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※このSSには、以前書いたゆっくりいじめ系82 ゆっくりケロちゃん。雨に負けて、風に負けてからの俺設定が出てきます。 ※ゆっくりすわこはカエルもどき、帽子を被ってるのと被っていないのがある。その帽子は、帽子じゃなく別の生き物という設定になっています。 ゆっくりすわこの命運は尽きようとしていた。 「け、ケロー……ケロォオォ……」 樹を背にして、ケロちゃんは鳴き声を上げる。もはや風前の灯火だが、必死に生き残ろうと声を上げ続ける。 そのケロちゃんに迫っていたのは、帽子型の謎の生物だった。 ケロちゃんは他のゆっくりと違い、生まれつき帽子を被ってはいない。 成長していく上でほとんどのケロちゃんが被っている帽子の正体は、この帽子型の生物だった。 この帽子型の生物は畜生帽と呼ばれている。 幼い頃のケロちゃんに寄生し、ケロちゃんの体から直接栄養を吸収して育っていく生物だ。 ゆっくりの中でも非常にとろいケロちゃんは、ろくにエサも獲れず、衰弱して死んでしまうことも少なくない。 そうなると、畜生帽は帽子の中にある口を大きく開き、ケロちゃんの体を歯で砕きながら食してしまう。 ケロちゃんにとって、畜生帽に寄生されることは、今後ずっと栄養を吸われ、ゆっくり出来ず死んでいくことを意味していた。 「うーっ! あーうーっ!」 もう目の前まで迫ってきた畜生帽に、ケロちゃんは大きな声を上げて威嚇する。 しかし獲物を見つけた畜生帽が退くことはなく、帽子の口を大きく開き、ケロちゃんの頭へ被さろうと飛び跳ねた! 「あーうーっ!!」 ケロちゃんの悲鳴は、別の怒号によってかき消された。 「オンバシラーッ!」 背中から放たれた棒が、地面に突き刺さる。 「……」 明らかに自分を狙った攻撃に、畜生帽は帽子に付いた目で飛んできた方向を見る。 そこには背に棒状の飴を背負い、威風堂々としたゆっくりかなこの姿があった。 「……け、ケロ……」 見知らぬゆっくりの登場に戸惑うケロちゃん。 しかし畜生帽はかなこの事を知っていたのか、後方へ飛ぶように離れる。 「……」 憎たらしげにかなこを睨むと、そのまま立ち去っていった。 「……ケ、ケロ。ケロケロ……」 生き延びられた事を理解して、ケロちゃんの体から力が抜ける。 体はお好み焼きのように平べったくなり、まるで液体のように皮が広がっていく。 「オンバシラー」 「ケロ?」 聞こえた声に体に力を入れ直して見ると、特徴的な飴が目に入る。 かなこが、笑顔でケロちゃんの近くまでやって来ていた。 「ケロ! ケロ、ケロケロ!」 「オンバシーラ」 お礼をいうケロちゃん。 通りがかりの身で自分を救ってくれ、さらにこうして気遣ってくれるかなこに、ケロちゃんは感謝していた。 「ケロ、ケロケロ?」 「オンバーシラー」 エサを採っていた最中らしく、かなこは口の中にため込んでいた木の実を、舌に乗せて見せていた。 更にいろいろ話をしていくと、かなこは今1匹で生活している事がわかった。 それを聞いて、ケロちゃんは考え始める。 ゆっくりは群れを成す種が多い生き物だ。それは1匹ではとても生きていけない脆弱さが理由だが、かなこの攻撃力は先ほどの飴発射ではっきりしている。あれなら1匹で生きていくことも出来るだろう。 しかしそれがとても寂しいのは、ケロちゃんにも理解できた。 「ケロ、ケロケロ!」 「お、オンバシラー?」 ケロちゃんはかなこに一緒に住むことを提案した。幸い、ケロちゃんの住処は広いため、かなこが住んでもまだ余裕がある。 ケロちゃんの提案に戸惑いがちだったかなこだが。 「お……オンバシラー」 「あーうー♪」 最後には一緒に住むことを了承していた。 2匹は仲良く並んで住処へと向かっていく。 ケロちゃんは、かなこのことが気になっていた。 出会った時から惹かれていることを自覚し、かなこに心をときめかせていた。 川辺の近くに埋まっていた岩が動いて出来たのか、奥は狭いものの横には広い穴がある。 そこでケロちゃんは、子供達20匹と一緒に暮らしていた。 「あーうー! ゆっくりしていてね!」 ケロちゃんの挨拶が、住処に響き渡った。 「ケロ!」 「ケロ、ケロケロ!」 「けろーーっ!」 帰ってきたケロちゃんへ、カエルの大合唱が出迎える。 子供のゆっくりすわこ達は、一斉にケロちゃんへと群がっていった。 「ケロー」 「ケロ、ケロ」 「ケロケロ~」 「ケロ!」 子供達とケロちゃんの会話が続く。 和やかな家族の団欒の中、恐る恐るといった動きでかなこが住処に入ってきた。 「ケロッ!?」 「ケロ、ケロッ!」 かなこの姿を見つけ、慌てて親の後ろに隠れる子供達。 ケロちゃんはより優しい顔で、子供達に語りかけた。 「あーうー」 「ケロ?」 「ケロケロ?」 「あーうー」 「ケローッ!」 ケロちゃんから話を聞いた途端、子供達はかなこへと群がっていった。 「お、おんばしら?」 「ケロ!」 「ケロケロ!」 「お、オンバーシラー」 「ケロ!!」 飛び跳ねながら近づく子供達の人懐っこい様子に、かなこは戸惑う。 普通のゆっくりは、親しいゆっくり種か、同種でないと警戒するものだ。しかし子供達にその様子は見られない。かなこが戸惑うのも無理はなかった。 元々、ゆっくりの中でも貧弱なケロちゃん、他のゆっくりからエサを分けてもらったり、危険から助けてもらったりすることは多い。 また天敵も別のゆっくり種ではなく畜生帽であり、ゆっくりの中でも他の種と交流の多いゆっくりだ。 その為、かなこにも抵抗なく子供達は構ってもらおうと近づいた。 どこか慌てているかなこの様子に、明るい笑顔を浮かべながらケロちゃんは眺めていた。 住処に、子供達以外のゆっくりはいない。 ケロちゃんの子を産んだ相手は、つい先日、畜生帽に寄生されてそのまま住処を離れて いった。 自分たちの為に犠牲になった相手の気持ちに寂しくなるも、もうちょっとで自分も同じようになっていたと思うと、今更ながら恐怖で体が震えてくる。 「あ、あーうー……」 小さく鳴いたケロちゃんの体に、ぴったりと誰かが体をくっつけて来た。 かなこだった。 「オン、バシラー」 「あ、あーうー?」 「オンバシラー……」 ケロちゃんがかなこの視線の先を見ると、子供達が追いかけっこをして遊んでいる。 「ケロー」 自分の子供の微笑ましさに、思わず先ほどまでの恐怖を忘れ、笑顔を浮かべる。 しかしかなこは、そのままケロちゃんと体を擦り合わせ続けた。 「……オンバシーラー」 「……ケロ」 慰めてくれているのが、ケロちゃんにも伝わってきた。 しかし体を擦り合わせるのは、ゆっくりにとってもっとも一般的な愛撫だ。 次第にケロちゃんの顔は上気し、体の鼓動も激しくなっていく。 このまま交尾をしてしまうのか……ケロちゃんは考えていた。 これ以上子供を増やせば、生活は更に厳しくなるだろう。元々エサを獲るのが苦手なケロちゃんにとって大きな負担になる。 しかしケロちゃんは、かなことの子供が欲しいと思っていた。 優しく、たくましく支えてくれる、かなことの愛の証が欲しくなっていた。 ふと、かなこがケロちゃんの正面にやって来た。 「ケロ?」 見ると大きく口を開け、舌を出している。 「……」 お互いの体を舐め合うのは、より親密度の大きいゆっくりの愛し方だ。 それを、かなこがケロちゃんに求めている。 「……け、ケロ……」 怖ず怖ずとケロちゃんは口を開くと、同じように舌を出す。 「オンバーシラー……」 かなこはその姿に目を細めて喜ぶと、まずは舐め合う前に舌を絡ませようとする。 「あーうー……」 その時、ケロちゃんの脳裏に浮かんでいたのは、かなこと自分の子供達、そして新たな子供を交えた新しい一家の暮らしだった。 ケロちゃんの舌に、何か硬いものが当たった。 「……ケロ?」 舌とはまた違う不思議な感触に、ケロちゃんは当たった場所に目を向けた。 「オンバシーラー♪」 「ケロ!?」 見ると、かなこの口から小型の棒が飛び出していた。 「オンバシラーッ!」 「け、ケロ? ケロケロ!?」 混乱するケロちゃんを気にせず、かなこは口から棒をどんどん出していく。 それはそのままケロちゃんの口へ伸びていき、まるで生きているように中へと入り込んでいった。 「ゲロッ!?」 「お、オンバシラー……」 心地よさそうな、かなこの声に、ケロちゃんの声が重なった。 「ケロ?」 いつもと様子の違う声に、子供達が目を向ける。 しかし2匹が体を重ね、愛し合っている様子を見ると、慌てて目を逸らし、邪魔にならないようにまた遊び始めた。 「お、おおぉおおぉおおんバシーラー……」 「ゲロッ、ゲロゲロッ!!」 ケロちゃんの苦痛は続く。 かなこの口から出てきた棒は、胃カメラのようにどんどんケロちゃんの体の奥へと突き進んでいく。胃カメラと違うのは、道なき道を進んでいる所だ。 「おぉおおおぉおおぉおおおおぉおおおっ!!」 「げろぉおぉおぉおぉおおおぉっ!!」 やがて絶叫と共に、かなこは口から棒を出し切った。 「おんばしーらー……」 「け……けろ……」 すっきりした様子のかなこに対し、ケロちゃんは痙攣したまま動かない。 棒はケロちゃんの体長とほぼ同じ長さ、その全てが、ケロちゃんの体に収まっていた。 「……おんばしらー」 「ゲロッ!?」 かなこは改めて潤んだ目でケロちゃんを見つめると、そのまま体を擦り合わせていく。すっきりしたのは排泄した結果であり、性欲とは別物だ。 「お、おん、オンバシラー!」 「げろぉおおおぉおおっ!!」 肌を赤く染め、息も荒くなり、どんどん動きを激しくしていくかなこ。 しかしケロちゃんは、こんな状態で興奮できる筈もない。 「おおおん、おん、おんばしらぁあぁぁぁああぁっ!!」 「ゆっぐりざぜでぇえ゛ぇえ゛ぇえ゛ぇっ!!」 かなこの絶頂の叫びと、ケロちゃんの必死の叫びが木霊した。 朝日が昇り、1日が始まろうとしている。 仲のいいケロちゃんの子供達は、1匹が起きるとそのまま別の1匹を起きていき、気がつけば全員が目を覚ましている。 そのまま全員が、もう既に起きているであろうケロちゃんへ揃って挨拶をした。 『あーうー! ゆっくりしていってね!』 子供達の大合唱に、ケロちゃんらしい影が応えた。 「ゆっくりしてくださいね!」 「ケロッ!?」 「ケロケロッ!?」 聞いたことのない声に驚く子供達。 ケロちゃんだと思いこんでいた影は、雰囲気は似ているものの、ケロちゃんとはまるで違う外見のゆっくりだった。 「あ、あーうー?」 「ケロ、ケロケロ!」 「けろぉおおおぉっ!」 困惑するものもいれば、ケロちゃんを呼ぶ子供もいる。 しかし、どこからもケロちゃんは現れない。 緑色の髪をしたゆっくりは、淡々と子供達へ呼び掛けた。 「ゆっくりしてくださいね!」 「ケロ?」 「あーうー?」 「ケロケロ?」 キョロキョロと周りを探していた子供達だったが、また視線が緑のゆっくりに集まっていく。 「ゆっくりしてくださいね!」 「あ、あーうー……」 「ケロ、ケロケロ」 「ケロー」 緑のゆっくりの声を聞くたびに、子供達の動揺は潮を引いていく。 「ケロー」 「ケロケロー」 次第に子供達はケロちゃんの事を忘れ、いつも通りに遊び始めた。 その様子を、少し離れた場所でかなこが見ていた。 「……おんばしらー」 その目は細く、口が鼠口に変わっている。ゆっくり独特のほくそ笑み方。 見つめる視線の先にいるのは、ケロちゃんの子供達だった。 それからというもの、子供達は緑のゆっくりに育てられていった。 ケロちゃんと似た優しさに満ちた顔と、優しく接してくれるゆっくりに、子供達は自然と心を開いていく。 更に時が経つにつれて、緑のゆっくり達は少しずつ数を増やしていき、子供達が優しくされる回数も増えていく。 気づけば、視界を埋め尽くすほどの緑色に囲まれて、子供は幸せな一時を過ごしていた。 「ケロー!」 幸せそうな声が住処に響く。 子供は、気がついていなかった。 住処にいるゆっくりすわこが、自分だけになっている事に気づかなかった。 『ゆっくりしてくださいね!』 『オンバシラー!』 