約 440,007 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3751.html
前ページ次ページゼロの魔獣 ―チェルノボーグの監獄。 一切の不審人物が立ち入ることのできないハズのその館内を、 明らかにその場に似つかわしくない不審者が二名、我が物顔で進んでいく。 片方は長身の白仮面。 黒マントからのぞく長柄の杖が、かろうじて彼がメイジである事を推測させる。 もう片方の男の格好は、その場どころかその世界にすら似つかわしくない。 大柄の恰幅のいい肉体にスーツ姿、その上から、さらに白衣を羽織っている。 ふたりは目的の牢獄の前までたどり着くと、その女性とおぼしき囚人に声をかける。 「迎えに来たぞ『土くれ』よ」 『土くれ』と呼ばれたその囚人は何の反応も示さない。 訪問者の方を見ようともせず、空になった茶碗で遊んでいる。 『仮面』の男が言葉を続ける。 「ここから出たくは無いかね『土くれ』のフーケよ」 「・・・・・・・」 「アルビオン王家が滅ぶ瞬間を見たくは無いか? マチルダ・オブ・サウスゴータ・・・」 フーケはまるで言葉が聞こえないかのように、木製のスプーンをクルクルと回している。 チッ、と仮面が舌打ちをする。 『土くれ』のフーケが一介の学生に敗れ、心を壊された、という噂は耳にしていたが これ程の重症だとは思いもしなかった。 目の前の彼女の行動が演技であるなら、最後の言葉には何らかの反応を示すはずだった。 まったくの無駄足だった。そう思い、立ち去ろうとした仮面の肩を、白衣の男が叩く 白衣の男は、無言でフーケの手元を指差した。 それは、奇妙な光景だった。 フーケの手を離れたスプーンが、木製の椀の中で独楽のように回転している。 よく見ると、フーケの右手には鳥の骨が握られている。 食事に出たのであろうソレを削り、時間を掛けて練り上げた、杖の代用品といったところか。 無論、そんな有り合わせの得物で使える魔法など、たかが知れているが・・・。 フーケが骨を振るう。 スプーンの先が木串のように尖り、徐々に回転のスピードが増していく。 木椀が削れ、木クズが螺旋状に宙を舞う。木が焦げる臭いが鼻を突く。 やがて、パキッ、という乾いた音とともに、椀が二つに割れ、周囲に静寂が戻った。 「そうか・・・ そうだったんだ・・・!」 何事かをブツブツと呟いていたフーケが、突如、嬌声をあげる。 「フフッ フハハッ ハァッハハハハハハハハアアッ!! わかったァッ!! わかッたぞォ!! 魔獣ッ!! 魔法とはッ! 力とはッ! ゴーレムとはッ!! 全ての答えは回転の中にあった!! こんな! こんな簡単な事だったなんてッ!! 真のゴーレムがッ! 史上最強のゴーレムがついに完成したァ!! クァーッハッハハハッハハハハハハアアアア!!!!」 来た当初はまるで狂人のようだったその囚人は、今や完全な狂人そのものと化していた。 「ミスタ・・・人選を間違えたのではないのか・・・?」 フーケの突然の変貌ぶりに、仮面が問う。 「フフ・・・これから戦う相手の事を考えれば、これぐらいのヤツの方がいい。」 白衣の男がニヤリと笑う。 ピタリと嬌声が止まり、囚人の双眸が訪問者達を捉える。 「ここから出してもらえるかい? 旦那方・・・ そちらの期待以上の働きはしてやろうじゃないか この『土くれの』フーケの新境地・・・ 螺旋の妙技を とくと見ておくがいいさッ!!!!」 大きく吊り上ったフーケの両目の奥で、深緑の瞳がグルグルと渦を巻いていた。 前ページ次ページゼロの魔獣
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5916.html
