約 1,924,617 件
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/20943.html
殲滅者 サロメ VR サイコ・パス(ゼロ)文明 (7) クライム・クリーチャー:ダークロード/ジェノサイダー 6000 ■マナゾーンに置く時、このカードは裏向きにして置く。(裏向きの時も表向きの時も、このカードはサイコ・パスとして扱われる) ■W・ブレイカー ■このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンにあるサイコ・パスをすべてアンタップする。 ■ジェノサイド:このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、バトルゾーンまたはマナゾーンに、同じ種族を持つ相手のクリーチャーが合計3体以上あれば、バトルゾーンまたはマナゾーンから、その種族を持つ相手のクリーチャーを1体選び、持ち主の墓地に置く。 (コストを支払ってクライム・クリーチャーを召喚するには、自身のマナゾーンにあるサイコ・パスを1枚以上タップしなければならない) 作者:ザ=ガーン フレーバーテキスト DMDC-04「探偵編 最終章 開眼!超探偵!〜ハートに火をつけて!〜」収録のクライム・クリーチャーであり、新種族ジェノサイダーの1枚。 新能力ジェノサイドによる除去orランデスに加え、召喚時にマナゾーンにあるサイコ・パスをすべてアンタップすることができます。サイコ・パス文明中心のデッキであれば、かなり活躍してくれそう。 名前の元ネタはオスカー・ワイルドによる戯曲「サロメ」、およびその登場人物から。 評価 名前 コメント 関連 《ボルバルザーク・エクス》 《赤龍喚士・ソニア》 《牙英雄 オトマ=クット》
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/20045.html
猟姫犯(りょうきはん) エリザベート VR 水/闇文明 (7) クライム・クリーチャー:ダークロード/トリックスター 7000 ■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 ■相手のカードがどこからでも墓地に置かれた時、カードを1枚引いてもよい。 ■W・ブレイカー ■トリック2(このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンにあるサイコ・パスを2枚選び、表向きにしてもよい。そうしたら、このターン、このクリーチャーは次の[TK]能力を得る)TK―自分のクリーチャーで攻撃する時、かわりにそのクリーチャーを破壊してもよい。そうした場合、相手は自身のクリーチャーを1体選んで破壊し、その後、自身の手札を1枚捨てる。 (コストを支払ってクライム・クリーチャーを召喚するには、自身のマナゾーンにあるサイコ・パスを1枚以上タップしなければならない) 作者:ザ=ガーン フレーバーテキスト DMDC-01「探偵編 第1章 出動!ジゴロック!〜フィオナの一雫を護れ!〜」収録のクライム・クリーチャー。ドロー版のヴィルヘルム的な能力を持ちます。 さらに、トリックを発動させれば、自分のクリーチャーを犠牲にしつつ除去とハンデスを放ち、さらに自分はカードを2枚引くことができます。pig持ちと組み合わせたら強そう。が、自軍も減ってしまうのと、置きドローとしては重めなのが使い辛そう。 名前の元ネタはハンガリーの伯爵夫人、エリザベート・バートリ(バートリ・エルジェーベト)から。吸血鬼のモデルにもなった、怖い人だそうな。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/21181.html
「大鴉(たいあ)」の頂 マガナラク SR サイコ・パス(ゼロ)文明 (11) クライム・クリーチャー:アンノウン/ゼニス/トリックスター 14000 ■マナゾーンに置く時、このカードは裏向きにして置く。(裏向きの時も表向きの時も、このカードはサイコ・パスとして扱われる) ■このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにあるサイコ・パス以外のクリーチャーをすべて、持ち主の手札に戻す。 ■誰も、ディテクティブ・クリーチャーを召喚できない。 ■T・ブレイカー ■サイコ・トリック4(このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンにあるカードを4枚選び、裏向きまたは表向きにしてもよい。裏向きにした場合、そのカードはマナゾーンにある間、サイコ・パスとして扱われる。