約 524,909 件
https://w.atwiki.jp/chisakiss/pages/38.html
千咲ちゃん、天真先輩と手繋ぎデートする 内容 本文 感想コメント 内容 記憶喪失になって地下室に閉じ込められていたガヴリールが、タプリスに連れられて謎の塔を上っていくお話。 本文 ――――――――――――――――――(00/40)―――――――――――――――――― ―薄暗い石畳の部屋― ガヴリール「ん……」 ガヴリール「あれ、私……寝ていたのでしょうか」 ガヴリール「……それにここは、どこでしょう」 ガヴリール「どこかの地下、のように思えますが……」 ガヴリール「部屋の中には何もありませんし」 ガヴリール「どうして、私はこんなところに……」 ガヴリール「あ、あれ……うそ……」 ガヴリール「何も……思い出せない」 ――――――――――――――――――(01/40)―――――――――――――――――― ドンドンッ ガヴリール「誰か! 誰かいませんか!」 ガヴリール「……」 ガヴリール「はぁ、ドアも外から鍵がかけられているみたいですし」 ガヴリール「壁にも特に細工などはありませんね……」 ガヴリール「ど、どうすれば……」 ガヴリール「でも、慌てても仕方がありません」 ガヴリール「大人しく座って、思い出せることがないか、考えてみましょう」 ―― ガヴリール「……あれ」 ガヴリール「いけない、少し眠って……」 ガチャ ガヴリール「ッ!? ド、ドアが……」 ギィッ ガヴリール「……だ、誰?」 タプリス「……やっと、見つけました」 ――――――――――――――――――(02/40)―――――――――――――――――― タプリス「まさか、こんなところに、いらっしゃるなんて……」 タプリス「探すのに手間取ってしまって、ごめんなさい」 タプリス「随分、お待たせしてしまいましたよね」 タプリス「……でも、もう大丈夫ですから」 タプリス「さぁ、行きましょうか」 ガヴリール「あの……」 タプリス「どうしました? 天真先輩」 タプリス「あ、どこか調子が悪かったりします?」 タプリス「でしたら、少し休んでからでも……」 ガヴリール「えっと……」 タプリス「……?」 ガヴリール「あなた……どなたですか?」 ――――――――――――――――――(03/40)―――――――――――――――――― タプリス「……ッ」 ガヴリール「ごめんなさい、私、自分の名前以外、思い出せなくて……」 ガヴリール「あなたは、私のお知り合いみたいですけど……」 タプリス「……そうですね、こういう可能性だってあったんですよね」 タプリス「わかってたとしても、やっぱりつらいです……」 ガヴリール「あの……、どうしました?」 タプリス「い、いえ、何でもありませんっ」 タプリス「わたしはですね、天真先輩の後輩で」 タプリス「とても、とーっても、先輩にお世話になった者です」 タプリス「ですから、その恩を少しでも返したくて……」 ガヴリール「……」 タプリス「だから、その……ですね」 ガヴリール「は、はい」 タプリス「天真先輩、あなたを助けにきました」 ――――――――――――――――――(04/40)―――――――――――――――――― タプリス「とはいえ、いきなり知らない人にこんなこと言われても」 タプリス「怖いだけですよね、あははは……」 ガヴリール「そ、そんなことは……」 タプリス「で、でも、これだけは信じてください」 タプリス「わたしは絶対に、先輩を裏切ったりしません」 タプリス「絶対に先輩を、ここから救い出してみせますから!」 ガヴリール「……」 タプリス「わたしが言えるのはここまでです」 タプリス「……それでも、わたしを信じてくれるなら」 タプリス「わたしの手をとってください」スッ ガヴリール「……」 タプリス「……」 ガヴリール「……ごめんなさい」 ――――――――――――――――――(05/40)―――――――――――――――――― タプリス「そ、そうですよね……」 タプリス「そんな、すぐに見ず知らずの人を信じるなんて、無理ですよね」 ガヴリール「いいえ、そうじゃないの」 タプリス「えっ」 ガヴリール「私なんかのために、ありがとう」 ガヴリール「なぜかはわからないけど、あなたの言葉は……」 ガヴリール「すっ、と胸の中に入ってきて、私を安心させてくれる」 ガヴリール「そんな気がしますから」 タプリス「先輩……」 ガヴリール「それに……ここに一人で居たって、何も始まらないし」 ガヴリール「だったら私は、あなたに賭けてみたい」 タプリス「あ、ありがとうございます、先輩」 ガヴリール「お礼を言うのはこちらの方。改めて、本当にありがとう」 ガヴリール「こんな私ですが、よろしくお願いしますね」 ぎゅっ タプリス「はい、任されました」 タプリス「……絶対に、手を離さないでくださいね」 ――――――――――――――――――(06/40)―――――――――――――――――― ―薄暗い通路― タプリス「ここを抜けると、吹き抜けになっている塔の一階に出ます」 ガヴリール「塔、ですか?」 タプリス「はい、高い高い塔です。100階まであると言われています」 ガヴリール「すごい高さですね……」 タプリス「ええ、それをわたしたちは今から、上っていくんです」 ガヴリール「えっ……ど、どこまでですか?」 タプリス「もちろん、一番上までですよ」 ガヴリール「そ、そうですか。上りきる自信がないですけど……」 タプリス「大丈夫です、階段の傾斜はそこまできつくありませんし」 タプリス「ちゃんと休憩も挟みます」 ガヴリール「一番上には何があるんですか?」 タプリス「それは……ごめんなさい」 タプリス「わたしの口からは言えないんです」 タプリス「でも、先輩にとって、とても大切なものですから」 ――――――――――――――――――(07/40)―――――――――――――――――― ―塔1階 はじまりの広間― ガヴリール「すごいですね……上は、本当に吹き抜けになっています」 ガヴリール「床に彫られているのは、フクロウですかね」 ガヴリール「今にも動き出しそうで美しいです……」 タプリス「わたしたちが歩くのは、あそこからです」 ガヴリール「か、壁に沿って、螺旋のように階段が続いているみたいですが」 ガヴリール「一番上が、全然見えませんね……」 タプリス「ここからだと……少し見えづらいかも、ですね」 ガヴリール「あなたは、ここを上ったことがあるんですか?」 タプリス「いえ、厳密にはありませんが……」 タプリス「似たような塔なら、一度だけ上ったことがあります」 ガヴリール「なるほど。それで、そんなに詳しかったのですね」 タプリス「あはは、ある程度はですけどね」 タプリス「準備がよろしければ、出発しましょうか」 ガヴリール「はい、大丈夫です。もともと、何も持っていませんしね」 タプリス「わかりました、では行きましょう」 タプリス「つらくなったら、いつでも言ってくださいね、休憩しますから」 ガヴリール「はい、ありがとう」 ――――――――――――――――――(08/40)―――――――――――――――――― ―塔11階― コツコツコツ タプリス「大丈夫ですか? きつくありませんか?」 ガヴリール「ふふっ、あなたったら、さっきからそればっかり」 ガヴリール「もしかしたら、一階上がるごとに言ってるんじゃないかしら」 タプリス「そ、そうですかね。そんなつもりはなかったんですが」 ガヴリール「大丈夫です、全く問題ありませんよ」 ガヴリール「あなたが前で、私の手を引いてくれていますから」 ガヴリール「あなたの方こそ、疲れたら言ってくださいね」 タプリス「わ、わかりました。ありがとうございます」 ガヴリール「いえいえ、どういたしまして」 タプリス「ふふっ」 ガヴリール「どうしました? 笑ったりして」 タプリス「記憶を失ってても、やっぱり先輩は先輩だなって」 ガヴリール「えっ、どういうことですか?」 タプリス「いえ、何でもありません。先を急ぎましょうか」 ――――――――――――――――――(09/40)―――――――――――――――――― ―塔25階 赤の回廊― ガヴリール「あれ、階段がここで途切れていますね」 タプリス「やはり、ここにもありましたか……」 ガヴリール「えっ」 タプリス「この塔にはこうやって、回廊になっている階がいくつかありまして」 タプリス「反対側に回らないと、次の階に行けないんです」 ガヴリール「そうなんですか……でも、今まで階段ばかりでしたし」 ガヴリール「こうやって平坦な場所を歩くのも、気分転換になって」 ガヴリール「良いかもしれませんね」 タプリス「……そうでもないんです、ここは」 ガヴリール「ど、どういうことですか?」 タプリス「先輩、今からわたしが言うことを、絶対に守ってくださいね」 ガヴリール「は、はい」 タプリス「この回廊では、何が起こったとしても……」 タプリス「絶対に、振り返らないでください」 ――――――――――――――――――(10/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「わ、わかりました……ですけど」 ガヴリール「もし……振り返ってしまったら、どうなるんです?」 