前ページ/ゼロの使い/次ページ 「ここは・・・何処だ・・・」 先程まで、彼は確かに、漆黒の闇に浮かぶ玉座の間にて、主君と共に最終決戦に臨んでいたはずだった。 「何故・・・私は生きている・・・!?」 そして、戦いの終盤、肉体が崩れかけた主が最後の力を振り絞って放った究極魔法。 大陸一つを消し飛ばすと言われた禁忌の一発を、四精霊の武具を身に着けた人間の少年に、 こともあろうに弾き返され、主共々、自分は塵となったはず・・・だった。 にも拘らず、自分は生きていた。先程の戦いで受けた傷も、消耗した魔力も全て回復していた。 主君も、忌まわしい怨敵の姿も、先程まで周囲に存在していた無限の闇も無い。 あるのは晴れ渡った空と、魔術師と思われる人間の一団。 今彼を包んでいる空気がまるで馴染みの無いものだった事から、ここが異界であり、自分が何らかの召還魔法で呼び出された事は分かった。 恐らく、目の前で歓喜に震える桃色の髪の少女によって。 ―皮肉なものだ。人間によって滅ぼされかけた自分が、人間の手によって命拾いするとは。 「・・・信じられない・・・これ程の使い魔が来るなんて・・・」 桃色の髪の少女が白煙の中から現れた白面の魔導師を見て言葉を漏らした。 メイジの最高位といわれるスクウェア・・・その中でも最上級・・・ 否スクウェアという次元にすら収まらぬであろう強大な魔力が彼から溢れ出していた。 今日に至るまで、一度として魔法に成功した事のない彼女でも一発で見抜けた。 思わず飛び上がりそうだったが、少女はぐっとこらえ、儀式の第二段階を行うべく、白面の男に近付いた。 しかし、それは思わぬ形で挫折する。 「・・・この仮面・・・取りなさいよ・・・」 「・・・残念だがそれは無理だ。この仮面は私の肉体の一部だからな。」 「ミス・ヴァリエール、無理に唇にする必要はありませんよ。」 光り輝く頭の男が少女に優しく助言する。 「そ・・・そうね・・・」言うが否や、少女は彼の右手に接吻する。 まもなく、彼の右手に光り輝くルーンが現れた。 「ほう・・・これは珍しいルーンだ・・・」 言葉と共に、禿頭が彼のルーンを手帳に書き記す。 「それでは儀式は終了だ。各自寮へ帰るように。解散。」 その言葉を合図に、周りの人間達は各々様々な生き物を引き連れて、飛んでいった。 只一人を除いて。 「飛ばぬのか?」 「うるさいわね!!飛べないからこうして・・・」 「ならば私が送っていくとしよう。お前の行きたい場所を頭の中に強く思い浮かべろ。」 「う・・・うん・・・」 言われたとおり、彼女は魔法学院の寮の自室をイメージした。 「ルーラ。」 その言葉と共に、二人の姿は掻き消えた。 前ページ/ゼロの使い/次ページ
https://w.atwiki.jp/gogoanison/pages/224.html
オープニング 「First kiss」 作詞:ICHIKO 作曲・編曲:新井理生 歌:ICHIKO ※第13話のみSE付き 2chのアニソンランキング 147位(2007年12月版)、123位(2008年05月版) エンディング 「ホントノキモチ」 作詞:森由里子 作曲・編曲:新井理生 歌:ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(釘宮理恵) ※第13話ではエピローグ時に流れた VIPPERが選ぶアニソンベスト100+α 73位(第1回) 挿入歌 イメージソング・キャラクターソング 関連作品 ゼロの使い魔~双月の騎士~ (2007) 投票用テンプレ First Kiss(ゼロの使い魔/OP/ICHIKO/2006) ホントノキモチ(ゼロの使い魔/ED/釘宮理恵/2006) OP…オープニング曲、ED…エンディング曲、IN…挿入曲、TM…主題曲 IM…イメージソング・キャラクターソング
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3932.html
