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タディバスト エジプト神話に登場する王族。 関連: アアケペルラーセテプエンアメンオソルコンヨンセイ (アアケペルラー・セテプエンアメン・オソルコン4世、息子)
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アルムフタディー(アル・ムフタディー) ムフタディーの別名。
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┃スタディオン ダンジョン形式 必要Lv 入場条件 ソロ 180 1人
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Chapter8「十人十色、メタディア黒色」 西桜舞平原を三つの影が行く。 コテツは強さを求めて。ステイは世界を知るために。シエラは帰るべき場所を探して。 彼らの旅は始まったばかり。次に目指すのは南方の大陸、咲華羅(サッカラ)だ。 強大な力を持つ謎の存在ウェイヴやメーディに驚かされても、頭が8つもある大蛇に襲われたとしても、それぐらいで足を止めているわけにはいかない。とくに強さを求めるコテツは立ち止まるわけにはいかない。いずれ追いついてやる。いや、追い越して見せる。それぐらいの意気が必要だ。 「そうじゃないといつまで経っても故郷に帰れないからな。ここで折れちゃ故郷で待つ者の期待を裏切っちまう」 「刀は折れたけどね」 「うるせぇ、いつまでも引っ張ってンじゃねぇ」 だが急いては事をし損じる。突き走るだけでなく、時には休息も必要だ。 咲華羅大陸へ渡るためには船に乗らなければならない。船は西端の鳴都から出るが、ここからはまだまだ遠い。当然一日で行けるような距離ではない。癒國のあるこの島を横断しなければならないからだ。きっと長旅になることだろう。 癒國は東に平牙の都あれば、西には梅華京の都がある。まずは梅華京へ向かい、そこで改めて仕度を整えてから鳴都へ向かうべきだろう。無理をして進んでは、道中で倒れてしまいかねない。 「そうそう。周辺でレベルを上げつつ町で装備を揃えて、ちゃんと回復してから次の町へ出発しなくちゃ」 「なンだよ、レベルって」 「そうだねぇ。せめて回復魔法ぐらいは覚えておきたいよね。アイテムの節約になるし。まぁ、あたいは攻撃魔法専門だけど」 「おめぇら、オイラにもわかるような話をしてくれ」 「まぁ冗談はさておき、休憩は大事って話だよね」 平牙から梅華京への街道沿いには茶屋や宿場が点在している。また道祖神の祠も散見し、旅の者たちはここで行く先の安全を祈ったりもする。 そんな茶屋のひとつにステイたちは滞在していた。 「急がない急がない、一休み一休みってね。あ、おばちゃん。お団子おかわり」 茶屋の奥からは店主が新しい皿を持って現れる。皿には串に刺さった三色の団子が二本乗っている。上から順に桜舞平原の桜、茶屋の正面に見える砂浜の白、そして茶葉の緑を表している。 ステイは皿を受け取ると、新たな団子を片手に茶をすする。古い皿にはすでに何本もの串が並んでいる。 「うーん、風流だね。エルナトにはこういうのなかったからなぁ。心が落ち着くよ」 「午後の日差しがあったかいし、海は綺麗だし、振り返れば紫柴の頂が映えて見える。良い場所だよねぇ」 そしてステイの膝の上ではシエラが丸くなっている。あとはちゃぶ台にみかんと醤油せんべいさえあれば、まさに古き良き茶の間の午後の平和な一時のような光景だ。空には円を描くように鳶が舞っている。 「おめぇら落ち着き過ぎだろ! これは観光の旅じゃねぇンだぞ!」 そんな平和な一時をぶち壊すかのように、このサムライわんこは吠えたてる。 「いいじゃない、ちょっとぐらい休んだって。わんこだもの」 「何がわんこだものだ。そう言っておめぇら、もう何時間そうやってンだよ! お天道サンが沈ンじまうぜぃ」 「まあまあ。そうやって急ぎ過ぎると血圧が上がって死んじゃうよ」 「こンな初っ端から死ンでたまるか。結果が飛びすぎてンだろ」 旅の目的は冒頭に述べた通りのものだ。もちろん急ぐ理由はない。 だがコテツはそうは思わないようだった。事情は話してくれないが、故郷のことが関係しているらしい。コテツが強さを求める理由はそこにあるようだ。そして故郷の仲間がコテツの帰りを待っているのだとも。 それならばすぐにでも帰ってやればいいというのに、今の自分の実力ではとてもまだまだ帰れないとコテツは言い張る。なぜか強くならなければ故郷に帰れないらしい。 「コテツは焦り過ぎてるんだよ」 「そンなことねぇよ。でも故郷を出て二年は経っちまってる。だから少しでも急かねぇと…」 「だったらあたいたちにも話してよ。協力するよ?」 「いや、それはだめだ。これはオイラの問題だ。おめぇらを巻き込ンじゃいけねぇ」 こんな調子でまるで故郷のことは話してくれない。 一体どうしてコテツはそんなにも強くなることにこだわるのだろうか。 ふと茶屋の前を一匹のメーが横切った。よく見かける桃色のメーではなく黄緑色のメーだ。 ステイが訊くと茶屋の店主があれはコノハメーだと答えた。 「コノハメー?」 「そうさね。うちでお出ししているお茶はあのコノハメーが収穫した茶葉からできてるんですよ」 聞くとこの近くに茶畑があり、さっきのコノハメーが茶葉の収穫に利用されているのだという。 メーはこの世界に広く分布し、ほとんどの場所で食用として取り扱われている。そのためなのかメーには多数の亜種が存在し、コノハメーもそのひとつなのだという。具体的には外敵に捕食されることを恐れて、植物を身にまとい擬態するのがコノハメーだ。 この近くの茶畑ではそんなコノハメーの習性を利用して茶葉を収穫させているのだ。ちなみにコノハメーそれ自体を茹でても、おいしいお茶を得ることができる。 「動きが鈍くなって収穫に難が出てきたら茹でごろですよ」 「いらねぇよ、そンな情報。そンなこと聞いたらきっと…」 「おいらその茶畑見たい!」 「……ほらこれだ」 それを聞いたステイは早速その茶畑に興味を持ってしまったようだ。太陽のように目を輝かせている。 「メタディアにもいろいろいるのねぇ」 「メーなンかは一般的な食料になるぐらいに広く知られてるからなァ。これがあのメーディと同じメタディアの一種だとは思えねぇや」 この世界に存在する奇妙な生き物は総称してメタディアと呼ばれる。厳密にいえば紫色系統で名前がメから始まるヘンないきもののことだ。桃色や黒もこの紫色系統に含まれる。あれもかなりヘンないきものだが、どんこや紫色の極限的な機械はメタディアには含まれない。 メーなどは食用として広く知られているが、その実はメタディアについてはあまりよく知られていない。どんな世界にでも奇妙なものを食べてみようと考える勇者がいるようで、メーが食用として急速に広まったのはその勇者の功績だ。最初にカニやタコなんかを食べようと考え出した者は素直に尊敬せざるを得ない。食べてみなければそれが美味か毒かはわからない。そして食用とされる桃色のメーはたまたま前者だったというわけだ。 今では一部の地域を除いて、見ればほとんどが涎を垂らすというほどに食用として知られたメーだが、数百年前まではメーはおろかメタディアという概念すら存在していなかった。これが現れるようになったのは、第4世界が始まってからだ。 現在この世界は第4世界。以前タワシが話していたように過去には別の3つの世界があり、第3世界は魔法文明の栄えた世界だったという。もっともそれは戦争で滅んでしまい今は残されていないのだが。 「不思議なモンだな。まァ言えるのはメーみたいに善玉なのもいれば、メーディみてぇな危なっかしい悪玉もいるってことだ」 「善玉悪玉ってなんかコレステロールみたい」 コノハメーは前者だ。だからこそこうして便利に利用されている。 他にもメーには様々な亜種がいる。例えば寒冷地に適応したもふもふしたものや、敵に襲われないように全身に鋭い棘を持つものなど。そのほとんどはメーが食用とされるようになってから見かけるようになった。捕食されないために身を隠したり守ったりするために環境に適応していったのだろう。 「まァ、オイラもあまり詳しくは知らねぇが、この島だけでもいろいろいるモンだぜぃ」 するとそこでステイが訊いた。コノハメーを追いかけていたと思ったが、抜け目なくコテツの話に耳を傾けていたらしい。 「じゃああれは?」 前方には木の葉の塊がいくつか空を飛んでいる。 「コノハメーだろ。ああやって葉っぱを身体につけて擬態するンだよ」 「あっちのは?」 さらにその後方には黒いメーがいた。どこか霧のようにおぼろげで、幽かにその姿は揺らいで見える。 コノハメーたちは逃げるようにその先を行く。どうやらあの黒メーに追いかけ回されているらしい。 「あンな黒いメーは見たことがねぇな。あまりうまくはなさそうだ」 そのまま眺めていると、なんと黒メーはコノハメーに襲いかかり、大口を開けてそれを呑みこんでしまった。続けて逃げる他のコノハメーを呑みこんでいく。ついにすべて呑みこまれてしまうと、黒メーがほんの少し大きくなったように見えた。 「共食い!?」 「メーの中でも優劣があンのか」 驚くステイとコテツの隣で、シエラは何か気になるといった様子でその光景を眺めていた。 そうだ、つい最近見たではないか。あんな黒いものを。強大な魔力を秘めた謎の黒い液体を。 「黒いメー……黒……何か関係があるの?」 黒メーはしばらくそのままその場を漂っていたが、こちらを振り向くと突然こちらに向かってきた。黒い霧のような尾を引き、空中に黒くその軌跡を描きつつ、一直線にこちらに向かってくる。その大口を開けながら。 そしてそれはステイに向かって飛びかかった。 咄嗟に薙刀の柄でそれを受け止めるが、なんと薙刀は吸い込まれるように黒メーの口の中へと消えてしまった。 そのまま突撃する黒メーを寸でのところでステイはかわす。黒メーは地面に落ちて弾んだ。 「なにあいつ! おいらたちも食べようっていうの!?」 あの黒メーは自分の身体よりも大きな薙刀を食べてしまった。拾ったメーディの鎌から自作したあの薙刀だ。 どうやら相手の大きさは関係ないらしい。黒メーは黒い粘液のような涎を垂らしながら、鋭い眼光でこちらを睨んでいる。 「いつも食われるから、逆にその前に食っちまおうってハラか。やけにアグレッシヴなやつだぜぃ」 言って早くもコテツが抜刀、黒メーに斬りかかる。 しかし木刀はまるで煙でも切ったかのように虚しく空を斬る。すでに黒メーの姿はそこにはなく、背後からコテツを襲う。 「ちっ、メーなンかに食われてたまるかよ!」 飛び退いてこれをかわす。 ステイが捕まえようとするが、黒メーはするりとその手を抜けてしまう。 