表向きにした場合、このターン、このクリーチャーは次の[PSTK]能力を得る)PSTK―このターン、相手は呪文を唱えられない。 ■エターナル・Ω (コストを支払ってクライム・クリーチャーを召喚するには、自身のマナゾーンにあるサイコ・パスを1枚以上タップしなければならない) 作者:ザ=ガーン フレーバーテキスト (8/22) SA化はさすがに強すぎるかなということで、能力変更。召喚酔いするかわりにパーフェクト・トリックではなくなりました。 DM-EX02「嵐を呼ぶ!真夏のデュエル・フェス!」収録のクライム・クリーチャー。 召喚時にサイコ・パス以外のクリーチャーを全バウンスと言う強力な除去を放ち、さらにディテクティブ・クリーチャーの召喚を封じます。 そして、サイコ・トリックを発動させれば、1ターン相手の呪文をシャットアウトすることが可能に。ディテクティブ主体のデッキ相手であればこいつだけでほぼ機能停止になるので、結構恐ろしい存在です。 それ以外の相手にも、フィニッシャーとしては十分な能力でしょう。ただし、コストの重さと裏向きのサイコ・パスを4枚以上維持していなければならないのがネック。 モリアーティーの腹心だった《Dr. マガドリンネ》が正体を現した姿。《ジャムジャム・ジャミング》のフレーバーテキストによると、かつてルーキの故郷を襲撃したクリーチャーだそうです。つまり、ルーキが探偵を目指す=クライム・クリーチャーを憎む(?)きっかけを作ったクリーチャーであり、ある意味彼こそが真の黒幕だった模様。 評価 名前 コメント 関連 《Dr. マガドリンネ》 《駆け出し探偵 ルーキ》 《ジャムジャム・ジャミング》
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/20631.html
聖天の警部 トドロキ VR 光文明 (5) ディテクティブ・クリーチャー:ジャスティス・ポリス 5500 ■ポリス・ガード(相手のクライム・クリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーをタップして、相手のクライム・クリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい) ■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、バトルゾーンにある自分ジャスティス・ポリス1体につき、カードを1枚引く。 ■マナ武装5:自分のマナゾーンに光のカードが5枚以上あれば、このクリーチャーは「ブロッカー」を得、自分のターンの終わりにアンタップされる。 (ディテクティブ・クリーチャーとのバトルに負けたクライム・クリーチャーは、持ち主の墓地に置かれるかわりに、牢獄ゾーンに置かれる) 作者:ザ=ガーン フレーバーテキスト DMDC-02「探偵編 第2章 追跡!バラバラ・ジャック!〜黄の探偵と黒の仁義!〜」収録の軽量ジャスティス・ポリス。ポリス・ガードを持ち、マナ武装によりブロッカーを得ます。自分のターンの終わりにアンタップされるので、一応殴りながらブロックすることも可能。 また、登場時に自分のジャスティス・ポリス1体につき1枚、手札を引くことができます。自身も対象に含まれるので、他にクリーチャーがなくても最低1ドロー。他にも同弾収録の《聖天の警視 バトル》などで他のジャスティス・ポリスと一緒に踏み倒せば、それだけで3ドロー以上になります。 名前の元ネタは金田一耕助シリーズに登場する、等々力警部から。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/20049.html
聖天の警部 レストレード SR 光文明 (9) ディテクティブ・クリーチャー:ジャスティス・ポリス 14500 ■ポリス・ガード(相手のクライム・クリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーをタップして、相手のクライム・クリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい) ■シンパシー:ジャスティス・ポリス ■T・ブレイカー ■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーをすべてタップする。その後、こうしてタップしたクリーチャー1体につき、カードを1枚引く。 ■相手のクリーチャーがアンタップされた時、そのターン、そのクリーチャーは攻撃できない。 (ディテクティブ・クリーチャーとのバトルに負けたクライム・クリーチャーは、持ち主の墓地に置かれるかわりに、牢獄ゾーンに置かれる) 作者:ザ=ガーン フレーバーテキスト DMDC-01「探偵編 第1章 出動!