部屋の隅では、数匹のゆっくりさなえが、ゆっくりかなこの子供達をあやしている。産まれたばかりの子供達は小さいが、背にはもう飴棒を背負っている。 少し前に成体まで育ったケロちゃんの子供を、かなこ達が犯し、産まれた子供達だった。 「おんばしーらー……」 さなえに構ってもらい、のびのびとしている子供達に、かなこの目尻は下がっていた。 ゆっくりかなこの変わった生態に、他のゆっくりにはない特殊な生殖方法がある。 否、厳密には生殖方法ではない。 それはゆっくりすわこから、ゆっくりさなえを生み出す方法だった。 口から棒を出し埋め込むと、相手は一晩中変わっていく自分の体にもがき苦しみながら朝を向かえると共にさなえへと生まれ変わる。 しかし棒を埋め込んでも、かなこの子供は産まれない。 それは普通のゆっくりと変わらず、普通に交尾することで、受け手に子供が宿るのだ。 「ケローっ」 さなえと一緒に遊んでいる最後の子供。既に体は成長し、成体の大きさにまで成長している。 その声を聞いて、住処にいた10匹のかなこが子供の方を見た。 かなこは、ケロちゃんの天敵ではない。 ただ、産まれた頃からケロちゃんの事が大好きで、つい愛故に一家を滅ぼしてしまうだけだ。 10匹のかなこたちは、さなえに囲まれた子供へ近づいていく。 この子供は1番幼かったため、成体になるまでずっと我慢して育てていた。 しかしここまで来れば、もう我慢する必要はない。 近づいてくるかなこに、多くのさなえは道を空けようと身を退いた。 「ケロ?」 突然、周りからさなえがいなくなり戸惑う子供。多くのかなこが目に映っても、かなこが自分を傷つけるわけがないと、信頼しきっている。 そこへ、10匹全員が同時に襲いかかっていった。 「オンバシラーッ!」 「お、おおぉおおぉんばしらぁーっ!!」 「ばしらー! ばしらぁああぁっ!!」 「あ、ああああううううぅううっ!?」 驚く間もなく子供はかなこに囲まれ、そのまま全員に犯され始めた。 「あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛あ゛あ゛っ!!」 狭い中、私が私がと子供の肌に体を擦りつける。 お互いの体も擦れているが、気にするものはまるでいなかった。 5匹から体を擦り合わされ、残りからは棒を注入される。 5本の棒が、同時に口の中に入っていった。 「おおぉおおぉおおおおっ!!」 「おんばしらっ! おんばしらっ!」 「ゲロ゛ロ゛オ゛ォオ゛オ゛オ゛ォオ゛オ゛ッ!!」 棒は数多く刺しても特に効果は変わらない。 ただ、かなこが凄く気持ちいいだけだ。 「はぁ、はぁっ!!」 「オンバシラッ! オンバシラッ!」 入れ終わったかなこは、今度は体を擦り合わる。 擦り合わせていたかなこは、口から棒を出し、子供へ入れようとする。 お互いに、交互にやり方を変えて子供を愛していく。 棒を入れられるたびに感じる苦痛と、愛撫されることで無理矢理に興奮させられた子供は、目玉が飛び出そうなぐらいに大きく見開き、悶絶していた。 「ゆ゛っ、ゆ゛っぐりざぜでぇぇえ゛ぇぇえ゛っ!!」 「おおおおおおおおんばしらーっ!!」 「ああああああああああああっ!!」 「かなこっ! かなこぉおおおぉおおぉぉおぉっ!!」 子供の断末魔と共に、多くのかなこがすっきりし終える。 しかし、かなこの深い愛は果てることなく、また子供へと襲いかかっていく。 母親から続いた光景に、誰も止めようとするものはいない。 多くのゆっくりが住む幻想郷。 色々なゆっくりがそれぞれ食べられ、潰され、土に還る中。 今日もゆっくりケロちゃんは、みんなから愛されていた。 「あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁっ!」 End 畜生帽「可愛いよ可愛いよケロちゃん!」 かなこ「可愛いよ可愛いよケロちゃん!」 ケロちゃん「あーうー……」 ゆっくりかなこは11スレのネタと、前にあったオンバシラー!キャノン絵からオマージュさせてもらいました、ありがとうございます。 by 762 このSSに感想を付ける
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※このSSには、以前書いたゆっくりいじめ系82 ゆっくりケロちゃん。雨に負けて、風に負けてからの俺設定が出てきます。 ※ゆっくりすわこはカエルもどき、帽子を被ってるのと被っていないのがある。その帽子は、帽子じゃなく別の生き物という設定になっています。 ゆっくりすわこの命運は尽きようとしていた。 「け、ケロー……ケロォオォ……」 樹を背にして、ケロちゃんは鳴き声を上げる。もはや風前の灯火だが、必死に生き残ろうと声を上げ続ける。 そのケロちゃんに迫っていたのは、帽子型の謎の生物だった。 ケロちゃんは他のゆっくりと違い、生まれつき帽子を被ってはいない。 成長していく上でほとんどのケロちゃんが被っている帽子の正体は、この帽子型の生物だった。 この帽子型の生物は畜生帽と呼ばれている。 幼い頃のケロちゃんに寄生し、ケロちゃんの体から直接栄養を吸収して育っていく生物だ。 ゆっくりの中でも非常にとろいケロちゃんは、ろくにエサも獲れず、衰弱して死んでしまうことも少なくない。 そうなると、畜生帽は帽子の中にある口を大きく開き、ケロちゃんの体を歯で砕きながら食してしまう。 ケロちゃんにとって、畜生帽に寄生されることは、今後ずっと栄養を吸われ、ゆっくり出来ず死んでいくことを意味していた。 「うーっ! あーうーっ!」 もう目の前まで迫ってきた畜生帽に、ケロちゃんは大きな声を上げて威嚇する。 しかし獲物を見つけた畜生帽が退くことはなく、帽子の口を大きく開き、ケロちゃんの頭へ被さろうと飛び跳ねた! 「あーうーっ!!」 ケロちゃんの悲鳴は、別の怒号によってかき消された。 「オンバシラーッ!」 背中から放たれた棒が、地面に突き刺さる。 「……」 明らかに自分を狙った攻撃に、畜生帽は帽子に付いた目で飛んできた方向を見る。 そこには背に棒状の飴を背負い、威風堂々としたゆっくりかなこの姿があった。 「……け、ケロ……」 見知らぬゆっくりの登場に戸惑うケロちゃん。 しかし畜生帽はかなこの事を知っていたのか、後方へ飛ぶように離れる。 「……」 憎たらしげにかなこを睨むと、そのまま立ち去っていった。 「……ケ、ケロ。ケロケロ……」 生き延びられた事を理解して、ケロちゃんの体から力が抜ける。 体はお好み焼きのように平べったくなり、まるで液体のように皮が広がっていく。 「オンバシラー」 「ケロ?」 聞こえた声に体に力を入れ直して見ると、特徴的な飴が目に入る。 かなこが、笑顔でケロちゃんの近くまでやって来ていた。 「ケロ! ケロ、ケロケロ!」 「オンバシーラ」 お礼をいうケロちゃん。 通りがかりの身で自分を救ってくれ、さらにこうして気遣ってくれるかなこに、ケロちゃんは感謝していた。 「ケロ、ケロケロ?」 「オンバーシラー」 エサを採っていた最中らしく、かなこは口の中にため込んでいた木の実を、舌に乗せて見せていた。 更にいろいろ話をしていくと、かなこは今1匹で生活している事がわかった。 それを聞いて、ケロちゃんは考え始める。 ゆっくりは群れを成す種が多い生き物だ。それは1匹ではとても生きていけない脆弱さが理由だが、かなこの攻撃力は先ほどの飴発射ではっきりしている。あれなら1匹で生きていくことも出来るだろう。 しかしそれがとても寂しいのは、ケロちゃんにも理解できた。 「ケロ、ケロケロ!」 「お、オンバシラー?」 ケロちゃんはかなこに一緒に住むことを提案した。幸い、ケロちゃんの住処は広いため、かなこが住んでもまだ余裕がある。 ケロちゃんの提案に戸惑いがちだったかなこだが。 「お……オンバシラー」 「あーうー♪」 最後には一緒に住むことを了承していた。 2匹は仲良く並んで住処へと向かっていく。 ケロちゃんは、かなこのことが気になっていた。 出会った時から惹かれていることを自覚し、かなこに心をときめかせていた。 川辺の近くに埋まっていた岩が動いて出来たのか、奥は狭いものの横には広い穴がある。 そこでケロちゃんは、子供達20匹と一緒に暮らしていた。 「あーうー! ゆっくりしていてね!」 ケロちゃんの挨拶が、住処に響き渡った。 「ケロ!」 「ケロ、ケロケロ!」 「けろーーっ!」 帰ってきたケロちゃんへ、カエルの大合唱が出迎える。 子供のゆっくりすわこ達は、一斉にケロちゃんへと群がっていった。 「ケロー」 「ケロ、ケロ」 「ケロケロ~」 「ケロ!」 子供達とケロちゃんの会話が続く。 和やかな家族の団欒の中、恐る恐るといった動きでかなこが住処に入ってきた。 「ケロッ!?」 「ケロ、ケロッ!」 かなこの姿を見つけ、慌てて親の後ろに隠れる子供達。 ケロちゃんはより優しい顔で、子供達に語りかけた。 「あーうー」 「ケロ?」 「ケロケロ?」 「あーうー」 「ケローッ!」 ケロちゃんから話を聞いた途端、子供達はかなこへと群がっていった。 「お、おんばしら?」 「ケロ!」 「ケロケロ!」 「お、オンバーシラー」 「ケロ!!」 飛び跳ねながら近づく子供達の人懐っこい様子に、かなこは戸惑う。 普通のゆっくりは、親しいゆっくり種か、同種でないと警戒するものだ。しかし子供達にその様子は見られない。かなこが戸惑うのも無理はなかった。 元々、ゆっくりの中でも貧弱なケロちゃん、他のゆっくりからエサを分けてもらったり、危険から助けてもらったりすることは多い。 また天敵も別のゆっくり種ではなく畜生帽であり、ゆっくりの中でも他の種と交流の多いゆっくりだ。 その為、かなこにも抵抗なく子供達は構ってもらおうと近づいた。 どこか慌てているかなこの様子に、明るい笑顔を浮かべながらケロちゃんは眺めていた。 住処に、子供達以外のゆっくりはいない。 ケロちゃんの子を産んだ相手は、つい先日、畜生帽に寄生されてそのまま住処を離れて いった。 自分たちの為に犠牲になった相手の気持ちに寂しくなるも、もうちょっとで自分も同じようになっていたと思うと、今更ながら恐怖で体が震えてくる。 「あ、あーうー……」 小さく鳴いたケロちゃんの体に、ぴったりと誰かが体をくっつけて来た。 かなこだった。 「オン、バシラー」 「あ、あーうー?」 「オンバシラー……」 ケロちゃんがかなこの視線の先を見ると、子供達が追いかけっこをして遊んでいる。 「ケロー」 自分の子供の微笑ましさに、思わず先ほどまでの恐怖を忘れ、笑顔を浮かべる。 しかしかなこは、そのままケロちゃんと体を擦り合わせ続けた。 「……オンバシーラー」 「……ケロ」 慰めてくれているのが、ケロちゃんにも伝わってきた。 しかし体を擦り合わせるのは、ゆっくりにとってもっとも一般的な愛撫だ。 次第にケロちゃんの顔は上気し、体の鼓動も激しくなっていく。 このまま交尾をしてしまうのか……ケロちゃんは考えていた。 これ以上子供を増やせば、生活は更に厳しくなるだろう。元々エサを獲るのが苦手なケロちゃんにとって大きな負担になる。 しかしケロちゃんは、かなことの子供が欲しいと思っていた。 優しく、たくましく支えてくれる、かなことの愛の証が欲しくなっていた。 ふと、かなこがケロちゃんの正面にやって来た。 「ケロ?」 見ると大きく口を開け、舌を出している。 「……」 お互いの体を舐め合うのは、より親密度の大きいゆっくりの愛し方だ。 それを、かなこがケロちゃんに求めている。 「……け、ケロ……」 怖ず怖ずとケロちゃんは口を開くと、同じように舌を出す。 「オンバーシラー……」 かなこはその姿に目を細めて喜ぶと、まずは舐め合う前に舌を絡ませようとする。 「あーうー……」 その時、ケロちゃんの脳裏に浮かんでいたのは、かなこと自分の子供達、そして新たな子供を交えた新しい一家の暮らしだった。 ケロちゃんの舌に、何か硬いものが当たった。 「……ケロ?」 舌とはまた違う不思議な感触に、ケロちゃんは当たった場所に目を向けた。 「オンバシーラー♪」 「ケロ!?」 