約 487,947 件
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/120.html
第3話 2つの車 正彦達がフランスに来て1週間が経った。もうこのフランスの惨劇にも少しは慣れたが、まだこの事実を完全には受け入れられなかった。 その日の夕方、正彦たちは今日泊まる場所を探していた。もう人がいないここでは、どこに泊まっても一緒だと思ったからだ。大量の死体があるフランスの町を、泊まるところを探すために歩き続けていた。 正彦「・・・・しっかし、こんな状況をどう報告すればいんだろうな?」 ミラ「いきなりそんな後のこと・・。今は泊まる場所を探しましょうよ」 スラン「・・・ゲッシュ、いない・・」 一同「えっ!?」 彼らが後ろを見ると、一番後ろにいたゲッシュがいなかった。これを見て、一同は慌てた。 正彦「えぇっ!?あの生意気小僧が~。どこ行きやがった?」 ラベスタ「スラン、いつからいなかったの?」 スラン「・・・さっき見たら、いなかった・・」 ミラ「まさか・・。ゲッシュ、このフランス人達みたいに・・」 正彦「お、おいおい。そんな絶望的なことを言うなよ」 ??「お~い。誰が生意気小僧だ?」 4人が聞こえたところに振り向くと、そこに、5人分は軽く乗れる少々大型の車に乗っているゲッシュがいた。ゲッシュは車を4人の前で止め、車から出てきた。 ゲッシュ「こんな広い所は、歩くよりも車で乗っていったほうがいいだろ?だから車を探してたんだよ」 ラベスタ「でも、この車のキーをどこで見つけたの?」 ゲッシュ「車にささってた。たぶんどこかに出かけるところを、殺されたんだろ」 ミラ「でも、少し窓壊れているわよ?」 正彦「もうここには人はいないんだ。そんなこと心配しなくていいよ」 ゲッシュ「あ、そうそう!車探している時、泊まるのに丁度いい、古い屋敷みたいなところ見つけたぜ」 ラベスタ「そうね。じゃあ、そこで今日は泊まりましょうか?そろそろ見つけないと暗くなるし」 4人は車に乗り、ゲッシュが運転することになった。 車で走ってそんな掛からずにゲッシュが見つけたという屋敷に着いた。 ゲッシュの言ったとおり、少々古いが、とても大きく立派な屋敷だった。 正彦「うん。泊まるだけじゃもったい程の屋敷だ。ここをしばらく拠点としましょう」 ラベスタ「そうね。もう歩かなくてもいいし」 ゲッシュ「さ!もう暗くなるし、入りましょう」 そして、5人は屋敷に入っていった。 5人が屋敷を見つけ、屋敷に入った頃、フランスとイタリアの国境から、フランスに入った。1台の黒い車があった。そして、車は5人は泊まる屋敷に向かって走っていた。 続く
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/63.html
頂き物 ようこそ、頂き物の部屋へ。 ここでは、このサイトへ寄贈していただいたありがたい贈り物を展示します。 小説(頂き物) 絵(頂き物)? 音楽(頂き物) 怪談(頂き物)
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/139.html
その頃、植物高校近くの電話ボックスにて。 「――ねぇ、許せないございましょう? 私がデザインしたホームページを荒らしやがるなんて……!!」 ボックス内には、先程から高校生くらいの眼鏡少女が、十円玉を追加しつつ早口で怒鳴り散らしている。一体、なにを怒っているのか? ――え、読者の皆さんにはもう検討がついてる? 「だから、荒らしをした愛媛蜜柑には報いを受けてもらわないと。――え、首領に黙って自分ら戦闘員を動かしていいのかって? ふぅ……いいこと? ホームページが荒らされたってことは、私達組織に宣戦布告してるも同然ですわ。組織の看板を汚すゴミを掃除するのも、幹部である私の仕事だと思いません? ……はい、じゃあそういうことで。適当な人数と……そうね、『アレ』も持ってきて頂戴」 そう言い終わると同時に、眼鏡少女は受話器を置く。 「――……ふふ、思い知らせてやりますわ……」 眼鏡少女は、ギュッと拳を握り、顔を上げる。 「私達――ロボロボ団の力を」 カッ、と雷が――鳴り響いたら雰囲気たっぷりだけど、聞こえてくるのは電話ボックスを取り囲む野次馬の声だけ。 「まぁ奥様! なんでしょうあの娘?」 「急にわけわからないこと叫び出しちゃって」 「きっと相当苦労してるのねぇ」 スキンヘッドで口ひげを生やした主婦達は、ひそひそと囁きあう。さっきから少女が話していた声は――ダダ漏れだったりする。 「は……はゎ……っ!!」 少女の顔は、茹蛸のようにポゥッと赤くなった。 良い子のみんな! 電話でお話しする時は、静かに話そうね!
