約 244,186 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4795.html
[前編へ] ―――その頃、霧の中では……。 タナトス「Αμαρτωλοσ(アマルトロス)、これで終わりだ。せめて死ぬ瞬間ぐらい見せないでおいてやろう。」 大王「き、貴様……何を……?」 【タナトス】の鎌に大王の首がかけられている。今、大王の命が狩られようとしていた。 タナトス「私の能力だ。お前達の言う『恐怖』で動けなくした。」 大王「恐怖……?俺が?」 タナトス「恐怖など、所詮ただ1つのものを指しているに過ぎない。」 大王「恐怖の、根源……だと?」 大王は、始めて【タナトス】に遭遇した時を思い出す。確かあの時も同じ感覚を覚えた。 【恐怖の大王】と呼ばれる存在が恐怖を覚える?少し疑問ではあった。 タナトス「そう、『Θανατοσ(死)』だ」 大王「な……?」 タナトス「兵器、病気、飢餓……。それを恐れるのはタナトスを恐れるからだ……。 ゆえに人は不死を望む。私から逃れようとする。 だがそれは無意味だ。望みはかなわない。逃れようとしてもつまずくだけだ。 モイラを受け入れろ。そして私を恐れろ。」 大王「ッ……。(契約は果たせそうにない、か。)」 それもいい、そうも思った。 その程度の存在だったのだ。 生を受け、自分の存在を誇示せんとし―――気が付くと1人の子どもと命を共にしている。 とても変わった人生だったと思う。 都市伝説なのに、生き物の性を持ち合わせていたという疑問もあるが、それ以前に……。 ……まぁいい。もう終わる。大王はゆっくり目を閉じた。 タナトス「遅かれ、早かれ、避けられぬ別れ……。」 タナトス「そう、我こそが……『Θανατοσ(タナトス)』!」 ―――モイラ、あなたが命を与え続けるためなら――― ―――私は――― タナトス「……ευθανασια(エウタナジア)。」 正義「大王ォォォォォォォ!!!!!!!」 タナトス「ッ!!!??」 大王「少年……?」 突如、霧の向こうから正義の姿が現れる。 正義は剣を切り上げ、【タナトス】の鎌を弾き飛ばす。 同時に、衝撃波が放たれたように霧が晴れていった。 奈海「あっ!正義くん!」 楓「大王様ぁ!」 霧から開放された大王は、その場で膝から崩れ落ちた。 【タナトス】は落ちてきた鎌を空で取り、正義を見る。 タナトス「どういう事だ……何故お前は私を恐れない?」 正義「さぁね。でも、キミは恐くないよ。全く。」 タナトス「……まず【恐怖の大王】よりもお前を優先するか……!」 【タナトス】は鎌をハルバートに変形させて、正義に標的を変える。 タナトス「Αμαρτωλοσ(アマルトロス)、死を受け入れよ!」 正義「残念だけど、ボクも大王と同じ意見さ!」 【タナトス】はハルバートをぶつけるように大きく振りかぶり、正義はそれを受け止める。 勇弥「くそ、正義を助けに行きたいのに……動けねぇ。」 楓「……何故かカウントの能力も発動しない。このままでは……。」 コイン「“そ、そんなぁ……。”」 陰「(ユウヤ……すみません。実体を持たない私も、恐怖を覚えてしまうようです……。)」 伯爵「(楓さん。あなたとお友達を守るために私がいるのに……。自分の不甲斐なさを恨みます……!)」 声の出せない都市伝説もまた、己の無力さを噛み締めていた。 たった1人、正義だけ戦っている、その状況ほど苦しいものは無かった。 奈海「脚に、力が入らない……。……ッ!」 コイン「“……奈海、どうしたの?”」 奈海「コインちゃん、私を呪って。」 急に奈海が悲観的になったと思い、コインは慌てて慰めようとする。 コイン「“え……いや、私だって好きで奈海と契約したのよ。こんな事になったって奈海を”」 奈海「そうじゃなくて!……そういう意味なのかもしれないけど……。」 コイン「“……まさか、能力の話?”」 奈海「……昔さ、コインちゃんの呪いにかかった人がすごい事になってたでしょ?もしそれが出たら……と思って。 でもコインちゃんの呪いはランダムなんでしょ?だからもしかすると失敗するかも。」 コイン「(……。)」 奈海「でも正義くんも、大王さんまで命懸けで戦ってるのに、私だけ何もしないのは良くないよね。たまには、私だって戦わないと……。」 すぅっと、コインが奈海のそばに現れて耳打ちする。 コイン「奈海、なんで私の呪いがランダムか、説明したっけ?」 奈海「……?ううん、聞いてないわよ。」 コイン「それはね、その時の気分で、私が決めるから。……言いたい事、分かる?」ニッ 奈海「……あ……。」 その時、正義と【タナトス】は。 正義「く、たぁ!」カンッ キィンッ タナトス「そろそろ受け入れ始めたか、Μοιρα(モイラ)を!」キィンッキィンッ! 既に1度倒れている正義にとって、本気で攻める【タナトス】の相手は困難だった。 だんだんと体力を消耗し、ついにその剣を弾き飛ばされる。 正義「あっ!?」 タナトス「隙あり。」 ハルバートを突き刺そうとした瞬間、正義はその場に倒れる。 【タナトス】はそのままハルバートを地面に下ろす。とっさに正義は寝返って、立ち上がっ――― 正義「え……!?」ズッ もう、正義の腕に力は残っていなかった。或いは【タナトス】の能力も関係していたのだろう。 タナトス「精神は抗えども、肉体はΜοιρα(モイラ)を受け入れたようだな。」 正義「く、動けッ……動け……!!」 その体も、よく【タナトス】の連撃を耐えたものだった。しかしとうとう言う事を聞かなくなった。 【タナトス】はハルバートを大きく振り上げる。 タナトス「『Ματ(マット)(チェックメイト)』。」 奈海「いっけぇぇぇえええ!」 いつの間にかそこにいた奈海が、【タナトス】の顔を目掛けて信じられない勢いで跳び上がる。 そのまま跳び膝蹴りが炸裂し、【タナトス】は思わずのけぞる。 奈海「ッ……、痛ったぁぁぁ!」 コイン「“だから危ないって言ったのよ。”」 正義「奈海……いったい何を……?」 その声を聞き、奈海は笑顔を作って正義の前に屈む。 奈海「ふふん、コインちゃんのお呪いよ。」 正義「おまじない・・・?」 コイン「“私の呪いの1つに、『リミッター解除』っていうのがあるの。 ほら、人の体って100%の力を使うと筋肉断裂しちゃうでしょ? だからそうならないように、普通は脳が筋肉を抑制しているの。 それで、脳のそのあたりの活動を呪いで止めちゃうと……。”」 奈海「無駄に怖い事を……。昔、それを相手に使用して動けなくした事があったの。 だけど動けなくなる前にすっごく強くなって大変だったのを思い出して……。」 正義「え!という事は、奈海……!?」 奈海「あ、そうなのよ。いたた、膝が……。」 コイン「“大丈夫よ。痛くなるなら脚の筋肉だし。めいっぱい加減したから助かったのかも。”」 奈海「あ、そうなの?なら痛くない、かな。」 コイン「“あぁー。滅多にやらない事したから疲れちゃった。帰ったらケーキね。”」 奈海「りょーかい。まったく現金な娘……ね、正義くん。」 ふと正義の方を見ると、正義は辛そうな顔をしていた。 正義「ごめん、奈海……。ボクが守らないといけないのに……。」 奈海「ぇ、えっ?あの、その、わ、私だってほら、正義くんの保護者なんだから。」 正義「……ありがとう。」 奈海「……どういたしまして。」カァァ コイン「(へぇ……呼び捨てモードなのに『ボク』なんだ。変なの。)」 しばらく微笑んでいた2人だったが、改めて表情が硬くなる。 奈海「正義くん、もう立てる?」 正義「……無理だ。大王には悪いけど、さすがに今回だけは逃げた方がいいかも。」 奈海「そうね。えっと、勇弥くんは自力で使えるから、カードはある?」 正義「確かポケットに。でも勝手に逃げるとまずいよ。勇弥くんに言わないと……。」 奈海「勝手に逃げたら嫌でもテレポートするんじゃない?今は正義くんの安全の方が大」 正義「奈海ッ!逃げろ!!!」 気付く間もなく、奈海の首に鎌がかかる。 すると奈海の周りにわずかだが禍々しい霧が発生する。 霧が奈海の四肢を包むと、奈海がゆっくりと宙に浮く。 タナトス「さっきの攻撃は素直に賞賛してやろう。」 正義「奈海ッ!」 奈海「正義、く……ん……。」 奈海が手を開くと、十円玉が転がり落ちた。 奈海「コイン、ちゃんを……よろしく……。」 正義「ッ……!タナトス!」 タナトス「喜べ、このΑμαρτωλοσ(アマルトロス)はお前の目の前でΝεκροσ(ネクロス)にする。これでお前も知ることができよう。私を。」 正義「……ッ!」 タナトス「恐れろ。そして己のαμαρτια(アマルティア)を悔やめ。そうする事によってこそ、【モイラ】様も……!」 正義の後ろでは、勇弥と楓が動けなくなっていた。 勇弥「(くそ……体が、口すら動かねぇ……!陰は……?)」 陰「(ユウヤ、私はもう、あなたを救う事はできないみたいです……。)」 楓「(カウント!頼む、奈海を助けてくれ……!)」 伯爵「(すみません、楓さん……。死に怯えて動けないとは、紳士失格です。)」 コイン「(そんな、うそでしょ!?奈海!奈海ぃぃぃ!!!)」 大王は、怯えながらもゆっくりと進んでいたが、おそらく間に合わない。 この状況でまともに動けるはずの正義は、すでに体力を失っていた。 奈海「(もっと、正義くんの傍にいたかったかな……。)コイン、ちゃん、けい、や、く……。」 タナトス「ευθανασια(エウタナジア)……!」 ―――――― 「やめろぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!」 ―――止まった。叫びが爆風と共に広がり、その場の全員の動きを止めた。 全員、その声の主が分からなかった。しかしすぐに、声の主が分かった。 正義「お前なんかに奈海の何が分かる!?奈海は罪人なんかじゃない! 危険を省みずに僕を助けてくれた、そんな優しい奈海を罪人とは呼ばせない! 勇弥くんも、十文字さんも、コインちゃんも、大王も……。 皆がいたから、今のボクがいるんだ! これ以上皆を傷つけるのなら、ボクが絶対許さない! 覚悟しろ!!!」 ―――しばらく静寂が続き、最初に動いたのは奈海だった。 急に地面に落ちた奈海は尻餅をつき、すぐに正義の側らに戻った。 奈海「えっと……正義くん、ありがとう。」 正義「奈海、だいじょうぶ……だね。」 次に、金属が落ちる音がする。奈海が振り返ると、【タナトス】が鎌を落としていた。 【タナトス】はしばらく固まっていたが、やっと事態に気付き、鎌を拾って後退する。 大王「【タナトス】が鎌を落とした……?さっきの少年の発言のせいか?」 勇弥「せ、正義ィ!」 楓「黄昏、心星!」 勇弥と楓が正義の方へ駆け寄る。 勇弥「正義、今のはいったい……?」 正義「あ、勇弥くん、十文字さんも、動けるようになったんだ。」 楓「動ける……?あ。本当だ。体が軽い。」 奈海「私も。正義くんのおかげなのかなぁ?コインちゃんは?……あ、あそこだ。」 勇弥「ははは、契約解除、ってならずに済んだな。」 コイン「“ぷはぁ”まったくよ。びっくりしたじゃない!」 楓「(今回ばかりは、私も全滅を覚悟したが……。黄昏には驚かされるよ。)」 少し離れた所で、大王は訳の分からない状況を分析していた。 大王「あれは俺の能力のはず……。いや、少年は黒雲から物を生成できる。同じように契約によって得たのだろう。」 しかし問題はもう1つある。【タナトス】が少年に怯えたのだ。死こそが恐怖の根源であると言った【タナトス】がだ。 死を超越する恐怖があるというのか? 死……?恐怖……?……なるほど、そういう事か。全てが繋がった。 タナトス「な、なんだ、これは……?体が勝手に、震え、硬直し、寒気もする……。」 大王「【タナトス】、それが恐怖だ。」 タナトス「【恐怖の大王】……。ふ、ふざけるな!私が恐怖などッ!」 その言葉を受け、大王は不敵な笑みを浮かべる。 大王「【タナトス】、お前は『死こそが恐怖の根源』といったな。だがそれは違う。死もある恐怖の一種に過ぎない。」 タナトス「死を上回る恐怖……だと?」 大王「『未知』だ。」 タナトス「ミチ……『αγνωστο』?」 大王「人間は知らない事を恐れる。それ故、多くのものに名をつけ、全ての事象を研究・証明したがる。 そしていつか、分からない事象を説明するために誕生したのが【神】。俺達都市伝説の祖先になるのだろうか。」 タナトス「それと、死が、どう関係している……?」 大王「まだ分からないのか?何故都市伝説が怖いのか。『分からないから』だ。 いつ何処にいるか、何をしてくるのか、どうして生まれたのか……。人はそれに恐怖する。 しかし知らない事を知るためか、知らない事を作るためか、それは生まれる。 死だけではない。」 タナトス「俺も恐れるほどのミチを持っている、と言うのか。ならなんだ?」 怯え震える【タナトス】を見て、大王は既に勝利を悟っていた。 大王「お前の恐れるものは、少年の未来だ。」 タナトス「ミラ……『Μοιρα(モイラ)』……?」 大王「未来もまた未知。それは無限の可能性を秘めていると言っても過言ではない。 それを予測できるのは、一部の都市伝説だけだ。」 タナトス「……。」 大王「そしてお前は【死神】の力を持つ死の神【タナトス】。言い換えれば人の未来を奪う者だ。 お前は人の未来を奪ううちに、人の未来を恐れるようになったんじゃないのか?」 タナトス「うるさい!根拠も無い事を……。」 大王「あぁそうだ。この意味不明な現実を受け入れるための、根拠もない推測だ。だが1つだけ断言できる。 今なら俺は……お前を恐れない!」 大王が剣を振るう。【タナトス】は鎌をハルバートに変形させて防御する。 そのまま大王の連撃が続く。しかし【タナトス】は少し前までの技の切れを失っていた。 正義「だ、大王!く……うわっ!?」 勇弥「正義、お前はもう休んでてくれ。今までずっと戦ってくれてたからな。」 奈海「わ、私も!うッ……。」ガクッ コイン「わぁ、奈海も充分戦ったよ。勇弥くん達に任せよう。」 楓「あとは任せてくれ。私は都市伝説研究同好会の、会長だからな。」 勇弥と楓が一斉に走りだす。 勇弥「大王さん、剣1本!」 大王「了解、会長は不要か?」 楓「気持ちだけ受け取ります。しかし素手で充分です。」 タナトス「調子に、乗るなァ!」 【タナトス】のハルバートが勇弥に向けられる。 大王「友、あれを受け止められるとは思うな。」 勇弥「自分と正義の違いぐらい分かってるぜ?だから俺の戦い方で。」 タナトス「うっ!?」 勇弥にあと少しで届くというところで、【タナトス】の動きが止まる。 勇弥「空気の抵抗を上げたせいで、動き辛くなったのさ。水の中では走りにくいのと一緒だ。」 タナトス「く、空気を操作する都市伝説か……。」 勇弥「操作できるものは『全て』。さぁ、いっくぜぇ!」 勇弥の剣が【タナトス】のハルバートを叩き落とそうとする。しかし思った以上に握力が残っていた。 勇弥「あら?」 タナトス「面白い能力だが、器の力が伴っていないな!」 大王「友!伏せていろ!」 大王の掛け声と共に勇弥が伏せると、勇弥の後ろから大王の突きが炸裂する。 【タナトス】はハルバートで大王の突きを防いだ。 タナトス「くっ!」 大王「ちっ、これは効くと思ったがな。」 楓「大王様、次は私が!」 タナトス「ッ……。素手で戦えると思うか!?」 【タナトス】は楓にハルバートを突きつける。 勇弥「ちょっ、大丈夫なのかよ!?」 大王「会長なら可能だ。会長にはあの能力がある。」 勇弥「オレの時と対応がおかしい……。まぁいいけど。」 【タナトス】がハルバートを振り下ろす。楓は後ろにステップした。同時に、電子音が鳴り響く。 楓「武器が要らないという訳ではない。」