約 2,798,326 件
https://w.atwiki.jp/preace8492/pages/45.html
ストレンジリアル (Strangereal) ストレンジリアル(Strangereal)とは、エースコンバットシリーズにおいて主な作品の舞台となっているシリーズ共通の架空世界のことである。ナンバリングタイトルは全て例外なくストレンジリアルを舞台としており、それ故これをエースコンバットシリーズの世界観を代表するものとして「エスコン世界」と呼称することもある。 ストレンジリアルを舞台としているエースコンバットシリーズ作品(ストレンジリアル内時系列順) ACECOMBAT ZERO - THE BELKAN WAR ACECOMBAT 04 - SHATTERED SKIES ACECOMBAT 3D ACECOMBAT 5 - THE UNSUNG WAR ACECOMBAT 6 - 解放への戦火 ACECOMBAT 7 - SKIES UNKNOWN ACECOMBAT X - Skies of Deception ACECOMBAT 3 - Electrosphere ACE COMBAT 7公式サイトより 上記の画像の通り各作品は様々な戦争の様子を描いている。また、ストレンジリアル世界では戦争に至る経緯を語る雑誌やニュース等が多く存在する。 それぞれの内容は各項目へ 戦争 ベルカ戦争 大陸戦争 環太平洋戦争 エメリア・エストバキア戦争 第二次大陸戦争 企業間戦争 用語 1994XF04 ユリシーズ/Ulyseesの衝突 会合・会議 条約 ワールドニュース
https://w.atwiki.jp/houseofhero/pages/791.html
ストレンジャー家 勇者軍メインメンバーの一角を成し、 同時に勇者軍全体のリーダーである。 同時に軍全体の指揮及び、激励や育成を役割に持つ家系。 この事は、ストレンジャー家初代当主、ザイン=ストレンジャーが そういったジャンルを得意とした事に端を発する。 あらゆる能力に長け、欠点らしい欠点は全く無い。 ただし、これだけ大規模な組織のリーダーというだけで 精神的負担も、実働的負担も桁外れな物になるため、要注意。 また、その時代時代の当主が独自の価値観を持っており、 この家系の決定が勇者軍の運命を決定付ける例は数知れない。 特筆点として『封神封魔流』なる剣術流派を代々伝授される。 家系そのものとしては男女の生み分けが 均等になりやすい傾向がある。 亜人族と関わりの深い傾向にあるらしい。 なお、家宝はストレンジャーソードと呼ばれる剣。 その性質上『勇気』を象徴するとされる家系である。
https://w.atwiki.jp/stratess/pages/32.html
ストラテス | 航空機 | エクスウイング | 石版 | 人物 STRANGELET 最大級の「石版」。黒一色の棒状の形をしている。長さは10km近くにも及ぶ。 突然空から降ってきて地面に刺さり、地表を真空にするべく周囲の空気を吸引し始める。 恐るべき吸引速度により気圧が異常低下し、直径2,3千kmを超える巨大で猛烈な勢力の 台風がストレンジレットを中心に出現することになる。 なお、吸引はストレンジレット本体の何処に5,6箇所あるコアを潰すまで止まらない。 ストレンジレット動作時の衛星写真 第五次突入阻止作戦時における映像資料 ストラテス | 航空機 | エクスウイング | 石版 | 人物
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/520.html
『真紅と辛苦のデイズ_前編』 武藤カズキが月から帰ってきてから数週間、彼と、その大切な者たちは平和を満喫している。 戦団は規模縮小・活動凍結に向けて動き始め、ヴィクター率いるホムンクルス勢も月面への移住計画を着々と進行させていた。 カズキが駆け抜けていったいった激闘の日々はもはや過去になりつつあり、もうあの少年を戦いに駆り立てるものはどこにもなく、 彼に訪れたささやかな安寧の日々を脅かすものはなにもない。 ──そのはずだった。 _ _ _ それはいつもの日常、いつもの平和な日々。 私立銀成高校から寮への帰り道、夕暮れの陽を浴びながら歩く八名の少年少女たち。 「大変だカズキ! 今週号のジャンプ、『ピンクダークの少年』が休載してるぞ!!」 「な……なんだって!? 本当か岡倉!」 「えーと──それってそんな大騒ぎすることかな?」 「ネット上の風説では、作者の岸辺露伴が破産したために一時的に執筆作業が困難になったとのこと。 ちなみに『ピンクダークの少年』は現在七部まで書かれているが、その実、すでに九部まで構想済みだとか」 「オトコノコってマンガの話題好きだよねえ……参考にする?」 「さ、参考って……なんのことだかさっぱり」 「くふふ……またまたぁ。