とかいいながら近づいてくるパチュリー。なんか怖い。 「頑張って作ったのよ」 努力があってもその色の液体は飲みたく無いぞ。 そもそも飲んで治るのか、それ。 「大丈夫、成功したらすぐ治るから」 成功したらってなんだ、失敗するのか? 「八割くらいで失敗するわね」 高っ! 失敗する確立高っ! 俺はそんなのに賭けんぞ! 「うるさいわねぇ」 そう言いながら近づいてきてもうパチュリーとの距離があと少しになってきて、 「くそっ、これじゃあ前と変わらないじゃないか! 誰だ呼んだの、出てこいコノヤロー!」 呪縛からはやっぱり解き放たれてないみたいだった。 そして同日某所。 「輝け!第十八回パチュリー様と○○さんをくっつけよう大作戦会議 in レミリア様の部屋!」 『いえー!!』ドンドンパフパフ! 「司会進行は私、小悪魔が勤めさせていただきます!」 『いえー!!』 「さて、今回は私達○○さんの食事に風邪になる薬を入れる程度しかしてませんが」 「それでも少し進展したんじゃないかしら?(咲夜さん)」 「でもですね、○○さんは全然分かってないみたいです」 「それじゃあ意味ないわね……(レミリア様)」 「それで、次どうします?」 「そろそろ夏が終わりそうだし、今のうちに湖で泳ぐとかどうでしょう?(中国さん)」 「それでいいんじゃないかしら。私は無理そうだけど(レミリア様)」 「じゃあ決定で宜しいでしょうか?」 『いえー!!』 「じゃあ次はどうするか考えましょうか」 これを、彼女と彼は知らない。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 5スレ目 490 ハートZUN軍曹のお言葉に、 誰からともなく住人へ とありますが、こういうのはいいのでしょうか。 先日、東方ストライク入手したときに、 隣に積んであった本から伝言を頼まれたので、こちらに書いておきます。 パチュリーが可哀想なので。 ====== Dear 貴方様 ご無沙汰しております。 卒爾ながら、今日はお願いがあって参上いたしました。 え、誰てめぇ、ですか? これは申し遅れました。 私は、先日まで貴方様がヴワル魔法図書館で読んでいた本でございます。 何の用だ、ですか? これはこれは、単刀直入ですね。 では、私も単刀直入に。 お願いします。ヴワル魔法図書館にもう一度来ていただけませんでしょうか? 単なる本の身で、このようなお願いをする無礼は百も承知です。 ですが、パチュリー様のために筋違いながらお願いする次第です。 先日、貴方様が私を読み終わられて、図書館に来なくなってから、 パチュリー様はすっかり沈んでしまわれました。 知ってらっしゃいましたか? パチュリー様は、貴方様といると本当に笑顔が絶えないのです。 本を読みながらも、貴方様をちらちら見ていたのです。 最近写された魔道書には、全部の本のページの右隅に、貴方様の似顔絵があるのですよ。 感じてらっしゃいましたか? パチュリー様は、貴方様がいらっしゃる日には、朝からずっとそわそわしているのです。 朝早く起き、まず3時の紅茶の茶葉を確かめ、 スコーンを味見して、それに合うブレンドを作るのです。 アッサム、ダージリン、アールグレイをベースに、 少し胡椒を効かせたスコーンにはアップルティーを多めに、 甘いスコーンにはタイムなどのハーブを入れたブレンドで。 気づいてらっしゃいましたか? 貴方様がいらっしゃるときには、パチュリー様、うっすらとお化粧をしていたのですよ。 そして、貴方様が来る予定のぎりぎりの時間まで、 クローゼットの服を鏡の前で体に当てて、その日の勝負服を決めていたのです。 水色のリボンの時には、ピンク系を中心にまとめ、 赤いリボンには、エメラルドグリーンの服にイエローのアクセントをつけて。 そして、貴方様がいらっしゃるとイの一番に入り口へ行っていたのです。 覚えてらっしゃいますか? いつもパチュリー様が、自ら貴方様を書架まで案内していたことを。 しかも、しっかりと手を繋いで、頬を染めながら。 貴方様がいらっしゃる日には、パチュリー様はいつも小悪魔様に用事を言いつけておりました。 貴方様と2人きりになりたいという、乙女心だったのですよ。 その時には、貴方様が不快に感じられないように、でも意識してくれるようにと、 柑橘系の香水を軽く、振りかけていらしたのです。 顔を赤くして貴方様を待つパチュリー様は、本当に恋する乙女でした。 しかし、貴方様がいらっしゃらなくなって、パチュリー様の至福の時間も終わってしまいました。 しばらくの間は、私を抱きしめながら、 「何で、いるうちに告白しなかったのかしら」 と、ふさぎこんでいました。 最近は、私を読むとも無くめくりながら、壁を眺めているばかりです。 昨日届いた、パチュリー様が貴方様のためにと買われた可愛い服も、 小包から出さないままになっています。 図書館のドアが開くたびに、入ってくる人物を凝視しては、 小悪魔様だと知って嘆息をする、そんなパチュリー様は見るに耐えません。 わが友人の『パチュリーの日記』氏によれば、 パチュリー様の日記には、いつも貴方様のことが書いてあるそうです。 いらっしゃった日はいわずもがな、いらっしゃらなかった日も、 「今日は来なかった」で始まるとのことです。 貴方様が図書館に用事が無いのは知っています。 でも、もし一片の慈悲があるならば、 図書館に来て、パチュリー様に会ってあげてくださいませんか。 よろしくお願いします。 おっと、もうこんな時間ですか。 私がいないと、パチュリー様が大騒ぎしますので、帰らねばなりません。 「この本は、私とあの人を繋ぐたった一つの絆だから……」 とのことですが。 どうか、早く来てください。 僭越ながら、お願い申し上げます。 From ヴワル魔法図書館の一書籍 ─────────────────────────────────────────────────────────── 5スレ目 729 その日も図書館で本を読んでいた。 絨毯は厚く埃も多く、喘息持ちでなくても咳き込んでしまいそうになる。 「…… 一冊読み終わり、無言で首を回す。ここの管理人はとかく煩くするのを嫌う。 次の本を持ってこようと席を立つと、対面に座っていたその管理人が、 つ、と少し顔を上げ、右側に積んであった本の山を少し差し出すとまた顔を下ろした。 (この量を戻してきてくれってのか… げんなりする程の量が積まれていたが、覚悟を決めて山に手をかける。 何冊かを束にして持ち上げようとすると、ぺしぺしと机を叩く音が聞こえた。 (私の分も追加の本を持ってきてくれ、か 彼女は基本的に乱読するので、どの本を持っていこうかと悩まないですむのはありがたい。 とはいえ、一応今読んでいる本の題名を確認し、同じような系統の本を選ぼうと考える。 (どれ、なんて本かねえ としゃがむと、ついと本を伏せられた。 なんだろうかと思うが、まあいろいろな種類の本を読みたい気分なんだろうと気にしないことにする。 いや、単なる悪戯か? いくらか本を抱え、のたのたと机に向かう。厚い本は重いし持ちにくくて困る。 上に乗っけた2冊を自分の座っていた場所に置き、残りを向かいの席に運ぶ。 音を立てないように慎重に彼女の左側に置き、ぐしゃぐしゃと頭を撫でる。 驚いたのか本から目を離し、す、と頭を上げこちらを見る。 これは好機とここぞとばかりに頬を撫でると、気持ちよさそうに目を細める。 満足したので自分の椅子に戻ろうとすると、袖を捉まれ、くいくいと引っ張られる。 されるがままに腰をかがめると、胸に顔を押し付けてくる。 愛い奴めと思っていると、さらにぐしぐしと顔を横に振る。 顔を拭きたかっただけかい。それとも眠いのか? 眠いなら寝かせよう。しかし彼女はなかなかベッドに行かない。 体が弱いくせに本を読みながら机に突っ伏して寝る、ので、風邪をひいては大変と毛布を持ってこようとすると、 腕を腰に回され、グイグイと引っ張られる。 どうしたものかと顔を上げて、なんとなく辺りを見回してみる。 よく見ると椅子の後ろが少し空いて、人が入れるようになっている。 ああそういうことか、と合点してスペースに体を滑り込ませようとするとあっさり腕がほどける。 後ろに回り彼女を膝の上に乗せて腕を腹に回し、そのまま顔を肩に乗せた。 5分後、痺れたので足を開いて落としてみた。喜ばれた。 いくつかSSとか書いててわかったんだが、俺文章固いな ─────────────────────────────────────────────────────────── 5スレ目 898 私がこの幻想郷に来てしまってから長い時間がたった。 