「ああっ、つかまえたと思ったのに!」 黒メーは様子を窺うように空高くに浮かんでいる。これでは手が届かない。 その真下には黒メーから垂れる黒い粘液が水たまりをつくる。 水たまりから気泡が発生したかと思うと、そこから黒い何かが這い出そうと顔を出した。その水たまりに大した深さはないはず。となると、あれはあの黒い粘液から誕生したものなのか。 そして勢い良くそれは水たまりから飛び出した。 「メギギギィ!!」 目の前には二匹の黒いメーが浮かんでいる。飛び出したのは新たな黒メーだったのだ。 「あいつ増えるのか!?」 「なんかB級ホラーにいそうだ! 光に弱かったりしないかな」 二匹のメーがそれぞれ襲いかかる。 こんどは外さない、とコテツが一閃。たしかにそれは黒メーの胴体を斬り裂いたはずだった。しかしこれも空を切る。 続いてステイが族長にもらった槍で応戦を試みる。槍の穂先が黒メーを突いた瞬間、槍が少し光ったような気がしたが黒メーにはまるで効いていない。 「なにあれ、霧みたいに! すり抜けちゃうよ」 「触れねぇってのか!」 こちらの攻撃は全く通用しない。 だがこちらには干渉できるらしい。黒メーは確かにコノハメーやステイの薙刀を食べてしまったのだから。 「ここはあたいに任せて!」 シエラが尾を杖のように振るう。するとそこから勢いよく水が噴き出して黒メーにぶつかった。 水は黒メーを押し流した。それに驚いた黒メーたちは一目散に逃げていった。 「やった! 追い払ったよ」 「やっぱり。大蛇のときと同じ…」 「どういうことだ?」 大蛇と比べれば微かなものに過ぎないが、シエラはあの黒いメーから微量の魔力を感じた。 つまりあの黒いメーと大蛇の黒い液体は似たようなものだというのだ。 「あのメーも魔力でできてるってこと?」 「かもしれない。物理的な攻撃が当たらなかったのもきっとそのせいだと思う」 「大蛇と同じ? そりゃどういうことだよ」 あの大蛇は昔も今も変わらないというようなことを言っていた。あれが伝承の八岐大蛇であるかはわからないが、太古から癒に封印されていたものであるということは間違いないだろう。 一方でメーは歴史的に見れば比較的最近見られるようになったものだ。それが太古の大蛇と関係があるとは考えにくい。 にも関わらずあの黒い液体と黒メーやその粘液には近い性質が見られた。すなわち、物理的な攻撃が有効ではなかったという点と魔法が効いたという点だ。やはり何か関係があるのだろうか。 「大蛇のあの黒いのが一部逃げ出してて、それがメーに化けたとか?」 「いや、それはねぇはずだ。あの大蛇はメーディとともに跡形もなく消えちまったからなァ…。あるいはメーディが何か企ンでやがるのか…」 「それとも偶然? だとしたら世の中不思議なことばかりなのねぇ」 並んで黒メーの逃げていったほうを眺める。 結局あの黒いメーはなんだったのか。大蛇とは何か関係があるのか。 あの黒い液体はメタディアと何か関係があるというのか。 メタディアについてはまだわかっていないことが多すぎる。ただ言えるのは、あの黒メーは後者だったということだ。 つまりメタディアには善玉もいれば悪玉もいる。コノハメーは前者で黒メーは後者なのだ。 それ以上は今はいくら考えても答えはでない。 「悩んでても仕方ないもんね。ここは一旦心を落ち着かせようよ。というわけで、おばちゃん。お茶とみたらしひとつ」 言うなり早速ステイは茶屋の椅子に腰かけていた。 隠れていた茶屋の店主はもう新しい団子を焼き始めている。 「おめぇ、まだ食う気か! そンなに金ねぇよ!」 「でも休憩は大事でしょ。急がば廻れっていうじゃん」 「全然廻ってねぇよ! いい加減にして旅を廻せってンだ」 「まあまあ。そんな細かいこと気にしてるとストレスで死んじゃうよ」 「誰が死ぬかァ!!」 一方シエラはすでに日当たりのいい場所を見つけて丸くなっている。こっちはこっちで動く気がないらしい。 コテツは思うのだった。 こいつらオイラにとって後者に違いねぇ、と。 Chapter8 END メタディア9
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タディーポー/蛙 2006年4月発売 キーチェーンなし 可動ボディ 眠り目 目 白目部分:白目 黒目部分:茶色 黒目位置:正面 肌 普通肌 髪 色:明るい茶色 前髪:あり パーマ:なし 長さ:ショートカット メイク アイシャドウ:オレンジ チーク:?? リップ:淡いピンク 服・小物 カエルの着ぐるみ、黄色レインコート、ピンク長靴 コメント 名前 コメント
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Chapter3「その名はメーディ」 空を行く小さな影がひとつ。 癒へと向かうステイのものだ。その背にはコテツの姿もある。 そんな二人を追い越すようにメーの群れが飛び去っていく。 その先に視線を移すと、大陸というほどではないが大きな島が水平線の向こうに見えてきた。 「あれが癒だぜぃ」 コテツがその島国の名を告げる。 「なるほど、さすが湯の国。山ばっかりだね」 「だからその湯じゃねぇよ。癒だ」 島の大部分は山地で、中央には紫の霞がかった山脈が見える。 その山々の中でも一際目立って高い山には雲のリングがかかっている。 「あの紫の山はなんなの? 輪っかのやつ」 「あれは紫柴(シシバ)ってンだ。なンでも聖なる山だとかで、霊峰って呼ばれてるぜぃ」 「レイホー?」 「紫柴の麓に広がるのは不如帰(ホトトギス)の樹海だ。帰らずの森って言われてるから、面白半分に入ったりすンなよ」 「ジュカイ?」 ステイの頭上には疑問符が浮かんでいる。 「癒って難しいコトバが多いんだね」 「おめぇが無知なだけだろ」 「おいら鞭より槍がいい」 「……もういいや」 紫柴の近くには桃色の森があった。 コテツが言うにはあれは桜舞(サクラマ)と呼ばれる森で、年中桜が咲き乱れているのだという。 近くには四方を城壁に囲まれた都市が見える。都の中には堀があり、その中央には城がそびえ立つ。 それは癒の國東の都『平牙(ヒラガ)』 折れてしまった刀を直すために癒へとやってきた二人だったが、コテツが言うには平牙に当てがあるらしい。 コテツに言われて、ステイは桜舞の平原に降り立った。 「空から直接ヒラガに入っちゃだめなの?」 「あの城壁を見ただろ? 平牙はよく妖怪の襲撃を受けるから警戒が強いンだ。不用意に近づくと砲撃されるぜぃ?」 「なにそれこわい。ヨーカイ出るの! ……で、それってヨウカンか何かの仲間?」 「逆に獲って喰われるかもな」 平牙を外敵の襲撃から守るために、空から侵入するものは全て撃ち落とされる。コテツ曰く、よく鳥やメーも撃ち落とされているらしい。 平牙へ入るには東西南北それぞれにひとつずつある門を通過する必要があった。桜舞平原からは平牙の東門が近い。 徒歩で平原を行き、平牙へと近づくとさっそく砲撃の音が聞こえてきた。城壁の四方の角にはやぐらが設置され、そこに何門もの大砲が据え置かれ、鉛の弾を次々と撃ち出している。 「さっそく何か攻撃されてるよ」 「平牙じゃよくあることさ。平時は空砲が刻を知らせるのにも使われてるしなァ」 見上げると平牙上空で何かが集中砲火を受けている。 しかし不思議なことに、撃ち出された弾は爆発したり落ちてきたりすることはなくどこかへと消えていた。 「弾はどうなるの?」 「普通は落ちてくるはずなンだが今日は静かだなァ?」 「落ちてくるのか。あんな感じで?」 「そうそう……って、流れ弾!? こっちに落ちて来てンじゃねぇか!」 上空からはこちらに向かって何かが突っ込んでくるのが見えた。それは物凄い速度で迫る。 慌てて避難しようと試みるがまるで間に合わず、それはコテツに命中した。 「こ、コテツが流れ弾に! ……ナガレダマ? 何かお願いとか叶えてくれるのかな」 「流れ星じゃねぇだろ! まず心配を先にしやがれィ!」 どうやら無事のようだ。ゆっくりとコテツが身を起こす。 すると飛んできた砲弾もおもむろに起き上がり始めた。 よく見るとこの砲弾は桃色だ。さらに言葉まで発した。 「大量大量っと。ちょうど欲しかったんだ」 どうやら生き物のようだ。 ステイの頭程度の大きさで、鰭のような四肢を持つ。頭には王冠状に角が生えていて、丸っこい身体の大部分は口が占めている。 さっきは空中に浮かんでいたようだが、その特徴と色からするとこれもメタディアの一種なのだろうか。 おくびをしてみせると、その生き物は口から黒い煙を洩らした。少し火薬の臭いがする。 「なンだこいつ? まさか砲弾を食ってやがったのか!」 「これがヨーカイ?」 そのヘンないきものは訊かれて名を名乗った。 「妖怪? そんなものと一緒にしないでもらいたいね。ボクはメーディ様だよ」 「メーディだと!?」 メタディア『メーディ』 それはエルナトの族長がとくに注意するように警告していたメタディアの名だ。 強大な力を持ち、エルナトの住民総出でかかっても歯が立たない程の相手だという。 だが目の前にいるこの生き物はまるでそんな凶悪そうな存在には見えない。 どちらかというと、小さな目に大きな口、そして丸い身体とまるでどこかのマスコットか何かのような姿をしている。 「だが見た目で判断するのはよくねぇからな。よし、力を試してやる。メーディとやら、オイラと勝負しろ!」 吠えかかり抜刀するコテツだったが、その刀の鍔の先には刃がなかった。 「そんなものでボクに何をするつもりだい? どうせここらの侍なんでしょ。冗談はやめてほしいもんだね」 「くそっ… 刀さえありゃおめぇなンて!」 「侍風情が何を寝惚けたことを言ってるんだかね。あ、その刀ボクが直してあげようか?」 「なンだとォ! 馬鹿にしやがって! 誰がてめぇの施しなンか受けるかってンだァ!!」 刃のない刀を振り回して怒り叫ぶコテツ。 しかし、ふと気がつくといつの間にか刀が消えている。 見るとステイが刀をメーディに渡している。 「な、何してやがる!!」 「だって今なら半額でいいって言うんだもん」 刀を受け取ったメーディはそれをまじまじと眺めている。 「折れた先がないんじゃ新しく打ち直すしかないよね。でも今日は大量で気分がいいからサービスしちゃおう」 「大量って?」 「砲弾がたくさん手に入ったからね。わけあって金属を集めてたんだよ」 言うとメーディはその刀をぺろりと食べてしまった。 突然のことに言葉を失った。はっと我に還るとコテツはさらに怒り狂う。 「て、てめぇ! オイラの大事な刀を食って……な、何てことしてやがンだァ!!?」 「やれやれ、しつけのなってないわんこだね。黙って見てなよ」 カーン、カーンとどこからともなく鉄を打つ音が聞こえてくる。