あの舎監さんがちょっと気になってるんでしょ? バレバレだよ。ね、まっぴー、斗貴子さん」 「ん? ああ、すまん。聞いてなかった(どっちが『ちーちん』で『さーちゃん』だったっけ……たまに混乱するな)」 ──そんな、馬鹿馬鹿しくものどかな、ある日の放課後の会話。 この御一行が向かう先に、とんでもない変態が待ち受けていることを──彼らはまだ知らない。 _ _ _ 蝶人パピヨンは『元』人間であり、同時に『元』ホムンクルスである。 まだ人間だった頃の彼は病魔を克服するために人間を超越した『ホムンクルス』となることを目指すも、 ちょっとした手違いによって不完全で常に瀕死状態のホムンクルスとなってしまい、 そして更なる高みを目指して『第三の存在』を目指すも、ちょっとした手違いによってライバルである武藤カズキにあっさり先を越され、 そうしたすったもんだの過程とはあまり関係のないところで、「食人衝動の無い=人間に未練がない」、 真の超人性を獲得したという、なんか「幸せの青い鳥は実はこんな身近にいたんだ」的な微妙な経緯によって 「蝶人」として完成された、恐るべき馬鹿野郎にして筋金入りの変態──それがパピヨンである。 さて、そのパピヨンは今、とある一軒の店の前に立っている。 「腹が減ったな。ラーメンでも喰うか。貴様はどうする?」 その言葉に、パピヨンの隣に立つ少女──ではなく、両者の間から飛び出た変な人形が答える。 「はいはいはーい! 腹ペコでーす、パッピー!」 それは、頭のハート型アンテナが蝶イカす、全身ピンクでキモさと紙一重の愛らしさを発散する、 無駄に高性能な自動人形(オートマトン)通称「ゴゼン様」だった。 ふよふよ宙を飛行しながら喜びを表現するゴゼンは、ついーと少女の側まで滑っていく。 「ヴィッキーも食べるだろ?」 馴れ馴れしさ全開のゴゼンをぱしっ、と叩き落とし、少女は醒めた声で返す。 「馬鹿じゃない?」 そして、少女は皮肉そうに顔を歪ませてパピヨンとゴゼンを一瞥する。 「人肉を食べないホムンクスルに、物を食べる自動人形(オートマトン)──ぞっとするわ」 永久凍土のようなオーラを全力で放出中のこの少女──名はヴィクトリア・パワード。 彼女もまたホムンクルスであり、今は亡き母親の細胞クローン体を調理したものを日々の糧とする、薄倖の美少女である。 「あーあ、つまんない。パパは月まで行く準備に忙しいし、やってられないわ」 「失礼なやつだな。せっかくオレが貴様の遊び相手になってやってると言うのに」 「頼んでないし。むしろ連れまわされて迷惑なだけ。パパが言うから仕方なく──」 「それで、どうするんだ? 喰うのか? 喰わないのか?」 「一緒に喰おーぜ、ヴィッキー」 「……だからわたしは人肉しか食べないんだって。ホムンクルスなんだから」 「それは食わず嫌いというやつじゃないのか? オレに喰えて貴様に喰えぬ道理は無かろう」 「余計なお世話」 むっとした表情でパピヨンを睨むヴィクトリア。パピヨンはその険のこもった視線などまるで頓着せず、 「そこまで言うなら仕方がないな。オレとゴゼンがラーメンに舌鼓打つのを指でも咥えて眺めてるがいい」 「冗談じゃないわ、わたし帰る──」 踵を返しかけたヴィクトリアの背後から、大人数のざわめきが近づいてきた。 「なあ大浜。なんか腹減らないか?」 「そうだね。なんか食べて帰ろうか。みんなもいいよね?」 さっさと去ろうとしたヴィクトリアの足が止まる。 「あ、ちょうどいいや。ここにしよう──って」 別に足を止める義理などないのだが、そのざわめきの中に聞き覚えのある声があったことで、つい振り返る。 目が合った。 「ヴィクトリアちゃん──に、蝶野とゴゼン様!」 「よーカズキン! 今からパッピーとラーメン喰うんだ、付き合えよ!」 「奇遇だな、オレたちもだよ!」 武藤カズキと、その友人たちだった。 相変わらずの能天気なスマイルで、武藤カズキがこちらに手を振っていた。 こうなってはいきなり背を向けて帰ることはできず、ヴィクトリアは戸惑いがちに片手を挙げる。 「──帰るんじゃないのか」 ぼそりと耳元で呟かれるパピヨンの声に、ヴィクトリアは精一杯の不機嫌な声で返す。 「うるさい。あなたと違って、わたしそこまで無神経じゃないの」 _ _ _ 「いらっしぇーい!」 中華料理店「鉄火屋」は、カウンター席十二、四人掛けテーブル四卓のややこじんまりした佇まいの店だった。 混み始めるにはまだ若干の余裕があり、総勢十名という大口客でも容易に受け入れることが出来た。 四人掛けテーブル三卓にそれぞれ別れて座る。 「斗貴子さんどれ食べる?」 「私は余り空腹でないから、キミが好きなのを頼むといい。私はそれを少し分けてもらうことにするよ」 ヴィクトリアのついた席に座るのは、中睦まじく肩を寄せ合って菜譜を覗く武藤カズキと津村斗貴子、そして── 「ふむ……このオレに相応しい蝶・中華なメニューはなんだろうな?」 パピヨンだった。 (なんでこいつわたしの隣に座ってるの……) 憤懣やるかたないヴィクトリアの内心など忖度せず、パピヨンは鼻歌など歌いながら菜譜を眺めている。 「おい、カズキ! これにしようぜ!」 隣の卓から身を乗り出して、岡倉が菜譜の隅を指差す。 それを眺めていたヴィクトリアも、なんとなく手元の菜譜に視線を落としてその位置に書かれた文字を読む。 『辛さ爆発地獄焔・泣く子も爆発超激辛・キョンシーが生き返る反魂辛・エリキシィラーメン \3000 ※但し三十分以内に完食された場合、御代は頂きません』 過激というか、本気でオーダーを取ろうとしているとはとても思えない謳い文句を、わずかに呆気に取られて幾度も読む。 これはいったいなんの冗談だろうかと悩むヴィクトリアだったが、その解答は簡単に示された。 「な、これにしようぜ、カズキ! 全部食えばタダになるんだろ!」 (──ああ、そういうこと) つまらなさそうに鼻から息を漏らす。 これはつまり──「タダ」という餌に釣られた馬鹿な客から三千円を毟り取るためのメニューなのだ。 そんなあこぎな商売をやるほうもやるほうだが、わざわざ引っかかるほうも引っかかるほうだ──どっちも大馬鹿、救えない。 「やめておけ。この種のチャレンジメニューというものは、普通の人間が太刀打ちできるものではない。 だからこそ、店主も胸を張って菜譜に書いてあるんだ。途中でギブアップして三千円払うハメになるのがオチだ」 カズキと岡倉のやり取りを聞き流していたパピヨンが、涼やかに言い放った。 自分と同意見だった者がいることに少し嬉しくなるヴィクトリアだったが、 それがよりによってパピヨンだったことに気付いたことで、とても悔しくなる。 「──偉そうなこと言って、結局は食べれないんだ」 ささやかな反感を込めて、そう毒舌を吐く。 パピヨンはちらりとヴィクトリアを見て、「ああ」と短く答えた。 そのあっさりした返答に拍子抜けし、もっとなにか言ってやろうと息を吸ったそのとき、 「──だがNON!」 耳まで裂けるような極悪スマイルを口元にのぼらせ、蝶人パピヨンの晴々とした宣言。 「このオレを誰だと思っている!? オレの名はパピ♡ヨン!! 人を超え、ホムンクルスさえも超えたまさに蝶人! 激辛ラーメンの一つや二つ、文字通りに朝飯前だ!」 自己陶酔でうっとりの変態は、椅子の上に立ち上がってカズキを指差した。 「武藤! 貴様もこのラーメンを注文しろ! ──勝負だ!」 その挙動不審な黒タイツの絶叫に、店内の視線が一点集中する。 ヴィクトリアも半ば呆然とパピヨンを注視していた。 「さあ、どうする武藤! 当然、受けて立つだろうな! もし貴様に、オレに向かってくる勇気があるのならな……!」 武藤カズキも最初はぽかんと蝶々仮面の怪人を眺めていたのだが、やがてその顔がみるみる引き締まっていく。 卓の下では斗貴子がしきりに彼の袖を引いて注意を促していた。 「おい、カズキ。まさかこの馬鹿の言うことを真に受けるんじゃないだろうな。 金と食材と労力の無駄だ。安い挑発に乗るんじゃない──カズキ、カズキ?」 「武藤、負けるのが怖いか?」 「……そんなこと言っていいのか、蝶野。なにを隠そう──オレは早食いの達人だ!」 ノリの良さでは他者の追随を許さぬカズキが、その唐突過ぎる挑戦を雄々しく受ける。 その顔はめっちゃ輝いていた。 「馬鹿が二人……もう嫌だ……」 頭を抱えて呻く斗貴子の姿もなんのその、馬鹿二人は揃ってカウンター向こうの厨房へ向き、 「「『辛さ爆発地獄焔・泣く子も爆発超激辛・キョンシーが生き返る反魂辛・エリキシィラーメン』!!」」 それに負けじと、カウンター内で店主のおやじの咆哮が反響する。 「激ラー二丁よろこんでぇぇぇぇ!!」
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/426.html
『放課後のデイズ_後編』 銀成市の繁華街に店舗を構えるファーストフード店「ロッテりや」。 またの名を「変態バーガー」と呼ぶ。 そこは、銀成市を徘徊する変態どものうちでもトップエリートが集う奇人変人のサバト会場であり、 都市伝説『蝶人パピヨン』との遭遇スポットに、また人との待ち合わせ場所に、はたまた怖いもの見たさのお化け屋敷感覚、 と銀成市民から密かな支持を得ている憩いの店だった。 「いっらしゃいませ」 開く自動ドアに反応してにっこりスマイルで来客を迎えた女性店員が、彼女の姿を認めると営業用ではない親しみの込められた笑顔を浮かべた。 「あ、こんにちは『ブチ撒け女』さん」 「誰がブチ撒け女だっ!」 客──斗貴子の怒声をやんわり受け止め、にこにこしながらレジ横を示す。 そこには斗貴子の姿を模し、様々なポーズをとったミニチュアフィギュア五種類が満艦飾で並べられている。 「蝶人パピヨン全面プロデュースによる『五種類から選べるブチ撒け女セット』の企画、好評なんですよ。 一番人気がこの『脳漿』ヴァージョンで、二番がこっちの『目潰し』ヴァージョンです。 