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/141.html
――数分後。 「うわぁ~……斗的、頭のてっぺんから爪先まで女の子だね~!」 「しくしくしくしく……」 ボロボロの元制服を纏った斗的は、壁の方を向いて涙を流す。 磨智は、斗的が泣くところを始めて見た。そのあまりの痛々しさに、思わず目を背け、話題を変える。 「そ、それにしても……斗的師匠が付けたってメダロッチ、どこで入手したのかな。ガマンさんはなんか聞いてないスか?」 「むぅ、残念ながらわからんのぅ。わしの見てる限りはな……」 「ずっと近くにいたのに、斗的が性転換してたことにも気づかなかったモーロク爺に聞いても無駄だと思うよ?」 蜜柑の一言でガマンは傷つき、斗的の隣で泣き出した。そんな斗的とガマンにお構いなしで、蜜柑と磨智は話を続ける。 「やっぱさぁ、某大国の陰謀だと思うんだよね! それだと面白そうだし」 「いや、面白そうって……」 「じゃあ、某セールスレディーからメダロッチを受け取ったことにしておく?」 「蜜柑……、この状況楽しんでるでしょ?」 「そりゃあ、勿論!」 いや、力説されても……。 「うぜぇんだよクソ蜜柑!!! 全部テメェのせいだろがッ!!!」 突如、ずっと部屋の隅で泣いていた斗的の怒声が、体育用具室に木霊した。 ふと斗的の方を見れば、涙に潤んだ目でまっすぐ蜜柑を睨んでいる。 「へ、どゆこと?」 「昨日、間違ってお前の家からメダロッチ持って行っちまったんだよ!! それを試しに付けてみたらな、このザマだ!!」 「ちょっ、ちょっと待ってほしいっス!!!」 磨智は頭の整理がつけられず、ストップをかける。 「え、つまり……またもや蜜柑の仕業なんスか?」 「ああ、ずっと蜜柑のターンだ」 磨智は、正直混乱している。そんな馬鹿な話があるのだろうか? 人工物に過ぎないメダロッチが、人間の体を魔法みたいに作り変えてしまうなんて。 だが、斗的が突如性転換したという現象自体が、そもそもありえないこと。だから、メダロッチのせいで性転換したという話も、無下には却下できない。 ――それに、 磨智は蜜柑にチラリと目を移す。蜜柑は、相変わらず頭の中に満開の桜が一年中咲き誇っているような顔をしている。 「蜜柑が絡んでいるというと……あながち否定も出来ないっスね……」 「だろ?」 「いやー、そんなに褒められると照れちゃうよあたしっ!」 「褒めてねーよ……」 斗的はげんなりした表情で首を垂れる。 「大体さー、人の家のものを黙って身に着ける方がどうかしてるんじゃない? その辺、常識で考えたらわかると思うんだけどなぁ~」 「ぐほっっ?!!」 斗的は精神的ショックを受けた。そりゃそうだ、あの愛媛蜜柑から「常識」を説かれたのだ。大魔王サタンに仏教を習った方が億千万倍マシである。 「――まぁ、そのメダロッチなら不可解な現象もありえるかもしれない、かな……」 珍しくシリアスな顔をして、蜜柑は腕組みをする。 「ありえるかもしれないって……どういうことっスか?」 「いやね、そのメダロッチ……ちょっと曰くつきなんだよね」 「曰くつきって……――まさかお前っ、また神社から拾ってきたんじゃ!?」 「違う違う! あたしの親父が遺跡から拾ってきたの!」 「遺跡……?」 説明しよう。メダロットのメダルは、最初遺跡から発見されたのだ。それを模したコピーメダルが一般に普及し、現在のメダロットブームに至る。 「うちの親父研究者だからさー、ちょくちょくそういう遺跡とか行くわけ。でね、石の棺に封印されているメダロッチとメダルを発見したというわけ」 「メダロッチも!!? メダロッチは、メダロットを転送したり、コミュニケーションを図ったりするための道具として、メダロット社が開発した通信機のはずなのに」 「そう! 今まで発見されたのはメダルやボディーだけで、現在のようなメダロット技術が古代にはないって言われてたけど……これで確定したも同然! このメダロッチは、歴史的発見の証拠たる、貴重な文化遺産ってわけ!!」 「いや、そんなに大事なもんなら、倉庫とかにしまっておけや。泥棒に盗られたらどうすんだよ」 熱くなっている蜜柑と磨智に対し、斗的は冷静なツッコミを入れる。 「そうだよね、現に斗的に盗まれそうになったし」 「泥棒扱いすんじゃねぇって言ってるだろ!!!」 興奮する斗的を、磨智は慌てて羽交い絞めにする。 「お、落ち着いてください師匠!! そんなことより、手がかりが見つかってよかったじゃないっスか!!」 「放せっっ!!! 今日という今日はコイツをだなぁ……!!」 「ちょっ、あ、暴れないでください!! む、胸が……」 ――斗的が暴れるせいで、磨智の腕に斗的の胸に付いた柔らかな双丘がマトモに当たる……そう言いたかったのだが、純情BOYの磨智にはとても言えなかった。うーん、これが青春ってやつ? ――その時だった。 ちゅどぉおおおおおおおんんっっ!!! ――校庭の方から、突如重い爆音が響く。 「ちょっ、なに今のあ○ほりさとるっぽい爆発音は!!?」 蜜柑は、己が心の中に潜む獣(野次馬)を抑えきれず、体育用具室の小窓から顔を出す。 