続けて鉄を冷やす音が。 その音が何度となく繰り返される。そしてメーディの口からは煙が昇り始めた。 なんとメーディの体内で鍛治が行われているようだ。 驚くコテツにメーディは注文を訊いた。 「切れ味が欲しい? それとも丈夫にしとく?」 「え…… そ、そりゃァもちろん切れ味に決まってンだろ」 「切れ味だって。よろしくねー」 体内に呼び掛ける。すると中から「うぃーっす」と返事が返って来た。 「中に誰かいるの!?」 「それは企業秘密です」 刀が打ち上がるまでにはしばらくかかるらしく、完成した後に気が向けば届けてくれるとメーディは約束した。 気が向けばという点には不安が残るが、すでに刀を渡してしまっているので今さらどうしようもない。 「じゃあこれで平牙にはもう用はないの?」 「いや、寄ってくぜぃ。仲間にも会っていきたいからなァ」 今後の予定を話し合っていると頭上を何かが通り過ぎたような気がした。 気のせいではない。気がつくといつの間にかメーディの背後には黒紫鱗の竜人族が立っている。 ステイのような翼は持たず、尾さえない。背は高く、ゆうに二メートルは超えている。 「ようやく見つけたぞ、メーディ!」 黒竜人は低い声で言った。 呆れた様子でメーディはそれに答える。 「ウェイヴ、また君か。君もしつこいね。ボクは今忙しいんだけど」 「俺の相手が務まるのはもはやおまえだけだ。今日こそ俺が勝つ。手合わせ願おうか」 「やれやれ、今日は挑戦者の多い日だ。仕方ないね、少しだけだよ。この粋がってるサムライわんこにいかに世界が広いかってことを教えてあげるついでだ」 メーディの言い草にむっとして眉間にしわを寄せるコテツだったが、生憎今は戦う手段がないのでどうしようもない。 ウェイヴが承認して身構えると、メーディは体内からおもむろに大鎌を取り出してみせる。 それはメーディやコテツの身体よりもさらに大きい巨大な鎌だ。その鋭い刃は竜の首であろうと刈り取ってしまうだろう。 「武器を使うつもりか。俺を見くびるな、本気で来い。手加減など無用だ」 「今日はお客さんがいるって言ったでしょ。本当の武器の使い方を見せてやるんだ。相手してあげるだけでもありがたく思いなよ」 「……ふん。勝手にしろ」 ウェイヴの視線がコテツに向けられる。 その視線が鋭く突き刺さる。 「うっ…… な、なンだよあいつ」 「ねぇ、武器を使うのに手加減なんだって。どういうこと?」 「オイラが知るかよ」 こうしてコテツとステイの二人を観客に、メーディとウェイヴの手合わせが始まった。 桜舞平原に一匹のメタディアと一人の竜人族が対峙する。 どちらも睨み合ったまま、まるでぴくりとも動かない。 ゆるやかな風が平原の草木を揺らし、メーディから洩れている煙が風になびいて流れていく。 「全然動かないね」 「相手の出方を窺ってるンだろ」 そこに一匹のどんこが迷い込んだ。 両者の間の張りつめた空気などまるで気にせず、その間をどんこが駆け抜ける。 立ち止まりメーディを見て問う。 「メフィア?」 メーディはまるで気にもとめていない。 続けてウェイヴを見上げて訊く。 「メフィア?」 ウェイヴにはまるでどんこが眼中にない。 不満そうに走り去るどんこ。そして転ぶ。 その拍子に桜の花びらが舞い両者の視界を遮る。 次の瞬間、メーディもウェイヴもすでに姿を消していた。 「もぎゃぁぁあああ!」 突如、どんこの胴体が真っ二つに斬れた。 続けて発火、閃光を発し爆発した。 見守るコテツたちの前を突風が駆け抜ける。と思えば遅れて金属が激しくぶつかり合う音がやってくる。 突然近くの木が倒れ、地面に抉られたような穴が開き、岩が木端微塵に砕け散った。 大地に大鎌が深々と突き刺さる。その柄の上に疾風とともにメーディが姿を現した。 メーディは悪魔のような形相で不気味に笑っている。 大きく見開かれ血走った目はまさに死神。血のように赤い口から洩れる煙がさらに恐ろしさを増す。 まるでさっきの姿とは別ものだ。 同時に、向かい合う形でウェイヴが姿を現した。 ウェイヴの片腕には漆黒の闇のような禍々しいオーラが纏われ、時折激しい火花を散らしている。 一体何が起こったのか、コテツにもステイにも全く理解できなかった。 「な、なんだったの!?」 「速すぎて見えねぇってのか!!」 続いてメーディが動く。 大鎌を振り回すと、その斬撃が勢い良く飛んでウェイヴに迫る。 それはまるで無数の風の刃。メーディが鎌を振れば振るうほどに、まるで雨あられのように斬撃が飛び出してゆく。 斬撃の通り道にあった木々はまるで薪を割るかのように真っ二つにされていく。 そんな斬撃はメーディが合図すると意思を持ったかのように自在に舞い、ウェイヴの立つの一点目掛けて集中する。 大地が振動し、激しい風圧と土埃が押し寄せ、誰も目を開けていられない。 土埃が治まると地面には大穴が口を開けていた。だがそこにウェイヴの姿はない。 「!」 ウェイヴの姿はメーディの背後にあった。 左手で逃がすまいとメーディを地面に押さえ付けている。そしてオーラを纏う右拳を鋭く突き出した。 その場に黒い雷柱が立つ。 しかしメーディは奇声を上げて笑いながら、まるで液体にでもなったかのようにぬるりと逃げ出すと距離を取って大鎌を振るう。 鎌は蛇のように伸びてウェイヴの首をかき斬ろうとする。 咄嗟にそれを右手で受け止めると、鎌と手の間に激しい火花が散る。 そしてその激しい衝撃に耐えかねたそれが影を落としながら宙を舞い、ステイの足下にどさりと落ちた。 「ひっ…!?」 落ちたのはウェイヴの腕ではなく鎌の刃だった。 刃は深々と地面に突き立っていた。 ぽかんとした表情で柄だけになった鎌を見つめるメーディにウェイヴが言う。 「遊びは終わりだ。これで本気が出せるだろう? 来い」 ウェイヴは余裕綽々の様子で手招きをして挑発するが、 「少しだけって言ったでしょ。今日はここまでだよ」 同じくまるで疲れを見せない様子でメーディが断る。すでに最初の表情に戻っている。 それを聞くとウェイヴは「つまらん」と、その場に横になってしまった。 コテツは動揺していた。 あれほどの戦いを繰り広げておきながらどちらもまだ全力を出し切ってはいないと見える。 目の前で自分の理解を超えたことが起こった。 これが戦いだというのか。これが危険なメタディアだというのか。 今ならエルナト族長が言っていたことも納得できる。こいつら化け物か。 そしてそのメーディと対等に戦って見せるこのウェイヴという男は一体。 「おめぇら一体何者なンだ…」 「何ってボクはメーディ様よ!」 ウェイヴは全く興味がなさそうで、あれっきり何も言わない。 興味深そうにステイが棒でつついているが、まるで反応しない。 「メーディ、あいつは何者なンだ」 「よく知らない。本人に聞けば?」 それもそうだと振り返る。 コテツはウェイヴに訊きたいことが山ほどあった。 どうすればそんなに強くなれるのか。さっきの技は何なのか。そもそもなぜメーディと戦うのか。 しかしすでにウェイヴはいなくなっていた。 「消えちゃった」 「消えたァ!?」 全くわけがわからない。 エルナトでステイに出逢う以前も色々と旅して廻ってきたコテツだったが、まだまだ世界には知らないものが多いようだ。 だからこそ、もっと世界を廻らなければならない。強くなるために旅を続けなければならない。 なぜならコテツには強くならなければならない理由があったからだ。 「そのためにはまず刀がないとな。で、刀は?」 メーディに訊く。が、そんなにすぐにできるわけがないと返されてしまった。 「刀がないと何もできないなんて不便なんだね、サムライわんこって」 「うるせぇな」 「じゃあさ。これとか刀の代わりにどう?」 ステイが棒きれを差し出す。視線を下に向けるとどんこがメフィアの触角を薦めている。 「馬鹿にしてンのか」 「やれやれ。武器がないと何もできないなんて本当に甘いね」 その様子を見ていたメーディがため息をついた。 メーディはエルナト族長と同じようなことを言った。 だったらどうしろというのかと問うと、なければ作るのが常識だと返ってきた。 「作る?」 「何事も臨機応変だよ。ただの棒と石だけでも斧が作れるでしょ」 「何言ってンだ。原始時代じゃあるめぇし」 「じゃあ、そのまま何もできずに死ねばいいよ」 「うっ……さりげなくキツイこと言うぞこいつ」 そのままメーディはだから侍は弱いだのなんだのと、言いたいことを言いたいだけ言って、笑いながら煙のように消えてしまった。 「勝手なやつだな」 しかし作れと言われてもコテツには何をどうすればいいかわからない。 「じゃあおいらが作ろうか?」 そこで名乗りを上げたのはステイだった。 エルナトで育ち、さらに槍を作るのが趣味だというステイならなんとかできるかもしれない。 「できるのか」 「まぁ見ててよ」 言ってステイは早速材料を探し始めた。 目に付けたのは地面に突き刺さったまま残されたメーディの鎌の刃。それから先ほどの戦いで斬り倒された木だ。 それらを拾い上げると、慣れた手つきで作業を始める。 鎌の刃で木を削り形を整えると、柄の部分が次第に形を現した。 次に族長からもらった槍についていた魔除けの帯を少し千切ると、それを使って刃と柄を括り付ける。 ステイの匠の技によって新たな武器が出来上がる。 なんということでしょう。出来上がったのは見事なナギナタだった。 「ちょっと待てィ! それ刀じゃねぇ!」 「ナギナタって長刀とか薙刀って書くんだから似たようなもんでしょ」 「全然違う!」 「でもおいら長柄武器のほうが好みなんだよね。中距離攻撃ってなんか渋くてかっこいいじゃん」 「おめぇの好みなんか聞いてねぇよ!」 体格の都合でコテツは通常の刀は扱えない。通常の刀では長すぎてうまく振り回せないのだ。重さの問題もある。 それゆえにコテツが下げていた刀は脇差だった。 当然、槍やナギナタを使うことはできない。それがサムライわんこの限界だ。 「せっかく作ったのに。じゃあ、これはおいらがもらっちゃうね」 あっさり自分のものにされてしまった。 突如現れ、凄まじい戦いを見せつけられ、ついでにステイに期待した武器は見当違いのものだった。 すっかり自信を失ってしまったコテツは気を落としながらも、 「もうオイラはやっていけない。次回からはステイに主役の座を譲るよ……と静かに呟くのだった。と」 「呟かねぇよ!」 「次回、第4話『新主役ステイ、覚醒する!』お楽しみに」 「そンわけねぇよ!」 二人は当初の”当て”を頼って平牙へと向かうのだった。 平原を行き、先に見える平牙の東門へと足を進める。 Chapter3 END メタディア3.5(外伝) メタディア4