1! タナトス「何ッ?!」 ハルバートを前に突き出す。楓はひらりと避ける。電子音は腕時計から鳴り響く。 タナトス「偶然……?」 楓「武器は使いこなせないだけだ。」2! ハルバートを振り上げると、まるで宙に舞う楓のように、ひらりひらり。 楓「私の取り得は、避ける事と。」3! タナトス「ち、都市伝説……!」 “count over!” 電子音がカウントを終了すると同時に、“ピッ、ピッ”と音声が鳴りだす。 その瞬間、楓は【タナトス】を掴み、力いっぱい地面に叩きつけた。 タナトス「か……?」 楓「力いっぱい投げ飛ばす事だ。」 大王「……決まったな。」ぐっ 楓「はい大王様!お役に立てて光栄です!」ぎゅっ! 【数秒ルール】の能力により【タナトス】は通常の何倍ものダメージを受けたのだ。 さすがの彼も、反抗の意志は薄れただろう。 勇弥「さてと、正義、そろそろ大丈夫か?」 正義「うん、よっと。立てるようにはなった。」 奈海「よいしょっと。で、あいつは?」 楓「あの通りさ。」 正義「えっ……!?」 奈海「嘘……!?」 楓「……?」 勇弥「……。」 タナトス「モイ、ラ……。」 勇弥と楓が後ろを向くと、ボロボロになりながらもまだ立つ【タナトス】の姿があった。 コイン「まだ戦意失って無いじゃん!」 勇弥「いや、もう戦えないはず、だろ……?」 ―――その眼が向けられた先は、正義か、大王か――― ―――その時彼の頭を巡るいくつもの回想を、知る者は2人といなかった――― タナトス「……うわあぁぁぁぁああああぁぁぁ!!」 ハルバートが変形して鎌に戻り、【タナトス】は黒い翼を広げてこちらに飛んでくる。 勇弥「やばい!早く何とかしねぇと!」 大王「少年、友、ここは俺1人でいい。」 正義「大王……?」 【タナトス】を目の前に、大王は上空に黒雲をつくる。 すでに、黒雲の内部から光が漏れていた。 大王「【タナトス】。お前は、俺の右腕に丁度いい存在だと思っていた。」 タナトス「あぁぁァァァあぁあぁ……!」 大王「だが、怒りで我を忘れるというなら、取り消そう!」 瞬間、雷鳴が轟き、上空より光の矢が落ちる。 その矢は確実に【タナトス】に狙いを定めたように、彼を正確に貫いた。 そう、見えた。 タナトス「ァぁ、ぁ…………。」 ―――ただ、静寂が続いた―――――― Σχεδιο編第6話「死」―完― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
https://w.atwiki.jp/blazer_novel/pages/118.html
空中を自在に飛び回る、巨大な細長い龍の姿をした古き神々の一人・ポルックス。 山羊の頭部と下半身に、人型の上半身と蝙蝠型の翼を持つ、古き神々の一人・アルデバラン。 この二体の咆哮を受けながら、古き神々の一人・ベテルギウス――又の名をタナトス――は、重力を制御して空中に浮遊した。 アルデバランが地上から、ポルックスが更に上方の空中からタナトスを睨みつける。 タナトスは、不敵な笑みを口元に浮かべ、堂々と言った。 「さあ、来なさい。魂亡きかつての同胞よ」 攻撃が開始されたのは、次の瞬間だった。 まず攻撃を開始したのは、龍の姿のポルックス。 全身に設置されたマイクロミサイルポッドが大音響を立て、凄まじい煙と共にミサイルを撒き散らす。 ミサイルは全てタナトスに照準を合わせて突き進んでいく。タナトスはこれに対し、ただおもむろに、飛来するミサイルへ、指差した。 すると、間近まできたミサイルの軌道が逸れ、タナトスの身体に接触するギリギリの所を通過していく。 やがて標的を見失ったミサイル同士がタナトスの遥か後方で互いに接触し、大爆発を巻き起こしていった。 続いてポルックスは全身に備えられた砲塔から、タナトスに向けてレーザーを照射した。 赤い光がタナトスへ向けて殺到し、暗闇に満たされたヘブンズ・ゲートの内部を照らし出す。 タナトスは、流麗な動きで手に持っていた蝙蝠傘を展開すると、レーザーに向けた。 レーザーは蝙蝠傘に接触すると、何かに飲み込まれたかのように、消えていく。 それらの光景を見て、ノアはタナトスの戦力について思考を巡らせた。 「(ミサイルの起動を変化させたのは、先程私を拘束した糸だな。間近まで来たミサイルを糸が絡め取り、微細に軌道を変化させ、ギリギリの所で自分に当たらぬように偏向させたのだろう。だが、問題はあの傘だ。あちらはレーザーを弾くのではなく、吸収している。明らかにビームコーティングの類ではない。もっと高度な代物…!!)」 ポルックスは尚も、ミサイルとレーザーを織り交ぜた攻撃を続け、タナトスは文字通り『演じる』かのように、空中でダンスでも踊るかのような動きでそれらを凌いでいく。 気が付けば、ミサイルの爆発と赤いレーザーの光で、空は幻想的にさえ見えるほどの光に覆われていた。 しばらく、ポルックスの攻撃をタナトスがかわしていく光景が展開されたが、やがて地上にいるアルデバランが動きを見せた。 再度その口を開けて咆哮すると、頭部に付いた二本の角を発光させたのだ。 そして、それと同時に、空中でタナトスを攻撃するポルックスも、口腔内にエネルギーをチャージする。 それを見て、タナトスは再度微笑んだ。 「やれやれ…終幕を急ぐ必要など無いというのに」 次の瞬間、凄まじい閃光と共に、アルデバランの雷撃とポルックスのエネルギー砲がタナトスに向かい発射された。 凄まじい光が、タナトスへと殺到していく。 今度はタナトスは、先程のように避けはしなかった。代わりに、再び蝙蝠傘を展開すると、雷撃とエネルギー砲へ向けて翳す。 その様子を見たノアは、自然と声に出していた。 「まさか…!!」 果たして、先程のレーザーと同じ様に、エネルギー砲と雷撃は傘の中に吸い込まれ、それは二体の古き神々が雷撃とエネルギー砲を撃ち尽くすまで続いた。 「さて、まだ続けますか?」 余裕の表情のまま、タナトスは言葉を紡ぐ。だがその言葉を無視し、ポルックスは再度全身からミサイルを射出してタナトスへと殺到させた。 タナトスは再びミサイルを指差すと、その軌道を変え、かわしていく。 「ふむ、そろそろワンパターンとなってきましたね。終わりに…」 言葉を紡ぎ終える前に、タナトスは何かに気付くと、即座に振り返った。 いつの間にか、ノアが背後から、再度タナトスへ向けて貫手を繰り出した。 ギリギリでそれをかわしたタナトスが、空中で距離を取る。 だが、タナトスの頬は僅かに切れ、赤い血が流れ出していた。 「なるほど…ミサイルの爆発による煙に紛れ、奇襲に出ましたか」 「ワンパターンに、なってきたのだろう?」 指先についた血を一瞥すると、ノアは再度思考する。 どうやら、今戦っているのが『本物』のタナトスであると、ようやく証明ができたようだ。 仮に戦っていたのが、身体を液体金属で構成したリーバード『アバター』であったならば、頬から血が流れる筈がない。 それに、糸も傘も、自身の身体から出しているわけではない、外部の装備だ。これだけの装備を分身に扱わせるとは、少し考え辛い。 そこまで考えて、ようやく戦況の進捗が進んだ事に、ノアは薄く笑みを浮かべた。 「ここからは、私も加わるとしよう」 「構いませんよ。進行役は貴方なのですから」 そう答えると、タナトスは微笑を浮かべる。 次の瞬間、ノアはタナトスへと突っ込んだ。 突進と同時に、片手に展開させたワームホールをタナトスへと射出しようと振りかぶる。 対して、タナトスはその場から跳躍した。 先程の様に、空中に足場があるかのような跳躍。その跳躍は丁度ノアを飛び越えるかの様な軌跡を辿っていた。 「(読んでいないとでも…思ったか!!)」 ノアは振りかぶった姿勢のままワームホールを片手に保持し、勢いよく振り返る。 ノアの視界に入ったタナトスは、前方に跳躍後の逆さまの姿勢のまま、ただ閉じた蝙蝠傘の先端をノアに向けていた。 「!!!」 その動作を視認した瞬間、ノアはその蝙蝠傘の特性を理解した。 正確には、予想していた幾つかの特性の中の一つが正解だった、と言えたのだが。 同時に、ノアは動作を即座に変更し、掌のワームホールを消滅させて左方向へと跳ぶ。 次の瞬間、極太のエネルギー砲が、タナトスの傘の先端から発射された。 エネルギー砲はノアを掠め、彼の遥か後方に位置していたポルックスに直撃した。 「っ…!!」 振り返ったノアの眼に、ポルックスが唸り声を上げながら爆炎と共にバラバラに分解し、地上に落ちていく様子が映る。 タナトスは楽しそうにその様子を見つめ、そして言った。 「ポルックス。貴方の大規模殲滅能力は、三千年前の大戦時には重宝されましたね。しかし、その後の時代にはあまり活躍の場が無かったことは残念でした」 片頬が焦げるのを感じながら、ノアはタナトスを睨んだ。 エネルギー砲が掠めた右半身が僅かに痺れる。あの多大なエネルギー量は、彼の周囲に張られたシールドでも防ぎ切れなかったのだ。 そして、『痺れて』いる事で、彼はより確信を強くした。 「(今のエネルギー砲…間違いなく、先程ポルックスの主砲とアルデバランの雷撃のエネルギーを吸収したものだ…つまり、あの傘の特性は、エネルギーの吸収と放出…)」 「今ので、検討は付きましたかね?」 言いながら、タナトスは降下を始めた。 その様子を訝しげに見るノアに対し、タナトスは相変わらずの微笑を浮かべたまま、言う。 「ポルックスも倒れましたし、空中戦はもういいかと思いましてね。でなければアルデバランも、遠距離攻撃しかできないでしょう?」 「……」 空中からタナトスを見下ろしたまま、ノアは思考を続ける。 「(傘の特性は分かった。後は吸収できるエネルギーの許容量だが…ポルックスの主砲を吸収し尽くした事から考えて、並みの量とは思えないな…)」 「さて、次はどちらから来ますか?」 ノアの思考を他所に、タナトスは堂々とした佇まいで、ノアとアルデバランの双方を見つめた。 アルデバランは、片手に携えていた大鎌を持ち上げると、再度咆哮を上げる。 咆哮と共に、アルデバランは背中の蝙蝠型の翼を広げた。 翼の中から、無数のリーバードの瞳が現れ、それら全てがタナトスの方を向く。 「アルデバラン。貴方の人心掌握能力は、他の誰よりも優れていましたね」 言いつつ、タナトスはアルデバランへ向けて、ゆっくりと歩き出した。 咆哮を上げたまま、アルデバランは頭部の角を青く発光させ、その一瞬後に雷撃を撃ち放つ。 だが、それは軽く掲げられたタナトスの傘は、雷撃を易々と吸収して行った。 「あの街が我々の拠点となれた理由は、ひとえにロゴスの組織力と貴方の能力があったからこそと言えるでしょう」 次第に、タナトスは歩みを速めていく。 傘を閉じ、片手に掲げると、遂に歩みから走りへと転じたタナトスは、一際大きく地面を蹴った。 接近を察知し、アルデバランは手に持っていた大鎌を振り上げ、横に大きく薙ぎ払う。 薙ぎ払われた一瞬後に、タナトスがいた筈の場所には、誰もいなかった。 「今となっては、全てが、懐かしい」 気付けば、薙ぎ払った大鎌の刃の上に、タナトスは立っていた。 そして次の瞬間、タナトスは勢い良く跳躍し、その傘の先端をアルデバランの胸に突き刺していた。 傘を引き抜き、地面に着地すると、タナトスは後ろへと向き直る。 だが、胸を突き刺されただけで、アルデバランは倒れはしなかった。後ろを向いているタナトスの身体を今度こそ両断しようと、大鎌を振り上げる。 しかし、その両腕が、火花と共に小規模な爆発を起こし、大鎌ごと地面へと崩れ落ちる。 それを契機として、アルデバランの身体中から、小規模の爆発が巻き起こった。 それでもアルデバランはタナトスに攻撃を加えんと、残った頭部の角を発光させ、雷撃を発生させようとする。 だが、角が発光した途端に、これまでよりも大きな爆発がアルデバランを包み込んだ。 タナトスが、肩越しにアルデバランのいた方を一瞥する。煙が晴れた時、アルデバランは既に残骸と化していた。 寂しさを含んだ一瞥を終え、タナトスは今度は上方へと視線を向け、好戦的な笑みを浮かべる。 空一面に、無数のノアのビットが出現していた。 「なるほど、遊びは終わりと言うわけですか」 空中で、ノアは無表情のままに言う。 「観客のいないこの場で、遊びなどただの時間の無駄だ」 そして次の瞬間、凄まじい閃光が空一面を満たし、地上に無数の爆発が巻き起こった。 爆発と同時に、タナトスが地を蹴り、無数のレーザーを掻い潜ってノアへと接近する。 その動きに無駄は無く、確実に自分に当たるレーザーのみを傘で防御していた。 「ならば!こんなものでは、終わらないのでしょう!?」 遂にノアの至近距離へと飛来したタナトスが手に持っていた傘を閉じ、その先端をノアへと向ける。 「いいや!これで、終わりだ!!」 だがノアもそれに合わせて、片手にワームホールを展開していた。 ただのワームホールではない。薄く引き延ばし、防御不可能な刃と化したそれを幾十にも編み込んだ奥の手。 それを、ノアは接近してきたタナトスに向けて、解放した。 「…!!」 次の瞬間、ノアは驚愕した。 幾重もの刃と化したワームホールに気付いたタナトスが起こした行動は、単純なものだった。 ノアに向けた傘を、広げる。ただそれだけの事。 ここからの状況を飲み込むのに、ノアは幾許かの時間を使わざるを得なかった。 何せ、タナトスの傘は、ワームホールすらも飲み込んだのだから。 ノアの、その様な思考の空白を、タナトスは逃しはしなかった。 傘を閉じると同時に素早くノアに接近すると、対応の遅れた彼の心臓に向けて、傘の先端を突き刺す。 「ぐ、がぁっ!!」 が、痛みも手伝った結果、ノアの思考の空白時間は、その瞬間に終了した。 即座に彼は目を見開き、自らの胸に突き刺さった傘を握り締める 「っ!!」 今度はタナトスの方が虚を突かれる番だった。 ノアは掴んだ傘ごとタナトスの身体を振り回すと、地上へ向かってに勢い良く投げつける。 そして同時に、上空に展開させたビットのレーザーを、タナトスの身体へと連射した。 タナトスの身体が地上へ激突するのと同時に、その身体へとレーザーが殺到していくのを、ノアは空中で眺め続ける 「(一体、どういう事だ。空間に発生した後のワームホールに干渉するには、同じワームホールで効果を打ち消すしか方法は無いと踏んでいたが…あの傘は、一体…何だ…?)」 肩で息をしながら、ノアは思考を巡らせた。 今は煙で何も見えないが、視線はビットの集中砲火を浴びせたタナトスがいるであろう場所に油断無く注いでいる。 穿たれた筈の心臓と胸は既にナノマシンが治療し、間も無く傷跡も消えるだろう。 しかし、ノアの表情は曇っていた。 この程度でタナトスを殺せるのなら何も文句は無い。が、恐らくそれは有り得ないだろう。 「なるほど…少し貴方の事を見縊っていた様ですね」 果たして、煙の晴れた所にタナトスはいた。 服が僅かに汚れており、顔にも僅かに煤が付いているが、変化はそれだけだ。 そして、そんな変化など気にも留めないかのように、タナトスは笑顔を浮かべた。 「さて、貴方の出し物は十分に楽しませて頂きました。今度は、私の出し物を貴方に楽しんで頂きましょう」 「ほう。ようやく手の内を見せる気になったのか」 降下し、地上に着地しながらノアは言う。 タナトスはそんなノアを笑顔で眺めながら、燕尾服の内ポケットから何かを取り出した。 それは、銀色の仮面だった。 かつてシリウス――ロックマン・ロードが、プリズナの町で付けていたのと同じ形をした代物。 楕円形をした、眼の部分にのみ切れ込みの入った銀色の仮面。 それを、タナトスは自らの顔に被せる。 「一体、何のつもりだね」 無表情でノアは言った。対して、やはり堂々とした口調でタナトスは告げる。 「では、存分にお楽しみ下さい…仮面舞踏会(マスカレイド)を」 突然、ノアは気付いた。 