今では体も昔のように思い道理には動かなくなってしまった。 若い頃は、危ないと分かってても物珍しさから随分とムチャをしたものなんだが… 氷精をからかって怒らせたり、魔法の森を探索しに行って迷ったり、花畑に突貫しに行ったり… いつもボロボロになってヒーヒー言っていたな。ハハッ 本当に懐かしい、あの頃は珍しいことを聞けばすぐに行動していた。 その度に、館の人達には迷惑を掛け、メイド長には長い説教を聞かされ …ナイフが飛んでくる事もあったな。 それでも、めげずに何回もムチャをやって、何度も怒鳴られて、最後には呆れられて、それが日常となって 笑いながらバカな土産話をするようになって。 だが、そんなバカばかりやっていた頃でも出来ないことが唯一つだけあった。 いや、ちがうな… 出来なかったんじゃない、やろうとしなかったんだ。 ただ、怖かった。 この気持ちを貴女に伝える事が、この日常が変わってしまう事が 『断られたらもうこんなバカな毎日が続けられなくなる…』 そんな本当に愚かで馬鹿なことを本気で考えて、いつもは強気なくせに どうしようもなく憶病で でも、こんな馬鹿な私ですが、この思いだけは誇りたいと思う。 貴方を思ったあの日から、人として長い今までの時間、決して色あせる事の無かったこの思いだけは… 老い先短い私がこの思いを貴女に伝えることはもう無いでしょう 文にしたためる事ももう無いでしょう。 この思いは誰にも伝えず、誰にも悟らせず、私が墓場まで持って行きましょう。 貴女が私のことをどう思っているかはわかりません。 しかし、だからといって怖いわけではありません。 貴女の人生はまだ長い、そこにもう命の短い人間の思いなど背負わせたくはないのです。 貴女は その冷静な考えからよく冷たく見られます。 けれども、私は良く知っています。 貴女が感情表現が苦手なだけで、本当はとても優しい事を 貴女が本を見ているときは、とても表情豊かになることを 貴女は無関心なように見えても誰よりも周りをよく見ていることを だからこそ、貴女がどんな答えを持っていても、貴女は必ず迷うでしょう そして私が死んでしまった後、必ず後悔し悲しんでしまうでしょう。 これは私の我が侭です。 馬鹿で愚かな人間の身勝手な我が侭なんです。 だから、私は誰にも言わずただ一人思います。 あの時からこれまでの時間、そして 死が近いこれからの時間 ただ貴女一人だけに、伝えぬ 弱く、されど 強い思いを 『パチュリー、貴女を 愛しています』 ─────────────────────────────────────────────────────────── 6スレ目 338 紅魔館でクリスマスパーティーをする予定だからとメイド長に 強制的に連れ去られ馬車馬のごとく扱き使われた24時間・・・ よく考えれば、まだまだ時間があるんじゃないかと抗議したいが ・・・した瞬間、間違いなくナイフが飛んでくるんだろうな。 まあ、ひとまず一区切り付いたのでヴワル図書館なら静かかつ比較的安全に休めるだろうと 思い来てみたんだが・・・ 「寒っ!メチャクチャ寒っ!?」 扉の向こうは雪国だった・・・ 「てっ違うだろ!しかも、それはトンネルの向こうだ!!」 「うるさいわよ、いきなり何を叫んでいるの」 図書館の管理者が現れた。 「てっそれも違うな。・・・いや、意味は合ってるか」 「だから何なのよ・・・」 「いや、すまない。何か変な思考が少し」 「クリスマスの準備疲れかしら?」 「ああ・・・それは否定できないな・・・マジで」 「そっそう。・・・・・・薬でも飲む?」 「いや、遠慮しとく 永眠しそうだし」 「魔理沙じゃあるまいし、そんな危険なもの作らないわ」 「うっすまん」 いつものジト目がさらに細くなっている。 「フゥ、まあいいわ。それで何しに来たの」 「少しの間、休ませてもらおうと思って来たんだけど・・・」 「騒がなければ好きなだけ居ていいわよ」 「いや、メチャクチャ寒いんですけどココ」 「ああ、日の光が入らないから室温が上がらないのよ」 「いや、上がらないのよって、寒くないのか?」 「・・・・・・私が何か忘れたのかしら?」 さっき戻ったジト目が また細くなっていく 心なしか部屋の温度が下がった気さえする 「何かって?パチュリーだろ」 「そうじゃなくって」 目を伏せ小さくため息を吐く 「? ああ、魔女だってことか!」 「・・・どうして忘れられるのかとても疑問に思うわ」 「いや~俺にとってパチュリーはパチュリーだし」 「っ///」 パチュリーの顔が一気に赤くなる。帽子で見えないが耳まで赤いことだろう どうやら、不意打ちに弱いようだ・・・ 「どうしたんだ?」 「なっなんでもないわ!」 どうやら彼は、鈍感のようだ・・・ 「しかし、魔女か・・・なるほど魔法か」 「ええ、自分の周りを常温にしているのよ」 「へー 便利だな~」 「・・・何で近づいてくるのかしら?」 「気にしない、気にしない。」 「気になるわよ」 「そうか?ところでちょっとだけ椅子から立ってもらえないか?」 「 ? べつにいいけど」 言われたとおりにその場に立つパチュリー すかさず俺は椅子とパチュリーの間に体を入れ、パチュリーの体の前に手を回し そのまま椅子に座る 「キャッ///」 「あっ本当だ。あったけ~」 「ち、ちょっと何しているのよ!」 「後ろからパチュリーを抱きしめています♪」 「・・・・・・可愛くないわよ」 「・・・・・・自分もやって後悔した」 「それで何で私を・・・その・・・抱きしめているのかしら?///」 「ん~暖を取るため?」 「そう#」 「いやいや、ウソですウソ!」 「まあ、率直に言えば・・・抱き締めたかったからかな」 「・・・まあ、許しとくわ」 「間が気になるけど、ありがとうございます」 それからしばらく経ち、本をめくる音だけが図書館に響いていた 「・・・静かだな」 「・・・そうね」 「でも・・・暖かいな」 「ええ・・・そうね」 「・・・パチュリー」 「・・・なに」 「大好きだ」 「・・・・・・」 私も、大好き・・・よ (省略されました・・・。続きは明日発売の文々。新聞「幻想郷の甘~い!特集」をお買い上げ下さい) ─────────────────────────────────────────────────────────── 6スレ目 365 図書館の屋根の上で夜空を見ながら煙草を一服。 それが俺のここでの数少ない楽しみの1つだ。 思えば俺がこの幻想郷に迷い込み、紅魔館に拾われて 人手の足りないという図書館で働くようになってから結構経つ。 元々本が好きなせいもあってか、仕事は大して苦にならない。 それに図書館には彼女がいる・・・ と、物思いに耽っていると 「こんな所にいたの」 「ん?」 振り返ると俺にとっての幻想郷での最大の楽しみ パチュリー・ノーレッジが俺を見下ろしていた。 俺は慌てて携帯灰皿に煙草を放り込む。 喘息もちの彼女には煙草の煙は猛毒も同じだろう。 「どうした?外に出てくるなんて珍しいじゃないか。」 「ただ何となく、貴方と話がしたかったから・・・」 そう言うと彼女は俺の隣に腰を下ろした。 何故だろう?いつも持っているはずの物を今は持っていない。 「本は?」 そう尋ねると彼女は 「今は必要ないと思ったから。」 と、これまた珍しい事を言った。 俺はあまり深くは訊かない事にした。 それにしてもこの時期に外でその服装は・・・見ているこっちが寒くなる。 まあ魔女だから魔法でも使って暖はとれるのだろうが 「夜は冷えるぞ」 そう言って、コートを脱いでかけてやる。 「大丈夫よ」 「いいから、見てるこっちが寒い」 そういうと彼女は素直に従った。 何故だか少し微笑んでいるように見える。 それから――2人で他愛もない話をした。 本当にどうでも良いような話。 彼女が時折浮かべる笑顔に俺はドキドキした。 話のネタも尽きてきて、沈黙が流れる・・・ その沈黙の中で彼女の横顔を見ながら思った。 今言わないと2度と言えない気がする。 俺は厄介事は嫌いだ。 だが、今俺は自分からとんでもない厄介事に飛び込もうとしている。 迷いはない。 「パチュリー、俺は君の事が――」 「止めて・・・」 彼女は俺の告白を途中で遮り、俯いた。 「貴方が言おうとしている事は分かってる。 