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アイスタディ 本店:東京都中央区築地一丁目13番14号 【商号履歴】 アイスタディ株式会社(2016年4月1日~) 株式会社システム・テクノロジー・アイ(1999年5月~2016年4月1日) 株式会社クマラン(1998年2月~1999年5月) 株式会社アイキャン(1997年6月12日~1998年2月) 【株式上場履歴】 <東証2部>2014年8月1日~ <東証マザーズ>2002年12月13日~2014年7月31日(2部選択) 【筆頭株主】 SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ株式会社(親会社) 【連結子会社】 株式会社SEプラス 東京都新宿区舟町1-18 100.00% 【合併履歴】 2000年7月 日 株式会社オープンシステム研究所 【沿革】 平成9年6月 東京都渋谷区恵比寿において、株式会社オープンシステム研究所とインドKumaran Systems Inc.との合弁契約に基づき、両社の共同出資により、株式会社アイキャンを設立しProducts Services事業を開始 平成10年2月 本店を東京都中央区湊に移転。社名を株式会社クマランに変更 平成10年9月 本店を東京都中央区新富町に移転 平成11年5月 Kumaran Systems Inc.と資本関係を解消し、社名を株式会社システム・テクノロジー・アイに変更 平成11年8月 ベンダー資格取得のための学習支援ソフトウエア「iStudy」シリーズの販売を開始し、 iLearning事業を開始 平成12年7月 株式会社オープンシステム研究所と合併し、Learning事業を本格的に開始 平成13年3月 本店を東京都中央区銀座に移転。Oracle・IBM 認定研修会場を東京都中央区銀座に開設 平成13年6月 ベンダー資格学習者向け総合Webサイト「@iStudy」のサービスを開始し、iLearning事業を拡大 平成13年12月 東京都中央区銀座に銀座事務所を開設 平成14年8月 企業向けE-Learning総合ライセンス「iStudy Enterprise License」の販売を開始し、iLearning事業を拡大 平成14年12月 東京証券取引所マザーズに株式を上場 平成15年7月 E-Learning学習ソフトウエア「iStudy」シリーズ、累計30万ライセンス販売達成 平成15年8月 E-Learning総合ライセンス「iStudy Enterprise License」採用企業が100社達成 平成16年2月 経済産業省が策定したITSSに基づくスキル診断及び診断結果に基づいた人材育成機能を搭載した、国内初の専用イントラネットサーバ「iStudy Enterprise Server」の販売を開始し、iLearning事業を拡大 平成17年4月 スキル診断・学習サーバーのホスティング・サービス基盤に「IBM Websphere」を採用 平成17年6月 本店を東京都中央区築地(現在地)に移転 平成18年2月 E-Learning学習ソフトウエア「iStudy」シリーズ、累計55万ライセンス販売達成 平成18年12月 株式会社ラーニングウエアより英会話トレーニングコンテンツの事業譲受実施 平成19年7月 株式交換により株式会社SEプラスを連結子会社とする
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コメント リプレイ コメント kiwamuRX パチュリー相手には誰いなゲーが理想で、それを目指したプレイング。 途中充填こぁ>無慈悲>こぁ>パス>二重詠唱警戒でクランベリー立ててます。 T8でカタディ引いたので、L使って決死誘ってカタディへ繋げられたのは大きかった。 リプレイ kiwamu//フラン4//フランドール-フランドール-フランドール-フランドール- こぅちゃ//L紫1パチュリー3//八雲 紫-パチュリー-パチュリー-パチュリー- 賽が投げられて、こぅちゃの先攻になりました。 こぅちゃの呪力は今1 (+1)です。 kiwamu dz こぅちゃ でわ #配置:《水符「プリンセスウンディネ」》 Turn 2 - kiwamu//体力17( 21) 呪力1( 1) 手札7( 5) 山33( 34) スペル0( 1) タイマー00 01(00 11) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//秘弾「そして誰もいなくなるか?」//禁弾「スターボウブレイク」//癇癪//パターン避け//禁忌「フォーオブアカインド」// #配置:《秘弾「そして誰もいなくなるか?」》 Turn 3 - こぅちゃ//体力21( 17) 呪力3( 1) 手札6( 6) 山33( 33) スペル1( 1) タイマー00 13(00 05) シーン なし #配置:《日符「ロイヤルフレア」》 Turn 4 - kiwamu//体力17( 21) 呪力3( 3) 手札7( 5) 山32( 33) スペル1( 2) タイマー00 07(00 16) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//禁弾「スターボウブレイク」//癇癪//パターン避け//禁忌「フォーオブアカインド」//月の兎// #配置:《禁忌「フォーオブアカインド」》 Turn 5 - こぅちゃ//体力21( 17) 呪力6( 3) 手札6( 6) 山32( 32) スペル2( 2) タイマー00 19(00 09) シーン なし #配置:《木符「シルフィホルン」》 Turn 6 - kiwamu//体力17( 21) 呪力6( 6) 手札7( 5) 山31( 32) スペル2( 3) タイマー00 12(00 26) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//禁弾「スターボウブレイク」//癇癪//パターン避け//月の兎//禁忌「クランベリートラップ」// kiwamu うーむ kiwamu 二重詠唱なぁ… #配置:《禁忌「クランベリートラップ」》 ↑起動:《禁忌「クランベリートラップ」》 Turn 7 - こぅちゃ//体力21( 17) 呪力10( 5) 手札6( 6) 山31( 31) スペル3( 3) タイマー00 29(01 20) シーン なし #配置:《結界「夢と現の呪」》 ↑起動:《日符「ロイヤルフレア」》 ↑起動:《木符「シルフィホルン」》 Turn 8 - kiwamu//体力17( 21) 呪力8( 4) 手札7( 5) 山30( 31) スペル3( 4) タイマー01 23(00 39) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//禁弾「スターボウブレイク」//癇癪//パターン避け//月の兎//禁弾「カタディオプトリック」// ☆戦闘:kiwamu - 《禁忌「クランベリートラップ」》 vs 《木符「シルフィホルン」》 - こぅちゃ kiwamuは《フランドール・スカーレット》の1番目の特殊能力を使いました。 kiwamuは《癇癪》を手札から捨て札に置きました。 ★戦闘結果:kiwamu - dmg 1 【回避】 - こぅちゃ #配置:《禁弾「カタディオプトリック」》 ↑起動:《禁弾「カタディオプトリック」》 Turn 9 - こぅちゃ//体力21( 16) 呪力4( 5) 手札6( 5) 山30( 30) スペル4( 4) タイマー00 58(01 42) シーン なし ☆戦闘:こぅちゃ - 《日符「ロイヤルフレア」》 vs 《禁弾「カタディオプトリック」》 - kiwamu ★戦闘結果:こぅちゃ - dmg 2 【回避】 - kiwamu #配置:《水符「プリンセスウンディネ」》 Turn 10 - kiwamu//体力16( 19) 呪力6( 4) 手札6( 5) 山29( 30) スペル4( 5) タイマー01 46(01 33) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//禁弾「スターボウブレイク」//パターン避け//月の兎//禁忌「フォービドゥンフルーツ」// ☆戦闘:kiwamu - 《禁弾「カタディオプトリック」》 vs 《木符「シルフィホルン」》 - こぅちゃ kiwamuは《フランドール・スカーレット》の1番目の特殊能力を使いました。 kiwamuは《月の兎》を手札から捨て札に置きました。 ★戦闘結果:kiwamu - dmg 1 4 dmg - こぅちゃ #配置:《禁忌「フォービドゥンフルーツ」》 ↑起動:《禁弾「カタディオプトリック」》 Turn 11 - こぅちゃ//体力15( 15) 呪力10( 3) 手札6( 4) 山29( 29) スペル5( 5) タイマー01 36(02 34) シーン なし #配置:《水&火符「フロギスティックレイン」》 ↑起動:《水&火符「フロギスティックレイン」》 ↑起動:《水符「プリンセスウンディネ」》 Turn 12 - kiwamu//体力15( 15) 呪力8( 5) 手札5( 5) 山28( 29) スペル5( 6) タイマー02 33(02 14) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//禁弾「スターボウブレイク」//パターン避け//パターン避け// #配置:《禁弾「スターボウブレイク」》 Turn 13 - こぅちゃ//体力15( 15) 呪力10( 8) 手札6( 4) 山28( 28) スペル6( 6) タイマー02 13(02 52) シーン なし ☆戦闘:こぅちゃ - 《水&火符「フロギスティックレイン」》 vs 《禁弾「カタディオプトリック」》 - kiwamu ★戦闘結果:こぅちゃ - dmg 1 3 dmg - kiwamu ↑起動:《日符「ロイヤルフレア」》 Turn 14 - kiwamu//体力12( 14) 呪力15( 5) 手札5( 6) 山27( 28) スペル6( 6) タイマー02 52(02 45) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//パターン避け//パターン避け//禁弾「過去を刻む時計」// #配置:《禁弾「過去を刻む時計」》 ↑起動:《秘弾「そして誰もいなくなるか?」》 Turn 15 - こぅちゃ//体力14( 12) 呪力10( 8) 手札7( 4) 山27( 27) スペル6( 7) タイマー02 42(03 04) シーン なし ☆戦闘:こぅちゃ - 《日符「ロイヤルフレア」》 vs 《秘弾「そして誰もいなくなるか?」》 - kiwamu イベント(kiwamu):《パターン避け》 イベント(こぅちゃ):《パターン避け》 イベント(こぅちゃ):《パターン避け》 ★戦闘結果:こぅちゃ - 【回避】 5 dmg - kiwamu こぅちゃ あ、 kiwamu おうふ kiwamu すいません kiwamuはコストを支払わずに秘弾「そして誰もいなくなるか?」を起動状態にしました。 kiwamuの呪力は今2 (-3)です。 kiwamuの体力は今12 (+5)です。 こぅちゃ おk ↑起動:《木符「シルフィホルン」》 Turn 16 - kiwamu//体力12( 14) 呪力9( 3) 手札4( 5) 山26( 27) スペル7( 6) タイマー03 12(04 08) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//パターン避け//根性避け// ☆戦闘:kiwamu - 《秘弾「そして誰もいなくなるか?」》 vs 《木符「シルフィホルン」》 - こぅちゃ イベント(kiwamu):《パターン避け》 ★戦闘結果:kiwamu - 【回避】 6 dmg - こぅちゃ ↑起動:《禁弾「カタディオプトリック」》 Turn 17 - こぅちゃ//体力8( 12) 呪力8( 3) 手札6( 3) 山26( 26) スペル6( 7) タイマー04 09(03 59) シーン なし ☆戦闘:こぅちゃ - 《日符「ロイヤルフレア」》 vs 《禁弾「カタディオプトリック」》 - kiwamu イベント(こぅちゃ):《パターン避け》 ★戦闘結果:こぅちゃ - 【回避】 5 dmg - kiwamu ↑起動:《木符「シルフィホルン」》 Turn 18 - kiwamu//体力7( 8) 呪力10( 4) 手札4( 5) 山25( 26) スペル7( 6) タイマー04 03(04 34) シーン なし 手札:無慈悲な両手//バンパイアバイト//根性避け//バンパイアバイト// ☆戦闘:kiwamu - 《秘弾「そして誰もいなくなるか?」》 vs 《木符「シルフィホルン」》 - こぅちゃ ★戦闘結果:kiwamu - dmg 1 6 dmg - こぅちゃ ↑起動:《秘弾「そして誰もいなくなるか?」》 Turn 19 - こぅちゃ//体力2( 6) 呪力9( 3) 手札6( 4) 山25( 25) スペル6( 7) タイマー04 37(04 27) シーン なし ☆戦闘:こぅちゃ - 《日符「ロイヤルフレア」》 vs 《秘弾「そして誰もいなくなるか?」》 - kiwamu ★戦闘結果:こぅちゃ - dmg 3 5 dmg - kiwamu kiwamu ありでしたー こぅちゃ ありがとうございました kiwamu 一瞬何かあるかとか考えてしまった こぅちゃ 魔法書しかないですよ kiwamu メギドとか睡眠とかw kiwamu Lvたりないんだった こぅちゃ 入らないww kiwamu パチェに誰L4は鬼門だなぁ こぅちゃ コンセプトが潰れますからね kiwamu 充填こぁからの二重詠唱がこわかった こぅちゃ 引いてませんでした kiwamu どうにも引かなかったぽいかな? kiwamu ですなぁ kiwamu さて、ではもどりまするー こぅちゃ おつかれさまです kiwamu ありでした。ノシ こぅちゃ ノシ === 試合時間 11 31" (2011/09/17 09 45 50 終了) ===
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Chapter2「ヘンないきもの」 エルナトの里を発ったコテツとステイは、西海岸を目指して森を進んでいた。 折れてしまった刀を直すために癒の國へと向かうつもりなのだ。 「癒ってどんなところ? というかこれってなんて読むの?」 ステイが訊いた。 「ユだぜぃ。ユノクニ」 「ふぅん。湯の国?」 「そのユじゃねぇよ。まァ、たしかに温泉は多いけどな」 癒の國はコテツが侍の技を学んだところだ。 このエルナトがあるラプ大陸へ来る前は、その癒を旅して廻っていたのだという。 「この先で船が出てるンだ。まずはそこに向かう」 「へぇー。おいらフネって初めてなんだよね!」 ステイがはしゃいでみせる。 「そういやおめぇ、エルナトから出たことないって言ってたっけなァ」 「そうだよ。で、フネって何するものなの? おいしい?」 「そこからかァ!?」 いくら原始的な狩猟民族の里で育てられたとはいえ、船というもの自体を知らないことに驚く。 こんなに近くに船着き場があるのに、里の者たちは誰も知らないのだろうか。ステイは誰からも船のことを聞かされたことがないのだろうか。 カルチャーショックを受けつつ、そんなことを考えながらしばらくいくと、森を抜けたようで視界に海が飛び込んできた。 「海だ!」 喜んでステイが駆け出す。 「おい、足滑らせて落ちンなよ」 森を抜けた先は岩肌が剥き出しになった沿岸の道で、きり立った崖が連なっている。ごつごつした岩の坂道を下ると、その下は広がる海岸だ。 海岸からは海に向かって桟橋が架けられており、その途中には小屋が建てられている。ここに船がやってきて、この小屋で料金を支払って船に乗ることができる。 港のようなものはなく桟橋がいくつか伸びているだけで、大型の船はここには来ない。日に数本の小型の船が癒とこの海岸を往復するのみだ。 小屋に近づきコテツが呼びかける。 「おーい、おやっさん。次の船はいつ来るンだ?」 一方ステイは初めて見る海にはしゃいでいた。 「ねぇ、フネってどれなの?」 言いつつ桟橋の先のほうへ行くと、そこには木で作られたボロボロの小舟が繋がれていた。 小舟の上では一匹のどんこが昼寝をしている。 「ねぇ、コテツ。まさかあれ…」 「ンなわけあるかよ。あれじゃ何日もかかっちまいそうだし、二人も乗ったら沈ンじまうよ」 「だ、だよね。よかった」 「しかし、おやっさんいねぇな。どこか行ってンのか。ステイ、おめぇはここでちょっと待ってろ」 船番を捜してコテツは砂浜を駆けて行った。 ステイはまた桟橋の先へと向かい、腰を下ろして海を眺める。 「これが海かぁ。でっかい川みたい。ここでも魚とかメフィアとか釣れるのかな?」 そう呟いていると脇を何か小さなものが駆け抜けた。 「メフィア!」 「メフィアメフィア!」 よく見るとどんこが四匹。メフィアを手描きした旗を頭上にかついで桟橋のさらに先へ。 例のボロボロの小舟に次々と飛び乗ると、 「メフィアをもとめて!」 「メフィアしゅっこう!」 旗を立て舟を留めていた縄を噛みちぎると、どんぶらこっこ、どんこっこ。どんこたちは大海原へと旅立った。昼寝をしていたどんこも一緒に連れていかれてしまった。嗚呼どんこよ、そんな船でどこへ行く。そんな船でどこへ行ける。 呆気にとられてどんこたちの無謀な旅立ちを眺めていると、どうやらコテツが戻って来たようだった。 「ねぇ、あれ…。どんこあんなフネで行っちゃったよ」 「はァ? どんこなンてほっとけよ」 コテツはまるで気にも留めていない。 もしかすると、どんこにはよくあることなのかもしれない。 「そンなことより、おめぇ金ぐらいは持ってるよなァ? オイラについてくるのは仕方ないから認めてやるが、船賃ぐらいは自分で払うンだぜぃ」 「ほぇ。オカネ?」 「ホエもホタテもあるかよ。まさか一文無しで出発してきたってわけじゃねぇンだろ」 向こうには船番の姿が見える。その隣にはいつの間にか到着していた小型の船がある。 どうやら出船の時間が近いのか急かす様子でこちらに合図を送っている。 コテツもどこかイライラしたような様子でこちらを見つめている。 そこでステイは大変なことを口にした。 「オカネって何するものなの? おいしい?」 コテツは開いた口が塞がらなかった。 場所は戻って森の中。 消沈した様子で歩くコテツに、首を傾げながらステイが続く。 「ねぇ、船に乗るんじゃなかったの?」 「いや、ちょっと……予定が変わったンだ」 いくら狩猟民族の里だからといって金銭文化さえないとは予想していなかった。 宵越しの銭はもたねぇと言えば聞こえはいいが、つまりコテツには自分が乗る分しかお金がなかった。 ラプ大陸は一面に密林が広がり、エルナトのような民族集落がいくつか点在するのみだ。ここらにそういった文化がないとすると、近場で必要分を稼いでくることもできない。 「何度数えても変わるわけねぇよなァ…。さぁて、どうしたモンか」 切り株に小銭を並べて眺めるコテツ。 それを見てステイが再び大変なことを口にした。 「あっ、おいらそれ知ってる。それがオカネなの?」 「なンだそりゃァ! 知ってたンなら言えよ! もしかしておめぇの里じゃ別の呼び方でもされてンのか」 「うん。ゲンナマって呼ばれてる」 「うわっ、なンか狩猟民族らしからぬ言葉が出てきやがった! ……まァいいや。で、持ってンの?」 「ないよ」 「結局ねぇのかよ!」 だめだこいつ、早くなんとかしなければ。 さて、コテツが途方に暮れていると頭上から声が降ってきた。 「ふふふ…。お困りのようだねぇ、そこのお二人さん」 「コテツ、天の声だよ! 神様だよ!!」 「馬鹿言え、そンなわけがあるか」 「じゃあナレーター?」 「何のナレーターだ。どうせ木の上に誰かいるンだろ、出てこい!」 二人が空を見上げると、そこには飛竜のような影があった。逆光のせいで姿はよく見えない。 すると飛竜から何かが落ちてきた。どうやら生き物のようだ。 ひょうたんのような形をしており、手足が生えている。 「なンか降ってくるぜィ!?」 「うわっ、なにあれ宇宙人!?」 ひょうたんのような何者かは空中で華麗に三回転を決めて見事に、そして盛大に墜落した。 地面にはひょうたん型の穴が開いている。 木々の陰に隠れながら様子を窺うコテツたち。 「落ちたな」 「ダイナミック落下だ。あれは痛いね」 恐る恐る近づいて穴を覗きこむ。ずいぶん深いようで、底は見えない。 「き、君たち……お困りの……よう……だね」 穴の中から声が聞こえた。 「うわっ、しゃべった! 生きてたね! 生きてたよこれ!」 「今一番困ってるのはどっちかといやァおめぇだと思うが…」 誰が姿を現すのかと不安と期待の入り混じった心境で待ち構える。 が、それっきり穴の中から声が聞こえてくることはなかった。 「静かになっちゃったね。……死んだ?」 「だが、あれはなンだったんだ。ひょうたんのような……エルナトじゃよくあることなのか」 「おいら知らない。あれ絶対宇宙人だよ! インゲン星人。それかエダマメ星人。