ジゴロック!〜フィオナの一雫を護れ!〜」収録の大型ジャスティス・ポリス。探偵編における主要人物の一人です。 登場時に相手クリーチャーの全タップと、タップした数だけドローできる能力を持ちます。 この時のタップはフリーズではないですが、「相手のクリーチャーかアンタップされた時、そのターン、そのクリーチャーは攻撃できない」能力があるので擬似フリーズにはなっています。火文明によくある攻撃時のアンタップ能力も封殺できるので、中々制圧力は高そう。 シンパシーの条件であるジャスティス・ポリスには低コストのクリーチャーも多く、種族デッキを組む際は強力なフィニッシャーとして運用できそうですね。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/2015.html
養鶏場の殺人・火口箱 題名:養鶏場の殺人・火口箱 原題:The Tinder Box (1999), Chickenfeed (2006) 作者:ミネット・ウォルターズ Minette Walters 訳者:成川裕子 発行:創元推理文庫 2014.03.14 初版 価格:\900 二つの風変わりな中編作品を収録した新ミステリの女王ミネット・ウォルターズの初の中編集である。序文は作者本人によるもので、そこで証されていることにより、ぼくは「風変わりな」と称したのである。 『火口箱』は1999年、オランダでのブック・ウィーク期間中、普段ミステリを読まない読書家を誘い込むために無償配布された掌編だそうである。 『養鶏場の殺人』は2006年イギリスのワールドブックデイにクイックリード計画の一環として刊行されたとある。普段本を読まない人に平易な言葉で書かれた読みやすい本として提供されたものであるらしい。 どちらも読書促進運動という目的をもって書かれた珍しい作品であり、そういえばミネット・ウォルターズはこれまで長篇以外は邦訳されていないので、こういうウォルターズはどうなのかと興味津々でページを開いた次第。 さて『養鶏場の殺人』は、二人の男女の悲劇であるが、どちらが被害者か加害者かわからないほどの悲惨な関係が、養鶏場経営という悲惨な生活を背景に描かれることで、事件の背景にある真実を曝け出したものである。1924年という古い時代に実際に起きた事件のノベライズであるのだが、ウォルターズの筆力が、「読みやすいように平易な文章で書かれている」ゆえにこそ、際立って見える。 どうして四年後にこの人がこの人を切り刻むことになるのかという、事件のあからさまな紹介から遡っての年月を追っての物語だけに、読む側の追い込まれ感がたまらない。そしてその皮肉な結末への雪崩れ込み方が、まさしくウォルターズ流なのである。 『火口箱』はミステリーでありながら、やはりジャンル外読者向けのサービスに満ちており、とりわけアイリッシュの一家に襲いかかるソウアーブリッジ村という偏見に満ちた小さなコミュニティーの見えない恐ろしさが圧巻である。どこがミステリーなのかわからないうちに、導かれてゆくところに意外な真相が潜んでおり、なるほど、ミステリーとはこういうものでもあるのかと感じさせるようなサービス精神にあふれた書きっぷりである。もちろんこちらも筆力の素晴らしさが見えるウォルターズらしい作品。 二作ともいつもの長篇の重厚感から解き放たれていながら、コンパクトにむしろ密度の高まるクライム小説となっている。中編の一気読みの快感を味わうには手頃な一冊と言えよう。 (2015.06.05)
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/1640.html
リンカーン弁護士 題名:リンカーン弁護士 上/下 原題:Lincorn Lawyer(2005) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2009.6.12 初刷 価格:各\790 リーガル・サスペンスは法曹界に身を置く人により副業として書かれ、それが成功に結び付けば作家業として転身、というパターンが多いように思う。だからこそ、業界に身を置かぬが既にプロである犯罪小説作家が、このジャンルに手を付けるというのは、対本職という意味でのハンディを負っており、それゆえに相応の決意と準備とが必要とされるものだと思う。 アメリカン・クライム・ノヴェルの現役頂点に立つ作家と言って過言ではないコナリーでさえ、本書の執筆に5年を費やしたそうである(ボッシュものだと通常執筆にかける時間は2年)。法曹界もののスリラーが、作家にとっての新ジャンルとは言え、質の高い創作が常に求められる頂点の作家であればこそ、かくも慎重なる5年であったことだろう。