見ると、かなこの口から小型の棒が飛び出していた。 「オンバシラーッ!」 「け、ケロ? ケロケロ!?」 混乱するケロちゃんを気にせず、かなこは口から棒をどんどん出していく。 それはそのままケロちゃんの口へ伸びていき、まるで生きているように中へと入り込んでいった。 「ゲロッ!?」 「お、オンバシラー……」 心地よさそうな、かなこの声に、ケロちゃんの声が重なった。 「ケロ?」 いつもと様子の違う声に、子供達が目を向ける。 しかし2匹が体を重ね、愛し合っている様子を見ると、慌てて目を逸らし、邪魔にならないようにまた遊び始めた。 「お、おおぉおおぉおおんバシーラー……」 「ゲロッ、ゲロゲロッ!!」 ケロちゃんの苦痛は続く。 かなこの口から出てきた棒は、胃カメラのようにどんどんケロちゃんの体の奥へと突き進んでいく。胃カメラと違うのは、道なき道を進んでいる所だ。 「おぉおおおぉおおぉおおおおぉおおおっ!!」 「げろぉおぉおぉおぉおおおぉっ!!」 やがて絶叫と共に、かなこは口から棒を出し切った。 「おんばしーらー……」 「け……けろ……」 すっきりした様子のかなこに対し、ケロちゃんは痙攣したまま動かない。 棒はケロちゃんの体長とほぼ同じ長さ、その全てが、ケロちゃんの体に収まっていた。 「……おんばしらー」 「ゲロッ!?」 かなこは改めて潤んだ目でケロちゃんを見つめると、そのまま体を擦り合わせていく。すっきりしたのは排泄した結果であり、性欲とは別物だ。 「お、おん、オンバシラー!」 「げろぉおおおぉおおっ!!」 肌を赤く染め、息も荒くなり、どんどん動きを激しくしていくかなこ。 しかしケロちゃんは、こんな状態で興奮できる筈もない。 「おおおん、おん、おんばしらぁあぁぁぁああぁっ!!」 「ゆっぐりざぜでぇえ゛ぇえ゛ぇえ゛ぇっ!!」 かなこの絶頂の叫びと、ケロちゃんの必死の叫びが木霊した。 朝日が昇り、1日が始まろうとしている。 仲のいいケロちゃんの子供達は、1匹が起きるとそのまま別の1匹を起きていき、気がつけば全員が目を覚ましている。 そのまま全員が、もう既に起きているであろうケロちゃんへ揃って挨拶をした。 『あーうー! ゆっくりしていってね!』 子供達の大合唱に、ケロちゃんらしい影が応えた。 「ゆっくりしてくださいね!」 「ケロッ!?」 「ケロケロッ!?」 聞いたことのない声に驚く子供達。 ケロちゃんだと思いこんでいた影は、雰囲気は似ているものの、ケロちゃんとはまるで違う外見のゆっくりだった。 「あ、あーうー?」 「ケロ、ケロケロ!」 「けろぉおおおぉっ!」 困惑するものもいれば、ケロちゃんを呼ぶ子供もいる。 しかし、どこからもケロちゃんは現れない。 緑色の髪をしたゆっくりは、淡々と子供達へ呼び掛けた。 「ゆっくりしてくださいね!」 「ケロ?」 「あーうー?」 「ケロケロ?」 キョロキョロと周りを探していた子供達だったが、また視線が緑のゆっくりに集まっていく。 「ゆっくりしてくださいね!」 「あ、あーうー……」 「ケロ、ケロケロ」 「ケロー」 緑のゆっくりの声を聞くたびに、子供達の動揺は潮を引いていく。 「ケロー」 「ケロケロー」 次第に子供達はケロちゃんの事を忘れ、いつも通りに遊び始めた。 その様子を、少し離れた場所でかなこが見ていた。 「……おんばしらー」 その目は細く、口が鼠口に変わっている。ゆっくり独特のほくそ笑み方。 見つめる視線の先にいるのは、ケロちゃんの子供達だった。 それからというもの、子供達は緑のゆっくりに育てられていった。 ケロちゃんと似た優しさに満ちた顔と、優しく接してくれるゆっくりに、子供達は自然と心を開いていく。 更に時が経つにつれて、緑のゆっくり達は少しずつ数を増やしていき、子供達が優しくされる回数も増えていく。 気づけば、視界を埋め尽くすほどの緑色に囲まれて、子供は幸せな一時を過ごしていた。 「ケロー!」 幸せそうな声が住処に響く。 子供は、気がついていなかった。 住処にいるゆっくりすわこが、自分だけになっている事に気づかなかった。 『ゆっくりしてくださいね!』 『オンバシラー!』 部屋の隅では、数匹のゆっくりさなえが、ゆっくりかなこの子供達をあやしている。産まれたばかりの子供達は小さいが、背にはもう飴棒を背負っている。 少し前に成体まで育ったケロちゃんの子供を、かなこ達が犯し、産まれた子供達だった。 「おんばしーらー……」 さなえに構ってもらい、のびのびとしている子供達に、かなこの目尻は下がっていた。 ゆっくりかなこの変わった生態に、他のゆっくりにはない特殊な生殖方法がある。 否、厳密には生殖方法ではない。 それはゆっくりすわこから、ゆっくりさなえを生み出す方法だった。 口から棒を出し埋め込むと、相手は一晩中変わっていく自分の体にもがき苦しみながら朝を向かえると共にさなえへと生まれ変わる。 しかし棒を埋め込んでも、かなこの子供は産まれない。 それは普通のゆっくりと変わらず、普通に交尾することで、受け手に子供が宿るのだ。 「ケローっ」 さなえと一緒に遊んでいる最後の子供。既に体は成長し、成体の大きさにまで成長している。 その声を聞いて、住処にいた10匹のかなこが子供の方を見た。 かなこは、ケロちゃんの天敵ではない。 ただ、産まれた頃からケロちゃんの事が大好きで、つい愛故に一家を滅ぼしてしまうだけだ。 10匹のかなこたちは、さなえに囲まれた子供へ近づいていく。 この子供は1番幼かったため、成体になるまでずっと我慢して育てていた。 しかしここまで来れば、もう我慢する必要はない。 近づいてくるかなこに、多くのさなえは道を空けようと身を退いた。 「ケロ?」 突然、周りからさなえがいなくなり戸惑う子供。多くのかなこが目に映っても、かなこが自分を傷つけるわけがないと、信頼しきっている。 そこへ、10匹全員が同時に襲いかかっていった。 「オンバシラーッ!」 「お、おおぉおおぉんばしらぁーっ!!」 「ばしらー! ばしらぁああぁっ!!」 「あ、ああああううううぅううっ!?」 驚く間もなく子供はかなこに囲まれ、そのまま全員に犯され始めた。 「あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛あ゛あ゛っ!!」 狭い中、私が私がと子供の肌に体を擦りつける。 お互いの体も擦れているが、気にするものはまるでいなかった。 5匹から体を擦り合わされ、残りからは棒を注入される。 5本の棒が、同時に口の中に入っていった。 「おおぉおおぉおおおおっ!!」 「おんばしらっ! おんばしらっ!」 「ゲロ゛ロ゛オ゛ォオ゛オ゛オ゛ォオ゛オ゛ッ!!」 棒は数多く刺しても特に効果は変わらない。 ただ、かなこが凄く気持ちいいだけだ。 「はぁ、はぁっ!!」 「オンバシラッ! オンバシラッ!」 入れ終わったかなこは、今度は体を擦り合わる。 擦り合わせていたかなこは、口から棒を出し、子供へ入れようとする。 お互いに、交互にやり方を変えて子供を愛していく。 棒を入れられるたびに感じる苦痛と、愛撫されることで無理矢理に興奮させられた子供は、目玉が飛び出そうなぐらいに大きく見開き、悶絶していた。 「ゆ゛っ、ゆ゛っぐりざぜでぇぇえ゛ぇぇえ゛っ!!」 「おおおおおおおおんばしらーっ!!」 「ああああああああああああっ!!」 「かなこっ! かなこぉおおおぉおおぉぉおぉっ!!」 子供の断末魔と共に、多くのかなこがすっきりし終える。 しかし、かなこの深い愛は果てることなく、また子供へと襲いかかっていく。 母親から続いた光景に、誰も止めようとするものはいない。 多くのゆっくりが住む幻想郷。 色々なゆっくりがそれぞれ食べられ、潰され、土に還る中。 今日もゆっくりケロちゃんは、みんなから愛されていた。 「あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁっ!」 End 畜生帽「可愛いよ可愛いよケロちゃん!」 かなこ「可愛いよ可愛いよケロちゃん!」 ケロちゃん「あーうー……」 ゆっくりかなこは11スレのネタと、前にあったオンバシラー!キャノン絵からオマージュさせてもらいました、ありがとうございます。 by 762 このSSに感想を付ける
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※このSSには、以前書いたゆっくりいじめ系82 ゆっくりケロちゃん。雨に負けて、風に負けてからの俺設定が出てきます。 ※ゆっくりすわこはカエルもどき、帽子を被ってるのと被っていないのがある。その帽子は、帽子じゃなく別の生き物という設定になっています。 ゆっくりすわこの命運は尽きようとしていた。 「け、ケロー……ケロォオォ……」 樹を背にして、ケロちゃんは鳴き声を上げる。もはや風前の灯火だが、必死に生き残ろうと声を上げ続ける。 そのケロちゃんに迫っていたのは、帽子型の謎の生物だった。 ケロちゃんは他のゆっくりと違い、生まれつき帽子を被ってはいない。 成長していく上でほとんどのケロちゃんが被っている帽子の正体は、この帽子型の生物だった。 この帽子型の生物は畜生帽と呼ばれている。 幼い頃のケロちゃんに寄生し、ケロちゃんの体から直接栄養を吸収して育っていく生物だ。 ゆっくりの中でも非常にとろいケロちゃんは、ろくにエサも獲れず、衰弱して死んでしまうことも少なくない。 そうなると、畜生帽は帽子の中にある口を大きく開き、ケロちゃんの体を歯で砕きながら食してしまう。 ケロちゃんにとって、畜生帽に寄生されることは、今後ずっと栄養を吸われ、ゆっくり出来ず死んでいくことを意味していた。 「うーっ! あーうーっ!」 もう目の前まで迫ってきた畜生帽に、ケロちゃんは大きな声を上げて威嚇する。 しかし獲物を見つけた畜生帽が退くことはなく、帽子の口を大きく開き、ケロちゃんの頭へ被さろうと飛び跳ねた! 「あーうーっ!!」 ケロちゃんの悲鳴は、別の怒号によってかき消された。 「オンバシラーッ!」 背中から放たれた棒が、地面に突き刺さる。 「……」 明らかに自分を狙った攻撃に、畜生帽は帽子に付いた目で飛んできた方向を見る。 そこには背に棒状の飴を背負い、威風堂々としたゆっくりかなこの姿があった。 「……け、ケロ……」 見知らぬゆっくりの登場に戸惑うケロちゃん。 しかし畜生帽はかなこの事を知っていたのか、後方へ飛ぶように離れる。 「……」 憎たらしげにかなこを睨むと、そのまま立ち去っていった。 「……ケ、ケロ。ケロケロ……」 生き延びられた事を理解して、ケロちゃんの体から力が抜ける。 体はお好み焼きのように平べったくなり、まるで液体のように皮が広がっていく。 「オンバシラー」 「ケロ?」 聞こえた声に体に力を入れ直して見ると、特徴的な飴が目に入る。 かなこが、笑顔でケロちゃんの近くまでやって来ていた。 「ケロ! ケロ、ケロケロ!」 「オンバシーラ」 お礼をいうケロちゃん。 通りがかりの身で自分を救ってくれ、さらにこうして気遣ってくれるかなこに、ケロちゃんは感謝していた。 「ケロ、ケロケロ?」 「オンバーシラー」 エサを採っていた最中らしく、かなこは口の中にため込んでいた木の実を、舌に乗せて見せていた。 更にいろいろ話をしていくと、かなこは今1匹で生活している事がわかった。 それを聞いて、ケロちゃんは考え始める。 ゆっくりは群れを成す種が多い生き物だ。それは1匹ではとても生きていけない脆弱さが理由だが、かなこの攻撃力は先ほどの飴発射ではっきりしている。あれなら1匹で生きていくことも出来るだろう。 しかしそれがとても寂しいのは、ケロちゃんにも理解できた。 「ケロ、ケロケロ!」 「お、オンバシラー?」 ケロちゃんはかなこに一緒に住むことを提案した。幸い、ケロちゃんの住処は広いため、かなこが住んでもまだ余裕がある。 ケロちゃんの提案に戸惑いがちだったかなこだが。 「お……オンバシラー」 「あーうー♪」 最後には一緒に住むことを了承していた。 2匹は仲良く並んで住処へと向かっていく。 