前ページ次ページゼロの軌跡 第五話 お茶会への招待 「ミス・レン、朝食をお持ち致しました」 「ありがとうシエスタ。 でも私、昨日お願いしたはずだけど。私のことはただのレンでいいわ」 「で、ですが…レン様のことは賓客としておもてなしするようにと言われておりまして…」 「レンって呼んで」 シエスタが真っ青な顔をしたメイド長から呼ばれたのは昨日、ルイズの付き添いを終えて遅い夕食を取り終えた時だった。 何事だろうか、もしや気づかぬうちに貴族に粗相をしてしまったのではないかと内心不安を抱えながら用件を聞けば、それは今日学院にやってきた少女の世話を、というものだった。 安堵したのもつかの間、学院の塀を破壊しルイズを殺そうとしたのがその少女だと知ってシエスタは危うく昏倒するところだった。 無論のこと、あまり豊富とはいえない彼女の持ちうる語彙全てを駆使して控えめに辞退したのだが、ただの雇われメイドの身に選択権などあるはずもなく。否応無しにベッドメイキングと御用聞きのためにレンの部屋に向かったのがその日の夜。 一体どんな凶悪な亜人が出てくるかと思えば、シエスタを出迎えたのは彼女の予想とは似ても似つかない、あまりにも可愛らしく稚い少女だった。 如何なる無理難題を吹っかけてくるかと恐れていたがそのようなこともなく、どうにか責務を終えて退出するその間際、お願いがあるのだけど、と鈴の鳴るような声にシエスタは扉に向かうその足を止めた。 遂にきたか、と動揺を抑えて耳を済ませる。次いでレンの口から出てきた言葉にシエスタは耳を疑った。 敬称はいらないからレンと呼んでほしい。 想像していた要求とその言葉との落差に彼女の思考は一瞬凍りついた。 レンの年齢と容姿を考えればそう呼ぶのも至極最もであるとシエスタも思わないでもなかったが、興奮と自失のために数秒ごとに明滅を繰り返しながらシエスタに命を下したメイド長の語気を思い返すと、軽々しくレンの名を呼ぶのも勇気を要することだった。 即答も出来ず、かといって拒絶することは尚更出来ず、その晩はどうにか誤魔化して辞去した。一晩たてばそのような戯れもあるまいと高をくくり朝食を運びに来たシエスタだったが。 「ではその…せめてレンさんと」 「レン」 「レ…レン…ちゃん」 「うふふ、仕方ないからそれでいいわ。 シエスタ、早くスプーンを取って。レン、とってもおなかがすいちゃったの」 しかし、レンの発言、立ち居振る舞いを見るにつけてシエスタの中の違和感は次第に大きくなってゆくのだった。 曰く塀を一瞬にして消し去っただの、あのオールド・オスマンを外で裸に剥いただのという噂は既に使用人の間でも広まっていたし、実際にルイズの首に生々しく残る手形と窓の外に聳え立つゴーレムを見ては疑うべくもないのだが、 それでも、上品にスープを飲み干す目の前の少女に、冷酷で恐ろしい姿を重ね合わせることがシエスタには出来ないのだった。 「ごちそうさま」 「レンちゃんはこの後どこかに出かけますか?もしよければその間に部屋の掃除など済ませてしまうので」 「そうね、お昼ご飯まで出掛けることにするわ」 「でしたら昼食は外で召し上がりませんか?いいお天気ですし、紅茶とデザートも振舞われますよ」 「あら、それはとっても素敵ね。レン、楽しみにしてるから。 行きましょう、<パテル=マテル>。今日は北の方を探検するわよ!」 その朝、ルイズが重大な決意をその平坦な胸に秘めてレンの部屋に向かおうとした時、秘書のロングビルに呼び止められた。 疲れた顔のロングビルから今日の授業は休んでも構わない、絶対にレンを怒らせないように関係の修復を図るようにと学院長からの連絡を聞く。途中から愚痴と化していたそれはオスマンとロングビルの困憊を如実に表していた。 去り際に、塀の修繕費の工面とか王宮にどう報告したらとか呪詛めいた口ぶりでロングビルが何かを罵っていたが聞こえなかったことにする。 今のルイズがそれらに対して出来ることは何もなかったし、何より今すべきことはそんなことではない。 ともかくもレンの部屋に向かって再び足を踏み出したルイズが見たものは、白煙と炎を噴出して飛び立つ<パテル=マテル>の姿だった。 「逃げられた…」 無論レンがルイズから逃げ出した訳ではないのだが、この行き場のない決意をどうしてくれようか。 煩悶としながらルイズは自分の部屋に戻って朝食をとることにした。 レンが昼食のテーブルに着いたのはちょうどシエスタとの約束の時間。そのそばにいつもあるはずの<パテル=マテル>の姿はなかった。 探索に出てしばし、さしたる成果が上がらずにじれったくなってくるレンだったが、そろそろ戻らないと昼食に遅れてしまう。 時間を過ぎたらご飯抜きということはないだろうが、自分から約束した刻限を自分の都合で破ることには少々忸怩たるものがあった。 