約 4,200,048 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1405.html
>>back >>next スクライド・零 20 「なんと、『土くれのフーケ』の正体はミス・ロングビルじゃったのか」 『どっちかというと逆のような…』 オールド・オスマンに【破壊の杖】奪回の顛末を報告にしたルイズら3人+カズマであるが、 そのオスマン、口調とは裏腹に目はとりたてて驚いていない。おかげで、心の中で 妙なツッコミも入れようというものである。 「美人じゃったもんで、酒場で給仕をしていたところに声をかけて秘書にしてしもうた」 「「「なんでまた」」」 疑問を唱えたのはコルベールとルイズ、そしてキュルケである。タバサとカズマは我関せず。 「尻をなでても怒らんかったうえに魔法も使えると言うんでな。 にしては秘書を始めてからはぶん殴られたり蹴られたり踏まれたりもしたもんじゃが…。 とにかく、すこぶる付きで有能な秘書じゃっただけに残念だの」 本当に残念なのか表情からどうかわからないから困ったものだ。 『どこから冗談なんだこのじーさん』 みんなそう思ったという。 「まー、別にミス・ロングビルがフーケだったなんぞと城に報告せにゃならんわけでもなし、 フーケは逃げたことにでもしてしまってここにいる人間以外他言無用、 監視つきでここで働いてもらった方がわしとしては正直助かるんじゃがの。 おぬしらどう思う?」 何を言い出すのだこのじいさまは。 「あの、ルイズ、いえ、ミス・ヴァリエールなど踏み潰されて死ぬところでしたし、 学院の被害は壁だけかもしれませんが、流石によそでも犯罪を犯した者を 引き続き雇用するのはどうかと思いますわ」 まずキュルケが異を唱える。続けて、 「その通りです。いくら自らは貴族の名を捨てたとはいえ、貴族の子弟を導くべき 学院に働く者としてふさわしくないかと」 ルイズが追随する。それにタバサも軽くうなづいて同意。 コルベールに至っては、 「学院長。官憲に突き出すと脅せばセクハラし放題、とか考えておりますまいな?」 などと言う始末である。 「わーかったわかった。ミス・ロングビルは衛士に引き渡すわい。 その際にミス・ヴァリエールとミス・ツェルプストーの『シュヴァリエ』の爵位申請を しておこう。ミス・タバサはすでにシュヴァリエの爵位を持っておるので精霊勲章をな。 追って沙汰があることじゃろうて」 その言葉に3人の顔がほころぶ。が、ルイズが気づいた。 「あの、オールド・オスマン。カズマには…」 「残念ながら彼は貴族ではないのでな。それに言ってはナンじゃが 使い魔の手柄は主の手柄じゃ。ミス・ヴァリエールが褒美を受ければ十分…」 建前としては確かにそうだろうが、3人にしてみればカズマがいなければ、 ゴーレムを倒しフーケを捕らえることなど不可能であったことは自明だ。 いくらカズマ本人が全く気にしていない風でも納得しがたいものがある。 「と言われるのがオチじゃからの。代わりに報奨金でもたんまりふんだくってやるわい。 しばらく待っちょれ」 ほっと胸をなで下ろすルイズににやにや笑いをするキュルケが思う。 『なんだかんだ言ってもうまくやっていけそうじゃないの、この二人』 そのなんとなーく暖かい視線に気づいたルイズはと言うと、 とたんに不機嫌になったりするんだが、そこはまぁ、ルイズだししょうがない。 「そういえばお前さん、カズマと言ったかの。なんであの杖の使い方を知っておったんじゃ?」 オスマンが問うと、コルベールまでも興味津々といった目で見る。 「あぁ? ガキの頃からしょっちゅう見てりゃ、イヤでもそれくらい覚える」 どうでもよさそうにそう答えるが、興味を引かれた者もいるようだ。 「なんと、君はあれほどの巨大なゴーレムを吹き飛ばすほどのマジックアイテムと 子供の頃から接する機会があったのかね!」 すなわちコルベールである。愉快な勘違いをする男だ。 「あんなもんただの武器だ。珍しくもなんともねぇ」 つまらなそうに吐き捨てたが、それに反してコルベールはいっそう目を輝かせているではないか。 「なんと、あれほどの物が珍しくないと。うぅむ、これは俄然興味が湧いてきましたぞ。 ぜひそのあたりを詳しく…」 「いい加減にせんか、ミスタ・コルベール。迷惑がっとるしそもそも今でなくてもええじゃろ。 さて諸君、無事に【破壊の杖】も戻ってきたことじゃし、今夜は予定通り 『フリッグの舞踏会』を執り行う。諸君らが主役じゃ、大いに着飾るがええ」 オールド・オスマンの宣言に小さな歓声があがった。 さて、『フリッグの舞踏会』はアルヴィーズの食堂の上の階にあるホールで開かれる。 流石は貴族の子弟の集まる魔法学院、華やかなものだ。 キュルケは自らの魅力をたっぷりと振りまきながら、パートナーをとっかえひっかえして 踊っている。対してタバサであるが、その小柄な体を黒いパーティードレスに包み、 体に似合わぬ勢いでテーブルの上の料理と格闘中。ドレスの作りもあるのだろうが、 見た目が一切変わらないと言うのが恐ろしい。ルイズはまだ姿を見せていない。 そしてカズマはというと、中庭にいた。 「いいんですか? 行かなくて」 どこからか運び出してきたテーブルに、舞踏会へ出す料理の一部を並べながら シエスタが話しかける。 「…」 別に気まずくて黙っているとか言うわけではなく、一心不乱に食べているだけである。 ある意味子供のような様子にシエスタの顔に笑みが生まれる。 そもそもここにいる理由が子供じみたものであったりするのだが、さすがにそこまでは シエスタには知るよしも無い。 そうしているうちにルイズがホールに登場する。清楚な白のパーティードレスに包まれた その姿は、なるほど、公爵家第三息女と呼ばれるにふさわしい可憐な美しさを見るものに 印象付けている。 最後の主役の登場に、楽士が改めて音楽を紡ぎだすと男子生徒が我先にとルイズを誘う。 その手を優雅な所作であしらうのもまた堂に入ったものである。 「そこまで袖にするところを見ると、既に君の手を取る幸運な男性は決まっているのかな? ミス・ヴァリエール」 「少なくともあなたではないわね、ミスタ・グラモン。あなたの手は他につなぐ 相手がいるでしょう?」 互いに軽く微笑みながら言葉を交わす。そこへ曲の変わり目を見計らったキュルケも やってきた。 