ケロちゃんは、かなこのことが気になっていた。 出会った時から惹かれていることを自覚し、かなこに心をときめかせていた。 川辺の近くに埋まっていた岩が動いて出来たのか、奥は狭いものの横には広い穴がある。 そこでケロちゃんは、子供達20匹と一緒に暮らしていた。 「あーうー! ゆっくりしていてね!」 ケロちゃんの挨拶が、住処に響き渡った。 「ケロ!」 「ケロ、ケロケロ!」 「けろーーっ!」 帰ってきたケロちゃんへ、カエルの大合唱が出迎える。 子供のゆっくりすわこ達は、一斉にケロちゃんへと群がっていった。 「ケロー」 「ケロ、ケロ」 「ケロケロ~」 「ケロ!」 子供達とケロちゃんの会話が続く。 和やかな家族の団欒の中、恐る恐るといった動きでかなこが住処に入ってきた。 「ケロッ!?」 「ケロ、ケロッ!」 かなこの姿を見つけ、慌てて親の後ろに隠れる子供達。 ケロちゃんはより優しい顔で、子供達に語りかけた。 「あーうー」 「ケロ?」 「ケロケロ?」 「あーうー」 「ケローッ!」 ケロちゃんから話を聞いた途端、子供達はかなこへと群がっていった。 「お、おんばしら?」 「ケロ!」 「ケロケロ!」 「お、オンバーシラー」 「ケロ!!」 飛び跳ねながら近づく子供達の人懐っこい様子に、かなこは戸惑う。 普通のゆっくりは、親しいゆっくり種か、同種でないと警戒するものだ。しかし子供達にその様子は見られない。かなこが戸惑うのも無理はなかった。 元々、ゆっくりの中でも貧弱なケロちゃん、他のゆっくりからエサを分けてもらったり、危険から助けてもらったりすることは多い。 また天敵も別のゆっくり種ではなく畜生帽であり、ゆっくりの中でも他の種と交流の多いゆっくりだ。 その為、かなこにも抵抗なく子供達は構ってもらおうと近づいた。 どこか慌てているかなこの様子に、明るい笑顔を浮かべながらケロちゃんは眺めていた。 住処に、子供達以外のゆっくりはいない。 ケロちゃんの子を産んだ相手は、つい先日、畜生帽に寄生されてそのまま住処を離れて いった。 自分たちの為に犠牲になった相手の気持ちに寂しくなるも、もうちょっとで自分も同じようになっていたと思うと、今更ながら恐怖で体が震えてくる。 「あ、あーうー……」 小さく鳴いたケロちゃんの体に、ぴったりと誰かが体をくっつけて来た。 かなこだった。 「オン、バシラー」 「あ、あーうー?」 「オンバシラー……」 ケロちゃんがかなこの視線の先を見ると、子供達が追いかけっこをして遊んでいる。 「ケロー」 自分の子供の微笑ましさに、思わず先ほどまでの恐怖を忘れ、笑顔を浮かべる。 しかしかなこは、そのままケロちゃんと体を擦り合わせ続けた。 「……オンバシーラー」 「……ケロ」 慰めてくれているのが、ケロちゃんにも伝わってきた。 しかし体を擦り合わせるのは、ゆっくりにとってもっとも一般的な愛撫だ。 次第にケロちゃんの顔は上気し、体の鼓動も激しくなっていく。 このまま交尾をしてしまうのか……ケロちゃんは考えていた。 これ以上子供を増やせば、生活は更に厳しくなるだろう。元々エサを獲るのが苦手なケロちゃんにとって大きな負担になる。 しかしケロちゃんは、かなことの子供が欲しいと思っていた。 優しく、たくましく支えてくれる、かなことの愛の証が欲しくなっていた。 ふと、かなこがケロちゃんの正面にやって来た。 「ケロ?」 見ると大きく口を開け、舌を出している。 「……」 お互いの体を舐め合うのは、より親密度の大きいゆっくりの愛し方だ。 それを、かなこがケロちゃんに求めている。 「……け、ケロ……」 怖ず怖ずとケロちゃんは口を開くと、同じように舌を出す。 「オンバーシラー……」 かなこはその姿に目を細めて喜ぶと、まずは舐め合う前に舌を絡ませようとする。 「あーうー……」 その時、ケロちゃんの脳裏に浮かんでいたのは、かなこと自分の子供達、そして新たな子供を交えた新しい一家の暮らしだった。 ケロちゃんの舌に、何か硬いものが当たった。 「……ケロ?」 舌とはまた違う不思議な感触に、ケロちゃんは当たった場所に目を向けた。 「オンバシーラー♪」 「ケロ!?」 見ると、かなこの口から小型の棒が飛び出していた。 「オンバシラーッ!」 「け、ケロ? ケロケロ!?」 混乱するケロちゃんを気にせず、かなこは口から棒をどんどん出していく。 それはそのままケロちゃんの口へ伸びていき、まるで生きているように中へと入り込んでいった。 「ゲロッ!?」 「お、オンバシラー……」 心地よさそうな、かなこの声に、ケロちゃんの声が重なった。 「ケロ?」 いつもと様子の違う声に、子供達が目を向ける。 しかし2匹が体を重ね、愛し合っている様子を見ると、慌てて目を逸らし、邪魔にならないようにまた遊び始めた。 「お、おおぉおおぉおおんバシーラー……」 「ゲロッ、ゲロゲロッ!!」 ケロちゃんの苦痛は続く。 かなこの口から出てきた棒は、胃カメラのようにどんどんケロちゃんの体の奥へと突き進んでいく。胃カメラと違うのは、道なき道を進んでいる所だ。 「おぉおおおぉおおぉおおおおぉおおおっ!!」 「げろぉおぉおぉおぉおおおぉっ!!」 やがて絶叫と共に、かなこは口から棒を出し切った。 「おんばしーらー……」 「け……けろ……」 すっきりした様子のかなこに対し、ケロちゃんは痙攣したまま動かない。 棒はケロちゃんの体長とほぼ同じ長さ、その全てが、ケロちゃんの体に収まっていた。 「……おんばしらー」 「ゲロッ!?」 かなこは改めて潤んだ目でケロちゃんを見つめると、そのまま体を擦り合わせていく。すっきりしたのは排泄した結果であり、性欲とは別物だ。 「お、おん、オンバシラー!」 「げろぉおおおぉおおっ!!」 肌を赤く染め、息も荒くなり、どんどん動きを激しくしていくかなこ。 しかしケロちゃんは、こんな状態で興奮できる筈もない。 「おおおん、おん、おんばしらぁあぁぁぁああぁっ!!」 「ゆっぐりざぜでぇえ゛ぇえ゛ぇえ゛ぇっ!!」 かなこの絶頂の叫びと、ケロちゃんの必死の叫びが木霊した。 朝日が昇り、1日が始まろうとしている。 仲のいいケロちゃんの子供達は、1匹が起きるとそのまま別の1匹を起きていき、気がつけば全員が目を覚ましている。 そのまま全員が、もう既に起きているであろうケロちゃんへ揃って挨拶をした。 『あーうー! ゆっくりしていってね!』 子供達の大合唱に、ケロちゃんらしい影が応えた。 「ゆっくりしてくださいね!」 「ケロッ!?」 「ケロケロッ!?」 聞いたことのない声に驚く子供達。 ケロちゃんだと思いこんでいた影は、雰囲気は似ているものの、ケロちゃんとはまるで違う外見のゆっくりだった。 「あ、あーうー?」 「ケロ、ケロケロ!」 「けろぉおおおぉっ!」 困惑するものもいれば、ケロちゃんを呼ぶ子供もいる。 しかし、どこからもケロちゃんは現れない。 緑色の髪をしたゆっくりは、淡々と子供達へ呼び掛けた。 「ゆっくりしてくださいね!」 「ケロ?」 「あーうー?」 「ケロケロ?」 キョロキョロと周りを探していた子供達だったが、また視線が緑のゆっくりに集まっていく。 「ゆっくりしてくださいね!」 「あ、あーうー……」 「ケロ、ケロケロ」 「ケロー」 緑のゆっくりの声を聞くたびに、子供達の動揺は潮を引いていく。 「ケロー」 「ケロケロー」 次第に子供達はケロちゃんの事を忘れ、いつも通りに遊び始めた。 その様子を、少し離れた場所でかなこが見ていた。 「……おんばしらー」 その目は細く、口が鼠口に変わっている。ゆっくり独特のほくそ笑み方。 見つめる視線の先にいるのは、ケロちゃんの子供達だった。 それからというもの、子供達は緑のゆっくりに育てられていった。 ケロちゃんと似た優しさに満ちた顔と、優しく接してくれるゆっくりに、子供達は自然と心を開いていく。 更に時が経つにつれて、緑のゆっくり達は少しずつ数を増やしていき、子供達が優しくされる回数も増えていく。 気づけば、視界を埋め尽くすほどの緑色に囲まれて、子供は幸せな一時を過ごしていた。 「ケロー!」 幸せそうな声が住処に響く。 子供は、気がついていなかった。 住処にいるゆっくりすわこが、自分だけになっている事に気づかなかった。 『ゆっくりしてくださいね!』 『オンバシラー!』 部屋の隅では、数匹のゆっくりさなえが、ゆっくりかなこの子供達をあやしている。産まれたばかりの子供達は小さいが、背にはもう飴棒を背負っている。 少し前に成体まで育ったケロちゃんの子供を、かなこ達が犯し、産まれた子供達だった。 「おんばしーらー……」 さなえに構ってもらい、のびのびとしている子供達に、かなこの目尻は下がっていた。 ゆっくりかなこの変わった生態に、他のゆっくりにはない特殊な生殖方法がある。 否、厳密には生殖方法ではない。 それはゆっくりすわこから、ゆっくりさなえを生み出す方法だった。 口から棒を出し埋め込むと、相手は一晩中変わっていく自分の体にもがき苦しみながら朝を向かえると共にさなえへと生まれ変わる。 しかし棒を埋め込んでも、かなこの子供は産まれない。 それは普通のゆっくりと変わらず、普通に交尾することで、受け手に子供が宿るのだ。 「ケローっ」 さなえと一緒に遊んでいる最後の子供。既に体は成長し、成体の大きさにまで成長している。 その声を聞いて、住処にいた10匹のかなこが子供の方を見た。 かなこは、ケロちゃんの天敵ではない。 ただ、産まれた頃からケロちゃんの事が大好きで、つい愛故に一家を滅ぼしてしまうだけだ。 10匹のかなこたちは、さなえに囲まれた子供へ近づいていく。 この子供は1番幼かったため、成体になるまでずっと我慢して育てていた。 しかしここまで来れば、もう我慢する必要はない。 近づいてくるかなこに、多くのさなえは道を空けようと身を退いた。 「ケロ?」 突然、周りからさなえがいなくなり戸惑う子供。多くのかなこが目に映っても、かなこが自分を傷つけるわけがないと、信頼しきっている。 そこへ、10匹全員が同時に襲いかかっていった。 「オンバシラーッ!」 「お、おおぉおおぉんばしらぁーっ!!」 「ばしらー! ばしらぁああぁっ!!」 「あ、ああああううううぅううっ!?」 驚く間もなく子供はかなこに囲まれ、そのまま全員に犯され始めた。 「あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛あ゛あ゛っ!!」 狭い中、私が私がと子供の肌に体を擦りつける。 お互いの体も擦れているが、気にするものはまるでいなかった。 5匹から体を擦り合わされ、残りからは棒を注入される。 5本の棒が、同時に口の中に入っていった。 「おおぉおおぉおおおおっ!!」 「おんばしらっ! おんばしらっ!」 「ゲロ゛ロ゛オ゛ォオ゛オ゛オ゛ォオ゛オ゛ッ!!」 棒は数多く刺しても特に効果は変わらない。 ただ、かなこが凄く気持ちいいだけだ。 「はぁ、はぁっ!!」 「オンバシラッ! オンバシラッ!」 入れ終わったかなこは、今度は体を擦り合わる。 擦り合わせていたかなこは、口から棒を出し、子供へ入れようとする。 お互いに、交互にやり方を変えて子供を愛していく。 棒を入れられるたびに感じる苦痛と、愛撫されることで無理矢理に興奮させられた子供は、目玉が飛び出そうなぐらいに大きく見開き、悶絶していた。 「ゆ゛っ、ゆ゛っぐりざぜでぇぇえ゛ぇぇえ゛っ!!」 「おおおおおおおおんばしらーっ!!」 「ああああああああああああっ!!」 「かなこっ! かなこぉおおおぉおおぉぉおぉっ!!」 子供の断末魔と共に、多くのかなこがすっきりし終える。 しかし、かなこの深い愛は果てることなく、また子供へと襲いかかっていく。 母親から続いた光景に、誰も止めようとするものはいない。 多くのゆっくりが住む幻想郷。 色々なゆっくりがそれぞれ食べられ、潰され、土に還る中。 今日もゆっくりケロちゃんは、みんなから愛されていた。 「あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁっ!」 End 畜生帽「可愛いよ可愛いよケロちゃん!」 かなこ「可愛いよ可愛いよケロちゃん!」 ケロちゃん「あーうー……」 ゆっくりかなこは11スレのネタと、前にあったオンバシラー!キャノン絵からオマージュさせてもらいました、ありがとうございます。 by 762 このSSに感想を付ける
