約 2,694,319 件
https://w.atwiki.jp/gaspavi/pages/28.html
記念公演回数 公演回数 達成日時 公演役者 記念品 初回 3/25 10 00公演 矢野彰大さん -不明- 500回 4/11 15 40公演 矢野彰大さん トランプ 1000回 4/29 10 20公演 本郷小次郎さん トランプ 2000回 5/31 13 20公演 矢野彰大さん -不明- 3000回 7/3 14 00公演 河田紳司さん メモ帳/先着3000名 3500回 7/19 河田紳司さん -不明- 4000回 8/5 15 20公演 濱野基彦さん -不明- 5000回 9/13 16 20公演 園田裕史さん -不明- 最終/5405回 9/25 20 00公演 久保木秀直さん カンバッジ/残り10公演・メモ帳/最終回 ☆ガスパビリオンデー 6/2EXPOホール 濱野基彦さん参加 ☆津川雅彦さんご来館 7/19 14 00公演 河田紳司さん公演後 ☆紀宮様ご来館 8/9 宮瀬崇さん公演 観客動員 動員数 達成日 記念品 10万人 4/3 -不明- 50万人 5/6 記念プレート・マジックグッズ/50万人目 100万人 6/12 ヒロ・サカイ氏直筆サイン入り本、DVD/100万人目(※) 150万人 7/19 -不明- 200万人 8/26 オリジナルグッズ/先着900名 ※100万人達成日予想クイズ正解者/万博チケット ガスパビリオン記念グッズ カンバッジ ピンバッジ メモ帳 トランプ うちわ(7/23・24 先着5000名) オリジナルサウンドトラック(抽選500名プレゼント/非売品) オリジナルDVD『ガスパビリオン 展示演出の記録~炎の記憶~』(抽選300名プレゼント/非売品) ガスパビリオン記録集『ガスパビリオンの記録』 (非売品/愛知県内図書館へ寄贈:館内貸出/付属資料:オリジナルDVD・CD)
https://w.atwiki.jp/gods/pages/13669.html
ミュリオス ギリシャ神話の登場人物。 関連: プリアモス (父)
https://w.atwiki.jp/serohan/pages/19.html
合成 レアorユニーク装備の合成 ノーマル装備とノーマル装備を合成する事で上位装備であるレア装備が作成でき レア装備とレア装備を合成させる事で更に上位のユニーク装備を作成する事ができる 素材に付与されているオプションは以下の様に合成される Aの補正+Bの補正+オプションアイテムの付与値=レアorユニーク装備のop値 例1 レザーヘルメット+丈夫なレザーヘルメット=ベナザルヘルメット(レア) 例2 ベナザルヘルメット(レア)+ノイデヘルメット(レア)=プロイヤンヘルメット(ユニーク) レザーヘルムとかそんなに高くない防具なら納得いくまで店でマジックアイテム選別汁。 レア装備は長く使えるのである程度は頑張れ 最初のレア以外は店売りで材料を買うのはやめたほうがいい。破産してゲームクリアオワタ エンシェント武器の合成 ユニーク武器とアクセサリーを合成する事で最上位であるエンシェント武器を作成する事ができる ユニークの補正+オプションアイテムの付与値=エンシェント武器のop値 例 タリスゼン(ユニーク)+キャッツアイリング(アクセならなんでも良い)=バヒラの憤怒(エンシェント) 強化防具の合成 エンシェント武器同様ユニーク装備を強化し最上位の防具を作成する事ができる 合成に使われるのはアクセサリーでは無く赤いグラフィックのオプションストーンである ユニークの補正+オプションアイテムの付与値=強化防具のop値 例 プロイヤンヘルメット(ユニーク)+マレアの加護(オプションアイテム)=プロイヤンヘルメット(強化) 強化した防具は色が微妙に変わる 上半身装備の場合背中に羽がつく 合成アイテムの着用制限 着用制限は合成前のアイテムの最大値が反映される だからステータスダウンエンチャントは素材のうちにやっておけ(下位である素材装備の方が費用が安い) なお、レベルダウンエンチャントの引継ぎはない。 例 レザーヘルメット(知力46力13)+丈夫なレザーヘルメット(知力23敏捷8)=ベナザルヘルメット(知力46力13敏捷8) ↑()内は装備する為に必要な能力値条件↑ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/viprohan/pages/14.html
レアorユニーク装備の合成 ノーマル装備とノーマル装備を合成する事で上位装備であるレア装備が作成でき レア装備とレア装備を合成させる事で更に上位のユニーク装備を作成する事ができる 素材に付与されているオプションは以下の様に合成される Aの補正+Bの補正+オプションアイテムの付与値=レアorユニーク装備のop値 例1 レザーヘルメット+丈夫なレザーヘルメット=ベナザルヘルメット(レア) 例2 ベナザルヘルメット(レア)+ノイデヘルメット(レア)=プロイヤンヘルメット(ユニーク) レザーヘルムとかそんなに高くない防具なら納得いくまで店でマジックアイテム選別汁。 レア装備は長く使えるのである程度は頑張れ 最初のレア以外は店売りで材料を買うのはやめたほうがいい。破産してゲームクリアオワタ エンシェント武器の合成 ユニーク武器とアクセサリーを合成する事で最上位であるエンシェント武器を作成する事ができる ユニークの補正+オプションアイテムの付与値=エンシェント武器のop値 例 タリスゼン(ユニーク)+キャッツアイリング(アクセならなんでも良い)=バヒラの憤怒(エンシェント) 強化防具の合成 エンシェント武器同様ユニーク装備を強化し最上位の防具を作成する事ができる 合成に使われるのはアクセサリーでは無く赤いグラフィックのオプションストーンである ユニークの補正+オプションアイテムの付与値=強化防具のop値 例 プロイヤンヘルメット(ユニーク)+マレアの加護(オプションアイテム)=プロイヤンヘルメット(強化) 強化した防具は色が微妙に変わる 上半身装備の場合背中に羽がつく 合成アイテムの着用制限 着用制限は合成前のアイテムの最大値が反映される だからステータスダウンエンチャントは素材のうちにやっておけ(下位である素材装備の方が費用が安い) なお、レベルダウンエンチャントの引継ぎはない。 例 レザーヘルメット(知力46力13)+丈夫なレザーヘルメット(知力23敏捷8)=ベナザルヘルメット(知力46力13敏捷8) ↑()内は装備する為に必要な能力値条件↑ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/pokemonsvshiny/pages/25.html
◀グルトン系統 パルデア図鑑 マメバッタ系統▶ キタカミ図鑑 ブルーベリー図鑑 図鑑外 ※画像タップで縦表示(スマホ向け) タマンチュラ ワナイダー タマンチュラがLv.15で進化 厳選場所 ◀グルトン系統 パルデア図鑑 マメバッタ系統▶ キタカミ図鑑 ブルーベリー図鑑 図鑑外
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/458.html
テネブラエ(てねぶらえ) 概要 ラタトスクの騎士に登場したキャラクター。 登場作品 + 目次 TOSラタトスクの騎士 レイズ TOSラタトスクの騎士 「マルタさまはあなたを捜していた。命の恩人であるあなたを。あなたは騎士として選ばれたのです」 年齢:??歳 性別:男性 身長:??cm 体重:??kg 声優:大塚芳忠 精霊ラタトスクに従うセンチュリオンの一つ。闇の属性をまとう存在。 エミルの前に現れ、「ラタトスクの騎士」としての契約を迫る。 センチュリオンとは本来、魔物と縁(えにし)を結び、自らの配下とすることで世界の秩序を保つ役目を担っている。 しかし現在はしもべとなる魔物を失っており、ほとんど無力。 闇属性の魔物を従えることで力を取り戻していく。 性格は冷静沈着で生真面目。しかし意外に冗談好きだったり、口うるさいなど、非常に人間的な一面も持つ。 ラタトスク・コアを額に持つマルタを守るため、影のように付き従い、彼女の命令には忠実である。 + ネタバレ 同じセンチュリオンのアクアから「陰険ジジブラエ」と呼ばれている通り、毒舌だったり、わざと誤解を生む様な事を言って事態をややこしくするなど結構性格が悪い。 エミルの正体がラタトスクである事を最初から知っており、ラタトスクの騎士になるという名目でエミルに交わさせた契約は、ラタトスクを目覚めさせる為のものだった。エミルがラタトスクである事が皆の知る所となってからは、エミルに対して呼び捨てにしていたのを「エミルさま」と改めている。 アステルの命を奪った罪滅ぼしのつもりでコアに戻り扉に封じられようとしているエミルの思惑に気付き、それを止めたいと思いながらも、どこまでもエミル(ラタトスク)に忠実であるが故に敢えて彼に従った。 最終戦後はラタトスクが人間として生きていく事に快く賛成し、彼が去った後は他のセンチュリオン共々魔物を従えてマナを切り離す作業に勤しんでいるが、人柱となったリヒターへの気遣いのつもりで時折アクアと共に魔界の扉の前に戻ってきては彼をからかっている。 ▲ レイズ 3部1章にて登場。 本人曰く「ラタトスクさまが具現化された時に一緒に具現化していたが、弱体化していたため力を取り戻すまで眠りについていた」そうである。 ▲
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/251.html
薄暗い図書館で、今宵も魔女が泣いている。 恐らく彼女は後悔しているのだろう。 「何故、私は彼を愛してしまったのだろう」と。 恐らく彼女は誰にともなく問うているのだろう。 「何故、人間はこんなに脆いのだろう?」と。 一冊の本が声にならない叫び声を上げる。 泣かなくていい!! 俺はここにいる!! だが、魔女に言葉は届かない。 そもそも、本は喋らない。 今宵も魔女は悲しみに暮れる・・・ どれだけの時が過ぎたのだろう? 肉体を失った今となっては時間の流れも曖昧だ。 ある日を境に、魔女は泣くのを止めた。 涙の枯れた眼で、何処か遠くを見ている。 疲れきった顔で。 吹っ切れたのならそれで良い。 俺はここにいるから。 ずっと一緒だから。 悲しむ必要も、悩む必要も無いんだ。 だがやはり、その言葉は届かない・・・ 今日は何かが違っていた。 魔女は酷く空虚な眼をしている。 死人のような顔で。 笑っていた。 俺がこの姿に変わってから初めて見せてくれた笑顔。 晴れやかであって欲しい笑顔は、酷く陰惨だった。 それから魔女は、勘違いしたまま俺に向かって話しかける。 「待ってて」 止めろ!! 「私もこれから逝くから」 俺はそこには居ない!! 「これからもずっと一緒よ」 そう言って一振りのナイフを取り出す。 俺はここに居る、ここに居るんだ!! 魂を本と同化させてまでお前の傍に残ったんだ!! だから―― 次の瞬間、図書館に紅い花が咲いた。 その光景は余りにも美しかった。 いや、美し過ぎた。 俺の意識はその光景に呑み込まれた・・・ 主を失った図書館。 今日も何処かの本棚で、一冊の本が夢を見続ける。 紅い紅い夢を。 半ば永遠に続くであろう悪夢を。 鋭いナイフの切っ先と、零れ落ちる紅い命の流れ。 そして、倒れ込む魔女の姿を・・・ ふと、その光景が揺らいだ。 「○○」 誰かの呼び声が聞こえる。 懐かしい声が。 俺の名を呼ぶ声がする。 「こんな所に居たの?」 「ああ」 「随分探したのよ? 死神に訊いたらまだ来てないっていうから」 「悪かったな、謝るよ」 「ずっと傍に居てくれたのに・・・ごめんなさい」 「いいって。 それより、そろそろいこうか。 パチュリー」 これも、夢の続きなのだろうか? もしそうだったとしても・・・覚めないで欲しいと願った。 うpろだ203 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「なあパチュ、図書館から出ようとしてもどうしても入り口に戻っちまうんだけど」 「入り口の空間を少し細工したのスペルカードも魔法も使えずなんの能力もない○○じゃ絶対出れないわ」 「ふーん、なんでこんなことしたんだ?」 「……○○が好きだからに決まってるじゃない 誰にも渡したくない、レミィにも咲夜にもメイリンにも」 「魔女って怖いな」 「ええ、古来より魔女は人々に恐れられてきたわ、だから魔女狩りが行われたのよ」 「……でもさ、涙を流しながら言われても説得力ないよ」 「っ!?だって、だって○○に嫌われたと思うだけで勝手に出てくるのよ」 「嫌そんなことないって」 「嘘よ、こんなことした女に愛想が尽きたんでしょ?」 「だからそんなことないって、むしろそこまで俺のことを思ってるパチュに感激してるぐらいだ」 「……本当?本当に私のこと嫌いじゃないの?」 「本当だよ、だから涙を拭いて かわいい顔が台無しだぞ」 「……馬鹿 大好き」 「ああ、俺もだ」 7スレ目 564 ─────────────────────────────────────────────────────────── 日の光から隠れるように、魔女の図書館は存在していた。 己よりも本を優先させた魔女の住処は暗く、埃に塗れている。 図書館はまるで人気を嫌うように、他人には極めて居心地の悪い場と成っていた。 しかし、そんな魔法図書館には今、主以外にも二つの人影が見えた。 一つは古くから住み込んでいる悪魔、名も無いそれは小悪魔と呼ばれ、親しまれている。 もう一つは、ここに存在していることが不思議なくらいに平凡な、人間の青年だった。 二人は向かい合い、時折笑いを木霊させながら、談笑を繰り返しているようだった。 「……○○、ちょっと来て」 「おう、どうした?」 そこへ、魔法図書館の主である魔女、パチュリーの声がかかる。 青年は小悪魔との会話を切り上げて、パチュリーの元へと向かう。 「……紅茶」 「わかった、少し待ってろ」 本から目を離さないパチュリー背を向けて、小悪魔に苦笑を見せながら、青年は一人厨房へと向かった。 青年が消えただけで、図書館には不思議な静寂が訪れる。 それはこの図書館にとって、本来在るべき静寂だったのだが、何故かパチュリーは違和感を感じてしまっていた。 青年の姿を追って本から目を上げると、小悪魔と目が合う。 微笑む彼女を無視するように、正常を装ってパチュリーは本へと視線を戻す。 らしくないと、パチュリー自身が気づいていた。 「お待たせした」 「……ん」 暫くして、青年の姿が図書館へ戻ってくる。 手には盆を、その上には温かなポットとティーカップが並んでいた。 静かに注がれるそれを、パチュリーは本の端から盗み見ている。 「……」 「何だ?」 「……貴方の分が、無いわ」 並べられたカップは一つ、それはいつもと変わらないことだった。 しかし、パチュリーは心の中で、引っかかるものを感じている。 「俺? いや、邪魔したら悪いしさ」 青年の返答はいつもと同じ、気遣うような言葉だった。 それっきり、青年はまた小悪魔と何かを話している。 何も言えるはずもなく、パチュリーは再び、本に目線を落とすことしか出来なかった。 「……茶菓子は?」 「すぐに持ってくる」 「……片付けておいて」 「はいよ」 「……この本を仕舞ってきて」 「わかった、次は何の本を持ってくればいい?」 青年が小悪魔と話す度に、パチュリーは用事を伝えていった。 その意味を、パチュリーは嫌でも気づいてしまっている。 つまりは――。 「一緒に居たいですか?」 本から目を逸らさずとも、それが小悪魔の声だと気づけた。 パチュリーに驚く様子は無い、平然とした態度で、小悪魔の言葉を聞き流している。 そういう風に演じているのだから、それは当然のことだった。 「パチュリー様、誤魔化しても駄目ですよー?」 「……何」 「――好きなんですよね」 今度こそ耐え切れなくなって、パチュリーは視線を小悪魔へ向ける。 本の先には、悪魔のような微笑を浮かべた小悪魔がいた。 「パチュリー様は、○○さんの事になると子供のように単純になります」 「そんなこと――」 無いと言えば、パチュリーは嘘をつくことになる。 現に、小悪魔がにやにや笑いを浮かべるほどに、パチュリーは挙動不審だったのだ。 「一緒に話したいんですよね」 「……別に」 「無駄ですってば。あの人のことになると、パチュリー様は嘘をつけません」 いつになく絡む小悪魔に、パチュリーは視線を逸らしながら、本で顔を隠すことしか出来ない。 そして、微笑が与える無言の重圧に、パチュリーは言葉を漏らしてしまった。 「嫌われたかしら……」 「何故、そう思うんですか?」 「嫉妬ほど、醜い感情はないもの……飽きれるわ」 自嘲気味に笑みを溢すパチュリーとは対照的に、小悪魔の微笑みは深くなっていく。 まるで愛玩動物を見るような表情に、パチュリーは訝しみながら目を細める。 威圧するようなそれに、小悪魔は何も感じていないようだった。 「知っていますか?」 「何よ」 「○○さん、パチュリー様に呼ばれるたびに笑顔になって、何とか平気な顔を作ってから振り返るんです」 「……何を言っているの?」 「パチュリー様のことを話すときだけ、嬉しそうなんですよ」 「……」 「頼りにされていることを、得意になってるんです」 唐突に、青年のことを語り始めた小悪魔を、パチュリーは止めようとしなかった。 眼前で微笑みながら、瞳の端に僅かに涙を浮かべる姿を、止める事など出来なかった。 「ちゃんと、一緒にお話しましょうって言わなきゃ……」 「小悪魔……」 「素直にならなきゃ……駄目ですよ?」 パチュリーは僅かに、頷いてみせる。 小悪魔は満足したように微笑んで、顔を下げてしまった。 青年の居ない図書館は、やはり妙な違和感を感じさせる。 それはきっと、ここの住人が彼を必要としているからなのだった。 7スレ目 654-655 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「えっ? 肌が白くなってる。ハハッ そうですね、日に当たってませんから …大丈夫ですよ、この位の事 貴方と一緒にいられるなら苦でも何でもありません」 7スレ目 669 ─────────────────────────────────────────────────────────── パ「○○、○○は居ないの!? まったく、どこに行ったのかしら・・・・」 小悪魔「あ、あのパチェリー様○○さんはもう・・・」 パ「・・・・・・・そう、そうよねもういないのよね 駄目だわいつまで経ってもなれないわね」 小悪魔「パチェリー様・・・」 パ「ごめんなさい小悪魔、少し・・・一人にさせてもらえる?」 小悪魔「・・・・はい」 7スレ目 676 ─────────────────────────────────────────────────────────── 耳鳴りがするほどの静寂、透き通った重圧に埃さえも舞うことは許されない。 そんな、暗い図書館で、一人の魔女が本に目を落としていた。 何かが足りない、その漠然とした想いを本の知識で埋め立てていく。 パチュリーは変わらず、本と共に在った。 「……紅茶」 静寂の中でさえ消え入るような呟きと同時に、ティーカップが音を立てる。 