校庭の中心は、まるで隕石が降ったのではないかと錯覚するほど、深くえぐれている。ぽっかり空いた大穴の底は暗く、見通しが利かない。さながら、地獄に続いているみたいに……。 ――いや、 よく見ると、穴の底では何かがうごめいている。複数の黒い影が、まるで、のた打ち回る子蛇のように、ゆっくり、ゆっくりと、這い上がってくる。 磨智は、ごくりと唾を飲み込む。言い知れぬ不安が、体の芯からじわりじわりと湧き出してくる。一体、あの穴からなにが飛び出してくるのか? わかっているのは、その者達が、自分の不安を現実にするであろう存在だということ。 影は、やがて地表へと顔を出す。それは、非常にありふれた、斗的達と同い年くらいの、 ――少女。 釣り目気味で、眼鏡に広いデコという学級委員長スタイル。頭にドキンちゃんのようなアンテナがついた黒い全身タイツを着ており、腰に当てた手が気の強い性格を物語っている。 斗的はそれを見て思った。「こんな時間なのに学校行かなくていいのか?」と。 少女は拡声器(どこから出した?)を掲げると、キンキンとよく通る声で物申す。 「えー、本日は晴天なり本日は晴天なり……。植物高等学校のみなさん、おはようございますですわ。私の名前は『長野クルミ』。間宮じゃなくて悪かったですわね!」 誰も言ってねぇよ。 「本日、学校へ行く時間を割いてまでここに来たのは他でもありませんわ。私達、『ロボロボ団』に喧嘩を売った不逞の輩を懲らしめに参りましたの」 「ろ、ロボロボ団だってぇっっ?!!」 磨智は、突然大声を上げる。 「どうした磨智?」 「ろ、ロボロボ団って言ったら、セレクト防衛隊も手を焼いている犯罪集団じゃないっスか!! メダル泥棒を筆頭に、食い逃げ、賽銭泥棒、ネコババと悪の限りを尽くしているという……あの」 「そんな連中に手を焼いているようじゃ、セレクト隊もおしまいだな」 斗的のおっしゃる通り。 「それにしても……連中の目的って、一体? 確か、ロボロボ団に誰かが喧嘩を売ったとか……」 磨智は窓に身を乗り出し、ロボロボ団の動きに注意する。 クルミは言葉を続ける。 「こともあろうにそいつは……ロボロボ団のホームページを荒らしやがったのですわッ!! 私がッ、一からhtmlの勉強をしてッ、タグひとつひとつに魂を込めて打ち込んだッ、ホームページをッッ!!! ――さぁ、出てきなさい!! 愛媛みかァアアアアアアアアんんッッ!!!」 愛媛みかァアアアアアアんんッッ……!!! 愛媛みかァアアアアアアんんッッ……!!! 愛媛みかァアアアアアアんんッッ……!!! クルミの声が、除夜の鐘のように何度も頭の中で反響する。斗的は、自分のすぐ横でのほほんとしている蜜柑を、煩悩と一緒に消してしまおうかと密かな殺意を覚えた。 「……蜜柑さん、どういうことですか?」 怒りのあまり斗的は敬語になる。が、そんな様子もなんのその、蜜柑はあっけらかんと答える。 「…………えへ、やっちった♪」 「『えへ、やっちった♪』じゃねェエエエエエエエッ!!! おまっ、馬鹿ですかぁ!!? なにロボロボ団に喧嘩売ってるんだよ!!! オレが巻き込まれたらどうするんだ? ええッ!!?」 蜜柑を責めながらも、自分の保身しか考えていない斗的。どっちもどっちである。なんでこんな人を師匠に選んだのか、摩智は自問自答する。 「だってさー、ロボロボ団のホームページ、あまりにもクソすぎたんだもん。存在するだけで罪っていうか」 「人の罪を責める前に、自分の罪を自覚しろや!! 冗談じゃねぇ、オレ帰るわ!! ――誰かっ、オレん家直行ゲート開いてくれぇええええ……」 見苦しくパニくる斗的に対し、蜜柑はチッチッチと指を降る。 「大丈夫大丈夫! 解決策は、キチンと考えてあるからさ!」 そう言うと同時に、蜜柑は、跳び箱をひっくり返す。中に入っていたのは、女子用のセーラー服であった。蜜柑はそれを両手で掴むと、ひらひらはためかせる。 「じゃんじゃじゃーん! 取り出したるは、なんの変哲も無い制服です!」 「いや、なんで跳び箱の中にそんなもんが入ってるんスか?」 「実はね、ずっと前に体育の男山先生が女子更衣室から持ち出してるのを見ちゃってさぁ!」 「犯罪じゃないっスか!! てか、なんで通報しないの!!?」 「どーでもいいわ、男山が制服泥かスカトロ好きかなんて。蜜柑、その制服でどうするつもりだ?」 「そりゃー、斗的に着てもらうんじゃない!」 蜜柑はサラリと言う。まるでそれが、国民総生産=総生産額-中間生産物と同じくらい当たり前のことみたいに。 「じょっ……じょっ、冗談じゃねぇよ!!! オレにオカマになれってか!? オレに木刀持って『がっかりだよっ!』って言えってか!!? さそり座の女を歌えってかぁあああああッ!!?」 「違う違う! これを着て、あたしの身代わりになってほしいの♪」 「……は?」 斗的は、ポカンと口を開け放つ。 「だ・か・らっ、交換条件! あたしは斗的が元に戻れる方法を教えてあげる。その代わり、斗的はあたしに変装してあいつらを追い払う!」 「そんな条件、オレが飲むと思ってるのか?」 そりゃそうだ。世界自己中選手権チャンピオンの斗的が、わざわざ自分の身を危険にさらすようなマネをするはずがない。 が、蜜柑は不敵に口元を歪める。 