この作品の、どのページからもそうした並々ならぬ創作側の苦労と決意が滲み出ている気がする。 これまで、なぜ誰も書かなかったのだろうと思われるのが、まず表題ともなっているリンカーン弁護士のような存在である。事務所を持たず超零細経営で、裁判所から裁判所へと渡り歩き、ケチな報酬をちびちび稼ぐという、何だか夢のないリアリズムいっぱいの商売に従事する弁護士のことであるらしい。 我らが主人公ミッキー・ハラーはどうであろうか。事務所はリンカーンの後部座席、保釈を勝ち取ってやった犯罪者を報酬の支払い一部として運転手として用立て、広告に記載されている連絡先は、元妻兼マネージャーの住居の電話を当てがっている有り様だ。 ミッキーは、依頼人としてとうとう金の成る木を掴まえる。不動産女王からの依頼により、息子を暴行事件の容疑から逃れさせて欲しいというケースである。有能な調査員とのコンビにより調査が進むにつれ、事件は、過去にミッキーが弁護を手がけたある裁判に結び付く。 過去の自らの判断への懐疑が産む、罪悪感にプラスして、なけなしの正義感。別れた妻二人と残された娘の命を危険に曝しながら、捜査線上に浮かび上がる邪悪なものへの脅威が徐々に増してゆく。 LAの迷路のような世界、煮立った鍋の底のような世界を、職業と生命を賭けて切り抜けようと足掻く壮年弁護士のサスペンスに仕上がったこの一作。 コナリーはまたも新たなアンチヒーロー像を作り上げたのである。彼の行手には、完璧なサスペンスを楽しめる複雑な迷宮。次回作も既に上梓されているそうで、そこではボッシュとの競演が見られるらしい。これまた実に楽しみな話である。 (2010.05.05)
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/20202.html
血能犯 サクリャク・スキップ SR 水/闇/自然文明 (7) クライム・クリーチャー:ブレインジャッカー/トリックスター 6000 ■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 ■自分のブレインジャッカーを、墓地またはマナゾーンから召喚してもよい。 ■W・ブレイカー ■トリック3(このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンにあるサイコ・パスを3枚選び、表向きにしてもよい。そうしたら、このターン、このクリーチャーは次の[TK]能力を得る)TK―自分のクリーチャーがターン中はじめて攻撃した時、自分の手札をすべて捨て、このターンの残りを飛ばしてもよい。そうした場合、次の自分のターンのはじめにカードを5枚まで引き、そのターン、自分のマナゾーンにある多色のカードが生み出すマナは、すべて2になる。 (コストを支払ってクライム・クリーチャーを召喚するには、自身のマナゾーンにあるサイコ・パスを1枚以上タップしなければならない) 作者:ザ=ガーン フレーバーテキスト DMDC-01「探偵編 第1章 出動!ジゴロック!〜フィオナの一雫を護れ!〜」収録のクライム・クリーチャー。ブレインジャッカーを墓地またはマナゾーンから召喚できるようにする能力と、トリック3を持ちます。 トリックの効果はその名のとおり1ターンスキップすることで、次の自分のターンに大量ドローと多色カードの生み出すマナをすべて2にするという物。もちろん5色カードだろうとマナは2になります。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/keikenchi2/pages/1050.html
大量の石が転がる急斜面を体長50cmにも満たない子タブンネたちが見上げている。 斜面の角度は45度。距離は10m。 子タブンネにとって絶望的な「壁」がそこにある。 この斜面を登らなくてはならない。そもそも登りきることができるのか。 どの子タブンネの表情もすっかり青ざめてしまっている。 タァン!という乾いた音が静かな採石場に響く。 レースの始まりを告げる火薬の音だ。 子タブンネたちは意を決し、次々と斜面を登り始めた。 レースには制限時間が設けられている。 スタート地点でもたもたしている時間はないのだ。 子タブンネたちがスタートしてから約5分。 1mと少しをのぼったところで、子タブンネたちはほぼ横一線になっている。 激しいデッドヒートなのかと思える光景だがそれはちがう。 子タブンネたちは少しも進んでいない。それどころか、落ちないように必死に歯を食いしばっている。 競り合いになっているわけではない。 子タブンネたちには、早くも登る限界がおとずれていたのだ。 