仕方ない、昼食を食べている間は<パテル=マテル>一人でがんばってもらおう。理由はよくわからないがこちらの世界に来てから出力が上がっている。自律行動させても然程の問題はあるまい。 そう思って学院に戻ると、庭には多くの生徒と使い魔の姿があった。 おそらく大半がルイズと同級生なのだろう。まだ使い魔が物珍しいのか、既に溺愛しているのか、そこかしこで戯れているのが散見される。 しかし、給仕をするシエスタと二人、レンに近寄ってくるものは一人と一匹たりともいなかった。 昨日の有様を目の当たりにしてはそれも至極当然のこと、遠巻きにして時折こちらを見ては「ゼロのルイズ」という言葉が風に乗って届くばかり。 おそらくはルイズの二つ名だろうが、「ゼロ」とは奇妙だ。シエスタはその謂れを知っているのだろうか。 「それは…私が申し上げていいのかは分からないのですが。 ミス・ヴァリエールは大貴族でいらっしゃいますが未だに魔法を成功させたことがなく、それで…「ゼロ」と」 成る程、一つ疑問が氷解した。レンはずっと不思議だった。ルイズが死の間際まで見せた使い魔への執着が。 普通、使い魔に自分の命を秤にかけてまでこだわるものなのだろうか。ずっと一緒にいて愛着が湧いたというのならば納得も出来ようが、召喚してたかが数分であの入れ込みよう。 こちらの世界ならではのものかと思っていたが、オスマンの話を聞いたところではそういうものでもないらしかった。 つまりルイズはその存在を、メイジとしての自分を<パテル=マテル>に託していたのだろう。だからあんなにも頑強で偏執的な抵抗を見せたのだとレンは思い至る。 貴族しか魔法を使えないこの世界で「ゼロ」であることがどのように彼女の身にのしかかるか。それが想像できないほどレンは愚かではなかった。 きっと世界に見放された気分になるのだろう。この私のように。 「愚かにも、哀れな話ね」 「は、はあ…そうかもしれないですね」 そう思うと、ルイズに抱いていた憎しみと警戒心もいくらか和らいだが、だからといって<パテル=マテル>を渡すことは出来ない。それとこれとは話が別だ。 おそらくまだルイズは諦めてはいないだろう。次に会ったらどう思い知らせてやるべきか。 考えているところに、生徒の一人がシエスタを呼ぶ声が聞こえた。 「あのレンちゃん…」 「レンのことは気にしないで行ってくるといいわ。戻ってくるときにデザートと紅茶をお願いね」 レンの姿を求めて庭にやってきたルイズが目にしたものは、シエスタを気障ったらしくなじっているギーシュの姿だった。 一体何があったのかと近くにいたタバサとキュルケに声をかければ、二股がばれたギーシュが腹いせにシエスタをいびっているというあまりにもお粗末な事態。 上手くやらないからあんな道化を晒すのよ、などとのたまうキュルケはとりあえず放置する。貞操観念が希薄な彼女を責めるのは後にするとして、ともかくもシエスタを放っては置けなかった。 昨日ずっと介抱してくれた彼女を見捨てるわけにはいかなかったし、それを置いても貴族としての責任感と覚悟がそれを許さなかった。 「ギーシュ、二股がばれた責任をメイドに転嫁するなんて。あなた、それでも貴族なの?」 「おや、ゼロのルイズじゃないか。召喚した使い魔とは仲良くやってるようでなにより。 なにせ君を殺しかけた上、離れて食事中とはね」 あの少女とルイズはまだ和解してないと踏んで、ギーシュはその嘲笑の矛先をルイズに向けた。 「僕も君の使い魔くらい立派なものを召喚したかったね。ほら、まだ首に手形が残ってるじゃないか」 その発言に周囲の生徒からも笑い声が上がった。聞くに堪えないそれは折り重なって不愉快な協和音をなした。 思わずルイズはその白い肌を羞恥と怒りで赤く染めたが、それでもその傷は隠れようもなくその存在を主張していた。 私は既に使い魔を手放す決心をしたのだ。 ルイズは再び自分が独りになったことを知った。 前ページ次ページゼロの軌跡
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5458.html
