約 3,080,470 件
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/121.html
前を行く後姿になんとなく既視感を感じた。 あれは・・・えーと・・・。 ! ピンと来る。 ローレライ? と、思わず私は声をかけていた。 「こんにちは、DD」 彼女が振り返って挨拶する。 良く晴れた昼下がり。 あの工房前の死闘からは3日が過ぎていた。 鎧姿じゃないからすぐわからなかったよ。 ローレライは今日は武装じゃない普段着だった。 「はい。鎧は街中では無用に人目を引きますので」 淀みなく彼女が返事をする。 シグナルはいないんだ? 周りを見回す。彼女は1人だ。 「マスターは別行動です」 ローレライは単独の行動が可能なんだね。 「はい。私は完全に実体化していますので、単独での活動が可能です」 彼女は花束を手にしていた。 お見舞いね。カミュのかな。 ローレライが肯く。 カミュはあの戦いの後、すぐに病院に担ぎ込まれて治療を受けた。 回復力も桁外れみたいで、当日は全治半年以上とか診察されたみたいだけど、現在は数日中にも退院できるとかいう有様らしい。 シグナルの指示なの? 花束を見て私が言う。 「いいえ。私の判断です。マスターが心身ともに良好な状態である為に、職場での円滑な人間関係が必要であると判断しました」 そっか・・・・色々考えてるんだね。 「はい。マスターのお役に立つ事が私の全てです」 きっぱりと言い切る彼女の瞳はとても澄んでいた。 私はそれを素直に綺麗だと思った。 彼女の有り様を美しいと思った。 工房に着いて、作業を見学する。 船はフレームが完成し、そのシルエットを現しつつあった。 「流石の手際ね。ここに話を持ちかけて正解だったわ」 同じ様に作業を見つめるキリコも満足そうだ。 「・・・・フン、気に食わんね!!」 しかし同じく見学中のアレス大統領は不機嫌だった。 彼は拳を握って力説する。 「確かに! 技術や作業スピードには目を見張るものがある。・・・・だが!!! 何故!!! 今このご時世に最新機を魔道式エンジンで組むのだ!!!!」 うんうんと後ろのバニーガールの皆が相槌を打つ。 「魔道機関は何を消費して稼動している!? 言ってみたまえ!!」 ビシッ!!と指をさされる。 ・・・・え、えーと・・・マナクリスタル・・・・・。 「イエス!! その通りだ!! ではマナクリスタルの原料とは何だね!!?」 ・・・・魔力石。 「では魔力石の世界における現状を述べてみたまえ!!」 確か世界中で枯渇しかかってるんだよね。採掘され過ぎちゃって・・・・。 「ザッツライッ!!! つまりだ!! 極近い将来魔道式動力の時代は終わりを告げる! その後世界中で愛用されるようになるのが我らが蒸気式動力だよ!!」 きゃーっと歓声を上げたバニーさん達が拍手したりクラッカーを鳴らしたりしてる。 「私はこの事を20年も前から世界に訴え続け、大統領就任からは国を挙げて蒸気機関の研究開発に力を注いできた。大勢の愚かな連中は私の訴えに耳を貸そうとしなかったがね。ルーナ帝國などがその良い例さ!! 見たまえかの国を。国家のほとんどの動力が今だに魔道機関であり、愚かしい事この上無いのが今をもってまだ民よりの税を使ってその研究開発を続けている事だ!」 すぱーっと葉巻の煙を吹く大統領。 「いずれ世界は蒸気の時代を迎えるだろう!! その時世界のリーダーシップを取るのが我が共和国なのだよ!! ハーッ!ハッハッハッハッハッハ!!!」 と、大統領は胸を張って哄笑したのだった。 そっかー・・・。 まあ、でも正直私に動力に対してのそこまでの考えはない。 その時で一番手に入りやすい楽なものを使うんだろうなー。 なんて言ったら怒られそうだから黙ってたけど。 それにしても・・・・。 工房からの帰り道、私は頭を悩ませていた。 定員は5名。 私とえりりんとキリコと・・・・・さて後2人誰を連れて行く? シンラは留守のオフィスを頼んであるから連れて行けない。 後飛んだ後のノルコちゃんの事を誰かにお願いしておかなきゃ。 それはヒビキとスレイダーのおっさんがいいかな? なんて思ってたらどっからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「尋ね人です!! もう10日も行方不明なんです!! どんな些細な情報でも構いません!!!お願いします!!!!」 あ、鼻っちだ・・・・。 街角でカルタスがビラを撒いてる。 足元に落ちていたそれを1枚拾い上げる。 思ったとおりそこにはウィル達の写真が載ってた。 ・・・・って・・・・ジュウベイだけ下顎の半分しか写ってないじゃん・・・・。なんで同じ尺で載せるのこれじゃ誰かわかんないよ。 ・・・・・いや逆に誰かわかる? まあ彼を知ってる人が見ればね・・・・。 でも知ってたら写真はいらないワケで、どっちみち役に立たないね。 「お願いします!! 探してるんです!! 心配なんです・・・・ウヒヒヒヒヒヒヒ・・・・」 何で笑ってんの・・・・・とか思ったらむせび泣いてる。 ・・・・・しゃーないな、1人は決まりだね。 連れてってやるか・・・てゆか居場所わかったの伝えそびれてたよゴメンよ。 ホラ、と泣いてる鼻っちにティッシュを渡す。 「・・・あ、DDざん・・・・ありがどうございばず・・・・」 ビーッ!!とカルタスが鼻をかむ。 ついでにブアックシュ!!!と盛大にクシャミする。 突風は通りの向かいの「皆で知ろうシードラゴン島の遺物展」会場に搬入途中だった業者を直撃した。 リフトを使って搬入中だった何か大きな塊を覆っていたカバーがボワッっと飛んでいってしまう。 ・・・・何だありゃ・・・・アゴ長い石像だなぁ・・・・。 「どうしたんだい? 何か大きな音が聞こえたが・・・」 そこへ建物からエンリケが出てきた。 業者が、代表危ない!!と叫ぶ。 「・・・・・・しゃーんなろ!!!!!!!!!」 バゴス!!!!!!!!!! と石像にぶん殴られたエンリケは石畳を盛大に砕いて地面にめり込んだ。 「DD!! 勝負だ!!! 今日こそは僕が勝つ!!!!」 鼻っちを連れてオフィスへ戻る帰り道。 また、やかましいのが私に絡んできた。 例によってカイリだ。 忙しいんだってば、もう。しょうがないなぁ・・・・。 えーい、ただのキーック・・・・。 ドボッ!!!と私のつま先がカイリの鳩尾に突き刺さる。 ぎゃーっとお腹を押さえて悶絶したカイリが転げ回る。 ・・・・・・・・・・ん。 カイリ、立て。 「・・・・・・え? だって・・・・痛い・・・苦しい・・・・」 いいから立て。 しぶしぶカイリが立ち上がる。 まだ額に脂汗を浮かべて前傾姿勢だけど。 キミのその無駄な元気、私が買ってやる。 空の上に行ってもらうよ。 「・・・・え? ・・・・え??」 目を白黒させるカイリ。 私の後ろにいる鼻っちに「どういうこと?」と視線で問いかける。 その視線を受けて、カルタスがゼスチャーで「スルメイカ タベスギ ヨクナイ」とカイリに伝えた。 コミュニケーションが成立してない。 「え、どっか行けって、僕店の手伝いとかあって・・・・」 すっと目を細めた。 カイリの前髪が一房ビキッと凍りついた。 よく聞こえなかった。もう一度どうぞ。 「どこへでも行きます!!!!!!! ご一緒させてください!!!!!!!」 夕暮れのアンカーの町に、そうカイリが叫ぶ声が響き渡った。 第4話 7← →第5話 緑の大地にて