当然のように差し出されたそれを片手に、パチュリーは本の隅から湯気の向こう側を盗み見る。 「いかがいたしました?」 そこには変わりなく、当然のように小悪魔が立っている。 暫しの間放心していただけで、違和感など覚えてはいない。 パチュリーは、ずっと前からそうであったのだから。 「――何でも、ない」 「……はい」 小悪魔が背を向ける、パチュリーの視界から外れていく。 その先には勿論、誰の姿も見つけられない。 図書館は変わりなく、パチュリーと小悪魔の二人きりなのだから。 「……美味しい」 温かな香りを昇らせる紅茶は、極上の味を与えてくれた。 ティーカップが、小刻みに音を立てている。 「いつか飲んだ、あの不味い紅茶とは大違いだわ……」 紅い水面に波紋が広がって、小さく水音をたてた。 断続的に続くそれが、暗い図書館に嫌というほどに響き渡っていく。 「……不味い紅茶」 砂糖と塩を入れ間違えたのだろうか。 再び口をつけた紅茶は僅かな塩気を感じさせて、パチュリーの声が震える。 「○○の紅茶の方が、まだマシだわ……」 図書館で生きた平凡な青年はもう、居ない 7スレ目 677 ─────────────────────────────────────────────────────────── もう息が出来なかった。 我慢して、自分を叱咤して上げていた顔も、もう上がらない。 力なく垂れてしまった。 どれほど時間が経ったろう。 私の笛のような呼吸音に足音が混ざる。 レミィのものとは違う、重いそれ。 床を踏みしめて、近づく足音。 気持ちが溢れる。 ――嬉しい。 また、涙がこみ上げてきた。 さっきまでの物とは違う。 ぽん。と、私の頭に手が載せられた。 大きな、暖かな、優しい手だった。 「…………○○…っ……!」 「……貴方は……それでいいのね」 レミィが語りかける。 私に向けてではなく、○○に向けて。 彼女にしては、厳しい感情を込めたその言葉。 疑問を持たないでもない。 だけど、今はこの手のぬくもりを確かにしておきたかった。 私は疑問を頭の隅に追いやる。 それはすぐに幸せという名の霧に飲まれて、見えなくなった。 「…………そう。なら、いいわ。好きになさい」 そう言ってレミィは部屋を出て行った。 私は、知らない。 彼女が○○の何を知っているのか。 ○○は彼女に何を言われたのか。 私は知らない。 ただ。 「…パチュリー…………ごめんな…………」 ○○の言葉が。 酷く胸に痛かった。 ↓↓↓ 数年の時が経ち、私と○○の距離は縮まっていた。 有り体に言えば両思いということになる。 それでよかった。 私が望んだこと、それが叶っているのだから。 幸せだ、幸せだ。 「パチュリー? どうした、体調でも悪いか?」 いつしか○○は私を気遣うようになっていた。 それは優しさからきているのだと、思う。 ○○の持つ優しさ。 それが私に、私だけに向いている。 なんて嬉しいことだろう。 なんて誇らしいんだろう。 今でもまだ、彼の優しさに触れるたび、頬がほころぶ。 「ん、大丈夫よ。心配性ね」 「ほっとけ。……ゴホッ」 「ほらほら、私より○○の方が不健康そうじゃない。今日はもう休みなさいよ」 「ああ、もうちょっとだけな」 「ほんとに? 無理してないわよね?」 「大丈夫だって。パチュリーじゃないんだから」 「もう! また人を馬鹿にして!」 「ははは。すぐに終わるから、待ってな。少し散歩しよう」 そう言って、笑いながら去っていく。 その背中に、「うん」と返事をして、私は本に向かった。 最近、本に触っている時間が減ってきている。 本に触るよりは、○○と話している。 本を見るよりは、○○の姿を追っている。 こんなにも、こんなにも私が彼を。 愛すと。 そんなこと思わなかった。 でも、でも。 もっと、もっと。 彼と触れ合いたい。 彼を知りたい。 彼の全てを、私の全てを。 知りたい。 「おーい、パチュリー? 行こうぜ」 「うん」 ドアから○○が顔を覗かせる。 軽く返事をしてから、私は本を閉じた。 さよなら、私はもう貴方達とは別の世界にいるの。 閉じこもって、一人枕を濡らしていた頃とは違うの。 さよなら、私はもっと幸せな世界に行くの。 ○○と一緒に。 ↓↓↓ 「なあ、パチュリー。愛は永遠の物だって信じるか?」 「突然何よ……。まあ、その意見には賛成だけど」 「聞いてみたかっただけさ。気にするな」 紅魔館の庭を一緒に歩く。 大きくて、暖かくて、優しい○○の手を握って。 彼のもう一方の手には、一冊の本があった。 手の平からほんの少しはみ出す位の大きさ。 ○○のいた世界では単行本というらしい。 図書館にも、いくつかそんな形の本を見たことがある。 手にとって、読んだことは無いが。 ○○が読んだことがある、それでいて面白いという本を彼は持っている。 題名は『Lie』 「うそ? 騙したわね……」 「おいおい、何を騙すってんだ。とにかく、読んでみろよ。面白いぜ」 「……真っ白とか、そういうのじゃないわよね」 恐る恐る表紙に手をかける。 軽いタッチの、女子と男子の絵が目に入る。 色のついた絵が4ページほど続き、やっと題名が現れた。 そこで私は単行本を閉じる。 「…ライトノベルって言うんだ」 「ふうん、面白くなさそうね。いかにも陳腐だわ」 「そ、そうか……? で、でもさ、読んでみたら面白いってのもあかるかもしれないぜ?」 「ないわね。つまらない物はどこまでいってもつまらないもの」 目に見えて○○が肩を落とす。 相当気に入っていたらしい。 それを切り捨てられて落ち込んでる――? 少し、罪悪感を感じた私は 「まあ、時間があったら読んであげてもいいわよ」 と、言っておく。 「ま、まじか。サンキュ、パチュリー」 「ちょ、ちょっと、だからって抱き付かないでよ! 恥ずかしい…」 「あはは、パチュリーのほっぺたはぷにぷにしてるなぁ」 「もう! ふざけないで!」 ぱしゃり。 シャッターの音と、閃光がじゃれ合う私たちを包んだ。 光の方を向けば、カメラを構えた鴉天狗。 ニヤニヤと笑っている。 恥ずかしさにたまらず私は弾幕を張る。 それに巻き込まれた○○が悲鳴を上げて逃げ回る。 鴉天狗がそれをまた写真に収める。 きっと、明日の朝刊を飾るに違いない。 「そろそろ弾幕消してくれよ、パチュリー!」 「面白いからもうちょっとだけ、ね」 「こんな所だけかわいこぶるな!」 「失礼だこと。もうちょっと増やそうかしら」 「うわああ、許してくれパチュリー!」 今晩は腕枕でもしてもらおう。 私はそう一人きめて、逃げ惑う○○を眺めた。 ↓↓↓ 夜、私の部屋。 枕元に陣取る本の山を片付けて、○○の入るスペースを確保した。 意外と多いことに私は驚く。いやはや、本の虫とはよく言ったものだ。 私は本を食べて生きているわけではない。 きっと、幸せを食べて生きている。 生きている幸せ。 発作が起きない幸せ。 ――○○がいる幸せ。 きっと、それが幸せ。 「パチュリー、俺風呂入ってくるな」 「え、まだ入ってなかったの?」 「ああ、時間取れなくてな。パチュリーはもう入っただろ?」 「ええ、はいっ――――入ってない!」 「ええ? 俺はともかく何でパチュリーが」 「入ってないの!」 自分でもよくわからなかった。 なんでこんなことを叫んだのか。 勢いに乗った口は、私の意思に反して言葉を発し続ける。 ああもう、恥ずかしい。 なのに止まらない。 「――だから、一緒に入ろう!」 「……………………………………………は!?」 「ああもう! 何回も言わせないで! その……、一緒にお風呂に入ろうって言ってるの!!」 「…………えーと、パチュリーさん? 自分の言ってる意味がお分かりで?」 もうこうなるとやけだ。 私は衣装棚に飛びつくや否や、着替えを手早く纏める。 もちろん、下着も何もかも全て含めて。 魂を抜かれたかのように――本当に抜かれているのかもしれない。さっきから反応が全く無い――突っ立っている○○の手をとり、 冷たい廊下へと駆け出した。 ↓↓↓ 人のいなくなった脱衣所はとても寂しいものだ。 ただ広いだけ。 ただあるだけ。 冷え切った空気はただ肌に突き刺さるだけ。 包み込むような暖かさなど持たない。 「……パチュリー」 それでも、人が入浴という行為に焦がれるのは何故だろう。 それはやはり、入浴という行為は、母親の胎内に似た感覚をもたらすからだと私は思う。 どうしようもない郷愁に駆られるのだ。 だから人は肌を湯に浸す。 入浴とは、二度と戻れない、桃源郷への帰り道なのだ。 「パチュリー」 ただ、その道は何処へも通じていない。 繋がっている所を強いてあげるならば、そのは黄泉の国だ。 二度と戻れない、とは二重の意味を持つことになる。 一方は二度とは戻れない理想郷を。 一方は二度とは戻れない現実世界を指す。 どちらを選ぶかは、入浴をするものが選べるものではない。 「パチュリー!」 一度入ってしまえば、行くか戻るか二者択一。 どちらの道を行くかは決められない。 完全に運任せのロシアンルーレット。 当たるか外れるか。 そんな危険極まりない橋の上を、人は渡るのだ。 「パチュリー!!」 「…………なによ」 「何で俺はお前と一緒に風呂入ってるんだ!?」 「いいじゃない、たまには」 「だからって――」 「はいはい、黙って後ろ向く」 ああ――、私も実は恥ずかしい。 必死に無意味なことを考えて、気持ちを逸らしてきたというのに。 この○○は、それこそ無意味なことをしてくれる。 ああ、本当に! 恥ずかしい! 何で私は○○の背中に触れているのだろう!? タオル越しとはいえ、ひしひしと伝わってくるその肌の温もり。 硬い筋肉の感触。こんなに彼は強い体つきだった。 そして、脈打つ心臓。私の心臓と同じ。 早く、熱く。 一緒に刻むビート。 「……パチュリー」 「なによっ!」 「……………………近づきすぎ。当たってる」 「――――っ!」 脳があわ立つ。 言われてみれば、私の体は○○の背中に当たっている。 密着、というほどではないが、確かに当たっている。 密かに思う。○○に襲われやしないか、と。 まあ、それはそれでいいか。 開き直った私は、そのままの姿勢で○○の背中をタオルでこする。 そういえば、彼の背中を洗っていたのだった。すっかり忘れていた。 そして気付く。 「ねえ、○○? 痩せた?」 「――――どうしてそう思うんだ?」 「何となく……骨ばった感じがするわ。うん、絶対痩せてる」 「…………そうか」 シン。 無言の世界が訪れる。 もうもうと立ち上る湯気さえ、温度を失ってしまったかのようだ。 思わず、手が止まる。 縮こまってしまった○○の背に、問いかけても返事は無い。 ぺたぺたと、何かが這い寄る音が聞こえる。 私と、丸々の世界を壊す何か。 怖い怖い。 怖い! 「○○! ねえ、どうしたの!? ○○!!」 「――ああ、ごめんな」 困ったような声音。 とても、とてもとても、胸に突き刺さる。 その声は消え入るようなか細い声で、彼がどこか遠くに行ってしまったかのような。 そんな感じがした。 怖い。どこかに行ってしまいそうだ。 彼は、何処へ向かおうとしているのだろうか。 少なくとも、理想郷ではない。 なら――。 「――いやっ!!」 悲鳴を上げた。誰が? 私だ。 狂ったように、○○の背中に抱きついていた。 自分がなにをしているのか、分からなかった。 だけど、こうしていないと彼がどこかへ行ってしまいそうで。 それがとてつもなく怖くて。 彼がどこかへ行ってしまったら、私はどうやって生きればいいのだろうか。 一人は嫌だ。一人は怖い。 だから、今腕の中にあるこの温もりを失くしたくない。 「……パチュリー。大丈夫だから、俺はどこにも行かない、大丈夫」 優しく○○が私に声をかける。 それでも、それは。 今にも消えそうな、小さな声だった。 その声が腕をすり抜ける感触がする気がして、私はさらに言葉を紡ぐ。 「○○……怖いよ。どこにも行かないわよね? ずっと私の傍にいてくれるのよね!?」 「ああ、どこにも行かない。ずっとパチュリーの傍にいる」 ゆっくりと○○の身体が私のほうを向く。 見あげた瞳は優しく光っていて、暖かだった。 自分の立場も忘れて、○○に抱きつく。 大きな、暖かで、優しい手が私の頭を撫でる。 あの日のように。 「…………○○…さん? パチュリー様?」 「「~~~~っ!!」」 不意に、声がした。 私と、○○以外の、誰か。 固まりかけた視線を向ければ、タオルで体を覆った門番の姿。 怪訝な視線を私たちに向けている。 再び、頭があわ立つ。 大変な所を見られた。 どうしよう、どうしよう。 どうしようどうしようどうしようどうしよう。 「――――ロイヤルフレアああああああああああ!!」 「待てパチュリー俺が巻き込まれるっ!!」 ↓↓↓ 「ふぅ…………」 肩が重い。 魔道書を自身の手で書き写すことは、持ち主自身の魔力を増幅させる。それを書いた魔術師を理解することにつながるからだ。 それゆえ、多くの魔道書には手写しによるコピーが存在する。 そして今、私はそのコピーを作り出している真っ最中だった。 最近、魔力が落ちてきているような気がしてならない。 何気ない、ふとした瞬間、力がないような錯覚を覚える。 試しにスペルカードを発動させると、きちんと精霊を使役できるのだが……どうしても不安感が拭えない。 まさか、魔法が使えなくなる? そんな不安を掻き消すため、私は魔道書を必死に書き写していた。 「――と、インクが切れちゃったわね…。○○、そこのインク瓶取ってくれない?」 藁半紙を走るペンが、色をなくした。ただ、インクが切れただけ、ただそれだけだ。 インク瓶のそばに居た○○に、声をかける。 「おう」と返事をし、○○はインク瓶を握り締めた。 ――ゴドン。 そしてインク瓶が、机の上に転がる。黒い染みが津波のように机の上を這う。 ○○は驚いたように自分の手の平を見つめている。 その表情は、何かを酷く怖れているように見えた。 かたかたと○○の肩が小さく震えている。なぜ……? 私の視線に気づいた○○が、弱々しく笑みを浮かべる。 「は…はは…………手が滑っちまった…。はは、ははは…」 「ど、どうかしたの? 真っ青よ…?」 「いや、何でもない。ああ、ほら手洗ってくるよ」 そう言って足早に部屋を出ようとする。 真っ青な、人がするような顔色でない、死人のような顔色…………。 ――死人!? 自分の言葉に背筋が凍る。嫌な予感がする、途轍もない嫌な予感が。 机を叩いて立ち上がる。思わず叫んでいた。 「私も付いていく」と。 「来るな」 「だってそんな死にそうな顔して……」 「来るなと言ったっ!!」 叫んで○○が部屋を出て行った。 まさか、○○があんな声を出すなんて、正直怖かった。 力なく椅子に腰を下ろす。天井を見上げて目を閉じる。 わからない、彼の考えていることが。私だってもう、分かってるのに。 その身に何かを患っていること、もう彼が長くないこと。 なのに……。 「そばに居させてくれないのね…………」 そっと、古い引き出しを開けるように、思い出す。 彼がこの紅魔館に居つくようになった時のこと。 この図書館に彼が居つくようになったときのこと。 私が――彼を好きになった瞬間。 『じゃあ――ここにいる?』 『え? 俺……何も出来ないから…』 『話し相手にでもなってくれればいいわ』 ↓↓↓ 本棚の影からまろび出てきたのは、一人の男だった。 その姿は、知っている。レミィが食料だと言って、何処からか仕入れてきたものだ。 それが何故ここに、とは思った。けれど、憔悴しきった彼の様子には、小動物のような可愛さがあった。 哀れみを感じた、と言えば、それはそれで間違ってはいないのだけれど。 「あ…あんたは……人間か…………?」 「魔女が含まれるならね。……どう、紅茶でも飲んでいかない?」 「……………………」 「焼き菓子もあるわよ。と、言うより、貴方は淑女のティータイムを邪魔して詫びの一つも入れないのかしら」 おずおずと、男は椅子に腰を下ろした。 私は手を叩いて、リトルを呼ぶ。本棚の向こうから間の抜けた声が返ると、間も無くリトルが姿を見せた。 その姿に、男が驚く。そして、リトルがくすくすと笑った。 何せ悪魔なのだ、人間の怖がる姿を見て喜ぶのも仕方あるまい。 「彼に紅茶を。あと、何かお菓子を持ってきて」 「承知しました」 恭しくリトルが飛び去る。普段はそんな事しないくせに、この色魔が。 男のほうに目をやると、椅子の上で小さく縮こまったままになっていた。 「そんなに怖がらなくてもいいのに。彼女はそんなに悪い子じゃないわ」 「…………だって、」 「種族が違うのだもの、怖いのは仕方がないと思うわ。でも、だからって、無下に拒絶することは無いと思うのだけど」 「――…………」 また、本棚の向こうからリトルが現れた。手には、香り立つ紅茶。 男の前にコトリとおいて、一歩下がる。 「どうぞ、召し上がれ」 男がリトルの方を窺いながら、ティーカップに口をつける。 その目が、驚くように少し開かれる。 「美味しい……」 「…恐悦至極に存じ上げます」 「そういえば、名前聞いてなかったわね。貴方、名前は?」 「……○○…です。貴女は…?」 「パチュリー、パチュリー・ノーレッジ。パチェって呼んでも構わないわよ。あと、この子はリトル」 リトルが腰を折る。今まで、見たことも無いような丁寧さだ。この色魔め。 男――○○がそれに応じて、頭を下げた。 ああ――。 私は思う。 この人間は羨ましい。私にないものをきっと持っている。 私がなくしたものを、きっとまだ持っている。 コクコクと、紅い茶を飲み下す様を見て思う。 ああ――、なんて人間は愛おしい存在なのだろう。 だから、私は彼を近くに欲しがった。 もしかすると、私は彼が欲しかったのではなく、彼の持つ何かが欲しかったのかもしれない。 何れにせよ、途中から彼を本当に欲しがっていたことは間違いないのだけれど。 「○○、無理させてたのかしら。私が、貴方に甘えて、貴方に無理をさせてたのかしら」 きっと、彼なら「そんなことはないさ」って言ってくれるだろう。 彼は、優しいのだ。本当に、本当の意味で、優しい。 それ故に、きっと、いろいろと背負い込みすぎた。 レミィはこのことを分かっていたのだろうか。彼の命に限りがあること。 いや、それ自体は誰でも分かるだろう。私でも、リトルにも、レミィでさえ、いつかその命の灯が消える。 そんなこと分かっている。分かっているけれど……。 流れる涙を止めることはできない。 「今まで助けてもらった分、甘えさせてくれた分、返すわ」 貴方の命は私が助ける。 そう心に決めて、ベッドに眠る○○の唇にキスをした。 ↓↓↓ 「パチェ」 「…○○? 何やってるの、身体が冷えるわ。ほら、早く入って」 自室にいると、時折○○が訊ねてくることがある。 私と彼は、もう一緒の場所で寝起きしていない。 図書館は彼の身体に悪い。そう言って、出て行くように仕向けたのは私自身だ。 寂しくは無い、いつ何時でも彼を感じていられるからだ。 こうやって、彼のために薬の研究をしている時だって。 「○○、調子はどう?」 「こうやってここにいることが答えにならないか?」 「…………そうね」 彼がこうやって私のところに来たのはもう半年ぶり、いやそれ以上だ。 段々と、彼が床にいる時間は長くなっている。 初めの頃は一日おきに私のところに来ていた。 それが一週間ごとになり、一月ごとになり、二ヶ月ごとになり……。 次は何時来れるのだろうか、それが気になる。