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土着神「ケロちゃん風雨に負けず」 No.2106 土着神「ケロちゃん風雨に負けず」 スペルカード 攻撃2 迎撃2 命中5 通常 条件:諏訪子 諏訪子 呪力3 信仰(1) [充填フェイズ]常時 このスペルは、相手のイベント・特殊能力の目標にならない。 [戦闘フェイズ]常時 このスペルでの戦闘中、基本能力を持たないスペルすべては「命中-1」を得る。 イラスト:名波早乃 考察 充填フェイズ中に耐性を得る永続効果、命中を下げる永続効果を持つスペル。 上の効果は畏怖すべき存在や時間停止、我儘やシャットダウンなどを防ぐ。 安定して迎撃に専念出来るのは強み。 下の効果は、基本能力のないスペルを弱化させる効果。 現在では基本能力持ちの攻撃スペルも増えているため意外と誘発させにくい。 一部の攻撃スペルを決死出来る程度に考えておくのが無難。 能力込みで決死判定に持ち込めるのは符の弐「坤軸の大鬼」、月符「ルナサイクロン」、凍符「マイナスK」など。 効果を抜きにしても呪力3迎撃2命中5であり、銀符「パーフェクトメイド」なども無理なく撃ち落とせるのでそこそこ優秀である。
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No.2106 土着神「ケロちゃん風雨に負けず」 條件:諏訪子2 屬性:通常 咒力:3 攻擊:2 迎擊:2 命中:5 信仰(1) [充填階段]常時 這張符卡不能成為任何事件卡、特殊能力的目標。 [戰鬥階段]常時 這張符卡在戰鬥中,沒持有基本能力的所有符卡獲得「命中-1」。
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ケロちゃん風雨に負けず「洩矢 諏訪子」 読み:けろちゃんふううにまけず「もりや すわこ」 カテゴリー:Chara/女性 作品:花風編 属性:地水 ATK:5(-) DEF:8(+1) 【登場】〔自分のキャラ1体を【表】【スタンド】から【裏】【リバース】にする〕 【乱入】〔自分の【表】のフレンド1体を控え室に置き、自分の「東風谷 早苗」を【裏】から【表】にする〕 [永続]自分の「東風谷 早苗」は『貫通』を得る。 [永続]自分のパートナーが「東風谷 早苗」で、このキャラがバトルに参加している場合、バトル相手のスキルすべてを無効にする。 あんな女、敵よ敵 illust:うめきち 花風-006 C SC 収録:エクストラブースター「OS:東方混沌符 -花風編-」 参考 ネームが「洩矢 諏訪子」であるキャラ・エクストラ一覧 諏訪子様の仰るとおりに「東風谷 早苗」 「洩矢 諏訪子」 明日ハレの日、ケの昨日「八坂 神奈子」&「洩矢 諏訪子」 愉快な日本の神様「洩矢 諏訪子」 巨大人形「非想天則」 坤を創造する程度の能力「洩矢 諏訪子」 坤を創造する神様「洩矢 諏訪子」 土着神の頂点「洩矢 諏訪子」 ネイティブフェイス「洩矢 諏訪子」 ケロちゃん風雨に負けず「洩矢 諏訪子」 はた迷惑な謎の神様「八坂 神奈子」 「洩矢 諏訪子」 ネームが「東風谷 早苗」であるキャラ・エクストラ一覧 麓の神社「射命丸 文」&「東風谷 早苗」 霊山に風が吹く「東風谷 早苗」 諏訪子様の仰るとおりに「東風谷 早苗」 「洩矢 諏訪子」 神奈子様の仰るとおりに「東風谷 早苗」 「八坂 神奈子」 我欲の巫女「東風谷 早苗」 巫女二人「博麗 霊夢」 「東風谷 早苗」 山の新人神様「東風谷 早苗」 奇跡を起こす程度の能力「東風谷 早苗」 奇跡を起こす人間「東風谷 早苗」 八坂の神風「東風谷 早苗」 信仰は儚き人間の為に「東風谷 早苗」
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蛙鳴戯文-ケロちゃん風評被害に負けず- サークル:Stratosphere Number Track Name Arranger Original Works Original Tune Length 01 土着神は夕暮れに鳴く 卜部征路 東方風神録 ネイティブフェイス [03 26] 02 未知なる一歩 卜部征路 東方風神録 人恋し神様 ~ Romantic Fall [02 36] 03 閑閑会議 卜部征路 東方文花帖 風の循環 ~ Wind Tour [04 27] 04 薄氷 卜部征路 東方風神録 厄神様の通り道 ~ Dark Road [04 25] 05 スニーキングミッション 卜部征路 東方文花帖 天狗が見ている ~ Black Eyes [04 05] 06 ケロちゃん日照りに負けず 卜部征路 東方風神録 明日ハレの日、ケの昨日 [03 31] 07 つないだ右手と空の左手 卜部征路 東方風神録 妖怪の山 ~ Mysterious Mountain [04 10] 08 フォールイントゥフォール 卜部征路 東方風神録 フォールオブフォール ~ 秋めく滝 [03 33] 09 白昼の流れ星 卜部征路 東方風神録 信仰は儚き人間の為に [03 48] 10 神々は紙面に踊れ 卜部征路 東方文花帖 風神少女 [04 39] 11 信義大戦 卜部征路 東方風神録 神さびた古戦場 ~ Suwa Foughten Field [05 57] 12 土着神は暁に鳴く 卜部征路 東方風神録 ネイティブフェイス [03 14] 詳細 コミックマーケット74(2008/08/16)にて頒布 イベント価格:500円 レビュー 名前 コメント
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ゆっくりケロちゃんの特徴に大きな帽子が上げられる。 通常、各ゆっくりはそれぞれ特徴的な帽子やリボンをつけているが、その中でもケロちゃんの帽子は大きく、また異形だ。ゆっくりは他の生物と比べてもかなり特徴的な生物だが、ケロちゃんはその帽子のため、さらに目立つ存在であり、人々にもかなり知れ渡っている。 しかしケロちゃんが生まれる際、頭に帽子を被っていないのはあまり知られていなかった。 「ケロ、ケロケロ!」 ケロちゃんが川辺を歩いている。ケロケロと鳴きながら顔は笑顔。元気いっぱいな姿を可愛いという人も多い。頭には他のケロちゃんと変わりなく、特徴的な帽子を被っていた。 「ケロケロ……ケロッ!」 川辺を歩いているケロちゃんの目に、野花とその上に乗っているトンボの姿が映った。 ケロちゃんの目が変わる。朝から何も食べていないケロちゃんにとって、トンボはまたとないごちそうだ。是非捕まえて食べてしまいたい。 「ケロ……ケロ……」 鳴き声を小さくし、少しづつ近づいていくケロちゃん。早く食べたいと焦る気持ちを必死に押さえつける。 次第に、飛びかかれば届く距離になる。 「ケロぉぉおぉおぉぉぉおっ!」 押さえつけた気持ちを解放し、ケロちゃんはトンボに飛びかかる。 しかしそれに気づいたトンボは、焦ることなく野花の上から飛び去り、ケロちゃんはトンボのいない野花へとダイブした。 「……! ……!」 地面に突っ伏したまま、なかなか起き上がれないケロちゃん。 どうにか体を起こした時には、既にトンボは遠くに逃げてしまっていた。 ケロちゃんの目に涙が滲む。 「あーうー……」 いくら泣いても、お腹は膨れてくれなかった。 それからしばらく川辺にのこり、やって来るトンボを捕まえようとするが1匹も捕まえられない。 歩く速度も普通。動きも普通。 ただゆっくりの中でも、ケロちゃんはかなり鈍くさかった。 「あーうー!」 日が暮れて来てもトンボ1匹捕まえられない。何か食べたいと高まってくる欲求にケロちゃんは大きく叫んだ。 ふと、帽子の中で何かが動いた。 「あうっ!」 瞬間、身を硬直させるケロちゃん。上を見上げるが帽子のつばしか見えない。 帽子の中では、1本のドリルがケロちゃんの頭に刺さろうとしていた。 「あ゛ぎゃぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛お゛あ゛ぁっ!」 頭に走った激痛にケロちゃんは叫び声を上げる。瞳孔と口は開き、目は血走っているが、端からは何が起こっているのかわからない。 帽子の中からケロちゃんへ伸びたドリルは、その大きさ10センチほどを頭の中に埋め込むと、そのまま動くのを止めた。 「あ、あああぁああぁぁ……」 軽くなった痛みに自然と声が小さくなるケロちゃん。 ドリルは花を咲かせるように体を開き、あけた穴を広げながらケロちゃんの中身をえぐり取った。 「ぎゃあ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁあ゛っ!」 大きさ10センチが、半径10センチに変わったドリルは、ケロちゃんの固まりをつけたまま上へと戻っていく。 ぽっかりと大きな穴がケロちゃんの頭に開いたが、外から見ると何も変わっていないようにしか見えない。 完全に白目を向き、ケロちゃんは痙攣しながら俯せに転がっている。 ケロちゃんにはわかっていた。 この帽子が攻撃してくるのは、エサが獲れない時だとわかっていた。 次の日、ケロちゃんは草むらにいた。 「ケロケロケロ!」 頭の傷はまだ完全に治っていない。その部分だけ水分が多く、まだ火の通っていない生菓子の生地のように色も変わっている。 あれからまだエサを獲れていない。空腹なままのケロちゃんはしかし今日こそはと意気込んでエサを探していた。 「ケロォー!」 朝からひたすら探していたおかげか、喜んでいるケロちゃんの目の前には芋虫が3匹ほど動いていた。 ケロちゃんにとって芋虫はそれほど好物ではないが、お腹が空いている今、贅沢は言っていられない。早速食べようと、ケロちゃんは舌を伸ばし始めた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりー!」 「ケロ?」 突然、後ろから声をかけられる。 そこには草をかき分けて近づいていくゆっくり魔理沙とゆっくりれいむの姿があった。 「ケロー♪」 思わぬ仲間の登場に喜ぶケロちゃん。ゆっくりの中でも鈍くさいケロちゃんにとって他のゆっくり達は、困っている時に助けてくれる大切な仲間だ。エサのことも忘れて近づいていく。 近づいてくるケロちゃんを笑顔で迎え入れるゆっくり達。 しかしその後ろで動く芋虫を見つけた途端、目の色が変わった。 「ゆっくり!」 「ゆっくりゆっくり!」 「ケ、ケロっ!?」 向かってくるケロちゃんを放っておいて、芋虫に向かう。 「ハフ、ハフハフッ!」 「うめぇ! うめぇぇっ!」 「ケ、ケロッ! ケロッ!!」 自分の獲ってきたエサを食べられるのに気づくと、急いでケロちゃんも引き返すが、既に芋虫はゆっくり達の腹の中に収まっていた。 「げっぷぅううぅううぅうっ……」 「いっぱいー!」 「あーうー……」 朝からずっと探し続けた成果のなれの果てに、自然と涙が溢れ出していく。 「ゆっくりしていってね!」 「またゆっくりしに来るね!」 泣いているケロちゃんをまるで気にせず、ゆっくり達はそのまま帰路へ就いた。 風で草の揺れる中、ケロちゃんの泣き声だけが響き渡る。 帽子の中で、何かが動く気配がした。 「あ゛あ゛っ!」 叫びながら体を横に振り、抵抗するケロちゃん。しかし帽子はしっかりと頭に食いつき、まるで取れそうにない。 帽子の中ではドリルの時のように何かが伸びてきて、ケロちゃんの頭に乗った。 「……」 そのまま何も起きない。 「……あーうー?」 不思議に思い、自然とケロちゃんが声を出した瞬間、乗っていた何がが動き出す。 