子タブンネたちが情けないのだろうか? いや、ちがう。 さて、一般的に急な坂というと何度くらいをイメージするだろう。 30度だろうか? 45度だろうか? それとも60度以上だろうか?。 ここに面白い話がある。 傾斜の角度が5度を超えると、人間はそれを急な坂だと感じるという。 この5度というのは、一般的な電車であれば前に進むことすらできない。 角度が25度から30度になると、人は前かがみにならなければ歩くことが困難になり、 車に至っては特殊なモーターやタイヤでもない限り上ることはできない。 そして40度を超えると、人間であっても手を使わずに移動することはほぼ不可能となる。 人間のイメージと実際の数字には大きな開きがあるのだ。 現在、子タブンネたちが登っているのは、角度45度の急斜面。 いや、坂というより「壁」と言った方が近いかもしれない。 まだまだ筋力の弱い子タブンネが急斜面を登りきることは相当に困難なことなのだ。 それでも子タブンネたちは登らなくてはならない。 最初に登りきれなければ、待っているのは自分自身の死なのだから。 何匹かの子タブンネが動き出す。 斜面には大小さまざまな石が存在している。 石をつかみ、足場にし、少しづつではあるが体を前に進めていく。 斜面の上からは親であるタブンネたちの声が聞こえてくる。 子タブンネたちに「がんばって」と声援を飛ばしているのだ。 レースが開始してからすでに30分が経過していた。 子タブンネたちの多くが半分以上の距離を進み、トップの子タブンネはすでに9m地点を通過している。 このまま決着がつくかと思われたそのときだった。 「ミィィィィィィィッ!」 独走状態だったトップの子タブンネが斜面を転がり落ちていく。 わずか数秒で地面に到達した子タブンネの体はピクピクと痙攣している。 力なく開いた口からは「ヒュー、ヒュー」という息が流れだす。 ゴール地点近くまで到達していたせいで長い距離をはめに転がることになり、その分だけ大きなダメージを受けてしまった。 レースへの復帰は絶望的だろう。 そして、1匹のが脱落したのを合図とするかのように、次々と子タブンネたちが転落していく。 転がってくる子タブンネに巻き込まれた子タブンネもいた。 転がり落ちた子タブンネのほとんどがその場から動くことすらできない。 中には、なんとかしてもう一度登りはじめようとする子タブンネもいたが、今から制限時間内にゴールするのは不可能だろう。 レースに残された子タブンネの数は、たったの3匹だけになっていた。 「ミィィ!?」「ミッミッ!?」 次々に聞こえてくる子タブンネたちの悲鳴に、親であるタブンネたちが騒ぎ出す。 わが子の悲鳴を聞いた親タブンネは、子どもを助けるために斜面に向かってあわてて駆け出す。 しかし、斜面に近づくにつれてスピードは鈍り、斜面を目の前にするとその動きは完全に止まってしまう。 この斜面の角度は45度。 イメージしにくいかもしれないが、この角度になるともはや「崖」にしか見えなくなる。 目の前に現れた崖に対して、親タブンネは尻込みし、意気消沈して元の場所に戻っていく。 もちろん、子どもを救出しようと斜面を下りる親タブンネもいるのだが、ほとんどの場合、 足を滑らせてしまって子タブンネを巻き込んで、斜面を転がり落ちていってしまう。 タブンネの持つ思いやりが、結果として子タブンネを死なせてしまうわけだ。 さて、レースの方はいよいよ佳境に差し掛かっていた。 残った3匹はすでに斜面の終わりに手が届きそうなところまで登って来ていた。 どの子タブンネも体力の限界であるが、「助かりたい」「親に会いたい」と最後の気力を振り絞っている。 そして、ついに1匹が斜面の終わりに手をかけて登り切ろうとしたときだ。 後ろにいた子タブンネが手を伸ばし、トップの子タブンネの尻尾をつかむ。 「ミッ!?」 もともと不安定な体制であった上に、ゴール目前であったことによる気の緩み。 家族のもとまであと少しであった子タブンネは、悲鳴を上げながら斜面を転がり落ちていった。 そして、文字通り相手を「引きずり落とした」子タブンネがついに斜面を登りきる。 ゼエゼエと荒い息を吐きながら、その顔には斜面を登りきったことによる嬉しさが浮かんでいる。 もうすぐ家族と再会できる。子タブンネは家族のもとに行こうとしたのだが。 斜面を登ることで体力を使い切ってしまい、立つことができない。 親が自分を呼ぶ声は聞こえている。その姿も視界にとらえている。 それなのに、体は少しも動いてくれない。 そして、遅れて登ってきた1匹がフラフラした足取りで、力尽きて動けない子タブンネの横を通り過ぎていく。 このレースは斜面を登りきることがゴールではない。 登りきったうえで、自分の両親のもとに到達することがゴールなのだ。 