「あらミス・ヴァリエール。お供はどうしたのかしら?」 その言葉にルイズはちょっぴり顔を引きつらせるとすねたように答える。 「いいのよ、来たくないっていうんだもの」 そうは言うが、さすがにいつもの右袖を切り落とした黒革ジャンではまずかろうと、 従者用の服に着替えさせようとしたら逃げ出した、というのが真相だったり。 「んな窮屈なかっこできるかっての」 「まぁ」 とシエスタが朗らかに笑う。 「相変わらずすごいですね、カズマさんは。私と同じ平民なのに平気で貴族の方に 逆らえるなんて」 「平民も貴族もねぇ。俺はそうしなきゃ生きてこれなかっただけだ」 そういうカズマを少々熱っぽい視線で見るシエスタ。 「そういえばカズマさん、ミス・ヴァリエールに召喚される前はどんなところに いたんですか?」 「そうね、それは是非私も聞かせてもらいたいわ」 ルイズである。主役が会場からいなくなってどうする、せっかく二人きりだったのに、 などとシエスタが考えているかどうかはさておき、ルイズが満足するまでカズマは 長い長い話をさせられたのであった。 それをバルコニーから見守る目が3対あったことを記して、この物語を終わることとしよう。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/supergirl121/pages/164.html
それは日常、ごく普通の光景である。 三人の女子高生が歩いていた。真中を歩く少女は三人のなかで背が低い。とはいえ、それは彼女の魅力を削ぐ物ではない。 肩まで掛かった黒髪、大きく潤んだような眼、子犬を思わせる可愛らしさである。 「ねぇねぇ、はるか?いまからクレ-プ食べに行かない?駅前に新しいお店が出来たんだよ♪」 少女=はるかは首を振った。その仕草が、また可愛いのだ。 「約束?彼氏とか?」 笑みを浮べ、別の少女が軽く肘を当てる真似をした。 「違うの、大そうじだよ♪」 「大そうじ?」 意味が判らない友達に、悪戯っぽい笑みを浮かべる。 真夜中の教室は恐い。妖怪や幽霊が出るという、他愛も無い話に子供の頃、震えた物だ。 だが、校長はそんな物は迷信だと知っていたし、これから教室で行なう行為の為なら、お化けだろうと悪魔だろうと関係ないのである。 ドアを開ける。そこには少女が立っていた。 子犬のように潤んだ目が、恐怖と不安でさらに潤んでい。校長はイチモツが熱さを憶えるのを感じた。 化物ような妻との申し訳のセックスはウンザリだ。初めて路上で塾帰りの中学生を手篭めにした時の快感が忘れられなかった。 「来たね。」 少女は頷く。 「まさか、君から膿を誘うなんて・・・・。入学式で初めて見てから、君の事が気になってしょうがなかったんだよ・・・・。」 すぐに押し倒したいという欲望を抑えた。もう少し、この少女を言葉で嬲り目茶目茶に犯すのだ。 「君も、そうなんだろう?だから、膿を呼んだ・・・・。」 「違います」 「違うって、じゃぁ何?」 「大そうじです」 「大そうじ?」 何を言っているんだ?校長は怪訝な表情を浮かべた。この少女は少し頭が足りないのか? そうではない。わが女子高が明治以来の名門校で頭の良い娘しか通えない。 「腐ったおとなの大そうじ♪」 ふいに風が起きた。すると、少女の姿が変わった。 青い服にSというロゴ、赤いマントに赤いミニスカート。 「あ、あんたまさか・・・・!?」 声を震わせる校長。以前、テロリストを一夜で壊滅させた少女が居るという。 「そう、私がスーパーガールよ♪」 少女は近づく。 「ま、待ってくれ!!こ・・・これは出来心なんだ!?」 「出来心で、女の子を無理矢理レイプして孕ませて自殺に追い遣った?なら、アタシも出来心で、校長先生をお掃除して良いわね?」 嬉しそうに言い、小振りな乳房で頭を挟む。 ミシミシ 強烈な痛み、脳が割れそうだ。 「やぶで~!!だぶげで~!!」 半泣きになる。だが、スーパーガールは許さなかった。 胸を掴む腕の力を、さらに込める。 ミシッ それは頭蓋が砕けた音ではない。脳内で脳味噌がつぶれた音だ。 とわいえ、死ぬ程瞑れた訳ではない。 精神を司る器官が瞑れたのだ。おそらく一生、精神病院の檻のなかであろう。 「お掃除完了!!」 笑みを浮べ、空に飛び去る。 <終わり>
https://w.atwiki.jp/siomura/pages/19.html
塩村文夏の父と備掃社が福山市を恫喝!? こらっ!国民をバカだと思っているのか!? http //kojirokatura.blog77.fc2.com/blog-entry-363.html (06/27)塩村がパンチラを強要し、家賃未払いを否定 http //gachi-sinpu.seesaa.net/article/400399500.html (06/26)塩村は恫喝ヤクザの娘だった! http //gachi-sinpu.seesaa.net/article/400318161.html (06/25)偽装だらけの塩村あやか http //gachi-sinpu.seesaa.net/article/400251685.html (06/24)塩村が刑事告訴と発言 http //gachi-sinpu.seesaa.net/article/400210625.html (06/24)泣き女塩村の経歴 http //gachi-sinpu.seesaa.net/article/400164534.html (06/23)塩村へのヤジ、字幕はうそだった! http //gachi-sinpu.seesaa.net/article/400134762.html (06/23)塩村が世界に拡散されている!! http //gachi-sinpu.seesaa.net/article/400068234.html (06/22)被害者ヅラする塩村とメディアの「セクハラヤジ」は本当か?! http //gachi-sinpu.seesaa.net/article/400046428.html
https://w.atwiki.jp/peepingnicotto/pages/150.html