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/69.html
「このグラタン美味しいねー」 「そうですね、しかしグラタンに限った話ではありません。エリスの料理はどれも美味しい。ここで暮らすようになってから食事が楽しみになりました」 DDとルクが食事を取りながらメニューを褒めていた。 いつもの通りの賑やかな食卓だと思ったのだが・・・・。 「? えりりん?」 反応が無いエリスをDDが覗き込む。 エリスがそれに気付いてハッとした。 「あ、うん・・・ありがとう。私ほら、おじさまや二人みたいに強くないから・・・・家事するしかないし・・・」 そう言って力無く笑う。 ・・・・・・・・・・・・・。 エリスはそんな事を考えていたのか。 何か言うべきだな、と口を開きかけた所・・・。 「んもーっ! かっわいいなぁえりりんは!!」 いきなりがばーっとDDがエリスの肩を抱いて頭をわしわし撫で回す。 「ちょ、ちょっと・・・・!」 「いいんだよーえりりんはそんな何でもしようとしなくても!役割があるんだし皆それぞれ!!暴れるのは私やルクの役目だからそれでいーのいーの!」 「・・・いや、私も暴れるだけの人材で終わるつもりはないのだけど・・・」 ルクがぼそぼそと抗議する。 ・・・・・・・・・・・・・。 力が欲しい、か・・・・。 仮面の道化師の夢を思い出す。 今より強くなりたい、とそういう気持ちはもう随分昔に失ってしまった。その時の自分の力量でどうにかならないシーンが無かったからだ。 かつて皇帝レイガルドと引き分けた時は、いつか強くなって勝ちたいとも思ったが、その気持ちは今のエリスのものとはズレがある気がする。 現状の自分の力ではどうしようもなく、何とかしてもっと上に行きたい・・・・そんな焦がれるような思いではなかった。 老いてからはこの島で何度かそう言う状況にも陥ったが、それは老いから来る衰えのせいであり諦めもあった。 いずれにせよ焦るのは良くない。自分のペースで行けばいい。その事だけはいつか伝えたいと思ったが、果たして私の言葉で彼女にそれを納得させる事ができるだろうか・・・・。 そして私もいつか、そんな思いに囚われる日が来るのだろうか・・・・。 ちょっと食べられないから離れなさい!といつものようにエリスが爆発した所でオフィスの戸にノックがあった。 皆黙る。この時間の客は珍しいな。 どうぞ、と声をかけると男が一人オフィスへ入ってきた。 見覚えのある男だ。確かエンリケの所で働いている彼の部下だな。元DDの所のクルーか。 夜分にすいません、と挨拶してから彼が話した内容とは・・・・。 ・・・・エンリケが過労で倒れたというものだった。 「だいたいねー、あいつ昔から一人であれこれ背負い込み過ぎるんだよね。遊びらしい遊びもしないしさ、どっかで発散しなっていつも言ってたのに」 DDがぶーぶー言いながら廊下を行く。 翌日、我々はエンリケが担ぎこまれたと言う病院に彼を見舞いに来ていた。 色々言いながらも心配なのだろう。DDはいつもより早足だった。 病室は・・・・あそこだな。 と、思ったその時エンリケの病室から一人の男が出てきた。 お大事にしてください、と頭を下げて扉を閉めている。 そしてこちらへ向いた。 「・・・!」 ・・・・・・・・・・・・・・。 視線が交錯する。 しかしそれも一瞬の事で、すぐに男は愛想良く微笑みを浮かべると会釈した。 「これはウィリアム先生。お目にかかれて光栄です」 君は?と問う。 「これは失礼しました。私はヴァーミリオン、冒険者集団『シャーク』の代表を務めております」 この男が、ヴァーミリオン・・・・シャークの頭か・・・・。 ふと気付く、ヴァーミリオンの右手の袖がひらひらと揺れている。・・・中身が無い。 「ああ、右腕は昔事故で・・・・」 私の視線に気付いたヴァーミリオンが言う。 う、何であれじろじろ見るのは失礼だったな。謝罪して頭を下げる。 「いえいえ、構いませんよ。目が行くのも仕方の無い事だと思っていますから」 穏やかに応対するヴァーミリオン。 あなたもエンリケの見舞いか? ええ、とヴァーミリオンがうなずく。 「同じこの町の為に何かできないかと色々やっている者同士、友好的な関係を築いていけたら、と思っていましてね」 この町の・・・・。シャークを組織したことかな? 「そうです。先生もご存知でしょう。私たちが彼らを取り纏めるようになってから彼らが起こす騒ぎはほとんどなくなりました。日陰者には日陰者のルールを与えてあげればいいんですよ。わかりやすいルールの形として『力』の強い友人達に協力してもらっているんです」 3人の部隊長たちの事だろう。 そこへシャークのメンバーと思われる男が小走りに駆け寄って来た。 「ああ、ビャクエン翁は見つかりましたか?」 そ、それが・・・。と男が口篭もる。 「見つけたには見つけたのですが、その・・・・ロビーの長椅子で熟睡しておられまして・・・。そのままでは目立ちますので外へ運び出しておきました」 ふぅ、とため息をついたヴァーミリオンが首を横に振った。 「やれやれ、昼間からまた呑んでいたのですか。我らが第二部隊長殿にも困ったものですね。わかりました。すぐ私が行きます。あなたもそこで待機していなさい」 男を先に行かせてからヴァーミリオンがこちらを向き直った。 「慌しくて申し訳ありません、先生。仲間が待っていますのでこれにて」 丁寧に頭を下げて言う。 「また、お会いする機会もあるでしょう」 そうしてようやく我々はエンリケを見舞った。 やや顔色が悪い様に見えるエンリケは病床からわざわざすいませんと我々に頭を下げた。 ちょっとした過労から来る貧血なのですぐよくなりますよ、と言う。 「いいからもうしっかり休んでなよ。こんな機会でもなきゃお前休まないじゃん」 DDがむくれている。 私は気になっていたヴァーミリオンの事を聞いてみる事にした。 彼は病室で何か特別な事を言っていったのだろうか? ああ、とエンリケがやや複雑な顔をする。 「彼には、もうアンカーの町がこれだけの規模になってしまっては我々だけの自治は難しいのではないか、とそう言ってきたのですよ」 む、まさか運営組織にシャークを組み込めと? 「いやいやまさか。