タプリス「先輩にとって、よくないことが起こります」 ガヴリール「よくないこと……」 タプリス「それはきっと、取り返しがつかないことです」 ガヴリール「わ、わかりました……気をつけますね」 タプリス「大丈夫です。わたしと手を繋いで、しっかり歩けば」 タプリス「すぐ次の階段に着きますから」 ガヴリール「は、はい」 タプリス「では行きましょうか」 コツコツコツ ガヴリール「……」 タプリス「……」 『ようやくここまでたどり着いたのね、ガヴリール』 ――――――――――――――――――(11/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「う、後ろから誰かの声が……」 タプリス「駄目です、天真先輩。彼女の言葉を聞いてはいけません」 タプリス「彼女は惑わす者、なんですから」 ガヴリール「惑わす者?」 タプリス「ええ、先輩を永久にここに閉じ込めるべくして、生まれた存在です」 タプリス「だから、どんな言葉であろうと、耳を傾けてはいけません」 『ずっとここで待っていたのよ、あんたの永遠のライバルとしてね』 ガヴリール「なんでしょう、思い出せないはずなのに」 ガヴリール「なんだかとても、懐かしい感じがします……」 タプリス「それも、彼女の狙いです、だから……」 『私は長い時間をかけて、ついに世界のすべてを、この手中に収めたわ』 『これで私の心は全て、満たされるはずだった』 『……でも、そうはならなかった。一つだけ、心にぽっかりと穴が空いていたの』 『そう、それはね。あんたにだけ……、一度も勝てなかったことよ』 ――――――――――――――――――(12/40)―――――――――――――――――― 『このままじゃ私は、悔やんでも悔やみきれない』 『勝ち逃げだなんて、絶対に許さない』 『……私と勝負しなさい、ガヴリール』 ガヴリール「……」 『もちろん、ただでとは言わない……もしあんたが勝てば……』 『私の世界の半分を、あんたにくれてあげるわ』 『だからもう一度だけ、私と勝負を――』 ガヴリール「……ごめんなさい」 ガヴリール「私、世界になんて興味はないし」 ガヴリール「勝負なんてもっとそう。あなたと争うくらいなら」 ガヴリール「私の負けで構わない」 『……そう、それがあんたの答えなのね』 ガヴリール「ええ、ごめんなさい……そして、さようなら」 『ふんっ……せいぜい、後悔するといいわ』 タプリス「せ、先輩……」 ガヴリール「さ、行きましょう」 ――――――――――――――――――(13/40)―――――――――――――――――― ―塔42階― コツコツコツ ガヴリール「……ありがとうね」 タプリス「えっ、突然どうしました?」 ガヴリール「いえ、さっきの回廊を抜けられたのは」 ガヴリール「あなたのおかげ。だから、ありがとう」 タプリス「そ、そんな、違いますよ。天真先輩の心が強かったからです」 タプリス「わたしはただ、少し助言をしただけですから」 ガヴリール「……あなたがずっと、手を握っていてくれたから」 タプリス「えっ」 ガヴリール「私も、心を強く持てたんだと思うの」 ガヴリール「だから、私を助けてくれて、ありがとう」 タプリス「は、はい。ど、どういたしまして、です」カァァ ガヴリール「ふふっ、すっかり照れてしまって、かわいい」ナデナデ タプリス「……ッ」 ガヴリール「あら、ごめんなさい。頭を撫でられるのは嫌でしたか?」 タプリス「い、いえっ、そうではなくて、その……」 タプリス「もしかして、無意識だったんですか?」 ガヴリール「そうですね、確かに」 ガヴリール「自然と、手が伸びてしまいました」 タプリス「先輩はよく、わたしの頭を撫でてくれたんです、だから……」 タプリス「何か思い出してもらえたのかなって思って」 ガヴリール「ごめんなさい、そこまでは……」 タプリス「そ、そうですよね。大丈夫です、ゆっくり焦らずにいきましょう」 ――――――――――――――――――(14/40)―――――――――――――――――― ―塔50階 白の回廊― タプリス「ようやく50階、半分到達ですね」 ガヴリール「また階段が途切れている……ということは」 タプリス「ええ。ここも、です」 タプリス「一度、乗り越えている先輩でしたら、大丈夫ですよ」 タプリス「さぁ、行きましょう」 ぎゅっ ガヴリール「は、はい」 コツコツコツ 『やっと、お会いできましたね、ガヴちゃん』 ガヴリール「……ッ」 タプリス「天真先輩、優しい声色に騙されてはいけません」 『私はあなたのことをずっとずっと、待っていたんです』 『そして、ずっとずっと、会いたかった……』 『だって私は、あなたと一番お付き合いが長い……』 『言わば、幼馴染のようなものですから』 ――――――――――――――――――(15/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「……幼馴染?」 『あなたは、全てを忘れてしまいましたが』 『私はあなたのことを、小さい頃から知っているんです』 『初めてお会いした時も、そして、お友達になった時も』 『……あなたの記憶が失われてしまったことは、本当に仕方のないこと』 『ですから、私が一から、あなたに教えてあげます』 『私の知る、あなたの全てを……』 ガヴリール「私の、全て……」 タプリス「……」 『……今、あなたと一緒にいる子』 ガヴリール「えっ?」 『その子は、いったい何者なのでしょうか』 『私は、その子のことを何も知りません』 ガヴリール「そ、そんな……」 『もしかすると、記憶を失ったガヴちゃんに取り入り、騙して』 『陥れようとしているのかもしれません』 ――――――――――――――――――(16/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「違います! この子はそんなんじゃ……」 『そうではない、と本当に言えますか?』 ガヴリール「えっ……」 『あなたは今、その子に言われて、この塔を上っていますが』 『最上階に何があるのか、知っていますか?』 ガヴリール「そ、それは……」 『やましい理由がなければ、隠す必要なんてないはず』 『真実を言わないということは、あなたを騙していることと同義なんです』 ガヴリール「……」 『さぁ、私と行きましょう、ガヴちゃん』 タプリス「……天真先輩」 ガヴリール「……」 ――――――――――――――――――(17/40)―――――――――――――――――― タプリス「……全ては、先輩にお任せします」 タプリス「ですが……ですけど、これだけは、信じてください」 ぎゅっ タプリス「わたしは絶対、先輩に嘘はつきません」 ガヴリール「……」 『この世に 絶対 ほど、信用のできない言葉はありません』 『ですから、私と一緒に――』 ガヴリール「……お断りします」 『今なんと言って……』 ガヴリール「お断りします、と言ったんです」 『どうしてですか、そんな子を信じるというのですか』 ガヴリール「この子が本当に、私を陥れようとしているなら」 ガヴリール「こんなにも震えた手で、私の手を握るはず、ありません」 タプリス「……ッ」 ――――――――――――――――――(18/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「信じてください、という強い決心の裏で」 ガヴリール「私の言葉を待ちながら、こんなにも怯えている」 ガヴリール「この子の情味あふれる仕草や、私への思いやりの心は」 ガヴリール「私にとって、信じるに値します」 ガヴリール「ですから、あなたとは一緒に行けません」 『そうですか、わかりました』 『そこまで言うのでしたら、私は止めません』 『どうぞご自分の目で、真実を確かめてきてください』 ガヴリール「えぇ、ご忠告、感謝します」 ガヴリール「それでは……さようなら] ガヴリール「……あなたとは、もっと違う形でお会いしたかった」 『ええ、私もです。それでは、ごきげんよう』 ガヴリール「さぁ、行きましょうか」 タプリス「は、はい……」 ――――――――――――――――――(19/40)―――――――――――――――――― ―塔64階― コツコツコツ ガヴリール「……」 タプリス「……」 ぎゅっ ガヴリール「……どうしました?」 タプリス「えっ、あ、その……す、すみません」 タプリス「ちょっと考え事をして、力んでしまって……何でもないですからっ」 ガヴリール「……そうですか」 タプリス「は、はい」 ガヴリール「……」 タプリス「……」 ガヴリール「すみません、ちょっといいですか?」 タプリス「えっと、何でしょう」 ガヴリール「私、足に疲れが溜まってきてしまって」 ガヴリール「ここ、ちょうど踊り場になっていますし」 ガヴリール「少し休憩しませんか?」 タプリス「あ……ごめんなさい、気づかなくて。わ、わかりました」 ――――――――――――――――――(20/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「見てください。下がもう、ほとんど見えません」 タプリス「ええ、もう64階ですから」 ガヴリール「……お隣、座ってもいいですか?」 