変な事すると、世界の誰かに自分の発言を見られて、呆れられたり、笑われたりして、恥かいてるのは自分だって認識持つべきだわ。 (471686島/Sara) クレーマー婆Saraの発言。 「セクハラされた(激怒)」のブログに凸コメを残した厨への返答。 典型的な『お前が言うな』である。 Sara(471686島)、変な事1 Sara(471686島)、変な事2 本記事に対して情報がある方は下記コメント機能をご利用ください。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5257.html
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。 の、まとめサイト。 検索 and or 現スレ あの作品のキャラがルイズに召喚されました part328 前スレ あの作品のキャラがルイズに召喚されました part327 作品投下スレ あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 2スレ目 歴代スレ 過去ログ保管庫 避難所 更新履歴 新着情報 長編(五十音順)あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 その他 長編(話数順)01~04P 05~14P 15P~ 長編(完結) お預かり作品 小ネタあ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 その他 ??? 登録タグ お絵描き掲示板 リンク
https://w.atwiki.jp/comic-sale/pages/100.html
発売日 書名 著者 価格(予定も含む) 4月13日 アリスと蔵六(5) 今井哲也 ¥620 4月13日 シュガーウォール(3) ninikumi ¥620 4月13日 明日がんばる(2) 藤田里奈 ¥620 4月13日 夢☆恋(3) 八丸真幸 ¥620 4月20日 コンシェルジュ インペリアル(1) いしぜきひでゆき、藤栄道彦 ¥562 4月20日 いぶり暮らし(2) 大島千春 ¥580 4月20日 人魚の王子さま(3) 和深ゆあな ¥580 4月20日 スズキさんはただ静かに暮らしたい(1) 佐藤洋寿 ¥580 4月25日 俺、セクハラされてます。 藤峰 式 ¥600 4月25日 ホテル・菱沼楼 サクラサクヤ ¥600
https://w.atwiki.jp/smilewatch/pages/150.html
変な事すると、世界の誰かに自分の発言を見られて、呆れられたり、笑われたりして、恥かいてるのは自分だって認識持つべきだわ。 (471686島/Sara) クレーマー婆Saraの発言。 「セクハラされた(激怒)」のブログに凸コメを残した厨への返答。 典型的な『お前が言うな』である。 Sara(471686島)、変な事1 Sara(471686島)、変な事2 本記事に対して情報がある方は下記コメント機能をご利用ください。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5532.html
前ページ次ページゼロの工作員 トリステイン魔法学院の宝物庫にはコルベールのガラクタから 強力なマジックアイテムまで古今東西のあらゆる貴重品が納められている。 分厚い鉄扉の管理はスクウェアメイジたる学長のオールド・オスマンが管理し、 強力なメイジによる 固定化 がかけられ鉄壁の防御を誇る。 腰まで掛かるウェーブの入った長い緑の髪と、フレームなしの眼鏡を付けた 気の強そうな女性が目録の確認をしている。オスマンの秘書、ロングビルだ。 「さぁさ、皆様、教材を選んだら出てって下さいな」 先日ルイズの魔法で吹き飛ばされ、二度と彼女に魔法を唱えさせまいと誓った 『赤土』のシェヴルーズが「レビテーション」で硫黄を運び、 陰気で高慢な『疾風』ギトーが力を見せ付けているのか必要以上に高度な魔法、 偏在 で分身をつくり四人になって運ぶ。 また生徒を実験台にするつもりだろう、平民びいきの変者『炎蛇』のコルベールが 自分の造ったガラクタを台車で運ぶ。 「ミス・ロングビルはでませんの?」 教師達は思い思いの品を手に取り運び出す。 杖を手にしたまま出てこないロングビルにシェヴルーズが気がついた。 「ええ、私は宝物庫の目録を作ろうと思いますの。 せっかく宝物庫に来ましたので、ついでにやっておきますわ」 「今日は定期整理の日でしたね」 面倒な夜の見回りをしない彼女は、真面目なロングビルに感心した。 ロングビルは教師達がいないか再度確認してから宝物庫の扉を閉めた。 ランタンで部屋を照らす。雑多な品に紛れて秘法や財宝が無造作に置いてある。 「困ったね。スクウェアクラスの 固定化 に分厚い壁、簡単に壊せそうにないじゃないか」 棚の上にある金属製の鞄を引き寄せ大事そうに触る。 「こいつが学院秘蔵の破壊の杖、ねえ」 出来損ないの竜、ワイバーンさえ一撃で倒す曰く付きの武器である。 闇で売れば良い値になるだろう。 鞄にはいくつかのバラバラになった金属製の部品が灰色のスポンジに包まれ入っていた。 金属製の円筒やレンズの入った筒、金属の卵、どれも部品は黒く鈍い輝きを放っている。 「どうやって組み立てるかだけど、さっぱりだわ」 部品の所々に掘り込んである紋様を見る。 「たぶん文字だとおもうけど・・・読めもしないし、使い方もわからない、か」 「出所もわからないとはねぇ」 王家や職人のものだったら使い方が判らなくても骨董品として売れると考えていたのだが。 「やればなんとかなると思ってたんだけど、甘かったかね」 転がっていたガラクタを蹴飛ばした。 「メイジが集まる場所だからいいものがあるはずだったんだけどねぇ」 自嘲の笑いを浮かべた。 トリステイン魔法学院は貴族達のメイジ育成の場である。 平民は魔法を使えず、貴族たるメイジのみが使える。メイジは貴族の象徴だ。 魔法の力は絶対だ、 錬金 で生活必需品を精製し、土の魔法で橋を造り、 戦場では一人のメイジが他を圧倒する。 主要な生活用品の殆どはメイジの手が入っていて、建設も土のメイジ達が関わる、 広場で決闘に負けたグラモン家の子供、 青銅 のギーシュ、 彼はメイジの中では最低ランク、ドットランクのメイジだった。 その彼が造りだすゴーレム達でさえ、平民の精鋭部隊一個小隊の戦力に匹敵する。 