約 2,366,602 件
https://w.atwiki.jp/etakuro/pages/67.html
ブレイブブレイド(Brave Blade) 世界の敵と戦い、人類を守護する事を目的とする多数の聖剣士で構成される集団。 最初の世界の敵であるロストメモリーに抗うために人類の間でロストメモリーの原動力を探った結果聖剣学という新たな力が編み出され、聖剣を扱う者がロストメモリーを滅ぼしたことを皮切りに「世界のつるぎ」として発足する。
https://w.atwiki.jp/occultfantasy/pages/625.html
北海道 アイヌ語 北海道、樺太(サハリン)、千島列島(クリル)に居住していたアイヌ民族が使用していた言語の総称。日本語とともにウラル・アルタイ語族に属するとされているが、言語学的な位置づけにおいてはいまだに不明な点が多い。 母音は日本語と同じ5つ、子音は少なく、基本的に濁音は使われない。しかし話者の癖によるところも大きく、特にn音の次に来た言葉は濁って聞こえる傾向がある。また、日本語には無い子音のみの音があり、カナ表記されるときは特徴的な小文字で表記される(k,s,t,h,m,r,p)。 またアイヌ語ではサ行の音とシャ行の音、パ行の音とバ行の音を区別せず、また研究者によってr音の表記を小文字の「ル」に統一して表記してある場合がある。そのため、たとえば英雄詞曲を意味する語、「Sakorpe」は「サコロペ」と表記しても、「シャコルベ」と表記しても差し支えないことになる。が、現在はサ行、パ行の音のみを用い、r音は前の音の母音に引きずられる形で表記が変化させる形式をとることが多い。 アイヌ民族は文字を持たなかったため、表記する際にはカナかローマ字が用いられる。 樺太アイヌ語は、北海道アイヌ語と異なる部分を多く持つが、現在話者は絶えており、音声記録が残るのみである。千島アイヌに至ってはほとんど調査されないまま、強制移住の果てに文化・言語とともに絶滅してしまっている。 北海道アイヌ語は大きく南部方言と北部方言に分けられるが、明治~大正期に旧土人保護法の元に設置され、アイヌの子女が通学を強制された旧土人学校ではアイヌ語の使用が禁じられ、また差別に繋がるとして家庭でもアイヌ語を使うことが少なくなり、話者は減少の一途をたどった。現在はアイヌ語を完全に聞き、理解できる話者は北海道全土でも10人に満たないとされ、いわゆる「危機言語」である。だが、アイヌ文化振興法(1997~)の制定や、民族意識の高まりにより、アイヌ語を学習しようとする者はアイヌ・日本人ともに増えている。北海道各地にアイヌ語教室も設置され、選択科目にアイヌ語がある学校もある。 知っていたほうがよい音韻変換 n音は、s音、y音の前に来るとi音に変化する 例:ポン(小さい)ユク(鹿)→ポイユク、 イワン(六匹の)セタ(犬)→イワイセタ r音は、t音、c音の前に来るとt音に変化する 例:レタラ(白い)チリ(鳥)→レタッチリ(ハクチョウ) r音は、n音の前に来るとn音に変化する 例:ヌカラ(見る)ルスイ(欲する)→ヌカンルスイ(見たい) 参考資料 北海道の項を参照のこと。
https://w.atwiki.jp/brave21/pages/107.html
リンク ブレイブ・ストーリーwiki ブレイブ・ストーリーwiki ブレイブストーリー専用うpろだ(18禁可) ブレイブストーリー専用うpろだ ブレイブストーリーでエロパロ3(落ち) ↓ ブレイブストーリーでエロパロ4(18禁可) ブレイブストーリーでエロパロ4
https://w.atwiki.jp/vipchibikue/pages/78.html
レイブレイド 基本情報 消費MP:40 使用条件:斬 属性:光 効果 光属性の単体物理攻撃 考察 ○○ブレイドの光Ver. スキル自体の最大補正は180%。 弱点の敵ならさらに300%、急所に入ればさらにさらに。
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/2989.html
ブレイブ・ストーリー 登場人物現世 コメント 宮部みゆき著のファンタジー小説。 漫画は『ブレイブ・ストーリー〜新説〜』と『ブレイブストーリー』との2作品がある。ゲームは、PS2、PSP、ニンテンドーDSそれぞれのソフトがあり、映画公開より二日前の2006年7月6日に発売された。 登場人物 現世 ルカリオ:三谷亘 見習い勇者→「勇者」繋がり。 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 登場人物 現世 ミロカロス:芦川美鶴 幻界 メタモン:女神 アルセウス:老神 フーディン:ラウ導師 リザード:ジョゾ エレキブル:トローン -- (ユリス) 2015-06-15 20 33 28 エネコロロ:ミーナ -- (AKODON。) 2011-11-02 19 31 13 バンギラス:キ・キーマ -- (ウィング・T) 2011-11-02 19 30 11
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3759.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 二つの月が照らし出す夜の底。 ヴェストリの広場は、昼間の喧騒が白昼夢だったかのような静寂に包まれている。 その外れで、ムスタディオはぼんやりと寝そべっていた。傍らにはブレイズガンと整備してそのままの工具、打撲だらけの体に塗りたくったポーションの空壜が転がっている。よく効く物は焼けてしまっていたため、気休め程度にしか傷は癒えていない。 ムスタディオは決闘の後すぐに部屋に戻り、自分の装備品の一切を持って出てきた。頭が空っぽだったが、とりあえず誰とも――特にルイズとは――顔を合わせたくなかった。人気のない場所へ移動し続けていたら、最終的にこの場所に落ち着いたのだった。 その瞳には色の違う双月が映り込んでいたが、ムスタディオは何も見ず、節々の痛みと気だるさにだけ身を任せていた。 あれだけ全身を巡っていた凶暴な気持ちはおさまっていた。 けれどそれは、体の奥底に格納されただけだと感じる。機会があれば、きっといくらでも発露する。 