・・・・・彼は四王会議に相談してみてはどうかと言っていました」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 意外な話で一瞬思考が停止してしまう。 まさか、ヴァーミリオンの口から四王会議の名前が出てくるとは・・・・。 四王会議とは、その名の通り大国4国の首長達による議会の事である。 現在、世界における最も巨大で力のある意思決定機関であり、四王会議の意向を無視できる国家はごく一部の特別な国を除いては存在しないと言える。 現在のシードラゴン島の不可侵を決めたのも四王会議だ。 それによって他国は表立ってこの島に干渉する事ができなくなった。 現在の四王とは 西方大陸南部の大国、ファーレンクーンツ共和国の大統領アレス、 国民の7割が獣人か半獣人という中央大陸の王国ツェンレンの獣王アレキサンダー、 南方大陸、大森林地帯にあるエルフの聖地エストニアの妖精王ジュピター、 そして我が祖国、現在世界で最も高度な文明レベルを誇る西方大陸北部の軍事大国ルーナ帝國の皇帝シュルト三世。 四王会議の庇護下に入るという事は取りも直さずその勢力に属する事になる。 そうなればこの町独特の雑多で自由な気風も失われてしまいそうで怖いな。 ただ、そこは我々が口を挟める所ではない。実際に苦労しているのは彼らなのだ。 ・・・・しかし何故ヴァーミリオンは四王会議の名前等出してきたのだろう・・・・。 大国の統治が始まれば真っ先に取締りを受けるのは自分達ではないのだろうか。 わからない・・・・。 「ホラ、入院で暇だろ?これ持ってきたよ。読んで時間潰しな」 DDがそう言ってハードカバーの分厚い本をエンリケに手渡している。 何々・・・・? 『リングと私とボンデージ』 ボンデージ和馬・著 うおっ出たボンデージ和馬!!!! 帯には「空前のベストセラー」って書いてある!!! ・・・・・・?・・・・・よく見たらその下に小さな文字で「に、なるといいな」って書いてある!!!!! 我々は挨拶をして病室を出た。 とりあえず大事無いという事で一安心だ。 病院を出て敷地内を門まで向かう我々に声をかける者があった。 「ホッ! こーりゃまた噂通りの伊達男よのおウィリアムや! ヒャッヒャッヒャッ!」 む、何者だ! 声のした方を見る。 すると敷地内の大木の枝から尻尾だけで逆さまにぶら下がった獣人の老人がこちらを見ている。 白猿の獣人だ。 ・・・・・あなたは? 「ホホッ! こりゃ自己紹介が遅れてすまんの! わしゃあビャクエン、鮫の第二部隊長よ!」 そう言って老人は腰から下げたヒョウタン型の容器をぐいっとあおるとまたヒャッヒャッヒャッと笑い声を上げたのだった。 第20話 1← →第20話 3
https://w.atwiki.jp/wikisj/pages/56.html
タクシードライバー咲坂都2 ~走るアリバイ 指名予約の乗客が仕組んだ巧妙な殺人!主婦売春を操るカルチャー教室の甘い罠!恐喝と戦う夫が下す決断とは~ 放送年 :1996 放送日 :1202 放映局 :TBS 区分 :単 役名 :(ヤクザ) 出演話数:- ソフト化: 備考 : 1996 2サス TBS
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/207.html
特に何をする訳でもなしに、ルノーは病院の屋上で毎日時間を潰していた。 体調はもう職務に復帰できる程度に回復しているのだが、中々その気になれないのだ。 本や雑誌に目を通してみてもすぐに飽きる。 こんな状態になってみて初めて、ルノーは自分に趣味と呼べるようなものがない事に気付いた。 (何となくここまで来ちまったもんな・・・) 今日もフェンスにもたれかかるようにしてアンカーの町を眺めながら、ルノーははふ、とため息をついた。 (そういや、私どうして銃士になったんだっけ・・・) そこへ背後から、コツコツと杖で地面を突く音が聞こえた。 「ここでしたか、ルノー」 エリックが近付いてくる。 彼はまだ傷が癒えておらず、片足を引きずるようにして病人用の杖を突いていた。 「大丈夫なのかよ、動いて・・・」 心配そうにルノーがエリックに歩み寄る。 「ええ、お陰様で。身体はまだ一部言う事を聞きませんが、気分はすこぶる上々ですよ」 そう言ってエリックは微笑んだ。 「リーダーはもうすっかり回復して今日から仕事に復帰しています。私も早く復調して仕事に戻らなければ」 カミュが回復した事はルノーは知らされていなかった。 退院するなら一言自分に言ってから行けばいいのに、と彼女が少し不満に思う。 「実はお願いがあって来たのです」 「お願い」? エリックの言葉にルノーが訝しげな顔をした。 「本当は私が行くつもりでしたが、まだ身体がこの状態ですからね。申し訳ありませんが、代わって行って欲しいんです、ルノー」 そう言ってエリックは1冊のファイルを取り出して見せた。 カンカンカン!!! トタンを打ち付ける音が晴れ渡った空に響き渡る。 私の今日の仕事は屋根の修繕だった。 ふう、と作業を一段落させて私は額の汗を拭った。 「お疲れ様です、ウィリアム。どうぞ」 ルクが紙コップを差し出してくる。 礼を言ってそれを受け取ると、私は冷えた麦茶を一気に喉に流し込んだ。 空を飛べるので脚立のいらないルクはアシスタントとして付いてきてもらっている。 とにかく、今の私は莫大な借金を抱える身だ。仕事のえり好みはしていられない。 事務所が移転した際の費用が借金だと聞かされた時、私は祖国の銀行に残してきた自分の財産の事を思い出した。 半ば捨ててきたつもりの金ではあったが、何とか使えないものかと問い合わせてみた所、自分が浮遊大陸にいる間に帝國が崩壊してしまったと聞いて愕然とした。 2度と戻るまいと思って飛び出した祖国ではあったが、滅亡したとなるとやはり心中穏やかでは無い。 少ない知己が無事であるといいのだが・・・。 そんな訳で帝國銀行も最早機能しておらず、私の財産も回収は不可能そうだ。 「・・・センセー! 冷や麦作ったよ! 下りて来て昼にしとくれ!!」 修理に来た家の夫人から呼びかけられる。 昼を出してくれるらしい。 ありがたいな。どれオフィスに一本電話を入れておくか。 そういえば先日は突然昼から鯛の活造りが出てきたな・・・あれが何だったのかいまだに意味がわからん。 屋根から下りようと脚立に足をかけたその時、下の通りを歩く1人の姿が目に入った。 ・・・あれは確か・・・・。 直接顔を合わせたことは無い。しかしオフィスで私が不在にしていた間の出来事を資料を交えて説明を受けた際にその名と姿が記憶されている。 共和国三銃士の1人、ルーシー・N・レンブラントか・・・。 共和国の勢力と我々とは、目下神の門を巡るライバル関係である。 その彼女が1人で歩いている。 ・・・あっちは、港の方角だな。 少し気にはなったものの、まさか後をつけるわけにもいかず、私は一先ずその事を頭の外へと追い出した。 