タプリス「は、はい、どうぞ」 ガヴリール「……」 タプリス「……」 ガヴリール「あの」 タプリス「あのっ」 ガヴリール「あ、あなたからどうぞ」 タプリス「いえ、先輩の方から」 ガヴリール「……ふふっ」 タプリス「……あははっ」 ガヴリール「……この手のぬくもりと」 ガヴリール「あなたがどれだけ、私を大事に思ってくれているかという気持ちから」 ガヴリール「私にとっても、あなたがどれだけ大切な存在だったのかが、よくわかります」 ガヴリール「たとえ記憶を失ってても、私のどこかで、それを憶えている」 ガヴリール「そんな気がするんです」 タプリス「先輩……」 ――――――――――――――――――(21/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「最上階で、何が待っていようとも」 ガヴリール「あなたとならきっと……乗り越えられる気がします」 タプリス「はい……、わたしの決意も固まりました」 タプリス「先輩を必ずや、最上階までお連れします」 タプリス「それがわたしの……使命であり、望みですから」 ガヴリール「ええ、ありがとう。でも……」 ガヴリール「私たちは、先輩と後輩の仲だったんでしょう?」 タプリス「は、はい、そうですけど」 ガヴリール「だったら、そんな使命とか、堅苦しいことは抜きにしましょう」 ガヴリール「そうですね……、手繋ぎデートなんてどうでしょうか」 タプリス「て、てててっ、手繋ぎデートですかっ」 ガヴリール「ええ。その方が、気楽に楽しく進めそうで良いじゃないですか」 タプリス「そ、そうです、かね。そ、そうですね……、恐縮です」カァァ ガヴリール「ふふっ、顔を真っ赤にしちゃって、かわいいんだから」ナデナデ ガヴリール「それでは、そろそろ行きましょうか」 タプリス「あ……」 ガヴリール「どうしました?」 タプリス「あの……、えっと……もう少しだけ……」 タプリス「もう少しだけ……このままでも、いいですか?」 ガヴリール「……ええ、もちろんですよ」 ――――――――――――――――――(22/40)―――――――――――――――――― ―塔75階 紫の回廊― タプリス「おそらくここが、最後の回廊です」 ガヴリール「そうですか……、なんだか前の二つと雰囲気が違いますね」 タプリス「ですが、ここまで乗り切ってきた先輩なら、問題ありません」 タプリス「わたしの手を、離さないでくださいね」 ガヴリール「ええ、もちろん」 コツコツコツ 『久しぶりね……ガヴ』 ガヴリール「……ッ」 『こんな形でも、また、あなたに会うことができて、よかった』 『だって本当なら、あの時点で……』 『私たちはもう、二度と会うことはできなくなってたんだもの』 『だから、本当に嬉しい』 ――――――――――――――――――(23/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「記憶に無いはずなのに……どうして……」 『ねえ、ガヴ。憶えてる? 私たちが初めてあった時のこと』 『私が下界に来て早々、道に迷って困っていた時に』 『あなたは優しく、声をかけてくれたよね』 『そして、友達になってくださいって、言ってくれたよね』 『私、あの時、本当に嬉しかった』 ガヴリール「この声は……特に、頭に響いてきて……」 タプリス「先輩……」 『堕天してしまってからは、本当に手がかかる子だったけど』 『素っ気ない態度をとりつつも、大事なときにはいつも』 『一緒に、付き合ってくれた』 『私が落ち込んでいるときにはいつも、励ましてくれて』 『そして、優しく……してくれた』 ――――――――――――――――――(24/40)―――――――――――――――――― 『私が風邪を引いたときなんか、一目散に駆けつけてきて』 『普段は料理なんてしないのに、張り切っちゃって……』 『正直、味は微妙だったけど、本当に、本当においしかった』 『だって、あなたの真心がこもっていたんだもの』 ガヴリール「……」 『だからね、ガヴ。あなたにはお礼を言いたい』 『私と友達になってくれて、ありがとう』 『私と出会ってくれて、ありがとう』 『そして、あなたと過ごした日々に、ありがとう』 ガヴリール「……本当に」 タプリス「えっ」 ガヴリール「この子の言っていることは……本当に嘘なんでしょうか……」 タプリス「そ、それは……」 ――――――――――――――――――(25/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「頭ではいけないってわかってるのに」 ガヴリール「心のどこかで……この子の優しさを憶えてる……」 ガヴリール「本当に迷惑をかけたって、憶えてる……」 タプリス「先輩……」 『私はここで、あなたをずっと見守っているから』 『たとえ一人になっても、あなたの幸せをずっと願っているから』 ガヴリール「……ッ」 『最後に、ずっと伝えることができなかったけど』 『私は、そんな不器用で優しいあなたのことが……』 『大好きでした』 ――――――――――――――――――(26/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「……ッ!」クルッ タプリス「先輩っ!?」 『ありがとうね、私を選んでくれて』 『これからは二人で、ここにいましょう?』 『そう、永遠に――』 ガヴリール「うそ……、何も、ない……?」 ゴゴゴゴゴゴゴッ タプリス「いけない! 先輩、急いで! 天井がっ!!」 ガヴリール「なっ!?」 ピシッ ピシピシッ ガヴリール「だめっ、間に合わな――」 タプリス「先輩、危ないっ!!」ガバッ ――――――――――――――――――(27/40)―――――――――――――――――― からんからん ガヴリール「せ、背中が……」 タプリス「……先輩、無事ですか?」 ガヴリール「ええ、なんとか……って……」 タプリス「えへへ、ゴホッ……間に合って、よかった」 ガヴリール「う、うそ……あなた、両脚が……」 ガヴリール「い、今、瓦礫をどけるから!」 ガヴリール「ぐっ……ぐぐぐぐっ……」 タプリス「無理です……こんな大きいの、とても動かせません」 ガヴリール「どうして……どうして、私なんかをかばって……」 タプリス「身体が勝手に……ゴホッ、動いて、しまったんです」 タプリス「仕方がないじゃないですか」 ガヴリール「……私のせいなのに」 ガヴリール「私があなたの言いつけを破って、振り返ってしまったせいなのに」 タプリス「……それも、仕方がないんです」 ガヴリール「えっ」 タプリス「あの方が言っていたことに、嘘偽りはなかった」 タプリス「ですからわたしは……」 タプリス「改めて先輩が、ほんとに本当に優しい方なんだってわかって」 タプリス「嬉しかったです」 ――――――――――――――――――(28/40)―――――――――――――――――― ゴゴゴゴゴゴゴッ ガヴリール「この音は……」 タプリス「じきに、ここも完全に、崩れます……」 タプリス「どうやら、わたしは……ここまでの、ようです」 ガヴリール「だめです! あなたを置いてなんて行けません!」 タプリス「もう時間が、ありませんから……よく聞いてください」 タプリス「これから、最後の力を、振り絞って……」 タプリス「先輩を……階段まで、転移させます」 ガヴリール「なっ!?」 タプリス「本当は……使いたく、なかったんですけどね」 タプリス「わたし、動けなく、なっちゃうから」 タプリス「でも……今なら、使うことができそうです」 ガヴリール「やめて、お願いだから……」 タプリス「一緒に行くって約束……守れなくて、ごめんなさい」 ガヴリール「……ッ」 ――――――――――――――――――(29/40)―――――――――――――――――― タプリス「すみません、先輩……まだ、そこに、いますか?」 ガヴリール「えっ……」 タプリス「もう、目が、よく見えなくて……」 ガヴリール「……ッ」 ぎゅぅぅ タプリス「あっ……」 ガヴリール「いやっ! 絶対に嫌っ! あなたを置いて行くくらいなら、私もここに――」 タプリス「それ、以上は、だめです。先輩……」 タプリス「先輩は……進まないと、いけないから」 タプリス「最上階へ、たどり着かないと、いけないから」 ガヴリール「どうして!? 最上階にいったい、何があるっていうの!?」 ガヴリール「あなたを見捨ててまで行く価値なんて、本当にあるっていうの!?」 タプリス「……はい」 ガヴリール「……ッ」 タプリス「わたしは……そのために、来たんですから」 ――――――――――――――――――(30/40)―――――――――――――――――― タプリス「そうだ、最後にこれを……」スッ ガヴリール「これは……あなたの髪飾り……」 タプリス「はい……これ、先輩に、もらったもの、なんですよ」 ガヴリール「私が……?」 ガヴリール「……ッ」 ガヴリール「これは……あぁっ、そんな……」 ゴゴゴゴゴゴゴッ タプリス「……時間です、先輩」 タプリス「神よ、我に力を」 パァァァッ ガヴリール「いやっ、やめてっ!!」 タプリス「今まで、本当にありがとう、ございました」 ガヴリール「お願いだからっ……、タプリスッ!!」 タプリス「……ッ」 ガヴリール「私もう、絶対に忘れない! あなたのこと、忘れないからっ!」 ガヴリール「だからお願い! こんなこと、やめてっ!」 