タナトスの背後に、同じ銀色の仮面が、幾つも存在している事に。 いや、仮面だけではない。暗闇の中から銀色に光る仮面だけが見えた為に一瞬そう錯覚したが、仮面を被る者の姿も見えた。 全員、黒装束で全身を覆っており、その身長は様々だ。 目を引くのはその顔に被る仮面と、そしてその両手だった。手のある筈の部分を、青白い炎が覆っている。 その者達はタナトスの背後だけではなく、ノアとタナトスの周囲を取り囲んでいた。 周囲に目を配るだけでも、その数は数え切れない。 そしてタナトスは、後退を始めた。ゆっくりと、しかし確かな足取りで。 ノアはタナトスを追おうとするが、周囲の者達の動きが読めないため、迂闊には動けない。 タナトスの背後にいる集団が割れ、タナトスがその中に消えると、もうノアの周囲には仮面を被った者達しかいなくなっていた。 「(一体、何者だ…『アバター』か?改造されたデコイの兵士か?それとも…)」 やがて、その集団が動きを始めた。 ノアの周囲をゆっくりと回り始めたのだ。 同時に、歌が聞こえ始めた。 「随分…ふざけた趣向じゃないか…!!」 歌は、周囲の仮面を被った者達が歌っていた。 この世に生きる者達を祝福する歌を。 全ての罪を許す歌を。 そして何より不気味なのは、声が全て女性のものだったという事だ。 つまり、この仮面を被った者達は、全て女性だった。 「…こんなもので、私が心を乱すとでも?」 ノアの問いに答える者はいない。ただ全員、ノアの周囲を回りながら歌うだけだった。 いつまでも、同じ歌詞の歌を。 「こんな茶番に、この私がいつまでも付き合うと思うか?」 上空に浮上し、仮面の集団をビットで爆撃しようと、ノアは重力操作を開始しようとした。 だが、そうする前に気付いた。 仮面の集団の中に、一人だけ動きの違う者がいると。 その人物だけが、ノアの周囲を回っておらず、ただじっとノアに視線を向け、静止したままだ。 丁度、ノアの背中側にいる為、彼は視認できなかったが、それでも気配と、向けられている視線は感じ取れる。 「(無数の兵士と歌で私の感覚を狂わせ、奇襲しようとでもいうのか?そんな手が通用すると、タナトスは本気で考えているのか…!?)」 浮遊するか、それとも一人だけ静止した者の動きを見定めるのか、ノアは一瞬迷った。 その瞬間に、静止した人物が動きを開始した。 意外にも、真っ直ぐにノアに向かい、歩いてきたのだ。 「(まさか…本当に?)」 その人物が背後まで来た瞬間、疑問と共にノアは振り返る。 果たして、その仮面を被った人物は、手に拳銃を構えていた。そしてその人物だけは、手が青白い炎ではなかった。 「(…やはり、浅はかだったな…タナトス!!)」 ノアはその人物が引き金を引く前に、その首を掴む。 その衝撃で、その人物の仮面が顔から外れ、落ちた。 「!!?」 暗闇の中で、二つの赤い瞳を持ったモノが、囁く。 『全てを消滅させるエネルギー。次元を穿断する力。命を奪うという行為にそんなモノ、必要ありません』 仮面が、地面に落ちる。 その顔が、ノアには信じられなかった。 『たった一人の刺客』 信じられなかったがために、ノアの思考に、僅かな空白が生じる。 『たった一発の銃弾』 そしてその空白は、その人物が銃を構え直し、引き金を引くのに十分なだけの時間だった。 『たった一滴の毒で』 その人物の名を、ノアは自然と呟く。 『人は、殺せるのですよ』 「ゼゼ」 銃声と共に、銃弾は寸分の狂い無く、ノアの心臓に食い込んだ。 第三章へ 流れよ我が涙と、科学者は言った・目次
https://w.atwiki.jp/persona1/pages/14.html
|氷の城1F|ヒュプノスの塔|ネメシスの塔|タナトスの塔|氷の城|悪魔の山|悪魔の山・頂上| 氷の城1F マップ 中庭でイベント 「鏡の枠」を入手 ゆきのさん、アヤセが加入 保健室で会話南条くんを仲間にするか選択※一度断っても再度会話すれば仲間にできる 夏美先生と会話で回復(無料) 図書室で会話エリーを仲間にするか選択※一度断っても再度会話すれば仲間にできる 南条くんかエリーもしくは両方を仲間にした後、学食に入るとトロとイベント戦闘アヤセ(、ブラウン)のペルソナ覚醒 パーティが4人の場合はブラウンが強制的に加入 ベルベットルーム、3つの塔、悪魔の山に入れるようになる ヒュプノスの塔、ネメシスの塔、タナトスの塔を攻略し、鏡の破片を集める(攻略する順序は自由) 3つの塔攻略後 [塔の特徴] 一度入ると塔を攻略する(ボスを倒す)まで出られない 制限時間がある(戦闘中はカウントされない) 塔の攻略順序でボスの強さが変わる 塔を攻略すると自動的に氷の城1Fに戻る 塔を攻略すると、その塔には再び入れなくなる 塔内のアガスティアの木はセーブできず、中断セーブのみ可能(廃止された)塔内にアガスティアの木はなく、システムから中断セーブのみ可能 塔の名称 悪魔の強さ 塔の入口 ヒュプノスの塔 弱い フェンシング部 ネメシスの塔 普通 図書室 タナトスの塔 強い 2-1(図書室裏の教室) [鏡の破片] No4とNo6,7はどちらかしか入手できない※ネメシスの塔1Fの宝箱のある部屋に入らないで2つ入手すること No 入手場所 入手方法 1 ヒュプノスの塔3F たまきちゃんから入手反夢界でたまきちゃんとただしくん、夏美先生を起こしている 2 ヒュプノスの塔3F 反谷教頭から入手反夢界で大石校長と反谷教頭を起こしている 3 ヒュプノスの塔8F・ヒュプノスの間 ボス:ヒュプノスを倒す 4 ネメシスの塔1F 宝箱ネメシスの塔1Fの宝箱のある部屋に入る 5 ネメシスの塔8F・ネメシスの間 ボス:ネメシスを倒す 6 氷の城1F・食堂 ネメシスの塔を攻略後、トロから入手ネメシスの塔1Fの宝箱のある部屋に入らない 7 8 タナトスの塔6F 宝箱 9 タナトスの塔7F・タナトスの間 ボス:タナトスを倒す 10 タナトスの塔・タルタロス 宝箱 11 タナトスの塔・タルタロス 宝箱 12 タナトスの塔・タルタロス 宝箱 13 タナトスの塔・タルタロス 矢部真理子から5000円で購入 [アンブロシア入手] 塔の攻略順序によりアンブロシアの入手数が変わる アンブロシアは氷の城3Fで専用最強封神具と交換できる 5つ全て入手するには最初にタナトスの塔を攻略する必要がある 難易度は、ヒュプノスの塔 < ネメシスの塔 < タナトスの塔 タナトスの塔はLV32~LV44の悪魔が出現するので、最初にタナトスの塔を攻略する場合は雪の女王編に入る前に主人公のLV上げや、カジノ等で装備の充実を図る必要がある 攻略順序 合計1番目 個数 2番目 個数 3番目 個数 ヒュプノスの塔 0 ネメシスの塔 1 タナトスの塔 1 2 ヒュプノスの塔 0 タナトスの塔 2 ネメシスの塔 1 3 ネメシスの塔 2 ヒュプノスの塔 0 タナトスの塔 1 3 ネメシスの塔 2 タナトスの塔 1 ヒュプノスの塔 1 4 タナトスの塔 3 ヒュプノスの塔 1 ネメシスの塔 1 5 タナトスの塔 3 ネメシスの塔 1 ヒュプノスの塔 1 5 [メモ] 仲間のLVは主人公のLVと同じになる 3つの塔で鏡の破片を集める事になる鏡の破片を8枚以上集めると通常エンド、8枚未満だとアナザーエンドとなる 上へ
https://w.atwiki.jp/blazer_novel/pages/122.html
――俺はノアが嫌いだった。 ――俺の都合など考えずに指示を飛ばし、俺の労力に見合わない成果を要求し、こっちが問い質そうと煙に巻く言動ではぐらかす、奴の事が大嫌いだった。 ――どこまでも奴に付き従うゼゼも嫌いだった。 ――それに、今になってもノアがディエスを陥れた事が許せない。 ――でも、俺は知らなかった。 ――ゼゼが涙を流して自害しようとするほど、ノアを想っていた事を。 ――ノアが、全てを犠牲にしてでも殺したい奴がいたという事を。 ――そして奴が自分の想いを白状するほど、追い詰められるなんて事があるという事もだ。 ――俺は心のどこかで、奴より先に自分は死ぬのだろうと思ってた。 ――その時ノアは、俺の死に様を見て笑うかもしれないとすら思っていた。 ――だから、こんな事になるとは、予想もしてなかった。 ――だから ――だから!! 「俺達の運命を弄んだ…貴様を許さない…!!」 クロウは、目の間に立つ『モノ』を見据え、そう言い放った。 ノアとタナトス。両者が相対する。 上空では無数のビットが無数の糸により撃墜され、爆炎と共に火と金属の粉が地上へと降り注いでいる。 ノアは十字架の剣を構え、タナトスはそんなノアに向けて、片手を広げて掲げた。 「…ガハッ…!!」 タナトスの動作に呼応するかのように、次の瞬間ノアは黒に近い赤色の血を吐き出した。 同時に、ノアは感じていた。自分の体内を蠢くナノマシンのうち、ウィルスに感染した個体が、活性化していくのを。 目の前のタナトスの仕業である事は明白だった。 それでもノアは一歩を踏み出して、タナトスに向かって剣を振り抜く。 しかしタナトスは、地面を蹴って後ろへ下がると、剣の切っ先を紙一重でかわしていった。 「分かったでしょう。もはや私は、貴方と闘う必要すら無いのですよ」 振り抜いた勢いのまま身体を回転させ、遠心力の付加された第二撃を繰り出すノア。だがタナトスは、その一撃も身を沈ませる事によって見送っていく。 「時間が経つ毎に、貴方の身体は崩壊の一途を辿る。私はそれを、待つだけでいい」 再び血を吐き出し、それでもノアはタナトスを睨みつけた。 「そ、れが…どうしたっ!!」 再びノアは、身を乗り出し、タナトスへ向けて斬りかかる。 もはや、身体中が悲鳴を上げていた。 身体を蝕むナノマシンの量は、先程ゼゼに何発もの銃弾を撃ち込まれたせいで、全体の80%にまで達している。 それでも今まで動けたのは、タナトスが操作していなかったというだけの理由だろう。 「(つまり、私がミラージュ君と話している間も、奴は私を殺そうと思えば殺せたという事だ…!!)」 この場での、何度目かの屈辱を噛み締め、それでもノアは剣を繰り出していく。だが、どの一撃もタナトスにかわされていくばかりだった。 「動きが鈍ってきていますよ、ノア」 タナトスは、先程から変わらぬ余裕の表情でそう言い放つ。ノアはそんなタナトスの様子を観察しながらも、頭の中で今の状況を打破する方法を考え続けた。 「(…手っ取り早い方法が一つある。だが…もしこれすらも通用しなかったのなら、もはや私に勝ち目は無い…!!)」 頭に浮かんだ『手』を実行するか否か。逡巡は一瞬だった。 そしてノアは再び剣を構え直すと、その瞬間に、密かに準備していた能力を発動した。 『時間の停止』という、能力を。 上空の爆発が、炎を上げた状態で止まる。後方のクロウも、目の前に立つタナトスでさえも。 そう、目の前のタナトスは、静止した。それを確認し、ノアは笑みを浮かべる。 「卑怯とは思わん。絶対に負けられぬ闘いだった…それだけだ!!」 そして、ノアはタナトスヘ向けて、剣を振り下ろした。 「相手も自分と同じだけの『時』があったのだと、貴方は肝に銘じるべきだ」 剣がタナトスに接触する寸前。 声と共にタナトスが動き出し、僅かに横へステップを踏んで、紙一重で剣を避け切られた。 「ち、ぃ…!!」 時間が再び動き出す。それと同時に、即座にノアはタナトスから飛び退いた。 タナトスは、変わらぬ様子でそこにいる。 「貴方ならば、必ず重要な局面で使うと、思っていましたよ」 言いつつ、タナトスはノアに向けて再び片手を広げて掲げると、続けた。 「『時間の停止』を、ね」 その言葉と同時に、ノアの身体を蝕むナノマシンが、更に活性化していく。 膝をつき、口から大量の黒い血を地面に吐き出すノア。 それを見下ろし、タナトスは微笑んだ。 「もはや、これで…」 タナトスが言い終わらないうちに、再びノアは動き出した。 即座に立ち上がり、ノアは頭の中で計算する。 もはやナノマシンの95%がいう事を聞かない。身体はボロボロで、足を動かすのも辛い。もはや、これが最後の攻撃になるだろう。 「(難しく、考え過ぎていたな)」 立ち上がりながら、ノアは思う。目の前のタナトスは、急にノアが動き出した事で、少しだけ目を見開いていた。 「(要は…この剣を、奴に叩き込めるように、すればいいだけの、話だ…!!)」 そして立ち上がると同時に、ノアは最初の動作を開始した。 「っ!?」 次の瞬間、一本のメスが、タナトスの片膝に突き刺さっていた。 ノアは科学者であり、彼は研究の過程で人体の構造を徹底的に調べた時期があった。だから彼は、どんなに屈強な者でも、どこにメスを入れれば足が利かなくなるのかという事を、知っていたのだ。 「(だが、この程度では、お前の動きを封じられるのは一瞬が精々だろう。だから…!!)」 一瞬でも動けなくなったタナトスへ向けて、ノアは再度能力を発動した。 今度は『超重力』という能力を。 「な、に…?」 タナトスの顔から、笑みが消える。 凄まじい重力が、タナトスを中心とした半径数メートルに対して発動する。それでもタナトスは倒れなかったが、しかし立っているだけで動けはしないようだった。 だがノアは油断せず、重力の影響範囲のギリギリ外側で、タナトスを観察する。 「分かっ…てるぞ。時間停止が有効でないのなら…超重力も有効でない事くらい」 「その…通りですよ。この程度ならば、同出力の反重力で無効化するなど造作も…」 「だから」 同じ重力操作で脱出しようとするタナトスに、ノアは言葉を続けると同時に、更に手を打った。 「ここからは、君と私、互いに積み重ねたもの、どちらが上か、だ」 「こ、れは…!?」 タナトスにかかる重力が、倍加する。 凄まじい重力にタナトスが膝をつきかけるが、それでも彼は倒れない。自身の周囲に反重力をかけ、耐えているのだ。 彼は、それでも僅かに余裕の表情を見せ、ノアに言った。 「だが、依然貴方が不利なのは変わらない…貴方の体内時間は時を刻み続け、ナノマシンは身体を侵食し続けている。このまま重力で私の足を折るには、どれほどの時間が必要なのか…計算すれば分かる筈ですよ。それまでに、貴方の身体は、保たないとね…!!」 「待つ、気は、無い…!!」 そう言うと、ノアは重力の影響範囲へ、足を踏み入れた。 「グッ…!!」 途端に超重力がノアの身体にもかかり、彼の身体の各所からこれまでよりも多量の血が噴き出す。大量の吐血も。 だが、それでもノアは倒れなかった。 「馬鹿な…死ぬ気だとでも…!?」 「元より…そのつもりさ…!!」 ノアは何度も倒れそうになりながら、酷くゆっくりと、タナトスへ向けて足を進める。 剣が届くまで、あと六歩といった所だった。 「それに…たとえナノマシンに侵食されようとも…この身体自体を、頑丈に作ったからね…!!」 一歩。 タナトスが驚愕の表情で歩みを進めるノアを見る。 「三千年、前…私は、お前によって…この世に、生まれ、堕ちた…!!」 血塗れの表情で、ノアは笑う。 二歩。 タナトスが足を動かそうと試みるが、やはり動かない。反重力で身体にかかる超重力をある程度相殺にしているのに、尚。 「私は、この世の全てを…滅するほどの、力を求め、研究に…力を、注いだ…!!」 ノアの身体から血は止め処なく流れ出し、もはや尾を引くように、彼の歩んだ跡には血の帯が残る。 三歩。 「一体…何が、貴方をそこまで動かす…!?」 タナトスが、驚愕の表情のまま、歩むノアに問いかけた。 だがそれには答えず、ノアは言葉を紡ぎ続ける。 「私が、ここまで力を付ける事ができたのは…一重に、君に植え付けられた、憎悪の為だ。それが…たとえ、偽りでも…!!」 四歩。 そこまで歩を進めたと同時に、その場にかかる超重力を、ノアは更に倍加した。 タナトスは再び膝をつきそうになるが、それでもやはり彼も踏みとどまる。 