それは平べったく、まるで布のような感触だったが、表面の目の粗さは石や砂で出来た荒れ地のようだ。 世間的には紙ヤスリと例えられそうなものが、ケロちゃんの頭に乗っていた。 「あ゛ががあ゛ぁぁあ゛ががぁぁあ゛あ゛っ!」 生菓子の生地のようだった色違いの皮膚を、紙ヤスリがガリガリと削っていく。 「い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛っ!!」 丸かったケロちゃんの頭は、ヤスリで擦られていくごとにどんどん四角く変形していく。 「……あ゛……あ゛が……う゛……っ」 ケロちゃんの声が擦れ、まともに声が出なくなった時、ヤスリは動きを止めていた。頭はほとんど平らになり、帽子の中では大漁の削りカスが山をつくっている。 「……あ……う゛……」 朦朧とする意識の中でケロちゃんの頭に浮かんでいたのは、先ほどエサを奪っていったゆっくり達の姿だった。 ケロちゃんは必死だった。 これ以上、帽子から虐待を受けたくない。でもエサは手に入らない。 悩んだ末に、ケロちゃんは一つ、捕まえられそうなエサの存在に気がついた。 他のゆっくりの存在である。 「……ケロ」 他のゆっくり達を食べた事はある、だがケロちゃんは自分から捕まえようとしたことはない。せいぜい死んだばかりのゆっくりを食べている際に、ご相伴に預かったぐらいだ。 しかし向こうはケロちゃんの事を無害とわかっているので、初めてあった時からすぐに気を許して近づいてくる。これを利用しない手はない。 ケロちゃんはいつものように鳴きながら、他のゆっくり達を探し始めた。 「ま、まりさっ!」 「れいむ、れいむれいれれれれれれれっ!」 ある洞穴の中で。 ゆっくりれいむとまりさのつがいが交尾をしていた。 「すっきりー」 上になっていたまりさが晴れやかな顔で呟く。しばらくすればれいむの体から茎が伸び、子供が生まれ、れいむの体が大きくなり、このつがい達も親子連れになるのだろう。 「……ゆっくりしていてね!」 魔理沙はゆっくりしているれいむの姿を見守っていたが、出産後に何か食べさせてあげたいと思い、外へ出かけていった。 ちょうど魔理沙と入れ違いになりながら、ケロちゃんは洞穴へやって来た。 「……ケロ」 洞穴の入り口から、ケロちゃんは中の様子を探る。中にいるのがれいむ1匹だけだと確認すると、そのまま静かに洞穴へ入っていく。 「……」 れいむはケロちゃんの存在に気づいたが、出産を間近に控えた身、声を上げることなく静かにケロちゃんを迎え入れた。 ようやく獲物を見つけたと、れいむに近づいていくケロちゃん。しかし側まで来た時、そのれいむが出産間近だと気がついた。 「……あーうー……」 子供を産もうとしているれいむを食べていいのか、ケロちゃんの中で葛藤が生まれる。 無事に子供を産んで欲しい、でももうずっとご飯を食べていない……。 れいむの目の前で「あーうー」と良いながらウロウロと動き、悩むケロちゃん。 そんな時、帽子の中から音が聞こえた。 「ゲロッ!」 悩んでいる暇はない、もう虐待されるのは嫌だ! 目の前にいるれいむに思いっきり噛みついた。 「あ゛あ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁっ!」 思わずれいむは目を見開いた。敵じゃないと思っていたものからの攻撃に驚きと痛みの悲鳴を上げる。 ケロちゃんは久しぶりの食事の感触に、もはや完全に理性を失い、ただひたすらに噛み砕いていく。 「ゲロ、ゲロゲロッ!!」 「や゛め゛でぇぇえ゛え゛ぇぇぇえ゛え゛ぇっ! だべな゛い゛でぇえ゛え゛え゛ぇっ!」 前に食べた死んでいるゆっくりと比較にならないその旨さに、ケロちゃんは思わず泣きながら食べていた。 突然、横からの衝撃に、ケロちゃんは吹き飛ばされる。 「ゲロ゛ッ!?」 驚くも、どうにか倒れずに踏ん張る。 慌てて振り返ると、そこには飛びかかってくる魔理沙の姿があった。 「ゆっくりしね!」 「ゲロ゛っ!!」 ゆっくりの全体重を受けるケロちゃん。強く食い込んでいる帽子がさらに奥へと食い込んでくる。 魔理沙の怒りはそれだけでは収まらず、帽子の上で何度も何度も飛び跳ねた。 「ゆっくりしねっ! ゆっくりしねっ! しねぇっ!」 「ゲロ゛ッ! ゲロ゛ゲロ゛ッ!」 どんどん帽子が埋め込まれていく。このままでは体全てを帽子の中に埋め込まれてしまう。 「ゲロォォオオォオオっ!」 身の危険を感じたケロちゃんは、魔理沙が飛び跳ねた瞬間、洞穴の入り口目指して走り始めた。 「ケロ、ケロゲロッ!」 「ゆっくり出て行ってね! 二度と来ないでね!」 逃げていくケロちゃん。走り去っていく際にれいむの姿が映る。 「……ゆっ、ゆ゛っぐり゛……」 れいむはぐったりと横たわり、目は虚ろになっている。このまま出産すれば、その負担で死んでしまうだろう。 頬が欠けたチーズのように抉られ、中身のあんこが見える体。 その体は、ケロちゃんのお腹の中に収まっている。 「……ゲロ゛ォォオオォオオォっ!」 ケロちゃんは滝のような涙を流しながら、その場を走り去っていった。 その日、帽子からの攻撃は来なかった。 雨が降っていた。 「……」 雨を口で受け止めるようにケロちゃんは横たわっている。いつからそうしていたのか、ケロちゃんにはもう覚えがない。 れいむを食べたおかげで多少元気になったものの、その事が尾を引き、ケロちゃんは他のゆっくり達を食べられなくなっていた。 元々の鈍くささにどんどん衰弱していく体。 次第に動くこともままならなくなったケロちゃんは、こうして倒れたまま動かなくなっていた。 ぽたぽたと、乾いた口に入ってくる水が気持ちいい。死にかけたケロちゃんの中で、雨の感触だけが苦痛を和らげている。 ふと、ケロちゃんの耳に何かの音が聞こえてきた。何の音だろう。 それは帽子の中から聞こえてくる音だったが、普段とは音が違っていたために、ケロちゃんはまるで気づけない。 帽子から何か光るものが生えて来た。 端から見ていれば、それは光沢のある金属製の歯だとわかる。 その歯1本1本が、ケロちゃんの頭に突き刺さった。 「あ゛ぐっ」 頭に走る痛みに恐怖するケロちゃん。しかし体はまるで動かない。 ギザギザに生えた歯は全体で円を描くように回転し始め、ケロちゃんの頭を細かく削り始めた。 「あ゛がげがごがあ゛がががっっ!! あ゛ががぁがぼがっ!!」 ケロちゃんの頭がミンチとなっていく。 時間が進むごとに帽子は下へと降りていき、既にケロちゃんの目は帽子によって隠れていた。 ヤスリの時とは感触の違う削られ方にケロちゃんの悲鳴はより大きくなる。既に頭の5分の1はなくなっているが、帽子で見えないケロちゃんにそれを知るすべはない。 「ゆ゛ゆっぐり゛ざぜでっ! ゆ゛っぐり゛ざぜでえ゛ぇぇえ゛ぇえ゛ぇえ゛え゛ぇっ!」 ケロちゃんの一生分の悲鳴が響く。 生まれてからずっと、ケロちゃんがゆっくり出来なかった原因。 この帽子は、帽子だが帽子ではない。ちゃんとした生き物だ。 帽子は生まれて間もなく、生きているケロちゃんに寄生する。そしてケロちゃんの体を通して栄養を手に入れ、徐々に成長していくのだ。 ケロちゃんがエサを見つけられなければ自分にも栄養が回ってこない。ケロちゃんが必死にエサを探すようにと虐待しながら、足りない栄養を削れたケロちゃんの体で補っていく。 そしてケロちゃんが衰弱し、エサを探せなくなれば、その体を喰らい尽くしてしまう。 この生態を知った時、人はこの帽子の事を畜生帽と名付けた。 ケロちゃんの大きな愛らしい目がミキサーにかけられる。涙混じりのそれは体よりもさらにミンチにしやすく、あっという間に粉々になっていく。 ケロちゃんの口からは息が漏れているが、もはや声になっていない。 帽子のふちが地面についた時、ケロちゃんの体はもうどこにも存在しなかった。 「……げっぷっ」 帽子の中でゲップをすると、中から足を伸ばし歩き始める畜生帽。 雨の中、次のケロちゃんを捜しに旅立っていった。 by 762 このSSに感想を付ける
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ゆっくりケロちゃんの特徴に大きな帽子が上げられる。 通常、各ゆっくりはそれぞれ特徴的な帽子やリボンをつけているが、その中でもケロちゃんの帽子は大きく、また異形だ。ゆっくりは他の生物と比べてもかなり特徴的な生物だが、ケロちゃんはその帽子のため、さらに目立つ存在であり、人々にもかなり知れ渡っている。 しかしケロちゃんが生まれる際、頭に帽子を被っていないのはあまり知られていなかった。 「ケロ、ケロケロ!」 ケロちゃんが川辺を歩いている。ケロケロと鳴きながら顔は笑顔。元気いっぱいな姿を可愛いという人も多い。頭には他のケロちゃんと変わりなく、特徴的な帽子を被っていた。 「ケロケロ……ケロッ!」 川辺を歩いているケロちゃんの目に、野花とその上に乗っているトンボの姿が映った。 ケロちゃんの目が変わる。朝から何も食べていないケロちゃんにとって、トンボはまたとないごちそうだ。是非捕まえて食べてしまいたい。 「ケロ……ケロ……」 鳴き声を小さくし、少しづつ近づいていくケロちゃん。早く食べたいと焦る気持ちを必死に押さえつける。 次第に、飛びかかれば届く距離になる。 「ケロぉぉおぉおぉぉぉおっ!」 押さえつけた気持ちを解放し、ケロちゃんはトンボに飛びかかる。 しかしそれに気づいたトンボは、焦ることなく野花の上から飛び去り、ケロちゃんはトンボのいない野花へとダイブした。 「……! ……!」 地面に突っ伏したまま、なかなか起き上がれないケロちゃん。 どうにか体を起こした時には、既にトンボは遠くに逃げてしまっていた。 ケロちゃんの目に涙が滲む。 「あーうー……」 いくら泣いても、お腹は膨れてくれなかった。 それからしばらく川辺にのこり、やって来るトンボを捕まえようとするが1匹も捕まえられない。 歩く速度も普通。動きも普通。 ただゆっくりの中でも、ケロちゃんはかなり鈍くさかった。 「あーうー!」 日が暮れて来てもトンボ1匹捕まえられない。何か食べたいと高まってくる欲求にケロちゃんは大きく叫んだ。 ふと、帽子の中で何かが動いた。 「あうっ!」 瞬間、身を硬直させるケロちゃん。上を見上げるが帽子のつばしか見えない。 帽子の中では、1本のドリルがケロちゃんの頭に刺さろうとしていた。 「あ゛ぎゃぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛お゛あ゛ぁっ!」 頭に走った激痛にケロちゃんは叫び声を上げる。瞳孔と口は開き、目は血走っているが、端からは何が起こっているのかわからない。 帽子の中からケロちゃんへ伸びたドリルは、その大きさ10センチほどを頭の中に埋め込むと、そのまま動くのを止めた。 「あ、あああぁああぁぁ……」 軽くなった痛みに自然と声が小さくなるケロちゃん。 ドリルは花を咲かせるように体を開き、あけた穴を広げながらケロちゃんの中身をえぐり取った。 「ぎゃあ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁあ゛っ!」 大きさ10センチが、半径10センチに変わったドリルは、ケロちゃんの固まりをつけたまま上へと戻っていく。 ぽっかりと大きな穴がケロちゃんの頭に開いたが、外から見ると何も変わっていないようにしか見えない。 完全に白目を向き、ケロちゃんは痙攣しながら俯せに転がっている。 ケロちゃんにはわかっていた。 この帽子が攻撃してくるのは、エサが獲れない時だとわかっていた。 次の日、ケロちゃんは草むらにいた。 「ケロケロケロ!」 頭の傷はまだ完全に治っていない。その部分だけ水分が多く、まだ火の通っていない生菓子の生地のように色も変わっている。 あれからまだエサを獲れていない。空腹なままのケロちゃんはしかし今日こそはと意気込んでエサを探していた。 「ケロォー!」 朝からひたすら探していたおかげか、喜んでいるケロちゃんの目の前には芋虫が3匹ほど動いていた。 