それとも――。 「まさか、ね」頭を振って、嫌な考えを振り払う。 「パチェ、今日の薬はあるのか?」 「ええ……ちょっと待って」 紫色の液体を、ベッドに座る○○に差し出す。 ○○はそれを「パチェ色だな」といって飲み下した。 頬が赤くなるのが分かる。○○を振り向くと、確信犯的な笑みを浮かべてこちらを見ていた。おのれ、○○。 それにしても、私は何て無力なのだろう。 図書館の主だ、大賢者だと言われても、こうして目の前にいる愛しい人さえ救えないのだから笑ってしまう。 苦笑する私の頭に、手が置かれた。誰の、とも言う必要などない。 こんなに大きな、暖かな、優しい手は○○以外の誰が持っているというのか。 「パチェ、俺を気遣ってくれるのは嬉しいけどな。お前が身体壊してちゃ笑い話にもならないぜ?」 「○○は…………私に何か要求しようとか思わないの?」 「こうやって薬貰ってるじゃないか」 「そうじゃなくて。もっと、こうして欲しいとか、ないの? 私、貴方に甘えてばかりで…………」 「よしよし、そんなに悲しそうな声出すな」 ○○が私の頭を撫でる。 手の平から伝わる暖かさが、心に染み入って、これから先を思わせて。 涙が出る。 ○○の手を胸に抱いた。泣いてはいけないと、頭では分かっているのに、どうしても涙が止まらなかった。 出来ることなら「死なないで」と叫びたかった。 大きな声でそう言えたら、そう泣けたら、どれだけ楽になるのだろう。 でも、それは許されない。○○が泣かないのだから。 助けると、言った私が泣いてどうする。そう自分を叱咤した。 「なあ、パチェ? やっぱり、俺もお前に甘えていいか?」 「う…うん! うんうん!」 「じゃあさ、今日一緒にねないか?」 …………はいい!? ねるって、ねるって……! ○○を見あげると、照れくさそうに笑って、後ろ頭をかいている。 「○○……ねるって…。そのベッドで?」 「ああ、一々図書館まで戻るのか?」 「二人きりで?」 「もちろん。それとも、大人数の方が趣味なのか?」 「え……あ……う……うう…………むきゅうぅ……………………」 「あ、おい、パチェ!?」 視界の端で○○が手を伸ばしている。 けれど、それよりの早く私の身体は床に倒れこんでいた。 これからきっと私と○○は、一時の甘い夢を見る。 ――つかの間の。そして、最後の。 うpろだ259 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ふぅ…………」 肩が重い。 魔道書を自身の手で書き写すことは、持ち主自身の魔力を増幅させる。それを書いた魔術師を理解することにつながるからだ。 それゆえ、多くの魔道書には手写しによるコピーが存在する。 そして今、私はそのコピーを作り出している真っ最中だった。 最近、魔力が落ちてきているような気がしてならない。 何気ない、ふとした瞬間、力がないような錯覚を覚える。 試しにスペルカードを発動させると、きちんと精霊を使役できるのだが……どうしても不安感が拭えない。 まさか、魔法が使えなくなる? そんな不安を掻き消すため、私は魔道書を必死に書き写していた。 「――と、インクが切れちゃったわね…。○○、そこのインク瓶取ってくれない?」 藁半紙を走るペンが、色をなくした。ただ、インクが切れただけ、ただそれだけだ。 インク瓶のそばに居た○○に、声をかける。 「おう」と返事をし、○○はインク瓶を握り締めた。 ――ゴドン。 そしてインク瓶が、机の上に転がる。黒い染みが津波のように机の上を這う。 ○○は驚いたように自分の手の平を見つめている。 その表情は、何かを酷く怖れているように見えた。 かたかたと○○の肩が小さく震えている。なぜ……? 私の視線に気づいた○○が、弱々しく笑みを浮かべる。 「は…はは…………手が滑っちまった…。はは、ははは…」 「ど、どうかしたの? 真っ青よ…?」 「いや、何でもない。ああ、ほら手洗ってくるよ」 そう言って足早に部屋を出ようとする。 真っ青な、人がするような顔色でない、死人のような顔色…………。 ――死人!? 自分の言葉に背筋が凍る。嫌な予感がする、途轍もない嫌な予感が。 机を叩いて立ち上がる。思わず叫んでいた。 「私も付いていく」と。 「来るな」 「だってそんな死にそうな顔して……」 「来るなと言ったっ!!」 叫んで○○が部屋を出て行った。 まさか、○○があんな声を出すなんて、正直怖かった。 力なく椅子に腰を下ろす。天井を見上げて目を閉じる。 わからない、彼の考えていることが。私だってもう、分かってるのに。 その身に何かを患っていること、もう彼が長くないこと。 なのに……。 「そばに居させてくれないのね…………」 そっと、古い引き出しを開けるように、思い出す。 彼がこの紅魔館に居つくようになった時のこと。 この図書館に彼が居つくようになったときのこと。 私が――彼を好きになった瞬間。 『じゃあ――ここにいる?』 『え? 俺……何も出来ないから…』 『話し相手にでもなってくれればいいわ』 ↓↓↓ 本棚の影からまろび出てきたのは、一人の男だった。 その姿は、知っている。レミィが食料だと言って、何処からか仕入れてきたものだ。 それが何故ここに、とは思った。けれど、憔悴しきった彼の様子には、小動物のような可愛さがあった。 哀れみを感じた、と言えば、それはそれで間違ってはいないのだけれど。 「あ…あんたは……人間か…………?」 「魔女が含まれるならね。……どう、紅茶でも飲んでいかない?」 「……………………」 「焼き菓子もあるわよ。と、言うより、貴方は淑女のティータイムを邪魔して詫びの一つも入れないのかしら」 おずおずと、男は椅子に腰を下ろした。 私は手を叩いて、リトルを呼ぶ。本棚の向こうから間の抜けた声が返ると、間も無くリトルが姿を見せた。 その姿に、男が驚く。そして、リトルがくすくすと笑った。 何せ悪魔なのだ、人間の怖がる姿を見て喜ぶのも仕方あるまい。 「彼に紅茶を。あと、何かお菓子を持ってきて」 「承知しました」 恭しくリトルが飛び去る。普段はそんな事しないくせに、この色魔が。 男のほうに目をやると、椅子の上で小さく縮こまったままになっていた。 「そんなに怖がらなくてもいいのに。彼女はそんなに悪い子じゃないわ」 「…………だって、」 「種族が違うのだもの、怖いのは仕方がないと思うわ。でも、だからって、無下に拒絶することは無いと思うのだけど」 「――…………」 また、本棚の向こうからリトルが現れた。手には、香り立つ紅茶。 男の前にコトリとおいて、一歩下がる。 「どうぞ、召し上がれ」 男がリトルの方を窺いながら、ティーカップに口をつける。 その目が、驚くように少し開かれる。 「美味しい……」 「…恐悦至極に存じ上げます」 「そういえば、名前聞いてなかったわね。貴方、名前は?」 「……○○…です。貴女は…?」 「パチュリー、パチュリー・ノーレッジ。パチェって呼んでも構わないわよ。あと、この子はリトル」 リトルが腰を折る。今まで、見たことも無いような丁寧さだ。この色魔め。 男――○○がそれに応じて、頭を下げた。 ああ――。 私は思う。 この人間は羨ましい。私にないものをきっと持っている。 私がなくしたものを、きっとまだ持っている。 コクコクと、紅い茶を飲み下す様を見て思う。 ああ――、なんて人間は愛おしい存在なのだろう。 だから、私は彼を近くに欲しがった。 もしかすると、私は彼が欲しかったのではなく、彼の持つ何かが欲しかったのかもしれない。 何れにせよ、途中から彼を本当に欲しがっていたことは間違いないのだけれど。 「○○、無理させてたのかしら。私が、貴方に甘えて、貴方に無理をさせてたのかしら」 きっと、彼なら「そんなことはないさ」って言ってくれるだろう。 彼は、優しいのだ。本当に、本当の意味で、優しい。 それ故に、きっと、いろいろと背負い込みすぎた。 レミィはこのことを分かっていたのだろうか。彼の命に限りがあること。 いや、それ自体は誰でも分かるだろう。私でも、リトルにも、レミィでさえ、いつかその命の灯が消える。 そんなこと分かっている。分かっているけれど……。 流れる涙を止めることはできない。 「今まで助けてもらった分、甘えさせてくれた分、返すわ」 貴方の命は私が助ける。 そう心に決めて、ベッドに眠る○○の唇にキスをした。 ↓↓↓ 「パチェ」 「…○○? 何やってるの、身体が冷えるわ。ほら、早く入って」 自室にいると、時折○○が訊ねてくることがある。 私と彼は、もう一緒の場所で寝起きしていない。 図書館は彼の身体に悪い。そう言って、出て行くように仕向けたのは私自身だ。 寂しくは無い、いつ何時でも彼を感じていられるからだ。 こうやって、彼のために薬の研究をしている時だって。 「○○、調子はどう?」 「こうやってここにいることが答えにならないか?」 「…………そうね」 彼がこうやって私のところに来たのはもう半年ぶり、いやそれ以上だ。 段々と、彼が床にいる時間は長くなっている。 初めの頃は一日おきに私のところに来ていた。 それが一週間ごとになり、一月ごとになり、二ヶ月ごとになり……。 次は何時来れるのだろうか、それが気になる。それとも――。 「まさか、ね」頭を振って、嫌な考えを振り払う。 「パチェ、今日の薬はあるのか?」 「ええ……ちょっと待って」 紫色の液体を、ベッドに座る○○に差し出す。 ○○はそれを「パチェ色だな」といって飲み下した。 頬が赤くなるのが分かる。○○を振り向くと、確信犯的な笑みを浮かべてこちらを見ていた。おのれ、○○。 それにしても、私は何て無力なのだろう。 図書館の主だ、大賢者だと言われても、こうして目の前にいる愛しい人さえ救えないのだから笑ってしまう。 苦笑する私の頭に、手が置かれた。誰の、とも言う必要などない。 こんなに大きな、暖かな、優しい手は○○以外の誰が持っているというのか。 「パチェ、俺を気遣ってくれるのは嬉しいけどな。お前が身体壊してちゃ笑い話にもならないぜ?」 「○○は…………私に何か要求しようとか思わないの?」 「こうやって薬貰ってるじゃないか」 「そうじゃなくて。もっと、こうして欲しいとか、ないの? 私、貴方に甘えてばかりで…………」 「よしよし、そんなに悲しそうな声出すな」 ○○が私の頭を撫でる。 手の平から伝わる暖かさが、心に染み入って、これから先を思わせて。 涙が出る。 ○○の手を胸に抱いた。泣いてはいけないと、頭では分かっているのに、どうしても涙が止まらなかった。 出来ることなら「死なないで」と叫びたかった。 大きな声でそう言えたら、そう泣けたら、どれだけ楽になるのだろう。 でも、それは許されない。○○が泣かないのだから。 助けると、言った私が泣いてどうする。そう自分を叱咤した。 「なあ、パチェ? やっぱり、俺もお前に甘えていいか?」 「う…うん! うんうん!」 「じゃあさ、今日一緒にねないか?」 …………はいい!? ねるって、ねるって……! ○○を見あげると、照れくさそうに笑って、後ろ頭をかいている。 「○○……ねるって…。そのベッドで?」 「ああ、一々図書館まで戻るのか?」 「二人きりで?」 「もちろん。それとも、大人数の方が趣味なのか?」 「え……あ……う……うう…………むきゅうぅ……………………」 「あ、おい、パチェ!?」 視界の端で○○が手を伸ばしている。 けれど、それよりの早く私の身体は床に倒れこんでいた。 これからきっと私と○○は、一時の甘い夢を見る。 ――つかの間の。そして、最後の。 ↓↓↓ 「……ねえ、どうやったらそんなになるのかしら」 「そんなって……生きてきた年月が違いますから…」 「私と対して違わないくせに……!」 恥ずかしげに頬をかく、リトルを睨みつける。 その肢体が羨ましい、タオルの向こうの膨らみが羨ましい! 何で私はこんなにも……ここがないのか。断崖絶壁だ、日本海か!? …………よし、今ぺったんことか幼児体形とか言った奴、前に出なさい。賢者の石で灰にしてくれる。 「まあ、あまりに強い魔力は成長を阻害するって言いますね」 「そうなの? そんなの聞いたことないんだけど」 「ええ、図書館の蔵書の中にありました。確か…… 『身に余る魔力はいずれ術者に死をもたらす。 それは魔力とはそもそもが人の持てるものではないこと、 そして人にとって毒であることに他ならないからだ。 まして、魔力を持つ人間が成長することはまず考えられない。 魔力を行使するには若き意志、瑞々しい肉体が必要となるからだ。 つまり、魔力を持つものはヒトとしての輪廻をはずれ、長き世を傍観するものとなる。 しかし、例えばの話だ。ここに強大な魔力、しかしヒトの世に干渉できるものがいたとしよう。 それはもう、ヒトではなく正真正銘の化物であるといえよう。 何故か、それは私が書き記せるものではない。 何故なら、私はこの身に魔力を持つものであるが、化物では無いからだ』 だったと思います」 「よくそんな長い文章暗誦出来るわね…」 得意げなリトルを半ば呆れるような視線でねめつける。 要するに、彼女が言いたいことは、 『魔法使いなら成長しなくて当然』 だろう。 ……慰めになるわけない。 「まあまあ、セックスアピールは人それぞれですから」 「ちょっと待って。私そんなことするって言ってないわ」 「じゃあ何でこんな時間にお風呂入ってるんですか?」 「それは――……薬品臭い身体で○○と寝るわけにはいかないし……」 やっとのことで、言葉を紡ぎだす。 リトルの胸から視線を離せば、湯気に満ち満ちた浴場が見える。 私とリトル以外の姿はなく、閑散としている。 この状況、○○と混浴したあの夜を思い出す。また門番は来るのだろうか。 先刻、不覚にも、あまりの興奮に気を失ってしまった私は、気がつけば○○の腕の中にいた。 薬品臭い身体のままことに及ぶのはあまりに恥ずかしい、そう言って私はリトルと共に逃げ出した訳だ。 ……何か勘違いをしているような気がしないでもない。 「んー、でも何で○○さんはそんな際どいことを言い出したんでしょうね?」 「私に聞かないでよ……」 「そうですね、どうせすぐ忘れちゃいますし」 「え……忘れる…?」 「ええ、きれいさっぱり。やっぱり、○○さんとパチュリー様じゃ寿命が全然違いますもの。 ○○さんと過ごした時間なんて、一瞬ですよ。長いスパンで見れば」 「私は……忘れない、○○のこと絶対忘れない」 「無理無理、無理ですって。大体パチュリー様、どうやって私を使い魔にしたか覚えていませんよね?」 「……………………」 「ほらぁ! 絶対忘れますって、間違いなく。ま、そのほうが楽なんですけどね」 「私、先に上がりますね」 そう言ってリトルは軽い足取りで浴場を後にした。 残された私は裸で突っ立ったまま、足元を見つめ続ける。 いつか……○○を、○○と過ごした日々を忘れる……? そんなこと、そんな恐ろしいこと、絶対ありえない。 だって私は、彼と出会った日のことを、彼の笑顔を、彼の仕草を、癖をいくらでも思い出せる。 でも、だからってこれから先、百年経ってもオボエテル? 私の中、猜疑心が語りかけてくる。 お前は、そんな事を言って、絶対に忘れてしまうだろう。 いつもいつも、自分を過信して失敗するくせに。 そうだ、今だってそうだ。自分には永淋には無い技術がある。 そう過信して、○○を診察させなかったのは誰だ? 永淋に診せさえすれば、天才の彼女だ、○○を治してくれたに違いない。 そういったレミリアを無視したのはだれだ? レミィは、私を、私と○○を思って言ってくれたのに! 「やめて……!」 ああ、なんて嫌な奴なんだ、私は。 友を思う友を、無下に、傲慢に下した。 そのせいで○○は……死ぬ! ああ、なんて可哀想なやつだ、私は! 「違う違う違うっ!」 耳を塞いだ。頭を抱えた。 冷たい床に倒れ臥した。もういっそ、このまま喘息の発作でも起こればいいのに……。 耳なんて聞こえなければいい、言葉なんて発せなくていい。 何も考えたくない。 ソウスレバワスレラレル。 「パチェ?」 ○○が死ぬなんて真実。 ↓↓↓ 「落ち着いたか?」 「うん……ありがとう、○○」 本当、この男は何て都合よく現れるのだろう。 私が寂しい時、都合よく現れては抱きしめてくれた。 私がイラついている時、焦ることは無い、ゆっくりやろうぜと、励ましてくれた。 本を持って行かれた時、一緒に取り返しに行こうと、肩を叩いてくれた。 いつも優しく、時には辛く。影のように私の傍にいて、ほのかに微笑んで。 彼を――忘れたくない。 「○○…………お願いがあるの」 「ん、いきなりどうした?」 「…抱いて」 「あ? いきなりどうしたよ」 ○○は驚いた声を上げる。それは仕方ないと思う、私だってそんな事言われたら驚くほかない。 でも、私は何かに突き動かされるように○○に言っていた。 抱く。それ即ち彼氏と彼女、そんなものを飛び越えて、男と女の関係で、ということだ。 その行為は、死ぬまで私の身体に疵として残る。 それでいい、私はそれが欲しい。彼を忘れないために、欲しい。 「ねえ、抱いて」 「パチェ、冗談にしてもつまらないぜ?」 「冗談なんかじゃないわ。…お願い」 ○○の言葉を無視して、パジャマのボタンを外してゆく。 少しずつ肌蹴てゆく服と、露出していく肌。冷たい空気が素肌に触れる。 かじかんだように動かない指で、一つ一つボタンを外していく。 その手に、大きな手が重ねられた。大きな、暖かな、優しい手。 「パチェ、俺はそんなつもりで……」 「違う、違うの、○○は悪くない。私は、あなたを忘れたくなくて、こうするの」 「パチェ……」 「……○○…どうして?」 どうしてそんな目で見るの!? 私は何も悪いことしてないじゃない、何が悪いっていうの!? 彼氏と彼女なら当然でしょ!? 男と女なら当然でしょ!? 何で、止めるのよ! 何で邪魔するの! 私は貴方がほしいの、全部知りたいの! なのになんで貴方は私に知らせてくれないの!? 「パチェ!」 「っ!」 首が曲がるかと思った。 あまりにも強い、あまりにも優しい衝撃だった。 気がつけば私の頬は真っ赤に腫れていた。呆然とそこに手をやる。 口の中は血の味がする。生理的反射で、涙が頬を伝った。 ○○に頬を張られたと気付くまで、時間がかかった。 「ごめん、パチュリー。俺、やっぱ一人で寝るな。 あと、もう薬はいらないから。俺ももう長くないし。 だから、きちんと睡眠は取れよ。……じゃあな」 「待っ……!」 ○○が去ってゆく。ドアの向こうへ、私の手の届かない所。 その先にあるのは暗い闇だけなのに。そんな暗夜航路を行くと、一人で行くと○○は言う。 こうも言った。『私は必要ない』そう言った。 それ見たことか! もう一人の私がせせら笑う。 お前は必要ないと、笑う。さあ、寝てしまえ、忘れてしまえと、囁く。 私は貴方の身体が欲しかったわけじゃない。 貴方の心が欲しかったのに、どうしてこんなことになってしまうのだろう。 「おやすみ、パチュリー」 ドアは閉じる、閉じる。きっと、二度と開かないだろう。 私はただ、それを見つめるだけだった、何も出来ず、ただ見つめるだけだった。 何も考えられない、考えがまとまらない。 呆けたように、ドアを見つめ続けた。それが開くことを願って。 だけどそんな都合のいいことはもうない、あるはずもない。 ――彼は死ぬのだから。 うpろだ268 ─────────────────────────────────────────────────────────── 私は小悪魔です。