ふと夜が明けたらどうしようかと思ったが、今は何も考えたくなくて、だらりと手足を投げ出していた。 そんな彼の視界から月が消えた。何かに覗き込まれている。 身を起こすと、サラマンダーがきゅるきゅると鳴いていた。ツェルプストーとか言う生徒の使い魔だ。名はフレイムだったか。 「どうしたんだ、お前。暖でも取らせてくれるのかい?」 最初に見た時こそ驚いたが、今は飼いならしたチョコボみたいなものだと認識を変えていた。尻尾の火に手をかざしてみると、夜風で冷えた体に暖かさが沁み入る。ちょこちょこと動くフレイムがいかつい外見ながらも可愛らしく、疲れが少しだけ和らいだ気がした。 フレイムはぶるりと身震いすると、寒いから暖かい場所に行こうとばかりにムスタディオの服の袖をくわえて引っ張り始めた。 「な、なんだ? おい、放せって」 しかし人間とサラマンダーでは膂力が違う。ぐいぐいと服を引き千切られそうになったのでムスタディオは抵抗を諦めた。半ば引きずられながらブレイズガンのベルトを腕に引っ掛け、フレイムに連行されていく。 やって来たのはルイズの部屋の前だった。一瞬上着を犠牲にして逃げようかとも思ったが、どうやらフレイムの目的はその隣、キュルケの部屋のようだ。扉が開け放たれている。 「……なんなんだ」 貴族の部屋に連れ込まれようとしている。 そうと分かった途端、しまい込まれていた黒いものが蔓を伸ばし始め、身体が内側から絡め取られていくのを感じる。 「ブレイブストーリー/ゼロ」-07 フレイムに部屋に引っ張り込まれると、中は真っ暗だった。 「ようこそ、こっちにいらっしゃい」 キュルケの声が聞こえて来る。後ろでフレイムが扉を閉める音がする。 ムスタディオがそのどれにも反応せずにいると、キュルケが指を弾く音が聞こえた。 部屋の中に立てられたロウソクが、ムスタディオの側から一つずつ灯っていき、キュルケの側へと灯りで縁取られた橋が渡される。 ぼんやりと淡い幻想的な光の中、ベッドに腰掛けたキュルケはほとんど裸みたいな官能的な下着をつけている。 悩ましい姿だ、とムスタディオは素直に思った。 「そんなところに突っ立ってないで、いらっしゃいな」 キュルケが艶やかな声で言う。 しかしムスタディオは入り口の前から動かず、ただキュルケの姿を見ている。熱っぽいキュルケの目つきと無言のムスタディオの視線がしばらく絡み合った後、キュルケがじれったそうな仕草で立ち上がった。 「――緊張してるの? ならあたしから行くわ」 体をなめらかに揺らしながら、キュルケが近づいてくる。 「あなたは、あたしをはしたない女だと思うでしょうね」 褐色のすらりとした腕がムスタディオに伸びる。その指先が、頬をなでた。 「あたしの二つ名は『微熱』。松明みたいに燃え上がりやすいの。だから、いきなりこんな風にお呼びだてしたりしてしまうの。わかってる、いけないことよ。でも、あなたはきっとお許しくださると思うわ」 両手がムスタディオの顔を猫の様に通り過ぎ、頭の後ろで組まれる。 キュルケの顔は今や、すぐ目の前にあった。吐息が甘い。女の香りがする。吸ったそばから、頭の芯に霧がかかるような。 「ギーシュを倒したときの姿……あの強力な魔法……。容赦ない冷たさで、でもすごく逞しい氷だったわ。あたしの炎とは正反対」 いやがおうにも彼女の野生的な、それでいて瑞々しい肌が視界に飛び込んでくる。 胸板を撫で回されはじめていた。たおやかな指が肌をまさぐる度に、内出血を起こした箇所にかすかな痛みが走る。 しかしそれは、ぴりりとした快感でもあった。 「でも、それを見て痺れたの。あなたの心が知りたいわ。ねえ、あの魔法みたいにあなたの心は冷たいの? そうだとしたら、あたしとあなたが交われば、丁度いい温度になると思わない? ……いいえ、あたしがあなたを溶かして、熱く熱くさせてあげるわ! あたし、あなたに恋してるのよ!」 潤んだ瞳。妖艶な微笑みが見上げてくる。 ムスタディオは一言で応えた。 「ふざけるなよ」 ブレイズガンを掴む。 ◇ ――昼間の決闘の際。 遠くから決闘が終わった様子をキュルケが見ていると、ムスタディオがルイズの元に歩いていき、何かを言った。 途端、ルイズは尻餅をついてしまった。 いつまでも立ち上がろうとしなかったので、キュルケは傍に行って引っ張り上げてやる。それでもルイズは動こうとしなかった。 「何腰抜かしてんのよ、なさけないわね」 と言いかけて、ほとんど気絶してるように何も反応せず顔が蒼白になっている様子に気付き、これは尋常じゃないと慌てた。 部屋に連れて行ったが、ルイズはベッドに腰掛けたまま自失呆然としている。 タバサがルイズを指差して「手遅れ」と呟いたのが不安を煽る。 結局、ルイズは午後の授業に出てこなかった。 だから、何が起こっているのか確かめようと思った。 誘惑したのは半分くらいは冗談だった。 あの田舎ものっぽい、女に免疫のなさそうな男をひとしきり困らせて反応を楽しんだ後、ルイズがどんな様子か、そしてムスタディオがどういう人間なのか話を聞き出そうと思っていた。そして様子によってはそのまま……。 しかし、呼び出したムスタディオの反応は、キュルケの予想とは遥かに違っていた。 「ふざけるなよ」 拒絶するムスタディオの目は、人形みたいに感情を感じられない。 その得体の知れない様子にキュルケは気押され、しなだれかかっていたムスタディオから体を引いてしまう。 「オレに惚れたって。バカにするなよ、どこに惚れたっていうんだ。この銃か」 ムスタディオが杖を振り上げた。 ――あの杖は、詠唱なしで魔法が発動する。 しかしキュルケが想像した最悪の事態は起こらない。 ムスタディオはたすきがけにしていたベルトを外すと、杖を脇に放り投げたのだ。がしゃりという音が夜の静寂を一瞬だけ散らし、何本かのロウソクが床に倒される。フレイムが驚いてうなり声を上げている。 先ほどまでの押しの一手から一転、怯えたように窺うキュルケに、ムスタディオが言葉を続ける。 「どうせあんただってオレの話なんか信じやしないんだ。あんただってそうなんだろう、なあ、貴族様」 ムスタディオの目に、初めて感情らしきものが浮かぶ。 それは深い悲しみと、諦めの色だった。 ――その様子に。 『や、と成功した、って、思ったら、あ、んなし、しにそうな人で。失敗も、いいところ、じゃ、ない。