「思うよ~! 斗的に有利な条件が三つも揃ってるもん。まずひとつ!」 そう言うと同時に、蜜柑は人差し指をビッと立てる。 「ロボロボ団の制裁が、恐らくしょーもないものであること! 悪くても命に関わるようなことにはならないでしょ?」 蜜柑の言葉を受け、摩智がうんうん肯く。 「確かに……ロボロボ団のやってることって言ったら、子どものいたずらのレベルを出ないものばかりっスよね。とても人殺しをやるような連中には……」 「それに、数十年前もひとりの高校生がロボロボ団相手に戦ったって話もあるしね! まぁ、斗的なら大丈夫でしょ!」 「期待されてもなにも出ねぇよ……。――でもよぉ、目付けられて職場や自宅にまで押しかけてくるかもしれないだろ。てか、こんな目立つ格好じゃ変装したってばれるだろが」 斗的は自分の長い髪をつまみながら、ジト目を蜜柑にむける。対し、蜜柑はにんまりと口の端を吊り上げ、 「そこで登場するのが二つ目の理由!」 二本目の指を立てる。 「今の斗的を見ても、誰も高校生『男子』鷹栖斗的だとは思わないこと~♪」 摩智はポンと手を打つ。 「そっか! いつも一緒にいる僕が一瞬戸惑ったくらいだもん! これなら師匠とバレることはないっス!」 ――それに、目の前にいるのが斗的とは思えないほど可愛いし。 磨智は一瞬そう思ったが、こんなことを口に出しては斗的に逆エビ固めをかけられかねないので、心の中にしまっておいた。 「もしかして、斗的が性転換したのも、こういう運命だったのかもね! 斗的、運がいいよね~♪」 「性転換したせいで、お前の身代わりになるという余計な事態に陥ったんじゃないのか?」 斗的はブスッたれた表情のまま、冷静なツッコミを入れる。後に、溜息をふぅとひとつ吐き、観念したように肩をすくめる。 「――仕方ねぇなぁ……お前の身代わりにでもなんでもなってやるよ。その代わり、セーラー服なんて死んでも着ないからな」 ――ちょっと残念かも。 磨智は密かに思う。今の斗的は、元男だということが信じられないくらい可愛い。女の子らしい格好をしたら、似合うんじゃないか? でも、そんなことを口に出したら斗的に殺されかねないので、黙っていることにした。 そんな磨智の思いをよそに、蜜柑は斗的の肩を馴れ馴れしくポンポン叩く。 「いやぁ~、やっぱ斗的は優しいね~! あたしの言うこと、最終的にはいつも聞いてくれるんだもん!」 「人を召使いみたいに言うんじゃねえ。――とりあえず、行ってくる」 斗的は、体育倉庫の取っ手に手をかける。が、蜜柑はニヤニヤしたまま、斗的の肩から手を離さない。 「その格好で?」 「あ? ――って、うわぁあああああああああああッッ?!!」 斗的の甲高い声が、体育倉庫中に響く。と同時に、磨智はプッと鼻血を噴き出す。 ――そうだ、ロボロボ団や蜜柑のおかげですっかり忘れていた。今の斗的はストリップ女優のような格好をしている。かろうじてボロ布と化したブレザーを身に纏っているという程度で、トイレットペーパーを体に巻きつけているのに等しい。破れた服の隙間からは、餅のように白く、柔らかそうな肌が顔を出している。 顔を真っ赤にしてうずくまる斗的に、蜜柑はセーラー服を振り子のように振りながら、三本目の指を立てる。 「三つ目の条件~♪ それはねぇ……斗的があたしからセーラー服を借りなきゃマトモに外を出歩けないこと~♪」 斗的は顔を上げ、精一杯蜜柑を睨みつける。が、涙をいっぱい溜めた目で睨まれても、全然迫力を感じない。 「くっ……、卑怯だぞテメェ……」 「卑怯もラッキョウもないも~ん♪ ――で、どうするの? このまま外に出て、性欲をもてあました男子生徒のオカズになるか、セーラー服を着て普通の女子高生になりすますか……くっくっく、もう時間はないよぉ~?」 蜜柑は、ニタリと凶悪な笑みを浮かべる。 もしかして、斗的の制服を破いたのは、これが目的か? だとすれば、なんという孔明の罠。 蜜柑は凶悪な笑みを浮かべ、じわじわと斗的に迫る。 「ということでぇ~、斗的『ちゃん』にはセーラー服を着てもらおうかなぁ~?」 「うぅ……」 斗的は歯を食いしばり、次第に壁際に追い詰められていく。その目前に、蜜柑はズイッとセーラー服を突きつける。 「さぁッ!!! 着なさいッ!!!」 ――その時。 「待ったッッ!!!」 体育倉庫の中に、メガホンを使って叫んだのかと疑うくらいによく通る声が響く。 声の主は他でもない。この物語の千両役者――成城磨智の声だ。
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/72.html
第壱夜「押しかけ妹は突然に」 第弐夜「」 第参夜「」 第四夜「」 第伍夜「」
https://w.atwiki.jp/masshoi/pages/37.html