名前はまだパチュリー様がつけて下さいません。 ある日突然パチュリー様の魔法で呼び出され、それ以来従者としてこの図書館の司書をしております。 パチュリー様は本を読む、書く、喘息で寝込む、の三パターンの生活と、時たまやってくる侵入者の撃退、あるいは敗退を繰り返すというような、 平穏な日常を過ごしておりました。 蔵書の数はパチュリー様が飽きもせずに執筆されますので、一時期は本棚が足りなくなりそうで図書館の増築を具申しようと思っておりましたが、 ある日から突然本の数が減るようになりまして、本棚のこと”だけ”は心配をせずに済むようになりました。 ただ生傷の発生する可能性が今までより150%増えました。つまり侵入者が来て負傷してさらに負傷する確率が50%ということです。 ですのでパチュリー様に新たに魔法を教えてもらおうと貴重な時間を割いて頂ける様考えておりました矢先のことでした。 「あらパチェ? 今日は踊り食い? 貴方にしては珍しくアクティブね。それとも生贄かしら?」 紅魔館の主人であるレミリア様です。ちなみに一言も冗談をおっしゃられてません。 「いいえレミィ、残念だけど命の恩人って奴だから、しばらくココで住まわせてもらってもいいかしら?」 「……珍しいこともあったものね、明日は紅魔館に槍が降るんじゃない?」 「槍で済めばいいけどね」 どうやらパチュリー様が何の間違いか人間に助けられ、その人間をここに連れてきて、しばらく紅魔館に住ませたい、とおっしゃっている様です。 ……レミリア様は特に反対という訳では無さそうでしたが、あまりいいと言う風でもありませんでした。 メイド長の咲夜様は何もおっしゃられません。フラン様はまだこの人間のことをご存知ありません。 話を立ち聞きしていたのですが、どうやらパチュリー様と件の人間がこちらに向かって来そうでしたので、慌てて仕事に勤しんでいるフリをしました。 連れてきた人間はたまに見る幻想郷の人間よりもひ弱そうで、しいて言えば肉が柔らかそう、といった印象でした。 「そう、そこの椅子に下ろして頂戴、後は大丈夫だから」 パチュリー様はどうやらひどい喘息の発作に襲われたらしく、息も絶え絶えなご様子でした。 人間の方も先ほどのレミリア様のおっしゃっていたことが堪えたようで、こちらも青ざめていました。 「ほ、本当に大丈夫かい? さっきは……」 「それ以上口にしたら本当に食べるわよ」 パチュリー様の一言が効いたようでそれから人間は黙ったままでした。 喘息の発作がひどいようでしたので、いつも通り私は薬茶を、そして客人には普通の紅茶を出しました。 パチュリー様はいつも通りに飲まれていましたが、人間の方は紅茶をじっと見つめ、手を出せない様子でした。 ……毒は入れていませんよ、あと血も……。ちなみに紅茶はベノアです。どこかのフランス語教諭みたいな名前ですが関係ないそうです。 あと電車とかの単語をイメージされた方は私と弾幕ごっこをしましょう、ね。今日はたまたまそれがあったから使ったということです。 「大丈夫、毒とかは入ってないわ」 パチュリー様も私と同じことを考えられたようで、微笑みながら紅茶を勧めます。 というかホストに対して失礼極まり無い男ですね、この人間。パチュリー様がいらっしゃらなければマルカジリにしてたところです。 「そ、そうかい、じゃぁ……」 紅茶を口にした途端、男の表情が緩みました。どうやら紅茶の味は分かるようです。少し印象が良くなりました。 「お、おいしいねこれ」 「そう言ってもらえると嬉しいわ」 何か妖しい微笑みです。ああいった顔をされた時は十中十九は良いことを考えておられません。悪い目に合うのが九割ということですよ。 それから二人は取りとめもなくお話をされていました。パチュリー様の喘息も調子が良くなったみたいです。 小耳に挟んだ限りでは男は○○という名前で、車(馬車のことでしょうか?)に乗ってトンネルの中を歩いてみていたらいつの間にか 館近くの湖に来ていたらしいのです。そこで行き倒れておられたパチュリー様をお助けになったようです。 非常に気になる点がありますが、何はともあれ、パチュリー様がご無事でよかったと思います。 夜が明けてきましたので、私はパチュリー様の寝台と、最近とみに使われることの多くなった来客用の寝台の準備をしました。 パチュリー様は普段はお眠りにならなくても平気なのですが、喘息の発作がひどい日には眠られることもございますので、 念のため今日は準備をしておきました。 ……準備をしておいて良かったと思います。パチュリー様は予想通り今日はお眠りになられるようでした。 日がそろそろ上がりそうでしたので、私は○○を来客用の部屋に案内しました。 何か包丁とかヤマンバとかブツブツ言ってましたが、特に気にすることなくお通ししました。 今日はそれ以外は特筆すべきこともなく、私も自分の寝床に入って休みました。 日が傾きかけた頃、私の生傷のおおよそ90%を生成する黒白魔法使いがやってきました。 私はいつもの通りにスペルカードを用意し、そしていつものようにまた生傷を作りながら負けるのでした。 やはりパチュリー様に魔法を教えてもらった方が賢明だ、と考えております。昨日あの○○が来なければ多少はマシだったのかもしれません。 「パチュリー、今日も本を借りにきたぜ!!」 「図書館の貸し出し期限は2週間って学校で教わらなかったのかしらね」 「生憎学校にゃ行ってないぜ」 「じゃ私が直々に教えてあげるわ!! 延滞分も含めてね!!」 そしていつも通りに弾幕……、と思いましたが、今日は違いました。 何とあの○○が二人の間に入って止めようとしていたのです。 ……最近の人間は魔法使いを恐れないのが仕様なのでしょうか、弾幕ごっことはいえ、間に入れば確実に消滅するというのに。 その気迫、あるいは無謀に驚いたのか二人ともスペルカードを展開することはありませんでした。 そしてその後……、 「じゃぁ君は人の本を勝手に拝借して、しかも返さないのか」 「死ぬまで借りてるだけだぜ」 な、なんと黒白に説教を始めたようです。信じられません。私の短い人生の間でもこれは間違いなく珍しいことです。 「君はそれでいいだろうが、本を勝手に借りられた挙句あらされる身にもなってみなさい」 「……」 しかも黒白は説教を受け入れている……。あぁ私は今何という光景を目にしているのでしょうか、神々しくさえ見えます。 あ、今の悪魔の言うことじゃないですね、とにかく、その冗談のような風景に私も、パチュリー様でさえ目を白黒させるだけでした。 「……ぜ」 黒白が観念したかのように何かを言っています。まさか……。 「すまなかったぜ……」 あぁ私は今ななな何を言っているのか理解でききました。あああああの黒白がああああああ謝っています。 パチュリー様も今にも倒れそうな顔をされています。今の光景は間違いなく二度とありえないことでしょう……。 「じゃぁ、今日は本を読ませてもらうだけだぜ」 黒白は観念して、いくつかの本を選び出し、それをもって私たちからは見えない席へと持って行きました。 私はまた何か悪いことをたくらんでいると思い、こっそり気配を消して黒白のいるところへ向かいました……。 「全く、何で香霖みたいな奴がこんなとこにいるんだよ……」 何かブツブツ言っています。が私はそんなことよりも私は黒白のやっていることがあまりに意外で驚いたのです。 「香霖、というよりはおや……、いや違う違う。ありえないぜ……」 ブツブツ言いながら黒白は何と……、筆写を行っていたのでした、しかもかなり真剣に。 いつもなら本を抱えて壁を壊して逃げるところでしたでしょうが、今日は何故か本当に大人しいのです。まるで借りてきた式の式です。 私は急いでパチュリー様の元へこのことを報告に参りました。 私の報告を聞いてパチュリー様は卒倒しました。○○が慌ててパチュリー様の体を支えます。 私はパチュリー様の寝室へ○○を案内しました。その間○○はパチュリー様を抱えて来ました。 ひ弱そうだったのに案外力があるものだ、と思いながら中へと通し、寝台を指しました。 ○○はパチュリー様を寝台へと寝かし、何とそのまま寝台の横へと椅子を持ってきて座りました。 横に座っているだけで何もできないのに変わったことをすると思いましたが、言っても無駄そうでしたのでそのままにして私は仕事に戻りました。 夜が更けたころ、疲れきった様子で黒白は帰りました。ちなみに一冊も本は持っていません。 「邪魔したぜ……、いずれ返しに来る」 私はその内容に驚きましたが、黒白はいたって普通の顔つきでした。 そして空へと消えました。 魔女がまっとうになる……、私は何やら不吉なことを感じつつも、悩んでも仕方ないのでまた仕事に戻りました。 パチュリー様はあれからお目覚めになられまして、またいつもの通りに本を読んでいます。 ○○は、というとまた彼も本を読んでいます。ちらっと見たところ外から来た魔法書でした。 私でもあれは読めないのに……、と思っておりましたが、もしかすると彼は外の世界の魔法使いなのかもしれません。 魔法使い、となると相当厄介なことになりました。しかも今日のこともありましたので倍率ドン!さらに倍といったところです。 パチュリー様もそれをご理解しているようで本を読まれてはいましたが、どうやら気が気でないようです。 当の○○はというと至って普通な様子でした。それが却って私には恐ろしく感じられました。 フラン様と対峙する時も似たような感じです。全てを握られているというのは心地よいものではありません。 何 故 な ら、 パ チ ュ リ ー 様 は ま だ 対 価 を 支 払 っ て い ま せ ん、 命 を 救 わ れ た 対 価 を ……。 「あ、貴方は私に一体何を望むのです……?」 「……?」 とうとう堪えきれなくなったパチュリー様が○○に問いただします。 ○○はというと、何を言っているのか理解できないようでした、どうやら外の魔法使い達の間では契約というものも廃れている、 と思いたいところでした……。 「そうだなぁ……、じゃあこれを機にお付き合い、というのはどうだろう?」 私は目の前が真っ暗になりました、パチュリー様がに、人間なぞとおお付き合いをせねばならないなんて……!! 「……」 事態を理解したパチュリー様は顔面蒼白でした。 「あ、ごめんごめん本気に……」 「りょ、了解しました」 契約成立です。あはははは……。 「え、あ……」 「……」 人間、貴様何をしたか分かっているのだろうな……。 最 早 パ チ ュ リ ー 様 は 貴 様 を 全 身 全 霊 で 愛 す る し か で き な い の で す ……!! そう、私がパチュリー様に仕えるように……。 過去のことを嘆いていては仕方有りません。 そう、パチュリー様が契約に縛られていようが、私の主であることに変わりはありません。 パチュリー様も同じお考えのようで、結ばれてしまった契約に従い、○○に対して最大限好意的に振舞います。 どうやら○○は魔法に対して強く興味を持ったようで、パチュリー様に手ほどきを受けています。 救いは彼の理解が早かったということでしょうか、やはり彼は外の世界の魔法使いのようです。 (やはり紅茶に毒を入れておけばよかった……) 私の痛恨のミスでした。人間なぞ生かしておいてもロクなことがありません。 ですが今となってはもうあまりにも遅すぎるのでした。 契約に縛られたパチュリー様はもし○○を殺せば間違いなく私を殺すでしょう。 それだけではありません、私はパチュリー様に仕えなければならないという契約を反故にしてしまうことになります。 契約を守らなかった悪魔は……、この先は想像もしたくありません。 パチュリー様の方は……、契約に縛られているせいか彼を愛するのが当然といった感じです。 最早契約のことなども忘れ、彼を本気で愛しているのでしょう。魔法の手ほどきが本当に楽しそうです。 私にできることはと言えば……。 翌日、パチュリー様と○○はどこかへおでかけになりました。 帰ってくると何故か大量の本を持って帰ってきました。おそらくは黒白の家から取り返してきたのでしょう。 何故か黒白は○○のことが苦手のようです。何故かは分かりませんが。 翌々日、パチュリー様と○○はまたどこかへおでかけになりました。 パチュリー様はとても楽しそうです。○○もまんざらでもないという様子でした。 私めができることは少ないですが、それでもパチュリー様の幸せに協力することはできます。 私はそれをするだけのことです。 例えばおいしい紅茶をお入れするとか、○○にも理解できるような魔道書を見繕うとか。 後は万が一フラン様に出会ってしまった場合の対策をお伝えする、といったことでしょうか。 主が一人増えただけ、と考えれば今までとそう変わりはしない生活です。 そういえば一つ変化がありました、何とパチュリー様が私めに名前を下さるとのことです。 何でも○○が呼びにくいから、という理由だそうですが……。 名前がつく理由は引っかかりますが、パチュリ-様から名前をいただくという名誉の前にはそのようなことも小さなことです。 私の新たな生活がこれから始まろうとしています。 その生活を生み出すきっかけを作ってくれた○○には少しは感謝してもいいかもしれません。 ですので、不本意ながら私めも、一つだけ願わせて頂きます。 パ チ ュ リ ー 様、 ○ ○ 様、 ど う か 、 お 幸 せ に ……。 私の語りはこれで終了です、この先は○○、つまり貴方の妄想次第。 どうぞパチュリー様を死ぬほど愛してください。私もそれに一生付いていく所存です。 やあ (´・ω・`) ようこそ、ヤンデレルートへ。 このルートはサービスで可能性の一つだから、まず落ち着いて欲しい。 うん、済まない。これが大分抑えてるけど本来の作風なんだ。元々グROスレでヤンデレなんて言葉が生まれた頃から書いてたから。 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。 でも、このキーワードを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない 「おぞましさ」みたいなものを感じてくれたと思う。 春度に満ちたこのスレで、こういう愛の形もあるということを忘れないで欲しい そう思って、このルートを作ったんだ。 じゃあ、引き返すなら今のうちだよ。 十六夜咲夜の日記 ○月○日 今日、パチュリーが人間の男を連れてきた。 何でも喘息の発作を起こして動けなくなったところを救われたらしい。 それならば何故外に出たか気になるところだったが、魔法使いなりの理由があるのだろう。 それにしても喘息で動けなくなるなどどこかの革命家じゃあるまいし、と思ったものだ。 それでふと思いついて「み~らい~♪ ボ~リ~ビ~ア~♪」と口ずさんでいたらお嬢様に見られた。 お嬢様は心底ニヤニヤしていた。あぁ憎らしい可愛らしい……。 ○月X日 今日は魔理沙がやってきたらしい。 らしい、というのはいつも通りの弾幕ごっこが行われた様子がなかったからだ。ただ小悪魔は負傷していたが。 そして驚いたことに魔理沙は一冊も本を持ち逃げしなかったと小悪魔から聞いた。 明日は槍が降ってくるかもしれない。もしかすると幻想郷も明日を無事迎えられるか分からない。 ○月△日 どうやら無事に今日を迎えることができた。 このまま何事も起こらなければよいが……。 ○月◇日 なんと昨日パチュリーが魔理沙の所から本を持ち帰ってきたらしい。 それでも今日は何も起こることなく存在している。 ……、今度神社に行ったら異変が起こってないか霊夢に問いただしてみよう。 それにしても……。気になるのは○○のことだ、 何故か○○にパチュリーがやたらと懐いている。彼も霊夢と似たような人間なのだろうか。 お嬢様が誑かされなければいいが……。 ○月☆日 今日も魔理沙がやってきた。 少々躊躇われたが、魔理沙に急に本を返すようになった理由を問いただしてみた。 「う、うるさいんだぜ!!」 と言うと顔を赤くしながら星弾を撃ってきた。全くうるさいのはどちらなのだろうか。 いつも通りに大人しくさせ、話を聞いてみると、 「こ、香霖……」 みたいなことをつぶやいていた。あの店の主人のことか。 魔理沙はよく出入りしているが彼が一体どう関係があるのだろうか。 そういえばたまにあの店に行く時に魔理沙がいることがあるが時々不自然な感じになるのは関係があるのだろうか? 気にしても仕方のないことだが……、何はともあれ魔理沙の悪いクセが無くなるのはいいことだ。 後小悪魔がこぁという名前になったそうだ。命名はパチュリーらしい。 お嬢様に並ぶネーミングセンスだ。だが小悪魔の方は喜んでいた。何も言うまい。 ○月$日 今日はアリスと魔理沙がやってきた。 アリスはどうやら新しく来た○○を見に来たようだ。 たまたま通りかかった小悪魔、いやこぁに話を聞いてみると○○は魔法に興味があるようでそれで魔法使い三人の教えを受けているらしい。 パチュリーが人に物を教える姿は想像が付かない、魔理沙辺りは何だかんだ言いながら教えてくれそうだが。 アリスは……、気が向けば教えてくれるだろう。少なくとも私の知るパチュリーよりは確率が高いと思う。 ○月¥日 パチュリーが図書館の増築に関してお嬢様と話合っていた。 魔理沙から取り返した本を収納する場所が無いらしい。後香霖堂からもいくつか買ったという話だ。 ○○は外の世界の魔法使いらしいが……。 いいや何も書くまい。 ○月#日 今日はパチュリーに妙なことを聞かれた。 「人間の時を止めることってできるの?」 はて…、そういったことはてっきり100年以上生きている彼女の専門ではなかったのだろうか? 私ができない、ということを伝えると残念そうにしていた。一体何だったのだろう。 ○月★日 最近パチュリーの様子がおかしいらしい。 「我慢できない我慢できない我慢できない…………」 と呟いているとメイド達が恐れていた。 こぁに話を聞こうと思ったが、生憎今日は買出しがあったので聞く暇が無かった。 今度会った時にでも聞いてみようか。 ○月д日 今日も生憎用事があったのでこぁに様子を聞くことができなかった。 お嬢様もご心配の様子だったが、妹様が暴れそうだったので私と抑えていたのだ。 その日もパチュリーの姿を見ることは無かった。 ○月℃日 今日ようやくこぁに話を聞くことができた、と言いたいところだったが、 こぁの方が大分参っているらしく、ろくに話を聞くこともできなかった。 断片的な情報をまとめると、パチュリーは不眠不休で魔法書を読み漁っているらしい。 いつもと何が違うのか、と思ったがこぁの様子を察するにいつもと何かが違うということだろうか。 明日本人に聞いてみることにしよう。 ○月◎日 今日は久々にスペルカード以外の攻撃を受けた。 何のことは無い、最近様子が変だというパチュリーに話を聞こうと思ったらいきなり襲い掛かられたのだ。 しかもスペルカードルールなど無視した本気の攻撃だ。 私も久しくこのような攻撃を受けていないので驚いた。 何とかお嬢様に気付かれる前に取り押さえ、寝室へと押し込んだ。 眠れば多少は落ち着くだろう、という希望的観測を抱いてだ。 戦闘中ずっと彼女は 「邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな……」 と呻いていた。一体何だというのだ。 ○月⑨日 今日はお嬢様がお冠だった。 勿論理由はパチュリーのことである。 