約 3,080,449 件
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/165.html
常春の島シードラゴン島。 その玄関口、アンカーの町。 そのアンカーの中心部からやや外れた場所にある、ログハウス風の宿屋「マッハ追い鰹亭」 そのマッハ追い鰹亭のテラスに設えたテーブルで優雅にコーヒーを楽しみながらジュピターは新聞に目を通していた。 正面の席には彼の同行者、臣下ペガサスナイツの四将軍フォーリーヴズクローバーの一人、魂樹が複雑な表情をして彼を見ていた。 「・・・あの、ジュピター様」 おずおずと魂樹が口を開く。 「はい?どうしました魂樹」 ジュピターが新聞から顔を上げて彼女を見た。 「こんな所でいつまでも私たちのんびりしていていいのでしょうか・・・」 魂樹の言う通り、ここ3日ほどジュピターは宿に腰を落ち着けて、出歩くと言えば軽く買い物か周囲の散策程度である。 重大な使命を帯びてこの地へ赴いて来ていると自覚している魂樹にとっては何とも微妙な3日間だった。 「フフ・・心配はいりませんよ、まっきゅん。ただ私はここで無為に時間を潰しているわけではありません。ちゃんとラッパを雇っているのです」 「誰がまっきゅんか。・・・・乱破? 諜報員を放っているという事ですか?」 ちょうどその時、テラスの外側の茂みがガサガサと音を立てた。 「うわさをすれば・・・戻ったようですね」 ジュピターの台詞に魂樹が茂みを見る。 パッパラッパパッパパー!!!!♪ そしていきなり鳴り響いたラッパの音に椅子から落ちた。 茂みから出てきたのはラッパを手にした子犬大のハムスターであった。 「ほ、ほんとにラッパじゃないですか!!」 「マーチハムスターですよ。可愛いでしょう」 言いながらジュピターはハムスターが差し出したメモを受け取った。 そしてそのメモに目を通す。 「乱破と思わせたらラッパで・・・でもやってる事は乱破なんですか・・・紛らわしい・・・・」 「結構です。ご苦労様でしたね」 ジュピターが腰から下げた皮袋からチーズを取り出してハムスターに渡す。 「銃士隊の面々の事を調べて貰っていました。・・・やはり彼らはこの町の自治権を掌握する事を諦めたようですね」 「・・・え? では私たちする事無くなっちゃったんじゃ・・・」 魂樹がポカンとする。 「いいえ、そうではありません。彼らは最終目的への道順を変えただけですよ。自治の掌握は見送ってその先の目的へと一足飛びに直接手を出したというわけです」 「神の門・・・ですか」 ジュピターがうなずく。 「じゃあこれからは銃士達と神の門を取り合うんですか?」 魂樹が言うとジュピターは今度は首を横に振った。 「いいえ。私は個人としても国家としても神の門に直接関わる気は無いんですよ。彼らがこの町の自治を容認するのならそれ以上銃士たちに関わる気はありません。我々はこれから別の目的を持って行動する事にします」 そう言ってジュピターは魂樹にウインクして見せたのだった。 それから1時間半後。 ウィリアム何でも相談所のドアをジュピターはノックしていた。 「開いています。どうぞ」 中から女性の声がする。ジュピターはドアを開けて魂樹を伴って中へ入った。 「こんにちは。申し訳ないけど、今は所長は不在です。用件は私が」 留守を任されているシンラがいつもの無表情で淡々と挨拶した。 「ええ。存じていますよ彼の不在は。初めまして、私はジュピター、ウィリアム氏の友人・・・いえむしろ親友というべきでしょうね。彼女は私の連れで魂樹・ナタリー・フォレスティアです」 魂樹が頭を下げる。・・・親友?・・・と微かに不信そうな顔をしながら。 「じゅぴたんと呼んで下さい」 「・・・いやです」 淡々とシンラが拒否した。 「・・・親友、ですか。ウィリアム先生の」 「ええ。・・・まあまだ直接会ったことないんですけどね」 あっはっはとジュピターが笑った。横で魂樹はぶん殴りたいんだけど初対面の人の前だし・・・という顔をしていた。 「それは、多分・・・・」 シンラが静かにジュピターの方を見た。 澄んだ瞳が真っ直ぐにジュピターと向き合う。 「友達とは言わない」 「メル友というものもありますよ。直接会ったことは無くても友情は成立すると思います」 にっこりとジュピターが微笑む。ふむ、とシンラが自分の顎に人差し指を当てた。 「手紙のやり取りがあったの?」 「いえ、ありませんまったく」 ドガッ!!!!!!! と激しい音がする。 魂樹の堪忍袋の緒が切れてジュピターはカーペットになった。 「き、気にしないで下さい! この方たまにノーミソお花畑になっちゃう人だから・・・あははは!!」 返り血がポタポタと滴る巨大なハンマーを背中に隠しながら魂樹が乾いた笑い声を上げた。 「それで・・・結局あなたたちは何をしに来たの」 とりあえず応接用のテーブルにお茶を出しながらシンラがたずねた。 「まあ先程の親友というのはあくまでも今後の予定なのですが、現時点であなた達の協力者である事は確定しています」 「協力者?」 わずかに眉をひそめるシンラ。 ついでに魂樹も 、え、そうなんですか!?という顔をしていた。 「はい。当分は私と彼女はウィリアム氏の目的に沿いまして影に日向にご助成さしあげようかと。もう既に私の娘っぽい存在の女性が彼の嫁っぽくなったので、つまるところ私はウィリアム氏にとっては義理の父っぽい存在ということです」 「・・・っぽいっていう曖昧な表現が多すぎだと思う」 もうすっかりシンラと魂樹の表情は?で埋め尽くされている。 「何だか、よくわからないけど・・・・」 すっとシンラが立ち上がる。 そしてウィリアムの机の前に行くと、その机の上に広げてあった数枚の紙を手に取った。 その紙を応接テーブルの上に広げる。それは地図を含むこの島のある地点の資料らしきものだった。 「手伝ってくれるというのなら、付いて来て。明日からここへ調査に行く予定だった。一人じゃ危ないから応援に冒険者を手配するつもりだったけど、あなたたちが来てくれるならお願いする」 「お安い御用ですよ」 軽く請け負うとジュピターは資料を手に取った。 「谷・・・ですか。この場所へは何をしに?」 「数日前に遺跡が見つかったの。神の門に繋がる資料があったら誰かに先を越されるわけにはいかない。先生の帰りを待っている余裕はないから、私が行く」 シンラが全島図のある一点を指差した。 「場所は島の北東・・・にある谷。『ある種族』が暮らしている場所」 そして隣の紙を指差す、そこにはカバの頭蓋骨のようなものが描かれている。その種族の骨なのだろうか? 「通称は・・・・『ムーミン谷』」 そう静かに言って、シンラは2人の顔を見たのだった。 第13話 四王国時代の終焉← →第14話 2
https://w.atwiki.jp/seedkyua/pages/19.html
編集お願いします
https://w.atwiki.jp/versesaver/pages/191.html
コトハ・イスズ・アーメンガードのそれではゆるりとまいりましょう 開催期間:[2021年8月17日(火) 17 00 ~ 8月24日(火) 13 59] イベント概要はこちら ランキングはベース画面右上のバナーから確認可能 ベリーハードのみステージパス使用不可 ステージ構成 ステージ イージー ノーマル ハード ベリーハード EVP 紅石 EVP 紅石 EVP 紅石 EVP 紅石 八 90 5 180 17 270 41 540 73 七 87 4 174 14 261 37 464 67 六 84 4 168 12 252 34 448 63 五 81 3 162 12 243 34 440 63 四 79 3 159 10 238 31 432 59 参 78 2 156 10 234 31 424 59 弐 76 2 153 8 229 28 416 55 壱 75 1 150 8 225 28 408 55 脚注:紅石の入手数は表中の数字からランダムで増加する。 世界相 其の壱 Wave1 現象体(人):青 x1 Wave2 現象体(人):青 x2 Wave3 現象体(人):青 x2、現象体(人):赤 x1 其の弐 Wave1 現象体(獣):赤 x2、現象体(獣):青 x1 Wave2 現象体(獣):赤 x2、現象体(獣):青 x2 Wave3 現象体(獣):赤 x4、現象体(獣):青 x1 其の参 Wave1 現象体(獣):黄 x4 Wave2 現象体(人):緑 x2 Wave3 現象体(獣):黄 x2、現象体(人):緑 x2、現象体(人):黄 x1 其の四 Wave1 現象体(人):黄 x2、現象体(獣)緑 x1 Wave2 現象体(人):黄 x1、現象体(獣)緑 x2 Wave3 現象体(人):黄 x4、現象体(獣)緑 x1 其の五 Wave1 現象体(獣)赤 x2、現象体(人):青 x1 Wave2 現象体(獣)赤 x5 Wave3 現象体(人):青 x2、憑依体:赤 x1 其の六 Wave1 現象体(メカ):青 x2、現象体(メカ):黄 x1 Wave2 現象体(メカ):青 x1、現象体(メカ):黄 x2 Wave3 憑依体:青 x2、現象体(メカ):黄 x3 其の七 Wave1 サイバーニンジャ:赤 x1、サイバー特殊部隊兵:緑 x2 Wave2 サイバー特殊部隊兵:緑 x4 Wave3 サイバーニンジャ:赤 x3、サイバー特殊部隊兵:緑 x2 其の八 Wave1 サイバーニンジャ:赤 x1、サイバー特殊部隊兵:青 x3 Wave2 サイバーニンジャ:赤 x2、サイバー特殊部隊兵:青 x2 Wave3 サイバーニンジャ:赤 x2、サイバー特殊部隊兵:青 x1、多脚戦車:青 x1、ガーディアンロボット:赤 x1 紅石交換アイテム アイテム 必要紅石 在庫量 500pos 10 100 コネクト x100 10 100 行動P全回復 30 3 行動P50%回復 15 5 常設VSスカウトチケット 50 10 HPエンハンサー 800 2 SPエンハンサー 800 2 ATエンハンサー 800 2 DFエンハンサー 800 2 INエンハンサー 800 2 HPエンハンサー 1600 2 SPエンハンサー 1600 2 ATエンハンサー 1600 2 DFエンハンサー 1600 2 INエンハンサー 1600 2 ★5限界突破 1200 1 ★1万能スキル強化 1200 1 ★5万能ルーツ 500 10 ★3ララサのルーツ x10 30 10 ★3ララサのルーツ x100 300 9 イベントポイント報酬 累計ポイント 報酬 累計ポイント 報酬 100 10シード 16000 20シード 200 ステージパス x3 17000 常設VSスカウトチケット 300 30,000pos 18000 20シード 400 10シード 19000 常設VSスカウトチケット 500 常設VSスカウトチケット 20000 20シード 600 ★3Yエクスタル x2 21000 行動P全回復 x3 700 ★3Bエクスタル x2 22000 20シード 800 ★3Rエクスタル x2 23000 常設VSスカウトチケット 900 ★3Gエクスタル x2 24000 20シード 1000 行動P10回復 x5 25000 常設VSスカウトチケット 1500 ステージパス x3 26000 20シード 2000 常設VSスカウトチケット 27000 常設VSスカウトチケット 2500 10シード 28000 20シード 3000 常設VSスカウトチケット 29000 常設VSスカウトチケット 3500 ステージパス x3 30000 20シード 4000 常設VSスカウトチケット 31000 常設VSスカウトチケット 4500 ステージパス x5 32000 100,000pos 5000 常設VSスカウトチケット 33000 常設VSスカウトチケット x3 5500 行動P50%回復 34000 ★5万能ルーツ x10 6000 20シード 35000 100シード 6500 ステージパス x5 40000 行動P全回復 7000 20シード 45000 行動P全回復 7500 ★3万能ルーツ x100 50000 行動P全回復 x3 8000 20シード 60000 50シード 8500 ★4万能ルーツ x30 70000 50シード 9000 20シード 80000 50シード 9500 ★4万能ルーツ x20 90000 50シード 10000 20シード 100000 50シード 11000 常設VSスカウトチケット 110000 50シード 12000 20シード 120000 50シード 13000 ★3限界突破 x3 130000 50シード 14000 20シード 140000 50シード 15000 ★4限界突破 150000 100シード イベントポイントランキング報酬 1位 EX ☆5違う力を束ねる力x1 EX ☆4ケブラーアーマーx4 ☆1万能スキル強化x3 ☆5万能ルーツx100 ☆3 ララサのルーツx100 2位~3位 EX ☆5違う力を束ねる力x1 EX ☆4ケブラーアーマーx3 ☆1万能スキル強化x2 ☆5万能ルーツx50 ☆3 ララサのルーツx70 4位~10位 EX ☆5違う力を束ねる力x1 EX ☆4ケブラーアーマーx2 ☆1万能スキル強化x2 ☆5万能ルーツx30 ☆3 ララサのルーツx50 11位~50位 - EX ☆4ケブラーアーマーx1 ☆1万能スキル強化 x1 ☆5万能ルーツx20 ☆3 ララサのルーツx30 51位~200位 - EX ☆4ケブラーアーマーx1 ☆1万能スキル強化x1 ☆5万能ルーツx10 ☆3 ララサのルーツx15 201位~500位 - EX ☆4ケブラーアーマーx1 ☆1万能スキル強化x1 - - イベントランキング結果 順位 部隊名 ID 総ポイント 1位 ポジティブファイター 10mm 1080000 2位 アリスティア 100b 801000 3位 魔導科学研究所 1006 733559 4位 九尾乃狐 100i 471687 5位 十本眼鏡 1034 462470 6位 みさいるズ 10vu 459300 7位 東雲隊 1029 432313 8位 窓際旅団 101j 432042 9位 IBIS 1099 427359 10位 第七転来世界 108c 414338
https://w.atwiki.jp/seadragon/pages/49.html
嘆きの森を陣地とする。元の名前はローヴェラン。 元々ただのキュウリ農家だったが、キュウリが世界一栄養の無い野菜だと言われて(※事実)マジギレし、それから半世紀かけて闇の魔術を極め、ついには自らキュウリになり魔物化させたキュウリを率いて世界を征服しようとしたため、シードラゴン島に封印された。 必殺技は「ヘルシーベジタブルブラスター」 斉川芳裕によって葬られた。
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/202.html
そして一夜が明け、2人はオルブライトの用意した船で出航した。 その船は最新式の大型蒸気式貨物船だった。 「コイツはうちの商会でも最高の船だ。最新鋭蒸気エンジンを搭載して今世界でもトップレベルの巡航速度が出せる」 オルブライトが胸を張って言う。 「確かに言うだけあって見事な船だと思うわ。・・・けど、この船でその巨大生物とやり合えるワケ?」 サムトーが問うと、オルブライトが肩をすくめて見せる。 「実際確認してみん事には何とも言えんが、聞いてる通り本当にこの先に待ち構えてるのが蟹竜だとしたらこの船じゃどうにもできんな。この船はそのまま軍用に使えるほどの装甲と火力を持ってるが、それでも蟹竜が相手じゃ甲羅の表面にちゃちな擦り傷付けるのが精一杯ってとこだろうさ。反対に向こうは特に攻撃してこなくたって動くだけで高波が起きてこっちは巻き込まれて船は沈み、俺たちは海の藻屑となって一巻の終わりって事になる」 さらりと絶望的な事を言うオルブライト。 「・・・え・・・。それじゃどうするんですか?」 不安げな表情を浮かべるセシルにオルブライトは白い歯を見せて笑った。 「決まってるだろう・・・避けていくんだよ」 結局、船は前方に待ち構えている巨大生物を探知機で見つけると同時に大きくそれを迂回する航路を取った。 「まあ時間のロスにゃなるがね。それでも勝ち目のない怪物の待つ死の交差点を通るよりはずっとマシだろう」 オルブライトの言葉にセシルは肯いた。 「前方に雨雲も無いようだ。ここからは快適な船旅を楽しんでくれ。2日ほどでセントコーラル諸島へ着く。そこで補給を行ったら後はアンカーの町までノンストップだ」 そう言うとオルブライトは急にぐらりとよろめいた。 「・・・!・・・オルブライトさん!!」 甲板に倒れそうになるオルブライトを慌ててセシルが支えた。 「どうしたんですか!?」 オルブライトはハァハァと荒い息を吐きつつ、真っ青な顔でセシルを見た。 「・・・船酔いだ・・・。自慢じゃないが俺は船に弱いんだ。・・・そして泳げない!!」 「ええええええええええだって船乗りだったんでしょ!!!!?」 思わずセシルが絶叫する。 「・・・難儀なオッサンねぇ・・・」 そんな2人をやや離れた場所で眺めていたサムトーがそう言って嘆息した。 オルブライトが口にした通り、それから2日後に船はセントコーラル諸島が一望できる海域へと到着した。 「補給は半日程だが・・・この辺は暗礁が多くて夜に船出するのは危険だ。翌朝を待って出航する。今日一日は観光を楽しんでく・・・・おえっ!! おええええええええ!!!!!!」 船の縁からゲーゲーと吐いているオルブライトの背を必死にクルーがさすっている。 しかしセシルはそっちを見ていなかった。 船の縁に手をかけて身を乗り出すようにしてセントコーラルの島々を見ている。 「・・・凄い・・・」 その口から呟きが漏れた。 「驚いた? セントコーラルはその名の通り、珊瑚礁の島なのよ」 その隣でサムトーが説明する。 目の前に広がる海には、転々とピンク色の島々が連なっている。 当然島には草木は無く、木造の建物が並んでいた。 「後は魚人たちの楽園としても有名ねぇ」 「魚人? 魚人ってあのサハギン種族の事?」 サムトーが肯く。 「そうよ。でも一口にサハギンと言っても海には実に多種の魚人がいるのよ? ま、それはこれから自分で目にして確かめてみるといいわ」 やがて船が静かにセントコーラルの一島の桟橋へ着く。 セシルは真っ先に船を下りた。 すると早速そのセシルに声をかけてきたものがいる。 「やあ人間のお嬢さん。ようこそセントコーラルへ」 それは魚人であった。随分身体に赤みを帯びた魚人だ。 「私はシオダと申します。仲間内では『ゴールデンアイズ』なんて呼ばれてもいますが」 (・・・金目鯛の魚人さんだわ・・・) ほっほっほと笑い声を出しているシオダを見てセシルが思う。 「お嬢さんはこの地は初めてですね? それでは長老の所へご案内しましょう」 「長老さま・・・ですか?」 するとそこへややフラつく足取りでオルブライトが下りて来た。 「ここへ初めて来た奴は全員長老に面通しする仕来りなんだ」 そう言うとオルブライトはシオダに片手を上げて挨拶した。 2人は顔なじみらしい。 「俺もここはしばらくぶりだし、挨拶しとく事にしよう」 そう言うオルブライトとサムトーを伴ってセシルは長老に挨拶に行く事になった。 シオダが一行を案内したのは、浜辺に面した比較的大きな小屋の中だった。 (・・・ご不在?) セシルが小屋の中を見回すが、人影は無い。 上座には大きなサザエの様な貝が置いてある。 「よう、爺さんしばらくぶりだ。ちょっと厄介になるぜ」 無人の部屋へオルブライトが挨拶する。 すると・・・。 「・・・なんじゃ、懐かしい声がするのう」 貝の中からしわがれた老人の声がしたかと思うと、何かがヌッと貝から顔を出した。 驚いたセシルがキャッと悲鳴を上げる。 「おおっと・・・こりゃ失礼したのう。お嬢ちゃんは『貝人』を見るのは初めてのようじゃな」 半人半貝の老人はそう言ってふぉっふぉと笑った。 「ワシゃマルーダと言う。この辺りの取り纏め役みたいなジジイじゃよ」 そう言ってマルーダ長老はキセルを取り出してスパーッと吹かした。 セシルも丁寧に長老に名乗って頭を下げる。 「そうかしこまらんでもええ。一応この地域の代表として訪れる者の顔と名前くらいは知っておこうとその程度の話じゃて」 「この辺りは相変わらず平和そのものだな」 窓から外を見てオルブライトが言う。 窓から見える浜辺には漁をする魚人や観光客らしい海水浴客が見える。 「ところがそうでもないんじゃよ」 長老がフーッとため息に紫煙を混ぜて吐き出した。 「・・・財団が来とるよ」 「!!!」 長老の言葉にセシルが弾かれた様に顔を上げた。 「・・・何だぁ? 何で財団が? 一大リゾート施設でも作ろうってのか」 訝しげな表情を浮かべるオルブライト。 「・・・さてのぅ。そんな生易しい話なのかどうか・・・。来ておるのはシュヴァイツァーじゃよ」 全員が絶句する。 3人ともその名前には聞き覚えがあった。 財団のリヒャルト・シュヴァイツァーと言えば知らない者は少ないだろう。 「財団の『軍事部門』の統括者ね」 サムトーが静かに言った。 世界中に広がる巨大組織ロードリアス財団。 その傘下の全企業は『総務部門』『軍事部門』『金融部門』『情報部門』『研究開発部門』の総責任者5人によって統括されている。 『ハイドラ』と特務部隊が財団の裏の顔とするなら彼ら5人は財団の表の顔である。 一行の上に思い沈黙が舞い降りたその時、いきなりその空気をブチ壊しにするのんびりした女性の声がした。 「おはようございます・・・あふ・・・今何時でしょうか。私ちょっと寝すぎてしまったみたいで・・・」 セシルが顔を上げると、そこにはエルフの女性が立っていた。 切れ長の瞳の美人だ。胸にはピンクのリボンを首に巻いた子豚を抱いている。 「あら、お客様でしたか。これは失礼しました。私はパルテリース・ローズマリーと言います。そしてこの子は愛馬のアントワネットちゃん」 そう言ってパルテリースは子豚を皆の前に差し出した。 子豚はつぶらな瞳で一行の顔を眺めると 「ぷぎー」 と一声鳴いたのだった。 その珊瑚の島々より遥か南西のシードラゴン島。 アンカーの町にも財団の5人の統括者の内の1人が今滞在している。 アンカーグランドホテル最上階、ロイヤルスイートルーム。 弱冠17歳にして財団系大銀行7つの頭取に名を連ねる財団金融部門の総責任者エトワール・D・ロードリアスである。 そのエトワールの机の上の電話がけたたましく鳴り響く。 「あー、ハイハイもしもし、こちら無慈悲な金利と容赦無い取立てで皆様の生活を奈落の底へと一直線、いつもニコニコエトワールローンです」 エトワールが電話に出る。 「は!? 何!? 拙者拙者って何だ拙者拙者サギかオイ!!! そーゆーのは間に合ってますよゴルァ!!!」 受話器に向かって叫ぶエトワール。 「・・・ああ、何だお前かよ。 何? もう殺ったん? ・・・っていつまでたっても連中が来ない? 知らねーよそんなの。 ・・・え? ぶっ!!!!! お前クラブドラゴンで街の近くで待ち構えてんのかよ!!? アホかそんなもんノコノコ近付いてくる奴なんかいるはずねーだろ!! は!? 武士は正々堂々!? ・・・やかましいわお前共和国産まれの共和国育ちの生粋のファーレンクーンツ人だろうが!!! この元銃士が!!!!」 ガチャン!!!と乱暴に受話器をフックに叩きつけるエトワール。 そして何事かと見ているアイザックと大龍峰の2人に 「・・・リチャードのバカが、やり過ごされやがった」 と顔をしかめて言ったのだった。 第20話 2← →第20話 4
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/132.html
「・・・狩りの時間よ」 魂樹が1歩前へ出た。 「起きなさい!! ゼフィールヴァルト!!!」 ゴアアアアアアアッッ!!!と響き渡った咆哮が船を震わせる。 それは船の深部、船倉から響いてきた声だ。 そこに、魂樹の「愛馬」がいた。 赤紫色の空にピシッと音を立てて一筋の亀裂が走る。 「馬鹿な!? 咆哮だけで私の『怪奇空間』に綻びが!!」 JOKERが叫ぶ。 次いでドォンと言う轟音を伴って甲板を下から突き破って火柱が上がった。 炎と黒煙の向こうに巨大な影が浮かび上がる。 グルルルルルルル・・・・と影は威嚇の唸り声を上げていた。 煙の向こうに浮かび上がる赤く輝く双眸。その数は3対。 ぬう・・・このシルエットはまさか・・・・。 「何だよコイツは・・・」 アビスの頬を冷や汗が伝う。 「これこそは伝承に言う冥府の門の番犬。よもやそれをこのような海上にて目にする事となろうとは!」 JOKERが両手を広げて天を仰いだ。 炎を裂いて甲板に巨躯が踊り出る。 3つの首を持つ漆黒の魔獣。地獄の番犬ケルベロス。 ふわりと飛び上がった魂樹がその背に降り立った。 「行くわよ、ゼフィール!!」 その魂樹の声に応じてケルベロスがガオォォンと吼えた。 咆哮を受けてメモリーの灰色の影が掻き消える。 「・・・くそ! 冗談じゃね・・・・」 言って下がりかけたアビスへ向けてケルベロスが大きく口を開いた。 「!!!!!」 地獄の業火を吐きつけるケルベロス。瞬く間にアビスが炎に包まれる。 ぐあああああああああとアビスが絶叫を上げた。 「・・・ああ、くそ、ツイてねぇ・・・またロクでもねえメモリーが増えたぜ・・・・」 黒コゲになりながら後ずさったアビスが船の手すりにドン、とぶつかった。 そのショックで炭化したボディの一部がボロッと崩れ落ちる。 「・・・短時間に少し、死にすぎたな・・・。これ以上は再生細胞に負荷がかかりすぎる・・・ちょっとばかし・・・俺は死にっぱなしになるぜ・・・相棒・・・」 JOKERへそう呼びかけるアビス。 「承知いたしました。私もこれにて撤退させて頂く事にしますよ」 「・・・すまねぇ・・・蘇生したらすぐ合流する・・・後を・・・たの・・・む・・・」 ぐらりとよろめいて、手すりを乗り越え炭化したアビスが海へと落下していった。 その瞬間、ケルベロスが甲板を蹴って一気に前に出た。 振り上げた丸太のような前足がJOKERを打つ。 「・・・・・ぐァ!!!」 鋭い爪に引き裂かれたJOKERが3つの肉片に分断されて甲板上に転がった。 しかし飛び散る血は見えない。 JOKER自身も蝋人形だった。 「フフフフ・・・お見事です! 今日の所は我々の完敗ですよ」 横たわるJOKERの上半身が笑う。 ピシピシと空間に亀裂が入っていく。 「間も無く通常空間に復帰します。・・・一つアドバイスしておきますが、その頼もしい相棒の犬君はすぐ元の檻へ戻ってもらった方がよろしいでしょうな。またお会いする機会もありましょう。それまでごきげんよう!皆様!!」 振り上げた手がガタッと甲板に落ちた。 それきりJOKERは静かになった。 「・・・いい子ね、ゼフィール」 甲板に降りた魂樹がその頬に手を添えると、気持ち良さそうにケルベロスはグルルル、と目を閉じて喉を鳴らした。 そして促す主人に素直に応じて船倉へと戻っていった。 そしてガシャーンとガラスの割れるような音を立てて空間が砕け散る。 気が付けば我々は元の青い空の下、賑やかな観光客に混じって甲板に立っていた。 ふうっと大きく息を吐いた魂樹が突然こちらを振り返ってキッと睨みつけた。 「ジュデッカ! いきなり戦闘を放棄するなんて・・・・・え・・・・・」 キョトンと目を丸くする魂樹。 「王様・・・ジュデッカは?」 さあ?と首を横に振る私。 彼女はいつの間にかどこかへ行ってしまっていた。 「もう! 勝手ばっかりして!!」 まあまあ、と怒る魂樹をなだめる。 彼女も仲間なのですから。 「・・・・・・・・・私は、そんな風に思っていません」 俯いた魂樹が搾り出すような小声で言う。 「彼女は・・・ジュデッカは・・・・エミットを・・・・・」 紡がれる言葉、甦る記憶。 エミットは四葉の1人パルテリースの妹だ。魂樹とパルテリースは親友、その魂樹の事もエミットは姉と慕っていた。 ・・・そして、『あの事件』の時に、エミットはジュデッカの部隊にいた。 「・・・エミットを・・・・殺したんですから・・・・」 怒りの為か、悲しみの為か、その声は微かに震えていた。 「エミットだけじゃない。あの時にジュデッカが敵ごと焼き払った17人・・・皆いい子ばっかりでした・・・今でも全員の顔を思い出せます・・・だから・・・」 そして魂樹は顔を上げて私を真っ直ぐに見た。 「だから、私は彼女を許さない」 ・・・・・・・・・・・・。 私は何も言えずに、黙って優しく魂樹の頭を撫でた。 「・・・もう、子ども扱い・・・しないでください・・・」 船が引き返している。 いつの間にか航路を逆に進んでいる事に気が付いたのだろう。 間も無くシードラゴン島が見えてくるだろう。 着いたらパンダ庵で限定メニューを食べなくては・・・! ああ、それからラーメンいぶきでラーメンも食べましょう!! それからそれからノワールでガトーショコラを頼んで・・・。 大慌てで私はしゃがみ込んでアンカー観光パンフレットを取り出すとページをめくった。 「随分とマーカーで念入りに印が付けてあるんですね・・・・」 ええ、それはもうじっくりと吟味して・・・・。 ハッ、と私は上を見上げた。 そこには逆光を背に飛びっきりの笑顔で(こめかみに血管が浮かんでいたが)魂樹が私を見ていた。 「何を・・・・」 ぷるぷると魂樹の拳が震えている。 これはいけませんね!!!! シルフの護りを!!!! 咄嗟に私は高速詠唱で風精を召還した。 しかし呼び出したシルフ達は魂樹を前にするやいなや今だかつてない高速飛翔で離脱していってしまった。 ああっ!役に立たない!!! 「何をしに行くつもりなんですか!!!!!!!」 こうして綺麗にアッパーカットを貰った私は大空に美しい弧を描いて大海原へと消えていったのだった。 ~妖精王ジュピター回顧録より~ 第8話 2← →第9話 陣八捕物帖
https://w.atwiki.jp/sentai-hero/pages/68.html
「俺は、不死身だ!」 【ライダー名】 仮面ライダーエクシードギルス 【読み方】 かめんらいだーえくしーどぎるす 【変身者】 葦原涼(アギト)芦河ショウイチ(ディケイド) 【スペック】 パンチ力:15tキック力:30tジャンプ力:ひと跳び65m走力:100mを4.2秒 【基本フォーム】 仮面ライダーギルス 【声/俳優】 友井雄亮(アギト)山中聡(ディケイド) 【スーツ】 押川善文渡辺淳 【登場作品】 仮面ライダーアギト(2001年)仮面ライダーディケイド(2009年) 【初登場話】 第39話「ギルス咆哮」 【詳細】 仮面ライダーギルスの進化形態。 不完全なギルスながら、アギトの力を新たに得たことで、 胸部にはワイズマン・モノリスが発現し、安定した力のコントロールが可能となった。 アギトの力のコントロールが可能になったため、全身に有り余るエネルギーの影響を受け禍々しい色をした鋭利な爪が出現、元々高かった格闘能力が更に向上している。 また、背中には50tの破壊力を持つギルススティンガーと呼ばれる触手が出現、相手を拘束することも可能。 再生能力も獲得、劇場版では切り落とされた右腕の部位が再生し、その直後に覚醒する形で、この姿へ変身している。 必殺技は強化された脚力を用い、ヒールクロウをかかと落としの要領で相手に突き刺す「エクシードヒールクロウ」。 両脚のヒールクロウを同時に叩き込む「エクシードダブルヒールクロウ」も披露した。 初出は夏の劇場版だが、事前には発表されないサプライズ要素としての登場だった。 元々はギルスのパワーアップなどはスポンサーからの要請にはなく、制作スタッフの「ギルスに対する愛情」によって生まれたフォームといえる。 TV本編登場以前、発表された玩具紹介記事では「ギルス第2形態」という仮称で紹介されていた。 『ディケイド』ではアギトの不完全な姿という形で登場。
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/126.html
砂の海から我々が引っ張り上げたのは迷子のエルフとペガサスであった。 自ら遭遇してなきゃ悪い夢の話か酔っ払いの戯言だと思う所だ。 しかし・・・・。 「気付いていますか・・・ウィリアム」 ルクが背後から小声で言う。私は小さく頷いた。 天馬を駆るエルフ・・・そんな者はエストニア森林王国のペガサスナイツに他ならないだろう。 しかも、マチルダの名前には聞き覚えがある。 深緑の地に闘神ありと謳われる最強の天馬騎士・・・・マチルダ・レン・アリューゼ。 通称『彗星のマチルダ』 神を穿つ槍ロンギヌスを所持し雷を自在に操ると言われる天馬騎士団団長。 ・・・・の、はずなのだが・・・・。 「えっとぉ。私お友達と一緒に船でシードラゴン島を目指してたんです。そしたら船長さんがもう少しで島だよって言うから、私この子を少し遊ばせてあげようと思って・・・ずっと船倉の檻に押し込められて可哀想だったから~」 なんか間延びした娘だなぁ。 「なるほどね、それで空をブッ飛ばし過ぎてこの大陸を覆ってる幻視結界を越えちゃったわけね。普通透過するだけでこの大陸へは辿り着けないんだけど、ペガサスは高位幻想種だからね」 ベルナデットが言う。 なるほどそういう事か。 愛馬が優秀過ぎるのも考え物だ。 「下に砂漠が見えて~降りてみたらそのままズボーって潜っちゃってもうどうしようかと思ってたんです~」 どうしようかと思うどころの騒ぎじゃないと思うが、緊迫感がまるでない。 まあしかし、それなら来た手順を逆に辿れば下へ戻れるんじゃないのか。・・・・そのままちゃんとアンカーへ辿り着けるのかどうかはわからないが・・・。 「それはやめておいた方がいいわね」 しかしベルナデットにそれを否定される。 「幻視結界は外から中へ抜ける時より中から外へ抜ける時の方が、かかる魔力的負荷が大分大きいのよ。既にその子、中へ抜けて来た時に大分消耗しているはずよ。その上また外へ出ようとすれば最悪、何らかの障害が残る可能性があるわ」 ペガサスを見てそう言う。 確かにペガサスはグッタリしてしまっている・・・・てゆか砂の中でもがいてたせいの気もするけど・・・・。 「一緒に来ればいいんじゃない? 私たちも最後はアンカーへ行くんだから。どう?ウィル」 私は構わないよ。 「僕!!!」 ・・・・・僕は構わないよ・・・・このイジメいつまで続くの・・・・。 「わぁ、ありがとうございます~! ところで、こちらのカバの獣人さんはツェンレンからいらっしゃったんですか?」 「拙者の事かな!!!!!????」 いや、その頭デカいおっさんは人間だからね。 というわけで、私たちは天馬騎士マチルダを同行者に加えて旅を続ける事になった。 マチルダは無邪気に私たちに話しかけては良く笑っていた。 とてもあの七星や六剣皇に匹敵する四葉の筆頭将軍には見えない。 まあ、悪い子には見えないな・・・・そう決めてかかるのも早計とは思うが。 「・・・・あ」 自分の国の事を話していたマチルダの台詞が途切れた。 異変を感じ、身体を緊張させたのは我々も同時だった。 「・・・・何か来るわね」 ベルナデットが落ち着いた声で告げる。 ジュウベイもルクもそれぞれの武器を構えていた。 砂の海が震える。 下から来る・・・・何か大きな力を持った存在が・・・・。 バーン!!!!と爆発音の様な音を周囲に響かせ、大量の砂が空中へ撒き散らされた。 巨大な何かが太陽を背に砂上に姿を現す。 「・・・・・・オーレッ!!!!!」 サンバワームか!!!!! しかし若干形状が異なる・・・・腹部に並んでいる筈の無数の節足の代わりにヒレのようなものが並んでいる。 やはりこの砂海に適応した進化を遂げた亜種らしい。 大きく顎を開いたサンバワームが我々を食らわんと襲い掛かってくる。 ・・・まずいな。この足場でサンバワームの様な難敵を相手にするのは辛い。 しかし、そのサンバワームの動きがぴたりと止まる。 大きな顎を一杯に広げたまま、その顔は空中で静止していた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・。 そしてサンバワームはターンするように後ろに跳ねて砂中へと姿を消した。 気配は瞬く間に遠ざかり、やがて消えていった。 「ウィリアム」 ルクが声をかけてくる。 彼女にはわかったのだ。 私もわかった。ジュウベイもわかっただろう。 我々三人の視線がマチルダへと向く。 彼女は愛馬に「びっくりしたね~」と話しかけていた。 今、サンバワームは彼女に怯えて去っていったのだ・・・・。 砂の海を小船が進む。 ベルナデットの話ではこの砂海を抜ければ神都はすぐそこらしい。 とはいえ、この広大な砂海を抜けるには、この船で数日はかかるとの事。 今日もそろそろ日が陰ってきた。 砂漠の夜は冷える。 荷物からごそごそと毛布を出していると、 「おお、ウィリアム、宿があるぞ」 と、望遠鏡を覗き込んでいたジュウベイが言う。 ・・・・・この砂海のど真ん中に宿? 前方を見てみると、確かに宿があった。 まるで小島の様な大岩があり、その上に宿があるのだ。 「ちょうどいいわ。今日はあそこに泊まりましょう」 そうベルナデットが言い、我々は大岩へと小船を着けた。 ・・・・しかし、こんな所で営業していて客など見込めるのだろうか・・・・。 そんな事を考えながら宿の看板を見る。 『ホテル・ド・宿命』 ・・・・・・・・・・・・。 「よく来た諸君!!!我が宿命の宿屋へようこそ!!!!」 大声が響き渡る。 声を主を見る。 その男は宿の屋根の上にいた。 鋼の様な肉体の大柄な老人がいる。レスリングパンツにドテラを着込んだ老人の顔は、プロレスラーの様な口元の開いた派手なマスクに覆われていた。 ・・・・来る場所を間違えた気が凄くするんですけど!? 「とう!!!!!」と叫んで老人が飛び降りてくる。 そして丸で猫の様な身軽さで我々の前にシュタッと着地する。 「ワシは砂海の賢者『マスク・ザ・バーバリアン』」 賢者なのかバーバリアンなのかどっちかにして欲しい。 「お前たちがここへ来る事は宿命。避けられぬ運命だったのだ」 重々しく言うマスク・ザ・バーバリアン。 しかし格好のせいで雰囲気はブチ壊しだった。 「我が宿命の宿でひと時の安らぎを得るがよい。ウィリアム・バーンハルトよ」 !! 何故私の名前を!? 「ワシは砂海の賢者・・・・この砂海にあるもの全てを見通すものだ。さぁ遠慮はいらん入るがいい! ルクシオン・ヴェルデライヒ、マチルダ・レン・アリューゼ、そして顔のデカい中年」 「また端折られたわ!!!!」 ジュウベイが叫んだ。 「そして・・・・」 最後にマスク・ザ・バーバリアンがベルナデットを見た。 「まさか我が宿命の宿に『永劫存在』を迎える日が来ようとはな! 歓迎するベルナデット・アトカーシアよ」 そう言って老人はニッと微笑みを見せ、その白い歯がキラーンと輝いたのだった。 第7話 1← →第7話 3
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/128.html
アミダの結果で私はマチルダと相部屋になってしまった。 ルクがしきりに反対していたが、マチルダは「え~大丈夫ですよ~。ウィリアム君まだ子供ですし~」と笑っていた。 面倒なので私は本当は自分がどうだとかそういう話はしていない。 そもそも改めて考えてみれば、私はどういった存在だ。 現在の見た目は10歳そこそこですが、本当は外見30歳前後の70台です? なんだそれ!! 我ながらチョーめんどくせえ!!!! まったくこのシードラゴン島へ来てからの自分の変わり様と言えばほとんど悪い冗談の域だ。 今回のこれで終わってくれと祈る他ないな・・・・。 夕食を終え、風呂にも入って我々は各自の部屋で休む事になった。 なんかここもえらく和風の部屋だった。畳敷きでちゃぶ台が置いてある。 ま、誰と一緒だろうと寝てしまえば関係ない。 さっさと布団に入ろう。 等と思ったら、マチルダが何かを持ってきた。 ・・・・水を張った洗面器だ。 「ちょっと仲間に連絡を入れますね~。心配してると思うから~」 水面に手を翳し、マチルダが何か唱える。 精霊語だ・・・意味まではわからないが・・・。 すると水面にチャポンと音を立てて、小さな人型の水精が姿を現した。 『やぁ、よかった連絡が取れて。今どこですか?』 水精から響くのは男性の声だ。 「ええっとですねぇ・・・今私砂の海にいて~・・・ってあら? 王様? どうして? 私魂樹ちゃんに連絡入れたのに」 『魂樹は今ちょっと手が込んでいるのでね。代わりに私が出ました』 ・・・・おい、王ってまさか。 「そうじゃなくて。どうしてエストニアにいるはずの王様が?」 『それは私がこっそりとくっついて来たからですよ』 はっはっは、と明るい笑い声を上げている王。 うお、やっぱり妖精王ジュピターだ・・・・。 「また長老様たちに怒られますよ~」 『はっはっは、国にいても色々怒られていますからね。変わりませんよ。それで、砂の海とは?』 マチルダが浮遊大陸の説明をする。 『なるほど・・・飛んでいったっきり戻ってこないと思えば、そんな所まで行っていたとは・・・・』 「それでたまたまウィリアム君と一緒になって~。今は彼のPTと行動を共にしているんです」 自分の名前が出たので何となく畏まってしまう。 『!! ウィリアム・バーンハルト氏?』 そうです、とマチルダが返事をする。 すると水精はしばし黙り込んでしまった。 「王様?」 とマチルダが首をかしげる。 『これも運命なのでしょうね・・・。マチルダ、君はしばらく彼と一緒にいて、力になってあげなさい』 「え? あ、はい、わかりました~」 何だ何だ何だ。 『我々と合流できたら私が君と交代します。私は当分彼の所で面倒見てもらう気で来ましたから』 何言ってんですか四王。帰って国の仕事して下さい。 「皆はもうアンカーの町に着いているんですよね?」 『いいえ、残念ながらまだ我々は船上です。この船は現在航路を外れ、むしろ島から遠ざかりつつあります』 え~、とマチルダが緊迫感のない驚き方をする。 『魂樹とジュデッカの2人が手が離せないのもその為です。現在彼女達は交戦中です。船が強襲を受けましてね』 ずいぶん穏やかで無い話になってきた。 『銃士隊の2人でした。「地獄のイカサマ師」JOKERと「奈落のギャンブラー」アビス能収。・・・まずは彼らを退けないと、我々は島に上陸する事はできなそうです』 「あら~大変ですね~。頑張って下さいね~」 大変そうに聞こえん。 『ではちょっと私も加勢してきますよ。船ごとJOKER氏の作った「怪奇空間」にスッポリ取り込まれてしまってね・・・』 そう言うと水精はチャポンと水中に消え、精霊による通信は終了した。 「じゃあ寝ましょうか」 うわあっさりしてるな。お仲間が大変なのでは? 「まあ、大丈夫ですよ。魂樹ちゃん強いから」 そう笑顔で言う。 仲間を信頼しているのか、単に危機感が欠如しまくってるだけなのか・・・。 まあ彼女がそう言っている以上、私にそれ以上言うことは無い。 明日も砂海越えだし、寝て体力を蓄えておくとしよう。 そして二人それぞれ布団に入って明かりを落とすと・・・スパーン!と勢い良く部屋の戸が開け放たれた。 「何ともう布団をかぶっておるのか! 夜はこれからだぞ!!」 マスク・ザ・バーバリアンだ・・・・。 バーバリアンは手にロウソクを持っている。 そのロウソクをちゃぶ台に立てる。 暗い部屋でロウソクの明かりだけがゆらゆらと揺れて、なんとも不気味な雰囲気だ。 「旅館の夜と言えば怪談話と相場が決まっておる」 どかっと胡坐をかくバーバリアン。 え、今から語る気なの。 「えー! ちょっと私そういうのダメなんです~」 いきなりマチルダがガバッと私に抱き付いてきた。 ちょ・・・息できん! 胸大きいなこの娘!!! 「まあまあ聞きなさい。いいかね。その昔、この砂海を臨むある小さな村があった・・・・」 おどろおどろしい声色を作って語り出すバーバリアン。 そして私は窒息寸前だ。 「村には仲睦まじい若夫婦がおってのう。夫は砂海で漁師をして生計を立てておった。ところがある時、流行り病で妻が命を落としてしまったのじゃ・・・」 ぐ、ぐるじい・・・・。 「夫は大層嘆き悲しんで砂海に船を漕ぎ出すと、そのまま戻って来ることはなかった・・・・。それからというもの、月の綺麗な夜には村の家々の戸に夫を探す女の影が映り、嘆き悲しむ声が聞こえたという・・・。そう、ちょうどこんな月の綺麗な夜にはのう・・・」 そう言ってバーバリアンはフーッとロウソクを吹き消した。 部屋は暗闇となり、月明かりが障子に髪の長い女の影を映し出した。 「・・・・っっきゃああああああああああっっ!!!!!!!!!」 絶叫を上げたマチルダが拳を力一杯突き出した。 ドゴッッ!!!!!!! 「・・・・・バンゲリングベイ!!!!!!」 拳の直撃を顔面で受けたバーバリアンが吹き飛んで障子を突き破り女の影に激突する。 「・・・・不器用ですいません!!!!」 そして障子の外にいたサンド高クラーケンを巻き込んで二人で夜空に消えていった。 吹き飛んだ後の廊下にはサンド高クラーケンがかぶっていたと思われる長髪のウィッグが落ちていた。 「まったくもうもうもう。本当に怖かったんですよー」 翌朝、まだマチルダはぷりぷり怒っていた。 結局バーバリアン達は戻ってこなかった。 しょうがないので黙って出発する事にする。 「あら、旅館の夜に怪談話なんて気が効いてるじゃない。雰囲気を楽しめばよかったのに」 船上でパリパリとポテトチップをかじりながらベルナデットが言う。 「何事かと思いました。・・・・私は、その・・・ウィリアムがまさかとか・・・いえ信じていたんですけど・・・・」 ルクが何事かぶつぶつと呟いている。 砂船が静かに走り出す。 さあ、神都を目指して再び出発だ。 「・・・・・カティーナちゃん・・・・すっごおおおおく寝相悪かったんですけど・・・・・・」 心地よい風を受けながら、顔面を青痣と蹄の跡だらけにしたジュウベイがそうボヤいたのだった。 ~探検家ウィリアム・バーンハルトの手記より~ 第7話 3← →第8話 船上の死闘
https://w.atwiki.jp/strikekingdom/pages/219.html
ユニットデータ [SR]グランシード コスト 30 重さ 60 スキル アタック! クラスアップ素材 HP 350 MaxHP 21000 特殊スキル なし 体当たり 170 Max体当たり 4250 クラスアップ前 なし 攻撃 25 Max攻撃 625 クラスアップ後 なし 防御 100 Max防御 2500 属性変更 不可 説明 「クラスアップ」に使える特殊ユニット! 出現ステージなど 木曜限定ステージなど (C) 2013 GP mobile Inc. 情報提供お待ちしています! 名前 コメント