最高ランクのスクウェア級のメイジと平民の差など、考えるのも馬鹿らしい。 メイジの未来、国の次代を担う貴族達が集まる名門校、それがトリステイン魔法学院だ。 生徒には国の重鎮たるヴァリエール家の三女や、グラモン元帥の三男、 ゲルマニアのツェルプストー家など、政治家や財界人に名立たる顔ぶれだ。 それらを守る学院側の防御も硬い。 トライアングル、スクウェアメイジが多数在籍し、並みの軍事施設よりも強固。 施設そのものも多数設置された見張り台や強固な壁など、要塞並みの防衛設備だ。 軍で活躍した「炎蛇」のコルベールや風のスクウェア「疾風」ギトー 各地の名立たるメイジ達が講師を務めていて難攻不落。 その学院の保管庫なのだから、それなりの物が収められている。 そうなのだと彼女も思っていた。 「くたびれ儲けかもねぇ・・・」 オスマンのセクハラに耐え、秘書として潜入してしばらく経つ。 厳重に守られた宝物庫には秘宝財宝が眠っているのだと思い、蓋を開けてみれば驚きだ。 宝物庫の中は物置と化していた、あるのはガラクタばかりである。 ガラクタは異界の品物らしいが、使い方を知らないロングビルにはゴミも同じだ。 特にルイズの使い魔の女が召還されてからというもの、 コルベールが閃きを得たようで日に日にガラクタが増えてゆく。 前にまとめてゴミを捨てようとことがあるが、泣きつかれて止めた。 大の大人が鼻水まで垂らして泣かないで欲しい。 機械の性能を聞いたら二時間ほど監禁されて懇切丁寧に延々と聞かされ続けた。 二度と聞くまいと心に誓う。 トリステインの教員達は弛み過ぎている。 教員たちの夜の見回りも殆どなく、宝物庫の管理もずさんだった。 一つぐらい盗んでも、しらを通せばごまかせそうなぐらい酷かった。 むしろ、アタシが来てから良くなったぐらいだ。 整理整頓を完璧にやってしまってから、しまったと頭を抱えた。 これでは盗めないではないか。 余りに宝物庫が酷くて勢いで整頓してしまった。 カッとなってやった。今は後悔している。 頭の中でオスマンが余裕綽々で笑っているのが見えた。 エロジジイに上手く使われている気がする。 辞めようにも相場よりかなり高めの給料と、部屋付き、豪華な貴族向け三食休暇付き、 非肉体労働と、セクハラを除けば待遇も悪くないので、辞められずに 盗みの先延ばしを今日まで続けていた。 ああ、忌々しい。 新しく買ったパーカッション式のリボルバーに慣れる為、安全装置を外して準備する、 姿勢を変えても妨げなく一挙動で射撃準備が整うことを丹念に確認した。 満足するまで触った後、ハルケギニアでは薬莢や規格品の概念がないから 弾薬をどうやって補給しようかとリボルバーを眺めながら考えていると、 コルベールが通りかかった。 「そそそ、それは!」 10m向こうから興奮した面持ちで走ってくる。 「どうしたの?コルベール」 「手に持っているのは銃かね?」 「そうよ。パーカッション式のね」 フリーダが事も無げに応じる。 コルベールの眼がきらきら輝く。研究者の瞳だ。 「研究室で調べさせてくれるかね?」 「いいけど、あなた講義があるじゃない」 彼女は放課後、タバサの講義があるまで暇だ。反面、夜は図書館に籠もり切りになる。 コルベールは昼間、講義で教えなければならないので、二人はちょうどすれ違いになるのだ。 「授業は自習だ。じっくりと話しを聞こうか」 久しぶりに恋人に会った上気した顔で話す。 視線は最初からずっと銃に釘付けになっている。 きびすを返すと、コルベールが教室へ全力で走っていった。 余りに勢いよく走るので、廊下の生徒達はなにごとかと驚いていた。 「恋は盲目。…相手は銃。報われない恋ね」 ジャン・コルベール、「炎蛇」の二つ名を持ち、重度のメカフェチにして オスマン曰く「彼以上に女好き」、異世界の技術に惹かれる「賢者」で「変者」。 異世界に理解がある学長オスマンの計らいで研究室を校内に持ち、 自らの財産を切り売りしながら学院の宝物庫に異世界の品を集めている。 宝物庫には彼の作品が所狭しと詰め込まれていて、 ロングビルに 物置 と酷評させた元凶である。 今回のコルベールの「彼女」はフリーダが持っていた拳銃であった。 研究室には秘薬が入ったビーカーや試験管、計測器が並べられ、 壁には設計図とメモが貼り付けられ魔法使いの研究室より、近代的な科学者のものに近い。 「なるほど、シリンダーに直接雷管を詰め撃鉄で着火する。火打石より確実で賢い方法だ」 「弾が複数入っているシリンダーで交換を行い、シリンダー内で燃やすため悪天候に強い」 メモをとりつつ、コルベールはフリーダが解体した銃を触る。 「珍しいものなの?」 「もちろんだ。ハルケゲニアでは此処まで高度な銃は存在しない。異界の品だよ」 熱心に部品を紙に写す彼の横でフリーダは複雑な表情をしている。 聴く所によると、ハルケゲニアではフリントロック式の銃が最新だそうだ。 彼女の世界ではパーカッションは枯れた技術で、レーザーライフルやリニアガンが主流だ。 少数だが信頼性の高さから金属薬莢式の銃を使用している国もある。 骨董品でさえかなりの衝撃なのだから、彼女の手首にあるリニアガンを見せたらと 誘惑に駆られた。 だが見せない。強すぎる力は不幸を引き寄せてしまうから。 「この銃は我々の技術を凌駕している。量産できれば平民と貴族の間に革命が起こるよ」 「そうかしら?」 トリステインは周辺国のゲルマニア、アルビオンに比べメイジの力が強い国だ。 トリステイン自体の国力低下と、長い歴史は捩れを産み育て歪みは大きくなっている、 近年はアルビオンを中心として レコンキスタ が 貴族からの開放 を掲げ紛争が続いている。土壌は十分にあった。 それでも、革命は起こらない。たとえ起こったとしても失敗するとフリーダは考えている。 メイジとは労働者であり生産者であり資本家だ。 杖一つで金属を精製し、一体のゴーレムで数十人分の肉体労働をこなす。 彼等は生活基盤に深く関わり彼等なしでは成り立たない。 平民には運営のノウハウも、資産も、技術もない。 貴族無しでは一週間ライフラインを保つことすら不可能だろう。 彼等は上前を跳ねるだけの存在ではないのだ。 裕福な生活をしているのは一握りの正しい意味での貴族だけで、 「名門の次男三男は下街の工場などで働いている。