このページでは家入レオの楽曲について説明しています。西川貴教の楽曲については「HERO」をご覧ください。 「ヒーロー」は、家入レオの楽曲。 基本情報 配信初出日 2017年7月26日 CD初出日 2017年7月26日 アーティスト 家入レオ 発売元 Colourful Records 作詞 トータス松本 作曲 編曲 鈴木 Daichi 秀行 A. Guitar 鈴木 Daichi 秀行 E. Guitar Bass Programming Drums 山内優 Sound Produced by 鈴木 Daichi 秀行 Recorded by Mixed by ※初出CD準拠 収録CD 発売日 商品名 DiscNo. TrackNo. 楽曲名 歌唱 2017年7月26日 『ずっと、ふたりで』通常盤:VICL-37299初回限定盤:VIZL-1203生産限定盤:VIZL-1204 - 3 「ヒーロー」 家入レオ 6 「ヒーロー (Instrumental)」 - 2019年1月30日 『この世界で』完全生産限定盤:VIZL-1518 2 11 「ヒーロー」 家入レオ 動画
https://w.atwiki.jp/rixyougi1234/pages/361.html
概要 現象数式により世界の隙間に形作られる歪みの空間。 黄金瞳を持たぬ人間を認めず、本来ならば選ばれた人間以外は入れない。 無数の柱が並んでおり、空は異形。中央ではド・マリニーの時計が時刻を記録する。 さらに直径数百フィートの舞台が存在しており、そこで戦闘を行う。 統治会が鐘或いは薔薇に生贄を捧げる血闘の領域。 その実態は《黄金王》の世界。鐘の内側に潜む薔薇が若人を嘲笑し続ける場所である。 登場作品 黄雷のガクトゥーン -What a shining braves- 他の作品で言う「ご都合主義的な結界」の類 -- 名無しさん (2013-05-05 09 42 29) 世界を革命する力を! -- 名無しさん (2013-05-06 01 45 57) 展開するたびにマックにコケにされる統治会 -- 名無しさん (2013-07-05 11 12 48) 名前 コメント 合計: - 今日: - 昨日: -
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/25.html
――目を閉じると、決まって蘇るのは、あの光景。 ところどころひびの入った、コンクリートの階段。ザラメのような砂利の散らばった、アスファルト。そして、それらを紅く染め上げる、夕陽。 その真下で、幼稚園ぐらいの少年が、赤黒い液体に身を沈めている。それは、冬雪。どうやら、階段から転げ落ち、頭を打ったらしい。 オレンジの光線が、冬雪の小さな体を包み込んでいる。まるで、そのまま溶かしこもうとするように。 「冬くん!! ねえ、しっかりしてよ!! 冬くん!!」 夏月が、その小さな手で冬雪を揺さぶる。声は震え、視界はいくら目をこすっても歪む。 そんな夏月に、冬雪は優しい微笑を向ける。その目は、焦点が定まっていない。しかし、それは、普段の冬雪から想像もつかないほど、優しく、澄んだ笑みだった。 「ふふ、夏っちゃんって……なきむしなんだね」 今にも消え入るような声。それから冬雪は、そっと夏月の髪を撫でつける。 「ほぅら……なんにも、こわいことなんて、ないからね。ボクはだいじょうぶ。だからさあ……なかないで、夏っちゃん。いい子だから……」 ――あれは、あたしのせいだった。 ――お母さんや冬雪のおばさんから「遊ぶなって」言われていた階段の上で遊んだから。 そう、全部自分のせい。 階段から落ちそうになったのも、自業自得。 なのに、そんな夏月を抱きしめて、冬雪が身代わりに。 その時、頭を強く打ちつけ、冬雪は失明寸前になった。 今でも眼鏡をかけているのは、その名残。 ――なんで、あんな顔ができるのだろう。 ――いつも泣いてばかりいるのに、こんな時に限って、冬雪は泣かない。 ――あの時は、本当にいなくなってしまうんじゃないかと思った。 夏月は、このことを忘れないよう、絵に描いた。 線の一つひとつ、絵の具の一筆一筆を加える度、針で刺されるような衝撃が襲う。 こうして完成した絵に、夏月は誓う。 これから、冬雪に降りかかる火の粉を、全て払い落とすと。 ホーリーメイデンズを続けるのも、アヤカシから冬雪を守るため。 だけど、冬雪が自分と同じ、巫女だったなんて。 しかも、元から女である夏月と違って、技を使えないとは。 マッドガッサー、口裂け女、仮死魔――何度もピンチにあった。 仮死魔の時、コツはつかんだらしい。 なのに、いくら自分が技を教えても、うまく形にすることができない。 ――このままじゃあ、またあんな目に。 ――今度こそ、消えちゃうかもしれない。 ――冬雪が。 ――あたしの冬雪が。 ――どうすれば。 ――どうすれば……。 机に伏し、頭を抱え込む夏月。その様子が、終里の持つ手鏡の中に映し出されている。 「くすくす、何度見ても滑稽だね。笑っちゃう」 終里は、裂けんばかりに、口の端を歪める。 そこは、漆黒の世界。始まりも終わりもない。上下も左右もない。ただ、音もなく、夜より深い闇が、無限に続くのみ。 そんな中、傍らにいる夏月は、ゴツゴツとした石の十字架に、磔となっている。体が鉛のように重く、動く気力さえ起きない。暑くもないのに、汗が次々と体を滴る。 夏月の耳元に、終里はそっとささやく。 「碓氷先輩を必死に守ろうとしたのは、そういうわけだったんだね。