前ページ次ページゼロの超律 「うーん……」 太陽の光と、何か大きなモノでわき腹をつつかれたような衝撃を受けることで、その日マグナの意識は覚醒した。 ぼやける視界をそのままに、大きく伸びをして野宿による肩のこりをほぐす。 あくびをしようと口に手を当てたところで、再び背後から、今度は頭を小突かれた。 マグナはうるさいなあ、と思いながら視線を衝撃の元凶に向けた。 「きゅい」 ……。 沈黙するマグナ。 ようやく鮮明になった彼は、何か、とてつもなくでっかい生き物とばっちり目が合っていた。 からみあう視線と視線。好奇の色を隠そうともしない、でっけえ生き物の瞳。 「……?」 「きゅい?」 首をかしげるマグナ。つられて首をかしげるでかいの。 目の前のそれは、立派な翼に堂々とした体躯をもち、見事なまでに青い鱗が鮮烈で、パッと見、トカゲのような顔だった。 ドラゴンである。 朝、目覚めたら目の前にドラゴンがいた。しかも目が合った。 悩むマグナ。寝ぼけているので、即座に状況が理解できなかった。 具体的には、ドラゴンの好奇の瞳が自分に対する食欲なんじゃないかなー、と想像するのに十秒ほどかかった。 「うわーっ!???」 「きゅいきゅいー!?」 きっかり十秒。ようやく音をたてて、「ずざざ」と後ずさるマグナ。 ドラゴンびっくり。 マグナは反射的に腰の剣に手を伸ばしたが、まくら代わりにしていた剣は、鞘に入ったままドラゴンの足元に転がっていた。 色々とダメである。 「きゅいきゅい」 「ははは……は、話し合おう!」 「きゅいきゅい」言いながらジリジリと迫ってくるドラゴンに、わりと本格的に生命の危機を感じて後ずさるマグナ。 その実、ドラゴンは突然の大声に文句を言っているだけなのだが、あいにくマグナはドラゴン語を解さなかった。 しかし、ついに壁にまで追い詰められたマグナが、話し合おうと言った瞬間、ドラゴンは前進を止め、なぜかキラキラと目を輝かせて三倍速で「きゅいきゅい」鳴き始めた。 もちろん、三倍速だろうが三分の一だろうがマグナには「きゅいきゅい」としか聞こえない。 なので、まだ朝も早く、野宿と言うこともあっていい加減に眠いマグナは、増大する睡眠欲に引っ張られた。 (危険は、なさそう、だよな……) そう楽観的に判断し、マグナはゆっくり目を閉じて睡魔の甘美な誘惑に身を任せ……。 「きゅいっ!!」 「あぐっ!??」 そして、ドラゴンの強靭な顎で額を一撃され、問答無用に覚醒したのであった。当然、涙が出るほど痛い。 マグナが鼻の奥のきな臭さと、額部の鈍痛に目を白黒させていると、ドラゴンは機界ロレイラルの銃器「ガットリングガン」のような勢いで「きゅいきゅい」と鳴き始めた。 突然ドラゴン語が翻訳されるような都合の良い事はなかったが、話はちゃんと聞けと抗議していることは、マグナにも想像できた。 「ごめん、まだ眠くてさ」 「きゅい……」 よく居眠りを注意されていたことを思い出して、マグナが小さな言い訳をしつつ謝ると、ドラゴンはしょぼんと頭を下げてしまった。 「あ、落ち込むなって。……起きちゃったから付き合うよ、それと今度はちゃんと聞くから」 そう言いながら、マグナが鼻先をなでてやると、ドラゴンは再び目を輝かせて「きゅいきゅい」言い始めた。 やはりマグナには「きゅいきゅい」としか聞こえないのだが、今度は聞く姿勢をとったためか、感情のようなものを感じることができた。 その感情に応じてマグナが適当に相槌を打つと、ドラゴンの方も素直な反応を返してくれる。そうなると、少し楽しくなってきた。 頭いいなお前などと言いつつ、その奇妙な「会話」を続けるうちに、マグナは自分の周りの景色が変化していることに気が付く。 いつの間にか、複数の幻獣や大型動物の類が、うるさそうにしながらもマグナの周囲の地面でくつろいでいたのである。 どうやら、自分が彼らの住居に寝床を求めたらしいことをマグナが気付くのに、それほど時間は要らなかった。 「あ、あの」 「うん?」 マグナがドラゴンの相手をしていると、背後から控えめな声がかかった。 厩舎に入ったことをとがめられるかと、マグナが覚悟をして振り向くと、背後には一人の少女が立っていた。 黒髪とメイド服が特徴の、清楚な感じがする少女だった。