こ、こんな落ちこぼれの、どこを、誰が、心配するって、いうのよ』 どうして、あの子の泣き顔を重ねてしまうのだろう。 「……話して、みてよ。じゃなきゃ、なにも分かんないわ」 気付けば、恐る恐るそう言っていた。 あれだけの力を平民の身で持ちながら、彼は何を抱え、また抱えきれずここまで追い詰められているのか。 それまでは、彼に接触する理由はルイズの使い魔だからというものが大きかった。 しかし今、「彼自身」に興味を持ち始める自分を、キュルケは感じていた。 ◇ いろいろあって、考え疲れた夜。 隣のキュルケの部屋が騒がしかった。 ルイズは最初、彼女が取り巻きの一人といちゃついているのかと思ったが、なんだか次第に声のトーンが大きくなってきた。途中でがしゃりと音もした。 その内に気付いてしまった。 もう一人の男の声、あれは――ムスタディオだ。 ルイズはベッドからはね起き、隣のキュルケの部屋へ飛び込んだ。 「あんた何油売ってんの、それもツェルプストーの部屋で」 そう言おうとして、言えなかった。 部屋ではあられもない格好のキュルケがベッドに腰掛けていた。ムスタディオは少し距離を置いて椅子に座り込んでいたが、キュルケを見るだけで何が起こったかは明白だ。 自分の使い魔が赤の他人、それもツェルプストーに誘惑された。それだけで頭にくるようなことだが、ルイズはその怒りすら感じることはなかった。 ムスタディオが振り向いて、ルイズに気付いた瞬間の目つき――それを見て彼女は思ったこと、言おうとしたことのもろもろを躊躇してしまったのだった。 「あら、ルイズじゃないの。ってムスタディオ?」 ムスタディオが椅子を立って、道端で通りすがった見知らぬ他人みたいにルイズの横を通り過ぎていく。出て行って数秒してからはっとなったが、ルイズは恐ろしくてムスタディオの後を終えなかった。 代わりに、ベッドの上で足を組み、何も言わないキュルケに歩み寄った。 「……弁解を、聞かせて、もらおうかしら?」 キュルケは肩をすくめた。 「何もしてないわ。本当は誘惑しようと思ってたんだけど、彼ったら自分からあたしに指一本触れてくれないんだもの。あれ、誰か心に決めた人がいる顔ね」 軽口を叩くキュルケを、ルイズは眉根を寄せてねめつける。 「そんな、はしたない格好で、人の使い魔に、なにを、」 「あんた」 キュルケがルイズの言葉を遮って、ため息をついた。そして次の言葉に、ルイズは固まってしまう。 「あの人がまだ自分の使い魔だと思ってるの?」 少しの間、何も言えなかった。 ルイズの顔からは先ほどまであったかすかな嫌悪が削げ落ちていた。感情を表に出す余裕がなかった。 震える唇を――かろうじて動かす。 「どう、いう意味、よ」 「あの人、あなたのことを全く信頼していないわよ。いろいろな話を聞いたけど、酷い仕打ちをしたみたいね。犬呼ばわりしたり、鞭で打ったり、彼の言うことを信じてあげなかったり」 羞恥で顔がカッと熱くなるのを感じ、思わず大声を出していた。 「それは、あいつが変だからよ!」 途端、キュルケが飄々とした様子を一転させて睨みつけてくる。 「だからってあそこまで酷い状態になる前に、対応変えられなかったの? あのね、確かにあの人の言ってることはかなりおかしいわ。けど……一方であたし、あの人はどこかの世界の英雄か、その仲間なんじゃないかって思っちゃったわ。だって、本当にそういう叩き上げの深い目をしてるんだもの」 「……あんた、あいつの言うこと信じてるの?」 「まさか。全部が全部は信じられるわけないわ」 キュルケは両手を広げて肩をすくめた後、何か哀れむような目でため息をついた。何でキュルケにそんな目をされないといけないのかと思う。 思うが、それに腹が立つような気概もルイズは使い果たしていた。 「あれだけ必死な語りかけを無視するのは酷いんじゃないって話よ」 キュルケはそう言い、少しだけ気の毒そうな顔をした。 「彼、本当に悩んで、苦しんでいるみたいだったわ。……うまくいえないけど、あの話には何かしら聞くに値する部分があると思うの。 その意味じゃ、最初っから聞く耳を持たなかった貴方も、軽率なんじゃないかなって思ったわ」 「……そ、そんなの分かってたわ! 何日も前から悩んでたもん!」 自分が分かっていることを言われる。 それはお前の悪いところが直ってないぞという指摘であり、反射的にルイズは言い返してしまう。 しかし彼女の言葉は、すぐさま自分自身に取って返された。 「じゃあ、何で何もしないの? あの人、主人が申し訳ない素振りや優しくしてくれたことはほとんどないって言ってたわよ」 「だ、だって、今更謝れないもん。それに――」 それに。 ルイズはあの目を思い出す。 そしてあの言葉を。 『口だけじゃなかっただろ』 お昼休みからさっきまで延々と頭の中で繰り返されていた。 繰り返されていた。 繰り返される自責に、もう耐えられなかった。 「――もう、許してもらえるなんて、思えないもん……」 ◇ その弱音に。 キュルケは、サモン・サーヴァントの夜のように頭に血が昇るのを止められなかった。 「ああもう! 本当は、これ以上ヴァリエールに塩を送るまねなんてしたくないんだけど! あのね、あたしは微熱って言われてる。恋に生きるあたしから一つ言うわ。 恋はね、相手に好きになってもらえるかもらえないかじゃないのよ。落とせるか落とせないかなの。そのためには手段を選ばないわ。 仲直りだってそうでしょう? 許してもらえるか、もらえないかじゃなくって。和解できるかできないか。 何が今更謝れない、よ! 甘えてんじゃないわよ! 何弱気になってんのよ!!」 今度は平手打ちは自制心を総動員して抑えた。 つかみ掛かりもしなかった。 その代わり――ルイズが、今まで見たことのないような傷ついた表情で部屋から飛び出していくのを止めはしなかった。 この間のように気を使ったりは、もうしない。 あとは二人の問題だ、と思う。 「……あたし、何でこんなことしてるのかしら」 ばかみたい。 キュルケは不満げに呟く。 そして今夜逢引きの約束をしている男の子達のことを考え始めた。 今の一連の出来事のせいで、二人との約束を反故にしてしまっている。 あんたのせいで、恋に支障がでちゃうじゃないの、ばか、と思った。 ◇ 分かっていた。 自分がどんどんおかしくなっていって、どうにかしようともがいていて、でもそれが根こそぎ裏目に出て。 