しかし、そこがタナトスの限界の様だった。彼は驚愕の表情のままだったが、その顔には僅かに、諦めが混じっているのが見て取れた。 「その力…一体どこから…」 「その、憎悪を与えてくれた、君に言いたい。タナトス」 五歩。 ノアが剣を上げる。もはや上段に振りかぶる力も、彼には残っていなかった。 「感謝する、とね…!!」 六歩。 そして、十字架の剣の切っ先が、タナトスの胸に突き刺さった。 重力が解除される。 ノアはタナトスを睨みつけた。タナトスは目を飛び出さんばかりに見開き、その表情のまま、動かない。 その手から、黒い蝙蝠傘が離れ、地面に落ちる。 ほぼ同時に、タナトスの皮膚が、灰色に変わってゆく。 「この剣の、切っ先は…触れたものを、全て…灰へと変える。何だろうと、平等にだ。神の身体だって、例外では…ない」 「ノ…ア……」 タナトスが、自身を貫く刃に手をかけるが、次の瞬間にはもう、その手は灰と化し、崩れていった。 そしてタナトスは、笑った。 「ハハ…ハハハハハハハハッ!!」 「っ!!?」 ノアが目を見開く。 タナトスは、半ば灰と化した顔のまま、言った。 「貴方ノ努力ニ敬意ヲ表シ、我ガ分身ヲ、献上…」 その直後にタナトスの頭が身体から離れる。落ちた時には全て、灰と化していた。 残ったのは、前方に剣を掲げたノアだけであり、タナトスであったモノは、ノアの目の前に灰の山として残っているのみだった。 しかし、ノアは愕然とした顔で呟く。 「分身、だと…?馬鹿な…」 目の前の灰の山を見ながら、彼は必死に思考を続ける。 「(奴が分身として使っていたのは、身体が液体金属で構成された『アバター』というリーバードだけだった筈だ。そして今倒したタナトスは、どう考えても液体金属では無かった。つまり…)」 ノアがそこまで思考した、正にその瞬間に『その者』は姿を現した。 「後ろだ!ノアッ!!!」 一瞬だけだが思考に没頭したノアはそれでも、反応を遅らせる事はなく。 それ故に、クロウが声を上げた時には、既に彼は行動を開始していた。 しかし。 『つまり、今の生身の身体も分身(アバター)だったという事だ』 声がその場に響いたのと、ノアが振り返り様に十字架の剣を振るったのはほぼ同時だった。 『汝の憎悪、欲望、狂気』 しかし、十字架の剣が届く事は無く。 『全て偽り』 ノアの胸に突き刺さった貫手が、そのまま彼の心臓を抉り出し。 『今一度、還るがいい。名も無き人形よ』 ノアの心臓が、高々と『その者』の頭上に掲げられ。 握り潰された。 十字架の剣が地面に落ち、甲高い音を立て。 声を上げる事すらできず、ノアの身体が倒れる。 ノアは、即死はしなかった。辛うじて残った意識が、彼自身の視線を頭上に向けさせる。 そこにいたのは、両の瞳が共にリーバードの瞳となった、黒衣の男の姿だった。 丸い唾の黒い帽子。身体は、黒いマントで覆われている。 身に纏う衣装とは正反対に青白い肌をした、痩せこけた顔のその男は、ノアを見下ろしていた。 『何か言い残す事は』 ノアは薄れつつある意識の中で、ぼんやりと男を見上げる。 彼は微笑んだ。 「実に、楽しかったよ」 男はそれを聞き終えると、傍らに落ちていた十字架の剣を拾い。 容赦無く、ノアの額に突き立てた。 もはや、ノアは何の反応も示さなかった。 笑った表情のまま、彼の顔も、髪も、手足も灰へと還ってゆく。 やがて身に纏っていた白衣を残して、分身のタナトスと同じく、灰の山へと姿を変えていった。 クロウは、ただ呆然とするしかなかった。 ノアがタナトスに剣を突き立て、勝利した筈だ。 それなのに、突然現れた男によって、呆気なくノアは死んだ。 それがただ、信じられなかった。 ノアの死を見届けた黒衣の男は、不意に踵を返す。クロウの元へと。 「(一体何だ…あの男は…!!?)」 クロウは胸中で自問するも、直感が既に答えを出していた。 今までノアが闘っていたのは偽者であり、今自分の元へと歩いてくるその男こそが、真のタナトスなのだと。 クロウは動けなかった。今しがた現れた真のタナトスの持つ雰囲気という、ただ一点だけのために。 それは明確な殺意でも、憎しみでもない。ただただ不気味な圧力。それが、自分に向けられているのだ。 だがそれでもクロウは、己に残る気力を振り絞り、腕の中にゼゼを抱いたまま、刀の柄に手をかけた。 冷や汗が、額を流れる。 タナトスはクロウの間近まで来ると、言った。 『ここまで良く戦った。ロックマン・ミラージュ』 声ではなかった。 タナトスは口を動かしていない。ただ、その両のリーバードの瞳でクロウを見ているのみである。 だが――その声が、クロウの頭に響いてきたのだ。 『本来ならば、この姿を見た時点で、汝は消さねばならない』 クロウは、再度タナトスの青白い顔を見た。頬は痩せこけ、両のリーバードの瞳の周りは落ち窪んでいる。まるで、骸骨の様だった。 『だが、最終幕の間近でそれは行えない。行えば、また三千年前からのやり直しだ』 クロウはただ、その場を身動ぎもせずタナトスを睨む。 『よって、今すぐこの場を離れるがいい。そして忘れろ。「タナトス」も、「ノア」も、何もかも。汝は汝の運命に、向き合うがいい』 タナトスの言葉に、クロウは答えなかった。 答える代わりに、彼は後ろを向いてゼゼの身体をその場に横たえる。 「…俺は」 言いながら、彼は立ち上がり、振り返った。 「俺達の運命を弄んだ…貴様を許さない…!!」 クロウは、刀の柄に手をかけた。 タナトスはそんなクロウの様子を眺め、僅かに目を細める。 『そう答えると思っていた』 タナトスを睨んだまま、ただ無言でクロウは刀の柄に手をかけたまま静止する。即座に抜刀できる、居合いの構えで。 相手が相手なのだ。迂闊に、手を出せなかった。 『火の雨が止んだ。この意味が分かるか?』 タナトスの言葉に、クロウはタナトスに細心の注意を払ったまま、視線を頭上に向ける。 確かに、先程まで空を覆いつくしていた筈のビットは、もう大半が撃墜されていた。 『汝に、助けは無いということだ』 その瞬間タナトスは、おもむろに片手を勢い良く、上に伸ばした。 「っ!!?」 それと同時に、周囲から無数の糸が、クロウの身体に絡み付いてくる。 即座に抜刀するクロウだったが、その刀身は糸を断ち切れなかった。 防ぎ切れない。そう判断したクロウは地面を蹴り後退しようとするが、背後からも糸が巻き付いてくる。 「グッ…ァ…!!」 脱出しようともがくが、もはや不可能だった。既に、全身を糸が縛り、遂に彼は空中まで引き上げられ、両腕を左右に伸ばされた格好となっていた。 「ガハッ…貴、様…!!」 空中に拘束されながらも、地上にいるタナトスをクロウは睨みつける。タナトスは、そんなクロウに視線を向けた。 『汝がどう答えようと、こうするつもりでいた。口を噤もうと、記憶は簡単には消えはしない』 タナトスの言葉に、クロウの背筋に冷たいものが走る。 そしてそんなクロウの予感は、当たっていた。 『その頭蓋、割らせてもらうぞ。安心しろ、気が付いた時には、汝の記憶にノアも、タナトスも、この痛みの記憶も、ありはしない』 それを聞いた瞬間にクロウは、精一杯目を見開き、タナトスを睨んだまま、全身に力を入れる。 「やめ、ろぉ!!!」 痛みが電流の如く全身を走り、アーマーが割れ、間接部から血が流れ出した。 それでも、クロウは止めなかった。自分の身体が傷ついてゆくのを意に介さず、クロウは力を入れ続ける。 こんな所で、終わらせたくなかった。せめて、憶えておきたかったのだ。自分の目の前で死んだ者達を、一人残らず、全て。 『頚動脈から血が噴き出すぞ。死にたいか』 「貴様のっ…思い通りに…なるくらいなら…!!」 タナトスの言葉通り、クロウの首を拘束する糸からも、僅かに血が流れ出す。既に彼の真下の地面は、血溜まりとなっていた。 その様子を眺めていたタナトスが、容赦なく言い放つ。 『ノアは狂人の演者だった。だが自らの命をそれほどまでに軽く扱う汝は、紛れも無く、自覚なき狂人だ』 もはや、タナトスの言葉に対して言い返す余裕も無い。それでも、クロウは頭の中で叫び返した。 「(それが、どうした!!たとえ俺が狂人でもいい。たとえ俺がこれから死ぬ事になろうと、貴様の思い通りに頭を弄られるくらいなら!死んで行った、者達を…忘れる位なら…!!)」 一拍の間を置き、タナトスは言葉を紡ぐ。 『だが、それでいい。やはり、汝を選んだのは正解だった。舞台を踊れ、ロックマン・ミラージュ。次の演目も、期待している』 その言葉を聞いた瞬間に、クロウは見た。最後の糸が、自分に迫ってくるのを。 「く、あ、ああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 最後の全力を絞り、クロウは糸に反抗する。遂に彼の頚動脈が切れる、その寸前。 一発の銃声が、その場に響いた。 「ッ…」 銃声とほぼ同時に、タナトスの身体が震える。その背中に銃弾の穴が開いており、そこから一筋の煙が上がっていた。 即座にタナトスが振り返り、同時にクロウも、そこで初めて銃声の主を視認した。 ノアだった灰の山の中から、明らかにノアではない何者かが立ち上がっていた。 その何者かの右手には銃が握られており、その銃口から煙が上がっている。 タナトスが目を見開いた。 その瞬間に、再度銃の引き金が引かれ、銃弾が、タナトスの胸に炸裂する。 ようやく、銃を持っていたその人物が、腕を下ろした。 身体中に灰が纏わりついたその人物は背が低く、距離があるクロウから見ても、彼自身の胸辺りの高さまでしか無いように見える。 その人影は、周囲の灰を吸い込んだせいか数回咳をすると、左手で身体に付いた灰を払い落とした。 ようやく灰が落ちたその姿は、金色の頭髪が背よりも長く伸びた、少年だった。 その身体にはノアが着ていた筈の白衣を纏っており、余った袖を捲っている。 その長い髪の間から見える少年の顔が、かつてノアが見せた、研究所の更に地下で眠っていた少年のものであると、クロウはすぐに思い出した。 タナトスは少年の姿を見ると、声を上げる。 「馬鹿な…!!」 少年はただ、真っ直ぐにタナトスを見つめていた。暗い青色の瞳で。 やがて少年は静かに、しかし堂々と言葉を紡いだ。 「一つ聞く。この事態を予想したか、タナトス」 「お前は…イデア…!!」 タナトスが動揺した声を発する。そう、今度は頭に直接伝えるのではなく、発声していた。 そして同時に、タナトスの身体が震え始める。 それは彼自身にも予想外の事だったのだろう。震える己の全身を、信じられないような目で見つめると、タナトスは言った。 「これは…まさか…!」 少年は決然とした瞳でタナトスを見据えると、堂々と、しかし感情を含まない声で言う。 「違う。貴方がゼゼに、ノアへと撃ち込ませた銃弾ではない」 そう言うと少年は、たった今タナトスに撃った銃を見せた。 「尤も、銃はゼゼが持っていたものだけどね」 その言葉に、タナトスはただ、愕然とした目で少年を見るだけだった。 少年は淡々と説明を続ける。 「貴方に撃ち込んだのは、私が精製した銃弾だ。ゼゼによって体内に撃ち込まれた銃弾を元にして、自らを傷つけていたナノマシンを更に加工し、注入した…」 一拍を置き、少年は締めくくった。 「撃たれれば、身体が内側から破壊される銃弾だよ」 「馬鹿な…しかし、それでは…!」 明らかに苦悶の表情で、タナトスは尚も言い募る。少年は無表情のままだったが、しかしその目だけは様々な感情を宿していた。 「加工したのは、主に制御機能だ。つまり、貴方が制御できないようにナノマシンに手を加えたんだよ」 少年は、最後の説明を容赦無くタナトスに向け、言い放った。 「つまり、私は貴方と戦っている間に、自らの体内で切り札を作っていたんだ」 「な…ぐうっ…!?」 両手に妙な音が鳴り、タナトスは自身の掌に視線を向ける。 彼の両手には、大きくヒビが入っていた。 「馬鹿な…こんな、こんな結末が…!」 ゆらゆらと揺れながら、そして苦しみながらもタナトスは、一歩一歩、少年へ向けて歩き始めた。 やがて少年の間近まで来ると、彼はその手を少年の首にかける。 だが、その手に力は入らない様だった。 「タナトス、貴方の言う通りだ。人は悩み、苦しみ、生きて、そして死ぬ。それこそが人の価値だ」 少年は、苦しむタナトスを真っ直ぐ見据えたまま、喋る。 静かに、諭すように。 「それが人の価値であるからこそ、貴方が利用していいものでは決して無いんだ…タナトス」 タナトスは尚も力を込め、少年の首を絞めようとしたが、遂にそれは叶わなかった。 最初に両足が砕け、続いて地面に落ちたその身体は、ガラスのように粉々に砕け散り、後には黒いマントと帽子のみが残る。 タナトスの身体が砕けるのとほぼ同時に、糸による拘束が緩み、クロウはかろうじて着地した。彼は身体中にできた傷の痛みに顔をしかめながら、今しがた現れた少年の様子を見つめる。 少年はタナトスの亡骸を、ずっと見つめ続けていた。その顔に勝利の喜びは無く、代わりに哀しんでいるように、クロウには見えた。 エピローグへ 流れよ我が涙と、科学者は言った・目次
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4164.html
これは、[黄昏 正義(たそがれセイギ)]少年が小学6年生になった頃、屋上で起こった出来事だ。 もう少年の安否を見張る必要も無い上、下手に契約者と接触したくないと思い、俺は屋上で座り、瞑想をしていた。 この瞑想というのは俺にとっての回復方法の1つで、 さらに自己の能力の分析をしたり、敵を察知しやすくなったりと都合が良く、時間があれば瞑想をしている。 ―――その次の瞬間、何が起こるかも知らずに――― 不意に都市伝説の気配を察知する。 その気配は、今までの都市伝説とは比べ物にならないほど大きかった。 いつもなら、詳しい位置を調べてから動くのだが、その必要はなかった。 眼を開けると、その都市伝説の居場所が分かった。 そう、真後ろだ。突如真後ろに現れたのだ。そして前には、巨大な鎌が首を斬らんとしていた。 大王「・・・まさか、もう出会う事になるとはな。もう少し心構えができてからにしたかったが。」 ???「私を知っているのか、『Αμαρτωλοσ(アマルトロス)』。」 大王「あぁ、生まれた時からな!絶対に会わない方がいいと教えられた。」 思えば、あの時かすかに震えていた気がする。初めて恐怖を覚えたからであろうか。 それだけ、あの存在は、全てのものが恐れる存在だった。 大王「お会いしたくなかったよ、【Θανατοσ(タナトス)】。」 そう、あの時そこにいたものこそが、神話と呼ばれる都市伝説の1柱【タナトス】だった。 何故か【タナトス】は俺の首にかけていた鎌を下ろす。 タナトス「まさかお前にまで私の名が広まっていたとは思わなかったな、【恐怖の大王】。」 大王「ほぅ、俺こそ光栄だな。神まで俺の名を知っていたとは。都市伝説の死神、【タナトス】。 将来有望の俺を狩りに来たのか?」 タナトス「あぁ。その予定だった。」 大王「『だった』?まさかこの俺の強さに怖気ついたのか?」 あの時はあえてありえない事を言ってみた。 しかしこれが吉となり、色々な情報を引き出す事となろうとは、思いもよらなかった。 タナトス「お前達は私達には絶対に敵わない。お前は『Ταξη(タクシ)』を知っているか?」 大王「『タクシ』?なんだそれは?」 タナトス「まぁ、知らぬものもいるか。都市伝説には強さに応じて『タクシ』、つまり階級がある。」 【タナトス】は鎌を背中のホルダーにかけると、大王に背を向け、教授するかのように話を続ける。 タナトス「『タクシ』はΕ(エプシロン)を最低としてΔ(デルタ)Γ(ガンマ)Β(ベータ) そしてΑ(アルファ)と私達は定めている。」 大王「つまりΑが最高という事か。