僕はそんなのにはなりたくない」 だからトリステインで学ぶのだとギーシュがグチを言っていた。 無論、平民達にも彼等並かそれ以上に裕福なものも居る。 ギーシュはトリステインの貴族、軍の重鎮、グラモン元帥の三男だ。 出征のため見栄を張って大量の出費をしていてあまり財はない。 元帥の子供である上流階級の中で上位に当たる、庶民の生活とはかけ離れた 彼でさえ、貴族が厳しいと知っている。 貴族も平民も苦しい、見えて来るのは貴族と平民の対立はコルベールの考える 傲慢な貴族と、虐げられる平民、単純な構図では説明できない姿。 あるのは、増えすぎた下級貴族が旧来の貴族に反発し、利権を奪い合う。 メイジのメイジ達によるメイジのための戦争。 今も昔も戦場の主役はメイジ達だ。 平民達は貴族達の態のいい道具にされているに過ぎない。 現実はコルベールの考える更に下をいっていた。 「衝撃だけで火を付ける発想はなかった。弾丸は一発撃つごとに薬室を空けるものだと」 「薬室ごと入れ替えるなんて考えもしなかったよ。密閉式の薬室は飛距離も威力も上げる」 銃弾が連発できるようになることで、平民は確かにメイジに匹敵する火力を得るだろう。 一発目を呪文で防いでいる間に二発目が息の根を止める。弾の威力はベテランメイジ並だ。 飛距離が伸び精度があがることで、魔法並みの射程を得られるだろう。 銃の射程外からひたすら嬲られ、無力さに打ちひしがれるのもなくなるだろう。 銃は誰にでも使える。魔法が使える使えないに関わらず。 女子供でも横暴なメイジに怯えなくても良くなるかもしれない。 「引き金を引くたびにシリンダーが回転するんだね。魚に似た弾丸の形も合理的だ」 コルベールは興奮している。 この異界からの銃は、武器の歴史の集大成だ。 トリステインは他の国より100年先に立てる。 「いずれ大砲も銃の技術を引き継ぎ同じになるだろう」 技術は磨かれ応用され、国を豊かに、自分の周りの人へ笑いを与える。 自身とトリステインの人々と平民が共に幸せを得る。 「最高の技術だ。最高すぎて私は恐ろしいよ」 長年、私のしてきた研究は間違いではなかったのだと思った。 「君の世界にはもっと素晴らしい技術があるんだろうね」 「どうして。思ったの?」 フリーダの声は冷たい。 どうしてだろう?コルベールは彼女の手を取って踊りだしたい気分だった。 「君はパーカッション式と言ったね。名前が付くからには 君の世界で武器体系が完成している。違うかね?」 「……………」 彼女は黙っている。 それでもティンと来た。彼の推測は当たりだと確信した。 彼女は異界からの客だ。それも、ハルケギニアを凌駕する技術を持った。 100年先を進んだといっても、技術は模倣されるのが常だ。 しかし、彼女は異界の人間だ。 異界の品を解読するのと教えてもらうのとでは当然、理解の速度は違う。 彼女の世界の技術、制度の一端でも判れば底知れない恩恵を受けられる。 トリステインは常に時代の先を走るだろう。 それを彼女の周囲は気付いていない。知っているのは彼だけだ。 都合の良い完璧な状態過ぎて恐ろしい。 「出っ張りは滑り止めかい?もしかしたら金属製で重いのにも意味があるのかもね」 「………聴きたい?」 彼女が口を開いた。 一つの武器で世界が変わる。 いかにも技術者の考えそうなことだとフリーダは思った。 画期的な武器があっても、造るのはメイジである。 銃は誰にでも使える、もちろんメイジにもだ。 貧乏人と金持ちが居た場合、最初に金持ちへ武器が行き渡る。 平民達が武器を手に入れるには、安く大量に作らねばならない、 画期的な新技術 で 産業革命が起きるだろう。音頭を取るのは貴族達だ。 平民達の 自由の武器 で彼らは儲ける。 メイジ用の銃も出てくる。 メイジが銃で戦う時代 が来る。 結果、何も変わらない。 理想を追い求めるほど理想から遠のく。 武器が必要になる分、かえって生活は貧しくなるかもしれない。 のちに彼らは過去を振り返る 「昔は良かったんですがねぇ。不景気で」 と場末の武器屋で客に愚痴るのだろう。 コルベールは即答した。 「もちろんだ」 「条件があるわ」 フリーダはコルベールの考えが理解できた。 「ミスタ・コルベール。あなたが異界のものに執着する理由は?」 だから動機が知りたかった。 コルベールは天才だ。 人より抜き出ているものがあるからには、忘れてきたものもあるはずだった。 「異界の素晴らしい技術を知りたいからでは、駄目かな」 「あなたが執着しているのは、武器への興味よ」 ハルケギニアでまだ技術的に存在しえないスナイパーライフルを一目で見抜き、 フリーダが持つリニアガンを拳銃と警戒し、パーカッション式拳銃に感動し、 最新式のフリントロック式と性能比較までした。 はじめて見る銃の性能を数時間で看破したのは執着の成せる業だ。 「私が、軍人だった頃平民達が銃を使って来てね。敵の武器は知らないといけないよ」 普通の人 はありふれた理由で此処まで捻じれない。 「嘘。あなたの執着は異常よ」 「・・・・・・・・・・・・」 コルベールは少し躊躇ったあと下を向いてぼそぼそと話した。 「………任務でとある村を焼いた。平民達の村だ…彼等は武器を取り出して、 ささやかな抵抗をしたよ」 「殲滅…虐殺は実に容易かった。持たざるものとの差だ」 コルベールは杖を触る。 「女子供を残らず抹消した。火に包まれる村で少女を見つけたんだ。 私はその子を殺せなかった」 「それから私は杖を捨てた。杖は人に向けられるものでなくなった」 「………腐ったのね」 フリーダが冷ややかに斬った。瞳の奥に困惑を湛える。 彼女にも似た経験があったから。 人間は、変質する。熱湯に入れた卵がゆで卵になるように、 人間は絶えず周りから影響を受け、二度と元の形には戻らない。 冷血な軍人だった彼が、一晩で変わってしまうのもありえた。 「私は持たざる者に牙を持たせる」 「身勝手な押し付けよ。それでもいいの?」 理想では何も変えられない。彼は 正しいこと を決断した。 それなのに、どうしてこんなに寒いのだろう。 「焼かれた彼等への義務……………贖罪だ」 コルベールは弱々しく首を振った。 前ページ次ページゼロの工作員
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3960.html