大豆も可」 「それじゃ納豆星人も追加しといてくれ」 落ちてきたものの正体をあれこれ言いながら再び穴を覗きこむ。 相変わらず底は見えず、何が落ちて来たのか、それが何者で今はどうなっているのかも見えない。 「ところで君たち」 すると突然、背後から声が聞こえてきた。空から落ちてきたあの何者かの声だ。 「「うわぁぁぁああああ!?」」 驚いて互いに抱き付き合うコテツとステイ。 いつの間にか背後には例のひょうたん星人(ヘチマも可)が立っていた。ご丁寧に頭の上からは短い蔓が伸びている。 「な、ななな、なンだてめぇ!!」 思わず抜刀、唸り声を上げて身構える。 「あくりょーたいさん! 宇宙人もたいさん! もうたくさん!」 思わず十字を切り、天に向かって祈る。 「なんだかムカツク反応なのだ」 そして訊いてもいないのにひょうたんは自己紹介を始めた。 「しかとその心に刻むがいい。私は世界一……いや、宇宙一の…!!」 「侵略者だな!」 すかさずステイが横から口を割り込ませる。 「ふははは! 私の科学力を持ってすればこんな惑星いとも簡単に……って誰がエイリアンだ! 私はタネはかせなのだ! ひょうたんでもインゲン星人でもない」 宇宙一の天才タネはかせはカメラに向かってドヤ顔でポーズを決めてみせる。 カメラがどこかって? そんな細かいことを気にしてはいけないのだ。 「さて、金どうしたモンだろうなァ」 「族長に相談してみよっか」 「こらそこ! 無視しちゃだめなのだ!」 ひょうたん星人は頭から湯気を出している。 「だって自分で天才なんて言っちゃう男のひとはちょっと……ねぇ?」 「ヘチマ星人というより、ヘチマの皮とも思わないようなやつだぜぃ」 「誰が役立たずなのだ!!」 ひょうたん星人は真っ赤になっている。きっと熟したに違いない。 「そもそも何なの? あのヘンないきもの」 「ヘンな……あっ! もしや、あいつが族長の言ってたメーディ!」 「それか新種のメタディアかもね!」 「よーし、まさか2話目にしてもう出逢うとは思ってなかったが、オイラの刀の錆にしてやるぜぃ!!」 「あっ、だめなのコテツさん、刀折れてるの」 まさにひどい言われよう。憐れなタネはかせはツッコミが追い付かない。 頭上では飛竜が少し笑ったような気がした。 「ああっ、ウィルオン君まで……! くそぅ、あまり私を怒らせないほうがいいのだ。私はメタディアではない! メタメタ君なんかと一緒にしないでほしいのだ!」 「おめぇメタディアについて何か知ってるのか?」 「ふむ、ようやくちゃんと話を聞いてくれる気になったようだね」 ひとつ咳払いをすると、タネはかせはいかにも堂々とした雰囲気で語り始めた。 「そう、いかにも。たこにも。クラゲにもなのだ。私とメタメタ君とは長い付き合いになるのだよ……」 この『メタディア』の前作にあたる『竜の涙』はもちろん、そのさらに過去作品でもタネはかせはメタメタと共に登場していた。 タネはかせ曰く、過去にはいつでも自分がメタメタを初めとして、各作品の主人公たちをサポートしてきたというのだ。 そして『メタディア』の主人公であるコテツたちをサポートするために自分は現れたのだという。 俗に言う困ったときのタネはかせの法則である。 「おいらたち主人公だったの! 今知ったよ。やったね」 「と、突然なンてメタい話を始めやがるンだ、こいつは」 「メタディアだけに、なのだ」 「うまい! コテツ、インゲン星人に座布団一枚」 「ねぇよ、そンなモン」 気にせずタネはかせは話を進める。 今回は海を渡れないというコテツたちのことを聞きつけて、宇宙一の天才はウィルオンに乗ってサポートにやって来たのだった。 え? 『竜の涙』でウィルオン君は天才タネはかせのもとを離れたんじゃなかったのかって? 細かいことを気にしてはいけないのだ。 まぁ、ぶっちゃけるとこれは時系列的には水門の城からペンシルロケットの間ぐらいの出来事なので問題はないのだよ。 「つまり竜の涙の第2話と3話の間だね。あっ、竜の涙もよろしくね。私も大活躍してるのだ」 「なんてやつだ。他作品まで出しゃばってきて堂々と宣伝しやがった」 「このひと物語の外に棲んでるのかな…。あ、ひとじゃないか。たしかどこかでバケモノって言われてたよね」 「おめぇもなンで外のことを知ってンだよ!」 それはさておき、困ったときのタネはかせの法則。 コテツたちを救うためにタネはかせはどこからともなく発明品を取り出してみせる。 「ふっふっふ。今回は私のファンには懐かしいモノなのだよ。時系列的にはまだ懐かしくない? まだあまり活躍してない? 細かいことは…以下略、なのだ。見るがいい、これぞ『万能潜水艦アットロー号(Ver2.6)』なのだ!」 突如として目の前に機械でできた巨大な魚が姿を現した。どうやらこれを使って海を渡らせるつもりらしい。 ところでここはエルナトの森の中である。森に魚、場違いも甚だしい。 「それ、どうやって海まで運ぶつもりなンだよ」 「こんなところで出しちゃうなんてさすが宇宙人だね。おいらにはわけがわからないよ」 「ふははは! 心配はご無用、私は同じミスを三回も繰り返したりはしない!」 「過去に二回やってるんだ……学習はしないんだね」 「言ってやるなよ。ホラ、タネだからきっと頭が…」 「聴こえてるのだ! いいからさぁ、乗った乗った」 アットロー号の背鰭がハッチになっており、そこから内部に乗り込んだ。 中にはよくわからないスイッチやレバーがあちこちについている。 「このアットロー君、なんと空まで飛んじゃうのだ。空を飛んで海まで……いや、目的地まで運んであげよう。ああ、なんて太っ腹な私!」 説明するタネはかせを完全に無視してステイが目を輝かせながら艦内を駆ける。 「うわーすごい! デザインは残念だけど、中は本格的なんだね。これは何かなっと」 「あっ、こら! 勝手に弄っちゃだめなのだ!」 手近なスイッチをステイが押すと、 『ソコノ角ヲ右ニ曲ガッテクダサイ』 アットロー号が無機質な音声でアナウンスした。 「右だって。面舵いっぱーい」 「いやいや、ちょっと待て。なンだ今の!?」 「それは『サブナビ』なのだ」 サブマリン・ナビゲートシステム、略してサブナビ。 曰く海には目印が少なく迷いやすいので、カーナビをヒントにこれを発明したという。もちろんこの世界の今の時代に車は存在していない。 「だからって海にカドはねぇだろう! 付き合ってらンねぇや。オイラは降りるぜぃ」 「じゃあおいらも。面白かったよ。またね」 「あっ、この宇宙一天才の発明を疑うというのかね!?」 タネはかせを無視して潜水艦を降りるコテツとステイ。それを追いかけてタネはかせも降りてきた。 するとそのとき、アットロー号が揺れ始める。 『飛行形態移行完了、発射シマス。出発進行』 轟音とともにジェット噴射。 アットローは勢い良く飛び上がり空へ。その姿は見る見るうちに小さくなっていく。 「ああっ、待つのだ! 私のかわいいアットロー君!」 「こいつァたまげたぜ。まさか本当に飛ぶなンて…」 空を見上げる。 するとアットローが閃光を発し爆発、ばらばらになり残骸の雨を降らせる。 「たーまやー」 「おい! そのまま乗ってたら危なかったじゃねぇか!!」 「ち、違うのだ。これは……きっとステイ君がサブナビのものと一緒に自爆スイッチを押しちゃったのだ」 「そンなモンつけるなよ!」 「わかってないね、コテツ君。自爆はメカのロマンじゃないか!!」 タネはかせがキリッと決めてみせる。 しかしポーズが決まるよりも早く、落ちてきた残骸がタネはかせを埋め尽くしてしまった。 「ぎゃあああ! 狭いよ暗いよ怖いよ眠いよ」 などと意味不明な言葉を口走った後に、今度こそインゲン星人は静かになった。 さらば宇宙人。枝豆よ永遠に。 「なンだったンだ…。ただの時間の無駄だったなァ。あいつはほっといて改めてどうするか考えようぜぃ」 そう言って振り返ると、ステイは落ちてきた残骸を熱心に拾い集めていた。 「そンなものどうするンだよ」 「おいら、槍とか作るの好きなんだ。これで何か作れないかなと思って」 「やめとけ、機械だぞ。また爆発でもされたら困る」 しかし聞かずにステイはまだ残骸を拾い集めている。 すると、ふとステイの手が止まった。その手には鏡のような部品がつかまれている。 「どうした。鏡が珍しいのか?」 それをじっくり見つめながら、ステイは三度目の大変なことを口にした。 「見てコテツ! おいら翼ある! 空飛べるよ!!」 「今気付いたのかァ!?」 コテツはまたしても開いた口が塞がらなかった。 Chapter2 END メタディア2.5(外伝) メタディア3
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大樹―― それは世界を象徴する聖なる樹。 大樹には巨大な蔦が絡み付き、この地上の世界と空の世界を結んでいるという。 その大樹からずっと東へ行った先、ラプ大陸から物語は始まる。 メタディアと呼ばれる不思議で奇妙な生き物を巡る長い長い物語。 メタディア Chapter1「おいらとオイラ」 がさがさと森の木々を掻き分けながら、数匹の生き物が風のように駆け抜ける。 それらはメーメーと鳴き声を上げながら、森を勢いよく通り過ぎていく。 「なんだか今日はメーが騒がしいなぁ」 森の中にある切り株に腰をかけていた一人の竜人族が呟いた。 オレンジの鱗に、緑の髪、額には赤いハチマキを巻いている。背には長い尾と翼があり空も飛べるようだ。 『メー』とは桃色で丸みを帯びた流線型の身体を持ち、翼を持たないにも関わらず空を飛ぶことができる不思議な生き物だ。 この辺りではとくに珍しい生き物というわけではなく、近くにある竜人族の暮らすエルナトの里ではこれを捕まえて、串に刺して焼いて食べる習慣さえある。 この切り株に腰かける竜人族ステイも騒がしいメーの様子にとくに気にした素振りを見せることはなく、慣れた手つきで木を削り、石を研いで何かを一生懸命作っていた。 「よし、できた」 ステイはそれを掲げて眺める。それは手作りの槍だった。 「うーん、なかなかの出来。いつかおいらもこれ使って狩りができるようになる日が来るかな」 満足そうに槍を眺めまわすステイ。その背後で草むらが怪しく揺れる。 「メェェエエーッ!!」 「うわぁ!?」 草むらから突然、数匹のメーが飛び出して空へと消えた。 驚いたステイはせっかく作った槍をどこかへ落として無くしてしまった。 「もう! なんだよー、せっかくいいのができたのに! それにしても何をあんなに慌ててたんだろ。何かいるのかな」 ほんの好奇心からメーが飛び出してきた草むらの向こうへ首を突っ込む。 すると目の前にはステイの体長の数倍はある、橙色の身体で灰緑の触角と髪を持つ奇妙な生き物の姿があった。 これは『どんこ』といって、世界中のあらゆるところで見かける謎の生き物だ。 