でもわたしのオススメはやっぱりこの『臓物』ヴァージョンですね」 飲食業に従事する者が決して口にしてはいけないようなグロフレーズを並べながら、一つずつ指差し説明を行う店員。 店頭におっ立てられたPOPにも、その馬鹿げたオマケ付きセットメニューを薦める文句が踊っている。 隅の方にちっちゃい文字で「これらのフィギュアに塗布された赤い塗料はハンバーガーのケチャップをイメージしたものです」 と書かれているが、どう見てもセーラー服を着た血塗れの怪人としか映らないのは斗貴子の気のせいだろうか(反語法)。 そして、「ここまで熱心にオススメしたのだからきっとこのセットを注文してくれるだろう」的な満足顔で、店員のオーダー確認。 「ご注文は?」 「コーヒー」 「ご一緒に──」 「こんなグロいフィギュアなんかいるか!」 店員は笑顔でオーダーを復唱し、笑顔で代金を頂き、笑顔でコーヒーを淹れ、笑顔でトレーに載せて差し出し、笑顔で一礼した後── バックヤードで『ブチ撒け女』さんの無下な態度にちょっとだけ涙した。だって女の子だもん。 _ _ _ コーヒーを載せたトレーを持って二階席へ上がった斗貴子を迎えたのは、『武藤カズキの赤点をなんとかする会』の面々。 すなわち蝶人パピヨン、 「遅いぞ、『ブチ撒け女』」 「黙れ。人を勝手にフィギュア化するな。貴様の悪ふざけのお陰で道端の子供にすら 『あ、ブチ撒けのおねーちゃんだ』などと指を差される始末だ。──殺すぞ」 すなわち早坂桜花、 「あらあら、殺すですって。ダメよ津村さん、女の子はもっとお淑やかじゃないいと」 「お前が先にあの下品な自動人形をなんとかしろ。お淑やかにしろなどと私に言えた義理か?」 すなわちキャプテン・ブラボー、 「け、ケンカはやめて下さい~」 ──は急用で席を外したので、その代理人たる謎のガスマスク美少女──毒島華花。 頭部をすっぽり覆ったガスマスクのせいで素顔は見えないが、美少女然とした雰囲気が隠しようもなく滲み出るおろおろ声で険悪な場を仲裁。 「──ったく」 挨拶代わりの悪罵も一通り済ませ、荒く鼻息をつきながら斗貴子が着席。 「で、わざわざ私を呼び出すとはなんの用だ?」 「決まってるじゃありませんか。武藤クンのことよ」 コーヒーに口をつけた斗貴子の顔が、まるで苦いものでも飲んだかのように微かに歪む。 「いや、現に苦いものを飲んでるわけだが」 「はい?」 不思議そうに首を傾げる桜花に軽く手を振り、 「こっちの話だ。──それに、お前に言われずとも分かっている。私ではカズキにモノを教えるのは向かないと」 呆れるくらいドSな普段の態度は鳴りをひそめ、代わりになんとも言いがたいネガティヴ感情が斗貴子の小さな肩の上に渦巻く。 「私は──カズキに甘すぎる」 「分かってるなら改善すればいいでしょうに。飴と鞭とを使い分けなさいな」 ねえ? と桜花は隣の華花に同意を求め、 「い、いえ……わたしはどっちかと言うと鞭のほうが……強い人にいじめられたいって言うか……」 少女はマスクの先端に据えつけられた排気筒からピーッ、と蒸気を吐いて、微妙に答えになってない返事。 仮面に遮られてもなお分かりやすいくらいに分かりやすい、もじもじはにかみモードへ。 (その発言はある意味問題なのでは?)と、華花以外の三人が同時に抱いた感想。 なんかおかしいことになってる場の空気を誘導すべく、軽く咳払いの桜花。 「……ま、まあどうぞご安心になって、津村さん。秋水クンに武藤クンの指導をお願いしましたから、とりあえず今回はだけ凌げますわ」 この女に借りを作るのは嫌だなあという思いと、素直な感謝の入り混じったマーブル状の気持ちでこくんと頷きかけ──、 「安心するのはまだ早いんじゃあないのか」 と、パピヨンがいきなりそんなことを言う。 「あら、なにがです? 私の人選にミスがあるとでも? 秋水クンなら武藤クンに丁寧に勉強を教えてあげられると思いますわ」 「さて、それはどうかな?」 薄く笑いながら、ち、ち、と指を振り、 「俺から言わせてもらえば貴様たち姉弟も相当に武藤カズキに『甘い』。案外、二人して勉強そっちのけで別のことに精を出してるかも知れんぞ」 カズキと秋水の共通点──特訓好き。 だが、幾らなんでも勉強中に剣道の稽古に励んだりはすまい。 結局この変態はなにを言いたいのだ? と眉をひそめる斗貴子へ、 「我々も二人を監視すべきだ。実は既にゴゼンを武藤の部屋に忍ばせてある。現在は潜伏待機中のはずだ」 「……ひとの武装錬金を私物化しないでいただけません?」 ゴゼン──早坂桜花の武装錬金「エンゼル御前」の制御系を担う、無駄に高性能な自我を持つエンゼル型の自動人形(オートマトン)。 小さなボディでありながらも一廉の変態であり、変態の王様パピヨンとはとっても仲良し。 「ふん、オレが隠し持っていた核鉄を使っているんだ。オレが使役する権利は必要にして十分だ。