『新人を1人、港へ迎えに行って欲しいんです』 エリックの言葉を思い出しながら、ルノーは港への道を歩いていた。 彼の話によると、本国から1人補充が来るらしい。 ルノーの足取りは重い。 財団が本腰入れて神の門獲得に動き始めた今、こちらの戦力の要である自分たち三銃士が惨敗したのだ。 本国が慌てて戦力を補強するという事は大いに有り得る。 それは取りも直さず自分たちの不甲斐無さの結果そのものであり、当然送られてくる補充員もその事は承知しているだろう。 その事実がルノーの足取りをより重いものにしている。 (・・・ちぇっ・・・カッコ悪い・・・) つまりはそういう事なのであった。 しかし他の派遣員は皆仕事で忙しく走り回っている。 エリックはまだ身体があの状態だし、彼が体調は戻っているのに職務に復帰していない自分に出迎えを任せるのは当然と言える。 足取りの重さはそのまま到着時刻に現れてしまったようで、ルノーが港に着いた時にはもう件の客船は港に着いていた。 (・・・っと・・・・。着いちまってる。どこだ・・・?) そう言えば写真は渡されていない。 銃士であれば自分たちと同じ出で立ちである筈だが、果たして今その格好で来ているのだろうか? まあ、自分は銃士のスーツだし、黙って突っ立っていれば向こうが見つけるだろう、とルノーがそう思った時、 「どぉも~っ!! センパぁイ!!」 突然背後から大声で呼ばれて肩をパーン!と叩かれた。 「うあっ!!? ・・・なっ・・・!」 驚いたルノーがバッと振り返る。 脱いだ上着を肩に担いだ背の高い女が立っていた。 男装していてもわかる。出る所は出て引っ込む所は引っ込む、グラマーな体型の女だ。 「どおもっ! 銃士ジェーン・マクドゥガルです! 本日よりシードラゴン島の任務に着任しまーっす!!」 そう元気良く名乗ってジェーンはにへらーっと笑った。 「ルノー先輩ですね。 ヨロシクしてやってください! 私ないすばでーの美人だけど寂しがりやなんで~」 「自分で言うかよ・・・。ってか、初対面の先輩を相手にいきなり愛称で呼ぶんじゃねえよ」 ややイラついた様にルノーがぶっきら棒に言った。 「あ、シツレーしました! ルーシーたんですか。 ってゆか私のことは気軽にジェーンさんって呼んで下さいね」 「てめーナメてんのか!! ってか自分はさん付け要求かよ!!!」 思わず声を荒げてしまってから、ルノーは頭を振って冷静になる。 (な、なんだコイツ・・・まともに取り合っちゃダメだ) そんなルノーの葛藤を他所に、ジェーンは周辺をキョロキョロと見回している。 「うっわ~なっつかしー・・・! 変わらないなぁ」 「・・・何だよ、アンカーは初めてじゃないのかよ」 ルノーの言葉にジェーンはコクコクと首を立てに振った。 「ハイ何年か前にちょっと。・・・・あ! このパンダイルカの看板・・・懐かしいなぁ」 港に面した小洒落たレストランの看板を見てジェーンが表情を綻ばせた。 ルノーもその看板を見てみる。 ・・・表示してあるオープンの日は今年の春先だった。 (・・・てっ、テキトー言いやがって・・・!!!) また声を出しかかってルノーはそれを思い止まった。 (コイツこっちを挑発してやがるんだ・・・。乗ってたまるかよ・・・!) 自分の分だけさっさとアイスコーヒーの缶を自販機で買って飲んでいるジェーンを見てルノーはそう思った。 まだ何だかんだと話しかけてくるジェーンの話を聞き流しつつ、スタスタとルノーは歩き出した。 「あン、待ってくださいよぅ」 慌ててその後をジェーンが付いてくる。 「・・・うるせーな。黙って付いて来・・・」 ルノーの言葉が止まった。その表情が凍り付いた。 「・・・ン? おのれは・・・」 ルノーとすれ違おうとしていた大男が足を止めて声を出した。 それはルノーが先日死闘を演じたばかりのハイドラ、大龍峰だった。 「・・・・・・・・・・・・・・」 何か言いかけたが、言葉にはならなかった。 震える四肢で大龍峰を見上げるルノー。 大龍峰はわずかな間、そんなルノーを見下ろしていたが、 「・・・・・フン」 とやがて鼻で笑うとルノーから視線を逸らして歩き出した。 その自分などまるで眼中に無い、という大龍峰の態度に怒るより先にルノーは安堵していた。 だが次の瞬間、心臓が止まるほどのショックをルノーは受ける事になる。 ・・・バシャッ!! すれ違って去り行く大龍峰の後ろ頭に、ジェーンが飲んでいた缶のコーヒーをいきなり浴びせたのだ。 「・・・なっ・・・! ・・・ぁ・・・」 コーヒーをかぶった大龍峰よりもルノーの方がずっと驚愕していた。 「・・・何のつもりじゃぁ・・・」 額に青筋を浮かべて憤怒の大龍峰が振り返る。 「えー? 旦那この前うちの先輩らボコってくれたでしょ? そのお返しっス」 白い歯を見せてジェーンがニヤリと笑った。 大龍峰がふーっと深くため息をついた。心底呆れたと言わんばかりに。 「おのれらなぁ・・・野良犬じゃて一度ドヤしつければ次から咆えん様になるぞ・・・」 ゆらりと大龍峰が1歩前に出た。 「おのれら犬以下かぁッッ!!!!!!!!」 エリックの動体視力と異能『ホークアイ』を持ってしても見切れず、一撃で戦闘不能にせしめた必殺の張り手『鬼鉄砲』がジェーンに襲い掛かる。 「・・・・・っ・・・・・・」 その致死の一撃を紙一重で回避するジェーン。 「・・・!!!!!!」 そしてその手首を掴んでグイッと大龍峰を引き寄せると「えいっ!」とその足を蹴り払った。 「のわあ!!!!!!!」 自らの張り手の勢いのまま、空中でぐるりと一回転した大龍峰が海へと投げ出される。 そしてザッパーン!!!!と盛大な水柱を上げた。 「・・・・・・・・・・・・・」 呆然とそれを見ていたルノーの手をぐいっとジェーンが引いた。 「何ボーっとしてるんスか。逃げますよセンパイ」 「・・・え?」 まだ現実に戻りきれていないルノーの手を引いたまま、ジェーンが駆け出した。 ザバッ!と港の縁に手をかけて大龍峰が這い上がってくる。 「油断したわいぃ・・・。やりよるのォ」 周囲を見回して、相手が既に逃げ去ったことを知る大龍峰。 悔しそうな表情を一転、大龍峰は豪快に笑い出した。 「いやいや・・・・人が悪いわい共和国!! 出し惜しみしおってからに、なんじゃぁちゃんと戦れる奴おるんじゃまぁか!」 一頻り大笑いすると、ずぶ濡れのまま上機嫌で大龍峰はホテルへの道を引き返したのだった。 第21話 1← →第21話 3
https://w.atwiki.jp/sweet1616/pages/582.html
スキル ばくひょうの剣技 特性 バギ系のコツ ギガキラー アンチみかわしアップ わるぐち
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/32.html