最近全く相手にしてもらえないことにご立腹の様子なのだ。 何とか今日は誤魔化し通したが、明日になればまた同じことを問われるだろう。 一体どうしたものだろうか。 ○月●日 生憎今日は新月だった。 お嬢様も力の落ちる厄介な日だったが、それでもパチュリーのことが心配らしい。 せめて満月まで待っていただけないか、と申し上げたが無駄だった。 パチュリーを呼び出すが、使いに出したこぁが戻ってこない。 何が起こったか図書館に見に行けばこぁはまるでボロ雑巾のように焼け焦げて転がっていた。 そしてパチュリーはというと、落ち窪んだ瞳に底光りした恐ろしい、だが焦点の全く合っていない、瞳孔の開ききった死人のような目をしていた。 顔は頬がこけ、肌も土気色でまさに歩く屍といった塩梅だ。何やらブツブツ言っているがいつもに増して小声で早口のため何を言っているか 全く聞き取れない。妹様も少々おかしいのだがその比ではない。 そのただならぬ様子にお嬢様もたじろいでいた。 パチュリーはというとそんな私たちに目もくれずに本を読み、破り捨ててはまた本を読んでいた。 掃除をしていた妖精メイドが運悪くパチュリーの進路を妨げた、と思った瞬間妖精メイドは消し飛んでいた。 理由を尋ねようとするお嬢様を何とか押さえ込み、気の済まない様子だったのを必死になだめすかし、 明日あの宇宙人どもの所に相談に行く、と決めた。 ○月▲日 宇宙人というものは何を考えているか全く分からない存在だと思っていたが、少なくとも情けというものはあるらしい。 あの永琳とかいう薬師がわざわざ往診に来てくれた。 そして図書館で彷徨うパチュリーを無理矢理に(それにしてもタガの外れたパチュリーを見事に取り押さえた力量は大したものだと思う) 取り押さえ、彼女の寝室のベッドに縛り上げた。 彼女の寝室自体は特に変わった様子はなかった。が永琳が嫌な気配がすると言ったので、隣の客間に行ってみた。 そこには……、 止めておこう。書いても無駄だ。今できるのはパチュリーが元通りに戻ることを祈るしかない。 八意永琳カルテ 患者名:パチュリー・ノーレッジ 疾患名:不明(悪魔憑き? 犬神憑き? 恋の病?)、喘息、栄養失調、失血性貧血、 病状:せん妄、錯乱、極度の鬱状態・被害妄想、極端な攻撃性、が見られる。 意思疎通を図るも言語を理解しているかどうかも疑わしい。 患者の様子から何らかの降霊術を行った模様。ただし何を契約したかは全く不明。 患者が直前に書いたであろう手記には(……は判読不能) 「……他人の吸った空気を吸うのも許せない、食べても排泄されるし霊魂は閻魔に取られる、時間は止められない、 止める止められない止める止められない止める止める止める止める止める止める止める止める止める止める止める止める止める……」 といったようなことが羅列されていた。彼女が何かを行っていたらしい部屋には血文字で 「……アイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテル……」 「……ワタシノモノワタシノモノワタシノモノワタシノモノダレニモワタサナイダレニモワタサナイダレトモハナサセナイダレニモフレサセナイ……」 などと部屋中書きなぐられていた。その部屋で患者○○を発見するも重度の精神的外傷のため廃人状態である。 現在両名とも治療のため隔離しているが治療の目処は立っていない。 うpろだ321 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○○の隣で私は本を開き、活字の中で過去を振り返る 奇妙な浅い眠りの中で、俺は過去の夢を見る 2人の始まりを…… 記憶のページをめくり始める―― 薄暗くてカビと埃の臭いが漂う図書館。 小悪魔は奥に本を取りに行っているから、今は2人きりだった。 その静かな空間に、○○の声はよく響いた。 「今何て言ったの?」 彼の言葉に耳を疑い、聞こえていたのに問い返してしまう。 内心動揺しているせいか、ただでさえ小さな声が余計に小さくなった。 でも、彼は決して聞き逃す事は無いだろう。 今までそうだったから……。 失敗した。 無視すれば良かった。 そう思った瞬間 「私はパチュリーさんが好きだと言ったんです」 ○○が告白を繰り返した。 無駄な飾りは無しに、はっきりと想いをぶつけてくる。 そんな○○に私が返した言葉は 「そんな戯言を言われても困るんだけど」 自分でも驚くほど辛辣だった。 彼を傷つけたくない筈なのに、無心で言い続けた。 「今の○○は一時の感情に流されているだけ。 私への好意は恐らく友人としての物、あるいは一種の憧れを勘違いしているだけよ。 そんな勘違いで告白されても困るわ……。 いい? 現実はロマンチシズムに富んだ小説の世界じゃないの。 貴方のちょっとした気の迷いが恋愛に発展するわけないでしょ? それに私は妖怪で、○○は人間。 その辺の事をよく考えてから物を言いなさい」 適当な事を言って誤魔化そうとした。 種族の違いなんて、彼はどうでも良いと思っているだろう。 今まで一緒に過ごしてきて、それなりに○○の事は理解できているつもりだ。 だから、本気で好きだと言ってくれているのも解っている……。 妖怪だとか、人間だとか、そんな事は関係なく私が好きだと。 でも、○○の想いを受け入れる事も、拒む事も出来ない。 私も○○が好きなのに……。 自分が何をしているのか解っている。 これは逃避だ。 ここには沢山の本があって、小悪魔がいて。 そして、少し前から○○が……私にはそれだけで充分だった。 彼の想いを受け入れても、拒んでも、その日常が遠くへ行ってしまうような気がした。 だから○○の告白に、はっきりした返事を返したく無かった。 私も好きだったって言えば良いのに。 ただの部下だって、○○の事なんか好きじゃないって言えば良いだけなのに、それで済むのに……。 苦悩する私に、○○が決断を迫る。 「私はちゃんと考えた上で言っています。 だから、誤魔化さないで返事を聞かせて下さい」 ○○の声が、黙示の日に吹かれる角笛の音のように、何か怖ろしい物のように心を揺さぶる。 私は何でもない風を装いながら、内心では相当焦った。 いっそのこと返事は先送りにさせてもらおうかとも思った。 だけど、どこまでも真剣な○○を見て、私も自分の想いに正直になっても良いのかな? と、そう思えた。 だから、最後の悪あがきで彼に幾つかの問い掛けをする。 「私、本ばっかり読んでて○○の相手なんてほとんどしないと思うけど?」 「それは知ってますし、本は私も好きですから大丈夫です。 読書や魔法研究の邪魔はしません」 「体も弱いし喘息持ちよ?」 「それも分かってます。 体調が悪い時は付きっ切りで看病します」 「○○よりもずっと年上だけど……」 「私は年上好きなんです」 「私も一応妖怪だから、ひょっとしたら人間だって食べるかも知れないわよ?」 「それは人が動物を食べるのと同じ事でしょう? そうだったとしても気にしませんし、パチュリーさんに食べられるなら本望です」 私はもう、逃げるのを止めた。 「分かったわ……実を言うと私も○○の事好きになってたの。 私達、付き合ってみましょうか?」 「本当ですか!?」 安堵と喜びの入り混じった笑みを浮かべる○○を見て、私はこれから、もっと○○を好きになれる、そう思った。 「これからは敬語は止めてちょうだい。 恋人なんだから」 あの頃の私は、自分がこんな事をするなんて思ってもいなかった あれから共に過ごして、俺はパチュリーの事を解ったつもりで何も解っていなかった 大きくなり過ぎた○○への愛情はやがて、その大きさ故に歪み、ねじれ、私の心を蝕み……それは狂気へと形を変えていった―― これは罰だ、彼女が俺の行動をどう思っているかも考えずに、パチュリーを苦しめた俺への、砂糖漬けのように甘い拷問―― 紅い悪魔は楽しそうに囁く 「さあ、次の手は? 夜は長いのよ? もっと足掻いて見せて? もっと楽しませて? もっと面白い物を見せて?」 まるでチェスでも指しているように、遊んでいるように繰り返し囁く だが、自己満足と罪悪感で彩られた2人だけの世界に、その言葉は届かない 悪魔は、全く進展しない退屈なゲームにチェック・メイトをかけようとしていた 私は 俺は そんな事は知りもしない 狂った2人は間違いだらけの悦びに恍惚としていた―――― あれから更に一週間が過ぎた。 ○○さんがいなくなって丁度二週間。 どう考えてもおかしい。 本当にパチュリー様が仕事を任せるとしても、こんなに時間のかかる仕事の筈がない。 パチュリー様は○○さんの事が本当に好きだ。 常に一緒にいたいと思っている筈だ。 それなのに、今日も1人で平然と本を読んでいる。 何度かさり気なく○○さんの事を訊いてみたけれど、返事はいつも 「大丈夫」 「心配ない」 と、適当で奇妙な自信に満ちた物だった。 初めは何とも思わなかったが、私は徐々に違和感を感じていった。 そう、パチュリー様は○○さんの事を全く心配していないのだ。 それが余りにも異様で不気味だった。 二週間もの間、恋人から連絡すら無いというのに……。 どうしてそんなに平気な顔でいられるのだろう? 疑念は日増しに大きくなり、とうとう主への不信に至った。 パチュリー様の目を盗んでこっそり図書館を抜け出し、目的の人物を探す。 こういう事を相談出来るのはパチュリー様と対等の御方。 お嬢様ぐらいしかいない。 しかし、パチュリー様の使い魔に過ぎない私が、直接お嬢様に相談に行くのは気が引けた。 だから……。 「こんな所で何をしてるの?」 広間に差し掛かった時、急に背後から呼び止められた。 鋭い声に振り返ると、そこには目的の人物、十六夜咲夜が立っている。 「メイド長……」 「ど、どうしたのよいったい? そんな捨て犬みたいな顔で」 余程情けない顔をしていたんだろう。 咲夜さんは随分と驚いたようだった。 だが、そんな咲夜さんは関係無しに、私の口は急ぎ動いた。 「こんな事相談出来るのはメイド長しかいないんです。 何とか出来るのはたぶんお嬢様だけなんです。 だから、だから――」 「分かったから少し落ち着きなさい。 何言ってるのか分からないわ」 窘められて我に返り、数回深呼吸を繰り返す。 少し、冷静さが戻ってきた。 様子を見て咲夜さんが口を開く。 「落ち着いた? それで、そろそろ仕事をサボって、図書館を抜け出してまで私に会いに来た理由が知りたいのだけど?」 「実は……」 ○○さんが行方不明な事、パチュリー様の様子がおかしい事、 私はこの二週間で積もりに積もった疑念を吐き出していった。 話を聞いて、咲夜さんは少し難しい顔をした後、 「分かった。 お嬢様には私から話しておくから」 そう言って、私を安心させる為か柔和な笑みを浮かべた。 その笑顔に少し救われたような気がした。 「それじゃ、パチュリー様にばれるといけないので私は図書館に戻ります」 「ええ。 その方が良いわね」 咲夜さんに頭を下げてから、私は図書館へ急いだ。 ○○とパチュリー様がそんな事になっているなんて気付かなかった。 毎日ティータイムには必ず、パチュリー様にお茶をお持ちしていたというのに……。 確かにこのところ○○の姿を見ていなかったが、蔵書の整理が忙しくてお茶の時間にも仕事をしているのだとばかり思っていた。 パチュリー様の様子にも特に不審な点は見られなかったし、その程度の事を、いちいち気にもとめていなかった。 だが、小悪魔の話を聞いて、○○とパチュリー様が付き合いだしてからの図書館の様子を思い返してみて初めて気付く。 2人が付き合い始めた頃から、○○はあの時間には必ずパチュリー様の傍にいた。 それがこの二週間、○○はティータイムに1度も姿を現していない。 この変化にもっと早く気付くべきだったのに……。 ○○とパチュリー様が恋仲になる以前の、 ○○が紅魔館に来る以前の日常が余りに長過ぎて、むしろ2人が一緒にいる事の方が、私の中で非日常のようになってしまっていた。 慣れたつもりでも、心の何処かで新たな日常が不自然な物に感じられていた。 だから、こんな事にも気付かなかったんだろう……。 私はちょっとした自責を感じつつ、お嬢様へお持ちするお茶の用意を始める。 何気なく見た時計の針は、不吉にも13を指した。 時を刻んだ瞬間の音が呪いの慟哭の様に聞こえ、私の耳に不気味に残った。 軋んだ針の音はまるで、空想上の髑髏の死神が、大鎌を振り上げた音のように感じられた。 上質な紅茶の味と香りを楽しみながら、咲夜から、小悪魔に受けた相談についての話を聞く。 一通り話を聞いて、最初に口をついて出た言葉は、 「つまらない」 その一言だった。 「申し訳ありません。 小悪魔にはお嬢様に伝えると言ってしまいましたし、一応報告した方が宜しいかと思いましたので」 見当違いな咲夜の謝罪に何ともなしに答える。 「そういう意味で言ったんじゃないわよ。 とうとう使い魔に感付かれたか……パチェもツメが甘いわね」 がっかり、という風に呟き、チョコレートを1つ口に放り込む。 とても甘い筈なのに、気分のせいかやけに苦々しく感じる。 口の中に残る泥のように粘ついた感触が嫌になって紅茶で流し込んだ。 「要するに、お嬢様は初めから全てご存知だったと、そういうわけですか?」 「私はここの主なんだから知っていても不思議はないでしょ? パチェが○○に何をしたのか、これからあの2人がどうなるのかも見当は付いてるよ」 そう、バッドエンドだ。 ○○は自我の崩壊を起こして肉人形と化し、それもいずれは腐って骨になる。 パチェは狂人にでもなって、それで終わりだ。 何のひねりもない悲劇的な結末。 あの2人は、これからずっと、そんなつまらない道化を演じるつもりなのだろう。 「もっと面白い展開を期待してたんだけどね……」 「いかが致しますか?」 咲夜の問いに少し考え込む。 ○○が幻想郷に迷い込んだのも 最初にこの屋敷に辿り着いたのも その流れ者に過ぎない○○を屋敷に置いたのも 本好きだというだけで図書館で仕事をさせたのも そこでパチェと○○が出会い恋仲になったのも 全ては偶然と私の気紛れ。 そして、それは運命。 だとしたら、2人が今向かっている結末に行き着くのも…… そうとは思えなかった。 第一、そんな結末は私が望まない。 カップに残った紅茶を飲み干すと、私は立ち上がった。 「お嬢様?」 「こんな事する柄じゃないけど、パチェの所に行ってくるわ」 「行ってらっしゃいませ」 送り出す咲夜を背にして扉を開け、友人のもとへゆっくりと歩を進めた。 重い扉を開けて図書館の中に入ると、蔵書の余りの多さに改めて驚嘆した。 立ち並ぶ無数の本棚はまるで、主を守護する防壁のようだ。 ここは私の屋敷にあって私の物ではない場所。 パチェの、唯一無二の閉ざされたテリトリー……。 「あら、レミィがここにくるなんて珍しいわね。 何か用?」 私に気付いたパチェが声をかけてくる。 その態度には何ら不審な点は見られない。 だが、その目には確かに、魔女の釜の底のような暗く陰鬱な影があった。 「パチェ、単刀直入に言うわ。 ○○を解放しなさい」 「何のことかしら?」 そう言って微笑むパチェを見て、背中をひんやりとしたものが駆け巡る。 不味い。 精神を相当やられている。 「とぼけても無駄よ。 私に気付かれないとでも思ったの?」 「だったらどうだっていうの」 作り笑いが消え、暗く、冷たく私を睨む。 「○○は私の男よ。 レミリアには関係ないわ」 愛称ではなく、名前で私を呼ぶ。 それは明らかな敵意の表れだった。 「邪魔するなら力尽くでそれを解らせてあげるけど?」 スペルカードを出さない。 なのにパチェの殺気はより強く、魔力がより大きくなっていくのが分かる。 彼女は本気だ。 「私に勝てるとでも思ってるの?」 「やってみなきゃ分からないわ」 そのまま暫く睨み合いが続いた。 さながら龍と虎だ。 待っていれば引いてくれるかと思ったが、今のパチェは冷静な思考を完全に失っていた。 実力の差なんて分かっているでしょうに……。 ふと視線を逸らすと、小悪魔が訳も分からずおどおどとしていた。 それを見て、私はすっかり興がそがれてしまった。 少し考えて、試しにこちらから引いてみる。 「止めましょう……馬鹿馬鹿しい」 「えっ?」 パチェが呆気にとられた顔で私を見る。 「私は別に喧嘩しに来たわけじゃない。 少しだけ、私の話を聞く気はない?」 私の提案に彼女が視線で先を促す。 策にかかった。 疑似餌に食らいついた魚は、あとは釣り上げるだけだ。 「貴女が○○にどれだけ強力な魔法を使ったかまでは知らないけど、○○はこのままだと物言わぬ肉人形のまま死んで、腐敗して、骨になるだけ」 「生命維持はできてるわ」 「忘れたの? ○○は人間。 それも数十年で終わりよ」 ○○の死を口に出しても、パチェの表情には何の変化も無かった。 まだ気付かないのか……。 「でもね、その前にもっと重要な事が起きるわ。 自我の崩壊よ」 「それは……」 パチェの態度に明らかな変化があった。 傷口を抉る様にその先を続ける。 「今のような状況に置かれて、ただの人間に過ぎない○○の精神はどれだけもつのかしら?」 「それでも……私は……」 揺れるパチェの心を、鋭い言葉の切っ先で更に切りつける。 「心が消えるっていう事は、彼の貴女に対する想いも消えるっていう事よ。 パチェはそれで良いの? ○○が本当の意味で死んでも。 それともパチェは外見だけ残ってればそれで良いの?」 この言葉が決定打となった。 「そんな事……無い……」 自らの過ちに気付いて泣き始めたパチェには、それ以上言葉は必要なかった。 「貴女の創った自分勝手な楽園は、今終わったのよ。 後は自分で考えなさい」 それだけ言ってパチェに背を向ける。 「どうして……?」 背後から投げかけられた問いに、悪魔的な笑みで答えた。 「友人の幸せの為、あとは……そうね。 退屈だったからかな?」 最後にそう言って図書館を後にした。 結局、第三者の私に出来るのはここまでだ。 パチェの言う通り、これは2人の問題なのだ。 こと、恋愛事に関しては。 強過ぎる愛情がその大きさ故に歪み、ねじれた。 それだけのこと。 やれる事はやった。 これから2人が、パチェがどんな道を選ぼうが知った事ではない。 だけど、願わくば 「幸せになって欲しいかな……」 そう呟き、咲夜が待つ自室へ向かう。 今、私が見たいのはハッピーエンドだった。 途中、少ない窓の1つへ目を向けると、赤みのかかった月が昇っていた。 部屋に戻ったらまず咲夜に紅茶を淹れてもらおう。 血を多めに入れてもらって、あの月の様に赤い紅茶を。 なんだか妙に疲れてしまった。 本当に、こういう事する柄じゃない……。 レミィが去った後も、私の心は揺れ続けていた。 ○○を独占したい、○○に愛されていたい。 矛盾した2つの感情の狭間を、私の心は狂った時計の針の様に行き来した。 「パチュリー様? パチュリー様?」 心配そうに私を呼ぶ小悪魔の声も、何処か遠い木霊のようだった。 「悪いけど、本の片付けをお願い」 それだけ言って○○のもとへ急いだ。 怖かった。 ○○がいなくなってしまいそうで。 今まで長い時を生きてきてこんな感情は初めてだった。 本だけが愛情を注ぐ対称だったから。 本は決していなくなったりしないから。 だから私は、○○を失うのが怖くて堪らなかった。 何も見えない世界で、彼女だけが心の拠り所だった。 何も聞こえない世界で、彼女の声だけが心に訴えかけてきた。 