でもねえ、お前がやったことは、結果的に終里達に力を与えた。大蛇復活に必要な闇の力も、お前のを吸い取ったら、終わり。残念だったね、キャハハハハハハハ!!」 嘲笑を含んだ終里の声。明らかに、夏月を見下している。 こんなやつになめられてたまるもんか。なめられて。 「ハァ……ハァ……、うるさい……この、カマ!!」 喉から声を絞り出す。肺が潰れてしまいそうなほど、苦しい。思わず、咳き込みそうになる。 ギンと目を見開く終里。同年代の人間とは思えないほど鋭い視線が、夏月の体を鎖のように縛り上げる。心臓が、胸を突き破らんばかりに、激しく高鳴る。 「言うじゃない……このアマ。今まで生かされていたとも知らずにさ」 終里は、血のように紅い舌を出し、夏月の首筋をなめる。 「うぐっ!!?」 冷たく、ぬめりとした感触。瞬間、夏月の全身に悪寒が走る。 「柔らかく、なめらか……こんな肌に、昔は憧れてたかなあ」 小さく呟き、終里は夏月から身を離す。 「アヤカシを認知させるだけなら、メイデンズはいらない。本当の目的は、お前らの闇をもらうこと。強力な霊力を持つお前達は、それだけ強力な闇を抱えるほどの器を持っている。だから……後押しさせてもらったよ。くすくす」 目を見開く終里。その瞳は、完全に瞳孔が開ききっている。 「安心して。いつも一緒がいいんでしょ? 全員から、闇を搾り取ってあげるから」 全員――……冬雪も? 途端に顔を上げ、夏月は声を限りに叫ぶ。 「お願い!! 冬雪には、冬雪には手を出さないで!! 闇はあたしだけで十分なんでしょ!?」 「多いに越したことはないよ」 「駄目え!! 冬雪は見逃してよ!! お願いだからあ!!! 冬雪は!! 冬雪だけは!!!」 喉が張り裂けんばかりに夏月はわめき散らす。その表情には、太陽のような明るさは微塵もなく、悲痛な涙で溢れている。それはまるで、切れ目の無い暗黒の空。 そんな夏月の顔を満足そうに眺めながら、終里は血色の唇を、ペロリと舐める。 「そうそう。そうやって、闇に堕ちていきなよ。お前たちホーリーメイデンズも、終里やアヤカシと同じ――化け物なんだからさ」 今の夏月には、そんな終里の呟きは、聞こえる由もなかった。 白い太陽の光が降り注ぐ、昼時。そんな時間に、三人の少女と一人の少年が、道を連れ立って歩いている。 「冬雪ちゃん。目の下にクマができてますけど、大丈夫ですか?」 「夏月さんのことが心配で、眠れなかったんですね。僕の胸でよければ、貸しますよ」 「あはは……遠慮しとくよ」 鶯色のワンピースを着た三つ網の少女「渡辺春花」と大きなリュックを背負った長身の少年「桃ノ木三四郎」は心配そうな顔をする。 それに対して、背中まである長い髪に桃色のリボンで留めた少女「碓氷冬雪」は、ただ渇いた笑い声を上げる。普段は、しっとりと濡れたスミレ色の瞳も、赤く、腫れぼったい。 ――なにやってるんだよ、決戦前なのに。 思わず心の中で呟き、小さく溜息を吐く、ショートカットの少女「卜部秋綺」。その服装は、檸檬色の短パンTシャツといった簡素なもの。 だけど、不思議だ。臆病で、優柔不断で、おどおどとしているはずなのに、冬雪なら大丈夫という確信に似たものが持てる。うまく口では言えないが、そう思えてしまう。 その一方で、秋綺の心には、不安がある。 顔を上げ、秋綺は、チラッと冬雪の姿を見る。 昼時の太陽を受け、まるで雪面のような肌は、きらきらと光を反射している。春花から借りた淡い水色ブラウスと蒼いロングスカートを纏った様子は、白い肌と相まって、まるで雪の妖精。 出会った時から女みたいだと思ってはいたが、最近、仕草や言葉遣いの一つひとつが、どんどん女らしくなっている。恐らく、本人や周りは気づいていないだろう。だが、同じ立場である自分だからこそわかる。どんどん遠くなっていくのが。もしかして、冬雪はこのまま、完全に女に。 「どうしたの、秋綺?」 ふと我に返ると、キョトンとした表情の冬雪が、秋綺の顔を覗き込んでいる。純粋で、この世の穢れというものを知らないかのような表情。 「な、なんでもねえ……」 秋綺はプイと顔を背け、その豊かな胸を押さえる。手には、柔らかな感触と、トクントクンという心臓の高鳴りが。 ――本当に何なんだよ、この気持ち。 秋綺には、それが、男としてのものなのか、女としてのものなのか、わからない。 その時、秋綺の耳に、三四郎の声が飛び込む。 「つきました……旭小学校です」 夏場のためか、暑い太陽の光によって、旭小学校の鉄筋校舎はゆらいでいる。丁度、給食時だろう。校門の前からも、児童達の賑やかな声が聞こえてくる。 「もうすぐ、正午です。28、27、26、25……」 時計を見て、秒読みを始める三四郎。その横で、三人はオーヌサステッキを構える。 「14、13、12……」 三人は声を合わせ、言霊を唱える。 「古(いにしえ)は天地未だ剖れず、陰陽(めを)分れざりし時、渾沌(まろが)れたること鶏子(とりのこ)の如くして、ほのかにして牙(きざし)を含めり。……時に、天地の中に一物生(ひとつのものな)れり。伏葦牙(かたちあしかひ)の如し。すなわち神となる。国常立尊と号(もう)す」 瞬間、周囲は三色の光に包まれる。 「3、2、1、今です!!」 叫ぶ三四郎。 