巨大な炎を纏った拳が私を狙う。 あれはかわせない。ダメージ無くやり過ごすのは無理だろう。 そう思った瞬間、私は拳に向かっていった。ギリギリで拳を回避しつつその腕を掴む。 炎に焼かれる。熱さと痛みに気が遠くなる。だが怯まない。 「何!? 掴んだだと!!?」 そのまま背負い投げにする。受身を取れずにグライマーが岩肌に叩き付けられる。 「ぐはああっ!! まさか投げてくるとは! ・・・・しかぁし!!!」 瞬間、グライマーが爆ぜた。否、爆発的に炎を全身から噴き出した。 直撃する。吹き飛ばされ今度は私が岩肌に叩き付けられる。 何箇所か骨が折れたのがわかった。口の中に血の味が広がる。 「流石に終わりか! よくやったほうだが・・・・ヌ・・・・」 立ち上がる。立ち上がろうとする。既に自分が上を向いているのかどうかもよくわからない。 だが・・・・死ねない。私は帰らなくてはならない。 エリスの顔が思い浮かぶ。大事な預かりものの娘。彼女にはまだ教えてあげたい事が山ほどある。 町の皆の顔が思い浮かぶ。個性的で気のいい面々、彼らともまだまだ交流がしてみたい。 サイカワの顔が思い浮かぶ。キュウリ嫌いの優れた若き魔術師。彼の話からも学べる事は多いだろう。 カルタスの顔が思い浮かぶ。いや鼻しか思い浮かばなかった。あいつ鼻以外になんかあったっけ・・・・。 「いい戦士だなバーンハルト。心・技・体全て兼ね備え熱い魂を持っている!想像していた以上だったぞ。老いだけがただ残念だ!」 立ち上がろうとする私に、グライマーは攻撃してこなかった。 「センセー!」 ジンパチが駆けつけてきて私を支える。 「センセー・・・・・くそう・・・・」 ギリッ!とジンパチの奥歯が鳴った。 かつてない怒気をまとってジンパチがゆらりと立ち上がる。 「てめぇ・・・・・どうしてくれんだセンセーこんなにしちまいやがって・・・・俺がガキんちょに合わせる顔が無くなっちまったろうが!!!!」 裂帛の気合と共にジンパチがグライマーに突進した。 「・・・・そして、本物の仲間がいるようだな」 グライマーがふっと笑った。 その攻撃は今までで一番鋭く、そして速かった。・・・・しかし、真っ直ぐ過ぎた。 「向かってくる奴には手加減せんぞ!! それが礼儀だ!!!!」 紙一重で攻撃を回避されたジンパチを待ち受けていたのは、炎を纏った拳だった。 吹き飛ばされたジンパチが私の斜め後方に叩きつけられた。 「お前たちがシードラゴン島と呼んでいるこの島にはいくつもの『顔』がある。その内、俺様達にとってのこの島とは何なのかを聞かせてやろう」 満身創痍の我々を前にグライマーが語り始める。 「この島は『流刑地』だ、監獄なんだよ。俺様のように強すぎる力を持つあまり人を外れた魔人達を隔離して閉じ込めておくためのな」 過ぎ去った日々を思うかのようにグライマーの視線は遠くを見ていた。 「封印を受け、この島に飛ばされてきた時点で俺様達は呪いを受けている。ここ数百年でこの島に飛ばされてきた魔人は8人。いずれも産まれた場所も時代もバラバラの8人だ。その8人はそれぞれ島の中に陣地を与えられ、その中でしか本来の力を発揮できない。陣地から外へ出れば大幅に力を減じられる。・・・・そして、島から一定距離離れればその時点で塵になって消滅する」 グライマーがぎゅっと拳を握り締めた。その瞳には炎が揺らめいている。 「俺様は元々、南方ハルシャール王国の炎の神殿に仕える僧兵長だった。ある戦争があった時につい本気出しすぎちまってな。相手の国をそん時一緒にいた味方ごと完全に焼き払っちまったのよ。そんで聖地の連中に目つけられてここへ飛ばされちまった。大体300年くらい前の話だ。ローヴェラン・・・・キュウリの奴は元々ただのキュウリ農家だった。キュウリが世界一栄養の無い野菜だって言われて(※事実です)ブチキレやがってよ。それから半世紀かけて闇の魔術を極めて、ついには自らキュウリになって、魔物化させたキュウリを率いて世界を征服しようとした。そんでここへ送られてきた。今から150年くらい前にな」 何でキュウリに関わった魔術師は極端な生き方する奴が多いんだろう。 「間もなく祭りが始まる。・・・・・千年に一度の祭りだ。そこで俺様達の中で『ただ1人だけが』このクソッタレな呪われた島から開放されるんだ。ま、それは蛇足だったな。何も知らずに死んでいくのも心残りだろうし最後に語ってやったぜ。・・・・お前ら最高だったぞ。あばよ」 グライマーが頭上に浮かべた火球は今までで一番巨大な物だった。・・・・もう私にあれをかわすだけの体力はない。せめてジンパチの盾にならなくては。 そう思った時、周囲がグライマーの赤い炎ではない金色の炎に包まれた。 「何だと!! この炎は!!!」 グライマーが叫ぶ。金色に輝く炎に包まれたが熱さは感じない。 「フェニックス!! ・・・てめえ目覚めてたのか!!!」 『この者達はまだこの島にとって必要な者達だ。殺させはしない。・・・・・・フェニックスキック!!!』 バキッ!! 炎が眩しくて何が起こっているのか見えない。 「ぐはっ! てめえそれは頭突きだろうが!!!」『フェニックスパンチ!!!!』 ドガッ!! 「ぐあっ! それがキックだっつの!!!」『フェニックス賠償請求!!!』 ひょい。 「ああ!てめえ俺様のパンダさんストラップ!!! 返しやがれ!!!」 『・・・さらばだ!!』 金色の炎に包まれたまま、私とジンパチはふわりと宙に浮き上がった。と、そのまま高速で飛翔する。 眼下で何かグライマーが叫んでいたが、たちどころにその声は遠ざかりすぐに聞こえなくなった。 ・・・・・・・・・・・・・。 目を覚ます。ここはどこだ・・・・どこかの洞窟の様だ。 「目を覚ましたか。ウィリアムよ」 ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!! 突然眼前に奇怪な顔面が突き出されてきた。反射的にパンチしてしまう。 「ぐあ!何をする命の恩人もとい恩鳥に!!!」 うわあ目や鼻が取れて落ちてしまった! 無意識とはいえ何と酷い事を・・・・・。 「しかし私はフェニックス!! 何度でも炎の中より再生する生命力の象徴!!!」 言いながら自分で目鼻を拾ってぺたぺたと顔面に貼り付けている。 もう悪い夢のような光景です・・・・。 「さあ、すっかり元通りだ!!」 さっきと配置が微妙に違うぞ!!! その時、近くに寝かされていたジンパチが目を覚ました。 「おお、あっちの男も目を覚ましたようだな。ここならもう安心だ」 だから何故アップで迫るんだ。寝起きの人に。 「ぐああああああああああ妖怪!!!!!!」 バキ!!!! 「ああっ! 何をする!!」 またフェニックスの顔面はバラバラになった。 第11話 2← →第11話 4
https://w.atwiki.jp/nennouryoku/pages/935.html