ガヴリール「お願い、だからぁ……」 タプリス「やっと、わたしの名前……呼んでくれましたね」 タプリス「これで、思い残すことは……ありません」 パァァァッ ガヴリール「いやっ……いやぁぁぁぁぁっっ!!」 ガヴリール「タプリスーーーーッ!!」 タプリス「さようなら、天真先輩」ニコッ ――――――――――――――――――(31/40)―――――――――――――――――― ゴゴゴゴゴッ ズドンッ ―塔76階― シュンッ ガヴリール「あぁ、あぁぁっ……」 ガヴリール「わ、私が……タプリスを……」 ガヴリール「私が、守ってあげなくちゃ……いけなかったのに」 ガヴリール「大切な後輩を……守ってあげなくちゃ、いけなかったのに……」 ガヴリール「……」 ガヴリール「ごめっ……ぐすっ……ごめんなさい、タプリス……」 ガヴリール「本当にごめんなさい……」 パサッ ガヴリール「これは……あの子の、髪飾り」 ガヴリール「……」スッ ぎゅぅ ガヴリール「……」 ガヴリール「……タプリス、そうですよね」 ガヴリール「あの子が望んでいたことを、叶えなきゃ……」 ガヴリール「私が、叶えなくちゃ……」 ――――――――――――――――――(32/40)―――――――――――――――――― ―塔85階― タッタッタッ ガヴリール「急がないと……、もっと急がないと……」 ガクッ ガヴリール「……ッ」 バタンッ パサッ ガヴリール「いたっ……あっ……」 ぎゅっ ガヴリール「……これは、絶対に落とさない」 ガヴリール「大丈夫……まだ走れる」 ガヴリール「こんなの、あの子の痛みに比べたら、なんでもない」 ガヴリール「絶対に、たどり着いてみせる」 タッタッタッ ――――――――――――――――――(33/40)―――――――――――――――――― ―塔100階― ガヴリール「はぁ……はぁ……やっと、着いた」 ガヴリール「ここは……庭園? 空が眩しい……」 天使「遅かったな」 ガヴリール「えっ……あ、あなたは……」 天使「待ちくたびれたぞ」 ガヴリール「私、なの……?」 天使「ああ、そうだよ。お前は、私だ」 ガヴリール「ねぇ、教えて! ここはいったい何なの!?」 ガヴリール「どうして、私がもう一人、ここにいるの!?」 ガヴリール「私はどうして、ここに来なければならなかったの!?」 天使「おいおい、質問は一つずつにしろよ」 ガヴリール「あ、ごめんなさい……」 天使「その様子だと、あいつはここまで、来られなかったようだな」 ガヴリール「タプリスのことを知っているの?」 天使「……まずは順に話していこうか」 ――――――――――――――――――(34/40)―――――――――――――――――― 天使「ここは私の記憶の遺跡、お前らは塔って呼んでたけど」 天使「実際はここがスタート地点。お前のいたところが、おそらく最下」 天使「そして、私はお前を見つけて、ここに連れて来なければならなかった」 天使「けど私は、ここで体の維持をしなくてはならず、ここを動けない」 天使「だから、タプリスにお前を探させたんだよ」 ガヴリール「では、私とあなたは、どういう……」 天使「お前はな、私がはるか昔に捨てた、別の人格」 ガヴリール「なっ……」 天使「今までは必要なかったから、放っておいたんだけど」 天使「そのせいで、記憶まで失ってしまったみたいだな」 ガヴリール「……」 天使「でも、とある理由から、お前が必要になったんだ」 ガヴリール「私が……必要……?」 天使「ああ。でもまさか、あんな奥の、そのまた奥にいるとは思わなかったよ」 天使「お前のことを一番慕っていた、あいつに任せて正解だった」 ガヴリール「……あの子がどうなったか、知っているんですか」 天使「もちろん」 ガヴリール「どうしてそんな……平然としていられるんですか」 ガヴリール「あなたが私なら、あなたにとっても大事な存在じゃないんですか!?」 天使「ああ、そうだよ。だから、お前を呼んだんだ」 ガヴリール「そ、それは、どういう……」 天使「お前と私が、一つになるためにな」 ――――――――――――――――――(35/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「私とあなたが、一つに、ですって……」 天使「ああ、お前も私の一部だからな」 天使「あいつが慕ってたお前がいないと、あいつも寂しがるだろ」 天使「それに何より、全ての私が揃わないとダメなんだよ」 ガヴリール「全てって、どういうことです……?」 天使「まぁ、それはやってみればすぐにわかる」 ガヴリール「やってみればって……そんな大雑把な」 天使「あいつに会いたくないのか?」 ガヴリール「……ッ」 天使「私は、会いたい。だからこうして頼んでいる」 ガヴリール「……」 天使「あいつにもう一度会うために、協力してくれないか」 ガヴリール「一つになったら、私はどうなるんですか?」 天使「そうだな。たぶん、私が主人格だから……」 天使「お前はあまり、出てこられないだろうな」 ガヴリール「そう、ですか。でも、あの子にもう一度、会えるんですね」 ガヴリール「あの子がもう一度、笑ってくれるんですね」 天使「ああ、約束する」 ガヴリール「……わかりました、お願いします」 ――――――――――――――――――(36/40)―――――――――――――――――― 天使「手を合わせて……」 ガヴリール「こう、ですか?」 天使「ああ、準備はいいか?」 ガヴリール「はい、いつでも」 天使「それじゃあ、いくぞ」 ガヴリール「あの子のことを、頼みました」 天使「ああ……頼まれた」 パァァァッ ―――――― ―――― ―― ――――――――――――――――――(37/40)―――――――――――――――――― ―病室― ピッ ピッ ピッ 老ガヴリール「思い、出した……あの頃の、天使学校時代の……」 老ガヴリール「あの子が、慕っていた、私を……」 老ガヴリール「ようやく、見つけることができた……」 老ガヴリール「これでやっと、みなに……会いにいける」 老ガヴリール「サターニャ、ラフィエル、ヴィーネ……」 老ガヴリール「そして……タプリス」 老ガヴリール「私も、お前たちのところへ……」 ピッ ピッ ピーーーーーッ ――――――――――――――――――(38/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「ん……ここは……」 サターニャ「あ、ようやく来たみたいね」 ヴィーネ「まったく遅いのよ、ガヴったら」 ラフィエル「まさか、ガヴちゃんが一番長生きするなんて思いませんでしたね」 ガヴリール「お、お前たち? ってことは、ここが……」 ラフィエル「ええ、ご想像のとおりです。お久しぶりですね」 ガヴリール「そうか……、お前も元気そうで何よりだ、ラフィエル」 サターニャ「来て早々だけど、とりあえず勝負よ!」 ガヴリール「は? 何言ってるんだよ」 サターニャ「景品はそうね、世界の半分なんてどうかしら」 ガヴリール「そんなのやるわけねーだろ」 ガヴリール「お前は何も変わらないな、サターニャ」 ヴィーネ「ガヴ……」 ガヴリール「ヴィーネ、心配かけたな。もう大丈夫だ」 ガヴリール「私はもう……どこにも行かない」 ヴィーネ「うんっ……うんっ……」 ガヴリール「ところで……あいつは?」 ――――――――――――――――――(39/40)―――――――――――――――――― タプリス「……遅いです、天真先輩」 ガヴリール「すまん、ちょっと忘れ物を取りに行っていてな」 ガヴリール「お前は知ってるだろうけど」 タプリス「そうですね、無事にお届けできたみたいで、よかったです」 ガヴリール「あと、もうちょっと、だったけどな」 タプリス「うぅ……先輩の意地悪」 ガヴリール「まぁ、なんだ。その……おほんっ」 ガヴリール「タプリス。また、会えましたね」ニコッ タプリス「あ、あぁ……あの頃の先輩……」 ガヴリール「これをあなたに、返さないと」 タプリス「これは……わたしの髪飾り?」 ガヴリール「付けてあげますね」スッ ガヴリール「やっぱりあなたにはこれが、よく似合います。かわいいです」 ぎゅぅぅ タプリス「えへへ……また先輩に会えて、嬉しいです」 ガヴリール「ええ、私もですよ」 ガヴリール「もう絶対に、タプリスのことを忘れたりしません」 ガヴリール「だから、ずっとずっと、私と一緒にいてくださいね」 タプリス「はいっ、先輩!」 おしまい ――――――――――――――――――(40/40)―――――――――――――――――― SS一覧へ このページのトップへ 感想コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/terrachaosgaiden/pages/223.html