だけど、今はその姿も薄く、蜃気楼のようで その声も遠く、幻聴のように通り過ぎていった。 ただ、泣いている事だけは分かった。 子供のように、俺を前にして泣きじゃくる。 「どうした?」 俺の声は届かなかった。 「何で泣いてるんだ?」 俺の口は言葉を紡いではくれなかった。 それでも、俺は……パチュリーを愛していた。 愛する人を泣き止ませたかった。 笑顔を見たかった。 だから……諦めずに呼び続けた―― ○○の為の部屋、特にお気に入りの本と○○だけの部屋で、 彼を前にしても、涙は止め処なく流れた。 「ねえ○○。 私はどうしたら良いの?」 問いかけても彼は何も答えてはくれず、ただ微笑むだけだった。 「怖いの……○○を失うのが、怖くて堪らないのよ……」 心の中の時計の針は、より激しく、矛盾した感情の間で揺れた。 「○○」 彼に抱きつき、その胸に顔を埋めてただただ泣き続けた。 ○○はそんな私に、何も言わず微笑んでくれる。 でも、これは違った。 偽りの笑顔。 今の○○は私が好きな○○じゃなかった。 だから余計に涙が溢れた。 ○○をこんな風にしたのは私なのに……。 再び彼の胸に顔を埋めた時、頬に何か硬い物が当たった。 「?」 胸のポケットを弄る。 「指環……」 安物の宝石がついたちゃちな指環。 だけど、私はその指環に目を奪われた。 もしかして? ひょっとしたら? 「○○? 何なのこれは! どういうことなの!?」 疑念と期待に駆られ本棚へ急ぐ。 目的の本を見つけると無我夢中でページをめくった。 お気に入りの本がどうなろうと知った事ではない。 ページが折れ、ぐしゃぐしゃになっても気にも留めなかった。 もっと深く知りたかった。 彼の想いを。 もう一度聞きたかった。 彼の言葉を。 目的のページを開いた私は、そこに記された言葉を急ぎ読み上げた。 あれほど激しく動いていたのに、心の揺れが止まっていた。 壊れた時計の様に、2つの感情を行き来していた針が、正しい時間を刻み始める。 『やっと面白くなった』 そんな声が何処かで聞こえたような気がした―― 閉じた楽園に声が響き渡る。 それは、ある種の荘厳な宗教音楽のように聞こえた。 これは愛する人の歌声。 俺を現実へと引き戻す声。 「パチュリー……」 その祝福の賛美歌の中で、2人の歪んだ楽園は終わりを告げた―― 「ぐっ……うぅ……」 久しく聞いた○○の声。 その声に、自分でも驚くほど安堵していた。 「どうかしたか?」 寝ぼけ交じりでとぼけて訊ねる彼に、私は泣きながら抱きついた。 それしかできなかった。 深く、強く、抱きつくことしか……。 いきなり抱きつかれて、少し面食らった気分だった。 「おいおい、どうしたんだよ?」 優しく訊ねる俺に、パチュリーが涙混じりに答える。 「ごめっ……なさ……ごめんっ……なさいっ……」 泣きじゃくる彼女の、顔にかかった髪を優しく掻きあげる。 「なんか俺、凄く悪い夢を見てた気がする」 「それは本当にあったこと。 全部私のせい……私……○○に酷い事した……」 「気にしなくて良いから。 悪いのは俺の方だ……ごめん。 もっとパチュリーの事、考えてあげてたら……」 「違う! ○○は悪くない! 私が勝手に――」 全て自分のせいだと言い張る。 痛々しく、かすれた声で謝り続ける。 俺はそんな彼女を見ていられなかった。 だから……。 泣きながら言い続ける彼女に、そんな事はどうでも良いのだと分からせる為に、キスをした。 優しく、深く。 口内に舌を侵入させ、貪欲に愛する人を求める。 「んっ……ふぁ……ぁ……」 「もう良いかな? 今ここに俺がいる、それが答えなんだろ?」 そう問うた俺に、パチュリーが頷き、熱を持った目で問い返してくる。 「あの指環は?」 「パチュリーにいつか渡そうと思って持ち歩いてたんだけど、見付かっちゃったか……」 悪戯を見付かった子供のように言う俺を、パチュリーはじっとりと睨んだ。 「あれが無かったらたぶん、○○はまだ戻ってきてないわよ?」 「そうか……こんな時でなんだけど、結婚しよう。 愛してる。 永遠なんてこの世に存在しないかも知れない、でも、それでも君と、可能な限り一緒にいたい。」 「喜んで」 その答えを合図に、俺達はどちらからともなく、再び深い口付けを交わす。 唇を離した時に余韻を引く銀の糸すら、欲望を増徴させる道具に過ぎなかった。 その長く保たれた唾液は蜘蛛の糸。 そこに巣食う魔物は2人の理性を捕らえ、食らい尽くし、情欲の世界へと誘う。 お互いがお互いを求め、2人の舌が互いの口内を蹂躙していく。 さながらアダムとイヴを楽園の外へ導く蛇のように、舌は暴れ、踊っていた。 「あっ……んちゅ……うむぅ……ふぅ……」 「パチュリー……」 「もっと」 「?」 「まだ……足りないから……もっとして……」 椅子が倒れ、本は軽い音をたてて床に落ちた。 それでもパチュリーの手のひらには、しっかりと婚約指環が握られていた。 結婚式は紅魔館で執り行われる事となった。 この屋敷に教会なんてある訳はないが、俺達にはそんな場所よりも余程お誂え向きな式場だ。 「さすがに緊張するな」 誰にともなく呟く。 窓の外を見ると、日が沈み、丁度月が顔を出す頃合。 式の始まりは月が昇った時、という何ともアバウトなものだった。 神父役と参列者達に少し不安を抱きながら、鏡で最終チェックを済ませて控え室を出た。 純白のドレスは妙に気恥ずかしかったけれど、今日○○と結ばれる。 そう思うだけで私の心は喜びで満たされ、恥ずかしさなんてどうでも良くなった。 「お綺麗ですよ、パチュリー様」 小悪魔が微笑みかけてくる。 「ありがとう」 誤った道を選びそうにもなったけど、こうしてこの日を迎えられた事が嬉しかった。 「この世のあらゆる書物も、おまえに幸福をもたらしはしない、か……」 誰にともなく呟く。 「何ですかそれ?」 不思議そうに訊ねる小悪魔に、皮肉交じりに話す。 「ヘルマン・ヘッセとかいう外の文学者の詩の一文よ。 前に○○がこの人の詩集を読んでたから 気になって私も読んでみたんだけど、その中の書物って題の詩の書き出しがそれだったわ」 「なるほど」 そう言って名前通り小悪魔的な笑みを浮かべる小悪魔に少し腹が立ったが、その反応には納得できた。 昔の私なら……○○と出会う前の私だったらこんな言葉は一笑に伏しただろう。 でも今は、そうなのかも知れないと思えた。 確かに私は、本以外で幸福を見つけたのだから。 「これからも○○さんにいっぱい幸せにしてもらって下さい」 「言われなくてもそのつもりよ」 「あっ!! パチュリー様、そろそろ時間です」 席を立ち、小悪魔と共に部屋を後にして、式場へ向かう。 渋々ながら神父役を引き受けてくれた友人のもとへ。 将来を誓い合う○○のもとへ。 楽しみはその時までとっておこう。 そう思い、パチュリーのドレス姿を事前に見なかった事を少し後悔する。 フラワーガールに任命されたフランドールお嬢様の花をまく可愛らしさも何のその。 小悪魔にエスコートされた新婦の入場と共に、 俺は純白の衣装に身を包まれたパチュリーに目を奪われ、大分惚けた顔をしていた。 「○○? しっかりしなさい!」 「あ?……はっ、はい!」 レミリアお嬢様に小声で窘められ我に返る。 不規則に花びらの並ぶ中央通路を歩き終え、パチュリーが隣に来ると余計に、俺の心臓は早鐘のように鳴った。 当然の如く賛美歌斉唱や聖書の朗読は省略され、主役が揃ったところでお嬢様がいきなり宣誓を尋ね始める。 尤も、それはお嬢様が適当にアレンジを加えた物で、吸血鬼らしさのある神への誓いとはとても呼べないような代物だったが……。 俺とパチュリーは誓い合い。 式はついに、メインイベントを迎えた。 「それでは、誓いのキスを」 緊張し、震える手でパチュリーのヴェールを上げる。 だが、その下のパチュリーの幸せそうな表情を見て、俺の緊張は何処かへ消えてしまった。 「○○……」 「パチュリー」 互いの名を呼び合い、俺達は誓いの口付けを交わす。 それと同時に上がる参列者達の歓声、幽霊楽団の奏でる風変わりな結婚行進曲。 大きな祝福の音の嵐の中で、必要最低限の短過ぎる挙式は幕を下ろし始める。 私と○○の2人きりになった式場で少し休憩。 他の皆は既に外に出て、私達を待ち構えている。 「あとはブーケ・トスだけだな」 そう言ってホッとした様子の○○に釘を刺す。 「だけってなに? それも結婚式の内よ」 そう聞いた途端彼は再び緊張し始め、少し顔が強張ったようだった。 「そんな顔しない。 私たちの結婚式なんだから」 「そう、だな」 緊張しながらの不器用な笑顔と共に差し出された○○の手に、自分の手を乗せる。 「じゃあ行こうか」 「ええ」 私達は参列者達のもとへ歩を進める。 それだけじゃない。 私達はこれからずっと、2人で歩んで行くのだ。 表に出るとそこは、ブーケを狙う参列者達の殺気によってまるで戦場のようだった。 主役の私達なんてお構い無しだ。 それでも、 レミィは フランは 咲夜は 小悪魔は 美鈴は 紅魔館の皆は私達を見ていた……前言撤回。 フランは私達よりブーケの方に関心があるみたいだ。 興味津津で私の手元を見ている。 でも、それで充分だった。 幸福の絶頂の中で、この挙式の終わりを天へと投げ打つ。 我先にと手を伸ばす人々の上で、紅い月光の下で、ブーケは踊った。 ちなみに……披露宴、というより式後の宴会で…… 「○○、パチュリーの事泣かせたりしちゃ駄目だぜ」 「魔理沙には言われたくない。 いつも勝手に本持って行きやがって。 むしろパチュリーを泣かせてるのはお前だ。 というかそこの霊夢!! お前さっきから遠慮無しに飲み食いしてるがあのご祝儀は何だよ!? 綺麗な石って……貝殻って……」 「ここにくる途中、湖に落ちてたから拾ったの。 あんたに払うお金なんかないわよ! 結婚式は普通に考えれば家の神社でやるべきものなのにそれを…… 出席しただけありがたく思いなさい。 だいたいご祝儀持ってきたのなんて数えるぐらいしかいないじゃない」 「あんなのなら持って来ない方がましだ!! だいたいお前の神社で結婚式なんてやったらとんでもない額請求するだろ?」 「花婿さぁーん。 ちゃんと飲んでる?」 「ちょっ!? す、萃香ちゃん!? いきなり抱きつかないでよ! 痛いって! 角当たってるから!!」 「良いのがあるから一緒に飲もうよ」 「テキーラの有名銘柄? 何でこんな物が……」 「私が持ってきたのよ」 「紫さん!! 何てことしてくれるんですか!!」 「あら、お気に召さなかった? ○○は外から来た人間だから外のお酒のが好きだと思ったんだけど……やっぱりスピリタスの方が良かったかしら」 「それを持って来なかった事には感謝します……」 「さあ飲もー!」 「や、止めて萃香ちゃん。 お願いだからさ。 ラッパ飲みは無理だよ」 「大丈夫だって」 「駄目だこの人たち……パ、パチュリ~助けて」 「……知らない」 という感じに、○○は皆と随分楽しそうにしていたから放っておいた。 新婚旅行は無かった。 私達にそれは、必要なかったから。 特に旅行に向いている場所があるわけでもなかったし、行きたい所も無かった。 この図書館が2人の居場所で、本の傍こそが最も居心地の良い場所なのだ。 のんびりと本を読んで過ごすのが1番良い。 一緒にいられるだけで、他には何も要らない。 「私は○○のものよ。 ねえ、○○は?」 悲劇の前と同じ問いかけに、彼もあの時と変わらず、同じ答えをくれる。 その返事に嬉しくなって、私は隣に座る○○の肩に、頭を預けた。 彼に出会うまで、独りが寂しいなんて思わなかった。 でも、今は…… ○○がいつも傍にいてくれる。 ○○がずっと一緒でいてくれる。 自己満足のための、偽りの人形なんかじゃなくて、本当の○○が。 私の好きな、私を好きでいてくれる○○が。 私は1人じゃない。 それはとても……幸せだった。 だから私は、彼を失わない為に、考えていた計画を実行に移す事にした。 パチュリーの問いは、あの時のように涙に濡れたものではなく、問いというよりは確認に近いものだった。 その言葉はまるで、質の良い柔らかなベルベットのように俺の耳を撫でた。 彼女への気持ちは変わらない。 むしろ、その想いは以前よりも強かった。 だから、 「俺もパチュリーの物だ」 迷う事無くそう答えた。 俺の答えを聞いて、嬉しそうに頭を預けてきたパチュリーの髪を優しく撫でる。 それを彼女はくすぐったそうにしていた。 まさかあの時、パチュリーがあんな事を考えていたなんて、夢にも思わなかった……。 結婚式からもう一ヶ月か。 新婚生活は順風満帆その物だ。 今日はパチュリーと小悪魔は何か重要な魔導書を取りに行くとかで図書館の奥に消えてしまった。 俺は手伝いを断固拒否された事を不審に思いつつも、仕方ないので 適当な本を読みながら、2人が戻ってくるのを待っている。 「なんだ、○○だけか? 奥さんはどうしたんだ?」 唐突な声に顔を上げると、目の前に白黒の少女が立っていた。 「魔理沙……またうちの本を盗みに来たのか?」 「盗むなんて人聞きの悪い事を言うな!! 借りるだけだ!!」 屁理屈で弁解する魔理沙に、事前に作っておいた物を差し出す。 「何だこれ?」 「お前専用の貸し出しカードだ。 俺もパチュリーも寛容だから期限は一年にしてやる」 カードを受け取りながら、魔理沙は酷く気まずそうに苦笑した。 「わざわざ作ってもらって悪いんだが……たぶん意味無いぜ? 期限なんて守る気ないし」 「折角作ったのにそんな正直に言うなよ……」 そんなやりとりをしていると、奥から重なる足音と話し声が聞こえてきた。 「さすがにこれだけあると重いわね」 「パチュリー様大丈夫ですか? やっぱり旦那様にも手伝ってもらった方が……」 「これぐらい平気よ。 ○○に頼んでもし感付かれて逃げられでもしたらどうするつもり?」 「それはそうですけど」 感付かれるとか逃げられるとか……どういう意味だ? 「ふう、ただいま○○。 あら魔理沙、来てたの?」 思索に耽る俺を余所に、大量の本を抱えて戻ってきたパチュリーは魔理沙と話し始めた。 「どうしたんだパチュリー? そんなに本抱えて」 「初歩的な魔導書をあるだけ持ってきたの。 使う事なんて滅多になくて奥に押し込めてたから探すのに苦労したわ」 そんな物何に使うんだ? パチュリーには必要ないんじゃ――。 俺の頭に疑問が浮かんだのと同時、 「何に使うんだ?」 と、魔理沙が尋ねた。 「○○に魔法を教えようと思って」 「ええ!?」 「……」 パチュリーの言葉に魔理沙が驚きの声を上げ、余りの衝撃に思考が停止した俺は言葉を失う。 我に返ると、俺は訳も分からずに抗議した。 「ちょっと待て!! いきなり何言い出すんだよ!? 無茶だって!!」 「私はたかだか数十年で○○に死んでほしくないの! 私のために魔法使いになってちょうだい!」 それっきり黙り込む俺たち。 夫婦喧嘩は犬も食わないと言うが、本来の意味ではなく言葉通りに 「邪魔なようだから私はこの辺で失礼するぜ。 じ、じゃあな」 などと言って、魔理沙は盗る物はしっかり盗ってそそくさと帰ってしまった。 途端にパチュリーが沈黙を破る。 「ねえ、○○は私を置いて先に逝くつもりなの? 一緒にいてくれるって……傍にいてくれるって言ったじゃない! あれは嘘なの!?」 問い質すパチュリーに、俺は何も言い返せなくなってしまった。 その言葉と気持ちに、嘘偽りは無いのだから。 仕方ない、無謀な挑戦だが頑張ってみるか。 これも愛する妻の為……そう心の中で自分に言い聞かせ、覚悟を決める。 「嘘じゃない。 分かったよ……で、何から始めればいいんだ?」 俺がそう言うと、パチュリーが笑顔で本の山から一冊を取り出す。 「まずはこれから始めましょう。 いずれは得意なのを重点的に鍛えていきたいんだけど、どうせならあんまり見た事の無い類いの物が良いわね。 召喚魔法とか身体能力強化とか――」 パチュリーは熱心に語りながら、新しいオモチャを買ってもらった子供のように、嬉しそうに本の山をごそごそと漁りだした。 何か不安だ。 「落ち着いて下さいパチュリー様! 旦那様は逃げないみたいですから!」 とりあえず今日のパチュリーの体調は絶好調のようだった。 徐々に熱を上げていくパチュリーは手近な本棚からも本を取り出し始める。 「最終的にはこの辺りが良いかしら」 そういって差し出された古めかしい本に、俺は首を傾げた。 「何だこれ?」 「レメゲトンだけど」 題を聞いた瞬間、勝てる見込みの無いゲームに全財産をBETしたような気分になった。 パチュリーは今、俺が1から始めるド素人だという事を忘れてるんじゃないだろうか? 「いきなりそんな有名所を出されても困るんだが……。 最終目標はいいから基礎的な事から教えてくれ」 「ごめんなさい、熱くなり過ぎたわ。 それじゃあさっきも言ったように最初はこれから始めましょう。 割と簡単だから安心して。 まず――」 パチュリーは魔導書の内容だとか、どういった言語で書いてあるとか、鍵がどうのなど説明してくれているが、 それで俺に解った事は、読めるようになるまで相当苦労するという事だけだった。 とりあえず外の魔導書を選択してくれた事にだけ感謝する。 元々は外の世界にあった物だと思うと、少しはなんとかなりそうな気がした。 あくまで少しだし、鍵やら何やらで大変そうだが……。 しかし、本当に前途多難で、先行き不安だ……。 「ちょっと○○聞いてるの? ○○?」 ~エピローグ~ 過去の物語は○○の目覚めの兆候と共に薄れて行く。 「あれからも色んな事があったね」 そう呟くと、彼が小さな呻き声を上げた。 聞こえたのだろうか? 私は本を閉じ、もうすぐ居眠りから起きるであろう○○の寝顔を眺めた―― まどろみの中の追憶から、覚醒と共に、意識は現在へと引き戻される。 どうやら座ったまま寝ていたようだ。 目が覚めるのと同時に、図書館に充満する独特な匂いが鼻を突いた。 でも、この匂いは嫌いじゃない。 これは、この図書館と本たちが歩んできた年月の香り。 それは、俺達が歩んできた年月でもあった。 「○○? 起きたの?」 「ああ……」 顔を横に向けると、椅子に座ったパチュリーが本を膝に置いてこっちを見ている。 優しい表情だった。 「昔の夢を見てたよ」 「奇遇ね。 私も○○が寝てる間、昔の事を思い出してたの。 告白された時から今までの事」 「不思議だな……2人共、同じ時に昔を振り返るなんて、やっぱり夫婦だから気が合うのかな?」 俺がそう言うとパチュリーは可笑しそうに笑った。 「そうかもね」 「何だよ。 笑う事無いだろ?」 文句を言いつつ、俺も自然と笑みが浮かんだ。 2人で、過去と現在を思い、笑い合う。 「愛してるよ、パチュリー」 「私も」 どちらからともなく、唇が触れるだけの軽いキスをする。 「はぁ……。 御2人とも、いったいいつまで新婚気分でいるおつもりですか?」 唇が離れるのとほぼ同時、溜息交じりの小悪魔の声が聞こえてきた。 「たぶん死ぬまで」 俺の返答に、小悪魔はうんざりした顔で抗議する。 「勘弁して下さい……少しは見せつけられる方の身にもなって下さいよ!! 毎日毎日イチャイチャし過ぎです!!」 「実害は無いんだから良いでしょ? それとも貴女は私達に夫婦喧嘩でもして図書館に不穏な空気を流せって言うのかしら」 「そこまでは言いませんが私の心に実害はありまくりです」 「それぐらい我慢してちょうだい」 言い合うパチュリーと小悪魔に、俺は苦笑を浮かべた。 そこにあるのはいつも通りの日常だ。 パチュリーと小悪魔と3人で過ごす、掛け値なしに幸福で、当たり前の日常。 