実に分かりやすいな。」 タナトス「例えば、お前が戦ってきた【ベッドの下の男】はΔ、【口裂け女】【透明警備員】はΓだ。」 どのようなものかと思えば、あっさりと数値が出た。そうなれば当然気になるものがある。 大王「そうか、では俺はどこなんだ?常識ではΓ以上か。」 タナトス「お前は、Αだ。」 【タナトス】が少し溜めてから放った言葉に、流石の俺も驚いた。 まさか神に最高の称号を与えられるとは。だが。 大王「待て、どういう事だ?『敵わない』事についてこの話題を出したなら、お前がΑとなるんじゃないのか?」 タナトス「勘違いするな。私達は、Αではない。」 【タナトス】は振り返り、不敵に笑いながら、こう告げた。 タナトス「その上の、Ω(オメガ)だ。」 大王「ッ!もう一つ、上、だというのか・・・。」 タナトス「都市伝説は信じられ、語られる事によって強さや能力を得る。 なら信仰され、生贄まで捧げられてきた神の方が、 人を怖がらせるためだけに生まれたお前たちより、上だという事だ。」 所詮、神は絶対に越えられない存在だったのであろうか。 次の階級への道の遠さは目の前にある気迫が伝えてくれた。 大王「・・・。それで、改めて訊ねようか。何故俺を狙いに来た?そして何故殺せないんだ?」 タナトス「『Μοιρα(モイラ)』を歪め、悲しませるアマルトロスを消すためだ。」 大王「【モイラ】?神の名か?」 【タナトス】は呆れたかのように溜め息をつき、説明を始める。 タナトス「『モイラ』は『運命』、それを司る神だ。主に人間の運命を定めている。」 大王「人間の運命、そんなものを決めている神を悲しませる?運命を歪める?俺にはそんな事、不可能だ。」 タナトス「いや、可能だ。『モイラ』には元々存在するべきではない都市伝説に関する事は含まれていない。」 大王「それで俺が暴れればその分変わる、か。しかしまだ1人も殺してはいないぞ?念のためか?」 【タナトス】はまた背を向けて、俺に重大な事実を告げた。 タナトス「いいや、お前は歪めた。お前の契約者の『モイラ』を。」 大王「なに、少年の運命?どういう事だ?契約してから少年の寿命が縮んだとでも言うのか?」 タナトス「お前の契約者は、本来とうの昔に死んでいる。死因は自殺だ。」 自殺?ふざけるな!少年がそんな事をする理由は―――その発言を止めたのは自分自身だった。 心当たりがあった。 [心星 奈海(しんぼしナミ)]少女とケンカをした時、あの時なら餓死、あるいは自殺しかねない、そう思ったのだ。 しかし俺は、それを止めた。つまり少年の寿命を延ばした。 それが神に抗うという罪か。 タナトス「さらに、その後を追い自殺するはずだった者も、お前の契約者が生きている所為で生きている。」 大王「あの少女か、確かに少年が死ねばそうなりかねん。 で、このアマルトロス、『罪人』か、何故殺せないんだ?上からの命令か?」 俺はまたありえない事を口にした、つもりだった。 【タナトス】より上があるなどと、その時は思いもしなかった。 タナトス「その通りだ。『お前及びその契約者を殺してはならない』という命令を受けている。」 大王「お前より上がいる、のか?」 タナトス「あぁ、神にもタクシがある。上位達が決めた命令は絶対だ、だが! 急に始まったあの怒りの発言は、何故か鮮明に覚えている。 タナトス「あの餓鬼は悪戯ばかり、格闘馬鹿共は修行に明け暮れ、 誰一人とて神の自覚も無く遊びまわり! 挙句に現最高神は訳の分からない戯言を抜かす!何を考えているんだ!」 【タナトス】のまわりが歪んで見える。 本来なら恐れるべきところだろうか、しかしあの時は、恐れとは別の、『足りない物』を感じた。 タナトス「だが、【モイラ】様は違った。あの方は神の自覚を持ち、人間の運命を、紡ぎ続けていたのだ。」 急に声の調子が変わり、まるで感傷的になった。 しかし次の瞬間にはまた、その眼は威圧するかのように鋭くなった。 タナトス「その【モイラ】様が定めたものを、歪めるものがあるのなら、 この私がそれを狩る。それが私の、使命だ。」 その発言の後、背中に掛けていた鎌を手に取り空を斬る。 すると空間が歪み、言葉では表現できない暗い色をした穴が開いた。 大王「結局、帰るという事か?」 タナトス「『殺さない』という命がある以上、警告が唯一私にできる事だ。」 大王「もし、俺が人を殺したら、どうする気だ?」 タナトス「その時は、奴等の判断と私の判断、どちらが正しかったか分かる時だろう。」 そう言い残し、【タナトス】は自分で開けた穴の中へと入り、穴は何事もなかったかのように閉じた。 残ったものといえば、『神』に関する情報と―――本来沸き起こるはずのない好奇心であった。 【タナトス】については、『鎌の事』『都市伝説狩りをしている事』『死を司る神である事』ぐらいの情報は得ていたが、 この日、新たに『他にも多くの神がいる事』『それは究極の階級を持つ事』 そして『【タナトス】以外は敵意が無いと思われる事』―――。 しかし、得た情報の分、謎も生まれた。『何故俺と少年は生かされているのか?』 そして『何故【モイラ】の定めた運命に都市伝説は干渉しないのか?』―――。 神は謎が多い、本来はそれを恐れるべきなのだろう。 気が付くと、俺の脚はある人物の元へと俺を運んでいた。そこには、俺の契約者である少年がいた。 さらに気付く。俺は少年と共になら神を倒せると思っている事を。 昔の、契約する前の俺だったら、【タナトス】をどうしただろうか。 無闇に戦いを挑み散るか、あの心の不安定さから仲間にしようと試みたか? しかし今では、逆に諦めて逃げるでもなく、むしろ神を超え、自分の限界に挑戦してみたいと思えるようになった。 昔の俺では【口裂け女】を倒せただろうか?【テケトコ】【透明警備員】を倒すための仲間はいただろうか? 少年のおかげで強くなった事は明確だ。 俺は少年に【タナトス】の事を伝えようかと思った。しかし、やめておく事にした。 もし少年が俺のために、いや、これは自意識過剰か。好奇心で神に挑んでしまう可能性があるから、としておこう。 正義「どうしたの?大王、行くよ。」 今日から【タナトス】を越えるほど強くなるまで、修行を積む事にするか。 大王「あぁ。少年、今行く。」 ―――世界征服への道は遠い。 第7話「狙われた日」―完― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
https://w.atwiki.jp/cro-chro/pages/615.html
◆装飾品の一覧◆ 嘲笑う影 黒檀のような漆黒の石。所持者の影を自由自在に操る事が出来る。 [固有技:嘲笑う影] 所有:ジョージ=クリストファー 火竜・クリムゾン・ノヴァの魂 火竜・クリムゾン・ノヴァの魂が燈ったオーブ。クリムゾン・ノヴァを使役する契約の証。 所有:ボルカノ=マッケンジー 義魂珠 淡く紅い輝きを放つ宝珠。 [秘術:義骸術] 所有:江霊美 銀十字 マザー・フィリアが常に身に着けている銀のロザリオ。邪悪なものを退ける力がありる。 [秘術:ホーリー・ライト] 所有:フィリア=ベルトワーズ 銀の懐中時計 メリッサの持つ銀製の懐中時計。 [禁呪:時の呪縛] 所有:メリッサ=モリコーネ 金のブレスレット 金製のブレスレット。 銀のブレスレット 銀製のブレスレット。 金の指輪 金製の指輪。千年王国時代には貴族階級の印鑑代わりにも用いられた。 銀の指輪 銀製の指輪。 黒死晶 闇のように漆黒な水晶の欠片。 [禁呪:呪殺黒死] 所有:ダグラフ=S=キングスレイ 光竜・ヘヴン・スターの魂 光竜・ヘヴン・スターの魂が燈ったオーブ。ヘヴン・スターを使役する契約の証。 所有:シーネ=マクブライト 識人の環 ミノクス協商同盟、ラグール公家に伝わる宝冠。 所有:バトゥ=L=マイセン 死晶・エレーヌ=ミッシェルの首飾り 伝説の舞台女優・エレーヌ=ミッシェルが身に付けていたという、妖しく煌めく紫水晶の首飾り。闇術、邪術、死霊術の効果を倍増させる。 所有:グロウ=ワロダー 呪魂珠 赤黒い輝きを放つ楕円形の宝珠。人の憎しみを糧にして所有者に力を与える。 所有:モーリス=ザッファムール 水竜・アクエリウスの魂 水竜・アクエリウスの魂が燈ったオーブ。アクエリウスを使役する契約の証。 所有:アクアマリン=マクローヴィス スカイ・フレンズ シオン大聖堂の地下宝物殿に納められている宝玉。卵の形をした空色の宝玉で、鳥を自在に操る事が出来る。 [固有技:空の友人] 所有:ファラ教会所蔵 精神の水晶球 人間の精神に関与する力を持つ水晶球。 [禁呪:クロス・ソウル] 所有:クリストフ=ローゼンクロイツ 千束草鞋 巫術を練りこんだ特殊な繊維を織り交ぜて編み上げた草鞋。履くだけで疲労を回復し、一歩踏み出すだけで千歩分踏破できる。 [再生付加][固有技:一歩千歩] 所有:厳島忠時 タナトスの仮面【圧死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。圧死を体現する。 タナトスの仮面【餓死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。餓死を体現する。 タナトスの仮面【狂死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。狂死を体現する。 タナトスの仮面【失血死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。失血死を体現する。 タナトスの仮面【焼死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。焼死を体現する。 タナトスの仮面【窒息死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。窒息死を体現する。 タナトスの仮面【中毒死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。中毒死を体現する。 タナトスの仮面【溺死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。溺死を体現する。 タナトスの仮面【凍死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。凍死を体現する。 タナトスの仮面【爆死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。爆死を体現する。 タナトスの仮面【病死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。病死を体現する。 タナトスの仮面【憤死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。憤死を体現する。 タナトスの仮面【轢死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。轢死を体現する。 タナトスの仮面【老死】 死(タナトス)の事象を表現した仮面。老死を体現する。 地竜・ハーヴェストの魂 地竜・ハーヴェストの魂が燈ったオーブ。ハーヴェストを使役する契約の証。 所有:アーシア=マクガイル 天使の羽根 付け根にダイヤモンドをあしらった純白の羽根。 [秘術:エンジェル・フェザー] 所有:ニキータ=ノイッシュ 髑髏帽 死の呪いのかけられた帽子。死者の怨念を吸収することで死者を操ることができる。 所有:アドニス=マギノ ドラゴン・サークレット ヴェルダインのヴレア奉竜殿の巫女が代々身に着けてきた宝冠。竜の加護によって炎や吹雪から装備者を護る。 所有:アリシア=マクドゥーガル ナクト神官王の仮面 古代プジャトの神官王ナクトが身に着けてきた仮面。 所有: 爆心環 小粒のルビーが3つ埋め込まれた赤銅色のブレスレット。 [秘術:バーン・エクスプロージョン] 所有:レミック=ハーマス 反魂珠 死霊術に用いられる深緑の宝珠。死者の魂を留める力がある。 [禁呪:クリエイト・アンデッド] 所有:ランツ=トルーマン 風竜・スタム・ケイオスの魂 風竜・スタム・ケイオスの魂が燈ったオーブ。スタム・ケイオスを使役する契約の証。 所有:エア=マクファーソン 腐海宝珠 深緑色に濁った輝きを放つ宝珠。レゼリア王国のザクソンにあるリシエル家に伝わる。 [禁呪:腐海の波] 所有:マリエラ=リシエル 冬の宝珠 白く濁った水晶玉。 [禁呪:凍土] 所有:ラドム=マッキンリー 彷徨の鈴 水晶とオパールでできた鈴。 [風術強化][秘術:風の拳] 所有:オーギュスト=リザルト 宝珠・在って無いもの ブラックダイヤが埋め込まれた銀のブレスレット。 [秘術:虚ろ傀儡] 所有:モーリス=ザッファムール 宝珠・ムーンハート レゼリアのボードレール家に伝わるムーンストーンのブローチ。 [秘術:転心] 所有:パメラ=ボードレール 魔女の首輪 伝説の魔女ミュカレが使っていた首輪。付けられた者は、術者と運命を共にし、また、術者から力をもらうことが出来る。 所有:メリッサ=モリコーネ/ギュスターヴ=ドゥーレン 護りの指輪 精霊の加護を受けた指輪。持ち主を精神の異変から守る。 所有:クリストフ=ローゼンクロイツ 無貌の仮面 どんな顔にも見えるが、どんな顔にも見えないという魔法の仮面。とある邪悪な神の所持品であったとも云われている。 [秘術:万人色相] 所有:青吉正吉 森の宝珠 ロードリア大森林のアオ族に伝わる宝珠。トネリコの木の台座に支えられた深緑の宝玉。込める魔力に応じて植物を操る。 [固有技:フォモスの加護] 所有:ヤーマス=カーソン 闇竜・ダーク・ネロの魂 闇竜・ダーク・ネロの魂が燈ったオーブ。ダーク・ネロを使役する契約の証。 所有:ダルク=モンド=マクレイ 夢のメダリオン 表に月と星、裏に馬が刻み込まれた銅貨。悪夢を打ち払うとされる。使用者によっては、夢をシンクロさせることも出来る。 [秘術:夢魔] 所有:アナスタシア=リコル 夜の王冠 代々ラヨシュの君主が戴冠する王冠。ラヨシュ君侯国から持ち出すことが禁止されている。 所有:アンドラーシュ7世 ラプラスの眼 眼を象ったブローチ。 [秘術:ラプラス] 所有:リリィ=アンジュー ルコの首飾り バンニエール皇国ルコで作られる特産品。竜神官の祝福を受けており、熱と冷気を若干軽減してくれる。
https://w.atwiki.jp/f-yusha/pages/85.html
第9話 最終決戦!二人の勇者 ――狭間の世界―― [タナトス] …… ――マイン島―― [ベルカイン] ――ったく、同じ魔族なら 人様に迷惑を 掛けんじゃねえよ! [ベルカイン] この島の奴らには 世話になってんだ! 手出しはさせねえぜ! ――酒場―― [パピルス] ……地上と魔族の戦い [パピルス] 魔族とのハーフである私は、 どうすればいいの……? ――狭間の世界―― [タナトス] ……我は長年、 仮初の身体を通して この島を見てきた [タナトス] 地上の種族と共存する魔族…… [タナトス] 種族を超えて寄り添う 島民達の姿…… [タナトス] だが、我は―― [マイン] ……ここが『狭間の世界』 [ロゼッタ] ……ここに魔神がいる [レイヤ] 私はここで待っているます [マイン] 分かりました [マイン] ありがとうございます、 レイヤさん [マイン] ……ロゼッタさん、勇者さま この先から魔神の魔力を感じます [ロゼッタ] 魔神を再び封印するには、 私と勇者が力を合わせる 必要があります [ロゼッタ] 二人の封印術で、 魔神の魂と身体を それぞれ封印する…… [ロゼッタ] それが魔神を倒す 唯一の方法です [マイン] そうだったんですか…… [ロゼッタ] ……かつての戦いでは、 私は魔神の魂を 封印することに失敗して、 逆に私が封印されてしまいました [ロゼッタ] もう同じ轍は踏みません! [マイン] 勇者さまとロゼッタさんなら 大丈夫です! [マイン] さあ、行きましょう! [タナトス] ……来たか、 神の使い、そして勇者よ [ロゼッタ] ……魔神、タナトス…… [タナトス] ほう…… 貴様は我を封印しようとした、 勇者の片割れか [ロゼッタ] さあ、決着をつけましょう! [タナトス] ……ふふっ 愚かな [タナトス] すでに地上と魔界を繋ぐ 魔術は完成した! [タナトス] 絶対的な魔の力に 跪くがよい! [マイン] ……っ 今までに感じたことのない、 強い魔力です! [タナトス] ……闇に身を捧げよ…… [マイン] 勇者さま、ロゼッタさん! 気をつけてください! エピローグへ続く