だけど、言わないで・・・ 私と貴方じゃ種族が違う、寿命も・・・私はこれからも数百年生きるけど、貴方は数十年で死ぬ 私は、貴方がさっき言おうとした言葉を聞いたら、たぶん貴方が死ぬ時に耐えられない・・・だから言わないで」 彼女はそう言って悲しそうに笑った それでも俺は―― 「パチュリー、君の事が好きだ!!種族の違いなんか関係ない!!俺は残りの人生を君と過ごしたい!!」 彼女は驚きの表情を浮かべたあと 「勝手な人ね・・・」 そう言って涙を流した 俺は彼女を抱き寄せて、そっと唇を重ねた 唇を放すと彼女は微笑を浮かべて 俺の肩に頭を預けてきた 満月が2人を照らした ─────────────────────────────────────────────────────────── 6スレ目 408 今さ、布団の脇にノート置いて書き込んでるんだけど 毎晩パッチュリが布団に潜り込んで来て困っちゃうよね さすがにあんなにくっつかれたら冬でもあっついよね あっ こら、また勝手に入ってきてー そんなくっつくなって え、いや、まあ、迷惑って事でもないっつーか、うん うん……うん、 俺も、大好きだよ じゃ、おやすみ…… ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 577 図書館の一画。 目当ての本を見つけた俺はパチュリーの隣に座り、本を開いた。 「仕事をサボって何を読んでるのかしら?」 言われて顔を上げると、パチュリーが本を少し下げてジトリと俺を睨んでいる。 「アガサ・クリスティーのクリスマス・プディングの冒険、 しかし本当にこの図書館は何でも揃ってるな~・・・。 少しくらい良いだろ? 本の整理は終わったし、もう特にする事も無い 大体クリスマスイヴだってのに、休みもくれないお前が悪い 今日に限って図書館に来るような物好きなんてそんなに居やしないよ。 あとの雑務は小悪魔にでもやってもらえば良い」 そう長々と答えるとまた睨まれた。 「私と過ごせるなら何処だって良い。 なんて言ったのは誰だったかしら?」 「それを言われると ぐうの音も出ない・・・」 一拍、間を置いて2人で苦笑。 お互いに視線を本に戻す。 静かに時間だけが流れる・・・。 華やかではないがこんなイヴも良いかもしれない・・・。 「なあパチュリー、部屋に戻ったら今夜はワインでも開けようか?」 俺がそういうと彼女はクスリと笑って、 「そうね」 と、一言だけ言った。 ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 620 パッチェさんが風邪を引いた。と言うわけで見舞いに行く。 見舞いと言うからには何か持っていったほうがいいだろうから、 とりあえず紅魔館の食堂から適当にりんごでも持って行くことにした。 ちなみに食堂の食べ物がなくなると門番の食事が減らされると言う噂がある。 明らかに内部犯だろうに外にいる者の食事が減らされるというのはどうかと思うが、まあどうでもいい。 一応勝手に持っていくわけで、カウンターに身を隠しながら、置いてあるりんごに近づきすろすろと手を伸ばす。 丸い形と重さを確かめ、2,3個抱え込むように持っていく。 と、不意に声をかけられる。 「りんご持っていくんなら、ナイフはいりませんか?」 「手持ちがあるからいいや。それよりすりおろすやつおくれ」 「はいどうぞ」 「はい、ありがとう」 計 画 通 り。 パチュリー私室は、毎度黴臭い図書館内の閲覧個室の改装されたものとなっている。いや図書館自体が私室といえばそうか。 ノックをしても返事はない。いつもない。声が届かないらしい。風邪を引いているなら尚更か。 返事が無いので勝手に入る。待っていたらいつまでも入室できんぞなもし。 入って見渡すと、ベッドの上がもぞもぞと動いている。どうやら寝ているらしい。 ……と思ったら寝そべりながら本を読んでいた。 予 想 通 り。 いや、予想が当たったからと喜んでいる場合じゃない。どうにかせにゃならん。 いくら本読み魔女と言ってもゲロ吐きながら読むものじゃない。 なので、横から本を取り上げる。 なーなー言っていたが、何を言おうとしていたのか分らないので無視していすに座り、 本を体と椅子の背もたれの間に挟みこんで取れないようにする。ついでにりんごを机に置く。 「なに……するのよ」 咳き込みながら文句を吐く。 「風邪引いてるときに本を読むものじゃないだろ」 「魔女が本を読まないでどうするのよ」 「病人が寝ていないでどうするんだよ」 「む、じゃあ代わりにその本読んで頂戴」 「風邪引いてるのにこんな難しい本読むもんじゃないよ」 言いながら本を抱えてドアに向かう。 「その本がいいのよ」 無視してドアを出る。ラテン語なんか読めるか。 難しい本を戻し代わりの易しい本を持って部屋に戻ると、パチュリーはうつ伏せのまま寝入っていた。 息がし辛そうなので横向きに直してしばし寝顔を観察する。 しかし、ずっと観ているわけにもいかないので、本を持って退室する。 が、司書連中に運悪しくつかまり書庫整理の手伝いなどをやらされる。 盗難本のリストアップらしいが、照会に時間がかかり正直暇だ。というか俺いらんだろ。 捉まってから1時間ばかりたった。 仕事を10分ぐらい、後は皆で駄弁っていた。どうせまた盗られるんだし、リスト作っても無駄よね、と言うことだ。 駄弁った結論として、女って怖いなあ、と言うことが再確認された。 不意に子供の泣き声が響く。何かの魔道書かと思い音のする方へ駆けると、パッチェさんの自室だった。 訝みながらドアを開けると、パチュリーが突っ伏して泣いていた。 これはアレか、病気のときに誰もいないで不安で泣くというやつか、愛い奴め、と思いながら近づくと、 ほんーほんーわたしのほんー、と言って泣いていた。 本かよ。俺じゃないのかよ。 がっくりしながら話しかける。 「起きたかね。じゃあ、作るからすりおろしりんごでも食べなさい」 「それよりも本はどこ?」 「とりあえずりんご食え。あと水飲んで寝れ」 「寝かしつけないで頂戴。で、本はどこ」 「りんご食べたら持って来るからりんご食え」 「わかったわよ……」 同意を得たところで皮を剥き、種を取り、すりおろして器に盛る。 多少血が入った気がするが問題ないだろう。 器と匙を渡すともそもそと食べ始める。 少し寝たからなのか心なしかさっきより血色も声色も良いように思える。 食べている間に見繕っておいた本を取ってくる。 「食べ終わったわよ。で、本は?」 「ん、あるよ」 「妙に薄いわね…というかそれ絵本じゃない」 「うん? 風邪引きにはちょうどいいだろう」 「読んでくれるなら向こうの棚に入ってる本がいいんだけど」 「だから難しい本はだめだって」 アラビア語も読めんがな。 枕元の椅子に腰掛けて絵本のページをめくる。 ゆっくりとしたペースで読んでいると、パチェさんが端ににじり寄ってくる。 「うん? 遅い?」 「絵が見えない。絵本なんだから絵も見せて頂戴」 どうやら絵本が存外に気に入ったらしい。 ベッドに深く腰掛けて、腿に頭を載させるようにして読もうとするが、 「見辛い。あと首いたい」 仕方がないので、寝かせて顔の上に本を持ってくるが、今度は自分が読めない。しかも、 「いたいいたい。紙が当たってるわ」 ページをめくる時に顔に当たったり手から抜けたりするようになった。どうにも目測がつけ難い。 どうしようかねえ、と考えていると、パチュリーが枕元をぱんぱんと叩いている。 こっち来いって…ああ、そういうことか。 結局枕を退けて自分が枕代わり、と言うか座椅子になった。 背中がベッドの宮に当たっるので、邪魔な枕と布団を背中に置く。 それでも痛いのと布団の重みで体が少し丸まる。 パチュリーは頭を首筋にもたれかけ、毛布を巻いている。 なので各々が肩に頭を持っていくような格好になる。 「読むのは結構上手いわね。でも少し早いかしら」 「そうかねえ? まあもう寝て早く治してしまいなさいな」 「そうね」 そういってごそごそと動くが、 「なんで胸の上で寝ようとするの?」 「おやすみ」 「それじゃ寝にくいでしょうに」 「うーん」 不満げな声を上げる。これは動きそうにも無い。 しょうがなしに少しずつ体をずらしてベッドに横になる。 肩にかぶっていた布団を掛け、枕を頭の下に敷いてやってから抜け出そうとする。 「あら」 思わず声が出る。 服の端がしっかと握られていた。これでは出るに出られない。 無理してはずす事もできるだろうが、そうすれば起きてしまうかもしれない。 