巴マミ No. タイトル 作者 登場人物 013 もうみんな、死ぬしかない ◆PR56Flbm0Q 巴マミ 023 打ち砕かれた幻想(希望) ◆WZ6bjPukjo アーカード、南光太郎、巴マミ 041 Going My Way ◆3pl5BJDwzg 弱音ハク、ラグナ、巴マミ 065 とある魔法少女の災難 ◆NUiFpthkIc 巴マミ、弱音ハク、ラグナ、巡音ルカ、最終防衛システム、鏡音レン キュゥべえ No. タイトル 作者 登場人物 004 人間っていいな? ◆jHBkBqZg9s 最終防衛システム、キュゥべえ 006 まったく、わけがわからない ◆3DvbxWvM5k かみなりさん、キュゥべえ 033 白い悪魔とピンクの悪魔 ◆wn4AtzKCzI かみなりさん、キュゥべえ、カービィ 055 ぼのぐらしのなく頃に~秋葉原編~ ◆nkOrxPVn9c シレン、シマリス、かみなりさん、キュゥべえ 072 ひれ伏せ家畜どもっ! ◆qUJcrMKDc. キュゥべえ、初音ミク、マグニス 083 外道カルテット ◆4DYUOqWEbM キュゥべえ、初音ミク、マグニス フグ田サザエ No. タイトル 作者 登場人物 036 サザエ、外伝でもうっかり ◆BhQB74UMLs フグ田サザエ 043 最終兵器主婦 ◆85DXY2.GA6 フグ田サザエ、阿部高和、杉下右京 059 マシンでつきぬけろ! ◆8xhELKpitU 織田信長、鏡音リン、フグ田サザエ 070 今は悪魔より主婦が微笑む時代なんだ! ◆bKTM8q6rdY フグ田サザエ、ディアボロモン アナゴ No. タイトル 作者 登場人物 027 もう一人の私へ ◆rVmhRqVCqo ◆6/WWxs9O1s(女)、岩崎みなみ、アナゴ 051 バトルロワイアルに巻き込まれた普通のサラリーマンの苦悩 ◆YDC6pAKV7w アナゴ 阿部高和 No. タイトル 作者 登場人物 026 二人はいい男 ◆jHBkBqZg9s 阿部高和、杉下右京 043 最終兵器主婦 ◆85DXY2.GA6 フグ田サザエ、阿部高和、杉下右京 062 小さな死神 ◆NUiFpthkIc 阿部高和、杉下右京、南千秋 074 職能の有効活用 ◆3DvbxWvM5k 阿部高和
https://w.atwiki.jp/83452/pages/441.html
憂「お、お風呂入るなら、ちゃんと脱衣所で……///」 唯「あ、ごめんごめん」 ―タタタ(脱衣所に向かっていく唯) ―ガララ 憂(お、お姉ちゃんったら……)ドキドキ 憂「……あ」 憂(……お姉ちゃん、また服脱ぎ散らかしてる) ―ササッ 憂(脱いだものは洗濯カゴの中に入れないと……) 憂「……」 憂(……お姉ちゃんのはいたパンツ)ドキドキ 憂「――スンスン」(パンツの匂いを嗅ぎ始める) 憂「……はっ!」 憂(わ、私ったら、一体何をやってるのかしら)ドキドキ ―パン!(自分で頬を叩く憂) 憂(ダメよ、正気になりなさい憂!) 憂(おかしいわ、実の姉の下着が気になるなんて……) 憂(それに、こんなパンツなんか、いつも見慣れてるじゃない!) 憂「……」ドキドキ 憂(こんなパンツなんか……)ドキドキ 憂「……」 憂「―スンスン」 憂「―スンスン」 憂(こ、これは、別におかしなことじゃないわよ洗う時の手間を考えて、どの辺に汚れがあるのか把握しておこうと思って……) 憂「あぁ……お姉ちゃん……お姉ちゃんの匂い……」ドキドキ 憂「―スンスンスン」(夢中になって匂いを嗅ぐ憂) ―ガララ 唯「ごめん、憂、石鹸取って……」 憂「……!!」 唯「……な、何やってたの?」 憂「お、お姉ちゃん……」 憂「い、いや、これはね、その……」 憂「ふ、服が脱ぎ散らかってたから、片付けてたんだけど……」 憂「ちょ、ちょっと汚れが気になっちゃって」 憂(こ、これは苦しいかな……)ドキドキ 唯「そっかー、また私、脱ぎっぱなしにしちゃったんだ」 憂「……!!」 憂(……ま、全く疑ってない!?) 唯「いつもありがとね、憂!」ニコッ 憂「……う、うん」 憂(ああ、お姉ちゃんの純粋な笑顔がまぶしすぎる……) …… 憂「ごちそうさまでした」 唯「うーん、憂のご飯はやっぱり美味しいな」 憂「そ、そんなことないってば……///」 ―カチャカチャ 唯「あ、後片付け手伝おっか?」 憂「い、いいよ、お姉ちゃんは部活とかで疲れてるんだし、ゆっくりしてて」 唯「うん、ありがと、憂!」 ―カチャカチャ 憂「……」ソワソワ 憂(お姉ちゃん、自分の部屋行ったよね……)ドキドキ 憂「……」ドキドキ 憂(お姉ちゃんの使ったお箸……)ドキドキ 憂「……あぁ、お姉ちゃん」レロレロ リビングでテレビを見ている二人 唯「あははは」 憂「……」ドキドキ 唯「ねえ憂、明日の休み、久しぶりに二人でどっか行かない?」 憂「……え?」ドキッ 唯「部活のみんなも予定あるってゆうし、一緒に服でも買いに行こうよ!」 憂「う、うん……行く、行きたい」 憂(お、お姉ちゃんと二人で買い物……)ドキドキ 唯「私ちょっと○○って店に行ってみたくて――」 憂(こ、これはデートって言っていいのかな……いや、でも……)ドキドキ 唯「う、憂、聞いてる?」 ―次の日、服屋にて― 唯「ねえ憂、この服どうかな?」 憂「う、うん、かわいいと思う///」 ―カシャ 唯「あ、あの服を試着してみよ!」 唯「よいしょ……と」 唯「これはどうかな、憂」 憂「う、うん、まぁまぁかな……///」 ―カシャ 唯「どしたの憂、さっきから写メールばっかり撮って……」 憂「あ、いや、私が着たときの参考にしようかと思って……」 唯「……? そっか」 憂(お姉ちゃん、可愛いよ、可愛すぎるよぉ……)ドキドキ 憂(もっと、もっと……)ドキドキ ―カシャ 唯「あはは、見てよ憂、このスケスケの下着、憂つけてみようよー(笑)」 憂「ちょ、ちょっと、私がそんなのおかしいよぉ……///」 唯「えー、似合うと思うのに……」 残念そうな顔をしながら、 何となくその下着を服の上から、自分にあてがってみる唯 憂「……!!」 唯「ほら、どうかな」 ふざけながらセクシーポーズを決める唯 唯「う、憂、ど、どうしたの、鼻血はなぢ!」 …… ―ガララ 唯「憂、お風呂上がったよー!」 憂「う、うん」 唯「ふぁー、あついよー」 憂「お、お姉ちゃん、そんな格好で歩き回ったら……///」 唯「……ん、あぁ、ごめんごめん」 憂(だ、ダメだよお姉ちゃん、刺激が強すぎるよぉ……)ドキドキ 唯「あぁ、そういえば、憂……」 憂「……ん?」 唯「いつも先お風呂入っちゃってごめんね、たまには憂も最初に入りたいよね」 憂「う、ううん、気にしないで」 …… ―ザパーン 憂「……」ドキドキ 憂(お、お姉ちゃんの浸かった後のお風呂……)ドキドキ 憂(……今日のお姉ちゃんの汗がしみこんだ)ドキドキ 憂(ま、まるで聖水に浸かってる気分……)ドキドキ …… 唯「ふわぁ……もう寝ようかな……」 憂「ね、寝る前にはちゃんと歯磨きしなよ」 唯「はーい」 ―タタタ 憂「……」ソワソワ 憂(お姉ちゃん、ちゃんと磨いてるかな…… いつもめんどくさがって、すぐすませちゃうから……) そろー 憂「……え?」ドキッ ―シャカシャカ 憂「お、お姉ちゃん、それ私の歯ブラシだよ」 唯「……え?」ドキッ 唯「ご、ごめん、気付かなくて使っちゃった」 憂「お、お姉ちゃん……」ドキドキ 唯「ご、ごめん憂、本当にゴメン!」 憂「お、お姉ちゃん……お姉ちゃんが私の歯ブラシを……」ドキドキ 唯(憂……すごいショック受けてる……) 唯「ご、ゴメン、新しいの買って取り替えておくから!」 憂「ダ、ダメ!!」 唯「……え?」 憂「あ、いや……その……」オロオロ 憂「そ、その歯ブラシはお気に入りだったから……その……」 唯「……そっか」 唯(お気に入りだったんだ……本当に悪いことしちゃったな……) 憂(お、お姉ちゃんと……お姉ちゃんと間接……間接……)ドキドキ ―シャカシャカ 憂「……」ドキドキ 憂(きょ、今日は、いいことづくめだったな……) ―シャカシャカ 憂(デートも出来たし、お姉ちゃんの写真コレクションもいっぱい増えたし……) ―シャカシャカ 憂(そ、それにこの歯ブラシ……)ドキドキ ―シャカシャカ ―深夜― ―ムクッ 唯「むにゃ……うーん」 ―ガララ 唯「トイレトイレ……と」 ―シャカシャカ 憂「お姉ちゃん……お姉ちゃん……」ボソッ 唯「う、憂、いつまで歯磨いて……」 ―朝・唯の部屋― そろー 憂「……」 唯「……ZZZ」 憂(お姉ちゃん、寝てる……よね) 唯「……ZZZ」 ―カシャカシャ 憂(け、今朝の寝顔はまた格別よね……)ドキドキ ―カシャカシャ 憂(い、いままでのベストショットかも……)ドキドキ 唯「う、うーん……」 憂(……し、しまった!!) 唯「ムニャムニャ……zzz」 憂(ふう……セーフ……) ―カシャカシャ 憂「……」 憂(……よし、そろそろかな) 憂「お、お姉ちゃん、朝だよー!」 ―キーンコーンカーンコーン― 憂「……よし、次は体育ね」 憂「……!!」 憂(し、しまった……間違ってお姉ちゃんの体操着持って来ちゃった!) 憂(そうか、昨日明け方までお姉ちゃんの体操着の匂いでたから、 ついそのまま自分のバックに……) 憂(ど、どうしよう……)オロオロ ―ガララ 唯「憂、いるー?」 憂「お、お姉ちゃん、どうして……」 唯「ごめん、間違って憂の体操着持ってきちゃってたみたい」 憂「あ、私の体操着……」 憂(た、助かった……) 唯「あ、それ私の体操着?入れ違いになってたんだね!」 憂「い、いや、これは洗うはずの体操着で、ちゃんと洗ったのはお姉ちゃんの部屋に……」 唯「次、私も体育だから、困ってたんだよー!良かったぁ!」 