約 2,504,666 件
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2516.html
――― ―― 「~♪」 梓「よし、大丈夫!」 梓(練習時間設けて良かった……皆さんも、きっと仕上げてくれるはず) 梓(あとはこれを律先輩に、ぶつけるだけ) 梓(見ててください、光太郎さん!私たちも――戦ってみます) 梓「――やってやるです!!」 タッタッタッ…… 澪「おーい、梓!」 梓「澪先輩!仕上がりはどうですか?」 澪「大丈夫。普段より気合い入れて、いつも以上に仕上がったよ」 梓「私もです!」 澪「しかし、梓は偉いな。こんな時なのに、立ち直って前を向けるなんて」 梓「え、偉くなんかないですよ。私だって、光太郎さんがいなかったら……弱いままでしたもん」 澪「梓にとってのウルトラマンタロウって、白馬の王子様って感じがするな」 梓「にゃっ!?」 澪「あはは!冗談だよ」 梓「澪先輩の冗談は冗談に聞こえないです……」 澪「でも、すごい人だよな。わざわざ私たちの世界のために、命を懸けて戦ってくれたんだもの」 梓「ええ。だからこそ、その想いに応えたいんです」 澪「そうだな……頑張ろうな」 梓「――はい!」 憂「あ、梓ちゃーん!澪さーん!」 澪「梓にとってのウルトラマンタロウって、白馬の王子様って感じがするな」 梓「にゃっ!?」 澪「あはは!冗談だよ」 梓「澪先輩の冗談は冗談に聞こえないです……」 澪「でも、すごい人だよな。わざわざ私たちの世界のために、命を懸けて戦ってくれたんだもの」 梓「ええ。だからこそ、その想いに応えたいんです」 澪「そうだな……頑張ろうな」 梓「――はい!」 憂「あ、梓ちゃーん!澪さーん!」 梓「憂!お待たせ!」 澪「そっちの準備はどう?」 憂「見てのお楽しみです♪ね、皆さん?」 「「そうですねー!!」」 澪「の、和!?それにクラスのみんなも」 和「律の事を憂たちから聞いて、いても立ってもいられなかったの」 「それで真鍋さんから連絡が来て、私たちも手伝えないかなって」 「りっちゃんはうちのクラスの太陽だからね」 「律がいない世界なんてつまらないし」 梓「皆さん……ありがとうございます!」 和「ほら、早く早く!」 澪「――ああ!」 唯「あ、あずにゃんに澪ちゃん!それにみんなも!」 澪「うわ……すごい!」 紬「どう?特設のライブ会場は」 梓「キレイな光……!」 澪「どうしたんだよこれ?」 唯「みんなのおかげなんだよ」 紬「学校中にあったライトに色つきのセロハン貼ってくれたの。それに、これも」 梓「懐中電灯にもセロハンが……!」 唯「こうして見るとさい……なんとかみたいだよね!」 澪「それを言うならサイリウム、だろ?」 唯「えへへ、そだねー♪」 梓「皆さん……!」 紬「感動するのはまだ早いわよ!ね?」 梓「……はい!」 唯「チューニングは大丈夫?」 梓「バッチリです!」 澪「いつでもイケる!」 唯「よーし……!」 梓「皆さーん!!こんばんはー!!」 「「こんばんはー!!」」 梓「放課後ティータイムでーす!!」 唯「みんな!今夜は目一杯、楽しんでってねー!!」 「「イェーイ!!」」 紬「それじゃあ、最初の曲は――!」 澪「――『ごはんはおかず』!!」 ―― ― ―― ― 「「1、2、3、4!GO・HA・N!」」 唯「1、2、3、4!GO・HA・N☆」 ジャーン…… 「「――ワァァァァァッ!!」」 唯「みんな、ありがとー!!」 澪「空の様子は?」 紬「……特に変わりないわね」 梓「でも、まだ一曲目です!」 唯「みんなー!どんどんいくよ!!」 「「がんばれー!」」 梓「律先輩!聞こえますかぁーっ!!」 紬「これが、私たちの放課後よ!」 澪「ドラム!空いてるぞーっ!!」 唯「お菓子も待ってるよー!!」 梓「いきますよ!『honey sweet teatime』!!」 ―― ― ―― ― ♪笑顔の花咲く空の下―― ――あふれてしまうの♪ 『ふふふ……諦めの悪い奴らだ』 『あんなことで我々がどうにかなるとでも思っているのか』 『せいぜい小手先の現実逃避に過ぎぬというのに、馬鹿なことをするものだ』 『なあ……田井中律?フハ――ハハハハ――!』 『――……な――』 『――む!?』 律(……みん……な……?) 『馬鹿な!!自意識が戻っただと!?』 『なぜだ!こいつの自意識は完全にコントロールしたはず!!』 梓「どんどんいきますよー!!」 唯「『私の恋はホッチキス』!!」 律「……ずる……ぞ……」 ♪――キラキラ光る願いごとも ぐちゃぐちゃへたる悩みごとも――♪ 『どういうことだ!!マイナスエネルギーの純度が薄れていくとは!!』 『それどころか、我々のマイナスエネルギーまで失われていく……!!』 紬「りっちゃーん!聞こえるー!?」 澪「いくぞ!『ふわふわ時間』!!」 律「……わた……しも――」 ♪―ああ神様お願い 一度だけの miracle timeください――♪ 『あり得ん!あのチンケな演奏ごときに!』 『このヤプールが……こんなことで!!』 ピシッ…… 憂「空に、ひびが……!」 純「もう少しだよ!」 ♪ふわふわタイム―― ――ふわふわタイム♪ 『ぬう……うぉぉぉぉぉっ!!』 梓(――届けぇぇぇっ!!) ♪ジャーン……♪ 唯「………どうかな?」 和「そろそろ12時になるけれど……」 ――ガシャァァン!! 律「うわぁぁぁーっ!!」ドサァッ 澪「――律っ!」 梓「律先輩!!」 律「お……まえら……うぅっ!」 紬「澪ちゃん待って!様子が変よ」 律『ぬぅ……なぜだ!!体が勝手に!!』 唯「りっちゃんとヤプールが混じってる……?」 紬「戦ってるのかも……りっちゃんの意識が」 律『なぜだ!!お前らの守護者ウルトラマンタロウは死んだというのに、なぜ無駄な抵抗を続ける!!』 梓「無駄なんかじゃない!!」 律「!?」 梓「ウルトラマンタロウの――光太郎さんの戦う心は死んじゃいない。私の中で生きてる!」 律『くだらん!お前、自分の状況わかってんのか?』 梓「ええ。だから律先輩、もう終わりにしましょう」 律「な………』 梓「そりゃ確かに、毎日勉強やら講習ばかりでつまらないなんて思うでしょうよ」 梓「だからってこんな悲しい非日常、この世界にはいらないんです」 律「……!」 梓「みんなでお茶したり、合宿したり、ライブしたりした毎日、私は楽しかったです!」 梓「思い出してください!そんな日常を律先輩は、誰よりも楽しんでたじゃないですか!」 律「う……ぅぅぅ!』 唯「りっちゃん!悪魔なんかに負けないでよ!」 澪「お前は軽音部の部長だろ!?投げ出すなんて言わせないからな!」 紬「りっちゃんの大好きなチーズケーキ!いっぱい食べさせてあげるから!」 憂「またうちに遊びに来てください!」 純「今度は名前、間違えないでほしいです!」 和「だから律!しっかりしなさい!」 律「く……うぅ」 『馬鹿な!!この程度で!!』 梓「みんな、あなたを待ってる」 律(梓……あずさ) 『愚鈍な、人間ごときに……!!』 律(私の頭を――打ち抜け!!) 梓「だから――いい加減、目を覚まして!!」 律「うぅぅ――うわぁぁぁぁぁぁーっ!!』 ゴォォォォォォ…… 憂「闇が……律さんから消えていく」 純「これがヤプールの魔力だっていうの……?」 律「うぅ……」 律「――あれ?どこだここ」 澪「律……しっかりしろ!」 律「……」 梓「ど、どうですか?」 澪「……寝てる」 唯「やったのかな……」 梓「律先輩……律先輩!」 律「う、ん……」 唯「りっちゃん大丈夫?生きてる?」 律「――あれ?どこだここ」 紬「……りっちゃん!!」 純「律先輩――!」 律「変だな、確か澪達と夕飯食べに行っててわぷっ!?」 澪「律っ!りつぅ!よかった……!」 律「いたっ!いてえぞ澪!離せ!ぐるじ……!」 紬「よかった……!りっちゃん!おかえり!」 憂「お帰りなさい、律さん!」 「りっちゃんが、帰ってきた!」 「救われたのね……!」 「りつー!おかえりー!」 律「……って、みんな!?なんだよこれ、ドッキリか?ドッキリなのか?」 梓「何言ってるんですか。律先輩が仕掛人ですよ?」 律「は?」 梓「律先輩は、今の今まで侵略者の手先だったんです」 律「ま、マジで!?」 梓「マジでって、本当に覚えてないんですか?あんなことしたのに」 律「そんなこと言われても!昨日の夜に変な声が聞こえて、それからそれから……あれ?」 梓「……ふっ」 律「は、鼻で笑うなー!!」 梓「でも……よかった」 律「梓?」 梓「よかったですよぉ……律先輩も!この世界も守れたんです!本当に――」 『――本当にそう思うか』 澪「――な!?」 紬「こ、この声……」 『フハハハハハッ!!残念だったな、地球人ども!!』 『最高の茶番をどうもありがとう!』 純「や、ヤプール!?」 憂「消えたんじゃなかったの!?」 『馬鹿め!我々の怨念がその程度で消えると思ったか!』 『その小娘を操っていたのは無数にいる我々の思念体のほんの一部だ』 『わずかでも希望を与えておけば、後で絶望した時のエネルギーも増す……だから利用しただけだ』 『結局、貴様らは我々の手のひらで踊っていたに過ぎないんだよ……!』 ガシャン! 『時間切れだ――ゆけッ!キングオブモンス!!』 梓「――そんな」 『キュルルルルルルル……!!』 『もっといたぶってマイナスエネルギーを取り戻してやりたいが、もはやそうも言ってられんようだ』 『まとめてお仲間ごと死ぬがいい!!最後の希望と共に――』 『キュルルルルルルル!!』 ズバババババッ!! 梓「な――――」 ズドッ――!! ガラガラガラッ―― 梓「にゃあぁぁぁぁぁ――っ!!」 ――地面が、迫ってくる。 瓦礫と共に落ちていく感覚が、まるでスローモーションのように感じられた。 (そうか――私、死んじゃうんだ) 世界を救ってやる……なんて、カッコつけてみたけど。 頑張った結果が、こんなオチだなんて。 (何も、守れてないじゃん) 光太郎さんと、約束したのに。 結局、私だけじゃなく、みんなのことも巻き添えにしてしまうなんて。 (ひどいよぉ……!こんなのって――こんなのって!!) ねぇ、神様。 お願い。 もしも奇跡があるのなら。 もう一度。せめてもう一度…… (みんなを、助けて――――) ガシャアアアアアン!! 次の瞬間、目の前が真っ白に染まった。 ―――― ――― ―――― ――― ―― ― ――ずさ―― ―――あず――ん (…………?) 気がつくと、眩い光が辺り一面を覆っていた。 私の身体はその中に浮いていて、なんとなく心地よい感じがする。 (この光、あったかいなぁ) まるで春の日だまりのような、優しい気持ちになれる光。 そんな暖かい光が、私の中に入っていく。 (ここは……) 『――梓ちゃん』 「!?」 突然、頭の中に声が響いた。 ヤプールとは全く違う、安心感に満ちた優しい声。 その声は紛れもなく、 梓「――光太郎さん!?」 『ああ。そうだ』 一度死んだはずの、光太郎さんだった。 8
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2510.html
暗闇に染まる街の中を、彼女は走っていた。 人っ子一人いない通りを、まるで「何か」を追うかのように駆け抜ける。 「止まりなさい!」 とあるビルの屋上にたどり着くと、ドアを蹴破り銃を構えた。 「行き止まりよ――もう逃がさないんだから!」 銃口を向け、威嚇する。 しかし、「何か」は慌てた様子もなく、至って平静なままだ。 その異様な雰囲気に、彼女は思わずたじろいだ。 「ふふ……あははははははっ……!」 突然「何か」は不気味に笑い、こちらを向く。 その姿に、彼女の心臓は飛び上がった。 「なっ――お前は!?」 「……知ってるくせに」 長い黒髪をストレートに下ろした、凛々しさと可愛らしさが入り交じった風の少女。 毎日鏡の前で顔を合わせている人間が、悪戯っぽく笑いかけてくる。 「あなたに私が撃てるかな?――ねえ、アズサ」 突然、少女の姿が赤い煙となって消える。 彼女は慌てて、少女がいた場所に駆け寄った。 「どこ?!出て来なさい!!」 「「ここだよ。アズサ(ちゃん)」」 びくん、と大きく身体が震える。 姿はないのに、友人の声だけが聞こえてきたのだ。 しかしその声は普段と違い氷のように冷たく、彼女の背筋を凍りつかせる。 「ビクビクしちゃって……弱いんだね、アズサちゃん」 「わざわざ地球防衛軍に入ったのにね。あはっ、そんなとこも可愛いよ」 「ほんっと――殺したいくらいに』 友人の声が不愉快な男の声に変わる。 同時に、赤い煙が竜巻のように舞い上がり、血のように真っ赤な異形の怪人が現れた。 『ウルトラ兄弟のみならず、愚鈍な人間ごときにまでコケにされるとはな。忌々しい』 「あなたの連れてきた怪獣はその人間が全部倒した。いい加減負けを認めたらどう?」 『負け?……フハハハハハッ!』 「このッ!」 レーザー光線が怪人の肩を直撃し、怪人がよろめいた。 しかし、それでもまったく動じる素振りがない。 『ぐっ……ハハッ!そうだ、確かに我々は負けた……だが』 次の瞬間。 『敗者の反対が……勝者だとは限らないぞ!』 地面が、ガラスのように割れた。 「な……っ!」 支えを失った身体は、怪人もろとも真っ逆さまに落ちていく。 『我らの怨念は不滅だ!!フハハハハハッ!!ハッハッハッハッ……!!』 怪人の高笑いと共に、真っ赤な裂け目に吸い込まれて――― ―― ― 梓「にゃあぁぁぁーっ!!」ガタンッ!! 「!?」 「?!」 梓「う……あれ、夢……?」 教師「……中野」 梓「はひッ!?」 教師「丸くなるのは炬燵の中だけにしとけ」 梓「」 教室が、どっと揺れた。 梓「うぅ~……最悪」 爆笑に包まれた教室をそそくさと潜り抜け、部室に向かう。 いくら睡眠学習とはいえ、あんな目覚め方はあり得ない。 梓(もう、何なのよ!あの夢……) 趣味の悪い謎の怪人と対峙する、見慣れない制服を着た私。 眠れなくて深夜放送のB級な洋画を見たのが良くなかったんだろうか。 梓(でも、妙にリアルだったな――なんて) そうこうしてるうちに部室に着いた。 もやもやした気分はとりあえず置いておこう。 梓「こんにちはー」 扉を開けると、いつもの軽音部―― 梓「…………?」 と見せかけて、少し違った。 律先輩、唯先輩、ムギ先輩が楽しげにテーブルを囲んでいるのに、澪先輩だけ光のない虚ろな目で震えてるのだ。 梓「あの~、先輩?」 唯「あ、あずにゃん!待ってたよ~」 紬「今お茶入れるわね~」 梓「はあ」 梓(なんか変な感じ……) 梓「ところで、澪先輩はどうしたんですか?」 唯「りっちゃんが悪いんだよ、あんな煽りかたするからぁ」 律「なにをー!あたしのせいかっ」 梓「?」 紬「今日ね、授業でゴジラを見たの」 梓「ゴジラって……野球の?」 唯「ベタだけど違うよ、怪獣のほうだよ~」 律「ほら、昔ハム太郎の映画と一緒にやってたじゃん」 紬「わたしたちが見たのは最初のやつよね」 梓「ああ、いろいろ懐かしい響きが――って、なんで授業で?」 唯「日本史の先生がお休みでね。どうせ自習なんてやらないだろうし、それならこれ見とけって」 紬「白黒なのも驚いたけど、すごい迫力だったから余計に驚いたわぁ」 律「澪なんか前見たまま気絶してたもんな。おーい、目覚めよ澪~」 澪「――――はっ!みんな、揃ってたのか」 梓「澪先輩がここまでなるなんて、そんなに凄かったんですね」 唯「すごいんだよ、とにかく強くてね、東京があっという間に焼け野原になっちゃって」 紬「人間じゃ全然太刀打ちできなかったの」 律「銀座とか国会議事堂とか、ド派手にぶっ壊してな!すごかったよな、澪?」 澪「ぎくっ」 律「なはは!いやぁ、ほんとすごかったなあ。本当にああいうのがいたらいいのにな」 唯「確かに、退屈はしないよねえ」 梓「でも、そんなのいたらめちゃくちゃじゃないですか」 唯「そんな時こそ、正義のヒーローだよ!」 律「何をー!そう簡単にやられはせんぞ!」 澪「生き残りたい――生き残りたい――」 梓(ああ、いつもの感じ――) 『――バカめ。呪われているとも知らずに』 梓「!?」ビクッ 唯「あずにゃん、どしたの?」 梓「いや……今、変な声しませんでした?」 紬「ううん、聞こえなかったけど」 律「気のせいじゃないのか?」 梓「で、ですよねー……?」 『この世界には怨敵も不在……容易く堕とせる』 『自らの欲望によって自滅するがいい――人間め』 『ハハ……ハハハハハハッ!』 梓「……!」ゾクッ 紬「――梓ちゃん?」 澪「大丈夫か?調子が悪そうだけど……」 梓「……すみません。なんか寒気が」 律「おいおい、無理すんなよ?今日はもう休んでいいって」 梓「ごめんなさい……それじゃ、失礼します」 唯「あっ、あずにゃん」 律「………」 …………………… 梓(変な夢に空耳……どうなってるのよ) 純「あれっ、梓?」 梓「純。それに憂も」 憂「部活、もう終わったの?」 梓「ううん、私一人早引け」 純「ちょっと、早引けって大丈夫?」 梓「いや、体調は悪くないんだけど」 憂「それじゃあ、皆さんと何かあったの?」 梓「そういうわけでもないんだけど……その、幻聴がひどくて」 純「ほほう、幻聴とな」 梓「うん。なんか、呪われてるとか変な高笑いとか。気味悪くなって」 憂「なんか胡散臭いね」 梓「でしょ?やけに耳に残る声してたのに、私にしか聞こえてないの」 純「もしかして梓……目覚めちゃったとか?」 梓「目覚めたって?」 純「ほら、エスパーとか」 梓「いや、ないでしょ」 純「でもさ、今日なんかずっとぽーっとしてて、6限終わりのあれだもん」 憂「そうそう、どんな夢見てたの?」 梓「それがさ――」 梓「(説明中)――って感じの」 純「何それ、ウルトラマン?」 梓「なんでウルトラマンなのよ」 純「だって、こないだ見たウルトラマンにそんな展開があった気がする」 憂「梓ちゃんも見たことあるの?」 梓「見た事ないし……」 梓「っていうか、純の今度のマイブーム、ウルトラマンなんだ」 純「そ!こないだ部屋の掃除してたらさ、古いビデオがあって。面白かったから――ほらこれ」 梓「うわ、ウルトラマンの人形……懐かしい感じだね」 純「お兄ちゃんからもらったんだ。良くない?」 憂「あっこれ、ウルトラセブンだね」 純「当たり!それからこれがタロウで、これがティガ、これがガイア」 梓「純、詳しいね」 純「でしょー、もっとほめてー」 憂「あはは」なでなで ゴゴ…… 梓「――あれ?」 ゴゴゴ…… 憂「どうしたの?」 梓「なんか、空が変」 『――ふふ――ははは』 憂「え?――ほんとだ。雷?」 『時は――満ちた――』 『この世界を――怨念で包んでくれる』 純「でも、今日は雨降らないって――」 『我等の不滅の怨念を見るがいい』 『行けッ!剛力怪獣――キングシルバゴン!!』 ――ガシャン!! 梓「!?」 純「えっ!?」 憂「空が、割れた――」 『ガアアアアアアッ!』 ズズゥゥゥン!! 梓「かっ――怪獣!?」 純「はわぁ……すごいわね。今の特撮って」 憂「いやいやいやいや!!どう見てもあれ――」 『ガァァアアァァ!』 ガシャァァァンッ! 憂「本物だよぉ!」 純「――ウソぉっ!?」 ズン……ズン…… 「うわぁぁぁっ!」 ズガァァァァン!! 「こっち来んなぁぁぁっ!!」 『フハハハハッ!いいぞ、マイナスエネルギーがどんどん貯まっていく!』 『怯えろ!絶望しろ!我等の糧となれェェッ!』 『もっと暴れろシルバゴン!すべてを――破壊しろ!!』 タッタッタッ―― 純「どうなってんの!?本物の怪獣が出てくるなんて……!」 憂「わかんないけど、とにかく逃げなきゃ!」 純「もーっ、なんなのよ!夢ならさっさと覚めてよぉぉっ!」 梓「はっ、はあっ!ちょっと、二人とも待ってってば――」 『ガアアアァァァッ!』 ――バシュン!! 「危ないっ!!」ガシィッ! 梓「え――にゃぁっ!?」ゴロゴロ ズガァァァァァンッ!! 梓「――うぅ……ゲホ、ゲホッ!」 ?「ふぅ、危なかった……」 梓「――!?」 梓(何これ、押し倒されてるみたい……!) ?「大丈夫かい?」 梓「あ……あのっ、わ、私はぜんじぇっ!?」 梓(か、噛んだ……!) ?「よかった……平気みたいだな。立てるか?」 梓「は、はい。大丈夫ですっ」 梓(うぅ……男の人にダイビングキャッチされるなんて……) タッタッタッ…… 憂「梓ちゃん!! 大丈夫!?」 純「うちの梓をありがとうございますっ」 梓「うちのって何よ!」 ?「はは、大丈夫さ……それより、あの怪獣だ」 『ガアアアァァァッ!!』 ズガァァン!ドォォン! ?「……よぉぉし」 憂「お兄さん?」 ?「君達はどこかに隠れてるんだ。僕があの怪獣を引き付ける」 憂「へっ!?無茶ですよ、丸腰じゃないですか!」 ?「武器は――ある!!」 梓「あっ!――行っちゃった」 …… ?「このぉっ!これでどうだ!」 『ガアアアアァ!』 ?(ちくしょう!あの怪獣、なんて固さなんだ!) ?(さっきから石をぶつけてるのに、まるでこっちに気づきやしない……!) 『ガアアアァァァッ!』 ?(くそ――このままじゃ街が!) 「タロォォォォォォウ!!」 パァァァァァッ……!! 純「うわっ!今度は何!?」 憂「さぁ……」 赤と銀の影が空を切り裂くように怪獣を貫き、怪獣が倒れ込む。 影はゆっくり立ち上がり、その姿を現した。 梓「あ……」 銀色のラインが走る深紅の身体。 光る黄金の目に、燦然と輝く二本の角。 胸には青く光る宝石。 梓「あれは――」 地響きと共にそびえ立つその姿は、さっき純が持っていた人形と同じ―― 憂「ウルトラマン――」 純「――タロウ!?」 『トァァッ!!』 ファイティングポーズを取るや否や、ウルトラマンタロウは体勢の整っていない怪獣に躍りかかった。 怪獣はその動きを丸太のような腕で振り払おうとするが、タロウはそれを冷静に捌き、懐へ飛び込んでいく。 『フンッ!!デッッ!!』 パンチの連打を浴びせ、怯んだところに強力なストレートパンチ。 突き放したところで、思いっきり飛び上がり―― 『グァァァッ!?』 二回三回空中でひねりを入れ、怪獣に向かって急降下の飛び蹴りを繰り出した。 『フンッ……デァッ!』 タロウはすかさず倒れこんだ怪獣に駆け寄るとその尻尾を掴み、ハンマーのように回し始める。 そのまま鋭いスイングで投げ飛ばし、地面にたたきつけた。 憂「すごい……すごいよ」 純「同じだ……テレビで見たのと!」 「頑張れぇぇっ!!」 「頑張って、ウルトラマン!!」 梓(―――あれ?) 純や憂、街の人々と一緒に応援している途中で、ふと何かが引っ掛かった。 梓(なんでだろう……この感じ、見たことある気がする) 今まで私の人生の中で、ウルトラマンを見た経験はない。 なのに、なぜか初めて見た驚きのようなものはなかった。 ウルトラマンも怪獣も現実にはいるはずがないのに、今のこの光景に既視感を覚えているのだ。 梓(なんで……) 2
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2513.html
星人『……! 現れたな、ウルトラマンタロウ!』 光太郎「なぜお前が、この世界にいるんだ!」 星人『決まっている!お前を倒すため、地獄の闇から蘇ったのだ』 光太郎「お前を蘇らせた黒幕は誰だ!?」 星人『ハハハハハ!黒幕?そんなことはどうでもいい。ワシはただ、お前を倒すのみ……だッ!』 光太郎「ぬぉっ!?」 星人『どうした。早くタロウに変身しろ。さもなくば死ぬぞ』 光太郎「……こんなところで、戦うわけにはいかない」 星人『ぬるい事を言うな!変身しないと言うんなら、そこの警官を殺してもいいんだぞ』 光太郎「何だって!?」 星人『無論、街の人間もろとも皆殺しでも構わないが……さぁ、どうする?』 光太郎「くそっ……タロォォォォウ!」 星人『ふっ、そう来なくてはな!』 タロウ『……いくぞっ!』 …… 梓「……あれ、光太郎さんは?」 憂「それが、すぐ戻るって言って……どっか走ってっちゃった」 梓「また何か聞こえたのかな」 純「聞こえたって?」 梓「自分をこの世界に呼んだ人を探してるんだって」 純「どんな人さ」 梓「私くらいの女の子だって」 純「何それ……」 憂「いくらウルトラマンでも、なかなか難しい注文だね……」 純「声だけって、不親切じゃない」 梓「でも、結構ニアミスがあったみたいよ?るるぽーとだけでも3回くらい」 純「偶然じゃないの?」 梓「でも光太郎さん、これだって人にしか声かけてないみたいだし。それは違うと思う」 憂「なるほどねえ……」 純「それで、空いた時間におデート、と」 梓「に゛ゃっ……!」 純「いやはや、まさか梓がねえ」 梓「そっ、その話はさっき済んだんじゃないの!?」 純「人の恋路はおちょくってナンボでしょ、ねー憂?」 憂「ねー?」 梓「」 純「で、どうなのさ?ウルトラマンと過ごした感想は」 梓「どうって……普通のお兄さんって感じだったよ」 純「……ちっ」 梓「何その反応!?」 純「だってさ、ウルトラマンだよ!?なんでそんなあっさりしてるのさ!」 憂「本物になんて絶対会えないからねえ」 純「ファンの人が聞いたらスペシウム光線の蜂の巣だよ」 梓「ほんとなんだってば!まっすぐで、気取ってなくて、とっても爽やかだし」 梓「正直……こんなお兄ちゃんなら欲しいかなあ……なんて」 純憂「「……」」 梓「……何?」 純「あーもー!うらやましい!」 憂「梓ちゃん健気~♪」 梓「えっもう、何よこの雰囲気ーっ!?」 「あーずにゃぁぁん!」 梓「に゛ゃぁっ!?」 唯「んー、しあわせー♪」 憂「お姉ちゃん!」 梓「うぅ~……」 律「良い子の諸君!お揃いかねー!」 澪「偶然だな」 紬「みんな一緒なのね」 純「と、軽音部の皆さん?」 …… …… タロウ『タァァァァッ!』 星人『グァァァァァッ!』 タロウ『くっ……まさか、ここまで粘られるとは……』 星人『ふ……はは、なんてことだ、昔戦った時はああも弱かったお前が』 タロウ『もう、あの頃の甘えた末っ子ではない。それを見誤ったお前の負けだ』 星人『くっ……さすが、言うことが違うな。ウルトラ兄弟一のエリートというわけか……ハハハ』 タロウ『……なぜだ?なぜ、そこまでの余裕を』 星人『はっ……!わしの目的はもう既に果たしたからな……』 タロウ『何っ?』 星人『奴の言いなりになるのは癪だったが……お前ともう一度戦えるのならばと了承した』 タロウ『答えろ!奴とは誰だ!』 星人『今にわかる――ぐふぁッ!』 タロウ『なっ!?』 星人『は……はは……やはりお前は、昔と同じだ、な』 星人『目の前の罠に全力で飛び込み――隣の女を見失――』スゥゥ…… タロウ『……!?』 タロウ(梓ちゃんが……!?) …… …… 紬「そういえば三人は、どういう集まりなのかしら?」 純「たまたま会ってお出かけですけど……先輩方は?」 澪「学校で講習会をやってくれるっていうから、みんなで受けてきたんだ」 憂「ああ、受験生ですもんね」 梓「ところであの、唯先輩」 唯「なーに?」 梓「なんかいつもより締め付けられてる感が強いんですがそれは」 唯「クックック、よくぞ聞いてくれたなあずにゃん君」 梓「はぁ」 唯「私は今、猛烈に君が妬ましいのだよ」 律「そうだよ!」 梓「はい?あと律先輩、なんで便乗する必要があるんですか」 律「とぼけるな!もうネタは上がってんだぞぉ!」 唯「さあ吐きなさい!生の怪獣、ウルトラマンの迫力を!」 梓「はにゃぁぁっ!」 澪「こら、落ち着けお前ら」ペシッ 唯律「あうっ」 梓「はぁ、はぁ……やっぱり、先輩方の周りもその話題ですか?」 紬「そうね。私たちも部室から遠巻きに見てたけど、唯ちゃんとりっちゃんがすごくはしゃいでてね」 唯「そりゃそうだよ、なんたって本物だよ?」 律「ずるいぞ!梓だけ生で見たなんて!」 唯「そうだよ!生のウルトラマンに黄色い声上げるなんて、ずるいよ!」 律「ずーるーい!ずーるーい!」 梓「ずるいって……」 純「確かに迫力はありましたけどね」 澪「でも、本当に本物の怪獣が出るなんて……」 紬「何か不思議よね。どうなってるのかしら」 唯「まあまあ。本当にいただけでも私は嬉しいよ?」 律「別に、もっと出てきてもいいのになー」 梓「何言ってんですか!?」 澪「!?」ビクッ 梓「私なんか、あの時必死で逃げて、危うく死にかけたんです!」 梓「あんなの……見世物なんかじゃないんですよ!?」 律「で、でもさぁ。せっかく出たってのにすぐに倒されたってのはなぁ」 唯「ちょっとつまんないよね」 律「その通り!もっと強いやつが来てくれないとつまらんぞ!なぁムギ!」 紬「ええっ?私は、みんなと一緒ならそれでいいかな……って」 梓「いくらなんでも、唯先輩も律先輩も言いすぎです!」 『それはどうかな』 梓「!?」 『未知に対する興味関心は誰にでもあると思わないか?』 梓「律先輩……いや、律先輩じゃない……?」 『なぁ、そうだろ? 中野梓』 梓「だ……誰?」 『異次元人――ヤプール』 紬「……梓ちゃん?」 澪「おーい、梓?あずさ!――へんじがない」 律「どうしたんだ?急にぼーっとして」 紬「しかも、りっちゃんをじーっと見つめて……」 律「――はっ!?」 唯「まさかあずにゃん、そういう……」 律「私のここ、いつでも空いてますよ」 唯「埋まってたことないでしょ!」 律「へっ!」 『ふふ、騒がないか……賢明だな。この声は、お前にしか聞こえないのだ』 梓「そんな……なんで、そんな事を」 『お前に話があるからだ。もちろん、邪魔者のウルトラマンタロウは抜きでな』 梓「っ……光太郎さんは!? 光太郎さんに何したの!!」 『そんなに逸るな……ちょっとした足止めに、刺客を放っただけだ』 『ウルトラ戦士がそんなものでくたばる訳がないだろうが』 梓「捨て駒って……そんな」 『ひどいとでも言うか?心外だな』 『我々の怨念は一蓮托生……奴もタロウと戦えて満足だろうに』 梓「怨念――そういえば、昨日部室で」 『ほう、お前には聞こえていたか……ハッハッハッハッハ!』 梓「え?」 『ハッハッハッ!実に面白いぞ、中野梓!』 『何も知らないままの人間をただ滅ぼすだけではつまらんがな』 『我々の呪いを知っていながら何もできない方が、俄然楽しいではないか』 『ましてやそれが怨敵――ウルトラマンタロウの、最も身近な人間だと言うのだからな』 『そんな無力な人間からウルトラマンという希望を消し去れるなんて、最高の余興じゃないか』 梓「……バカみたい」 『ん?』 梓「光太郎さんは……ウルトラマンは負けない!」 梓「あんたみたいな卑怯者なんかに、絶対負けないんだから!」 梓「その体から出てきなさい!」 『……ほう!』ポゥッ…… 梓「にゃっ!?」ズキッ 『もうじき、我々の呪いで強力な怪獣が生まれる。ウルトラマンタロウなど全く問題ではない』 『だがお前は別のようだな』 『私の声が聞こえる人間……さすがはといったところか』 梓(……え……?) 『今ここで殺ってもいいが……それでは楽しくない』 『手始めにウルトラマンタロウから殺し――必ずやお前を、絶望の渦へ叩き込んでくれる!』 梓「うぁぁぁっ!」ズキィィッ 純「梓っ!?」 憂「大丈夫!?しっかりして!」 紬「梓ちゃん!?」 澪「大丈夫か!?」 梓「頭の中……覗かれてるみたいな……」 『あはっ……あはははははっ!』 梓「いや……やめて」 澪「お、おい梓?」 紬「梓ちゃん……?」 『あハハ……ハッハッハッハッ……!』 梓「やめて……その声で笑わないで……!」 唯「……えっ?」 純(どうしよ憂、このままじゃ梓が可哀想だよ) 憂(任せて!) 憂「あ、そうそうお姉ちゃん!お腹空いてない?」 唯「あぁー……うん、もうペコペコですよぅ」 憂「そうだよね!一緒にお買い物でもして帰ろうか!」 唯「えっ?でも、あずにゃんが」 憂「梓ちゃん調子悪いみたいだし、みんなで囲んでたら逆に疲れちゃうよ!ねぇ純ちゃん?」 純「そうだよね!梓の面倒は私が見るんで、皆さんはご飯でも食べてきてください!」 澪「あぁ……うん」 紬「ごめんね、引き止めちゃって」 律「あんまり無理すんなよ~?」 唯「また学校でね?」 憂「じゃあ純ちゃん、あとはお願いね」 純「ラジャ!」 梓「あぐっ……うぅ」 純「梓、ねぇ梓ってば!」 光太郎「あっ、梓ちゃーん!!」 純「光太郎さん!どこ行ってたんですか」 光太郎「そんなことより純ちゃん、梓ちゃんはいったい!?」 純「それがさっき急に倒れて、頭の中覗かれてるみたいって」 光太郎「なっ……梓ちゃん!しっかりするんだ、梓ちゃん!」 梓「はっ……!」 光太郎「大丈夫か?」 梓「光太郎さん……!」ギュッ 光太郎「わっ!?」 梓「っ……律先輩が……!律先輩が!!」ポロポロ 光太郎「落ち着いて!」 梓「うぅ……」 純「ねぇ、本当にどうしたの?昨日からずっと調子変だよ」 梓「……話しても、信じてくれる?」 純「当たり前じゃん!!」 光太郎「何でも、話してくれよ」 梓「……ありがと。あのね――」 光太郎「何っ、ヤプール!?」 純「――律先輩が!?」 梓「……必ず、タロウを殺して、お前を絶望の渦に叩き込んでやるって」 純「ひどっ……何それ、幻聴とかじゃなくて?」 梓「違うよ!あんなにはっきり聞こえてきて、私も言い返したもん」 光太郎「なんてことだ!まさにヤプールのやり口だ……くそッ!」ドン 純「光太郎さん、その、ヤプールって?」 光太郎「異次元から来た侵略者だ。あらゆる世界を我が物にしようとする、悪魔のような奴だ」 梓「悪魔……」 純「じゃあ、空が割れたり、怪獣が出たのは」 光太郎「ヤプールの仕業だ。その律って子を利用して、力を蓄えてるんだろう」 光太郎「現に、宇宙人までもがこの世界に呼び出されていた」 光太郎「このままだと、もっと強力な怪獣を呼び出して、この地球を侵略するに違いない」 梓「侵略って、そんな……うそ」 純「でもおかしいですよ!地球が狙いなら、なんでわざわざ梓なんかを狙うんですか?」 光太郎「……僕に一番近い人間だったから」 純「え?」 光太郎「奴はウルトラ戦士に強い恨みを持っている……きっと、僕に一番近い梓ちゃんを狙って、僕を挑発したんだろう」 純「ひどい……」 梓「……それだけじゃないです」 光太郎「なんだって?」 梓「アイツは、自分の声が聞こえる人間をさすがだとか言ってました」 梓「なんだか、その言葉が妙にひっかかってるんです」 光太郎「……梓ちゃん。昨日、変な夢を見たって聞いたけど」 梓「ええ。でも、それが何か」 光太郎「たぶん、それは夢じゃない」 梓「え?」 光太郎「もう一人の……『わたし』の記憶」 光太郎「君が、僕をこの世界に呼んだんだ」 梓「――うそ」 光太郎「君と一緒にいて、何か違和感を感じることが多かった」 純「違和感?」 光太郎「ああ。初めて会った気がしないというか」 光太郎「でも、こう考えれば納得がいく。僕たちは――」 ガシィィィィンッ!! 光太郎「――なっ!?」 ガシンッ! ガシッ! ガッ……コン……!! 『グワシ……』 光太郎「き……キングジョー!!」 梓「ろ、ロボット!?」 光太郎「セブン兄さんが倒せなかった強敵だ!ヤプールめ、なんて奴を……!」 『グワシ……グワシ』 5
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/35932.html
登録日:2017/01/06 (金) 21 27 31 更新日:2024/07/14 Sun 20 59 12 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ ウルトラセブン ウルトラマン ウルトラマンエース ウルトラマンギンガ ウルトラマンギンガS ウルトラマンギンガストリウム ウルトラマンジャック ウルトラマンタロウ ウルトラ兄弟 ウルトラ兄弟フォーム ギンガストリウム スーパーウルトラマン ゾフィー 全部載せ 合体 合体ウルトラマン 強化形態 杉田智和 根岸拓哉 石丸博也 苦戦多し 融合 ※推奨BGM:ウルトラマンギンガのテーマ 新たな刺客が送り込んできた、ロボット軍団。 傷つき、倒れた俺に聞こえてきた声が、 ギンガを…次のステージに導く! 次回、ウルトラマンギンガS! 孤高の戦士 今こそ、ウルトラの仲間の力を、見せてやろうぜ! 力を合わせられるのはオーブだけではない。その力こそ、ウルトラ戦士なんだ! 行くぞギンガ! ウルトラの力を見せてやろう! 画像出典:ウルトラマンギンガS3話『孤高の戦士』より 2014年7月15日から9月2日まで第1期(全8話)、11月4日から12月23日まで第2期(全8話)がテレビ東京系列にて放送/全16話 ©「ウルトラマンギンガS」製作委員会、円谷プロダクション 『ウルトラマンギンガストリウム』とは『ウルトラマンギンガS』に登場したスーパーウルトラマン。 その名の通り、ウルトラマンギンガとウルトラ6兄弟の力を合わせたスーパーウルトラマンタロウの二人が合体したウルトラマンである。 なお、ウルトラマンギンガビクトリーとは違い、メビウスインフィニティーと同じくあくまでギンガの強化派生形態扱いのため、別のウルトラマンとしては扱わない。 概要 身長:ミクロ-無限大 体重:0-無限大 出身:不明 飛行速度:計測不能 走力:計測不能 水中速度:計測不能 地中速度:計測不能 ジャンプ力:計測不能 腕力:計測不能 握力:計測不能 変身アイテム:ストリウムブレス 声:杉田智和(ギンガの意思 ヒカルと分離状態の掛け声。ギンガストリウムの場合は主に列伝等の本編外で披露) 根岸拓哉(礼堂ヒカルがライブ時の掛け声) 石丸博也(一体化しているタロウの声) 地球が大変な事態になった事を知ったギンガがヒカルに内緒でウルトラサインを使いタロウに助けを求め、 それに応えたタロウがインペライザーに負けてボロボロになったヒカルの前にスパークドールズの状態で現れた。 そして自らの姿を変身アイテム『ストリウムブレス』に変え、これをギンガスパークでリードする事でタロウと一体化する。 今こそ一つになる時! \ウルトラマンタロウ!/ ギンガに力を! ギンガストリウム!! 変身する際には『ストリウムブレス』からタロウが上記の口上を叫ぶ。 見た目は額のクリスタル部分にウルトラセブンのようなビームランプが追加され、 胸のプロテクターや体の模様などが変化しタロウ要素が強く表面に出ている。 ギンガストリウムになる事で基本能力が大幅に向上し、 ファイティングポーズもタロウと同じものに変化し、戦闘スタイルも東光太郎のような連続パンチを繰り出すようになる。 最大の特徴はウルトラ6兄弟の必殺技が使えるようになるというもので、言わばウルトラ版エースキラー。 歴代の敵との戦いではその敵と縁のあるウルトラ戦士の技で倒すという縛りがあったため、技を使うためだけにギンガストリウムに変身する事もあった。 そのため通常ギンガの必殺技を使う機会が減少し、無印の頃見せていた多彩な超能力も使わなくなってしまった。 素の状態で物凄く強いギンガが兄弟最強とも言われるタロウと合体しただけあって、戦闘能力はまさに超最強。 ……のはずなのだが、初登場以降苦戦が目立つ事もあってチート形態と思う人は少ないだろう。ギンガストリウムが弱いんじゃない。敵が強いんだ。 まあ、苦戦はすれど体力が少ない時を狙われたファイブキングや、 ぶっちゃけ順番が悪かっただけな気もする体力お化けのビクトルギエル以外には負けた事はないんだけどね……。 ギンガS本編だけ見ている人には何故タロウと合体するとウルトラ6兄弟の力が使えるようになるのか不明だが、 本編の前日談である新列伝54話によると、タロウがウルトラ5兄弟から託された力と合体しスーパーウルトラマンとなったうえで地球に向かったからと説明されている。 『DXオーブリング』でウルトラ6兄弟をリードすると『ウルトラオーバーラッピング』と流れ、タロウがスーパーウルトラマンになる。 そしてそこにメビウスを加えると『メビウスインフィニティー』と音声が流れる。 しかし、ギンガストリウムの場合、タロウとギンガのカードだけで事足りる。 メビウスと同じく6兄弟の力を宿しているのにお手軽なウルトラマンである。 歴代でもかなり頻繁に合体変身しているため、偶にファンからもスーパーウルトラマン扱いされない事もある。良くて簡易スーパーウルトラマン。 ウルトラ10勇士の特典資料では友也がガイアのスプリームヴァージョンを見てギンガストリウムのようだと言っているが、確かにあちらに扱いは近い。 しかし『思わず「シェアッ!」したくなるウルトラ豆知識50』では、 インフィニティーやサーガと同じくスーパーウルトラマンの一人として数えられている。 最終回でタロウと分離したため、その後の客演では登場する事がなくなってしまった。 列伝やショーなどのメタ世界では一応登場してくれているが。 タロウ本人はいつでも駆けつけてくれるとは言っているが、別の宇宙から来てもらわなければならないうえに、 コスモミラクル光線の威力を期待する場合でもビクトリーとフュージョンしてギンガビクトリーになってしまえばウルトラフュージョンシュートで事足りる為、 タロウと再び協力する事態にならない限り若干再登場は厳しいかもしれない…そう、タロウと再びともに戦うその時まで。 ■必殺技 必殺技の使用時にタロウとヒカルが同時に技名を叫ぶ。 『ウルトラマンフェスティバル2016』にてギンガが単体で使用した際には、タロウだけが技名を叫んでいた。 ウルトラ兄弟の技だけではなく、通常ギンガの技も使用可能。 ギンガストリウムハイパーパンチ/ギンガストリウムハイパーキック 通常ギンガより強力になった通常攻撃。 ストリウム光線 ギンガストリウムとなって初めて放ったウルトラマンタロウの力で、インペライザーの大軍に対して使用し数を減らした。 放つ際にはかつてのタロウの人間体である東光太郎を演じた篠田氏の掛け声が使われている。 おそらく『タロウ』放送当時の物の流用だと思われる。 その後の扱いは微妙だったが、最後はファイブキングを撃破して前半のトリを飾った。 でも後半では一切使われなかった ブルーレーザー ウルトラマンタロウの力で発動。劇中未使用。 ちなみにブルーレーザーはウルトラホーンから出す技なのだが、 没になった結果、角がないギンガは何処から出すというのだろうか……? スペシウム光線 ウルトラマンの力で発動し、インペライザーの大軍の残りを全滅させた。 後半戦ではべムラーを撃破するが、ハイパーゼットンには跳ね返された。 ウルトラスラッシュ ウルトラマンの力で発動。劇中未使用で終わった。 ワイドショット ウルトラセブンの力で発動。 ガッツ星人ボルストのライブしたキングジョーカスタムを一撃で倒した。 エメリウム光線 ウルトラセブンの力で発動。発射ポーズは、両手の人差し指と中指を立て、額に当てて発射するAタイプバージョン。 ファイブキングに使用した。 ウルトラショット ウルトラマンジャックの力で発動、サドラを倒した。 だが、ジャックはこの技を劇中では数回しか使用してないため本来は「必殺技」とは呼べない。 まあ代表的な技のほとんどがウルトラマンと被っているし、シネラマショットもセブンやAのL字型光線と被るし、 ウルトラブレスレットを出すのもなんか違うので仕方ないのだろうが。でもギンガストリウムでは結構活躍している技でもある。 ウルトラバーリア ウルトラマンジャックの力で発動。ヤプールの異次元のバリアに閉じ込められた際、 その中にもう一つバリアを作り、バリアを破裂させるという、 わりとよくわからない方法でバリアから脱出したり、ビクトリウム・キャノンの余波から仲間を守ったりした。 変身しなくても使える唯一の技の模様。 メタリウム光線 ウルトラマンエースの力で発動、巨大ヤプールを倒した。 パンチレーザー ウルトラマンエースの力で発動。ポーズがエメリウム光線と大して変わらないからか、劇中未使用。 M87光線 ゾフィーの力で発動。発射ポーズは、右手を前方に伸ばして発射するAタイプバージョン。 ゴルザを倒したほかビクトルギエルにも空中から変身と同時に放って大ダメージを与えている。 何気にM87光線が単体の威力で敵を倒したのはギンガストリウムが初(エースキラーを除く)。 ちなみに今回は「えむはちなな」ではなく「えむはちじゅうなな」光線と呼称されている。 Z光線 ゾフィーの力で発動。ビクトルギエルに使用した。 コスモミラクル光線 ウルトラ兄弟の力を一つにすることで発動、ハイパーゼットンを倒した。 公式最強光線の名は伊達ではなく、以前の個体ではゼロ、ダイナ、コスモスの合体光線を容易く吸収して撃ち返すほどの吸収能力がある、 ハイパーゼットンアブゾーブを、たった数秒の照射であっさり打ち破るほどの威力を見せた。 コスモミラクルエスペシャリー 『ギンガS』最終話にてビクトリーの必殺技・ビクトリウムエスペシャリーと、 ウルトラ兄弟の力を結集したギンガエスぺシャリーの合体技。ビクトルギエルを倒した。 ニュージェネレーションダイナマイト ウルトラギャラクシーファイトで使用した大技。 新世代ヒーローズの力をストリウムブレスに集め、タロウの力と合わせて放つウルトラダイナマイトの発展型であり、巨大化したウルトラダークキラーに対して使用した。 ■余談 当初はウルトラホーンも取り付ける予定だったが、最終的に不採用になった。 決定稿の段階まで腕部や脚部のクリスタル周辺にタロウのブツブツがあったが、「流石にやり過ぎでは?」という声があったためスーツを作る際に省略されたとのこと。 エースキラーと似た存在でありながら、結局本編では戦わなかった。 またギンガがエースキラー(及びその派生形態ビクトリーキラー)と戦ったのはタロウと分離した後のウルトラファイトビクトリーでの事だった。 タロウに助けを求めたのはギンガ自身だが、この合体変身にギンガ自身の意思は介入していない。 ただ列伝やフェスティバルでの言動から、タロウと合体するのは嫌と言う訳ではないようだ。 追記・修正はタロウと一つになってからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 好きだわこれ -- 名無しさん (2017-01-06 22 21 09) ジャックの力は、流星キックのほうが良かったかも。 -- 名無しさん (2017-01-06 22 25 46) ↑子供が真似しやすいように光線技に偏ったのかもしれないけど、ウルトラショットは確かに流星キックで良かったかもね。ウルトラショットとウルトラバーリアはかなり活躍しているからいいけど -- 名無しさん (2017-01-06 22 31 38) 冒頭のセリフって、ウルフェス2016の時のか -- 名無しさん (2017-01-06 23 01 51) ↑そうか、前作なのになんでオーブの名前が?って思ってたよ-- 名無しさん (2017-01-06 23 09 25) ギンガSの項目ですでにギンガストリウムの口上は使われてるし、こっちの方がある意味でギンガストリウムっぽくていいね -- 名無しさん (2017-01-06 23 12 40) いつかフュージョンブレスみたいにタロウが変身したのではない単独のアイテムとしてストリウムブレスを装着してタロウ ギンガストリウムのタッグとかしてくれないかな? でビクトリーナイトはヒカリと組んで最後に相方交代してギンガストリウム ビクトリーナイトのタッグで決着 -- 名無しさん (2017-01-07 01 08 13) ↑もう後続作品が出てきてギンガがメインになる事はもう無いだろうから難しいと思う。客演回でやろうにも本編見てないと分からないような絡みをするべきなのかって問題が -- 名無しさん (2017-01-07 01 32 49) ↑だよねぇ・・・自分でもそう思いながら書いてた -- 名無しさん (2017-01-07 01 44 16) スーパーウルトラマンとしてカウントされるのは知らなかった…その割にはバーニングブレイブポジの活躍しかしてなかったから公式とはいえ言い過ぎな気が…w -- 名無しさん (2017-01-07 08 52 53) ファイブキング戦で順番に6兄弟の力を使って部位を破壊する流れが好きだった。 -- 名無しさん (2017-01-07 09 25 46) オーブ劇場版でタロウのフュージョンカードの力をギンガに与える感じにすれば再登場できそうだから少し期待してる 逆にビクトリーからヒカリのフュージョンカードもらったりもできそうだし -- 名無しさん (2017-01-08 00 42 17) まだアンタの記事なかったの!? -- 名無しさん (2017-01-08 02 20 38) ↑ずっとギンガのところにあったから仕方ないね。 -- 名無しさん (2017-01-08 13 39 13) 旧主人公と合体したギンガストリウム、新主人公といってもいいビクトリーと合体したギンガビクトリー。多分スペックに大きな違いはないはずなのに……。 -- 名無しさん (2017-01-15 01 56 29) ↑一番の違いであるキングのじっちゃんが持ってきたウルトラフュージョンブレスの存在がかなり重要ってことだと思うよ。 -- 名無しさん (2017-01-15 01 59 39) 大怪獣ラッシュではなぜかギンガとは別ヒーロー扱いで同時編成できる -- 名無しさん (2017-05-01 11 02 26) 玩具に音声収録されているやつ以外にも使える技もあるんじゃないのかな。ギンガビクトリーにも言えるけど。 -- 名無しさん (2017-08-01 14 51 19) ブルーレーザーは多分、耳のクリスタルから出すんだと思うな -- 名無しさん (2017-11-13 00 00 00) ジャックの力は流星キック…かと思ったけどキックと言えばレオだしな -- 名無しさん (2019-02-12 22 36 09) 今となってはロイヤルメガマスターの下位ってところかな -- 名無しさん (2019-02-12 22 46 08) しれっとギャラクシーファイトの予告にいて驚いたわ -- 名無しさん (2019-09-25 04 47 58) コスモミラクル光線は別として、一番強力なM87光線だけあれば他の光線技いらないんじゃないかと思ったり -- 名無しさん (2019-09-25 09 27 51) ギャラクシーファイトで再度変身したギンガストリウムってストリウム光線以外は使えるのかな?タロウは「私の力の一部を授ける」とか言ってたけど… -- 名無しさん (2019-12-11 00 44 03) ↑6兄弟は揃ってたし(兄弟からエネルギーを借りてきた)私の力の一部を授けるって意味なら使えるんじゃないかな -- 名無しさん (2019-12-11 14 46 25) 運命の衝突までの演出だとタロウ以外の力がどうなっているか不明なのよね -- 名無しさん (2022-06-22 22 20 43) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2512.html
翌朝 光太郎「いやあ、ありがとう。朝ごはんも用意してくれるなんて」 梓「いいんですよ全然。ところで、光太郎さんは今日どうするんですか?」 光太郎「そうだなあ。僕を呼んでいた、この世界の『わたし』って存在を探さなくちゃ」 梓「探すって……手がかりとか何か、ないんですか?」 光太郎「それは……声の主が、君くらいの女の子みたいだった事かな」 梓「」 梓(ほぼないじゃないですか……) 梓「で、でも!光太郎さんがこの街に倒れてたってことは、案外近くにいるのかもしれませんね」 光太郎「なるほど!つまり、この街の女の子にひたすら聞き込みをすれば――」 梓「えっ」 光太郎「まずい?」 梓「いえ、さすがにその格好でそうしたら……不審者扱いされそうですよ」 光太郎「ええっ、そんなことあるかなあ」 梓「今時知らない人って警戒対象ですし……」 光太郎「そうなのか?」 梓「あと何より、昨日ウルトラマンだってバレてるんです。変に騒がれたら困りますよ」 光太郎「そうか……どうしよう」 梓「うーん――あっ、そうだ!」 二階! 梓「やっぱり!最高に似合ってますって!」 光太郎「本当?変じゃないかな」 梓「全然変じゃありません!お父さんと体格似てるから、サイズもばっちりですし」 光太郎「でも僕、こういうスーツはなあ。どうもピンと来ないよ」 梓「いいんですよそれで。後は適当に髪型を整えればほら、別人みたいじゃないですか!」 光太郎「そう?梓ちゃんがそう言ってくれるならいいんだけど」 梓「後は探偵みたいにアンケートとか、適当な理由をつけて話しかければいいと思います」 光太郎「ありがとう!なんだか見つけられる気がしてきたよ」 梓「あと……もしよかったら、私もついていってもいいですか?」 光太郎「えっ、いいの?せっかくの休みに付き合わせちゃうけど」 梓「いいんですよ、どうせ暇ですし……場所の案内とかなら、任せてください!」 光太郎「そうか、それならお願いするよ」 梓「ありがとうございます!――あっ、ネクタイが曲がってますよ」 光太郎「おっ、やってくれるの?」 梓「いいんですよ。このくらいは……っと」 光太郎「ありがとう。決まってるかな?」 梓「はい!ばっちりです!」 光太郎「よぉし!!それじゃあ――」 梓「行きましょう!」 ………… 光太郎「――それで、ここが探す場所?」 梓「ええ。るるぽーとっていって、この辺で一番賑わってるショッピングモールです」 光太郎「なるほど……うわ!本当だ、すごい人だかりだな」 梓「こんな人混みで大丈夫ですか?」 光太郎「大丈夫さ。このくらいなら、まだ聞こえる」 梓「聞こえる……って、えっ?」 光太郎「この中から、似てる声の人を探すんだ」 梓「いや、でも結構ざわついてますけど」 光太郎「おっ、聞こえた……あっちだ!」 梓「えっ!? 待って……もういない」 光太郎「すみませーん!」 ?「わっ、なんなんですかあなたは!?世界一カワイイボクにナンパだなんて、身の程知らずですね!」 光太郎「いやぁ、そんなんじゃないよ。アンケートに答えてほしいんだ」 ?「アンケート?」 光太郎「そうさ。昨日、怪獣が出ただろ?」 ?「はぁ」 光太郎「その時思った事とか、あの怪獣について知ってる事とか、何でもいいから聞かせてくれないかな」 ?「なぁんだ、あの騒ぎですか……」 光太郎「おっ、何か知ってるのかい?」 ?「どこもかしこも怪獣怪獣!おかげでボクのかわいさがちっとも話題に上がらないんですよ!?」 光太郎「うん?」 ?「ほんと、あんなバケモノのどこがいいんですかね!?」 光太郎「う、うん」 ?「だいたいボクみたいなカワイイ存在のほうが、よっぽどスポットライトを浴びるにふさわしいのに――」 …… 光太郎「くそっ、違ったか」 光太郎(結局、聞けたのは『ボクはカワイイ』ってことだけだったぞ) 光太郎(でも、へこたれても仕方ない。まだまだいろんな人に――) 「だから言ってるでしょ!? あれ絶対闇堕ちしたあるちゃんの仕業だよ!」 「ハッ……貴女の想像力には本当に驚かされるわね。さすがは大人気小説家(笑)」 「(笑)って何よ!」 「まあまあお二方とも、落ち着いてくだされ」 光太郎(おっ――あの子は) 光太郎「すみませーん!みんな、ちょっといいかな」 「へ?」 「……」 「む、何用ですかな?」 光太郎「昨日出た怪獣の事で調査をしてるんだけど、少し話を聞かせてくれないかな」 「怪獣でござるか?それでしたら、このお二方の方が詳しいですぞ」 「……デタラメは止めて頂戴。私があんな稚拙な化物に詳しいわけがないでしょう」 「あたしだって特オタじゃないし……」 「あら、話せばいいじゃない。さっきの闇堕ちしたあるちゃん(笑)の事でも――」 「なっ……こんのクソ猫ぉぉぉ!」 ……… 梓「光太郎さーん!」 梓(うーん、どこ行ったんだろ……?) 光太郎「おーい、あずさちゃーん……」 梓「わっ!大丈夫ですか?なんかやつれてますけど」 光太郎「いやあ、なかなか会話が噛み合わなくてね……」 梓「何か分かりましたか?」 光太郎「そうだなあ。『カワイイは正義』とか、『めるる可愛い』とか……あと、『野郎はみんな豚』とか」 梓「……お疲れ様です……」 光太郎「ハハハ……まあ、平和だって事はいいことなんだけどね」 梓「……辛くないんですか?」 光太郎「えっ?」 梓「手がかりもほとんどなしに、がむしゃらに走り回って……」 梓「これじゃあ、まるで終わりのないマラソンじゃないですか」 光太郎「そんなことないよ。確かに手がかりは少ないけど、ないわけじゃない」 光太郎「大事なのは、最後まで諦めないことだ」 光太郎「諦めないでやり抜けば、不可能だって可能にできる」 梓「でも……たった一人きりで、どうしてそこまで頑張れるんですか」 光太郎「使命だからさ」 梓「使命?」 光太郎「ああ。たとえ誰かが見てなくても、報われなくても、ベストを尽くして頑張る」 光太郎「それが、守るってことなんだ」 梓(……!) 梓(光太郎さんの目は、ただひたすらにまっすぐ、前を向いていた) 梓(『絶対に諦めない』なんて簡単なようで難しいのに、こんなさらっと――) 『『く゛ーっ……』』 梓「あ……」 光太郎「……あっ」 梓「……あははははっ!なんですか今の、締まらないですよー」 光太郎「はっはっはっ!梓ちゃんこそ!」 梓「もー、ちょうどいいタイミングで……そうだ、ここらで気分転換でもしませんか?」 光太郎「気分転換?」 梓「はい!せっかく街に来たんですし、ご飯食べたり遊んだり、楽しみましょうよ」 光太郎「おっ、いいね!案内してくれるかな」 梓「もちろんです!さ、こっちですよ――」 『……――』スゥゥ…… 『――お、戻ってきたか。どれ』 『ほー……仲良くデート気取りか。いいご身分だ』 『我々の計画が順調だとも知らずになぁ』 『マイナスエネルギーとこのガディバさえあれば、確実に邪魔者を消し去ることができる』 『それまではせいぜい楽しむんだな……お前たちの墓場の見学を』 「ふふ……あはは――」 澪「こら、律」 律「あてっ!なんだよ」 澪「そろそろ次の授業だぞ。ケータイ弄りはその辺にして、教室戻ろうな」 律「あはは、悪い悪い」 ………… ♪~ 梓「そろそろラストですよー!」 光太郎「おっと、このっ……うわっ」 ジャーン♪ 光太郎「……どうだ?」 『♪all clear♪』 光太郎「やったぁ!」 梓「すごいですよ!昨日ちょっと弾いただけで、ここまで出来るなんて!」 光太郎「いやあ、ついてくので精一杯だったよ。梓ちゃんはすごいなあ」 梓「まあ、私はいつも弾いてますからね」 光太郎「いつからギターをやってるんだい?」 梓「小四からなんで、もう六、七年です」 光太郎「すごいなあ。きっと、部活でもすごく熱心に練習してるんだな」 梓「そんな、全然違いますよ!むしろゆるいくらいです」 光太郎「そうなの?」 梓「ええ。だって、練習よりティータイムのほうが多いんですよ?」 光太郎「てぃ、ティータイム?」 梓「先輩にすごいお嬢様がいて、毎日お茶とかお菓子とか出してくれるんです」 光太郎「すごい息抜きだなぁ……」 梓「でしょう?だからバンドの名前も、放課後ティータイムっていって。私はもっと真面目にやりたいのに」 光太郎「でも梓ちゃん、楽しそうじゃないか」 梓「にゃ!?」 光太郎「僕も思い出すなあ。ZATにいた時のこと」 梓「ざっと?」 光太郎「怪獣や宇宙人から地球を守るチームさ」 梓「ああ、ウルトラマンと一緒に戦うところですか」 光太郎「僕はわりと後輩だったけどね。よく作戦会議中にみんなで差し入れのおにぎりとか食べたりしたな」 梓「……え?いいんですか、それ」 光太郎「なんたって、隊長が『昨日カレー食った奴いるか?』って出動させるとこだからね」 梓「あ、あはは……らしくないですね」 光太郎「でも、すごくいいチームだったよ。僕も隊員としていろいろ学ばされた」 梓「なんていうか、似てますね。私たち」 光太郎「ハハハ、そうだね。楽しいって思える気持ち、大事にしてくれよ」 梓「はい!」 梓「じゃあ、次はあれをしますか!」 光太郎「ぷり……くら?」 梓「はい。これはプリクラって言って、写真を撮るんですよ」 光太郎「なんだか、証明写真みたいだね」 梓「あはは……でも、ただの証明写真と違って、撮った写真にいろいろ細工ができるんです」 光太郎「本当かい?楽しみだなぁ!」 シャーッ 梓「あ、私たちの番で――」 純「でさー、そこで梓ったら……」 憂「……あ」 梓「」 憂「え、梓……ちゃん?その人……」 梓「えっと……憂?これはね、その」 光太郎「あれ?君たち、昨日の」 憂「……あぁーっ!!」 純「本物!本物のウルトrむぐっ!!」 梓「――お話しようか」 純「むー!」 外。 梓「……っていうわけなの」 憂「へぇっ、梓ちゃんちにいたんだ」 純「すごいじゃん!パラレルワールドとか漫画みたいで」 梓「もう……内緒にしてね」 憂「うん!私たちの秘密ね♪」 光太郎「憂ちゃんに純ちゃんか、ありがとう。助かるよ」 純「……で?さくやはおたのしみでしたの?」 梓「ぶっ!! 何言ってんの純!?」 純「そら夜二人ったらそう……ね?」 梓「ないない!! 特に何にもないってば!」 憂「えーっ? すごく仲良さそうだったじゃん」 純「ほらほら、おねーさんに言ってごらん」 梓「うー……光太郎さん、なんとか言ってくださいよお」 光太郎「はっはっは! みんな仲が良いんだね」 梓「ムエンゴ!?」 純「あっははっ、もー最高!梓ってほんっと面白いよね」 梓「デュアッ!」ガッ 純「げふぅっ!」 梓「さ、純。向こうでお話しよ」 純「ひー!?」 憂「あはは!もう、梓ちゃんたら」 光太郎「いいもんだね、友情ってのは」 憂「……あの、タロウさん?」 光太郎「光太郎でいいよ」 憂「じゃあ、光太郎さんは、梓ちゃんのこと――どう思いますか?」 光太郎「えっ?」 憂「梓ちゃん昨日、変な夢を見たとか幻聴がしたとか言ってて」 光太郎「えっ、本当かい?」 憂「はい……その時は特に何もなかったんですけど、少し心配で」 光太郎「そうだったのか……」 憂「どうでしたか?昨日から梓ちゃんを見てて」 光太郎「特に変わったとこはなかったよ。むしろ、楽しそうだった」 憂「良かった……」 光太郎「本当に大事な友達なんだね」 憂「はい!梓ちゃん、すごく可愛いですよね!」 光太郎「ははは、そうだね。昨日なんか、遅くまでギターをすごく丁寧に教えてくれてね」 憂「梓ちゃんらしいなぁ」 光太郎「いやぁ、本当にいい子だよ。素直で、とても優しくて――」 (お願い――この世界を――) 光太郎「……あれ?」 憂「光太郎さん?」 光太郎「いや……今、何かが頭に浮かんで」 『ウルトラマンタロォォォウッ!』 光太郎「何ッ!?」 憂「えっ?」 光太郎「なんだ?どこかから声が」 『どこにいるゥゥッ!』 『出てこい!タロォォウ!』 『出て来ないなら街の人間を皆殺しにしてやるぞ……!』 光太郎「近い……!」 憂「ど、どうしました?」 光太郎「ごめん憂ちゃん!すぐ戻る!」 憂「あっ、光太郎さん!?」 光太郎(この声……テレパシーか?) 光太郎(人間ではない、明らかに強いマイナスエネルギーを感じる……まさか) 光太郎(……宇宙人か!?) 『さぁ来い!ウルトラマンタロォォォウ!』 警官「ひぃぃぃっ!ば、化け物ッ!?」 『おっと……人間か?少し黙っていろ』 警官「うぐっ!」ガクッ 『む、ずいぶんあっさり伸びたな。楽に記憶を消せるからありがたいが、だらしない奴だ』 光太郎(なっ……あれは、テンペラー星人!?) 光太郎(わざわざ等身大で、こんな森の中で一体何を……) 光太郎「テンペラー星人ッ!」 4
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2515.html
タロウ『!?』 唯「は、弾かれた……」 純「バリアー持ってるなんて……!」 律『とどめだキングオブモンス!クレメイトビームでタロウを消し去れ!!』 「キュルルルルルルルルルルル――」 バシュンッ!! タロウ『ディアッ――』 梓「あっ――」 ピコン――ピコ―― 澪「……嘘だろ」 ピコ――ピ―― 紬「う、ウルトラマンが――」 タロウ『――』ユラッ ドサァッ!! 唯「――死んだ」 タロウ『』シュワァァ…… 梓「っ……ぁ……」 フッ 梓「イヤぁぁぁぁぁっ!!」 律『フハハハハハハハ!ウルトラマンタロウ――敗れたり!』 「キュルルルルル……キュルルルルル!」 律『地球人類よ!お前らの守護神、ウルトラマンタロウは死んだ!』 律『深夜0時!この地域より改めて人類の抹殺を始める!いかなる抵抗も無駄だと思え!』 シュワァァァァ…… 紬「そんな……空が」 憂「暗闇に染まってく……!」 律『もう世界に朝は来させん!一日の終わりを、世界の終わりに変えてくれる……!』 梓「あぁ……ぁぅ……」ガクッ 純「あ、梓!?」 憂「梓ちゃん!しっかりして!」 律『ハッハッハッ!さぁ、一旦引き上げだ!』 律『人間どもめ!逃げ場のない恐怖に絶望し、我等の糧となるがいい!!』 澪「ま、待て――」 律『――』スッ パリィンッ 唯「ひぃっ!?そっ空が……!」 律『――バイバイ」 澪「うそ……律っ――りつうぅぅぅっ!!」 …… … ……… …… … (……ここは……) 何もない真っ暗闇。 目を開けても閉じても、視界には黒一色しか映らない。 そんな空間に、やけに軽く感じる身体がふわふわと浮かんでいて―― (あ――っ) 気づいた時には、その身体も見えなくなっていた。 ただそこにあると感じられるだけ。 文字通りの虚無な空間に、魂だけが取り残されている。 (あ、はは) その魂ですら、強風に揺らぐ消えかけの灯火みたいなものだ。 『自分』と『虚無』。 その距離は、あまりにも近い。 (これが……終わり……) 『――終わりなんかじゃ――ない』 (っ!?) 突如、一筋の光が闇を貫いた。 光はそのまま、人のような形に収束していく。 『あなたは――まだ戦える――』 (この声――私!?) 『思い出して――本当のあなたを』 「思い出すも何も!本当の私って何!?」 『―――』 「そもそも!あなたは一体、何者なの!?」 『――それは、あなたが一番よく知ってる』 「えっ?」 『目を覚まして。それしか――方法は――』 「あ……」 梓「―――待って!!」 純「あずさっ!」 梓「はっ……はぁ」 唯「よかった……気がついたぁ」 梓「えっと……ここは?」 紬「唯ちゃんの家よ。梓ちゃん、ショックで倒れたの」 唯「本当に良かったよぉ……りっちゃんに続いてあずにゃんまでいなくなったらと思うと」 梓「はっ……律先輩は!?」 唯「わっ!」 梓「教えてください!律先輩は!あの怪獣はどこに――」 澪「――消えたよ」 梓「澪先輩」 澪「ウルトラマンも怪獣も、律も……みんな消えた」 梓「消えた……」 (『ディアッ――』シュワァァ……) 梓(そっか。光太郎さん――もう、いないんだ) 憂「それにしても、律さんが……まさか、世界を滅ぼすだなんて……」 紬「あの暗闇がドームみたいなバリアになってて、他の軍隊も助けに入ってこれないそうよ」 澪「なんだよそれ……それじゃあ、逃げ場なんかないじゃないか!」 紬「こんな状況で、また怪獣が来たら……」 唯「――みんなごめん!」 憂「お姉ちゃん?」 唯「本当にこんなことになるって思ってなくてっ……私が、あんな軽口叩かなかったら、りっちゃんはっ」 梓「それは違います!!」 唯「ひぅっ!?」 梓「ヤプールです!全部あいつがっ!あの悪魔がっ!!」 憂「あ、梓ちゃん!落ち着いてっ」 梓「律先輩をっ……タロウを……ぅぅぅ……うわぁぁぁぁんっ!」 紬「梓ちゃん……」 憂「……ねえ純ちゃん。私のいない間に何かあった?」 純「あのヤプールってやつが、梓を直接狙ってきたの」 憂「えっ!? い、いつ?」 純「たぶん、梓が頭痛起こす前。梓にしか聞こえないように、テレパシーでいろいろ吹き込んだみたい」 憂「ひ、ひどい……」 純「汚いよ!いくらウルトラマンが憎いからって、梓にまで手を出すなんて……!」 唯「ちょっ、ちょっと待って!?」 澪「その、話が全然見えないんだけど……二人は何か知ってるのか?」 紬「教えてほしいな。梓ちゃんがあんなになった理由」 純「……実は――」 …… 唯「えぇーっ!?あずにゃんと!?」 澪「ウルトラマンタロウが、一緒にいた……!?」 純「ええ。昨日タロウが現れたあと、梓が行くとこない光太郎さんを助けてあげたみたいで」 紬「その、光太郎さんっていうのがウルトラマンタロウなのね」 憂「はい。私達も会ったんですけど、結構仲良かったみたいで」 純「梓にとってのウルトラマンタロウは、ただの正義のヒーローじゃないんです」 澪「そうだったのか……道理で、あんなになるわけだよ」 紬「なのに私たち、何も知らないで」 唯「あずにゃんのこと変だなんて、軽い気持ちで……」 梓「ひぅっ……ぅぅっ……」 唯「……助けようよ」 紬「唯ちゃん」 唯「詳しい事情とか全然知らなかったけど……このままりっちゃんとお別れなんて、絶対やだよ」 澪「……そうだな。私も、こんなので世界が終わるなんて認めたくない」 唯「りっちゃんだってきっと待ってるよ!ね、あずにゃん!」 梓「……無理ですよ」 唯「――え?」 梓「律先輩がどこにいるかもわからないのに、どうやって探すんですか」 唯「あぅ……」 梓「それに、怪獣が出たらどのみちみんな死んじゃいますよね。無駄ですよ」 唯「……そんな……」 梓「所詮、私たちはただの女子高生でしかないんです」 純「――梓」 梓「ウルトラマンタロウはもういないのに、今さら私達がそんなことしたところで――」 純「梓っ!!」パァンッ! 梓「っ……!」 純「いい加減にしなよ!あんた、光太郎さんになんて言われたか覚えてる!?」 梓「……」 純「君の手で、大切な人を守れって言われたんだよ!あのウルトラマンタロウに!」 梓「……っ」 純「実際、私のことも助けてくれたじゃん!あんたがいなきゃ私ここにいなかったんだよ!?」 純「それをあんたがっ……ウルトラマンタロウを一番知ってるあんたが無駄にしてどうすんのよ!」 梓「……でも」 純「デモもストもなぁぁーい!!」 梓「!?」 純「あんたさぁ……律先輩も光太郎さんも、所詮とかその程度の存在なわけ?」 梓「……それは」 純「違うでしょ!?だったら、ああもボロクソに言われて悔しくないの!? なんとかしたいとか思わないの!?」 梓「……しいよ……」 純「聞こえない!」 梓「悔しいよ!!私だって!!本当は――」 梓「――本当は……助けに行きたいよぉ……!」 純「……だったら」 梓「だったら何?私にあの化け物と戦えって!?」 純「そうだよ!光太郎さん言ってたじゃん、あんたが光太郎さんをこの世界に呼んだって」 純「この現状を変えられるのは、梓しかいないんだよ」 梓「変えるったって……私なんかじゃ、どうすることも……」 憂「――そんなこと、ないよ」 梓「……うい……?」 憂「確かに、梓ちゃんの言った通り……また怪獣が出てきたら、みんな死んじゃう」 憂「私達は、ただの女子高生でしかない」 梓「……うん」 憂「でもね。ウルトラマンタロウは、そんな会ったばかりのただの女子高生のために、命懸けで戦ったんだよ?」 梓「……!」 憂「今度は、梓ちゃんが光太郎さんのために何かをする番だと思う」 梓「何かを?」 憂「うん。だって光太郎さんは、梓ちゃんのこと、とっても大事に思ってたもん」 憂「ここで私たちが諦めたら、光太郎さんに申し訳が立たないでしょ?」 梓「それは……そうだけど」 憂「もちろん、ただの女子高生にウルトラマンの代わりなんて厳しいのはわかってるよ」 憂「それでも……私たちは、私たちなりに前を向くことが大事なんじゃないのかな」 梓「――前を――」 梓(そうだ……光太郎さんはいつも前を見てた) 梓(強い敵にも見えない壁にも、全部体当たりでぶつかってた) 梓(自分とは全く関係がない、この世界を守るために――) 『行き止まりよ!もう逃がさないんだから!』 梓(夢の中の私も……世界を守るため、戦っていた) 梓(もしあれも私だとしたら……今まで私に語りかけてきたあの声も……?) (――気づいたのね) 梓「!?」 ―― 『こちらアズサ――これより目標を追跡します!』 梓(何これ……) 『いいかアズサ、深追いは禁物だぞ。黒幕の素性が掴めてないんだからな』 『わたしが暴いてやりますよ、隊長!』ピッ 梓(頭の中に、イメージが流れ込んでくる……?) 『さあて――やってやるです!』 タッタッタッ…… ―― ― 『――敗者の反対が……勝者だとは限らないぞ!』 「なっ……!」 『我らの怨念は不滅だ!!フハハハハハッ!!ハッハッハッハッ……!!』 「にゃあぁぁぁーっ!!」 梓(落ちていく私の身体) 梓(しかし、その先に見えたのは、絶望の暗闇ではなくて――) 「――ウルトラ、マン……?」 梓「――はっ!?」 梓(そうか……今はっきりわかった) 梓(ヤプールがなんで私を知っていたのか) 梓(そして、私を時々襲った既視感、聞こえてきた私自身の声) 梓(全部、光太郎さんの言った通りだった) 梓(私は――まだ、戦える) 梓「………」パンッ! 憂「梓ちゃん?」 梓「皆さん。取り乱してすみませんでした」 梓「私……もう、逃げません」 梓「光太郎さんの思い……絶対、無駄にしない」 純「あはは、その意気その意気!」 憂「やっと梓ちゃんらしくなったね」 梓「純、ありがと……ひっぱたいてくれて」 純「いいってことよ!」 憂「頑張ろうね!」 澪「でも、これからどうすればいいんだ?」 紬「私たちにもできることって――」 梓「――ライブですよ」 澪「え?」 梓「私たちの演奏を律先輩に届けるんです。そうすれば、律先輩も元に戻るかもしれません」 唯「おお~!あずにゃん、ナイスアイデア!」 紬「確かに……こんな時だからこそ、音楽なら心に響くはずだわ」 澪「でも、律は今異次元にいるんだよな?届くのかな……」 唯「絶対届くよ!だってりっちゃんは、軽音部の部長だもん」 梓「それにこのライブ、うまくいけば、ヤプールの撃退もできると思うんです」 憂「どういうこと?」 梓「ヤプールの餌は人の恐怖心とか絶望だって、ヤプール本人が言ってましたよね」 梓「逆に言えば、プラスの感情を徹底的に送り込めば奴らの餌はなくなるわけですよ」 梓「しかも、怪獣を呼び込むエネルギーもそのマイナスなエネルギーを糧にするって言ってましたし」 澪「なるほど。奴らの思い通りに進ませないってことか」 梓「わざわざ律先輩を依り代にしてるってことは、ヤプールにもそこまで余裕がないんでしょう」 梓「律先輩の短気な性格を思うに、こちらの仕掛けでイライラしてきたら、必ず私たちの前に出てくるはずです」 梓「そこで私たちが説得して、律先輩をヤプールから解放すれば、怪獣だって呼び出せませんから――」 純「世界を救えるかもしれない、ってことね」 澪「そっか、そうだな。何より、これしかやれそうにないもんな」 梓「私たちの放課後で、世界を救ってやりましょうよ!」 唯「いぇっさー!」 澪「なんか、正義のチームって感じだな」 紬「そうね。ほんとに、音楽で世界を救えるなんて……夢みたい」 憂「澪さん、紬さんも!円陣組みましょう!」 澪「ああ!行こう、ムギ」 紬「ええ。必ず、りっちゃんを助けましょう」 梓「それじゃあ、作戦を説明します」 梓「決行は今夜11時!場所は桜ヶ丘女子高校屋上!」 梓「私と澪先輩は楽器を取りに行って後で合流、セッティングが終わり次第演奏を開始します」 純「私と憂はどうしたらいい?」 梓「とにかくノリノリで歌って。とにかくポジティブに、テンションを爆発させるの」 憂「任せて!」 純「かっとばしていくよ!」 梓「私たちの演奏、大空の律先輩に届けましょう!」 「「「ラジャー!」」」 梓「いきますよ! 作戦名――放課後・ティー・タイム!!」 ――― ―― 7
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2517.html
梓「え、うそ……どうして」 頭が混乱している。 いったいぜんたい、どういうことなのか。 梓「ど、どこにいるんですか!?っていうか、そもそもここはどこで私はいったい」 『落ち着いて。手のひらを見てごらん』 言われた通りに手のひらの方を見る。そこには。 梓「……!!」 なんと真っ赤な手のひらの上で、律先輩を始めあの場にいた全員がこちらを見上げていた。 ……って、え? 梓「ええぇぇぇっ!?」 ふと前を見れば、目線は屋上にいた時よりも遥か上にある。 この赤くて大きな手、暖かい光、もしかしてだけど―― 梓「私が……ウルトラマンタロウに!?」 ウルトラマンタロウが蘇った。 その事実が霞むくらいの驚きだった。 梓「うそ……夢じゃない!!でもなんで!?だって光太郎さんあのとき――」 『確かに僕はあの時怪獣に負け、エネルギーのほとんどを失った』 『実体すら維持できなくて、空を漂っていた……でも、僕は死んでいなかった』 『君たちの中に、邪悪に立ち向かう強い心が生き続けていたからだ』 梓「私の、中で……」 『君の強い心が、僕たちを再び引き合わせたんだ。ありがとう……梓ちゃん』 梓「――――はいっ!!」 タロウは皆さんを優しく地面に下ろすと、怪獣を鋭く見据えた。 『キュルルルルル……!!』 梓「で、でかい……」 『心配ない。身体を動かして戦うのは僕だ』 『だけど、そのエネルギーは君の強くて優しい心にある』 『梓ちゃん――僕と共に、戦ってくれ!』 梓「――やってやるです!!」 『トァァァァッ!!』 タロウはいきなり派手に跳び上がり、空中で捻りを加え勢いをつけた飛び蹴り――スワローキックを繰り出した。 そうして怪獣の懐に飛び込むと、怒涛の勢いでパンチの連打を叩き込む。 『キュルルルルル!!』 怪獣に苦し紛れに手で振り払われるが、体勢を整えて怪獣に食らいついた。 『デァァッ!』 怪獣の腹に生えたフックのような爪が脇腹を襲うが、タロウはそれにも怯まない。 膝蹴り数発で距離を取り怪獣の肩を掴むと、地面におもいっきり引き倒す。 そしてそこに、飛び上がって威力をつけたかかと落としを叩き込んだ。 梓「すごい……身体中から、力が湧いてくる」 『梓ちゃん、疲れはないか?』 梓「平気です!このまま一気に畳み掛けて!」 『トァァァッ!!』 再び中空に飛び上がり、捻りを加え勢いをつける。 そして、キックの体勢で放つ足先からの破壊光線――フット光線が炸裂した。 『キュルルルルル……キュルルルルル!!』 ……… …… 唯「澪ちゃん……あのウルトラマンタロウは」 澪「ああ……梓だ。梓が戦ってるんだ」 律「あ、梓が!?」 唯「絶対そうだよ!だって、タロウからあずにゃん分がしたもん」 律「お、おう……なんだそりゃ」 紬「でも、わかる気がするわ。梓ちゃんがウルトラマンになれた理由」 律「え?」 憂「梓ちゃんは誰よりも近くでウルトラマンを見ていたんです」 純「だからこそ、絶望的な状況でも立ち上がれた」 澪「そしてお前を悪魔から救うために、自分にできることを精一杯やったんだ」 律「梓が、私のために――」 紬「きっと、神様がご褒美をくれたのよ」 律「そうか……そうだったのか」 『トァァァッ!』 律「――ウルトラマァァン!!頑張れぇぇーっ!!」 純「タロウーッ!いけぇぇっ!!」 憂「私達が応援してるよーっ!!」 「「――頑張れぇぇっ!!」」 …… … 『キュルルルルル!!』 怪獣の放った強力な熱線がタロウを襲う。 『フンッ!』 タロウは念力で壁を作り、熱線を防ぐが――熱線の威力に耐えきれず、壁が壊れてしまった。 『デァッ!?』 熱線が肩を撃ち、体勢を崩して倒れ込む。 なんとかかすり傷で済ませたものの、それでもその衝撃は凄まじい。 こっちの気力を削られるような一撃だった。 「くぅ……っ!」ギリッ 『梓ちゃん!大丈夫か!?』 「大丈夫……ですっ!」 『よぉし、その意気だ!』 体勢を立て直し、ファイティングポーズを取る。 向かってくる怪獣をすれ違い様にチョップでいなし、向きを変えたところに前蹴りを叩き込む。 そして、怪獣に再び組み付こうとして―― バシュゥンッ!! 『ッ!?』 背後から衝撃が走り、体勢が崩れる。 その隙に怪獣がタロウを激しく打ち付け、巨大な尻尾で足を思い切り払った。 『ンンッ……デッ!』 『フハハハ!!ウルトラマンタロウめ、またも殺されに来たな』 空から漂ってきた赤い煙が、一点に集まる。 集まった煙は形を作り……その姿を現した。 梓「あ……あれは……」 背後からの襲撃者。 それは、夢に出てきたあの悪魔―― 梓「ヤプール……!?」 『そうだ!私がヤプールだ!』 ヤプールは勝ち誇ったように豪語する。 『そんな小娘と融合したところで、死に損ないの貴様に本調子は出せまい』 『……!』 『ここが貴様の墓場となるのだ……!』 『キュルルルルル……!!』 『デァッ!トァァッ』 タロウは2体の動きに捕まらないように1体ずつと立ち回ろうとするが、 『ふんッ!!』 ヤプールが絶妙な位置に火の玉を放つせいで、攻めきれずに反撃をもらってしまう。 『フンッ……デッ』 怪獣に殴られ、尻尾で打たれ、ヤプールの火の玉をまともに食らい……ついに派手に倒れてしまった。 1vs2。こちらが明らかに不利だ。 『デァァッ……!』 梓「うぐ……うぅっ」 苦しい。 なんとか戦おうとするが、立ち上がるのも一苦労だ。 『ハッハッハッハ!!やはり所詮は死に損ないよ!!』 『貴様ごときがたった一人でこの我々に楯突こうなど、思い上がりもいいところだ!!』 梓「この……卑怯者!」 『卑怯もラッキョウもない、勝てば官軍――さあやれ!キングオブモンス!!』 『キュルルルルル!!』 『ンン……デッ』 梓「うぅ……!」 ……ばれ……! …がんばれ……! ウルトラマン!! 『――ぬ?』 純「ウルトラマンが負けるもんか!」 憂「私達も、勇気をもらったんです!!」 唯「あずにゃぁぁーん!」 みんなの声が聞こえる。 誰もが、ウルトラマンの勝利を信じている。 『ふん……うるさいカトンボが。貴様らがキーキー喚こうが、我々の勝利は約束されたも同然』 純「バッッカじゃないの!?」 『ん?』 純「そのカトンボなんかに散々翻弄されたおバカさんは、どこの誰でしたっけー!?」 『……!』 純の声が聞こえる。 そう……敵わないわけじゃない。 梓「ウルトラマンのいない世界を我が物に――なんて、考えることが悪ガキそのものじゃない」 梓「はっきり言って、幼稚園児以下ですよね……」 梓「そんなお山の大将ごときに――私たちの世界を、壊させはしない!!」 勇気を乗せた正拳突きを、ヤプールに叩き込む。続けて、近づいてきた怪獣を後ろ蹴りで引き離す。 しかし、怪獣はすぐに体勢を整え、体当たりでタロウを吹き飛ばした。 梓「うぁぁっ!?」 さらに、倒れたところに踏みつけられ、蹴られて転がされる。 『デァァ……ッ!!』 憂「あぁっ……タロウ!」 純「こんなピンチなのに、応援しかできないだなんて……!」 紬「でも、応援しましょう!それしかないわ!」 唯「頑張れー!!ギー太だよ、ほら!応援してるんだよー!!」 澪「私も!エリザベスも!!」 純「私だってほら!!ウルトラマンの人形!お守りなんだから!!」 ♪――― (聞こえる……あの音が) (私たちの――放課後が) ♪――― 律「ウルトラマァァン!!」 梓(……律先輩……) 律「私のせいで、あんたを散々な目に遭わせちまった!本当にごめん!」 律「でもな!!私が本当に望んだのは怪獣なんかじゃない!!」 律「私が本当に見たかったのは、どんな強敵にも負けない――無敵のヒーローなんだ!!」 律「ウルトラマンなら……絶対、勝って!!」 『――トァァァッ!!』 『キュルルルルル!!』 怪獣のキックを間一髪でかわし、小型のビームで迎え撃つ。 そして、側転で間合いを取り、再びファイティングポーズをとった。 『ほう……まだ立つか。虚勢など張らず、さっさと倒れていれば苦しまずに済むものを』 梓「そんな必要ない」 『む?』 ヤプールに向けて、力の限り言い放つ。 梓「苦しくなんかない……私には光太郎さんが、応援してくれる皆さんがいる」 梓「いや――皆さんの心が、私と一緒に戦ってるの!」 梓「私は、一人じゃない!』 『知るか!くたばれ、死に損ないが!!』 『キュルルルルル――!』 キュイイイイ―― 紬「あれは……タロウを一度倒した技じゃない!」 憂「しかもヤプールまでなんか溜めてますよね!?」 澪「まずい!あんなの当たったら……!」 唯「でも、避けたら街がひどいことになるよ!」 梓「く―――――」 『死ねェェェェッ!!』 純「あずさぁぁぁぁッ!!」 大地を焼き尽くす轟音が鳴り響く――その瞬間。 『――シェァァァッ!!』 一筋の光が、天空を貫いた。 『キュルルルルル……!!』 澪「な、なんだ!?怪獣が倒れたぞ」 律「今の、何があった?」 唯「何かがぶつかったような――あ!」 『ぐわぁッ!?』 紬「赤い、玉……?」 光をまとった赤い球体が、怪獣とヤプールを切り裂いていく。 『――シュワッ!!』 赤い球体は突然眩く発光し、人の形を作った。 銀色の巨体に、赤いライン。 胸には数多の勲章。 燦然と輝く光の戦士―― 『――ゾフィー兄さん!!』 「兄さん、ってことは」 『ああ。ウルトラ兄弟の長男――ナンバーワンさ!』 わっ、と歓声が巻き起こる。 『遅くなってすまない、タロウ。この異世界を探り当てるのにだいぶ時間を使ってしまった』 『兄さん……ありがとう』 『礼を言いたいのはこちらだ。ありがとう――中野梓』 梓「へ、私!?」 『君のおかげで、タロウや君の仲間を始め多くの命が救われたのだ。本当にありがとう』 梓「い、いえそんな……」 ゾフィーは改めて敵に向き直った。 『さあ、共に戦おう……この世界を守るために』 『はい!』 梓「やってやるです!!」 揃ってファイティングポーズを取る二人の戦士。 勝負はまだ、一回の表だ。 9
https://w.atwiki.jp/trpg_rasen/pages/101.html
トリウム (とりうむ) 【更新時刻】 2005/01/18 14 39 11 【分類】 [NPC] 【参照URL】 【関連語】 【意味】 (→意味追加) (1) 15歳/女/過去のフォートレス番人 本名:トリウム=カルルン。ルシウムとルミネラの妹らしい。三女。 黒ローブを着て骸骨のアクセサリーをつけたショートカットの少女。 一見のんびりしてそう。口調は「~ですの」。口調固定は喋りやすい。 過去に残虐非道の限りを尽くしていたらしく時々言うことが黒い。 過去のフォートレスで怪しげな儀式やら管理人やらをしている。 基本的に人の話は聞かない性格。将来の夢は魔王。 好きなものは骸骨。長所はおちゃめな性格(本人談)らしい。 [さのや]
https://w.atwiki.jp/hiruyasumi2/pages/36.html
ナトリウム ナトリウムは原子番号11、元素記号Naの元素である。 性質 ナトリウムは周期表において、1族3周期に分類される元素である。 ナトリウムは、銀白色の固体の金属である。 沸点は883℃、は融点98℃である。 融点 97.72℃ 沸点 883℃ 密度 968kg/m3 電気陰性度 0.93 酸化数 1,-1 ナトリウムはアルカリ金属に属する銀白色の軽い金属である。 単体ナトリウムはアルカリ金属であるために、反応性が高く、水と爆発的に 反応することは良く知られている。また融点、沸点もこの属の特徴のように 低く、やわらかいという特徴がある。さらに、ナトリウムは電気、熱伝導性に 優れ、金に次ぐ電気伝導性を持つ。 酸、塩基には容易に侵され、単体をナイフなどで切ったあとの破断面は銀白色 の光沢を示すものの、空気中ではすばやく酸化ナトリウム(Na2O)を作って 酸化される。 しかし、灯油やエーテルとは反応しないため、そのような中に保存される。 (このときアルコール内には保存してはならない。) また、ほかのアルカリ金属同様に炎色反応を示す。可視光の範囲内での 炎色は黄色。 非常に高い圧力下では金属的性質を失い、透明の結晶となる。 反応 ナトリウムは反応性の高い金属であるため、多様な反応を 示す。 ナトリウムを水の中に入れると、激しい反応がおこり、 水酸化ナトリウム(NaOH)が生成される。 2Na+2H2O→2NaOH+H2 ナトリウムをメタノール(CH3OH) 内にいれると、ゆるやかに反応 してナトリウムメトキシド(CH3ONa)を生じる。 2Na+2CH3OH→2CH3ONa+H2 ナトリウムは塩素内で激烈に燃焼しながら塩化ナトリウム(NaCl) を生じる。 2Na+Cl2→2NaCl 製法 基本的に工業的、実験室的にも融解塩電解による製造しか存在 しない。リチウムならリチウム化合物をエタノールなどを溶媒とした ものを電気分解したときに得られるが、ナトリウムの場合は上記の 反応 の部分で述べたように、メタノールと同様に反応してしまう ので、同じことはできない。 一般的に、融点の低い、水酸化ナトリウムを融解塩電解するが、 塩化ナトリウムも用いられる。 化合物 ナトリウムには数多くの化合物が知られているが、ここではその 一部を挙げる。 ハロゲン化物 フッ化ナトリウム(NaF) 塩化ナトリウム(NaCl) 臭化ナトリウム(NaBr) ヨウ化ナトリウム(NaI) 酸化物系 酸化ナトリウム(Na2O) 硫化ナトリウム(Na2S) セレン化ナトリウム(Na2Se) 過酸化ナトリウム(Na2O2) 超酸化ナトリウム(Na2O3) 多原子イオン塩 亜硫酸ナトリウム(NaSO3) 硝酸ナトリウム(NaNO3) 硫酸ナトリウム(Na2SO4) 塩素酸ナトリウム(NaClO3) 同位体 同位体 中性子数 半減期 崩壊モード 天然存在比(%) 18Na 7 1.3-21秒 ? 0 19Na 8 4×10-8秒 PE 0 20Na 9 0.4479秒 ? 0 21Na 10 22.49秒 ? 0 22Na 11 2.6027年 ? 0 22mNa 11 2.44×10-7秒 ? 0 23Na 12 安定 なし 100 24Na 13 14.959時間 β- 0 24mNa 13 0.0202秒 β-,IT 0 25Na 14 59.1秒 β- 0 26Na 15 1.077秒 β- 0 27Na 16 0.301秒 β-,NE 0 28Na 17 0.0305秒 β-,NE 0 29Na 18 0.0449秒 β-,NE 0 30Na 19 0.0484秒 α,β-,NE 0 31Na 20 0.017秒 β-,NE 0 32Na 21 0.0129秒 β-,NE 0 33Na 22 0.0082秒 β-,NE 0 34Na 23 0.0055秒 β-,NE 0 35Na 24 0.0015秒 β-,NE 0 36Na 25 2.6×10-7秒 ? 0 37Na 26 0.001秒 ? 0 ナトリウムには13の同位体が存在し、そのうち23Naのみが安定 のためモノアイソトピック元素とされる。基本的に23Naより重い 同位体は主に中性子放出によって軽くなるか、マグネシウムに変化 するかの二通りである。 ナトリウムの不安定同位体の中で最も半減期の長い22Naはポジトロン 断層法において、陽電子を生み出すのに用いられる。 歴史 ナトリウムの利用は、5000年前より始まり、ガラスの生成に用いら れた。しかしナトリウムという元素が意識されるようになったのは 1758年に行われた、マルクグラーフによる炎色反応の実験から のことで、単離は1807年のデービーによって水酸化ナトリウムの 融解塩電解でおこなわれた。 名前はラテン語で炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)を意味するナトロン に由来するとされる。 存在 ナトリウムはその反応性ゆえに、単体では析出しない。しかし、 化合物としては非常におおく地球上に存在している。 もちろん海水には2~3%の塩分が含まれており、その塩分が 塩化ナトリウムであるのはいうまでもなく、岩塩として地上にも 多く存在する。 ほかにも、炭酸ナトリウムとして天然ソーダが採取されるなど、 ナトリウムは地球上に大変豊富である。 リンク リチウム ↑ ネオン←ナトリウム→マグネシウム ↓ カリウム
https://w.atwiki.jp/trivia-mike/pages/3765.html
塩なんかがナトリウムだ。カリウムと食べ合わせると中毒症状に近いことが起こる。ただ危険ドラックよりはかなりいい。 フライドポテトに使うジャガイモはカリウムなのでナトリウムが含まれる塩を摂取することで体内では先に入ったカリウムが増えすぎて塩分を調整しようと本能的に塩を欲する。しかしナトリウムである塩がかかるジャガイモはカリウムなので多すぎるカリウムを調整しようと本能的に塩を摂取するので結局無限ループになる。