「まあ……役得かねえ」 そういって横顔を見ながら自分もゆっくり目を閉じた。 ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 721 いつも通り本の整理をしていると急に視界がぐらついた。 疲れてるのかな? そう思った矢先 図書館の床が目の前に迫り、意識が消失した。 気がつくと俺はベッドに横になっていた。 どうやら気を失っていたらしい。 上半身だけ起こすと濡れタオルが額から落ちてきた。 「あっ!!」 声のした方を見ると椅子に座っていたらしい小悪魔が立ち上がり 「今パチュリー様を呼んできます」 と言うと駆け出していった。 しばらくするとまた走る足音が聞こえてパチュリーが部屋に入ってきた。 彼女はホッとした様子で 「良かった」と言った。 「心配させちゃったみたいだな・・・すまん」 「いいわよ、別に。 薬作ってきたから飲んで安静にしてて。 一応試しに飲んでみたけど副作用もないし、安心して飲んで」 そう言うと半透明の液体が入ったグラスを渡してきた。 色は悪くないが・・・一応覚悟して一息に飲み干す。 味も思ったほど悪くない、というかむしろ良い方だ・・・が。 このグラスの底に残ってる虫の足みたいなのは何だ? 「な、なあパチュリー。 この薬って原材料はなんだ?」 「どうしてもって言うなら教えてあげるけど、聞かない方が良いと思うわよ」 彼女がそういうなら本当に俺が知らない方が良い材料で構成されているんだろう。 知らぬが仏、俺は訊かない事にした。 「なんか、普段と立場が完全に逆だな。 いつもなら俺が看病する方なのに・・・面目ない」 「気にしなくていいわよ、とにかく大事じゃなくて良かった」 微かに賑やかな音が聞こえる 「今夜もレミリアさんの気紛れパーティーか」 「皆大騒ぎしてる、まったく人の気も知らないで」 本当に心配かけちまったな・・・ 「今後はもう少し健康管理に気をつけるよ。 そんな顔するなって、美人が台無しだぞ?」 そういって笑いかけると彼女も笑みを浮かべた。 「それよりお前は大騒ぎに参加しなくて良いのか?」 「今日はいいわよ、毎回参加してたら身がもたないし、貴方の看病もあるし、何処でもやる事は変わらないしね」 そう言うと脇に抱えていた分厚い本を見せた。 「そうか、じゃあ俺は大人しく横になってるから心配しないで読書してくれ。」 「必要な物があったら言って、すぐに用意するから」 そういうとベッドのそばの椅子に座って本を読み始めた。 しかし読み始めてすぐ「あ」と思い出したように声を上げると本から顔を上げて 少し迷うようにしてから 「添い寝、してあげましょうか?」などと言ってきた。 「おいおい、風邪だったらどうするんだよ」 「たぶんただの疲労だと思うから大丈夫」 「確かに咳も喉の痛みも無いが、本読むんじゃなかったのか?」 「寝ながらでも本は読めるし、問題ないわ」 そう言うと彼女はベッドに潜り込んできてうつ伏せになって本を読み始めた。 思わず抱き寄せる。 「ちょっと、 本が読めないんだけど」 「いや、つい。 もう少しこのままでいさせてくれないか?」 「別に・・・良いけど・・・」 遠く聞こえる喧騒の中で、ささやかな幸せを抱き締める ────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/596.html
パチュリー2 114 「何よ、また埋まったの?」 眠たそうな呆れたような目でその少女は言う。 そう、俺は埋まっていた。ちなみに、埋まる前は本の整理をしていた。 幻想郷広しと言えど、整理中の本の雪崩に巻き込まれるのなんて俺くらいのものだろう。 俺の名はやがて「雪崩に巻き込まれる程度の能力」の持ち主として幻想郷中に 「暫くそのままで良さそうね」 「はい下らない事考えてましたごめんなさい。 助けてパチュリー パチュリー助けて」 少女の名はパチュリー・ノーレッジ。外見こそ少女のそれだが、生粋の魔女にしてこの魔法図書館の主だ。 ―俺は元々幻想郷の外の人間だったが、まあ色々あって、この図書館で雑用っぽい事をしている。 「何回目だっけ?」 「はい。今日だけで3回埋まってますがどう見てもドジです。本当に」 「ドジね」 「ありがとうございました。」 何事も無かったかのように俺に背を向けて歩き出すパチュリー。スルーかよ、ノってくれよ。 「おいてかないでー」 あ、こっち向いた。 …そんな目で見んでも。 「はぁ…」 ため息こそつかれたが、彼女は俺の前まで戻ってきてくれた。 「手、出せる?」 「なんとか…って、魔法使わんの?」 「貴方の周りの本、殆どが魔道書よ」 「オチが見えたので手で引っ張り出して下さい」 「ん」 白く小さな両手が本の山から生えた俺の手を取る。 暖かく柔らかい。…そういやパチュリーの手に触れたのは初めてな気がする。 悲しくも外の世界で女性経験に恵まれなかった俺は、こんな事でも思考がテンパってしまうのだ。 「あー、あんまり無理せんでも。 誰か呼んで来てくれるだけでも良いし」 喘息持ちの彼女に無理はさせられない。 けど引っ張られている手に意識がいってしまい、何だかぎこちない言い方になってしまった。 「んー」 パチュリーは特に気にした様子も無く、ぐい、ぐい、と彼女なりに力を込めて俺の手を引っ張る。 やがて、いくらか動かせる程度まで腕を出す事ができた。 「オッケー。後は自力で出られそ…うおッ!?」 「っ!」 本日4度目のドジ。自由になった腕を急に動かした所為で、新たな本の雪崩を以下略。 まあ要するに――どう見てもドジでした。 まあ、俺の周りの本が崩れたお陰で抜け出せるには抜け出せたんだが まあその…前のめりに倒れこんだワケで、俺の目の前には彼女がいたワケで。 四つん這いになった俺の下に、彼女がいるワケだ。 「・・・」 普段はあまり表情を出さない彼女が、頬を染めて、僅かに潤んだその瞳を閉じ ――いや、今そんな表情されるとマズいから!色々と! 「どう見ても押し倒してます。本当にありがとうございました。」 …何とか誤魔化してみる。そうでもしないと気恥ずかしくて開花宣言しそうだった。 「そうね。どう見ても 押し倒してるわねえ」 頭上から聞こえる突然の声。 …頭上? 見上げてみる。 … 「ヤア!咲夜サン! こんな所で会うなんて奇遇ですネエ!」 アハハ 咲夜サン何て顔してんだよ それ人間がしていい表情じゃナイヨ咲夜サン咲夜サン咲夜s… ――― その日は 俺が幻想郷に来て以来 最も辛く長い 一日となった ─────────────────────────────────────────────────────────── 122 「……こりゃ、下は相当な有様ですよ」 紅に染められた館に、振動が響き渡る。 肌に感じるのは、常識外れの魔力の奔流。 「そんなことっ…けほっ…言ってる場合じゃ…!」 「駄目ですパチュリー様!まだ身体も魔力もボロボロなんですから!」 ベッドから起き上がろうとしたパチュリーさんを、小悪魔さんが制止する。 その強い剣幕に、彼女はジト目で睨み返していたが、やがてベッドに沈み込んだ。 紅魔館の地下には、レミリアさんの妹がいる。 全てを破壊しつくすと言われている吸血鬼、フランドール・スカーレット。 地下で続けられている激闘は、その妹さんが満月の影響で暴走したことに端を発する。 「レミィ……魔理沙……咲夜……」 シーツを握り締め、小さく漏らすパチュリーさん。 地下に向かったのは姉のレミリアさん、俺の師匠の魔理沙さん、メイド長の咲夜さん。 どう見積もっても、やり過ぎじゃないかと思ったこのメンバーが、小一時間も闘っている。 妹さんと俺はまだ面識はないが……パチュリーさんまで行こうとした以上、相当な相手なんだろう。 (……策はある。咲夜さんが無事なら…まだ) 闘いが長引くにつれて、不安が強くなっていく。 敗北の2文字なんて、どうしても当て嵌まらない3人でも、負けることがあるのだろうか……? ズゥゥゥン……。 一際大きい地響き。 それが、決着だったのだろうか。先程までの痛いくらいの魔力の波が、うっすらと引いた。 「うそ……」 「そ、そんな…」 2人もその変化を感じたのだろう。 様子からすると、負けたのは……。 「小悪魔さん。夜明けまで…いえ、月が沈むまで、あとどのくらいありますか?」 「え!?あ、そうですね…4時間といった所でしょうか」 4時間……か。まともに闘える時間じゃない。少なくとも、俺の主観時間では。 「……咲夜に地下室全体の時間をある程度止めてもらって、月が沈むまでの時間を稼ぐ。 