憂「い、いや、それは洗ってないから……その……」 唯「いいよーそんな一回くらい洗ってなくても、じゃあね」 ―ガララ 憂「あ、お姉ちゃん、待って……」 憂(まずい……あれには私のよだれがべったりついてて……) 憂(どうしよう……お姉ちゃんに私のよだれがついた体操着を着せる訳には…………ん?) 憂(わ、私のよだれがついた体操着をお姉ちゃんが……)ドキドキ 憂(私のよだれのついた体操着を……)ドキドキドキ 憂(ハァハァ……ハァハァ……)ドキドキ クラスメイト「ひ、平沢さん、鼻血出てるわよ、大丈夫!」 憂(お、お姉ちゃんが……私の……ハァハァ……) クラスメイト「ちょっと、誰か保健室に連れてってあげて!」 次の授業、憂は体育を欠席しました 教師「……で、あるからして……」 ―ピ、ピッピッ 憂「うふふ……」ニヤニヤ 教師「……そこでここがポイントだ」 ―ピ、ピピ 憂「……えへへ」ニヤニヤ 教師「こら、平沢!何ニヤけてるんだ、ちゃんと聞いてろ!」 憂「は、はい、すみません!」 教師「全く……で、次の式が……」 憂(お、怒られちゃった……) 憂(もう、授業中にお姉ちゃんの写メール見るのはやめよ… ……どうしたって顔が緩んじゃうもん) ―憂の部屋にて― 憂「よし、録音……と」 ―ぴっ 憂「憂、大好きだよー!」←唯の声マネ 憂「再生……と」 ―ぴっ 携帯「憂、大好きだよー!」 憂「やだもう……お姉ちゃんてば……」モジモジ 憂「もう……お姉ちゃん……」モジモジ ―モジモジ、バタバタ 憂「……」 憂「も、もう一回……」ドキドキ ―ぴっ 憂「憂、ちゅーしよう」ドキドキ …… 唯「ただいまー」 憂「お、おかえりー」ドキドキ 唯「あのね、さっき公園で小さい子供がおままごとしててね」 憂「おままごと……懐かしいねー」 唯「ねー、見てたらなんだかやりたくなってきちゃうよね」 憂「あ、いや、やりたくはならないかな……」 唯「えー、なんでなんでー!」 唯「いいじゃん、ちょっとやってみようよ、『お嫁さんごっこ』とかさ」 憂「……お、お嫁さん!?」ドキッ 唯「ほら、昔やらなかった?」 憂「い、いや、さすがにそれはちょっと……」ドキドキ 唯「うーん、まぁ、ちょっとさすがに幼すぎたかな、ごめんごめん」 憂(お、お嫁さん……お姉ちゃんとお嫁さんごっこ……)ドキドキ 唯「ねえ、ところで今日のご飯何ー?」 憂(お、お嫁さん……)ドキドキ 唯「ねえ、聞いてる、憂?」 憂「ち、ちなみにさ……」 唯「……ん?」 憂「ど、どっちがお嫁さん?」 ―憂の部屋― 憂(お姉ちゃんとお嫁さんごっこ……)ドキドキ 憂「はぁ……」 憂(なんで断っちゃったんだろう……私) 憂「……」ドキドキ 憂(ど、どっちがお嫁さんになったんだろ……)ドキドキ 憂「……」ドキドキ 憂「う、うん、あー、あー!」(いきなり発声練習を始める憂) 憂「……」ドキドキ 憂(わ、私がお嫁さんだったら……)ドキドキ 憂「お、おかえりなさい、あなた♪」 憂「た、ただいま、憂」←唯の声マネ 憂「お風呂にする、ご飯にする、それとも……私?」 憂「憂にするー♪」←唯の声マネ 憂「も、もう……あん♪」 憂「……」ドキドキ 憂「きゃー、きゃー!」(一人でテンションがmaxに達してしまった憂) ―ギッタンバッタン ―ギシギシ ―グラグラ 唯「あれ、地震?」 ―ガチャ 憂「……!!」 唯「憂、ちょっといい?」 憂「な、ななな、何、お姉ちゃん///」 唯(……何でこんなに汗だくなんだろう?) 唯「あ、あのさ、ちょっとこれから出かけてくるから、留守番お願いね!」 憂「……え?」 憂「お姉ちゃん、出かけちゃうんだ……」 唯「うん、まあ夕飯までには戻るから、じゃあよろしくね」 憂「……うん」 ―バタン 憂「……」 憂「さて……と」 ―唯の部屋― ―ガチャ 憂(お姉ちゃんの部屋……お姉ちゃんの匂いがする……)ドキドキ 憂「―スンスン」ドキドキ 憂(お姉ちゃんがいつも寝てるベット……)ドキドキ 憂(お姉ちゃん、めったにシーツかえないから……こんなに匂いが染み付いて……)ドキドキ 憂「―スンスン」ドキドキ 憂(あぁ、お姉ちゃん……お姉ちゃん……)ドキドキ ―ガララ 唯「忘れ物わすれもの……」 憂「……!!」 2
https://w.atwiki.jp/ll_inagawa/pages/808.html
スレ立て日 20240327 元スレURL しずく「栞子さん、この『しおしず合同』って本、何?」 概要 関連スレ タグ ^栞子 ^しずく ^しおしず ^SS
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3658.html
千勢姉ちゃんのマンションに来た次の日に買った寝間着を洗濯してベランダに干して、俺は一息をついた。 空は青く、街の東西を分けている川が光を反射しているのが目に刺激的だ。春が近付いている3月の気候はまだ長袖じゃないとつらいけども厚着をするほどでもない。 「モニカとフィラちゃん、元気にしてっかな……?」 千勢姉ちゃんやモニカと会って、フィラちゃんと再会して、徹心のおっちゃんやら≪神智学協会≫やらのゴタゴタの話を聞いたあの日から二日が経っていた。 フィラちゃんとモニカは、千勢姉ちゃんの所でこれからの行動方針を話してた次の日には≪首塚≫の持つ別荘――この永取市の北にある山の中にある小屋へと行っちまった。 せっかく仲良くなれた分、こんなにすぐに居なくなちまうと少しさびしいんだけどなぁ。 まあしょうがないんだろう。≪神智学協会≫の追っ手がモニカをまだ探しているのかもしれないんだし、山篭りしてた方がきっと見つかりづらいし安全だ。 二人が出ていく時にTさんと千勢姉ちゃんがくれぐれも気を付けるように言ってたのが妙に印象に残ってる。 「……まだ、何にも終わっちゃいねえんだもんな」 俺だってこの千勢姉ちゃんのマンションから動かないほうがいい状態らしい。なんでも俺やリカちゃん、Tさんは≪神智学協会≫側からどの程度の危険因子とみなされているか分からないから、しばらくは様子見した方がいいだろうとの事だ。 「しっかし、二日も経っちまうとなー」 昨日の内にやり残してた部屋の掃除も済んじまってぶっちゃけ暇だ。外に出てるTさんと千勢姉ちゃんがうらやましい。 「まあ、何もしなくて良いってのも悪かねえけどな」 リカちゃんとケウが陽のあたるところで寝そべっているのを見て、なんとなく思う。 ――ああ、平和だ。 「春休みで暇だし、しばらくここでのんびり過ごさせてもらおうかなー」 俺もケウの長く感触の良い毛に突撃すべく、室内に帰還した。 ● 永取市の東側、商業区内にTさんは居た。 この街に来た時に降りた駅を中心点として、ここ二日の間永取市の地勢を把握するためにTさんは千勢を伴って舞から頼まれる品物の買い物がてら街を歩きまわっていた。 永取市は見た限りでは普通の街だ。都市伝説やそれに類する者達の気配もこの二日間常に探っているが感じとれない。それだけこの街に居を構えている徹心が危険な都市伝説に対して目を配っているのだろう。 それに……。 「師匠、高部徹心が永取市にわざわざ異界の入り口を設けているのは、以前この街で大規模な都市伝説事件が起こったからだと言っていたな?」 隣を歩いていた千勢が頷く。 「ああ、そうだ」 「その事件は≪神智学協会≫が絡んでいたのか?」 「正解だ。以前、この街には都市伝説としての≪神智学協会≫が裏で持つ、ロッジがあった」 「ロッジ……」 「研究施設、と言い変えてもかまわないぞ」 そう言って皮肉気に千勢は笑う。 「都市伝説として以外に存在する一般社会におけるの神智学協会の保有するロッジとは全く違い、実際に力があるロッジだ。そこで≪神智学協会≫の研究班が大規模に実験を行っていた」 研究班、と呟き、Tさんはこの数日で得た情報を確認のために口にする。 「たしか今はオルコットの起こした内紛の過程で吸収されている部署だな?」 「そうだ、元々研究班とオルコットの派閥は密接な関係を持っていたようでな、モニカとその両親も研究班に所属していた事になる。 ≪神智学協会≫は先の内紛で所有するロッジが完全に機能を停止しているが、永取市にあるロッジは日本国内にあるロッジの中では最大規模のロッジでな。その分色々な機能が付属していたようで、完全に調べ尽くせてはいないらしい。≪組織≫でも封印処理を施して放置しているそうだ」 「そのロッジの中から何かオルコットの目的を果たす為の手段を探る事はできなかったのか?」 問いかけると、千勢は首を左右に振った。 「だめだな。いくらか都市伝説化した資料の残骸は見つけたが、具体的な事は何も……ただ、全体的に人体実験関係の資料が多かったと徹心が言っていた」 人体実験……。 モニカに対して行われていた実験もそうして資料の一部になったのだろうか? そう考えてTさんは重い息を吐いた。 「……目的は分かっているのに手段が掴めないというのは、不気味だな」 「まったくだ」 少なくともモニカが重要なファクターになっているらしいことは確かなのだが……。 「師匠、≪神智学協会≫の現在の構成は高部徹心からもらったこの書類の通りでいいのか?」 「ああ、その書類は私が送った最新のデータを基に作成している。それなりに正確なはずだ」 だとすれば、とTさんは書類の内容をおおざっぱに思い返す。 現在の≪神智学協会≫は内紛で勝利したオルコット派と、それの傘下にある研究班、という組織構成だ。 