いいからさっさと通信機能をオンにしろ」 「……仕方ありませんわね」 腹黒さでは彼に負けぬ桜花は、あっさりその監視計画に同意。待機モードを解除して通信装置を兼ねた篭手を装着。 「おい、やめろ馬鹿者。お前たちにはプライバシーというのが無いのか」 「ダ、ダメです、盗み聞きなんていけないことです~」 やっと事態を飲み込んだ斗貴子と華花が慌てて制止するが、聞く耳持たず。 「人聞きの悪いことを言うな。これは必要なことだ。早坂秋水がどれだけの指導力を持っているか把握するためにもな」 うっとり笑うパピヨン──どこまでも純粋な悪意のみで構成された、紛うことなき悪ふざけに満ちた表情。 「そうですわ。ただ二人の勉強を見守るだけですよ。なにも疚しいことをしてるのを見張るわけでもなし」 くすくす笑う桜花──「秋水クンって私がいないときはどんなことを話すんだろう」という黒い興味に満ちた表情。 「ゴゼン様、聞こえる? ゴゼン様? ……眠ってるのかしら。あら、でも部屋の様子は聞き取れるようね──」 _ _ _ ノイズ──不鮮明な音声情報。 秋水「違う……それはそこじゃない。ここに入れるんだ」 カズキ「ここかな、秋水センパイ」 秋水「ああ、いいぞ。……しかし、不思議なものだな。君とこういうことをするのは、どうも妙な気分だ」 カズキ「そうかな。オレは嬉しいけど。一人でやるよりかよっぽどいいよ」 秋水「ふ……例のストロベリー禁止令か。──待て武藤、焦りすぎだ。もっと落ち着け。ここは……こうするんだ」 カズキ「あ、ゴメン……オレ、不器用だから」 秋水「オレも似たようなものだ。気にするな」 カズキ「そんなことないって。秋水センパイ、凄く上手いよ」 秋水「そうか? ……まあ、オレと君は相性が良いようだからな」 ノイズの増加により一時的に通信不能状態に。 _ _ _ 桜花の腕に装着された篭手にしがみつくようにして聞き耳を立てていた四人が──深く重い沈黙の地層に埋もれる。 まず最初に反応を見せたのは華花だった。 「ピ─────ッッ!!」 鋭い風切音と共にガスマスクの先端部からおびただしいまでに蒸気を噴出。 二階フロアの湿度が一瞬で熱帯雨林並になる。 蒸気機関のごとく、もくもくと蒸気を吐き続ける華花を、駆けつけた店員が制止。 「おきゃくさまー! 店内での排気行為はご遠慮くださいー! お客様!? おきゃくさまー! ──テンチョー!!」 その側でゴトッ、と体重の込められた音を立て、桜花が床にくずおれる。 澄ました微笑を保ったまま、ひっそりと白目を剥いて気絶していた。 その二人のはしゃぎっぷりに面食らって思考停止に陥っていた斗貴子だったが、 時間の経過とともに『ある理解』がじわじわと彼女の胸に染み込んでくる。 ──『オレと君は相性が良いようだからな』『相性が良いようだからな』『良いようだからな』 脳内でエコー過剰気味に反響する声が収まったとき、 「カズキイイイィィッ!」 斗貴子はテーブルを蹴って立ち上がり、弾丸のように階段を駆け下りていく。 騒々しい足音が遠く消え、華花の発する蒸気音も止み、全てが静まり返り──最後に残ったのはパピヨンだけとなった。 そして店内を駆け巡る店員の声。 「ベーコンレタスサンドでお待ちのお客様ー」 すらりとした白い指を伸ばし、パピヨンの挙手。 「ここだ」 _ _ _ 窓の外はもう夕暮れだった。 「今日はここまでにしようか」 勉強道具を鞄にしまい、秋水はそう告げた。 「終わったぁ」と溜め息をつきながら、ノートを放棄するカズキ。苦行から解放された喜びで足を投げ出しながら、 「いやー、数学って難しいね、秋水センパイ」 「だが、『代入式をどこに入れたらいいか分からない』というのはさすがに驚いたな」 「はは……どうも数式を見ると頭がこんがらがっちゃって」 「君は決して頭が悪いわけではないんだから、冷静になって問題に取り組めば大丈夫だ。事実、君は見事に問題を解いた」 「秋水センパイの教え方が上手かったからだよ。ありがとう、秋水センパイ」 「礼を言われるほどのものでもないさ。それに、教えるこっちも勉強になる」 ピリリリリ。 「む、電話だ。──姉さんからだ。武藤、ちょっと失礼する」 武士の佇まいでぺこりと一礼し、携帯電話を片手に退室。 ふと窓が開かれる気配を感じてカズキが振り返ると、 「あ、斗貴子さん!」 なんでか知らんが窓から部屋に出入りするという悪癖を持つ彼女が、夕日を背にして窓際に立っていた。 逆光に包まれてその表情は判然としなかったが──まるで全力疾走直後のように顔を赤くして息を荒げている。 真っ直ぐカズキに向けられた切実なまでに深刻な目線、そのただならぬ異様にカズキは漠然とした不安を感じ、 「……斗貴子さん?」 「カズキ、やはり私が勉強を教えよう」 古代スパルタ人も裸足で逃げ出すドS女神が、光り輝かんばかりの莞爾とした微笑を浮かべた。 夕暮れの陽光を浴びて、彼女の顔は自ら光を放つような錯覚すら与える。 