と同時に、四人は校門へ、一気に飛び込む。 三四郎がうっすらと目を開けると、そこは夜の世界だった。空には月明かりだけが灯り、涼風が、秋綺の髪をサラサラと揺らす。辺りには墨をこぼしたような闇だけが、辺りに深い静寂を落としている。 「な、なんで夜に!?」 三四郎は狼狽し、辺りをキョロキョロと見回す。さっきまで、日の光という白が支配していた場所を。 「ここはアヤカシの世界、なにがあってもおかしくねえ」 秋綺は、きつい目つきを一層鋭くし、辺りに注意深く気を配らせている。冬雪や春花も、落ち着き払った様子。 これが……ホーリーメイデンズ。 話だけなら昨日説明してもらったが、とても信じられなかった。しかし、この異常事態に物怖じしない様子は、同年代の女子に見えない。ここで初めて、現実に直面した気がする。 そのような考えを三四郎が巡らせていた時、冬雪が奥を指差す。 「ねえ、あれ」 その方向には、黒々とした魔王の影が。巨大な「それ」は、秋綺達を飲み込まんばかりに、立ちはだかっている。思わず、三四郎は息を飲む。 「木造校舎……ですね」 「うん、僕が通ってた校舎」 「あそこが、恐らくアヤカシの本拠地だな」 「な、なんか……帰りたくなってきたんですけど」 引きつった笑いを浮かべ、三四郎は先ほどから泣き喚く心臓を押さえる。額からは、際限なく冷や汗が。 正直、覚悟はしていたつもりだった。しかし、いざ目の前にすると、体の芯から震えが伝わってくる。 刹那。 「ふぇっふぇっふぇっ、逃がしゃせんよ」 前方から聞こえる、しわがれた声。同時に、微かな月明かりの下、小さな影が浮かび上がる。 それは、小豆色の着物を着て、首に赤いマフラーを巻きつけた、老婆顔や腕には、細やかなしわが刻まれ、煙のように真っ白な髪はザンバラ。口には薄笑いが浮かび、所々抜け落ちた黄色い歯が見える。 「当然、八岐大蛇様の所にもいかせん。このアヤカシ十二神将が一人『四次元婆』がな」 白濁した目で三四郎達を見つめ、四次元婆は、足下まであるマフラーをはずす。 「おいおい、四次元婆。抜け駆けはやめろよ」 「俺達にも」「私達にも」 「やらせてくれるのが筋でしょう?」 「あー、みんなやる気満々だね。兄チャン」 木陰から、砂場から、校舎から、わらわらとアヤカシが。 「我々はアヤカシ十二神将、八岐大蛇親衛隊です。先に逝った六人の敵を、今ここで取らせていただきます」 自信満々な態度で、シルクハットの怪人「赤マント」は言い放つ。 それを尻目に、秋綺と春花は冬雪に目配せする。こっくりとうなずく冬雪。次の瞬間、三四郎の手を引き、一気に駆け抜ける。手袋越しに伝わる細い指の感触に、三四郎は一瞬ドキリとする。 「ぬっ! 行かせるかあ!!」 四次元婆は、マフラーを冬雪に向かって投げつける。まるで、鎌首をもたげた毒蛇のごとく、迫るマフラー。 ――危ない!! そう思った時には、三四郎は冬雪を地面に押し付け、鞄の中の物を投げつけていた。それは、肌色に塗られた石。そのまま放物線を描き、マフラーと接触する。 次の瞬間、蒼白い火花が。 四次元婆は、慌ててマフラーを手繰り寄せる。 額に浮かんだ汗をぬぐい、三四郎は大きく溜息を吐く。 「ふー、四次元婆は肌色の物が苦手なんですよ。効いてよかった」 そう。好きな女の子のために、動くことができた。三四郎にとって、それが何よりも、誇らしい。 「ちょっと……」 真下から、迷惑そうな冬雪の声が聞こえる。ヒョイと目を移した瞬間、三四郎は、顔をゆでダコのように赤くする。 地面に押し付けられた冬雪は、目に涙をにじませながら、三四郎を睨みつけている。蒼い袴はめくれ、サラサラとしたストッキングに包まれた、無駄な肉付きのない太ももが露わに。微かなふくらみのある胸の上には、三四郎の手が。 「え、いや、違うんです!! これは男の甲斐性、じゃなくて!!」 手に残る柔らかな感触に、酔いしれそうになりながら、三四郎は必死に言い訳をする。 次の瞬間、浅葱の袖が舞う。気づいた時には頬に冬雪の張り手が。 「ぶっ!!」 熱い痛みが走り、三四郎は思わず頬を押さえる。 「うわぁぁぁぁぁぁん!! 汚された!! 汚されたよお!!」 「え、ちょ、汚されたって、助けたのにそれはないですよ!! 冬雪君!! 冬雪くぅん!!」 両手で顔を押さえ、校舎へと走っていく冬雪。それを慌てて追う、三四郎。秋綺やアヤカシは、それをポカーンと眺めているのみ。 骸骨ライダーは、ハッと意識を取り戻し、昇降口へと目を向ける。 「な!? に、逃がすかあ!!」 すぐさま獣のような唸り声を上げる、バイク。煙を鋭く突き上げ、校舎に突っ込もうとする。 が、それをいくつもの矢が襲う。 骸骨ライダーは、大きくバイクを旋回させ、電ノコのような車輪で、それを叩き落す。 校舎の入り口に目を移すと、そこには春花が。 「ここから先は、一歩も通しません。私と戦う、覚悟はおありですか?」 春花は、にっこりと笑う。まるで、百合のようにしなやかな笑み。だが、そこには力強さが。 つられて、秋綺も口の端を歪める。 「そうだな。俺たちの役目は、こいつらの足止め。いや、」 ヒュンッと空を切る純白のステッキ。瞬時にそれは、細身の槍へ。 「あいつらが戻ってくる前に、全員ブッ潰してやるよ」 轟音と共に、紫電がほとばしる。闇を切り裂く白き閃光に彩られ、秋綺は言い放つ。その瞳は、どんな敵をも寄せ付けない、自信に満ちている。
