約 440,005 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1580.html
ゼロの大統領 (「メタルウルフカオス」のマイケル・ウィルソン) ゼロの大統領ルイズ変 メタルウルフルイズ (「メタルウルフカオス」のメタルウルフと大統領魂)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4485.html
前ページ次ページゼロの天使 「―――さよならだ、僕の影・・・僕が選ばなかった道の、最果てに存在者・・・」 巨大なマナで出来た彗星「デリス・カーラーン」の最深部、4000年に渡り星を支配し続けた巨大な神の機関クルシスはその最高指導者であったハーフエルフの少年の死と共に崩壊しようとしていた。 「・・・ここに・・・俺たちの世界にいても良かったのに・・・・」 燃える様な炎の剣と凍て付く冷気の様な青い剣を携えた少年、ロイドは哀れむような眼差しで、ゆっくりとミトスに歩み寄った。 「――僕は、僕の世界が欲しかった・・・だから僕は後悔しない。僕は何度でもこの選択をする。」 消え行くその表情からは、それが彼の本心であったのかロイドには読み取れなかった。 息を吸い、ロイドは剣をふるった。「・・・馬鹿野郎・・・」 ・・・そうさ、僕は後悔なんかしていない・・・ その瞬間、世界は光に包まれた。 トリスティン魔法学園で二年生に進級する試験の一つに「使い魔召還の儀式」がある、メイジとっては生涯のパートナーであり今後の進路にも影響する重要かつ神聖な儀式だ。 試験と言っても召還魔法自体は誰にでも出来るコモンマジックでありメイジ達は自分の元にどの様な使い魔が訪れるのかと心躍らせていた。 「ギャー!!」 「ほぉ・・最後に来て大物をだしたものですな―ミス・ツェルプストー」 些か頭が寂しい中年男性が召還された小型の火竜サラマンダーをみて感服の声を上げる 「私の二つ名「微熱」の名に相応しい使い魔ですわ」 サラマンダーを召還した生徒―キュルケは己が呼び出した使い間を満足げに撫で回しながら自信に満ちた回答をする。 「えーこれで全員ですかなー?」 「いいえ、まだ・・ミス・ヴァリエールが」 キュルケの目線の先で名前を呼ばれた少女、ミス・ヴァリエール事ルイズが少し戸惑った表情をして前に出てくる。 「昨日あれだけ大見得きったんだからこの子より凄い使い魔を呼べるんでしょうね?」 「と、当然でしょうー」 言葉では強がっているが四系統どころか基本魔法であるコモンマジックでさえ一度も成功させたことが無い、正直不安でいっぱいだった。 (ここで強力な使い魔を呼べればもう誰も自分の事を「ゼロ」だなんて呼ばなくなる、でも・・もし失敗したら?) 落第?サモンサーヴァントで?学園史上初? 最悪の結果が頭を過ぎる中ルイズは杖を振るった。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」 周りからの「はあ?何その呪文ホンキデスカ」的な視線が痛い・・・ (お願い出てきてくれるならヘビでもカエルでも良い、あっでもカエルはやだな、うん昔から嫌いだし後、出来るならツェルプストーのサラマンダーに勝てる奴、ドラゴンとかグリフォンなら大歓迎です) ルイズのなかで要求がエスカレートしていく中、呪文が完成し今まで通り周囲に黒煙が立ち上る。 ただ今までと違いルイズは確かな手ごたえを感じ己の魔法が成功した事を確信した。 (何かな!何かな!他の星から来た魔王とか神の分身の聖女とかもいいなー あっでも夢見がちな王様とかやたらいい声の戦闘狂とかは・・・ちょっと引くかも) どんどん加速していくルイズの妄想、内容が具体的なのは気のせいだろう・・・ 煙が収まるにつれて姿があらわになる、そこには。 (お、男の子・・?) 煙の中から現れたのは14歳くらいの金色の髪をした男の子、杖もマントも持っていないので貴族では無い様だ、と言う事は? 「ゼロのルイズが平民を召還したぞー」 「さすがゼロのルイズまさか平民を呼び出すなんて(笑)」 「あら?でも見てあの子、凄く綺麗な顔してる」 「ほんと、良かったわねールイズそんな可愛い子が使い魔になってくれて」 ルイズは恥ずかしさと怒りで顔を真っ赤にする。 (落ち着け私こんな時こそ優雅に冷静に・・取り合えずコルベール先生に召還のやり直しを・・・って、 出来る訳ないわよねー) 召還に失敗したならいざ知らずこうして使い魔が現れた以上新たな召還を行うにはこの少年を殺さなくてはならない。 そんなことコルベール先生が許すはずが無いし私もしたくない。 (OK、OK、取り合えず前向きに考えよう、召還は成功したんだ、取り合えず留年は間逃れたしコモンマジックとは言え、一応魔法が成功したのでゼロでは無くなった、召還された男の子もみんながいうように結構綺麗な顔してるし、カエルやネズミが来るよりはマシだろう) 意を決した私はコントラクトサーヴァントを行おうと気絶している男の子に歩み寄る。 (うん、近くで見るとホント綺麗な顔してる、髪は肩まで有る綺麗な金色で・・・あれ?) 少年の顔にある違和感にきづいた時、背筋が凍りついた。 「ミ、ミミミミミミミスタ・コルベール!こっこの子」 コルベールは何事かと思いルイズのそばにより 「何事かね?ミス・ヴァリエーリ、召還のやり直しなら受付・・うっ!」 ルイズと同じく凍りついた。 耳が尖ってます、思いっきりエルフです!ええ、ハルケギニア最強種族です! 「エ、エルフだ!」 少年の正体を理解した他の生徒が騒ぎだす、子供の頃から植えつけられたエルフに対する恐怖は大きい。正直ルイズやコルベールだって出来れば逃げ出したいんです! 「ミ、ミス・ヴァリエール、と取り合えずコントラクトサーヴァントを契約さえ済ませれば行き成り攻撃される事は無いはずです」 「は、ハイ!えーと、我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」契約の呪文を唱え唇を合わせた。 左手に使い魔のルーンが浮かびあがると同時にエルフの少年が目をさました 「・・・ここは?」 「ここはトリスティン魔法学園です」 コルベール先生が油断なく杖を構えながら私とエルフの間にたつ。 「トリスティン・・・魔法学園?」 エルフの少年は状況がわからず困惑している、因みに私と先生を除いた生徒たちは皆50メイル位離れた所から様子を伺っている。 「そ、そうよ貴方は私のサモンサーヴァントで召還されたのよ」 エルフは虚ろな瞳でわたしを見るとそのまま仰向けに倒れ気絶した。 「これは・・・見たことの無いルーンですね」 コルベール先生がエルフの左手に刻まれたルーンを興味ぶかそうにスケッチする。 「ミス・ヴァルエール、この事は私から学園長に報告します、貴方は次の授業は結構ですからその少年と今後の事についてしっかりと話し合いなさい」 コルベール先生の言葉を聞きながら私は思った (これからどうなるんだろう・・・) 平民だと思っていた少年が実はエルフで自分はそれと契約を交わした・・・ レビテーションで運ばれて行く少年を見送り、半ば放心状態の私には気絶しているはずの少年が呟いた言葉は聞き取れなかった。 「姉さん・・・」 前ページ次ページゼロの天使