ちなみにミケランジェロなどに代表される彫刻作品「モーゼ像」に鬼の角みたいのが生えているのは、 旧約聖書の出エジプト記がヘブライ語からラテン語に訳されたときに「光に輝く顔」を「角の生えた顔」と誤訳したのに起因する。 「なにを隠そう、私は教育の達人だ。みっちりしごいてやる。鞭と鞭と鞭だ。ストロベリーのスの字も言わせん。 勉強のこと以外なにも考えられないようにしてやる。泣いたり笑ったり出来なくしてやる。──ノートと筆記用具を出せ! 駆け足!」 _ _ _ 後日、武藤カズキは追試を突破し、かくして彼の安寧の生活は守られた。 その代償として、しばらくの間はシャーペンのノック音や消しゴムの角の部分にすら怯えるような PTSDを背負込むことになるが──それはまあ思いっきりどうでもいい話。 _ _ _ 蛇足ではあるが、秋水が桜花と電話で交わした内容を追記する。 「どうしたんだい、姉さん」 「秋水クン──神様って信じてる?」 「……なんの話だい?」 「神様はアダムの肋骨からイブを生み、男と女でひとつの番となされたわ。それが一番自然な愛のかたちだからよ。 ──もちろん、愛にだって色んなかたちがあってもいいと思うの。でも……でも、ねえ、秋水クン。 それでも、ただの興味本位や一時の感情に流されて、神様の思し召しに背くようなことをしたらいけないわ。 もっと自分の身体を大事にして。ね、お願い……」 「……つまり、こういう話かな? 『健康管理に気をつけよう』、と」 「違いますっ!」
https://w.atwiki.jp/houseofhero/pages/1910.html
ストレンジャー軍 エドウィン=ストレンジャーによって結成された部隊。 くじ引きと振り分けの結果、平均的な勢力となっている。 構成メンバーはリーダーのエドウィン以下、11名。 ユリシーズ=ジーニアス テッド=ブロンソン ガルシア=ワイズマン ウィルヘルム=ストレンジャー コード<フロント> シルヴィレンテ=ワイズマン コード<リア> フィリス=ルラル セラフィナ=ゼナ=ザン=アーム ナンナ=アイリーン ヒルデガード=ワイズマン バランスが取れつつ、安定感がある一番平均的な勢力。 個々の能力も高いので、優勝の最有力候補と言われている。 しかし型にはまった考え方をする者が少なくないため、 奇策、奇襲といった意外な戦法にはやや弱い。 この軍に所属するなら初回プレイが推奨される。 正史では対抗戦において、長期戦に上手く持ち込んだことで、 最終的な勝利者となる。
https://w.atwiki.jp/mitlocke/pages/1371.html
ストレンジベント (仮面ライダー龍騎) 使用条件 条件なし 効果 [全般][支援] 自分のランクによって以下の枚数の能力カードを引き、確認する。 その中から好きな1枚を選択し、その能力カードを得る。 選択されなかった能力カードは山札に戻し、シャッフルする。 ランク 枚数 Bランク以上 1枚 Cランク 2枚 Dランク 3枚 Eランク以下 5枚 1度使用するとこの能力カードは破棄される。 備考 Eランク救済カード。……というのは冗談で低ランク救済カード。 Dランクが一般市民誤射を引くと少し悲しいのでEランクになると更に強化されるようにした。 パイルK用の能力カードを作ってたら出来た副産物。 こういう高ランクでも使える低ランク救済カード好きなんだよなぁ…… Q&A Q.Bランク以上のキャラクターがストレンジベントを使用した場合、 引いた能力カードを確認する意味はありますか? A.ほぼありません。 Q.Cランクのキャラクターですが、ストレンジベントを使用した所、ミミックを確認しました。 この場合、即座にミミックとの戦闘が発生しますか? A.いいえ、発生しません。 「なんと宝箱はミミックだった!」の文章には“この能力カードを引いた瞬間”と書いてありますが、 これは“この能力カードを得た時”と読み替えるのが正しいでしょう。 この能力カードへの意見 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tomfan/pages/295.html
今回の名言、名やりとり 三村「オタク津波がきたよ。向こうから」 松岡「歌詞そのまんまいくよ!」 三村「行ってらっしゃい」 松岡「付いてきてお願いやから」 -- 名無しさん (2009-07-06 10 16 49) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jingai/pages/302.html
【作品名】不死身の独裁者 【ジャンル】短編小説(フレドリック・ブラウン作) 【名前】ストレンジャー 【属性】意識体 【大きさ】人間の頭の中に入るぐらい 【攻撃力】無し 【防御力】実体及び寿命は無い 宇宙空間で行動可能 不可視 【素早さ】人並み 【特殊能力】分子組み換え:土中の化学分子を変化させて人間の体を作った 人一人作るのに一年近くかかる 洗脳:視線が合った相手を虜にする 数百名の群衆を煽動した 人間にしかやっていない 次元移動可能 【短所】攻撃不可能