前ページ斬魔の使い魔 オールド・オスマンの秘書、ロングビル。 のんきでスケベな学院長の優秀な秘書として、時にはセクハラを受け、時には暴力行為で返しと多忙な日々を送 っていた。 しかし、その日々も、春先に行われた使い魔召喚の儀式から変わってしまった。 セクハラとタバコをプカプカすることぐらいしかしていなかったオールド・オスマンが、人が変わったかのよう に精力的に動いているのだ。 正確に何をしているのかは不明だが、それによりロングビルの仕事が減り、時間を持て余すようになった。 もっとも、これは帰って好都合だった。 彼女が巷を騒がせている怪盗フーケだということは、この学院で知る者はいない。 今の内に狙いの場所、学院の宝物庫を徹底的に調べるとしよう。 中に入っている貴重そうなお宝の情報は、すでにコルベールを色仕掛けでたぶらかして手に入れている。 暗い笑みを浮かべ、ロングビルは行動を起こした。 学院内を疾走している九郎。その後方からは一人の生徒が追ってきていた。 「逃げるな! 正々堂々と戦え!」 「冗談言うな! こんちくしょう!」 眼が覚めてから散々な目に会っている気がする。 ルイズからは決闘にどうやって勝ったのか聞かれたため、アルの事などをぼかして話をしたら、いきなり怒られた。 どうやら魔法のような力を使えたことを黙っていたことが御気に召さなかったようだ。 さらには他の生徒達からの決闘の申し込み。 つい先ほどのことだ。 ルイズに命じられ彼女の下着などを洗うことになった。 シエスタに洗い場を教えてもらい、いざ向かおうとした時、いきなり来たのだ。 やんわり断ろうとしたが聞き入れてくれず、シエスタに洗濯物を頼むと一目散に逃げ出した。 で、今に至る。 石造りの床を必死に走る九郎。 しかし、そこは生身の足。 魔法で空を飛んでショートカット可能なメイジ相手では難しく、徐々に追いつかれていた。 「待てといっている!」 「ふざけんな! こっちは洗濯とかで忙しいんだよ!」 あっち行ってこっち行ってと走り回る九郎に嫌気がさしたのか杖を構える生徒。 それに気付いた九郎は周囲を見回すが、そこは誰もいない伽藍とした廊下。 やばいやばいやばい。 何処か身を隠すところがないか見回すが、天井を支える柱ぐらいしかない。 ないよりマシとそこに向かおうとしたとき、 「うぎゃー!」 今まさに魔法を使おうとしていた生徒の悲鳴が響いた。 見ると、そこには真っ黒に焼け焦げた生徒が倒れ伏していた。時折、ピクピクと痙攣している。 何が起こったのかと近づくと、人間が這い出れるほどの隙間から、赤いトカゲが顔を出していた。 「あれ? お前は確か、キュルケとかいう子の使い魔」 火トカゲ、フレイムは肯定するかのように喉を鳴らす。 そして、のっしのっしと歩くと九郎に擦り寄った。 「助けてくれたのか? サンキュ」 きゅるきゅる、と嬉しそうに唸る。 相変わらず人外の者に好かれるのぉ、という空耳が聞こえたような気がしたが無視する。 と、フレイムはやおら九郎のズボンの端を咥えると、軽く引っ張った。 「? 何処かに連れて行こうとしているのか?」 肯定するように唸る。 少し考えたが、助けてくれた恩もあるし従うことにした。 ルイズの服の洗濯はその後でも出来るだろう。 後にこの選択を死ぬほど後悔することになる。 虎ほどの大きさのあるフレイムの後をテクテクと歩く九郎の姿は何処となくシュールである。 場所は生徒が生活する部屋があるフロア。 さらにいえば見知った場所、ルイズの部屋の側まで来ていた。 ここで九郎は思い出していた。キュルケとルイズの部屋はすぐ側だったということに。 予想通り、フレイムはキュルケの部屋の前で止まる。 そして、ここだと云わんばかりに首を振る。 とりあえず木の扉を叩く。 がちゃり、と戸が開いた。魔法で開けたようだ。 入ろうとした時、すぐ隣の壁が修復したばかりのように真新しかったのが見えた。 部屋の中は真っ暗だった。 傍にいるフレイムだけがぼんやりと赤く光っている。 「戸を閉めて?」 言われたとおりに戸を閉める。後ろ手で。 何ともいえない嫌な予感がしたからだ。隙を見せたくない。 パチンという音と共に壁のロウソクが灯る。 しかし暗くて先は見えない。 「さあ、こっちに来て」 「は、はあ。お邪魔します」 声のする方にゆっくりと歩を進める。それに併せてロウソクが灯っていく。 お香を焚いているのだろうか? どこかで嗅いだことがあるような匂いが部屋に充満している。 ベッドの側のロウソクにも火が灯り、そこに腰掛けているキュルケの姿を浮かび上がらせた。 「お願い、傍に来て」 その姿は、ある種異様だった。 服装はいつものまま。胸元を大きく広げた制服姿。 しかし―― 何かが違う。 そこにいるのは本当にキュルケなのか? 彼女の事を理解できるほどの付き合いがあるわけではないが、それでも何度か顔を合わせているし面識もある。 ルイズをからかっている様子も見ている。 だが、今目の前にいるキュルケはそのどれとも違った。 まるで、そうまるで―― 「ねえ、早く傍に来て」 すらりとした脚を見せ付けるように組み替えて九郎を誘う。股の間にある白い領域から目が離せない。 褐色の肌がぼんやりとしたロウソクの明かりに照らされて、この世のものとは思えない魔性の魅力をかもしだしている。 無意識に後ずさる。踵が何かと接触した。 思わず振り向いた九郎の目に映ったのは、怯えているフレイムの姿だった。 フレイムはキュルケを見て怯えている。ありえない。 キュルケがフレイムを可愛がっていることは知っている。フレイムもキュルケに懐いている。 それが怯えている、つまりあれはキュルケではない―― 「――っ!?」 思い出した。この香のことを。 同時に、九郎の脳裏にアルの言葉が蘇った。 今、ピースが繋がった。 「そうか……そういうことか……」 「……どうしたの? こないのならこっちから行くわよ」 「黙れ! この阿呆!」 「――なっ!」 いきなり罵倒され、驚きに目を丸くするキュルケ。 しかし九郎は構わずに続ける。 「ったく、面倒臭いやり方しやがって! 何のつもりなんだ、ええ!?」 そして叫んだ。一際大きく。 「なあ、クトゥグア!」 一瞬の間――驚愕の表情――表情が消える。 そして……笑みに変わる。 「――よく気付いたな、我が主」 もはやその口調はキュルケのものではなかった。尊大で、九郎がよく知る者にそっくりなもの。 