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7406.html
『十二国記』より中嶋 陽子 ゼロのメイジと赤の女王‐01 ゼロのメイジと赤の女王‐02 ゼロのメイジと赤の女王‐03 ゼロのメイジと赤の女王‐04 ゼロのメイジと赤の女王‐05 ゼロのメイジと赤の女王‐06
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3368.html
前ページ次ページゼロの斬鉄剣 ゼロの斬鉄剣 -プロローグ- 日本- 日本海側に面した静かな山林、地元の人間すらうかつに立ち寄らない 山小屋の主は、今静かに瞑想をしている。 主の名は石川五ェ門、かの大盗・石川五右衛門から数えて13代目に あたる男である。 明鏡止水 今この男を言葉で表現することが適うならこの境地であるといえる 普段聞こえて来るのも鳥のせせらぎなどであったが・・・ -*-¥-・・・*- 五ェ門は刀を構えすぐさま身を翻す 「・・・・・」 (おかしい、確かに人の声・・・) しかしあたりは静寂が支配している、気のせいか、と己の修行の足りなさ を恥じる五ェ門、しかし ・*・*・!・*・--! 五ェ門は再び誰かが喋っている声を捉えた 「(妙だ、人の気配が無いのにも関わらず声が・・・・)」 五ェ門はあたりに注意を払いつつ気はぬかない パチ! 五ェ門が驚いて背後を振り向く、するとそこには今まで見たことの無い 光の壁が聳えていた。 「面妖な・・・・」 五ェ門は思わず光の壁に手をかざす・・・・ -------- ---- -- ハルケギニア -トリステイン魔法学院- 「これで全員使い魔を召還できましたかな?」 見事に禿げ上がった頭の男は教え子たちを一瞥する。 「いいえ、まだひとり!」 「ゼロのルイズがまだ召還できていません!」 その場にいた生徒たちはクスクスとある種侮蔑の念をこめた笑いで 一人の少女を見つめている。 教師たる男は失念していた 進級試験をかねたこの召還儀式、その興奮もあいまってか一人問題を 抱えていた生徒がいたことを。 同級生の誰よりも熱心に学び努力する生徒、しかしその努力はいまだ報われた事は ないのだ。 「そうでした、ミス・ヴァリエール。」 名前を呼ばれキッと男を見つめる桃色の髪を持つ少女 (ゼロのルイズは何を呼び出す・・・・) (呼び出せるわけが無い・・・) (どうせ失敗・・) ボソボソと少女の周りの生徒は好奇にみちた視線を「ゼロのルイズ」におくる。 「宇宙の果てのどこかにいる私の下僕よ!」 (なんだ、あの呪文は?) 「強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!」 (ある種独創的だね) 「私は心より求め、訴えるわ!我が導きに答えなさい!」 ルイズは構えた杖を一気に振りかざす、瞬間 - バーン! 通常の召還(サモン・サーヴァント)ではありえない大爆発 ルイズを中心におびただしい土煙をあげる 「ゴホッ!大丈夫かい?モンモランシー?」 ギーシュという少年は傍らにいた少女に呼びかける 「・・・・・あれ」 モンモランシーはルイズの杖の先に影をみた。 (ルイズが・・・成功したのか?) (あのゼロのルイズが・・・) 軽い混乱状態にあった広場は徐々に沈静化していく。 そして土煙の中から現れたのは- 「(む・・・・、ここは・・・?)」 光の壁に触れたところまでは覚えている、しかし目の前の状況は把握できない なにせ自分は今まで鬱蒼とした森林の中にいたのだから・・・。 ルイズは硬直した 土煙の影を確認して成功した、と内心興奮していたが煙の中から現れたのは みすぼらしい変わった服装をした平民が立っていたのだ。 「さすがゼロのルイズだ!『サモン・サーヴァント』で平民を呼んだぜ!」 どっと沸く生徒たち その瞬間ルイズは教師たる男に 「ミスタ・コルベール!」 コルベールと呼ばれた教師はルイズの方を向く 「なんだね?」 「もう一度召還させてください!」 ルイズは間髪いれず声を上げる、しかし 「それは許されません、サモン・サーヴァントは進級にも関わる重要な儀式、呼び出したのは・・・ 人間というのは前例はありませんが、取り消すことは出来ません、契約を結ぶのです。」 うっとルイズは涙目になった。 「?*+‘?*+}+!」 「*+*++?」 「?>?<>?#<?>$()!」 五ェ門は当惑していた、目の前に広がる風景と、人間・・・この不思議な服装の者たちの 言葉の異質さに。 「(顔立ちからして西洋人・・・しかし聞いたことも無い言葉とは・・・・)」 五ェ門は刀の鞘に手をおき、不測の事態に備える。 そしておもむろにピンクの頭の少女が近寄ってくる、顔を赤らめて。 「か、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから!」 少女は現れた男の襟を引っ張り 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司る ペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 五ェ門はあっけに取られていた、迂闊にも襟を寄せられて少女とはいえ整った 顔立ち-美人-の部類に入るであろう女性の顔が至近距離据えられたとおもったら 接吻をされた- 「なっ!」 瞬間、五ェ門の左手の甲に激痛が走る。 「ぐ、うぅぅぅぅ・・・・」 思いもよらない痛みに膝をつく五ェ門、 痛み出した左手になにやら文字が浮かび上がっていく。 「すぐ終わるわよ。使い魔のルーンが刻まれているだけよ。」 先ほどまでわけの分からない言葉であったのに急に理解できるようになった 明らかに異常だ、と五ェ門の本能はそう訴えていた。 そしてルーンが刻まれたのち、五ェ門は痛みから解放された。 傍に寄ってきたコルベールは、刻まれたルーンを見て 「や、珍しいルーンだな。」 一言言うなりせっせとルーンの形状をメモしていた そして書き終える。 「とにかく、これで全員終えたので教室に戻るぞ。」 コルベールは踵を返し空を飛ぶ。 それにあわせ周りの生徒たちがコルベールに続く。 「ルイズ、お前は歩いてこいよー!」 「平民を呼び出すなんて、まあルイズにはお似合いだな!」 心無い言葉が少女に突き刺さる。 それよりも今、目の前で起こっていることについて五ェ門は唖然としていた 人が空をとんだ、と思わず見とれていると下から 「あ、あんたなんなのよ!」 少女が涙を浮かべ怒鳴る。 「それはこちらが聞きたいものだ、いったいここは・・・・?」 「っ!・・・ どこの田舎から来たかはしらないけど、ここはトリスティンよ。」 五ェ門はますます困惑する、自分は今まで世界中を旅して修行をしていた、しかし トリスティンという地名は聞いたこともなかった。 そもそも景色がおかしい、城のような建物が見える、空気も綺麗だ。 「とりす・・・てぃん・・?」 「そ、そしてこの場所はトリスティン魔法学院、わたしはそこの2年生、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。」 