00714 能力名 密林の種(フォレストシード) タイプ 植物生成 能力系統 具現化系・操作系複合型 系統比率 具現化90%操作系10% 能力の説明 特殊な植物の種を具現化する能力。 この植物の種は生物に寄生して成長し、寄生した生物から栄養素・水分・オーラを吸収して成長する。 植物は吸収した栄養素・水分・オーラの量に比例して成長・増殖し、生物を餌として供給し続ける事で小規模な密林を形成する事も可能(密林クラスに成長すると餌不足に陥り易く維持は困難)。 成長した植物は能力者の思考と意思を理解出来る程度の知性を獲得しており、口頭での指示に応じて攻防や後方支援などを行う(蔓を生成し振るわせての攻撃・ツタを生成し敵に絡み付かせての拘束・植物を盾状 or 壁状に密集させての防衛・幻覚作用のある花粉やフォレストシードの散布・毒性を帯びた花粉の散布・薬草の生成などが出来る。植物に直接触れれば言葉を解さずに指示を伝える事も可能)。 制約\誓約 密林の種(フォレストシード)は1日に一つしか具現化出来ない。 具現化した種は4日以上経つと消滅する 成長後の植物は能力を解除しても消える事は無く、任意で消す事も出来ない(具現化物から一個体の植物になる) 植物が餌となる生物から栄養素・水分・オーラを吸収し切った場合、新たな餌を供給しなければ栄養失調になり24時間後に枯れてしまう。 枯れ切ってしまう前に餌を供給すれば栄養失調から徐々に回復していく。 成長した植物に触れて能力者自身のオーラに還元する事や能力者自身のオーラを植物に与えて植物の成長・回復の促進が可能。 備考 植物の具現化能力とかあったら面白そうだなと思って作りました。 でもコレ、よくよく考えたらほぼ蔵馬のパクリだった… レスポンス コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/arma3life-tokyo/pages/17.html
タクシー運転手【Taxi Driver】 乗客を目的地にまで運びます。 ・特別職 ・採用場所 各町のタクシー事務所 ・必要な資格 普通運転免許証 ・給料 時間経過&成功報酬 ・ワークプレイス タクシー待機場 ほかのプレイヤーからの要請で目的地まで運びます、タクシーメーターを作動させるのを忘れないようにしましょう。 仕事のないときはタクシー待機場にいると時間経過で給料がもらえます、少ないですが・・。 拘束されている人を乗せても料金は取れません。
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/158.html
低く垂れこめた雲が重い。 時折、黒灰色の雲間から閃光が走り雷鳴が轟く。 冬の嵐である。 嵐は何も空の上ばかりではない。地上からは断続的に銃声と爆発音が響いている。 戦争の音だ。 空を彩る雲も灰色なら、眼下の町並みも灰色。 鋼鉄の都、ルーナ帝國首都エンシェンドルム。 そして帝都の中央に位置する巨大な鋼鉄の城砦、帝城バーソロミュー。 その一室にこの帝都の防備を担った2人の将軍の姿があった。 帝國の誇る「六剣皇」の内の2人。 アイザック・ランドルフとロジャー・ローガンの2人だ。 「・・・また雪になりそうですねぇ」 糸目の長身の将軍、知将の誉れ高き六剣皇アイザックが空を仰ぎ見て言う。 「フン、連中もご苦労な事だ。この寒空の下をな。早々に撤退して暖炉のある部屋でウォッカでも飲っていればいいものを」 低い声で応えた口髭の将軍がローガン。通称「帝國の壁」 防衛戦を最も得意とし、自身も契約武装「アシェルの盾」で鉄壁の首尾を誇る武人だ。 ローガンの言う「連中」とは目下この帝都防衛部隊が交戦中の集団の事だ。 ・・・彼らはその名を「黙示録兵団」(アポカリプス)と呼ばれていた・・・。 黙示録兵団が初めてその名を歴史に現したのは三世紀以上も昔の事だ。 彼らは世間一般には終末思想に取り付かれたカルト集団と認識されており、事実ここ半世紀前まではその傾向が非常に強かった。 そう、半世紀前までは。 近年、黙示録兵団は強大かつ凶悪なテロリスト集団として生まれ変った。 その背景には、強力なパトロンがついたのだとか、さる国家に属する工作部隊がその名を持ち出しているだけなのだとか、様々な憶測が飛んだがどれも真実に至る確証を伴ったものではなかった。 そして今現実に、彼らはこの帝都を攻撃している。 世界の頂点に立つ4つの国家の内の一つ、ルーナ帝國の首都を、である。 初めは誰もが、そう世界中の誰もが兵団のその行為を気の違ったテロ集団の玉砕覚悟の特攻だろうと見なした。 しかし開戦より一週間が経過したあたりで、彼らはその認識が誤りである事に気付いた。 攻め手の攻撃は途切れる事が無く、まるで無尽蔵の様に兵を送り出してくる。 その補充が海より来る事を突き止めたまではよかったが、時既に遅し・・・兵団の軍艦によって帝都近海の制海権は奪われていた。 事ここに至って、帝都防衛の最高責任者であるローガン将軍は、地方都市へ派遣されていた同じく六剣皇の2人、ゼメキス将軍とダーウィン将軍の軍へ援軍要請を出した。 自身の「帝國の壁」の称号が傷つく事よりも、これ以上戦闘を長引かせて帝國の名前に傷がつくことの方を重く見たのだった。 「舐められたものよな」 苦々しげにローガンが口にする。 確かに帝國は現在斜陽だ。帝國の繁栄は魔道機関と共にあった。 しかしその魔道機関は現在動力である魔力石の枯渇が世界規模で深刻な問題となっている。 もう半世紀もしない内に全ての魔道機関は使用不能となるだろう。 かつてはその魔力石を求めて近隣に侵略戦争を繰り返した帝國であったが、現在は四王国会議に名を連ね、そう言った争いからは遠ざかっている。 しかしその状態にあって尚帝國は現在も強大な国家であり、他の三王国を覗いてその軍事力に比肩しうる国は存在しない。 ・・・しないはずであった。 六剣皇はもう7年も1人欠けた状態で5人しかおらず、その中で最強の将軍に贈られる称号「剣帝」に至っては20年近くも空位であった。 ローガンにもこの20年で何度も剣帝を拝受せよとの命が降ったが、彼はこれを頑なに固辞してきている。 「受ければよかったんじゃないですか? 『剣帝』 そうすれば兵の士気も上がりましょうに」 アイザックが言う。 「バカな・・・」 ローガンは苦笑する。 「私にも『恥』を知る心というものがある。あの御二方に続いて私如きがどうして剣帝を名乗れようか・・・。おこがましいにも程がある」 先々代ウィリアム・バーンハルト、先代エルンスト・ラゴール・・・共に歴代最強と言われた二者。 「そんな事ないと思うんですけどねぇ・・・」 やれやれ、と嘆息しつつアイザックがグラスを2つ取り出し、ウィスキーの瓶を手にとって琥珀色の液体を注ぐ。 そして一つをローガンに手渡す。 「・・・何にせよあと3日だ」 渡されたグラスをローガンがぐいっと呷った。 「3日守り切ればゼメキスの軍が到着しよう。4,5日すればダーウィンの軍も来る。