地下室と外の時間の流れをずらし、少ない戦闘時間で持ちこたえる……といった所かしら?」 「パチュリーさん…気付いてたんですか?」 「けほけほっ…残ってる戦力は、私達と美鈴。 貴方が行く計画なら、全部読めてたことになるわね」 貴方が考えそうなことね、とも付け加えられた。 「しょ、正気ですか?」 「いやまぁ、俺に正気も狂気もあってないようなもんですけど」 驚く小悪魔さんに、軽口で返す。 幻想郷に来る前の自分だったら、絶対に自分から行こうだなんて思わなかった。 だから、狂ったと言われても仕方ないけど……変われたと信じたい。 「半人前の魔法使いに、妹様の相手が務まると思ってるの?」 床に伏せっているとはいえ、パチュリーさんの言葉には力がある。 知っているが故の、説得力。 「半人前って……これでも、4分の3くらいまでは行ってると思うんですけど。 小悪魔さん、探してほしい魔導書があるんですが……」 小悪魔さんにタイトルを伝えると、彼女は足早に図書館の方へと消えていった。 「4分の3でも、1人前には届かないわよ。 それに、無知は剣にはなっても盾にはならない。貴方は妹様を知らな過ぎる」 「盾なんて最初から持ってませんよ。俺は剣しか持ってませんし。やってみなけりゃ解りませんよ」 腰に下げた剣を見せて、笑いかける。彼女は呆れたのか、深々と溜息を漏らした。 「はぁ……何を言っても無駄みたいね。魔理沙以上に無茶するとは思わなかったわ」 「一点だけでも魔理沙さんを越えてるなら満足ですよ」 「……他には、図書館でのマナーくらいは褒めてあげるわ」 「そりゃ光栄ですね」 そこまで言うと、彼女は黙り込んで、そっぽを向いてしまった。 ……横になっている彼女の側には、大低小悪魔さんが付き添っている。 それが今はいない。俺が頼んだ訳だけど。 2人っきりでの――――沈黙。 本を読んでる時はそうでもないけど、互いに黙ってると……気まずい。 「……怒ってますか?」 「呆れてるだけ。 ……そういえばその剣、何処から持って来たのよ」 「魔理沙さんのコレクションからです。俺、接近戦の方が得意なんで。 バレたらマスタースパークで消し炭にされそうなんで、内緒にしてくださいね」 瞬間、彼女は物凄い勢いで向き直った。……直後に咳込んだけど。 「貴方ねぇ…壊したりしたら、本気でやりかねないわよ」 「…マジですか?」 「貴方の師匠なんでしょう。想像力が足りないわよ」 ……想像してみよう。 魔理沙さんが真っ正面から…いや正面に限らず、俺を狙ってあの魔砲をぶっ放して来たら……? 『お前の飛び方は丁寧過ぎて退屈だぜっ。 ま、その分狙いやすいんだがな。 恋符「マスタースパーク」!』 「何笑ってるのよ」 「あ~……今から会う妹さんより、魔理沙さんの方がよっぽど恐いだけです」 妖怪と弾幕りあったことはある。弾幕がどんなものかも、大体解る。 ただ、魔理沙さんの本気の弾幕だけは、見たことがない。 「原型…残ればいいなぁ」 「妹様には楽観的なのに、魔理沙には悲観的なのね」 「師匠なんで…はは、まいったな。 だったらいっそのこと、パチュリーさんの弟子にしてもらえませんか?」 苦笑いしながら、口に出してみる。帰って来た答えは…概ね予想通り。 「私が消し炭にされそうだし、お断りするわ。でも……」 「パチュリーさん…?」 そっと手が触れられた。少し冷たくて、白くて、綺麗な手。 「美鈴や咲夜に話を通してちゃんと入って来るなら、図書館に来るのは構わないわ」 彼女は、いつも本を読んでいる横顔からは想像出来ない、優しい表情で微笑んでいた。 「え、あ、そのっ……」 「貴方の言葉なら、魔理沙も本持ってくのを自重するかもしれないし。 ……何で赤くなってるのよ」 俺には……言えない。 側にいるだけで、触れ合えるだけで、満たされてしまうから。 この幸福を、俺の欲張りで壊したくないから。 「……何でも、ないですよ」 だから、その手を握り返すことで答える。 俺が出来るのは、きっとこれが精一杯……。 「あ、あの、お二人とも……」 「こ、小悪魔!?あなたいつから……っ!」 「いいい今先程来たばかりで何も見てません聞いてませんっ!! わわわわわ賢者の石なんか持ち出さないで下さい~! ごめんなさいお二人がいい雰囲気だったのでとても間に入れなくて……。 ってパチュリー様本気ですか私謝ったじゃないですかぁぁぁ~っ!?」 「問答無用! 火水木金土符『賢者の石』!」 「いやぁぁぁ~~っ!?」 あ~~……うん。 本気の弾幕って、このくらい苛烈なんだな。 避けられるように、俺も精進しないと。 「きゃぅっ!」 あ、小悪魔さん、また被弾してる。 この密度じゃ無理もないか。 ・ ・ ・ 「ごほごほっ……」 「ううぅ……私はただ、パチュリー様の笑顔が見ていたかっただけですのに……」 「じゃ、そろそろ妹さん止めてきますけど……大丈夫ですか?」 俺から見れば、2人とも大丈夫そうには見えない。 被弾しまくった小悪魔さんは、さながら咲夜さんにお仕置きされた美鈴さんみたいにボロボロ。 加害者のパチュリーさんも、元々体調を崩してた所でスペルカードを使ったためか、一層具合を悪くしている。 加えるなら、屋内でスペルカードを使ったためか、図書館の方まで結構な被害が行ってる。 小悪魔さん、結構逃げ回ってたからなぁ……。 「そうね……けほっ…。今更止めても行くんでしょ?」 「今なら、俺が時間稼ぎにならなくても、まだ美鈴さんがいますから」 こんな状態じゃなければ、看病していたかったけど、そうも言ってられない。 魔理沙さん達が先発なら、俺は中継ぎ、抑えは美鈴さん、ってトコか。 妹さんがとんでもない弾幕張ってたら、中継ぎどころか捨て石にもならないかもしれないけど。 「小悪魔さん、パチュリーさんを看てて下さいね。 ……後で、図書館の整理手伝いますから、元気出して下さい」 「……はい」 しょげている小悪魔さんを慰めると、俺は本を手に取り地下室に行くために立ち上が――― 「ちょっと待って…」 ――ろうとして、袖を掴まれた。パチュリーさんだ。 「本はちゃんと返してよね。その……貴方自身の手で」 ……言葉に詰まった。 伝えたい気持ちが、一気に強くなっていく。 剣を握る勇気はあっても…………それでも俺は、その境界を超えることは出来なかった。 「ありがとう……ございます」 だからせめて、それ以上自分の気持ちに嘘はつかないように、大事な人の手をぎゅっと握り返した。 「な、何がよ…?」 「何とか、最後まで戦えそうってコトですよ」 困惑している彼女の手を離し、笑いかけると、俺は図書館を後にした。 ―――図書館から出た俺は、辺りに誰もいないことを確認して、目を閉じてみた。 あの笑顔も、手の温もりも、彼女への想いも、ちゃんと心の中にある。 伝えることも叶わない想いでも、心の中にちゃんとあるなら、それはきっと力になるはず。 だからきっと、負けたって立ち上がれる。そんな気がする。 生を諦めかけた自分が、幻想郷での生活で立ち直れたみたいに。 「じゃ、行きますか」 目を開き、自分に対して呟く。 甘い時間はもう終わり。 ここから先は、勝負の時間。 4分の3の魔法使いが、お相手しましょう……。 「ごほごほっ…小悪魔。明日からでいいんだけど、探して欲しい薬があるの」 「あれ……喘息の薬、もう切れてましたか?」 「人の話は最後まで聞く。 見つかりづらいと思うから、永遠亭の薬師に話を聞いた方がいいかもね」 「はぁ。それで、何の薬を探せばよろしいんですか?」 「その………バカにつける薬」 「………あの、パチュリー様?誰が使うんですかそんなの」 「い、いいじゃないのそんなこと……あ、レミィ達には秘密でね」 ちょみっとだけ後書き……っていうかむしろ懺悔 一部始終をゆかりんが見てそうだw まさに、「スキマ様が見てる」 今回の話、そーとー前から妄想だけはあったんですが、スレ見つけるまではただの妄想で終わってました。 しかしスレ見つけて、書こうとしたらさあ大変。 書きたいことが多すぎる(妄想が過ぎます)。 全部書こうとしたら量がとんでもなくなる(文章能力的に許容量オーバー)。 そもそも全部書いてたらいつまでかかるか分からない(遅筆なんです)。 少なからずともパチュが泣く展開に(自分パチュ萌えなんです)。 とまあそんなこんなでレティが文になるくらい(失礼)内容削減。 結局こんなんなりました。合唱。 削減前の大筋は、 1.この後魔法剣でレーヴァテインとチャンバラ。 2.相打ち(魔力使いすぎが死因)で、三途の川へ。 3.