今思い返せば、何だかんだ言って一番自分に関わってくれていたキュルケにすら失望されかけている。 その事実により一層打ちのめされた。 そして何より、その事実をキュルケによって突きつけられたことに、最もダメージを受けていた。 彼女にだけは絶対に負けたくなかったのだ。 ツェルプストーからの施しなんて、絶対に受けるつもりはなかった。 なのに。 くやしいけど、今のキュルケは自分よりよっぽど魅力的な女の子だ。 「バカっ……バカ! ばかぁっ!!」 キュルケの部屋を飛び出し、外をむちゃくちゃに走りながら口汚く叫んだ。 誰に対して悪態をついているのかも分からなかった。 ムスタディオに、何が何でも詫びなければならないと思った。 彼が狂っているのかどうか、もう分からなくなっていた。 狂っているのは私のほうだったのかもしれない、と思った。 絶対に変わらなければならない。 このままでは、誰の顔も見れない駄目な女になってしまう。 ◇ 翌朝、ルイズは一人で起きた。 一人で洗顔を済ませたし、身支度も全部一人でした。早起きして洗濯もやった。 朝ご飯も一人で食べ、授業も一人で受けた。色々あって忘れていた熱がまだ少し下がりきっていなかったが、全ての授業に出席した。 そうしながら一日中、部屋に戻ってこない自分の使い魔のことを考えていた。 なんて謝ろう、と思った。誠意を見せなくちゃいけないだろう。でもどうやったらいいのか。 何か贈り物をすればいいのか。土下座でもすればいいのか。誓約書でも書けばいいのか。 その他にも、クラスの生徒全員に謝れるくらいたくさんの方法を考えたけど、何かどれもしっくり来なかった。 結局、素直に頭を下げて謝ろう、と思った。 許してくれるかは分からない。キュルケが言ったような絶対に和解できるやり方は自分には思いつかなかった。 でも、相手に委ねるのも誠意の一つの形じゃないだろうか、と思った。 次の日になってもムスタディオは戻ってこなかった。 学院中を一通り回ってみたが、見つからない。 二日後も、三日後も、ルイズは一人で起床した。 その度に泣きそうになった。 四日目はもっと綿密に探し回り、皆にムスタディオのことを聞いて回った。 しかし皆が皆、ムスタディオの行方を知らないと口をそろえていた。 彼の姿は、トリステイン魔法学院から消えていた。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/mekameka/pages/1365.html
ブレイブルー / BLAZBLUE アークシステムワークス 2008年11月20日 AC.PS3.Xb360(DVD.GOD) GUILTY GEAR XX??のスタッフが制作した、2Dの対戦格闘ゲーム ブレイブルー ポータブル 2010.2.25 PSP(UMD.DL) PSPへの移植版 Unlimitedキャラクターが4人から12人に増えた 「BLAZBLUE CALAMITY TRIGGER Portable」はベスト版 ブレイブルー コンティニュアム・シフト / BLAZBLUE -CONTINUUM SHIFT- AC.PS3.Xb360 バランス調整などがされたバージョンアップ版 追加キャラクターとして「ツバキ」と「ハザマ」が参戦した ブレイブルー コンティニュアムシフトII 2010年12月9日 AC.PSP(UMD.DL).3DS コンティニュアムシフトのバージョンアップ版 登場キャラクターは、家庭用ゲーム機で配信されていた、マコト、ヴァルケンハイン、プラチナ、μ‐No.12‐が加わった 追記 3DS版『ブレイブルー コンティニュアムシフト2』がファミ通で酷評 関連 ぶれいぶるー - バトル×バトル - Xbox 360 は行 ぶれいぶるー - バトル×バトル - アーケード ニンテンドー3DS プレイステーションポータプル な行~ プレイステーション3
https://w.atwiki.jp/viphdb/pages/25.html
ひぐらしデイブレイク改 ひぐらしデイブレイクの追加ディスク。 スレの皆はもう買ってるんだぜ 大きな変更点は既存キャラに第3の武器追加 新キャラ羽入、公由夏美の追加。 コステュームをたくさん追加。 ストーリーの組み合わせ追加 通信対戦の観戦モード追加 オヤシロの手動発動。 カケラモードの追加。 ダウン時に受身追加 いろいろ変更されたんだぜ!
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3736.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ その日の朝から、ルイズの様子がおかしかった。 「ヴァリエール様、朝が来ましたよ」 起きて一番に洗濯を済ませてきたムスタディオは、寝ているルイズを起こす。この世界に来てからの彼の日課だった。 労働者達の生活力に満ちた朝の空気の中で深呼吸し、少しだけ気分をリフレッシュさせるが、その後に彼女を起こすと考えると、肺の中に溜めた空気がやや淀む気がした。そのまま寝ていてくれないかなと半分本気で考えていると――本当に起きなかった。 「おい、ヴァリエール様、朝ご飯を食べられなくなるぞ」 彼女が反応を示したのは、四度も呼びかけた後だ。 「……ん、分かってるわよ……」 起き出したのはさらに経ってからだった。のたのたと下着を身に着けている。彼女のブラウスのボタンを留めながら顔を見上げてみると、赤みがさしていた。汲んできた水で洗顔も済まさせたというのに、未だ起き抜けみたいに目がぼんやりしている。 「ヴァリエール様、体が重くないですか?」 「……少しぼんやりする。なかなか目が覚めないわ」 声にも力がなかった。いかに関係が悪かろうと、病気となれば話は別だ。 ちょっとごめんよと断りを入れ、ムスタディオはルイズの額に手をやる。 「……なに、してるのよ」 「熱を見てるだけですよ。そんな目で見るなって……けっこう熱いぞ。喉とか、どこかに違和感はないですか?」 「……どうもないわ。ぼうっとするだけよ」 「はあ、まあ風邪か何かだな。医務室に行きましょう」 しかし、ルイズはぶんぶんと首を振った。ムスタディオの手が払われる形になる。 「遅刻しちゃうじゃないの……そんなこと絶対できないわ」 少しの間説得をしたが、ルイズは頑として首を縦に振ろうとしなかった。 