絶望の涙を流す子タブンネの目の前で、最後に登ってきた1匹が親の腕の中に倒れ込む。 わが子との再会を果たした1組の家族があげる歓声。 それ以外の、子どもとの別れが決定した家族の慟哭。 そして、スタート時と同じように響く乾いた火薬の音。 異なる3つの音が、レースの終了を告げる。 レース終了後、敗れた子タブンネたちを待っているのは家族との別れだ。 子タブンネたちは口から串を刺され、次々と火であぶり焼きにされていく。 生きていようと死んでいようと、関係なく平等に。 生きている子タブンネは苦悶の声を上げて必死に抵抗し、何とか逃れようとするがやがて完全に沈黙する。 そして焼きあがった子タブンネたちは、それぞれ親の元に返される。 変わり果てたわが子の姿に、親タブンネたちはいっそう深い悲しみを覚え涙を流す。 しかし、親タブンネたちの悲しみはこれで終わりではない。 どんな姿になったとしても、わが子はわが子だ。 そんな親タブンネたちの気持ちは、容赦なく踏みにじられる。 焼けた子タブンネの死体を食わされる。 檻に入れられ、目の前で腐っていく様子を見せられる。 大事なわが子の死体を、他のタブンネたちに食べさせる。 虐待愛好会にとっては、子どもの死体すら、タブンネを虐待するための道具にしか過ぎないのだ。 そして、今回生き残った子タブンネもそのまま生き残れるとは限らない。 死への恐怖にさらされながら、体を限界まで酷使するのだ。 心身ともに消耗してしまった子タブンネは、一晩と持たずに死亡することが多い。 大量の木の実をもらい、わが子との再会を喜び、幸せな気持ちで眠る親タブンネ。 しかし、朝になってみれば、地獄から生還したはずのわが子が冷たくなって死んでいる。 このときの親タブンネの悲しみはいかほどのものだろうか。 そして当然のように、死んでしまった子タブンネの体は、他の子タブンネたちと同じ末路をたどる。 火で焼かれ、親タブンネを精神的に虐待する道具として使われてしまう。 『ヒルクライム』 それはタブンネたちにとって地獄の代名詞だ。 タブンネたちが幸せになることは、決してありえない。 (『ヒルクライム編』おわり) ダウンヒル編
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/2130.html
張り込み姫 君たちに明日はない 3 (再読) 題名:張り込み姫 君たちに明日はない 3 (再読) 作者:垣根涼介 発行:新潮社 2010.01.15 初版 2010.1.25 2刷 価格:¥1,500 重たい海外小説の後に本棚から取り出して読み始めた。未読だと思っていたが、9年前にしっかり読んでいた。レビューまでしていた。まあ。いいかと内容を全く忘れたままで読み始めたところ、NHKでドラマ化されたものを見た記憶が蘇ってきた。田中美佐子と堺正章の脇役陣は想い出したが、坂口憲二の主役はあまり印象にない。ぼくの中でこの小説の主人公は、フィットしていなかったのだろう。坂口憲二では少しイケメン過ぎる。 アウトソーシングでリストラを請け負う会社、というのがバブル崩壊後のこの時期には売り上げを伸ばしていて、資本金が勧めの涙みたいなこの小さな会社を舞台に、仕事の退職や移動や見直しということをポイントに様々な職種に就く人たちの、人間の棚卸しが改めて題材として面白くて、この作家うまいところに眼をつけたものだと、そのストーリーテリング含めて感心したものだ。そもそもこの作家はクライム小説が素晴らしく、それをおっかけていた筈なのだが、どういうわけかこのシリーズ、より平凡な小市民の現実に寄り添った小説でも、山本周五郎賞を獲得しちゃった。やはり実力があるのだなあ。 シリーズは、リストラ請負人・村上伸介をレギュラーとした連作中短編集で、それぞれの作品毎に個性的なゲストキャラクターが登場。両側の眼線を入れ替えながら展開する、非常に読みやすいストーリーである。作品毎に会社が変わるので様々な業界や、変わった職場なども覗きながら、そんなバリエーションのなかで、様々な種類のゲストヒーロー&ヒロインたちが取り上げられる。彼らの生き方を巡る物語。 個人的には自分もリストラを受けたことがあるし、リストラをせねばならぬ立場にも立ったことがあり、小説を読みながらもそのときの両サイドでの自分の判断を棚卸しさせられるような、少し、自分の人生の鏡みたいな小説だな、と冷やりとさせられるところなどもありつつ、それ以上に自分のやってきた仕事を振り返り、そこそこいい仕事をやってこられた部分もあったりして(もちろん不甲斐ない結果も山ほど!)、今の仕事ももっともっとレベルアップしたりして行きたいものだなあ、などと心を入れ替える機会になるのは、この本の中でいろいろな人たちの人生に向き合えたからだと思います。 (2013.3.28)