五ェ門は先ほどの光景を思い出す 魔法学院- 魔法などと冗談だろうと考えたが五ェ門は周りの景色を見渡しここが異質な世界だということを理解した 「夢、ではなさそうだな・・・・」 「はぁ?なにいってんのよ、それよりあんたは使い魔として呼び出されたの、わかる?」 五ェ門はルイズの一言に反応する、使い魔と。 「ま、まてお主、使い魔といったのか?」 華奢なルイズの肩をつかみ五ェ門が声をあげる 「そ、そうよ。あんたは使い魔、あたしの忠実なる僕よ。」 五ェ門はへたり込む、突然接吻され言い渡されたのは 使い魔という奴隷宣告。いったい何の冗談かと。 「・・・・・」 五ェ門は少々怒気をはらんだ目でルイズをにらむ 「な、なによぅ」 「・・・・拙者は戻れるのか?」 「残念だけど、あんたを元の場所に戻すことはできないわ、そういう魔法なの」 五ェ門は心臓を貫かれた思いをした、今まで生きていたなかでも指折りのショックを受けた。 「(しかし・・・これも天の与えた試練・・・か。)」 呼び出した少女から戻れないと通告をうけ五ェ門は真っ白になったが状況を整理しはじめる ・ここは得体の知れない土地 ・目の前の少女は自分のことを使い魔として呼んだ ・言葉は通じる 今まで散々な体験をしてきた五ェ門は深く考えることはとりあえず辞めた 「それより、あんた名前は?主人から先に名乗らせておいて自分は名乗らないなんて。」 少々の沈黙、ルイズは少々怯んだ。 目の前の男・・・みすぼらしい身なりにもかかわらずその眼はあくまで澄んでいる。 「拙者、石川五ェ門と申す」 「イシカワ・ゴエモン?変わった名前ね。呼びにくいからゴエモンと呼ぶわ。」 五ェ門は少々むっとした、年下の人間から呼び捨てにされるなどとは思っても見なかったからだ しかしここは異界の土地、下手に逆らうのは下策と判断した五ェ門は 「すきに呼ぶがいい。」 「じゃあ部屋にもどるわよ、ついてらっしゃい。」 飛んでいかないのか?と聞こうとしたが自分は飛べないので歩きでもかまわないと思う五ェ門 こうしてなんの因果かルパン一味である筈の石川五ェ門はここトリスティンでの生活をおくることになってしまったのであった 前ページ次ページゼロの斬鉄剣
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4901.html
前ページ次ページゼロの女帝 彼女は、屋根の上で杯を傾けていた。 主は多少傷付いてはいるがある程度は癒しておいたし、シエスタがそばにいるから大丈夫だろう。 それはともかく 「来たわね」 ゼロの女帝 第六話 「きゅきゅきゅー!」 突然叫びだし、部屋の隅に駆け込んで尻尾を足の間に挟み込んだ自分の使い魔を見て キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは驚いた。 一体何が起きたのかと問うて見てもただひたすらに恐怖を感じているだけのようだ。 「何が起きたの?・・・・・そうね、今夜は一緒に寝てあげるから、元気を出して」 「きゅいきゅいきゅいいいいい」 唐突に暴れ始めた自分の使い魔に、タバサは本から目を離して語りかける。 「何事」 「怖いのね怖いのね怖いのねー 危険は無いけど怖いのねー」 「だから何事」 「よく判らないのね 今外に何か来てるのねー 危険は無いけどものすごく怖いのねー」 周囲を見ると、他の使い魔達も怯えている。 パニックに陥る事すらせず、ただ部屋の隅でがたがた震えてる、そんな状況。 本を閉じて様子を見に行こうとするが服の裾をシルフィードが加えて引き止める。 スカートがまくれあがってかなりアレだがそばに人間の男などいないので彼女の表情は全く変わらない。 居たとしても変わりはしないのだろうが。 「駄目なのねお姉さま 危なくないけど危険なのね」 「矛盾している」 「難しい言葉は判らないのね とにかく行っちゃ駄目なのね」 全く瀬戸どのってばこんな所にいたのね ご無事で何よりです 貴殿の目を通してこれまでの事は把握した このような惑星があるとは気付かなかった 「まあとりあえず駆け付け三杯ってね。はいどうぞどうぞ」 あらあら、これはすみませんね それにしても、また面白そうなコ見つけたじゃない 「ええ、本当に面白いコ。 西南ちゃんほどじゃないけど」 この星のありよう、そして住民のありよう まさか はいストップよん まだあたしらが干渉していい段階まで進んでないから、この星 おっとと まったく姉さま達は・・・それにしてもヒトとは面白い 本当ですね 私達は、控えめに言って出来る事は無限に等しいほど多く、出来ない事は皆無といっていいほどに少ないです だが出来ない事はどれほど何かをしようとも、どれほど時間をかけようとも絶対出来ない ヒトは違う 出来無い事はあきらめない限り何百年、何千世代とかけて為してしまう 成長という一点においてヒトというたかが三次元程度の存在は、十五次元に属する我等を超越してるといって良い だからアタシは創世の三頂神としての自分を封じてヒトとして生き わたくしはヒトと友になって共に生き 我はヒトを僕として様々な宇宙に争いと戦いの種を撒き続ける それが進歩と進化へ続くと信じて 「はいはい、ぐっとどうぞ なかなかに良い酒よ」 一時的とはいえ思考も反応も劣化させる薬物を好んで摂取する点も理解し難い なぜにヒトはこのような・・・・・・っておっとっと ぐいっ 「愚かで、そして先が見えない、だからこそヒトは先に進めるのよ」 はるか先に立ち、しかし微動だに出来ない我ら神に比べほんの僅かでも確実に先に進み続ける ヒトとはなんと可能性に満ちた生き物でしょう そうは思いませんか だからもうちょっと注いでくれません? まあお酒はともかく瀬戸どの、この先どうするんだい? 「ルイズちゃんが助けを求めれば必要なだけ助けます」 しかし、さっきの喧嘩騒ぎ もうちょっと別のやりようあったんじゃない? 「ルイズちゃんに自分の意志で頑張って貰いたかったのよ ギーシュちゃんも、磨けば結構光りそうだったし なにより穏便に済ますより面白かったから」 うんうん、面白いってのは大事よねぇ お姉さまも瀬戸さまも、そこがちょっと過ぎると思うのですが で、これからどうするのだ 「樹雷には人格コピー用意しておいたし、まだしばらくこの星に居るわ あの子を・・・・・・見守りたいから」 前ページ次ページゼロの女帝
https://w.atwiki.jp/dai_zero/pages/55.html