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/425.html
『放課後のデイズ_前編』 武藤カズキが月から帰ってきてから数週間、彼と、その大切な者たちは平和を満喫している。 戦団は規模縮小・活動凍結に向けて動き始め、ヴィクター率いるホムンクルス勢も月面への移住計画を着々と進行させていた。 カズキが駆け抜けていったいった激闘の日々はもはや過去になりつつあり、もうあの少年を戦いに駆り立てるものはどこにもなく、 彼に訪れたささやかな変化、安寧の日々を脅かすものはなにもない。 ──そのはずだった。 _ _ _ ここは銀成市の中央に位置する繁華街の、とあるファーストーフード店。 二階禁煙フロアの奥まったボックス席に、二つの人影があった。 「それで……なんの御用ですの? 防人さ……いえ、キャプテン・ブラボーさん」 人影その一。その声は優雅にして可憐、野に咲く百合を思わせるような、気高さと強かさを備えたもの。 私立銀成学園の女子用制服に身を包み、鉄壁のような微笑を浮かべている。 「まずはこれを見て欲しい、早坂桜花」 人影その二。その声は泰然として無骨、荒野を行く旅人を思わせるような、不屈にして孤高の風情。 季節感を完全無視して銀色のコートをすっぽり着込み、目深に帽子を被る姿は奇人の一言。 差し出された数枚の書類に目を通し、人影一──桜花のふっくらとした唇がわななく。 「これは……武藤クンの……!」 「そこに書いてある通りだ。今、武藤カズキは最悪の危機に直面している」 巌のような声音に悔恨を滲ませる、人影二……ブラボーの宣言。 「……そんな……どうしてこんなになるまで……?」 たまらず口元にあてがわれる小さな手。 「この街のために戦い続けた武藤クンの……いわば『後遺症』なのですか?」 それならば時間が問題の解決に役立ってくれる、という、それは桜花の推測と言うより願望。 だが、ブラボーは首を横に振る、たったそれだけの動作で彼女の一縷の望みを断ち切る。 「違う。この件に関しては明確な因子の存在を確認している。それは君も知っているはずだ……武藤カズキを間近で見ている君ならば」 「ああ……なんてことなの……」 よよ、と泣き崩れんばかりの勢いで嘆く桜花の背後から突き出される蝶。 否──それは蝶の仮面だった。それを臆面も無く顔に戴き、さらに全身タイツという出で立ちの、紛うことない変人の姿。 「なんだそれは?」 頼まれもしないのに首を突っ込む、傍若無人で自己中心的な蝶の妖精──『蝶人』パピヨン。 固唾を呑む二人の前、桜花の手にした何枚もの紙切れに一瞬で目を走らせ──七割がたのナナメ読み、そして疑問。 「誰だ、この真ッ赤ッ赤のどうしようもない追試確定&単位落第濃厚で、普通の脳ミソを持ってたら まず取りえない逆の意味で特殊の部類に入る点数が記された答案用紙の数々の制作に成功したのは」 沈黙──同時に発言、一部だけハモる桜花&ブラボー。 「「武藤」カズキ/クン」」 店内を駆け巡る店員の声。 「番号札一番でお待ちのお客様ー」 自称「武藤カズキのライバル」パピヨンをオブザーバーとして座に加え、 現時点より「武藤カズキの赤点をなんとかする会議」が発足した。 「ふん……会議なんて仰々しいものは必要ないだろう。原因はハッキリしている」 「君も俺と同意見か、パピヨン」 頷くブラボーにち、ち、と指を振り、 「パピ♡ヨン──もっと愛を込めて」 そんな意味のない発言で議事進行を滞らせないで欲しいのに ──という反感は精神的にも物理的にも豊かな胸にしまい、笑みを絶やさず相手に合わせた大人の対応を取る桜花。 「それではパピ♡ヨン、その対処はどうすべきかしら」 「貴様のようなブラックストマックにそう呼ばれると怖気がするな」 「…………」 絶やさぬ鋼鉄の微笑の表面に、なんつーか「イツカ殺ス♡」って感じのパルスが走るのを無視し、パピヨンの単純明快な解決策。 「原因を取り除け。悪性の癌は切除するしかない」 _ _ _ 私立銀成学園敷地内の寮施設──その一室。 「斗貴子さん」 そう呼びかけられ、少女はノートに落としていた目線を正面に振り分けた。 切り揃えられたショートヘア、細い手足、無駄のないすっきりした佇まい──静かに咲く蓮花にも似ている。 ただ一点、整った顔の中心にざっくり横一文字に走る古い傷痕が人目を引く。本人はあまり気にしていないが。 ──と、言うか。 「なんだ、カズキ。今は勉強中だ」 「また……触っていいかな?」 「またって……また私の傷にか?」 無意識的に鼻の頭を手で隠す。なぜだかちょっと身を引いてしまう。 それを拒絶の意思と解し、カズキの申し訳なさそうな声。 「えっと……ダメかな」 「ダ、ダメ……」 ダメもなにも、答えは一つしかないことを、斗貴子は知りすぎるくらいに知っていた。 