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/130.html
第8話 ミッケ! 僕、バクス・ブレイスはロシアで狂戦士と戦っている。自分は今15体倒している。え?全然少ないじゃないか? ……逃げまとう多くのロシア人の中から狂戦士を見つけ、さらに人に危害を加えずに狂戦士を殺すのがどれだけ大変かわかってからそういう質問を言ってくれ。 しかし、時間もだいぶ経ち、僕らがいる地域でにげんる人々は少なくなってきて狂戦士が見分けやすくなってきている、つまり、倒しやすくなっている。こういうのを吉報っていうのかな? しかしそれでも狂戦士は人を殺すのをやめない。見た感じ狂戦士は命を奪うのを愉しんでいる。なんて奴だ・・これが本当に生物兵器がやることなのか?と思ってしまう。 でもこう思っている間も破壊された家の壁の破片を魔術で操り、狂戦士の両手、両足そして顔に突き刺している自分も何て奴なんだろ・・。 僕は狂戦士を殺しながら四方八方に逃げる人々に逃げる方向を教えている。何せ、僕らが来る前に兄貴の携帯にハンター仲間からこんな電話があったからだ・・・ 数時間前・・ ~兄弟の車の中~ その時僕らは大急ぎで車の行き来が少ない道路でロシアに向かっていた。魔術を少し使い、車とは思えぬ速さで走っていた。我ながらいい魔術ができた。 走っている最中に兄貴の携帯にハンター仲間のバーティから電話があった。バーティはハンターでも数少ない魔神と共に悪魔を倒すハンターだ。 ラック「おっ、バーティ!どうした?今俺ら大急ぎでロシアに向かっているんだが・・」 バーティ「俺は今ロシアにいる」 ラック「!! ロシアの状況は!?敵は誰だ!?」 バーティ「見たこともない敵だ。少なくともそこらの悪魔じゃない(バーティは狂戦士のことを知らない。それをふまえてくれ)。今俺の魔神のマカンドがその悪魔らしき生物と戦っている。見た感じ、あんまり強くないが、数が多すぎる。それと今救援に迎えるハンター全員がロシアに集結している。こりゃハンター連盟創設・解散の歴史上、最大の戦いかもな」 ラック「・・・つまり、ロシア全域にその悪魔が・・・。確かに悪い言い方をすれば戦い、良い言い方をすればショーだな。こりゃ」 バーティ「そろそろ切るぞ。俺もマカンドにばっか任してられないな。じゃ!」 これが数時間前の出来事だ。つまり、ロシアから出ないとどこに行っても殺されるから国外に逃げる道を教えているわけだ。 そういや、ハンターはある程度ここに向かってきているとのことだ。早く援軍が来てくれないかな・・。さすがに疲れてきた・・・。 その時の僕は油断していた。そして、僕は後ろに刀を構え、僕を真っ二つにしようとする狂戦士に気づいていなかった。 バン!! 僕が急いで後ろを振り返ると、そこには僕の足元で頭を銃弾で打ち抜かれた狂戦士の死体と、ショットガンを構え、こっちを見ている正彦と、僕が銃弾と一緒にあげた聖水をつけ、ナイフで狂戦士を喉元を切り裂いているゲッシュがいた。 正彦「援軍に来たぜ!バクス!」 ゲッシュ「2人でやるより、4人でやったほうがいいだろ?」 バクス「・・・そうだな」 正彦「よし!やるぞ!」 正彦はショットガンで3体の狂戦士を、一体は喉元に3発、もう一体には心臓付近に、最後の一体の頭、手、足を撃つ。ゲッシュは上手く狂戦士の隙を見つけ、その隙を逃さずに狂戦士をナイフで切り裂いていく。 よし!僕らが優位に立った! その時、僕は剣で狂戦士を殺すのをやめている兄貴を見つけた。何で? 僕は兄貴のところに行き、兄貴に話しかけた。 バクス「オイ!兄貴何で狂戦士を殺してないんだよ!早くやらないと・・」 ラック「・・見つけた・・」 バクス「・・え?」 ラック「あいつだけはあんなキズを負っても死んでない。絶対あいつだ」 バクス「だから何を見つけたんだよ!?」 僕は兄貴が見ている方向を見た。そこには・・・ 左腕がなく、僕らと狂戦士の戦いを人の内臓(どんな内臓かは見えない)を食いながら見ている、狂戦士がいた。今までの狂戦士は致命傷となるキズを負ったら人と同じように死んでいた。 つまり・・・ あいつが本体だ!! 続く
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/61.html
その頃、地球防衛軍日本支部。 医務室の窓から空を見上げるカスミ。 そこには、いつもうるさいぐらい賑やかな町並みではなく、倒壊した建物が持つ静けさだけがあった。 月明かりは優しく、それらの町並みを包み込む。 「なあ、セイント。確か、お前はとんでもないやつにやられてエネルギーを激しく消耗したんでしょ? それって、あのクラゲ型の怪獣のこと?」 『いや、やつよりよっぽど恐ろしいやつだった…。果たして、私はそいつに勝てるのだろうか……』 「そっか……」 まだ見ぬ強大な敵によって、不安が黒い雲のように心を占め始める。 しかし、怪獣の王とも呼ぶべきそいつは、すぐそばまで来ていた……。