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13836.html
律「(足が生えたー!?)」 ゴーレム「キモチ、ワルイ・・・」 オルドーフ「ぐふふ・・・どうだい?この美脚。羨ましいだろう?」 律「いや、全然・・・」 オルドーフ「そして更に驚くのここからだ・・・ムンッ!!!」ヒュッ・・・ 律「(足を高くかかげた!?つーか脚の長さもあってとんでもない高さだ・・・)」 律「(・・・って、おい!?もしかして!?)」 オルドーフ「めいどのみやげだ!とっときな!!」ブンッ!!! 律「(やっぱカカト落としか!!あんな高さから振り下ろされちゃやべぇ!!)」 律「リ、リキイシ!!なんとか避けるんだ!」 ゴーレム「ムンッ・・・」グラッ・・・ オルドーフ「おそい!!!」 ゴーレム「が・・・はっ・・・」ドスン!!バキッ!!!!! 律「リ・・・リキイシー!!!」 ゴーレム「・・・ご、ハッ・・・」メキメキ・・・ オルドーフ「ぐふふ・・・直撃だな」 律「リ、リキイシ・・・?」 ゴーレム「ゴシュ・・・ジ・・・」バタッ・・・ 律「あ・・・あ・・・ああ・・・」 オルドーフ「・・・南無三・・・ぐふふ・・・」 実況「ゴーレム選手戦闘不能!オルドーフ選手の勝利です!」 実況「よってSランク公式戦会場3の優勝者はブリーダー選手とオルドーフ選手です!」 客「ォォォォォォォォォ!!!」 律「うわあああああ!!!リキイシー!!!!!」ダッ・・・! 律「リキイシ!おい!?リキイシ!?」 ドクター「君はこの子のブリーダーさんかい?」 律「リキイシ!リキイシは!?」 ドクター「落ち着くんだ。まだ息はある。しかし傷が深い・・・これから病院へと搬送する!」 律「わ、私も連れて行ってください!」 オルドーフ「なんだ・・・まだ息があったのか。「本気」状態でのめいどのみやげだったのになぁ・・・」 律「・・・この野郎・・・!」ギロッ オルドーフ「おいおい。俺はギブアップするかどうか聞いてやってんだぜ?逆恨みはよしてほしいもんだ。ぐふふ・・・」 律「くっ・・・」 ドクター「君のこの搬送機に乗ってください!・・・君?」 律「・・・オルドーフ!!!」 オルドーフ「んん?」 律「待ってろよ・・・次は必ず・・・必ずぶちのめしてやるからな・・・」 オルドーフ「ぐふふふ・・・あばよ・・・」 律「・・・くっそおおおおおおお!!!!!」 Sランク会場4 ゆうしょうけっていせん! ジャンヌ「・・・さて」 澪&ジャンヌ 6勝0敗 ブリーダー&タナトス 6勝0敗 タナトス「ヒャッヒャッヒャッ・・・」 ジャンヌ「(願わくば奴との戦闘を避けての優勝を狙いたかったが・・・)」 ジャンヌ「(やはり奴は他の参加者とはレベルが違ったな・・・)」 ジャンヌ「(技の威力もさることながら狙いが正確過ぎる・・・)」 ジャンヌ「(しかも試合を見る限りまだ奴は全ての手の内を見せていない・・・)」 ジャンヌ「(・・・奴の攻撃・・・私に避けきれるか・・・?)」 澪「ジャ、ジャンヌぅ・・・」 ジャンヌ「・・・澪?」 ジャンヌ「・・・どうした澪?優勝決定戦に緊張しているのか?」 澪「あ、あのっ・・・」 ジャンヌ「ふっ・・・無理も無い。四大大会出場へのキップがかかった試合なんだ。私でさえ緊張してしまう」 澪「ジャ、ジャンヌ!」 ジャンヌ「・・・!」 澪「この試合・・・棄権しないか・・・?」 ジャンヌ「・・・・・・」 ジャンヌ「・・・ふっ、何を言い出すかと思えば・・・なんだ?まだあの死神が怖いのか?」 澪「こ、怖い・・・」 ジャンヌ「全く・・・Sランク出場をしても腰抜けなマスターだ・・・そろそろしっかり・・・」 澪「だってジャンヌが!死んじゃうかもしれないんだもん!!」 ジャンヌ「!!」 澪「うぅっ・・・」グスグス ジャンヌ「(澪も気づいたのか・・・奴と私の相性が最悪だということを・・・)」 ジャンヌ「(・・・確かに私は回避特化のモンスター)」 ジャンヌ「(奴に一撃をもらってしまったら・・・)」 ジャンヌ「・・・・・・」 澪「ジャンヌが死んだら・・・私・・・イヤだよぉ・・・」グスグス ジャンヌ「(・・・澪)」 ジャンヌ「澪」 澪「ひぐっ・・・?」 ジャンヌ「私も・・・」 ジャンヌ「私も澪と離れ離れになるなんてイヤだ・・・」 澪「じゃ、じゃんぬ・・・」 ジャンヌ「死ぬのは怖いさ・・・二度と澪に会えなくなるんだからな・・・」 澪「そ、それじゃあ・・・」 ジャンヌ「・・・だからこそ」 澪「えっ?」 ジャンヌ「その想いを胸にして私は奴と戦って勝つ」 澪「そ、そんな・・・」 澪「だ、だけど・・・!」 ジャンヌ「・・・・・・」 澪「・・・!」 澪「(きっと何を言ってももう・・・)」 澪「・・・ジャンヌ」 ジャンヌ「・・・なんだ?」 澪「それも・・・デュラハンの血筋だからか・・・?」 ジャンヌ「・・・・・・」 ジャンヌ「血筋もあるかもしれない・・・でも昔とは違う」 ジャンヌ「私は私自身の為だけじゃなく澪と一緒にどこまでも上を目指したい」 澪「!!」 ジャンヌ「信じてくれ。私は死なない。私が嘘をついたことなんてことなんて一度も無かっただろう?」 澪「・・・・・・」 澪「・・・ジャンヌ」 ジャンヌ「・・・なんだ?」 澪「・・・Sランク突破するぞ!生きてあの死神を倒してくるんだ!」 ジャンヌ「!!」 ジャンヌ「あぁ・・・了解したマスター」 ジャンヌ「(必ず・・・)」 澪「(生きて・・・!)」 実況「それではこれより本日の最終戦を開始いたします!」 澪&ジャンヌVSタナトス タナトス「ヒャハハハハハ・・・」 ジャンヌ「近くで見ると薄気味悪さ倍増だな・・・」 ジャンヌ「そして邪悪な気迫もな・・・!」 タナトス「ヒョッヒョ・・・よく喋りますね・・・」 タナトス「まぁ、これから死に逝くんです・・・その恐怖でも紛らわせていてもおかしくはない・・・ヒャハハハハ・・・」 ジャンヌ「・・・ふん」 ジャンヌ「よく喋る奴だ」 ジャンヌ「負ける犬ほどよく吠える・・・それと同じってところだろうか・・・ふふ」 タナトス「・・・その勇気だけは認めてあげましょう」 タナトス「しかし貴女が死ぬ運命は変わりません」 ジャンヌ「死神様に私の運命を決められるわけにはいかないな・・・」 ジャンヌ「私の運命を決めるのは私と・・・」 澪「(ジャンヌ・・・!)」 ジャンヌ「あそこにいる女神様だけだ」 実況「それでは試合を開始してく・・・」 タナトス「ヒョッヒョッヒョッ!!」ミョーン 澪&ジャンヌ「!?」 ジャンヌ「(エネルギーの塊!?あれが奴の本命・・・!)」 ジャンヌ「(ダメだ・・・避けきれない!!)」 ジャンヌ「・・・ぐぅっ!!」ミョーン 澪「え・・・えっ・・・」 実況「タ、タナトス選手!開幕にいきなり必殺技を仕掛けていったー!!これには回避特化のジャンヌ選手も対応しきれなかったか!?」 タナトス「ヒャハハハハハハ・・・」 ジャンヌ「が・・・はっ・・・」ガクッ 澪「じゃ、ジャンヌー!!!」 ジャンヌ「く・・・う・・・っ!」ザンッ! 実況「ジャンヌ選手持ちこたえました!体力こそ少ないもののかしこさ技には耐性がありました!」 澪「・・・!」ホッ・・・ 澪「お、おい!実況!今のは反則だろ!?試合開始前に仕掛けてきたぞ!?」 実況「そ、そう言われましても・・・私には開幕に仕掛けたようにしか・・・」 澪「そんな!!だって・・・」 ジャンヌ「澪!やめろ!」 澪「じゃ、ジャンヌ・・・」 ジャンヌ「奴が絶妙なタイミングで技を仕掛けてきた・・・それだけのことだ・・・」 澪「で、でもっ・・・!!」 ジャンヌ「油断こそしたが・・・もう食らうことはないさ・・・私は回避特化のジャンヌだからなっ・・・!」 ジャンヌ「だから・・・な?」 澪「うっ・・・うぅ…」 澪「(ジャンヌ・・・本来なら貴女が一番に怒りそうな状況なのに・・・)」 澪「(それなのになんで冷静でいられて・・・私はやっぱり気が気じゃない・・・)」グスッ ジャンヌ「・・・待たせたな・・・再開と行こうか・・・」ハァハァ タナトス「ヒャハハハハハハ・・・」 タナトス「一撃で沈まないとは甘く見てましたよ・・・」 タナトス「でも・・・もう虫の息でしょう?ヒャハハハハハ・・・」 ブリーダー「タナトス!相手は弱ってる!早く次の技を・・・」 タナトス「・・・チッ」 タナトス「人間ごときが!私に命令をするんじゃない!」」 ブリーダー「ひっ!?」 ジャンヌ「・・・人間が嫌いなのか?」 タナトス「人間すべてが嫌いなわけじゃありません。ただ頭の悪い人間は殺したくなりますね」 タナトス「貴女のご主人様とかね・・・」 ジャンヌ「!!なんだと・・」 タナトス「だってそうでしょう?ここは殺し合いの場」 タナトス「殺し合うモンスターが死んでしまうなんてよくあることです・・・」 タナトス「それなのに貴女のご主人様は貴女の死に怯えてさっきから震えてばかり・・・」 タナトス「ブリーダーでありながら死の現実を受け入れることの出来ない頭の悪い人間です・・・ヒャハハハハハハ」 ジャンヌ「・・・・・・」 タナトス「さて・・・少々喋り過ぎてしまいましたか・・・」 タナトス「そろそろあの世に連れて行って差し上げましょう!デススラッシュ!!」ヒュン! 澪「(あ、あんな武器を受けたら今度こそ・・・!)」 澪「ぎ、ぎぶあ・・・」 ジャンヌ「澪!」 澪「!?」 ジャンヌ「大丈夫だ・・・!」 澪「で、でも・・・ジャンヌ、それじゃあホントに・・・」グスッ ジャンヌ「大丈夫だから・・・ねっ?」ニコッ 澪「!!」 澪「(・・・ジャンヌがあんなにも頑張ってるのにマスターである私は一体何をしているんだ!?)」 澪「(ハハッ・・・こんなんじゃまたジャンヌに腰抜けだって呆れられてしまうな・・・)」 澪「・・・!」 澪「ジャンヌ、避けるんだ!!」 ジャンヌ「・・・!!了解!」ヒョイ タナトス「ヌヌ?」スカッ ジャンヌ「澪・・・!」 澪「ジャンヌ・・・私はジャンヌを信じる!」 澪「だからジャンヌも私を信じてくれ!・・・あの死神、倒すぞ!!」 ジャンヌ「・・・ああ!もちろんだ!!」 タナトス「ヒャハハハハ・・・流石回避特化・・・私でも外してしまうことがありますか・・・」 タナトス「いいでしょう・・・次にガッツが溜まったその時にもう一度デスエナジーをくらわせてあげましょう!」 澪「いや、その前に倒す!条件は整ってる!」 ジャンヌ「!!そのようだ・・・デススラッシュで私に近づいたのが運の尽きだったな」 タナトス「笑えない冗談を言う。この近距離では貴女は力技しか使えないでしょう」 タナトス「それともなんですか?キックを積み重ねて私をKOするとでも?ヒャッヒャッヒャッヒャッ・・・」 澪「ああ」 ジャンヌ「その通りさ」 タナトス「・・・なんですって?」 澪「しかしただのキックじゃない!」 澪「ジャンヌ!あの技だ!!」 ジャンヌ「了解!!」ヒュッ・・・! タナトス「ぬっ・・・!」 タナトス「(この高さはハイキックか・・・!くっ・・・避けきれない・・・)」 タナトス「(しかし所詮はバランス技に毛が生えた程度・・・大したダメージには・・・)」 ジャンヌ「(ハイキックだと思っているだろう・・・)」 ジャンヌ「(もう一段階上だ!!)」 ジャンヌ「やあっ!!」ヒュッ・・・ピキーン! タナトス「なっ!?」 タナトス「(か、かかと落とし!?)」 ジャンヌ「私のマスターを侮辱した罪を受けろ・・・地獄でな!!」 澪&ジャンヌ「ヒールレイド!!!」シュッ!! タナトス「ごはっ!!」バキッ タナトス「(ま、まさか大ダメージ技のヒールレイドを覚えているとは・・・)」バタッ タナトス「(しかし所詮はピクシー種のちから技!!致命傷には・・・!)」 タナトス「・・・・・・」 タナトス「(あ、あれ・・・?)」 タナトス「(な、何故だ!?体が起き上がらない!?)」 ジャンヌ「おい」 タナトス「!!」 ジャンヌ「言い忘れていたが・・・」 ジャンヌ「私はかしこさよりちからの方が高い!!」デデーン!! タナトス「なっ!?」 タナトス「力ピクシー・・・そんな・・・バカ・・・な・・・」ガクッ 澪「・・・・・・」 ジャンヌ「・・・・・・」 実況「タ、タナトス選手ダウン!戦闘は・・・続行不能!」 実況「勝者ジャンヌ選手!よってSランク公式戦会場4の優勝者は澪選手& ジャンヌ選手です!!!」 客「ォォォォォォォォ!!!」 澪&ジャンヌ「・・・・・・・」 澪&ジャンヌ「や・・・」 澪&ジャンヌ「やったー!!!」 澪「ジャンヌぅー!!!」ダッ・・・ ジャンヌ「み、澪ー!!」ダッ・・・ 澪「バカー!!!」ヒュン! ジャンヌ「・・・へっ!?」ペチッ 澪「なんで私がギブアップって言おうとした時に言葉を遮ったんだよー!!」グスグス ジャンヌ「い、いや、だってそれは・・・」 澪「だってじゃない!勝ったから良いけど死んじゃってからじゃ遅いんだぞ!!」エグエグ ジャンヌ「(さ、さっきまで私に指示をしていたマスターとは思えんな・・・)」 ジャンヌ「(しかし・・・)」ナデナデ 澪「えっ!?あっ・・・うっ!?///」 ジャンヌ「許せ。あの死神に澪を馬鹿にされてついムキになってしまったんだ」 澪「そ、そう・・・なのか・・・?///」モジモジ ジャンヌ「(こんな澪が私は大好きだけどな!)」 10
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4794.html