第三話 努力する者 前ページ次ページゼロの影 ミストバーンがオスマンに協力を取り付けるべく案内されて姿を消すと、コルベールに対し生徒達が群がった。 「先生コッパゲなのにすごかったじゃないですか!」 「普段臆病で冴えなくて全然ダメなのも演技だったんですね!?」 感嘆の声の中、コルベールは情けなく地面にへたり込んでしまった。腰が抜けた、と弱々しく囁く彼に生徒達は幻滅したようだ。戦場を駆ける勇猛な戦士に見えたのも気のせいだったらしい。 「でもなんで途中でやめたんですか? なんか弱ってるみたいだったし、あのまま続けていれば――」 「とんでもないことになる」 コルベールの声は暗かった。 確かに、相手は途中で倒れそうになるのをこらえていた。戦闘を続行していれば倒せたかもしれない。 だが、コルベールは不吉な予感に囚われていた。殺し合う中で青年を縛る枷が弾けるのではないか、と。彼が真の力を取り戻せば学院の者全員が殺されると確信していた。 下手に刺激するより戦いをやめるべきだと思って杖を引き、相手も了承してくれたため無事に治まったのだが――危ないところだった。 双方大した怪我をせずに済んだのも奇跡的だ。 「ミス・ヴァリエール……」 コルベールは表情の選択に困っているルイズに向き直った。 説明した時ミストバーンは滞在を受け入れる様子だった。それをひっくり返し、戦闘のきっかけを作ったのは彼女の不用意な一言だ。 「召喚に成功し、主人としての威光を示したいという気持ちはわかります。ですが――」 「……わかっています。わたしは主にふさわしくないって」 タバサやキュルケ、コルベールにギーシュがいなければ一撃を入れるどころか殺されていた。 コルベールは少女の苦しみを思い、目を伏せた。せっかく喜んだのに無情な現実を叩きつけられたらどれほど辛いことだろう。 だが、ルイズは誇り高く顔を上げた。 「今はただの手がかりその一でしかなくても……強くなって、彼に認めさせます!」 コルベールはその答えに微笑み、次いで首をかしげてうなった。 「しかし彼は一体何者なのか……」 コルベールの頭痛はまだまだ治まりそうになかった。 学院の協力を得ることとなったが、ミストバーンの境遇は複雑なものだった。 平民には見えないが、貴族ではなく魔法も使えない。しかし、素手で数人の――しかもかなりの実力を誇るメイジ相手に渡り合うなど格闘能力が信じられないほど高い。 本人は力が大幅に低下していると思っているが、周囲がそれを知るはずもない。 とりあえずルイズと一緒に行動することを了承させたものの、どう扱うべきか決めかねているのだった。 「だからって、何でわたしの部屋で寝るのよ」 使い魔でなければ部屋まで一緒にする必要はないはずだが、彼女が呼び出した危険物なのだから本人に対処してもらおうというのである。 現在ベッドは一つしかないため一緒に寝てもいい――そう言いかけたのだが神速で却下された。 壁にもたれて仮眠をとった彼は翌朝になって戸惑っていた。 彼の本体は眠る必要はなく、体を休ませても意識は覚醒しているのが常だ。だが昨夜は意識が薄れ半ば眠っている状態だった。まるで体に引きずられているかのように。 己の左手を眺める。そこに刻まれているのは使い魔のルーン。 (これの働きで器に深く同化しているのか) 早く特性を理解し、使いこなさねばならない。 そう決心するミストバーンだった。 食事の前に彼が一人で廊下を歩いていると、学院の教師達から様子を窺うよう命じられたメイド――シエスタが声をかけてきた。 何か不満があれば解消しようというだけでなく、純粋な好奇心も含まれている。 素手で複数のメイジに立ち向かった青年の武勇伝は厨房でも話題となっていた。 張り切る彼女は果敢にも様々な質問を試みた。 「確かミス・ヴァリエールに召喚されたんですよね。どちらからいらしたんですか?」 「魔界」 「ま、まかい、ですか? 困ったことがあったらいつでも仰ってください。えー、お名前は?」 「ミストバーンだ」 「あなたのその格好……貴族ですか?」 「貴族……?」 貴族という語に疑問を示すとシエスタは目を丸くして説明を始めた。情報が欲しかったため聞き漏らさぬよう精神を集中させる。 ミストバーンにとっては意外なことに貴族と平民の違いは“力”だった。 魔法を使える者達が上に立ち、権力を振るう代わりに危機に立ち向かう。力を持たぬ者達は恭順を誓い庇護される。 もちろん横暴な貴族もいれば反抗的な平民もいるが表向きは何とかうまくやっているようだ。 頷いて理解を示した青年にシエスタが嬉しそうな顔をした時、風が吹いてふわりと髪が揺れ、尖った耳を露わにした。 途端にシエスタは後ずさり、目に涙を浮かべた。 「ひっ! エ……エルフ!?」 色素の抜け落ちたような美しい白銀の髪や整った容貌、人間の纏うものとは異質の空気から薄々疑っていたものの、敵意は感じられないため違うと己に言い聞かせていた。 しかし、尖った耳を持つ者などエルフ以外にはあり得ない。 (魔法は使えないって聞いていたのに……!) 彼女は気易く話しかけた自分の人生が終わることを覚悟した。 しかし返ってきたのは疑問の声だった。 「エルフとは何だ? 魔族のことか」 「へあ? ち、違うんですか?」 魔族と言われても彼女には何のことかわからない。 まだ怯えを残しつつ彼女はエルフが人間より遙かに長い命を持ち、先住魔法を使う優秀な戦士であることを説明した。人間を“蛮族”と呼び蔑視していることも。 (魔族と似ているな) 人間が異種族を恐れているのも元の世界と同じだ。 ハルケギニアでは使い魔などとの関係から寛容かと思っていたが、異質な存在を恐れ疎み排除する性は変わらないらしい。 使い魔と違い、己と対等もしくは上の存在だからこそ反発も強まるのかもしれない。 (私にとっては……関係の無い話だが……) 主も彼も強者には種族を問わずに敬意を払う。力こそ正義という単純な考えで生きている。 だからこそ、今の自分とコルベール達の力を比較して大人しく滞在することを選んだのだ。 彼にとって重要なのは力を取り戻して主の元へ戻ることだけだった。 食事を終えると講義を受けるために教室に移動した。 椅子に座り、腕を組んだまま身動き一つしない彼に視線が集まっているが本人は全く気にとめていない。 中には隣の席の者とつつきあい、指さして噂している女子生徒もいる。常に瞼を閉ざしたミステリアスな美青年――惹かれる者がいてもおかしくはない。 担当教師のシュヴルーズは『錬金』の魔法を教えるために小石を真鍮に変えてみせた。便利なものだと思うが、彼が習ってもどうしようもない。 「魔法の法則そのものが違っているようだからな」 絶大な魔法力と叡智を誇る大魔王ならば法則を解き明かし異なる世界で応用することもできるかもしれないが、彼にとっては使いようのない知識だ。 手がかりとともに器候補を探そうかと思ったが徒労に終わる可能性が高い。別世界の魔法がどこまで戦力になるか甚だ疑問だ。 その分、主の敵にも味方にもならないため客観的に見ることはできそうだが。 彼の呟きが聞こえたのかルイズが振り向き怪訝な顔をした。 「あんた何言って――」 「ミス・ヴァリエール! 授業中の私語は慎みなさい。おしゃべりをする暇があるのなら小石を金属に変えてもらいましょう」 嫌な顔をしたのは本人ではなく周囲の生徒だ。ある者は顔をしかめ、ある者は天を仰ぎ、ある者は震えている。 「やめてください先生!」 「そうですよ、ゼロのルイズにやらせるなんて」 次々に不満の声が上がるなか、ルイズは怒りに青ざめつつ立ち上がった。やります、と宣言してつかつかと前方へ歩み寄る。 (戦いの時は爆発しか使わなかったが……) 他にも魔法が使えるのか興味を覚えた彼は、杖が振り下ろされると同時に理解した。 爆発しか“使わなかった”のではなく、爆発しか“使えなかった”のだと。 煙が晴れると教室は惨状を呈していた。片付けを命じられた彼女は人が出て行った後力無く俯いた。 「……ゼロっていうのはわたしの魔法成功率」 ポツリと呟くが返事はない。荒れ果てた教室に震える声が広がっては消えていく。 