色々と小町に諭されたり弄られたりで彼岸へ。 4.えーき様からお説教、色々あって白玉楼へ。 5.ゆゆ様に引っ張られてもう一度紅魔館へ……。 うん、絶対書ききれない。書かなくてよかった。自分じゃ質が保てない。 いや保つほどの質もないけど悪化しないよりはマシです。 プロポとは違いますし告白もありません。イチャついてもいません。 キスもなけりゃ抱擁もないです。きっと雰囲気違いますね、すみません。 ココアの甘さよりは、微糖のコーヒーみたいな。切なく苦いけど暖かい、みたいな。 手を繋いだだけの幸せでも大事なことを……あーもー言葉に出来ません。 本当にバカにつける薬が欲しいです。対象はもちろん自分自身。 もうこのまま長々と続きそうなんでここいらで止めときます。 1週間全力投球で書ききれただけで満足ですもん。 それでは読んで下さった皆様、 このスレを設け、盛り上げた全ての皆様に感謝申し上げます。 ありがとうございました。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 186 紅魔館の厨房の片隅で、包丁の音がリズミカルに響く。 パチュリーさんに料理を教えて欲しいと頼まれたのはつい先日の事だ。 図書館の雑用として配属された筈の俺だが、みょんなことで作ったパチュリーさんへ の食事を気に入られてしまってから、彼女専用のコックへと昇進(押し付け)と相成ったのだ。 まずは基本的な料理の作り方と食材の切り方等から教えていく。 千切り・微塵切り・短冊切り・十文字切り・天空剣Vの字切り── 何か間違っているような気もするが気にしない事にした。 彼女の可愛らしいエプロン姿── 真剣なジト目── つまりはパチェ萌(ry 一月も経過する頃には、彼女の奇行は紅魔館中の噂になっていた。 三度の食事や風呂より読書…であった以前からすると奇行と考えられるのも無理は無い。 「……パチュリーさん」 「何?」 「どうして、急に料理を学ぼうなんて気になったんです?」 ぎこちなさの残る彼女の手を制止させ、包丁の手本を見せる。 「……わからない?」少しの沈黙の後、声を小さく、だがはっきりと告げる。 「あなたが……好きだからよ」 刹那、左手に激痛が走る。 「うあっ!」思わず包丁を放り出す。 思いもかけない告白に動揺してしまったか、指に包丁がざっくりと入ってしまった。 反射的に水桶に手を入れる。水が瞬く間に紅に染まる。 「…! ちょっと待ってて…薬とか探してくるわ」 ──あなたが……好きだからよ 彼女が戻ってくるまでの間、その言葉が頭から離れなかった。 今まで女の子と縁など無かった。それなのに…。 ほどなくして彼女は薬やら包帯やらを持って戻ってくる。 青い色の液体が入った小瓶──これが究極幻想のボーションなる代物だろうか。宝箱の鍵を開けたりする薬ではなさそうだ。 「…手、見せて」 水から手を出す。激痛に思わず声を上げたくなる。 「止血の、魔法よ」 彼女はそう言うと、顔を近づけて俺の指をその小さな口に含む。 「ちゅ……ん……んぐっ」 顔を紅潮させながら指を柔らかく吸い、患部をそっと舐め上げる。ごくんと喉を鳴らして血を飲み込む。 「さっきの返事…してなかったな」 彼女の細い身体を引き寄せ、抱き締める。 「ん……」紅く汚れた小さい唇を塞ぐ。 初めて愛した女性の唇は、薬と血の味がした。 ****** 176を見てパチェに指パチュ…指チュパさせたくなった ─────────────────────────────────────────────────────────── 196 「フゥ…ようやく半分読み終えたか…」 「○○、独り言を声に出さないで」 「あ、すみません」 僕は今、紅魔館の図書館で読書をしている。 たまには本を読むのもいいかな?と思ってココに来てみたのだが… ちょっと声を出すたびにココの住人であるパチュリーに注意されてしまうのだ。 …まぁ、確かに図書館内では静かにしないといけないのが常識なのだが… 「○○?あなたの持っているその本…」 「ん?これがどうかした?」 「ああ、やっぱり。それって私の読みたかった本よ。返しなさい」 「え…でも今読んでる途中だしパチュリーも今違う本を…」 「いいから返しなさい」 「…ハイハイ」 まぁ、こんな感じで僕の持ってきた本は何故かパチュリーの読みたかった本であることが多く、奪われてしまうのだ。 「…さてと、ちょっと休憩」 「○○、休憩するなら紅茶を淹れて来て頂戴」 「ん、分かりました」 「それと、適当に本を持ってきて。あなたが選ぶ本は何故か私の読みたい本であることが多いから」 「ハイハイ…かしこまりました」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「淹れて来ましたよ。オレンジペコーですけどいいですか?」 「ええ、分かってるじゃない○○」 「ハハ…なんとなくですよ。で、いくつか本を持ってきましたが…」 「…あら、全部私の読みたかった本…」 「え…?ハハハ、なんつうかそのすごいですね…」 ちなみに僕の持ってきた本は10冊である …パチュリー、そんなに読みたい本があるのか… 「ねぇ…いくらなんでもおかしくない?」 「ん?何がですか?」 「何であなたは私の好みとか読みたい本が分かるのかしら?」 「え?いや、何ででしょうね?僕はただその場その場で決めてるだけですけど…」 「…研究の必要がありそうね」 「ハイ?」 あ、なんだか嫌な予感が… 「あ、その…僕帰ります」 「(ガシッ)逃がさないわよ…」 「え、ちょっとタンマ…」 「フフフ…しばらくココに泊まっていきなさい」 「い、いや…そんな迷惑ですよ…」 「あら、ココの図書館は少なくとも私が管理してるのよ。あなたが泊まるぐらいわけないわ」 「…まぢすか」 「フフフ…楽しみね…」 ああ母さん…たった今僕は人間から研究対象に格下げされました… 「…って、何で人の服脱がしているんですか!」 「研究するのに衣服はジャマなの。我慢しなさい」 「うう…恥ずかしい…」 「…どうでもいいけど立派ね」 「そんなに見ないでくださいよ!」 「研究するのに研究対象を観察しなくてどうするの?」 「ううう…なんでこんな目に…」 …パチュリーって一体… 「…って何やってんですか」 「何って…体温を測っているんだけど」 「いや、何で体温を測るのに抱きつかないといけないんですか!」 「体温計が無いのよ」 「…なんでそういう日常で必要なものが無いんですか…というかどうやって抱きついて体温測るんですか!?」 「人肌」 「…いや、そんな一言で言われましても…もう、好きにしてください…」 …五体満足で帰れるかな… というか、本当に家に帰れるかな… 「ってパチュリー、顔が近いんだが」 「よーく見る必要性があるのよ」 「いや、だからと言って近すぎ…んむっ!?」 え…なんでキスされてんの? 「ぷはぁっ…な、何をしてるんだよ!」 「唾液の採集」 「いや、だからそんな一言で片付けるなよ…ってかキスする必要性あるのか!?」 「人間の唾液を採取するにはこれが一番いいのよ」 「ウソダドンドコドーン」 「他にも方法はあるけど…面倒くさいのよね…」 「出来ればその方法でやって欲しかったよ…(ファーストキスだったんだぞ…)←小声」 「何か言ったかしら?」 「いいや、何も」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「さて次は…」 「まだあるのかよ…」 「ネタばらしね」 「は?」 「実は…今までの検査って何の意味も無いのよ」 「…えっ」 「研究するのには服を脱がす必要はないし、体温計はちゃんとある。そして唾液なんて最初から採集する必要性が無い」 「…嘘だろ…じゃあ…じゃあなんでこんなことをしたんだよ!」 パチュリーはいきなりそっぽを向いて言った 「あなたが…好きだから…」 「…はい?」 「あなたを愛してるから…だからこんなことをしたの」 「……」 「もう…逃がさないわよ」 そういうとパチュリーはいきなり呪文を唱え始めた すると図書館の戸の鍵が閉められていた。 「もう、私以外開けることは出来ない…」 「…そんな態度で示さなくても…良かったのに」 「いいのよ。これが私なりの愛情表現なの」 「やれやれ…」 「…ねぇ、あなたは私のことどう思ってるの?」 「どうって…好きじゃなかったらこんなことには付き合わないよ。…って言っても無理やりつき合わされたっぽかったけどね」 「…嬉しい」 「さてと、パチュリー?これからどうするんだい?」 「そうね…とりあえずは…」 そういってパチュリーは僕にキスをした。 先ほどとは違い、求めるような大人のキス。 僕もそれに精一杯答えた。 そして… 「パチュリー様ぁ…図書館から出れなくなって…」 「「あ…」」 「……」 「……ハハハ…よぉ、リトル」 小悪魔がいるのを忘れてた… ちなみに今はパチュリーが僕を押し倒し、僕はパチュリーの胸を触っている状態である… 「…し、失礼しました…ごゆっくり…」 「リトル…後で司書室に来なさい…」 「…パチュリー?何をする気だ?」 「決まっているでしょ、お仕置きよ」 「パ、パチュリー様!?」 「あなた、私たちの楽しみをジャマしたんだから当たり前よね…」 「い、いやぁ…」 「…ハハハ…こりゃまた……はぁ…」 はい、どう見てもネチョまで後一歩です。ありがとうございました。 なんつうかその…すみませんでした ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/14699.html