今日は少し、この2人は虫の居所が悪いみたいだが。 それでも、幸せな事に変わりは無い。 「○○?」 1人感慨に浸っている俺に、棘のある感じでパチュリーが呼びかける。 「何だ? 結婚記念日のプレゼントに欲しい物でもあるのか? 分かってると思うが高いのは買ってやれないぞ」 冗談交じりで言った俺に、パチュリーはちょっと怖い顔をした。 「違うわよ。 ○○も小悪魔に何か言ってやってちょうだい! でもそうね……記念日は3人でのんびり過ごしたいかな。 ワインなんか開けて、本を読みながら」 「パチュリー様……」 「当然でしょ?」 「あの、その……先程はすみません」 小悪魔は申し訳なさそうに、ちょっと照れながら謝罪した。 微笑ましい光景を見て、物の入手を心配しつつ俺も口を開く。 「じゃあそれで決まりだな。 ワインが問題だが」 「レミィに言えば何本か用意してくれると思うわ」 とりあえずワインはなんとかなりそうだが、同時に別の心配事が浮上した。 あの享楽的なお嬢様の事だ……。 「本当に大丈夫かな……お嬢様の事だから、記念日を理由にパーティーとか開いたりしないか?」 「それは心配しなくて良いんじゃない? もしパーティーを開いたとしても、私達がいなくたって向こうは向こうで勝手に盛り上がるだろうし」 「それもそうか」 「記念日、楽しみですねー」 3人で談笑しながら、俺は居眠りする前に読み終えた、テーブルの上の本を閉じる。 それは同時に、物語の終わりを意味していた。 「○○。 これから先もずっと……一緒に記念日を祝おうね」 先に死なないで欲しい、という意味が込められているであろうパチュリーの言葉に 「時の許す限り」 そう答えた。 時の流れは止められない。 いつ死ぬかなんて……分からない。 俺の返答に、パチュリーは複雑な表情をした後、 「私達は例え死んだとしても一緒なんだから」 そう言って背筋の凍るような微笑みを浮かべた。 どうやら俺は、先に死んでもあの手この手でパチュリーに三途の川を渡らせてもらえなさそうだ。 そう思った瞬間、蜜のように甘い誘惑が俺の心を弄る。 そこまで想われてるなら、もう世の理なんてどうでもいいや。 どんな手を使ってでも、死んでも一緒にいよう。 どんなものにもいずれ終わりは訪れる。 でも、彼女はそんな前触れなんか消してくれる。 「まあ、それもありかな」 苦笑混じりに呟いた俺に、パチュリーが抱きついてくる。 「大好き」 小悪魔は抱き合う俺達を見て、微笑んでいた。 こうして追憶の物語が終わり、読み終えられた本は長い眠りにつく。 いつかまた、俺が いつかまた、私が 過去を思い返すその日まで……。 「乾杯」 「乾杯」 「乾杯」 全ては三つのグラスの赤に吸い込まれていった―――― The End 10スレ目 286 ─────────────────────────────────────────────────────────── ***幽香「桜花之恋塚」と↑のコラボです 「結婚おめでとうございます」 「大変なのはこれからだがな――ありがとう」 図書館の外れ、物置同然の部屋で、カップを鳴らす音が響く。 部屋には、乱雑に置かれた雑誌類、古ぼけたテーブルと草臥れた椅子、 そしてそこに座り、カップの中身を消費する二人の人影がある。 あたりに漂う香りは珈琲。 昼間から酒を飲む趣味は、この二人には無いらしい。 「しかし――お前が自分からご足労とはね――『留年皇』」 人影の片方――作業着と思しき革のツナギ姿の小柄な青年が、黒い霧を吹いた。 もう一方、着崩した司書服の男は「ぅわ汚な」と、トレーでそれを回避。自分と周囲の本を守った。 「その名で呼ばんといてくださいorz」 「はっはっは」 お互いの存在を知ったのは、互いの伴侶の邂逅と時を同じくする。 とはいえ、何か大事があったわけではない。 『留年皇』の伴侶は、この館の庭の花園と、上質の紅茶を目当てに、時折ここを訪れる。 その折に、館の主は勿論、七曜の魔女と会うこともある。 ならば、その傍らに連れ添う者同士に縁があるのも無理は無い、というだけの事。 ごほごほと咽ていた青年が、それは置いといて、と話題を変える。 「まあ、困った事があったら、何でも言ってください。 人外付き合いも、結婚生活も、こちらの方が先達なので」 「あー、その事なんだが、な」 早速、相談がある――。 そんな色がありありと現れた表情で、司書の男はしかし、言い淀んでしまう。 作業着姿の、まるで用務員のような青年は、それを茶化す事も急かす事もせず、ただカップの中身を継ぎ足し、言葉を待つ。 ややあって、言葉を選びながら、重々しく沈黙が解かれた。 「うちの奥さんさあ――嫉妬深いんだよ」 「まあ良くある話です。でもどんな風に?」 努めて軽く、しかし真剣に。 聞き上手の手本のような仕草で、意見を聞き出して行く。 「特にきついのが、視線の置き方でな? ほら、黒いのとか人形師とか、色々客が来るだろ?」 成る程、と思案げに目線を天井へ向ける用務員。 「あの人たちも可愛いですからね」 「ああ。パチュリーが一番愛らしいがな」 「でも、パチュリーさんは、その気持ちを汲んでくれない、と」 話が早い。と諸手を上げ、司書は「降参」のジェスチャーを示した。 「元を辿れば、騒動の一因だからな。 そこが可愛い所でもあるんだが――あんま頻繁だと、お互いに宜しくない。 ――単刀直入に言うが、良い知恵は無いか?」 上手く、場の空気を和らげられれば良い。 とは言っても、普段が比翼連理を地で行く間柄である。 どちらかが折れる、譲るというのは、互いの性分に合わない。 「――ふむ」 ひとつ、思い付きました、と。 作業着のポケットの一つから、何かを差し出す用務員。 「……グラサン?」 「ミラーシェイド、っていうとお洒落ですよ?」 縁が無く、蔓は鍵型ではなく棒状で、ただ骨格に適度な弾力でフィットし、保持されるタイプの色眼鏡。 職業柄、日向の苛烈な日差しから目を守る目的で、掛けているのだという。 司書は訝しげながらも手に取り、それで、と先を促す。 「目線を隠せます」 「あー?そりゃ尚の事失礼だと思うんだが」 だからですね、と。 用務員は、ある台詞を呟いた。 「……そりゃ、用法が違わないか?」 「いえ、だから、ちょっと捻った使い方を」 そうやって、青年のレクチャーは続いた。 最初は不審げだった司書の顔も、徐々に合点が言ったのか、頷きが深くなっていった。 「いやー、あのフラワーマスターを口説き落としただけはある」 「雑学が多いだけですよ」 「まあ確かにそんなに趣味人じゃあ、留年もするわな」 「……一言余計ですorz」 ――そして、実践編と相成る。 先制から、司書の奇行は極まっていた。 「あ、あのー○○さん?」 「何だ?」 「し、室内でサングラスを何故?」 「ミラーシェイドだ――格好良いだろう?」 薄暗い室内で、必要も無いのに色眼鏡を掛ける男。 幸か不幸か、精悍な顔立ちに、その鋭角なワンポイントは、意外なほど似合っていた。 だが、そんな彼の姿に、終始不機嫌な者が一名。 「目悪くなるぜー?」 「お気遣い有難う、魔理沙――おや、リボンの色を変えたのかい?お洒落だね」 「……お前、やっぱそれ外せよ」 黒白に楽しそうに世辞を吐き。 「アリスこんにちは。えーっと、今日連れているのは――上海?」 「違うわ」 「じゃあ蓬莱」 「オルレアンなんだけど」 アリスと漫才をしてみたりするが。 「……」 「ぱ、パチェ、目が怖いわ」 「あらレミィ、大丈夫よ?私は絶好調。 ――今なら、ロイヤルフレア詠唱破棄出来そうな程度には」 よりにもよって、今日一日。 パチュリーの方は、一度も向いていないのだ。 魔女の機嫌は、見る見るうちに悪くなり―― べきり、と。 鈍い音を立てて、魔道書の鉄と革の装丁に、その細い指が突き立ち。 それを見たレミリアが、全速力で図書館から逃げ出した。 「どういうつもりよ!?」 「何を?」 「な――それを私に言わせる気!?」 「まあ怒鳴るなパチュリー、目が血走っているぞ」 「貴方のサングラスが赤いのよ!?」 「ミラーシェイドだ」 「どっちでも良いわよッ!!」 案の定、その日の暮れに、とうとう爆発。 夫婦喧嘩の時間と相成った。 ただこの光景もまた、いつもとは違っていた。 一方的に捲くし立てるパチュリーに対し、彼は反論するでもなく、ただ曖昧に応答するのみ。 口論というよりは、一方的な小言であった。 「……聞いているの?」 その態度に、息を整えて、しかし声のトーンを落として睨み付けるパチュリー。 もはや険悪な空気が渦巻いて見えるような状況で―― 「聞いてない」 「――え?」 男が、意外な一言を放った。 男は漸くミラーシェイドを外し、目頭を揉みながら、あのな、と続ける。 「――『眼鏡の下は、別の女性を物色中』って台詞、知ってるか」 「……ええ、身分を偽る影武者の女王に対して、側近の男が吐いた台詞ね」 『眼鏡の上からは、仕えるべき人として。眼鏡の下では、愛しき女として』。 そんな意味の込められた、この上なく芝居がかった台詞。 「って説明に――」 「違う。俺の場合は、そんなに捻った使い方はしてない」 訝しがるパチュリーの目の前で、「あー目が痛え」と呟いた彼の瞼が、漸く開き、 真剣そのものの視線が、パチュリーの瞳を射抜く。 それまでの態度から一転した彼の様子に、先程までの剣幕は何処へやら、 パチュリーの瞳は、戸惑いと、一抹の不安さえ見せていた。 それを、静かに見つめて、さて、と一息。 「じゃ、パチュリーはずーっと俺を見ていたわけだ?」 「……ええ、見ていたわ」 「なら答えられるな――問題です」 その一言と共に。 「!?」 彼が一息に踏み込み、パチュリーに詰め寄る。 背後の本棚に両手を置き、彼女の左右を塞ぐ様に詰め寄った。 互いの吐息を、鼻先に感じるほどの、至近距離。 あまりの強引且つ脈絡無いその展開に、魔女はとうとう怯えの色さえ見せ始めた。 しかし、彼はその強引な態度と裏腹に―― 「今日一日、俺がパチュリーの顔を、どんだけ向いていたっけ?」 努めて、優しい声で、呟いた。 「……」 何を言われたのか、解らない。 そんなパチュリーの表情が、数秒ほど続き―― 「!!」 一転。 普段血色の悪いその容貌が、紅一色に染め上げられる。 そう。 彼は一度も、パチュリーを見ていないのだ――眼鏡の上からは。 「……以上、説明終わり」 その姿に、してやったりな笑みを浮かべる。 あんだすたんど?と回答を求める彼に、蕩けた表情のまま、彼女は辛うじて頷いて見せた。 「さて、じゃ――埋め合わせだ」 その彼女との距離が、零になる。 「ん――!?」 あまりに唐突で、強引なキス。 パチュリーの目が一瞬、驚きに見開く。 「――」 だが、彼は止めない。 優しく、だが硬く彼女の身を抱き寄せ、その唇を音を立てて味わう。 「――ん――む――」 彼女もまた、身体の力を徐々に抜き、彼の背に手を置き、身を預けていった。 「――は」 彼女の無呼吸記録を軽く塗り替える時間を置いて、二人の唇が離れる。 恍惚に震える彼女は、残滓を取り払うのももどかしく、 「……○○……○○……」 熱に浮かされた声で、愛しい人の名前を呼ぶ。 「……二人っきりの時は」 その声に答えるように、彼は、想いの丈を言葉に乗せた。 ――ずっと、君だけを見ているから。 彼女は、涙さえ流して、彼の瞳を見つめ返し―― 「見るだけじゃ……嫌」 自分より背の高い彼を、抱き寄せる。 彼の身体は、軽いはずの彼女の重みに負けて、次第に下がり―― 「――確かめて。確かめさせて」 かしゃん、と。 彼が手に持っていた色眼鏡の落ちる音がして。 ランプに照らされた、二人の影が、重なった――。 「おう留年皇!やったぞ!」 「それはそれは――って留年皇言うな!?」 「しっかし、よく思いつくな!?あんな臭い言い回し」 「あー、あのですね」 「ん?」 「実は、試したんですよ」 「あの、花のお嬢さんにか」 「結果、どうなったと思います?」 「さあ?」 ――色眼鏡で私を見るたあ良い度胸ね!! ――え?いや、これは色々と事情gあー O)))) _/L 「見事に首が飛びましたよ。 問答無用、前座の仕込みも出来ませんでした。 いやー、見事に残機、減りましたねぇ」 ←※現在、蓬莱人 「そ ん な も ん を 俺 に 勧 め た の か ッ !!?」 「まあ貴方ですから。 ほら、本読んでいるから、語彙とハッタリでどうにでも――あ、待ってください、椅子はヤバイd」 「そ の 首 貰 い 受 け る ッ」 (豪快に何かが飛び散る音がしました) 10スレ目 300 ─────────────────────────────────────────────────────────── 〇〇「いきなりだが魔法を教えてほしい」 パチュ「本当にいきなりね」 〇〇「頼む!」 パチュ「却下」 〇〇「うう。……いいよ、アリスに頼むから」 パチュ「―― 待ちなさい」 〇〇「なに?」 パチュ「魔法は明日から教えてあげる。だから、アリスの所には行かないで」 〇〇「ん、わかった。今日はパチェで遊んでる」 パチェ「……好きなだけ遊びなさい」 どうやって遊ぶのかは内緒 というか思い付かぬ 7スレ目865 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「…で、パチェで遊ぶと決めたわけだが! ……何しようか」 「その前に、『で』じゃなくて『と』でしょ」 「んにゃ、『で』が正しい」 「妖しい響きね……。それで、具体的には?」 「とりあえず乳繰り合おうか」(ワキワキ) 「え……何その手!? ちょっ、待って、心の準備が……」(後ずさり) 「問答無用っ!」(こちょこちょ) 「ぁ……ダメっ・・・…そんなとこ…触られたらっ…!」(頬を染め) 「へっへっへ、可愛い声出すじゃねぇか嬢ちゃんよ」(興奮してきたお) 「んっ! だめ……だって、ふぁ……」(口が半開きになって) 「へっへっへ、観念しなっ」(やめられないお) 「ふぁ…………ふぁ……………………ふああああああっくしょん!」 「……………………パチェ」 「ななななに!? ○○が悪いのよ! あんなとこ触るから!」 「だからってくしゃみは無いと思うぞ」 「うるさいわね! とにかく、謝りなさい!」 「何で俺が…………」 「うるさいうるさいうるさい! あやまれ~~~~!」(じたばた) 「はいはい、すみませんでした」 「むきゅ~~!! 誠意が感じられないっ、もう一回!」(じたばた!) 「…………(なんでツンデレ仕様なんだ)」 7スレ目868 ─────────────────────────────────────────────────────────── 〇〇「……仕方ないなぁ」 ぎゅっ パチェ「ひゃっ!いきなりなによ」 〇〇「ごめんね、パチェ。ちょっと調子に乗りすぎたよ」 パチェ「わ、分かればいいのよ」 〇〇「ありがとう」 パチェ「何で礼を言うの」 〇〇「? パチェが許してくれたからだよ」 パチェ「そう」 〇〇「さて、改めてパチェで遊ぼ「却下」えー」 パチェ「『と』ならいいけど『で』はダメ」 〇〇「そっか。……たまには無理矢理もいいよね?」 パチェ「無理矢理って―― ちょっと、本を取らないで」 〇〇「駄目。今日はパチェには抱き枕になってもらうから」 小悪魔(熱いなぁ) 7スレ目871 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○「パチュリー」 パ「…………」 ○「ぱっちゅさーん」 パ「…………」 ○「パチェー」 パ「…………」 ○「紫もやしー」 パ「…………」 ○「……反応無しですか」 スゥーーーーーー ○「パチュリーーーーーーーーー!!!」 パ「不下うwさmさえふぃh&7dふぇえw8!!??」 ○「ああ、やっと気づいたか」 パ「ま、○○?なによいきなり大声出して」 ○「何って何度呼んでもパチュリーが返事をしないから大声出して呼んだだけだ」 パ「……悪かったわよ」 ○「で、なに読んでるんだ?」 パ「○○には関係ないことよ」 ○「ふ、お前のことで俺に関係ないことなんて一つもないんだよ」 パ「…………馬鹿」 ○「と、言うわけでパチュリーが読んでる本GET」 パ「あ……」 ○「結婚雑誌?」 パ「な、なによ悪い?」 ○「いや悪いなんてことはないけど……パチュリーって結構結婚願望あるんだなーって思ってさ」 パ「べ、別に結婚願望があるわけじゃないわ、ただ……」 ○「ただ?」 パ「ま、○○と結婚したいと思っただけよ////」 ○「うおぉーーーーーー!!パチェーーー!!好きだーーー!結婚しよーーー!!」 だきっ! パ「むきゅー!?」 7スレ目962 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「……ふぅ」 手が届かない。どうしたものか。 目当ての書籍を前にして、悩んでいると 影が私を覆った。 「はい、どうぞ。パチュリー様」 「あ、ありがとう、○○」 (いつのまに後ろに……?) 「そこの本棚に用事があったのですよ。苦戦しているパチュリー様が見えましたので、そのついでです」 尋ねてもいないのに答えが返ってくる。 (顔に出ていたのかしら……それよりも) "苦戦している"、ということはとどのつまり。 ジャンプやら背伸びまでして取ろうとしていた姿を (見られてた――!?) 最初から見ていたのならすぐに手伝いなさい、と叫ぼうと後ろを振り向いた時には既に遅く。 彼は遠い本棚の隙間へと消えていた。 彼が、どうして此処へ来たのか、私は知らない。 この館の主である吸血鬼のレミリアにどういうわけかいたく気に入られ、 身の回りの世話はメイド長がしているということで図書館の司書に、ということだった。 人間にしては細かい所まで目が行き、司書としての働きは悪くない。 何しろ乱雑に並んでいるだけだったこの図書館の膨大な書籍を 彼は一月足らずで分類別、かつアルファベット順に並び替えるという所業をやってのけたのだ。 それは知識を得ることが容易になったということでもあり 私にとっては、とてもありがたいことでもあった。 司書として優秀なのは上述した通り、なのだが 彼は一切の素性を伏せている。 「別にいいじゃないですか、そんな事」 といって、何度尋ねても笑って誤魔化す。 そもそも、レミリアに何の段取りもなく謁見したということは、あの門番を倒してきたということで。 (……ただの人間に、役立たずとはいえあの門番が倒せるのかしら) 只者ではないということは確かである。 「よし……と」 今日の仕事も滞り無く終わった。 魔理沙という魔法使いの少女が、「読み終わったから返すぜ」と 3ケタになろうかという本を持ち寄った時にはさすがに面食らったけれど。 いつものようにパチェリー様は本を読み耽っている。 本当に知識欲が旺盛な方だ。 件の本の山もようやく棚に戻し終え、帰りに苦戦するパチェリー様を手伝い、今に至る。 「さて、やることが無くなりましたね……どうしましょうか」 家事に関しては一般人程度にはできるものの、この館のメイド長には遠く及ばない。 手伝おうかとも思ったけれど、また「私の仕事までやらなくてもいいのよ」とやんわり拒絶されそうだ。 (お茶を淹れるくらいなら問題は無いでしょう……さて、キッチンはどこでしたっけ) 廊下を歩いているメイド(妖精)の誰かに尋ねれば分かるかな。 パチュリーの反応楽しみにしつつ、鼻歌交じりで廊下へ続くドアを開けた。 「あら、○○。