少女は幻獣が怖いのか、マグナから十歩ほど離れた位置にいる。 「君は?」 「は、はい。 学院でご奉公をさせていただいております、シエスタと申します。そ、その、厩舎が騒がしかったので……」 「あ、ごめん! もしかして起こしたのかな?」 「い、いえっ! そんな、貴族の方にご心配をいただくほどのことではなく……あうあうあう」 早朝から騒ぎすぎたのかと思ってマグナが頭を下げると、おどおどしていたシエスタは、今度は怒涛の勢いで恐縮しはじめた。 彼女の言葉によって貴族と勘違いされたことを知って、マグナは自分の姿を確認する。 くたびれた着衣はわらまみれで、触れてみた髪には寝癖がついていた。 貴族とは間違えようがない格好だった。 「ええと、シエスタさん?」 「し、シエスタとお呼び下さい!」 「はあ、じゃあシエスタ。俺は貴族じゃないよ?」 「え?」 ポカンとした様子のシエスタを前にして、マグナはとりあえず立ち上がると、まずは衣服についたわらくずをポンポンと払った。 「そもそも、こんな朝早くからわらまみれでドラゴンと遊んでいる貴族なんて居るわけないって」 「は、はあ……でも、それならあなたは一体?」 「名前はマグナ。昨日召喚されたルイズ、様の使い魔ってことになると思う」 マグナがとってつけた「様」とともに主人の名を告げると、シエスタはようやく納得したように表情を和らげた。 ゼロのルイズが平民を召喚したことは、同じく平民であることも手伝って、使用人の間でも有名だったのである。 「ミス・ヴァリエールが平民の使い魔を呼び出されたことは聞いていましたけど、本当だったんですね」 「はは。呼び出された日の内に部屋からたたき出されて、ご覧の通りだけどね」 おかげでわらまみれ、と肩を落としたマグナの様子に、シエスタはくすくすと可愛く笑った。 きゅいきゅいと鳴き声が聞こえたので、「友達は出来たけど」と付け足すと、ドラゴンが嬉しそうに鳴いた。 「竜になつかれちゃうなんて、マグナさんは不思議な方ですね」 「うーん、同じ使い魔だからかな?」 一瞬、自分が召喚師だからかなと考えたマグナであったが、口には出さずに別のことを言った。 それは、マグナの中に召喚師を名乗ることへの抵抗感があったためなのかもしれない。 「ところでシエスタ。顔を洗いたいんだけど、水の使えるところを教えてもらえないかな?」 「はい、いいですよ。そのままでミス・ヴァリエールにお会いになったら、マグナさん怒られちゃいますから」 クスクスと笑うシエスタに、マグナは恥ずかしそうに頬を指でぽりぽりとかいた。 「こっちです」ときびすを返したシエスタを追って、マグナは目覚めたばかりの右足を前に出す。 背後から聞こえる、名残を惜しむようなドラゴンの声に手を振って返しながら、マグナは昇ったばかりの太陽を見上げて、一日の始まりを噛み締めた。 ゼロの超律4「夜、明けて」 了 前ページ次ページゼロの超律
https://w.atwiki.jp/jyumawiki/pages/4760.html
アニメ アニメ(さ行検索) ゼロの使い魔F 作品・スタッフ・キャスト・サブタイトル・主題歌・関連商品・関連リンク あらすじ:異世界ハルケギニアに「使い魔」として召喚されてしまった高校生・平賀才人(サイト)が巻き込まれる「恋」と「冒険」、「ご主人様」と「使い魔」のアンビバレントでハイブリットなファンタジーロマン。 才人を異世界に召喚したのは、可愛いけれど魔法の才能ゼロのご主人様・ルイズ。突然、目の前に現れた謎の高慢な美少女に戸惑う才人に、彼女は契約だと言って、いきなり唇を重ねてくる・・・! すると彼の手の甲に不思議な文字が浮かび、才人はルイズの使い魔となってしまうのだが・・・?! 全寮制トリステイン魔法学院を舞台に、ご主人様となった美少女魔法使いルイズに、罵られ、なじられ、そして愛される(?)、そんな使い魔・才人の愛と勇気と屈辱に満ちたドキドキの学園生活が始まることに・・・。 