「魔法の使えない貴族なんて何の価値も無い……蔑まれる対象でしかないわ。見返してやりたくてずっと練習して……でもダメだった。笑われても何も言えないわ」 周囲に認められたい。自分の力はゼロではない。 ずっと心の中で唱えていた。 だから儀式に成功した時は喜んだ。これでようやくゼロではなくなると。しかし相手は主と認めようとはしない。 彼女の高慢な態度は貴族としての誇りだけでなく周囲の蔑視を跳ね返すための盾。相手に認めさせたいという一念が作り上げた鎧。 仮面のほころびから押し殺してきた想いが零れ落ちる。 ルイズは口をつぐんだ。きっとこの氷のような男は冷徹な一言で心を貫くか、重い沈黙で押しつぶすに違いない。 持つ者には持たざる者の苦しみなどわからないのだから。 だが返ってきた言葉には温度があった。 「お前は努力して力を手に入れようとしているのだろう? ならば私には笑うことはできん」 声には奇妙なほど力がこもっていた。慰めではない何かが揺れていた。 思わず振り返って凝視したが彼の面にはほとんど表情は浮かんでいなかった。 前ページ次ページゼロの影
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5434.html
前ページ次ページゼロの社長 所変わって、ここはトリステイン魔法学院内にあるルイズの部屋である。 強引かつ強制的な契約により,ルイズの使い魔となった(された)海馬であったが ルイズとコルベールから一通りの説明は受けたものの、今の現状が全くつかめずにいたので、 とりあえず頭の中で整理する事にした。 (遊戯とのデュエルの最中に現れたあの奇妙な鏡。あれがこの小娘の言うところの召喚のゲートとやらであろう。それにしても魔法のある世界とは…。) 海馬は過去に自分が体験した仮想現実のことやドーマとの戦いのときに垣間見た デュエルモンスターズの世界のこと、ファラオの記憶の中の古代エジプトのこと。 (感覚からすればデュエルモンスターズの世界に一番近いか…しかし、戻る手段が無いとは…) コルベールの説明によれば、契約した使い魔を送り返す方法など無い。使い魔か主のどちらかが死ぬまでこの契約は続く、故に送り返す必要が無かったために その魔法も全く研究されなかったという事である。 (なりゆきとはいえ、こう何度も異世界に飛ばされると驚きもなくなってしまうな。しかし、まずはもとの世界に戻る方法を探さなくては…。) 「あーもうっ!黙ってないでなんか喋りなさいよッ!」 海馬がまたもとの世界に戻る方法を考えはじめたころ、ついに沈黙に耐えられなくなったルイズが口を開いた。 「説明してるときも『ふぅん』だの『ほぉ』だの『なん…だと…』だの偉そうな態度で聞いてるかと思えば、 説明が終わるったあとはずっと黙りっぱなしでなんかずっと考えてるし! あんたは…っそ、その…わたしと契約したんだから、私の使い魔なのよ! 私がご主人様であんたは使い魔!使い魔なら使い魔らしく、私のことを無視してずっと考え事なんてしてないでよ!」 ぜーっ…ぜーっ…と勢いよくまくしたてるルイズ。しかし目前にいる海馬はといえば、 「勝手なガキだ。一方的に呼びつけて強引にこんなものを刻み付けるのを契約とは。 身勝手にもほどがある。俺は貴様の使い魔になど、なった覚えも無ければするつもりも無い。」 つまらなそうにルイズを一瞥してはき捨てるように言う海馬。 最も彼の言い分は正しい。強制的に連行し、もといた場所には一生戻さない。お前は永遠に自分の下で働け。 使い魔召喚とは人間を相手にしてみればこういうことを言っているのと同義である。 普通なら納得できるはずが無い。しかしルイズからしてみれば、自分がせっかく成功させて召喚した使い魔が、 自分の言う事を聞かずに反論してくる状況に納得は出来ない。 「何言ってるのよ!そのルーンが契約の印!それが刻まれている以上あんたは私の使い魔なの!」 「ふん。俺は、いや、たとえお前が別の何かを召喚したとしても、殆どの者がお前には従わん。身の程を知れ!」 「なっ…なっ…?」 ルイズは過去、自分の事を馬鹿にされた事はあれど、ここまでの侮蔑を受けた事は無かった。 それゆえに海馬の発言に言葉を返す事が出来なかった。 「他者の上に立つということは、自分自身の力量だけでなく、頭脳の回転の速さ、人望などが必要だ。 貴様のようにギャ-ギャ-とわめくだけで何を示すでもなく主を名乗る、そんな子供になど誰がついてくるものか! ましてや,俺は他者の指図など受けん!」 ルイズは絶句した。 いや,反論しようにも言葉が出ない。平民にここまで言われて、 「平民の癖に、貴族に対してなんて口の聞き方を!」と反論しようにも、貴族としても自分は魔法を成功した事が無い『ゼロのルイズ』 その程度の実の無い反論では同じことで論破される。 それでも,目の前のこの男に対して何とか言葉を紡ごうとしてもまとまらない。 言葉にできない。 むしろ恥かしいとさえ思えてくる。自分は使い魔との契約を軽軽しく見ていたのではないか。 召喚さえできればあとは勝手に使い魔が動いてくれる。 そんな風に考えていたのではないか。 違う メイジにとっての使い魔は『一生の僕であり、友であり、目で耳である』 そう,一方的な奴隷ではないのだ。 (それなのに…私は…っ!) 知らず知らずの内にルイズの瞳からは涙があふれていた。 自分のメイジとしての力量の無さに。 自分の使い魔に対する浅はかな考えに。 どうすればいいのかわからない悔しさに。 「どうすれば…いいのよ…?魔法が成功しないから…一生懸命勉強したっ! それなのに!魔法は成功しない!成功率『ゼロ』!『ゼロのルイズ』! クラスのみんなにも馬鹿にされてっ!せっかく召喚した使い魔にまで拒絶されて!それじゃあ私はどうしたら良いのよっ!」 涙に濡れた顔をぬぐいもせず海馬に食いかかるルイズ。 わからない!どうすればいい!誰か答えて!おしえてよ! 私はどうすればいいの!? 「なに勘違いをしている?」 「ふぇ」 「貴様は今、魔法が成功しないといった。では、どうしてこの俺がここにいる? それは貴様の召喚魔法が成功したからではないのか?」 そうだ。 ここに海馬がいる以上、ルイズのサモンサーヴァントは成功している。 そう、ルイズの魔法は成功しているのだ。 「私の…魔法…?」 「俺はこの世界の魔法とやらの知識は無い。だが、俺がここにいる以上、貴様の魔法は成功しているのだろう? 俺にとっては迷惑この上ない魔法だが、成功した以上、お前は『ゼロ』ではないだろう。」 「私は…ゼロじゃ…ない?」 「少なくとも1は成功した。ならそれが2にならないとどうして言い切れる? 貴様は既にゼロではない。ならば次はさらに前へと進むのみだ。 全力で、貴様の目指す未来へのロードを突き進め。そして,前へと進む気があるのならば…」 海馬はそこで区切り,ルイズを正面から見据え 「俺は貴様を助けてやる。怠惰に現在を食いつぶし、我侭を言うだけのガキには興味は無い。 が、貴様は既に目指す場所を見つけているのだろう。そして貴様の進む道のりに、 俺の力が必要だというのなら、俺は力を貸してやる。 俺は貴様の『使い魔』なのだろう?」 まっすぐな瞳で見つめてくる海馬 そう、海馬は確かにこの理不尽な契約に怒りを覚えていた。 