それはどんな場所にでも存在し、例えば気がつけば部屋の隅に座っていた、石をどけたら下にいた、木を揺らしたら上から落ちてきた……そんな虫のような存在だ。あるいは目を離した隙に消えていたりもするので、森の精霊なのかもしれない。 それがどんこなのであるが、もちろん普通のどんこはこんなに大きくはない。せいぜいが両手に収まる程度の大きさだ。 「な、なにこれ…。どんこ金冠サイズ確定?」 またどんこに特徴的な行動として、『メフィア』を異常なほどに好むというものがある。 メフィアとはメー同様の桃色で流線型の身体に、二つの鰭、イルカのような尾、そして頭の上には特徴的な渦を巻いた触角を生やした生き物だ。 このメーやメフィアのような生き物は総称として『メタディア』と呼ばれている。 「メフィア?」 巨大などんこはステイを見るなりそう訊いた。 どんこはあまり知能は高くないが、単語程度の言葉を発することはできる。もっともその意味を正確に理解しているかは怪しいが。 見かけたものに所構わずメフィアかと問い掛けるのもどんこによく見られる習性だった。 身の危険を感じたステイは思わず後ずさる。 本来どんこはそこまで危険な存在ではない。が、ここまでサイズが大きいとなると話は別だ。 なぜなら、メフィアを追うどんこは見境なく暴走するからだ。 「お、おいらはメフィアじゃないよ」 するとそのときステイの背後の草むらが揺れて、そこに一匹のメフィアが姿を現した。 どんこが目を見開き叫ぶ。その巨体に応じた野太い声で不気味に咆える。 「メーフィァァァアアアア!!」 どんこの姿が軽々しく宙を舞う。 だがどんこはメーのように空を飛ぶことはできない。 これは飛んだのではない。メフィアに跳びかかったのだ。間にステイがいようがそれはお構いなしだ。 「うわああっ!」 地面を転がるようにステイがどんこを避ける。 どんこはずしんと音を立てて、地面を震動させながら落ちた。 「こんなのがいるなんて…。とにかく早く里に戻ろう。勝手に出てきたのがばれたら怒られるし、何よりこのどんこ危ないよ!」 ステイは慌ててその場を走り去ろうとするが、足がぴくりとも動かない。 見ると足下には数匹のどんこが群がっている。 「もげ。メフィア」 「メフィア~」 手を伸ばし、触角を震わせ、ステイの身体を何匹もがよじ登ってくる。 狙いは頭の上、いつの間にかどんこから逃れるためにステイの上に登っていたメフィアだ。 そこにさっきの巨大などんこが飛び込んでくる。ステイは見動きが取れない。 「メーフィァァアアー! もげらう゛ぃー!」 「うわっ! やばい、ぺしゃんこにされちゃう! 誰か助けてぇ!!」 ステイが叫ぶ。どんこが迫る。 すると二者の間に一閃が走った。 「もばん!!」 どんこたちは弾き飛ばされて転がった。 その拍子に頭上のメフィアも転がり落ちたようで、どんこたちはそれを追って森の奥へと消えて行った。 「あ、危ないところだったぁ…」 思わず尻餅をついてしまっていた。 顔を上げると目の前には見たことのない犬が一匹いる。口には小さな刀を咥えている。 その犬が喋る。 「よう。おめぇ、怪我はないか?」 「えっ! もしかしてさっきのは、わんこが助けてくれたの?」 「わんこって言うな!」 わんこはコテツと名乗った。 コテツは犬で、どうやら侍らしい。咥えた刀を宙に投げると、器用に背中に背負った鞘に納刀してみせた。 「サムライわんこ?」 「ま、まぁそれでもいいや。そう、オイラは侍だ」 得意げにコテツは胸を張ってみせた。 「それはすごいね! ……で、サムライって何?」 が、コテツはすぐに萎んでしまった。 「なンだよ。おめぇ、侍を知らねぇのかァ?」 「何か供給してくれるの?」 「そりゃサプライだ! 何でそンなことは知ってンだよ。侍ってのは……まァ、オイラみたいなカッコしてるやつのことさ」 それを聞いてステイは納得したようだった。 「そうか! じゃあ、おいらもサムライだったんだね!」 「はァ?」 「ほら、触角。コテツもおいらもお揃い。あっ、ということはどんこは全部サムライ!?」 コテツの額には数本の逆立った癖毛があった。一方でステイはバンダナでハチマキのようにしてまとめた髪のうち前髪が数本、柳の葉のように垂れていた。これをステイは触角と呼んだ。 「そっちかよ! そうじゃねぇ、刀だよ刀ァ! 侍ってのは刀を提げてるモンなンだぜぃ」 「コテツの場合は提げてるっていうか背負ってるみたいだけど」 「うるせぇな。とにかくオイラは侍だ!」 「ふーん」 ステイは物珍しそうにこのサムライわんこを眺めまわした。 このエルナトの付近に余所からの客がやってくるとは珍しいことだったからだ。 「で、コテツはここに何しに来たの? 観光?」 「こンな刀ぶら下げて観光するやつがあるか。オイラは強くなるために旅をしてるンだ。世界中を回るつもりだぜぃ」 「世界! じゃあ、あんなところやこんなところへも行っちゃうの!?」 「おめぇがどンな想像をしてるかは知らないが……修行のためならどこだっていくつもりだ」 世界。それは魅力的な響きだった。 ステイはこの近くにあるエルナトの里に暮らしていたが、これまでステイはこの里付近以外の場所に行ったことがなかった。 里の族長にはおまえにはまだ早いからと里を出ることを禁じられており、今日もこっそりと抜けだして来ていたのだ。 「ねぇ、コテツ! おいらもその旅に連れて行ってよ!」 目を輝かせながらステイが訊いた。 「はァ? いきなり何を言い出すンだおめぇは。ばか言ってンじゃねぇよ。なンでオイラがおめぇの面倒みなくちゃならねぇンだ。行きたけりゃてめぇで行けばいいじゃねぇか」 呆れて返すコテツに、ステイは族長に外出を禁じられていることを伝えた。 「おいら、外を見たことがないんだ。おいらも世界が見たい!」 「待て待て。勝手に出て来たって言ったかァ? その族長がまだ早いって言ってンだ。だったらそういうことだろ、諦めな」 「えー、いやだよ。それにおいら一人で行くって言ったらきっと族長怒るし。怒ると怖いんだよ、族長」 「聞いてねぇよ」 「それに里で一番強いんだよ。一番狩りが上手いアトラスだって敵わないんだよ」 「へぇ…。強いのか、そいつ。それってオイラでも会えるか?」 意外なところでコテツが食い付いた。強さを求めるコテツは族長と戦ってみたいと考えたのだ。 この機会を見逃す手はない。ステイは喜んで里にコテツを案内することにした。 このまま上手くコテツを連れ込んで、族長を説得させるつもりだったのだ。 「いいよ、ついてきて! こっちがおいらたちの里、エルナトだよ」 森を抜けてしばらく進むと、前方に木で作られた門が見えてきた。 見上げると大木の周囲に木で足場を組んだやぐらや家も見える。 周囲の木が切り倒されているので、これで集落を作ったのだろう。 木や植物の蔓で作られた家に羽や木の実の汁で装飾が施され、あちこちに土器や槍が並べられている。見たところ狩猟民族のようだ。 視線を門に向ける。門の前には厳つい竜人族が槍を片手に立っている。 「あれがアトラスだよ」 ステイが紹介した。まるでステイとは似ていない。 門を潜って里の中へ。里の住民の姿をちらほら見かけるが、どれもステイとは似ても似つかない。そもそも誰もステイのような翼を持っていなかった。 エルナトの住民たちは誰もが仮面をかぶっていたが、逆にステイにはそれがない。 「なンかおめぇだけちょっと違うな」 「まぁ、おいらはここで生まれたわけじゃないしね」 「そうなのか? じゃあなンでおめぇはここに住んでるんだ。そうなると、族長が外出を禁じるのが不思議だぜぃ」 「うん。なんかね、おいらは昔近くの森で拾われたんだって」 「まさか……おめぇ捨て子だったのか!? すまねぇ、それは大変だったンだな」 「うーん、覚えてないからなんてことないよ。それにおいらにとってはここが家で、ここのみんなが家族だからね」 ステイはまるで気にしていない様子で笑って言ってみせた。 「ところでおまえは何の用があってここへ来た?」 突然、後ろから声が聞こえてきた。 驚いて振り向くとすぐ近くにアトラスの顔があった。顔と言っても仮面だが。ブリキのようなものでできた嘴のような形の仮面だ。 ステイが事情を説明する。 「ほう、修行の旅か」 「そンなとこだ。さぁ、族長を呼んでもらおうじゃねぇか」 そうコテツが言い終わるか終わらないかのうちに、コテツの視界の外から別の竜人族がひょっこりと唐突に顔を出した。 「呼んだ?」 「うわっ! な、なンだおめぇ、いつの間に」 「なんだってワシ族長だよぅ。呼んどいてその態度は酷いねぇ」 アトラスよりも大柄な竜人族が目の前に立つ。こっちは動物の骨でできた仮面をかぶっている。 族長と言うからにはもう少し年長者が現れるのだろうと予想していたが、意外と若くアトラスと同程度の年齢に見える。 さらに加えるなら、族長を自称しているが、まるで族長らしい威厳のようなものが感じられない。 「そうやってイメージで決めつけるのは良くないよねぇ。ワシは族長のナフ。よろしくねぇ」 「おい、こいつ本当に族長なのか」 「あっ、それないよねぇ。ズキンと来ちゃうなぁ、もう。ワシ泣いちゃうよ?」 「勝手に泣いてろ」 アトラスに訊くとどうやら、本当にこんなのが族長らしかった。 呆れながらも、コテツは族長に試合を申し込む。 ナフは口調は色々とアレだが身体が大きく、大木の丸太にそのまま柄をつけたような大槌を片手に持っていた。少なくともステイの言っていた里で一番強いというのは嘘ではなさそうだ。 しかし、ナフは「やだよ」の一言でそれを一蹴した。 曰く族長というものも暇ではないらしく、どうしてもというならアトラスと勝負して勝てれば考えてもいいということだった。 「オイラが勝ったら約束通り勝負だからな」 「あー、はいはい。わかってるよぅ」 気のなさそうな返事を寄こすナフ。 「コテツが負けたらおいらコテツと一緒に旅に出るね」 「あー、はいはい。どうぞぅ」 あっさり認めるナフ。 「ちょっと待てぇィ! おめぇ何どさくさに紛れて…。族長も軽すぎンだろ!?」 「よろしくね。コテツ」 「まだ負けてねぇよ!」 かくしてコテツとアトラスの試合が始まったのだった。 アトラスは手に槍を持っている。柄の先端に刃がついたスピアではなくランス、いわゆる突撃槍だ。 見たところ、機械や文明とは無縁な原始的な生活を営む里のようだが、どうやら製鉄技術程度はあるらしい。 刀を咥えてコテツはこれに立ち向かう。 「槍に刀か。3すくみ的にはコテツが不利だよね。やった、おいら旅に出れる!」 やぐらの上から戦いを眺めるステイはもうコテツが負けた気でいて、すでに出発の準備を考えていた。 そこに族長がやって来て声をかける。 「ステイ、今まで里を出たいなんて言ったことなかったよねぇ。それが急に旅に出るだもん。