異世界で巻き起こる波乱に満ちた異文化交流の中、果たしてゼロのルイズと才人の運命は、どのような展開を見せるのだろうか・・・!? (公式より) 作品 タイトル:ゼロの使い魔F よみ:ぜろのつかいまふぁいなる 区分:TV スタッフ 原作 - ヤマグチノボル キャラクター原案 - 兎塚エイジ 監督 - 岩崎良明 シリーズ構成 - ヤマグチノボル キャラクターデザイン・総作画監督 - 藤井昌宏 プロップデザイン - 野田康行 色彩設計 - 但野ゆきこ、石川恭介 美術監督 - 廣瀬義憲 撮影監督 - 武原健二 編集 - 後藤正浩 音響監督 - 明田川仁 音響制作 - グロービジョン 音楽 - 光宗信吉 音楽制作 - 日本コロムビア プロデュース - ジェンコ アニメーション制作 - J.C.STAFF 製作 - ゼロの使い魔F製作委員会 キャスト ルイズ - 釘宮理恵 平賀才人 - 日野聡 シエスタ - 堀江由衣 ティファニア - 能登麻美子 アンリエッタ - 川澄綾子 タバサ - いのくちゆか キュルケ - 井上奈々子 イルククゥ - 井口裕香 ギーシュ - 櫻井孝宏 モンモランシー - 高橋美佳子 ジュリオ - 平川大輔 ヴィットーリオ - 立花慎之介 ダミアン - 田村睦心 ジャネット - 高森奈津美 ジャック - 山本格 ドゥドゥー - 井口祐一 ルクシャナ - 金元寿子 サブタイトル 第01話 - 聖国のルイズ 第02話 - 水都市の巫女 第03話 - 無能王の乱心 第04話 - 女王陛下の恩賞 第05話 - ド・オルニエールの乙女たち 第06話 - 波乱の露天風呂 第07話 - 砂漠のエルフ 第08話 - 逃亡の地下水道 第09話 - タバサの戴冠 第10話 - 災厄の目覚め 第11話 - ルイズの選択 第12話 - ゼロの使い魔 主題歌 OP1 曲名 - I LL BE THERE FOR YOU 歌 - ICHIKO 作詞 - 森由里子 作曲 - 岩崎貴文 編曲 - 新井理生 ED1 曲名 - キスシテ↑アゲナイ↓ 歌 - ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(釘宮理恵) 作詞 - 森由里子 作曲・編曲 - 大石憲一郎 アニソン情報 関連商品 関連リンク 公式サイト 作品・スタッフ・キャスト・サブタイトル・主題歌・関連商品・関連リンク アニメ アニメ(さ行検索) ゼロの使い魔F
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4633.html
直接投稿される方のために。 番号の隣の?マークを押すと、ブラウザ上から文章編集が出来るようになります。 編集後、ページ下部にある『ページの更新』ボタンを押すと投稿完了です。 編集方法、タグのつけ方等は編集についてにまとめてあります。 X00-01 X00-02ルイズの夢 X00-03きっとこんな未来・平民編 X00-04せんたいさんのオリジナル設定集 X00-05ゼロの飼い犬8 月の涙(後編) X00-06きっとこんな未来・女王編 X00-07ゼロの飼い犬10 雨降りの後 X00-08 X00-08-1 X00-09 X00-10ゼロの飼い犬13 水兵服とメイドの不安(後編) X00-11ゼロの飼い犬14 お医者様でも草津の湯でも(前編) X00-12 X00-13Wither X00-14ソルティ・カクテル〜涙の味〜 X00-15 X00-16 X00-17勤労感謝の日 X00-18 X00-19桃色Sisters in the bath X00-20 X00-21 X00-22サイトのクリスマス X00-23タバサの雪降る誕生日 X00-24ルイズの詩 X00-25ハルバード X00-26ブラケットネーム X00-27ゼロの飼い犬16 夏休みの前 X00-28ゼロの飼い犬17 真夏の雪風 X00-29 X00-30 X00-31 X00-32 X00-33 X00-34? X00-35? X00-36? X00-37? X00-38? X00-39? X00-40? X00-41? X00-42? X00-43? X00-44? X00-45? X00-46? X00-47? X00-48? X00-49? X00-50?