オルコット派とは言っても所属している人材は少なく、その実態は≪神智学協会≫の長オルコットとその側近の集まりというものだった。その総人数は今現在ではオルコットも含めて五人という事だ。 ただし、実際の兵力としてそれらを換算した場合、その認識は致命的な誤認になる……。 その五人の中には≪冬将軍≫、それに≪テンプル騎士団≫であるユーグも含まれている。それぞれが別々に一組織形体を作り上げる事が可能な能力を持つ者達だ。 それに加えてオルコットと残り二人……。 後の二人の側近はそれぞれ男と女と言う事くらいしか分からないらしい。『外から見て大まかに能力を把握出来る≪冬将軍≫とユーグとは違い、個人戦闘に特化しているのではないだろうか?』と書類にはまとめられていた。 そして、研究班……。 多数存在した≪神智学協会≫の部署の中で、内紛後も唯一オルコットがその存続を許した部署である。研究班が所有する戦力は普通の人間による武装戦力のみと書類にはあった。 元々研究班はオルコットが≪神智学協会≫を設立した当初に目的としていた、世界の在り方の改変を成す為の都市伝説研究を行う為の部署として設立された。現在に至るまでその両部署間の交流はあったようで、オルコットが内紛を誘発して他部署を粛清する動きを見せ始めた初期段階にはすでにオルコット派の傘下に収まっていたらしい。 ……研究班の今の長の名はウィリアム・ウェッブ……か。 モニカを使った実験を黙認、または推進したのはこのウィリアムという名の研究班の長だろう。碌でもない人間に違いない。 モニカが狙われているという事で、高部徹心が密かに千勢のマンションを去った由実とモニカの動向を追ってはいるが、≪フィラデルフィア計画≫の回復までの間は藤宮由実を無理に説得しておいた方が良かっただろうか……。 Tさんは僅かな気がかりと共にそう考え、今更か、とため息を吐いた。 ● 何やら難しい顔をしているTさんを見て千勢は苦笑した。 ……昔から思慮深げな奴だったが、成長すると様になるものだな。 今の彼からは貫録すら感じる。 電車用の鉄橋と車道が並走している街一番の大鉄橋。その先にあるマンションを見通すように目を細めて、千勢は定期連絡の為に携帯を取り出した。 通話を繋ぐ。相手は徹心だ。 「徹心、モニカやフィラちゃんの様子はどうだ?」 外から気配を探らせているだけだから詳しい事までは分からないよ? と断りが入り、徹心は報告を開始した。 『この二日間は何事も無く過ごせているみたいだ。今は藤宮君が買い物にでも出かけているのかな、小屋の中にモニカ君を隠している』 そうか、と千勢。 「山の中の小屋に隠して外出しないのならば、土地勘の無い者にはまず見つかる事はないだろう」 『うん、それに小屋には隠蔽用の技術が仕込まれているらしい。僕の遣わした兵も意識させていないと認識を外される』 「それはまた……手の込んだセーフハウスだ」 千勢は感心したように呟いた。徹心はそれと、と言って、言い辛そうに述べる。 『高坂君が僕に依頼していた、伏見君とTさん、リカ君のこの件からの離脱策だけど……残念ながらこれが絶対に安全という方法は無い』 「やはりか……」 千勢としても半ば判かっていた事だ。しかし実際に言われると軽く落胆する気持ちは拭えない。 「まあ、あそこまで堂々と名乗ってしまっているのだしな。海外にでも放りだせば可能かもしれないが」 『あまり下手に動くと≪神智学協会≫が何か企んでいる事が他に漏れるかもしれない。それをするのは僕は反対だ』 「分かっている。モニカの今後にも関わる事、慎重に行きたいのは私も同じだ」 子供に優しいのは私の性向だな、とおどけて言うと、徹心から申し訳なさが漂う多少沈んだ声音が返って来た。 『君にとって弟子や舞君がどれほど大事な存在かは分かっているつもりだ。けど――』 「くどいぞ徹心」 千勢はそう言って微苦笑を浮かべた。決まり悪そうに長い黒髪をかき回し、 「舞が申し出て、馬鹿弟子もリカちゃんも賛同した事だ。もとより私には口を出す権利なんてないのさ。けど、まぁ……」 言葉を飲みこんで頬を歪めた。 「……笑うか? ××を戦えるように育て上げたこの私が、今更戦場から遠ざけたいと思う事を」 返答は即座、口調は真摯なもので、 『笑わないさ。笑う事なんて出来ない。それが親というものなんだろう?』 千勢は失笑した。 「親とは笑わせる。アレの両親は息子を護って死んだよ」 『君が拾って育て上げたんだ。高坂君、君も親なんだよ。だからこそ――』 「分かった分かった」 長くなりそうな説教を断ち切るために携帯を切る。 説教くさい奴だ……。 そう思っていると、携帯を切るのを待っていたように、Tさんが声をかけてきた。 「何か藤宮由実達に変わりはあるか?」 「いや、徹心の話では今のところは問題無いようだ」 「そうか」 「早く戻ろう、舞に言われていた必要な品も買った事だしな」 ケウの毛で遊ぶからとリボンを大量に買った袋を軽く掲げて揺らす。この二日、ずっと缶詰状態の舞は暇を持て余している事だろう。 「急いで帰ってやろう。きっと喜ぶ」 「ああ」 ● 千勢の部屋があるマンション。その隣にあるビルから飛び移り、マンションの最上階を目指して静かに、しかし迅速に移動する者達が居た。 ≪神智学協会≫所属の者達、ユーグ、エレナ、弘蔵だ。 彼等はマンション最上階、舞やリカちゃん、ケウの居る部屋の前にまで来ると、素早く突入の準備を始めた。 エレナが金属製の棒を構え、ユーグが白系統の質素な衣服の上にバフォメットの加護である黒い影から引き出した鎧を瞬時に纏う。 準備が完了したのを確認して三人は頷き合った。 玄関の正面に立った弘蔵が懐から包丁のような刃物を抜き、扉へと狙いを付けて、構えた。 ――刃が振り下ろされる。 前ページ次ページ連載 - Tさん、エピローグに至るまで
https://w.atwiki.jp/83452/pages/4396.html
梓の家 梓「ふー」パタン 梓(結構読んだかな。とりあえずこれまでに得た情報を整理してみよう) 梓(魔理沙はイケメンでもてる。アリスはツンデレ。魔理沙が好き。パチュリーはひ弱。魔理沙が好き。三角関係) 梓(霊夢と紫ができてる。でも魔理沙も霊夢に惚れてる) 梓(レミリアはカリスマ。咲夜はレミリア命。主従コンビ) 梓(幽々子と妖夢も主従。ラブラブ) 梓(慧音が~) 梓「」ブツブツ 翌日 梓「……という解釈で間違っていませんか?」 紬「うん!大体あってる!梓ちゃん素敵よ!」ピョンピョン 梓「えへへ。任せてください!」 紬「ねぇ、梓ちゃん!今度一緒に同人誌を買いにいかない?」 梓「い、行ってみたいです!でも、どこに売ってるんですか?」 紬「秋葉原よ♪」 梓「秋葉原……!オタクが集まるっていうところですよね?」 紬「うん。あそこには同人誌を扱う専門店が集中しているの」 梓「秋葉原以外にはないんですか?」 紬「そうね、秋葉原は男の人メインだから……池袋の方がいいんだけどね」 梓「池袋はだめなんですか?」 紬「あそこは女の人向けのお店が多いから……。百合目当てなら秋葉原の方がいいと思うの」 梓「へぇー……。じゃあ秋葉原に行きましょう!一度行ってみたかったんです」 紬「うん!楽しみねぇ♪」 キャッキャッ 唯「……」 唯「あーずにゃん!」ガバッ 梓「きゃあっ!?」 唯「何話してたの~?教えて教えて!」ギュー 梓「な、なんでもないですっ///」ジタバタ 唯「え~?なんでもなくないよ~!今お話してたじゃん!」 紬「あのね、今度梓ちゃんと……」 唯「……」チラッ 紬「お出か」 唯「……」フイッ 紬「け……」 唯「ねぇ~あずにゃ~ん」ベタベタ 梓(う……あ) 梓「い、いやっ!」ドンッ 唯「わっ!」ヨロッ 唯「あずにゃん……?」 梓「ご、ごめんなさい」 梓「その……あまり抱きつかないで……」 唯「えっ……」 唯「……ごめんね」 梓「……」 唯の部屋 唯「はぁ……」 唯(抱きつかないで……かぁ) 唯(今までに何回も言われてるけど、今回は本当に嫌そうだったな……) 唯(……ムギちゃんの前だったから?) 唯(あずにゃん、最近ムギちゃんとずっと一緒にいるし。もしかして、ムギちゃんの事が……) 唯(好きな人の前で他人に抱きつかれたくない……そう考えたら辻褄が合うよね) 唯(それとも、もう付き合ってたり……) 唯「……」ムクリ 唯「憂ー?」ドタドタドタ 週末 梓「うわぁ……!ここが秋葉原!」キョロキョロ 梓「なんだかイメージと違います!」 紬「開発が進んで、高層ビルが立ち並ぶキレイな街になったそうよ」 梓「へぇー。なんていうか、もっとごちゃごちゃした街を想像してたので……意外です」 紬「中央通りから外れれば、かなり違った雰囲気なんだけどね」 梓「」キョロキョロ 梓「なんだか、いかにもなオタクって人はそんなにいないんですね?」 紬「そうねえ、最近は観光できたり、デートにくるカップルも多いみたいよ」 梓「へぇ……」 梓「あっ」 梓「あそこのお店、ぬいぐるみが沢山ある!」 紬「コト○キヤね。1Fは色んな物が置いてあるから一般の人もよく入ってるのよ」 梓「へぇー……」 紬「入ってみる?」ニコニコ 梓「うーん、でもこういうのはどこでも見れるし……他のお店がいいです」 紬「わかったわ。それじゃあ、中央通りを歩いてみましょうか」 梓「はい!」 梓紬「」キャッキャッ ヒョコッ 唯「……」ジーッ ~~~~~~~~~~~~~ 憂『梓ちゃんと紬さんが?』 