炎の神性クトゥグア。そして、彼のパートナー、アル・アジフの断片の一つ。 九郎はテーブルの上に置いてある香に視線を向けた。 キュルケの中にいるそれは、キュルケの顔のまま、ふむと納得した表情をした。 「なるほど。ズカウバの燻香でか。力を補うために焚いておいたのが裏目に出たな」 「それとフレイムだな。アルの断片でも、こいつがここまで怯えるほどの力を持った奴なんてそういない」 「なるほどなるほど。後はこの娘の属性を知れば自ずと理解できるか」 納得したようにうんうんと頷くキュルケ=クトゥグア。 一方の九郎は力が抜けたようにへたり込んだ。 「ったく、キュルケの中に入って何がしたかったんだ?」 「ん? 母より抜け落ちてしまい力がなくなっていたからな。てっとり早く取り戻そうと」 「それとキュルケにとりつくのとどういう関係があるんだ?」 「同じ火の属性ということもあるが、それ以上にこの娘の性格が力を取り戻すのに都合がよかったのだ」 「性格って……あ」 思い当たる節がある。というか、今味わったばかりだ。 「この娘は惚れっぽく、その上、不特定多数の異性と付き合っている。 だから、手っ取り早く食事が出来るのだ」 「食事……? …………って、おい!」 こいつらページモンスターの「食事」。それは人の精。 「残念なことに、妾がとりついたときは既に主に心が移っていたときだったのがな…… いや、これはこれで都合がよいと見るべきか……」 ブツブツと思考に入る。 だんだんと怪しい展開になりそうな気配を敏感に感じ取った九郎。 相手が言葉を発するよりも早く行動に移す。 「まあ、とりあえず。せっかく見つけたんだ。回収させてもらうぞ」 「どうやって?」 「――うぐっ」 「我らが母はルイズとか言う小娘の内に封じられている。今の汝に妾を回収することが出来るのか?」 「……そ、それは……」 狼狽する九郎の姿を見て、キュルケ=クトゥグアはニヤリと笑みを浮かべた。 獲物を狙う猛禽類のような目つきに変わる。 「……な、何を考えている? おい?」 「いや、妾の食事ついでに、この娘の願いも叶えてやろうと思うてな」 唇を湿らせながら近づく。 九郎は慌てて逃げようとしたが、何かに足をとられて転びそうになった。 「だあっ! と、何だ――って、フレイム!?」 九郎の足にフレイムがしがみついていた。 慌てて振り払おうとするが、強靭な力でしがみついていて離れない。 「炎の眷属は全て妾の僕。この世界の生物とて例外ではない」 「おま――ぬあッ!?」 キュルケ=クトゥグアはゆっくりとボタンを外し、服を脱ぎ去った。 九郎の視界に、ゆたかすぎる褐色のふくらみが二つ飛び込んでくる。 そしてそのまま下も脱いでいく。一枚一枚気分を出して見せ付けるように。 ほどなくして、何も身に着けない生まれたままの姿となった。 燃えるような赤い髪に褐色の肌。 滑らかなラインに、豊満なスタイル。 その姿はある種、幻想的にすら感じられた。 一瞬、見とれていたがすぐに気を取り直すと、慌てて顔を背ける。 「ば、馬鹿! 他人の身体で何やってるんだ! キュルケに悪いだろ!」 「気にするな。先ほども言ったが、この娘は汝に好意を抱いている。元々、ことに及ぶつもりだったのだ。 何の問題はない。 それに――」 情熱的な瞳で見つめる。 しかし、その表情は真剣なものだった。 「かつても言ったが、汝は神の写し身たる妾をしかと支配しなければならぬ。白き王よ」 そう告げると、九郎の首に絡みつくように腕を回してきた。 その身体が異常に熱を帯びているのが分かる。 吐息が熱い。 「それとこれとどういう……むぐっ」 いきなり唇を押し当てられた。 強引に舌を入れられ、唾液を流し込まれる。 「んんん……――~~!!」 熱い。まるで熱湯を口の中に入れられているみたいだ。 口を塞がれているため飲むしかない。喉が灼けそうだ。 キュルケ=クトゥグアは首に手を回し身体を密着させ、体重をかけてきた。 圧し掛かってくる裸身。思わず仰向けに倒れてしまう。 豊満な胸が九郎の胸板との圧力に潰れ、形を変える。 熱くて気持ちよくて―― 九郎は頭がクラクラしてきた。 その間にも唾液は流し込まれる。異常なまでに。 腹の奥から熱くなり、何かが上がってきそうな感じがして―― 「――チッ、どうやらここまでのようだな」 突然、舌打ちをして口を離す。 そして九郎に圧し掛かったまま、顔を戸の方へ向けた。 その瞬間、戸がもの凄い勢いで開けられた。 そこに立っていたのはルイズだった。 ぼー、としていた九郎だったが、ルイズの姿を見た途端、跳ね起きた。 キュルケ=クトゥグアは倒れてしりもちをついた。胸が揺れる。 「――あ、あうあうあうあうあ……」 やばいやばいやばいやばい―― ルイズは無言のまま立っている。 その顔に表情はなく、ただ虚ろな瞳でこちらを見つめている。 だが、よく分かる。ハッキリと理解できる。完全に理解できる。 ――ルイズは怒っている。 限りなく。心底。奈落のように。 よく見ると口元が小刻みに震えていた。 今まで分かったことは、ルイズには三段階の怒りがある。 第一段階は口より手。 第二段階は手より足。 そして最終の三段階は足より先に声が震える。 ルイズは何処からか杖を取り出した。 そして流れるように、撫でるように、躊躇なく―― ――魔法を解き放った。 「このたわけが――――ッ!!!!」 今のアル? などと思う間もなく、空間が大爆発した。 ルイズの失敗魔法。 ゼロのルイズと呼ばれる由縁。どんな魔法を使おうと必ず起こる爆発。 今はアルの力によりある程度の魔法は使えるようになっているが、今回は意識してやったものではない。 怒りの感情のまま無意識で起きた爆発は、従来のものと比べて凄まじい威力を宿した。 それは九郎達を飲み込み、テーブルや椅子、調度品など、キュルケの部屋そのものを破壊してしまうほどに。 だが、それは突然湧き上がった白い焔に呑み込まれた。 焔は激しく燃え盛り、あろうことか爆発を“焼き尽くした“。 その焔を放ったキュルケ=クトゥグア。果たしてその表情は怒りで歪んでいた。 「……気に入らんな」 「お、おい……」 様子が違う。明らかな敵意をルイズに向けるキュルケ=クトゥグア。 一方のルイズは、今の炎に驚いたのか驚愕の表情をしていた。 「キュルケ、あんた今のは……?」 「今の力、混沌と似た力を感じる。