仕舞いには「食事をしっかり取って、勉学を受けられる感謝を胸に集中すればすぐに治るわよ」とやぶれかぶれのことを言い出したので、ムスタディオとしても納得せざるを得ない。 「分かったよ。悪化しても知らないからな」 しかし午前の授業の間、彼女はお世辞にも集中出来ていると言える様子ではなかった。 本人もそれを自覚したのか、お昼休みに医務室へ向かうことになった。 ――それがきっかけになるとは知らずに。 「ブレイブストーリー/ゼロ」-05 疲労による発熱、と養護教諭に告げられた。 (オレが熱出したいくらいだ) 力なく思うムスタディオは、医務室のベッドで寝息を立てているルイズを見つめていた。処方された薬を飲んだルイズに、今から少しだけ休むから起きるまで絶対に傍を離れるな、と言い含められていた。 ルイズは、自室で眠っている時でも見せないような穏やかな顔をしていた。 表情の膜を取っ払ったらこんな端整な顔立ちをしているのか、と気付く。嫌われていることを改めて感じ、気分が沈んだムスタディオは視線を外して医務室を見回した。 数日前と何ら変わりの室内。隅の机で養護教諭が書類を書いている。 この場所で目覚めてから、この悪夢みたいな生活が始まったのだ。 否応なしにここ数日間の記憶を、そしてそれ以前のことを反芻させられる。 その内に、ふと何故だろうと思った。誰とも会話させてもらえず、主の少女には犬と呼ばれこき使われる。 しかし、それだけだ。以前の命を賭して戦う日々とはまるで違う。平穏と言ってもいい。 何故こんな小さなことで自分は、狂おしいほど圧迫感を感じているのか。 ――それはいつもの自問自答だった。 以前の彼は考えるより動き、思いついたことを即実行するような性質だった。仲間との他愛無い会話も大好きで、くだらないことを言って笑わせていた。頭も悪いほうではなく、敵を欺いたことは何度もある。 しかし日常的に誰とも接することがなくなり、与えられた莫大な時間の中。 彼は誰かと話す代わりに延々と何かを考えるようになり、今までは気付きもしなかった自分の側面へ目を向け始めていた。 今までの自分と、今の自分は明らかに違う気がする、とムスタディオ自身もそれを感じていた。 何が原因なのだろう、と今日まで考え続けていたが――何となく分かった気がしていた。 (……義務感、とか、自分から、とかそういうのかな) あの戦いの日々は、絶対にやり遂げなければという気持ちを伴って流れていた。 この生活は、自ら望んだものではない。 よく考えれば、生まれてから今日まで、身分の違いや貧困による理不尽に苦むことはいくらでもあった。 しかし、その中にも機工士としては充実した日々は送れていたし、仲間と共に戦った日々は、今思えば死や失望と隣り合わせであれど仲間との強い絆、そして「自分自身を生きている」強い実感があった。 それがこの場所には―― 「……はは」 乾いた笑い声が口から漏れた。顔を両手で覆った。 仲間の大切さを、思う。改めて、改めて皆生きていて欲しい、と思う。 そして、オレ、こんなちっぽけだったんだなあと思った。 ――何か、一人になりたかった。 一人になれなくても、自分を監視する目から逃れて行動したい。 ルイズを見やる。 しばらく目を覚ましそうにはない。 「……すいません、ヴァリエール様が休んでいる間に、昼食とってきます」 ◇ 「おお? その香水は、もしや、モンモラシーの香水じゃないのか?」 「そうだ! その鮮やかな紫色は、モンモラシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」 「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモラシーと付き合っている。そうだな?」 煌びやかな食堂は、何やら騒がしかった。 金色の巻き髪に、フリルのついたシャツを着た派手なメイジが周りの男子生徒や女子達と口論をしている。断片的に聞こえる内容からすると、どうやら金髪の彼が二股をかけたらしい。 「――ケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、君だけ……」 ばちん、と良い音が食堂に響き渡る。 「その香水があなたのポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ! さようなら!」 「――やっぱり、あの一年生に手を出していたのね?」 「お願いだよ。『香水』のモンモラシー。咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りでゆがませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」 もう一つ良い音が反響する。 「うそつき!」 走り去る足音。ざわめきが大きくなっていく。 「…………」 少し前の彼なら仲介を買って出るか野次馬に混ざるかしていただろうが、ムスタディオは肩をすくめるだけで床に下ろした腰を上げようとしない。貧しいスープを啜る。傍らのルイズの席は空席だった。 勝手にしてくれ――そう思った時、視界にある姿が映った。 「君が軽率に、香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」 「あ……も、申し訳ございません! まさかこんなことになるなんて思っても見なかったんです!」 先ほどの男子生徒――ギーシュというらしい――が、給仕の少女に言い掛かりをつけていた。ギーシュの落とした香水は彼を引っ叩いた女生徒にとって大切な人にだけ贈る印であり、それを給仕の少女が善意で拾い、渡そうとしてしまった。それが今の騒動の発端らしかった。 給仕の少女に視線を絞る。見覚えがあった。毎朝洗濯の場で一緒になる彼女は、最低限のことしか話さないムスタディオにも親切に接してくれていた。 確かシエスタと名乗った、「平民」の少女だった。 ムスタディオは目を細め、スープの皿を床に下ろす。 立ち上がって二人の下に歩いていくと、ぶっきらぼうに言い捨てた。 「おい、やめろ」 椅子の上で高慢な風に足を組んでいたギーシュが、怪訝そうにムスタディオを見る。 「なんだね、君は。見ての通り今は取り込み中だ。