草案 登場人物 オーベム:真神恭介 オノノクス:鳴海京香 ユンゲラー:白石哲平 マシェード:鴨居奈々子 エンペルト:諏訪高貴 イワーク:氷室裕 使い手のタケシ同様線目なので ニョロボン:森川直治 メロエッタ:嘉納潤 オシャマリ:春日野唯 チャーレム::李涼雪 チュリネ:朱原まどか ピッピにんぎょう必携 ニューラ:波多野睦美 ゴチルゼル:波多野皐月 女性的だが、♂がいるので -- (ユリス) 2017-05-07 14 40 11
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/3213.html
登録日:2010/10/24(日) 14 57 56 更新日:2024/09/16 Mon 14 14 41NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 548 549 BW ×はなざかり○はなかざり ♀のみ お嬢様 かわいい くさ たいようのいし ちょうのまい にしだあつこ ねむりごな はなびらのまい ようりょくそ イッシュのブースター イッシュアイドル草四天王 コルサ ゴウ サブウェポン不足 ジーナ ダブルバトル向き チュりっぺ チュりん チュリネ ドット職人の業 ドレディア ポケモン最終進化形 ポケモン解説項目 マイペース ルザミーネ 晴れパ 特殊アタッカー 第五世代 萌えポケ 鎧の孤島←ママになってます 美しい花を咲かせるのはベテラントレーナーでも難しい。セレブに人気のポケモン。 出典:ポケットモンスター、94話『ヘラクロスロス、恋するカイロス』、19年11月17日~2022年12月16日まで放送。OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon ドレディアとはポケットモンスターシリーズにブラック・ホワイトから登場するポケモン。 ■データ 全国図鑑No.549 分類 はなかざりポケモン 英語名 Lilligant 高さ 1.1m 重さ 16.3kg タマゴグループ 植物 性別比率 ♂0♀100 タイプ くさ 特性 マイペース(混乱しない。いかくを受けない) ようりょくそ(天候が晴れの時に素早さが二倍になる。) 隠れ特性 リーフガード(晴れの時に状態異常、あくび状態にならない) 種族値 HP 70 攻撃 60 防御 75 特攻 110 特防 75 素早さ 90 合計 480 努力値 特攻+2 チュリネに「たいようのいし」を使うと進化する。 ■チュリネ 全国図鑑No.548 分類 ねっこポケモン 英語名 Petilil 高さ 0.5m 重さ 6.6kg タイプ くさ ■概要 頭に花飾りを付け、体にはつぼみのドレスのような物を纏うお嬢様のような姿をした可愛らしいポケモン。 ドレディアちゃんマジお嬢様。 しかも形のよく似たキレイハナやチェリムとは違って♀しかいない。 その頭の香りは気分をリラックスさせる効果がありセレブにも人気が高い。 しかしその花を綺麗に育てるのはベテランのトレーナーでも難しいとされ、手入れを怠るとあっという間に枯れてしまうという。 さらに「パートナーとなる♂ができた瞬間に花がくすんでしおれていく」「花から作られる精油が非常に高価」など、かわいい割に設定が結構えぐい。 ■ゲームでのドレディア ホワイト・ホワイト2進化前のチュリネが序盤のヤグルマの森で出現する。 進化前は「ねむりごな」+「メガ(ギガ)ドレイン」、進化後は「ちょうのまい」+「はなびらのまい」が基本戦術で、特に後者の全抜き性能が高い。 特性は天候が晴れでなければ活かせない「ようりょくそ」よりも、「はなびらのまい」使用後の混乱を無効化できる「マイペース」がお勧め 石進化の例に漏れず、ドレディアになると覚える技がかなり少なくなる点には注意。 ただBW版に関してはくさタイプに何かうらみでもあるのかと邪推したくなるほどくさタイプが使いづらい。 有利を取れるジムリーダーがかなり少ないこと、一見等倍が通りそうなポケモンが「そうしょく」という新特性を持っていることなど。 さらにドレディアは後述のように技のバリエーションが極めて狭いため、草技が通用しない相手には文字通り手も足も出なくなってしまう。 「ねむりごな」がバトルにもポケモン捕獲にも役立つこともあり、使い所の多い有能なポケモン。 草技特有の使いづらさはあるものの、その火力と「ねむりごな」のおかげで強く、さらに「ちょうのまい」まで覚えるのだ。 おかげで草御三家のツタージャをパーティから外す人が続出した。 ブラックではシッポウシティでモンメンと交換してくれる人物が存在する。 ニックネームは「チュりん」 個体値は特攻Vで性格は「ひかえめ」で特性「ようりょくそ」、持ち物は「クラボのみ」 特性こそストーリー攻略には不向きだがそれ以外は優秀で、十分優秀な戦力になる。そもそも野生種がホワイト版にしか出てこないので入手手段としても十分。 ブラック2でも交換できるのだが、こんどは「おくびょう」で「マイペース」になっている。 そして持ち物がなんと「パワーウェイト」になっている。 LEGENDSではリージョンフォームとしてヒスイドレディアが新たに登場した。あちらはくさ/かくとう複合となりステータスも物理型に変化した。 やたら攻撃的な外見が特徴で、ドレディアと言われなければ……というか、言われても気づかないほど原形がない。お前本当にドレディアか? ■対戦でのドレディア 高い特攻とそこそこの素早さを持つ特殊アタッカー。 上記の通りBWから威力が強化された強力な草技「はなびらのまい」を自力で習得する事が出来、 さらに特性「マイペース」により「はなびらのまい」の混乱のデメリットを打ち消すという超強力なコンボが可能。 BWから追加された特攻・特防・素早さを一段階ずつ上げる積み技「ちょうのまい」も習得する事が可能。 これにより強化された「はなびらのまい」はまさに脅威の一言。水タイプポケモンに当たれば三枚おろしどころか刺身にまで調理されてしまうだろう。 草タイプ特有の「ねむりごな」等の補助技もしっかり完備しておりまさしく草タイプ屈指のエースアタッカーである。 特性「マイペース」にばかり目が行きがちだがもう一つの特性「ようりょくそ」で晴れパで運用するのも面白い。 しかしやっぱり不遇な草タイプ。 「はなびらのまい」の威力自体は確かに強力だが草タイプ故に半減されやすく、数字程の威力は発揮しにくかったりするので過信は禁物。 操作不能のデメリットもあるので、何も考えずに打つとボーマンダやウルガモスの起点にされたりする可能性もある。 これを嫌って「エナジーボール」などにすると今度は一気に火力不足となって使う意味自体が揺らいでくるという、最悪のジレンマを抱えている。 また草タイプの宿命かその半減の多さを補うサブウェポンも異常に乏しい。 というか、ただでさえ少ない草タイプの中でも目を剥いて驚くほど少ない。どれくらい少ないかというと、キレイハナがマシに見えてくるレベル。いうなれば特殊版ギギギアル。 もちろんだからこそ「ちょうのまい」なんて無法な技が許されたのだろうが、それにしたってやりすぎである。 ロマン砲こと「はかいこうせん」すら真面目な候補に上がる始末。 よってガチで使うならめざパの厳選は必須。ほぼ、じゃなくてこれの有無で雲泥の差。 タイプは炎、氷、岩辺りが候補。 