仕事はどうしたの?」 廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。 「おや、咲夜様。本日の仕事でしたら、全て滞り無く終わりましたよ」 「途中で魔理沙が本を返しに来たはずだけど、それも含めて?」 「ええ、勿論」 「まだ夕刻には程遠いのに……凄いわね」 感心するように溜息をつく咲夜様。 「それ程の事でもございませんよ。図書館という、小さな空間での事ですから……それよりも、昨夜様?」 貴方に言いつけてある仕事の量なら、夜までかかるはずなのだけれど、と呟いていたメイド長に、尋ねる。 「あ、ええ……何かしら?」 「キッチンは、どこでしょうか?」 「さて、こんなものでしょうか」 咲夜にキッチンの場所、ポット、茶葉、ティーカップの在処を尋ねた後、別れてからキッチンに辿り着くまでおよそ15分。 (想像以上に広いですねぇ、この館は……) 妖怪の類や、人間のハズなのに飛べるメイド長からしたら短いのかも知れないけど、徒歩ではいささかキツい。 「保温ポットが確かここに……ああ、ありました」 時間を考えると淹れてからそのまま図書館に戻るようでは冷めてしまう。 淹れたお茶を保温ポットに移しなおし、腕に抱えて歩き出す。 (喜んでくれるといいのですが) 「パチュリー様? ああ、そちらにいらしたんですね」 「○○? どうしたの?」 「いえ、喉が渇いたかと思いまして。お茶をお持ち致しました」 壁の時計を見やる。丁度アフタヌーンティーくらいには丁度いい。 要不要の声も聞かずにポットからカップへお茶を注ぐ○○。 ただし、そのお茶は暗がりで見てもやや青い。 「……何ソレ、毒?」 今まで見たことがない色のお茶であったため、少々警戒を抱く。 「まさか、とんでもない。私も飲むのに毒を入れるわけが無いじゃないですか」 そうして淡々と二つのカップにお茶(?)を淹れ終わり、私に一つ差し出す。 「では、ご賞味くださいませ」 「本日のお茶はマロウブルーティーです。ちょっとしたハーブティーですよ」 喘息持ちの彼女の為に、直接的ではないが、喉へ良いと書かれていたお茶を差し出す。 まさか茶葉の棚にハーブティーまであるとは予想もしていなかった。 普通の紅茶を淹れようと思っていたのだが、目的のハーブを見つけたのでそれを淹れることにした。 「効果は?」 「さて。"知識"の名を冠す貴女なのだからもうご存知だと思っていたのですが」 「もったいぶらずに教えなさいよ」 「万病の予防になると言われています。喉や声に特によく効くのだとか」 素っ気無く言い、そのまま自分の分に口をつける。うん、苦い。 彼女の分には砂糖を一応つけておいたのだが、自分のを用意するのを忘れるとは……不覚。 「それなりに苦いですから、砂糖をつけることをオススメしますよ」 ちょっと顔をしかめつつ、笑顔で忠告をくれる○○。 なんでこうも気がよく回るのだろう。 なんでここまで優しいのだろう。 何故、色んなことを知っているのだろう。 私でも知らないことが、あるのに。 「パチュリー様?」 呆けてしまっていたらしい。私としたことが。 「え、ええ……わかったわ。ご忠告ありがとう」 「どういたしまして。残りはここに置いていきますね。保温ポットですからしばらくは持つはずです」 「貴方はどうするの?」 「明日の仕事になりそうな事をあらかじめ片付けておきます。 カップ等を下げたくなったらお呼び下さい。すぐに参ります」 それだけ言って自分のカップを手に踵を返す○○。 「ねえ、○○」 ふと、口から零れてしまった。 「どうかしましたか?」 「これからは、私のことは呼び捨てでいいわよ。何ならパチェ、でもいいわ」 彼の事が、もっと知りたい。 私の中の知識欲に、小さな火が灯る。 「しかし、貴女は私の主の御友人。そうそう無礼をはたらくわけには」 「良い、と言っているのよ。わからないなら命令よ、コレは」 「……承知致しました。パチュリー。…これでよろしいですか?」 「ええ。下がってもいいわ」 「御意に」 彼の姿が見えなくなってから、自分の顔を抑える。 (言っちゃった…言っちゃった…!) 今、顔はきっと火のように赤いのだろう。 でも、それはそれで良かったような気もする。 これから、少しずつ仲良くなればいいのだから。 少しずつ、知っていけばいいのだから。 うpろだ547 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「あら○○、お茶の時間かしら」 「はいパチュリー様、レミリア様が呼ばれていますよ」 「ありがと・・・どう?紅魔館にはなれたかしら?」 「・・・まぁ、まぁと言った所です」 少し言いよどんで眼を背けた その様子からまだなじめないでいるのは解かる 「・・・人間と言うのは慣れるイキモノよ、人間だった貴方も例外ではないわ」 「そう・・・だといいんですが」 「慣れるわ、人間は人殺しすら慣れてしまうもの」 そう言って彼女は可笑しそうに笑った 俺を残して彼女はお茶を飲みに行った、俺はとんでもないところに来たと再認識した 「あら・・・何をやってるの?」 「あ、パチュリー様、少々散らかっていたので本の整理を・・・埃も溜まっていますよ、喘息にはよくありません」 「・・・あ、ありがと」 そのまま片づけを再開した、埃が立つので数冊の本を持って出て行ってもらった 「何か片付けが楽しくなってきた・・・」 「おいパチュリー!本を借りに来たぜ!」 ドアを乱暴に開け放ち白黒が登場した 「出たな白黒!この図書館は清掃中だ!貴様の好きにはさせん!!」 「おのれ○○!またしても私の邪魔をするか!」 なんとノリのいい魔法使いだ、絶対特撮見てやがる 「と、言うわけで清掃中だ、悪いが今日は帰れ」 「ああ、邪魔して悪かったな、仕事がんばれよー」 立った数分で退場、白黒の出番は基本的に少ないらしい ふいてはわいて、本を整理して、一段落したので開けている窓を閉めようと 「え?」 うっすらとだが空が白み始めている 「・・・徹夜か・・・パチュリー様怒ってるかな」 「怒ってないから安心しなさい」 「そっかーそれなら・・・!?パチュリー様!」 「おはよう○○、もう6時ぐらいかしらね」 図書館を見て回るパチュリー、それをびびりながら見る○○ 「綺麗になったわね・・・ありがとう○○この図書館も喜んでると思うわ」 「い、いえもったいないお言葉です、はい」 「ふふふ・・・いい子ね、使い魔にしたいぐらい・・・レミィ怒るかしら」 「そ、それは」 「その気になったらいつでも言いなさい、すぐに僕にしてあげるわ」 「は、はい考えておきます、それでは」 彼女の読書を邪魔すまいと思い図書館を去ろうとしたとき 「○○・・・本当に色々と、ありがとう」 今世紀最高(当社比)の笑顔をくれた、朝日をバックにした彼女の笑顔は最高だった 「眼がー眼がー!!灰にー」 日の光を浴びる莫迦な吸血鬼、色々台無し 終 8スレ目 562 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/dactiltoeb/pages/103.html
クラスリスト 注意:クラスの説明はTOEBにおいても当てはまるとは限らない 男性クラス ■・ソルジャー? ├ ・ナイト? ┬→ ・ホワイトナイト? ─→ ・パラディン? ─→ ・ロード? ┬→ ・ロード(64)? │ │ └→ ・(ダークエレメント)? │ ├→ ・テンプルナイト? ─→ ・テンプルコマンド? ─→ ・デステンプラー? │ ├→ ・ドラグーン? ┬→ ・ドラグーン(伝)? │ │ └→ ・ゲートキーパー? │ ├→ ・ジェネラル? ┬→ ・ハイランダー? │ │ ├→ ・ジェネラル(Q)? │ │ └→ ・ジェネラル(P)? │ ├→ ・スペリオルナイト? ┬→ ・ソリッドブレード? │ │ └→ ・オーヴァーロード? │ └→ ・ヴァンパイア? ⇔ ・棺桶? │ ├ ・バーサーカー? ┬→ ・ブラックナイト? ─→ ・ダークプリンス? │ └→ ・テラーナイト? ─→ ・レリクスナイト? │ ├ ・グラディエイター? ─→ ・ヴァンガード? ─→ ・ジェネラル(M)? │ ├ ・ニンジャ? ―→ ・ニンジャマスター? ┬→ ・ダークストーカー? │ └→ ・グラップラー? ├ ・ファランクス? ―→ ・カタクラフト? │ ├ ・フェンサー? ―→ ・ソードマスター? ┐ │ ├→ ・ウォリアー? ├ ・サムライ? ―→ ・サムライマスター? ┘ │ ├ ・ビーストテイマー? ―→ ・ビーストマスター? │ ├ ・ウィザード? ―→ ・ゴエティック? ┬→ ・ソーサーラー? │ ├→ ・ロードマンサー? │ ├→ ・ウォーロック(64)? │ └→ ・ネクロマンサー? ┬→ ・リッチ? │ └→ ・バニティ? ┬→ ・フレイルモナーク? │ └→ ・ワイズマン? ├ ・エクソシスト? ―→ ・ドールマスター? ―→ ・エンチャンター? ―→ ・ウォーロック? │ ├ ・ガンナー? │ └ ・センチュリオン♂? ■・ファイター? ├ ソルジャー派生と同じ(センチュリオン♂を除く) └・ジェミニ? ┌→ ・テンプルコマンド(バールゼフォン)? ┐ ├→ ・テンプルコマンド(ヴォラック)? | ├→ ・テンプルコマンド(バルバス)? | ・テンプルナイト? ┼→ ・テンプルコマンド(マルティム)? ├→ ・デステンプラー? ├→ ・テンプルコマンド(オズ)? | ├→ ・テンプルコマンド(オズマ)? | └→ ・テンプルコマンド(アンドラス)? ┘ 女性クラス ■・アマゾネス? ├ ・アーチャー? ―→ ・ディアナ? │ ├ ・ヴァルキリー? ┬→ ・フレイア? | └→ ・ブレイズナイト? ―→ ・ルーンナイト? | ├ ・ドラゴンテイマー? ―→ ・ドラゴンマスター? │ ├ ・ソーサレス? ┬→ ・セイレーン? ―→ ・デーモン? │ └→ ・サモナー? ┬→ ・シャーマン? | ├→ ・シーアルジスト? │ └→ ・ヴェネフィック? | ├ ・クレリック? ―→ ・プリースト? ┬→ ・ビショップ? | ├→ ・ハイプリースト? ―→ ・プリンセス? | └→ ・ダークプリースト? ―→ ・ブラッククィーン? ├ ・ウィッチ? ―→ ・うぃっち? | └ ・センチュリオン♀? 屍人・転成系クラス ・ホワイトナイト? ―→ ・デスナイト? ・ソルジャー? ┬→ ・ゾンビ? ┬→ ・スケルトン? ―→ ・スケルトンナイト? ・ナイト? ┤ └→ ・ゴースト? ―→ ・ファントム? ・バーサーカー? ┤ ・ウィザード? ┤ ・アマゾネス? ┤ ・アーチャー? ┘ 亜人系クラス ・フェアリー? ―→ ・ピクシー? ―→ ・シルフ? ・グレムリン? ―→ ・デビル? ―→ ・デーモン(伝)? ―→ ・サタン? ・ホークマン? ┬→ ・バルタン? └→ ・レイヴン? ・ゴブリン? ・リザードマン? ―→ ・ゲイビアル? ・パンプキンヘッド? ―→ ・マッドハロウィン? ・マーメイド? ―→ ・ニクシー? ・エンジェル? ―→ ・スローンズ? ―→ ・セラフィム? ・サテュロス? ―→ ・デーモン(64)?
https://w.atwiki.jp/tohogyokureiki/pages/40.html
コダマ名 HP 攻撃 防御 速度 合計 属性1 属性2 攻撃属性 弱点 耐性 スキル 必要アイテム ちびパチェ 90 105 65 20 280 理 - 理炎水樹地鋼 虫霊闇 闘理 - パチュリーカード Dパチュリー 100 110 140 30 380 理 地 理地(炎水樹毒鋼) 水樹氷虫霊闇 雷闘毒理岩 動かない大図書館 守の霊珠 Aパチュリー 100 130 85 65 380 理 炎 理炎(水樹毒地鋼) 水地岩霊闇 樹闘鋼氷理炎然 動かない大図書館 力の霊珠 Nパチュリー 105 115 75 85 380 理 樹 理樹(炎水毒地鋼) 虫炎氷毒風霊闇 水雷樹闘地理 動かない大図書館 不偏の霊珠 Sパチュリー 95 105 80 100 380 理 水 理水(炎樹毒地鋼) 雷樹虫霊闇 炎水氷闘理鋼 動かない大図書館 疾風の霊珠 Pパチュリー 100 135 75 90 400 理 樹 理樹炎 虫炎氷毒風霊闇 水雷樹闘地理 動かない魔法少女 Pパチュリーカード ※青文字は属性一致、赤文字は重複弱点、緑文字は重複耐性、灰色は無効、(括弧内)はスキル効果あり #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ちびパチェ Dパチュリー Aパチュリー Nパチュリー Sパチュリー Pパチュリー スキル 動かない大図書館 SLv×20%の確率で、スペルの威力が属性一致扱いになります。 動かない魔法少女 効果抜群の時、与えるダメージがSLv×6%増加します。 スペル スペル名 属性 威力 消費 詳細 必要銭 ちびパチェ Dパチュリー Aパチュリー Nパチュリー Sパチュリー Pパチュリー サイレントセレナ 理 80 20 通常攻撃(初期) 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 賢者の石 理 100 30 通常攻撃 20000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 理 120 40 自分の攻撃と防御と速度を10%上げます。 禁呪 - ○ ○ ○ ○ - ロイヤルダイアモンドリング 理 120 40 相手の防御を20%下げます。 100000銭 - - - - - ○ 理 150 50 相手の防御を30%下げます。 禁呪 - - - - - ○ シルフィホルン 樹 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ グリーンストーム 樹 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ ○ フォトシンセシス 樹 - 0 味方全員のVPを50%回復します。 50000銭 - ○ ○ ○ ○ - サテライトヒマワリ 樹 120 40 通常攻撃 100000銭 - ○ - ○ - ○ 樹 120 40 与えたダメージの1/4、HPが回復します。 禁呪 - - - ○ - ○ マーキュリポイズン 毒 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ - 毒 120 40 与えたダメージの1/8、相手のVPを減少させます。 禁呪 - - ○ - ○ - レイジィトリリトン 地 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ - トリリトンシェイク 地 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ - エメラルドメガロポリス 地 120 40 自分の防御を20%上げます。 100000銭 - ○ - ○ - - 地 150 50 自分の防御を30%上げます。 禁呪 - ○ - - - - メタルファティーグ 鋼 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ - シルバードラゴン 鋼 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ - エレメンタルハーベスター 鋼 120 40 相手の防御を20%下げます。 100000銭 - ○ - ○ - - 鋼 150 50 相手の防御を30%下げます。 禁呪 - - - ○ - - プリンセスウンディネ 水 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ - ベリーインレイク 水 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ - ノエキアンデリュージュ 水 120 40 相手の速度を20%下げます。 100000銭 - - - ○ ○ - 水 150 50 相手の速度を30%下げます。 禁呪 - - - ○ ○ - ジェリーフィッシュプリンセス 水 - 10 先行になります。3ターンの間、攻撃スペルのダメージを半減します。交代しても効果は継続します。 150000銭 - ○ ○ ○ ○ - アグニシャイン 炎 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ アグニレイディアンス 炎 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ ○ セントエルモピラー 炎 120 40 通常攻撃 100000銭 - - ○ ○ - ○ 炎 120 40 与えたダメージの1/8、相手のVPを減少させます。 禁呪 - - ○ - - ○ ロイヤルフレア 炎 150 50 与えたダメージの1/6、相手のVPを減少させます。 300000銭 - - ○ ○ - - 炎 200 80 与えたダメージの1/6、相手のVPを減少させます。 禁呪 - - ○ - - - カード効果 アイテム名 装備時効果 契約コダマ 入手(金額) 備考 パチュリーカード 攻撃が30増加します。 ちびパチェ 中吉印の福袋・アイテムショップ(1000000銭) 11-7クリアでショップ追加 Pパチュリーカード VPと攻撃と防御が50増加します。 Pパチュリー PH4-7初クリア報酬 -
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/459.html
アクア(あくあ) 概要 ラタトスクの騎士に登場したキャラクター。 登場作品 + 目次 TOSラタトスクの騎士 TOSラタトスクの騎士 「・・・・・・ふ~ん。アンタ、ちょっとカッコイイじゃない。リヒターさまの1億分の1ぐらいだけど」 年齢:??歳 性別:女性 身長:??cm 体重:??kg 声優:本多陽子 精霊ラタトスクに従うセンチュリオンの一つ。水の属性をまとう存在。 おきゃんでうるさく、生真面目なテネブラエとは犬猿の仲。 彼女もまた、配下に魔物を従えており、それを使役することで戦う。 リヒターの境遇に同情し、彼のために現在はラタトスクのもとを離れて行動を共にしている。 + ネタバレ 同属性の魔物と縁を結びマナのバランスを整えるというセンチュリオンの役目も放棄している為、水属性の魔物達が野放し状態になり、その影響で世界各地で水に関する災害が起こっている。 リヒターとアステルをラタトスクの元へと案内したのは、元々は彼女。アステルが死ぬ間接的な原因を作った事に責任を感じたのがラタトスクへの離反のきっかけだったが、センチュリオンの身でありながらいつしかリヒターを愛するようになった。 ギンヌンガ・ガップではエミル達の前に立ちはだかるが、敗北しコアの状態に戻る。最終戦後はエミルの真意を知ったのに加え、ラタトスクがヒトを滅ぼそうとするのを取りやめたのもあってか、ラタトスクへの憤りは無くなったらしく、ラタトスクが人間・エミルとして生きる事にテネブラエ共々快く賛成していた。 ▲