後にしてくれたまえ」 ムスタディオはギーシュの言葉を無視して続ける。 「その娘を責めるのは筋違いだろ。二股をかけたお前が悪いぜ」 周りの男子生徒たちがどっと笑った。 「その通りだ! ギーシュ、お前が悪い!」 ギーシュの顔に羞恥が広がっていくのを、ムスタディオは底の冷えた目で見ている。 「……一体なんだね君は。見たところメイジではなさそうだな、平民か。どこから入り込んだのか知らないが、高貴なるこの場には相応しくない。出て行きたまえ」 平民、という言葉にムスタディオの表情が黒い陰を纏ったことに、誰も気付かない。 「じゃあお前の行いは、高貴って言えるのかよ」 気付けば、そんなことを口走っていた。 「二股がバレたからって、その責任を善意の平民に押し付ける。そんなプライドが貴族の高貴さなのかい? オレの知っている貴族は、そんな下らないものは持ち合わせていないぜ」 周りの反応は多種多様だった。何だコイツはとムスタディオを睨む者、面白がってギーシュを囃し立てる者。シエスタは顔を真っ青にして「ムスタディオさん、何てことを! グラモン様に謝ってください!」と懇願してくる。しかしそのいずれもムスタディオは見ていない。 彼の視界の中では、ギーシュが表情をなくしていた――その目だけが光り、ムスタディオを見返している。 「……君は、そうか、見たことがあるぞ。ゼロのルイズの使い魔だな。 皆、どうやらミス・ヴァリエールは使い魔のしつけすらまともに出来ないらしい。だから代わりに、この僕が上位者に対する礼儀を教え込んでやることにしよう!」 「好きにしろよ」 ギーシュの友人達から好奇のどよめきが上がった。 「よろしい。ではヴェストリの広場で待っている。準備する時間を与えよう。心が決まったなら、出てきたまえ」 気障な仕草でそう言い放ち、取り巻きと共に去っていくギーシュを見送る。 振り返ると、シエスタはいつの間にかいなくなっていた。ムスタディオは首を振り、ギーシュのことを考える。 戦いの経験もなさそうな、痩せた貴族に遅れを取るとも思えない――ブレイズガンに触ることはルイズに禁じられている。空手でもやってやろう。そう決めたムスタディオはそのまま誰かに広場の場所を尋ねようとしたが、 「ちょっとあんた! 何してるのよ!」 響き渡った主の声に振り向くと、食堂の入り口に、不安そうなシエスタを伴ったルイズの姿があった。 ◇ ルイズを揺り起こしたのはムスタディオではなく給仕の少女だった。 寝ぼけた頭で何故使い魔がいないのか不思議に思っているところに、 「大変です! わ、私のせいで、ムスタディオさんが、グラモン様と決闘を!」 眠気も熱っ気も吹っ飛んだ。 すぐさま食堂に走り、ムスタディオを捕まえて叫ぶ。 「人が休んでる間に勝手にうろついて、何やってんのよこのバカ犬!! あんた何考えてるのよ! 勝手に決闘なんか受けちゃって!」 「しつけられてない犬が……吠え付いただけだろ。嫌いな臭いを出してる貴族にさ」 ムスタディオにそんな好戦的な挑発をされたのは、初めてだった。 しかし何が彼をそんな言動に駆り立てたのか考える暇もなく、ルイズは激昂してしまう。 「さっさと謝って来なさい! メイジに魔法も使えない平民がかなうわけなんか、絶対にないんだから! 今ならまだ、痛い目にあう前に許してくれるかもしれないわ」 「痛い目なんて、どうでもいいんだ……いい加減にしろよ」 ヴァリエール様、とシエスタと名乗った給仕がルイズの服の裾を引っ張る。何よ、と噛み付こうとした彼女の顔が先ほどよりもっと蒼白なのを見た時、そこでやっとムスタディオの様子がいつもよりおかしいことに気がついた。 わなわなと震えているムスタディオの口が動き続ける。 「魔法が使えない者が貴族。貴族がこんなに偉そうに。魔法が使えることがそんなに偉いのか……持たざる者であることは、そんなに悪いことなのかよ……!」 恐ろしいほど押し殺した、しかし滲み出る怒気を隠せない声だった。 ルイズは一瞬、息が詰まった。それは相手の感情にたじろいでではない。 (持たざる――者) 嫌な考えがもの凄い速度で伸びる根のように絡み合い、姿を現す。 貴族。メイジ。魔法。 持たざる者。 『わ、私は……どうせ、どうせ持たない者なのよ』 自分も、持たない者かもしれないと、心のどこかで思ってしまっていた。 だというのに。いや、だからこそなのか。 自分は、皆から受けているからかい、誹謗中傷と似た仕打ちを彼にしてしまっていたのではないか。 心が凍りつく。しかし裏腹に、口も動いていた。 生まれてからこの瞬間までに積み上げられた性格が、本心をよそに売り言葉に買い言葉を放っていた。 「わ、わ悪いわよ! さっきから権利ばっかり口にして、あんた私の言うことちっともきかないじゃないの! 権利主張するのなら義務を果たすか、それなりの力を見せるかしなさいよ! この口だけ!!」 ――恐ろしい、沈黙があった。 ただムスタディオが黙っただけだというのに、周囲の喧騒が全く耳に入らなくなった。 彼の目のせいだった。 今までの不満が一切抜け落ちた、人形のガラスみたいな目。 「口だけじゃないってところを、見せればいいんだな」 ――その、声に。 取り返しの付かないことを言ってしまった後悔があった。 既に遅かった。後悔は先にできない。 「分かった」 それだけ言うと、ムスタディオは踵を返す。 食堂を出て行く後姿を、ルイズは呆然と見つめていた。 シエスタがあたふたと何か言っていたが、罪悪感に支配された頭には意味が入ってこなかった。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4757.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ ムスタディオが凄まじい速度でゴーレムの元へ斬り込んで行く。 その後姿を、ルイズは見つめていることしか出来なかった。杖を握る手が、力の込めすぎでぶるぶると震えている。 自分は何も出来ないのか。自己嫌悪が頭の中でぐるぐる廻る。回転数が上がりすぎて、頭が破れて中で煮詰められたそれが噴出しそうだ。 魔法の使えない自分。使い魔に平民を召喚してしまった自分。使い魔とうまくコミュニケーションすることすらできない自分。誰も助けられない自分。 そして、使い魔に正しい貴族の在り方を示そうとして空回る自分。 泣きそうだった。 