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3690.html
前ページ次ページゼロの魔獣 地球。 ― 慎一と真理阿が出遭った世界。 ハルケギニアとは異なる宇宙に存在するその惑星は、 後に『神』の名で呼ばれる事となる、ある種の意志によって創造されたものだった・・・。 『神』は天地を切り開き、あまねく生命の大元を生み出した後、深い眠りについた。 『神』の眠りし大地で、生物たちは互いを喰らい合いながら進化を重ね、 やがて、地上の覇者となる人類が誕生した・・・。 『神』が何の目的で、その蒼い惑星を生み出したのか、其れを知る術は無い。 だが、再び『神』が目を覚ます時、大地は裂け、天は荒れ狂い、全ての生命は死に絶えるであろう・・・。 ―神託や予言の類では無く、高度に発達した科学技術に拠って『神』の存在を知覚するに至った十三人の学者は、そう結論付けた。 彼らは其れを、大いなる創造主が与え給うた試練と捉えた。 愚昧な旧人類を一掃し、生命が新たな進化のステージに立つための試練と・・・。 科学者たちは、自らを聖書の記述になぞらえ、『十三使徒』と名乗り、 人類の更なる進化の糸口を探し出すため、行動を開始した。 『新人類(ニューマン)』の誕生に向け、彼らは考え得るありとあらゆる手段をとった。 時に非道な研究に手を染め、時には自らの体を切り開きながら、進化の可能性を模索した。 人類の未来の為、彼らは自らの妻子を実験の生贄に奉げる事すら躊躇わなかった・・・。 ―だが― そこに一つの誤算が生じた・・・。 十三使徒の裏切り者・ユダ博士との戦いの最中、 『神』覚醒の鍵を握るひとりの少女・真理阿が死亡したのである。 真理阿の死を契機として、『神』は急速に目覚め始めた。 神の尖兵達が地上に光臨し、文明は瞬く間に崩壊、ソドムとゴモラの再現が繰り広げられ、 ライフラインは為す術も無く分断された。 人類の滅亡は、時間の問題と思われた―。 有史以来の危機から人類を救ったのは、十三使徒では無い。 皮肉にも、彼らがかつて『失敗作』と断じて打ち捨てた一匹の魔獣・来留間慎一であった・・・。 慎一は、死に行く真理阿の血肉を喰らい、その身に内在する『神』の能力の一部を体内に取り込み 虚空の彼方へと飛び去った・・・。 真理阿の肉体は『神』への供物、その真の覚醒のために欠かせぬ養分。 神の尖兵達は地上の破壊を中断し、慎一を追って虚空へと消えた。 幾つもの空間を飛び越えながら、慎一と軍神達は、激しい戦いを繰り返した。 真理阿の細胞から『神』の能力を吸収し、自らの世界を飛躍的に広げた慎一ではあったが 敵は余りにも強大で、彼は孤独であった。 長い戦いの果て、慎一は傷つき、その力を徐々に失い、遂には斃れた・・・。 慎一の命を救ったのは、彼が最後まで守り通した、真理阿の細胞である。 真理阿は戦いの最中、遥か彼方の宇宙から、自らを呼ぶ『声』を聞いた。 真理阿は『神』の能力を開放し、彼方からの『声』のみを頼りに、 次々に空間を乗り継いで行った。 途中、始祖ブリミルの導きを得、追手を振り切ることに成功した真理阿は 能力の殆どを使い果たしながらも、無事、ハルケギニアまで辿り着き・・・、 そしてその地で― ひとりの少女と出遭った・・・。 前ページ次ページゼロの魔獣
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/14770.html
やる気ゼロの鎧(やるきぜろのよろい) 概要 イノセンスに登場した鎧系の体防具。 登場作品 + 目次 イノセンス 関連リンク関連品 ネタ イノセンス Rank1のギルドクエスト?で使用する防具。 物理防御力+18、術防御力+15で、攻撃と知性が-30%される。 No 043 分類 クエスト専用 物防 18 術防 15 買値 - 売値 - 装備者 全員 アビリティ 能力衰退? アビリティ効果 攻撃・知性-30% 入手方法 イ Rank1クエスト「やる気ゼロの鎧を試して来い!」 ▲ 関連リンク 関連品 ▲ ネタ ▲
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/390.html
トランスフォーマーのスタースクリームが召喚される話 ゼロのトランスフォーマー1 ゼロのトランスフォーマー2 ゼロのトランスフォーマー3 ゼロのトランスフォーマー4 ゼロのトランスフォーマー5 ゼロのトランスフォーマー6 ゼロのトランスフォーマー7 ゼロのトランスフォーマー8 ゼロのトランスフォーマー9 ゼロのトランスフォーマー10 ゼロのトランスフォーマー おまけ ゼロのトランスフォーマー おまけ2 トランスフォーマー小ネタ トランスフォーマー小ネタ2 トランスフォーマー小ネタ3 ガリアのトランスファーマー