唯『うん、だからどこに行くのかさりげなく聞いてくれないかな?』 憂『いいけど……お姉ちゃんが聞いちゃだめなの?』 唯『それは……イヤ』 憂『??よくわからないけど、梓ちゃんに聞いてみるね』 唯『ありがとう!』 ~~~~~~~~~~~~~~ 唯(あずにゃん楽しそうだな……) 唯(それにしても、電気屋さんとかアニメや漫画のお店ばっかりだけど) 唯(なんでこんな所にきてるんだろう……) ドンッ 唯「わっ」ヨロッ 男「わっ、ひっ、す、すみません……」ペコリ 唯「い、いえっこちらこそ」ペコ 唯「あれっ?あずにゃん達がっ」キョロキョロ 梓紬『』ガーッ 唯(あ、あの店に入ったっ)ササッ ○の穴 紬「ここが○の穴よ」 梓「うわぁ……。漫画がたくさん」キョロキョロ 梓「……あれ?なんだか普通の漫画ばかりですね」 紬「同人誌だけじゃなくて、普通の漫画も売ってるのよ。普通の本屋さんにはあまり売ってないマイナーな漫画もしっかり置いてあるの」 梓「へぇー……」キョロキョロ 梓「もしかして、このビル全部が○の穴なんですか?」 紬「そうよ。隣のビルも○の穴よ」 梓「すごい……。ここなら何でも売ってそうですね」 紬「とりあえず、同人誌のフロアに行ってみましょう。こっちよ」 カツンカツン 梓(階段せまい……) 梓「エスカレーターとかはないんですか?」 紬「エスカレーターはないけど、エレベーターはあるわよ」 梓「そうですか(まあ、別にいいか)」 ~~~~~~~~~~~ 唯「あれ?」キョロキョロ 唯(あずにゃんがいない) 唯(あっちょうどエレベーターが。とりあえず乗ろう)スッ 男2「フゥ、フゥ……」ムギュウウウウ 男3「フシューッ……」フキフキ 男4「……」アーイマーイサンセンチ♪ シャカシャカシャンシャン 唯(!) ムギュウウウウウ 唯(うわぁぁぁぁ!) ~~~~~~~~~~~~~~ 紬「ここが、一般向け同人誌のフロアよ」 梓「すごい……!」キョロキョロ 梓「これが全部同人誌……!」タタッ 紬「あっ梓ちゃん……かなり興奮しちゃってるわね♪」ニコニコ 梓「入り口にいきなりな○は、ボー○ロイド、レー○ガン、咲-S○ki-本が!」 紬(梓ちゃん……いつの間にそんな知識を!?) 梓「す、すごい……ん?」 梓「なっ!あそこは全部東○!?すごい量!」 男5「……」ジロッ 男6「……」チラッ 紬「あ、梓ちゃんちょっと静かに……」ヒソッ ~~~~~~~~~~~~~ ガーッ 唯「……」ヨロッ 唯(階段でいけばよかったよぉ……) 唯(男の人汗まみれの腕がピトピトくっついて……)ゲソッ 唯「同人誌……フロア?」 唯(ここかなあ……?)キョロキョロ 唯(なにここ、男の人ばっかり……。何で?) 唯(でも、あずにゃんがいればすぐにわかりそうだね) 唯(よし、静かに入って……)スッ ムワァ…… 唯「」 唯「うっ……」ヨロッ 唯(くっ……臭い!何ここ!?) 唯(でっでも入らないと探せない……我慢しなきゃ) 唯「……!?」 唯(な、何これ!?) 唯(え、えっちな本///) 唯(えっ?これも、これも、これも!全部えっちな本!)キョロキョロ 唯(あずにゃん、こんな本が欲しくて……?) 唯(なんだか気持ち悪くなってきた……。この階は諦めて他の階に行こう)ソソクサ 唯(一般向け同人誌フロア……こっちにいこう) ~~~~~~~~~~~~ 紬「梓ちゃん、気に入った本はあった?」 梓「はい、YUI×AZU本が沢山あって目移りしちゃいました!」 紬「じゃあ、他のフロアも行ってみる?」 梓「えっ?他……あ」 梓「い、一応行ってみようかな……///」モジモジ 紬「じゃあこっちね」 梓「はっはい!」ギクシャク ムワァ…… 梓(うっ……) 紬(この臭いはいつきても苦手だわ) 紬「入る?」 梓「ふぁ、ふぁい」 梓(うわ……)キョロキョロ 梓(すごいえっちそうな本ばっかり///) 梓(私はこういう本が欲しいわけじゃないんだけどなぁ……) 梓(あっ!けいお○!コーナーがある!)ササッ 梓(YUIの本がたくさん……///)ドキドキ 梓(……)キョロキョロ 梓(手に取るの恥ずかしいなあ……)コソコソ 梓(よし今だっ!これっ!)ヒョイッ 4
https://w.atwiki.jp/0715/pages/17.html
お絵かきしましょう 現在、paint_bbsプラグインはご利用いただけません。
https://w.atwiki.jp/0715/pages/23.html
リンク集 Y・KのテストHP・・・http //1st.geocities.jp/ykis6791/ 雲隠れの修羅場・・・#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ページ名)
https://w.atwiki.jp/0715/pages/7.html
モンスターハンターの情報・裏技・攻略・質問 ちんこいじいじ童貞君 -- いんぽ (2007-07-27 12 23 11) ハリセンボンですよね -- 大室さん (2007-08-28 22 55 22) 死神ですよね -- 坂本さん (2007-08-28 23 14 32) それは僕のことですか? -- 佐久間さん (2007-08-28 23 18 53) はぁ? -- 田津 (2007-08-28 23 21 07) 僕 -- 大室さん (2007-08-28 23 22 12) 僕明日自殺しまーす -- 佐久間さん (2007-08-28 23 28 47) 必ず -- タード (2007-08-28 23 35 06) テメェー 絶対死ねよ -- 大室さん (2007-08-28 23 41 07) 糞漏らしてすいませんでした -- 大室駿 (2007-08-28 23 43 58) 佐久間死ね -- 名無しさん (2007-08-28 23 47 28) 僕糞漏らしてしまいましたすいませんでした -- 大室駿 (2007-08-28 23 54 20) 佐久間死ね -- 速く死ね (2007-08-28 23 55 11) 大室駿死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね -- 多ムロ死ね (2007-08-29 00 12 41) 佐久間俊樹死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね -- 佐久間俊樹死ね (2007-08-29 00 26 21) 僕社会のテストで0点とっちゃったヤバイ そろそろ自殺しなきゃ! -- 佐久間さん (2007-08-29 00 29 01) 僕馬鹿以下です -- 大室さん (2007-08-29 00 31 28) ずいぶん荒らされましたね(∪o∪)。。 -- 柏木 (2007-08-29 00 45 52) 死ね死ね死ね死ね死ね死ね入れ歯安定剤キモ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね全教科の合計点数0です死ね死ね入れ歯安定剤キモ死ね入れ歯安定剤キモ死ね入れ歯安定剤キモ死ね入れ歯安定剤キモ死ね入れ歯安定剤キモ死ね入れ歯安定剤キモ死ね入れ歯 -- 大室駿 (2007-08-29 00 50 52) 大室さんが少し反省しなきゃあかんな -- ビリー (2007-08-29 00 53 04) JMTJADTKDJOmjagaaga -- 蝌磋南淆 (2007-08-29 00 58 11) みなさんさようなら -- 佐久間さん (2007-08-29 01 07 36) 古島 -- 泣かすぞ (2007-08-29 01 18 49)
https://w.atwiki.jp/history-arunai/pages/12.html
この画像を見てくれ、どう思う? ただの白い画像? 違うな。 これは有子ちゃんの頭の中の年表なのさ。 つまり真っ白! 有子ちゃんは何も知らないんだな。 でも有子ちゃんは、歴史をもっと知ろうと決心したわけだ。 それで、ここに「無知な有子ちゃんのお勉強記録」なるコンテンツが作られた。 有子ちゃんは学習を続けるうちに、「確実に」、無知だった頃を思い出せなくなる。 そして、同じように歴史の学習に苦しむ人に共感できなくなる。 また、知識をつけるために、多くの人が辿った道を自分も辿ることで、 こんなことをいちいちコンテンツにするのに何の意味があるのかと考えだす。 しかし、インターネット上の多くのコンテンツを有子ちゃんが楽しめているように、 有子ちゃんの成長記録を楽しめる層というのは、それこそ物知りになった有子ちゃんの一人語りを楽しめる層よりも、厚いはずなのだ。 有子ちゃんは忘れないようにしなきゃあいけない。 勉強したいけれども考えあぐねて一歩を踏み出せずにいる人の背中を、 自分が少しでも押すことができるんだってことを。 有子ちゃんはここで改めて決意した。 この真っ白な年表に、今、少しずつ書き込んでいこうと。 そして、現時点で無知な有子ちゃんに素晴らしいことがあるとしたならば、 それは「何も知らない」ということに他ならないのである。 有子ちゃんは勘違いを直す一切の必要がないのである。 さあ、有子ちゃんの歴史のお勉強記録を、一緒に見ていこう。