自分は何をしているんだろう。逃げなきゃいけない時に判断を誤り、今は座り込んでいるしか出来ていない。 「う、うぅぅ……!」 ルイズは歯を食いしばった。 泣いてなんかやらない、と思う。 自分がフーケに立ち向かおうとしたことは愚かかもしれない。 でも、間違いではない。 絶対に。 何か出来ることはあるはずだ、と立ち上がり、ルイズは辺りを見回す。何でもいい。ゴーレムの気を逸らすことだっていい。タバサと合流して何か案を練るのでもいい。 しかしタバサの使い魔は空に見えず、はばたく音はゴーレムとムスタディオの戦闘音が騒々し過ぎて聞き分けられなかった。 「……あれ?」 焦りながらふと地面を見下ろしたルイズは、そこで気付いたことがあった。 自分から数メイル離れた茂みに何かが刺さっている。 近づいてみれば、それは鈍い光沢を放つブレイズガンだった。 「…………」 ルイズはブレイズガンを両手に抱き締めると、無言でムスタディオが飛び出して行った方向を睨む。 (――その中でもあれは魔ガンと言って、銃身に魔法が刻印してあるんだ。魔法が使えない者も、潜在的な魔法力に依存して決められた魔法を起動できるんです) 胸の中では、街に出かけた日のムスタディオの言葉が反芻されている。 「ブレイブストーリー/ゼロ」-20 ◇ まるで流星のように飛び込んできたそれが、一瞬何なのかフーケには理解できなかった。 自らの手元に抑えつけている杖が轟音を吐き出した直後、弾丸が面白いように地面を大きく抉り、人間の頭程ある土塊がいくつも跳ね飛んだ。しかしその飛散物の中に本物の頭はない。 自分は倒れていたキュルケという生徒に狙いを定めていたはずだ。 ゴーレムの背後で、地面を転がる音。 「……げほっ!」 むせ込む声に体を振り向かせたフーケが見たのは、キュルケを抱きかかえたまま立ち上がろうとする、擦り傷だらけのムスタディオだった。 銃が炸裂する直前に飛び込んできたムスタディオが、キュルケを抱えてゴーレムの股下を飛び抜けたのだ。 「ちぃっ! まったく鼠みたいな素早さだね!」 銃はゴーレムの肩に強固に固定してある。フーケは慌ててスペルを紡ぎ、柔軟に照準を変えられるよう固定具を変化させながらゴーレムを旋回、二人を踏み潰そうとしたが――それより先に、飛び込んできたのと同速度でムスタディオは森の中へ飛びずさっていた。 「逃がさないよ!」 フーケは彼が消えた方向へ杖を解き放った。 銃の機関部が凶悪な唸りを上げる。 次々と木がなぎ倒され始める。 彼女はここで彼らを逃がすつもりは毛頭なかった。 逃がせば後々面倒なことになるし、それに、彼女はどうしてもあの杖を手に入れなければならなかったから。 ふと、猛る理性の裏側で――どうしてこんなことになったのだろう、と問い掛ける自分がいた。 彼らに助力を請うという選択肢もあったのではないかと思う。 森林伐採のごとく銃を乱射しながら獲物を追う。フーケは自嘲するように口角を吊り上げる。 (この家業を始めた時から、そんな選択肢は選べないわよ) 犯罪者である自分は、 もはや奪うことでしか得ることは出来ないのだから。 そうだ。 「彼女」に何か与えるためなら、他のあらゆる全てから奪う覚悟は出来ている。 「彼女」がもう奪われないなら、他のあらゆる全てが奪われ続けても問題はない。 心の内を再確認し、自嘲を獰猛な笑みに摩り替えたフーケは、しかし次の瞬間困惑することになる。 ゴーレムが木や土の破片ではない何かを踏み付けた感覚があった。その何かが潰れた途端、足元から煙が噴出したのだ。 瞬く間に周囲がもやでつつまれ、視界が遮られる。慌てて口を塞ぎながら、匂いで煙に土の成分が含まれていることを察知したフーケは素早く成分分析を試みる。 ――明らかに人の手が加えられたもの。 時折起こる、地面の下に溜まった毒霧の噴出などではない。 (これは、まさか罠かい!?) 頭の中で位置関係を必死に思い浮かべる。そういえばこの近辺は、ムスタディオがついさっきまで潜伏していた。 追い詰めたつもりが、自分が追い詰められていたのかもしれない。一瞬そんな考えが脳裏をよぎり、フーケはそれを否定する。 彼我の間には圧倒的な火力の違いがあるのだ。早々後れを取ることは、ない。 「ふん、このあたしを謀るなんてやるじゃないか! たっぷりお礼をさせてもらうよ!」 フーケは銃を猛らせ、狩りを開始する。 ◇ 背後で大きな足音が響くたびに、追随して次々と煙が噴き出す音が聞こえてくる。 足音の動きはでたらめであるように聞こえる。攻撃の照準も散漫で、そのお蔭でムスタディオはキュルケを抱きかかえるハンデがありながらも逃げおおせていた。 運よく逃げ込めたのが自分が潜伏していた方向で良かった、とムスタディオは胸を半分だけ撫で下ろす。万一のために罠を広範囲に仕掛けておいたのだった。 それはここ一週間程コルベールと行っていた研究の成果だった。こちらの世界に来る前の装備品の話をコルベールにしたところ興味を持たれ、彼はその再現にも腐心してくれたのだ。 結局再現できたのは比較的安価で構造も単純だった煙幕一種のみだったが、ムスタディオはコルベールに内心感謝した。今となってはやや苦い思いと共に。 必死に灌木や木の根を避けながら走っていると、煙幕に包まれた一帯を抜け、ぶわりと視界が開ける。 ムスタディオはひときわ大きな木の陰に隠れると、先ほどからずっとぐったりしているキュルケを地面に横たえさせた。 「キュルケ、大丈夫か!?」 小声での呼びかけに返事が来る。 「大丈夫だよ相棒、魔法の衝撃波に殴られて気絶してるだけだ」 驚いて手元を見る。握り締めたデルフリンガーが鍔元をかちゃかちゃ言わせていた。 「よう、久しぶりだな相棒。ハゲの先生と遊んでばっかで構っちゃくれないから寂しかったぜ。 しかしまぁ、久しぶりに抜いてくれたと思ったらおっかない状況だな、こりゃ」 「デルフ……」 がちゃがちゃ笑うデルフリンガーの音が、フーケが撒き散らす騒音にかき消されていく。 近づいて来ている。 「相棒、ありゃなんだい? またすっげぇ魔法、いやありゃあ武器だな。俺と似た匂いを感じるぜ」 「あれは……魔シンガンって言うんだ」 のん気な問いかけに、キュルケを抱き直しながら短く答える。 フーケが操る武器。それをムスタディオは二度、お目にかかったことがある。 一度は軍事金稼ぎのために派遣されていた仲間が持ち帰って来た時。