だが、決して海馬はただの自分勝手な男ではない。 異世界に召喚され、使い魔として契約させられる。それだけでも怒りを覚えるというのに、 その主と言い張るルイズは、何を示そうともしない。 そんな一方的な押し付け、子供の我侭に付き合っている暇などない。 …だが、もしルイズが自分で道を歩こうとするのなら。 そこに自分の手が必要とするのなら。 いつのまにか止まっていた涙 ルイズはその瞳に答え、まっすぐに海馬を見つめ 「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ド・ル・ブラン・ラ・ヴァリエール。」 そう、これこそが本当の使い魔との契約。 同じ道を進み、同じ未来を見据えるもの同士の契約。 「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」 その呪文とともに口付けをするルイズと海馬。 ルーンは既に刻まれている、故に肉体的変化は起こらない。 だがそれでも、ルイズと海馬の間に小さな、目には見えない絆という契約が生まれたのだった。 「これからよろしくね、セト!」 「いいだろう、ルイズ。元の世界に戻るそのときまで、貴様と共にいてやろう。」 前ページ次ページゼロの社長
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3374.html
前ページ次ページゼロの斬鉄剣 ゼロの斬鉄剣 二話 ―異国の食事とルイズの魔法― ルイズと部屋を出た五ェ門は目の前の部屋のドアが開いたことに気がついた ドアから現れたのはブラウスのボタンは2つほどはずし胸があらわとなっている赤髪の少女だった 「(むぅ、なんと破廉恥な・・・)」 そうおもいつつも朝から衝撃的な絵に顔を歪ませる-もちろん悪い気はしないが。 不二子程ではないが大きな胸に彫りの深い顔立ちとルイズとはかけ離れたプロポーションに少々戸惑う。 少女はルイズを一瞥し 「おはよう、ルイズ」 「おはよう、キュルケ」 「貴方の使い魔・・・ふうん」 しげしげと五ェ門を見つめるキュルケと呼ばれた少女 「な、なによ!」 「ぷ・・あっはっはっは、さすがゼロのルイズね、本当に人間呼ぶなんてすごいじゃない!」 キュルケの馬鹿にした言葉にルイズは顔を赤くした 「う、うっさいわね!それよりあんたはなにを呼んだのよ!」 「あら、貴方と違って私はちゃんと成功したのよ?フレイム~。」 キュルケが名を呼ぶと扉からのそのそと巨大なトカゲがでてきた 「(ほう、この世界にはこのような生き物も・・・)」 「ふふっ、私のかわいい使い魔、火竜山脈のサラマンダー”フレイム”よ。」 そう紹介されたサラマンダーが五ェ門の瞳をのぞく。 瞬間大柄な体とは思えない俊敏さで一歩引くフレイム 「あら、どうしたのフレイム?」 フレイムは見たのだ、五ェ門の瞳の奥にある己の炎など簡単に飲み込むような冷たい何かを。 「あら、あなたの使い魔は臆病なのね?」 ここぞというときにルイズが返す 「ちがうわよ、どうしたのフレイ・・・」 キュルケが再びフレイムに目をやると、五ェ門の足元で腹を見せている 「(ふむ、なかなか人懐っこいトカゲのようだな。)」 「ちょっとフレイム、なにしてるのよ!」 自分にだってまだ見せたことの無いフレイムの態度に面食らうキュルケ 「このトカゲはなかなか人なつっこいな、躾もできているようだ。」 当の五ェ門はフレイムを褒める 「ちょっと、ゴエモン!ツェルプストーの使い魔なんて褒めるんじゃないわよ!」 「あら、ゴエモンさんとやらのほうが使い魔を見る目があるようね」 「なんですってー!」 やれやれと、五ェ門とフレイムはお互いの顔をあわせため息をつく 「おぬしも頑張れよ。」 (へい、ありがとうございやす) と聞こえた気がした。 「とにかく、そちらの使い魔さんにはまだちゃんと自己紹介していなかったわね。」 「ふむ、拙者は石川五ェ門、今はルイズの使い魔をやっている。」 「私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー、長いからキュルケ でいいわ、あなたは変わった名前だけど・・・ゴエモンでいいのかしら?」 また呼び捨てか、と思った五ェ門だがもう気にしても仕様が無いだろうと思った。 「それで構わん。」 「そう、じゃあお先に失礼。」 キュルケが去るとルイズは 「ふん!なによあいつ!自分はサラマンダー召還したからって・・・・」 少し涙目になるルイズ。 「まあよいではないか、そなたも現に人間を召還したのだ。」 「よかないわよ!メイジと平民じゃ狼と犬程の差があるのよ!」 やれやれと、ため息をつく五ェ門 「ところで先程”ゼロのルイズ”と言っていたがおぬしの苗字にはそのような単語はなかったようだが?」 とたんにルイズの顔が赤くなる 「う、うるさい!うるさい!もう!さっさと朝食取るわよ!」 と当り散らしていた。 「(何を怒っているのか?)」 不思議そうにルイズの後をついていくのだった。 「ここは食堂よ!本当はあんたみたいな平民が・・・」 と喋っているとすごすごと五ェ門は別の方角へあるいていた 「ちょ、ちょっとゴエモン!どこ行くのよ?」 振り返る五ェ門。 「拙者はこれから厨房へ、賄い食をだしてくれるというのでな。」 うっと顔をこわばらせる 「う・・・あっそ、じゃあ食べたらここで待っていて。一緒に教室で授業をうけるから。」 ルイズはそういって食堂にはいっていく 「(五ェ門用に主従の関係を分からせるためわざとみすぼらしい食事を用意したけど・・かえって良かったわね、今朝の一件もあるし・・・)」 図らずとも危機を脱したようだと、それはそれで納得して食事を始めるルイズであった。 「(ふむ、授業とは・・・魔法とやらには興味がある・・)」 五ェ門はそう考えた後、シエスタの指定どおり厨房へ向かう 「あ!ゴエモンさ~ん」 「すまないシエスタ、早速食事を頂きに来た。」 とそこへ大柄な男がやってくる 「おう、平民なのに貴族なんかの使い魔になっちまったってェ奴はお前かい?」 「いかにも、拙者石川五ェ門と申す。以後宜しくお願いする。」 「かたい挨拶は抜きだ!俺は料理長のマルトー。さあさ、あまり物で作ってはいるが食ってくれ!」 そういうと五ェ門の前に見たことも無いような料理が出される 「(これが異世界の料理、見たことは無いがなんともよい香りだ・・・。)」 「ささ、遠慮するなよ!」 そう進められ食事を始める五ェ門 「これは美味い。」 「そうだろう!いや、お世辞でもうれしいぜ!」 かなりご満悦なマルトー。 「いや、見たことの無い料理だがこれはとても素晴らしい味だ。礼を言わせていただく。」 こうして五ェ門は料理長にも気に入られ「またこいよ!」といってもらうことになった。 「(さて、そろそろ待ち合わせ場所へ向かうか。)」 食事を終え、ルイズとの待ち合わせ場所へ向かう五ェ門 厨房では 「シエスタ、なかなかいい男を連れてきたじゃねぇか?狙っているのか?ん?」 「ち、ちがいますよぅ!」 などというやりとりがあったのだが五ェ門は知る由も無い。 五ェ門はルイズに教室まで案内された 「ほう、なかなか広い場所だな。」 中に入るなりクスクスと聞こえてくる、まあそんなものだろうと五ェ門は流す。 