もちろんちゃんとした理由はあるんだよねぇ?」 「う、うん。実はおいら今日、こっそり里を抜け出して森へ行ってたんだ。そしたら……」 特大どんこに出くわし、コテツに助けられ、その話を聞くうちに世界を見たいと思ったことを伝えた。 「おいらよりもあんなに小さなわんこでもちゃんと自分の目的を持ってて、それも独り旅だもん。すごいよね。おいら狩りはメーぐらいしか獲れないし、料理もできないし、槍作りは好きだけど、里のみんなに比べたらまだまだだし……だから、おいら見つけたいんだ! 自分には何ができるのか、何の役に立てるのか。本当の自分を見つけたいんだ! 世界を見て回ればわかる気がするんだ」 何の気なしに本当の自分を見つけたいとステイは言っただけだった。 しかし、ナフはそれを聞くと深いため息をついてしばらく考えた後に言った。 「わかった。行ってきなさい。おまえが時々里を抜けだしているのをワシは知ってたよ。それに、そろそろおまえは一人前にならなくちゃいけない年頃だね。成長の儀式に代えて旅をしてくるのもいいだろう。きっといい経験になる」 ナフは族長然とした態度で、真っ直ぐステイの目を見つめて言った。 それを聞くとステイは喜んで、旅の支度をするんだと駆け出して行った。 「やはりあの子は……特別な子なんだろうねぇ」 空を見上げながらナフが独りごちた。 その表情はどこか少し寂しそうにも見えた。 ナフは里の広場にやってきた。 広場ではまだコテツとアトラスの試合が繰り広げられている。 両者とも実力は互角と言った様子で、どちらも一歩も退かなかった。 そんな二人の間に割って入ってナフが言う。 「気が変わったよぅ。ワシが直々にお手合わせしちゃおうかなぁ」 その手にはあの大槌があった。 コテツは喜んでその申し出を受けた。 「そうだねぇ。じゃあ3分で決めちゃおうかな」 「ばかにすンなよ! 返り討ちにしてやるぜぃ」 コテツが刀を構えた。 「それじゃいくよぅ」 ナフはコテツよりも大きいその大槌を、片手でさも軽そうに振り回してみせる。 「そーれぃ」 縦に一振り。 大地が揺れ、土煙が舞う。大槌が叩きつけられた跡には地面に大きな穴が開いていた。 「あンなの食らったらイチコロだなァ。だがあの大槌じゃ素早く動けないだろう。その隙を突いてやれば…」 当たらなければどうということはない。 相手の攻撃をかわして隙を突けば大した相手ではない。そうコテツは考えていた。 土煙が晴れる。すると、そこにはナフの姿はなくなっていた。 「あ、あれ! どこ行ったンだ、あいつ!?」 慌てて周囲を見回すが、どこにもナフの姿を見つけられない。 ふとコテツの頭上に影がかかった。 「上か!」 気付いた時にはすでに遅かった。 いつの間にか高く跳躍していたナフが、重力に任せてその大槌を振りおろす。 まるで地震かと疑うほどの振動が起きた。 「くそっ」 コテツは後方に跳び下がり、その一撃を回避したつもりだった。 「なかなか手強いな。だが、まだこれからだァ!」 「うんにゃ、もう決着はついてるよぅ。あらら、3分ももたなかったねぇ」 「な、何を! オイラはまだまだこンなモンじゃ……!」 「じゃあ、その刀をよーく見てみるんだねぇ」 「な……これは!」 コテツの咥える刀には刃がなくなっていた。 大槌の一撃は、コテツの刀だけを狙ったのだ。 あのコテツよりも大きな武器でこの小さな刀の刃だけを狙うなんてことは、かなりの熟練された腕前をもってして初めてできることだ。 コテツは降参した。武器がなくては戦えないし、何より刀は侍の魂。それが折られたとあっては負けを認めざるを得なかったのだ。 「ち、ちくしょう…」 刀は侍の魂であり、プライドでもある。 そのプライドをへし折られたコテツは悔しさと屈辱を感じていた。 陽が暮れたのでコテツはステイの家に泊まることにした。 ステイがこれで一緒に旅ができるだとか、これからどこへ行くのだとか色々と声をかけるが、まるでコテツの耳には入っていない。相性ではこちらが有利だったのに、刀さえあればまだ戦えたのに、などといったことをぶつぶつと呟いている。 「まぁ、族長が相手だったんだもん。仕方ないよ」 「うるせぇな。オイラはこンなところで負けてちゃいけねぇンだ。もっともっと強くならなくちゃいけねぇンだよ!」 コテツが吠える。 「でも負けちゃったよねぇ」 窓からナフがひょっこりと顔を出した。 そのまま窓を潜ってナフが中に入ってくる。 「ちっ、笑いに来たのかよ!」 「まぁそれもあるけどね。これからステイがお世話になるんだから、こんなのじゃ先が思いやられるよねぇ」 「うるせぇ! 刀が折れてなきゃオイラはもっとやれたンだ! あンなのはオイラの実力の一部も出せてねぇよ!」 「それ負け犬の遠吠えって言うんだよぅ」 「あっ、族長うまい!」 「全然上手くねぇ!」 まだ吠えるコテツに、ナフは顔を近づけて言った。 「でも武器がないから戦えないのは辛いねぇ。今日のは試合だから武器がなくなったらそこで試合終了、それでいいんだよぅ。でも、自分の身を守る戦いではそれで”おしまい”だからねぇ。死んじゃったら文句も言えないよ」 真っ直ぐと目を見つめてくる。 笑いながらナフは言うが、仮面の向こうの目は笑ってはいない。 「何が言いたい。狩猟の鉄則でも教えてくれるってのか?」 「違う。これは大切な話だよ。ステイにも聞いてもらいたい」 いつもと違う雰囲気にコテツもステイもナフのほうに身体を向ける。一方でナフは二人には背を向けて、窓から夜空を眺めながら話し始めた。空は闇夜の漆黒一色だ。 「メタディアって知ってるかい?」 ナフが訊く。 『メタディア』とはメーやメフィアのような生き物の総称だ。 それらに共通する特徴として、まず体色は紫系統であるということ。薄い紫は桃色。濃い紫は黒だ。 次にそれらの名前はどれもがメから始まっているということ。メー然り、メフィアも然りだ。 二人はこれに頷いた。 「それぐらい知ってるさ。メーとかのことだろ?」 「そう。そのメタディアが最近活発になってきているんだよね。だから旅に出るなら二人ともよーく気をつけたほうがいい」 「気をつける? メーにか? あンなの大したことねぇよ。一体何に気をつけろってンだ」 「それだけがメタディアじゃない。まだまだ様々な種類がいるからね。メーやメフィアのように無害なものもいるけど、中には攻撃的なものや危険なものだっている」 「ふーん。そういえばおいら色違いのメー見たことあるよ」 「とくにメーディというメタディアには気をつけなさい。あれは危険だ。ワシはもちろん、里の者みんなが束になってかかっても手も足もでないだろうね」 外は急に風が強くなってきた。 屋内を照らすランプがゆらゆらと揺れる。 「そンなにやべぇのがいるのか? だがそんなの聞いたこともなかったぜぃ」 「おいらも知らない。知らないものは気をつけようがないよね。それってどんな形してるの?」 「それは……」 ナフがそれを言いかけたとき、突風が吹いてランプの明かりを消してしまった。 屋内は真っ暗な闇に包まれる。そこに赤い光が浮かぶ。 「おっと、いけないいけない」 赤い光がランプへと近づくと、火が灯り部屋が再び照らされた。 「とにかく……そうだね。メタディアの特徴は知ってるね? それに加えて見たことのないヘンないきものを見かけたら用心することだね」 それだけ言うとナフは去って行った。 「危険なメーディ……ねぇ」 「どんなやつか知らねぇが、むしろ強いんだったら修行も兼ねてオイラが退治してやるぜぃ」 二人はただ顔を見合わせるだけだった。 そのメーディがこの先コテツたちを何度となく翻弄することを、まだ二人は知る由もない。 「ぎゃぁぁああああ!?」 翌朝。まだ太陽も顔を出さないような早朝に、エルナトの里にコテツの悲鳴が響き渡る。 目を覚ますと、コテツは大鍋の中でぐつぐつと茹でられていたのだ。 「な、なんだこりゃあ! ここは地獄か? 釜茹で地獄かァ!?」 鍋の前にはバケツに穴を開けたような仮面に、背中には巨大なフォーク、ナイフ、タモ網を背負ったコック帽の竜人族がいた。 コック帽の竜人族は平然としたようすで、さもあたりまえのように訊いた。 「あ、おはようございます。お目覚めはいかがですか?」 「いかがもクソもあるかァァアアア!!」 エルナトの朝は騒がしく始まった。 コテツの叫び声でステイは目を覚ます。 そうだ、今日は記念すべき旅立ちの日。二度寝なんてしていられない。 手早く荷物をまとめて朝食を済ませると里の門へと急いだ。 門前にはナフやアトラス、そして里の仲間たちが立ち並んでいた。 どうやらステイの旅立ちを総出で見送ってくれるらしい。 「ステイ、いよいよだね。忘れ物はないね?」 「ばっちりだよ」 「種族は違ってもおまえはエルナトで育った家族の一員だ。いつでも好きなときに帰って来い」 「アトラスもありがとう。おいら、きっと一人前になって帰ってくるからね」 里の仲間たちは一人一人ステイに言葉を送った。 最後にナフが一本の槍を手渡した。 「これは昔ワシが使っていたものだよ。餞別だ、持って行きなさい」 柄はステイの身の丈より長く、先端の刃は稲妻のような特殊な形をしている。穂先には魔除けの赤い帯が巻き付けられている。 「ワシだと思って大切にしてね」 「う、うん…。ありがとう族長」 それからステイは里のみんなにお礼を言って、最後にコテツに声をかけた。 「それじゃあ行こうか、コテツ。いつまでものぼせてないで」 「うるせぇうるせぇ! こんな里があるか! 見送りの朝に釜茹でにするようなやつがあるか!!」 コテツは茹でたてほかほかわんこになっていた。頭からはまだ湯気が上っている。 「まぁまぁ。許してやってよぅ。うちの調理長のテパは珍しい食材を見ると、つい料理しちゃうんだよねぇ。ワシでも手がつけられないんだから」 「オイラ食材じゃねぇやい!」 「大丈夫だよ、コテツ。おかげで今朝のスープはいつもよりおいしかったよ!」 親指を立ててステイがフォローする。 「それフォローになってねぇよ!!」 こんな騒がしい様子でコテツとステイは旅立って行った。 エルナトの住民たちはその姿が見えなくなるまでステイを見送っていた。 そして二人の姿が見えなくなったのを確認すると、ナフがぼそりと言った。 「テパちゃんグッジョブ。いいダシとれてたよぅ!」 「ありがとうございます! これでしばらくはマンネリともおさらばですねっ!」 「お、おまえら…」 それをただただ呆れて見つめるアトラスだった。 そんなことは露知らず、コテツとステイは行く。 「そういやァ、まだおめぇの名前を聞いてなかったな」 「おいらステイだよ。これからよろしくね」 こうしてコテツの修行の旅、ステイの自分探しの旅は始まった。 メタディアを巡る彼らの旅はまだ始まったばかりである。 Chapter1 END メタディア2