あの時はゴーグに持ち帰って散々父や機工士仲間と分解・解析したものだ。 ムスタディオのブレイズガンが弓矢なら、あれは大砲である。その形状からは予測もつかない破壊力に、機工士たちは仰天していた。破壊力と反動の強さに、自分たちでは実用出来なかった代物だ。 二度は、死都ミュロンドにて、蘇った同業者が操っていた。神殿騎士となり、自分たちに立ちはだかった機工士の顔が思い出される。 しかし今はそんなことを考えている暇はない。首を振って思考を切り替えようとした時、ばさりという音が頭上で弾けた。空からシルフィードが降下してくる。 その背中にはタバサが跨っていた。やや安心するものの、不安の種は消えない。 一同が集合した。ルイズを除いて。 「タバサ様、ヴァリエール様はどうしたんだ!?」 「分からない。上からじゃ見つけられなかった」 「――まさか」 「そう、たぶん」 悪寒が酷い。頭痛すら覚える。 そんなムスタディオをじっと見ながら、タバサはあふれ出る煙幕を指差した。 「あの中。私じゃ助けられない」 「――行ってくる。タバサ様はキュルケを連れて、オレが戻るまで安全なところに逃げてくれ」 言うが早いか、ムスタディオは煙幕と轟音の中に突っ込んだ。 煙が徐々に晴れてきている。ムスタディオは異常なまでの速度で木々の間を駆け抜ける。 三秒もせずに曇ったヴェールの先に巨大なシルエットを認めた。連続的に放たれる射撃音に頭をガンガンと打たれながらムスタディオは木の影に身を潜め、周囲を見回す。 ゴーレムからの射撃は相変わらず無作為な乱射である。誰かを狙ってのものではなく、恐らくルイズはフーケに見つかっていないのだろう。だが、 「おーおー、こりゃまた酷い暴れっぷりだな。こりゃ嬢ちゃん、側杖食らって挽肉になってるかもしれねーな」 デルフリンガーがムスタディオの内心を言い当てる。 こんな状況では標的にされるされないは関係ないのだ。戦い慣れていないルイズがこんなやぶれかぶれな攻撃にさらされれば、時間が経てば経つほど死の危険性が増す。 「どうするつもりだい?」 「……勝機はあるよ。むしろ好都合だ」 そう。ムスタディオは焦る一方でそう思う。 ルイズの危険を棚に上げれば、敵は頭に血が昇るか錯乱するかして我を忘れている。虚をつくのは簡単だ。 ムスタディオは木々を縫うように旋回する。体がやけに軽い。自分の右手に光るルーンを一瞥し、ゴーレムの真後の木に隠れた。 煙が随分と薄まっている。 今まではぼんやりとした概形だけだったものが、 ゴーレムの肩上の人影が、魔シンガンを抑えつける格好で振動に揺れているのが分かるまでに。 「デルフ、相談があるんだ」 「なんだ相棒。なにかすげぇイヤな予感がするのは気のせいか? おい、その構えはなんだってんだ」 ムスタディオは物影からゴーレムが見えるギリギリの角度に立ち、デルフリンガーを振りかぶって体中に捻りを加えている。 彼は機工士であるが、戦いの中におけるその本分は狙撃手である。 この状況ですべきことは決まっていた。 「本当に悪い。後で絶対回収するから」 「ちょっとまった相棒何をしようとしてやがるってうおおおおおおおお!?」 投擲。 連動した体中の膂力を一身に受けたデルフリンガーは悲鳴の尾を耳朶に残しながらゴーレムに飛ぶ。 照準は肩の上からぶれることなく、ゴーレムがその一瞬で大きく回避をするわけでもなく―― デルフリンガーは、あっけないまでにフーケの人影に突き刺さった。 衝撃でフーケが肩から吹き飛び、地面に落ちた。 ゴーレムからの銃撃が止み、その動きが止まった。 それだけ確認し、ムスタディオは慎重にフーケに近づいて行く。 煙の中、フーケは胸からデルフリンガーを生やしたまま身じろぎもしない。 死んだか、気絶しているだけか。後者なら捕縛するか止めを刺さなければならない。 そんな剣呑なことを考えているムスタディオの耳朶を打つ声があった。 「近寄るんじゃねぇ相棒!!」 「甘いよ坊や」 声は、二つ。 しかしそれは、同じ方向から聞こえてきたものではなかった。 ムスタディオがその時視界に捉えていたのは、土くれで出来た人形に突き刺さったデルフリンガーの姿で。 次の瞬間、地面が炸裂した。 頭上から降り注ぐ轟音と地面から殴り込んでくる石礫になす術もなかった。 それが銃撃の衝撃波によるものだと認識する間もなく、ムスタディオは吹き飛ばされた。 もみくちゃの浮遊感の後、鈍器で殴られたような衝撃に背骨が軋む。ぐう、というただの音みたいな声が涎と共に口から吐き出され、四肢を糸の切れた人形みたいに地面に投げ出す格好になった頃にはほとんど意識を失いかけていた。 「相棒! おい、しっかりしやがれよ!」 「本当に残念。せっかくそんな実力を持ってるのに、詰めが甘いんじゃ興ざめよ」 降り注いでくる声の意味が汲めない。 輪郭という輪郭が崩れ、回る視界が暗くなる。 しかし気絶はしなかった。少しずつ感覚が戻り始めるのを感じる。 「ムスタディオっ!!」 視界の暗さは目の前に誰かが立っているためのものだと気づくのに、そんなに時間はかからなかった。 そして、耳の右から左を流れ続ける声に、妙に馴染みの深い物をムスタディオは聞き分ける。 「あら、逃げなかったの。勇敢でいいけど、それからどうするつもり? 逃げたほうがいいんじゃない?」 「うっ、うるさい! 絶対にどかないわ! ムスタは死なせないんだから!!」 頭上からの声に反発するような響きの声。ハルケギニアに来てからというもの、ムスタディオに様々な感情を喚起させた声だった。 一時は頭がどうかなりそうな位憎らしく思った声だった。 それから、彼女の事情もあるのだろうと別の視点から見てやれば、年相応の素直でない少女だった声。 でも、それでも彼女は貴族ではないのか。 少女から大人になった後でも、今みたいに誰かが危険に曝された時や誰かが苦しむ時、その前に立ちはだかり、かばってくれるのか。 彼らのように。 それは戦いの最中において余計な思考だった。 しかし様々な感覚が吹っ飛ばされたムスタディオは、益体もなくそんなことを考えてしまう。 ムスタディオは幾分視界の戻った目で見やる。 桃色がかったブロンド。小さく、細い背中があった。 ゴーレムから自分を守るように、手を伸ばせば届く距離に立っていた。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