ケロちゃんにとって芋虫はそれほど好物ではないが、お腹が空いている今、贅沢は言っていられない。早速食べようと、ケロちゃんは舌を伸ばし始めた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりー!」 「ケロ?」 突然、後ろから声をかけられる。 そこには草をかき分けて近づいていくゆっくり魔理沙とゆっくりれいむの姿があった。 「ケロー♪」 思わぬ仲間の登場に喜ぶケロちゃん。ゆっくりの中でも鈍くさいケロちゃんにとって他のゆっくり達は、困っている時に助けてくれる大切な仲間だ。エサのことも忘れて近づいていく。 近づいてくるケロちゃんを笑顔で迎え入れるゆっくり達。 しかしその後ろで動く芋虫を見つけた途端、目の色が変わった。 「ゆっくり!」 「ゆっくりゆっくり!」 「ケ、ケロっ!?」 向かってくるケロちゃんを放っておいて、芋虫に向かう。 「ハフ、ハフハフッ!」 「うめぇ! うめぇぇっ!」 「ケ、ケロッ! ケロッ!!」 自分の獲ってきたエサを食べられるのに気づくと、急いでケロちゃんも引き返すが、既に芋虫はゆっくり達の腹の中に収まっていた。 「げっぷぅううぅううぅうっ……」 「いっぱいー!」 「あーうー……」 朝からずっと探し続けた成果のなれの果てに、自然と涙が溢れ出していく。 「ゆっくりしていってね!」 「またゆっくりしに来るね!」 泣いているケロちゃんをまるで気にせず、ゆっくり達はそのまま帰路へ就いた。 風で草の揺れる中、ケロちゃんの泣き声だけが響き渡る。 帽子の中で、何かが動く気配がした。 「あ゛あ゛っ!」 叫びながら体を横に振り、抵抗するケロちゃん。しかし帽子はしっかりと頭に食いつき、まるで取れそうにない。 帽子の中ではドリルの時のように何かが伸びてきて、ケロちゃんの頭に乗った。 「……」 そのまま何も起きない。 「……あーうー?」 不思議に思い、自然とケロちゃんが声を出した瞬間、乗っていた何がが動き出す。 それは平べったく、まるで布のような感触だったが、表面の目の粗さは石や砂で出来た荒れ地のようだ。 世間的には紙ヤスリと例えられそうなものが、ケロちゃんの頭に乗っていた。 「あ゛ががあ゛ぁぁあ゛ががぁぁあ゛あ゛っ!」 生菓子の生地のようだった色違いの皮膚を、紙ヤスリがガリガリと削っていく。 「い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛っ!!」 丸かったケロちゃんの頭は、ヤスリで擦られていくごとにどんどん四角く変形していく。 「……あ゛……あ゛が……う゛……っ」 ケロちゃんの声が擦れ、まともに声が出なくなった時、ヤスリは動きを止めていた。頭はほとんど平らになり、帽子の中では大漁の削りカスが山をつくっている。 「……あ……う゛……」 朦朧とする意識の中でケロちゃんの頭に浮かんでいたのは、先ほどエサを奪っていったゆっくり達の姿だった。 ケロちゃんは必死だった。 これ以上、帽子から虐待を受けたくない。でもエサは手に入らない。 悩んだ末に、ケロちゃんは一つ、捕まえられそうなエサの存在に気がついた。 他のゆっくりの存在である。 「……ケロ」 他のゆっくり達を食べた事はある、だがケロちゃんは自分から捕まえようとしたことはない。せいぜい死んだばかりのゆっくりを食べている際に、ご相伴に預かったぐらいだ。 しかし向こうはケロちゃんの事を無害とわかっているので、初めてあった時からすぐに気を許して近づいてくる。これを利用しない手はない。 ケロちゃんはいつものように鳴きながら、他のゆっくり達を探し始めた。 「ま、まりさっ!」 「れいむ、れいむれいれれれれれれれっ!」 ある洞穴の中で。 ゆっくりれいむとまりさのつがいが交尾をしていた。 「すっきりー」 上になっていたまりさが晴れやかな顔で呟く。しばらくすればれいむの体から茎が伸び、子供が生まれ、れいむの体が大きくなり、このつがい達も親子連れになるのだろう。 「……ゆっくりしていてね!」 魔理沙はゆっくりしているれいむの姿を見守っていたが、出産後に何か食べさせてあげたいと思い、外へ出かけていった。 ちょうど魔理沙と入れ違いになりながら、ケロちゃんは洞穴へやって来た。 「……ケロ」 洞穴の入り口から、ケロちゃんは中の様子を探る。中にいるのがれいむ1匹だけだと確認すると、そのまま静かに洞穴へ入っていく。 「……」 れいむはケロちゃんの存在に気づいたが、出産を間近に控えた身、声を上げることなく静かにケロちゃんを迎え入れた。 ようやく獲物を見つけたと、れいむに近づいていくケロちゃん。しかし側まで来た時、そのれいむが出産間近だと気がついた。 「……あーうー……」 子供を産もうとしているれいむを食べていいのか、ケロちゃんの中で葛藤が生まれる。 無事に子供を産んで欲しい、でももうずっとご飯を食べていない……。 れいむの目の前で「あーうー」と良いながらウロウロと動き、悩むケロちゃん。 そんな時、帽子の中から音が聞こえた。 「ゲロッ!」 悩んでいる暇はない、もう虐待されるのは嫌だ! 目の前にいるれいむに思いっきり噛みついた。 「あ゛あ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁっ!」 思わずれいむは目を見開いた。敵じゃないと思っていたものからの攻撃に驚きと痛みの悲鳴を上げる。 ケロちゃんは久しぶりの食事の感触に、もはや完全に理性を失い、ただひたすらに噛み砕いていく。 「ゲロ、ゲロゲロッ!!」 「や゛め゛でぇぇえ゛え゛ぇぇぇえ゛え゛ぇっ! だべな゛い゛でぇえ゛え゛え゛ぇっ!」 前に食べた死んでいるゆっくりと比較にならないその旨さに、ケロちゃんは思わず泣きながら食べていた。 突然、横からの衝撃に、ケロちゃんは吹き飛ばされる。 「ゲロ゛ッ!?」 驚くも、どうにか倒れずに踏ん張る。 慌てて振り返ると、そこには飛びかかってくる魔理沙の姿があった。 「ゆっくりしね!」 「ゲロ゛っ!!」 ゆっくりの全体重を受けるケロちゃん。強く食い込んでいる帽子がさらに奥へと食い込んでくる。 魔理沙の怒りはそれだけでは収まらず、帽子の上で何度も何度も飛び跳ねた。 「ゆっくりしねっ! ゆっくりしねっ! しねぇっ!」 「ゲロ゛ッ! ゲロ゛ゲロ゛ッ!」 どんどん帽子が埋め込まれていく。このままでは体全てを帽子の中に埋め込まれてしまう。 「ゲロォォオオォオオっ!」 身の危険を感じたケロちゃんは、魔理沙が飛び跳ねた瞬間、洞穴の入り口目指して走り始めた。 「ケロ、ケロゲロッ!」 「ゆっくり出て行ってね! 二度と来ないでね!」 逃げていくケロちゃん。走り去っていく際にれいむの姿が映る。 「……ゆっ、ゆ゛っぐり゛……」 れいむはぐったりと横たわり、目は虚ろになっている。このまま出産すれば、その負担で死んでしまうだろう。 頬が欠けたチーズのように抉られ、中身のあんこが見える体。 その体は、ケロちゃんのお腹の中に収まっている。 「……ゲロ゛ォォオオォオオォっ!」 ケロちゃんは滝のような涙を流しながら、その場を走り去っていった。 その日、帽子からの攻撃は来なかった。 雨が降っていた。 「……」 雨を口で受け止めるようにケロちゃんは横たわっている。いつからそうしていたのか、ケロちゃんにはもう覚えがない。 れいむを食べたおかげで多少元気になったものの、その事が尾を引き、ケロちゃんは他のゆっくり達を食べられなくなっていた。 元々の鈍くささにどんどん衰弱していく体。 次第に動くこともままならなくなったケロちゃんは、こうして倒れたまま動かなくなっていた。 ぽたぽたと、乾いた口に入ってくる水が気持ちいい。死にかけたケロちゃんの中で、雨の感触だけが苦痛を和らげている。 ふと、ケロちゃんの耳に何かの音が聞こえてきた。何の音だろう。 それは帽子の中から聞こえてくる音だったが、普段とは音が違っていたために、ケロちゃんはまるで気づけない。 帽子から何か光るものが生えて来た。 端から見ていれば、それは光沢のある金属製の歯だとわかる。 その歯1本1本が、ケロちゃんの頭に突き刺さった。 「あ゛ぐっ」 頭に走る痛みに恐怖するケロちゃん。しかし体はまるで動かない。 ギザギザに生えた歯は全体で円を描くように回転し始め、ケロちゃんの頭を細かく削り始めた。 「あ゛がげがごがあ゛がががっっ!! あ゛ががぁがぼがっ!!」 ケロちゃんの頭がミンチとなっていく。 時間が進むごとに帽子は下へと降りていき、既にケロちゃんの目は帽子によって隠れていた。 ヤスリの時とは感触の違う削られ方にケロちゃんの悲鳴はより大きくなる。既に頭の5分の1はなくなっているが、帽子で見えないケロちゃんにそれを知るすべはない。 「ゆ゛ゆっぐり゛ざぜでっ! ゆ゛っぐり゛ざぜでえ゛ぇぇえ゛ぇえ゛ぇえ゛え゛ぇっ!」 ケロちゃんの一生分の悲鳴が響く。 生まれてからずっと、ケロちゃんがゆっくり出来なかった原因。 この帽子は、帽子だが帽子ではない。ちゃんとした生き物だ。 帽子は生まれて間もなく、生きているケロちゃんに寄生する。そしてケロちゃんの体を通して栄養を手に入れ、徐々に成長していくのだ。 ケロちゃんがエサを見つけられなければ自分にも栄養が回ってこない。ケロちゃんが必死にエサを探すようにと虐待しながら、足りない栄養を削れたケロちゃんの体で補っていく。 そしてケロちゃんが衰弱し、エサを探せなくなれば、その体を喰らい尽くしてしまう。 この生態を知った時、人はこの帽子の事を畜生帽と名付けた。 ケロちゃんの大きな愛らしい目がミキサーにかけられる。涙混じりのそれは体よりもさらにミンチにしやすく、あっという間に粉々になっていく。 ケロちゃんの口からは息が漏れているが、もはや声になっていない。 帽子のふちが地面についた時、ケロちゃんの体はもうどこにも存在しなかった。 「……げっぷっ」 帽子の中でゲップをすると、中から足を伸ばし歩き始める畜生帽。 雨の中、次のケロちゃんを捜しに旅立っていった。 by 762 このSSに感想を付ける
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ゆっくりケロちゃんの特徴に大きな帽子が上げられる。 通常、各ゆっくりはそれぞれ特徴的な帽子やリボンをつけているが、その中でもケロちゃんの帽子は大きく、また異形だ。ゆっくりは他の生物と比べてもかなり特徴的な生物だが、ケロちゃんはその帽子のため、さらに目立つ存在であり、人々にもかなり知れ渡っている。 しかしケロちゃんが生まれる際、頭に帽子を被っていないのはあまり知られていなかった。 「ケロ、ケロケロ!」 ケロちゃんが川辺を歩いている。ケロケロと鳴きながら顔は笑顔。元気いっぱいな姿を可愛いという人も多い。頭には他のケロちゃんと変わりなく、特徴的な帽子を被っていた。 「ケロケロ……ケロッ!」 川辺を歩いているケロちゃんの目に、野花とその上に乗っているトンボの姿が映った。 ケロちゃんの目が変わる。朝から何も食べていないケロちゃんにとって、トンボはまたとないごちそうだ。是非捕まえて食べてしまいたい。 「ケロ……ケロ……」 鳴き声を小さくし、少しづつ近づいていくケロちゃん。早く食べたいと焦る気持ちを必死に押さえつける。 次第に、飛びかかれば届く距離になる。 「ケロぉぉおぉおぉぉぉおっ!」 押さえつけた気持ちを解放し、ケロちゃんはトンボに飛びかかる。 しかしそれに気づいたトンボは、焦ることなく野花の上から飛び去り、ケロちゃんはトンボのいない野花へとダイブした。 「……! ……!」 地面に突っ伏したまま、なかなか起き上がれないケロちゃん。 どうにか体を起こした時には、既にトンボは遠くに逃げてしまっていた。 ケロちゃんの目に涙が滲む。 「あーうー……」 いくら泣いても、お腹は膨れてくれなかった。 それからしばらく川辺にのこり、やって来るトンボを捕まえようとするが1匹も捕まえられない。 歩く速度も普通。動きも普通。 ただゆっくりの中でも、ケロちゃんはかなり鈍くさかった。 「あーうー!」 