そうなれば我らの勝ちよ。連中を我らが領土から叩き出してくれるわ」 「3日ですか・・・・」 アイザックもグラスを傾けた。 「・・・『そんなに時間をかけるわけにはいかないんですよね』」 ガシャン!! とグラスの落ちて割れる音がした。 ローガンの手から滑り落ちたグラスだった。 「・・・お・・・おお・・・」 胸を掻き毟るローガン。その口からごぼっと赤黒い血の塊が吐き出される。 「・・・アイザック・・・! ・・・貴様・・・!」 その瞳が憤怒の炎を宿してアイザックを映す。 アイザックの顔にはいつもの微笑があった。 そしてその表情のまま、静かに腰に下げた長剣を抜き放つ。 「信じてはもらえないでしょうが・・・これでも本当に貴方を尊敬して友情も感じていたんですよ」 ローガンが何かを言おうとしたが、その言葉は意味のある響きとなって喉を通る事は無かった。 アイザックの剣に貫かれ、彼は鎧を鳴らして床に倒れて動かなくなった。 「・・・マスター!!!」 壁に立てかけられていた魔法の盾が輝き、背中に白い翼を持つ天使の少年が実体化した。 ともすれば女の子と見紛うばかりの美貌の少年だ。 「・・・やあ、アシェル」 優しい声でアイザックが少年の名を呼ぶ。 アシェルは倒れたローガンに縋り付いた。 そして涙を一杯に浮かべた瞳を上げると、アイザックを睨みつける。 「何故です!? アイザック将軍!! ・・・どうしてマスターを!!!」 んー・・・、とアイザックが頭をかいた。 「いやぁ、君のマスターにももう少し先見の明ってものがあればね。僕もここまではしなくて済んだんだけどね」 そして視線を窓の外へ向けるアイザック。 「この国はね。もう終わりなんだよ。例えここで足掻いてみたって一時的な延命にしかならない。破滅の未来は食い止め様がないんだよ。この国がずっと頑なに守り続けてきたもの・・・・歴史と伝統、人間種族至上主義・・・そういったものが全て枷となって僕らは暗く冷たい冬の沼に沈んでいくしかない」 そしてアイザックは視線をアシェルへと戻した。 「悪いけど僕はそこまで付き合うつもりはないんだ。もう少し賢く生きて行く事にするよ」 剣を振り上げて薄く笑う。 「あっちへ行っても良くマスターにお仕えしてくれよ。将軍も2人なら寂しくないだろうからね」 そしてその2時間後、指揮系統の混乱を突かれ、遂に帝都防衛部隊は最終防衛戦の突破を許した。 建国より数百年・・・一度も外敵に足を踏み入れさせる事の無かった帝城は遂にその廊下に賊の靴音が鳴り響く事を許したのだった。 「おっせー・・・おそすぎるわ! どんだけ待たすんだよ人を。高々この程度の仕事でこの糸目!!!」 扉を蹴破るようにして入ってきた金髪の少女がいきなり悪態をつく。 「いやぁそうおっしゃられましても・・・。寝込み襲ったってそうそう討ち取れるようなお人じゃないんですから・・・。自然にグラスが手渡せるシチュエーションに持ち込むまでに僕がどれだけ苦労したか」 大げさに嘆くアイザック。 「はぁ・・・まあいいや舌先でお前とやりあうと疲れるわこの青狐。で、おーさまどこよ。皇帝陛下は」 アイザックが背後の豪奢な大扉を指す。元々彼は皇帝の私室の前で少女を待っていたのだ。 「・・・まいどー! たっきゅうびんでーす!!!!」 ガアン!!!!と乱暴に扉を蹴破る少女。 室内に入り少女がまず目にしたものは、天蓋つきの豪華なベッドと、その上で半身を起こして俯いている痩せた老人だった。 白いシーツには鮮血が散っている。 老人は喉を短刀で突いていた。既に息をしていない。 周りを、と見れば御付きのメイドや衛士たちも残らず自刃して果てている。 「・・・・死んじゃってんじゃんよ。うちの目が節穴で夕飯に食ったトマトピューレをゲロったってんじゃなきゃな」 「虜囚の身となるくらいならと、誇り高き死を選ばれたんでしょうねぇ。いやいや陛下らしい事です」 祈りのポーズを取るアイザック。 「どうすんのコレ。負けましたゴメンナサイ宣言してもらわなくちゃいけないってのによー」 「フレデリック殿下にそれはお願いする事にしましょう。帝國の第一帝位継承者です。この状況では彼がそうするのがよいかと」 すでに身柄は抑えてあります、と付け足すアイザック。 「あー、息子さんね。例の帝政反対主義者つー。まあ誰でもいいや、やってくれんなら。こっちゃもう次の仕事が差し迫ってんだ。こんなさみー国でいつまでものんびりしてらんねー」 そして思い出した様にアイザックを振り返る少女。 「そうだ。これ済んだらお前も一緒来いよ。どーせもうここにゃ居辛いだろ。このままうちは途中でちょっと『拾い物』してからシードラゴン島に向かうからよ」 その言葉を受けてアイザックが深々と頭を下げる。 「・・・ええ、どこまでもご一緒しますとも。我が主・・・この世の偉大なる支配者、ロードリアス様」 第12話 邂逅と再開と← →第13話 2
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/202.html
そして一夜が明け、2人はオルブライトの用意した船で出航した。 その船は最新式の大型蒸気式貨物船だった。 「コイツはうちの商会でも最高の船だ。最新鋭蒸気エンジンを搭載して今世界でもトップレベルの巡航速度が出せる」 オルブライトが胸を張って言う。 「確かに言うだけあって見事な船だと思うわ。・・・けど、この船でその巨大生物とやり合えるワケ?」 サムトーが問うと、オルブライトが肩をすくめて見せる。 「実際確認してみん事には何とも言えんが、聞いてる通り本当にこの先に待ち構えてるのが蟹竜だとしたらこの船じゃどうにもできんな。この船はそのまま軍用に使えるほどの装甲と火力を持ってるが、それでも蟹竜が相手じゃ甲羅の表面にちゃちな擦り傷付けるのが精一杯ってとこだろうさ。反対に向こうは特に攻撃してこなくたって動くだけで高波が起きてこっちは巻き込まれて船は沈み、俺たちは海の藻屑となって一巻の終わりって事になる」 さらりと絶望的な事を言うオルブライト。 「・・・え・・・。それじゃどうするんですか?」 不安げな表情を浮かべるセシルにオルブライトは白い歯を見せて笑った。 「決まってるだろう・・・避けていくんだよ」 結局、船は前方に待ち構えている巨大生物を探知機で見つけると同時に大きくそれを迂回する航路を取った。 「まあ時間のロスにゃなるがね。それでも勝ち目のない怪物の待つ死の交差点を通るよりはずっとマシだろう」 オルブライトの言葉にセシルは肯いた。 「前方に雨雲も無いようだ。ここからは快適な船旅を楽しんでくれ。2日ほどでセントコーラル諸島へ着く。そこで補給を行ったら後はアンカーの町までノンストップだ」 そう言うとオルブライトは急にぐらりとよろめいた。 「・・・!・・・オルブライトさん!!」 甲板に倒れそうになるオルブライトを慌ててセシルが支えた。 「どうしたんですか!?」 