???「Αμαρτωλοσ(アマルトロス)!今なお【モイラ】に抗うと言うのか!」カキィィン! 大王「……ッ!あぁ、抗うさ。」カンッ! 正義「大王……。」 ~数分前~ ある夏も終わりに近づいていた日、俺達はごく普通の道路で普通に雑談をしていた。 奈海「夏休みも、あっという間よねぇ。」 正義「あと少し長くてもいいのにね。」 勇弥「ほんと、あと少しでハンドガンサイズのレーザーガンの開発に成功しそうなのに。」 大王「……友、また兵器を造っているのか?」 勇弥の発明の多くは兵器。 正義が腕に付けている戦闘補助トランシーバー『正義注入機』も 奈海がウェストポーチに入れている十円玉射出銃『コインシューター』も 楓が腕に付けているカウントダウン腕時計『カウントタイマー』も 全て勇弥の技術と、契約都市伝説、陰の力の結晶なのだ。 勇弥「ん、開発はだいたい月1個のペース。んで、夏入る前に良いのが見つかってな。 夏休みが終わる前に、って造ってたんだけど、誤爆が・・・。」 大王「兵器の開発では、エネルギーの制御が1番の問題だからな。」 奈海「あんたもなんでそんなもの造るの?正義くんなら剣だけでも充分強いんだし。」 勇弥「分かってねぇなぁ……。兵器によって生まれる日常もあるわけよ。」 奈海「戦争で勝って云々とか?」 楓「そうじゃない。戦争に使われた兵器も、使いようによっては日常を支える製品となるという意味だ。」 正義&奈海「「兵器が日常を支える?」」 2人の脳裏に、イメージが浮かぶ。 正義は愛用の剣で食材を切り刻んでいるイメージで、奈海は火炎放射器で食材を焼いているイメージだ。 それを察したか、勇弥も楓も呆れるしぐさを取る。 コイン「ま、溶け込んでて分かりにくいのかもね。 でも逆に、トンネル工事で使われているダイナマイトは戦争に使われたのよね。」 正義「えっ!ダイナマイトって兵器じゃなかったの!?」 勇弥「ん、戦争ってのはそういうものだからなぁ……。」 楓「身の回りにあるものは全て武器となる。だが逆に、全ての武器は日用品に変わるかもしれない……。」 奈海「ふぅん、武器1つでも色々あるのねぇ。」 ふと、正義は振り返り。 正義「だから大王も」 大王「いい加減に諦めろ!そんな説得で俺の心が動くとでも思ったか!?」 コイン「えぇー、動くと思ったのにぃ。」 楓「お前たち、揺るがぬ信念をお持ちになっているからこそ大王様はかっこいいんだぞ。」 奈海「十文字さんの心も動かさないといけないわね。」 勇弥「難多き問題だ。」 大王「だいたい、俺から世界征服を奪ったらだな。」 ……その時だった。 大王「俺はいったい何“ドクンッ!”の、ため……。」 勇弥「大王、さん……?」 大王「……少年、今の気配は……。」 正義「気配?都市伝説の気配なら、感じてないよ。」 楓「気のせい、な訳ないですよね、大王様ですし。黄昏、集中してみろ。」 コイン「今、私も探ってるんだけど……。とても弱い都市伝説なの?」 正義「……ダメ。ボクは全然分からない。」 大王「……そうか、少年はまだ直接会っていないのか。なら今すぐここから」 言い切る間もなく、全員の目に黒い人影のような何かが見えた。 同時に、全員はそこから何かを感じ取った。 正義「くっ……。」 大王「ちぃ……。」 コインはあっという間に奈海のお守り袋の中に隠れた。 その後すぐに、刃物の煌めきが見える。形状は、鎌。 正義は恐怖に怯える奈海と勇弥を突き飛ばし、大王は楓を抱いて退避する。 奈海「きゃあ!」 勇弥「うわぁ!」ドサァ! 正義「ごめん、緊急事態だったから。」 大王「ふぅ、大丈夫か会長?」 楓「え、は、はい!大王様!」 ???「避けたか、Αμαρτωλοσ(アマルトロス)。」 大王「(こ、この気配、やはり……。)」 正義「き、キミは一体誰!?」 正義が目を向けた先には、黒いローブを纏った男が立っていた。 男の手には鎌があり、何より気になるのは背中にはえている黒い翼だった。 奈海「コスプレ、な訳ないよね……。」 楓「明らかに神の類……だが。」 男は全員を睨みつけるかのように威圧する。 タナトス「我が名は【Θανατοσ(タナトス)】。ギリシャに伝わる死を司る神だ。」 その威圧により、また全員の脚がすくむ。 勇弥「【タナトス】……。確か名前が少し出ていただけの神のはず。それがなんでこんな力を……。」 楓「気迫だけで動けなくなりそうだ……。奈海は……?」 奈海「ご、ごめん……立てない……。」 コインもお守り袋から全く出てこない。この場で立っているのは3人だけだった。 正義「タナトス、罪人って、誰の事?」 大王「少年……?」 いつもとは違う口調で、睨みつけながら話しかける。 タナトス「Αμαρτωλοσ(アマルトロス)はお前たち全員だ!Μοιρα(モイラ)に抗ったαμαρτια(アマルティア)、償ってもらう。」 奈海「何言ってるの!?全然分からない!」 勇弥「ギリシャ語か?とりあえず分かるのは『オレ達は罪人だ』って言った事だ。」 楓「ざ、罪人?私達が、何をしたって言うんだ……。」 【タナトス】は嘲笑し、怒りも混じったような声で語りだす タナトス「簡単な話だ。まず十文字楓!もう数ヶ月前にお前は交通事故でΝεκροσ(ネクロス)!」 正義「し、死んでるって!?」 楓「交通事故……はっ!?」 楓はふと、【数秒ルール】と契約した時を思い出す。 契約した事も知らず、下校中に横断歩道を渡る時、信号無視でトラックが突っ込んできたのだ。 ……もしあの時、契約していなかったら、確かに自分は死んでいた。 タナトス「次に日向勇弥!5年以上前に山の中でΝεκροσ(ネクロス)!κρυο(クリヨ)でだ!」 正義「寒さで死亡?どういう事?」 勇弥「凍死って事か?山の中……あ!」 勇弥が思い出したのは、【電脳世界=自然界論】と契約した頃。 あの時契約していなかったら……。考えた事もなかった。 タナトス「心星奈海!三年前にある人間の後を追ってαυτοκτονια(アフトコンニア)!」 正義「自殺ッ!?奈海が!?」 奈海「後を追うって、……え?でも……。」 奈海は、小学4年生の時、ある人物とケンカをした事を思い出す。 そのケンカの後、居たたまれない気持ちでいた。あの時、後押ししてくれる人がいなければ、謝れなかっただろう。 ……だが、そのケンカした人物とは……。 タナトス「そして最後に黄昏正義!お前は……三年前にαυτοκτονια(アフトコンニア)!」 正義「ッ!?ボクは……死んでいた……?」 大王「今でもあの日は覚えている。そして……。」 【タナトス】は鎌で全員に向け、最後に大王で止める。 タナトス「Μοιρα(モイラ)を無視し生き続ける人間、そしてΜοιρα(モイラ)を掻き回す者達! もうΜοιρα(モイラ)を悲しませないために……私は全てをあるべき形に戻す。」 正義「あるべき……形?」 大王「……来る!」 【タナトス】は思い切り後ろへ振りかぶり、大王の右側を風のように通り過ぎようとする。刃は、的確に大王の首を狙っていた。 タナトス「そう、私こそが『Θανατοσ(死)』だ。」フッ 大王はいつの間にか出現していた黒雲より剣を降らせ、鎌を止める。 大王「悪いな。まだ、死ぬ気はない!」ギィィィ キィンッ! 火花を散らしながら、大王は鎌を払いのけた。 ~数分前/終~ 大王「お前もモイラモイラとしつこいな。そんなに決められたレールを走るのが好きか。」 タナトス「【モイラ】の決めた、絶対的なΜοιρα(モイラ)を捨てる権利などない!」 【タナトス】が鎌の柄を引っ張ると、鎌が閉じて斧のような形となり、先端に鋭い刺が移動した。 正義「変形した!?」 勇弥「なんだありゃあ?!どんな変形機構だよ……!」 思い切り振りかぶり、【タナトス】は斧形となった鎌を力強く大王に叩きつけようとする。 大王は横へ飛び退いたため、それは地面に大きなひび割れをつくった。 タナトス「Μοιρα(モイラ)を受け入れろ。」 大王「断わる。レールの上よりも、何もない道が好きでな。自分の道は自分で決める……。」 正義「だ、大……王……?」 奈海「はやく、助けに……。」 勇弥「お、おい、奈海!?」 楓「闇雲に行くな!危険すぎるぞ!」 やっと立てるようになった奈海は、戦うために正義のもとへと走り出した。 が、急に金縛りにあったように、動かなくなった。 奈海「あ、あれ?……まさか、コインちゃん!?」 コイン「だめよ奈海!逃げよう!あいつだけは相手にしちゃいけない!」 勇弥「ど、どういう意味だよ?」 コイン「お母さんが言ってたの!『【タナトス】は都市伝説を狩るためだけに生まれた死神』って……!」 楓「死神……確かに鎌を持っているが、いったいどんな神なんだ?」 コイン「分からない……。神とかの情報は、私には読めないし……勇弥くんは?」 勇弥「俺にも分からねぇよ……。ヘラクレスの話で少し出てたぐらいしか知らねぇ……。」 大王「なら、話を聞かせてやろうか?」 思いもよらない言葉が、大王の口から出た。しかしすぐ後に、、刃のぶつかり合う音が聞こえる。 タナトス「その余裕がどこにある?」 大王「まずは、この神に黙ってもらうか。(作戦を立てるためにも、話しておきたいが。)」 タナトス「……。」ピクッ 【タナトス】が後ろに飛び退いた瞬間、正義が大王の前に現れる。 正義「大王、行って!ここはボクが相手をする。」 大王「少年……!お前も聞かないと作戦も練れんぞ?」 正義「戦いながらでもある程度は聞ける。それよりしっかり説明できる方がいいと思う。」 大王「……腹の立つ奴だ。気をつけろよ!」 大王は背を向けて、全力で勇弥達のいる所へ向かった。 正義がそれを確認している時、上から大きな斧が落ちてきた。 タナトス「そんな貧弱な剣で受けられるか?」 正義「受けるんじゃない。受け流すんだよ。」 【タナトス】の振り下ろしたものに、正義は剣をぶつけ、わずかに軌道をずらす。 またその勢いを利用して、反対方向に大きく跳んだ。 正義「身軽な武器も、使いよう。」 タナトス「黄昏正義……お前も多くの人間のΜοιρα(モイラ)を変えた、Αμαρτωλοσ(アマルトロス)だぞ……?」 その頃、大王は勇弥達に【タナトス】に関する話をしていた。 大王「少年1人で相手できる奴じゃない。可能な限り短くするぞ。」 奈海「大丈夫、早く言って!」 大王「まず【タナトス】について1番重要な事柄、奴は『死を神格化したもの』だ。」 奈海「……神格化?」 勇弥「死という現象・事柄を、神に具現化したって事だ。」 大王「そう、つまり奴は死、そのもの。故に死に関する多くの力が使える。」 と、説明されると、疑問が生まれる。 勇弥「それだけじゃあの鎌は説明できないよな?」 大王「それも問題の1つだ。元々、奴が持っていたのは『死を招く剣』と言われていた。」 楓「剣?では何故彼は鎌を?」 コイン「【死神】に、なりたかったんだよ……。」 コインの震える言葉に、三人に鳥肌が立つ。 正義と【タナトス】の刃が打ち合う音が響いた瞬間、またコインはお守り袋の中に隠れた。 大王「きっかけこそ分からないが、奴はより強くなりたいと願った。そこで考えたのさ。 『【死神】のイメージを高める事で、【死神】の力さえも手に入れよう』とな。 元々死神に近い存在、あっさりと奴は【死神】として、より強くなった。 しかし、鎌は戦闘に向いていない。元は農耕の道具だからな。 そこで【タナトス】は鎌の内部に鎖を仕込み、柄を引くとハルバートになる機構を組んだんだ。」 勇弥「ハルバートって……。」 大王「15世紀ぐらいに誕生した武器だ。斧の性質と槍の性質を併せ持ち、高い攻撃力を持っている。 最低でも斬る・突く・鉤爪で引っかける、叩くという使い方が可能。 だがそれ故に重量は重く、さらに性能を生かすためには迅速で適切な判断力を必要とする。 つまり、よほどの者でない限り使いこなせず、宝の持ち腐れとなる。」 ふと【タナトス】を見ると、 まず思い切り斧部を叩きつけ、正義が後ろに避けるとすぐに踏み込み突きにかかる。 それを横に避けると、次は薙ぎ払い。正義はそれを剣で受けて大きく退く。 勇弥「すげぇ、あんな重たそうな物を振り回しているのに、正義を押してる……。」 おそらく何も知らない者がここにいるなら、【タナトス】の連撃を全て避ける正義に驚くだろう。 しかし長年正義と共にいる勇弥にとっては、未だに1度も攻撃を与えていない正義が珍しかったのだろう。 楓「と、ところで大王様、ハルバートってあんな物でしたっけ。」 大王「元が鎌だからな。攻撃力と近距離戦に有利とメリットはあるが、重量が問題だ。」 奈海「重いもの振り回してる、と。OK。じゃあ行こっか。」 すくっ、と奈海は立ち上がる。その脚は、わずかに震えていた。 楓「行くって、まさか……?」 奈海「正義くんは戦っているのよ?それにいつかの神様とは違う、死神と。 私達の命もかかってるのに、正義くんだけに任せる訳には行かないじゃない……。」 潤んだ目が物語っている事は、話を聞けば充分に分かった。勇弥と楓も立ち上がり、覚悟を決める。 奈海「コイン!」 コイン「(!?)」ビクッ 奈海「そんなところで隠れてても、どうせ私が死んだらあなたも死んじゃうのよ!」 勇弥「おい、流石にそれは……。」 奈海「もしそれが嫌なら、私と戦って。それで負けそうになったら、その時に逃げなさい。」 コイン「……奈海ぃ……。」ヒョコッ 奈海「大丈夫。私ができる限り、守ってあげるから。」 コインは頷き、涙を拭う。 勇弥「……奈海ってさ、時々たくましいよな。」 楓「時折、母親らしさを垣間見れるな。……誰かさんのおかげか。」 タナトス「友情ごっこは終わったか?」 突然後ろから聞こえた声に、思わず勇弥と楓は左右に飛び退く。 運良く、【タナトス】のハルバートの斧部は地面を割るだけだった。 勇弥「って、っと。せ、正義はッ!?」 奈海「……あ!正義くぅん!」 そこには、剣を折られ、火傷や切り傷、打ち身などで傷だらけとなった正義の姿があった。 正義「ごめん……止められ、なかっ、た……。」 奈海「正義くん……そんな……。」 タナトス「Νεκροσ(ネクロス)の分際で、私にあの技を使わせるとは。」 大王「(あの技?……しまった、まさかあれを!?)」 ふと、奈海が【タナトス】の所へ歩み寄り、【タナトス】を睨みつける。 タナトス「なんだ?」 奈海「あんたさ、何を怒ってるの?」 タナトス「お前たちがΜοιρα(モイラ)に逆らって生き長らえているからだ。」 奈海「最初聞いた時から思ってたのよ。おかしな事を言ってるって。」 勇弥「お、おい、また……。」 仮にも神、それも死神に口答えは、と止めようとした時、楓が勇弥の肩を叩き首を振る。 奈海「なんで私達が生きてたらいけないの?私達が生き長らえようと努力しちゃいけないの?」 タナトス「……なに?」 奈海「例えば、死にそうな病気や怪我になった時、 その人や周りの人ががんばって治ったとしたら、その人は祝福されるものじゃないの? 『自分が死ぬ』という運命が分かるのなら、人は生きる為に努力するべきじゃないの!?」 タナトス「Μοιρα(モイラ)に抗う事は愚かだ。Μοιρα(モイラ)を受け入れΝεκροσ(ネクロス)となれ。」 言い終わったと同時ぐらいに、奈海はコインシューターの引き金を引く。 【タナトス】の頬に十円玉がぶつかった。 タナトス「……ανοητοσ(アノイトス)。」スゥ… コイン「“な、奈海ィッ!”」 そして【タナトス】のハルバートが振り下ろされ……。 楓「1!」 タナトス「ッ?!」グググ… コイン「“奈海、今よ!逃げて!”」 奈海「……あ、わ、分かった。」 とっさに【数秒ルール】を発動させて【タナトス】の攻撃を止める。 勇弥「お前、今日おかしいぞ!?何かあったのか?」 奈海「何?あいつに言いたい事言ってるだけじゃない。」 楓「2、3、っと。(お母さんモードが暴走気味だな……。)」 タナトス「また抗うか。恐れなき攻撃に敬意を評してやろう。」 奈海「敬意……?」 大王「まさかッ……!?おい気をつけろ!あれが出るぞ!」 【タナトス】はハルバートの柄を押し戻して鎌を展開する。 勇弥「何が始まるんだ……?」 大王「【タナトス】の死に関する能力だ。あれは鎌でないと発動できない。」 楓「いったいどんな能力なんですか?」 大王「すぐに分かる。伏せる準備をしておけ。」 すると、【タナトス】は鎌を左から右へ振り……。 タナトス「『κηδεα(葬)』……『φλογα(炎)』。」 その瞬間、鎌から禍々しい色をした炎が発生する。 勇弥「ほ、炎!?」 コイン「“奈海、避けるよ!”」 奈海「うわっ!」 コインの対応のおかげで、奈海は炎を避け、操られるように勇弥の所へ突き動かされた。 奈海「いたた・・・ありがとう、コインちゃん」 勇弥「コインちゃんナイス!」 コイン「“そんなのどうでも良いから、勇弥くん、壁を作って!”」 勇弥「ん?あぁ、了解……。」 言われるままに、勇弥は空気を壁に変換した。 タナトス「『κηδεα(葬)』、『νερο(水)』。」 【タナトス】は鎌を右から左へ振ると、鎌から禍々しい色をした水が押し寄せてくる。 勇弥「今度は水か!」 楓「壁のおかげで助かった……。