「……じゃ、ないけど、別に」 知らず、かすかに声が震えていた。 「ん」 目を閉じて顔を上向きに据える。 テーブルを挟んだ向こう側でカズキが膝立ちになり、こちらへ身を伸ばしてくるのが気配として伝わってくる。 そっと斗貴子の片頬にカズキの温かい手の感触が重なる。 そして、神経が半ば剥き出しのためにやや過敏になっている、鼻の傷痕に指が触れ、ゆっくりと這っていった。 (カズキはこんなことしてなにが楽しいんだ……?) と、彼のされるがままに任せながら思う一方、 (しかし……なんだろう、この『イケないことしてる』という気持ちと『もっと触って欲しいかも』といういう気持ちは。 いやいやいや、おかしいだろうただ古傷を触らせてるだけなのになんだこのアブノーマルな『なにか』に没頭してるような感覚は) 出所不明の背徳感と常識の板挟みにあい、なんだかしっちゃかめっちゃかになった斗貴子の口から意図せず、 「ぅ……ん……」 と啜り泣きにも似た声が漏れる。 基本的に犬属性のカズキはそれに怯えたようにさっと手を引いた。 「ご、ゴメン斗貴子さん! 嫌だった!? ねえ嫌だった!?」 うっすら目を開けた視界からは、心底心配そうに覗き込んでくるカズキの顔が。 「……謝るくらいなら最初からするな」 「スミマセン」 しゅんとうなだれるその情けない姿に、つい斗貴子はイラっとくる。 「謝るなといってるそばから謝るやつがいるか!」 「え、ゴメ、じゃなくて、えーと」 具体的にどうすればいいのか思いつかなかったらしく、おろおろと右往左往するカズキへ、斗貴子は再びずい、と顔面を差し出した。 「ほら」 「はえ?」 「『はえ?』じゃないだろう気が済むまで触ればいいだろう」 「いや、でも」 ここまで来ると「よーするに自分がもうちょっと触っていて欲しいってだけで、その欲求不満でカリカリしてんだろ」 ということくらいは斗貴子自身はほぼ正確に把握していたが、理性の力MAXパワーでその事実から目を逸らす。 「男が一度触ると決めたものを途中で放り投げるなあ!」 なんだこの理屈、と思いながらも勢いまかせにテーブルを拳で叩く。 馬鹿か私は、とそっぽを向くも、妙にカズキが静かなのでこっそり上目遣いにそちらを見ると、 「……その通りだ斗貴子さん! オレ間違ってた!」 なんか肩まで震わせて感じ入っていた。あれで納得できたらしい。 「じゃ……触るよ」 「ん」 胸に沸き起こる高揚を御しながら、差し向かいのテーブルにわずかに身を乗り出すような態勢で再び目を閉じる。 (…………?) 今度はなかなか触ってこないなというか両手で私の頬に触れているぞどういうことだまさか傷を触る以外の『なにか』を──、 爆発寸前まで膨れ上がった乙女心と期待感とその他諸々で斗貴子の心拍数が150/分を超えようとしたその瞬間、 「武藤、いるか?」 部屋のドアが開き、その向こうには早坂秋水が立っていた。 こういう時は常に女のほうが速い。ブッちぎりである。 「……どうした、武藤。そのポーズはなんだ?」 「なんでもない、秋水センパイ」 顔を耳まで朱に染めながらマジでちゅーする五秒前ポーズのカズキをよそに、 斗貴子は折り目正しく座っており、あまつさえ淹れたてのコーヒーまでしばいていた。 「やあ、津村さん。武藤の勉強を見ているのか」 「ああ。まったく、こいつときたら定期試験で山ほど赤点を取ってきてな。仕方がないから私がレクチャーしているのだ」 ふむ、と真面目な顔で頷く秋水は懐から折りたたまれた紙片を取り出した。 「津村さんもいるなら都合がいい。実は、君たちに二人に姉さんからの言伝を預かっている」 「桜花センパイから?」 「そうだ」 自分を柱かなんかと勘違いしてるのか、戸口に突っ立っつ秋水は直立不動の姿勢でがさごそ紙を開き、内容を確認。 咳払い、朗読。 「『お前ら、ストロベリー禁止』」 ポク、ポク、ポク、ポク……チーン。 「……以上だ。御清聴感謝する」 ぺこりと会釈した秋水は、ふと違和感を感じる。 「どうした。君たち、信号機のような顔色をしているぞ」 止マレは斗貴子。ゴンッ、とテーブルに頭を落とし、その天板と零距離会話の敢行。 「分かってたんだ……私がカズキの勉強の邪魔をしているということは……。 だがよりによってあの腹黒女に指摘されるとは一生の不覚……うあああああぁぁぁっ!」 進メはカズキ。仰向けに引っくり返ってたった一つのシラブルを無限リピート。 「禁止……禁止……禁止……禁止……」 悶絶するセーラー服と生ける屍という組み合わせの異様さに、質実剛健で鳴らすさしもの秋水も戸惑いを隠せない。 「そ、それでだな、オレは姉さんからの頼みで武藤の勉強の手助けをすることになった。 至らぬ点はあるだろうが、ひとつ宜しく頼む──って、聞いているのか?」 しかし答える者はない。 秋水は溜め息ひとつ、窓を見る。 二人の精神状態の回復を気長に待つしか、話を進める手立ては無さそうだった。