日が暮れて来てもトンボ1匹捕まえられない。何か食べたいと高まってくる欲求にケロちゃんは大きく叫んだ。 ふと、帽子の中で何かが動いた。 「あうっ!」 瞬間、身を硬直させるケロちゃん。上を見上げるが帽子のつばしか見えない。 帽子の中では、1本のドリルがケロちゃんの頭に刺さろうとしていた。 「あ゛ぎゃぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛お゛あ゛ぁっ!」 頭に走った激痛にケロちゃんは叫び声を上げる。瞳孔と口は開き、目は血走っているが、端からは何が起こっているのかわからない。 帽子の中からケロちゃんへ伸びたドリルは、その大きさ10センチほどを頭の中に埋め込むと、そのまま動くのを止めた。 「あ、あああぁああぁぁ……」 軽くなった痛みに自然と声が小さくなるケロちゃん。 ドリルは花を咲かせるように体を開き、あけた穴を広げながらケロちゃんの中身をえぐり取った。 「ぎゃあ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁあ゛っ!」 大きさ10センチが、半径10センチに変わったドリルは、ケロちゃんの固まりをつけたまま上へと戻っていく。 ぽっかりと大きな穴がケロちゃんの頭に開いたが、外から見ると何も変わっていないようにしか見えない。 完全に白目を向き、ケロちゃんは痙攣しながら俯せに転がっている。 ケロちゃんにはわかっていた。 この帽子が攻撃してくるのは、エサが獲れない時だとわかっていた。 次の日、ケロちゃんは草むらにいた。 「ケロケロケロ!」 頭の傷はまだ完全に治っていない。その部分だけ水分が多く、まだ火の通っていない生菓子の生地のように色も変わっている。 あれからまだエサを獲れていない。空腹なままのケロちゃんはしかし今日こそはと意気込んでエサを探していた。 「ケロォー!」 朝からひたすら探していたおかげか、喜んでいるケロちゃんの目の前には芋虫が3匹ほど動いていた。 ケロちゃんにとって芋虫はそれほど好物ではないが、お腹が空いている今、贅沢は言っていられない。早速食べようと、ケロちゃんは舌を伸ばし始めた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりー!」 「ケロ?」 突然、後ろから声をかけられる。 そこには草をかき分けて近づいていくゆっくり魔理沙とゆっくりれいむの姿があった。 「ケロー♪」 思わぬ仲間の登場に喜ぶケロちゃん。ゆっくりの中でも鈍くさいケロちゃんにとって他のゆっくり達は、困っている時に助けてくれる大切な仲間だ。エサのことも忘れて近づいていく。 近づいてくるケロちゃんを笑顔で迎え入れるゆっくり達。 しかしその後ろで動く芋虫を見つけた途端、目の色が変わった。 「ゆっくり!」 「ゆっくりゆっくり!」 「ケ、ケロっ!?」 向かってくるケロちゃんを放っておいて、芋虫に向かう。 「ハフ、ハフハフッ!」 「うめぇ! うめぇぇっ!」 「ケ、ケロッ! ケロッ!!」 自分の獲ってきたエサを食べられるのに気づくと、急いでケロちゃんも引き返すが、既に芋虫はゆっくり達の腹の中に収まっていた。 「げっぷぅううぅううぅうっ……」 「いっぱいー!」 「あーうー……」 朝からずっと探し続けた成果のなれの果てに、自然と涙が溢れ出していく。 「ゆっくりしていってね!」 「またゆっくりしに来るね!」 泣いているケロちゃんをまるで気にせず、ゆっくり達はそのまま帰路へ就いた。 風で草の揺れる中、ケロちゃんの泣き声だけが響き渡る。 帽子の中で、何かが動く気配がした。 「あ゛あ゛っ!」 叫びながら体を横に振り、抵抗するケロちゃん。しかし帽子はしっかりと頭に食いつき、まるで取れそうにない。 帽子の中ではドリルの時のように何かが伸びてきて、ケロちゃんの頭に乗った。 「……」 そのまま何も起きない。 「……あーうー?」 不思議に思い、自然とケロちゃんが声を出した瞬間、乗っていた何がが動き出す。 それは平べったく、まるで布のような感触だったが、表面の目の粗さは石や砂で出来た荒れ地のようだ。 世間的には紙ヤスリと例えられそうなものが、ケロちゃんの頭に乗っていた。 「あ゛ががあ゛ぁぁあ゛ががぁぁあ゛あ゛っ!」 生菓子の生地のようだった色違いの皮膚を、紙ヤスリがガリガリと削っていく。 「い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛っ!!」 丸かったケロちゃんの頭は、ヤスリで擦られていくごとにどんどん四角く変形していく。 「……あ゛……あ゛が……う゛……っ」 ケロちゃんの声が擦れ、まともに声が出なくなった時、ヤスリは動きを止めていた。頭はほとんど平らになり、帽子の中では大漁の削りカスが山をつくっている。 「……あ……う゛……」 朦朧とする意識の中でケロちゃんの頭に浮かんでいたのは、先ほどエサを奪っていったゆっくり達の姿だった。 ケロちゃんは必死だった。 これ以上、帽子から虐待を受けたくない。でもエサは手に入らない。 悩んだ末に、ケロちゃんは一つ、捕まえられそうなエサの存在に気がついた。 他のゆっくりの存在である。 「……ケロ」 他のゆっくり達を食べた事はある、だがケロちゃんは自分から捕まえようとしたことはない。せいぜい死んだばかりのゆっくりを食べている際に、ご相伴に預かったぐらいだ。 しかし向こうはケロちゃんの事を無害とわかっているので、初めてあった時からすぐに気を許して近づいてくる。これを利用しない手はない。 ケロちゃんはいつものように鳴きながら、他のゆっくり達を探し始めた。 「ま、まりさっ!」 「れいむ、れいむれいれれれれれれれっ!」 ある洞穴の中で。 ゆっくりれいむとまりさのつがいが交尾をしていた。 「すっきりー」 上になっていたまりさが晴れやかな顔で呟く。しばらくすればれいむの体から茎が伸び、子供が生まれ、れいむの体が大きくなり、このつがい達も親子連れになるのだろう。 「……ゆっくりしていてね!」 魔理沙はゆっくりしているれいむの姿を見守っていたが、出産後に何か食べさせてあげたいと思い、外へ出かけていった。 ちょうど魔理沙と入れ違いになりながら、ケロちゃんは洞穴へやって来た。 「……ケロ」 洞穴の入り口から、ケロちゃんは中の様子を探る。中にいるのがれいむ1匹だけだと確認すると、そのまま静かに洞穴へ入っていく。 「……」 れいむはケロちゃんの存在に気づいたが、出産を間近に控えた身、声を上げることなく静かにケロちゃんを迎え入れた。 ようやく獲物を見つけたと、れいむに近づいていくケロちゃん。しかし側まで来た時、そのれいむが出産間近だと気がついた。 「……あーうー……」 子供を産もうとしているれいむを食べていいのか、ケロちゃんの中で葛藤が生まれる。 無事に子供を産んで欲しい、でももうずっとご飯を食べていない……。 れいむの目の前で「あーうー」と良いながらウロウロと動き、悩むケロちゃん。 そんな時、帽子の中から音が聞こえた。 「ゲロッ!」 悩んでいる暇はない、もう虐待されるのは嫌だ! 目の前にいるれいむに思いっきり噛みついた。 「あ゛あ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁっ!」 思わずれいむは目を見開いた。敵じゃないと思っていたものからの攻撃に驚きと痛みの悲鳴を上げる。 ケロちゃんは久しぶりの食事の感触に、もはや完全に理性を失い、ただひたすらに噛み砕いていく。 「ゲロ、ゲロゲロッ!!」 「や゛め゛でぇぇえ゛え゛ぇぇぇえ゛え゛ぇっ! だべな゛い゛でぇえ゛え゛え゛ぇっ!」 前に食べた死んでいるゆっくりと比較にならないその旨さに、ケロちゃんは思わず泣きながら食べていた。 突然、横からの衝撃に、ケロちゃんは吹き飛ばされる。 「ゲロ゛ッ!?」 驚くも、どうにか倒れずに踏ん張る。 慌てて振り返ると、そこには飛びかかってくる魔理沙の姿があった。 「ゆっくりしね!」 「ゲロ゛っ!!」 ゆっくりの全体重を受けるケロちゃん。強く食い込んでいる帽子がさらに奥へと食い込んでくる。 魔理沙の怒りはそれだけでは収まらず、帽子の上で何度も何度も飛び跳ねた。 「ゆっくりしねっ! ゆっくりしねっ! しねぇっ!」 「ゲロ゛ッ! ゲロ゛ゲロ゛ッ!」 どんどん帽子が埋め込まれていく。このままでは体全てを帽子の中に埋め込まれてしまう。 「ゲロォォオオォオオっ!」 身の危険を感じたケロちゃんは、魔理沙が飛び跳ねた瞬間、洞穴の入り口目指して走り始めた。 「ケロ、ケロゲロッ!」 「ゆっくり出て行ってね! 二度と来ないでね!」 逃げていくケロちゃん。走り去っていく際にれいむの姿が映る。 「……ゆっ、ゆ゛っぐり゛……」 れいむはぐったりと横たわり、目は虚ろになっている。このまま出産すれば、その負担で死んでしまうだろう。 頬が欠けたチーズのように抉られ、中身のあんこが見える体。 その体は、ケロちゃんのお腹の中に収まっている。 「……ゲロ゛ォォオオォオオォっ!」 ケロちゃんは滝のような涙を流しながら、その場を走り去っていった。 その日、帽子からの攻撃は来なかった。 雨が降っていた。 「……」 雨を口で受け止めるようにケロちゃんは横たわっている。いつからそうしていたのか、ケロちゃんにはもう覚えがない。 れいむを食べたおかげで多少元気になったものの、その事が尾を引き、ケロちゃんは他のゆっくり達を食べられなくなっていた。 元々の鈍くささにどんどん衰弱していく体。 次第に動くこともままならなくなったケロちゃんは、こうして倒れたまま動かなくなっていた。 ぽたぽたと、乾いた口に入ってくる水が気持ちいい。死にかけたケロちゃんの中で、雨の感触だけが苦痛を和らげている。 ふと、ケロちゃんの耳に何かの音が聞こえてきた。何の音だろう。 それは帽子の中から聞こえてくる音だったが、普段とは音が違っていたために、ケロちゃんはまるで気づけない。 帽子から何か光るものが生えて来た。 端から見ていれば、それは光沢のある金属製の歯だとわかる。 その歯1本1本が、ケロちゃんの頭に突き刺さった。 「あ゛ぐっ」 頭に走る痛みに恐怖するケロちゃん。しかし体はまるで動かない。 ギザギザに生えた歯は全体で円を描くように回転し始め、ケロちゃんの頭を細かく削り始めた。 「あ゛がげがごがあ゛がががっっ!! あ゛ががぁがぼがっ!!」 ケロちゃんの頭がミンチとなっていく。 時間が進むごとに帽子は下へと降りていき、既にケロちゃんの目は帽子によって隠れていた。 ヤスリの時とは感触の違う削られ方にケロちゃんの悲鳴はより大きくなる。既に頭の5分の1はなくなっているが、帽子で見えないケロちゃんにそれを知るすべはない。 「ゆ゛ゆっぐり゛ざぜでっ! ゆ゛っぐり゛ざぜでえ゛ぇぇえ゛ぇえ゛ぇえ゛え゛ぇっ!」 ケロちゃんの一生分の悲鳴が響く。 生まれてからずっと、ケロちゃんがゆっくり出来なかった原因。 この帽子は、帽子だが帽子ではない。ちゃんとした生き物だ。 帽子は生まれて間もなく、生きているケロちゃんに寄生する。そしてケロちゃんの体を通して栄養を手に入れ、徐々に成長していくのだ。 ケロちゃんがエサを見つけられなければ自分にも栄養が回ってこない。ケロちゃんが必死にエサを探すようにと虐待しながら、足りない栄養を削れたケロちゃんの体で補っていく。 そしてケロちゃんが衰弱し、エサを探せなくなれば、その体を喰らい尽くしてしまう。 この生態を知った時、人はこの帽子の事を畜生帽と名付けた。 ケロちゃんの大きな愛らしい目がミキサーにかけられる。涙混じりのそれは体よりもさらにミンチにしやすく、あっという間に粉々になっていく。 ケロちゃんの口からは息が漏れているが、もはや声になっていない。 帽子のふちが地面についた時、ケロちゃんの体はもうどこにも存在しなかった。 「……げっぷっ」 帽子の中でゲップをすると、中から足を伸ばし歩き始める畜生帽。 雨の中、次のケロちゃんを捜しに旅立っていった。 by 762 このSSに感想を付ける