コインちゃん、それで壁を!」 コイン「“いいから!次は飛ぶ準備!”」 勇弥「飛ぶのかァ!?無茶言うなよ!」 奈海「まさか、次の攻撃って……。」 【タナトス】は鎌を天高く掲げ、勢いよく地面へ振り下ろす。 タナトス「『κηδεα(葬)』、『εδαφο(土)』。」 その瞬間、鎌が突き刺さった所から禍々しい光と共に地面に亀裂が走り、あっという間に勇弥たちの足元は……。 勇弥「今度は……生き埋めかよ!?」 楓「く、こればかりは……。」 奈海「え、ちょ……。きゃあああああ!」 そのまま勇弥達は、奈落の底へと落ちていった。 タナトス「Αμαρτωλοσ(アマルトロス)、哀れなものだ。」 大王「隙あり……!」 突然、大王が懐に入り剣を振るう。【タナトス】は反応が遅く、皮1枚程度を斬られた。 大王「ほぅ。お前という奴が、これを喰らうとはな。」 タナトス「ッ……!『κηδεα(葬)』、『ανεμοσ(風)』。」 鎌を下から上へ振り上げると、発生した風が禍々しい色と共に大王へと向かう。 大王「ぐっ……。」 その風を受けた地面も、周りにあったものも、まるで何百年も風に吹かれていたように、全てボロボロになっていく。 唯一大王だけ、比較的軽いダメージで済んだようだった。 タナトス「耐えたか。これを耐えたのは2人目だ。1人目はあそこにいるが。」 正義「……。」 【タナトス】が指差した先では正義が倒れていた。 おそらく正義もこの技を、いや、あの4連撃を全て受けたのだろう。 大王「少年は、この攻撃を、耐えたのか……癇に障る奴だ……。」 タナトス「仲間を見捨ててまで私を攻撃した、その結果がこれとはな。ανοητοσ(アノイトス)。」 大王「……見捨てた?」 その時大王は、体のの中で何かが弾けたような感覚を覚えた。 大王「【タナトス】、今『見捨てた』と言ったのか?」 タナトス「あぁ、友情ごっごに飽きたのか?」 大王「……そうか。聞き違えたかと思った……。」 タナトス「……?何を考えている?【恐怖の大王】。」 何を思ったのか、大王はにやりと笑った後、【タナトス】に疑問をぶつけた。 大王「【タナトス】、お前は『見捨てる事』は悪だと、本当は思っているんじゃないのか?」 タナトス「何……?」 大王「そうだろう?小学生ですら、目の前の人を救えなかったと悲嘆するんだからな。自分を襲った人物を、だ! ならお前とてそそう思っていても不思議ではない。」 少年は最初からそうだった。『目の前に困っている人がいたら助ける』『手が届くなら手を伸ばす』、そう言って聞かなかった。 俺にはその考えが邪魔だった。 世界征服をする以上、弱者を庇ったがために命を落とすなど、笑い話にもならない。忘れられるが落ちだろう。 だからその考えだけは捨てて貰うつもりだった。だが少年は今なお変わっていない。 ……今なら、分かるかもしれない。大王は意を決する。 タナトス「それを認めたから、何だというんだ?私が消滅するでもない。」 大王「俺は見捨てた訳ではない。友と少女、会長もいる。なら俺が助ける必要はないと考えたんだ。」 タナトス「それは憶測に過ぎない。あの技をまともに受けて助かった者は1人といない。」 大王「そうだ。俺の予測は外れるかもしれない。未来を間違いなく知っていたなら、助けただろう。 そんな人物がいるとしたなら、俺は1人しか知らない。」 大王「 【モイラ】 だ。 」 タナトス「……ッ!!」 大王「運命の神【モイラ】なら、全ての人間の死を予知し、救う事もできよう。 もしそうなら……あいつらを見殺しにしたのは、俺でもお前でもなく、他でもない【モイラ】」 言い終わろうという瞬間、【タナトス】のハルバートが大王の腹部を切り裂いた。 大王「……流石に効いたな。死の神。」 タナトス「【モイラ】様に責任をなすりつけるとは……Αμαρτωλοσ(アマルトロス)に何が分かる! 私は【モイラ】様の紡ぐΜοιρα(モイラ)に従えば良いと言っているのだ!」 大王「俺が問いたいのはお前の存在だ。ある考えを持ちながら、何故それを貫こうとしない? 自分の考えを押し殺してまで、こんな事をするのに意味があるのか?」 タナトス「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!貴様に何が分かる!?所詮世界征服を企む者の口が、何を言っても無駄だ!」 大王「【タナトス】、俺と少年の唯一の共通点を教えてやろう。」 ―――その顔は、笑顔のようにも見え、何かに満足しているようにも取れた――― 大王「俺も、少年も……自分の考えが正しいかを証明するために行動しているんだ。」 タナトス「は……!?」 大王「意外だろ?俺は世界征服のため、少年は人を助けるため。目的は違うのに同じ修行をしている。 俺達が間違っているかなど、まだ分からない。だが確かめるためには、動くしかないだろう?」 しばらくそのまま全てが動かなくなった。最初に動いたのは【タナトス】だった。 タナトス「戯言は終わりか?」 大王「動じず、か。」 タナトス「そんな事だろうと思った。そうやって私の戦意を削ぎ落として、その隙を狙ったのだろう?」 大王「ニアピン賞。戦意を失い、帰って反省会でも開いてくれると思ったんだが、そう上手く行かなかった。」 タナトス「どれだけ人を舐めれば気が済む?【恐怖の大王】。」 大王「あと1回だ。【タナトス】、お前が本当に迷いがある、或いは自己の考えを持たないというのなら どうやらお前は、俺が思っていたよりも弱いかもしれん。」 【タナトス】はゆっくりハルバートを振り上げた。 タナトス「どうやら、もう一度味わって貰うしかないようだな。」 大王「あぁ、来い……!」 その時、【タナトス】が横へよろめく。同時に、刃の煌めきが【タナトス】のいた場所を駆け抜けた。 正義「だ、大王……雲、もう少し、近くに……。」はぁ、はぁ…… 大王「……!それはすまなかったな。以後気をつける。」 いつの間にか、正義は立ち上がって剣を握っていた。 タナトス「……まだ諦める気は無いのか。」 大王「まだだ、まだ動ける……。まだ足掻ける……!」 ふらつく足を踏ん張り、大王は目を【タナトス】に向ける。 大王「少年、もっと寝ていた方が良いんじゃないか?」 正義「休みすぎたぐらいだよ。おかげでだいぶ楽になった。」 大王「そうか。なら安心だ。」 不意に、地面から四角い透明な何かが浮かび上がってきた。 よく見ると、0と1の線でできており、中には勇弥達が入っていた。 勇弥「お待たせしました、1階です。っと。」 楓「……。せっかく遠回りしたのに、奇襲はできなかったな。」 奈海「正義くん、大王さん、大丈夫!?」 正義「奈海、勇弥くん!」 大王「会長、無事だったか!」 改めて全員揃い、喜んでいる正義達だったが、快く思わないものもいた。 タナトス「せっかく葬ってやったのに、出てくるとは……。」 勇弥「あ、じゃあオレ達って今ゾンビみたいな状態か?」 奈海「やめてよ、なんだか気持ち悪いじゃない。」 楓「しぶとさは、この会の誇りだからな。ですよね、大王様?」 大王「あぁ。で、アンデッドを目の前にしたお前はどうする?お前こそ諦めたらどうだ?」 【タナトス】は怒りに震えていた。しかし、急に表情を戻し、ゆっくり鎌を下ろした。 タナトス「遊びが過ぎた……。終わりにしよう。」 勇弥「お、【タナトス】の試練もクリアって事か。」 楓「厳しい戦いだったが……、大王様が極めて下さったんですね。」 コイン「ねぇ、いい加減『すけいでぃお』について訊こうよぉ。」 奈海「そうね。こっちもスケジュール空いてないかもしれないし。」 正義「大王、伏せてぇ!!!」 急に正義の表情が変わり、叫びだす。 しかし間に合わなかった。すでに【タナトス】の姿が消え、急に大王の後ろに現れる。 大王はとっさに勇弥・奈海・楓を突き飛ばした。 勇弥「うおっとぁ!?」 奈海「きゃあっ!?」 楓「うわっ、だ、大王様!?」 楓が振り返ると、大王と【タナトス】の周りから禍々しい色の霧が発生していた。 奈海「なによこれ……。信じられない……。」 勇弥「なんだ、近寄れねぇ……。どうなっているんだ……?」 正義「皆!いったいどうしたの!?」 楓「た、黄昏はあれを見ても大丈夫なのか……?とにかく、あれはいったい……。」 正義以外、震えた声で喋っている。 奈海「コ、コインちゃん、分かる?」 コイン「……うそ、これ、私達があいつに会った時からずっと出てたの……!?」 勇弥「はぁ?!あの時は、たしか普通だったぞ!?」 楓「私達が、ずっと気付かなかったという事になるな……」 すると、はっとしたようにコインが顔を上げ、すぐに頭を抱える。 コイン「……そうだ、大変だ!お母さんが言っていたの。この霧が出たら……。」 楓「た、対処法があるのか……?」 全員が期待する中、コインが口を開く。 コイン「諦めろ、って……。」 勇弥「お、おい、それって、もう逃げられないって事かよ……!」 楓「つまり、あれが【タナトス】の必殺技か。文字通り……。」 コイン「そうみたい……。あれに近づいたら、大人も子どもも、獣も鳥も恐怖すると言われているの。」 全員が霧の様子を窺っている中、奈海はキョロキョロと辺りを見回していた。 奈海「……正義くんは……?」 Σχεδιο編第6話「死」―続― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/52230.html
登録日:2022/09/29 Thu 06 41 09 更新日:2024/02/04 Sun 10 04 26 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 COMIC MeDu カラフルグレー グロ コメディ ゴシック シュール タナトス メアリー・スー 不死 混沌 躯咲マドロミ 傲慢ヘタレお嬢様のアブノーマル愛憎劇!! 混沌のゴシック・コメディの世界へようこそ!! 『カラフルグレー』は、躯咲マドロミの漫画作品。 WEB漫画サイトCOMIC MeDuにて連載中。既刊2巻。 程々にグロい描写(*1)の一方で、マイペースな登場人物達が繰り広げるシュールでコミカルなやり取りが特徴。 【ストーリー】 非道な人体実験を繰り返していた伯爵タナトス・フォグ・グランギニョルが討伐された。 その結果、タナトスが管理していた魔導融合炉が暴走し大爆発寸前に。 タナトスの娘、イリスはこの危機にそれと銀行口座の暗証番号を聞き出すためにタナトスを復活させることを決意。 使用人の大多数はタナトスに恨みを持ち、離散するか寝返り済。イリスはメイドのメアリー・スゥを新たに雇いバラバラにされたタナトスの体を集めるために立ち上がるのだった。 【登場人物】 ■主要人物 タナトス・フォグ・グランギニョル 「死を統べる者」と呼ばれた、山羊の骸骨の頭部や死神の羽を持つ異形の伯爵。 街一つの住人を全員素材とし人体実験を行った末に帝国が差し向けた討伐隊に殺された……が、バラバラになった体を繋ぎ合わせれば蘇生は可能で彼の体を集めることが物語のテーマとなっている。 討伐隊と戦う以前から大ダメージを負っていたらしいが……。 イリス・グランギニョル 本作の主人公のタナトスの娘。厳密にはタナトスの実験体の中、初めて不死化に成功した個体で、技術の秘匿のため養子として管理されていた。 頭部を破壊されるなど致命傷を負っても即座に再生する体質の持ち主。残機制で生命維持に最低限必要な分以上に接種した食事のカロリーが蓄えられ30万キロカロリーごとに残機が1増える。最低限分以外はすべて残機に消費されるため筋肉も付かず脆弱。 体から離れて3秒以内の血液にも再生効果があり他者の治療も行える。 メアリー・スゥ 派遣サイトを通して雇われた新入りメイド。 自称「突撃武装メイド」。好戦的な性格で戦闘力は高いが家事などはからっきし。 タナトスと無関係にもかかわらず、首から上が存在しない異形な存在。化け物揃いのグランギニョル城の住人やタナトスと戦った討伐軍の目から見ても異形さが際立っており何故生きて思考できているのかは謎。当人は死体や怪異扱いされるとキレる。 本人が言うには本来の顔は空前絶後の超絶的美少女らしい。代わりの頭としてイリスの頭に目を付けている。 ブレア・ブラッドレイ 以前からイリスに仕えていたメイド。元は不適合として廃棄された実験体であり、死体の山から自分を見つけ出し治療してくれたイリスへの忠誠心は高い。 極度の潔癖症で、汚いものに触られた自分の手首を切り落とすほど。戦闘力は高いが不潔な場所には近寄らず体や衣服が汚れれば取り乱してしまう。 アウラ・グランギニョル タナトスの末娘。イリスと同じく養子に迎えられた実験体で、あらゆる攻撃を弾く無敵の皮膚を持つ。 城の支配者の座を狙っており、タナトスを蘇生させようとするイリスを泳がせている。 カナリア 1話冒頭でタナトスの指示で人体実験を行っていたペストマスクの女性。 現在は支配者を目指すアウラに仕えている。 世界主義者(ハイレシスト) カナリア直属の部隊で彼女と同じくペストマスクを付けている。 詳細は不明だが彼らがいる限りカナリアは不滅らしい。 ■討伐隊 タナトスを討伐するため帝国陸軍最強とされる13師団の中から精鋭を寄りすぐり組織された小隊。 タナトスと戦い隊員2名を犠牲に勝利するが殺し切ることは出来ず、バラバラにした彼の肉体を移植することで封印した。 ドナルベイン 帝国陸軍1の美男子と評判だったがタナトスの左腕を移植した副作用で顔の皮膚が溶け落ちてしまった。 以降、城の地下牢にいた囚人の顔を剥がし代わりとなる顔を探している。 右腕移植者 タナトスの右腕を移植したが重傷を負っていたため、逆に右腕に支配されてしまった。 死体同然の状態だったが、イリスの血がかかり復活。 台詞はカタコトなのに豊富なボキャブラリーで空腹を訴えイリスを恐怖させ本体のダメージを無視した奇怪な動きで襲いかかる。 軍服の男 大倉庫付近で目撃された軍服の男。討伐隊員と推測されイリスが大倉庫の調査に向かうが? ■城の住人 ゾンビ 魔導液汚染で汚染された死体や雑用がゾンビ化したもの。肉体と同時にファッションセンスも腐り全員衣服がダサい。 ゾンビ同士で共食いすることで巨大な「蠱毒死体グランデッド」に変化する。 魔導師グラマイア 場内北西の大魔導図書館の司書。 タナトス亡き今、図書館の書物は自分のものと場内に留まっていた。 ジグラット 場内東の大倉庫内に建国された魔導液汚染されたネズミ達の王国「大倉庫王国」の国王。 イリスに何らかの恨みを持っているらしい。 メンティス・ブラット ジグラットに忠誠を誓う頭部がネズミの骸骨の男。 その正体は討伐隊の一員。タナトスとの戦いで重傷を負い死にかけていた所をジグラットに救われており、彼への忠誠心は本物である。右腕移植者の末路を見たからか、タナトスから奪い取った肩甲骨は移植せずに保管していた。 メガトン・ブロートン タナトス生前から凶悪使用人収容エリアに封印されていた破壊執事。 使用人バトルトーナメント8位の実力者。 破壊神教団 城内のスラム(居住区の成れの果て)にいつの間にか発生していた新興宗教団体。 タナトスの呪縛から自分たちを解放する存在として、破壊天使レノックスを崇めている。 破壊天使レノックス 破壊神教団の信仰対象である天使の羽が生えた少女。 殺戮衝動に苛まれ、教団が生贄に捧げた死刑囚で発散していたが、それでも収まりきらなくなってきている。 その正体は討伐隊の一員。天使の羽の正体は偽装したタナトスの羽で、移植した副作用で殺戮衝動が芽生え、教祖(死刑囚房管理人)の誘いで生贄と引き換えに彼に協力していた。 追記・修正は死神のパーツを移植してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント