約 2,183,290 件
https://w.atwiki.jp/purintai/pages/47.html
ネームドの居場所まとめ みんなでネームドモンスター(ここでは、ハウト、バイロカン、カトブレパス(かとちゃん)、オークトライバルチーフ(OTC))の出現場所をまとめましょう。 画像をクリックすると拡大します。画像中の印は、 ハウト LV27~28 バイロカン LV26~27 カトブレパス LV40~41 オークトライバルチーフ LV47~49 を表します。 他の場所でネームドを見かけたよ!という方は、下のコメントにネームドの種類、地域、座標、方角を書いてください。更新します例.「カトブレパス、バルベロン、C8、北東」など ガイザン 7C-7D jカト2,3匹 -- (Saifar) 2012-03-29 21 43 34 デル・ラゴス 5G-H ハウト -- (Saifar) 2012-03-29 21 44 51 デル・ラゴス 1F ハウト -- (Saifar) 2012-03-29 21 45 13 モーリセン 8D付近 バイカロン -- (Saifar) 2012-03-29 21 45 53 モーセリン 9D カト -- (Saifar) 2012-03-29 21 46 22 モーリセン 1D、2E、2F左上、2F真上、2G上 各ハウト -- (Saifar) 2012-03-29 21 47 44 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/enderal/pages/39.html
アッシュウィドウ サンコースト ゴールデンフォード城 ダルゴラクの爪を持っていないと出現しない ダルゴラクの爪はアーク南地区の博物館(達人鍵展示箱)に所蔵されています 目の見えぬ鉱夫 アーク アンダーシティ タールピットからさらにバラック?を抜けた奥にあるオールドアイソロン:洞窟に入ってすぐ ※本に書かれている通り アポテカリウス達が知っているという対処法なしではダメージを与えられない アンダーシティにあるアポテカリウスの施療院から古い破魔のトーテムの設計図を持ち出して作成する必要がある さまよえるアーヴェルディーン 薄暮れ谷の池の上に橋がかかっている場所(北側) トリケラトプス ドゥネヴィル 北側から廃屋に向かって行く途中 鋼鉄の監視者 サルガード 火葬場を抜けた辺りの下へ降りる階段とサルガードへ向かう道が分岐するあたり
https://w.atwiki.jp/ochibanodaichi/pages/31.html
更新項目の方針決めのため形だけ追加。表の形や場所の表記の仕方で改善できる方はお願いします(屋外にいることが多くて(外)の表記がくどい?)。 カーセ 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ クローリース 備考 山 昼 魚屋(屋外) 海岸 海岸 沖の浅瀬 海岸 夕 魚屋(2階) 海岸 魚屋(2階) 魚屋(屋外) 村右桟橋 月 昼 魚屋(屋内) 海岸 村中央の通り 沖の浅瀬 自宅 夕 魚屋(屋内) 自宅 海岸 魚屋(屋外) 村右桟橋 海 昼 川沿い 海岸 海岸 沖浅瀬 海岸 夕 村の右側崖上 雑貨屋 雑貨屋 魚屋(屋外) 雑貨屋 日 昼 森内整地部 村南 自宅 村南 魚屋(屋内) 夕 雑貨屋 自宅外の崖上 自宅 魚屋(屋外) 村右桟橋 オーリ 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ クローリース 備考 山 昼 旅装屋 美食屋 美食屋 教会右(外) 美食屋 夕 酒場 宿(※風呂) 宿(※風呂) 美食屋前 宿(※風呂) ※会話を盗み聞きできる 月 昼 井戸 広場 食品・雑貨屋 広場 役所 夕 宿屋2階 広場 酒場 井戸 宿屋(自室) 海 昼 食品・雑貨屋 病院左(外) 食品・雑貨屋 広場 役所 夕 酒場 病院左(外) 酒場 食品・雑貨屋 役所 日 昼 加工屋 役所 食品・雑貨屋 美食家 役所 夕 加工屋 贈答屋 贈答屋 宿(風呂) 贈答屋 地底の国 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ クローリース 備考 山 昼 洞窟前 自宅 キノコ 聖堂前の墓場 キノコ 夕 テーブル 自宅 コンロ アシャスの家・キッチンの上の部屋 オーブン 月 昼 右上行き止まり 自宅 雑貨屋 共同浴場 マグマ跡 夕 テーブル 自宅 コンロ アシャスの家・キッチンの上の部屋 オーブン 海 昼 占い屋右下 自宅 司祭一族の墓場 アシャスの家・地下の風呂 墓場 夕 テーブル 自宅 コンロ アシャスの家・キッチンの上の部屋 オーブン 日 昼 司祭一族の住居付近 自宅 司祭一族の住居下の石像の前 アシャスの家・地下道 司祭一族の住居付近 夕 テーブル 自宅 コンロ アシャスの家・地下道 オーブン 水底の国 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ クローリース 備考 山 昼 礼拝堂 服屋 雑貨屋 総長の家下の橋 服屋 夕 酒場 左下の島(外) 酒場 総長の家下の橋 礼拝堂 月 昼 船屋 左上の島(外) 花屋 服屋 雑貨屋 夕 酒場 左下の島(外) 花屋 酒場 雑貨屋 海 昼 雑貨屋 右上の島(水際) 花屋 右上の島(水際) 左上の島(外) 夕 酒場 左下の島(外) 花屋 総長の家 礼拝堂 日 昼 船屋 ハーメアの家 花屋 診療所の前 総長の家 夕 酒場 森の島 花屋 流れ穴(外) ハーメアの家 畑の国 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ クローリース 備考 山 昼 万屋 万屋 宿左畑 林檎の木 万屋 夕 左下家前 花畑(※売り家) 宿左畑 左下家前 南門 ※ハロイン前 月 昼 牧場 宿屋台所 万屋 神道入口下の崖 宿下畑 夕 左下家前 花畑(※売り家) 宿左道 宿屋右柵の向こう 宿下畑 ※ハロイン前 海 昼 宿前 花畑 花畑 温泉街 花畑 夕 左下家前 花畑(※売り家) 宿 牧場 宿 ※ハロイン前 日 昼 牧場 宿屋左の水田 万屋 万屋 神道前 夕 左下家前 花畑(※売り家) 墓 万屋上(外) 宿左下の川 ※ハロイン前 温泉街 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ クローリース 備考 山 昼 井戸 宿内 宿前 銭湯 学びの舎1F 夕 宿泊室 宿泊室 宿内 宿前 学びの舎2F 月 昼 学びの舎1F 銭湯(※) 銭湯(※) 外 学びの舎1F ※会話を盗み聞きできる 夕 宿内 宿泊室 宿内 宿泊室 学びの舎2F 海 昼 銭湯 外 学びの舎1F 花畑 宿内 夕 宿泊室 宿泊室 宿泊室 階段 銭湯 日 昼 学びの舎2F(※) 外 学びの舎2F(※) 外 学びの舎2F(※) ※話しかけることでバイト可 夕 外 宿泊室 宿内 洞窟前 宿内 王の国 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ 備考 山 昼 2本の木がある広場 墓地 宿屋自室(※病院) カフェ ※深層開始前 夕 質屋 貴族街入口付近 宿屋前 宿屋前 月 昼 互護隊詰所前 中央 互護隊詰所前 ペットショップ 夕 バー 貴族街入口付近 バー カフェ近辺(※貴族街入口付近) ※アシャス滞在時 海 昼 掲示板前 カフェ カフェ モール前 夕 リンゴ亭 貴族街入口付近 商店街近辺 リンゴ亭 日 昼 リバーサイドへ向かう橋近辺 雑貨屋 雑貨屋 リバーサイドへ向かう橋近辺 夕 宿屋自室(※病院) 貴族街入口付近 2本の木がある広場 リンゴ亭 ※深層開始前 王の国(革命後) 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ 備考 山 昼 家具屋(モール2F) モール1F 宿屋自室(※病院) リンゴ亭右(外) ※深層開始前 夕 家具屋(モール2F) モール2F 中央(外) 武器屋(※モール2F) ※アシャス滞在時 月 昼 右下(外) 中央(外) 互護隊詰所3階 王城玉座 夕 バー モール2F バー 王城(右上) 海 昼 モール1F(※モール2F) カフェ カフェ 左上(外) ※俳句教室に通っている時 夕 リンゴ亭 モール2F モール2F(※モール2F) リンゴ亭 ※俳句教室に通っている時 日 昼 リバーサイドへ向かう橋近辺 互護隊詰所2階(※モール2F) 花屋(モール2F) リバーサイドへ向かう橋近辺 ※俳句教室に通っている時 夕 宿屋自室(※病院) モール2F 花屋(モール2F) リンゴ亭 ※深層開始前 地名 曜日 時間 サゴジョ アシャス ハーメア シウテクトリ クローリース 備考 山 昼 夕 月 昼 夕 海 昼 夕 日 昼 夕
https://w.atwiki.jp/rayvateinn/pages/246.html
居場所 いきなりじゃ、理解することは難しい。 一般人が殺し合いというフィールドに呼ばれる。 そうなると、錯乱して落ち着きがなくなって―――死ぬ。 ……いや、殺される方が正しいのだろう。 現にこうやって―――意味不明な状態にある訳だ。 直前にやっていた事なんて無視――本当に突然ここにいる。 何故?誘拐?誰がこんなことをする? 分からない。このフィールドの目的が分からない。 殺し合いという見た目からじゃ理解は出来ない。 では、どうすれば理解出来るというのだろう? ………それが分かる前に、殺害されてしまうのか? 自分も……皆も……そうなってしまうのか? 絶望、それだけしかないこの空間で………。 日常を奪ったこの空間で………死んでしまう? ………そんなのは、嫌だ。 ………作ってくれた、あの場所が無くなるなんて。 ………あの場所を無くさせなんかさせない。 ………させる訳にはいかない。 ………あの場所が自分の居場所―――あれを失ったら。 ………もう自分の居る所なんて、価値が無くなる。 だから、自分は死ぬ訳にはいかない。 勿論――皆の所に帰らなくちゃ駄目。 ………でも、殺害するなんてことはもっと駄目。 ……いや、今の自分はそんな発想なんてしなかった。 ただ一つの恐怖心に支配されて、動くことも出来ない。 泣いて――震えて――こんなことしてる間にも………。 でも今の自分は怖いという感情しか芽生えない。 目の前で人の首が飛んだ――あれが忘れたくても忘れる事が出来ない。 思い出す度にビクッとなって―――また震えが強まる。 それをさっきから続けるだけの、そんな状態にいた。 自分だけ――それが過去を思い出させる。 転校前のあの思い出―――それも忘れる事は出来ない。 勝ちに拘ってしまった結果が孤独を呼んだ。 練習も一生懸命にやった、でも勝ちに拘って孤立――そして転校した。 ……転校後も孤独で―――自分の居場所はいつも独りだった。 ………だがある日の体育――そこで行われたのはやめたバスケ。 孤独を生み出してしまったバスケ。でも練習したバスケ。 気付けば男女対抗になって―――そこで先生に言われた。 『本気出していいよ』 又、勝ちに拘ってしまって――また孤立すると思った。 でも……ある一人の女の子が目を輝かせてかっこいいと言った。 そしてその子は提案した。その学校に女バスはないから――― ―――女バスは作ろうと、そう提案した。 5人は自分とその子――そして後の3人はその子が連れてくれた。 ………そうやって、女バスは作られた。そして、そこが自分の居場所。 皆が笑顔で待ってくれている場所―――そこから何故……。 何故、殺し合いという場所に来てしまったんだろう? 何も分からない、ただ怖くて、帰りたいという感情しか芽生えない。 皆が待ってるあの場所に戻らなくては……。 直ぐに戻るよ、自分の居場所へと―――。 いつまでも泣いてちゃ駄目、行動を起こさないと。 一点でも多く―――試合じゃないけど、勝負に近い何か。 ………本気を出してでも、この事態をどうにかしないと。 そうやって、一人の少女は暗い部屋の中――立ち上がった。 暗い一室―――でもその少女は何処か輝きがあったように思える。 彼女こそは、私立慧心学園、6年C組、女バス所属。 ―――湊智花(シャイニー・ギフト) 「………もしかして、そこにいるのって―――」 「っ!!!」 立ち上がった時の物音で気付いたのか、そんな声がそこに聞こえた。 智花は驚いた、でも不思議とその次は落ち着いた。 ………ようで、そうではなかった。 「とも……か……?ともか、智花だよなっ!?」 「す………昴さん……?」 智花の居場所を、女バスを助けてくれた人がそこにいてくれた。 長谷川昴―――そこにいたのは彼だった。 とても嬉しそうに昴は智花に近付いて行って―――。 「ふぃひゃぁ、す、すばるふぁん……?」 抱き締めた、良かったと何度も言いながら。 本当に無事で良かった、昴は涙を流しそうにもなった。 ……いや、流したかもしれない。 「あ、ご、ごめん!つい安心して………はいられない、か」 昴は直ぐに冷静になって現状を見た。 殺し合い、その中で一番に会えたのは智花で良かった。 ……だがその殺し合いに智花がいるというのは良くない。 何故、小学生にまでも殺し合いをさせるというのか? 昴も智花と同じく、何も理解出来なかった。 殺し合いを何とかしたい、そこまでも智花と同じだ。 「智花、なるべく人との接触を控えながら行動しよう」 「え、ええっ!」 智花はびっくりしてしまった。 同時に顔も少し赤くなる。完全に見方が違う。 人と接触しないということは、ほとんどずっと二人。 昴と二人―――考えるだけでドキドキしてしまう。 ……だがそんな場合じゃない、そんな場面ではない。 「智花が嫌なら別の方針にでも「い、いえっ!そうしましょうっ!」あ、ああ…… じゃあ暫くはここにいよう。多分だけど中の方が遭遇しないだろうし。 後になってここから出れば上手くすれ違える筈だ。しばらくは我慢してくれ、智花」 「は、はいっ!いくらでも待ちますよ!」 智花の様子を見て、昴は少し笑顔になる。 殺し合い―――でも智花に暗い顔はして欲しくない。 ずっと笑顔でいるのも無理だろう。精神的にこれは来る。 智花ならまだ大丈夫かもしれないが……真帆達がいるならば? 紗季の判断力は頼れる存在、大丈夫なのかもしれない。 真帆は暗い所が苦手、こんな時間だが大丈夫なんだろうか……。 愛莉は精神的にキツイだろう。早く会ってやらないと。 ひなたちゃんは逆に身体的に耐えれないかもしれない。 全員がいるかは分からない、だが絶対に失ってはいけない。 俺は約束した。智花に約束した。 智花の居場所もバスケも、俺が守ってやると。 そして―――俺は女バスを守る為に皆に特訓をさせた。 結果―――男バスに勝利を得て廃部を逃れた。 ………だが、今度は居場所が危ない。 一人でも死亡したら―――智花の居場所はもう………。 だから、絶対に俺は守ってやる。 智花の居場所も、バスケも。 ………そして、命も。 【G-5 - 図書館二階】 【湊智花@ロウきゅーぶ!】 【状態】健康 少し顔赤い 【服装】慧心学園初等部制服 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:殺し合いをどうにかする 1、昴さんと一緒~♪ 2、しばらくは図書館内で待つ 【G-5 - 図書館二階】 【長谷川昴@ロウきゅーぶ!】 【状態】健康 【服装】七芝高等学校制服 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:智花を守りつつ、殺し合いをどうにかする 1、しばらくは図書館内で待機 2、女バスの皆は死なせない。必ず全員……。 3、絶対に智花は守る。 ―――そして、居場所を失った少女は暗闇へと消える。 (皆……殺してやる……) 【H-5 - 図書館周辺】 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】 【状態】健康 変身後 黒さやか 【服装】変身後の姿 【装備】??? 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ 【思考】基本思考:皆、殺してやる……。 1、殺す………。 ※おそらくほぼ魔女化寸前ですが魔女化はしないらしいです。 sm058 目前の悪夢 投下順 sm060 もう何も見えない START 湊智花 sm064 すばるん困惑っ?!中の人同一人物説浮上! START 長谷川昴 sm064 すばるん困惑っ?!中の人同一人物説浮上! START 美樹さやか sm063 偶然の出会いは真っ黒
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/7153.html
このページはこちらに移転しました 今日から明日の僕の居場所へ 作詞/COOL METABOLIC 僕の場合、居場所は 少し狭いぐらいが気持ちいい でも、それってたまに すごく切ないよね 君の場合、居場所は なんかいつも華やかに見えるね でも、それってたまに すごくうそ臭いよね 明日(あす)の場合、居場所は はっきり定まってたら楽だね でも、それってたまに マジ死にたくなるよね
https://w.atwiki.jp/fukumotoroyale/pages/105.html
心の居場所(後編) ◆uBMOCQkEHY氏 「はぁ・・・はぁ・・・」 その数分後、赤松は零と涯に追いついた。 体力を無視して走ったため、足が痙攣のごとく震えている。 体をやや屈ませながら、切れ切れになった息を整える。 「私の名前は・・・赤松修平・・・どっちが・・・零君なのか・・・」 「オレです」 零は一歩前に出る。 落ち着いた表情で赤松を静観しているが、万が一の時に供えて、右足を後ろへずらし、逃げる用意をしている。 赤松はその右足の存在を一見した後、零の顔へ視線を移す。 ――確かに聡明な少年だ・・・しかも、私に対して怖気つく様子がない・・・ 肝が据わっているというか・・・意志が強そうだ・・・そう・・・意志が・・・。 『それは・・・過大評価だ・・・! 人の言うことや情勢を無視して我を張り続けるあの姿勢・・・ その考えが自分の可能性を殺していることさえ分かっていないっ・・・!』 生前、標が言った言葉が頭を過ぎる。 赤松は思わず笑みをこぼした。 「確か君はドリーム・キングダムの試験の時、標君からのリングの受け取りを断ったそうだね・・・ 彼・・・言っていたよ・・・君は頑固者だって・・・」 ――リング拒否はオレと標のみが知りうる事実・・・この人は・・・。 ここで零は赤松に対して、信頼を置ける人物であると認識すると同時に、 郷愁にも似た温かさが心に染みていくのを感じた。 「標らしい・・・標らしい表現だ・・・」 つられるように、零も笑みを浮かべる。 「お人よしだな・・・零・・・!」 「涯っ・・・!」 零は涯の方向へ顔を向ける。 「こいつの言っていることをそう簡単に信用していいのか・・・! だいたい、こいつはオレを殺そうとした男・・・! 人間・・・腹の中では何を考えているのか分かるはずがないんだ・・・!」 ――その言い方はあまりにも失礼じゃないか・・・! 零はこみ上げてくる怒りを不機嫌そうに押さえ込んで反論する。 「リングのことは、オレと標だけのやり取り・・・! それを知っているということは、標が赤松さんに心を開いている証拠・・・! 赤松さんは信頼できる人物だということだ・・・!」 「標・・・標って・・・その標という奴こそ、信頼できる人物なのか・・・! その標が、この男に騙されている可能性だってある・・・! そもそも標という奴はどこにいる・・・!」 零は唇をわずかに震わせるも、その震えをかみ殺して、言葉を搾り出す。 「標は・・・死んだよ・・・」 二人の間に、風がさっと吹きぬけた。 その風に押されるように空に漂う雲が月を隠す。 森の中に立ち尽くす彼らに闇が侵食していく。 「さっき放送で名前を言われた・・・」 「あっ・・・」 夕方、アトラクションゾーンで見かけた、血だまりの中で横たわる少年の姿が、涯の脳裏に蘇る。 ――もしかして・・・あの子供のことか・・・? 零は涯の反応に目を止めるも、すぐに赤松の方へ顔を向けた。 「ひとつ伺っていいですか・・・?」 「えっ・・・」 赤松は零の方へ顔を向ける。 「どうして、涯を追いかけていたのですか?あなたは・・・涯を殺そうとしていたはず・・・」 赤松は涯をちらっと見た後、口元に手を当てる。 「夕方頃、私達はアトラクションゾーンで自殺志願者の老人に出会った・・・ その老人に、僕の所持品の手榴弾を奪われた・・・ 老人はその場の人間を巻き添えにすると言い、私達は離れざるを得なかった・・・ けど、標君は老人に聞きたいことがあると言ってその場に残り、私と別れた・・・」 赤松は“あれさえなければ・・・”と嗚咽を含めた声で、肩を震わせる。 零は赤松が満足に話せる状況でないことを察し、 辛いのであれば、それ以上話す必要はありませんよといたわるように声をかける。 ――なぜ、その男に気を使う・・・零っ・・・! 赤松はかつて自分を殺そうとした男、その男を零が気遣うということが、涯に疎外感を覚えさせる。 その尖った感情は鋭利な言葉として、赤松に向けられる。 「なぜ、標という奴を明らかに狂気の思考を持つ男の下に置いていった・・・ ここは殺し合いの場・・・危機管理が足りないんじゃないのか・・・ それとも・・・泣いて同情でもほしいのか・・・」 「涯っ!!」 零は涯の襟を掴む。 「いい加減にしろ!さっきからなぜ、君はそう突っかかる!」 「オレは事実を言っているだけだ・・・」 「やめてくれ!」 赤松は涯と零の間に割って入って、二人を止める。 二人は不満げな顔を浮かべながら、距離をとる様に離れる。 ――とにかく話を続けて場を持たせなくては・・・。 赤松は乱れる鼓動を押さえながら話を続ける。 「私は標君のことが気になって、その場へ戻った・・・ そして・・・標君は血の海の中に横たわっていた・・・」 「標・・・」 零に亡き友への憂いが胸を締め付ける。 それと同時に、ある考えが頭を過ぎった。 ――そういえば、涯が人を殺した時も、横たわっていなくては成立できない状況・・・ まさか・・・ 「そして・・・標君の死体の前に涯君がいた・・・それで涯君が標君を殺した・・・と・・・」 ――・・・私は勘違いし、彼の首を絞めた・・・。 赤松はその続きを話そうとするが、その言葉は喉に留まっている。 これ以上話せば、零への印象が確実に悪くなってしまうだろうという迷いがそうさせてしまっていた。 ――いや、どういう理由にせよ、それは事実・・・話さなくては・・・。 赤松が再び、話し出そうとした瞬間だった。 「君が・・・標を・・・殺したのか・・・」 「えっ・・・」 零の目が怒りを含むかのような濁ったものに変わり、涯へと向けられていた。 赤松は零の言葉に戸惑う。 ――なぜ、そういう方向に話が進んでしまう?この二人に何があった・・・? 「・・・」 その質問に涯は答えない。 それが零を苛立たせる。 その苛立ちは、更に強い追求によって現れた。 「君が標を殺したのか!!!」 零は涯に再び、掴みかかる。 「オレは君と仲間になれる・・・いや・・・仲間だと思っていたのに・・・!」 零は推理の合理性と涯への不信感から、涯を一方的に犯人であると決め付けてしまっていた。 詳しくその時の状況を知れば、涯が犯人でないことは一目瞭然であり、誤解はすぐにでも解けた。 しかし、涯は無言を徹し、それを説明することはなかった。 結果、零はその無言を肯定の意味として受け取ってしまった。 勿論、涯はその場で否定をすることもできただろう。 しかし、涯を支配していく感情がそれを拒ませていた。 ――仲間・・・甘く、もろい言葉だ・・・。 零は未だに何かを言っているようだが、涯にはその言葉がどこか遠くにしか聞こえない。 興奮する零とは対照的に涯はどこか冷めたような眼差しで零を見つめていた。 ――いつだって人は・・・その心は・・・孤立している。 心は理解されない・・・伝わらない・・・。 時に伝わったような気になることもあるが・・・ それは、ただ、こっちで勝手に相手の心を分かったように想像しているだけ・・・。 仲間という言葉で縛りつけたところで、その心を結びつけることはできない・・・。 「っ・・・!」 この時、涯は錐で刺されるような感覚を胸に覚えた。 しかし、それを否定するかのように、零の甘さを鼻で笑う。 ――そう・・・人は・・・世界が・・・バラバラに・・・ バラバラになれと・・・まかれた種だっ・・・! ここで信用できる他人なんて、いやしない・・・。 やはり、人間は孤立するべき・・・孤立する・・・べき・・・ 「え・・・涯・・・?」 ここで零は突然、追求を弱める。 その様子で、涯は自身の異常に気付く。 頬から涙がこぼれている。 「なっ・・・」 涯自身、本当は分かっていた。 ――どんなに、人間の心の弱さをあざ笑ったところで、 本当は欲している・・・理解を・・・友情を・・・仲間を・・・。 涯はそんな自分を自嘲する。 ――オレは今・・・悲しい程無力っ・・・! 涯はふと赤松を見る。 ふつふつと煮えるような怒りがこみ上げてきた。 ――なぜ、この男が現れた・・・なぜ余計なことを言った・・・ お前さえ・・・いなければ・・・! 涯は赤松に対して、拳を構えた。 「が・・・」 赤松と零が涯を止めようとした直後だった。 赤松の意識が一瞬切れた。 正しく言うと脳が行動へ回路がつながらない、コンマ何秒の空白の時が発生した。 再び、意識が回復した時、目の前にあったのは、涯の拳だった。 「なっ・・・」 ――何が起こった・・・。 体は竦んでしまったかのように動くことを忘れ、呼吸は喉元で止まっている。 零と赤松は呆然としつつも、すぐに察した。 ――まるで光速・・・!光のような拳・・・!これが彼の能力っ・・・! 涯は拳を赤松の顔面に目掛けておきながら、それ以上動くことはなかった。 もう一歩踏み出せば、確実に赤松を失明させることもできた。 しかし、涯はその一歩を踏み出さすことができなかった。 赤松の目元が腫れていた。 ――この男は泣いていた・・・標という少年の死を悲しんで・・・。 この男は自分を責めていた・・・標という少年を救えなかったことを・・・。 涯の瞳から再び、涙が零れる。 ――この男が持っている感情は・・・情愛・・・! オレが持ちたかった感情・・・誰かから与えてもらいたかった感情・・・! 「オレはもはやケモノ・・・人間には・・・戻れない・・・」 涯は拳を下ろした。 「孤立せよ・・・!」 その直後、赤松の視界が大きく動き、頭や腕に打ち付けられたような痛みが走る。 「うぐっ・・・!」 突然の痛みに赤松は声を上げる。しかし、この感覚には覚えがあった。 ――そう、あれは涯君の意識が回復したとき・・・ 赤松はすぐに起き上がった。 涯は再び、赤松を突き飛ばし、来た道を戻るかのように駆け出したのだ。 「待て!涯君!」 「涯!!」 零と赤松が涯を追いかけようとするも、その姿は暗闇の中に溶け込んでいた。 零は砕けた言葉を拾うかのように、震えた声で赤松に尋ねる。 「涯は・・・標を・・・殺していないですよね・・・」 赤松はうつむき、申し訳なさそうに返答する。 「・・・標君のディバックが何者かによって盗まれている・・・ 涯君は標君のディバックを持っていなかった・・・彼ではない・・・」 「う・・・ううっ・・・」 零に取り返しのつかない後悔の波が押し寄せる。 「オレが・・・涯を・・・傷つけた・・・」 零から涙が溢れる。 「涯は・・・人を殺したことを・・・誰にも知られたくなかった・・・ そんな自分に向き合うことも嫌だった・・・ けど・・・オレ、それに気づかず・・・ 涯が殺人を犯したことを推理し・・・その事実を突きつけた・・・ その上・・・オレ・・・標を殺したと勘違いして・・・涯を責めた・・・ オレ・・・オレ・・・」 まるで糸が切れたかのように、膝を突いて零は号泣する。 「オレが涯をケモノにしてしまったっ・・・!涯から人間を奪ってしまったっ・・・!」 少年の慟哭が周囲にこだました。 赤松は静かに零に近づく。 「零君・・・それは違う・・・」 赤松は零と同じ視線になるように屈むと、その肩にそっと手を添える。 「彼は人間だ・・・ケモノであれば心を痛ませることはないのだから・・・」 添えた手にわずかだが、力がこもる。 「今回のことは私に責任がある・・・ 私は涯君が標君を殺したと勘違いして、首を絞めてしまった・・・ あの時・・・それにもっと早く気づいていれば、こんなことにはならなかった・・・」 赤松は涯が走り去っていった道へ視線を向ける。 「彼は居場所を求めている・・・心の居場所を・・・ それを君に見出していた・・・ただ、ちょっとのすれ違いがあっただけなんだ・・・」 その直後、赤松は気づく。 ――涯君は再び、来た道を戻っている。 涯君はここに来るまで、直線のコースを走っていた。 それは私に殺されかけ、混乱していたから・・・。 そして、今も・・・。 ということは再び、まっすぐ北へ・・・。 そこに待っているのは・・・D-3、C-3、そして・・・ 「・・・B-3禁止エリア!」 赤松は首輪を押さえた。 ――禁止エリアに入れば、首輪は爆発する。それが起こる前に・・・ 「・・・涯君を止めなくては・・・!」 赤松は零の肩を掴んで、零を落ち着かせるような口調で話した。 「君は今、誰かと行動しているね・・・」 零は顔を上げ、頷く。 「そうか・・・なら、君はその人の下へ戻りなさい・・・ 私が涯君を説得し、連れて戻ってくる・・・! 1時間後にここで合流しよう・・・!」 赤松は零の肩から手を離し、立ち上がった。 「それから君に渡したい物がある・・・! 涯君と戻ってきた時、君に説明する・・・!」 赤松は左ポケットに触れた。そこには標のメモ帳が入っている。 本当であれば、今すぐ渡したい。 しかし、丁寧に書いてあるとは言え、メモ書きである。 赤松自身の解釈を必要としている箇所も存在していた。 それを話せば、どうしても時間を必要としてしまう。 その間にも涯は禁止エリアへ到達してしまうだろう。 今は涯を追いかけることが何より最優先である。 赤松は再び、涯が走り去っていった道へ視線を向ける。 「涯君・・・」 ――零君は君を想ってる・・・彼なら君の居場所になれるはず・・・ 「じゃあ、1時間後に・・・!」 零にそういい残すと、赤松は走り出した。 赤松は走りながら、標のメモ帳が入った左ポケットを握り締める。 標のあの言葉が反芻される。 『もし、志が一緒であれば・・・零とはこの地のどこかで・・・ また、会える・・・そんな気がするんだ・・・』 今の状況は楽観的に受け取れるものではない。 しかし、赤松から思わず笑みがこぼれていた。 ――君の予感が当たったよ。 「・・・というわけか・・・」 沢田は零から事の顛末を聞いて、頷く。 「なので、ここで赤松さんが戻ってくるまで待ちましょう・・・」 ――相変わらず、大人びた子だ・・・だが・・・ どんなに冷静を装ったところで、その目はさっきまで大泣きしていましたと言わんばかりに、赤く腫れている。 沢田はため息をつく。 「人間というものは、例え、時間制限を設けたところで、 欲しいものが目の前にあると、後5分くらいならと言い訳をして勝手に伸ばしちまう・・・ 1時間でその涯という少年に追いついて戻ってくるとは限らない・・・ きっと、その男も勝手にそんな感じで伸ばしちまうんじゃねえのかな・・・」 沢田は零の頭をぽんぽんと叩いた。 「零・・・お前、涯に謝りたいんだろ・・・!だったら、自分から言いに行け・・・! それが男ってもんだろ・・・!」 零は驚いた顔で沢田を見上げる。 「沢田さん・・・」 沢田は、涯と赤松が消えていった道を見つめる。 月明かりは雲に隠れ、何重もの薄暗いカーテンがなびいているような闇が続いている。 「覚えているか・・・零・・・ お前と合流した時、オレはお前に、『俺たちに明日はない』覚悟が必要だと言った・・・ それはこの先に何が待ち構えているか分からないからだ・・・! ただ、今、俺たちの前に伸びる道のように、その先が見えていないだけかもしれない・・・ 見えなくても、進めば・・・明日が見えるかもしれない・・・」 「オレも・・・」 「んっ・・・?」 沢田は零に顔を向ける。 零もまた、涯と赤松が消えていった道を見つめていた。 「オレもそう思います・・・今、オレにとって、涯と向き合うこと・・・ それがオレの明日につながる・・・そんな気がするんです・・・ オレも明日が見たい・・・!」 零の言葉には、まだ、どこか震えがあった。 しかし、眼光はその道をまっすぐ射抜いている。 ――始めの一歩は誰しも不安を抱える・・・だが、この少年なら前へ進める・・・! その時、雲に隠れていた月明かりが再び、姿を現し、周囲を照らす。 道の先がおぼろげに見え始める。 「よし・・・行くぞ!零!」 「はいっ・・・!」 零と沢田は涯と赤松が駆けた道を走り始めたのであった。 【E-3/森/夜】 【宇海零】 [状態]:顔面、後頭部に打撲の軽症 両手に擦り傷 精神やや不安定 [道具]:麻雀牌1セット 針金5本 不明支給品 0~1 支給品一式 [所持金]:0円 [思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 赤松、涯と合流する 涯と仲直りをする 【工藤涯】 [状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 新しく手に擦り傷 精神混乱 [道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2 [所持金]:2000万円 [思考]:孤立する 【赤松修平】 [状態]:健康 腕に刺し傷 [道具]:手榴弾×9 石原の首輪 標のメモ帳 支給品一式 [所持金]:1000万円 [思考]:できる限り多くの人を助ける 宇海零にメモを渡す 工藤涯を零の元へ連れ戻す ※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません ※利根川のカイジへの伝言を託りました。 【沢田】 [状態]:健康 [道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません 高圧電流機能付き警棒 不明支給品0~4(確認済み) 支給品一式×2 [所持金]:2000万円 [思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 零を心配している 主催者に対して激しい怒り 赤松、涯と合流する 073 悪戯 投下順 075 四槓子 077 闇 時系列順 075 四槓子 064 人間として 宇海零 088 希望への標(前編)(後編) 064 人間として 工藤涯 085 同士 064 人間として 赤松修平 085 同士 064 人間として 沢田 088 希望への標(前編)(後編)
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/1517.html
決河の勢いで管野は上空から敵対象へと動力降下する。 彼女を知らぬ者が、この光景を目の当りにしたら悲鳴を上げて静止するだろう。 大型航空ネウロイの真上から身を投じる管野は抱え持つ携行火器―――九九式二型二号改13mm機関銃の銃口を向けて引き金を引く。これこそ管野直枝が最も得意とする戦術なのだ。銃火を叩き込みながら、管野がすれ違った箇所には遠めに見てもはっきりと分かるほどの傷跡が刻みつけられていた。 クルピンスキー「さっすがナオちゃん。相変わらず勇敢だね。でもそういう一生懸命なところも可愛いかな。俺はどう思う?」 見る者全てを威圧する巨大な化物相手に刃金を鳴らす管野の姿を捉えながら、堅牢な甲殻を削っていくクルピンスキーが隣で同様に銃弾を撃ち込む俺に微笑みかけた。 俺「確かに可愛いけど本人の前で言わないほうが良いぞ。前に言ったら噛みつかれた」 クルピンスキー「……俺ってさ。もしかして意外とプレイボーイ?」 俺「そんなわけあるか。女の子を選り好みできる立場じゃないってことぐらいは自覚してる」 男のリビドーを刺激する笑みを物ともせずに俺は彼女とお揃いのグロスフスMG42機関銃を右手で発砲しつつ、左の五指から放つ衝撃波によって管野の進路を阻もうと飛び交うX-10を次々と撃墜していく。 五本の指を僅かに動かすだけで変則的に動き回るX-10を射線上に捉え、一撃必中の要領で貫く様は激戦地を転々と渡り歩いてきた者だけが見せる洗練された所作だった。 魔力減衰が始まった今の状況では掌から放出する高威力かつ広範囲の衝撃波を多用することはできない。 かつては自身の象徴でもあった衝撃波も今となっては思う存分発揮することが叶わない現状に歯痒さを感じつつも俺は小型の撃墜と大型への攻撃を同時並行で行った。 ロスマン『俺さん。身体の調子はどうですか?』 ニパ『魔力減衰が始まったんなら、あまり無理しないほうが良いんじゃないか?』 俺「一人で戦うわけじゃないから問題ないさ」 インカムから流れてくるロスマンとニパの、自身を気遣う声が耳に届く。 気持ちはありがたいが、彼女たちだけを火線に立たせるわけにはいかない。飛ぶことができ、敵の数を少しでも減らせるなら使い物にならなくなるまで、戦い続けるのも自分の役目だ。 クルピンスキー「……さぁてと。それじゃあ僕も行って来ようかな。俺、エディータ、ニパ君。援護頼むね」 そんな俺の胸裏を汲み取ったのか、クルピンスキーが大型に向かって猛進を開始した。 被弾を全く考慮しない彼女の戦術に初めは途惑いを隠せなかったが、逸早く的確な支援が行えたのも長年培って来た経験によるものだろう。 俺「まったく……嫁入り前の肌に傷でもついたらどうすんだ。了解! 背中はしっかり守ってやるから思う存分暴れて来い!」 構えていたMG42を背負い、十指から衝撃波を発射する。狙いは二人の勇敢なる魔女を狙うキューブ状の羽虫ども。 熱した鉄を水に放り込んだような音を立てながら繰り出された攻撃がプンスキー伯爵の背を狙うX-10のボディを貫通した。 クルピンスキー「ありがとう。助かったよ」 砲火を交えるクルピンスキーを援護するべくポクルイーシキンが、手にしていた対物ライフルの引き金を絞った。 轟く銃声と共に蒼空に鮮やかな発射炎の花が咲き、徹甲弾が直撃した部位から白い光輝を放つ破片が噴き出す。 ラル「残るはあの大型か」 定子「それでも……あの装甲は堅すぎます」 俺「だったら俺が致命傷を与える。トドメは任せたぞ」 ラル「無理はするな。私たちだけでも」 俺「安心しろ。これくらいなら撃てるさ」 俺が体内に充溢する魔法力を前方へと持ち上げる右の掌へと集中させた。 魔力を供給する分だけ生まれてくるブレを少しでも減殺するべく生体砲身と化した右腕を左手で掴むように固定し、大型ネウロイへと狙点を定める。発射態勢を整える彼の姿を確認するや否や管野が再び急上昇し、対象の真上を確保した。 俺「ナオ! いけるか!?」 管野『当たり前だ! いいからさっさと撃て!!』 俺「了解!!」 射線上からの退避を終えたクルピンスキーのアイコンタクトを受けた俺が衝撃波を発射する。 反動で大きく後ろへ吹き飛ばされそうになるも、傍で待機していたラルが彼の身体を支えることで、事なきを得た。 砲口からぶっ放された奔流が大型を包み込み、その黒いボディを歪に変形させていく中で大型の頭上から一個の弾丸が飛来する。 管野が首下のマフラーを突風にたなびかせながら機関銃の弾丸をばら撒き、肉薄。 右手に展開するシールドを直径数十センチまで圧縮、強度を高めていく。 上空から降下突撃する管野が例の如く右腕を後方へと引き絞る彼女の拳は既に眩い輝きを放つ蒼白い光に包み込まれていた。 管野「でぇぇぇぇりゃぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!」 これまで数々の化け物どもを沈めてきた必殺の一撃が堅牢無比を誇る装甲に叩き込まれる。戦車砲の一斉発射にも似た衝撃音を轟かせながら、放たれた絶大なインパクトは黒い装甲の内部にて燦然と輝く紅の宝玉にも伝達された。 ジョゼ「最近は敵の装甲が硬くなってますね……」 ラル「今後は厳しい戦いになるだろう。各自英気を養ってくれ」 全身に亀裂が走り、轟沈していく敵対象を見据えるラルは続けて全機に帰還命令を下した。 ニパ「あれ?」 帰還を終え、最初に異変に気付いたのはニパだった。周囲を見回してみるとストライカーを脱いだ面々が視界に入り込んでくる。 しかし、俺の姿だけはどこにも見えない。まさか帰還する途中に落ちたのではという嫌な考えが胸中に生まれ、突き動かされるままに俺のストライカーが置かれている場所まで走ってみれば、確かに彼が先ほどまで身に付けていたストライカーが寝台に設置されていた。 では肝心の俺はどこに消えたのだろう。 管野「どうしたんだよ?」 ニパ「カンノ……俺のこと見なかった?」 管野「見なかったも何も一緒に帰ってきただろ?」 ニパ「でもどこにも見えないんだよ」 管野「先に格納庫から出て行った……って言ってもあいつは一番後ろを飛んでたしな」 ニパ「だろ?」 管野「そういえば変だな。でも飯の時には帰ってくるだろ?」 ニパ「このあと何があるか忘れたのか?」 あぁと呟くように返す。 そういえば、このあとは無事にブリタニアから帰ってきた俺のために茶会を開く予定だったな、と思い出す。 出張先のブリタニアで彼がブレイブウィッチーズの面々のために、これでもかというほど大量の土産を持って帰ってきたのだが、そのお礼にとジョゼが今回の茶会を企画したのだという話を聞いた管野は顔を顰め始めた。 確かに肝心の俺がいなければ何の意味も無い。いつも通りの茶会になるどころか、下手をすれば中止になりかねない。 管野「……じゃあ探しておくから、先に準備しておいてくれよ」 ニパ「それは良いけど……俺がどこにいるか分かるのか?」 管野「さぁ?」 ニパ「さぁって……」 当てなど無い。 ただ俺がこの基地に勤務するありとあらゆる人間と親交を深めているのは管野も知っていた。 彼らを訊ねれば、すぐにでも見つかるはずだ。そう高を括っていたこの時の自分を管野は直ぐに恥じることとなる。 管野「いっねぇ!!!」 あれから自分なりに思う場所に足を運んでみたものの、まるで神隠しにでも遭ったかのように彼の姿は見えなかった。 俺の姿がどこにも見えないことに苛立ちを隠せない管野があらん限りの声を張り上げると、通りすがった清掃員が身体を強張らせ、足早に立ち去っていく。 俺と仲の良い整備兵Aに尋ねても知らないと言われ、逆に彼のほうから俺の居場所を尋ねられる始末だ。 管野「何だあいつ。碌な知り合いがいねぇじゃねぇか」 結局彼の知り合いで唯一まともな類の人間が整備兵Aだけで、あとの連中はどれも個性が強い……というか濃すぎた。 何というか、どいつもこいつも一人だけでどんな状況でも解決できそうな屈強な輩ばかりだ。 しかし、このまま見つからなければ本当に茶会そのものが中止になってしまう。 管野「でも……そんなにすぐ見つかるわけ……」 いた。 中庭の木の幹を背もたれにして寝息を立てる見慣れた姿を見つけ、管野は足早に目的の人物へと歩み寄った。 開いた口元から涎を垂らし、穏かに身体を上下させる俺の間抜けた寝顔。その額に手を伸ばし、親指で人差し指を押さえ込む。 ここまで走らされたことへの怒りを指先に込め、そして、 俺「あいたぁ!?」 額に強烈な一撃を喰らった俺が素っ頓狂な声を上げて飛び起きた。 無理やり夢の世界から引き摺り上げられた俺は陸に揚げられた魚が跳ねるように周囲を見回す。 その余りにも滑稽な姿を目の当りにし思わず噴出してしまった管野に俺は額を擦りながら睨みつけた。 俺「寝込みを襲うとは随分と狡猾な真似をしてくれるじゃないか……!!!」 管野「こんなところで何してんだよ」 俺「あぁ……清掃員の仕事は当分の間お休みだからな。昼寝してた」 つまりこの男は帰還後誰にも見つかることなく格納庫を去り、自分がやって来るまで、ずっとここで惰眠を貪っていたのか。 管野が呆れながら、涎で濡れた口元を拭う俺を睨みつけているとふと、彼の瞼の下に浮かび上がる薄い隈を見つけた。 管野「……寝てないのか?」 俺「ここのところ残業が多くてね。本当に困ったよ」 ただでさえブリタニアでの一件が堪えたというのに、最近は共生派を始めとする勢力が活発化の一途を辿っており、ここ数日の間は毎晩基地を抜け出しては連中の拠点に強襲を掛けている。 おかげで戦力は根こそぎ奪い取ることには成功したものの、対ネウロイ戦での出撃も合わせると彼の疲労はとっくに限界を超えていた。 それでも銃を取り、刀を振るい続けるのはウィッチを守るという彼の執念が成せる業か。あるいは鍛え抜かれたタフネスによるものか。 管野「掃除のおっさんたちは夜中寝てるじゃないか」 俺「仕事がすんだら仕事なんだよ。俺の場合は」 管野「はぁ?」 俺「何だよ。さっきだって戦闘に参加してたし……こっちはブリタニアから帰ってきて疲れてるんだ。少しくらい休んでも罰は当たらないだろう?」 管野「そういえば、どうだったんだよ。501は」 俺「あぁ……いい子たちだったぞ?」 何か一番小さい子に懐かれたなーと思っていたら今度は天使みたいに愛くるしい子に懐かれてしまった。 坂本曰く自分には子供を引き付ける何かが備わっているらしいが、いくら懐かれるとはいえ腹部へのタックルだけはいただけなかった。 幼いだけに手加減というものをまるで知らない彼女たちの一撃は可憐な見た目を裏切る破壊力を誇っていたからだ。 俺「でも……俺はここの空気の方が合ってるみたいだ」 どうしてか。 その言葉を聞いて安心する自分に気がついた管野は、自身の胸裏に生じる得体の知れない感情を払拭しようと俺の手を取り引っ張った。 俺「おい! ナオ!?」 管野「みんな待ってるんだ! さっさと行くぞ!!!」 ラウンジまで引っ張られた俺は既に自分と管野を覗く全員がそれぞれ円形のテーブルを囲んでいることに対して疑問を抱く。 はて今日は誰かの誕生日だったかな、と思い返してみるも特に思い当たることはない。 俺「どうして全員集合してるんだ?」 ロスマン「俺さんが無事にブリタニアから帰って来れたお祝いですよ」 ラル、クルピンスキーと共に小さな円卓を囲むロスマンが立ち上がり、俺の手を引いて同じテーブルの席に着かせる。 丁寧に磨かれた白いテーブルにはクッキーやタルトといった菓子の他にもティーカップに注がれた紅茶が湯気と共に独特の香りを漂わせていた。 ジョゼ「少しでも、お土産のお礼が出来たらと思いまして」 クルピンスキー「ジョゼちゃんが企画したんだよ?」 俺「ヒィィィィ……いや。ありがとう! ジョゼ!!」 危うく例の悪癖が出てしまいそうになるも、すんでのところで押さえ込む。せっかく自分のために祝いの席を設けてくれたのだ。場の空気を壊すことだけはしたくない。 ジョゼ「私こそ。ブリタニアのお菓子、ありがとうございます。とても美味しかったです」 小首を傾げ、にっこりと微笑むジョゼの笑顔は太陽のように眩しかった。色白で彫刻品を思わせる端整な美貌が見せる、あどけない笑みを前に俺は心臓を握られた感覚を覚え、反射的に胸へと手をやった。 俺「(駄目だ……直視できん!!!)」 ロスマン「そうだ、俺さん。フラウは元気でしたか?」 誰にも知られること無く内心で悶々とする俺の煩悩をロスマンが打ち払った。 俺「あ……あぁ。帰る時はロスマン先生によろしくって言われたよ。明るくて良い子だったぞ」 ロスマン「あの子はウィッチとしても優秀ですからね」 俺「黒い悪魔なんて聞いてたから、どんな強面の子かと思ったら普通の女の子だったな」 ただやはり腹タックルはいただけなかった。くどいようだが言わせてもらおう。あれは絶対に人に向けてやってはいけない。禁じ手なのだ。 特に食後とか食後とか食後とか。 脂っこい、あのブリタニア名物を食べたあと胃痛に苦しむ自分に向かって、あろうことかあの天使は可愛らしい笑顔を浮かべて悪魔の所業を平然と行ったのだ。 ロスマン「そ……それだけ……フラウは俺さんのことを信頼していたんですよ」 俺「冗談じゃねぇよ! あの子は俺に何か恨みでもあるのか!? あぁぁぁ……思い出しただけで痛くなってきた……ジョゼェ……お願いぃぃぃ」 ジョゼ「だ……大丈夫ですか!?」 腹部を抑えて背を丸める俺にジョゼが駆け寄り、治癒魔法を施す光景を眺めながらラルは一人複雑な感情を抱え込んでいた。俺の力を必要とするほど第501統合戦闘航空団は脆弱ではない。彼がブリタニアへと派遣された本来の目的を知っているからこそ、彼の裏の顔を知る数少ない人物であるからこそ、彼女は俺が無事に帰ってきたことへの喜びと同時にまた手を血で染めてきたことへの痛みを覚えた。 全身に傷を負っても彼は平気だと笑っていた。 傭兵時代に使い捨ての駒として扱われても彼は仕方が無いと言った。 自分はもう死んでいるからと言ってウィッチを影から守るために血と泥を被ってきた。 ラル「(俺……まさか……お前は)」 管野「少佐?」 ラル「いや……何でも無い」 馬鹿馬鹿しい。全て確証の無い推測だ。現に彼は約束通り土産を持って、こうして無事に帰ってきてくれているではないか。 それでも一瞬だけ、胸中に生まれた不吉な胸騒ぎは彼女に不安という種を植え付けていた。 一応管野回のつもりですが、やはり日常風景の描写とは難しいですね。 これにて共通ルートは終了となり、次回よりガランド√に入ります。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/1714.html
決河の勢いで管野は上空から敵対象へと動力降下する。 彼女を知らぬ者が、この光景を目の当りにしたら悲鳴を上げて静止するだろう。 大型航空ネウロイの真上から身を投じる管野は抱え持つ携行火器―――九九式二型二号改13mm機関銃の銃口を向けて引き金を引く。これこそ管野直枝が最も得意とする戦術なのだ。銃火を叩き込みながら、管野がすれ違った箇所には遠めに見てもはっきりと分かるほどの傷跡が刻みつけられていた。 クルピンスキー「さっすがナオちゃん。相変わらず勇敢だね。でもそういう一生懸命なところも可愛いかな。俺はどう思う?」 見る者全てを威圧する巨大な化物相手に刃金を鳴らす管野の姿を捉えながら、堅牢な甲殻を削っていくクルピンスキーが隣で同様に銃弾を撃ち込む俺に微笑みかけた。 俺「確かに可愛いけど本人の前で言わないほうが良いぞ。前に言ったら噛みつかれた」 クルピンスキー「……俺ってさ。もしかして意外とプレイボーイ?」 俺「そんなわけあるか。女の子を選り好みできる立場じゃないってことぐらいは自覚してる」 男のリビドーを刺激する笑みを物ともせずに俺は彼女とお揃いのグロスフスMG42機関銃を右手で発砲しつつ、左の五指から放つ衝撃波によって管野の進路を阻もうと飛び交うX-10を次々と撃墜していく。 五本の指を僅かに動かすだけで変則的に動き回るX-10を射線上に捉え、一撃必中の要領で貫く様は激戦地を転々と渡り歩いてきた者だけが見せる洗練された所作だった。 魔力減衰が始まった今の状況では掌から放出する高威力かつ広範囲の衝撃波を多用することはできない。 かつては自身の象徴でもあった衝撃波も今となっては思う存分発揮することが叶わない現状に歯痒さを感じつつも俺は小型の撃墜と大型への攻撃を同時並行で行った。 ロスマン『俺さん。身体の調子はどうですか?』 ニパ『魔力減衰が始まったんなら、あまり無理しないほうが良いんじゃないか?』 俺「一人で戦うわけじゃないから問題ないさ」 インカムから流れてくるロスマンとニパの、自身を気遣う声が耳に届く。 気持ちはありがたいが、彼女たちだけを火線に立たせるわけにはいかない。飛ぶことができ、敵の数を少しでも減らせるなら使い物にならなくなるまで、戦い続けるのも自分の役目だ。 クルピンスキー「……さぁてと。それじゃあ僕も行って来ようかな。俺、エディータ、ニパ君。援護頼むね」 そんな俺の胸裏を汲み取ったのか、クルピンスキーが大型に向かって猛進を開始した。 被弾を全く考慮しない彼女の戦術に初めは途惑いを隠せなかったが、逸早く的確な支援が行えたのも長年培って来た経験によるものだろう。 俺「まったく……嫁入り前の肌に傷でもついたらどうすんだ。了解! 背中はしっかり守ってやるから思う存分暴れて来い!」 構えていたMG42を背負い、十指から衝撃波を発射する。狙いは二人の勇敢なる魔女を狙うキューブ状の羽虫ども。 熱した鉄を水に放り込んだような音を立てながら繰り出された攻撃がプンスキー伯爵の背を狙うX-10のボディを貫通した。 クルピンスキー「ありがとう。助かったよ」 砲火を交えるクルピンスキーを援護するべくポクルイーシキンが、手にしていた対物ライフルの引き金を絞った。 轟く銃声と共に蒼空に鮮やかな発射炎の花が咲き、徹甲弾が直撃した部位から白い光輝を放つ破片が噴き出す。 ラル「残るはあの大型か」 定子「それでも……あの装甲は堅すぎます」 俺「だったら俺が致命傷を与える。トドメは任せたぞ」 ラル「無理はするな。私たちだけでも」 俺「安心しろ。これくらいなら撃てるさ」 俺が体内に充溢する魔法力を前方へと持ち上げる右の掌へと集中させた。 魔力を供給する分だけ生まれてくるブレを少しでも減殺するべく生体砲身と化した右腕を左手で掴むように固定し、大型ネウロイへと狙点を定める。発射態勢を整える彼の姿を確認するや否や管野が再び急上昇し、対象の真上を確保した。 俺「ナオ! いけるか!?」 管野『当たり前だ! いいからさっさと撃て!!』 俺「了解!!」 射線上からの退避を終えたクルピンスキーのアイコンタクトを受けた俺が衝撃波を発射する。 反動で大きく後ろへ吹き飛ばされそうになるも、傍で待機していたラルが彼の身体を支えることで、事なきを得た。 砲口からぶっ放された奔流が大型を包み込み、その黒いボディを歪に変形させていく中で大型の頭上から一個の弾丸が飛来する。 管野が首下のマフラーを突風にたなびかせながら機関銃の弾丸をばら撒き、肉薄。 右手に展開するシールドを直径数十センチまで圧縮、強度を高めていく。 上空から降下突撃する管野が例の如く右腕を後方へと引き絞る彼女の拳は既に眩い輝きを放つ蒼白い光に包み込まれていた。 管野「でぇぇぇぇりゃぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!」 これまで数々の化け物どもを沈めてきた必殺の一撃が堅牢無比を誇る装甲に叩き込まれる。戦車砲の一斉発射にも似た衝撃音を轟かせながら、放たれた絶大なインパクトは黒い装甲の内部にて燦然と輝く紅の宝玉にも伝達された。 ジョゼ「最近は敵の装甲が硬くなってますね……」 ラル「今後は厳しい戦いになるだろう。各自英気を養ってくれ」 全身に亀裂が走り、轟沈していく敵対象を見据えるラルは続けて全機に帰還命令を下した。 ニパ「あれ?」 帰還を終え、最初に異変に気付いたのはニパだった。周囲を見回してみるとストライカーを脱いだ面々が視界に入り込んでくる。 しかし、俺の姿だけはどこにも見えない。まさか帰還する途中に落ちたのではという嫌な考えが胸中に生まれ、突き動かされるままに俺のストライカーが置かれている場所まで走ってみれば、確かに彼が先ほどまで身に付けていたストライカーが寝台に設置されていた。 では肝心の俺はどこに消えたのだろう。 管野「どうしたんだよ?」 ニパ「カンノ……俺のこと見なかった?」 管野「見なかったも何も一緒に帰ってきただろ?」 ニパ「でもどこにも見えないんだよ」 管野「先に格納庫から出て行った……って言ってもあいつは一番後ろを飛んでたしな」 ニパ「だろ?」 管野「そういえば変だな。でも飯の時には帰ってくるだろ?」 ニパ「このあと何があるか忘れたのか?」 あぁと呟くように返す。 そういえば、このあとは無事にブリタニアから帰ってきた俺のために茶会を開く予定だったな、と思い出す。 出張先のブリタニアで彼がブレイブウィッチーズの面々のために、これでもかというほど大量の土産を持って帰ってきたのだが、そのお礼にとジョゼが今回の茶会を企画したのだという話を聞いた管野は顔を顰め始めた。 確かに肝心の俺がいなければ何の意味も無い。いつも通りの茶会になるどころか、下手をすれば中止になりかねない。 管野「……じゃあ探しておくから、先に準備しておいてくれよ」 ニパ「それは良いけど……俺がどこにいるか分かるのか?」 管野「さぁ?」 ニパ「さぁって……」 当てなど無い。 ただ俺がこの基地に勤務するありとあらゆる人間と親交を深めているのは管野も知っていた。 彼らを訊ねれば、すぐにでも見つかるはずだ。そう高を括っていたこの時の自分を管野は直ぐに恥じることとなる。 管野「いっねぇ!!!」 あれから自分なりに思う場所に足を運んでみたものの、まるで神隠しにでも遭ったかのように彼の姿は見えなかった。 俺の姿がどこにも見えないことに苛立ちを隠せない管野があらん限りの声を張り上げると、通りすがった清掃員が身体を強張らせ、足早に立ち去っていく。 俺と仲の良い整備兵Aに尋ねても知らないと言われ、逆に彼のほうから俺の居場所を尋ねられる始末だ。 管野「何だあいつ。碌な知り合いがいねぇじゃねぇか」 結局彼の知り合いで唯一まともな類の人間が整備兵Aだけで、あとの連中はどれも個性が強い……というか濃すぎた。 何というか、どいつもこいつも一人だけでどんな状況でも解決できそうな屈強な輩ばかりだ。 しかし、このまま見つからなければ本当に茶会そのものが中止になってしまう。 管野「でも……そんなにすぐ見つかるわけ……」 いた。 中庭の木の幹を背もたれにして寝息を立てる見慣れた姿を見つけ、管野は足早に目的の人物へと歩み寄った。 開いた口元から涎を垂らし、穏かに身体を上下させる俺の間抜けた寝顔。その額に手を伸ばし、親指で人差し指を押さえ込む。 ここまで走らされたことへの怒りを指先に込め、そして、 俺「あいたぁ!?」 額に強烈な一撃を喰らった俺が素っ頓狂な声を上げて飛び起きた。 無理やり夢の世界から引き摺り上げられた俺は陸に揚げられた魚が跳ねるように周囲を見回す。 その余りにも滑稽な姿を目の当りにし思わず噴出してしまった管野に俺は額を擦りながら睨みつけた。 俺「寝込みを襲うとは随分と狡猾な真似をしてくれるじゃないか……!!!」 管野「こんなところで何してんだよ」 俺「あぁ……清掃員の仕事は当分の間お休みだからな。昼寝してた」 つまりこの男は帰還後誰にも見つかることなく格納庫を去り、自分がやって来るまで、ずっとここで惰眠を貪っていたのか。 管野が呆れながら、涎で濡れた口元を拭う俺を睨みつけているとふと、彼の瞼の下に浮かび上がる薄い隈を見つけた。 管野「……寝てないのか?」 俺「ここのところ残業が多くてね。本当に困ったよ」 ただでさえブリタニアでの一件が堪えたというのに、最近は共生派を始めとする勢力が活発化の一途を辿っており、ここ数日の間は毎晩基地を抜け出しては連中の拠点に強襲を掛けている。 おかげで戦力は根こそぎ奪い取ることには成功したものの、対ネウロイ戦での出撃も合わせると彼の疲労はとっくに限界を超えていた。 それでも銃を取り、刀を振るい続けるのはウィッチを守るという彼の執念が成せる業か。あるいは鍛え抜かれたタフネスによるものか。 管野「掃除のおっさんたちは夜中寝てるじゃないか」 俺「仕事がすんだら仕事なんだよ。俺の場合は」 管野「はぁ?」 俺「何だよ。さっきだって戦闘に参加してたし……こっちはブリタニアから帰ってきて疲れてるんだ。少しくらい休んでも罰は当たらないだろう?」 管野「そういえば、どうだったんだよ。501は」 俺「あぁ……いい子たちだったぞ?」 何か一番小さい子に懐かれたなーと思っていたら今度は天使みたいに愛くるしい子に懐かれてしまった。 坂本曰く自分には子供を引き付ける何かが備わっているらしいが、いくら懐かれるとはいえ腹部へのタックルだけはいただけなかった。 幼いだけに手加減というものをまるで知らない彼女たちの一撃は可憐な見た目を裏切る破壊力を誇っていたからだ。 俺「でも……俺はここの空気の方が合ってるみたいだ」 どうしてか。 その言葉を聞いて安心する自分に気がついた管野は、自身の胸裏に生じる得体の知れない感情を払拭しようと俺の手を取り引っ張った。 俺「おい! ナオ!?」 管野「みんな待ってるんだ! さっさと行くぞ!!!」 ラウンジまで引っ張られた俺は既に自分と管野を覗く全員がそれぞれ円形のテーブルを囲んでいることに対して疑問を抱く。 はて今日は誰かの誕生日だったかな、と思い返してみるも特に思い当たることはない。 俺「どうして全員集合してるんだ?」 ロスマン「俺さんが無事にブリタニアから帰って来れたお祝いですよ」 ラル、クルピンスキーと共に小さな円卓を囲むロスマンが立ち上がり、俺の手を引いて同じテーブルの席に着かせる。 丁寧に磨かれた白いテーブルにはクッキーやタルトといった菓子の他にもティーカップに注がれた紅茶が湯気と共に独特の香りを漂わせていた。 ジョゼ「少しでも、お土産のお礼が出来たらと思いまして」 クルピンスキー「ジョゼちゃんが企画したんだよ?」 俺「ヒィィィィ……いや。ありがとう! ジョゼ!!」 危うく例の悪癖が出てしまいそうになるも、すんでのところで押さえ込む。せっかく自分のために祝いの席を設けてくれたのだ。場の空気を壊すことだけはしたくない。 ジョゼ「私こそ。ブリタニアのお菓子、ありがとうございます。とても美味しかったです」 小首を傾げ、にっこりと微笑むジョゼの笑顔は太陽のように眩しかった。色白で彫刻品を思わせる端整な美貌が見せる、あどけない笑みを前に俺は心臓を握られた感覚を覚え、反射的に胸へと手をやった。 俺「(駄目だ……直視できん!!!)」 ロスマン「そうだ、俺さん。フラウは元気でしたか?」 誰にも知られること無く内心で悶々とする俺の煩悩をロスマンが打ち払った。 俺「あ……あぁ。帰る時はロスマン先生によろしくって言われたよ。明るくて良い子だったぞ」 ロスマン「あの子はウィッチとしても優秀ですからね」 俺「黒い悪魔なんて聞いてたから、どんな強面の子かと思ったら普通の女の子だったな」 ただやはり腹タックルはいただけなかった。くどいようだが言わせてもらおう。あれは絶対に人に向けてやってはいけない。禁じ手なのだ。 特に食後とか食後とか食後とか。 脂っこい、あのブリタニア名物を食べたあと胃痛に苦しむ自分に向かって、あろうことかあの天使は可愛らしい笑顔を浮かべて悪魔の所業を平然と行ったのだ。 ロスマン「そ……それだけ……フラウは俺さんのことを信頼していたんですよ」 俺「冗談じゃねぇよ! あの子は俺に何か恨みでもあるのか!? あぁぁぁ……思い出しただけで痛くなってきた……ジョゼェ……お願いぃぃぃ」 ジョゼ「だ……大丈夫ですか!?」 腹部を抑えて背を丸める俺にジョゼが駆け寄り、治癒魔法を施す光景を眺めながらラルは一人複雑な感情を抱え込んでいた。俺の力を必要とするほど第501統合戦闘航空団は脆弱ではない。彼がブリタニアへと派遣された本来の目的を知っているからこそ、彼の裏の顔を知る数少ない人物であるからこそ、彼女は俺が無事に帰ってきたことへの喜びと同時にまた手を血で染めてきたことへの痛みを覚えた。 全身に傷を負っても彼は平気だと笑っていた。 傭兵時代に使い捨ての駒として扱われても彼は仕方が無いと言った。 自分はもう死んでいるからと言ってウィッチを影から守るために血と泥を被ってきた。 ラル「(俺……まさか……お前は)」 管野「少佐?」 ラル「いや……何でも無い」 馬鹿馬鹿しい。全て確証の無い推測だ。現に彼は約束通り土産を持って、こうして無事に帰ってきてくれているではないか。 それでも一瞬だけ、胸中に生まれた不吉な胸騒ぎは彼女に不安という種を植え付けていた。 一応管野回のつもりですが、やはり日常風景の描写とは難しいですね。 これにて共通ルートは終了となり、次回よりガランド√に入ります。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/jewelry_maiden/pages/712.html
この世に生きるものそれぞれには、居場所というものが用意されている。 だんな様にはだんな様の居るべき場所、わたくしには、わたくしの居るべき場所。 ……わたくしの居場所は、命の消えた場所。そのはずだったのに……。 「んにゅぅ……ごはんにぃ……なっとぉ……」 今、わたくしが義務付けられた居場所はここ。窓際の、光がよく差し込む暖かな場所。 しかし今は、蛋白石が勝手にわたくしの膝を枕にして昼寝中。許可した覚えはないのですが。 まぁ、だんな様はまだ帰ってこないし、暇なのはよく分かりますが。 「みそしるぅ……のりぃ……たまごぉ……」 それにしても、春になってずいぶんと日差しが強くなった気がする。 冬の間もずっとここにいたから、尚更そう感じる。 ……もう、1年近くもここにいる。 小さくも、緑のある庭。ここではいつも、生の営みがある。 空を飛ぶ小鳥、風に揺れる木々、花から花へ移動する蝶。 こんなにも、こんなにも美しいものだったとは……。 「トーストぉ……サラダにぃ……」 この子は一体どんな夢を見ているのでしょうか。ご飯の事なのは分かりますが。 それにしても幸せなそうな寝顔。いつもだんな様に膝枕してもらっているときの、あの穏やかな寝顔。 ……どうも、慣れない。こうして誰かに膝を貸すのは。 わたくしはこの子と何の縁もない。同じ場所の居候、それだけ。 なのに、どうしてこの子はこんなにもわたくしに甘えるのだろうか。 生ではなく、死の中にいるはずの……いや、今はその死から離れてしまっている。 ……わたくしも、一人の女性に過ぎなかったのでしょうか。 「ミルク……カルシウムぅ」 一人の女性に、過ぎなかったら……。 わたくしも、母親という存在になれるのでしょうか。 「やさいぃ……ビタミン~」 もしもそうなら、こうしてこの子に膝を貸す事にも慣れるでしょう。 その時はまた、このような穏やかな時間を……。 「大豆ぅ……タンパク質ーっ!!」 「きゃっ!?」 「んぅーっ、よく寝たぁ。あれ、殺生石?」 ひ、久々に心から驚いてしまいました。情けない。 やはり昔に比べて身体が鈍っているのでしょうか。 「あ、貴女、何も覚えていないのですか」 「え……あー、そっかぁ。えへへ」 わたくしの膝を借りて寝ていたのを思い出したのだろうか。何故か笑顔の蛋白石。 「殺生石、美味しい野菜のいい匂いがするから。ついつい膝枕してもらっちゃった」 美味しい、野菜の匂い? それは喜んでいいのでしょうか。 「それは……どういう匂いなのですか?」 「え? んーと……太陽をいっぱい浴びた野菜の匂いだよ」 ……見当が付かない。 「花とは違ういい匂いなんだよー。そうだっ、今度一緒におばあちゃんの畑に行こうよ」 「え、しかし妾は……」 「大丈夫だよっ。子供の姿になれば、誰も殺生石を変な目で見ないから」 ……わたくしの心が、見透かされているのか。 まさか蛋白石にだんな様のような事を言われてしまうとは。 でも、本当は……。 「殺生石、どうしたの?」 「いえ……まぁ、たまに外に出るのは良い事でしょう。だから、そのうち」 ――今のわたくしの居場所がここならば。 こうして、誰かと外に出る約束をするのも……。 「それじゃあ、今度行くときに教えるねっ」 「はい。ところで貴女の寝言について聞きたいのですが……ご飯に納豆がどうのと」 「え……あぁー、寝言で歌ってたんだぁ。えっと、おはよう!! 朝ご飯って歌知らない?」 今の居場所……だんな様や、この子達がいる、この場所。 だから今は、今のわたくしは、普通の女性……。 「さっきからおっきくなったりちっちゃくなったり……どうしたの?」 「いえ、昔みたいに耳と尻尾を隠せるように術の練習をですね……石の期間が長いと色々と不便ですね」
https://w.atwiki.jp/creativeferriswheel/pages/102.html
タグ:スカイリウム 一覧 目次 + ... スカイリウム Silver Bouquet 企画 諸事情 スカイリウムと諸々の小説へのリンク集です。 スカイリウム 【星の心臓/pit a pat/Dive to NADIR】2/9更新 【ReFliCt bLuE】準備中 【トワイライトビースト】準備中 【メリーファントムシンドローム】準備中 【つま先に幸福を】準備中 【迷煌スパイラル】準備中 【ココロ再生プロジェクト】準備中 【端町の子どもたち】準備中 【Mr. heart】準備中 【シャムロックを浮かべて】準備中 【斑の月.exe】準備中 【シェール・ムートン】準備中 Silver Bouquet 【ワンモアナイト】2/2更新 【スクランブル・ライフ】2/7更新 企画 【怪奇終末譚 仄日編】準備中 【Kaleido*Kindelier Swarovski】準備中 【世紀末御菓子大戦/Spi(ce)ral】準備中 諸事情 【phantasia】準備中 【代理席の証人】準備中 【相対関係性理論】準備中