「(それにしても、まるで動物園のようだな・・・)」 事実その場にはキュルケのサラマンダーをはじめとして巨大な目玉が浮かんでいたり、不気味な色の蛙 などが集まっていた 「(己もその中の一人、か。)」 突きつけられた現実に少々自嘲気味になる五ェ門 そうこうしている間に中年の女性が大きな扉から入ってきた 「皆さん、春の使い間召還は大成功のようですね?」 開口一番大きな声で喋りだす 中年の女性、教師シェヴルーズは五ェ門を見るなり 「おやおや、変わった使い魔ですね。ミス・ヴァリエール」 「ゼロのルイズ!いくら魔法ができないからってそこらへんの平民つかまえてくるなよ!」 「違うわ!ちゃんと召還したんだもの!」 「嘘はつくなよルイズ、どうせ失敗したんだろう!」 この台詞をはいた太った少年が言い終えると教室は笑いの渦につつまれた。 「うっさい!かぜっぴきのマリコルヌ!」 「はいはい!そこまで!それ以上騒ぐならその口に魔法をかけますよ!」 とたんに静かになる教室 「では、授業をはじめます-」 五ェ門はつぶさに授業を聞いていた、魔法にかかわる『火』、『土』、『風』、『水』そして失われた 『虚無』とやらの属性があること、その他魔法についての知識を真剣に聞いていた。 シェヴルーズはこの真剣な眼差しで授業を聴いている「平民」に好印象を持った 「はい、では実際に錬金を実践してもらいましょう。ミス・ヴァリエール!」 とたんにざわついた。 「先生、それはやめてください!」 「無謀です!」 たちまち騒ぎになりかける 「はい、静かに!ミス・ヴァリエールの使い魔を見習いなさい、平民にも関わらず熱心に授業を受けています、貴方たちも負けてはいけませんよ。」 「でも先生!」 「いいから、さあミス・ヴァリエール、この土を錬金して御覧なさい。」 「はい!やります!」 「よろしい、ではこちらへ。」 会話の流れの間、或る者は机の下へ、また或る者は教室の外へ 「(一体なんだというのだ、先程の実演ではたいした現象はないはず・・。)」 訝しげに周囲を見渡す五ェ門 ―瞬間 ボン! 「ぬぅ!」 あまりにも突然の出来事に対応できなかった五ェ門 土煙がおさまりあたりを見渡すとまるで爆撃を受けたような惨状となっていた。 「けほ・・・ちょっと失敗したみたいね。」 「なにがちょっとだ!」 「だから言ったんだ、ゼロのルイズにやらせるといつもこうだ!」 「成功率ゼロのルイズ!」 非難轟々とはこのことである 後ほど意識を取り戻したシュヴルーズにルイズは五ェ門ともども後片付けを命じられその教室での授業は本日中止とあいまった。 「(さきほどのゼロのルイズ・・・そういう意味だったのか。)」 そういう意味があると知るとどうもルイズの態度の理由も分かってくるものだ。 「なによ・・・馬鹿にしてるんでしょう・・・。」 掃除をしながら覇気のない声で話すルイズ 「人には誰でもそういう時期がある、気を落とすことは無い。」 苛烈な修行の中、何度も苦境にたたされたことのある男はそう慰めた。 「なによ・・・使い魔に同情されるなんて・・・。」 その後二人は教室を無言で片付けていく。 ―― 「オールド・オスマン!」 禿げ上がった男が一人の老人の前に立つ 「あー・・・なんじゃね?」 オスマンと呼ばれた老人が返すと 「一大事です、これをご覧ください!」 「えー、なになに?『始祖ブリミルの使い魔たち』、これがどうかしたのかえ?」 「違います、先日使い魔召還の儀式で一人平民を呼び出したのですが・・・」 「おー、ヴァリエールのハナタレの三女か、たしか・・ルイズとかいっておったのう。」 そういうオスマンにスケッチをみせる。 瞬間、老人の顔が険しくなった 「ほう・・・」 傍らにいた秘書に声をかける 「すまないが、ミス・ロングビル、席をはずしてくれんかのう。」 「・・?ハイ、わかりました」 ロングビルが扉を閉めると 「・・・・詳しく説明をするのじゃ」 一気に場の空気が凍り始めるのであった 前ページ次ページゼロの斬鉄剣
https://w.atwiki.jp/dai_zero/pages/90.html
最終話 誇りと影 前ページ次ページゼロの影 「何か申し開きはありますか」 冷厳な声がウィンプフェンの鼓膜を震わせた。王宮の主アンリエッタは可憐な顔に静かな怒りをみなぎらせている。 向かい合う二人を感情を押し殺した眼で睨みつけているのは『虚無』の使い手のルイズ。 ウィンプフェンは少女の眼光に圧されかけたが、己を鼓舞するように笑った。 「はて、何のことですかな?」 澄ました顔に心が煮えるのをアンリエッタはこらえた。横に立つ友の方が何倍も耐えているはずだ。 「彼女の騎士(シュヴァリエ)を捨て石にしたことです」 「何を言われるかと思えば……私は彼の力を信じ、皆のためを思って行動したのですよ。味方を逃すために七万の大軍に立ち向かう。これほど栄誉ある任務はありません」 大仰に手を広げる彼に射殺すような視線が突き刺さる。恩着せがましい口調に怒りの声が叩きつけられる。 「ならばなぜ、最初からそう命じなかったのです! “感謝しながら死んでいけ”と!」 アンリエッタはウィンプフェンの中に同じものを見たからこそ、腹が立った。人の行動を見て初めてその醜さがわかったのだ。 ウィンプフェンはミストバーンの忠誠心を、アンリエッタはルイズの友情を利用した。 相手の死を望んではいなかったが、覚悟も無く自分の都合で死地に追いやったのは同じだ。 眼をギラリと光らせたルイズは、言葉に詰まったウィンプフェンのひたいへ指を突き付け、声を絞り出していく。 「あんたにあいつを語る資格はない……!」 直接殿軍を命じなかったのはミストバーンを恐れていたため。 真実をぶつけ、命を賭けてでも説得する覚悟を持たなかったウィンプフェンは偽りの情報で自分が傷つかぬよう振舞った。 本当に他者を思うならば、抗命罪で裁かれることを覚悟の上で撤退準備を始めたはずだ。 「あいつはもう元の世界に帰ってしまったわ」 「ほう、それはそれは……実によかった!」 どこまでも悪びれない態度にルイズの目が光る。 「姫様、この男を殴らせて下さい」 『虚無』は使わず、この拳で。 ウィンプフェンが口元をゆがめる。所詮非力な小娘、全力で殴ってもたかが知れている。 ルイズは嘲りの視線に拳を握りしめ床を蹴った。予想以上に重く鋭い一撃がウィンプフェンの頬を襲う。 「これはあいつの分よ」 続いて顎に痺れるような衝撃が走る。 「これもあいつの分……!」 彼女は目に涙を浮かべながら拳を振るい続ける。 「これも! これも! これも! これも! 全部ミストバーンの分!」 まるで彼が乗り移ったかのような威力だった。日頃の訓練の成果であり、彼からのお墨付きである。 また、アルビオン侵攻の間いくつも任務をこなしたルイズの眼光は一人前の兵士のそれになっていた。 なおも拳を振るおうとした彼女をアンリエッタが止める。 「それ以上はおやめなさい。私もあなたに殴られなければなりません」 その目に宿る覚悟を見たルイズは手を振り上げた。手加減なしの一撃に乾いた音が響き、アンリエッタが頬を押さえてよろめく。 それを見たルイズはアンリエッタに抱きつき、声を上げて泣いた。 怒り、悔恨、そして悲哀――苦い想いがあふれ、止められなかった。 それからしばらくルイズは胸にぽっかり穴が空いたような気持ちになっていた。 幾度か旅の扉を作ろうとしたが果たせなかった。おそらくこれからも成功することはないだろう。 主の元へ戻った彼がどうなるのか確かめるすべは無い。 彼の主も彼も考えを変えることは無く、人間も立ち向かうしかない。両者とも譲れぬもののために戦うだけだ。 どちらが勝つのか、その戦いの先に何が待つのか、魔界に陽光がもたらされるのか――知ることはできない。 地上と魔界の住人の間で争いが続く可能性が極めて高いとルイズもわかっている。 それでもタルブの村で彼とともに見た夕焼けを思い出してしまった。 そして、太陽の下で皆が笑う――そんな光景を夢見てしまった。 生きとし生けるものには太陽が必要なのだから。 同じ頃、タルブの村にまだ滞在していたフーケは空を見上げて溜息を吐いた。 化物だと思っていた男は七万の軍に単身挑み、壊滅的な被害を与えたらしい。よく殺されずに済んだものだと思う。 (疲れてんのかねー) 子供の相手をしながらぼんやり思う。 盗賊として長く生活するうちに人間の汚い部分を散々見てその中に首まで浸かったはずだった。 しかし時折求めてしまう。人の心の温かさや一欠片の光を。 「ははっ、本当に疲れてるようだね」 らしくない、と笑いながら大きく伸びをする。 何の警戒も必要とせず、大切な家族と平和に暮らせる――そんな世界を夢見てしまった。 「……まあ夢見るだけならタダだからいいか」 強く思い描くことから行動につながれば。少しでも変わるならば――。 呟きは青空に吸い込まれていった。 大魔王の前に影は跪き、地に擦り付けんばかりに頭を垂れていた。すでに封印が施され、顔は隠されている。 帰還までの話を聞いた大魔王バーンは黙って忠実な部下を眺めている。 ミストバーンは失態の罰を受けようとしている。おそらく任を解かれ処刑されるだろうが、いかに厳しいものでも受けるつもりだった。 「……おそらくあの世界とつながることはもうあるまい」 ルイズが旅の扉の形成に成功したのは大魔王から膨大な魔法力を与えられたためだ。二人の力が融け合い反応した、一時的なもの。 最初に召喚のゲートが現れただけでも考えられないことなのに、旅の扉で戻ってくることができたのは幸運以外の何物でもない。 「さて、どのような罰を与えるべきかな」 隠された素顔を衆目にさらし、力を見せ、器を破壊されかけた。戻るために目撃者を殺すこともできなかった。穏やかな口調が逆に恐ろしく、影は震えている。 大魔王は威厳に満ちた声で命じた。 「面を上げよ」 炎を宿した苛烈な眼光がミストバーンの心を射抜く。 彼は目を逸らさなかった。 全ては主との出会いから始まった。だから、最期まで主を真っ直ぐ見つめているつもりだった。 「お前にはいっそう働いてもらう。永遠に――余の傍らで、な」 ミストバーンの目が丸くなった。容赦ない叱責と処刑を覚悟していたのに宣告はあまりにも予想外のものだった。 「罰として忠誠の報いには何も与えん……。初めて太陽が魔界を照らす瞬間を、共に見ることのみ許してやろう。……不服か?」 「い、いえっ!」 数千年生きているとは思えぬ慌てぶりで必死に首を振る。。 主の宣告は罰ではなく誇るべきことだ。全てを与えられているのだからこれ以上何かを望むつもりなどない。 「もちろん二度目はない。……しかしなかなか興味深い体験をしたようだな。余も行ってみたかったぞ」 そして異なる法則の魔法体系を解き明かして我が物とし、優秀な人材を手に入れるつもりなのだろう。 「それもまた一興――そう思わぬか?」 「バ……バーン様!」 側近のうろたえる姿に大魔王は声を上げて笑う。 主の言葉にミストバーンは己が然るべき場所に戻ったことを実感し、力が湧き上がるのを感じた。 ルイズによって失いかけた誇りを呼び覚まされ、在るべき姿を教えられたのだ。 彼は主のために力を尽くすことを改めて心に誓った。 ――誇りとともに。 ルイズはミストバーンが去ってしばらく落ち込んでいたようだったが、やがて元のように振る舞うようになった。 キュルケやギーシュもいつもどおり接していたが、時折気遣うような視線を向けた。 やりきれない想いを抱えながらも視線に笑顔で応えることができたのは、彼の最後の言葉がルイズを支えているからだ。 ほとんど聞き取れないほど小さくかすかな声だったが、確かに伝わった一言が今の彼女の誇りとなっている。 『お前は私の――』 「わたしはあんたの――」 続きを胸の内で唱えると力が湧き上がる。 ルイズは顔を上げ、太陽のように明るい笑みを浮かべてみせた。 ゼロの影 完 前ページ次ページゼロの影
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5369.html
前ページ次ページゼロの工作員 人気の途絶えた教室、ガラスは飛び散り、椅子は砕け、プリントは散らかり放題。 インク壷から漏れた液が床にしみを広げ、周囲にはもうもうと埃が舞っている。 「私の使い魔なんだからやっときなさいよね!」 冗談じゃないわと肩を竦めお手上げのジェスチャーをするフリーダ。 「あなたの受けた罰よ。責任の放棄ね。やってあげてもいいわ。 あなたが今後もし同じことになったら見捨てるけど。いいの?」 フリーダは話しながら手際よく教室を片付けてゆく。 「わ、判っているわよ!手伝いなさい!」 ルイズは椅子を机の上へ上げ、空いた床のゴミをフリーダがまとめて箒で掃いて行く。 しばらく沈黙が続いた後、ルイズが話し始めた。 「わかったでしょ。ゼロの二つ名の意味」 「………」 黙って続きを促す。 「どんな魔法を使っても失敗して爆発するの。だから、 ゼロ のルイズ」 背中を向いたまま話しを続ける。鼻をすする音、肩は小刻みに震えている。 「………」 「魔法も使えない貴族じゃ、ご主人様失格ね」 フリーダも背中を向けて答える。たぶんルイズは泣き顔を見られたくないだろうから。 「あなたは貴族よ。失敗したから爆発したと考えているようだけど、違うわ」 「私が杖を振っても何も出ない。爆発させる以上、そこに魔力は存在するわ」 「使い方の方向が違うのよ。モーターにガソリンを入れても動かないもの」 モーターやガソリンはルイズには判らなかったが、 彼女が元気付けようとしてくれているのは判った。 フリーダは授業を思い返す。 「メイジには火や水が得意な家系があって、生まれつき持った特性があるのよね。特性は使い魔の姿で現れる」 「火を吐くトカゲや、大きな羽を持った竜、大モグラに蛙、朝の広場には沢山の使い魔が居たわ」 「でも、人間を呼び出したメイジは居なかった」 聞き入っている内に気は晴れたようだ。とたんに不機嫌になるルイズ。 「私もフリーダを呼びたくなかったわよ。本当ならもっと強くて格好いいドラゴンとか…」 「他とは違う特性を持っていると考えるのが普通じゃないかしら」 ルイズは首を捻る。 今まで彼女は頭から魔法を使えないと否定されてばかりだった。 フリーダは違う、魔法が使えないと否定した上で、魔力があると肯定してくれるのだ。 彼女は素直に嬉しいと思った。 「か、解決になってないじゃない!」 「爆発の使い方ぐらい、いくらでも考えてあげるわよ」 前ページ次ページゼロの工作員