気に入らん」 言うや否や掌をルイズに向ける。 「――何を!?」 咄嗟にその腕を取り、向きを変えた。 ルイズの後方の壁が火球によって破壊された。 「何をしているんだ!? ルイズを殺す気か!」 「そうだ。あの力、存在させるわけにはいかん」 「正気か!? アルもいるんだぞ!」 「案ずるな。母を傷つける事無く、あの娘という器のみを焼き尽くしてくれる。 そうすれば母も解放されよう」 「アホか! お前は!」 何とか止めさせようと、必死にキュルケ=クトゥグアを押し留める九郎。 その様子を見ていたルイズの目は瞬く間に怒りで釣りあがった。 それもそのはず。ルイズからしてみれば、裸のキュルケが九郎と乳繰り合っているようにしか見えない。 「あ、ん、た、ら、ねえぇぇぇっ!!」 キュルケが使った先ほどの変な魔法のことは、もはや忘却の彼方。 再び怒りに身を任せた第二撃を放とうと杖を振り上げる。 一方のキュルケ=クトゥグアも、九郎を押しのけて構える。その口がブツブツと何かを呟く。 「フングルイ ムグルウナフ クトゥグア……」 とんでもない呪文を呟いていた。 「だー! 止せ! 止めろ! そんなものを使ったら学園が蒸発する!」 「離せ、主よ! 奴だけは! 奴だけは!」 完全に神の属性に引きずられている。 キュルケの身体を器にしているせいか、力がそれほどでもないのが幸いした。 後ろから羽交い絞めにして何とか押さえつける。 そしてその様子を見て(以下略)―― もはや止まらない。 自分の力ではどうにもならない。 「誰でもいいからこの事態を何とかしてくれー!」 「了解した」 祈るような叫びに答える声。 次の瞬間、全てを埋めるような白い風が部屋を吹きぬけた。 それが雪を孕んだ風だと気付いたのは、純白の中に白銀の竜の姿を見たときだった。 視界が白い闇に染まり――意識がフェードアウトした。 ロングビル――フーケは、目の前で起こったことに目を丸くした。 宝物庫の前まで来たはいいが、自慢のゴーレムを以てしても固定化の魔法で固められた扉を破ることが出来ず 途方に暮れていたとき、いきなり何処かから飛んできた巨大な魔力によって扉が破壊されたのだ。 しばらく呆然としていたが気を取り直し、急いで宝物庫の中へと入った。 今の爆発に誰かが気付く前に仕事を済ませなければならない。 破壊の余波か、ところどころで炎がくすぶっているのを避けながら奥へと進む。 お宝は沢山あったが、フーケが望むものは唯一つ。 しばらくして目当ての箱を見つけた。 中を確認するとにんまりと笑い、壁に向かって杖を振った。 壁に文字が刻まれる。 『双子の魔獣、確かにご領収いたしました。土くれのフーケ』 前ページ斬魔の使い魔
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/5655.html
283 :名無しさん@HOME:2012/01/27(金) 09 27 47.83 0 手が空いたので御摘みに。 私の娘がやったDOQ返し。 娘は大学を卒業してすぐに結婚し、世間知らずのまま同居する事になりました。 私はこの板に張り付いてる人間なので色々と心配でしたが、 娘には色々仕込んでいたし夫くんも良い人だったので、もしもがあっても大丈夫だと思いました。 初日で同居解消となったそうです。 同居開始数時間、娘は義母さんと昼食を作っていて、 そんな時呼び鈴がなったので義母さんは玄関へ。1人になった娘の所にウトさんが来たそうです。 娘は小麦粉を捏ねてパンを作ってる所で手が放せない状態。 ウトさんはそんな娘の胸を後ろから触ってきたそうです。 娘は基本、やられたらやり返すの強気な娘なので、 とっさにウトさんの両手を掴み、ウトさんの片足を踏み、悲鳴を上げながら後ろに倒れこみました。 腕は前に引っ張りながらの倒れこみだったので、頭こそ打たなかったそうですが、 受身も取れず、娘とウトさん2人分の体重がウトさんの腰に直撃。 悲鳴を聞きつけた義母さんと夫くん(休日)が飛んできて、惨状を目の当たり。 娘は胸を押さえて丸くなり、ウトさんは腰を抑えて悶絶。あとは娘のマヤで同居解消。 という話を、私が経営する道場のダイエットコースをしている奥様方に話す娘。 娘は段こそ取っていませんが、黒帯相手に互角に戦える程の強さ。 こういう時の為に、娘に段を取らせなかった私はDOQというか、親心と言うか。 ウトさんは腰をいわして入院したそうですが、50そこそこでセクハラして入院なんて 恥ずかしいだろうな。 284 :名無しさん@HOME:2012/01/27(金) 09 43 16.25 0 283 氏ね。 自分の娘がセクハラされたら… 何を悠長にお手隙感覚で書き込んでいるんだ。 ネタ認定は嫌いだけどこれは許せない。 283お前氏ね。 286 :名無しさん@HOME:2012/01/27(金) 09 51 26.89 0 娘のダンナとトメの詳細な反応よろしく 288 :名無しさん@HOME:2012/01/27(金) 09 52 49.32 0 娘さんが黒帯だったら ウトはじめからおとなしくしてたかもしれないのに そのばあいは、同居解消に行かなかっただろうから・・どっちがよかったんだろ 289 :名無しさん@HOME:2012/01/27(金) 09 54 07.01 0 283 GJ! やっぱり黒帯は取らせない方が良いよね。 292 :名無しさん@HOME:2012/01/27(金) 09 59 56.10 0 レスありがとうございます。 284 娘は道場で嬉々として話してたので、 やるのは良いけど風潮はするなと娘を〆ときました。 286 その辺の詳細はkwskしなかったのでネタ認定でも可です。すみません。 そろそろ稽古なんでこの辺で。一応、私は父親です。 293 :283:2012/01/27(金) 10 01 39.90 0 283. 292は同じ人ですスミマセン。 294 :名無しさん@HOME:2012/01/27(金) 10 03 20.50 0 父親か。 283を奥さんが読んだらきっと怒るだろうな。 296 :名無しさん@HOME:2012/01/27(金) 10 09 32.74 0 292 確かにおおっぴらに話すのは控えたほうがいいと思うけど、また何か起こらないように見守ってあげてね 乙! 次のお話→297