オルブライトはハァハァと荒い息を吐きつつ、真っ青な顔でセシルを見た。 「・・・船酔いだ・・・。自慢じゃないが俺は船に弱いんだ。・・・そして泳げない!!」 「ええええええええええだって船乗りだったんでしょ!!!!?」 思わずセシルが絶叫する。 「・・・難儀なオッサンねぇ・・・」 そんな2人をやや離れた場所で眺めていたサムトーがそう言って嘆息した。 オルブライトが口にした通り、それから2日後に船はセントコーラル諸島が一望できる海域へと到着した。 「補給は半日程だが・・・この辺は暗礁が多くて夜に船出するのは危険だ。翌朝を待って出航する。今日一日は観光を楽しんでく・・・・おえっ!! おええええええええ!!!!!!」 船の縁からゲーゲーと吐いているオルブライトの背を必死にクルーがさすっている。 しかしセシルはそっちを見ていなかった。 船の縁に手をかけて身を乗り出すようにしてセントコーラルの島々を見ている。 「・・・凄い・・・」 その口から呟きが漏れた。 「驚いた? セントコーラルはその名の通り、珊瑚礁の島なのよ」 その隣でサムトーが説明する。 目の前に広がる海には、転々とピンク色の島々が連なっている。 当然島には草木は無く、木造の建物が並んでいた。 「後は魚人たちの楽園としても有名ねぇ」 「魚人? 魚人ってあのサハギン種族の事?」 サムトーが肯く。 「そうよ。でも一口にサハギンと言っても海には実に多種の魚人がいるのよ? ま、それはこれから自分で目にして確かめてみるといいわ」 やがて船が静かにセントコーラルの一島の桟橋へ着く。 セシルは真っ先に船を下りた。 すると早速そのセシルに声をかけてきたものがいる。 「やあ人間のお嬢さん。ようこそセントコーラルへ」 それは魚人であった。随分身体に赤みを帯びた魚人だ。 「私はシオダと申します。仲間内では『ゴールデンアイズ』なんて呼ばれてもいますが」 (・・・金目鯛の魚人さんだわ・・・) ほっほっほと笑い声を出しているシオダを見てセシルが思う。 「お嬢さんはこの地は初めてですね? それでは長老の所へご案内しましょう」 「長老さま・・・ですか?」 するとそこへややフラつく足取りでオルブライトが下りて来た。 「ここへ初めて来た奴は全員長老に面通しする仕来りなんだ」 そう言うとオルブライトはシオダに片手を上げて挨拶した。 2人は顔なじみらしい。 「俺もここはしばらくぶりだし、挨拶しとく事にしよう」 そう言うオルブライトとサムトーを伴ってセシルは長老に挨拶に行く事になった。 シオダが一行を案内したのは、浜辺に面した比較的大きな小屋の中だった。 (・・・ご不在?) セシルが小屋の中を見回すが、人影は無い。 上座には大きなサザエの様な貝が置いてある。 「よう、爺さんしばらくぶりだ。ちょっと厄介になるぜ」 無人の部屋へオルブライトが挨拶する。 すると・・・。 「・・・なんじゃ、懐かしい声がするのう」 貝の中からしわがれた老人の声がしたかと思うと、何かがヌッと貝から顔を出した。 驚いたセシルがキャッと悲鳴を上げる。 「おおっと・・・こりゃ失礼したのう。お嬢ちゃんは『貝人』を見るのは初めてのようじゃな」 半人半貝の老人はそう言ってふぉっふぉと笑った。 「ワシゃマルーダと言う。この辺りの取り纏め役みたいなジジイじゃよ」 そう言ってマルーダ長老はキセルを取り出してスパーッと吹かした。 セシルも丁寧に長老に名乗って頭を下げる。 「そうかしこまらんでもええ。一応この地域の代表として訪れる者の顔と名前くらいは知っておこうとその程度の話じゃて」 「この辺りは相変わらず平和そのものだな」 窓から外を見てオルブライトが言う。 窓から見える浜辺には漁をする魚人や観光客らしい海水浴客が見える。 「ところがそうでもないんじゃよ」 長老がフーッとため息に紫煙を混ぜて吐き出した。 「・・・財団が来とるよ」 「!!!」 長老の言葉にセシルが弾かれた様に顔を上げた。 「・・・何だぁ? 何で財団が? 一大リゾート施設でも作ろうってのか」 訝しげな表情を浮かべるオルブライト。 「・・・さてのぅ。そんな生易しい話なのかどうか・・・。来ておるのはシュヴァイツァーじゃよ」 全員が絶句する。 3人ともその名前には聞き覚えがあった。 財団のリヒャルト・シュヴァイツァーと言えば知らない者は少ないだろう。 「財団の『軍事部門』の統括者ね」 サムトーが静かに言った。 世界中に広がる巨大組織ロードリアス財団。 その傘下の全企業は『総務部門』『軍事部門』『金融部門』『情報部門』『研究開発部門』の総責任者5人によって統括されている。 『ハイドラ』と特務部隊が財団の裏の顔とするなら彼ら5人は財団の表の顔である。 一行の上に思い沈黙が舞い降りたその時、いきなりその空気をブチ壊しにするのんびりした女性の声がした。 「おはようございます・・・あふ・・・今何時でしょうか。私ちょっと寝すぎてしまったみたいで・・・」 セシルが顔を上げると、そこにはエルフの女性が立っていた。 切れ長の瞳の美人だ。胸にはピンクのリボンを首に巻いた子豚を抱いている。 「あら、お客様でしたか。これは失礼しました。私はパルテリース・ローズマリーと言います。そしてこの子は愛馬のアントワネットちゃん」 そう言ってパルテリースは子豚を皆の前に差し出した。 子豚はつぶらな瞳で一行の顔を眺めると 「ぷぎー」 と一声鳴いたのだった。 その珊瑚の島々より遥か南西のシードラゴン島。 アンカーの町にも財団の5人の統括者の内の1人が今滞在している。 アンカーグランドホテル最上階、ロイヤルスイートルーム。 弱冠17歳にして財団系大銀行7つの頭取に名を連ねる財団金融部門の総責任者エトワール・D・ロードリアスである。 そのエトワールの机の上の電話がけたたましく鳴り響く。 「あー、ハイハイもしもし、こちら無慈悲な金利と容赦無い取立てで皆様の生活を奈落の底へと一直線、いつもニコニコエトワールローンです」 エトワールが電話に出る。 「は!? 何!? 拙者拙者って何だ拙者拙者サギかオイ!!! そーゆーのは間に合ってますよゴルァ!!!」 受話器に向かって叫ぶエトワール。 「・・・ああ、何だお前かよ。 何? もう殺ったん? ・・・っていつまでたっても連中が来ない? 知らねーよそんなの。 ・・・え? ぶっ!!!!! お前クラブドラゴンで街の近くで待ち構えてんのかよ!!? アホかそんなもんノコノコ近付いてくる奴なんかいるはずねーだろ!! は!? 武士は正々堂々!? ・・・やかましいわお前共和国産まれの共和国育ちの生粋のファーレンクーンツ人だろうが!!! この元銃士が!!!!」 ガチャン!!!と乱暴に受話器をフックに叩きつけるエトワール。 そして何事かと見ているアイザックと大龍峰の2人に 「・・・リチャードのバカが、やり過ごされやがった」 と顔をしかめて言ったのだった。 第20話 2← →第20話 4