また耐久もあまり高くなく草タイプ故の弱点の多さも手伝って耐久は並以下。 特に最近は強力な炎や虫がはびこっているので要注意である。 特殊耐久は「ちょうのまい」でまだ何とかなるとしても物理に関してはどうにもならず。 おまけにやっぱり特殊タイプの運命として、『ハピで止まります』(特攻極振り+蝶の舞1積花びら舞で個体値HD31努力値H252・D0の典型型ハピに乱数3発、90%以上の確率で4発必要) 「はなびらのまい」のせいで隙を晒しやすい上、「ちょうのまい」「ねむりごな」とやることがほぼ固定されているせいで非常に読まれやすい。 対戦相手にしてみれば容易にくじきやすいポケモンなので、相手を見極めて戦うことが必須となる。 ……というのが第六世代(XY、ORAS)までの彼女の話。 SM発売後、そこには激変した対戦環境によって最高の相棒を得たドレディアの姿が! コータスに「ひでり」が追加されたこと等で、ダブルバトルにおいてポテンシャルが見事なまでに噛み合い、開花したのである。 特性「ようりょくそ」による圧倒的な素早さからの眠り粉、おさきにどうぞ おさきにどうぞ、かぁ~らぁ~のぉ~超速コータスのふんか!→相手は死ぬ Zワザ「ブルームシャインエクストラ」でスカーフガブリアスだろうが高乱数で一発 とうとう晴れパはドラゴンを苦にしないほどのごり押し力を手に入れてしまった。 ついでに言うと、カプ・テテフ等の準伝説フィールド持ちとも相性が良い。 剣盾ではめざパが廃止、ゆめくいも没収されたため、草タイプの中でもサブウェポンの貧弱さが最低レベルに。(かわりにかふんだんごを習得したが同タイプ以外に打ちたい相手がいない) これによりシングルでの運用がますます厳しくなってしまったため、前作以上にダブルバトルが主戦場となっている。 SVでは流石にサブウェポン不足が改善されるか…と思いきや結局新規習得ははステータス上ほぼ使わない物理技のくさわけとタネマシンガン、特殊技に至ってはテラバーストしか与えられなかった。しかも後から参戦したヒスイドレディアは物理型のステータスであるにもかかわらず特殊技であるぼうふうやエアスラッシュが与えられるというチグハグな事になっている始末。 一応テラスタル炎/地面によるテラバーストで鋼打点を得られるがドレディアのサブウェポンを起動するためだけに一度きりのテラスタルを使うというのも安定性に欠ける。 DLC『碧の仮面』でウェザーボールのわざマシンが復活、なんとドレディアが新たに習得するようになった。これにより実質4タイプの技を一気に得たほか、晴れ下ではほのおタイプ以外のテラスタルも採用が可能に。 更にフェアリータイプで威力80の攻撃技「みわくのボイス」を習得し、往時の「かわいい外見だけどやってることが超脳筋」という不遇は完全に解消されたとみていい。 問題は、それで戦えるかどうかである。 総じて典型的な「活躍の場はダブルバトル」というポケモン。シングルバトルとダブルバトルはまったく違う景色が広がっている一例と言えるだろう。 どっちも結局れいじゅうランドロスゲーというわけではないのだ。……ないよね? ■ポケモン立体図鑑BWでのドレディア 笑顔が無茶苦茶可愛い。 ただし、現在ではソフトの配信が終了している為、3DSで見たい人は全国図鑑PROを購入しなくてはならない。 ■■ ■■■■■■■■■ ■■■■■■ ■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■ ■■■■■■■■■ ■■ ■■■ ■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■ ■■■ ■■■■■■ ■■■ ■■■■■■■■ ■■■ ■■■■■■■ ■■■■ ■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■ ■■■ ■■■■■■■■ ■■■ ■■ どんなに てまと じかんを かけて しらべて ついきしゅうせいしても うそっぱちと たいげんそうごと としでんせつの ほうが おもしろがられる。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ここでもドット絵凄いな -- 名無しさん (2013-06-26 02 56 38) ポケパーク2だとドレディアはもちろん、進化前のチュリネも鼻血出そうなくらい可愛い -- 名無しさん (2013-12-13 18 16 31) ポケモン界の鬼畜舞姫。ただし草食で止まる。 -- 名無しさん (2014-07-14 10 40 45) 交換個体はシナリオの主戦力として重宝する。でも技が少ないから他のポケモンでカバーしないと無双は無理。 -- 名無しさん (2014-10-06 22 58 27) スマブラ3DSのフィールドスマッシュのポケモン枠で何でチュリネが選ばれたのか。 -- 名無しさん (2014-11-08 22 11 06) フィースマの敵は疎まれやすくチュリネまで疎まれて複雑...。 -- 名無しさん (2015-04-15 11 20 12) 技少なすぎィ! ムーンフォースかマジカルシャインくらい覚えてくれよ -- 名無しさん (2015-04-15 11 28 54) XYになってから、可愛さが更にアップ!フェアリータイプが追加されるかと思ったのに…。 -- 名無しさん (2015-04-15 11 36 15) しかし残念ながらアニメでの扱いはいいとはいえない。 -- 名無しさん (2015-06-27 10 58 48) リーフガードもありますぜ -- 名無しさん (2016-01-01 19 28 34) アニメで下手に出番増えて目をぐるぐるにさせられる戦闘不能状態を晒されるよりはマシだろう…まぁちょっとは見てみたいが… -- 名無しさん (2016-02-04 21 53 07) フェアリー追加はなくともマジカルシャイン習得くらいは -- 名無しさん (2016-02-04 22 17 14) もしフェアリー技が来たとして、そしたらめざパは何がいい?やっぱ炎か地あたり? -- 名無しさん (2016-02-11 02 29 50) かわいい -- 名無しさん (2016-02-23 20 01 13) 最近はひでりもらったコータスと組んでコータスドレディアとして大暴れしてる -- 名無しさん (2016-12-14 06 01 36) ファイアローが弱体化して減ったのも、追い風になってるよね。 -- 名無しさん (2016-12-25 02 40 52) ポケスペでダークトリニティが使ってたな。悪人だったからか目付きが悪くてあんま可愛くなかった… -- 名無しさん (2017-02-11 19 54 57) ところでガラルにこいついる? -- 名無しさん (2019-12-23 10 57 07) 何故対の存在のエルフーンはいるのにこいついないのか -- 名無しさん (2020-05-29 12 44 11) ↑遅れてヨロイじまに登場し、イベントでのチョイ役もゲット。チュリネ共々よちよち感がかわいい -- 名無しさん (2020-07-04 18 55 17) サブウェポンがことごとく没収されて範囲が悲惨なことに -- 名無しさん (2020-07-04 19 37 30) ウエザボくらい習得させてよ。って思ってしまう。草虫無 -- 名無しさん (2020-09-20 20 34 06) ヒスイの姿がとても…その…フフフ… -- 名無しさん (2022-02-09 16 41 44) ヒスイとの姉妹感好き。 -- 名無しさん (2022-02-16 18 14 16) ヒスイの姿はドレディアの人が思わず困惑する程 -- 名無しさん (2022-02-16 18 26 23) アルセウスでぴょこぴょこついてくるチュリネに心やられた -- 名無しさん (2022-02-24 21 42 40) 原種ってもしかして二本足じゃないの!? -- 名無しさん (2022-08-04 13 19 11) SVでちょっとは強化されるかな…と思ってたのに新規習得が草物理技2つとテラバーストだけとかマジでなんやねん…ゲーフリに原種ドレディア嫌いでもおるんか -- 名無しさん (2022-11-28 18 50 41) ついにフェアリー技を習得おめでとう -- 名無しさん (2023-12-18 08 41 45) 名前 コメント